襲名披露公演以来約3年ぶり11回目の博多座公演。母親が博多出身ということで、博多を「第二の故郷」と呼ぶ松本幸四郎にとって、博多座は「常に、前より成長した自分を見せたい」と挑む特別な舞台だ。そんな彼に『二月花形歌舞伎』の公演に先立ち、舞台への思いと見どころを聞いた。博多座「二月花形歌舞伎」の公演情報はこちら昨年はコロナ禍のなか、歌舞伎史上初のオンライン生配信“図夢(ずーむ)歌舞伎”という新たな試みを行った幸四郎。「舞台が開かなければ役者は何もできないのか、そんなはずはない、とたどり着いたのが“図夢(ずーむ)歌舞伎”でした。今は、自分の生活スタイルに合わせてエンターテインメントを楽しめる時代。今回の配信は、映像としての歌舞伎の可能性を再確認すると同時に、お客様にわざわざ足を運んでもらうための舞台の魅力を改めて考えるいい機会になりました」。そんな経験を積み、今回は待ちに待った“リアル歌舞伎”での登場。松本幸四郎の他、中村歌昇、中村壱太郎、大谷廣太郎、中村米吉ら華と実力を備えた花形俳優たちを率いて魅せる。幸四郎は昼の部、夜の部の合計4演目のうち3演目に出演。「昼の部『正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)』は、『草摺引(くさずりびき)』と呼ばれる華やかな踊り。曾我五郎という歌舞伎の代表的な立役と、舞鶴という代表的な女形が出てきて、色彩的にも雰囲気的にも「これぞ歌舞伎」といえる作品です。同じく昼の部の『松浦の太鼓(まつうらのたいこ)』は、『秀山十種』と呼ばれる曽祖父が得意とした代表作の1つで、忠臣蔵外伝の名作。見どころは、人間味と愛嬌のある松浦公の繊細な感情の変化です。一生懸命演じるだけでは成り立たない役なので、私としてはどれだけ力を抜いて、感情を自由に表現できるかが重要だと思っています。夜の部『御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)』も忠臣蔵にまつわる人気作。台詞劇ではありますが、真山青果の新歌舞伎は、台詞回しが音楽的で美しいので、その魅力を表現できればと思っています。最後が『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』。今回の一座には、“面白い人”というか“おかしな人”が顔を揃えております(笑)。その演者総出演での踊りなので、おそらく相当面白いものになるのでは(笑)。昔からある長唄の踊りですが、今回は博多座の大きな舞台機構を生かした、とにかくにぎやかで派手な当一座ならではの花見踊を新たに制作中です」。この一座の武器は「歌舞伎が大好きな演者が集まっていること」だと笑顔で語る。リアルな心理劇から、派手な音楽と色彩で歌舞伎らしさを堪能できる演目まで様々なタイプの歌舞伎をコンパクトに堪能できるのも魅力だ。「ぜひ生の舞台を通して、歌舞伎の魅力と、一座の歌舞伎愛を感じてください!」公演は2月11日(木・祝)~24日(水) 福岡・博多座にて上演。チケットは1月23日(土)より発売開始
2021年01月22日●「国民的な作品に出演させていただき感謝」今年大ヒットを記録したTBS系日曜劇場『半沢直樹』で伊佐山泰二役を務め、熱演が話題となった歌舞伎俳優の市川猿之助。ドラマ放送終了後もさまざまなバラエティ番組に出演し、イベントにも呼ばれるなど大活躍だ。堺雅人演じる主人公・半沢直樹の前に立ちはだかる東京中央銀行証券営業部部長・伊佐山泰二役として続編に加わった猿之助。“顔芸”と評される迫力満点の演技や、「詫びろ!」「土下座野郎!」といった発言で強烈なインパクトを放った。最終回は平均世帯視聴率32.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録し、有終の美を飾った『半沢直樹』。猿之助は「今の時代にあれだけの視聴率をとるのも珍しいと思いますし、国民的な作品に出演させていただき、コロナの中であのような仕事をさせてもらったことに感謝しています」と振り返った。「詫びろ!」や「土下座野郎!」のセリフはSNS上でも大きな反響を呼んだが、猿之助自身はその盛り上がりを冷静に受け止めつつ楽しんでいたという。『半沢直樹』での猿之助の熱演は多くのメディアで取り上げられ、バラエティ番組にも引っ張りだこに。猿之助は「いい意味でも悪い意味でも、メディアの持つ力の大きさ、すごさがよくわかりました。自分も含め、現代の人はもうメディアなしには生きられない。メディアにいかに影響を受けているのかわかりました」とやはり一歩引いて見ている。そして、世間やメディアの盛り上がりに関して、「みんなの手の上で踊っているのを楽しんでいる感じ。うまく踊ったほうが勝ち。いずれブームが去ることはわかっているから、踊らされるのではなく、踊って楽しませてもらおうと思っています」と笑った。また、「昔は反響って長く続いたけど、この頃の反響は長く続かない。昔の歌手は1曲でずっと食べていけていたけど、今はどんどん流行りが変わっていく。その場その場ではすごい盛り上がりだけどすぐに消えていき、時代を超えるものが昔ほどないような気がします」と昔と比較。「今は『鬼滅の刃』一色だけど、来年あたりになったらまた違うと思いますよ。盛り上がらなくなったらすぐ次にいくから」と予想した。『半沢直樹』で注目を集めた2020年だが、自身にとってどんな一年になったか漢字一文字で表現してもらうと「病」を挙げ、「コロナですべてがストップしてしまって。それがすべてでしょう」と何よりもコロナが一番の衝撃だったという。「僕らの生き方はどこかが間違っているというのは気づけた。反省の機会だと思う。緊急事態宣言のときの深刻さを保てず、揺り戻しでまた流行り出した。喉元過ぎればすぐに熱さを忘れてしまう。そういう生き方がダメだということに気づけた」と問題点を指摘。「一人ひとりが自覚しないとダメだと改めて感じました」と話した。そして、「エンターテインメントの在り方も変わらないといけない。ただ、未曾有の出来事だから、これから何年かけて変われるかどうかが、僕らの下の世代に響いてくるのではないかなと思っています」と語った。●世界配信の野望も! オンライン歌舞伎の広がりに期待猿之助が言うように、変化を余儀なくされているエンタメ界。ライブや舞台をオンラインで配信するという新たな試みがなされ、歌舞伎界でもオンライン歌舞伎「図夢歌舞伎」がコロナ禍に誕生した。その第2弾として、松本幸四郎と猿之助がお騒がせコンビ“弥次喜多”を演じる図夢歌舞伎「弥次喜多」がAmazon Prime Videoにて12月26日より独占レンタル配信がスタートした。幸四郎と猿之助による“弥次喜多”は2016年に歌舞伎座で誕生し、毎年新作を発表してきた人気作品。今回、2009年にPARCO劇場で上演された猿之助が現代劇に初出演した『狭き門より入れ』を原作に新作を制作した。同舞台は謎の疫病の流行にまつわる物語。“現代に通ずる作品”として猿之助が原作に選び、新作歌舞伎へと生まれ変わらせた。猿之助は「10年前は絵空事だった物語が、私たちの日常とシンクロしている今だからこそ、この作品を歌舞伎にして届けようと思いました」と原作に選んだ理由を説明。「この時代を生きる一人ひとりに深く響く作品だと思いますので、これまでの『弥次喜多』を知らない方も、新作映画を観るような気持ちでぜひご覧ください」と呼びかけている。『狭き門より入れ』を原作に「弥次喜多」の新作を制作しようと考えた猿之助は、喜多八として出演するだけでなく、監督・脚本・演出も担当。カット割りや編集にも携わり、「ありえないくらい短い期間でやっているので大変でした」とかなり苦労したという。監督の視点によって「監督が欲しい演技をいかにできるか、その重要さは改めてわかりました」と新たな気づきもあったようだが、「監督はもういいです。ちゃんとした準備期間と、ちゃんとした環境を与えてくれればやりますけど」と笑った。大河ドラマ『風林火山』、『龍馬伝』やTBS『ブラックペアン』など、さまざまなドラマに出演している猿之助。その経験は、歌舞伎と映像を融合させた図夢歌舞伎「弥次喜多」に生きた部分もあったようで、「映像に面食らわない。何回も同じシーンを撮ったり、その耐性はついている」と話した。また、歌舞伎と触れ合ったことのない人や「弥次喜多」を知らない世代に届ける難しさも感じていると吐露。「僕らが若い人たちの文化を知らないように、若い人たちは『弥次喜多』を知らないと思う。そういう方々にアピールするのは本当に難しい」『半沢直樹』をきっかけに猿之助の演技に魅力を感じ、違う作品も見てみようと思う人もいると思うが、猿之助は「それをきっかけに見ようと思う方がいたら、見ていただければうれしいです。ただ僕は、歌舞伎を見る人を増やすためにドラマに出ようという考えは一切ありません。ドラマだけでやられている役者さんに失礼なので」と自身の考えを明かした。そして、図夢歌舞伎という歌舞伎の新たな挑戦について「歌舞伎はこんなこともできるということは示せたと思います」と手ごたえ。図夢歌舞伎「弥次喜多」は「世界で絶対にウケる!」と断言し、世界配信への野望をあらわに。「今は石を投げたところ。それがどう広がるか、これからですね」と今後の広がりに期待している。
2020年12月29日歌舞伎俳優の松本幸四郎と市川猿之助がお騒がせコンビ“弥次喜多”を演じる人気歌舞伎シリーズの最新作となる図夢歌舞伎「弥次喜多」が、Amazon Prime Videoで26日より独占レンタル配信。幸四郎と猿之助がこのほど取材に応じ、本作の魅力や制作の裏話を語った。本作は、コロナ禍で誕生したオンライン歌舞伎・図夢歌舞伎(ずぅむかぶき)の第2弾。客席では観ることができない視点から、より近くで歌舞伎に“ズーム”するという意味でこの名前が付けられている。幸四郎と猿之助による“弥次喜多”は2016年に歌舞伎座で誕生し、毎年新作を発表してきた人気作品。今回、2009年にPARCO劇場で上演された猿之助が初めて現代劇に出演した『狭き門より入れ』を原作に新作を制作した。同舞台は謎の疫病の流行にまつわる物語。“現代に通ずる作品”として猿之助が原作に選び、新作歌舞伎へと生まれ変わらせた。幸四郎と猿之助は、図夢歌舞伎第1弾「忠臣蔵」にも出演。劇場が長期休館となった中で生まれた「図夢歌舞伎」について、幸四郎は「やっと見つけたお芝居する唯一の場所でした。これが始まりとなって、舞台が再開した後も、図夢歌舞伎は見ていただく場としても、演じる側の場としても、選択肢として続いていってほしいと思いました」と語った。猿之助も「これからの歌舞伎は舞台と配信と両方進んでいくべきだと思う」と意見。「平和な時代はあんまり発展的なモノは生まれない。そういう意味で、コロナは二度とあってほしくないけど、こういう新しいものが生まれたので、不幸中の幸いだと思います」と前向きに捉えた。そして、2人とも図夢歌舞伎で「弥次喜多」ができたことを喜び、猿之助は「『弥次喜多』は毎年新作を生み出していて、今年は8月に歌舞伎座が再開しましたが『弥次喜多』は上演できませんでした。なんとか続けられる方法を考えている中で、図夢歌舞伎とうまく合わさって、新作が誕生しました」と説明。「非常に苦労しました。今までの新作で一番大変だったんじゃないでしょうか」と苦笑した。猿之助は、監督・脚本・演出も担当。「撮影の1カ月くらい前は何もできていなかった。台本ができたのが1週間くらい前。限られた中でしたが間に合わせは嫌ですから精一杯作りました」と現場のバタバタぶりを明かし、「冒頭はハリウッド映画みたいにしたいなと。そこで予算を使い果たしそうになるくらい幕開けに凝りました。本編の中身は出演者同士の信頼関係が出ている。本当はアドリブなんか言っている余裕なんかないのにアドリブになるとみんな生き生きしてくるんですよね」と魅力を伝えた。本作には、猿之助のいとこである市川中車(香川照之)が参戦するほか、“弥次喜多”シリーズ常連である、幸四郎の長男・市川染五郎、中車の長男・市川團子も出演。猿之助は「中車さんは映像作品ならではの演じ方をしっかり息子に教えていて、親子の会話がありました。『カメラがここだったらこちらを向いて演技をする』とか。歌舞伎の現場で教えているのを初めて見て、それはお父さんじゃないとできないアドバイスだなと思って、微笑ましかったです」と中車・團子親子のエピソードを明かした。そして、幸四郎は「ルールも不可能もない、配信と歌舞伎の無限の可能性を詰め込んだ作品になっています。根拠はありませんが、歌舞伎の配信は今後100年続いていくと信じています! 好きな時に、好きな場所で『弥次喜多』をお楽しみください」とメッセージ。猿之助も「10年前は絵空事だった物語が、私たちの日常とシンクロしている今だからこそ、この作品を歌舞伎にして届けようと思いました。この時代を生きるひとり、ひとりに深く響く作品だと思いますので、これまでの『弥次喜多』を知らない方も、新作映画を観るような気持ちでぜひ、ご覧ください!」と力強くアピールした。本作は国内のみの配信となっているが、世界配信されることも期待している2人。幸四郎は「全世界に共通する物語の歌舞伎というのは初めてだと思います」と話し、猿之助はすでに提案していることを明かし、「世界配信したら絶対ウケると思う。エンドロールのところに世界にも共通する仕掛けをしている」と自信を口にした。(C)松竹
2020年12月26日東京・歌舞伎座にて『壽 初春大歌舞伎』が、来年1月2日(土)から27日(日)まで上演されることになり、本公演に出演する歌舞伎俳優の松本幸四郎と市川猿之助が取材に応じた。8月の再開以降、1演目4部制で公演が行われた歌舞伎座の舞台。そこで試行錯誤を繰り返しながら、躍動を続けた両名が、2演目3部制に切り替わる初春のめでたい舞台に立ち、新たな年の幕開けを彩る。幸四郎は第3部『菅原伝授手習鑑 車引』に梅王丸役として出演し、父・松本白鸚(松王丸役)、息子・市川染五郎(桜丸役)と共演。親子孫三代そろい踏みが実現するのは、平成30(2018)年1、2月歌舞伎座、12月南座での三代同時襲名披露、令和元(2019)年6月歌舞伎の三谷かぶき『月光露針路日本 風雲児たち』以来となる。「芝居に出られること、さらにそれが父と染五郎と一緒なのは、ありがたいことですし、幸せですね」と喜びをかみしめる幸四郎。共演が決まった染五郎の様子については「あまり感情を表に出すタイプじゃないので(笑)、ビックリな気持ちもあったみたいですけど、稽古ではうれしそうな顔をしているので……、純粋にうれしいんじゃないですかね」と目を細めた。松本幸四郎自身が演じる梅王丸の魅力は「力強さ」だといい、「演じる側も、ご覧になる皆さんも『これぞ歌舞伎だよね』ってど真ん中の魅力がありますからね。その分、セリフ、ボリューム、大きさを、身1つで表現しなければならない」と分析。その上で「先代の(中村)又五郎のおじさまからは、『花道を引っ込むときは“くくり猿”のように』と教えていただいた。ただ力を入れれば、力強く見えるのではない。そういうところが、歌舞伎の色合いであり、大らかさだと思います」と先人の教えをヒントに、令和の梅王丸をダイナミックに体現する決意を示した。新型コロナウイルスの感染拡大による公演中断を経て、再び歩みを始めた歌舞伎興行だが、幸四郎自身は「全員で再開したわけではないので、本当の再開とは思っていない」と神妙な面持ち。「例えば、幕間がどうなるのか。次の演目を劇場で待ちながら、売店で記念や情報を手にしてもらうのも、歌舞伎ですから。歌舞伎ならではの一体感が味わえる“大向こう”も今のこの状況では……。終息後の展望ですか?それはないですね。(環境が)元に戻ることはないと思いますが、時代が変わっても、歌舞伎を今なくすわけにはいかないという思いだけです」と静かに闘志をたぎらせる。「悪太郎」でいまこそ笑えるお芝居を届けたい坂田藤十郎を偲んで『夕霧名残の正月』も上演市川猿之助(左)と松本幸四郎(右)一方、猿之助は第1部『悪太郎』に出演。現在の四代目猿之助の曽祖父・二代目猿之助(初代猿翁)が初演し、澤瀉屋のお家芸『猿翁十種』のひとつとなるユーモアあふれる舞踏で、猿之助は悪太郎を演じる。本公演での上演は、平成22(2010)年1月の浅草公会堂以来となる。「こんな世の中だからこそ、笑いたいじゃないですか。稽古が十分にできない状況で、お見せできる演目となると、『悪太郎』はうち(澤瀉屋)しかできないので、めずらしいものをお目にかけようかなと」と演目を選んだ理由を明かす猿之助。初代猿翁の“当たり役”でもある悪太郎について「曽祖父が出演していた映像を見ると、当て書きされた作品だから、もう(初代猿翁が)立っているだけでおかしくって(笑)。それを演じるのは難しいですけど、もうある意味、吹っ切れて、三谷(幸喜)さんに見いだされた自分の面白みで行くしかないですね」と幸四郎同様に、こちらも新たなキャラクター像の創出に意欲を燃やす。市川猿之助本公演を皮切りに、2演目3部制に踏み出す歌舞伎座の“今後”には「吉と出るか凶と出るか。やってみないと分からないですね」と改めて気を引き締める。「世間は第3波って言われているし、8月の『歌舞伎が戻ってきた』というお祭り的な雰囲気は、今続いていないですから。もちろん、命にかかわることですし『今はまだ歌舞伎座に行けない』というお手紙もたくさんいただきます。そんななか、幸いにも11月の五変化(『蜘蛛の絲宿直噺』)では早替りをして、蜘蛛の糸を投げて……。それができたってのは小さな進歩だけど、自分としては大きな進歩で。まあ、元に戻っただけなんですけど(笑)。これからは歌舞伎にとっても転換期。もちろん、途絶えてしまってはいけないと思うので、僕らの世代がちゃんと荷物を運んであげないと。そうしないと、若い世代が荷物を片付けるとき、時代に合った取捨選択ができないですからね」『悪太郎』には猿之助に加えて、中村福之助(修行者智蓮坊役)、中村鷹之資(太郎冠者役)、市川猿弥(伯父安木松之丞役)が出演。また、『菅原伝授手習鑑 車引』には大谷廣太郎(杉王丸役)、松本錦吾(金棒引藤内役)、坂東彌十郎(藤原時平役)が顔をそろえる。なお、第1部では尾上松也らが登場する『壽浅草柱建』、第2部では亡くなった坂田藤十郎を偲んで、中村鴈治郎らが上演する『夕霧名残の正月 由縁の月』、中村吉右衛門と中村梅玉が共演する『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』を上演。第3部には作・岡鬼太郎の『らくだ』が名を連ねている。チケットは12月14日(月)より発売。取材・文・撮影:内田涼歌舞伎座『十時月大歌舞伎』2021年1月2日(土)~2021年1月27日(土)第一部午前11時~第二部午後2時45分~第三部午後6時45分~会場:歌舞伎座(東京)
2020年12月07日玉木宏と高橋一生が、親の復讐を果たそうとする兄弟を演じる「竜の道 二つの顔の復讐者」の4話が8月18日放送。今回は松本まりか演じるまゆみと松本穂香演じる美佐、2人の“対決”と、美佐を巡る竜一と竜二の想いに多くの視聴者が想いを馳せている。養父母を自殺に追いやった運送会社社長に復讐を誓う双子の兄弟の姿を描いた、作家・白川道による未完の同名原作をオリジナル展開で結末までドラマ化する本作。整形し顔も名前も変え、さらに海外逃亡を経てコンサル会社社長として帰国、復讐を誓う運送会社・キリシマ急便に食い込もうとする竜一を玉木宏が、竜一の双子の弟で運送会社を監督する国土交通省のエリート官僚となり、キリシマ急便の社長の娘に近づいていく竜二を高橋一生がそれぞれ演じる。また2人とは血のつながりのない妹で、小学校教師の道に進んだ吉江美佐を松本穂香が、竜一と竜二が復讐を誓う運送会社・キリシマ急便の社長・霧島源平には遠藤憲一、源平の跡取り息子の晃に細田善彦、娘で竜二と接近していくまゆみに松本まりか、竜一がブラジルから日本に連れてきた遠山凛子に奈緒、竜一に心酔し復讐のことを知りながらついていく砂川に今野浩喜。竜一と源平両方とつながるヤクザの会長・曽根村始に西郷輝彦といったキャスト。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。美佐はまゆみからホームパーティーに招待される。そこで竜二がまゆみとの結婚を望んでいることを知った美佐は、自分が血のつながりのない妹だと明かす。するとまゆみの表情がこわばり、それから美佐の周囲にホストが現れ嫌がらせを始めるように。美佐がホストたちの店に行くとそこにはまゆみの姿が。まゆみから竜二が金目当てで自分に近づいたと言われた美佐は、自らの過去を調べ始め両親の死の真実を知る…というのが今回のストーリー。美佐を拉致し「誰からも愛されて、まっすぐ育ってきましたみたいな顔して、私の前をうろつかないでくれる」と言い放つまゆみに、「それは誰からも愛されないからまっすぐ育たなかったと言ってるの?」と切り返す美佐。「美佐はおしとやかで弱そうにみえて本当は芯の強い人」「まゆみお嬢様、悪女なの分かるんだけど、実は愛されるのを求めてるんじゃないか?と思わせる感じ」「美佐VSまゆみが激熱」と対照的な2人の姿に視聴者から様々な反応が。その後、美佐は竜一が差し向けた曽根村の手下によって助けられるが、竜一の正体を知らない美佐は彼のことが気になっていく。そんな美佐の様子を複雑な様子で見守る竜二…。「美佐ちゃん、竜一のこと気になっちゃってる??よね!」「美佐を巡って双子と三角関係になったらやだなぁ……辛すぎる」「竜一、竜二、美佐それぞれの思いが切なく、辛い」など、美佐を巡る竜一と竜二の関係性にも多くの視聴者が想いを巡らせている。(笠緒)
2020年08月18日お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志が29日、自身のツイッターを更新。「松本人志に望むことありますか~?(ほろ酔い)」とリクエストを募集した。松本の呼びかけにさまざまなリクエストが寄せられ、松本は「ダウンタウンの新作漫才」、「YouTubeデビュー」という意見に、顔文字で反応した。ファンからの要望では、「インスタで浜ちゃんとリモート漫才やって欲しいです!!!」「浜田さんとリモートトークして欲しいですっ。有料でも見ます!!」「浜ちゃんとキス」「浜ちゃんとラジオ」「中居社長との公開リモート飲み会が見たいです」「中居くんと何かして欲しいです」「はしご酒に中居くん」など、相方・浜田雅功や中居正広とのコラボを期待する声が多数。また、「とんねるずと共演してください!」「インスタライブ」「筋トレ動画あげてください!!!」「家でコントを是非」というリクエストや、「コロナかからないでほしい」「浜田と長生き」「長生きしてください」「ダウンタウン2人で長生きすること」と愛のあるメッセージも多く寄せられている。
2020年04月29日東京・国立劇場の12月歌舞伎公演が12月4日(水)に開幕する。演目は松本白鸚主演で骨太の義太夫狂言『近江源氏先陣館』より『盛綱陣屋』と、松本幸四郎主演の『蝙蝠の安さん』だ。『蝙蝠の安さん』は劇作家の木村錦花がチャップリンの代表作『街の灯』の主人公のキャラクターに、「お富さん」で有名な歌舞伎『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』に出てくるごろつき・蝙蝠の安五郎を当てはめて翻案した異色作。今年がチャップリン生誕130年で、12月25日がチャップリンの命日に当たることに因み、1931(昭和6)年の初演以来88年ぶりの上演が決まった。実は日本では、映画『街の灯』の公開より、そのパロディである本作の上演の方が先だったというから、歌舞伎ならではの進取の気性が窺われる。ボクシングは相撲に置き換わるが、トレードマークの山高帽とステッキは残り、遊び心も満載。今回の上演に際し、歌舞伎の台本を一度英語に翻訳してチャップリン家に読んでもらい許諾を得たとういう。毎週金曜日と12月24日(火)・25日(水)の夜は"Chaplin KABUKI NIGHT"と銘打ち、19時より『蝙蝠の安さん』のみを単独で上演。24日と25日の終演後には、チャップリンの命日に因み、記念イベントも開催する。もうひとつの演目『盛綱陣屋』の主人公は、NHK大河ドラマ『真田丸』でも話題になった真田信之・幸村兄弟とその家族たち。大坂の陣で豊臣方・徳川方に分かれて戦うことになった史実を題材にしている。時代背景を鎌倉時代に移し、真田兄弟を、源平合戦で活躍した佐々木盛綱・高綱(たかつな)兄弟に置き換えての物語だ。兄・盛綱の陣屋には、弟・高綱の一子・小四郎が人質として捕えられている。幼い小四郎を案じて高綱の戦意を挫くのが目的だが、盛綱は敵方ながら高綱の思うままに戦わせたいと考えていた。そこに高綱の死の知らせが入り、時政が高綱の首級を持って陣屋に到着。それは確かに弟の首なのか?首実検に臨む盛綱の前で、小四郎が思いもよらぬ行動に出る。敵味方に分かれた一族の悲劇を綴った骨太の義太夫狂言。クライマックスはセリフもなく義太夫の太棹の音と、盛綱らの表情だけで心情の揺らぎが描写される。白鸚が28年ぶりに盛綱を勤める。12月26日(木)まで。文:仲野マリ
2019年12月02日「令和の御代に改まりまして、若き天皇陛下が新しい象徴として、私どもに寄り添ってくださることを、国民の一人として大変うれしく、また誇らしく思っております」11月9日に行われた「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で、祝辞を述べた松本白鸚さん(77)。昨年1月、息子の松本幸四郎(46)、孫の市川染五郎(14)とともに、37年ぶりの三代襲名を行ったことに触れるとこう続けた。「37年前、父(先代白鸚)は襲名の“名”は“命”だと申しました。伝統に命を吹き込むのは、まさに令和に生きる私どものつとめだと思っております」平成から令和に御代替わりする記念すべき年である2019年。歌舞伎役者・松本白鸚にとってもまた記念すべき年になった。今年8月に喜寿を迎え、主演・演出を務めるドン・キホーテを主人公にしたミュージカル『ラ・マンチャの男』は日本初演から50年、10月には1,300回公演という偉業も達成した。先月には、白鸚を襲名してから初となる著書『句と絵で綴る余白の時間』(春陽堂書店)も出版。「そして、今年の12月には金婚式も迎えます。家内が支えてくれたからこそ、無我夢中でここまでやってこられたのでしょう」インタビュー場所となった都内の自宅でそう言って笑う白鸚さん。その傍らで、妻の紀子さんが恥ずかしそうに微笑んだ。■被災地から…サンマの上にこぼれた涙白鸚さんは人々に、悲しみや苦しみも希望に変えて、生きる喜びを与えることが、俳優の仕事だと考えている。だから、東日本大震災の直後も公演を続けたし、被災地も巡ってきた。でも、ときにはファンに勇気づけられることも。「’12年に文化功労者に選んでいただいたとき、立派なサンマを3匹贈ってくださった方がいた。どなたかわからないので、手を尽くして捜したら、岩手県の仮設住宅に住んでいる女性の方でした」ーーあなたの『勧進帳』と『ラ・マンチャの男』に勇気づけられたので、お祝いです。お礼の電話をかけたら、こう返された。その夜、夕飯に食べたサンマの上に、大粒の涙がこぼれ落ちた。紀子さんはこう続ける。「この前、やっとその方にお会いできたんです。わざわざ東京まで『ラ・マンチャの男』を見に来てくださって、楽屋でお話ししました。また、元気をいただきましたよね」半世紀にわたり、悲しみも喜びも分かち合ってきた夫婦。白鸚さんは“松本白鸚を襲名してからは、アディショナルタイム”だとほほ笑む。サッカー用語で、前半後半の後に追加される時間のことだ。「でも、点が入ることもあれば、逆転することだってある。日本語は“余白の時”と名付けました。家内は、僕が句を詠んだり絵や書をかいたり『そんなときがいちばん楽しそう』と言います。『籐椅子に妻まどろむでゐたりけり』。僕はうたた寝する家内の句を隣で詠む。そんな夫婦です(笑)」最後に「金婚式は何をされますか?」と聞いてみた。「そうですね。子どもたちももう独立して忙しいし。家内と2人で密かに静かにかな……ね?」紀子さんも静かにうなずいた。金婚式を迎える12月5日も名優松本白鸚は、東京国立劇場の歌舞伎の舞台に立っている。夫婦伴奏は令和も続いてゆく。
2019年11月25日昭和、平成、そして令和。時代を超えて、常に日本を代表する俳優として活躍してきた松本白鸚さん(77)。そんな彼を50年にわたり支えてきたのが、妻・紀子さん(74)だった。金婚式を控えて明かす夫婦の軌跡ーー。「令和の御代に改まりまして、若き天皇陛下が新しい象徴として、私どもに寄り添ってくださることを、国民の一人として大変うれしく、また誇らしく思っております」11月9日に行われた「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で、祝辞を述べた松本白鸚さん。昨年1月、息子の松本幸四郎(46)、孫の市川染五郎(14)とともに、37年ぶりの三代襲名を行ったことに触れるとこう続けた。「37年前、父(先代白鸚)は襲名の“名”は“命”だと申しました。伝統に命を吹き込むのは、まさに令和に生きる私どものつとめだと思っております」平成から令和に御代替わりする記念すべき年である2019年。歌舞伎役者・松本白鸚にとってもまた記念すべき年になった。今年8月に喜寿を迎え、主演・演出を務めるドン・キホーテを主人公にしたミュージカル『ラ・マンチャの男』は日本初演から50年、10月には1,300回公演という偉業も達成した。先月には、白鸚を襲名してから初となる著書『句と絵で綴る余白の時間』(春陽堂書店)も出版。「そして、今年の12月には金婚式も迎えます。家内が支えてくれたからこそ、無我夢中でここまでやってこられたのでしょう」インタビュー場所となった都内の自宅でそう言って笑う白鸚さん。その傍らで、妻の紀子さんが恥ずかしそうに微笑んだ。■新婚旅行はニューヨークでの武者修行いまやミュージカル俳優としての白鸚さんの代名詞ともなった『ラ・マンチャの男』の初舞台を踏んだのは、50年前の’69年4月。「父が歌舞伎を指導するために渡米したときに、たまたまオリジナル版を観劇したんです。感動した父が『染五郎(当時の白鸚さん)にやらせたい』と、日本での公演が始まりました」舞台は好評を博し、歌舞伎役者としてだけではなく、ミュージカル俳優としての名声を得ることになった。紀子さんと結婚したのは、そんな年の12月だ。「家内は九州の福岡の内科医院の一人娘です。結婚したときは舞台『春の雪』の公演中。披露宴も結婚式の日も舞台に立ちました」紀子さんは、女優の香川京子さんの親戚で、幼少のころから日本舞踊を習っていた。慶應義塾大学進学のために上京した紀子さんは、日舞の稽古を通して白鸚さんの妹と仲よくなり、家族ぐるみで付き合ううちに、白鸚さんとの結婚に至る。紀子さんがこう振り返る。「嫁いだ日に、主人の母から『歌舞伎役者の夫婦は共稼ぎよ』と言われました。でも、そのときはまだ、その言葉の意味には、気づいていませんでしたね」だが、すぐに義母の言葉の重みに気づかされることになる。「じつは翌年3月から、白鸚さんは10週にわたってニューヨークブロードウェーで、『ラ・マンチャの男』の主演を務めることが決まっていた。日本人初のブロードウエー単独主演、もちろんセリフはすべて英語だ。1月には現地に入り、稽古に励むことになる。これに紀子さんも同行、2人の実質的な“新婚旅行”になった。「武者修行新婚旅行ですね(笑)。4カ月、2人だけ。助けてくれる人もいない。家内は風邪をひいて倒れてしまうし……」白鸚さんが妻のほうを見ると、紀子さんが申し訳なさそうに続ける。「ニューヨークはいちばん寒いときで、高熱を出してしまって。でも、(無保険なので)向こうで医者にかかるというのは、なかなかできなくて。持っていった薬と、オレンジジュースをたくさん飲んで治しました。主人は毎日稽古に通っていたし、本当に迷惑をかけたと思います」厳しい稽古を経て本番を迎えた。「でも、連日続く、慣れない英語の舞台に、精根尽き果てて、ついに僕も高熱を出してしまって。体の節々が痛みました」苦難の人生を歩んだ主人公セルバンテス。白鸚さんは自分の苦痛を彼の人生に重ね合わせた。ーーこれはセルバンテスの痛みだ。人生の苦しみだ。「最低の出来だった」。白鸚さんがそう沈んでいると、紀子さんはこう断言した。「最高だった。今まででいちばんの舞台だったわ」観客の目には白鸚さんとセルバンテスが一体になって映っていた。「この米国公演では、いわゆる“梨園の御曹司”ではなく、27歳の日本人役者として、勝負は芸だけという無名の潔さを味わいました」
2019年11月23日歌舞伎俳優・松本白鸚がこのほど、主演ミュージカル『ラ・マンチャの男』50周年を迎え取材に応じた。同公演は現在、東京・帝国劇場にて27日まで上演されている。同作は1965年にブロードウェイで初演を迎え、トニー賞ミュージカル作品賞ほか5部門を受賞したミュージカル。1969年に市川染五郎(現 二代目松本白鸚)主演で日本初演を迎え、今回で50周年となる。名作『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスが、劇中劇として田舎の郷士アロンソ・キハーナと、キハーナが作り出した人物ドン・キホーテを演じるという、三重構造となっている。白鸚は同作について、「照れくさくてあんまり声を大にして言えないけど、大人の人間が持っている心をテーマにしているミュージカルなんです」と明かす。さらに「『ラ・マンチャの男』が優れた作品だから上演するのであって、なんでもブロードウェイだから上演するんじゃない。昔、蜷川幸雄さんと『ロミオとジュリエット』をやる時に、2人で『これはシェイクスピアだから上演するんじゃない、いい芝居だから上演するんだよね』と話したんです。その精神が今も生きている」と振り返った。難解なテーマに、初演のときは「もう2度とこの作品は上演できない」と思ったという白鸚。しかし、そこへブロードウェイからのオファーが来て、作品は「息を吹き返した」。「25~6歳だったので、若さで『行きます』って言っちゃった。その時、菊田(一夫)先生がそばにいて、もうお身体がだいぶお悪くて車椅子だったんですが、『先生、ブロードウェイから話がありました』と報告したら、『おめでとう』と言ってくださった、あの嫉妬の混じった顔は忘れない」「余談ですけども、菊田一夫さんと三谷幸喜さんがそっくりなんです。これがなんか不思議な縁なんですよ。めぐりあいというか、ご縁があるんですよね」と笑う。若い人に見てもらうには? という質問に、白鸚は「歌舞伎を初めてご覧になる方にも似たことを言うのですが、とにかくご覧になって、興味の持てるところを感じていただければいいんじゃないかな。お芝居は、楽しんでいただけなきゃ。『ラ・マンチャの男』も、初演の時は難しかったです。でも人生を歩んでくると、夢は敗れて希望なんて見つからないようなことも起こってくる。そういう時に『ラ・マンチャの男』を思い出すんですよね」としみじみ。「僕も50年間、何度『The Impossible Dream』(見果てぬ夢)という歌に騙されてきたか(笑)。でも50年この歌を歌い続けてきたところを見ると、まだやっぱり夢は叶うと信じてるんですね」と自身の体験と重ねた。同作の今後については、元気な限り続けていきたいと希望しつつ「『クリスマス・キャロル』のように、毎年違う劇場でかかるようになってほしい」と、先の先まで見通す。「伊勢神宮もお社を建て替えるし、歌舞伎の襲名も同じ。この世に初代松本幸四郎が生まれたのは約300年前で、去年十代目が生まれたわけで、新しくなっていくのは日本の素晴らしい精神だと思います。たまたま『ラ・マンチャ』を50年やり続けていたけど、常若の精神は持っていきたい。やり続けて、いつの日かそのままお客様の脳裏の中に消えていきたいなと考えております」「役者の芸は、役者がいなくなって消えてしまえば、おしまいと思ってるんです。脳裏に残ることがすべて。それが役者としての務めであり、嬉しいことですね」と役者論を示した。画像提供:東宝
2019年10月16日歌舞伎役者の松本白鸚が4日、東京・帝国劇場で行われるミュージカル『ラ・マンチャの男』東京公演初日前に、瀬奈じゅん、駒田一とともに取材に応じた。同作は1965年にブロードウェイで初演を迎え、トニー賞ミュージカル作品賞ほか5部門を受賞したミュージカル。1969年に市川染五郎(現 二代目松本白鸚)主演で日本初演を迎え、今回で50周年となる。名作『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスが、劇中劇として田舎の郷士アロンソ・キハーナと、キハーナが作り出した人物ドン・キホーテを演じるという、三重構造となっている。50年同じ役を演じたことについて、「決して楽ではなかったんですけど、それもこれも『ラ・マンチャの男』の歌じゃないですけど、苦しみを苦しみのままにするんじゃなくて、苦しみを勇気に、悲しみを希望に変えて頑張って、それが自分の俳優としての仕事だなと思ってました」と振り返る。役柄そのままに白鸚のことを「旦那様」と呼んでいる駒田は「最初は幸四郎さんって言ったりしていたけど、白鸚さんに変わったときに、『旦那様』と呼んだ方が間違わないですむ」と笑いつつも、「旦那様なんです。僕にとって」としみじみ。瀬奈はこれまでの大阪公演、宮城公演、愛知公演を振り返り「本当に毎日ありえないほどの緊張感で始まるんですけど、終演後は悲しいはずなのにとても幸せな気持ちと勇気をもらって、明日も頑張ろうと思う。今までにない充実感を日々感じています」と心境を明かした。1970年にはブロードウェイでの公演も行ったが、白鸚は「倒れるかと思いましたけど、日本でいると歌舞伎の俳優の家の子だとかがありましたが、その時は無名で日本の27歳の役者がやってるというだけですから、舞台だけが勝負。無名の潔さ、かっこよさみたいなものを初めて味わいました」と語る。また60歳を過ぎた頃には公演1,000回のご褒美としてスペイン旅行を用意され、一言を求められるも「『60過ぎてから見る夢が本当の夢だ。今まで見てた夢は"夢見る夢男"の夢だ』としか出てこなかった」という。さらに「夢といえば、私の子供たちのことです。長男(現・松本幸四郎)は高麗屋である歌舞伎の道を、長女(松本紀保)は、シアターナインスで手掛けてきた小劇場の道を、次女(松たか子)は、ミュージカルや映像の道を、それぞれ進み、そういう意味では『夢』は叶ったとも言えます」と感慨を見せ、「観に来てくださるお客様を前にお芝居を御目に掛ける。人生にとってこんな幸せなことはないと思います」と締めくくった。公演は東京・帝国劇場にて10月4日~27日。
2019年10月04日日本舞踊協会の新作舞踊公演シリーズ「未来座 SAI」の第三回公演が行われる。【チケット情報はこちら】日本舞踊松本流の家元で、シリーズの立ち上げメンバーでもある歌舞伎俳優の松本幸四郎は、「日本舞踊協会ではもともと2月に古典、7月に新作を上演していて、新作は少しお休みしていたのですが、古典と新作は両輪という考えから、2017年にこのシリーズが誕生しました」と語る。毎回、SAIに異なる漢字を当てて公演を行う同シリーズ。第一回では「賽」の字を掲げて“水”がテーマの新作4つを上演し、第二回では「裁」として『カルメン』が原作の新作舞踊を再構成して送ったが、今回は「彩」の字のもと、2つの新作を上演する。その1つ目、『=ぴのきお=』は、童話『ピノキオ』を日本に置き換えた作品で、檜の人形=ぴのきおが、様々な人形と出会い、幾多のトラブルを乗り越えて成長する姿を描く。「皆様に馴染みのある題材ですし、ファンタジーなので、心情や風景、人間ではないものなどを表すことのできる日本舞踊には適していると思います。脚本・演出・振付の西川扇与一さんは新作の経験も豊富な方ですから、日本舞踊にもともとある人形振りという技術を駆使しつつ、新しい踊りを見せてくれるでしょう。檜男のWキャスト、花柳大日翠(おおひすい)さんと藤間爽子さんは対照的な雰囲気なので、見比べる楽しみもあります。語り(録音)で参加する坂東流家元の坂東巳之助さんは、役者の技も使ってくれるはずです」2つ目は、四季を描いた『春夏秋冬』。京舞・井上流の家元であり人間国宝の井上八千代が未来座に初出演する話題作だ。「舞踊協会の新作公演に、井上八千代先生が出演するのは初めて。若い舞踊家達から出てきたアイデアで、彼らの熱意が先生に伝わって実現に至ったのだと思います。京舞という踊り、そして先生の芸は、非常に洗練され、それでいてリアルで、素晴らしい。どうやっても届かない憧れであり、だからこそ日本舞踊家として何ができるか考えさせられます。例えるなら、歌舞伎にとっての能狂言のような存在ですね。皆様に堪能していただくのは勿論、若い舞踊家には同じ舞台上でぜひ、色々なものを吸収してもらいたいです」「日本舞踊にはまだ身体だけでストーリーが展開する舞踊劇が、本当の意味では確立されていない」とし、「書割と共に平面的に進化してきたのが日本舞踊。立体的な群舞を入れるなどして奥行きを使うこともできるし、逆に映像を含め書割にこだわることもできる。まだまだ様々な可能性があると思う」と語るなど、幸四郎の日本舞踊への情熱は尽きない。「昔は花嫁修業や役者の心得であった日本舞踊も、今ではプラスアルファの特別な世界になりました。着物で踊るカッコよさや美しさを味わっていただき、浮世離れした別世界を楽しんでいただければと願っています」取材・文:高橋彩子
2019年06月14日松本白鸚が1969年の日本初演から主演し続けるミュージカル『ラ・マンチャの男』が今年9月から10月にかけて上演される。6月13日、都内にて製作発表会見が行われ、50周年の記念すべき公演にむけての意気込みを白鸚ら出演者が語った。【チケット情報はこちら】セルバンテスによる小説『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』と、宗教裁判で捕えられた作者セルバンテス自身の姿、現実と虚構から“人間のあるべき姿”を力強く描きだすミュージカル。1965年にブロードウェイで初演され、翌1966年にはトニー賞を受賞した名作だ。日本では1969年に当時26歳だった市川染五郎(現・松本白鸚)が主演、以降も白鸚がライフワークとして上演し続けて、これまでの総上演回数は1265回にのぼる。50年という節目を迎えるにあたって白鸚は「初演から50年の『ラ・マンチャの男』にまた灯がともる。自分にとっては奇跡で、胸がいっぱい」と心境を語った。長く続いている作品だが、「今年は真新しい『ラ・マンチャの男』になります」と白鸚。その理由を昨年、親子三代で「高麗屋三代襲名」を行い、九代目松本幸四郎から二代目白鸚になったことにかけ、「何しろ、主演俳優の名前が変わりましたので」と茶目っ気たっぷりにアピール。同時に「昨年は松竹で高麗屋三代襲名興行をやりましたが、『ラ・マンチャの男』は東宝での襲名披露興行だと思っている」とも。『ラ・マンチャの男』と白鸚の偉業は、国内だけに留まらない。1970年にはブロードウェイから招待を受け、名門マーチンベック劇場にて海外の俳優の中で主演し、全編英語のセリフで60ステージをこなした。会見では「亡き中村勘三郎君がNY公演を行ったとき、「兄さん、あなたはこんなところで何十ステージも主演したのか。あなたは歌舞伎界の野茂だ!」と電話をかけてきた」といったエピソードなども披露されたが、「ですが、それらは“思い出”。私はこの先しか見ない。振り返らず、前を見て歩きたい」と、あくまでも前向きだ。また、これだけ長く続いた理由を問われると「平和だったからだと思う。先日、天皇陛下がご退位なさいましたが、平成の30年間が平和だったから『ラ・マンチャの男』が続けてこられたんだと思う」と、平和への感謝を語り、「この作品はずっと続いてほしい。ドン・キホーテの精神だけはいつの時代にも生き続けてほしい」とこれからも上演が続くことへの期待をしみじみと話してもいた。共演は瀬奈じゅん、駒田一、松原凜子、宮川浩、上條恒彦ら。公演は10月4日(金)から27日(日)まで、東京・帝国劇場にて。9月には大阪、宮城、愛知でも上演される。
2019年06月14日「嵐」櫻井翔と有吉弘行が司会を務める「櫻井・有吉THE夜会」の5月30日(木)今夜放送回は2時間SPでお届け。櫻井さんが親友、妻夫木聡、佐藤隆太と3人で九州ロケに。さらに女優の芦田愛菜、歌舞伎俳優の松本幸四郎、市川猿之助ら豪華なメンバーをゲストに迎えて放送する。2001年放送の「天国に一番近い男 教師編」で共演。その後もお互い共演し合うことも多く友人関係となり、いまでも親友だという3人が今回ゴールデンウィーク旅行として九州へ。福岡出身の妻夫木さんの祖父母宅へ急遽立ち寄ったり、絶景露天風呂や絶品鶏肉料理など堪能。さらにカラオケで嵐の曲を大熱唱したりと貴重な3人旅の様子をカメラが追う。親友ならではの本音トークも必見だ。また子役として国内だけでなく『パシフィック・リム』ではハリウッドにも進出した芦田さん。現在中学3年生の芦田さんは思春期年表を大公開。恋バナに夢中だという中学生らしい学校生活をはじめ、読書が大好きな芦田さん独自の“読書4か条”までその素顔を紹介する。さらに松本さんと市川さんは“海外旅行での変わった食生活”や“妄想遊びが大好き”など、後輩たちから“変態ブラザーズ”と呼ばれているそう。その奇妙な私生活を関係者への取材から明らかにしていく。今夜のゲスト、妻夫木さんが主演を務める舞台「キネマと恋人」は6月8日(土)から世田谷パブリックシアターで上演。佐藤さんが出演する映画『今日も嫌がらせ弁当』は6月28日(金)から全国公開。芦田さんが声優として吹き替えを務める映画『ゴジラキング・オブ・モンスターズ』は5月31日(金)より全国にて公開。また、同じく声優を務めた『海獣の子供』は6月7日(金)より全国にて公開。松本さん、市川さんが出演する「六月大歌舞伎」夜の部「風雲児たち」の公演は6月1日(土)から歌舞伎座で上演。「櫻井・有吉THE夜会」は5月30日(木)21時~TBS系で放送。(笠緒)
2019年05月30日1月16日、ダウンタウンの松本人志(55)が、自身のTwitterを更新。HKT48の指原莉乃(26)がTwitterで「松本さんが干されますように」とつづったツイートをリツイートし、「指原様~」と反応した。1月13日に放送された「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、松本は指原に対し「お得意の体を使って、何とかすれば」という趣旨の発言をし、その後ネットを中心に物議を醸していた。指原は、15日に自身のTwitterで、「ワイドナショー、緊張しすぎて本当に記憶がほとんどなく…改めて録画をチェック…」と改めて番組を視聴したことを報告。その後、「松本さんが干されますように」と失言した松本に対してツイートした。これに対し松本はすぐさま反応。「指原様~」とコメントとともに指原のツイートをリツイートした。松本のツイートに対し、7万2,000のいいねと1万近いリツイート、また、1,500を超えるコメントがされた。コメント欄には、「このやり取りは凄すぎる!」「二人の絡み大好きです!」「あの発言は信頼関係があるからこその発言」と指原と松本のやりとりに対し好意的なコメントも見られたが、「笑いに変える内容ではないですよね」「全く反省してない…信じられない」「全然おもろないで。ほんま、つまらん芸人になってしもたなあ」と厳しい発言もみられた。
2019年01月16日2007年の日本初上陸以来、4年間のロングランで80万人の動員を記録したパフォーマンス・ショー『BLUE MAN GROUP IN TOKYO』。来年5月から6月まで、スケールアップした“ワールドツアー”が上演される。開幕に先立ち、『ブルーマングループ』のファンを自称する歌舞伎俳優の十代目松本幸四郎が、パフォーマーのアダム・エドッシーとともに、ショーの魅力や歌舞伎との共通点などを語った。【チケット情報はこちら】『ブルーマングループ』の東京公演を見たことがあるという幸四郎は「見るというよりも体験するというのが大きなインパクトだった。やっていることはひとつひとつ面白いし、楽しいけれど、とにかく“ハンパない”ことをやっていて、最終的には感動する。皆さんがプロフェッショナルなのだなと思った」と振り返る。それに対し、日本在住歴があり、歌舞伎座にもよく足を運んだブルーマンパフォーマーのアダムは「歌舞伎は会場のどこにいてもその力強さを感じることができて驚いた。音楽も所作も日本独特のショーで、時代をトリップしたような感覚を受けた。日本の伝統を経験するとともに、その伝統が現代でも息づいていることを感じた」と語る。それぞれ受け継がれるものを守りながらも、新しい挑戦を重ねていく。『ブルーマングループ』のショーと歌舞伎は、どこか通ずるものがあるのだろう。幸四郎は「歌舞伎は400年以上の歴史がある。傑作として残ってきた傑作を、傑作としてお見せできるように、自分の心身を鍛えていきたいと思う。新しいエンターテイメントが生まれ続けているので、それらにもアンテナを研ぎ澄ませ、歌舞伎の可能性に挑戦していきたい」。そして、アダムも「ブルーマンと歌舞伎で似ているところは、見に来てくださったお客さんを日常の外へ連れ出すこと、そしてお客さん同士のつながりを生むということだ。ショーは新しい素材を取り入れて、常に進化させている」と話した。米国ラスベガスで新作歌舞伎の公演をした経験がある幸四郎は「歌舞伎をしっかりとお見せすることが一番インターナショナルな、何物にも代えがたいことだと思って、歌舞伎を作った。何ができるかではなくて、何をしたいのかという夢に向かって突っ走っていくからこそ、とてつもないスケールのものができると感じた。目標や憧れ、夢を持つということはとても大事なことなんだなとラスベガスで感じた」と語る。そして、最後に幸四郎は『ブルーマン』の公演に向けて、「歌舞伎役者の僕から見ても、『ブルーマン』はかぶいていると思う。エンターテイメントであり、でもとてつもないテクニックを持っていて、メッセージも込められている。そこに感動する。『ブルーマン』はかぶき者だ」と称賛していた。公演は5月1日(水)~6月2日(日)東京・EXシアター六本木、6月5日(水)~9日(日)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、6月12日(水)~16日(日)大阪・オリックス劇場にて。東京、愛知公演は現在チケット発売中。大阪公演は1月26日(土)午前10時よりチケット一般発売。取材・文:五月女菜穂
2018年11月16日演劇、ミュージカル、伝統芸能など、舞台に関する最新情報やインタビューをお届けするフリーマガジン「ステージぴあ関西版」。10月1日発行の最新号で表紙を飾るのは、11月に新開場する京都・南座で襲名披露を行う市川染五郎。インタビューでは、出演する『勧進帳』、『連獅子』に向けての意気込みや、歌舞伎への思いを聞いた。「當る亥歳 吉例顔見世興行」チケット情報はこちらほか、現代能楽集『竹取』、KERA・MAP #008『修道女たち』、M&Oplaysプロデュース『ロミオとジュリエット』などの脚本・演出家、出演者へのインタビューや、10月6日(土)に開幕する「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」のオススメ公演をピックアップするなど、今号もミュージカルから小劇場、伝統芸能までさまざまなジャンルのインタビューや公演情報をお届け。さらに、松本白鸚、松本幸四郎、市川染五郎の襲名披露興行「吉例顔見世興行」11月公演をはじめ、蒼井優出演の3人だけで繰り広げる濃密な舞台『スカイライト』など、注目公演の読者先行予約も実施!この機会にぜひチケット入手を。「ステージぴあ関西版」10+11月号はチケットぴあカウンター、劇場などで配布中。WEB上(でも全ページ無料でご覧いただけます。
2018年10月02日2016年より耐震補強工事のため休館していた京都・南座が、南座発祥400年の今年、新開場する。その幕開けを飾る11月の「當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」にて、二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎の親子三代による襲名披露が行われる。7月28日、京都市内で記者会見が行われ、白鸚、幸四郎、染五郎が思いを語った。今年1月の東京・歌舞伎座から始まり、これまでに4劇場で襲名披露を行ってきた高麗屋。その締め括りとなる南座では、昼の部の『連獅子』で幸四郎と染五郎が共演し、白鸚は顔見世で49年ぶりの上演となる『鈴ヶ森』に出演する。また、夜の部の『勧進帳』で親子三代が富樫、弁慶、義経を演じるのも見どころだ。白鸚は「『鈴ヶ森』の長兵衛は五代目幸四郎の当たり役で、“あれは五代目の鼻の高え長兵衛”というようなセリフが残っております。衣装も背中に花菱を抜いた“首抜き”で、合羽も高麗屋格子。高麗屋に大変ゆかりがある演目です」と語り、『勧進帳』で演じる富樫については「富樫には“武士の情け”がある。主君の義経を思う弁慶の心を慮って通してやるという情けです」と話す。幸四郎は今年で三度目の『勧進帳』弁慶で、南座で楽日まで勤めると100回を数えることになるという。「三代で『勧進帳』を勤めさせていただけるのは、夢のような幸せを感じておりますが、弁慶を勤めるときには喜びという思いどころではないというのが率直な感想です。回数ではございませんが、私自身の『勧進帳』として大きな区切りとなりますので、精一杯勤めきりたいと思います」。1月の歌舞伎座でも義経を勤めた染五郎は「最初は自分がこんな大きな役を勤めきれるのかという不安がありましたが、すごく大好きな役になりました。11月の南座では、1月にできなかったことをすべて直してお見せできるように稽古したいと思います」と意気込みを語った。また『連獅子』については幸四郎が「なんとかここでせがれに大きくなってもらいたいという思い。親子の物語ではありますが、狂言師右近、左近が踊りをお見せする舞踊です。僕自身の解釈としては踊り比べだと思っていますので、どっちが勝つかという踊りだと思って僕は勤めますので…、頑張ってください!」と染五郎に発破をかけると、染五郎も「親獅子が仔獅子を崖から落として這い上がったものだけを育てる伝説をもとにした踊りですが、親獅子を突き落とすくらいの強い気持ちで勤めたいと思います(笑)」と語り、会場の笑いを誘った。「當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」での襲名披露興行は11月1日(木)から25日(日)まで、京都・南座にて上演。チケットは10月15日(月)前売開始。取材・文:黒石悦子
2018年08月02日毎年、長野県松本市を舞台に開催される、指揮者 小澤征爾が総監督を務める国際音楽祭のセイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)。桐朋学園の創設者のひとりであり、偉大な教育者であった故・齋藤秀雄氏の没後10年にあたる1984年、小澤征爾と秋山和慶の呼びかけで世界各地に散る同門の志が一堂に集い、メモリアルコンサートを行ったことから、世界に名を響かせることとなる、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)が生まれた。1992年にはSKOが母体となり、サイトウ・キネン・フェスティバル松本が誕生。2015年にセイジ・オザワ 松本フェスティバルと音楽祭の名称を新たにし、今年で27年目の開催を迎える。世界各地で活躍する演奏家たちが、唯一無二の音色を奏でるSKOによるオーケストラ コンサートは、3プログラムを開催する予定だ。【チケット情報はコチラ】Aプログラム(8月26日(日))は、2011年のフェスティバルでチャイコフスキー《交響曲第4番》を指揮したディエゴ・マテウスが、満を持して《第5番》を指揮。ハイドン《協奏交響曲》は、SKOが誇る名手たちが奏でる独奏にも注目して欲しい。Bプログラム(8月31日(金))は、総監督 小澤の弟弟子である秋山和慶が、得意とする王道のフレンチ・プログラムを指揮。Cプログラム(9月2日(日))は、フェスティバルとも縁の深いジャズ・トリオのマーカス・ロバーツ・トリオを迎えアメリカンでジャジーなプログラム “OMF Gig”をお届けする。小澤の恩師であるバーンスタインや、アメリカが誇る名作曲家ガーシュウィンの心躍る楽曲に身を委ねてみては。また、小澤がオーケストラ公演と合わせて情熱を注ぐオペラ公演では、プッチーニの喜劇『ジャンニ・スキッキ』を上演。遺産相続と恋人たちの行方を愉快に描いたオペラは、家族そろって楽しめること間違いない。OMFでしか聴けない、上質な室内楽プログラムも3つを開催。特に注目は、約半世紀にわたり、ジュリアード弦楽四重奏団で第1ヴァイオリンを務めたロバート・マン氏を偲び開催する「ふれあいコンサートI ~ロバート・マン メモリアルコンサート~」(8月19日(日))。氏が創立時より情熱を注いだ小澤征爾スイス国際アカデミーを迎え、弦楽四重奏と弦楽合奏を行う。マン氏がジュリアード弦楽四重奏団期より最も愛し、弦楽合奏としても多く指揮をした曲でもあり、近年、小澤も好んで取り上げている想い入れの深い、ベートーヴェン《弦楽四重奏曲第16番 Op. 135 第3楽章》の演奏も予定している。室内楽の偉大な指導者であったマン氏の教えを受け、音楽の真髄に触れた若い音楽家たちの演奏は必聴だ。他にも、1000円で聴ける「OMF室内楽勉強会~金管アンサンブル~発表会」(8月18日(土))や、教育プログラムを開催。期間中は松本市内のあちこちでオープンイベントも開催している。OMFは8月18日(土)から9月7日(金)まで開催。この夏はぜひ信州・松本で、忘れられない音楽体験を楽しんでみてはいかがだろうか。
2018年07月05日現在公開中のシネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』の公開記念「父の日」舞台あいさつが17日、東京・東銀座の東劇で行われ、市川染五郎、市川團子が出席した。シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』の公開記念「父の日」舞台あいさつに出席した市川團子、市川染五郎(左から)歌舞伎の舞台を撮影し、映画館で楽しむ"シネマ歌舞伎"の最新作となる本作は、染五郎は父の市川染五郎(現・松本幸四郎)と、團子は父・市川中車(香川照之)とそれぞれの親子が共演を果たした話題作で、歌舞伎座で大事件に巻き込まれた弥次郎兵衛(市川染五郎※現・松本幸四郎)と喜多八(市川猿之助)のコンビが奇想天外な謎に挑む、というストーリーだ。舞台あいさつには松本幸四郎の息子・市川染五郎と香川照之の息子である市川團子が登壇。父の日ということで、父のことを「変」という一言で表現した市川染五郎は「変な人ですよ。ポテトチップスを野菜のように食べて。もう数え切れませんね」と苦笑いを浮かべれば、香川照之について「昆虫の心を理解している」とフリップに書き記した市川團子は「家に入って手を洗うじゃないですか。洗面所に昆虫の本が置いてあるんです。リビングにも昆虫のものが置いてあったり台所にもあって、ずっと昆虫ばっかり見ていてお父さんのことが思い浮かびません」と明かして会場の笑いを誘った。そんな彼らはそれぞれの父と同舞台で共演している。市川染五郎が「父は挑戦という言葉が似合う役者。代々挑戦している家なので、それを引き継いですごいなと思いました」と語り、同舞台で父・香川照之と初共演を果たした市川團子も「その時の芝居を見て、すごいと思いました。それに最近は『ゆれる』という映画を見て、感情を露わにしてすごい演技をしているなと思いました」と香川の演技を絶賛した。夏芝居の風物詩として好評を博してきている『東海道中膝栗毛』。同シリーズの最新作が今年の夏も上演されるが、今年は歌舞伎座で松本幸四郎、市川染五郎、市川中車、市川團子の4人が同時に歌舞伎座史上初めての宙乗りにチャレンジする。市川染五郎は「去年父がしているところを見て、2人(市川團子と)で近い内にしたいねと話していたので、すごくうれしいです」と笑顔を見せれば、宙乗り自体初めてとなる市川團子も「宙乗りは憧れだったので、それを早い歳でやらせてもらってありがたく思っています」と夏の公演が待ち遠しい様子だった。
2018年06月18日6月の博多座は、九代目松本幸四郎改め二代目松本白鸚、七代目市川染五郎改め十代目松本幸四郎の親子襲名披露興行。坂田藤十郎、中村梅玉、片岡仁左衛門ら華やかな面々が色を添え、歌舞伎の歴史に残る貴重な名舞台となりそうだ。開幕を前に、松本白鸚、松本幸四郎が公演に対する思いを語った。【チケット情報はこちら】「1月、2月の東京・歌舞伎座で私と息子と孫の三人で襲名をさせて頂きました。37年前に私が松本幸四郎を襲名させて頂いた時も三代襲名でしたが、今回も本当に奇跡のようなこと。歌舞伎を愛してくださる皆様が起こしてくださった“奇跡”。博多座では私と息子の襲名興行となりますが、その思いをしっかり受け止めて伺いたいです」と、笑顔で抱負を語ってくれた松本白鸚。続いて松本幸四郎は「十代目松本幸四郎を襲名させて頂きました。幸四郎という名前を父から譲られ、許されるということは本当に嬉しいこと。父の背中を追い続けるのは変わりませんが『松本幸四郎は僕だ』という思いで、さらに精進したいと思います。母が博多出身なので、博多は私にとって第2の故郷。その場所で襲名興行ができるのは本当に嬉しいです」と挨拶した。親が子に、子が孫に、それぞれ慣れ親しんだ名前を譲る。襲名とはやはり特別なものだ。父・白鸚は「今回の昼の部でも上演する『伊達の十役』の政岡を、染五郎が演じていた時に見事だと感心しました。そして『染五郎』という器から芸があふれ出ているなと。そこで器を『幸四郎』に変えれば、新たな芸を詰め込めるのではないかと思ったんです」、息子・幸四郎は「前回の襲名とは違い、今回は息子が同時に『市川染五郎』を襲名します。昨日まで自分が名乗っていた名前を別の人物が名乗るというのは、私にとって初めての経験で、自分が『幸四郎』になったという事をより強く実感させてもらってます。息子も子役から大人の役への変化の時期ですし、本当に新たなスタートですね」と、それぞれの思いを語ってくれた。昼の部で幸四郎は、2015年二月花形歌舞伎で好評を博した『伊達の十役』を勤める。市川猿翁(三代目猿之助)が復活させた、立ち回りあり、宙乗りありの大スペクタル劇。40回以上の早替りを幸四郎が魅せる十役の演じ分けや、今回は特別に三浦屋女房を三浦屋亭主に変え、白鸚が演じるというのも見どころだ。夜の部では「毎日踊っていたいと思えるぐらい好き」という舞踊の大曲『春興鏡獅子』を踊る。白鸚は夜の部の『魚屋宗五郎』を演じる。「襲名であることも、高麗屋の芸を披露することも大事だけれど、やはり一番はお客様に喜んでいただける演目であること。世話物の(独特の) “間”が非常に難しく、かつ面白い。他の演目ももちろんですが、『魚屋宗五郎』が一番面白かったと思わせますよ(笑)」。6月2日(土)から26日(火)まで福岡・博多座で上演。チケットは発売中。5月30日(水)には恒例の船乗り込みも行なわれる。
2018年05月22日2018年4月28日(土)オープン株式会社丸山珈琲は、長野県松本市に新店舗をオープンします。その場所は、信濃毎日新聞社 松本本社ビル「信毎メディアガーデン」。「松本コーヒースタンド」と「松本店」を、それぞれ1階と2階に構える新しい試みです。1階と2階で異なるスタイル異なる営業スタイルを持つふたつの店舗を同時に開店し、顧客のニーズに応えます。1階はテイクアウト中心で、コーヒーやパンなどを販売。2階では、エスプレッソ、フレンチプレス、サイフォンで淹れた本格的なコーヒーを、ゆったりと味わえます。駅から近くて便利JR松本駅から徒歩7分という便利な場所に、2018年4月28日(土)にオープンします。オリジナルコーヒー「松本アルプスブレンド」や、限定販売のスイーツはいかがでしょう。(画像はプレスリリースより)【参考】※丸山珈琲 ホームページ
2018年04月15日俳優の江口洋介、松本幸四郎、女優の井上真央が12日、都内で行われたキリンビールの第3のビール『本麒麟』新CM発表会に出席した。キリンビール「本麒麟」新CM発表会に出席した松本幸四郎、江口洋介、井上真央(左から)キリンビールは、3月13日より新商品『本麒麟』の発売を開始。これに伴い、江口洋介、松本幸四郎、井上真央を起用した新CMが発売日より全国で放映がスタートし、「手紙」編と『井上真央』編ではキリンビールの開発者が、江口と井上それぞれに手紙が読み上げ、2人が同商品の旨さに驚いた表情を見せるほか、「松本幸四郎」編では松本幸四郎のいる楽屋に江口が襲名祝いに駆けつけて同商品を一緒に飲むという内容になっている。CMでも飲んだ同商品について江口は「ビックリする美味しさで、力強いコクと美味さのバランスというか、非常にこれは美味いと思った飲み物ですね。パッケージからも分かるように本物感もあり、こう言った飲み物は好きで良く飲むんですけど、これはイケるなと感じましたね」と絶賛。一方の井上も「私も驚きました。苦味はしっかりしていて香りもあり、爽やかで飲みやすいなと思いました」とアピールした。同CMではお酒好きな設定の井上。「あまり公にされると恥ずかしい感じですよね(笑)。今回はそういう演出だったので……」とあくまでも演出だと強調したが、イベント中には昼間から同商品を試飲するシーンもあり「美味しい!」と思わず頬を緩める場面も。続けて「差し入れでもらいたいですけど、私は和食が好きなので、煮物とか煮魚にも合うんじゃないかなと思います。お家で一生懸命作ったお料理にもピッタリだと思いますよ」とオススメのシーンを紹介。同CMで江口から差し入れにもらって同商品を飲んだ松本は「芝居が終わって『ああ、今日は上手くいかなったな』と思う毎日なので、この刺激で忘れようと思います」と同商品の美味しさにすっかり魅了された様子だった。
2018年03月13日特別展「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」が、長野・松本市美術館にて2018年3月3日(土)から7月22日(日)まで開催される。世界的芸術家・草間彌生世界的な芸術家の草間彌生が、生誕の地・松本で特別展を単独開催する。絵画、ソフト・スカルプチャー、映像、インスタレーション、野外彫刻、パフォーマンス、ファッション、小説など様々な表現形式で作品を生み出してきた草間彌生は、2017年には東京・国立新美術館で展覧会「草間彌生 わが永遠の魂」を開催し52万人を動員。世界各地で行われる展覧会においても入場者数の記録を塗り替えるなど、国内外で不動の人気を誇る。約180点が集結する個展特別展「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」には約180点の作品が集結。モチーフの反復や、ビビッドな色使いによって、戦争で失われた青春、平和、愛、宇宙といった普遍的な意味を表現する作品の数々が登場する。入口には水玉強迫や南瓜のオブジェ展覧会は、美術館の入口にある草間彌生の《幻の華》と《松本から未来へ》から始まる。無料観覧スペースにもバルーン作品や水玉強迫、南瓜のオブジェなどが展示予定となっており、館内に足を踏み入れる前から草間が織りなす世界観を楽しむことができる。ブレイクの糸口となった無限の網シリーズ続く第1会場では、まずはじめに見る者を非日常の空間へと誘う近作のインスタレーション作品の数々が展示される。そこから一気に時代を遡り、1957年に渡米する以前の貴重な作品をはじめ、ニューヨークでブレイクのきっかけとなった無限の網シリーズやソフト・スカルプチャー、帰国後の活動の幕開けとなったコラージュ、網目や水玉の無限性、立体作品を目にすることができる。最新シリーズ、わが永遠の魂徐々に暗闇の空間へと導かれていくのが、第2会場。そこでは、光と鏡で無限性を表現した立体作品が深遠なる世界へと誘い込む。暗闇を抜けると、ひときわ明るい巨大空間が広がり、2009年から手がける最新シリーズ「わが永遠の魂」が並ぶ。すでに制作枚数が550枚を超えたというこのシリーズのうち、今回は約70点を展示予定。さらにその約半数が日本初公開作品で、中には世界初公開となる貴重な作品も目にすることができる。シリーズの中でも注目は、《落魄の墳墓、そして私の心の貧しさだけが全身を支配しているのだ》。草間彌生がデザインを担当した、二月大歌舞伎で行われる松本幸四郎ら親子三代の襲名披露興行の祝幕にあしらわれた作品の1つだ。日本初公開のミラールーム最後の空間に展示されるのは、中に入って鑑賞できるミラールーム《南瓜へのつきることのない愛のすべて》。日本初公開となるこの作品の中に無限に広がる光景はどんな世界なのか、期待が高まる。オリジナルグッズの販売も会期中は、展示で紹介する草間彌生作品などをあしらったグッズを扱うショップを特別に設置する。1月20日(土)から販売されている先行前売券とセットになっている「新・YAYOIちゃんプラッシュ」松本限定版が登場するほか、オリジナルグッズや関連書籍なども展開される。なお、今回の展覧会場の風景写真も収録した展覧会図録は、4月以降に販売される予定だ。【詳細】草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて会期:2018年3月3日(土)~7月22日(日)会場:松本市美術館住所:長野県松本市中央4-2-22休館日:月曜日 ※4月30日、5月7日、7月16日は開館開館時間:9:00~17:00※土曜日は19:00まで開館。3月3日(土)は21:00まで開館延長。※入場はいずれも閉館の30分前まで。観覧料:一般 1,200円(1,000円)、大学・高校生 800円(600円)※()内は前売・20名以上団体料金※中学生以下無料、障害者手帳携帯者とその介助者1名無料プレイガイド:松本市美術館、セブンチケット、ローソンチケット、展覧会ホームページ、チケットぴあ、イープラス、CN プレイガイド、JTB、チケットスター※前売券販売期間(先行販売を除く): 2月1日(木)~3月2日(金)※3月3日(土)以降は当日券のみ販売、団体券は松本市美術館のみ取扱い■「新・YAYOIちゃんプラッシュ」付き先行前売券 2,200円(税込)販売期間:2018年1月20日(土)~3月2日(金) ※売り切れ次第終了※セブンチケット、ローソンチケット限定※プレイガイド購入時に観覧券とプラッシュ引換券を発券。プラッシュは展覧会会期中に松本市美術館総合窓口にて引き換え。※新・YAYOI ちゃんプラッシュ(松本限定)は会場でも販売予定となっているが、生産数に限りあり。確実な入手を希望する場合はセット前売券の購入推奨。 【問い合わせ先】松本市美術館TEL:0263-39-7400
2018年01月20日舞台『アマデウス』の公開舞台稽古が23日、東京・サンシャイン劇場で行われ、松本幸四郎、桐山照史(ジャニーズWEST)、大和田美帆らが登場した。同作は1979年にロンドンで初演を迎え、1981年にはトニー賞で5部門を受賞、1984年に映画化されるとアカデミー賞で8部門を受賞した世界的ヒット作。幸四郎は1982年に日本初演を行って以来438回の上演を重ね、演出も務める。老いた音楽家・サリエーリ(松本)が天才音楽家・モーツァルト(桐山)の才能に揺さぶられていく姿を描き、モーツァルトの死の謎に迫る。約2時間45分の上演中、全場に登場する幸四郎は静かな迫力でサリエーリの苦悩を見せ、時にユーモラスに演じ上げる。憎らしさとキュートさを兼ね備え観客の心をざわめかせる桐山、確かな実力とともに作品の華となった大和田らが舞台を盛り上げた。幸四郎は「幸四郎を襲名して初めての現代劇『アマデウス』が、35年を経て場所も同じサンシャイン劇場で、幸四郎として最後の『アマデウス』の初日を迎えられます事、本当に感無量の思いです」と語る。2代目松本白鸚襲名を控え、「『アマデウス』に足をお運びくださったお客様方、又幸四郎として36年間お世話になった方々に心からの感謝の気持ちを捧げたいと思います。本当に長い間ありがとうございました」と幸四郎の名の下にこれまでの感謝を表した。モーツァルト役の桐山は「無事に幕が上がる事を本当に嬉しく思います」と喜び、「8月半ばから始まった稽古が『あっ』という間と感じるぐらい、充実した時間を過ごさせていただきました」と振り返った。桐山はさらに「稽古開始当初は挫折で始まりましたが、今は桐山照史が演じるモーツァルトを自信を持って皆様に届けたいと思います」と自信を見せる。「『いっぱい笑って、いっぱい泣いて、いっぱい考える』そんな時間を過ごしていただけるように『最高のカンパニー』一丸となって頑張ります」と初日を前に決意を表明した。モーツァルトの妻・コンスタンツェ役の大和田は「人間の欲深さ、だからこそ見えて来る愛おしさ、そこに垣間見える滑稽さ。たくさんの人間らしさが詰まった作品です」と作品について説明。「この作品に関われたことは、今後の役者人生の大きなターニングポイントになると思っています」と重みを語った。東京公演はサンシャイン劇場にて9月24日~10月9日、大阪公演は大阪松竹座にて10月13日~22日、福岡公演は久留米シティプラザにて10月24日~25日。
2017年09月24日クラシックのコンサートやイベントなどの情報を初心者にも解りやすく紹介するフリーペーパー『ぴあクラシック』。9月9日(土)発行の最新号では、9月24日(日)より東京・サンシャイン劇場で上演される舞台『アマデウス』に出演する松本幸四郎と桐山照史の対談が掲載されている。『アマデウス』は1979年にロンドンで初演、1981年にトニー賞で5部門受賞。1984年には映画化され、アカデミー賞8部門を受賞した。1982年には松本幸四郎主演で日本初演を果たし、これまで438回上演。今回、6年ぶりの再演で上演450回を迎える。幸四郎は音楽家サリエーリ役、桐山はモーツァルト役を務める。対談では、幸四郎が来年1月に襲名を控えているため、松本幸四郎としては最後となるサリエーリ役、そして今回同作に初めて出演する桐山がモーツァルト役についてそれぞれ語る。そのほか、同作を彩るモーツァルトの楽曲や、好きなクラシック音楽について、幸四郎が思い入れたっぷりにトークを展開。演劇ファンもクラシックファンも楽しめる対談となっている。フリーペーパー『ぴあクラシック』(2017 秋 Vol.44)は、今回紹介した対談のほかにも、クラシック公演のハイ・シーズンと言われる秋、何のコンサートに行こうか迷っている人のために、オーケストラ/オペラ/器楽/室内楽/ピアノ別におすすめコンサートを紹介。さらに100回を迎えるN響オーチャード定期など情報盛りだくさん。全国のチケットぴあ店舗(一部を除く)、全国のコンサートホールやレコード店にて配布(主な配布場所は目次ページに掲載)。また、チケットぴあのWEBサイトでWEB版(ebook)も公開予定。
2017年09月08日トレーニングとは心身を整えること。明日からのきれいと健康を作ること。しなやかに生きる美しい人に、「きれいと健康のためにしているトレーニング」を聞きました。■毎晩5分ずつ。ストレッチとヨガで体を調整3年くらい前からヨガが習慣になりました。4年前、香港に駐在していたときに、毎日ヨガをしていたルームメイトから影響を受けたんです。今は、ヨガインストラクターkiela_beautyさんがインスタグラムで紹介している「#寝る前にできる3分ヨガ」を見て、毎晩2〜3ポーズとっています。必ずすると決めているポーズはダウンドッグ、プランクなど。毎日会社で8〜10時間デスクワークすることもあって、夜はふくらはぎを中心に、下半身全体がむくんでいます。それを解消してから眠りにつきたくて。ヨガがルーティンになってから、自分の体の変化に対し、敏感になったと感じています。例えば、「今日はけっこうむくんでるな」とか「ちょっとお肉がついてきた?」とか、気づきやすくなりました。早めに察知すると、すぐに何らかの対処ができます。ストレッチも毎晩5分ほどしています。後でお話しするマラソンで使うおしりの裏の筋肉や筋を中心にしっかり伸ばします。中高大の間ミュージカルをしていたので、当時の基礎運動の中から今の自分に必要なものを取り入れることも。「今日は面倒だな」と感じたら、ヨガもストレッチもをせずに寝る日もあります。例えば、若干酔っ払って帰宅して、もう動きたくない……なんてとき(笑)。やる気がないときにポーズをとっても、体に効いていないと思うので、そういうときはスキップしてもいい。習慣として長く続けるコツは「サステナブル(持続可能)であること」だと思うんです。無理をしすぎて、途中で嫌になってやめてしまうともったいない。自分の心に素直に従うのが一番です。■週2回の筋トレで、マラソンのために下半身を鍛える会社の隣のビルにトレーニングジムが入っています。昼休みに30分だけ抜けて、パワープレートを使ってプランクしたり、ボスボール(バランスボールを半分に切ったような形状のもの)の上でスクワットをしたり、ゴムバンドでおしり周りの筋トレをしたり……と、走るのに必要な下半身を中心にトレーニングしています。昨年、パーソナルトレーナーをつけていたときに、作ってもらったメニューを実践しています。筋トレで言えば、友人で以前「きれいな人のトレーニング #1」に登場していた井戸本結実さんが、インスタグラムで紹介している動作を真似することもありますね。筋トレは仕事でストレスが溜まったときなど、良い気分転換になります。最初は「あの資料まとめなきゃ」「あのメールまだ返してない」など、仕事絡みの雑念が次々と浮かんできますが(笑)、いつの間にか頭の中が空っぽになり、筋トレが終わったときは、心身がすっきり。筋肉とメンタルは似ています。使わないと弱くなって、使うと強くなるんです。筋肉は変化がわかりやすいですよ。仕事で忙しいときは予定通り通えない週もありますが、月曜日に1回、週半ばに1回行くことに決めています。■土日どちらかに5キロ走るランニングを始めたのは約4年前です。夫と付き合い始めたのをきっかけに走り始めました。昔は「運動なんてできればしたくない」と考えるタイプだったので、彼と出会っていなければ、ランニングはしていなかったでしょうし、食べることは好きなので、今頃すごく太っていたと思います(笑)。当時は運動不足だったこともあって、1キロすら走り切れませんでした。750メートルくらいでダウンして、「先は長いぞ……」と感じた記憶が残っています(笑)。その後、ランニングが習慣化したのは、今から2年前、2015年頃です。当時は週3回、4キロずつくらい走っていましたが、今はそこまでハードには走っていません。「土日のどちらかに5キロ走ろう」と、ゆるやかな決まりごとを設けています。無理はしすぎず、天候を見て走る日を決めていますね。日中の日差しが強いなかで屋外を走るときは、日焼け止めを塗るなど、準備が少し面倒……。そんなときは、マンション内に併設されたジムのランニングマシンで走ったり、日が落ちた夕方〜夜間に走ったりします。■月1回、会社から走って帰宅会社から自宅までの約6.5キロの区間をランニングしながら帰る日もあります。今は月1回くらいの頻度ですが、以前はそれにハマって週1回くらい実践することもありました。勤め先が外資系企業なので、夜7時をすぎるとランウェアに着替えて、走って帰る人もけっこう見かけます。私も彼らと同じようにランウェアに着替えて、Suicaとお金だけポケットに入れた身軽な格好で会社のゲートを出て、そのまま自宅まで走り続けます。他の荷物は同じ会社に勤めている夫に「持って帰って」とお願い(笑)。20分以上走ると、幸せのホルモンとされる「エンドルフィン」が分泌され、うつ状態などが解消されると言われます。私のペースでは20分=約3キロで、それくらい走っていると「嫌だな」と気分が落ちていても、「なんとかなるかも!」とポジティブな気持ちになります。4年前の私のように、運動とは縁のない生活を送っているけれど、ランニングを始めたい方がいらっしゃったら、まずは2キロ、3キロ……と少しずつ距離を上げていって、走り切ったら「あの洋服を買いに行く」とか「あの店のケーキを食べる」など、気分が上がる目標を掲げてみるのをおすすめします。だんだん走れるようになったら、マラソンの予定を入れてみてください。本番の日程が決まったら逆算して、「1週間前には10キロ走らないと」など、自分で調整できるようになるはずです。ときには自分を追い込んで備えることも大事です。■まとめ約2年前からランニングが日々の習慣となり、2015年にはフルマラソンを初完走した松本さん。翌年2016年には5回のフルマラソンに出場、今年も2月に東京マラソンを走り切りました。フルマラソンへ備えるため、ハーフマラソンの予定も定期的に入れています。走ることが「日常」になって、嬉しい変化がたくさんあった、と話す姿が印象的でした。例えば、体が丈夫になって、風邪をほとんど引かなくなったこと。「美味しいものを食べたら運動する」と決めているから、食でストレスがたまらなくなったこと。「旅行がてらマラソンに出ることも多く、夫と一緒にご当時グルメを楽しんだり、美味しいレストランを予約したり、マラソンの前後に食べたいものを思いっきり食べられるのは幸せ」。そんな言葉も飛び出しました。「美味しいものを食べたら走る」「美味しいものを食べたらトレーニングする」――そういった習慣ができていれば、食べることに罪悪感も持たずに済み、かつ走ったりトレーニングしたりするときのことを考えて、食べすぎることもなくなりそうです。結果的に、好循環が生まれるのではないでしょうか。松本恵子さんプロフィール2015年の香港マラソンをきっかけにランニングが生活の一部に。旅行ラン、美味しいものを食べること、無理をしないトレーニングを続けて、physically & mentallyが健康でいることを心がけている。Instagram(ID: hapyton)Text/池田園子
2017年08月30日アイドルグループ・ジャニーズWESTの桐山照史が19日、都内で行われた舞台『アマデウス』の製作発表記者会見に、松本幸四郎、大和田美帆とともに登場した。同作は1979年にロンドンで初演を迎え、1981年にはトニー賞で5部門を受賞、1984年に映画化されるとアカデミー賞で8部門を受賞した世界的ヒット作。幸四郎は1982年に日本初演を行って以来438回の上演を重ね、演出も務める。老いた音楽家・サリエーリ(松本)が天才音楽家・モーツァルト(桐山)の才能に揺さぶられていく姿を描き、モーツァルトの死の謎に迫る。松竹 副社長/演劇本部長の安孫子正は、桐山について「10年以上前からでございまして」と付き合いを振り返り、「関西のJr.から頑張っているところを見ている一人。その時からきらめくものがあり、逸材じゃないかと思っておりました」と明かした。安孫子副社長はさらに「そのあと(桐山が)デビューしまして、それをご縁に『ブラッドブラザース』の主演をしていただいた。本当に今やジャニーズを代表する素晴らしい俳優さんの一人でございます」と紹介した。幸四郎も「『ブラッドブラザース』という舞台を拝見して、俳優としても素晴らしい素質」と桐山を称賛。一方で桐山は「『新しい風を吹かせる』とビッグマウスを叩いたんですけど、ホン読みのときに演出家の幸四郎さんを前に緊張のあまり100回くらい噛んでしまい、第一の挫折を味わっています」と苦笑し、「背伸びしてもしょうがないと思い、幸四郎さんに一から甘えていきたいと思います」と意気込んだ。また幸四郎は「普段はそこそこ面白いのに、舞台に立つとなんだかつまらなそうな俳優さんがいる」と語り、桐山&大和田について「普段は死んでていい。舞台に立っている時『芝居をしているのが幸せで幸せで仕方ない』とお客さんに思わせるような演技がお二人にはある」と表現した。さらに桐山について「『ブラッドブラザース』の時にすごく達者な役者だなと思ったんです。その時に『これご自分のアイディアでやったの? 演出家?』と聞いたら『演出家の先生に一から教えていただきました』と。大変演出家にとって嬉しい俳優でございます」とエピソードを披露した。これらの幸四郎の言葉に、桐山は「プライベートは死にます。舞台の上で輝きます」と宣言した。普段はジャニーズWESTとして活躍する桐山だが、幸四郎との共演を知ったメンバーは「全員が絶句」したという。桐山は「台本も今まで見たことない分厚さで、メンバーもみんな驚いてましたけど、みんな楽しみにしていたので」と明かした。さらに、地方公演時の食事について「大阪は任せてください。大阪に実家がありますから」と、自信を見せた。東京公演はサンシャイン劇場にて9月24日~10月9日、大阪公演は大阪松竹座にて10月13日~22日、福岡公演は久留米シティプラザにて10月24日~25日。
2017年08月19日舞台『アマデウス』の製作発表記者会見が19日、都内で行われ、松本幸四郎、桐山照史(ジャニーズWEST)、大和田美帆が登場した。同作は1979年にロンドンで初演を迎え、1981年にはトニー賞で5部門を受賞、1984年に映画化されるとアカデミー賞で8部門を受賞した世界的ヒット作。幸四郎は1982年に日本初演を行って以来438回の上演を重ね、演出も務める。老いた音楽家・サリエーリ(松本)が天才音楽家・モーツァルト(桐山)の才能に揺さぶられていく姿を描き、モーツァルトの死の謎に迫る。この日75歳の誕生日を迎えた幸四郎に、サプライズでバースデーケーキが登場。桐山と大和田も花束を贈り、幸四郎の誕生日を祝った。花束を手にした幸四郎が「ジャニーズWESTになった気分です」とジョークを飛ばすと、桐山も「8人目のメンバーです」と応える。2代目松本白鸚襲名を控えた幸四郎は「松本幸四郎としては最後の誕生日。また次は1歳です」と語った。同作では天才・モーツァルトにサリエーリが嫉妬心を抱くが、「嫉妬の話ではない」と幸四郎は語る。「人間は自分の中にちっちゃな神を見つける、そういう人生で、私の中にも皆様の人生の中にも小さな小さな神というものがあるような気がして」と説明し、「神様から信じられるような人間になって、神様を信じようというような」気持ちが表現されていると作品について述べた。さらに幸四郎は「おふたりはどうか知らないですけど、こんなことは日常茶飯事でございまして」と心境を吐露。「『ちくしょう、憎らしいなあ。自分にはしかし、できない』そんな思いが毎日」と振り返り、「これはとてもじゃないけど他人事ではないお芝居」と分析した。また幸四郎は、桐山に「モーツァルトの目を感じる」と表現し、「歌舞伎座の楽屋におせんべい持ってこられた」ときのエピソードを披露。「僕の話を聞く時にちょっと目が正常ではなくなった。普通の人間から外れてるような。あなた普段はそういうことはないんですか」と話しかけた。桐山が驚いて「ないですね」と答えると、幸四郎は「天才は自分で天才と思ってないそうですから」と納得していた。
2017年08月19日2015年に改称して今年3年目を迎える「セイジ・オザワ松本フェスティバル」(総監督=小澤征爾)が、8月13日(日)から9月10日(日)まで長野県松本市で開催される。セイジ・オザワ松本フェスティバル チケット情報注目が集まるのはA、B、Cの3プログラムが用意されたオーケストラ・コンサート。Aプロ(8月18日(金)・20日(日))は4年連続出演のファビオ・ルイージ指揮のマーラー:交響曲第9番。そして小澤征爾が指揮台に立つのがBプロ(8月25日(金)・27日(日))のベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番と、同音楽祭への11年ぶりの登場となる内田光子を独奏者に迎えるCプロ(9月8日(金)・10日(日))のベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番だ。Bプロはナタリー・シュトゥッツマンが指揮するマーラー:少年の魔法の角笛とドヴォルザーク:交響曲第7番との組み合わせ。近年は指揮者としての活動も活発になっているシュトゥッツマンの棒はもはや歌手の余技のレベルではないが、一方で、彼女にとって歌うことと指揮をすることは同じ営みなのだろうなと感じさせる自然な息づかいは歌手ならではでもあり、音楽に圧倒的な説得力を与えている。いまぜひ聴きたい指揮者のひとり。オーケストラはもちろんサイトウ・キネン・オーケストラ。9月3日(日)には小澤征爾音楽塾オーケストラによるオペラ「子どもと魔法」も上演される(デリック・イノウエ指揮)。そして、小澤ファンには格別にうれしい映像リリースの情報が飛び込んできた。DVDとBlu-rayで発売されるのは、「セイジ・オザワ松本フェスティバル」2015年のベートーヴェン:交響曲第2番と2016年のベートーヴェン:交響曲第7番、そして2016年の期間中に行なわれた「マエストロ・オザワ80歳バースデー・コンサート」で指揮したベートーヴェン:合唱幻想曲のライヴ映像。つまり、この2年間に小澤が松本で指揮したすべての記録であると同時に、オール・ベートーヴェン・プログラムとなり、今年指揮する2曲とあわせて、円熟の小澤のベートーヴェンをさらにたっぷり楽しめるというわけだ。合唱幻想曲の独奏者はマルタ・アルゲリッチ。彼女にとっては新たなレパートリーで、これが同曲を弾いた唯一の映像なのでとても貴重。出演者全員の「ハッピー・バースデー」の合唱や、ひいきのボストン・レッドソックスのスタジアム・ジャンパーを羽織った小澤がバースデー・ケーキのキャンドルを吹き消すなごやかな一幕も。9月15日(金)の世界発売に先立ち、日本では小澤征爾82歳の誕生日9月1日(金)に先行発売。さらに、オーケストラコンサートが始まる8月18日(金)から会場で特別先行発売されるから、松本に出かける楽しみがひとつ増える。前身の「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」から数えると、この地に根をおろしてすでに26年。四半世紀を超えてこの音楽祭を応援し続ける、街をあげての親密な歓迎ムードに浸れるのもこの音楽祭の心地よい魅力だ。今年も、もうすぐそれが味わえる。取材・文:宮本明
2017年07月26日