演出家・杉原邦生の活躍が止まらない。昨年は市川猿之助とももにスーパー歌舞伎II『新版 オグリ』の演出を手がけ、自ら率いる「KUNIO」では上演時間10時間にも及ぶ大作ギリシャ悲劇の大作『グリークス』に挑んだ。そんな彼の最新作『少女仮面』が1月24日(水)から2月9日(日)まで東京・シアタートラムにて開幕する。『少女仮面』は唐十郎が1969年、鈴木忠志が主宰する早稲田小劇場に書き下ろしたものであり、数ある唐十郎戯曲の中でも傑作と名高い作品。伝説の宝塚の大スター・春日野八千代(若村麻由美)に憧れて、地下の喫茶店「肉体」にやってきた少女貝(木崎ゆりあ)と老婆(大西多摩恵)。そこにはボーイ主任(大堀こういち)とタップを踊りながらでてくる不思議なボーイふたり(井澤勇貴、水瀬慧人)、腹話術師(武谷公雄)、水飲みの男(田中佑弥)。一体これから何が始まるのか……?喫茶店を舞台にめくるめく“唐ワールド”が展開されてゆく。この作品が書かれた1969年は高度経済成長期の真っ只中であり、学生らを中心に安保闘争が盛り上がるなど、社会が大きな熱気とうねりを持った時代でもあった。唐らが中心となり一時代を築いたアングラ演劇は、そんな時代背景と人々の持つエネルギーの流れの中で生まれていったもの。初演化から50年を経てこの作品を上演することに関して、杉原はプレスリリースで「唐十郎が 1969年に生み出した『少女仮面』には、現代(いま)だからこそ迫ってくる切実さが満ち溢れている。今回はこの作品を、現代を生きる僕たちの〈実在〉のための物語として、クールかつスタイリッシュに描き出したいと考えている」と述べている。オリンピックという大きな祭りを控えてはいるものの、当時とはまた異なる色で不安と閉塞感が満ちたこの時代に、若き演出家は唐の言葉、そして“肉体”をどう立ち上らせるのか。そこには現代だからこそ見られる、新たな“アングラ”があるに違いない。文:川口有紀※木崎ゆりあの「崎」は正式には「たつさき」
2020年01月22日ダンサー、振付家として幅広く活躍する北尾亘。ソロワークはもちろん、近年では小劇場の注目カンパニーの振付を手掛けることも多い彼が主宰するダンスカンパニー、Baobabの最新公演『ジャングル・コンクリート・ジャングル』が12月5日(木)よりKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオでスタートする。北尾に話を聞いた。実は今作の構想は、KAAT公演が決まった頃……2年近く前から温めていたものだという。「劇場によって、その時に作るもののイメージが変わっていくスタイルなんです。ダンスというもの自体が抽象的ですし、僕らの公演はステージ上に建て込みをするタイプでもない。劇場の中に流れる空気や、特性を想像しながら作品コンセプトを考えていくんですよ。KAATでの公演は初めてですが、僕自身が神奈川県出身ということもあり、馴染みを感じている場所で。海も近いし、少し自然に近づいていくような感覚がある場所なんですよね。ここだったらBaobabの真骨頂的なものと言いますか、大地のイメージ、あるいは土着的な身体……そういったものを遺憾なくやらせてもらえる空気があるのでは、と」近年のBaobabの作品は、社会的なテーマをはっきりと表したものが多かった。今作は旗揚げ当初の作品への“原点回帰”的なところも意識しつつ、タイトルが象徴するように自然と文明や環境問題、生命と自然の関わりなど、彼が今感じている社会問題は表現として盛り込まれていくという。劇場という空間でどうやってそれらを表現するか?彼が今考えているアプローチは、なんともユニーク。「今回は対面の客席に加え“方角”を大切にしてます。例えば、風水に則って動線を決めてみたり、東西南北で振りを分けてみたり。ずっとバレエで言う“8つの方向”(注・バレエにおける基本的な身体の向きのこと)ではない、別のものがないかと探してたんですよね。これ、ちょっと発見なのでは!?と思ってます(笑)」公演チラシには「いのちが、おどりたがっている。」という言葉が大きく打ち出されているが、今作の内容に関しては、近年彼が関わってきた演劇界の才能たちが大きく影響しているという。「“生命讃歌”と大きく言ってみたんですけれども、自分の作品性がそういう方向に向かっていくとはあまりイメージしていなかったんですよ。おそらくこれは、木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一さんや杉原邦生さん、ロロの三浦直之さんや範宙遊泳の山本卓卓さん……彼らからの影響がかなりあると思います。特に昨年、まつもと市民芸術館で上演した木ノ下歌舞伎の『三番叟』、あれは大きかったですね。舞踊は祝祭であり、そして祈りでもある。もしかしたら、生贄的なものもあるのかもしれない。そういうことにもっとピュアに向かって行ってもいいのでは、そう思える勇気をもらえたんです」それぞれの現場で得た刺激を自分の中に蓄積し、変換して、ホームグラウンドであるBaobabで表現する。北尾が今考えていることを具現化するため、出演するダンサーはカンパニー史上最多の21人。北尾いわく「それぞれの身体の特性やシルエットにもこだわった」というダンサーは、体格はもちろん、プロフィールもバラバラ。特に年齢は上は40代、下はなんと小学校5年生(!)と、バラエティーに富んだメンバーが揃った。ここにもまた、北尾が抱える“ダンス”というものへの思いが込められている。「舞台作品としてのダンスというものが、お客さんとどう関わりを持てるのか。これが僕の中ではずっとテーマだったんです。これは多分演劇を経験しているのも強いんですけれども、どうしても非日常である“踊る”という行為は、舞台上と客席に境界線が生まれる感覚……美術作品をガラス越しに眺めるような、そういう関係性に近くなってしまう。でも僕はそれを、もう少しつなげて行きたいんですよ。旗揚げ当初からセリフを使ったりしていたのは、それもあると思います。コンテンポラリーダンスにも色々なスタイルがありますけど、僕たちの踊ってる肉体はもしかしたら観客の人に“自分と少し近いのでは?”と感じてもらえる可能性があるんじゃないか、と。そう感じてほしいからこその今回のキャストですし、ダンスをもっとポピュラーにしていく、そのための大事な一歩かなと思うんですよね」出演者たちとは、今年の6月頃からワークショップを重ねてきたという。「劇場から遠く離れた地で起きているかもしれない、人間でもない生き物の営み。そういうことまで僕たちは手を伸ばしたい」と語る北尾。舞台上に立ち上るのはきっと、そういったものまで濃密に感じられるような“いのち”の躍動だ。さまざまな刺激を得て、進化し続ける北尾亘の、Baobabの現在を目撃しようではないか。Baobab『ジャングル・コンクリート・ジャングル』は12月8日(日)まで。取材・文:川口有紀
2019年12月03日イギリスの演出家、ジョン・バートンと翻訳家のケネス・カヴァンダーが10本のギリシャ悲劇をひとつの長大な物語に再構成した『グリークス』。三部構成、上演時間は約10時間にも及ぶ演劇史屈指の大作に、杉原邦生率いるKUNIOが挑む。「大学生の時にNHKの放送で、2000年に蜷川幸雄さんが演出した『グリークス』を観たんです。それが本当に衝撃的だったんですね、“こんな長くて面白い演劇があるんだ!”と。その時からいつかやろう、と思ってました。ただ今回、“やるんだ”という話をしたら、周りからは最初“バカじゃないの?”と言われましたけど(笑)」これまでKUNIOでは『エンジェルス・イン・アメリカ』の連続上演、木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談―通し上演―』『三人吉三』など長時間に及ぶ作品を数多く手がけてきた。「長尺物ではベテランの粋ですね」と杉原も笑うが、そういう大作をあえて手がけるのは“長時間の作品でしか描けないもの”があるから。本人の言葉を借りれば、「大きな演劇」……つまり「時間や空間、物量など物理的な〈大きさ〉の上に、物語としての〈大きさ〉をあわせ持った演劇」。「この作品で、10時間かけて描かれていることは“神”だと思うんです。“神”って、もともと人間が作り出したものなんですよね。でも、願い事があれば神様に祈って、不幸なことがあると神様のせいにする。その存在に対して人間はときに怖がり、ときに寄り添う……そういう態度の変化によって、神という存在が人間にとってどういうものであるか見えてくる。それにはやはり、10時間かけないとダメなんです」日本に生きる私たちにとって、ギリシャ神話やギリシャ悲劇というものは少しピンときづらいかもしれない。しかし杉原は「逆に、日本人の方がすんなり受け入れられるんじゃないかと思うんですよ。“八百万の神々”という概念に似ている気もするし、いい意味で“いい加減”(笑)なところが日本人に合う気がする。共感できる部分が多いんじゃないかな」と語る。また、今作の上演はすべて新たな訳で行われるという点にも注目したい。翻訳を担当した小澤英実と、一言一句に至るまで言葉のニュアンスを精査していったという。かといって、いかにも現代風にくだけた、わかりやすい言葉になっているというわけではない。「間口を広げるとか、分かりやすくすることって、すべてを現代の僕たちの日常的感覚に下ろしてくるということではないと思うんです。だから、今回の作品も“古典”でありたいんです。入り口でいかに物語世界に入りやすくするか、そこは僕が演出でやりますから。あくまでもギリシャ悲劇である、という前提は崩したくないんですよ」現在、新橋演舞場では市川猿之助と共に演出を担当したスーパー歌舞伎II『新版 オグリ』も上演中。歌舞伎という他ジャンルの創作現場での経験も、おそらくこの作品には濃密にフィードバックされることだろう。ちなみに取材当日は、東京でのプレビュー公演を終えたあと。「まだまだブラッシュアップしていきたいです」と言いつつも、手応えはしっかりと感じているようだ。「これだけの時間、劇場にいるということがひとつの“体験”。だからお客さんにはぜひ通しで観てもらいたいと思ってます。ただ、そのためにはお客さんに飽きさせないために、演出的な“波”を何層も作らないといけない。そこは本番までにまだまだ調整していきます」杉原いわく、ギリシャ悲劇は“一大エンタテインメント”。「テレビも映画も何もない時代に、みんなで集まって演劇を観たわけです。だから娯楽として最高のものすべて詰まっている。そのことを感じてもらいたい。あと、これは僕の持論なんですけど、例えば災害とか起きても今は科学や情報が解決しくれますよね。でも昔はすべてが謎で、そのために“神”という存在を人間が作り出した。その存在を確固たるものにするために物語が必要で、神話が生まれて、演劇が生まれた。だから僕たちが生きて行く上では、ドラマが、物語が必要なんだと。そういうことをこの作品から感じて帰ってもらえたら」それはイコール、私たちには「演劇」が必要だということでもあり。遥か紀元前の物語から、今も変わらぬそのことを実感してみようではないか。11月10日の京都芸術劇場 春秋座での公演に続き、11月21日(木)から30日(土)までKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオで上演される。取材・文:川口有紀
2019年11月12日梅原猛と市川猿翁が平成3年(1991年)につくり上げ、演劇界に新風を巻き起こした伝説のスーパー歌舞伎『オグリ』。令和元年の今年、スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)『新版 オグリ』として装いも新たに上演される。注目は、市川猿之助・中村隼人の二役交互出演だ。芸の引き出しが豊富な猿之助が、猿翁の築いた『オグリ』の世界観を熟知した上で自らの構想をどのように展開するのか、その猿之助により主演に指名された若手・隼人が、旬の勢いでどこまで猿之助に肉薄できるのか?競演によってそれぞれの魅力が浮き彫りになるだろう。前作のスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』は動員40万人を超える大ヒットとなった。今回も各ジャンルから精鋭のクリエイティブスタッフが集結している。脚本は『八犬伝』や『カグヤー新竹取物語ー』などのスーパー歌舞伎を手がけた横内謙介、演出は「木ノ下歌舞伎」で多くの古典歌舞伎を新解釈で換骨奪胎させている杉原邦生。客席左右同時の両宙乗りのスペクタルな演出も楽しみの一つだ。キャストも歌舞伎俳優以外から多数起用。『ワンピース』で活躍した浅野和之や下村青のほか、蜷川演劇でおなじみの高橋洋やベテラン俳優・石橋正次の初参加も注目を集めている。物語は、武芸学問に通じた美貌の若者・藤原正清(後に小栗判官=オグリ、市川猿之助・中村隼人のWキャスト)が、「なんでも手に入る」勘違いから地獄に落とされ、逆に「持たざる者」として現世に送り返され生き直すという構成。輿入れ行列から奪取した照手姫(坂東新悟)と強く惹かれ合い夫婦となることを誓ったものの、姫の父に拒否されてオグリは殺されてしまうのだった。顔も手足も重い病に侵された姿で生き返ったオグリは、遊行上人(市川猿之助・中村隼人のWキャスト)の導きで善意の人が曳く土車に乗り、熊野を目指す。道中偶然にも照手姫と再会するが、姫はオグリに気づかない……。一見奇想天外なオグリと姫の人生に、恵まれ過ぎる現代の若者たちの、本当の自由や幸せを探し続ける満たされない思いを重ねていくという。衣裳などにもストリートファッションを取り入れるとか。江戸時代の庶民なら誰もが知っていたという説経節「小栗判官ストーリー」が、現代の若者の物語としてどのように展開していくのか楽しみだ。公演は10月6日から11月25日まで東京・新橋演舞場、来年2月に福岡・博多座、3月に京都・南座で上演される。文:仲野マリ
2019年10月06日KAAT神奈川芸術劇場の2019年度ラインナップ発表会が行われ、同劇場で4年目の芸術監督を務める白井晃と、19年度の主催公演を担う小金沢健人、多田淳之介、松井周、山本卓卓、森雪之丞、渡邉尚、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、杉原邦生、長塚圭史、山田うんが登壇した。冒頭で白井は「KAATという劇場は東京から“近くて少し遠い”という場所にあります。(だからこそ)できるだけオリジナリティのある劇場の特色を出していきたいと、演劇、ダンス、身体表現、現代美術、音楽、そういったアートが複合的にある劇場を目指してプログラムを組んできて、徐々にそのような空気がつくれてきたかなと自負しております」とコメントした。まずは演劇作品に携わる面々が登壇。白井が「以前、衝撃的な『カルメギ』を上演していただいた多田さんにぜひまた新作をつくっていただきたいとお願いしました」という多田、「松井さんと“世の中に全体主義が蔓延してきている。そういう作品をつくれないだろうか”と話し、この作品を選びました」という松井、「雪之丞さんからご提案を受け、これは日本から出発するミュージカルとして楽しいものになるんじゃないかと思い、ぜひやらせてくださいと実現しました」という森、「3年前からお声がけしていまして、やっとKAATでつくっていただけることになりました」というケラリーノ・サンドロヴィッチ、「大変な作品だと思います。この巨大な作品に若き杉原くんが臨んでくれるということを私も楽しみにしています」という杉原、「以前からこの『常陸坊海尊』をぜひとも長塚さんに演出してもらいたいと提案していて、やっと実現することになりました」という長塚、そして白井自身から作品の紹介が行われた。続いて美術、キッズプログラム、ダンス作品に携わる面々が登壇。白井が「小金沢さんの作品に入り込むと日常的にはないような感覚があります」という美術作家の小金沢、「主催公演でお願いする演出家では最年少です。私たちの世代からすると思いがけない映像の使い方で特色豊かな演出をされます」という山本、「以前『頭と口』の作品を観て“地に沈んでいくジャグリング”という驚異の概念を突きつけられて本当に驚きました」という渡邉、「20年前にオリンピックのムードを感じて書かれたこの作品を、ダンス的なアプローチで上演していただきたいとお願いしたら“2パターンつくる”というすごいお返事をいただきました」という山田から作品の紹介が行われた。主催公演の本数からも「KAATの体力の限界に挑戦するような1年」(白井)という2019年度に期待したい。取材・文:中川實穗
2019年02月14日グラビアアイドルの杉原杏璃が26日、自身のブログを更新し、20日に結婚したことを発表した。お相手は音楽出版会社の代表取締役の男性であることを明かし、「知人を介して知り合い、長い間友人として私を支えてくれていました」とのこと。さらに「彼の少年のような真っ直ぐな気持ちに寄り添うように、結婚を意識するようになり、本日こうして皆様にご報告できる事をとてもうれしく思っています」と喜びのコメント。そして、「16歳でこの世界に入り、今もこうしてお仕事を続けてこられているのは応援してくださるファンの皆さん、そしてスタッフの皆さんの支えがあってこそだと思っていま。本当に感謝の言葉しかありませんす」とファンとスタッフに感謝の気持ちを述べた。今後の仕事については、「今までと変わらず続けていく所存です」と明かし、「お仕事の面でも、女性としてもまだまだ未熟ですが、皆さんからご指導をいただき夫婦支え合って明るい家庭を築いていけたらと思っています」とした。ファンからも「ご結婚おめでとうございます」「末永くお幸せに」など、祝福の声が相次いでいる。
2018年10月26日ギリシャ悲劇の傑作『オイディプス王』が、この冬、『オイディプスREXXX』(オイディプスレックス)のタイトルで新たに立ち上がる。タイトルロールのオイディプスを演じるのは、歌舞伎俳優・四代目中村橋之助。オイディプスの妻であり実は母でもあったというイオカステには南果歩が扮する。歌舞伎以外の演劇に初挑戦する橋之助と、実力派の南のタッグ。何が待ち受けるのだろうか。2016年の親子同時襲名が話題となった橋之助。「父(中村芝翫)に守られてお芝居ができるという恵まれた環境にいるなかで、自分で勉強できる場所にも立ってみたいという思い強くなっていた」ところに今回の話があったという。その念願が叶ったのが、古典という枠組みでは歌舞伎と近しいギリシャ劇である。しかし、ことはそう単純ではない。これまでにない試みが、そこには待っているのだ。ひとつは、演出が杉原邦生であること。自身の劇団のみならず、歌舞伎を独自の視点で描く木ノ下歌舞伎でも注目される気鋭の演出家だ。南果歩が言う。「今年上演された『勧進帳』を拝見しましたが、本当に驚きました。作品の解釈の仕方、ビートの刻み方、あらゆるものが新鮮で。ギリシャ劇というと重いイメージがあると思いますが、人間の感情が放出される生き生きとしたものになるんじゃないかと思うんです」。橋之助から見ても、杉原は刺激的な存在であるようだ。「これまで何百回と見てきた『勧進帳』なのに、見過ごしてきたものを気づかされたような感覚がありました。そういう意味では、『オイディプス王』も、古典をただ新しく変えるだけではない何かがあるんじゃないかと楽しみなんです」。さらに、古代ギリシャ悲劇の上演スタイルにならい、今回は、橋之助、南、そしてもうひとりのメインキャストの宮崎吐夢の3人で、物語の主な登場人物を演じ分けることになる。タイトルの“XXX”には3人のキャストと劇中に象徴的に登場する3つの道を表している。「歌舞伎では同じ作品でも違う役を演じる機会があり、この役から見たらこの役はこう見えるんだなと気づくことがよくあります。今回はお客様にもそんな役の見え方の違いみたいなものを感じてもらえるように演じられたら」と橋之助。南も「舞台は性別も時間もすべて飛び越えられる自由な場所。その楽しさをぜひ味わっていただきたいですね」と付け加える。オイディプスとイオカステがなぜ悲劇的な運命を辿ることになったのか。新たな演出で真に迫る物語が紡がれそうである。公演は12月12日(水)から24日(月)まで、KAAT神奈川芸術劇場にて。取材・文:大内弓子
2018年08月23日3月30日公開の映画『レッド・スパロー』の女スパイ適正テスト・イベントが3月1日、都内で行われ、グラビアアイドルの杉原杏璃、元衆議院議員でタレントの杉村太蔵が出席した。映画『レッド・スパロー』の女スパイ適正テスト・イベントに登場した杉原杏璃、杉村太蔵(左から)大ヒットシリーズ『ハンガー・ゲーム』のフランシス・ローレンス監督とジェニファー・ローレンスが再びタッグを組んだ本作。ハニートラップと心理操作を武器にミッションを遂行する女スパイ・ドミニカ(ジェニファー・ローレンス)の活躍を描く。そんな本作の公開記念イベントに、杉原杏璃と杉村太蔵が登壇。本作について杉原が「この主人公が私の理想とする女性で、私はセクシーで頭が良い女性を目指しています」とジェニファー・ローレンス扮した主人公のドミニカに強い興味を示したようで、対する杉村は「スパイは映画やドラマの世界だけかと思ったら、昨今はロシアゲート疑惑で大変なことになっています。妙にリアリティーがありましたよ」と絶賛。主人公のドミニカは、女性としての武器を駆使してターゲットに狙いを定めるが、杉原は「一番の武器は隙だと思いますね。私にはそれが一番足りないんです。どうも私はガードが固いらしく、隙がないみたいなんです。可能性を見いだせないと言われるので、チャーミングな女性が引き寄せられるのかな? と思いますね」と自己分析した。イベント中には、衆議院議員時代にハニートラップの経験があるという杉村を、杉原がセクシーな誘惑と心理戦で杉村の秘密を突き止めるコーナーも実施。次々とお色気攻撃を繰り出した杉原は「太蔵さんにとっての秘密は、議員宿舎に奥様以外の女性を泊めたことがある」と杉村の秘密を暴露した。すると杉村は「違うって! 奥様以外って言ってないでしょ! 家族以外の女性を泊めたことがあるというのは、今の家内ですから」と必死の形相で説明。最後にハニートラップを仕掛けた感想として杉原が「本当に誘惑するって、する方がこんなにもドキドキするんだなって思いました。このドキドキが快感にもなってきた感じですね」と満更でもない様子で、杉村の秘密と引き換えに杉村に話した自身の秘密については「私の秘密は本当に言えない! 太蔵さんの話とは比べようにならないぐらい大事なお話ですから」と慌てていた。映画『レッド・スパロー』は、3月30日より全国公開。
2018年03月02日KAAT神奈川芸術劇場の2018年度のラインアップ発表会が行われた。ラインアップには20作以上の作品が並ぶ。チケット情報最初にKAAT芸術監督の白井晃は「“普通“を見直すのが舞台の先鋭性。アーティストが社会をどう見ているのか、話し合いながらラインアップを決めました」。その白井が演出するエンダ・ウォルシュの『バリーターク』については「何もわからないまま日常が繰り返されるうち、彼らがいる場所がわかってくる。『ゴドーを待ちながら』の現代版のような内容」と言う。KAATと松井周の個人ユニットであるサンプルとの共同制作『グッド・デス・バイブレーション考』は、深沢七郎の小説「楢山節考」にインスパイアされた作品。松井は「近未来で姥捨山と言えば安楽死ではないか。琵琶法師のような感覚で、語りが歌になったり物語の中に歌が出るような話にできれば」と語る。KAAT×地点『山山』は、『忘れる日本人』に続いて松原俊太郎が書き下ろす作品。松原は「山をふたつにすると可愛いし、『~~したいのはやまやまですが』などの表現は“使える”。ふたつの山をモニュメントとして提示したい」。白井いわく「福島を連想させる世界」で、提携公演『忘れる日本人』との連続公演だ。森山開次『不思議の国のアリス』は、昨年の舞台の再演で、今回は全国ツアーに赴く。森山は「出演者6名は第一線の強者ばかり。その全力で真剣勝負のパフォーマンスを、全国の子供たち、そして大人たちに発表できることを嬉しく思う」とした。長塚圭史の上演台本で白井が演出するのが『華氏451度』。白井は「映像文化が中心になっていくことを予見し、本が焼かれるさまを書いたこの作品を今回、さらに拡大解釈していきます」と述べた。一方、長塚が演出するのは『セールスマンの死』だ。「大変優れた戯曲で、時間の流れも特殊。家族の話であり老いの話であり夢の話です。この戯曲がこの時代にどう響くか、向き合いたい」と意欲を見せる。ソフォクレス『オイディプス王』の演出に挑むのは杉原邦生。「青年の王が堕ちるさまを描きたい。オイディプスは最後に目を潰すが、お客さんも観終わったあとに目を潰したくなるような、そしてその先に希望や光が見える作品にしたい」と意気込んだ。糸井幸之介の上演台本・演出・音楽で上演されるのは、木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻(仮)』。主宰で補綴・監修の木ノ下裕一は「糸井さんが作る“妙~ジカル”は日本の歌物語や義太夫に近い。『合邦』は、日本が古くから歌い継いできた、日本芸能の中でも重要な演目。その現代性を糸井さんとのタッグで新たに創作したい」と語った。全演目は以下の通り。取材・文:高橋彩子
2018年02月16日NHK連続テレビ小説「わろてんか」に、芸人キース役で出演中。「街中で声を掛けられます!」と朝ドラの影響力を実感中の大野拓朗は、12月23日(土)から東京芸術劇場シアターウエストで開幕する舞台「池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE」に主演する。大阪で朝ドラの収録、東京で舞台の稽古という生活を送るが、デビューから7年、今が“勝負の時”と自覚するその目は熱く輝いている。舞台「池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE」チケット情報「IWGP」こと「池袋ウエストゲートパーク」は、石田衣良の小説が原作。池袋生まれの主人公マコトがストリートギャングやチンピラたちを相手に、様々な難事件を解決する。2000年には宮藤官九郎の脚本で連続ドラマ化され、大野もリアルタイムで見ていたそう。「当時小6だったけどみんなのカリスマ性に痺れたし、『あの輪の中に入りたい』と思っていました。僕はなんなら学級委員タイプだったので(笑)、不良っぽさに惹かれたわけではなくて。作品全体にも登場人物たちにも、とにかくカリスマ性があったんです。今回の舞台も僕の中では“カリスマ性”がキーワード。お客さんが『とにかくカッコよかった!』って思って帰ってくれたら、もう大成功。伝えたいメッセージなんて何も考えていないけど、『IWGP』の物語の中で一生懸命生きているみんなを観て楽しんでもらえたら、それが一番のメッセージになると思います」多忙を極める中の、限られた稽古時間での主演舞台。「大丈夫かなって、最初は不安でした」と、胸の内を明かす。「でも今、焦りは全くないんです。台本を読んだ段階ではどうやってやろうかなと悩んでもいたんですけど、現場に来たらマコトがすんなり入ってきて。周りがとても個性的な人たちばかりだから、逆にナチュラルなほどマコトが立つ。カリスマ性を出そうと無理に考える必要はなく、ニュートラルでいればいいというのがとても楽です。マコトのどんな人の立場も認める中立なところは自分に似ていてやりやすいし、僕も生まれが池袋の近くなので『ここは俺の庭だ』という気持ちも理解しやすい。出会うべくして出会えた、とも思っています」脚本・作詞は柴幸男(ままごと)、演出は杉原邦生(KUNIO)、振付は北尾亘(Baobab)。演劇界の次世代ホープが組んだミュージカルという点でも、話題性十分。将来的には同劇場のプレイハウスでの上演を目指す一大プロジェクトの、“伝説のはじまり”を見逃すな!東京公演は12月23日(土)から1月14日(日)まで。取材・文/武田吏都
2017年12月12日昨年16歳にしてリオ五輪代表に選出され、女子団体総合で48年ぶりの4位に輝いた体操の杉原愛子選手。E難度の新技「I字2回ターン」が新技として国際体操連盟に申請されるなど大活躍中!そんな女子体操競技界のホープにお話を伺いました。「できない」なんて思ったことがない子供でした。リオ五輪の日本代表メンバーとして活躍する日本の女子体操競技界のホープ、杉原選手。「体操を始めたのは4歳で、お姉ちゃんの体操教室についていったのがきっかけ。オリンピックを意識したのは、小3の時でした。北京オリンピックで冨田(洋之)選手や内村(航平)選手の演技をテレビで見て、私もあそこで演技がしたいって思ったんです」負けず嫌いの性格から、どんな技でも「できないとは思わなかった」そう。翌年の全日本ジュニアでは、個人優勝を果たした。「技を覚えたり、うまくなると嬉しくて楽しくて。この頃は週に4~5日、学校が終わると片道1時間かかる練習場まで通い、夜まで3~4時間練習していました。挫折したことはないけど、高1の12月に右膝の手術をして、思うように練習ができなかった時期があって。その翌年にはリオ五輪の選考会があったし、周りの選手はどんどんうまくなっていくし…。それでもリハビリをここでちゃんとやっておかないと後が大変だから、焦って練習したい気持ちをグッと我慢して、病院でひたすら技のイメトレをして乗り越えました。イメージするのは結構得意で、練習でも常に試合を想定しています。例えばいつもの練習場でも試合会場の代々木第一体育館にいるつもりで、本番の緊張感を自分で作り出す。それを続けていたら、リオで初めて、特別な〝ゾーン〞に入る経験をしたんです。試合中、雑音が一切聞こえなくなり、見えるのは自分と平均台だけ。ノーミスで演技できました。あの集中力は我ながら凄かった! 昔から、一日中体操のことしか考えてないし、友達と遊ぶよりも今はオリンピック優先。だって体操人生の方が短いし、今は選手として一番いい時期だから、全てを練習に費やしたいんです」昨年の豊田国際体操では、平均台で“I字2回ターン”を成功させ、新技申請中だ。「もし新技が認められたら、技の名前は名字をつけるかな。でも本当は愛子からとって“ラブ子ターン”にしたいんだけど(笑)」すぎはら・あいこ1999年9月19日生まれ、大阪府出身。2015年の第54回NHK杯体操選手権で、笹田夏実、寺本明日香の実力派を抑えて初優勝したことで話題に。同年のアジア体操競技選手権では、団体総合と個人総合でも優勝、初の国際タイトルを掴んだ。昨年は、体操女子日本代表として、リオ五輪に出場を果たした。※『anan』2017年9月6日号より。写真・土佐麻理子取材、文・若山あや(by anan編集部)
2017年09月01日石田衣良の代表作であり、テレビドラマ化もされた『池袋ウエストゲートパーク』が今冬、舞台化されることが決定した。物語は、池袋西口公園などを舞台に、そこで巻き起こるさまざまな事件や若者たちのバトル、友情と裏切りなどを描くもの。今もなおロングラン執筆が続いている石田衣良による人気小説で、2000年には宮藤官九郎脚本でテレビドラマ化もされた。今回の舞台化は作品の舞台である池袋西口公園前に建つ東京芸術劇場が主催。3年のワークショップを重ねて、このほど『池袋ウエストゲートパーク ソング&ダンス』として上演が決定した。注目のクリエイターには、脚本・作詞に柴幸男(ままごと)、演出に杉原邦生(KUNIO)、振付に北尾亘(Baobab)と、次代を担う若き才能が名を連ねている。演出の杉原は「『池袋ウエストゲートパーク ソング&ダンスは、2013年・15年度と2回にわたって上演の可能性を探るクリエーションワークショップを重ねてきました。そして今回いよいよ劇場公演としての上演が決定しました!」と報告し、「石田衣良さんの原作に描かれた〈池袋〉という名の〈世界〉は、20年前と何もかもが変わってしまったようでいて、何ひとつ変わっていない気がします。だから、いまも読む人の心を掴んで離さないエネルギーがあるのです。今回は初の劇場公演として、僕が絶大な信頼を置いているクリエイターと、フレッシュでパワー漲るキャストとともに、舞台でしか成し得ない新たな『池袋ウエストゲートパーク』をつくり上げます。また、将来的には大劇場での上演も視野に入れ、池袋ウエストゲートパーク(池袋西口公園)前にそびえ立つ東京芸術劇場の看板演目のひとつになれるよう、この作品を成長させていければと思っています」と意気込みにあふれるコメントを発表した。作品は歌とダンスを中心に展開させるとのことで、中でも注目は、ストリートダンスカンパニーの参加により、対立するチームの争いをダンスバトルとして見せるシーン。舞台の幕開けと、終盤の盛り上がりに2組のカンパニーが登場し、バトルを展開するとのことで、このシーンに出演するストリートダンスカンパニーの募集も同時に発表に。われこそはと思うダンサーは、公式サイトをチェックしてぜひ応募してみては。公演は東京芸術劇場 シアターウエストにて、12月~2018年1月にかけて上演予定。
2017年06月27日十代目松本幸四郎への襲名を控えた市川染五郎と、『スーパー歌舞伎II ワンピース』の市川猿之助がタッグを組んだシネマ歌舞伎『やじきた』。このほど、この2人が歌舞伎界では前代未聞の(?)ラップに初挑戦した特別動画「Cinema Kabuki “YJKT”」が完成した。何もかもが上手くいかず、うだつが上がらない弥次さん、喜多さんの2人は、はずみで手に入れた金をもとに、お伊勢参りに旅立つことに。一方で、家督を守り、母の病気平癒を伊勢神宮に願うため、信夫(現在の福島市)の領主・梵太郎と御伴の政之助は、不安を口にしつつも決意を新たに旅立つ。この対照的な2組が、偶然にも東海道で出会い、一緒に伊勢参りをすることに。道中は、弥次喜多を追いかける借金取りや、若侍の持つ宝剣目当てに盗賊に襲われたり、怪奇現象に見舞われる。やがて、一行は思いがけずラスベガス(!?)に辿り着き、さまざまな艱難辛苦を乗り越え、やっとのことで伊勢参りを果たすのだが…。歌舞伎の舞台を撮影してスクリーンで楽しむシネマ歌舞伎。お馴染みの“弥次さん喜多さん”の珍道中「東海道中膝栗毛」を、染五郎さんと猿之助さんのコンビで贈る本作は、日本国内に留まらずラスベガスの海外までおよぶ奇想天外な物語が見どころ。また、歌舞伎座の夏芝居の醍醐味が満載で、宙乗り、本水を使った演出、立廻りの数々なども見逃せない。そんな本作で主演を務める、染五郎さんと猿之助さんが、本格ラップに初挑戦。終始和やかな雰囲気でお互いにギャグを言い合いながら収録は進められ、ラップ指導の板橋駿谷(劇団ロロ)やTaichi Masterに熱心に指導を求め、イントネーションや節回しを確認する場面も観られた。2人は「楽しいな!」と勢いづくも、「こなれた感じで」とのダメ出しを受けると「難しいな」――。ラップの技術等の壁も感じながら深夜まで収録に取り組んでいた。無事収録を終えた染五郎さんは、「ピコ太郎の“PPAP”に負けたくない!たくさんの方にご覧いただき、“YJKT”でお客様に、舞台中継とも全く違うシネマ歌舞伎をご覧いただきたい」と意気込みをコメント。猿之助さんは「南北等に共通する俳句調なところもありつつ、自由も意外とあるのでは。歌舞伎俳優が世の中にラップを発信するということは、ラップの分野にも新たな歴史の誕生ではないだろうか」と感慨深げに語った。また、ディレクターを務めた本作構成の杉原邦生は「やりたい放題な感じの2人がでているところがいいのでは」と染五郎さん、猿之助さんの名コンビぶりに言及。作曲を担当したTaichi Masterさんは「素晴らしいお2人がラップに挑戦するということは、前代未聞の取り組みでは。今回は貴重な体験をさせていただきました」と感想を語り、「初めての挑戦なのに、キャラが出来上がっていた」と絶賛を贈る。さらに、板橋さんも「Flow(歌い回し)が歌舞伎調になっていて、うまくラップの世界とミックスしている。勢いにのっている部分がとてもいい」と語り、2人の初ラップに太鼓判を押している。シネマ歌舞伎『やじきた』は6月3日(土)より東劇ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年04月28日グラビアアイドルとして10年以上活躍し続ける"レジェンド"杉原杏璃(34)。株、競馬、野球など自身の趣味も仕事へとつなげ、厳しい世界を生き抜いてきた。そんな彼女が、自伝的小説を自らの主演で実写化。映画『...and love』(3月18日公開)は、フィクションとノンフィクションが入り混じり、「これって本当なの?」とついつい引き込まれてしまう。交際相手との濡れ場や同業者からの辛辣な言葉の数々。それらの真偽は観る人のご想像に委ねるとして……。今回の約9000字インタビューは、映画の描写をヒントに、全5回にわたって杉原の過去を掘り下げた(第1回「なぜ自伝的映画は"グレー"?」 第2回「ブログを更新し続ける理由」 第3回「演技とファンの挫折」 第4回は「親孝行」)。最終回は「グラビアアイドルとしての引き際」。一部ではグラビア引退とも報じられたその真相を明かし、芸能人・女性としての展望も語る。――最近ではグラビアを一旦お休みされるという報道もありましたね。そういう報道が出てますけど、この場を借りて言わせてください! 私、杉原杏璃はグラビアを"休止"も"引退"の致しませんよ!お休みするのではなくて今までの「100%プレイヤー」から、自分でサイトを立ち上げて編集長をやるという裏方のお仕事も始めたんです。新人のグラビアアイドルの子の撮り下ろしたり、様々な企画でグラビア界を盛り上げたいなと。でも、一部では引退報道まで出てしまって(笑)。今年で35になりますが、今までグラビアをやらせていただいていた時間を別のことにも使わないといけないと感じはじめました。グラビアは自分が育ててもらった場所。恩返しの意味でも別の角度からも携わっていけたらなと思っています。――今回の映画では「卒業」という言葉でしたが、「人生の引き際」がテーマにもなっています。そういうことは常に頭にあったんですか。人生の引き際なんて大きな感じのものがあるわけではないですけど……。私には出来ないことを、映画の中の杉原アンは充実した形でゴールを迎えられていて、実際そんな風な人生を経験できたらなぁという一つの理想ではありますよね。――引き際は「年齢」の問題ではないと。グラビアに関して言えば、個人的には一生できる仕事ではないと思っているので、年齢的なとこは多少はあると思います。将来的には結婚して、子どもも産みたい。でも、新しいことにも挑戦できる自分でいたい。グラビアで裏方の仕事もするというのは、そういう思いがあっての決断だったんです。――小説と映画では違う結末です。女性の決断としてはどちらもあり得ることだと感じました。そこには正解がない。そうですね。小説と映画の結末のどちらかというのは、見て頂いた皆さんがどう感じるかそれぞれ楽しんでいただければと思いますね。――先ほどの話だとグラビアアイドルを引退するという「完全な引き際」はまだ決めていらっしゃらない。そうですね。ただ1つ公言しているのは、結婚したらスパッとやめるとは言っています。その時の私は旦那さんのもの。それまでみなさんに提供できるものは……100%自分のすべてを差し上げるぐらいの意気込みでやっています。――お相手の方が「グラビアをやっている君が好きなんだよ」と言ったら?「私の若い頃の写真集でも見て」と言います(笑)。家族ができて、子どもが出来た時のことまで考えると、そこは曲げられない。でも、いつ完全に引退するのか、今はまだ分からないですね。何より、結婚できるのか分かりませんから(笑)。そこが年内で決まりそうなら「年内で」と言えますけど(笑)。私が踏ん切りをつけられるのは、たぶん結婚しかないです。――グラビア以外のことも辞めてしまうんですか?いえ、お仕事は辞めないと思います。――最近ある女優さんと年齢による節目の話で盛り上がりました。杉原さんにとっての節目は何歳ですか。私は30歳が節目だったと思います。過去形になっちゃいますけど(笑)。30歳が私の中での成人。社会で揉まれて、十年間さんざんしごかれて何となく余裕がもてるようになって、ようやく30歳になって大人になったなと。仕事も楽しくなりました。――そこから4年が経ちました。ようやく仕事が楽しくなって……ちょっと今は「ぬるま湯」に浸かりすぎちゃってるかなと。ここにいれば楽だと思いはじめている。だから今回のように「新人です」といえる映画だったり、そういうところで揉まれないとすぐに怠けてしまうんです(笑)。――劇中で元カレ・ツバサが「グラビアでナンバーワンになるってどういうこと?」と問いかけるシーンがあります。きっと、「ナンバーワンがない」世界なんですかね。そうですね。何かの1位をとれば成功という世界ではない。常に努力をしている人が輝く世界だと思います。――杉原さんを「グラビアのトップまで上り詰めた」と思っている人も多いと思いますよ。ただ年齢を重ねているだけです(笑)。今のグラビアは、新人の子たちがかわいそうな世界になってしまったなと思います。私が始めた頃に比べると雑誌も少なくなって活躍できる場所が減ってきてしまっているので……。――そこに貢献したいという思いがあるわけですね。そうですね。今ある出版社さんがやらないようなことでやれればなって。だから自分たちでやる。自分たちで撮り下ろしをして、自分たちで写真集を作ってみようと。うまくいけば、みんな幸せになれるんじゃないかなって。そこからグラビア界の新たなスターが生まれればなと思います。――ご自身の今後は?たぶん仕事をしていないと生きていけないタイプなので、自分の生活スタイルをなるべく維持しながらステキな結婚生活できたらなと(笑)。仕事を頑張って、女としての夢も叶えたい。どうしても両方を考えてしまいます。きっと飢えているんでしょうね(笑)。■プロフィール杉原杏璃(すぎはら・あんり)1982年6月12日生まれ。広島県出身。身長157センチ。A型。高校生の時に広島でスカウトされ、その後、東京・銀座で複数の事務所が集まるオーディションに参加。スターダストプロモーションなどを経て、現在はフィットワンに所属する。2001年から芸能活動をスタートさせ、2003年にファースト写真集『Vanilla』をリリース。グラビアアイドルとして本格的に活動するのは2006年頃で遅咲きのデビューを飾る一方、2005年頃には株式投資をスタート。現在では多数の連載を抱えるなど、グラビアの枠を超えてマルチに活動している。
2017年03月25日グラビアアイドルとして10年以上活躍し続ける"レジェンド"杉原杏璃(34)。株、競馬、野球など自身の趣味も仕事へとつなげ、厳しい世界を生き抜いてきた。そんな彼女が、自伝的小説を自らの主演で実写化。映画『...and love』(3月18日公開)は、フィクションとノンフィクションが入り混じり、「これって本当なの?」とついつい引き込まれてしまう。交際相手との濡れ場や同業者からの辛辣な言葉の数々。それらの真偽は観る人のご想像に委ねるとして……。今回の約9000字インタビューは、映画の描写をヒントに、全5回にわたって杉原の過去を掘り下げていく。第4回は「親孝行」。株の収益で親に家をプレゼントした思いとは? 芸能界を生きていくための武器が、思わぬ幸運をもたらす(第1回「なぜ自伝的映画は"グレー"?」、第2回「ブログを更新し続ける理由」、第3回「演技とファンの挫折」)。――映画では家族の存在があまり描かれていませんでした。グラビアアイドルにとって、家族はどのような存在ですか?もちろん応援してくれていますけど、広島と東京で離れて暮らす中でお母さんは「どうなの?」「テレビでも見ないけど、本当にやってるの?」と心配はしていました。でも、成功するまでは一切芸能界のこと、お仕事のことを聞かないというスタンスで、私がプレッシャーに感じないように気遣ってくれているんですね。――見守ってくださっている。そうなんです。帰省しても仕事の話はしませんね。そっと見守ってくれています。ちなみに、お父さんは私の水着を待ち受けにしてくれています(笑)。娘の水着姿を待ち受けにするって大丈夫かなとも思いますけど、それだけ応援してくれているということなので幸せなことです。――ニュースにもなっていましたが、株の利益でご家族に家をプレゼントされたそうですね。そうですね。もう古かったので(笑)母が安らげるところを作ってあげたいなと。――芸能界で生きていく上での裏テーマでもあったんですか?そうですね。投資を始めてちょっと利益をあげられるようになった時に、何か形に残さないとずっと投資に運用し続けて死んでいくのかなぁと思ってしまって(笑)。私も帰る家ですし、そこをもう一度きれいに建て直そうと考えました。――親のために家を建てる。自分もそういう思いはありますが、なかなか口にできません。言ってみると、結構叶うものですよ(笑)? 株を始めて少し経った頃でしたが、「あなた、何言ってるの?」と言われるくらい。一応、「ありがとね」とは言ってくれていましたけど、絶対に信じてもらえてないだろうなと思ってました(笑)。――ブログもそうですが、株も芸能界を生きるための武器だと思います。それが親孝行につながるというのも不思議な縁ですね。そうですね。ちょっとでも「できるかも」と思えることはとりあえず取り入れておけば、人生において何かしらのプラスになるのかなと思います。株は好きなところから買い始めて、完全に独学。不安症で緻密な性格があっていたのかもしれません(笑)。最終回は「グラビアアイドルとしての引き際」。グラビアアイドル引退報道の真相を語る。(第1回「なぜ自伝的映画は"グレー"?」、第2回「ブログを更新し続ける理由」、第3回「演技とファンの挫折」)。■プロフィール杉原杏璃(すぎはら・あんり)1982年6月12日生まれ。広島県出身。身長157センチ。A型。高校生の時に広島でスカウトされ、その後、東京・銀座で複数の事務所が集まるオーディションに参加。スターダストプロモーションなどを経て、現在はフィットワンに所属する。2001年から芸能活動をスタートさせ、2003年にファースト写真集『Vanilla』をリリース。グラビアアイドルとして本格的に活動するのは2006年頃で遅咲きのデビューを飾る一方、2005年頃には株式投資をスタート。現在では多数の連載を抱えるなど、グラビアの枠を超えてマルチに活動している。
2017年03月24日グラビアアイドルとして10年以上活躍し続ける"レジェンド"杉原杏璃(34)。株、競馬、野球など自身の趣味も仕事へとつなげ、厳しい世界を生き抜いてきた。そんな彼女が、自伝的小説を自らの主演で実写化。映画『...and love』(3月18日公開)は、フィクションとノンフィクションが入り混じり、「これって本当なの?」とついつい引き込まれてしまう。交際相手との濡れ場や同業者からの辛辣な言葉の数々。それらの真偽は観る人のご想像に委ねるとして……。今回の約9000字インタビューは、映画の描写をヒントに、全5回にわたって杉原の過去を掘り下げていく。第3回は「ファンとの接し方」「挫折」。周囲の人に支えられながら、今回の映画では運命的な再会を果たすことになる(第1回「なぜ自伝的映画は"グレー"?」 第2回「グラビアアイドルと年齢」)。――握手会に来たファンが自分の名前を覚えられていなかったことに激昂するシーンも印象的でした。名前を覚えたり、いただいたプレゼントは必ず家に持ち帰ってブログで報告したり、使っているところをアップしたり。そういう小さなことでも応援してくれるきっかけになりますよね。ブログは「です。」で終わるとコメントを返しづらいから、「?」で終えるとか。そういう細かい気遣いや工夫が、すごく大切なお仕事だと思います。――どのくらいの時期にそのように思うようになったんですか。握手会で「ありがとうございました」とあいさつした時、「笑顔がなさすぎる」と言われたことがありました。25ぐらいの頃だったかな。ようやくDVDが出せたぐらいで、ある方が「そっけないよね」と言って去って行ったんです。私の中では、「みんなこんな感じじゃないの?」「握手会って、握手して終わりじゃないの?」と思い込んでいたんですが、売れてる方々には握手会での振る舞いにも特徴があったんです。「この間は◯◯だったよね。今回も来てくれてありがとう」と伝えたり、両手を必ず添えたり。絶対に座らないとか。そういうこだわりが、みんなあるんです。それを知って、自分ってなんてダメなんだろうと。――それに気づかないまま、この世界を離れていく人もいるわけですね。そうですね。かわいそうですけど、意外と厳しい世界。デビュー当時、私もグラビアという仕事を甘く見ていました。マネージャーさんが自分のことを売り込んでくれないと不満を言いながら辞める子がすごく多い。ちょっとの努力で変わることなのに……。過程と結果を知ったから言えることなんですけど……もったいないと思うんです。――ポージングやスタイルの重要性をおっしゃるのかと思っていました。自信満々で見せると逆に避けられたりします。グラビアアイドルを応援してくださる方は控えめで優しくて大人しい方が多い。売れるためにプロポーションはそんなに関係ないんだなと、この世界に入って知りました。一般の人でもそうなんだと思います。「きれい」「スタイルがいい」だけでモテるわけではなくて、きれいな人はモテるだけの武器を備えているから魅力的。自分に対してどんな優しい一面を見せてくれているかで人を好きになると思うんですよね。もちろん、スタイルが良いにこしたことはないんですけど(笑)。――映画の中では、マネージャーの言葉が転機となります。タレントにとってのマネージャーは、やはり重要な存在なんですね。良いビジネスパートナーに巡り会えるというのは、とても大事なことだと思います。今のマネージャーさんは9年間ついてくださっていて、一緒に長くいるとお互い思っていることも言い合えるようになります。そういう関係性を築くことが人間関係の難しさではあるので本当にありがたいです。例えば、「あの態度はよくない」とズバッと言ってくださいます。ファンの方はイベントで立っているのに、座ってサインを書くのはとっても失礼なことだと。立ってサインを書く。同じ目線になる気持ちが大事なことなんだと教わりました。そこまで気にする?と若かりし頃の私は思ったわけですが、大人として考え方をうるさいくらい教えてくれるので、生意気な私でも素直に思えるようになります。私の周りにはそんな方がたくさんいて、とっても恵まれていたんだと思います。メイクさんもすごく長くお世話になっている方で、私が猫背になっていたらビシっと注意してくれる(笑)。周りの人がそうやって接して下さるから、その期待に答えないと。適当な人間でしたが、そう思えるようになりました。――映画の中ではブログでブレイクした矢先、批判のコメントが殺到する出来事がありました。これまでいろいろな悩みがあったと思いますが、中でも心に残っていることは?最初は演技中心の事務所に6年間いました。なかなかうまくいかなくて、自分の武器を探せなかった。周りのみんなは洗練されていて、演技レッスンも重ねて技術もあった。でも、自分は田舎者。そうやって勝手にコンプレックスを探して「私には武器が何もない」と凹んでいた22~23歳の頃、事務所を辞めて何もなくなった時が一番つらかった。16歳からこの世界に入って、6年事務所にいながら全く芽が出なかった。芸能人として女性として、大事な時期に失敗してしまったという挫折感がすごかったです。そんな時、関係者の方がグラビアで人気者になれば演技やバラエティの世界にも進めると教えてくださったんです。人気になった人が水着になって表紙を飾る。それがグラビアだと思っていたので、私にとっては意外なことでした。グラビアアイドルという職業をしっかりと認識していなかったんですね。次の道が見つかった気がしてうれしかったです。――一度は挫折した演技。自叙伝的小説が実写化され、自ら主演を務めることになるなんて不思議な巡り合わせですね。そうなんですよ!しかも、肘井美佳ちゃんは私がかつて所属していた事務所に同じ頃に入った方。今も彼女はその事務所で、高校1年の頃からお互いを知っています。そんな人がたまたま親友役として出てくれて、演じているといろいろなことが蘇ってきました。もう一度演技を頑張ってみようと思えたのも、美佳ちゃんがこの映画に携わってくれたから。すごくありがたかったです。第4回は「親孝行」。株の収益で親に家をプレゼントした思いとは? 芸能界を生きていくための武器が、思わぬ幸運をもたらす。第1回「なぜ自伝的映画は"グレー"?」 第2回「グラビアアイドルと年齢」。■プロフィール杉原杏璃(すぎはら・あんり)1982年6月12日生まれ。広島県出身。身長157センチ。A型。高校生の時に広島でスカウトされ、その後、東京・銀座で複数の事務所が集まるオーディションに参加。スターダストプロモーションなどを経て、現在はフィットワンに所属する。2001年から芸能活動をスタートさせ、2003年にファースト写真集『Vanilla』をリリース。グラビアアイドルとして本格的に活動するのは2006年頃で遅咲きのデビューを飾る一方、2005年頃には株式投資をスタート。現在では多数の連載を抱えるなど、グラビアの枠を超えてマルチに活動している。
2017年03月23日グラビアアイドルとして10年以上活躍し続ける"レジェンド"杉原杏璃(34)。株、競馬、野球など自身の趣味も仕事へとつなげ、厳しい世界を生き抜いてきた。そんな彼女が、自伝的小説を自らの主演で実写化。映画『...and love』(3月18日公開)は、フィクションとノンフィクションが入り混じり、「これって本当なの?」とついつい引き込まれてしまう。交際相手との濡れ場や同業者からの辛辣な言葉の数々。それらの真偽は観る人のご想像に委ねるとして……。今回の約9000字インタビューは、映画の描写をヒントに、全5回にわたって杉原の過去を掘り下げていく。第2回は「グラビアアイドルと年齢」。窮地の中で、なぜブログを更新し続けたのか。そして、そこにはどのような思いがあったのか(第1回「なぜ自伝的映画は"グレー"?」)。――いろいろな印象的なシーンがありました。現実と重なるところも多かったのでは?冒頭の「いつまでもかわいいと思うなよ」というセリフは、絶対に端折ってほしくなかったんです。映画は高橋ナツコ先生が脚本を書いてくださいました。原作と多少違う部分もありますが、これだけはどうしても入れて欲しいというお願いはさせていただきました。グラビアの中では決して若くない、24歳でのデビュー。周りは十代や二十歳前後ばかりです。どんなことを言っても「かわいいね」で許されて通用している若い子たちを見て、「いつまでもかわいいと思うなよ」と思いながら、「私はこうはなっちゃいけない」「武器を作る」と言い聞かせていました。若さの強みだけじゃなくて、いろんな武器を作って戦わないといけない。それを一番訴えたかったんです。――それは自然と芽生えてきた本能のようなものだったんですか?そうですね。誰と仕事をしてもいつも年齢のことを言われていました。若さは最大の武器。それに勝てるくらいの武器が自分には必要なんだと、いろいろな人と会うたびに強く思いました。――映画の中でも、プロデューサーが年齢で難色を示すシーンがありましたね。私にとっては「あるある」です。あいさつ回りで私に直接言ってくださる方もいますけど、その場では「今度よろしくね」と好意的でもマネージャーさんを通じて年齢のことを言われることもありました。その年齢で数字取れるかなぁって。あれは本当に私の実体験です。――年代によってグラビア界の傾向が変わってきます。杉原さんは、グラビアアイドルとして年齢の壁を突破してきた方です。その前の世代ではほしのあきさんもいましたね。そうですね。ほしのさんがいたから、私も24歳から勝負できると思いました。ほしのさんは私の目標でした。ほしのさんは表紙を飾っていて、私はページの小さなスペースに出る程度でした。成功体験が目先にあったので、その人の真似をすればじゃないですけど、その人が成功しているんだからどうにか頑張ればそこまでいけるんだと。ほしのさんが活躍していたのは、すごく励みになりました。――映画の中ではブログアクセス数の急増が、業界人の注目を集めるきっかけになります。ブログがあって本当に良かったです。「ミスヤンマガ」「ミスフラッシュ」のような冠があればよかったんですが、24~5歳では難しい。自分が与えられているのはアメブロだけだから、これを雑誌の1ページ、自分の媒体だと思ってひたすら沢山の人に見てもらえるようにと努力しました。――最初の投稿は2007年5月。その頃は1日1回更新する程度でしたが、2008年ごろから頻繁に更新するようになります。最初、出版社のあいさつ回りをすれば一通りの雑誌は出られると思い込んでいました。当時は自分のスタイルや容姿に少し自信を持っていたんでしょうね。でも、そんなのはゴマンといると知る。いろいろな方と話をする中で、プライドが全部削ぎ落とされて、何かしないとダメだと悶々と思っていた時期。挫折真っ只中で何をやってもダメ。待っていても誰も何もしてくれない。自分のことを一人でも多くの人に知ってもらうためには、ブログで表現するしかない。そこしかなかったんです。気づいたのがその頃でした。――自分のことを知ってもらうきっかけとなったブログ。そこからグラビアアイドルとして売れるために必要だったこととは?どれだけファンの人を大切に思えるか。そこを見逃している若い子がとっても多いと思います。事務所が力を入れてくれれば売れるとか、何かの称号を取れば売れるとか思われがちなんですけど……。――そうじゃないんですか?グラビアというフィールドは、ファンの人が熱心に応援して下さって、育てて大きくして下さって、メディア中心の活動に移行すると「卒業」的な、生徒を見送る先生や親の様な感覚の世界。もちろんそのまま応援してくださる方も多いですけど、グラビアアイドルを育てていくことを楽しみにしている方も多いんです。第3回は「ファンとの接し方」「挫折」。周囲の人に支えられながら、今回の映画では運命的な再会を果たすことになる(第1回「なぜ自伝的映画は"グレー"?」)。■プロフィール杉原杏璃(すぎはら・あんり)1982年6月12日生まれ。広島県出身。身長157センチ。A型。高校生の時に広島でスカウトされ、その後、東京・銀座で複数の事務所が集まるオーディションに参加。スターダストプロモーションなどを経て、現在はフィットワンに所属する。2001年から芸能活動をスタートさせ、2003年にファースト写真集『Vanilla』をリリース。グラビアアイドルとして本格的に活動するのは2006年頃で遅咲きのデビューを飾る一方、2005年頃には株式投資をスタート。現在では多数の連載を抱えるなど、グラビアの枠を超えてマルチに活動している。
2017年03月22日グラビアアイドルとして10年以上活躍し続ける"レジェンド"杉原杏璃(34)。株、競馬、野球など自身の趣味も仕事へとつなげ、厳しい世界を生き抜いてきた。そんな彼女が、自伝的小説を自らの主演で実写化。映画『...and love』(3月18日公開)は、フィクションとノンフィクションが入り混じり、「これって本当なの?」とついつい引き込まれてしまう。交際相手との濡れ場や同業者からの辛辣な言葉の数々。それらの真偽は観る人のご想像に委ねるとして……。今回の約9000字インタビューは、映画の描写をヒントに、全5回にわたって杉原の過去を掘り下げていく。第1回は小説と映画化の思い。「主演は若い子」を希望しながら、なぜ自ら演じることになったのか? そして、なぜ完全なノンフィクションにしなかったのか。――小説を書きはじめたのは2014年。『週刊大衆ヴィーナス』(双葉社)でスタートした企画でした。小説を書くことはその年の目標だったみたいですが、前々から考えていたことだったんですか?いえ、「小説を書きたい」からのスタートではなかったんです。グラビアは写真を撮られることがメインのお仕事。媒体が無くなっていって表紙を飾れる機会も減っていく中で、グラビアを別のフィールドで表現できる方法は何かないかと考えたんです。官能小説は文字でエロスを見せることもできますから、「小説を書いてみたい」とマネージャーさんに伝えました。私とマネージャーさんはA型で、一年間の目標を立てるタイプ(笑)。写真集やDVDを出す時期をいつも話し合って決めているんですが、小説もその1つでした。男性読者の方が多い雑誌だったので、グラビアアイドルの裏側や恋愛に溺れてしまう姿を私とリンクさせながら読んでいただいた方がリアルに感じていただけるののではないかなと思って、実体験をもとにした物語にしました。イチから考えられるようなプロではないですし、何よりも自分を参考にした方が書きやすかったんです(笑)。――完全ノンフィクションにするプランはなかったんですか?男性関係の部分が、私の実生活ではカサついています(笑)。脚色しなければならないところがたくさんあったので、「事実」だけで勝負はできませんでした。――あまり聞いてはいけないことでしたか(笑)。いえいえ、全然いいです(笑)。――てっきり、ファンの方々の気持ちを考えて「グレー」にしたのかと。もちろん、グラビアアイドルのイメージを自分の中で形作っている方もいらっしゃるので、そこを崩したくないという思いもありました。そこに自分のカサついている部分がうまくリンクして、「グレー」な物語になりました(笑)。――なるほど、よく分かりました(笑)。映像化の計画もマネージャーさんとの話し合いの中で出てきていたんですか?漠然と「そうなったらいいね~」というくらいで。いろんなところでアピールしていると、いつか協力してくださる方が出てくるんじゃないかなという「あわよくば精神」で言っていたところもありました(笑)。――イベントで「映画化するなら主演は名のない娘に」とおっしゃっていたのは、そういう狙いもあったんですね。そうですね。ただ、いま悩んでいる真っ最中の「これからの人」にやってほしいという思いが本当にあって、映画化が決まった後の話し合いでも「若い人に」とお願いはしていました。でも、自分が世に生み出した自伝的な物語だったら、私が主演をやることが一番説得力があって一番納得がいくんじゃないかなと。もちろん不安もあったんですけど、「人に投げちゃいけない」といろいろな方からご意見をいただきました。――それまで演技の経験もあったわけですが、主演となると出番も多くなります。ストレスで5キロぐらい痩せちゃいました(笑)。「座長」は周りのことも見ながら引っ張らないといけないと撮影前に言われていて。主役だからといって殻にこもって集中しするだけじゃなくて、いろんな人とのコミュニケーションが大切だと。私にとっては、それがとてもプレッシャーでした。自分のことだけでもできるかどうか分からないのに(笑)。――覚悟の上で現場に入ると、多少変わる部分もあったんですか。そうですね。吹っ切れたというか、ダメだった頃の自分を思い出しながら演じていくと、今の状況はむしろありがたいことだと思えるようになって、撮影を重ねるごとに「絶対に乗り越えられる」と。古坂大魔王さんをはじめすごい方々が出てくださって、私の方が引っ張っていただきました。――自分をモデルにしたキャラクターを自ら演じるというのは不思議な感じですよね。当時を思い出してやればいいと思っていたので、あまり難しく考えないようにしました。ただ、年をとったせいか涙腺が弱くて弱くて、悔しくて歯がゆい思いをした24~5歳を演じている時もそんなシーンじゃないのにウルッとしちゃって。感情を抑えるのが大変でした。当時は落ち込んでいたのに、今思い返すとそんな自分を思い出して泣けてくる……現実と物語の感情がぐちゃぐちゃになるのは大変でした。第2回は「グラビアアイドルと年齢」(3月22日掲載)。窮地の中で、なぜブログを更新し続けたのか。■プロフィール杉原杏璃(すぎはら・あんり)1982年6月12日生まれ。広島県出身。身長157センチ。A型。高校生の時に広島でスカウトされ、その後、東京・銀座で複数の事務所が集まるオーディションに参加。スターダストプロモーションなどを経て、現在はフィットワンに所属する。2001年から芸能活動をスタートさせ、2003年にファースト写真集『Vanilla』をリリース。グラビアアイドルとして本格的に活動するのは2006年頃で遅咲きのデビューを飾る一方、2005年頃には株式投資をスタート。現在では多数の連載を抱えるなど、グラビアの枠を超えてマルチに活動している。
2017年03月21日ともに広島出身で"カープ女子"を公言しているグラビアアイドルの杉原杏璃とタレントの加藤紗里が、23日に放送されたTBS系バラエティ番組『サンデー・ジャポン』(毎週日曜9:54~11:30)で共演。杉原は、加藤の"にわかファン"疑惑を追及するも、選手とのつながりを知ると「紹介して」と態度を変えた。冒頭から2人は火花を散らし、杉原が「加藤さんと野球関連のことでご一緒することになるとは思ってもなかった」と言うと、加藤は「紗里は知らなかった。坂口杏里さんなら知ってます」と逆襲。爆笑問題の太田光が「お互いカープ女子?」と聞くと、杉原は「カープお好きだったんですね」と疑うように話した。加藤は、"にわかファン"と疑われていることについて、「にわかじゃないです」と否定。ところが、杉原から黒田博樹選手の背番号を聞かれると「ちょっとわかんない」と答えられず、球団歌「それ行けカープ」を歌うように言われるとサビしか歌えず。それでも、好きだという"キクリン"こと菊池涼介選手については背番号もポジションも正解した。また、田中裕二が「実家のお父さんの店にカープの選手がくるって本当なの?」と、広島市内にある実家のステーキハウスについて聞くと、加藤は「いっぱい来るんです。菊池選手も来るし、鈴木誠也さんとか野村さんも来るし」と告白。すると杉原は態度を変え、「私、会ったことないですけど、紹介してもらっていいですか?」と真剣にお願いし、「そんな絡みがあるとは知らず…」と驚いていた。
2016年10月23日グラビアアイドルの杉原杏璃が17日、TBS系バラエティ番組『サンデー・ジャポン』(毎週日曜9:54~11:30)に生出演。ストーカー被害の苦悩を語った。番組では、18歳の女性タレントにストーカー行為を繰り返していた34歳男性が逮捕された事件を紹介。これに関して、過去に何度もストーカー被害を受けたことがあるという杉原は、「SNSが普及して直接ファンとやりとりをすることで距離が縮まっている」とファンとの距離感について言及し、「握手会とかで握手したままここに(手に)チュッてやられたり…どんどんエスカレートしてきている」と明かした。また、「何が一番嫌かっていうと、引っ越し貧乏になることが困る」と打ち明け、「バレちゃってピンポンピンポンがひどいので。引っ越すたびに100万円くらいかかる」と続けた。さらに、「ストーカー被害にあって、そのとき助けてくださったサラリーマンの方がさらにストーカーになるということがあった」と衝撃エピソードも披露。そのときは、事務所の人から「もう電話かけてくるのやめてくれませんか」と連絡してもらったという。
2016年07月17日グラビアアイドルの杉原杏璃が9日、都内で行われた主演映画『...and LOVE』(松田圭太監督作品 2017年春公開予定)のオーディションに審査員として出席した。来年春に公開を予定している映画『...and LOVE』は、杉原杏璃の自伝的小説を映画化。主人公のアンリを杉原本人が演じ、ナンバー1のグラドルを目指しながらも数々の恋愛に翻ろうされる姿を描く。ヒロイン・アンリの相手役に応募した672人から1次審査を受かった70人が3日間にわたってオーディションに臨み、この日は4人の男性がラブシーンに挑戦。アンリ役に代役の女性を立てたラブシーンが行われ、応募者の演技などを杉原が審査員席で真剣にチェックした。杉原は「1つの連載からはじまったものが映画になり、ゴールではないんですけど、グラビアの集大成になればと漠然ながらも考えていました。それが実現しているので、長年グラビアをやってきて良かったと思っています」と感慨深げで、「映画では今までのすべてをぶつけたいですね」と本人役として出演する演技にも意欲満々。この日は劇中で相手役のオーディションも行われ、「審査員の席に座らせてもらうのは初めてで何を聞いて良いのか掴めなくて個人的なことを聞いてしまいました(笑)」と初めてのことに苦笑いを浮かべるも「同じ役でもみなさん微妙に違うと分かりました。一番イメージしている役に近い方になっていただければと思います。この人だったら好きになっちゃひそうな目線で選びたいですね」と選考ポイントも明かしていた。劇中では年下の男性との恋愛も描かれているが、杉原もそれを認めていて「年上の男性だと甘えていれば何でも大きな心でリードしてくださる方が多いんですが、年下だと自分がハマってしまって私が操れないんです。予想を超えることが経験上多く、自分が保てなくなるのが好きなのかな」と年下を好きになる理由を説明。また、以前の会見で「オーディションで恋人を見つけられたら」と答えていたことにも触れて「こんなにもたくさんのキレイな男性を見る機会はないので、あわよくば恋人を探せたらと思っています」と目を輝かせていた。
2016年07月09日グラビアアイドルの杉原杏璃が12日、東京・新宿の福家書店 新宿サブナード店で写真集『ANRI』(発売中 3,204円税込 ワニブックス刊)の発売記念イベントを行った。杉原は通算10冊目となる同写真集を34歳の誕生日となる6月12日に発売。杉原曰く「集大成」という位置づけの写真集となっている。セクシーな赤のビキニ姿で報道陣の取材に応じた杉原は「10冊目ということがわかっていましたし、大人になる34歳ということで、今までグラビアをやってきたすべてのものを詰め込みたいと担当者にお伝えしました。今回のロケ地でもあるハワイらしさというよりは、大人の生感や肌感を表現できたらと思っていましたが、"肌感"満載で一歩大人になった感じですね」と満足げ。お気に入りを衣服を何もつけていないヌーディッシュな1ページをあげて「何も着ない方が一番自然かなと思って。シーツでちょうど見えない感じが一番家の中にいる感じがします」とアピールした。イベント日が34歳の誕生日ということで、取材時に関係者からバースデーケーキをプレゼントされて満面の笑みを浮かべた杉原。34歳の目標として「愛が溢れる生活がしたいので、しっかりと支えて寄り添ってくれる人がいたらいいな。プライベートで最大の目標はそろそろ相手を決めないと。年齢には全く興味がないので、私が彼を思うより、彼が私を思ってくれるというか、愛されたいです」と語っていた。
2016年06月18日第二次世界大戦下、「命のヴィザ」を発給し、6000人ものユダヤ難民の命を救った杉原千畝。彼の半生を描いた映画『杉原千畝 スギハラチウネ』が、DVD&ブルーレイで発売される。チェリン・グラック監督に話しを聞いた。その他の画像「杉原千畝には、自伝がないんです。それが、彼のキャラクターの一番のヒントだと思います」。終戦から70年の節目に当たる2015年の公開に向け、杉原千畝の半生を映画化しようと考えたのは、『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』(2011)の制作チームだった。同作で脚本・米国監督を担当したチェリン監督と、本作で主演を務めた唐沢寿明との出逢いも、この作品だったそうだ。「『杉原千畝 スギハラチウネ』の監督が僕に決まる前に、唐沢さんが千畝を演じることが決まっていたんです。それで彼が、『せっかく撮るなら、監督は歴史の重みを知っているチェリンがいい』と推薦してくれたようなんです。僕は父親がユダヤ人で、母親は日系アメリカ人だしね。千畝の作品を撮るチャンスをくれたことが、すごく嬉しいです」。唐沢との映画作りについて、監督はこう続けた。「唐沢さんとは、多くを説明しなくても、お互いの考え方が伝わり合うんだ。この作品は、オーバーリアクションではなくて、なるべくナチュラルに描きたいと思っていたんです。何か分からないけれど感じる、という方が、この作品を描くにあたっては、いいと思うしね。『僕らの千畝は、唐沢さん』と言いきれるくらい、魅力的に演じてくれました」。映画では、ヴィザ発給に関しては事実そのままに描きながらも、人物像には少し脚色を加えている。「例えば、ペシュを千畝の右腕として描いたけど、実際には、4、5人程のポーランド情報委員が入れ替わりで千畝の助手をしていたみたい。イリーナ(満州時代の同僚女性)も映画特有な描き方です。映画はエンターテインメント。実話を伝えるというのは、ある意味では教育だけど、まずは面白くないとね!」。千畝の出身地である岐阜県八百津町は、2017年の登録を目指し、彼が発給したヴィザを国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に申請中だそうだ。そして、今もなお、多くのユダヤ系観光客が、同県・杉原千畝記念館に足を運んでいるという。「『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』のときも、『日本の若い人に、誇りを持てる日本人がいたということを知らせるべきだ』というアメリカ人の発言で制作が始まったんです。この映画もまた、杉原千畝という一人の男の生き様を通して、若い人たちに、何か感じてもらうきっかけになれば、と思っています」。取材・文・写真:小杉由布子『杉原千畝 スギハラチウネ』ブルーレイ&DVD6月2日(水)発売ブルーレイ(愛蔵版):7000円+税ブルーレイ(通常版):4700円+税DVD(愛蔵版):6000円+税DVD(通常版):3800円+税発売・販売元:ポニーキャニオン
2016年06月02日唐沢寿明が実在した外交官・杉原千畝を熱演した『杉原千畝 スギハラチウネ』が、6月2日(水)、豪華特典満載でDVD&ブルーレイで発売が決定した。これを受けて、杉原を演じた唐沢さんの、「千畝さんの偉大さを改めて痛感させられました」とのコメントが到着した。激動の第二次世界大戦下、杉原千畝は外交官として赴任していたリトアニアで、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ難民に日本通過ヴィザを発給。結果、6,000人もの命を救った実在の日本人で、オールポーランドロケ、チェリン・グラッグ監督をはじめとした日本、ポーランド、ハリウッド混成チームによる制作体制など一大スケールで描いた感動大作だ。唐沢さんは、「この映画で杉原千畝という実在の人物を演じるということでプレッシャーも大きかったのですが、この作品を経験したことで、人間の持つ真の決断力、勇気、愛、そして人や世の中のために自分には何ができるのかを度々考えさせられました。ポーランドの俳優たちと共演できたことも貴重な経験となりました」と今作との出会いを述懐した。また、「エキストラのユダヤの方々に日本人であるというだけで感謝の言葉をいただいて、千畝さんの偉大さを改めて痛感させられました。チェリン・グラック監督とも以前から仕事がしたかったので、演出や撮影手法など日本の現場とは違ったものを体験でき、これからの仕事に活かせればと思っています」と、オール海外ロケならではの“収穫”も報告する。そして、「杉原さんだけではなく、彼の周りにいた人々が彼に影響を受けそれぞれの人生が変わってゆく。そこがこの映画の見所です。ぜひ楽しんで下さい」とメッセージ。メイキングや未公開シーン、イベント集などの豪華特典映像とともに偉人の足跡に迫ってみて。『杉原千畝 スギハラチウネ』ブルーレイ&DVDは6月2日(水)発売。(photo / text:Ayako Ishizu)
2016年03月04日第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによって迫害されていた多くのユダヤ人にヴィザを発給し、避難民の救済に尽力したひとりの日本人の偉業を描いた映画『杉原千畝 スギハラチウネ』のブルーレイ&DVDが6月2日(水)に発売されることが決定した。ソフト化に向けこのほど主演の唐沢寿明とチェリン・グラック監督がコメントを寄せた。その他の画像唐沢の演じた杉原千畝という人物は、同じく多くのユダヤ人を救った、ドイツ人実業家、オスカー・シンドラーになぞらえて“日本のシンドラー”とも呼ばれている。唐沢は「実在の人物を演じるという事でプレッシャーも大きかったのですが、この作品を経験したことで、人間の持つ真の決断力、勇気、愛、そして人や世の中のために自分には何ができるのかを度々考えさせられました」と話す。本作の撮影は約2カ月に渡りポーランドで行われた。唐沢は「ポーランドの俳優達と共演出来たことも貴重な経験となりました。また、エキストラのユダヤの方々に、日本人であるというだけで感謝の言葉をいただいて、千畝さんの偉大さを改めて痛感させられました」と振り返る。映画は、杉原が外交官として世界各国を行き来し、混沌とする世界情勢の情報を収集する中で、なぜ身の危険を冒しながらも諜報戦に身を投じ、政府の許可を待たずに独断でユダヤ難民にヴィザを発行し続けることが出来たのかが実話を基に描かれる。グラック監督は「誰に何をなんと言われようと、自ら正しいと思う道を歩み、結果として、後には本人はいやでも英雄と名付けられた男の世界とその人生。この作品と同じ、ユダヤ人と日本人の雑種である自分としても、ペルソナ・ノン・グラータを通して皆様に考えていただくきっかけとなればと思い、ご覧に入れることができれば幸いです」と語る。『杉原千畝 スギハラチウネ』ブルーレイ&DVD6月2日(水)発売ブルーレイ(愛蔵版):7700円+税ブルーレイ(通常版):4700円+税DVD(愛蔵版):6000円+税DVD(通常版):3800円+税販売元:ポニーキャニオン
2016年03月04日俳優の唐沢寿明が12月22日(火)、都内で行われた主演作『杉原千畝 スギハラチウネ』の大ヒット御礼舞台挨拶が出席。自身が演じた杉原氏のように海外進出に関心があるか問われると、「そりゃ、ギャラ次第でしょうね」と笑いを誘った。第二次世界大戦下でナチスの迫害から逃れたユダヤ難民に、日本通過ビザを発給し6,000人もの命を救った実在の外交官・杉原千畝さんの半生を映画化。劇中ではポーランド人俳優と共演しており、「向こうの役者さんに、日本人がどう見られるかという緊張がある。次はアジアの人と仕事がしたいな」と意欲を燃やした。また、本作のロケ地となったリトアニアでの映画PRを「楽しい思い出はありません(笑)」とジョーク交じりにふり返る場面も。公開前に、日本テレビのバラエティ番組に出演した唐沢さんは「朝7時から夜7時まで、リトアニアで美女探しをやらされまして…。きれいな人はたくさんいるけど、本当にキツかった。見たい場所もいっぱいあったし…」と恨み節。この日、司会を務めた日本テレビの森圭介アナウンサーが「日本テレビを代表して、唐沢さん、大変申し訳ありませんでした」と平謝りし、場を盛り上げた。“日本のシンドラー”のみならず、インテリジェンス・オフィサー(諜報外交官)として、危険な諜報作戦にも身を投じたという知られざる一面にも光をあてる本作。この日は外交ジャーナリストで杉原氏の研究家である手嶋龍一氏が駆けつけ、「唐沢さんが素晴らしいのは、偉大なるヒューマニストである杉原像に加えて、スパイよりも大きな存在として、国家の命運を左右するインテリジェンス・オフィサーを演じたこと」と絶賛した。当の唐沢さんは、「僕自身だったら、彼のような決断ができたかどうか…。個人的には杉原さんを中心に、周りの人間が変わっていく部分が好きだな」と本作の魅力をアピールしていた。『杉原千畝 スギハラチウネ』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年12月22日映画『杉原千畝 スギハラチウネ』の初日舞台あいさつが5日、都内で行われ、キャストの唐沢寿明、小雪、小日向文世、塚本高史とチェリン・グラック監督が出席した。全国公開中の本作は、"日本のシンドラー"と呼ばれた杉原千畝の生涯を描いた作品。第二次世界大戦中、外交官として諜報活動を行っていた千畝(唐沢)は、赴任地のリトアニアでナチスの迫害を受けるユダヤ難民に独断でビザを発給する――という内容で、ポーランドでオールロケを敢行した。約6,000人のユダヤ難民を救ったと言われる千畝を演じた唐沢は、「感想を聞くのが怖いけど、ホッとしています」とあいさつ。舞台には、実際に千畝から"命のビザ"を受け取ったシルビア・スモーラー氏も駆け付け、「杉原さんと唐沢さんが同一人物に見えるくらい、本当に素晴らしい演技でした」と大絶賛すると、「ありがたいですね。リトアニアではみんな知っているけど、日本では知らない人が多い。この映画をきっかけに知ってほしい」と笑顔でアピールした。また、撮影中の苦労を聞かれ、「ポーランドのブラピが、『死ぬ前に一言言いたい』とか言って、いちいちカメラを止めてなかなか死ななくて。日本でもこういう人いるんですけどね(笑)。『もう早く死ねよ~』って思ってました」とまくし立てて笑いを誘った唐沢。そんな唐沢に対し、共演者からは、「唐沢さんってよくしゃべるけど、撮影中は本当に静かで役に入ってた。冗談を一言も言ってなかった」(小日向)、「唐沢さんにも寡黙な一面がありました。『でも、そろそろ限界がくるかな?』と思いながら見てました」(小雪)と驚く声も上がっていた。
2015年12月06日映画『杉原千畝 スギハラチウネ』が12月5日に公開を迎え、主演の唐沢寿明をはじめ、小雪、小日向文世、塚本高史、チェリン・グラック監督が舞台挨拶に登壇した。舞台あいさつその他の写真第二次世界大戦中、外交官としてヨーロッパに赴き、そこでナチスドイツに追われて逃げてきたユダヤ人のために“命のヴィザ”を発給し続けた杉原千畝の姿を描く。唐沢はポーランドでの撮影も行った本作がようやく公開を迎え「感無量です」と語り、満員の客席に「ホッとしています」と笑顔を見せた。普段は撮影現場でも冗談ばかり言っているという唐沢だが、本作に関しては共演陣から一様に「寡黙だった」と評される。小日向は「いま思うと、本当に役に入ってたんだと思う。いつもは面白いことばかり言うのに…」と語り、小雪も「唐沢さんが寡黙で、こんな一面もあるんだ! と思いました」と明かす。唐沢は、そんな共演陣の言葉に「(冗談を)言う必要がなかったからですよ」と照れくさそうな表情を見せつつ、実在の人物、しかも多くの人々の命を救った偉人を演じることについて「杉原さんという方は、ヒントが少ない方で『こういう人です』という情報が非常に少ない。奥様の著書などでは寡黙で、いつもニコニコとしていたとあるし、肉声を聞くと熱い一面があったり…。誰も本当の杉原さんを知らないというところで苦労はありました」と語った。グラック監督は「自伝などを書いてない、胸を張って『おれはこんなすごいことをやった!』と言わない方というところこそがヒントと言えるかもしれません」と残された情報の少なさこそが、杉原さんの謙虚さを示すヒントだと分析する。この日は、その杉原さんが波及したヴィザに命を救われた“スギハラサバイバー”であるシルビア・スモーラーさんがニューヨークより来日し、ゲストとして登壇。6歳のときに杉原さんが発給したヴィザで家族と共に亡命を果たしたというスモーラーさんは、杉原さんを「命の恩人」と語り、昨日、日本に到着してすぐに見たという本作について「とても重要な映画です。杉原氏の複雑で繊細な部分を唐沢さんが見事に表現されていて、残酷なシーンでの表情に、彼の心の内が豊かに表れていました」と絶賛。唐沢は「ありがたいです。こうして、お元気でいらっしゃることがよかったなと思いますし、改めて杉原さんはすごい人だったのだと感じています」としみじみと語った。『杉原千畝 スギハラチウネ』公開中
2015年12月05日映画『杉原千畝 スギハラチウネ』が12月5日(土)に公開を迎え、主演の唐沢寿明をはじめ、共演の小雪、小日向文世、塚本高史、チェリン・グラック監督が都内で行われた舞台挨拶に登壇した。多くのユダヤ人を救った“命のヴィザ”で知られる外交官・杉原千畝。危険な諜報戦にも身を投じる“インテリジェントオフィサー”としての彼の一面にも光を当て、これまで語られてなかった姿をも描き出す。唐沢さんは初日を迎え「感無量です」としみじみ。実在の人物を演じる上で「杉原さんはヒントが少ない方で、『こういう人です』という情報も少なかった。奥様の著書では寡黙な方だけど、肉声を聞くと熱い一面もあったりして、誰も本当の杉原さんを知らないという点で苦労はありました」と振り返る。そんな唐沢さんの現場での様子について小日向さんは「いつもは面白いことばかり言うのに、今回は寡黙でした」と語り、妻を演じた小雪さんも「寡黙で、こんな一面もあるんだ!と思いました」と驚きと共に明かす。唐沢さんは、自身のことが話題になるのが照れくさいのか、共演陣のエピソードを暴露!本作の中で“悪役”的な位置づけの塚本さんの銃撃シーンについて「普段は爽やかな青年なのに、銃を持つと目つきが変わって、いつ監督を撃つかって感じで『撃てっ!撃てっ!』と朝まで叫んでました」と語り、小日向さんについては「5日間くらいの参加で、毎日『Tシャツ屋ない?』とリサーチして、最終日はお昼も食べずに(お土産用の)Tシャツを買いに行ってました」と明かす。小雪さんに関しても「小雪ちゃんはほぼ毎日、観光してました。こっちは毎日、死ぬ気で撮影してるのに…」と自身の過酷な撮影と比べて恨み節をもらした。また、矛先はポーランド人の共演俳優にも向けられ「日本でもそういう俳優さん、たまにいるけど(死ぬシーンで)なかなか死なない人がいて『ここでひとこと言いたい』とか出たくてしょうがなくて、爪痕を残そうとして来る(苦笑)。『早く死ねよ!』と思ってた」などと毒づき、会場は笑いに包まれた。また、この日はゲストとして、実際に杉原氏の発給したヴィザで命を救われた、“スギハラサバイバー”と云われる人々のひとり、シルビア・スモーラーさんがニューヨークから来日し、登壇した。スモーラーさんは唐沢さんの演技について「杉原さんの心を豊かに表現されていました」と絶賛!唐沢さんは「ありがたいことです。こうしてお元気でいらっしゃることを本当によかったと思うし、杉原さんはすごい人だったんだなと改めて感じます」と感慨深げだった。『杉原千畝 スギハラチウネ』は公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年12月05日第二次大戦中に多くのユダヤ難民を救った実在した外交官・杉原千畝を題材に描く『杉原千畝 スギハラチウネ』の公開を記念して、MCの鈴木敏夫が、ゲストのエッセイスト・犬山紙子と日本テレビ・奥田誠治プロデューサーとともにTOKYO FMの番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」公開収録に登場した。1934年、満洲。満洲国外交部で働く杉原千畝(唐沢寿明)は、独自の諜報網を駆使し、ソ連から北満鉄道の経営権を買い取る交渉を成立させる。しかし、ともに諜報活動を行っていた仲間たちを失い、千畝は失意のうちに日本へ帰国する。新たに念願の在モスクワ日本大使館への赴任を控えていた千畝だったが、ソ連は千畝に「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」を発動。千畝のインテリジェンス・オフィサーとしての能力の高さを知ったソ連が警戒し、千畝の入国を拒否したのだ。1939年、外務省は、混迷を極めるヨーロッパ情勢を知る上で最適の地、リトアニア・カウナスに領事館を開設し、その責任者となることを千畝に命じた。そこで千畝は新たな相棒ペシュと一大諜報網を構築し、ヨーロッパ情勢を分析して日本に発信し続けていた。やがて第二次世界大戦が勃発すると、ナチス・ドイツに迫害され国を追われた多くのユダヤ難民が、カウナスの日本領事館へビザを求めてやって来た。日本政府からの了承が取れないまま、千畝は自らの危険を顧みず、独断で難民たちに日本通過ヴィザを発給することを決断する――。ナチスに追われる亡命ユダヤ人のためにビザを発行し続けた外交官・杉原千畝役を、「THE LAST COP/ラストコップ」「ナポレオンの村」とドラマ出演が続いた唐沢寿明が務め、彼に付き添い、献身的に支える妻役を『探偵はBARにいる』以来の映画出演となる小雪が熱演する本作にちなみ、今回の「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」公開収録でも、鈴木さんと、ゲストの犬山さん、奥田プロデューサーが、杉原千畝の生涯や、妻・幸子について、さらには「夫婦」のあり方について語った。鈴木さんは「千畝の妻は、彼と同じ方向を向いて、同じ未来を見ようとしたのでは?」と自身の考えを述懐。新婚だという犬山さんは、杉原千畝の妻・幸子に共感できなかったことを明かすと、驚いた鈴木さんは「君たち夫婦は大丈夫なの?」と、思わず心配する場面も。さらに話は「杉原千畝はなぜ、ナチスに迫害され国を追われた多くのユダヤ難民に対してビザを発給したのか?」という映画の核心に言及。鈴木さんや犬山さんが出した答えとは、一体何だったのか?この日の収録の模様は、11月29日(日)23時より放送予定だ。「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」は毎週日曜日23時よりTOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネットにて放送。『杉原千畝 スギハラチウネ』は12月5日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年11月26日