暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■上半期最後の「水無月」は、月のリズムで心地よく7月16日(木)は新月です。旧暦では6月1日にあたり、「水無月(みなづき)」を迎えます。水無月と聞くと、「水」の文字のイメージから梅雨と結びつけたくなるかもしれませんね。ですが、梅雨にあたるのは前月の「皐月(さつき)」です。確かに、水無月のはじめこそ梅雨を引きずってはいるものの、すぐに梅雨明けとなります。照りつける太陽と、広がる夏空。それが水無月です。水無月=梅雨という誤ったイメージは、身近なものによる刷り込みもあります。というのも、新暦のカレンダーや手帳を見ると、6月に水無月と併記されていることが多いから。これでは混乱してしまいますよね。本来、皐月や水無月といった異称は、旧暦の暦月に対して用いるものです。暦(旧暦)をたしなむならば、ぜひとも覚えておいてください。なお、旧暦6月の異称には、・風待月(かぜまちづき)・鳴神月(なるかみづき)・涼暮月(すずくれづき)・蝉の羽月(せみのはづき)・常夏月(とこなつづき)などもあります。夏の夕立の光景や夕涼みする様子が、目に浮かぶようですね。■月のリズムを活用して、大きな節目を迎える準備を新暦ではすでに7月を迎え、下半期がスタートしました。友人や仕事仲間と「今年も、もう半年がすぎちゃったね!」という会話をした人も多いでしょう。ですが、旧暦ではまだ上半期。今年前半を気持ちよく締めくくるチャンスは残っています。そこで、上半期最後のひと月を、月のリズムで過ごしてみるのはいかがでしょう。月のリズムは大きく4つのステージに分けられ、それぞれに違った意味合いがあります。日付と照らし合わせながら、各ステージのテーマを確認して、水無月の予定を立てる参考にしてみてくださいね。・新月/旧暦6月1日(7月16日)テーマは「始まり」。今まで気になっていたことや、やりたかったことへの一歩を踏み出すのに最適。直感に従って、新しいことにチャレンジを!とくに、旧暦下半期に本格化したいことを、このタイミングで試しに始めてみるとよさそう。・満ちていく月/旧暦6月2日~15日(7月17日~7月30日)テーマは「活力」。刻々と輝きを増していく月のように、体も心も上向きに。自分に自信を持って、積極的に行動すると吉。気候はジメジメとした梅雨が明け、いよいよ夏本番!行きたい場所へエネルギッシュに出かけましょう。・満月/旧暦6月16日(7月31日)テーマは「癒し」。満ちていく月の行動が実を結ぶ一方で、ポジティブさが強欲や衝動に変化する可能性も。自分と向き合い、冷静に考えるべきタイミング。また、この満月は「ブルームーン」にあたります。ブルームーンについては、後日この連載でお知らせしますので、お楽しみに!・欠けていく月/旧暦6月17日~29日(8月1日~8月13日)テーマは「沈静」。生活環境や心身のメンテナンスを心がけるとき。暑い日が続いてだるさを感じたときは、ぬるめの湯船につかったり、お昼寝をしたりして、自分をいたわって。また、新しいサイクルに向けて準備する期間でもあります。旧暦下半期の計画を立てるのも◎。次にやってくる旧暦7月は、下半期のはじまりであると同時に、暦の上では秋のはじまりです。大きな節目を気持ちよく迎えるために、水無月(旧暦6月)の日々を月のリズムで有効に過ごしましょう。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年07月15日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?大昔は満月からひと月がはじまった?!小正月のヒミツ3月5日は旧暦1月15日にあたり、「小正月(こしょうがつ)」です。小正月とは、元日から1月7日までを「大正月(おおしょうがつ)」と呼ぶのに対して、1月15日を中心とする前後の期間をいいます。旧暦では、新月から新月までが1ヵ月です。毎月第1日目(ついたち)は必ず新月で、15日目はほぼ満月となります。この暦は、6世紀ごろに中国から伝わった暦法をもとにしたもの。しかしそれ以前、大昔の日本人は満月から満月までをひと月として暮らしていました。ですから当然、年のはじめは満月でした。そのため、ついたちを新月とする暦を使いはじめてからも、庶民の間では新年最初に月がまんまるになる1月15日をおめでたい日(小正月)として祝ったのです。小正月のしきたりは地域によってさまざまですが、その目的は「豊作祈願」「魔除け」「吉凶占い」などで、一年間の安泰を願います。また、大正月のお節料理やお雑煮、1月7日の七草粥とならんで、小正月には「小豆粥」を食べる習わしがあります。小豆の赤色が邪気を祓うとされ、小豆粥を食べて家族の無病息災を祈ったわけです。連載第27回の七草粥の話 で、宮中では1月15日に米・粟・きび・ひえ・みの・ごま・小豆を炊いた七種(ななくさ)粥を食べていたと書きましたが、この宮中の粥が小正月の「小豆粥」にも通じていると考えられます。世相を占う小正月の「粥占い」とは小正月の小豆粥で忘れてはならないのが「粥占い」。そう、お粥で占いをするんです!占いといっても、恋愛運や金運といった個人を占うものではありません。「粥占(かゆうら)の神事」や「筒粥(つつがゆ)神事」などと呼ばれ、その年の五穀の豊凶や自然災害の有無、世相などを占う、重要な神事です。その内容は、米と小豆、もしくはその土地の作物でお粥を作り、細い青竹や葦などを入れてさらに炊き、とり出した青竹や葦を割いて、その中に入っている小豆の数や粥の量などで占うというもの。この神事は、現在でも各地の神社で行われ、過去には東日本大震災を予見するような結果が報告されたこともあって、近年注目を集めています。けれど残念なのは、たいていは新暦の日付で実施されていること。月のリズムで行ってこそ、本来の意味を持つ行事ですから、せめて私たちは丸く満ちた月を眺めながら小豆粥をいただきましょう。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年03月04日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?胃にやさしいだけじゃない!七草で体内をクレンジングして、春美人に旧暦の新年がスタートして1週間。今日(2月25日)は旧暦1月7日にあたり、「人日の節句」の日です。七日正月とも呼ばれ、一年間の無病息災を願って七草粥を食べることで知られています。もともと宮中では、1月15日に七種(ななくさ)粥を食べていました。これは、米・粟・きび・ひえ・みの・ごま・小豆を炊いた穀物の粥です。一方、古代中国では1月7日に七種類の野菜のお吸い物を食べて無病を願う風習がありました。これが平安時代に日本に伝わり、やがて宮中の七種粥と結びついて七草粥になったといわれています。それでは、春の七草をみていきましょう。・芹(せり)ビタミンB2やカルシウム、鉄分、食物繊維などが豊富。独特の香りには、消化促進の働きがあるといわれています。・薺(なずな)別名:ぺんぺん草たんぱく質やカロテン、ビタミンB1・B2、カルシウム、鉄などを含み、利尿作用や解熱作用があるといわれています。・御形(ごぎょう)別名:母子草(ははこぐさ)たんぱく質やミネラルが豊富で、胃炎に効果的と考えられています。春には黄色い花を咲かせます。・繁縷(はこべ)「はこべら」ともいわれます。カルシウムや鉄などのミネラルが豊富。利尿や整腸の作用があるといわれています。・仏の座(ほとけのざ)別名:小鬼田平子(こおにたびらこ)黄色い花を咲かせるキク科の植物で、胃の働きを高めるといわれています。紫の花をつけるシソ科の「ほとけのざ」は、まったくの別物なのでご注意を。・菘(すずな)蕪(かぶ)のこと。葉にはビタミンやミネラルが多く含まれ、白い根身はやわらかく消化がいいのが特徴です。・蘿蔔(すずしろ)大根のこと。葉はビタミンC、カロテン、ビタミンB1・B2などが、根身にはでんぷん分解酵素やたんぱく質分解酵素が含まれています。1月6日の昼に七草を摘み、7日の朝に調理するのが習わしですが、現代のライフスタイルでそれを実践するのは難しいので、スーパーなどで手に入りやすいものを2~3種類用意して、お吸い物やお粥にしていただきましょう。春先は、冬の間にため込んだ老廃物を排出すべきタイミングです。日本料理では「春は苦味を盛れ」といわれ、ワラビやゼンマイといった山菜を積極的に取り入れます。食養生において、山菜の苦味は体を目覚めさせ、春先の体調を整えると考えるからです。春の七草は、七草粥のイメージから胃腸にやさしいといわれますが、野草ならではの苦味は山菜に通ずるところです。さらに利尿や整腸の作用があるのでデトックス効果が期待できます。本来は、今の時季にいただく七草。普段の食生活に取り入れて体内をクレンジングすれば、心身が軽やかになり、ファッションにも恋愛にも前向きになれそう。これからやってくる春本番が、ワクワクのシーズンになるはずです。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年02月25日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?最初が肝心!旧暦新年に愛情運をアップさせるコツ2月19日(木)の新月は、ちょっとスペシャルです。というのも、旧暦では1月1日にあたるから。新しい一年の始まりは、あらゆるものをリセットするタイミングといえます。昔は、新しい年の運勢は年の始めに決まると考えられていました。そのため、大晦日に除夜の鐘をきき、心を清らかにして新年を迎え、正月行事や縁起担ぎをして良い運を刷り込もうとしたのです。旧暦正月(1月)の異称は「睦月」です。文字通り、お正月に家族や親戚があつまり「仲睦まじく過ごす月」という意味。そこで!19日は実家に電話をかけたり、友人や親しい仕事仲間を誘って食事をしたり、カップルならばデートをしたりするのがオススメ。年の始めに大切な人を意識し、時間を共にすることで、情愛・友愛・恋愛など、さまざまな愛のエネルギーを自分自身に刷り込みましょう。そうすれば、新しい一年が愛情豊かな年となるはずです。なお、旧暦1月の別名には、・暮新月(くれしづき)・初春月(はつはるづき)・初空月(はつそらづき)・早緑月(さみどりづき)・霞初月(かすみそめづき)などもあります。新年を迎える清々しさと、春の訪れを感じさせる月名ですね。スーパー級の名月に、ブルームーンも!月のイベントが盛りだくさん今年(旧暦)は閏月が入ったことで171年ぶりに「後の十三夜」が出現し、大きな話題になりました。明日から始まる旧暦新年は平年に戻り、暦の上ではおだやかな年となりそうです。それではここで、旧暦行事のメインイベント「お月見」の日を確認しておきましょう。■中秋の名月(旧暦8月15日)一年のうちで一番美しい月といわれる「中秋の名月」は、旧暦8月15日の月のこと。新暦では9月27日にあたります。翌28日の午前11時51分に月は「スーパームーン」に!ですから、中秋の名月もスーパー級で見ごたえがありそう。今から期待が高まります。■十三夜(旧暦9月13日)中秋の名月に次いで美しいといわれている「十三夜」は、旧暦9月13日の月をさします。新暦では10月25日です。昔から、中秋の名月または十三夜のどちらか一方のお月見しかしないことを「片月見」といって、縁起が悪いといわれていました。中秋の名月と十三夜はセットで見ることで、良いことが起きる証となります。また、新暦4月4日の「皆既月食」、新暦7月31日の「ブルームーン」も見逃せません。月好きならば、旧暦・新暦の別を超えて、これらの月イベントは要チェック!カレンダーや手帳にメモしておいてくださいね。日が迫ったところで、この連載で詳細をお伝えする予定ですので、どうぞお楽しみに。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年02月18日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?2月18日(水)は旧暦大晦日。年越しそばは残さず食べて金運アップ!2月18日(水)は、旧暦の大晦日です。大晦日の夜に食べるものといえば「年越しそば」。長寿や幸運を願って年越しそばを食べるようになったのは江戸時代といわれ、「みそかそば」「つごもりそば」「運そば」などの呼び名もあります。その由来は、金銀細工師(金箔師)が作業中に飛び散った金粉を、そば粉を練って丸めたものにくっつけて集めたことから「金を集める縁起物」として食べられるようになったのだとか。また、そばが細く長いため「寿命が長くなる」という説もあります。自宅で調理してもよし、おいしいおそば屋さんに食べに行ってもよし。いずれにせよ、年越しそばの食べ残しはご法度!食べ残すと、新しい年にはお金に苦労するといわれているのでお気をつけくださいね。さあ、18日の夕食は年越しそばをすすって、一年を締めくくりましょう。きれいにたいらげれば、新年を迎える準備はバッチリです。若返りと恋愛成就に期待大!旧暦元日に飲む水のパワー2月19日(木)は、いよいよ旧暦の元日。月は新月となり、旧暦正月が始まります。お正月は日本のしきたりを実践するのに絶好の機会。ですが、旧暦をたしなむためとはいえ、特別な材料や準備が必要な風習を実践するのは難しいもの。そこで!誰でもできることをひとつご紹介しましょう。それは、朝早く起きて水をくむことです。元日の早朝、その年に初めてくむ水を「若水(わかみず)」といい、これを飲めば一年分の邪気を払い、若返るといわれています。若水は特別な場所でくむ必要はなく、キッチンの水道の蛇口から出る水で十分。最大のポイントは、早朝にくむこと。昔は、水がもっとも澄むといわれる寅の刻(午前4時頃)に若水をくんでいました。年に一度のことですから、ここは寒さや眠気に負けることなく早起きを。元日の早朝、若水をひと口飲めば、新年のエネルギーが全身を駆け巡るかのよう。それは、体験した人しか味わえない清々しさです。さらに余裕のある人は、若水でお湯をわかして「大福茶(おおぶくちゃ)」をいれてみて。つくり方はとっても簡単です。湯のみに梅干しと結び昆布を入れて、煎茶でも番茶でもお好みのお茶を注ぐだけ。梅干しは長寿への願いに、結び昆布は「喜ぶ」と「縁結び」に通じています。一年の計は元旦にありといいますし、良縁や恋愛成就の願いを込めて大福茶をいただきましょう。そうやって元日の朝を過ごすと、新年の新鮮な気で満たされ、昨日とはまったく違う空気を感じられるはず。清新な気持ちでスタートした新しい年に、うれしいことがたくさん起こりますように。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年02月17日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?旧暦ではこれから年末!一年を締めくくる準備をはじめて西暦(新暦)2015年がスタートして2週間。お正月モードからすっかり気持ちが切り替わり、日常を取り戻した頃でしょうか……しかし!旧暦ではまだ年が明けていません。1月20日(火)は新月で、旧暦12月1日にあたります。そう、これから「師走」を迎え、一年を締めくくるのです。昔は12月になると、どこの家でもお坊さんを招き、その年に犯してしまった小さな罪や過ちを懺悔して、消滅を祈る法会をしていました。そのため、お坊さんは大忙し。普段は落ち着きはらっているものの、年末は忙しく走り回ることから、師が馳せる「師馳す」が転じて「師走」になったといわれています。ほかに旧暦12月の別名には、・暮古月(くれこづき)・三冬月(みふゆづき)・春待月(はるまちづき)・梅初月(うめはつづき)・弟月(おとうづき、おとづき)などがあります。冬から春へと移り変わろうとしている気配、ワクワクとした新春への期待感が、これらの名前から伝わってくるかのようですね。月のリズムとともに。旧暦新年はリスタートのチャンス!一年最後の日を「大晦日(おおみそか)」といいますが、もうひとつの呼び名を「大晦(おおつごもり)といいます。「つごもり」とは、月が隠れてしまって見えない「月隠(つきごもり)」が転じたもの。旧暦では、ひと月の最後は月の姿が見えなくなることから、そう呼ばれるようになりました。月明かりのない大晦日(大晦)の夜、深夜0時をはさんで聞こえるのが「除夜の鐘」です。鐘をつく回数は108回。これは人間の煩悩の数といわれていますが、実は諸説あります。私が素敵だなと思うのは、108回が一年を表しているという説。どういうことかというと、一年十二ヵ月の「12」、二十四節気の「24」、七十二候の「72」。これらをすべて足すと、108(=12+24+72)になるのです!旧年中のすべての節目を鐘の音とともにひとつずつ除き、まっさらな状態にして新春を迎える。夜空を見上げれば、目には見えない月が、これから新しい光を宿して輝きはじめる準備をしている――除夜の鐘がつき終わると新年がはじまるように、月が欠けてしまうと再び満ちていくように、終わりと新たなはじまりは、必ずつながっているものです。それが自然の法則というものなのでしょう。これまでの時間を見送って、新しい時間を迎え入れる。一年、一ヵ月、一日と、時間の長さは違っても、私たちは本質的には同じことを繰り返しています。生きている時間は、そうやって自然に更新され続けていくのですよね。旧暦大晦日は2月18日(水)です。自然のリズムで一年をおだやかに締めくくりましょう。夜空を見上げ、星に新年の抱負をつげましょう。新暦新年のスタートが思うように切れなかった人には、もうすぐリスタートのチャンスがめぐってきます。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年01月15日