人生をいきいきと輝かせる三大要素は「健康(からだ)」「お金」「生きがい(こころ)」です。いずれも若い頃には重要性を気づきにくいものですが、年齢を重ねるにつれて大切なものになってきます。健やかな身体を保つために、サプリメントや健康器具、健康診断などに湯水のごとくお金を使っている人もいらっしゃるようですが、ちょっと待って! ちょっとあたりを見渡せば、手頃な値段(または無料)で利用できる健康維持に役立つ制度があります。今回は健康な生活を送るために知っておきたい国や自治体の制度をご紹介します。みなさんはほんのちょっとの段差でつまずいたり、階段や坂道で転んでしまったりした経験はありませんか?これは身体のバランス感覚、足腰の筋力、足首の柔軟性低下の仕業です。これらの機能は放っておくと、年齢を重ねるにつれて少しずつ衰えてきます。特に高齢者の転倒は骨折につながることが多く、それが引き金となって持病が悪化したり、認知症や寝たきりになることさえあるのです。転ばない身体をつくることは、その後のケガ・病気・介護のリスクを軽減させることにつながります。無理のない適度な運動を続けていくことが、いつまでも元気で、楽しく、住み慣れた地域で暮らしていける原動力になるといえるでしょう。65歳以上の人でぜひ活用してほしいのが、地域包括支援センターで行われている「介護予防教室」です。原則として65歳以上を対象にした教室で、要介護・要支援の認定を受けていない人が利用できます。この教室で行われていることは地域によって異なりますが、体操教室、歩き方教室、管理栄養士による栄養改善プログラム、歯科衛生士によるお口の健康教室(口腔ケア)など、自治体・地域ごとにオリジナルのプログラムが組まれています。たとえば、私の母が住んでいる長崎県の地域包括支援センターでは体操教室が行われています。毎回楽しく通わせてもらっているようで、地域の高齢者の社交場にもなっていると言っていました。介護予防教室は2006年の公的介護保険改正で導入された介護予防事業の一つです。1回の利用料は無料~数百円程度と手ごろな料金設定になっている点だけでなく、地域包括支援センターのスタッフ(保健師、社会福祉士、ケアマネジャーなど)や近隣の高齢者とのコミュニケーションの場になっているのがよいところです。介護予防教室がきっかけで新しいおつきあいが始まり、趣味のサークルやボランティア活動につながることも少なくありません。介護予防教室に参加する場合は、最寄りの地域包括支援センターか役所の介護保険課に問い合わせてください。病気は早期発見、早期治療が改善の近道です。治療期間が短ければ、家族の負担も家計の負担も軽くなります。少し面倒ではありますが、1~2年に1回は健康診断等を行き、自分の身体の状態を確認しておきたいものです。健康診断の費用が気になる場合は、加入している健康保険の特定健康診査(メタボ健診)や人間ドック(健康保険によってはやっていないこともあります)、自治体のがん検診、骨粗しょう症健診等を利用しましょう。いずれも年齢制限がありますが、メタボ健診の場合、40歳以上であれば利用できます。費用はお住まいの地域や加入先の健康保険により異なりますが、0円~1万円程度で利用できるとか。後期高齢者医療制度のメタボ健診に関しては自己負担500円程度のところが多いようです。メタボ健診で問題が見つかった場合は医師・保健師・管理栄養士等による特定保健指導があります。健診結果が高血圧症、脂質異常症または糖尿病と同等の状態であると認められる基準に該当した場合は、健康診断費用と特定保健指導の指導料は医療費控除の対象になります。また、他の健診(人間ドックやがん健診など)で病気が発見され、治療を行った場合も医療費控除の対象になります。医師の指導のもとに禁煙(ニコチン依存症)治療をする場合、次の条件に該当すれば、健康保険が使えます。これは2006年から適用されるようになったものです。治療期間は約3カ月で、自己負担3割の場合、3ケ月間で1万2000円~1万9000円程度の費用負担です。ヘビースモーカーの夫と暮らす友人に教えたところ、すぐに治療を開始し、禁煙に成功しました。ファイザー製薬が運営する「すぐ禁煙.jp」では、全国の禁煙外来・医療機関を検索できるようになっています。禁煙したくてもやめられない、という方は、一度相談されてみては?健康保険で禁煙治療を受ける要件(1)健康保険等が適用される「禁煙治療を受けるための要件(以下の4つ)」を満たしているニコチン依存症を診断するテストで5点以上1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数が200以上1カ月以内に禁煙を開始したいと思っている禁煙治療を受けることに文書で同意している(2)前回の治療の初回診療日から1年経過している(3)健康保険等で禁煙治療が受けられる医療機関を受診する【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月05日クルマを愛する家庭にとってガソリン代、車検費用、自動車保険料は欠くことのできない必要経費。なくてはならないものだからこそ、コストは最小限に抑えたいですよね。しかし、自動車保険の損害率(損保会社が受け取った保険料に対する支払った保険金の割合)は上昇傾向が続いています。1995年度の損害率は59.1%でしたが、2010年度は71.4%に。15年間で10%以上、損保会社の収益は悪化しているのです。これをうけて損保各社では、ここ数年自動車保険の改定を行っています。2013年もノンフリート等級などの大きな見直しが行われる予定です。値上がりにつながる改定が続いているだけに、自動車保険料を抑えるコツ(KTM)を身に付けて、保険料アップに負けない知力を養いましょう。自動車保険は生命保険と違って、受け取る保険金の金額を下げて保険料を安くすることが難しい保険です。対人賠償、対物賠償は事故の相手や場所を選べないことを考えると「無制限」に設定しておくのがベスト。車両保険は乗っているクルマの時価以上の保険金を付けることができません。自分のカラダを補償する人身傷害補償だって、事故による後遺障害を考えると、ある程度は手厚く備えたいものです。つまり、自動車保険に組み込まれている基本補償の保険金額に関しては、保険のかけ過ぎはほとんどないといっても過言ではありません。では、どこで保険料を節約するのか。ポイントは「KTM」です。「KTM」の見直しキホンを重視し(K)、対象を絞り(T)、免責を活用する(M)自動車保険は基本補償(対人賠償、対物賠償、人身傷害補償、車両保険)と特約を組み合わせでできています。各社で魅力的な特約がいくつも開発されていますが、自動車保険の核は基本補償です。基本はしっかり、その他(特約)は欲張らないのが肝心です。自動車保険は保険金を支払う対象を絞り込むことで、保険料を安くできます。運転者の年齢と補償の対象になる範囲は徹底的にチェックしましょう。まず、その車を運転する可能性のある人の年齢を書き出し、年齢条件区分とあっているかを確認します。保険期間の途中で誕生日を迎え、それにより年齢区分を変更できる場合は保険会社にすみやかに連絡しましょう。年齢区分が切り替わるタイミングで保険料が再計算され、年払いの場合、払った保険料の一部が戻る可能性があります。運転者が本人だけなのか、配偶者や子供も運転するのか、家族以外の人が運転する可能性があるのかも併せて書き出しましょう。運転するのは家族だけ、という場合は「運転者限定特約」を付けると保険料が安くなります。この場合の家族には、結婚して別居で暮らしている子どもは対象にならないことがあるので注意してください。車を2台以上保有されている家庭で10代~20代前半の子どもが運転する場合、子どもが運転する車は1台だけに決めておきましょう。そうすれば、年齢条件区分を広く設定するのは1台だけでよくなり、他の車の自動車保険料を抑えられます。最近では、60歳以上のドライバーの保険料を高めに設定している保険会社も増えたので、高齢者が運転する場合も同様の取り決めをしておくと効果的です。車両保険も補償の対象を限定すると保険料は大幅に安くなります。たとえば、オールマイティーに補償する「一般条件」に比べて、当て逃げと単独事故を保険金支払いの対象外にした「エコノミー+A」にすると、保険料は半値程度に下がります。単独事故を起こしたときの修繕費は自分で払うと覚悟を決めて、安全運転を心掛ければ保険料は安くなるのです。車両保険を「付けない」とすることもできますが、ローンを組んで購入した場合や修理代を立て替えるだけの余裕がない場合は付けておくのが賢明です。車両保険を付けていないと、事故の相手と過失割合でもめたときに修理費を立て替えなければいけません。何百万円もする資産価値の高い車に乗っている場合は車両保険を付けること。この後にお話しする「免責設定」を上手に活用して、保険料を節約しましょう。保険は本来、火災や大黒柱の死亡・後遺障害など、発生頻度は少ないけれど、起きたときに家計に与える影響の大きい損害をカバーするものです。ある程度の資産を持っている人であれば、単独事故でコツンとぶつけた傷を修理する費用を自腹で払ったとしても、家計は痛くもかゆくもないはずです。もしもあなたが、少額の損害に関して貯蓄を取り崩して対処すると覚悟を決めるのなら、あなたが入っている車両保険の保険料をもっと安くすることができます。免責金額(自己負担金額)を高めに設定するのです。免責金額には0円から10万円までさまざまなバリエーションがあります。1回目の事故は0円で、2回目以降は10万円という設定も可能です。この免責金額が高ければ高いほど、車両保険料は安くなります。免責金額とは全損以外の場合に、損害額から差し引いて保険金を支払うものです。車の修理費が保険金額以上となったり、盗難に遭い発見されなかったり、修理できない状態になったときは全損となります。その場合は免責金額に関係なく、車両保険金額が払われることになります。相手のいる事故でお互いに過失がある場合、相手からもらえる賠償金はまず免責部分を埋めてくれます。5万円、10万円の免責を設定していても、自己負担が発生しないケースは少なくありません。2013年は、事故を起こして保険を使った人の保険料が今よりも高くなる改定が盛り込まれる予定です。自動車保険は高額事故に備えるものと割り切って、免責金額を活用してみてはいかがですか?【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月30日クレジットカードは現金を持たなくても買い物ができて、利用金額に応じてポイントやマイレージが貯まる便利なカードです。でも、使い方を誤れば、家計を圧迫したり、不正利用などで痛手を被ることも。今回は誰にでもできるクレジットカードの有効活用術を紹介します。百貨店やドラッグストアのポイントカード、レンタルビデオ店の会員カードがクレジットカード化していることもあって、何枚もカードを保有している人は多いようです。しかし、保有枚数が多くなるといろんな問題が生じます。財布を盗まれた時の手続きの煩雑さやポイントの貯まりにくさもそうですが、もっとも大きいのは散財しやすくなる点です。スーパーなどが発行するクレジットカードを何枚も持ち歩き、お店ごとに使い分けている人、いますよね? なぜそんな面倒なことをするかというと、ポイントを効率よく貯めたいからです。このような使い方をしていると、私たちの脳は「必要な品物をできるだけ安く買う」という本来の目的を忘れて、「ポイントを効率よく貯める」思考に切り替わります。すると、ポイントを貯めるために買い物をするようになり、「買いすぎる=浪費」が多くなるわけです。それに「ポイント2倍」というとすごくお得に感じますが、実はそれほどではありません。カードのポイント還元率(利用した金額からいくらの金券がもらえるかを表したもの)はそれほど高くないからです。クレジットカードのポイント還元率は1%が標準です。高くても2%未満、低いものの中には0.5%以下のカードもあります。ポイント還元率1%のカードが2倍になったとしても、1000円買って10円のポイントが20円になるだけ。0.5%還元のカードであれば、5円→10円です。その程度のメリットであるならば、買い物の誘惑を排除するのが家計にやさしい選択といえるでしょう。お財布の中には日常的によく利用するお店のカードか、ポイント還元率の高いカードを1枚入れておけば十分。特に誘惑に弱いタイプの人であれば、買い物をするぞと決めたときだけ財布にカードを入れるようにしましょう。いつもニコニコ現金払いでも無理なくポイントを貯める方法があります。日常生活をする上で必ず払わなければいけない費用をクレジットカード払いにするのです。電気、ガス、新聞、電話(固定・携帯)、インターネットプロバイダー利用料、NHK受信料、ケーブルテレビ受信料、国民年金保険料は大半がカード払いできます。生命保険やがん保険、医療保険、自動車保険の保険料もカード払い可が増えています。居住地によっては水道料金や国民健康保険、固定資産税や軽自動車税などの公金も支払えるところもあります。一度手続きをしてしまえば、後は自動的に引き落としてくれ、ポイントも勝手に貯まっていきます。このような使い方をする場合は、ポイント還元率の高いカード1枚に集約するのがベストです。似た言葉に「ポイント付与率」がありますが、ここを見てはいけません。ポイント付与率は利用金額に対してどれだけのポイントが得られるかを表したものです。たとえば100円で1ポイントもらえるカードの付与率は1%です。しかし、1000円の商品券に交換する際に必要なポイントが、1000ポイントなのか500ポイントなのかによって、オトク度は違います。1000ポイントの場合は、利用金額10万円に対して1000円の商品券が戻ることになり、ポイント還元率は1%になります。一方、500ポイントなら利用金額5万円で1000円戻ることになり、還元率は2%です。付与率だけでは有利、不利を判断できないので、見る必要はありません。リボ払いは使った金額にかかわらず、あらかじめ決めておいた金額を支払う返済方式です。使った金額が高ければ返済期間が長く、少なければ短くなるというしくみです。月々の返済額が一定なため、当初は余裕をもって暮らすことができます。しかし、利息(リボルビング手数料)が実質年率15%と高く、かつ、使った金額と返済額とのギャップによりお金を使った感覚が麻痺してしまい、返済能力以上に買い物をしてしまう人も少なくありません。返済額によっては、何年も払っているのに、元金はまったく減っていなかったというということも珍しくないのです。なので、リボ払いは絶対に使わないこと! 「年会費無料でポイント還元率が高くなる」というセールストークでリボ払い専用カードを勧められても、ほいほいと契約してはいけません。カードの支払いは1回または2回払いを心がけてください。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月22日予算を立てて暮らしたほうがよいとわかっていても、気付けば赤字で貯蓄を取り崩してばかり……という人は少なくありません。ファイナンシャル・プランナー(FP)として家計のやりくり指導をしている私も独身時代(20年前)はそうでした。社内預金で月5万円の積み立てをしていましたが、みんなと飲んで歌って遊ぶのが楽しくて、なんの躊躇なくお金を使っていました。その結果、寿退社したときの預金残高は60万円。大半は退職金でしたので、実質貯金ゼロ円です。クレジットカードの引き落とし日に預金残高が足りないことは毎度のことで、カードの使用を止められたこともあったなぁ~。借金はありませんでしたが、収入のわりにお金はまったく貯められませんでした。バブルの余韻をかなり引きずった金銭感覚だったのでしょう。しかし、FPに転職することが決まったとき、「”ザル家計”のままではお金が貯まらないし、そんな人間がFPを名乗るわけにはいかない」と、主婦向けの雑誌に書いてある節約術、やりくり術を片っ端から実践。家計簿もいろんな種類を試して思考錯誤を繰り返しました。「実践」→「失敗」→「分析」→「やりくり上手なママ友やお金にまつわる本から情報入手」→「軌道修正」。そんなことを続けていると、やりくりが研ぎ澄まされて、時間をかけなくてもラクにできるようになったのです。今回はザル家計だった私が15年かけて編み出した予算の範囲で暮らすコツを紹介します。ザル家計時代の私は財布にお金を入れておかないほうがいいと信じていました。ATMで1万円を引き出し、それが無くなったらまた1万円……。引き出せるお金がなくなってから我に返り、爪に火をともす生活で給料日前を乗り切る。そして給料日になると、待っていましたとばかりに散財していました。そんな生活のなかで気付いたのは財布に少額しかお金を入れていなくても、「使えるお金がある」と思っていたら、浪費は防げない、という事実でした。ちょこちょこ引き出していると節約している気になりますが、いくら使ったかがわからなくなり、結果、散財してしまうのです。予算の範囲内で暮らすコツは、ATMに行く回数を月1回にすると決めること。自分でそうすると決断してください。あなたがやることは1カ月間に現金で支払う支出の予算を決めて、給料日にそれを全額おろすだけ。あとは毎日「あといくら使えるか」を確認しながら、大切に使ってください。自信がないと思ったら、財布にキャッシュカードを入れないこと。使えない状況にしてしまえば、なんとかなります。遠足のとき、学校指定のおこづかいでどんなお菓子を買うか、わくわくしながら買物をした経験はありませんか? お店に100円を握りしめて、「しーちゃんが好きなチロルチョコを2つ買って分けっこしよう」とか、「袋菓子だったらみんなと一緒に食べられるよね」などと言いながら、遠足をめいっぱい楽しく過ごせるように工夫したはずです。このように目的と予算が決まっていると、買物のクオリティーは上がります。月10万円でなんでもかんでも支払うよりも、「食費と日用品3万円、こづかい3万円、交際費1万円、医療費や交通費などのその他3万円」などと4つに分けて管理しておくのがベストです。あとどれくらい残しておけば大丈夫かがわかりやすくなり、価値あるお金の使い方ができるようになります。予算の範囲内で収まるようにした結果余ったお金は、やりくりを工夫したあなたへの報酬です。それを半年間貯めておけば嬉しい臨時ボーナスになります。楽しさ倍増ですね。自分のことを大切にしてくれる人と一緒にいると、心地よいですよね。お金も一緒で、感謝の気持ちを込めて大切に使っていると、手元に残ってくれます。袋分けをするときやレジでお金を払うとき、「ありがとう!」と言ってみてください。小さい声でも心の声でもかまいません。それが言霊となってお金に伝わり、無駄遣いが自然と消えていきます。クレジットカードは便利な商品です。使った都度家計簿を付けて、後いくら使えるかを意識して暮らせる人であれば、どうぞジャンジャン使ってくださって結構です。でも、使った金額を毎日付ける時間がない、面倒くさいという場合は、どうぞ財布から取り出してください。旅行費用や家電製品、バーゲンなどのまとめ買いなど、たまにしか使わない大きなお金を支払う場合は使ってもいいのですが、食費などの普段の買物に使うのは避けましょう。カードの場合、預金口座からお金が差し引かれるのは早くても翌月です。お金が出て行くタイミングがずれるので、家計管理が複雑になり、いくら使ったのか、あといくら使えるのかがわかりにくくなります。洋服や家族の誕生日祝いなど、たまにしか使わないお金は毎月ではなく1年間の予算として予算を立てておくと、やりくりのストレスは軽減します。エクセルで集計表を作っておくと計算の手間も省けますよ。以上の5つのコツをやっていくと、お金の循環がよくなるしくみが自然とできてきます。あなたもトライしてみては?【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月08日受験生の親にとって、子供の成績と同じくらい気になるのが学費です。独立行政法人日本学生支援機構の調査(2010年度学生生活調査)によると、大学生1人にかかる生活費(学費+食費等の生活費)の平均は年183万円。学費だけでも年117万円だそうです。本人の小遣いはアルバイトでまかなってもらうにしても、学費だけで月10万円近い出費というのは大きいですね。高校や中学も私立校に通うと、授業料以外の出費がかさむため、負担はぐんと増えます。埼玉県のある私立高校の授業料は月2万4000円です。しかし、授業料に加えて施設利用料や修学旅行積立、教材費などがかかり、合算すると年間約55万円の支出となっています。とてもじゃないけどお金がたりない、という家庭は少なくありません。高校までは毎月の収入でやりくりするのが理想的です。しかし、どうしても教育資金が足りないときに頼りになるのが「奨学金」の存在です。奨学金には、もらったお金を返さなくていい「給付型」と、返さなければいけないけれど無利子または低利子で借り入れができる「貸与型」があります。奨学金を利用する場合は、「『給付型』→『貸与型・無利子』→『貸与型・低利子』」の順に検討することがポイントです。日本学生支援機構のホームページに地方公共団体・奨学事業実施団体が行う奨学金制度(の一覧が掲載されています。奨学金は居住地、子の成績、親の所得、進学先などによって利用できるもの、できないものがあります。進路主任の先生もしくは担任の先生にこっそり聞いてみてください。最近は子どもの学力で大学推薦を決めたけど、期日までに初年度納入金を払えない親がいるそうで、奨学金などの相談を積極的に受けている学校も少なくありません。聞きづらければ電話で予約をして、先生に個別相談するといいですね。入学金が不足する場合は日本政策金融公庫の「国の教育ローン」を検討しましょう。親の所得制限はありますが、合格発表前に申し込むことができ、300万円以下のまとまったお金を親が借りられます。適用利息は年2.65%(2012年7月11日現在)。母子家庭は年2.25%です。親が失業、破産、事故、病気、死亡、離婚、死別、会社倒産などで家計が急変し、教育費が不足する場合に借りられる奨学金があります。日本学生支援機構の「緊急採用・応急採用奨学金」です。無利子の緊急採用奨学金(第一種奨学金)と低利子の応急採用奨学金(第二種奨学金)の特徴は大きく2つあります。1つは年間を通じていつでも利用できること。失職・事故等の理由で家計が急変し、緊急に奨学金が必要となったと認められれば、かつ、家計急変の事由が発生してから12カ月以内であれば利用できます。2つめは、災害救助法適用地域に居住する家庭で災害により家計が急変した学生(大学・短大・高専・専修学校・大学院)は、希望者全員が申し込めるようになっている点です。緊急採用と応急採用を合わせて受けることも可能です。すでに奨学金を受けている生徒が貸与月額を増やすこともできます。私は大学生の頃、2つの奨学金、樫山奨学財団と日本育英会(現 : 日本学生支援機構)を受けていました。樫山奨学財団は給付型の奨学金でした。給付額は月1万8000円。今は月3万6000円の給付となっています。私が通う大学からは毎年1名しか受けられないものでしたが、父が入学式前日に他界したこともあり、使わせていただくことになりました。給付型の場合は大学に入ってから申し込むケースが少なくなく、倍率が高いので、もらえればラッキーという気持ちで情報収集するとよいですね。日本育英会からは第一種奨学金(無利息)を借りました。月4万2000円の奨学金を4年間もらいましたが、卒業後はたいへんでした。毎年14万4000円を14年間払い続けなければいけなかったからです。いま、大学生(昼間部)で日本学生支援機構や大学等の奨学金を受給している人の割合は50.7%に及んでいます(2010年度 学生生活調査)。大学生の2人に1人は借金をして学校に通っている時代ではありますが、だからといって安易に借りていいものではありません。奨学金を借りる時は、子どもとよく話し合った上で借入金額などを決めてください。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月25日もうすぐ夏休みですね。山や海、旅行、帰省など、さまざまなイベントが待っているのではないでしょうか。普段と違う生活をすると、体調を崩したり、ケガをしてしまったりしやすいもの。イザというときに慌てないために知っておきたい、医療費節約の3つの知恵を紹介します。病気やけがで医療機関にかかったとき、大半は保険診療の対象になります。いわゆる3割負担(70歳未満)の医療費で、その月の医療費が1万円かかったとしても、患者が病院に支払うのは3,000円です。風邪やケガによる通院であればたいした出費になりませんが、手術を伴う入院をしたり、抗がん剤治療などを受ける場合、3割負担といえども費用が高額になります。たとえば、非ホジキンリンパ腫に用いる抗がん剤「リツキサン」は1コースで毎週1回、最大8回の投与が必要です。身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の男性患者がこの治療を受けた場合、1回あたり約30万円の医療費となり、3割負担でも毎回約9万円の現金が必要になります。8回投与すれば2カ月間で約72万円の出費です。こんなときに役に立つのが高額療養費制度の「限度額適用認定証」です。高額療養費制度とは、保険診療の患者負担額が毎月一定額を超えた場合に還付請求することで超過分の払い戻しが受けられるもの。とても頼りになる制度ですが、払い戻しを受けるまでに少なくとも3カ月かかり、高額な医療費を支払うために高金利の定期預金を解約したり、キャッシングなどでお金を借りたりしなければいけないこともありました。でも、病院に限度額適用認定証を提示しておけば、病院に支払うお金は高額療養費制度の自己負担限度額までになります。70歳未満の自己負担限度額は月収53万円以上の上位所得で15万~16万円程度、住民税非課税世帯で3万5400円、それ以外(一般)で8~9万円程度となります(所得、年齢、実際の医療費により異なる※図表1)。入院中の食事代(1食260円)などは別途支払うことになりますが、高額な立て替え払いが防げます。先に紹介した抗がん剤治療を40歳男性(月収40万円)が受けた場合、3割負担となるので1回の治療費は約9万円です。所得区分は「一般」に該当するため、1ケ月に4回、2カ月にわたって投与を受けた場合、約72万円(約36万円×2カ月)を病院に払い、その3カ月後に約54万円(約27万円×2回)の還付を受けることになります。しかし、限度額適用認定証を病院に出しておけば、病院への支払額は高額療養費の自己負担限度額となります。ひと月の支払いは8万9430円(=8万100円+(医療費120万円-26万7000円)×1%)になり、約3回分(2カ月で6回分)の治療費を払う必要がなくなります。最終的に出て行くお金は同じでも、立て替え払いがあるかないかで家計への影響は違います。特に入院前には限度額適用認定証の申請は忘れずに行いたいものです(手続き方法は加入している公的医療保険の窓口に聞いてください)。70歳以上は「高齢受給者証(70~74歳)」または「後期高齢者医療制度の保険証(75歳以上)」が限度額適用認定証の代わりになります。70歳以上で住民税非課税世帯ならさらに医療費が安くなる可能性があるので、限度額適用認定証を受けておきましょう(図表2)。高額療養費の自己負担額が低くなるだけでなく、入院中の食事療養費の減免も利用できて便利です。高額療養費は月初めから月末までに請求された保険診療費が対象になります。入院するなら入院期間が月をまたがないようにするのがコツです。70歳未満の場合、同じ人が同じ月に複数の医療機関・科で月2万1000円以上の医療費を支払った場合は、それらを合算して高額療養費の請求をすることができます。同じ人が同じ医療機関で入院と外来それぞれで2万1000円以上払った場合も同様です。還付請求を行う際は領収書のコピーが必要になるので、限度額適用認定証の対象とならなかった場合でもあっても領収書は必ずとっておきましょう。確定申告の医療費控除は領収書の現物が必要になるので、請求する場合は必ずコピーを使ってください。また、同じ世帯で同じ健康保険に加入している人が、同じ月にそれぞれ2万1000円以上の医療費を払っている場合も一緒で、合算して請求することができます。日本の健康保険は諸外国に比べて手厚い内容になっていますが、申請主義なので手続きをしないと恩恵を受けられません。忘れずに活用してくださいね。(※70歳以上の場合も同様のしくみになっていますが、2万1,000円以上という金額のしばりはありません)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月18日消費増税による、急速な”なんちゃってインフレ”に打ち勝つには、戦略的にお金を使っていくほかありません。やりくり上手、貯蓄上手な人にはいくつかの特徴があるのをご存知ですか? これからの時代を生き抜くために取り組みたいお金の習慣をご紹介します。お金を貯めるのがうまい人にどんな節約をしているのかを聞くと、「特に何もしていない」という答えが圧倒的に多いです。逆に「こまめに電気を消しています」とか「風呂の残り湯で洗濯しています」と答える人にかぎって、お金がない、貯まらない、と口癖のように言っている。こんなに頑張っているのに結果が出ないと、不満たらたらです。節約はやりくりの王道のはずなのに、おかしいですよね。しかしよくよく話を聞くと、貯蓄上手は楽しみながら、お金のかかりにくい生活をしていることがわかりました。無意識のうちに節約につながる暮らしをしていたのです。家ごはんが好き=外食しない=栄養バランスがよくなる=健康=食費と医療費の節約お風呂は家族みんなで入る=水道光熱費の節約休みの日は弁当持参でピクニック=レジャー費の節約節約を頑張りすぎるとストレスになります。ストレスを上回るくらい明確な目標・目的があればやっていけますが、なんとなく「効果があると聞いたから」程度でやっていると、衝動買いなどの反動が出てしまい、無駄遣いにつながります。ストレスにつながりそうな節約術なら、やらないこと! あなたが楽しんでやれるものだけを生活に組み入れてください。また、貯蓄上手、やりくり上手は好き嫌いがはっきりしています。自分にとって価値のないものには部屋に入れず、気に入ったものだけに囲まれて暮らしています。そうするとストレスは貯まりにくいし、大事に長く使うので買物の失敗も少なくなります。将来のための貯蓄は「先取り貯蓄」するのが鉄則です。そして、先取り貯蓄したことは、記憶から消してしまいます。給料が減ったと思って、暮らすのです。「会社で財形貯蓄をやっています」「会社の持ち株会に入っています」「投資信託の自動積立をやっています」「給与振込のある銀行で自動積立定期預金をやっています」「毎月給料日に決まった額をMRFに移して、それを軍資金に投資しています」大半の貯蓄上手の人は上のいずれかの方法で貯めています。あればあるだけ使いたくなる、それがお金です。余ったら貯金すると言っていてはいつまで経っても貯まりませんよ。ポイントが付くという理由で、買物のほとんどをクレジットカードで支払う人がいます。使った分だけきっちり家計簿を付けているのならよいのですが、家計簿ナシでカードを利用するのは浪費を助長する大きな要因になります。クレジットカードと現金では、カード利用者のほうが平均23%も支出が増えるという研究結果もあるくらいです(デビッド・クルーガー著「お金のシークレット」)。やりくり上手になりたいと思ったら、お財布の中にクレジットカードを入れないこと! 普段の支払いにカードは使わず、インターネットショッピングや大きな買い物をするときだけ利用するなど、”マイルール”を作っておきましょう。あといくら使えるかを意識すると自然とお金の使い方が上手くなります。限られた予算のなかでいかに自分を満たすかを考えるようになるからです。私がオススメするのは、袋分けです。現金で支払うものに関しては「食費5万円、おこづかい3万円……」のように、目的ごとに予算を立てて、袋に分けておきましょう。こうすると、「どれくらい残しておいたほうがいいか」「今日はいくら使えるか」がわかりやすくなり、やりくりが格段に上達します。分け方に決まりはありません。給料日に1カ月間に使えるお金を引き出して、必ず払わなければいけないお金から振り分けていきましょう。誰もが貯蓄0円からのスタートです。出発点は同じなのに、5年後、10年後と経過するにつれて貯蓄額に違いが生じる。この差は「信じる力」にあると、私は考えます。貯蓄上手は「お金を貯めて、自由に生きている自分の姿」を強くイメージし、そうなることを疑いません。根拠がなくても自分を信じられるかどうか。貯蓄とやりくりの成功を左右する大きな要素です【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月11日