「本当、これを考えた人はすごい」そんなコメントともに写真をTwitterに投稿した、ぐっち(@atgucchi)さん。写真は三重県にある桑名駅を撮ったものでした。床には何やら、文字のようなものが見えます。この場所をある方向から見ると…。ホント、これ考えた人すごいわ・・ pic.twitter.com/mYTfOOYqOa — ぐ っ ち (@atgucchi) September 2, 2020 すごい!立体的に見える!実は錯覚を用いて作られた案内表示だったのです。この案内表示はほかの駅でも使用されていたようで、このような矢印の形になっているものもあるのだとか。よくサッカーなどの試合で、角度によって立体に見える看板を目にしたことのある人もいるでしょう。※写真はイメージ駅にこのような案内があれば、改札が見えない通路からも分かりやすくなりますね!トリックアートだけじゃない!こんな案内表示も…また、sanco1103さんも桑名駅で変わった案内表示を見つけたといいます。こちらの動画をご覧ください。桑名駅の近鉄線コンコース、プロジェクターで乗り場案内を映し出す&矢印を切り替え出来るは驚き… pic.twitter.com/nU7SAmk6en — [E40]sanco feat. 近鉄→ (@sanco1103) August 29, 2020 プロジェクターで案内を床に映し出すというもの!これなら、さまざまなアプローチをすることもできます。桑名駅は約50年ぶりにリニューアルされたばかり。そのため、このような見かけない案内表示があるのかもしれません。珍しい案内表示に驚きの声が寄せられていました。・トリックアートを取り入れるとはすごいな!・矢印の上を通ったら早く走れそう!・無意識にぶつからないようによけてしまいそう。さまざまなアイディアが詰め込まれた案内表示。これなら慣れていない駅でも、迷うことは少なそうですね![文・構成/grape編集部]
2020年09月04日3人組ロックバンド、羊文学がオンラインツアー「優しさについて」の開催を発表した。このツアーは、8月2日(日)を皮切りに、都内3カ所のライブハウス「調布Cross」、「下北沢LIVE HAUS」、「下北沢BASEMENTBAR」よりオンラインライブ配信を行うもので、各会場ごとに異なるセットリストが組まれている。またそれぞれ異なるクルーによる配信も行われる。この度の発表に合わせ、メンバーの塩塚モエカ直筆コメントも公開されている。チケットの販売はすでにスタートしており、購入や詳細の確認は、Qumomeeから可能。URL: また、同時に公式ホームページもリニューアルオープン。ページのデザインは、グラフィックデザイン界の活性化を図るため創設されたJAGDA新人賞を受賞するなど注目を集め、メンバーとも交流のある田中せり氏によるもので、新たな羊文学のシンボルも印象的だ。また、「道しるべ」をテーマとしたこのページでは、これまでの羊文学の写真も見ることができる。羊文学オフィシャルウェブサイト: ■羊文学 online tour “優しさについて”公演概要8月2日(日)START 20:00Playing:1stEP「トンネルを抜けたら」& 2ndEP「オレンジチョコレートハウスまでの道のり」会場:調布Cross8月9日(日)START 20:00Playing:1stALBUM「若者たちへ」会場:下北沢LIVE HAUS8月16日(日)START 20:00Playing:3rdEP「きらめき」& 4thEP「ざわめき」会場:下北沢BASEMENTBARTicket(各公演) :¥1,500(Tax Incl.)全公演コンプリートTicket:¥4,000(Tax Incl.)Ticket valid for a day : 1,500 JPYTicket valid for 3 days : 4,000 JPYチケット購入・詳細情報:
2020年07月03日フミ(@nitchoque)さんが、東京都新宿区で見つけたという貼り紙に反響が上がっています。新宿の四谷三丁目駅近くにある、新宿区立荒木公園。道のりには、丁寧に公園までの案内表示が書かれた紙が掲示されています。しかし、そこに書かれた英語の訳になんともポジティブな間違いがあるのだとか。思わずツッコみたくなる案内表示がこちらです!どう訳したらそうなるんだよ〜 pic.twitter.com/tkNChpXpVF — フミ (@nitchoque) May 30, 2020 A Lucky Park『荒木公園』が『幸運な公園(ア・ラッキー・パーク)』になってしまっています!この投稿には多くのツッコミが入るほか、なぜこのような訳になってしまったのか推理をする人がたくさんいました。・発音が重視されて、この表記になったのかもしれない…。・こういうの嫌いじゃない。センスがいい!・この公園に行ったら幸運がもらえそう。どうやら過去には、『A!Lucky Park』と題して荒木公園でイベントも開催されていた様子。幸運な公園として、訪日観光客から人気になるかもしれませんね![文・構成/grape編集部]
2020年06月03日森川葵が“恋を知らない女”、城田優が“恋ができない男”を演じ、“大人の初恋”を描いた「文学処女」がドラマ特区枠にて“重版放送”決定。耽美で切なく、城田さんの色気溢れるSっぷりも話題を呼んだ、あの恋物語が帰ってくる。原作となる電子コミックサービス「LINEマンガ」のオリジナル作品は、恋を知らない女・文芸編集部の月白鹿子と、恋ができない男・人気小説家の加賀屋朔の2人が織りなす大人の初恋を描いた人気作。2016年7月から現在も「LINEマンガ」にて連載中で、オリジナル作品における1話あたりの閲覧数および「いいね」数で1位を獲得(2018年7月時点)、さらに今年5月には連載100話を迎えるなど、LINEマンガオリジナル作品を代表するタイトルのひとつとなっている。ドラマでは月白鹿子を森川さん、加賀屋朔を城田さんという実力派コンビにより、美しく儚い原作の世界観をそのままに、情感あふれる映像美で描いた大人のラブストーリーとなっている。2018年秋よりMBS/TBSドラマイズム枠にて全8話で放送されると、深夜ドラマにして異例のTVerランキング1位を獲得するなどの快挙を成し遂げ、ボイス付きのLINE公式スタンプも発売。森川さん演じる編集者・鹿子の素直で、ときに積極的な恋模様は多くの女性の共感を呼び、城田さん演じる小説家・加賀屋の色気溢れる挑戦的なSっぷりが、SNSを中心に大きな盛り上がりをみせた。あれから1年半。恋に不器用な2人が、今度はドラマ特区枠で帰ってくる!ドラマあらすじ出版社に勤める月白鹿子(森川葵)は恋愛経験がない26歳。念願の文芸編集部に配属された鹿子が担当に任命されたのは、超売れっ子ミステリー作家・加賀屋朔(城田優)だった。鹿子にとって加賀屋は、本を通して恋を知らない自分に“初恋”を教えてくれた特別な存在。鹿子は二人三脚で作品を作ろうと懸命に歩み寄るが、加賀屋からはドライな態度で雑事を押し付けられてばかり。思わせぶりに近づいたかと思えば、気まぐれに遠ざけようとする加賀屋の態度に翻弄される鹿子。現実の恋を知らなかった鹿子は徐々に加賀屋に心惹かれていき――?「文学処女」は5月28日(木)よりMBS:24時59分~、tvk:23時~ほかにて重版放送。(text:cinemacafe.net)
2020年05月19日文学座アトリエの70周年記念公演として、岸田國士作『歳月』『動員挿話』を文学座アトリエの会が2本立てで上演。問題作『ジョー・エッグ』(2018年)を手がけた西本由香と、『いずれおとらぬトトントトン』(2019年)で怪作を世に送り出した所泰がそれぞれ演出し、文学座の創設者のひとりである岸田の作品を現代に甦らせる。『歳月』の舞台となるのは、大正8年、東京・山の手にある浜野家。隠居生活をおくる元知事・浜野計蔵のひとり娘・八州子は、信じる男の子どもを身ごもるが、相手が結婚を拒んでいることから自殺未遂にまで追い込まれる。妹のために兄・計一と弟・紳二は結束し、厳格な父の耳に入る前に最善策を探る。それから7年、さらに10年と歳月は過ぎ……。演出の西本は「岸田國士が、これが私の“戯曲を書くために何かしら云う”最後の作品となった、と記しているのが本作『歳月』です。活動の初期から創作の上で意識的に様々な実験を行ってきた彼にとってひとつの到達点ともいうべきこの作品に、同じだけの実験精神をもって臨みたい」と意気込む。もう1本『動員挿話』の舞台は、明治37年の夏、日露戦争真っ只中の東京。陸軍少佐・宇治の師団に動員令が下り、宇治は馬丁の友吉を連れて行こうと声を掛ける。だが、友吉の妻・数代は断固拒否。宇治夫人・鈴子の説得にも応じず、主従関係の断絶を言い渡されてしまう。まもなく宇治は戦地へ。その時、友吉と数代が選んだ道は……。こちらを演出する所いわく「戦争という狂気に巻き込まれた人たちのおはなし。短編らしいあっと驚く結末。そのボルテージの高さは岸田戯曲の中でも別格だと思います。ただ後味が良くありません。その後味の悪さを、2020年の観客はどう捉えるのでしょうか」。3月17日(火)から29日(日)まで東京・信濃町の文学座アトリエにて上演。なお今公演は、鵜山仁の監修のもと、昨年12月から今年12月まで1年にわたり、さまざまな演出家が岸田戯曲を連続上演する「岸田國士フェスティバル」の一環として行われる。文:伊藤由紀子
2020年03月16日「12月末に愛子さまが『文学部日本語日本文学科』に内定されたと聞き、とても意外に思いました。文学部の史学科は候補の一つとして報じられることがありましたが、これまで一度たりとも日本語日本文学科の名前が挙がることはなかったからです」そう語る学習院関係者は、驚きを隠さない。今年3月に学習院女子高等科を卒業される愛子さまは、今年4月には大学へ進学される予定だ。「学習院女子高等科では約3割の生徒が、学習院大学以外に進学します。眞子さまや佳子さまの国際基督教大学など、近年では皇族であっても、学習院以外を選択されるケースも増えています。これまで愛子さまの進学先候補については、東京大学、一橋大学、上智大学などが報じられてきました。しかし、昨年の夏休み前の“外部受験”希望者のための説明会にも愛子さまのお姿はなく、“内部進学説”が濃厚となったのです」(本誌皇室担当・近重幸哉記者)学習院大学には5つの学部があるが、これまで関係者のあいだで最有力候補とされていたのが国際社会科学部。学習院女子高等科の保護者は次のように語る。「国際社会科学部は’16年に開設されたばかりの新しい学部で、女子高等科からの内部進学生にもいちばん人気があります。3年生の秋に志望先を第1から第3まで提出するのですが、国際社会科学部は第1志望にした生徒でも、成績が優秀でないと進学できないほどです。愛子さまが高等科2年生の夏休みにイギリスの名門・イートン校に短期留学されたことから、“国際社会科学部に進学される準備ではないか”と評判になり、“愛子さまと同じ学部に入りたい”と、同学部への志望者がさらに増えていました」しかし、最終的に愛子さまが選ばれたのは、文学部日本語日本文学科だった。学習院大学はホームページで、この学科について次のように紹介している。《本学科では、古代から現代に至る日本語・日本文学を中心とする日本の文化(日本語日本文学系)、及び日本語教育(日本語教育系)に関心のある学生を受け入れ、研究と教育を行っています》女子高等科の生徒たちは、秋に志望届を提出した後、保護者も交えての先生たちとの面談を経て、12月20日ごろにそれぞれ内定した学部を通達されたという。この過程で判明したのが、愛子さまの“進路変更”だったのだ。雅子さまは、昨年12月9日の誕生日に際して発表されたご感想で、愛子さまの今後についても綴られていた。《これから高校を卒業しますと、今まで以上に、様々な経験を積み重ねながら視野を広げていく時期になると思いますが、これからも感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、いろいろな方からたくさんのことを学び、心豊かに過ごしていってほしいと願っています》愛子さまは雅子さまの言葉どおり、新しいステージでも輝かれるはず――。「女性自身」2020年1月21日号 掲載
2020年01月10日今年の岸田國士戯曲賞を『山山』で受賞した松原俊太郎の最新作『メモリアル』が、文学座アトリエの会により上演。12月3日(火)に東京・信濃町の文学座アトリエで開幕する。松原は元々、小説家を志していたが、京都を拠点とする劇団・地点が上演したブレヒト作『ファッツァー』(2013年初演、三浦基演出)に衝撃を受け、戯曲も書き始めたという。2015年に初めて書き下ろした『みちゆき』で第15回AAF戯曲賞大賞を受賞し、その4年後に岸田戯曲賞受賞という、まさに今、熱い視線を浴びている若き俊英だ。劇団を持たず演出もせず、作家業のみに専念することから“純粋劇作家”とも呼ばれている。一方、地点で上演された松原作『忘れる日本人』(2017年初演)に衝撃を受けたというのは、俳優として多方面で活躍し、外部ではいくつか演出を手がけるも、これがホームグラウンドである文学座アトリエの会での演出デビューとなる今井朋彦だ。新たな価値観との出会いを果たした今井は、初めて松原戯曲に触れた時、「現代日本への痛烈な物言い」だと感じたという。さらに、物語からもキャラクターからも距離を置き、自由で自立したセリフの数々を見て「どうしたらこのセリフを発語できるのか。その発語に必要な身体はどのようなものか」という問いが頭をもたげたとも。今作『メモリアル』の登場人物は、花嫁、独身者、娘、入国者、取次者、相続人の6人と、ほかたくさん。それぞれの行く末を抱えた6人が、交叉点の真ん中で衝突する。川のように流れていた時間が中断し、人々の足は止まり、そもそも不穏だった空気はさらに不穏になり……。「地点の三浦基さんのように、戯曲を自身の確固たる世界観の中に引き込んで、咀嚼し再構築することは私にはできません」と今井。だが、「6人の俳優たちとの、松原戯曲をありのまま語る“動機”と“身体”を探る作業を通して、観客の皆さんと戯曲との橋渡し役を担えれば」。今井が松原戯曲に立ち向かい、紡ぐ舞台に、“これからの演劇”の誕生を期待したい。文:伊藤由紀子
2019年12月03日■めちゃくちゃラクして文学女子を気どってみない?突然ですけど、文学を語れる女性ってカッコいいと思いません?夏目漱石とか、太宰治とか、芥川龍之介とか──そういう系です。いや、わかります。逃げないでください。めんどくさいのはわかります。時間がないのもわかります。国語の授業みたいで逃げだしたくなるのはわかります。うへええええってなるのもわかります。でもですよ?とはいえ「いつか読めたらいいなあ……」と思ってたりしませんか?文豪がどんなものを書いたのか、ちょっとでも味わえたら人生も広がると思うんです。デートで気の利いたセリフもいえるようになると思うんです。「でも時間がない……」「本を読んでるだけで眠たくなる」「想像するだけでめんどくさい」その気持ち、めちゃくちゃわかります。読書ってしんどいですよね。しかし、今回は、なにも辞書のように分厚い本を読もうという企画ではありません。むしろ「ラクして文学女子を気どってみよう」というズルイ企画なのです。どうせなら美味しいとこだけ、つまみ食いしちゃいましょうよ。・さくっと短く・なんと無料で・スマホで読めるという作品ばかりご紹介します──悪くなさそうでしょう?ブンガクとかいって肩肘はらないでくださいな。ちょっと百年くらい前の、なにかと考えすぎな友人のエモいトークに耳を傾けるくらいの感じでOKです。気楽にいきましょうぜ。■10分で読める有名作品たち今回ご紹介する作品は、青空文庫というサイトのものです。ここでは「著作権の切れた小説」を無料で読めるのです。最高じゃないすか。そこから抱きしめたいくらい好きな3作品を紹介します。どれもURLをつけてあります。クリックすると、その場で読めます。通勤電車のなかや、眠る前に、さくっとスマホで。一応、3つを紹介する順番も気にしてはいます。でもピンときたやつから読んじゃってください。それが貴女の正解ですから。どれかピンときますように。1.『葉桜と魔笛』太宰治「ばかだ。あたしは、ほんとうに男のかたと、大胆に遊べば、よかった。あたしのからだを、しっかり抱いてもらいたかった。姉さん、あたしは今までいちども、恋人どころか、よその男のかたと話してみたこともなかった。姉さんだって、そうなのね。姉さん、あたしたち間違っていた。お悧巧(りこう)すぎた。ああ、死ぬなんて、いやだ。」さっそく太宰にいっちゃいましょう。あのダザイですよ。ダザイ。かの「人間失格」「走れメロス」とかのダザイです。太宰は「女性が告白するみたいに一人で語る文章のときに謎の才能を発揮する」といわれています。かしこで「なんでこんな女心わかるの……?」とまでいわれた文豪なのです。まあ、そのモテすぎた感じで、色々あって、女性と心中自殺することになるわけですけれども……。今回は『葉桜と魔笛』もそうした女性語りの短編です。テーマは恋愛。病弱で、死のせまった少女のもとに青年から恋文が届きます。けれどその手紙には秘密があって──これ以上はいえません。10分くらいなんで読んでください。胸の奥がきゅうううううっとなることでしょう。ひとりの女性の思い出話(主人公は彼女の妹なのです)に耳を傾けるように読んでくださいませ。現代風にいえば「いいね!」押したくなりますよ。2.『文鳥』夏目漱石「十月早稲田に移る。伽藍のような書斎にただ一人、片づけた顔を頬杖で支えていると、三重吉が来て、鳥を御飼いなさいと云う。飼ってもいいと答えた。しかし念のためだから、何を飼うのかねと聞いたら、文鳥ですと云う返事であった。」お次は夏目漱石です。ちょっと前に千円札だった文豪。話としては「文鳥を飼ってみていろいろ感じたことがあったよ」という現代ではブログでやりなさいといわれそうな内容です。もちろん深みがあるんですけれども。とにかく日本語の上手さを味わってもらえたら嬉しいなと思います。文鳥を表現するのにここまで細かく書けるのか、というのが個人的にアツい推しポイントです。だって原稿用紙をわたされて「文鳥を飼った感想を書け」といわれても一枚も書ききれないですよ、普通。これぞ文章力ですよね。これは日本独特の「私小説」というジャンルになります。スターウォーズや三国志や歴史小説みたいに戦争だ反乱だ革命だと壮大なドラマが──というのでなく「私生活を文章にしてみた」という軽い感じです。小さな個人的生活を書きながら、それを通して、誰もが感じている人生の真実を探ってみよう、という日本独特の文学スタイルなのですね。とはいえ、そんな小難しいことはおいときましょう。たんにキュートな小説だと思っていただければ嬉しいです。そして、最後、ちょっともの悲しいのも文学っぽいんですよ。3.『舞踏会』芥川龍之介「私は花火の事を考へてゐたのです。我々の生(ヴイ)のやうな花火の事を。」僕はこの世にある文章のなかで、これが一番好きかもしれません。ドン引き覚悟で告白しますと、いまコラムを書いている部屋の壁に、この一部を印刷したものを張ってます。狂おしいほどに好きなのです。本コラムを書く理由のひとつは、これを激プッシュするためです。どうか地球に生まれたなら読んでください。読め。読むのだ。舞台は明治。日本は西洋文明を取りいれて、文明開化を進めている途中。さる貴族の令嬢が鹿鳴館の舞踏会に呼ばれたときの物語です。そこで悲しげな顔をしたフランス人の将校と出会います。少女はまだ人生のことがわからないなりに、彼の目の奥になにかを感じることになるのです。派手な事件がおきるわけではありません。ふたりの人物が出会うだけです。それでも、ふと記憶の底に焼きつくような不思議な出会いってありますよね。そうした瞬間をコレクションすることが、人生ってやつなのかもしれません。かの三島由紀夫(この人も有名な文豪ですよね)も本作品をめちゃくちゃ誉めていた記録がのこっています。なかでも「本来、芥川はこっちの作風に進むべきだった(これとは違って神経質な作品を書き続けたから自殺することになったのでは?)」とコメントすらしています。芥川はとにかく文章がカッコいい。漢字の使いどころや、言葉のいいまわしが。都会的でキザなのですね。本物の読書には「味読(舌で味わうように読む)」という表現が使われます。ぜひ、味読に絶えうる、美しい日本語を味わってください。■感想なんて思い浮かべる必要なし!いかがでしたでしょう?この作品のどれかが貴女のハートのド真ん中に、夜空の花火のように、よくわかんない一撃を喰らわしてくれたことを願うばかりです。そして気に入った作者のものをどんどん読んでもらえたらしめたものです。といっても、これは国語の授業じゃありません。なにも「ここがおもしろかった」「この主人公の心の動きが……」という感想をひねりだす必要はありません。世の作品は、やっぱり売れてナンボです。だからこそ、わかりやすい作品が喜ばれます。簡単に感想をいえるものも多かったりします。わかりやすいが正義、みたいな。けれど貴女もご存じのように、人生って、もうちょっとだけ複雑だったりするじゃないですか。正しくて悪いとか。悲しいけど嬉しいとか。好きだけど殺したいとか。生きたいけど死にたいとか。簡単には言葉にできないことばかりですよね。そうした「人生の真実(人生ってなんだろう?)」を考えて、文章にしたり、悩んだり、読んだりするのが文学なのかなと思っています。むしろ「どう言葉にしていいかわからない……」という「不穏な人生に対するなにか」を感じていただけたら嬉しいです。さて、さて。こんなコラムを書いちゃったからには、私も新しい一冊を手にとって、まだ見ぬページをめくりたくなってきました。どうか貴女も、その優れた文学に触れたときの戸惑うような感覚を胸のうちに秘めて、ちょっと天気のいい日曜の午後なんかに、また別の文学を読んでみようかな、と思ってくれますように。
2019年11月10日作・佃典彦、演出・松本祐子のタッグによる、文学座10月公演『一銭陶貨』が10月18日(金)から東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで上演される。日本中が金属不足にあえいでいた第2次世界大戦末期、窮余の策として「せともの」で作られた「一銭陶貨」。あらゆる職人技を結集させて生まれた「陶貨」だったが、お上にさんざん振り回されるうちに終戦を迎え、結局、世に出ることはなかった。そこに透けて見えるのは、日本が誇る技術の高みと、それにまつわる人々の揺れる思い。それは時に気高く、時に滑稽で愛おしい。生活の中のユーモアを細やかにすくい上げることに定評のある佃典彦が、この題材をひとつのストーリーへと織りあげた。時は昭和18年。瀬戸の町に長く暮らす陶芸家の家系にある加藤家の物語。長男の和雄は陶芸の才能豊かで超エリート。母の愛を一身に受けてきたが、ある日、赤紙が届く。次男の昭二は足が不自由で徴兵不合格の身。陶芸の才能にも乏しく、母に疎ましがられて育った。そんな加藤家に、京都・有田・瀬戸で、金属貨幣に替えて陶器貨幣を製造するという話がもたらされた。昭二は、今までの鬱積のすべてを陶貨作りにぶつけようと心に決める……。演出を手がけるのは劇団内外で高い評価を受ける松本祐子。佃とのコンビは2007年の『ぬけがら』以来で、同作で佃は岸田國士戯曲賞を、松本は千田是也賞を受賞している。技術や才能、嫉妬や欲望。「ものづくり」の周辺で人間を葛藤させるあれこれを、ふたりの「芝居づくり」師がどう描くか。文:小川志津子
2019年10月15日現代美術家6名によるグループ展『話しているのは誰? 現代美術に潜む文学』が国立新美術館で11月11日(月)まで開催されている。同展に参加するのは、北島敬三、小林エリカ、ミヤギフトシ、田村友一郎、豊嶋康子、山城知佳子の6名のアーティストたち。1950年代から1980年代生まれまでと年齢は幅広く、表現方法も映像や写真を用いたインスタレーションをはじめとして多岐にわたる。そんな彼らの共通点は、作品のうちに「文学」の要素が色濃く反映されていることだ。2014年より日本各地を撮影した風景写真シリーズ「UNTITLED RECORDS」の制作を行う北島敬三。目に見えないもの、時間や歴史、家族や記憶をモチーフとして作品を手がける小林エリカ。映像や写真などを用いて、社会政治的事象、とりわけセクシュアリティとマイノリティの問題を取り上げた作品を手がけるミヤギフトシ。既存のイメージやオブジェクトを起点にしたインスタレーションやパフォーマンスを手がける田村友一郎。そろばん、サイコロ、安全ピン、油絵具などの既製品や美術に馴染みのある物質を素材に手を加え、これら事物の中に複数の見え方が表出する作品を制作する豊嶋康子。写真、映像、パフォーマンス、インスタレーションによって沖縄における米軍基地や戦争の問題を掘り下げてきた山城知佳子。さまざまな形式で表現活動を行う彼らの作品の中に「文学」がどのように潜んでいるのか?その多様な現れ方を感じ取ってみたい。【関連リンク】 国立新美術館(https:// www.nact.jp )北島敬三 《ツィルカール村 アルメニア共和国》(「USSR 1991」シリーズより)1991/2019 年 顔料印刷 66.0×93.0cm 作家蔵 ©KITAJIMA KEIZO小林エリカ 《ドル》 2017年 ウランガラス、鏡、紫外線ランプ 61.0×41.0×7.5 φ70cm 個人蔵 協力:妖精の森ガラス美術館 © Erika Kobayashi Courtesy of Yutaka Kikutake Galleryミヤギフトシ 《A Lamp》(「物語るには明るい部屋が必要で」より) 2019 年 デジタルCプリント 作家蔵 ©Futoshi Miyagi田村友一郎 《Sky Eyes》 2019 年 ミクストメディア 作家蔵 ©Yuichiro Tamura豊嶋康子 《ズレ》 2018 年 紙、割りピン、アクリル絵具、ボールペン φ11.5cm 作家蔵 撮影:木奥惠三山城知佳子 《チンビン・ウェスタン『家族の表象』》 2019 年 4KHD ヴィデオ、カラー、サウンド 作家蔵
2019年09月05日文学座が上演する『スリーウインターズ』は、クロアチア・ザグレブ出身の女性作家、テーナ・シュティヴィチッチが描く、ある家族の4世代にわたる物語。第二次世界大戦直後から、グローバリズムの波に飲み込まれてゆく現代まで、クロアチアの3つの時代を背景に、生き方を模索する女性たちの姿が綴られる。上演会場は、約70年にわたって数々の意欲的な舞台を生み出してきた文学座アトリエ。本日9月3日、ベテランから若手までそろう座組みによって、いよいよ初日の幕を開ける。第二次世界大戦後の1945年、ザグレブ。ローズは、かつてナチスの協力者だったブルジョワジーの家を手に入れる。この家は、ローズの母親がメイドとして働き、ある事情から追い出された家でもあった。時は移り、ユーゴスラビア分断が決定した1990年、さらにクロアチアがEUに加盟をした2011年と、ローズを取り巻く状況は大きく変化してゆく。人々は、そして女たちは、この3つの冬をどう受け止め、生きたのか。2014年にロンドン・ナショナルシアターで初演、2016年にはクロアチア国立劇場でも上演された本作。日本初演となる今回の演出を手がけるのは、文学座の演出家・松本祐子だ。文学座アトリエの会では、『ペンテコスト』『ホームバディ/カブール』など異文化間の対立を描いた問題作を発表してきた松本。外部公演でも、新たな視点による『ピーターパン』の演出で、第47回毎日芸術賞千田是也賞を受賞するなど、戯曲の魅力を引き出す手腕に定評がある。アトリエ公演という密な空間で、どんな物語を紡ぎだしてくれるのか期待はふくらむ。そしてこのたび、シュティヴィチッチの来日が急きょ決定。9月4日13:30の回の終演後に、シュティヴィチッチと松本のアフタートークが開催される(別日のチケットでも参加可能)。女性にとっての“自分らしさ”や幸せのありようが大きく変化するなか、著作が10カ国語で翻訳され、ますます注目が高まるシュティヴィチッチの戯曲。日本の観客にとっても、多くの示唆を与えられる舞台となるに違いない。文:佐藤さくら
2019年09月03日展覧会「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」が、2019年8月28日(水)から11月11日(月)まで国立新美術館にて開催される。「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」は、文学をテーマにしたグループ展。映像や写真を用いたインスタレーションなど、文学の要素を色濃く反映している日本の現代美術家たちの手掛ける作品を展示する。出品作家は、目に見えない物や時間、記憶をモチーフとして作品を手掛ける小林エリカや、既存のイメージやオブジェクトを起点にインスタレーションやパフォーマンスを発表する田村友一郎ら6名。それぞれの作品から、日本の現代美術における文学のさまざまな表れ方を感じることができる。さらに会期中、国立新美術館館内にて作家たちによるアーティストトークやギャラリートークも開催されるので、気になる人はぜひチェックしてみてほしい。【詳細】「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」会期:2019年8月28日(水)~11月11日(月)会場:国立新美術館 企画展示室1E住所:東京都港区六本木7-22-2開館時間:10:00~18:00(毎週金・土曜日について、8・9月は21:00まで、10・11月は20:00まで)休館日:毎週火曜日 ※10月22日(火・祝)は開館、10月23日(水)は休館。※入場は閉館時間の30分前まで観覧料:(当日)一般1,000円、大学生500円/(前売・団体)一般800円、大学生300円※2019年11月3日(日・祝)は文化の日につき入場無料。※高校生、18歳未満の人(学生証または年齢のわかるものが必要)、障害者手帳を持参の人(付添1名を含む)は入場無料。■アーティストトーク場所:国立新美術館 3階講堂定員:260名 ※先着順、申込不要日時、アーティスト:・9月14日(土) 18:00~20:00(17:30開場) ミヤギフトシ・9月22日(日) 14:00~16:00(13:30開場) 北島敬三・10月20日(日) 14:00~16:00(13:30開場) 豊嶋康子・10月22日(火・祝) 時間未定 田村友一郎・10月26日(土) 17:00~19:00(16:30開場) 小林エリカ■ギャラリートーク場所:国立新美術館 企画展示室1E ※申込不要出演者、日時:・9月15日(日)14:00~15:00 豊嶋康子・9月21日(土)14:00~15:00 小林エリカ・10月5日(土)16:00~17:00 小原真史、北島敬三※アーティストトーク・ギャラリートークの聴講は無料。本展の観覧券(半券可)の提示が必要。【問い合わせ先】TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2019年08月26日全世界47か国で翻訳され、60年間世界中で愛され続けている児童文学の傑作「小さい魔女」の実写映画化『小さい魔女とワルプルギスの夜』が、日本でも公開。この度、本作のメインキャラクターの吹き替えを、坂本真綾と山寺宏一が務めることが決定。予告編とポスタービジュアルも到着した。至極のファンタジーが日本に上陸森の奥でカラスと暮らす“小さい魔女”の夢は、魔女のお祭り“ワルプルギスの夜”に招待されること。しかし、参加できるのは大きい魔女だけ。127歳の“小さい魔女”はまだまだ半人前で、今年も招待状は届かない。あきらめられない“小さい魔女”は、こっそりと祭りに忍び込むが、ルンプンペルおばさんに見つかってしまった。大目玉を食らいながらも、何とか一番えらい“大きい魔女”から、来年の<ワルプルギスの夜>で<良い魔女>のテストに合格したら、踊ってもいいと約束してもらう。ただし、もし出来なければ、恐ろしい罰が。こうして“小さい魔女”は、さっそく“大きい魔女”から渡された魔法辞典を開き、1年で7,892個の呪文を全て覚えるという宿題に取りかかる…。『千と千尋の神隠し』にも影響を与えた世界的児童文学作家、オトフリート・プロイスラーの一番有名な作品「小さい魔女」。今回実写化を手掛けたのは、『パディントン』『ハイジ アルプスの物語』などを送り出してきたスタジオカナル。監督は『ハイジ アルプスの物語』で編集を手掛けたミヒャエル・シェーラー。半人前の“小さい魔女”と相棒のカラス、アブラクサスの成長を描いた至極のファンタジーが日本にやってくる。坂本真綾×山寺宏一、豪華吹き替えキャスト127歳でありながら、未だに半人前の“小さい魔女”を演じるのは、『パフュームある人殺しの物語』のカロリーネ・ヘルフルト。今回この吹き替えを、「黒執事」シエル・ファントムハイヴ役やナタリー・ポートマンの吹き替えでお馴染み、声優・歌手として活躍する坂本真綾が担当。そして、100年以上飛んでいないおしゃべりカラスを、先日「それいけ!アンパンマン」のジャムおじさんを引き継ぐことになった、山寺宏一が声をあてる。これまで、人間から動物まで様々な役を演じ分けてきた山寺さんが、“小さい魔女”を時に親友のように、時に父親のように見守るアブラクサスに命を吹き込む。坂本真綾「心に染みる物語」「見た目はたしかに大人なのですが、魔女の世界ではまだまだ駆け出しで、未熟者。少し幼さを残して、いたずらっ子のように屈託なく笑うところが、とてもチャーミングです」。127歳なのに、半人前の“小さい魔女”の魅力をこう説明した坂本さんは、「演じていても楽しい役柄でした。吹き替えで小さな子供たちが見ても楽しんでもらえるように、わかりやすい言葉で翻訳されています」とコメント。また「お子さんたちはもちろん、大人が見ても楽しく、心に染みる物語です。毎日を楽しく過ごしたい、誰かの役に立ちたいという、小さな魔女のシンプルな願いは、私たちみんなに共通するものではないでしょうか。彼女の活き活きとした姿に、きっと誰もがさわやかなエネルギーをもらえるはずです。劇場でぜひ、ご覧ください!」とメッセージを寄せている。ベテランも苦戦!? 山寺宏一「難しかった」山寺さんは「リアルなカラスなので表情はほとんどありません。よって台詞のニュアンスで感情を伝えなければならず、そこが難しかったです」と演じた苦労を明かし、「初めカラスを意識するあまり、喋りと声のクセが強過ぎたようで、スタッフに『もっと自然に』と注意されてしまいました」とアフレコ中のエピソードも。映画については「とにかく森が美しい!そして小さい魔女の家が可愛い!昔ながらの『魔女』のイメージを壊さないチョット不気味な大魔女達が面白いです」と見どころを語っている。<予告編>坂本真綾のキュートな魔女! カラス・山寺宏一との掛け合い注目今回到着したのは、坂本さんと山寺さんが吹き替える予告映像。“大きい魔女”のみが招待されるお祭り“ワルプルギスの夜”にこっそり忍び込んだ“小さい魔女”が、<よい魔女>になる約束をさせられる場面から始まる。しかし、相棒アブラクサスに励まされながら奮闘するものの、失敗ばかり。ガラクタが降ってきたり、頭から耳が生えたり…呪文を間違えては大変な目に遭わされる、思わずクスッとさせられる映像となっている。『小さい魔女とワルプルギスの夜』は11月15日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年08月08日今年の再々演でラストステージを迎えた、村上春樹原作、蜷川幸雄演出の舞台『海辺のカフカ』。それに続く村上文学の舞台化第2弾、『神の子どもたちはみな踊るafter the quake』が今夏、上演される。【チケット情報はこちら】原作は阪神淡路大震災をモチーフに、地震のニュースに触れた人々の心の動きが綴られた作品を集めた短編集で、その中から『かえるくん、東京を救う』『蜂蜜パイ』の2編を取り上げて構成。脚本は『海辺のカフカ』を手がけたフランク・ギャラティ。演出は、蜷川演出の舞台『私を離さないで』(2014年、カズオ・イシグロ原作)で脚本を担当した倉持裕が担うこととなった。今回、『海辺のカフカ』のナカタ老人役で海外からも多くの賞賛を得た木場勝己が、“かえるくん”役で出演。再び村上ワールドに挑む思いを聞いた。「『海辺のカフカ』パリ公演の時に村上春樹さんのトークショーがあって、10代の若い女性ファンが作品のテーマなどを質問するんですね。村上さんはテーマのことはおっしゃらずに“僕は物語を作るんです”と主張されていました。僕ら俳優の場合は物語を作るというより、その瞬間、瞬間の場で起こったドラマをつなげることで、最終的に物語になると考えていて。そこが作家とは違うなと思っていたら、さらに“僕は、プロットは作らない。登場人物を置いた後、彼らがどう動くかは書いてみないとわからない”とおっしゃった。その感覚はちょっと近いかな、なんて思いましたね。豊かな物語に負けないよう、その瞬間、瞬間のつなぎをちゃんとやらなきゃと思っています」蜷川との思い出を「ああしろ、こうしろと言われたことは皆無。だから自分の好きなようにやって、それを蜷川さんがニヤニヤして見ていた」と笑いながら振り返る。倉持との舞台作りは今回が初。その期待とともに気になるのは、自身が担うキャラクターである。「何しろ人間じゃなくて、蛙だからね。蛙の気持ちは知らないけれど(笑)、未知な分だけ面白いと思います。村上さんは“総体としての蛙”という言い方をしていたかな。かえるくんは、信用金庫に勤める片桐さんに「みみずくんが東京に大地震を起こそうとしている。一緒に闘ってくれ。あなたでなければいけない」と頼むんです。その片桐さんというキャラクターがとても興味深いんですよ。風采があがらず、腕に覚えもないのに、ヤクザの前でも動じずにこちらの要求を通したりする。そういう嫌な仕事を押し付けられるんだけど、きちんとやり遂げていて。そんな片桐さんを、かえるくんはなぜシンパシーを感じて選んだのか。そこが1番、僕のモチベーションの核になるだろうと思います。僕自身、そういう人がちょっと好きですから」地震をモチーフに人々の繊細な心の揺らぎを描く本作について、「ラストは再生に向かっている、と感じられます」と穏やかな表情で見据える。共演する古川雄輝、松井玲奈、川口覚ら瑞々しい才能たちの頼れる支柱となることは間違いない。“ナカタさん”から“かえるくん”へ、魅惑の村上ワールドを飄々と泳ぐ、熟達の味わいに期待せずにはいられない。取材・文上野紀子
2019年07月05日文学座の公演『ガラスの動物園』が6月28日(金)、東京芸術劇場 シアターウエストにて開幕する。アメリカ演劇を代表する劇作家テネシー・ウィリアムズによるこの名作を、文学座が上演するのは5回目で、1990年の前回から実に29年ぶりとなる。「『ガラスの動物園』は、文学座の人間にとっては馴染みの深い作品です」と語るのは、その大切な演目を自ら選び、演出に名乗りを上げた高橋正徳だ。「名作なのでプレッシャーはあるけれど……、よくプレッシャーに対して“肩肘張らずにやろう”とか言いますが、座組の皆とは、むしろ“肩肘張って、やっていこう”と話しています。ちゃんとプレッシャーを受け止めて、そういう作品をやるチャンスを得たことを、肝に銘じてやっていこうと」文学座の俳優養成機関である附属演劇研究所において、森本薫『女の一生』、ソーントン・ワイルダー『わが町』に次いで、長きに渡り教本として扱われてきた戯曲が『ガラスの動物園』だ。高橋も、研究所時代にこの戯曲と初めて出会ったという。「僕が研究所に入ったのは20年近く前です。それ以前の学生時代は主に小劇場演劇を観ていたので、いわゆる演劇の名作戯曲を読んだのは研究所からでした。とても読みやすいし、当時の僕自身にも身につまされる内容ではあったんですが、やってみたいとまでは思わなかった。その頃はやっぱり、新しいものをどう取り入れるかということばかり考えていたんですね。20年経って、当然ながら歳を取るごとに戯曲の見え方も変わってきます。新しい作品、作家との出会いで刺激を受けることも大事だけど、過去の文学座の作品を先輩方から受け継いで、あらためて検証し、リニューアルというか、更新することも大事だと考えるようになりました」父親不在の家庭で、現実に心を閉ざして生きる母アマンダと娘ローラ。トムはそんな母と姉にいら立ちながら、見捨てることもできずにいる。そこに青年ジムが現れ、一家の生活に変化が訪れる——。アマンダ役の塩田朋子、ローラ役の永宝千晶、トム役の亀田佳明、ジム役の池田倫太朗と、高橋の望む最強の布陣が整った。とくに29年前の劇団公演でローラを演じた塩田には、「ぜひアマンダを演じていただきたかった」と強調する。「29年前の塩田さんのローラは残念ながら観ていないけれど、芝居に対する熱量や力強さが素敵だなと感じる女優さんです。アマンダは、家庭の中で母としての役割を全うしようといろんな表情を見せる役なので、今回は塩田さんの多彩な表情が見られると思います。亀田君は同い年で、演劇的な言葉のやりとりができる俳優です。すごく信頼しているので、二人三脚で作品作りをしているような感覚でいますね。永宝さんも実力のある女優さんで、舞台より先に声の仕事で……、『スター・ウォーズ』のレイ役とかで忙しくなったんですが、本来は舞台がやりたい、文学座の作品に出たいと。ローラは相当内面が屈折した、闇を抱えた女性なので、深く掘り下げる力のある女優を考えた時に、永宝さんが思い浮かびました。池田君は元サッカー少年で、怪我でサッカーから離れる時に、ふと思い立って文学座を受けたら受かっちゃった人(笑)。だから当初は演劇のエの字も知らなかったけど、やっぱり身体性が優れている。役者はどこかナルシスティックなところがあるから、自分の役ばかりに集中しがちなところを、彼は無意識に周りを見られるタイプなんですね。また、演劇って初舞台から数年は楽しいけど、徐々に成長曲線が落ちてきて、未来に対するぼんやりとした不安を抱える人は多いと思うんです。でも長年スポーツに取り組んできた彼みたいな人は、2、3年で結果は出ないということを知っているから頭でっかちにならない。つねに前向きに、じゃあ今何が必要かということを具体的に考えられる人間なので、すごく面白いです」後列左からジム役の池田倫太朗、トム役の亀田佳明、前列左からローラ役の永宝千晶、アマンダ役の塩田朋子過去の公演はすべて鳴海四郎訳での上演だが、今回は小田島恒志に新訳を依頼。その狙いを「とても現代劇な問題を孕んだ家族劇なので、よりアクチュアルな関係を観客に提示したい」と語る。「描かれているのは1930年代のアメリカです。金融恐慌から立ち直ろうとする社会状況の中、トムは仕事の単純作業に日々明け暮れ、生きている実感を得られずにいる。若者たちが未来を想像できない状況という点は、とても今の日本に通じるものがあります。また、父親不在による問題、母と娘の関係など、観る人によって、“他人事じゃない”といった共感ポイントはたくさんあると思うんですよね。“あんな母親がいたら、逃げ出すよ”って人もいれば、“いや、母親とはそういうものだ”と、トムを責める人もいるかもしれない。客席からどんなリアクションが聞こえてくるのか、楽しみです」文学座での初演は1969年。劇団力で引き継いできた至宝の舞台が、清々しく頼もしい精鋭たちの力で、さらに太い幹となって立ち上がろうとしている。「それぞれのキャラクターが持つ寂しさ、悲しみがちゃんと浮き出てくるよう、丁寧に作り上げたいと思います」7月7日(日)まで。取材・文:上野紀子
2019年06月21日今年7月、21年ぶりの来日公演が行われるエイフマン・バレエ。その公演を控えた6月2日、上演作品の『アンナ・カレーニナ』『ロダン~魂を捧げた幻想』について、文学、美術の専門家を講師に招いた「エイフマン・バレエ来日記念講演会」が開催された。【チケット情報はこちら】『アンナ・カレーニナ』についての講師は、東京外国語大学教授でロシア文学研究者の沼野恭子。まず小説に登場する3組の家庭の関係性の解説から始まり、冒頭の有名な一文「幸福な家庭はどれもみな似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」を引用。小説では「幸福と不幸」「都会と田舎」「生と死」など対比のコントラストが効いていることを紹介した。また機械文明の象徴として「鉄道」が物語の伏線となっている点など、小説を読み解くヒントを提示し「当時のロシア社会がリアリスティックに、端整な文体で描かれている。読書の快楽を味わうことができる名著」とその魅力を語る。さらに小説とバレエでは描かれ方が違うことに触れ「小説がどのように“アダプテーション”(原作を映画や舞台に脚色、翻案すること)されているかを観るのがもっとも楽しい。バレエという身体言語で文学をどのように表現しているのかも見どころ」と締めくくった。続いて、彫刻家オーギュスト・ロダンの創作魂に迫る『ロダン~魂を捧げた幻想』にちなみ、ロダン・コレクションで知られる静岡県立美術館の上席学芸員、南美幸が登壇。ロダンが一躍有名になった作品「青銅時代」について、そのリアルさが物議を醸したことや、代表作「地獄の門」「カレーの市民」の制作過程について、写真を交えながら解説した。またバレエでも描かれている、妻ローズと助手で恋人のカミーユとの三角関係に言及し、カミーユがロダンとローズを揶揄して描いたデッサンや、3人の関係を表現した彫刻「分別盛り」など、愛憎うごめく作品も紹介。晩年のロダンがニジンスキーの『牧神の午後』を賞賛し、彼をモデルにした彫刻を作っているという話もバレエファンにとって興味深い内容だった。最後にサンクトペテルブルクで『ロダン』を鑑賞し、バレエ団の稽古も見学した舞踊評論家の桜井多佳子が登壇。長身の美しいダンサーたち(ダンサーの採用基準は男性が184cm、女性は173cm以上)がアクロバティックな動きを繰り広げる興奮と、音楽の効果的な使われ方の面白さについて臨場感たっぷりに語った。文学、美術講座としても知識欲を刺激する贅沢な内容の2時間で、バレエファンはもちろん、文学、アート好きにとっても楽しめる公演になることを確信する講演会だった。公演は7月13日(土)に滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール、7月15日(月)に静岡・グランシップ(静岡)中ホール・大地、7月18日(木)~21日(日)まで東京・東京文化会館にて行われる。取材・文:郡司真紀
2019年06月12日この連載のタイトルは「ものがたりが開く世界への扉」ですが、ちょっと目を上に向けていただけるとサブタイトルが見えるかと思います。「子どものための英文学」となっていますね。一番最初の記事ではこんな風に書きました。実は「英文学」というくくりには数多くの問題があるのですが、とりあえず、今の段階では「英語で書かれた」「主にイギリスの」文学、としておきましょう。堅苦しく考えることはなく、ピーター・ラビットも、不思議の国のアリスも、ハリー・ポッターも英文学の世界の住人です。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|英語をただ学ぶだけでは身につかない?英文学から得られる文化的な読解力「文化リテラシー」)ここで言っている「数多くの問題」について、今日は「英」の部分を取り上げて、少しだけ考えてみましょう。お父さんとお母さんが気付いているかどうかで、物語を読んだ後の子供への声がけが変わってくるでしょうし、そもそもどんな本を子供と読むべきかという判断も変わってくるだろうと思うからです。「国」と「言葉」と「物語」は一直線ではつながらない?「英文学」の「英」とは、「英語」なのでしょうか、「英国」なのでしょうか?さらにいえば、「英国」はいつの時代のことをさしているのでしょう?かつて大きな帝国を持っていたイギリスの国境は、時代によって大きく動きます。そのうちの、どの国境が「英文学」について話をする時に適用されるのでしょう?今年2月に公開されたディズニー映画『メリー・ポピンズリターンズ』を親子で観に行ったという方もいるかもしれません。その原作となった、古典的な児童文学の名作『メアリー・ポピンズ』を例にあげてみましょう。ロンドンを舞台にした、とてもチャーミングで人気のある物語です。けれども、原作の作者のP.L. トラヴァースは、オーストラリア生まれです。子供時代をオーストラリアで過ごし、大人になってからイギリスに移住しました。イギリス生まれの父親を持ち、オーストラリアとイギリスの二重国籍者です。さて、『メアリーポピンズ』は英文学でしょうか、それとも、オーストラリア文学でしょうか?英語話者=50数ヶ国語話者!?○ヶ国語という表現の落とし穴「英文学」という言葉の中には、「国」や「言葉」や「文学」に関わる概念が複雑に入り混じっています。この国と言葉と物語の関係性について、子供達にできるだけ柔らかい態度を持っていてもらいたいのです。多くの日本の人は、なんとなく漠然と「言葉」と「国籍」と「住んでいる国」がきれいな形で繋がっていると思っています。けれども実際は、言語と国籍と居住国は、必ずしも一致するとは限りません。日本語が使える外国人は数多くいますし、日本語しか使えない外国籍の人も数多くいます。私も含め、日本の外に住んでいる日本人も少なくありません。生まれた時の国籍と、大人になった時の国籍が異なる場合だってあるでしょう。英語という言語は一つですが、英語を公用語とする国は現在50を超えるはずです。つまり、英語と日本語を話す私は基本的には2言語話者ですが、屁理屈を言えば50数ヶ国語話者でもあるのです。「○ヶ国語」のように、「国」と「言葉」を一本の線で結びつけて言語や社会を理解しようとすることに、そもそも無理があるのかもしれません。「単なる日本語の表現の問題じゃないの?」と思われるかもしれませんね。確かに、「2言語」というのか「2ヶ国語」というのかは、とてもささいなことです。けれど、国や言葉、文化について考えていく、とても身近なきっかけでもあります。それを潰して欲しくはないなあ、とも思うのです。言葉と文化と国の関係に柔軟な姿勢を、幼少期から育むためにこれから先、子供達が暮らしていくであろう世界は、必ずしも国と言葉と文化や文学が一本の線で単純につながっていくような世界ではないだろうと予想がつきます。「イギリスに住むイギリス人が、母語である英語を使ってイギリス人の心を描いたのが英文学」と単純にくくることができないように、「日本に住む日本人が、母語である日本語を使って日本人の心を描いたのが日本文学」と言うことが適切でない世界に、子供達は育っていくでしょう。細かいことを言えば、これからの子供達がそういう世界に育っていくのではなく、もともと世界はそういうもので、今まで私たちの多くが気づかなかっただけなのかもしれませんね。「英文学」「英語の物語」という言葉を聞いた時に、「イギリスの」あるいは「アメリカの」物語だけを思い浮かべるのではなく、もう少し、広い世界を想定できること。そして、「国、言葉、文学(文化)」が一直線で繋がらない、という、シンプルだけれどとても重要なことを理解していること。言葉と文化と国の関係に柔軟であることは、やがて子供達が、自分の暮らす社会や、もっと広い世界を理解しようとする時に、手助けになるだろうと思うのです。英語の物語の世界の広がりを味わえる絵本様々な歴史のせいで、世界のあちらこちらで使われている英語は、国と言葉と文化は多元的・流動的だという実感を育むために、良い下地を作ってくれるのではないかと思います。英語で書かれた物語の世界の広がりを感じさせる作品を、いくつかご紹介しましょう。まずはオーストラリアの子供だったら、誰でも必ず読んだ事のある絵本、Possum Magic(『ポッサムの魔法』本邦未訳)。オーストラリアの記念硬貨にモチーフが使われたことがあるくらい、よく知られた作品です。ポッサムはオーストラリアの動物です。日本の方にはあまり馴染みがないかもしれませんね。おばあちゃんポッサムが魔法を使って孫娘を透明にするのですが、元に戻すことができなくなってしまいます。孫娘をもう一度見えるようにするために「人間の食べ物」を食べるのです。オーストラリアの動物たちとオーストラリアの名物料理がたくさん並ぶ、楽しいお話です。数多くの読み聞かせ動画もあります。台湾系アメリカ人作家によるA Big Mooncake for Little Star(『小さなお星さまの大きな月餅』本邦未訳)も可愛らしい物語です。舞台は空。お母さんが作った大きな月餅を、本当は食べちゃいけないのに、食べてしまいたい小さなお星さま。月餅は、台湾では重要な民俗行事、中秋節(旧暦8月15日)に、お月見をしながら食べるもの。なんとも微笑ましいお話です。中国やアフリカの赤ずきんちゃん!?日本語訳もある絵本中国生まれの作家、エド・ヤングによる『ロンポポ——オオカミと三人のむすめ』は、中国に伝わる民話を元に、英語で書かれたお話です。1990年、アメリカで出版されたもっとも優れた児童文学に授与されるコールデコット賞を受賞しました。英語版では「中国の赤ずきん」という副題で愛されています。南アフリカの作家ニキ・ダリーによる『かわいいサルマ』。こちらの副題は「アフリカのあかずきんちゃん」。原色の挿絵が美しいだけでなく、街角の様子も楽しいのです。英語の読み聞かせもネット上で見つけることができます。文化や言葉は国境を超えていきます。最初から難しいことを子供に説明する必要はありません。世界のあちらこちらで描かれている物語を楽しみながら、いずれ、大きくなってきたときに、ほんの少し、言葉と文化と物語の関係を考えてもらえるといいな、と思うのです。英語で書かれた物語の中には、世界の様々な地域へと扉を開いていくものが確実にあるからです。(参考)映画.com|メリー・ポピンズリターンズMem Fox, Possum Magic, (LindfieldL Scholastic Australia, 2018., 初版1983)Grace Lin, A Big Mooncake for Little Star (New York: Little, Brown and co., 2018)エド・ヤング『ロンポポ——オオカミと三人のむすめ』(古今社、1999年)ニキ・ダリー『かわいいサルマ——アフリカのあかずきんちゃん』(光村教育図書、2007年)
2019年04月18日空想と現実を行き交う自由な発想とタッチで描いた作品。猫や少女、きのこ、不思議な生き物たちが繰り広げるまるでサーカスに迷い込んだような世界が繰り広げられる。画家・絵本作家ヒグチユウコの約20年にわたる活動を網羅する展覧会「ヒグチユウコ展 CIRCUS」が、世田谷文学館で開催される。《Circus》 2018 年 ©Yuko Higuchi画家としての作品制作のみならず絵本の刊行など幅広い活躍をみせる画家ヒグチユウコ。そんなヒグチの自身初となる大規模な個展となる本展では、絵本原画をはじめ、企業とのコラボレーション作品、書籍の装画、自身のブランドグッズのイラストなど、500点を超える作品が公開される。展覧会のテーマは“サーカス”。会場には、実際にサーカステントが出現し、ヒグチユウコのお馴染みキャラクターである「ねこのピエロ」などが映像や、ぬいぐるみ作家・今井昌代による立体造形を交えて空間はサーカスの会場に。《ギュスターヴ若冲雄鶏図》 2016 年 ©Yuko Higuchiさらに本展に合わせてヒグチユウコのとって6年ぶりの画集『CIRCUS』(3,200円)も発売される。224ページからなる本書には、歌人・穂村弘によるヒグチの作品についての書き下ろし原稿なども掲載。展示会場では、カバーデザインの異なる限定版も登場し、夢野久作原作の短編をヒグチが新たに描き下ろしたビジュアルストーリー「きのこ会議」 も収録されている。そのほか会場では、ヒグチユウコが愛用するホルベインのペンセットをはじめ、ポストカード、ピアスやブローチなどのアクセサリー、マグカップやグラスなどの食器、カプセルトイなどグッズも豊富に展開される。関連イベントとして、2月第1、第3土曜日には閉館後の展示室でライブとダンスパフォーマンス「ナイトミュージアム」が行われたり、3月にはコンサートと展覧会を両方楽しめる特別な一夜「黒色すみれとヒグチユウコのサーカス・ナイト」、オリジナルバルーン作りが体験できる「バルーンアート・ワークショップ」などが開催予定。【開催情報】ヒグチユウコ展 CIRCUS会期:2019年1月19日~3月31日会場:世田谷文学館 2階展示室住所:東京都世田谷区南烏山1-10-10時間:10:00~18:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)料金:一般 800円 / 65歳以上・大学・高校生 600円 / 中学生以下無料問い合わせ:ナイトミュージアム日時:2月2日、16日 18:00~19:30会場:2階展示室出演:黒色すみれ(歌手)、史椛穂(ダンサー)参加費:2000円定員:各日80名、完全前売制バルーンアート・ワークショップ日時:3月3日 13:00~16:00会場:1階文学サロン出演:コンフェッティバルーン Hara harari対象:中学生以下参加費:無料定員:30分毎に各回当日先着10~20名黒色すみれとヒグチユウコのサーカス・ナイト日時:3月16日 18:00~19:30会場:1階文学サロン、2階展示室出演:黒色すみれ、佐藤梟参加費:2000円定員:200名、完全前売制
2019年01月03日文学史に触れる、ノスタルジックで特別な空間アンティークな調度品を眺めながら店の奥へと進むと目に飛びこんでくるのは、天井まで届く壁一面の本棚。日本文学史の名作の数々や稀少なものまで、約2万冊がそろっています。ゆったりとしてノスタルジックな空間は、歴史を感じさせる独特の雰囲気。好きな本との時間を存分に過ごすことができます。蔵書の種類が多岐にわたるため、これまで目にすることのなかった新しい本との出会いも期待できるブックカフェです。こころに響くものを大切にする、魅力あるお店新しいものだけを追い求めるのではなく、文学を通して知ることのできる本質、感動するこころを大切にしたいという思いから始まったBUNDAN。こころに響く書籍を置き、「新しい文学の道しるべとなる場所」を目指しています。多くの文豪たちが通ったお店の味を再現したコーヒーや、名作に登場する懐かしく素朴な牛乳コーヒーなど、文学史とともに楽しめる特別感が魅力的です。文豪たちが愛した「アップルパイ・アラモード」文豪たちが通ったお店で出されていた「アップルパイ・アラモード」。サクサクした食感の温かいアップルパイに、バニラアイスクリームとたっぷりのシナモンを添えていただくおすすめの一品です。文豪や映画俳優など多くの著名人が通った「銀座キャンドル」の味そのままに味わうことができます。川端康成や三島由紀夫などが愛したというその味は、文学好きなら一度は味わってみたい、魅惑のメニューです。由来を知れば、よりおいしいカフェメニューお店のホームページでは、それぞれのカフェメニューが作られた由来や、メニューにまつわる本の紹介がされています。読んでいるだけで食指の動くような内容は、これまであまり知られていないエピソードなど新しい発見もでき、お店を訪れる前に読んでみるのもおすすめ。文学史に触れる特別な時間が、より一層楽しめます。文豪たちが愛した味を、本とともに楽しめます名作に登場するワインやシャンパン、朝食や昼食、デザートなどがさまざまに楽しめます。文豪たちの作品を片手に、物語や情景、その時代に思いを馳せる時間は至福です。アンティークテーブルやソファに囲まれるレトロな店内に加え、緑あふれる自然が感じられるテラス席もあり、お気に入りの場所を見つけてくつろげるブックカフェです。コーヒー豆は購入できるため、好きな時に味わうこともできます。京王井の頭線・駒場東大前駅から歩いて8分のところにあるBUNDANは、駒場公園を目指して日本近代文学館内にあります。文学史に触れる特別な空間と、名作の空気感を再現するカフェメニューを楽しみに足を運んでみてください。スポット情報スポット名:BUNDAN COFFEE & BEER住所:東京都目黒区駒場4-3-55(日本近代文学館内)電話番号:03-6407-0554
2018年11月05日太平洋戦争のさなかだった1945年に初演されて以来、劇団の節目節目に再演されてきたことなどから、文学座が“財産演目”と位置付ける『女の一生』。かつては主人公・布引けい役を足かけ46年にわたり、じつに計947回も務めた杉村春子の代名詞のような作品だったが、その後同役は平淑恵、荘田由紀を経て、2年前に山本郁子に引き継がれた。2016年の公演は各地鑑賞団体(会員制)の主催だったため、一般向けの本公演としては初となる山本主演版が本日10月23日(火)、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで幕を開ける。日本がようやく近代的な資本主義国家となり始めた明治38年、天涯孤独の身の上だった布引けいは、清国との貿易で一家を成した堤家に拾われる。闊達な気性を見込まれて長男伸太郎の妻となり、名実ともに堤家の一員となったけいだが、やがて時は流れ……。森本薫が描いているのは、明治の終わりから第二次世界大戦終了までの激動の時代を生き抜いたけいの、文字通り“女の一生”。もとより普遍的なテーマを、2014年の公演から演出を手がける鵜山仁が、より現代に通じる作品に仕上げている点も見どころだ。公演は10月28日(日)まで。文: 町田麻子
2018年10月23日9月よりMBS/TBSにて放送中の森川葵と城田優のW主演ドラマ「文学処女」。現在、第3話までが放送され、第3話の見逃し配信は「TVer」再生数ランキング1位になるなど話題となっているが、中でも城田さん演じる小説家・加賀屋朔が“エロい”と注目を集めているようだ。原作は、「LINEマンガ」にて連載中の中野まや花による同名漫画。恋を知らない女・文芸編集部の月白鹿子と、恋ができない男・人気小説家の加賀屋朔の歪な関係から生まれる遅咲きの恋の様子を描き、オリジナル作品における1話あたりの閲覧数および「いいね」数で1位を獲得し、LINEマンガオリジナル作品を代表するタイトルのひとつだ。ドラマでは、26歳にして恋を知らない女・文芸編集部の月白鹿子役を森川さん、端正なルックスを持ちながら恋ができない人気小説家・加賀屋朔役を城田さんが演じるほか、中尾暢樹、泉里香、上遠野太洸らが出演している。視聴者からは、「毎回ドキッとさせられる」「文学処女 ってドラマくそ胸きゅんするし 面白い」「来週が待ちきれません~」と大絶賛。そして「まじで!!!みんなに!!!!文学処女見てほしい!!!!!」「文学処女、、、 いいです!!! みんなみて、、、」と思わずほかの人に勧めたくなる人も。さらに、「城田優が色気ダダ漏れでエロい」「城田優が死ぬほどエロい」「しろたんを生身の人間役でみるの、久々だよなー。でも、基本的には変態か悪人。いいの。それで。あーたまらん。幸せだ」「城田くん色気あってすき」「城田優バカいけめんだしえっっっろい」「城田君の色気すごっっ」「城田優が美しすぎて眩しい」と、SNSでは城田さんのにじみ出る色気に魅了されるファンが続出している。先日放送された第3話では、ホテルのベッドで加賀屋と共に目を覚ました鹿子。酔っ払っていたのか全く記憶がない鹿子だったが、加賀屋から「何もなかった」と聞かされるも、自分から加賀屋にキスをしたという衝撃の事実が発覚。さらに、加賀屋のサイン会当日には、鹿子の不注意から加賀屋の手に怪我をさせてしまった…。次回放送の第4話(MBS:9月30日/TBS:10月2日放送)では、原稿が間に合わないという加賀屋に呼び出される鹿子。いつになく弱り切った加賀屋の姿に愛おしさを感じていると、赤文社の光稀(泉さん)がやってくる。そして、少しずつ加賀屋への恋心を自覚し始めていた鹿子は、そんな中、締め切りに間に合わせるために泊まり込みで作業することに――という展開に。予告では、お風呂で鹿子が加賀屋の髪を洗うシーンや、まさかのキスシーンも登場!?次回、第4話の放送も見逃せない。「文学処女」は毎週日曜日深夜MBSにて、毎週火曜日深夜TBSにて放送。(cinemacafe.net)
2018年09月27日ここ数年、韓国の小説が数多く邦訳されるようになってきたことにお気づきだろうか。複数の出版社が、気鋭の作家たちの面白い作品を続々紹介中。そんな韓国文学の活況を牽引する翻訳家のひとりが、斎藤真理子さん。なぜ韓国文学の人気に火がついたのか、おすすめ作品とともに解説していただいた。韓国の傑作小説が、続々と邦訳。この面白さに乗り遅れるな!「韓国の40代以下の若い世代に、格段に面白い小説を書く作家が増えたことは大きいです。観察眼に長けていて、素材の切り取り方や見せ方など、お皿に盛って出すときの手つきに芸がある書き手が増えている印象ですね。それより上の世代の作品だと、韓国の歴史的な背景や文化風俗を知らないと理解するのが難しいところがあり、興味がある人が読むという状況でした。けれど世界が平準化されてきたいま、日本でも韓国でも、人々は同じような消費社会を生き、同じ悩みを抱えています。韓国について知っていても知らなくても、小説の中には共感のしどころがいろいろある。中学校のいじめ問題が世界の縮図にも見えるパク・ミンギュの『ピンポン』などは、その典型かもしれません」(翻訳家・斎藤真理子)よく取り上げられるテーマは、都会で働く人々の不安や生きづらさ、親子の葛藤、恋愛や育児の悩み、格差社会の鬱屈など日本とほぼ同じ。ハン・ガンが『ギリシャ語の時間』で描いた喪失と再生もそのひとつ。「ただ、日本の小説と比べると、似たテーマを扱っていても、韓国小説はとろりと濃いというか。若者であっても、親世代、祖父母世代から聞きかじった朝鮮戦争や南北分断、軍事独裁政権時代の苦しさなど、歴史的な経験の影響を受けています。そうした重層的な社会の空気を吸って育ってきた民族ならではの、打たれ強い生命力を、作品から感じるんですよね」そこが現代韓国文学の魅力ではないかと、斎藤さんは分析する。「エンタメ市場も成熟しつつありますし、純文学とミステリーの相乗効果が楽しめる『殺人者の記憶法』などにも注目です」右・いじめられっ子の少年<釘>と<モアイ>が、ピンポン球と言葉のラリーを続けながら世界のありようを見つめていく『ピンポン』。「純文学とエンタメの垣根を取っ払った作風で高い人気を誇る著者。社会へのメッセージを奇想と過剰なリリシズムで描きます」。パク・ミンギュ著斎藤真理子訳白水社2200円。中・『ギリシャ語の時間』は、視力を失いつつある男性教師と失語症の女性受講生の交流劇。「英国のブッカー国際賞を受賞していて、日本でもよく知られた女性作家。個人の痛みを社会の傷と重ね合わせて描き、読者にも問いかけてきます」。ハン・ガン著斎藤真理子訳晶文社1800円。左・映画化もされた『殺人者の記憶法』。「認知症の元殺人鬼が書く日記というポップな設定に、人間にとって根源的な悪とは何かという息詰まるようなテーマを組み合わせるアイデアに瞠目」。キム・ヨンハ著吉川凪訳クオン2200円。さいとう・まりこ翻訳家。主要訳書に、第一回日本翻訳大賞に輝いた『カステラ』(パク・ミンギュ著クレイン)が。5月に、邦訳を担当した『鯨(仮題)』(チョン・ミョングァン著晶文社)が発売予定。※『anan』2018年3月21日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年03月14日文学座80周年記念文学座公演『鼻』が10月21日(土)から上演される。公演について、出演者で文学座代表の江守徹、渡辺徹、演出を務める鵜山仁、そして脚本の別役実に話を聞いた。文学座公演『鼻』チケット情報本作は、1994年に文学座の俳優・三津田健のために書き下ろされた別役の戯曲。文学座の記念碑的作品でもあるフランスの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』(以下、『シラノ』)で主人公・シラノを演じ続け“シラノ俳優”とも言われた三津田の作品への深い愛がベースになっている。今回が2度目の上演となり、シラノを暗示する“男四”は、1983年と2006年にシラノを演じた江守が務める。久しぶりの『鼻』上演について別役は「嬉しかった。やっぱり文学座には『シラノ』とか『女の一生』とか、文学座にしかできないよというようなニュアンスを持った作品があって。自分たちの主流も自覚していらっしゃいますから。そういう意味で、ほかとはちょっと違った感動があるんです」。そんな本作への出演に江守は「『AとB』(1965年)を観てから、別役さんの作品に出たいなとずっと思ってたんだけど、機会がなくて。それが今回80周年ということで『鼻』をやらないかと話がきて、僕は『シラノ』が芝居の中で一番好きな作品のひとつですし、それはいいや!と今日(稽古初日)を迎えました。別役さんの目の前で読み合わせをしたのは、僕にとっても非常にありがたいことで。今日は記念すべき日ですよ」と特別な想いを語る。渡辺が「別役さんの作品には、“人間は一生懸命でみっともないほど愛らしい”というようなものがいつもどこかにあって。俳優としてそういう芝居をやっていけたらという指針にもなっています。それに笑えるし、面白い。若いときに友達を別役作品に誘うと、深く落ち込んで帰るやつもいれば面白いって笑って帰るやつもいて。そのくらい懐が深いんですよね」と話すと別役も「別役の芝居はね、教訓がないんです(笑)。ただ僕は“笑う”っていうのは演劇鑑賞においてものすごく重要なことだと思う。笑うことによって感性が解放されますからね。芝居で笑わせなくちゃいけないということについては割と使命感を感じております」と明かした。鵜山は、今この座組で『鼻』を上演することについて「僕も文学座には40年いるので、徹くんとも徹さんとも10年、20年というスパンで重なっていて。どこか一緒の船に乗っている感じがあるんですよ。『鼻』は、そういうことが書いてある本のようにも思える。同じ病院(物語の舞台)にずっといるというか、追い出されそこなっているっていう。別役さんはいじわるだからそういうことを書いてらっしゃる気がするんですけど(笑)。ぴったりした関係でぴったりした本でやらせていただける気がします」。『鼻』は10月21日(土)から30日(月)まで 東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演後、大阪を巡演。
2017年10月20日1989年にスタジオジブリでアニメーション映画化され、大ヒットしたことで知られる『魔女の宅急便』。児童文学作家・角野栄子氏の原作をもとに、3年前には実写映画化。昨年にはブロードウェイに並ぶ演劇の聖地、イギリスのウエストエンドで舞台化されるなど、その人気はますます広がりを見せている。ミュージカル『魔女の宅急便』は、注目の17歳・上白石萌歌を主人公のキキに据え、若手制作陣で贈るフレッシュな舞台。ミュージカル『魔女の宅急便』チケット情報魔女のキキ(上白石)は、父オキノ(横山だいすけ・中井智彦/Wキャスト)と母コキリ(岩崎ひろみ)と暮らす女の子。“13歳になったら独り立ちする”という魔女のしきたりにのっとり、黒猫のジジと一緒に空飛ぶほうきで旅へ出る。偶然降り立った町コリコで、飛ぶ機械づくりに熱中するトンボ(阿部顕嵐)に出会ったキキ。パン屋の夫婦で出産間近のおソノ(白羽ゆり)とフクオ(藤原一裕・なだぎ武/Wキャスト)に見守られながら、新生活をスタートさせるのだが……。キキ役の上白石は、愛らしい顔立ちにキキの服装がピタリとはまり、物語から抜け出してきたような立ち姿だ。紅茶のCMでも話題になった透き通るような歌声が、繊細ながら耳なじみのよいメロディ(作曲・音楽監督は小島良太)に重なり、一気に物語の世界観を形づくる。トンボ役の阿部は“飛行オタク”ゆえに最初はキキを怒らせるものの、その純粋さで次第に親しくなる少年を好演。さらにコキリ役・岩崎の芯の強さ、おソノ役・白羽の明るいたくましさが物語に厚みをもたらした。ゲネプロでのオキノ役・横山は少しとぼけたお父さん像がほほえましく、NHK教育テレビ『おかあさんといっしょ』で人気を集めた温かい歌声はここでも健在。終始無言というフクオ役を、静かな眼差しと茶目っ気のある表情で演じた藤原も印象に残った。ゲネプロ後の囲み会見では、「舞台に立ってみて、キキとしての気持ちがつながりました」と初々しく語った上白石。阿部も「共演の方から(演技の)いろんなことを盗んでいます」と話すと、「萌歌ちゃんと顕嵐くんの芝居がどんどん変わっているのが分かるので、見てキュンキュンしています」と白羽が言い、ベテラン陣がうなずくひと幕も。一方、横山が「お父さんとして、キキちゃんや奥さんを感じて演技をするようにしています」と話すと、岩崎も「普段から色々お話ししていますよね」と返すなど、役づくりの一端も明かされた。また、稽古中に実生活でも第1子のパパとなった藤原が「役づくりの苦労はなかったです」と言うと、キャストたちから思わず笑いが。温かな舞台そのままの会見となった。東京公演は終了。大阪公演は8月31日(木)から9月3日(日)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。取材・文:佐藤さくら
2017年06月07日日本文学ファンが集う「BUNDAN COFFEE & BEER」日本近代文学館に併設されたカフェスペース「BUNDAN COFFEE & BEER」 は、文学好きにはたまらないブックスポット。約2万冊にも及ぶ蔵書は、どれでも自由に閲覧OK! こだわりのコーヒーと共に、のんびりと読書タイムを過ごせます。気になる! 思わず手に取りたいグッズがずらり店内では、文学グッズや家具の販売も行われています。その中でも人気が高いのが「植草甚一のバッジ/ 坂口安吾のバッジ(各200円)」 。作家の写真がプリントされた、絶妙な色使いのバッジは、どこかお洒落な雰囲気が漂います。さりげなく文学ファンをアピールしたいなら、カバンにつけておきたいかも。お気に入りの本に挟みたい「活字ブックマーカー」活字をモチーフにした「活字ブックマーカー(700円)」 は、まさに文学カフェならではの商品。活字のフォルムの美しさがそのまま形になり、まるで本から飛び出してきたよう。ひらがなや漢字などバリエーションは多数なので、選ぶ楽しさも。お気に入りの文字を見つけたら思わず手にとってしまいそう!文学を肌で感じられる「永井荷風Tシャツ」「永井荷風Tシャツ」(2,000円) は、明治から昭和にかけて活躍した作家、永井荷風の姿が大胆にプリントされています。彼のファンならば必ずおさえておきたいオリジナルグッズ。ストリートファッションとも相性が良く、Tシャツとしてもレベルの高い仕上がりです。グッズで文学を楽しむのも、また趣があるもの。まだ手に入れていないという人は、ぜひ足を運んでみて!スポット情報スポット名:BUNDAN COFFEE & BEER住所:東京都目黒区駒場4-3-55 ( 日本近代文学館内 )電話番号: 03-6407-0554
2017年02月15日コーヒーの香りに包まれながら、お気に入りの一冊を数々の名作を、コーヒー片手に楽しめるカフェが登場しました。駒場東大前駅より徒歩10分、日本近代文学館内にある「BUNDAN COFFEE & BEER」です 。2万冊近い書籍が並ぶ静かな店内は、都会の喧騒を忘れてゆっくり読書に没頭するにはぴったり。これまで日本の文学史を彩ってきた歴史的文豪の名作から、マニアにはたまらない一冊まで。どれを読もうかと迷うのも、また贅沢な時間です。村上春樹氏をはじめ、有名作品をオマージュしたカフェメニューがずらり併設のカフェには、有名作家の作品をオマージュした、ファンにはたまらないメニューがずらり! 今回は、村上春樹氏の新刊発売に合わせていただきたい2つのカフェメニューのおすすめをご紹介します。モーニングタイムで人気の高いのは「『ハードボイルド・ワンダーランド』の朝食セット」(単品 1,000円・ドリンクセット 1,300円) 。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に登場する「ハードボイルド・ワンダーランド」の主人公・私の最後の晩餐(朝食)を再現したメニューです。トマトソースで煮込まれたソーセージは肉汁が溢れ、大ぶりで食べごたえ抜群! 食べた人を小説の世界に誘い込む、まさに“文学メシ”です。主人公の想いが詰まった「三角地帯のチーズ・ケーキ」ティータイムには、「三角地帯のチーズ・ケーキ」(単品 800円・ドリンクセット 1,100円) を。濃厚なチーズの香りに、国産レモンとベリーソースの酸味が効いています。こちらは、短編小説集『カンガルー日和』に収録されている小編「チーズ・ケーキのような形をした僕の貧乏」をモチーフにしたスイーツ。読書中のブレイクタイムにいかがでしょうか。いつもと違う洗練された空間で、本の世界に入り込む。そんな贅沢な時間を、「BUNDAN COFFEE & BEER」で過ごしたいものです。スポット情報スポット名:BUNDAN COFFEE & BEER住所:東京都目黒区駒場4-3-55 ( 日本近代文学館内 )電話番号: 03-6407-0554
2017年02月10日映画『怪物はささやく』が、2017年6月9日(金)より、TOHOシネマズ みゆき座ほか全国の劇場で公開される。原作は、パトリック・ネスによる傑作児童文学『A Monster Calls(邦題:怪物はささやく)』。癌のため47歳でこの世を去ったカーネギー賞作家シヴォーン・ダウドの遺したアイディアを、2011年にカーネギー賞を受賞した作家パトリック・ネスが引き継いで完成させた作品だ。物語の主人公は、癌におかされた母親が元気だった頃の楽しい思い出に耽る日々を過ごす、13歳の少年コナー。ある日を境に、真夜中を過ぎると木の姿をした怪物が彼のもとに現れるようになる。コナーに「真実を語れ」と話す怪物の正体とは?夢と現実の狭間で、よくある“怪物と子供の友情物語”とは一線を画す、全く新しい怪物と少年の繋がりが描かれる。主人公コナーを演じるのは、ピーターパンの実写映画『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜』でニブス役を務めたルイス・マクドゥーガル。その他、コナーの母親役を『博士と彼女のセオリー』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のフェリシティ・ジョーンズ、祖母役を映画『エイリアン』シリーズで知られるシガニー・ウィーバー、樹木の怪物の声を『スター・ウォーズ エピソード1・2』『沈黙 -サイレンス-』のリーアム・ニーソンがそれぞれ演じる。そして本作のメガホンを取るのは、ギレルモ・デル・トロ製作総指揮『永遠のこどもたち』、ナオミ・ワッツ&ユアン・マクレガー主演『インポッシブル』を手がけたフアン・アントニオ・バヨナ。映画『ジュラシック・ワールド』続編での監督起用も噂されている、気鋭のスペイン人監督だ。【作品情報】映画『怪物はささやく』公開日:2017年6月9日(金)原題:『A Monster Calls』監督:フアン・アントニオ・バヨナ『永遠のこどもたち』『インポッシブル』原作・脚本:パトリック・ネス『怪物はささやく』(あすなろ書房刊)キャスト:ルイス・マクドゥーガル、フェリシティ・ジョーンズ、シガニー・ウィーバー、リーアム・ニーソン(怪物の声)© 2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SAU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.【ストーリー】13歳の少年コナーは、難しい病を抱えた母親と二人で裏窓から教会の墓地がみえる家に住み、毎夜悪夢にうなされていた。ある夜、コナーのもとに怪物がやって来て告げる。「今から、私はお前に3つの【真実の物語】を話す。4つ目の物語は、お前が話せ。」しかも怪物は、コナーが隠している“真実”を語れと迫るのだ。頑なに拒むコナー。しかしコナーの抵抗など意にも介さず、その日を境に夜ごと怪物は現れ物語の幕が上がるのだが―。
2017年01月09日毎週木曜日に連載企画「今読むべき1冊」を担当いただいている、東京・恵比寿の本店、ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)に、2016年もたくさんの書籍をご紹介いただきました。今回は1年の締めくくりに、ナディッフ アパートの5人のスタッフが“2016年発行の書籍の中から選んだベストオブブック”を31日まで毎日1冊ずつお届けします!最後の5日目は、スタッフSさんが選ぶ2016年ベストオブブック。『Odasaku』森山大道グラフィックデザイナーの町口覚が、1946年に発表された織田作之助、通称・オダサクの小説『競馬』に、写真家・森山大道が大阪で撮影した写真作品を加えて編み上げた作品集。本作『競馬』は、一人の女と二人の男の生のドラマに、競馬レースの極致的な高揚と緊張の場面とが、重なり合うように活写される短編作品である。人生の「番狂わせ」というような予期せぬ出来事の到来や、登場人物たちが抱えるやりきれない悲哀や刹那に、森山大道の写真の街路の深い陰影と、都市の雑然を写したディティールや混沌のノイズがぶつかり合い、共振する。大阪が出生地という共通項を持つオダサクと森山大道の生にも歩み寄りながら、町口がなぜ『競馬』を題材に選んだのかは、巻末のあとがきに記されている。写真にしか写せないもの、文学でしか綴れないこと、本という形式でしか体感できないこと、それぞれが媒介し得る表現の個性が書物の中で拮抗する。これらが携える表現の力と、この魅力的で美しい佇まいを備えた1冊から、本というメディアに潜在する様々な可能性を感覚した。【書籍情報】『Odasaku』写真:森山大道出版社:match and company216×190mm/180ページ/掲載点数85点発売日:2016年10月言語:英語・日本語 2言語バージョンあり価格:5,800円>> vol.4 最も衝撃的だったこの1冊へ戻る>> これまでの連載はこちらから
2016年12月31日俳優の坂上忍が20日、MCを務めるフジテレビ系情報番組『バイキング』(毎週月~金11:55~13:45)で、シンガーソングライターのボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したことについて「ずっこけた」「僕は否。ぴ!」と発言した。115年の歴史があるノーベル文学賞で、歌手が受賞するのは初めてのこと。坂上は「僕はずっこけましたよ。賛否があるとしたら僕は"否"です。ぴ!」と主張し、「ボブ・ディランさんにどうのこうのあるわけじゃない。ただ、活字をものすごく尊敬し、活字に魅せられているので、文学の幅がどこまでの幅なのか」と疑問を口にした。そして、芥川賞を受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹を例に挙げて、「又吉君は小説という世界において小説でチャレンジし、それが認められて芥川賞をとった。ピースとしてネタを集めてネタ本として出したものではない」と説明。「ボブ・ディランだって、ノーベル文学賞をとりたくて歌詞を書いていたわけではないと思う」と加えた。続けて、「ものを書いてる人にとったら、『は?』って思う方がいても不思議じゃない。どこまで枠を広げればいいんですかって思う方はいらっしゃると思う」と話し、「僕はそっち派」と再び自身の考えをはっきり述べた。
2016年10月20日13日(現地時間)、スウェーデン・アカデミーが今年のノーベル文学賞を発表、アメリカのシンガー・ソングライターのボブ・ディランが受賞した。受賞の理由は「偉大なアメリカの歌の伝統の中に、新たな詩的表現を創造した」こと。スウェーデン・アカデミーのサラ・ダニウス事務次官は「彼は偉大な詩人です。英語話者の伝統の流れを汲む偉大な詩人であり、見本であり、非常に独創的。54年間、その伝統を体現し続け、常に新しい個性を作り出しています」と賞賛。これからディランの作品にふれようという人には「ブロンド・オン・ブロンド」(1966)を勧めたいと語った。従来の受賞者とは違い、執筆者というよりパフォーマーであるディランの受賞を意外視する声に、ダニウス次官は古代ギリシャの詩人、ホメロスやサッフォーの名前を挙げ、「彼らの作品も、楽器演奏と一緒に聴かれること、パフォーマンスとして表現されることを前提に書かれたものです。それはボブ・ディランと同じやり方です」と話す。今年4月に日本公演を行ったばかりのディランは75歳。1962年にレコード・デビューし、「風に吹かれて」、「ライク・ア・ローリング・ストーン」、「天国の扉」など歴史に残る数々の名曲を発表。これまでにグラミー賞やアカデミー賞歌曲賞(「シングス・ハヴ・チェンジド」/『ワンダー・ボーイズ』)、ピューリッツァー特別賞などを受賞、フランス芸術文化勲章やレジオンドヌール勲章、アメリカの大統領自由勲章なども受章している。授賞式は12月10日(現地時間)にストックホルムで行われる。(text:Yuki Tominaga)
2016年10月14日