日本一のミスキャンパスを決める「MISS OF MISS CAMPUS QUEEN CONTEST 2021 supported by リゼクリニック」が2日、都内で行われ、埼玉県出身で東京大学1年の神谷明采さんがグランプリに輝いた。2003年度より開催され、今回で18年目を迎える同コンテストは、全国のミスキャンパスの中から日本一のミスキャンパスを決めるというもの。過去の同コンテスト出身者にはNHKの杉浦友紀アナウンサーやタレントの福田萌を筆頭に後に活躍するアナウンサーやモデル、タレントなどを輩出している。この日はファイナルまで残った10人の全国予選出場者が勢揃いし、東京大学1年の神谷明采さんが見事グランプリの座を射止めた。グランプリ以外にもテレビ朝日アスク賞、Heather賞、ミスリゼウォーク賞と合わせて4冠を達成した神谷さん。「本当にたくさんの方々が応援してくださいました。貴重な機会を頂けて本当にありがとうございました。応援してくださった皆さんに感謝しております」と喜びを語った。1年間の浪人を経て東京大学に入学したという神谷さんは「大学1年でメイクもしたことがなかったしインスタも高校卒業するまでやったことがありませんでした。みんなが当たり前にしていることを知らなかったので、その勉強が大変でしたね」と今日までの過程を振り返り、「夢は人を笑顔にしたり幸せにすることです。人を幸せにする仕事に就きたいと思います。アナウンサーだったり芸能界もあるんじゃないかなって思ったりします。具体的にこれをやりたいというものは明確にありませんが、人を笑顔にしたいですね」と今後の夢を明かした。その神谷さんは番組の収録で奇しくもこの日にMCを務めたNON STYLEの井上裕介と共演経験も。井上は「番組でご一緒し、その時は神谷さんが特技で腕縄跳びをやってパンツ丸見え(笑)。あの時の雰囲気と全然違うからびっくりしました」とあまりの変わりように驚いたという。一方の神谷さんは「本当に優しくて、この前の収録の時も助けて頂き、本当にありがとうございました」と話した。また、準グランプリには学習院大学3年の小川奏さんとともに関西学院大学2年の山本瑠香さんが受賞。山本さんは元AKB48のメンバーで、大学卒業後はアナウンサーを目指すという。「8月に関西のキャンパスで行われてグランプリを頂けたのでこのステージに立つことが出来ました。本当にありがとうございます」とこれまでサポートしてくれたファンに感謝し、「長所はポジティブなところ。井上さんが出版された『スーパー・ポジティヴ・シンキング』を読んで頑張りました。こういう賞を頂けてうれしいです」と笑顔を見せていた。なお、グランプリ、準グランプリ以外は審査員特別賞に関西学院大学3年の松本美紅さん、同志社大学2年の木原渚さん、立命館大学2年の仲間由依さん、ミスリゼクリニック賞に関西学院大学2年の山本瑠香さん、フジテレビアナトレ賞に立命館大学2年の仲間由依さん、MISS COLLE賞に関西大学2年の加藤千絢さん、mysta賞に同志社大学2年の木原渚さん、Nowme.by RUNWAYchannel賞に関西学院大学3年の松本美紅さん、クレームオブール賞に桜美林大学2年の犬塚花菜子さん、ANNIVERSAIRE賞に同志社大学2年の木原渚さんが選ばれた。また、この日は日本一のミスターキャンパスを選ぶ「MR OF MR CAMPUS CONTEST 2021 supported by メンズリゼ」も行われ、立教大学4年の鈴木廉さんがグランプリを獲得。準グランプリには学習院大学2年の福島有稀さん、拓殖大学2年の金井優希さん、審査員特別賞には慶應義塾大学2年の白木慈恩さん、千葉大学4年の大崎智也さん、桜美林大学3年の米倉聖真がそれぞれ選ばれた。
2021年03月03日新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の流行を受け、政府は緊急事態宣言の対象を全国に拡大。2020年4月16日から、ゴールデンウィーク最終日に当たる5月6日までの期間、不要不急の外出などを控えるよう人々に呼びかけました。その結果、多くの人が自宅で過ごすことを選択し、感染拡大の防止に協力しています。しかし一部では、「自粛期間の後が本当のゴールデンウィーク」「自粛期間が終わったら、どこへ遊びに出かけようか」という話題で盛り上がっている人たちも。東京大学大学院のTwitterが注意喚起東京大学大学院、理学系研究科・生物科学専攻が、Twitterアカウントを同年4月20日に更新。緊急事態宣言が解除された後の行動について、人々に注意を呼びかけました。【新型コロナウイルス】緊急事態宣言が解除された後も行動自粛を継続しなければ、約二週間で感染者数が元の数まで増えてしまいます。『行動自粛を継続することが大切です』生物科学専攻・大橋順准教授 pic.twitter.com/mLSIyrFh6F — 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻 (@UTokyo_BS) 2020年4月20日 『行動自粛を継続することが大切です』という、生物科学専攻である大橋順准教授の言葉を投稿。併せて、緊急事態宣言の期間後すぐに元の生活に戻ると、2週間ほどで再び感染が拡大してしまう危険性について説明しました。投稿を見た人々は、さまざまな反応をしています。・いいタイミングの警告!・怖いのが、「5月6日でコロナウイルスが終息している」と本当に思っていそうな人がたくさんいること。・自粛期間が明けた日は、『ウイルスが消えている日』ではないからね。また、「そうはいっても、自粛が長引くと経営が苦しい」「職を失ってしまう」と訴える声も。解雇や倒産、収入の激減は深刻な社会問題です。緊急事態宣言の期間後も、人々が外出の自粛を続けるためには補償が必要不可欠といえるでしょう。生活できる環境が整った状態で、他人に感染させないよう人々が活動を自粛することが理想的。誰かの不幸を他人事とせず、助け合いの精神で苦境を乗り越えていきたいものですね。[文・構成/grape編集部]
2020年04月21日世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)。日本では、海外や国内の感染者・死者数が連日報道され、危機感が日増しに高まっています。東京都ほか複数の県は、コロナウイルスの流行にともない、週末や夜間などの不要不急の外出を自粛するよう人々に要請。また、飲食店やカラオケ店の中には自主的に店を閉めるなど、感染拡大防止に尽力しているところもあります。食堂が行った感染拡大防止の工夫東京大学(以下、東大)で情報理工学系研究科の特任講師を勤める、Toshiaki Nakazawa(@Tzawa)さんは1枚の写真をTwitterに投稿。コロナウイルスの対策をした東大の中央食堂の光景が注目を集めました。食堂を上から見た光景が、こちらです。東大の中央食堂のコロナ対策 pic.twitter.com/bgbOWvPIfR — Toshiaki Nakazawa (@Tzawa) 2020年3月30日 座席に、互い違いに『×』マークが貼られているテーブル。真横や真向かいに人が座らないよう、空けておくべき場所にあらかじめ目印を貼っておいたのでしょう。コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、人と人との間は2m以上離れているのが好ましいとされています。施設の規模によっては2m以上の距離を確保するのが困難な場合もありますが、東大の食堂は可能な範囲で人々が密集しないように工夫しているようです。【ネットの声】・さすが東大!コロナウイルスの対策をしているのですね。・全国の食堂や飲食店でやってほしい。・海外の写真で同じような対策を見たことがある。東大もやっているんだなあ。・私の場合、これくらいの対策ではまだ不安…。・もっと感染が拡大したら、さらに進んでテイクアウトだけになるのかな。コロナウイルスへの対応が急がれる日本。東大の食堂と同じような光景が、日本各地で見られるようになる日はそう遠くないのかもしれません。手を尽くして、感染拡大を阻止したいものですね。[文・構成/grape編集部]
2020年04月01日「ASD知覚体験ワークショップ」を通して、それぞれの場で実践できることを考えるLITALICOが東京大学の研究者らとともに取り組む「CREST認知ミラーリングプロジェクト」では、研究内容をより多くの人へ周知し、当事者の生きやすい環境づくりに役立てたいと、「ASD知覚体験ワークショップ」を実施しています。自閉スペクトラム症(ASD)者の非定型な知覚を疑似体験し、当事者への理解を深めるこのワークショップでは、東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構特任教授・長井志江先生による講義やVRを用いてASDのある人の非定型な視覚を疑似体験します。ASDのある人の非定型な知覚を知識として理解するだけでなく体感し、さらに日常の支援を振り返りながら職員同士でディスカッションをし、実際の支援の場でどう生かすかまでを考えます。宮川医療少年院での開催の背景三重県にある宮川医療少年院には、現在、中学生から21歳までの男子、約50名が入院しています。少年たちには、中度から軽度の知的障害や、発達障害、情緒面での課題があります。少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育や社会復帰支援等を行う施設です。各少年院には、矯正教育の重点的な内容と標準的な教育期間を定めた矯正教育課程が設けられています。その上で、入院してくる少年一人ひとりの特性及び教育上の必要性に応じて、個人別矯正教育計画を作成し、きめ細かい教育を実施しています。国内には、現在、本院・分院あわせて49庁の少年院がありますが、「医療少年院」と名が付くのは、「京都医療少年院」と「宮川医療少年院」の2庁のみです。また、医療を専門に行う少年院と、障害に配慮した矯正教育を行う少年院の両者の機能を有する少年院としては、「東日本少年矯正医療・教育センター」があります。宮川医療少年院は、現在、医療を専門に行う少年院ではありませんが、障害に配慮した矯正教育を担っています。宮川医療少年院では、日中、教科学習から職業指導、施設を出た後の就労などにも役立てるような資格取得に向けた取り組みを行っており、特別支援学校のような教育が行われています。授業外でも、共同生活のなかでさまざまな生活指導がされています。今回のワークショップでは、1日目にはまず日々の教育指導・寮生活の中でのさまざまな生活指導に取り組む職員の皆さんが、ワークショップを通してより少年たちの特性理解をすすめ、支援をより深化させる機会として実施することとなりました。Upload By 発達ナビ編集部職員向けのワークショップには、約50名の職員ほぼすべてが参加しました。2日目は少年たちに向けて、発達障害や特有の感覚についての授業を行い、14歳~21歳までの少年たち41名が参加しました。職員対象ワークショップで、VRを通して特有の知覚を知るUpload By 発達ナビ編集部ワークショップではまず、ASDがある人に多い視覚の特性や、感覚過敏についての講義と、講義で紹介した特有の知覚について、VRを使って疑似体験をしました。今回紹介したのは、ASDがある人の中でも多くの人に共通する3つの視覚の特徴です。視覚過敏がある人は瞳孔の調整に時間がかかったり、調整がうまくできなかったりすることがあり、明るいところでの「まぶしく、真っ白になって見える」状況が、長く強く続く。人間の瞳は周辺視野に相当する網膜では色を知覚していないが、中心視野で知覚した情報を脳の中で統合することで、視野全体に色がついているように認識している。視覚過敏がある人は、速い動きのものを見たときなどにこの処理が難しくなると考えられ、今までカラーで見えていた世界が急にモノクロに変わったりすることがある。うるさくたくさんの人がいるなど動きが多くある場所だと、視覚に砂嵐のようなノイズが重なって見えることがある。そのため、周りの人の顔などもよく見えない、落ち着かないといった状況になりがちである。参考:「自閉スペクトラム症の人が見ている世界」の疑似体験で、行動の意味や困難さを理解する取り組みとは?こうした感覚について、科学的な根拠を頭で理解し、またVRで体感するという両面からのアプローチを行いました。Upload By 発達ナビ編集部講義を受け、疑似体験をした職員は、それぞれ実際の指導の場面や少年たちの感覚の過敏さなどについて具体的な事例に絡め、考えを深めていきました。グループに分かれてのディスカッションでは、支援の中でどのような配慮ができるのかなど、一人ひとりの特性を思い浮かべながら話し合いが行われていました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部その中で、職員の皆さんから長井先生へ、さまざまな質問が寄せられました。その一部を次に紹介します。Q.(自分は大きな声を出すのに)他の人の声は嫌と言う場合がある。なぜでしょうか?A.自分の声は予測できますが、他人の声は予測できません。ASDがある人にとって、予測ができないものは不安を感じやすいので、周りの声や物音が我慢できないとき、自分が大声で叫ぶことで相対的にまわりの音を小さく、予測しやすい自分の声だけが聞こえるようにしているのかもしれません。Q.過敏さは本人の心構えではどうにもならないのでしょうか?A.何度も経験をして慣れることで、周囲の環境が予測できるようになり、自分なりの対処法が分かってくることもありますが、外的な刺激は基本的に予測することは難しいので、心構えだけでは対応できないこともあるでしょう。ノイズキャンセリングのヘッドフォンやサングラス、蛍光灯ではなくLED照明にするなど環境を整えてあげることも大切です。Q.感情のたかぶりは、知覚の過敏さに影響するのですか?A.科学的データとしては取っていませんが、当事者へのヒアリング等から、疲れたときなどは過敏さが増すと考えられます。また、脳が興奮しているとき、脳の活動がたかまっているときには過敏症状も起こりやすいのではないかと考えています。Q.自閉傾向が強かったり、知的障害が重いほど感覚過敏も強いのでしょうか?A.自閉傾向と感覚過敏の大きさの相関関係は見つけられていません。視覚過敏・聴覚過敏は個人差が大きく、自閉傾向がない人であっても過敏性がある場合もあります。見え方とIQの相関関係は現在のところ分かっていません。Q.自閉症(ASD)がある人は瞳孔の開閉スピードが遅いということだったが、時間をかければ最終的に瞳孔の開き具合は通常の範囲になるのですか。A.調整に時間がかかるだけでなく、通常10-5の範囲での絞りが可能だとした場合、10-8までしか調整ができないという人もいます。調整能力が弱い人の場合、いつまでも眩しく感じることはありえます。Q.少年たちの中には「ものが歪んで見える」という者もいます。先生の実験の中に、歪んで見えるという例はありませんでしたか?A.私たちの実験ではありませんでしたが、統合失調症に関する他の研究で、実際に存在しないものが見えるという発表もあります。脳は、環境から入ってくる信号を単純に受け入れるだけでなく予測して見ていますが、この予測がものすごく強くなってしまうと幻覚のようなものが生じます。エッジがとても強調されて見えるという場合があることを考え合わせると、歪んだ見え方がおこる可能性もあるのではないかと考えています。3時間以上に及ぶワークショップを終え、職員の皆さんが支援にどう生かしていけると考えたのか、インタビューをしました。Upload By 発達ナビ編集部編集部(以下、――)どのような職務で、どのような支援をしていますか?永井:少年の日常生活指導、改善・更生の指導をしています。寮舎担任として、15人くらいの少年をみています。――今回のワークショップに参加して、どのような支援につながると感じましたか?生活面では、少年同士でのトラブルも多々起こりますが、中でも生活音にまつわるトラブルがよくあると感じています。音がうるさくてつらい、でも知的障害なども影響し、その原因と対処法をまわりに伝えることができないので「イライラする」という言葉でしか表現できない少年もいます。今回のワークショップを受けて、少年たちの言葉をそのままに受け取るのではなく、その裏にある「イライラする」の原因を想像しないといけないと改めて感じました。――見え方についても課題や、どのような支援が可能だと思ったか、教えてください。音であれば周りの人も理解しやすい面もあるけれど、光や見え方でのつらさはまわりも理解しづらい面もあります。見え方の違いも個人差があると思うので、どういう風に見えているのかといったことも丁寧に確認をしないといけないと思いました。ただ、少年同士となると、(物音を立てると相手がつらいということはある程度理解できるかもしれないが)「見え方にもそれぞれ違いがある、こういう環境がつらいとおもう人もいる」ということを理解させるのは難しそうだなという思いもあります。Upload By 発達ナビ編集部――どのような職務で、どのような支援をしていますか?退院後の居場所の確保や帰住先の確保などを行っています。少年たちと個別面談を行う機会も多くあります。――今回のワークショップに参加して、どのような支援につながると感じましたか?面談などをすることが多いのですが、大切な話をしていても、物音などの刺激で集中できない様子が見られることが多くあります。聴覚の過敏さや、聞き取りにくさから集中できていないのかもしれないと分かったので、面談する部屋の環境調整等、できる限り配慮したいです。見え方、聞こえ方は、どうしても「このくらい聞こえるだろう、見えるだろう」という風に自分基準になりがちですが、少年たちの特性を踏まえて対応していきたいと思いました。VR体験では、感覚の過敏さがあると、外出するのも、対人関係の形成も、しんどそうだということを体感しました。Upload By 発達ナビ編集部――どのような職務で、どのような支援をしていますか?入院してすぐの環境面の支援、退院後の帰住先の確保、保護者との調整等を行っています。――今回のワークショップに参加して、どのような支援につながると感じましたか?指導の中で、「なぜダメなのか、なぜそれをしてはいけないのか」を常に伝えていますが、こちらから伝えてもなかなか本人の意識を変えることが難しいと感じています。ワークを受けて、少年たちにこうしたことを伝える際に、本人たちがその言葉を受け止められるような伝え方も大事なのだと思いました。例えば、自分は大声で叱っているつもりはなくても、少年たちは叱られていると感じてしまうかもしれず、そうすると心を閉ざして言うことを聞きたくなくなるかもしれない――今後は、照明や声量などにも気をつけて、怖そうに見えていないか少年たちの気持ちをより想像しながら支援していきたいなと思いました。少年たちへの授業では「自己理解」をすすめてUpload By 発達ナビ編集部2日目のワークショップでは、約1時間かけて少年たち向けの授業を行いました。一部の生徒には、VRも体験してもらいました。授業では、・発達障害と感覚過敏についての基礎的な講義・ASDがある人の視覚や当事者による日常生活での困難と対処法に関する映像の視聴・自分自身の感覚や対処法に関するワークなどを行いました。少年たちも積極的に発言を行い、自分自身の感覚を改めて考え、なぜ辛さがあるのかなどの原因を考える機会となりました。Upload By 発達ナビ編集部授業のあと、少年たちは学んだことをそれぞれ言葉にして整理をしました。そこで書かれた内容の一部を紹介します。自分の感覚が理解されにくい、特異であることに気づき、困難さを抱えていた生徒たちは、感覚の過敏さの原因や、どのように対処している人がいるのかについて具体的に知ることで、気持ちが軽くなったり、自分なりの対処方法を見出したいと感じたようです。「いつも自分だけの考えだけだったので、いろいろな人がいるのだということを知りました。こういうことを教えてくれる人は今まであまりあったことがないので、すごくうれしかった反面、すごく悔しかったり悲しかったりしました。自分もそうなのですが、周りの音がうるさくてわずらわしいと思ったりしていましたが、自分だけがこんなことになってしまっているわけではないと知って正直うれしかったです。(中略)自分よりももっとひどい状況の中でしっかり対処をさがしてそれを実行している姿を見て、自分もがんばって色々なことをしなければいけないということを教えてもらったと思います」「ASDを僕も持っているのですが、聴覚が少し鋭くて、他の人が気づかない音が気になったり、そのせいで人の話に集中できないことで悩んでいたけど、僕よりも困っている方がいるんだと知れて、少し気持ちが楽になった。将来、VRのように視覚に信号を入れるのではなく、脳に直接信号を入れたり、脳に入ってくる信号を経験したりする機械というかアイテムみたいなものができればいいなと思ったし、そのようなものを作る仕事をしてみたいと思いました」感覚の過敏さがない生徒たちは、共同生活する仲間をはじめ、社会の中にはさまざまな感じ方をする人がいるのだということを認識し、どのように配慮すればいいのかを考えるきっかけになったようです。「自分の感覚とちがうのでいろいろ見て聴いてびっくりしました。(中略)自分でも考えられないような行動をする人たちがどのような気持ちで生活をしているかちょっとは学べたので、そういう人がいたら手助けできるようがんばります」「ああいう人からしたら、暴走族とか、もっとうるさく聞こえたりすると考えると、少しためらってしまいます」人はそれぞれ違うということを改めて理解し、自分自身も、周りの人も、それぞれ尊重すべき存在であることに気づく姿もありました。「(略)一人ひとり一緒ではない。自分にしかない世界を守りたい。大切にしたい。VRをしてみてパニックになることは悪いことじゃないと思いました。これからもっと理解される世の中になってほしいです」少年たちそれぞれが抱える生きにくさを改めて整理し、考えるきっかけともなったワークショップでした。CREST認知ミラーリングプロジェクトを通して、社会の理解を深めていく今回は、医療少年院という施設で、日々少年たちと向き合う職員の皆さんが、特性への理解を深め、より少年たちに寄り添う指導・支援のきっかけとなるワークショップを行いました。職員の皆さんからは、「どのような感覚のつらさがあるのかを体感できた」「声のかけ方や部屋の環境調整などに配慮したい」「ASDの有無にかかわらず、一人ひとりの個性にもっとフォーカスし、理解し、寄り添うようにする」といった声がたくさん上げられました。また、少年たちに向けては、発達障害や感覚の過敏さについての基礎的な知識と、自分自身をみつめるワークを行うことで、少年たちがそれぞれの特性を改めてみつめ、自分なりの対処方法をみつける時間となりました。知的障害や発達障害などのために、どうしてそのように感じるのか、どうしてこうした行動をとるのかを説明することが難しい少年も多くいます。生活のさまざまな場面、面談や授業の教室の環境――少しの配慮、環境調整によって生きづらさが軽減し、より支援が生きていきます。また、少年たち自身も自分なりの対処方法を身につけることで、社会の中でより生きやすくなるでしょう。CREST認知ミラーリングプロジェクトでは、今後も、学校や施設、企業などでワークショップを行っていきます。その様子を今後も報告していきますので、楽しみにしていてくださいね。
2019年12月27日東京大学の特任准教授・大澤昇平氏が12月1日、Twitterで自身の「中国人は採用しません」といったツイートに対し謝罪。しかし、物議を醸している。ハフポストによると東京大学で人工知能とウェブに関する博士号を取得した大澤氏。さらに世界中と協力してAIを制作するプラットフォーム「Daisy」を開発するための株式会社Daisyの代用取締役CEOも務めている。11月20日、自身の会社・Daisyについて《中国人は採用しません》《中国人のパフォーマンス低いので営利企業じゃ使えないっすね》とツイートしたという。差別的なツイートに対し批判の声が上がるなか24日、東京大学側は大澤氏についてであるとは明言しなかったものの「特定短時間勤務有期雇用教職員(特任准教授)による、特定個人及び特定の国やその国の人々に関する不適切な書き込みが複数なされました」とし、書き込みについて「たいへん遺憾」とする声明をホームページで発表した。しかし、東大の対応に厳しい声が上がった。東大は声明で「当該教員個人または兼務先組織に関するものであり、学環・学府の活動とは一切関係がありません」とし、即座に大澤氏と距離を取ったためだ。そのため、こんな意見が上がっていた。《東大の教養教育を受けていない編入生だったから差別発言をするようなことになると言わんばかりのまとめ方には、全く同意できません》《東大はあんな責任逃れのコメントではなく、ちゃんとした対応や対策をとらないと『大澤』もろとも『世界の笑者』、『軽蔑』の対象になることを理解(認識)しているのだろうか?ひいては『日本全体の印象』も落としめるということを分かっているのだろうか?》そして、こんな余波も生まれた。「大澤氏の担当する東京大学院寄付講座に寄付をしている複数の企業が『寄付を停止する』と次々に発表したのです。大澤氏は『株式会社Daisyの代表という立場からの発信』『不当な数のテロリズムに屈するつもりはない』などと投稿しましたが、Daisyと提携していたスイスの企業も『人工知能があからさまに差別する人によって開発されるのは恐ろしいことです』という代表のコメントともに提携の解消を発表しました」(全国紙記者)すると12月1日に大澤氏は《この度は当職による行き過ぎた言動が、皆様方にご迷惑、不快感を与えた点について、深く陳謝します》とツイート。そして、こう続けた。《一連のツイートの中で当職が言及した、特定国籍の人々の能力に関する当社の判断は、限られたデータにAIが適合し過ぎた結果である「過学習」によるものです》また《平素よりウイグルやチベット、そして香港の人々には共感しておりました。が、その義憤が、今回の行き過ぎた言動に繋がってしまった点は否定できません》とコメントし、《しかしながら、独裁に抗議するのであれば別の表現をするべきであり、その点に配慮がなかった点について深く反省しています》と投稿した。「深く陳謝」したものの、差別的な投稿について「AIの過学習によるもの」としている大澤氏。《差別発言をAIのせいにすれば、「人を差別するAI(ターミネーター)なんて作らない方がいい」って事になり、AI研究に誰も援助しなくなる》《差別のきっかけはAIじゃなくて自分の失敗ですね》またウイグルやチベット、香港といった地域のための「義憤」としたことにも《えっ、その意味で雇用の除外の話をしていたのですか》《中国政府への義憤を中国人全般にぶつけるのは悪手でしかありません》と否定的な声が上がっている。
2019年12月02日「それまでどんなに頑張ってもやせなかったのに、スパイスカレーを食べるようになって、1年で7キロも体重が落ちたんです」こう話すのは、東京大学大学院で食品科学を研究する、スパイス研究家の印度カリー子さん(22)。大学院での研究テーマはズバリ、「肥満症とスパイスの関係」だ。幼いころから食べることが大好きで、3年前までは現在のスッキリ見た目からは想像もできないほど太っていたそう。高校時代は体重の重みから足がしびれ、立っているのもつらいほどに。そんな中、出合ったのがスパイスカレー。大学1年生当時、一緒に暮らしていたインドカレー好きの姉のために作り始めたのがきっかけだ。「スパイスカレーを食べ始めて気づいたのが、まず、食後に甘いものを食べたいと思わなくなったこと。そして、食後にジョギングすると、驚くほど汗が出たことです」スパイスのダイエット効果というと、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンによる代謝アップや脂肪燃焼効果がよく知られているが、カリー子さんが注目するのは、スパイスが脳に与える影響だ。「スパイスカレーは和食と比べると、その鮮やかな色彩と強い香り、刺激的な味で視覚、嗅覚、味覚をより刺激します。とくに辛さは舌の痛点で感じるので、より多くの感覚で味わうことに。五感を総動員して味わうと食事の満足度が高くなり、食後に甘いものを脳が求めなくなるんです」食べ終わると、不思議と元気が湧いてくる感覚にも注目。「カプサイシンの刺激により、脳内に分泌されるβエンドルフィンによる効果と考えられます。これはモルヒネ様物質といわれ、分泌されると多幸感に包まれるんです。スパイスカレーを食べれば、デザートなしでも満足でき、ダイエット時の物足りなさによるストレスも感じません。だから、リバウンドもなく自然とやせられるようになるんです」
2019年08月02日東京には23区あります。今回は東京大学や湯島天神があり、人気の観光スポットとなっている文京区、そして、中央線沿線にある地元愛を強く感じる街が多いちょっとおしゃれな杉並区から、ほっとするお店をご紹介します。 千駄木『TAYORI』 谷中の人気商店街「谷中銀座」の小さな路地を一本入ったところにある、小さなお店『TAYORI』。そこは、ゆったりとした時間が流れ、ほっと一息つけるような温かさのある場所でした。千代田線千駄木駅から4分、JRの日暮里駅からも徒歩5分ほどのところにあるのが、谷中銀座商店街。平日も、休日もここだけは日本人だけでなく、外国の方でもあふれかえっています。まさに、東京の東エリアの観光名所といえるでしょう。 人の往来が多い、谷中銀座商店街。 せわしなく買い物をする人たちを横目に、商店街を歩いていき、小さな路地に入ると、今回のお目当てのお店がありました。 郵便屋さんがお便りを運んでいました。 名前は「TAYORI」。生産者の方と、食べる方をつなぐ、まるで“お便り”のようにつながっていってほしい、という願いを込めてつけられました。こちらでは、お惣菜とお弁当、そして珈琲などを買い、楽しむことができるお店です。店内は古民家を改装したのでしょうか。天井の高い空間の中に、おしゃれなインテリアが並んでおり、一目で「あ、この空気好きだ」と感じることができました。 来店したのが平日の夕方、ということもあり、店内には仕事の打ち合わせをする女性たちや、子ども連れで来ていたママさんなどがいらっしゃいました。わたしは夕食前ですこし小腹が空いたころ。スコーンのセットとコーヒーをいただくことにしました。 ブルーベリーのジャムが、甘すぎず、すっぱすぎずちょうどいい感じ。ふわっふわの生クリームもべとつかないので、ナイフでさっくりとって、思い切りよくスコーンにかぶせます。プレーンのスコーンは風味も豊かで、すっかりとりこになってしまいました。ほかのメニューも見てみると、ビールや地酒のアルコール類やおつまみなども充実していそう。夜ご飯を作るのが面倒な時、こんなお店が近くにあったらきっと通ってしまうだろうなぁ。カウンターの方には、こちらも旬の食材を取り入れたお惣菜がずらり。野菜をたくさん使っているので、体にもよさそうですし、自分ではなかなか作らないようなメニューが並んでいたので、「今夜のおかずにもう一品」というときにもよさそうです。 *ここは、同じく千駄木にある「HAGISO」や「HANARE」というカフェや宿泊施設を運営している方々が新しく始めたお店です。自分たちで「この街にあったらうれしいよね」と思うものを作り続けていることを、今回改めて体感したような気がします。街を面白がって自分たちで作っていくのは、とってもかっこいい。 全国各地の食材や調味料などが並んでいました。どれも、デザインもおしゃれなものばかり。 *一人になりたいとき、考え事をしたいとき、ちょっと自分を甘やかしてあげたいとき……。そんなときにはここに来て、生産者の方々に思いを馳せて、ありがたくご飯をたべるのもいいものですね。 TAYORI東京都台東区谷中3-12-4阿佐ヶ谷喫茶『gion』 阿佐ヶ谷に住む地元の人に愛され、創業39年の喫茶店、『gion(ギオン)』。名物のナポリタンだけではなく、その空間自体に惹きつけられてしまう、その魅力を堪能してきました。 阿佐ヶ谷に行ったら必ずここへ行こう、と決めていた場所。それが今回ご紹介する、喫茶店「gion(ギオン)」。何かおすすめの店がないかと阿佐ヶ谷に住んだ経験のあるgoodroomのスタッフに聞いたときに、みんながそれぞれに出した名前がgionだったのです。 阿佐ヶ谷駅北口。この先に大きなアーケード街がある。 JRの阿佐ヶ谷駅の北口を出てすぐに右折し、高架下のほうへ向かうと、徒歩1分ほどの場所にあります。 うっそうと茂った古いビルの1階。gionという名のついたネオンが見えなくなるほど、緑が灰色の壁を取り囲んでいました。 少し重たい扉を開けて店内に入ると、そこは異世界。少し暗く、赤や緑のステンドガラスに囲まれた照明、ピンク色の壁。さっきまであった日常から、ひとたび別の次元に飛び込んできてしまったような。そんな空間です。 ランチタイムを少し過ぎたころでしたが、店内にはサラリーマン風の談笑する男性たちや、一人で新聞を読む年配の女性など、様々な方が思い思いの時間を過ごしています。わたしは一人、カウンター席に通され、使い古されたクリアファイルケースに入ったメニューの中から、ナポリタンとアイスコーヒーを注文しました。そう、こういった喫茶店に来たらナポリタンを注文すると決めているのです。 なんと深夜2時まで営業しているというから驚き。夜はお通しやお酒が出るので、きっとまた別の空間となって生まれ変わるのでしょう。そうこうしているうちに、ナポリタンがやってきました。1プレートの中には、ナポリタンだけじゃなく、キャベツのサラダと卵サラダがたんまりと乗っていました。これはうれしい。サンドイッチの中に入っているような甘くて優しい味の卵サラダに思わず笑顔がこぼれます。 肝心のナポリタン。なんだかイメージしていたのとちょっと違う。ケチャップがたっぷりついたそれではなく、ところどころに焦げ目がついていたりして、しっかり炒められている。麺自体もぽってりとしたものではなく、細めの麺。これまで食べてきたナポリタンとの違いにおそるおそる口に運ぶと、しっかりソースの味が付いていて、ピリリとコショウのアクセントもいい感じ。味わい深い、まさにgionオリジナルのナポリタンのようです。しつこさもないので、いくらでも食べてしまいそう。ぺろりとたいらげてしまいました。 *もし誰かが「こんなお店を作りたい」と思ったとしても、それは難しいんじゃないかなぁ、とわたしは答えると思う。ここにある一つ一つの雑貨やたたずまい、働く人、お店のルールを守るお客様。そのどれもが、一朝一夕で生まれたものではなく、長くこの場でやってきたからこそ生み出されたものだと思うから。カウンター席に座りながら、お店のひとつひとつに想いを馳せながら、一人でも心地よい贅沢な時間に、ごちそうさま。今度は夜に来てみたいな。また違った雰囲気で、ここで待っていてくれるのだろうな。 gion東京都杉並区阿佐谷北1-3-3 川染ビル 1F出典: goodroom journal 記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)デザイナーズ、リノベーションなど、おしゃれな賃貸サイト・アプリ「goodroom」を運営しています。インテリアや、ひとり暮らし、ふたり暮らしのアイディアなど、賃貸でも自分らしい暮らしを楽しむためのヒントをお届けします。おしゃれ賃貸サイト・アプリ goodroom journal journal 暮らしの実例
2019年05月27日子どもは時に、大人をハッとさせるような疑問を投げかけてきます。その疑問に正確かつ誠実に答えようとすればするほど、「この答えは本当に子どもに響いているのかな?」「ちゃんと納得できたかな?」と不安になってしまいますよね。今回は、いつの時代も大人を悩ませる子どもの疑問、「どうして勉強しないといけないの?」について、とことん考えてみましょう。「将来のため」はNGみなさんも子どものころ、親御さんに「どうして勉強しないといけないの?」と聞いたことはありませんか?すると、このような答えが返ってきたのではないでしょうか。「いい大学に入るためだよ」「今のうちに勉強しておかないと後で苦労するよ」「なりたい職業につくためだよ」確かにその通りですね。大人になってみると、学生時代にしっかりと勉強することの大切さや意味を実感することも多いはずです。でも、はたして、その回答で子どもは本当に納得し、勉強に対するモチベーションが上がるのでしょうか。ふくしま国語塾主宰のカリスマ教師・福嶋隆史先生は著書の中で次のように述べています。「「将来のためだから」と言われても、たいていの子どもは何年・何十年も先の自分の “将来像” をイメージすることなどできないので、あまり良い答えとは言えません」また、教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこさんは、勉強に悩む多くの中高生から相談を持ちかけられるそうです。そこで出たひとつの結論を紹介します。優秀な子供が勉強する目的を見失った時に、大人が「試験のため」「知名度の高い大学へ行くため」「裕福な生活をするため」と言って丸め込もうとすると、親の期待とは正反対のところに着地するケースは少なくない。そうした大人の意見は、幸せに至るひとつの“手段”であって、人生の“真の目的”ではないから子供の疑問解消には至らないのだろう。(引用元:PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3)ただ漠然と「将来のため」と言い聞かせても、いま現在勉強の意義について疑問を感じている子どもにとっては、納得のいく答えではないようです。ではいったい、どのような回答が望ましいのでしょうか。「勉強する意味」の答えはひとつじゃないここからは、教育のプロや各界の著名人が「人生の先輩」として考えた回答を見ていきましょう。■広い視野で世界を見るため前出の鳥居さんは、藤沢市の聖園女学院中学・高校の校長、ミカエル・カルマノ神父に「人はなぜ勉強しなければならないのでしょう?」と問いかけたところ、次のような答えが返ってきたそうです。「勉強は自分の窓を開けるということです。学ぶことで、今まで見ていたものとは違う何かを見ることになります。視界を広げるために学ぶのです」■子どもの「生きる力」を引き出すため教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、勉強とは「生きる力を引き出すこと」だと説きます。もともとeducationの語源はラテン語のdocere(引き出す)であるという説があります(アルク語源辞典より)。子どもにインプットするのではなく、アウトプットさせるように仕向けるという意味です。それが正しいとするならば、「未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力」こそ、どんな状況の中でも「生きる力」であり、それを引き出すことこそがeducationの本来の意味だといえるのではないでしょうか。だとすれば大人がすべきことは、子どもに「生きる力」を授けることではなく、子どもの「生きる力」を引き出すことであるといえるはずです。(引用元:おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.)■生きるうえで役立つものを選ぶため将棋棋士の羽生善治さんは、道徳について考える本の中で「どうしてお母さんは、ボクの嫌いな勉強をおしつけてくるんだろう?」という子どもの疑問に対して、「たくさんのことを知ると生きていく上で役に立つから」と答えています。この世界にはたくさんのものがあります。目に見えるもの、見えないもの、手にふれられるもの、ふれられないもの、その一つひとつを知ってゆくのが勉強で、外で遊ぶのも勉強です。お母さんは世界のたくさんのことを知ってほしいのです。それが大きくなって大人になった時に生きていく上でとても役に立つ事を知っているのです。たくさん勉強して、たくさん遊んでできるだけたくさんの事を知ってください。そして、大人になったときにいらないものは自分の判断ですべて捨てて、残ったものがあなたが勉強したものです。(引用元:文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.)■これからの時代に必要な能力を伸ばすため東京大学名誉教授で教育学者の汐見稔幸先生は「なぜ勉強するのか」という問いに、「好奇心や思考力、表現力を伸ばすため」と答えています。これからは「教えたことをどのくらい覚えているか」ということを学力の目安とするよりは、「与えられたテーマをどう解決していくか」という思考力や、「考えたことをどう伝えるか」というコミュニケーション力や表現力を学力として考えたほうがよい、としたうえで、「豊かな思考力を身につけるには“思考する練習”が必要」とのこと。つまり、テストで良い点数をとるために勉強が必要なのではなく、もっと広い視野で物事を考え、自分の言葉で表現する手段として勉強することが大切なのです。■“学び方” を知るためまた、筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏は、勉強する理由を「新しいことを考えたり、新しいことを身につける方法を学ぶため」と説きます。新しいことを学ぶ必要がある時に、「どう学ぶのが自分にとって効率的か」を知っていると非常に有利になります。そのためにどうやってその状態に自分を持っていけるかを考えながら、常に勉強し続けることが大事になってくるのです。(引用元:落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.)よく「学校の勉強なんて社会に出たらまるで役に立たない」という言葉を耳にします。しかし「学習する訓練」を怠っていたら、社会に出たときに新しいことを学習する方法がわからないのでつまずいてしまうのです。■たくさん失敗して成長するため教育評論家の石田勝紀氏は、高校受験を控えたある生徒に「勉強の意味」について聞かれたとき、「自分の成長のため」と答えました。さらに「トップ校にいく人と比べて自分ができないという比較ではなく、1ケ月前の自分と比べて成長したのかどうか」が重要であり、途中で投げ出さず、諦めない姿勢を貫くことの大切さを伝えたのです。また、石田氏は「学び=成長は、失敗や間違いから生まれるもの」だとも説きます。「何が学べたか、次はどうすればうまくいくか?」に焦点を当てるようにすれば、子どもの中に「自分はできる」という自信や希望が芽生えます。そのことを目の当たりにしてきた先生ならではの回答ですね。大事なのは「ごまかさないこと」これまでご紹介してきた“教育のプロ”の回答を参考にして、いくつか答えを考えてみました。ぜひ参考にしてみてください。これから〇〇くんはたくさんの人と出会うよね?その中には、自分とはまったく違う考え方の人もいるかもしれない。そういった人たちとも一緒に遊んだりお話したりするときに、それまで勉強してきたことが役立つんだよ。知らないことを知るって楽しいことなんだよ。ワクワクして「もっと知りたい」って自然に思えることが本当の勉強なんだ。だから、勉強は「楽しむため」にするんだよ。頑張って続けてきたことは、いずれ必ず大きな花を咲かせる。スポーツでも習い事でも、「もうやめたい」って諦めそうになっても頑張って続けることが大事。勉強だって同じだよ。勉強する内容よりも大事なことは、勉強を続けること。続ける力をつけることだよ。途中で投げ出したら何にも残らなくなっちゃうから、目の前の課題をコツコツこなしていけば、いずれ大きな宝物になるよ。これらはほんの一例です。もしお子さんが納得できなければ、親子で一緒に考えてみましょう。お子さん自身が勉強の意味について深く考え、向き合うことが、答えを導き出す唯一の方法です。***大人は子どもの疑問に完璧に答えられなきゃいけない!とプレッシャーを感じていませんか?だからといって、ありきたりな言葉で適当にごまかしても、子どもはすぐに見抜きます。それよりも「お母さんもわからないから一緒に考えてみよう」と提案しましょう。(参考)福嶋隆史(2010年),『わが子が驚くほど「勉強好き」になる本』,大和出版.PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.汐見稔幸(2008年),『汐見先生の素敵な子育て「子どもの学力ほ基本は好奇心です」』,旬報社.落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.東洋経済ONLINE|「勉強する意味は?」と問う子に刺さる言葉東洋経済ONLINE|子どもに「夢を持て」と言う前にすべきこと
2019年03月09日「全国で約3,000万人の腰痛持ちがいるとされ、国民病ともいわれる腰痛。その解消には正しい知識を持つことが重要です」そう語るのは、東京大学医学部附属病院特任教授の松平浩先生。多くの人を悩ませる腰痛。だが、誤った知識を持っている人がまだ多いという。そこで、松平先生に腰痛の最新常識について聞いた。腰痛になると、ひとまず安静にしようとする人が多いが……。「腰痛持ちの人にとって“安静第一”は百害あって一利なし。急性の非特異的腰痛であるぎっくり腰でも、欧米の多くのガイドラインでは“3日以上安静を指示すべきではない”とされています。鎮痛剤を投与しながら,可能な範囲で動いたほうが、スムーズな回復が望めるのです。また、痛いからといってすぐに横になったり、運動を回避したりしていると肥満になり、腰痛が悪化する負のスパイラルに陥ることも。よい姿勢での速歩きや水泳など有酸素運動をする活動的な生活をしたほうが、腰痛持ちから脱却する近道です」(松平先生・以下同)腰痛の治療や予防法にも、新常識があるという。「椎間板の中心にある髄核が飛び出す『椎間板ヘルニア』の痛みの実態は、髄核が飛び出したことで起きる炎症による場合が多く、実は数カ月でよくなることも少なくない。つらい坐骨神経痛をともなう大きなヘルニアほど、自然治癒する可能性が高いので、心配しすぎずに過ごすことが肝心です。また、腰痛を予防するためにコルセット(腰痛ベルト)をつけている人も多いと思いますが、最近の研究では、骨盤の上部端のあたりにある側腹部の筋肉と、深部の筋肉の弱体化を招くことが報告されています。長期間のコルセットは、血行不全や痛覚過敏に加え、体幹を弱めるので注意が必要です」あらたな常識を踏まえて、腰痛を解消していきたいもの。松平先生によると、日常生活のなかで積み重なった“腰痛借金”の返済が解消の近道だという。「“腰痛借金”とは猫背など、前かがみ姿勢になることで椎間板にかかる負荷のことです。パソコンやスマホの普及で、現代人は背中をまるめて前かがみになりがち。それだけで、ウエストラインの椎間板には重さ200キロの負荷がかかり、その負荷が借金のように積み重なるとぎっくり腰やヘルニアを引き起こしやすくなります。この“腰痛借金”の返済には、腰痛を過剰に恐れず、適度に猫背をリセットするように腰を動かして、血流をよくすることが大切なんです。そのために効果的なのが、『これだけ体操』です」松平先生が考案した『これだけ体操』を日常生活のなかに取り入れると、コツコツと借金を返済することができるそう。【これだけ体操】1)足を肩幅よりやや広めに開き、膝をできるだけ伸ばし、リラックスして立つ。2)両手をお尻に当て(骨盤を手で押し込むイメージで)、指を下向きにそろえる。3)あごをひき、フーッと息を吐きながら、「イタ気持ちいい」と感じるところまで上体をゆっくり反らす。この姿勢を3秒キープしたら、ゆっくり元に戻す。「予防の場合」は3秒キープを1~2回。「治療の場合」は3秒キープ10回。※体操によって、太ももより下に痛みが出るときは脊柱管狭窄症などの可能性があるので、中止して医師の診察を受けてください。「前かがみになる姿勢が続いたときは、意識してすぐに『これだけ体操』をするようにしましょう。『腰を動かすのが怖い』→『あれ。多少痛いけど動かせた』→『腰を動かしても大丈夫だ』という流れで、自然と自分のなかの恐怖心を取り除くことに役立ちます」腰は体の要。『これだけ体操』で腰痛借金を返そう!
2018年10月29日駒場東大前といえば、渋谷と吉祥寺の中間地点にある学生街。東京大学も近いこの街で一番楽しいお店といえば、〔Ditty.Tools(ディティーツールス)〕かもしれません。店内に入ると、所狭しとアンティークかつレトロな雑貨が並んでいます。これらのアイテムはただ人の興味をひくだけでなく、一定のルールに基づいて選ばれているそう。今回はそんなお店の魅力に迫りたいと思います。下は料理屋、上はおしゃれな雑貨店駒場東大前駅から徒歩3分のところにある、〔Ditty.Tools〕。線路沿い近くにお店があります。料理やの右側には、かわいらしい扉が。こちらが〔Ditty.Tools〕の入り口です。お店に入る前から、ワクワク感が止まりません。店内の様子店内には、1950年代〜80年代の日本やヨーロッパのヴィンテージアイテムが各種取りそろえられています。機能がデザインに反映していたり、何かが何かの形をしていたり。そんなクリエイターや作り手の感性が際立つ、ユニークなアイテムをセレクトしているとのことでした。ヴィンテージでありながら、ひとつひとつが暮らしの中に溶け込む様な遊び心のあるアイテムがそろっています。実は……ある商品にはテーマがあるんですそうした、商品をチェックしていたところ非常に面白い傾向が。店長さんのセレクトの中で、一つの軸となっているのが《企業のアイテム》です。実は一部の商品は、企業のノベルティや限定品、実際に使われていたものなどがアンティークとして販売されていました。お店で取り扱っているノベルティの数々は、特に店主の目利きによる「質の高いもの」や「価値のあるもの」などばかり。なぜこの様なものをつくったのか?というのを想像しながら購入するのもきっと楽しめるはず。企業ロゴも古いマークや社名だったりするので、逆にかっこいい印象を受けることも多かったです。お店の由来お店の名前〔Ditty.Tools〕の由来を伺ったところ、仕事や趣味などで使う道具袋、道具箱のことをDittyBag(ディティーバッグ)やDittyBox(ディティーボックス)と言ったりするので、そこから命名されたとのこと。レトロな製品を日々の生活に役立てたり、楽しんで使う。そんなさまざまなツールをギッシリ詰め込んだお店作りがテーマになっているとのことでした。箸置き?いいえ違いますかわいい木製の箸置き?かと思って手に取ったところ、中が空洞になっている不思議なアイテムを発見。じつはナプキンリングだそう。デンマーク製のチーク材で作られてこのアイテム。ホームパーティなどで活躍してくれそうです。お店の一角にはデーンと「手織り機」が印象的だったのが、レジ内で大きく置かれている手織り機。こちらも商品かな?と思ったのですが、店長自ら織物をされるとのこと。空いた時間などを使ってアイテムを作られているとのことでした。店内には、店長が作成したテキスタイルでできた椅子も販売されていました。お店の商品と合わせて、購入したくなるかわいらしい色合いです。思わず夜にお店に来る人も雑貨屋には珍しく〔Ditty.Tools〕は夜9時まで営業しています。そのため、Instagramなどでお目当ての商品が紹介されたら、夜遅くにお店に立ち寄る人もいるとか。他の人に買われたら悔しい!と感じられる様な、キラリと光るアイテムを取り扱っているのが、このお店の魅力です。アンティークならではの魅力とは店長さんとお話していて印象的だったのが、アンティークをとことん愛してらっしゃるんだなということ。アンティークは何十年、何百年と人から人、国から国へと渡り歩いてきたものが多いです。そのため、温もりのある質感がとても手になじんでくれます。見たことがない、今では1点ものとなってしまったようなプロダクトに出会えたり、その作りから当時の知恵や流行などがうかがえるというのが魅力とのことでした。さいごにお店に置かれている商品ひとつひとつに想像をかきたてるストーリーが満ち溢れています。ぜひ一度お店で手に取ってみてはいかがですか?きっとあなたの想像以上の体験が待っているはずですよ。【店舗情報】●店舗名:Ditty.Tools(ディティーツールス)●住所:東京都目黒区駒場1-27-1-2F●定休日:火曜日(+不定休)●営業時間:13:00~21:00●電話番号:03-3460-7636●HP:●Instagram:
2018年01月24日「あっら~、いらっしゃ~い!」銀座のバー「赤道倶楽部」に入ると、向こうのほうで妖しくも麗しい女性(男性?)がひらひらと手を振ってくれました。金髪にばっちりメイク。タロットカードをめくりつつ、女子たちの恋バナに耳を傾ける、その人の名はムンロ王子。■ムンロ王子ってどんな人?年齢・国籍・性別、不明。東京大学法学部を卒業し、IT企業を経営する傍ら、シャンソン歌手としても大活躍。しかも身長188cmで、ライブではセクシーなドレスを身にまとうパワータロット・カウンセラー…と、とにかく突っ込みどころ満載のお方です。13cmのハイヒールを履けば、身長2m越え!隣りに立つとものすごい迫力で、自分が幼稚園児に戻ったような気分になるのですが…今回は座っているので、そこまで巨大な印象はありません。この日、ムンロ王子に会いに来たのは対面鑑定をしてもらうため。月に数回、開催している占いイベントに予約を入れ、夜の銀座に足を踏み入れたのです。■ムンロ王子の対面鑑定、スタートお店に着いたとき、王子は他の女子たちの占いをしている最中だったので、筆者は一緒に行った職場の女子Y嬢と、とりあえずスパークリングワインで乾杯。何を占ってもらおう?とドキドキしながら、自分の番が来るのを待っていました。前のお客さんの鑑定を終え、ワインで喉を潤したムンロ王子が「どうぞ~、こっちへいらっしゃ~い」と手招き。吸い寄せられるように隣りに座ると「何を占いましょうか?」と大きな瞳で見つめられ…一気に王子ワールドが広がります。占いのテーマは…恋愛?仕事?とちょっと迷いましたが、結局、現状をひととおり観てもらうことに。タロット占いをする際は、自分でカードを切る占い師さんが多い印象なのですが、ムンロ王子の場合は、念を込めるために相談者本人がシャッフルするそうです。深呼吸してからカードを切り、手渡すと、ムンロ王子が「それでは占います」と並べ始めました。現在・過去・未来など8枚のカードがずらり。それを目にするや否や「男の影が見えないわねぇ」とぽつり。仰るとおり、ここ数年、まともに恋愛らしいことをしていません…。■当たりすぎて鳥肌もの?な占い結果それぞれのカードの意味は、・物事に執着すると解決が困難になる・口先だけの人に注意・重い荷物を抱えていて不自由な状態・身勝手な女性に振り回されるなど、ロクデモナイ状況を示すものばかり。「勝利や成就」「恵まれた生活」のような、ラッキーなイメージのカードはことごとく逆位置で、にっちもさっちもいかない感がにじみ出ています。「あなた、忙しいの?重い荷物を持ってて身動きが取れないし、空回りしてるみたいじゃない?恋愛するどころか、プライベートが停滞しちゃってるわよ」なんか、当たっててツラい…。仕事の状況やここ最近の恋愛ステータスなどを話し、「どうしたら…?」と助けを求めます。手短に言うと、仕事が常にバタバタで、出会いがあっても恋愛モードになる余裕がない…そんな感じ。「困った人ねぇ。もっと自分の人生を楽しみなさい。仕事なんてほどほどにしておいて、プライベートを充実させなさいよ。無理なことは無理って言っていいんだから。何でも完璧にやるのは不可能なのよ」厳しくも愛のある口調で言われ、ちょっと涙が出そうに。■論理的だけどあたたかい占い「あなた独身でしょ?結婚願望はないの?この先80歳まで生きるとしたら、まだ何十年もあるわよね。ずっと一人だと寂しいわよ~。仕事はある程度、他の人に任せて早くパートナーを見つけなさい」これを親にでも言われたら、聞こえないふりをしてしまいそうですが、ムンロ王子に言われると、素直に「はい」と答えてしまうから不思議。王子は今年1月から婚活プロジェクトを展開していて、ある女性を彼氏ナシの状態から半年で結婚に導いたそうなので(!)、そっちのほうも面倒をみてもらっちゃおうかな~なんて気分になります。「今は本当に、バタバタしてて余裕のない状況よね?でも、今後、事態が急展開するみたいよ。環境が変わって不安になるかもしれないけど、それはいい変化だから心配しなくて大丈夫」具体的なことは書けませんが、いろいろアドバイスを受け、最後は明るい未来も示してもらって、ほっと一息。論理的だけどあたたかいムンロ王子の占い…パワー不足の人には、特におすすめです!■タロットの結果は偶然じゃない筆者の後は、一緒に行った女子Y嬢も対面鑑定を体験。年上彼氏とラブラブの彼女の占い結果は…「や~だぁ、あなたモテモテじゃない!彼氏以外からもモテてるわよ。こっちの人は恋愛感情はないみたいだけど、あなたのことが大好きだし、この男の子は、かなり本気で狙ってるみたい。ほら、あなたを取り囲む男は全部で4人。魔性の女ね!」なんてことでしょう!聞く気はなかったのですが、あまりに面白そうだったので、つい近くまで行って耳をそばだててしまいます。Y嬢いわく、実際、彼氏のほかに毎月、ご飯をご馳走してくれるオジサマやアプローチしてくる男子がいるのだとか…うらやましい。「あなた自身はちょっとわがままになってるみたいだけど、本命の人ともうまくいってるし、言うことないじゃな~い。あの子(筆者のこと)、男っ気なくてかわいそうだから、一人くらい分けてあげなさいよ」本当、分けてください。その運を。ていうかタロットって、占われている人の状況を如実に示すんですね。これまで、自分の占いではあまりいいカードが出たことがなかったので、誰でもそうなのかと思っていました。現状に満足していなければ、タロットは鬱屈した内面を鏡のように映し出し、ハッピーな状況ならその通りのカードが出る…。シャッフルしたカードを引くだけだから偶然のはずなのに、偶然じゃないって不思議すぎ!高学歴でロジカルシンキングのムンロ王子がタロット占いに惹かれたのも、この不思議さゆえなのかも。■ムンロ王子に会えるチャンス!そんなムンロ王子のパワーは、もちろん1対1の占いでももらえるし、シャンソンのライブでも受け取れます。シャンソンの場合はほとんどエネルギーのシャワーを浴びてる感じですね。そしてこの秋は、占いとマーケティングから得た知識や経験を活かしたトークショーも!未婚の女子をみごと半年で結婚に導いた王子ならではの、説得力ある婚活必勝法を聞けるはずなので、ぜひ遊びに来てください。このイベントでは、抽選で1名様に、ムンロ王子の対面鑑定を受けられる「占いチケット」をプレゼントします♪なお、もう一人のゲストは、テレビでおなじみ、ディグラム診断の生みの親であるディグラム・ラボ所長の木原誠太郎さん。こちらのトークでは、“ありのままの自分”を知って、本当に相性のいい相手を見つける方法がわかります。お二人の対談コーナーでは、事前に募集したお悩みに回答してくれる予定。「出会いがない…」「いつもダメ男と付き合ってしまう…」「結婚にたどり着かないのはナゼ?」などと悩んでいるなら、ぜひ会場でそのモヤモヤを晴らしちゃいましょう!ココロニプロロ5周年イベント「ディグラム×タロット占い」恋愛力を高めるトークショー★ムンロ王子のタロット占いを体感できる全員参加のコーナーも!【プロフィール】ムンロ王子東京大学法学部を卒業してIT企業を経営しているムンロ王子。趣味で始めたタロット占いが評判となり、7年間で占った人は8000人近く。これまでタロット占いを通じてさまざまな人生に触れてアドバイスしてきた教訓を〈シャンソン〉というジャンルの歌を歌うことで広く伝えています。2016年12月25日には日テレの『スクール革命』という番組に「今どきのクセの強い占い師」としてお笑いタレント千鳥のノブくんの2017年の運勢を占い、シャンソンもお披露目しました♪タロット占い、ライブ活動など活動内容はFacebookにて公開中!
2017年08月23日完全会員制オーダーメイドフェイシャルサロン「WIDEAL TOKYO」東京大学のベンチャー企業である遺伝子解析会社と、美容に特化した20項目の肌遺伝子リスクを解析するプログラム「i Manual」を開発した株式会社JNコーポレーション。国際美容コンサルタントが経営する同社では、このプログラムの開発の傍ら、肌遺伝子のリスクタイプ別の化粧品を開発することにも成功。それが化粧品「WIDEAL」。この度、i MANUALとWIDEALを併用して完全オーダーメイドプログラムで施術するサロン「WIDEAL TOKYO」が、7月12日にオープンした。美容もすでに遺伝子解析JNコーポレーションの代表でありサロンのオーナーでもある渡邊純子氏は、数多くの有名化粧品企画開発に携わる傍らエステ店の店長やマネージャーを経験。美容業界の数多ある経験を活かし、国際美容コンサルタントとしてコンサルティング業務などに携わってきた。そんな渡邊氏が、今段階で最終的に行きついた美容の究極的追求の仕方が、遺伝子解析技術。遺伝子レベルで肌のリスクを調べ、一人ひとりに合わせたプログラム、逆をいえばその人にしか合わない肌ケアプログラムを行うことが最も重要だという結論に至ったという。WIDEAL TOKYOでは、まず遺伝子解析プログラムi Manualを用いて遺伝子要因と今の肌をダブル分析。その後、3週間から一ヶ月後を目安に、解析結果をもとにしたオーダーメイドサロン施術の提案を行い、WIDEALと最新美容機器を併用してトリートメントを実施するという。初回カウンセリング自体は誰でも受けられるが、オーダーメイドbの施術を提案してもらうには会員登録が必要。是非あなたも、最新の科学を用いての美肌への道を体験してみてはいかがだろうか。(画像はプレスリリースより)【参考】※WIDEAL TOKYO 公式サイト※WIDEAK TOKYO プレスリリース(Dream News)
2017年07月23日おひとりさまブームが依然として続く中、その真逆の価値観を題材とした『東京タラレバ娘』のヒットには驚かされた。「結婚=幸せな人生」という考え方よりも、多様な生き方が求められる社会になったかと思えば、『東京タラレバ娘』での「東京オリンピックまでに結婚しなきゃダメ!」といった煽りにもまだまだ需要があるのだろう。東京オリンピックに向けて着々と開発が進んでいる街を見て、「一人だけ取り残されている気がして不安」とボヤいたSOLO編集部の編集者O氏の一言がきっかけで、この記事は企画された。「一人暮らしの家に帰った瞬間に押し寄せる不安をどうにかしたい。独り者が快適に暮らせる住環境について知りたい」と嘆くO氏。一人世帯の住環境は、今どうなっていて、これからどうなっていくのだろうか。『ひらかれる建築 ――「民主化」の作法』(ちくま新書)の著者・松村秀一先生にお話を伺った。多様化されつつある一人世帯の暮らし方松村秀一先生(以下、松村)「今の日本には一人世帯が最も多く、ワンルームマンションに住んでいる人がほとんどなので、『一人だけ取り残されている』という感覚は実は間違っているのです。ただ、そういった一人きりで生きていくという不安からなのか、一人世帯の暮らし方が多様化している流れは確かにあります」――それは例えば、どのような暮らし方でしょうか?松村「代表的なのはシェアハウスでしょうね。古くは木造賃貸のアパートとかが一人暮らしの代表的な住まいでしたが、これはトイレが共同だったり、自分専用のお風呂がついていなかったり、自分の部屋だけで完結する快適な一人空間とは言い難かった。そこで登場したのがワンルームマンションで、これは家族が住むような部屋を一人向けに突き詰めていった形態の住居なのです。キッチンを小さくして、部屋の数を減らして、閉鎖的な一人の空間を作り上げたわけです」――なるほど、確かにそうですね。松村「けれど昨今は、一人だからって必ずしも住居の持つ機能をコンパクトにすればいいわけではないことがわかってきたのです。おひとりさまであっても“他人が含まれる空間”に住みたい人は少なからずいるようだ、と。今までは、このような“他人が含まれる空間”というのは、住宅に必要なものだと認識されていなかったんですよね。ここ数年、“住宅”と呼んでいなかったものが、住宅化していっているのです」なぜ“他人が含まれる空間”に住みたいのか松村「“シェア”というのも今の世代特有の価値観だと思います。具体的に言えば、団塊の世代Jr.より下からでしょうか。分け合ったり借りたりすれば事足りると思っていて、住宅の購入についても、無駄だと思っている人が多いんですよ。30歳のうちの息子も、『家なんて買う人がいるの!?』と言っています。僕の買った分譲マンションで育ったにも関わらず、ですよ。同じ価値観を共有してきたはずの家族ですら、家を買うことについての認識がこうも違う」――私もその世代ですが、確かに一生賃貸マンションでもいいや、と思っています。松村「かつては、“自分で所有しなければならない感覚”があったんです。財産などを“所有”することで個を確立し、その家族を守っていた。ですが若い世代は、すでに世の中にストックが溢れかえっている時代に生まれました。そのため、自分で所有するよりも、仲良くシェアしていきましょう、という教育を受けてきているように感じます」――成長の過程で“所有欲”が育たなかった世代なんですね。松村「これは社会情勢なども影響しているのかもしれません。中国からの留学生は、海外で不動産投資をするなどして財産を所有しておく意識が非常に高いんです。自分の身を守るのは自分だけ、という感覚があるんですよね。そういった国と比べたらずっと政治体制が安定している日本では、日本全体に溢れているものをシェアすればいい、と安心しきっているところがあるのだと思います。それで、同じ値段を払うなら、広いキッチンが使えるシェアハウスのほうがコスパがいい、という発想になるわけですね」――平和で豊かな国であることが、シェア意識に繋がっていたとは……。松村「とはいえ、シェアハウスも今、さらに新しい形の住まいが登場する過渡期にあります。シェアハウスで出会った男女が少しずつ結婚し始めているのですが、その際の居住形態がないのです。みんなで集まって暮らすことが習慣になっている二人にとって、ファミリー型マンションは需要に合っていないんですね」――結婚してもなお、シェアハウスに住みたがるんですね!松村「この流れで、子どもが産まれても、家族じゃない者同士でみんなで一緒に育てる、といったやり方が増えていくかもしれません。従来になかった人間関係の作り方を求めている人が増えているというのが、こうした住環境のニーズからもよくわかります」庭付き一戸建てを目指して我慢する時代は終わった――今後はますますシェアハウスのような暮らし方を選ぶ一人世帯は増えていくのでしょうか?松村「ワンルームマンションでの一人暮らしが大多数であることは変わらないとは思います。ただ、その場その場で自分に合った住み方を選べる時代になりましたよね。昔はみんながみんな、庭付き一戸建てを目指して『今住んでいるところは仮住まい』という感覚を持っていた。でも、結局それが叶わないままの人もたくさんいます。だったら、最初からしっくりしないアパートなどで我慢せずに、もう少し良い暮らしをすればよかったんですよ。一人暮らしだから適当なアパートに住んでおけばいい、とかではなく、そのときの自分のニーズに合った住居選びをしていってほしいと思います」“誰かがいる空間”は今や住居の条件の一つになっている。ワンルームマンションに一人で住むときに感じる不安感は、住環境の多様化により、いくらでも払拭することができそうだ。そう思うと、幾分か気分がラクになるのではないだろうか。(取材・文/朝井麻由美)■プロフィール)松村秀一(まつむらしゅういち))1957年兵庫県生まれ。80年東京大学工学部建築学科卒業、85年同大学院工学系研究科建築学専攻修了。2006年より現職。05年「住宅生産の工業化に関する研究」で日本建築学会賞(論文)、08年「建築生産の進め方―ストック時代の建築学入門」で都市住宅学会賞(著作)。近著に「ひらかれる建築」、「箱の産業─プレハブ住宅技術者たちの証言」(共著)、「建築─新しい仕事のかたち 箱の産業から場の産業へ」、「2025年の建築『七つの予言』」など。特集「おひとりさまのあたらしい住処」もあわせてご覧ください!・これからの社会は「弱い繋がり」で生きやすくなる/ジャーナリスト・佐々木俊尚さん・「ひとり」と「ふたり」と「みんなで」を、行ったり来たりする人生が理想
2017年05月09日きょう28日に放送されるフジテレビ系バラエティ番組『ネプリーグ』(毎週月曜19:00~19:57)では、東京大学と京都大学出身の有名人が対決を繰り広げる。今回は、東大チームに林修、高田万由子、そして『カルトQ』『パネルクイズアタック25』への出演歴もある経営コンサルタント・鈴木貴博、『高校生クイズ』で2連覇を達成した現役経済学部生の伊沢拓司が参戦。対する京大チームは、辰巳琢郎、バイオリニスト・松尾依里佳、法学部在学中で高校時代に林先生の授業を受けていたタレント・加藤あおいが登場する。1stステージから、ハイレベルな頭脳戦が繰り広げられるが、2ndステージでは、漢字クイズを作成した林先生が、京大チームに「もうひとつレベルを下げないとですね!?」と漏らしてしまう。
2016年11月28日11月14日に東京大学が、来年春から入学する女子学生を対象に、月3万円、最大2年間の家賃補助制度を導入すると発表しました。狙いとしては、全体の2割しかいない女子学生を増やす目的だそうですが、女子学生だけを優遇するこの制度は不公平ではないかと、ネットを中心に物議をかもしています。これは不平等(性差別)に当たらないのでしょうか?*画像はイメージです:■性別による差別を禁止している法的根拠とは?日本の憲法では第14条1項において、「すべて国民は、法の下に平等であって…性別…により…差別されない。」と定められています。ただ、一切の差別を許されないのかと言われるとそうではなく、社会通念上合理的と判断される差別は許されることになっています。形式的に平等ということを貫くと、かえって不平等になってしまうことがあるからです ■東大の「女子学生を対象とした家賃補助」は不平等(性差別)に当たるのか?本件の東京大学の目的は、学生の男女比率が8:2と女子学生が非常に少ないことから、女子学生を優遇しようということだ、と一部報道で報じられています。東京大学は国立大学の雄であり、日本全国から優秀な学生を集めて、日本の将来のために貢献してもらおうという目的があります。これは社会における男女格差がなくなってきた現在において、女性にも日本を支えてもらえるような人材になってい欲しいという目的でもあり、目的自体は正当なものだと考えます。では、その目的を達成する手段として、女子学生を対象に家賃補助をすること自体、社会通念上合理的と言えるでしょうか。女子学生が東大に集まらない原因の一つとして、地方から出てくる女子学生が東京で一人暮らしをすることに対する、親御さんの心配、さらには費用の負担の問題があるかと思います。しかしながら家賃補助だけでは、女子学生が東京で一人暮らしをすることに対して、親御さんの心配は払拭されないのではないでしょうか。さらには家賃補助の金額について、親御さんの収入条件を加味しないことなどから考えますと、社会通念上合理的と言えるかどうかは甚だ疑問と言わざるをえません。東大で女子専門の学生寮を作って、そこを格安で貸し出す等くらいにしないと、国民のコンセンサスは得られないのではないでしょうか。したがって、社会通念上合理的というには疑問が多く、憲法14条1項に違反する可能性が高いものと思います。 ■私立大学と国公立大学による違い一方、私立大学であれば、全く問題ないでしょう。私立大学も巨大組織なので、国家権力ではなくとも、憲法の趣旨を勘案しながら行動しなければなりませんが、家賃補助の程度であれば、一企業の政策として文句を言う方はいないでしょう。 東大では女性教員の少なさも課題になっているそうですが、真に日本を支える女性の人材を輩出できるようになってもらうべく、根本的な問題解決に向けて改善していってもらいたいものです。 *著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)【画像】イメージです*まちゃー / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月17日『圧倒的な勝ち組になる効率のいい考え方と仕事の仕方』(天明麻衣子著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者はフリーアナウンサー。東京大学文学部卒業後にNHK仙台放送局にキャスターを務め、その後JPモルガンへ転職。弁護士の夫と結婚し、スペインで1年弱を過ごし、帰国後にフリーアナウンサーとして活動を開始したというエリートです。印象的なのは、「いまどき“勝ち組”しかも“圧倒的な勝ち組になる”ってなんだよ(笑)」という意見に対して、「そんなのは所詮キレイごと」だと真正面から反論している点です。結果を出した人はきちんと評価され、大きな見返りを得ることができる。望むと望まないとにかかわらず、現実には勝ち負けがあるのだから、どうせなら圧倒的に勝ちたいという考え方なのです。そこで本書でも、独自の「必ず結果を出す法則」を記しているわけです。■数字はゴールまでの道しるべゴールへの道の途上には、いくつか指標となる数字を置いたほうがいいと著者はいいます。たとえば、将来的にもっと英語を仕事で活用するためにTOEICに挑戦するとします。900点を目指していてもまだ400点だったとしたら、「まだまだだな。もっと勉強時間を確保してがんばろう」と喝を入れる必要があります。しかし、もし800点まで来たら、「あともうひと息。ここからはがんばりすぎず、無理のないペースで」ということになるでしょう。つまり、数字があればこのように、その時点での自分に合った戦略の立て方がわかるということ。数字は道しるべのように「いま、ゴールを目指す道のりの、このあたりにいます」と示してくれるので、より効率的に努力することができるというのです。■数字がやる気スイッチになる数字を設定することのもうひとつのメリットは、数字が「“わかりやすいやる気スイッチ”になってくれる」ことだそうです。「次のTOEICの点数を10点上げる」というような小さなことでも、達成できたら嬉しいもの。そのとき数字があれば、自分がなにかを達成したと実感しやすくなるわけです。成功体験は、重要なモチベーションになると著者はいいます。成功体験を積み重ねていくことによって、「やればできるんだ。今度は30点上げたい」と、やる気スイッチが自然と入るもの。それだけではなく、計画の途中でだらけそうになったときも、数字を意識すれば「先は長いのに、時間を浪費している場合じゃないよね」と罪悪感や危機感が大きくなっていくので、そのぶん重い腰を上げやすくなるというメリットも。■大きすぎる数字を設定するなただし、気をつけなければならないこともあるといいます。それは、適切でない数字を指標として設定してしまうこと。大きすぎる数字にしてしまうと、達成が難しくなり、燃え尽き症候群になる可能性を否定できないというのです。なんとか達成するために、持てるすべてのエネルギーと時間を集中的に費やし、「よかった、なんとか達成できた……とホッとした瞬間に燃え尽きてしまうということ。そうなってしまうと、ふたたびやる気を奮い起こして次の数字を目指すまでに、長い時間がかかってしまいます。10日で100点を取って、そのあとの10日間なにもしないより、8日で70点を取ることを2回繰り返したほうがいい。そうすれば、結果的には16日間で140点取れるからです。そう考えてみても、無理のしすぎは逆効果だということがわかるのではないでしょうか?■小さすぎる数字の設定もダメとはいえ、能力にくらべて小さすぎる数字も、それはそれで考えもの。たとえば、本当は10日間で80点取る力があるのに、「まぁ、ここは60点くらいかな」と無駄にハードルを下げたりすることがそれにあたるわけです。それよりも、もし60点を目指してみた結果、「意外とつらくないぞ」と感じたなら、思い切って80点を目指すのも手だということ。自分の限界を低く見積もりすぎると、結果的に自分が損をしてしまうことになると著者は主張します。そういう意味ではむしろ、「もう無理だ」と感じるくらい、「時間とエネルギーをすべて費やしたらどこまで達成できるのか」を一度試してみるのもいいかもしれないとか。もちろんそれは楽なことではないでしょう。しかし、そうすることによって、「次からはその少し下くらいが数字目標としてちょうどいい」という感覚がつかめるというわけです。*「圧倒的な勝ち組」を目指すことだけが人生の選択肢ではないので、本書の内容がすべての人に当てはまるかどうかはわかりません。しかし、その点を踏まえたうえで目を通してみれば、参考になる箇所を見つけることはできるかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※天明麻衣子(2016)『圧倒的な勝ち組になる効率のいい考え方と仕事の仕方』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016年07月16日東京大学(東大)は4月5日、肺線維症治療に向けた核酸医薬を開発したと発表した。同成果は、東京大学大学院 理学系研究科生物科学専攻 博士課程3年 加藤一希氏(研究当時)、西増弘志助教、石谷隆一郎准教授、濡木理教授、リボミック 池田寿子氏、中村義一氏、東北大学 青木淳賢教授らの研究グループによるもので、4月4日付けの英国科学誌「Nature Structural & Molecular Biology」オンライン版に掲載された。肺線維症は、肺組織の線維化によって引き起こされ、発症すると呼吸困難などを伴う重篤な疾患だが、いまだ有効な治療法は確立されていない。肺線維症の原因タンパク質であるとされている「ATX」は、血中に存在するタンパク質であり、リゾホスファチジルコリンという脂質を分解しリゾホスファチジン酸を産生する。ATXが過剰に働き、リゾホスファチジン酸が大量につくられると臓器の線維化を引き起こすことが知られている。そこで今回、同研究グループは、肺線維症の治療を目的としてATX阻害剤の開発研究を実施。まず、核酸分子が塩基配列によってさまざまな形をとる性質(可塑性)に着目し、核酸リガンド(アプタマー)の実体を明らかにする「SELEX法」を発展させたリボミックの技術「RiboARTシステム」を用いて、ATXに選択的に結合し、その働きを抑える核酸アプタマーを取得した。次に、ATXと抗ATXアプタマーの複合体を結晶化し、大型放射光施設SPring-8にてX線回折データを収集し、その結晶構造を決定した。この結果、抗ATXアプタマーはATXにぴったりと結合し、その活性部位を塞ぐことによりATXの働きを阻害していることが明らかになった。さらに、構造情報を利用してアプタマーの分子構造を改良し、ATXの働きをより強力に阻害するアプタマーを作製した。最終的に、改良した抗ATXアプタマーが肺線維症のモデルマウスにおいて治療効果を示すことを確認。肺の線維化に伴って気管支肺胞洗浄液にコラーゲンが顕著に蓄積するが、抗ATXアプタマーの投与によってその蓄積を抑制することができ、このとき気管支肺胞洗浄液中のATXの酵素活性も顕著に抑制されていたという。今回の研究で得られた抗ATXアプタマーは、肺線維症の新規な治療薬の開発につながることが期待されると、同研究グループは説明している。
2016年04月05日東京大学(東大)は4月4日、指の力を加えるだけで電気伝導率が約2倍になる半導体材料を開発したと発表した。同成果は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 竹谷純一教授、東京工業大学 宍戸厚准教授らの研究グループによるもので、4月4日付けの英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。有機半導体についてはこれまで、電気伝導特性や電界効果特性などのさまざまな物性が調べられてきたが、応力による歪を加える効果はあまり詳しく研究されてこなかった。シリコンなどの無機半導体においては、強く共有結合している原子間の距離が小さくなることによって電気伝導度が増加するが、有機半導体は、弱い分子間力で結びついていてかつ室温で各分子が激しく振動しているため、圧力によってどのように変化して電気伝導がどのような影響を受けるかということは明らかになっていなかった。通常の有機半導体トランジスタは、結晶軸方向がランダムな結晶粒の集合である多結晶であるため、応力による歪の効果が結晶粒間の電流に影響し、応答の大きさが制御不能であることが知られている。そこで同研究グループは今回、単結晶の有機半導体を用い、応力に対する電流の応答が物理的に対応するセンサ機能を持つデバイスを開発。同研究グループが開発した高移動度の有機半導体材料である「C10-DNBDT」を、50nm以下の厚さの薄膜結晶化する独自の溶液塗布による製膜方法を用いることによって、高い感度を実現する構造を構築した。また、プラスティックフィルム上に作製した単結晶有機半導体トランジスタに加える応力を制御して、信頼度の高い電気伝導度測定を可能にする応力歪導入装置を開発。単結晶の有機半導体トランジスタに、同装置によって応力歪を正確に導入することに成功し、精密な応力効果測定を可能にした。そこで、プラスティックフィルム上に作製した単結晶有機半導体トランジスタに、指でも実現可能な程度の小さい応力を加えたところ、3%もの歪が得られる柔軟性を示し、かつ伝導度が約2倍にもなる巨大な応力歪応答を見出した。これは、従来の金属薄膜歪センサより、15倍も高い歪感度が実現していることを意味している。また通常、電圧入力に対する電流出力の応答が速い高性能の有機デバイスを開発する場合、新規化合物の合成に頼るが、同研究グループは、歪効果によって、大幅な性能向上を実現できることも示している。さらに、応力下での結晶構造解析と理論計算によって、こうした巨大な応答を実現するメカニズムは、分子の熱振動を抑制する新しい応力の効果によるものであることが明らかになった。単結晶高移動度有機物半導体薄膜は、印刷による簡便な方法・低コストでの量産が可能であるため、同研究グループは、心拍センサなどのヘルスケアデバイス、介護用ロボットの入力に必要な人体動作センシングなどへの展開や、橋や道路などの構造物の劣化診断用の歪センサや、物流過程でのショック検出など、低コストセンサへの適用も期待されるとしている。また今後は、パイクリスタルと共同でデバイス開発を進めるとともに、社会実装への取り組みを行っていくとしている。
2016年04月05日東京大学(東大)は3月18日、神経細胞のコンピュータシミュレーションと動物実験を組み合わせることで、睡眠・覚醒の制御にカルシウムイオンが重要な役割を果たしていることを明らかにしたと発表した。同成果は、東京大学大学院 医学系研究科 機能生物学専攻 薬理学講座 システムズ薬理学分野 上田泰己教授、東京大学 医学部6年生 多月文哉氏 、理化学研究所(理研) 生命システム研究センター 砂川玄志郎 研究員(研究当時、現:理研 多細胞システム形成研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト研究員)、東京大学大学院 医学系研究科 博士課程3年生 史蕭逸氏、洲崎悦生 助教、理研 生命システム研究センター 幸長弘子 基礎科学特別研究員、ディミトリ・ペリン研究員(研究当時、現:理研 客員研究員)らの研究グループによるもので、3月17日付けの米科学誌「Neuron」オンライン版に掲載された。ヒトをはじめとする哺乳類の睡眠時間・覚醒時間は一定に保たれているといわれている。たとえば徹夜をすると、翌日に「眠気」を感じ、寝てしまったり活動度が落ちてしまったりする。この眠気の正体について上田教授は、「"睡眠物質"のようなものがあるだろうと考えられ研究されてきたが、それらしきものに関連する遺伝子を壊しても、睡眠にはあまり変化がないという結果が続いており、その実態については明確な答えがないままだった。ここに何とか切り込みたいと考えた」と説明している。同研究グループはまず、睡眠時に観察される特殊な脳波の形成に必要な遺伝子を特定するために、神経細胞のコンピュータモデルを作製した。数千個から数万個の神経細胞をモデル化してコンピュータで再現するという研究はこれまでにも行われてきたが、計算負荷が大きいという課題があった。この課題を解決するため今回、数万個の神経細胞を平均化したモデルを採用し解析。睡眠時の脳波の形成には、細胞内にカルシウムイオンを取り込む「電位依存性カルシウムチャネル」と「NMDA型グルタミン酸受容体」、カルシウムイオン濃度によって働きが変わる「カルシウム依存性カリウムチャネル」、およびカルシウムイオンを細胞外へ放出する「カルシウムポンプ」といったカルシウムイオンの流入に関わる4つの遺伝子群が重要であると予測することに成功した。この予測を実証するため同研究グループは、カルシウムイオン流入に関わるこれらの遺伝子をマウスのゲノム情報をもとにすべて同定し、1世代目で大量の遺伝子ノックアウトマウスを作製できる「トリプルCRISPR法」によりそれぞれのノックアウトマウス21種を作製。これらに対し、呼吸のパターンから睡眠を解析できるSSS(Snappy Sleep Stager)法を用いて睡眠の測定を行った。その結果、電位依存性カルシウムチャネルのCacna1g、Cacna1h遺伝子、およびカルシウム依存性カリウムチャネルのKcnn2、Kcnn3遺伝子ノックアウトマウスが顕著な睡眠時間の減少を示す一方で、カルシウムポンプのAtp2b3遺伝子ノックアウトマウスは顕著な睡眠時間の増加を示した。またNMDA型グルタミン酸受容体については、薬理学的に働きを阻害し解析を行い、同受容体の阻害でマウスの睡眠時間が減少することを確認した。さらに全脳イメージング技術「CUBIC」用いて、睡眠が減少したマウスの脳を透明化し高解像度で観察したところ、同受容体の阻害、すなわちカルシウムイオンの流入を阻害することによって、大脳皮質の神経細胞の興奮性が上昇することが示された。また、同研究グループは、睡眠と覚醒のスイッチのような働きをするものがあると考えていたが、カルシウム濃度に依存して活性化するリン酸化酵素「カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII」のCamk2a、Camk2b遺伝子ノックアウトマウスで睡眠時間の減少が見られたことから、同酵素が睡眠のスイッチのような役割のひとつを担っているのではと考察している。従来、カルシウムイオン濃度が細胞内で上昇すると神経細胞が興奮すると考えられていたというが、以上の結果から、カルシウムイオンが脳を眠らせているということが今回明らかになったといえる。上田教授は今回の成果について、「統合失調症や、うつ病、アルツハイマー病やパーキンソン病といった疾患では、睡眠に異常があるといわれている。眠りを通してこれらの神経変性疾患や精神疾患を診断したり治療したりできる可能性もある」とコメントしている。
2016年03月18日東京大学は3月16日、東京大学分子細胞生物学研究所の中村勉講師らの研究グループが、ヤコブセン症候群患者が発症する自閉症の原因は、脳の神経細胞の活動を抑えるGABA受容体の運搬に関与するたんぱく質「PX-RICS」だと特定したと発表した。今後、自閉症の新薬の開発につながる期待が持てるという。自閉症は発達障害の一つ。厚生労働省によると、発達障害にはアスペルガー症候群や注意欠如・多動性障害(ADHD)などもあり、自閉症は80~100人に1人の割合で発症すると言われている。「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「限定的な興味や強いこだわり」などの症状を特徴とする。「社会認知機能」と呼ばれる他者の心情を推し量ったり、他者に共感したりする脳の機能の障害が自閉症の原因であると考えられているが、発症の詳しい仕組みはこれまでにわかっていなかった。研究グループは大脳皮質や海馬など、脳の認知機能に関連する領域の神経細胞に豊富に発現しているたんぱく質・PX-RICSを同定し、その遺伝子を欠損するマウスを作製した。そのマウスは外見的には正常だったが、他のマウスに対する興味が少ないことを確認。具体的には、「他のマウスに対する反応や超音波域の鳴き声を使った母子コミュニケーションが少ない」「反復行動が正常なマウスよりも多い」「習慣への強いこだわりを持つ」など、自閉症の症状に特徴的な行動異常を示していたという。さらに解析を進めたところ、PX-RICS遺伝子が「ヤコブセン症候群」(11番染色体長腕末端部の欠失に起因する先天異常疾患)患者の半数以上が発症する自閉症の原因となる遺伝子であると特定できたとのこと。中村講師はこの結果を受け、「今回、私たちはGABA受容体の輸送が自閉症の発症に関係することを明らかにしました。この輸送メカニズムを標的とした薬剤を開発するなど、今回の成果は自閉症の新たな治療戦略へ貢献できる可能性があります」とコメントしている。
2016年03月17日東京大学(東大)は3月15日、ピロリ菌タンパク質「CagA」の発がん生物活性を抑制する酵素として「SHP1」を同定し、またエプスタイン・バールウイルス(EBウイルス)を感染させた胃の細胞ではDNAメチル化によりSHP1の発現が抑制され、CagAの発がん活性が増強することを見出したと発表した。同成果は、東京大学大学院 医学系研究科 畠山昌則 教授、紙谷尚子 講師、千葉大学大学院 医学系研究科 金田篤志 教授、東京大学大学院 医学系研究科 深山正久 教授、瀬戸泰之 教授らの研究グループによるもので、3月14日付けの英国科学誌「NatureMicrobiology」オンライン版に掲載された。cagA遺伝子を保有するヘリコバクター・ピロリの胃粘膜慢性感染は、胃がん発症の最大のリスク因子となる。一方、約10%の胃がん症例では、cagA陽性ピロリ菌感染に加え、EBウイルスが胃がん細胞に感染していることが知られている。しかし、ピロリ菌とEBウイルスの共感染が胃がんの発症に及ぼす役割については、これまで研究されていなかった。胃上皮細胞に進入したCagAは、チロシンリン酸化を受けた後、チロシン脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)「SHP2」と特異的に結合し、SHP2を異常活性化することで胃がんの発症を促すと考えられている。このSHP2は、脱リン酸化酵素であるにもかかわらず、CagAを脱リン酸化する能力を持っていない。同研究グループは今回、CagAを脱リン酸化する酵素としてSHP2の兄弟分子であるSHP1を同定。CagA-SHP1複合体形成によりSHP1が活性化されることを明らかにした。さらに、CagAとSHP1を共発現させた細胞では、チロシンリン酸化依存的なCagAの発がん生物活性が抑制されることがわかった。これらの結果から、胃上皮細胞内におけるSHP1とSHP2の相対的な発現レベルが、ピロリ菌CagAの発がん活性を規定することが明らかとなった。また、EBウイルス陽性胃がんの特徴として、感染した胃上皮細胞のゲノムDNAに広範なメチル化が誘導されることが知られていたが、今回、CagAの発がん活性に関わる宿主細胞内分子に着目し、EBウイルス感染胃上皮細胞株におけるゲノムのメチル化解析を行ったところ、EBウイルス感染によりSHP1遺伝子のプロモータが高度にメチル化されることが明らかになった。また同メチル化の結果、SHP1mRNAならびにSHP1タンパク質の発現が低下した。そこで、EBウイルス非感染胃上皮細胞ならびにEBウイルス感染胃上皮細胞にcagA陽性ピロリ菌を共感染させたところ、EBウイルス感染細胞においてピロリ菌タンパク質CagAの生物活性が大きく増大することが判明した。つまり、EBウイルスによるSHP1の発現抑制により、CagAの発がん活性が増強されたといえる。同研究グループによると、ヒトのがん発症における発がん細菌と発がんウイルスの連携を明らかにしたのは今回が世界で初めてだという。
2016年03月15日東京大学は、NTTドコモとの協同で、2型糖尿病患者および糖尿病予備群向けのiPhoneアプリ「GlucoNote(グルコノート)」を公開し、臨床研究を開始した。アプリはApp Storeより無料でダウンロードできる。同アプリは、iPhoneを活用して生活習慣が改善するように自己管理を支援し、同時に生活習慣(食事、運動、睡眠)と在宅測定データ(血糖値、血圧、体重、活動量)の関係を明らかにするとともに、適切な自己管理支援につなげることを目指してリリースされた。開発にあたっては、Appleが医学・医療研究および健康リサーチ向けに設計したオープンソース・ソフトウエアフレームワーク「ResearchKit」を利用している。本臨床研究は研究参加に同意した 2型糖尿病あるいは糖尿病予備群と診断された 20歳以上の日本在住者が対象で、参加期間は最長5年間。参加者はアプリを用いていくつかのアンケートに回答し、食事や運動などの生活習慣、体重、血圧、血糖値などの測定データを提供することで、本研究に協力できる。研究発表は、東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座の脇嘉代特任准教授と、同大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻の相澤清晴教授が担当する。アプリで得られた日常生活情報の解析結果を統合的に用いることができれば、2型糖尿病患者の状況をより多面的に把握することが可能となるとのことで、患者および予備群の状況を、日常生活という観点から詳細に検討することにより、より効果的な自己管理支援を行えるようになるといった展開も期待されている。
2016年03月14日東京大学(東大)は3月7日、放射性元素による汚染の浄化に応用できる長期固定機構を発見したと発表した。同成果は、東京大学大学院 理学系研究科 鈴木庸平 准教授、および日本原子力研究開発機構、京都大学、茨城高専らの研究グループによるもので、3月7日付けの英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。微生物のなかには、水に溶けたウランの酸化還元反応によってエネルギーを獲得し、それによって還元されたウランを固体として沈殿させる種があり、実際にウランで汚染された地下水に酢酸などの有機物を添加して微生物を活発化し、ウランを環境基準濃度未満まで下げることに成功している。しかし、生成したウランの固体はナノ粒子であり、このような小さな粒子は環境中で不安定なため、その長期安定性の確保が課題となっていた。同研究グループは、岐阜県・瑞浪超深地層研究所の地下200~400メートルの地下水を6年間にわたり化学分析した結果、花崗岩中で硫酸呼吸する微生物が生息していることを2014年に明らかにしている。硫酸呼吸する微生物の多くがウランのナノ粒子を形成し、花崗岩はほかの岩石よりもウランの濃度が高いことが知られているため、同研究グループは、今回、微生物により沈殿したウランのナノ粒子の検出を実施。掘削により得られた岩石試料について、高空間分解能の電子顕微鏡を用いてウランの固体分析を行った結果、花崗岩の亀裂で地下水から沈殿した炭酸カルシウム鉱物の内部にウランがナノ粒子として取り込まれていることが明らかになった。さらに、炭酸カルシウム鉱物にウランのナノ粒子が固定されていた期間を明らかにするために、直径2μmのレーザーを用いて、ナノ粒子のウランと鉛の同位体組成をプラズマイオン源質量分析計で測定したところ、ウラン—鉛同位体組成から算出された形成年代から、炭酸カルシウム鉱物中にウランのナノ粒子が90万年以上の期間にわたり安定に固定されていることが判明した。炭酸カルシウム鉱物は結晶構造にストロンチウムを取り込むため、地下水中で微生物による炭酸カルシウム鉱物の形成を人為的に促進することで、放射性ストロンチウムの除去も可能であるという。同研究グループは、微生物による炭酸カルシウム鉱物とウランのナノ粒子の形成を、有機物の添加により同時に引き起こすことで、放射性元素を長期間にわたり生物圏から隔離する技術への応用が期待できるとしている。
2016年03月08日○ライフサイエンスに特化した画像解析サービス東京大学 本郷キャンパスの一角にある「アントレプレナープラザ」には、同大学との関わりが深いベンチャー企業が集う。そのうちのひとつが、ライフサイエンス分野の研究者に向けた画像解析サービスを提供するエルピクセルだ。画像解析を利用した技術には、衛星データや地理情報を解析するための技術や、製品や部品の個体を識別する技術などさまざまなものがあるが、同社はライフサイエンス分野の画像解析に特化しているのが特徴だ。エルピクセル 代表取締役 島原佑基氏は、「ライフサイエンスだけでいいのか? とよく言われますが、医療、製薬、農業など、ライフサイエンス業界は、それだけでGoogleのような会社が作れてしまうほど、とても広い。むしろ絞りきれていないと感じているくらいです」と説明する。大学院時代に「メンブレントラフィック」という細胞内の物質輸送システムに関する研究を行っていたという島原氏。研究室では、顕微鏡で観察される細胞内のタンパク質や脂質の動きを画像にして解析するソフトウェアを開発していた。生物系の研究者は数学が苦手で、画像処理も不得意だという人が多く、研究室ではたくさんの共同研究が行われていたという。「そのニーズに耐え切れず、会社にした」(島原氏)というくらい、その需要は大きい。「現在、学術論文の9割には画像が掲載されていると言われています。三大科学誌『Nature』、『Science』、『Cell』の過去3年分を調べたところ、一番多い画像は電気泳動の結果を撮影した写真でした。また、蛍光顕微鏡、および蛍光ではない顕微鏡で撮影した画像がそれぞれ4割くらい。重複しているものも考慮すると、全論文の半分程度は顕微鏡画像が載っているといえるでしょう。生物学者と顕微鏡画像の処理は、切っても切れない関係にあります」(島原氏)ライフサイエンスに精通していて、なおかつ画像処理に明るい人材は少ない。同社はAdobeと共に研究者向けの画像処理の講義を行っているが、そこで約3300名の参加者に対し「画像処理は必要ですか?」と質問したところ、約9割は必要であると答えたという。しかしながら、「大学で画像処理を学ぶ機会はありますか?」という質問に"YES"と答えたのはたったの3%。画像処理について教えられる人材が大学にほとんどいないというのが現状だ。そこで同社は画像処理に関して、Webでの情報発信やeラーニング教材の開発も行っている。ライフサイエンスの分野において、画像処理技術の需要にサービスの供給が追いついていないのは、日本だけでなく海外でも同様だ。島原氏は「世界中に教育活動を行っていきたい」と、画像処理に関する教育活動についても積極的な姿勢を示している。現在、同社の主力事業は、研究機関・企業との共同研究やシステムの受託開発だというが、今年の夏には画像解析のデファクトスタンダードとなるような、クラウド上で利用できるソフトウェアをリリースする予定だ。ライフサイエンスにおける画像解析は案件ごとに特化しており、ソフトウェアとして一般化することは難しいという印象だが、島原氏は「最初からすべてを解決しようとは思っていません。細胞個数のカウントの自動化、細胞面積の計測、動きのトラッキングといったニーズの大きいところから、まずは広げていきたいと思っています」と説明している。○大学発ベンチャー、成功の秘訣は?大学発ベンチャーのなかでも東京大学発の企業は日本で一番多く、現在約200社程度が存在している。しかしながら、一時期のベンチャーブームが過ぎ去り、ピーク時には年度あたり約250社まで増えた大学発ベンチャーの新設数は、2013年度時点で52社にまで減少。ここ数年は横ばい傾向にある。大学発ベンチャー設立のハードルはどこにあるのだろう。「事業化の大きなハードルは“人”ではないでしょうか。私は起業する際にあまりハードルを感じなかったのですが、その理由は周りに強力なパートナーがいたから。逆に、それがなければうまくいかなかったと思っています」(島原氏)同じ研究室の助教とポスドクと共に同社を立ち上げた島原氏だが、「3人とも副業として会社を始めたのも成功の要因として大きかったのでは」と分析。1年目は3人全員が人件費ゼロで活動し、結果的に利益の一部を大学へ寄付するまでになったという。「仕事はひとつにしなければいけないとか、副業はダメだとか、日本の人は変にまじめなところがありますが、飲み会やスポーツに費やしている時間を、おもしろいことをやるという感覚でビジネスに当ててもよいのではないでしょうか」(島原氏)こうして“カジュアル”に起業したというエルピクセルだが、着実に成長を続けている。同社の目標は、大学と企業の架け橋となるような研究所を作ることだ。この研究所について島原氏は、「触媒を与えると軌道に乗るようなすばらしい技術は周りにたくさんあります。我々がまずきちんと成功して、そこから得られたノウハウを持って、技術シーズの活用をエンカレッジしていけるようになったらおもしろいですね。大学発ベンチャーのハードルはすごく高い。アカデミアから企業に行くことに抵抗を感じる人が多いのが現状です。研究者にとって、ベンチャー企業は大学よりも自己実現できる良い場所だということをきちんと示して、ここに来れば優秀な研究者たちが集まっているんだと思ってもらえるような場所にしていきたいです」と語る。同社サービスへのニーズは日本国内のものだけにとどまらない。海外からも引き合いが多く、近々ジョイントベンチャーを立ち上げ、海外拠点を作る予定だ。エルピクセルの今後のさらなる飛躍に期待したい。
2016年02月24日東京大学(東大) と言語交流研究所、および米マサチューセッツ工科大学(MIT)は2月18日、多言語の習得に関わる脳のメカニズムを解明することを目的に共同研究を開始すると発表した。同研究は、東京大学大学院総合文化研究科 相関基礎科学系 酒井邦嘉 教授およびMIT 言語哲学科 スザンヌ・フリン 教授らを中心に行われる。プロジェクト期間は5年間を予定。酒井教授は、人の言語処理の法則性を脳科学として実証する研究に取り組んでおり、これまでに、文法処理に特化すると考えられている左脳の前頭葉の一領域「文法中枢」の活動が、英語習得の初期に高まり、中期にはその活動が維持されるが、文法知識が定着する後期には活動を節約するように変化していることを明らかにしている。またフリン教授は、MITの同僚 ノーム・チョムスキー教授の学説に基づき、30年以上にわたって多言語獲得について心理言語学的視点から研究を行っている。今回の共同研究では、まずMRI(核磁気共鳴画像法)の技術を用いて、多言語の理解および習得中の脳の構造と機能について解析を行う。また、多言語教育を行う言語交流研究所が運営する「ヒッポファミリークラブ」の会員をはじめ、通訳者などの多言語習得者を対象に、言語学習者に見られる言語理解と発音把握などについて、多言語に触れた経験が脳に及ぼす効果を調査する予定となっている。100年以上前に中国のドイツ大使館で通訳として活躍した、60カ国語を話せる男性の死後脳において、大脳皮質の前頭葉にある「ブローカ野」の44野が左右で対象、45野が左右で非対称であったという研究結果が2004年に発表されている。酒井教授によると、44野が対象であることよりも45野がアンバランスであることのほうが、文法の成績に強く影響しているという。「しかしこの研究は死後の脳を使っている。今回の研究では、今現在生きている人の脳をMRIによって調べることで、脳の非対称性が言語能力にどのような影響を及ぼしているか調べていきたい」(酒井教授)またフリン教授は今回のプロジェクトについて、「第一言語の習得に関しては比較的多くのことがわかっているが、多言語習得に関する研究結果はほとんどない。今回の共同研究で多言語の環境にいる方のデータを解析することによって、脳がどのように働いているかということを解明していきたい。また、日本での研究を皮切りに、アメリカやメキシコ、韓国のヒッポファミリークラブ会員のデータも利用し、世界へと広げていければ」とコメントしている。
2016年02月19日大日本印刷(以下:DNP)は、東京大学の学術コンテンツのデジタル・アーカイブ及びその教育学習利用の基盤構築の取り組みとして、2015年11月に、東京大学の大学院情報学環に寄付講座「DNP学術電子コンテンツ研究寄付講座」を開設したと発表した。東京大学内にある学術関連資料のデジタル・アーカイブの構築のほか、他大学などの関連諸機関とも連携し、幅広い学術コンテンツについてのデジタル・アーカイブの研究開発の支援を行うという。寄付講座では、これまで東京大学大学院情報学環で進めてきたデジタル・アーカイブやeラーニングに関する諸々の知見を踏まえ、学術的な電子コンテンツの教育利用について、より実践的な研究開発を進め、その基盤の構築を目指す。設置期間は2015年11月1日~2018年10月31日の3年間。研究活動としては、東京大学・学内所蔵資料(書籍、地方新聞、学術研究情報・資料など)を対象とするデジタル・アーカイブの構築、作成した電子コンテンツ及び、商業出版社発行の学術出版物、高等教育で利用される教材等も含めた学術電子コンテンツの教育学習における活用の実践的研究、デジタル・アーカイブで必要になる一連の権利処理における学外の関連諸機関との連携、著作者情報の集中管理・権利処理システムのプロトタイプの製作を行う。
2016年02月16日細胞を用いたアート作品が展示される「ELEGANT CELL -細胞とバイオマテリアルの小さな実験室」が、2月17日から23日まで東京大学駒場リサーチキャンパス内の東京大学生産技術研究所S棟1階のギャラリーで開催される。ビーズ状に加工した細胞を型に入れて固めたり、糸状に並べて編み物をしたりと、細胞を高度な機能部品として生きたまま配置して立体的に造形する研究を行う東京大学竹内研究室。これまで、東京大学山中研究室とともに細胞を用いた新しいものづくりを行ってきた。今回開催される展覧会では、細胞の彫刻や新しいデザインの実験器具などを展示する。ラインアップは、パナソニック ヘルスケアとインダストリアルデザイナーの山中俊治によるバイオメディカ機器(生物医療に関わる機器のこと)や、アーティストの鈴木康広が細胞や生体材料を用いて製作した「細胞を生ける器」など。また、2月17日の18時から19時30分まではアーティストの福原志保と山中が、19日の同時刻には女優の池澤あやかと東京大学教授の竹内昌治が、21日の14時から15時30分までは、鈴木と竹内と山中がトークセッションを行う。【イベント情報】「ELEGANT CELL -細胞とバイオマテリアルの小さな実験室」会場:東京大学生産技術研究所S棟1階ギャラリー住所:東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学駒場リサーチキャンパス内会期:2月17日~23日時間:11:00~19:00会期中無休
2016年02月15日東京都・駒場の東京大学生産技術研究所は、東京大学駒場リサーチキャンパス内S棟1階ギャラリーにて、細胞を生きたまま配置し、立体をデザインする「ものづくり」の展覧会「Research Portrait02:Elegant Cell ー細胞とバイオマテリアルの小さな実験室」を開催する。会期は2月17日~2月23日。開場時間は11:00~19:00。入場無料。同展は、東京大学山中研究室と竹内研究室が共同で、細胞を用いた「ものづくり」への新しい挑戦を発表するもの。モーターやネジなどを組み合わせて作られるロボットなどとは異なり、生き物は受精卵から細胞分裂を繰り返し、徐々に成長してかたちづくられる。しかし、竹内研究室では、細胞を高度な機能部品として生きたまま配置し、ビーズ状に加工した細胞を型に入れて固めたり、糸状に並べて編み物をしたりと、立体を造形することを研究しているという。これらの研究は、将来的に人工臓器や実験動物の代替など、医療分野への応用が期待されているが、同展ではこの細胞を使った「ものづくり」に、これまで関わることの少なかったデザイナーたちが挑戦する。また、将来再生医療への応用が期待されるバイオエンジニアリング分野だが、細胞を点・線・面という規格に沿ったパーツに加工することで、三次元構造を作り出すことができるという。今回の展示では、その一つ一つの「点」として使用されるビーズ状に加工した細胞や、「線」として使用されるアルギン酸のファイバー、「面」として利用される「細胞折り紙」などが展示されるということだ。そのほか、同展では、パナソニック ヘルスケアと共同で制作している、山中俊治教授デザインのバイオメディカ機器「CO2 Incubator TypeY」と「Biological Safety Cabinet TypeY」が初公開される。なお、山中氏は、デザイナーとして腕時計から鉄道車両に至る幅広い工業製品をデザインする一方、技術者としてロボティクスや通信技術に関わる。大学では義足や感覚に訴えるロボットなど、人とものの新しい関係を研究している。さらに、アーティストの鈴木康広(東京大学先端科学技術研究センター中邑研究室客員研究員・武蔵野美術大学空間演出デザイン学科准教授)による細胞や生体材料を使用した作品「細胞を生ける器」も展示されるということだ。また、関連企画として、福原志保(アーティスト)・山中俊治(東京大学教授)によるトークセッション「バイオアートとバイオデザイン」が2月17日18:00~19:30、池澤あやか(女優)・竹内昌治(東京大学教授)によるトークセッション「池澤あやかの研究体験― 竹内教授のバイオの授業」が2月19日18:00~19:30、鈴木康広(アーティスト)・竹内昌治(東京大学教授)・山中俊治(東京大学教授)によるトークセッション「細胞のかたち」が2月21日14:00~15:30に開催される。詳細は同展Webサイトにて。
2016年02月15日東京大学は1月19日、IoT機器向けの軽量なHTTPS通信の実証に成功したと発表した。実証に成功したのは同大学 大学院 情報理工学系研究科 講師の落合 秀也氏と富士通研究所、東邦大学 講師の金岡 晃講氏らの研究グループ。落合氏らの研究グループは、IDベース暗号方式による軽量なHTTPS通信技術を使うことで、従来方式と比較して計算量や通信遅延を「5分の1程度」にまで軽減したという。IDベース暗号は、情報システムで使われる識別子(ID)とのひも付けを得意とする公開鍵暗号方式で、過去の海外の論文で提供されつつも実用化されていなかった鍵交換に基づく暗号方式の改良方式を実験では採用した。具体的には、落合氏らが開発した、建物設備をIEEE1888でクラウドに接続させるためのIoT機器「IEEE1888-BACnet/IPゲートウェイ」に、金岡氏らが開発したIDベース暗号で使うペアリング演算エンジンのTEPLA(IDベース暗号に用いるコアとなるライブラリ)を用いて、富士通研究所がIDベース暗号によるTLSで動作するHTTPSを開発・実装した。これに加えて、IEEE1888で接続するクラウドサーバ上のソフトウェア「FIAPStorage2」にもTEPLAを用いてHTTPSを開発・実装し、東京大学内の空調設備の状態データ(オンオフ状態や設定温度、室温温度など)を、IoT機器からクラウドへ送信し、処理にかかる時間などを計測した。結果として、従来のTLS技術スイートと比較して通信時間が22%削減、通信データ量についても16%の削減に成功したという。この研究の詳細は1月19日より熊本県熊本市で開催される「暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2016)」で発表される予定。
2016年01月19日東京大学(東大)は12月22日、4個の中性子だけでできた原子核の共鳴状態「テトラ中性子共鳴」を発見したと発表した。同成果は、東京大学 原子核科学研究センター 下浦享 教授、理化学研究所仁科加速器研究センター 木佐森慶一 日本学術振興会特別研究員、上坂友洋 主任研究員らの研究グループによるもので、2016年1月29日付けの米科学誌「Physical Review Letters」に掲載される予定。今回同研究グループは、エネルギー1500MeVの8Heのビームを液体ヘリウム4Heに照射し、二重荷電交換反応により生じる8Beから崩壊する2つのα粒子を、SHARAQ磁気分析装置を用いて精密分析。天然に存在する安定核を用いた通常の核反応では、ビームが持つ運動エネルギーを内部エネルギーに転換させる必要があるため、生成核へ大きな衝撃を与えるが、不安定核8Heの大きな内部エネルギーを用いることでほとんど衝撃を加えず、実験室中でほぼ静止した4つの中性子を生成し、共鳴状態「テトラ中性子共鳴」を発見した。発見された共鳴は、3つの中性子に同時に働く「三体力」を無視した従来の手法による理論的解析からは説明が困難なものであり、逆に共鳴のエネルギーはこの三体力の強さに制限を与えるものとなる。さらにこの三体力は中性子物質の状態方程式を決定づけるパラメータであり、今回の発見は、主に中性子から構成される「中性子星」の構造解明への道をひらくものと期待されている。
2015年12月22日