アキコアオキ(AKIKO AOKI)とケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)が10月28日から11月2日まで、表参道ヒルズ同潤館3階のギャラリー・表参道 ロケットにて17SSコレクションの合同展示会を開催する。前シーズンまで、坂部三樹郎、山縣良和がプロデュースする若手デザイナーを集めたプロジェクト「東京ニューエイジ」にてコレクションを発表してきたアキコアオキとケイスケヨシダは、10月22日に東京・渋谷のみやしたこうえんで開催された「ファッション ポート ニュー イースト(FASHION PORT NEW EAST)」にて、17SSコレクションを初の単独ショーで発表した。今回表参道 ロケットで開催される同イベントでは、発表されたばかりの17SSコレクションを展示し、初の受注会を行う。また、アキコアオキは同展に合わせて初のZINE『Hymne l’amour.』を限定発売。新進気鋭のアーティスト・Takako Noelが撮りおろしたアキコアオキ16-17AWコレクションのヴィジュアルが収録されている。また、今季のショーピースでコラボレーションした時澤知菜実によるチナミトキザワ(Chinami Tokizawa)のアクセサリーやグッズも販売する。ケイスケヨシダは、生まれ変わろうと"もがく”中の感情や景色を落とし込んだ最新コレクション「reborn」の受注会の他、写真家の草野庸子とのコラボレーションアイテム発表に伴ったTシャツの先行販売も行う予定だ。【展示会情報】「AKIKO AOKI & KEISUKEYOSHIDA 2017S/S COLLECTION」会場:表参道 ロケット住所:東京都渋谷区神宮前4-12-10 オモテサンドウヒルズ同潤館3階会期:10月28日~11月2日時間:11:00~21:00(10月30日は20:00まで、11月2日は18:00まで)入場無料会期中無休
2016年10月24日ここ数年、注目を集めている「こじらせ女子」。いつの間にか言葉が一人歩きし始め、タイプ別に細分化されたりもしていますが…筆者にとって気になるのは年齢とこじらせの関係性。そこで「アラサーこじらせ女子」のバイブルともいえる『東京タラレバ娘』(東村アキコ/講談社刊)と、「アラフォーこじらせ女子」を描いた『初恋の世界』(西炯子/小学館)を比較・分析してみました。■アラサーこじらせ女子はひたすら苦しい現在、6巻まで出ている『東京タラレバ娘』(以下『タラレバ』)は、脚本家の倫子、ネイリストの香、実家の居酒屋で働く小雪というアラサー女子3人の物語。ここまでのところ、倫子は自分に好意を持つ男性との復活愛を狙い、香は元カレのセカンドの座からサードになって別れを決意。小雪は絶賛、不倫中!3人とも独身で恋も人生もこじらせまくり。そのイタさがとにかく痛いんです。■アラフォーこじらせ女子は多種多様一方、1巻が発売されたばかりの『初恋の世界』(以下『初恋~』)には、アラフォーの女性が4人登場します。主人公の薫は40歳独身・彼氏なしで、転勤のため地元に帰省。そこで仲良しの同級生である専業主婦のよっさん、バツイチ独身の黒岩嬢、不倫中の大浦氏と再会し…。結婚経験者2名、未婚2名というアラフォーならではのラインナップが、なかなか興味深かったりもします。■アラサーでこじらせ、アラフォーでさらに…基本、アラサーこじらせ女子にとってのゴールは結婚だと思うのですが、アラフォーこじらせ女子の物語『初恋~』は、その先の世界を描いています。結婚は女性の終着点ではない!という…。結婚しても幸せになれるとは限らないし、離婚する可能性もある。そして独女は、既婚者(不倫)まで手を広げなければ恋ができない?アラフォー女子たちは、そんなツラい現実を突きつけられているのです。■アラサー、アラフォー…イケてるのはどっち?でも、そんなツラさをも乗り越える強さを持っているのがアラフォーこじらせ女子。『タラレバ』と『初恋~』、それぞれの女子たちの大きな違いは余裕のある、なしだと思います。アラサーこじらせ女子と比べ、アラフォー女子は圧倒的に余裕に満ちている印象です。既に達観…という感じ。ただし、こじらせアラフォー女子は、“まだまだ恋を諦めてないわよ”派と、“もういいや”派に分かれています。もっと言えば、身だしなみに女子っぽさを醸し出しているのが、“諦めてない”派の特徴と言えるでしょう。■女子はいくつになってもジタバタする『タラレバ』と『初恋~』を読んでわかるのは、女性は何歳になってもこじらせ続ける生き物だということ。両方読めば、こじらせるだけこじらせ、思いっきりジタバタした後に達観するも良し、30代を平穏に過ごした人は、アラフォーでジタバタするのもいいんじゃない?という気持ちになれるでしょう。『タラレバ』も『初恋~』も、まだまだ続く見込みなので、自分のジタバタ具合を確認するために併読するといいかも。どちらもこじらせ女子ならではの行動や心理がちりばめられていて、登場人物の誰かに共感できるはず。精神衛生上、こじらせないためではなく、こじらせちゃってもいいじゃない?というスタンスで読むのがいい気がします。お試しあれ!ライタープロフィール天野りり子ライター/編集者大学在学中からライター&編集稼業をスタート。女性誌ではビューティ&ヘルス企画、男性誌では恋愛記事を多数執筆、書籍編集も手がける。趣味は読書とタロット占い、そして恋バナを収集すること。
2016年10月22日月9ドラマ『好きな人がいること』もついに最終回。早くもスキコトレスになっている人も多いのではないでしょうか? 本企画のラストを飾るのは、吉田鋼太郎さん! ドラマの感想やご自身の恋愛観についてもお話をうかがいました。吉田鋼太郎さん演じる東村了は、全国に何店舗も店を持つ飲食業界のカリスマ的存在。柴崎家の3兄弟と美咲が働くレストランを買収しようと執拗に彼らの前に現れる。いったんは諦めたかにみえたが、夏向の前にまた姿を現し…■今回のドラマは、キラキラとした若い男女のラブストーリーでしたが、大人の男性である吉田さんご自身はどんな風にご覧になりましたか?「今回演じた東村は地位も名誉もお金もあって、若い人たちの邪魔をするという役どころだったんですが、僕自身は若い人たちの恋愛ストーリーが本当にうらやましくて。撮影中はずっと、そっちの中に入りたかったですね。僕も柴崎家の4人目の男として、恋愛に1枚噛ませていただきたかった(笑)。男女が海辺の生活で恋愛を繰り広げるなんてのは、まさに夢のような世界で。僕自身も22歳のころはよく湘南の海に泳ぎに行ってたんですよ。結局は叶わなかったんですが、男3~4人で来ては、女の子と来たいという話はよくしていました。海っていうのは特別な場所で、恋愛的な気分にさせてくれる場所。海辺と恋愛って直結してますよね。主人公の美咲ちゃんとなにか起こることを期待してたんですが、結局なかったですね。例え脅してる台詞だとしても、海辺を2人で歩きたかった(笑)。菜々緒さんとのシーンも一度もなかったので、どこかで火花を散らしつつ恋愛に発展するシーンを期待してたんですが、残念ながらなかったです」 ■そんなキラキラした世界の中で、東村はかなり刺激を与えるような役でしたが、演じてみていかがでしたか?「前半は千秋をどう喝し、後半は夏向をどう喝し、終始どう喝に徹するという役柄。ドキドキするような彼らの恋愛シーンに唯一水を差すというとても大事な役柄だったので、それまで流れていたドラマの空気を一瞬でグッと変えなければならないという難しさはありました。でもそこは思い切りやらせていただこうと最初から決めてましたので、意識して演じてみたつもりです。今回は出演者の平均年齢が若かったので、現場がすごく若者たちの雰囲気で。みんなでわいわい盛り上がっている感じがすごく新鮮で、心の底からうらやましいと思いましたね。入りたいと思っても入れなかったのが残念(笑)。20代の彼らが屈託なくフランクに話をしている姿は、本当に素敵なんですよ。その姿を見ているだけで元気をもらえました」■それぞれタイプのまったく違う柴崎家の3兄弟でしたが、吉田さんご自身はどのタイプが近いですか?「僕は千秋ではないな~。かといって夏向でも冬真でもないんですが。でもどっちかといえば、22歳くらいのころは突っ張って、仕事はちゃんとやってやるぞと、恋愛は二の次だと考えている硬派なところがあったので、夏向に近いのかなとは思いますね。中身はめっちゃ軟派なんですけど(笑)、それをなるべく出さないように、そしらぬクールな感じを装ってました」■恋に不器用な美咲のような女性はいかがですか?「自分の恋人にするなら、ああいう女性がいいですね。自分がやるべきことや目標をきっちり持っていて、まずはそれに向かって邁進している女性。そこから偶発的に生まれてきてしまう恋愛というのも理想的ですよね。仕事にずっと一生懸命だったけど、気がついたらこの人好きかもしれないというような状況は、本人にとってすごくうれしいことだと思うんです。そういう風に生きている女性はすごく魅力的だと思います」■最後に、読者へのメッセージをお願いします!僕もいろいろな恋愛をして、失敗もしてきましたが。そのときそのときで一生懸命でしたね。恋愛をすると、その人のいいところも悪いところも全部知りたくなるわけですよ。そうなるとどうしてもぶつかり合ってしまう。それでも、自分のことも知ってもらうためにも誠心誠意ぶつかっていってほしいですね。ですけど、これだけはやってはいけないっていう最後の一線があると思う。非常に難しいですが、そこの節度のバランスをうまくとりながら、身も心も捧げつくすような。そんな命がけの恋愛をしていってほしいと思います。ドラマのタイトルでもある『好きな人がいること』は、僕にとっては一番大切なこと。好きな人がいなければ仕事にも身が入らないでしょうし、今日あったことを家内に話すことはとても楽しみなんです。トラブルのない人生はありませんから、そこを2人でどう乗り切っていくか、楽しんで経験していけたらと思います」『好きな人がいること』毎週月曜よる9時放送出演:桐谷美玲、山﨑賢人、三浦翔平、野村周平、菜々緒、吉田鋼太郎 他公式ホームページ 公式Twitter 文:Sayaka Seko 撮影:Shun Yokoi(t.h.i.d.a)提供:TOPLOG
2016年09月19日「ママはテンパリスト」「かくかくしかじか」「海月姫」などを描く人気漫画家・東村アキコの「東京タラレバ娘」が日本テレビでドラマ化されることが決定。この度、本作の主演に吉高由里子が抜擢されたことが明らかになった。鎌田倫子30歳、独身、売れない脚本家。彼氏もおらず、親友の香・小雪と3人で居酒屋で女子会ばかり繰り返す日々。「キレイになっ“たら”もっといい男が現れる!」「好きになれ“れば”ケッコンできる!」そんな話ばかりしていると、突然、金髪イケメン男子(年下)に「このタラレバ女!」と言い放たれてしまい、ハタと厳しい現実にブチ当たる。「あれ?あたしたちってもう女の子じゃないの?」オトナになりきれないまま30代に突入したヒロインが、幸せを求めて、恋に仕事に悪戦苦闘、右往左往する――。現在講談社「Kiss」にて連載中の「東京タラレバ娘」。作品に登場するセリフが女性読者の心に突き刺さると、一巻発売直後から話題を集め、累計発行部数180万部を突破している。そんな人気作の実写化で主演を演じるのは、連続テレビ小説「花子とアン」や『僕等がいた』などテレビやドラマ、CMなどで活躍する吉高さん。自身が“タラレバ女”を演じることについては「私が演じる主人公・倫子は“独身、彼氏ナシ、仕事もイマイチ”というアラサー女子。私は28歳ですが、同級生が結婚したりママになったりしていて『あ、そんな歳になったんだなぁ』と思う一方、ずっと仲の良い友人たちと一緒に歳を重ねているので、あまりピンと来なかったりもして…。そういった意味では、『タラレバ言いながら、女子会ばかりやってたらこんな歳になってしまった』という倫子と似ている部分もあるのかも、と思います」と語り、「幸せ求めてもがく倫子と一緒に、私も泣いたり笑ったりジタバタしながら、楽しんで演じられたらと思います。来年1月まで、楽しみに待っていてください!」とメッセージを贈った。実写化について東村氏は「と、東京タラレバ娘が…私の大大大好きな吉高さん主演でド、ドドドドドドラマ化だとお~っ!?全国のタラレバ娘のみなさん、水曜夜10時の女子会は禁止だァァ!!!」とコメントを寄せている。「花咲舞が黙ってない」「ごくせん」シリーズの加藤正俊プロデューサーと脚本家・松田裕子氏のコンビが手掛ける本作。吉高さんがどのように倫子を演じるのかはもちろん“女子会”に集まる香、小雪の配役にも注目したい。本作は2017年、1月より毎週水曜日22時~日本テレビにて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年09月08日女優の吉高由里子が、来年1月スタートの日本テレビ系ドラマ『東京タラレバ娘』(毎週水曜22:00~23:00)で主演を務めることが7日、分かった。NHK朝ドラ『花子とアン』以来、3年ぶりのドラマ主演となる。このドラマは、東村アキコの同名マンガが原作。吉高演じる鎌田倫子は、女子会を繰り返す売れない独身脚本家で、「キレイになっ"たら"もっといい男が現れる!」「好きになれ"れば"ケッコンできる!」という話ばかりしていると、年下金髪イケメン男子に「このタラレバ女!」と言い放たれ、厳しい現実にぶち当たりながら、恋に仕事に奮闘する姿を描く。原作は累計180万部を発行した話題作で、吉高は「思わずケラケラ笑っちゃいました。リアルで心にグサッと来る痛い部分もたくさんあって、本当に共感できるすてきな作品です」と絶賛。自身は28歳になり、同級生も結婚・母親になって「あ、そんな歳になったんだなぁ」と思うこともあるそうで、「倫子と似ている部分もあるのかも」と共感しているようだ。加藤正俊プロデューサーと、脚本の松田裕子氏は、同局系『花咲舞が黙ってない』『ごくせん』シリーズを手がけたコンビ。加藤プロデューサーは、原作を読んで「その圧倒的なパワーに男の僕でも心揺さぶられ、絶対に自分の手でドラマにしたいと思いました」といい、「この原作パワーに負けない女優はこの人しかいないと直感して、吉高さんに主人公のオファーをしました」と経緯を語っている。原作の東村氏は「と、東京タラレバ娘が…私の大大大好きな吉高さん主演でド、ドドドドドドラマ化だとお~っ!? 全国のタラレバ娘のみなさん、水曜夜10時の女子会は禁止だァァ!!!」と、興奮のコメントを寄せている。
2016年09月08日「マンガ大賞2016」の授賞式が29日、ニッポン放送イマジンスタジオにて行われ、野田サトル氏の漫画作品『ゴールデンカムイ』が大賞に選ばれた。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載中の『ゴールデンカムイ』は、日露戦争の帰還兵で、"不死身の杉元"として恐れられた青年・杉元佐一が、隠された金塊をめぐって北海道全土を舞台に繰り広げる冒険劇が描かれる。アイヌ民族の少女アシリパをはじめとした魅力的なキャラクターや、ミステリー、歴史、民俗、サバイバル技術など、多様な要素が凝縮されたエンターテインメント作品となっている。受賞のコメントを求められた野田氏は、「『ダンジョン飯』に勝ててうれしい」と、同じく「マンガ大賞2016」ノミネート作で、「全国書店員が選んだおすすめコミック2016」において1位に輝いた人気コミック『ダンジョン飯』を引き合いに喜びの第一声。本作を描いたきっかけについて尋ねられると、「主人公の杉元佐一というのは自分のひいじいちゃんの名前なんです。屯田兵として戦ったひいじいちゃんの話をいつか描きたいと思っていました」と、意外な事実とともに動機を明かした。さらに、「実際になかなか話を広げていくことができずにいた時に、担当編集の大熊さんが北海道を舞台にした狩猟小説を薦めてくれました。それがおもしろかったので、その2つをくっつけちゃえばいいやと始まりました」と説明。作品で描くものにはリアリティを出すために、知床や網走刑務所など、作中のモチーフとなった場所をはじめ、現地の猟師を取材したという野田氏。さらにアイヌ文化に造詣の深い中川裕教授がアイヌ語監修を務めるなど、あらゆる面で本物を志向している。創作へのこだわりについても野田氏は、「やはり取材で、本物を見て描くようにしています。徹底的に取材して詳細に描くことで、現地の方にも、『こいつ本気だ』と思ってもらえるんです」とコメント。授賞式に参加した担当編集の大熊八甲氏も、「野田先生は、その行動力と、情報・知識量を作品に落としこむ力がすごい」と語る。式では、野田氏が描き下ろした受賞イラストも公開された。今年ノミネートされたのは、『ゴールデンカムイ』をはじめ11作品。そのほかの順位は以下となる。「マンガ大賞2016」順位大賞 野田サトル『ゴールデンカムイ』2位 九井諒子『ダンジョン飯』3位 石塚真一『BLUE GIANT』4位 三部けい『僕だけがいない街』5位 たかみち『百万畳ラビリンス』6位 沙村広明『波よ聞いてくれ』7位 眉月じゅん『恋は雨上がりのように』8位 安藤ゆき『町田くんの世界』9位 東村アキコ『東京タラレバ娘』10位 山本さほ『岡崎に捧ぐ』11位 イーピャオ 小山ゆうじろう『とんかつDJアゲ太郎』
2016年03月29日TVアニメ『とんかつDJ アゲ太郎』が、4月10日よりTOKYO MXほかにて放送が開始されることを受け、東村アキコや石野卓球らが応援コメントを発表した。本作は、漫画雑誌アプリ『少年ジャンプ+』(集英社)で連載中の同名コミックを原作としたアニメーション作品。とんかつ屋の三代目の勝又揚太郎が、とんかつ屋とクラブDJに共通点を見いだし、一人前のとんかつ屋とDJを目指すというユニークな設定が話題を呼んでいる。音楽業界や芸能界にもファンが多く、さまざまなアーティストが応援のメッセージを寄せている。○東村アキコ コメントこの群雄割拠の漫画戦国時代にフッと現れたアゲ太郎。小学校のとき教室にいきなり犬が入ってきた時みたいな あの時の気持ちみたいな そんな漫画です。○石野卓球(電気グルーヴ) コメントおトイレでいつも読んでいます。アニメ化楽しみにしてオンエアまで息をしないで待ってまーす。P.S. まばたきもしませーん。○ANI(スチャラダパー) コメントアニメもアゲアゲでお願いします!○DJ JIN(RHYMESTER) コメント絶妙なギャグ・センスとリアルなDJの姿を、お見事というべきバランスで織り込んだ傑作なり。プロのDJとして活動する自分からしても、この内容は間違いない!○K ダブシャイン コメントアゲ太郎がフロアやとんかつをアゲてる様子を眺めてると、いつのまにかこっちの集中力もアゲられてしまうが、同時に腹も減ってきて、揚げ物が欲しくなるのが不思議だ。○やついいちろう(エレキコミック) コメントアニメ化おめでとうございます! 漫画を読んだ時にこれはアニメ化するんじゃないか?とにらんでました。今度するであろう実写化の際はよろしくお願いしますよ!○DJみそしるとMCごはん コメントとんかつはとんかつ屋に限る。家の火力じゃあの高揚感は出せやしないのさ。TDA、みそしるとごはんが要る時はいつでも駆けつけるよ! アニメ化おめでとう!(C)イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・とんかつDJ製作委員会
2016年03月11日漫画家の創作現場に密着し、作品が生まれる貴重な瞬間を見せてくれるテレビ番組『漫勉』。超人気漫画家たちの創作過程のVTRを見ながら、漫画家自身が浦沢直樹さんと共にオーディオコメンタリーのように語り合う。企画の発案者である浦沢さんに話を聞いた。「漫画の本当の凄みを伝えたい」という長年の思いを形にした。「日本は、週刊の漫画雑誌がある、他に類を見ない国。膨大なページ数の連載漫画が、毎週滞りなく読者の手元に届けられる。あまりに身近だからか、漫画ってどこか軽んじられていて、パラパラ見られてはポイッと捨てられる存在。そういうふうに消費されてありがたいんだけど、一方で『みんな、漫画のこと本当にわかってるのかな?』という気持ちもずっとあったんです。僕は、子供の頃から漫画を描いてきたから、漫画家の目の前で起きていることを想像して、作品を深いところで味わって楽しめてきた。みなさんにも創作の瞬間を映像で見てもらえば、どれだけ芳醇な文化に浸かっていたのか知ってもらえて、漫画の楽しみ方が増えるんじゃないかと思ったんです」浦沢さんは連載を抱えながらもキャスティングに始まり、撮影、台本チェック、ナレーション録り、音楽、編集など―すべてに力を注ぐ。「これまでの漫画に関するテレビ出演では、0から一生懸命伝えようとしても、1にも届かず終わっていたんです。その体験から、番組をつくるには制作から携わらないとダメだということがわかった。でも、民放各局に企画を提案したけどダメだったらしいです。地でエンタメとして成立しないと。だけど、漫画が立ち上がる過程の面白さがいざ放映されたら『ウチでやりたかった』と皆さん言っていたそうです」一連の番組作りでいちばんネックなのは人選だ。「漫画家は顔出しNGの人が多いんです。なので、顔をその漫画家さんの作品のキャラクターで隠したりして顔を出さなくても成立する回を実現させてみたいですね。登場した方々のあまりに凄い仕事ぶりに心折れる人もいたそうですが、一方で、漫画家に限らず多くの人から『漫勉を見るとやる気になる』『自分も頑張ろう』という声があがったのがうれしかったですね」番組を見るほど伝わる、画家の試行錯誤と創造力、情熱。しかし創作過程をつまびらかにすることへの怖さはないのだろうか?「僕も、他の漫画家さんの技に驚いてますし、影響もうけます。いいところはどんどん参考にしてほしい。でもね、本当に大事なところは、盗もうとしてもなかなか盗めるものじゃないですからね」◇東村アキコさんは、ペンが速いといわれる浦沢さんも驚く執筆スピード。下描きなしでペンを走らせることも。納得いくまで描き直す妥協しない姿勢は、職種を問わず学びたい。◇デジタル処理した写真をベースに、手で細かく背景を描き込む浅野いにおさん。アナログ的作業を加えることで「読者が入ってくる隙を作っている」と浦沢さんは鋭く指摘。◇うらさわ・なおき1960年、東京都生まれ。代表作に『YAWARA!』『20世紀少年』など。現在『BILLYBAT 』(ストーリー共同制作・長崎尚志)を『モーニング』にて連載中。世田谷文学館で初の個展「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」を開催中(~3/31)。ミュージシャンとしての顔も持ち、アルバム『漫音』を2月に発表したばかり。※『anan』2016年3月9日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・小泉咲子
2016年03月08日NHK連続テレビ小説で話題の『あさが来た』。ヒロイン白岡あさのモデルは大阪を拠点に活動した実業家の広岡浅子さんで、その生涯を描いた小説『土佐堀川』が原案です。激動の大阪を元気に駆け抜けたあさのような女性の姿を見ていると、毎日の仕事に対する自分のモチベーションもアップしますよね。そんな、仕事のモチベーションをアップさせてくれる女性の自伝小説3選をご紹介します。ファッションデザイナーの草わけ的存在小篠綾子さんPhoto by Amazon『糸とはさみと大阪と』は、これまたNHK連続テレビ小説『カーネーション』でも記憶の新しい、小篠綾子さんの自伝小説です。日本のファッションデザイナーの草分け的な存在であり、世界的に有名なファッションデザイナーであるコシノヒロコさん、ジュンコさん、ミチコさんの三姉妹を育てた小篠綾子さん。朝ドラでは描かれなかったエピソードもあり、軽快な文章で面白く読めます。小篠さんのバイタリティーあふれる力強い女性の生き様は、読んでいるだけで自分も力が湧いてきます。「もっと自分の思った通りに行動しよう」と背中を押してくれる、そんな物語です。女性漫画家東村アキコさんが漫画家になるまでPhoto by Amazon自伝小説は読むのが大変かもと思っている人におすすめなのがこちら。テレビドラマ化された『主に泣いてます』や実写映画化された『海月姫』の作者、東村アキコさんが描いた自伝的な漫画『かくかくしかじか』です。優しい家族や周りの人達に囲まれて肥大化された自意識で包まれていた美大を目指す主人公が、鬼のような絵画教室の先生と出会い過ごす日々が描かれた作品です。ノンフィクションの漫画ですが、時折笑え、最後には泣けてしまうストーリー展開は秀逸。美大を目指した人のみならず全ての人が自分の青春時代を振り返って共感できる内容で、作者に親近感が湧いてしまいます。特に厳しい恩師とのやりとりを見ていると、ちょっとサボっている自分も叱られているような気持ちにすらなります。成功するためには努力が必要であると改めて思え、明日のやる気に繋がる作品です。女性物理学者米沢富美子さんの自伝Photo by Amazon日本経済新聞の「私の履歴書」に掲載されていた女性物理学者・米沢富美子さんの自伝『人生は、楽しんだ者が勝ちだ 私の履歴書』。1960年代当時の日本で女性が大学に進学したり就職したりするのは相当な苦難である中、どんな困難な状況におかれても前に突き進んでいく米沢さんのパワーには感動です。時代は変わろうとも様々な困難がある社会の中で頑張っている女性に勇気を与えてくれる一冊です。理系文系関係なく読んで楽しめる本ではないでしょうか。毎日の仕事が大変だと、どうしても下がってきてしまうモチベーション。パワフルで偉大な女性の自伝小説を読んでモチベーションアップを図ってはいかがでしょうか。
2016年02月19日書店員や編集者、その年を象徴する有名人らの投票によってランキングされる『このマンガがすごい!』が10年めに突入。少女マンガに対する深い愛情で舌鋒鋭い評論をする女子マンガ研究家の小田真琴さんに、今年の結果を講評していただいた。「サブカルすぎず、ライトすぎず、たまにはマンガも読みたいといういわゆる浮動票読者をも惹きつけてきた歴史がありますが、今回のオンナ編を見ると異変が。これまでの少女マンガの文脈の外にある『ヲタクに恋は難しい』が1位になってしまったことがちょっと驚きでした」ヲタクを自称する男女のラブコメディは、書店員たちの圧倒的な票を集めた。2位の『東京タラレバ娘』は、第6回アンアンマンガ大賞も受賞している超人気作。「しかし、この世界観に疲れてしまった人にはぜひ10位にランクインした池辺葵先生の『プリンセスメゾン』をお読みいただきたいです。誰かを必要とする幸せを描く『東京タラレバ娘』と、誰の心も必要としない幸せを描く『プリンセスメゾン』は、表裏一体の関係にあります」3位には、『町田くんの世界』が。「多くのマンガにあるように、カッコいい、可愛い、センスがいいなど“スペシャルな何か”がなくても世界は美しいのだと、このマンガは教えてくれるところが素敵です」『町田くんの世界』安藤ゆき著(集英社)各400円現在2巻まで。「絶大な優しさで老若男女に愛される町田くん。この不思議な幸福感は癖になります」。『ヲタクに恋は難しい』ふじた著(一迅社)815円現在1巻まで。「ヲタクを恋愛しない言い訳にしている人は共感しそう」。『東京タラレバ娘』東村アキコ著(講談社)各430円現在4巻まで。「賛否両論ありますが作者一流の語りは一読の価値あり」※『anan』2016年1月20日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子
2016年01月19日アップルは9日、App Store(アプリ)、iTunes Store(映画、音楽、Podcast)、iBooks(ブック、マンガ)の「Best of 2015 今年のベスト」を公開した。今年のトップセラーや人気作品、コンテンツなどが掲載されている。○App StoreApp Storeのベストアプリに選ばれたのは「Enlight」(iPhone部門)、「Fantastical 2 for iPad」(iPad部門)。ベストゲームは「Lara Croft GO」(iPhone部門)、「Vainglory」(iPad部門)だった。「Enlight」は、写真の編集や加工に必要なあらゆる機能を搭載する画像編集アプリ。1枚の画像を編集するためにいくつものアプリを起動させていた人は、このアプリを使ってみると便利さに驚くのでは。「Fantastical 2 for iPad」は、音声入力に対応したスケジュールアプリ。iPhoneに親和性の高いデザインや直感的なUIも魅力。「Lara Croft GO」は、ターン制パズルアドベンチャーゲームアプリ。太古の遺跡を舞台とする神秘的な世界観に思わず惹きこまれてしまう。「Vainglory」は、オンラインバトルゲームアプリ。タッチに最適化された操作性や高い戦略性から世界大会も開催されるほどの人気アプリとなった。iPhone/iPadだけでなく、今年からはApple Watch部門、Apple TV部門も新設された。Apple Watch部門では、「Clipstro キセキ(軌跡)のビデオカメラ」、Apple TV部門では「クロッシーロード」が選ばれた。「Clipstro キセキ(軌跡)のビデオカメラ」は、体操やフィギュアスケートのテレビ解説でおなじみの残像動画を生成するアプリ。Apple Watchでは、録画、設定、変換、保存といったほぼすべての操作が行える。「クロッシーロード」は、カワイイ世界観とは裏腹にその高い中毒性が魅力のゲームアプリ。Apple TVでは複数プレイヤーによるマルチプレイも楽しめる。○iTunes Store(映画)iTunes Storeの映画部門では、ベスト大ヒット映画として「マッドマックス 怒りのデス・ロード」、ベスト監督作品として「バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、ベスト日本映画として「ビリギャル」、ベストファミリー映画として「インサイド・ヘッド」が選出された。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」は、圧巻のビジュアルと世界観、アドレナリンほとばしる爆裂スタント、魅力的なキャラクターたちが観る者に衝撃を与えた、革命的アクション作品。ド派手なアクションでストレスを解消したい人はぜひ一度観てほしい。「バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)」は、今年映画賞を総なめにしたショービス界を舞台に現実と幻想が交差する異色ドラマ。縦横無尽なカメラと極めて映画的な手法を駆使したアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の独創性が光る。「ビリギャル」は、実話を元にした王道サクセス・ストーリー。今年最も日本を泣かせた1本とも言える作品で、がむしゃらに夢へと突き進む有村架純のまっすぐ姿が爽やかな感動を呼んだ。「インサイド・ヘッド」は、多感な少女の頭の中で、彼女を救うため5つの"感情"たちが繰り広げる冒険を描く、カラフルかつファンタジックムービー。誰もが共感せずにはいられない、ピクサー史上最も意欲的な作品だ。○iTunes Store(音楽)iTunes Storeの音楽部門では、ベストアーティストとして「POSITIVE」(tofubeats)、ベストアルバムとして「PLANET SEVEN」(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)、ベストソングとして「Drag Me Down」(One Direction)、ベストニューアーティストとして「THE BAY」(Suchmos)が選出された。「POSITIVE」(tofubeats)は、約1年ぶりとなるtofubeatsの最新アルバム。tofubeatsは、この1年間、リミックスや他アーティストの作品に参加するなど、スピード感とクオリティを伴った多作ぶりが際立ち、ベストアーティストに選ばれた。本作では、多彩なゲストとのコラボレーションが揃っており、プロデューサー的側面も打ち出している。J-Popとクラブミュージックの次世代バランス感覚を追求しているtofubeatsらしい作品に仕上がった。「PLANET SEVEN」(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)は、J-Popシーンを語る上で欠かす事の出来ないグループ、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE のオリジナルアルバム。オープニングを飾る「Eeny, meeny, miny, moe!」を始め数々のヒット曲を交えた本作は多くの人々に支持された。またボーカルの今市隆二と登坂広臣の歌唱力、表現力と共に、緻密に作られたバックトラックにも注目したい。○iBookiBookでは、ベスト小説として「火星に住むつもりかい?」(伊坂幸太郎)、ベストマンガとして「雪花の虎」(東村アキコ)、ベストミステリーとして「流」(東山彰良)、ベストビジネスとして「新・100年予測 ヨーロッパ炎上」(ジョージ・フリードマン、夏目大)が選出された。「火星に住むつもりかい?」(伊坂幸太郎)は、平和を守るために公権力が暴走する社会を舞台に、正義とは何かを問う一作。伊坂幸太郎ならではの、張り巡らされた数々の伏線がやがてひとつに繋がるストーリー展開の見事さに圧倒される。「雪花の虎」(東村アキコ)は、「海月姫」「東京タラレバ娘」など現代女性のリアルな姿を描いた作品で人気の東村アキコ氏による作品。本作では、上杉謙信が実は女性だったという俗説をもとに、初めて挑む大河ドラマテイストな歴史マンガだ。ギャグ、エッセイなど多彩なジャンルで活躍する東村アキコ氏が短気で利かん坊な主人公の成長をどのように描いていくのか楽しみにさせる。***Bestに輝いたタイトルを振り返ると、アプリ部門はカメラ機能にフォーカスしたものや、新しいタイプのSNSアプリ、インタラクティブな教育コンテンツが選ばれ、iPadでの音楽制作を支援するツールもピックアップされた。iPhoneで言うと、3D Touchという機能が、iPadではiPad Pro用にApple Pencilという新しいデバイスが登場した年でもあるが、今後は、そういった新機能/新デバイスの特徴を活かしたアプリがフィーチュアされるに違いない。ゲーム部門は国内の大手デベロッパーによるハイクオリティなタイトルが貫禄という感じで選出されている一方で、「Brain Dots」や「Downwell」のようなインディペンデントなデベロッパーによるタイトルの健闘が目立つ。一発ネタで大当たりするという時代は確かに終わったかもしれないが、アイディア次第で大化けする可能性は開発に参加する全員に与えられていると言えよう。映画はトップ20の半分以上がアクション映画となったが、ファミリー向け作品もランクイン。また、『インターステラー』や『ゴーン・ガール』など、興行収入ではランク外になっている作品がトップ10入りしているのも「ならでは」の結果である。iBooksでは、映画化されたコミックが人気であり、戦後70年という背景があってか、戦争と平和をテーマにした小説が注目を集めた。Apple TV向け、Apple Watch向けのアプリはまだ数が少ないという印象があるが、異なる視点からだと、この分野にはビジネスチャンスがいくらでもあるとも見える。リリースも爆発的に増えていくことだろう。そして最後にMusic。今年はApple Musicのサービスが始まった年でもあるが、そのApple Musicがベストアーティストに選出したのは、tofubeats。その他にベストアルバム、ベストソングなどが発表された。秋には第一回目となるApple Music Festivalも開催され、盛況のうちに幕を閉じた。日本においては、続々と新しい定額音楽配信サービスが始まった年でもあるが、iTunesにとっては10周年というアニバーサリーイヤーだったことも忘れてはならない。来年どのようなアプリやコンテンツが登場するのかはわからないが、今年を上回る素敵で魅力的な作品に期待したい。
2015年12月10日ママがあやすと嫌がられる!?家事・育児を夫がこなす二ノ宮家『ヒモザイル』(東村アキコ)が炎上して休載になってしまいましたね。今は外資やIT系などでかなり稼ぐ女性も多いですから、男性が家事を担当して主夫になる選択は大いにアリだと思います。でも、そうした男性たちを「ヒモ」扱いして呼ぶことに批判が相次いだようです。(c)『おにぎり通信~ダメママ日記~』(二ノ宮和子/集英社 愛蔵版コミックス)既刊2巻一方で、その主夫を面白おかしく描いた作品があります。『のだめカンタービレ』の作者・二ノ宮知子さんによる『おにぎり通信~ダメママ日記~』です。子育て漫画は世にいろいろありますが、この作品は「自分がいかに子育てに参加していないか」を描いていて新鮮です。家事・育児は夫であるPOMちゃんがすべてこなしているようです。POMちゃんは早朝に起きて朝食を作り、経理などの事務仕事をこなし、保育園への送り迎え、掃除洗濯、子どもの入浴をやっています。二ノ宮さんは漫画をひたすら描いて、あとはご飯を食べて寝るだけ。二ノ宮さんが子どもをあやそうとすると、エビ反りになって「パパがいい~!」と叫ぶそうな。子どものママ好きって、DNAじゃなくて、かまってる時間なのですね……。というようなダメ母ぶりを、めいっぱい自虐的に描いています。もしかしたら、夫の子育ての非協力的なことに悩んでいる人は、読むと腹立たしい気持ちになるかもしれません(羨ましくて)。まあ、SOLOはおひとりさま向け媒体なので、そういう心配はないものとしてご紹介しております。でもぶっちゃけ私、この作品を読むまで「二ノ宮さんはダメ男と結婚したのか」と思いこんでました。本当にすみません。結婚当時、POMちゃんは定職に就いていなかったみたいだし、仕事に追われている二ノ宮さんを置いて飲みに行ったりしてたみたいだし……。人生とは“選んだものでどう幸せになるか”(c)Heidiところが、いざ子育てが始まったら、たいへん頼りになる人だったわけです。もし二ノ宮さんが「とにかく年収の高い男性と結婚したい」と思っていたら、POMさんは選ばなかったでしょうし、そのかわり家事育児を任せっきりにもできなかったでしょう。人生って、何を取るか、選んだものでどう幸せになるかってことなんだなと思います。と同時に、夫に経済力を求めなくても済んだのは、二ノ宮さんに経済力があったから。やっぱり稼ぐ力をつけるってことは、人生の選択肢の幅を広げるってことなんですよね。実録エッセイ漫画とは言っても、あったこと全部は描いていないだろうし、脚色もあると思います。でも、朝が弱ければ夫にやってもらい、夫が手に余れば手伝うしという、なんかとてもいいコンビで、ほのぼのしてしまいます。いや、漫画の中は大騒ぎしてて大変そうだし、実際は絶対こんなにおもしろくないんだと思うけど。冒頭で東村アキコさんを例に出したのは、2人ともエッセイ漫画がおもしろい作家さんだからです。東村さんも『ママはテンパリスト』という爆笑子育てエッセイを描いていて、つい思い出しました。東村さんは「面倒くさいから母乳派」で、二ノ宮さんは結果的にですがミルク派と、子育ての環境や方針がまるで違うのが興味深いです。共通しているのは、「なんだか大変そうだけど楽しそう」というところ。どんな環境にあっても、楽しく愉快に生きたいものです。Text/和久井香菜子
2015年11月10日最近スマホをいじるばかりで、全然本を読んでないなーと思ってませんか?マンガでもいいので、たまには本も楽しみましょう!今回は、20代だからこそ読んでほしいオススメ4冊をご紹介します。■1.「東京タラレバ娘」(東村アキコ・著)33歳の未婚女性3人が繰り広げるコメディーマンガ。コメディーなのかホラーなのかは読む人次第・・・。「話題だから読んだけど、まだ20代なのに恐怖で震えた・・・本気で婚活を始めようと決意!!」(25歳/メーカー)「まさに独身アラサーの私には破壊力がありすぎました。辛さを分かち合おうと独身同僚たちに貸したら、みんな一週間くらい立ち直れなくなっていた」(31歳/編集)特に「彼氏いないけど、まぁそのうちできるでしょ~」と若さにだけ腰掛けて余裕ぶちかましている女子に読んで頂きたいです。きっと翌日から真剣に合コン行くなり婚活を始めるなりするに違いありません。それくらい、20代の女子にも「このままじゃヤバイ」と思わせる破壊力があります。30代となると、もう心抉られます。■2.「おひとり様物語」(谷川史子・著)事情様々な「おひとり様」を主人公に、それぞれの日常を描く短編マンガ。「私も長らく彼氏のいないおひとり様だから、わかるわかる~と共感しまくり。」(25歳/営業)「一人でいることに劣等感を持っていたけど、これを読んで元気が出た!」(28歳/秘書)『タラレバ娘』で心を抉られたあとはこちらを読んで、「ひとりでも大丈夫かも」と癒されましょう。優しさと可愛さが溢れる世界に浸れば明日からの活力も沸くことでしょう。■3.「この人と結婚していいの?」(石井希尚・著)一見、現在の彼氏で本当にいいのかを考える本なのか?と思いがちなタイトルですが、本書のテーマは『男女の違い』。相手が誰であろうが、普遍的に起こりうる「男女のすれ違い」をわかりやすく解説してくれる本。「思いやりがない、きつい性格だと思っていたことが、ただの『男の特性』だとわかってよかった。知らないで結婚していたら喧嘩ばかりになっていたかも・・・」(30歳/主婦)「自分はあまり女っぽくないと思っていたけど、これに書いてある『女の特性』そのままだった・・・。自分をよく知る上でとても勉強になりました」(27歳/メーカー)結婚したい相手ができたら是非読んで頂きたいのがこちら。ラブラブだったカップルも、夫婦になるとぶつかる時も来るでしょう。「こんな冷たい人だと思わなかった!」・・・だけどそれは性格の違いではなく、単なる男女の違いなのかも。その特性を知っていれば、よりお互いを深く知り、理解し合うことができるかも。未婚の方も既婚の方も、筆者一番のオススメ本です!■4.「対岸の彼女」(角田光代)直木賞を受賞した角田光代の代表作。専業主婦の小夜子とバリバリ働く葵の二人を主人公に女性の人生を描く小説。「学校でも会社でも、女社会を味わったなら共感できる。もやもやした思いが少し救われる気持ちになる」(28歳/事務)「年齢ごとで読み返していきたい本。20代で読むのと30代で読むのとではまた感想が変わるはず。」(32歳/マスコミ)いわゆる専業主婦VSバリキャリ女性、という単純な構成ではありません。緻密な心理描写や複雑な人間関係、女社会の本音と建前など、巧みな文章力、構成力で一気に読ませてくれます。女の人生はまだまだこれからな20代のうちに是非一度読んで頂きたい小説です。■おわりにいかがでしたでしょうか?内容はそれぞれまったく違いますが、20代すべての女子にオススメの厳選4冊をご紹介しました。秋の夜長をゆっくり楽しむお供にぜひ手にとってみてくださいね。(福井優/ライター)(ハウコレ編集部)(平尾優美花/モデル)(柳内良仁/カメラマン)
2015年11月09日アラサ―世代の間で話題をかっさらっている、東村アキコさんの漫画『東京タラレバ娘』。恋愛や仕事がうまくいかない倫子、香、小雪の3人を取り巻く、アラサ―女性の心を直撃する描写の数々に、奈落の底に突き落とされている方がちらほらといるようです。一方で、いまいちピンと来ずに首をかしげているような人もいて、感想戦は血で血を洗うような殺伐とした様相を呈しています。が、同じ世代で1つの漫画に夢中になってああだこうだいうのって、なんだか楽しいですよね。議論というのは、1つの立派なエンターテイメントです。『タラレバ娘』に泣く男『東京タラレバ娘』(講談社)しかしこの『東京タラレバ娘』、私のまわりでは女性読者だけでなく、男性読者がとっても多いようなのです。はじめは、「なんだってこんな、“女による、女のための、女の漫画”をわざわざ読むんだろう……」と不思議に思っていたのですが、最近になって、ようやくその理由がわかってきました。『東京タラレバ娘』は、彼氏がいない、結婚できない、とはいえ仕事に邁進しているともいい難い、そんなアラサ―女性たちに叱咤激励という名のエールを送る、「説教系メディア」。しかし昨今、我々女性の間では、こういった耳に痛いことをいう説教系メディアに対して、反旗を翻す声が徐々に上がってきているように思います。「だからお前はダメなんだよ」と、怒られて素直に反省していた時代もあったけど、あまりにも怒られるのでだんだんムカついてきた……ってかんじでしょうか。はいはいと黙って聞いてりゃ調子にのりやがって、とここまで喧嘩腰なのは私だけですね。すみませんでした。こういった説教系メディアがなぜ発達してきたのかというと、それはひとえに、我々女性が内省的な傾向を持っているからですよね。恋愛や人生がうまくいかないのは、自分に原因があるからだと考える。一方で、男性向けの説教系メディアというのはこれまでほとんど見られませんでした。それは、彼らに反省すべき材料がなかったから、というわけでは決してありません。ただ単純に、多くの男性には内省的な傾向がなく、説教系メディアに対する需要がなかったからでしょう。しかし、そんな男性たちの目に、もしかしたら『タラレバ娘』は新鮮に映っているのかもしれません。インターネットを観察していると、私が「えー、別にそんなことないけどなー」とスルーしていた箇所で、しっかりエグられて心の涙を流している男性がいるのです。彼らは女性をバカにしているのではなく、倫子や香や小雪のことを、自分のことと受け止めて内省しているらしい。なんだか他人事のように、面白い現象だなあと思ってしまいました。「自分らも、人のこと笑ってる場合じゃないのでは」と気付き内省を始めた男性と、あまりにも怒られるのでいい加減飽きてきちゃった女性。昨今の「説教系メディア」を取り囲む環境は、そんな具合になっているのでは……というのが私の仮説です。本当は「いい男」なんていらないでしょ?これまで女性向けに多く作られてきた「説教系メディア」は、いったい私たちに何をもたらしてきたのでしょう。もちろん、なかには参考になった話も、心に響いた話もあったことでしょう。だけど、人生指南を精神論でいくら語られても、自分って変わらないんですよね。人間という生き物は、意外にもしっかりと自分の欲望を実生活に反映させるものです。いつまでたっても結婚できないと嘆く女性はきっと本当は結婚なんて求めてないし、いい男がいないと女子会で文句をいう女性は、本当はいい男なんてそもそも求めてないんですよ。「そんなことないよ!」と反論されてしまうかもしれませんが、きっとあなたが本当に欲しいものは、すでにあなたが手にしているもののなかにあります。それは理想を下げるとか妥協するとか、そういうことじゃありません。視点と探し方を変えるだけです。……と、これ自体が精神論になってしまうというブーメランなのですが、「こうすればいいのよ」と行く先を示してくれる説教系メディアに、我々女性はもう満足できなくなっている。だって頭でわかっていても、行動は変えられないから。あまーい言葉だけを囁きながら消費を煽ってくる従来のメディアもちがうし、耳に痛いことをいって反省を促してくる昨今のメディアもちがう……さて、難しいですね。私たちが次に聞きたいのは、いったいどんな言葉でしょうか?Text/チェコ好き
2015年09月10日地方在住の女性が感じる退屈や閉塞感を描いた『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)で一躍注目を集めた作家の山内マリコさん。8月17日には、擬人化した東京23区が自分語りをするユニークな小説集『東京23話』(ポプラ社)が刊行されます。そんな山内さんに、地元と東京、恋愛と結婚、家族、そして友情……と、ライフステージによって移り変わる女性の“居場所”のあり方について、全3回にわたってお伺いしました。地元のマジョリティの感覚からズレていた負い目があった――山内マリコさんの作品に登場する女性たちは、しばしば“東京との距離感”“地元への違和感”を常に抱き、自分の居場所を決めかねているように見えるのですが、その微妙な感情はどこに由来するのでしょうか?山内マリコ(以下、山内):私の場合は、単純にそこまで気の合う人が周りにいなかったのが大きいかも。仲のよい友達はいるんだけど、私以上に都会志向だったし、高校時代に付き合った人と結婚を考えるとかも、ありえなかった。「この人と離れたくないから地元に残りたい」みたいな出会いをしなかったぶん、地元を離れて一度リセットするのは、織り込み済みって考えていた気がします。大学を卒業した後のことなんてその時点では考えてなかったけど、たった4年の間にどんどん地元の街なかが寂れちゃって、4年生になったときに、地元に戻ろうとは思えなかったです。もう少し自由な空気を吸っていたい!って感じで。――寂れていく街を目の当たりにすると、確かに未来や希望は感じにくいですよね。山内:もう目に見えて寂れてましたからね。地元にいた頃よりも、明らかに店とか減ってるし。郊外には大型店がどんどん進出して買い物に困ることはないんだけど、飽きるんです。街自体が単調にできてるから、行動がどうしてもパターン化してくるというか。それが苦にならない人にとっては快適だし、まったく気にならない人もいるんだろうけど。地元は富山市なんですけど、戦争でかなり焼けてしまって、作り直しているから、歴史から分断されちゃったようなところがあるんですよね。車優先のつくりになっていて、生活するにはすごく便利なんだけど、その代わり単調で、情緒がない。それで十分居心地がいいと思っている人もたくさんいるけど、私はそうじゃなかった。ものの考え方とか、何が好きかとかも、大多数の人からはズレていたし、話の合う人も少なくて。そういうはみ出し者が、自然と地元を出るんです(笑)。居場所に“しがらみ”が生まれるのは地元もネットも同じ――地方にいても情報はどんどん入ってくるし、東京との文化資本の差を感じている人もいる一方で、地元にあるもので十分満足できる、いわゆる“マイルドヤンキー”みたいな人もいると思うんですが、その違いは何だと思いますか?山内:それ、私もわからないんですよね。私の兄が、同じDNAで同じように育ったはずなのに、どこで何をどうしたらこんなに違ってくるのかっていうくらいタイプが違うんですよ。確実に言えるのは、地元で堅実にやってる兄みたいな人の方が、マジョリティってこと!東京で地方出身者の人と話すと、それが逆転して、都会で仕事が楽しくて結婚とか後回しにしてる女子が主流、みたいになるんですけどね。でも地元基準では、私の方がおかしいんだ、ズレてるんだと、忘れないようにしなきゃいけないという(笑)。マイルドヤンキーを東京目線で批判的に見たりするのは、すごく傲慢だとも思っていて。地元になじんで楽しくやっている大多数の人たちの人生を否定する気はないし、あくまでも、私はそこでうまくやれなかったという負い目があるんです。――そういう人たちにとって、大きな“居場所”の役割を果たしてきたのがインターネットですよね。SNSなどの普及によって、地元でははみ出し者だと思っていた人も、ネットには同じ気持ちの人がたくさんいるんだと連帯できるようになった恩恵ははかりしれないと思います。山内:そうですね、私の場合はちょうどmixi全盛の時代で、映画の感想を書くと全然知らない人から感想がきたり、趣味が縁になってどんどんつながっていくのがすごく楽しかった。でも、その喜びってほんの一瞬で、すぐに面倒くさいしがらみになっていっちゃうんですよね。Twitterもそう。始めたばかりの頃は楽しくて無邪気にやっていたのに、すぐに「あ、この人めんどくさい」みたいな人が出てくるし、新しい出会いのツールのはずが、しがらみだらけの使い方をしてたりして、「なんだかなぁ~」って気持ちになる。――閉塞感から解き放たれていたはずのオンラインのつながりにも、必ずしがらみが発生しちゃいますよね……。山内:東浩紀さんの『弱いつながり』(幻冬舎)という本にも、ネット上のつながりの方がむしろ強固でしがらみが強い、といったことが書かれていました。“つながり至上主義”みたいになっているところを、いかに自分がちょうどいいと思える距離感で付き合うかはすごく大事。SNSもいいけど、近所の人にニッコリあいさつする方が、精神衛生的にはかなり健全ですから。“恋愛”による自己承認より縛り付けない“友情”に救われた――自己承認を得られる“居場所”というと、特に女の人はどうしても恋愛に走りがちだと思うのですが、山内さんは、恋愛よりもシスターフッド的な女性同士の友情を、小説では描きたいとおっしゃっていますよね。山内:バブルの頃から脈々と続く恋愛至上主義に毒されていると、「どれだけドラマチックな恋愛をしたか」が自分の価値、みたいな考えになりがちですよね。特に若い女の子は、恋愛を通して自分を承認してもらったり、自己を確立させようとするんだけど、そんな恋愛をさせてくれるほど、男の人も都合よくできてない。恋愛を否定する気はさらさらないけど、私の場合は、恋愛よりも女友達と味わった経験の方が全然楽しかったし、自分のためになったし、救われたんですよね。だから、それを書きたいという気持ちがあります。もし最高の大恋愛を経験していれば、その素晴らしさを説得力満点で書けたのかもしれないけど、してないし(笑)!でも、それを「人として劣っている」とか「女として可哀想」なんて、思う必要はないんです。――もしかすると、マイルドヤンキーのように地縁でつながった地元仲間との友情を大切にする人たちも、それと同じ感覚なのかもしれませんね。山内:たしかにそうかも。ただ私の場合、気の合う大事な親友と出会えたのは大学時代で、「その子とずっとそこにいるわけじゃない」という、流動的な関係性だからこそよかったと思っているんです。当時は、同じ大学に通って、住んでいる部屋も徒歩1分くらいの距離で、寝るとき以外はずっと一緒に過ごしていました。それこそ家族みたいに濃密な関係で、このまま離れたくない、この関係がないと生きていけないと思っていたんですが、卒業したら別々の場所で、自分の人生をはじめなくちゃいけない。結局、一緒にいたのは3年くらいでしたが、その3年間で十分大事なことは分かち合えた。離れてから、お互いがそれぞれの人生に飛び立って行けた。ずっと一緒にいたら、きっとお互いを縛り付けて、苦しくなってたと思います。――“居場所”は流動的に変わっていく方が健全だということでしょうか?山内:気が向いたらパァーッと別の土地に移って、そこでゼロから生活するっていうのが好きなんですね。関係性どころか、物理的にもその方が性に合っていて、「夢はマイホーム!」みたいな志向も一切ないです。ただそれって、地元に実家があって、そこでしっかり根が張られているからこそ、思えることなのかも。そのときの縁やタイミングで出会う人や“居場所”は変わる――そういえば最近、女子会やルームシェアといった女性同士のシスターフッド的な友情を描いた作品って多い気がします。漫画でいうと東村アキコさんの『東京タラレバ娘』(講談社)とか、鳥飼茜さんの『地獄のガールフレンド』(祥伝社)とか。ドラマ『問題のあるレストラン』も、女性だけのコミュニティを作ってレストランを営む話でしたし。山内:見てた見てた!大好きなドラマでした。『地獄のガールフレンド』もついこの間読んだばかりです。『アナ雪』あたりからちょっとしたブームですよね。世界的にそういう流れみたいで、アメリカでも恋愛映画を成立させるのは難しいらしいです。――山内さんにとって理想的なシスターフッドを描いた作品って、他に何かありますか?山内:『SEX and the CITY』が、今のこの流れの源流じゃないかな。それこそ大学を卒業して親友と離れた当時は、丸一年ひたすら『SATC』をくり返し見て、彼女たちのことを勝手に友達だと思っていました(笑)。――ただ、『問題のあるレストラン』も最後はレストランがつぶれてしまったように、楽園のようなコミュニティも永遠には続かなくて、やはり流動的な関係として描かれることが多いですね。山内:人と人が出会うタイミングって、奇跡みたいなもので、その奇跡が永久に続くことはないってことでしょうかね。それこそ私、まだ若くて心がスポンジみたいに柔らかい状態の頃に、親友と思える子と出会って、仲を深め合えたけど、今はもう人間として成型の段階でかなり固まってきてて(笑)、最後にヤスリをかけるような時期だから。もしも今、彼女と出会っても、そこまでの関係にはなれなかった気もします。やっぱり、引き寄せ合うタイミングが重要なんですよね。――そのときの自分のライフステージによっても、出会いたい人、出会うべき人は変わっていくし、“居場所”も変わっていいってことですよね。山内:うん、変わりますね。たぶん私、今はもうそんなに大きく価値観を揺さぶられるような人とは、かえって出会いたくないかもしれない。今そんな出会いがあっても、面倒くさくなって「ちょっと忙しいんで」とシャットアウトしてしまうかも(笑)。――次回「結婚するなら“彼氏”ではなく“親友”と思える相手がいい」に続きます。Text/福田フクスケ(プロフィール)山内マリコ(やまうち・まりこ)1980年、富山県生まれ。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。主な著書に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』(いずれも幻冬舎)、『パリ行ったことないの』(CCCメディアハウス)、『かわいい結婚』(講談社)など。『anan』(マガジンハウス)『TV.Bros』(東京ニュース通信社)など連載も多数持つ。8月17日に最新小説集『東京23話』(ポプラ社)が発売。
2015年08月14日8月29日(土)より日本公開となるカン・ドンウォン&ソン・ヘギョ主演のヒューマンドラマ『世界で一番いとしい君へ』。このほど、「海月姫」「かくかくしかじか」「主に泣いています」など数々のヒットを生み出した人気漫画家・東村アキコより、「世界で一番好き」と言うカン・ドンウォンへの愛情と本作への思いが詰まったイラスト&コメントが到着した。テコンドーの選手として活躍していた17歳のハン・デス(カン・ドンウォン)は、アイドルを夢みるチョン・ミラ(ソン・ヘギョ)と出会う。17歳という若さで子どもを授かった2人は、夫婦としての生活をスタートするが、生まれた子は早老症という世界でも稀な病気を抱えていた。それから17年、80歳の身体年齢である17歳の息子と若い夫婦は、家族3人、数奇な人生を時に笑いを交え、お互いを慈しみながら支え合って生きていた――。原作は、韓国で発行3ヶ月で14万部が販売され、各国でも翻訳本が出版されているほどの人気を誇る作家キム・エランの小説「どきどき僕の人生」。実生活では独身のカン・ドンウォンが初の父親役、しかも「少女時代」ファンという設定など、これまでにない一面を見せる本作は、本国でも感動を呼び、海外でも第17回ウーディネ・ファーイースト映画祭で「観客賞」第3位に輝くなど注目を集めている。本作をいち早く鑑賞した東村先生も、「ドンくんが好き!!!」と愛たっぷりのイラスト&コメントを寄せ、感動の涙に暮れたことを明かしている。<東村アキココメント>私が世界で一番大好きな俳優、カン・ドンウォンが初の父親役ということで、ドキドキしながら鑑賞しました。17歳の高校生から、33歳の若いやんちゃパパまで、いままで見たことないドン君の魅力が炸裂!髪型もいっぱい変わって、さらにまさかのあの女子たちとの共演と、ファンにはたまらない内容でした。ストーリーも、重いテーマを扱っているのに、ちょっととぼけたコメディタッチで、くすくす笑っちゃうシーンもたくさん。でも、やっぱり最後は泣いて泣いて、もうどうしようもなく泣きました。愛に溢れた素晴らしい映画です。私にも10歳の息子がいますが、また一緒に映画館に観に行きたいと思っています。『世界で一番いとしい君へ』は8月29日(土)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2015年08月08日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。若い頃は大人の“懐の深さ”“愛ある厳しさ”に気付けない『かくかくしかじか』(東村アキコ/集英社)全5巻芸能人の恋愛ゴタゴタニュースを見ていると、なんとも息苦しくなります。だって、誰にだってひとつやふたつ、恥ずかしい恋愛の「やっちゃった」話くらいあるでしょう。「別れたくない」と泣いてすがってみたり、女に「××くんは私の彼なんだから、話しかけないでよ!」とかケンカ売ったりさ。ポエム調の手紙を書いて、あまつさえ誰かに送っちゃった人もいるんじゃないでしょうか。それらは一般人だったから闇に葬れたわけだけど、もし自分の過去の恋愛沙汰が逐一公表されたら、たいていの人は生きていけません。まあ、得てして若いうちなんて自己中心的だし、他人がどれだけ自分を許してくれているかなんてまったく気付かない。自分の視野が狭くて他人を正当に評価できないから、安易に大人たちを小バカにしたりもするものです。アラフォーくらいになってようやく、「ああ、なんて自分は奢った人間だったんだ!」とか「地球は自分のために回ってるとか、俺のことだった!」と気付いて、また頭を抱えるわけですけど。そんなけで、今回の『かくかくしかじか』は、贖罪の物語です。美大受験でデッサンを教わったことから始まる、作者の東村アキコさんとその恩師・日高先生との長い交流を描いています。日高先生は、とにかくサボって怠けたがる若者を叱咤して絵を描かせるスパルタ講師です。竹刀で叩いたりして有無を言わさずひたすら描かせます。家族以外の居場所、親以外の保護者がいる大切さBridget H社会に出る前は、自宅と学校以外に自分の居場所(習い事とか塾とかクラブ活動とか)があったほうが、精神的な逃げ道ができて安全です。自宅や学校で問題があっても、もうひとつ居場所があればなんとかなるかもしれません。また、大人になる頃には親以外の保護者がいたほうが救いになります。親がわかってくれなくても、尊敬できなくても、親の言うことは聞けなくても、無責任な関係の保護者になら、慕ってついていこうと思えたりするものです。東村さんにとって日高先生は、家と学校以外の居場所であり、親以外の保護者であったようです。この作品では、自分の過去の葬り去りたい恥ずかしい思い出で読者を爆笑させつつ、自分の浅はかな態度と、今だから言える敬愛をこれでもかと描いて読者を嗚咽させます。右に左に感情を揺さぶられる名作です。若いうちの苦労は買ってでもしろというけれど、体力がある若いうちに努力する基礎を作れたら、その後の人生どうとでもできるものです。日高先生にしごかれた人たちは、きっとどこででも生きていけるでしょう。そして、そんなふうに愛を注いでもらった恩人にですら、若いうちは人が死ぬなんて想像もしないから、不義理ができるもんです。それを突然失って後悔するんです。途中から物語のラストが読めてくると、笑ってばかりいられなくなって辛いです。それにしても東村さん、美大に現役入学して、その後も描き続けたらしいので、真面目な美術系の絵がとても見たくなりました。で、基本的にこの作品は自伝なので、萌えとかラブシーンとかはないんですが、彼氏の西村くんはかっこいいです。作者は、あまりに西村君がかっこいいので、似顔絵描いたり、漫画のモデルにしたりしたそうです。若気の至りの数々を披露していて、それもまたすがすがしいというか、痛いというか。いや~、ホント、若い頃の恋愛話なんて思い出したくないですね。ましてや人に暴露するとか……(でも金になるなら前向きに検討するな)。Text/和久井香菜子
2015年07月16日漫画を評価する言葉といえば、「緻密な世界観」「圧倒的な描写力」「魅力的なキャラ造型」などが常套句だが、ネットで散見される『東京タラレバ娘』の感想はちょっと違う。「破壊力がやばい!」「殺傷能力高すぎ!」「阿鼻叫喚!」など、ほとんど殺鼠剤かアサルトライフルのレビューにしか使われないようなボキャブラリーが並んでいるのだ(アサルトライフルのレビューなんて読んだことないけど)。仮に、アラサー独身女性が密室で変死体となって見つかり、手に『東京タラレバ娘』が握られていたら、自殺でも他殺でもない「書殺」として、この本が凶器として押収されることだろう。よくわからない喩えをしてしまったが、とにかくそれほどまでに今、読んだ女性を次々と「痛い!」「刺さる!」「死ぬ!」と半狂乱に陥れている漫画が本作なのだ。しかし、その「!」の部分に、どこか嬉々としたテンションの高さを感じるのは私だけだろうか。○アラサー女性の息の根を確実に止めるアサシン・東村アキコ本作の主要登場人物は、フリーの脚本家の倫子、ネイルサロンを経営する香、居酒屋の一人娘として店を切り盛りする小雪の3人。ともに高校時代から親友同士の33歳で、しばらく彼氏がいないのも共通項だ。注目すべきは、彼女たちがそれぞれ自立した職業に就き、そこそこ稼ぎもあって、それなりに成功や安定を収めていること。つまり、スペックだけ見たらじゅうぶん一人でも幸せに生きていける"はず"なのである。しかし、彼女たちはまったく幸せと思えずにいる。その苦しみの原因は、"彼氏ほしい""結婚したい"というもはや内圧なのか外圧なのかわからないプレッシャーと、若い頃とは勝手が違う現状に追いつけず、理想の男性と理想の恋愛のハードルを上げ続けてしまった自意識との葛藤だ。この、"自分がもう若くないことを受け入れられない"アラサー世代特有の痛い腹を執拗に探り当て、グリグリとえぐり続けるところが、この漫画の凶器として鋭利なゆえんだ。倫子が10年前に"ダサいから"とフッた仕事仲間の男が、立派に成長&出世してはるか年下の女子と付き合い出したり。実力で評価されることが救いだった仕事すら、10歳年下の新人の枕営業によって横取りされたり。若きイケメンモデルのKEYは、倫子たちの女子会を「行き遅れ女の井戸端会議」と切って捨て、「もう女の子じゃないんだよ? おたくら」と熾烈な暴言を吐く。さらには、倫子がお酒を飲み過ぎると現れるタラの白子とレバテキの幻覚までも、口を開けば「女は若さと美しさタラ」と手厳しい。本作は一見、アラサー独身女性に対して脅しがキツすぎるように見える。彼女たちが割を食っているのは、若くてかわいい女性にばかりゲタを履かせる男たちも悪いし、"彼氏がいない""結婚していない"ことを必要以上にコンプレックスと思わせる社会にも原因があるだろう。作者の東村アキコ氏も、1巻の巻末おまけマンガの中で、「別に私は『女は結婚しなきゃダメ』とか『女の幸せは男で決まる』とか『結婚できない女はかわいそう』なんて全く思ってません」ときっぱり明言している。にもかかわらず、なぜ作者は本作において女性を追い詰めることばかり言うのだろうか。本当はハートマン軍曹が描いてるのか。○「愛に甘い夢を見るのは20代で卒業せよ」という辛辣なメッセージ1巻のラストで、倫子は一回りも年下のKEYから挑発的な誘い文句をかけられて一線を越えるという、いかにも少女漫画チックな展開を迎える。しかし、これって恋かしら……と心揺れる倫子に対して、タラとレバーは「酔って魔が差してセックスした」「それ以上でも以下でもないタラ」とアイスバケツチャレンジのような冷たい現実を浴びせかける。倫子だけではない。2巻では香や小雪までもが、それぞれいわくつきの男性と夜をともにし、幸せになれる見込みのない色恋にハマっていくのだ。彼女たちは、それがたとえ男の遊びや気の迷い、大人のグレーな関係であっても、体を重ねると気持ちまで許してしまい、そこになんらかの「愛」があるのではという甘い夢を見てしまう。愛は男から与えられるものであり、セックスとはその愛を受け入れる行為であって、それはロマン輝くエステールのように尊いものだと、子供の頃から植え付けられてきたからだ。しかし、タラとレバーはこう言う。「あれは愛の行為なんかじゃない」「愛という言葉に踊らされて」「おまえらはいつも」「リングの上でサンドバッグになって」「ボコボコに殴られてるんタラ」「33歳にもなってどうしてそれに気付かないんタラ?」昨今、日本の男性はAVのせいで"セックス=支配的・暴力的なもの"と思い込まされているのではないかと、しばしば指摘されるようになった。一方で、女性もまた、少女漫画というまほろばの湯に肩までどっぷり浸かった結果、"恋愛=受動的・依存的なもの"という幻想を刷り込まれて手放せなくなっている人は多い。倫子の書いたネットドラマを、KEYが「夢見るおばさんに少女漫画みたいなドラマを提供するのがアンタの仕事」「少女漫画脳の乙女チックババアの書いた脚本」とこき下ろしているのは象徴的だ。さらに東村アキコ氏は、「このマンガがすごい! WEB」のインタビューの中で、本作についてこう語っている。「『これを読んだおかげで現実が見えて、そこそこのとこで妥協して高校の同級生と結婚しました』って報告してもらえたらうれしいですよね」つまり『東京タラレバ娘』は、決してアラサー独身女性に非があると責め立てるための漫画ではない。ただ、彼女たちを毒する「少女漫画脳」というロマンティック・ラブ至上主義の洗脳を、いささかスパルタなショック療法によって解こうとしているのではないだろうか。男に甘い夢を見てしまう「愛」の幻想からアラサー女性を解放し、自立させるため、作者はあえて鬼になっているのだ。そのやり口の是非はともかく、それが多くの女性読者に"響いてしまった"のは事実だ。彼女たちの「痛い!」「刺さる!」「死ぬ!」に込められた「!」のテンションは、依存症患者が禁断症状にもだえる叫びにも、あるいはカルト信者が洗脳を解かれて目覚めた歓喜のカタルシスのようにも、私には聞こえるのである。<著者プロフィール<福田フクスケ編集者・フリーライター。『GetNavi』(学研)でテレビ評論の連載を持つかたわら、『週刊SPA!』(扶桑社)の記事ライター、松尾スズキ著『現代、野蛮人入門』(角川SSC新書)の編集など、地に足の着かない活動をあたふたと展開。福田フクスケのnoteにて、ドラマレビューや、恋愛・ジェンダーについてのコラムを更新中です。
2015年06月15日写真家で映画監督の蜷川実花にフィーチャーした書籍2冊が、クリエイティブジャーナル誌『クォーテーション(QUOTATION)』の特別版として、5月20日に同時発売される。蜷川実花の20年の活動を総括した『QUOTATION BOOKS:couleur「蜷川実花の20年を知る」』(1,600円)では、新作を含めた写真作品を46ページに渡って掲載。さらに、様々な業界で活動する10人のスペシャリストとの特別対談も収録される。ラインアップは作詞家の秋元康、「チームラボ(teamLab)」代表の猪子寿之、三越伊勢丹ホールディングス代表の大西洋、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」デザイナーの高橋盾、漫画『かくかくしかじか』で第8回マンガ大賞を受賞した漫画家・東村アキコなど。一方、『QUOTATION SPECIAL ISSUE:noir一冊、エッジな蜷川実花』(1,200円)は、蜷川実花が監督を務めた映画『さくらん』で音楽を担当した、シンガーソングライターの椎名林檎とのロング対談を収録。さらに、原美術館で好評を博した作品を中心に、未発表のものも含めた写真作品を40ページに渡り掲載する。
2015年05月21日公開中の映画『海月姫』主演の能年玲奈が1月18日(日)、都内劇場で「海月姫祭り」と銘打って、ファンから寄せられた質問に答えるQ&Aを行なった。東村アキコの人気漫画を原作に、クラゲオタクの主人公・月海をはじめ、様々な分野のオタク女子が集うアパートを舞台に繰り広げられるドタバタをコミカルに描き出す。この日は、月海と同じアパートに住むオタク女子軍団「尼~ず」仲間のひとりで、枯れたオジサマに萌える枯れ専・じじ様を演じた篠原ともえが司会を担当。あらかじめ、映画公式サイトで能年さんへの質問が募集されたが、なんと1,600を超える質問が寄せられた。実は、この企画は能年さん自身のアイディアによるもの。「『海月姫』をたくさんの人に楽しんでほしいけど、自分だけで(チラシを)撒いても押し売りなので、みなさんに参加していただけたらと思った」とその意図を説明する。質問の書いた紙の入った箱から能年さんが1枚ずつ引いて、そこに書かれた質問に答えていくという方式だったが、最初の質問は「能年さんは色に例えると何色ですか?」といういきなりシュールな問い。能年さんは「難しいな…虹色とか?」と回答。その心は「いろんな色を使うのが好きなので」。この日、能年さんは自身のカラフルな衣裳を「クラゲリスペクト!」と説明していたが、この答えを踏まえて「今日は自分の色で来ました(笑)!」とソツのない答えで、篠原さんから「だいぶバラエティ慣れしてきたね(笑)」と評されていた。続いて、最近驚いたことを尋ねられると「PARCO」で開催中の「海月姫展」に自ら足を運んだことを明かし「すごく楽しくて、こんなに楽しいものなのか?と思いました。出てる側なのに、一人でハシャいで、グッズや『男を必要としない人生』Tシャツを買って、それを着て写真を撮って帰りました」と明かし「楽しくて衝撃的でした」と語った。劇中の衣裳に話が及ぶと、能年さんは、普段から自分で洋服を作っていることを明かし、特にクラゲをイメージした衣裳で、自宅で「コスプレしてます!」とオタクっぷりを告白。これには篠原さんも「お家でクラゲコスプレ?まさに海月姫じゃないですか!」と驚いた様子。さらに能年さんは、この舞台挨拶のために“くらげひげ”と名付けた付けヒゲを自分で作ってきたことを明かす。これは、能年さん自身の提案で「渋谷シネクイント」限定で開催中の割引サービスで、「尼~ず」のコスプレ、もしくは付けひげ着用で映画が1,100円で鑑賞できるというサービスのアピールのためで、壇上で篠原さんと共に付けヒゲでニッコリ!篠原さんが「能年ちゃんの家に遊びに行ったらひげグッズがあった」と能年さんのヒゲ好きを暴露し「ヒゲが好きなの?ヒゲの男性が好きなの?」と迫ると、能年さんは「付けヒゲも好きだし、(男性の)ユニークなヒゲも好きです!」と明かした。『海月姫』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海月姫 2014年12月27日より全国にて公開(C) 2014映画『海月姫』製作委員会(C) 東村アキコ/講談社
2015年01月19日女優の能年玲奈、篠原ともえが18日、東京・新宿ピカデリーで行われた、映画『海月姫』のスペシャルイベントに出席した。イベントでは、ツイッターで一般募集した質問に主演の能年が答えるスペシャル企画を実施。奇抜なカラフルファッションで登場した能年は、「自身を色に例えると?」と聞かれると、「難しいなー色んな色を使うのが好きなので虹色かな?」とはにかみ笑い。また、「『海月姫』展に行った時に、すごく楽しくて1人ではしゃいじゃった」と嬉々として語り、自宅でも『海月姫』のコスプレをするほど本作にハマっているようで、この日の朝作ったという"クラゲヒゲ"を披露。「ユニークなヒゲが好きです」と微笑んでいた。トークでは、クラゲを飼っているヒロインにちなみ、飼ってみたい生き物の話になり、能年は「クラゲを飼ってみたいけど、調べたら飼うのは難しいみたいで。熱帯魚店に行ったら、店長さんにエビを勧められたのでエビを飼ってみたい」とにっこり。そんな能年との共演を「能年ちゃんとご一緒して、女優スイッチを見れたのがうれしかった。普段とは全然違う(笑)」と振り返った篠原は、デザイナーとして活躍していることもあり、「映画女優としてレッドカーペットを歩く時は、篠原にドレスをデザインさせて!」とラブコールを送り、能年は顔をほころばせて喜んでいた。本作は、東村アキコの同名漫画(講談社『Kiss』で連載中)を実写化したコメディ作品。自らを"尼~ず"と呼ぶオタク女子たちと暮らしているクラゲオタクの月海(能年)は、ある日、女装男子・蔵之介(菅田将暉)と出会う。"尼~ず"が住んでいる古いアパート・天水館が取り壊されそうになり、月海と蔵之介はタッグを組んで大勝負に出る――というストーリーで、映画は全国公開中。
2015年01月19日人気少女コミックを能年玲奈が主演を務めて実写映画化し、並みいるお正月映画において絶賛公開中の『海月姫』。このほど、本作を鑑賞した又吉直樹(ピース)や藤井隆、漫画家の石田拓実、辛酸なめ子、ひうらさとるといった著名人から絶賛のコメントが到着。さらに、TwitterなどのSNSには、原作コミックファンからも高評価の感想が相次いで上がっていることが分かった。本作は男子禁制のアパート・天水館に住む、筋金入りのオタク女子集団=尼~ずが、女装美男子と力を合わせ、天水館が奪われる危機に立ち向かう、笑いと涙と“萌え”のシンデレラ・エンターテインメント。公開前から、能年さんのオタク女子姿や、菅田将暉の女装美男子、尼~ずの再現率の高さなど話題となっていたが、公開後も「登場人物の見た目の再現度は完璧」「素晴らしい配役の演技に感心」とやはり好評の様子だ。特に、“平成のコメディエンヌ”といわれる能年さんに関しては、クラゲ好きなオタク女子の姿はハマり役であり、そのオタク女子姿に「可愛い!」という声が圧倒的。さらに、「菅田さんの女装も思った以上に完成度が高い」「海月をモチーフにした数々の衣装が、どれも可愛く、それを着こなす管田くんが思いのほかキュートでビックリ」と、蔵之介を演じる菅田さんの女装美男子っぷりに、ビジュアル解禁時以上に驚きと感嘆の声が多数寄せられている。原作「海月姫」は、2008年に連載開始されて以降、累計発行部数325万部突破(1~14巻)、また第34回「講談社漫画賞」少女部門を受賞、2010年にはフジテレビ“ノイタミナ”にてテレビアニメ化もされた、東村アキコによるベストセラー・コミックス。その人気の高さから、公開決定当初は実写化を危惧する声もあったが、能年さん、そして菅田さんらの劇中ビジュアルが明らかになると、期待の声が一気に上昇。満を持して公開されてからは、「漫画を実写にしたときにありがちな寒さやグタグタ感もなく、登場人物の濃さやギャグはそのまま」「大事な所をちゃんと再現していて面白かった」「キャストが原作に忠実で実写では珍しく原作のイメージを壊さない良い作品」と、その仕上がりに原作ファンも太鼓判を押すほど。映画全体としても、「気楽に気軽に肩の力を抜いて観れる良作に仕上がってる」「コミカルでバタバタしている感じだけど、全体的に、とても心温まるストーリーで、切なくて、胸にジーンとくるシーンもある」「笑えて、泣けて、ほっこりして。マンガと割り切って見られればこんなに楽しい作品はない」「とても楽しい,多幸感あふれる映画」といった、新年の始まりにふさわしい、笑いながら心温まる内容に好評の声が相次いでいる。さらに、同業者にもファンは多いようで絶賛のコメントが多数到着している。<著名人コメント>■「ピース」又吉直樹(芸人)役者さん一人一人の個性が爆発していて面白かったです。元気が出ました。ありがとうございます!■藤井隆会社でポスターを見たとき、馬場園さんの仕上がりに目を奪われました。「ぜったい、面白い。」そう確信しました。■ブルボンヌ(女装パフォーマー・ライター)オタクが創造の才能を開花させたり、個性派ビジュアルがモデルの武器になるのはホント! そんなくすぶり女子たちを輝かせるのが女装男子だなんてステキな連携プレイね。でも蔵子キレイすぎ、月海モテすぎなのはイラっとする!(笑)■辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)人生には、クラゲみたいにゆらゆらしている時期があっても大丈夫だと心強くなりました■ひうらさとる(漫画家)尼~ずが!シュウシュウが!蔵之介がマンガから飛び出した! 能年ちゃん演じる月海の挙動不審ぶりと超絶なかわいさに観てるこちらが溺れる2時間です!■石田拓実(漫画家)…いやもう尼~ず、まじ尼~ず!半端なく尼~ず!!月海も何て月海!他のキャストも皆あまりにハマってました!個人的には花森さんと稲荷さんがたまらんです。また、蔵之介が…漫画とはまた違った魅力というか、女装だからこそなぜか際立つ男の子っぽさがたまらないというか…。漫画ではシュウシュウ派の知人も映画ではうっかり蔵之介に転んでました。凄く分かります。テンポも良くて楽しい!いや単純に楽しかったです!『海月姫』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海月姫 2014年12月27日より全国にて公開(C) 2014映画『海月姫』製作委員会(C) 東村アキコ/講談社
2015年01月07日「ぴあ」調査による2014年12月26日、27日のぴあ映画初日満足度ランキングは、能年玲奈を主演の『海月姫』がトップに輝いた。2位に李朝第22代国王イ・サンの身に起きた王暗殺計画を描く『王の涙 -イ・サンの決断-』が、3位に三浦春馬主演の日中合作映画『真夜中の五分前』が入った。その他の写真1位の『海月姫』は、東村アキコの人気コミックを実写映画化した作品で、“男性を必要としない人生”をモットーに掲げ、男子禁制の天水館で暮すクラゲを愛する月海(つきみ)ら、ヲタ女子集団“尼~ず”が、天水館を守るために奔走する姿を描いている。出口調査では女性から支持が圧倒的で「こんな能年さんは今までに見たことがなかったので驚いた」「面白くて感動できる映画。個性的なオタクがたくさん出てきて、そのやりとりが面白かった」「コミックから実際に出てきたかのようにキャストが合っていた」などの声が寄せられた。2位の『王の涙…』は、理想の国を夢見ながらも暗殺の脅威にさらされる王の孤独を描いた作品。出口調査に回答したのは40~50代の女性が多く「映画ならではのスケールの大きさ、戦闘シーンの迫力を感じることができた」「王だけでなく周囲の人々のドラマも丁寧に描かれていて楽しめた」「友情、裏切りのドラマが描かれていて最後まで気が抜けない展開だった」などの意見があがった。(本ランキングは、12月26日(金)、27日(土)に公開された新作映画4本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2014年12月29日映画『海月姫』の初日舞台あいさつが27日、東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの能年玲奈、菅田将暉、長谷川博己、太田莉菜、篠原ともえ、片瀬那奈、速水もこみちと川村泰祐監督、原作者の東村アキコが出席した。本作は、東村の同名漫画(講談社『Kiss』で連載中)を実写化したコメディ作品。クラゲオタクの月海(能年)は、自らを“尼~ズ”と呼ぶオタク女子とともに古びたアパート・天水館で暮らしている。ひょんな事から、女装男子・蔵之介(菅田)と政治家秘書・修(長谷川)の兄弟に出会った月海は、取り壊されそうな天水館を守るため、蔵之介と大勝負に出る――というストーリーで、映画は全国公開中。三つ編みにメガネというオタク女子を演じた主演の能年は、クラゲを思わせる白いファッションで登場し、「これからも"クラゲ祭り"をやっていきます。『ロッキー・ホラー・ショー』みたいに、月海のコスプレで観て楽しんで」と笑顔でアピールし、そんな月海に恋する役どころを演じた長谷川は、「月海ちゃんに付きまとうシュウシュウ(修)が、変態のおじさんにならないかと。出来るだけ、若さを出そうとしたんですが……」と照れ笑い。また、“尼~ズ”の面々である太田は、「適当に過ごしてもメイクをしなくても、誰にも咎められなかった」と振り返ると、篠原も、「気配を消すことを、女優として習得しました」と普段とは違う役柄にすっかりハマった様子だった。一方、「この日を迎えらえてうれしい。マネージャーさんと、『今日はブラジャー記念日にしよう!』と言ってました」とあいさつした菅田は、劇中で美しい女装姿を披露して話題に。「男どもが誘ってきたり、ゲスい反応ばかりでした……」と周囲の反応に苦笑いを浮かべる菅田に、フワフワのミニスカートから覗く美脚で観客を魅了していた片瀬は、「RIKACOさんのような美脚でした!」と大絶賛。また、本作では、天水館の取り壊しという"大切なものを取り上げられる"ことが描かれているが、「アメコミのフィギュアを取り上げられたら嫌ですね」と話した速水は、片瀬に、「フィギュアにオイルかけられたら嫌だもんね?」とニヤけ顔で悪ノリされ、「みなさんバカにしてます?」と突っ込んでいた。
2014年12月28日俳優の長谷川博己が12月27日(土)、都内で行われた出演作『海月姫』の初日舞台挨拶に登壇。現在37歳の長谷川さんは「(ヒロインに)つきまとう30歳のエリート役なので、変態おやじにならないように、できるだけ若さを出すのが難しかった」と語った。舞台挨拶には長谷川さんをはじめ、主演を務める能年玲奈、共演する菅田将暉、太田莉菜、篠原ともえ、片瀬那奈、速水もこみち、原作者の東村アキコ、川村泰祐監督が勢揃い。クラゲ命の月海(能年さん)ら「男を必要としない人生」をモットーとする筋金入りのオタク女子軍団“尼~ず”の面々が、取り壊しの危機に直面した自分たちの男子禁制アパートを守ろうと奮闘する。能年さんは「いよいよ今日から、海月祭りの本番。ぜひたくさんの皆さんに参加していただければ」と上機嫌。カルト的人気を誇るミュージカル映画『ロッキー・ホラー・ショー』を引き合いに、「コスプレや女装して、みんなで合唱しながら観てほしい」とアピールしていた。また、本作で女装にチャレンジした菅田さんは「周りの男たちからはゲスな反応ばっかりでしたが、今日は僕にとってブラジャー記念日。この日を迎えられて嬉しい」とニッコリ。長谷川さん演じるエリート政治家秘書の修と、菅田さん扮する女装男子の蔵之介は正反対の兄弟という設定で、修は月海にひと目惚れするという役どころだ。個性豊かなキャラクターを演じきったキャスト陣に対し、原作の東村さんは「漫画以上」と太鼓判を押し、「続編がある感じのラストでしたよね。(客席に向かって)続編作ってほしい人、いますかあ?」とシリーズ化に意欲的。川村監督も「紆余曲折あったが、こんな素晴らしいキャストが揃ってくれて嬉しい」と感無量の表情だった。『海月姫』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海月姫 2014年12月27日より全国にて公開(C) 2014映画『海月姫』製作委員会(C) 東村アキコ/講談社
2014年12月28日能年玲奈が主演する『海月姫』の初日舞台あいさつが12月27日に東京・新宿ピカデリーで行われ、能年をはじめ、共演する菅田将暉、長谷川博己、太田莉菜、篠原ともえ、片瀬那奈、速水もこみち、原作者の東村アキコ、川村泰祐監督が出席した。豪華な実写版キャストを前に、東村は「漫画以上に皆さん、キャラクターになりきってくださった」と太鼓判。「続編がありそうなラストでしたよね」とシリーズ化に期待を寄せた。『海月姫』舞台挨拶その他の写真男子禁制アパートに集まるオタク女子集団“尼~ず”の一員である月海(能年)が、童貞エリートの修(長谷川)、その弟で女装美男子・蔵之介(菅田)と出会い、クラゲを溺愛する日常に変化が訪れる。一方、“尼~ず”が暮らすアパートが、土地再開発による取り壊しの危機に陥り……。『ホットロード』に続き、再び新境地を切り開いた能年は「いよいよ今日から海月祭り、本番であります。たくさんの皆さんに参加していただければ」とあいさつ。「例えば『ロッキー・ホラー・ショー』みたいに、みんなでコスプレや女装して、合唱しながら観てもらえれば」と提案した。女装に挑んだ菅田は「今日は僕にとって、ブラジャー記念日。この日を迎えられてうれしいです」とご満悦。一方、長谷川は30歳の童貞エリートという役どころに「もうすぐ38歳なので、変態おやじにならないように(笑)、できるだけ若さを表現するのが難しかった」と苦労を語った。『海月姫』公開中取材・文・写真:内田 涼
2014年12月27日●「ショートヘア案」を断った理由とは?2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』のヒロインに抜てきされ、多くの人に知られる存在となった能年玲奈。朝ドラで演じたアイドルの卵から一転、今年8月公開の『ホットロード』では人生初の茶髪で不良少女に扮し、世間を驚かせた。そんな能年が次なる作品として選んだのが、『海月姫』(2014年12月27日公開)。三つ編みにメガネ姿でオタク女子・月海を演じる。映画『海月姫』(くらげひめ)は、漫画家・東村アキコが2008年から漫画雑誌『Kiss』(講談社)で連載中の同名漫画を原作に、『L・DK』(2014年)などで知られる川村泰祐監督がメガホンを取った作品。クラゲをこよなく愛する主人公・倉下月海(くらした つきみ)と、自らを"尼~ず"と称して「男を必要としない人生」を掲げる"オタク女子"たちとの共同生活を描いている。人々が抱える"コンプレックス"がテーマとなる本作は、登場人物のシンデレラストーリーが肝。筋金入りのクラゲオタクで異性を苦手とする月海は、ドレス作りに目覚めることで、新たな人生を見出していく。その1つの物事に没頭する姿は、能年いわく自身と「共通している」内面性。本人インタビューで、彼女が抱えるコンプレックスや思い描く未来を探る中、"女優・能年玲奈"の思わぬ一面が浮かび上がった。「遅刻しちゃいけないと思って」とはにかみながら、定刻より早く取材部屋に現れた能年。その後にワールドプレミア試写会を控えていたことから、クラゲをイメージした特注ドレスで登場した。「存在は存じ上げていた」という原作は、出演が決まってから読み、「コメディができると思ってワクワクしました」。そこまで胸が高鳴ったのは、「こんなに濃いキャラクターの、どうかしている女の人たちがたくさん出てくる作品はそんなに参加できないので」という理由で、撮影を終えて、「あらためて私はコメディが好き」と再認識したという。役柄に近づけるためにまず行ったのは、お笑い芸人のコントの研究。ドランクドラゴンや柳原可奈子のネタを参考に、「これは使える!」という動きや特徴を拾っていった。ヘアスタイルは、原作に合わせて三つ編みに。当初はショートヘア案もあったが、「月海のお団子みたいなぶっとい三つ編みは重要だと思ったので、『三つ編みがいいです!』としつこくお願いしました」と能年たっての希望でウィッグを着用することに決まった。そこまで強くこだわるのは、「私は原作モノをやらせていただく以上、それを尊重しないと意味がないと思っています」という信念があるから。「やっぱり漫画と映画で表現が違うので、映像にするにはどうしたらいいのかというのを考えなきゃいけないと思うんです」と言葉を1つ1つ選びながら、ゆっくりとした語り口で映画化への思いを語る。●大切なものは「まっすぐでいること」容姿と共に掘り下げていったのが、月海の内面。「すごくナイーブで自分のことはダメな人だと思い込んでいる女の子。でも、集中しはじめるといろんなことがそっちのけで、おかまいなしになるところは、切り替えがあって面白いなと思いました」と読み解き、「私もひとつのことに集中すると周りがおかまいなしになるところがあるので、そこが共感できるなと思います」と共鳴しながら、演じ切った。役柄と自身とを重ね合わせながら、自身のコンプレックスについて「普段は運動とかやりたくない人なんですけど、映像だと走ったり、泳いだり、体を張っているパワフルな映像が好きなので、仕事だとがんばれるんです」とその一面を説明し、「仕事じゃないとがんばれないところが欠点というかダメなところ」とはっきりと言い切る。「演技オタクっていえたらいいなって思います」と照れ笑いを浮かべる能年。「このお仕事を始めて『がんばれる』って気づいた時に、本当によかったと思いました」と作品を重ねるごとに女優の魅力に引きこまれていった。劇中で、菅田将暉演じる"女装美男子"鯉淵蔵之介の「大切なものはなくなる。だからなくしたらダメだ」というセリフがある。この言葉を本人に置き換えてもらったところ、「自分がやりたいと思うことに対して、まっすぐでいること。その気持ちを大事にしたいなと思います」。激動の日々を送った朝ドラを終え、時間に余裕ができた時にふと頭を「何かをやらなきゃ」とよぎったそうで、「『できるかな?』とか思わずに"やっちゃえ"ば楽しいので、いろんなことに飛び込んでいきたい」と行動派な一面をうかがわせた。現在、具体的に"やっちゃえ"モードで実行しているのは、「秘密の創作」。内容を尋ねると、「秘密です(笑)」とはぐらかし、「(お披露目は)いつかとは思っているんですけど、ちょっと今はタイミングを見計らっています」といたずらっぽい表情を見せた。「30歳になってもブレずに、ドストレートでいたい」が能年の描く将来像。「月海はファッションショーを終えてすごく自信がついたと思うんですけど、その自信というのは『自分みたいなダメな人でもすごいことができるんだ』という自信じゃないかなと思っていて。それがすごくいいなと思ったので、私も今のままでもいいんじゃないかなと(笑)」。クランクアップから現在に至るまで、能年には「やり遂げた」という手応えが残っているという。■プロフィール能年玲奈1993年7月13日生まれ。兵庫県出身。身長162cm。2006年、第10回ニコラモデルオーディションでグランプリを獲得し、芸能界デビュー。第11代「カルピスウォーター」CMキャラクターで一躍脚光を浴び、2010年に映画『告白』で女優デビューを果たした。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(13年)でテレビドラマ初主演、映画『ホットロード』(14年)で長編映画初主演を務めた。そのほか、映画は『カラスの親指』(12年)、『グッモーエビアン!』(12年)、ドラマは『高校生レストラン』(11年)、『鍵のかかった部屋』(12年)、『サマーレスキュー ~天空の診療所~』(12年)などに出演。(C)2014『海月姫』製作委員会(C)東村アキコ/講談社
2014年12月27日手塚治虫タッチのパロディー漫画『神罰』で知られ、著名作家の絵柄をまねたシモネタギャグを得意とする漫画家の田中圭一氏。デビュー当時からサラリーマンを兼業する"二足のわらじ漫画家"としても有名で、現在はBookLiveに勤務する一方で、京都精華大学の講師も務める。そのほか、「田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-」(ぐるなび)、「うつヌケ~うつトンネルを抜けた人たち~」(文芸カドカワ/note)、「ハピラジ!」(ニコニコ生放送)など、インターネットを中心に幅広く活動している田中氏。今回、紙からインターネットへ移行した経緯や、インターネットの魅力、漫画家としての今後の展開などをインタビューした。――田中先生はインターネットを積極的に活用されていて、2013年に漫画発表の場を紙媒体からインターネットに移されたとのことですが、どういった経緯だったのでしょうか。ちょうどその少し前から僕の紙の本が売れなくなってきていて、世間でも、雑誌も売れない単行本も売れないという傾向が顕著になってきてますよね。だから、これから先、漫画家で食べていくのに希望的な状況じゃないなと思ったんです。そんな時に、電車で周りを見渡すとみんなスマホをいじっていたんですね。新聞や漫画雑誌を読んでる人はずいぶん減ったけどスマホは見ている。だったらスマホの中で自分の存在感を大きくすることが生き残りの1つの手だなと感じたんです。当初は、特にマネタイズは考えていなかったんですが、Twitterで面白いネタをつぶやいたり面白い画像を載せるとフォロワーが増えるし、これから先スマホやインターネットでみんなもっと情報を得るようになっていくだろうから、その中で生き残るための第1歩と考えたんです。――編集者で漫画原作者の竹熊健太郎さんにも後押しされたとか。竹熊さんが2010年くらいから、これからは「街のパン屋さんのような漫画家を目指せ」とおっしゃっていて。彼が紙の本からの仕事がなくなってスランプになっていた時期に、周りから勧められて『たけくまメモ』というブログを立ち上げたんですよ。そうしたら一気に固定ファンが数万人できて。これからの漫画家は、大手のメジャー雑誌に載ってミリオンセラーを出して豪邸を建ててというのが年々難しくなってくるから、数万人でもいいから固定ファンを捕まえてその人たちが欲しいもの、望むものを提供することでマネタイズをしていくのが良いと。それはすごく正しいなぁと思っていて。それを見ていたから、最初は自分も興味本位でおもしろ画像などを上げている内に、リツイートが増えて、フォロワーが増えて、「あー、これはメディアなんだ」とわかったです。――実際にSNSを始められて実感したんですね。当時、前の会社で「コミPo!」という漫画制作ソフトを発表する際に、プロモーションムービーを作って発売前に一部の関係者用にWEBにアップしたんですよ。その時にアルファブロガーの小飼弾さんにも見てもらったんだけど、「発表会が来週ありますよ」という告知をした時に、「ようやく発表ですね」と一部の関係者しか公開していなかったムービーのURLをうっかりTwitterに載せてしまって…。そしたら一気にダーッとリツイートされてサーバーもパンクして、その時にツイートをエゴサーチするとドンドン話題が増えていくのがリアルタイムで見れて、「バズられるってこういうことなんだ」とわかったんです。それまでもバズるとかバイラルっていう言葉は知っていたんだけど、1秒に何十人もリツイートされるという経験を初めてしたんですよ。――個人がすごい影響力を持つ、と。「コミPo!」でコンテストをした時、中に1人すごく面白い漫画を作ってくる人がいて、それがダ・ヴィンチ・恐山さんでした。彼は芸能人でもない普通の人なんだけど、彼のツイートはものすごく面白くて、それがドンドンとバズられて多くのフォロワーが付いたんです。その時、「Twitterって、有名人でなくてもバズられればフォロワーが集められるんだ」とあらためて思ったんですよ。僕も初めは、なにげなくおもしろ画像を投稿していたら、ついっぷるの人気画像ランキングに入って、僕のフォロワーじゃない人の目にも触れてドンドンとリツイートされて、フォロワーも増えたので、「これは面白いな」と思いました。ツイートや画像を何時ごろに上げればバズられやすいかとか、どんなネタが受けるのかとか、Twitterを使って、個人でのマーケティングリサーチをできることに気付いたんですね。――ご自身でマーケティングリサーチまでされているなんて驚きです。私はこれまで雑誌のアンケート結果ってあまり教えてもらえなかったんですよ。ギャグ漫画でページが少ないとアンケート上位に行くことは難しくて、編集さんも気を遣ってくれて「一部では好評みたいですよ」くらいしか教えてくれなかった。ただ、個人的には、今回こういうネタだからこういう反響があった、というデータが欲しかったんですね。この時間にこのタイミングでこのネタを上げたらリツイートされた、勝因は何だろう、自信満々のネタが全然ウケなかった、敗因は何だろう、みたいな。こんなことを繰り返し、ずーっと自分のデータとして蓄積していったんです。そこから、もちろんマネタイズは無視して、「ウケたいという気持ちだけで、いかに多くの人を笑わせられるか?」ということをやり始めたんです。――ファンの方と直接的な交流が生まれたんですね。そんなことをしているうちに、僕のネタ画像を見た編集者からWEBでの連載依頼が来て、そこに載った作品をTwitterやFacebookで情報発信してバズられて…という良いスパイラルになった。紙の雑誌に固執していたら、世の中に作品を発表できなかったかもしれない。これによって、「田中圭一をフォローしておくと面白いものが色々とくるぞ」というフォロワーとの信頼関係ができたっていうのは、これから電子化が進むという時期に、うまくSNSの波に乗れたなと思いますね。――そうしてインターネットの影響力を実感される中で、電子書籍の可能性と課題についてもお聞かせください。日本の家電メーカーにぜひ言いたいのは、日本って世界的に珍しく国民がすごく本を読む国だということ。日本人は知識欲が旺盛で、本を読むことが好きですよね。にもかかわらず、なんで電子書籍デバイスを日本人に合う形で作らないのかと思うんですよ。スマホはアメリカ製か韓国製で、手帳サイズで、さすがに漫画を読むにはきついですよね。タブレットは、サイズはちょうどいいですけど重い。だったら、もっと薄くて軽くてペラペラで、筒から巻物のように液晶画面がひゅっと出せて、雑誌の見開きサイズで読めるような端末ができるといいですよね。日本のメーカーが本気出せば簡単にできそうなもんじゃないですか。それによって電子書籍の市場ってもっと広がりそうなのに、やらないでしょ、どこも。電子書籍の漫画が読みづらいという人もいますが、新しいデバイスなら解決できる。ガラパゴスでもいい。日本市場って本に関しては大きいはずなので。――デバイスの進化には期待ですね。コンテンツ側で電子書籍に期待することはありますか。たくさん言いたいことはありますね。昔、ケータイコミックなどで音が出るものがありましたが、あまり流行らなかった。デジタルならではの面白い仕組みはあったんですが、それを最大限に使う作品・キラーコンテンツがなかった。やはりこういったものを普及させるのはキラーコンテンツありきですよ。例えば、デジタルデータなんだから、1ページ目からラストまで1本道である必要はないですよね。ゲームが得意としているストーリーの分岐とか、最初に自分の名前を登録すると、漫画の主人公の名前が自分の名前になるとか。分岐に関しても、アドベンチャーのように選ばせるのもあれば、ランダムに変わるというのもあるとか。そういった仕様も技術的には難しくない。問題は、そういう面白い仕組みを活かしたキラーコンテンツがあるかどうか。器を作ったら、器に見合う料理を考えなきゃいけなくて、漫画家さんなりクリエイターさんが、新しい仕組みに見合う作品を作って、1作品でもヒットが出れば、「この手法があるなら俺ならこう活用するぜ」という人が続々と出てくる。それが電子デバイスで本を読む新しい形にならないかなと思っています。――田中先生もそういう作品を作ってみたいですか。作りたいですね。たとえば、(主人公が複数存在し物語が並行して進む)ザッピングの作品ができないか、とか。とある夫婦が登場する作品で、奥さん目線では幸せなストーリーなんだけど、旦那さん目線では悲劇だとか。他には、最初のページで「あなたはどの漫画家が好きですか」というアンケートがついていて、手塚治虫とか松本零士とか選択肢を選んでもらって、ストーリーは同じでも、選んだ作家の絵柄に変わるとか。手塚治虫の絵で読んだ後に松本零士の絵に切り替えると微妙に違っていて、「こう違うんだ」というようなところを楽しむとか。デジタルの時代の表現方法の1つだと思います。――いろんな可能性がまだまだあるんですね。あるんですよ。誰かがキラーコンテンツを出して、そればブレイクした時こそ、新時代が来ると思います。僕も実験的に、なにかやってみたいと思うんですよね。ホラー漫画は僕の絵じゃ合わないかもしれないけど、じつはやりたいんですよ。例えば作品の中に、"読んだら死んじゃう漫画"というものが登場して、登場人物がその漫画を読んで次々に死んでいくというストーリー。これは、当然フィクションなので、実際にこのデジタル漫画を読んだ読者が死ぬわけじゃない。でも、ストーリーを読み進めていくと、最後に「この漫画は絶対に読み返してはいけない」と書いてあるページが開かれて、作品は終わる。それを、たまたま2回目に読んだ読者がいたとしたら、冒頭に「なぜ読み返すなと言ったのに読んだのか!」と書いてあって、つまり1回目に読んだときと中身が変わってしまっている。この恐怖ってハンパないと思います。これで読者が作品の中にイッキに引き込まれていくとか。――田中先生は現在、電子書籍の「BookLive!」にお勤めですが、最近話題の漫画家さんへのインタビューコーナー「わが生涯に一片のコマあり」についても教えてください。どういった経緯で始まった企画なんですか。BookLiveの社員の方から、以前に私が実施した藤田和日郎先生のインタビューがすごく好評だったので、ああいうものを定期的にできないかという依頼があったんです。コーナー化するにあたっては、ネットで読ませるための文字数の上限やテーマ設定など、いろいろと改良が必要な点がありました。そうした時にある方から、「"作者の渾身の1コマ"に絞ってはどうですか」というアイデアが出た。それならワンテーマだし文章も短くて済むし、焦点もはっきりする。他でもやっていないと。そして別の方が「わが生涯に一片のコマあり」というぴったりのタイトルを考えてくれた。そうしてこのインタビュー企画が始まりました。第1回ゲストの新條まゆ先生が、こちらが望んでいたとおりのお話をしてくれましてね。新條先生の連載が打ち切りになりそうだった時期に、「渾身の1コマ」を描くことで盛り返して人気が回復して行った、というような。そこで弾みがついてコーナーが続いています。――このコーナーはTwitterなどでもすごく評判なのですが、インタビュー時にこういうことを聞こうというのは何かあるのでしょうか。そうですね。僕も漫画家なので、この作品のここはすごく苦労して描いててるなっていうのがわかるんです。例えば東村アキコさんの場合は、『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ/秋田書店)や岡田あーみんさんの漫画が大好きで、それが引き出しになっていて今の作品を描いているとおっしゃっていて。自分もギャグ漫画家として、小さい頃好きだった漫画はあれとこれとこれで、それが組み合わさって今の漫画になっているというのがあるので、すごくわかるというか、お互い「そうだよね」というのがあるのは作家同士ならではだと思いますね。――なるほど。漫画家同士だからこそわかる世界観が、あのインタビューを生んでいるんですね。そうした幅広い活動をされている田中先生ですが、今年から京都精華大学で「ギャグマンガコース」の講師もされています。そのお話もぜひ聞かせてください。本当は竹熊健太郎さんの助手で入る予定だったんだけど、急きょ竹熊さんが休学されるということになって、あとは任せたと(笑)。経験もないし、忙しくて準備もできてないしで、バタバタとしたスタートでした。始めてみて思ったのは、生徒に教えるためにはロジックを自分で整理して伝えなきゃいけないということ。今まで直感で、つまり右脳でやっていたものをロジカルに整理することで自分にも気づきがあったんです。例えば、読者に「こっちだよ」とわざと思考をミスリードさせておいて、実はこっちだったみたいな意外性というかギャップが笑いを生むんだ…とかね。――教えることを通じて、田中先生ご自身も表現の理論を改めて整理できたんですね。どうしてこれは面白いんだろう、と常に分析しながら見るという視点も持つようになって、他の仕事にも良い効果が生まれましたね。先ほどのインタビューコーナーも、この作品はどうして泣けるんだろう、とか分析しながら作品を読んでいますし、今ぐるなびで連載している『ペンと箸』も、事実をそのままの順番で漫画にするのではなく、話の順番を入れ替えることでより感動が伝わるな、とか。いろいろと並行してやっている仕事がそれぞれ役に立っているんです。――これまで若い漫画家志望の方に教える機会はあったのでしょうか。今まで何人か、漫画家志望の若いアシスタントが来たことはあったけど、あまりギャグ漫画家になりたいという人はいなかったから、教えられることがあまりなかったですね。でも今は、大学でギャグ漫画家になりたいという人に教える訳だからやりがいもあります。京都精華大には「ストーリーマンガコース」と「ギャグマンガコース」があって、ストーリーマンガコースに落ちたからギャグマンガコースに来た人もいるんだけど、そうした中にもすごくギャグセンスのある学生もいる。プロになろうと思ってなくてもポテンシャルがあったり、センスを秘めている人はいっぱいいて、そういう人には「君はギャグに向いているから磨いていこうよ」という話もできますよね。――違う道を目指そうとしていた人が、ギャグ漫画家になって良い作品を生み出して、読者を楽しませていくというのは素晴らしいですね。本人もたぶん、ストーリーマンガコースに行ってたら生徒数も多くて競争率が高かったりで挫折してしまったかもしれないけど、ギャグマンガコースは人数も少ないから、その中で「イケてるぞ」となれば、自信もつくんじゃないでしょうか。竹熊健太郎さんが「電脳マヴォ」っていう無料の漫画サイトをやってるんですが、ギャグマンガコースで才能を持った人はそこでも紹介していきたいと言っていて、生徒さんが納得してくれればそこに作品をアップして世の中の多くの人に見てもらう機会を持つというのも、ありかなと思っています。そこで編集者の目に止まって商業誌デビューを果たす、という道もあるかもしれないですし。――インターネットならではの作品の見せ方ですよね。「note」っていうSNSで人気の『岡崎に捧ぐ』という漫画がものすごく読まれていて、作者の山本さほさんは、現在いろんなところから引っ張りになっているんですよ。内容は「ちびまる子ちゃん」的な作品なんですが、「ちびまる子ちゃん」よりももう20才くらい下の世代にすごくささっていて。ちびまる子って10年ごとに、つまり年代ごとに作ればいいんじゃないかと思ったりね(笑)。とにかくその漫画、面白いんですよ。ネットで人気を博して商業誌に行くっていうのもあるんですよね。こういう言い方はよくないんだけど、漫画家志望って編集さんとそりが合わなくて、デビューはしたものの連載を取れないまま何年かの時間をすり減らしてしまうこともある。でもネットに上げると、支持してくれる人が何人いるかが数字でわかるので、結果が悪ければすべて自分の責任です。冷酷ではあるものの非常に平等な発表の仕方ですよね。そういう方法でのデビューもあると思ってまして、竹熊さんの「電脳マヴォ」などからデビューするというのもあると思うんですね。――このようにファンの方と直接つながれる時代に、出版社の役割とは何だとお考えでしょうか。やっぱり大手の出版社の編集さんって、すごく特殊なノウハウを貯めている方がいて、新人が持ち込みしてきてから一人前にして世に送り出すまでのトレーナーとして一流な人もたくさんいるんですよ。それを分っていない人は編集者を軽視する発言をしがちですよね。WEBとかブログで人気になった漫画家さんが10年、20年と食べていけるかというのは、トレーナーの力量も大きいと思います。あとはアシスタントに入ってそこの先生に学ぶとかね。そういう道のメリットもたくさんあると思いますよ。ネットはそういう工程をすっとばせるから便利だと言われがちですけど、最初はビギナーズラックでヒットを打てても、2打席目から打てない人もいて、とにかく編集者や師匠から教えや、漫画家としての基礎体力作りを軽視してはいけないと思いますね。――ある作家エージェントの方がおっしゃっていたんですが、「0を1まで売るのはエージェントの役割だけど、1を100にするのはやはり出版社さんが強い」と。どちらが良いではなくて、それぞれ役割があるということでしょうか。大手の出版社さんって編集者が優秀だからミリオンセラーが出ると思われていますが、それに加えて営業の方のスキルも高いからだと思いますよ。僕も営業やっていたからわかるんですが、良いものを良いと伝えて書店さんを説得するのは営業さんの力なんですよね。だから1万部を100万部にするのは、販促やキャンペーンも含めた営業力だと思うんですよ。ネットで作品を出した人がそこまで行けるかというと、営業さんが後押ししてくれないとなかなか難しいですよね。ネットでヒットした『きょうの猫村さん』(ほしよりこ/マガジンハウス)とか、『となりの801ちゃん』(小鳥アジコ/宙出版)とかは、紙の本になって初めて大きくマネタイズができたわけじゃないですか。ネットだとただの人気者で終わってたかもしれない。だから、出版社が今も作家さんにお金をもたらす重要な役割を担っているのは確かですよね。今後は電子書籍ストアとか先ほどの「note」とかで作家が直接売るというの時代が来るかもしれませんが、それはそれで作家自身の営業力が必要だと思いますよ。ネット上には様々なコンテンツがものすごくたくさんあるので。――田中先生が先日から参加されている「ハピラジ!」についても教えてください。ニコ生(ニコニコ生放送)で「ハピラジ!」というWEBラジオを始めることになりまして。この番組というかシリーズは、声優さんを中心にやってきて、漫画家は僕が初かもしれません。番組としては、企画の担当者が面白いコーナーとかを考えてくれていて、ニコ生を使うので、音だけじゃなくて時々絵を描いたり大喜利のようなこともやっていきます。僕が描いた絵に声優さんが声を当てたり、4コマ漫画の3コマまでを僕が描いて4コマ目を募集とか。ラジオなんだけど、ところどころ絵も入っている感じで今の時代ならではの番組ですね。――田中先生はTwitterやFacebookも活用されていますが、ニコ生をやろうと思ったのはなぜですか。もともとニコ生は個人でもやりたかったんですが忙しくて手をつけられていなかったところに、ハピラジ!のお話をいただいてぜひやらせてくださいと。一人で全部やるのは大変ですからね。FacebookとTwitterとニコ生は個人で出来るプロモーションとして、3つでセットと考えています。Twitterは瞬発力、バイラル力はあるけど、すぐタイムラインが流れてしまう。Facebookはもう少し滞留しますし、もう少しお友達限定というクローズドな部分がある。音声は生放送でリアルタイム性がある。この3つを組み合わせるのが1番効果的だと思っていたんです。だから、ニコ生を始めたのはちょうどいいタイミングでした。今後、以前に勤めていたソフト会社で企画していた『ライブアニメ』という、音声に反応してアニメのキャラが操作できるソフトを使った放送などもやってみたいなと思っています。アニメキャラによる生放送です。――次々と新しい取り組みをされている田中先生ですが、最後に、漫画家・田中圭一としての今後の展開について教えてください。僕が今52歳だから、健康にペンが握れるのはあと20年なんですよね。土日しか描いてないから、計算するとあと単行本15冊しか死ぬまでに出せないな、と最近考えています。つまり、残された時間と描ける作品数は限られています。なので、山のようにある「やりたい企画や作品」の中から「何を諦めて、何をやるか」を考えなきゃいけない歳なんですよね、52歳って。これまで温めて実現できていない企画の中で早めに着手しないとダメなものを、優先的にやっていきたいと思っています。ここ2、3年はそこに力を注ぎたいなと。さっき言ったインタラクティブな漫画もその1つなのでぜひ実現したいですね。
2014年12月26日「コメディができると思ってワクワクしました。この作品はお祭り気分で観ていただけたらいいなって思ってます」とほほ笑む能年玲奈。彼女がクラゲを何より愛するオタク女子・月海 を演じる『海月姫』には、これでもかと漫画的なキャラクターが登場。本作は東村アキコの大ヒットコミックの映画化だ。月海を筆頭に、オタク女子の集まり、その名も“尼~ず”の面々や、女装男子など、原作キャラクターの再現忠実度がハンパないレベルなのである。その他の画像「もちろん漫画と映画では表現が違いますが、原作ものをやる以上、尊重しないと意味がないと思っている」という能年。そして月海の内面に触れる。「月海はすごくナイーブ。自分のことをダメな子だと思い込んでるんです。でも集中し始めると、いろんなことをそっちのけにして好きなことに没頭する。その切り替えがおもしろいと感じましたし、私自身、ひとつのことに集中すると周りがお構いなしになるので…。そういうところは共感できました」。また能年本人にも月海に負けず劣らずのコンプレックスがあるそうで「普段は運動とかもやりたくないし体も張りたくない。でも走ったり泳いだりしているような映像が好きだし、仕事だと頑張れる。そうやって頑張れると気付いたとき、よかったって思いました」と語る。さらに能年は「月海は映画に描かれる出来事を通して、すごく自信がついたと思う。その自信っていうのは、自分ってスゴイという感じより、自分みたいなダメなやつでもすごいことができるんだっていう自信なんじゃないかなって…。そこがすごくいいなって。だから私も頑張ればいいんじゃないかって思うんです」と言い、「“尼~ず”に演技オタクだって言えるくらいになれたらいいな」と、はにかみながらも未来を見据えて宣言した。『海月姫』12月27日(土) 全国ロードショー取材・文・写真:望月ふみ
2014年12月26日誰よりも女らしく、誰よりも男らしい。菅田将暉はそんなキャラクターを驚くほど丹念に、心を込め、真摯に作り上げた。東村アキコの同名ベストセラーコミックを映画化した『海月姫』(くらげひめ)で、菅田さんは女装美男子・鯉淵蔵之介を熱演。その“女装美男子”と呼ぶに相応しい女性的な美に、まずは目が行く。しかしながら、程なく浮かび上がってくるのは、女性的な美の中にある男性的なカッコよさ。この複雑な役に、いったいどう取り組んだのか。「とりあえずやれることはやろう」。全てはそこから始まったという。「キャラクターとして成立するのかなって、すごく不安でしたね。分からないことだらけだったし、そもそもゴールが分からない。なので、とりあえずやれることはやろうという気持ちでした。やっぱり男性が女性の服を着ると、絶対に違和感が出るんです。その違和感をなくすことが、まず最初の目標でしたね」。「今まではスカートから出た自分の脚なんて見たことがなかったし」と笑う菅田さんが、違和感をなくすために取り組んだことの1つは“減量”。「数字を気にしていたわけではないんですけど」と前置きしつつも、当時の体重より、結果的に10kg以上減ったと明かす。「女性の服って、すごく小さいんです。こんなの着るの?って思ったくらい。なので、きちんと着られるように何とかしなきゃという思いでしたね。炭水化物を摂るのをやめて、野菜とフルーツだけの生活に切り替えました。2か月くらいかな…。撮影が終わった日には、思いっきりラーメンと餃子を食べました」。そもそも、なぜ蔵之介は“女装美男子”と化したのか。政治家の家に生まれながらも、ファッションの世界で生きることを夢見る彼の女装を、菅田さんは「鎧」と表現する。「蔵之介はずっと、自分の居場所を探しているんです。アイデンティティーの問題ですよね。彼は容姿端麗だし、生まれは政治家の家だし、きっともてはやされて生きてきたと思うんです。自分の力じゃないもので評価されてきた。でも、そういう人間の中には、恐怖があるんです。だからこそ自分で何かをすることによって、反応が欲しかったんじゃないかな」。「そういった蔵之介の生き様が、カッコよく見えたらいいなって思いながら演じました」。女性的な美の中にある男性的なカッコよさは、そんな思いに起因しているようだ。「誰よりも男らしい蔵之介の男らしさを、ちゃんと表現することが重要でしたね。人に影響を与えていくカリスマ性、言葉遣い、パワー、熱量。それらを持って物語を生きているうちに、ビジュアルがどうでもよくなればいいなって。要は不自然なんです。女性としての生き方を捨てた女性たちの中に、男性の姿をしていない男性がいるわけで、よく分からない世界(笑)。でも、それが不自然に思われないようになればいいなって」。菅田さんの言う「女性としての生き方を捨てた女性たち」とは、クラゲオタクの主人公・月海(つきみ/能年玲奈)をはじめとするオタク女子集団のこと。物語は、古びたアパートで共同生活を送る彼女たちが、蔵之介と出会うところから展開していく。自分の殻にこもってオタク道を突き進む月海たちに、勇気と自信を与えようとする蔵之介。「これは僕自身も蔵之介と同じ意見なんですが…」と、菅田さんも引きこもり系オタク女子たちに物申したいことがある様子?「勿体ないなと思いました。特に蔵之介みたいに囚われている人間からすると、自分の好きなものを大事に生きている人が輝いて見える。だからこそ、それを武器にすればいいのになって、お節介を焼きたくなるんです。そこが僕と蔵之介の一番の共通点でしたね」。そんな中、気になるのは月海と蔵之介のほのか過ぎる恋愛模様。男女のことに疎い月海と、勘がいいわりに自分の恋心には気づかない蔵之介。月海に一目惚れする蔵之介の兄・修(長谷川博己)の存在も加わり、事態は混乱していく。とは言え、ベタな三角関係に陥ることはない。“ほのかさ”こそが、この作品を味わい深くする。「それがこの映画の悩ましいところなんです(笑)。月海と蔵之介って、不思議な距離感なんですよね。月海のエリアに蔵之介はなかなか入れず、強引に入るわけにもいかない。その空間を大切にしつつ、関わる方法を模索していくんです。だからこそ、2人をベタベタさせたくはなかった。触れ合わせることで何かが壊れてしまう気もしたし、それよりも言葉や視線だなって。月海が違和感なく自分を見ているだけで、蔵之介的には満足なんです。僕はそこが好きですね。もどかしいけど、恋愛なんてもどかしいものだし。もどかしい自分に酔うこともあるだろうし、すんなり行かないのがいいんじゃないかなって」。女装美男子と化し、『海月姫』の世界を生き、感じたことが2つある。それは「女性がデートに出掛けるまでにする支度を考えると、男はデート代くらい喜んで払うべき!」ということ、そして「自分が好きなものを裏切らないでいることの大切さ」だそう。「だって好きなんだもん。で、いいんじゃないかなって。これはちょっと男性的な考え方かもしれないですけど、人間っていつか戦う時が来るので」と続ける。「だって好きなんだもん」を掲げながら戦う。この状況に、今年の菅田将暉ほど当てはまるものはないのではないか。NHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」出演に始まり、公開映画は本作を含め3本。夏には舞台「ロミオとジュリエット」の主演を務めた。すでに撮影済みの出演映画も来年の公開を待っている。「今年はだいぶ戦いましたね。でも、戦おうと思って戦ったので。戦えるって、いいですよね。そんな場はなかなかあるものじゃないですし。自分の首をどんどん締めていく感じです(笑)。傍から見たら“いい感じ”でありたいんですけど、自分の中では“いい感じ”じゃない方がいい。なるべく苦痛を味わいたい。それは、何かを自分で開拓していかなきゃいけないってことなのかなとも思っています」。「芝居が好き。もっともっと芝居がしたい」。こう呟く一方、「どう好きなのかも分からなくなっている」という。「よく分からないけど楽しんでいたら、“ああ、もう50歳だ”ってなるのが理想。走り続けたいけど、走り方にもいろいろあるんだなって学んだ1年でもありました。夏に舞台をやった時、パワーで圧倒してやろうと思っていたんですけど、変に力を入れない伝え方もあるんだと気づいたんです。スキップしてもいいし、四つん這いになってもいいし、逆立ちしてもいいし、後ろ向きで走ってもいい。結果論で評価されることが多い中、過程もフィーチャーしてもらえる役者の仕事だからこそ、そこを楽しんでいきたいですね」。(text:Hikaru Watanabe/photo:Nahoko Suzuki)■関連作品:海月姫 2014年12月27日より全国にて公開(C) 2014映画『海月姫』製作委員会(C) 東村アキコ/講談社
2014年12月25日