インディーズ映画の賞、ゴッサム・アワードが、今年から演技部門の男女別をやめると発表した。これまで主演男優賞、主演女優賞、それぞれ5人ずつの候補者がいたが、これからは主演賞にまとめられ、10人の候補者が挙げられる。男女別廃止に関しては、ベルリン映画祭がすでに取り入れている。前回のゴッサム・アワードの主演男優賞は『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ』のリズ・アーメッド、主演女優賞は『Miss Juneteeth』のニコール・べハーリーが受賞した。次回の授賞式は11月29日に行われる。ノミネーション発表は10月21日。文=猿渡由紀
2021年08月06日ゴッサム・インディペンデント映画賞(通称ゴッサム賞)が、演技部門の性別の区分けを廃止することを発表した。これまでは「男優賞」と「女優賞」に分かれていたが、今年から「主演賞」と「助演賞」になるという。創設した当時から性別で分けていない「ブレイクスルー・アクター賞」に関しては、より、ジェンダーニュートラルな単語を用いた「ブレイクスルー・パフォーマー賞」に名称が変更される。ゴッサム賞を主催する「ゴッサム・フィルム&メディア・インスティチュート」の事務局長ジェフリー・シャープは、「性別を分けることなく演技を称賛するという新しいモデルについて、楽しみにしています。近年、こうした(テーマの)話し合いを始めることを手助けしてくれた方々に感謝します。ゴッサム賞がさらに包括的に、平等に、芸術的な素晴らしさをサポートし続けることも楽しみです」とコメントしている。映画ファンは今回の変更について、「ノミネートを受ける俳優が、より白人男性に偏るのでは?」「結局、女性のチャンスが奪われてしまう」などと、これまで抱えてきた映画業界の問題がさらに悪い方向へ進むと指摘し、心配する声を上げている。今年のゴッサム賞のノミネーションは10月21日に発表され、授賞式は11月29日に開催される。(Hiromi Kaku)
2021年08月06日ピラール・パロメロ監督長編デビュー作にしてスペイン映画界のアカデミー賞とされるゴヤ賞作品賞・脚本賞を受賞した『スクールガールズ』が、9月17日(金)より公開されることが決定。併せて、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。舞台は1992年、バルセロナオリンピック開催に湧くスペイン。サラゴサの修道院に通い母親と2人暮らしのセリアは、バルセロナからやってきた大人びた転入生ブリサの影響を受け、新しい音楽や遊びを知り、友人の姉たちとつるむように。しかしいつもの仲間とのゲーム中に発せられたある言葉をきっかけに、セリアは母親が決して話そうとしない真実に向き合うことになる――。修道院に通うセリアが、友人たちとの新たな経験を通して思春期への扉を開け、家族や自分自身を知っていく様子を描いた『スクールガールズ』は、今日までにスペイン国内を中心に26もの映画賞を受賞。2020年のスペインを代表する映画となった。4歳から自身も修道院で学んでいたパロメロ監督は、「極めて保守的なスペイン修道院の教育と、オリンピック開催の熱狂渦巻く外の世界に溢れる刺激には大きなギャップがありました。しかし私たち―1992年当時の教育を受けた女性たちこそが、“勉強をし、独立して、なりたいものになれる”とはっきり感じることができた初めての世代だったのではないかと思います」と語っており、本作はキム・ボラ監督が自身の経験を踏まえ、14歳のウニを主人公に描いた韓国映画『はちどり』と共鳴するような、90年代とそこに生きる少女たちのささやかな前進を描いた作品になっている。今回解禁された予告編では、修道院に通うセリアが転入生のブリサとの交流をきっかけに、新しい世界に足を踏み入れていく様が切り取られている。仲間がゲーム中に発した「親がいなかったことはない」という言葉から、母に聞かされてきた父の話に疑問を持つセリア。「人生はたくさんの真実と、少しの嘘でできている」というコピーは、思春期の入り口に差し掛かった主人公が、大きな秘密に一歩踏み出す前進の物語を予感させる。『スクールガールズ』は9月17日(金)より新宿シネマカリテほかにて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:スクールガールズ 2021年9月17日より新宿シネマカリテほか全国にて公開@2020 Inicia Films, Bteam Prods, Las Niñas Majicas AIE
2021年07月28日第74回カンヌ国際映画祭にて、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が日本映画初となる脚本賞ほか、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞という3つの独立賞も受賞し、計4冠。カンヌの歴史を塗り替える偉業を達成した。フランス現地時間7月17日(土)19時30分(日本時間7月18日(日)2時30分)より行われた第74回カンヌ国際映画祭の授賞式。日本映画としては唯一、最高賞を競うコンペティション部門への出品を果たした本作が、レオス・カラックス、ウェス・アンダーソン、ポール・バーホーベン、フランソワ・オゾン、ジャック・オーディアールなど世界的名匠たちの話題作を抑え、24作品から堂々の脚本賞選出。ワールドプレミアとなった公式上映後には、「悲しみと再生について描いた、深い感動の物語」(Variety)、「濱口監督は、この映画で世界的な才能の持ち主であることを証明した」(Little White Lies)、「ラストシーンは、この映画祭で目にした中で最も美しいものの1つだ」(Videodromo)など海外メディアの絶賛レビューが相次ぎ、さらには「Screen International」誌が掲載する各国の批評家たちによる「星取表」では4点満点中3.5という『パラサイト半地下の家族』 以来の断トツのハイスコアで首位。さらには授賞式に先駆けて発表された同映画祭の独立賞である国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの賞を受けていたことから、主要賞受賞へ期待を寄せる声が世界各国から集まっていた。濱口監督作品としては、商業デビュー作『寝ても覚めても』が2018年に同映画祭コンペティション部門に出品されており、今回、2作品連続・3年ぶりの出品。また、第71回ベルリン国際映画祭で短編集『偶然と想像』が審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞。第77回ヴェネチア国際映画祭では共同脚本を務めた『スパイの妻<劇場版>』が銀獅子賞(監督賞)を受賞するなど三大映画祭を席巻し、気鋭監督として世界的に注目を集めていた。この度受賞した脚本賞は、コンペティション部門に出品された全24作のうち最も優れた脚本に贈られる賞で、日本人・日本映画での受賞はカンヌ国際映画祭史上初。濱口監督と共同脚本の大江崇允氏に贈られた。なお、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞と脚本賞の同時受賞も、カンヌ史上初となっている。授賞式を終え、受賞者による記者会見が7月17日(土)22時ごろ(日本時間7月18日(日)5時)に行われ、濱口監督が登壇した。濱口竜介監督 記者会見内容――決して複雑な脚本ではありませんが、登場人物が作用しあっていて複雑な人間関係を描いた演劇のようでもあります。どのようにして流れを作ったのでしょうか?濱口: 重要なのは原作の物語だと思います。村上春樹さんが書かれた「ドライブ・マイ・カー」という物語の登場人物の魅力を決して損なわないようにと考えていました。家福とみさき、この二人がすごく抑制された人間性で、自分のことをあまり喋るわけじゃないんだけれども、それぞれ腹のなかに渦巻いている感情というものはあって。それがあるきっかけて出てきてしまう。内にある物が溢れ出してくるという流れを一つの軸として考えていました。実際“流れ”というものはものすごく意識して書いていたと思います。滞ることがあってしまったら、この長い物語というのは、観客にとってとても負担になってしまう。淀むことなく進んでいくように、ということは考えていました。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2021年07月18日映画『ドライブ・マイ・カー』(8月20日公開)が、第74回カンヌ国際映画祭で日本映画として初となる脚本賞を受賞したことが18日、明らかになった。同作は村上春樹の同名短編小説に惚れ込んだ濱口竜介監督の最新作。妻を失い、喪失感のなかで生きる舞台俳優・家福と、寡黙な専属ドライバー・みさきという孤独な2人が、愛車サーブを通して出会い、一筋の希望にたどり着くまでを描く。新型コロナウイルスの影響で昨年は中止となり、2年ぶりの開催となったカンヌ国際映画祭で、日本映画としては唯一、最高賞を競うコンペティション部門への出品を果たした同作。授賞式に先駆けて発表された同映画祭の独立賞である国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの賞を受賞し、主要賞受賞へ期待を寄せる声が世界各国から集まっていた。さらに濱口監督作品としては、商業デビュー作『寝ても覚めても』が2018年に同映画祭コンペティション部門に出品されており、今回、2作品連続・3年ぶりの出品にして見事、脚本賞受賞の快挙を果たした。さらにこれまで濱口監督は、第71回ベルリン国際映画祭で短編集『偶然と想像』が審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞、第77回ヴェネチア国際映画祭では共同脚本を務めた『スパイの妻<劇場版>』が銀獅子賞(監督賞)を受賞するなど三大映画祭を席巻し、気鋭監督として世界的に注目を集めていた。この度受賞した脚本賞は、コンペティション部門に出品された全24作のうち最も優れた脚本に贈られる賞で、日本人・日本映画での受賞はカンヌ国際映画祭史上初となる。濱口竜介監督と、共同脚本の大江崇允の2人へ贈られた。また、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞と脚本賞の受賞はカンヌ史上初で、映画祭の歴史を塗り替える偉業を成し遂げた。今回の受賞を受け、濱口監督は「最初にお礼を申し上げなくてはならないのは、この物語を我々に与えてくれた原作者の村上春樹さん。そして、役者のみなさんが、この物語を自分の身体で素晴らしく表現してくれた」と喜びのコメントを発表。また、共同脚本・大江崇允、主演の西島秀俊、共演の三浦透子、岡田将生、霧島れいかからも歓喜のコメントが到着した。○濱口竜介監督 授賞式スピーチありがとうございます。脚本賞、この物語に対していただいた賞ですが、最初にお礼を申し上げなくてはならないのは、この物語を我々に与えてくれた原作者の村上春樹さんです。共同脚本家の大江崇允さんという脚本家がいらっしゃいます。大江さんと僕の関係は奇妙なもので、大江さんは僕にひたすら書かせるタイプの脚本家です。大江さんはいつも読みながら「本当に素晴らしい。このままやりなさいと」彼がいつも言ってくれました。この作品は、3時間近くあり壮大な物語。単純にわかりやすさだけを考えたらそうはいかなかった。彼がずっと励まし続けてくれたから、この物語を最後まで映画として書ききることができたと思っています。脚本賞をいただいたが、脚本は映画には映っていない。それを素晴らしいと思っていただけたのは、表現する役者たちが本当に素晴らしかったと。役者たちこそが物語だという風に思っています。主演の西島秀俊さん、三浦透子さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、パク・ユリムさん、ジン・デヨンさん、ソニア・ユアンさん、ペリー・ディゾンさん、アン・フィテさん、安部聡子さん、すべての出演者、役者のみなさんが、この物語を自分の身体で素晴らしく表現してくれた。もしよろしければ、海の向こうにいる役者、それを支えてくれたスタッフの皆さんに大きな拍手を送っていただけたらと思います。○西島秀俊 コメント濱口監督、大江崇允さん、カンヌ国際映画祭脚本賞受賞、心からお祝い申し上げます。監督が村上春樹さんの原作を問いとし、過去と真摯に向き合う事で人は絶望から再生することが出来るという答えを示したこの作品が、世界の人々の共感を呼んだのは本当に素晴らしい事だと思います。監督の、人への深い洞察と愛情の力です。これからも沢山の傑作を作って下さい。楽しみにしています。おめでとうございます!○三浦透子さん コメント濱口監督、作品に関わった全ての皆さん、本当におめでとうございます。皆さんと仕事ができたこと、自信を持って届けられる作品が完成できたこと、カンヌ映画祭で上映できたこと、そしてこれから日本の皆さんに観ていただけること。もう十分嬉しいことばかりなのですが、やはり、こうして賞という形で評価をいただけることは、本当にありがたいです。みんなでお祝いできる時を楽しみにしています!○岡田将生 コメント濱口監督、カンヌ国際映画祭脚本賞受賞、本当におめでとうございます。そしてこの作品に関わった皆さん、本当におめでとうございます。こんな幸せなことがあっていいんでしょうか。監督の作品の現場で過ごさせて頂いた日々は宝物です。この映画が世界の方々に通じた事が何よりも幸せです。早くスタッフキャストとこの気持ちを分かち合いたいです。そして、日本の方々にもこの映画をスクリーンで是非観て頂きたいです。この映画は僕にとって本当に宝物です。○霧島れいか コメント私はこの作品を家族や親友のように大切に想っています。今回その作品が素晴らしい賞を頂けたこと、今、撮影当時のことを振り返りながら感動と感謝で胸がいっぱいです。濱口監督の作品に対する真っ直ぐな心と深い想いが伝わったカンヌでの上映後の拍手は忘れられません。この感動をキャストと関係者の方々と早く共有したいです!濱口監督おめでとうございます!○共同脚本・大江崇允 コメント19世紀末に誕生した『映画』という芸術は今後、何百年先にも残ることが確定したと僕は思っています。21世紀の文明が情報をアーカイブ化し、昨日生まれた映画の隣に色のない名作映画が並ぶ、なんてことが当たり前になりました。時間が失われた感覚すら覚えます。スマホの向こう側にあらゆるエンターテイメントが残り、遠い未来までなくなることはないでしょう。図書館の本棚のように綺麗に整った装いですが、しかし畑の作物のようにそれは同じ顔にも見えます。これが現実だと思います。困難な時代と取るか、新しい世界の種が撒かれたと受け止めるのか、それは自分次第だと思います。『ドライブ・マイ・カー』では、ゴドー(神)を待ちながら、同時にアーストロフの台詞のように、数百年後の未来へと奇跡に似た『祈り』を投げています。それが今の作家にできる、映画という可能性だと僕は考えています。そして、今映画を作ることは百年後にも残ることを想定しなければならないのではないのか、と身が引き締まる思いです。濱口竜介監督、山本晃久プロデューサー。お二人の素敵な企みの仲間になれたことを光栄に思います。ありがとうございました。(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 (C) Kazuko WAKAYAMA
2021年07月18日女性監督として初めて第92回アカデミー賞国際長編映画賞のモロッコ代表作品に選ばれた『ADAM』(英題)が、邦題『モロッコ、彼女たちの朝』として8月に公開決定。予告編、ポスタービジュアル、場面写真13点が一挙に解禁された。モロッコの異国情緒と甘い香りが包み込む、始まりの物語地中海に面する北アフリカの“魅惑の国”モロッコ。カサブランカのメディナ(旧市街)で、幼い娘とパン屋を営むアブラと、その扉をノックした未婚の妊婦サミア。それぞれに孤独を抱えていた2人だったが、丁寧に捏ね紡ぐ伝統的なパン作りが心を繋ぎ、やがて互いの人生に光をもたらしてゆく。モロッコの伝統的なパンや焼き菓子、幾何学模様が美しいインテリア、軽やかなアラビア音楽…あふれる異国情緒とともに、女性たちの親密なドラマが描き出される。女性監督初のアカデミー賞モロッコ代表!新星マリヤム・トゥザニ監督が、過去に家族で世話をした未婚の妊婦との思い出をもとに作り上げた本作。家父長制の根強いモロッコ社会で女性たちが直面する困難と連帯を、フェルメールやカラヴァッジョといった西洋画家に影響を受けたという質感豊かな色彩と光で描き、「飾り立てず、それでいて芸術的」(The Age)、「心打たれる」(Los Angeles Times)、「繊細な絵画のよう」(World Film Reviews)、「美しさと強さを兼ね備えた映画」(euronews)と、2019年のカンヌを皮切りに世界中の映画祭で喝采を浴びた。現在までにアメリカ、フランス、ドイツなど欧米を中心に公開されてきたが、日本でモロッコの長編劇映画が劇場公開されるのはこれが初めてのこと。さらに女性監督初のアカデミー賞モロッコ代表作品にも選ばれている。解禁された予告編は、アラブ音楽にのせ、2人の女性の出逢いから幕を開ける。行くあてのない妊婦のサミアを家に招き入れた、パン屋を営むアブラ。孤独を抱えた2人は、モロッコの伝統的なパン作りを通して互いに心を通わせていく。「お腹の子は私と居ても幸せになれない」と嘆くサミアに、「後悔する別れだけは選ばないで」と過去の喪失を打ち明けるアブラ。運命に翻弄されながら、2人の女性の人生が再び動き出す、始まりを感じられる予告となっている。併せて解禁されたポスタービジュアルは、陽の光に照らされて微笑むアブラとサミアの傍に「どうか、心のままに――」というコピーが添えられ、カラフルな布やターバン、笑顔でこちらを覗く娘のワルダ、焼きたてのビスコッティなども印象的。また、場面写真では、粉の様子を確かめながらパンを作る姿や、エキゾチックなインテリアの部屋でサミアが赤ちゃんを見下ろす姿、アブラと娘のワルダがキッチンで夕食の準備をするシーンなど、パン屋で起こる人間ドラマを垣間見ることができる。カサブランカの旧市街らしい白壁と細い路地を歩くサミアや、繊細な幾何学模様が素敵な壁紙といった色とりどりのモロッコの景色も写し出されている。『モロッコ、彼女たちの朝』は8月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:モロッコ、彼女たちの朝 2021年8月より全国にて公開©︎ Ali n’ Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions
2021年06月04日俳優の奥平大兼が、「第30回日本映画批評家大賞」で新人男優賞(南俊子賞)を受賞し31日、都内で行われた授賞式に出席した。演技未経験ながら映画『MOTHER マザー』で初のオーディションに挑み、メインキャストに抜てきされた奥平。同作での演技が評価され、「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞、「第94回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞、「第63回ブルーリボン賞」新人賞も受賞しており、「第30回日本映画批評家大賞」で新人賞4冠を達成した。奥平は「このような栄誉ある賞をありがとうございます」と感謝。「今年の7月でこの映画の公開から1年が経って、僕の俳優活動も1年が経つことに。この1年間でいろんな人やいろんな作品に出会い、まだ自分のお芝居に自信がなかったりということがあるのですが、現場のスタッフさんに『今のシーンよかったよ』とか、このように栄誉ある賞をいただいて、自分に自信が持てるようになりました」と自身の変化を明かし、「この1年間は自分が勇気をもらう側でしたが、次の1年間は誰かに何かを与えられるような役者になりたいと思います」と決意を語った。なお、奥平のほか、『his』の宮沢氷魚も新人男優賞を受賞した。
2021年05月31日YouTubeで高い効果を獲得した動画広告を表彰する広告賞「YouTube Works Awards Japan 2021」の発表が27日に行われ、YouTuber・フィッシャーズのタイアップ動画広告コンテンツが、YouTubeクリエイター/パートナーコラボレーション部門賞を受賞した。「YouTube Works Awards」はイギリスで始まり、アメリカなど世界各国で開催されている広告賞で、各国で広告界・YouTubeを代表するクリエイターにより審査が行われる。今回、日本では初の開催となった。その「YouTube Works Awards」でフィッシャーズが部門賞を受賞した動画「【1時間】ドローン鬼ごっこを本気でやったらシルクに勝てるのか!?」は、モビリティランド「森の中のモビリティテーマパーク ツインリンクもてぎ」とのタイアップ。フィッシャーズのキラーコンテンツ「鬼ごっこ」と施設の魅力を掛け合わせ、クリエイターを通して施設を認知させることに成功した。受賞理由として、審査員からは「YouTubeクリエイターの創造力が存分に引き出された作品で、さらにクリエイターがやりたいことだけをやるのではなく、企業がやりたいこともしっかりとできている」「届けたい視聴者層との親和性やコラボレーションの必然性が高く、ツインリンクもてぎのステージを1つ引き上げた」と高く評価された。○■フィッシャーズリーダー・シルクロード コメント僕たちフィッシャーズの人気企画、鬼ごっことドローンを組み合せたスケールの大きいコンテンツに、クライアントのツインリンクもてぎさんの広大なフィールドを活かして取り組み、公開当日のプレミア公開時から、たくさんの視聴者の皆さんに楽しんでいただくことができました。僕たち自身も楽しみながら取り組ませていただいた上に、今回日本で初めて開催されたYouTube Works Awardsでの受賞とのこと、とても嬉しく思いますし、これからも楽しいタイアップコンテンツに取り組んでいければと思います。
2021年05月27日トニー賞4冠(作品賞、楽曲賞、振付賞、編曲賞)とグラミー賞ミュージカルアルバム賞を受賞した傑作ミュージカルの映画化『イン・ザ・ハイツ』より、日本版予告映像と日本版ビジュアルが到着した。SNSにて、アリアナ・グランデが「この映画がなぜこんなに美しく完璧なのかが理解できないくらい。驚くほどの出来栄え。とてもとても、美しい」と投稿し、ヒュー・ジャックマンは「舞台のミュージカルは観ていなかったんだけれど、映画を観て圧倒された」と絶賛。Rotten Tomatoesでは驚異の98%フレッシュを記録と、公開を前にして本国ではすでに高評価を得ている本作。そんな中今回公開されたのは、街のシンボル、ジョージ・ワシントン・ブリッジを背景に、ウスナビとヴァネッサ、ベニーとニーナ、主役4人が手を取り踊るシーンが描かれている。また併せて到着した予告編では、ウスナビ(アンソニー・ラモス)の回想からスタート。歌とダンスであふれたワシントンハイツでの日常が展開され、その歌の一つにラップが使用されていることが印象的。後半では、建物の外壁で垂直に踊るシーンや、人々が一斉にプールや路上で踊る躍動感あふれる群舞シーンなど、圧巻のパフォーマンスが盛り込まれ、さらに歌詞には力強いメッセージが込められており、エモーショナルな仕上がりに。そして、ウスナビが意中のヴァネッサに玉砕する場面も登場しており、劇中の恋模様も気になる映像となっている。『イン・ザ・ハイツ』は7月30日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:イン・ザ・ハイツ 2021年7月30日より全国にて公開© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
2021年05月27日《文:Akemi Kozu Tosto/神津トスト明美》アカデミー賞の次に人気がある映画賞、といっても過言ではないゴールデングローブ賞。しかし、賞の権限を司る「ハリウッド外国プレス協会」ことHFPA(=Hollywood Foreign Press Association)の大スキャンダルがゴールデングローブ賞の存続を危うくしている。いったい何が起きているのか?ハリウッド外国プレス協会(HFPA):小グループからハリウッドを牛耳る存在へそもそもHFPAというのはどういう団体なのだろう?あんなに有名なゴールデングローブ賞を司っているのだから、さぞや大きな団体かと思いきや、実際は全く異なる。ことの始めは1943年。ハリウッドに住む8人の外国人映画ジャーナリストたちが、大スターへの取材権利がもらえず苛立っていた。そこで考え出したのが、独自の映画賞をスタートさせるという案。それがゴールデングローブ賞の誕生だった。長いこと弱小映画大賞と言われていたが、83年に入りアメリカTV界の巨匠、故ディック・クラークが関わり始めてから、出演者たちの質が格段に飛躍。95年にメジャーネットワークNBCで放映されることになってから、「アカデミー賞の数週間前に放映される大切な映画賞」としての地位を確立した。ゴールデングローブ賞候補になること、そして受賞とあらば、アカデミー賞の前宣伝として絶好の機会だ。アカデミー賞は、全米映画アカデミー会員の投票により決められる。アカデミー会員は映画関係の仕事を持つ人たちばかり。よって、暇なときは一般人が思うほど映画を観ないというのが知られざる実情だ。アカデミー賞投票時期に会員にドッサリ届けられる、候補作品のサンプルは、「人気のある数本を抜かしては、知らない作品ばかり」という話をよく耳にする。だが、そんなアカデミー会員でも、「ゴールデングローブ受賞作品」と聞けば、「試しに見てみるか…」ということになる。これが作品PR陣営の最大の狙いなのだ。よって、映画PR陣営は、陰ではHFPAを疎んじていても、営業上は取り入るしかない、という悪循環ができあがる。作品の宣伝担当者たちは、HFPA協会会員の心証を良くしようと、あの手この手を尽くし始め、担当作品への投票を獲得すべく、HFPA会員たちを豪華な夕食へ接待し、「PRツアー」と称した映画撮影現場を訪ねるエキゾチックな海外旅行(最高級ホテルの滞在含む)、大手新聞社や雑誌社を犠牲にしてまでのセレブ独占インタビュー枠など、上げ膳据え膳のおもてなし作戦を図る。だが、この特権を笠に着始めたHFPA会員の中には、自分たちをないがしろにできない立場のPRスタッフ、挙げ句の果てにはセレブを個人的に誘ったりあるまじき発言や行動を取ったりする人も現れ、水面下での目に余る行動が問題になりはじめた。少人数「エリート・クラブ」の崩壊序曲HFPAは入会すると、その人が亡くなるまで永久会員となり、誰かが亡くなっても補充するという決まりはないので現在の会員数はたったの87名。貧弱なこの会員数を知って驚く読者も多いのではないか。HFPA会員の質の低下も大きな問題となっていた。永久会員制度が仇となっている部分もあり、今やHFPA内で真のジャーナリストとして活躍している会員はほんの一握りであるとロサンゼルス・タイムズ紙も報じている。会員の中には、年老いた廃業寸前のライターをはじめ、不動産業が本職のメンバー、高級車のセールスマン、執筆などしない単なるお金持ちの映画ファンなども多いという。おまけに、本当に実力のある外国ジャーナリストの入会が却下される事態がたびたび指摘され、それは現在の老会員たちが自分たちへの注目を奪われたくないがための入会妨害だと問題視されている。HFPAはアメリカ映画業界に貢献した海外のジャーナリストたちが協会メンバーとなる資格を有する、というのが表向きで、世界中の著名ジャーナリストから申し込みを受け付けているが、入会には不透明なガイドラインと審査があり、ジャーナリストとしての貢献度よりも会員に気に入られた人間でないと入会できない、という暗黙の了解があるのだ。この小さなグループが、授賞式放映関連で手にする収入がなんと27万ドル(約3,000万円)。この巨額な金額をめぐり、協会内での金銭癒着問題も取り沙汰されてきた。トム・クルーズまでもがボイコット!堕ちたHFPAゴールデングローブ授賞式では、飲み放題食べ放題、セレブとも会い放題で映画ファンにとっては天国のような会場だ。その授賞式チケットを、HFPA会員が日本円にして100万円あまりで外部の人間に違法売買しているというスキャンダルも露見した。そして、今年に入って大問題となっているのが、HFPA内の人種が異常に偏っているという事実。「外国人」ジャーナリスト協会という看板を掲げ、南アメリカやアフリカ諸国からのジャーナリストも交えているはずの団体なのに、なぜか黒人ジャーナリストがゼロなのだ。人種問題が大きく取り上げられる近年の世相において、これは致命的だ。ことを悪化させたのが、改善を誓ったHFPAが、1時間で書いたような情けない改定版規約を発表したことだ。これには大手スタジオやセレブまでもが不信感をあらわにした。HFPAの収入源だったNBCネットワークが来年度の放映中止を発表したのに続き、 Netflix社もボイコット声明を発表。続いてトム・クルーズが、受賞したゴールデングローブ像をすべて返還してボイコットを発表し、世界中でニュースになった。そしてとどめがワーナー・ブラザースやHBOの親会社であるワーナー・メディアだ。「HFPAが根底より行いを改め、我々も納得がいく会員規約を公表しない限り、一切関係を断つ」という辛辣な書状を発表した。映画ファンであっても、これまでゴールデングローブ賞の内部事情など聞いたこともないし興味もなかったという人も多いだろう。しかし、毎年楽しみにしている映画賞が、賄賂をはじめ資金横領や人種差別など、「いかさま」の上になりたった賞だとしたら、ファンとしてどういう気分になるだろうか?筆者はライターである前に映画の大ファンだ。ゴールデングローブ賞を楽しみにしているひとりとして、HFPAの改善を願っている。(text:Akemi Kozu Tosto/神津トスト明美)
2021年05月18日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスで開催され、クロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が作品賞をはじめ、監督賞、主演女優賞の最多3部門で栄冠に輝いた。開催時期の延期、ノミネート条件の変更による配信公開作の躍進、授賞式会場の分散、セレモニー当日に実施された出席者へのPCR検査…。コロナ禍の影響を受け、今年のアカデミー賞授賞式がいかに異例であったかは、今更多くの説明は不要かもしれない。さらに“ほぼ真っ白”だった昨年の反省を受け、すべての俳優賞部門に非白人の俳優が名前を連ねる多様なノミネーションも含めて、第93回のアカデミー賞は“ニューノーマル”に向き合う、歴史的祭典だったといえる。そんな今年の授賞式で、『ノマドランド』が頂点を極めたのは、自然な流れだった。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失った60代の女性が“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く。その姿がコロナ禍で希望を見失い、葛藤と向き合う現代人の心にそっと寄り添ったのは言うまでもない。誇りを胸に、自由に、そして未来を見据えて生きる主人公には、期せずして「再始動」を表明することになった映画界全体の祈りと願いが込められている。一方、最もハリウッド的といえる最多ノミネート作『Mank/マンク』が、最も浮いた存在となった逆転現象は、同作がNetflix作品であるという皮肉も含めて、今の時代を映し出す象徴的な出来事だった。結果的には美術賞、撮影賞に輝き、作品のクオリティの高さを証明している。『シカゴ7裁判』『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』など、歴史の闇を照らすことで、現代社会の問題を改めて浮き彫りにする秀作の存在は、頼もしいばかりだし、脚本賞1冠に留まったが『プロミシング・ヤング・ウーマン』の多層的な語り口と絶妙なバランス感覚には、映画の新たな可能性が秘められている。重厚なテーマに対し「この手があったか!」とうなる斬新な構造で切り込んだ『ファーザー』にも大いに拍手を送りたい。そしてその『ファーザー』が脚色賞に加えて、なんと主演男優賞にも輝いた。受賞したアンソニー・ホプキンスは『羊たちの沈黙』(第64回)以来の同賞受賞であり、史上最高齢での受賞を果たした。ホプキンスの名演に対する敬意を惜しむつもりはないが、あえて“衝撃的結末”だったと断言したい。おそらく世界中の映画ファンが、同じように感じているのではないだろうか。誰もが昨年8月に43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンが遺作『マ・レイニーのブラックボトム』で主演男優賞に輝くと予想していたのだから。そもそも作品賞の発表を前倒しに、セレモニーの最後に主演男優賞が発表されたのだから、多くの視聴者は「チャドウィック・ボーズマンへの追悼で、授賞式を締めくくるのだろう」という“ドラマ”を予想していたはず。同時に、予想を覆すどんでん返しこそ、アカデミー賞授賞式の醍醐味であると再確認させられたのも事実だ。史上2人目となる女性監督の栄冠、韓国人俳優初の受賞といった歴史的な瞬間の数々も含め、後世に語り継がれるべき、セレモニーであったことは間違いない。ホント、ビックリした!【第93回アカデミー賞主な受賞結果】作品賞:『ノマドランド』監督賞:クロエ・ジャオ『ノマドランド』主演男優賞:アンソニー・ホプキンス『ファーザー』主演女優賞:フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』助演男優賞:ダニエル・カルーヤ『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』助演女優賞:ユン・ヨジョン『ミナリ』国際長編映画賞:『アナザーラウンド』(デンマーク)脚本賞:『プロミシング・ヤング・ウーマン』脚色賞:『ファーザー』音響賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』編集賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』撮影賞:『Mank/マンク』美術賞:『Mank/マンク』衣装デザイン賞:『マ・レイニーのブラックボトム』メイク・ヘアスタイリング賞:『マ・レイニーのブラックボトム』作曲賞:『ソウルフル・ワールド』歌曲賞:『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』“Fight For You”視覚効果賞:『TENET テネット』長編アニメ映画賞:『ソウルフル・ワールド』長編ドキュメンタリー映画賞:『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』短編実写映画賞:『隔たる世界の2人』短編アニメ映画賞:『愛してると言っておくね』短編ドキュメンタリー賞:『コレット(原題)』(text:Ryo Uchida)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.ミナリ 2021年3月19日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開©Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24ファーザー 2021年5月14日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020アナザーラウンド 2021年9月3日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国にて公開©2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスで開催され、クロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が作品賞をはじめ、監督賞、主演女優賞の最多3部門で栄冠に輝いた。ベネチア国際映画祭での金獅子賞受賞を皮切りに、トロント国際映画祭、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞といったオスカー前哨戦で圧倒的な強さを発揮した本作が、アカデミー賞でも大本命としてのポテンシャルを見せつけた。ジャオ監督は監督賞を受賞し、女性監督として『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー(第82回)以来2人目の快挙を達成した(なお、女性監督の作品がアカデミー賞の作品賞に輝くのも、『ハート・ロッカー』以来2作目となる)。主演女優賞も『ノマドランド』からフランシス・マクドーマンドが受賞。こちらも前哨戦での勢いそのままに、彼女にとって『ファーゴ』(第69回)、『スリー・ビルボード』(第90回)に続く3度目の同賞受賞を果たした。これで主演女優賞の受賞回数としては、通算4度輝いたキャサリン・ヘプバーンに次ぎ、歴代2位を誇ることになる。『ノマドランド』はジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド漂流する高齢労働者たち」を映画化したロードムービー。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失った60代の女性・ファーン(マクドーマンド)が、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く姿を通して、人間にとっての誇りと尊厳、自由に生きる意義を問いかけた。フィクションとドキュメンタリーの境界を巧みに行き来する芸術性に加えて、主人公のたくましい姿に、コロナ禍を生き抜こうと葛藤する現代人が、自らを重ね合わせたのも旋風の大きな要因。まさに“今年の1本”と呼ぶにふさわしい本作が、激動のアカデミー賞を制する結果となった。中国出身の女性監督が手がけた『ノマドランド』が作品賞と監督賞に輝いた第93回のアカデミー賞で、もう1つ歴史的瞬間が刻まれたのが、助演女優賞。『ミナリ』のユン・ヨジョンが、韓国人俳優として初めてアカデミー賞の俳優部門で受賞する快挙を成し遂げたのだ。1980年代、農業での成功を夢見て、アメリカ南部に移住した韓国出身の一家が、理不尽な境遇にも負けず生きる姿を描くヒューマンドラマで、ヨジョンは毒舌で破天荒な祖母スンジャを好演。前哨戦にあたる全米映画俳優組合(SAG)賞、英国アカデミー賞でも助演女優賞を獲得していた。なお、『ミナリ』は大半が韓国語のセリフだが、ブラッド・ピットの映画製作会社「PLAN B」が製作に関わったアメリカ映画となる。例年と異なり、セレモニーの最後に発表されたのが主演男優賞。受賞したのは『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスだった。史上最高齢で2度目の受賞。遺作『マ・レイニーのブラックボトム』で“最期の熱演”を披露し、昨年8月に43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンさんは受賞を逃した。最後の最後、大方の予想に反する驚きのどんでん返しが待っていた。また、助演男優賞は『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』のダニエル・カルーヤが初受賞している。新型コロナウイルスの影響により、開催が危ぶまれた中、例年の2月開催から4月に延期された今年のアカデミー賞授賞式。劇場閉鎖が長引く現状を考慮し、NetflixやAmazon Prime Videoといったインターネットを通じて配信された作品も、各部門のノミネート資格を得る異例の条件が加えられた。昨年から一転し、俳優賞全部門に非白人の候補が名を連ねた。異例尽くし、そしてニューノーマルともいえる投票の結果、会員たちは『ノマドランド』を筆頭に、時代や人種、性別や障がいの有無といった枠組みを超えて、逆境にもめけず前を向く人々の力強さと多様な生き方を祝福した。繰り返しになるが、その姿にコロナ禍を生きる私たちが大いに共感を覚えることは言うまでもない。【第93回アカデミー賞主な受賞結果】作品賞:『ノマドランド』監督賞:クロエ・ジャオ『ノマドランド』主演男優賞:アンソニー・ホプキンス『ファーザー』主演女優賞:フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』助演男優賞:ダニエル・カルーヤ『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』助演女優賞:ユン・ヨジョン『ミナリ』国際長編映画賞:『アナザー・ラウンド』(デンマーク)脚本賞:『プロミシング・ヤング・ウーマン』脚色賞:『ファーザー』音響賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』編集賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』撮影賞:『Mank/マンク』美術賞:『Mank/マンク』衣装デザイン賞:『マ・レイニーのブラックボトム』メイク・ヘアスタイリング賞:『マ・レイニーのブラックボトム』作曲賞:『ソウルフル・ワールド』歌曲賞:『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』“Fight For You”視覚効果賞:『TENET テネット』長編アニメ映画賞:『ソウルフル・ワールド』長編ドキュメンタリー映画賞:『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』短編実写映画賞:『隔たる世界の2人』短編アニメ映画賞:『愛してると言っておくね』短編ドキュメンタリー賞:『コレット(原題)』取材・文=内田涼『ノマドランド』公開中生中継!第93回アカデミー賞授賞式放送日時:4月26日(月)午前8:30 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]第93回アカデミー賞授賞式<字幕版>4月26日(月)夜9:00 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]番組オフィシャルサイト:
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが、2度目となる主演男優賞に輝いた。世界30か国以上で上演された傑作舞台の映画化。先日12月31日に83歳を迎えたホプキンスが自身と同名、同年齢、そして同じ誕生日の認知症の主人公を演じている。この物語を手掛けたのは、ロンドンのタイムズ紙が「現代において最も心躍る劇作家」であると謳う、フランス人のフロリアン・ゼレール。原作である舞台作品は、フランス演劇界最高位のモリエール賞で脚本賞を受賞し、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界30か国以上で上演。ゼレール自身が長編初監督作としてメガホンをとり、『危険な関係』でアカデミー賞を受賞した脚本家クリストファー・ハンプトンが共同脚本を務める。アンソニーが主演男優賞を受賞するのはハンニバル・レクターを演じた『羊たちの沈黙』(1991年)に続き2度目。アンソニーは自身のinstagramを更新し、「おはようございます。故郷のウェールズにいます。83歳でこのような賞を受賞するとは思ってもみませんでした。アカデミーに感謝します。そして、あまりにも早くこの世を去ってしまったチャドウィック・ボーズマンにこの賞を捧げます。ありがとうございます。予想外でした。光栄で名誉なことと思います」とコメントした。本作は、アンソニーの記憶と現実を追体験する迷宮のような世界観で描かれている。5月14日より全国にて公開される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファーザー 2021年5月14日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、『ノマドランド』のフランシス・マクドーマンドが、3度目となる主演女優賞に輝いた。作品にほれ込み、製作にも関わったマクドーマンドが演じるのは主人公・ファーン。企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバタ州の住居も失った彼女は、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、“現代のノマド(遊牧民)”として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った自由な放浪を続ける彼女がたどり着くのは?マクドーマンド自身が自身の生き方や考え方、ファッションなどライフスタイルのすべてを投影し、実在のノマドたちと路上や仕事場で交流をしながら、ファーンというキャラクターを作り上げた。シカゴ映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞、英国アカデミー賞などで主演女優賞に輝いており、アカデミー賞も貫禄の受賞を果たした。マクドーマンドが主演女優賞を受賞するのは『ファーゴ』(第69回)、『スリー・ビルボード』(第90回)に続き3度目。これで同賞に通算4度輝いたキャサリン・ヘプバーンに次ぎ、歴代2位の受賞回数を誇ることに(ちなみに、ジョディ・フォスター、ヒラリー・スワンク、メリル・ストリープらは2度受賞している)。受賞コメント言葉で表現できません。私たちは作品を通して戦っています。そのことを知ってもらいたい。感謝しています。(text:cinemacafe.net)
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、作品賞にクロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が輝いた。第77回(2020年)ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を皮切りに、第45回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞、第78回ゴールデングローブ賞で作品賞と監督賞を受賞。第74回英国アカデミー賞でも、作品賞をはじめ最多4部門に輝いていた。オスカー前哨戦で圧倒的な存在感を示した“大本命”が、今年のアカデミー賞でも順当に作品賞を手にし、コロナ禍に揺れた映画賞レースにおいて有終の美を飾った。なお、女性監督の作品がアカデミー賞の作品賞に輝くのは、キャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』(第82回)以来2度目となる。ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド漂流する高齢労働者たち」を映画化したロードムービー。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失った60代の女性が“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く姿を、アメリカ西部の雄大な自然を背景に描いた。誇りを胸に、自由に生きる主人公には、コロナ禍に苦悩する世界中の観客から強い共感が寄せられていた。受賞コメントクロエ・ジャオ監督プロデューサー陣、フランシス・マクドーマンドを代表してご挨拶します。他の候補者の皆さんにもお礼を申し上げます。フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、原作者のジェシカ・ブルーダー、そしてノマドの皆さん。多くの人たちのおかげで、この作品が完成しました。皆さんは真実の優しさを示してくれました。プロデューサーも務める主演のフランシス・マクドーマンドぜひ、大きなスクリーンで見てください。仲間を連れて映画館に行き、隣にも観客がいる状況で。ウルフにこの映画を捧げます(オオカミの鳴き声をまねて、雄たけび)(text:cinemacafe.net)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、ディズニー&ピクサー作品『ソウルフル・ワールド』が長編アニメーション映画賞を受賞した。人間が生まれる前の「ソウル(魂)」たちの世界を舞台に、そこに迷い込んだジャズミュージシャンを夢見る音楽教師の主人公と、何事にも興味も示さず、生きる目的を見つけられない22番と呼ばれるソウルが冒険を繰り広げる。昨年の『トイ・ストーリー4』に続き、ディズニー&ピクサー作品が同賞に輝くのは2年連続。ピート・ドクター監督の作品が受賞するのは、『カールじいさんの空飛ぶ家』(第82回)、『インサイド・ヘッド』(第88回)に続き3回目となる。『ソウルフル・ワールド』は当初、劇場公開が予定されていたが、度重なる公開延期を経て、現在はディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」にて独占配信されている。長編アニメ/ピート・ドクター監督の受賞コメントこの作品は、人生を教えてくれるジャズに対するラブレターです。(スタッフ、キャストの名前を挙げながら)人生の目的を追求したいという私の思いを、支えてくれた。家族もそうです。そして映画の主人公と同じ世界中の音楽教師たちにも感謝を申し上げます。彼らは世界をより良いものにしてくれています。ジャズミュージシャンの模範に従って、これからも美しいものを作っていきましょう。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ソウルフル・ワールド 2020年12月25日よりDisney+(ディズニープラス)にて配信©2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、『Judas and the black Messiah』(原題)のダニエル・カルーヤが助演男優賞を初受賞した。1960年代後半から70年代にかけて、アメリカ国内で急進的な黒人解放運動を展開した政治組織「ブラックパンサー党」の指導者だったフレッド・ハンプトン暗殺事件を描いた実録ストーリーで、カルーヤはハンプトンを演じた。前哨戦にあたるゴールデングローブ賞に続き、助演男優賞を受賞。なお、『Judas and the black Messiah』(原題)からは、共演したラキース・スタンフィールドも助演男優賞の候補に挙がっていた。受賞コメント神様ありがとうございます。神の導きがあって、ここに来ることができました。すばらしいサポートをしてくれた共演者、スタッフと出会えてうれしく思います。彼らはわたしを信頼し、インスピレーションを与えてくれた。一緒に仕事ができて光栄でした。我々は、フレッド・ハンプトンという人の人生にインスピレーションをもらいました。22歳で亡くなったけど、子どもたちの教育や無料の医療の提供に尽力した人です。ブラックパンサー党の一員であった彼から多くを学びました。「統合」の力を示したと思います。分断ではなく統合を。結束の力を教えてくれたことに感謝しています。これからも努力を続けなければいけない。明日からも仕事です。そして人生を祝うこと、生きていることはすばらしいことなのです。(text:cinemacafe.net)
2021年04月26日本年度アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『アイダよ、何処へ?』(原題:Quo Vadis, Aida?)が、この秋、日本公開決定。ティザービジュアルも到着した。1995年夏。セルビア人勢力によって占拠されたボスニア・ヘルツェゴヴィナの町、スレブレニツァ。2万5千人もの住人たちが保護を求めて国連基地に集まっていた。国連平和維持軍で通訳として働くアイダは、交渉の中で極めて重要な情報を得ることに。セルビア人勢力の動きがエスカレートし、基地までも占拠しようとする中、アイダは逃げてきた同胞、その中にいる夫と息子たちを守ることはできるのか――。本作は、長編デビュー作『サラエボの花』が2006年ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、注目されたヤスミラ・ジュバニッチ監督による最新作。『サラエボ、希望の街角』をはじめ、一貫して故郷ボスニア・ヘルツェゴヴィナの悲劇、ボスニア紛争の傷跡を描き続けている監督が、オスカー初ノミネートを果たした本作は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ東部のスレブレニツァで約8000人のイスラム教徒が虐殺された惨劇から25年という節目に、国連平和維持軍で通訳として働く女性アイダが、必死に家族を守ろうとする姿を通して、その真実を描く衝撃のドラマだ。ヴェネチア国際映画祭では無冠だったが、オスカー候補への追い上げで注目されている本作。RottenTomatoesでは、100%フレッシュの高評価を得ている。『アイダよ、何処へ?』は9月17日(金)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2021年04月25日元SMAPで俳優の草なぎ剛が16日、YouTube公式チャンネル『ユーチューバー 草なぎチャンネル』の動画「日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞&最優秀作品賞を受賞しました!本当にありがとうございます!【ミッドナイトスワン】」に出演。先月19日の第44回日本アカデミー賞授賞式を振り返り、俳優・吉沢亮について語った。『ミッドナイトスワン』が最優秀作品賞に輝き、自身も最優秀主演男優賞を受賞したことを受け、「本当にみなさん、ありがとうございます」と感謝した草なぎ。授賞式に緊張しつつも、「こういうYouTubeの部屋とは違って刺激的な空気を吸うのはすごく大事」と実感したという。また、大河ドラマ『青天を衝け』で共演中の吉沢亮もプレゼンターとして参加していたことから、「会場に吉沢亮くんもいてくれて。すごい安心したの。最近会って、知ってる人がいてくれると思って」「亮くんにも感謝」と心の拠り所となった様子。「亮くんともこれからすごくシーンが増えて来て。今、NHKで撮影していて。合間とかでめちゃくちゃ話すわけではないんですけど、すごいセリフがお互いにどんどんあったりするので、空気がすごく良くできあがってきていると思う」と関係性は作品にも反映されているようで、「お芝居をしていて亮くんからすごく伝わって来るものがある」と称賛の言葉を送っていた。
2021年04月18日英国アカデミー賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『ノマドランド』。今作ではさらに、クロエ・ジャオが監督賞、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞、ジョシュア・ジェームズ・リチャーズが撮影賞を受賞した。主演男優賞は『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス。助演男優賞は『Judas and the Black Messiah』のダニエル・カルーヤ、助演女優賞は『ミナリ』のユン・ヨジュン。イギリス映画賞は『プロミシング・ヤング・ウーマン』。脚本賞は『プロミシング・ヤング・ウーマン』、脚色賞は『ファーザー』だった。文=猿渡由紀『ノマドランド』公開中
2021年04月12日日曜日(現地時間)、英国アカデミー賞(BAFTA賞)がバーチャル開催された。クロエ・ジャオ監督作の『ノマドランド』が作品賞、監督賞を含む4部門を受賞。ジャオ監督は英国アカデミー賞史上、監督賞を受賞した2人目の女性であり、初の有色人種女性という偉業を達成した。なお、監督賞を受賞した初の女性は、2010年のキャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』)。ジャオ監督は「この賞を、ノマディックコミュニティの人たちに捧げたいです。彼らは、生活の中に私たちを快く受け入れてくれましたから。夢、葛藤、深い尊厳について共有してくれたのです。年を重ねるということの美しさーー私たちが慈しみ、祝福すべき旅路を教えてくれたことに感謝します」とスピーチした。主演男優賞のアンソニー・ホプキンス(83)は、同賞の史上最年長受賞者となった。「テレグラフ」紙によると、本人は受賞するとは全く予想していなかったそうで、オンラインでの授賞式を見ずにウェールズのホテルで絵を描いていたという。主な受賞者・受賞作品は以下の通り。作品賞『ノマドランド』監督賞クロエ・ジャオ『ノマドランド』主演男優賞アンソニー・ホプキンス『ファーザー』主演女優賞フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』助演男優賞ダニエル・カルーヤ『Judas and the Black Messiah』助演女優賞ユン・ヨジョン『ミナリ』オリジナル脚本賞『プロミシング・ヤング・ウーマン』エメラルド・フェンネル英国作品賞『プロミシング・ヤング・ウーマン』(Hiromi Kaku)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月12日草なぎ剛主演の映画『ミッドナイトスワン』が、「第44回日本アカデミー賞」で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞はじめ、優秀賞8部門、新人俳優賞受賞を受賞したことを記念し、凱旋上映されることが決定した。東京、神奈川、千葉、大阪、福岡の全7劇場で26日より上映される。本作は、都会の片隅で出会った、トランスジェンダーの凪沙(草なぎ)と母親の愛を知らずに生きてきた少女・一果(服部樹咲)が心を寄せ合う姿を描き、凪沙の生き様、無償の愛を届けた。これまで各種SNS、ネット上では、観客や著名人、さらには昨年末12月31日に公開された台湾からも感動の声が続出。文春文庫より発売された小説版も異例の大ヒット、ハワイ国際映画祭、カイロ国際映画祭と、世界での上映も続いた。また、各映画賞でも評価され、数々の賞を受賞している。凱旋上映される7劇場は、TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ新宿、池袋HUMAXシネマズ(いずれも東京)、TOHOシネマズららぽーと横浜(神奈川)、TOHOシネマズ流山おおたかの森(千葉)、TOHOシネマズ梅田(大阪)、kino cinema 天神(福岡)。上映時間など詳細については、各種映画館ホームページにて。(C)2020 Midnight Swan Film Partners
2021年03月22日今年のアカデミー賞監督賞・国際長編映画賞の2部門にノミネートされたマッツ・ミケルセン主演映画『アナザーラウンド』の待望の日本公開が決定。ティザービジュアルも到着した。冴えない高校教師マーティンとその同僚3人は、ノルウェー人哲学者の「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため、実験をすることに。朝から酒を飲み続け、常に酔った状態を保つと、授業も楽しくなり、生き生きとするが――。本作では、マッツ・ミケルセンがカンヌ国際映画祭男優賞に輝いた『偽りなき者』のトマス・ヴィンターベア監督と再タッグが実現。さらに、同作で共演したトマス・ボー・ラーセンやラース・ランゼ、新たにマグナス・ミランが参加。同作のトビアス・リンホルムと監督が共同脚本を務めた。マッツが演じるのは、冴えない高校教師。同僚たちとある理論を証明するため、常にお酒に酔った状態を保つ実験を行っていく。奇想天外なストーリーでビターな面も描く、笑って、呆れて、ホロっと涙する、ユーモラスな人生賛歌となっている。第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出され、先日のゴールデングローブ賞外国語映画賞でもノミネート、ヨーロッパ映画賞作品賞ほか4冠、サンセバスチャン映画祭やロンドン映画祭など世界中の映画賞を総なめにしている本作。海外で予告編が公開されると、「日本で公開して・・・」「アナザーラウンド早く連れてきて!!」「アナザーラウンド見ごたえありそうですよね。楽しみに待ちます」と日本公開を待ちわびる人たちの声がSNSでも多く見られた。そんな本作の待望の日本公開が今回決定し、同時に到着したティザービジュアルには、お酒とともに食事を楽しむ4人の姿が切り取られている。『アナザーラウンド』は9月3日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2021年03月22日第44回日本アカデミー賞の授賞式が19日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、女優陣が華やかなドレス姿で登場した。『MOTHER マザー』で最優秀主演女優賞に選ばれた長澤まさみはADEAMのドレスにJIMMY CHOOのシューズで華やかに登場する。『浅田家!』で最優秀助演女優賞に輝いた黒木華はドレス、シューズともにGUCCI。『男はつらいよ お帰り 寅さん』で優秀助演女優賞となった後藤久美子はジャケット:GIORGIO ARMANI、パンツ:GUCCI、シューズ:Christian Louboutinとスタイルを際立たせた。また、今回ブルガリが協賛を担ったことで、すべての最優秀賞受賞者たちへブルガリの時計が副賞として贈られる。登壇者達も同ブランドのアクセサリーを多く身につけており、優秀助演女優賞の後藤、江口のりこ(『事故物件 恐い間取り』)はイヤリング・ブレスレット・リング、安田成美(『Fukushima 50』)はネックレス・イヤリング・ブレスレット・リング、優秀主演女優賞の倍賞千恵子(『男はつらいよ お帰り 寅さん』)はイヤリング・リングを身につける。さらに新人俳優賞の蒔田彩珠はリング、司会のシム・ウンギョンはブレスレットでそれぞれ華やかに決めていた。○■「第44回日本アカデミー賞」最優秀賞受賞リスト作品賞…『ミッドナイトスワン』監督賞…若松節朗(『Fukushima 50』)脚本賞…野木亜紀子(『罪の声』)主演男優賞…草なぎ剛(『ミッドナイトスワン』)主演女優賞…長澤まさみ(『MOTHER マザー』)助演男優賞…渡辺謙(『Fukushima 50』)助演女優賞…黒木華(『浅田家!』)音楽賞…梶浦由記/椎名豪(『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』)撮影賞…江原祥二(『Fukushima 50』)照明賞…杉本崇(『Fukushima 50』)美術賞…瀬下幸治(『Fukushima 50』)録音賞…柴崎憲治/鶴巻仁(『Fukushima 50』)編集賞…石井巌/石島一秀(『男はつらいよ お帰り 寅さん』)アニメーション作品賞…『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』外国作品賞…『パラサイト 半地下の家族』(C)日本アカデミー賞協会
2021年03月20日第44回日本アカデミー賞の授賞式が19日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、受賞者がそろった。『罪の声』で優秀主演男優賞に選ばれた小栗旬は、意外にも初の日本アカデミー賞受賞。初の授賞式に「どんな感じかなあと思ったんですけど、結局ずっとそわそわしてますね」と苦笑する。司会の羽鳥慎一アナから、自身の父が同作について「最高だった」と言っていたことを聞かされると、「それが1番の褒め言葉ですね、ありがとうございます」と感謝していた。同作では宇野祥平、星野源も優秀助演男優賞に輝いた。特に星野とは「旬」「源ちゃん」と呼び合う仲となった。さらにニッポン放送で募集された話題賞の俳優部門も同作で小栗が受賞したが、プレゼンターは昨年『引っ越し大名!』で同賞を受賞した星野が務めることに。星野から賞品を受け取った小栗は、照れ笑いを浮かべていた。話題賞では作品部門を「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が受賞したことから、小栗が「とてつもなく大きな話題の作品のとなりに、ちょっと小ぶりな小栗旬ですが」とおどける一幕も。「こんな状況の中少しでも、誰かに寄り添って、勇気や元気や楽しい時間を提供できているところに 自分という存在がもしいるんだったら、そんなうれしいことはないなと思っております」と感謝の気持ちを伝えた。また『鬼滅の刃』で作品部門を受賞したアニプレックスの岩上敦宏氏は、「この1年間を振り返るとですね、 (賞を)受け取った私が言うのも変かもしれませんけど、話題賞にふさわしい作品だったんじゃないかなと そう思っております」と、社会現象にもなった作品を称えた。同作は、最優秀アニメーション作品賞も受賞した。○■「第44回日本アカデミー賞」最優秀賞受賞リスト作品賞…『ミッドナイトスワン』監督賞…若松節朗(『Fukushima 50』)脚本賞…野木亜紀子(『罪の声』)主演男優賞…草なぎ剛(『ミッドナイトスワン』)主演女優賞…長澤まさみ(『MOTHER マザー』)助演男優賞…渡辺謙(『Fukushima 50』)助演女優賞…黒木華(『浅田家!』)音楽賞…梶浦由記/椎名豪(『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』)撮影賞…江原祥二(『Fukushima 50』)照明賞…杉本崇(『Fukushima 50』)美術賞…瀬下幸治(『Fukushima 50』)録音賞…柴崎憲治/鶴巻仁(『Fukushima 50』)編集賞…石井巌/石島一秀(『男はつらいよ お帰り 寅さん』)アニメーション作品賞…『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』外国作品賞…『パラサイト 半地下の家族』(C)日本アカデミー賞協会
2021年03月20日日本の音楽文化の発展と将来を期待される音楽家の一層の活躍を支援することを目的に制定された「日本製鉄音楽賞」の第31回受賞者が発表された。「フレッシュアーティスト賞(副賞300万円)」には川口成彦(フォルテピアノ)、「特別賞(副賞100万円)」には猪狩光弘(ステージマネージャー)がそれぞれ選ばれ、輝かしい受賞者の歴史にその名を刻むこととなった。「日本製鉄音楽賞(旧新日鉄住金音楽賞)」は、1990年(平成2年)旧新日鉄創立20周年と「新日鉄コンサート」放送35周年を記念して設けられ、第1回受賞者の諏訪内晶子(ヴァイオリン)を始め、優れた才能を世に送り出してきたことで定評のある音楽賞だ。猪狩光弘*今回の受賞理由は以下の通り●「フレッシュアーティスト賞」川口成彦かわぐち なるひこ(フォルテピアノ)2018年のショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位入賞で広く知られる存在となったが、それ以前から確固たる音楽観での活動を展開しており、近年はコンサートや録音においてさらに視野の広い音楽表現を見せている。一般的な先入観からの“古楽器”という枠を超えた、それでいて揺るぎない基礎力からの音楽。豊かな感性と知識力ゆえ、益々楽しみな逸材である。(上田弘子選考委員)●「特別賞」猪狩光弘いがり みつひろ(ステージマネージャー)猪狩さんは永年にわたってステージマネージャーとして演奏会を舞台裏から支え続け、細やかな配慮の行き届いた周到な仕事ぶりによって演奏家から絶対的な信頼を得てきた。サントリーホール在任中の功績はもちろんのこと、日本の楽壇全体に寄与してきたプロフェッショナルな裏方としての活動は高く評価されるべきであり、当音楽賞の特別賞にまことに相応しい。(寺西基之選考委員)
2021年03月20日第44回日本アカデミー賞の授賞式が19日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、受賞者がそろった。最優秀作品賞、最優秀主演男優賞を受賞したのは、内田英治監督による草なぎ剛主演の『ミッドナイトスワン』。草なぎは「マジかって感じですね」「あきらめずに一歩ずつ進んでいけば、奇跡は起こるんだ」とコメントし、同作で新人俳優賞に輝いた服部樹咲は、初めて演技に挑戦した今作品について「映画館に足を運んでくださった方々やSNSなどで盛り上げ てくださった方などに感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝を伝える。内田監督は「スタッフと役者そしてやっぱり観客、観客があってこそのやっぱり映画なんだと思いました」と語った。また、12部門12賞で優秀賞を受賞した『Fukushima 50』が、最優秀賞監督賞をはじめ最優秀美術賞や最優秀録音賞など、スタッフ関連の賞を中心に計6部門で最優秀賞を獲得した。○■「第44回日本アカデミー賞」最優秀賞受賞リスト作品賞…『ミッドナイトスワン』監督賞…若松節朗(『Fukushima 50』)脚本賞…野木亜紀子(『罪の声』)主演男優賞…草なぎ剛(『ミッドナイトスワン』)主演女優賞…長澤まさみ(『MOTHER マザー』)助演男優賞…渡辺謙(『Fukushima 50』)助演女優賞…黒木華(『浅田家!』)音楽賞…梶浦由記/椎名豪(『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』)撮影賞…江原祥二(『Fukushima 50』)照明賞…杉本崇(『Fukushima 50』)美術賞…瀬下幸治(『Fukushima 50』)録音賞…柴崎憲治/鶴巻仁(『Fukushima 50』)編集賞…石井巌/石島一秀(『男はつらいよ お帰り 寅さん』)アニメーション作品賞…『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』外国作品賞…『パラサイト 半地下の家族』(C)日本アカデミー賞協会
2021年03月20日「第44回日本アカデミー賞」授賞式が3月19日(金)に行われ、内田英治監督の『ミッドナイトスワン』が最優秀作品賞を受賞した。また、本作で主演を務めた草彅剛が最優秀主演男優賞も受賞。最優秀主演女優賞は『MOTHER マザー』の長澤まさみ、最優秀助演男優賞は『Fukushima 50』の渡辺謙、最優秀助演女優賞は『浅田家!』の黒木華が受賞し、新旧入り混じった実力派の俳優勢が圧巻の受賞となった。作品賞には、二宮和也が実在の写真家を演じた中野量太監督作『浅田家!』、国民的人気シリーズの50作目となった『男はつらいよお帰り 寅さん』、小栗旬×星野源という実力派俳優の共演も話題を呼んだ『罪の声』、ロングランヒットで総動員数が52万人を超えた、草彅剛主演『ミッドナイトスワン』、福島第一原発事故を題材にした『Fukushima 50』の5作がラインナップ。テーマはすべて異なれど、心揺さぶる重厚な作品がそろった印象だ。中でも、最優秀作品賞を受賞した『ミッドナイトスワン』は、トランスジェンダーとして身体と心の葛藤を抱え生きる凪沙(草彅さん)と、親から愛を注がれずバレエダンサーを夢見る少女・一果(服部樹咲)の心通い合う様子を描いた1作。切なくも美しい愛の形に、公開前の関係者試写の段階から絶賛の声が相次ぎ、9月25日(金)の封切り以降、現在まで超ロングランヒットとなり、「スワンの輪」は広がり続けている。本作においては、巨額な制作費の訴えや、「泣ける」などの華美なキャッチコピーは非ず、実直に心に訴える作品作りに評価が高まった。脚本も担当した内田監督をはじめとする制作陣、そしてキャスト勢の並々ならぬ思いと表現の凝縮した1作が、多くの観客の心に火をつけた。特に、最優秀主演男優賞を受賞した草彅さんの演技は、すごみすら感じさせた。気高さと美しさに加え、脆さや弱さまでも内包し、ひとりの人間の生を草彅さんは全うした。育児放棄された親戚の少女・一果を疎ましく思っていたところから、いつしか母親のような思いが芽生えていく演技のなだらかさにも、思わず息を飲む。深い愛情と現実にさいなまれる凪沙の表情は、特に終盤、得も言われぬ輝きを放ち、場内を感動で静まり返らせた。草彅さんは受賞後のスピーチで、しばし呆然とした後、「いや…まじすか。ごめんなさい。頭真っ白になってしまって」と、たどたどしく言葉を紡ぐ。「本当に、今まで皆さんと仕事をさせてもらえたこととか、NAKAMAの皆さんに応援してもらっていることとか、しんごちゃん、ごろさんとか、近い人たちが支えてくれて…今日ここの舞台に立てたんだなと思って、うれしいです」と、草彅さんにまつわる大切な人たちの名前を挙げた。さらに、「映画って、それぞれ作り手の方とか、役者の気持ちとか、いろいろな方向性はあると思うんですけど。なんか、ひとりひとりの人生が、よりよく自由にまっとうできるような、そんな作品作りと人と人との関わりの中で、これからも自分の人生をまっとうしていきたいと思います」と、かみしめるように、丁寧に、言葉を発した。作品賞を受賞した際にも、草彅さんは「奇跡が起きるんだなと思って。諦めたりしないで、一歩ずつというか。たまには振り返ることも人間誰しもあると思うんですけど、またそこから少しでも進むと、いいことがあるんだなと思って。本当にこの映画を愛していただいて、ありがとうございました」と感謝で綴った。一方、主演女優賞を受賞した長澤さんは、『MOTHER マザー』で欲望のまま、身勝手に生きるシングルマザーを演じた。ホームレス生活を送り、社会から孤立するにつれ息子への執着を募らせる狂気じみた母親となり、圧巻の芝居を見せ、見事初の主演女優賞に輝いた。スピーチで、長澤さんはマイクを前に、ぐっと涙をこらえた。しかし、すぐに涙はあふれ、彼女の頬を美しくつたった。「本当にたくさんの方に支えられなければ、映画作りはできないんだなって、去年、身に染みて感じました。きっと本当は作りたかった映画も、去年、作れなかった人たちもたくさんいると思います。公開できず先延ばしになっている人たちもたくさんいる中、公開されて、たくさんの方たちに見に行っていただけて、本当にうれしいですし、これからも誠実に映画作りに向き合っていきたいと思います」と、長澤さんは映画に対する強い思い入れと、映画人への愛を表明した。そのほかの主な受賞は、最優秀監督賞に『Fukushima 50』の若松節朗、最優秀アニメーション作品賞に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』、話題賞の俳優部門には『罪の声』の小栗旬、同作品部門には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が受賞した。また、新人賞に『望み』、『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』、『弥生、三月-君を愛した30年-』の岡田健史、『MOTHER マザー』の奥平大兼、『弱虫ペダル』の永瀬廉、『ミッドナイトスワン』の服部樹咲、『朝が来る』の蒔田彩珠、『ラストレター』森七菜が選出された。(text:赤山恭子)
2021年03月19日第44回日本アカデミー賞の授賞式が3月19日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われ、内田英治監督の『ミッドナイトスワン』が最優秀作品賞を受賞した。最多部門を獲得したのは、『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』で最優秀監督賞(若松節朗)をはじめ6冠。また、歴代興収記録を更新中の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が最優秀アニメーション作品賞、最優秀音楽賞、話題賞(作品部門)の3冠に輝いた。『ミッドナイトスワン』を代表し、挨拶に立った主演の草なぎ剛は「奇跡は起きるんだなと…」と感無量の面持ち。「諦めたりせず、一歩ずつ前に進むといいことがあるんだなと。この映画を愛していただき、ありがとうございました」と誇らしい表情を浮かべた。その草なぎは同作でトランスジェンダーの主人公を演じ切り、見事に最優秀主演男優賞を受賞。初めての栄冠に開口一番「マジっすか!ごめんなさい、頭が真っ白になってしまって」と驚きの表情。「今まで、皆さんと仕事させていただいたこと、仲間の皆さんに応援していただいたこと、慎吾ちゃん(香取慎吾)、吾郎ちゃん(稲垣吾郎)とか、近い人たちが支えてくれて、今日ここに立てたんだなと思います」と感謝の言葉を振り絞った。最優秀主演女優賞に輝いたのは、『MOTHER マザー』で新境地を切り開いた長澤まさみ。過去に2度、最優秀助演女優賞(『世界の中心で、愛をさけぶ』『キングダム』)を受賞しており、今回は最優秀主演女優賞を初めて手にした。壇上でトロフィーを受け取ると、涙ぐみながら「本当にたくさんの方に支えられなければ、映画作りはできないと去年、身に染みて感じました」と挨拶し、「これからも誠実に映画作りに向き合って、頑張っていきたいと思います」と決意を新たにしていた。最優秀助演男優賞は『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』で、イチエフの所長・吉田昌郎さん(故人)を演じた渡辺謙が初受賞。東日本大震災から10年が経過した今年、同賞を受賞し、「原発事故で被災された方々を背中に感じながら、映画をやってきました。福島の皆さん、とりました!福島の力を、このトロフィーに込めていただいた」と万感の思いを被災地に届けていた。また、黒木華が『浅田家!』で3度目となる最優秀助演女優賞を獲得。「二宮さんのおかげだなと」と共演した二宮和也に感謝の意を示し、「(コロナ禍で)周りがピリピリする中、映画を見に行けるようになり、私自身救われて、映画のありがたみ、大事さを気づきまして、幸せをかみしめている」と喜びを語った。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により国内の映画館が休業を余儀なくされたことを考慮し、第44回日本アカデミー賞は2019年12月16日から2020年12月31日までに公開され、選考基準を満たした作品(日本映画154本、外国映画210本)を対象に、同賞協会会員3953人が投票を行った。▽受賞作品/受賞者リスト最優秀作品賞:『ミッドナイトスワン』(内田英治監督)最優秀監督賞:若松節朗『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』最優秀主演男優賞:草なぎ剛『ミッドナイトスワン』最優秀主演女優賞:長澤まさみ『MOTHER マザー』最優秀助演男優賞:渡辺謙『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』最優秀助演女優賞:黒木華『浅田家!』最優秀脚本賞:野木亜紀子『罪の声』最優秀撮影賞:江原祥二『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』最優秀照明賞:杉本崇『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』最優秀美術賞:瀬下幸治『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』最優秀録音賞:柴崎憲治、鶴巻仁『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』最優秀編集賞:石井巌、石島一秀『男はつらいよお帰り寅さん』最優秀音楽賞:梶浦由記、椎名豪『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』最優秀外国作品賞:『パラサイト 半地下の家族』最優秀アニメーション作品賞:『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』新人俳優賞:服部樹咲、蒔田彩珠、森七菜、岡田健史、奥平大兼、永瀬廉話題賞:作品部門『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』、俳優部門:小栗旬(『罪の声』)取材・文・写真=内田涼
2021年03月19日女優の長澤まさみが19日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第44回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、『MOTHER マザー』で最優秀主演女優賞を受賞した。ブロンズを手にマイクの前に立った長澤は、しばらく沈黙しながら「本当に……」と切り出し、「たくさんの方に支えられなければ、映画作りはできないんだということを去年、身にしみて感じました」と涙。「きっと本当は作りたかった映画を、去年作れなかった人たちもたくさんいると思います。そして、映画も公開できず先延ばしになっている人たちもたくさんいると思います」とコロナ禍によって苦境に立たされた人々の気持ちに寄り添った。「その中で映画を公開してたくさんの方に観に行って頂けたことが本当に……うれしいです」と厳しい中でも恵まれた状況だったことに感謝。「これからも誠実に映画作りに向き合って、がんばっていきたいと思います」と決意を新たにし、「本日は誠にありがとうございました」と涙をぬぐって降壇した。○■「第44回日本アカデミー賞」最優秀賞受賞リスト作品賞…『ミッドナイトスワン』監督賞…若松節朗(『Fukushima 50』)脚本賞…野木亜紀子(『罪の声』)主演男優賞…草なぎ剛(『ミッドナイトスワン』)主演女優賞…長澤まさみ(『MOTHER マザー』)助演男優賞…渡辺謙(『Fukushima 50』)助演女優賞…黒木華(『浅田家!』)音楽賞…梶浦由記/椎名豪(『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』)撮影賞…江原祥二(『Fukushima 50』)照明賞…杉本崇(『Fukushima 50』)美術賞…瀬下幸治(『Fukushima 50』)録音賞…柴崎憲治/鶴巻仁(『Fukushima 50』)編集賞…石井巌/石島一秀(『男はつらいよ お帰り 寅さん』)アニメーション作品賞…『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』外国作品賞…『パラサイト 半地下の家族』(C)日本アカデミー賞協会
2021年03月19日