『ひとよ』『おらおらでひとりいぐも』などの名優・田中裕子を主演に迎えた『千夜、一夜』にて、尾野真千子、ダンカン、安藤政信ら日本映画界屈指の実力派俳優陣の追加キャストが発表となり、併せてメインビジュアルと30秒予告が解禁された。本作は「失踪者リスト」から着想を得て、その事象に興味を持ったドキュメンタリー出身の久保田直監督が青木研次のオリジナル脚本により映画化。日本映画界を代表する名優・田中裕子が、夫の帰りを待ち続けるひとりの女性の強さや脆さを繊細に体現する。この度、物語に深みをもたらす実力派俳優陣の追加キャストが明らかに。田中さん演じる登美子とは対照的な女性・奈美を熱演するのは尾野真千子。登美子に想いを寄せる漁師の春男をダンカン、失踪した奈美の夫・洋司を安藤政信が演じる。併せて解禁された30秒予告は、「日本の年間行方不明者数、約8万人」という衝撃的なナレーションで幕を開ける。舞台は北の離島の美しい港町。登美子(田中裕子)は理由も分からず突然姿を消した夫の帰りを30年間待ち続けている。登美子に想いを寄せる漁師の春男(ダンカン)が「心配だから面倒を見させてくれよ」と言い寄るも、登美子は突き放し、その気持ちに応える様子はない。そんな登美子のもとに、2年前に失踪した夫・洋司(安藤政信)を探す奈美(尾野真千子)が現れる。奈美は自分のなかで折り合いをつけ、前に進むために「夫がいなくなった理由が欲しい」のだという。そして、夫の背中を追う登美子、奈美が扉を開けた先に立っている男性の後ろ姿、海へ入っていく登美子を追う春男など、印象的なシーンが次々と映し出されていく。「人はどれだけ愛した人のことを解っているのか」というナレーションが入り、最後は登美子が空を見上げる表情を捉えたシーンで締めくくられる。併せて解禁されたビジュアルでは、登美子が海辺の桟橋に座り、最愛の人の帰りを待ちながらどこか遠くを見つめている写真に、「帰ってこない理由なんかないと思ってたけど、帰ってくる理由もないのかもしれない」という、予告映像にもある劇中の登美子の台詞が添えられている。そして、尾野さん、ダンカンさん、安藤さんらの場面写真も配され、複雑な人間の感情と本質をあぶり出すドラマを想起させるビジュアルとなった。『千夜、一夜』は10月7日(金)よりテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:千夜、一夜 2022年10月7日よりテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開(C)2022 映画『千夜、一夜』製作委員会
2022年07月17日スターダスト☆レビューのボーカル・根本要(かなめ)「僕が『週刊女性』に初めて触れたのは、病院の待合室です」そう話すのは、『木蘭の涙』や『今夜だけきっと』など、数々の名曲で知られるバンド・スターダスト☆レビューのボーカル・根本要(かなめ)だ。小学5年生が「人生の転機に」「もともと、親父が勤務医でおふくろは看護婦長をしていて、あまり家にいなかったので、家でおとなしく過ごせるようにと、小さいころからマンガを与えられていました。父が開業医になってからは、暇なときは待合室で過ごすようになり、そこに『週刊女性』もあったので、幼いながらもたまに目を通していましたよ」小学5年生だった根本に、早くも人生の転機が訪れる。「僕は、兄2人と妹1人の4人きょうだいなのですが、兄たちが音楽好きだったので、僕もその影響を受けていました。そして、男兄弟3人が一緒に遊べるようにと、両親がギターを買い与えてくれたのが、僕が小学校5年生くらいのとき。それが、人生の転機でしたね。たまたまそのときに兄たちが受験だったことで、ギターを独り占めできたことも大きかったです」バンドを組むようになったのは、中学2年生。「バンドのコンテストにも出るようになったんですが、これが意外と勝っちゃうんです(笑)。当時いちばん大きかったのが、ニッポン放送の『フォークビレッジ』というコンテストでした。そこで、全国大会まで進出しちゃって。それも、友達が僕らのバンドが学校で歌っているのを録音して、勝手に応募していたんです」自らの曲がラジオで流れていたことも、後から知らされたという。「友達に“君らの音楽が、昨日ラジオで流れたんだよ”と急に言われて、録音されたカセットを聞いたら、かまやつひろしさんが“中学生だなんて信じられないよね”なんて言いながら、僕らの曲をかけていたんです。本当にびっくりしました」そこから勝ち進んでいき、日比谷野外音楽堂で行われる決勝に進出した。「決勝が行われたのが、高校に入学した2日目くらいのことでした。でも、学校を早退しないと参加できなくて。僕の学校は、埼玉県の中でも優秀な進学校だったこともあり、早退の許可がおりず……」これを悔やみ続けていた人がいて「7、8年前に高校の同窓会があり、当時の担任の先生が声をかけてくれました。“活躍は見ているよ。実は本当に悔いていることがあって、僕はあのとき早退を許可しなかったよね。あれがずっと心に残っていたんだ。本当にすまないことをした”と。でも僕は“先生、大丈夫です。あの日欠席して(コンテストに)行っちゃいましたから!”って(笑)。 先生も笑って許してくださいました」しかし、プロになることを目指してはいなかった。「僕はとにかく音楽が大好きで、当時も今もそれは変わりません。プロとアマチュアの違いは“お金を稼ぐかどうか”ですが、家が病院だったので“俺くらいは養えるだろう”って(笑)。でも、“実家で生活するからには何か手伝わないと”という感じで、バイト代わりに両親が近所に往診に行く車の運転手をしていました。とにかく暇があれば色んなバンドに参加しながら、いつのまにかプロになっていた感じです」根本がデビューしたのは、実はスターダスト☆レビューが初めてではない。「大学のころも、あちこちのバンドで歌っていました。ある日、ライブが終わって家に帰ると、音楽プロデューサーを名乗る男性から“君、歌ってたバンドの子だよね?”と電話があったんです。でも、当時のバンドでは僕はリードボーカルではなく、セカンドボーカルだったので、その方に“僕じゃない方では?”と答えました。すると、“背の小さいほう”と言われたので“それなら僕です”となって(笑) 。そして“映画をやるんだけど、曲を書いてみないか”と言われました。それが『がんばれ!!タブチくん!!』という映画だったんです」そして、映画のための架空のバンド『クレイジー・パーティー』で、曲だけでなくシンガーとしてデビューを果たす。「その映画が第3弾まであり、第3弾の曲を作ったのが大瀧詠一さんでした。大瀧さんとは、そこから10年後くらいに初めてお会いすることができたのですが、当時の曲が収録された大瀧さんのアルバムでは“ずいぶん声の高い人だなと思ったけど、実はこのボーカリストは『スターダスト☆レビュー』の根本要くん”と僕のことも紹介してくださいました」スターダスト☆レビューとしてのデビュー「まだアイドル全盛の’81年にデビューしました。でも“プロ”という気持ちはまったく持てませんでした。だって、全然売れなかったですからね(笑)。当時の給料は8万円なのに家賃が7万2千円でしたから、両親からの仕送りで生活をしていました」両親のおかげもあり、お金に困ることはなかった。「アルバイトもしたことがないんです。ただ、プロになる前にお世話になっていた楽器屋さんがあって、突然バイト代をいただいたことがありました。いつも楽器を弾かせてもらっていたので、お店にお客さんが来たらとりあえず僕が対応していたのですが、“今月よくやってくれたから、バイト代払うよ”と。最初は断ったのですが、結局それを頭金にして、その店で僕が欲しかったギターを買わせてもらったんです」その後プロになり、売れないながらも好きな音楽をやれることに幸せを感じていたが、なかなか結果に繋がらず……。「僕らのデビュー曲『シュガーはお年頃』の期待が大きかったのでしょうね。特殊な音楽感を持ってましたから。でも全然売れない。それでもスタッフは僕らを信じて懸命にプロモーションしてくれる。それでも“売れない”。情けないバンドだと思っていました。デビュー当時から、“スタッフを安心させるために売れたい”という気持ちはありましたね。それでも、売れないんです、本当に(笑)」“売れていない”ようには見えないけれど……。「たしかに、アルバムはチャート2位に2度入ったことがありましたが、シングル曲でベストテンに入った曲はない。ライブは結構話題になっていたから武道館3日間とかもやりましたが、埋まったことはなかったですね。’87年に初めて武道館をやったのですが8割くらいの集客で、そのくらい入るなら2日間やろうって。その調子で結局3日間。スタッフは“スタ☆レビはライブで大きくしよう”と言い続けて頑張ってくれていたから、はた目には売れているように見えたかもしれません(笑)」はじめはコンプレックスがあった「自分の歌声が嫌で嫌で仕方なかったんです。でも“自分で曲を書いているから、自分で歌わないと”と思ってやり続けて、デビューして7~8年たったら“スタ☆レビはボーカルがいい”とも言われるように。それまでは、下手くそで申し訳ないって思っていたくらい」その後、デビュー20周年を迎える’01年に所属事務所から独立した。「それまでは『アップフロントエージェンシー』という、モーニング娘。などが所属している事務所にいました。最初はスタ☆レビと堀内孝雄さんとばんばひろふみさんしかいなかったのですが、その後森高千里さんやKANちゃん、シャ乱Qなどがガンガン売れて、それでも僕らは蚊帳の外で(笑)。“もう20年も所属しているし、この先は自分たちのやり方でスタレビを運営しよう”と、社長に言って独立させてもらいました」独立をきっかけに、大きな変化が。「音楽のことだけを考えていけるようになりました。それまでは、売れるためのことを考える必要がありましたが、独立して初めて、スタッフも僕らのことだけを考えてくれるようになった。もちろん、独立する前もマネージャーさんやスタッフから愛情をもらっていましたが、事務所にはたくさん売れている人がいたからそういう人のケアもしないといけないし、僕らもそれが当たり前だと思ってましたから」楽曲も変わっていった。「“今の自分たちをストレートに”を歌おうと思うようになりました。それまでは、やりたいことをやりながらも、どこかで売れるための曲を考えていたんでしょうね。独立してスタッフとミーティングを重ね、売れることより“これがスターダスト☆レビューだから”という曲を作ろうと」そして、バンドは40周年を迎えるほどになり、ついには“売れたくない”という境地にたどり着いた。「今が僕らにとっていちばん幸せだから、変に火なんかついちゃったら大変(笑)。このくらいがちょうどいい。僕らより売れながら40年解散していったバンドをたくさん見てきました。でも、僕らはこのバンドが好きだから、もっと継続させたい。僕らが40年続いたいちばんの理由は、売れなかったことかもしれない。だったら、このままでいたいなと。スタッフも含めて、すごく幸せに音楽をやれています」そんな幸せな環境で、最も力を入れていること「音楽は、聴いてくれる人がいるから成り立つわけですが、CDが売れることもその指標のひとつ。ですが、聴いてくれる人をダイレクトに感じられるのはやっぱりライブです。だから、僕はとにかくライブがしたくて。今回のツアーは、40周年ということで、1年4ヶ月かけて102公演、全国を回りました」並大抵じゃない公演数をやり遂げるには、相当な努力が要りそうなもの。「ライブ後に疲れきってしまったり、歌が最後まで歌えなかったりしたら、“あれ、体力足りてないのかな”と思いますが、それを解消するための行動は、僕にとって努力でもなんでもないんです。だって、とにかくライブがしたいから。最近では、暇があると嫁さんとウォーキングに行ったり、ストレッチをしたりしています。気をつけなきゃいけないことはこれからもっと増えるかもしれませんが、年齢とうまいこと付き合っていくのがいちばんいいかな、と思っています」それは、体力においてだけではない。「もちろん喉の変化もありますから、30歳のころの歌をそのときと同じようには歌えません。でも、30歳のころに歌えなかった歌を今歌えるようになるのなら、そのほうがいいなと思うんです。“今の声でどれだけ僕らの音楽を伝えていくか”を考えていて、ダメになる部分をダメなものとするのではなく、うまいこと装飾して見せようとしています。そのほうがお客さんも納得してくれますしね。それがただの劣化として扱われたら、僕らのお客さんはいなくなると思いますし」では、そこまでライブにこだわるのはなぜか。「僕らにはそれしかなかったからです。レコードが売れるわけでも、テレビに呼ばれるわけでもありませんでしたから。ミュージシャンとしてのプライドを保つためには、とにかくライブをやることだと思いました。それで“とにかくライブを入れてくれ”とお願いして、1年中ライブをやるようになりました。でも、もしヒット曲が出ていたら、違っていたかもしれません。テレビや取材に忙しく、そこからツアーをやって、さらに短期間で次のアルバムを作って……とか」スタ☆レビのツアーは「年単位」「売れているアーティストのツアーは3か月くらいですが、僕らは1年以上。アルバムのツアーって、そのアルバム曲を中心に演奏できるんです。僕らはツアーが長いぶん、そのアルバムのことを噛みしめていられるから、そのおかげでライブをさらに楽しめるようになりました。ほかのミュージシャンにも、長期間のツアーをやったほうがいいって伝えたいですね(笑)」それだけこだわってきたライブも、コロナ禍であり方が変わってしまった。「ライブを見ない人にとっては、たしかにライブ会場って飛沫や感染経路の温床のような気がしますよね。でも、音楽業界は感染対策のガイドラインをしっかり作って、ライブ会場は安心できる場所なんだというのをみなさんに知ってもらおうと頑張っています。僕らもそうです。まだ声を大にして“ぜひおいでください”とは言えないけど、ライブを自分の心の糧にしてくれているような人のためにも、しっかり感染対策しながら地味に(笑)やっていこうと思っています」それは、スタッフのためでもある。「舞台や照明、楽器や音響のスタッフは専門職なので代わりがいないし、スタッフに食いつないでもらわないと、このあと僕らが動けなくなってしまいますしね。とにかくスタッフに元気でいてもらうために、という気持ちもありました。コロナが収まってから大々的にライブをやるほうが、お客さんは入るかもしれませんが、休んでいる期間にスタッフも機材も潰れていくんです。それだけは避けたかった」感染対策をしていても楽しめるよう、演出にもこだわりが。「スタ☆レビのライブはもともと、お客さんも一緒に歌って楽しむ場でした。それができなくなってしまったので、とにかくみんなにいつも以上に楽しんでもらえるように、“お芝居にしてしまおう”と。僕らの音楽とお客さんの拍手を武器に、エイリアンと戦うという設定で、最後にはエイリアンをちゃんと倒すんです(笑)。こういうときだからこそ楽しめることをやりたいと思って、休憩時間を作り換気をしながら撮影自由の時間を作ったりもして。マイナスから始まっているなら、それをなんとかプラスにしようとアイデアを出し合いました」スタ☆レビのライブの醍醐味は、根本のMC「たしかに“スタ☆レビはトークがおもしろい”と言われたけど、しゃべりに自信があるわけでもなく“俺はおもしろいのか……?”と(笑)。でも、“褒めてくれるならしゃべりももうちょっと頑張らないと”という気になりました。人に言われて気づかされた感じですね」MC力は、芸人たちの近くで鍛え上げられた。「30年ほど前に、大阪のMBSラジオ『ヤングタウン』を笑福亭笑瓶さんと野沢直子さんと3人でやっていて、そこでトークを学びましたね。普通のことを話していても、空気や呼吸で、思わず笑わされてしまうんですよね。それを見て、“これがおもしろいということか”と。笑瓶さんと野沢直子さんは、その点において天才的だと思います。僕はただ笑っているばかりでしたが、そこでMCが成長したのかもしれません」では、音楽のルーツはどこにあるのか。「子どものころは、ビートルズやラジオから聞こえてきた洋楽に魅了され、ギターを始めたころはエリック・クラプトンの影響で白人ブルースに憧れました。高校のころ、山下達郎さんやはっぴいえんどの日本語のポップスに出会い、服部良一さんのメロディーに衝撃を受けて、さらにオリジナルを作り始めたころは桑田佳祐さんの影響は大きかったですね。ファーストアルバムは、サザンオールスターズみたいなものをつくろうとしていたくらい(笑)。あるとき、山下達郎さんと桑田さんと、ミュージシャンの杉真理(まさみち)さんと僕で、もつ鍋を食べに行ったことがありました。夜の6時か7時くらいから始まって、最後は桑田さんのご自宅に行き、終わったのが朝の6時くらい。その間、ずーっと音楽の話をしていました。みんな音楽オタク(笑)。あんなに楽しい時間はありませんでした」プロになってからお世話になっている小田和正さん「プロになってからいちばんお世話になっているのは小田和正さん。とにかく声のコントロールが抜群で耳がいい人。“鼻歌ですら”揺るぎないピッチで歌ってくれます(笑)。初めてお会いしたのは、’96年の熊本でのオムニバスの野外ライブでした。そのときに“スタ☆レビがトリをやってくれ”と頼まれました。理由を聞いたら、そのときの小田さんはバックバンドを連れていかず、“最後が弾き語りだとお客さんは喜ばないだろう”と。その流れで、僕らがトリの小田さんのバックバンドをやることになり、『オダ☆レビ』というユニットが始まりました」小田が20年以上にわたって続けている音楽特番『クリスマスの約束』(TBS系)、通称『クリ約』でも多く共演している。「『クリ約』は何年も出させていただいていますが、勉強になることばかり。音楽がどうやったらよりよいものになるかという取り組み方も素晴らしいですし、オリジナルへのリスペクトを崩さずに“小田流”に仕上げていくところも素晴らしい。誰もが、誰かの影響を受けて音楽を始めているわけですから、そういう人たちにどれだけの敬意を持って音楽ができるか。敬意がない人たちの音楽は“ただ売れればいい”という音楽にしか聞こえません。自分が聞いてきた音楽に対するリスペクトがあったうえで、自分なりに新しく作る。小田さんの考え方には、いつも学ばされますね」それを間近で見ている根本は、自身の楽曲がカバーされることはどう感じるのか。「『木蘭の涙』はたくさんの方にカバーしていただいていますが、なかには“あれ?オリジナルを聴いたことないのかな?”ってカバーもありますよね。やっぱり原曲へのリスペクトはとても大切だと思います。最初にカバーしてくれたのは佐藤竹善とコブクロ、最近も鈴木雅之さんが歌ってくれていますが、僕よりうまくて困りました(笑)。原曲はバンドでの演奏ですが、アコースティックバージョンがよく歌われます。あれは『クリ約』で小田さんから、“シンプルにピアノだけで俺と2人でやろう”と。それがきっかけで『木蘭の涙』のアコースティックバージョンが生まれました。小田さんとの『木蘭の涙』に新しいスタ☆レビが見えました」スタ☆レビ根本が目指す野望「芸能界とか音楽界において“売れる”というのは1つのキーワードです。でも、“こうすれば売れる”とか、“こういう曲を出せば売れる”という鉄則はなく、運とか結果でしかありません。なのにそこに命がけになるのは、僕はどうしても解せない部分があって。“とにかく音楽が好きだから売れなくても続けていきたい”そんなミュージシャンだっているはず。だからこそ、僕らみたいなバンドが堂々と“全然売れてないけど、全国にお客さんがいるぞ”と活動するのも、音楽業界に提案できる1つのあり方だと思っています」それには、“ヒット曲”への考え方が影響している。「僕らは全国のホールでちゃんとお客さんが入るようになったけれど、本当にヒット曲はないんです。でも長いこと歌っていると、世の中の人が勝手にヒット曲のように感じちゃうらしく、実際は『木蘭の涙』だって20位くらいで、『今夜だけきっと』は50位にも入ってない。だから最近は“ヒット曲でもないのに知られてる曲がある”って自虐的に言ってます(笑)。本当にヒット曲のないバンドなんです。でも、世の中の人たちはそこに価値を見出す。ありがたいことに今回こうやってインタビューしてもらっていますが、僕らはただのマニア向けバンドかもしれません。でも音楽は、マニアックに聞いてくれたほうが、それまで知らなかった音に出会えたりするんですよ。僕自身も“もっとマニアックに音楽を聴こう”と思います。時代と共に薄れる曲よりは、“あなたの中でのヒット曲を作ろうよ”と。売れた曲を“ヒット曲”と呼ぶより、心を叩いてくれた曲を“ヒット曲”と呼んでほしいですね」だからこそ、“売れそうな曲”ではなく“やりたい曲”をつくり続ける。「だからといって、お客さんを無視するんじゃなくて、“僕らがやりたい音楽はコレ。でもこれをどうやったらお客さんが楽しんで聞いてくれるんだろう?”と、いつも考えてます。“コレ絶対売れるでしょ”という曲は作ったことがないし、作れるとも思っていません。僕らの意思の中から出てきた音楽を、どうやったらお客さんは喜んで聴いてくれるのか。ライブも含めて、自己満足にならないよう、絶えずお客さんを意識しています」最終的な野望は……。「“あんまり知られてないけどあのバンドはお客さん入るよね”というようなことをやり続けて、“売れないけどスタ☆レビみたいに40年食えるならいいじゃん”と思ってくれる人たちが出てくれたらいいなと思います。昔“渋谷系”というジャンルがありましたが“スタ☆レビ系”みたいな(笑)。“スタ☆レビ系”っていうのもなんだかおこがましいから“継続系”“地味系”かな。そういう後輩バンドが出てきてくれたらうれしいですね」
2022年06月04日舞台「今、出来る、精一杯。」の小説化を記念して、ananで4週にわたり掲載された連載「根本宗子の妄想スイッチ」の特別対談をまとめてお届けします!ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」主宰。劇団公演で3度にわたり上演された『今、出来る、精一杯。』の小説(小学館)が好評発売中。自身初の長編小説の書き下ろし作品となった。いとう・まりか1996年生まれ、大阪府出身。乃木坂46の1期生として活動し、卒業後は俳優に。主演作に映画『サマーフィルムにのって』ほか。年内公開予定の根本さんの同名舞台を映像化した映画『もっと超越した所へ。』にも出演。舞台が上演された当時を振り返る。伊藤私が2019年に出演させていただいた舞台『今、出来る、精一杯。』が小説化されるとのこと、おめでとうございます。今回、その特別対談に呼んでいただけて光栄です!根本こちらこそありがとう。じつは、連載スタート以来、ゲストを迎えるのは初めてなんですよ~。伊藤今日これだけは根本さんにお伝えしたいと思っていたんですが、舞台『今、出来る、精一杯。』は私にとって大切な作品なんです。当時の私は乃木坂46を卒業して、自分が一体どこに向かえばいいのかまだ模索しているときに与えてもらった作品と役柄で。それまでの私は、自分の中にある“言葉”をどうやって出せばいいのかわからなかったんですけれど、この篠崎という役を通して、自分の感情をぶつけることができました。すごく自分にしっくりきましたし、この作品があって、今後自分はこういうことをやっていきたいんだってはっきり見えました。今でもたまに自分が迷ったりすると、当時の台本や資料を引っ張り出して見ることがあるくらいです。根本私がこれを書いたのが23歳のときで、当時の万理華ちゃんと同い年。私にとってもひとつの分岐点になった作品で、演劇への初期衝動みたいなもので書いたから、今読むと粗削りな部分もあるけれど、その時期にしかない勢いも感じるんだよね。自分が若いからこそやれていたことを、再々演で新しい若い人たちの力を借りてやってみたかったっていうのがあって。伊藤じつはグループにいた頃から、周りの人に「根本さんの作品に合うと思うよ」って言われていて、その後、少しですけれど舞台を拝見したりもしていました。ただ、私が出演させていただくなんておこがましいって思いがありました。根本まだグループにいたときに舞台に出ている万理華ちゃんを拝見したことがあって。とても魅力的なのに、自分は舞台に向いていないんじゃないかって思いながら立っているのを感じて、もっと続けてほしいなっていうのがあったのがひとつ。もうひとつは、篠崎は意志がなさそうでいて後半に向けてどんどん我の強さが出てくる役だから、自分の中に“私はこれを信じて生きていく”っていうものがある人がいいなと。万理華ちゃんは自分でものを作る人だし、こういう役に興味を持ってくれるんじゃないかって直感的に感じたんです。伊藤本当に何もかもが新鮮で、あんなにのびのび演じられたのは初めて。自分の中で舞台の概念が大きく変わりました。この経験がなければ今の自分はないかもしれない。大事な分岐点にある作品が本になるのは、自分のことのように嬉しいです。小説化の経緯と難しさ。伊藤今回、もともと演劇作品だった『今、出来る、精一杯。』をどうして小説にしようと思われたんですか?根本編集者の方の熱意かな。以前から小説を書きませんかという話は何度かあったんだけど、もともと私は人とモノを作るのが楽しくて演劇をやってるので、小説を書くなら舞台でやりたいって思っちゃっていて。でも、自分の舞台作品の小説化の依頼は初めてで、しかもそれがすごい長文のメールで…。伊藤長文メールというだけで熱意が伝わりますね。根本それで、こんなに言ってくださってるならって一回会ってみたら、その方がいかにも私の芝居好きだろうな~って方で、私の芝居はこういう人に届いてたんだなって妙に納得したの。それで書けるかわからないけれどチャレンジしてみたい、と。伊藤小説、読ませていただきましたが、ほぼ舞台と同じセリフで書かれていて、作品の印象そのまんまでした。ただ、坂本さんがスーパーに来た経緯とかは舞台では描かれていなかったから初めて知る部分もあって、めちゃめちゃ面白かったです。根本セリフはなるべく舞台のまま変えたくなかったの。でも意外とそこが、コンプライアンス的な問題が関わってくるから結構大変で…。いわゆる放送禁止用語とかね。演劇では書けたセリフを「変えてください」というのも言われて…。伊藤たとえばどういう言葉がダメなんですか?根本“キチガイ”とか。WOWOWで舞台中継が放送されたらピー音が入るやつ(笑)。でも、これはスーパーに来る女性に、サラッとそういう言葉を使えちゃう人物のヤバさを表すのにあえて使った言葉なわけで、そこを変えたらキャラクター自体も変わっちゃうから、そこが変わらない案を探って。あと、西岡さんって女性のパートを書くのが死ぬほどつらくて…。伊藤西岡さん!知ってはいたけれど、小説を読んでこんなにヤバい人だったんだとあらためて思っちゃいました。根本演じた役者の愛嬌で笑えたところが、文字だけで描写すると笑えないよね。書くのがつらかったなぁ。伊藤出てくる人全員、とくに女性のそれぞれのダメな部分が本当に細かく書かれていますよね。私が舞台で演じた篠崎七海に関しては、胸の内が文字化されていて納得できました。根本初演からこれまでに3回上演した作品で、それぞれ役者に演出をつけてきてるんで、そこで言ってきたことを地の文に書いている感じなんだよね。だから、もしまた『今、出来る、精一杯。』を舞台で上演することがあったら、次に出る人はこれを読めばめちゃくちゃ演じやすくなるのかもしれない(笑)。小説化で、より広がった登場人物のキャラクター。伊藤舞台作品で演じたときにも思いましたが、今回小説になった『今、出来る、精一杯。』を読んで、出てくる人全員、とくに女性登場人物たちのダメな部分が本当に細かく引き出されているなと思いました。私が演じた篠崎に関しては、セリフとして言えていない胸の内が文字化されていて、すごく納得できました。根本万理華ちゃんが演じた篠崎とはるかぜちゃん(春名風花)が演じた久須美は、とくにそうかも。あの戯曲を書いたときは23歳で、20歳の篠崎や久須美と世代が近かったから、ふたりが理不尽だと思うことを同じ目線で理不尽だと思えてたんだよね。でも再演のときには年を重ねて、正論の弱さみたいなことにも気がついてしまっていて。理不尽は嫌だけど、そうしている人の気持ちもわかったり。その上で演出していたから万理華ちゃんとはるかぜちゃんの視点を借りてる部分はあるのかも。伊藤私も、演じたときは篠崎に自己投影していたから、共感できるのも篠崎でしたけれど、小説を読ませていただいて、別のキャラクター…私は今回すごく神谷はなに共感しました。篠崎の店長に対する執着みたいなものとはまた違う、フリーターの彼氏・安藤くんに尽くしているのに報われない悲哀とかに…。根本篠崎の店長に対する執着は若い思考だからね。伊藤そうなんです。しかもあの舞台よりも少し自分を冷静に俯瞰していて、そこに共感もできました。あと、最後に登場する根本さんが演じていた長谷川のシーンも、ぐっときました。根本舞台に比べて、はなと長谷川のキャラクターに関しては、より広がってるよね。伊藤あれからまだ2年ちょっとしか経っていないけれど、23歳のときに感じたのとは、こんなに見え方が変わるんだなって。根本私は自己評価が極めて低い人なんで、自分の芝居を見返して面白いなと思うより、ここをこうすればよかったなとか、今だったらこう書くなってことを考えがちなんです。でもこの作品に関しては、自分でもよくできたなって思えるの。8年前のものだけれど、幅広い世代が見やすいし。でもだからこそ嫌なんだよね。いまだに23歳の自分と戦ってる気がして。伊藤何かのインタビューで根本さんが、この作品を超えたいと思って演劇をやり続けていると話しているのを読みました。根本そうなの。つねにこの作品がライバル。これを27歳くらいのときに書いていたら、賞を獲れたんじゃないかな(笑)。伊藤でも舞台は形に残らないものだから、今回小説という形になって、作品がきちんと残るのは嬉しいです。根本こんなこと言って、小説が出て酷評されたら笑うよね。作り手としての目線で互いの創作を語り合う。根本私、つまらない作品を見たときほど芝居を作りたくなるんだよね。見たい芝居がないなら自分で、って思うのかも(笑)。伊藤私の場合は完全に人ありきです。見てすごく好きだな、面白いなという作品がまずあって、その方の作る新しいものが見たいなと思ったら、自分が声をかけるしかなくて企画が生まれるパターンです。結構、初期衝動で動きがちなんですけど…。根本人ありきという意味で言ったら、私がやってる演劇もそう。セリフを発してくれる俳優がいて成り立つもので、ひとりじゃできないから面白かったりもするんだよね。いくら演出をつけても、コントロールしきれないところが楽しさでもあって。伊藤演劇以外のジャンルはどうですか?たとえば今回出される小説『今、出来る、精一杯。』とか。根本小説はこれが初めてだから、まだ自分でもよくわからないけれど、万理華ちゃんにも出演してもらった映画『もっと超越した所へ。』に関しては、演劇作品に比べると自分の作り手側としての意識は低いかもしれない。もともと舞台で上演した作品で、脚本は私のものだから愛情はめちゃくちゃあるし、企画段階から打ち合わせに参加させてもらってはいたけれど、撮ったのは山岸(聖太)監督。私が書いたセリフだけれど、その間合いまで管理できてないから、映画は監督のものっていう感覚が若干あって。どこか「試写楽しみにしてます」ってお客さん気分なの。伊藤私の場合、テーマは自分発信だし話し合いもするけれど、最終的にはクリエイターの方が作りたいものに身を委ねています。毎回想像以上のものが返ってくるので、とても嬉しいんです。だから自分がやってることは、クリエイターというよりはキュレーション側に近いのかもしれないです。この人とこの人をかけ合わせたら面白いだろうって考えたものが、形になるのが楽しくて。今はそれが自分だったりするんですが。根本私もこの間、清竜人さん監督・音楽のソーシャルドラマ『HANARE RARENAI』の脚本を書いたんだけど、私のホンだけじゃ至れなかったところに作品が広がっているのを感じて、それがすごくよかったの。演劇の場合、生だしお客さんも入るものだから、どうしたって毎回同じにはできないじゃない?昔は全部自分の思い通りのものにしたくて稽古してたけど、今は、日々の変化も含めてコントロールできないのが演劇の面白さだって思うようになっていて。だから、小説は自分で書いて完結するものでコントロールが利くぶん、寂しさもあるなって。伊藤私は根本さんの作品のファンなので次回作も期待しています。今日は話せて楽しかったです。ありがとうございました!構成、文・望月リサ※『anan』2022年3月30日号、2022年4月6日号、2022年4月13日号、2022年4月20日号より。(by anan編集部)
2022年05月13日演劇ユニット「iaku」を率いる劇作家・演出家の横山拓也の代表作『エダニク』が、演劇集団円の精鋭、内藤裕子の演出で5月、新たにお目見えする。物語の舞台となるのはとある食肉加工センター。屠場で起きたある事件をきっかけに、登場人物たちはそれぞれの価値観をぶつけ合い、白熱の議論を展開する。生と死の狭間を扱った職場で働く人々の葛藤、矜恃から浮かび上がる、生の本質とは……。初顔合わせながらすでに意気投合、横山と内藤の軽快なおしゃべりから『エダニク』を楽しむヒントが続出。人間の体温とその心の揺れを丁寧に描き出し、立ち上げて来た同世代のタッグによる、可笑しくも熱い人間ドラマに期待集中だ。共感し、嫉妬し合ってきたふたり――近年、横山さんの戯曲が次々に、さまざまな演出家によって舞台化されていますね。今回、内藤さん演出によって立ち上がるこの『エダニク』もこれまで幾度も上演され、横山さんにとってはとくに思い入れの深い作品と伺っています。横山そうですね、自分のターニングポイントとなった作品です。これを書いたのは2009年で、10年以上経った今、上演してもらえることは本当に奇跡的だなと。内藤さんの演出作品は何度か拝見していまして、とても自分と近しい感覚があるので楽しみですし、すでに信頼を寄せています。内藤本当ですか!? ありがとうございます。今は書き下ろしの公演が多く、そんなにたくさんの人が観ていないのに一度やったらもうやらない、そういう作品が多いですよね。その中で横山さんの戯曲はいろんなカンパニーによって上演されていて、普遍的で色褪せないテーマ、人物造形の妙が見事で、とくにこの『エダニク』は何回読んでも新鮮で面白く、新たな発見があると感じています。ヒリヒリとクスクスが隣り合わせになっている人物たちの絶妙なやりとりを、どう面白く立ち上げられるか、試行錯誤になるかなと。演出させていただくのが楽しみで、嬉しく思います。私もiakuの舞台は拝見していて、いつもチクショー!と嫉妬心が……。横山ハハハ!それはお互い様です。内藤昨秋の公演『フタマツヅキ』も本当に面白くて、打ちのめされて帰りましたよ。毎回、日常性と演劇性と言いますか、繊細さとダイナミック、その両極端をどうやって成立させているんだろうなって。横山それは、自覚がないかもしれないです。自分では、ダイナミックには出来ていないと思っていて。『エダニク』も、この3、4月に上演された『粛々と運針』(演出:ウォーリー木下)にしても狭い空間でやることを意識して書いたもので、狭い空間でやればどうやっても成立しちゃうんですよ。これが広い空間になった時に、「演出家さん、ごめんなさい!」っていつも思う(笑)。――先ほど横山さんが、内藤さんに「近しい感覚がある」とおっしゃっていましたが、おふたりともに作家であり演出家であることのほか、内藤さんの作品『光射ス森』(演劇集団円で20年に上演)では林業を題材とされていて、横山さんも『目頭を押さえた』(12年)で林業を扱っているなどの共通点が思い浮かびました。横山そう、僕も林業の話を書いています。だから『光射ス森』のように、あそこまできちんと取材をなされているものを観ると、恥ずかしいなって(笑)。内藤いえいえ、そんな(笑)。世代も近いんですよね。これまで観てきたものとか、もしかしたら近いのかも。何の責任感もなく「屠場だ」と――『エダニク』はどのようにして、どんな思いを込めて書かれたのか教えていただけますか。横山これを書いたのは……もう14年前ですね。当時、関西の俳優のユニットが依頼してくれたんですよ。それまでは当時の自分の劇団に書き下ろすことがほとんどで、久々の外部公演、しかも男3人芝居ということで、作品の背景にすごく熱量のある場所を持ち込もうと考えたんです。それで、何の責任感もなく「屠場だ」と思ってしまったんですね。内藤え、すごいなあ!横山途中で、エラいもんに手を出してしまったなと(笑)。でも偶然、中学の同級生が屠場で職員をやっていると知り、連絡したんですね。なんとか見学させてもらえないかと。ただ、かなり警戒されて、単なる見学というのは全然受け付けていないんです。「何に使うのか」とすごく聞かれるんですね。やっぱり誹謗中傷が多くて、まず“誹謗中傷コーナー”に連れて行かれました。内藤誹謗中傷コーナーがあるんですね、へえ〜!横山いろんなクレームのハガキとか、心ない中傷をぶつけて来る人がいるんだ、ってことを知るところからスタートして。実際の屠畜の作業はさすがに見学不可でしたが、作業が終わった後のラインのルートを見せてもらったり、今回の舞台設定である別屠室と研磨室を見せてもらったりして。当時あんなにしっかりと現場を取材して取り組んだことがなかったので、戯曲を一本作ることへの心構えが初めてちゃんと備わった、そんな作品でした。2017年までiakuの常任演出家だった上田一軒さんと出会わせてくれたのもこの作品で、自分が書いた、ちょっと軽妙なリズム感のある台詞が、自分が演出するのとは全然違う形で立ち上がったのを目の当たりにして驚いたんですね。だから『エダニク』初演の時は、自分の演劇人生の中で衝撃的なことが多かったです。そういう意味で特別な作品なんですけど、正直、どんなことを思って書いたのかは覚えてないんですよね(笑)。とにかく必死だった、その時の状況はいろいろ思い出せるんですけど……。これは余談ですが、大阪にOMS戯曲賞というのがあって、ちょうど僕が『エダニク』を書いていた時に別の作品でノミネートされたんですね。内藤え〜すごい!横山それが2008年の12月だったんですけど、ふたりの審査員にボロクソに言われたんです(笑)。だいたいひとりがこき下ろしても、もうひとりはフォローしてくれるものなのに…。(一同笑)内藤ホントそうですよ!横山ふたりともボロクソに!僕、大人なのに涙が出て来ました(笑)。もう筆を折ったほうがいいかな…と思うくらいボロボロになった時に『エダニク』を書いていたので、その時のナニクソ!って気持ちもあったかも(笑)。内藤そんな思いをして(笑)。横山だから、内容やテーマについては、質問していただいたら思い出すかもしれません(笑)。偶然の出会いから出来上がった登場人物3人の関係性内藤不思議なのは、展開の仕方がすごく自然なんですよ。まあ横山さんの世界はいつもそうですが、唐突に人物がいなくなったり、唐突に出て来て何かを言っても、その唐突さがあまりに自然なんですよね。で、グイグイ引き込まれているあいだに、いつの間にこんなヒドいことに!?って展開に(笑)。何でこんなに暴力をふるい合ってるんだ!?とか。でも、やっぱり日常ってそういうことだから。そういう展開を目指して書かれているんですか?横山ある程度のプロットとか構成は考えるんですけど、最終的に、うわ〜わかんない、もう書いちゃえ!ってなるんですね。(一同笑)そこに向かって書いているつもりはなくて、あ〜もう無駄話ばかりしている…って思いながら書いていると、だんだん、ちょっとしたボタンのかけ違いみたいなものが発生していって。ただ、「そこに向かって」というのは推敲の段階でそういうふうにしたかもしれないですけど、書いている時は、「そこにたどり着くまで書く」といった意識でいる気がします。内藤なるほど〜。『エダニク』に出て来る屠場の職員である沢村と玄田、畜産農家の伊舞という3人の人物って、同じ精肉業に関わっているけど価値観がバラバラで、全然違うじゃないですか。それは何か、取材をしていく中で出会った人からヒントを得たとか?横山そうです。まずは屠畜する側の現場から取材したので、初稿はずいぶんそっち側に引っ張られたんですよ。畜産農家のほうの話が疎かになっていたんですけど、たまたま「家が農家」という人に出会えて。「昔、牛を連れていく時に、親にこんなふうに言われた」なんて話を聞いていると、あ、これは伊舞の意識として引っ張っていけるな、と。そんなふうにしてだんだん三角形がうまく出来上がっていったんです。内藤たまたまそういう方に出会えることがすごい!横山ハハハ、伊舞に関しては「このキャラクター、弱いんじゃないか」って指摘があったので、たまたま出会えて本当に良かったです。内藤その指摘は、演出家からですか?横山最初に依頼して来た座組の皆です。俳優もバンバン言う(笑)。内藤恐ろしいですね〜(笑)。横山メチャメチャ恐ろしかったですよ!最初、初稿を現場まで持っていっただけでまず褒めてほしいのに、「さっそくですけど」みたいな感じで。内藤いやだ〜(笑)。横山「ここなんですけど」から始まって、え、こんなに責められる!?って(笑)。役者たちも「もっと面白いものを作りたい!」って意識で立ち上げたユニットだったので、作品への意見も凄くて、皆で切磋琢磨していましたね。僕もそこに揉んでもらえたのはいい経験でした。先日、初演を立ち上げたメンバーで、リモートも含めて皆で会えたんですよ。今回の辰巳雄大さん主演の『エダニク』の話になって。やっぱり、「あの台本はひとつも削るところがない」とか、皆それぞれあの時の熱い思いを喋り出してました(笑)。内藤そうですよね。磨かれているから、これだけ何度も上演されるんだと思う。とてもわかります。横山「いつの間に沢村は、あんな男前がやる役になったんだ?」って文句も出てました(笑)。新たな『エダニク』を立ち上げる魅力的なキャスト陣――3人のキャラクターに扮するキャストも、魅力の面々が揃いました。内藤辰巳さんは前にも一度舞台作りでご一緒したんですが、「横山さんの作品が大好きだ」って聞いて、あ、これはいいなと。ご本人はとても爽やかな方なので、沢村のような、一見好感の持てない感じだけど、すごく人間らしくてチャーミング……という複雑なキャラクターをどう見せてくださるか、楽しみですね。横山そうですね。職場と家族が背中にちゃんと見える……みたいな役って、30代に差し掛かった俳優さんにとっては、やり甲斐があるんじゃないかなと思いますね。伊舞役の小日向星一さんは、先日ちょうど舞台『マーキュリー・ファー』を観て、とてもいい役者さんだなと思ったんです。個性的だし、柔らかさとコミカルさを持ちながら、パッと一瞬、凛としたところが見えた時にゾワッとさせられて、独特な雰囲気を持っていらっしゃいましたね。内藤今回初めてお会いしたんですけど、とても柔らかい雰囲気の方ですよね。でも穏やかそうでいて、独特の芯があるように感じて。伊舞も、一瞬なめられてかかるけど実は……といったキャラクターだから、ぴったりなキャスティングだなと。『エダニク』メインビジュアル。中央)辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、左)小日向星一、右)加藤虎ノ介横山玄田役の加藤虎ノ介さんは、以前、松本祐子さん演出で僕が書き下ろした『ヒトハミナ、ヒトナミノ』(19年)という作品に主演していただいたんです。共に関西小劇場界隈で活動していたのに、意外とニアミスして来て、その時が初めてだったんですよ。チャキチャキの関西人なので、かなり素の部分が玄田に投影できると思います(笑)。内藤加藤さんも私は今回初めてお会いして、たたずまいがもう玄田っぽかった(笑)。もっとシュッとされた方なのかなと思っていたら、わりと日常的な、働いている肉体を感じさせる方ですよね。そういう説得力が必要な役だから、これもぴったりだなと思いました。横山本当に。このお三方のお名前を聞いて、上手いこと当ててくださったなと僕も思いました。――内藤さんの指揮でどんな新しい『エダニク』が立ち上がるのか、とても楽しみです。内藤横山さんはこんなに穏やかないい方なのに、意地悪なくらいに(笑)、“人間の隠したい部分を出さざるを得ない状況”を描いていらっしゃるんですよね。それをちゃんと魅力的に、共感性を持って見せられたらいいなと。隠したいけれど、「そうそう、こんなふうにひよっちゃうんだよな」とか、そういった手触りのある人間たちの物語なので。私たちの日々の暮らしの裏側で、こうした屠畜する人たちや畜産農家の人たちの葛藤があることを感じ、劇場を出る時には価値観が変わるような力を持った作品です。その戯曲の持つエネルギーを伝えられるようにしたいですね。登場人物たちが抱えた恨み辛みを、役者さんたちにも“自分たちの物語”として表現してもらいたい。その悔しい思いを舞台にしっかり乗せたいな、と思っています。横山そうですね、役にどのくらい実感を、温度感を持てるかは、役者さんにとって大変な作業になるでしょうね。楽しみにしています!取材・文:上野紀子撮影:荒川潤舞台『エダニク』2022年5月18日(水)~2022年5月29日(日)会場:東京芸術劇場 シアターウエストほか、6月4日(土)にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて、大阪公演あり
2022年04月20日2022年2月13日、『岸谷香 感謝祭2022』が横浜のKT Zepp Yokohamaで開催された。根本要(スターダスト☆レビュー)と和田唱(TRICERATOPS)という素晴らしいゲストを招いてのステージ。この『感謝祭』は彼女の誕生日(2月17日)近辺に、感謝の気持ちを込めて行われるイベントで、近年恒例となっている。今回も通常のライブでは観られないサプライズやスペシャルな場面がたくさんあった。音楽の楽しさとバンドの楽しさが詰まった夜となった。まずは岸谷香(Vo&G)、Yuko(G&Cho)、HALNA(B&Cho)、Yuumi(Dr&Cho)というUnlock the girlsの4人での演奏からの始まり。オープニングナンバーは彼女たちの名刺代わりの曲「Unlocked」だ。岸谷が右手のこぶしを突き出して力強くシャウトしている。岸谷のテレキャスター、Yukoのレスポール、HALNAのベース、Yuumiのドラムスによる力強いアンサンブルからは、楽しいイベントにするのだという意気込みまでもが伝わってくるようだ。「Unlocked」の《Do you wanna dance?》というフレーズが観客を開放的な音楽空間へと誘っていくかのように響く。“Unlocked”とは心の鍵をかけないこと。オープンマインドこそが楽しいイベントの必須条件だ。岸谷香「今日はいろんな条件の中、たくさん集まってくれてありがとう。全力で楽しみましょう」という岸谷のMCに続いての2曲目はプリンセスプリンセスの「HIGHWAY STAR」。開放感と疾走感を備えたソリッドな演奏が気持ちいい。みずみずしいボーカル&コーラスとキレ味のあるパワフルな演奏が共存しているところもUnlock the girlsというバンドの魅力だろう。続いてはゲストコーナー。聞き覚えのあるコードをYukoが奏でている。その演奏に4人のコーラスが乗っかっていく。TRICERATOPSの「Raspberry」のコーラスと演奏で和田唱を呼び込むという粋な演出だ。しかも和田が手ぶらで登場した。ギターを忘れたわけではない。和田が振り向きざまにスタンドマイクを掴むと、「Raspberry」のワンフレーズを歌っての始まりとなった。和田唱(TRICERATOPS)さらにそのままTRICERATOPSの「FEVER」へ。岸谷とYukoが印象的なリフをユニゾンで弾き、和田がハンドクラップしてスタンドマイクを握って歌い出した。見慣れぬ光景に心躍ってしまう。ライブという非日常の中に、さらなる非日常が生まれていく。Unlock the girlsによるアレンジも秀逸で、コーラスの入り方がかっこいい!曲の終盤ではレスポールを手にした和田がギターソロを披露。観ているだけで、アドレナリンが出てしまうようなシーンが次から次へと出現する。これはなんとスペシャルなコラボレーションだろう。岸谷のリクエストによるTRICERATOPSの「if」では岸谷がウーリッツァを弾き、和田がストラトキャスターを弾きながら歌う編成。ウーリッツァや女性コーラスが入ることによって、曲の表情が変わっていくところがおもしろい。男性3人で奏でる「if」と男性1人女性4人で奏でる「if」。曲に対するまなざしのあり方の違いが曲の世界観に大きな影響を与えていると感じた。共通するのはグルーヴィーであること、そして曲が展開していくほどに演奏が白熱してソウルフルになっていくこと。セッションの魅力が詰まった歌と演奏が見事だった。エッジの効いたファンキーなロックンロールの魅力を堪能したのはTRICERATOPSの「Milk & Sugar」。岸谷は赤いマーティン、和田はテレキャスターを弾きながらの演奏。まさにミルクとシュガーのように、和田とバンドが影響しあい、混ざり合っていく。岸谷と和田が共作した岸谷のソロ曲「My Life」は、岸谷のキーボードと和田のマーティンを手にしての演奏。互いが寄り添いあっていくような歌と演奏によって、観ているこちらの胸の中にも、温かなものが流れ込んできた。続いても二人の共作曲の「ミラーボール」。観客のハンドクラップも加わっていく。岸谷のウーリッツァで始まり、岸谷の歌声に和田がハモっていく。和田はES-335を弾きながらの歌。5人が生み出すグルーヴに合わせて、観客の手がワイパーのように揺れていく。会場内に音楽のエネルギーを注ぎ込んでいくような歌と演奏だ。曲のエンディングでは岸谷がテレキャスを演奏して、和田を送り出した。ここからの3曲は再びUnlock the girlsでの演奏。1曲1曲の持っている色合いの違いによる場面転換が鮮やかだ。せつない歌声とブルージーな演奏が染みてきたのは「BOY」。岸谷のテレキャスターとYukoのES-355、ベース、ドラムによる繊細かつ優美なアンサンブルに聴き惚れた。続いて演奏されたのは「Signs」。「この曲を書いたのは、私の友達の命の炎が消えかけている時で、彼女が確かに私のそばにいたことを残したくて書きました。この曲を歌うたびに彼女が私の中にいるような気がします」という岸谷のMCに続いての演奏。岸谷が目を閉じて歌っている。メンバーが曲に込められた思いを深く共有しながら演奏していると感じた。生きるということは、大切な誰かとともに過ごした証しを内面に刻んでいくことでもあるだろう。その内面に刻まれたものが、こうして歌となり、バンドや観客に共有されていくことのかけがえなさや尊さも実感した。一転して「PARAISO!」では岸谷がハンドマイクとタンバリンを持って、キュートでチャーミングなボーカルを披露した。Yuko、HALNA、Yuumiのコーラスもキュートだ。後半では岸谷がピアノを弾く場面もあった。Unlock the girls続いては二人目のゲストのコーナー。岸谷がピアノの弾き語りで歌い始めたのはスターダスト☆レビューの名曲「木蓮の涙」だ。ステージの下手から登場した根本要が、その歌声を引き継いでいく。ハンドマイクを持って歌い、そして上空を見上げ、左手を上にあげている。壁や天井を越えて、雲や空を越えて、どこまでも届いていきそうな歌声だ。その歌声に岸谷のピアノがそっと寄り添っていく。悲しい歌だが、不思議な浄化作用を備えている。悲しみや痛みまでも、自分の内面に取り込んで、自分の一部にしていくという意味では、「Signs」とも共通するところがあると言えそうだ。根本のボーカルには、聴く人々の中にある大切な記憶を揺さぶっていく特別な力が宿っていると感じた。拍手が波のように押し寄せてくる。しかしその感動の余韻をあえて打ち消していくようだったのは、根本のこんなMCだ。「ごめんね、こんな暗い歌で。いきなりこんな葬式みたいな歌を歌ってどうするんだよって話だよな。せっかく感謝祭で」と、感動を一気に笑いへと転じていく天才的なトークが全開となった。もちろん岸谷とのトーク後には、Unlock the girlsとの楽しいセッションへと突入。スターダスト☆レビューの「今夜だけきっと」では、モータウン風のアレンジの演奏に乗って、根本の歌声と岸谷のコーラス、さらにメンバーのコーラスによって、会場内がハッピーな空気に包まれていった。根本要(スターダスト☆レビュー)「心の中で大合唱してください」という根本のMCに続いては、スターダスト☆レビューのファンキーなロックンロールナンバー、「ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス」。聴いているうちについ一緒に歌いたくなる楽しいロックンロールだ。岸谷と根本の明るいエネルギーが相乗効果でさらにハッピーなグルーヴを生み出していく。おそらく会場内の観客も心の中で歌っていたに違いない。観客を巻き込んでいく根本のステージパフォーマンスはさすがのひと言だ。根本のストラトキャスターによるソロ、Yukoのレスポールによるソロ、岸谷のテレキャスターによるソロと、3人のギターのソロ回しも堪能した。根本の横にUnlock the girlsの4人が並んで、アカペラでコーラスを披露する場面もあった。ガールズに囲まれて、歌う根本という光景も新鮮だ。根本の言葉を借りるならば、まさに「お花畑のようなコーラス」が実現。ステージ上の全員にも笑顔の花が咲いていた。「AVERAGE YELLOW BAND」でも一体感あふれるバンドサウンドを展開。根本、岸谷、メンバーでのコーラスの掛けあいもあり。《でかい声で一緒に歌ってくれ》というフレーズではないが、観客も心の中で大きな声で歌っていたに違いない。観ているこっちまで、メンバーに交じって一緒に参加しているような気分を味わった。ゲストの根本を交えてのラストの曲は「Diamonds<ダイヤモンド>」。根本がオリジナルキーのままで歌っているところがすごい。岸谷が楽しそうにハモっている姿も印象的だった。アカペラのUnlock the girlsのコーラスも交えつつ。根本の自在なギターソロとバンドのコーラスが混ざり合って、化学変化を起こしていく。このセッションの瞬間そのものが「ダイアモンド」のようだった。本編の最後を鮮やかに締めくくったのはUnlock the girlsの演奏だ。印象的なギターリフで始まり、一気にバンドサウンドが全開となったのは「ハッピーマン」。ゲストを交えてのセッションも楽しいが、ガールズバンドとしての一体感と開放感あふれる演奏も最高に気持ちいい。岸谷のダイナミックな歌声にはたくさんの思いが詰まっていると感じた。愛も感謝もエネルギーに変えていくような歌声だ。4人とも思う存分、演奏を楽しんでいることが伝わってくる。ラストはYuumiを囲んで、4人の演奏がどんどん加速していく。「こんなに楽しいステージができて、幸せだなと思っています。今日のたくさんの曲からどうぞエネルギーをもらって、素晴らしい日々を送って下さい。私たちにも大きなエネルギーになりました」との岸谷からの言葉に続いて、『感謝祭』の本編を締めくくったのは「STAY BLUE」。プリンセス プリンセスの富田京子が作詞した曲だ。岸谷のテレキャスターの弾き語りで始まり、すぐにメンバーが加わって気持ちよく疾走していく。《細く長いトンネルを超えていくんだ》《この輝きはSTAY BLUE》といったフレーズが、困難の多い今の時代とリンクして力強く響いてきた。アンコールでは和田と根本も参加して、6人でプリンセス プリンセスの「GET CRAZY!」を演奏。ギター4人という編成で、根本、和田、岸谷の順でリードボーカルを取っている。さらにHALNAのベースソロ、Yuumiのドラムソロ、Yukoのギターソロも交えて、全員が一体・一丸となって、音楽を紡いでいく。演奏が終わると、最後は6人が手をつないで笑顔で挨拶した。岸谷香とUnlock the girlsのメンバー、根本要と和田唱というゲストの息の合ったセッションによって楽しい空間が出現した。ともに歌い、ともにハモり、ともに奏でることの楽しさは、観ている側にもしっかり伝わったに違いない。トンネルの先にある光や青空のような、明るいエネルギーをもたらす『感謝祭』となったのは、岸谷香の音楽への情熱と、朗らかさや強さや大らかさを備えた彼女の人間性によるところが大きいのではないだろうか。「類は友を呼ぶ」という言葉があるように、彼女のもとに素晴らしいミュージシャンたちが集った夜となった。音と音だけでなく、人と人との交わることの素晴らしさやかけがえのなさも実感した。そしてもうひとつ感じたのは、音楽とはどんな時も頼もしい味方であり続けるということだ。うれしい時も悲しい時も苦しい時も音楽はそばにある。Text:長谷川誠Photo:MASAHITO KAWAI<公演情報>岸谷香 感謝祭20222月19日(土) 23:59までアーカイブ配信中【チケット情報】配信視聴券:4,000円(税込)チケット販売期間:2月19日(土) 18:00まで販売URL:セットリスト■Unlock the girls1. unlocked2. HIGHWAY STAR■和田唱3. FEVER4. if5. Milk&Suger6. My Life7. ミラーボール■Unlock the girls8. BOY9. Signs10. PARAISO!■根本要11. 木蘭の涙12. 今夜だけきっと13. ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス14. AVERAGE YELLOW BAND15. Diamonds<ダイヤモンド>■Unlock the girls16. ハッピーマン17. STAY BLUEEN. GET CRAZY!関連リンク■岸谷香オフィシャルサイト: Channel:■Unlock the girlsInstagram::■スターダスト☆レビューオフィシャルサイト:■TRICERATOPSオフィシャルサイト:
2022年02月17日ミュージカル『リトルプリンス』ゲネプロ&初日囲み取材が東京・日比谷のシアタークリエで行われ、土居裕子、加藤梨里香、井上芳雄、大野幸人、花總まりが初日開演前に取材に応じた。サン=テグジュペリ不朽の名作「星の王子さま」を原作に、1993年に誕生した音楽座ミュージカル『リトルプリンス』の東宝版として上演される本公演。小さな惑星を飛び出し、地球にやってきた王子の旅路を描き出す感動作だ。主人公の「王子」は多くの舞台経験を持つ実力派の加藤と、音楽座ミュージカル初演から王子役を演じてきたオリジナルキャストの土居のWキャストとなる。1993年の初演で王子を演じたオリジナルキャストの土居は「およそ30年ぶりで、まさかもう一回王子をやるなんて、夢にも思ってなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです」と晴れやかな表情を見せる。「『リトルプリンス』をクリエで、しかも芳雄さんが飛行士の役をやると聞いて。絶対ピッタリだしぜひやってほしいと言っていたら、いつの間にか私もやらないかということになり……。バカ言ってるんじゃないよ、そんなの無理に決まってるじゃん、なんて言っていたのに騙されましたよ。怖いですね」と冗談めかしつつも、その決意の裏には井上の言葉もあったそうで、「井上さんが『1日でいいから出てくれないか』ということで」と説明する。その言葉を受けた井上は「簡単に言ってますけど、無理やりねじ込んでくださったんです。ほかの作品の本番・稽古もあったので、誰よりも遅くきたんですよ。だから稽古期間がギュッとしてて。およそ30年ぶりということだけでなく、この短期間でこれをしているというのがすごいなと思います」とすっかり感服した様子。そしてもうひとりの「王子」役となる加藤は「ついにこの日が来てしまったか」と切り出しつつも、「稽古をすればするほど、王子という役はとんでもない役だなと思いました。しかも土居裕子さんとダブル主演ということは震えるくらいとんでもないことだなと思いでした」と述懐。「でも稽古の途中から土居さんがいらっしゃって。誰よりも王子のことをたくさん考えてきた方ですから、裕子さんからもらえることがたくさんあった。こんなに心強いダブルキャストはいないんじゃないかなという。とてもすてきな環境で挑ませていただけるなと思っているので、全身全霊で王子として駆け回りたいなと思います」と意気込んだ。さらに「こんなにも違う作品を観ているような気持ちにさせてくれるダブルキャストはないなと思いました」と語る井上は、「土居さんは本物の王子が来たという感じでしたし、(加藤)梨里香ちゃんは年齢や精神性といった存在感という意味で、王子が子どもなんだということを信じさせてくれる。両極端の王子が観られる。本当に比べようがないんですよね」と王子役の二人について言及するひと幕もあった。井上自身は飛行士とキツネの二役を演じることになったが、「(キツネの衣装は)まだ慣れないというか。気恥ずかしい感じもありましたけど、『キャッツ』にあこがれてミュージカル界に入ったので、猫ではなかったですけど、半分夢がかないました」と笑いながら付け加えた。そして観客に向けたメッセージを求められた加藤が「温かいカンパニーが作った作品だからこそ、作品にも温かさが流れているのかなと思います」と語ると、土居も「星を見るのが大好きになるんじゃないかなと。そして地球のことをあらためてすばらしい星だから大切にしたいなという気持ちになってくださったらいいなと思います」と付け加えた。ミュージカル『リトルプリンス』は1月8日から31日まで日比谷・シアタークリエにて(愛知公演あり)会見写真撮影:壬生智裕
2022年01月08日2022年2月13日にKT Zepp Yokohamaで開催される『岸谷香 感謝祭 2022』に、ゲストとして参加する根本要(スターダスト☆レビュー)と和田唱(TRICERATOPS)とホスト役の岸谷香の対談が実現した。ここでは前回に引き続いて、岸谷香×根本要の対談後編をお届けする。ふたりの会話からステージのアイデアが生まれる場面もあった。次回対談予定の和田唱への率直な要望も示された。ステージを観る楽しみはもちろんのこと、作り手側の楽しみを観客が共有できそうなところにも『岸谷香 感謝祭 2022』の醍醐味があると言えそうだ。変な「初めまして」感はないし、いきなり音楽の話から入っていけるのがいいですよね(根本)※前編は こちら()――女性バンドの中に男性が入るおもしろさを楽しみたいとのことですが、岸谷さんが根本さんと和田さんを指名したのは?岸谷私の頭の中に最初に顔が出てきちゃったふたりってことですね(笑)。要さんはスターダスト☆レビューのステージに私が混ぜていただいたので、その逆パターンで、ぜひこっちに混ざっていただきたいなって思いました。簡単な言葉で言うと、「お世話になりっぱなしだから、お返ししたい」みたいな(笑)。根本いやいや、それは逆だよ(笑)。お返ししなけりゃいけないのはこっち(笑)。岸谷いえいえ。それに要さんだったら、きっとUnlock the girlsとの演奏を楽しんでくれるだろうなと思ったんですよ。彼女たちは昔の音楽をあまり知らないので、そこでは要さんが助けてくださるだろうなって。唱くんとは曲も一緒に作ったことがあるし(アルバム『PIECE of BRIGHT』の中の「ミラーボール」と「My Life」)、私がTRICERATOPSのライブに出たり、私のソロに唱くんが来てくれたりもしていますしね。要さんと唱くんがいたら、ふたりともギターを持ってくるだろうから、楽しくなるのは間違いないですから。――根本さんと和田さんも『クリスマスの約束』で何度も共演されているから、意思の疎通もスムーズでしょうし、3人のコラボレーションが楽しみです。根本変な「初めまして」感はないし、いきなり音楽の話から入っていけるのがいいですよね。唱のソロアルバムも聞かせてもらって、いい作品を作っているなあと思いました。何よりも唱も音楽好きだしね。唱くらい、誰に対してもフランクな人間はそうはいないんじゃないかな。一緒にいてすごく楽ですね、あまり上下関係もないし(笑)。岸谷リハをやったら、きっと仕切るのは唱くんですね(笑)。「香さん、そこはこうやって、ここはこうやるのはどう?」って(笑)。岸谷香根本やりたい人がやるのが一番ですからね。香ちゃんと唱が作った「ミラーボール」という曲を聴かせてもらったんですが、僕らが70年代に聴いていたブリティッシュロックのおいしいところを使って、あんなかっこいいサウンドを作っている。ピアノのリフが鳴りながら、その後ろでアクセントでギターのフレーズを付けているところも含めて、よくできているなあと感心しました。――「ミラーボール」はライブで映える曲でもありますよね。岸谷そうなんですよ。本家本元のバンドサウンドでやったことがないから、やるのが楽しみです。そもそも「ミラーボール」は、私がTRICERATOPSの中に「失礼します」って入れてもらって、4人でレコーディングした曲で。その後、唱くんにお呼ばれして、TRICERATOPSとアコースティック・バージョンでは一緒にやったことはあるんですが、エレキギターがガンガン鳴っている、あのまんまの演奏をステージでやったことはないんですね。今回が初めなので、唱くんとは「楽しみだね」って話しています。要さんとはふたりで何かやりたいなあと思っています。要さんの伴奏がやりたい!根本えっ?そうなの?岸谷できたらピアノで。要さんはエレキギターでもアコギでもいいですし、歌だけでもいいんですし、ともかく要さんの伴奏がやりたい。ふたりでアコギを弾きながら、というのもいいかな。根本それもいいね。コーラスが加わったりとか。そこはいくらでもイメージが広がりますね。岸谷もし許してもらえるなら、スターダスト☆レビューの曲をUnlock the girlsなりにちょっとアレンジを変えて、やってみたいです。せっかく来ていただくので、丸々そのままやるよりも、「えっ、ここはこんな風に変えちゃうわけ?」というところも楽しんでいただけたらと考えています。以前、一青窈ちゃんと一緒にやった時に、一青窈ちゃんの曲をUnlock the girlsでアレンジを変えてやったことがあって。さんざん考え抜いてアレンジしたんですが、気に入ってくれて、一青窈ちゃんが自分のライブでも、私たちが変えちゃったところを「変えたとおりにやりました」って言ってくれたんですよ。そういうのもうれしいなあって。根本それはうれしいよね。岸谷要さんと一緒にやるにあたって、いろいろ考えていることがあります。例えば、前に奥田民生くんと一緒にやった時の方法なんですが、「いつも通りに弾き語りしてください」とお願いして、要さんにひとりで弾き語りをしてもらって、私が横から勝手にリフを入れたり、ハモリを入れたりするのはどうかなって。根本なるほど。それは楽しそうだね。根本要(スターダスト☆レビュー)岸谷民生くんと一緒にやった時には、本番の日のリハーサルで1回だけ、やってみたんですね。「じゃあ私がギターソロを弾くね」「OK!」みたいな感じで本番でも自由にやったんですが、それがとても楽しくて。普段だったら、絶対にできないようなことだし、ファンの人からみたら、へぇー、こんなになっちゃうんだ、みたいな楽しさがあるんじゃないかと思います。――セッションの楽しさのひとつですよね。根本ミュージシャンって、ふたつのパターンがあるんですよ。臨機応変に音楽に対して対処できる人とそうじゃない人。対処できない人が悪いというわけではなくて、毎回決められたこときっちりとやるのが好きな人ということです。自由に対処できる人は、今日の雰囲気はこうだから、ちょっとここにハモを入れてみようとか、ソロを入れてみようとか、そういうことも含めて、音楽を楽しんでいますよね。僕も香ちゃんもそっち側のミュージシャンだと思います。もちろん音楽だから、ある程度は決めなきゃ成立しないんですが、ベーシックを決めた上で、じゃああとの2割くらいはその日の味を楽しみましょうって。そこは楽しみたいですね。岸谷私は要さんを驚かせたい!(笑)根本しかも本番でな(笑)。いろんなことをいろんな確度から楽しんでもらえたら(岸谷)――驚きも含めて、それぞれが演奏で応酬していくのは実にクリエイティブですよね。根本もちろんお客さんがいるわけだから、お客さんにいいものを観せたい、楽しんでほしいということが大前提ですけど、実はミュージシャン同士はライバルでもあるわけだから、「おい、これどうだよ?」「むむっ、やるな!」みたいなところを見せたい気持ちもありまして。こっちが何かやっても、反応してくれないミュージシャンもいますが、音で反応してくれた時には、すっげぇうれしい(笑)。もちろん音の応酬はレコーディングやスタジオでもあり得ることですが、その応酬をお客さんにそのまま見せられるのがライブの醍醐味で。1から10までしっかり決めて、忠実な再現を目指すことを良しとするよりも、今回はその日にしかない音楽、何が飛び出すかわからないところも楽しみたいですよね。3人とも音楽の振り幅を持っているので、ロックンロールで盛り上がることもできるし、バラードを聴かせることもできるし、いろいろアイデアが出てくるんじゃないかな。岸谷もしも「すみません、私はそういうのはできないんで」ということになっても、それはそれで成立するんですよ(笑)。「ちょっと変だけど、これで許して」というのもありだし。Unlock the girlsと要さんと唱くんの6人で、その日だけのバンドになりたいですね。根本「ギター4人でガンガン行こうぜ」ってこともできるし、「私はピアノで伴奏をやります」ってこともできるので、それぞれのポジションを見つけて楽しみたいですね。香ちゃんと唱と僕がひたすら前に出るんじゃなくて、出たり引っ込んだりすると、観ている人にとっても楽しいんじゃないかな。お互いに歌もコーラスもできるから、穴がない。3人ともシンガーであると同時に、プレイヤーでもあるし、後ろで演奏する楽しみも知っているので、ステージの前から後ろまで、全部が全部、音楽的に楽しんでもらえると思います。岸谷なんか、メッチャ盛り上がってきた(笑)。伴奏するって、楽しんですよ。すでにこうやって話しながら、頭の中で演奏している映像がグルグル回っています(笑)。3人で並んで、ひとりが歌って、残りのふたりが伴奏するスタイルをメドレーでつなぐのもいいですよね。唱くんは張り切って伴奏するタイプだから、とても楽しそう(笑)。根本お客さんって、7割がた歌を聴きにくるんですが、おそらくこの日は歌だけじゃなくて、演奏も楽しんでくれるんじゃないかな。僕が歌ってて、香ちゃんがピアノを弾いて、唱がギターを弾いているとか。ソロシンガーのライブで間奏で拍手が来るケースがあるじゃないですか。いやいや、間奏も聴いてよってことですよね。イントロ、間奏、アウトロもあっての曲ですから。岸谷誰かがイントロを弾くわけだし、誰かが歌い出した、誰かがサビを歌った、間奏では誰かが弾いているって、必ず誰かが主役のはずだから、休憩場所がないステージになると思います。根本お客さんに、こんな音楽の楽しみ方もあるんだよってことも伝えられるライブにできたらいいですね。――根本さんと和田さんが女性バンドの中に入っていくおもしろさもありますよね。根本僕はまだそこだけはイメージできないんですね(笑)。香ちゃんもいてくれるし、唱もいてくれるから、不安はないし、彼女たちと一緒に演奏するのはとても楽しみですけど、どうなるのか、わからない(笑)。想像がつかない。今まで女性ドラムでやったこともあるし、女性ベースでやったこともありますが、女性のバンドでやったことはないから。岸谷お客さんもきっと、これって観たことがないパターンって思うだろうし、そこも楽しんでもらいたいですね。彼女たちは要さん、唱くん、私という強烈な3人に負けない演奏ができるメンバーなんですよ。自分たちも楽しんで演奏できるところがUnlock the girlsの良さだと思っています。根本僕らのライブって、ステージで盛り上がってくると、汗くさ~いバンドになっちゃうんだけど、そうならないバンドって観たことがないから、楽しみですね(笑)。高校の部室みたいな匂いのしないステージって、どんな感じなんだろう?岸谷いろんなことをいろんな確度から楽しんでもらえたら(笑)。根本できたら、あと20歳くらい若い時分にこういうところに出たかったなぁと思いますね。枯れ果てたミュージシャンが出て、申し訳ないような。――年代も性別もジャンルも自由というところがいいのではないですか。根本もちろん年齢関係なく出ようと思っていますが、還暦という大きな壁はありますから(笑)。ただし、年齢差のある人間が出る良さもあるとは思っています。僕と小田和正さんは10歳違うんですが、小田さんのステージを観るたびに、あるいは小田さんの歌を聴くたびに、自分の10年後を想像するんですよ。10年先を走っている先輩を見ると、自分もまだまだやっていけるのかなと思うし、僕自身、先輩ミュージシャンに育ててもらったという思いは強いですし、そういう先輩を見ながら、音楽をやってこれたことは幸せだと思っています。とは言うものの、僕はこんなものなので、えらそうなことは言えませんが、この人はこれくらいの年齢で、こんなふうにやっているのかってところで、何かを感じてもらったらうれしいですね。だって、音楽を長いこと、やってほしいですから。香ちゃんや唱ももちろんだけど、彼女たちも30年40年とやってくれたらうれしいですよね。岸谷一生縮まらない距離間で一生追いかけていきます(笑)。アンコールになるころに、「ああ、もう終わっちゃうんだ」っていつも寂しくなる(根本)――スターダスト☆レビューは現在、全国ツアー中ですが、100公演以上の本数をいまだにやり続けていることが素晴らしいです。根本大変だって思ったことがこれっぽっちもないんですよ。日々楽しいですし、週末が一番楽しい。明日はあそこだ、何をやろうかなって。だって人前で歌えるなんて、アマチュアのころから考えると、夢みたいなものでしょ。毎ステージ毎ステージ、2千何百回もやっていながら、いまだに楽しくてしょうがない。アンコールになるころに、「ああ、もう終わっちゃうんだ」っていつも寂しくなります。だって中学高校のころから、これがやりたくてやっていますから。岸谷確かにそうですね。根本ミュージシャンはみんなそうだと思いますが、好きでミュージシャンをやっているわけで、誰かに頼まれて、プロになったわけではない。やり続けているうちに昔よりも自信が出てきて、今はそんなに疲れることもなく、楽に歌えるようになってきました。これがアスリートだったら、体調がどうだ、ケガがどうだってことになり、記録もつきつけられますが、それがないので助かってます。岸谷アスリートって、どんなに素晴らしくてもピークの年齢ってありますよね。人それぞれじゃなくて、だいたいこれくらいまで、という目安の年齢がある。根本僕らもアスリートと似たようなことをやっている面もあるんですが、記録がないですし、結局、重要なのは自分の中にある基準じゃないですか。もっとうまくなろうと思えば、うまくなれるし。うまさが渋さや味わいになったりするわけで、昔は16分音符を早弾きしていたのが、今は1音だけキーンって鳴らして、顔だけすごい表情をするのだってありだし(笑)。だから僕らは長いこと、やっていけるんだと思います。岸谷ミュージシャンでも年を取って、できなくなることもありますが、こんな年でもできるようになることもたくさんありますから。練習すれば、まだまだうまくなるし、こんなやり方があるんだという発見もあるし。それが音楽の素晴らしいところですね。根本以前、香ちゃんが僕らと一緒に「M」をやった時も、プリンセス プリンセス時代とは歌の雰囲気が違うんですよ。PRINCESS PRINCESS時代の演奏は音源や映像でしか知りませんが、僕らとやった時はリラックスした感じで、その歌がまた良くて。この年になって、こういうふうに歌うんだなって驚きがありましたし、そこでは成長という言葉を使ってもいいんじゃないかと思いますね。音楽は年を取ることの喜びを感じられる瞬間がある。アスリートじゃなくて、ミュージシャンで良かったですね。岸谷本当にミュージシャンで良かったと思います(笑)。根本しかもね、日々楽しくライブをやらせてもらって、そういう中でこんなイベントに呼んでもらうなんて、ご褒美ですよ。岸谷こちらこそ。要さんのスケジュールがあいているかが大問題でしたから。――『岸谷香 感謝祭 2022』でどんな曲が飛び出すのかがとても楽しみです。選曲はこれからですか?岸谷多分、私がお正月くらいまでにこんな感じという原案を考えて、それからご相談することになると思います。要さんと一緒にやるのはこんな曲がいいかなということを考えて、お電話しますね(笑)。ファンの人たちが見に入らした時に、こんなスターダスト☆レビューの曲を見たことがなかった、聞いたことがなかったというような、ファンが驚くような、そして要さんが驚くような(笑)、その日だけのバンドになれたらなって思っています。根本ミュージシャンが純粋にこんなにも楽しもうとしているイベントって、そうはないんじゃないですかね。音楽好きの人たちにもライブ好きの人たちにも楽しんでもらえると思います。問題はしゃべりだね(笑)。この3人だと、演奏がそっちのけになってしまう可能性が少なからずあるから(笑)。岸谷曲数の設定を冷静に考えておかないといけないですね。時間が押しまくって、誰かの曲がカットになると困りますから(笑)。根本僕はいつもメンバーに「どうして5分の曲を20分かけて説明しているんだい?」って突っ込まれています(笑)。みんな、きっと曲を選んだら、曲についていろいろしゃべりたくてしょうがなくなるんじゃないかな(笑)。そこは僕も大人ですし、最年長なので、ふたりを見ながら、しゃべりをセーブします。岸谷最初からおしゃべりの時間も想定して、そのへんはしっかりやります(笑)。――今回の対談に続いて、岸谷さんと和田さんの対談を行う予定です。根本さんから和田さんへのメッセージはありますか?根本「オレに楽をさせろ。オレになるべく決め事を作らないでくれ」ってことですね(笑)。せっかく楽しみの時間だから、難しいことは避けたい(笑)。難しいリフは若い彼女たちに任せて(笑)。僕は「後ろで適当にやってていいよ」というポジションが大好きですし、そういうことが許される場所だろうから、「年寄り枠ということで、優遇してね」って思っています(笑)。岸谷多分、この3人の中で一番記憶力のあるのは唱くんですからね。体力も気力も一番あるのは唱くんだから、いろいろお任せできたら。あれもやりたいこれもやりたいって、やりたい曲がいっぱいあるから、困っちゃうな(笑)。根本僕もとても楽しみにしているし、お客さんにも「生のライブってこんなに楽しいものなんだよ」ということを改めて伝えられたらいいですね。岸谷とても貴重な『感謝祭』になると思います。見逃さないでほしいです!Text:長谷川誠 / Photo:吉田圭子<ライブ情報>『岸谷香 感謝祭 2022』2022年2月13日(日) 神奈川・KT Zepp Yokohama開場 16:45 / 開演 17:30出演:Unlock the girlsサポートミュージシャン:sugarbeansゲスト:根本要(スターダスト☆レビュー) / 和田唱(TRICERATOPS)【チケット料金】全席指定:税込9,000円(ドリンク代別)チケット購入リンク:関連リンク■岸谷香オフィシャルサイト: Channel:■Unlock the girlsInstagram::■スターダスト☆レビューオフィシャルサイト:
2021年12月27日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「体格のいい男性」です。執筆期になると決まって行く喫茶店やホテルのラウンジがあることはたびたび書いているからずっと読んでくださっている方々(毎週これを欠かさず読んでいる人って編集者の方以外そもそもいるのか?という「わたしのことなんて誰も気にしちゃいない」モードが今急に襲ってきた)はご存知であろう。最近はなるべく早い時間から仕事を始めたいため、喫茶店か美術館の中のカフェなどに午前中から行くようにしている。外にさえ出てしまえば仕事はするので、家でぐだぐだしてしまうあの午前中をなんとかやめたいという思いからだ。10月までは舞台をやっていて、あまり喫茶店で執筆をすることがなかったので久々にいつもの場所へとやってきた。「あのー、これ、言っておいた方がいいかもしれないなぁ…」という男性の声が聞こえた。声のする方を見ると、高級そうなスーツに身を包み、きっと良い暮らしをしているのだろうなという品の良い中年男性が自分よりも年下のスーツの男性たちに話していた。どうやら取引先との商談のようだ。「あのねー、これは伝えておいた方がいいと思うんですよねー」と何度もその男性は言って、その先を焦らしてなかなか言わない。なんだろう、そんなに重大な何かがあるのか?とわたしも若いスーツの男性たちも耳を傾けた。「これだけは言っておいた方がいいかもしれない。わたしね、パソコンが苦手です」妄想スイッチON!え?…え?文字で伝わらないのがもどかしいが、この男性のトーンはとんでもないことを伝えるようなトーンだったんですよ。と同時にわたしの耳は彼の声と喋り方に聞き覚えを感じた。ロバート秋山さんだ。もちろん別人だが見た目も声もそっくりなのだ。わたしは今、クリエイターズ・ファイルの収録を目撃しているのかもしれない、と思って再度彼のいる方を見ると、さっきまで品よく見えていた彼の着ているスーツが「後輩からもおしゃれと慕われ、大金を動かしている人風のスーツ」に見えてきた。「パソコンが苦手」発言が彼なりのギャグなのかまじなのか、わたしはこの日閉店まで考えたがわからなかった。ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」主宰。2015年に上演した舞台『もっと超越した所へ。』が、山岸聖太監督、前田敦子×菊池風磨出演で映画化決定。原作と脚本を務める。2022年公開。※『anan』2021年12月8日号より。(by anan編集部)
2021年12月05日ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「ねー(ニコニコ)の人」です。みんな否定をされるのは嫌だ。わたしだってそうだ。こんな仕事をしていると余計そうだ。でも、一方で否定と受け取らず、「意見」として他者の声に耳を傾けることも大事だ。年々これは感じるし、誰の言葉も聞かなくなったら終わりだ、と日々思う。何事もバランスだ。バランス感覚は年齢とともに良くなるもんでもなく、うまくいったりいかなかったりする。成長ってなんなんだ本当に。言われて傷ついたり腹が立ったりしたことに対してきちんと怒りを見せることも誠実さだと思う。でも怒りすぎて正しいはずの人が損をしているのだってたくさん見てきた。白と黒はいつだって反転してしまう。そんな世の中を切り取って、どうにか「正しい人が正しい選択をしている瞬間」をいろんな角度で描き、それが観客の中で何か作用したらいいと願って演劇をやってきた。先日幕を下ろした自分の演劇をやりながらそんなことを考えていた。そうしたら、否定されても負けない最強のおじちゃんを目撃した。相手は完全におじちゃんをなめてかかっている。普通ならおじちゃん激おこだ。しかし、否定されるたび、マスクをしていてもわかる満面の笑みで「ねー、そうだよねーん」と返している。すごい、凄すぎる。妄想スイッチオン!キレるおっさんばかりを10代から間近で見てきたわたしは驚きだった。こんな言われ方しても壊れたおもちゃみたいに笑って「そうだよねーん」を出せるおじちゃん、あんた一体何者だ。もちろんこれを見習いたいとは思わないし、見習えないのだが、でもこのくらい相手との噛み合わなさを楽しんでリズムとテンポのみで返事をしていく技術って意外と生きていく上で必要なのかもしれない。とわたしは思った。怒らなくて済むならなるべく怒りたくない。みーんながそう思ってるよね。今週はファミレスでハンバーグでも食べよ。仕事外の時間の使い方を全部うまくやってハッピーに過ごしましょう。なんだこの占いの締めみたいな締め方。また来週。ねもと・しゅうこ1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」主宰。全公演の作・演出を担当。LINE「VISION」にて、企画・脚本・演出・監督を務め、田村芽実を主演に迎えた映像コンテンツ『20歳の花』が配信中。※『anan』2021年11月3日号より。(by anan編集部)
2021年10月26日安藤裕子が、11月17日にリリースするニューアルバム『Kongtong Recordings』(読み:コントンレコーディングス)の収録曲とジャケット写真を公開した。今作には、世界中のリスナーからの大きな反響を獲得したTVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonエンディングテーマ「衝撃」がalbumバージョンとして収録されるほか、テレビ東京系ドラマ『うきわ―友達以上、不倫未満―』オープニングテーマ「ReadyReady」、さらにファンの間ではライブでお馴染みの「少女小咄」を含む全12曲を収録。なお収録曲の発表は、本日10月1日に行われたYouTube生配信にて安藤本人からアナウンスされた。また、安藤の書き下ろし短編小説が収録された『コーヒーと短編』が本日より発売されている。さらに安藤は10月29日公開の映画『そして、バトンは渡された』に出演することが決定している。<リリース情報>『Kongtong Recordings』(読み:コントンレコーディングス)11月17日(水) リリース価格:3,300円(税込)初回限定仕様:安藤裕子直筆シリアルナンバー入りブックレット予約リンク:【収録曲】01.All the little things02.ReadyReady テレビ東京系ドラマ『うきわ―友達以上、不倫未満―』オープニングテーマ03.UtU04.Babyface05.恋を守って06.森の子ら07.少女小咄08.Toiki09.僕を打つ雨10.teatime11.Goodbye Halo12.衝撃(album ver.)TVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonエンディングテーマ【特典】各法人: A4オリジナルクリアファイルAmazon:メガジャケ「ReadyReady」リリックビデオ<書籍情報>「コーヒーと短編」庄野雄治 編10月1日発売定価(本体1,300円+税)ミルブックスHP:<映画情報>『そして、バトンは渡された』10月29日(金) 全国公開映画『そして、バトンは渡された』本予告編公式サイト:公式Twitter:公式Instagram関連リンク安藤裕子オフィシャルサイト安藤裕子オフィシャルTwitter安藤裕子オフィシャルInstagram安藤裕子オフィシャルオフィシャルYoutubeチャンネル
2021年10月01日東京・本多劇場から無観客オンライン生配信された『もっとも大いなる愛へ』を最後に、1年ほど演劇活動を休止していた根本宗子が帰って来る──。復帰作となるブランニューオペレッタ『Cape jasmine(ケープ・ジャスミン)』では作・演出・企画を務め、自らもキャスティングした。「ミュージカルとライブの間を目指す」という根本を支えるのは、音楽を手がけるチャラン・ポ・ランタンの小春。今回で7本目のタッグとなる二人の構想に耳を傾けた。「この演出家×音楽家タッグは絶対」の相棒として出会った小春ちゃん──お二人が初めてタッグを組んだのは、月刊「根本宗子」の本公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』(2018年)でしたよね。根本そうですね、『愛犬ポリー』に始まって、『クラッシャー女中』『墓場、女子高生』『超、Maria』の音楽を担当していただいて、劇場作品は今回で5作目になりますかね。小春オンライン配信した、超、リモートねもしゅー『あの子と旅行行きたくない。』とSNSミュージカル『20歳の花』も含めると……これで7作目か。BOX出せるじゃない!──もはや“盟友”ともいえるお二人ですが、どんなきっかけで仲を深めていかれたのでしょうか?根本幼少期の時に好きだった音楽がまったく同じだったんです。シルク・ドゥ・ソレイユ『アレグリア』で印象的だった「ジュー・ダンファン」って楽曲なんですけど。あれはミラクルだったよね!小春LINE通話の呼び出し音を「ジュー・ダンファン」にしていたんですよ。それに根本さんがめざとく反応して。私にとっては、アコーディオンとの出会いになった一曲です。根本あれ聴いて、私は学校の音楽室にあるアコーディオンを一度だけ触って満足してしまったんですけどね。同じ音楽に影響を受けて小春ちゃんは奏者にまでなったのに……こうも違うのか、と(苦笑)小春いやいやいやいや!根本はじめは、小春ちゃんがうちの芝居を観に来てくれて。そのあと、お茶しに行った時に「根本さんの芝居はセリフがいっぱいあるから、曲を入れたらもっといろんなことができるよ」「私、つくろっか?」って言ってくれたんです。小春だいぶオブラートに包んでくれてますけど、要約すると「小春がつくった方がもっといい作品になるよ」みたいなことを言った気がする。根本それでCDをたくさんくれたんだよ!小春「なんか音楽入れた方がいいと思う」「私がやる」って。根本さんにしてみれば「あんた何様?」みたいなプロモーションの仕方だったよね(苦笑)根本「次回作はどこの誰が音楽やるの?」「じゃあその次は?」「いつ打ち合わせる?」ってね。──売り込みの圧が強い(笑)根本そこから何年か頼んでないから、たぶん怯えてたんじゃないかと思う(苦笑)小春(爆笑)──怯えから一転して『愛犬ポリー』でご一緒したのは?根本もともと私、チャラン・ポ・ランタンの音楽のファンだったんですよね。それにオリジナルの楽曲を舞台につくっていただけるって、演出家にとってむちゃくちゃ貴重な機会ですし。──いざ小春さんと共同作業してみて、いかがでした?根本演劇に音楽をつけるのって、なかなか難しい特殊な作業だと思うんですね。でも小春ちゃんは台本の理解が的確というか、演劇偏差値がめちゃくちゃ高い気がします。自分の作品と合っている、ってことなのかもしれないですけど……とにかくイメージが共有しやすかった。小春それは嬉しいな。根本憧れている先輩の演出家にも「この人にはこの人」っていう音楽家が皆さんいらっしゃって。いろんな方とコラボレーションするけど、やっぱり「この演出家×音楽家タッグは絶対だよね」ってお二人がいて、例えば松尾スズキさんと伊藤ヨタロウさん、みたいな。で、私もいつかそんな音楽家と知り合えたら……と思っている中で出会ったのが、小春ちゃんでした。いま隣にいるから恥ずかしいですけど。小春ありがたいけどさ、そう言われたのに突然そのポジションを別の人にチェンジしないでよ?根本絶対にないと思うよ。だって7本もやってんだから!(笑)登場人物のミニマムな感情を、音楽に助けてもらって大劇場でも──先ほど根本さんから「演劇偏差値が高い」とコメントがありましたが、小春さんは舞台をよくご覧になるんですか?小春胸を張って「観てます」と言えるほどではないですが、ミュージカルとか歌唱の入っている演劇作品は好きでよく劇場へ足を運んでいますね。演劇偏差値は正直、自覚ないかも……拝見した作品に対して「あの曲違うアレンジだったらもっとよかったんじゃないか」と感じることはありますけど。小春(チャラン・ポ・ランタン)──根本さんの作品をご覧になった時にも、同じようにインスピレーションを掻き立てられた?小春すごく失礼だし、おこがましい話ですが……「違うよな」「もっといい流れあっただろ」みたいな感じで観ちゃったんですよね。あ〜ダメだね、よくいるダメ出しするファンみたい!(頭を抱える)根本あはは(爆笑)! それってさ、「音楽にした方がいいのに」ってことだよね?「このシーンは曲にした方がより観客に伝わるのに、なんでセリフでやってんの?」とか「音楽つけるにしても、これよりもっといいのがあったんじゃない?」とかポジティブな提案でしょ?小春それ!根本ミュージカルの場合、海外で生まれたものを日本に持ってきた作品が圧倒的に多いもんね。歌詞も英語を日本語にしているから音符と言葉数が合わないし……とか、いわゆるグランドミュージカルに対して感じる歯がゆさが私の中にもあって。小春ちゃんに話してみたら、「ん?」って違和感を覚える部分が似ていたんです。それもあって今回の企画を一緒にやってみたくて。──だから、舞台設定が上演するはずだった新作ミュージカルの製作発表記者会見なんですね。根本公演PRとして記者会見の壇上でキャストがハンドマイクで歌唱するじゃないですか。あの時間をお芝居にしちゃえばいいじゃん、と考えました。演出家不在で公演中止になっても、メディアが集まっている以上は製作発表しなければいけない。取り残されたキャストは自分たちが出演するはずだったミュージカルナンバーを歌うんですが、楽曲の内容と会見の状況がだんだんシンクロしていくような構造がつくれたらおもしろいのかな、と。──序盤の台本を拝読したところ、会見に登壇する女優6人のキャラクターがのっけから強烈でほくそ笑んでしまいました。小春根本さんの作品に登場するキャラって身近に感じますよね。「学生の頃クラスにこんな奴いたわ」みたいな既視感あるあるにあふれていて、お客さんも劇中の誰かに自分を重ねやすいんじゃないでしょうか。それが今回も炸裂してるよね。女子の世界によくある、みんな仲いいわけじゃない微妙な距離感や関係性を描いている。根本仲良くもなけりゃ「初めまして」の人とたった1ヵ月でひとつの作品を完成させる演劇って、よく考えたらけっこう特殊なことしてるよな……と休んでいる1年で感じまして。数十人も集まれば、ウマの合わない人が隣にいるなんて当たり前じゃないですか。でもみんな大人だから一緒にやっていきますけど……我は強いですよね、こんな仕事を選んでいるわけだから。その様子を悪い感じに書くんじゃなくて、キツめなくらいデフォルメしてコント化したって感じです。小春舞台の現場は1ヵ月で終わるからいいけど、会社だったら合わない上司や同僚と数年間働かなきゃいけないとかザラなんでしょ? だから観客は自分と重なると思うよ、この作品で描かれることに。──そのいわば“コント”に込めた根本さんの想いって?根本宗子根本今は何よりも新型コロナがいちばん大変だから、それに満たないとされてしまう「今日キツかったわ」みたいな想いってあんまり表に出せません。でもそれって当事者にしてみれば、コロナがあろうとなかろうと変わらずしんどいはず。っていう、すごくミニマムな登場人物の感情を私はずっと書いてきたよな……とお休みしている期間に改めて感じました。そういうことを劇場が大きくなっても書き続けたいと思った時に、お芝居だけじゃどうしても伝わらないんですよね。でも小春ちゃんが隣にいて、曲をつけてくれることによって大きく届けることができる。小春ちゃんの音楽に助けてもらいながら伝えていきたいです。小春ちゃんと私が合わさると「オペレッタ」──小春さんの音楽を「ミュージカルと言ってしまうとしっくり来ない」「でも“オペレッタ”なら」とおっしゃっていましたよね。ファーストサマーウイカさんの『ANN0(オールナイトニッポンゼロ)』に、根本さんがゲスト出演した回で。根本小春ちゃんの音楽が、というより「小春ちゃんと私が合わさるとオペレッタ」って感じなんですよね。“ミュージカル”といわれたら帝国劇場で上演されているような2幕ものを連想しますけど、私たちが今回やるのはそういう類の作品ではないし。他には“音楽劇”って言い方も考えられるけど、言葉としてあんまり好きじゃなくて。小春じゃあ、なんでオペレッタだったの?根本私はどちらかというと喜劇を書く作家で、小春ちゃんが普段つくる音楽も物語性に富んだものが多い。その二人が一緒にやるなら「喜歌劇」って意味の“オペレッタ”かな、と。日本人はオペレッタにそれほど馴染みがないだろうから「先んじて言っとけ」みたいなところもあります(笑)──本作の稽古期間は2週間ほど、ですよね。限られた時間での試みとして「ユニゾン曲は少なめ」「一人1曲ずつメインで歌うソロナンバーがある」とお聞きしています。どのように楽曲制作されているのでしょうか?根本いつも細かい打ち合わせはしないんですよ。台本の中に「音楽メモ」を書き入れる程度で。(小春に)そのあと、ちょっと喋ってるか。小春そうだね、だいだいあのメモをもとにつくってる。でも今日、数曲提出する予定が……ゼロだわ。根本いや違うの、小春ちゃんがゼロの時って私のメモがわかりづらいんだよ。もう少し一人ひとりのキャラが粒立っている方が描きやすいのかな、とか。小春ちゃん、いつも曲書くのめちゃめちゃ早いもん。小春今回はやばい!根本あとさ、台本ベースに楽曲を完成させるのって実は今回が初めてじゃん? これまで稽古の様子を実際に見ながら曲つくってもらってたから。小春前は「今週のテストです」ばりに、稽古場へ行くたびにつくってたよね。「お、新しいシーンできたなら書くぞ!」って腕まくりして。根本稽古場の隅でアコーディオン弾いて「できた!」ってね。──でも今回は稽古を見ておらず、ヒントが台本とメモのみだからイメージが湧きづらい?小春正直なところ、歌い手のキャストさんにお会いすればつくれるんですけどね。地声をお聞きして「あ、この方なら低い音も行けそうだな」みたいな感じで。でも根本さんと妹(本作に出演するチャラン・ポ・ランタンもも)以外、テレビでお顔を見たことがある程度だからなぁ。──歌唱シーンのあるキャストにはアイドルの横山由依さん(AKB48)、中山莉子さん(私立恵比寿中学)に、芸人の江上敬子さん(ニッチェ)、ラッパーのあっこゴリラさんとバラエティ豊かな顔ぶれが揃いました。小春お会いしたことのない方の歌唱力は未知数なんですよね。YouTubeで配信されていた「歌ってみた」動画を覗かせてもらった方もいるけど、基本「まだわからん」と思いながらつくっているので探り探りです。根本あとさ、『Cape jasmine』じゃなくて「登場人物が本来出演するはずだったミュージカル」に曲をつけるって複雑さもあるよね。何ページか渡したあと、小春ちゃんに会ったら「やるはずだったミュージカルのプロットもらわなきゃつくれないわ」って言われて、そりゃそうだと思ったもん(笑)「あの歌もう聴けないんだ」と後悔させるくらい、耳と心に残るメロディを──根本作品の音楽を手がける時は、小春さんが歌詞を書いているそうですね。小春作家が歌詞を書くとね……伝えたい重要テーマをどうしてもいっぱい入れちゃうから。根本そうそう、言いすぎるのよ。小春フォークソングみたくなっちゃうんだよね。私がこれまで観てきたわずかな作品内での比較で恐縮なんだけど、根本さんってセリフの詰め込み方がハンパないし、かなり言葉数を多く使って表現する作家さんだと思うんですよ。そういう作品の中で用いられる音楽の歌詞は、逆に少ない方が効果的なんじゃないかな。根本一般的なミュージカルってセリフは少ない一方で、曲が始まったら「めちゃくちゃ状況説明するじゃん」みたいなナンバーありますよね。そういう楽曲とも一線を画したい。小春歌詞の少ないミュージカルナンバーってあんまり見当たらないよね。だからお芝居でストーリーはきっちり進めておきながら、歌は観客によって聞こえ方が異なるくらい余白があった方がおもしろいんじゃないかと思っているんです。──では、今回は何を心がけながら楽曲をつくっていこうと考えていらっしゃいますか?小春舞台の細かい部分を忘れてしまっても、歌だけ覚えてくれていたら作品全体を思い出してもらえるくらい耳に残るメロディにしたいですね。これまた個人的なエピソードで恐縮なんですが、小学生の時に観たミュージカルの歌が忘れられなくて。作品名、何だっけなぁ。根本『森は生きている』でしょ?小春それ! タイトルすら思い出せないのに、歌は大人になった今でもめちゃめちゃ覚えていて。根本生まれて初めて観たミュージカルが『森は生きている』だったのも、小春ちゃんとの共通項だわ。小春子どもの頃、一度しか観ていない舞台の歌を大人になっても覚えているってけっこう衝撃ですよ。でもそういうのいいな、って。キャストの細かい演技なんて正直忘れちゃってるけど、メロディを思い浮かべたらまた『森は生きている』を観たくなるの。だから今回も、耳と心に残る楽曲にできたらいいですね。再演が決まっていない分、一度ご覧になった方に「あの歌もう聞けないんだな」って後悔させるくらい。取材・文:岡山朋代撮影:石阪大輔ブランニューオペレッタ『Cape jasmine』2021年10月6日(水)〜10月7日(木)会場:日本青年館ホールチケット情報
2021年09月24日安藤裕子が11月17日にニューアルバム『Kongtong Recordings』(読み:コントンレコーディングス)をリリースすることが決定した。今作は、タイトルが表す通り混沌とした今の想いが詰まった今しか創れない作品となっており、TVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonのエンディングテーマ「衝撃」やテレビ東京系ドラマ『うきわ―友達以上、不倫未満―』オープニングテーマ「ReadyReady」などが収録されるほか、初回限定仕様には本人直筆のシリアルナンバーが入ったブックレットが付属する。そのほかアルバムの詳細に関しては、後日行われる予定のYouTube Liveにて本人から発表される。合わせて安藤の新たなアーティスト写真が公開され、カラフルに彩られた前回のイメージから一変し、モノクロで凛とした表情が印象的なビジュアルとなっている。安藤は10月29日公開の映画『そして、バトンは渡された』に出演するほか、ミルブックスより刊行の『コーヒーと短編』への短編小説の書き下ろしや表紙モデルを担当することが決定している。<リリース情報>『Kongtong Recordings』(読み:コントンレコーディングス)11月17日(水) リリース価格:3,300円(税込)初回限定仕様:安藤裕子直筆シリアルナンバー入りブックレット【特典】各法人: A4オリジナルクリアファイルAmazon:メガジャケ「ReadyReady」リリックビデオ<番組情報>『うきわ ―友達以上、不倫未満―』8月9日(月) より毎週月曜23時6分放送『うきわ ―友達以上、不倫未満―』告知画像監督:風間太樹 / 太田良出演:門脇麦 / 森山直太朗 / 田中樹(SixTONES)/ 高橋文哉 / 小西桜子 / 大東駿介 / 蓮佛美沙子 / 西田尚美原作:野村宗弘『うきわ』(小学館ビッグスピリッツコミックス)放送局:テレビ東京 / テレビ大阪 / テレビ愛知 / テレビせとうち / テレビ北海道 / TVQ 九州放送配信:動画配信サービス『Paravi』と『ひかりTV』にて配信予定Paravi:ひかりTV:公式HP:<書籍情報>「コーヒーと短編」庄野雄治 編10月1日発売定価(本体1,300円+税)ミルブックスHP:<映画情報>『そして、バトンは渡された』10月29日(金) 全国公開映画『そして、バトンは渡された』本予告編公式サイト:公式Twitter:公式Instagram関連リンク安藤裕子オフィシャルサイト安藤裕子オフィシャルTwitter安藤裕子オフィシャルInstagram安藤裕子オフィシャルオフィシャルYoutubeチャンネル
2021年09月08日演劇活動を休止していた根本宗子が、約1年の充電期間を経て復活。“ブランニューオペレッタ”と銘打った新作『Cape jasmine』を上演する。そこで根本とキャストのひとりであるAKB48の横山由依に、話を訊いた。コロナ禍という厳しい状況にも関わらず、精力的に活動してきた根本。中でも完全リモート作品『超、リモートねもしゅー』は話題を集めたが、「あれはまったく別物で、演劇ではないですね」と振り返る。「やっぱり演劇って自分へのご褒美であり、日常を忘れさせてくれるエンターテインメントの時間を買うものだと思うんです。この日、ここに来た人とだけ共有出来るもの、というか。だから今回はそういったことを再認識しつつ、作っていけたらと思っているんです」そのために根本が考えたのが、ブランニューオペレッタ。いわゆるグランドミュージカルとは違う、根本の作・演出とチャラン・ポ・ランタンの小春の音楽が融合して生まれる、真新しい喜歌劇だ。さらに演者は、アイドルに芸人、踊り子など、出自の異なる女性のみ7人。中でも横山のキャスティングについて根本は、「すごく柔らかくて、内面まで届くきれいな声を持っていらっしゃる。今回はそんな横山さんの声の特性に合うような作品にしたいと思っているんです」と明かすと、横山の顔がパッと明るくなり、「今の言葉で救われた気がします!」と意外なひと言が。実は横山、自身の高い声が悩みの種だったそうで、「でも今回は自分の声を活かしつつ、新しいお芝居や歌にトライ出来そうなので、とても嬉しいです!」と声を弾ませた。本作の上演は2日間で3公演のみ。さらに稽古期間も、新作ミュージカルとしては無謀とも言える2週間のみを予定している。根本本人も「かなり無謀です」と笑いつつ、「ミュージカルの概念をいい意味で壊しにいけたらなと。」と続ける。現在のプランとして、ユニゾン曲は少なめ、ひとり1曲ずつメインの曲があり、ミニマムながらもかなり贅沢な、盛りだくさんな内容になる、とのこと。そんな根本の言葉に横山は、「私にとってすごく大切な、学びの期間になると思います。今の時点で根本さんのことが大好きになってしまったので、すべて根本さんに委ね、自分の出来る最大限で頑張りたいと思います!」と目を輝かせた。最後に根本はこうアピールする。「ここまで読んで『何をやるんだろう?』と思われた方は、今後私が演劇を見せていきたい方だと思います。なのでぜひその引っかかりを信じて、劇場まで足を運んでもらえたらなと思います」公演は10月6日(水)・7日(木)の2日間。日本青年館ホール(東京都)にて上演。取材・文:野上瑠美子
2021年08月24日安藤裕子の新曲「ReadyReady」が、8月9日よりスタートするテレビ東京系ドラマ『うきわ ―友達以上、不倫未満―』のオープニングテーマに決定した。本ドラマのために書き下ろされた「ReadyReady」は、オリジナリティ溢れるメロディと歌詞世界を表現する安藤のヴォーカルに、二胡の音色をフィーチャーするなどトライバルなサウンドが枯れたギターリフやビートと同居したダンサブルなナンバーとなっている。合わせてドラマ初回オンエア後の8月10日に本楽曲が配信リリースされることも発表された。『うきわ ―友達以上、不倫未満―』は、社宅のベランダを舞台に「不倫まで壁1枚」というお隣同士の危うい関係を描いたドラマで、主人公・中山麻衣子役を門脇麦、麻衣子の隣室に住んでいる“二葉さん”こと二葉一役を森山直太朗が演じる。■安藤裕子コメント原作の中の麻衣子さんは夢の中にふわふわと沈んでいる様な印象でしたが、ドラマの中の彼女は二葉さんと出会い、どう浮上していくのだろう?実はお話をいただいて曲を描いては迷ったりを繰り返しておりました。麻衣子さん、二葉さんが互いの存在により浮上していく模様がこの夏の蒸し暑さの中、より濃く、ちょっと妖しく描けたんじゃないかな?と思っております<リリース情報>安藤裕子「ReadyReady」8月10日(火) 配信リリース配信リンク:<番組情報>『うきわ ―友達以上、不倫未満―』8月9日(月) より毎週月曜23時6分放送『うきわ ―友達以上、不倫未満―』告知画像監督:風間太樹 / 太田良出演:門脇麦 / 森山直太朗 / 田中樹(SixTONES)/ 高橋文哉 / 小西桜子 / 大東駿介 / 蓮佛美沙子 / 西田尚美原作:野村宗弘『うきわ』(小学館ビッグスピリッツコミックス)放送局:テレビ東京 / テレビ大阪 / テレビ愛知 / テレビせとうち / テレビ北海道 / TVQ 九州放送配信:動画配信サービス『Paravi』と『ひかりTV』にて配信予定Paravi:ひかりTV:公式HP:関連リンク安藤裕子オフィシャルサイト安藤裕子オフィシャルTwitter安藤裕子オフィシャルInstagram安藤裕子オフィシャルオフィシャルYoutubeチャンネル
2021年07月27日根本宗子&ファーストサマーウイカが語る、“大人の友情”の育み方。舞台で共演した繋がりもありますが、この二人、プライベートでも仲良しだ。知り合ったきっかけや関係性、そして大人にとっての友達とは…などについて、あれこれ伺いました。――どんなきっかけでお知り合いになったんですか?根本:突然ツイッターに、DMが送られてきたんです、ウイぽん(根本さんによる、ファーストサマーウイカさんの呼び名)から。6年前かな。ウイカ:ふふふ。私、結構誰にでも躊躇なくDMを送れるタイプで(笑)。というか、そのときちょうどねもさん(ウイカさんによる、根本宗子さんの呼び名)の舞台が上演されてて、すごく良いという評判を聞いたのでどうしても観たくて。それで、「チケットとれませんか?」って直接連絡したんです。根本:でも、元はといえば、私がウイぽんが以前所属していた「BiS」時代から好きで、ライブを観に行っていたし、ツイッターをフォローしてたんですよ。なので、面識はないけれど、私のことを、BiSのファン…と思ったんじゃないかな。ウイカ:それで舞台を観に行かせていただいて、終演後、楽屋で挨拶したのが、最初でしたね。――初対面の印象は?根本:劇場の狭い廊下を、BiSのイメージまんまのウイぽんが、肩で風切ってズンズン歩いてきた~って思いました(笑)。ウイカ:私は、ねもさんは作る作品や舞台上のパワフルなイメージと違って、意外と淡々とした静かな人だなって思いました。根本:でも、そこからすぐ仲良くなったわけでもないんだよね。ウイカ:そうそう。結構徐々に、徐々に距離を詰めて、2年後に初めてねもさんの舞台に出させてもらって、それが終わってからですよね、友達として仲良くなったのは。根本:そうだね。ウイカ:私は、知らない相手でもDMは送れるし、人見知りも全然しないタイプではあるんだけれども、だからといって、グイグイ距離を縮めるかっていうとそうでもない。最初に会ったときから、バイブスは合うな~と思ってたんですけどね。根本:私はDMしないし人見知りだけどね(笑)。――改めて考えてみると、なぜ友達になったと思われますか?ウイカ:まず、同じようなものに興味を持っているので、会話の共通点が多い。ただ一方で、ものを見る角度はお互い結構違うので、同じ何かについて語り合うと、意外な発見があって、楽しいんです。根本:確かに、二人とも高校時代に大人計画が好きだったけど、着眼点も影響の受け方も全然違ったもんね。ウイカ:そうですね。根本:私は劇作家という仕事柄、あんまりたくさんの人には、自分の個人的な話はしたくないんですが、でもたまに、最近あったことや今私が考えていることを話したいと感じる人に出会うの。自分的には、そういう相手が友達なのかな、と思うんだけど、ウイぽんはまさにそうだった。この話をしたら、この人なんて思うんだろう?って思える人。ウイカ:わかる。私もものの見方が自分と違う人と友達になりたい。価値観が違ってもいいから、新しい視点や発想を持っている人がいい。私みたいなひねくれた人は嫌かも(笑)。根本:私も。自分だったら私みたいな人と絶対仲良くなりたくないって思うよ(笑)。ウイカ:アハハ(笑)。人付き合いの距離感が似てる。だから居心地がいいのかも。――お二人で一緒にいるときは、どんなことをすることが多いですか?根本:基本的には、ごはん行ったりお茶したり…。仕事の相談もしますし、どうでもいいことも話します。ウイカ:ねもさんから、いい健康食品をおすすめしてもらったり(笑)。去年も、どうしても話したいことがあって、昼間に一瞬、人のいないところでサクッとお茶だけして帰った、みたいなこともありましたよね。根本:あったあった。そうなんだよね、コロナになって、今までと変わらずごはんに行く人もいるし、一切出かけない人もいる。“人付き合いの距離感”ってそれぞれだなぁって思ってたんだけど、ウイぽんとは、そのへんのリズムも合うよね。ウイカ:私は考え方がクレバーな人が好きで、そういう人と一緒にいると心地よい。ねもさんはまさにそう。根本:言われて嬉しい褒め言葉(笑)。でも私、人から「ウイぽんってどんな人?」って聞かれたら、いつも「クレバーな人」って言ってるよ。ウイカ:ありがとうございます(笑)。ちなみに私はねもさんのことは、「チャーミングな人」と言ってます。根本:さっきの、“二人でいるときに何をするか”で思い出したんだけど、若いときって、恋の悩みや愚痴を語り合える人と集まりがちだったの。でも大人になってからの友達は、「なに話したんだっけ?」って思い出せないような話ができる存在なんじゃないかなって、今ちょっと思った。何でもない話をする時間って、意外と大切だよね。歳を重ねると、純粋にそういう時間を過ごせる友達が減ってくる気がする。ウイカ:家族とか恋人って、その人にとって“1番”の存在であることが多いと思うんですけど、友達って、それと比べると1番になることが私は少ない。…というか、1番である必要がない存在だと思うんです。もちろん親友が1番という人もいるだろうけれど、私にとっては1番でもないし、極端に下位でもない。ちょうどいいところにある存在。根本:うんうん。ウイカ:1番の人には話せないことって、案外あるじゃないですか。親や恋人、超身近な人には言えないんだけど、なぜか友達には言えたりする。それはトップシークレットのこともあれば、どうでもいい何気ない話のこともあるんだけど。そういうのって友達としか共有できないなぁって、今思いました。根本:ウイぽんが言うところの1番に当たる人たちと向き合うときって、基本が楽しいんだけど、「こんな些細な私情に時間を割かせてしまっている」という気持ちになることもある。その点友達だと、気軽に「ねえちょっと聞いて」と言いやすい。逆に、家族とか1番の人しかいない世界を考えると、ちょっと怖いよね。大人になってからは、主体的に友達を選べるから、楽しい。根本:学生時代、私は女子校だったから、「一緒にトイレに行こう~」みたいな友情ばっかりの世界にいて、本当に居心地が悪かったの。今もたまに女性のそういう関係を見かけたり、巻き込まれそうになったりするけれど、でもそれを避けられるようになった。だから大人になってからの友達のほうが、かけがえのない人になっている気がする。ウイカ:そう。学校って、学力とかエリアで集められた集団で、そこで気が合う人が見つかるなんて、奇跡みたいなもの。その点大人になってからは、趣味が近いとか、共通点があるみたいなところを見ながら、自分で選んで友達になれる。そこが子供のときと違うところだね。根本:一緒にいることが目的なんじゃなくて、目的があるから、会ったり喋ったりしたいわけで。ウイカ:確かに。根本:あーあと私、友達とお風呂入れないのよ。だからウイぽんと一緒に温泉は入れないわ。「私部屋のお風呂でいいです」って即答する(笑)。ウイカ:そうかー。私は逆に、誰とでも温泉入れる(笑)。でもだからこそ、「二人きりでごはん食べよう」って誘うのは、実はすごいハードル高い。そういう意味では、ねもさんは本当に貴重な存在なんですよ。根本:ふふふ、ありがとう(笑)。ファーストサマーウイカ(写真右)俳優、ミュージシャン、タレント。2ndデジタルシングル「帰り花のオリオン」が配信中。8/13より公開の映画『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』では日本語吹替を務める。根本宗子ねもと・しゅうこ(写真左)劇作家、劇団・月刊「根本宗子」主宰。企画、脚本、演出、監督を手掛けるSNSミュージカル『20歳の花』の#1、2が配信中。弊誌連載「根本宗子の妄想スイッチ」も好評。※『anan』2021年7月21日号より。写真・土佐麻理子スタイリスト・近藤伊代(ウイカさん)ヘア&メイク・山本絵里子(ウイカさん)小夏(根本さん)(by anan編集部)
2021年07月17日森川智之と甲斐田裕子が、Netflixオリジナルアニメシリーズ「BIOHAZARD:Infinite Darkness」の日本語吹き替えキャストを務めることが決定。ティザーアート第2弾と新場面写真も公開された。2006年、ホワイトハウスが何者かにハッキングされた。大統領管轄の極秘ファイルに不正アクセスの痕跡が見つかったのだ。捜査のため召集された合衆国エージェントのレオン・S・ケネディらは、停電したホワイトハウス内で正体不明のゾンビと遭遇。一方、テラセイブの職員クレア・レッドフィールドは難民支援のために訪れた国で失語症の少年が描いた奇妙な絵と出会う。ウィルス感染者を描いたと思われるその絵をきっかけに、独自の捜査を進める。翌朝、ホワイトハウスを訪れたクレアはレオンを見つけ、その絵を見せる。この2つの関連性に何かを悟るレオンだったが、クレアには関係ないと言ってその場を立ち去る――。本作は、サバイバルホラーゲームの金字塔「バイオハザード」シリーズの人気キャラクター、レオン・S・ケネディとクレア・レッドフィールドの2人を軸に物語が展開するホラーアクション作品。森川さんと甲斐田さんが声を担当するのは、もちろんレオンとクレア。ゲーム「バイオハザード RE:2」以来の再共演となる。森川さんは「また戦いの日々がやって来るのかと思うと、早くも胸の高鳴りが抑えられない状態です」と心境を明かし、「表題のインフィニットダークネスとはいったいどういう意味を持つものなのか、新たなドラマでのレオンの活躍にご期待ください!」とメッセージ。「ついにドラマ化!?レオンとクレアにどんな展開が待っているのか楽しみです」とワクワクしているという甲斐田さんは、「昔プレステ版の2で犬に追い詰められ叫びながらプレイしてたのが懐かしい、恐怖に耐えられるでしょうか」とコメント。なお森川さんは、3月27日(土)の「AnimeJapan 2021」Netflixステージに登壇することも決定した。また今回到着したティザーアート第2弾では、シリーズ初のスーツ姿を披露。銃を構えるレオンと、ライトを片手になにかを探している様子のクレア、そして重要な舞台のひとつ、ホワイトハウスに向かうゾンビたちの姿も描かれている。そして、このホワイトハウスで偶然再会したレオンとクレアの新場面写真も到着。新しいシリーズの世界観を少し覗くことができる。「BIOHAZARD:Infinite Darkness」は2021年、Netflixにて全世界独占配信予定。(cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2021年03月12日安藤裕子が本日発売となったシングル「衝撃」のMVを自身のYouTube Channelで公開した。「衝撃」は、安藤がTVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonのエンディングテーマとして細部までこだわって書き下ろした楽曲。MVでは安藤が大地に横たわり、様々な声色を使って歌いあげる姿が映し出されている。色調を抑えた映像も特徴的で、昼とも夜とも異なる独特の姿を見せる空の色、楽曲がドラマティックに展開するのに呼応するように縦横無尽に動くカメラワークにも注目だ。監督を務めたのは、カメラマンとしても活躍する川上智之氏。MVでは哀しみ、怒り、安らぎ、苦しみなど様々な感情が交差する模様が描かれており、『進撃の巨人』そして楽曲の世界観が見事に表現されている。安藤裕子「衝撃」MV配信シングル「衝撃」「衝撃」パッケージ購入用URLリリース情報安藤裕子「衝撃」本日発売1,300円(税抜)安藤裕子「衝撃」ジャケット【収録曲】01. 衝撃02. nontitle03. 花一匁■オリジナル特典・Amazon:メガジャケ・ディーラー共通(Amazon以外):チェンジングジャケット※特典は数量限定となるため、発売前であってもご予約状況によっては、先に特典プレゼントが終了する場合もございます。※特典を確実に入手いただけるよう、お早めにお近くのCDショップ、WEBショップで特典についてご確認をいただいた上でのご予約をお勧め致します。※特典につきましては、一部取り扱いの無いCDショップもございますので、詳細を店舗までお問い合わせください。また、ネット販売につきましても同様に、一部取り扱いの無い場合もございますので、各WEBショップの告知をご確認ください。タイアップ情報TVアニメ『進撃の巨人』The Final SeasonNHK総合にて毎週日曜24時10分より放送中※放送日時は変更になる場合がございます公式HPアニメ『進撃の巨人』The Final Season PV関連リンク安藤裕子オフィシャルサイト安藤裕子オフィシャルTwitter安藤裕子オフィシャルInstagram
2021年02月03日2月3日(水)に発売になる安藤裕子の最新シングル「衝撃」のジャケット写真と、CD購入者を対象としたオリジナル特典チェンジングジャケットのイラストが公開となった。「衝撃」は、現在放送されているTVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonのエンディングテーマ。オリジナル特典はアニメ描き下ろしの主人公エレン・イェーガーのイラストに、安藤本人が色付けをしたものとなっている。「衝撃」のエンディングタイアップのみならず、特典でも異例のコラボとなったのでぜひ手に入れてほしい。さらに、シングルに収録される「nontitle」が1月27日(水)11:00〜14:00放送の、FM802(80.2FM)『UPBEAT!』で初オンエアされることも決定。安藤裕子のコメントもオンエアされるとのことだ。【リリース情報】安藤裕子「衝撃」2月3日(水)発売価格:1,430円<収録楽曲>M1:衝撃M2:nontitleM3:花一匁・配信シングル「衝撃」: ・「衝撃」パッケージ購入用URL: <オリジナル特典>・Amazon:メガジャケ・ディーラー共通(Amazon以外):チェンジングジャケット※特典は数量限定となるため、発売前であってもご予約状況によっては、先に特典プレゼントが終了する場合もございます。※特典を確実に入手いただけるよう、お早めにお近くのCDショップ、WEBショップで特典についてご確認をいただいた上でのご予約をお勧め致します。※特典につきましては、一部取り扱いの無いCDショップもございますので、詳細を店舗までお問い合わせください。また、ネット販売につきましても同様に、一部取り扱いの無い場合もございますので、各WEBショップの告知をご確認ください。【放送概要】FM802『UPBEAT!』OA:月~木 11:00~1400DJ:加藤真樹子【タイアップ情報】TVアニメ「進撃の巨人」The Final SeasonNHK総合にて12月6日(日)24:10より放送※放送日時は変更になる場合がございます公式HP:
2021年01月26日「モテるために生きている」と公言し、若い女性から絶大な人気を誇る“モテクリエイター・ゆうこす”こと菅本裕子さん。近年はYouTuberやライブ配信者を育てる事業にも乗り出し、実業家としての手腕も発揮。その活躍ぶりには、自身がインフルエンサーとして培った“伝える力”が役立っていたそう。思いを言葉にするには、まず自分を知ることが必要。――もともと10代の頃にHKT48のメンバーとして活動されていた菅本さんですが、“実業家”と言われることにはもう慣れましたか?菅本:そうですね(笑)。最初は社員が2~3人しかいない小さな会社だったのですが、ようやく20人以上に増えたので、最近やっと実感がわいてきました。――22歳で起業を決めた理由は?菅本:アイドルを辞めた後、しばらく仕事がなくてニート生活を送っていたんです。そこで自分を冷静に見つめ直した時に、「元アイドル」という経歴だけだと弱いなと思って、「モテクリエイター」という肩書を思いつきました。“モテ”というニッチでキャッチーな発信内容に絞ること、それでいて、会社であることで仕事の依頼も受けやすいだろうし、運も巡ってくると思ったんです。――周りからの“見え方”を意識することが大事なんですね。菅本:それに気づけたのは、小さい頃からSNSをやっていたことが影響していると思います。多くの人の反応を得るには、“何をやっている人か”がわかりやすいほうがいいと思い、実践してみました。――スキンケアブランドやルームウェアのプロデュース、さらにYouTuberとしての活動など、モテをテーマにさまざまな発信を行ってきた菅本さんですが、その一方で、最近はインフルエンサーの育成に力を入れているそうですね。菅本:せっかくインフルエンサーとして道を開拓してきたのだから、失敗も含めて自分の経験をたくさんの人と共有できたらいいなと思い、人を育てる方向に目を向けることに。そのタイミングで、会社の人員も大幅に増やしました。1人のお仕事だと、どうしてもSNSのいいね!数に結果が左右されてしまうことが多いのですが、今はチーム全体として考えられるようになり、本来やりたかったことから逸れないようになりました。チームのみんなに感謝ですね!――徐々に事業を拡大していくなかで、特に難しいと思ったことはありますか?菅本:やっぱり、誰かと一緒にコミュニケーションをとりながら仕事をすることの難しさは感じました。特に今は“個”の時代といわれるほど、たとえば動画編集にしろ商品の販売にしろ、1人で何でもできちゃう時代じゃないですか。私自身、もともとYouTubeは企画から編集まで1人でこなしていたので、それぞれの分野にプロの方がいる意味もわかっていなかったですし、「誰かに任せること」がカッコ悪いと思っていたんですね。でも実際は、技術を持った人に任せることでクオリティも上がるし、時間も効率化できる。そう思ったからこそ、信頼できるチームに自分の意思を共有して、「任せられることは任せる」という方針をとるようになっていきました。――自分の意思をきちんと共有するために、日頃から意識していることとは?菅本:自分が「こうしたい」という気持ちを、相手の機嫌を損なうことなくきちんと説明することですね。仕事って、どうしても相手にいいところを見せたくなるのですが、きちんと本音が伝わらないと意味がないので。「私はこう思っています。なぜなら…」と、理由をていねいに説明して掘り下げるようにしています。――思いを言葉にすることって、意外と難しいですよね。菅本:そうですね。そのためには、まず自分のことを知る必要があると思います。たとえば、旅行や美術館に行った時に「素敵だった」のひとことで終わらせずに、ちゃんと感想を文章にまとめることも大事。私は日頃からSNSで投稿していたので、気持ちを言葉にする習慣が身についているのは良かったと思っています。――最後に、今後の目標や展望があれば聞かせてください。菅本:事業の展望はいろいろあるのですが、最終的には「ずっとモテていたい」です(笑)。それは、恋愛でも仕事でもそう。自分の気持ちと相手の気持ちを大事にできる人こそが“モテる人”だと私は思っているので、基本的にはお互いがWin-Winの関係でいられるのが理想です。「自分が与えてあげているんだよ」というおこがましい気持ちになるのではなく、相手のWinも大事にして、みんなの気持ちが動くような商品やサービスをこれからも作っていきたいです。菅本裕子1994年生まれ、福岡県出身。株式会社「KOS」代表。タレント、モデル、SNSアドバイザー、YouTuberなどさまざまな顔を持つ。著書に『共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る』(幻冬舎)など。コート¥27,000ジャンプスーツ¥18,000(共にメゾンスペシャル/メゾンスペシャル 青山店 TEL:03・6451・1660)ボウタイブラウス¥56,000(コート/イザ TEL:0120・135・015)イヤリング¥20,000リング各¥9,000(以上プティローブノアー TEL:03・6662・5436)シューズ¥54,000(ミスタ/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム TEL:03・3401・5001)※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)スタイリスト・入江陽子(TRON)ヘア&メイク・サイオチアキ(Lira)インタビュー、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2021年01月03日芥川賞&文藝賞をW受賞した若竹千佐子のベストセラーを、沖田修一監督が田中裕子を主演に迎えて映画化した『おらおらでひとりいぐも』。この度、田中さん演じる桃子さん、75歳の毎日のルーティンを収めた特別動画が公開された。「朝の時短!」「シンプルライフ!」「これがわたしの新習慣!」など、近頃、YouTube上でも見かける“ルーティン動画”。今回到着した本作の主人公・桃子さんのルーティンは、「MORNING(朝食)」「HOSPITAL(病院)」「LIBRARY(図書館)」「DAUGHTER(娘)」「MAINTENANCE(メンテナンス)」からなる。75歳の桃子さんが過ごす毎日の様子がコミカルに描かれているが、やがて、そのルーティンは徐々に桃子さんの脳内へシフト。歌謡ショーの開催や、心の声=寂しさとのダンスなど、桃子さんの知られざる脳内ルーティンも垣間見えてくる。本作では、そんな桃子さんの過ごす日々に寄り添いながら、至るところで頭の中で鳴り響く彼女の声が飛び出し、思いもよらぬところまで観客を連れていく。沖田監督による丁寧に積み上げられたリアリティとユーモアが桃子さんの佇まいと見事に掛け合わされた本作。いつもの居間や病院、図書館、歩き慣れた道すがら、静かな一人暮らしとはかけ離れ、賑やかになっていく様を確かめてみて。『おらおらでひとりいぐも』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おらおらでひとりいぐも 2020年11月6日より公開© 2020 「おらおらでひとりいぐも」製作委員会
2020年11月09日フリーアナウンサーでモデルの青木裕子(37)が、7日発売の『VERY12月号』(光文社)に夫でお笑いコンビ・ナインティナインの矢部浩之(49)と登場。夫婦そろっての登場は約5年ぶりとなり、雑誌では初めての夫婦共演となる。また、初の家族ショットも公開した。今回の撮影に関して、青木は「皆さんの前で家族写真を撮るというシチュエーションに加えて、夫との共演はとにかく恥ずかしさが先に立ったり、興奮している息子たちの言動や行動がいちいち気になってしまって、…私が一番ダメでしたよね」と普段とは違った撮影に苦戦したようだが、「本当にいい記念になりました!」と喜びを語った。また、矢部も「妻と手を取り合ったり、見つめ合って写真を撮るなんて、結婚式以来? カメラマンさんからくるリクエストに心底照れました」と久しぶりの夫婦での撮影に照れていたようだ。
2020年11月07日毛穴が詰まっていたり、黒ずんだりしていると、美しくないですよね。ファンデでも隠し切れず、毛穴パックなどの一時的なスキンケアで一時的にキレイになっても、何度も詰まってしまう……そんな悩みを長年抱えていませんか?ずっと毛穴をクリアにできずにいる方は、毛穴が詰まる原因と正しいスキンケア法を知らないのが一番の問題かもしれません。そこで今回は、美容家の筆者が続けている毛穴悩みをクリアにするスキンケア法を、おすすめアイテムとともにご紹介します。【毛穴スキンケア】詰まりの原因は皮脂じゃない!?……まずは原因を知ろう!毛穴の悩みを何とかするには、まずは毛穴の詰まりや黒ずみのことをよく知ること。“敵”をよく知ることが、解決への第一歩です!(1)毛穴に詰まっているのは角栓毛穴詰まりで悩むと、まず皮脂を取り除こうとする方が多いのではないでしょうか。でも、毛穴詰まりの原因は、皮脂だけではありません。毛穴に詰まっているのは、角栓です。角栓は、毛穴の中の角質が剥がれきらず、皮脂やメイクなどの汚れが混ざって固まったもの。ターンオーバー乱れて黒ずんで見えるのは、酸素に触れる部分の皮脂が酸化するためです。酸化すると角栓は固くなり、より取れにくい状態になってしまいます。(2)毛穴の角栓の大半は皮脂ではない実は、角栓の大部分を構成しているのは皮脂ではありません! 肌のターンオーバーが乱れて、毛穴に次々と蓄積される角質が大半なので、角栓の約70%はタンパク質、約30%が脂肪でできています。つまり、皮脂を取ろうとするスキンケアをするのは、効果的とは言えません。むしろ、肌を乾燥させてターンオーバーを乱し、余計に毛穴に角質をため込みやすいコンディションになってしまう恐れも……。皮脂を取り除くスキンケアに力を入れるのではなく、タンパク質をオフすることが大切です。(3)無理な毛穴スキンケアでシミになることも強引に毛穴に詰まった角栓を押し出したり、剥がすときに刺激を感じる毛穴パックを使ったりするのは、肌にダメージを与えてしまうことになりかねません。肌トラブルを起こしたり、刺激によってシミになったりもするので、いち早く正しいスキンケアに切り替えて!(4)毛穴の詰まりの放置はニキビのもと毛穴に角栓ができて詰まると、アクネ菌が繁殖しやすくなります。毛穴の詰まりを放置しているとニキビの原因になるので、角栓を作らないスキンケアを続けることが重要です。悩みをクリアに! 美容家がすすめる毛穴スキンケア5つ(1)クレンジングで角質ケアも……BIKAN「クレンジングオイルCP」毛穴悩みをずっと抱えている方は、きちんとクレンジングができていないと考えられます。丁寧にメイクや汚れをオフすることは、毛穴悩みを解決するための絶対条件! とはいえ、なかなか丁寧なクレンジングを続けられないから、長年毛穴の悩みを抱えているのでしょう。慌ただしい毎日で、クレンジングにじっくり時間をかけられない方には、BIKAN「クレンジングオイルCP」がおすすめです。オイルが毛穴に入り込んだ汚れになじみ、洗い流すとサッとオフできてクリアな肌に整います。BIKAN「クレンジングオイルCP」は、本来は混ざり合わない油と水を、境界線をなくして共存させる技術が使われているクレンジング。そのため、濡れた手で使ってもきちんとメイクや汚れをオフすることが可能です。毛穴に入ったメイクや汗、皮脂、汚れをキャッチし、角質ケアまでも可能! W洗顔なしでスッキリと洗えます。さらに、美容液かのようにコラーゲンとプラセンタを使用しているので、洗い上がりはしっとり! 時短・簡単、きちんと汚れオフ、角質ケア、しっとり保湿の4拍子が揃ったアイテムなので、ついついササッとクレンジングを済ませてしまい、メイクや汚れを毛穴に残してしまいがちな方にぴったり! ぜひ切り替えてみて。(2)古い角質・汚れをオフ……アルジタル「グリーンクレイパウダー アクティブ」アルジタル「グリーンクレイパウダー アクティブ」は、海泥100%でできたクレイパウダー。添加物は一切なし! 週2〜3回のスペシャルケアとしてだけでなく、毎日のパックや洗顔としても使える便利なアイテムです。毛穴で悩む方には、ぜひ取り入れてほしい!アルジタルのグリーンクレイは、イタリアのシチリア島にあるシクリの丘で採掘されます。約1600万年前は海の底だったシクリの丘では、地球が若くパワフルなエネルギーが満ち溢れていたころから、月のリズム(波)を受けてグリーンクレイが積み重ねられました。そんなシクリの丘のグリーンクレイには、海洋性のミネラルがたっぷり!クレイには吸着力があるので、毛穴や汚れを掴んでオフすることが可能です。パックとして使うと、無理に毛穴の汚れを剥がすパックとは一味、二味も違い、洗い流したあとにしっとりみずみずしい肌に整うのが魅力。不要なものがオフされるとともに、海のミネラルが入り込んで肌が輝くように明るくなります!クレイパックとして使うときは、「グリーンクレイパウダー アクティブ」を、クレイと同量の水を少しずつ加えて溶かして、指先にのせても垂れ落ちないくらいのテクスチャーにしてから肌にのせます。目安は、小さじ4杯に水4杯程度です。ふんわりパックを作るには、「グリーンクレイパウダー アクティブ」に半量の水を加えてしばらく置き、1~2分後にクレイパウダーが水分を吸収したら残りの水を加えます。クレイパウダーがしっかりと水分を含んで、ふんわり柔らかいクレイパックのできあがり!スクラブや洗顔として使う場合は、「グリーンクレイパウダー アクティブ」小さじ2杯に、水を小さじ3杯加えましょう。ボディ用に作る場合は、クレイパウダーと水2:3の割合で量を増やしてください。ポツポツとした二の腕の毛穴詰まりやひざ・ひじの硬さや黒ずみが気になる方は、ぜひボディのスキンケアにも使って。手軽に全身のケアができる入浴剤として使うときは、両手にのる量(50~70g)をお湯に入れて溶かします。しっかり体を温め、角質ケアもできるので、これからの冷えこむ季節にぴったりです!クレイの毛穴ケア力、保湿力は、使ってみると誰でも感じられるはず。未体験の方はぜひトライして!(3)手ごわい毛穴の詰まりに……チャントアチャーム「パウダーウォッシュ」しつこく毛穴に詰まった角栓や角質をほどくように分解することができるのが、自然由来成分100%でできた薬用酵素洗顔・チャントアチャーム「パウダーウォッシュ」。薬用成分とパパイン酵素で、角栓にはたらきかけてゆるめてオフ! さらに、ドクダミ、オウゴン、セイヨウノコギリソウといった無農薬ハーブエキスが、うるおいを与えてしっとりスキンケアします。乾燥肌でも問題なく使える洗顔パウダーです。薬用成分は、生薬の一種である甘草由来のグリチルリチン酸ジカリウム。抗炎症作用があり、ニキビや肌荒れも防いでくれます。パパイン酵素は、パパイヤの果実の乳汁から採れる成分で、タンパク質を分解するはたらきが。毛穴に詰まる角栓の大部分がタンパク質なので、毛穴詰まりにぴったりの成分といえます。酵素のパワーは湿気に弱いため、1回分の洗顔パウダーが個包装になっているのもうれしいポイント。毎回フレッシュな洗顔料で洗えます。毛穴ケア効果をしっかり感じるためには、「パウダーウォッシュ」をしっかり泡立てること! 少しずつ2~3回に分けて水を加えると、うまく泡立ちます。皮脂が多く出る小鼻や額(Tゾーン)から、くるくるとやさしくマッサージするように洗うとよいです。そのあと、くるくるしながら顔全体に広げたら、最後に1分ほど泡パック。ぬるま湯で洗い流すと、毛穴の黒ずみはキレイになっているはず!この洗顔を続けてると、毛穴の詰まりもだんだん目立たなくなり、理想的なコンディションに整います。毎日の洗顔を変えるだけなので、ぜひ試してみて。(4)徹底保湿して毛穴もキュッ!……KOUJI HIME「ライスバリアフェイスマスク SOFT & GLOW」毛穴を目立たなくするには、周りの肌をみずみずしくふっくらさせることが重要なカギ。しっとり肌をキープして肌サイクルを整えることで、毛穴が詰まりにくくなります。また弾力に満ちていると、毛穴がキュッと引き締まって見える効果も。今よりもっとうるおいに満ちた弾力肌に整えるには、スペシャルスキンケアとしてKOUJI HIME「ライスバリアフェイスマスク SOFT & GLOW」をプラスするのがおすすめ。KOUJI HIME「ライスバリアフェイスマスク SOFT & GLOW」は、日本の伝統美容成分・麹エキスと日本酒由来成分を使用したスキンケアマスク。使われている麹エキスと日本酒由来成分は、なんと300年以上も続く酒蔵で独自抽出したもの! 酒造り職人は厳しい水仕事をしているのに、手肌がしっとり透明感に溢れているのは、麹のおかげだといわれています。麹は、セラミド、ビタミン、アミノ酸、ペプチドなどを含有。乾燥した肌をしっとりみずみずしく整え、透明感溢れるハリ肌に導くために欠かせないスキンケア成分が詰まっているのです。さらに「ライスバリアフェイスマスク SOFT & GLOW」に採用されている、日本酒に使われる米ぬかや米胚芽由来のセラミドには、セラミド合成をサポートする成分も含まれているそう! セラミドを補給して水分を抱え込みつつ、バリア機能を高めるはたらきが期待できます。日本酒由来のライスセラミド以外にも、人の皮膚にもっとも多く含まれるセラミドNG、水分バリアに関わるセラミドNP、刺激を与えずにダメージケアするセラミドAPをカプセル化して採用。ライスセラミドとセラミドカプセルによって、乾きがちで毛穴も詰まらせやすい肌をしっとりみずみずしく維持することができます。そして、毛穴ケアにぴったりの3つのスキンケア成分も! 肌をやわらげ、弾力性を向上させながら毛穴目立ちを防ぐノイバラ果実エキス、毛穴トラブルの原因「NF-KB」の過剰なはたらきに着目したアーチチョーク葉エキス)、乾燥で開いた毛穴を引き締め、キメの整ったなめらかな肌に導くハマメリスエキスで、コンディションを整えていきます。加えて、異性化糖、アラントイン、グリチルリチン酸2K、ティーツリー葉油、加水分解ローヤルゼリータンパク、オウゴン根エキス、ビルベリー葉エキスといったスキンケア成分により、肌荒れを防いでしっとり肌をキープ。頼もしいマスクです!KOUJI HIME「ライスバリアフェイスマスク SOFT & GLOW」は、洗顔後に使います。美容液がひたひたに浸み込んだ“ぷるぷるマスク”を肌にのせ、10分キープ。オレンジブロッサムとローズのピュアな香りで、10分間が至福のひとときに!マスクを外したら、美容液をなじませるようにハンドプレス。筆者も使い続けていますが、初めての1回でつやつやの弾力肌に整いました。毛穴もだんだん気にならなくなってきます。短時間で理想の肌に整うので、一度使うと虜になるはず!パラベン、鉱物油、エタノール、石油系界面活性剤、シリコン、合成着色料、紫外線吸収剤フリーで、敏感肌向けパッチテスト実施済。マスク自体の肌あたり心地よく、デリケート肌でも気持ちよく使えるフェイスマスクです。「毛穴が目立って辛い!」「今このコンディションから抜け出したい!」というとき、大切な日の前、週に1~2回のスペシャルケアとして、ぜひ取り入れてみて。(5)キメを整えつるつる肌に……Obaji「C5セラム」Obaji「C5セラム」は、角層を保湿しながらキメを整え、ざらつき、毛穴などの肌悩みに多角的にアプローチするビタミンCセラム。ビタミンCにビタミンEも加わり、透明感溢れるハリ肌を目指せます。Obaji「C5セラム」を含む「Cシリーズ」は4段階の濃度に分かれていて、Cのあとの数字が大きいほどビタミンC濃度が高くなっています。ロート製薬の技術が集結し、ビタミンCの配合の限界に挑戦し続け誕生した「C25セラムNEO」はブランド最高峰のスキンケアアイテム。毛穴悩みを解消するためには、スキンケアを継続することが大切。無理なく毎日朝晩続けるためには、まずは「C5セラム」から試してみるとよいでしょう。「C5セラム」は化粧水のあとに3~4滴使います。筆者が「C5セラム」で朝晩スキンケアを続けてみると、1カ月経つ頃には小鼻や頬の肌が引き締まり、毛穴もキュッとして目立ちにくくなりました。つるんとした小鼻になり、メイクのりもアップ! くすみもクリアになり、透明感が増しましたよ。毎日朝晩のスキンケアで、化粧水のあとに一足ししてみて。毛穴悩みにアプローチするスキンケアアイテムを5つご紹介しました! 毛穴が目立たないつるつる肌になるには、毎日のスキンケアが重要。ご紹介したアイテムを参考に、汚れをオフすること、保湿して弾力を保つこと、引き締めることを忘れずに、お手入れを続けてみてくださいね。
2020年09月22日安藤裕子最新MV『一日の終わりに』を短編映画化した、齊藤工監督作品『ATEOTD(アテオッド)』の全国公開が決定し、併せてポスタービジュアルと場面写真が公開された。本作は、8月末に俳優・フィルムメーカー・白黒写真家など、マルチに活躍する齊藤工が監督・企画・監督を務め、安藤裕子4年ぶりの新アルバム『Barometz』収録曲、『一日の終わりに』のMV(7分28秒)をショートフィルム化した作品。タイトルの『ATEOTD』とは、『一日の終わりに』の英訳「At the end of the day」の頭文字を繋げた略語で、100年に一度の疫病が蔓延する終末世界を舞台に、家族も失い、自身もまたその病に蝕まれる運命を背負いながら、天涯孤独にただ日々その一日を生きぬく男女の儚い夢と希望を繊細に描き出している。劇中のイラストは、すべて安藤が手掛けた。安藤の楽曲とイラストが持つ世界観と、齊藤工の想像力が織りなす物語を彩るのは、実力派俳優・門脇麦と宮沢氷魚。本作は、9月25日(金)よりイオンシネマ板橋ほか全国で上映される。緊急事態宣言下に、リモート映画制作プロジェクト「TOKYO TELEWORK FILM」(TTF)を発足させ、映画館支援「Mini Theater Park」を通じて積極的に活動してきた齊藤。本作でも、コロナ禍の現在と真摯に向き合うテーマを内包しながら、今この世界を生きる全てのひとに希望の光が差し込むような救いの力を提示している。孤立無援のモノクロームの世界の中で、きっとどこかにいる“あの人”に会いたい、触れたいという願いを糧に、一日をひたむきに生きることで起こる色彩豊かな奇跡の物語を堪能してほしい。また、本作の上映とともに清水康彦(MANRIKI)監督によるリモート作品、TTF#6『でぃすたんす』および本作のメイキング映像も併映となる。こちらは遠藤賢一演じる仕事に熱心な男の物語。妻(板谷由夏)が「コロナが落ち着くまで実家にいます」と娘を連れて出ていき、男はオンラインラウンジの女性(筧美和子)と関係を進めていく。映画館でチェックしてほしい。■「一日の終わりに」MV【リリース情報 】安藤裕子『Barometz』8月26日(水)発売 品番:PCCA-04958価格:3000円(本体価格)+税Loppi・HMV限定盤(豪華ハードカバーブック 特別パッケージ仕様):BRCA-00110/4000円(本体価格)+税Loppi・HMV限定盤につきましては完全限定生産となります。 HMV&BOOKS online、ローソン・ミニストップ店頭のLoppi端末、および全国のHMV店舗にて購入可能です。◆収録楽曲(2形態共通)01. バロメッツ02. 一日の終わりに03. Little bird04. Tommy05. スカートの糸06. 空想の恋人07. 恋しい08. 曇りの空に君が消えた09. 箱庭10. 青の額装11. coda12. 鑑■「Barometz」購入URL: ■「Barometz」配信URL: 『ATEOTD』9月25日(金)、イオンシネマほか全国公開TOKYO TELEWORK FILM #6『でぃすたんす』も同時上映
2020年09月15日田中裕子が15年ぶりに映画主演を務め、『横道世之介』『モリのいる場所』などの沖田修一監督が描く『おらおらでひとりいぐも』から、製作現場レポートとメイキング画像が解禁となった。蒼井優、田中裕子の一挙手一投足に注目!クランクインから、ちょうど10日が経った2019年11月21日。沖田組は関東圏のお寺でロケを行っていた。雲ひとつない秋晴れのロケ日和、撮り進められていったのは、田中さん演じる主人公の「桃子さん」が亡き夫・周造のお墓参りに訪れる一連のシーン。汗ばむくらいの陽気の中、沖田監督をはじめスタッフ陣はキビキビと動き回り、準備を整えていく。冬至まで約1か月、17時ごろには陽が沈んでしまうことと撮るべきカット数を考えると、言うまでもなく悠長には構えていられない。しかし、スケジュール的にはタイトなはずなのに、不思議なくらい現場に流れる空気が穏やかに感じられる。これぞ、どんな時や状況でも声を荒げることがない監督の温和な人柄が反映された、沖田組ならではの雰囲気。それでいて、各セクションがしっかりとプロの仕事をする。かくして、ロケは小気味よく進行していった。田中さんが墓地へと1人歩いていくシーンから一転、桃子さんの頭の中で繰り広げられる大勢での行進の撮影ではキャストも増えて現場がにぎやかに。周造役の東出昌大をはじめ、桃子さんの分身的存在である「寂しさ」1・2・3を演じる濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎、彼らとは異なる諦念的な感情が分身となった「どうせ」役の六角精児に「ばっちゃ(桃子の祖母)」役の大方斐紗子に子役たちが一堂に会するということで、衣装部とヘアメイクチームは大わらわだが、やはりどこか和やかなのは、さすが沖田組と言ったところ。また、出番は夕方からだったが、若き桃子役の蒼井優もすでに現場入りして、一部始終を見守っている。そんな中、沖田監督が「ここでは桃子さんを、みなさんが一緒になって『がんばれ~っ』と応援するような感じにしたいです」と演出意図を伝え、段取り~カメラテストへ。「寂しさ」トリオが桃子さんの背中を押したり掛け声をかけたり、「どうせ」と「ばっちゃ」も息を弾ませながら坂道を歩いては「ホレ、ホ~レ」と場を盛り上げるさまを、沖田監督が目を細めて楽しそうに見つめている。途中、楽器の音が出なくなるといった小さなトラブルもあったが、無事に撮り切って次なるシーンへ。続いては、周造の墓前に“3人の桃子”が並び、夕焼けを見つめる情緒的なシーン。陽は刻一刻と傾く日没間近、辺りが暗くなるにつれ小高い丘の墓地に吹く風の冷たさが身に染みてくる。それでも蒼井さんは自身の出番がない時間も現場に残り、田中さんの一挙手一投足を目で追う。あたかも、その動きや仕草を焼きつけようとしているかのように──。そして迎えたラストカット、3人の桃子が同じタイミングで夕陽の方へ振り向く芝居に、沖田監督の「OKです!」の声が響く。空を見ると、少しずつ星がまたたき始めていた。ハプニングもアドリブで対応!田中裕子の女優としての凄みお寺でのロケから2週間近くが経ち、撮影も終盤へ。この日は横浜元町の老舗ダンスホールを借り切って撮影が行われた。人生に大切なのは自由か、愛か?桃子さんの自問自答が妄想となってふくらみ、居間の襖を開けた先の“脳内コンサート会場”で丁々発止に発展していくシークエンスは、映画版「おらおらでひとりいぐも」ならではの見せ場のひとつ。バックバンドを従えて、50~60人ほどの観客を前に周造との永遠の別れに対して抱いた思い(※ちなみに、歌のタイトルは「くそ周造」である!)を歌いあげる桃子さんの姿は、さながらリサイタルのよう。その美声に聴き惚れていたのもつかの間、1人の客のヤジによって会場の雰囲気が一変。桃子さん擁護派対非難派が揉み合い、警備員に扮した「寂しさ」トリオが止めに入る…といった展開を見せていくのだが、若干いつもの沖田組よりもテイクを重ねたのが、客の投げたペットボトルが桃子さんの額に当たるカットだ。実はこの撮影でフレーム外からペットボトルを投げているのは、沖田監督。もちろん中身は空っぽで当たっても痛くはないのだが、芝居と言えども日本を代表する女優の顔に物を投げるとなると、気が引けてしまう。ということで“大役”を引き受けた監督だったが、これがなかなか狙い通りに当たらない。田中の頭上では「寂しさ」トリオが紙吹雪を散らしているので、撮り直すたびに一度それを回収しなければならず…沖田監督にも次第にプレッシャーが掛かり始める。その場で素振りを始めた監督に、田中さんが「思いきり当てちゃってください」と気づかいを見せると、その直後のテイクで会心のヒット(!?)。モニターチェックでもOKが出て、観客席のエキストラ陣からは拍手が起こった。なお、特に印象的だったのは、意見が二分して揉み合いになる観客たちに、桃子さんが切々と正直な思いを語るシーンでの出来事だ。長ゼリフを話している最中に、予定よりも早いタイミングでヤジが飛ぶも、田中さんは桃子さんとしてそれを受け止め、「まだ(話し)終わっでねえ!」と一喝。すぐさま、続きのセリフを話し始めるという──ともすればカットがかかりそうなハプニングを、見事なまでのリアクションで一連の芝居に取り込んでみせたのだ。本編では違うテイクが使われていたが、田中裕子という女優の凄みを改めて実感した現場での1コマであった。『おらおらでひとりいぐも』は11月6日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おらおらでひとりいぐも 2020年11月6日より公開© 2020 「おらおらでひとりいぐも」製作委員会
2020年09月01日齊藤工が監督した、安藤裕子の楽曲「一日の終わりに」のMVが公開。宮沢氷魚と門脇麦がW主演を務め、疫病が蔓延した未来の世界を描いている。「一日の終わりに」は、本日リリースされた安藤さんのオリジナルアルバム「Barometz」に収録されている楽曲。齊藤さんが監督・脚本、さらに一部撮影も務めた本MVは、歴史上100年毎に起こっている疫病が、2120年にも起きていると想定された世界を舞台に、主演の2人が孤独な世界に生きる男女を演じ、それを美しく映し出す。なお、本作は今後、ショートフィルムとして作品化されることも決定している。安藤裕子オリジナルアルバム「Barometz」は8月26日(水)リリース。(cinemacafe.net)
2020年08月26日齊藤工が監督・脚本・一部撮影を務めた、安藤裕子『一日の終わりに』のミュージックビデオが公開された。『一日の終わりに』は、アルバム『Barometz』に収録された一曲。今回公開されたミュージックビデオは、歴史上100年毎に起こっている疫病が2120年にも起きていると想定された世界が舞台となっており、孤独な世界に生きる男女を門脇麦と宮沢氷魚が演じた。さらにこの作品はミュージックビデオだけではなく、今後ショートフィルム『ATEOTD』として作品化される事も決定した。情報発表にともない、齊藤工、門脇麦、宮沢氷魚、安藤裕子より下記のコメントが寄せられている。齊藤工安藤裕子さんの唯一無二の世界観そして自分の脳内にずっと存在していた架空の世界が"Barometz"にて交点を持ちましたそしてそこに集いし全ての方々の素晴らしい才能と想い偶然の様で全ては必然だったのではないかと思う奇跡の軌跡を辿った作品になりました門脇麦安藤裕子さんの楽曲の世界観と齊藤工監督のイマジネーションにどっぷり浸った贅沢な時間でした。参加させていただけて大変光栄でした。お二人のタッグあってこそのにMVになっているかと思います。わたしも完成を楽しみにしています。宮沢氷魚この度、齊藤工さんが監督された作品に出演させて頂けたことを本当に光栄に思っています。目を背けたくなるような今の世の中に、正面から向き合った素敵な作品です。人類は今まで沢山の壁にぶつかり、その都度乗り越えて来ました。この作品も、沢山の試練を前にしても尚、希望を持って一歩前進するきっかけになる素晴らしい作品だと思います。一人でも多くの人に届くことを願っています。安藤裕子「1日の終わりに」それはとても小さな声で、夜中にアルペジオと共に作った曲が、ミュージシャンの演奏で大きく大きく膨らんで想いもとても強いものになっていきました。齊藤監督のイメージが重なって物語はさらに膨れ上がり、門脇さん、宮沢さんの存在により私だけでは描けない別の宇宙まで広がっていったように思います。そして何より。役者のお二人の強い眼差しが本当に印象的な作品です。門脇さんの悲哀と向き合う宮沢さんの瞳はどこまでも透き通っていて、野性的でありながら彼女に未来を映しているようでした。素敵な作品を監督、制作チームの皆様、本当にありがとうございました。■リリース情報8月26日(水)発売タイトル:『Barometz』品番/価格:PCCA-04958/¥3,000(本体価格)+税Loppi・HMV限定盤(豪華ハードカバーブック 特別パッケージ仕様) BRCA-00110/ ¥4,000(本体価格)+税Loppi・HMV限定盤につきましては完全限定生産となります。HMV&BOOKS online、ローソン・ミニストップ店頭のLoppi端末、および全国のHMV店舗にて購入可能です。発売日前でも予約受付が終了となる場合もございますのでHMV&BOOKS online、ローソン・ミニストップ店頭のLoppi端末、および全国のHMV店舗にて、お早目のご予約をお勧めいたします。◾収録楽曲(2形態共通)01. バロメッツ02. 一日の終わりに03. Little bird04. Tommy05. スカートの糸06. 空想の恋人07. 恋しい08. 曇りの空に君が消えた09. 箱庭10. 青の額装11. coda12. 鑑◾CDショップ予約購入 先着オリジナル特典・TOWER RECORDS限定特典: クリアファイル(タワーレコード ver.)・HMV限定特典:クリアファイル(HMV ver.)・TSUTAYA限定特典:クリアファイル(TSUTAYA ver.)・新星堂/Wonder GOO限定特典:ポストカード(新星堂/Wonder GOO ver.)・山野楽器 限定特典:ポストカード(山野楽器 ver.)・楽天ブックス 限定特典:しおり・セブンネット限定特典:ステッカー・amazon限定特典:メガジャケ(メガジャケは、ジャケット写真の絵柄をそのまま24×24cm大に印刷したものになります。)・玉光堂・バンダレコード限定特典 :アナザージャケット・その他法人 限定特典:告知ポスター※全国のCDショップにて2020年8月26日発売 安藤裕子「Barometz」(PCCA-04958)をご予約・ご購入のお客様に、先着で上記オリジナル特典をプレゼント。各店舗でご用意している特典数量には限りがございますので、お早目のご予約をおすすめいたします。※特典は数に限りがございますので、発売前でも特典プレゼントを終了する可能性がございます。※一部取り扱いの無い店舗やウェブサイトがございます。ご予約・ご購入の際には、各店舗の店頭または各サイトの告知にて、特典の有無をご確認ください。
2020年08月26日安藤裕子さんの10thアルバム『Barometz』は、アートとポップのバランスが心地いい仕上がりだ。とはいえ、前作からは4年半が経っている。短くはない時間の中には、実は彼女の再生への道のりがあった。「4年半前にavexを離れたんですけど、一番の理由が曲ができなかったからなんです。自分が枯渇してしまったイメージがあって。何をしたらいいのかわからない時間を過ごす中、2018年に『ITALAN』というミニアルバムを、自主制作盤として作ったんです。その時に一緒に作業をしてくれたのが(今作にもサウンドプロデューサーとして参加している)Shigekuniくんとトオミヨウくん。自宅でコップを鳴らしたり、クーピーの蓋をガチャガチャして、その音をふたりが整えたり、音を足す作業をしてくれて。彼らと爆笑しながら作業することで、音楽って楽しいんだって思い出したんですね。そこで彼らと2018年の秋から曲を作り始めて、ライブも一緒にやるようになって。そこで(今作収録の)『一日の終わりに』をやるように。これを人が弾いてくれる、そして聴いてくれることで感情が湧き上がったんです。この曲を作れたことで、私はまた音楽人としてスタートできたと思います」生活から聞こえてくるような、人懐っこい音。これは、今まで安藤さんが生み出してきた整然としたJ‐POPを思い返すと意外な気もするが、彼女は「もともとね、適当に鳴らした音が好きなんです」と言う。「ようやくシンガーソングライター然としたと思うんです。ずっと、私より年上で知識があるスタッフやミュージシャンと、背伸びした音をやっていたんですね。でも今回は、同世代や年下の人とセッションして、深めていった。デモも自分で詰めて作るようになったし。今まで出した作品の中で、一番自分らしく表現できたんじゃないかなって思います」その変化は歌声にも表れている。楽器のような美しさ、しなやかさの中に、強い意志を感じるのだ。「実は歌入れが大嫌いだったんですよ。なんでこんななんだよ自分の声って思っていて(笑)。私が作る曲は音階がややこしいし。でもトオミくんやShigekuniくんが作る曲は歌いやすいんです(笑)。しかもふたりが作ったのに、より安藤裕子っていう人間になりやすかった」歌詞も、誰もが日々の恋や生活に結びつけられるような身近さがある。「avex後期は死生観に囚われていたんです。明るい曲も作るけれど、ずーっと重苦しかった。だから、時間を空けることは自分が再生するために必要で。私、ほっといたら信じられないぐらい地味なんです(笑)。だけど、だからこそ、小さな日常に物語が欲しいなって。曲も、どう生き抜くかとかだけじゃなく、電車で隣に座る人に恋をしている、そんなことでいいんじゃないかなって」日常を鮮やかに彩るパレットのようなアルバムは、彼女と音楽との関係性とも直結しているようだ。「私、なぜ自分がミュージシャンなんだろうって悩んでいたんですよ。だってミュージシャンってみんなすっごく音楽好きなんですよ。でも、私はポカーンなんです(笑)。だけど、私の衣食住には組み込まれていて。ないのは想像がつかない。そんなもののような気がします、音楽って」10th Album『Barometz』¥3,300レコード会社の移籍などを経て完成。“羊のなる木”をタイトルに掲げた、日常と想像を繋ぐ12曲を収録。【Loppi・HMV限定盤】¥4,400(共に税込み)8/26発売(PONY CANYON)あんどう・ゆうこ1977年生まれ。2003年、ミニアルバム『サリー』でavex/cutting edgeよりデビュー。多くのCM、映画の主題歌を手掛け、様々なアーティストに楽曲提供も行う。モデルや女優としても活躍。※『anan』2020年8月26日号より。写真・小笠原真紀取材、文・高橋美穂(by anan編集部)
2020年08月19日田中裕子が15年ぶりに映画主演、『横道世之介』『モリのいる場所』などの沖田修一監督が描く『おらおらでひとりいぐも』から、主人公・桃子さんの「寂しくても賑やか」なシニアのひとり暮らしの日常が明らかになった。75歳でひとり暮らしをしている主人公“桃子さん”役には、映画『いつか読書する日』以来、15年ぶりに映画主演を務める田中裕子。古代生物に夢中な主人公・桃子さんを魅力的に演じ、蒼井優が桃子さんの「娘の時代」「妻の時代」を二人一役でつとめている。原作では桃子さんの頭の中だけに登場する“心の声”=寂しさたちは、映画では濱田岳・青木崇高・宮藤官九郎の3人が演じる擬人化されたキャラクターとなって登場する。家の中で、病院の待ち合いで、歩き慣れたいつもの道で…桃子さんの“心の声”=寂しさたちは、気づけば桃子さんのうしろをくっついて行動を共にする。そんな賑やかな日々のほか、桃子さんが思いを馳せる、若かりし頃の桃子さん(蒼井優)と夫・周造(東出昌大)が肩をならべるワンシーンが初公開。“心の声”について沖田監督は、「俳優でやっちゃえ!と思ったんです。それが僕としてはいちばん映画で表現をしやすかった」と振り返るが、彼らと共に過ごす桃子さんの日常は“老後のひとり暮らし”の孤独なイメージとはまるでかけ離れたもの。圧倒的な自由を謳歌する姿には、いままで懸命に生きてきた彼女の生き様がそっと映し出され、寂しさを知ることで改めて人生の喜びを知った桃子さんを体現する田中さんの目まぐるしく変わる表情は見逃せない。沖田監督の手によって、芥川賞&文藝賞をW受賞したベストセラーの原作が遊び心たっぷりに映像化されていることが伺え、ますます期待が高まる場面写真となっている。『おらおらでひとりいぐも』は11月6日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おらおらでひとりいぐも 2020年11月6日より公開© 2020 「おらおらでひとりいぐも」製作委員会
2020年08月17日グラビアアイドルの池田裕子が、最新イメージDVD『恋愛ごっこ』(発売中 4,180円税込 発売元:ラインコミュニケーションズ)をリリースした。2013年に発表されたグラドルの登竜門的ミスコン「ミスFLASH2013」で階戸瑠李、永井里菜とともにグランプリを獲得し、以降はタレントや女優にと様々なフィールドで活躍している池田裕子。同DVDは3年ぶりとなる待望のグラビアDVDで、セクシーな先輩社員となって年下の男性社員を誘惑するというストーリーが進行する中、随所で大人の魅力を放出した1枚となっている。本作では、大人の色気を感じさせる設定となっており、冒頭のオフィスのシーンではOL衣装から赤いセクシーな下着風水着へと展開して小悪魔的な微笑みと誘惑の目線を向けるなど視聴者を誘惑する。後輩社員と旅行で訪れる温泉旅館のシーンも見どころの一つで、部屋に到着するやいきなりショータイムの幕開け。アイス舐めや浴室での洗いっこでセクシーさがエスカレートしていく。
2020年08月09日田中裕子と蒼井優が二人一役を演じる映画『おらおらでひとりいぐも』の公開日が11月6日(金)に決定。ユニークな世界観を映し出す予告編が到着した。予告編では、夫に先立たれてひとり退屈な毎日が続くと思っていた桃子さん(田中さん)の前に、突然、自分と同じ服装の3人組が現れる。「おらだばおめだ」――それは、桃子さんの心の声を具現化した“寂しさ”たちだった…。また、お茶をすすり、病院や図書館に行く、そんな日常に突如溢れ出すのは、若かりし日の思い出とユニークで軽やかな桃子さんの時間。寂しさたちがおにぎりを握ったり、演奏したり。最愛の夫・周造に対する思いを吐露する桃子さんの歌唱シーンも少し登場している。『おらおらでひとりいぐも』は11月6日(金)より公開。(cinemacafe.net)■関連作品:おらおらでひとりいぐも 2020年秋、公開予定© 2020 「おらおらでひとりいぐも」製作委員会
2020年07月30日