「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合で配布された冊子に“LGBTに対する差別的な文章”がつづられていると6月29日に報じられた。「神道政治連盟とは、全国各地の神社が参加する宗教法人・神社本庁の関係団体。そして、その国会議員懇談会とは神政連の理念に賛同する国会議員によって構成されています。懇談会には262名もの国会議員が会員として名を連ねていますが、その大多数が自民党の議員です」(全国紙記者)一般社団法人fairの代表理事・松岡宗嗣氏がYahoo!に寄稿した記事によると、冊子にはこうあったという。「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」「(同性愛などは)回復治療や宗教的信仰によって変化する」「世界には同性愛や性同一性障害から脱した多くの元LGBTの人たちがいる」「LGBTの自殺率が高いのは、社会の差別が原因ではなく、LGBTの人自身の悩みが自殺につながる」「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」注目が集まったのは、内容だけではない。実はこの冊子、キリスト教教育学を専門とする弘前学院大学・楊尚眞教授の講演録だという。そのためTwitterには、こんな声が上がっている。《この講演を行った楊尚眞氏はキリスト教学者のようだ。なぜ「神道」の政治団体でこうした言説が採用されているかという点に疑問を感じる》《神道系がキリスト教系の教授の講演録を配るとか何が何やら…》《なんで神道の団体がキリスト教の思想を推すのかなと思った》そこで本誌は神道政治連盟に楊氏が講師を務めるにいたった経緯について問い合わせると、担当者はこう答えた。「楊氏はキリスト教の方です。いっぽう、大学教授でもあります。性的少数者の問題をずっと研究されている方ですので、キリスト教徒というよりも講師としてお話をしていただきました」さらに担当者は、会合の趣旨をこう明かした。「いま性的少数者の話題がたくさん上がっていますよね。海外ではトランス女性(男性として生を受けた、性自認が女性であるトランスジェンダーのこと)と呼ばれる方々がスポーツをして、いい記録をとって、『普通の女性が不公平じゃないか』という声も上がっています。問題が起こっているならば、理解を深める必要があります。そこで会合を開きました」担当者は「一部の報道では、楊氏のことを差別的だといいます。ただ楊氏は講演に際して『私には差別の意図はございません』とハッキリおっしゃっています。講演録の方にも、そういう風にきちんと書いております」という。さらに「私たちも差別的な目的で会合を開いたわけではありません。あくまで理解を深めるためです」とも述べる。では神道政治連盟や楊氏にとって、差別の定義とはどんなものだろうか?そう尋ねると、担当者はこう答えた。「私たちも何が差別なのか、わからないところがあります。『差別は許されない』という法律があります。しかし何が差別で、何が差別でないのか。それを理解していないと、本人として差別のつもりのないことですら、差別として捉えられるかもしれない。“何が差別なのか”を明らかにすることで、トラブルに巻き込まれることもなくなるのかなと思います」差別の定義はわからないものの、「差別ではない」という神道政治連盟。懇談会の議員らは、同じように冊子を受け止めたのだろうか。
2022年07月03日元朝日新聞政治部の記者で、ウェブメディア『SAMEJIMATIMES』を運営する鮫島浩さん『朝日新聞政治部』という本が今、話題だ。発売日である5月27日の初日になんと3刷り、3万部を超えた(6月21日現在、4刷4万部)というのだから、爆発的に売れている。著者は元朝日新聞政治部の記者で、現在は自身のウェブメディア『SAMEJIMA TIMES』を運営する鮫島浩さん(50歳)。本の帯には《崩壊する大新聞の中枢すべて実名で綴る内部告発ノンフィクション》とあり、衝撃的で、なるほど食指が動く。「こんな政治取材はおかしい」ページをめくっていくと、帯に偽りなし。実名で朝日新聞政治部の中枢にいた記者、経営陣、政治家が登場し、鮫島さんが入社した1994年から物語は始まる。それは日本の政治と巨大新聞社の、私たちにはふだん見えない姿。『半沢直樹』とか『ハゲタカ』とか、『白い巨塔』とか。企業や病院のドロドロを描いた小説(&テレビドラマ)があったろう、あんなふうなのだ、しかもこちらはリアル!印象的な場面が、最初から登場する。鮫島さんがまだ入社4年目の1997年、朝日新聞の浦和支局(埼玉県)にいたときのことだ。自民党の加藤紘一幹事長(当時)が極秘で来県する情報を得て、ビルの前で張っていた。そこへ黒塗りの車が到着し、加藤幹事長がSPを従えて降りてくる。と、車からいっしょに降りたのは鮫島さんの上司である、次の朝日新聞政治部部長に有力視されていた橘優(たちばな・まさる)記者。加藤幹事長と橘記者は鮫島さんに目もくれずビルのエレベーターに乗り込み、慌てて鮫島さんも乗ろうとするとSPの腕が制する。「なぜ私はダメなのですか!あの人は乗り込んだじゃないですか!」鮫島さんが橘記者を指さして叫ぶと、SPがひと言。「お立場が違います」呆然とする若き鮫島記者をひとり残し、エレベーターの扉は無情にもスルスルと閉まる。鮫島さんは、「こんな政治取材はおかしい、いつか変えてやる」と思うのだ。「悔しかったですね。だから、いつか変えてやろうと思うわけです。立場によって人に会うとか会わないとか。そいうのが政治の世界で、今も変わりません。でも確かに何を言うかも大事ですが、誰が言うかが大事なのもあります。岸田文雄総理大臣が言うのと、小川淳也議員(鮫島さんと同じ高校の同級生である衆議院議員)が言うのと、和田さん(筆者)が言うのとでは、政治的意味合いがぜんぜん違うわけだから。それは仕方ない部分はある。だけど、このムカつきを忘れないで、負けずに怒って、自分の発信力をつけようと思って頑張ったんです。それでもやっぱり、今思えば、これぞまさに権威主義そのものですよね」そう振り返る鮫島さんは、本の版元である出版社の豪華な椅子にジーンズとチェックのシャツのラフな姿で座る。どう見ても、今もエレベーターに乗らない方にいる気がする。「僕は今、新聞はとってないから朝起きるとまずインターネットで情報を収集します。ワアーッと一気に見て見極め、深掘りしていくほうが効率いいんですよ。そういう頭に今はもうなっています。ネット脳なんです。僕のライバルは新聞じゃありません。ライバルはスマホのゲームであり、LINEやFacebook。目標とする人は(オリエンタルラジオの)中田敦彦、あっちゃんです。『中田敦彦のYouTube大学』の登録者数は476万人。中田さんは小説から政治、お金儲けまでしゃべって、一般の人はそういう人から政治を知る。中田さんをライバルと捉え、中田さんを見てもいいけど、こっちもいいよぐらいじゃないと。そこと戦えるクオリティを目指して行きたい。敵は読売新聞とか、もうそういう考えは古いんですよ」竹中平蔵に国会のトイレを教えた鮫島浩さんは1971年、神戸生まれ。香川県立高松高校から京都大学の法学部へ進み、朝日新聞に入社し、27歳で花形の政治部へ。自民党の小渕恵三元総理大臣、重鎮の古賀誠元幹事長や与謝野馨元官房長官、そして小泉政権での竹中平蔵金融・経済財政政策担当大臣、民主党の菅直人元総理大臣と、幅広く番記者として担当し、39歳の若さで政治部デスク(次長)に抜擢された。鮫島さんはエリート中のエリート新聞記者だった。「竹中平蔵さんは、今では日本を弱肉強食の社会にした大物戦犯で、既得権益の代表のように言われているけれど、僕が記者として担当した、彼がまだ永田町に来たばかりだった21年前は弱小の民間人大臣だったんですよ。言い換えれば、挑戦者。今じゃ信じられない?でも僕は国会のトイレの場所まで教えてあげたんだから。『鮫島さん、トイレどこですか?』って焦って聞いてくるから。最初は誰にも相手にされずバカにされて、財務省のエリート官僚なんかは『何あれ?』なんて鼻で笑ってる。そりゃ僕とは政策的意見は合いません。でも、あのときの彼の闘いを、知ってるから。何もない弱小軍団、ちびっこギャング軍団みたいなところから官僚たちへ攻め入るわけよ。気がつくと財務省をやっつけ、今や逆に霞が関全体が竹中化している。竹中さんは勝ったんです」本にはこうある。「私の竹中氏取材は、権力者の懐に食い込んで情報を入手する旧来型のアクセスジャーナリズムの典型である。竹中氏らが抵抗勢力との戦いを有利に進めるために番記者である私(朝日新聞)を味方に引き込み情報を流したのは間違いない。朝日新聞はそれを承知の上で、情報の確度を精査して主体的に報道すべき事実を判断して記事化していたが、結果的に竹中氏を後押しする側面があったことは否めない」(第二章より)その後、鮫島さんは自民党内で改革派だった竹中氏に対して、抵抗勢力側のドンであった古賀誠元幹事長の番記者になる。ふつう政治部の新聞記者は自民党のある派閥の番記者になると、同じ派閥、同じ政治家を長く追いかけることになるのだという。担当する政治家の浮沈が自分の記者としての出世にも直結して、政治家と運命共同体みたいになっていくんだとか(なるほど、だから批判はしづらくなる)。ゆえに鮫島さんの担当替えは異例のことだった。「僕なんか最初から跳ねっかえりで政治部1年目にして会社の悪口言いまくってた奴で、読売新聞あたりだったらとっくにクビになっただろうけど、朝日新聞だと当時はそういうのを“面白い奴”と引き立てる茶目っ気というか、ジャーナリズムはこんなもんだという理解がまだ上層部にあったんだよね。だからすごく若くしてデスクにもなったし、抜擢もされた。僕は別にそうなっても、それまでの雰囲気を変えたつもりはなかったんですよ」そう話す鮫島さん。でも、本人も知らず知らずのうちにエレベーターに乗る側になっていなかったろうか。2010年に政治部デスクに昇格すると、民主党結党当時から懇意にしていた菅直人総理大臣(当時)とは、ほかのどの記者よりもツーカー。震災のあった2011年ころには「政治報道に携わる者として、社内外でこれほど強い立場に立つことは二度とないだろう」(第四章より)というほどになる。「俺の記事を読め!ここに答えが書いてある!何でこれが分からないんだ?これが民主主義だ!これが憲法だ!(当時の自分は)そう、やってたからね」でも、鮫島さん、ひとりでイキって肩で風切るだけのスカした記者だったわけじゃない。朝日新聞は最初からずっとダメだった覚えているだろうか?民主党の小沢一郎代表をターゲットとした東京地検特捜部の執拗な強制捜査。2009年のことだ。捜査に疑問を感じた鮫島さんは「朝日新聞がこの捜査に警鐘を鳴らす記事を一面に掲げるべきだと強く思って」、編集局長室に乗り込んで直訴したという。これ、かなりの掟やぶりだったそうで、そういう一か八かで勝負に出るところがある。しかし、これはかなえられず。検察に甘い内容の記事が載り、鮫島さんは「怒りで発狂しそう」になった。「朝日新聞社は元々ね、ダメだったんですよ。自分はそれに気づいてなかっただけで、最初からずっとダメだった。僕が入ったころもすでに8割ぐらいは官僚的な人ばかりで、本当は大蔵省に行きたかった、外交官になりたかった、親が学者だとか外交官とか、そんなのばっかりだったんです。読者側に立つというよりは、政治家になりたいような人たちの中に2割ぐらいはけっこうジャーナリズムに燃える人がいました。この本ではボロクソに書いた木村伊量(きむら・ただかず)元社長とかにもいいところもある。『ジャーナリズムは調査報道にある』とか言った秋山耿太郎(あきやま・こうたろう)元社長とか、いちおう建前を守るっていうね。そういう人たちが主導権を握っていてかろうじてセーフだったんです」福島第一原発事故の『吉田調書』誤報事件しかし2014年、鮫島さんの記者人生はガラガラと音を立てて崩れていく。鮫島さんがデスクを務める特別報道部が伝えた、福島第一原発事故の陣頭指揮にあたっていた故・吉田昌郎所長の政府による聴取記録、「吉田調書」についての一面トップ記事が“誤報”だったとされ、朝日新聞社の当時の木村社長が引責辞任をする大騒ぎに発展し、上司は停職に、鮫島さんも停職2週間となり記者職を解かれた。記事を担当した現場の記者たちも処分され、彼らは会社を去っていく。このあたりの一連の流れはぜひ本を読んで確かめてほしい。そんなことがあったのか……と驚く。朝日新聞社はなぜもっと早く対処しなかったのか?これが大新聞社のあるべき対応なのか?何より、購読する人たちのことをいちばんに考えていたのか?素朴な疑問が沸いて、読んでいてザワザワする。ちなみに今この記事を書く筆者は、長らく朝日新聞の購読者で、今はデジタル有料購読者だ。そして“誤報”だとする記事が伝えた、原発に過酷事故が起こったときに「誰が対処するのかという議論を棚上げしたまま、原発を再稼働してよいのかを問いかける」(第六章より)という鮫島さんたちが記事を作った根本的な意図は、今だ解決していない原発の大問題を問うためのものだった。果たしてそれは“誤報”だったのか?まったくわからない。「集中砲火を浴びました。朝日新聞も罵詈雑言を受けたけど、僕自身にも“捏造記者”だとか、“エリートのくせしやがってウソ書きやがる”とか、強烈に言われ続けた。最初はひたすらムカついていたんだけど、本に書いたように、自分が犯した罪は、記事が間違っていたとかいないとかよりも、尊大に社内でふるまってきた傲慢さを問われる『傲慢罪』だと妻にはっきりと言われたんです。いちばん身近にいる人からそう言われ、もうグウの音も出ない。“ああ、それこそが本質だな”と思って。立ち直れないぐらいのショックでした。そこと向き合わないと次の一歩にはいけないと思いながら、会社を辞めるまで6年もかかった。いろいろな気持ちが交錯し、過去の自分を反省していく。でもダメだったとなかなか認められないんです、人間は。正当化したくなる。心から本当に『アカンかった』と認めるには時間がかかる。言われて、そうだと思っても、消化するのに6年。何度も、『いや、俺は間違ってなかった』って思う、思いたいから。ただ、それを苦しみながらやると、意外と間違ったって認めちゃうのはラクになれるんだって気づくんだよね」自分の間違いを認めたからこそ、鮫島さんたち現場の記者たちを切り捨てた朝日新聞への言葉は厳しい。本の中でも鮫島さんは朝日新聞へ何度も厳しい指摘をし、「この会社にはもう未来はないと確信した」(第七章より)と、突き放す。朝日新聞の失敗でも、鮫島さん、そうやってお先真っ暗と決めつけられた会社には、今も記事を書き、新聞を作ってる人々がいて、鮫島さんの厳しい言葉に「後ろ足で砂をかけられた気分」と怒る記者たちだって当然いますよね?「そう批判されるのは別に構わないし、(批判は)あっていい。ただ、僕を批判する人は自分の言ってることが唯一の正義で、これだけ見れば世界が変わるとか、“世界の教科書”があるとすれば、それ以外認められないんじゃない?そもそも絶対に正しい真実とか正義ってないと思う。今起きている戦争やコロナも、100年後には今の考え方が覆るかもしれない。僕が言ってることは間違っているかもしれないけれど、僕は僕なりに誠意をもって正しいと信じるものを伝えます。もちろん、間違っているかもしれないというリスクもすべて背負って伝えます。朝日新聞の失敗は、『朝日新聞が言うことは真実です』とやっていること。本当かよ?です。政府の言うことを垂れ流してるだけじゃないのか?っていうのがいっぱいあるのにね」そうした経験と思いから、鮫島さんは朝日新聞を退社して自身のウェブメディア『SAMEJIMA TIMES』をスタートし、日々記事をアップする。YouTubeチャンネルも開設して、独自の政治報道を行う。その報道はこれまでのいわゆる政治の客観報道、中立であろうとするばかりにどこか傍観者的で、記者の感情や体温が感じられない報道とは一線を画す。「客観中立、第三者的、傍観視点は面白くないんですよ。巨人vs阪神にみんなが熱狂するのは、ファンが熱狂的で負けたら泣くし、一心同体で応援するからだよね。それに対して新聞の政治報道は『客観中立性を保つフェアな報道』とか嘘みたいなこと言ってるから、いつまでもつまらない。僕のやり方は逆です。自分はこの人を応援してる、こんなに素晴らしい、でも自分はこの人を応援してるから割り引いて読んでね、と。でも、本当に好きだから自分なりに精一杯データと論理に基づいていかに素晴らしいか伝えたい。駄目なところも含めて伝えたい。それをみなさん自身で判断してくださいっていう。今は、そういうところにみんなが信頼を寄せる時代になったと思います。欧米ではとっくにそうなっています。調査報道でもそうで、みんな主観的な視点で記事を作っていく。記者は顔を出して自分のバックグラウンドまでいう。『私はこういう人間で、政治は○○党を支持しています。こういう研究をしてきました、これの専門です』とぜんぶ経歴を出してから、『その私がウクライナ問題を伝えます』とやる。日本がそうなれないのは記者がサラリーマンだからですよ。記者は署名記事でも会社の意向に反したことは書けないし、上司の顔色をうかがいながら誰からも抗議を受けないように細心の注意を払って記事を書く。その結果、誰の心にも響かない無難な記事が量産されていくのです。僕はそこに挑戦したいんです。もっとみんなで応援しようよ!って。政治でいうなら、まず応援してみる、参加してみる、当事者になってみる、というのが政治にいちばん関心を持ってくれることだと思うんですね」鮫島さんは骨の髄まで政治記者なんだと思う。だから、なんとしても今の政治への無関心を変えたいと必死に思っている。それが鮫島流、新しいジャーナリズムだ。捏造記者と呼ばれ、全身から血が流れたからこそ「それは全・朝日新聞的なものへの否定、僕が出した答え。朝日新聞を読めば世界がわかる。ここに答えが書いてある。朝日新聞は教科書だ、みんなを俺が啓蒙してやる、大衆よ、朝日を読め、世界をこれで知れ、みたいなのは『傲慢罪』ですよ。僕も、僕自身がそうだったんだから」でも、キツいことを言えば、そうした鮫島さんの報道姿勢への批判も大きい。ひとつの政党に肩入れし過ぎだと、私の周囲でも批判する人は大勢いる。「今はもう批判には慣れちゃった。なかなか経験したくてもできることじゃないよね。批判は怖いよ。世間中からバッシングをあびて、うわーっと罵詈雑言が押し寄せてくる。誰も声を掛けてくれなくて壮絶な孤独になる。でも、それを1回経験すると、強くなるんですよ。そうすると、たぶん、能力以上の何かが出てくる気がします。やっぱり経験は大事だね。僕は捏造記者と呼ばれ、全身から血が流れ、出血多量で死んでしまいそうな痛みを味わった。大学に入学した当初は六畳一間に水道もトイレもない部屋に住んで必死にバイトしてお金を貯めて車を買い、納税者にまでなった。そういう経験を積んで、それゆえのバイアスは自分にある。でもそういう自分をさらけだすことで、『あいつ、ちょっとひとつの党に肩入れし過ぎてるとかあるけど、書いてあるところは筋通ってるし』って読み方をしてもらえば、説得力が増すんだと思うんですよね。ジャーナリズムとは、ひとつの見方を示してる人がいて、また違う人もいる。いろんなのがあって、押し合いへし合いしながら事実が修正されていくものなんだと思います。決して答えを教えるものがジャーナリズムじゃないでしょう」和田靜香(わだ・しずか)◎音楽/スー女コラムニスト。作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生、政治など書くテーマは多岐に渡る。主な著書に『スー女のみかた』(シンコーミュージック・エンタテインメント)、『世界のおすもうさん』(岩波書店)、『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』(左右社)がある。ちなみに四股名は「和田翔龍(わだしょうりゅう)」。尊敬する“相撲の親方”である、元関脇・若翔洋さんから一文字もらった。
2022年06月23日明治大学政治経済学部はこのたび、世界の幅広い分野で活躍している卒業生を紹介するWEBページを公開しました。「政治経済学部の卒業生」紹介WEBページ 同学部では、政治学科・経済学科・地域行政学科の3学科で、国際的な舞台で活躍できる「教養豊かな専門人」の育成を行っています。2022年度からは、これまでのグローバル教育のノウハウを集結させ、世界で通用する力をつけるグローバルキャリア形成(GCD)プログラムがスタートします。新しいWEBページでは、英語実践力特別強化(ACE)プログラムでの英語プレゼンテーションテクニックを生かして国連で働く卒業生や、地域でのフィールドワークに力を入れるゼミでの経験を生かしてサッカークラブの経営をする卒業生など、27人のインタビューを掲載しています。今後も随時更新・追加される予定です。■ 掲載内容学生時代の楽しい思い出だけでなく、ゼミの議論で昼夜頭を悩ませた経験など、卒業生の率直な声が掲載されています。・現在の仕事について・現在の仕事を選んだきっかけ・仕事に生かされている学び・政治経済学部のおすすめ授業・プログラム・在学生へのメッセージ など 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月10日「老後2,000万円不足問題」「長生きリスク」など、老後資金への不安が一向に解消しない。50代は“老後資金の貯めどき”といわれるが、それどころではない日常に追われ、さらに不安が募る。「晩婚化の影響で結婚・出産が30代だと、住宅購入は40代になるでしょう。50代は役職定年などで収入が減るのに、子どもは大学生で住宅ローンはまだ半分。そんな状態で、老後資金まで手が回らない人が増えています」そう話すのはファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんだ。60歳の人に今の貯蓄額を聞くと、3人に1人が300万円未満というデータも(PGF生命「2021年の還暦人に関する調査」)。「貯蓄ゼロというのも珍しい話ではありません。でも『もう手遅れだ』と悲観しなくても大丈夫。老後資金づくりは60歳からでも間に合います」(長尾さん・以下同)心強い言葉だが、もしや運用を勧めるのでは?「初心者が運用に手を出し、大切な老後資金を減らしては元も子もありません。運用はいっさいせずに、老後資金を増やしましょう」どんな方法だろう。「実はとてもシンプルで、〈1〉長く働く、〈2〉公的年金の活用、〈3〉節約の3つを組み合わせるものです。『なんだ、年金か』と思うかもしれませんが、年金制度は複雑でうまく使いこなせない人が大半です。公的年金制度をフル活用して、年金額を最大化させましょう」年金額が多少増えても、老後の厳しさに変わりないのでは?「たとえば夫婦2人分の公的年金が月20万円で、2人の生活費が月25万円なら、毎月赤字で貯蓄を食いつぶすことになります」年金生活が65〜95歳の30年間続くとすると、月5万円の赤字×12カ月×30年分=1,800万円が老後資金として必要になる。「ですが、公的年金を月25万円に増やせれば生活費月25万円とトントン。貯蓄ゼロでも生活できます。また、生活費を1万円節約できれば、貯金もできますよ」公的年金の受給は65歳からが原則だが、今は60〜70歳までもらい始める時期を選べる。ただ、65歳より早くもらい始める「繰上げ」は受給額が減らされるが、遅くする「繰下げ」を選べば受給額が最大42%増えるのだ。「公的年金の受給は一生涯です。しかも使っても使ってもまた振り込まれる“減らない財布”です。これを生活費がまかなえるくらい大きくできれば、お金の心配がないバラ色の老後になりますよ」■長く働く、年金の繰下げ、節約で90歳で貯蓄1,000万円会社員のAさん(60)を例に年金の活用法を見ていこう。Aさんは同い年夫婦で、退職金で住宅ローンを完済し、貯蓄はゼロ。「貯蓄ゼロだと日々の生活に困りますから、まず働きましょう。また60歳以降も厚生年金に加入すれば、退職後の年金も増やせます」Aさんが70歳まで働く場合の貯蓄額の推移が、グラフ1(画像参照)だ。Aさんは年収360万円、妻は年収180万円で働き、支出が年400万円だと140万円の黒字だから、貯蓄が増えていく。65歳でAさんの勤務日が減り妻は退職するが、年金受給が始まり、さらに貯蓄は増える。だが、70歳でAさんが退職すると赤字生活に陥り、83歳で貯蓄が尽きてしまう。「長く働くだけでは無理があるので、年金を繰り下げましょう」年金の繰下げは先述のとおり年金受給を65歳より遅らせること。1カ月遅らせるごとに受給額が0.7%アップするので、最長70歳までの5年間で0.7%×12カ月×5年間=42%増額になる。「ただAさん夫婦は70歳まで繰り下げると貯蓄が底をつくので、夫婦とも69歳までにしました」こうした見直しで、貯蓄推移はグラフ2(画像参照)のように変わる。「年金は4年間の繰り下げで33.6%アップ。Aさんの年金は216万円→287万円に、妻は85万円→114万円に増えました。あわせて節約にも取り組みました。Aさんが70歳で退職したら、生活費を1割カット。年間支出を400万円→360万円にします」65〜69歳は収入も減り年金もないため赤字で貯蓄を減らすが、年金受給が始まる69歳以降は黒字が続く。70歳でAさんが退職しても、節約効果もあって年41万円の貯蓄ができるのだ。「この生活を続けると90歳で貯蓄が1,000万円を超えます。介護などがあっても心配ないでしょう」70歳以降も夫婦2人で月30万円なら、それほど厳しくないだろう。「少しずつでも貯蓄が増えていく暮らしは、とても安心ですよ」
2022年01月11日明治大学政治経済学部は、ゼミナール紹介WEBページの全面リニューアルを行い、12月1日(水)に公開しました。■政治経済学部ゼミナール紹介ページ 同学部では、学科の垣根を超えた少人数の演習形式で進められるゼミナール教育を重視しています。このたび、約80ある多様なゼミの活動内容を、より分かりやすく在学生や受験生に伝えることを目的に、WEBページのリニューアルを行いました。各ゼミが個別に発信していた取り組みを一つのページに集約。各ゼミの詳細ページでは、教員紹介など関連リンクを掲載し、今後もページを充実させていく予定です。■ 教養豊かな専門人を育成するカリキュラム政治経済学部のカリキュラムは、少人数の演習形式で進められる「ゼミナール教育」を重視しており、3学科(政治学科・経済学科・地域行政学科)の垣根を超えて約80のゼミの中から、学びを深めたい分野を選ぶことができます。担当教員やゼミ生同士とも距離が近く、共通の興味を持つ仲間と切磋琢磨しながら、活動に取り組めるのが特徴の一つです。■ リニューアルの主なポイント研究分野ごとにゼミを分類「政治学関係」「社会学関係」「経済学関係」「国際文化関係」の4つに大きく分類し一覧化。興味のあるゼミを探しやすくなりました。統一した見やすいフォーマット「研究内容」「卒業論文テーマの例」「他大学・企業との活動実績」「卒業生の進路」など、ゼミ生の活動がわかりやすくなりました。関連リンクを掲載担当教員の紹介ページ、ゼミのSNS、メディア掲載情報などが随時蓄積・更新されていきます。学生の活気あふれる写真を掲載普段のゼミ風景や、イベントの写真など、学生が主体的に活動している写真もページ内で閲覧できるようになりました。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年12月15日11月26日、総務省は’20年分の「政治資金収支報告書」を公開。新型コロナの影響で政治資金パーティーは相次いで見送られ、政治団体全体のパーティー収入は前年よりも約25億円減少した。一方、政党別では自民党の収入は240億8,100万円に上り、前年より約4億円増えた結果となった。全政党のなかで最も潤っている自民党だが、コロナ禍でも積極的に政治資金パーティーを開いていたと報じられ波紋が広がっている。朝日新聞によれば、菅義偉前首相(72)や西村康稔前経済再生相(59)ら前政権閣僚を含む国会議員70名が、国民に不要不急の外出など感染防止策を呼びかけていた「勝負の3週間」に計85回も政治資金パーティーを開いていたというのだ。さらにその総収入は、計8億1,959万円にも上ったと伝えられている。この「勝負の3週間」とは、新型コロナの第3波が猛威を振るっていた’20年11月25日~12月16日。「GoToトラベル」の全国一斉停止を発表した12月14日に、菅前首相が自民党の二階俊博元幹事長(82)ら計8名で“ステーキ会食”をし批判を浴びていた時期でもある。「『勝負の3週間』を受けて都内の飲食店は営業時間の短縮や、『Go Toイート』の食事券の新規発行を一時停止するなど余儀なくされました。一方、政府は国民に我慢を強いてきたにもかかわらず、菅前首相がこの期間に行なった外食は40回以上にものぼったといいます。菅前首相はステーキ会食について、『国民の誤解を招いたなら、真摯に反省しています』と陳謝しました。ですが同期間に政治資金パーティーも開いていたと、約1年後に知らされて唖然とした人も多いのではないでしょうか」(全国紙記者)菅政権が退いてから明かされた出来事に、SNS上では呆れ声が相次いでいる。《呆れた。国民には不要不急の外出をするなと言いながら自分たちは政治資金パーティーですか》《政治資金集めの勝負の3週間だったんですね》《国民には自粛しろだのリモートで仕事しろだの言っておきながら自分達はせっせと好き勝手に金集めしてたってことか。これじゃいつまでも政府を信用することはできないですね。いつの時代も日本の政治家は自分の利益しか考えてない情けない人間ばかりだ》現政権の岸田文雄首相(64)の元では、たとえ第6波が訪れたとしても同じことが繰り返されなければよいがーー。
2021年11月28日老後資金問題に、まさに青天のへきれきともいえたコロナ禍。いつの間にやら家計は火の車!そんな状況の人でも、焦って投資や保険に手を出すのは悪手かも。甘い言葉につられないよう、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれました――。■金利3%以上ならインチキを疑う目を持つ’19年に「老後2,000万円不足問題」が注目されました。これは総務省の家計調査(’17年)から、高齢世帯の平均収入と平均支出を抜き出し、その差額、月約5万5,000円×12カ月×30年を単純に計算し、「公的年金だけでは2,000万円不足する」と指摘するものでした。これらはあくまでも平均値で、しかも高齢になるほど支出が減ることなども考慮されていない、ひとつの目安にすぎません。当てはまらない方も多いのですが、数字だけが独り歩きし、投資の必要性をアピールするために利用されてきました。いまも「投資は必須」と語る専門家もいますが、だれがコロナショックを予測できたでしょう。それほど現代は、先行き不透明で予測不可能です。そんななか、リスクのある投資で虎の子の老後資金を失わないように『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)を書きましたが、本誌では、特にだまされやすいセールストークの裏側を考えていきましょう。【分散投資で、リスクは回避できます】分散投資はよく卵にたとえられます。「ひとつのカゴに入れておくと落ちたら全部割れてしまうが、いくつかに分けておけば落ちるカゴも残るカゴもある」から安心だというのです。しかし、リーマンショック級のリスクが来たら、分けたカゴすべてが落ちてしまうことも。卵を守りたければ、落ちても割れないゆで卵にしておくことです。つまり、現金化して貯金すること。キャッシュがいちばん強いのです。【特別な高金利商品です】いまの時代、高金利には注意が必要です。1%以上の金利がつく商品には“カラクリ”があり、3%以上なら“インチキ”だと疑う目を持ちましょう。たとえば「定期預金金利が1%」という商品はほとんど、同時に投資信託を契約することが条件。つまり、投資信託と定期預金のセット商品です。しかも、1%の定期預金金利は1カ月だけということも。100万円預けて利率1%なら利息は1万円ですが、それは1年ものの場合。1カ月ものなら利息はわずか800円余りで、2カ月目からは通常の金利に戻る、これがカラクリです。■保険の契約にも罠が。堅実な貯金が安心【保険のご相談は無料です】ショッピングモールなどにある保険ショップは「相談無料」がウリですが、その実態は“相談”ではなく“セールス”です。そう考えると、無料は当然でしょう。保険ショップはボランティアではありません。無料相談の人件費や保険ショップの店舗費用、相談に行けばもらえるノベルティグッズなど、多くのコストを無料相談でまかなえるはずがありません。それらは保険ショップの売り上げ、つまり、契約した方の保険料から捻出されているのです。“無料”につられると、本当に必要な保険料にそうしたコストが上乗せされた“高い買い物”をさせられるかもしれませんよ。【貯金するより賢いですよ】大手銀行の普通預金は0.001%の超低金利。それに対して、貯蓄性保険なら運用利回りは0.3%。300倍ですから「お金を増やしたいなら、銀行預金より貯蓄性保険のほうが賢い選択」というのです。しかし保険の場合、契約者が支払う保険料から事務手数料など保険会社の経費を差し引いた残金が運用に回ります。保険料を資産づくりの元金と考えると、手数料が引かれたマイナスからのスタートになりますが“賢い”でしょうか。表面的な言葉だけで信用すると、痛い目にあうかもしれません。セールストークの裏側にあるカラクリを見逃さないでください。
2021年11月26日鈴木貴子外務副大臣撮影/齋藤周造35歳の若さで外務副大臣という要職に就いた鈴木貴子副大臣。政治家であると同時に女性であり、母親でもある。彼女の政治へ臨む姿勢とは。そして、日本のために何をしていきたいと考えているのか、ズバリ斬り込んだ!■求められる機動力「父・鈴木宗男は、家族を持って子どもが生まれても24時間“政治家・鈴木宗男”であり続けた。でも、私はあえて“そこに鈴木宗男の限界がある”と言っています」からっと笑いながら力強い口調で話すのは、鈴木貴子衆院議員。自民党の女性局局長代理、2児の母、そして外務副大臣─多彩な役割を担うからこそ、「私は政治家・鈴木貴子であると同時に女性であり、母親・鈴木貴子でもある。それぞれの顔を通じて、さまざまな立場の人に寄り添う政治を実現していきたい」と言葉に力を込める。鈴木さんは27歳のときに初当選。以後、史上最年少で防衛大臣政務官に就任するなど、平均年齢が50代後半の国会議員の中で、若手の筆頭格として邁進してきた。直近では、孤独・孤立対策の議論をリードし、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置した。「よく行動力を掲げる政治家がいますが、それってもう古いと思うんです。例えば、被災地へ行って視察をする。アクションそのものが行動力になってしまっている節がある。視察するだけだったら誰でもできる。大切なことは、そこで何をするか。限られた資材、限られた時間、限られた情報の中で実行することが求められる。機動力がなければいけない」(鈴木さん、以下同)実際、鈴木さんは、自らと同じ立場である子育て世代のお母さんたちと、草の根で問題を解決しようとしている。「同じ保育園に通っているお母さんやお父さんたちと話すと、行政のサービスに対して不満を募らせている方が少なくない。行政としては子育て支援をしているのですが、その施策が届いていないがゆえに、双方間で目詰まりが起きている。そこで、子育て世代、子育てが一段落した世代、シングルマザー、そういった方々が市長と意見交換できる場をセッティングしてみたんです。すると、目詰まりが少しずつ解消していった。コミュニケーションが足りていないことで、政治が遠いものになっていると痛感した」成功体験を提供することができれば、先のお母さんたちのように政治にポジティブな印象を抱く人も増えていく。そう鈴木さんは主張する。「孤独・孤立対策担当室を設置したものの、そういった部署があることを知らない人も多いんですね。私たち自身、もっと声を大にして発信していかなければいけないのですが、制度が置物化していて、必要な人に届いていない。本当に政治の支援が必要な人は、選挙に関わる余裕すらない。「選挙に行こう」と呼びかけても、そんな余裕がないんですね。制度を作ったなら、それが行き届くようにし、幅広く浸透する─文化にまで発展させていくことが大事」入り口はつくる。しかし、出口までは考えていない。それは制度だけではなく、サービスも同様だと話す。一例として、多目的トイレのベビーキープを挙げる。「自分が用を足す間に子どもを座らせておくベビーキープ……遠すぎません?(笑)『目を離さぬように』と言われても手は届かないし、子どもが勝手に開閉ボタンを押してしまうことも。こういった経験は、お母さんだったらあるあるだと思います。利用者目線になっていないサービスがたくさんある。子育て支援を手厚くするといっても、同じ目線になれない人が進めると置物化するだけ」そのためにも、国会議員に女性が増えることは望ましいと唱える。女性議員が増えれば、現実的な子育て支援や女性の社会進出の機会が実装される可能性は高い。だが女性議員比率の国際比較を見ると、日本は190か国中165位(衆議院女性議員比率)。だが、議員候補者の一定数を女性と定めるクオータ制には、「賛成とは言い切れない」と、悩む姿を隠さない。「女性の声を代弁するために女性議員を増やすのではなく、女性が増えることによる多様性の創出が重要。女性といっても、立場は実にさまざまです。いろいろな女性に対する理解が広まることが大切なのであって、単に女性の声を大きくするだけで、若手枠やシニア枠もないと公平性に欠ける。ここでもまた制度がひとり歩きしてしまう」■政治家には想像力が大切現在、鈴木さんは外務副大臣を務める。「防衛と外交は国会議員だからこそできる責務ある仕事。27歳のときに初当選し、向こう30年使っていただくと仮定すれば57歳になっている。将来的な伸びしろがあることが私の強みだと思っていたので、早い段階から防衛や外交に携わりたかった」と胸の内を明かす。そのうえで、引き続き実行していきたい分野があるという。それがフェムテックだ。フェムテック(FemTech)とは、FemaleとTechnologyを掛け合わせた造語。女性が抱える健康課題をテクノロジーを使って解決する取り組みをさす。「フェムテックは月経対策と認識されがちですが、女性の健康やその課題をテクノロジーを使って解決し、より人生を充実させていこうというサービスや製品のこと。更年期の対策や、性教育にだって関わることだと考えます」更年期に対する理解と対処法を国の制度によってどれだけサポートできるかは、とても重要だという。「更年期を健康上の理由として、仕事を辞める、あるいはポストを辞退される方が16%もいると聞きます。活躍する女性のロールモデルを失わないためにも早急に対策をしていきたいものです」また、性教育の捉え方についても力を込める。「正しい情報を伝えることで子どもたちは自主的に判断する力を養うようになります。望まない妊娠や中絶も減少し、命の尊さと向き合うことにつながる。私は“包括的性教育”という言葉を掲げているのですが、それはポジティブに性と向き合い、自尊心や自己肯定力を高めるための取り組みです。性教育などのデリケートな領域は、『寝た子を起こすな』ではないがアンタッチャブルなところがあります。しかし、感情論ではなく、データやテクノロジーで解決の糸口を見つけられる。来年は、『データで語る性教育』を自民党内で立ち上げようと思っています」冒頭の言葉が示すように、女性であり、母親であるからこそ、鈴木貴子にしかできないことを掲げていく。「子育てには、政治家に必要な素養が詰まっている。男性の議員さんは、絶対に子育てに関わったほうがいい」とも。「つまるところ想像力なんですよね。自分がしんどい思いをして産んだわが子ですら、なんで泣いているのかわからないときがある。『おむつかな?』『お腹すいたかな?』といろいろ試すけれど、それでも泣きやまない。すると、テレビの音で突然泣きやんだり(笑)。子育てはこういったことが日常茶飯事です。そのたびに想像力を働かせて、いろいろと考える。その想像力って、とても大事なことだと思うんです。政治家は、まず想像力が必要な職務。そして、行動する。社会には、みなさんの暮らしには、何が必要なんだろう。想像する力を、子育ては教えてくれる」父・鈴木宗男は行動力を体現する政治家だった。だが、鈴木貴子は、機動力と想像力を併せ持つ政治家として、国民の汗になると誓う。すずき・たかこ1986年北海道生まれ。比例北海道ブロックで2013年に初当選し、現在は当選4回。元防衛大臣政務官などを経て、現在は外務副大臣。孤独・孤立対策の議論をリードし、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置。父は鈴木宗男参院議員。2児の母でもある。(取材・文/我妻弘崇)
2021年11月22日岸田文雄総理、立憲民主党の枝野幸男代表コロナ禍になって、政治と暮らしが密接につながっているのを実感した人は多いはず。政治に関心があってもなくても、誰もが無関係ではいられないのが現実……。そんな政治や選挙にまつわる謎&疑問について、政治学者がわかりやすく解説。衆院選で1票を入れる前に押さえておきたいキホン、女性目線で教えます!◇◇◇選挙編■■なぜ選挙カーで「名前を連呼」しているの?選挙間近になると近所を走り回る選挙カー。なぜ名前の連呼ばかり?政治学が専門で三重大学教授の岩本美砂子さんに詳しく聞いてみた。実は、走行中の選挙カーでは、政策を訴えるなどの「選挙運動」(候補者の得票に有利となる活動)は公職選挙法違反になるのだ。ただし、名前などの「連呼行為」なら例外的に許されている……。「停止中の選挙カーの上でなら演説も認められています。ほかにも公職選挙法にはさまざまな禁止事項があります。多くの国では、有権者への戸別訪問は選挙運動の中核ですが、日本では禁止。政策を訴える重要なアイテムである選挙ビラにも証紙が必要で、枚数制限があります。これらの規制は、資金のあるなしで候補者の選挙運動に差が出すぎないためのものですが、結果的に選挙の自由が規制されている一面もありますね」(岩本さん、以下同)候補者の政策や人柄をより深く伝わるためには、公職選挙法を見直すべき!■■選挙に出るにはどれぐらいお金がかかる?「国会議員選挙に出るには、衆議院・参議院ともに、選挙区では300万円、比例代表では600万円の供託金が必要です。一定の得票数(衆議院小選挙区なら有効得票数の10分の1)を満たせば供託金は返却されますが、規定に満たない場合は戻りません。日本の供託金は世界でも飛び抜けて高額で、憲法15条が保障する“立候補の自由”に違反しているという裁判も起きています」経済協力開発機構の加盟38か国のうち3分の2は供託金がなく、残りの国でも日本円で数万~10数万円というケースが多い。一方で供託金には、売名目的の無責任な立候補を防ぐ意味もあるといわれている。「お金がない人が立候補できないのでは、格差と貧困に苦しむ人たちの声が政治の現場に反映させられなくなってしまいますね。資金の有無で立候補が制限されるのはおかしなこと。候補を選ぶのはあくまでも有権者であるべき」■■アメリカの大統領みたいに直接、首相を選んでは?連日メディアをにぎわせていた自民党総裁選。でも、投票権があるのは党員だけ。アメリカのように、私たち有権者が国の代表を直接選べたらいいのに……。「大統領も“直接”選んでいるわけではありません。まず州単位で2大政党の予備選挙が行われ各党の指定候補が決まります。その後、本選挙で有権者は州を代表して投票する選挙人を選び、その選挙人が最終的に大統領に投票するという間接選挙です。日本では、首相を選ぶのは国会議員ですが、その国会議員や知事、市長などは、有権者の直接選挙で選ばれています。今回の衆院選は私たちが民意を示す貴重なチャンスです」直接選挙のメリットは、有権者と候補者の距離が近く、身近に感じられること。まずは、自分の選挙区の候補者の街頭演説を聞きにいったり、話しかけたりして、候補者の政策や考えに直接触れてみてはいかが?■■嫌いな候補者の「落選運動」、やってもOK?「落選運動は、誹謗中傷にならなければ問題ありませんが、名誉毀損で訴えられることも。また、“○○を落選させて△△を当選させよう”などと、ほかの候補者に投票を促す行為は公職選挙法違反になる場合もあるから、気をつけましょう」お隣の韓国でも近年、落選運動が白熱している。過去のソウル市長選では、候補者のチェック項目をネットで公開し、ふさわしくないとされる候補に投票しないよう呼びかけた市民団体が選挙に大きな影響を与えた。日本でもSNSなどで落選運動を呼びかける団体が複数登場している。誹謗中傷は論外だけど、過去の言動を批判し政治家としての資格を問うことは、候補者を見極める重要なポイントにもなる。「現職議員の過去の言動や政策について、有権者だけでなくメディアもきちんとチェックし、報じてほしいですね」■■賄賂、失言、不倫…問題議員でも出馬できるワケは?差別発言や賄賂など、不祥事や問題行動の多い議員でものど元過ぎれば、また候補として出馬……。こんなことがなぜ許されているの?「立候補する自由(被選挙権)は国民の権利だからです。議員に定年制がない理由も同じ。何歳であっても本人が選挙に出たいと思うなら、その権利は保障されています」例外として、禁錮以上の刑に服している人や、選挙違反で禁錮以上の刑を受け執行猶予中の人、また収賄罪などの罰金刑を受けた人に一定期間、立候補できない「公民権停止期間」が設けられている。では、URをめぐる「口利きワイロ疑惑」を曖昧にしたまま再出馬する、甘利明元経産大臣の場合はどうなる?「甘利氏はあっせん利得処罰法違反で刑事告発されましたが、嫌疑不十分で不起訴となり8月に時効を迎えました。推定無罪の原則のもとでは、立候補は当然、可能です」はたして禊はすんだのか。落選させるも当選させるも有権者の1票にかかっている!■■なんで開票してすぐに「当選確実」を出せるの?夜8時、投票締め切り時間が過ぎた直後、開票率が0%の段階で、テレビの選挙速報では「当選確実」が伝えられることが少なくない。これってどうして?「報道機関では、選挙期間が始まる前から、各選挙区や比例区を対象にした情勢調査を電話やネットを通じて行っています。当日には投票所の出口で“誰に入れましたか?”と尋ねる出口調査を行います。それらの情報を入念に分析しているので開票前に当選確実を報道できるのです」労働組合や各種政治団体の支持など、各候補者が最低でどのくらいの票を持っているかという「基礎票」も、出口調査や情勢調査の情報に加えて分析される。「選挙前に当落の情勢が報道されると、選挙結果に影響するともいわれています。勝ち馬に乗る効果といって地滑り的勝利をもたらすものと、負けているほうに同情票が入って、当初の予測と逆転現象が起こる場合もあります」■■選挙に落ちたらどうなる?現職議員や会社を辞めて立候補した人が落選したら、その後の仕事はどうなるのか。保障などはあるのだろうか。「日本には在職立候補制度がないため、選挙に落ちたら、その人は無職になってしまいますね。アメリカでは、大統領選に下院議員が立候補して、落選しても、議員としての職を失うことはありません。しかし日本では、国会議員が都知事に立候補する場合、議員を辞めないと立候補できません。また一般企業の場合、会社の理解があれば、立候補して落選しても仕事に戻ることは可能でしょうが、そういう会社はまだまだ少ないのが現状でしょう」’19年の統一地方選では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員の水野素子氏が、「立候補休職制度」を利用して出馬し話題になった。立候補の自由が、職を失う可能性があることによって奪われるのは大きな問題。在職立候補制度や選挙休職制度を積極的に導入するべきでは?■■「選挙公約」守らなかったらどうなるの?○○に断固反対します!と選挙で銘打っておきながら当選してしまえばこっちのもの、と前言を覆す。そのようなやり方が許されるのか。罰則規定などはないのだろうか。「残念ながら公約違反に罰則規定はありません。しかし、公約を守れなかったのであれば、少なくとも説明責任はあるはずです。逆に、状況が変わったのに公約にこだわって、新しい政策が取れないとしたら、それはそれで政治家失格ということになります。どうあれ、公約違反に対して、有権者がチェックして、説明責任を果たさせることは重要ですね」「カジノ誘致は白紙に」と訴えて当選しながら、当選後に誘致表明をした林文子横浜市長に対しては、昨年、市民によるリコール(解職請求)運動も起こった。法定署名数に届かず解職はされなかったが、林氏は今年8月の市長選で落選した。選挙後も、公約に対しての責任を問うことは、有権者の重要な役割なのだ!政治編■■誰でも「政党」をつくっていいの?「(仲間などが集まってつくる)任意団体であれば、誰でもすぐに政党を名乗ることができます。とはいえ、政党要件を満たさない政治団体で選挙活動をするとなると、簡単ではありません。選挙で政党として扱われるためには“政党要件”を満たさなければならず、これがないと政見放送にも出られず、政党交付金も受け取れません。供託金が高額な日本では、政党交付金が受け取れないと財政上、厳しい選挙になります」政党として認められるための要件とは、国会議員が5名以上いること。5名以下の場合、直近の国政選挙で2%以上の得票をしていることが必要になる。「例えば’19年の参院選では、新しい政党の『れいわ新選組』と『NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で』(旧・NHKから国民を守る党)が比例区で当選者を出し、2%を超える得票率を得たので、政党として認められました」政党として認められると、小選挙区の候補者が政見放送にも出られるため、支持者もさらに広げることができる。■■「小選挙区制」と「比例代表制」、何がどう違う?衆議院議員は「小選挙区制」と「比例代表制」の2つの制度で選ばれる。投票所で渡される2枚の投票用紙のうち、候補者の名を書くのが小選挙区選挙で、政党名を書くのが比例代表選挙だ。小選挙区制は1つの選挙区で1人しか当選できないため、各政党は基本的に1人の候補しか立てない。また、政党の公認や推薦がない無所属の候補者が立候補したとしても、組織力のある政党の候補者の票を上回ることは難しいのが現実。さらに問題なのは、例えば当選者が300票、次点が250票、次々点が200票を集めた場合、450票の民意が“死票”になることだ。岩本さんは言う。「小選挙区制でも、海外の例のように、政党が候補者選定の段階でクオータ制度を定めて女性候補の比率を増やせば、より多くの女性議員が生まれる可能性はあります。すると、ほかの政党も競って後へ続くでしょう。そういう流れがつくれたらいいですね」■■衆議院と参議院、国会と内閣、何がどう違うの?国の権力が1か所に集中しないよう、司法・立法・行政の権力を3つに分けるしくみを「三権分立」という。そのうち法律を定める「立法権」を持つのが国会だ。その法律に沿って政策を実行する「行政権」を持つのが内閣。法律に基づいて裁判を行う「司法権」を持つのが裁判所だ。立法機関である国会は、日本では衆議院、参議院の2院制。任期が4年で、内閣による解散がある衆議院に対して、解散のない参議院の任期は6年で、3年ごとに半数が選挙を行うという違いがある。「両院は独立して審議を行いますが、その決定に違いがあった場合、衆議院の決定が優先されることがあります。任期が短い衆議院のほうが有権者の意思をより反映しているとみなされるからです」一方、任期が6年と衆議院に比べて長い参議院は、政策や法律づくりにじっくり取り組める利点があるといわれている。ちなみに次回の参議院選挙は来年7月ごろの予定。■■女性議員がまだまだ少ない理由って?現在、衆議院での女性議員の比率はわずか10・2%。’20年の「列国議会同盟」の調査によれば、世界191か国中、165位という低さだ。女性議員を増やすために世界120の国や地域では、選挙で候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる『クオータ制』を取り入れているが、日本では制度化もされていない……。「日本でも’18年に『政治分野における男女共同参画推進法』が成立していますが、数値目標や義務化はありません。フランスでは小選挙区の候補の女性比率が50%を割ると政党補助金から予算が引かれる規定がありますし、イギリスでは労働党が最終候補者リストを女性ばかりにする選挙区を設けて、女性候補を増やしています」格差や貧困、差別など、女性をめぐる状況はコロナ禍でいっそう厳しくなるばかり。だからこそ女性が政治の場に立ち、社会を変革していくことが今、求められている。女性の投票率を上げていくことは、その一歩になるはずだ。■■首相、大臣、ヒラの議員って給料、いくらもらってる?「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」によれば、国会議員の歳費(給料)は月に約130万円、年2度の期末手当を加えると年収は2000万円以上に。ちなみに首相は約240万円、年収で4000万円を超える。ほかにも国会議員は、公的文書の発送費や電話代、交通費のための「文書通信交通滞在費」が月100万円、立法に関する調査研究活動のための「立法事務費」が月65万円、支給されている。さらに国内のJRや航空便も無料に。「昨年、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国会議員の給与に当たる歳費を2割削減する改正法案が今年4月に成立し、今年10月までは減額されていました。ただ、11月からは通常どおりに戻る予定です」国税庁の最新統計によると、民間企業で働く人の平均年収は433万円。庶民感覚からすれば国会議員の給料は十分に高い。その報酬に見合った働きをしてほしいものだ。■■総理大臣には何度でもなれる?同一人物が複数回、総理を務めることは意外と珍しくない。初代首相の伊藤博文は15年の間に4回総理を務めているし、吉田茂は歴代最多の5回。安倍晋三元首相は2回だが、連続在職日2822日で、自らの大叔父である佐藤栄作内閣の記録を24日更新、憲政史上最長となっているのだ。「アメリカの大統領は1期4年の2期まで。その後は同じ人物が大統領になることはできません。また、韓国大統領は1期5年と期限が決まっています。しかし、日本の首相の任期は法律で制限されていないので、同じ人物が何度も首相になることができます。長期政権は政策にじっくりと取り組めるので“政治が安定する”とよく言われますが、長く続くことで権力が強くなり、独裁化するおそれもありますね」安倍元首相は組閣の際、「お友達人事」といわれる身内で固め、安保関連法などの重要法案も強行採決で可決させた。今回の総選挙で、その流れは変わるのだろうか?■■「派閥」って必要? 何のためにある?「政治家における派閥といえば、今はイコール自民党の派閥のことです。二階派、麻生派、岸田派と人名を冠した名で呼ばれることが多いですが、正式な名前があります」ちなみに、岸田現総理の属する派閥は「宏池政策研究会」。安倍元首相は「安倍派」ではなく、「清和政策研究会」(細田派)に属している。「派閥の最も重要な役割は総裁選のための票固めです。国政選挙では同じ派閥の候補の支援・応援に入り、政治資金も調達します。選挙にまつわる人脈のつながりはあるけれど、協力にあたって政策的な方向性は関係ないようです」ちなみに「宏池会」は自民党内ではリベラル色の強い派閥で、岸田氏は憲法改正にも慎重姿勢だった。「しかし今回の総裁選以降、岸田氏は憲法改正を目指す意向を示しています。いまだ自民党内で大きな影響力を持つ安倍元首相への配慮ではないかとみる動きもあるようです」■■誰が当選しても一緒でしょう?与党の政策も信用ならないけれど、野党は野党でなんだか頼りない。信頼できる候補が選挙区にいない!だったら、せめて白票を投じたい……。「気持ちはわかりますが、白票には何の意味もないのでやめましょう。選挙で入れたい人がいなくても、入れたくない人はいるのですから、だったら、よりましな、よりベターな候補に投票すること。それだけでも社会は少しだけ変わるはずです」自分の1票なんて何の影響力もない──、そう思うのは間違いだ。選挙区によってはほんの数十票の差で当落が決まるような例もある。「投票したい候補者がいなくても今の政治に不満があるなら、政権交代につながるような投票をしてみるのもいいのでは?」今回の衆院選は、これまでの政治の流れが大きく変わる節目にあるのは確かだ。この流れに、自分の1票を投じることで、選挙はきっとおもしろくなるはず!◇◇◇【岩本美砂子さんプロフィール】1957年広島県生まれ。京都大学法学部卒業。名古屋大学法学研究科博士課程満期退学。名古屋大学助手などを経て、1996年三重大学人文学部教授。近著に『百合子とたか子:女性政治リーダーの運命』取材・文/岩崎眞美子フリーランスライター。1966年生まれ。音楽雑誌の編集を経て現職。医療、教育、女性問題などを中心に雑誌や書籍の編集に携わる。
2021年10月29日明治大学政治経済学部は、2022年4月から新たにGlobal Career Development Program(グローバルキャリア形成プログラム、GCD)を開始します。これはそれぞれの専門領域を持ちながら国際通用性を伸ばすことを主眼に置いたプログラムで、2022年度以降の入学者を対象としています。履修状況に応じて一定の要件を満たした学生には、海外留学や海外インターンシップへの参加を後押しする学部独自の支援金を給付します。「明日の世界を変えたい」と志す学生どうしが出会い、より切磋琢磨できる環境で世界を舞台に活躍する力をつけるプログラムです。国際社会で活躍する講師による「就業力育成総合講座」や、グローバル社会で通用する実践的な語学力を強化する少人数授業の「ACE(英語実践力特別強化プログラム)」、世界の名だたる大学で指導する先生から専門分野を英語で学ぶ「トップスクールセミナー」など多数の授業を展開します。■ デジタルパンフレット公開中 ■ 充実した学部独自の留学制度明治大学は、留学できる協定校数が46カ国・地域、270 大学・学部あります。それに加えて政治経済学部は、学部が独自に設置する留学プログラムも充実。その数は、全10学部中で最多の44プログラム。要件に応じて助成金を受けたり単位を置き換えたりしながら、英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)や シンガポールの南洋理工大学など、世界トップレベルの大学に留学することができます。※協定校数・プログラム数は、2021年9月時点ものです。■ 堀金由美教授から受験生へのメッセージ将来、グローバル社会の最前線で活躍することを目指す皆さん、その夢の実現に向けて、さあ、努力を始めましょう。大切なのは、自分の頭で考え、目的を持って周囲からも学びつつ、積極的に動くこと。4年間をフルに活用し、夢に向かって羽ばたいてください。そのアシストができればと思っています。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月21日巨額の資金など特有の背景から生まれる勢いがすごい!“中国映画”に注目します。中国映画が本格的に世界で注目され始めたのは、’80年代のこと。「中国映画史の中でも“第五世代”と呼ばれる監督、チャン・イーモウ、チェン・カイコー、ティエン・チュアンチュアンの登場により、ベルリンなど国際映画祭での受賞も相次ぎ、世界に大きなインパクトを与えました」(日本映画大学学部長・石坂健治さん)この頃は、近過去を舞台に、抑圧された社会の中で生きる切実さのようなものに主題をとる映画が多かったが、時代とともに変化。「近年は、ハリウッドから人材が集結するなどグローバルな視点を意識した映画が増加。とはいえ、それが一大娯楽作品だったとしても、背後に国家の陰が感じられるのが中国映画。そこが面白いところともいえます」(石坂さん)なかでも軒並みヒットとなっているのが、アクション大作。「たとえば『エイト・ハンドレッド‐戦場の英雄たち‐』は、総製作費80億円。巨額の予算をかけたからといって誰もが楽しめる映画になるとは限りませんが、これは’20年の世界興行成績1位を記録。このように結果にもつながる大作が、続々と作られています」(映画評論家・くれい響さん)その勢いは、アニメにも波及。「中国には、さまざまな分野で世界1位になろうという気概があり、映画はもとよりアニメにも国策的に資金を投じているようです。結果、技術力が上がり、近年、良作が生まれています」(台湾映画コーディネーター・江口洋子さん)また、中国で映画を作るには、脚本の段階から検閲が入るなど規制がある中で、作家性のある新しい才能も台頭しているという。「『少年の君』のデレク・ツァン監督は、キャリアは浅いものの、規制ギリギリのところで自分の撮りたい映画を撮っているところが素晴らしい。27歳の時に実験的な映画を撮り高い評価を得たビー・ガン監督も注目です」(江口さん)中国映画の新潮流1:世界が称賛する新しい才能に注目『少年の君』(2019年)苛烈ないじめを受けている高校生の少女と、街の不良少年。居場所のない二人が出会い、心を通わせていくが…。「監督のデレク・ツァンは、これが単独監督2作目。今作で第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネート。さらに、中国はもとより世界でベストセラーとなっている小説『三体』がNetflixで映画化されますが、その監督にも決定しています」(くれいさん)絶賛公開中配給:クロックワークス『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』(2018年)ある男が12年ぶりに故郷に戻り、かつて愛した女の面影を追うが…。夢とも現実ともつかない物語が展開し、後半60分からはなんと映像が3Dに。しかもワンシークエンスショットという斬新さ。ビー・ガン監督は1989年生まれで、この映画を撮った時は27歳だったという。「ストーリーテリングよりも映像と感覚で衝撃を受けるタイプの作品です」(江口さん)©2018 Dangmai Films Co., LTD, Zhejiang Huace Film & TV Co., LTD‐Wild Bunch / ReallyLikeFilmsBlu‐ray&DVD発売中発売元:バジル/リアリーライクフィルムズ販売元:オデッサ・エンタテインメントデジタル配信中中国映画の新潮流2:アニメの劇的進化が止まらない!『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』(2019年)森で暮らしていた猫の妖精・羅小黒(ロシャオヘイ)は、人間の開拓によって森を追われ、安住の地を探すために放浪の旅へ。その途中で仲間と出会い、冒険が繰り広げられる。「日本で公開されたばかりの時は単館上映でしたが、口コミで人気となり、日本のアニプレックスが共同配給について花澤香菜さん、宮野真守さんといった人気声優の吹き替え版が全国公開されました」(くれいさん)©Beijing HMCH Anime Co.,LtdBlu‐ray&DVD発売中発売元:アニプレックス販売元:ソニー・ミュージックソリューションズデジタル配信中『ナタ転生』(2021年)中国の古代小説『封神演義』を現代風にアレンジ。小説に登場するナタが、現代を生きる青年に生まれ変わり、過去の怨念から命を狙われるというストーリー。「『羅小黒戦記』もそうですが、中国では子どもから大人まで知っているようなキャラクターをアニメ化することが多く、そこに日本のアニメにも通じるようなバトルシーンがプラス。日本人が観ても楽しめます」(くれいさん)©Light Chaser Animation Studiosデジタル配信中中国映画の新潮流3:メガヒットを飛ばすアクション大作『エイト・ハンドレッド‐戦場の英雄たち‐』(2020年)舞台は日中戦争下の上海。中国軍の守備隊が繰り広げた5日間の激闘「四行倉庫の戦い」の実話がモチーフ。20万平方メートルの土地に、上海の街を再現したというスケール感がすごい。「倉庫のセットはもとより、アクションも含めて本当に中国の資金力を感じます。さまざまな制約の中で検閲をかわし、あまり語られてこなかった実話をベースに撮るグアン・フー監督の力量はさすが」(江口さん)©2019 HUAYI BROTHERS PICTURES LIMITED THE SEVENTH ART PICTURES(FOSHAN) CO LTD ALL RIGHTS RESERVED公開未定石坂健治さん日本映画大学学部長。東京国際映画祭「アジアの未来」部門シニア・プログラマー。専門はアジア映画史、日本ドキュメンタリー映画史。くれい響さん映画評論家、ライター。映画誌、情報誌などさまざまな媒体での執筆や、『少年の君』『唐人街探偵 東京MISSION』といったアジア映画のパンフへの寄稿も多数。江口洋子さん台湾映画コーディネーター。俳優、監督情報など、アジアのエンターテインメントを紹介するサイト「アジアンパラダイス」主宰。※『anan』2021年10月20日号より。取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2021年10月17日「いまから2年前“老後資金には2,000万円の貯蓄が必要”と金融庁が出した数字がメディアで大きく報じられました。それをきっかけに、自分の老後資金は本当はいくら必要なのかと、不安を抱いた人が多いのではないでしょうか」そう話すのは、プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さん。「もともと金融庁が出した『老後資金が2,000万円不足する』という試算のモデルは、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)が、毎月の赤字額平均約5万5,000円で30年生きた場合の赤字総額。参考にはなりますが、果たして、自分に当てはまるかは別問題です」では、実際、自分の場合の老後のお金回りはどうなっているのか?そのガイドブックとして、三原さんが著したのが『書けば貯まる!今から始める自分にピッタリな老後のお金の作り方』(翔泳社刊)だ。「私のところに相談にくる方も、いちばん肝心な自分たち夫婦が将来もらう年金額や夫の退職金の額を知らないケースも。まず自分たち夫婦の家計の一生の出入りを計算して、対処法を考えることが大切だと思います」そこで、三原さんが提案するのが自分の老後のお金回りを知るための4つのステップだ。【ステップ1】「老後に受け取れるお金」を計算する「老後の収入の柱は公的年金です。まずは自分たち夫婦が65歳以降、どれくらいの年金を受け取れるかを把握しましょう」これに退職金や個人年金保険などの私的年金を加えた金額が、老後を支える収入になる。「毎年、誕生月前後に郵送されるねんきん定期便のハガキを見れば、将来受け取る年金額の見通しを知ることができます。ただしハガキの内容は、今年50歳以上になる人と50歳未満の人で異なります」まず50歳未満の人の場合は少し面倒。ハガキには、加入実績に応じた現時点の金額が記されている(1)。65歳での受取額は、現在から退職までの見込み受取額を自分で計算して、これに足す必要がある。一般企業の会社員の場合、「老齢基礎年金」(個人事業主はこちらのみ)と「老齢厚生年金」の両方が受け取れるので、まず老齢基礎年金については、今から60歳までの年数×2万円として計算(2)。老齢厚生年金については、今後の平均年収を想定し、その金額×0.55%×現在から退職までの年数が今後の見込み受取額になる(3)。この(1)と(2)と(3)を合わせた(A)が65歳以降に受け取れる年間見込み年金額だ。50歳以上の人は、ねんきん定期便の年間見込額の右下に記されている金額がそのまま65歳以降で受け取れる年間見込み額(B)になる。【ステップ2】「老後の生活費」を見積もる「老後のお金の“入り”がわかったら、つぎは“出”のほうです。これは大きく、毎月の生活費とそれ以外に分けられます」老後の生活費の目安は現在、毎月どのくらいの出費をしているかを計算して判断する。「老後の生活費といっても、なかなかイメージしづらいでしょう。そこで、ひとつの目安として示したのが、『高齢者無職世帯の平均生活費』です(総務省家計調査年報の’19年家計の概要をもとに三原さんが作成)」■高齢者無職世帯の平均生活費〈夫婦〉夫65歳以上、妻60歳以上食費:6万6,000円住居費:1万4,000円光熱・水道費:2万円家具・家事用品:1万円被服・履き物:6,000円保険医療費:1万6,000円交通・通信費:2万8,000円教養娯楽費:2万5,000円交際費:2万6,000円その他支出:2万9,000円合計(月額):24万円合計(年額):288万円〈単身〉60歳以上食費:3万6,000円住居費:1万3,000円光熱・水道費:1万3,000円家具・家事用品:6,000円被服・履き物:4,000円保険医療費:8,000円交通・通信費:1万3,000円教養娯楽費:1万7,000円交際費:1万5,000円その他支出:1万5,000円合計(月額):14万円合計(年額):168万円夫婦の場合、総額月24万円程度の支出となっている。「ただこれはあくまで総務省の統計の平均値。たとえば住居費が夫婦で1万4,000円となっていますが、賃貸に住んでいる人はまったく足りません」では自分にとって老後の生活費にはいくら必要なのか?高齢者無職世帯の平均生活費の項目を参考に、「あなたの『老後の生活費』の見積もり」で知ろう。「まず、おおまかでかまいませんから、現在使っている月の生活費を項目別に表に書き込んでください」老後の生活費は現役世代のおおよそ7〜8割と言われているので、「食費は7割でやれそう」「交際費は8割くらいかかりそう」など、自分で判断し、現在の生活費にそれぞれ0.7〜0.8を掛けて算出。「家族構成、マイホームの有無、子どもへの教育費のかけ方などによって生活費のかかり方はさまざまですが、老後は子どもの独立などから、現役世代のいまの生活費の7〜8割が目安になります」項目の数字をすべて足して月額を出したら、それに12をかけて年額を算出したものが、老後の生活費の年額(C)になる。【ステップ3】「老後の特別費」を見積もる「老後、必要になるお金は生活費だけではありません。忘れてはならないのが、医療費や介護費用。また家の修繕費など、思いがけない出費を合計すると、数百万円単位のお金が必要。その予想額(D)も見積もってみてください」【ステップ4】「あなたの老後資金」を計算する「最後になりましたが、老後の収入として、退職金の金額も確認しましょう。これは勤務先の人事・総務部など担当部署や労働組合に問い合わせたり、就業規則や福利厚生制度の冊子などで調べることができると思います」退職金の金額(E)、また生命保険の個人年金保険や終身保険の受取金の金額も確認し、「iDeCo」などの積立金も合わせる(F)。これで、あなたの老後のお金の出入りの見積もりは完了。あとは、次の「あなたの老後に必要な金額は?」の計算式に、これまで算出した(A)〜(F)までの数字を書き入れ、計算するだけだ。〈「あなたの老後に必要な金額は?」の計算式 〉公的年金の受け取り見込み額(A)もしくは(B)−老後の年間想定生活費(C)×65歳以降、何年生きるかの想定年数=老後期間の生活費過不足額老後期間の生活費過不足額−特別費合計(D)+退職金(E)、私的年金など(F)の合計額=90歳になったときの老後資金4つのステップを参考に、老後に入ってくるお金と出ていくお金の目安を書き出し、自分の老後資金の現実を把握しよう。
2021年10月01日「泣きたくても泣けなくて苦しんでいるのは、今本当にICUに入っている人たち、そして亡くなった人たち、そのご家族。その人こそが本当にこの政治のおかげで命を失っていることを絶対に忘れないでほしい」9月6日放送の『バイキングMORE』(フジテレビ系)で、こう語気を強めて訴えたのは野々村真(57)。新型コロナの感染で入院していた野々村だが、退院後は8月30日の放送回から“リモート復帰”している。だが野々村の発言に、「筋違いでは」と反論が続出しているのだ。番組では菅義偉首相(72)が自民党総裁選で、立候補断念を表明した経緯を特集。菅首相の不出馬は「新型コロナ対策に専念したい」との理由だったが、背景には“逆風”があったことが伝えられた。その要素として、菅首相の“お膝元”である横浜市長選で支援した小此木八郎氏(56)の落選や、安倍晋三前首相(66)や麻生太郎財務相(80)から見放されたことなどが挙げられた。このことについて、MCの坂上忍(54)から意見を求められた野々村。すると「僕は本当に申し訳ないですけど、もっと早く菅首相には辞めていただきたかった」と、真剣な面持ちで口を開いた。続けて「こういう状況になって、『今かよ!』っていう。コロナ感染がどうしようもない状況になっている時にここで解散総選挙にしろ、人事を変えるにしろ、そういうことで1カ月も2カ月も国会も止まると考えると、何にも進まないじゃないかと思う」と熱弁。さらに「安倍さんに麻生さんに、二階さん。その人たちの言うことで自分の言いたいことが言えなくなってしまう、一国の総理ですよ。その人が『この状況では何も言えなかったんだな』と、つくづく国民は悲しむしかないです」と、菅首相を痛烈に批判したのだった。最後は「生死をさまよった人間として言わせてもらいますけど、本当に今、この時点で沢山の人が苦しんでいるんですよ」と主張し、冒頭のように“新型コロナの感染は政治のせい”と言わんばかりに訴えた。野々村の一連の発言に、SNS上では落胆する声が相次いでいる。《野々村さんが回復されたのはとても良かったことですが、それで菅さんに当たるのは筋違い》《テレビ局のスタジオやご自身はちゃんと感染対策されてましたか?なんでも菅さんのせいにするのは違います》《芸能人に感染が蔓延してるのは個人個人の感染対策とテレビ局の感染対策の結果じゃないですか?感染した事、それ自体は責められないし、お大事に思いますが、それと同じように、感染したことを菅総理のせいにするのは稚拙すぎません?》《結局さ、菅首相への批判って、野々村真みたいな逆恨みか八つ当たりがほとんどだったんじゃないの?》■野々村の感染源はドラマ撮影本誌は9月7日号で、野々村の感染源がABCテレビ制作のドラマだったことを報じている。「7月下旬の撮影開始後から、出演者が相次いで感染。野々村さんはじめ、出演者やスタッフを合わせて13人もの感染者が出ました。ドラマ撮影現場で、この規模のクラスターは業界初だといいます」(在阪テレビ局関係者)従来のタイプよりも感染力が強く、日本でも猛威を奮っているデルタ株。最近では飛沫だけでなく、空気感染の可能性も指摘されている。野々村のように相次いで芸能人の感染も報告されているが、テレビ局の感染対策は“アップデート”されていないという。「マニュアルは更新されていますが、デルタ株の空気感染にはまだまだ対応しきれていません。特にラブシーンなど人と人との接触が避けられないドラマ撮影では、どれだけ対策を徹底していたとしてもデルタ株から逃れられる確証はありません。いっぽうワイドショーやバラエティ番組では、司会者やゲストたちはマスクを着用せずに大きな声で会話をしています。国内の感染状況が悪化してもスタジオ内での感染対策が強化されないことに、多くの視聴者は疑問を抱いています。そのような場所で声高に政府批判をする前に、『テレビ局での感染対策を見直すべきでは?』と感じてしまう人も多いのでしょう」(制作会社関係者)一時は肺が真っ白になり、酸素吸入器を使用するまで症状が悪化したという野々村。壮絶な体験に同情が寄せられていたが、一転して批判を集めてしまったようだ。
2021年09月07日天海祐希主演の痛快&最高のお金のコメディ・エンターテインメント映画『老後の資金がありません!』より、ユーモアがたっぷり詰まった予告映像が公開された。本作は、34万部突破のベストセラー小説「老後の資金がありません」が原作。天海さんがどこにでもいる普通の主婦を演じ、現代日本が抱えるお金の問題に立ち向かっていくストーリー。到着した映像では、貯金ほぼナシ、パート先をリストラになり収入0円、夫の失業で収入0円、娘の結婚資金でー300万円、親の葬式でー330万円…と、次々お金の問題が出現。さらに、浪費家の姑が追い打ちをかけ、絶体絶命の大ピンチ!またラストには、天海さん演じる篤子と草笛光子演じる姑・芳乃の2人によるまさかのジョークも飛び出す。そんな天海さんの明るくコミカルな演技も相まって、現代日本が抱える問題を吹き飛ばすかのような仕上がりとなっている。『老後の資金がありません!』は10月30日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2021年10月30日より全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2021年08月30日新橋演舞場、大阪松竹座にて上演される、『喜劇 老後の資金がありません』。垣谷美雨の小説を原作に、平凡な主婦に襲い掛かる仕送り、年金、葬式資金と、誰にも覚えがある「老後の資金」問題を、脚色・演出にマギー、主演に渡辺えり、高畑淳子を迎え、喜劇として描き出す。渡辺が演じるのは主婦の後藤篤子。夫は家計に無頓着、姑へは仕送りがあり、さらに長女の派手婚と、様々な問題が降りかかる自身の役について、普通の人などいないとしながらも「地味な、目立たない、普通の人になりますね」と話す。「派遣の契約社員として働く中で、娘が派手婚を決めて、急に出ていくお金が増え、自分を犠牲にして夫や娘のために尽くしてしまう。家計をやっていくというのは難しいんだな、というのを再認識させられる」と、自身の役を現代社会が抱える延長にいる人物と捉えたコメント。高畑演じるのは、夫と小さなベーカリーを営む神田サツキ。「基本たくましそうな人に見えるけど、そういう自分になりたかったというセリフがあって」と高畑が語る通り、年金を当てにしていたが姑が認知症になり……とサツキもまた問題を抱える役だ。お互いの色々な作品を観ていたというが、意外にも二人は舞台初共演。しかし、老後資金問題について「話題になった当時、周りの演劇人で2000万の貯蓄がある人なんていなかった」と渡辺が話せば、「貯金額を言わなきゃいけないみたい……」と高畑が返し、二人で笑う姿は息ぴったり。劇団3〇〇の女優と仲が良く、渡辺について「天才だ」と長らく聞いていたという高畑は「やっぱり話がすごく面白くって」と渡辺について語る。「私は稽古自体をやるというよりも、余計なことを考えたり喋ったりすることで作品の根っこが深くなると思うタイプ。こういう考え方もあるんだとか、そういう時間がふんだんに持てることが楽しみですよね(高畑)」と話すと、渡辺も「いろんな話をしながらやっていけるだろうということは、楽しみでしょうがないです」と初共演に期待を寄せた。「老後の資金がないことを、暗く演じても仕方がないので、明るくやりたい。こんな時代だからこそ、楽しいお芝居を、力をあわせてがんばって行きたいと思います」と意気込んだ渡辺。誰にも降りかかる問題を解く本作、喜劇だからこそのパワーをぜひ劇場で感じてほしい。公演は8月13日(金)8月26日(木)まで東京・新橋演舞場、 9月1日(水)~ 9月15日(水)まで大阪・大阪松竹座にて。チケットは発売中。
2021年08月18日渡辺えり、高畑淳子のダブル主演の「喜劇 老後の資金がありません」が8月13日、東京・新橋演舞場にて開幕した。本作は、垣谷美雨による大ベストセラー小説「老後の資金がありません」をマギーの脚色・演出で、初の舞台化となる。初日前会見では渡辺、高畑が登壇。渡辺は「コロナ禍で色々大変な世の中ですが、歌って陽気にがんばっておりますので、ご声援の程どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶。続く高畑も「できる限りの力を出して努めさせていただきたいと思います。その力が不安定な状態ではございますが(笑)」と話し、笑いを誘った。今回は「喜劇」だが、劇中に歌やダンスのシーンが盛りこまれ、物語が進んでいく。歌、ダンスについて「えりさん、とても歌が上手いですよ。『天使にラブ・ソングを…』という感じです(高畑)」「ダンスは複雑な振り付けがあるのですが、66歳で私たちよくやっていますよ!(渡辺)」と話すが、さらに高畑にはラップという大きな見どころが。ラップについて、本当に毎晩夢に見る、という高畑に、渡辺は「お上手ですよ。私が感動したのは『もう一回お願いします!』と必ず率先して稽古をするんですよ、18歳の新人みたいに」と話す。高畑は「お客様はお金を払っていらしてくださるわけですから。でもラップは難しい、10回に1回くらい間違えるんですよ、本当に頑張らないと」と意気込んだ。「老後の資金」をテーマに、誰にでも訪れる介護、葬式、子どもの結婚、雇用、年金と、様々な問題に普通の主婦が四苦八苦する姿を描く本作。ゲネプロでは一幕が披露された。結婚が決まった娘の派手婚にかかる費用を計算し、夫・章(羽場裕一)のいう通り援助していったら老後の資金がなくなることに篤子(渡辺えり)が叫ぶと、「老後の資金がありません」と歌い上げる歌唱シーンに突入。篤子の息子・勇人役・原嘉孝、篤子とサツキ(高畑淳子)が火曜生花教室の先生 城ケ崎役・松本幸大もジャニーズならではの華やかなダンスで場を盛り上げ、様々なシーンで活躍。またベーカリーを営むサツキの夫でパン職人の克也役・宇梶剛士のダンスにも注目だ。誰にでも起こりえる問題だからこそ、立ち向かっていく篤子、サツキの姿に勇気をもらえる本作。笑って泣ける喜劇は、ぜひ劇場で。公演は8月26日(木)まで東京・新橋演舞場にて、また9月1日(水)~9月15日(水)まで大阪・大阪松竹座にて上演。チケットは発売中。
2021年08月18日2011年に刊行され34万部を突破した垣谷美雨の同名ベストセラー小説を天海祐希主演で映画化した『老後の資金がありません!』より、本ポスターとコメントが到着した。日本最強のコメディエンヌであり、バリバリの仕事人間を演じることの多かった天海さんが本作で演じるのは、身近な主婦。子育ても落ち着き老後は安泰のはずが、親の葬式、子どもの派手婚、夫の失職、セレブ姑との同居と、あらゆるお金の災難に立て続けに襲われてしまう。監督は『こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話』で、ユーモアを交えた秀逸な演出で観客を魅了した前田哲。映画主題歌は、アーティストとして音楽ジャンルを超えて進化し続ける氷川きよしが担当している。今回解禁された本ポスターでは、いつもクールでかっこいい姿が記憶に残る天海さんには珍しい困り果てた表情を披露。天海さんの顔の周りには彼女を困らせるバラエティ豊かな面々が大集結しており、いまにも彼女の心の叫びが聞こえてきそうなインパクトのあるビジュアルに仕上がっている。また今回のビジュアルについて天海さんは「10月30日公開の映画『老後の資金がありません』の新ビジュアルが出来ました!私、頭に乗られ、髪やほっぺたを、引っ張られてますね(笑)そして!ご出演の皆様の、なんと魅力的な事か!一悶着では済まされそうもないでしょ?この作品、どなたにも起こり得る、数々の出来事に立ち向かい、それぞれの生き方を見つける、ハートウォーミングな映画です。1年の公開延期をし、お待たせしましたが、やっと皆様にお届けできます。ぜひご一緒に、笑い、泣き、怒り、そして良かったなぁと楽しんで頂けたら嬉しいです」とコメントを寄せている。『老後の資金がありません!』は10月30日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2021年10月30日より全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2021年08月04日自民党・二階俊博幹事長(82)が6月1日、「政治とカネの問題は随分きれいになってきた」と発言した。しかし、ネットでは疑問視する声が相次いでいる。発端は同日、元経済産業大臣の菅原一秀氏(59)が議員辞職を提出したことによる。『週刊文春』によって、有権者に香典や現金を配ったとの疑惑が報じられた菅原氏。現在、東京地検特捜部が公職選挙法違反の疑いで捜査を進めていることを受けて辞職を選んだ。そこで、同件について意見を求められたのが二階幹事長だ。ところが『日テレNEWS24』によると、自民党に言及し「随分、政治とカネの問題はきれいになってきているじゃないですか」「国民にも評価して頂いてしかるべきだ」と語ったという。自民党は菅原氏だけでなく、ここ1、2年で数々の“政治とカネ問題”が報じられている。「きれいになってきている」と二階幹事長はいうが、そもそも“汚いこと”に問題があるのではないだろうか?「’19年12月、IR(カジノを含む統合型リゾート)を担当する内閣府の副大臣だった秋元司被告(49)が中国企業側から総額760万円相当の賄賂を授受したとの疑いで逮捕されました。さらに彼は贈賄側に、裁判でウソの証言をするよう依頼。その見返りに報酬を提供しようとしたとされ、証人買収の罪にも問われています。また昨年6月、地元の議員らに金を配ったとして、元法務大臣の河井克行被告(58)とその妻である元議員・案里被告が逮捕。そして今年1月にも農林水産大臣だった吉川貴盛被告(70)が収賄の罪で在宅起訴に。吉川被告は鶏卵生産会社から複数回にわたり500万円を受け取っていたとされています」(全国紙記者)■「どこがやねん」「褒めるべきことではない」たった数年で、重役たちが相次いで“政治とカネ”で逮捕や起訴されてきた自民党。さかのぼること’16年にも、当時の経済再生担当大臣だった甘利明議員(71)とその秘書らが建設会社から口利きを依頼され、その見返りに金銭を受け取ったのではとの疑惑が『週刊文春』によって報じられた。そうして甘利議員は大臣を辞任することに。「会見で甘利議員は、違法性を否定しながらも自身が50万円を2回受け取ったと認めました。いっぽう辞任理由は『秘書が疑惑を招いていることについての監督責任をとるため』。さらに『調査結果をしかるべきタイミングで公表する』と話したものの、のちに『不起訴になったから』などといい、いまだ説明らしい説明を行っていません」(前出・全国紙記者)不祥事が次々と明るみになるなか「評価してしかるべき」というのはーー。ネットでは、二階幹事長の発言を疑問視する声がこう上がっている。《少し改善されたことを評価すべきという意識だからダメなんじゃないですか本来なら汚いことがゼロだとしてもそれは褒めるべきことではなく当たり前なんですよ》《ずいぶんと綺麗になってきたから評価して欲しいという理屈は毎日、万引きしてたけど最近週1になったからえらいでしょ?みたいに聞こえる》《ヘドロにまみれたドブ川を眺めて何言ってんだろう》《いやいや、どこがやねん》二階幹事長は会見で「カネを使って選挙しようと思っている立候補者は自民党にはいない」「カネが必要だと言われること自体が屈辱だ」とも語ったという。しかし「屈辱」を覚えているのは、数々の汚職を目撃している国民のほうではないだろうか。
2021年06月02日「なかなか、捏造体質は変わらないようだ」朝日新聞をこう糾弾したのは安倍晋三前首相(66)。これは4月22日に行われた講演で、安倍氏が語ったもの。毎日新聞によると、講演で安倍氏は朝日新聞から批判を受けてきたことを語ったうえで、若手議員へ「ずっと批判され続けても首相になったので君らもしっかり批判されろと言っている」と檄を飛ばした。また“捏造”の具体例については明示しなかったという。安倍首相といえば、これまでたびたび朝日新聞へ“反撃”してきたことで知られている。同紙の韓国の従軍慰安婦を巡る一連の報道について、14年10月に国会で「この誤報によって多くの人々が傷つき、悲しみ、苦しみ、そして怒りを覚えたのは事実であります。日本のイメージは大きく傷ついたわけであります」と批判。また17年、同紙は森友学園側が「安倍晋三記念小学校」という校名を記した設立趣意書を提出したと報道するも、実際の表記は「開成小学校」で“誤報”と問題に。18年2月に自民党の若手議員がその問題をフェイスブック上で取り上げた際は「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした」と安倍氏自らコメントをしていた。ふたたび舌鋒鋭く“宿敵”を批判した安倍氏だが、果たして自身は“清廉潔白”といえるのだろうか。19年5月に表面化した“桜を見る会問題”では、様々な疑惑が噴出。「桜を見る会」の趣旨が各界の功労者などを慰労することでありながら、安倍氏や自民党議員の支援者を多数招待していた疑いがもたれている。また会前夜に行われた安倍氏の後援会が主催する夕食会では、安倍氏側は5年間で総額約2300万円をホテル側に支払っていた。しかし、参加者からの会費総額は1400万円で、不足分の約800万円を安倍氏側が負担したとみられている。この補填額の大半は政治資金収支報告書に記載されておらず、政治資金規正法違反を指摘する声が相次いだ。疑惑に対し当初、国会などで「事務所が補填した事実は全くない」と真っ向から否定していた安倍氏。しかし、昨年12月に立憲民主党は安倍氏が首相在任中に国会で行った同疑惑への答弁のうち118回が虚偽答弁に上るとする調査結果を発表。安倍氏もその後、「全ての国会議員に深く心よりおわびする。国会に対する国民の信頼を傷つけることになった」と謝罪に追い込まれる事態となっていた。そんな安倍氏だけに、今回の朝日新聞への“捏造批判”には冷ややかな反応も散見された。《これぞブーメラン》《自分のことかな?》《おもいっきり捏造体質の人に、捏造体質だ、と言われても…》
2021年04月24日ウィル・スミスの新作『Emancipation』が、ジョージア州で決まっていたロケ地を変更すると発表した。最近、共和党率いるジョージア州の政治家と共和党員の州知事が、投票しづらくする法律を通したことに抗議してのもの。この新しい法律のもとでは、とくに黒人が投票しづらくなる。通過して以来、ジョージア州に本社を構えるデルタ航空やコカコーラなども批判の声を上げていたが、近年、ここは第2のハリウッドと呼べるほど撮影が増えている場所だけに、映画関係者もボイコットをするべきだとのプレッシャーが強まっていた。今作はその最初の例だ。『Emancipation』の監督はアントワン・フークア。製作、配信はApple TV+。撮影開始は6月の予定。文=猿渡由紀
2021年04月13日いま思えばよかったのは開催決定の一瞬だけ。よもやここまでトラブルが続くとは……。呪われていると言われても仕方がないわれらがオリンピックだが、元凶は男ばかり!?東京トラブル五輪の「消えた男たち」を振り返る――。【’15年7月】大会エンブレム盗用疑惑で異例の撤回アートディレクター佐野研二郎氏の手掛けたエンブレムが、ベルギーとスペインの作品に酷似していると言われ、使用差し止めの提訴をされる事態に。大論争を呼んだが、撤回された。新デザインは野老朝雄氏の「組市松紋」に。【’15年7月】国立競技場ザハ・ハディド案が総工費高騰で白紙に新国立競技場のデザインに建築家・安藤忠雄氏が推薦した「ザハ・ハディド案」が選ばれるも、予算は当初の2倍弱と判明。規模縮小案も出たが、最終的に白紙撤回となった。新たなデザインは建築家の隈研吾氏が担当した。【’20年3月】新型コロナで開催延期新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、五輪史上初となる1年延期が決定。安倍“マリオ”前首相も苦渋の決断となった。その後はご存じのとおりコロナ禍収束の見通しがいまだ立たず、今年の開催も危ぶまれている。【’21年2月】森喜朗組織委員会会長が失言辞任スポーツ団体女性理事の割合を40%以上にする目標について言及した際に、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と“失言大魔王”がまたやらかした。翌日、発言を撤回し謝罪したものの、逆ギレ会見で非難はさらに過熱。橋本聖子氏へバトンが渡された。【’21年3月】開会式の差別的演出プラン開会式を演出する電通出身プランナー・佐々木宏氏が、渡辺直美をブタに見立てる驚愕のプランを提案したことが発覚。辞任に追い込まれた。野村萬斎氏や振付師のMIKIKO氏ら、鳴り物入りだったメンバーはすでに離脱。■そのほか、舞台を去った旗振り役のお歴々【石原慎太郎元都知事、猪瀬直樹元都知事、舛添要一元都知事】石原慎太郎氏が東京都知事時代の’05年に五輪招致を表明、招致活動を進めてきた。石原氏退任後は新都知事(元副知事)の猪瀬直樹氏に引き継がれ、’13年9月に五輪開催地が東京に決定するも、数カ月後に「徳洲会」グループから資金提供を受けていた問題で猪瀬氏は辞任。後任の舛添氏も、政治資金をめぐる公私混同疑惑で集中砲火を浴び、途中退場。【桜田義孝元オリパラ担当大臣】白血病を告白した水泳の池江璃花子選手に対する心ない発言に世論の集中砲火を浴びた。その後も失言が続きわずか半年の在任で辞任。【竹田恆和元JOC会長】五輪招致に絡む買収疑惑でフランス当局から捜査を開始され、疑惑のなか’19年6月末の任期満了をもって退任した。「おもてなし」フィーバーのときは、まさかこんなことになるとは……。いったいどうなることやら。「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月29日第85・86代内閣総理大臣の森喜朗氏(83)が3月26日、再び“女性差別的発言”を行ったとしてネットで大炎上の様相を呈している。読売新聞によると、森氏は自民党・河村建夫元官房長官(78)の政治資金パーティーに参加。そこで「(河村事務所に)大変なおばちゃんがいる。女性というには、あまりにも、お年ですが」と述べたというのだ。先月まで東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長だった森氏。そこで男性の話し方を「理路整然」などと評し、「女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね」「組織委の女性はみんなわきまえておられる」などと発言。「差別的だ」と世界中から非難され、辞任することとなっていた。そんななか、またしても問題発言。ネットでは「性別と年齢は無関係」として、森氏への非難が殺到している。《年寄りに成ると女性扱いしなくても良いって事を元総理大臣が言った訳ですね……》《何を以って「女性」を定義しているのか。女性には若さが伴わなければ性自認さえ否定するのか。そんな権利は誰にもないはずだ》《男性も女性も、年齢で性別決まる訳ではない》《ベテランおじさんには 男性と言うには年と、言うの?》《だからもう引退すればいいんです。この人は今さら変われない》
2021年03月27日緊急事態宣言下のなか深夜に銀座のクラブを訪れていたとして、2月1日に正式に辞職した公明党の遠山清彦議員(51)。遠山氏はクラブ通いだけでなく、19年の政治資金支出報告書でキャバクラなどに飲食代として約11万円を計上していたことも明るみになった。「具体的には、福岡市にあるキャバクラと宮崎県延岡市にあるスナックへの支出5件を計上。公設秘書が福岡市のキャバクラに行った際の飲食代が4件、もう1件は遠山氏が延岡市のスナックを利用した際のものだといいます。結局、支出分は資金管理団体に返金。政治資金収支報告書を訂正しましたが、風当たりはいっそう強くなりました」(社会部記者)複数の不祥事が明るみになり、1月29日に党の幹事長代理の役職を辞任した遠山氏。しかし「政治への信頼を深く傷つけた」として、1日午前に議員辞職願を提出したという。各メディアによると、国会内の記者団に対して「先週、党の幹事長代理の役職を辞任したが、週末に熟慮した結果、潔く議員辞職すべきだと決意した」と説明。次の衆議院選挙には立候補しない意向を明らかにしたという。■自民党・松本純氏は虚偽説明のうえ、離党止まりいっぽう遠山氏と同じタイミングで、銀座での“深夜のはしご酒” が報じられた自民党の松本純議員(70)。その責任をとって、1月29日に党の国会対策委員長代理の役職を辞任していた。そんななか遠山氏の辞職が報じられた直後、松本氏も同日午後に離党届を提出したという速報が走った。さらに同党の田野瀬太道文部科学副大臣(46)と大塚高司国対副委員長(56)も松本氏と酒席を共にしたとして、同時に離党したのだ。当初、記者団の一問一答に対して「1人で店に行った」と返答していた松本氏。さらに「複数人での会食は各飲食店であったのか」という質問に対しても、「全部、要望・陳情を承る立場として1人で行っている」と否定していた。このことについて松本氏は同日の会見で、「実は後輩議員2名とともに訪問したのが事実です」と虚偽を認めた。その理由として、「後輩を庇いたかった」と釈明。離党については、二階俊博幹事長(81)から「離党勧告を頂戴した」と経緯を明かした。遠山氏は議員を辞職したが、虚偽説明のうえ離党にとどまった松本氏ら3名。その“温度差”に批判の声が上がっている。《離党届と言う事は議員は続けるんだね。ほとぼりが冷めたら党に復帰?公明党の遠山議員は議員辞職でしょ?》《嘘までついて議員辞職しないんだ。遠山は辞職したで》《公明党の遠山清彦議員は辞職した。この差は問われるだろう。そして是非はともかく、世論は止まらなくなっている》
2021年02月01日なぜに会食をくりかえす──?新型コロナウイルスの流行から約1年が経とうとしている。飲食店への休業要請や2度目の緊急事態宣言が発令されるなか、政治家たちが“大人数での会食”を報じられ国民に陳謝するという光景はもはや日常に……。なぜ彼らは会食をやめられないのか。漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんと考える(以下、コメントはすべて辛酸さん)。* * *──緊急事態宣言がふたたび発令され、国民への『外出自粛』や飲食店に対する20時までの『時短営業』が出されたり、大変なことになっていますね。「私も最近、仕事を終えて夕食をとろうとしたらラストオーダーギリギリで焦ったことが度々ありました。まともな食事をとっていないことで、免疫力が低下しているかもしれません。外食の際も『マスク着用』が推奨されていますが、たとえばひとりが“周りもマスクしてないから”と言い出すことで、みんなも外す流れになりがちですよね。また、一時は飛沫が飛ばないように、扇子で口元を覆いながら会食に参加していましたが、友人には“前世は平安だったでしょ?”と言われてしまいました。飛沫問題ひとつとっても大変です」■会食がないと政治は動かないのか──雅(みやび)な会食風景ですね。年末年始にかけて、自粛を要請する側のはずの政治家たちが、大人数での会食をして炎上するということが増えています。「『バイキング』で“政治家が会食したワケ”をまとめて放送していましたが、その表の配色がおどろおどろしく、まるで会食が犯罪かのような扱いに。ただ、政治家のみなさんの言い訳もすごいです。埼玉県議が40人以上で集まって会食をしていたことについて、埼玉県議会の田村琢実議長は『打ち上げ会は中止にして三々五々食事をして帰っただけです。別に会食をしているわけではない』と説明されていました。三々五々という言葉の意味について改めて調べたくなります。菅義偉首相も各界の方々と集まってステーキを食べていましたし、会食がないと政治は回らないのかなと思いました。逆に会食が日本を動かしているとも捉えることができますね」●政治家たちの言い訳まとめ《9人でふぐ会食》石破茂元幹事長「店に行って5人以上の会食であることがわかった。参加すべきか逡巡したが会食を断れなかった」《6人で高級寿司店貸切》橋本聖子五輪相「結果的には想定外で6人の会合が重なってしまったということなんですけど」《8人でステーキ会食》二階俊博幹事長「会食を目的にやっていない。意見交換を考えてやっている。全く無駄なことをしているわけではない」■ずっと会食をしてきた文化の人たちは──先日(1月26日)も緊急事態宣言が発令されている最中、自民党の松本純国家対策委員長代理がイタリアンレストランと銀座のクラブをはしごしていたことがスクープされましたよね(報道を受け現在は役職を辞任)。3軒回って帰宅は午後11時になったみたいです。「会食を認めたうえで『要望・陳情を承るかたち』と意味がわからない釈明をされていましたね。クラブのママの『最近銀座にお客さんこないのよ〜』といったグチを“陳情”と言い換えたのでしょうか。あたかも国民に寄り添って悩みを聞いていた感を出していますが、店から出てくるときの写真はだいぶニヤケ顔だったような。店でアルコールが出されていたことについても『お茶がわりに(酒が)で出ていた』と説明されていました。私はこれまでお茶がわりにお酒が出てきたことがないので、やはり生きる世界が違うんですかね。同席していたもうひとりの公明党の方(遠山清彦幹事長代理。こちらも辞任)も『知人の話を聞いてあげたかった』とやはり“いい人オーラ”を出されています。この件をスクープした『週刊新潮』の記事には、会食をしたレストランのオーナーがイタリアマフィアの末裔(まつえい)だと書かれていました。営業時間の延長はある意味での治外法権が働いたのでしょうか?政府は時短営業や休業要請に応じなかった飲食店は公表すると言っていましたが、この店もそうなるのか気になりますね」──どうせ“陳情を承る”のなら、20時までの休業要請に従っている店から聞くべきな気もしますしね。そういえば石田純一もまた10人で会食しているところを撮られていましたね。彼の言い分は《偶然、同席していた知り合いの知り合いがお店にいて、合流してきて。『こんな数になるなら来なかった!』って怒りましたよ。でも、そこで帰るわけにもいかず。あ、私は飲んでませんよ》(『週刊新潮』2021年1月21日発売号)とのことみたいです。「政治家もそうですが、ずっと会食をやってきた文化のひとたちは“途中で帰る”という発想がないのかもしれません。店にダラダラ居座るという行為の根底には、孤独や満たされないものがあるのでしょうか。家庭に帰りづらいとか何か事情を抱えているのかな、などと想像してしまいます」──自民党の各派閥は1月19日、毎週木曜昼の会合時に所属議員同士で一緒にお昼に弁当を食べる『箱弁当』の文化をしばらくの間自粛すると決めたそうです。議員からは「寂しい」との声もあがっているとか。「結束を深めるために行われている伝統で、『一致団結、箱弁当』のかけ声もあったそうです。政治家は周りに敵も多く、簡単に心を許せない状態だからか、頻繁に一緒に食事をしていないと繋がりを実感できないのかもしれませんね。顔を合わせながら同じものを食べることで深まる結束があるのでしょうか。新聞には、竹下派は『弁当があると、持ち帰りでも議員同士で食べてしまうかもしれない』という理由で弁当を完全になくしてしまいましたが、女子高生のグループじゃないんだから……と思ってしまいました。中・高生にとっては『お弁当を誰と食べるか』は重要な問題かもしれませんが、いい大人がなぜこんな風習に囚われているのか不思議です。いまでもウラでは“隠れ箱弁当”やせめてもの“ZOOM箱弁当”などが行われていたりして。政治家が会食をやめないのは、派閥が生命線になる今の日本政治のありかたも影響しているのかもしれません。飛沫をわかちあうことが信頼関係を生み出していたと」■スーパーで飲食店の弁当を──その一方、市井の人の悩みでいえば、飲食店の時短要請による『夕食難民』なども話題になりましたよね。自炊をする習慣のない人たちにとっては大きな問題かもしれません。飲食業界も苦境に立たされています。何か解決策があればいいのですが……。「前に、取材を終えて夜9時ごろに目黒駅を通りがかったら、地下鉄の駅ナカの団子屋に行列ができていました。ほかに店がやっていなかったというのもあるかもしれませんが、普段あまり団子屋に並んでいる光景をみることがないので少し衝撃的でしたね。五平餅はギリギリ主食にはなりそうですが。みんなコンビニ弁当には飽きているのかもしれません。状況が少しでもいい方向に転ぶとすれば、たとえば“休業になった飲食店がスーパーの一画などでお弁当を出す”といった取り組みなどやってみたらどうかな?と思いました。渋谷の『西武』の地下にいろいろな店のお惣菜が置いてあったりするイメージで、“あそこに行けば欲しいものがみつかる”といった場所があれば便利かなと。今も通りを歩くと、飲食店がお店の前で屋台を出していたりとかするのですが、好きなものを食べようとすると、こっちでお惣菜を買ってあっちで主食を買ってと少し歩かなければいけません。たとえばこれがスーパーなど、一か所に集まっていれば選びやすいし、地域のコミュニティも活気づくのかなと思いました。もちろん密にならないように気をつけてですが。こういった意見、どこに要望・陳情すればいいんですかね……」辛酸なめ子/漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)など。
2021年01月31日1月29日、自民党が新型コロナウイルス感染防止策として党本部の全職員にPCR検査を行っていると一斉に報じられた。日刊スポーツによると今週から検査を実施し、検査過程で職員1人に陽性が判明。この職員は自宅療養しており、濃厚接触者も確認されていないという。竹本直一前IT担当大臣(80)や石原伸晃元幹事長(63)など、これまで党員の感染は報告されている。感染自体は責められるものではないが、“感染予防に徹していた”とは言い難い党員らの行動が問題視されている。「竹本氏は参加していませんが、後援会が80人規模の政治資金パーティーを実施しました。菅義偉首相(72)と二階俊博幹事長(81)も、著名人を含む8名で“ステーキ会食”。そして緊急事態宣言下では、松本純国対委員長代理(70)が “深夜のはしご酒”をしていました。さらに二階幹事長の“最側近議員”の公設秘書らも、和歌山県でカラオケを楽しむなど豪遊。その後に新型コロナウイルスの感染が確認され、クラスターと認定されたのです」(スポーツ紙記者)また新型コロナウイルス対策をめぐって、政府は特別措置法や感染症法の改定案に懲役や罰金といった罰則規定を盛り込んでいた。結局、野党や世間の強い批判を受けて刑事罰を削除し、行政罰の過料とした。国民が自粛生活を強いられているなか、理解し難い行動をとっていたにも関わらず“党内PCR検査”を実施。いっそう「自分たちに甘い」と、冷ややかな声が巻き起こっている。《ドン引き。国民置き去りにして自分らだけ先に》《あれ?ここにきて大々的にPCR検査実施するんですね感染防止策としてはいい事だと思うけど僕達国民はなかなか検査が受けられない状況が続いてるんですけど?》《自民党は公助を自分たちだけコロナ対策も自分たちだけ国民には自助だけ》そもそも、政府はPCR検査に積極的だったのだろうか。田村憲久厚生労働大臣(56)は1月14日、『BSフジLIVEプライムニュース』に出演。その際、視聴者から「政府はなぜPCR検査を積極的に実施して感染者を隔離しようとしないのですか」という質問が寄せられた。すると、「検査はやればやるほどいいと私も思います。ただ税金で行う以上費用対効果の問題がある。国家体制が違うから、中国のように強制して一斉に行うことはできない。すると費用対効果はあまりよくない」と回答していた。田村厚労相は「費用対効果の問題」と説明したが、もともと政府はPCR検査に否定的だったようだ。「感染が疑われる人から『検査が受けられない』との不満が相次ぎ、安倍晋三前首相(66)は昨年4月に『1日2万件』を目標として体制強化を掲げました。ところが厚労省はその翌月、政府に説明する目的で『不安解消のために、希望者に広く検査を受けられるようにすべきとの主張について』と題した内部資料を作成。そこには『PCR検査は誤判定がある』『検査しすぎれば偽陽性者が増え、医療崩壊の危険がある』と記載されていました。強化体制を謳うも否定的な姿勢に、一部医師会からは『PCR検査の抑制だ』といった指摘もありました」(全国紙記者)1月25日に報じられた東京新聞の記事によると、政府は不特定多数の人々を対象としたPCR検査を早ければ3月から実施するとのこと。感染者数が多い東京や大阪などの都市部で無料実施し、市中感染の状況を把握するというが――。国民よりも自分たちを最優先する自民党。果たして、どのように説明するのだろうか。
2021年01月30日2021年1月現在も新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)が猛威をふるい、世界中で多くの人が感染しています。日本でも東京都内だけで毎日千人近くの新規感染者が確認されており、政府は引き続き感染対策に努めるよう呼びかけをしました。不特定多数の人が集まると感染リスクが高まるため、『密』を回避することが重要とされています。国会議員の『密』にカズレーザーがズバリ同月29日に放送された情報番組『とくダネ!』(フジテレビ系)では、問題視されている国会議員の『密』について特集。マスクは着用しているもののコロナウイルスの対策会議に多くの人が集まったり、国会でヤジを飛ばしたりと、国会議員の行動を非難する声が上がっています。番組では国会のリモート化が進まない原因の1つとして『国会法』を紹介。同法律では「国会に出席しなければならない」となっているとのことです。司会の小倉智昭さんは、コメンテーターとして出演しているお笑いコンビ『メイプル超合金』のカズレーザーさんに「政治家の行動って変わると思う?」と質問。カズレーザーさんは「行動はすぐには…いや、多分変わらないと思いますね」とハッキリいい切ると、その理由についてこのように述べました。なんせまあ、国会法というのは74年前かな…1947年に作られた法律で。その頃はリモートなんて概念はまったくない状況の法律が今の行動の論拠になってる以上は、昨日の今日ですぐに変わるってことはないと思いますし。「最初に誰が変えるんだ」みたいな。そのチキンレースが結局あるわけで。じゃあ上が変えないわけじゃないですか。だって一番高齢者にリスクがある。いったら(国会議員は)おじいちゃんおばあちゃんの集団なわけで。その人たちが「集まっちゃおう」ってなったら、そりゃあ変えられないですよね。とくダネ!ーより引用日本社会は年功序列の風潮があり、いわゆる『縦社会』となっている団体がほとんど。それは国会も同じであり、制度を変えるにはキャリアの長い人や上の立場にいる人の意見が重視されるでしょう。カズレーザーさんは「高齢者の集団である国会議員がリモートに切り替えるとは考え難い」と意見を述べました。番組によると、国会議員の中にはリモートにしたいものの、出席せざるを得ない状況の人もいるのだとか。そのように考える人がいても、発言力の強い人が動かなければ状況は変えられないようです。縦社会特有の問題に、ネットからは多くの人がカズレーザーさんの意見に共感しました。・相変わらずカズレーザーの意見は的を射てる。若い議員はしぶしぶ出席してるのかも。・政治家にはもっと柔軟に対応してほしい。決まりを頑なに守り続けてもいいことはない。・歳をとると今までの習慣を変えるって難しいよね…。高齢者こそ感染に気を付けなきゃいけないのに。国会だけでなく、「直接顔を合わせて話さなければ、思いは伝わらない」という上層部の考えから、リモートにできない会社も少なくないようです。確かにルールやコミュニケーションは大切ですが、コロナウイルスは最悪の場合、命にも関わる可能性があります。国の代表である国会議員が時代に合わせて変化をすれば、社会全体にいい影響を与えるかもしれません。カズレーザーさんに関する記事はこちら[文・構成/grape編集部]
2021年01月29日「老後資金をどう作ろうか」とお悩みの人も多いだろう。会社員なら、公的年金と退職金が老後資金の中心になるだろう。そんな退職金は、会社を辞めるとドンと手に入る。人は大金を持つと、気が大きくなって使いたくなるものだが、定年後の人生はおおよそ30年。もらってすぐ派手に使うのはNGだ。「ムダ遣いしないように、小分けして支給して」と考え、年金型での受取りを選ぶ人もいるかもしれない。「退職金の受け取り方は、よく考えて!」と、税理士の板倉京さんは助言する。「退職金には『退職所得控除』という大きな非課税枠がありますから、これを最大限活用するのがお勧めです」退職所得控除は、勤続年数で決まる。勤続20年以下の方の退職所得控除は40万円×勤続年数。勤続20年超なら、40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)。「退職所得国所を最大限活用するなら、退職金は、年金型より一時金で受け取るほうがよいでしょう。そのほうがお得になる方が多いと思います」たとえば22歳で入社、38年勤めあげ、60歳で退職するAさんを例に考えよう。「Aさんは勤続38年ですから、退職所得控除として2,060万円もの非課税枠があります。これを活用するのです」非課税枠が2,060万円ということは、そもそも退職金が2,060万円以下なら、税金は不要だ。たとえ2,060万円を超えていても、退職金から非課税枠である2,060万円を差し引いた額の2分の1に税率をかけて納税額を算出するので、税額はかなり抑えられる。「逆に、年金型で受け取った場合は、退職所得控除は使えません。1年間の退職金の受取額と公的年金を合わせた額から『公的年金等控除』を差し引き、税額を計算することになります。公的年金等控除は、退職所得控除と比べると額が少なめなので、納税額が多くなってしまう傾向があるのです。さらに、年金型で受け取る退職金は、公的年金と合わせて『収入』とみなされ、この収入を元に、社会保険料が計算されます。退職金が上積みされている分、収入が増え、社会保険料も高くなりがち。さらに、収入が高いと、高齢の低所得世帯への優遇措置などを受けられないこともあります」会社に預けておくと、比較的高利回りで運用してくれるという好条件があっても、退職所得控除を最大限活用できる一時金で受け取ったほうが、メリットが大きいのだ。板倉さんは「知らないと大損する!定年前後のお金の正解――会社も役所も教えてくれない手取りを増やす45のコツ」(ダイヤモンド社刊)を上梓。お得ワザを知って、老後資金をがっちり貯めよう。
2020年12月24日「会食だけ気を付けても話になりませんな。はい?会食のやり方?家族が多いところはどうするんです?6人家族だったら。飯は一緒に食うなということ? あなたの意見ですか?」12月18日の記者会見で、財務大臣兼副総理の麻生太郎氏(80)はこう言い放った。8人による“ステーキ忘年会”に菅義偉首相(71)も参加していたことを記者に問われての返答だ。12月11日には政府の新型コロナ対策分科会が、会食は「なるべく普段から一緒にいる人と少人数で」「大人数、例えば5人以上の飲食は感染リスクが高まる」と注意を促していたばかり。副総理でありながら政府の呼びかけを真っ向から否定し、“他人との会食”と“家族での食事”を同一視する詭弁に世の人は大いに呆れた。ツイッター上ではこんな指摘が。《同居する家族6人でご飯を食べるのと、それぞれ家族を持っている6人の他人が集まって会食するのとで、感染拡大のリスクが同じわけないだろう》《政府が呼び掛けてる「5人以上の会食は控えて下さいは」最初から他人同士の話なんだよ!総理・政府要人がそれを侵した途端、言い訳に大家族を引っ張りだすとは呆れ返るほどの幼稚さ!》「Go Toイート」では、一部の自治体で“原則4人以下”という利用制限を設けていたが、やはり同居家族は制限の対象外だった。結局、麻生氏は誰も同一視してこなかったものを無理矢理一緒にした挙句、菅首相の愚行を強引に相対化しようとしただけ。だが、そんな麻生氏の妄言に、記者会見に出席した記者からはツッコミが入ることはなかった――。7年8カ月の長きにわたった安倍政権が幕を閉じ、菅政権が新たに始まった2020年。閣僚たちの顔ぶれも変わりゆくなか、一向に変わらなかったものもある。麻生氏の“暴言”“妄言”だ。コロナ禍での氏の発言を振り返る。■「つまんないことを聞くねえ」「つまんないこと聞くねえ。言われて聞くのかね?上から言われてるわけ?かわいそうだねえ」(2月28日記者会見)2月27日に突然決まった「休校要請」。子育て世帯から不安の声があがるなか、保育費用などにかかる臨時の出費を国が負担することが決まった。だが、記者から「具体的なスキーム(仕組み)はこれから?」と問われた麻生氏は「こちらが最初においくらですよって決めているわけないでしょう」と答えた上で、「つまんないこと……」と言い放ったのだ。「全額補償されるのか?」「補償範囲はどこまでなのか?」などの不安を抱えた親たちの神経を逆なでするような発言。「いや、休校要請を出す前にスキームくらい決めておけよ」と思った親も多いのではないか。■「おたくの国とは民度が違う」「『おたくとうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』と言って、みんな絶句して黙るんですけれども」(6月4日参議員財政金融委員会)新型コロナによる死者数が欧米諸国より少ないことについて海外から問い合わせがあるとこう対応していると国会で明かした麻生氏。本当だったとしたら、“あなたの国の民度は日本より低い”と答えているに等しく、とても非礼な発言だ。相手が絶句するのも無理はない。ちなみに人口あたりのコロナ死者数は、はっきりとわかっていない北朝鮮を除けば、日本が東アジアで最悪。麻生氏理論では東アジアで日本はもっとも民度が低い国ということになりそうだ。■「お金に困っている方の数は少ない」「お金に困っている方の数は少ない。ゼロではないですよ。困っておられる方もいらっしゃる。だが、現実問題として(10万円の特別定額給付金で)預金、貯金は増えた」(10月24日自身の政治資金パーティー)コロナ禍で困窮する国民が多く、緊急性もあったために決まった一律10万円の給付。これで窮地を脱した人も少なくない。おそらく麻生氏は、日本銀行が9月18日に発表した4月~6月期に家計貯蓄が増加したという統計を念頭に発言していたと思われる。確かにこの時点では、給与への影響がなく今後に備えて給付金を貯蓄に回したり、外出自粛で支出が減ったことで貯蓄が増えたりした人も一定数いたのだろう。だが、多くの企業で給与やボーナスのカット、雇止めや解雇、早期退職の募集が行われていると伝えられているなか、日本の財政をつかさどる財務大臣として、あまりに現実を無視した発言だ。今年はコロナと関係ないところでもこんな発言が……。1月には「2000年の長きにわたって、1つの民族、1つの王朝が続いているなんていう国は、ここしかない」と日本に住んできたマイノリティを完全に無視する発言をして、謝罪に追い込まれた。さらに8月にはテレビ朝日の記者に、安倍晋三首相(当時)の健康不安説を問われて、「あの画像の映りの悪いテレビ朝日でも、(安倍首相は)顔色よく映ってたもんね。あれだろ?無理して顔色よくして流したわけじゃないだろ?そんな技術もないだろうし」と発言して顰蹙を買った。その後、安倍首相は健康を理由に辞職している。衆議院議員の元秘書はこう語る。「一部では、暴言を繰り返す理由を麻生氏が高齢であることに帰するむきもありますが、麻生さんが40代前半だったころにも『婦人に参政権を与えたのが最大の失敗』といって批判を受けていていますし、自分の政治家生命をかけた2008年の総裁選の最中に、前月に起きていた大豪雨について『安城や岡崎だったからいいけど』と発言して、謝罪に追い込まれてます。暴言癖は昔からですよ」2019年には「(少子高齢化は)子どもを産まなかった方が問題なんだから」と語ったり、質問する記者に対して高圧的に「返事は?」「大きな声で!」「聞いてんだよ、俺が!」と詰め寄って批判を受けた。一昨年には、財務事務次官のセクハラ問題について、「セクハラ罪っていう罪はないですよね」や「(被害女性にはめられたという)そういう可能性は否定できない」と発言している。麻生氏の“暴言”“妄言”は近年増えているような印象があるが……。「党内はもちろん、テレビや新聞が厳しく批判しなくなったからでしょうね。記者クラブの記者へのパワハラ系の暴言が増えているのがその証拠です。そして暴言を“強さの表れ”と勘違いして、支持してくれる層が一定数いることも麻生さんはわかっているから、よっぽどのことでないと謝罪もしなくなりました。本人にも直すつもりもないし、周囲も厳しく言わないから、ますます増長するんでしょう」今後も続きそうな麻生氏の“暴言”と“妄言”。有権者が許さなくさえなれば、止まるはずなのだが……。
2020年12月23日「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」老後資金にまつわる代表的な不安といえばまっさきに浮かぶのが「老後2,000万円問題」。’19年、金融庁が公表した報告書の中で、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で、今後20〜30年生きるとした場合、年金を受給しても約1,300万〜2,000万円が不足すると報告され、議論を呼んだ。吹田さんは、こう指摘する。「誤解されている方が多いのですが、この数字はあくまで統計上の平均値であって、必ずしもすべての家庭に当てはまるわけではありません。家族構成や家庭の事情によって、必要な老後資金は変わってきます」特にリタイア後の生活資金は家庭によって大きな差が出る。都市部か地方なのか、旅行などのレジャーに積極的に出かけたいのか、家庭菜園を楽しみながら自宅中心の生活を送りたいのか、それだけでも違うのは明らかだ。「ですから、2,000万円と聞いて慌てて貯金に走る前に、老後にどんな生活を送りたいのか、そのためには毎月どれくらい生活費が必要なのかをあらかじめ夫婦で話し合い、具体的にイメージしておくことが大切です。金額だけを目標にしてしまうと、途中で挫折したり、節約のストレスから浪費がふくらみがち。『こんな生活を送りたい』という目的をはっきりさせましょう」必要な金額がイメージできれば、根拠のない不安から焦ることも少なくなる。老後資金についても、家計と同様に見える化して考えよう。特に資金を「守りのお金=年金・保険」と「攻めのお金=投資・運用」の2つに分けると、具体的に何をすべきか見えてくる。その結果、不安が減り、失敗が少なくなるのだ。「50歳以上なら、毎年誕生月に送られてくる『ねんきん定期便』で、将来受け取る年金の見込額を確認できます。その金額さえわかれば、夫婦でイメージしている老後の暮らしを送る場合、毎月の不足分がいくらになるのか、おおよそ予測できるでしょう。不足額がわかれば、投資計画が立てやすくなります。不足分を補うには、どんな金融商品が適しているか、毎月いくらを何年間ほど積み立てればいいのかといったことも見えてくるはずです。そうすれば、焦ってリスクの高い金融商品に投資したり、あやしい投資話に引っかかったりする可能性はぐっと低くなります」(吹田さん)投資と聞くと「難しそう」「損をするんじゃないか」と苦手意識を抱く人も多いが、失敗する理由がわかれば、怖がる必要はない。投資・運用のアナリスト、石川紀子さんと、多くの顧客の資産形成に携わる丸山哲也さんの2人が“攻めのお金” の攻略法を伝授。「投資の失敗でありがちなのは、資金が貯まってから一気に始めようというケース。実践経験がゼロの状態で大金をつぎ込むことになるので、大失敗につながります。投資を始める際は、目安として生活費の半年分程度の貯金があれば大丈夫。まずは少額の投資から始めて、少しずつ勉強していきましょう。毎日、株価をチェックするだけでも、どんなときに値動きがあるのか、徐々にわかるようになってきます」(石川さん)さらに丸山さんは、最初は少額でも長く続けることの重要性を力説する。「投資には、複利効果があります。たとえば投資信託で一定額を積み立てていくと、収益が発生します。この収益を元本に組み込み、同じことを繰り返していくと、その額は雪だるま式に大きくなっていく。これが複利効果です。最初は小さくても、長く続けるほど大きくなるので、早めに始めたほうが大きな成果が出やすいのです」老後資金対策として、初心者にも始めやすい投資の代表が「つみたてNISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。つみたてNISAは、年間40万円の積立額を上限として、最長で20年間、得られた利益が非課税となる。そのメリットを最大限生かすため、20年間、換金しないことを前提に運用しよう。「商品は、信託報酬が低めのインデックスファンドがおすすめ。過去3年以上の運用実績があり、100億円以上の資産残高があるものを選びたいですね。信託報酬とは、管理・運用のために証券会社に継続して支払う手数料のこと。信託報酬が2%前後と高報酬の商品は、利益が出ても相殺され、元金が増えないケースもあるので注意して」(石川さん)iDeCoの場合は運用の利益が非課税になるだけでなく、掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減される。ただし60歳まで引き出せないので、無理のない金額で投資しよう。商品は、日本株、世界株、世界債券、REIT、ゴールドなど4〜8種類に分散させて。「積み立ては自動的に行われますが、定期的に途中経過をチェックするようにしましょう。一時的な増減で一喜一憂せず、なぜ上がったのか、下がったのかを運用報告書やネットの情報を調べるなどチェックして。将来性に疑問を感じたなら、ほかの商品への乗り換えも検討すべきです」(丸山さん)いざ老後生活に突入すれば、準備してきた資金を引き出すときがやってくる。間違っても、運用中の口座を一気に解約しないように気をつけたい。「所得控除が受けられるなど、税制上のメリットのある口座から解約を。投資の利益が元金に対して50%以上出ているときは、全体の3分の1程度の金額を取り崩し、その後も運用を続けましょう。たとえば、100万円を元金として50万円の利益が出ている場合は、利益分の50万円だけ取り崩します。利益がそこまで出ていない場合は、そのまま運用を続けたいので、銀行の預貯金口座から引き出していきます」(石川さん)複数の銀行口座、証券口座を持っている場合は、万が一のときに整理しやすいよう、使い勝手のいい口座5つ程度を目安に、徐々に絞っていこう。数字を見える化して分析できれば、投資・運用だって怖くない!「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月19日「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」老後資金にまつわる代表的な不安といえばまっさきに浮かぶのが「老後2,000万円問題」。’19年、金融庁が公表した報告書の中で、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で、今後20〜30年生きるとした場合、年金を受給しても約1,300万〜2,000万円が不足すると報告され、議論を呼んだ。吹田さんは、こう指摘する。「誤解されている方が多いのですが、この数字はあくまで統計上の平均値であって、必ずしもすべての家庭に当てはまるわけではありません。家族構成や家庭の事情によって、必要な老後資金は変わってきます」特にリタイア後の生活資金は家庭によって大きな差が出る。都市部か地方なのか、旅行などのレジャーに積極的に出かけたいのか、家庭菜園を楽しみながら自宅中心の生活を送りたいのか、それだけでも違うのは明らかだ。「ですから、2,000万円と聞いて慌てて貯金に走る前に、老後にどんな生活を送りたいのか、そのためには毎月どれくらい生活費が必要なのかをあらかじめ夫婦で話し合い、具体的にイメージしておくことが大切です。金額だけを目標にしてしまうと、途中で挫折したり、節約のストレスから浪費がふくらみがち。『こんな生活を送りたい』という目的をはっきりさせましょう」(吹田さん)必要な金額がイメージできれば、根拠のない不安から焦ることも少なくなる。逆に『足りないかも』と潜在的な焦りがあると“おいしい話”に引っかかりやすい。多くの顧客の資産形成に携わる丸山哲也さんは、こう警鐘を鳴らす。「老後資金の用意が間に合わないかもと、焦りから一気に投資に手を染める人が後を絶ちません。特に相続などでまとまったお金が手に入って、気が大きくなっているようなときは気をつけて。予備知識がないまま投資セミナーに参加し、営業マンにすすめられる商品にそのまま投資してしまうケースが少なくありません」特に不動産投資にはリスクがつきもの。賃貸物件として貸し出しても、空室が続いて賃料収入が途絶えたり、環境が変わって不動産価値が急落することもある。手放したくても売却先が見つからず、赤字に転落というシナリオも。「会社員の場合、ローンが組みやすく、契約のハードルが比較的低いことも引っかかりやすい理由の1つ。預貯金の半分ほどが一気に出ていく高額な金融商品は、失敗したときのリスクが大きいので慎重になるべきです」(丸山さん)ほかにも丸山さんは“あやしい投資話”にはいくつかの共通した傾向があると続ける。「仮想通貨や自然エネルギーなど話題のテーマを絡めた投資話や著名人とのつながりをアピールするもの、金融機関以外が元本保証や極端な高金利をうたったものなどは要注意。また、配当金にかかる所得税など、税制上の扱いについて質問をしても、すぐに返事がないものは疑うべき。20〜30代までと違って、50代以降の損失は取り返しがつかないと心得ましょう」投資初心者は、まずは少額から、信頼できる金融商品に長期的に投資するつもりで始めましょう。いっぽうで、毎月の家計からコツコツと老後資金を積み立てるのも忘れずに。投資ができるのも、地道な貯金があってこそだ。そこで吹田さんが提案するのが、「住まい費:生活費:将来準備費=3:4:3」の黄金比率。「貯金を増やそうと無理に生活費を切り詰めたり、コスパ重視の節約法に夢中になったりするとストレスがたまって挫折しがち。家計支出を住まい費、生活費、将来準備費の3つに分けたときに、その比率が3:4:3になるようバランスを調整すると、生活を楽しむ余裕が生まれ、安定して貯金を続けられます」住まい費とは、住居費、車費、水道光熱費。生活費は、食費などの日常生活費、通信費、レジャーや被服費、小遣いなど。最後の将来準備費に、貯蓄と投資、保険料、子どもや自分への教育費といったものが含まれる。「住まい費がふくらむとほかの2つにしわ寄せが行くので、バランスに注意しましょう。コロナ禍以降、リモートワークにより出勤の回数が減った家庭は、家賃の安い郊外への住み替えを検討してもいいかもしれません」(吹田さん)「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月18日