薄毛に対する有効な治療法とされる植毛ですが、一方で治療費が高額になるイメージもあります。実際に植毛を行うとした場合、どのくらいの値段になるのでしょうか。また、植毛はどのように行われるのか、副作用の心配はないのか、仮に手術を受けた場合に術後の日常生活にはどのような制約が出てくるのかといった植毛の疑問について解説します。そもそも、「植毛」と言っても1つの治療法だけではありません。まずは植毛の種類について簡単にご紹介します。植毛とは植毛は、文字通り薄毛の部分に髪の毛を移植する薄毛の治療です。植毛には2種類があります。自毛植毛人工毛植毛まずは、それぞれの特徴を簡単に解説しましょう。自毛植毛とは自毛植毛とは、自分の髪の毛を移植する植毛方法です。男性型の薄毛の場合、生え際や頭頂部の毛髪が薄くなっても、側頭部や後頭部の毛髪は残っている傾向があります。その側頭部や後頭部の髪の毛を採取し、移植するのが自毛植毛です。移植する髪の毛は毛根から採取して移植するため、もともとの髪の毛と同じく伸びます。人工毛植毛とは人工毛植毛とは、人工的に作られた毛髪を薄毛の部分に移植する施術です。人工毛は合成繊維でできています。髪の毛が薄くなっている部分に希望の本数だけ人工毛の移植が可能です。増毛と植毛の違いとは植毛は自分の髪の毛もしくは人工の髪の毛を移植することで薄毛を改善する方法ですが、同じく薄毛を改善する方法として「増毛」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。増毛と植毛は、何が違うのでしょうか。増毛とは、育毛や発毛に近い治療と言えます。髪の毛の成長サイクルを正常な状態に近づけることで、薄毛となっている部分にある毛母細胞から新しい髪の毛が成長しやすくする治療です。植毛は外科的治療となりますが、増毛は塗り薬や飲み薬をメインに行われます。男性型脱毛症(AGA)は、進行すると毛母細胞が死滅してしまい、薬による治療が難しくなります。そのような場合でも可能な治療法が植毛なのです。自毛植毛と人工毛植毛のメリット・デメリット自毛植毛と人工毛植毛には、それぞれメリットもデメリットもあります。それぞれについて解説しましょう。自毛植毛自毛植毛のメリット・デメリットとして以下のことがあげられます。自毛植毛のメリット自分の組織を移植することから頭皮への悪影響が少ない、一度定着すれば普通の髪の毛と同じくまた生える可能性がある。自毛植毛のデメリットAGAの進行をおさえる治療は続ける必要がある、生えそろうまでにある程度の期間が必要となる(8〜10か月程度)。AGAの場合、自毛植毛を行って髪の毛が定着後であってもAGAの進行を抑えるため、薬による治療は継続する必要があります。しかし、もともと自分の組織であることから、身体が異物として認識して拒絶反応を起こすことは少ないと言えるでしょう。人工毛植毛次に、人工毛植毛のメリットとデメリットを解説します。人工毛植毛のメリットある程度長い毛を移植することから変化をすぐに実感できる人工毛植毛のデメリット人間の身体が人工毛を異物とみなして拒絶反応が起こる可能性が非常に高い(炎症や化膿の発生)、運良く拒絶反応をまぬがれても、経年劣化によるメンテナンスが必要な場合もあるなお、アメリカの「アメリカ食品医薬品局(FDA)」では、この人工毛そのものが「有害器具」に指定されており、多くの州で人工毛の使用が禁止されています。また、日本でも人工毛による治療は「日本皮膚科学会」が発表している「男性型脱毛症の診療ガイドライン」で「行わないよう勧められる」の意味のD評価となっています。植毛の治療法とは同じ自毛植毛の中でも、メスを使用する方法やメスを使用しない治療法など、いくつかの方法があります。どのような治療法があるかについて、簡単に解説します。自毛植毛自毛植毛は、以下の方法があります。FUSS法(ストリップ法)メスで頭皮を部分的に切り取り、細かい株にわけて薄毛部分に一つひとつ移植します。皮膚を大きく切ることから、術後の傷跡や1回の手術で移植できる株の数といった部分にデメリットがあります。FUE法移植する髪の毛を毛穴ごとにパンチを用いてくりぬき、移植する方法です。FUSS法より傷跡が小さく、痛みも軽減される傾向があるとされています。このほか、頭皮の一部を残して移植部分を切り取り、皮膚を縫い付けて移植する方法や、薄毛部分の頭皮を切り取って周囲の皮膚と縫い合わせる縮小術といった方法もあります。しかし、これらはほとんどの場合ごく小範囲の治療にしか適応できず、また身体への負担の大きさから減少傾向にあります。人工毛植毛人工毛植毛は、合成繊維でできた人工毛を体内に挿入する方法で、自毛植毛のような術式の違いはありません。なお、埋め込むだけとはいえ医療行為となります。植毛は失敗しないの?自毛植毛の場合、治療によって治療前よりも状態が悪化したという報告はなく、そういった意味での失敗はほぼ心配ないといわれています。ただし、移植した部分に髪の毛が生着せずに十分に見た目の変化を得られないという可能性はあります。これは、手術方法や医師の技術、アフターケアなどによっても異なります。一方、人工毛植毛の場合は、拒絶反応やアレルギー反応などによって炎症や化膿を起こす可能性が非常に高く、毛穴という毛穴が炎症と感染を起こし、頭皮全体がただれてしまった例などがあります。植毛の値段の相場とは植毛にかかる費用は、自毛植毛か人工毛植毛か、また、どのような術式で行われるかなどによって異なります。おおよその値段の相場をご紹介します。植毛は保険適用外植毛は、保険が適用されない自由診療の治療です。保険診療と自由診療の違いについて、簡単におさらいしましょう。保険診療とは、治療内容が同じであればどのクリニックでも値段が同じ治療です。また、患者の負担は治療費の3割負担が基本となっています。一方、自由診療は同じ治療内容や素材でも、クリニックが独自に費用を設定しています。また、治療費は全額、患者負担となります。そのため、自由診療のほうが患者の費用負担が大きくなりやすい傾向があります。自毛植毛にかかる値段とは自毛移植の費用は、基本的に「固定の基本費用」と「株数に応じた植毛費用」の合計で設定されています。ここで言う「株」とは、毛穴のことを指します。1つの毛穴からは1本だけ髪の毛が映えている場合もあれば、2本から4本ほど生えている毛穴もあります。そのため、1つの毛穴を1株とし、移植する株数に応じた金額が設定されているクリニックが多いようです。また、基本費用も術式によって異なるのが一般的です。移植する面積や株数によっては、値段の合計が100万円を大きく超える場合もあります。人工毛植毛にかかる値段とは人工毛植毛の場合、移植する本数によって値段を定めているクリニックが多いようです。そのため、費用に関しては一概に言えませんが、3000本の植毛では100万円を下回るくらいの費用設定をしているクリニックが多いようです。しかし、拒絶反応や感染のリスクの高さを考えると、安いから受けやすい治療とは一概には言い切れない可能性もあるので熟考が必要です。植毛による副作用人工毛植毛と比べれば安全性が高いと考えられる自毛植毛にも副作用が起きる可能性はあります。ここでは、主に自毛植毛で起きる可能性のある副作用を簡単にご紹介します。出血・痛み・かさぶた手術を行った翌日から2日目くらいまでに、まれににじむ程度の出血が見られることがあります。ほとんどの場合、ティッシュなどで数分間圧迫すれば出血は止まります。また、毛髪を採取した部分に軽いつっぱり感が出ることもあります。クリニックによっては、痛みが強いときに服用する鎮痛薬を処方してくれるでしょう。また、移植した部分にかさぶたができます。これは10日ほどで取れますが、かゆみを感じることがあってもゴシゴシとこすったり、かいたりしないよう気をつけましょう。おでこや目の周囲の腫れ手術による影響で術後5日目くらいまではおでこや目のまわりが少しむくんだように腫れる場合があります。ただし、1週間ほどで自然に改善することがほとんどです。ショックロス自毛植毛を行った患者の20%ほどに現れるといわれている副作用として、「ショックロス」というものがあります。ショックロスとは、主に手術の1か月後から2か月後くらいに現れる、植毛した部分の周囲にもともと生えていた毛が脱毛する現象のことです。弱っていた髪の毛にショックロスが出やすいものの、その程度には個人差があります。ショックロスが現れる原因は、植毛時の小さな傷や、植毛によって血流が変化することなどではないかといわれていますが、正確にはわかっていません。なお、植毛後の脱毛としては、移植した毛髪が生着せずに脱毛している場合と、毛髪の成長サイクルによって自然に抜け落ちる一時的脱落が考えられます。術後1日ほどで抜け落ちたものは生着しなかった髪の毛であり、治療後数日してから抜け落ちる場合は一時的脱毛である可能性が高いと考えられます。植毛後に日常生活で気をつけること植毛は、基本的に日帰りで行われます。植毛を行った当日以降、日常生活で気をつけたいポイントとして以下のものがあげられます。植毛当日は髪を洗わない植毛翌日以降も、移植した部分にシャワーを直接当てないようにしながらシャンプーをする頭皮への刺激が強いシャンプーを避ける頭皮を強くこすらない過度な運動は術後しばらく控える喫煙も術後しばらく控える植毛をしてから2週間ほどすれば、日常生活における制限はかなり少なくなるでしょう。ただし、移植した髪の生着率を高めるためにも、日常生活における注意点は担当医師に確認するようにしてください。まとめ植毛の値段はクリニックや選択する治療法、植毛する本数や面積などによって異なりますが、決して安いとは言えません。しかし、進行したAGAなどにも適用できることから、植毛は特にAGAの最終手段ともいえる治療です。薄毛の悩みが気になる場合は、選択肢のひとつとして考えるのもよいでしょう。植毛にかかる値段のほかにも、どのような術式を受けるか、どのくらいの面積に植毛を行うかなど、選択することは多くあります。薄毛の悩みに応えているクリニックの中には、無料のカウンセリングを行っているクリニックも多いため、悩んだ場合はクリニックで相談してみることをおすすめします。監修:小野 健太郎
2017年12月20日アトピーの治療については、根本的に治療できる方法が確立されていません。症状に合わせて薬物などによる対症療法が有効と考えられています。また、治療だけでなくスキンケアなどを併用することも求められます。ここでは、アトピーの治療について見てみましょう。アトピーの肌の状態とはアトピーの肌は、皮膚のバリアが低下し、皮脂の分泌量も極端に低下し、皮膚が乾燥した状態にあります。皮膚のバリア機能の役割は、表皮の上にある角質層が持っています。通常、皮膚のバリアをつかさどる角質層には、外部からの刺激を軽減し、細菌などの侵入を防ぎ、乾燥を防ぐために必要な水分を逃さないようにする働きがあります。しかし、バリア機能が低下すると、少しの刺激だけで皮膚炎になりやすくなります。その皮膚炎がアトピー性皮膚炎に該当します。アトピー性皮膚炎については『アトピー性皮膚炎とは』 (で解説しています。アトピーになりやすい人の特徴アトピーになりやすい要因は、さまざまにあります。考えられる要因のひとつに、遺伝があげられます。簡単にいえば、家族および親族がアトピーを持っている場合、自分もアトピーになりやすいということです。もうひとつは、病歴です。気管支喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちひとつ、もしくは複数にかかったことがある場合、アトピーになりやすいといわれています。これらをアトピー素因といい、持っている人がアトピーになりやすいと考えられています。しかし、アトピー素因を持っていても、アトピーになる人とならない人が存在し、逆にアトピー素因を持っていない人でも、アトピーになるケースがあります。アトピーになる原因アトピーの原因は数多くあり、特定するのは困難です。考えられる原因には、アレルギーや外部からの刺激、そして内部からの刺激が考えられます。アレルギーは、花粉やダニなどのほか、食品によるアレルギーによって皮膚炎が発症することもあります。外部からの刺激については、身の回りのある洗剤や化粧品、洗顔料、シャンプーやボディソープなどがあげられます。内部からの刺激は、主に生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れによってストレスがたまり、そのストレスが要因となって、アトピー性皮膚炎を発症する可能性もあります。アトピーの詳しい原因については『アトピー性皮膚炎になる原因』 (で解説しています。アトピーの治療の考え方アトピーの肌を根本的に治す方法は、現時点では存在しないといわれています。考え方としては、症状はない、もしくはあっても軽微で、日常生活に問題がなければ、薬物治療は必要としないといわれています。一方、軽い症状は続いても悪化して慢性化するのは極めてまれだという考えもあります。治療の目的は、症状をコントロールして、日常生活に支障をきたさない状態を維持することです。しかし、重要なのは治療ではなく、日常的なケアを行って予防することにあります。基本的には、上述した原因を避け、刺激を与えず、保湿剤などで肌にうるおいを与えることで、予防に期待が持てるでしょう。そして、重要なことは、清潔な肌を保つことです。清潔を維持するためには入浴が欠かせません。また、肌着や衣服など身に着けるものすべてを清潔に保つように心がけましょう。入浴法については『アトピーの方にオススメの入浴方法』 (で解説しています。アトピーの治療方法治療は、薬物療法、スキンケア、そして悪化因子の検索と対策を中心に行っていきます。主に行われるのは、薬物療法です。薬物療法の目的は、炎症を抑えることにあり、すでにアトピー性皮膚炎を発症している場合は、皮膚科でステロイド外用薬が処方されることがほとんどです。スキンケアについては、上述していますが、主に保湿剤を使用します。アトピー肌は、肌の水分量や皮脂の分泌量が低下し、乾燥しやすい状態にあるため、乾燥を防ぐために保湿剤が有効とされています。治療薬と保湿剤については『アトピー治療に使う内服薬の種類』 (で解説しています。悪化因子の検索と対策についてですが、簡単にいえば、アトピーの原因を突き止めるために検査し、原因をみつけたら、その原因に向けた対策が行われます。しかし、原因は数多くあるため、特定するのは困難であり、原因と考えられることを、ひとつずつ改善していくことを心がけましょう。監修:大利昌久
2017年09月18日不妊治療netはこのほど、「不妊治療の医療機関を選ぶ際に重視するポイント」「不妊治療の医療機関に対する満足/不満の実態」の調査結果を明らかにした。同調査は2月13日~16日、20代~50代の不妊治療経験者109名を対象にインターネットで実施したもの。不妊治療の医療機関を選ぶ上でどのような点を重視するか尋ねたところ、88%が「立地」と回答した。次いで「医師・スタッフの対応の丁寧さ」(83%)、「医師・スタッフによる治療に対する詳細な説明」(82%)となっている。医療設備・機器の充実度や治療内容、治療実績と並び、医師やスタッフの対応や説明を重視していることがわかった。不妊治療のために通院していた病院に対する満足度を尋ねると、合計40%が「とても満足」もしくは「やや満足」と回答した。一方、合計で26%が「とても不満」もしくは「やや不満」と回答している。通院していた病院に対して満足している人・不満を感じている人それぞれに対し、どのような点について満足しているか尋ねた。すると、医療機関を選ぶ際の重視ポイントにも挙げられた「医師・スタッフによる治療に対する詳細な説明」「医師・スタッフの対応の丁寧さ」に対する評価に大きな差が見られたという。満足している人は、「医師・スタッフによる治療に対する詳細な説明」「医師・スタッフの対応の丁寧さ」について7~8割が良いと評価をしている。一方、不満を感じている人は、「医師・スタッフによる治療に対する詳細な説明」は25%、「医師・スタッフの対応の丁寧さ」では18%しか良いと評価していなかった。そのほか、「夜間・休日も診療してくれる」「待ち時間が長くないこと」「病院の治療内容」「病院の治療実績」などの良い評価も、2割前後に留まっている。
2017年08月03日ダウン症って?治療法はあるの?出典 : ヒトの体は無数の細胞によって構成されています。細胞のなかには遺伝子があり、さらにその遺伝子がらせん状に繋がったものを「染色体」といいます。染色体は通常23組46本で構成されていますが、この並びや数にたまたま変異が起こり、21番目の染色体が通常より1本増えた状態をダウン症といいます。21番目の染色体が1本増えて3本になることが原因で起こるタイプを「標準型21トリソミー」と呼び、これがダウン症全体の95%を占めています。このほか、3本目の染色体が別の染色体にくっついている転座型、21番目の染色体が3本のものと2本のものが混じっているモザイク型があります。上記のようにダウン症が引き起こされる原因やタイプはある程度わかっていますが、ダウン症そのものを治療する方法は、現在のところ解明されていません。一方、ダウン症のある人に合併しやすい疾患(心臓や消化器の内臓疾患など)の症状を軽減したり治療したりする方法については確立されているものが多く、比較的早期の乳幼児期から、治療が開始できるようになってきています。ダウン症の確定診断はいつ行われるの?赤ちゃんの合併症はすぐにわかるの?出典 : 出生後に医師によってダウン症の疑いが認められた場合は、ご両親やご家族に説明し承諾を得たのちに、赤ちゃんの血液で染色体の検査を行い、確定診断を行います。出生前に母親の血液を採取して調べる検査もありますが、確定診断には、母親の腹部に針を刺して羊水を採取し、染色体を調べる検査を受けるのが一般的です。診断後は医師から説明があるほか、希望すれば医療機関のスタッフや地域の保健担当に詳しい話を聞くことができる場合もあります。合併症についても、妊娠中や出産後の検査で早期に診断されるものも多く、新生児期に手術が可能な場合には、生まれてすぐ医師から手術をすすめられることがあります。生まれたばかりのわが子の手術についての説明に戸惑い、医師と相談をしてもなお不安なことがあるようなら、セカンドオピニオンを求めることもできるかもしれません。ダウン症協会や地域の親の会などに相談すると、ダウン症のあるお子さんに詳しい医療機関等の情報を紹介してくれることもあるようです。公益財団法人日本ダウン症協会ダウン症親の会一覧ダウン症の合併症の治療法は?出典 : 合併症を伴わずに生まれてくるダウン症のある赤ちゃんもいますが、20〜40%の赤ちゃんは循環器(心臓など)の疾患を伴って生まれてくるといわれています。近年は出産直後に発見されることが増え、早期の外科治療によって完治することも可能になってきました。その他、消化器系の疾患が合併している可能性もありますが、このような疾患についても、医療の発達により手術法が確立され、乳幼児期のあいだに改善できるものも多くなってきています。また、風邪などが重症化すると、気管支炎や肺炎など呼吸器疾患に発展する場合や、中耳炎を引き起こすことがあります。乳幼児期に風邪をひいた場合は早めに診察を受けたほうがよいでしょう。出典:産婦人科の現在「ダウン症候群について遺伝カウンセリングで伝えるべきこと」◇循環器(心臓など)の疾患循環器の疾患のうちダウン症のある赤ちゃんに合併していることが多いのは、・出生後すぐに閉鎖するはずの動脈管が閉じない「動脈管開存症」・左右の心室あるいは左右の心房の間の壁に穴があいている「心室中隔欠損」・心臓の真ん中部分が形成されず穴があいている「心内膜床欠損症」・循環器に関する4つの症状を持つ「ファロー四徴症」などがあります。あいていた穴が閉じるなど自然に治る場合もありますが、自然治癒が見込めない場合には乳幼児期に手術治療を行います。また、心臓に疾患があると、心臓から血液を送りこまれる肺にも影響が起こることがあります。肺への負担を軽減するために、原因や状態によって、投薬治療などが行われます。◇消化器官系の疾患なんらかの原因で生まれつき十二指腸が閉じている「十二指腸閉鎖症」、肛門が閉じている「鎖肛」などの疾患があります。これらの疾患があるとミルクなどを消化して排泄することが困難になるため、新生児期の早い時期に手術が必要です。術後の予後は良好だといわれています。◇環軸椎不安定性(首の1番目と2番目の骨にずれが生じる状態)首の1番目と2番目の骨は、細い筋肉や腱によって固定されていることに加え、骨同士を噛み合わせるように突出している2つ目の骨の突起構造が小さいため、ずれが生じやすい箇所です。この関節がずれている亜脱臼の状態を「環軸椎不安定性」といい、ダウン症がある子どものうち1~2%にあるとされています。亜脱臼の状態からさらに関節がずれ、脱臼すると、脊椎の背中側にある脊椎神経の束が強く圧迫され、麻痺が起こることがあります。脱臼させないためには何より早期発見が重要です。一般に3~4歳の時期にレントゲン検査をし、環軸椎不安定性の有無を確認することがすすめられます。環軸椎不安定性と診断されると、うつむく姿勢で首に強い力が加わる前転のような運動は避けるよう指導されます。◇ウエスト症候群(点頭てんかん)ウエスト症候群(点頭てんかん)も、合併症として起こる可能性がある疾患です。身体の一部をピクピクさせてミルクを飲まなかったり、首をガクッと落としたりするような様子がある場合には、脳波の異常を調べ、必要があれば投薬等による治療を開始します。ウエスト症候群は国の指定難病に定められています。ダウン症のあるお子さんに起こるウエスト症候群は、比較的予後が良いといわれています。出典:産婦人科の現在「ダウン症候群について遺伝カウンセリングで伝えるべきこと」参考:難病情報センター◇ 甲状腺機能の問題甲状腺から分泌されるホルモンが過剰となる甲状腺機能亢進症、逆に低下する甲状腺機能低下症があります。どちらも起こる可能性がありますが、特に甲状腺機能低下症の合併率が高いようです。症状がでにくい場合もありますので、年に1回の血液検査で確認することが望ましいようです。必要があれば投薬により治療します。◇筋肉の緊張が低く柔らかい(低緊張)ただ立っているだけ、座っているだけでも、姿勢を保つためには、ある程度、筋肉を緊張させておく必要があります。ダウン症がある子どもは、筋肉の緊張の度合いが低く、体が柔らかいことが多いと言われています。そのため、寝返りやお座り、つかまり立ち、歩行など一連の運動発達がゆっくり進むようです。また、歩き始めても、足底の親指側に体重がかかってしまう外反扁平足になりやすいため、靴の中に足をサポートする足底版を入れることをすすめられることがあります。◇耳や目の問題聞こえの問題や、遠視や近視、乱視など見え方の弱さがある場合には、補聴器やメガネの装用をすすめられることがあります。また、滲出性中耳炎にも罹患しやすいため、耳を気にする様子などがあったら耳鼻科を受診してみてくださいダウン症のあるひとの医療費、養育費のサポート出典 : ダウン症がある子どもには、特に乳幼児期に合併症の手術などで高額な医療費がかかることがあります。金銭的負担を軽減するために、いくつかの医療費に関する制度を利用することができます。・乳幼児医療費助成制度自治体から医療費が助成される制度です。利用には年齢制限があり、各自治体によって定められています。ダウン症、障害の有無に限らず、対象年齢内のすべてのお子さんの医療費が助成されます。・小児慢性特定疾病医療費助成ダウン症は小児慢性疾患の対象疾病になっています。合併症のうちいくつかの疾患で長期にわたる治療を要する場合に、小児慢性特定疾病の医療費助成が受けられます。助成には条件がありますので、病院のソーシャルワーカーや各都道府県の担当部署にお問い合わせください。参考:小児慢性疾患・特別児童扶養手当医療費に関する制度ではなく、子どもの養育のための手当が支給される制度です。支給される条件は各自治体によって異なります。・障害児福祉手当重度の障害のためにかかる日常生活上の精神的、物質的な負担を軽減する目的で支給されます。障害による生活の困難さによって、受給されるかどうか判断されます。ダウン症の診断のみでは、手帳の習得はできませんが、合併症による障害があることによって日常生活に支障があると考えられる場合に、以下のような手帳を取得し、福祉サービスを受けることができます。・「療育手帳(愛の手帳など)」知的な障害によって日常生活に不便さがあるお子さんに、各都道府県から交付される手帳です。交通機関などを一人で利用できず介助者を必要とすることがあることから、公共交通機関の料金の減額や、公的機関の駐車料金の支払い免除などの福祉サービスを受けることができます。等級によって受けられるサービスに違いがありますので、各都道府県にお問い合わせください。・「身体障害者手帳」心疾患などの合併症で長期間身体的に不自由さがある場合や、歩くことが難しい場合、また聴覚障害がある場合などに、身体障害者手帳が交付されます。療育手帳と同様に、さまざまなサービスを受けることができますが、交付の対象となるかどうかは医師の診断書などにより各都道府県が判断します。こういった手帳の取得は強制ではなく任意です。保護者の申請なしに交付されることはありません。また、補助制度には地域差もあります。一度お近くの福祉担当課窓口にご相談に行かれることをおすすめします。東京都心身障害者福祉センター愛の手帳(療育手帳)について厚生労働省身体障害者手帳制度の概要ダウン症の合併症の治療法は医療以外にもあるの?療育って何?出典 : 「療育」とは、「治療」と「教育・保育」をあわせて作られた言葉です。成長を促す関わりや訓練を総称して「療育」と呼んでいます。ダウン症のある赤ちゃん、子どもは、一般的にゆっくり成長すると言われており、発達段階にあわせてさまざまな療育的なかかわりを受けている子どもが多いようです。また、自閉症など発達障害を合併することがあるともいわれており、そういった場合には、一般的な発達障害への療育的対応が役にたつことがあります。「療育」には、主に運動発達を促す目的で提供される理学療法(PT)、日常生活動作の自立を促す目的で行われる作業療法(OT)、言語コミュニケーションの発達を促す言語聴覚療法(ST)、発達心理学や学習に関する知見をもとに提供される療育的かかわりなどが含まれます。また、ダウン症のある子どもの様々な特徴を踏まえ、日常生活を不自由なく過ごせるようにサポートすることも「療育」サービスのひとつです。お子さんにどんな療育的関わりが必要なのかは、その時点でのそれぞれの発達によって異なります。療育の内容から、家庭での関わり方のヒントが得られることがありますので、相談したいこと、疑問に思っていることなどがあるときにも、利用してみてください。地域にどのような療育機関があるかは、自治体の子育てに関する窓口が情報を持っている場合があります。なお、こういった療育サービスを受けるためには、市区町村より発行される受給者証という証明書の取得が必要な場合があります。詳しくは、療育サービスの事業者または市区町村の窓口でお尋ねください。子育てには悩みがつきものです。ダウン症がある子どもの子育ても同じですが、ダウン症があることで生まれる特別な悩みもあるかもしれません。もし何か相談したいことが出てきたら、まずは身近な存在である主治医や、自治体の子育て支援に関する窓口、利用している施設のスタッフなどに相談してみましょう。出口がないように感じていた悩みにも、何か解決の糸口が見つかるかもしれません。相談先は、病院や自治体の窓口のほか、以下のような施設・団体があります。電話で相談を受け付けているところもあるようです。◇相談できる団体、施設など・日本ダウン症協会・地域のダウン症の子を持つ親の会・児童相談所・自治体の保健センター、子育て支援、福祉担当課等・自治体および民間の療育機関・知的障害者更生相談所(障害者福祉センター等の名称で事業を行っている自治体もあります。主に18歳以上の人の相談に応じます。)日本ダウン症協会全国児童相談所一覧(厚生労働省)ダウン症の合併症治療最先端医療の研究出典 : ダウン症がある人は、「アミロイド前駆体タンパク遺伝子」という遺伝子が、遺伝子病のない人と比べて1.5倍存在し、その結果、脳の中のアミロイドタンパクが増加して、若年期からアルツハイマー病様の変化を脳内に生じ、それが引き金となって、急激退行症を発症する可能性があります。それまでに知的障害や発達障害を伴っていたとしても、それとは別に、突発的に「言葉を発しない」、「寝たきりになる」、「コミュニケーションが取れない」などの症状となって現れる場合があります。根本的な治療法はないとされていますが、アルツハイマー病治療薬である塩酸ドネベシルが急激退行症に有効であるという仮説に基づき臨床実験がされています。主に認知機能の低下に対する臨床試験が、ヨーロッパの製薬会社などが開発した薬を使って行われています。日本でも、アリセプト(ドネペジル塩酸塩)などを使用した治験が開始されました。実用化に至るにはまだ時間はかかりそうですが、いつか、すべてのダウン症のある人たちが、認知機能の低下によって生活の質が下がる心配をしなくてもいい未来が実現するかもしれません。参考:ダウン症者・家族が幸せに暮らすために/近藤 達郎参考:アリセプト難病情報センター急激退行症(21トリソミーに伴う)まとめ出典 : ダウン症そのものを治療する方法は現在のところありませんが、合併症の治療についてはそれぞれ手立てがあり、また、発達を促すための療育に関する知見も日々更新されてきています。さまざまな支援や療育サービスなどを利用しながら、かけがえのない日々の子育てを楽しんでくださいね。参考:ヨコハマプロジェクト参考:NDSS(National Down Syndrome Society)参考文献 『ダウン症者の豊かな生活』菅野敦・池田由紀江(福村出版)参考文献 『ダウン症のすべてがわかる本』池田由紀江/監修(講談社健康ライブラリー)参考文献 『ダウン症は病気じゃない』正しい理解と保育・療育のために飯沼和三/著(大月出版)参考文献 『出生前診断』河合蘭/著(朝日新書)『When Down Syndrome and Autism Intersect: A Guide to DS-ASD for Parents and Professionals』 Margaret Froehlke , Robin Zaborek
2017年07月20日F Treatmentが運営する「不妊治療net」はこのほど、「不妊治療に対するハードル(不満、不安など)」に関する意識調査の結果を発表した。同調査は2月13日~16日、20代~50代の不妊治療経験者109名、不妊治療未経験者250名を対象にインターネットで実施したもの。不妊治療に対してどの程度ハードルを感じているか尋ねたところ、49%が「とても感じている」、44%が「やや感じている」と回答した。合わせると9割以上が不妊治療にハードルを感じていると答えている。どのような点でハードルを感じるのか尋ねると、「不妊治療が高額である」「不妊治療にどれくらいの費用がかかるかわからない」がそれぞれ94%だった。「妊娠するまでどれくらいの期間がかかるかわからない」(93%)は「不妊治療に多くの時間がかかる」(90%)より多く、治療や費用に見通しがつかないことを上げる声が多かった。また、「治療がどの程度辛いか分からない」(83%)も多く、治療方法や期間、費用などわからないことに対して不安や不満を感じていることがわかった。わからないことに関してどう情報収集しているのかを調査したところ、「不妊治療をしている友人からの口コミ」(35%)、「不妊治療に関する雑誌や書籍」(31%)よりも、「病院のウェブサイト」(43%)や「不妊治療情報に関するウェブサイト」(66%)などインターネットを参考にする人が多かった。
2017年07月03日不妊治療クリニックの初診の日になりました。平日の午後だったので、一人ででかけました。繁華街のビル中にあるクリニックへは、我が家から車で1時間半かかります。ビルにある共同の小さなエレベーターで上がりました。上がっているのに、どんどん下に行くような気持ちでした。あぁ、とうとう来てしまった。初めに問診票を書き、その後ドクターから妊娠のメカニズムや今後の検査方法・治療方法などの説明を受けました。その後、子宮と卵巣の状態をチェックするために、診察台に上がりました。それまでテレビでしか見たことのなかった、カーテン越しに下半身を丸出しにするあの診察…。スカートと下着を脱ぎ椅子に座ると、看護師さんの「動きますね~」の声と同時にウィーンと開脚していく我が身。あぁ…その後、妊娠出産と頻繁にこの椅子に座りましたが、ずっと慣れることはなかったです…。毎回、心の中でひぇ~~! と叫びながら(笑)、自然と腰を上にずらしてあまり開脚しないような体勢を取ってしまうのですが、必ず看護師さんに「もう少し下がってください」と指摘を受けてしまうのでした。クリニックは、治療中の繊細な心にとても配慮しているのであろう気配りが行き届いていました。看護師さんも事務員さんもみなさん優しく丁寧で、通院中、心を傷つけるような言葉は何一つ言われたことはありませんでした。私の県に不妊専門のクリニックが少ないということもあるけれど、人気があるのが納得の病院でした。スタッフ皆さんは優しくも『妊娠できるよう頑張っていきましょう!』という雰囲気でした(不妊クリニックだから当たり前なのですが)。それだけに、自分の気持ちと周囲の気持ちのギャップに戸惑いました。気持ちと行動が矛盾している自分にも戸惑いました。下半身を露出して器具を入れられる妙な虚しさも手伝って、クリニックを出て車に戻ると我慢していた涙がこぼれました。泣きながら運転していると、偶然仲良しの友達を発見しました。仲良しだったのに長く会えずに、普通だったら「おおーい!」と声をかけてお茶でもするところですが、私は目をそらして彼女の横を通り過ぎたのです。泣き顔を見られたくはなかったし、その理由を妊婦の彼女に説明できる自信はそのときにはありませんでした。(※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された内容や治療法は、あくまでも筆者の感想であり治療を保証するものではありません。)
2017年05月17日「不妊治療net」はこのほど、「不妊治療における家族・親族からのサポート」に関する調査結果を発表した。同調査は2月13日~16日、20~50代の女性(不妊治療経験者109名、不妊治療未経験者250名)を対象にインターネットで実施したもの。不妊治療経験者に、不妊治療に関して、家族・親戚から十分なサポートを得られていると思うか尋ねたところ、71%が「得られている」、29%が「得られていない」と回答した。不妊治療経験者を対象に、不妊治療に関して家族・親族でどのようなサポートをしてほしいかを「治療費用の援助」「家事の手伝い」「不妊治療に関する情報収集」「あなたの不妊治療について触れない」「親族の子供の話題をしない」という点で調査した。その結果、サポートを得られていないことが最も多い項目は「治療費用の援助」(53%)だったが、「あなたの不妊治療について触れない」(44%)、「親族の子供の話題をしない」(34%)など、精神的な面についても協力を得られていないと感じていることがわかった。不妊治療経験者と未経験者別に、家族・親族からのサポートに対する不満・不安を比較したところ、「親族の子供の話題をしない」という部分で、経験者の方が強いという結果が得られた。
2017年05月11日さまざまな原因で発症するアトピー性皮膚炎は、漢方で治療する方法も選択肢として有効と考えられます。アトピー性皮膚炎の漢方治療について、詳しく説明します。アトピーに対する漢方の考え方漢方と西洋医学はどちらも原因療法ではありますが、アトピー性皮膚炎に対する西洋医学の考え方は、原因や皮膚のみに目標を絞って局部的な治療に力点をおいているとされています。それに対して、漢方では局部的に皮膚のみの治療よりも体全体の活力を増強させ、健康体として調和をとるという考え方を主眼におくといわれます。アトピー性皮膚炎において重要な漢方の要素皮膚は内臓を映す鏡ともいわれていますが、アトピー性皮膚炎において重要とされる内臓は、漢方理論の五行学説では「脾(ひ)」や「肺」、「腎」にあたると考えられています。肺漢方では肺が皮膚をつかさどるとされています。そのため、アトピーを考えるときに、まずは肺について考えるといわれています。皮膚は呼吸をしており、漢方において呼吸機能を担っている肺の系統に含まれるとされています。肺の機能としては、粛降(しゅくこう)や宣発(せんぱつ)と呼ばれる全身に清らかなものを巡らせ、排泄物や老廃物を体の外に排出する働きがあると考えられています。このことから、漢方では排泄物を体外に排出する臓器の大腸も肺に属すといわれます。また、肺は空気などに体外から触れる臓器とされています。そのため、花粉やウイルスなどの異物から体を防御する場所と考えられていますが、この体を守る(バリア)機能がうまく働かないと風邪(かぜ)をひく場合や花粉症などのアレルギー疾患が生じることがあります。また、大腸の機能が低下すると、排泄物の排出がうまく行われないために、咳や肌荒れなどの症状が現れやすくなるといわれます。脾脾は、食事などで摂取した飲食物の消化や吸収により、血や気の元となる栄養分を得る胃腸の活動を行う場所と考えられています。脾は肺を養う場所でもあり、脾の機能が低下することで肺の働きが衰えることがあります。また、ストレスや暴飲暴食などによって、消化吸収が正常に行われなくなると便秘や下痢が引き起こされる可能性があります。腎腎は漢方において、水分の調節をはじめ骨や骨髄、ホルモン分泌などをつかさどっています。腎の働きが低下することで水分のバランスが損なわれて体が乾燥したり、反対にむくみが生じたりします。また、腎の機能が衰えることで脊髄において白血球などに代表される免疫細胞の生成に異常が起き、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の慢性化やそれ以外のアレルギー疾患が生じることがあります。漢方でみるアトピーの原因アトピーが発症する要因には、体質的な要因と環境的要因があるといわれ、体質的な要因としては、アトピー素因があることや皮膚バリアの低下が考えられます。また、環境的要因には、アレルゲンと呼ばれるアレルギーを起こす物質の存在や化粧品やシャンプーや石けんなどの洗浄剤、衣類などの外部刺激、睡眠不足や疲労、ストレスなどがあるといわれます。アトピーの原因には、年代によっても変化があると考えられ以下のような特徴があります。乳児期乳児期の胃腸は、消化吸収が弱いためミルクや母乳を吐いたり、便秘や下痢をしたりしやすく消化力の弱さからタンパク質がアミノ酸に分解することができないといわれます。そのため、未消化で分子の大きい物質がアレルゲンになっていると考えられます。また、乳児期は肌が弱いことや免疫機能が整っていないことも原因のひとつになっているといわれています。つまり、乳児期のアトピー性皮膚炎においては、未発達の未熟さが原因になると考えられています。幼児期〜小児期幼児期から小児期は体の機能の発達してくるため、アトピー性皮膚炎が新たに発達することが少ないといわれる時期です。発症する場合の主な原因としては、ハウスダストや胃腸の弱さからくる食物などが考えられます。青年期〜成人期青年期から成人期は、これまでアトピーの兆候が全くない人でも発症することがあります。この時期は、乳児期とは異なり健全な胃腸機能をもつことが多いため、原因としては疲労やストレス、睡眠不足などの生活習慣などがあげられます。ほかにも、過度の飲酒や喫煙などの嗜好品、食生活の偏りも原因となる可能性があります。また、部屋の掃除が行き届いていないことや生活環境の変化によるアレルゲン、副腎の機能が低下することなども原因と考えられています。アトピーの漢方治療とは漢方には、標治(ひょうち)といわれる症状の抑制に対して即効性が期待できる処方や、根治(こんち)といわれる体質の根本的な改善することを目指した処方があるとされます。これらを症状に応じて組み合わせることで、アトピー性皮膚炎がでにくい体質を構築し、根本的な治癒をめざします。漢方でアトピー性皮膚炎の根本的治療を考えた場合には、皮膚だけではなく全身の症状を観察して全身に作用するための漢方薬が処方されるといわれ、皮膚を治療するために消化器系や肺へ働く漢方薬を使用することがあります。皮膚の症状を軽減するだけでなく他の症状にも作用することが期待されるため、漢方の治療は外側からだけでなく内側からの改善が期待できると考えられています。監修:小谷和弘
2017年05月01日外科的治療や放射線治療後にリンパ浮腫で悩まれる方も少なくありません。リンパ浮腫と向き合っていくためには、リンパ浮腫について学ぶことが大切です。むくみをともなう「リンパ浮腫(ふしゅ)」とは細胞の中にある組織液のほとんどは血液の中に戻っていきますが、そのうちの約10%が毛細リンパ管へ入っていき循環します。毛細リンパ管が太くなっているものをリンパ管と呼んでいますが、そのリンパ管が何らかの原因で障害が起きてしまい、組織液がリンパ管からもれて皮下組織に溜まってむくんでしまうことがあります。それをリンパ浮腫といいます。リンパ浮腫の原因リンパ浮腫には、「原発性リンパ浮腫」と「続発性リンパ浮腫」があります。原因がわからない「原発性リンパ浮腫」原因が不明のリンパ浮腫のことを「原発性リンパ浮腫」と呼んでいます。多くは、35歳以前に発症することが多く、思春期や妊娠中など代謝機能が変わってくるときに起こる場合と、生まれつきリンパ管関係に何らかの障害があり、立って歩く2〜3歳頃に発症する場合があります。手術後に出現する「続発性リンパ浮腫」原因がはっきりとわかっているリンパ浮腫のことを「続発性リンパ浮腫」といいます。子宮がんや乳がんの手術後に発症することが多いため、手術の後遺症として広く知られています。手術でリンパ節を切除することでリンパ液が周辺の組織にもれて、むくみになってしまうと考えられています。ほとんどの続発性リンパ浮腫は、手術や放射線治療後、早期にむくみが始まりますが、かなりの期間がたってから発症するケースもあります。リンパ浮腫の症状や発生場所腕や脚が腫れることが多く、重くだるい感じがする、疲れやすくなるなどの症状を感じます。進行はゆっくりですが、長期間にわたって放置しておくなど適切な治療を受けないと、皮膚組織が硬化する象皮症となってしまうことがあるので注意が必要です。むくみがあると感じたならば、できるだけすみやかに、きちんとした診断を受けて治療を始めましょう。リンパ浮腫の治療法や改善ケアリンパ浮腫に対する治療法としては、「保存的療法」と「外科的治療」があります。身体への負担が比較的少ないといわれている保存的療法が行われることが多く、代表的なものに「複合的理学療法」というものがあります。スキンケア、リンパドレナージ、圧迫療法などの治療を組み合わせて行い、日常生活に対する指導を組み込んでいきながら改善をしていこうという療法のことです。保湿スキンケアリンパ浮腫になってしまうと、皮膚がむくみ乾燥しやすくひび割れることも多いため、蜂窩織炎(ほうかしきえん)になりやすくなります。細菌感染してしまうと炎症が起きてしまい急激にリンパ浮腫が悪化するため、乾燥や角化するようであればしっかりと保湿するなどの対策が必要です。医療徒手リンパドレナージ(マッサージ)むくみを緩和させるために、手足に溜まったリンパ液をゆっくりとしたマッサージで適切な場所に移動させます。固くなってしまった皮膚を柔らかくする効果もあり、皮膚の状態改善が期待できます。圧迫療法弾性包帯や弾性ストッキングを着用し、リンパ浮腫の治療をする方法です。弾性着衣を身に着けることで圧力が持続的にかかり、リンパ液が組織の隙間に溜まらないようにする、リンパ液をスムーズに流すことが目的となります。血圧が高くなる、皮膚がかぶれているなどの症状がある場合は、圧迫療法を続けるかどうか必ず医師に相談し、指導を受けてください。圧迫した状態で運動を行うリンパ液の排出を促すために、弾性包帯や弾性着衣を身に着けて足の関節を動かす運動をするとむくみ改善に効果が期待できます。圧迫した状態での足の運動は、筋肉の収縮作用と圧迫の効果でリンパの流れがよくなるといわれています。病院で行う治療法(複合的理学療法以外)病院で行う治療法について見てみましょう。外科療法外科治療では、手術で流れが悪くなっているリンパ管を静脈につなぐ吻合手術をするのが主な治療になります。うまくつなぐことができれば、むくみの改善が期待できますが、全例が手術適応になるわけではなく、まったく圧迫療法が必要なくなるほど改善されることは少ないといわれています。薬物療法リンパ浮腫治療に効果が期待できる薬物療法は、現時点で効果が認められているものはありません。皮膚が硬くなってしまったときには、尿素製剤やケラチナミン軟膏が有効です。日常生活で注意する点皮膚を傷つけないように、血圧測定、採血、注射などはリンパ浮腫がない方で行ってもらうようにしてください。爪の手入れにも注意を払い、深爪にならないようにしましょう。虫さされやペットからのひっかき傷にも十分注意してください。リンパ液の流れが妨げられると、リンパ浮腫が悪化することがあります。指輪や時計、下着などは締め付けないものを選ぶようにしてください。できるだけ標準体重を維持し、栄養バランスを考えた食生活を送るようにしましょう。監修:池内秀行
2017年05月01日背中ニキビの治療に薬が使われるのは一般的ですが、薬の種類によって効果が異なります。背中ニキビの治療に使う薬の効果と副作用背中ニキビに有効とされる薬は豊富です。その種類をあげて、その効果について解説していきます。抗生物質の効果と副作用通常の皮膚科でも一般的に処方される薬です。炎症した背中ニキビの原因菌であるアクネ菌をやっつけて、そのニキビを治すというものです。ニキビに有効とされる抗生物質は、リンコマイシン系抗生物質クリンダマイシンと、ニューキノロン系抗生物質ナジフロキサシンなどがあげられます。リンコマイシン系のほうが効果は強力ですが、その分の副作用がでやすいので注意が必要です。ニューキノロン系も副作用がでると考えられるのですが、医師や薬剤師などの指示に従って、適切に服用することを心がけましょう。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(1)抗生物質』 (をご覧ください。レチノイド製剤の効果と副作用表皮の顆粒細胞から角質細胞に変わるのを抑えて、角化異常を防止するという効果を持ちます。たとえるなら、毛穴周辺の肌を硬くせず、毛穴を小さくなるのを防いで、ニキビを抑えるというものです。抗生物質はアクネ菌をやっつけて、炎症したニキビの炎症を治療するのに対し、レチノイド製剤はニキビそのものを発生させないようにするという治療で、わかりやすくいえば、新しいニキビを起こさないようにするというものです。しかし、ピリピリとした刺激があり、発赤や乾燥肌などを起こすなどの副作用が存在しています。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(2)レチノイド製剤(ディフェリンゲル)』 (をご覧ください。硫黄製剤の効果と副作用硫黄はニキビの治療薬として古くから伝わっています。硫黄にはニキビに対する3つの効果があります。1つ目は殺菌作用で、ニキビの炎症を引き起こす要因となっているアクネ菌を減少させて除菌するという作用です。2つ目は角質の柔軟性で、角質を柔らかくして毛穴のつまりを防ぐというものです。3つ目は皮脂分泌を抑えて肌を乾燥させるというものです。しかし、肌の乾燥によって、肌のバリア機能の低下を招き、その結果、さまざまな皮膚症状が起きる可能性があります。詳しくは、『乾燥肌ってどんな肌? (乾燥肌の基礎知識』 (をご覧ください。実は硫黄製剤は大人ニキビに対して効果が期待できないどころか、悪化の要因になるという可能性があります。思春期ニキビの原因は皮脂が過剰に分泌されることにあるので、硫黄製剤は有効と考えられます。しかし、皮脂は肌を保護する役目を持っているので、肌の乾燥を防ぐために皮脂が過剰に分泌させるといわれているので、結果的に大人ニキビを悪化させる要因になるというわけです。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(3)硫黄製剤』 (をご覧ください。漢方製剤の効果漢方は東洋医学のひとつで、漢方によるニキビ治療に期待が高まっています。ニキビ治療に使われる漢方薬は、清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)、桂枝茯苓丸加苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)、荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)、十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)の4つです。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(4)漢方製剤』 (をご覧ください。ただし、漢方製剤だけではニキビが消える可能性は低いとされています。サリチル酸製剤の効果と副作用肌の角質層が硬くなるのを防いで、角栓の発生を抑えるという作用があるため、背中ニキビの初期症状の予防に期待が見込めるでしょう。若干ながら殺菌作用があるため、アクネ菌を減らすという効果もありますが、副作用があります。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(5)サリチル酸製剤』 (をご覧ください。過酸化ベンゾイル製剤の効果アメリカのニキビ治療では、過酸化ベンゾイル製剤が一般的に使われているといわれています。日本でも使われているのですが、アメリカほどではありません。その効果は強力な殺菌作用やピーリング効果、さらに乾燥を促進させる作用を持っています。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(6)過酸化ベンゾイル製剤』 (をご覧ください。背中ニキビ予防に効果的な化粧水や美容液の成分背中ニキビが重症化する前に皮膚科で診てもらうのが一番ですが、軽度の段階であれば予防は可能です。予防方法としておすすめなのがビタミンC誘導体の成分が入った化粧水や美容液を用いることです。ビタミンC誘導体は肌の浸透力が高く、背中ニキビの改善、もしくは予防につながるとされています。1日2回、朝と夜に使い分けることで効果は期待できるでしょう。詳しくは、『ニキビケアにおすすめ!ビタミンC誘導体とは?』 (をご覧ください。薬には副作用があるため注意が必要どの薬も副作用というのがあるので、医師や薬剤師の指示に従って、適切に使用するようにしましょう。監修:大久保真
2017年04月27日背中ニキビは皮膚科で治すのが最適といえるのですが、保険が適用された治療とそうではない治療というのがあります。皮膚科で行われるその背中ニキビの治療法について、解説していきます。背中ニキビを病院で治すタイミング背中のニキビは他の場所と違って見えにくいところにあるので、背中に違和感を覚えても確認することが困難です。気づいたときにはすでにニキビが大きくなっている、または炎症を引き起こしていることが多いとされています。背中ニキビに気をつけるため、外側だけでなく内側のケアを心がけても、治らない場合は皮膚科への受診が求められます。背中はニキビの発生率が高いです。背中に皮脂腺と呼ばれる皮脂の分泌腺が集中しているので皮脂の分泌量が多く、汗もかきやすく、衣服などで常に覆われているなど、さまざまな要因によってニキビができる環境が整っていると考えられます。上述したように、みえにくいのでケアも遅れがちになるのがほとんどです。ニキビができても、炎症や化膿などの重症化に至っていない場合は、日常的なケアなどで改善が見込めるでしょう。背中ニキビの皮膚科での治療方法と処方薬治療法を説明する前に、健康保険が適用されるかどうかについて、説明していきます。治療ですので基本的に健康保険が効きますので、経済的な負担も少なくて済みます。しかし、治療方法の種類によっては健康保険が効かず自由診療となります。保険適応の治療法と保険適応外の治療を次にあげて、解説していきます。保険適用の治療法毛穴につまっている皮脂などの内容物を取り除くという治療である面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)というのがあります。内容物を取り除くことによって、ニキビの治りを早くします。しかし、保険適用内に限定すると、一度に多くのニキビの面皰圧出ができないことが多く、5〜6個までが一般的とされています。外用薬は抗生物質が一般的に使われています。抗生物質で炎症を起こしたニキビの原因菌とされるアクネ菌を殺菌して治療します。もうひとつ、毛穴のつまりを解消してつまりにくくするという効果を持つ外用薬(アダパレンなど)があり、この外用薬もニキビの治療薬として使われています。内服薬も抗生物質が処方されますが、漢方製剤、また少ないのですが原因がホルモンバランスの乱れであることが判明している場合は、ホルモン治療として低用量ピルや抗男性ホルモン薬などが処方されます。ホルモンバランスの乱れによって、男性ホルモンが過剰に分泌され、男性ホルモンが持つ作用である、皮脂の過剰分泌や角栓の発生や毛穴の縮小などがあります。その作用の働きを抑えるには、ホルモンバランスを整えるなどの治療が求められます。しかし、ほとんどはホルモンバランスが崩れていないことが多いようです。改善のために皮脂のコントロールの意味で、ビタミン剤が処方されます。美容皮膚科などでは保険適用外の治療も一般的な治療法は、イオン導入、ケミカルピーリング、そしてレーザー治療などがあげられます。ほとんどの場合はクリニックで処置されます。イオン導入は微弱な電流を流して、ニキビに有効とされる成分を肌深くまで浸透させます。痛みなどはほとんどありませんが、ペースメーカーを装着している場合は、この治療を受けることができません。ケミカルピーリングは、簡単にいえば古い皮膚をはがして、新しい皮膚を蘇らせるという治療法です。これによって、ニキビやニキビ跡の改善、さらにシワやたるみなどにも効果が期待できるとされています。レーザー治療は、ニキビの原因菌でもあるアクネ菌を殺菌し、ニキビ跡のケアなどを目的とした治療法です。ケミカルピーリングとレーザー治療は肌に負担がかかるので、肌の弱い人はクリニックで事前に申告し、受けられるかどうかを事前に相談するようにしましょう。背中ニキビの予防法食生活を含む生活習慣の乱れなどを改善することによって、背中ニキビの予防につながることに期待が持てますが、背中のケアも心がけることも求められます。入浴時、背中を洗うときにおすすめなのが一般の固形石けんです。抗菌作用のある石けんもありますが大きな効果の違いはありません。消臭効果もあるので、体臭の予防には効果的とされています。入浴後、汗をかかないようにすることが大切です。衣服など、背中に触れるものすべて清潔に保つことも求められます。また、背中の風通しのよい肌着や衣服の着用も心がけましょう。監修:馬野詠子
2017年04月25日F Treatmentが運営する「不妊治療net」はこのほど、「不妊治療に関する実態調査」の結果を発表した。同調査は20~50代の女性を対象にインターネットで実施したもの。今回の調査の「不妊治療」とは、病院等の医療機関の診断・指示を受け、行う治療(定期的に通院するタイミング法も含む)のことを指している。不妊治療で実際に妊娠できる確率はどれくらいであると思うか尋ねたところ、不妊治療未経験者の回答は平均で47.3%だった。しかし、不妊治療経験者のうち、妊娠につながった人は全体の67.2%で、3人中2人は妊娠できていたことがわかった。不妊治療未経験者におけるイメージよりも、実際の妊娠成功率は高いことが明らかになった。不妊治療経験者に治療開始年齢を尋ねたところ、妊娠した人の41%は20歳代から不妊治療を始めていたことがわかった。一方、妊娠しなかった人のうちで20歳代から始めた人は28%だった。治療開始年齢の平均をみても、妊娠した人は30.5歳、妊娠しなかった方は32.8歳で、妊娠した人の方が2.3歳低かった。
2017年04月03日F Treatmentが運営する不妊症・不妊治療専門の情報サイト「不妊治療net」はこのほど、「不妊治療患者数及び病院数の調査」の結果を発表した。同サイトによると、病院等の医療機関の診断・指示を受け、不妊治療を行う(定期的に通院するタイミング法も含む)人は、女性だけでも全国に推定約40万人(※1)いるという。さらに、不妊治療をまだ始めていない潜在層(潜在的には不妊治療に対するニーズがある人)も含めると、女性だけで全国に約109万人いると考えられるとのこと。顕在化している患者数の約2.7倍(※2)いることが推測できるという。地域別の不妊治療患者数を見ると、32%(約13万人)が首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に集中している。近畿地方は23%だった。不妊治療患者数は、首都圏と近畿地方あわせて半数以上を占めることがわかった。不妊治療患者数を、エリア別の不妊治療病院数(同サイト調べ)で割り、1病院あたりの患者数を調べたところ、患者数が集中している首都圏では、不妊治療の病院・クリニック1件あたりの患者数は約525人だった。全国平均の436人と比べると約1.2倍で、首都圏は相対的に病院数が不足していることが明らかになった。また、近畿地方(1病院あたりの患者数: 552人)、九州地方(1病院あたりの患者数: 465人)も全国平均よりも多い。近畿地方・首都圏・九州地方は、相対的に病院数が不足していることがわかった。※1 不妊治療net調べ。定義は不妊治療を現在行なっていること。ここでの不妊治療とは、病院等の医療機関の診断・指示を受け、行なう治療(定期的に通院するタイミング法も含む)を指す※2 「(不妊治療患者数<女性>+不妊治療の検討者数<女性>+不妊治療を検討する可能性のある人数<女性>)÷(不妊治療患者数<女性>)」により算出
2017年03月01日2月24日、三月大歌舞伎(歌舞伎座)を前にした囲み取材に応じた市川海老蔵(39)。彼はがん闘病中の妻・小林麻央(34)について、こう語っていた。 「放射線治療はたいへんだけど、後遺症から抜け出してきています。体調との話し合いです。麻央は真面目で一生懸命だから……。僕としてはもうちょっとゆっくりと時間をかけて治してほしい」 そんな海老蔵の思いが、麻央にとって心の支えとなっている。 「海老蔵さんは多忙な日々のなか、いつも麻央さんのことを考えてきました。酵素風呂がいいと聞けば自作し、新治療法があると聞けばすぐさま駆け付けたり……」(芸能関係者) この日、麻央が訪れたのは、都内にあるクリニックだった。本誌は2月初旬に水素温熱療法で知られるクリニックへ通う麻央を目撃している。だが今回訪れたのは、そことは別。また新たな治療を始めていたようだ。 今回のクリニックは「リンパ浮腫外来」をもうけている。リンパ浮腫とは、がん治療後に出てくることのある“むくみ”のこと。ブレストピア宮崎病院の柏葉匡寛副院長が言う。 「手術などでリンパ管の流れが悪くなると、むくみが出てくることがあります。そして症状が進むと皮膚が線維化したり、変形して硬くなったりしてしまうのです。一度、リンパ浮腫になるとなかなか元に戻りません。そのため、早めのケアをする必要があります」 完全予約制で、海外のメソッドを採用。リンパマッサージや理学療法を組み合わせて症状を緩和し、浮腫の予防や生活の質の向上に役立てることができるという。麻央はこの日ブログで《わっはっはー、と、笑いながら採血》と綴っている。アップされた写真は、手の甲と手首に採血後の絆創膏を貼った姿だった。柏葉先生は、それを踏まえてこう解説する。 「手の甲で採血しているようですが、写真を見る限り、それほど急激に症状が悪くなっている印象はありません。治療以外のセルフケアとして、リンパ球数確認のために採血されるケースもあります。ですから麻央さんもリンパ浮腫が出ているというよりは、ご自身の免疫状態をチェックされていたのではないでしょうか」
2017年03月01日乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が6日、自身のブログを更新し、放射線食道炎が回復していることを明かした。麻央は「あたたかな陽」というタイトルで更新し、「今日はあたたかいです。起きて、ベランダへ出て、美味しい空気を吸いました」「あたたかい陽に、お花も一段と輝いています」と報告。ベランダの植物の写真を複数アップし、1枚だけ餃子の写真を紛れ込ませていた。その後、「餃子、正解!」というタイトルで再び更新。「前の記事。皆様、間違い探しに気づいて下さり、うれしいです!餃子が食べたくなり、焼いた朝、昼?花より団子な私は餃子を載せずにはいられませんでした」とおちゃめにつづった。また、2月4日のブログで「放射線食道炎も、ようやく回復報告に矢印が向き始めました」と体調について報告していたが、この日のブログでも「放射線食道炎も80パーセント良くなり、ここまでくると、気持ちも明るいです」と、さらに回復してきていることを明かした。
2017年02月06日乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が23日、自身のブログを更新し、骨への放射線治療が終了したことを報告した。麻央は「終了!」というタイトルで更新し、「骨への放射線治療が今、終了しました」と報告。「これからもゆるやかに効果が出てくるそうなので、期待したいです」とつづり、「痛み止めを飲まなくても良いくらいになりたいなぁ。貪欲」と希望を記した。そして、屋外のベンチに座っている自身の写真をアップし、「今日は、午前中、外気にあたって、もう既に眠たいです」とコメント。「お昼寝します。おやすみなさい」と締めくくった。麻央は、21日のブログで、「骨への放射線治療が残り1回になりました」と告白。「今回は、一時的に炎症での痛みが増した以外、特に副作用はなく、順調にすすんでいます」と明かしていた。
2017年01月23日乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が21日、自身のブログを更新し、骨への放射線治療が残り1回になったことを明かした。麻央は「ネイル」というエントリーで、「骨への放射線治療が残り1回になりました」と報告。「今回は、一時的に炎症での痛みが増した以外、特に副作用はなく、順調にすすんでいます」と明かし、「まだ痛みはありますが、レスキューで飲む痛み止めの量が減ってきたので、これから緩やかに効果を期待したいです」とつづった。また、先日、治療のあとに気分転換で病院内の美容室に行ったことも報告し、「爪に優しく軽くて刺激臭がない胡粉ネイルというものを発見。一年ぶりにネイルを塗ってみました」と、ピンク色にネイルした写真を公開した。そして、「私は、抗がん剤による爪の変色と変形は、足の親指だけでした。傷んでしまった部分も、がんばって変わらない部分も、みんな自分なので、いたわりたいです」と麻央。「ネイルをして、しばらく無関心になっていた爪に愛情向けられて 良い気分です」と心境を記した。
2017年01月21日質問:料理中に足にお湯をこぼしてやけどをしました。健康保険の範囲内でレーザー治療はできますか?先日、料理中に、足にお湯をこぼしてやけどをしました。膝の上に5mmくらいのケロイドができてしまい、色が濃く目立ってしまいます。レーザー治療を考えていますが、健康保険の範囲内で、治療ができるのでしょうか?どの程度まで、目立たなくなるのでしょうか?また、切除術も可能でしょうか?術痕が残ってしまわないか心配です。東京都:ぴなぴなさん(40)回答:やけど後のケロイド治療についてお答えします。――ケロイドの保存的治療について足にお湯をこぼした部分がケロイドになってしまったということですね。ケロイドに関しては、大きく分けて二通りの治療法があり、「保存的治療」と「手術および放射線治療」と呼ぶことができます。それぞれについてご説明をしていきたいと思います。保存的治療には、柴苓湯(さいれいとう)という漢方薬やトラニラストと呼ばれる内服薬による治療や、ステロイド軟こうやヘパリン類似物質を含む外用薬を患部に塗ること、ステロイドのテープを貼ること、液体窒素などでケロイド部分を凍結・壊死させる方法、ステロイドの注射をケロイド部分に打つ方法、そしてご相談者さまが考えていらっしゃるというレーザー治療などが含まれます。レーザー治療に関しては、レーザーの種類などを含めさまざまなやり方があり、一長一短ですので、受診される医療機関で詳しく説明を受けられることをおすすめします。大きさによっては何回かに分けてケロイド部分を縮めていき、ケロイドが平らになってきたら、今度は血管に反応するレーザーを用いて赤みを取る、といった方法がよく行われているようです。レーザーによるケロイド治療は、基本的に保険適用外になり、小さなものであっても数万円程度かかることが多いようで、皮膚科や美容皮膚科、美容形成外科といった科が専門になります。<ケロイドの手術および放射線治療について>また、もう一方の手術および放射線治療に関してですが、手術については肥厚している部分を切り取り、突っ張りを解除する手術を行うことになります。ご相談者さまのように小さなものが一つであれば、入院でなく日帰りで、局所麻酔で行える施設も多いかと思います。切除した後で、傷が広がったり、引きつれたりしないように一定期間、しっかりテープや装具で固定を行うことも、きれいな傷の治りのために非常に重要です。ケロイドの種類として、「真性ケロイド」と呼ばれる傷の範囲を超えて増大するタイプのもの(肩や胸に多く体質的な要素が強い)であれば、再発防止のため手術の後、放射線治療を行いますが、傷の範囲にとどまるタイプの「肥厚性瘢痕」(ひこうせいはんこん)であれば、手術と固定のみで放射線は使わないようです。ケロイドの治療を行うと、赤みやふくらみ、かゆみが減り、かなり目立たなくなることが多いですが、完全になくなるということではないので、そのあたりも処置を受けられる前に、担当の医師によく確認されることをおすすめします。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が7日、自身のブログを更新し、放射線治療が終了したことを報告した。麻央は「放射線治療終了!」というタイトルで更新。笑顔の写真をアップし、「平日毎日通った放射線治療が、今日で終了しました。毎日お世話になりました先生方、ありがとうございました」と報告した。そして、「治療期間中は、身体の不調が重なり胸、脇、鎖骨リンパ、首の半分あたりまで放射線をかけましたが、私の場合、喉の奥の焼けたような痛み、だるさ、背中と胸の圧迫感から息苦しさがあり、不安が消せない一ヶ月でした」と治療を振り返り、「今、治療が終了し、安堵しています」と心境を明かした。さらに、「『25日間、乗り切りましたね!』と先生に声をかけて頂き、気持ちを共有して頂いたことをうれしく思いました」と麻央。続けて、「さて、これから、どうするのか。考えなくてはいけません。が、考えすぎている暇は、ありません」と今後の治療を考え、「神~様~の~言~う~通~りっと、遊ぶ娘の声に、しみじみしてしまいます」とつづった。
2016年12月08日広汎性発達障害(PDD)の原因は?出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の診断基準である『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害は、最新の診断基準であるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。また、広汎性発達障害の障害名、症状の中には自閉症スペクトラム障害の概念では除外されたものも含まれています。ですが、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。広汎性発達障害のはっきりとした原因はまだ解明されていませんが、脳の機能障害がその原因と考えられており、親の子育て方法が原因で起こるものではありません。このうち、レット障害(レット症候群)についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因であることが分かっています。ほかの障害についても最近では遺伝的要因の関与が有力視されていますが、必ずしも単純に親から子どもへ遺伝するという意味ではありません。遺伝的要因と環境要因が複雑に相互に影響しあっていることが原因ではないかと言われています。しかしながら具体的な障害の原因やメカニズムは分かっておらず、様々な説が議論されている段階です。広汎性発達障害って治療できるの?出典 : 広汎性発達障害を根本的に治療する薬や手術といった医学的な方法はありません。しかし、広汎性発達障害による困難を緩和・解消するための教育・療育によるアプローチは存在します。本人が困難への対応法を学んだり、困難を未然に防ぐための環境調整をすることで、生きやすい環境を作っていくことが可能です。広汎性発達障害のある人はその特性ゆえに、生活する中で様々な困難にぶつかりがちです。他者の感情の読み取りが困難なため、会話の意図を誤解して受け取ったり、コミュニケーションがかみ合わなかったりする場合があります。抽象的な指示が理解できないために同じミスを繰り返したり、こだわりのため順番やルールを守れずトラブルになったりすることもあります。中には自分に自信をなくしたり、周りに強い被害者意識を持ってしまうこともあります。こういった日々の困難さが引き金となって、うつ病やひきこもりなどのいわゆる二次障害が発現することもあるのです。特に思春期以降の不安障害や気分障害の予防が大切です。広汎性発達障害の特性による困りごとを緩和するのに加え、こうした二次障害のリスクを極力なくすためにも、周りが障害の特性についてよく理解し、どのように対応すれば本人が行動しやすいか、生きやすいかなどを考えていくことが必要です。また、てんかん発作や感覚過敏など、一部の症状に対しては薬物療法によって症状を緩和できる場合もあります。うつ病や睡眠障害などの二次障害に対しても精神安定剤などの薬物治療が行なわれることもあります。これらの二次障害に対する治療の一つとしては、心理療法である認知行動療法の有効性が示されています。広汎性発達障害の治療の判断基準は?出典 : 広汎性発達障害は主に「社会性・対人関係の障害」「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動と興味の偏り」の3つの症状が現れると言われています。専門機関においても上記の3つの症状が見られるかを本人や保護者への問診や本人の行動観察などから評価・判断します。親が気づく子どもの症状としては「視線を合わせない、または避ける」「言葉の発達が遅い」などの症状がよく挙げられます。また、広汎性発達障害のある人のほとんどに何らかの感覚過敏が見られます。例えば、小さな物音を怖がったり(聴覚過敏)、抱っこされることを嫌がったり(触覚過敏)、偏食が多い(味覚過敏)などの感覚過敏があります。広汎性発達障害の症状は上記のように複数存在しますが、特定の症状がでたら治療が必要という明確な線引きはできません。また症状ごとに対処法や治療プログラムは異なります。本人が特性による困りごとに直面している場合、専門家による何らかの治療や支援が必要になると言えるでしょう。障害ではないかと気づいた場合には、まずは近くの保健センターや子育て支援センター、児童発達支援センターなどの専門機関に相談するようにしましょう。広汎性発達障害の治療法と治療を行う年齢は?出典 : 広汎性発達障害の根本治療はできませんが、症状を緩和するためには療育的アプローチと薬物療法の2つが効果的です。■療育療育は何歳からでも始めることができ、なるべく早くから通うことが推奨されます。療育とは、以下のように定義されています。療育とは医療、訓練、教育、福祉などの現代の科学を総動員して障害を克服し、その児童が持つ発達能力をできるだけ有効に育て上げ、自立に向かって育成することである。■薬物療法広汎性発達障害そのものを根本的に直す薬はありませんが、特定の症状を緩和するために使用することがあります。薬によって開始できる年齢や症状が決まっており、人によって副作用がある場合もあるので、主治医とよく相談し、用法用量を守って服薬していくことが大切です。薬物療法は、症状を一時的に抑えるためのものであり、症状が軽減している間に、教育や支援を行うと効果的であるともいわれています。治療を終える判断基準については、根本治療ができないため、はっきりと決まっているわけではありません。ですが、本人が特性への対処法を習得したり、環境調整を行ったりすることで困りごとが緩和されれば、治療が必要のない状態になることも少なくありません。しかし、進学や引っ越し、転職などの大きな環境変化によってさまざまな困難が再発する可能性もあるため、十分なフォローが必要です。広汎性発達障害の具体的な療育法・治療法出典 : 療育の遊びを通じてコミュニケーションの取り方を学んだり、友達を作ったりすることができます。また、ストレスを抱えがちな親にとっても療育の場は相談できる場所であり、同じ悩みをもつ親同士の交流の場所にもなっています。療育の効果は個人差があり、子どもに合った療育が必要となりますが、子どもにとっても親にとっても療育は心の面の大きなサポートになると言えるでしょう。広汎性発達障害の療育方法は様々ですが、下記の4つがよく知られています。それぞれの位置づけは異なりますが、ここでは簡単に概要のみを説明します。■ABA(エービーエー、Applied Behavior Analysis/応用行動分析)人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、問題解決に応用していく理論と実践の体系です。広汎性発達障害に対する療育だけでなく他の障害や教育、福祉、医療、スポーツ分野でも利用されています。■TEACCH(ティーチ、Treatment and Education for Autistic and related Communication handicapped Children)米国ノースカロライナ州で生まれた、自閉症スペクトラム障害の当事者とその家族を障害支援する総合的なプログラムです。※自閉症スペクトラム障害とはレット障害を除く広汎性発達障害を指します。■PECS(ペックス、Picture Exchange Communication System)絵カードを使ったコミュニケーション援助プログラムです。上記のABAの原理に基づいて作成されています。■SST(エスエスティー、ソーシャルスキルトレーニング)対人関係をうまく行うための社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分で理解し自己管理をするためのトレーニングの総称です。紹介した療育方法はごく一部ですが、療育機関ではこれらの療育理論や方法を複数組み合わせたり、独自のプログラムを利用して、子ども1人ひとりにあった療育方法が行なわれます。広汎性発達障害の根本的な治療としての薬物療法はありませんが、一部の症状に対しては対症療法として薬を使用することがあります。例えば、パニック症状を緩和するためには抗精神病薬、てんかん発作や感覚過敏には抗てんかん薬などが処方される場合もあります。その他様々な症状に対して薬物療法が行なわれますが、薬は一時的なもので、症状が完全になくなるというわけではありません。また薬には副作用が出ることもあります。薬の使用は必ず医者の指示を守りながら使うようにしましょう。適切な治療やサポートを受けられない場合、広汎性発達障害の主症状とは異なる合併症や状態を引き起こしてしまうことがあります。このような症状や状態を、一般的には「二次障害」と言うこともあります。注意すべき症状・状態には以下のようなものがあります。・気分障害(うつ病など)・不安障害・睡眠障害・不登校やひきこもり・アルコールなどの依存症などこのような症状や状態が現れた場合には専門の相談機関や医療機関で早期に相談・治療を開始しましょう。二次障害の治療には、それぞれの症状によって認知行動療法などの心理療法的アプローチや薬物療法などが用いられます。二次障害の予防のためには環境調整や周囲の理解、親や家族以外にも本人が信頼して相談できる人間関係を作ることなどが大切です。接し方で大きく変わる!広汎性発達障害の子どもへの接し方のポイント出典 : 広汎性発達障害のある子どもの中には、使っている言葉の意味を理解していなかったり、遊びのルールを理解するのに時間がかかってしまう子もいます。その際は絵や写真を使うと、理解しやすくなる場合があります。また、あいまいな表現は苦手なので、できるだけ具体的な言い方をするようにしましょう。何度叱っても同じことを繰り返してしまうために、親もイライラしてつい大声で叱ってしまうかもしれません。広汎性発達障害のある子どもは恐怖心でトラウマになりやすい傾向にありますので、大声で叱ってしまいそうになったら一度その場を離れるなど、冷静になるよう心がけてみてください。広汎性発達障害のある子どもが適切な行動を習得するまでには、根気強く教える必要があることを理解しましょう。叱るときには感情的にならず、具体的に注意する方が効果的です。上記でお伝えしたように写真や絵を使うなど、どうすれば上手く伝わるかを試行錯誤することも大切です。手をひらひらさせたり、ぴょんぴょん飛び跳ね続けたりするなど、広汎性発達障害のある子どもの中には同じ行動を長時間続ける常同行動が見られる場合があります。これらは視覚支援によって見通しを持てる環境を作ったり、コミュニケーションスキルを学んだり、適切な遊びにかえることなどで改善することが多いです。無理に止めさせようとするとパニックに陥ることもあるため、何回やったら終わりと決めたり、何か違うことに集中するための課題などを与えてあげたりするとよいでしょう。広汎性発達障害の子どもを持つ保護者は、できないことや、やめさせたい行動が多く目につき子育てが不安になってしまうこともあるかもしれません。ですがマイナス面ばかりに目がいかないように、得意分野を見つけて、できることを増やすことが大切です。また、ちょっとしたことでも褒めることが子どもの自信につながります。広汎性発達障害のある子どもの子育ては通常に比べて少しコツが必要になってきます。家族だけで解決しようとするとつまづくことも多いため、プロの手を借りて、子育ての仕方を学んでいくのもおすすめです。ペアレントトレーニングでは褒め方のコツや上手な指示の出し方、危険な行動を予防する方法などを学ぶことができます。まとめ出典 : 広汎性発達障害の根本的な治療方法はありませんが、療育によってコミュニケーションを取りやすくなったり、生活の困難に対処しやすくなります。そのためできるだけ早く療育をスタートしたほうが、本人の生きづらさも減ると思います。日常生活において不安に思ったりすることもあるとは思いますが、何かあった場合は身近な専門機関に相談してみてください。また、本人にとってよい環境を整えて生きづらさを少しでも減らせるように、周囲の人たちは障害の特性を理解した上でサポートするようにしましょう。
2016年08月17日歯が溶ける「う蝕」「酸蝕歯」に歯肉の一部が急に腫れる「妊娠性エプーリス」、口腔衛生の悪化で生じる「歯肉炎」など、妊娠時にはさまざまな歯のトラブルが起こりうる。特に、歯周病菌が原因で起こる「歯周病」を抱えていると、早産のリスクが約7倍にもなるとされている。「妊娠前にちゃんと治療しておきたかった……」という人もいるだろうが、実際、妊娠中でも歯の治療は可能だ。そこで今回、歯科医師の倉治ななえ先生に妊婦が受けられる歯の治療はどんなものなのかうかがった。○レントゲンも麻酔もOKまず、どんな治療が受けられるのか聞いたところ、「大概の治療は全部できます」とのこと。ただし、歯科治療は安定期(妊娠5~9カ月頃)に実施することを推奨しているため、妊娠が分かった段階で歯科検診を受け、治療が必要となれば安定期に入ってからということになる。歯の治療に関して、妊婦からは「レントゲンを撮ると胎児に影響があるのでは? 」「麻酔注射をしても大丈夫? 」「鎮痛剤や抗生物質は服用できる? 」などの質問があるという。倉治先生によると、これらは全て妊娠中もOKとされている治療であり、抜歯も問題ないとのこと。レントゲン撮影に関していうと、実際に放射線(X線)を照射するのはおなかから離れた歯だけであり、放射線の保護用に鉛のエプロンを着用するため、おなかの胎児が被爆する量は限りなくゼロに近い。麻酔に関しても、全身麻酔ではなく局所麻酔であるため、麻酔薬は歯の周辺に停滞するのみ。抗生物質の投与は、原則として治療の効果が危険性よりも高いと判断された場合に限り、産婦人科医も推奨している抗生物質に限定し、最小限の投与量で処方・治療される。○妊娠中に子どもの歯は形成される妊娠中も歯科治療ができることが分かっていても、実際に身重の身体で治療を受けることに不安を感じる人もいるだろう。そんなニーズに応えるべく、全国には妊婦も安心して治療を受けられる歯科医院が多数ある。2010年4月にマタニティ歯科外来を日本で初めて開設した日本歯科大学附属病院では、歯科医師も含め全スタッフが女性であり、リラックスして治療ができるように個室を設けている。なお、妊娠中の治療で歯科疾患が見つかった場合は保険対象の診療になるが、歯科疾患が見つからなかったもののクリーニングを希望する場合は自費となる。また、乳歯の形成は胎生期7週目から始まる。そのため、子どもの歯を守るためには、妊娠中から母親自身も口腔管理をし、生活習慣を整える必要がある。「お子さんの歯を診ていると、妊娠中にお母さんがどんな状態だったのか分かるんですよ。妊娠7週目くらいからお子さんに歯の芽ができ始め、その後、成長が歯に"刻印"されます。お子さんの歯にエナメル形成不全があれば、その時にお母さんが体調を崩していたということです。永久歯の石灰化は出生後に始まりますが、乳歯はお母さんのおなかの中で形成されます。そう考えると、妊娠中もお子さんの歯を守る対策が必要です」(倉治先生)。○行政を活用するのも手とは言え、自分の周囲でマタニティ期の治療を扱う歯科医院がどこにあるか分からないという人もいるだろう。そんな時には相談してみよう。例えば東京都大田区では、妊娠届を提出すると「母子健康手帳」と「母と子の保健バック」が手渡される。このバッグの中には妊婦歯科健康診査受診票も入っており、同受診票を区が指定する医療機関に持って行くと、無料で歯科検診が1回受けられるようになっている。ここまでのサポートではなくとも、行政では妊婦向けの歯科衛生指導や歯の健康相談にものってくれるところもある。一度、自分の市町村ではどのようなサービスが受けられるか調べてみると、いざという時にも安心できるだろう。※写真はイメージで本文とは関係ありません○記事監修: 倉治ななえ歯学博士。日本歯科大学附属病院臨床教授、日本フィンランドむし歯予防研究会副会長、日本アンチエイジング歯科学会理事(認定医)、東京都大田区学校保健会副会長。「クラジ歯科」(現在院長)と「テクノポートデンタルクリニック」を開設。著書として『魔法の口もと美人スティック』(学研パブリッシング)、『むし歯・歯周病の最新知識と予防法』(日東書院)など。また、「Drななえの予防歯科」を通じて、はじめての歯磨きから予防歯科まで、歯のケア情報を発信している。
2016年03月11日インターシルは3月7日、耐放射線性5Vマルチプレクサ「ISL71830SEH」と「ISL71831SEH」を発表した。ISL71830SEHは16チャネル、ISL71831SEHは32チャネルのマルチプレクサ製品。同社が独自に開発したシリコンオンインシュレータプロセスを採用しており、重イオン環境でのシングルイベントラッチアップ(SEL)耐性を確保。また、いずれも5kVの強化ESD保護機能を備えており、コストの高い保護ダイオードの入力ピンへの外付けを不要にする。さらに、オン抵抗を120Ωに、伝播遅延を100n秒未満に抑え、消費電力を低減するとともに信号品質を向上している。また、スイッチごとの過電圧保護機能を備えており、ある入力チャネルで過電圧が発生しても、残りのチャネルがADCへのデータ伝送を継続する。さらに「コールドスペア」冗長機能を備えていることから、コモンデータバスに2~3個の無電源状態のマルチプレクサを追加接続することも可能。同社は両製品について、「有人宇宙船と次世代人工衛星のミッション達成のためのニーズを満たします」とコメントしている。
2016年03月08日アラフォー世代になると、足の爪がすべてキレイに整っている人はほとんどいません。特に「巻き爪」で苦しんでいる人は10人に1人とも言われます。その痛さは経験した人にしかわからないほど! しかも、いったん痛みが出るとなかなか治りにくく、矯正などをしても再発してしまうことが少なくありません。巻き爪を治すのってやはり難しいのでしょうか?「多くの方は、巻き爪の原因は “爪そのもの” にあると思っています。でも、実は原因のほとんどは爪ではなく “足” にあるんですよ! それを無視して爪への対処療法をするだけでは再発するのも当然なんです」と教えてくださるのは、「足のクリニック 表参道」の院長、桑原靖先生。今回は、正しい巻き爪の知識と、再発しにくい治療法を伺いました。「なぜ巻き爪になったの?」本当の原因とは・・・?そもそも巻き爪(陥入爪) とは、爪が内側へ弯曲し、巻き込んでいる状態のこと。周囲の皮膚に爪が食い込み、痛みや炎症・膿みなどを伴うこともあります。その結果、靴が履けない、上手く歩けない、爪が切れない、何もしなくても痛い…などの悩みを抱えることに。放っておくと傷口から菌が進入し、感染を起こすこともあるほどです。「巻き爪になる原因はいろいろありますが、第一には爪が受ける圧力が弱すぎる場合。爪は元々内側に巻きやすい性質があるのですが、立ったり歩いている時に圧がかかることで地面と平行の形を維持しています。ですから、体重をかけないでいると曲がっていくのはあたりまえ。長期間寝たきりになった途端、巻き爪になるなんていうのもよくある話です。また、爪にかかる圧力が均等でない場合によく起こります。つまり、足が変形している外反母趾や、足のアーチが落ちて扁平足になっている方は、痛い、痛くないは別としてほとんどと言っていいほど巻き爪になっていますね」(桑原先生)外反母趾などのトラブルがある人で、今はまだ痛みがなくても、爪の端を押すと痛む、先が細い靴を履いた時だけ痛いなどの場合、見えない部分に爪が食い込んでいることがあります。これはもちろん、放っておくと徐々に巻き爪が悪化する可能性大! また、足の指の先端の骨(末節骨)の形態異常や爪下外骨腫という良性腫瘍により、骨の形が変形してしまうなど、爪が原因ではない場合が本当に多いのだそう。巻き爪は遺伝だとか、そもそもなりやすい爪の形があると思っている人も多いものですが、違いましたね! ちょっとビックリです。巻き爪はれっきとした病気。原因にあった治療法を!ただ、先天的に巻き爪になりやすい人も確かにいるようです。それは、爪の幅が広い人、爪が大きい人など。オーバーサイズネイルと呼ばれる爪で、そもそも皮膚に爪が食い込みやすい形です。「巻き爪の原因は一概には言えないため、まずは原因を見極めることが大切です。爪の医療に詳しいドクターなら、その方の爪の形、歩き方・立ち方の癖などを総合的に見て、原因を特定することができるはずです。巻き爪はれっきとした病気です。原因を特定できないまま、やみくもに矯正などの対処療法をしても完治は望めないと思いましょう」(桑原先生)もちろん、単純に爪が原因だった場合、桑原先生のクリニックでは巻き爪専用のワイヤー矯正治療を行います。「VHO巻き爪矯正ワイヤー」と呼ばれるもので、従来のワイヤー治療に比べ、爪が短くても装着することができ、付けていても邪魔にならないのが特徴。ワイヤー挿入の際、痛みが少ないのもメリットです。 「膿んで痛みがある人は、初回は爪を切っておしまい、ということもありますね。正しく爪を切ってあげるだけで痛くなくなることも多いもの。再発予防のために正しい切り方の指導もします。また、外反母趾が原因でも、軽い巻き爪なら、きちんとした機能性インソールを入れてもらうことで改善されることもあるんです。クリニックの治療用インソールでなくとも、市販のインソールで治る人もいます。もちろん、小さすぎる靴、大きすぎる靴、つま先がきつい靴などは足に負担をかけ、巻き爪を助長してしまいますから、靴そのものにも気をつけてもらいます。こういった指導でも治らない、再発してしまう方には、根本治療の『NaOH』療法をオススメしています。痛みも少なく、歩いて帰っていただけますよ!」(桑原先生)さて、『NaOH』とはどんなものでしょう?再発しにくい、巻き爪の新治療!『NaOH』とは?桑原先生のクリニック「足のクリニック 表参道」で行っている『NaOH』は、日本ではまだあまり行われていませんが、アメリカなどではポピュラーな手術です。「手術と聞くと『え〜、巻き爪で手術までするの?』と思うかもしれませんが、1カ所5〜10分で終わり、手術直後に歩いて帰れる治療方法です。その日の入浴も可能なんですよ。手術は、巻いている爪の端を根元まで切除し、その部位から爪が伸びてこないように薬品を塗るというもの。NaOHとは、爪になる細胞を焼くための薬品の名前です。爪になる前の細胞を取ってしまうため、そこからはもう爪が生えてきません。なので、多少は爪の形が細長くなります」(桑原先生)施術する際には局所麻酔をし、十分に効果が現れてから実施するため、痛みを感じない方がほとんど。術後に痛み止めの処方をすることもあります。手術時間は合計20分程度。完治までの期間が短く、通院日数が少なくて済むのもメリットです。手術は健康保険が適用になり、料金は3割負担で10,000円程度。なお術前に別途血液検査が必要なこともあります。巻き爪で長い間悩んでいた人、さまざまな治療をしたけれど効果がなかったという方は、このNaOH手術を選択肢のひとつにしてみてはいかが? 今年の夏こそ、自信を持ってサンダルが履けるようになりましょう!桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年01月21日今や2人に1人ががんになるといわれる時代。がん治療では、信頼できる医師のもと最善の治療法を選択することになる。日本のがん治療では、手術や放射線治療、化学療法といった標準治療が一般的だが、自分の細胞でがんを治療する方法もあることをご存じだろうか。今回は、"がんの最先端治療"といわれる免疫細胞治療について、瀬田クリニックグループ 統括院長の後藤重則医師にお聞きした。○がん細胞は細胞分裂のコピーミスで起こる!人間の体は毎日、新しい細胞が生まれるとともに古くなったものが死滅している。入れ替わる細胞の数は1日に約8,000億個。新しい細胞は生まれつき持っている細胞情報(DNA)をコピーして作られるが、細胞分裂の過程でコピーミスが起こると異常細胞ができてしまう。その異常細胞の1つが「がん細胞」だ。がん細胞は健康な人の体内でも1日に数千個発生しているといわれているが、免疫細胞の働きによって排除されている。「免疫力を高めてがんを防ぐ」などといわれるのは、こういった理由からだ。では、日頃からどんなことに気をつけて生活をすれば、免疫力を高められるのだろうか。「免疫力を高めるためには、栄養バランスの整った食事、運動や睡眠など規則正しい生活を意識することが大切です。喫煙やストレスは免疫力を下げ、がんのリスクを高めるので注意しましょう」と後藤医師。○がんの最先端治療「免疫細胞治療」とはがんの標準治療は、手術、化学療法、放射線治療の3つが代表的だ。患者のがん細胞の性質や進行度、再発リスクなどによって、医師は適切な治療法を提案する。一方、患者の体内にある免疫細胞を体外で強化したうえで再び体に戻し、がん細胞を攻撃するのが「免疫細胞治療」。つまり、"自分の細胞でがんを治す"という治療法だ。自分の細胞を使うため大きな副作用がないことがメリットの1つで、QOL(生活の質)を下げない全身的な治療法として注目されている。後藤医師が統括院長を務める瀬田クリニックグループは、1999年に国内初のがん免疫細胞治療専門医療機関として東京に開院。現在は全国4カ所(東京・神奈川・大阪・福岡)で展開するとともに、同クリニックと同様の免疫細胞治療が受診できる連携医療機関も全国で44カ所存在する(2015年12月時点)。免疫細胞治療は現在のところ、その多くは自由診療として行われている。○免疫細胞治療の種類免疫細胞治療では、一部(HIV抗体陽性の人、臓器・同種骨髄移植を受けた人など)を除くほぼすべてのがん種が治療対象になる。また、早期から再発・転移を伴う状況まで病期にも関わらず治療可能だが、外来通院での治療になるため、無理なく通院できる程度の健康状態が必要としている。瀬田クリニックで行っている免疫細胞治療は次の5つだ(瀬田クリニックホームページより)。■樹状細胞ワクチン療法樹状細胞は、がん細胞を直接攻撃するT細胞にがんの目印(がん抗原)を伝え、攻撃の指示を与える免疫細胞。樹状細胞ワクチン療法では、樹状細胞に体外でがん抗原を取り込ませてから(教育してから)体内へ戻し、T細胞にがんを攻撃するよう指示させる。■アルファ・ベータT細胞療法がんに対する攻撃力が最も強い細胞のひとつであるT細胞を全般的に活性化し、増殖させてから体内へ戻す治療法。T細胞の多くが「アルファ・ベータT細胞」という種類のため、この名前がついている。がん細胞の目印が分からないとき、がん細胞が目印を隠している場合に、早期がんから進行したケースまで幅広く適用。また、免疫の働きにブレーキがかかっている患者のブレーキを外す働きもあり、化学療法や放射線治療の効果が増すことも期待されている。■ガンマ・デルタT細胞療法がん細胞を攻撃する力を持つ免疫細胞(リンパ球)のうち「ガンマ・デルタT細胞」を用いた治療法。ガンマ・デルタT細胞には、細菌やウイルスなどに感染した細胞やがん化をはじめた細胞の変化を素早く感知して攻撃をしかけるといった特徴がある。抗体医薬を使っている場合や、骨腫瘍・骨転移などの治療にゾレドロン酸を使っている場合、併用することで相乗効果を期待できる。■NK細胞療法NK(ナチュラルキラー)細胞は、末梢血中のリンパ球の10~20%を占め、極めて強い細胞殺傷能力を持った細胞の一種。体の中を常時パトロールし、がん細胞やウイルス感染細胞などの異常な細胞をいち早く発見して攻撃する役割を持つ。NK細胞療法では、患者のNK細胞を体外に取り出し、高度に安全管理された環境下で大幅に増殖・活性化して体内に投与する(治療開始前の患者の免疫状態等により、NK細胞の増殖度合いは異なる)。■CTL療法T細胞を活性化・増殖させる際に、患者のがん細胞を使ってT細胞を増殖させ、そのがんのみを攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)を増やしてから、体内に戻す治療法。腹水や胸水などから、患者のがん細胞が入手できる場合に治療が可能。○標準治療と併用が可能これらの免疫細胞治療は、標準治療と併用できる点も重要だ。例えば、手術、放射線治療、抗がん剤などはがん細胞を大きく減らしたり、腫瘍を小さくしたりすることが可能だが、再発のもととなる隠れたがん細胞が残る可能性もある。一方、免疫細胞治療は、サイズの大きながんを縮小させる力は弱いものの、こうした隠れたがん細胞を探し出して攻撃する力を持っており、標準治療と併用することで再発リスクを下げたり、他の標準治療の効果を底上げしたりすることが期待できる。新しい治療法であるため、現状では高齢者よりも、インターネットなどで自ら情報を探すことに長(た)けている若い人に認知される傾向があるとのこと。「若い患者さんは、ご自分でいろいろと調べてから来院されます。また、ご高齢の患者さんの場合、お子さんやお孫さんが調べて連れて来られるケースも多いですね」。なお瀬田クリニックでは、次のような場合に免疫細胞治療を提案している。1. 手術などを行ったが再発の心配があり、体に負担をかけずそのリスクを下げたい場合2. 放射線治療や抗がん剤と併用して、プラスαの効果が期待できそうな場合3. いろいろな治療を試したが、標準的な治療方法が他にないと言われた場合「免疫細胞治療は、体への負担が少ないので、例えば仕事や趣味、食事など、これまでどおりの生活をしながらがんの治療が行えます。多くの人がさまざまながんの治療法があることを知って、ご自分のライフスタイルに合った治療法を選べるとよいですね」。以前と比べて「がんは治る病気」といわれることも多くなったが、やはり自分や家族、友人ががんを患った場合、まず感じるのは恐怖だろう。事前に治療法について知っておけば、いざ治療が必要になったときも、信頼できる医師や病院、治療法を見つける手がかりになる。健康に気をつけてがんを防げることが一番だが、もしものときに備えて、がん治療に関する知識を持っておくとよいだろう。※画像と本文は関係ありません○記事監修: 後藤重則(ごとう・しげのり)瀬田クリニックグループ統括院長1981年新潟大学医学部卒業1985年県立がんセンター新潟病院1989年新潟大学医学部助手、同年医学博士号取得1991年帝京大学生物工学研究センター講師、帝京大学医学部講師1995年医療法人社団弘生会霞ヶ関ビル診療所1999年瀬田クリニック(現・瀬田クリニック東京)、2001年より同院長2008年東京医科大学内科学兼任講師2009年より医療法人社団滉志会理事長
2015年12月24日オハラは12月22日、耐放射線光学ガラスを発売開始したと発表した。原子力関連施設や宇宙環境などの放射線環境下において状況を詳細に観察するためには、カメラなどの光学機器を直接その環境下へ設置しなければならないが、レンズやプリズムに一般の光学ガラスを使用すると、強い放射線のために次第に変色してしまう。同耐放射線光学ガラスは特殊なガラス組成により、過酷な放射線環境下での可視光透過率の安定性を持ち、透過率劣化が極めて小さくなっているという。今後同社は、近年の原発設備関係ならびに宇宙カメラ用途への需要が高まりを受けて、耐放射線光学ガラスのラインナップを強化していくとしている。
2015年12月22日世界初となる二日酔い治療専門病院が、オーストラリアに開業した。シドニーにあるこの病院では、30分から1時間で最悪な二日酔いも治せる治療を受けられるそうで、治療費は140豪ドル(約1万2,000円)からとなっている。一方でこのアイデアをよく思っていない意見も出ており、豪公衆衛生協会は「このことは人々の不適切なアルコールの消費を促すものであり、政府は十分に注意を払うべきだと思います」とコメントしている。(C)BANG Media International
2015年12月16日金原出版は11月25日、がん患者およびがん患者の家族、放射線治療に携わる医師や看護師、医療関係者に向けた書籍『患者さんと家族のための放射線治療Q&A2015年版』(2,200円・税別)を発刊する。「放射線治療」は手術、薬物療法と並ぶがん治療の3本柱の1つ。手術や化学療法が困難な高齢者や、合併症により手術や化学療法が行えない患者にも適応できる治療法だという。また、通院による治療のため、「がん就労」を可能にする方法としても注目されている。国立がん研究センターがん対策情報センターによると、2015年の予測がん罹患(りかん)数は98万人、予測がん死亡数は37万人まで増加している。このうち放射線治療を受ける患者は約3割とのこと。この数は、"切らないがん治療"として放射線治療を選ぶ人が多い欧米と比べると半分程度だという。同社は、放射線治療を選ぶ人が少ない一因として「放射線治療の良さを知らずにいること」を挙げ、「放射線」という言葉だけで悪影響が出るのではないかと心配する患者や家族も多いことに着目。そこで、放射線治療に関する正しい知識を解説した同書を発刊することとなった。同書はQ&A方式で、さまざまな疑問に答える形で構成している。放射線治療のしくみ、手術や薬物療法との違い、放射線治療の費用、治療にかかる日数、併用療法、各部位別の治療法、治療の進め方などを解説。編集には日本放射線腫瘍学会が携わっており、学会初の公式本であるという。
2015年11月20日日立製作所と日本アキュレイは9月2日、日立メディコの柏事業所内に「日立高精度放射線治療研修センター」を開設した。同研修センターは、放射線治療システム「トモセラピーシステム」のサポート体制の拡充ならびに両社の放射線治療システム事業の強化・拡大を目的とする。具体的には、米アキュレイが提供するトモセラピーシステムを設置し、放射線腫瘍医や診療放射線技師、医学物理士が実機に触れながら、操作や管理方法などの一連の研修プログラムを学ぶことができる施設となっている。「トモセラピーシステム」は、CTスキャナと放射線治療システムを統合した医療機器で、治療前に患者の位置合わせを行うことにより、がんに対して高精度に放射線を照射することができる。また、放射線の強度を変化させて照射できるため、がんの形状に合わせた放射が可能だ。○効果は手術と同等も普及に課題同システムなどを用いる高精度放射線治療は、従来の放射線治療とは異なり、がんにピンポイントに照射することができるため、ほかの臓器へのダメージを抑えることができ、副作用を抑えることができるというメリットがある。また、その効果も手術と同程度であるとされ、欧米ではがん患者の約5割が放射線治療を受けているという。これに対し、国内で放射線治療を受けているがん患者は約3割にとどまり、日本での普及はまだこれからといった段階にある。普及が進まない一方で、同研修センターの開所式に先立って講演を行った東京大学医学部付属病院 放射線科の中川恵一 准教授は国内における必要性の高さを次のように説明する。「生活習慣の変化によって日本人のがんの種類も"欧米化"しており、昔は胃がんが多かったが、現在は男性では前立腺がん、女性は乳がん、全体では大腸がんが増えている。胃は手術しやすいが大腸は奥にあるから手術しにくい」。がんが欧米化しているのであれば、治療法も欧米化する必要があるというわけだ。また、「がん治療といえば手術」という図式が出来上がっていることも普及を阻害している。上述のように手術しやすい胃がんがこれまでは多かったことも一因だが、中川准教授は「日本ではドラマや漫画などの影響で『がん治療といえば手術』という思い込みがある。もっと学校でがんの治療法について教えることで、(一般の人が)治療法について正しい認識を持てば放射線治療がもっと普及する。」と語り、選択肢を認識することの重要性を強調した。このほか、日本では4種の病態しか保険でカバーされていない(米国は18種)、機器がまだ高価かつ大規模になってしまい導入ハードルが高いといった課題もあり、高精度放射線治療の本格普及に向けて道のりは長い。しかし、患者に対して負担が少ないという同治療法の特長は、高齢化が進む日本ではメリットが大きく、ニーズはますます拡大すると予想されるだけに、「日立高精度放射線治療研修センター」は高精度放射線治療の浸透に向けた拠点のひとつとなることが期待される。
2015年09月03日放射線医学総合研究所(放医研)は8月28日、東京電力福島第一原子力発電所近くの期間困難区域の放射線量が特に高い地域に自生するモミの木において、放射線量が低い地域のものと比べ、主幹が欠損した二股様の形態変化を示す個体の頻度が増加していると発表した。同成果は、環境省が実施した野生動植物への放射線影響を把握するための調査のうち、モミに関する結果について、放医研がデータのとりまとめを行ったもので、8月28日に英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。今回の調査では、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を強く受けた、帰還困難区域内の放射線量が特に高い地域に自生するモミ個体群を調査した結果を解析。その結果、放射線量が低い地域の個体群と比べて、形態変化の発生頻度の顕著な増加が認められた。また、放射線量に依存してその頻度が高くなっていることがわかった。この形態変化では、木の主幹の欠損による二股様の分岐が特徴的に認められた。放医研は、主幹欠損は放射線以外の環境要因や物理的障害でも発生するため、必ずしも放射線に特異的な現象ではないが、モミを含む針葉樹は放射線感受性が高いことを踏まえると、今回の結果は、放射線が東京電力福島第一原子力発電所近くの地域におけるモミの形態変化の一因となっている可能性を示唆するものであるとしている。今後、形態変化の発生と放射線被ばくとの因果関係を明らかにするためには、モミが受けた放射線被ばく線量を正確に見積もることや、実験施設内でモミに対して直接放射線を照射するなどして、同様の形態変化が発生するか調べる必要があるとしている。
2015年08月31日新潟大学は6月18日、糖尿病治療で使われるインスリンなどの血糖降下薬による低血糖脳症に対し、新たな動物モデルを作成し、用いることで低血糖脳症の治療薬を発見したと発表した。同成果は新潟大学脳研究所神経内科の下畑享良 准教授を中心とする研究グループによるもので、6月18日の国際科学誌「PLOS ONE」に掲載された。低血糖脳症は、糖尿病の治療でインスリン注射や内服の血糖降下薬を用い血糖値を下げたときに、薬が効きすぎることで起きる。糖は脳にとってのエネルギー源であるため、低血糖脳症は重度の脳障害や認知症の原因となる。近年、その数が増えていることが問題となっているが、ブドウ糖注射を除くと治療薬がなく、治療薬の開発が望まれているが、良い動物モデルがないという課題があった。従来の動物モデルは低血糖におる脳のダメージによって呼吸が止まるため、人工呼吸器を使用していたが、難易度が高いという問題があった。今回の研究では、脳波をモニターしながら脳の傷害をチェックする方法を用いることで、人工呼吸器を使用しないで済む動物モデルを確立した。また、このモデルを用いることで、低血糖の治療として行うブドウ糖注射のあとに、脳内にアルデヒドのひとつである4HNEという物質が蓄積し、神経細胞を傷害すること、その障害の程度は低血糖の時間が長いほど高度になることを発見。アルデヒドを分解する酵素を刺激する薬剤「ALDH2 アゴニスト」をブドウ糖と一緒に注射したところ、脳内のアルデヒドが減少し、神経細胞の障害も抑制されることを確認した。このアルデヒド分解酵素刺激薬が実用化されれば、低血糖脳症患者の一部の予後を改善する可能性がある。同研究グループは今後、今回開発した動物モデルを用いて、さらに低血糖脳症の治療薬候補の同定を進め、最も効果が期待される治療薬を用いた治療の実用化を目指すとしている。
2015年06月18日