前回 、「分配金」についてお話ししました。「分配金」には、「普通分配金」と「元本払戻金」(かつては「特別分配金」と言われていました)の2種類がありましたね。「普通分配金」は、運用収益から分配されますが、「元本払戻金」は、自分が投資した元本の一部が払い戻されたものです。ですから、「普通分配金」には、運用益の20.315%が源泉徴収されますが、「元本払戻金」は、もうけではないので、課税されません。分配金の受け取り方は2タイプ、どちらがお得?投資信託を購入した場合、「分配金」の受け取り方には一般的に、・そのまま現金で受け取る(分配コース)・支払われた分配金で同じ投資信託を追加して買い付けて行く(再投資コース)という2つの方法があって、選択することができます。税金は、どちらの方法でも同じようにかかります(ただし、「NISA口座」は、一定額までは非課税です。NISA口座についてはまた改めてお話しますね)。では、どちらの方法がより、お金を増やすのに向いているのでしょうか。皆さんは、「複利」という言葉を聞いたことがありますか?複利は、よく「雪玉」にたとえられます。小さい雪玉は、ひと転がししてもあまり雪はつきません。でも、雪球が大きくなると、ひと転がししたとき、たくさんの雪がつきます。転がしていくにつれ、雪玉はますます大きくなっていきますね?複利は、利息がつくと、その利息も含めた元利合計(元本と利息を合わせたもの)を新たな元本として利息がつくのです。利息が利息を生むというわけです。たとえば、毎月、3万円ずつ(年間36万円)、年利3%(!)の利子のつく定期預金というものがもしあると仮定して、それに20年間預け入れたらどうなると思いますか?複利で増えて、なんと967万3,200円になります!(ただし、計算方法によって多少違いがでてきます) 複利は、時間の経過とともに効果が大きくなるのです。ちなみに、「借金が雪だるま式にふくらむ」という言い方をするのも、複利でどんどん利息が増えてしまうということです。お金を増やしたいなら、分配金は「再投資コース」を選択するのが正解さて、冒頭で紹介した2タイプの分配金の受け取り方のうち、「分配金再投資コース」にした場合を考えてみましょう。仮に分配金が100円だとすれば、ここからまず税金20円が差し引かれて、残りの80円で同じファンドを買い付けていくことになります。たとえば、100万円を期待リターン4%で10年間運用した場合、再投資をして複利で運用すれば、148万244円になります。しかし、分配金を受け取ると(分配コース)、単利で運用することになりますので、増えるのは、元本100万円に対し、4%×10年間=40万円です。10年後は140万円です。8万244円の差がつくのです!運用する期間が長くなれば、複利効果で、差はさらに大きく拡がります。つまり、お金を増やすには、増えた分を分配金で受け取らず、再投資すること、すなわち、複利で長く運用することが大切なのです。このコラムを読んでくださっている読者のみなさんには、まだまだ長い時間があります。ぜひ、「毎月分配型」ではなく、「年1回決算型」など決算回数の少ないファンドを選び、ゆっくりお金を育てていきましょう。(岩城みずほ)
2016年03月07日『今すぐ妻に不動産投資をさせなさい』(菅原久美子著、KADOKAWA)の著者は、秋田で生活する主婦であると同時に、ソプラノ歌手、そして株式会社の代表として全国で講演活動をしているという人物。そのちょっと変わった経歴から、お金持ちなんだろうと思われることもあるといいますが、それは違うのだとか。収入が安定しないソプラノ歌手としての活動を続けながら、なんとかして定期的に収入を得ることができないかと思考錯誤した結果なのだそうです。そして、そんな流れのなかで知ったのが、本書で明らかにしている不動産投資だということ。きょうはそのなかから、第3章「奥さん名義で物件を持つ」に焦点をあててみたいと思います。■副業禁止の会社では不動産投資NG会社から得る収入とは別の収入を得たいと考えるサラリーマンは少なくないはず。だからこそ、不動産投資に注目が集まっているという側面もあるでしょう。しかし注意しなければならないのは、就業規定で副業が禁止されている会社では、不動産投資をすることができないという事実。「大きな会社ならバレない」という考え方も、著者によれば甘い認識のようです。■不動産投資「5棟10室の壁」とは不動産投資の場合、「5棟10室の壁」と呼ばれる制限があるそうです。家を貸す場合の棟数が5棟以上、あるいはアパートやマンションなど、部屋を貸す場合の客数が10室以上である場合は、事業として不動産賃貸業を行っているとみなされるのだということ。事業規模になると税制面も変わりますし、副業禁止規定のある会社の場合、規定に触れてしまうわけです。だからこそ不動産投資をはじめる前に、自分の会社は副業を禁止していないか確認する必要があるのです。■副業禁止でも不動産投資をする方法では会社が就業規則で副業を禁止していた場合、サラリーマンは不動産投資を諦めなければならないのでしょうか? ルールを破らずに不動産投資を行う方法はないのでしょうか?この問いについて、著者は決定的な答えを明らかにしています。それは、家庭のなかに、不動産投資ができる人がもうひとりいるということ。いうまでもなく奥さんです。たとえば著者の場合はご主人が地方公務員で、母親から譲り受けた1棟のアパートを持っているのだそうです。しかし公務員ですから、当然ながら副業は禁止されています。また、戸数を増やしたいと考えていたといいますが、そのアパート以外に物件を買おうとすれば、それは事業規模になってしまうことになります。当時検討していたのは、2・3・4棟目にあたる3棟一括アパートだったそうです。戸数が18室もあるので、その時点で「5棟10室の壁」はとっくに越えていることになるのです。つまりご主人の名義で不動産を増やすわけにはいかなかったため、次の物件を買うため、妻である著者の名義で購入することになったというわけです。このように、もしご主人の会社が副業禁止だったとしても、あるいは不動産投資自体を禁止していたとしても、奥さんがするぶんにはなんの問題もないということ。たとえ規模が大きくなって「5棟10室の壁」を越えてしまったとしても、会社になにかをいわれる心配はないというのです。そこで著者は、いずれ物件を増やしていきたいのなら、最初から奥さん名義で不動産投資をはじめたほうが賢明だと主張しています。■無収入主婦が融資を受けられる理由ところで奥さんが物件購入すれば「5棟10室の壁」越えられるとはいえ、奥さんが融資を受けられなければスタートラインには立てません。しかし、そもそも主婦である著者はその時点で、銀行家からの融資は受けられないはず。でも、だからといって不動産を諦める必要はなし。なぜなら、ここでサラリーマンであるご主人にバトンタッチすればいいから。奥さんが銀行融資を受けるには、ご主人がサラリーマンであることが重要。大抵のサラリーマンは、安定した収入があることで銀行から評価を受けることができるということ。つまりこうすれば、無収入の主婦でも融資を受けることができるというわけです。*本書には他にも、主婦が不動産投資を成功させるためのメソッドが数多く紹介されています。なにより著者の経験を軸としたものなので、説得力も抜群。収入を増やしたい方は、ぜひ手にとってみてください。(文/書評家・印南敦史)【参考】※菅原久美子(2015)『今すぐ妻に不動産投資をさせなさい』KADOKAWA
2016年02月04日投資信託協会は27日、投資信託に関するアンケート調査結果を発表した。調査期間は2015年9月10日~29日、対象は20歳以上の男女で有効回答数は1,523件。○投資信託保有率は35.2%「投資信託の保有状況」を尋ねたところ、「現在持っている」は35.2%、「以前持っていたが今は持っていない」は13.0%、「今まで持ったことがない」は51.1%だった。年代別にみると、保有率が最も高いのは70代以上で54.4%、最も低いのは30代以下で19.3%だった。年収別では「年収100万円~300万円未満」が最多の38.9%、「年収100万円未満」が28.7%となった。「保有している投資信託の種類」を尋ねたところ、最も保有率が高いのは「株式投資信託」(63.1%)、ついで「外国で作られた投資信託」(29.3%)、「公社債投資信託」(28.0%)、「不動産投信」(17.7%)、「ETF」(7.3%)となった。「投資信託購入の際の運用会社の重視点」については「運用力」が43.4%で最多。以下「資本力」(25.5%)、「知名度」(25.3%)、「運用体制」(16.7%)だった。○投資信託のメリット・デメリットは?「他の金融商品と比較して投資信託に特に魅力を感じる点」では「定期的に分配金が受け取れる」が17.8%で1位。以下「専門知識がなくても投資できる」(16.9%)、「比較的高い利回りが期待できる」(12.1%)が続いた。一方、「不満を感じる点」の1位は「元本保証がない」(33.1%)。2位は「手数料が高い」(17.6%)、3位は「仕組みや運用実績がわかりにくい」(10.4%)だった。「投資信託の償還・売却で得た資金の流出先」の1位は「預貯金に回した」(32.6%)。2位は「生活資金に回した」(24.0%)、3位は「他の投資信託を購入した」(20.7%)、4位は「株式・債券を購入した」(17.7%)、5位は「売却・償還したことはない」(13.9%)となった。
2016年01月28日不動産投資に関する書籍は多く、しかしその多くはメリットばかりを強調する傾向にあります。でも現実的にはリスクも大きいものであるだけに、石橋はしっかり叩いて渡りたいところ。そこでおすすめしたいのが、『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』(ふどうさんぽ著、御井屋蒼大監修、日本実業出版社)です。著者の「ふどうさんぽ」とは、不動産投資家を目指す、あるいはすでに不動産を所有しているメンバーと、不動産投資に関する情報交換をするサークル。メンバーは1,000人を超え、中心メンバーは億を超える資産を持つ経験値の高い人達ばかりなのだとか。つまり本書では、豊富な経験に基づいた、さまざまな失敗事例が紹介されているわけです。しかし、それらを理解するためには、まず基本を知ることが重要。そこで、不動産投資の基本をおさらいしてみましょう。■「利益を得られる物件」を購入するべし不動産投資は、「購入して、保有(運用・管理)して、売却する」という3つの基礎構造によって成り立っているもの。購入手順はマイホームを買うときと同じで、物件を探してもらい、それに見合った物件が見つかれば紹介を受け、気に入れば購入、となります。しかし、ここで重要なのは「利益を得られる物件を購入しなければならない」ということ。「利益を得られる物件」を自分でイメージでき、具体的に条件を書き出すことができなければ、不動産仲介業者に自分の希望を伝えることは不可能。また購入時に銀行から融資を受けることも考えると、「利益が得られて、融資が受けられる」物件であることが必須となるわけです。たとえば相場で5,000万円の物件を、誤って6,000万円で買ってしまったとします。この物件で年間100万円のキャッシュフローが得られるとすると、10年間に1,000万円のプラスとなります。しかし10年間でローンの残高が4,000万円まで減ったものの、売却したら経年変化もあって3,000万円でしか売れなかったとなれば、キャッシュフローのプラス分1,000万円とキャピタルロスのマイナス分1,000万円で、差し引きトントンになってしまうことになります。もちろんオーナーは10年にわたり、不動産投資家としてきちんと働いてきたはず。ところが、最初に相場より高い物件を買ってしまったため、その労働すべてがチャラになってしまうということ。でもトントンならまだマシで、マイナスになってしまうこともあるのだとか。そんな場合は10年間タダ働きだったということになるだけでなく、「働いてお金をロスする」という意味不明の結果になってしまうのです。■必ず相場よりも安い物件を購入するべしこの例からもわかるように、「相場より高く買う」という失敗は、絶対に避けなければいけないと著者は強調しています。大切なのは、まず購入時に正確な相場を学び、必ず相場より安く、無理なら相場と同等の金額で購入すること。そしてそのためには、誠実で信頼できる不動産仲介業者から紹介してもらうべきだといいます。■物件の「売却額」も自分で算定するべしまた売却の際にも不動産仲介業者に協力してもらいますが、キャピタルゲインをいくら得られるかを計算し、売却額を自分で算定することが必要。相場を知るのはもちろんのこと、ローン残高を考えて、「これより下回ったらトータルでいくらの損になるのか」を知らなければならないということ。また、売買のタイミングも自分で知るべき。建物が劣化して使えなくなってから売るのか、使えなくなった建物を壊して土地だけ売るのか、減価償却が終わったタイミングで売るのかなどによって、利益が変わるのです。こうしたことをすべて考えたうえで、「どのような条件で手放したいか」を伝え、それに見合った広告を出してもらい、買い手を紹介されて売却となるわけです。そして購入時の金額と売却するときの差益がプラスであればキャピタルゲインとなり、マイナスならキャピタルロスとなるということ。もちろん世間の経済状況にも左右されるでしょうが、しっかり勉強し、必要ならコンサルティングなどプロのアドバイスに耳を傾けることが大切。そうすれば、好景気でも安く購入することや、不況でも利益を出して売却することが可能だと著者はいいます。*こうした基本をベースに、以後の章では数多くの失敗事例が具体的に紹介されています。「不動産屋さんと会話がかみあわなかった」というようなコミュニケーションの問題から、「部屋のなかで孤独死が発生してしまった」というようなシリアスな話までさまざま。不動産投資に関心があるなら、手にとってみればきっと役に立つ内容だと思います。(文/書評家・印南敦史)【参考】※ふどうさんぽ(2015)『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』日本実業出版社
2016年01月27日半導体市場調査会社の米IC Insightsは1月20日(米国時間)、2015年世界半導体企業研究開発(R&D)投資総額および投資額ランキングトップ10社(表1)を発表した。世界半導体産業全体では、2015年のR&D投資総額は前年比0.5%増加し、564億ドルに達し、史上最高額を記録した。しかし、成長率は過去10年の平均値である4%より低かった。2015年前半の半導体市場は好調だったが、後半に入ってから急に減速したことや、前例の無いM&Aの連鎖などがR&D投資総額の伸びを抑えたようだ。表1にリストアップした上位10社に限ればR&D投資額は2%成長している。上位10社のR&D投資額総額は、その他のすべての半導体企業のR&D投資総額を超えており、投資額の大きさがきわだつ。2015年世界半導体売上総額は、前述した通り、下半期に入り急ブレーキがかかってしまったため前年比1%減少となった模様だが、R&D投資額は0.5%増加したので、R&D/売上高比率は2014年の15.8%から2015年は16%へわずかながら上昇した。この16%という数字は2000年以降の半導体産業の平均R&D/売上高比率(過去15年間の平均)と同じである。○Intelだけで、業界全体のR&D総額の22%も消費R&D投資額トップは、売上高でも断トツでトップに君臨する米Intelであり、2015年にR&Dに121億ドル超(1兆4500億円)と他社とは桁違いの巨額投資しており、半導体産業界のR&D総額の実に22%をにあたる額を1社だけで消費していることになる。同社の売上高に占めるR&D費の割合は24%であり、売上高の1/4もの費用をR&Dに投資していることになる。MPUの微細化に伴い、IntelのR&D費は高騰しているため、R&D/売上高比率は毎年上昇を続けている。1995年には9.3%、2000年で16.0%、2005年で14.5%、2010年で16.4%、という具合に上昇し続けてきているが、最近はPC不振やモバイル向けビジネスの赤字で売り上げの伸びが止まっているため、2015年には上述のとおり24.0%にも達している。Intelの2015年のR&D費は、前年比5%増加したが、2010年以来の伸び13%、2001年以来の伸び8%より低かった。R&D投資額トップ5社(Intel、Qualcomm、Samsung Electronics、Broadcom、TSMC)の順位は2014年と変わらないが、6位以下は大幅にいれかわった。昨年7位だったMicron Technologyが6位に上がり、変わりに6位だった東芝がランクを1つ落とした。同社は日本企業で唯一トップ10に留まっている。なお、東芝のR&D費は前年比11%減少となっているが、これは米ドル基準の値であり、日本円基準では、1%程度増加した。MediaTekは2014年の9位から順位を1つ上げ、12位だったSK Hynixは、2015年前半のDRAM好調を受けて2015年は9位に上昇した。一方、STMicroとNvidiaはランクを1つずつ落としてそれぞれ10位、11位となった。○ファウンドリやメモリメーカーのR&D/売上高率は7~8%程度IC Insightsの発表では触れてはいないが、Qualcomm、Broadcom、MediaTekといったアプリケーション・プロセッサなどロジック製品中心のファブレスのR&D費用は、売り上げの2割を超えているのに対して、ファウンドリ(製造受託)であるTSMCやメモリ製造中心のSamsungやSK HynixのR&D費用は7~8%程度に留まっている点が注目される。欧米ではファブレス同志のM&Aが次々起こっているが、高騰するR&D費用を互いに分担する狙いがある。日本ではIDM(垂直統合企業)が巨額な設備投資に耐えられずに次々とファブライトやファブレスにシフトしてきているが、人材リストラや経費削減ばかりしていては生き残れない。上位の海外ファブレス(やIntel)が他社に大幅に差異化できる新製品を開発するため、売り上げの2割超のR&D費を投じている点に留意すべきだろう。IC Insightsは、今年2016年のR&D投資総額は、前年比4%増の589億ドル、2020年には763億ドルに達すると予測している。2015~2020年の年平均成長率を6.7%と見ている。R&D/売上高比率は、16.2%(2011~2015)から16.4%(2016~2020)に増加すると予測している。
2016年01月25日日本で購入できる投資信託は約5,800本(2015年10月末時点)もあるそうです。莫大な数のファンドの中から、どうやって選べばいいのか、困ってしまいますね。でも大丈夫。選ぶ際のポイントをお話ししましょう。運用手法で分けると2つに分類できるファンドマネジャーという投資信託の運用担当者がどのように運用しているのか、その運用スタイルから眺めると、この莫大な数のファンドも大きく2つに分類することができます。(もちろん、ファンドをどのように運用していくのか、その運用方針を決めるのは、ファンドマネジャーだけの権限ではなく、経済環境の分析や企業のリサーチなどで情報を得て、運用会議を経て決められます。)投資信託の運用スタイルは、アクティブ運用とインデックス運用(パッシブ運用ともいいます)に分けることができます。アクティブ運用とはざっくり言うと、アクティブ運用というのは、市場よりも高いリスクをとって、市場以上のリターンをあげることを目的にするものです。投資信託の運用には、指標(ベンチマーク)が設けられます。たとえば、日本株式を組み入れたファンドなら、「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの指標(インデックス)がベンチマークとなります。アクティブファンドというのは、一般的にはこのベンチマークを上回るリターンを目指して運用するものです。ベンチマークを平均点と考えるなら、平均点以上の成績を目指すものなのですね。そういう意味では、運用者の手腕に託されているというわけです。インデックス運用とは一方、インデックス運用というのは、市場の動きと同じような動きでよいと考える運用です。市場が良い時は同じように上昇し、悪ければベンチマークと同じくらいのリターンで良いとするものです。インデックス運用は、市場並みのリスクをとって市場並みのリターンをなるべく安いコストで実現しようという考え方です。インデックスかアクティブかインデックスがよいか、アクティブがよいのかについては、よく議論されるポイントです。それぞれの運用スタイルを知って、市場平均を上回る運用を目指すアクティブファンドのほうがいい!と思った人も多いかもしれません。しかし、ちゃんと目標を上回った実績を出せているかと言うと、なかなかそううまくはいかないようです。過去の実績を見ると、アクティブファンドの平均パフォーマンスは、インデックスファンドのそれを下回っているという現実もなるのです。なぜでしょう。それは、アクティブファンドには大きなコストがかかるためです。コスト以上の運用成績を上げればいいじゃないと思うかもしれませんが、毎年毎年長く勝ち続けるのは至難の業なのでしょう。中には、よい成績を上げているアクティブファンドもありますので、結果的に、お金を十分増やせたということももちろんあります。また、インデックスファンドの中にもベンチマークと乖離(かいり)してしまうものもありますので、どちらが良い、悪いということではないのです。大切なのは、それぞれの特性を知り、きちんと使い分けることです。長期で保有し、老後資金などのためにゆっくりお金を増やしていきたい場合は、やはり、コストの安いインデックスファンドを選ぶのがいいでしょう。その上で、余裕があれば、運用方針やコストなど、自分で納得した上で、アクティブファンドを買ってみるとよいでしょう。次回は、どんなインデックスファンドを選べばいいのかをお話します。(岩城みずほ)
2016年01月25日投資信託協会は15日、2015年12月の投資信託概況を発表した。それによると、12月末の株式投信の純資産総額は前月末比8,329億円減の81兆7,382億円となり、3カ月ぶりに減少した。○株式投信は2カ月ぶりの流入超設定額は3兆5,979億円、解約額は2兆2,488億円、解約率は2.7%、償還額は219億円で、差引き1兆3,272億円の資金純増。流入超は2カ月ぶりとなる。同協会は「11月は1年ぶりに流出超となり、相場を見るとその裏返しとなっている。また国内の投資家は逆張り志向が強いため、12月は頭に日経平均2万円台に乗せた後、軟調が続いたこともあり、買いの勢いが強まったのではないか」と分析している。国内公募投信全体の純資産総額は同1兆1,203億円減の97兆7,562億円と、3カ月ぶりの減少。設定額は8兆2,792億円、解約額は7兆2,174億円、償還額は219億円で、差引き1兆399億円の資金純増となった。流入超は30カ月連続となる。公社債投信の純資産総額は同2,874億円減の16兆180億円と、3カ月ぶりの減少。設定額は4兆6,814億円、解約額は4兆9,687億円、償還額は0円で、差引き2,873億円の資金純減となった。流出超は3カ月ぶりとなる。内訳は、中期国債ファンドが601億円の純減、長期公社債投信が125億円の純減、フリーファイナンシャルファンドが62億円の純減、キャッシュリザーブファンドが371億円の純減、MRFが969億円の純減、MMFが746億円の純減となった。
2016年01月15日投資に回せるお金が少額の場合、投資信託を利用するのがいいでしょう。投資信託とは、簡単に言うと、たくさんの個人投資家(受益者)から集めたお金をまとまった資金にして、ファンドマネジャーと言う専門の人が運用するものです。今回は投資信託のしくみを、もう少し詳しく解説していきましょう。 前回 、「投資信託というのは、大きな袋の中に、たくさんの会社の株式が入っているイメージです」とお話ししました。ファンドマネジャーは、たくさんの銘柄に分散投資をして、利益が出たら、リターンを皆で分けます。投資信託のメリット専門家が運用してくれるので、「今、株価がどうなっているか」とか、「どこの会社が儲かりそうか」などを調べたりする必要がありません。少額から投資ができることも大きなメリットでしょう。個別銘柄に投資をする場合、数十万円の資金が必要ですし、相当大きなお金がないと買えない銘柄もたくさんあります。でも、投資信託なら、1万円でさまざまな銘柄に分散投資をすることができるのです。そう、投資信託なら、分散投資が簡単にできるのですね。ネット証券なら、500円から積立投資ができます。積立投資というのは、給料から毎月決まった日に決まった金額で、決まった投資信託をコツコツ買い増していくことです。積立預金(貯金)や財形などをしたことがある人も多いと思いますが、同じようなイメージです。資金の安全性も確保されているもう1つ、投資信託には、個人投資家の資産が守られるという安全性が確保されているという特徴があります。投資信託は、・証券会社や銀行など投資信託を販売する金融機関・ファンドを運用する投資信託会社(委託者)・資金を保管、管理する信託銀行(受託者)に分かれています(中には、投資信託会社自身が販売する「直販」と呼ばれる会社もあります)。役割が3つに分かれているので(分別管理といいます)、万一、銀行や証券会社が倒産したとしても、個人投資家の資産は安全に守られるのです。投資信託の値段と手数料投資信託の価格は、「基準価額(きじゅんかがく)」といいます。運用の状況は公開されていますし、今、いくらになっているのかもわかります。非上場の投資信託の場合、ファンドに組み入れられている株式などの時価総額を受益権口数で割って、一口当たりの価格=「基準価額」が算出されます。購入、解約(換金)はいつでもできますが、当然ながら、元本や利回りは保証されていませんし、保有には手数料がかかります。手数料は、商品によって違うので、注意が必要です。手数料は、販売手数料、信託報酬、信託報酬留保額の3つがあります。販売手数料というのは、スポーツクラブの入会金のように、購入時に一度だけかかります。販売会社に支払うものです。商品や販売会社によって違っていて、とても高いものもあれば、無料(販売手数料のかからないもの。ノー・ロードといいます)のものもあります。たとえば、3%の販売手数料のかかる投資信託を、購入手数料込みで100万円分の買った場合、販売手数料が差し引かれ、97万円からの運用スタートとなるわけですから、販売手数料のかからない、ノー・ロードの商品を選ぶほうがよいわけです。信託報酬(運用管理費用)というのは、スポーツクラブの毎月の会費のようなもので、投資信託を保有している間、ずっとかかる手数料です。毎日、ファンドの信託財産から差し引かれます。たとえば、信託報酬が年1%だとすると、その365分の1ずつ差し引かれていきます。こちらも商品よって高いもの安いものまで、さまざまです。ファンドによってかかる「信託財産留保額」は(かからないものもあります)、解約する人が支払うコストです。解約金を受け取るためには、ファンドに組み入れている株式などを一部売却しなければなりません。そのとき発生する手数料が、ファンドにとどまる人の負担にならないように支払うものです。コストを下げることは最終的なリターンをあげる上で大切です。たとえば、3%のリターンを上げても、手数料が2%もかかっていたら、実質リターンは1%にしかなりません。コストは小さいほうがいいのです。手数料の安い商品を選ぶことがリターンを上げるコツなのです。次回は、コストに大きな差を生む、投資信託の運用方法についてお話しします。(岩城みずほ)
2016年01月11日前回 、「長期的なパフォーマンスは、株式と債券にどのくらいずつ投資をするかによって決まるので、資産配分(アセットアロケーション)がとても重要です」とお話ししました。投資において大切なのは資産配分と聞くと、「え? 何を買うかのほうが大切ではないの?」と思われるかもしれません。でも、実はそうなんです。つまり、銀行や証券会社で、「この商品がおススメですよ」と言われても、即座に買ってはいけないということです。もしかしたら、あなたの対応をしてくれた人は、あなたにとってよい商品を勧めてくれたかもしれませんが、おそらくは、その人(銀行や証券会社)がもっとも売りたいものを勧めていると考えるのが妥当ではないでしょうか?商品を選ぶ前に、まず、株式にどのくらい、債券にどのくらい投資をするか決めます。商品を選ぶのはそれからです。「トータルで上がればOK」と考えるのが投資の鉄則さて、リスクとリターンについてもう少し考えてみましょう。株式の比率が高いとリターンも高くなりますが、リスクも高くなります。損失を被った時のことを想定しておくことが大切なのです。少し難しくなりますが、投資ではリスク、つまりリターンの変動幅を「標準偏差(ひょうじゅんへんさ)」というもので表します。標準偏差というのは、「平均値から上下にどのくらいバラつきがあるか」を示すものです。リターン5%の商品は、毎年必ずリターン5%が得られるわけではなく、−15%まで下がるかもしれないし、+25%くらい上がるかもしれないということです。上がったり下がったりしながら、平均で5%のリターンになるということです。単に銘柄をバラして買うだけでは、真の分散投資にならない投資初心者の皆さんは、株式市場や債券市場に近い動きをする金融商品を選ぶのがよいでしょう。株式や債券は市場価格に応じて上がったり下がったりします。それはつまり、すでに十分にリスクが分散されているものだということです。分散投資には、リターンを高めてリスクを下げる効果があります。そして、分散投資において大切なのは「値動きの違うものを組み合わせて持つこと」です。これによりリスクを軽減できるというお話も 前回 しました。では今回は「値動きの違う組み合わせ」について、株式を例にして具体的に考えてみましょう。たとえば、平成27年4月から「 子ども・子育て支援新制度 」がスタートしました。これは、「量」と「質」の両面から子育てを社会全体で支えるというものです。それならば、民間の保育やベビー・子ども用品など、いわゆる子育てに関連する会社が儲かりそう…と、あなたは思うかもしれません。こども服を作る会社、幼児教育の会社、民間保育の会社など、子どもに関係する会社の株をいくつか買いました。そう、あなたは「分散」して株式を買ったわけです。さて、でもこれって、本当に「分散」になっているのでしょうか?結論から言うと、これは十分に分散しているとは言えません。よく分散の好例としてたとえられるのは、「傘を作る会社とサングラスを作る会社」の関係です。晴れの多い年はサングラスがよく売れ、雨の多い日は傘がよく売れます。このように、一方がプラスに動く時、もう一方がマイナスになるというように、値動きが反対の物を選ぶとよい、というわけです。つまり、特定の分野に偏らず、関連性の低い業種や銘柄を選ぶ。これが正しい「分散」であり、運用の基本なのです。少額からでも効率よく分散投資ができる投資信託でも、そんなにきれいに値動きが反対になるものってあるでしょうか?見つけるのは、なかなか難しいですよね。じゃあ、いろんな会社の株をたくさんもてばいいじゃない!と、思いますが、現実問題、多くの株式を持つのも大変です。そこで、おススメしたいのは、少額からでも効率よく分散投資ができる「投資信託」です。「ファンド」とも言います。投資信託というのは、大きな袋の中にたくさんの会社の株式が入っているイメージです。もちろん、中身に何が入っているのかはわかります。そして、中身の種類もさまざまです。たとえば、世界中の株式に投資をするもの、日本の上場企業すべてに投資するもの、世界のさまざまな国の債券が入っているもの、あるいは、株式と債券の両方が入っているものなど、たくさんあります。今、日本で購入できる投資信託は5,000本以上(2015年5月末時点)あるそうです。え? そんなにたくさんの中から、投資信託をどう選べばいいの?またもや難問ですね。でもご安心ください。このコラムを読んでいただければ、選び方もご理解いただけると思います。次回は、投資信託のしくみについてお話します。(岩城みずほ)
2015年12月22日Vol.9 、 vol.10 と債券についてお話ししました。株式などに比べると、債券の収益性は高くないので、お金を増やしていくためには、債券だけ持っていたのでは、十分な成果があげられないかもしれません。資産を増やしていくためには、株式など収益性の高い資産に投資をすることが必要です。でも、株式だけに投資をすると値動きが大きくなってしまうので、安定した資産運用をするのは難しくなります。なるべく安定した資産運用していくためには、株式や債券に「分散投資」をする必要があります。卵は1つのカゴに盛るな基本的に、株式と債券の値動きはこのようになります。投資には、「卵は1つのカゴに盛るな(※)」という有名なことわざがありますが、値動きが反対のものを組み合わせると、リスク(振れ幅)を小さくすることができるのです。(※)卵を1つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした時、全部の卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのリスクが防げるということから転じて、投資の際も複数の商品に投資を行い、リスクを分散させたほうがよいということ。分散投資先にはどんなものがある?分散して投資をする先の資産クラスは、伝統的に、(1)国内株式 (2)外国株式 (3)国内債券 (4)外国債券 に分けられます。各資産クラスのリスクとリターンの関係は、次のようなイメージになります。債券のブレ幅(リスク) < 株式のブレ幅(リスク)国内資産のブレ幅(リスク) < 海外資産のブレ幅(リスク)資産クラスの組み合わせは?では、安定資産である債券とリスク性資産である株式などをどのように組み合わせればよいのでしょうか。たとえば、20~30代の若い人は、もし、リーマンショックのような損失が生じることがあったとしても、その損失をリカバリーできる時間がこの先、まだ十分あります。ですから、リスク性資産の比率をより高くして運用してもよいと考えられます。もちろん、年齢だけではなく、家族構成、働き方、ほかの資産をどのくらい持っているか、また、自分がどのくらいの損失にたえられるかなど、合わせて考える必要がありますが。そして、一般的には、年齢が上がるにつれ、安定資産の比率を高めていくべきと考えます。運用できる時間が限られているためです。さて、資産運用をしようと思った時、まずは銀行や証券会社に相談に行こうと思う人がいます。でも、それは正しい行動ではありません。商品を選ぶよりも先に、資産配分を決めることです。国内の株式、外国の株式、国内外の債券など、資産ごとにどう資金を配分するか、何をどのくらいずつ保有するかを決めます。これをアセット・アロケーションといいます。これまでの研究結果では、この配分こそが長期的にはパフォーマンスにもっとも影響するといわれています。自分は、株式をどのくらい、債券をどのくらいもつか、その比率を決めることが大切なのです。次回は、分散についてさらにお話しします。(岩城みずほ)
2015年12月07日イオン銀行はこのたび、インターネットを活用した投資信託に関するサービスとして、投資信託と定期預金を組み合わせた商品「しっかり運用セットNEO(WEB版)」および、インターネットサイト内で顧客の投資スタイルに沿った投資信託の商品構成(ポートフォリオ)を提案するサービス「らくらく分散投資ナビ」の取扱いを開始した。○最大年7%という定期預金金利のメリットを享受できるイオン銀行は、インストアブランチ(イオンショッピングセンター内に設置する有人店舗)において、イオンのショッピングセンターへ来店する顧客の幅広い資産運用ニーズに応え、資産の形成を手伝うため、原則、365日年中無休、毎日10時から19時まで、専門スタッフが資産運用に関するさまざまな相談を受けている。資産運用の相談においては、投資信託と定期預金を組み合わせることで資産の分散化を図りながら、組み合わせの割合により最も高い金利で年7%という定期預金金利のメリットを享受できる「しっかり運用セットNEO」が好評だという。イオン銀行によると「『しっかり運用セットNEO』については、これまでインストアブランチに限定して取扱いをしていたが、家の近くにインストアブランチがない顧客や、忙しく時間に余裕のない顧客はインストアブランチに行くことができないため、インターネットで取扱いを開始してほしいという要望があり、この声に応えるため、『しっかり運用セットNEO』のインターネットでの取扱いを開始することにした。投資信託は、インストアブランチでは初心者の方でもわかりやすいような厳選した25銘柄が対象で、WEBでは160超の銘柄が対象」としている。また、どのような投資信託の銘柄に投資してよいのかわからないがインストアブランチに相談に行くことが難しい顧客から、自分に合った銘柄を教えてほしいといの声があり、これに応えるため、顧客に合った投資信託の商品構成(ポートフォリオ)を提案する「らくらく分散投資ナビ」導入することにしたとしている。○しっかり運用セットNEO(WEB版)の特徴投資信託と定期預金をセットで申し込むと、組み合わせの割合により、定期預金(3か月もの)の金利を最大年7%に定期預金とセットする投資信託商品は160銘柄超の投資信託より選択可能(インストアブランチでは25銘柄より選定)金利の適用期間は2016年3月31日まで(継続する場合がある)。○らくらく分散投資ナビの特徴イオン銀行インターネットサイト内で、顧客の投資スタイルや考えを入力すると、同行が取り扱う投資信託240銘柄から、顧客に合った投資信託ポートフォリオを自動的に提案所要時間は5分程度
2015年12月04日サラリーマン投資家が2015年冬のボーナスで最も金額が大きい使い途では、投資用ローンの繰り上げ返済が最多だった。日本財託が11月26日に発表した「2015年冬のボーナスに関する調査結果」による。同調査は、投資用中古ワンルームを所有して不動産投資を実践している同社のオーナー85人(男性65人、女性20人、平均年齢51歳)に対して、11月3日に実施したアンケートに基づく。冬のボーナスで最も金額が大きい用途を尋ねると、「投資用ローンの繰り上げ返済」が34.5%で最多だった。「投資用物件購入の資金」(10.9%)と合わせると、半数近くが投資関係の用途を挙げている。なお、「自宅のローン返済」は1.8%に過ぎなかった。一般サラリーマンのボーナスの用途では貯金や生活費の補填が上位に挙がるといい、サラリーマン投資家は「自宅よりも、家賃収入を生んでくれる投資用マンションにお金を使う」という意識が高いと同社は見る。自宅の住宅ローンを完済しても収入は生まれないが、投資用ローンを完済すれば家賃収入を丸ごと使うことができると同社は指摘する。その上で、毎月の家賃収入は自宅の住宅ローンの繰り上げに回すことができるし、新たな物件の購入資金としての利用も可能という。また、自宅の住宅ローンは住宅ローン控除が受けられるため、10年間は借りていた方がよいと考える人も多いようだと同社は推測している。
2015年11月27日アクセンチュアは11月25日、アジア・パシフィック地域の金融テクノロジー(Fintech)投資に関する調査レポートを公開した。同社はFintech企業を「P2Pプラットフォーム、デジタル通貨取引などのオルタナティブ金融サービスプロバイダーというだけでなく、リテール・商業・投資銀行、保険会社、資産管理会社、決済サービスプロバイダーに向けた技術を提供する企業」と定義している。今回の調査内容は、ベンチャー企業の財務データ・分析を国際的に行う「CB Insights」が提供するFintech投資における2015年1月~9月までのデータを分析したもの。そのほか、2010年~2014年までのベンチャーキャピタルおよび未公開企業、企業および企業のベンチャーキャピタル部門、ヘッジファンド、アクセラレーター、政府系ファンドなどによる国際的な財務活動のデータも含まれる。調査によると、アジア・パシフィック地域での2015年1月~9月までの投資件数は全122件に達し、2014年より5件増加した。投資金額も中国で相次いだ国内大型案件により大幅に増加した。投資の総額は約35億ドルに達し、2014年の約8.8億ドルから急伸した。分野別では、決済業務(40%)が最も高い比率を占め、次に融資業務(24%)と続いた。これまで銀行が独占していた領域での投資が大半を占めた結果となった。これは、Alibaba Group Holdingsと関連会社Ant Financial Services Groupによるインドのモバイル決済プラットフォームであるPaytmへの出資や、P2P(Peer to Peer)およびB to Cのオルタナティブファイナンス・投資プラットフォームを開発するPing An Insurance Group傘下のベンチャー企業Lufaxによる資金調達の成功が要因だとしている。国内では、国内とアジア向けにP2P決済プラットフォームを構築するエクスチェンジコーポレーション(ExCo)による資金調達など、決済サービス分野でのFintech投資が確認された。投資の総額は約4400万ドルに達し、2014年度の5500万ドルに迫る勢いとなっている。同社は、今後のFintech投資における注目分野としてブロックチェーンを挙げる。ブロックチェーンは、分散型記帳によって仮想通貨や暗号化された金融資産取引を支える技術で、スタートアップや銀行、投資家が注目する分野になると予想している。銀行やクレジットカード会社、クリアリングハウスが協力することで安全かつ迅速な清算処理が実現でき、カウンターパーティリスクの削減や取引所要期間短縮によって資本を最適化できるという。また、金融機関のクラウド活用も注目の領域だという。クラウド導入の機運が高まるにつれて、銀行はパブリッククラウドに格納可能なデータとプライベートクラウドに格納すべきデータの選別を進めている。銀行は機密性の高い顧客データをプライベートクラウドに格納することで規制当局の要件を満たすと同時に、パブリッククラウドが実現する効率性、柔軟性、オンデマンド機能、コスト削減などのメリットを享受することが可能となる。この状況はFintech領域のスタートアップ企業にとって、クラウド関連の新しいサービスを提供する好機となっていると指摘している。さらに近年、大きく報道されている大規模な情報漏えいの影響もあり、来年はサイバーセキュリティに対する投資が大幅に増加すると予測している。
2015年11月26日楽天は12日、FinTechのスタートアップ企業に投資する「Rakuten FinTech Fund(ラクテン フィンテック ファンド)」の運用を開始したと発表した。運用資産額は1億米ドル(約120億円)。○まず北米と欧州の企業に投資同ファンドは、適切な戦略を立て魅力的な投資対効果でビジネスを展開する可能性がある初期段階から中期段階のFinTechのスタートップ企業に対して、世界規模で投資を行うもの。また、楽天がこれまで実施してきたFinTechへの投資の成功事例(Currency Cloud、WePay、Bitnetなど)に基づき発展させたもので、北米と欧州を中心とするスタートアップ企業や成長著しい企業に投資を行う。なお、同ファンドは起業家と楽天グループのFinTech事業楽天カードや楽天銀行、楽天証券などとの橋渡しをする役割も担っているという。楽天広報は「フィンテックの成長が著しい中、昨年から機会を探り、今年に入ってからBitnetなどへの投資を進めてきた。このような経緯から今回タイミングを見て(『Rakuten FinTech Fund』を)設立した」と話している。運用は、マネージング・パートナーであるオスカー・ミエル氏がファンド・アドバイザーとして実施する。まずはFinTechの中心都市であるロンドン、サンフランシスコ、ニューヨーク、およびベルリンの企業に対して投資し、将来的には他の地域にも拡大する予定としている。
2015年11月13日世界最大の政府系投資ファンド・アブダビ投資庁の元日本株式運用部長で、当時、中東でただ一人、日本人でオイルマネーを運用した投資のプロ・林則行氏。林氏は著書、『金(ゴールド)はこれから2倍になる』(宝島社、本体1,560円+税)で、金への投資を勧めているが、それは「儲ける」ためではなく、「庶民の財産を守る」という視点から書かれている。今回は林氏に、「今、なぜ金なのか?」という点を中心にお話をお伺いした内容を紹介したい。○「通貨の発行しすぎ」が長期的に金価格の上昇に――「なぜ今『金(ゴールド)』なのか?」という点をお聞きしたいと思います。ズバリ、庶民の私たちが金を買った方がいい理由はなんでしょうか。貨幣の価値が今後下がっていくるからです。貨幣の水増しということが古代から行われてきているわけです。各国の為政者は、分かっていながら歴史上何度も繰り返しやってきているんです。日本の例で言えば、最初の貨幣、和銅開珎を出してから50年後にはそれとそっくりの通貨を10倍の価値にして出しています。つまり、和銅開珎の価値を10分の1に落としたということです。江戸時代には小判の金含有量が6分の1に減っています。日本をはじめ各国が行っている金融緩和もそうした流れの一貫ですから、皆さん、なんとなくやばいな、と感じていると思います。――通貨の供給量を無理やり増やして株価が上がっても、株を持っている人は得しているんだろうけど、そうでない人は得していない。そして不況になると株価は暴落して、金利が上昇し、通貨の価値も下がる。通貨の価値が下がると、損をするのは資産を預金などの現金でしか持っていない庶民ということになりますね。私がこの本を書いたのは、そうした預金しかしたことのないような人に向けて、損をしてほしくないとの思いがあったからです。金に投資してもうけてほしいというよりも、つらい目に遭うのを避けて欲しい、という気持ちから書いたのです。金は大きく上がるでしょうから、もちろん大儲けもできます。○金の生産コストが上昇、新興国の金需要も拡大――中国株の下落の影響などもあって、最近は株価が下落していますね。株価暴落という事態が、近づいているように思えるのですが。今の相場を見ると、まだ序の口ですね。本当の暴落は今すぐというわけでもないです。ただ、準備はしておく必要があります。――なるほど。その準備のために、預金しかしたことのない人でもできるのが、金であると林さんはおっしゃっていますね。そうです。2014年末の金価格を記すと、1オンス1,206ドル、1グラム4,649円です。金の値上がり幅は経済情勢によっても異なってくるのですが、最低でも現在価格から60%上の史上最高値(1,895ドル)を超え、信用不安が広がる時代が来れば1万ドルにもなるでしょう。生産コストの点からも金価格の上昇は必須です。生産コストは金利や税金を含めると現在約1,500ドルくらいで、今日現在の取引価格より300ドル以上も割安です。コスト割れで生産を続ける生産者はいませんから、新規の鉱山開発は中止・延期され、2016年以降生産が減少に向かいます。これに加え、金の需要意欲は旺盛です。特に新興国からの需要には根強いものがあります。自国の通貨を信用していないからです。新興国の中央銀行は米ドルすら磐石だと思っていないので、来る下落に備えて金の保有を進めています。○NYダウの暴落が起これば、それが世界株式暴落の引き金に――新興国の金需要も要因となるわけですね。中国人やインド人が金が好きだといった話は聞いたことがありますが、金の生産コストが上昇していることなどは、初めて知りました。金を掘るのにお金が今までよりかかるとなれば、金の価格は上昇しますね。この本には金が上昇する要因と同時に、金が上昇するタイミングの見極め方も書かれていますね。NY株式市場では銀行株が先行指標になっています。シティバンクなどの銀行株はまだ大きく下げていないので、NY市場が大幅安を迎える展開は先になるでしょう。株式市場は暴騰と暴落を繰り返すのが習性で、それを避けることができません。暴騰は2009年から始まりました。もう6年になります。次は暴落を迎える番です。――林さんのお話を伺っていると、金価格が既にじわじわと上がっていてもおかしくないと思えてしまうのですが、米ドルベースでの金価格は今年に入ってから下げ基調ですね。どうしてでしょうか。金の生産の増加量(前年比)がまだまだ3%と高いからです。ここ100年の年平均の伸び率は1.6%なので3%は高めの数字です。鉱山会社はコスト割れの状態からは新規の生産はストップする見込みですが、これまでに開発した鉱山からはまだ金が出てくる状況にあります。そのため、金鉱山会社では価格の下げを予想し、これに対処するために売りヘッジを行っています。売りポジションが過去最高レベルになっているということは目先はまだ下がる傾向が続くということです。なお、この売りのポジションは金価格と綺麗に連動していますから、これを見れば今後の金価格が予想できます。――シティバンクの株価のほかにも、鉱山会社の売りポジションなど、注意しておきたいデータと、そのデータの入手先にも言及されていますね。実はそんなに難しくないんですよ。情報は公開されているし、その情報の見方は書きました。○「時間分散」が失敗しない金の買い方――ただ、やっぱり買いのタイミングを見極めるのはやはり素人には難しい気もするのですが。そういう方には「時間分散」が失敗しない買い方です。何回かに分けて買うだけで、市場価格に近づきます。2000年の初めから2014年の終わりまで毎日金を買うと(取引回数3,908回)、平均コストは824ドルになります。これに対して3か月に1回買うと(取引回数60回)、826ドルです。――なるほど。ところで、純金積立、地金、ETFなど金にはいろいろな投資方法がありますが、どれが最もいい方法なんでしょうか。実は私は、純金積立を毎月やっているのですが。純金積立は少しコストはかかりますが、一番簡単で楽な方法ですよね。また、純金積立でも、「スポット購入」という方法で、タイミングを見て買いたい量の金を買うこともできます。要は少しずつ買っていけばいいんですよ。――私のやり方で間違っていないんですね、安心しました(笑)。個人的にも、今の日本の状況を見ると、やはり金を買っておいたほうがいいという気がするのは確かです。NY株の暴落が起きたら、手遅れになります。ただ、それまでにはまだ時間がありそうだから、金を買っておいたほうがいいと思うのです。若干の知識を持っている自分としては、やはり庶民の財布を守るということが自分の使命だと思っています。石田さんが言われた、「なぜ今『金』なのか」という問いの答えはそこにあるのです。――分かりました。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。いかがだっただろうか。林氏の語り口は率直で、知識人としての使命感を持って本の執筆や講演を行っていることに感動したインタビューだった。皆さんもぜひ、林氏の著書を手にとって読んでいただきたいと思った次第である。
2015年10月21日前回 に引き続き、リスクとリターンのお話です。リスクというのは、私たちが日常の中でイメージする危険という意味ではなく、投資の世界では「結果が不確実であること」を意味します。また、投資で得た収益をリターンといいます。リターンには、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。福山ショックで説明する2つの収益インカムゲイン(income gain)というのは、安定的・継続的に受け取ることのできる現金収入のことをいいます。定期預金の利子や株の配当金などがこれにあたります。家賃収入もインカムゲインです。キャピタルゲイン(capital gain)は、保有する株式などの価格が値上がりした時の収益のことです。先日、芸能界最後の大物独身男性と言われた福山雅治さんが結婚を発表しました。多くの女性ファンがショックを受けましたが、株式市場でも、「福山ショックが株式市場を襲った!」と話題になりました。2015年9月29日の東京市場は、8ヵ月ぶりに、終値で1万7,000円台を割り込む全面安だったというものの、結婚による影響は少なからずあったのではとみられています。福山さんが所属する芸能事務所アミューズの株は、2015年9月29日、前日比200円安の5,110円で取引が始まりましたが、売りが殺到して一時500円安の4,810円まで急落しました。翌日の株価は、前日の終値4,870円より310円高の5,180円に値上がりしました。もし、あなたが、4,810円で株を買い(実際には100株単位の売買になります)、5,180円で売ることができたとしたら、一株当たり370円のキャピタルゲインを得たことになります。安く購入して、高くなった時に売却して得られる値上がり益がキャピタルゲインです。また、売らないで、アミューズ株を保有し続けた場合、株主のあなたは、アミューズ主催のコンサートやイベント、舞台・映画・試写会などへの招待、オリジナルグッズなどが贈られる株主優待を受けられます。そして、1株あたりいくらという配当金が支払われます。これはインカムゲインですね。このように、株を保有すると、インカムゲインとキャピタルゲインを得ることができるわけです。もちろん株価が下がれば、キャピタルゲインはマイナスになることもあります。この2種類のリターン(収益)を合わせたものを「トータルリターン」といいます。株式は、会社の収益によってインカムゲインもキャピタルゲインも変動します。定期預金と比べると?定期預金の金利はインカムゲインです。定期預金は市場で売買したりはしませんので、キャピタルゲインはありません。定期預金の金利は、あらかじめ決まっているので、トータルのリターンもそれと同じで決まっていると言えます。このように、株式は、トータルリターンもリスクも高く、定期預金は低いことがわかります。この関係が、よく言われる「ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン」の原則です。資産クラスには、このほかに「債券」というものがあります。固定金利型の債券などは、ミドルリターン・ミドルリスクに該当します。債券については、次回お話しします。(岩城みずほ)
2015年10月19日「 どうして資産運用が必要なの? 」の続きです。「投資にはリスクがある」とよく耳にしますよね。その「リスク」という言葉に、あなたはどんな印象を持ちますか?先日、イギリス人の友人と話をした時のことです。彼は、投資を「リスク」「ギャンブル」という言葉で説明しました。インベスト=リスク=ギャンブルと理解しているのですね。昨年、日本でもスタートしたNISA(少額投資非課税制度)のお手本にしたのは英国のISA(Individual Savings Account 個人貯蓄口座)です。ISAの保有率は、国民の4割にのぼり、認知度はかなり高いと聞いていたので、イギリス人の彼でもそうなんだ、と私は少し驚きました。 以前のコラム でも書きましたが、「投資は怖い」というイメージを持っている人は、リスク=危険と思っているからなのですね。リスクは「危険」ではないたしかに、日常生活の中で「リスク」という言葉は「危険」と同意語で使われます。たとえば、よく使われる例ですが、「100回乗って100回事故を起こすタクシーと、100回乗ったら1回だけ事故を起こすタクシーなら、どちらのほうが、リスクが高いと思いますか?」という質問。さて、皆さんはどちらだと思いますか?恐らく、多くの人は、「100回乗って100回事故を起こすタクシーのほうがリスクが高い」と考えるでしょう。しかし、投資の世界で言う「リスク」は、「結果が不確実であること」を意味します。ですから、100回乗って100回事故を起こすタクシーは、100%確実に事故を起こすので、リスクはゼロ。100回乗ったら1回だけ事故を起こすタクシーは、いつその1回にあうかわからないので、不確実性が大きい、つまりリスクが高いということなのです。リスクとは振れ幅の大きさのこと、具体的には、投資の結果、得られる収益(リターン)のばらつきを指します。皆さんもニュースで、「今日の日経株価は、前日より145円12銭高い、1万8,171円60銭でした」というのを聞いたことがあるでしょう。株の値段は取り引き時間中、常に動いているんですね。上がったり下がったりしています。投資をすれば、期待以上に収益(リターン)を得ることもあれば、予想に反して損をする可能性もあります。明日の株価がどうなるのかは誰にもわかりません。リスクゼロの商品とリスクのある商品金融商品には、定期預金のように、「約束した期間保有すれば、利息のつくもの」があります。これらを「元本確保型の商品」といいます。リスクゼロの商品です。たとえば、商品Aが1年間で5%の利子のつく定期預金だとすると、100万円の元本は、1年後には105万円になります。リターンは5%です。 一方、Bという商品は、元本の100万円が、1年後に125万円になるかもしれないし、85万円になるかもしれません。元本を割る可能性があるというわけですね。この時、125万と85万円の平均は105万円と考えて、リターンは、Aと同じ5%になります。どちらもリターンは同じなのですが、Bの方は、リスクのある、つまり元本確保型ではない商品です。同じリターンなら、もちろんAのほうがいいですよね。しかし、残念ながら、今の定期預金の金利は、5%もありません。高いものでも0.1%くらいです。大変金利が低いので、100万円を200万円にするのに、約720年かかります。お金を増やすスピードを速くするためには、ある程度リスクをとる必要があります。一般的に、リターンが大きい商品は、大きなリスクがあります。お金を2倍近く増やすこともできるかもしれないけれど、半額になることもあるということです。リスクのある商品には、株式などがあります。株式は、長い期間持っていると、株式市場の平均的なリターンを結果的に得る確率は高まります。しかし、10年後に資産が2倍になっても、その翌年に半分になることもあります。もちろん、さらに上がる可能性もあります。将来どうなるかはわからないのです。ですから、資産運用をスタートするには、まず、自分がどのくらいリスクをとれるのかを考えなければなりません。リスクとリターンの話は、次回に続きます。(岩城みずほ)
2015年10月05日『投資バカの思考法』(藤野英人著、SBクリエイティブ)は、25年もの経験を持つファンドマネージャーである著者が、投資のプロとしての経験と知見、メソッドを凝縮させた書籍。ここで著者は、未来が予測できない時代だからこそ動いていくことが大切だと主張し、その手段として投資を勧めています。ていねいに世の中を観察し、客観的に物事を判断して、リスクを恐れず決断していけば、短期的には多少の負けがあったとしても、長期的には「勝ち続けることは不可能ではない」という考え方。とはいっても、投資を始めるのはなかなか難しそうです。しかし著者によれば、投資のハードルは下がっているのだとか。初めての投資の不安を解消するために、「投資を『ギャンブル』にしない資産運用5つのコツ」を見てみましょう。■初めての投資で知っておくべきことは?著者は、初心者の投資で大切なポイントは次の5つだと言っています。[1]すぐにはじめる[2]「手に汗をかかない額」を投資する(小さく)[3]情報をしっかり集める[4]一気に投じない(ゆっくり)[5]最低3年間は実践する(長く)各項目について、以下でご説明しましょう。■初心者の投資で大切な5つのポイント[1]すぐにはじめる本を読んで理論武装するよりも、とにかく、すぐにはじめた方が「株とはなにか」を理解しやすいのだとか。株式市場や経済の成り立ちについて「頭ではなく、肌で」感じることが大切だということ。そして投資をはじめたあとで入門書を通読し、全体像をつかむといいそうです。[2]「手に汗をかかない額」からはじめる1,000万円を投資してもドキドキしない人もいれば、10万円の投資で緊張する人も。「いくら投資しなければいけない」という絶対的な金額はないので、自分の保有金額や金銭感覚によって投資額を決めることが大切。[3]情報をしっかり集めるよい会社かどうかを見極めるためには、会社の情報を集めることが重要。そして投資先が決まったら、会社のウェブサイトをチェックし、次のことを確認すべきだといいます。・会社の理念に共感できるか(自分と相性がよさそうか)・「売上」や「営業利益」「当期純利益」などの数字が伸びているか・ウェブサイトに、社長や役員の顔写真があるか特に重要なのは「顔写真」。なぜなら自ら顔を出すことは、経営責任から逃げないという責任の表れだから。[4]一気に投じないたとえば10万円の株式を買うときは、一気にではなく、3ヶ月に分けて買うなどして、時間分散をすべき。たとえば毎月コツコツ一定の金額を投資していくと、相場の変動をある程度抑えていくことができるそうです。[5]最低3年間は実践する景気の1サイクルは「3~5年くらい」なので、その時間は投資を実践したいところ。また長期的に投資をした方が経験を蓄積できるので、リターンをあげる確率が高まるといいます。できれば、5年間続けるのが理想。相場循環は5~6年程度の動きをしているので、3年で手放すと「相場のピークの手前で買い、ボトムで売る」ことになりかねないからだそうです。*たしかにこうして確認すれば、投資は思うほど難しくはなさそうです。小さく、ゆっくり、そして長く。将来のため、本書を参考にしながら具体的に考えてみてはいかがでしょうか?(文/印南敦史)【参考】※藤野英人(2015)『投資バカの思考法』SBクリエイティブ
2015年09月26日三井住友信託銀行はこのたび、日興アセットマネジメントが運用する投資信託「日本郵政株式/グループ株式ファンド」の取扱いを10月5日から、三井住友信託銀行の全店舗並びにインターネットバンキング・テレフォンバンキングで開始すると発表した。○日本郵政など3銘柄への分散や定期積立による投資タイミングの分散を可能にする三井住友信託銀行と同社グループの日興アセットマネジメントとが協働し、11月4日に上場予定の日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)に少額(1万円)から分散投資できる投資信託を開発したという。日本郵政など3社は、経営基盤の安定に加え、ゆうちょ・かんぽ・郵便局の一体運営により、国民生活に密着した商品・サービスを展開するグループ企業群としての成長も期待され、個人投資家の関心が高まっているという。「日本郵政株式/グループ株式ファンド」は、上場時の株式売出しに応募し、新規公開株式への投資ニーズに応えるとともに、少額からの投資で、日本郵政など3銘柄への分散や定期積立による投資タイミングの分散を可能にすることで、幅広い顧客に投資機会を提供することを目指すとしている。三井住友信託銀行では、今後も商品開発や商品性改良に努め、顧客の期待に添えるよう努めていくとしている。○「日本郵政株式/グループ株式ファンド」の概要ファンドの特色(1)日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)を投資対象とする。当該3社の他にグループ会社の株式が新規上場された場合には、新たに投資を行うことがある(2)当該3社の上場にあたって、新規公開株式の取得を目指す(3)原則として、ゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険への投資割合は、それぞれファンドの純資産総額の35%を超えないものとする募集開始日:10月5日(月)設定日:10月15日(木)委託会社:日興アセットマネジメント販売会社:三井住友信託銀行10月16日(金)から11月2日(月)までの間は、ファンド休業日とし購入および解約の申込はできない。
2015年09月24日投資信託協会は11日、2015年8月の投資信託概況を発表した。それによると、8月末の株式投信の純資産総額は前月末比4兆1,940億円減の80兆975億円となり、2カ月ぶりに減少した。○国内公募投信の純資産も2カ月ぶり減少設定額は4兆226億円、解約額は2兆5,114億円、解約率は3.0%、償還額は335億円で、差引き1兆4,778億円の資金純増。流入超は9カ月連続となる。国内公募投信全体の純資産総額は前月末比4兆8,181億円減の96兆6,387億円と、2カ月ぶりの減少。設定額は8兆6,774億円、解約額は7兆7,902億円、償還額は335億円で、差引き8,537億円の資金純増となった。流入超は26カ月連続。公社債投信の純資産総額は前月末比6,241億円減の16兆5,412億円と、3カ月連続の減少。設定額は4兆6,548億円、解約額は5兆2,788億円、償還額は0円で、差引き6,240億円の資金純減となった。流出超は3カ月連続。内訳は、中期国債ファンドが17億円の純増、長期公社債投信が65億円の純減、フリーファイナンシャルファンドが96億円の純増、キャッシュリザーブファンドが308億円の純減、MRFが5,772億円の純減、MMFが209億円の純減となった。
2015年09月11日アクスビーはこのほど、海外投資や金融ファイナンス分野の英語に特化した新しい英語教育サービス「ファイナンスグロービッシュ」を開始した。○非ネイティブのための簡易英語=グロービッシュを活用日本では、低金利が続く中、海外での投資や運用を検討したいという人が増加している。しかし、その情報の多くは英語のため、なかなかスタートできない、あるいは仲介・専門会社に委託するといったケースが多いほか、海外金融機関では、現地の担当者と英会話ができないと口座開設さえ行えないという状況になっているという。アクスビーは、このような海外投資スタート時における日本人の英語の問題を解決するために、「非ネイティブのための簡易英語=グロービッシュ」を活用した海外投資のための新しい英語教育サービス「ファイナンスグロービッシュ」を提供することを決定。これにより、海外投資のための英語を実践的かつ効率的に学べるとしている。特徴は、(1)HSBC香港など海外銀行の口座開設における英語の質問に回答することができる会話術、(2)中学英語でフィナンシャルタイムズなどの海外金融メディアの70%ができるリーディング法、(3)世界の経済金融情報を理解するための基本共通英語300語の3つとなる。今後は、海外投資の専門家とも協力し、ユーザーの満足度を向上させる様々なサービスを提供していくとしている。
2015年08月25日○債券に投資するって、どういうこと?私たち日本の個人投資家にとって、債券投資の代表格は「個人向け国債」。個人向け国債の人気のピークだった2005、2006年には、2年連続で1年間の発行額が7兆円を超える規模にありました。なぜ、個人向け国債をはじめとした債券は、身近な投資対象なのでしょうか? その理由は、株式などとの仕組みの違いにあります。株式投資といえば、日々の値動きにハラハラし、しかも最終的にいくらになるか分からないという不安がつきまといます。一方、債券は国や企業などが投資家からお金を借りる手段です。それら借り手(債券の発行体)が、「○円借りました、その代わりに×%の利息をつけます」と約束した借用証書のようなもの。一般的な円建ての債券の場合は、償還日に元本が返ってくることが約束され、発行体が破綻するなど借金を返せないという事態にならない限り、満期まで保有した場合には損失は出ません。このように、債券は国や企業などの発行体が、破綻するなど資金を支払えなくなる事態にならない限り原則、満期時に元本の返済を約束してくれる点で、株式投資に比べてよりリスクが小さい投資対象といえます。○ところで、債券価格ってどう動く?債券価格はどう動くのでしょうか?判断材料として特に大切なのは、「利回り」です。たとえばある国が5年前に、利率5%で国債を発行していたとします。そして今、景気悪化などで政策金利が引き下げられ、新規発行の国債の条件も利率1%などとなっているとしたら、5年前に発行された国債の価値はどうなっているでしょうか。もし100万円を投資したとすれば、利率が年1%の新しい国債なら、利息は毎年1万円(税引前)が受け取れます。一方、5年前に発行された年5%のものなら、5万円(税引前)の利息が受け取れます。そうすると、5年前に発行した国債の値段は上がりそうですね。この例に見られるように、その国の金利全般が低下すると、過去に発行された債券価格は上がり、逆に上昇すると債券価格は下落します。発行体の信用力の変化など、債券価格に影響を及ぼす要素は他にもありますが、まずこのことを基本として押さえておきましょう。○債券価格はどんなときに上がるの?今、債券市場はどのような環境なのでしょうか?リーマン・ショック以降、米国をはじめとした主要先進国では、政策的に「利下げ」をしてきました。各国の政策金利の水準は、その国の債券利回りにも影響を及ぼすため、その結果として、多くの国の利回りが低下し、債券価格の上昇につながりました。債券の利回りと価格の関係債券は世の中の金利が低下すると、価格が上昇する特徴を持つことから、世の中の金利が低下傾向のときは、債券が優位な環境となります。足元、米国では、低金利に導いてきた金融政策から一転、景気の回復を背景に利上げへの準備を始めています。そうなると、金利は上昇し債券価格の下落につながるため、債券にとっては厳しい環境も想定されます。しかしながら、一般的な債券投資の収益の源泉は、値上がり益(キャピタル・ゲイン)に加え、利息収入(インカム・ゲイン)です。だからこそ、短期的な債券価格の変動を追うだけではなく、中長期的にじっくり継続して利息を受け取っていく付き合い方もあります。○債券ファンドでの債券投資って、どうなの?では最後に、単体の債券に投資する場合と債券ファンドに投資する場合との違いについて考えてみましょう。債券ファンドで投資をすると、運用のプロであるファンド・マネジャーの眼を通して、複数銘柄に分散投資できます。そのため、発行体がつぶれたり資金を支払えなくなるリスク(デフォルト・リスク)からの影響の軽減が期待できます。また、プロの投資家(機関投資家)にしか買えない銘柄にも投資が可能です。このように、債券投資で最も難しい、「どの銘柄がよいかの見極め」をプロがやってくれるところこそがファンドで持つ意義といえます。債券を債券ファンドで持つことの主なメリットプロが銘柄を選択し複数銘柄に分散投資することで、発行体が破綻するリスクからの影響の軽減が期待できる。プロの投資家(銀行や保険会社などの機関投資家)にしか買えない銘柄にも投資できる。●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ファンドベーシック」からの転載です。
2015年08月21日財務省は10日、2015年7月の対外および対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)を発表した。それによると、海外投資家による日本株への投資は2カ月連続の売り越しで、売り越し額は3,279億円となった。○国内投資家の株式投資、8カ月連続買い越し中長期債は3カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は1兆8,054億円。短期債は2カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は2兆5,812億円だった。国内投資家による海外投資について見ると、株式投資は8カ月連続の買い越しで、買い越し額は1兆2,022億円。中長期債は2カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は1兆9,679億円。短期債は2カ月ぶりの買い越しで、買い越し額は12億円だった。
2015年08月10日投資に関するアドバイザーは数多く存在しますが、『10万円から始める! 貯金金額別 初めての人のための資産運用ガイド』(内藤忍著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者による手法は、他の専門家とは大きく異なるのだそうです。なぜなら、イギリスの年金運用の手法をベースにしているから。しかもそれは、資産運用の知識がまったくない人でも再現できる方法なのだといいます。特徴は、過剰にリスクを取りすぎることなく、長期分散投資で着実に資産を増やせることだとか。しかし、そもそもなぜ投資をするべきなのでしょうか?コラム「投資をするべき『3つの理由』に、その答えを探してみたいと思います。投資はギャンブルと同じだと思われがちですが、両者には大きな違いがあるそうです。つまり投資は、新しい価値を生み出し、人生を豊かにする手段だということ。では、なぜ投資なのか?この疑問に答えるべく、著者は投資を始めるべき3つの理由を説明しています。■1:将来の生活基盤をつくる最初の理由は、資産を増やして将来の生活の安心を得るため。日本経済の不安定が続く今後に求められるのは、自分の資産は自分で守るという「自己責任」。少子高齢化が進むなか、老後の年金も医療費も、これまでのように国や会社のサポートを期待しづらい状況になっています。だとすれば当然のことながら、自分のお金は自分で用意しなければなりません。また、今後さらに円安になれば、円の価値が下落して日本人の生活水準が下がることに。そのときの対策として、外貨投資も考えておく必要があるというわけです。■2:投資は社会貢献にも次に注目すべきは、「投資は社会貢献にもなる」ということ。投資で得た利益について「あぶく銭」のようなネガティブなイメージを抱く人もいますが、それは正しくないと著者。なぜなら株式などに投資されたお金は、企業の経済活動に使われ、新しい価値を生み出すから。その結果、企業の価値が高まり、投資のリターンとなるということ。いわば投資の利益は、社会に価値が生み出されたことに対するご褒美。お金が社会で有効に使われたことの証明だということです。■3:投資を通じて自己成長そして3つ目の理由は、自己成長。資産とともに自分の成長できるのが、投資の大きなリターンだという考え方です。投資をはじめると、経済の動きやマーケットの変動に注意するようになるもの。そして「なぜ円高になったのだろう?」「どうして景気は悪化しているのだろう?」といった疑問が出てくることになります。そのような疑問を解決していくなかで得られるのは、経済や金融に関する知識。社会人として知っておくべき情報や知識を無理に勉強しなくても、投資について考えることによって、自然と自分で考えて解決できるようになるわけです。*こうした理由があるからこそ、日本人はもっと投資に対してポジティブになるべきだと著者は主張しています。投資の基礎を学ぶことができる本書、興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか?(文/印南敦史)【参考】※内藤忍(2015)『10万円から始める! 貯金金額別 初めての人のための資産運用ガイド』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015年08月10日「『投資』は、普通の人にこそ必要」と 前回のコラム で教えてくれた、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほさん。今回は、投資を始める前に知っておきたい「わが家は月々いくら投資に回すことができるのか?」についてお話ししてくれます。貯蓄を「生活防衛資金」と「余裕資金」に分ける「投資」は、余裕資金でするというのが鉄則です。「余裕資金」とはなんでしょう?明確な定義はないのですが、「当面使う予定のないお金」と考えていいと思います。銀行の口座に長く貯めたままになっているお金です。そのうち、以下のように、一部を生活防衛資金とします。予期せぬケガや病気で働けなくなった時など、もしもの時のために準備しておくお金です。会社員の家計では、月の生活費×6ヵ月分=生活防衛資金自営業者の家計では、月の生活費×1年分=生活防衛資金となります。なぜ、両者に差があるかというと、会社員は「傷病手当金」を受けられるからです。病気やけがが保障される会社員と、されない自営業者傷病手当金というのは、業務外の病気やけがで会社を休んだ場合、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。会社を休んだ日が連続して3日間あった上で、4日目以降、休んだ日に対して、1日につき、支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヵ月間の隔月の標準報酬月額を平均した額(※)の3分の2に相当する額が、最長1年6ヵ月日間支給されます。しかし、自営業者は傷病手当金が受けられないので、仕事を休めば無給状態になってしまいます。より多くの生活防衛資金が必要です。たとえば、生活費が30万円で、当面使い道の決まっていない預貯金が250万円ある会社員世帯の場合、生活防衛資金:30万円×6ヵ月=180万円余裕資金:250万円×180万円=70万円と考えます。月々で考えることもできます。可処分所得(税金や社会保険料を払ったあとの自由に使えるお金)が、月36万円の世帯の場合、生活費30万円を差し引いた6万円のうち、教育資金への貯蓄を5万円とした場合、残りの1万円が余裕資金となります。(生活防衛資金は貯蓄済みと仮定)「余裕資金」の使い方が未来の安心を生むさて、みなさんは、余裕資金を何に使いますか?前から欲しかった洋服やバッグを買いたい。旅行に行きたいなどなど、使い道はいろいろですね。でも、この余裕資金は、資産形成のために投資に回せるお金でもあるのです。今、働いて毎月入ってくるお金は、現在の生活費であり、これからかかる子どもの教育費のために貯蓄しておくお金であり、そして、老後のために貯めて行くお金でもあるのです。今、欲望を少し我慢することで、将来の安心と豊かさをつくることができます。まずは、自分の支出の状況を把握し、なるべくたくさん余裕資金を生み出すことが大切です。次回は、支出をどう意識していけば、家計を合理的にできるのか、とても簡単な方法をお話しします。(※)平成28年(2016年)4月1日より、傷病手当金の支給額の計算方法が変わったため、修正しました。(2016年4月12日)これまでは、病気やケガで仕事を休んだ直近の月の標準報酬日額をもとに計算されていましたが、支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヵ月間の隔月の標準報酬月額を平均した額で支給されます。1日あたりの金額=支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヵ月間の隔月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、以下の2つのうち、少ないほうの額で計算されます。・支給開始日の月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額・28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)
2015年08月03日○中国株急落と日本株への影響6月に中国株式が急落し、それと連動して日本株式も大きく下落しました。日本株式が下落した要因のひとつが、投資で損失を出した中国人が増えると日本で買い物をする観光客が減るのではという思惑が働いたからです。日本に来る外国人観光客の中でも中国人観光客は大きな割合を占めるため、日本株式への影響は大きなものになりました。○インバウンド消費年々日本経済に対する外国人観光客の影響力が高まってきています。2014年には1,341万人の外国人観光客が日本を訪れ、過去最高となりました。2004年は613万人だったので、10年間で2倍以上になったことになります。外国人観光客が日本で消費することをインバウンド消費といいます。外国人観光客の国内消費額も2014年に2兆円を突破し、ホテルや小売店にとってもはや無視できない存在となっています。ちなみに、2013年に日本で売れた化粧品の総額は約2兆3,000億円なので、インバウンド消費は化粧品市場と同じ位の規模になります。外国人観光客の消費は日本のGDPの0.3%を占め、成長率が1~2%程度の日本経済にとっても重要な存在となっています。○3つの理由で増加外国人観光客が増加した理由は3つです。 1つ目はアベノミクスによる円安で日本への旅行が割安になったこと、2つ目はアジアを中心とした新興国の所得が増加して海外旅行に行く人が増えたこと、そして3つ目はビザの発給条件が緩和されたことです。こうした経済・政策面での後押しもあり、今後も外国人観光客の増加が見込まれています。外国人観光客の消費が増えれば日本株式にとってもプラスとなります。日本株式にとって外国人観光客の存在はますます重要になってきそうですね。日本への外国人観光客とインバウンド消費の推移(期間:2010年~2014年)●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。
2015年07月29日大切なお金をいくら投資したらいいのか、迷うことも多いはず。どう判断すれば効率的なのかを考えてみましょう。○今回のポイント投資比率が小さければ、金融資産全体でみたリターンは小さい!「欲張らない投資」には、ある程度大きな金額で投資すべき。資産の一部に「欲張らない投資」を組み込めば、高リスクの投資を増やすことなくインフレへの備えが可能に!○「欲張らない投資」の目的って?「欲張らない投資」の目的は、インフレから資産を守るということ。だから、政府・日銀が目指す2%のインフレ目標に勝てたらよいのです。そのためには、大きく上下するものではなく、ゆったりと2~4%のリターンを期待するタイプのものが適しています。○「多い」「少ない」どっちがいい?仮に1,000万円の預貯金があったとすると、物価が2%上昇した場合には、20万円分のお金の価値が目減りしたことになります。この目減り分を補うために行うものが「欲張らない投資」です。では、2つの方向から考えてみましょう。まず1つめが、右図Aのように、大きくリターンを期待できる半面、リスクが高い日本株式に投資した場合。2つめが、右図BのようにAの投資に「欲張らない投資」を加えた場合です。リスクが高い資産へ投資する場合、投資に二の足を踏んで、Aのように投資金額が小さくなりがちです。資産のうち10%しか投資しなかった場合、金融資産全体で考えたリターンはたったの1%。しかし、「欲張らない投資」にも40%投資した場合には、リターンは1.8%~2.6%になり、インフレに勝つことができました。このように、大きなリターンを狙って投資に二の足を踏むより、「欲張らない投資」にある程度の金額で投資したほうがより効果的にインフレへの備えができそうです。金融資産全体でとらえるリターンのイメージ(※日本株式:TOPIX(2013年12月30日~2014年12月30日))(※預金金利:預金額1,000万円以上・預入期間1年(2015年5月25日現在))(※リターンは年率)(※上記はイメージ図です。)●ピクテ投信投資顧問が提供する、「「欲張らない投資」のススメ」からの転載です。
2015年07月27日不動産投資には「難しそう」というイメージがありますし、実際問題、興味があったとしてもなかなか一歩を踏み出せないもの。しかし、『不動産投資は地方に一棟買うことからはじめなさい!!』(竹居百合子著、総合法令出版)の著者は、そうは考えていないようです。■仕事の空き時間で不動産投資2006年から不動産投資をはじめ、今年で10年目になるという人物。現在の所有不動産はアパート・マンション8棟、戸数は100戸、家賃収入は6,800万円ほど。8月末には、総資産は6億4,500万円になる予定だというから驚き。しかも注目すべきは、著者が「特別な人」ではないという事実。2年前に独立するまでは23年間サラリーマン生活を送り、仕事の空き時間を利用して不動産投資をしてきたというのです。そんなことが本当に可能なのかと思いたくもなりますが、物件の選び方を間違えず、しっかり管理すれば、不動産投資は失敗する可能性がとても低いのだそうです。■成功するためのシンプルな法則ちなみに、不動産投資で成功するためのシンプルな法則は、次の3つ。(1)稼げる物件を探す(2)融資の審査をうまく通す(3)きちんと管理する本当にこれだけだけれど、この3つのことをするために、多くの人は時間を浪費しているのが実態。でも、「不動産投資は時間がなくてもできる」という認識を持つことが大切なのだそうです。■足りない時間をうまく使うコツとはいえ、「でも時間がない」という人は少なくないはず。そこで著者がオススメしているのは、お昼休みをうまく使うこと。意外にも思えますが、著者もお昼休み1時間のうち30分で不動産会社や管理会社、銀行と連絡をとってきたのだといいます。管理業はそれぞれのプロに任せ、大家である自分自身は、管理会社、修繕会社、清掃会社などをマネジメントするだけ。このやり方で、不動産投資をはじめて3年半で資産が億を超え、その後も徐々に増やすことができたのだとか。■不動産投資で最初にすべきことただし本書は、無責任に「いいこと」ばかりを並べ立てているわけではありません。つまり、たしかにお昼休みの30分を利用するだけで、一生困らないお金をつくれるけれど、「その前にすべき大切なこと」があるともはっきり述べているのです。それは、まとまった金額の頭金、つまり自己資金を用意すること。なぜなら銀行からは通常、物件価格の1~3割にあたる頭金を要求されるから。頭金ゼロ、全額融資の「フルローン」で買う人もいますが、初心者にとってこれは非常に危険な投資なのだそうです。だからこそ、安全に不動産投資をするなら、まずは自己資金を貯めることが大事だということ。たとえば3,000万円の物件を購入するなら、最低でも500万円くらいの頭金は必要だと考えるべきだといいます。*考え方が現実的で、説明も具体的なので、読んでみれば不動産投資が必ずしも手の届かないものではないことがわかるはず。将来のために、考えてみるのもいいかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※竹居百合子(2015)『不動産投資は地方に一棟買うことからはじめなさい!!』総合法令出版
2015年07月20日みなさんは、「投資」にどんなイメージを持っていますか?「怖い」「難しそう」「投資ってギャンブルよね」「誰かが得をすれば誰かが損をするゼロサムゲーム」「まともな人のすることではない」「投資はお金持ちがするもの」などなど。中には、「祖父の代からの家訓で、投資には絶対に手を出すなといわれています」という人もいましたよ。投資ってブラックなイメージがあるようですね。でも、そんな時、私はこう答えます。「あなたが思っているのは、投資ではありません。投機です」と。投機とは、つまり、ギャンブルです。ギャンブルは、勝つか負けるかわからない。結果に法則性がありません。運です。結果をコントロールすることは誰にもできないのです。パチンコ、競馬、競輪そして宝くじなど、「今度こそ!」と夢見て、お金を投じますよね。投資の結果はある程度コントロールできる「投資」はギャンブルではありません。偶然性に賭ける「投機」と違って、「投資」の結果には、ある程度の法則性があり、結果をコントロールすることができます。 第1回のコラム でお伝えしたように、「会社にお金を使わせてあげる」というのは、「将来有望な会社の株式を持つ」ということです。株主になることですね。言い換えれば、モノやサービスを作り出す会社のオーナーになることです。価値を生み出す会社の株を長期保有することで、その会社が成長し、あなたのお金も増やすことができるのです。これを「長期投資」といいます。一方、「短期投資」というのもあります。これは、株を売ったり買ったりして、株の値動きにかけて儲けようとするものです。デイトレードと言って、一日中株価をウォッチして、タイミングをみて売買するので、子育てやお仕事に忙しいママには難しい取引ですね。また、FX(外国為替証拠金取引)も、女性に人気があるようですが、これは、外国為替を使って短期の取引をし、円と交換する時の値段の変動と、金利で儲けようとするものです。為替自体が付加価値を生み出しているわけではないので、こちらも投機の対象だと思います。「投資」は、普通の人にこそ必要みなさんに今後ぜひして欲しいのは、月々の収入から少しずつ、長い期間をかけてコツコツ積立投資をすることです。できるだけ安定的にお金が増えていくように運用していきます。そのためには、何にどう投資していくのかが重要になります。どういう金融商品を持てばお金を安定的に増やしていけるかはこのコラムでお話していきますが、「資産運用をしていこう!」と決めたからと言って、勧められるままにファンドや個人年金保険などを買わないでくださいね。どういうしくみなのか、なぜお金が増えるか(儲かるのか)を理解できない商品や、「あなただけ特別に」などと、耳元でささやかれた時には手を出してはいけません。自分で理解できて、必要だと思う商品を持つことが大切です。そして、「投資ってお金持ちがするものでしょう?」と思っているあなた。お金が十分にある人は、むしろお金を増やす必要なんてありませんよね。「投資」は、普通の人にこそ必要なのです。少しずつコツコツと買っていく「積立投資」で、会社の成長を買って、のんびり資産形成をしていきましょう。次回は、「投資」をスタートするその前に、あなたの家計と支出について考えてみましょう。
2015年07月20日技術評論社は15日、書籍『空き家は使える! 戸建て賃貸テッパン投資法』を発売した。著者は不動産投資家のサーファー薬剤師氏、価格は1,580円(税別)。○戸建て投資の魅力を伝授現在、日本では住宅の7~8戸に1戸は空き家となっている。しかし、このような空き家のうち実に7割以上が活用可能な状態にあるという。著者は空き家を中心に戸建て物件投資を行っており、現在は千葉県に7戸の戸建てを所有し、購入価格は1戸当たり平均318万円、平均表面利回りは24%を誇る。本書では、不動産投資に興味がある人や一棟物・区分物件の投資家などに対し、戸建て投資の魅力とノウハウをわかりやすく紹介している。主な内容は、「第1章 戸建て投資はいまがチャンス! そのワケは?」「第2章 戸建て物件購入記&物件の強みと弱み」「第3章 テッパンの戸建て物件はどこにある?」などとなっている。著者のサーファー薬剤師氏は1980年東京都足立区生まれ。薬科大学卒業後に薬剤師免許取得。オーストラリアにワーキングホリデーに行った後、帰国し、パート薬剤師のかたわら、輸入販売を手がけるが挫折。その後、著名不動産投資家の石原博光氏に出会い、不動産投資の勉強を始める。2012年に第1号の物件を取得。現在、大手不動産投資ポータルサイト「楽待」にコラムを掲載している。
2015年07月15日