【著者インタビュー】『異端の福祉「重度訪問介護」をビジネスにした男』著書・高浜敏之氏が年収1,000万円の従業員を多数輩出する秘訣とは株式会社幻冬舎ゴールドオンライン(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:山下征孝)は、同社が運営する「話題の本.com」( にて2023年3月22日(水)、『異端の福祉「重度訪問介護」をビジネスにした男』を刊行した、著者・株式会社土屋 代表取締役兼CEO 高浜敏之氏氏のインタビュー記事を公開しました。著者インタビュー【著者インタビュー】『異端の福祉「重度訪問介護」をビジネスにした男』著書・高浜敏之氏が年収1,000万円の従業員を多数輩出する秘訣とは日本には、重い障害を持つ人々に在宅での介護サービスを提供する「重度訪問介護サービス」という仕組みがあります。重度障害者の可能性を広げ家族の負担を軽くする素晴らしい制度ですが、事業者不足などがハードルとなり、サービスを受けたくても受けられないのが現状です。また、介護スタッフの待遇は悪く、多くの人が離職を余儀なくされているのです。こうした中、2020年に設立されたのが、重度訪問介護サービスを提供する「株式会社土屋」です。同社はわずか2年間で、従業員数が2,000人を超えるほどの急成長を遂げました。また、年収1,000万円以上の従業員を多数輩出するなど、従来の介護業界では考えられないほどの好待遇を用意し、多くの求職者を集めています。同社の代表取締役兼CEOで介護業界の革命児と呼ばれる『異端の福祉「重度訪問介護」をビジネスにした男』の著者・高浜敏之氏は、どのようにして従業員に好待遇を用意しているのでしょうか。また、同社の未来像をどのように描いているのか聞きました。インタビュー記事はこちらから : インタビュー記事一部をご紹介――高浜さんが著書『異端の福祉「重度訪問介護」をビジネスにした男』を刊行したのはなぜですか。一番の理由は、「重度訪問介護」というサービスと土屋の存在を世の中に知ってもらい、多くの方々の理解と協力を得たいと思ったからです。重度の肢体不自由や重い知的障害・精神障害といった重い障害を持つ方々はこれまで、医療機関や自宅に閉じこもって暮らすのが当たり前とされてきました。しかし、医療機関で暮らす場合は、地縁のない場所で家族などと離れて過ごさなければなりません。また、外出に大きな制限がかかるなど、不自由な生活を強いられがちなのです。それに比べると、自宅で暮らす方が望み通りに過ごしやすいと言えますが、その代わりに家族の介護負担が重くなってしまいます。そこで登場したのが、重度障害者の生活を支える公的サービスの重度訪問介護でした。日本中の誰もがこの制度を使えるようになれば、重度障害者が生きる上での選択肢はグンと広がりますし、家族の負担も小さくできます。ところが、素晴らしい制度にもかかわらず、サービスを受けたくても受けることができない人が多数います。一人でも多くの方に重度訪問介護のことを知ってもらい、社会全体で課題の解決に取り組むきっかけをつくる。そのために、重度障害者の現状や重度訪問介護の現場の声、より良い未来への提言などをまとめ、解決の足がかりとする。それが、この本を書いた最大の動機でした。――高浜さんが代表取締役を務める「株式会社土屋」(以下「土屋」)も、重度訪問介護のサービスを提供する企業ですね。はい、そうです。「土屋」は2020年に設立され、わずか2年で47都道府県のすべてに事業所を展開するようになりました。2023年時点で、従業員数は2,000人以上、サービス利用者数は700人以上にまで成長しています。「土屋」のサービス利用者の中で最も多いのが、筋萎縮性側索硬化症(ALS:全身の筋肉に脳の指令を伝える神経が障害を受けのどや舌、手足の筋肉が萎縮していく難病)の方です。また、脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィー、脳性麻痺、交通事故やスポーツのケガによる頸椎損傷などで体が不自由になった方もいます。こうした「重度の肢体不自由」に含まれる方が、全体の9割くらいでしょうか。残りの1割は、重い自閉症や知的障害で、自分や他人を傷つける可能性のある「強度行動障害」のある方々です。ーーーーーー以上記事一部抜粋ーーーーーーインタビュー記事全文はこちらから : 『異端の福祉「重度訪問介護」をビジネスにした男』(高浜敏之[著]/幻冬舎)元ボクサーの異端の経営者、福祉業界のタブーに挑む重度障害や難病患者が自宅で暮らせるように――重度訪問介護サービスをビジネスにした社会起業家の軌跡脳性麻痺や難病で重度の肢体不自由がある人や強度行動障害のある人など、いわゆる重度障害者は、これまで施設・病院で暮らすことが″当たり前”とされてきました。本人は家で過ごしたい、家族も家で過ごしてほしいという気持ちがあっても、介助サポートなしで家で過ごすのは容易ではありません。そんな重度障害者に対して、訪問介護サービスはあるものの、未だに全国的に充実していません。介護スタッフの成り手が圧倒的に不足しているためなかなかサービスが普及していかないのです。著者はこの命の尊厳に関わるような重要な社会課題をビジネスの力で解決したいと思い、会社を立ち上げ、重度訪問介護事業所の全国展開に取り組んでいます。福祉業界ではタブーとされる利益の追求に切り込むことで、人材への投資、サービス品質の向上、事業規模の拡大を実現しているのです。本書は、介護サービスを受けたくても受けられない介護難民をゼロにするために、ソーシャルイノベーションを起こそうとする一人の経営者の軌跡です。著者が見てきた重度障害者の現状や重度訪問介護の重要性を、現場の生の声とともに綴った一冊です。目次はじめにプロローグ 本当の強さを求めて―福祉の道へ「清く貧しく」の福祉像に反する異端のビジネスモデル福祉業界で20年、私が歩いてきた道のりと現在地父の背中を追ってボクシングに熱中した10代プロの道を断念し、大学の哲学科へ一般企業の就職への違和感アルバイトで自分探しの日々友人から薦められた1冊の本で福祉に興味を抱く探していた答えはここに真のケアを求めて福祉の世界へ第1章重度障害者の介護へ目の当たりにした過酷な現実アルバイトで飛び込んだ福祉事業所で重度障害者の現実を知るともに生きることを学びあう場2002年当時、在宅で暮らす障害者はレアケースだった自分のことは自分で決める――障害者の「当事者主権」という考え方障害者たちが歩んできた歴史と自立のための運動1970年代に障害当事者による社会運動が活発化した当事者運動によって社会は本当に変わったのか重度障害者は「家族が面倒を見るもの」という重圧核家族化で在宅介護はさらに困難になっている重度障害者の受け皿となる施設も数が足りない老障介護やヤングケアラー問題の根幹にある重度障害者のための制度不備人工呼吸器をつけない選択をするALS患者が7割家族に介護をさせたくない、でも施設にも入れない……重度障害者たちの葛藤第2章国の制度ができてもサービスが受けられない働き手不足の重度訪問介護ボランティアが重度障害者の在宅介護を支えた時代があった1981年の国際障害者年、自立生活の考え方が日本にも広まった重度障害者にとっての「自立」とは何かボランティアから労働へ障害者自立生活運動が活発化全国公的介護保障要求者組合のメンバーとして活動のど真ん中へ社会を変えようともがき、疲弊していくグループホーム勤務で社会復帰、そして介護系ベンチャー企業立ち上げへ現場と経営者の意見対立で板挟みに2014年6月、重度訪問介護事業所を社内に新設社会から置き去りにされた人たちの“隠れたSOS”の多さに気づく制度はあるのにサービスが使えない重度障害者たちがいる職場の不満は爆発寸前独立を決意する第3章誰もやらないなら自分でやるしかない重度障害者が自宅で過ごせる介護事業を立ち上げる2020年8月、重度訪問介護事業で会社設立私たちが事業を通して解決しようとしている社会課題とは重度訪問介護難民が生まれてしまう5大要因重度訪問介護サービスの需要と供給のバランス1都6県の利用格差は最大18倍利用者ゼロの市区町村が約3割国連から勧告を受ける急ピッチでの事業所開設と介護スタッフの増員資金繰りのピンチに救世主現る介護の利用で人生が変わる~当事者とその家族のエピソード~強度行動障害が1対1のケアで落ち着く事例を確認第4章利益の出る仕組みをつくり、従業員には高い給料を支払うことでサービス品質を高める「福祉は清貧であれ」という業界の常識を覆す社会課題解決と営利追求を両立する、オンリーワンのビジネスモデル道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言であるソーシャル・ビジネスの発見社会課題をビジネスで解決する善意に依存する介護には限界がある持続可能な事業化へ営利企業にすることで「支援できる人が増える」スケールメリットが狙える大きな組織で、チームでよりしっかりと支える従業員を満足させるには、物心両面の充足が必須給与水準の低い福祉業界で年収1000万円を実現未来の介護業界を明るくしたい利用者と向き合う重度訪問介護には“介護の本質”がある60代、70代でも重度訪問介護ではまだまだ現役どんな人材が活躍しているか多様なバックグラウンドをもつ人たちが活躍異業種、未経験、何歳からでも輝ける~社員6人のエピソード~介護以外のやりたいことも社内起業でチャレンジ可能自社で介護人材を育成し、現場へ送り出すヘルパー養成研修事業所の仕組みなぜ従業員に高い給与を払えるのかニーズの高さと加算請求の仕組み利益を最大化し、事業成長を続けるためのDX質の高い重度訪問介護を提供する秘訣とは第5章会社を成長させることが社会課題を解決する必要な人が必要な介護を受けられる社会を目指して進んでいない地域移行47都道府県進出のその先へ重度訪問介護の空白地域をゼロにする一人でも多くの仲間を増やすために徹底的な説明と対話精神のリレーを受け継いでいく組織風土をデザインするダイバーシティの実現を目指して情報発信から社会を変えていくともにいる、ことがすべて人工呼吸器を拒否していた難病患者が生きる選択をするおわりに書籍情報はこちら : 著者高浜 敏之1972年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒。大学卒業後、介護福祉社会運動の世界へ。自立障害者の介助者、障害者運動、ホームレス支援活動を経て、介護系ベンチャー企業の立ち上げに参加。デイサービスの管理者、事業統括、新規事業の企画立案、エリア開発などを経験。2020年8月に株式会社土屋を起業。代表取締役兼CEOに就任。2023年1月には、重度障害者を24時間在宅で支援する重度訪問介護事業所「ホームケア土屋」を全国47都道府県に広げる。ALSなどの難病や重度の障害があっても、望む地域で望む人と安心して暮らせる社会の実現を目指し、日々奔走している。Twitter投稿 : お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年03月22日竹ヶ原敏之介が手がけるシューズブランド「マルボー(Marbot)」から、新作ユニセックススニーカー2型が登場。2022年8月中旬より、伊勢丹新宿メンズ館ほかにて発売される。仏軍のトレーニングシューズをモチーフにマルボーは、フランス軍への納入や高級メゾンの生産にも携わってきた、フランスの老舗シューズメーカーだ。21世紀になってブランド自体は途絶えていたものの、フット・ザ・コーチャー(foot the coacher)などのデザイナーを務める竹ヶ原のもと、2022年秋冬より新たなブランドとして始動する。その新作として登場するスニーカー「OXFORD SNEAKERS」と「HOLECUT SNEAKERS」は、いずれもフランス軍のトレーニングシューズをモチーフとしたモデル。爪先の形に馴染む独特のシルエットのトゥや、当時のデザインを踏襲したソールデザインが特徴だ。「OXFORD SNEAKERS」はクラシカルな内羽根タイプ、「HOLECUT SNEAKERS」はホールカットのアッパーデザイン。いずれも、ホワイト/ブラック、ナチュラル/ブラック、ブラック/ブラックの3色で取り揃える。詳細「OXFORD SNEAKERS」「HOLECUT SNEAKERS」発売予定時期:2022年8月中旬取扱店舗:伊勢丹新宿メンズ館 6階(メンズサイズのみ)、その他全国の取扱店舗価格:28,600円カラー:ホワイト/ブラック、ナチュラル/ブラック、ブラック/ブラックサイズ:23〜28cm(1cm刻み)【問い合わせ先】GALLERY OF AUTHENTICTEL:03-5808-7515
2022年08月06日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。7人目は、美術担当の松宮敏之氏。時代劇の礎ともいえる東映京都撮影所の技術は、本作でどのように表れているのか。連載第18回は「美術冥利と宿命」。自らの手で"作品"を壊していく心境、そして喜びとは。○自らの手で作品を壊す――撮影が終わると、2カ月かけて作った宿場町も元の更地になるわけですよね。そうですね。「元の状態に戻す」までが仕事ですので、跡形もなくきれいにします。――苦労の末に作ったものを、自らの手で壊す。ちょっとさびしいですね。映画の建込みは、普通の建築と違って「なくしてしまう」というのが宿命なので。われわれにとってはいつものことというか(笑)。作っては潰して、作っては潰す。そんな世界です。――たくさんのスタッフさんがコツコツ作り上げた世界観。試写をご覧になっていかがでしたか?物語の中で、どんな感じでマッチしているのか。違和感なく、出しゃばらずになじんでいるのか。そこは確認できたので、とりあえずはよかったのかなと思います。僕たち美術がちゃんとしたものを作らないことには、作品を正しく伝えられません。演技や撮影方法などはもちろんのこと、僕たち美術もお客さんにその世界を印象づける役割を担っていると思います。○三池組は「現場がいちばん楽しい」――「なくしてしまうことが宿命」ということを踏まえて、この仕事をやっていてよかったと思うのは、どんな時なんでしょうか?そうですね……うーん……(しばらく考え込む)。スタッフ、キャストがセットの中に足を踏み入れた時、スムーズにその世界観に入ってもらえるとありがたいですね。何となく感じ取ることなんですけど。僕らが作っているのは「嘘」の世界。そこで演出、演技が成立すれば、とってもありがたいなと思います。――これまで『IZO』(14年)、『新・仁義の墓場』(02年)などで三池崇史監督作を担当されました。三池監督には、どんな魅力がありますか。作品に対して、誰よりもパワーを持っていて、それがグッと表に出る方なので、僕たちも一緒に奮い立たされます。パワーをもらえる。これは本当にすごいです。一緒に立ち向かっていけるような気がするんです。――突然、ムチャなお願いをされたりしないんですか(笑)?まぁ、流れの中でやっていくことなので、そのあたりは全然気にしていません。むしろ、当たり前のこと。無理難題はないです(笑)。突然雨が降った時には、急きょ雨よけの屋根を作ったことがありました。みんなで1つものを作っていくのが映画ですので、「いま何を求められているのか」というのは、ポジション関係なく、みなさん考えていることだと思います。――皆さん、口を揃えておっしゃるのが「現場の一体感」です。そうですね。チームワークから生まれるパワーは三池組ならでは。本当にすばらしいです。現場がいちばん楽しいですからね。最高です。1つのことに向かって各部署が集中して、心地良い緊張感もあります。――そういう空間の中で、特に印象に残っているのは?やっぱり、ラストの300人斬りの宿場町ですね。ただ、全体的にしっかりやっているつもりで、それぞれのセットに苦労があります。映画として、1つの流れがお客さんに伝わるといいなと思います。■プロフィール松宮敏之(まつみや・としゆき)和歌山県出身。東映京都撮影所に所属。1994年の『新・極道の妻たち 惚れたら地獄』で美術監督デビューし、これまで『SABU さぶ』(02年)、『魔界転生』(03年)、『IZO』(04年)、『男たちの大和/YAMATO』(05年)、『桜田門外ノ変』(10年)、『幕末高校生』(13年)、『この国の空』(15年)などを担当。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年06月11日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。7人目は、美術担当の松宮敏之氏。時代劇の礎ともいえる東映京都撮影所の技術と歴史は、本作でどのように表れているのか。連載第17回は「万次の家と宿場町」。素材選びや装飾、"町作り"は職人技から生み出されていた。○ロケハンからデザイン画を描き起こす――場面ごとのセットも、世界観をつくる上で重要な役割を担っていると感じました。ありがとうございます。まずは台本を読んで、場面ごとの「柱」となるものを確認します。それから監督、カメラマンをはじめ、メインスタッフでロケハンをして、そこでどんなシーンを撮るか、どんなセットを建てるかを考えます。それから、どこに塀や門を作るのかとか、坂道をどのように作るのかとか、いろいろなイメージをスケッチに描き起こしていく。完成したデザイン画を監督に見せて、最終的に決まれば本格的な準備に入っていきます。もちろん原作の世界観は大切です。そのイメージを共有したまま、ロケハンをして、いろいろなものを建て込んでいきます。――万次の家も印象的でした。川が映るロケーションだったので、「流木を使って建てた」という仮の設定で作っています。素材はスタッフ総出でいろいろなところを探し回って、集められるだけ集めたもの。丈夫なものは屋根に、柔らかいものは寝床に、といった感じで、それぞれの木の質感によって使い分けています。作業員の人数は、セットによって変わります。建て込みする人、色付けする人など。スケジュール的に厳しくなってきたら、違う組の応援を呼んだりします。○地盤作りと整地――中でも大掛かりだったのが、300人斬りの宿場町ですよね。2カ月かかったと聞きました。そうですね。いろいろなセットがありましたが、宿場町は地盤から作っています。橋を架けるために木を切ったり、家を建てる前に整地したり、そういう土台作りからスタートしました。最初に手をつけて、最後まで掛かったのが宿場町。同時進行で別のセットも作っていますので、日々、あの場所には必ず誰かがいました(笑)。私も行ったり来たり状態です。――街ごと作っているようなものですね。そうですね。何もない土地から、道を敷き、家を建てていく。そうやって日々コツコツ作業して、徐々に完成イメージに近づけていきます。家の中で立ち回りシーンが撮れるように、室内の装飾にもこだわりました。○外見ボロボロで中身は頑丈――屋根から飛び降りるシーンなどありますが、安全面も考慮されているんですか?われわれとしては、安全面は常に考えないといけないこと。もしものことがあったら、俳優さんをケガさせてちゃいますからね。外見はボロボロでも、中身を頑丈な作りにしないといけません。なんだか、矛盾してますね(笑)。朽ちた感じに見せてますが、絶対に折れないようになっています。矢倉は、いろいろな人が代わる代わる作業していって建てました。橋も架けづらかったんですよ。柱が抜けていたりする橋なんですけど、それらと作ったり、一部分を壊したり。矢倉はひたすら作り上げていくことがメインなんですが、橋や屋根は、出来上がったところから「崩していく」作業が入ります。素材的に見合うものがなくて、きちんとした素材から組み上げていって、完成してからナタで削ったりしています質感を出しています。■プロフィール松宮敏之(まつみや・としゆき)和歌山県出身。東映京都撮影所に所属。1994年の『新・極道の妻たち 惚れたら地獄』で美術監督デビューし、これまで『SABU さぶ』(02年)、『魔界転生』(03年)、『IZO』(04年)、『男たちの大和/YAMATO』(05年)、『桜田門外ノ変』(10年)、『幕末高校生』(13年)、『この国の空』(15年)などを担当。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年06月10日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。7人目は、美術担当の松宮敏之氏。時代劇の礎ともいえる東映京都撮影所の技術と歴史は、本作でどのように表れているのか。連載第16回「役者との向き合い方」、なぜ木村は「おかえり」を感じるのか。○「本当に片目つぶってるのか」――映画化の話を聞いたのはいつごろでしたか?去年の1月に撮影が終わりまして……8月ぐらいには準備を始めていたと思うので……ちょっと記憶が曖昧です(笑)。三池監督と久しぶりにご一緒できるのがうれしくて、『無限の住人』という作品がどんな世界観で広がっていくんだろうなという楽しみが最初の印象でした。――木村さんとの面識は?いえ、今までは機会がなかったので、ご一緒させていただけると聞いて、うれしかったです。現場では独眼でやっていらっしゃったので、足元とか不自由になる場所がないかなと心配していましたが、すごくテキパキと動かれていて。本当に片目つぶってるのかなと思うくらい、機敏な動きでした。これを「勘が良い」と言うんですかね? 驚きました。○役者との「信用」と「信頼」――木村さんは以前、別作品で京都撮影所に来られていたんですよね。ええ。私は担当してなかったのですが、時代劇の役柄が様になっていて、立ち回りもすごく上手な方だと聞きました。担当スタッフの間でもすごく評判良かったですよ。装飾の極並(浩史)さんが以前の作品も担当していて、武器の使い方とか密にコミュニケーションを取っていました。非常に仲よさげな雰囲気でした。――そういう役者さんとの接し方は、代々受け継がれてきたものなんですか?装身具の担当は、そうやって役者さんと自然に密なやりとりになりますね。現場でいろんなことを決めていく中で、そういう「信用」や「信頼」はとても重要だと思います。一対一の関係とは違って、僕はセットを作る方なので、役者さんとの直接なやりとりはあまりないです。――木村さんとはあまり話す機会はなかったんですか?そうですね、われわれは美術部ですから(笑)。何か聞かれれば、お答えすることもありましたよ。――木村さんは京都撮影所に帰ると、「おかえり」と迎え入れられている雰囲気があると。俳優さんにとっては特別な場所なんですね。そういってもらえるとありがたいですね。撮影所は独特の空気感があると思いますが。来てもらえると、おっしゃる通り「迎え入れる」空気はあります。会えば、「おかえりなさい」みたいな(笑)。あいさつとしては、みんなそんな感じです。「また一緒にやりたい」と思ってもらえたら、うれしいですね。■プロフィール松宮敏之(まつみや・としゆき)和歌山県出身。東映京都撮影所に所属。1994年の『新・極道の妻たち 惚れたら地獄』で美術監督デビューし、これまで『SABU さぶ』(02年)、『魔界転生』(03年)、『IZO』(04年)、『男たちの大和/YAMATO』(05年)、『桜田門外ノ変』(10年)、『幕末高校生』(13年)、『この国の空』(15年)などを担当。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年06月09日ハイク(HYKE)は、2017年春夏コレクションより、竹ヶ原敏之介が手掛ける「ビューティフルシューズ(BEAUTIFUL SHOES)とのコラボレーションライン「ビューティフルシューズ×ハイク(BEAUTIFUL SHOES×HYKE)」を展開する。これまでグローバルブランドと、様々な企画を行ってきたハイク。2014年秋冬コレクションには、マッキントッシュ(MACKINTOSH)と共に「マッキントッシュ×ハイク(MACKINTOSH×HYKE)」を始動させ、2015年にはアディダス オリジナルス(adidas Originals)とタッグを組み「アディダス オリジナルス バイ ハイク(adidas Originals by HYKE)」をスタートさせた。ハイクの次なるコラボレーション相手は、「ビューティフルシューズ」。ファーストシーズンは、パイソンを上品に用いたパンプス4型を発売。指先のあたりで切り替えを施し、モダンな印象に仕上げている。華奢なポインテッドトゥタイプだが、ウエッジヒールなので履き心地も抜群だ。【アイテム詳細】ビューティフルシューズ×ハイク展開時期:2017年3月(予定)価格:62,000円+税、68,000円+税※モデルによって価格は異なる。【問合せ先】BOWLES / ボウルズTEL:03-3719-1239
2016年10月27日ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)は、9 月1 日まで銀座本店(東京都中央区銀座7-8-5)にて、現代アーティスト・松宮硝子とコラボレーションしたスペシャルウィンドウディスプレイを展示中。松宮硝子は1981年生まれ、ガラス細工を使った作品で知られる若きアーティスト。ディスプレイのテーマは、『新しく生まれる何か』。銀座の目抜き通りから差し込む光を受けて、繊細なガラスの泡がリフレクションし、幻想的な世界を奏でる。松宮硝子が巧みにガラス素材を操り、新たな息吹を吹き込み創り上げる世界は、ピュアでフェミニン。松宮の作品は神秘性と力強い美しさを併せ持ち、その様はまるで未知の生物のようだ。連なりあった透明な球が“新しい何か”を生み出す生命力を思わせ、時間とともに移ろう光が、厳選された石がセットされたウエディングリングのエレガンスを魅惑的に輝かせる。また、全国のヴァンクリーフ&アーペルで、8 月23 日までブライダルフェアも開催している。期間中、厳しい基準で選定されたダイヤモンドだけを使ったブライダルコレクションがフルラインでブティックに並ぶ。ブライダルリング購入者にはオリジナルギフトのプレゼントも用意されている。
2015年08月11日