『La boutique Uncinq』を営みながら、毎日を丁寧に過ごす、平野みかほさんの連載がスタート。愛らしい娘さんふたりとの穏やかで微笑ましいエピソードを中心に、みかほさんの好きなものをご紹介していきます。第一回目はみかほさんご自身と、お子さんのことについて綴ってくれました。今後のコラムもぜひお楽しみに……!今月より毎月1回コラムを書かせていただくことになりました、平野みかほです。以前より、【親から子どもへ、ずっと繋いでいきたい服と小物】や【素敵なパパ・ママの推薦図書】など、いくつかの企画に寄稿させていただいたのがご縁になり、今に繋がっています。私自身は、アンティーク/ヴィンテージの衣服や雑貨を取り扱う仕事をしており、中目黒にて『La boutique Uncinq』という小さなブティックを営んでいます。一点ものやさまざまな時代の奥行きを感じられる各国の品々に魅了され、その熱は今も私の心をメラメラと燃やし続けていますが、子育てとの両立はなかなか難しく、試行錯誤の毎日です。私自身、年に数回、海外に買いつけに行く機会があり、気づけば家の中は異国のものが増え、普段から古い品に囲まれて生活しています。そして、古い品と同様に、わが家にはいつも花の存在があります。長女が生まれてから、季節の移り変わりを身近に感じられたらいいなと思い、できるだけ飾るようになりました。今では、「もうすぐ枯れちゃうね」「かれちう?」「お花さんがきれいに咲いた印だよ」「うん! きれい〜」と姉妹でおしゃべりしながら、花の変化する姿を彼女たちなりに楽しんでいる様子で嬉しい限り。長女の好きなお花はアネモネとガーベラ。ときどき近所の花屋さんまでひとりで行き、そのときの気分で自由に選んで買ってきてくれます。次女は「プーリップ(チューリップ)」の名前を覚えて、最近は新しい花々が仲間入りすると、真っ先に「このおはな、なーに? きれーぃ」と興味津々。次女はこれからどんな草花が好きになるのかなぁと、ひそかに楽しみにしています。私の家族構成は、夫・私・長女(8歳)・次女(2歳)。長女の幼児期の印象的だった遊びは、お医者さんごっこで、なぜか耳鼻科限定(笑)。 バナナで電話、玩具の聴診器で私の耳の中を診療し、玩具のフライパンで「いいこ いいこ」してくれました。最後には「はい、どーじょ。おみやげでしゅ。これ食べたらなおりますからね〜あしたもきてくだしゃい」とイチゴを持たせてくれる、何もかもあべこべだった小さなお医者さん。今でもそのときの様子を撮影した動画を見返してしまうほど、大切な思い出のひとつです。そんな彼女が5歳になった頃、「お花を飾る花瓶をつくってみたい」とはじめて自分で挑戦してみたいことを私に伝えてくれたのをきっかけに、現在も通っている陶芸教室。幼児期の習い事の選択については、無理はしない。ただ一緒にいろんなところへ行き、いろんなものを見て、聞いて、感じ合うことを大切に。が、わが家流。幼いながらに、好きなもの、惹かれるものを少しずつ自分のタイミングで見つけていく逞しさを、キラキラした彼女のまなざしに教えてもらったのでした。2歳になった次女は、言葉が会話になってきたような。もにょもにょとしていて聞き取れない単語があるのも事実ですが、可愛いので、よしっ。ちょっとすねてみたり、泣いたふりをしてみたり。急に、変な顔をして家族を笑わせてみたり。木々が枝分かれするような細やかで複雑な表現をたくさん覚えてきました。コロコロと軽やかに変わる気分にまっすぐな姿が少しうらやましい。このコラムでは、子どもたちと過ごすささやかな日々のエピソードを中心に、私らしさを表す好きなもの、その時々で素直に感じたことを、少しずつ綴らせていただきたいと思っています。子育て中でも楽しめるヴィンテージ品とのつき合い方も載せていけたら……「子どもと、私と、らしさと」ぜひ、のんびりとお楽しみいただければ幸いです。PROFILE平野みかほさん8歳と2歳の女の子のママ。“一期一会“をコンセプトに、世界各国から集めたヴィンテージ/アンティークの品々を取り揃えた小さなブティック『La boutique Uncinq』を中目黒に構える。商品の買い付けを始め、オリジナル商品のデザインや製作も手掛けている。Instagram:@la_boutique_uncinq
2024年03月30日皆さんは浮気性の方と付き合った経験はありますか…?何度言っても直らず、しまいには別れてしまう方も…。 今回は実際に「募集した浮気トラブル体験談」をご紹介します!寝ぼけて…ある日、2人で寝ていてそろそろ約束していたご飯屋さんの予約の時間だったので「起きてー」と起こしました。ところが「んーあとちょっと。みかももうちょっと寝よう」との返答が。私はゆり。誰だと思い叩き起こして事情聴取。最初は「みかんと間違えた」と訳のわからない言い訳をしていましたが、最終的には他に女がいたことが判明。みかは1回遊んだだけと言われましたが、たった1回で寝言で間違うかなと疑問に思い、別れました。(女性)出典:lamire知らないアプリが…夫の携帯はときどきこっそり見ていました。ある日、夫が寝た後にこっそり見てみると入っていなかったアプリが入っていました。出典:lamireそこで女性とやりとりしているのを見つけました。見てみると「かわいい」や「今度会おう」などと夫が送っていました。夫を起こし問いただすと慌ててました。「違う」など言い訳をして、とても謝ってきました。それからとても反省していますが、私は許してるようで完全には許してないです。(女性/専業主婦)いかがでしたか?浮気性の恋人を持つ方々はなかなか苦労しているみたいですね…。さっさとお別れして正解かもしれません。以上、浮気トラブル体験談でした。次回の「トラブル体験談エピソード」もお楽しみに♪※こちらは実際に募集したエピソードを記事化しています。"
2022年06月21日英国で暮らしながら、執筆活動を続けているライターのブレイディみかこさん。忘れられないと語るのは、人と人がつながる原体験となった言葉でした。ブレイディみかこさんが忘れられない言葉。現在、イギリスで暮らすブレイディみかこさん。最も忘れられないと語るのは、まさに一期一会のつながりだ。「“つながり”と聞くと自分の周囲にいる、既にconnected、linkedしている人を思い浮かべがちですが、見ず知らずの人とふとつながった瞬間、そこでかけられた言葉が非常に心に残っています。20代の頃、それまで生まれ故郷である日本と、好きなイギリスやアイルランドを行ったり来たりしていた私は、腰を落ち着けようと5年間くらい日本で暮らしていました。でも、人間関係でかなり悩んでいて。毎日のように、“今の人生から逃げ出したいな”とか、“でも悩んでいるのは私のワガママなのかな”“このまま自分を捨てて我慢していけば丸くおさまるのかな”と考えたり、限界に達しつつあったんです。思い詰めた末に、好きなアイルランドに2週間くらい旅行して、一人っきりで考えることにしました。行き先は、ずっと行きたいと思っていた、歌手エンヤの生まれ故郷でもある自然豊かな田舎町・ドネゴール。泊まるところも決めていなかったので、現地のツーリストインフォメーションで教えてもらった、教会の真ん前にある小さなB&B(簡素な宿)でしばらく過ごしました。そこは家主であるおばちゃんも一緒に住んでいるような宿で、朝食も作ってくれたりするんです。彼女は毎朝、目の前にある教会のミサに行くような熱心なカトリック信者でもありました。もし彼女に『人生から逃げ出したい』なんて相談したら、きっとカトリックの信者らしく『自分を犠牲にして周囲の人たちのために生きていきなさい』って言われるんだろうなって思ったりしながら、あんまり外に出たりもせず、じっと一人で本を読んで過ごしていました。でもあまりに私が暗いからか(笑)、ある朝、おばちゃんが話しかけてくれたんです。日本では何しているの、どんな感じなの?って。二度と会うこともない人だし、きっとここに戻ってくることもないと思うと話しやすくて、日本では家族や友人にも相談できなかったことを洗いざらい喋りました。そしたら彼女は私の話に耳を傾けてくれてから、『人間はね、幸せになるために生まれてきたんだよ。だからあなたがまず幸せになることを考えなさい』と言ってくれたんです。おばちゃんが実際の私の状況を知らない、いわば無関係の人だからそういうふうに言えたのかもしれないけど。でも、たまたまアイルランドで出会った彼女の、『あなたが幸せじゃなければ、周りの人のことも幸せにできないから。あなたが一番幸せになれる方向で決めなさい』っていう言葉が、私の未来を決めたんです」その言葉はまた、ブレイディさんに人と人とがつながれる可能性を感じさせるきっかけになった。「私が日本で悩んでいた状況と、アイルランドの本当に北の果てにいるような人の状況は全然違うし、理解できるはずがないんだけれど、それでもその言葉で、人間ってつながれる瞬間があるんだって感じました。だって、おばちゃんの言葉はその時の私にとって、日本にいる誰が言ってくれた言葉よりもグッときたし、そうだよなって思えたから。人間は、苦しさや悲しさ、悔しさをそれぞれの人生で経験していて、そういう意味では同じなのかもしれない。だから、たとえ会ったばかりで、言語も文化も人種も何もかも違ったとしても、誰か苦しんでいる人がいれば言葉をかけることができる。人間はみんなつながっている、つながれるんだよなって。アイルランドでたまたま出会ったおばちゃんと心がつながったことで、個人を超えたところで救いを感じたんです」置かれた境遇が違っても、人は手を取り合うことができる。「10年以上前ですが、イギリスで人種差別に反対する運動に関わったことがあります。その時、一緒に運営に携わっていた黒人の知り合いに、何の気なしに『私たち同じだよね』って言ったことがあるんです。イギリスで暮らす中で私はアジア人として差別されることがあり、彼も黒人として差別される立場にあったから。でも、彼はボソッと『僕たちは違うよ』と返しました。よくよく考えたらそうですよね。まだイギリスに来て十数年の私と、ずっと差別をされてきた黒人家庭に育った彼は同じではない。だからパッと線を引かれたんでしょうね。でも彼はこう続けたんです。『僕たちは違うよ。でも、同じことのために闘っているんだ』って。私たち一人一人はみんな違う。人種も文化も、宗教も違うかもしれない。だけど、同じこと、同じ目的のために一緒に闘うことができて、そこではつながれるんだよって言ってくれた気がして。これも忘れられない言葉の一つです。先ほどの話にも重なりますが、きっと人間って基本的には同じ部分を持っている。ディテールは違っても、出会いや別れ、苦しさといった同じような体験をしているからこそ、誰かに心情的につながれる言葉をかけて救うことも、支えることもできるんだと思うんです」ふとした瞬間に、誰とでも心でつながれることがある。そう知っておくことは、気持ちを楽にしてくれるかもしれない。「もし“つながりを感じられる言葉”を聞くために、一生懸命その人との関係性を築いているとしたら、結構息苦しいじゃないですか(笑)。無理に深くつながろうとすると、“自分はこの人を信頼しているけど、相手はどうなんだろう”と気にかけすぎたり、“この人を逃したら私にはつながれる人がいない”と、つながりを死守しようとしてしまったりしがち。そんなふうに、既にある特定のつながりにすがるより、人間は見ず知らずの人とも心でつながれる力を備えている、ということを信頼するのが大事なんじゃないかって。それに、日本って割と立場を大事にするところがありますよね。親だからこうしなきゃいけないとか、恋人だからこうしないといけないとか…立場がゆえの気負いがあるというか。でも、本当のつながりや深い関係性って、立場とは異なるものだから。そんな気負いがないところから、ふっと誰かを救うような、真摯でピュアな言葉が出てくるのかもしれないですよね」イギリスの公立中学校に進学した息子の日常を通して、子どもの成長、社会制度の歪みとその背景にある問題など、ブレイディさんの様々な気づきを記した著書『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。その中に、英語しか話せない息子と、日本語しか話せないブレイディさんの父親の、言葉は通じないものの心が通じているかのように見える関係性を描いたエピソードがある。「立場は“祖父と孫”ですが、遠く離れたイギリスのブライトンと、日本の福岡に暮らしていて、1年に1回、2週間くらい福岡で一緒に過ごすだけ。今はコロナで会えていないし、あんまり家族とは呼べないような関係性かもしれません。言葉も通じないし、お互いの文化もよくわかっていない…でも、二人は確実に通じ合っているんです。言葉がわからないからこそ、お互いがどう思っているか想像したり、気遣い合っているんですかね。言葉は通じていないけど、逆に心のつながりが強いのかもしれません。私が仕事で東京に行く時なんか、昼間は完全に二人っきり。どうして一緒にいられるのか本当に不思議です(笑)」離れていても、心の距離まで離れているとは限らない。「近くにいるだけがつながりじゃない、とも思います。両親とは普段離れて暮らしていますが、やっぱり人生の節目節目を知らせたい存在。息子が生まれた時も、入院してた病室は携帯電話が使えないし、連れ合いに電話してもらおうにも英語しか話せないから伝わらないし、ガウンに携帯を忍ばせて、這うようにして病院のものすごい端の非常階段まで行って父親に電話したのを覚えています(笑)。電話口で『(生まれてきた息子は)元気やったー?』って聞かれて、『元気で出てきたよ、保育器には入ってるけど全然大丈夫だよ』って答えたら、何も言わずに泣いたりしてて(笑)。普段会えなかったり、たまに連絡するからこその濃ゆいつながりってあると思うんです。ずっと一緒にいなくても、何かあったら知らせたい!伝えたい!って感じる相手。そんなつながり方もあると思います」時に悩みの種にもなり、時に救いにもなる人間関係。「上手につながらなきゃ、つながりをキープしなきゃって気負っちゃうと、結局つながりの中に自分を縛ることになっちゃうじゃないですか。それは何かにつけて自分の可能性を狭めてしまう。今あるつながり以外の、意外なところにも心に残るつながりが生まれる可能性があると思って、気負いすぎないほうが、きっといいですよ」ブレイディみかこ1965年生まれ、福岡県出身。ライター、コラムニスト。’96年から英・ブライトンで暮らし、『子どもたちの階級闘争―ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)など著書多数。※『anan』2022年1月12日号より。写真・Kensuke Hosoya(by anan編集部)
2022年01月07日思いがけない人間関係やエピソードが交錯していくリーダビリティの高さが、村木美涼さんの小説の魅力だ。『商店街のジャンクション』もまた、着ぐるみが媒介となって物語は意外な方向へ転がっていく。商店街で、着ぐるみでチラシ配りのアルバイトをする、男女3人の物語。主な登場人物は、IT系会社員の滝田徹、インフォメーションセンターで働く水谷佳菜、追われる身の兵頭健太という3人の男女。「『着ぐるみの中にいる時間を何よりも大事にしている男』『すべての物事を右からしか始められなくなった女』『ただひたすら面倒から逃げている男』。この先もこのままでいいのかとうっすらとした不安を抱いている彼らがどう変わっていくかが読みどころかなと。着ぐるみの名前を〈チョッキー〉にしたのは、着ぐるみの中でVサインをしているからという単純な発想からです(笑)」村木さんの作品では、「この人物には何か人に言えない秘密や悩みがあるんだな」と思わせる場面が早い段階から明示されるのだが、その具体的な中身はなかなか明かされない。だが、作中に出てきた〈偶然こそが生きている証しだ〉という意味深な言葉が、テーマをよく表している。「10年くらい前から“偶然”というものについて考えるようになりました。よく“単なる偶然”などと言いますが、思いつきでしたこと、あるいはしなかったこと。それらが巡り巡って誰かのもとに偶然として届いたときに、もしかしたら、その人の人生を大きく変えるかもしれない。そんな考えはいまもずっと続いています。それを私なりにいろいろ考えた結果が、バラバラに見える4人の男女のエピソードがつながる『窓から見える最初のもの』で、あれは言ってみれば、偶然が主人公の作品だと思うんですね。本作ではラストに置いた『00』部分で、そんな思いをよりはっきりとした言葉にすることができたかなと思っています」過去作がいずれもミステリーの文学賞を受賞していることからもわかるように、作中に謎は入っているものの着地は奇妙。だがそこが痛快だ。「作品を出すたびに『これってミステリー?』と言われます。本人はあまり気にしていなくて、どうしてもこうなってしまうからしかたがないと、最近は開き直っている部分も。これからもそうした作品をマイペースで書いていきたいです」村木美涼『商店街のジャンクション』「登場人物を自分で理解するために表には出さない短編を書くということをよくします」。「00」という章も、そんな気持ちで加えたそう。早川書房1870円むらき・みすず作家。宮城県生まれ。2017年『窓から見える最初のもの』でアガサ・クリスティー賞大賞を受賞しデビュー。‘19年『箱とキツネと、パイナップル』で新潮ミステリー大賞優秀賞。※『anan』2021年4月7日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年04月05日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めた、テレビウォッチャーでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第68回は、高齢熟女バーが舞台のドラマ『その女、ジルバ』に注目。いつも前向きでいる登場人物たちから見る、すてきな歳の重ね方を3つご紹介します。1. 年齢にとらわれすぎない【結婚引き寄せ隊】vol. 68現在放送中の池脇千鶴さんが主演する『その女、ジルバ』(東海テレビ・フジテレビ系 毎週土曜 午後11時40分)は、「第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞している、有間しのぶさんの同名コミック(小学館『ビッグコミックス』」刊)が原作、そして『Dr.コトー診療所』シリーズなどを手掛けた吉田紀子さんの脚本による連続ドラマです。池脇さん演じる主人公・笛吹新(うすいあらた)は、夢も貯金も恋人もいない40歳の女性。 うまくいかない現状や老後に不安を抱えながら、運命に導かれてBAR「OLD JACK&ROSE」で働くことになり、終戦直後から力強く生きてきたBARで働く高齢女性たちの姿を見て、だんだんと人生に希望を見出し、輝いていくというストーリー。「女は“シジュー(四十)”から」と考える劇中の世界観では、登場人物たちが、年齢にとらわれずにいきいきと生きている姿が印象的です。最初は「“もう”四十だから」と思っていた主人公の新は、BARでは「シジューなんてヒヨッコだ」「ギャル」などと言われ、次第に「まだまだこれから!」とバイタリティにあふれていくのです。そこから恋の予感もチラホラ……。これは何もドラマの世界に限ったことではなく、現実を生きる私たちにだって、当てはまる考え方。「もうトシだから」と年齢を理由にするよりもまず、いくつになっても「こんなことがやりたい!」と、年齢にとらわれすぎずに心のままに行動していけるといいですよね。そうすると、自然といきいきと過ごせて、年齢なんてただの記号になっているに違いありません。2. 人と比べない劇中では新と、以前の職場である倉庫のグループリーダー・浜田スミレ(江口のりこ)との“シジューからの友情”も描かれていて、その描写にもなんとも見入ってしまう場面がたくさんあります。池脇さんは、スミレ役を演じる江口さんとは2003年公開の映画『ジョゼと虎と魚たち』以来、約17年ぶりの共演となりますが、今回もお互いの心の葛藤が視聴者側にもジンジンと伝わってきます。スミレは、悪気なく踏み込んでくる新にイライラするのですが、「どうせわかってくれるわけない」ということを前提に人と接すると、拒絶から入ってしまうことも。人はそれぞれ、いろいろな境遇や環境にいるものですが、最初から線を引いてしまったり、人と自分を比べてしまったりするよりも、もう少しフラットでいられると楽になることもあるかもしれません。スミレのほかに、以前同じ倉庫に勤めていた“シジュー3人娘”のもうひとり、村木みか(真飛聖)は、欲や見栄や不安を全部とっぱらった結果、会社を辞めて島根の実家にいる母のもとへ戻りました。「負けて帰るわけじゃないと思いたい」と吐露するみかに、新は「勝ちとか負けとか括らなくていいんじゃないかな、最初からそんなものない」と言うのです。東京で仕事も恋も成功したから勝ちだなんて、そんなわけはないですよね。もちろん、明らかに成功したと思える功績を残す人は素晴らしいのですが、心のなかまではわからないもの。のんびり家族で暮らすことに幸せを感じる人、バリバリ働くことに重きを置く人と、価値観は違っていいのですから。人と比べて落ち込むよりも、自分自身のものさしを大切にしたいですよね。3. あきらめない島根で暮らすみかから、縁結びの神さま・出雲大社のお守りが、新とスミレに送られてきていました。スミレはそのお守りを肌身離さず身につけていて、微笑ましかったです。私も独身時代は、神在月の出雲大社はもちろんのこと、全国の縁結びの神社に、恋愛成就やすてきな結婚のお願いをしにお参りに行ったものです。婚活では1,000人の男性と出会った結果、なんとか結婚できましたが、「どうせ神頼みなんてしても仕方ない」なんてまったく思いませんでした。とはいえ、神頼みだけで結婚できるほど甘くはないので、実際に行動しましたが、新やスミレも恋をすることや何かをすることにあきらめたりはしていません。劇中でスミレは、愛するパートナーと巡り会い、新しい命も授かって無事に結婚しました。そんな不器用なスミレが幸せになった姿は、SNSでも大反響。幸せになることをあきらめる必要なんて、ないですよね。大きなことではなくても、小さなことでもいいので、やりたいことをあきらめずにいたいものです。多くの女性から支持されているドラマ『その女、ジルバ』は、歳を重ねることが楽しくなるようなすてきなきらめきがいっぱい!ドラマの世界から、いきいきと過ごすヒントが得られることもありますよ。Marko GeberfiladendronDougal Waters文・かわむらあみり
2021年03月13日旬を揚げる、大衆天ぷらの魅力食材の味を最大限に引き出す“揚げ”の技新しい食材を天ぷらにすれば、新しい哲学が生まれる旬を揚げる、大衆天ぷらの魅力かつては大衆食として親しまれた料理も、歴史を経るごとに技が磨かれ、哲学に溢れた食文化となることがある。江戸前天ぷらもその一つ。江戸前天ぷらの特徴といえば、江戸前=東京近郊で獲れた魚介類をごま油でカラッと揚げること。油のかぐわしい風味と、季節によって変わる食材から旬を味わえることが何よりの魅力だ。「江戸前天ぷら」を受け継ぐ店は東京の街に数多くあるが、ひときわ名店の呼び声高い店がある。それは“天ぷらの神様”と呼ばれる料理人・早乙女哲也さんがはじめた【みかわ 是山居】だ。1976年に日本橋・茅場町で店を開いて以来、各界の著名人たちの舌をも喜ばせてきた。店内はカウンター席のみ。谷口さんの揚げの技術を目の前で眺めることができるそんな【みかわ 是山居】から独立した店【天ぷら やぐち】が人形町にオープン。22年間もの年月をみかわで過ごした店主・谷口ー樹さんによる、江戸前天ぷらのコースをいただくことができる。「修行したのは“みかわ”だけ。生え抜きと言えばいいのか、食材選びから揚げ方、仕上がりのイメージに到るまで、“みかわ”での教えが胸の奥にいつもあります」そう語る谷口さんの天ぷらは、食材ひとつひとつとの向き合い方にも哲学があった。食材の味を最大限に引き出す“揚げ”の技揚げる具材はどれも新鮮な魚介類“みかわ”での教えは数多くあれど、美学として強くあるのが、揚げる前に細工を施すことはなく“揚げ”と言う調理のみで食材の味を引き出し、仕上げることだ。そのために、食材によって捌き方や打ち粉の量、揚げ時間を考える。「みかわでもそうでしたが、揚げる前から『このエビはこう仕上げよう』という完成形が頭の中にあります。そこまで持っていくために、逆算して調理のやり方を考えていくんです」身と頭を別々に揚げたエビの天ぷら例えば、エビは他の食材よりも高い温度で揚げる。水分量が多いので、油の中でしっかりと脱水させるためだ。「衣にも気をつかいます。理想的な衣って顕微鏡で見ると網の目状になっていて、その間から食材の水分が抜けてカラッと揚がるんです」。一方、水で溶いて時間が経つとどうしても粘り気が出る。「天ぷらは脱水作業」との言葉の通り、谷口さんが仕上げた天ぷらはどれも軽く、衣をほとんど感じさせない。薄い衣を纏ったエビの頭からは、エビ本来の風味が強く香り立つ。少しの塩でいただけば、ボイルや鮨とは全く違ったエビの味が体験できる。新鮮な大ぶりの穴子をそのまま揚げるそして、人気の天ぷらのひとつが、3枚おろしをそのまま揚げる大ぶりな『穴子』だ。「穴子は皮目と身の間に独特のクセがあるんです。これを、揚げ具合によってクセではなく“香ばしさ”に変えられるかが勝負です」。揚がった穴子の身はホロホロと細かい食感となり、その変化に驚かされる。無論クセはなく、皮目の香ばしさもアクセントだ。皿に載せ、鉄箸で切った時に揚がる湯気を眺めるのはなんとも食欲をそそる体験だ夜には、こうした天ぷらが8品のコース(12,000円・税別)で楽しめる。提供する間、谷口さんは、1900200℃の温度に熱した油の中に次々と食材を入れ、それぞれの最適な秒数をカウントしながら揚げ上がりを待つ。もちろん、お客さんとの会話にも応じながら。新しい食材を天ぷらにすれば、新しい哲学が生まれる料理人の谷口一樹さん「良い材料を揃えたら、そこそこの天ぷらは作れる。でも、江戸前天ぷらの哲学は“どううまくできるか”にあるんです」そう語る谷口さんは、天ぷらに使う新しい食材の探求にも強い関心を持つ。【みかわ 是山居】で学んだ天ぷらの哲学は、語りつくせるものではないという。「食材がひとつあれば、その食材に対する考え方があります。全ての食材に対して哲学があるわけですから……。全て話そうと思ったら、ここじゃなくバーにでも行かないと(笑)」食材ごとに哲学がある一方で、谷口さんは「天ぷらにする意義のある食材は、限られている」と語る。全ての調理の中で天ぷらが一番向いている食材でないと、“揚げる意味”はないと言う。「ただ、魚を獲る海の状況も僕が修行をはじめた20数年前とは変わっています。昔はよく使っていたのに、今では見なくなった魚だってありますね」。『ししゃも』の天ぷらは、身はホロホロと細かく、独特の旨味が感じられるだからこそ、新しい食材を探求するのだと言う。秋のコースに提供される『ししゃも』は、修行時代のみかわでは扱うことのなかった食材だ。「これまでのやり方をただ単に踏襲するだけじゃなく、自分で開拓していかないと」。それは江戸前天ぷらの流儀を受け継ぐためでもあり、そこにまた新しい哲学が生まれる。伝統ある天ぷらの技術を受け継ぐ谷口さんの元に通えば、新しい料理を体験することができるかもしれない。【天ぷら やぐち】店舗情報住所:東京都中央区日本橋人形町2-9-7 大江戸アクセス2-1F電話:03-3527-3701アクセス:東京メトロ日比谷線「人形町」駅 徒歩4分、都営浅草線「人形町」駅 徒歩4分
2020年11月14日今回、お店をご紹介してくださるのは……【SUGALABAO】店主・須賀洋平氏1976年、愛知県生まれ。ジョエル・ロブション氏のもと、世界各地でグループの新店立ち上げに携わる。2014年に帰国し、翌年、東京・神保町に【SUGALABO】開設。会員制でゲストをもてなすかたわら、様々な分野で活動。須賀洋平氏がオススメするお店門前仲町【みかわ是山居】理論と技の両輪で織りなす至高の味。生ける伝説が手がける最高峰の天ぷら身はふっくらと柔らかく、表面は香ばしく。驚きの旨みを内包する店の代名詞『穴子』15歳で修業をはじめてから古希を迎える今年まで、一日たりとも休んだことはない。早乙女哲哉氏は、こともなげにそう言います。天ぷらという食文化の成熟に大きな影響を与えた伝説的職人。そんな巨匠は、今日も変わらずに厨房に立ち続けます。味だけにとどまらない、カウンター越しに見る名人の技一本の天ぷらで驚きの変化と深みを表現する『アスパラガス』使用する魚介は、年間通して8割方が江戸前。入江が深く、波が立たず、かつ250もの河川が流れ込み植物性プランクトンが豊富な東京湾。そこで育つ小魚は皮が薄く小骨は小さく、天ぷらという料理に適しています。コースの主役は江戸前の魚介ですが、脇を固める旬野菜も吟味し尽くした逸品揃い。さらに秋の松茸、春の山菜など、その季節だけの楽しみも待っています。コースの最後には、貝柱がたっぷりの『天丼』をオススメした須賀氏の声みかわ是山居【エリア】深川【ジャンル】和食全般【ランチ平均予算】10500円【ディナー平均予算】17000円【アクセス】門前仲町駅 徒歩8分▼須賀氏のお店【SUGALABO】店舗詳細SUGALABO(スガラボ)【エリア】新橋【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】30,001円~【アクセス】神谷町駅
2019年07月11日