米IBMおよび米VMwareは2月22日(現地時間)、クラウドのスピードと経済性をさらに活用できるよう企業を支援することを目的とした戦略的提携を発表した。これにより、企業は既存ワークロードを、自社オンプレミスのソフトウェア定義のデータ・センターからクラウドへ容易かつ安全に拡張できるという。両社は、事前構成済みのVMware SDDC環境を、顧客が自動でプロビジョニングできるようにするアーキテクチャーおよびクラウド・オファリングを共同で設計した。この環境は、IBMクラウド上のVMware vSphere、NSX、Virtual SANで構成されているという。このSDDC環境を使うと、VMwareに基づく共通のセキュリティー・モデルとネットワーク・モデルにより、ハイブリッド・クラウド環境にワークロードを修正なしで展開できるようになるという。IBMは、自社の包括的なCloudBuilderツールとワークロード自動化機能を利用し、事前構成済みワークロードやカスタム・ワークロードを、VMwareのソフトウェア定義のデータ・センター・アーキテクチャー用設計パターンにより検証されたクラウドへ、自動的にプロビジョニング。さらに、VMwareは、環境をIBMクラウドに展開し、顧客のローカル・データ・センターの一部であるかのように管理できるよう、vRealize AutomationおよびvCenterの管理ツールを拡張した。また、両社は、ハイブリッド・クラウド導入のための新規オファリングを共同でマーケティングし、販売する予定だという。これには、シームレスなワークロードの移行、災害復旧、容量拡大、データ・センター統合などが含まれる。
2016年02月23日レノボ・ジャパンは2月16日、都内で同社のエンタープライズ事業戦略について記者会見を開催した。最初にレノボ・ジャパン 代表取締役社長の留目真伸氏が登壇し、同社のビジネス概況について説明した。同氏は「PC事業は国内外ともに過去最高のシェアを獲得しており、事業環境は好調だ。一方、エンタープライズビジネスはIBMから引き継いで1年が経過するが、業績は買収当初と比較し、V字回復している。グローバルにおいて売上高は前年比12%増、前期比8%増と好調に推移しており、年間50億ドルの売り上げを目指す。日本でのシェアは2015年第2四半期で5.0%とIBMとの統合前の水準まで戻している。今後のエンタープライズ事業の方向性としては、コンピューティングパワーをパーソナルにし、普及させていく会社だと考えているため、PCだけでなくスマートフォンやタブレットをはじめとしたデバイス、サーバなどを含め、広範囲にコンピューティングパワーを提供していくことが使命だ。コンシューマ、エンタープライズ両方の製品を兼ね備え、進化させていくことが求められている」と語った。次に、執行役員専務の安田稔氏が同社のエンタープライズ戦略として「サーバ・ストレージ戦略」「スマートデバイス戦略」「パートナー戦略」の3本の柱を軸に事業を推進していくと強調した。サーバ・ストレージ戦略について同氏は次のように述べた。「IBMから引き継いだSystem xの製品群、生産、開発、サポート体制に変更はない。IDCの調査によると、今後のストレージ市場について、従来型ストレージ市場は2027年までの年平均成長率は17.8%のマイナス成長となるが、SDS(Software Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)などをはじめとした次世代ストレージ市場は66.9%のプラス成長が見込まれている。また、インフラ市場も2020年までに従来型インフラ市場は11%のマイナス成長だが、ハイパーコンバージドやハイパースケールなどの次世代インフラ市場は158%と大幅な成長が期待されている。われわれは既存のサーバ、ストレージ製品にも取り組むが、SDSに代表されるような最新技術やハイパーコンバージド、ハイパースケールなどの次世代技術に注力していく」近年、オンプレミスのユーザーにおいては運用コストが課題となっているという。安田氏は、その原因を仮想化に伴い管理するレイヤーが拡大し、人員、時間が大幅に増加したと推測しており、結果として新規サーバへの投資が減少しているほか、ユーザーのニーズが生産性の向上からビジネスの成長に直接寄与するような戦略的なものに変化しているのではないかと指摘した。同社ではハイパーコンバージドシステムによりTCOの削減を実現でき、新たなIT投資に振り向けることが可能だと考えており、同システムへの取り組みを強化していくと強調した。そこで、同社では第1弾として1月にNutanixの分散システム「Acropolis」、一元管理ツール「Prism」の各ソフトウェアとLenovoのサーバ「System X」を搭載したハイパーコンバージドアプライアンス「Lenovo Converged HX Series」の発売を開始している。また、ハイパースケールインフラの取り組みとしては、すでにワールドワイドの専門組織を立ち上げており、製品の企画から販売まで垂直モデルでユーザーニーズをダイレクトに反映できる体制を構築。ユーザーから直接ヒアリングを行うことで、今後も成長が見込まれるハイパースケールインフラへの投資を強化し、ビジネスの拡大につなげていくという。スマートデバイス戦略については「多様化するニーズに対応したラインアップの強化を従来のコンシューマ向けからエンタープライズにも移行し、コンシューマ、エンタープライズに関係なくビジネスを拡大する」と安田氏は語る。新しいデバイスはホテルなどで活用されており、今後は企業内でワークスタイルの変革に合わせた会議の仕組み・運営方法の提案が可能となった。すでに、ホテルなど店舗ではSOTIのモバイル管理ツールである「MobiControl」を展開しており、日本独自の環境に適した会議システムなどを手がけるパイオニアVCと提携し、会議の生産性向上ツールである「xSync Office」の国内展開にも同氏は期待を寄せている。パートナー戦略としては、ISV/IHVアライアンス強化や販売店の倍増計画、パートナー支援強化の3点を同氏は挙げた。ISV/IHVアライアンスの強化ではパートナーとのビジネスを国内外ともに加速していくほか、販売店の倍増計画ではPC&サーバ統合パートナープログラムとインセンティブプランや、PC販売店へのクロスセルとIBMビジネスパートナーとのリレーション強化、新規パートナーの開拓を進めるとしている。さらに、パートナー支援強化ではパートナー専用サイトのレノボ・パートナー・ポータルによるインバウンド型トレーニングに加え、パートナーオフィスでの無償開催音サイト・トレーニングをはじめとしたアウトバウンド型トレーニングを備えているという。
2016年02月19日ベリタステクノロジーズは2月15日、2月2日に情報管理ソリューション企業としてシマンテックから独立したことに伴い、2016年の日本市場における事業戦略の記者会見を行った。ベリタステクノロジーズの歴史は1989年に発足したベリタス・ソフトウェアにさかのぼり、2005年にシマンテックにより買収され、2014年にシマンテックとの事業分割が発表され、2016年2月に独立企業としてあらためて事業を開始した。代表執行役員社長を務める西村隆行氏は初めに、シマンテックと事業を分割した理由について、「市場の特性が違ったこと、統合によるシナジーの効果が出せなかったこと」と述べた。西村氏は、同社がインフラの上に乗っている「情報」に重きを置いていると説明した。「ストレージやハイパーバイザーを導入しただけでは、情報の可用性を確立することはできない。データと情報は同じではなく、同様に、インフラの可用性はアプリケーションの可用性は異なり、より多くのデータがあるからといってより価値が高いわけではない」そこで同社は、「情報のチカラ」を引き出すべく、「情報がいつでもすぐに使える環境」と「情報の本質をつかむこと」を提供することミッションとする。具体的には、ソリューション、パートナー戦略、サービスメニューという3つを軸にして、施策を展開していく。製品戦略については、テクノロジーセールス&サービス統括本部常務執行役員本部長の高井隆太氏が説明を行った。高井氏は、「情報がいつでもすぐに使える環境」と「情報の本質をつかむこと」を提供するミッションの下、「コア製品のポートフォリオの拡充」「次世代の情報の可用性を向上させるソリューションの提供」「次世代のインサイト・ソリューションの提供」を軸に製品を展開していくと述べた。同社は、バックアップ/リカバリー製品、ストレージ管理製品、アーカイブ製品などを提供しているが、コア製品として、バックアップ・アプライアンス「NetBackup Applianve」とクラウド型メール・アーカイブサービス「Enterprise Vault.cloud」に注力していく。「NetBackup Appliance」の国内提供は2015年から行われているが、今後、中小規模の企業をターゲットとした購入しやすいライセンスバンドルモデル、大規模モデルを提供する。高井氏は、企業がグローバル化を進める中、メール・システムが分断化してコントロールできない状況に陥っており、「すべてのメールを検索できない」「保持期間に基づく証跡を提示できない」といった課題が生じており、これらの課題の解決策として、「Enterprise Vault.cloud」が求められていると説明した。次に、情報の可用性を向上するソリューションとして「Resiliency Platform」が紹介された。同製品は、物理環境・仮想環境・クラウドサービスをオーケストレーションして、ITサービスの継続性を自動化するとともに、サービスレベルやリスクを可視化する。「Resiliency Platformでは、ワンクリックで災害対策のリハーサルが行えるが、これは重要なこと。災害対策を行っていても環境の変化に対応していない場合があり、対策として有効であるかどうかを確認しておかないと意味がない」と高井氏。提供予定のインサイト・ソリューションとしては、「Information Map」が紹介された。同製品は、同社の製品に格納されている非構造化データのメタデータをクラウドサービスにアップロードして、それを視覚化するもの。リスクが存在する領域、有用な領域、無駄な領域を特定して表示するなど、ストレージの管理だけではできない情報の管理を実現する。古くからIT業界に関わっていれば、大抵の人はベリタスの製品を知っているだろう。シマンテックに買収されたことで、ブランドの認知度が低下してしまっていた感があったが、シマンテックから分離したことで、本来の業務に注力できるのではないだろうか。実のところ、パートナーからもビジネスがやりやすくなったと今回の独立を歓迎する声が多いそうだ。ビッグデータのトレンドを追い風に上昇気流に乗ることができるかどうか、今後のベリタスのビジネスに注目したい。
2016年02月16日アドビシ ステムズは2月15日、2016年度の事業戦略説明会を開催。「Adobe Creative Cloud」、「Adobe Document Cloud」、「Adobe Marketing Cloud」という同社の事業の中核である3つのクラウドプラットフォームに対する2016年度の国内施策を発表した。アドビ システムズ 代表取締役社長 佐分利ユージン氏は、冒頭、同社を取り巻く市場環境に触れ、「最近は消費者のデジタルへの期待も高まり、企業が扱うデータ量は爆発的に増えている。それにより、企業と顧客とのタッチポイントが増えており、ビジネスチャンスも拡大している。また、腕時計、カメラの市場の変化のほか、ウーバーのような新しいビジネスモデルも登場している。そのため、企業のデジタルの対応が重要になっており、優れた顧客体験が勝敗を分けている」と述べた。そして同氏は、優れた顧客体験には、「魅力的なコンテンツ」、「パーソナル(顧客のパーソナライズして情報を提供)」、「利便性」、「あらゆる場所で提供(モバイル)」の4つの要素が重要だとした。アドビでは優れた顧客体験に向け、すべてのタッチポントで価値をつくる「コンテンツ」と、伝えるべき人に伝えるべき情報を、伝えるべきタイミングで提供する「データ」を差別化の要因にしていくという。○3つのクラウドに向けた戦略同社の事業の中心は「Adobe Creative Cloud」、「Adobe Document Cloud」、「Adobe Marketing Cloud」の3つのクラウドプラットフォームだが、佐分利氏はこれらのクラウドが有機的に連携している点が同社の強みだ強調。これらの3つのクラウドを中心とするグローバルでの昨年の売上は対前年比16%増の48億ドルで、これは過去最高の実績だという。このうち、「Adobe Creative Cloud」(以下、Creative Cloud)が26億ドル、「Adobe Document Cloud」(以下、Document Cloud)が3億9700万ドル、「Adobe Marketing Cloud」以下、(Marketing Cloud)が15億900万ドルを占めるという。Creative Cloudではモバイルアプリの強化、著作権フリーの写真を提供するAdobe Stockの提供開始、有料サブスクリプションへの移行が加速した点が昨年の主なトピックで、佐分利氏によれば、新規にCreative Cloudを利用する顧客の半数はモバイル経由の利用だという。Marketing Cloudでは、昨年は製品のポートフォリオの拡充、大手企業の採用により、過去最高の売上を達成。昨年3月に発表したDocument Cloudでは、デジタルサービスの拡販やパートナーエコシステムの拡大を行ったという。そして、同氏は2016年度の日本市場向けた施策を発表。Creative Cloudでは、これまでの写真・イラスト素材に加え、ビデオ素材を新たに提供。また、学生やセミプロ向けのコミュニティ活動を行い、新規ユーザーの獲得を積極的に行うほか、エンタープライズ向けには技術支援を行い、新しい使い方の提案を行うという。Marketing Cloudについては、8つのコンポーネントを持つ統合クラウドソリューションという面を差別化要因として訴求。データの解析から実際のプロモーションまでトータルでサポートするという。また、日本法人が持つ開発組織を利用し、日本市場に特化した機能を提供し、企業ニーズに応えていくという。さらに、金融、トラベル、製薬という新たな業界へ訴求するための営業体制を強化するほか、NTTデータや博報堂などの新たなパートナーとの関係を強化していくという。そして、Document Cloudでは、デファクトとなりつつあるAcrobat Readerとワークフローの統合による価値提案、意思決定支援を基本とする経営層への訴求、デジタルサインの販売強化を行うという。
2016年02月16日●関西電力の子会社ケイ・オプティコムケイ・オプティコムは25日、事業戦略説明会を開催し、2016年以降の運営方針を明らかにした。マルチキャリアやMNP即時切り替えといった同社の特徴的なサービスはそのままに、他のMVNOとの差別化を図っていくとする同社の戦略はどのようなものだろうか。○ドコモMVNO開始からユーザー急増中ケイ・オプティコムは関西以外のユーザーにとってあまり馴染みがないかもしれないが、関西電力の100%子会社となる通信会社で、FTTHサービス「eo光ネット」や、携帯電話/スマートフォン向けのMVNOサービス「mineo」を展開している。両サービスとも顧客満足度調査で1位を獲得するなど、高クオリティのサービスを提供中だ。mineoは当時唯一のau回線を利用したMVNOサービスとして、2014年6月に1GB月額980円でサービスを開始し、2015年9月にはドコモ回線を利用したサービスを始めるとともに、パケットギフトや家族割、複数回線割りのほか、この説明会の直前にも10GBプランをスタートするなど、1年半でこまめにサービスの拡充と改善を重ねてきている。ドコモ回線を扱うようになってからはユーザーの増加ペースも急増しており、会員数は約19万人に達している。ユーザー数の増加に合わせてこまめにネットワークの増速やユーザー1人あたりの帯域割り当て増も進めており、これが高いユーザー満足度に繋がっているとした。MVNO市場全体を見ると、MVNOの認知度自体は約75%と高まっているのだが、実際利用を検討するユーザーは16%程度、契約に至るのは10%程度と、検討するまでの間に高いハードルがある。これをもっと具体的に検討する「自分ごと化」させるに至らすためにも、面倒、不安といった心理的ハードルを解消することが必要と分析した。また、現MVNOユーザーは携帯リテラシーの高い層であり、これからターゲットとして広めていかねばならないマジョリティ層の攻略ポイントとして知名度の高さが必要であり、広告やキャンペーン、店舗出店などで露出を高めていく必要を挙げていた。しかし、こうした露出アップにはMNOであるメガキャリア並みの広告展開など、体力勝負になる可能性が高い。こうしたなかで多くの中から選ばれるMVNOとしての特徴を出していくことが重要だとまとめた。●ユニークなコミュニティサービス「マイネ王」○コミュニティを中心としたMVNOへこうしたなか、mineoに特徴的なサービスとして、スタッフとユーザーのコミュニケーションサイトである「マイネ王」を紹介。ちょうど1年前にスタートしたサイトだが、ユーザー同士の率直な意見交換や、iPhone対応のAPNプロファイルテスト時にスタッフとユーザーが情報交換しあう場となるなど、建設的な方向で利用が進んでおり、mineoのさまざまなサービスや改善もユーザーの声から実現していると説明した。また、マイネ王のサービスとして、ユーザー同士が余剰パケットを共通の枠に貯蓄して、不足してきたら1GBを利用できる「フリータンク」や、「いいね」代わりに10MBのパケットを進呈する「チップ」といったサービスも紹介。これらが予想以上の好評を得ていることも明らかにした。mineoは、総務省のMVNO規制緩和第2弾などを受け、MVNOに求められる資質について、メガキャリアではできない新たな試みで世の中を便利で楽しく、面白くしていくことと定義。その実現に向けて、こうしたコミュニティの力を中心に、キャリアとユーザーがともに育てていくことがmineoのスタイルであり、それを「Fun with Fans!」というキャッチフレーズに表した。***MVNO各社は、従来の、サービスのクオリティや価格の安さといった評価軸だけでは価格競争による潰し合いになることから、新たな評価軸を設定してみせることが急務だが、mineoではそれを「楽しさ」という価値に見出してきている。いかにも関西系のサービスらしいフレーズだが、同時に楽しさを伝えることの難しさも抱えたことになる。mineoはサービス品質の高さに加え、「フリータンク」などの試みもユニークなだけに、もっと認知されてしかるべきサービスというのが筆者の認識だ。ユーザーと共にサービスを育てるという、いまどき珍しいコンセプトを掲げてくれた男気に免じて、Fun with Fans!のコンセプトが浸透することを祈りたい。
2016年01月26日アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)は1月22日、2016年のパートナー戦略に関する説明会を開催した。初めに、同社のパートナーアライアンス本部 本部長を務める今野芳弘氏が説明を行った。今野氏は、パートナーとのアライアンスの目的が「顧客をNew Normalに導く」こととしたうえで、2016年は「基本拡大路線」と「New Normalに導く近道」の2点を柱に、パートナービジネスを展開していくと述べた。「この戦略は、新たな成長軸を得たり、ビジネスの拡大・イノベーション・グローバル化を実現したり、競合との差別化を図ったりと、顧客とパートナーの双方の課題解決に導く」(今野氏)New Normalとは、「規定概念を越えたIT活用、新たな付加価値提供、想定外の新世界標準、新たなテクノロジーと応用が行われている状態。単なるサーバの置き換えではなく、クラウドが常識である状態」を指すという。「基本拡大路線」においては、パートナーの経験と能力向上、選択肢の増加を目指すため、「AWSパートナーネットワーク(APN)のパートナー数、チャネルリセラーパートナーの拡大」「エンタープライズシステム構築・運用のための能力向上」「パートナーコミュニティの活性化」「コンピテンシープログラムの充実」「ソリューションの無料お試しサイトの推進」に取り組んでいく。例えば、パートナー数の拡大に向けては、新規パートナーを獲得・育成する組織を強化する。「これまでは質の確保を重視していたが、昨年から数の拡大にも注力している」と今野氏。また、エンタープライズシステム関連については、「ファンディング額の増大」「AWSトレーニングの強化」「プロフェッショナル認定資格取得者を増強」といった策を行っている。パートナーコミュニティとしては現在、「金融機関向けAWS対応セキュリティリファレンス」「医薬業界向けリファレンス」が立ち上がっているという。一方、「New Normalへ近道」としては、「AWSマネージドサービスの活用能力拡大(Auroraを含むデータベース領域)」「SaaSパートナーの拡大」「IoTエコシステムの拡大」に取り組んでいく。今野氏は、AWSのサービスのうち、特に推したいサービスとして「Amazon RDS for Aurora」を挙げた。Auroraは同社がクラウドのために開発したマネージド型リレーショナルデータベース。今年12月に、国内の「Aurora Readyパートナープログラム」の発足が発表されている。発表会には、APNのパートナーであるウイングアーク1st、ワークスアプリケーションズ、TIS、サーバーワークスの担当者も登壇し、APNパートナーとしての取り組みやメリットについて述べた。ウイングアーク1st 取締役 CTO 開発本部 本部長の田中潤氏は、「アプリケーションベンダーのわれわれにとって、プラットフォームの構築は強みにならない。われわれの強みはアプリケーションであり、独自のアプリケーションを提供することに集中したいので、AWSを利用することにした」と、AWS採用の理由を説明した。今後は、帳票クラウドサービス「SVF Cloud」においてマルチリージョンクラスタを採用し、1つのデータセンターに障害が発生しても、サービスの利用が継続する仕組みを提供するという。ワークスアプリケーションズ BPO Div. シニアゼネラルマネジャーの荒川 康彦氏は、「AWSのすごさは、インフラをプログラマブルで制御できる点。これにより、ハードウェアもパッケージしたサービスが提供可能となった。アプリケーションベンダーがインフラからアプリケーションサービスまで、ワンストップで問題解決を提供できる」と、AWSの魅力を語った。両社の取り組みとしては、米国シアトルのAWS本社に、同社の顧客100社規模のエグゼクティブを招待して開催したセミナー、製品開発・サービス提供における技術支援が紹介された。荒川氏によると、AWSにサービス改善の要望を出すと迅速に対応がなされ、これまでにAmazon RDS for Oracleのタイムゾーンの拡大や請求処理の前倒しといった改善が行われたという。TIS プラットフォームサービス企画部 副部長の内藤稔氏は、AWSとのパートナーシップ施策の効果として、「プレミアパートナーに認定されたことで、引き合いと協業依頼が増加」「FISCリファレンスの取り組みによって金融機関への新たな認知を獲得」「TestDriveへの取り組みによって、新たな領域におけるリードの創出」「Go to Market/PoC/育成などの各種支援により、案件や制約率が増加し、デリバリ体制が増強」を挙げた。「プレミアパートナーに認定されたことで、お客さまにAWSのソリューションベンダーとしてTISを選ぶ理由ができた」と内藤氏は語った。また、日本で公開されている22個のTest Driveのうち、6個を同社が提供しており、Test Driveを有効活用している様子を見せた。サーバーワークス 大石良氏は、APNへの加入のメリットとして「コネクションの強化」「案件獲得が加速」「PoCファンドの活用」を挙げた。同社はAPNのPoCファンドを活用して、ヤマハ発動機にWorkSpacesへの導入を実現したという。「APNを拡大すると聞くと、競業が増えてビジネスが厳しくなると思われるかもしれないが、われわれは拡大を喜んでいる。なぜなら、競合の増加よりもAWSのマーケットの拡大のほうが速く、パートナー同士でソリューションを補完することで、さらにAWSビジネスの拡大が望めるから」と、APNの拡大がパートナーにとってもメリットをもたらすことをアピールした。
2016年01月25日オンライン学習サービスの「スクー」はこのほど、ブルーボトルコーヒー青山カフェにおいて「ブルーボトルコーヒーのブランド戦略」と題した授業の生放送を実施。ブルーボトルコーヒージャパンの代表社員/取締役として、日本における事業立ち上げに携わった井川沙紀氏が、同社のブランド戦略を元に「ブランドの本質」について語った。○農園から一杯のコーヒーを提供するまで、そのプロセスを徹底的に管理するブルーボトルコーヒーは、2002年にジェームス・フリーマン氏が米国で創業。サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルスと東京で23店舗を運営している。創業当時はフリーマン氏が自身で買い付けてきたコーヒー豆を自宅の裏庭にあるガレージで焙煎し、マーケットで販売していたこともあるそうで、その様子から「コーヒー界のApple」とも呼ばれることも。日本では、2015年2月に1号店をオープンしたが、清澄白河を選んだのは同社の本社がある米国オークランドに雰囲気が似ていることが理由なのだという。井川氏は、米国で生まれたブランドを日本で展開する上で、「重視したのは、"こだわりにこだわる"ということです。創業者であるジェームス・フリーマンが考えた、美味しいコーヒーやコーヒーを楽しむ空間作りへの細部にわたるこだわりを日本でも徹底しようと考えました」と説明する。「こだわりの1つとして、ブルーボトルコーヒーには"SEED TO CUP"という考え方があります。コーヒー豆(生豆)の生産現場から焙煎、提供までのすべてのプロセスに、責任とこだわりをもってコーヒーを提供していくというものです」(井川氏)同社では、季節ごとコーヒーの旬を吟味し、バイヤーがそのシーズンの最も美味しいコーヒー豆を買い付けているほか、焙煎の際にはコーヒー豆の種類に応じたレシピを用意し、焙煎の専門家は豆のオリジナリティや個性を引き出すための焙煎方法についてデータを取りながら研究することで、日々レシピを進化させているのだという。また、店舗でコーヒーを淹れて提供する際のプロセスも厳格に決められており、バリスタの育成も徹底して行っている。「野菜を作って店舗で出すのに比べ、コーヒーは、提供するまでの工程と関わる人の数が非常に多い。このプロセスを最終的に良くするのもダメにするも、一杯のコーヒーを表現するバリスタ次第というところがあるので、そこを徹底的に管理してバリスタが自信をもってコーヒーを提供できるようにしています」と井川氏は話す。同時に、こういったこだわりだけでなく、ブランドの信用を生み出し維持するために「品質管理」も必要不可欠なものだ。この点について井川氏は、「ブルーボトルコーヒーでは、豆の焙煎を行う店舗において"カッピング"というテイスティング作業を毎日行い、焙煎したコーヒー豆の香りや味をスコアリングして基準に適合しているかをチェックしています。米国にて品質管理を行う専門家が、日本で販売される豆の味を責任を持って管理・監督するために来日したといっても過言ではありません」と説明。チェックの結果、基準に適合しなかった豆は、店頭には絶対に出さないという徹底した管理を行っている。加えて、「品質管理の専門家を置くこと自体珍しいと言われますが、私たちは品質を厳格に維持管理することがビジネスにおいて最も重要なことだと考えています」と井川氏。同社では、焙煎担当とカッピング担当は、どうすればベストな香りや味わいを実現できるかを、日々ディスカッションしながら進化を続けているという。○共通のコンセプトを持たない、地域に合わせた店舗を作るワケまた、コーヒーを楽しむための空間作りについても、細部に及ぶこだわりを持っている。同社の店舗は、その特徴として、全23店舗でそれぞれ店舗の場所に応じたデザインを採用し、共通のコンセプトを持たない。「清澄白河カフェと青山カフェを比べても、内装のカラーイメージ、家具の種類や配置、キッチンの位置などは店舗によってすべて違います。一杯のコーヒーを美味しく楽しんでもらうために、その地域の顧客ニーズに合わせてゼロから店舗作りを考えています」と井川氏は説明する。たとえば大手チェーンなどと比較すると、ブランドの認知を浸透させたいと考える場合には、一般的に、商品や店舗のデザインを統一してアイデンティティを持たせるのが定石だ。しかし、ブルーボトルコーヒーではあえてそれをせず、出店する地域の雰囲気や顧客層に合わせて、最も快適にコーヒーを楽しめる雰囲気を考える。ブランドが顧客をリードするのではなく、顧客体験を第一に考えた戦略だと言えるだろう。「例えば、青山カフェでは、ほかのチェーン店が選びそうな大通り沿いではなく、あえて路地裏で建物の2階という"店舗出店では選ばないような場所"を選びました。窓から見える木々の緑が気に入ったのが理由で、店舗の壁の色なども、すべてこの緑を引き立たせることを意識してグレーの色にしたんです」(井川氏)○ブランドを作り出すためには「変えない勇気」が必要そのほか、井川氏はブランドを作る上で重視している点として「変えない勇気」を挙げた。井川氏によると、ブルーボトルコーヒーが日本に進出する際に、(日本企業から業務提携の相談もあったそうなのだが)あえて米国本社の直営店舗として展開するという選択をした。パートナーを希望する企業からは、日本の市場に合わせ、米国の方法と変えるべき点の提案なども受けたが、そこには創業者のこだわっている部分も含まれていた。であるならば、たとえ失敗してもブルーボトルのこだわりや大事にしていることを変えずに進めたいという考えに至ったのだという。では、同社はどのような点について"変えない"と決めたのか。一例として井川氏は、コーヒーを焙煎する方法を挙げ、「正直、日本人は深煎りのコーヒーに慣れているため、"もっと深煎りにすべき"という意見も頂いていました。ですが、ブルーボトルコーヒーではコーヒー豆のキャラクターに合わせた焙煎をすることにこだわっているので、結果的に浅炒りのコーヒーも出すんですよね。豆が持つそれぞれの特徴を楽しんでもらうためには浅炒りのほうが適切な場合もあるんです」と話す。顧客の味の好みに合わせて焙煎方法を考えるのでなく、コーヒー豆の良さを引き出すことを第一に考えて焙煎方法を考えるというは、変えることができないブルーボトルのこだわりだ。そして、こうしたこだわりを理解してもらうためにも、顧客への説明や雰囲気作りをトライしていかなければならないのだという。また井川氏は、ドリップコーヒーの量が多くワンサイズしかない理由として、「時間の経過とともに変化していく味わいを楽しんでほしいという創業者のこだわりがある」と話す。「華やかでフルーティーな味わいのコーヒー豆は、熱々の湯を淹れてから冷めていくに連れて味わいが変化していくのが特徴。その変化を温度変化と共に、長い時間を掛けて味わってもらうことも楽しみ方の一つと考えたのです。今の時代、コーヒーはボタンひとつで飲める手軽なものになりましたが、私たちは生産者が長い時間かけて育てたコーヒー豆を収穫し、焙煎し、一杯のコーヒーにするという長いプロセスを間近で見ているので、その一杯のコーヒーが持つ味わいの変化をしっかり伝えていくことも役目だと思っています」(井川氏)井川氏は最後に、今後の事業展開に向けた抱負として「日本でのオープン以来、多くの方に来店してもらっているものの、まだまだ"上陸したブランド"という話題性で初めて来店する人が多いのが現状です。これを一過性のブームにするのではなく、ブルーボトルのこだわりを理解してもらい、文化として育てていくことが重要だと考えています」と語った。現在は2店舗での展開だが、今後は3月25日に新宿、次いで六本木などへの出店を予定しており、顧客に"こだわり"を伝える機会を増やしていく。ブルーボトルコーヒーの挑戦は、まだ始まったばかりだ。なお、同記事の内容は、録画授業としてスクーにて公開されている。ご覧になりたい方は、こちらよりアクセスすることが可能だ。
2016年01月19日Infobloxは1月7日、都内で記者会見を開き、ネットワークセキュリティの事業戦略と、UDP(ユーザー・データグラム・プロトコル)のショートパケットをリアルタイムで分析する新ソリューション「Infoblox DNS(ドメイン・ネーム・システム) Threat Analytics」について説明を行った。最初にInfoblox エグゼクティブバイスプレジデント ワールドワイドフィールドオペレーションズのトーステン・フライタグ氏が事業戦略について説明した。同氏は「近年、CIOの懸念事項としては3つある。1つ目は可能な限り早くアプリケーションの展開を図る俊敏性、2つ目はビジネスおよびデータ、知的所有権の保護、3つ目は効率性だ。これらはビジネスを牽引する要素だが、ITに落とし込むとセキュリティ、クラウド、オートメーションとなる」と述べた。そのうえで「セキュリティ、クラウド、オートメーションは、CIOだけでなく、組織から見ても課題を抱えている。セキュリティは日々新たな脅威が出現しており、これらに対抗するため企業は多くの資金を投入しなければならない。また、クラウドを利用している企業は数多くあるが、マニュアルプロセスに時間を要し、当初想定していた俊敏性が生まれていない企業も散見される。オートメーションについては、労働集約型やスプレッドシートでの管理が阻害要因となっており進んでいない。そのような状況下で、CIOにとってはセキュリティが最優先課題となっている」と同氏は訴えた。同氏はセキュリティについて「マルウェアをはじめ、企業はさまざまな攻撃を受けているが、中でも最近はDNSに対する攻撃が増えている。DNSに対する攻撃としては悪意のあるWebサイトに迂回させることなどが目立っており、最も危険なのはDNSを使用してデータを組織外に持ち出してしまうことだ」と指摘。また、DNSについては「DNSのインフラセキュリティを担保したうえで、グローバルのインフラセキュリティを制御する必要がある。ここで重要なのはグローバルのインフラ管理だ。多くのグローバル企業ではDNSの管理が分割化されているが、管理の一元化を果たした上で、次の段階で自動化を図り、既存のITアーキテクチャとスムーズにインテグレーションすることで仮想化などを行っていく必要がある」と説明した。近年、DDoSベースの攻撃が増加している状況下でのセキュリティ対策としては、メールのウイルス対策やURLフィルタリング、アンチスパム、Webアプリケーション・ファイアウォールなどの導入だけでは不十分であり、例えば、ファイアウォールでは名前解決で用いるポート53が常に空いているというDNSの弱点を狙い、攻撃を受けることがある。実際、米国ではDNSが使うポート53を使って、クレジットカード情報の漏洩なども発生しているという。DNSトラフィックに適用されるレポーティングは、企業やサービスプロバイダーなどのデータ損失を未然に防ぐことができる。新ソリューションであるInfoblox DNS Threat Analyticsは、一般的なファイアウォールやDPI(ディープ・パケット・インスペクション)が不得意とするUDPのショートパケットをリアルタイムに分析することを可能とし、1月末から提供開始を予定している。続いて、カントリーマネージャーの仁枝かおり氏が日本におけるインターネット環境について「利用者が頭打ちになっている一方、高齢者の利用が多くなっているほか、スマートフォンやタブレット端末での接続が増加傾向にある。また、クラウドサービスの利用が金融・保険業や大手企業で拡大するとともに、IoTデバイスの普及台数も増加しており、大手企業の5割強が過去5年間に攻撃を受けている」と日本の現状を語った。また、日本の販売戦略について同氏は「現在、セキュリティのアセスメントのプラグラムを無料でユーザーに提供しており、状況把握に努めている。われわれの販売ターゲットエリアはROI(投資対効果)の向上やコンプライアンス強化、セキュアで安定的な環境構築を望むユーザーだ。販売アプローチはこれまでパートナー指向だったが、セキュリティ自体が複雑となっているためテレコムや公共・文教、金融、製造に対し、ダイレクトに営業を進めている」と述べた。今後、同社では新ソリューションの投入に加え、製品機能、ソリューション展開、および国内パートナーとの連携の強化を図ることで、国内の通信事業者およびクラウドサービス事業者に向けて営業拡大を推進していく考えだ。
2016年01月08日ローソンとシグマクシスは、ローソン事業のデジタル化推進および次世代システムの構築と運用を目的としたIT戦略子会社「ローソンデジタルイノベーション」を共同で設立することに合意し、2016年1月15日に新会社を設立、同年2月1日に事業を開始する予定であることを発表した。新会社では、シグマクシスの持つプロジェクトマネジメントのノウハウやデジタルテクノロジーへの知見を活かし、ローソンの次世代システムを構築していくとしている。次世代システムでは、原材料調達、物流、製造、販売のプロセス最適化による高品質でリーズナブルな商品の開発や、CRMのさらなる強化による店頭での最適な品ぞろえを可能にするという。ローソンは、この次世代システムを活用し、消費増税やインバウンド需要の増加、高齢化、人手不足などの社会環境の変化にスピーディーに対応した次世代のコンビニエンスストアを作り、便利なだけでなく利用者にとって必要不可欠な存在となる新たな小売業モデルの実現を目指すとしている。両社は、今回の新会社設立によって、アウトソース型のシステム開発から企業主導型のシステム開発体制に移行する構えだ。
2015年12月28日UBICは12月24日、独自開発の人工知能「KIBIT」を用いた知財戦略支援システム「Lit i View PATENT EXPLORER(リット・アイ・ビュー パテントエクスプローラー)」を、昭和電工(SDK)が12月より導入したことを発表した。同システムは、トヨタテクニカルディベロップメントと共同で開発したもので、先行技術調査や無効資料調査などの特許の分析業務を効率化し、従来の調査方法と比べ、約330倍(開発時における平均データ)の調査効率の向上を達成したとする。また、見つけたい文書(発明提案書、無効化したい特許資料など)の内容を教師データとしてKIBITに学ばせ、独自の機械学習である「Landscaping(ランドスケイピング)」を用いて、少量の教師データをもとに膨大なデータを解析し、短時間でスコアリング(点数付け)による文書の仕分けができることを特徴としている。今回、PATENT EXPLORERの導入を行った昭和電工は石油化学、化学品、エレクトロニクス、無機材料、アルミニウムなどを手がける日本を代表する化学メーカー。グローバルでの競争を続ける中、知財戦略が企業の成長と発展に重要であると考えており、先進的な知財分析の活用に積極的であることやトライアルにおいて、従来の調査手法であるキーワード検索や類似検索、概念検索などに比べて、調査効率が向上し、精度や網羅性にも優れた結果が得られたことから、PATENT EXPLORERの導入を決定したという。
2015年12月25日ON Semiconductorは12月8日、都内でプレス向けの事業戦略説明会を開催した。同説明会ではコーポレートストラテジ&マーケティング担当副社長であるデイビッド・ソモ氏が同社のグローバル市場と注力市場について語った。○高い成長が見込まれる車載・産業機器・無線通信同社は現在、35億ドルの売上規模(2015年第3四半期の実績に基づく)を有しており、そのうち70%を日本を含むアジア太平洋地域で稼いでいる。また、エンド市場別で見ると車載、産業、通信という3領域での売り上げが7割を占める。アジア太平洋地域で最も大きいマーケットは中国で、ソモ氏は「車載システムが伸びている同国では今後も成長が期待できる」とする。こうしたビジネス状況の中、同社の強みについてソモ氏は「大規模に事業展開・生産しているため、コスト競争力が高い。また、グローバルに製造拠点を有し、サプライチェーンと営業網も兼ね備えているため必要なときに必要な物をニーズに合わせて提供できる」ことだと説明。さらに同氏は「自社拠点で前工程から組み立て、検証まで設備を持っていることに加え、ファウンドリ企業と連携して製造能力を強化することで、柔軟性を持った生産が可能となる」と語り、今後もポートフォリオを増強すべく有機的な成長と買収を組み合わせていくとした。買収といえば、同社は11月にフェアチャイルドセミコンダクター・インターナショナル(フェアチャイルド)を約24億ドルで買収することを発表している。これにより、ON Semiconductorは高・中・低電圧をカバーするポートフォリオを持つことになる。なお、両社の売り上げを合算すると年間で50億ドルになり、メモリ以外の半導体企業としては市場で10位の規模となる。ソモ氏によれば「フェアチャイルドの買収は中国からの反応が良かった」という。今年の半導体業界は売り上げが前年と同程度と予想され、コンピューティング・消費者向け市場では成長が鈍化もしくは下落する一方で、車載・ワイヤレス通信・産業機器では成長が見込まれており、ON Semiconductorもこれらの分野に注力していく。上述の通り、同社の売り上げは車載、産業、通信が7割を占めており、ソモ氏も「これらの業界に対して当社は強いポジションを築いており、車載向け半導体では7位のサプライヤーに入っている。」と自信を見せる。この自信の裏付けとしてソモ氏が示したのが車載システム向けのイメージセンサで、同市場では45%のシェアを誇るという。同社のイメージセンサはメルセデス・ベンツの車両に採用され、夜間の走行中に道路や対向車をスキャンしてヘッドライトの向きなどを自動で調整するシステムを実現している。○IoT時代では製品の提供だけでは不十分また、同氏は巨大な市場規模が見込まれるIoT分野についても言及。「IoTアプリケーションにはセンサ、通信、制御、カバーマネジメントという4つの柱があり、当社はそれらの主要構成要素を全てカバーしている」としたほか、バッテリ不要で温度や圧力を検知できる小型センサ「スマート・パッシブ・センサ(SPS)」といった有望な技術を有していることをアピールした。同時にソモ氏は「IoTの時代では、製品を提供するだけでは不十分。」だと指摘。「顧客の開発期間を短縮できるように、我々はモジュールやレファレンスキット、開発環境なども提供している。成功するには顧客と協力する必要があり、完全なエコシステム・ソリューションを提供していくことが重要となる。そのために必要な投資を行っていく。」と語り、今後も精力的に能力および製品ポートフォリオの拡充を図る姿勢を示した。日本での活動についてはシステム・ソリューションズ・グループ(SSG)のマムーン・ラシード上席副社長兼ゼネラル・マネージャーが登壇。SSGは日本に拠点を置くビジネスグループで、富士通とのジョイントベンチャーである会津富士通ウエハ・ファブでは3種類のプロセス技術を量産化し、追加でさらに3種類のプロセス移管を進めているほか、新潟工場も今後能力を増強するなど、日本での存在感を拡大する活動を継続していくとしている。
2015年12月09日ハイプレステージブランドとしてのイメージを確立ポーラは11月30日、2016年1月より新ブランド戦略をスタートすることを発表した。新ブランド戦略では、創業から永く培ってきたポーラの独自価値を、「Science. Art. Love.」とあらためて定義し、この独自価値をもとに、コーポレートロゴやビジュアル、来春にはエステメニューを刷新。これまで以上に先鋭化されたハイプレステージブランドとしてのイメージを確立し、末永く愛される企業を目指すとしている。エステメニューを刷新、スキンケアブランドと連動新エステメニューでは、スキンケアブランドと連動した成分を投入した3コース、合計7メニューで展開。「プレミアム」では、ポーラ最高峰ブランド「B.A」と、「スペシャル」では、個肌対応カウンセリングシステムブランド「アペックス」と、「ベーシック」では、美白ブランド「ホワイティシモ」・保湿ブランド「モイスティシモ」と連動する。また、エステ機器による頬のマッサージを充実させ、今まで以上に満足できるエステを目指す。エステメニューは、全国のポーラエステ取扱店「ポーラザビューティ」「ポーラエステイン」にて展開。ポーラ公認のエステティシャンが、カウンセリングからお手入れまでを専任で担当するとしている。(画像はプレスリリースより、新ビジュアル「POLA Dots」)【参考】・ポーラプレスリリース
2015年12月02日東レとユニクロは11月17日、「戦略的パートナーシップ 第Ⅲ期5ヵ年計画」に関する合意書を締結したと発表した。両社は過去2期10年続いてきた「戦略的パートナーシップ」を今後さらに強固なものにし、これからの時代をリードする新しい産業の実現を目指すとし、2016年から2020年までの5年間で取引累積額1兆円を目指す。今回提携したパートナーシップでは、まず、グローバル化とデジタル化による新しい産業の創出の実現に取り組むという。具体的には、IoT(Internet of Things)を利用して両社でEnd to Endのビジネスを実現、生産のさらなるスピードアップ、生産拠点のより一層のグローバル化・多極化、市場別最適生産の推進、グレーターチャイナ(中国、香港、台湾)事業の成長を支える生産拠点の拡充の5点だ。さらに、「"LifeWear"と"MADE FOR ALL"商品のさらなる追求」として、既存商品の快適さや機能性の向上、これまでに無い新しい価値のある商品の研究開発、日常生活を快適に過ごせるスポーツウェア開発の加速の3点に取り組むとしている。
2015年11月18日●料金戦略は限界の水準2016年4月からの電力小売全面自由化がスタートする。これまで、一般家庭などでは、自分が住む地域の電力会社から電力を購入する仕組みとなっていたが、電力小売全面自由化によって、あらゆる電力小売会社のなかから、自分にあった会社を選んで、自由に契約できるようになる。対象となる口座数は7,000万契約以上。7兆5,000億円規模の市場が自由化され、地域ごとに分割した全国10の電力会社によって独占されていた市場に風穴があくことになる。「新電力」と呼ばれる電力小売事業を行う「特定規模電気事業者」への参入予定企業は、今年9月時点で760社を超えており、8月3日からは小売電気事業者の登録手続きが開始されている。電力小売会社同士による競争原理が働き、料金面やサービス面でのメリットを享受できるとの期待も高まっている。○セットメニューにしか活路がみえない事情こうしたなか、注目を集めているのが、国内全体の35%を占め、最大市場を主戦場とする東京電力の取り組みだ。関東エリアにおけるシェア100%の東京電力は、まさに「守り」の立場。福島第一原発による爪痕の影響が、東京電力離れを加速するとの見方も出ている。新規参入組の提案として前面に出てくるのは、やはり料金戦略だろう。身軽な企業体質を生かしたり、セットメニューによるお得感を出したりすることで、東京電力からの顧客を奪おうとしている。電力小売全面自由化で先行している海外市場では、住宅保険などの金融サービス、自動車保険や修理などと連携した自動車関連サービス、携帯電話などの通信関連サービス、配管清掃をはじめとする住宅関連サービスなどとセットにする例が出ており、その競争は熾烈化。スポーツ観戦への招待や、有名人のサインをプレゼントするといったメニューまで用意されるというエスカレートぶりとなっている。英国では、さまざまなメニューが乱立したことで料金体系が複雑化。電気小売事業者に対して、提示できる料金メニューの数が制限される事態にまで発展しているほどだ。日本でも同様に、まずはセットメニューによる提案が各社の料金戦略を左右することになりそうだ。実は、料金戦略は、セットメニューに頼らざるを得ない理由がある。東京電力によると、電気に関わるコストの約70%が発電によるものであり、送電部分に関わるコストが約25%を占めるという。つまり、価格差の余力となるのは残り数%の部分になるのだ。「『kWhあたりいくら』といった競争は、原価構造、コスト構造の観点からは、すでに厳しい状況にあるといわざるをえない」(東京電力)とする。料金単体での競争は限界があり、そのため、各社はセットメニュー競争に走らざるをえないというわけだ。●複数企業との連携でサービス提供だが、この点でも東京電力はすでに手を打ち始めている。リクルートおよびロイヤリティマーケティングと業務提携し、ウェブサービスやポイントサービスと連動させる方向を模索。また、ソフトバンクとの提携では、電力と通信、インターネットサービスを組み合わせた共同商品販売および新サービスの開発に着手していることを明らかにしている。さらに、カルチュア・コンビニエンス・クラブとは、ポイントサービスに関しての業務提携も発表。複数の企業との提携によって、セットメニューを用意する考えだ。実は海外では、セットメニューを強化するために、電力会社が自動車関連サービス企業、通信関連サービス企業を買収するといった異業種買収の動きも出始めているという。電力小売全面自由化の動きが、異業種を巻き込んだ再編劇へとつながっているわけで、今後、日本でも同様の動きがみられるかが注目されよう。○“攻め”のよりどころとなる3つの要素東京電力の戦いどころは、セットメニューだけではない。むしろ、それは各社横並びの状況になり“守る”という点では力不足だ。だが、東京電力に一方的に“守る”戦略で終わるつもりはないようだ。というのも、東京電力には“攻め”の要素がないわけではないからだ。そうした観点でみると、東京電力には3つのビジネスチャンスがあるといっていい。1つは、これまでの電力事業ノウハウを生かした省エネ化の提案だ。東京電力の執行役員 カスタマーサービス・カンパニー バイスブレジデントの佐藤梨江子氏は「電力小売全面自由化後には、まずは料金面に注目が集まることは確か」としながらも、「だが早晩、中身の議論になってくるはずだ」と予測する。「電気は、色も形も味もない。また、電気を使うことそのものに喜びや価値はない。本質的には、電気を使うことで電気製品が稼働し、それによって喜びを感じたり、生活を豊かにすることが目的となる。そこにフォーカスする必要がある。そうした点からも、料金だけが取りざたされる状況には忸怩たるものがある」と語る。東京電力 カスタマーサービス・カンパニー 経営企画室の眞田秀雄室長も、「使う電気量全体を引き下げることで、トータルとして料金が安くなるという提案こそが、利用者にとっても社会全体にとっても意義がある。単なる料金引き下げやセットメニューの提案ではなく、エネルギーコスト全体を引き下げる提案で差別化したい」と語る。ここで東京電力の切り札となるのがスマートメーターだ。東京電力ではスマートメーターの設置を加速しており、これを活用することでIoTと連動。細かいエネルギー制御により、省エネ提案などの差別化へとつなげる考えだ。「従来は電気メーターのところにまで電気を届けて終わりだったが、今後は電気をどう使うのかといったところにまで踏み込んで利便性や安心・安全を届け、付加価値提案を行える『みらい型インフラ企業』を目指す」(東京電力の眞田室長)とする。東京電力では、2014年4月からスマートメーターの設置を開始。2015年9月末時点で、285万台のスマートメーターを設置しているという。2016年からは年間570万台規模で設置を加速する計画だ。また、スマートメーカーで計測した30分ごとの電気の使用量を、同社が提供する「でんき家計簿」で見える化するなどのサービスも開始する予定。これにより、料金プランの最適化提案も行うことができるようになるという。●新規参入事業者として関東以外へ2つめは、東京電力のサービスエリア以外への進出だ。東京電力は、関東エリアでは100%の市場占有率を持つが、それ以外の地域のシェアは0%となる。まさにホワイトスペースともいえる市場が広く存在するのだ。関東エリアでは、東京電力の打ち出す施策によっては、独禁法などの制限を受ける可能性があるが、それ以外のエリアでは、新規参入事業者の立場と同じ。東京電力でも、「関東エリア以外では、自由な手の打ち方ができると考えている。関東エリアとは営業手法やプロモーション手法も変わってくるだろう。関東エリアとは違った料金設定も想定される」(東京電力の眞田室長)とする。ここでは先に触れた提携戦略も重要な意味を持つ。東京電力が提携を発表しているロイヤリティマーケティングは、全国に約6950万の顧客を持ち、同様にソフトバンクは約3700万、カルチュア・コンビニエンス・クラブは約5300万の顧客を持つ。重複する顧客もあるが、この提携によって、全国の幅広い顧客にアプローチできる環境が整うというわけだ。そして、3つめが、2016年の電力小売全面自由化に続く、2017年のガス小売全面自由化をきっかけにした取り組みである。すでに自由化されている年間10万立方メートル以上の大口需要家市場においては、東京電力はすでに4位に入る取引規模を持つ。さらに輸入LNGは、都市ガスの原料として利用されているが、発電用燃料としても活用されているため、電力会社はすでにその調達ルートを確保しているともいえる。すでに輸入調達量では、東京電力が国内トップとなっている。こうした優位性を生かしながら、電気とガスとを組み合わせたエネルギーのトータル活用提案が行えるというわけだ。ガスの小売全面自由化は、東京電力にとっては、重要な“攻め”の切り札になるといえよう。こうしてみると、東京電力にとって新規参入事業者から“守る”だけでなく“攻め”の領域も少なくない。東京電力は攻守両面から、電力小売全面自由化の市場で戦うことになる。そのバランスが、独り立ちすることになる同社の電力小売事業の成否を左右することになりそうだ。○全面自由化前夜……夜明けを待つ電力会社の動静●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【後編】●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【前編】●東京電力が高効率LNG火力発電への切り換えを急ぐ理由●“守り”ではなく“攻め”へ! 電力小売自由化に向けた東京電力の戦略
2015年11月09日ベライゾンは11月4日、IoTの合理化によって市場での採用を迅速化させるグローバル戦略を発表した。グローバル戦略では、ThingSpace のリリースなど、複数の新たな発表を行った。ThingSpaceは新たなIoT プラットフォームで、開発者がアプリケーションを開発し、顧客がデバイスを管理し、パートナーがサービスを販売するためのオープン環境な統合型垂直ソリューションとなる。ほかにも、次世代IoT導入事例に向けた新しい専用ネットワークコアと接続オプションの提供を行うほか、農業・医療・家電の進化やシェアリングエコノミー(共有型経済)における大きな課題に対応するため、イノベーションを推進する。また、IoT導入のためのベライゾンのビッグデータ・アナリティクス・エンジンの商業化を図るほか、3種類の新しいエンド・ツー・エンドのスマートシティ・ソリューション「Intelligent Video」「Intelligent Lighting」「Intelligent Traffic Management」を提供する。ベライゾンのエンタープライズプロダクト担当シニアバイスプレジデントであるマイク・ランマン(Mike Lanman)氏は「スマートシティやコネクテッドカー、ウェアラブル分野での継続的なイノベーションは、将来の私たちの生活と働き方にIoT が大きく関わってくることを示している。IoT は大きな可能性を秘める一方で、極めて複雑であり、断片化され、接続が高額で、拡張が困難です。将来の成功は、複雑さを解消し、IoT モデルを変革できるリーダーにかかっている。ベライゾンの役割はまさにそこにあります。ネットワーク、デバイス、プラットフォーム、アプリケーションで豊富な経験を持つベライゾンは、包括的アプローチによってIoT の採用をシンプルにし、数百万の接続からなるIoT 市場を数十億の接続へと拡張する」と述べている。
2015年11月06日インテル セキュリティ(マカフィー)は11月4日、企業向けセキュリティの新たな事業戦略「Threat Defense Lifecycle(脅威対策のライフサイクル)」を発表した。新戦略では、エンドポイントとクラウドのセキュリティに注力。より優れた監視機能と実践的な運用上のコントロールを実現するために、主要なプロセスを一元化し、オープンな統合セキュリティシステムの実現を目指すという。オープンな統合セキュリティシステムでは、セキュリティの一元管理による効率化を進めるだけでなく、インテルや外部ベンダー製品とも連携可能なアーキテクチャーを構築する。同時に、新戦略のもとに開発したエンドポイント保護ソリューション「McAfee Endpoint Security(マカフィーエンドポイトセキュリティ 10.X」も発表した。前述の複雑さを軽減しており、パフォーマンスの向上も図ったことで、顧客が「脅威対策のライフサイクル」を活用できるよう支援するとしている。具体的には、セキュリティソリューション間でリアルタイムに情報交換するための新たなアーキテクチャを導入。未知の脅威に対する効果的な保護が可能になる。セキュリティイベントの共有・活用が容易になるため、疑わしい挙動が確認されたタイミングで、システムがマルウェアに感染する前に、リスクが潜むアプリケーションやダウンロード試行、Webサイト、ファイルに対処できるという。
2015年11月05日UBICは10月29日、人工知能を用いた知財戦略支援システム「Lit i View PATENT EXPLORER(リット・アイ・ビュー パテントエクスプローラー)」の提供を開始すると発表した。初期費用は100万円(税別)、年額300万円(同)~。同システムは、2014年12月に発表したUBICとトヨタテクニカルディベロップメントが進めてきた共同開発を製品化。開発ではトヨタテクニカルディベロップメントが実際の特許分析調査のケースに基づいて、スコアリング手法の検討とフィードバックを行い、UBICが人工知能の調整を繰り返しながら、完成度を高めた。同システムによる特許関連書類の処理は「学習・解析・仕分け」の3ステップで行い、見つけたい文書(発明提案書、無効化したい特許資料等)の内容を「教師データ」として同社の人工知能に学ばせる。その後、対象のファイルを解析し、スコアリング(点数付け)して文書を仕分ける。仕分けの結果、教師データとの関連性の高い文書からスコア順に並び、調査の着手に優先順位が付けられることで、特許関連文書のレビュー効率が向上。開発時において同システムは、平均で約330倍、最大で約3,000倍のレビューの効率化を達成している。また、同システムは従来の特許関連書類の調査で用いられている「キーワード検索」「類似検索」「概念検索」などの絞込みよりも、さらに踏み込んだ分析が可能で「Landscaping(ランドスケイピング)」という機械学習の手法により、解析を行う。Landscapingは少量の教師データを基に、膨大なデータを解析し、判断できることが特徴だという。特許分析調査で見つけ出したい内容を必要な教師データを学習し、関連性の高さを判断するだけでなく、不要な教師データも学習して、判断・解析することも可能だ。さらに、スコアリングを行う際、文書のページ単位ではなく、段落単位できめ細かく結果を表示できるため、容易に該当カ所の確認などが可能となり、案件数の多い先行技術調査や無効資料調査をはじめ、特許調査関連のさまざまな用途において効率化を実現している。現在、同システムは電子関連企業などからの引き合いがあるといい、同社ではメーカーを中心とした企業の研究開発部門、知財部門、学術機関、特許事務所などに対し、同システムを提供していく。
2015年10月30日JTBとソフトバンクは10月28日、インバウンド(訪日外国人旅行者)ビジネスにおける戦略的事業提携に関する契約を締結したと発表した。それぞれが展開する旅行商品サービスとICTを活用し、訪日外国人観光客向けに多様なサービスを提供していくという。提携するにあたり、ソフトバンクは旅行業を行う新会社を設立。JTBグループで Eコマース事業を担うi.JTBがソフトバンクの新会社に旅行業に関するノウハウを提供し、JTB グローバルマーケティング&トラベルと協力しながら商品を供給するほか、新会社と共同で訪日外国人旅行者向けにオリジナル商品を開発するという。提携の第一弾として、11月11日からアリババグループの旅行販売プラットフォーム「Alitrip」に専用の旅行サイト「日本汐留旅行旗艦店」を出店し、ホテル予約、国内パッケージ商品予約、チケット販売、Wi-Fi レンタルサービス、クーポンの提供、観光情報提供など訪日観光客向け旅行コンテンツの販売を開始する。今後は「Alitrip」のスマートフォン向け専用アプリケーションを通じて、観光情報の発信や便利な買い物クーポンの発券による飲食や小売などの実店舗への積極的な集客促進など、多様なサービスを提供。また、ソフトバンクの子会社で決済代行業務を行うソフトバンク・ペイメント・サービスの決済サービスを利用し、スムーズなショッピング支払いサービスなど、旅行者の利便性を向上するサービスを提供する。さらに、「日本汐留旅行旗艦店」とヤフーが運営するポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を連携させることで、訪日外国人観光客が旅行前や旅行中でも日本でのさまざまなサービスを予約したり、帰国後も日本の商品の購入が簡単にできるサービスを提供していくという。今後、JTB とソフトバンクは中国以外の海外への展開も検討しているという。
2015年10月28日EMCは10月21日、メディア向けにオープンソース戦略に関するラウンドテーブルを開催した。近年、ITは第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへ移行しつつあり、ストレージを中心としたハードウェアを中心に扱うEMCは第3のプラットフォームを見据えた事業展開の転換期を迎えている。そのような状況を踏まえ、同社では将来的に第3のプラットフォームをリードすることを念頭にオープンソースの重要性を認識している。説明を行ったのは米国本社でエマージングテクノロジー事業部技術戦略担当バイスプレジデントのランディ・バイアス氏。同氏によると「オープンソースはコード、カルチャー、コミュニティ、ガバナンスで構成されている。様々な人たちが多様な問題を解決するために取り組んでおり、同じような長期的な価値、目標を持った人々がコミュニティに参加し、コードの貢献を行ったり、改善などを行っている」と述べた。また、North Bridge社とBLACKDUCK社の調査によると、オープンソースを採用した企業10社のうち8社が品質の良さから採用したと回答しており、大事な要素は機能追加や問題発生した時に修復できる点だという。そのため顧客中心型となり、フィードバックのループで顧客の要望を製品に反映するほか、リスク削減に目を向けることでOSSやCOTSのハードウェアを用いて障害・運用コストの低減を図る。また、操作性を維持していくため、OSSやCOTSハードウェアを使用し、問題が発生した時もベンダーに依存せず、リアルタイムで問題解決が可能だと同氏は主張する。しかし、同氏は「RightScale 2015 State of the Cloud Reportによると大半の企業がクラウドを検討している一方、色々なパーツをまとめあげるためのリソースや専門性がないことや、プライベートクラウドを立ち上げるのが複雑であるということが課題となっている」と指摘した。そしてランディ・バイアス氏は「モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルで構成する第3のプラットフォームの世界ではリソースや製品化を行うターンキーオープンソースに価値があり、我々の中でも日々、重要性が増し、顧客モデルの基礎になるのではないかと考えている。我々のオープンソース戦略は他社のオープンソースのプロジェクトを採用しているほか、コントリビューションも手がけている。他社のプロジェクトを受け入れることやコントリビューションを行っていくということは文化の面でも変化であり、我々が進化していく上でも重要だ」と語った。最後に同氏は「オープンソースで重要なのは多くの人が関わることで、OpenStackやLinuxにしてもコミュニティと多くの人々が関わっている。他社のオープンソースのプロジェクトに参画することも重要だが、我々独自のオープンソースの取り組みやコミュニティもあり、例えばCoprHD(カッパーヘッド)は最初のオープンソースの取り組みだ。今後、我々にとって興味深い分野になり得るのは顧客のロックイン(利用中のサービスや技術などから、ほかの同種の別のものへの入れ替えが困難な状態のこと)されたくないというビジョンを支援していくことだ」と述べた。
2015年10月22日博報堂は10月2日、基礎から高度な戦略構想力まで、マーケティングセンスを磨く研修プログラム「博報堂マーケティングスクール」を開講した。同プログラムは、「新ブランドをつくりたい」「新事業を立ち上げたい」「新しいサービスを構想したい」「新商品を開発したい」など、新しいビジネスを志向するビジネスパーソンを対象に、既に個別のクライアント企業に提供した中で評判の高い研修内容をブラッシュアップ・体系化した「先端的なマーケティングが学べるプログラム」となる。コースは、「マーケティング戦略基礎コース」と「テーマ別プログラムコース」の2種類。「マーケティング戦略基礎コース」は、3C・STPなどのフレーム理解から、仮説をもとにした調査リサーチの進め方・4Pの戦略立案まで、マーケティング戦略のための基礎理論をわかりやすくパッケージ化したものとなる。定員は25名で、参加費用は3講座(3日間)コースが昼食付きで85,000円(税込)だ。一方、「テーマ別プログラムコース」は「発想転換」「製品コンセプト発想」「本質思考」など市場創造・イノベーションに必要な要素をテーマとし、少人数で行うトレーニングプログラム。マーケティング戦略や計画を強化したいときや、プランニングの弱点を克服したいときに、個別のフィードバックを受けながらスキルアップできる。店員は15名で、参加費用は1講座(1日)昼食付きで30,000円(税込)となる。両コースとも講師は博報堂グループの現役社員が担当。通常の座学研修ではなく、実習やワークショップを組み入れ、インタラクティブで実践的なスタイル採用する。同社は今後、新しいビジネスを切りひらく次世代リーダーや付加価値創造人材を育成する「博報堂マーケティングスクール」を目指していく考えだ。
2015年10月05日シスコシステムズは9月29日、2016年度事業戦略説明会を開催した。説明会では、今年5月に代表執行役員社長に就任した鈴木みゆき氏が日本における事業戦略、フォーカス分野などについて説明を行った。鈴木氏は冒頭に、社長就任後に学んだことについて語った。「シスコに対するニーズにこたえることが経営の原点と考えている。まずは、できるだけ多くのお客さまやパートナーに会い、シスコに対する声を聞きたいと思い、これまで170社350名の方とお会いした。そこから、お客さまが課題を解決するソリューションと手厚いサポートを求めていることがわかった」(鈴木氏)さらに、シスコの"いつでもどこでも"働くことができるワークスタイルに革新性を感じ、こうしたノウハウにより、日本の柔軟性の高い働き方の推進に貢献できると述べた。「シスコについて、ネットワークだけでなく、その上で動くソリューションも提供できる企業というイメージを定着させることが私のミッション」とも語った。続けて、鈴木氏は日本法人の重点戦略の柱として「日本市場により根ざした事業展開」「お客さまのデジタルビジネス支援」「統合ソリューション・ビジネスの強化」の3点を挙げた。日本市場に根ざした事業展開の具体例としては、今年9月に発表したばかりの「Cisco Start」がある。Cisco Startは、国内の中小企業向けの日本独自のブランドだ。「Cisco Start」の製品戦略は「日本企業の要求にコミット」「リーズナブルな価格設定」「充実の機能群」となっている。製品第1弾として、ギガビット対応VPNルータ「Cisco 841M Jシリーズ」が発表されている。また、サポートについても、ユーザー・インタフェースの日本語対応や日本語サポート窓口の設置など、体制を拡充していく。デジタルビジネスの支援については、「IoT(Internet of Things)」「セキュリティ」「グローバルサービスプロバイダー」といったジャンルを中心に取り組んでいく。同社は、IoTを発展させ、「IoE(Internet of Everything)」というコンセプトを掲げているが、昨年11月にはパートナー10社が参加する「IoEイノベーションセンター」を設立したほか、東芝とIoT分野で提携した。今年に入っては、慶應大学のIoT研究にファンディング、「Cisco IoT Sysytem」の発表などが行われた。鈴木氏は「IoTの普及には、産官民の協力が不可欠だが、産業、公共、学術とバランスよく連携を図ることができた」と語った。今年度は「Mind Share to Market Share」という方針の下、「IoE」に取り組んでいくという。注力分野としては「製造業」「パブリックセクター」「サービス」が挙げられた。セキュリティについては、今年6月に、CEOを退任し会長に就任したジョン・チェンバース氏が発表した戦略「Security Everywhere」に基づき、あらゆる場面で利用可能なセキュリティ製品、セキュリティ・クラウドサービスを展開していく。また、セキュリティ対策を実施するにあたり、計画・構築・運用まですべてのフェーズでサービスを提供していくほか、クラウド上のセキュリティ・インテリジェンス「Cisco Collective Security Intelligence」と各製品/サービスの連携を図っていく。グローバルサービスプロバイダー事業では、世界大手のキャリアやサービスプロバイダーを対象に、仮想化やSDNから構成される次世代ネットワークへのトランスフォーメーションを支援する。シスコと言えば、ハードウェアベンダーというイメージが強いが、ソフトウェアビジネスにも力を入れており、2015年度のグローバルでのソフトウェアの売上は1兆円に上るという。2016年もさらにソフトウェアとハードウェアを組み合わせたソリューションビジネスの拡大を目指す。例えば、ソフトウェアを購入してもらった顧客にその成果をビジネスに生かしてもらうべく、顧客のビジネスプロセスを踏まえた利用方法を提案する「定着化支援サービス」を提供している。このサービスをパートナー企業からも提案できるよう支援していく。体制については、これまで「製品によって窓口が異なるなど、煩雑」という顧客の声を踏まえ、製品と営業の一本化を図る。これに加え、営業のマインドセットを製品からソリューションセットへ変更するという。
2015年09月30日企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内)は、7月29日に東京都・大手町で、慶應義塾大教授 竹中平蔵氏を招いて、シンポジウム「成長戦略が切り開く―アベノミクスで進むコーポレートガバナンス改革・国家戦略特区」を開催する。参加費は無料。「日本再興戦略・改訂2015」(成長戦略)、「骨太の方針」を受けた民間主導の経済成長とはどうあるべきか、ゲストを招いて議論するという。基調講演では、「経済再生・財政健全化の取り組み」をテーマに西村内閣府副大臣が講演を行う予定。さらにパネル討議では、「コーポレートガバナンス改革」や「国家戦略特区」について、日本取引所グループ取締役兼代表執行役グループCEOに就任した清田氏や、コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議メンバーである冨山氏、国家戦略特別区域諮問会議有識者議員の秋池氏に話をしてもらう予定。○シンポジウム概要タイトル:「成長戦略が切り開く~アベノミクスで進むコーポレートガバナンス改革・国家戦略特区~」日時:2015年7月29日(水)16:00-17:30(15:30より開場・受付開始)会場:大手町フィナンシャルシティ・カンファレンスセンター東京都千代田区大手町1-9-7 大手町フィナンシャルシティサウスタワー 3F参加費:無料(事前申込制、定員180 名)詳細・申込み:こちらを参照(申し込みは企業・団体の人限定)
2015年07月24日本連載では近年、今までに無いサービスや市場に切り込み、著しい成長を遂げるスタートアップ企業の創業者を取材。会社設立までの道のりやこれまでの軌跡と戦略、そしてこの先に見据える未来を明らかにしていく。プライベートマーケティングプラットフォーム「B⇒Dash」の開発・提供を行うフロムスクラッチ。2015年6月には、さらなる事業拡大を視野に入れ、C Channelの代表取締役社長 森川亮氏らを新経営陣として招いたほか、弊誌以外のメディアからも多数取材を受ける、まさに業界内外から注目を集める存在だ。同社の提供する「B⇒Dash」は、集客から販売促進、顧客管理まで企業のマーケティングプロセスにおける多様なデータを統合し、分析や管理、施策実現までを一気通貫で実現するSaaS型ツール。CMSやDMP、BIなどさまざまなツールを個々に保有するのではなく、包括した1つのソリューションとすることで、最終的なLTVの向上を可能とする。同サービスにて一躍注目を集めた同社だが、同社のCEOで創業者でもある安部泰洋氏によると、2010年の創業から数年は別の事業を行っていたという。○ミッションから作れば組織は強くなる――― B⇒Dashがリリースされるまでは、まったく別の事業をされていましたよね。実は、何を事業にするか決めずに起業しました。B⇒Dash以前はデジタルマーケティングや広告、コンサルティングをやっていましたが、それらをすべて捨て去るという大きな決断をし、今に至ります。その当時、既存事業からの売上がゼロになろうと、B⇒Dashに注力する必要があると考えました。――― 開発のきっかけとなった問題意識は、何だったのでしょうか。前職(リンクアンドモチベーション)時代にコンシューマー・インサイトを見ていると、顧客を集める "前後" のところでクライアントが悩みを抱えていることが見えてきました。ですが、とにかく集客にフォーカスすることで、成り立っているのが昨今の広告ビジネス。たとえば近年、脱毛エステの広告をさまざまところで目にしますよね。「脱毛一回につき数百円」などのように激安メニューをアピールする会社も多い。しかし、初回来店してもらった後、コースを契約して通ってもらわないと、投じた広告予算を回収できない。1万人が初回だけ来店してもペイしないわけです。しかし、広告代理店がタッチしているのは、集客まで。そのあとは、自社でなんとかしなければならない。クライアントの話を聞いてみると、この状況に当然満足していなかったわけです。一方、クライアント自身も、獲得単価が最も安い施策はどれかという質問には答えられますが、売上が最も多い施策はどれかと聞いても、誰も答えられませんという現状があった。これらを受けて、マーケティングプロセスにおけるデータを統合し、すべてを可視化できたら――という思いで開発したのがB⇒Dashです。――― そして、ほかのすべての事業を辞め、ワンプロダクトにコミットしたと。そのほかに、成功要因は何にあったのでしょうか。組織の強さです。この組織でなければ、B⇒Dashは誕生していなかったかもしれません。弊社は創業当初から、ミッションドリブンで会社を拡大してきました。一般的に、「(1)事業 (2)組織 (3)ミッション」の順に作り上げていく企業が多いです。これでは、もともと事業にミッションが無いため、拡大できない会社は少なくありません。一方僕たちは、「(1)ミッション (2)組織 (3)事業」の順に作ってきました。というもの、「どのような問題・課題を解決したくて、会社を作るのか」を真っ先に考えたためです。どうすればオンリーワンで価値の高い会社になれるのか、と。そのためにはミッションに共感してもらう必要がありますよね。ミッションに共感する人間が集まると、力を持った組織が作られ、事業は自然発生的にできていくものだと思っています。○"運動神経の良い組織" が生き延びる――― 力のある組織/成長する組織の共通項は何だとお考えですか。生き残る組織とは何なのか、まさに歴史が証明しています。すなわち「変化に対応できるか」ということです。僕たちは、たとえ過去に売上を作っていた事業をすべて捨ててでも、必要なことをやっていく組織文化を作ってきました。そもそもB⇒Dashは一年前には形もありませんでしたし。同時に、一年後にプロダクトが変わっていることも、あり得ない話ではない。結論として、「市場のニーズを的確につかみ、変化にすばやく対応できる、運動神経の良い組織であり続けること」が大事だと考えています。――― では、組織編成はどうなっているのでしょうか。Aユニット (アカウンティングエグゼクティブ / 営業) と Cユニット (コンサルティング)、Eユニット (エンジニアリング / 開発) の3部門で成り立っています。Aユニットは、僕と経営戦略マネージャーの三浦でマネジメントしているチームです。5人中ほとんどが新卒で、平均年齢は24歳と若いものの、営業力の強さには自信があります。B⇒Dashは「オールインワン」と「一気通貫」をコンセプトに掲げているので、クライアント企業の全部門を巻き込むプロジェクトになるといっても過言ではありません。それこそ現場社員の方から役員クラスの方まで多くの方と直接お会いして、話を上層部まで進めていく必要があります。つまり、B⇒Dashは簡単には売れないプロダクトということです。一製品としてできることはたくさんありますが、「これ一つ導入するだけでこんなにお金がかかるの?」と相対的に高価だと見られてしまうこともある。だからこそ、戦略的な営業が欠かせず、人材力が求められるわけです。そのために、僕自身の営業経験を科学的な視点で分析し、こまかなテクニックやスキームの構築手法、法則などを体系化し、現場に徹底的に落とし込んでいます。経験のわりには相当強い組織だと思います。○大物招聘で組織の成長スピードを上げていく――― 安部社長も多くの営業経験を積んでこられたようですね。営業の仕事は大学時代からやっていました。当時から起業しようと決めていて、その下準備として経験を重ねるため15社ほど回りました。就職活動では14社中13社から内定をもらい、一番小規模ながらも社長が若くて、伸び盛りだった人材ベンチャー企業に新卒入社しました。面接では「毎月、会社の営業記録を更新するので半年後、新規事業をやらせてほしい」という希望を了承してもらい、新規事業や組織づくりも経験したあと、リンクアンドモチベーションに転職しました。同社は就活時に内定をもらえなかった唯一の企業でした。名だたる会社の内定を辞退するような、優秀な人材が多い企業だったので、ここで勝負してみかった。リンクには2年在籍し、目指していたトップを取った後、会社を起こしたという流れですね。――― 最後に。森川亮氏のほか、名だたる面々を社外取締役や監査役として招聘されましたが、その目的と今後の展開を教えて下さい。森川氏に関して申し上げると、経営者仲間から2015年2月頃に紹介され、戦略顧問に就任していただくことになりました。LINEにてビッグデータを取り扱っていた経験をお持ちですし、海外事例にも通じていて、マーケティングのプロフェッショナルでもいらっしゃいます。弊社が今後、セカンドプロダクトやサードプロダクトを生み出していくなかで、森川氏の知見をたくさん頂戴することになるでしょう。また、成長の時間軸を縮める目的もありました。僕たちは自らの組織づくりの哲学に自信とこだわりを持っていて、現場から叩き上げてきた社員を経営層や幹部層に加えてきました。入社したての中途社員をそのレイヤーに招き入れたことはありません。このやり方を今後も変えるつもりはありません。とはいえ、森川氏をはじめとする方々と比べると、社員たちは圧倒的に経験値が少ないです。だからこそ、ナレッジや知見のある人々にプロジェクト型として加わってもらい、今後、僕たちに力を貸してほしいと思ったわけです。この決断が更なる起爆剤となるよう、これからもミッションドリブンで変化に対応できる組織であり続けます。―――ありがとうございました。
2015年07月21日GMO TECHは6月30日、モバイルゲームパブリッシャーのKick9 CO.,LTD.(Kick9)と戦略的パートナーシップに関する業務提携契約を締結した。GMO TECHとは、ゲームアプリを含むスマートフォン向けの広告配信サービスや、モバイル向けのSEO対策サービスなど、顧客の集客を支援するモバイルマーケティング事業を展開する企業。同社によると、近年、モバイルゲーム市場は世界的に拡大し、中でも中国は、2015年にモバイルゲームユーザーが6億人を超え、市場規模は7,000億円にのぼると予測される。こうした背景を受け、日本国内のアプリデベロッパーにおける、中国市場への進出ニーズが高まっているという。しかし、中国には200以上のアプリストアが存在しており、ゲームアプリの広告配信といったプロモーションの仕組みも日本とは異なり独特なため、参入には現地法人とのパートナーシップが重要となるようだ。このたび業務提携を行うKick9は、元DeNA China最高経営責任者(CEO)の王勇氏が2014年春に創業したモバイルゲームのグローバル・ディストリビューション・サービスを提供する企業。中国モバイルゲームのグローバル展開を支えるほか、他国のモバイルゲームが中国市場に上陸する際の支援サービスも展開する。同業務提携によりGMO TECHは、国内アプリデベロッパーの中国進出と広告配信を支援するとともに、中国アプリデベロッパーによる日本向けスマートフォン広告プロモーションを支援していく考えだ。
2015年07月01日●家電やデバイス以外の分野に事業ブランドをパナソニックは4月から新たなブランド戦略を開始した。住宅および住空間事業における「Panasonic Homes & Living」、車載関連事業の「Panasonic AUTOMOTIVE」のほか、BtoBソリューションにおいては「Panasonic BUSINESS」という事業ブランドをそれぞれ使用する。また、家電事業やデバイス事業では従来通り、「Panasonic」のブランドを使用して事業を展開する。パナソニック 役員 ブランドコミュニケーション本部の竹安聡本部長は、「パナソニックが今後、強化していきたいところに新たに事業ブランドを制定した。それぞれの領域でのイメージづくりを行い、事業領域を見える化するのが狙い」とする。パナソニックが発表した2014年度連結売上高は7兆7,150億円。そのうち、家電やテレビ事業などを担当するアプライアンス社の売上高は1兆7,697億円。つまり、家電事業の構成比は23%に留まる。これに約1兆3000億円規模のデバイス事業を加えても4割弱。ざっくりといえば、残る約6割の事業領域に対して、今回、新たなブランドを用意したことになる。さらに、この事業ブランドに、事業ブランドカラーと事業ブランドエレメントという考え方を導入した点もユニークだ。事業ブランドカラーとは、それぞれの事業ごとにブランドカラーを決め、各事業をイメージさせる色として使用するものだ。パナソニックのコーポレートブランドはブルーだが、住宅および住空間事業はオレンジ、車載関連事業は淡いグリー、BtoBソリューションは薄めのブルーとし、さらに、家電事業は赤、デバイス事業は濃いグリーンとした。また、事業ブランドエレメントは図形を用いて、各事業をイメージさせる狙いがあり、新たに制定した事業ブランドでのみ導入。住宅および住空間事業はH、車載関連事業はA、BtoBソリューションはBと、それぞれの頭文字を使用して、印象づけることになる。「商標登録が文字以外にも広がり、色やエレメントにも注目が集まっている。色やエレメントを活用することで、新たなブランドイメージを作りたい」とする。4月からは、太陽光発電システム「HIT」において、Panasonic Homes & Livingの事業ブランドを使ったテレビCMを開始。5月からはIHクッキングヒーターでも同事業ブランドを利用したテレビCMを開始した。また、4月25日から中国・上海で開催されたモーターショーでは、パナソニックブースにおいて、Panasonic AUTOMOTIVEの事業ブランドを活用した展示を行ってみせた。パナソニックには様々なブランドがある。2008年10月に、松下電器産業からパナソニックに社名を変更したのにあわせて、NationalなどのブランドをPanasonicに統一し、集中路線を歩んできたが、昨年9月には、高級オーディオブランドのTechnicsを復活させるなど、ブランドの考え方にも変化が起こっている。●現在のパナソニックブランドここで、現在のパナソニックブランドの位置づけを一度、整理しておきたい。パナソニックのブランドとして最上位にあるのが、コーポレートブランドである「Panasonic」である。そして、パナソニックのブランドを表現するブランドスローガンが、「A Better Life,A Better World」となる。2013年に、それまでの「ideas for life」から変更した「A Better Life,A Better World」は、創業100周年の2018年に向けたパナソニックグループの目指す姿を示したものだ。A Better Life,A Better Worldの「A」には一人ひとりのお客様と徹底的に向かい合う姿勢を、「Better」には時代の要請にかなった「より良い」価値を常に目指すとともに、「日に新た」という創業者の言葉を込めたという。また、「Life」には住宅空間やパーソナルにおけるBtoCへの取り組みを、「World」では非住宅空間やモビリティというBtoBへの取り組みが表現されている。パナソニックの綱領には、「産業人たる本分に徹し、社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与せんことを期す」と記されているが、竹安本部長は、「A Better Lifeは、『社会生活の改善と向上を図り』という言葉に合致し、A Better Worldは、『世界文化の進展に寄与せんことを期す』と同じ意味だといえる。ブランドスローガンの策定時には、綱領は意識しなかったが、結果として、同じ意図を持った言葉が新たなブランドスローガンに採用された」と語る。一方、パナソニックには、「Wonders! by Panasonic」というキャンペーンワードがある。これは2014年から使用しているもので、「現場で自ら変わろうとする動きを顧客視点で具体化、見える化し、加速する取り組み」だと位置づける。社外に公表される前の2013年9月に、パナソニックの津賀一宏社長は、社内向けブログを通じて、「Wonders! by Panasonic」を次のように表現した。「今回、変革を牽引するキーワードとして、Wonders! by Panasonicを制定しました。この言葉には社内に漂う閉塞感から社員の皆さんを解き放ち、自ら変わろう、お客様が驚くような新しい発想を生み出そう、といった行動を後押ししたい、との思いを込めています」。竹安本部長は、「驚きや感動を与える商品、ワクワク、ドキドキするような商品を連打していくことで、A Better Life, A Better Worldを実現するのがWonders! by Panasonic」だとする。パナソニックは、2014年1月1日に放映したテレビCMを皮切りに、同社の製品広告には、必ず「Wonders! by Panasonic」のキャンペーンワードを使用してきた。こうした取り組みのひとつとして、社内表彰制度として「Wonder賞」を開始している。これは、新たなチャレンジによって、顧客や驚きや期待が感じられる商品、サービスを表彰するもので、200人の社外一般消費者の評価、約5,300人の社内一般社員の評価、6人の社外有識者評価により選出。第1回受賞製品として、農業プラント、パワーローダー、CO2冷媒採用ノンフロン冷凍機システム、衣類スチーマー、TOUGHBOOK 4K、スマホ連携機能付きデザイン固定電話機シリーズの6製品が選ばれた。「今回選ばれた製品は、経営への貢献はまだ先だが、尖っている、ワクワクするといった製品を選出できた。内部からの選出だけでなく、外から見ても、Wonders!と感じてもらえるものを選出できた」としている。また、同社では、Wonder Japan 2020として、2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて、パナソニックが提供する技術や製品を紹介する活動を行っており、多言語翻訳ソリューションなどのユニークな技術が公開されている。「Wonder Japan 2020では、まだ製品や技術としては未完成のものもいち早く公開することで、協業にもつなげていきたい。日本の様々な会社が一緒になって、驚き、感動、ドキドキ、ワクワクを発信していくとこが大切である。2020年に向けてのWonderな日本を作り、発信していくことになる」とする。一方、パナソニックには、「CROSS-VALUE INNOVATION」とする経営スローガンがある。これは2015年度最終年度とする中期経営計画「CV2015」のCVの意味を持つ言葉。「これまで家電で培ってきたパナソニックの強みと、それぞれの空間を知り尽くしたビジネスパートナーの強み、それらを掛け合わせる」という意味を持ち、「これらのキーワードに沿うような活動を積み重ね、世界に類のないユニークな会社として、私たちは力強く復活していく」と説明する。●Technicsは個別事業ブランドの代表格パナソニックは今回新たに制定した事業ブランド以外に、2種類の事業ブランドを用意している。ひとつは保証事業ブランドである。これは、一般的に「エンドースブランド」と表現されるもので、そのブランドの親元を表示して、事業を保証するというものだ。だが、パナソニックの場合には、同社グループの一員として展開していることを示す目的の方が強い。具体的には、インドで配線器具事業を展開しているアンカーによる「ANCHOR by Panasonic」、トルコで配線機器事業を展開しているヴィコによる「ViKO by Panasonic」がそれだ。「アンカーとヴィコは、買収した時点で、地域におけるブランドの強みを生かそうと考えていた」とするように、パナソニックの場合、それぞれの国において圧倒的ともいえるブランド価値を生かして、事業を展開するものが、保証事業ブランドということになる。パナソニックは、今後、戦略投資として1兆円を計画しており、その予算を使って、M&Aを加速する考えを示している。今後のM&A案件のなかでは、保証事業ブランドとして展開していくものもあるだろう。ちなみに、パナホームも保証事業ブランドのひとつだ。「by Panasonic」という表記はないが、パナという言葉でパナソニックグループであることを認識できるものとなっている。もうひとつは、個別事業ブランドだ。これは、Panasonicと切り離した形で、ブランドイメージを確立していくものであり、パナソニックの名前は一切使用しないという特別なものだ。その代表的なものが、Technicsである。Technicsは、高級オーディオのブランドで、第一弾となるリファレンスシステムの「R1シリーズ」と、プレミアムシステムの「C700シリーズ」を投入。2015年1月から、ドイツおよび英国で発売。2月中旬には日本での販売を開始した。今後、米国や欧州全域へと販売を拡大する予定である。個別事業ブランドが成立する条件は、Panasonicよりも、独自ブランドの方が、価値が高いという点だ。「音のイメージでは、PanasonicよりもTechnicsの方が、評価が高い。とくに、英国、ドイツではTechnicsブランドは根強い人気があり、認知度も高い。総合家電メーカーとして認知度が高いPanasonicを活用するのではなく、趣味嗜好性が高いオーディオ分野において独自の価値観とブランドイメージを持つTechnicsを活用。限定した事業領域において、圧倒的な価値を持つブランドとして、独立させて展開している」というわけだ。英国におけるTechincsの助成想起率は62%、ドイツでは41%。日本の20%よりも高い認知度がある。ちなみに、今年はTechnicsブランドの誕生から50年目の節目を迎えている。なお、三洋電機の買収によるSANYOブランドも、Panasonicブランドは使用しない個別ブランドの位置づけにあるが、同ブランドは終息する方針であり、Technicsとは意味合いが異なる。一方、パナソニックには、現在、サブブランドというカテゴリーはない。VIERA、LUMIX、DIGAなどは、プロダクトネームと称し、商品単体を示すものと定義。その一方で、ECO NAVIやナノイーなどの技術名称を「テクノロジーネーム」、Panasonic Beautyなどを「カテゴリーネーム」と呼んでいる。パナソニックでは同社の50の製品を並べて、パナソニックブランドとして結びつくもの、想起する製品はなにか、という調査を世界規模で行った。対象としたのは、日本、欧州、そして、アジアである。この結果、薄型テレビや家電製品は、どの地域でも高い認知度を誇るが、一部の製品では認知度において課題となっている地域がある。たとえば、日本では太陽光発電において、42%の認知度があるのに対して、欧州では11%に留まる。またカーナビは日本では69%であるのに対して、欧州では33%、アジアでは38%に留まる。また、日本ではレッツノートやタフブックが人気の業務用ノートPCでは、日本では63%の認知度を持つのに対して、欧州では24%に留まっているこうしてみると、家電事業以外における海外のブランド認知度を高める必要があり、今後は弱い部分への投資を加速していく考えだ。パナソニックは、2015年度の広告宣伝費用として、1,000億円強を見込んでいる。そのうち、家電分野への投資は約700億円。家電事業への広告投資が中心であることに変わりはないが、そうしたなかでも、新たに制定した事業ブランドを活用した家電事業以外への投資比重を高めることになりそうだ。とくにアジア地域への広告投資を増やしていくことになるという。インターブランドの調査によると、Panasonicのブランド価値は経済的利益への換算で、2013年が5,800億円、2014年が6,200億円。世界順位も68位から64位にあがっている。パナソニック 役員 ブランドコミュニケーション本部の竹安聡本部長は「ブランド価値の向上は単年度でできるものではない。創業100周年を迎える2018年度をひとつの節目にして、どれだけの価値をつくれるかがこれからの課題。ブランドの差別性やブランドの明瞭度、経済的利益、ブランド貢献度、ブランドの強さといった点から価値を高めていきたい」とする。パナソニックでは、「ブランドは、将来に渡ってお客様とつながり続ける絆になる」とし、「信頼の象徴、期待の象徴、社員の誇りの象徴が、Panasonicというブランドに集約される。すべての活動をPanasonicの企業価値向上につなげていく」と、ブランド戦略の基本姿勢を示す。新たに事業ブランドを加えたことにより、家電事業以外の領域でも、ブランド価値向上に向けた取り組みが加速するのは確実だ。パナソニックのブランド戦略は、2018年度の売上高10兆円に向けた成長戦略を下支えするものになる。
2015年05月25日シマンテックは5月21日、セキュリティ事業の戦略発表会を開催した。同社は昨年10月、セキュリティ事業と情報管理事業を分社化することを発表しており、今回発表された戦略は、分社後を見据えたものとなる。米シマンテック エグゼクティブ・バイス・プレジデントワールドワイドセールス エイドリアン・ジョーンズ氏からは、分社に伴うビジネス展開、分社後のセキュリティ事業の戦略について説明がなされた。ジョーンズ氏は、分社について、「もともと、シマンテックはセキュリティ企業であり、巧妙化するリスクに対応していくため、原点に立ち返ることにした。データ管理分野においても、ストレージは成長が望める分野であり、ベリタスの原点を考えても、分社化したほうが有意義と判断した」と語った。またジョーンズ氏は、「現在、サーバもモバイルデバイスもできることが変わらず、守るべきデータは増えるばかり。そうしたなか、データを分析することが重要になる」と、セキュリティ事業の新たな戦略「ユニファイドセキュリティ戦略」においては「分析」が重視されていることを強調した。「われわれは民間最大のインテリジェンスネットワークを抱えている。世界のセキュリティの脅威を監視・分析しているセキュリティオペレーションセンターでは、400人のスタッフが働いている。ここで得られるデータを分析して、その結果を顧客の保護に生かしていく」(ジョーンズ氏)日本におけるセキュリティ事業戦略については、シマンテック 代表取締役の関屋剛氏が説明を行った。関屋氏は、2015年に懸念されるセキュリティ上のリスクとして「攻撃が複数の手法を組み合わせて行われるため、企業は防ぐことができないこと」「マルウェアは増加するとともに、進化していること」「ゼロデイ脆弱性を突いた攻撃は知ることが難しいこと」「狙われるデータは価値に応じて変わること」を挙げ、「ユニファイドセキュリティ戦略」はそれに対応するものとなっているとした。「ユニファイドセキュリティ戦略」は、4つの懸念事項に対処すべく、「Cyber Security Services」「Threat Protection」「Information Protection」「Unified Security Analytics Platform」という4つのカテゴリーに分けられている。「Unified Security Analytics Platform」を実現する製品としては、リスク分析とベンチマークを行うアプリケーション「Symgage」がリリースされる。クラウドベースで分析を行う同製品により、自社の感染状況に加え、他社の感染状況もわかるため、他社に比べて、自社の対応が遅れていることなどを把握できるという。「Symgage」のSDKはパートナーに提供される予定であり、これを活用して、パートナーは独自のアプリケーションを開発することが可能になる。「Threat Protection」では、クラウドベースのエンジンなどにより高度な脅威から防御するとともに、さまざまな脅威からサーバを保護する。「Information Protection」では、「クラウドとモバイルにまたがる情報保護と行動分析」に重きを置き、製品としては「Cloud Security Broker」を提供する。「Cyber Security Services」では、「自社への脅威/キャンペーンの監視」「セキュリティイベントやトレンドの分析」「緊急時の対応」「セキュリティ人材の育成・評価」といったサービスを提供する。
2015年05月22日スターフライヤーは5月1日、2015年度を初年度とした「"らしさ"の追求2020」(新中期経営戦略2015~2020)を発表した。同社は「感動のあるエアライン」を企業理念に掲げ、2006年3月16日、新北九州空港の開港とともに北九州-羽田線の運航を開始し、2014年度は営業利益2.5億円(経常利益9.0億円、当期純利益4.3億円)を計上。今後も競争に勝ち抜き持続的な成長を遂げるために新中期経営戦略2015~2020を策定した。新中期経営戦略2015~2020では、2015年度~2016年度を「成長への基盤づくり」を行う2年間、2017年度~2020年度を「持続的成長」を図る4年間の2段階構成と設定。当初の2年間は経営基盤と基礎体力の強化に注力し、2017年度以降の持続的成長に向けた備えを固める("PhaseI")。2017年度以降は成長戦略を別途策定の上、新たな飛躍を具現化していく("PhaseII")。今回の新中期経営戦略の目標として、2020年度末に同社がありたい姿を「"スターフライヤーらしさ=質へのこだわり"でお客様に選ばれる企業」と定め("中期ビジョン2020")、4つの基本戦略「強いブランド作り」「お客様アプローチ」「最上級のホスピタリティ」「信頼・安心」を基軸としてその実現に取り組む。「成長戦略への基盤作り」を重点的に取り組むPhaseIでは、"サービス業"・"運輸業"・"企業"の視点から各個別戦略を策定し、それぞれの分野の強化を図る。内容としては、定期便は既存の5路線を基軸としつつも今後の路線展開に向け、深夜早朝帯に24時間空港を結ぶ近距離国際チャーター便及び国内チャーター便を積極的に計画するほか、ネットワーク戦略と連動した機材導入・退役計画の策定、および新しい客室仕様を検討するとしている。また、就航率・定時性向上プロジェクト(ON TIME FLYER活動)を推進し、悪天候等の対応に強い体制の確立やPDCAサイクルによる継続的改善を図るなどを定めている。PhaseIにおける経営目標は、2015年度は営業利益3.8億円(経常利益11.8億円、当期純利益8.2億円)、2015年度は営業利益6.8億円(経常利益6.5億円、当期純利益4.0億円)と定めている。この新中期経営戦略については、過年度の業績や直近の環境変化などを踏まえ、原則として1年毎に見直しを行い、修正版(ローリング計画)を順次発表する予定となっている。新中期経営戦略2015~2020の詳細はホームページを参照。
2015年05月03日日本IBMは4月27日、同社の2015年のクラウド事業戦略に関する説明会を開催。全方位でハイブリッド・クラウドを推進し、そのためにクラウド事業統括という、クラウド事業を社長直下の組織として統合したことを発表した。日本IBM クラウド事業統括担当 執行役員 小池裕幸氏は、「これまでのやり方を再構築するには、最前線でデータを示し判断をくだすことができる新しいアプリ、新しいデータからビジネス機会を見い出すこと、エコシステムをデジタルでまとめた新しいソリューションが必要になる」と指摘。そのためには、モバイルやソーシャル活用するSoE(Systems of Engagement)領域で、すばやくアプリを作成する必要があるとした。これらSoEのシステムは、クラウド上に構築されるケースが圧倒的に多いが、小池氏によれば、これらのアプリは、企業の活動を記録する従来の基幹系のシステムであるSoR(Systems of Record)のデータを参照するケースも増えているという。そのため、クラウド上のSoEとオンプレミス上のSoRのデータ連携も重要になるとした。これらを踏まえ小池氏は同社のクラウド戦略について、「これまでは、オンプレミスとオフミレスという2軸しかなかったが、最近はSoRとSoEという側面も出てきた。いま、企業の投資は圧倒的にSoEで、それをクラウドで実現している。しかし、お客様にはSoRと連携したいという希望もある。そのため、これら4つ方向をすべてをカバーしていくのがIBMの戦略で、それができるのはIBMだけだ」と語った。そして小池氏が、4つ方向をすべてをカバーするためのハイブリッド基盤として挙げたのがBluemixだ。同氏は、BluemixではSoE向けのSaaSサービスが300以上用意されており、ユーザーは、これらをAPIを利用してサービスを組み合わせるだけで、簡単にアプリを構築できる点がIBMの大きなアドバンテージだとした。「これからは、APIエコノミーの時代だ。APIエコノミーでは、それぞれのシステムがAPIを公開することで、連携することができる。それを可能にするのが「API Harmony」でBluemixで公開している。これらをAPIを活用して組み合わせて利用するこことで、アプリを早く構築できる」(小池氏)。一方、これらBluemix上のアプリと、オンプレミスとの連携向けには、同社はBluemix上サービスカタログ「Secure Gateway」が用意されており、日本IBM クラウド事業統括 クラウドマイスター 紫関昭光氏は、これを利用することで、簡単の安全なトンネルを作成できるととした。また、同社はBulemixの環境として、マルチテナント型の「Public」、SoftLayer上の占有環境である「Dedicated」に加え、今後、自社のデータセンター内でのマネージドサービスとして展開できる「Local」も開始するという。
2015年04月28日電通パブリックリレーションズは、、日本広報学会理事長である清水正道氏監修のもと、企業広報戦略研究所の研究員の執筆による書籍「戦略思考の広報マネジメント~業績向上につながる“8つの広報力”の磨き方~」を発売した。価格は1,800円(税別)。インターネットやソーシャルメディアなどの普及により、既存の手法ではステークホルダー間の利害調整を行うことが難しくなっているという。そのような状況で企業が成長し続けるには、「広報」を経営の中枢に位置付け、戦略的に広報マネジメントをすることが重要とのこと。本書では、上場企業の広報力比較調査で明らかになった企業広報活動の実態と先進企業の取り組みなどを紹介し、日本企業の広報力の強みと弱みを踏まえ、戦略的な広報活動を行う上で必要な「8つの広報力」を解説している。「8つの広報力」とは、「情報収集力」「情報分析力」「戦略構築力」「情報創造力」「情報発信力」「関係構築力」「危機管理力」「広報組織力」のことを指し、この8つの軸で企業の広報力を分析するモデルにより、広報力を上場企業全体、また業界内で比較することが可能になるという。また、本書内には、広報優良企業や上場企業の平均と比較し、自社の強み・弱みを把握できる簡易診断用の調査票や、メディアやNGOへのインタビュー及び先進企業の取り組みなども紹介しており、広報の実務家が日常の活動で生かせる内容となっているとのこと。
2015年04月22日クリックテック・ジャパンは4月16日、日本市場におけるビジネスを強化するにあたり、今後の事業戦略を発表した。これによると同社は、主力製品「QlikView」を提供するBIソフトウェアベンダーというイメージから脱却し、「包括的なアナリティクス・ソリューションを提供するプロバイダーベンダーへの変革」を実現したい考えだ。具体的な施策としては、2015年2月に国内販売を開始した「Qlik Sense」の拡販に向け、パートナー企業との連携を強化。2014年12月に買収を行ったVizubiの「NPrinting」製品ラインの提供と併せて、マルチ・プロダクト戦略を推進していく。加えて、QlikViewやQlik Senseに搭載し、インメモリでの高速処理や特許技術の連想技術、超正規化によるデータ圧縮などを可能とする「連想型QIXエンジン(Qlik Index Engine)」を、組み込み型の分析プラットフォームとして提供するため、OEMパートナーの拡充を図るという。また、同社は2014年10月、APIサービスの強化を目的に、オープンデータの活用促進に向け、全世界の統計データを提供するDataMarketを買収したほか、開発者の誰もがQlikViewとQlik SenseのオープンなAPIとサードパーティ製のWeb技術やアプリケーションとの統合が可能なコミュニティサイト「Qlik Branch」を、2015年1月に開設している。今後は、6月にQlik Senseのメジャーアップグレードの実施と、同製品のアプリケーションをクラウド上で共有できる「Qlik Cloud」の提供開始を予定。QlikViewについても、メジャーアップグレードの年内実施を目指す。なお、日本の顧客ニーズに対応するため、社内体制の強化といった戦略投資にも積極的な姿勢だ。同社は、東京オフィスの拡張施策として、東京都・六本木の泉ガーデンタワーに新オフィスを設け、4月より営業を開始するほか、コンサルティング・サービス部門も新設。コンサルティングやトレーニングサービスの販売を行う。また、製造や金融、医療・薬品などの業界にフォーカスし、セグメント別に営業体制の強化を図っていくという。これら施策の舵取りを行う人物は、2014年12月1日付けでクリックテック・ジャパン 新社長に就任したジェイ・パウエル氏。同氏は、今後のビジョンを「データディスカバリー市場をけん引し、全社で売上10億ドルの達成を実現するほか、個人や企業、組織に対してソリューションを提供することで、10億人以上の人生に触れること」だと説明し、トッププライオリティ市場として位置づける日本にて、さらなる成長を目指す考えだ。
2015年04月16日