ほろ苦くも温かい人間ドラマや独特の笑いのセンスが光る世界観で、多くの映画ファンの心を鷲掴みにしてきた沖田修一監督。今回、常に新作が待ち望まれる沖田監督が初めて人気漫画原作の実写化に挑んだ最新作『子供はわかってあげない』に合わせ、南極基地内の隊員たちの生活をコミカルに描いた『南極料理人』や、お人好しすぎる青年の愛おしい日々を描いた青春群像劇『横道世之介』、無骨な木こりと気弱な映画監督の交流を描いた『キツツキと雨』と、“おうち時間”を満喫できる<沖田ワールド>の作品をピックアップした。個性豊かな隊員のコミカルな日常と“おいしいご飯”『南極料理人』(Huluほかで配信中)実際に南極観測隊に参加した西村淳によるエッセイ「面白南極料理人」を実写映画化した本作。ペンギンやアザラシはおろか、ウィルスさえ生存できない極寒の地、南極ドームふじ基地に派遣された観測隊員8名。そのうちのひとり、料理人の西村(堺雅人)は食事以外楽しみがない彼らのために、日々腕をふるい、ときに贅沢な食材を使い、娯楽の少ない彼らをもてなしていく。過酷な状況下で繰り広げられる、ひと癖もふた癖もある個性派隊員たちのコミカルなやり取りにクスッとさせられることはもちろん、喧嘩をしながらもゆっくりと絆を深めていく彼らの“隔離生活”は、沈んだ心もおのずと明るくしてくれるはず。また、伊勢エビフライや夜食のラーメン、いくらのおにぎり、具だくさんの豚汁など、劇中で次々に登場する豪華なご飯も必見!60歳の木こり×25歳の新人監督が意気投合?2人のふれあいに心癒される『キツツキと雨』(Netflixで配信中)舞台は、人里離れた山あいの村。地元の木こり・克彦(役所広司)は、ゾンビ映画の撮影にやってきた新人監督・幸一(小栗旬)と出会い、ひょんなことから映画のことなど何も知らないまま、映画作りの手伝いをすることに。最初は距離を感じていたふたりが、次第に良い影響を与え合い、心を通わせていくさまを映し出した本作。劇中では、あれよあれよという間に克彦が幸一の映画に出演することになり、愛らしい“ゾンビ演技”を披露。演じる役所さんの怪演(!?)はもちろん、絶妙なユーモアを交えながら描かれる、異色のふたりのふれあいや、緩やかに流れる山村の優しい空気には、思わず心が癒されてしまうこと間違いなし!どこまでもお人好しな世之介が愛おしい!切なくも温かい“大切な思い出”に涙があふれる『横道世之介』(Netflixほかで配信中)吉田修一による同名青春小説を映画化した本作。頼みごとは断れないお人好し・横道世之介(高良健吾)は、大学進学のために上京したばかりの18歳。お調子者の倉持(池松壮亮)を始め、女性に興味を持てずにいる加藤(綾野剛)、大人の魅力を漂わせる千春(伊藤歩)、一方的に世之介へ想いを寄せるお嬢様の祥子(吉高由里子)など、様々な人々と出会いながら、持ち前の明るさで周囲を幸せにしていく――。どこまでも純粋でまっすぐで、ちょっぴり図々しいけど憎めない不思議な魅力を持ち合せる世之介。そんな彼を取り巻く人々との、切ないけれど温かく、かけがえのない大切な思い出に、きっとラストは涙があふれてしまうはず。どこか懐かしくも新しい“宝箱のような夏休み”。いっぱい笑って、ほろりと泣ける青春映画『子供はわかってあげない』(6月26日公開)「マンガ大賞2015」や数々の漫画賞を受賞し、「モーニング」連載時から話題沸騰だった田島列島の傑作コミックが実写映画化。主演を務めるのは、「義母と娘のブルース」「いだてん~東京オリムピック噺~」で注目を集め、瑞々しい魅力と確かな演技力で引っぱりだこの上白石萌歌。相手役には、超新人ながら石井裕也監督作『町田くんの世界』主演に大抜擢された細田佳央太。さらに人間模様を鮮やかに彩るキャストには、豊川悦司、千葉雄大、斉藤由貴、古舘寛治など、実力派の名優陣が大集結し、物語をカラフルに広げる。高校2年の水泳部女子・美波(上白石さん)は、書道部男子のもじくん(細田さん)との運命的な出会いをきっかけに、幼い頃に別れた父親の居場所を探しあてる。何やら怪しげな父・友充(豊川さん)にとまどいながらも、海辺の町でいっしょに過ごすが…。心地よい海風。爽やかに鳴る風鈴に、超能力!?お気楽だけど、けっこう怒濤の展開が待ち受ける。本作で描かれるのは、主人公・美波とシャイで素朴な青年・もじくんとの甘酸っぱすぎ初恋や、“元教祖(?)”の実の父・友充、ジェンダーレスな雰囲気を漂わせるもじくんの兄・明大など、ちょっぴり“ワケあり”でステキな人々との“普通じゃない”夏休み。初めて漫画原作の実写化に挑んだ沖田監督は、原作・田島列島の甘酸っぱすぎる新感覚ボーイミーツガールを見事に表現しつつも、子どもと大人の狭間で揺れ動く高校生、そして大人たちの気持ちをゆるやかにやさしく描く。美波の感情が高まった告白シーンは、監督の新境地シーンとしても必見。いっぱい笑って“ほろり”とする、懐かしくも新しい青春映画の傑作が誕生した。『子供はわかってあげない』は6月26日(金)よりテアトル新宿・イオンシネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:南極料理人 2009年8月8日よりテアトル新宿にて先行公開、22日より全国にて公開キツツキと雨 2012年2月11日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2011「キツツキと雨」製作委員会横道世之介 2013年2月23日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2013「横道世之介」製作委員会子供はわかってあげない 2020年6月26日よりテアトル新宿・イオンシネマほか全国にて公開©2020「子供はわかってあげない」製作委員会©田島列島/講談社
2020年04月25日ボクシングのWBA世界ミドル級王者・村田諒太が5日、ミクシィが管理するスポーツギフティングサービス「Unlim」の発表会に出席し、ボクシング界が抱える問題点に言及した。一般財団法人アスリートフラッグ財団はスポーツ文化に寄与することを目的に設立され、アスリートへの「新しい応援のカタチ」をコンセプトに、「Unlim」を運営。5日からアスリートチームの事前登録を受け付け、19日からのサービス開始を予定している。ファンは「Unlim」を通じて寄付をすると、アスリートチームに応援ポイントを贈ることができ、寄付金額の67%~83%が各チームに支援金として支払われる。本サービスの賛同者としてゲストに招かれた村田は、「自分の場合はありがたい環境で、デビューした時からスポンサーがついていました」と前置きし、「『村田さんは才能があります。ボクシングにおいて、才能が占める割合はどれくらいですか?』という質問をよくされます。僕は才能があったかどうかでいうと、そうでもない」と実体験をもとに説明。さらに、「パンチ力や運動能力が自分よりすごい人なんてゴロゴロいます。今まで何人もジムで見てきました。でも、みんなチャンピオンになれない」と振り返り、その原因を「続けられないんです」と指摘。「ある程度真面目にやっていればプロボクサーになれます。でも、プロとして続けるのは非常に難しい。1回戦ったところで5万円か10万円ぐらいしかもらえません。それが年に2回か3回かという状況で、やっぱりそれに我慢しきれない選手が多い」「夜のバイトをやったりして、継続できずに才能を無駄にする選手がものすごく多い」と選手たちが抱える深刻な状況を伝え、本サービスのような新たな収益源の必要性を訴えた。発表会終了後、囲み取材に応じた村田は「日本チャンピオンになっても、他の仕事をしながらということもある。新しい収益システムはチャンスなので、広がってくれれば」と期待を寄せ、「自分はオリンピックまでは決して裕福でもなかった」「苦しい状況の中でも使えるお金はアマチュアなので限られていました。支援もなかったので、日本代表になってもそういう状況が続いていました。そのあたりも改善されれば」と自身の下積み時代も振り返っていた。
2020年02月05日女優の神田沙也加(33)と俳優の村田充(42)が4日、それぞれのブログを更新し、離婚していたことを発表した。神田は「突然のご報告ではございますが、私、神田沙也加は、村田充さんと離婚しておりました事をご報告いたします」と報告。「結婚以来、子供のことについてずっと話し合ってまいりましたが、折り合う答えを見つけることが出来ませんでした。何度も歩み寄りを試みましたが、わたしは生きてきた環境の中で持った考えを変えられず、彼を幸せにすることが出来ないと思いました。その結果、別々の人生を歩むという結論に至りました」と理由を明かした。続けて、「それに伴い充さんの舞台出演が決まり、そちらへ影響を及ぼしたくなく、そして今年の自分のお仕事の関係者の皆様にご迷惑をお掛けしてはならないという思いで、来年1月までファンの皆様や関係者の方々に対してのご報告は控えるつもりでおりました。ですが今回、とある週刊誌さまより記事掲載のご連絡を受けました。なのでこのタイミングでお話しさせていただくことに致しました」とこのタイミングで発表した理由も説明した。そして、「充さんは勿論、記事に関係するかた、関係者の皆様にもご迷惑をお掛けしてしまう事となり、一刻も早くご報告すべきだったと深く反省しております」と謝罪。「円満に離婚をした為、別居を始めるまで離婚後も少しのあいだ同居期間がありました。そこでわたしのプライベートの話も、充さんには全て報告してきております」と伝え、「この度のことで多大なるご迷惑・ご心配をお掛けし、皆様に不快な想いをさせてしまった事を心から悔いております。大変申し訳ありませんでした」と締めくくった。村田もブログで離婚を発表し、「私、村田充と神田沙也加さんは、結婚以来継続してきた夫婦の在り方について、子どもが欲しかった私と、前向きになれなかった彼女とで折り合いがつかず、互いを尊重し、前を向いてそれぞれの人生を歩むという結論に至り、今年の夏、二人で円満に離婚届を作成し、離婚に双方合意をいたしました」と説明。「その後、関係各位に筋を通すタイミングを調整する中で私の仕事も多忙になり、また、彼女が取り組んでいるいくつかの大きな仕事に対する影響を考慮し、ご報告は年始にすることが最良と考え、公表を控えておりました。婚姻関係は解消をいたしましたが、沙也加さんの理解者として、今後もサポートは続けていく所存です」とつづった。また、「先日、仕事に向かう途中で、とある媒体の記者様から直接のご質問をお受けしました。その際に別居、不倫、離婚の事実について問われました。別居についてはお認めしました。不倫については否定をさせていただきました。離婚成立後に、彼女からプライベートの報告も聞いております。上記の通り、ご報告の時期を年始と考えていたため、事実とは異なりますが離婚についても否定をいたしました。以上のことから、今後混乱を招いてしまうと予想し、このタイミングでのご報告とさせていただきます」とつづり、「離婚のご報告が遅れましたことで関係各位ならびにファンに皆様に対しまして、大変なご迷惑、ご心配をお掛けしますことを、深くお詫び申し上げます。この度は誠に申し訳ありませんでした」と謝罪した。
2019年12月04日サンプルを主宰する劇作家・演出家の松井周と、2016年に『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香による異色のプロジェクト「inseparable」。同じ設定で松井が演劇を、村田が小説を紡ぐ同プロジェクトがいよいよ11月29日(金)にそのベールを脱ぐ。対談企画での初対面から、互いに強い理解と共感を感じたという松井と村田。自分以外の人間が作った設定で小説を書くことが最も苦手だと語る村田が、松井とならそれができると、思い切った一歩を踏み出したことは実に興味深い。松井も、まるでドッペルゲンガーのように発想を共有できる村田との出会いを稀有に感じていて、2017年に神津島で、翌年に台湾の緑島で、合宿をして本作のアイデアを磨いてきた。『変半身(かわりみ)』と題された物語の舞台は、近未来のとある離島。その島で発掘される「レアゲノム」という化石由来のDNAが、ヒトや動物の遺伝子組換えに必要なものとして注目を集めている。その島の奇祭で男は弟を失ったが、ある日、弟はよみがえり、次第に島の住民を狂わせていく……。とかく「あるある」が支持を集める現代。見覚えのあるもの、共感ができるものだけを受け入れて、そうでないものは排除する、世界をたった2色で塗り分けるような価値観が蔓延する中、彼らが紡ごうとしているのは、松井によると「『すきま』の部分」だ。「もともと人間はウソとホントの間に生きていて、信用ならないもの」という認識のもとに、「ウソとホントの間に生きているから、自分勝手だったり、流されたり、錯覚したり、下心があったりする」人間たちの有り様を、フィクション味たっぷりに描き出す。松井の作・演出による舞台は、11月29日(金)から12月11日(水)まで東京芸術劇場 シアターイースト、12月14日(土)・15日(日)に三重県文化会館 小ホール、12月18日(水)・19日(木)にロームシアター京都 ノースホール、12月21日(土)・22日(日)兵庫・神戸文化ホール 中ホール舞台上にて上演。村田による小説版は、東京公演初日の11月29日に筑摩書房より刊行される。演劇と小説の両方を味わって、虚実ないまぜの世界を泳ぎたい。文:小川志津子
2019年11月28日村田沙耶香さんの新作『生命式』は、2009年~’18年の間に発表した短編を選りすぐった作品集。「読み返してみて、昔からこんなことを考えていたなとか、今に繋がる内容だなと思うものも多いですね」いちばん古い作品「街を食べる」は、東京に住む主人公が、街で摘んだ雑草を食べようとする話。「私が千葉に住んでいた頃は、家族が近所で山菜を摘んできて調理していました。でも東京に来てからは、道端の草を食べるのには抵抗がある。その生理的な嫌悪感はなんだろう、と思ったのがきっかけです」村田さんはいつも、自分の中の固定観念や常識を疑っている。「自分の中にある常識を破壊するために、小説で実験をしているところがあります。短編は思い切った実験ができるのがいいですね」人に対する嫌悪感のない女性が主人公の「パズル」、自分よりも年配の人を書きたかったという「夏の夜の口付け」「二人家族」、女の子の部屋のカーテンの視点で綴られる「かぜのこいびと」…。おとぎ話のような「大きな星の時間」は、NHK Eテレの番組『おやすみ王子』で吉沢亮さんが朗読した一編。「依頼があった時に、吉沢さんが王子様の格好をして読むと勘違いしておとぎ話風のものを書きましたが、実際は彼氏が彼女に朗読するという設定でした(笑)。寝る前に読むお話なのでグロテスクな描写は避けたのですが、薄気味悪い話になってしまいましたね(笑)」表題作「生命式」は2013年発表。亡くなった人の肉体を調理してみんなで食すという儀式が描かれる。「こんな変なことを書いたら怒られるかなと思い、おそるおそる締め切りより半月ほど早く提出したら、担当編集者さんがノリノリで、参考にと料理の本を送ってくれました(笑)。他にも受け入れてくれている人が多くて、小説ってなんでもできるんだなってしみじみ感じて、転機になりました。ここから『殺人出産』や『消滅世界』に繋がっていきました」死んだ人間の毛髪や骨を服やインテリアに使用することが当たり前となった社会が舞台の「素敵な素材」、文化や環境による食生活の断絶をブラックなオチで語る「素晴らしい食卓」。読者がぐっと身近に感じるのは「孵化」なのでは。幼い頃から、所属するコミュニティによって異なる人格を演じてきた女性の物語だ。「私も子どもの頃は今より内向的で、でもバイト先では“しっかり者”、友達からは“ほんとにアホ”と言われたりしてきました。そうすると、みんなと繋がるFacebookで、どの人格の文体で書いたらいいのか分からなくて。他の人はどうしているのかな、という妄想があってできた短編です」グロテスクなものからふんわりした作品、ユーモラスなものまで、著者のエッセンスが詰まった一冊。「作家の多面性の部分と、何かゆるぎない部分があるんだなということと、両方感じてもらえるといいなと思っています」むらた・さやか作家。1979年生まれ。2003年『授乳』で群像新人文学賞優秀賞受賞。’13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、’16年『コンビニ人間』で芥川賞受賞。『生命式』人が亡くなると行われる奇妙な儀式を描く表題作のほか、世の中のタブーを覆す世界を提示し、固定観念を揺るがす12編を収録。河出書房新社1650円※『anan』2019年10月30日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年10月23日映画『太陽は動かない』が、2021年3月5日(金)より公開。藤原竜也×竹内涼真が初タッグを組む。“映像化は不可能”といわれた、吉田修一の小説が実写化『怒り』『悪人』など、ヒット作を生み出し続ける人気小説家・吉田修一。映画『太陽は動かない』は、そんな吉田が描く通称“鷹野一彦”シリーズ3部作の中の「太陽は動かない」「森は知っている」2編をベースに構築。世界を股にかけた壮大なスケールと、様々なシチュエーションでのアクションシーンなどから映像化は不可能と言われた巨編が、『海猿』や『MOZU』シリーズを手掛けた羽住英一郎監督によって実写化される。東欧ブルガリアで、壮絶なアクションシーン&冒頭映像も撮影は、日本国内に加え、東欧ブルガリアにて約1ヶ月にも及ぶ海外ロケを実施。市街地の道路を完全封鎖したカーアクションシーンの撮影や、列車を丸ごと貸し切り、首都ソフィアにて終日走行させながらのアクションシーンの撮影など、超異例づくしの大規模な撮影が行われた。解禁された映画冒頭映像は、、東欧ブルガリアの古いアパートに監禁されている同僚エージェント・⼭下(市原隼⼈)を救出するシーンから幕開け。監督の強い希望により、キャスト自らがスタントマンなしで、壮絶なアクションシーンを繰り広げる、息付く間もない圧倒的スケールを伺うことができる。ストーリー心臓に爆弾を埋め込まれた秘密組織のエージェント・鷹野と相棒の田岡。24時間ごとに迫る死の危険を抱えながら、「新時代エネルギー」の極秘情報をめぐり、各国のエージェントたちとの命がけの頭脳戦が始まる。誰が敵か味方が分からない極限の状況の中、2人の心臓爆破のリミットは迫っていた―。24時間ごとにリセットされる、極限のタイムリミット・エンターテイメントが幕を開ける!藤原竜也×竹内涼真の豪華タッグ主演は、『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』『Diner ダイナー』でも主演を演じた藤原竜也。これまで数々の難役をこなしてきた彼が、本作では心臓に小型爆弾を埋め込まれ、24時間ごとに死の危険が迫るという、極限まで追い詰められた男・鷹野一彦を演じる。また、藤原演じる鷹野一彦の後輩であり相棒にあたる田岡亮一役は、『センセイ君主』の竹内涼真が担当。本格的なアクションは初めてだという竹内だが、現場では陸橋から飛び降りるワイヤーアクションや、激しい肉弾戦にも体当たりで挑戦する。鷹野一彦(藤原竜也)藤原竜也演じる鷹野一彦は、謎の組織・AN通信のエージェントであり、心臓に爆弾を埋め込まれている。24時間ごとの定期連絡を怠ると爆死する。田岡亮一(竹内涼真)竹内涼真演じる田岡亮一も鷹野と同じく謎の組織・AN通信のエージェント。心臓に爆弾を埋め込まれており、24時間ごとの定期連絡を怠ると爆死する。佐藤浩市、市原隼人など豪華キャストもまた、佐藤浩市をはじめ、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、市原隼人、南沙良、日向亘、加藤清史郎、横田栄司、翁華栄、八木アリサ、勝野洋、宮崎美子、鶴見辰吾といったキャストも集結。風間武(佐藤浩市)佐藤浩市演じる風間武は、鷹野と田岡の上司。日本から2人に指令を出す。その素性は謎に包まれている。AYAKO(ハン・ヒョジュ)ハリウッド進出も果たした女優・ハン・ヒョジュが演じるAYAKOは、アンディ・黄と手を組んでいる謎の女。鷹野と田岡に何かと絡んでくる。デイビッド・キム(ピョン・ヨハン)ピョン・ヨハン演じるデイビッド・キムは、鷹野に敵対するフリーのエージェント。次世代エネルギーの情報を掴んでいる。山下竜二(市原隼人)市原隼人演じる山下竜二は、謎の組織・AN通信のエージェントで、鷹野と田岡の同僚。2人と同様に心臓に爆弾を埋め込まれており、ブルガリアで監禁される。その他の登場人物菊池詩織(南沙良)…高校時代の鷹野の同級生。鷹野一彦・高校時代(日向亘)…高校時代の鷹野。天涯孤独の身となり風間に拾われ、エージェントの訓練を受ける。柳勇次(加藤清史郎)…高校時代の鷹野の同級生。鷹野と同様、エージェントの訓練を受ける。ジミー・オハラ(横田栄司)…アンディ・黄の裏の実行部隊。アンディ・黄(翁華栄)…中国の巨大エネルギー企業・CNOXの会長であり裏組織のボス小田部菜々(八木アリサ)…小田部教授の娘。小田部教授(勝野洋)…次世代エネルギー研究の第一人者で、ブルガリア・ソフィア大学教授。河上麻子(宮崎美子)…河上の妻。河上満太郎(鶴見辰吾)…日本の大手電機メーカーMETの取締役。King Gnu 新曲『泡』が主題歌に『太陽は動かない』の主題歌は人気バンドKing Gnuの新曲『泡』(あぶく)に決定。音源はKing Gnuの前身であるSrv.Vinciの時代に誕生していたが、それをベースにして完成。常に死と隣り合わせの鷹野と田岡の心情に寄り添うものとなっている。WOWOWでのドラマ版放送もまた映画と同時進行で、連続ドラマ版「連続ドラマW 太陽は動かない-THE ECLIPSE-」もWOWOWで2020年5月24日(日)夜22:00より放送スタート。原作者の吉田修一が監修を務める、オリジナルストーリーとなっている。【詳細】映画『太陽は動かない』公開日:2021年3月5日(金)※2020年5月15日(金)公開予定だったが延期となった。ドラマ版は5月24日(日)より予定通りスタート。監督:羽住英一郎脚本:林民夫出演:藤原竜也、竹内涼真、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、市原隼人、南沙良、日向亘、加藤清史郎、横田栄司、翁華栄、八木アリサ、勝野洋、宮崎美子、鶴見辰吾、佐藤浩市 ほか原作:吉田修一・著『太陽は動かない』『森は知っている』(幻冬舎文庫)
2019年05月24日まさかこの作品の続編が読めるとは。吉田修一さんによる『続 横道世之介』は、青春小説『横道世之介』の数年後の話。1987年を舞台にした前作では、大学進学で上京した世之介の一年が描かれ、今作では卒業から数年後、1994年の1年間が綴られる。「自分でも続編を書くつもりはありませんでした。でも、文芸誌『小説BOC』が創刊される際に連載を依頼され、考えていたら世之介が浮かんできてしまったんですよね(笑)」24歳の世之介は、バイトとパチンコに通う日々を送っている。「人生がうまくいかなかった時期を書こうと思いました。自分も、全然やることがなく、アルバイトをしながらあてもなく小説を書いていたのがこの頃だったんです」確か著者も20代前半、世之介のように湾岸の倉庫街で働いていたはず。「そうです。基本的にこの小説は自分の体験や、実際に見聞きしたエピソードを集めて書いているんです」当時の風俗をよく憶えているなと感心もするが、「当時つけていた日記を見ながら書き進めました。その日観た映画とか、会った人について1~2行書いただけですけれど。年表には残らないようなあの時代の雰囲気が書けたかなと思いますね」世之介は2人の女性と出会う。鮨職人を目指す丸刈りの浜本と、シングルマザーの日吉桜子だ。「浜ちゃんは、10代の頃に女友達が突然角刈りにした記憶が強烈に残っていたので(笑)。桜子は、以前書いた短編集『女たちは二度遊ぶ』に収録された〈殺したい女〉に出てくる、小岩の整備工場の娘をもう一回書きたかったんです。単純にキャラクターとして好きだったので」お気楽で勝手なのに、なぜか周囲に人が集まってくる世之介。「彼は友達が辛い時期に、助けに行こうと思いながらも行かない人。友達にしてみたら、実際に来られても迷惑ですよね。でも辛い時に会いに行くといつでも会えるのが世之介なんです。結果的に、そういう人のほうが、スランプの時に必要じゃないかと思う」前作同様、世之介と関わった人たちのその後が書かれる本作。今回描かれる「その後」は、少し未来、東京オリンピックの年だ。「マラソン競技中のコースの何地点かで同時多発的に何かが起きる小説の構想もあったので、それがこの話と重なっていきました」彼らの中でも「この人が書けたことに達成感をおぼえた」というのが、桜子の兄の隼人だという。中学生の時にケンカ相手が意識障害で寝たきりとなり、ずっと彼の家にお見舞いに通い続けていた青年だ。「隼人のように、その場所から動けなくなっている人に興味があるんですよね。世之介と関わった時間を経て、隼人が自分から動いたことを書けて本当によかったです」世之介がその後どうなったのかは、前作の読者なら知っているはず。知らない人は…とにかく読んで!よしだ・しゅういち1968年、長崎県生まれ。’97年、「最後の息子」で文學界新人賞を受賞しデビュー。’02年に『パレード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞を受賞。ほか受賞多数。『続 横道世之介』アルバイト生活を送る世之介、24歳。現在、人生のスランプ期。それでものんきな彼の周囲はいつも明るくて…。映画化もされた青春小説、奇跡的な続編。中央公論新社1600円※『anan』2019年3月20日号より。写真・土佐麻理子(吉田さん)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年03月14日2011年よりブログ『プロ野球死亡遊戯』を開始し、累計7,000万PVを記録し話題となったプロ野球死亡遊戯こと、中溝康隆氏。そんな中溝氏が小説デビュー作となる『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)が12月14日に発売された。なぜ小説を書くにいたったのかの経緯や小説特有の難しさ、そして巨人ファンの中溝氏に今年の巨人の振り返りと来季の巨人の展望を聞いた。○■「原稿を書くのにもっとも時間がかかりました」――本書は漫画雑誌『ヤングアニマル』(白泉社)で連載していた小説「絶体絶命」が書籍化したものです。中溝さんは実際の野球選手などを題材にした"ノンフィクション"のイメージが強いですが、小説を書くに至った経緯をお聞かせください。編集の方に『ヤングアニマル』の電子版で野球小説を書きませんかと提案されたのが最初です。個人的に村上龍さんの『走れ!タカハシ』などがすごく好きで、まだ当時現役だった巨人の鈴木尚広をモチーフに『走れ!タカヒロ』を書きました。そうしたら、意外と反応が良くて、結果的に連載化に至りました。――小説を書かれるのは初めてだったのですか。プロとして書くのは初めてで、目の前で起きた野球について書くことと、ストーリーを膨らませて書くことはやはり違いました。今までの中でも、原稿を書くのにもっとも時間がかかりましたね。○■小説は「これまで書いた原稿の裏側が詰まっている」――本作は選手はもちろん、ビールの売り子さんや新聞記者が主人公として登場するオムニバス形式です。実際にそういった人物について書くため、なにか取材などはされたのですか。はい、しましたね。その都度、売り子さんや新聞記者に話を聞きに行ったりしました。そして、別の取材で野球選手にインタビューをしに行くと、記事には書けない話が結構面白いんですよ。それを小説では活かしましたね。自分がこれまで書いた原稿の裏側が詰まっています。なので読者の方は、この話は本当なのかな、嘘なのかなと思いながら読んでもらっても面白いと思います。――取材を通して、印象に残っていることはなんですか。野球選手にイップスの話を聞いたことです。イップスになる前は「なんでイップスになるんだろう。自分はならないだろう」と思っていたそうですけど、自分がいざなったら、本当にまったくボールを投げられなくなってしまったと。素人からすると、プロ野球選手のイップスって他人事じゃないですか。でも実際には、意外となってしまう人も多くて、それだけのプレッシャーの中でプレーしている野球選手は改めてすごいなと思いました。野球選手は年俸なども含め、そういった表に出せない話がいっぱいあるんだろうなとも感じましたね。――確かにそういった裏側をそのまま描いてしまうと、シリアスすぎてしまいますが、フィクションであれば、そういったことも題材として書けますよね。ファンは20代で辞めてしまった野球選手に「まだやれる」とか「もったいない」と思うじゃないですか。でも選手の中には「もういいっすよ」「もう充分」と思う人もいるらしいです。どちらかというと、そちら側に興味がありますね。今まであまり描かれてこなかったですし、選手としても今まで応援されてきたので、表立っては「もう充分です」とは言えないじゃないですか。そういった面を書きたいなという思いはありました。――確かに、野球小説というと「スター選手が活躍してカッコイイ!」というヒーローストーリーが多いですが、本作はそうではなく、「華やかな裏には…」という部分が描かれていますね。個人的に、欠点のないヒーローには惹かれないんです。野球場でヒーローであっても、1人の男だと思うし、それこそ"おねえちゃん"のことで悩んだりとかもあると思うので。例えば、本の中では年俸3億円の1流選手であるけれども、若手の突き上げという悩みがある姿などが登場します。普段あまり語られない、"人間"の部分を書きたかったんです。俺ら会社員も、野球選手も変わらない部分もあるよと思っています。――そういった点で、中溝さんが特に共感できる選手は誰ですか。引退しましたが、村田(修一)さんです。年が近いというのもありますし、晩年は報われなかったじゃないですか。最終的には理不尽な自由契約で、巨人から独立リーグに行くという。僕らの仕事も、良いときとダメなときがあるわけで、それを重ねられる選手に惹かれますね。――中溝さんは、村田さんが独立リーグでプレーされてるとき、インタビューもしてましたね。栃木まで行って取材しました。想像していた以上に厳しい環境で野球をしてるんだなと感じました。スポーツニュースを見ていると、「独立リーグから挑戦」という美しいストーリーで描かれるんですが、実際に友達もいない土地に家族と離れて行くことは、言うほど簡単じゃねえなと。でも、村田さんはそれをやっているんだなと感じることができました。○■2018年の巨人の振り返りと2019年の巨人の展望――そうなんですね。そんな村田さんを自由契約にして迎えた、2018年の巨人の戦いぶりについてはいかがでしたか。最終盤は楽しかったです。クライマックスシリーズのファーストステージは実際に見に行ってましたが、菅野(智之)のノーヒットノーランの瞬間がピークでしたよね。ただ、4年目の高橋由伸監督を楽しみにしていたので、辞任すると聞いたときは「俺の3年間を帰してくれ」と(笑)。自分は由伸監督をもう1年見たい派で、ようやく岡本(和真)が台頭したりと結果が出始めたときに辞めてしまったので、未来の第2次由伸政権に期待したいです。正直、子どもの頃から原(辰徳)ファンだった俺も「3度目(の監督就任)か…」と思ったのですが、オフの動きを見ていると、久々の「悪役の巨人」という感覚は嫌いじゃないですね。選手を獲りまくる、あの巨人が戻ってきたなと。巨人がこうあった方が面白いのかなと思いますし、原監督のコメントはツッコミどころがあって、マスコミもファンも盛り上がる。それも原さんの強みですよね。2019年はすごく楽しみです。――では、由伸監督が去られて残念ではあるものの、原さんには期待しているのですね。そうですね。そして由伸さんにしても、どんな表情で野球を見るのか、どんな解説をするのかも楽しみです。――それでは最後に、本書を通して読者にどんなことを感じてほしいか、お聞かせてください。本を読んで「これ自分の話だな」と思ってもらえるとうれしいです。会社員も野球選手も、結局は運やタイミングが重要で、似ている部分があるなと。野球選手もレギュラー選手がケガをしたとか、チーム事情に左右されますからね。「野球も人生もいろいろあるけど、俺ら終わっちゃないよ。まだこれからだよ」と思ってほしいです。
2019年01月03日『コンビニ人間』で芥川賞を受賞して話題となった村田沙耶香さんが待望の新作を上梓。『地球星人』は、家族から疎まれ、自分は宇宙人から使命を課せられた魔法少女だと信じる少女・奈月(なつき)が主人公。毎夏、祖父の長野の家に親戚が集まる際に会ういとこの由宇(ゆう)と「生き延びよう」と約束をするが…。「幼い頃、毎年長野の祖父母の家に親戚が集まっていたんです。いとこたちと庭のテントで寝たり、川で遊んだり…。あの家について書きたいなというのが始まりでした」由宇も家庭では不遇な目にあっており、自分を宇宙人だと信じている。「子どもの頃の恋って、孤独であればあるほどのめりこむ気がしていて。妄想の部分がすごく膨らむんだと思います」ある事件により二人は引き離され、成長した奈月は社会に馴染めないまま。だが、周囲を安心させるために、ネットで自分と似た男性を見つけ偽装結婚を企む。「ちゃんと就職して、ちゃんと結婚して、ちゃんと家庭を作れという、“ちゃんと”の圧力ってしんどい。そこをうまくできている人になりたいと思っていましたが、そういう人たちのほうが変わっているようにも思えて。その不思議さを宇宙人の目で見たらどうなんだろう、という気持ちがありました」地球の他の人々、つまり“地球星人”とうまく折り合えない彼らの行動は暴走していく。その行動はぎょっとする域にまで達するのだが、「社会の価値観に染まれないことを突き詰めたらどうなるか自分でも知りたくて書いていますね。突き破った先に居場所みたいなものがあるような気が、ずっとしているんです」他にも書きたかったテーマがある。幼い子の性的被害だ。「たとえば、私も変な人に抱きつかれたことがあるんです。でも“悪気はなかったんだ”と自分に言い聞かせることで自分の心を守り、声をあげようとしなかった。そういう時に声をあげることで、何かが変わったかもしれないのに。今もひどいニュースがたくさんありますが、世界を悪いまま次の世代に手渡さないように、自分も書かなければ、という気持ちがありました」こちらもまた、突き抜けた展開が待っているのである。むらた・さやか作家。2003年「授乳」で群像新人文学賞優秀賞を受賞しデビュー。’13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、’16年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞。『地球星人』家族の中で疎外感を抱く奈月は、自分が魔法少女だと信じている。毎年祖父の家で会ういとこの由宇にだけは心を許してきたのだが…。新潮社1600円※『anan』2018年10月17日号より。写真・土佐麻理子(村田さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年10月10日映画『楽園』が2019年10月18日(金)に全国ロードショー。ベストセラー作家・吉田修一の「犯罪小説集」を主演・綾野剛、杉咲花、佐藤浩市ほか出演で映画化する。監督は『64-ロクヨン-』の瀬々敬久。ベストセラー作家・吉田修一の「犯罪小説集」が原作原作は、『悪人』『怒り』と映画化が続く吉田修一の「犯罪小説集」。吉田自身「こんなにも物語をコントロールできず、彼らの感情に呑み込まれそうになったのは初めて。」と表現した5つの短編集の中から「青田Y字路」と「万屋善次郎」の2作品を組み合わせ脚色。映画『楽園』では、原作とはひと味違ったオリジナルのストーリーが展開される。Y字路で起こった少女失踪事件物語の舞台は、青田が広がるとある地方都市。屋台や骨董市が溢れ、祭客でごった返したある夏の日、Y字路で少女疾走事件が起こった。必至の捜索活動が行われるもの、少女の行方は知れぬまま。空しくも事件は未解決のままとなり、疾走した少女・愛華と直前まで一緒だった、親友・湯川紡(つむぎ)は、この事件を機に心に傷を抱え、罪悪感を感じながら成長していく。そして12年後のある夜、後方から迫る自動車に動揺して転倒した紡。そんな彼女を助けたのが、青年・中村豪士(たけし)だった。幼き頃、母に連れられ日本へとやって来た豪士もまた、孤独な日々を過ごしていた。紡と豪士はそれぞれ互いの不遇に共感し合い、心を開いていく。しかし、そんな矢先、再び悲劇が。あのY字路で一人の少女の消息が途絶えた。容疑者として名が上がったのは豪士。住民の懸念が一気に豪士へと浴びせられ、追い詰められた彼は街へと逃れるが…。綾野剛×杉咲花主演・豪士を演じるのは、吉田修一原作『横道世之介』『怒り』に続き三作品目の出演となる俳優・綾野剛。そして、Y字路での少女失踪事件をきっかけに心に深い傷を抱えながらもがき生きる少女・湯川紡役は、杉咲花が担当する。杉咲花が演じる紡は、原作「青田Y字路」の登場キャラクターとは一味違った形で描かれる。杉咲花から綾野剛へ、リレーインタビュー映画『楽園』を公開前に、「ずっと共演したいと思っていた」と話す綾野剛、杉咲花にインタビューを実施。後輩俳優から先輩俳優へバトンを繋ぐリレーインタビューを通して、互いの印象や映画『楽園』にまつわるエピソードにフォーカスを当てる。杉咲花「こんな形で現場に行ったのは初めてでした」Q.杉咲さんが演じた紡(つむぎ)は、原作に登場するキャラクターではありますが、映画『楽園』では全く異なる形で描かれていますね。杉咲: はい。台本をいただいた際に、原作を知って、半分くらい読み進めたのですが、台本から感じた紡の印象と、原作の紡をうまくリンクさせることができなくて。台本から受ける印象を大事にしたいなと思い、作品に入る前、敢えて原作を読まずに臨むことにしました。Q.台本を読んだ時に受けた紡のイメージとは?杉咲:正直今回は、紡がわかりそうでわからなかったです。Y字路の写真をいただいてその写真を見るようにしたり、失踪事件でいなくなった愛華ちゃんのことを考えたりとかはもちろんしましたが、理解できそうで紡がすごく遠いところにいる感じがしました。今まで演じる役の気持ちがわからないまま、現場に入ってはいけないと思っていましたし、それは失礼ではないかという考えが自分の中にありました。抽象的なシーンや台詞も多いので、考えれば考えるほど、紡の気持ちや役作りの方法がわからなくなっていきました。そんな時、ふと紡の台詞「わからなくたっていい」という言葉を思い出しました。わからないまま一回やってみようと、こんな形で現場に行ったのは初めてでした。Q.現場に行って気持ちの変化はありましたか?杉咲:こういう考え方、お芝居の入り方もあるんだなと思いました。台本を読んだ時には不安だったシーンも、いざ現場に入ってみると、自分では想像がつかなかった気持ちになって演じることができましたし、不思議な体験をしました。Q.新しいお芝居の仕方を見つけられたのですね。杉咲:はい、今回は現場の過ごし方も新しい方法を試してみました。これまでは、カメラが回っていないときも、役としての感情をずっと持ち続けている方が楽だと思っていたんです。でも、そうじゃないやり方を試してみよう、カメラが回っていないときは、普通でいようと。そうしたら、綾野さんはカメラが回っていないとき、まさに理想の形で過ごしていらっしゃっていて。ものすごく役に入り込まれる方かなと勝手に思っていたので、全然違ってびっくりしました。Q.ずっと願っていた綾野さんとの共演はいかがでしたか。杉咲:こんなに早いタイミングで、一緒にお仕事させていただくことができて、とても嬉しかったです。私自身色々と作品を見させていただき、憧れの人でもありました。ただ、今回綾野さんが演じた豪士は難しい役柄でしたし、どんな感じで現場にいられるかわからないので、話とかはきっとできないだろうなと思いながら、ドキドキして現場入りしました。でも、クランクインの日から一緒に話そうよと声をかけてくださり、色々と話をすることができました。私は、役として気持ちを保ち続けないことでしんどい場面もあったのですが、自然とそれをやられている綾野さんを見て、改めてすごいなと思いましたし、勉強になりました。綾野剛へバトンタッチQ.杉咲さんの印象を教えてください。綾野:初めて会ったのは、日本テレビ系列のテレビドラマ「妖怪人間ベム」。ワンシーンだけですが共演しました。その時から持っているエンジンはすごかったですよ。その後、授賞式などで再会しました。改めてご挨拶して、「何か一緒にやりたいね」って話したら、「はい、やりたいです」って。「共演するならどんな役がいい?」って尋ねたら、「誘拐される話がいいです」って(笑)。「僕が杉咲さんを誘拐するの?」って聞いたら「はい」って答えたんですよ。今でも忘れられないですね。そのときから、着眼点が違う、自分と人の能力を活かそうという考えがズバ抜けて長けていました。元から杉咲さんに対して、敬意を持っていましたが、実際に現場に入ってみると、すごく繊細に時に大胆に、自分の紡という役をちゃんと見つめている杉咲さんの姿を見て、改めて魅力的な女優さんだと確信しました。Q.杉咲さんは綾野さんの現場での姿に感銘を受けたようですが。綾野:杉咲さんは潜在的にちゃんと自分のスイッチを持っている人ですよ。コントロールするっていうあざとさではなくて、その場の空気をちゃんと大切にできる人。ずっと役に入り続けることもできますが、何でもないときは話をしたりコミュニケーションもとれる。今回、僕と杉咲さんは、ちゃんと心を通わせないといけなかった。杉咲花という人と、時に鏡のように照らし合わせて、ちゃんと向き合って作品を作っていけたと感じています。Q.ところで、原作・吉田修一さんの「犯罪小説集」は読まれましたか。綾野:小説が原作の場合、元々読んでしまっている場合は仕方ないのですが、基本的には撮影前には読まないです。台本は設計図のような形で、おおまかなことしか書かれていないのですが、小説は、おおまかだとストーリーが伝わらないので、事細かに書いている。どんな服を着ているか、どんな表情をしているかはわからないのに、感情がたくさん描かれている。なので、良くも悪くも引っ張られてしまうんです。ある種の演出なんですよ、小説って。原作を読んでも引っ張られない人もいるとは思うのですが、僕は単純というか、引っ張られちゃうこともあるんです。豪士(たけし)がどう生きなきゃいけないかっていうのは、ある意味その場の判断でいい。何の恥じらいもなく、感覚で読み取ったニュアンスとディテール。特にこの作品にはこれが重要だと思ったので、なるべく書かれてあることに自分がコントロールされないためにも触れない方がいいなと思っていました。Q.役作りにあたって原作は必要ないということでしょうか。綾野:場合によりますね。漫画原作だとキャラクターが明確なので、原作をしっかりと読んで、そのキャラクターの癖みたいなものだったり、ある程度ルールが決まっている中で、キャラクターに寄せていきながら、心情みたいなものを人物化していくことがとても大切だと思うんです。けれど小説原作の場合、先にも話したように僕は登場人物の感情に惑わされてしまうので。僕が原作を手に取るときは“役柄の取扱説明書”としてですかね。Q.取扱説明書?綾野:今回の場合だと、杉咲さんとのシーンも経て、撮影中盤くらい「もう大丈夫だな」と思ったときに、実は原作を手にしたんです。それは僕が豪士という役柄を生きていて、主観を貫こうとしたときに、これは正しいのかっていう、合っているか合っていないかの確認できる取扱説明書、いわば“精神安定剤”として捉えているからです。Q.実際に新しい発見はありましたか?綾野:読んでみて驚かされたのは、(豪士のシーンで表現されていた)「内股」っていうワード。僕は、脚本の段階で豪士が内省の強い人物なのではかと思い自然と内股で演じていたので、自然と吉田さんが見たい豪士の姿を感じていたんだろうなって、少し安心しました。杉咲さんが演じた紡に関しては、全然違った描かれ方をしていたので、原作の中にある紡のモチーフを自分が捉えてしまっていたら、臆病になってしまったと思います。原作に触れなかったからこそ、杉咲さんが目指す紡を、真正面から受け止められた。Q.小説原作の映画の面白さとは?綾野:いま映画作品の多くは、見る方々にダイレクトに伝わる表現方法が選ばれがち。それでいい作品もたくさんありますが、この作品のように、ダイレクトに語らずとも匂いで醸し出てくる作品も重要だと思います。Q.役作りにおいて大切にしていることはありますか?綾野:土地。土地(=撮影現場)を共演者と捉えていて、最終共演者である土地がどういった存在をしているのか、それをきちんと受け止めるためにも、なるべく真っ新な状態で撮影現場に入っていきたいという感覚を持っています。本作では、土地が持っている魔力や不安定さ、歪みが豪士(たけし)のあの状況を引き起こしている。彼がもっと違う環境で育っていれば、違った未来があった。今の豪士を生み出した土地は、いかほど歪んでいるのか。どれほど閉塞感があるのか。行ってみたら強烈で、どこにも自分の所在がない、何もないっていう感覚に襲われて。自発的に役作りを行ったというよりは、土地や環境から吸収し土地から吸い上げて役作りを行ったっていう感覚に等しいですね。インタービューの最後、綾野剛、杉咲花に同じ質問を聞いた。不遇な運命をたどる青年と少女を描きながらも作品のタイトルは「楽園」。原作タイトルとも異なる、映画タイトル「楽園」をどう思いますか?杉咲:なぜ「楽園」かはわからなかったのですが、瀬々敬久監督の「人はみんな生きていれば、楽園を探している気がする。」というコメントを読んで、なるほどなと思いました。たしかに紡もきっと楽園を探していたと思いますし、(登場人物)みんな楽園がないからどうしていいかわからなくて。でも、紡はきっと自分の力で楽園を作っていくんだと思います。綾野:豪士にとっての楽園は明日が来ること。僕達は生活をしていて、明日が来ることって当たり前になっていますが、彼は「今日も生かされた」と朝日を見て感じていた。愛華ちゃんには明日がこない。あの日から環境が全く変わっていない、そんな中でも豪士には残酷なほど明日が向かって来る。それでも、自分が明日を迎えられたという証明は、明日が来てくれることでしか生まれない。彼にとっての楽園は、朝日が昇るということだったのではないか?と思うんです。それくらい豪士はギリギリだったと思いますよ。映画『楽園』を観て、豪士のような人たちが世の中にはたくさんいることに気付いてもらいたい。気付いていても何もできないことが多く、もっと言ったら、気付かれることないまま終わってしまことがたくさんある。豪士を含めて登場人物に共通しているのは、誰も抱きしめられていないこと、誰にも見つめられていないこと。やっぱり本質的に大事なのは、人と人が見つめ合う、認知し合うということだと思います。人は人に見つめられ初めて人になりますから。こういう人達を見かけたら、その人たちの存在に気付いて欲しい。あまりに近くにいるのであれば、抱きしめて欲しいし寄り添ってあげてほしいと思います。未来はそこからです。村八分になった孤独な男が登場し、衝撃のラストへまた、映画『楽園』では、綾野剛演じる豪士、杉咲花演じる紡に加えて、Y字路につづく集落で暮らす養蜂家・田中善次郎にもフォーカス。亡き妻を想いながら、愛犬レオと穏やかな日々を送っていた善次郎だが、ある行き違いから周辺住民といさかいとなり村八分に。村人から拒絶され、孤立を深めた善次郎は、次第に正気を失い、想像もしなかった事件へと発展する。そして、Y字路で起こった2つの事件、容疑者となった青年、傷ついた少女、追い込まれる男、3人の運命が繋がるとき、物語は衝撃のラストへと導かれる。「楽園」を求めるものたちに突き付けられる、衝撃の事実とは…。田中善次郎を演じるのは、瀬々敬久監督作品『64-ロクヨン-』で圧巻の演技力を見せつけた佐藤浩市だ。映画『楽園』そのほか登場人物藤木五郎:柄本明幼女誘拐事件の被害少女の祖父。野上広呂(ひろ):村上虹郎紡に想いを寄せる幼馴染。久子:片岡礼子善次郎の身を案じる女性。そのほか、豪士の母・中村洋子役に黒沢あすか、五郎の妻・藤木朝子役に根岸季衣、善次郎の亡き妻・田中紀子役に石橋静河と、豪華かつ個性溢れるキャスト陣が集結する。原作者・吉田修一吉田修一は、1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞し作家デビューを果たし、その後も「パーク・ライフ」で第127回芥川賞、「悪人」で第61回毎日出版文化賞と第34回大佛次郎賞を受賞するなど多数の受賞歴を持つ、ベストセラー作家だ。彼の作品は今までも多数映像化されており、2007年には妻夫木聡と深津絵里主演で『悪人』、2014年には渡辺謙主演で『怒り』が映画化。いずれも大ヒットを記録した。上白石萌音が主題歌を担当、RADWIMPSの野田洋次郎が作詞・作曲主題歌「一縷(いちる)」を歌い上げるのは、上白石萌音。また作詞・作曲は、RADWIMPSの野田洋次郎が手掛けた。映画『君の名は。』でRADWIMPSによる主題歌「なんでもないや」を上白石がカバーして以来親交のある2人だが、野田が上白石の為に楽曲を提供するのは初となる出来事。そのタイトル通り、登場人物たちが探し求める“ひとすじの光”をイメージした「一縷」は、美しい旋律で作品の世界観を盛り上げていく。『楽園』あらすじある地方都市で起きた少女失踪事件。家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士と、失踪した少女の親友だった紡。不幸な生い立ち、過去に受けた心の傷、それぞれの不遇に共感しあうふたり。だが、事件から12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して事態は急変する。一方、そ の場所にほど近い集落で暮らす善次郎は、亡き妻の忘れ形見である愛犬と穏やかな日々を過ごしていた。だが、ある行き違いから周辺住民といさかいとなり、孤独を深める 次第に正気は失われ、誰もが想像つかなかった事件に発展する。2つの事件、3つの運命、粗衣の陰に隠される真実とはー。“楽園”を求め、戻ることができない道を進んだもの の運命とはー。【作品情報】映画『楽園』公開日:2019年10月18日(金)原作:吉田修一「犯罪小説集」(KADOKAWA刊)監督・脚本:瀬々敬久出演:綾野剛、杉咲花、佐藤浩市、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか、石橋静河、根岸季衣、柄本明主題歌:上白石萌音「一縷」(ユニバーサル J) /作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎配給:KADOKAWA
2018年08月24日「悪人」「怒り」など、多数の著書が映像化されるベストセラー作家・吉田修一の「犯罪小説集」が、『64-ロクヨン-』『友罪』の瀬々敬久監督により『楽園』のタイトルで映画化されることが決定。綾野剛、杉咲花、佐藤浩市という豪華俳優陣が出演する。■あらすじ青田に囲まれたY字路。ある夏の日、幼女誘拐事件が起こった。未解決のまま、住民の胸には罪悪感だけがしこりのように残り、事件直前まで被害者と一緒にいた仲良しの紡は心に深い傷を負う。12年後、高校を卒業した紡(杉咲花)は、街のホームセンターで働いていた。祭りの前日、準備で集まった公民館で紡は豪士(綾野剛)と出会い、孤独な豪士に対して感情が芽生える。そして祭りの日、12年前と同じY字路で再び、2つの悲劇が起こる。少女が行方不明となり、町営住宅で暮らす豪士が容疑者として疑われた。追い詰められ、街へと逃れるが、そこで豪士は驚愕の行動に出る。そしてY字路に続く集落、愛犬と暮らす養蜂家の善次郎(佐藤浩市)は、村おこしの事業を進めていたが、話のこじれから非難を受け、村八分状態に。善次郎は狂気に陥り、恐るべき事件へと発展する――。被害者の親友だった少女、容疑者の青年、そして限界集落で暮らす男。なぜ、人は罪を犯すのか?なぜ自分だけ生き残ってしまったのか?それぞれの人生が交錯するとき、物語は衝撃のラストへと導かれることに。■綾野剛×杉咲花×佐藤浩市、犯罪者と彼らを取り巻く人々の業と哀しみとは――原作者の吉田氏自身、「こんなにも物語をコントロールできず、彼らの感情に呑み込まれそうになったのは初めて」と明かす、新たな最高傑作といわれる短篇集「犯罪小説集」を映画化。母親と共にリサイクル品販売をする主人公・中村豪士役には、演じる役柄の幅広さとその演技力が高く評価される人気実力派俳優・綾野剛。『怒り』でも好演を見せた綾野さんが、本作では容疑者の孤独な青年という難しい役どころに挑戦する。12年前の未解決幼女誘拐事件の被害者と事件直前まで一緒にいた湯川紡(つむぎ)には、TV・映画で幅広く活躍し、急成長を遂げている杉咲花。心に負った深い傷を抱えながら、もがき生きる少女を熱演。そして、父親の介護のため村へと戻り、愛犬レオと暮らす養蜂家・善次郎には、その存在感で作品世界を支える日本を代表する俳優・佐藤浩市。狂気へと転落していく男の心情を安定の演技力で表現する。■キャスト&原作者&監督コメント綾野剛「愛おしく抱きしめながら過ごしたい」ただただ、そこに存在すること。映るのではなく、居る。それだけです。杉咲さん、浩市さん、お2人との大切な時間を、愛おしく抱きしめながら過ごしたいと思います。杉咲花「映画の中の一筋の光になりますように」綾野さんとは、これまで何度か映画の授賞式などでお会いする機会があり、その度に「いつか一緒にやろうね」と声を掛けてくださっていたので、今回ついにご一緒させていただけることをとても嬉しく思います。そして4年前、映画の世界にほぼ初めて足を踏み入れたあの頃の私に、格好良くて優しいお人柄で、その背中で、色々なことを教えてくださった尊敬する佐藤さんとまたご一緒させていただけること、心から幸せに思います。紡は難しい役ですが、どうか彼女がこの映画の中の一筋の光になりますように。初めての瀬々組、心して臨みたいと思います!佐藤浩市「人間の脆さ、怖さに目を向けていきたい」人種、宗教、個人で心の折れ方バランスの崩れ方は多様です、人の数だけある。他人がそれを解りたいと思うのは日常の生活に余計な不安を取り除きたい、安心に暮らしていきたいという当然の思いです。しかし最後のスイッチが何処に在るのか?それは壊れていくその人自身にも分からない。作者の吉田さんも監督の瀬々さんも、そして僕自身も、最後に背中を押されるその瞬間の人間の脆さ、怖さに目を向けていきたい。『楽園』はそれを体現する作品です。原作:吉田修一「どのような『人間』のドラマを見せてくれるのか」私が描いた「犯罪」と、瀬々監督が思い描く「楽園」が、スクリーンの中でどのように響き合い、どのような「人間」のドラマを見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。原作となる2つの短編から飛躍した大きな物語が、そこに生まれることを信じております。監督・脚本:瀬々敬久「今までにない犯罪と人生の映画になる」人はどこかに楽園を探して生きているような気がする。一方で、日常は犯罪事件で覆われ、人々はそれを見聞きし、生活している。罪を犯す人も、それをワイドショーで追う自分らも、実はどこかで楽園を探しているのではないか。吉田さんの「犯罪小説集」を初めて読んだ時、そんな印象を与えられた。長年のファンである吉田さんの小説は、今回も犯罪を通して、生きる意味を問うていたのだ。何とか映画にしたいと思った。短編集を1本の長編映画の脚本にするには様々な格闘があったが、何とか形に出来たと思う。さらに俳優たちの参加。綾野剛さんの持つ繊細さと危うさ、杉咲花さんの凛とした純粋さ、映画に生々しい力を与えてくれると思う。そして今回は佐藤浩市さんに静謐な狂気を。そんな震える魂を共に描き、今までにない犯罪と人生の映画になることを目指し、現場に臨もうと思っています。罪を犯した人間と、取り巻く人々の業と哀しみを真っ向から描く本作。犯罪をめぐる“喪失”と“再生”を描く慟哭のヒューマン・サスペンスに、期待していて。『楽園』は2019年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年08月21日映像化不可能と言われた吉田修一のスパイアクションエンターテイメント小説「太陽は動かない」が、藤原竜也主演で映画&連続ドラマ化されることが決定。『海猿』『MOZU』シリーズの羽住英一郎が監督を務めることもわかった。■ストーリー世界を股にかけながら国政や企業の裏で暗躍し、そこで得た重要機密事項や情報から対価を得ることを生業としている産業スパイ組織、AN通信。諜報員・鷹野一彦(藤原さん)と相棒の田岡亮一は、世界各国が奪い合う革新的な太陽光エネルギー開発技術に関する情報争奪戦の中にいた。そこには日本政財界を揺るがす巨大な陰謀が隠されており、鷹野らは商売敵の韓国人スパイ・デビッドキムや謎の女・AYAKO、そして各国の権力者らと対峙していく。一方で垣間見える鷹野らの壮絶な過去。そして、彼らの胸に埋め込まれているチップの謎とは…。■原作に加え、オリジナルストーリーも描かれる原作は、「怒り」「悪人」などの著者・吉田氏が描く、通称“鷹野一彦”シリーズ三部作の「太陽は動かない」「森は知っている」「ウォーターゲーム」。映画では「太陽は動かない」「森は知っている」の2編、そして連続ドラマでは原作者監修のもとオリジナルストーリーを構築する。羽住監督と藤原さんはこれが初タッグ。映画とドラマを同時製作し、完全映像化に挑むという。海外ロケも予定しており、けた外れのスケールで描かれることになりそうだ。■主演の藤原竜也と羽住英一郎監督のコメントが到着!諜報員・鷹野一彦役を務める藤原さんは、現在の心境について「今から身の引き締まる思い」と明かし、「激しいアクションシーンを要する“スパイ”の役どころになりますので、来年の撮影に向け体の状態を万全に整えて、心して臨みたいと思います。映画・ドラマ共に、皆様の心を揺さぶる作品になるように、頑張ります!」と意気込み。また、「前回出演させていただいた『パレード』は、比較的ゆっくりと静かに物語が進行していく作品でしたが、今作は正反対。終始ハードなテイストですし、物語の舞台は海外にまで広がっていくので…また新たな吉田ワールドを体感できることが、今から非常に楽しみです」とコメントしている。メガホンを取る羽住監督は、原作を読んで「頁を捲る手を休ませないノンストップアクションエンターテイメントにただただ圧倒され、鷹野一彦という男の過去を知れば知るほど、その姿をスクリーンで観てみたい衝動を抑えきれなくなっていく自分がそこにいました」と語り、 今回初タッグとなる藤原さんについては、「大胆さと繊細さを兼ね備え、男から見ても色気を感じる藤原竜也さんが創り出す鷹野一彦という男に会うのが今から楽しみです 」と期待のコメントを寄せている。「太陽は動かない」映画は2020年公開、ドラマはWOWOWにて放送。(cinemacafe.net)
2018年07月31日NHK Eテレの番組『プチプチ・アニメ』で現在放送中の人形アニメ『森のレシオ』や、Mr.Childrenのミュージック・ビデオ『HERO』。こちらのパペット・アニメ―ションを一度目にしたことがある方は多いのではないだろうか。この2つの作品を手掛けたのは映像作家、村田朋泰さん。今回、彼の作品を集めた特集上映が開催されます。CGを使わず、アナログにこだわった温かみのある彼のパペット・アニメは世界から高い評価を受け、大人から子どもまでを魅了します。その作品に込めた想いを本人にききしました。■説明をしつくさないことで、親子の対話が生まれる村田さんの作品は、たとえば大人だったら幼少期の記憶の扉をノックされるようで、ふと子ども時代の体験やあのとき抱いた感情がよみがえってきます。一方、子どもだったら、別世界に連れて行ってくれる、想像の世界を広げていくおもしろさがあります。その要因のひとつが、セリフを一切つけないことではないでしょうか。――なぜ、セリフを一切つけないスタイルをとろうと思ったのでしょうか?子どものときから映画が好きで、その影響が大きいかもしれません。僕が子どものころ、1980~1990年代の映画は、いまのように懇切丁寧な説明がないというか。セリフにしても極力省いて、基本的には“画”で見せる作品がけっこうありました。“このことはこういうことなのかな”とか、“なんかわからないけど、すごく印象に残る”といったような解釈が自由で感覚に訴えかけてくる作品が僕自身好きで。そういうある意味、受け手に委ねるというか、受け手の感受性を信じている作品に心ひかれたんです。説明できたり、へんに理解できた気になったりする作品よりも、正直よくわからない、でもなんか心に訴えかけてくるものを作りたいと思いました。だから創作活動をはじめたとき、言葉に頼るのではなく“画”でみせていくことに力点を置くようになっていました。――言葉は大切ですし重要。でも、映像においては、束縛のひとつとなってしまうのかもしれません。村田さんの作品は、そこから解き放たれているのかもしれませんね。もちろん僕自身がこのシーンには「こういう意味を込めているんだ」とか、「こういった気持ちが伝わればいいな」とか考えているところはあります。でも、それがすべてじゃない。解釈って人それぞれでいいし、正解なんてない。余白を与えることで想像をめぐらすことができる。セリフを使わないのは、その余白作りのひとつでもあります。――いまのドラマや映画は、ともすると状況から感情まで言葉で説明していたりする。村田さんの作品は、もっと子どもの感性や解釈を信じて大人が大切にしてほしいというメッセージを含んでいるような気さえしてきます。説明し尽くしてしまうと、お互いわかっているわけですから、話さなくても良くなってしまって、対話が生まれない気がするんです。それはそれで同じ思いを共有したことになるのかもしれないですけれど、僕の作品を親子でみてくれたら、親子で対話する時間ができてくれたらと思っています。そういう作品でありたい。“あのシーンはどんなことを感じた?”とか、“あの子はあのとき、どんなこと考えてたんだろう?”とか、解釈を相手に委ねることで、会話が生まれる気がする。わからないならばわからないなりに考えて、そのことについて対話する方が豊かな時間になるような気がするんですよね。■子どもに「自由に考えていいんだよ」と感じてほしい今回の特集は、すごく子どもの想いを大切にした作品が多く見受けられます。――創作の上で、子どもに向けて考えていることがあるのでしょうか?先ほどの話につながるんですけど、小さな子どもがパパやママと会話ができる余白を残しておくことは大事にしています。たとえば、学校の美術の授業で、運動会がお題目だったとします。すると、玉入れやリレーの様子とわかる絵を描いた人が正解でいい点数がとれる。でも、ほんとうは生徒一人一人で運動会の見え方も違うはず。へんな話、そのときの気分を色で表した抽象的な絵があったりしてもいい。そういうことを考える子どもの自由な発想を肯定してあげたい気持ちが自分にはどこかあって。一定のルールではない、“自由に考えていいんだよ”と感じてもらえる作品にしたいなと常に思っています。目に見えることがすべてじゃない。この世の中には目に見えない世界もあって、思わずいろいろと空想する子どものイマジネーションを刺激するような作品になればなと思っています。■自分の気持ちが置き去りになる「速さ」と自分を見失わない時間――大人に向けて意識していることはあるのでしょうか?その記憶にコミットするというか。さきほど、おっしゃっていただきましたけど、記憶の扉をノックするというか、たとえば忘れかけていた感情とかあのころの体験が思い出されるものになればと。今回上映される中では、娘を亡くしたピアニストがちょっとした夢へ誘われる『朱の路』、大人になっても忘れられない思い出を見つめた『白の路』という<路>シリーズがそういったノスタルジーが顕著に出ていると思います。――たとえば下町の理容店を舞台にした『家族デッキ』など、ノスタルジックな世界の作品が多いのはその理由が大きいのでしょうか?僕は1974年生まれなんですけど、とにかく子どもの数が多い世代でした。受験にしろ、就職にしろすべてが競争で。全部を勝ち抜かないといけなかった。いま思い起こしても喧噪のなかにいて、せわしない感覚がある。でも、僕は谷根千と呼ばれるエリアが地元なんです。そこは戦時中、空襲にあわなかったので、そのままの古き良き昭和の風情がいまだに残っている。時間がとまったような雰囲気があって。少年時代、子どもながらにその町に流れるゆったりした時間が心地よかった。受験戦争など周りに一生懸命ついていかなければと焦る自分がいる一方で、その下町のゆったりとした時間と空間があったおかげで自分を見失わずにすんだところがある。その原体験が作品には少なからず反映されている気がします。――たしかに、作品はどれもゆったりとした時間が流れています。どういったことを大切にされたのでしょうか?いまどきの作品は、物語もバンバン進んでいくし、ワンシーンにつめこまれている情報量もすごい。たぶんひと昔前と比べたら、スピードも情報量もそうとうアップしているはず。でも、それに人もついていけるようになっている。ゲームとかやっているとすぐなれますよね。それを否定する気はないんですけど、僕自身はもっとゆったりした時間に身を置くときがあってもいいのではないかなと。僕のなかで「速い」という感覚は、自分の気持ちが置き去りになって、流れにのらないといけないというときに感じるもののように思うんです。そこで大切なことを取りこぼしたり、見落としたりすることがあるんじゃないかなと。用意されたものを敏速にこなすのではなくて、一度立ち止まってじっくり考えて、そこになにかを見つけたり、得難い体験したりすることが大切なんじゃないかなと思うんです。だから自分の作品は、ゆったりとした時間が流れるようにしているところはあって。知らず知らずのうちに見過ごしていることや抜け落ちてしまうことをくみ取りたい。たとえば、お母さんが子どもに絵本を読み聞かせるするときのような1ページ1ページをめくっていく流れを意識しています。■コミュニケーションが苦手な僕がみつけた「居場所」村田さんの作品は、ゆったりとした時間が流れているからこそ、観客としても映像の隅々まで目が届いて、いろいろと思いを巡らせることができるのではないだろうか。そしてこのゆったりした時間というのは、心地よい時間。それは心地よい場所にもつながっているのかも。――村田さんの作品は、自分にとっての「心地のいい場所=居場所」について触れているのも共通テーマなのでしょうか?僕は子どものころ、みんなと一緒に遊んだり、騒いだりするのが得意じゃなくて。家でひとりでなにかやっていることが好きでした。大学でアニメーションをはじめたときも、研究室のはじっこを貸してもらって、ひとりでちまちまと(笑)撮影していました。でも、ひとりでいるのが不思議と苦ではない。安息の地でした。いまも基本ひとりというか。もちろんスタッフにいろいろ手伝ってもらうんですけど、僕のスタジオとスタッフのスタジオは別に用意していて、ほどよい距離をとっています。昔から自分の世界でいろいろとモノづくりするのが性に合っているんです。ある意味、コミュニケーションが苦手なことが許される、この仕事が見つけられてほんとうに良かったといまでも思っています。見つけられなかったらどうなっていたことかと(笑)。でも、人それぞれ、だれにでも居場所って必ずあるはず。内向的な僕も見つけられましたから(笑)。そういう僕の意識がどこか作品に反映されているところはあると思います。■自分自身が身を置く場所と別世界がとなりにある感覚もうひとつ村田さんの作品の大きな特徴は、「コマ撮り」。たとえば森の中だったら木から草、土まで手作り。もちろん登場する人形もひとつひとつ手作りのパペット・アニメーションであることです。――CG全盛となったいまとなっては、珍しい手法ですね。子どものころから漫画が好きで漫画家に憧れていた時期がありました。また、映画も好きで、映画制作に憧れてもいたんですけど、映画って大所帯じゃないですか。ですからコミュニケーション能力の低い自分としては厳しい(笑)。ちょうど大学のころ、マッキントッシュが出てきて、個人での映像制作がしやすい環境が整ってきた。それでパペット・アニメーションなら、人形やミニチュアを自分で作って、たとえば風が吹いているというように自分の思うがまま描くことができるなと。2Dのアニメと映画のちょうど中間ぐらいにあるようで、自分に向いていると思いました。――人形にしても小物ひとつもすべて手作りであることに驚かされます。すべてが手作りであるからか、なにかぬくもりがあって愛しい。この情感はCGでは出せないかもしれませんね。撮影のとき、人形も舞台となるセットも僕のすぐとなりにあるわけです。いわば作品の世界の空気を僕も一緒に共有している。いってしまえばその世界に自分自身も身を置いている。そのような感覚が映像に定着して、みてくださる方も別世界ではあるんですけど、その世界がとなりにあるような感じに受け止めてもらえたらなと思っています。■東日本大震災をきっかけに何を伝えるべきなのか心に深く刻まれたのは<生と死にまつわる記憶の旅>シリーズ。このシリーズは東日本大震災と福島原発事故を機に制作がスタートされました。シリーズ5作を予定していて、今回の特集では『木ノ花ノ咲クヤ森』『天地』『松が枝を結び』の3編が上映されます。――どうして東日本大震災について描こうと思ったのでしょうか?東日本大震災と福島の原発事故は、ひとりの人間としてここに生きていることの意味を考えました。また、ひとりの作り手としてこれからなにを伝えていくべきなのか、あらためて考えるきっかけにもなりました。そのなかで、「祈り、信仰、記録」をコンセプトに、この日本で繰り返している時代や時間を広い視点から描けないかと。いまは日本人のアイデンティティを掘り下げるとともに、これから生きていく上で語り継ぐべきもの、忘れてはいけないことを描き、それが語り継がれるものとして残ってくれるものになればと思っています。――とくに震災で生き別れた姉妹の心を見つめた『松が枝を結び』は胸にグッとくるものがありました。じつは僕も双子で、そこが物語の出発点になっています。対のものがときに重なりあい、ときにぶつかりあう。そうした等しい力がきっこうしたときに生まれるパワーや熱みたいなものをとおして、姉妹の結びつきや伝心するものを描ければと思いました。――最後にメッセージをお願いいたします。自由に楽しんでもらえれば、それだけです。作り手としてひとつだけ触れさせていただくと、自然現象をアナログの手法でどこまで精巧に表現できるかは追求しているところなので、ちょっとだけ気に留めおいてもらえるとうれしいです。『村田朋泰特集 夢の記憶装置』3月17日(土)よりシアターイメージフォーラムほか全国順次公開CGを一切用いらず、アナログにとことんこだわる映像作家、村田朋泰の珠玉のパペット・アニメーションを7作品一挙上映。震災で引き裂かれた双子の姉妹を主人公にした最新作『松が枝を結び』から、NHKプチプチ・アニメでおなじみの『森のレシオ』、下町のタカタ理容店に住む七福神の“髪様”がちょっとした騒動を起こす『家族デッキ』など、これまでの創作から厳選された作品が並ぶ。大人は子ども時代の記憶を呼び起こされ、子どもは夢のワンダーランドへと誘われるパペット・アニメーションの数々。大人も子どもも想像を膨らます時間になるはずです。
2018年03月11日プロサッカー選手の三浦知良、中村憲剛、内田篤人、槙野智章、プロ野球選手の西川遥輝、山崎康晃、ボクシングチャンピオンの村田諒太が侍に扮するスポーツ・チャンネル「DAZN(ダゾーン)」のテレビCMシリーズ「#時代を変えろ」が、19日より順次全国で放送される。同シリーズの時代設定は約150年前。出演者は時代の風潮を描写した志士や商人、ペリー提督などに扮して登場し、新時代の幕開けを象徴する黒船来航を現代風に描いたような、時代を切り拓くストーリーとなっている。アスリート7人に加え、お笑いトリオのロバート、サッカー解説者のセルジオ越後氏も出演する。全3編で展開され、「Episode 1:黒船」編、「Episode 2:会談」編は、J1、J2、J3リーグの2018年シーズン開幕直前の19日より全国で放送開始。続くEpisode 3は、3月に公開される。撮影では、コンセプトである明治維新を表現するために、スタジオに天守閣と大広間を作成。セットの中には、サッカーボールや野球のミット、ボクシンググローブ、ダーツの的、乗馬のおもちゃといった「DAZN」で放映されるスポーツコンテンツをほのめかす装飾が散りばめられている。アスリートたちは侍姿に扮し、日本刀を使った動きに挑戦。最初は「殺陣」の動きに戸惑う姿を見せていたが、さすがはアスリート。殺陣師の講義をしっかり聞いてすぐに動きを習得していたという。CM撮影について、槙野は「最初はちょっと恥ずかしさもあったんですが、徐々に場の空気に呑まれて、まったく違う槙野の顔を見せてしまいました」とコメント。村田は「僕の中で小学校の時から観ている三浦知良さんとご一緒させていただいたことが光栄でした。嬉しいですし、みんなと日本のスポーツ界を盛り上げていけたらと思います」と三浦との共演を喜んだ。「Episode 1:黒船」編と「Episode 2:会談」編のストーリーと動画は以下の通り。■「Episode 1:黒船」編(15秒、30秒)城内で怪しげな商談をしている将軍のロバート秋山竜次と商人のロバート山本博。城外から拡声器の音がし、家臣のロバート馬場裕之が望遠鏡を覗くと、艦長のセルジオ越後率いる「DAZN」黒船が。すると突然、志士の三浦知良、槙野智章、内田篤人が続々と集まり、戸惑う将軍たち。■「Episode 2:会談」編(15秒、30秒)城内大広間で艦長と将軍が会談。艦長のセルジオ越後がスマホ片手に「DAZN」について話す。怒りだす将軍のロバート秋山、それに反論する志士たち。戸を開けると光が射し込み、朝日の光の強さに目をつぶす将軍。
2018年02月15日メガネブランドZoff(ゾフ)から、人気モデル村田倫子・柴田紗希・瀬戸あゆみ・中田クルミの4人とコラボレーションしたZoff UVクリアサングラス「ネオモダンガール(NEO MODERN GIRL)」が登場。2018年1月12日(金)よりオンラインストアにて先行予約開始、1月19日(金)から店舗にて発売される。コラボレーションモデルのベースとなるのは「Zoff UVクリアサングラス」。クリアレンズでありながら、シミ・そばかすの原因となる「目からの紫外線」を100%カットすることができる。村田倫子村田倫子がデザインしたのは、スタイリッシュな細めのメタルフレームのメガネ。カラーはヴィンテージライクなボルドーと、クラシックなべっ甲柄の2種類を用意した。柴田紗希柴田紗希のメガネはフレームの模様、色のトーンや素材感にこだわり、ヴィンテージ感と上品さを両立。グレーブラックに寄せたカーキはマットな質感に、肌馴染みの良いベージュは光沢感のあるカラーに仕上げた。瀬戸あゆみ一見挑戦的なキャットアイを、コーディネートに取り入れやすいソフトなシェイプにまとめたのは瀬戸あゆみ。ツヤのあるサックスブルーにシャイニーゴールドを合わせたフレームや、ネイビーのべっ甲柄を取り入れた耳かけなど、華やかなディテールが光る。一方、ツヤを抑えたカーキにシルバーを合わせ、ブラウンのラメ入りべっ甲柄を取り入れたクールな印象のメガネも完成した。中田クルミヴィンテージのメガネにインスピレーションを受けたという中田クルミは、エッジの飾りやネジでレトロ感を演出。初心者でもかけやすいキャットアイを目指し、主張が強すぎないシェイプにこだわった。カラーは定番のブラックと、チャレンジングなクリアをラインナップする。なおZoff UVクリアサングラス「ネオモダンガール」は、2018年1月12日(金)21時からソーシャルライブコマース「Live Shop!」にて先行販売される。コラボレーションした村田倫子、柴田紗希、瀬戸あゆみ、中田クルミが出演し、クリアサングラスを使った春の旅コーデを生配信で紹介する。【詳細】Zoff UVクリアサングラス「ネオモダンガール」価格:7,500円+税 ※度なしUV100%カットレンズ付き※度つきはZoff店舗にて、プラス3,000円+税〜※専用のメガネ拭きがセット発売日:2018年1月19日(金)※1月12日(金)Zoffオンラインストアにて先行予約開始※1月12日(金)ライブコマースアプリLive Shop!にて先行販売
2018年01月14日ボクシングのWBA世界ミドル級王者・村田諒太が「2017年第50回内閣総理大臣杯 日本プロスポーツ大賞」の殊勲賞に選出され20日、都内で行われた受賞式典に出席。式典前に囲み取材に応じ、『第68回NHK紅白歌合戦』のゲスト審査員に選出されたことについて「ただただ恐縮」と話した。村田は殊勲賞受賞に「非常に光栄に思っています」と喜びつつ、「こういった賞をもらうのにふさわしいかどうかわかっていない。大それたことになってるなと恐縮するような気持ちの方が大きい」と打ち明けた。そして、「いい年でした。世界チャンピオンにもなれましたし、いろんなことが経験できた。また来年につなげていきたい」と今年を振り返り、漢字一文字で「いろいろ変わったので『変』」と表現。来年に向けて「防衛戦があるので防衛戦をこなしてもっと大きな舞台に進めるような年にできたら」と意気込みを語った。この日は、紅白のゲスト審査員に決定したことが発表されたが、「ただただ恐縮ですけど、国民的イベントなので楽しませていただきながら、もし何かお手伝いできることがあれば」と心境を告白。楽しみにしていることを聞かれると、「安室(奈美恵)さんの出場が決まり、どんな形で出るのかすごい気になっています」「Superflyさんが大好きなので生で聴けるのが楽しみです」とうれしそうに話した。殊勲賞は村田のほか、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスのデニス・サファテ投手、レーシングドライバーの佐藤琢磨が受賞した。
2017年12月20日山下しげのり(以下、山下)「M-1優勝おめでとう!」 村田秀亮(38・以下、村田)「ありがとうございます」 久保田かずのぶ(38・以下、久保田)「なんすか、『女性自身』の記者じゃないですか。ゴシップ探しにきたんですか!」 顔を合わすなりジャブを繰り出したのは、M-1グランプリ2017覇者で、賞金1,000万円を手にした、とろサーモン。じつは本誌記者で元芸人の山下とは旧知の仲。この3人だからこそ語られる、M-1優勝までの苦悩と爆笑エピソードを取って出し! 山下「今まで10大会で9回準決勝に進出しながら、決勝には進めませんでした。今大会で初めて決勝進出して、見事優勝」 久保田「コンビ結成して、15年目にして……。どんどん“石”を積み上げる作業はしんどい。むしろ、積み上げる“意志”のほうが大事なんですね」 山下「(心に響かない様子で)ン、ン……。わかりました」 久保田「わかりましたじゃないよ!チャンピオンなんだから」 山下「(それでもスルーして)村田さんはどんな思いでM-1に臨んだのでしょうか」 村田「千鳥のノブさんと1カ月くらい前にご飯に行って、『今年、決勝に行かれへんかったら、覚悟決めて足洗って、違う仕事しますわ』って」 久保田「オレは聞いてないんですけど。イラッとしました」 村田「それは、相方には言われへんよ」 久保田「ちなみに、何の仕事をしようとしたの。この年で」 村田「実家のある宮崎に帰って、親父のりんびょうを……」 久保田「淋病!?」 村田「かむことくらいありますやん!親父の“林業”を継ごうと思ったんです」 山下「お父さんは喜んだ?」 村田「寡黙で頑固な親父なんですよ。(優勝を報告しても)『おう、よかったな』って感じなんですけど……。後でおかんに聞いたら、『お父さん、めっちゃ喜んでて、ワントーン高い声になってた』らしいです(笑)」 久保田「じつは、ウチのおかんと、村田のおかんが一緒に、ケーブルテレビでM-1を見てたらしいんですよ」 村田「2人で大泣きやったって言ってましたわ。仕事があって、電話で話せたのは優勝の2日後くらいだったんですが、そのときもおかん泣いてましたね。電話した瞬間に」 久保田「あまり知られてないけど、ボク、お母さんっ子なんです。理想の女性は、お母さんみたいな人。宮崎でロケがあったときも、母親が髪の毛をセットしてくれました。そのおかんが、優勝して何時間かたって『早急にごめんやけど、200万円貸して』ってLINEが来て。そのあとに『ごめん、おめでとう』って」 山下「『おめでとう』のほうが、ついでじゃないですか」 久保田「だから、おかんの顔に札束を投げつけてやります」 村田「ちゃんと渡せや!」
2017年12月15日妻夫木聡や深津絵里出演で映画化され、国内外問わず高い評価を得た『悪人』。この度、原作者・吉田修一のデビュー20周年の年に舞台化されることが決定。中村蒼と美波のふたり芝居で、2018年3月29日(木)より上演されることが分かった。佐賀の紳士服量販店に勤める女・光代は、携帯サイトで知り合った、長崎の港町に住む解体業の男・祐一と恋におちる。ふたりは、つかの間、孤独な魂を寄せ合う。ところが、祐一から殺人を打ち明けられ、ふたりの逃避行が始まる。逃亡の果て、逮捕された祐一は、「逃亡の為に光代を利用しただけ」と語るのだが…。 果たして、ふたりの愛は偽りだったのか?祐一は悪人だったのか?原作は、芥川賞作家・吉田氏の代表作にして、250万部を記録した同名ベストセラー小説。2010年には李相日監督がメガホンをとり、祐一役を妻夫木さん、光代役を深津さんが演じ映画化された。今回台本・演出を担当するのは、昨年「乳房」(出演:内野聖陽、波瑠)、「檀」(出演:中井貴一、宮本信子)と2作のふたり芝居を手掛け、高い評価を得た合津直枝。「光代をもう少しだけ救ってやりたい」という思いで書き上げた上演台本に吉田氏が共感し、舞台化が実現したのだという。舞台化では、“哀しき殺人者”祐一役に「せいせいするほど、愛してる」『HiGH&LOW THE MOVIE 2/END OF SKY』の中村さんが決定。舞台「OTHER DESERT CITIES」での好演も記憶に新しい中村さんは、「初めてのふたり芝居は未知の世界ですが、いまはその不安と期待が入り混じっている感覚です」と心境を語り、「小説、映画共に多くの人に愛された作品で今回の舞台もそれに並ぶ、もしくはそれ以上のものになったらいいなと思っています。美波さんと演出の合津さんとコツコツ作り上げていきます」と意気込みを見せている。なお、本公演のチケットは2018年1月14日(日)より一般発売がスタートする。ふたり芝居「悪人」は2018年3月29日(木)~4月8日(日)シアタートラムにて上演。(cinemacafe.net)
2017年11月09日10月22日に"リベンジマッチ"に挑むボクシングの村田諒太選手が、映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』(11月3日公開)と強力タッグ! 『マイティ・ソー』のポスターにインスパイアされた村田選手のリベンジマッチポスターが制作され、さらに、リベンジマッチマッチを盛り上げる実況予告編も公開された。間近に控えた村田選手とアッサン・エイダム選手のWBA日本ミドル級タイトルマッチ。5月の王座決定戦で、4回に村田の攻撃に対してダウンを喫しながらエイダムが2-1の判定勝ち。その判定が疑問を生んだ。指示したジャッジが処分を受け、WBAのメンドサ会長も「誤審」を認め、再戦指令を出して、異例のリベンジマッチが決まった。このリベンジマッチに際して、本作で最強の敵となる死の女神・ヘラに襲われた故郷を取り戻すためにアベンジャーズで最もアツい雷神・ソーが結成した"リベンジャーズ"と、同じ"リベンジ"の志をもつ村田選手の強力タッグが実現した。村田選手は「僕自身、マーベル映画は好きで、それぞれの信条を胸に闘うヒーローの姿にはいつも胸を熱くさせられ、同時にひとりのアスリートとしてもその戦いにかける思いには共感します」とコメント。そして、最新作のソーについて「自分の大切なもの、譲れないもののために立ち上がっていく気持ちは、まさに今回リベンジマッチに挑む僕自身の思いに重なる部分がありました」と自身と重ね、「どんな窮地に追い込まれても決して諦めないソーのように、僕も今回のリベンジマッチに挑んでいきたいと思いますので、皆さんご声援のほどよろしくお願いいたします!」と意気込んでいる。(C)Marvel Studios 2017
2017年10月20日「新婚間もないとはいえ、2人は一緒に食事や観劇に行ったり、本当にラブラブですよ。だからこそ、結婚を機に仕事でも大きく飛躍しそうだった村田さんが“休業宣言”とは、ちょっと解せないんです」(プロダクション関係者) 9月26日、神田沙也加(30)と5月に結婚したばかりの俳優・村田充(40)が、ブログで無期限の芸能活動休止を宣言した。 じつは本誌は8月に村田の“主夫願望”を報道している。村田が自身の俳優業に未練がなく「沙也加のプロデューサーとして裏方に回ってもいいと考えている」と報じていたのだ。今回、まさに本誌の“予言”どおりの展開に――。 ブログでは「休養と次なる夢の準備期間」と書かれたものの、すでにネットなどでは、「ヒモ夫かよ!」と揶揄する声まで出ている村田の決断。じつのところ、どのようなビジョンがあっての休業宣言なのか。 9月下旬、主演舞台『囚人』の稽古を終えて劇場から出てきた村田を直撃した。だが、村田本人はマスクをしたまま無言。代わりに答えたのは、マネージャーだった。 「すみません、ブログに書いてあることがすべてなので」 記者が「沙也加さんの裏方に回るという話が出ていますが」と食い下がったが、見せたのは笑顔だけ。最後に「ご苦労さまです」とだけ言うと、礼儀正しい会釈を残して去っていった。 実際、村田は俳優業以外にも舞台音楽や作曲、DJなども手がけている才人。だが神田と親しい芸能関係者は「今回の“決断”は、村田さんというより、沙也加ちゃんの希望でしょう」と話す。 「彼女は誰かに“ずっとそばにいてほしい!”という女性なんです。村田さんがプロデューサーやマネージャーになってくれれば、四六時中一緒にいられるわけですからね」 “婦唱夫随”でうまく行っているようだ――。
2017年10月06日「第8回国民的美魔女コンテスト」の最終選考会が29日、都内で行われ、大阪府在住の社会福祉士・村田優美さん(41歳)がグランプリに輝いた。同コンテストは、"年齢を感じさせない外見美と知的美"を競う、真の大人の才色兼備を兼ねる女性を『美魔女』として発掘するコンテストとして2010年からスタート。今年は約1500名の応募者からWEB投票などで選ばれた18人のファイナリストが最終選考に臨み、水着審査、自己PR、ドレス審査を経て、村田さんがグランプリに選ばれた。グランプリを受賞した心境を尋ねられた村田さんは「普通の会社員ですし、普通の主婦でやってきたので全然信じられなくて…。本当に嬉しいと思います」と目を丸くし、グランプリを獲れた勝因はなにか聞かれると「心の中から美しくするということを、特にこの2ヶ月間は気を付けて、誰かのためになること、仕事柄もそうなんですけど、プライベートでもそういう風に考えていました」と自己分析した。また、同コンテストに応募したキッカケを聞かれると、20歳と9歳の娘を持つ村田さんは「20歳の娘が応募してくれまして、2次(審査)が受かったのもビックリでした」と明かし、応募すると娘から聞いた際は「『(応募)しておいて』って言いました。遊びのつもりでやったことが、この結果で…(笑)」と未だに信じられていない様子だった。さらに、美の秘訣を尋ねられると「先ほど(自己PRで)披露させていただいた(ラジャスタン)ダンスです。振付だけではなくて、私の先生は『魂から踊りなさい』といつも言われていて、気持ちから入り込んで踊ったのがよかったんじゃないかなと思います」と胸を張った。なお、グランプリの特典としてオスカープロモーションへの所属も決定したが、今後について聞かれると「私は今、福祉の仕事に携わっていますので、その仕事を大切にしていきたいんですけど、こういう美容のほうも、もちろん興味があるので、福祉とどうつながるのか今は分からないんですけど、頑張っていきたいと思います」と目を輝かせた。このほか、準グランプリに東京都在住の山崎麗子さん(49歳)、WEB賞に神奈川県在住の遠藤陽子さん(47歳)、温美魔女賞に千葉県在住の鈴木久美子さん(40歳)、輝く美魔女賞に愛知県在住の浅川加恵さん(44歳)がそれぞれ選ばれた。また、韓国美魔女グランプリのカン・ウンスさん(33歳)、同準グランプリのキム・シウンさん(34歳)も表彰された。
2017年09月30日俳優の村田充(39)と5月に結婚した神田沙也加(30)。 新婚とはいえ、7月後半からは舞台『ピーターパン』の地方公演で多忙な神田。かたや、夫の村田はというと――。 「村田さんは、マンガやアニメが原作の“2.5次元”舞台で非常に人気がある役者さんです。“ハマリ役”も多く、次の出演作が何になるか、注目されているんですよ」(舞台関係者) ならば2人の未来も安心と思いきや、結婚後、村田はこんなことを周囲に洩らしているという。 「彼はかつて広末涼子との交際が話題になりましたが、もともと“アイドル好き”なんです。沙也加さんのことも、その顔立ちの可愛さ以上に『声が大好き!』で恋に落ちたんだとか。じつは村田さん、“沙也加ファン”が高じて、惚れ込んだ愛妻のプロデューサーとして“裏方”に回ってもいいと考えているというんですよ。究極的には、沙也加さんが仕事している姿を見られれば、自分は“主夫”でも構わないと(笑)」(2人の知人) でも“お姑さん”は怖~いあの人ですが……。
2017年08月09日歌手で女優の神田沙也加(30)が26日、自身のインスタグラムを更新し、俳優の村田充(39)と結婚することを報告した。神田は「この度は私事でお騒がせしてしまい申し訳ありません」とお詫びした上で、「ご報告したかったタイミングではなく心苦しい気持ちもありますが、一部報道にありました通り、わたくし神田沙也加は村田充さんと結婚いたします」と報告。「仕事の面もより一層充実させていけるよう精進してまいります」と誓い、「暖かく見守っていただけたら幸いです」と呼びかけた。村田も自身のブログを更新し、「応援をくださる皆様に、予定と異なるご報告の形となり心苦しいですが、一部報道にあります通り、私 村田充は神田沙也加さんと結婚をいたします」と報告。「共に支え合い、充実した日々を過ごしたいと願っております」とつづり、「何卒、今後ともご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。暖かく見守っていただけたら幸いです」と締めくくった。神田はインスタグラムで、村田と父で俳優の神田正輝との笑顔の3ショットも公開した。
2017年04月26日女優の神田沙也加と俳優・村田充が結婚することを、それぞれ自身のSNSにて発表。神田さんは自身のInstagramにて、父で俳優の神田正輝と村田さんとの3ショットを公開し、「一部報道にありました通り、わたくし神田沙也加は村田充さんと結婚いたします」と報告し、村田さんはブログにて神田さんとの仲睦まじい2ショット写真を公開した。神田さんは、俳優の神田正輝と歌手の松田聖子の長女として生まれ、2003年に妻夫木聡主演『ドラゴンヘッド』のヒロイン役で本格的に女優デビュー。以降、舞台に・映画・ドラマ・声優と幅広く活躍。2014年には世界的大ヒットを記録したディズニー・アニメーション映画『アナと雪の女王』で王女・アナ役の日本語吹き替えを好演し、その演技力・歌唱力で大きな注目を浴びる。そのほか、ギタリストであるBillyとの新ユニット「TRUSTRICK」を結成しアーティスト活動も進めたが同グループは2016年に活動を休止した。一方、村田さんは2000年にドラマ「二千年の恋」でデビュー。「仮面ライダー響鬼」に童子役でレギュラー出演したほか「仮面ライダーキバ」『GO』『海猿 ウミザル』『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』魚沼宇水役などテレビ・映画に出演。また、舞台「弱虫ペダル」御堂筋翔役をはじめ、舞台「東京喰種」ウタ役や「最遊記歌劇伝-God Child-」舞台「おそ松さん」イヤミ役など、数々の2・5次元舞台に立ち、確固たる人気を誇る。2人は2016年夏の舞台「ダンガンロンパ THE STAGE 2016」で共演。そして本日4月26日、結婚する旨を互いのSNSで発表した。神田さんは「関係者各位・ファンの皆様」と題し、「この度は私事でお騒がせしてしまい申し訳ありません。ご報告したかったタイミングではなく心苦しい気持ちもありますが、一部報道にありました通り、わたくし神田沙也加は村田充さんと結婚いたします」と告白。「仕事の面もより一層充実させていけるよう精進してまいります。暖かく見守っていただけたら幸いです」と今後の活動についても言及。また村田さんも「共に支え合い、充実した日々を過ごしたいと願っております」と、コメントした。Twitterでは「みつくんと神田沙也加結婚うれしすぎる~おめでとうございます!」「神田沙也加ロス。」「まじで!?おめでとうございます」と祝福の声が上がっている。神田さんは現在、舞台「キューティ・ブロンド」が全国公演中。村田さんは舞台「東京喰種」第二弾の公演が6月に控えている。(text:cinemacafe.net)
2017年04月26日「Mr.Children」の「HERO」MVやNHK Eテレのプチプチ・アニメ「森のレシオ」などで知られる村田朋泰が手がける、児童文学の名作「陸にあがった人魚のはなし」のコマ撮りアニメーション(パイロット版)制作のため、本日2月21日(火)よりクラウドファンディングがスタート。山下敦弘監督ら公式アンバサダーからコメントも到着した。「陸にあがった人魚のはなし」は、米国の詩人ランダル・ジャレルが1965年に発表した童話。むかしむかし…。離れ小島に1人で暮らす狩人。ある日、海から聴こえる歌声に引かれ、人魚と出会う。人間の世界は、人魚の世界にないものばかり。好奇心旺盛な人魚は、狩人と一緒に暮らすようになる。やがて小熊、山猫、ひとりぼっちになった人間の男の子が、狩人と人魚に出会い、1つの家族となった。違う動物同士、一緒に暮らすといろいろな事件が起きたが、みんながお互いを好きで、理解して愛したいと思っていた。そうして何年も経ち、やがて人魚は、海ではわからなかった感情を知るように。見た目の違いは、問題ではない。これは、お互いの存在と違いを思いやる、ある1つの家族の物語――。今回のクラウドファンディング目標金額は、350万円(税込)。達成しなかった場合は制作をしない“ALL or NOTHING”方式となる。また、支援者へのリターンは共作性を重視。エンディングロールへの名前記載、制作日誌お便り、制作・撮影現場への招待、第1回制作会議への参加など、支援者と一緒に作品を製作する内容となっている。担当者は、現代にも通じるこの物語に「まるで私たちに深い問いを投げてくるようです」と言う。「この可愛らしくかつ斬新な表現で愛の在り方を示唆するファンタジーを、国内外から注目を集める村田朋泰氏によってコマ撮りアニメーション化したいと思います。映像化にあたり内容的にも世界観的にも村田氏のコマ撮りアニメーションほど合っているものはないでしょう」と期待を込める。「しかし、コマ撮りアニメーションは時間もコストもかかり実現が容易ではないため、今回、本プロジェクトに共感していただける皆様とクラウドファンディングを通して、まずはパイロット版を作成することにいたしました。なお、完成したパイロット版を持って本編制作の資金を募っていきますが、もし達成しなければパイロット版の制作はありません…!完成への第一歩を一緒に踏み出しませんか?応援をよろしくお願いいたします!」と語り、支援を募る。さらに、『ぼくのおじさん』『オーバー・フェンス』などで知られる山下敦弘監督や、『チェブラーシカ』『ちえりとチェリー』の中村誠監督をはじめ、応援者からの激励コメントも到着している(順不同)。■山下敦弘(映画監督)2017年、現在において人形アニメーションを作り続けている村田さんは本当の変態だと思う。自分みたいに「映像なら何でもやります!」というスタンスでドラマやCMなど何でも引き受けるチャラ男とは違い、人形を一コマ一コマ動かし、シコシコと撮影する村田さんは生粋の変態だ。“変態、変態”と連呼してるけど、ここで言う変態とは自分にとって最大の褒め言葉だ。作品作りにおいて変態ほど信用できる人間はいない。そんな村田さんが長編を作る。変態が作る長編人形アニメーション。つまらない作品になるはずがない。ただただ楽しみだ。■中村誠(映画監督)村田朋泰さんの作品は、音が少ない。登場人物たちが話さない。音楽も控えめだ。その背景美術の見事な広がりに対して、パペットの作りとアニメーションは言ってみればとてもプリミティブだ。静かで、素朴な作品群。しかし「路」シリーズや「森のレシオ」から伝わってくるこの言葉に出来ない激しい感情は何なのだろう。僕の勝手な憶測なのだが、村田さんはそれをこそ、伝えようとしているのではないだろうか。無理やり言葉にすれば、それはかつて誰もが通過したはずの「記憶」だ。心の片隅に忘れられ転がっているその記憶を村田さんの作品は揺り動かす。そして僕たちはそれが心の片隅にあったことを痛烈に思い出すのだ。静かな作品が揺り動かす激しい感情。それこそが、村田さんの作品の魅力なのだと僕は思っている。「陸にあがった人魚のはなし」で、今度はどんな記憶を揺り動かされることになるのか、僕は楽しみに待っている■秦俊子(アニメーション作家)可愛さの中に哀愁が漂う人形や、感情がうまく表現されている照明、引き画の広々とした空間と美しさなど、村田朋泰さんの人形アニメーションは画面に映るものすべてが魅力的です。また、登場キャラクターの記憶や関係の変化が、丁寧に作りこまれたモチーフを通じて展開していくところにも心を惹かれます。村田さんの作品を観ると、モチーフに込められた思いというものを表現する上で、人形アニメーションは最適な表現方法だと気付かされます。「陸にあがった人魚のはなし」の映像化に大いに期待しております。制作の実現を心から応援しています!■森和美(漫画家)地に弾ける雨粒、風に流され雪上を滑る木の枝、陽射しに揺れる水面、うつろう影、輝く樹液や粘菌、瞬く星、賑やかな森。瞳に花を閉じこめた少 女、毛むくじゃらの優しい生き物、初めて見るのに懐かしい異形のものたち。村田さんのアニメーションは画面の彼方此方に小さな命が溢れています。コマ撮りという作業を思えば、なんという積み重ねかと溜息が出るほどです。彼らはたいてい言葉を発してくれないのですが、目を凝らして彼らと出会う時、私たちは新しい友だちを得る事が出来るのです。知らない筈の世界と人をいつの間にか慕わしく思ってしまうー「陸にあがった人魚のはなし」でも、きっとそんな体験をさせて貰えるのではないでしょうか。■武田一義(漫画家)手作りの風景とキャラクターが、起こる出来事が、みんな可愛くて可笑しくて、ぽーっと見惚れて声出して笑って、ちょっと切なくなって、終わる頃には心の中に愛おしさが溢れている。村田朋泰さんが創る世界が好きです。新たな世界の誕生を心待ちにしています。「陸にあがった人魚のはなし」パイロット版(約3分間)制作のクラウドファンディングは2月21日(火)~5月8日(月)まで「Makuake」にて募集。(text:cinemacafe.net)
2017年02月21日NHKプチプチ・アニメ「森のレシオ」や、「Mr.Children」の「HERO」ミュージックビデオなどで知られる映像作家・村田朋泰氏により、米国の詩人ランダル・ジャレル原作の童話「陸にあがった人魚のはなし」の映像化を目指す、クラウドファンディングがスタートすることになった。離れ小島でひとりで暮らす狩人が、海から聞こえる歌声に引かれ、人魚と出会う。人魚が初めて知った人間の世界は、人魚の世界にはないものばかり。しかし、人魚は、たとえ不便であっても人間の世界を理解し、受け入れていく。やがて、こぐま、やまねこ、ひとりぼっちになった人間の男の子が狩人と人魚に出会い、1つの家族になる。もちろん、違う動物同士が一緒に暮らすと、いろいろな事件が巻き起こる。でも、みんながお互いを好きで、理解して、愛したいと思っている。外見が違うことは大した問題ではない。これは、お互いを思いやる気持ちにあふれた、ある“家族”の物語――。「陸にあがった人魚のはなし」(原題:The Animal Family)は、米国の詩人で文芸評論家、作家のランダル・ジャレルが1965年に発表した童話。ジャレルといえば、「かいじゅうたちのいるところ」のモーリス・センダックの絵による「詩のすきなコウモリの話」「夜、空を飛ぶ」といった作品でも知られている。そして、この物語をストップアニメ-ションで映像化するのは、現在放送中のNHKプチプチ・アニメ「森のレシオ」や、「Mr.Children」の「HERO」のMVに起用された「白の路」、「Galileo Galilei」の「サークルゲーム」MVに一部使用され、ドイツ・シュトゥットガルド国際アニメーション映画祭にノミネートされた「木ノ花ノ咲クヤ森」などで知られる気鋭の映像作家・村田氏。今回、2017年2月から4月までの予定で、クラウドファンディングサイト「MAKUAKE」にて映像化プロジェクトを実施、配信やDVD化のための資金調達を目指す。支援のコースにより、エンドロールへの名前記載、完成映像のDVDプレゼント、撮影現場への招待、作品原画プレゼントなどのリターンがある。プロデューサーの東映コンテンツ事業部・内藤恵氏は、「50年前に書かれた『陸にあがった人魚のはなし』」のメッセージが、現代に通じる斬新さで愛の在り方を示唆していることに感動し、そしてその表現方法には村田氏のストップアニメーション映像が何よりもふさわしく思い、どうにか制作を実現したいと願うようになりました」と経緯を語る。「まずはパイロット版の制作を目指しますが、原作と映像のコンビネーションの素晴らしさを楽しみにしていただければと思います」と、支援を呼びかけている。「陸にあがった人魚のはなし」パイロット版(3分間)制作のクラウドファンディングは2017年2月~4月、「MAKUAKE」にて募集開始。(text:cinemacafe.net)
2016年10月17日渡辺謙が半ばあきれ顔で漏らす。「最初に犯人を決めずにこの小説の連載を始めたって?なんて恐ろしいことをやる人なんだろうって(笑)」。吉田修一は「いま、こうしてお話ししていて、なぜ李相日監督が、渡辺さんもあの役を…と考えたのか、わかってきた気がします」と顔を輝かせる。ペンと肉体。小説と映画。表現の方法や道具は異なれども、2人の男たちは確実に、ひとつの物語を共有し、共鳴した。作家・吉田修一が生み出し、俳優・渡辺謙が己の肉体を駆使して登場人物のひとりを表現した物語『怒り』。小説として誕生し、映画として産み落とされるまで――その“はじまり”と“終わり”に携わった2人が語り合う!――吉田さんが『怒り』の連載を開始されたのは2012年ですね。夫婦惨殺事件の現場に「怒り」という血文字が残されているという、センセーショナルな幕開け。犯人が顔を変えて逃亡を続ける中、東京、千葉、沖縄に、犯人と同じ特徴を有した3人の男が現れ、彼らの周囲の人間、彼らを愛する者たちが「実は自分の一番近くにいるこの男は殺人犯なのか?」という不信と愛情のはざまで葛藤します。そもそも、こうした作品を描こうと思ったのは…。吉田:テーマに関して、なかなかひと言では言い表せませんが…小説って「次はこれを書こう」って思って書けるもんじゃないんですよね。その時の自分が感じてること――その時、“書くべきもの”があるんですよね。それに従って書くしかなくて、その時は“怒り”という言葉を元にした物語を書くということだったんですね。なぜと言われると分からないんですが…。渡辺:啓示というと大げさかもしれないけど、何か降りてくるんですかね?吉田:何とも言い難いんですけど、そんな感じですね。本当に自分ではどうにもできない。その時に“喜び”で何か書こうとしても、全く筆は進まないんです。――いま、連載、刊行から少し時間を置いてみて、ふり返ってみて理由や背景について思い当たることや分かってきたことなどはありますか?吉田:いや、それもないんです。いろんな感想が届いて、こっちがなるほどと思ったりもするけど、本人は「だからこういうことだった」という結論には至らないんです。渡辺:思考というよりも、皮膚から入ってくるようなものだね(笑)?吉田:まさに!抗えないんですよ。ただ、イメージとしての“怒り”でいうと、小説を書いているときは、血文字の真っ赤な“怒り”だったんですよ。でも、完成した映画を見て、渡辺さんが演じた洋平やラストシーンを見ながら、自分の中の“怒り”の文字が少しずつ薄れてきたんですよね。ネガティブな感情としてあった怒りを、この映画はラストへ進む中で、消してくださるような作用があったんじゃないかと感じてます。――渡辺さんはどのようにこの映画『怒り』に携わることに?李相日監督とは『許されざる者』に続いてのタッグですね。渡辺:『許されざる者』が終わったときに、「また何か、形にしたい企画があれば、どんなものでも参加するから」とは伝えてたんですよ。それで「こういう企画を考えてます」って吉田さんの原作を渡されたんです。――では原作から入られたんですね?渡辺:そうです。ただ、どの役かといった説明は全くなくて。読んでいく中で「優馬(※映画では妻夫木聡が演じているゲイの青年)ではないよな…」とは思ったけど(笑)。ただね、読み進めていく中で、僕、ページがめくれなくなっちゃったの。何というか、悪い習性なんだけど、物語に鋭い角度で入り込み過ぎちゃって。そこで悩んじゃうとページが進まないの(苦笑)。その時点で「参加したい」って気持ちは固まってたけど、読みえた時は、正直「李のやつ、また厄介な本を…」って思ったよ(笑)。吉田:すみません(苦笑)。渡辺:東京、千葉、沖縄と3本の話があって、非常に根源的というか、人間としての根っこの部分をえぐられる物語だよね。きちんとこの3本のドラマをうねらせながら、2時間の中で深く掘り下げていくって至難の業だよなぁって。――吉田さんは、執筆されているときは映画になるとは…吉田:書いている最中は、そんなこと考える余裕はなかったですね。でも、書きあがったときに「李さんはこれをどう読むかな?」ってすごく興味がわいてきて、送ったんです。渡辺:馬の前にニンジンをぶら下げたようなもんですよ(笑)。吉田:いま考えると、渡辺さんが、物語の構成を変えて、犯人を追う刑事の役(※映画ではピエール瀧が演じている)を演じるってのも、ありだったかなってふと思ったんですよね。いまとは全く違う映画になるでしょうけど、あの刑事に焦点を当てた物語も面白いだろうなって。でも、李さんは、渡辺さんに洋平をやってもらうと。――洋平は、千葉の漁港組合で働く男で、妻を亡くして娘の愛子(宮崎あおい)と暮らしている男ですね。愛子に幸せになってほしいと願う父親ですが、決してキリッと強いタイプではなく…。吉田:どちらかというと、優柔不断で決められない、弱い男ですよね。渡辺さんが洋平…。『許されざる者』での李さんと渡辺さんの関係性があるからこそなんでしょうが、かなりチャレンジャーだなと(笑)。やっぱり、いまでも不思議なんですよ。いや、逆にお聞きしたい! なんで洋平役を受けてくださったんですか?渡辺:役の大小とかかっこよさではないんですよね。その役を生きて、心を震わせるかってところで、僕はこの物語を読んで、それを深く感じたんです。とはいえ、どこか洋平という男を掴みきれないまま、「これは監督と一緒に悩みながら作っていけばいいのかな?」と走り出したところもあります。――千葉編は洋平と愛子の親子、数か月前に街に現れて洋平の下で働くようになり、愛子と恋仲になる田代(松山ケンイチ)の3人を軸に展開しますね。田代は事件の真犯人なのか?というミステリ部分はもちろん重要ですが、それと同じくらい、洋平の愛子に対する自信の持てなさ――自分の娘は決して幸せになれないんじゃないか?と考えてしまう弱さの部分がドラマとして際立っています。渡辺:それが顕著なのは、事件の真相そのものよりも、愛子が洋平のところに来て泣くところですよね。あそこはつらかったなぁ(苦笑)。田代を疑っている自分がいて、愛子も同じ思いを持っていて、それに苦しんでる彼女を目の前にして…本当に悲しかったです。人間て不思議なもので、結果や真相以上に、その過程で疑いを抱いてしまっている自分に苦しむし、それが弱さなんですよね。――池脇千鶴さん演じる、近所に住む姪(愛子の従姉)が、洋平に「おじさん、本当は『愛子が幸せになれるはずがない』って思ってるんじゃないの?」とグサリと言い放つシーンも強烈です。吉田:素晴らしかったですね、あのシーン。渡辺:刺さりますよ、本当に(苦笑)。自分でも知らず知らずに確信を積み重ねていて、ボタンを掛け違えている。そのずれ、核心をズバッと突かれてしまう――もうね、愕然とするくらい、堪えました(笑)。――先ほど、演じる前は洋平を「掴みきれていなかった」とおっしゃってましたが…渡辺:わかんなかったですよ。僕とは正反対ともいえるタイプ。なぜ決められない?なぜその道を選んでしまう? その中にある苦しみ、弱さに何とか寄り添おうとしてました。そんな時に、吉田さんが千葉に撮影の見学にいらっしゃったんですよ。吉田:見学させていただきました。渡辺:その時に、「洋平には、千葉編の愛子と田代の物語だけでなく、東京編の優馬と直人(綾野剛)の物語、沖縄編の泉(広瀬すず)と辰哉(佐久本宝)、田中(森山未來)の物語、その全てを最後の最後で受け止めてほしいんです」とおっしゃっていただいて。その時ね、いろんなことがはっきりしたし、的が見えてきたんです。これは僕だけの物語じゃないんだ。3つの純愛、血だらけの3つの物語を受け止めなくちゃいけないんだと。吉田:先ほども言いましたが、最初、この洋平という男を優柔不断な弱い男として僕自身もまた捉えて「なぜこの役を渡辺謙が?」と考えていたんですよ。でも違う。「最後に全てを受け止める男」として考えたら、それはやっぱり渡辺さんなんですよね。いまこうして話していて、李さんは最初からそこを見ていたんだ!と感動を覚えています。――吉田さんは、前回、『悪人』でも李監督と組んでますが、小説『悪人』に関して現時点でのご自身の「最高傑作」とおっしゃってました。いま、『怒り』は吉田さんの中でどのような作品に?吉田:最高傑作になったかどうかはともかく、書くときは「『悪人』を超えなきゃ」という意識でしたし、この映画に関しても李さんをはじめ、みなさんが強い思いで参加してくださっているのを感じていました。自分の中では『悪人』を超える作品になったんじゃないかと思っています。渡辺:結局、クリエイトし続けるってことは、上書きしていくということだからね。もちろん評価は読者や観客がすればいいけど、作る側は、作家であれ俳優であれ、常に「これが自分のベスト」という思いで作り続けていかないといけない。――渡辺さんにとっては、吉田さんの作品に出演されるのは初めてでしたが、いま、改めて作家・吉田修一の凄みをどんなところに感じてますか?渡辺:いや、無からこれだけの作品を産み落とす、その苦しみは計り知れないですよ。まして、犯人を決めずに連載を始めたって(笑)。それは、冒険であり、物語と一緒に旅をするわけですよね。普通は、プロットを書いて、箱を決めて、そこにあった物語を書き始めるでしょ? それがいきなり終わりの見えない旅を始めちゃったわけで、「おいおい!」って思いつつ、その勇気には敬服しますよ。(photo / text:Naoki Kurozu)
2016年09月17日コンビニ店員であることがアイデンティティー、そんな女性の日常を描いた『コンビニ人間』で、第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さん。なんと、ご自身もコンビニ店員であるという…。――ご自身も、大学生の頃からコンビニでアルバイトしてきたわけですが。村田:そうです。私は小さい頃から何をやらせても不器用で、しかも内気で人見知りなので、家族から「沙耶香は社会に出られるんだろうか」と言われていました。それで大学生の頃、近所にコンビニが建ったので、そこでバイトをしてみようと思って。すでに人間関係ができあがっているところに後から入っていく勇気はなかったのですが、お店がオープンする時から参加できるならハードルが低い気がしたんです。やってみたら、私ほどマニュアルを読み込んだり研修を受けたりする人があまりいなくて「村田さん頑張ってるね」と声をかけられたりして、溶け込めた気がしました。コンビニは男女の扱いの違いもないので、男の子とフランクに喋れたのもよかったですね。いろんな意味で、世界に溶け込めた気がするので、コンビニにはすごく感謝しています。最初にアルバイトしていた時の人たちとはいまだに付き合いがありますよ。結婚している人もしていない人もいますが、たまにその6人くらいで集まって飲んだりしています。グループでLINEもしているんですが、受賞した時は「村田さんがニュースに出ていて笑った」って書いてありました。「普通にすげー」って(笑)。――専業作家にならずにバイトを続けているのはどうしてですか。村田:わりと暇なお店をバイト先に選ぶせいか、私が働くお店は結構閉店しちゃうんです。それを機に専業になろうかなと思うんですが、執筆が進まなくて、またバイトを始める…ということを繰り返してきました。週3日バイトをしているんですが、コンビニで働いている日のほうがめちゃめちゃ執筆が進むんです。原稿を待たせている編集さんにも「コンビニで働く日を増やしてください」と言われます(笑)。バイトもせずにずっと家にいると、ゴロゴロしながら空想に没頭してしまうんですよね。それは小説を書く状態とは程遠くて。コンビニで働くなど、強制的にリアルな世界に自分を連れていかないと執筆できないようです。――あれ、前はお仕事場を持って通っていましたよね。村田:持っていました。仕事場があればもっと働くんじゃないかと思って。でも、「あの部屋に行って小説を書かなきゃいけない」と思うと、出社拒否みたいになってしまって(笑)。結局引き払いました。家賃は安かったんですけれど、あれは人生最大の無駄遣いでした。――小説を書き始めたのは?村田:小3か小4ですね。紙を四つ折りにしてホチキスで留めて、漫画や小説を書いて友達と交換するのが流行っていたんです。私は双子の女の子がバラバラに引き取られる、といった話を書いていました。そこから、だんだん友達に見せる用の小説と自分だけ用のものを書き分けるようになっていきました。でも高校時代に山田詠美さんの作品に出会って、こんな美しい文章に触れるのははじめてだと思って。あまりにも山田さんの文章への憧れが強くて、自分が書くなんて無理だと思って、書けなくなってしまいました。大学も文学部芸術学科という、演劇や絵や小説などの実技が学べるところに進学したんですが、やっぱりスランプのまま。それで、芥川賞作家の宮原昭夫先生が横浜文学学校という小説の講座を開いていることを知って、参加してみたんです。宮原先生が本当に素晴らしくて、参加している人も純粋に書くことを楽しんでいて。私はそれまで小説は素晴らしくて高尚なものと思い込みすぎていたようです。先生が「ヘタでもいいから名刺代わりに作品を出しなさい」と言ってくださって、それでまた書けるようになっていきました。その頃に書いた2作目の小説を『群像』に応募して、卒業後に受賞しました。――それが2003年に群像新人文学賞優秀作となった「授乳」ですね。そしてデビューが決まり、今、作家生活13年目です。初期の頃からセックスや家族に対する価値観を揺るがすものが多く、最近では10人産めば1人殺してもいい社会を描いた『殺人出産』など、テーマや設定に度肝を抜かれるものも多いですね。村田:振り返ってみると、本当に自由に書いてきたんだなと思います。それでここまでお仕事をいただけてきたことが奇跡です。スピルバーグ監督がインタビューで演技について訊かれた時に「笑われることを恐れない勇気を持つことだ」とおっしゃっていて、小説も本当にそうだなと思って。たぶん「また村田がバカなことをやっているな」と笑っちゃう人もいるかもしれませんが。◇むらた・さやか1979年、千葉県生まれ。玉川大学文学部卒業。2003年「授乳」が群像新人文学賞優秀作となりデビュー。'09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、'13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、本年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した。◇芥川賞受賞作『コンビニ人間』は、コンビニに勤めて18年、未婚、恋愛経験なしの女性・古倉恵子が主人公。本人は現状に満足しているが、周囲からは結婚や就職の心配をされる日々。新人の白羽は婚活目的でバイトを始めたというが、仕事のやる気も見せず言い訳と愚痴ばかり。恵子に対しても、はなから見下した態度をとるのだが…。文藝春秋1300円※『anan』2016年9月7日号より。写真・千倉志野インタビュー、文・瀧井朝世
2016年09月01日村田製作所は2月17日、150℃を超える高温環境でも使用できる導電性接着剤対応の積層セラミックコンデンサ「GCBシリーズ」を開発したと発表した。同シリーズは、自動車のエンジンルーム周辺など過酷な温度環境に搭載される機器向けに開発されたもの。最高使用温度が200℃の製品がラインアップされている。外部電極に新たに開発されたNi/Pd電極を採用することで、高温環境下においても導電性接着剤との高い接合信頼性が得られた。また従来品と比較して、端子電極の耐腐食性が向上。同社はすでにサンプル出荷を開始しており、2016年中に量産を開始するとしている。
2016年02月17日村田製作所は1月26日、サイバーエージェント・クラウドファンディングと連携し、ハードウェア製作支援プログラム「IoTアイデアコンテスト」を開催すると発表した。同プログラムは、村田製作所のセンサと無線通信モジュールを活用したハードウェアの開発を目指す企業・個人を対象としたもので、審査通過者に対して試作品製作段階におけるセンサ、無線通信モジュールなどのサンプル提供や技術サポートを行う。また、審査を通過した対象者は、サイバーエージェント・クラウドファンディングが運営する「Makuake」において、クラウドファンディングプロジェクトを実施することが可能。これにより、クラウドファンディングによって集めた資金を、製品の開発・改良にあてることができるほか、試作品開発段階でプロジェクトに支援をしたサポーターの意見を聞くことができる。募集期間は1月26日~2月29日。その後、書類による一次選考、ヒアリングによる二次選考を経て、4月22日に審査通過者が発表される。審査通過者は5月31日までにプロトタイプの開発を完成させ、6月にクラウドファンディングを開始させる予定となっている。なお、最優秀賞1組には賞金100万円、優秀賞2組には賞金50万円が授与される。
2016年01月26日