こんにちは、婚活FP山本です。医療費控除というのは、文字どおりの医療費だけでなく、そのための交通費も含めることができます。ただし、医療費控除の対象になるかどうかはさまざまなので、多くの方が含めていいのか悩んでいるのが実情です。勝手に判断するのは危険ですから、ぜひ正しい知識を身につけておきましょう。今回は、医療費控除の交通費について、さまざまな角度で対象か否かと申請方法をお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。医療費控除の対象は電車やバスでの通院が基本まずは早速、医療費控除の交通費についての基本をお伝えします。結論からいえば、医療費控除の対象になる交通費というのは、「電車やバスでの通院」が基本です。電車やバスを使って病院に行った場合は、基本的にその交通費は医療費控除の対象にできます。このような一般的な公共交通機関を使って病院に行くのは、普通に医療費控除の対象です。けして難しい話ではありませんから、しっかり覚えておきましょう。なお、PASMOなど電子マネーを使っても大丈夫ですが、あくまで対象は病院に行くための運賃分だけですので注意が必要です。そして、一般的な公共交通機関では「領収書」が貰えないことがあります。そのような場合には、利用者や目的(地)・日付・金額などをメモしておくことが必要です。後述する「明細書の内容」に沿った形で、正しくメモしておきましょう。領収書は不要だが、なるべく貰って5年保管を2018年1月以降、法改正によって確定申告での医療費の領収書添付は不要になりました。しかし、代わりに現在は「明細書」が必要です。この明細書を作るためにも交通費については、最低限メモくらいは必要になります。少なくとも、適当な金額を書いてはいけません。また領収書も、添付の必要はなくなったものの「5年間」保管する必要があります。いつ税務署から問い合わせが入るか分かりませんから、このあたりは正しく行動しましょう。「必要なら」タクシーや新幹線・飛行機なども例外的に使える次に、医療費控除の対象になる例外についてお伝えします。すでにお伝えしたとおり、医療費控除の対象になる交通費というのは「電車やバス」が基本です。ただし、どうしても必要な場合に限って、例外的にタクシーや新幹線・飛行機などの料金も控除対象になります。どうしても必要な場合とは、例えば深夜帯で電車やバスが使えない、重病で電車やバスに乗れないなどの場合です。新幹線や飛行機は、これらを使って遠方の病院に行かなければならないような場合に限って、医療費控除の対象になるという意味合いになります。あくまで例外ですし、必要性を認めてもらえないこともありますが、本当に必要ならちゃんと対象になりますから大丈夫です。むしろ控除を気にして使わないというほうが稀ですが、ともかくしっかり覚えておきましょう。宿泊費は控除対象にならない点に注意しよう特に、新幹線や飛行機を使う場合に気をつけたいのが「宿泊費」です。これらを使うほどの遠方の病院に行く場合は、ホテルなどを合わせて使うことも多いといえます。しかしこのホテル代などは、残念ながら医療費控除の対象にはならない点に注意が必要です。一般的な感覚とは少しズレているように感じるかもしれませんが、このようなルールになっているのですから仕方ありません。あくまで控除にならないだけで、使うかどうかは自由ですから、必要なときにはしっかりホテルも活用しましょう。「必要なら」付き添いの人の交通費も控除対象今度は、さらに医療費控除の対象になる例外についてお伝えします。医療費控除の対象になる交通費とは、元になる医療費も含めて基本的に「医療を受ける本人」限定です。しかしどうしても必要な場合に限って、付き添い人の交通費も医療費控除の対象にすることができます。どうしても付き添い人が必要というのは、例えば小さな子供や高齢者、あるいは重病人などが当てはまりがちです。このような「1人で病院に行くことが困難な人」に付き添った場合は、その人の交通費も医療費控除の対象にすることができます。ただし、その後に当人が入院して世話やお見舞いのために1人で病院へ行くような場合は、その交通費は医療費控除の対象になりません。このあたりは少しややこしいですが、しっかり分けて覚えましょう。無料診察の交通費や医師の交通費も控除対象ほかに、何らかの助成制度で医療費が無料の場合であっても、交通費だけを医療費控除として申請することもできます。さらに、医師を自宅などに呼ぶ場合は医師の交通費も医療費として請求されますが、この交通費(医療費)も医療費控除の対象です。思った以上に、医療費控除の対象になる交通費の範囲は広いといえるかもしれません。そして簡単にいえば、ここまでお伝えした交通費以外は医療費控除の対象外となります。病院に行く場合は、なるべく対象の範囲となる手段を用いましょう。ガソリン代や駐車場代・高速料金などは対象外ここからは、医療費控除の対象外になる交通費についてお伝えします。医療費控除の対象外になる交通費の代表格は、「自家用車のガソリン代や駐車場代」です。電車やバスより自家用車を普段使いする地方などは不利といえますが、ともかくこのようなルールになっています。またそこから、高速料金も対象外です。ちなみに一応の理屈では、医療費控除の対象とは「人的役務の提供の対価」限定になっているためといえます。ガソリン代や駐車場代・高速料金はモノの購入代金や利用料ですから対象外、という理由です。もっとも、電車やバスなら利用ごとの料金も明確ですが、「病院に行くためだけに」ガソリンを入れる方はまずいません。多少強引にでも納得して、受け入れていきましょう。「高額な代金だったから通してほしい」は通らない医療費控除の対象になる交通費とは、文字どおり「医療を受けるために必要と認められる範囲」に限られています。そして、それを客観的に示せることが必要です。「必要だった」と強引にいっても通りませんし、「高額な代金だったから通してほしい」も通りません。車社会の地方には厳しいルールですが、少なくとも本体の医療費については車で行っても対象です。通る部分だけでもしっかり申請して、ルールに合わせた行動を取っていきましょう。[adsense_middle]定期代や一時退院時の交通費も対象外今度は、さらなる医療費控除の対象外になる交通費についてお伝えします。都心部では通勤定期を利用する方も多いですが、この定期を使って医療を受けた場合の「定期代」は対象外です。あくまで通勤定期は「通勤するため」が主ですから、医療費控除の対象にはなりません。あと注意が必要なのは「一時退院」でしょうか。長期の入院患者が年末年始などで一時的に退院することがありますが、その場合の自宅まで帰る交通費は医療費控除の対象外です。自宅に帰る行動は「医療を受けるため」ではありません。少し注意しておきましょう。病院や治療が絡む交通費なら何でも医療費控除の対象になるというわけではありません。医療費控除の対象になるものに限って、正しく医療費控除として申請しましょう。通勤途中で立ち寄った場合も対象にならないまれに定期を使わず通勤するような人もいますが、通勤途中で病院などに立ち寄った場合も基本的に医療費控除の交通費には当てはまりません。その病院に行く明確な理由を示せないような交通費まで、強引に医療費控除として申請するようなことは控えましょう。先ほどお伝えしたとおり、今は5年間の領収書などの保管義務がありますし、いつトラブルになるか分かりません。あくまで税法ルールに沿った正しい節税を心掛けましょう。確定申告での申請方法は「人ごとにまとめて入力」最後に、確定申告における医療費控除の交通費の申請方法をお伝えします。現在の確定申告では、医療費については専用の明細書を添付しますが、その内訳は以下のとおりです。医療を受けた方の氏名病院・薬局などの支払先の名称医療費の区分「診察・治療」「医薬品購入」「介護保険サービス」「その他の医療費」支払った医療費の額4のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額そして交通費については、2を「JR・〇〇バス」などとして、3を「その他の医療費」を選択し、4に交通費の額を入力します。ちなみに国税庁は、1人あたりの年間交通費をまとめて入力・記載するよう促していますが、1件ごとに入力しても問題ありません。少なくとも、医療費控除の交通費の申請は難しいものではないといえます。申請できるのにしないのは損なだけですから、できる場合はちゃんと確定申告で医療費控除の交通費についても申請しましょう。書き方などが分からないときは税務署や国税庁へ相談を「これは医療費控除の交通費になるのか?」「明細書の書き方が分からない」など、初めて遭遇・経験する場合は何かと不安になるのが一般的です。そのような場合は自分で勝手に判断せず、事前に近くの税務署や国税庁に相談するのがおすすめといえます。少なくとも、税理士などと違って税務署や国税庁なら相談するのにお金はかかりません。それに、医療費控除の交通費は本当にケースバイケースなので、相談してみないと分からない部分も大きいといえます。今回お伝えした内容は、あくまで「基本」です。事情によっては話が通ることもありますから、申請を諦める前にまずは税務署などに相談してみましょう。医療費控除は交通費も含めて正しく申請しよう!医療費控除は、本体となる医療費だけでなく関連する交通費についても対象になります。久しぶりに病院に行ったような方ならともかく、定期的に通院しているような方なら交通費も相応な額になるはずです。ただし、医療費控除の対象外になる交通費も意外と多いですから、事前にしっかり知っておき、対象になる場合に限ってしっかり申請しましょう。
2020年06月24日こんにちは、婚活FP山本です。確定申告を聞きかじったことがあるような方なら、「医療費控除の申請には領収書が必要」と認識されているのではないでしょうか。そして確定申告の難しそうなイメージも手伝って、医療費控除を使えるのに使わない方も一定数おられるようです。少なくとも、その認識のままでは少し損かもしれません。そこで今回は、医療費控除の現在の申請や確定申告上の基礎についてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。現在の確定申告の出し方で領収書添付は必要ではない!まずは早速、現在の確定申告における医療費控除についてお伝えします。実は現在の確定申告の出し方では、医療費控除を受けるのに領収書添付は必要ではありません。これは平成29年分の確定申告から新しく始まったルールになります。これまでに医療費控除を受けたことがある方なら、大量の領収書を添付してパンパンに膨れ上がった確定申告書を提出していたことでしょう。実はこれ、簡単にいえば税務署サイドから見ても不評だったわけです。そのような声を受けての簡略化の措置になります。なお、平成29年分から令和元年分までの確定申告においては、経過措置として従来の領収書添付の形式でも提出可能です。とはいえ、わずか3年分の話ですから、早めに慣れる意味でも領収書添付は控えるよう努めましょう。税務署の請求に応じるため5年間は保管すること注意が必要なのですが、領収書は添付の必要はなくなったものの、5年間は自宅などで保管しておく必要があります。これは必要に応じて、税務署が確認(のための電話など)をするときのためです。税務署の請求に応じるため、5年間はしっかり保管しておきましょう。この保管義務を考えると、確かに確定申告書への添付義務はなくなったものの、しっかり領収書をもらっておく必要性は変わっていません。領収書を保管しておくことさえ面倒に感じる方もいるでしょうが、随分と確定申告がラクになったのは事実ですから、しっかり対応しましょう。現在の提出方法は領収書の代わりに明細書を添付する次は、領収書ではない現在の確定申告方法についてお伝えします。現在の確定申告における医療費控除の提出方法は、領収書の代わりに「明細書」の添付が必要です。この明細書というのは、領収書などを元にして自分で作成することになります。ちなみにこの明細書で書くべきことというのは、以下のとおりです。医療を受けた方の氏名病院・薬局などの支払先の名称医療費の区分「診察・治療」「医薬品購入」「介護保険サービス」「その他の医療費」支払った医療費の額4のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額なお、この明細書は領収書1枚ごとではなく、医療を受けた方や病院ごとにまとめて記入することができます。本人が同じ病院に頻繁に通院しているようなケースなら、かなりまとめて書けるでしょうから、随分と労力は少なくなるのではないでしょうか。しっかり覚えておきましょう。明細書項目・内訳を確認し、領収書がないときはメモしておく病院で領収書がもらえないケースは稀ですが、なくしてしまうと(無料で)再発行してもらえないことがあります。医療費控除に関係する「交通費」なら、領収書そのものがもらえないことも多いです。そのような領収書がないときは、メモしておけば問題ありません。明細書に記入すべき項目・内訳は先ほどのとおりですから、特に領収書がないときは即座にメモしておく必要があります。ちなみに病院の領収書をメモする前になくした場合は、代わりになるものがもらえることもありますから、まずは病院に相談してみましょう。「医療費のお知らせ」を使えば明細書も領収書の保管も不要今度は、さらに別の確定申告提出方法についてお伝えします。これは医療費控除の領収書が明細書に置き換えられたことに合わせての処置ですが、健康保険組合などが発行する「医療費のお知らせ」を明細書に代えることが可能になりました。簡単にいえば、「医療費のお知らせ」を確定申告書に添付すれば、明細書を新たに作る必要もありませんし、領収書の保管も不要になります。使いたいと思っている医療費控除の内容がすべて載っていれば、「医療費のお知らせ」をそのまま添付するだけでよいわけです。今まで膨大な量の領収書を確定申告書に添付していたような方なら、大幅に手間を省けることになります。何ともうれしい変更ですから、ぜひ一度早めに試してみましょう。年度途中で区切られ、全部は載っていないことも多い少し注意が必要なのが、「医療費のお知らせ」は中途半端な年度途中で区切られていることが多いという点です。つまり、あなたが使いたいと思っている医療費の全部は載っていないことも多々あります。特に、医療費控除に関係する「交通費」は載っていないのが普通です。このような医療費のお知らせに載っていない部分については、別に明細書を作って添付する必要があります。とはいえ、大幅な労力カットには違いないでしょうから、大きく喜びましょう。そもそも医療費控除に該当するか注意しようここからは、医療費控除を確定申告する際の注意点についてお伝えします。まずそもそも、その支払いが医療費控除に該当するのかどうかには注意が必要です。一般的な「医療費控除に該当しそうで該当しない支払い」には、以下のようなものがあります。健康診断の費用美容のための費用病気予防や健康増進のための費用医療費ではない謝礼金医療費控除に該当しない交通手段勝手に医療費控除に該当すると考えて確定申告をして、あとに税務署とトラブルになるような話は意外と多いです。まずは自分で調べて、分からないときは事前に税務署などに相談し、ちゃんと医療費控除に該当するときに限って、正しく確定申告をしましょう。要件を満たさないなら額に関係なく対象外医療費控除の要件を満たさない支払いなら、額に関係なく医療費控除の対象外です。たとえば美容整形など、高額な支払いをしたときには、つい少しでも取り戻したい心理が働くものですが、不正はダメといえます。あとで税務署から連絡が来たりすると大ごとになります。もちろんこれは、「知りませんでした」は通りません。特に後述する交通費については、不正の温床といわれることもありますから、少なくとも納税者側も十分に注意しておきましょう。医療費控除の「交通費」は対象か否かが細かめ今度は、医療費控除に関係する交通費についてお伝えします。医療費控除というのは、元になる医療費だけが対象ではなく、関係する交通費についても対象です。ただしこの交通費は、対象になるか否かが細かめに決められており、基本的に以下のようになっています。ガソリン代や駐車場代がNGというのは、車社会が一般的な地方には厳しいルールかもしれません。またタクシーや新幹線などは、どうしても必要なら対象になりますが、こじつけのような理由では通りませんから注意が必要です。当てはまるのは、深夜帯で電車やバスがなかった、どうしても遠方の病院でしか治療を受けられない、などといったケースになります。あとでしっかり説明できるよう、利用の経緯についてもちゃんとメモしておきましょう。病院に行くときは「電車かバス」を使うのが一番確実先ほどの一覧を見ると分かるとおり、病院に行くときは「電車かバス」を使うのが一番確実です。そうでなければ、医療費控除に交通費を含めるのは諦めたほうが無難かもしれません。もちろん、あくまで医療費控除の対象にならないだけで、自家用車で病院に行くのは問題ありません。とはいえ、頻繁に病院に通院しているような方なら、年間の交通費も相応の額になりがちです。なるべく交通費も医療費控除に含められるよう、通院の手段についても考えて動きましょう。[adsense_middle]どうするか分からないときは税務署に相談しよう最後に、大切な補足情報についてお伝えします。医療費控除というのは、確定申告をする際に使う控除の1つです。そして確定申告とは税金に関することですから、基本的には税法というものが定められている一方、税務署や国税庁が管轄している内容になります。そもそも医療費控除どころか、確定申告さえよく分からないという方も多いです。確定申告は相応に知っていても、「例外的な事柄」についてはネットなどでは調べきれないこともあります。そういうときには、そのまま税務署などに相談してみるのがおすすめです。税務署は確定申告を管轄しているのですから、確定申告の方法や例外的な事柄についても丁寧に教えてくれます。どうするか分からないというときには、ぜひ税務署を有効活用していきましょう。確定申告は一度でも経験すれば次からは意外と簡単?確定申告の作業については、一度でも経験すれば慣れますから、次からは意外と簡単にできるようになります。一度では無理でも、何回か経験すれば大丈夫でしょう。ただし、それこそ今回の医療費控除のように、「途中で制度が変わる」という点には注意が必要です。税法というのは、本当に毎年のように何かが変更されています。これからは、そのような「変更情報」についても敏感に収集するとともに、不安なときには税務署に相談するよう心掛けていきましょう。医療費控除に使った領収書はまとめて保管しておこう現在では制度が変更され、確定申告に医療費控除のための領収書を添付する必要はありません。ただ5年間の保管義務がありますから、医療費控除に使った領収書はまとめて保管しておくことが必要です。大幅に手続きが簡略化されたのですから、これからは積極的に医療費控除を活用していきましょう。
2020年06月23日親を扶養に入れるとあなた自身の税負担が軽減されたり、親の保険料負担が減ったりといったメリットが期待できます。一方で負担を増やしてしまうケースもあり、親を扶養に入れるかはよく検討した上で判断しなければなりません。今回は親を扶養に入れるための条件とその方法、メリット・デメリットについて解説します。扶養には大きく「税金(税法)上の扶養」と「健康保険(社会保険)上の扶養」の2つがあります。親を扶養に入れる条件や方法は両者で大きく違うため、それぞれについて見ていきましょう。親を「税金上の扶養」に入れるための条件国税庁年末調整による方法年末調整の対象となる会社員などの給与所得者は、「給与所得者の扶養控除等申告書」の控除対象扶養親族欄に必要事項を記入し、勤務先へ提出します。国税庁親を「健康保険上の扶養」に入れるための条件日本年金機構仕送り方法は振込または送金が原則親と別居している場合の仕送り方法としては、毎月一定額を銀行などから振込む、あるいは現金書留で送金するのが原則です。仕送りをしている事実を客観的に証明できない方法で生活費を負担した場合、仕送りの事実を認められません。現金を手渡しする方法や、被保険者名義のキャッシュカードを親に渡し、入金した生活費を親に引き出してもらう方法などは避けましょう。親を扶養に入れるメリット厚生労働省デメリット③他の控除・税制優遇制度により税負担軽減効果が得られないことがある(税金上の扶養)親を税金上の扶養に入れると扶養控除を受けられるメリットがあります。しかし、住宅ローン控除やふるさと納税(寄附金控除の特例)、iDeCo(個人型確定拠出年金)、生命保険料控除など、他の控除や税制優遇制度を利用している場合には、扶養控除による税負担軽減効果が十分得られない可能性もあります。親を扶養に入れる方法に関するまとめ親を扶養に入れることで負担軽減効果が期待できる反面、条件によっては十分な効果が得られない、あるいは負担を増やしてしまうケースもあります。親を扶養に入れるかどうかは、あなた自身とご両親の状況をふまえて、慎重に判断するようにしましょう。
2020年05月24日「寡婦(かふ)」という言葉を聞きなれない人も多いのでは。夫と離婚、または死別して、再婚していない女性をいう。こうした寡婦のうち一定条件を満たす方には、「寡婦控除」という税金を安くする仕組みがある。だが、制度自体を知らない人が多く、なかには「会社に離婚したことを知られたくないから申告しない」という女性もいるという。「女性とシングルマザーのお金の専門家」として、女性からの相談実績が豊富な加藤葉子さんは、つぎのように話す。「離婚して相談に来る方でも、寡婦控除を知っている方はほとんどいません」でも、せっかく税金が安くなる制度があるのに利用しないのは、税金を払いすぎているということ。節税できるありがたい制度を、使わない手はないだろう。そこで、加藤さんが寡婦控除について教えてくれた。寡婦控除には2種類、「寡婦控除」と「特別の寡婦控除」がある。寡婦控除は所得税を計算するときに、収入から27万円を控除、つまり差し引くことができる。住民税の計算では、収入から26万円が控除できる。また、特別の寡婦控除の場合は、所得税では35万円を、住民税では30万円を控除、収入から差し引くことができる。控除が増えると、その分所得が減り、納税額が安くなり節税につながるのだ。【Q1】寡婦控除の申告をしたことがありません。これまでの分も、何とかなりませんか?寡婦控除に関する申告をしていないと、税金を払いすぎている可能性がある。払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」は、5年さかのぼって申告できるので、今年の確定申告で、過去の分も申告しよう。「’18年より前の税金は、所得税も住民税もすでに払っていますので、どちらも還付、つまり返金されます。還付金はうれしい臨時収入になりますよ」(加藤さん・以下同)【Q2】寡婦控除や特別の寡婦控除は、税金が安くなるだけ?税金が安くなれば、生活に回せるお金が増える。でも、メリットはそれだけではない。「幼い子の保育料や高校生の授業料、大学の奨学金などは、住民税をいくら払っているかが基準になります。寡婦控除や特別の寡婦控除によって住民税が安くなれば、こうした子どもにかかる費用が抑えられるのです」また、住民税が非課税になれば、大学の給付型奨学金の対象になる。「ひとり親家庭で子どもへの教育をあきらめる前に、ぜひ寡婦控除に関する申告をお勧めします」【Q3】未婚のひとり親には控除がないの?残念ながら’19年分までは、未婚の女性は、寡婦控除や特別の寡婦控除の対象外だった。というのも、“婚姻歴があって現在シングル”の方が寡婦だからだ。「ただ以前から、同じひとり親で生活状況も似ているのに、婚姻歴のあるなしで支援を分けるのはおかしいという批判がありました。私は相談を受けながら、未婚のひとり親にも支援が届いてほしいと何度も思ったものです」それがやっと、昨年末に閣議決定された’20年度の「税制改革大綱」に「一定条件を満たす未婚のひとり親にも、特別の寡婦控除の同等の控除を創設する」という内容が盛り込まれた。今の国会で法案が成立すれば、’20年分から、未婚のひとり親にも支援の手が伸びる予定だ。「未婚のシングルマザーには厳しい家計の方も多いので、早く成立してほしいと願っています」「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月28日「寡婦(かふ)」という言葉を聞きなれない人も多いのでは。夫と離婚、または死別して、再婚していない女性をいう。こうした寡婦のうち一定条件を満たす方には、「寡婦控除」という税金を安くする仕組みがある。だが、制度自体を知らない人が多く、なかには「会社に離婚したことを知られたくないから申告しない」という女性もいるという。「女性とシングルマザーのお金の専門家」として、女性からの相談実績が豊富な加藤葉子さんは、つぎのように話す。「離婚して相談に来る方でも、寡婦控除を知っている方はほとんどいません」でも、せっかく税金が安くなる制度があるのに利用しないのは、税金を払いすぎているということ。節税できるありがたい制度を、使わない手はないだろう。そこで、加藤さんが寡婦控除について教えてくれた。【Q1】「寡婦控除」って何?冒頭にもあるとおり、寡婦とは夫と離婚か死別をして、再婚していない女性をいう。寡婦のうち、後で説明する条件より収入が少ない人や子どもなどを扶養する人の、納税額を減らせる仕組みが寡婦控除だ。そもそも納税額は、1年間の「収入」から、社会保険料などさまざまな「控除」分を差し引いた「所得」に税率をかけて算出する。収入が同じでも控除が増えると、その分所得が減るので、税金が安くなる計算だ。「寡婦控除は、控除のひとつです。ぜひ覚えて、申請してください」(加藤さん・以下同)寡婦控除には2種類、「寡婦控除」と「特別の寡婦控除」がある。寡婦控除は所得税を計算するときに、収入から27万円を控除、つまり差し引くことができる。住民税の計算では、収入から26万円が控除できる。また、特別の寡婦控除の場合は、所得税では35万円を、住民税では30万円を控除、収入から差し引くことができる。控除が増えると、その分所得が減り、納税額が安くなり節税につながるのだ。【Q2】子どもがもうすでに独立した50代女性でも対象になるの?寡婦控除や特別の寡婦控除に、年齢に関する条件はない。「子どもがすでに独立した方や元々子どもがいない方でも、対象になる場合があります。たとえば、夫と死別し年間所得が500万円以下の場合や、夫と離婚して親などを扶養する場合などです」寡婦控除の条件で、ポイントになるのが「年間所得500万円以下」という基準だ。これは、お勤めの人など「収入は給料だけ」という人で考えると、年収約689万円(’19年)に相当する。「寡婦控除は、比較的高収入の方までカバーする制度といえます」医療費控除はよく知られているが、「寡婦控除なんて知らなかった」という方も多いだろう。加藤さん自身も、「自分が離婚したときには、寡婦控除なんて聞いたことがなかった」と言うほどだ。私もひょっとして……と思った人は確認を。そして、対象だとわかった方は、ぜひ申告しよう。「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月28日「寡婦(かふ)」という言葉を聞きなれない人も多いのでは。夫と離婚、または死別して、再婚していない女性をいう。こうした寡婦のうち一定条件を満たす方には、「寡婦控除」という税金を安くする仕組みがある。だが、制度自体を知らない人が多く、なかには「会社に離婚したことを知られたくないから申告しない」という女性もいるという。「女性とシングルマザーのお金の専門家」として、女性からの相談実績が豊富な加藤葉子さんは、つぎのように話す。「離婚して相談に来る方でも、寡婦控除を知っている方はほとんどいません」でも、せっかく税金が安くなる制度があるのに利用しないのは、税金を払いすぎているということ。節税できるありがたい制度を、使わない手はないだろう。そこで、加藤さんが寡婦控除について教えてくれた。寡婦控除には2種類、「寡婦控除」と「特別の寡婦控除」がある。寡婦控除は所得税を計算するときに、収入から27万円を控除、つまり差し引くことができる。住民税の計算では、収入から26万円が控除できる。また、特別の寡婦控除の場合は、所得税では35万円を、住民税では30万円を控除、収入から差し引くことができる。控除が増えると、その分所得が減り、納税額が安くなり節税につながるのだ。【Q1】どうやって申告するの?実は、寡婦控除の申告はとても簡単だ。お勤めの人は年末調整の際、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の寡婦や特別の寡婦の欄にチェックを入れるだけでOK。また、自営業やフリーランスの人は、確定申告の際に記載する項目がある。【Q2】昨年末の年末調整で申告していません。どうすればいい?年末調整のチェックが漏れた人は、確定申告をしよう。「今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、確定申告が4月16日まで延長されています。今から準備しても間に合いますよ」(加藤さん・以下同)【Q3】納税額はどれぐらい安くなるの?一例として、夫と離婚した45歳のAさん(16歳の子どもが1人)のケースを見ていこう。Aさんの年収が200万円と、500万円の2パターンをシミュレートしてみると、年収200万円の場合、寡婦控除に関する申告をしなかったら、所得税が年約7,400円、住民税が年約2万4,800円かかる。いっぽう、Aさんが特別の寡婦控除を申告して認められると、所得税、住民税ともにゼロになる。特別の寡婦控除が認められたおかげで、税金が年約3万2,200円安くなるのだ(所得控除等により変わることも)。年収500万円の場合は、年約5万2,400円安くなった。「申告するだけで、これほど納税額が減るのは、家計にとってとても助かる制度だと思います」【Q4】税金が安くなった分はどうなるの?’19年分として、寡婦控除か特別の寡婦控除が認められた場合、所得税は、お勤めの人は毎月天引きですでに納められているので、還付金として返金される。住民税は、’20年6月以降に払うものが安くなる。「6月からの手取りは、住民税は減った分、少し増えたように感じられるかもしれません」「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月28日配偶者に先立たれ、【遺族年金】を受給しながら生活している親御様をお持ちの方で、特に遠方の故郷にお一人住まいの場合は何かと心配ですよね。働き盛り世代であれば尚更、お仕事の都合やご家庭の事情ですぐにご実家に通える方ばかりではないのではないでしょうか。このような場合、実は、お独り住まいの親御様にとっても、離れて暮らすお子さんにとっても、両方にとってメリットのある税法上の仕組みがあります。これは、遠方に離れて暮らす場合だけでなく、同居の親御様でも同じメリットがあります。また、必ずしも親だけでなく、結婚した子供が配偶者を亡くし【遺族年金】を受給している場合も考えられます。今回のテーマは「【遺族年金】をもらっている人を扶養家族にできる?」という内容です。遺族年金を受給している親族の方をお持ちの方は、是非今回のテーマをお読みいただき、今後の選択肢の一つとしていただければ幸いです。扶養家族になるとどうなる?ご親族の中で【遺族年金】を受給している方がいる場合、その方を扶養家族にするとどういう効果があるのでしょうか。別居している親族の中に、対象となる方がいる場合でも扶養家族にすることができるのでしょうか。冒頭で「メリットがある」と紹介しましたが、具体的にどのようなメリットがあるのか、以下簡単にまとめますね。①税法上のメリット【遺族年金】を受給している方と、扶養家族として迎え入れる方が、どちらもそれぞれの条件を満たせば、扶養親族の控除が発生します(これを扶養控除と言います)。つまり、該当する家族を扶養に入れたことで、その世帯主の住民税や所得税が安くなるということですね。なお、メリットを受けるのは【遺族年金】をもらっている方ではなく、その方を迎え入れる方です。【遺族年金】を受給している方は、特にメリットもデメリットもありません。②健康保険上のメリット扶養家族になることによる健康保険上のメリットは、【遺族年金】を受けている方が受けることになります。簡単に言うと、おひとりであれば国民健康保険などの健康保険に加入して、ご自身で保険料を負担しなければいけませんが、どなたか家族の扶養家族になれば、【遺族年金】を受けている方は健康保険料を払わなくてよくなります。ただし、健康保険上のメリットは、家族の加入している健康保険が社会保険である場合に限られます。国民健康保険加入の家族の扶養家族になっても、結局ご自身で保険料負担することになるので、この場合は扶養家族になる意味がありません。国民健康保険と社会保険についての詳細は、この後の「健康保険上のメリット」の項目でまとめますね。税法上のメリット→【遺族年金】受給者を扶養家族として受け入れる側のメリット健康保険上のメリット→【遺族年金】受給者本人のメリット扶養家族の条件扶養家族(扶養親族)は、家族なら誰でもなれるわけではありません。以下のいくつかの項目に該当する必要があります。配偶者以外で、16歳以上の親族(血族なら6親等内、姻族なら3親等内)世帯主(納税義務者)と生計を一にしていること年間の合計所得が38万円以下であること(令和2年分から48万円に変更されます)事業専従者ではないこと事業専従者とは、親族が営む個人事業(白色申告)などで給与をもらって働いている人のこと。生計を一にする、とは年金などの社会保険制度の話をするときに、よく耳にするのが「生計を一にする」というキーワードです。基本的には同居している親族は生計を一にしている、とみなされます。別居の場合でも、常に生活費を仕送りしている等で、納税義務者の資金によって生活をしている状態を証明できれば「生計を一にしている」と判断され、扶養家族にすることができます。別居の親族を扶養家族に入れるには、実際に別居親族に対して銀行振込をした通帳のコピー等、何か証明できるものの提出を求められる場合もあります。遠方の親族に対する援助は、なるべく証拠の残る形でしておくと良いでしょう。遺族年金は非課税【遺族年金】は、基礎、厚生いずれであっても全額非課税です。【遺族年金】以外に収入または他の年金収入がある場合は、【遺族年金】以外の部分について課税対象となりますが、【遺族年金】のみが収入源である場合は収入がないとみなされます。補足・遺族年金は確定申告不要【遺族年金】と【障害年金】が非課税であるということは、これらの年金だけが収入源である場合は確定申告は不要ということです。ただし、【遺族年金】以外に収入がある等の場合は、【遺族年金】以外の収入に対して確定申告をしなければいけません。また、同じ年金であっても【老齢年金】に関しては、課税対象となります。税法上のメリット【遺族年金】を受給している方を扶養家族にすると、迎え入れた側にとって税法上のメリットがあります。《扶養控除》という控除が適用されるので、その分所得税や住民税が安くなるということになります。どなたが【遺族年金】を受給しているかによって、控除額が違います。それぞれのパターンに分けて見ていきましょう。[adsense_middle]父母・祖父母の場合【遺族年金】を受給していて、これから扶養家族に迎えようという方が父母、祖父母の内いずれかである場合、以下の額の控除が発生します。70歳以上の同居親族(父母・祖父母)である場合…58万円70歳以上の別居親族(父母・祖父母)である場合…48万円70歳に満たない親などの場合は、一般の扶養親族として一律38万円の控除額となります。子供や孫の場合【遺族年金】を受給している方が、納税義務のある方の子どもや孫である場合、その方を扶養親族にすると以下の控除が発生します。19歳以上23歳未満の場合…63万円(特定扶養親族控除)上記以外の年齢の16歳以降の人の場合…38万円(一般扶養親族控除)健康保険上のメリット健康保険上のメリットがあるのは、【遺族年金】を受給している人です。本来は何らかの健康保険に加入し、その保険料は自分で負担しなければなりませんよね。しかし、家族の健康保険に扶養親族として加入できると、この保険料を負担しなくてよくなります。親族の扶養に入ることで、【遺族年金】を受給している人が被扶養者となり、本人名義の保険証から、被扶養者としての家族保険証に変わります。つまり、【遺族年金】受給者にとって健康保険料の負担の軽減になります。健康保険上の被扶養者に関するお尋ねは、加入している健康保険の団体(協会けんぽ等)のHPで確認するか、問い合わせ窓口に尋ねてみましょう。被扶養者の条件は以下の通りです。主に被保険者(健康保険の本人)の収入で暮らしている被保険者と同一世帯である年間収入が130万円以下で、被保険者の年収の半分以下別居の場合では、年収が被保険者の仕送り金額以下である健康保険の用語として、世帯主など、その健康保険に加入している本人を「被保険者」と呼び、その家族を「被扶養者」と呼びます。扶養に入れない場合もある先に紹介した《税法上のメリット》の場合における扶養親族の定義として、【遺族年金】と【障害年金】は非課税扱いなので収入に含まれません、とご紹介しましたよね。このことから、【遺族年金】や【障害年金】だけが収入源である場合、無収入であるとみなされてほとんどの方が税法上の扶養家族になることはできるということになります。一方、健康保険上の扶養親族の収入制限においては、【遺族年金】も【障害年金】も収入とみなされます。つまり、年金額によっては年収の上限に抵触してしまい、健康保険上の扶養親族にはなれない場合もあるということです。必ずしも、どちらのメリットも受けられるということでは無さそうです。事前に確認しておきましょう。税制上の扶養親族と、健康保険上の扶養親族は、必ずしも一致しないということ。国民健康保険の場合受け入れる側の被保険者本人が、自営業者などで「国民健康保険」に加入している場合、【遺族年金】を受給している親族を扶養親族にするメリットはほとんどありません。結局は、扶養親族になったとしても、その方の分の保険料も発生しますので、生計を一にしている親族であったとしても、割引になったり、払わないで良いということにはなりません。健康保険上のメリットがあるのは、被保険者本人が社会保険に加入している場合だけであるということ。遺族年金受給者を扶養家族にする場合・まとめ【遺族年金】をもらっているご親族ということは、身近なご家族を亡くした方ということです。メリット、デメリットではなく、同じ家族として励まし助け合って暮らしていくのは当然の事ではありますよね。しかし、冒頭にも書きましたが、社会人になると仕事や家族のことなどで、特に遠方に住んでいる親族の場合、こまめに往来することもままならない場合もあると思います。今回取り上げたテーマでは、遠方で別居している場合でも扶養親族とすることもでき、受け入れる側も、扶養親族に入れてもらう側も、どちらにとってもメリットがあるということがお分かりいただけたかと思います。一見複雑に見えるので、あまり知られていない内容ではありますが、これは法の抜け道などではなく、正当に認められているルールです。もし本記事を読んで、該当するかもしれないと思った場合は、加入している健康保険実施団体にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。なお、税法上の控除に関しては、サラリーマンであれば年末調整の時期に申告することになります。家族として共に支えあっていく手段として、本記事の内容について、前向きに検討しても良いのではないかと思います。
2020年03月26日今回はがん保険の控除について解説していきます。年末に差し掛かるタイミングで保険会社より一斉にある証明書が送られてきます。そうです、控除証明ですね。1枚の方もいれば複数枚届く方もいらっしゃいますが、加入しているがん保険は対象になるのでしょうか?また、金額はどれくらいまで控除されるのかなどの疑問に答えたいと思います。控除証明の種類は?こちらの書類をご覧になった事があると思います。この書類のうち生命保険料控除に使用するのは「給与所得者の保険料控除申告書」になります。書類の左側が控除の申告を記入する欄になりますので、届いた控除証明に記載の金額を正しく記入し、下段にある計算式(所得税)に当てはめて自ら記入します。ご記入が終わったら、証明書と合わせて会社へ提出する事になります。何故会社に提出するのかサラリーマンの場合、所得税の申告は原則不要で、給与の支払い元である会社が纏めて税務署へ申告納税する事になっています。年末調整の書類は会社の経理や人事等が担当しており、皆さんの書類をチェックし提出する事になりますので、提出期限が決められているという事になります。大規模な会社であれば従業員の数も多いので、提出期限が短い事もあります。ご負担を掛けないようになるべく早めに提出しておきましょう。また、この書式には住民税控除の記載がありません。理由として、住民税に関しては別途会社が源泉徴収票と給与支払い報告書を税務署に提出し、その書類を基にお住いの市区町村で住民税額の決定がなされます。この時に控除計算されて住民税が決まる事になりますので、各個人で計算しておく必要がないのです。確定申告の場合自営業者やフリーランスの方、副業などで20万円以上収入のある方は確定申告が必要です。年末調整とは違い、自分で申告納税する事になりますので、基本的な手順は年末調整と同じです。計算式は所得税の計算式を利用する事になり、左側に記載のある「所得から控除される金額」欄に計算した額を記入します。記入した申告書と控除証明書を合わせて提出する事で完結します。尚、住民税も年末調整と同様に確定申告を提出しておけば自動で計算され、納税通知書が届きますのでご安心下さい。がん保険の控除に関するまとめ今回はがん保険の控除に関するお話でしたが、がん保険だけでなく他の保険料控除についての解説も合せて行いました。加入率の高い保険ですので、誰でも控除は受けられます。また最大限控除を受ける為に微調整しながら保険加入を検討するのも良いかもしれません。
2020年03月25日ネット通販やyoutuberなど誰でも手軽に個人事業が開業できるようになった昨今ですが、確定申告の時期になると思った以上に税金がかかることに驚く人がたくさんいます。法人の節税対策についてはさまざまな記事がありますが、個人事業についてはあまり言及されていないことが多いため、どうしていいかわからずお困りの方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、個人事業主の節税対策にフォーカスして解説したいと思います。個人事業主が節税対策すべき税金個人事業主の節税を考える前に、まずは個人事業主に課税される税金の種類についておさらいしていきましょう。個人事業主として開業すると、主に以下の税金が課税されます。所得税消費税住民税個人事業税この中でも今回は事前対策による節税効果が高い所得税について解説していきたいと思います。個人と法人を比較した場合の所得税のメリット、デメリット所得税とは売上から経費を差し引いた利益に対して課税される税金で、法人でいうところの法人税にあたる税金です。1年分の利益に対してまとめて課税されるため、個人事業主であれば個人のさじ加減である程度の微調整はしやすいというメリットがあります。ただ、個人と法人で決定的に違うのが経費の取り扱いです。個人事業は利益から控除できる経費が少ない法人の節税というと経費を計上するというイメージがあるかと思います。個人事業主の場合も基本的には同じですが、経費として計上できる幅が法人の時と比べると格段に狭くなります。法人の場合は基本的に法人の事業活動において支出した費用すべてが経費の対象となるのに対し、個人事業主の場合は事業で収入を得るために直接的に必要な費用に限られるのです。そのため片っ端から領収書を切っていても、経費として計上できないものも数多くあるということです。では具体的にどのような費用であれば経費として認められるのでしょうか。個人事業主で経費として認められる範囲次の支出については、個人事業主の経費として収入から差し引くことができます。従業員の給料仕入れ費用通信関係費家賃水道光熱費保険料消耗品費減価償却費[adsense_middle]従業員の給料従業員を雇用している場合は、従業員に対して支払う給料について経費として計上することが可能です。ただし、配偶者や親族などに支払った給料については一定の条件を満たさないと経費として認められません。詳しくは、青色申告の部分で解説します。仕入れ費用ネット通販などを行っている場合は、商品の仕入れのために支払った費用が経費として計上できます。このほか飲食店で個人事業主を営んでいる場合も、材料費は経費として計上することが可能です。通信関係費インターネット回線使用料、プロバイダ料金、電話料金、携帯電話料金など事業に欠かせない通信関係の費用は経費として計上することが可能です。ただし、個人の携帯と事業用の携帯を別で所有していない場合には、すべての料金を経費にできない可能性があります。詳しくは後程解説します。家賃事務所や店舗を借りて営業している場合は、家賃自体が経費になります。ただし、居住部分も含んで賃貸している場合は、事業として使用している部分しか認められないため注意が必要です。水道光熱費事務所や店舗の水道光熱費も経費として計上できます。ただし、自宅で開業している場合については、私用と明確に区別する必要性が出てくるため注意が必要です。かかった費用全額を経費として計上すると、一部を税務署から否定される可能性があります。保険料事業のために支出した保険料は、経費として計上できます。例えば次のようなケースが考えられます。不動産投資をしていて、保有しているアパートに火災保険をかけて保険料を支払っている場合自営業で外回り営業をする際に使用している車両にかかる保険料を支払っているこれらの保険料は、個人事業主の経費として計上することが可能です。特に火災保険料については、経費として計上することを忘れている大家さんが多い傾向があります。火災保険に加入しておけば、経費として節税効果があるだけでなく、火災や台風などで建物が損傷した場合にも保険金が支払われるので思わぬ出費を回避することが可能です。また、古いアパートを保有している方は自然災害以外に給排水管の老朽化などで水漏れを起こすことがあり、賃借人から賠償請求されることも少なくありません。賃貸業をしている方で火災保険にまだ加入していないという方は、ぜひこれを機会に加入を検討することをおすすめします。消耗品費ボールペンやホッチキスなどの事務用品も、事業に使用するものについては経費として計上することができます。ただし、高額なものについては次の減価償却費で計上します。減価償却費購入価格が10万円以上のものや、使用期間が1年以上になるものについては、消耗品ではなく減価償却費として経費にできます。ただし、減価償却費の場合は一括で全額を経費化するわけではなく、耐用年数に応じて分割して経費化していくことになるため注意が必要です。パソコンはどっち?事業でパソコンを購入した場合、普通に考えれば消耗品ではないので固定資産として減価償却費で計上することになります。ただし、中古パソコンで8万円で購入したとすると、10万円未満なので消耗品として一度に経費にすることが可能です。青色申告をすると特例がある個人事業主で青色申告していると、30万円未満のものについては減価償却で少しずつ経費にするのではなく一度に償却することも可能になります。この特例を少額減価償却資産の特例といい、合計300万円を上限として一括で経費にできるのです。なお、通常通り耐用年数に従って減価償却費として経費にしていくこともできます。個人事業主が経費を使って節税する方法と注意点個人事業主も法人の場合と同様に、経費を漏れなく計上することで利益を圧縮して節税につなげることが可能です。ただし、個人事業主の場合は冒頭でお話した通り経費として計上できる範囲が狭いので、あまりやりすぎると税務調査の対象となる可能性があるため注意しなければなりません。私用との区別が大切個人事業主の方が節税対策をすると陥りがちなのが、個人用の支出との混同です。これは自宅で開業している方によくある傾向で、次のような事業を自宅で営んでいる方は注意が必要です。ネット通販youtuberライターイラストレーター動画編集これらの事業を自宅で営んでいる場合、次の経費について計上する際に事業用との明確な仕分けが必要になります。水道光熱費事業として使用している時間帯をある程度特定して、個人が通常の生活で使用している部分との割合を按分計算などして算出しましょう。家賃個人事業として使用している住居内の床面積の割合に応じて家賃を按分計算します。また、居住用で借りている場合は消費税非課税ですが、事務所として借りている場合は家賃に消費税が課税されますので、按分計算する際には注意が必要です。明確に区別することが難しい場合は、一度税理士に相談することをおすすめします。自動車の保険関係事業として使用している割合を、使用している時間などから割り出して按分計算します。自動車関係については、保険料以外にも税金や駐車場代、高速道路代などさまざまな関係費があり、本当はただの自家用車なのに個人事業主の経費として計上している人もいるようですが、これは大変危険な行為です。自動車関係の支出については、車両を使用した記録をつけるなどして事業用であることを証明できるようにしておきましょう。また、車種についても税務署から指摘を受けることがあります。以前に私が相談を受けた案件で、飲食店の営業車でベンツを使用しているというケースがりました。ベンツなどの高級車を事業用で経費にする場合は、税務署から指摘を受ける可能性が高いです。対して、軽自動車や軽トラックなどは比較的認められやすい傾向があります。電話料金通話明細を取り寄せて1件ずつ個人の電話か事業の電話かを仕分けします。ただ、最近は通話料が定額の料金プランが多いので、使用頻度などに応じて按分して分けることもあります。詳しくは税理士に確認してから経費にした方がよいでしょう。個人事業主の経費以外の節税方法個人事業主が経費計上以外で節税対策を考える場合、絶対に外せないのが青色申告です。青色申告とは確定申告の方法の1つで、複式簿記による帳簿をつけることで10万円、55万円、65万円のうちいずれかの控除が受けられます。(2020年度分より)青色申告承認申請書を税務署に提出することで、まず10万円の控除が使えることになります。そこから複式簿記による帳簿を備えることで控除額が55万円にまでアップし、さらに次のいずれかに該当すればさらに10万円プラスして65万円の控除が受けられます。[adsense_middle]青色申告のメリット①電子申告できる確定申告はe-Taxによって電子申告できる確定申告は直接税務署に行って提出する方法以外にも、インターネットを通じて電子申告することも可能です。マイナンバーカードとそこから情報を読み取るICカードリーダライタがあれば、自宅のパソコンから24時間いつでも確定申告ができるので、忙しい個人事業主の方には特におすすめです。電子帳簿を保存する紙ベースの帳簿ではなく、パソコンにデータ保存できる帳簿で保存します。対象となる帳簿は、仕訳帳と総勘定元帳です。それ以外のものや領収書などは、電子データとして保存していなくても今のところは大丈夫のようです。青色申告のメリット②専従者給与家族の給料が経費になる個人事業主の方が青色申告をするもう1つのメリット、それは専従者給与です。(※白色申告でも専従者給与が使えますが、控除額が異なります)そもそも、配偶者に給料を支払ったとしても経費として売上から差し引くことはできません。ところが、青色申告をしていてかつ次の要件を満たしている場合については、配偶者や親族などに支払った給料についても経費として一定額を売上から差し引くことができるのです。専従者に対して給与が支払われている青色申告している個人事業主と生計を共にしている配偶者かその他の親族である12月31日時点で相手が15歳未満ではないその年に6ヶ月以上、青色申告をしている当該個人事業主の営む会社で仕事をしている「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出している届出書の通りに給与が支払われていて、金額も届出書の範囲内である一般常識を考慮して妥当である給与額である経費として認められる金額専従者給与が適用されるとしても、上限なくいくらでも認められるわけではありません。あくまで家族に対して支払う給与になるので、要件にもある通り一般常識を考慮した妥当な範囲に限られます。具体的には月額10万円が1つの目安です。10万円を超えてくると一概にダメというわけではありませんが、どのような業務を行っているのか、税務署から聞き取りされる可能性が出てきます。源泉徴収に注意専従者給与をも源泉徴収の対象となることを忘れてはいけません。月額8万8,000円以上の金額を支払うと、源泉徴収の対象となり所得税がかかってしまうのです。そのため8万8,000円以上の金額を支払う場合は、事前にシミュレーションしてどちらの方が手元に残る金額が多くなるのか確認しましょう。配偶者控除と扶養控除専従者給与を使う際に気をつけなければならないのが、配偶者控除・扶養控除の関係です。配偶者控除や扶養控除を適用している方の場合、専従者給与を支払ってしまうとそれらの適用から除外されてしまいます。例えば配偶者控除から外れてしまうと、年間38万円の配偶者控除が受けられなくなってしまうのです。よって、配偶者に専従者給与を支払う場合は38万円を超えないと損をすることになります。仮に年間で25万円を配偶者に支払ったとすると、差し引き11万円になってしまうので専従者給与よりも配偶者控除のままの方が、節税効果が高くなります。実際、税務署で専従者給与の相談をすると、この件について教えてくれることもあるくらいです。このように選択を間違えると節税対策どころか、かえって税負担が増えてしまうので専従者給与を活用する際には必ず事前にシミュレーションすることをおすすめします。個人事業主の税金対策に関するまとめ今回は個人事業主の節税について解説してきました。経費を使って利益を圧縮する方法は法人と同じですが、個人事業主の場合は認められる範囲が狭いのであまり経費にばかり頼りすぎると、無駄な出費が増えてしまい赤字になってしまう恐れがあります。できれば青色申告などの所得控除を漏れなく活用することで、総合的に所得を減らした方がより高い節税効果が得られるでしょう。
2020年03月23日いよいよ今年も確定申告が始まりました。自営業などで毎年確定申告を行っている方は一連の流れと、どのようなものが確定申告の対象になっているかご存知の方も多いでしょう。しかし、遺族年金を受給している方が、確定申告が必要か否かは、普段から確定申告をしていてもなかなかわからないでしょう。そもそも年金制度自体、確定申告が必要なのかというところも分かりづらいですよね。では実際どうなのかというと、確定申告が必要な場合も、不必要な場合もあります。本記事では、この遺族年金の確定申告について、必要な場合・不必要な場合に分けて詳しく解説していきます。どうぞ皆様のお役に立ちますように。遺族年金は非課税であるまず初めに大前提として「遺族年金は金額に関わらず全額非課税である」という事は覚えておいてください。これは、遺族年金の内、自営業者など国民年金加入者だった方のご遺族が受け取る「遺族基礎年金」の場合でも、会社員などの給与所得者が加入している厚生年金の場合に受け取る「遺族厚生年金」の場合でも、とにかく遺族年金は全て非課税です。遺族年金は非課税=所得税や住民税、相続税などあらゆる税の対象とならないということ年金と税金の関係遺族年金が非課税であることは必ず覚えていただきたいポイントです。この後解説しますが、障害年金も遺族年金と同様に非課税です。年金制度には3つの年金があります。今回のテーマである【遺族年金】と【老齢年金】【障害年金】があります。基本的に日本の年金制度は【一人一年金】を掲げており、何かしらの年金を受給していたら他の年金と併給できないことになっています(同時に発生した別の年金は、どちらか選んで受給することになります)。中には特例として併給可能な年金もありますが、基本的には【一人一年金】であることも覚えておくと良いですね。課税される年金3つの年金のうち、課税されることがある年金は「老齢年金」です。老齢年金は一定額以上であれば課税対象となります。「老齢年金」つまり老後資金としての年金はどなたでも貰う権利があります(未納などが無ければ)。なぜなら、誰だって歳を取るからです。しかし「遺族年金」「障害年金」に関しては、必ずしも全員が一生涯の内にもらうわけではありません。該当せずに一生を終える方もいらっしゃいます。付け加えて、遺族年金に関しては大人だけが対象となるわけではありません。わかりやすい例では、遺族基礎年金の場合は「18歳未満の子」も受給対象であることから、大切な家族を亡くした後の貴重な生活費として受給している遺族年金に対して、未成年の子に課税するのはあまりにも酷ですよね。イメージとしてわかりやすくするために、このようなことを頭の片隅に置いていただくと良いかと思います。非課税の年金金額によらず一律非課税となる年金は以下の通りです。遺族年金や遺族保障関係と障害年金は全て非課税と覚えていただくと良いですね。所得税・住民税等全て非課税遺族基礎年金遺族厚生年金寡婦年金、死亡一時金障害年金(基礎・厚生いずれも)勤務先団体による遺族保障としての遺族年金(この場合は所得税のみ非課税となる)所得税や住民税以外に相続税・復興特別所得税などがありますが、いずれも遺族年金には課税されません。他に収入があれば確定申告を遺族年金は非課税です。つまり所得とはみなされませんから、遺族年金以外に収入がない場合は確定申告をする必要がありません。では、遺族年金をもらっている人は、どのような場合に確定申告が必要となるかというと、年金以外の給与所得や事業所得がある場合や、遺族年金以外の年金を受け取っている場合などがあります。この場合でも、遺族年金は金額に寄らず非課税ですので、それ以外の収入について確定申告をすることになります。補足・年金受給中は源泉徴収票もらえる?ここまでに繰り返している通り、遺族年金と障害年金は所得とみなされず非課税ですから、当然源泉徴収票は発行されません。しかし、老齢や退職にともなう年金の受給がある場合は源泉徴収票が発行されます。源泉徴収票は確定申告の際の必要書類です。年金受給に関して源泉徴収票の発行があったという事は、確定申告が必要な場合かもしれないので注意が必要です。[adsense_middle]【ケース1】確定申告が必要な場合遺族年金受給者で確定申告が必要な場合とは、遺族年金以外に収入がある場合です。この場合の注意点として【遺族年金以外の収入のみを確定申告する】ということです。繰り返しになりますが、遺族年金は収入とはみなされませんから非課税です。収入とみなされないのですから、申告する必要がないということです。例えばご主人を亡くされた奥様が自営業だった場合、その事業に対する所得の申告のみをすればよいという事です。【ケース2】確定申告が不要な場合確定申告が不要な場合の代表例として【遺族年金や障害年金のみ受給していて他に収入が無い場合】です。何度も繰り返しますが【遺族年金・障害年金は非課税】だからです。課税する収入がこの非課税の年金しかない場合は、確定申告のしようがないということになります。これから紹介する2つのケースでも、確定申告が不要となります。これらはどなたも一律で当てはまる条件ではないので、年金に関するご不明点は日本年金機構のホームページでご自身でお調べになるか、お住まいの地域の年金事務所に尋ねてみるとよいでしょう。①老齢年金のみ受給の場合また、これまで解説したように老齢年金では金額によって課税される場合もありますが、老齢年金のみが収入の方で(年金以外に収入がない場合)一定の金額に満たない場合は確定申告は不要となります。金額の目安は以下の通りです。65歳未満の場合…年額108万円未満の場合65歳以上の場合…年額158万円未満の場合②確定申告不要制度を利用する場合老齢年金をもらっている人で、確定申告の手間を省くために特例として「確定申告不要制度」というものがあります。以下の条件をどちらも満たす場合は、この制度を利用できます。受け取っている老齢年金の全額が源泉徴収の対象で、その合計が400万円以下であること公的年金以外の所得が20万円以下であること非課税でも更に節税できる場合って?遺族年金は非課税ですから、遺族年金しか収入がない場合は「所得がない」とみなされます。つまり、通常の確定申告などで発生する各種所得控除が一切関係ないことになります。そもそもの所得がないことになっているので、控除(差し引く)の意味がありません。所得控除の主なものとして「基礎控除」「医療費控除」「生命保険料控除」「寡婦(寡夫)控除」「扶養控除」「配偶者控除」などがあります。しかし、遺族年金を受け取っている人でも角度を変えれば「節税ポイント」が見えてきます。ここでは代表的な2つの例をご紹介します。医療費控除と住民税等のポイントご本人が遺族年金を受け取っている方で、生計を同じにしているご家族がいらっしゃる場合、同一世帯ということで医療費控除をまとめて受けることが出来ます。おひとり分より、二人分または複数名のご家族分まとめた方がメリットは高くなりますよね。例えば、ご主人を亡くされたお母さまと、会社員の息子様の同居世帯の場合、お母さまが遺族年金以外に所得が無ければ息子様の扶養親族になることで医療費控除の面でもメリットがありますし、扶養親族になることによって息子様の所得税及び住民税の控除が発生します。つまり節税になるという事です。必ずしも同居である必要はありませんが、別居の場合は少し控除額が下がります。扶養親族の控除額子や孫の扶養親族となる場合の控除額は以下の通りです。70歳未満の同居の親族の扶養となる場合、所得税38万円・住民税28万円の控除が発生します。70歳以上で同居の親族の扶養となる場合、所得税58万円・住民税45万円の控除が発生します。別居の場合は所得税48万円・住民税38万円の控除となります。社会保険でなければ意味がない扶養親族になることで、もう一つメリットがあります。今度はお母さまに対してのメリットです。この場合の例でいくと、息子様の健康保険に加入することで健康保険料を負担しなくてよくなります。ただし健康保険に関する注意点として【社会保険加入でなければ意味がない】ということです。自営業者やフリーランスなどの国民健康保険加入者の扶養に入ったとしても、ご本人はご本人で保険料を負担する必要がありますので、あまり意味がありません。遺族年金を受け取っている人の負担を減らすには、可能であれば扶養親族になって健康保険料を削減。遺族年金と確定申告に関するまとめ遺族年金と障害年金は収入とみなされず非課税であるということは、本記事を読んで一番印象に残ったのではないでしょうか。【収入とみなされない=所得ではない=確定申告不要】とイメージで覚えると良いかもしれません。関連する情報として、老齢年金は一定額以上では確定申告が必要であることも知っておくと役に立ちますね。医療費控除や扶養控除など【控除を活用した節約ポイント】は裏技的ではありますが、決して裏技ではなく、知っておくとおかないでは差が出る豆知識です。もし該当するようであれば、是非この控除を活用しましょう。年金にしても税にしても、なかなかわかりにくいことばかりですよね。しかし、実際に一度手続きをしてみると「意外と簡単!」と思うこともしばしば。あまり苦手意識を持たず、該当する場面においては本記事のようなインターネット上の情報も参考にしながら進めてみてはいかがでしょうか。
2020年03月03日年が明けて2019年分(平成31年1月1日~令和元年12月31日)までの還付申告の受付が始まり、書類を整理している方もいらっしゃると思います。その中で医療費控除の対象となるかどうか分かりにくい項目もあります。その中で妊娠・出産に関わる項目を中心にお伝えします。 医療費控除とは医療費控除とは、所得税・住民税(市区町村民税・都道府県民税)に適用され、自身や家族のために医療費を支払った場合に対象となる所得控除です。手続きは原則として医療費が10万円を超えた場合、住所を管轄している税務署に確定申告書を提出し、その後所得税・住民税が減額または還付されます。医療費控除の対象となる医療費には該当するもの、該当しないものがあります。次の項目で妊娠・出産に関して該当するもの、該当しないものの概要をお伝えします。 妊娠・出産について医療費控除に該当する主なもの医療費控除に該当する「医療費」の範囲は医療機関に支払わないものでも、病院までの公共交通機関の交通費のように該当するものがあります。妊娠・出産時に主に医療費控除に該当する費用等は以下のとおりです。①妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用②妊娠と診断されてからの通院費用③通院・入退院時に電車、バスなどの通常の交通手段での通院・入退院が困難な場合、タクシーを利用した場合、そのタクシー代④病院に対して支払う入院中の食事代⑤助産師による分娩の介助費用⑥病院都合による差額ベッド利用料、個室利用料⑦不妊治療の費用 なお、平成29年分の確定申告から、医療費控除に関する領収証は提出が不要となり、「医療費控除の明細書」を添付する代わり領収証は申告者が保管することとなりました。 妊娠・出産について医療費控除に該当しない主なもの医療費控除に該当しない「医療費」の範囲は医療機関に支払うものでも、診断書の費用や予防接種費用のように該当しないものがあります。妊娠・出産時に主に医療費控除に該当しない費用等は以下のとおりです。①里帰り出産するために実家に帰省する交通費②通院・入院時の自家用車のガソリン代、駐車場代③入院の際の寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用④病院食以外の外食、出前、売店などで購入した食事費用⑤無痛分娩講座の受講費用⑥予防接種の費用⑦自己都合で希望する場合の差額ベッド利用料、個室利用料⑧診断書の作成費用 該当しないものの考え方としては、治療・療養・分娩に直接関わらない費用です。予防や美容に関する費用、テレビ料金や文書料金などの医師や看護師等の治療行為に該当しない費用は原則医療費控除の対象外と考えてください。不明な点は最寄りの税務署への確認または国税庁ホームページをご参考になさってください。 出産時には普段よりも医療費がかかるケースが一般的で、家計への負担も少ない場合があります。そのためにも医療費に関する領収証をまとめ、お早めに還付申告をしてその負担を軽減できるようになさってください。また、出産直後で手続きが難しい場合でも確定申告期間にかかわらず5年間は申告できますので、余裕のあるタイミングで還付申告をすることをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年02月03日配偶者を亡くした方が受け取ることが出来るのが「遺族年金」ですが、この遺族年金は死別後の生活費としていただくものです。同じく老後の生活費として受け取る「老齢年金」や所定の障がい状態になった場合に受け取る「障害者年金」もあります。いずれも、なにかしらで困っている人が受け取る「生活費」としての側面がある年金ですが、これらの年金に対しては、果たして税金を払わなくてはいけないのでしょうか。今回は、特に遺族年金について税務関係を確認していきますが、わかりやすいようにその他の年金とも比較しながら解説していきます。税金のかかる年金とは?年金には3つの種類があります。一般的に「年金」と呼ばれるものは「老齢年金」です。定年退職後の老後資金として受け取るものです。他に「障害者年金」は、所定の障がい状態になった場合に受け取ることが出来ます。最後に「遺族年金」ですが、これは配偶者を亡くした方で、なおかつ一定の条件を満たした方が受け取ることのできる年金です。公的年金の税務の取り扱い公的年金等の内、老齢年金(基礎年金・厚生年金いずれも)は雑所得として課税対象になります。一方、遺族年金と障害者年金に関しては、受給する金額に関係なく非課税となります。年金は貴重な収入世帯主の逝去に伴い、その後はそれまでのような生活が出来なくなる方がほとんどです。たとえば住居が賃貸の方は、もう少し家賃の安い部屋に引っ越しを余儀なくされる場合もあるでしょう。団体信用生命保険に加入して住宅ローンを組んでいた場合でも、負債は保険により相殺され住宅が残ったとしても、たとえばそこが地域の中でも一等地だった場合などは固定資産税の支払いが生活を圧迫する場合もあります。このようなことから、遺族年金を受給している方にとって、この年金は非常に貴重な収入となっていることは間違いありません。ここからは、少しでも生活の負担を軽減することが出来るポイントをご紹介していきます。確定申告で受けられる控除遺族年金を受給しているということは、確定申告や年末調整の際に「寡婦控除」「寡夫控除」「特別寡婦控除」のいずれかを受けられる場合があります。自ら申告しなければ誰も指摘してくれませんので、案外これらの控除を忘れている方もいらっしゃいます。控除を受けることができる権利があるのに手続きを失念すると、せっかくの権利が無駄になってしまいます。ここから詳細を解説していきますので、該当する方は是非覚えておかれると良いでしょう。寡婦(寡夫)控除は27万円、特別寡婦控除は35万円の所得控除となります。所得控除とは、一定の要件に当てはまる場合、所得合計から一定の控除額を差し引くことを指します。この所得控除には上記にて紹介した寡婦控除等を含めて細かく15種類もあります。これらは、該当する場合には全てご自身で申告しなければ控除を受けられませんので、節税のためにも必ずチェックしましょう。よく知られているものでは「医療費控除」「生命保険料控除」「寄附金控除(ふるさと納税も含む)」がありますが、詳細は国税庁ホームページ等でご確認ください。①寡婦控除寡婦控除には2つの要件があり、この内いずれかに該当すれば控除適用となります。寡婦控除・条件1「夫と死別、もしくは夫と離婚後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族(子以外)がいる人、または生計を一にする子があること」。つまりこの場合は、配偶者と死別した人だけではなく、離婚して子供のいるシングルマザーでも寡婦控除の対象となるということです。寡婦控除・条件2「夫と死別した後婚姻していない人、または夫の生死が明らかでない人で、合計所得金額が500万円以下であること」。この場合は条件1とちがい、子供の有無は関係ない代わりに所得の制限があります。寡婦(寡夫)控除の概念における「死別」「離婚」とは、法律上の婚姻関係にあった者との死別や離婚を指します。未入籍であったり、事実婚や内縁関係のままであったりは、これらの寡婦控除を受けることは出来ません。しかし近年、家族スタイルの多様化から未入籍でシングルマザーになる方も増えてきた背景があり、今後の法改正のポイントとなっています。②寡夫控除二つ目は「寡夫控除」です。この概要は、ほとんど寡婦控除の条件と類似していますが「妻と死別または離婚後に再婚していないこと」「生計を一にする子があること」「合計所得が500万円以下であること」の3つを全て満たす必要があります。死別だけでなく、お子さんを連れて離婚したシングルファーザーの方でも、合計所得500万円以下であれば寡夫控除を受けることが出来るということです。逆に、妻と死別をしてもお子さんがいらっしゃらなければ寡夫控除の適用外ということになります。③特別寡婦控除特別寡婦控除とは、以下の要件全てに該当する場合に受けることが出来ます。通常の寡婦控除の要件をさらに厳しくしたものというイメージで良いでしょう。特別寡婦控除は「妻」のみに限られ、夫の場合は特別な寡夫控除制度はありません。夫と死別した、または離婚した、または夫の生死が不明生計を一にする子がいる合計所得が500万円以下市民税・住民税が軽減される寡婦(寡夫)控除や特別寡婦控除を適用すると何がメリットかというと、その控除額が所得から差し引かれることにより、市民税や住民税の算出根拠となる所得自体を少なくすることが出来ます。補足・シングルマザーの場合これまでの解説の通り、未婚のシングルマザーの方は現状では寡婦控除を受けることが出来ません。あくまでも婚姻歴のあるシングルマザーの方が対象です。しかし、未婚のシングルマザーの方は2021年から個人住民税が非課税になるという制度が新たに開始されることになりました。政府としても家族の多様化をサポートする姿勢が見られます。計算上節税になるポイントここからは、計算上「節税」ということになるポイントを解説します。主に、税制上や健康保険についてまとめていますが、いずれも知られていない場合が多く、せっかく制度として設けられているものばかりなので、是非こちらでご確認ください。[adsense_middle]健康保険のポイント例えば、既に成人したお子様の世帯に入れてもらっている方であれば、健康保険のポイントとして「生計を一にしている方の扶養に入る」ことができます。ただしこれは、お子さんが国民健康保険以外に加入していることが前提です。給与所得者で健康保険組合などに加入している場合であれば、被扶養者として健康保険に加入することが出来ます。お子さんが国民健康保険に加入している場合は、被扶養者となったとしても、通常通りおひとり分の保険料を払わなくてはいけないので、おひとりで加入しても扶養親族となってもあまり意味がないと言えます。さらに、75歳以上になると加入している健康保険に関わらず、皆さんが「後期高齢者医療制度」に加入することになりますので、健康保険上の扶養親族になれるのは実質75歳までということになります。健康保険の被扶養者になるには、以下の2つの収入の制限があります。「遺族年金も含めた年間収入が130万円未満、60歳以上の場合は180万円未満であること」「被保険者(世帯主)の収入の1/2以下であること」扶養控除の場合は年収制限がありませんが、健康保険における被扶養者に関しては年収制限がありますのでご注意ください。扶養にすると世帯の節税になる上記の様に、遺族年金を受給している家族を扶養親族として迎える場合、その受け入れる側の世帯にとってもメリットがあります。扶養親族が増えるという事は「扶養控除」が発生します。扶養控除は所得控除ですので、結果として住民税と所得税の節税となります。扶養控除額扶養控除は年齢によって控除額が違います。23歳以上70歳未満の親族…38万円70歳以上の親族(老人扶養親族)…48万円(ただし同居の場合は58万円)年末調整での証明について給与所得者の場合、確定申告ではなく年末調整にて税務手続きが完了します。上記のような「遺族年金を受給している同居親族を扶養親族にする場合」は年末調整の書類にて、扶養控除や老人扶養控除を申告することで手続きは終わります。ただし、遠方に住んでいて仕送りをしている等で「別居だが生計を一にしている状態」である場合、勤務先によっては仕送りした通帳の履歴などの確認が求められる場合もあります。ここでの別居とは、親が老人ホームなどの施設に入居していて、施設での入居費用や身の回りの世話をしている場合も含まれます。義父母の場合どうなるか?遺族年金を受給している義父母がいる場合も、実の父母同様に扶養親族とすることができます。しかし、ひとつだけ違う点があります。それは「同居していること」が前提です。いくらこちらから仕送り等をきちんと行っていて、事実上生計を一にしている形になっていても、別居の義父母であれば扶養親族にはあたらない、ということになっています。非課税の年金&遺族年金の税務と節税に関するまとめいかがでしたか。遺族年金を受給している世帯にとって、年金額の多寡に関わらず非常にありがたいお金です。亡くなられた方がきちんと年金保険料を納めていたからこそ、ご遺族が2カ月に1度まとまった金額を受け取ることが出来るものです。亡くなられた方からの「天国からの生活費の仕送り」だと思えば、少しでも工夫をして大切に遣いたいと思うのではないでしょうか。今回ご紹介した節税のポイントについても、これは決して裏技や法の抜け道ではありません。正当に公になっているものばかりですので、どうぞ正々堂々と大いにご活用ください。また、一般的な税務に関してはFPでもご紹介・ご案内が可能ですが、税務の詳細、具体的な算出根拠やその理由について等、具体的な個別相談に関しては税理士までご相談ください。
2020年02月02日今回は住民税の金額を安くする為の控除について解説していきます。一般的に節税という言葉は法人が関係しますが、個人でも節税は可能です。ケースによりますが、所得税よりも住民税が高くなる事もありますので、可能であれば対策しておきたい所ですね。では条件や控除の内訳など詳しく解説していきましょう。住民税額算出の仕組みは?はじめに住民税の金額がどの様にして決まっていくのかを解説していきます。この流れの中で今回のテーマが該当してきますので、流れそのものを憶えておいて下さい。前年度の所得から計算される住民税は前年度の所得に応じて計算される「所得割部分」と、所得関係なく一律で課税される「均等割部分」の2つに分けられます。この2つを合わせて住民税と言いますが、今回の控除が関係してくる部分は「所得割部分」です。この所得割部分は課税所得を算出して初めて課税される事になりますので、一番初めに行う事は様々な控除を行う所からスタートします。流れを図解したものが下図になります。流れを箇条書きにするとこんな感じです。給与(売上)の総支給額が確定する所得控除を行い課税所得が判明する所得割部分の税率をかける税額控除があれば差し引く最終的な住民税額が決定する。翌年の6月より支払いが始める重要な項目は②と④今回の控除をテーマにした場合、重要な項目は先程の箇条書き項目の②と④になります。何故なら控除に関しては使える控除項目や使えない(適用されない)項目もありますので、この部分で差が出てきます。また、これまで使ってこなかった項目もあるかもしれません。今回の記事では控除について項目の詳細まで解説していきますので、未使用の項目等あれば是非利用しておきましょう。控除の種類と内容、利用の方法について解説しますここから早速控除の種類、内容に関して解説していきます。流れの中で②に当たる部分から解説していきます。[adsense_middle]誰でも使える控除対象一覧こちらの一覧表をご覧ください。この控除の段階ではサラリーマンや公務員など特別徴収に該当する方は給与所得控除を使い、普通徴収に該当する方は経費を参入し事業所得を計算する流れとなります。尚、来年より給与所得控除の枠が縮小しますので、お気をつけ下さい。この図は住民税控除に関する一覧になります。所得税を計算する際にも同じ控除を使用しますが、控除の金額が異なりますので、参考までに憶えておいて頂ければと思います。また所得税計算と住民税計算において控除額が変わらないものもありますので、合わせて憶えておきましょう。では控除額が変わらないものから一つずつ解説していきますね。所得税・住民税共に控除額が同じ社会保険料控除これは給与明細にも記載があると思いますが、健康保険や介護保険、雇用保険、厚生年金をひっくるめて社会保険と言います。この部分に支払った金額を控除できる部分が社会保険料控除となります。また個人事業主の方が支払った国保の金額も算入する事ができます。支払った金額全額が控除の対象となります。医療費控除住民税計算をされる対象の年に治療などでお金が掛かった場合控除できるものです。最高で200万円が限度となります。また治療費だけでなく、通院に使った交通費、入院した場合の食費も含まれます。但し、個室などに入った際の部屋代(差額ベッド代)は対象外になりますので注意しておきましょう。また平成29年1月よりセルフメディケーション税制がスタートしました。簡潔に言うと、病院にかからず薬局などで購入した医薬品(該当するものとしないものがあります)の金額を控除するというものです。この医療費控除は確定申告を行わなければなりませんので、大きな病気をした際や入院を伴った際は利用しておきましょう。雑損控除あまり利用される事はないかもしれませんが、この控除は震災、風災、火災等災害にあった場合、盗難や横領など被害にあった場合に限り損害額の一部を控除できるといったものです。毎年利用する事はほぼないでしょう。しかし、もし万が一何かあった場合はこの控除を思い出して下さい。小規模企業共済等掛金控除個人事業主が利用できる退職金制度に支払った金額の全額を控除できるものです(上限有り)。個人事業主は国民年金で、年金等もサラリーマンと違って少なくなります。そこで、国の制度として小規模企業共済を作り積立を広く受け入れる様にしました。またこの控除は最近ではiDeCoの拠出金額も対象になりましたので、事業所得メインの個人事業主だけでなく、給与所得者であるサラリーマンも利用する事は可能になりました。次に控除額が所得税と変わるものを解説していきます。所得税・住民税共に控除額が異なる基礎控除これは所得のある方であれば誰でも受けられる控除になります。所得税では38万円、住民税では33万円となっており、主にパート、アルバイトの100万円の壁、103万円の壁などに使われる控除です。配偶者控除・配偶者特別控除これはご結婚されている方のみ使う事が出来る控除です。配偶者の方の所得が103万円以下であれば配偶者控除、38万円以上・123万円以下の場合であれば配偶者特別控除を使う事ができ、控除額も基礎控除と同じ額になります。また、両方同時に使う事はできませんので、どちらかのみ使う事ができます。適用条件の中に納税者本人の所得が1,000万円以下等の諸条件がありますので、高額な所得の方は注意が必要です。扶養控除配偶者以外であり、かつ16歳以上の扶養親族がいる場合に適用できる控除の事です。同居している事が要件ではありますが、お子様が県外へ進学で離れていても適用できる事もあります。また控除の金額も年齢によって異なり、16歳以上から19歳以下の扶養親族の場合は38万円、19歳以上23歳未満は63万円(これを特定扶養親族といいます)、70歳以上のお年寄りで同居の場合は58万円、同居以外は48万円となっております。勤労学生控除先程の扶養控除とは異なり、学生で(この場合小学校、中学校、高校、大学、高専、職業訓練校を言います)給与としての所得がある場合、こちらの控除額を適用する事になります。但し、年間の所得が65万以下である事が条件ですので、年収換算すると130万円以下であれば適用される事になります。所得と年収の違いここで、少し解説を挟みます。年収と所得がごちゃまぜになっている方もいるかもしれませんので、少し整理しておきます。年収は年間に稼いだ金額の総額を指します。例えば毎月の総支給が25万円であれば年収300万円です。この額に課税はされず、年収から控除(上記、以下で解説する控除です)を差し引いた残りが課税所得、いわゆる所得と言います。先程の勤労学生控除は年収130万円ですが、給与所得者であれば最低65万円の給与所得控除がありますので差引65万円の所得になる訳です。障害者控除生計が同一でご家族に障害者の方がいらっしゃる場合に控除できる枠の事です。障害の程度に応じて控除額が変わり、障害者では所得税27万円、住民税26万円(表中)特別障害者は所得税40万円、住民税30万円、同居特別障害者は所得税75万円、住民税53万円の控除額になります。寡婦・寡夫控除配偶者と死別や離別した場合、一定の所得があれば控除できる枠になります。このケースでは再婚していない事が条件の一つになります。生命保険料控除・地震保険料控除生命保険や、火災保険に付帯の地震保険をご加入の方を対象に控除枠を設けたものです。生命保険では新旧保険料の区分があります。主に年末調整で保険会社からのハガキを添付する事が多いのでお馴染みの控除になりますね。寄付金控除個人が社会福祉法人やNPO法人等に寄付を行った場合に控除される枠の事です。よく、ふるさと納税と混同される事もありますが、ふるさと納税は税額控除(課税額を算出する際に最後に行う控除の事)ですので、この所得控除の段階では行いません。控除を沢山利用するメリットや意味はあるのか?これまで控除枠に関して解説してきました。これだけ多くの控除を使ってメリットはあるのか?というご質問を受け付けますが、答えとしてメリットはあります。理由は税金が安くなる事に尽きます。何故なら税の種類は異なりますが消費税に反対の方は多かったと思います。何故でしょう?支払いが増えるし、家計を圧迫しかねないからですよね。同じ理屈で、誰もが税金に前向きでないのが現状ではないでしょうか。少ない控除枠かもしれませんが、使える制度である以上、使っておく事の方が賢い選択だと思います。住民税控除に関するまとめ今回は住民税の控除に関して解説してきました。控除は多くあり、使える方、使えない方と様々です。使える控除は大いに使って節税できればと思います。
2020年01月13日パートで仕事をするとき、労働時間が増えると、夫の扶養に入れなくなったり社会保険の加入義務が生じたりします。今回は、パートの労働時間について説明します。働きたいけれど仕事をする時間をあまり増やしたくないという人は、損しないために何に注意したらよいのかを知っておきましょう。パート勤務とは?パートとはそもそもどのような働き方なのかを知っておきましょう。短時間勤務で働く人パートとはパートタイム労働者の略称で、短時間勤務の人を意味します。パートタイマーと呼ばれることもあります。会社で定められている勤務時間のうち一部の時間だけ働く働き方で、非正規雇用の1つです。フルタイムとは?正社員は1日7~8時間の就労時間が定められており、これをフルタイムと呼びます。パートの就労時間はフルタイムより短いのが普通ですが、正社員と同じフルタイムパートもあります。アルバイトとの違い正社員以外の働き方にはアルバイトもありますが、パートとの明確な区別はありません。採用する側が区別している?アルバイトとして募集するときには学生やフリーターをターゲットにしており、パートとして募集するときには主婦を想定していることが多くなっています。採用する企業側がどんな人材に来てほしいかを考えて言葉を使い分けているとも言えるでしょう。パートタイム労働法とは?パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、通常よりも労働時間が短く定められている労働者を「短時間労働者」として保護の対象にしています。たとえば、パートであることを理由に正社員よりも低い待遇にすることは、パートタイム労働法で禁止されています。フルタイムパートに適用される法律は?フルタイムパートには、パートタイム労働法は適用されません。しかし、厚生労働省は、フルタイムパートの労働者に対してもパートタイム労働法の趣旨をふまえた雇用管理を行うことが望まれるという指針を出しています。派遣は雇い主が違う非正規雇用の1つに、派遣があります。派遣とは、派遣会社に雇われ、派遣先で働くという形態です。実際に働く会社に直接雇用されるパートやアルバイトとは全く違う独特の形態になります。派遣に適用される法律は?派遣で働くときには、労働者派遣法が適用されます。また、派遣にはフルタイムもありますが、短い時間の場合にはパートタイム労働法が適用されることもあります。パートで働くメリットは?働く時間が少なくてすむので、家事や子育てと両立しやすいのがメリットです。長期間働くことを前提としていないケースも多いので、求人もたくさんあり、採用もされやすくなっています。「すぐに働いてお金を稼ぎたい!」という場合にはパートが手っ取り早いと言えます。労働日数の調整もしやすく、実際に働いてみて合うかどうか確かめてから、働く日数を増やしたり減らしたりできることもあります。パートで働く場合、収入によっては税金がかからないこともあります。社会保険に加入しなくてもよいケースもあるので、働いた分を丸々もらえることもあります。パートの労働時間に最低条件や上限はある?パートは勤務時間が短い従業員ですが、どのくらいの時間働くことになるのでしょうか?就労時間の規制について見てみましょう。労働時間は労働基準法で規制されている賃金や就労時間など、雇われて働く人の労働条件について定めた法律が労働基準法です。正社員、契約社員、アルバイト、パート、派遣などの雇用形態にかかわらず、雇われて働く人には労働基準法が適用されます。法律で定められている1日の労働時間はどれくらい?労働基準法で定められている労働時間の上限は、次のようになっています。パートであっても、上記の時間が上限になります。なお、働く時間の下限については特に規定はありません。所定労働時間を超えると残業手当が支払われる職場によっては、パートでも残業を頼まれることがあります。残業(時間外労働)をすれば、残業手当を払ってもらえます。時間外労働の賃金については、労働基準法により次のようなルールが定められており、原則としてこのルールに従った割増賃金が支払われることになります。1日8時間または週40時間を超えた場合には25%以上割増月60時間を超える時間外労働については50%以上割増午後10時から午前5時までの勤務は25%以上割増就労時間によって保育所に預けられないことも労働基準法上は労働時間の下限はありません。ただし、仕事をするときに子供を保育所に預けなければならない人は、就労時間の下限にも注意しておく必要があります。保育所を利用するための就労時間の下限については、月48~64時間の範囲で自治体が定めることになっています。就労時間が少なすぎると保育所を利用できないことがあるので、あらかじめ調べておきましょう。パートの労働時間は就業規則でも確認法律上の規制のほか、会社の就業規則でも就労時間のルールが設けられていることがあります。[adsense_middle]就業規則とは就業規則は、その会社の従業員が守らなければならないルールです。常時10人以上の従業員がいる事業所では、必ず就業規則を作成しなければなりません。就業規則がある会社では、労働時間や賃金などの労働条件は、就業規則に記載されています。なお、法律に違反する就業規則は作れないので、就業規則で労働基準法を超える就労時間を定めることはできません。就業規則は別になっていることも会社は、一般の従業員の就業規則とは別に、パート専用の就業規則を作成してもかまいません。労働基準法上は正社員もパートも労働時間の上限は同じですが、就業規則を見ると働く時間が違うケースはあります。会社は従業員に就業規則を周知させなければなりません。会社に就業規則があれば、労働時間などの労働条件を確認しておきましょう。扶養内で働きたいなら労働時間はどれくらい?扶養には税法上の扶養と社会保険の扶養があります。それぞれどれくらい働けば損しないのかを見てみましょう。税法上の扶養とは?税法上は従来、年間収入103万円以下なら損しないと言われてきました。妻が働いても、年収103万円以下であれば、妻には所得税がかかりません。また、妻の年収が103万円以下であれば、夫は配偶者控除により38万円の控除を受けることもできるので、夫の税金も安くなります。103万円の壁から150万円の壁へ税制改正により、平成30年以降は妻の年収が150万円以下なら、夫は配偶者特別控除により38万円の控除を受けられるようになりました。そのため、現在では150万円が壁になるといわれています。労働時間で言うとどれくらい?税法上の扶養は、時間ではなく収入が基準になります。年収103万円の場合、月収は8万5,000円くらいです。たとえば、時給1,000円の場合には月85時間(週21時間)程度、時給1,200円の場合には月70時間(週17時間)程度までに抑えれば、税金面では損しません。住民税は100万円以上でかかる所得税がかからない年間収入の上限は103万円ですが、住民税は100万円以上でかかるのが一般的です。たとえば、年収101万円になると約7000円の住民税がかかります。社会保険の扶養とは?夫の社会保険の被扶養者になれば、自分で保険料を払う必要がありません。被扶養者になるためには年収が130万円未満でなければならないので、130万円の壁と呼ばれます。年収130万円未満でも扶養に入れないことがある主婦がパートで働くとき、次の条件を満たしていれば、自分で社会保険に加入しなければなりません。年収が130万円より少なくても、夫の扶養に入れないことがあることに注意しましょう。労働時間週20時間以上勤務期間1年以上の見込み賃金月8万8,000円以上従業員501人以上の企業に勤務なお、3の月額賃金8万8,000円は年間の賃金で言えば約106万円になるので、106万円の壁と呼ばれることがあります。就労時間を減らせば扶養に入れることも社会保険に加入しなければならない要件には、賃金の額や会社の規模の条件のほかに、労働時間の条件もあります。たとえば、月収が9万円であっても、時給1,500円なら1か月あたりの労働時間は60時間です。この場合、1週間あたり15時間程度になるので、他の条件を満たしていても、社会保険に入らなくてもすみます。年収106万円を超えている場合でも、時給によっては働く時間を調整することで、夫の扶養に入れることがあります。労働時間と税金・社会保険のシミュレーション以下、主婦が従業員が501人以上いる会社で1年以上時給1,000円のパートをすると仮定し、仕事をする時間が増えるに従って税金等がどう変わるのかを見てみます。[adsense_middle]ケース①労働時間・週10時間(月40時間)子供が小さい間はあまり仕事の時間を増やしたくないという人も多いと思います。1日2~3時間程度の仕事なら、子供が幼稚園に行っている間にもできます。たとえば、1日3時間で週3~4日程度なら、労働時間は週10時間、月40時間程度です。この場合には、月収4万円、年収48万円くらいなので、所得税・住民税はかかりません。社会保険に入る必要もないので、夫の扶養内で働けます。ケース②労働時間・週20時間(月80時間)子供が小学校くらいになったら、働ける時間を増やしたいという人も多いでしょう。たとえば、1日4時間で週5日程度なら、週20時間、月80時間程度になります。この場合、月収8万円、年収96万円となり、所得税・住民税は課税されません。労働時間は週20時間以上ですが、月収8.8万円未満なので、社会保険の加入義務も生じません。ケース③労働時間・週30時間(月120時間)週5日でも9時~17時はきついという場合には、1日6時間程度の勤務に抑えることがあると思います。1日6時間で週5日程度働けば、週30時間、月120時間くらいになります。この場合、月収12万円、年収144万円となるため、所得税・住民税が課税されます。所得税・住民税の概算は次のようになります。所得税:(144万円-103万円)×5%(税率)=2万500円住民税:(144万円-98万円)×10%(税率)+5,000円(均等割)=5万1,000円なお、このケースでは年収130万円以上となっているため、夫の被扶養者になれません。自分で社会保険に加入しなければならず、給料の13~14%程度の保険料を払う必要があります。社会保険料:144万円×13%=18万7,200円税金等を合計すると2万500+5万1,000円+18万7,200円=25万8,700円となり、手取り年収は118万1,300円です。社会保険に入れば手取りが大きく減ってしまいますが、将来の年金が増える、病気やケガで休んでも傷病手当金がもらえるなどのメリットもあります。手取りが減っても一概に損するとは言えませんが、どうせ負担が生じるなら、もう少し働く時間を増やしてもいいでしょう。ケース④労働時間・週40時間(月160時間)フルタイムパートの場合には、1日8時間で週5日、週40時間というケースが多くなります。この場合には、月160時間となり、月収16万円、年収192万円です。所得税・住民税、社会保険料は次のようになります。所得税:(192万円-103万円)×5%(税率)=4万4,500円住民税:(192万円-98万円)×10%(税率)+5,000円(均等割)=9万9,000円社会保険料:192万円×13%=24万9,600円この場合、所得税・住民税・社会保険料の合計は39万3,100円、手取り年収は152万6,900円となります。税金や社会保険料はたくさん払わなければなりませんが、その分年収も増えているので、働き損とは感じにくいかもしれません。ですが、パートにはボーナスが出ないこともあるので、フルタイムで働くなら正社員を目指した方が良いでしょう。パートの労働時間に関するまとめ主婦が夫の扶養内で働きたいという場合には、103万円や150万円という年間の収入を基準に考えます。社会保険も106万円、130万円という年収が基準になりますが、同じ収入でも労働時間によって加入の必要性の有無が変わってくることがあります。パートで働くときには、あらかじめ時給と労働時間から年収がいくらになるかを計算し、税金等について考慮しておきましょう。
2019年12月30日「扶養から外れないよう、年収130万円以上は働きたくない!」と気にする方は多くいます。扶養に入れる基準は「年収130万円」だけではありません。また130万円を超えると本当に損なのか。生涯受け取れる年金額と併せて確認しましょう。扶養になれる人の範囲社会保険で扶養される人(被扶養者)になれる範囲は次のとおりです。被扶養者…扶養される人。”会社員の夫と専業主婦の妻”であれば妻のこと。厚生年金:夫・妻のみ厚生年金で扶養できるのは「配偶者」、つまり夫か妻です。親や子などは、健康保険で扶養になる場合でも、公的年金には自分で加入して保険料を払う必要があります。健康保険:わりと広い健康保険では、厚生年金と比べて広い範囲の人を扶養することができます。生計維持関係があればOKの人直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母…)配偶者(事実婚も可)子(養子も可)孫兄弟姉妹生計維持関係とは、後に述べる「年収の基準」のことです。生計維持関係+同一世帯が条件の人そのほか3親等内の親族(叔父叔母、甥姪…)事実婚の配偶者の父母・子亡くなった事実婚の配偶者の、父母・子これらの人は、年収の条件をクリアすることに加えて「同一世帯」である必要があります。ここでいう「同一世帯」とは、被保険者と「家計も住居も」同じにしていることです。被保険者…社会保険に加入している本人。”会社員の夫と専業主婦の妻”であれば夫のこと。別居している場合や、同居していても家計が別の場合は、被扶養者になれません。扶養に入れる人の収入金額被扶養者になれる人の範囲は前述のとおりです。これらの人が被扶養者とされるには”生計維持関係”が認められなければいけません。簡単に言うと「被保険者に生計を支えてもらっています」ということです。その判断をする年収の基準に「130万円」が登場します。年収130万円未満であればOKではなく、次の2つの条件をいずれも満たす必要があります。①130万円or180万円の限度額あり年収が130万円以上あると、被扶養者になれません。60歳以上もしくは障害者の場合は、金額が180万円に緩和されています。②被保険者本人の年収とのバランス年収130万円未満であれば誰でも被扶養者になれるのでしょうか。たとえば、妻が収入120万円でも、夫の年収が110万円という場合。この時に、夫が妻の生計を維持している…とは言いづらいですよね。年収の上限に加えて、次の条件を満たす必要があります。同一世帯の場合:被保険者の年収の2分の1未満同一世帯でない場合:被保険者からの援助額(仕送り)よりも年収が少ない収入には何を含めるの?収入は、給料だけを指すものではありません。税金がかからない”非課税収入”も、扶養を判断するときには収入とみなされることがあります。また、手取り額ではなく、税引き前の総支給額でチェックすることにも気を付けましょう。年金生活者の場合年金収入も含めて収入とします。障害年金や遺族年金は、所得税がかからない収入です。しかし被扶養者になれるか判定する際には、障害年金や遺族年金も収入とみなされます。失業者雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)も、同様に収入に含めます。「給与収入=源泉徴収票の金額」でもない年末調整のあと会社からもらう「源泉徴収票」には、年間収入の額が書いてありますが、ここには非課税になる通勤手当は入っていません。被扶養者の判断をする時には、非課税通勤手当も収入とみなされます。退職金は除いてOK退職金などの”一時的な収入”は、収入に含めません。扶養を外れる3つのパターン収入が増えて社会保険の被扶養者でなくなるのには「年収106万円」から「年収130(180)万円」まで3つの段階があります。[adsense_middle]①106万円を超えて働いたこの基準は、特定の企業に勤めている場合のみあてはまります。従業員数が501人以上の企業か、501人未満であって「短時間労働者も社会保険に加入させる」と申し出ている企業が対象です。例えば、次のような場合を検討します。従業員600人の会社に勤務時給1,000円のパート週22時間勤務1カ月の収入は92,400円、年収は約110万円です。この場合、年収130万円未満ですが、勤務先で自分が「被保険者」になるため、被扶養者にはなれなくなります。年収だけではなくて、勤務時間など次の条件を全て満たす場合に被保険者になります。週の所定労働時間が20時間以上1年以上雇用が見込まれる月給8.8万円以上学生ではない正確には年収で判断するのではなく「月給8.8万円以上」の人を対象にしています。②正社員の4分の3以上働いた週30時間以上働く人が対象になることが多いです。収入の額は判断基準になっておらず、月に決まって働く日数が正社員の4分の3以上週に決まって働く時間が正社員の4分の3以上をどちらも満たすと、勤務先で社会保険に加入しなければならず、被扶養者にはなれません。週30時間働いた場合の年収はというと、時給800円であれば年収約120万円、時給1,000円であれば年収約150万円になります。③収入が130万円(180万円)以上になった年収が130万円以上(60歳以上・障害者の場合は180万円)になると、被扶養者にはなれません。給与以外の収入、失業手当や年金も含めて年収が130万円以上かどうか判断しましょう。改正で…130万円の壁より106万円の壁?現在は主に従業員501人以上の大企業に”106万円の壁”が存在していますが、この企業規模を改正して「全ての会社を対象に」「51人以上の会社を対象に」などの案が挙げられています。もし、すべての会社が対象になると、収入130万円未満かどうかではなく、給与収入106万円未満かどうかで扶養に入れるか判断するようになります。将来は年収130万円未満で働いても、扶養には入れない可能性があるのです。配偶者控除が受けられるかは別問題年末調整の時、税金が安くなる配偶者控除。年収130万円未満だと、配偶者控除が受けられるのでしょうか?いいえ、社会保険で扶養かどうかと、税金を計算するとき扶養であるかは別の話です。例えば、妻の年収が50万円しか無くても、夫の年収が1,000万円を超えていると、夫は配偶者控除を受けられません。また、妻の年収が130万円以上の場合であっても、150万円以下であれば、配偶者控除と同額の「配偶者特別控除」が使え、夫の所得税・住民税が安くなります。(夫の年収が900万円以下の場合)扶養を外れたときの対応は?では、社会保険の扶養の範囲を超えて働いたときには、収入はどう変わるのでしょうか。勤務先で社会保険に加入するため、扶養ではなくなった時給与から社会保険料を支払うようになります。厚生年金保険料は18.3%、健康保険料はおよそ10%で、会社と従業員が半分ずつ負担します。月収10万円であれば「標準報酬9.8万円」とグループ分けされ、年金・医療を合わせた保険料は月13,818円(R元年度/東京都/40歳未満の例)です。年収130万円未満を満たさず、扶養から外れる時市区町村役場の窓口に行き、国民年金・国民健康保険に加入する手続きをします。国民「年金」保険料は給与に関わらず一律です。令和元年度の保険料は月16,410円です。国民「健康」保険料がいくらになるかは、お住いの市区町村に確認してみましょう。扶養でいるメリット・デメリット[adsense_middle]扶養でいることのメリット被扶養者でいるメリットは、社会保険料が抑えられることです。1人の被保険者が、3人を扶養していても、5人を扶養していても、負担する健康保険料は1人分のままです。家族がいると、会社が「扶養手当」「配偶者手当」などを支給してくれることがありますが、家族の収入が増えると支給してもらえなくなる場合もあります。扶養でいることのデメリット手取り収入だけを見ると、扶養でいることはメリットのようにも思えますが、勤務先で自分が社会保険に加入することと比べてデメリットも沢山あります。ケガをしても傷病手当金がもらえない(健康保険)産休のとき出産手当金がもらえない(健康保険)いくら働いても老後の年金に反映されない(厚生保険)もし障害状態になっても、3級だと年金はもらえない(厚生年金)社会保険料の負担がかからないように収入を抑えて、いっぽうで毎月多額の生命保険料を支払っている…というのはもったいない話です。社会保険に加入するほうが、リスクに手広く備えられるかもしれません。扶養を外れると働き損なのか?手取り額を回復するためには160万円まで稼ぐ年収130万円の場合、負担する社会保険料はおよそ15%、年間約20万円です。ここから雇用保険・所得税・住民税がさらに引かれますが、年金・健康保険料ほどは高くありません。つまり、年収110万円で働く場合と、年収130万円で働く場合では、手取りがあまり変わりません。年収150~160万円まで働けば、手取り収入が130万円ほどの水準になります。手取りを回復しなくても、年金額とトータルで考えようしかし、130万円以上働き、年間の手取りが20万円減ったからといって、必ずしも損するわけではありません。先ほど述べた「社会保険に入っていると受けられる保障」が受けられるようになります。もちろん将来の年金額にも反映されます。年金はいくら増えるのか実際に老後の年金額を計算してみましょう。年収5万円、1カ月に4,000円分ほど多く働いて、扶養を超えた場合を考えます。(※金額は全て概算)毎月の収入だけ見ると「収入が減った…」と思っても、生涯で受け取れる額には変わりがないかもしれません。年金は終身受け取れますから、この例であれば90歳、95歳と生きると収支はプラスに転じます。(ただし、後述する「加給年金」が受け取れなくなるなど、一概に年金が増えるとは言えないので注意しましょう。)もちろん、ケガや病気、出産の際には、先ほど挙げた保障も受けられます。年金にも”扶養手当”があるんじゃないの?配偶者をずっと扶養していた場合は「配偶者加給年金」がプラスされます。これが”扶養手当””配偶者手当”などと呼ばれることもあります。年齢によって加算される額も含めると、年間約25~39万円です。昭和18年4月2日以降に生まれた人は、最高額の約39万円を受け取れます。しかし加給年金が受け取れるのは、被保険者が年上の場合のみ。5歳差であれば5年間、1歳差であれば1年間のみ受け取ることができ、被扶養者が年上の場合は受け取れません。加給年金の受け取りが終わると、今度は被扶養者だった人の年金に”振替加算”がプラスされますが、昭和41年4月1日以前生まれの人だけが対象です。つまり加給年金は、生年月日や夫婦の年齢差によって受け取る額が大きく違います。「扶養していると、年金にも扶養手当がつくからラッキーだよね」とも言えないのです。社会保険の扶養の範囲に関するまとめ扶養を超えると、どんな変化があるかイメージが湧いたでしょうか。扶養でいるために収入を調整する、という働き方は今後変わってくるかもしれません。自分は「何のために」扶養の範囲で働いているのか。保険料を抑えて手取りを増やしたい…というだけなら、実は損をしているかもしれません。目指すものは何なのか、キャリアアップなのか、家庭や趣味に時間を割くことなのか…その希望によって「扶養に入るかどうか」の方向性は変わります。今一度、自分の希望に合った働き方なのかを考えてみましょう。
2019年12月22日ふるさと納税をご利用される方の中には、住宅ローン控除をご利用されている方もいらっしゃるかと思います。共に所得控除のある仕組みなので同時に利用できるか、また、利用できるとして何か気をつけるべき点があるか、気にされている方もいらっしゃるかもしれません。そこで、本日はふるさと納税と住宅ローン控除の併用をお考えの方向けにそれぞれの税制の仕組みと併用する上での注意点について記載してみたいと思います。ふるさと納税の所得減税の仕組みは寄付金控除住宅ローン控除を利用する場合の確定申告の要否(一年目と二年目以降それぞれ)控除を受ける一年目は確定申告が必要です。ただ、サラリーマンの方であれば、二年目以降は年末調整にて税金の申告を行うことが可能です。具体的には、借入金の年末残高等証明書を勤務先に提出して年末調整で控除を受けることができます。ふるさと納税と住宅ローン控除の併用の可否と計算の流れふるさとぷらすふるさと納税が住宅ローン減税額に影響を与える具体例三井不動産リアルティふるさと納税ありの住宅ローン減税額今度は、上記条件に加え4.9万円のふるさと納税も行ったケースで考えてみます。上記の家族のケースですと、上限額は4.9万円分となります。その金額が給与所得控除の金額に追加されるので、その分課税所得も少なくなります。具体的には、以下のように計算します。ふるさと納税実施による所得税と住民税の減額金額の計算方法所得税と住民税は以下の計算式で計算します。所得税(寄付金-2,000円)× 所得税率住民税住民税からの天引き(基本分) = (納税額-2,000円)×10%住民税からの天引き(特例分) = (納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)具体的な計算式所得税からの控除 = (寄付金額-2,000円)× 所得税率(今回は10%)⇒ 4,700円住民税からの控除(基本分) = (寄付金額-2,000円)×10%⇒ 4,700円住民税からの控除(特例分) = (寄付金額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率(今回は10%))⇒ 37,600円住民税からの控除額合計:42,300円ふるさと納税前後の所得税と住民税の減税金額ふるさと納税を行い、所得控除されると課税所得そのものがその分減少して所得税と住民税の金額が減少します。今回のケースでは、実施前であれば、住宅ローン控除金額38万円全額を減税とすることができましたが、実施後は38万円全額の控除ができなくなってしまいます。具体的な減税額住宅ローン控除による減税額は27.5万円です。この金額から所得税の金額を引くと【27.5-13.43】で14.07万円残り、そこから住民税を引きます。ローン減税分の住民税からの差し引く額が13.65万円なので、住宅ローン控除の残額が0.42万円発生します。ふるさと納税と住宅ローンの減税の上限額をフルに活用する方法ふるさとぷらす直接、店舗等で相談する方法もご自身で自分が住宅ローン控除との併用をどのように行ったらよいか、それでも迷うという方や金額の試算のやり方に不安があるという方は、直接、専門家に相談するのも1つの方法です。方法1:税理士に相談税金に関しての一番の専門家は税理士です。他の専門家が具体的な税金額についてお客さまに話すことは法令上できません。突っ込んだ税額や所得控除について確認されたい場合は、税理士の方に相談するようにしましょう。方法2:ふるさとチョイスCaféの利用ふるさと納税の民間業者である「ふるさとチョイス」では、ふるさと納税に関する体験に加えて個人相談ができたりセミナーで学ぶことのできる「ふるさとチョイスCafé」という実施店舗が都内にあります。自分がどのように税金の手続きをしたらいいか、金額の試算をどのように行ったらいいかなど相談することが可能ですので、首都圏近郊の方はご利用されるのも1つの手です。ふるさとチョイス勘違いしやすい点に関するまとめ以上、ふるさと納税と住宅ローン控除について記載してきましたが、特に注意するべき点についていくつか記載します。ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できないと思い込むふるさと納税と住宅ローン控除は前述の通り、所得控除になる点は同じでも性質は異なります。2つを合わせて上限金額を決めるわけではありませんし、別々の制度の利用の併用を妨げるルールもありません。ふるさと納税による控除と住宅ローン控除の合計金額が必ず所得控除されると思い込むふるさと納税と住宅ローン控除は併用できると理解していても、無条件に併用できるわけではありません。上記の具体例でも記載しました通り、住宅ローン控除で所得税と住民税がフルに控除できる場合等のケースでふるさと納税を行うことで、トータルの減税額に影響があるケースもあります。併用する場合はトータルの減税額を確認する必要があります。ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合は必ず確定申告が必要と思い込むサラリーマンの方であれば、住宅ローン減税利用2年目以降かつ、ワンストップ特例制度にてふるさと納税を行うことを条件に、確定申告は不要とすることができます。住宅ローン控除は年末調整、ワンストップ特例制度についてはその申請書を年始に手続きすることで確定申告を不要とする余地があります。ふるさと納税と住宅ローン控除の併用に関するまとめふるさと納税と住宅ローン控除は併用できますが、個々のケースによって控除金額の総計や税金の手続き方法が異なります。相互に関係性があるので、併用する場合それぞれどう作用するかおおまかな形を把握しておくとよいです。まずは、ご自身がどのパターンに当たるかを確認し、必要な対応1つ1つ進めていきましょう。
2019年12月18日こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら年末調整で生命保険料控除を申告したことがあるかもしれませんが、確定申告でならいかがでしょうか。確定申告と聞くと身構えてしまう方も多いですが、例えば年末調整で申告し忘れてしまえば、確定申告が必要になります。そんな時のためにも、ぜひ確定申告での申告方法も覚えておきましょう。今回は、確定申告で生命保険料控除を申告する基本や方法をお伝えします。ぜひご参考にどうぞ。生命保険に入っているなら保険料控除できる!なお、仮にあなたが確定申告書Bを使う場合であっても、微妙に書く位置が違うだけで書き方は確定申告書Aの場合と同じです。また、その他の控除を申告する場合であっても、書き方の要領は変わりません。ちなみに確定申告書類の作成は、国税庁サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を使うと、簡単で説明もあるのでおすすめです。ぜひ一度、試してみましょう。項目に沿って自分で書き写せばOK一度やってみると分かるでしょうが、生命保険料控除の申告は保険料控除証明書の内容を項目に沿って自分で書き写せば良いだけです。強いて言えば、先ほども触れた通り生命保険料控除の制度は、平成24年1月1日の前後で変更があり、新旧の区分がある点には注意しましょう。もちろん、それもちゃんと証明書には記載がありますけどね。生命保険料控除の申告は、たったこれだけで完了です。今のところ生命保険に未加入という方は、これを機に加入を検討するのはいかがでしょうか。[adsense_middle]持ち物や添付書類を揃えて提出しよう今度は添付書類や持ち物などについてお伝えします。先ほど使用した生命保険料控除証明書は、転記して終わりではなく、証拠として確定申告書への添付が必要です。もちろん、他の控除申告もするのであれば、それぞれに対応する証明書などを添付しましょう。また確定申告を提出する際には、しっかり完成していれば、特に確定申告書類(控えを含めて2通)以外の持ち物は要りません。なお、確定申告書類の提出方法は、以下の3通りがあります。税務署へ郵送する税務署へ持参するe-Taxを利用する(事前の申請や一定の機器が必要)はじめて確定申告書を提出するなら、その場で簡単にチェックしてもらえるので、持参する方法がおすすめです。確定申告の期間中は土曜日も受け付けている税務署も多いので、可能であれば持参しましょう。確定申告の期間には注意が必要確定申告は、毎年2月16日~3月15日が申告期間となっています。この期間を過ぎると延滞税が発生する可能性がありますから、少し注意が必要です。その一方で、還付を受ける確定申告(還付申告という)の場合は、翌年1月1日から5年間、申告できます。会社員の場合はすでに源泉徴収で税金を納めており、還付を受けるケースのほうが多いです。生命保険料控除を申告するなら尚更ですが、念のため上記の期限内に申告しましょう。青色申告・白色申告の違いとは?最後に、補足として確定申告の種類についてお伝えします。実は確定申告には「青色申告」という申告方法があり、こちらのほうが少し精密な帳簿が必要になる代わりに様々な恩恵があるのでお得です。ただし、青色申告できるのは不動産所得・事業所得・山林所得に限られます。一般的な会社員なら関係ないように思えるかもですが、最近では不動産投資をする方も増えましたし、副業収入が事業所得に該当する可能性もある訳です。覚えておいて損はないでしょう。ちなみに青色申告するには、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があり、提出していない場合は白色申告に該当します。せっかく生命保険料控除を通して確定申告できたなら、これを機に税金の勉強を始めるのもおすすめです。手始めに生命保険料控除のような節税方法について、どんどん学んでいきましょう。確定申告できると色々お得かも?あなたは今まで、「確定申告が必要」と言われて控えてしまった行動は無いでしょうか?税金上の優遇や恩恵を受けられる制度の多くは、確定申告を必要とします。逆にいえば、確定申告できるようになりさえすれば、それら様々な優遇や恩恵を受けられるようになる訳です。それに、最近では会社員でも副業や定年後の労働で、確定申告が必要になることが多いといえます。いつ必要に迫られるかも分かりませんから、ぜひ少しでも若いうちに確定申告を覚えてしまいましょう。保険料控除で確定申告を有利にしよう!生命保険料控除は国も認めている節税方法なのですから、生命保険に加入しているなら申告しないのは損なだけです。むしろ節税のために生命保険に加入する考え方すらあります。ぜひ生命保険料控除を通して、少しでも有利に確定申告していきましょう。
2019年12月01日年末調整で生命保険料控除を受けるには「保険料控除申告書」を毎年勤務先に提出しなければなりません。申告書を書くのが初めての人、毎回どう書けばいいか迷っている人は、この記事で申告書の書き方と注意点を確認しておきましょう。生命保険料控除とは日本生命保険料控除証明書の主な記載項目証券番号保険料払込期間保険種類/年金種類適用制度(旧契約・新契約)払込方法契約日保険期間/年金支払期間保険金(年金)受取人名(年金契約の場合)年金支払開始日証明書作成時点までの保険料払込額(証明額)その年の12月まで払い込んだ場合の保険料払込額の見込み額(申告額)生命保険料控除対象となるか分かりにくい契約保険期間5年未満の貯蓄保険や財形貯蓄などは対象外貯蓄性を重視した保険期間が5年未満の保険契約は控除対象とはなりません。そのほか保険型の「財形貯蓄」商品やケガのみを補償する傷害保険、外国保険会社と国外で契約した保険契約なども控除対象外です。変額個人年金保険は一般生命保険料控除の対象運用成果によって受取額などが変動する変額個人年金保険は、一般の生命保険料控除の対象となります(個人年金保険料控除の対象ではない)。離婚後に元妻が保険金受取人となっている契約の保険料を支払っても控除対象外生命保険料控除の対象となるには、保険金等の受取人のすべてが保険料支払者、またはその配偶者その他親族であるという要件があります。妻が保険金受取人となっている契約の保険料を納税者が支払っており、離婚後も引き続き保険料の支払いを継続する場合、離婚成立以降に支払われる保険料は控除対象となりません。子どものために加入している死亡保険などであれば、保険金の受取人を元妻から子どもに変更すれば引き続き控除を受けられます。一時払い保険料と全期前納保険料の取り扱い保険料の支払い方法には月払いや年払いのほか、契約時にすべての保険料を支払う一時払いや全期前納払いという方法があります。生命保険料控除の対象となる契約の保険料を一時払いあるいは全期前納払いした場合、控除における取り扱いに次のような違いがあります。一時払い…保険料を支払った年のみ控除対象となる全期前納払い…支払った保険料を保険料払込期間で按分し、保険料払込期間中は毎年控除を受けられる一時払い保険料100万円の契約と全期前納保険料100万円(保険料払込期間10年)の契約であれば、どちらも契約時に支払う保険料は100万円です。一時払い契約では控除を受けられるのは契約した年の一度のみ(控除対象額は100万円)であるのに対し、全期前納払いでは契約後10年間にわたって毎年10万円ずつ控除を受けられます。生命保険料控除には後述のように控除限度額があり、控除対象額が限度額を超えればそれ以上は控除されません。そのため生命保険料控除については、通常一時払いよりも全期前納払いのほうが有利といえます。保険料控除申告書の記入法・注意点年末調整による生命保険料控除の適用は、勤務先に「給与所得者の保険料控除申告書」を提出して行います。保険料控除申告書は、生命保険料控除だけでなく他の保険料控除の申告書も兼ねています。出典:国税庁(筆者により加筆)生命保険料控除の記入欄には、生命保険料控除欄に保険料控除証明書に記載された内容から必要項目を転記し、前述の計算式を使って計算した控除額を記載します。保険料控除証明書から必要項目を転記する控除額を計算して記入控除額証明書の添付[adsense_middle]【保険料控除申告書の記入①】保険料控除証明書から必要項目を転記する記入が必要な項目は、基本的に保険料控除証明書に記載された内容を保険料控除申告書に転記します。保険金等の受取人については証明書に記載がないため、保険証券や契約内容のお知らせ(通知書)、保険会社の契約者サイトなどによる確認が必要です。〈記入例(見本)〉出典:国税庁(筆者により加筆)保険会社等の名称保険等の種類保険期間又は年金支払期間保険等の契約者の氏名保険金等の受取人氏名・続柄新・旧の区分あなたが本年中に支払った保険料等の金額(1)保険会社等の名称契約している保険会社の名称を記入します。(2)保険等の種類控除証明書に記載された「保険種類」または「年金種類」に記載されている保険(・年金)種類を転記します。(3)保険期間又は年金支払期間控除証明書に記載された「保険期間」または「年金支払期間」に記載されている期間を転記します。(4)保険等の契約者の氏名控除証明書に記載された「契約者名」を転記します。(5)保険金等の受取人氏名・続柄受取人の氏名は保険証券や契約内容のお知らせ(通知書)、保険会社の契約者サイトなどで確認し、納税者との続柄を記入します。年金契約であれば控除証明書に記載された「年金受取人名」と「年金支払開始日」を転記します。(6)新・旧の区分控除証明書に記載された「適用制度」欄から新契約・旧契約の区分を確認し、該当するほうに○を付けます。(7)あなたが本年中に支払った保険料等の金額支払った保険料等の金額には、控除証明書の「申告額」(12月まで保険料を払い込んだ場合の見込額)に記載された金額を転記します(年内にその契約を解約した場合を除く)。控除証明書発行後、年内に保険を解約した場合控除証明書が届いた後、年内に保険契約を解約した場合、保険料控除申告書には実際にその年に支払った保険料の金額を記入します。申告の際には控除証明書の原則添付が必要ですが、このケースでは証明書に記載された申告額(証明額)と実際の支払額が異なってしまいます。この場合、保険会社に控除証明書の再発行を依頼するか、手元にある控除証明書にその旨を付記して対応します。手元にある控除証明書に付記して対応する場合、まずは保険会社の問い合わせ窓口などに連絡して、何月分までの保険料が支払い済みであるかを確認します。その上で、控除証明書の余白に「本年中に支払った保険料は○カ月分であることを保険会社に確認済み」の旨を記入します。勤務先によってはこの対応が認められない場合もあるため、担当部署に確認した上で行うようにしましょう。【保険料控除申告書の記入②】控除額を計算して記入控除証明書から転記した保険料等の金額をもとに、以下の計算方法により控除額を計算し記入します。[adsense_middle]生命保険料控除額の計算旧契約と新契約では控除額の計算方法も異なり、それぞれの保険料控除区分ごとに計算した後に全体で控除額の調整を行います。新旧両方の契約がある場合の計算方法・上限額(*)新旧両方の契約がある場合、各保険料区分ごとに次のように計算します。旧契約保険料が6万円超の場合:旧契約の支払保険料のみで計算した控除額(最高5万円)旧契約保険料が6万円以下の場合:新契約の支払保険料で計算した控除額と旧契約の支払保険料で計算した控除額の合計額(最高4万円)新契約の控除額の計算方法契約日が2012年1月1日以降の新契約の控除額は、3つの保険料区分(新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料)ごとに、次の計算式により計算します。*支払保険料等は、その年に支払った保険料から受け取った剰余金・割戻金を差し引いた金額旧契約の控除額の計算方法契約日が2011年12月31日以前の旧契約の控除額は、2つの保険料区分(旧生命保険料・旧個人年金保険料)ごとに、次の計算式により計算します。*支払保険料等は、その年に支払った保険料から受け取った剰余金・割戻金を差し引いた金額実際の計算例ここでは下図の場合を例に説明します。〈控除額の計算・記入例(見本)〉出典:国税庁(筆者により加筆)一般生命保険料区分の計算上図の例では、一般生命保険料区分に新契約に該当する契約が2本と旧契約に該当する契約が1本あります。新契約の控除額新契約に該当する契約に支払った保険料の合計額は9万円。8万円以上であるため、控除額は上限額の4万円となります。旧契約の控除額旧契約に該当する契約に支払った保険料は12万円。10万円以上であるため、控除額は上限額の5万円となります。旧契約のみで控除を受ける場合の5万円のほうが、新旧契約を併用する場合の4万円より大きいため、一般生命保険料区分の控除額は5万円となります。介護医療保険料区分の計算介護医療保険区分に該当する契約の保険料は3万円。新契約(新保険料)の控除額計算式位にあてはめて計算し、控除額は2万5,000円となります。個人年金保険料区分の計算個人年金保険料区分には、新契約と旧契約に該当する契約がそれぞれ1本あります。新契約の控除額新契約に該当する契約に支払った保険料は12万円。8万円以上であるため、控除額は上限額の4万円となります。旧契約の控除額旧契約に該当する契約に支払った保険料は4万円。旧契約(旧保険料)の控除額計算式にあてはめて計算すると、控除額は3万2,500円となります。旧契約のみで控除を受ける場合の3万2,500円よりも新旧契約を併用した場合の4万円のほうが大きく、個人年金保険料区分の控除額は4万円となります。3つの保険料区分の控除額を合計それぞれの保険料区分ごとに控除額を計算したら、それらを合計して最終的な控除額を求めます。3つの保険料区分をあわせた控除額の上限は12万円です。例の場合、5万円(一般)+2万5,000円(介護医療)+4万円(個人年金)=11万5,000円各保険料区分の控除額の合計は上限額12万円以下であり、最終的な生命保険料控除額は11万5,000円となります。この金額は源泉徴収票にも記載されます。【保険料控除申告書の記入③】控除額証明書の添付保険料控除申告書には、記入した契約の控除証明書を添付するのが原則です。しかし次のような契約の控除証明書は添付を省略できます。勤務先で加入している団体保険などで、勤務先が契約内容・支払保険料などを把握している契約旧契約(契約日が2011年12月31日以前)かつ年間保険料が9,000円以下の契約(確定申告を行う場合)年末調整で控除の適用を受けた契約年末調整に証明書を提出できなかった場合契約した時期や再発行によって控除証明書の発行が間に合わず、年末調整の際に証明書を提出できないこともあります。この場合、翌年の1月末日までに証明書を提出することを条件に、年末調整で生命保険料控除を受けることができます。後日提出する旨は勤務先に伝えておきましょう。控除限度額に達するまでの契約だけ申告すればOK同じ保険料区分内で控除限度額(旧契約であれば年間保険料10万円以上、新契約であれば年間保険料8万円以上)に達すると、それ以上はいくら申告する契約を増やしても控除額は増えません。生命保険料控除の申告自体が任意なので、申告書には控除限度額に達するまでの契約だけ記入すれば問題ありません。記入しない契約については証明書の添付も不要です。たとえば上記の一般保険料区分の場合、旧契約1本(年間保険料12万円)の内容だけ記入すれば、満額の控除を受けられます。一度下書きしてから申告書に記入するのがおすすめ申告漏れや書き間違いなどを防ぐため、一旦すべての契約を別の紙に書き出し、控除額を計算した上で申告が必要な契約だけ申告書に記載するとよいでしょう。生命保険料控除申告書の書き方に関するまとめ生命保険料控除の仕組みや申告書の書き方を理解していれば、年末調整で迷わないだけでなく、どの契約まで記入すれば控除を上限まで受けられるか判断できるようになり、記入の手間を減らすことができます。生命保険料控除の手続きは年に1回とはいえ毎年必要な手続きです。しっかりと理解しておきましょう。
2019年11月10日この記事では、所得税(・住民税)の扶養控除について、家族のうち誰が扶養控除の対象となるのか、扶養控除の対象範囲や社会保険の扶養との違いや、年末調整で扶養控除の適用を受けるための手続きについて解説します。扶養控除とは国税庁また血縁関係のある親族のほか、知事から養育を委託された児童(里子)や、市町村長から養護を委託された老人も扶養親族に含みます。内縁関係(事実婚)のパートナーは控除対象にならない税法上、内縁関係(事実婚)のパートナーは配偶者ではなく、その他親族にも該当しません。そのため控除対象配偶者、控除対象扶養親族のいずれでもありません。要件2:納税者と生計を一にしている納税者が実際に生活費や教育費、療養費などを負担しているかどうかが「生計を一にしている」かの基準です。単身赴任や下宿などで別居していたとしても、定期的に生活費や教育費の仕送りなどを行っていれば「生計を一にしている」とみなされます。控除対象となる例納税者が仕送りをしている下宿中の子ども納税者が仕送りをしている海外留学中の子ども(非居住者)納税者が仕送りをしている故郷の両親単身赴任中の納税者の収入で生活している別居の家族同居している親族は原則扶養とみなされる要件1の親族に該当する人が同居している場合には、お互いが明らかに独立して生活している場合を除き「生計を一にしている」とみなされます。1人を重複して扶養することはできない複数の納税者に対して扶養親族となる要件を満たしていたとしても、重複して扶養親族にすることはできません。たとえば複数の子どもから親が仕送りを受けている場合、仕送りをしている子のうち1人だけが親を扶養にできます(父親と母親の両方を扶養にできる場合、それぞれ別々の子が扶養にするのはOK)。誰の扶養とするかは、仕送り額などに関わらず話し合いによって決めることができます。また子が母親を扶養とした場合、父親は配偶者控除の適用を受けられなくなります。そのため子の扶養とする場合と父親の控除対象配偶者とする場合、どちらが有利になるかを比較して判断する必要があります。要件3:所得が38万円以下(令和2年分以降48万円)扶養(納税者の収入で生活している)とみなされるのは、対象者の年間合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降48万円)の場合です。収入が給与のみの人であれば給与所得控除(令和元年分まで65万円、令和2年分以降55万円)が適用されるため、給与収入が103万円以下であれば収入要件を満たします。要件4:青色申告者の事業専従者として年間を通じて一度も給与支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない事業を行っている納税者は、その事業へ専ら従事する配偶者やその他親族(事業専従者)へ支払った給与を、必要経費として所得から差し引くことができます(「青色事業専従者給与(青色申告者)」または「事業専有者控除(白色申告者)」)。専従者として以下に該当する親族は、控除対象とすることができません。納税者が青色申告者の場合:青色事業専従者として控除を受けようとする年に給与支払いを受けている親族納税者が白色申告者の場合:白色事業専従者である親族要件5:12月31日時点で16歳以上要件1〜4を満たす人のうち控除対象となるのは、控除を受けようとする年の12月31日時点で16歳以上の人です。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)については、扶養控除の対象ではありません。社会保険の扶養との違い全国健康保険協会同居が不要同居が必要・直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母)・配偶者(内縁関係を含む)・子・孫・兄弟姉妹・左記以外の被保険者の3親等内の親族・内縁関係の配偶者の父母および子・内縁関係の配偶者が亡くなった後における父母および子収入要件社会保険の被扶養者となるのは、主として被保険者に生計を維持されており、その人の年間収入が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)以下かつ、次の要件を満たした人です。同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(原則)別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満年間収入は将来の見込み収入額が基準収入要件における年間収入は過去の収入ではなく、被扶養者となる日以降の見込み収入額が基準となります。年間収入となっていますが、実際には各月ごとの収入を基準に判定され、年間収入が130万円未満であっても、月収が10万8,333円(=130万円÷12カ月)を超えると扶養から外れます。年末調整で所得税(住民税)の扶養控除を受けるために必要な書類と手続き扶養控除は年末調整の際、勤務先に〈給与所得者の扶養控除等申告書〉を提出することで適用を受けられます。申告書は、控除を受ける年において最初に給与支払いを受ける日の前日までに提出する必要があり、前年の年末調整の時期にあわせて翌年分の申告書を提出するのが一般的です(中途就職の場合には就職後最初の給与支払いを受けるまでに提出)。給与所得者の扶養控除等申告書の書き方(記入例)国税庁控除対象扶養親族欄への記載事項16歳以上の控除対象扶養親族に関する事項は申告書の中段に記載します。出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)(1)個人番号(マイナンバー)個人番号欄には、各控除対象扶養親族の個人番号(マイナンバー)を記載します。勤務先が一定の要件に基づいて作成した帳簿を備えていれば個人番号の記載を省略できる場合もあります。記載するかは勤務先の指示に従いましょう。(2)老人扶養親族欄・特定扶養親族欄控除を受けようとする年の12月31日時点で70歳以上の場合には、老人扶養親族欄(上段)のいずれか(「同居老親等」または「その他」)該当するチェックボックスにチェックを入れます。控除を受けようとする年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の場合には、特定扶養親族欄(下段)のチェックボックスにチェックを入れます。(3)所得の見積額欄所得の見積額欄には、それぞれ控除対象扶養親族のその年の見込み所得額を記載します。所得額が38万円(令和2年分以降48万円)を超える見込みであれば控除対象扶養親族には該当せず、扶養控除を受けられません。所得金額が38万円以下となる収入金額の目安収入金額収入が給与所得のみの場合103万円収入が公的年金等に係る雑所得のみの場合65歳未満108万円65歳以上158万円住民税に関する事項欄(16歳未満の扶養親族)申告書の下段には住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族)を記載します。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は扶養控除の対象外ですが、住民税の非課税限度額を計算する際の扶養親族にはカウントされるため記載が必要となります。出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)住民税の非課税限度額住民税の非課税限度額とは住民税が課税されるかどうかの判断基準となる金額のこと。前年中の合計所得金額が非課税限度額以下であれば住民税がかからないメリットがあります。限度額は「控除額」ではなく、あくまで「課税されるかされないかの基準」。限度額を超えた場合の住民税額計算には影響しません(年少扶養親族は控除対象扶養親族とならない)。住民税の非課税限度額所得割・均等割いずれも非課税住民税の所得割が非課税扶養親族がいない場合35万円35万円扶養親族がいる場合35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+21万円35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+32万円(*3年少扶養親族を含む)単身児童扶養者欄令和2年分以降の申告書からは〈単身児童扶養欄〉が新たに設けられます。この欄は離婚や死別(生死不明を含む)などによって、ひとり親として子ども(所得見積額48万円以下・令和2年分以降)を扶養し、児童扶養手当の支給を受けている人が記入します。該当者はチェックボックスにチェックを入れ、「児童扶養手当証書の番号」「生計を一にする児童の氏名」「その児童の所得見積額」を記入します。児童扶養手当証書の番号が不明な場合には、住んでいる市町村の担当課で確認できます。扶養等控除申告書提出後に変更(異動)が生じた場合申告書のを提出した後に、家族構成などが変化して記載内容に変更(異動)が生じた場合、その後最初に給与支払を受ける日の前日までに変更後の内容を記載した申告書を提出する必要があります。結婚した場合には配偶者に関する項目の変更が必要ですが、通常扶養親族に変更はありません。ただし連れ子などがいる場合には、扶養親族の変更もあわせて必要となります。年末調整の扶養控除に関するまとめ扶養控除は年齢や収入によって控除対象となるか、控除対象となる範囲がやや分かりにくい部分もあります。控除対象となる範囲を正しく理解して、もれのない申告を行いましょう。
2019年11月08日こんにちは、婚活FP山本です。税金のことは会社員なら年末調整で済みますが、それでも難しいと感じる方も想像以上に多いと言えます。普段は見ないような必要書類も色々ありますから、尚更かもしれません。ですが、漏れがあっては還付金が減るなどの損も発生しかねませんから、しっかり応対しましょう。そこで今回は、年末調整の必要書類について全般的にお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。会社や提出先に出す年末調整の必要書類一覧まずは、会社や提出先に直接的に提出する必要書類についてお伝えします。年末調整で提出する必要書類は、以下の3つです。給与所得者の保険料控除申告書給与所得者の扶養控除等(異動)申告書給与所得者の配偶者控除等申告書どれも漢字が並んでいて難しそうに捉えてしまうかもしれませんが、誰もが提出する、誰でも書ける書類と言えます。また実際に書くのは書類の一部分だけですから、そこまで負担も大きくありません。ちょっとだけ気合を入れて、サッと済ませてしまいましょう。次の章から、一つずつお伝えしますね。給与所得者の保険料控除申告書この書類では、大きく以下のことを書きます。生命保険について地震保険について(自分で支払った)社会保険料について(自分で支払った)年金について多くの場合、実際に記入するのは上2つだけです。その記入も、後述する各種の証明書の内容を書き写すだけですから、そんなに難しいわけではありません。書かなかった場合は未加入と見なされて、その分だけ税金が上がりますから、しっかり書きましょう。なお、転職前後なら自分で社会保険料を支払うこともあります。また、中にはiDeCo(個人型確定拠出年金)をやっている方もいますが、それらの場合は忘れず下2つの欄に書きましょう。給与所得者の扶養控除等(異動)申告書簡単に言えば、この書類では「家族のこと」を書きます。自分の家族のことですから、誰でも書けるでしょう。唯一の注意点は「配偶者(結婚相手)のこと」でしょうか。この書類の配偶者の欄は、以下の両方の条件を満たす場合にのみ書きます。本人の所得900万円以下(年収なら1120万円以下)配偶者の所得85万円以下(年収なら150万円以下)あとは「子供の年齢」にも注意しましょう。16歳以上か未満かで、書く欄が変わってきます。16歳未満なら、一番下の欄に書いて下さい。給与所得者の配偶者控除等申告書この書類は、少しだけ注意しましょう。具体的には、以下の流れで記入することになります。「計算表」の部分で夫婦の所得を計算する自分と配偶者の所得から「区分」を書く一番下の表で「控除額」を見て、どちらかの控除欄に記入するちなみに計算表については、あなたが会社員で給料以外の収入がないなら、「源泉徴収票」で計算を省略することもできます。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を、年末調整の「所得金額」の欄に書きましょう。年末調整時に準備・添付する提出物一覧年末調整とは、「所得税の清算」のために行います。そのために、正確な「税金計算上の経費」を申告して、正確な税金額を計算してもらうわけです。ただし、架空の経費計上を防止するため、様々な証明書などを資料として提出する必要があります。次の章から、年末調整時に準備して添付すべき提出物の一覧をお伝えします。どれもが基本的に「該当する人だけ」ですが、該当するならしっかり添付して節税に努めましょう。配偶者の源泉徴収票(扶養控除申告書のため)生命保険料控除証明書地震保険料控除証明書(自分で支払った)社会保険料の領収書iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金払込証明書住宅ローンの年末残高証明書[adsense_middle]配偶者の源泉徴収票(扶養控除申告書のため)税金計算においては、結婚している人は配偶者を「配偶者控除」として経費にできる可能性があります。ただし、経費にできる金額は「配偶者の年収次第」です。そんな配偶者の年収を、この書類で証明することになります。なお、納税者の年収でも控除額は変わり、具体的には以下の通りです。生命保険料控除証明書あなたが生命保険に加入しているなら、その保険料を「生命保険料控除」として経費にできます。具体的には以下の通りです。介護医療保険料控除……年間保険料8万円超で最大4万円一般の生命保険料控除…年間保険料8万円超で最大4万円個人年金保険料控除……年間保険料8万円超で最大4万円上記の合計最大12万円なお、2011年12月31日以前に加入した保険については、保険料控除の内容が少し違います。この書類は加入中の生命保険会社から送られてきますから、届いたらしっかり保管しておきましょう。地震保険料控除証明書あなたが地震保険に加入しているなら、その保険料を「地震保険料控除」として経費にできます。地震保険料控除の金額は、以下の通りです。5万円までは保険料全額、5万円超は一律5万円なお、こちらも昔は少し内容が違ったのですが、たとえ両方の契約があっても「最大5万円」となっています。加入していれば、損害保険会社から証明書が届くはずです。金額を確認したうえで、しっかり保管しておきましょう。ちなみに地震保険は、基本的に火災保険とセットでないと加入できません。まずは火災保険に加入しているかどうかを確認しましょう。(自分で支払った)社会保険料の領収書特に転職が絡む場合、今は会社員として社会保険料を差し引かれているとしても、自分で支払った分もあることが多いです。そんな場合は、支払い時にもらった領収書を添えることで、「社会保険料控除」として経費にすることができます。ちなみに社会保険料(控除)は、支払った保険料の全額を経費にできる効果が大きいものです。もし自分で支払った分があるなら、経費にしないのは相当な損と言えます。特に「子供に代わって支払った国民年金保険料」などは忘れがちなので、注意しましょう。iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金払込証明書あなたがiDeCo(個人型確定拠出年金)をしているなら、その掛金の全額を経費にすることができます。おおよそ10月末頃に、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」という名前の書類が届くはずです。忘れず保管し、書類に添付しましょう。ちなみにiDeCoの掛金は税金上、「小規模企業共済等掛金控除」となります。社会保険料控除とは分類が違うものの、同じく全額を経費にできる効果が大きいものです。あなたが少しでも節税したいのなら、この機にiDeCoを試してみるのも良いかもしれませんね。住宅ローンの年末残高証明書あなたが住宅ローンを組んで住宅を購入したのなら、いわゆる「住宅ローン控除」を受けられます。住宅ローンを組んだ金融機関から10月頃に証明書が送られてくるはずです。住宅ローン控除は「税額控除」という節税効果が極めて高いものですから、忘れず申告しましょう。なお、住宅ローン控除を使う場合は、合わせて「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」も提出する必要があります。初年度に確定申告をしたのなら、税務署から9年分まとめて送られてきているはずですから、合わせて提出しましょう。なお、無くした場合は税務署で再交付してもらえますから、ご安心下さい。年末調整に関係する必要書類はどれも簡単!年末調整は「納税を簡素にする制度」ですから、提出物も記入方法も簡単にできています。このため、決して怖がる必要はないものの、サボった人ほど税金が重くなりかねないものです。書ける部分は書き、添付できる書類は添付して、少しでも有利に確定申告を終えましょう。
2019年10月29日こんにちは、婚活FP山本です。一般的な会社員なら年末調整で還付金がもらえることが多いですが、「もらえる時期」が気になる方もおられますね。中には「もっと欲しい」と考える方もいますから、関心の高さが伺えるとも言えるかもしれません。年末調整の仕組みを知れば、実際に還付金を増やすことができるかもしれませんよ。そこで今回は、年末調整の還付金がもらえる時期や仕組み、ポイントなどについてお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。還付金がもらえる時期は「1月前後」まずは年末調整の還付金がもらえる時期についてお伝えします。結論から言えば、明確なものは実は分かりません。勤め先の会社次第とも言えます。実は年末調整の還付金は、支払い時期や方法について特に定められておらず、会社に委ねられているわけです。ただそれでも、一般的には「1月前後」に支払ってくれる会社が多いと言えます。厳密に言えば、1月の給料支払いと同時に還付金も合わせて支払う会社が多いです。とは言え、中には12月の給料に合わせるところもあれば、2月になるところもあるのが実情と言えます。給料と同時ではなく、還付金だけ別に支払っている会社もあるので、本当に会社次第です。ひとまず、おおよその目安として「1月頃にもらえる」と覚えておくと良いでしょう。手続きする時期でも返還時期は変わってくる年末調整の還付金は、勤め先が手続きする時期でも返還時期は変わってきます。シンプルに、早めに手続きする会社は返還も早く、遅い会社は返還も遅いのが一般的です。勤め先の事務処理速度によっては、早めに着手したのに完了や還付が遅くなる可能性も考えられます。いずれにしても、年末調整の還付金がもらえる時期は少し不明瞭です。このため、この還付金をアテにした「何らかの支払い予定・計画」を立てるのは控えたほうが無難と言えます。年末調整の内容は払い戻し・返金だけではない合わせて、年末調整についての注意点もお伝えします。確かに、年末調整では還付金がもらえることが多いのですが、年末調整の内容は払い戻し・返金だけではありません。場合によっては「不足額の調整」として、支払いとなるようなことも十分にありえます。年末調整の内容が支払いになってしまうようなケースとしては、ざっくり以下のようなケースです。年内に急激に年収が上がった途中入社した配偶者や子が働きだした(扶養控除から外れた)去年と特に何も状況が変わっていない中でなら、突然に支払いになるようなことは考えにくいです。しかし上記のような「急激な一定の変化があった時」には、年末調整で支払いになるような可能性が高まると言えます。求められたら、しっかり応対するようにしましょう。翌1~2月で分割払いもできる年末調整で還付ではなく徴収される場合は、「年末調整をする月の給料で清算」という形で支払います。つまり、この場合も自動的に源泉徴収されてしまうわけですね。あなたとしては手間がかからないのでラクかもしれませんが、実質的に給料が減るわけですから、注意しましょう。なお、清算額が多い場合(給料が70%未満になるような場合)は、一定の手続きの元、翌1~2月での分割払いにしてもらうこともできます。念のため、覚えておきましょう。年末調整とは源泉徴収した所得税の清算ここからは、年末調整の仕組みについてお伝えします。年末調整とは、簡単に言えば「簡易的な確定申告」であり「所得税の清算」です。というのも、会社員は毎月「源泉徴収」という形で給料から所得税を差し引かれます。しかし、この毎月の所得税は仮払いのようなものなのです。あくまで仮払いだからこそ、年末には正確な所得税額を計算して、差額を清算しなければなりません。それが年末調整になります。つまり、年末調整の還付金というのは、収めすぎた所得税の払い戻しという意味合いです。まただからこそ、時には支払わなければならない所得税が源泉徴収では徴収しきれていないケースもあり、そんな時には追加で所得税を納めることになります。ひとまず、このような年末調整の仕組みについて覚えておきましょう。扶養控除の変化や控除額の増減など色々ある毎月の所得税額と正確な所得税額がズレるのは、極めて普通です。なぜなら、徴収する会社もあなたの全てを知っているわけではありません。それに、扶養控除が変化したり控除額が当人の都合で増減したりすることもよくあります。状況が変化する度に毎月の所得税額を変えるのは、それこそ手間でしょう。年末調整は、当人にとっても会社にとっても、そして税務署にとっても納税を簡易にするための制度です。制度の趣旨を理解し、こちらも合わせていきましょう。税金の計算式を知れば還付金額も増えるかも?会社員の所得税は、ざっくり以下のように計算します。年収から「給与所得控除」を差し引く1から「14種類の所得控除(当てはまる場合)」を差し引く2に税率を掛ける年末調整では、上記の計算式で正確な税金額を計算し、源泉徴収した額との差額を清算するわけです。そして税金は、「14種類の所得控除」を差し引けるほどに割安になります。つまり、この所得控除を増やす努力をすれば、還付金額も増やせるかもしれません。なお、所得控除の代表例は以下の通りです。基礎控除:38万円(誰でも差し引ける)配偶者控除:1~38万円(結婚相手の年収による)生命保険料控除:最大12万円(加入中の生命保険次第)所得控除は、本人の事情で自動的に使えるものもあれば、自主的に増やせるものもあります。少しずつ学んでいくのも良いのではないでしょうか。年末調整の内訳も少しずつ学ぼう年末調整の内訳は、「簡易的な確定申告」です。つまり、元となる確定申告や税金のことを知るほどに、自分に有利になるようにすることもできます。年末調整とは還付金がもらえる手続き……などと考えるだけで済ませておくのは、あまりに勿体ないかもしれません。税金と聞くと、つい「難しそう」と捉えてしまい、考えることすら拒否する方も多いですが、自分の得になると思えばいかがでしょうか?実際に還付金が増えれば喜べるでしょうし、ぜひちょっとずつでも学んでいくことをおすすめします。「ふるさと納税」も還付金を増やす方法の一つ!今度は、さらに還付金を増やす方法についてお伝えします。先ほど触れた通り、基本的な還付金を増やす方法は「所得控除を増やす」です。しかし最近では様々な方法があり、以下の方法でも還付金は増えます。「ふるさと納税」をする(寄付金控除)「iDeCo(個人型確定拠出年金)」をする(小規模企業共済等掛金控除)確定申告をする(医療費控除や雑損控除が使えるようになる)現在のふるさと納税は、一定の手続きをすれば年末調整でもすることができます。iDeCoは簡単に言えば「投資行為」なので、イヤがる人も多いですが節税効果は高いです。会社員でも確定申告はできますし、チャレンジするなら使える所得控除も広がります。ひとまず、ふるさと納税は返礼品ももらえますから人気も高いです。まずはこのあたりから始め、できればiDeCoにもチャレンジし、少しずつ還付金を増やしていくのはいかがでしょうか。黙って何もしない人が一番損をする例えば生命保険に加入したとしても、それを申告せずに黙っていれば未加入と見なされます。先ほどのふるさと納税やiDeCoは、自主的にやった人だけが恩恵を受けられるわけです。結局のところ、黙って何もしない人が一番損をすることになるのが税金であり年末調整です。普段は仕事で頭がいっぱいかもしれませんね。しかし今は、どんなに仕事をがんばっても中々年収が上がらない時代です。こういう時代だからこそ、少しでも得を増やすために別のことにもチャレンジしてはいかがでしょうか。[adsense_middle]あなたは年末調整の還付金をどう使う?最後に、ぜひとも少し考えて頂きたいことをお伝えします。あなたは年末調整の還付金を、どのように使う予定でしょうか?生活費の補てん、貯金、豪遊……使い方は様々ですし自由です。特に最近は低年収な人も多いですから、すぐに無くなってしまう方もいるかもしれませんね。一方で今回お伝えしたように、税金の勉強をすれば還付金を増やせる可能性が出てきます。同様に「投資の勉強」をすれば、お金を増やせる可能性が出てくるわけです。投資するには「投資金」が必要となります。投資以外であっても、意外と勉強にはお金が必要です。お金は、直接的な生活に使うばかりではなく、未来のための先行投資に使うこともできます。何も考えなければ、いずれ生活費として消えるだけでしょう。ぜひ還付金が入ったタイミングで、このお金をどう使うか強めに考えてみてはいかがでしょうか。できれば未来を改善するために使おう!年末調整の還付金は、ある意味で「第二のボーナス」とも言えます。余裕が少ない人ほど、たとえ少額であっても「少しは物事を考える余裕ができる瞬間」です。相応に余裕がある人でも、お金のことが少しは気になる瞬間とも言えます。今は「老後資金として2000万円必要」などと言われている時代です。誰もが、将来的に困窮する可能性があります。せっかくの年末調整の還付金ですから、できれば未来を改善するために使って頂きたいところです。年末調整の還付金は「お金の勉強」に最適!勉強を嫌う方も多いですが、「実際の利益になること」ならいかがでしょうか?年末調整自体、知ることが勉強になりますし、還付金を勉強に使うこともできます。勉強はモノを知って覚えるだけでなく、深く考えて新たなモノを生み出せる可能性も秘めている行為です。ぜひ年末調整や還付金を、「最初のお金の勉強」と考えてみて下さいませ。
2019年10月23日年末調整の手続きで記入が必要なマイナンバー(個人番号)ですが、一定の要件を満たしていれば記入が不要となるケースもあります。この記事ではマイナンバーの記入が必要な書類と、記入が不要となるケースについて解説します。マイナンバー(個人番号)制度とはマイナンバー(個人番号)とは、日本に住民票のあるすべての人に割り振られる12桁の番号のこと。マイナンバー制度は、社会保障・税・災害対策の3つの分野において、複数の機関に存在する個人情報を紐付ける仕組みです。マイナンバー制度の目的マイナンバー制度には、大きく次の3つの目的があります。国民の利便性の向上行政の効率化公平・公正な社会の実現マイナンバー制度の導入によって、これまで市町村役場や税務署などを回って準備しなければならなかった書類が不要になるなど、利便性が向上しています。マイナンバーは原則一生変更されないマイナンバーは、漏えいして不正に使用される恐れがある場合を除き原則一生変更されないため、慎重に管理する必要があります。マイナンバーの目的外利用は禁止されているマイナンバーは、法令で定められた社会保障・税・災害対策に関する手続きにのみ利用が認められており、目的外利用は厳しく罰せられます。マイナンバーを提供する義務があるのは、主に次のようなケースです。年末調整でマイナンバーの記入が必要な書類年末調整は税金に関する手続きとして、勤務先に提出する書類のうち、次の書類にマイナンバーの記入が求められます。給与所得者の扶養控除等申告書給与所得者の配偶者控除等申告書給与所得者の扶養控除等申告書給与所得者の扶養控除等申告書には、「従業員本人」および「控除対象配偶者」「16歳以上の控除対象扶養親族」「16歳未満の扶養親族」のマイナンバーの記入が必要です(配偶者、扶養親族がいなければ記入不要)。出典:国税庁(筆者により加筆)*給与支払者のマイナンバー(法人/個人番号)の欄は、申告書を受領した会社が記入して税務署に提出するため、記入する必要はありません。給与所得者の配偶者控除等申告書給与所得者の配偶者控除等申告書には、「控除対象配偶者」のマイナンバーの記入が必要です。出典:国税庁(筆者により加筆)*給与支払者のマイナンバー(法人/個人番号)の欄は、申告書を受領した会社が記入して税務署に提出するため、記入する必要はありません。保険料控除申告書などにマイナンバーの記入は不要年末調整の際に提出する、次の書類についてはマイナンバーの記入は必要ありません。給与所得者の保険料控除申告書(*1)給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(*2)(*1)年末調整で生命保険料控除・地震保険料控除・小規模企業共済掛金控除・社会保険料控除の適用を受ける場合に提出(*2)年末調整で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受ける場合に提出マイナンバーの記入が不要となる場合「給与所得者の扶養控除等申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、原則マイナンバーを記入する必要があります。ただし、以下の場合にはマイナンバーの記入が省略できます。[adsense_middle]会社(給与支払者)が一定の要件を満たす帳票を備えている場合会社(給与支払者)が一定の要件を満たす帳簿を備えている場合、マイナンバーの記載を省略できます。マイナンバーの記載が必須となっている税務署提出用の源泉徴収票には、帳簿をもとに会社がマイナンバーを転記します。帳簿を備えるかどうかは会社(給与支払者)の判断によるため、それによってマイナンバーの記入が必要となるかが決まります。帳簿に記載する情報の収集方法についての要件帳簿は給与支払者が従業員から提出を受けた、以下の書類をもとに作成されたものに限られています。給与所得者の扶養控除等申告書従たる給与についての扶養控除等申告書給与所得者の配偶者控除等申告書退職所得の受給に関する申告書公的年金等の受給者の扶養親族等申告書記載すべき内容の記載された帳簿を備えていたとしても、その内容が上記以外の方法で収集されているとマイナンバーの記入は省略できません。帳簿に記載する必要のある項目帳簿には、扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書に記載されるべきマイナンバーなどの情報のほか、作成に用いた税務関係書類の名称や提出日が記載されていなければなりません。当該書類に記載されるべき提出者本人、控除対象となる配偶者、控除対象扶養親族等の「氏名」「住所」「マイナンバー」(*3)帳簿の作成にあたり提出を受けた申告書の名称上記申告書の提出年月帳簿の記載されている内容に変更があった場合、あなた(従業員)は変更前後の内容を記載した会社所定の届出書または異動に関する控除申告書を会社に提出する必要があります。会社はその書類をもとに帳簿の記載内容を訂正します。扶養控除等申告書に記載すべき内容と帳簿に記載された内容が異なっている場合にも、マイナンバーの記入を省略することはできません。マイナンバーの指定を受けていない場合マイナンバーの指定を受ける前に日本を出国し、マイナンバーの指定を受けていない扶養親族等のマイナンバーは記入不要です(そもそも記入すべきマイナンバーを有していないため)。マイナンバーの指定を受けた後に出国し、海外に居住している扶養親族等のマイナンバーは記入が必要です。マイナンバーの記入が必要な書類に記入しないとどうなる?では、マイナンバーの記入が必要な書類にマイナンバーを記入しなかったらどうなるのでしょうか。控除や税額の計算には影響しない扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書にマイナンバーの記載がなかったとしても、扶養控除などを適用するために必要となる事項が記載されていれば、控除や税額の計算には影響しません。マイナンバーが記載されている場合と同様に年末調整が行われ、課税関係は終了します。マイナンバーを記入しないことによる罰則はない扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書にマイナンバーを記入しなかったとしても、罰則はありません。とはいえ年末調整におけるマイナンバーの提供は法律によって義務付けられたもの。あなた(従業員)がマイナンバーの提供を拒否した場合、会社が義務違反を疑われ迷惑をかけてしまう恐れもあります。マイナンバーを記入しないことによる税額計算への影響や罰則はないとはいえ、特段の事情がない限り勤務先の指示に従い記入するようにしましょう。マイナンバーを記入すると副業が会社にバレる?会社がマイナンバーをもとに行政機関にその人の収入額や納税額を問い合わせることは目的外利用にあたります。そのためマイナンバーを記入したからといって収入額や納税額を把握され、副業がバレることはありません。税務署には副業収入が把握される雇用契約や業務委託契約などを結んだ副業先から報酬を受け取った場合、副業先へのマイナンバー提供義務が生じます。副業先は提供されたマイナンバーを記載した源泉徴収票(雇用契約の場合)、または支払調書(業務委託契約などの場合)を作成し税務署に提出することになっているため、税務署には支払われた報酬(副業収入)が把握されます。税務署に収入(所得)を把握されやすくなったことで、所得の申告漏れがあれば税務調査を受け、ペナルティ(追徴課税)を課せられる可能性が高くなったといえます(これまでも当然申告しなければならなかったものですが...)。年末調整でマイナンバーを記入するかを自分で判断することはできない年末調整で提出する書類へマイナンバー記入しなくてもよいケースもあります。ただし、それには勤務先(会社)が一定の帳簿を備えている必要があり、あなた自身の判断でマイナンバーを書くか書かないかを決めることはできません。勤務先の指示に従うようにしましょう。
2019年10月21日年末調整の際、住宅ローン控除を適用できると還付額がとても多くなるイメージがあります。ではそもそも住宅ローン控除とはどのような控除のことを言うのでしょうか?住宅ローン控除とは住宅借入金等特別控除ともいい、適用要件はありますが住宅ローンによってマイホームを取得した場合、その住宅ローンの借入金の残高によって所得税から控除できるというものです。では年末調整で住宅ローンを控除する方法と適用要件とは何なのでしょうか?今回の記事では住宅ローン控除を申請する方法と必要書類の種類、書類の書き方について解説していきます。住宅ローン控除の概要と適用要件少し先述しましたが、住宅ローン控除とはそもそも何なのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の概要と適用要件もあわせて紹介していきます。住宅ローン控除の概要について住宅ローン控除とは、個人が住宅ローン等を利用して自宅の新築や取得又は増改築などをした場合に様々な要件はありますが、その要件を満たすと、住宅ローン等の年末残高の合計額を基準にして計算した金額を、一般的に10年間にわたって納めた所得税から差し引くことができるというものです。なお各種の要件については下記のとおりとなります。居住要件について年収要件について床面積の要件について借入金の要件について譲渡の際の特例を受けていないこと居住要件について住宅ローン控除には、居住についての要件があります。要件として、自宅の新築や自宅の取得の日から起算して6ヶ月以内に住み始めて、その後住宅ローン控除を受ける年の年末まで住み続けていることが要件とされています。つまり新築や住居を取得して、そのまま放置しているだけでは要件を満たさないということになります。年収要件について住宅ローン控除には、年収について要件があります。基準としては3,000万円になりますが、年収3,000万円ではなく合計所得が3,000万円以下であることが適用要件になります。なお年収と所得の違いについてですが、年収が収入の額面金額であるのに対して、所得とは収入から各種の所得控除を差し引いた金額のことをいいます。そのため、例えば年収が3,000万円であれば各種の控除を差し引けば合計所得が3,000万円以下になるため、適用要件を満たす形となります。床面積の要件について住宅ローン控除には、床面積についての要件があります。要件として自宅の新築や自宅の取得をした建物の床面積が50㎡以上で、床面積の50%以上を居住用として使用していることとなっています。床面積の判断基準などの詳細につきましては国税庁HPなども参考にしていただければと思いますが、このように床面積についても要件がある点には注意が必要です。借入金の要件について住宅ローン控除の借入金についても要件があります。10年以上にわたって分割して返済する予定になっている、新築や取得のための一定の借入金で、住宅とともに土地を取得するための借入金も含みます。こちらについても詳細は国税庁HPを参照いただければと思いますが、借入金の要件としては金融機関からの借入などが要件となっております。譲渡の際の特例を受けていないことその他の要件として、居住した日の年の前後の2年ずつの5年間に、居住用財産の譲渡した場合の特例を受けていないことなどが要件となっています。例えば今まで居住していた物件を譲渡して、新築する場合などはこの要件を満たさない可能性もあるため特に注意が必要です。税金から直接控除できるので減税額が大きい可能性が高い住宅ローン控除は通常の所得控除とは異なり税額控除という種類のものになります。所得控除とは収入から差し引ける金額のことで、収入から所得控除を差し引いたものが所得というイメージです。そして所得をもとに税額の%を掛けて所得税を計算する流れになります。一方、税額控除とはその名のとおり税額から控除できます。つまり税金から直接差し引くことができる控除になるため、納めた税金の額が大きければその分、減税額も大きい可能性が高いです。住宅ローン控除の申請方法先述したように住宅ローン控除は減税効果が大きいものではありますが、適用するためにはどのようにすればいいのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の申請方法について紹介します。初年度に確定申告しておく2年目からは年末調整で処理が可能となりますが、初年度だけは確定申告をしておかなければなりません。初年度の確定申告については、内容が煩雑になるため専門家への依頼も選択肢の1つとなります。参考:床面積の居住割合に注意確定申告の際の注意点として、建物の総床面積のうち居住割合が50%以上ないと住宅ローン控除が受けられないという点については見落としやすいので注意が必要です。税理士などの専門家へ依頼する際も確認されるかと思いますので要件を満たしておかなければいけません。せっかく念願のマイホームを購入しても、住宅ローン控除が受けられなくては喜びも半減となってしまうため購入の前によく検討していただくことが大事です。2年目の年末調整前の準備初年度の確定申告後の注意点として、確定申告をした年に2年目以降の年末調整に使用する住宅ローン控除に関する書類が複数年分まとめて送られてくることになります。書類の保管場所を決めておかないと紛失してしまう可能性もあります。再交付も可能ですが、紛失しないことが一番なので送られてきた際は大事に保管しておくことが重要です。年末調整時に提出住宅ローン控除は確定申告後、2年目以降は年末調整で控除が可能です。そのため年末調整時に提出している給与所得者の扶養控除等申告書や保険料控除申告書などと一緒に必要な書類を準備します。住宅ローン控除の提出書類住宅ローン控除を年末調整で処理するためには、通常の年末調整の書類の他にも書類を提出しなければいけません。ここでは2種類の提出書類について紹介します。[adsense_middle]給与所得者の住宅ローン控除申告書の書き方今回のケースでは、新築で自宅と土地を夫婦折半で購入した場合について考えていきます。まずは、まとめて送られてきている給与所得者の住宅ローン控除申告書(給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書)の中から該当年度の書類を使って記入していきます。使わなかった書類は翌年度以降に使用するため、保管場所などを決めて大事に保管しておくことをおすすめします。住所等の記入欄書類の左側から書き方について紹介します。税務署長:お勤め先の管轄の税務署名を記入します。給与の支払者の名称(氏名):お勤めの勤務先の名称を記入します。給与の支払者法人番号:お勤め先で管理している場合が多いため確認して記入します。給与の支払者の所在地(住所):お勤め先の住所を記載します。あなたの氏名:氏名を記入し、認印などで押印をします。その上には世帯主の氏名と続柄の記入をします。あなたの住所又は居所:新築等で取得した自宅の住所を記入します。計算の記入欄(前半)次に計算の記入欄(前半)について紹介します。左側の記入欄が新築や購入に関する計算となるため、今回のケースでは左側の記入欄について紹介します。記入欄①:今回のケースでは自宅と土地の購入という形なので、Cの記入欄の住宅及び土地等に金額を記入します。なお記入金額については夫婦折半の金額で個人ごとの金額を記入する形です。記入欄②:書類の一番下が確定申告時の内容の証明書となっています。そのため②のA、Bについては証明書の内容を転記する形となります。最後に②のCについてはA、Bの合計金額を記入します。記入欄③:②と同様に③のA、Bについては証明書の内容を転記する形となります。最後に③のCについてはA、Bの割合の合計を記入します。計算の記入欄(後半)計算の記入欄(後半)について紹介します。記入欄④:①のCの金額を転記します。記入欄⑤:①のCの金額を転記します。記入欄⑪:①のCの金額を記入します。記入欄⑭:⑪×1%(取得時の年月日によって異なりますが今回は1%のケースとしておきます)その他の記入欄その他の記入欄について紹介します。年間所得の見積額:所得要件があるため見積でいいので所得金額を記入します。連帯債務による住宅借入金等の年末残高:住宅ローンの夫婦の総額の年末残高を金融機関から送られてきた残高証明書を参照しながら記入します。備考:連帯債務がある場合は、住宅ローンの債務の総額と個人の負担額を記載して住所、記名押印、勤務先住所、勤務先等を記入します。住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書とは?住宅ローンを組んでいる金融機関等からは、毎年年末残高が記入されている住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書が送られてきます。住宅ローン控除では住宅ローンの年末残高を基準として、所得税の控除金額を計算するため大変重要な書類となります。一般的に10月頃から届き始めるので到着したら、税務署から送られてくる給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書と一緒に保管しておくのも1つの方法です。参考:繰り上げ返済などを行った場合先述したように金融機関の残高証明書は10月頃送られてくるのですが、通常通り返済した場合の予定の残高となります。そのため10月以降に繰り上げ返済などをすると当然、年末の予定残高も変わってきてしまいます。繰り上げ返済などをした場合は、早めに金融機関に問い合わせをして書類の再発行の手続きを取ることをおすすめします。年末調整による住宅ローン控除に関するまとめ今回の記事では年末調整による住宅ローン控除について、申請方法や書類の書き方について紹介しました。1年目に確定申告を自分で行った人は、年末調整での住宅ローン控除申請は楽に思えるかもしれません。しかし1年目の確定申告を専門家に依頼した人にとっては、年末調整での住宅ローン控除申請は書類の種類も増えるため手間がかかるものです。確かに手間はかかるかもしれませんが、書類の管理さえ徹底することができれば必要以上に構える必要はありません。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年10月13日一年の終わりが近づいてくると、会社や個人事業主の事業所で勤務されている方は年末調整の用紙を渡されて記入を会社からお願いされるかと思います。その際、提出期限を区切って提出を頼まれることがも多いかと思いますが、その提出期限を過ぎてしまうとどうなるのでしょうか?また書類には、実際のところどのような意味があるのかについても気になるところです。そこで今回の記事では、年末調整の提出期限の意味や年末調整に必要な書類などの年末調整の疑問点について紹介していきます。年末調整の概要・記入書類年末調整の概要年末調整とは、会社や事業所で勤務されている方が毎月概算で源泉徴収されている源泉所得税を、最終的に個人の計算期間である1月分から12月分までに源泉徴収された所得税と、実際のその人の所得税の金額を計算して差額を調整する処理のことをいいます。そして会社では税金の差額を調整し、1年間の収入を確定させて源泉徴収票という書類を発行する流れとなります。例えば、毎月の概算の所得税が実際の所得税よりも多かった場合は還付、少なかった場合は不足ということで所得税の差額を従業員に戻したり、徴収したりします。年末調整で記入する書類一般的には記入を依頼される書類として給与所得者の扶養控除等申告書と給与所得者の保険料控除申告書のセットを渡されるケースが多いです。どちらの書類にも上段に自分の住所と氏名などを記入する欄があるのですが、若い人の中にはまだ扶養家族もなく、民間の保険にも特に加入していないという人がいるため、上段の住所と氏名などを記入して提出という場合があります。このように記入する箇所が少ないと、とても楽に感じますが各書類の提出にはどのような意味があるのでしょうか?次に各書類の概要について紹介していきます。給与所得者の扶養控除等申告書会社や事業所で書類の記載を依頼される場合に、渡される書類です。内容としては個人の状況や扶養親族の人数を記入する書類になります。例えば前年と同じ扶養人数のままで毎月の所得税を差し引いているケースの場合、年末調整の提出の際、扶養親族が扶養から外れていた場合などは年末調整の計算によって所得税の金額が不足していることが考えられます。このように前年と今年とで扶養親族の扶養状況などが変わっている場合は、年末調整で所得税の差額が計算される場合があります。給与所得者の保険料控除申告書主に民間の保険会社に保険料を支払っている場合などに、記載していく書類になります。下記に各控除について記載していきます。生命保険料控除民間の保険会社に保険料を支払っている場合、保険料控除証明書という書類が届くので、これらの書類をもとに必要事項に記載していきます。生命保険料控除は一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3種類の項目があり各項目で最大4万円までを控除することができます。(合計で最大12万円が保険料控除になります。)なお記載については保険料控除証明書にどの項目に該当するのか、新保険料か旧保険料かなどが表示されているため、それらを参考にして記載していきます。地震保険料控除建物などに保険をかけている場合、地震保険料控除証明書という書類が送られてきます。この書類を参考に地震保険料控除の欄に記載をしていきます。社会保険料控除勤務先の会社や事業所で社会保険に加入していない場合は、その年の国民健康保険料と国民年金の支払金額を記載していく形となります。また、会社や事業所で社会保険の加入をしていても国民健康保険料や国民年金を支払っている場合もあります。(例:前職で社会保険の加入がなく、新しい勤務先で社会保険に加入した場合など)そのような場合もやはり、その年の国民健康保険料と国民年金の支払金額を記載していきます。小規模企業共済等掛金控除例としてiDeco(イデコ)などの確定拠出年金への支払が挙げられます。確定拠出年金などの支払をしている場合も小規模企業共済掛金払込証明書などの書類が送られてきますので、その書類をもとに記載をしていきます。これらの控除が何もとれないという人が、特に若い人に多い傾向にあります。もしこれらの控除をとれるのであれば、面倒がらずに積極的に記載していくことをおすすめします。年末調整にはなぜ期限があるの?会社や事業所から年末調整の用紙の記入について依頼される場合は、いつからいつまでに提出して下さいなどと期限を区切られている場合が多いのですが、ここではなぜ期限が区切られているのかの理由について紹介します。[adsense_middle]毎年、源泉徴収の結果を調整する月が決まっているため年末調整は毎年行われている手続きなので、その調整する月も会社や事業所によって毎年のルールがある場合が多いです。例として年内に年末調整の処理を完了させてしまう会社もあれば、年明けに年末調整の処理を完了させる会社もあります。このように会社によって年末調整を完了させる月は違いますが、会社ごとに年末調整の結果を調整する月に間に合わせるために期限を区切る場合が多いのです。給与支払報告書という書類の提出期日に間に合わせるため会社や事業所では、各従業員の年末調整の計算後、給与支払報告書という書類を作成します。この書類は、毎年1月31日までに会社や事業所で計算された年末調整の結果を各市町村に提出する書類です。この給与支払報告書を提出することによって、各市町村ではその会社や事業所が、給与として従業員にどのくらいの金額を支払っているのか、住所はどこなのかなどの個人情報を把握することができるようになるのです。年末調整で収入が確定する最終的には確定申告で収入が確定するという例外はありますが、基本的には給与所得者の方は、年末調整でその年の収入が確定する形となります。市区町村では、年末調整で計算された収入をもとに作成された給与支払報告書によって各個人のその年の収入を把握します。そしてその把握した収入をもとに住民税の計算をします。以上の理由から年末調整は、各種の手続きの土台となる重要な手続きであると言えるのです。会社への提出締め切りに間に合わない場合はどうなるの?年末調整の処理を担当している部署などから、いつまでの締め切りに間に合わない場合は、会社では年末調整をしないので確定申告を行ってくださいと言われることはないでしょうか?前の記事で少し上述しましたが、基本的に給与収入を得ている給与所得者の人は年末調整によって収入が確定する形となります。しかし会社の締め切りに間に合わず、年末調整で正しい処理ができなかった場合や、年末調整で処理できない項目がある場合などは、その人自身が確定申告を行うことで最終的に収入が確定する形になります。つまり収入の確定の流れとして第一段階として年末調整、最終段階として確定申告というイメージになります。ここでは詳細について紹介していきます。会社への書類の提出が間に合わない場合基本的には会社や事業所で、扶養控除等(異動)申告書、保険料控除申告書の二枚を渡されて、いつまでの締め切りに提出して下さいと言われる形かと思います。しかし日々の業務に忙殺されてしまい、書類の準備を忘れてしまったり、準備が遅れてしまったりといった具合に締め切りに間に合わない場合もあります。このような場合、会社では、その人の年末調整は未済という形で源泉徴収票を発行します。こうして発行された源泉徴収票は年末調整がされていない形の書類となるため、最終的には自分で確定申告をして税金の差額を調整する必要が出てくるのです。年末調整では処理できない項目がある場合給与所得者の人は、年末調整でその年の収入が基本的には確定する形となります。しかし次のような項目がある場合は年末調整で処理できない項目になるため、最終的に確定申告を行って収入や税金を確定させる形となります。その会社での収入以外の収入がある場合ふるさと納税をした場合初年度の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)医療費控除上記の他にも年末調整できない項目はありますが、給与所得者の人の確定申告の注意項目として主に上記が挙げられます。確定申告について年末調整が正しくできなかった場合や、追加項目がある場合は最終的に確定申告を行うことによって、その人の収入や所得税の税額などが確定します。ここでは確定申告について紹介していきます。[adsense_middle]確定申告の期限耳にする機会があるかもしれませんが、所得税の確定申告の期限はその年の3月15日までとなります。個人の人の所得税の計算期間は、その年の1月から12月までと定められていますが、その間の書類をまとめて約2ヶ月半で計算して確定申告書を提出する流れとなります。確定申告については基本的には自分で必要書類を集めて書類の提出をしなければなりません。次に主に給与所得者の方が確定申告をする際に必要な書類について紹介していきます。確定申告の必要書類確定申告書給与所得者の確定申告書の書類は確定申告書Aという書類になります。確定申告をする場合は、紙で提出する方法と電子申告をする方法があります。作成については国税庁のHPに確定申告書等作成コーナーというページがあるため参考にしてみて下さい。源泉徴収票2ヶ所から給与をもらっている場合は、源泉徴収票がそれぞれの会社や事業所から発行されます。源泉徴収票は、その人の1年間の収入金額、給与から天引きされた所得税の金額や社会保険料の金額などが記載されています。確定申告ではそれらの数字を使って入力していきます。その他の追加項目給与所得者の方が、2ヶ所から給与をもらっている以外に年末調整では処理できない項目は上述したとおり、主にふるさと納税をした場合や、住宅ローン控除を初めて行う場合、医療費控除を確定申告で行う場合などが考えられます。ここでは各項目について紹介していきます。ふるさと納税をしている場合の必要書類自分が応援したいと思う自治体に寄附をするふるさと納税を行っている人も多いかと思います。この場合、確定申告を行うことで寄附金控除という控除が取れるため、最終的に計算される所得税の金額が少なくなる形になります。必要書類としては寄附金受領証明書という書類が必要となります。寄附金受領証明書は寄附をした自治体から発行される書類で、おおよそ申込完了日から2ヶ月くらいで発行されるケースが多いようです。医療費控除を行う場合の必要書類必要書類としては、医療費の明細書もしくはそれに代わるエクセルなどで医療費を集計した書類になります。医療機関受診の際、受け取る領収書を1年分取っておくか、協会けんぽから送られてくる医療費のお知らせを参考に書類を記入する形になります。初年度の住宅ローン控除を行う場合の必要書類住宅ローン控除は住宅借入金等特別控除ともいい、2年目からは年末調整での処理が可能ですが、初年度だけは確定申告によって書類の提出をしなければいけない形となっています。必要書類としては主に下記のとおりです。建物・土地の不動産売買契約書のコピー建物・土地の登記事項証明書住民票(本当にその人がその住所に住んでいるのかを税務署で確認するため必要となります)借入金残高証明書(金融機関から発行されます)住宅借入金等特別控除額の計算明細書初年度の住宅ローン控除がある確定申告については、上記の他にも書類が必要となる場合もあり複雑になる傾向があります。もし今回の記事を見て、自分で申告を行うのが難しそうと感じた場合は税理士などの専門家に依頼するのも1つの方法です。年末調整のしかた・年末調整はいつまでかに関するまとめ年末調整は、毎年書類の提出を頼まれるので面倒だと思う人も多いのではないでしょうか?方法としては、会社の締め切りに間に合わなくても確定申告という最終の手段があります。イメージとしては年末調整よりも自分で行うため面倒になりますが、更に期限を延ばすことが可能です。しかし、年末調整では処理できない項目がある場合に確定申告をするのは仕方ないことですが、基本的には会社の年末調整で手続きを終わらすことができるのであれば、確定申告をしなくても済むよう締め切りまでに書類の提出をするのが、結局は手間が省けることになるためおすすめです。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年10月10日年末調整で行う地震保険料控除申請がよくわからず地震保険料控除申請を行わない方もいらっしゃいます。毎年の地震保険料控除申請で減税できる金額は微々たるものでも、10年、20年と積み重なると数十万円を超える場合もあるので、地震保険に加入されている方は地震保険料控除申請を行うことをおすすめしています。今回は地震保険に加入されている方、加入を検討されている方向けに、地震保険の基礎知識と地震保険料控除のポイントをご紹介します。知っておきたい地震保険の基礎知識地震保険料控除に関するまとめ今回は年末調整時に行う地震保険料控除のポイントをご紹介しました。国が定める控除は私たちの利益につながるものが多いので、地震保険料控除だけでなくその他の税金に関する控除も積極的に活用して減税制度を最大限活用しましょう。小さいことの積み重ねが大きなお金を生み出します。ぜひ将来的に節税できる金額を想像しつつ、楽しんで地震保険料控除申請を行われてください。
2019年10月08日所得控除のひとつである「地震保険料控除」。この記事では年末調整で地震保険料控除を受けるにはどうすればいいのか。控除額の計算方法や必要書類の書き方について解説します。地震保険料控除とは三井住友海上保険料控除証明書の例(2年目以降)三井住友海上旧長期損害保険に係る経過措置地震保険料控除が2007(平成19)年から適用開始されたのと同時に、火災保険や傷害保険など幅広い保険種類が対象となっていた「損害保険料控除」が廃止されました。経過措置として一定の要件を満たす損害保険は地震保険料控除の対象となる損害保険料控除廃止に伴う経過処置として、以下の要件を満たす長期損害保険の保険料については、「旧長期損害保険料」として地震保険料控除の対象となっています。2006年12月31日までに締結した契約(保険(共済)期間の始期が2007年1月1日以後のものは除く)満期返戻金のあるもので保険(共済)期間が10年以上の契約2007年1月1日以後に、その損害保険契約等の変更をしていないもの(*1)*1 旧長期損害保険契約に該当する火災保険に地震保険が付帯されている場合、地震保険料のみの変更はここでの変更とはみなされず、保険料変更後も経過措置の対象となります。地震保険料控除額の計算方法国税庁保険料控除証明書三井住友海上保険料控除申告書における地震保険料控除に関する事項の書き方給与所得者の保険料控除申告書に記載する項目は以下のようなものです。契約している保険会社等の名称保険等の種類(保険の目的)保険期間保険等の契約者の氏名保険等の対象となった家屋に居住または家財を利用している者等の氏名・申告者からみた続柄地震保険料・旧長期損害保険料の区分その年に支払った保険料のうち、選択した区分の金額控除額の計算結果給与所得者の保険料控除申告書(地震保険料控除欄)の記載例国税庁記入のポイント記入の際には次のようなポイントに注意が必要です。保険契約者と保険対象となっている家屋の居住者・家財の利用者との関係保険対象となっている家屋などに住んでいる人、家財を利用している人は、申告者(納税者)本人または本人と生計を一にしている親族でなければなりません。これは地震保険料控除を受けるための要件であり、もし異なれば控除を受けられません。控除額の計算控除額の欄には、保険会社から届く保険料控除証明書に記載の金額をもとに、先述の「地震保険料控除の控除額の計算方法」に従って計算した結果を記入します。地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合、それぞれ別々に控除額を計算したものを合算して控除額を求めます。その場合の上限は5万円です。地震保険料の控除額の上限は5万円、旧長期損害保険料の控除額の上限は1万5,000円ですが、単純な合計ではない点に注意が必要です。年末調整で地震保険料控除を受ける方法に関するまとめ地震保険料控除は年末調整で控除を受けられます。控除申請に必要な情報は基本的に保険料控除証明書に記載されており、多少の計算は必要ですが、仕組みを理解できていれば難しいものではありません。年末調整で申請し忘れた場合、控除を受けるには確定申告が必要になってしまいます。控除の対象となっている人は申請を忘れないようにしましょう。
2019年10月04日年末が近づいてくると、年末調整の対象になるのか又は対象じゃないのかという話を耳にする機会があるかと思いますが、そもそも年末調整とはどのような手続きのことをいうのでしょうか?年末調整とは、会社で行う各個人の所得税の精算の手続きのことなのですが、そもそもアルバイトやパートの人の場合も年末調整をされているのかどうかも気になるところです。今回はアルバイトやパートの人が年末調整の対象になるのか、収入が103万円以内の人やアルバイトなどの掛け持ちの人の場合も含めて紹介していきます。年末調整とは源泉徴収された所得税の精算手続き会社や個人事業主の事業所に勤務している人は、アルバイトやパートの人でも扶養している家族がいない場合、月88,000円以上の給与収入があれば概算の所得税が差し引かれて給与が支給されています。この給料収入から概算で所得税を差し引く処理を源泉徴収と呼びます。学生や派遣の人は年末調整の対象?年末調整の手続きは、学生であることや派遣で勤務していることなどの条件に関わらず行われます。年末調整とは源泉徴収された所得税を、最終的に12月までの各個人の所得控除分を考慮して精算する手続きのことをいいます。ではなぜその年の12月までの所得控除分で所得税の精算をするのでしょうか?理由として個人の所得税の計算期間が、暦上の1年の始まりである1月から1年の終わりである12月までの間の期間で計算される点が挙げられるからです。このように源泉徴収では概算で毎月の所得税が差し引かれていて、最終的に個人の計算期間である1年間で計算した給与収入の金額が103万円以内の人は、年末調整によって最終的に所得税はかからない形になります。年末調整の計算によって、最終的に各個人から源泉徴収された所得税の金額が多すぎた場合はその分の金額を還付し、逆に源泉徴収した所得税の金額が少なかった場合は、不足分の金額を徴収して年末調整の手続きが終了する流れになります。参考:103万円の基準とは?よく103万円の壁という話を聞く場合が多いかと思いますが、なぜ103万円以下だと税金がかからないのでしょうか?基本的には収入から経費を差し引いて残った金額に%をかけることによって所得税は計算されます。給与収入の場合、経費に該当するものとして給与所得控除が挙げられます。2019年現在、103万円以下であれば給与所得控除は65万円取れます。この結果、給与収入103万円から給与所得控除65万円を差し引いて残った額が38万円となります。残った額の38万円というのは、人が基本的に誰でも取れる所得控除である、基礎控除の38万円と同じ金額になります。こうして残額の38万円から基礎控除38万円を差し引くと0円ということになるため所得税がかからないというわけです。掛け持ちの場合は?それでは掛け持ちでアルバイトやパートをしている人はどうなるのでしょうか?結論としては掛け持ちでアルバイトやパートをしている人は、主なアルバイト先のみの給料額で年末調整されます。しかし二か所目の勤務先では年末調整を行うことができないため確定申告をする流れになります。そもそも年末調整の手続きは、給与所得者の扶養控除申告書という書類を提出した会社や個人事業主の事業所で行われます。この書類は主な勤務先にのみ提出ができる書類で、主な勤務先の判断基準としては収入額が多いか少ないかで決めるケースが一般的です。なぜ収入額が多い勤務先を主な勤務先にするかというと、主な勤務先では源泉徴収する税額を甲欄と呼ばれる低い税額で計算できるのですが、二か所目の勤務先は従たる勤務先という扱いになり、源泉徴収する税額が甲欄より高い乙欄の源泉徴収税額で差し引かなければならなくなるからです。例を挙げると、月88,000円で扶養家族がいない人の場合、甲欄で源泉徴収される税額は130円なのですが、乙欄で源泉徴収される税額は3,200円になります。同じ金額を稼いでも甲欄と乙欄の税額ではこれだけの違いがでてくるため、一般的には収入額で主な勤務先と従たる勤務先を判断する形になります。このように主な勤務先でのみ年末調整が行われる形となり、確定申告が必要になる流れとなります。確定申告とは?先述のように、掛け持ちでアルバイトをしている場合、二か所目の勤務先が従たる勤務先という扱いになり源泉徴収が乙欄で行われています。このようなケースでは、確定申告をすることによって乙欄で高めに源泉徴収されている所得税の金額を年末調整をした所得税の金額と合算して最終的な所得税を計算することができる形となります。合算すると乙欄では、やはり高めに差し引かれているケースが多いため最終的に所得税が還付になる可能性があります。[adsense_middle]対象者は?確定申告の対象者は、次の通りです。給与所得がある方公的年金等にかかる雑所得のみの方退職所得がある方上記以外の方ここからは特に、確定申告の対象者となっている給与所得のある方について詳細を紹介していきます。給与所得のある方とは?先ほど記載したとおり、通常ですと給与所得のある人は年末調整で所得税の精算手続きが終了していると考えられるため確定申告は不要です。しかし次のような場合は確定申告が必要とされています。給与収入金額が2000万円を超える給与所得、退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える二か所以上から給与を受けていて、乙欄の給与収入と給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えるつまり給与収入を得ている人で、2000万円を超える金額の場合や、給与や退職所得以外の副業などで得た収入から経費を差し引いた残りの金額が20万円を超えている場合(収入から控除などの経費を差し引いたものが所得という形になります)がこれに当たります。また二か所以上から給与を受けていて、従たる勤務先の給与収入と副業などで得た収入から経費を差し引いた残りの金額が20万円を超えている場合は確定申告が必要ということになります。確定申告書の作成について先述したとおり、確定申告が必要な条件に当てはまっている場合は、当然のことながら確定申告が必要になります。手続きとしては自分で作成するか、専門家に依頼するかのどちらかで作成していく形になるかと思います。インターネットを使える方は、インターネットで国税庁HPに確定申告等作成コーナーがあるため、その指示に従って入力していけば自分でも簡単に作成することができます。例として二か所から給料を受けている場合、具体的な必要書類としては二か所から給与を得ているため、二枚の源泉徴収票が必要になってきます。年末調整通りの内容の場合は、二枚の源泉徴収票に記載されている内容をそのまま入力することによって合算された最終的な所得税が精算される形になります。また、その他個人確認用の書類としてマイナンバーの記載や、マイナンバーカードの写しの添付が必要となります。もしマイナンバーカードを取得していない場合はマイナンバー通知書と写真付き身分証明書の写しが必要となってきます。このようにして作成できた書類を添付書類と一緒に管轄の税務署に直接持ち込むか、又は書類を管轄の税務署に郵送すれば確定申告は完了です。なおもう一部同じ書類を作成し、控にも収受印を押してもらうことをおすすめします。専門家への依頼の検討確定申告書は二か所から給与を受けているだけのケースの場合は、自分でも時間をかければ作成することは可能かと思います。しかし時間がなかなか取れなかったり、他にも医療費控除などの所得控除を受けたいという場合もあるかもしれません。そこで時間の節約や間違いを未然に防ぐ意味でも、確定申告が複雑になりそうであれば税理士などの専門家への依頼を検討することをおすすめします。給与所得者の扶養控除申告書って何?あまり意識されていないかもしれませんが、年末調整は給与所得者の扶養控除申告書という書類の内容を基に手続きが進められます。ではそもそも給与所得者の扶養控除申告書とはどのような書類なのでしょうか?[adsense_middle]扶養控除申告書の詳細について給与所得者の扶養控除申告書とは、別名、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書ともいいます。会社で保管義務のある書類で、本人の氏名や扶養する家族の有無、人数を把握するための書類になります。会社ではこの書類の内容に基づいて毎月差し引く源泉徴収の金額を計算します。具体的には、まず書類上部の左から会社の所在地を管轄する税務署名や会社名などを記入する欄がありますが、この部分は会社の方ですでに記載してくれているのが一般的です。自分たちで記載しなければいけないのは下記になります。自分の氏名(フリガナ):名前の横に押印自分の個人番号自分の住所又は居所:ここの記載内容に基づいて住民税の用紙が郵送されるため、実務的には生活の場所を記載するのが一般的です。自分の生年月日世帯主の氏名自分と世帯主の続柄:世帯主が自分自身であれば本人という記載で大丈夫です。配偶者の有無:該当箇所に○を付けます扶養親族について書類の中央の欄は扶養親族について記載する箇所になります。なおこの箇所は、独身の方であれば書類の上部の記載のみで終了という形になります。源泉対象控除配偶者基本的には配偶者を記載する形になります。しかし配偶者の控除の条件が2018年分からさらに厳しくなったため、次の条件に該当する場合に記載する形になります。本人の合計所得金額が900万円以下上記の人と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が85万円以下の人上記の他にも細かな条件はありますが、基本的にはこの条件に該当する場合が源泉対象控除配偶者ということで控除が取れる形になることをご承知おきください。控除対象扶養親族基本的には、その年の12月31日時点の年齢が16歳以上の人で、給与のみの収入の場合は103万円以下の人を扶養している場合に記載します。障害者、寡婦又は寡夫又は勤労学生その他、障害者、寡婦、寡夫、勤労学生に該当する人を扶養している場合に記載します。住民税に関する記載書類の下部は、16歳未満の扶養親族がいる場合には住民税の控除の対象となるため記載します。アルバイトをしている場合の年末調整に関するまとめ以上、ここまで年末調整について紹介してきました。基本的には、1か所だけでの勤務先での勤務の場合は年末調整によって所得税の精算が完了する場合が多いかと思います。しかし二か所の勤務先で掛け持ちでアルバイトをしている場合や、副業などによって所得が20万円を超えるような場合は確定申告をする必要があります。確定申告については、国税庁のHPで作成しやすいような工夫がなされていますが、それでも自分だけで作成するのは時間がかっかったり難しかったりするケースもあります。そのような場合は無理せず税理士などの専門家への依頼を検討することも1つの方法です。この記事が少しでも、お役にたてれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年10月02日現行の年金制度では、原則として65歳になると、将来の老後生活資金にあたる老齢年金を受け取ることができます。ただし、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできるようになっています。本記事では、これらの内、年金の受け取りを遅らせる繰り下げ受給についてポイント解説を進めていきます。国民年金の繰り下げ受給とは老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げは、66歳から1ヶ月ごとに0.7%ずつ増額され、細かく増額率が設けられていることが分かります。年金を繰り下げすることによってもらえる年金が増えることはご理解いただけたものの、実際の年金額がいくらになるのかイメージがわかないと思いますので、次項では簡単な例で繰り下げ受給の効果を紹介します。老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げをした場合の年金額老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間においてすべて国民年金保険料を納付した場合、65歳から支給される年金額は年額で780,100円です。(令和元年9月現在)ここでは、仮に40年間の国民年金保険料をすべて納めた状態の人が、66歳0ヶ月から繰り下げした場合と70歳から繰り下げした場合の年金額を以下に紹介します。歳0ヶ月から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×4%≒65,528円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:845,628円(780,100円+65,528円)老齢基礎年金(国民年金)を繰り下げした場合の年金額を計算するには、年間の年金額に増額率を乗じて計算します。66歳0ヶ月から繰り下げした場合、上記表(緑枠)より8.4%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は845,628円となり、1ヶ月あたりの年金額は70,469円となります。70歳から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×42%=327,642円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:1,107,742円(780,100円+327,642円)70歳から繰り下げした場合、上記表(水色枠)より42%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は1,107,742円となり、1ヶ月あたりの年金額は約92,311円となります。厚生年金をもらえる人は、老齢厚生年金も繰り下げの対象会社員や公務員の方をはじめ、これまで厚生年金保険に加入した年金履歴がある人は、前項で紹介した老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も支給されます。この時、年金の繰り下げを行った場合、国民年金から支給される老齢基礎年金だけではなく、厚生年金から支給される老齢厚生年金も繰り下げの対象となります。なお、厚生年金を繰り下げした場合における増額率は国民年金と同様ですが、厚生年金を繰り下げした場合、経過的加算額が上乗せされるため、受け取ることができる年金はさらに多くなります。年金受取年齢は何歳が良いのか?65歳を基準に比較検証本記事の冒頭では、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできる旨をお伝えしました。年金を早くもらうことを繰り上げ、遅くもらうことを繰り下げと言いますが、ここでは本来年金が支給開始になる65歳を基準に、繰り上げした場合、65歳から年金をもらった場合、繰り下げした場合の3つを比較してみます。[adsense_middle]比較検証の前提条件と比較結果比較検証を分かりやすくするために、以下の前提条件で簡易なものとします。比較検証は、60歳から繰り上げをした場合、65歳から年金を受け取る場合、70歳まで繰り下げした場合の3パターンを比較します支給される年金は、令和元年9月現在における老齢基礎年金の満額(780,100円)のみとします60歳からの繰り上げは、30%減額とし、70歳からの繰り下げは42%増額とします死亡年齢は、平均寿命とし、男性81歳、女性87歳とします上記以外の条件は、加味しないものとします男性の場合女性の場合比較検証結果は、何年生きられるかわからないため、結果論に過ぎない比較検証の結果、男性も女性も平均寿命まで生存していた場合、年金を70歳から繰り下げする受取方法が最も有利であることが分かり、女性の例のように、長生きをすればするほど総受取年金額に大きな差が生じることになります。ただし、自分自身が何歳で死亡するのか分からないわけでありますから、あくまでも比較検証は結果論であり、早くに死亡した場合は逆転現象が起こることになります。年金を繰り下げするメリットとデメリットこれまでの解説や比較検証を基に、年金を繰り下げするメリットとデメリットをまとめます。年金を繰り下げするメリット年金を繰り下げするメリットは、本来もらえるはずの年金が多くなるところにあります。前項の比較検証は、国民年金(老齢基礎年金)のみの場合で簡易的なものとなりますが、仮に厚生年金から支給される老齢厚生年金のことも考慮しますと、年金を繰り下げすることによる年金額の増加は、さらに大きなものになります。また、繰り下げした際の増額率は一生変わらないため、長生きするほどその効果が大きくなります。年金を繰り下げするデメリット年金を繰り下げするデメリットは、仮に早くに死亡をしてしまった場合、もらえるはずであった老齢年金を受け取ることができないため、結果としてロスが生じてしまう懸念があります。このほか、国民年金の振替加算や厚生年金の加給年金など、ざっくり言ってしまうと、一定条件を満たすことで保障されるその他の年金が支給されないデメリットが生じる点も挙げられます。毎年、税金を納めなければならない懸念が生じる年金の繰り下げを行いますと年金収入が多くなりますが、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)は、雑所得として税金が課される対象となります。そのため、たとえば年金を繰り下げして70歳からもらう場合などで、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)をいずれの年金も受け取る場合などは、毎年税負担が強いられる可能性が高くなります。税法上の扶養控除の対象にならない懸念が生じる年金を繰り下げすることによって年金収入が多くなった場合、年金受給者である本人は税負担が生じる可能性があるほか、税法上の扶養控除の対象にならない懸念も生じます。たとえば、会社員である子供と同居をしていたと仮定し、年金収入が少ない場合、子供は親を扶養控除の対象とすることができる可能性が高く、税負担を軽減させられますが、繰り下げによる年金収入が多い場合は、扶養控除の対象外になってしまう可能性も否めません。健康保険の被扶養者になれない可能性が高くなるこちらも会社員である子供と同居をしている例で紹介しますが、年金を繰り下げすることによって年金収入が多い場合、健康保険の被扶養者になることができず、75歳になるまでは国民健康保険に加入する必要があります。(75歳から後期高齢者医療保険に切り替わるため)健康保険の被扶養者になれることで国民健康保険の負担を当然に避けられますが、世帯全体で見ますと、無駄にお金を支出してしまう懸念が生じることも否めません。年金を繰り下げする上での注意点年金を繰り下げすることによって年金が多くもらえることは確かですが、前項で紹介した各種年金制度や税金をはじめ、公的保険などの関係性も幅広い視野で見ていきますと、一概に年金が多くもらえるから得といった考えになるのは危険です。年金を繰り下げすることによって年金収入が増加する分、税負担や公的保険の負担が強いられるとするならば、それらの支出を差し引いたトータルで、年金の繰り下げを検討する必要があると言えます。以下、年金を繰り下げするその他の注意点について紹介します。[adsense_middle]年金の繰り下げ手続き後に取り消しや修正はできない年金の繰り下げをするためには、繰り下げをするための手続きをする必要があるのですが、一度繰り下げ手続きをしますと、後から取り消しや修正といった各種変更をすることはできません。そのため、年金の繰り下げ手続きを行う前は十分に考え、慎重な判断が必要になると言えるでしょう。年金の繰り下げは、遺族が代わりに行うことができない仮に、年金の繰り下げの待機中に本人が死亡してしまった場合、遺族は死亡した本人がもらうべきであった年金を未支給年金といった形で受け取ることができます。ただし、未支給年金は日本年金機構(年金事務所)に対して請求しなければもらえないほか、未支給年金の金額は繰り下げした金額ではなく、本来ならば65歳から支給されるはずであった金額となります。他の年金を受け取れる権利が発生した場合、繰り下げできない他の年金を受け取れる権利とは、具体的には66歳になる前に遺族厚生年金や障害厚生年金などを受け取れる権利を得た人のことを指し、このような人は年金の繰り下げができないことになっています。年金の繰り下げは、損得以前に老後生活ができるのかを考える年金は、老後生活をしていく上で極めて重要な生活資金であることを踏まえますと、年金の繰り下げは損得以前の問題であり、そもそも年金の支給が無い状態で老後生活をしていくことができるのかを考える必要があります。なぜならば、一度年金の繰り下げ手続きを行った場合、後から変更をすることができないからです。仮に若年者の方で、将来年金の支給が無ければ老後生活が厳しい人にとってみますと、年金の繰り下げを考えるよりも、まとまった老後生活資金を準備する対策を事前にとっておく方が望ましいと言えそうです。年金の繰り上げも考慮した長期目線の老後生活を考える年金の繰り上げは、年金を早くから受け取ることができる仕組みですが、本来もらえるはずの年金が減額されたとしても、長期目線で老後生活のお金がうまく回るのであれば、決して悪いこととは言い切れない場合もあるでしょう。もちろん、年金の繰り上げも年金の繰り下げと同じようにメリットやデメリットがあるものの、目先のメリットやデメリットだけに捉われるのではなく、ご自身や世帯にとって納得のできる有利な選択を取れることが望ましいと思われます。年金の繰り下げに関するまとめ年金の繰り下げは、損得以前に、そもそも安定した老後生活を継続して行っていけるのかを考えておく必要があります。仮に、老後生活が厳しく、年金が老後生活資金に欠かすことができないものであるならば、少なくとも年金の繰り下げをすることは望ましい選択肢とは言えず、むしろ年金が減額されたとしても繰り上げする方が望ましい場合もあるでしょう。年金の繰り上げや繰り下げといった年金の受け取り方は、ご自身が置かれている状況をはじめ、考え方や直感による影響が強いものとなりますが、配偶者との相談も含めて納得のいく年金の受け取りを実現するようにしたいものです。
2019年09月15日本記事ではiDeCoの所得控除について考察します。記事の中ほどに「年収などの違いによってどのくらい減税の効果があるのか」分かりやすい一例の一覧表を作成しましたので、ご覧いただければ幸いです。iDeCoのメリットの一つ、所得控除とは税金がお得になることiDeCoは老後のための資産形成の制度です。大きなメリットが3つあります。「掛け金が全額所得控除になる」「運用益が非課税になる」「将来お金を受け取るときに所得控除が受けられる」この中でも今回は1の「掛け金が全額所得控除になる」について見てみましょう。iDeCoへの掛け金の全額が所得控除になる。iDeCoの所得控除の仕組み&メリットを受けられる対象は所得税・住民税が課税される人iDeCoの所得控除の仕組みを簡単に言うと「iDeCo口座に毎月(あるいはまとめて)お金を出していくと、税金の負担が減少しますよ」ということです。もう少し詳しく言いますとiDeCoに出した掛け金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。個人事業主や所得のある専業主婦などは確定申告が必要です。そして、iDeCoの所得控除の減税メリットを受けられる人は、会社員・公務員・自営業者などの「課税される所得のある人」です。【質問】所得税・住民税が課税されない人でもiDeCoに掛け金を出すと、所得控除のメリットがありますか?答え:ありません。所得税・住民税が課税されない人の場合には、所得控除による減税メリットはありません。ただ「減税メリットがないからiDeCoをする理由がない?」かというと、そうではありません。理由は後述します。【質問】家族のiDeCoの掛け金を自分が負担すれば、自分に減税メリットがありますか?答え:ありません。家族の掛け金を負担しても、減税メリットは得られません。iDeCoの所得控除はどのくらい減税効果があるのか【年収別シミュレーション】それでは具体的に、iDeCoの所得控除のメリットによる減税効果がどのくらいなのか一例を見てみましょう。注意点:以下は毎月掛け金を出した場合です。途中で課税所得や掛け金の変更がない前提です。こちらの一例は「イデコ公式HPかんたん税制優遇シミュレーション」を使用して出しています。実際とは異なることがあります。[adsense_middle]iDeCoの所得控除のメリット【金額】をチェックしてみよう共通の条件として、20歳で加入して60歳まで40年間続けた場合です。ちなみにiDeCoに出せるお金の毎月の限度額は「加入者区分」によって異なります。以降のシミュレーション一例では、以下のパターン(月/5,000円・12,000円・23,000円・68000円)で見てみましょう。最低掛け金額/月5,000円公務員の限度額/月12,000円会社員の限度額/月12,000円or23,000円(会社員の場合、企業年金のある・なしなどにより異なる)専業主婦(主夫)の限度額/月23,000円自営業者の上限/月68,000円①年収が200万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額上記を見ると掛け金に応じて軽減額が大きくなることが分かります。②年収が300万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額自営業者の上限68,000円のケース以外では①と同じ数値です。③年収が400万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額このケースでは②と全く同じです。④年収が500万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額③より減税金額が大きくなってきました。⑤年収が600万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額こちらは④と68,000円のところだけが異なります。⑥年収が700万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額やはり年収が上がるほどに所得控除の減税メリットが大きくなってくることが分かります。iDeCoの本当のメリットは所得控除じゃない?さて上記のシミュレーション一例をご覧になって、どのような感想を抱かれたでしょうか。「結局、高所得者の方がお得になるじゃないか」「所得が低いと減税の金額にお得感が感じられない」「そもそも収入の無い専業主婦だと所得控除のメリットがないからiDeCoをする気が起きない」などと思われた方もいらっしゃるかと思います。その一面は確かにあります。ただ、iDeCoは所得控除のメリットを受けられるだけの制度ではありません。その本質は「老後のためのもう一つの年金」にあります。どういうことでしょうか。[adsense_middle]老後の公的年金が減るからiDeCoは重要2019年8月27日に厚生労働省より「公的年金の財政検証」が発表されました。これは簡単に言うと、「公的年金の健康診断」のようなものです。5年に一度のペースで公表されます。今回のポイントはいくつかありますが、少しだけ見てみましょう。公的年金制度の「健康診断(財政検証)」のポイント一例:「減税だけじゃ乗り切れない?」筆者にとって(そしておそらく読者の方にとっても)印象的なのは次の点でした。現在20歳の方が現状の高齢者と同水準の年金をもらうには68歳9か月まで働く必要があるということでした。現在定年の多くは60歳ですので、実に8年9か月長く働かなくてはいけません。※ちなみにこれは今後「日本経済が良かった場合」の楽観的なシナリオです。現実はもっと悪くなると筆者は考えています。ちなみに30歳以降が今の65歳と同水準の年金を受給するには、次の年齢まで働かないといけないことが数値上算出されています。現在の30歳→68歳4か月現在の40歳→67歳2か月現在の50歳→66歳ここだけ見ても、何となくiDeCoやつみたてNISAを利用しての資産形成の重要性が見えてきます。将来、年金を現在と同水準もらうには、現在よりも(短くて)6年~8年4か月働かないといけない可能性がある。若い人ほど老後のお金は厳しくなる。所得控除のメリットにこだわりすぎないことも重要ではまた公的年金制度の「健康診断(財政検証)」では、所得代替率の低下についても触れられていました。所得代替率:ざっくり言うと、現役世代の今の私たちの手取り収入に対する年金額の割合。低いほど受け取れる年金額が少ない。いま(2019年度)は所得代替率が61.7%です。しかし「健康診断(財政検証)」では6つある、どのシナリオでも将来の所得代替率は低下しています。一番良いシナリオ→51.9%一番悪いシナリオ→36%~38%ちなみにこれは賃金が上がり続けるという前提のお話です。しかし直近5年間で賃金が上昇したのは2016年の一年だけでした。筆者の個人的な考えでは、一番悪いシナリオよりも将来は悪くなる(もらえる公的年金は減る)のではないかと考えています。その理由は少子高齢化です。公的年金は現役の世代が高齢者にお金を「仕送りする+積立金を上乗せしている形式」です。そして、今の現役世代が年金受給資格を得るころには、ますます若い人が減っていると思われます。つまり、「未来の私たちに仕送りをしてくれる人が減っている」わけです。そのため、将来のもらえる年金額は構造上減ってしまうと考えられます。ちなみに6つのシナリオの一番悪いものでは2052年には国民年金の「積立金が枯渇する」ということになっています。つまり「仕送りする+積立金を上乗せしている形式」の「積立金を上乗せしている」部分がなくなって、単純な「仕送り形式(正式には賦課方式という)」になることを意味しています。早い話が受け取れる年金がさらに減る可能性があります。ちなみに公的年金を受給開始後も、加齢とともに所得代替率は下がる見通しです。嫌なお話ばかりですが、だからこそiDeCoの所得控除のメリット以外について考えてみることが重要かもしれません。将来もらえる年金の所得代替率は今61.7%だが、36%~38%(あるいはそれ以下)に下がる可能性がある。iDeCoの所得控除に関するまとめiDeCoのメリットの一つは所得控除で実質減税になるあなたの所得控除のメリットはいくら?年収・掛け金別一覧でまる分かり!iDeCoで大事なのは所得控除だけじゃない。iDeCoで未来の自分を助けようiDeCoのメリットの一つに「掛け金が全額所得控除になる」というものがあります。税制面でとても優遇されているのがiDeCoの特徴です。本文内のシミュレーション一例で見ましたが、基本的に年収・掛け金が大きいほど所得控除のメリット金額が大きくなっていきました。ただ、iDeCoの本質は所得控除のメリットだけではないと筆者は考えています。記事の最後の方で触れましたが、これからは若い人ほど、公的年金だけでは老後の生活が成り立ちにくくなると考えられます。そこで出てくる考え方が「自助努力(自分の老後のお金は自分で形成する)」です。人によってはiDeCoの所得控除のメリットがない・少ないことがあり、魅力的に見えないかもしれません。ですがiDeCoの本質はそこではないのではないでしょうか。本記事が読者の方の合理的な資産形成の一助になれば幸いです。
2019年09月03日生命保険料控除は、保険会社に対して支払った生命保険料がある場合、一定の計算式にあてはめて計算した金額を所得税や住民税といった税金を計算する上で控除することができるものを言います。ざっくり言ってしまいますと、生命保険に加入している場合、税金を少なくすることができることになりますが、本記事は、この生命保険料控除の計算方法を中心に押さえておきたいポイントを紹介していきます。生命保険料控除の計算をするための重要ポイント2つ.手元にある生命保険料控除証明書を新制度と旧制度に分ける新制度で、一般用の合計金額は、120,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、80,000円超に該当し、この結果、一般用の生命保険料控除は40,000円であると計算されます。また、新制度で、介護医療用の合計金額は、60,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、40,000円超80,000円以下に該当し、この結果、介護医療用の生命保険料控除は35,000円であると計算されます。結果、一般用40,000円と介護医療用35,000円を合算した75,000円が生命保険料控除の金額となります。参考大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額は、一般用266,870円、介護医療用104,492円といずれも80,000円超に該当しているため、どちらも一律40,000円の控除金額となります。したがって、一般用40,000円と介護医療用40,000円を合算した80,000円が生命保険料控除の金額となります。生命保険料控除のシュミレーションは、控除証明書がすべて届いた後に行う生命保険料控除を正しく計算するためには、現在加入している生命保険の控除証明書がすべて届いてから行うことが重要なポイントとなります。この理由は、計算方法の流れの中でも紹介しましたように、生命保険料控除証明書に記載されている制度や金額を基に生命保険料控除が計算されるためです。したがって、生命保険料控除証明書が届く秋ごろに行い、以後、行うことになる年末調整や確定申告前の対策とするのが最も望ましい方法と言えます。[adsense_middle]年末調整で適用し忘れた生命保険料控除は確定申告で行える会社員や公務員などのような給与所得者の場合、毎年12月頃に勤務先が行う年末調整によって1年間の税金精算手続きが完了することになります。この時、年末調整で適用をし忘れた生命保険料控除や誤った生命保険料控除で税金の精算を終えた場合、確定申告をすることによって訂正することができます。特に、次項で紹介するようなパターンにあてはまる場合は、再確認しておくことが望ましいでしょう。夫婦いずれも給与所得者(課税対象者含む)である場合の注意点本人と配偶者が共に給与所得者で、いずれも年末調整をする場合、生命保険料控除の適用の仕方に工夫をした方が得策な場合があります。たとえば、生命保険料控除の適用対象者になる人とは、その生命保険料を実際に負担している人だけに限らず、別の家族を適用対象とすることができ、大まかなイメージを次項で紹介します。参考生命保険料控除の賢い適用の仕方こちらはあくまでも参考情報であり、それぞれの世帯における状況をあらかじめ確認精査する必要があると前置きした上で、生命保険料控除の賢い適用の仕方を紹介します。なお、生命保険料控除の計算方法で紹介した以下、2つの生命保険に加入していると仮定し、いずれも保険料を支払っている人は夫であるものとします。夫婦で分散して生命保険料控除を適用する大同生命と第一生命の生命保険料控除を夫だけに単独で適用した場合と夫婦それぞれが1つずつ適用した場合の違いは以下の表の通りです。(計算過程は省略します)生命保険料控除を夫が単独で適用すると、夫個人の生命保険料控除は、分散するよりも多くなりますが、世帯で考えますと、妻が全く生命保険料控除の適用ができない分、ロスが大きくなることが分かります。生命保険料控除の計算に医療費や医療保険金が影響することはない生命保険料控除は、あくまでも1年間に支払った生命保険料に対して控除されるものにあたるため、医療費控除のように、実際に支払った医療費や受け取った医療保険金の金額が生命保険料控除の計算に影響を与えるということはありません。ごく稀に、生命保険料控除や医療費控除をごちゃまぜに考えてしまう人もおられますので、この点には注意が必要と言えそうです。1年の途中で新規加入や見直しをする場合は、年払いが得策生命保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間で実際に支払った保険料を基に算出される控除となります。そのため、この1年間の途中で生命保険の新規加入や見直しをする場合、保険料の支払方法を月払いではなく年払いにすることによって、月払いよりも総支払保険料を安く抑えられ、かつ、生命保険料控除を多く適用できる可能性があるため得策です。とても細かいですが、この辺もできる限り意識しておきたいものです。まとめ生命保険料控除は、仕組上、新制度および旧制度の違いのほか、夫婦共働き世帯なのかどうかなど、置かれている世帯の状況によっては、適用の仕方が節税になるかどうかの違いを生じさせます。そのため、少なくとも生命保険の新規加入や見直しを行った場合、自分たちはどのような組み合わせで生命保険料控除を適用するのが最適なのか、時には、FPなどの専門家を通じてしっかりと確認しておくことが望ましいでしょう。
2019年08月13日