《text:宇野維正》先日、マーティン・スコセッシがEmpire誌のインタビューでスーパーヒーロー映画全般について「あれは映画じゃない。正直言って、自分が一番近いと思うのはテーマパークだ。人間の感情や心理的な経験を別の人間に伝えるものではない」と批判して話題になった。その批判の内容自体は別に目新しいものではない。結局のところ、重要なのは「何を言うか」ではなく「誰が言うか」だ。早速、ジェームズ・ガン、サミュエル・L・ジャクソン、ロバート・ダウニーJr.といった、これまでスーパーヒーロー映画に貢献してきた映画人たちがその批判にリアクションをした。もっとも、そのスコセッシの新作『アイリッシュマン』も、旧来の意味での「映画」として観客が劇場で観ることができる機会は限定されている。贅沢なセット美術、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシらの出演料、そして彼らを若返らせる(物語は彼らが30代の時代から描かれる)ためのVFXに費やされた1億7,500万ドル(約190億円)という製作費を出資したのはNetflixだ。スコセッシでさえも(あるいはスコセッシだからこそ)、もはや本当に作りたい映画を作れる場所は現在のハリウッドにはない。『ジョーカー』がこの時代に生み出された意味『ジョーカー』について語る際にふまえるべきなのは、本作がそのようにかつて「映画」と呼ばれていたアートフォームの足場そのものが大きく揺らいでいる2019年という時代に生み出された作品であるということだ。今年、映画興行のあらゆる記録を塗り替えることとなった『アベンジャーズ:エンドゲーム』の公開時には、それぞれのスーパーヒーローの出演時間を集計した表がソーシャルメディアで拡散されたが、ほぼすべてのシーンにジョーカー(=アーサー・フレック)が顔を出す『ジョーカー』ではストップウォッチを握る必要はない。ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスが本作で披露しているのは、典型的なメソッドアクト(役者がキャラクターになりきる演技法)で、キャラクター造形が役者の資質に寄りそっている近年のスーパーヒーロー映画とは真逆のやり方だ。トイレが近い人は、「旧来の映画」のように作品が約2時間で終わることに歓喜するだろう。『ジョーカー』には、過去の映画からの「オマージュ」と呼ぶのも憚られるような直接的な引用や影響が全編に放り込まれている。なかでも(他でもない)スコセッシの『タクシー・ドライバー』(1976年)と『キング・オブ・コメディ』(1983年)は作品の骨格そのものを形作っていて、両作品で主演を務めたデ・ニーロの本作での確信犯的起用法を含め、監督のトッド・フィリップスはスコセッシからの影響を作品にそっと忍ばせるようなそぶりさえ見せない。優れた映画は過去の映画のレファレンスから生み出されるというのは、(作り手も観客も含めた)映画好きにとって自明のことではあるが、作品の時代設定である1981年に使用されていたワーナーのオープニングロゴで始まる『ジョーカー』に関しては、それを一つ一つ指摘していくのがバカらしくなるほどすべてがあからさまにおこなわれていく。スコセッシ作品と並んで本作の精神的な支柱となっているのは、チャールズ・チャップリンの『モダン・タイムス』(1936年)だ。同作はドナルド・トランプ的な「政界に足を踏み入れる成功したビジネスマン」の象徴として描かれているトーマス・ウェインが主賓の上映会で、そのままスクリーンに映し出され、チャップリン自身が作曲した劇中歌「スマイル」は本作のテーマソング的な役割まで担っている。1981年に『モダン・タイムス』の上映会がこんなものものしくおこなわれているのも少々奇妙だが、客席を埋めた裕福で高齢な白人たちは、主人公が工場労働の単調さから「発狂して精神病院送り」になったり「デモの扇動者と間違えられて拘置所送り」になったりするこの作品を、手を叩いて笑いながら楽しんでいる。そもそもトーマス・ウェインは自身の市長選が控えているゴッサムシティに不穏な空気が充満しているにもかかわらず、何故か映画ばかり観ている。『モダン・タイムス』上映会の数日後、ピエロの仮面をつけた民衆による暴動が予告されていた夜に、彼はわざわざ妻と一人息子(ブルース・ウェイン)を連れて『ミッドナイトクロス』(1981年)と『ゾロ』(1981年)が上映中の劇場に足を運び、映画を観た後に街に放り出されることになる。物語の設定を1981年にした二つの理由フィリップスは本作の設定を1981年にした理由を二つ明らかにしている。一つは、他のDC作品と完全に切り離すため。確かに、本作のジョーカーが「あのジョーカー」だとしたら(そこにも解釈の余地は残されているが)、現在進行中の各DC作品とは作品のテイストだけでなく時代的にもまったく辻褄が合わない。ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞した直後には、他のDC作品との関わりだけでなく、本作の続編製作についてもまったく考えていないと念押ししている。つまり、マーベル作品に代表される現在のスーパーヒーロー映画の常套手段である「映画のユニバース化」だけでなく、現在のハリウッド大作の主流である「映画のシリーズ化」までをも完全に否定したところから生み出されたのが、今回の『ジョーカー』なのだ。もう一つの理由は、まさにスコセッシが言うところの「人間の感情や心理的な経験を別の人間に伝える」映画がまだ普通にハリウッドで作られていた、70年代後半から80年代初頭までのアメリカ映画への深い愛着だ。『ハングオーバー!』シリーズ、『デュー・デート』、『ウォー・ドッグス』のようなコメディ作品が並ぶフィリップスのフィルモグラフィーを見渡した時、その無防備なノスタルジーはいささか唐突なものにも思えるが、スーパーヒーロー映画という「口実」でもなければ、現在のハリウッドでこのような映画愛がダダ漏れの作品を実現するのは難しいということだろう。フィリップスは「ジョーカー」のキャラクターの映画化権を獲得するまで、ワーナーとの再三にわたるタフな交渉があったことも明かしているが、報じられている本作の製作費は5,500万ドル(約59億円)。3億ドル(約321億円)以上かかったとされている同じDC作品の『ジャスティス・リーグ』の5分の1以下ではあるものの、この企画が通ったこと自体が現在のハリウッドにおいては「快挙」であり「事件」だった。『ジョーカー』は未来を切り開く存在になるか?2020年以降、マーベル・シネマティック・ユニバースは映画とテレビシリーズの垣根を完全に超えて、ディズニーの新しいストリーミングサービスから新作を次々に発表していく。昨年のアルフォンソ・キュアロン『ROMA』に続く今年のスコセッシ『アイリッシュマン』の成功によって、映画というアートフォームにおいても、ハリウッドからストリーミングサービスへとその主戦場は確実に移行していくだろう。そんな時代に、フィリップスは『ジョーカー』を「あまりにも映画的モチーフが込められすぎた2時間の単独作品」として仕上げ、スーパーヒーロー映画を、ハリウッドを、ヨーロッパの歴史ある映画祭を、ハックしてみせた。『ジョーカー』のクライマックスでは「持たざる者」たちであるゴッサムシティの民衆が蜂起する様子が描かれているが、『ジョーカー』という作品はこれまでのような環境を失いかけている「旧来の映画」の蜂起でもあるのだ。『ジョーカー』自体の発展性はフィリップスやフェニックスをはじめとする本作の主要スタッフによって否定されているが、アカデミー賞も射程に収めたいま、ここから一体どんな火がつくかはわからない。『ジョーカー』が一回限りの暴動として終わるのか、この暴動の後の荒地から他の映画人たちが映画の未来を作っていくのか、固唾を飲んで見守っていきたい。(text:宇野維正)■関連作品:ジョーカー 2019年10月4日より全国にて公開© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved” “TM & © DC Comics”
2019年10月11日●前田敦子は他のメンバーと「全然違う」原作に頼らず、果敢にオリジナリティを追求する「オリジナル映画の担い手たち」。インタビュー連載の第9回は、前田敦子が主演を務める映画『旅のおわり世界のはじまり』(6月14日公開)でメガホンを取った黒沢清監督の真髄に迫る。前田演じるテレビリポーター・葉子は、“幻の怪魚”を探すウズベキスタンロケに臨みながらも夢と現実の狭間で葛藤し、彼女を取り巻くスタッフたちも、予定通りに進まない異国ロケにいらだちを募らせ始める。数々のオリジナル作を手掛けてきた黒沢監督は、どのような思いでこのスタッフ心理を描いていったのか。そこには、「本当の仕事」の矜持と、「オリジナル映画の恐怖」が深く関係していた。○■「テーマ」が先にあることはない――日本とウズベキスタン合作映画のオファーで、プロデューサーからは「物語は自由」と言われたそうですね。具体的な条件は、「ウズベキスタンで撮る」「どこかでナヴォイ劇場を入れてほしい」の2つぐらいでした。とは言っても、ウズベキスタンの文化に深く根ざした物語を考えるのは、とてもじゃないけど時間が足りない。日本で詳しい資料が手に入らなかったので、現地で取材すると何カ月……何年もかかるかもしれない。最初は、「どうしようか……」と悩んだのですが、主人公の設定によってはウズベキスタンの現状とリンクしなくても成立するかもしれないと。そこで思いついたのが、バラエティの旅番組でした。――確かに旅番組は、「現地を知らない人」に伝えることも目的ですよね。これまで、映画祭に招待されて海外のいろいろな国に行ったのですが、その国を深く知らなくても、困ったり、面白い出来事があったりするんですよね。そういう経験もあったので、まずはざっと物語を考えて進めてみよう、となったんです。――特にテーマは考えなかったのでしょうか?これまでの映画もすべてそうなんですが、「テーマ」が先にあることはないです。「テーマ」は徐々に見えてくるもの。原作があってもなくても、それは同じです。具体的な場所があって、そこに人物がいて、物語の流れがある。そこにどのような「テーマ」があるのかは、撮影が終わって分かることもあるんですよ。――今回は、どのあたりで見えてきたんですか?脚本が完成した頃には前田敦子さんで撮れそうだと分かっていて、テーマを言葉ではっきり認識していたわけではないのですが……海外にポツンと立った人、仕事場で自分の義務を果たす以外は関係を持とうとしない人、自分の周りに高い塀を築いた人。そんな人間が、いかに壁を乗り越えていくのか。そこは大きなテーマになるだろうと考えました。徐々に見えてきたことなので、それがいつなのか判断するのは難しいですね。○■脚本で「当て書き」をしないワケ――取材に備えて『Seventh Code』(14年)を改めて観たのですが、監督がおっしゃっている通り、前田さんには特有の孤独感が漂っていました。『Seventh Code』で、「やっぱりこういう役が合っている」と確信しました。僕は、AKB48についてはあまり知らなかったのですが、AKB48関係のいろいろな映像やニュース、歌っているところも含めて見た時、あれだけ多くのメンバーが並んでいる中でも他と全然違う。「面白い存在」というのが彼女の第一印象で、女優を目指していると聞いて、チャンスがあれば一度撮ってみたいと。孤高な存在として撮るのが一番彼女に合っていると何となく思って。本人にこれを伝えると、「私、全然そうじゃないですよ」と言われるんですが、そこにこそ個性があると確信していました。――そのような役者さんが背負っているもの、背景は起用する上で重視されていますか?そうですね。でも、前田さんは一緒に仕事をする前からイメージを持っていたので特殊な例だと思います。多くの場合は、やってみないと分からない。撮影前に出演作を見て、「なんとなくこういうイメージかな」と先入観を抱いて仕事をしてみると、「全然違った」ということは結構多い。またそれも面白いんですけどね。オリジナルであれ、原作であれ、向き合い方は同じ。基本的に俳優との出会いは縁、偶然です。こちらがいくら思っていても、別の人に代わることだってある。イメージしていたキャスティングと異なっても、「これはこれでいいね」と切り替えて撮影していくのが監督の仕事です。――撮影に備えて出演作をご覧になるということは、意識的に先入観を作っていらっしゃるのでしょうか?通常、脚本を書く時に「誰が演じるのか」と意識することはありません。ただ、先程も言った通り今回は特殊で、前田さんをイメージしていました。フラットな状態で脚本を書き上げると、プロデューサーとキャスティングを話し合う中で候補者が絞られていく。出演者が決まると代表作を見返してから、ドキドキしながらその方とお会いします。――オリジナルの場合は、脚本を書いている段階で無意識に俳優や知り合いの人物を思い浮かべてしまいそうな気がしますが……?若い頃は、そんなこともありました。近年は、誰でも、どうとでもなるように書いています。極端なことを言うと、20代でも50代でもいいし、性別が違っても構わないくらい。実際に、「女性の方がいいかもしれない」と男役から変更したこともあります。●監督の狙いを大きく曲げる“ある力”――なぜフラットな状態で書くようにしているんですか?書くことは大したことではないんです。書かないと物事が進まない。映画監督としての本当の仕事は、スタッフとキャストが決まって、撮影する行為。その時に持てる力を全部出したい。脚本はそのスタートラインに過ぎないので、「これがどのような人物になるのか」という“お楽しみ”でもあるんです。脚本で出来上がってしまうと、撮影が面白くないんですよ(笑)。自分が撮る映画の脚本ですから、それでいいんだと思います。脚本だけの仕事の場合はそこに思いや狙いを込めるのでしょうが、僕の思いや狙いはずっと後です。――そういえば、染谷将太さんが、「これが一体どんな映画になるのか、自分をどこに連れていってくれるのか、最初はまるでイメージできませんでした。自分の想像力の限界すら感じてしまったほど……要するにそれは、僕にとってとても面白い台本でした」とおっしゃっていましたが、監督も同じ感覚ですか?染谷くんにそう言っていただけるのは、大変うれしいですね。僕自身、脚本を書いた時点でどんな映画になるのか分からない。どんな映画にするのか、それは僕の監督としての仕事、楽しみでもあります。脚本の時点で、それが分かるわけがないというのが本音ですが、あまりワケが分からないものを書いても仕方がない。人に読ませるものですから、ある程度はどのような物語か分かるように書きますが、どのような映画になるのかは僕自身分かってないんですよね(笑)。――(笑)。その「監督の仕事」が始まる現場が、今回はウズベキスタンでした。予め押さえていた場所が、突然撮影NGになったりしたそうですが、いよいよ勝負という時に相当なストレス、負担になるだろうなと今お話を聞いて感じます。まぁ、経験ですね。慣れちゃいました(笑)。前日にNGになったこともあって、「さて、どうしようか」と大変緊張する瞬間でもあるんですが、実は映画作りにおいての良い面でもあって。映画作りは、僕一人でやっているわけじゃない。みんなでやっているものです。「困っていること」はみんな同じなので、「こっちはどうですか?」とかみんなもいろいろ考えてくれるわけです。だから、代わりの場所も自然と見つかる。それが、最初に予定していたところよりも良かったりするんです。――まさに劇中の番組クルーとも重なりますね。そうですね。映画作りも同じで、それが面白いところでもあるんです。――ディレクター役を演じた染谷さんは、監督をイメージして演じたそうですね。自分をそこまで反映させたつもりはないんですが、自分以外のディレクターが何をやっているのか、あまり知らないので(笑)。○■オリジナル脚本で直面する恐怖――監督は、不測の事態に直面しても動じない方だとも聞きました。経験を積んで、次第にそうなっていったんですか?もちろん、経験によるところは大きいと思います。でも、動じていますよ(笑)。結果的にうまく解決されている……といいますか。そうやって何となく、うまくいくもんなんですよね。急遽変更があっても、あとで見返した時に「これはえらくいいじゃないか!」と盛り上がることもあるので(笑)。それを経験すると、どんなことがあってもわりと気楽でいられます。――前田敦子さんは、監督からの指示が「こうしてください」ではなく、「ここは必要ないです」だったことがすごくありがたかったそうです。脚本と同様に、演出もあまり決め込まずに進めていらっしゃるんですか?他の監督は、そんなに細かく言ってるのかなぁ(笑)。でも、全然言わない人もいると聞きますし、自分では平均的だろうと思っています。前田さんのように、どのシーンでも全力を出してくれる俳優さんであれば、「マイナス」していくことで十分成立します。もちろん、すぐに最高の力を出せない方であれば、「プラス」でお伝えすることもあります。――そこは役者さん次第なんですね。さてそろそろお時間です。監督の仕事において、オリジナル映画はどのような位置付けでしょうか?原作映画であろうが、オリジナル映画であろうが、誰かが書いた脚本の映画であろうが、究極的には同じであると考えています。ただ、映画はいろいろな人の力が加わってできているもの。監督の立場では、いろいろな人の才能をうまく使って進めていくのが理想です。現場のスタッフや俳優は最大の力になりますが、時として撮影現場に関係のない“ある力”が働くことがあって、それが監督の狙いを大きく曲げてしまうことがあるんです。これは時にですが、原作者の強い意思が現場で働く場合がある。原作をうまく消化して、ほとんどオリジナルのような気持ちで撮影現場に臨めればいいのですが、その強い意思がマズイ方向に作用する場合があるんですよね。余計な力が働かないという点では、オリジナルの方が整理しやすいと思います。ただ、脚本を完成させる作業でいうと、オリジナルは理想ですが結構リスキーなんですよ。――リスキーといいますと?ちょっとした障害、例えば一言のセリフが思い浮かばないとか、そういう事態に直面した場合は、すべてがゼロになってしまう可能性がある。原作だと、一度は原作に戻って考える拠り所がありますから。オリジナル脚本の場合は、「間違っていたのかもしれない……」とゼロになってしまう恐怖があります。先程も言いましたが、脚本が完成した後が僕の本当の仕事。セリフの1つぐらい、大したことではないんですよ。現場で変えてしまってもいいんですけど、脚本で詰まって進まなくなるということはよくあるんですよね。オリジナルで書いていると、なかなか人任せ、おおらかになれません(笑)。■プロフィール黒沢清1955年生まれ、兵庫県出身。1983年、『神田川淫乱戦争』で商業映画デビュー。『CURE』(97)で世界的な注目を集め、『回路』(00)では、第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。以降も、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『アカルイミライ』(02)、第64回ヴェネチア国際映画祭に正式出品された『叫』(06)など国内外から高い評価を受ける。また、『トウキョウソナタ』(08)では、第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞と第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞。近年の作品に、第8回ローマ映画祭最優秀監督賞を受賞した『Seventh Code』(14)、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞した『岸辺の旅』(15)、『クリーピー 偽りの隣人』(16)、フランス・ベルギー・日本の合作映画の『ダゲレオタイプの女』(16)、『散歩する侵略者』(17)、ドラマ『予兆 散歩する侵略者』(17/WOWOW)などがある。
2019年06月27日異なる分野で活躍する2人の“達人”がそれぞれの「仕事の極意」について語り合う「SWITCHインタビュー達人達(たち)」。6月1日(土)放送回は映画プロデューサーで小説家の川村元気と作家・エッセイストの阿川佐和子が語り合う。2005年、映画『電車男』を企画・プロデュースし大ヒットを記録。その後『デトロイト・メタル・シティ』『告白』『悪人』『モテキ』など次々とヒット作を世に送り出し、2016年には劇場アニメ『君の名は。』をプロデュースして250億円を超える興行収入を記録するなど、映画プロデューサーとして大きな業績を上げる一方、作家としても「世界から猫が消えたなら」「億男」などを発表。また劇場版『ドラえもん のび太の宝島』の脚本も手掛けた川村さん。慶應義塾大学を卒業後、リポーターなどを経て「筑紫哲也 NEWS23」「報道特集」などでキャスターを経験。報道畑で活躍する一方、「ビートたけしのTVタックル」の進行を担当したのをきっかけにそのキャラクター性にもスポットが当たり、近年はエッセイストとして、「とと姉ちゃん」「陸王」などでは女優として活動と、多面的な顔もみせる阿川さん。今回は順風にキャリアを重ねる一方「実はいつも苦しい」という川村さんが、多忙にも関わらず楽しく日々を過ごすという阿川さんに、秘けつを尋ねようと収録に臨む。しかしトークは“聞き名人”として知られる阿川さんのペースになり、川村さんは自分の恋の苦い体験まで話してしまう。さらに話題は川村さんが発表した小説から介護の話に。介護は自分の記憶を取り戻す作業だという川村さん、母親の介護に前向きに取り組んでいるという阿川さん、2人が出した結論とは!?日本映画史に残る大ヒットとなった『君の名は。』から3年、川村さんが新海誠監督と再びタッグを組んで送る劇場アニメ『天気の子』が7月19日(金)より全国東宝系にて公開。東京にやってきた家出少年の帆高と不思議な力を持つ少女・陽菜。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を“選択”する物語となる同作。森嶋帆高役を2.5次元舞台で人気の醍醐虎汰朗が、天野陽菜役を「3年A組-今から皆さんは、人質です-」などの森七菜が担当、小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴らも声優として参加する。ヒットメーカーとして活躍中の川村さんと「聞き名人」としてテレビに雑誌にと大活躍の阿川さんの2人が仕事術について本音で語り合う「SWITCHインタビュー達人達(たち)」は6月1日(土)22時~NHK Eテレで放送。(笠緒)
2019年06月01日8月4日公開の映画『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーen film』で、ルパンレッド/夜野魁利役を演じる伊藤あさひさん、パトレン1号/朝加圭一郎役を演じる結木滉星さんにインタビュー。映画の見どころや子どもの頃のヒーロー、そして現在のお母様との関係性まで、自他共に認める“仲良し2人組”にたっぷりと語っていただきました。■マイナスイオンを浴びながら撮影した名シーンに注目!?――映画公開を控えて、今の心境はいかがですか?伊藤あさひ(以下、伊藤):魁利と圭一郎が腹を割って語り合うシーンがあって、そこはお互い一番力を入れた部分です。だから、どんな風に仕上がっているのか楽しみです。結木滉星(以下、結木):テレビ版では快盗姿の魁利と向き合う場面がないので、新鮮な気持ちになりました。いい意味で現場の雰囲気にものまれて、すごく良いシーンになったんじゃないかと思います。伊藤:現場は本当に空気のきれいな川辺で、マイナスイオンを感じながら本心を暴露しあうような感じでした。僕らの間にあった焚き火も心にしみるようで、グッとくるものがありましたね。――テレビ版と映画版の大きな違いについて教えてください。伊藤:やっぱり共闘かな。僕らレッドだけでなく他の4人が協力しているところも、映画ならではの物語になっていますね。結木:あとは、ルパンレンジャーとパトレンジャーが6人揃って変身するシーンは、おそらく今後のTV版でもなかなかないんじゃないかと思うので、見どころだと思います。――アクションシーンも大変だったと聞いています。結木さんは製作発表会見で「半分殺されかけた」とおっしゃっていましたが(笑)。結木:あれはもちろん盛ったんですけど(笑)。火薬が近距離で爆破するシーンを撮ったんです。ふだんはCGだったりもするんですが、今回は「パンパンッ」と火花が出て気分はノリましたが、テストがなく一発本番撮りだったこともあって、ちょっと怖かったですね。■子どもたちの“ヒーロー”でいるために――伊藤さんは番組開始当初のインタビューで、子どもたちに話しかけられてもうまく返せない…とおっしゃっていましたが、最近はいかがですか?伊藤:いまは、子どもたちが「魁利」と呼んでくれるのがすごくうれしいです。自分もその波に乗って、ヒーローっぽくできるようにはなってきたのかなとは思います。酔いしれていますね(笑)。――子どもから話しかけられたとき、意識していることは?伊藤:ヒーローは子どもにとっては憧れの存在なので、親しみやすい感じで「いつもありがとう」と言うのではなくて、「良い子にするんだぞ」といった感じで返すようにしています。これはヒーロー役に決まったころからそうしたいとは思っていて、最近はそれが自然と言えるようになってきました。――なるほど。今回は初のWレッドということですが、ルパンとパトレンで差別化をはかるために心がけていることはありますか?伊藤:もともと設定も真逆ですし、それぞれの役にどっぷりと浸かっていけば、差別化が進んでおもしろくなっていくと思っています。相手というよりは、自分の役をどう高めていけるかが大事なんじゃないかなと。結木:本当にその通りです。わかりやすく言うと、ルパンレッドは“イマドキ”っぽくて、パトレン1号は“昭和の男”くさい感じ。自分たちがやるべきことを追求していけば、自然と差別化できると思っていたので、大きな心配はしていなかったですね。――プライベートでは、魁利と圭一郎のどちらのタイプに近いですか?伊藤:魁利だと思います。僕はそんなにアツくはないんで(笑)。結木:僕も魁利かな。プライベートはそんなにキッチリしてるタイプじゃないし。伊藤:というか、圭一郎が特殊なんだよね(笑)結木:うん。プライベートで圭一郎みたいなタイプの人って、なかなかいないと思います(笑)。■究極のめんどくさがり屋!? 伊藤&結木の素顔に迫る――物語には“ルパンコレクション”が登場しますが、小さな頃から大切にしてきた宝物はありますか?伊藤:結構“新しいモノ好き”なので、大事なものが変わるんですよね。小さい頃からずっと大切にしているモノって…ないかなぁ。結木:わかる。飽きやすいんですよ、僕も(笑)。――(笑)。今回“ルパパト”の設定の新しさは、お2人にぴったりですね。結木:たしかに!伊藤:うれしいですね。――ルパンレンジャーは“大切な人”のために快盗になったわけですが、お2人が大切にしているものはありますか?伊藤:何ですかね…スマホ?結木:まさかのソレなの? そこは「家族」とかじゃないの!?――圭一郎的な模範解答ですね(笑)。伊藤さんは、スマホを片時も手離せない?伊藤:スマホがないと、困ります(笑)。ゲームで“ランキング”とかが、あるとアツくなっちゃうタイプなんです。でも結木くんは、「ゲーム好きじゃない」とか言って、他人のスマホではめっちゃゲームやるんですよ。自分のスマホではやらないのに!――結木さんがご自身のスマホでゲームをやらないのは、ハマりそうだからですか?結木:いや、単純にダウンロードするのがめんどくさいからです。僕、究極のめんどくさがり屋なんですよ(笑)。■“検索”に“ツンデレ”…お母様とのエピソードを告白!――子どもの頃に好きだったヒーローを覚えていますか?伊藤:僕は当時グアムに住んでいたこともあって、『スパイダーマン』とかアメコミ系のヒーローが好きでした。もちろん日本の戦隊モノも好きで、世代で言えば『特捜戦隊デカレンジャー』です。――警察がモチーフのヒーローですね。まさかご自身が警察と戦うことになるとは…。伊藤:本当に! 複雑ですね(笑)。結木:僕は『仮面ライダークウガ』が好きで、ベルトもフィギュアも持っていました。クウガっていろんな色があるので、人形を全部そろえて戦わせたりして遊んでいましたね。――お母さまにとっては、そんな息子さんがヒーローを演じるのは感慨深いことだと思います。結木:僕がヒーロー好きだったことを知っているからこそ、出演が決まったときにはすごく喜んでくれました。報告したら「本当に!?」とびっくりしていましたけど(笑)。それから「おめでとう」と言ってくれたのが、うれしかったですね。伊藤:僕はそんなに親に干渉されないタイプなのですが、忙しくなるので体調面の心配の方が大きかったみたいです。最近は、僕より先に作品も観ているし、僕が出ている雑誌とかは言わずともチェックしていて…うちの親はツンデレなのかもしれません(笑)。結木:うちも連絡はしてこないですけど、僕の名前で検索はしているらしく…。家に帰ったときに「今日は、話題のキーワード第何位だったよ」とか言われます(笑)。――お2人とも、親子仲の良さが伺えてステキです! それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。結木:僕は小さな頃、本当にヒーローになるのが夢だったので、子どもたちには「夢は叶うものだよ!」と伝えたいですね。お母さんたちは育児でお疲れもあると思いますが、大人でも楽しめる映画やドラマになっているので、お子さんと一緒に癒されたり、楽しんだりする時間を過ごしていただけたらうれしいです。伊藤:出演している自分が言うのもなんですが…みんなで一生懸命やっています! 作品を通して僕らの成長も見られると思うので、お母さんたちはそんなところも温かく見守っていただけたらと思います。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーen film』8月4日(土)ロードショー公式サイト:
2018年08月03日異なる分野で活躍する2人の“達人”がそれぞれの「仕事の極意」について語り合う「SWITCHインタビュー達人達(たち)」。その7月21日(土)放送回に俳優の池松壮亮が出演。池松さんはフランスの映画監督、フランソワ・オゾンと対談する。本番組は単なる対談番組ではなく、番組の前半と後半でゲストとインタビュアーを“スイッチ”して語り合うクロス×インタビューが魅力。2003年、ハリウッド映画『ラスト サムライ』で映画初出演を飾り、2005年公開の映画『鉄人28号』では主人公・金田正太郎役に抜擢、映画初主演を果たした池松さん。その後、『愛の渦』『ぼくたちの家族』『紙の月』などで数々の映画賞を受賞、TVドラマから映画と広がった「MOZU」シリーズや『セトウツミ』『デスノート Light up the NEW world』、そして先日公開の『万引き家族』まで、幅広く活躍する俳優へと成長した。そんな“いま、気になる”俳優の池松さんが対談するお相手は、カトリーヌ・ドヌーヴやイザベル・ユペールらフランスの名女優が集結した『8人の女たち』や、新星マリーヌ・ヴァクト主演で話題を呼んだ『17歳』、妻の死をきっかけに自らの心が女性であると気づいていく主人公を描いた『彼は秘密の女ともだち』などで知られ、先日「フランス映画祭2018」のために来日した映画監督のフランソワ・オゾン。女性の繊細な心理描写に定評のあるオゾン監督に、池松さんが演出について尋ねると「身体はうそをつけない、だから私は俳優の身体に真実を語らせる」と話す。一方の池松さんも演技が「うそ」にならないよう心がけていることなどを語り、カメラの前で俳優はいかに振る舞うべきか、監督は何をすべきか、そしてフランス映画、日本映画の将来まで、2人が互いの人生から映画監督と俳優のあり方までを熱く語り合う。池松さんが主演した『君が君で君だ』は現在公開中。好きな女の子のために池松さんが「尾崎豊」、満島真之介が「ブラピ」、大倉孝二が「坂本龍馬」になりきるという衝撃の完全オリジナルラブストーリーとなり、韓国の実力派女優キム・コッピ、高杉真宙、向井理、YOUらも共演する。オゾン監督の最新作『2重螺旋の恋人』は8月4日(土)より全国にて公開。「SWITCHインタビュー達人達(たち)」は7月21日(土)22時~NHK総合で放送。(笠緒)
2018年07月21日12月23日(土)今夜放送される「SWITCHインタビュー達人達(たち)」は、数々のアイドル曲をプロデュースしてきた「ヒャダイン」と歌舞伎からドラマ、映画まで多面的に活躍する片岡愛之助がゲスト。エンタメの“原点”に意気投合した2人のクロストークが展開する。本番組は異なる分野で活躍する2人の“達人”によるクロスインタビュー形式の対談番組。番組の前半と後半でゲストとインタビュアーが“スイッチ”、各々の「仕事の極意」を語り合うことで“発見”し合う独自のスタイルが魅力になっている。今回のゲストの1人、ヒャダインさんは京都大学を卒業後、2007年から本格的な音楽活動を開始。動画投稿サイトへの投稿が話題を呼ぶ一方、本名の前山田健一としてもアーティストに提供した楽曲がヒット。「ももいろクローバー」の「行くぜっ!怪盗少女」をはじめ「AKB48」などアイドルから「SMAP」「ゆず」「郷ひろみ」などのビッグアーティストまで幅広く楽曲提供。数多くのヒットを生み出している。一方の愛之助さんは1981年12月に十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり南座「勧進帳」の太刀持で片岡千代丸を名のり初舞台を踏むと、1992年1月には片岡秀太郎の養子となり六代目・片岡愛之助を襲名。2008年12月には三代目・楳茂都扇性(うめもとせんしょう)を襲名して上方舞楳茂都流四代目家元を継承。歌舞伎だけでなく「半沢直樹」や大河ドラマ「真田丸」などのドラマ、「仮面ライダー鎧武」での仮面ライダーマルスまで多方面で活躍中だ。今回はこの2人がお互いの“極意”に迫るトークを展開。番組前半は兵庫県にある明治時代からの芝居小屋で、ヒャダインさんが客席の間近で繰り広げられる愛之助さんの熱演に感動。デジタル技術に頼らないエンターテインメントの可能性に触れると、愛之助さんも「芝居の原点に帰ることに、逆に可能性を感じる」と答え、大阪で育った愛之助さんが上方歌舞伎を受け継ぐことへの熱い思いを語る。後半ではヒャダインさんのレコーディングスタジオを愛之助さんが訪問し、レコーディングに飛び入り参加。アーティストの魅力を引き出すヒャダインさんのプロデュース術を探るなかで、何よりも音楽を聴くリスナーを大事にしたいというヒャダインさんに愛之助さんも意気投合していく。2018年1月1日の19時20分~からNHK総合で放送される、三谷幸喜演出による正月時代劇「風雲児たち~蘭学革命篇~」で前野良沢を演じて主演を務め、さらに「壽 初春大歌舞伎~松本白 鸚 松本幸四郎 市川染五郎 襲名披露公演」にも出演するなど来年も新春から精力的に活動する愛之助さんがヒャダインさんとの対談で感じたものとは!?「SWITCHインタビュー達人達(たち)」は12月23日(土)22時~NHK Eテレで放送。(笠緒)
2017年12月23日9月9日(土)今夜放送の「SWITCHインタビュー達人達(たち)」はこの夏大ヒットした映画『メアリと魔女の花』の監督、米林宏昌と国内外のコンクールで数々の優勝歴を誇るパティシエの辻口博啓が登場。同郷でもある2人がその「仕事術」について語り合う。異なる分野で活躍する2人の“達人”がクロスインタビュー形式で対談する本番組。番組の前半と後半でゲストとインタビュアーが“スイッチ”してそれぞれの「仕事の極意」を語り合う独自のスタイルが視聴者に新しい感動をよんでいる。同じ石川県の出身であり、大学在学中にアニメの楽しさに目覚めスタジオジブリに入社した米林さんと、実家が和菓子店ながら小学3年生のときに友達の誕生日会でショートケーキと出会ったことからパティシエの道を進むことになった辻口さん。米林さんは2014年に退社するまでスタジオジブリで宮崎駿監督のもとでアニメーターとして『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』『ゲド戦記』などの作品に携わった。その後2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』で長編初監督。2014年には第2作となる『思い出のマーニー』を監督し第88回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされるなど、次世代のアニメーション監督としても脚光を浴びるようになり2015年、スタジオポノックを設立。今年長編第3作となる『メアリと魔女の花』を世に送り出した。そんな米林さんが会いたいと熱望したのが国内外のコンクールで数々の優勝歴を誇るパティシエの辻口さんだ。東京・自由が丘のモンサンクレールのほかコンセプトが異なる13ブランドを展開。海外店舗「モンサンクレール ソウル」もオープンさせたほか連続テレビ小説「まれ」では製菓指導を務めた。番組の前半ではそんな辻口さんが生まれ故郷・石川県の七尾市に開いたスイーツのミュージアムを舞台に、辛酸をなめながらも、素材にこだわり見た目も楽しいスイーツで現在の成功を勝ち取るまでの辻口さんの人生を米林さんがひもとく。後半では辻口さんが米林さんのスタジオを訪ねて、美しいアニメを生みだす繊細な動きへのこだわりから、若手を育てる難しさまでその「仕事術」に迫る。「SWITCHインタビュー達人達(たち)」は9月9日(土)22時~NHK Eテレで放送。(笠緒)■関連作品:メアリと魔女の花 2017年7月8日より全国東宝系にて公開(C) 2017「メアリと魔女の花」製作委員会
2017年09月09日異なる分野で活躍する2人の“達人”がクロスインタビュー形式で対談する「SWITCHインタビュー達人達(たち)」の8月19日(土)放送回に、数々の映画美術を手がける美術監督・種田陽平と人気アーティストの振付で知られる演出振付家・MIKIKOが登場する。大学在学中より映画美術の道に進み、『スワロウテイル』『不夜城』、クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル Vol.1』などで世界的に高い評価を受けた種田さん。米林宏昌監督の『思い出のマーニー』などアニメーション作品から「Perfume」の「Cling Cling」などMVまで活躍の場は幅広く、最近では9月に公開される是枝裕和監督がメガホンをとった『三度目の殺人』の美術も手がけている。一方、モダンバレエやストリートダンスなど幅広い経験をもとに広島でダンスの先生として活動、NY留学を経て「Perfume」や「BABYMETAL」などの振り付け・ライブ演出を手がけるようになり、昨年は社会現象にもなった「恋ダンス」を生み出すなどそのセンスとパフォーマンスが高く評価されたMIKIKOさん。主宰するダンスカンパニー「ELEVENPLAY」での活動も世界から注目を集め、PV、CM、舞台、広告など多分野にわたる仕事をこなしている。今回「Perfume」のミュージックビデオでMIKIKOさんと共に仕事をしたことがあるという種田さんが、「全くやっている方向性が異なる」ゆえに興味があるということでMIKIKOさんのスタジオ訪ねて、歌詞を手の動きで表現するなど彼女の作る独特の振り付けについて話を聞く。番組後半、今度はMIKIKOさんが映画スタジオに種田さんを訪ね、是枝裕和監督の『三度目の殺人』のセットなど、細部のリアリティーを追求しながらときに大胆なデフォルメを加える種田美術の秘密に迫っていく。種田さんが美術を手がけた『三度目の殺人』は9月9日(土)より全国にて公開。死刑がほぼ確実となった殺人犯の弁護を引き受けることになった弁護士が、事件の調査を進めるうちに違和感を感じ、やがて犯人と被害者の娘の接点が明らかになり、新たな事実が浮かび上がる──という物語。勝利にこだわる弁護士・重盛を福山雅治が演じて主演、重盛に対峙する殺人犯・三隅を役所広司が、物語の鍵を握る少女で被害者の娘役を広瀬すずがそれぞれ演じる。種田さんとMIKIKOさんが独自の世界観を生み出す極意を語り合う「SWITCHインタビュー達人達(たち)」は8月19日(土)22時~NHK Eテレで放送。(笠緒)
2017年08月19日異なる分野で活躍する2人の“達人”によるクロスインタビュー型対談番組「SWITCHインタビュー達人達(たち)」。その7月1日(土)今夜放送回は、“インスタの女王”として絶大な人気のお笑い芸人・渡辺直美と俳優のムロツヨシの対談をお送りする。ビヨンセのものまねでブレイクを果たした渡辺さん、最近では自身のInstagramがフォロワー数550万人超え。昨年末行なわれたインスタグラム上で最も「いいね!」された投稿を発表する「#MVI (Most Valued Instagrammer in Japan)」2016授賞式でゲスト登壇するほど圧倒的な人気を誇っている渡辺さん。ファッションブランドのプロデュースなどその才能をいかんなく発揮し、多くの支持を集めている。そんな渡辺さんが今回「ぜひトークをしたい」と熱望したのは独特の演技が魅力的なムロさん。ムロさんは大学時代に見た芝居の魅力にハマり、舞台を中心に俳優活動を続け、2005年公開の『サマータイムマシン・ブルース』から映像作品にも進出。その後は「勇者ヨシヒコ」シリーズや『ヒメアノ~ル』『疾風ロンド』、「スーパーサラリーマン左江内氏」などに出演している。最近では福田雄一監督が手掛ける『銀魂』にも登場。小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、岡田将生、堂本剛といったキャストの中でその個性をいかんなく発揮している。かつてドラマで共演経験があるという2人だが、それ以来渡辺さんはムロさんの「笑い」へのアプローチ方法に興味を抱いてきたという。番組の前半はムロさんがひとり芝居を行った能楽堂を渡辺さんが訪ね「演技を通して笑わせる」ことに賭けるムロさんの情熱の源を解き明かすほか、後半では渡辺さんがパフォーマンスの練習をする芸能事務所のダンスルームをムロさんが訪ねて、実際にダンスパフォーマンスを鑑賞。多彩な活動を続ける渡辺の“笑い”への思いを聞く。海外でも人気の渡辺さんと個性派俳優のムロさんを迎える「SWITCHインタビュー達人達(たち)」は7月1日(土)22時~NHK Eテレで放送。(笠緒)
2017年07月01日おませで陽気な5歳児・野原しんのすけが活躍する国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』。1990年に漫画連載がスタートし、1992年にアニメ化。その翌年から劇場版が毎年公開され、記念すべき25作品目『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』が4月15日にロードショー!今回は、本作で監督・脚本を務めた橋本昌和さんにインタビュー。『クレヨンしんちゃん』ならではの作品作りの過程から、意外と(!?)深いストーリーの背景まで、じっくりとお話を伺いました!■前作のヒットは関係なし!常に新しさを求める作品作り――『映画 クレヨンしんちゃん』は、今作で25周年。長い歴史がありますが、橋本監督が作品に携わった経緯を教えてください。「僕がクレヨンしんちゃん作品に関わったのは、2008年の『ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者』から。本郷みつる監督に『絵コンテやらない?』と声をかけていただいたんです。本郷さんとはよく一緒にお仕事をしていたので、どんなテイストで作品を作っているのかよくわかっていたこともあって、作品には入りやすかったですね。その後、『嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』(2011年)などを手伝った後、『バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』(2013年)で初めて監督をやりました」――お客さんとして観ていた作品に関わるというのはどんな気持ちですか?「不思議な感じがします(笑)。普通に観ていた作品なので、今度は僕が作り手になるんだって。オリジナルを立ち上げるのとは違う、特別な感じがありますよね。しんのすけのキャラクターは一本通っているものがあるけど、作品としてはバラバラ。“去年ウケたから、また同じことをやろう”ではなくて、“去年ウケたけど、今年は違うことをやろう”って。ヒットしてもしなくても、新しいことをやる。むしろ、今までやってないことをどれだけやれるかっていう現場なんですよね。似たような作品が続くことがないので、25年やってきても古い感じがしない。それは、変わらない部分がありつつ、時代に合わせて変わっていっているからというのもありますね。初期の作品を観ると、今まで気付かなかった新しさがある。もちろん作品としての決まり事はあるけれど、監督をやる時にも『こういう作品なので、引き継いでください』というのは、まったく言われませんでした」■しんのすけが言うからこそ、心に響く名言の数々――しんのすけは25年間5歳のままですが、キャラクターとして変わってきたところはありますか?「(しんのすけ役の)矢島晶子さんは、昔に比べて今のほうが早口になっているとおっしゃっていました。昔より時代のテンポが早くなっていたり、情報量が増えていたりっていうのもあるかな。お客さんからはあまり変わっていないように見えて、台詞もニュアンスが変わってきているはずです。そうでないと、違和感が出てきているんじゃないかと思いますね」――橋本監督から見て、変わらないところはどこですか?「やっぱり、しんのすけのキャラクターですね。斜に構えたというか、ものすごく受け身なんです。事件が起きても、別に解決しなくていいじゃんって。それが主人公だっていう特殊さがありますよね。主人公が成長しないのが大前提みたいな(笑)。しんのすけのキャラクター性作品を作る上で大きな軸になっているし、それさえ守れば毎回まったく違うことをやっても、しんちゃん作品になるんです」――しんちゃんには、名言が多いとも言われていますね。「そうですね。常に平常心だから、たとえば『オレは正義だ!』みたいなヤツが出てきても、『本当にそうなの?』って冷静に言える。常に等身大の目線を忘れないので、怪しい人が出てきても『それはおかしくない?』って、自然に言えるキャラクターなんです」――しんちゃんが言うからこそ、響く部分がある気もします。「しんのすけは特別なヒーローじゃなくて、どちらかと言うと我々側の人。5歳、いわゆる子どもとっいう身近なポジションにいるから、観ている人も、自分たちが頑張っているっていう気持ちになれるのかなと思います」――大人にしか、絶対わからないような台詞やギャグもありますよね?(笑)「そうですね(笑)。もともと原作が青年誌というところがあるので、大人向けのギャグも多い。そのテイストと子どもに向けの部分をうまくミックスしていると思います。絶対子どもにはわからないギャグが入っていても、作り手に『子どもにはわからないからやめましょう』って言う人はいないんですよ。むしろ、みんな自分がおもしろいと思うものを入れたがる(笑)。もちろん子どもを意識しているので大人向けの作品にはならないけれど、子ども子どもした作品にはしていません」――それって、クレヨンしんちゃん特有のことかもしれませんね。「バカバカしい部分とまじめな部分をごっちゃにして作ることが許されているというのがおもしろいですよね。ケツを出すみたいなギャグと、現代社会の風潮とかを同時に入れることに誰も違和感を持ってないっていう(笑)。観る方も、“しんちゃんだし、そういうものかな”と思うし、作る方も、『今回のテーマは…』というまじめな部分と、『ここでお尻を出しましょう』というギャグの部分を同じレベルで話しているので(笑)」――(笑)。では、しんちゃんの映画だからこそ難しいところはありますか?「一番難しいのは、しんのすけのキャラクターを動かすこと。セオリー通りに動かないですからね。いつも平常心で、感情的に『よし、行くぜ!』と盛り上がっていく感じがないので、どうしたら最終的にしんちゃんになるんだろう…という難しさがあります。あとはテレビシリーズが続いている中で映画をやっているので、たとえば“みさえとひろしが離婚しました”というエンディングにはできない。映画としては変化があるほうが作りやすいけれど、日常から始まって日常に戻らなくてはいけないんです。さらに、そこにしんのすけという変わらないキャラクターがいる。なので、どう変化をつけて、ドラマを盛り上げていくかということを毎回悩みますね」■ “逃げ出してもいいんだよ”…映画を通して伝えたいメッセージ――『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』では、なぜこのテーマを選んだのですか?「宇宙人との関わりの中で、野原家の寛容さが出るといいなというのがありました。自分たちとは全然違う生物が来たときに、『まぁ、いっか』と受け入れちゃう心の広さを出したいな、と。最近の排他的な世の中に対して、野原家は全然違うんだという魅力を伝えたかったんです」――目的地にたどり着くまでにも、野原家らしい行動がたくさんありますね。「基本的に、まっすぐ目的地に向かう人たちじゃないんですよね(笑)。お風呂なんて入らなくても良いし、お弁当も食べている場合じゃないんだけど、日常の中ではとても大切なこと。目的地にまっすぐ進んで事件が解決するのではなくて、無駄に思えることの積み重ねが、最後に起こる事件を解決する糸口になったらいいなと」――なるほど。シリリのお父さんも謎が多いですよね。悪人ではないのかな?とは思うのですが…。「『世界を支配してやる』という、いわゆる悪人ではないんですよね。完全に悪人であれば倒せば良いだけの話ですが、そんなにわかりやすい悪って日常生活にはあまりいなくて。一般的には良い人だと思われているけど、自分にとっては苦しい存在という見えにくい悪のほうが、実際には多いんです。そういう人に対して、時には逃げ出してもいいし、距離を取らなきゃいけない時には離れたほうがいいんだと、リアル過ぎずに描きたかった。だからシリリの父は“映画的な悪人”ではなくて、“日常の中によくいる悪”みたいなものに寄せたいなというのがありました」――逃げ出してもいいという感覚は、今作を作る上で考えたことですか?「そうですね。野原家って、すごく良い家族じゃないですか。でも現実的には家族で悩んでいる人もいる。だから、そういう人にとって“家族って最高!”ということだけでは辛いだろうなって。家族の問題は、身近だからこそ回避できない重さみたいなものがあるんですよね。野原家は、みんな意外と自分勝手。しんのすけは自分の行きたいところに行っちゃうし、ひろしは家族を守るとていう責任感はあるけど、キレイな女性に会うと鼻の下を伸ばしちゃう。でも、お互いに個性を認め合って信頼しているという距離感が、野原家の良さだと思うんです。逆にシリリは、“お父さんの言うことを守るのがいい家族だ”という縛りのキツいちょっと古い日本の家族という気がします。野原家の良さがそれで引き立つということもあるし、悩んでいる人には、そこから離れてもいいんだよと伝えられたらと思っています」――では、橋本監督が今後のクレヨンしんちゃんに望むことはありますか?「今後、僕がしんちゃん作品にどう関わるかというのはまだわからないことなので一ファンとしてですが…この後もずっと続いてほしいです。大袈裟にいうと、また25年後が観てみたい。これから先も、しんちゃんの映画を見返せば“あの時代はこうだったな”とか、世の中の変化が見えてくることもあると思うし、これからも守りに入らないで時代に合わせて好き勝手やっていってほしいですね。どんどん変わっていくことが、おもしろさでもあると思うので」――最後に、パパ・ママ・子どもたちへのメッセージをお願いします。 「しんちゃん作品の良いところは、親世代と子ども世代が楽しめる部分がひとつになっていること。とくに今回は親子の会話に繋がる題材だと思いますし、親子で笑うところが違うので、情報のやりとりみたいなこともしてもらえたら嬉しいですね。あとは、単純に笑ってほしいという気持ちもあります。最近くだらない映画ってあまりないんですよね。バカバカしいことができる作品は、作り手としても貴重なもの。僕はバカバカしいのが好きなので、ただただ楽しんでもらえればいいなと。作品を観て笑ってもらえれば、基本的にはそれで十分だと思っています!」「映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ」4月15日(土)全国東宝系公開■原作:臼井儀人(らくだ社)■監督・脚本:橋本昌和 ■製作:シンエイ動画・テレビ朝日・ADK・双葉社■声の出演:矢島晶子 他公式HP: 文/nakamura omame
2017年04月14日小栗旬が主演を務める映画『ミュージアム』が今週末から公開される前に、小栗のインタビューと劇中のキャラクターに迫った約9分間の特別映像が公開になった。映画館に行く前に観ると、作品をより深く、多角的に楽しめる映像になっている。公開された特別映像本作は、巴亮介の人気コミックを『るろうに剣心』の大友啓史が監督を務めて実写化したもの。小栗をはじめ、尾野真千子、野村周平、丸山智己、伊武雅刀、田畑智子、市川実日子、大森南朋らが出演する。特別映像は、主演の小栗のインタビューを中心に、物語の概要や劇中に登場するキャラクターを紹介するもの。冒頭で小栗が「かなり衝撃的な作品が出来上がったと思います」と語る通り、本作は観客が息をのむ展開が次々に登場する。そもそも起こりは、雨の日に次々と起こる連続猟奇殺人。それらは犯行相手を徹底的に調べ上げ、準備を重ね、その結果を他人に“見せる”ことを目的とした事件で、刑事の沢村は現場に残された手がかりや目撃証言を集める中で、カエルのマスクをかぶった男の存在にたどりつく。通常であれば、この後、刑事が様々な証拠を集めて犯人を追いつめるが、本作では“カエル男”の周到な計画によって沢村が想像もしていなかった事態が次々に起こり、刑事である彼が“追いつめられる”立場になる。さらに大友監督は緻密に描かれた原作コミックを基にしながら、さらに設定やドラマを膨らませることで“目に見える”猟奇シーンではなく、“目に見えない”キャラクターの過去や内面が生み出す恐怖を描き出していく。特別映像にはメイキング映像も収録。本作は、沢村刑事の同僚の刑事たちや、事件を偶然に発見する人々、沢村が捜査の過程で聞き込みをする相手までが徹底的に描きこまれるなど、細部までこだわりぬいたキャスティングと撮影が行われており、特別映像でも重厚な世界観の一端を垣間見ることができる。『ミュージアム』11月12日(土) 全国ロードショー
2016年11月10日「シリーズの大ファンです!」「あなたの作品が私の人生を変えました!」。今日もどこかの映画のオーディション会場では、役を熱望する俳優たちが製作者たちにこう訴えているかもしれない。この場合、製作者たちは発言の真偽を見抜かなくてはならないだろうが、いまをときめくオスカー女優が目をキラキラさせながら冒頭の言葉を放ったとしたら、それは紛れもなく真実だ。『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞に輝き、旬のスターとなったアリシア・ヴィキャンデルにとって、『ボーン・アイデンティティー』に始まる“ボーン3部作”は過去の思い出にトリップさせてくれるものでもあるという。まだアリシアがオスカー像を手にする前、ロンドンのアパートで女の子3人とルームシェアをしていた頃。彼女たちの週末の楽しみは、“ボーン3部作”を観ることだった。「休日に女の子同士でワイワイ観るには最高のポップコーンムービーよね。その一方、世の中の動きを感じさせる物語なのが素晴らしいわ。ただ、私の楽しみ方は女の子っぽくなかったかもしれないけど(笑)。映画が大好きだし、女優として映画作りに夢中だったから、アクションシーンの長回しに痺れっぱなしだったの」。もちろん、女子同士でボーンのカッコよさにときめく瞬間もあった様子。「だって本当に素敵だもの。マット(・デイモン)はボーンをすごく魅力的なキャラクターに作り上げたと思う。そもそも、ほかのアクションヒーローたちは女性の扱いがなっていないわよね(笑)。マティーニを飲んだりしがちだし…。でも、ボーンは自分が何者であるかを知ろうとするし、悩み、傷ついていく。ものすごくクールに敵を倒す力を持つ一方、繊細さもあるところが素敵だと思うの」。そんなボーンに対し、シリーズ最新作『ジェイソン・ボーン』に登場するCIAエージェント、ヘザー・リーは興味深い振る舞いを見せる。ボーンをCIAに連れ戻そうとするヘザーと彼の関係を、演じるアリシア自身はこう分析する。「喪失を経験してきたボーンは、心の壁を崩すことができない。それはCIAで働くヘザーにも言えることで、彼女が自分と同じ葛藤を抱えているかもしれない可能性をボーンは感じたんじゃないかと思うわ。諜報の世界で、モラルのコンパスをどちらに向けるべきか悩んでいるんじゃないかって。だから、双方が望めば、2人の間につながりは生まれ得たと思う。でも、この映画の中では、ボーンにも観客にもヘザーの本心が分からないの」。『コードネームU.N.C.L.E』『エクス・マクナ』に『リリーのすべて』、そしていま熱っぽく語る『ジェイソン・ボーン』と、話題作の中で輝きを放つアリシア。自身の製作会社も立ち上げ、映画愛を加速させる中、映画作りにおいて最も重要なのは「ビジョンを持っている人との出会い」だと語る。「私は映画作りが大好き。まるでマシーンのパーツとパーツが組み合わさって1つのものになっていくように、みんなで力を合わせて共同作業を行う感覚が好きなの。私はカメラの前に立つ人間だけど、映画作りという大きなマシーンの一部に過ぎない。むしろ、大事なのは共同作業のリーダーとなる人物、つまり監督ね。リーダーである監督のビジョンやアイデアを形にしたいと思えるか、それが私にとって重要なことなの」。ビジョンを受け止めてみたい監督たちは、「彼の『預言者』が好き、数週間前に観直した『ディーパンの闘い』も素晴らしかった」というジャック・オディアールをはじめ、コーエン兄弟、ミヒャエル・ハネケ、ラース・フォン・トリアーなど、「挙げられないくらいたくさん(笑)」。一方、新鋭監督たちとのコラボレーションにも惹かれるという。「経験値がない分リスクはあるけど、彼らの情熱に魅力を感じるし、それを形にする手伝いができればと思っている。私自身にも、まだ経験が浅い時に私を信じてチャンスをくれた人たちがいるから」。もちろん、『ジェイソン・ボーン』でアリシアの情熱を受け止めたポール・グリーングラスとの再タッグも熱望している。「それは絶対よ。ポールとマットが次回作をやるなら、私は何が何でも参加するわ!」。(text:Hikaru Watanabe/photo:Nahoko Suzuki)
2016年10月08日大学進学以来、スクリーンからややご無沙汰しているダコタ・ファニングが、2作品を引っ提げてトロント映画祭を訪れた。ひとつは、ユアン・マグレガーが監督デビューを果たす『American Pastoral(原題)』。もうひとつは、マーティン・クールホーヴェン監督の『Brimstone(原題)』だ。その他の情報いずれも暗い役。とりわけ『Brimstone(原題)』は、女性に対する暴力を描く時代物のスリラーで、ダコタが演じるリズは、数々の信じられないような苦難をくぐり抜けていく。映画のはじめで彼女は、耳は聞こえるが口をきけない女性として登場。時間が逆戻りする形で話が展開する中、どうしてそうなったのかが次第にわかっていく。「『Brimstone』は、これまでに読んだどんな脚本とも違っていた。こういう役には、めったにめぐり会えないものよ。今作と『American…』は立て続けに撮影したの。『American…』にはずいぶん前から出演を約束していたけど、実現に時間がかかった。今作の方はすぐ実現して、これを半分撮影し、『American…』を撮ってすぐ残りの『Brimstone』を撮る、というスケジュールになったのよ。それでずいぶん長いこと、暗い役にどっぷり浸かることになった。それは平気。私は自分をプッシュしてくれるような作品が好きなの。そういう作品は、絶対ではないけれど、暗い作品であることが多いのよ」とダコタは話す。久々のレッドカーペットも、純粋に楽しんでいるという。「あれも女優の仕事の一部よ。ファッションは自分という人間を見せる手段。映画には、いつも本来の自分ではない姿で出るでしょう?だから、私は本当はこういう姿です、と見せる機会があるのは楽しいことよ」。すでに、その次の作品も撮り終えている。「学業と仕事の両立は、昔からやってきたこと。むしろ学校が終わってしまったら、時間ができすぎちゃって、どうすればいいかわからないかもね(笑)」。取材・文・写真:猿渡由紀
2016年09月16日本日22日に公開を迎えた映画『レヴェナント:蘇えりし者』で、アカデミー賞主演男優賞を獲得した主演のレオナルド・ディカプリオが、同作への思いを語るインタビュー映像が同日、公開された。本作では、ディカプリオが復讐心をその胸に宿す主人公ヒュー・グラスを熱演。65年ぶりの快挙となる2年連続のアカデミー賞監督賞を受賞したアレハンドロ・G・イニャリトゥが監督、脚本、制作を務め、国際的なアーティスト・坂本龍一が音楽を担当している。舞台は19世紀アメリカの広大な未開拓の荒野。狩猟中に熊に喉を裂かれ致命的な重傷を負ったグラスは、狩猟チームの一人による裏切りで極寒の地に置き去りになるばかりか、愛する息子を殺されてしまう。彼は復讐のため、生の意志だけを武器に大自然の驚異の中、冬の寒さに耐え、交戦中の部族の襲撃を交わし、約120キロの容赦ない旅を生き延びなければならない。ディカプリオは映像冒頭で、本作のオファーを受けたきっかけを「イニャリトゥの作品だからだ」と断言。脚本段階から製作に携わり、本作の壮大なストーリーを作り上げたイニャリトゥ監督から構想を聞かされただけで、「夢中になったよ」とも続ける。また、イニャリトゥ監督が撮る作品を「"ハリウッド映画"の型にはまらない作品ばかり」と絶賛。「今回は壮大な作品で彼の個性が生きている」と語る。そんなイニャリトゥ監督と史上初となる3年連続アカデミー賞撮影監督賞を受賞した撮影監督のエマニュエル・ルベツキの仕事ぶりについても「バーチャル・リアリティの世界に入ったように主人公たちの体験を味わえる」と力強い評価を送っている。本作については、「ドキュメンタリーに近い作品」と表現。CGを用いたのも、「動物を使ってやれない部分があったからだ」と明かす。中でも「熊のシークエンスは、映画史上、見たことがないものになっている。観客としてもう一つ別の感覚を手にしたかのような気になるだろう」とし、「アレハンドロとルベツキが一緒に成し遂げたことは、それほどパワフルだ」と述懐する。自身の演じたグラスの役どころに話が及ぶと、そのキャラクター性を説明しながら、「彼は実在した人物でありこの事件も本当に起きた」と背景を話し、「グラスは人間の可能性を証明してみせた」とコメント。父と子の絆のテーマになると、劇中で描かれている当時の人種問題などに触れながら、グラスが息子に教えた大切なことをまっすぐな視線で語っている。(C)2016 Twentieth Century Fox
2016年04月22日映画『キングスマン』のブルーレイ&DVDが23日(水)にリリースされるのを記念して、コリン・ファースのインタビュー映像が公開になった。インタビュー映像本作の原作は『キック・アス』『ウォンテッド』などを手がけてきたマーク・ミラーのコミックス。高級スーツ店“キングスマン”はロンドンのサヴィル・ロウにあり、洗練された紳士が集っているが、その実体は、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関だ。ファースが演じるハリーは、組織の指揮者アーサー(マイケル・ケイン)の下で日々、秘密裏に活動を行っているが、ある日チームの一員が何者かに惨殺され、新人エグジー(タロン・エガートン)をスカウト。エグジーは街のチンピラから“真の紳士”へと成長し、世界に危機に立ち向かう。ファースが本作で演じるのは、紳士的に振る舞い、いつも冷静だが内に情熱を秘めた男ハリー。精悍なルックスと確かな演技力でファンの信頼を集める一方で、コメディなど幅広いジャンルで活躍するファースは、本作で、本格的なアクション・格闘シーンを見事に演じた。このほど公開になったインタビューは、劇中に登場する教会での格闘シーンについて語ったもので、制作過程や注意点など、意外なポイントが本人の口から語られる。また、映画の中に登場する暴力について真摯に考え続けてきたファースは、昨今の映画やドラマの暴力描写について分析し、本作を手がけたマシュー・ヴォーン監督の暴力シーンに対する考えや、自身の考えを語る。インタビューは、作品のテーマ、アクションなどに丁寧に向き合い、考え、準備してきたファースの誠実さが伝わってくるもので、“マナーが人をつくる”と改めて思わせてくれるファン必見の映像になっている。『キングスマン』12月23日(水) ブルーレイ&DVD リリース※デジタル配信中
2015年12月21日なんと今回私は、サム・スミスにインタビューする機会に恵まれました!日本からインタビューに参加したメディアはシネマカフェだけ。非常に貴重な機会です。サムといえば、ミュージックシーンで長年愛されている“ブルー・アイド・ソウル”のシンガーとして人気です。シンガーとしてノリにノッているサム。2014年5月に発売したデビューアルバム「イン・ザ・ロンリー・アワー」では、グラミー賞やブリット・アワードなどを総なめにしました。今、最もアツいアーティストのひとりといって間違いないでしょう。ですから9月に、サムが『007』シリーズ最新作『007 スペクター』のテーマソングを歌うことが発表された時にも、誰も驚きませんでした。そしてこの曲は、“英国ヒットチャートで初めて1位になったジェームズ・ボンドのテーマソング”としてギネス記録に認定されました!私は彼に会うことを、心から楽しみにしていました。だって彼の声と音楽が大好きなんです!なので記者会見の会場に到着して、彼の喉の調子が悪いためにライブパフォーマンスが中止になったと聞き、少しガッカリしました。でもインタビューは予定通り行われるということで、はりきって向かいましたよ!彼に会ってすぐに喉の具合を聞いたところ、彼は「大丈夫。すぐによくなるよ」と言って安心させてくれました。喉が腫れて少し疲れていたので、休息を取るためにライブを休むことにしたそうです。もちろん今年の5月に受けた喉の手術のことも聞きました。彼は「手術は成功したよ。でも僕はこの数年間ノンストップで活動してきた。だからきっとすごく疲れてるんだと思う。僕自身はそれに不満はないよ。でも僕の体や喉は、時々文句を言うんだ。だから、たまには彼らの声に耳を傾けてあげないとね」と言っていました。サムとアデルって、やっぱり共通点が多い気がするんですよね。どちらもイギリス生まれで、美しい声で感傷的に歌いあげるシンガーです。2人とも、悲しく切ない曲を歌いますし、喉に問題があり手術を受けています。そしてデビューアルバムが数え切れないほどの賞を受賞し、世界中のたくさんのファンから愛されています。このことをサムにも話してみたの。そうしたら彼はこう答えてくれました。「そうだね。僕らはよく比較されるんだ。すごくうれしいよ。でも正直なところ僕は、僕たちが似てるとは思ってないんだ。僕は僕だと思ってる。サム・スミスだ。それにアデルはアデルだよ」。サムはアデルを、人としてもアーティストとしても愛していて、尊敬していると話していました。それから近いうちニューアルバムが発売されるかも聞いてみました。そうしたら「うーん。僕には少し休暇が必要なんだよね。旅をしながら、新しい曲をいくつか書いている。でも僕の場合、最高の歌詞は普段の生活から生まれる。最近、普通の生活をする時間があまりないんだ」。サムのファーストアルバムの曲には、愛していた人との悲しい別れを歌った曲がいくつかあります。彼は心の痛みを歌詞にするということも、とてもオープンに語っています。だから「最近、あなたにとって特別な人がいますか?」って質問してみたの。彼は、恥ずかしそうにうなずいて「もちろん。いるよ」と答えたわ。私は「あなたが幸せってことは、ニューアルバムはちょっと明るくてハッピーなものになるってこと?」と聞いたんです。彼は少し考えて、こう言いました。「うーん。どうかな。それはないかも。結局のところ、僕ってああゆう人間なんだよ。ふさぎがちな暗い奴なんだ。僕はハッピーでいつもポジティブな人間ではないね」。それから、ジェームズ・ボンドのテーマ曲はどんなアプローチで作り上げたかを聞いてみたわ。サムは「オファーをもらって、心からうれしかった。僕にとって、イギリス人の僕にとって、『007』シリーズのテーマ曲を歌えることは、本当に光栄なことだよ。でも僕はこれまでとまったく違う曲を作ろうとは思わなかった。上品で時代を超えて愛される曲を書こうと決めたんだ」。映画を見せてもらい、それから歌詞を思いついたそうです。ダニエル・クレイグの演技を見て、荒削りで、でも繊細で傷つきやすい雰囲気の曲にしたいと思ったと話していました。サムのこれからのことを聞いたところ、今はツアーの真っ最中だけど、ツアーが終了したら、1年間はお休みしたいみたいです。充電期間を経て、2枚目のアルバム制作に入りたいと言っていました。日本でのコンサートの話もしました。また日本に行けることをすっごく楽しみににしていましたよ。日本食が大好きで、特にお刺身が好きなんですって!日本でお刺身がおいしいレストランに行きたいとワクワクしていたわ。もちろん日本のファンに会えることも楽しみにしていましたよ。『007 スペクター』は11月27(金)~29(日)の3日間先行上映。12月4日(金)より、TOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開。(text:Lisle Wilkerson)■関連作品:007 スペクター 2015年12月4日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開(C) 2015 Danjaq, MGM, CPII. SPECTRE, 007 Gun Logo and related James Bond Trademarks, TM Danjaq. All Rights Reserved.
2015年11月27日チェコから、めっちゃカワイイくまのぬいぐるみが主人公の映画『クーキー』が到着します! 見てください、この癒しのゆるカワスマイル! チェコでは初登場1位、『トイ・ストーリー3』を上回る大ヒットを記録。監督するのはなんと、アカデミー賞(R)外国語映画賞受賞したこともあるヤン・スヴェラーク監督。チェコ伝統のマリオネットと精巧に作られたミニチュアやVFXをふんだんに使い、イマジネーション豊かなファンタジーワールドを描きます。ヤン・スヴェラーク監督は、8月の公開に先駆けて、監督実息子である主演のオンジェイ君とともに7月上旬来日予定です。オンジェイ君も、これまたキュート! 今回は、ヤン・スヴェラーク監督のインタビューが届いたので、みなさまに映画の魅力をいち早くご紹介します! ―この物語はどのようにして生まれたのですか? 脚本を書き始めたとき、父親として子供に話すのにはどのような物語が良いかと考えていました。子供はどんな話に興味を示すだろうかと。私は遊びの延長でクーキーの物語を書き始めました。―社会派映画で定評のある監督ですが、子供も楽しめる映画を作ったのはなぜですか? 長い間、昆虫のような小さなものに焦点をあてた映画を作りたいと思っていました。葉っぱの間から差し込む光、空気中を舞っているタンポポの綿毛。そういう世界です。過去にも試みたことがありましたが、上手くはいきませんでした。そこで、役者の大きさを変え、物語も小さな世界に入り込むような展開にしました。主役も小さくし、舞台に切り株を使い、ラズベリーの葉から漏れる光に焦点を当て、自然の中の昆虫や、綿毛のようなものをしっかりと撮影することにしました。―撮影は大変でしたか? 撮影にあたっては事前にテストを行っていて、今回も家でレゴを使って実験したり、撮影もさまざまなフォーカスを試したり。被写体をレンズから5センチくらいの至近距離から撮影した時に、うまい具合に周囲がぼやけた感じに映るかどうかを知りたかったのです。今回の撮影は当初は35日間で行う予定でしたが、最終的には100日間にまで延びてしまいました。最初に考えていたよりもはるかに大変な撮影でした。森の中に差し込む太陽の光は常に変化します。そのため、ロケの用意ができたらすぐにパペットを動かす、連日それを繰り返して各シーンを撮影していきました。しかし、季節が冬になった時、森にはすでに十分な太陽の光が差し込まなくなっていました。また、木々まで覆い尽くすような一面の雪が必要でした。クーキーはおとぎ話。すべてのシーンを童話のような世界にしたいと考えていました。もし、おとぎ話に出てくるような木が森にあったなら素晴らしいのですが、実際には完璧な木一本を探すのも大変。ですから、撮影はチェコ中を移動しながら行いました。最初は、いつも撮影を行っている6名のクルーでやろうと考えていました。しかし最後には60人ものチームになってしまいました。ついにはこの映画撮影はこれまでもっとも大変だった私の作品『ダーク・ブルー』の3倍もの特殊効果を使うことになりました。当初は、CGを使うのはパペットを動かしているワイヤーを消すくらいだと考えていました。しかし、実際には各ショットを合わせる際にも使うこととなり、森の中で撮影したシーンとスタジオの中でグリーンバックを組み合わせたりしました。リス、ハリネズミ、小鳥、キツネ、蝶、トンボ、ハチ、ハエ、犬などたくさんの動物たちとの撮影を行いましたが、彼らとパペットとのシーンをリアルなものにするためにもCGが役立ちました。撮影の時は、彼らが私のイメージに合うように動いてくれるまでスタッフは何時間も待ち、辛抱強く記録してくれました。森の中で撮影をしながら、子供の頃に遊んでいたときの感覚に似ているなとぼんやり思っていました。コケの上に寝転んでパペットで遊ぶ…。100日間もそんな遊びを繰り返していたような気がします。(c)2010(c)Biograf Jan Svêrák, Phoenix Film investments, Ceská televize a RWE.***監督の少年時代の思い出、さらには子どもたちに捧げる物語として、ちょっと奇妙だけれども愛らしい映画に仕上がりました。世界一へなちょこなテディベア『クーキー』に注目大です。映画『クーキー』は8月より新宿武蔵野館ほか全国順次公開 公式サイト
2015年05月24日美容室へ行くと、髪型だけではなく心もすっきりして癒されます。それが、イケメンの美容師さんなら…なんて、女子なら一度は思い描いたことがある胸キュンなシチュエーションですよね! 映画『鏡の中の笑顔たち』は、ただのイケメン美容師さんのお話ではありません。技術だけを追求してきたカリスマ美容師・遼が「訪問美容」に関わることで、少しずつ「心の美容師」へと成長していく…。人々をキレイにする職業の素晴らしさを丁寧に描いた本作は、全ての人の“笑顔”を引きだすマインド・スタイリング・ムービーなのです。遼を演じるのは、『仮面ライダーウィザード』『彼岸島』などで人気の白石隼也さん。アクションを封印し、技術だけを追求する美容師から徐々に心を豊かにする美容師へと変わっていく繊細な役どころを熱演しました。そんな白石隼也さんのインタビューをお届けします! 接する機会が多いにも関わらず、物語のメインテーマになることの少なかった“美容師”という職業を扱った本作品。脚本を読んだ感想を教えてください。僕が演じたのは、美容師の腕前は一流ながらも、早く一人前になりたいと周りが見えなくなってしまう主人公・井上遼です。根本的には悪い奴ではないのに、対人関係のコミュニケーションを上手く図ることができず、孤立。物語はその遼の変化を追う内容で、色々な人との出会いによって、技術だけを出せばいいというものではない、と気づいていく。まさに現代的な若者という感じで、僕自身も周りに笑顔を振りまくようなタイプではないので、キャラクターをイメージしやすく、自然に臨むことができました。役どころは、全国大会で金賞を取ったカリスマ美容師。実際に劇中で髪の毛を切るシーンがありますが、どれくらいの期間練習をされたのでしょうか? 実は準備期間が少なくて、僕が通っている美容室の閉店時間にお邪魔して、一週間くらい集中して特訓しました。ハサミの持ち方から始めるんですが、不器用な方ではないのに、かなり苦戦しましたね。ちょっとでもハサミに髪の毛が絡まるとパニックを起こしてしまいましたし、本番はセリフを喋りながらですから、余計に難しかったです。丁寧にやれば何とか様になったものの、スピードも出さなければならない。上手く切ろうとすると、櫛を持つ手がおろそかになるし……。画面では、そんな短期間とは思えぬカリスマっぷりでしたが……。一つわかった事がありました。それは心臓バクバクでも、自信たっぷりな雰囲気でやると意外といけるということ(笑)。女性の髪を20センチくらいバッサリ切るシーンは忘れられないですね。NGの許されない、一発勝負。しかもその長い髪には、伸びた時間という重みがある。想像してみてください、震えるでしょう? でもいざやってみたら、いい具合にハサミが入ったので、『いってしまえ!』という気持ちで切りました。今回の映画を通じて、美容師に対する印象は変りましたか? 見る目は変りました。身近過ぎるがゆえにその仕事の大変さを理解する事がなかったけれど、美容師を演じてみて、大変さと共に難しさを実感しました。前は美容室に行くと、色々と注文を出していたけれど、今では美容師さんにされるがままになることも多くなりました。もっと形を整えてほしいなと思っても、『いや、プロの方がやったんだから、これはこれでいいんだ』と納得したりして(笑)。最後に観客の皆さんにメッセージをお願いします。僕の年齢と、演じた遼の年齢は同じ24歳。24歳というと、一般的には社会人2年目。新人時代が終わり、後輩も出来る。そして今まで覚えた事プラス、自分に何ができるだろうかと模索する時期でもあると思います。この映画では仕事と向き合うこと、人と向き合うことの大切さを描いています。同世代の同じ境遇にある人たちに、仕事をする上での活力を与えることができたら嬉しいですし、ホッコリした気持ちで映画館を後にしてもらいたいです。(c)2015「鏡の中の笑顔たち」製作委員会映画『鏡の中の笑顔たち』は、5月30日(土)より角川シネマ新宿他、全国公開 公式サイト
2015年05月16日インドネシア発のアクション映画『SARAH サラ』の公開を記念して2月7日(土)の封切初日に、女優で空手家の武田梨奈とインタビュー対象よりも本人に詳しいインタビュアーとして話題の“プロインタビュアー”吉田豪によるトークショーが開催された。最愛の娘を守るべく、ハンドガン、そして東南アジア最強の格闘技シラットまで駆使し、圧倒的なドライビングテクニックまで披露して戦う母親・サラの活躍を描く。やはり格闘家として「女性のアクションものは(観てて)燃える」という武田さん。「自分もやりたくなりますね。アドレナリンが出てきます。『私、何でこの中にいないの?』と思うし、私なら空手で…と妄想しますね」と語る。吉田さんは、事前に武田さんのブログなどを詳細にチェックし、調べ上げてきた武田さんの家族との関係やプライベートでの姿などを元に、グイグイと武田さんの“素顔”を掘り下げていく。本作は娘のために戦う母親の姿を描いているが、武田さん自身は「父親が娘のために戦う映画が好き」とのことで、吉田さんから「ファザコンですか?」と問われると「ファザコンかは分からないけど、パパっ子で、父は私のヒーローだった」と語る。吉田さんは、武田さんが格闘を志したのは、目の前で父親が敗れる姿を見たからだっただという点に言及。武田さんは「父が負けたのが悔しかった」とうなずいた。さらに、吉田さんは武田家の“内部”にさらに深く切り込んでいく。少し前の週刊誌で、武田さんがいまも父親と一緒に風呂に入っているという内容が掲載されたが、この点について追及。武田さんは「別に『一緒に入ろう』という感じで入ってるわけじゃないです。うちは5人家族で、家に帰る時間が被るので、(誰かが湯船、その間に別の人が洗い場という風に)ランダムに入っていくんです」とあくまで家族全員が効率的に入るためにそうしてると説明。そもそも、家族の前で裸になることに抵抗はないのか?という疑問が浮かぶが、武田さんは普段から家では“裸族”であることを公言しており「(抵抗は)ないですね」とキッパリ。「弟は(周りに)からかわれて『やめてくれ』と言ってます(笑)」と明かすが、家で、その弟に足を抑えてもらいながら、上半身裸で腹筋をしているとか…。「家族に対して恥ずかしがってる方が恥ずかしい。おしめ換えてもらってるんですから」と何ら気にする様子もなかった。一方で、映画でヌードシーンに挑戦する覚悟はあるかと問われると「いまの年齢ではまだ早いかな…。もっと色気出てから」と少し恥ずかしそうに語っていた。ちなみに、凄まじい強さを誇る武田さんだが、自身も恋人には「守られたい!」と乙女心をのぞかせる。吉田さんは「武田さんを守るって、かなりハードル高い(笑)!」と指摘するが、武田さんは「負けてもいいんです。(守りたいという)その気持ちが嬉しい。最悪、私がやるんで」と語り、会場は笑いに包まれた。最後に、武田さんは「いま、アジアの中でもインドネシアのアクションが盛り上がってます。私のこの映画を観て、燃えてきました。負けずに頑張ろうと思います!」と本作に大いに刺激を受けたようで、さらなる飛躍を誓う。武田さん自身も過去にインドネシア映画に出演経験があるが、今年もすでにアジア各国の作品への参加が決定しているそうで「千葉真一さんと春からミャンマー映画でご一緒します。ちょこっとアクションもあります。インドネシアも今年、また行くかもしれません。期待して見ててください。アジアに飛び出していこうと思ってます!」と語り、会場は拍手に包まれた。『SARAH サラ』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年02月07日漫画家・池辺葵による人気コミックを中谷美紀主演で映画化した『繕い裁つ人』が、1月31日に全国劇場公開されました。公開初日には東京都内劇場で主演の中谷さんはじめ、共演の三浦貴大さん、黒木華さん、そして三島有紀子監督が舞台挨拶を行いました。記念すべき封切り日は、前日の雪模様が嘘のような晴天。中谷さんは「撮影中は三浦貴大さんが“雨男”で、彼が現場に現れると必ず雨が降っていたので、『今日の初日も来なくていい』と思っていた」と笑わせ、続けて黒木さんも「中谷さんと監督が“晴れ女”だったので『勝ったな』と思った」と喜びの表情。当の“雨男”三浦さんは「今日雨が降っていたら中谷さんに何を言われてしまうのだろうかとビクビクしていたけれど、昨日のうちに雪を降らしておいて良かった」と快晴にほっと胸をなで下ろしていました。本作は神戸を舞台に、祖母が始めた仕立て屋「南洋裁店」を受け継いだ2代目店主・市江(中谷)の頑なな服作りの姿勢を通じ、彼女を取り巻く人々との交流を温かく描いた物語。中谷さんは、「この映画はプロデューサーや映画会社の方々が用意してくださった“お見合い結婚”ではなく、相思相愛の三島監督との“恋愛結婚”ができた幸せな作品となりました」とひとしおの思いを明かされ、「不得手とするお裁縫を完璧にマスターすることから始めました。20年近くミシンを踏んできた姿を完璧に演じてほしいと言われたので、こだわって1か月ほど練習しました」と役作りにも熱がこもったようでした。クランクアップ時に中谷さんは、三島監督にお手製のケープをプレゼントされたそう。三島監督が「わざわざ神戸のアンティーク屋さんでボタンを選んでくれ、南洋裁店の箱を用意して、まるで市江が仕立ててくれた洋服のように振る舞ってくださって、本当に監督冥利に尽きる」とそのケープを披露。中谷さんは「直線縫いの練習に飽きて、完成品を作りたかったんですね。監督のイメージや服装を考えつつ、実はどれだけ簡単に縫えるかなども考慮に入れて、ケープにしました」とプレゼントの理由を説明していました。ミシンの修練に短い撮影期間というハードさにも関わらず、中谷さんは“料理長”として豚汁や鴨汁をスタッフ・キャストに振る舞うなど気遣いを見せていたそう。三浦さんが「撮影中にも関わらず、中谷さんが鳥団子を丸めていて手がベタベタで」と振り返ると、中谷さんは「予算的に厳しい映画でもありましたので、豊かな映像を活かすために一番に削られるのは食費。自分が温かいものを頂きたいと思いましたので、僭越ながらそのような事をさせて頂きました」と笑顔を見せました。また三島監督から「中谷料理長の指示を受けてテキパキやっていた感じ」と助手ぶりを紹介された三浦さんは、「それで中谷さんから『女子力が高い』と言われまして」と照れていました。構想8年の夢を実現させた三島監督は「寝ずに撮影をする中で下がっていくスタッフたちの士気を、中谷さんが座長として高めてくれた。中谷美紀という女優は、一人の主演女優という以上に、一緒に本作を作り上げてくださった戦友」と感謝すると、中谷さんも「たおやかな黒木さんや、女子力の高い三浦さんらと共演もでき、素晴らしい経験でした。こんなにささやかで贅沢な作品に関われたことを、一人の人間としてこころから光栄に思います」と完成を祝福していました。・中谷美紀主演映画『繕い裁つ人』1/31(土)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー 公式サイト
2015年02月02日「映画に裏切られたと感じたことは一度もないです」。映画にとり憑かれ、映画にその身を捧げてきた男はためらいなくそう言い切った。苦しいことはたくさんあった。時に壁にぶつかり、戦うこともあった。それでも常に「映画を信じていた」という。それは、10代後半で演技の経験もないままに、デビュー作『ションベンライダー』に参加したときから変わらない。永瀬正敏は、タバコをくゆらせながら懐かしそうに、30年ほど前の記憶を手繰り寄せていく。「相米慎二さんという鬼監督の下でね(笑)。1日目も2日目も3日目もリハーサルだけという日が続くんです。何十人もいるスタッフが『今日も本番は回んないのか…』と帰っていく。そりゃド素人でも、オレのせいだって分かりますよ(苦笑)」。どこが悪いのか?何をどうすればいいのか?相米監督は永瀬さんに対し、一切言葉で伝えようとはしなかった。「『教えろよ!』とずっと思ってましたよ(笑)。こんなド素人つかまえて、なんで何も教えようとしないんだ?って。でも、相米さんには『お前の役なんだから、お前が一番知ってるに決まってるだろ。オレだって知らねーよ』と言われました。いまになって思えば、何もできないヤツにあれこれ言っても上っ面の芝居になるだけだから、僕が役とリンクしていくのをただ待っててくれたんです。機械的なお芝居じゃなくて、人物に『なる』こと、役として『生きる』ということを教えてくれた。それはすごくリスキーなことでもあり、プロデューサーからもいろいろ言われたと思います。でも、自分が盾になって僕らを守ってくれた。いまではデビューが相米さんでよかったと感謝してます」。もちろん、当時はそんな思いには至らず、撮影が始まっても、監督の無茶な注文に文字通り体を張り続け「無我夢中だった」。だが撮影が終わりに近づくにつれ、永瀬さんの中でひとつの思いがはっきりと形になっていった。「クランクアップの時にね、『この現場にずっと居続けたい』って思ったんです。それがいまに繋がってる。別に元々、映画ファンだったわけでもないし、偶然出合ったのが映画だっただけで、親とも『青春の思い出に1本くらいなら』という約束だったんですけど、嘘をついたまま、ここまでやってきた感じですね(笑)」。30年前の思い出を尋ねたのにはワケがある。先日、公開を迎えた台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』はちょうど永瀬さんがデビュー30年目を迎えるタイミングで撮影が行われた。その現場で永瀬さんは、若き俳優陣に30年前の自らの姿を重ね、強い感慨を覚えたという。「忘れられない作品になりました」――。これまでも数々の大作、海外の名匠の作品に出演してきた男は、決して予算も公開規模も大きいとは言えない本作への特別な思いを口にする。日本統治時代に台湾代表として日本人、台湾人(漢人)、台湾原住民の混合チームで甲子園に出場し、決勝まで勝ち上がった「嘉義農林学校」の実話を映画化した本作。永瀬さんは野球部の“鬼監督”近藤を演じたが「脚本を読んでみると全てが初めて知ることばかりでした。嘉農というチームの存在、甲子園に台湾代表チームが出場していたこと、民族の壁を越え三民族混合で決勝まで進んだこと――僕らの先人にこんな素晴らしいことを成し遂げた方がいたことを知ってもらいたいと思った」と出演を決めたという。野球部員を演じた俳優たちは、野球の名門大学に在籍する現役プレイヤーをはじめ、あくまで迫真の野球シーンを撮るべく身体能力を優先して選ばれており、多くが30年前の永瀬さん同様に演技未経験者だった。「年齢的にも当時の自分と近いです。ただ、30年前の僕よりも彼らの方がずっと大変だったと思います。カメラの前に立ったこともない子たちが訓練をしてお芝居して、慣れない日本語を覚えて、いまでは現地でもそこまで使われていない台湾語も覚えなくてはいけない。何重もの苦労の中で5か月もの撮影をやりきった。中には学校を1年休学してこの作品に賭けてくれた子もいて、こんな純粋で良い子たちがいてもいいものなのか?と思いました。僕にとっては一緒に映画を作った仲間であり、年は離れていても尊敬しています」。本作への出演が、期せずしてこれまでの俳優人生をふり返るきっかけとなった。30年という月日の中で、変わったことはいくつもある。「現場で『さん』付けで呼ばれる気持ち悪さと言ったら…(笑)。僕にとっては監督やカメラマンさんはすごく偉い人なので、『おい!』とか『永瀬』でいいんですけどね」と年齢を重ねるたびに自然と増えていく年下のスタッフとのやりとりを苦笑交じりに明かす。常に戦い続けることは変わらない。だが、その“戦い方”が変わってきたことは自覚している。「昔はね、一人で攻めてたんです。そこでいろんなものを投げつけられても、オレに当たっていれば後ろは楽だろうという思いで『攻めていこう』と。いまは逆で、みんなでスクラム組んで進みたいと思うようになりましたね」。本作について語る際も「コラボレーション」という言葉がたびたび口をついて出た。若い俳優陣との交流、そして日本語セリフの言い回しに至るまで、監督やプロデューサーとじっくりと話し合いを重ねて映画を作り上げたことを何よりも誇らしげに語る。いま一度、時間を遡って話を聞いてみる。デビューから数年、1989年には『ミステリー・トレイン』でアメリカのインディペンデントの巨匠ジム・ジャームッシュ監督の演出に触れた。その後も現在に至るまで、幾度となくヨーロッパ、アジア各国と海を渡り、世界を舞台に活躍してきた。「若い頃に海外の作品にいっぱい出させてもらってよかったと思うのは、逆に『日本も海外も違わねぇや』と思わせてもらえたこと。そういう風に思わせてくれた海外の素晴らしい人達と出会えたんですね。80年代後半は、海外の映画人の方が日本映画をよく観て、日本の監督や俳優を評価してくれていた。ただ、実際に現場を経験して感じたのは、しゃべる言語は違っても、それを越えて映画という“共通言語”を持ってるということ。そこで肩の力も抜けたし、逆に日本映画で世界中の人に観てもらいたいと思えるようになりましたね」。「考えてみたら、あっという間だった気もしますね」。そんな言葉で走り続けた30年をふり返る。映画を愛し、映画に愛された男の夢はまだまだ終わらない。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:KANO~1931 海の向こうの甲子園~ 2015年1月24日より新宿バルト9ほか全国にて公開(C) 果子電影
2015年01月28日幼なじみのロージーとアレックス。何でも話せる仲だったのに、“好き”という想いだけを伝えられず、12年間もすれ違い続けてしまう―。『P.S.アイラヴュー』の作者が贈るラブストーリー、『あと1センチの恋』。主演のリリー・コリンズさんオフィシャルインタビューをお届けします。―最初に脚本を読まれたときはいかがでしたか? (主役の)ロージー役は私がやるしかない! と思いました。ロージーとわたしは、似ている部分も多くて、というかロージー的な部分って誰にでもあると思うのだけれど。例えば傷つきやすいけれど、とってもタフだったり、落ち着きはないけれど芯はしっかり持っている点など共感できる部分も多くて楽しかったです。12年間の年月を特殊メイクに頼らずに、内面の変化や成長を表現するというのは、女優として大きなチャンスだと思ったし、他にも母親役を演じることができる、英国なまりでできる、さらにコメディ要素も満載。こんなにおいしい役はないと思いました。―出演を決めたポイントは? もともと『ノッティングヒルの恋人』や『ラブ・アクチュアリー』、といった、ラブコメが大好きなんです。この作品は、それらをもっと現代風にアレンジしたものだと思います。リアルでちょっと恥ずかしいネタで笑いをとるところとか。あと、今回は10代の女の子の妊娠が1つの鍵として出てきますが、それをポジティブに描いている点が好きです。最近のリアリティ番組などでは否定的にとらえられることが多いけど、それを前向きに、応援する姿勢で描いていることが私にとって大事なポイントでした。―ロージーとアレックスの、もどかしい恋については、どう思いましたか?友情を崩しかねないリスクを負うことに、立ち往生する気持ちはとてもよくわかります。感情がもつれた場合、自分の中の感情がどんなものなのか探る必要があると思います。そして答えが出てきたら、それを相手に言うべきかどうかは、また別の判断になる。自分の気持ちをぶつけるには、相手の準備ができていないかもしれないし、タイミングを計らなければいけない。『今、この瞬間をつかめ』とかってよく言うけれど、“タイミング”と“判断”はとても難しいと思います。でも、最終的には自分で決めるしかないのです。自分自身の幸せを考えて、言うべきときには言わなければ、と思いました。―ロージーとの共通点は? 夢の実現をあきらめない点だと思います。わたしも、とっても粘り強いの(笑)。本気で、情熱をもって行動すれば、本気かどうかは伝わるものだと思っているので。わたしは、以前から女優になりたいと思っていました。25歳でまさか日本で主演映画の話をしているとは思わなかったけれど。誇りを持って、ひたむきに忍耐強く努力することが大切で、そのモチベーションになっているのが情熱と愛だという点です。―サム・クラフリンさんとの共演はいかがでしたか? はじめてサムにあった時に、昔から友達だったかのような感覚ですんなり役にはいることができました。サム本人は愉快で、紳士的でこんなにいい共演者はいないと思いました。ロージーとアレックスの関係性を、リリーとサムで自然に演じられたと思います。―最も好きなシーンはどこでしたか? 一番を決めるのは難しいですけれど、赤ちゃんをはじめて抱いたシーンです。自分の中の母性を感じる貴重な経験でした。母親になるのが楽しみになりました。自分と母親のように、なんでも話せるフランクな親子関係に憧れます。―ロージーとアレックスと同じように友達以上恋人未満の関係性の2人にアドバイスをするとしたら? これをやったらうまくいく! という必勝法は残念ながらないけれども、自分の気持ちに素直になって、行動するということかなと思います。その結果がたとえ望んだものでなくても、それには必ず何か理由があるから。後悔しないためには自分に嘘をつかないことだと思います。―ご自身にとって、この作品は? すごく満足しています。編集段階で監督から意見を求められ、実際に私のアイデアが反映されたところもあり、とても勉強になりましたね。完成したものを見たときは、撮影に入る前や、入ってからの思い出など、たくさんの思いがこみ上げてきて、心が揺さぶられました。いつか、監督やプロデューサー、脚本にも挑戦してみたいと思います。今は、与えられるオファーを積極的に受けて、いろんなことを経験していきたいと思っています。リリー・コリンズ プロフィール1989年3月18日、イングランド生まれ。幼い頃から子役として活躍し、5歳でアメリカへ移住。記者、司会、コメンテイター、モデルなど幅広い活動を経て、2009年に『しあわせの隠れ場所』で映画デビュー。主な出演映画に『プリ―スト』『ミッシングID』『白雪姫と鏡の女王』『シャドウハンター』などがある。ファッション・アイコンとしても若い層から高い支持を得ている。父はミュージシャンのフィル・コリンズ。映画『あと1センチの恋』12月13日(土)より公開配給:ファントム・フィルム 公式サイト
2014年12月12日俳優、そしてプロデューサーとして映画界のトップに立ち続けるブラッド・ピット。彼が類い希なストーリーとキャラクターに惚れ込み、主演と製作総指揮を熱望した最新作『フューリー』が、いよいよ11月28日に公開されます。第二次世界大戦末期。最後の抵抗を繰り広げるドイツ軍に、“フューリー”(=激しい怒り)と命名された戦車で立ち向かった米軍兵士5人の、想像を絶する一日の出来事を映し出す本作。公開に当たって、主演・製作総指揮を務めたブラッド・ピットのインタビューをお届けします。■ブラッド・ピットインタビュー―出演に加え、プロデュースも担当するほど惹かれたという脚本についてお聞かせください。まずプロデュースについてだけど、僕はそれほど重要な役割は果たしていないんだ。今回は演技に専念し、役づくりに入魂する必要があったんだ。この映画はむごたらしさという土壌の中で人間性を見出す話だ。自分では戦争は体験していないが、人間経験を積むことで真実を見る目が養われるんじゃないかな。美化されない真実が大切であると感じるようになった。睡眠もとれず疲れ果てた状態で、戦争の悲惨さに直面し、罪ない人や仲間が無残に殺されるのを目の当たりにしたとき。それが人間の心にどんな影響を及ぼすのか、そしてそれを人はどう生き延びるのか。そこにはヒロイズムがあるのか。それが、この映画が見るものに問いかけることなんだ。この映画では、戦車部隊というマイクロな世界が描かれる。大戦も終わりに近づいたころ、長年連れ添った5人だが、1人の隊員を失い、新しい隊員が加入する。戦争も終盤で、経験のある隊員はみつからず、新隊員は全く経験のない若者だった。この無垢な若者に、僕の役は父親的な気持ちから戦争のむごさを教え込もうとするんだ。荒々しく教え込むことで、ほかの隊員が危険にさらされることを阻止しようとするわけだ。―今回演じられた“ウォーダディー”とは、どんな役柄ですか。乗組員たちの命を預かっている車長であり、責任者だ。戦車のオペレーション全般を見るし、また皆の士気を高めなければならない。また小隊の司令官でもあるので他の4両の戦車にも指令を出さなければならず、交戦する際のナビゲーションも戦略的に考えていかなくてはならない。敵との距離も図り、どこに脅威が潜むかも見定めなければならない。全てが彼の判断に委ねられるんだ。だから隊員たちの信頼を勝ち得なければならないし、自分自身でも確信がなければならない。皆の生死は彼の判断一つにかかってくるからね。―デヴィッド・エアー監督のリアルな映像作りについてお聞かせください。デヴィッドのリアルへのこだわりは相当なものだ。おかげで素晴らしい経験になったよ。第二次大戦の退役軍人達にも会うことができた。彼らは今はもう90才を過ぎているが、ノルマンディー上陸作戦やバルジの戦いの体験談を聞かせてくれた。頭の下がる思いだった。―クランクイン前に行われたブートキャンプについてお聞かせください。1週間ほどブートキャンプへの参加を課せられた。1週間と言っても、実際に訓練している兵士たちからしてみたらほんの一瞬だと思うんだけどね。僕らの体験は観光程度の優しさだったろう。それでも毎朝5時起床の本格的なトレーニングだった。フィジカルトレーニングを2時間、その後に講義、労働、障害物トレーニングなどが夕方まで続く。飯は冷たいし、雨の中で寝たり、夜中に起きて見張り役をやったりもした。とにかく全力投球だった。訓練は皆を追い込み、戦場がどんな感じだったのか少しでも実体験できるように組み立てられていたし、最悪の状況の中でも士気を奮い立たせるようにできていて、なかなか面白かった。またチーム内で序列が構築され、皆が一丸となって苦難を乗り越えられるように仕組まれていた。苦難と言っても本物の兵士たちが日々感じている苦難とは比べようもないだろう。訓練のおかげで固い絆ができたし、心構えもでき、達成感も感じた。それがスクリーンににじみ出ていると思うよ。父親として子供を育てるうえで役に立つことも多く学んだ。チームでお互いの弱点が分かるようになったので、補完し合えるようになった。みんなが大好きになったよ。訓練を終えるころには俳優といえどもタンクを操縦できる5人になっていた。映画の保険会社は気が気でなかっただろうけどね。―実際戦車を運転してみて、戦車の乗組員についてどう感じましたか。戦車の乗組員は一つの機械として機能しなければならない。つまり乗組員たちはお互いの役割をちゃんと分かっていなくてはならず、一人がやられたら他の人がすぐに代わりを務められるようにしなければならない。ほんの小さな失敗でも全員にとって命取りなんだ。―この作品は仲間の絆がとても丁寧に描かれた作品ですが、劇中のようにご自身が仲間に助けられたというような経験はありますか?その辺が、この話の誰にでも共感できる点じゃないかな。家族を持っている人ならだれでも共感できると思うよ。家族と言うのは、どこの家庭でも愛や絆や、不満や怒りや思いやり、協力、落胆、様々な要因で結ばれていると思うから。―ついにこの映画を世界へ披露したことについて、一言お願いします。本作には満足している。理屈抜きで心に響く経験をした。こうして映画を披露することができてうれしい。労力をつぎ込んだ結果だ。映画『フューリー』11月28日(金) TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー配給:KADOKAWA 公式サイト
2014年11月27日小さな町で起こる“奇跡の瞬間”と愛に満ちあふれた感動の物語『トワイライト ささらさや』。主演の大泉洋さんのインタビューをお届します。──鑑賞直後にインタビューということで、号泣されていたらどうしようかと思っていたんですが……。大泉:ご多分に漏れず、泣いてしまいました。深川さんの映画はだいたい泣いちゃうんですよ。監督が泣きなさいと言っているところで全部泣いてしまいましたよ(笑)。ダイヤくんの本当の気持ちをエリカさんが知るところ、ユウタロウとサヤの今生の別れ、それと最後の回想シーンですよね。回想シーンの10分ぐらいずっと泣いてしまいました。──回想シーンはセリフがありませんが、脚本はどういうふうに書かれていたんですか? 大泉:要するにト書きだけですね。こういうことがあって、という。台本をいろいろ直す段階から私は読ませていただいていて。父親の描き方が難しくて、私もいろいろ意見を出させてもらって、そこがどんどん厚くなっていったんですね。撮影に入ってからも父親のパートは厚くなっていったんじゃないですかね。石橋(凌)さんは大変だったと思います。石橋さんが監督に“今日の降水確率は何%ぐらいですか?”とよく聞いてらっしゃって。つまり、どれぐらい泣かないといけないのかということです(笑)。“70%ぐらいでしょうか”と監督が答えて。石橋さんは現場に来るたびに泣かなくちゃいけないっておっしゃられていてました。でも、やっぱりその父親のパートはこっちも泣けるんですよねぇ。──最初から落語家の設定だったのでしょうか? 大泉:そうです。私がいろんな人に乗り移っていくという話において、大変よくできたからくりだなと思いました。私がその声を演じるならわかりやすいですけど、私が乗り移ったという設定で小松(政夫)さんや富司(純子)さんが演じられるというのは、難しいですよね。そこをわかりやすくするために、落語家の口調にするというのは、よくできたアイディアだなと思いました。乗り移ったことを表現するのに最適な設定だなと。高座の時だけでなく、ふだんもわりと落語家の口調にするということでうまくいったと思います。──乗り移ったシーンの出来上がりはいかがでしたか? 大泉:いやー、素晴らしかったですね。どうしても僕のセリフは早いですからね。落語家さんは立て板に水みたいなイメージもありますし。私はペラペラとしゃべるもんですから、それを小松さんや富司さんのようなお年の方があのセリフ回しをするのは大変だったろうなって思いました。ダイヤくんにいたっては、アッパレの一言ですね。また天才子役が生まれちゃったなと思いました。蒼くんは表情まで似てましたもんね。撮影の時に言われたんですけど、“今、日本で一番大泉さんを見てます”って。毎日毎日僕が演じたDVDを観ていたそうです。イケメンなのによくあんなおもしろい表情ができるなって思いました。驚いた時の表情とか、よく私の特徴を捉えているなと感心してしまいました。──お気に入りのシーンはどこでしょうか? 大泉:新垣(結衣)さん演じるサヤが連れ去られた子供を取り返して、“私はこの子の母親です”とユウタロウの父親に啖呵を切るシーンはグッときましたね。──新垣さんの印象は? 大泉:ものすごく落ち着いた方なんですよね。冷静に役をしっかりと考えて演じられていると思いましたね。赤ちゃん役の子との相性の問題もあるじゃないですか。相手は本当に何ケ月かの赤ちゃんですから。私は撮影の最初と最後に参加して、真ん中がっつりと空いていたんですね。後半参加した時、赤ちゃんの扱いがすごく上手になられているのを見て、撮影が大変だったんだろうな、本当にお母さんのように扱えるようになったんだなと、すごく印象に残りましたね。──すんなり夫婦役になりきることはできましたか? 大泉:そうですね。年はけっこう離れているんですけど、そんなに違和感はなかったですね。何度も言いますけど、すごく落ち着いた方でしたからね。CMなんかで踊っている、常に元気なイメージを持っていたんですけど、初めてお会いした時にすごく落ち着いた大人の女性だなと思ったんですよね。くだらない話をいっぱいしていたんですけど、くだらなすぎて覚えてないんですよね。最後の別れのシーンはまるまる一日かけて撮ったんですけど、新垣さんの素直な涙に助けられました。こんな奥さんと子供を残して死んじゃいかんなと。私にも奥さんと3歳の娘がいますんで、素直に涙が出ましたね。──この作品の良さをアピールするとしたら? 大泉:誰にでも安心して観てもらえる作品かなと思います。日本中の人が好きな物語がそこにあるって感じですよね。鉄板じゃないですか。娯楽として必要なものが全部ある。幽霊ものとくくると怒られるかもしれませんけど、亡くなった人が成仏できずに近くにいるという話は絶対泣けますからね。私もすごくやられてしまいました。コメディとしてもすごく質がいいと思います。──ちなみに、亡くなっている人の役は初めてですか? 大泉:そうですねぇ、初めてですね。死んじゃってるのに出てるというのは(笑)。今後もなるべく亡くなっている人の役をやっていきたいということはないですけど(笑)。昔、ねずみ男という妖怪の役はやったことがあるんですけど、あれがお化けなのかどうか、私にはわかんないです(笑)。幽霊は成仏という結末があるものですからね、泣けますよね。演じていてその切なさを感じていたので、そういうのはクセになるところがあるかもしれないですね。映画『トワイライト ささらさや』は11月8日(土)より公開 公式サイト
2014年11月04日イヴ・サンローランの創始者であり、天才デザイナーであるサンローランの人生を描いた映画『イヴ・サンローラン』が、いよいよ9月6日から公開。ジャリル・レスペール監督と、サンローラン役をつとめたピエール・二ネのインタビューをお届けします。記事最後にニネ氏のイケメンぶりが垣間見れるオフショット写真も公開しておりますので、要必見です! ■ジャリル・レスペール監督インタビュー―この企画はどのように始まったのですか?僕は力強くて素晴らしい愛の物語を描きたいと思ったんだ。それに、夢を実現しようと奮闘する人物を描きたいとも。新しい企画で何をしたいかと考えを巡らせる中で、本作『YVES SAINT LAURENT』の着想を得たんだ。フランスの偉大なデザイナーとピエール・ベルジェを描いた映画を製作することにワクワクしたよ。―何にそれほどワクワクしたんですか?第一に、サンローランの類まれなカリスマ性にとても感銘を受けた。そして彼の脆さと無邪気さにも。彼は非常に賢明で、妥協することなく自分の芸術に打ち込んだんだ。彼とピエール・ベルジェの生涯にわたる愛情にも深く感動したね。それに加えて、サンローランが素晴らしい創造力を備えていたことだ。彼は真の創造者で、幅広い作品を生み出し、常に時代に先んじていて、真のアバンギャルドだった。彼は日常生活において衣服がいかに重要かを理解していて、女性がまだ男性より下に見られていた時代に、女性のためのスーツを考案したんだ。彼は女性らしさを否定することなく、タキシードの上着やズボンといった男性服を女性に着せた。当時、こうした服装は非常に革新的なものだったんだよ。―本作は何よりもまず美しい愛の物語ですね。この物語で僕が感動したことは、二人の素晴らしい人物を描いていることだ。そのうちの一人は天才で、天才には欠点と傷がつきものだ。その上、サンローランは躁鬱病だった。そんなサンローランの病気と仕事の重圧にも関わらず、この二人の主人公がどのようにして生涯にわたる関係を続けることができたのかに、僕は関心を持ったんだ。二人が自分たちの夢を追い続け、可能性を広げ、先に進めば進むほど、二人の愛はさらに試練にさらされ、さまざまな障害を上手く乗り越えていった。だからこそ、前例のない素晴らしい愛の物語になったわけだね。―キャストについてお聞かせください。ピエール・ニネとギョーム・ガリエンヌ(ピエール・ベルジェ役)は、とても上手く互いを引き立て合っているよ。全然違う人間だけど共通しているものがあるんだ。二人とも仕事に対する価値観が同じで、書かれた言葉を大切にしている。こうした素晴らしい人物を演じるには、それだけの熱心さと知性が必要だし、二人とも才能に恵まれていて、素直な気持ちで演技に取り組んでいるけれども、物事を知的に分析しすぎることはない。生気にあふれ、役になり切っているんだ。20年にわたる愛の物語を描く技術的な知識、例えばセリフの展開などと、生き生きとした感情がこもる演技のバランスが絶妙だよ。この映画はおおいにこの二人の演技にかかっていると思う。―衣装デザインについてはいかがでしたか?衣装デザインには通常の倍の時間をかけて取り組んだよ。当時の衣装をデザインしなければならなかったし、リサーチをして、サンローランの重要なコレクションについて賢明な決断をしなければならなかった。ピエール・ベルジェとその財団の協力を得たことで、オリジナル衣装を使用できたのはラッキーだった。財団にとっても、衣装を再現することは簡単なことではなかった。当時サンローランが使用した布地のなかには、今はもう存在しないものもあったから、その場合は特にね。―プロダクションデザインは目を見張るほど素晴らしいですね。財団の協力のおかげで、当時とほぼ同じように映し出すことができた。僕たちはできるだけロケで撮影するようにしたんだ。サンローランが実際に暮らし、仕事をしていた場所、例えば1974年に彼が仕事をしたスタジオ、改築され手入れの行き届いたモロッコのマジョレル庭園と呼ばれる邸宅、サンローランが年に二度ショーを行ったインターコンチネンタルホテル(現在のウェスティンホテル)にも出かけて行った。そうした場所や実際にそこで暮らして仕事をしていた人たちからインスパイアされたよ。映画からそれが伝わってくると思うよ。■ピエール・ニネインタビュー―脚本を読んだときの感想は?ワクワクしたよ! すぐにこれが、傷つきやすくまた気高さを備えた、多面的で魅力ある人物を描いた感動的な話だとわかった。ぜひ出演したいと思ったよ。ジャリル・レスペールの映画はよく見ていたし、彼が俳優たちと親しいことも知っていたから、この作品は説得力のある映画になるだろうと思った。彼なら、この愛と創造を主題にした伝説的な物語を、これにぴったりの色調を見つけ出して描き、全編を通じて二人の人物を掘り下げて描いてくれるだろうと思ったんだ。―脚本のどこに感動したのですか?第一に、サンローランがとても成熟していたことに感動したよ。若い年齢から創造と発明に取り組もうとする断固とした決意に感銘を受けた。彼が幸せを感じるのは、創造することだけだったんだ。ジャリルはこの愛の物語を作品の中心に据えることを決めたが、彼はベルジェとサンローランの素晴らしい50年にわたる関係だけじゃなく、この物語の一部を成すサンローランの困難や巧みな試みも描きたいと考えた。さらに僕が気に入ったのは、サンローランの人格の暗い側面、アルコールやドラッグとの接触をごまかしたりしていないところだった。こういった面も彼の人生に実際あったことだし、彼が残した遺産の一部でもあるからね。―この役をオファーされる前、ファッション界がどんなところかご存知でしたか?いや、あんまり知らなかった。ファッションに特に興味はなかったから、ファッションのことはよく知らなかったんだ。そのあとも、ファッションに心から興味を持ったというより、サンローランやディオール、バレンシアガといったファッションの歴史を創り上げた人物の方にとても興味を持った。そうは言っても、プリプロダクションや撮影が進むにつれて、ドレスや布地、スタイルにどんどん興味を引かれていったけどね。モンドリアンドレスが撮影用に博物館から運ばれてきたときは、特に感動したよ。―サンローランというこの役をどう演じましたか?このような有名な人物を演じるときは、その責任感が演技の妨げにならないようにするため、まずその人物を取り巻く神聖な雰囲気を取り除く必要がある。舞台俳優としての経験がとても役に立ったね。舞台俳優をやっていると、シェイクスピアの芝居を演じる時などに、数々の名優の演技やさまざまな舞台が心の中をよぎるものだけど、そういったプレッシャーを克服できるようになるんだ。新たに自分なりの役作りをしなければならないからね。サンローランは心に傷を負った繊細な人物で、確かに彼は「極度に内気」だった。彼は24歳の時に躁鬱病と診断された。僕はこの面も表現しなければならなかったんだ。―サンローランについていろいろとリサーチしましたか?できる限りたくさんの物語やドキュメンタリーを見たし、さまざまな記録や記事やインタビュー、伝記など、何でも読んだ。数か月間、サンローラン漬けになって、毎日を彼と過ごした。彼が心に秘めた思いを感じ取りたかったし、現場では他の誰よりも彼のことを知っていたかったんだ。彼の成長、18歳の若さで発揮したその創造力、デッサンの才能、目標を達成しようとする決意、舞台へ向けた情熱など、彼の人生のさまざまな側面に影響を受けたよ。彼のステージの感覚が僕の役作りの基礎になった。また、数か月間、さまざまなコーチについてデッサンや裁縫、デザインの訓練を受けた。スポーツのコーチにもね。それに、サンローランの作業室で使われた専門用語も習った。―ピエール・ベルジェは演技について助言をしてくれましたか?それはなかった。でも、彼はものすごく助けてくれたよ。彼はサンローランと一番親しい関係にあった人物だし、今でも、彼はサンローランの作品を管理している。彼と話していて、彼ら二人の生活やサンローランの私的な面をいろいろと学んだ。そういったことは公開されている記録には記されていないからね。ベルジェは、サンローランのユーモアのセンスや長年にわたる二人の生活、それに二人で訪れた場所など、私的な話をしてくれた。彼のスタジオに行き、サンローランの共同製作者や親しい知人に会うことができた。彼らはサンローラン風のデッサンの仕方を教えてくれたよ。これは役作りをする上で重要な段階のひとつだった。---そんなピエール・ニネ氏は大の日本好き。初来日の際には「アイ・ラブ・ジャポン」と東京&京都を満喫した模様。その満喫ぶりが伝わってくる、オフショット写真を特別公開します! 映画『イヴ・サンローラン』2014年9月6日(土)全国ロードショー配給:KADOKAWA 公式サイト
2014年09月01日6月20日(金)から公開される、ポール・ハギス監督の最新作、映画『サード・パーソン』。プライベートではアシュトン・カッチャーとの第一子妊娠を発表しており、公私ともに注目されている女優ミラ・クニス(『テッド』、『ブラック・スワン』)のインタビューが到着。 ―『サード・パーソンは』どのようなストーリーですか?答えるのが難しいわ。とても複雑な役柄で、映画もそうだけど説明が難しいの。彼女は周りから勘違いされていて、前の夫と子供の親権で裁判中なの。彼女は自分の子供を殺そうとした罪にも問われていて、更にとても可愛らしくて優しいのに、いつも遅刻して来たりして、もし人が右か左か選ぶってなったら彼女はいつも間違った方向を選んでしまう様な人なの。 でも彼女はわざとやっているわけでは無いから責める事は出来ないと思うわ。きっと世界で一番運が悪い人なのかもしれないわ。そうではないかもしれないけど、彼女はいつも周囲からダメ出しを受けるの。悲しいキャラクターと言えるわね。―映画ではホテルの従業員として働いていますが、その前の職業は?彼女は女優で、ソープ・オペラで働いていたと思うわ。他にも色々やっていたと思うけど、彼女の話に集中する頃には彼女はNYのホテルで清掃員として働き始めてるわ。―彼女を駆り立てるものとは何だと思いますか?人生で一番大事なものは?それは100%間違いなく彼女の子供だわ。後は子供を取り戻す事ね。子供と一緒に過ごせるようになる事が一番大事な事よ。―ポール・ハギスとの仕事はいかがでしたか?私が最初に監督に会ったのは今から6ヶ月ぐらい前よ。その時はただのミーティングで脚本を渡されて読んでくれって言われただけ。でもポールの事はもちろん沢山の優れた作品から知っていたし、とても特異な脚本の書き方をする人だと思っていたから、何となく予想は出来たの。何がどうなるかなんて分からなかったけど、複雑なストーリーラインなんだろうなという事ぐらいはね。 それで脚本を読んだらもう夢中になったわ。とても悲しい話で、劇場から出た瞬間に「あ〜!とってもいい気分だわ!」ってなるような作品ではないけど、読んだ時とても感激したの。実際に泣いてしまったし、全てのキャラクターがとても痛々しいと思うわ。―出演者がとても豪華です。参加の決め手は?オリビア・ワイルドやリーアム・ニーソンが出演するっていう事も聞いていたし、自分のキャラクターがとてもユニークでスペシャルだと思ったわ。すぐにこの役をやりたいって思ったの。昨日はジェームズ・フランコに会って一緒に数えたんだけど、共演するのは7度目なの。とても楽しいわ。彼は私の仲の良い友達の一人で、一緒に何度も共演出来るというのは素晴らしいわ。撮影は本当に楽しくやっているわ。―マリア・ベロとの共演はいかがですか?マリアはとっても面白いの。映画内では常に言い合いをしてるから、撮影外で仲良く出来るのは楽しいわ。素晴らしい人よ。―イタリアでの撮影はどうですか?今回初めてイタリアに来たの。今撮影2週目だけど、ローマは特に本当に素敵なところね。振り向く度にそこには歴史的な建造物とかがあって、驚いたわ。本当に全てが美しくて、景色に見入っていて反対方向を見るとそこには大きくて古い建物があったりして、素晴らしく歴史的で、文化的な街ね。食事も美味しいし、人々も優しくて、とても素敵な時間を過ごしているわ。―子役のオリバー君はどうでしたか?オリバー? 彼は素晴らしいわ。私とジェームズ・フランコは「Tar」っていう映画で夫婦を演じたんだけど、その時の子供役の子がブロンドで青い目をしていたの。それでジェームズと二人で、「自分たちに全く似てないね」っていう話をしてたんだけど、今回オリバーを見て、ジェームズと「やっと自分達に似た子供が来た!」って言ってたのよ。とても可愛い子だわ。 ―これまでの撮影でハイライトだと思うのはどこですか?そうね…ローマでの撮影は素晴らしいわ。イタリアで仕事が出来ているっていうのはとても恵まれていると思うわ、だって世界中を旅するなんてそう出来る事ではないし、このように違う文化に触れたりね。自分の仕事が好きな理由の一つはこれだと思うわ。でもやっぱり、一番のハイライトはポールと一緒に仕事をしている部分ね。ポールや、マリア、ジェームズ、他の素晴らしい出演者達とスタッフ達、そしてこの撮影環境に囲まれて、とても安心するの。―最後に、モランとの共演シーンがあるとか?そう、1回だけね。また共演してないの、撮影は来週だから。作中ですれ違うシーンがあるのよ。会話はないけど、彼女はとっても優しくて美しい人よ。ポールにもからかわれたんだけど、私は164cmだけど彼女はすごく身長が高くて綺麗でスーパーモデルみたいだから、私達が一緒のシーンに映ったらさぞかしおかしいでしょうね。(C) Corsan 2013 all rights reserved『サード・パーソン』は6月20日(金)TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー 公式サイト
2014年06月18日50万部を超える大ベストセラーとなった伊坂幸太郎の小説『オー!ファーザー』。伊坂流サスペンスコメディの決定版として満を持してスクリーンに登場する。“オヤジが4人”ということ以外は、いたって普通の高校生・由紀夫。個性がバラバラの父親たちと、ウザくてもありがたい生活を送っていた由紀夫だが、ある事件に巻き込まれ…。絶対絶命の状況下で、愛する息子を救うため4人の親父が取った行動とは!? 見事な伏線と巧妙なトリック。そして、原作者も「幸せな気持になれた」という結末とは? 今回は、第六回沖縄国際映画祭の会場にて主演の岡田将生、4人のオヤジ、そしてヒロインの忽那汐里に、それぞれが描く映画への思いをインタビューしました。■今回手を挙げた理由は?岡田さん:やっぱり伊坂さんの原作というのもあって、家族の血がつながっていないものでも愛があるというか、そういうのがとてもそういうのを伊坂さんの作品でやらせていただいているので、今回それがまさにこの作品に現れていて、それはぜひやりたいというのが、初めて手を上げさせていただいて、高校生ができるのかという問題もあったんですが、乗り越えて今回やらせていただきました。■共演はいかがでしたか? 忽那さん:岡田さんと久しぶりにお会いして、お父さん方は初めてご一緒させていただいたんですが、岡田さんもすごい久しぶりだったので緊張したのですが、現場に入った時には雰囲気もでき上がっていて、楽しい、いい現場でした。■同じ家族構成だったら? 忽那さん:女の子だったらたぶんお父さんが4人もいたらすごいかわいがってもらえそうで甘えてしまいそうですね。岡田さん:4人分愛を感じられるというのはとても幸せだと思うし、ちょっと由紀夫がうらやましかったりしますけどね。■父として意識されたことは? 佐野さん:大学教授ということで、難しいクイズをすらすらと答えてしまうという、実人生でクイズミリオネアで大失敗をしているので、まず台本をもらった時に、いくら役とはいえ、みのさんのあの目でにらまれたら、それはあなた、行ってごらんなさいよ。すごいんだから、頭の中真っ白になるんですから。僕、それ知っています、どういうことか。ツナだということは知ってますよ。シーチキンって答えたんですよ(笑)。それ現実の話だよ。ドラマのセリフじゃなくて。岡田さん:本当にやられたんですか? それでシーチキンって答えたんですか? 佐野さん:コントじゃない。それで僕は弟に佐野家の恥って言われて。そういう苦~い思い出があるものですから、クイズのシーンを読んだ時に、どんなに演じたところで説得力を持たないと。これを何とか説得力を持たせるためにはどうしたらいいだろうかと一生懸命演じるしかないですよね。そのことだけを信じて、一生懸命やりました! 村上さん:原作は未読なんですが、元ホストで女性の扱いが上手だというところが個性として描かれていたんですが、そこはあまり考えずに、母のような兄のような存在で、優しくいようと、監督とも少し話したんですが、肩の力を抜いて、現場にいて起きたことに反応しようと思っていました。河原:ギャンブラーという設定だったんですが、僕一切ギャンブルをしないので…。憎んでいますから(笑)。ギャンブルをしない男ですから、俳優の役作りですよね。僕なりのギャンブラーを演じさせていただきました。ノリで。ノリ大事でしょう。友だちみたいな関係のポジションなのかなと本をいただいたときにそう読めたので、映画をご覧になった方が、僕も一生懸命役作りしたので、すごいギャンブルをする人だろうなと思われているかもしれないですけども、憎んでおりまして。今ノリではなしてるから、着地点とかどうでもよくなってきて…。そういうお友達の感じを意識して演じさせていただきました。宮川さん:僕は体育教師役だったので、お話をいただいてから、クランクインまで間があったので、やっぱり体育教師だから腹を割って、6ポケットぐらい作っていこうかなと思っていたのですが、間に合わず、ポッテポテの体でやらせていただいたんですが、役作りは失敗したかなと思うんですが。役作り、そんなにあんまり考えていなかったです。ノリでやらせていただきました。宮川でした。村上さん:6パックですから(爆笑)■岡田さんみたいな息子と忽那さんみたいなお嫁さんがいたら? 宮川さん:それは、いい息子ですし、いい嫁さん候補だと思いますよ。河原さん:そのまんまじゃないですか。宮川さん:一発目ってそういうことじゃないですか。佐野さん:(岡田さんが)自分で自分の役がうらやましいって言っていたけれど、僕は実人生で息子はいないので、正直言ってうれしいですよね。あ、彼女連れてきたんだと、疑似的なそういう家族というのを思いながらえんじていたというのはありましたね。実際は娘一人いるだけで、彼氏なんかいるのかなと思って日々過ごしていますけど。実際は甥っ子を息子のように感じたりすることもあるので、フィクションではありますが、うれしかったですね。村上さん:仲良くやればいいと思いますよ。ベネチア行って、ゴンドラ乗って、いちゃいちゃすればいいと思いますよ。河原さん:最初は僕たち男性陣だけの撮影が続いていたので、忽那さんが入った時に現場が色めき立ちましたからね。ぱっと明るくなりましたから。だから、自分たちもちゃんと女性として見ていたというか(笑)。岡田さんの、相手役というよりは、自分たちも現役感があったような。やらしい眼を抑えるのが必死でした。佐野さん:忽那さんと食卓の日があるんですけど、あの日は確かにテンションが高かったね。異常に。■恋人の家族構成がこうだったら? 忽那さん:にぎやかでいいですよね。でもちょっと大変そうですよね。でもさみしい思いをしなくて済みそうですよね。■現場はいかがでしたか? 忽那さん:本当に楽しそうだなと。私が最初に現場に行ったときに、ちょうど麻雀をやっていて、ちょうどお父さんが一人呼ばれてしまって、ちょっと代わりにやっておいて、という自由な感じがいいなと思いました。■最後にメッセージを岡田さん:本当に家族の絆というのが、血がつながっていなくても、それを超えるぐらいの愛がある、というのがひとつのテーマだと思いますので、映画を観て、感じてもらえるとうれしいなと思っています。忽那さん:高校生の由紀夫と、4人のお父さんとで娯楽とサスペンスのテーマが行き交ってすごい面白い作品になっていますので、楽しんでいただけたらなと思います。佐野さん:家族はあるもんじゃなく、作るもんだというのはメッセージとして伝えたいというのは、優等生的な答えとしてお答えしておきますが、その向こうにはとんでもない恐ろしいストーリーが隠されているので、それを読み取っていただけると、いち出演者としてありがたいと。暗黒と救いがともにあるホームドラマです。村上さん:いい作品に仕上がっていると思います。ぜひ劇場で友だち、家族、一人でもいいですが、劇場で見ていただけると嬉しいなと思います。河原さん:メインキャストをやらせていただいた6人、こういって素敵な人が集まって、6人それぞれにポケットがあって。宮川さん:やめてくださいよ。使われるじゃないですか。あ、使われるのか。村上さん:僕は7つあります。河原さん:あの、劇場でお待ちしています。宮川さん:すごく楽しい作品になっていますし、サスペンスのところはドキドキすると思うので、本当に観ていただいた後に、5人、10人に言っていただいて、その方がまた観に行って、みたいなので拡がっていくといいなと思っています。宮川さん:6パックか…(c)2014吉本興業『オー!ファーザー』 は、5月24日(土)より、角川シネマ新宿、テアトル梅田ほか全国ロードショー 公式サイト
2014年05月24日主演映画『俺たちの明日』で、EXILEのMAKIDAIこと眞木大輔が演じているのは超一流の盗人・不動龍。彼は“心の奥底にある願いを叶えてくれる”という伝説の金貨を盗むため、2人の仲間と共に裏取引も行う質屋「K」に忍び込む。しかしそこで、それぞれ別々の目的を持った男たちと、とんでもない事態に巻き込まれていく。眞木自身には「信じているジンクスはない」というが「リアルなところでいうと、ライブ前日には筋肉の疲労に効く漢方を必ず飲んでいます。パフォーマンスは体が資本ですからね。本当に役立っています」と笑う。パフォーマーとしてのプロ意識は高く「空いている時間があればトレーニングに割きます。体を動かすことはメンタルのデトックスにも繋がるし、ストレス発散にもなる。体を動かした後の爽快感が好き」という。女性の中には、体を動かしてダイエットをしようとしても、すぐにギブアップしてしまう人もいるだろう。「どんな小さな目標でもいいから作って、それに向かって諦めないことが大切」と説く眞木にも「今日はトレーニングを休みたい」と思ってしまう日もあるそう。だが「そんなときにこそ動くべき。これだけ自分がやったんだという実績を作っておけば、どんなことも辛くなくなる」とすべてを自分のプラスとして捉える。常に動いていたい、という意識が強く、「じっとしていると立ち止まっているようで嫌。休むことも必要だけれど、常に自分にとってプラスになることをしていたい」とそのマインドは常に上昇志向。最後に「必要なのは努力。不安は、やっていないからこそついて回る。努力やトレーニングを積み重ねていけば、物事は必然的に楽しくなる」と自らの人生哲学を教えてくれた。映画『俺たちの明日』は4月5日より、新宿バルト9ほかにて全国公開 公式サイト
2014年04月01日年上実業家との熱愛が一部で報じられた女優の深田恭子が25日、スクープ後初めて公の場に登場し「今はお仕事が第一優先ですから」と現在の恋愛観を明かした。東京の増上寺・安国殿で映画『偉大なる、しゅららぼん』のヒット祈願イベントに劇中衣裳の袴姿で出席した深田は「白馬の王子さまは現れましたか? 新しい恋は始まりそうですか?」と聞かれると、首を横に振って「今はお仕事が第一優先ですから。ありがとうございます」と笑顔でコメント。また同所には“勝ちを招く黒本尊”が祀られていることから「勝ちたいことは?」と聞かれると「すぐに落ち込んだり、心配になって悩んでしまうことがあるので、そんな弱い自分に勝ちたい」と願望を明かしていた。劇中で騎乗した白馬・マレーボにまたがり、マスコミ向けの写真撮影を終えると「今回は乗馬にも通わせていただいて、自分的には初めての貴重な体験だったので、白馬に乗っているところをご覧いただければ」と作品の見どころをアピールした。同作は、人気作家・万城目学による同名小説の実写映画化。琵琶湖畔の街を舞台に、不思議な力を伝承する日出家と長年のライバル関係である棗一家との戦いを描く。イベントには濱田岳と岡田将生も出席した。映画『偉大なる、しゅららぼん』は3月8日より全国公開 公式サイト
2014年02月27日愛する者を守るため、ぬいぐるみになることを選んだロリータファッションの新ヒーロー“ヌイグルマー”と、その相棒であるテディベアの戦いを描く映画『ヌイグルマーZ』。本作が初主演となる中川翔子さんが、日本のトップクリエイター達によって映画化された、ジャパニーズ・ポップカルチャーの集大成ともいえる『ヌイグルマーZ』の魅力をあまなく語ります! ■映画初主演が決まった時はどう思いましたか? また参加しようと思ったきっかけは? 最初に“映画が決まりました、大槻ケンヂさん原作の特撮です”と聞いて、それだけでもう、バンザイという感じだったんです。その後に続けて、今回は変身するピンクのヒーローで、そのキャラクターデザインをしてくださったのが『ヱヴァンゲリヲン』の鶴巻和哉さん、コヤマシゲトさん、しかも監督が井口昇監督と聞いた時には、うれしすぎて“うれし死に”しそうでした(笑)。この映画『ヌイグルマーZ』には、ほかにもヌンチャク、ゾンビ、かわいい女の子と、私がすてきだと思っているものがたくさんつまっていて。私の人生はこのためにあったのかと思いました。私が芸能界に入ったのも、特撮ヒーローになりたかったからなんです。当時はいろいろとオーディションを受けたりもしたんですが、うまくいかなくて、“やっぱり好きすぎるとだめなのかな、今世ではだめだけど、生まれ変わった来世でもオーディションを受けたいな”と思っていて。だから今、時空を超えて夢がかなうなんて驚きでした(笑)。しかも、今回は映画というメディアで。私には仕事の中で自分の生きてきた証を残したいという思いがあるんですけど、映画は撮影された時の空気が映されていて、繰り返し繰り返し観られるものなので、そういう意味でもうれしかったです。■主人公・夢子と中川さんの共通点は? 夢子ってほんとにダメなんです(笑)。年齢は不明なんですが、ずっとロリータファッションを着ていて、料理も苦手。人が“?”と思ってしまうような感覚を持ったまま生きていて。でも、大切な人を守りたいという気持ち、そしてあこがれのヒーローになりたいんだという気持ちが爆発した時はすごく強くなるんです。ここぞという瞬間に力を発揮するという点は、私も夢子とよく似ていると思います。■逆に違うところは? 振り切っているところです。夢子は、一度好きになったらとことん追及して、それを貫いて生きているんですね。それがすごいなと思います。例えば、私もロリータファッションに興味はあったんですが、実際に挑戦する勇気がなくてできなかったんです。ひとりの時は強気になれても、人前に出るのはちょっと怖いというせめぎ合いが私の中にあって。この作品で夢子を演じて、“私にもこのくらい勇気があれば”と思いました。夢子は、ダメなところは多くても、そうじゃない、かっこいいところもたくさんある女の子だと思います。■役作りはどうされたんですか? 脚本を読んだとき、“自身の過去と向き合う作業”に取り掛かる決心をしたんです。これまで“黒歴史”と名付けていた、中学時代のどうしようもない自分をもういちど呼び覚ます作業ですね。それをしないと夢子は演じられないと思ったんです。映画の中で、夢子が部屋に閉じこもり、特撮ヒーローのビデオを見ながら変身ポーズをきめている。そのときだけ心が輝くシーンがあるんですが、あれは親も見たことのない中学時代の本当の私の姿です。そのシーンを撮るときは、運命以上に怖さを感じましたね。それから、その作業と同時に、純粋な気持ちで特撮ヒーローを見ていた気持ちを呼び起こすため、またもビデオを見まくりました。変身直前の表情の変化とか、いかにも特撮モノっぽいポーズとか、今度は自分が『宇宙刑事ギャバン』や『超人機メタルダー』のようなヒーローなるんだという新たな視点で見たことで、これまでにない感動が生まれましたね。そういう作業をしていくうちに、『過去の自分にプレゼントしたい映画を作ろう』と気持ちになりました。■ヌンチャクアクションも披露していますが、あれは私物なんですよね!あれは、中学のときに自分でこしらえたものですね。そもそも、井口監督もアクションシーンでヌンチャクを使うイメージがあったので、黄色いもの、黒いもの、鎖のカッコいいものなどを用意してくれたんです。でも、私がいつも持っているピンクのヌンチャクを見た瞬間に、『じゃ、これでいきましょう』と言ってくださって……。これが偶然にも、今回着ているロリータ衣裳にピッタリなんですよ! ヌンチャクで戦うシーンはアクション監督の宮崎(剛)さんに指導していただきました。ゾンビをなぎ倒していくシーンがあったから、ダメ子がダメ子だけなじゃく、ヌイグルマーに変身する強さを秘めていることを表現できたのでうれしかったです。ヌンチャクは隠し芸大会でプロの方に指導を受けたこともあるし、それこそ実家の壁に穴が空いているくらい、ひたすら振り続けているので、久々感はまったくありませんでした(笑)。しかもそのアクションを宮崎剛さん率いるJAEのメンバーとできたこともまた私にとっては喜びの極みでした。私の想い出の品が映画という媒体に残るなんて……それでだけで、すべてが成仏しています。■中川さんがよくおっしゃっている、この映画に詰まっている“ステキ”。ぜひ具体的に教えてください。とにかく、てんこ盛り、メガ盛りもいいところ。それこそ盆とクリスマスと正月と、特上ステーキと特上寿司と、大トロといくら、ウニと……って、寿司ばっかりになっちゃったけど(笑)、贅沢な何段重ねのお重みたいに「世界のステキ」がいっぱい詰まっています。特撮ヒーロー、ピンク、フワフワ、女のコがいっぱい、ヌンチャク、イケメン、ゾンビ、ファンタジー、夢、愛、ロマン、友情等々……とにかく素敵がいっぱい詰まったカオスな映画です。女の子に見てほしいなってすごく思うんですけど、なぜなら女の子って戦隊ものでは男たちのなかのひとりだったり、ヒーローに守られヒーローを支えるヒロインだったりしますよね。でもヌイグルマーは女の子が女の子を守るために女の子に変身するんです。“かっこいい”“強い”だけじゃなくて“かわいい”も兼ね備えたヒーローっていうのは、特撮の歴史のなかでも今までになかったと思います■劇中では「BABY,THE STARS SHINE BRIGHT」のロリータ衣装を着ていらっしゃいますよね! 中川さんが選んだんですか? 衣装合わせのときにいろんなロリータを着て、ロリータっていい塩梅を見つけるのが難しいのかなと思ったんですけど、この衣装を見た瞬間にもうこれしかないって全員一致でなったんです。世界に一着のBABYのものなので。ゴテゴテなんですけど、これを着るとシャキッと強くなれる気がしますね。これを着てカレー屋のバイトをするシーンがあったので、カレーが飛び散らないようにとか、ゾンビの血が付かないようにとか、すごく気を付けながらやっていました(笑)。ロリータっていうのも、日本のポップカルチャーの一つなので、例えばゾンビが好きでロリータが好きなフランスの方とかにも観て欲しい映画ですね。ファッションでも共感できる特撮っていうのはなかなかなかったと思います。■「ヌイグルマー」演じる武田梨奈さんとの共演はいかがでしたか? はじめてジャッキー・チェンの話で意気投合できる女子に出会えました(笑)。学生時代、いかにそういう女子を探していたか、そして出会えなかったかを痛感していたので、梨奈ちゃんのような新世代の若い女優さんとジャッキーについて「そうそうそう!」と相槌が打てる喜びといったら! 本当にこれからも仲良くしていきたいです(笑)。■武田さんのアクションも本当にかっこよかったです! 梨奈ちゃん演じるヌイグルマーが階段でゾンビをなぎ倒して、ハイキックして、さらになぎ倒していく、とても難しい長回しのアクションがあったんですけれど、なんと一発OKだったんです。本当にあれには圧倒されました。しかも片目はボタンなので視界も半分なわけですよね。それに鶴巻和哉さんがデザインされたヌイグルマーは華奢で腰も細くて手足も長くて、完全に「エヴァボディ」なんですよね。それをまた見事に着こなしてアクションしているんです。撮影の時期はとても寒かったんだけど、タイトな衣装だからカイロも貼れない。けど、梨奈ちゃんはすごく真面目でストイックに取り組んでいて。日本で一番動けるアクション女優の梨奈ちゃんがヌイグルマー役だったことには何か運命的なものを感じています。梨奈ちゃんがアクションで私のマミタスポーズを取り入れてくれて、梨奈ちゃんの方ですごく考えながらアクションをしてくれていました。宮崎さんといろいろと相談してくれていたみたいなんです。■最後に映画をこれからご覧になる皆さんにメッセージを。特撮はファンタジーであり、ロマンであり、強さ、かっこよさだと思うのですが、『ヌイグルマーZ』にはそういったものに加えて“かわいさ”という要素も含まれているので、特撮好きの方はもちろん、特に女の子にとってはとても楽しく、共感しながら観られるものになっていると思います。この作品の“ダメでもいいんだ”というメッセージは、きっとたくさんの方に響くと思うので、ぜひ観ていただけたらと思います。(c)2013ヌイグルマーZ/フィルム・パートナーズ『ヌイグルマーZ』は、1月25日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー 公式サイト
2014年01月24日