2020年7月19日に、子役出身の俳優である春名風花さんが、SNSに誹謗中傷を書き込んだ投稿者と示談が成立したことをYouTubeで報告。投稿者が315万4000円の示談金を支払うことで合意しています。ネット上での誹謗中傷が問題視される中、春名さんの訴訟は人々の注目を集めました。示談の成立に温かなコメントが寄せられる一方で、「悪口をいわれたくらいで示談金を貰えていいな」という心ない声も上がっています。そんな声に対し、春名さんがnoteにつづった言葉に反響が上がっています。『示談金の額しか見えない人』に春名風花が反論春名さんは4社のプロバイダに対し『発信者情報開示請求訴訟』を行い、投稿者の個人情報を得た後、民事・刑事の両方で訴訟を起こしていました。当初、投稿者は示談に後ろ向きだったものの、家宅捜索が始まる前に示談金による刑事告訴の取り下げを要求。投稿者の申し入れに対し、「後の人々のために1つでも多く判例を作るべきではないか」との思いから、春名さんは示談を拒否していたといいます。しかし、いろいろな人から助言を受け、「現行法では法律で裁くほうが罪が軽くなってしまうかもしれない」との考えから示談を受け入れました。すると、一部の人が示談金の額に反応。『なんの苦もなく手に入れた臨時収入』であるかのように解釈し、筋違いな侮辱や恨みの言葉を春名さんにぶつけたのです。春名さんは当事者として、苦しみと示談金について勘違いしている人も分かりやすいよう、次のようにつづりました。何を言ってるんだろう。そんなにうらやましいなら、あのとき代わってくれたら良かったのに。この金額はラクしてもらえる不労所得じゃなく、僕のこれまでの苦しみとトレードなんだから、そんなに10年ぶんの慰謝料が欲しいなら、僕と同じめにあって、10年間苦しんでみたら良いと思うんだよ。慰謝料っていうのは、誰から見てもそれだけ苦しんだんだなってことが認められた人だけがもらえるもの。それに、何度も言うけど、いくらお金を積まれても、傷はなおらないし、記憶も消えないし、一度落ちた信用も名誉も取り戻せないし、ぺこぱじゃないから時だって戻せない。これで、あの苦しかった記憶が全部消えて無くなるわけじゃないんだよ。春名風花ーより引用春名さんによると、学費を裁判費用に使ってしまったので、そのぶん奨学金を借りないといけなくなったそうです。また、警備費用や失った仕事の数を考えると、とても示談金では補いきれないとのこと。損をした分の一部を取り戻せはしても、心の傷は残ったまま。その上、訴訟後に平穏を取り戻せるかと思いきや、額だけを見てうらやましがる人の対処も必要とあっては、どうにもやりきれないでしょう。【ネットの声】・精神的な苦痛は、お金ではとても補えませんよね。・「お金を貰った」という部分しか見えない人がいることにビックリ!・「春名さんの苦労がやっと報われた」と思って嬉しかったのに、今度はそんな目に遭うなんてつらすぎ…。・「示談金が貰えていいな」なんて、人の痛みが分かっていれば口が裂けてもいえないことだよ。『有名税』という名目で見過ごされてきた、芸能人への誹謗中傷。批評とは違う暴言を許す風潮はもちろん、訴訟を起こした人への当てこすりなども、時代の変化とともに減っていくことでしょう。春名さんの言動が、その第一歩となる影響を社会に与えることを多くの人が願っています。[文・構成/grape編集部]
2020年07月24日SNSの書き込みで名誉を棄損されたとして今年1月、投稿者に慰謝料など265万4,000円を求める訴訟を提起した女優の春名風花(19)。被告である投稿者1人と示談が成立したと、7月20日にYouTubeで報告した。5月下旬にプロレスラーの木村花さん(享年22)が亡くなったことで、誹謗中傷に対する社会的な議論が高まっている。7月10日には、総務省で匿名投稿者の情報を得る「新たな裁判手続き」が提案された。そのようななか、春名の報告は“大きな進歩”として注目が集まっている。弁護士ドットコムニュースによると、「彼女の両親自体が失敗作」など春名の両親に中傷を行った投稿者を対象にしたという。「顔の見えない相手」との闘いは、およそ10年にも及んだ。春名が弁護士に依頼したのは18年10月。精神的ダメージに悩まされながらも、懸命な努力が実を結んだ。「春名さんがTwitterを始めたのは9歳。社会問題に関する鋭い視点に注目が集まるいっぽう、彼女を中傷する投稿も目立つように。実家の住所を晒されるなど、その被害は日ごとに悪質化。16年には出演する劇場などに爆破予告をされ、仕事にも支障をきたすようになりました。被害届を出すなど幾度も警察に助けを求めましたが、『取り合ってもらえなかった』と落胆。ついに提訴を決意し、アルバイトで稼いだお金や貯金を裁判費用に充てたそうです」(全国紙記者)春名によると、弁護士に依頼してからTwitterなどプロバイダ4社に対して、投稿者の氏名や住所を特定する「発信者情報開示請求訴訟」を申し立てた。19年11月に投稿者の情報が開示され、ようやく民事訴訟にこぎ着けた。「もともと発信者情報開示請求訴訟を申し立てた後に、投稿者が示談を申し出たそうです。しかし投稿者は『示談金は払えない』と、納得のいかない主張を繰り返したといいます。春名さんは反省が見えない相手に対して、氏名が公表され前科がつく刑事告訴を決断。春名さんは訴えることで、『中傷を行う人への抑止力になる』と強い意志を貫きました」(前出・全国紙記者)春名は、20年1月に神奈川県警に告訴。一度は告訴状を送り返されたものの、20年2月に受理された。ところが家宅捜査と取り調べが始まる直前に、相手側から「示談金を支払うので告訴を取り下げてほしい」と申し出があったというのだ。はじめは示談を拒否していたが、現行の法律では軽微な罰で終わると知ったという春名。「お金という目に見えるものを失うことでしか、『あなたのしたことが悪いことです』と教えられる手段がないのかもしれない」と、相手側が315万4,000円を支払うことで示談を受け入れたという。動画の最後では、「私は死にません。誹謗中傷されてそれで何かが変わるなんて悔しすぎます」とコメント。「必ず生きて、生きたまま未来を変えたい」とも語り、「何を言われても何度転ばされても私は役者になるし、夢も未来も諦めない」と強調した。春名の元には、その努力を労う声が寄せられている。《これを機にネットの世界でも自分の発言に責任を持つ人が増えると良いですね! 長い間、お疲れさまでした勇気ある行動だったと思います》《お疲れ様でした…よかった、本当によかった。きっとこれはいろんな人の励みになるはず》《まずはお疲れさまです。ここまでの道のりは辛く長かったと思いますが、この結果が今後の抑止力となる事を切実に願っています。もっと優しい世界になるといいなあ》
2020年07月20日