岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ベストアルバム」です。誰かのCDを買うときに最初にベストアルバムに手を出す人のことを「わかってないヤツ」と言うことがありますが、僕はそれまったく納得いきません。だって、アーティストが「これ最高によくできたのをまとめました」と言ってリリースしているんですよ。そのアルバムを聴けば、まずはそれでいいじゃないですか。僕は「とりあえずベストアルバム」推奨派です。そもそも、僕は後追いでアーティストを知ることが多かったので、いろんなアーティストのベストアルバムに助けられてきました。ベストアルバムを聴いて、彼らのヒットソングを聴く。その上で、さらに深く知りたいと思ったら気になる年代順でアルバムを買っていく。とくにヒットソングが多いアーティストだと、ベストアルバムは気軽に名曲を知ることができていいですよね。最近では、クイーンの『グレイテスト・ヒッツ』なんてめちゃくちゃ売れているんじゃないでしょうか。と、ベストアルバムを推しているものの、じゃあ自分がベストアルバムを出すかというと僕自身は出さないだろうなと思います。そもそもヒットソングが「MUSIC VIDEO」と「感情のピクセル」の2曲くらいしかない。ヒットソングといってもセールス的に当たったわけでなく、話題にまあまあなったのが2曲というくらいですから。これは、まだまだ僕はベストアルバムを出すレベルに達していないということです。デビューして3年もたってないですから、ちょっと気の早すぎる話なのかもしれません。でももし出すとしたら、ネタ曲ベストと普通の曲ベストの2枚組かな…とか想像します。あ、それか、ボツ曲を集めたベストというのもいいかもしれないです。僕は、楽曲ができたらまずオカンに聴いてもらうんです。で、オカンに「わかりにくい、やめとき」とか「サブい、やめとき」と言われたら、レコード会社に聴いてもらう前に即ボツにしています。そんな“オカンボツ曲”がかなりの数あるので、そこからあえて選曲してみたいです。オカンが選ぶ岡崎体育ベストと未発表ボツ曲ベストの2枚組なんていかがでしょうか。ライナーノートはもちろんオカンに全曲解説してもらって。なんなら全国キャンペーンも回ってもらいたいですね。ラジオにもバンバン出演してもらって。中島ヒロトさんやクリス・ペプラーさんといった名物DJの方々とのからみが、今から楽しみです。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月21日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「日野市立七生緑小学校」です。ちょうど1年前のこの連載で合唱についてお話ししました。僕は合唱が好きで、なかでも日野市立七生緑小学校の歌声が大好きなんです。彼らは、ごく普通の公立小学校の生徒であるにもかかわらず、NHK全国学校音楽コンクール〈小学校の部〉にて6年連続金賞を受賞されている、すごい合唱団なんです。いつか、彼らと一緒に仕事がしたいとずっと思っていたんですが、その念願がついに叶いました。僕が作詞・作曲を手がけた、TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』(テレビ東京系)の新EDテーマ「心のノート」を彼らに歌ってもらうことになったんです。参加いただけることが決まってから、日野市で行われた彼らの合唱コンサートも観に行きましたし、レコーディングにも立ち会いました。その結果わかったことは、七生緑小学校の生徒さんたちは「誰よりもプロや」ということです。これは、ソニーミュージックで20年以上音楽業界に携わっているうちのディレクターも同じことを言っていたので、間違いないと思います。彼らはレコーディングの当日までずっと先生にダメ出しをされていた。いや、ダメ出しをされるだけじゃなくて、自分たちで意見を出し合って、どう修正していくか、どうよくしていくかを徹底的に考えてきてくれた。はっきり言って合唱の素人の僕からすると、「ええやん、全然この状態でいけるやん」と思ってしまうくらい完成度は高かったんです。それでも「いや、まだここが甘いんです」と修正を重ね続けてくれた。これがプロか…と、すっかり僕が教えていただきましたね。七生緑小学校の合唱団は4年生から6年生の生徒たちで構成されています。自分が小学校高学年のときを振り返ると、これだけ高い意識を持ってひとつのことに向き合えるか?と聞かれたら、絶対できないと即答できます。でもその不可能を可能にしているのは、合唱団を指揮する後藤朋子先生の存在。彼らの徹底したプロ意識を培ったのは、後藤先生の巧みな指導力の賜物。それが6年連続の王者の歌声を育てたんだと思います。小学生たちの真っすぐでピュアな歌声って実にすばらしいです。マジで心洗われます。彼らが昨年、金賞を受賞した自由曲「ああ ひまわり」なんて、本当にレベルが高くて聴くたびにゾクゾクするほどです。もっと、合唱曲の魅力、たくさんの人に届いてほしいです!おかざき・たいいく3rdアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「印税」です。印税はみなさんが考えているより素晴らしいものじゃないんです。レコード会社との契約次第だと思いますけど、一般的に2800円のCDを制作してアーティストのところに入るのは売り上げ1枚につき30円程度なんじゃないかなと思います。これ、むちゃくちゃ少なくないですか?僕はデビュー前、メジャーレーベルと契約さえすれば生活には困らない…、なんなら豪遊できるだろうと信じていたのですが、実際に1枚目のアルバムの印税が振り込まれた口座の金額を見て「こんなもんなんか…」とびっくりしました。ミュージシャンの中にはメジャーレーベルを離れ、自分でレーベルを立ち上げる方もいます。それはそれですべてが自分にかかってくるので大変なんですが、成功すれば還元率は100%ですから、裕福になっている方もたくさん見てきました。とはいえ、僕もそっちに行きたいというわけではないんです。現在のスタッフのおかげで僕は音楽を作る良い環境を作ってもらえているし、さまざまなお仕事もいただけている。ただ、CDが売れなくなったこの時代になにか改革していくシステムがないと、すべてのメジャーミュージシャンは幸せにはなれないんじゃないかと思うんです。それでもCDやネットの音楽配信はまだいい。もっと厳しいと感じるのがサブスクのシステムです。定額制の音楽配信サービスをみなさんも利用していると思います。これは、月額いくらという金額を世界中の何億人という人から集金し、その集めた総額を1曲ごとの再生数によってアーティストに分配するシステムになっています。この方法だと世界中で聴かれてないと利益が出ません。日本のみのガラパゴス的な活動をする僕のようなアーティストは、たとえToday’s Hitsに選ばれても、全世界の比率で考えたら分配される金額なんて総収益の何億分の、何千億分の1でしかない。このアーティスト格差が深まる仕組みには疑問があります。ぶっちゃけミュージシャンを国家公務員にしてほしいです。国民に娯楽をもたらすことを目的とした娯楽庁を作ってほしい。そして月々の俸給と社会保障を与えてほしい。まあ、それは大げさですけど、生活できないという不安やストレスを抱えながらいい音楽活動なんてできないと思うんです。贅沢したいわけではないですし、安定・安心のある中で音楽を創作したいと希望するのはそんなに難しいことなんですかね?おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「病気とケガ」です。人前に出る仕事なので表舞台に立つタイミングでは、できるだけ病気やケガはしないように細心の注意を払っているつもりです。それでも体調を崩してしまうことがあります。先日、僕は1月18日に予定していたNHK大阪ホールでのワンマンライブの公演をキャンセルしてしまいました。ウイルス性胃腸炎とインフルエンザA型の併発でした。ライブ当日の朝は熱もなく体調がすぐれないものの気合で乗り切ろうと思っていましたが、リハの段階でまったく声が出なくなり体調も悪化の一途で、病院に駆け込んだところドクターストップ。それで自宅に戻ったのですが、そこからさらに寒気がしてきて。電気毛布の目盛りをダニアウトまでマックスに上げたものの震えが止まらず、仕方なく母にお願いして救急で再び病院へ連れていってもらい…。即入院でした。一時は熱が42°Cまで上がり意識を失いました。意識ない中でうなされながら「いけます! (ライブ)やれます!」と繰り返していたそうです。覚えてないですけど…。僕は、ライブを飛ばさないというのをインディーズ時代からひとつのプライドとして持っていたので、今回のことは辛かったし心苦しかったです。ライブを楽しみにしていてくれた方々に申し訳なくて、たくさんのスタッフにも迷惑をかけました。中止を公表したあとはツイッターを覗くこともできませんでした。でも、クレームはなく、みなさんが心配してくれる声だけが僕に届いて、ファンの方はありがたい存在だという感謝の気持ちでいっぱいになりました。ミュージシャンはこういうとき、本当に応援の声が励みになるんです。早く元気になろうと思わせてもらえます。それと同時に、もっともっとプロ意識を持たなあかんと思いました。以前、エビ中の中山莉子ちゃんが「小さいころはよく家族でスキーに行っていた」と話をしていて、続けて「でも、今はケガが怖いから行ってません」とスッと言った。あ、これがほんまのプロやなと思ったのを思い出しました。ステージに立つ人間として、ひとつの覚悟を持って日々過ごしている。それが僕にはまだまだ足りなかったのかも…。だって、これまでの僕だったら誘われたらスノボでもスキーでも行ってしまっていたと思います。でも、今回のことをきっかけに変わりたいです。これからは人一倍、健康に気を使っていきます!おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「密着取材」です。昨年、NHKのドキュメンタリー番組『ノーナレ』ではじめての密着取材を受けました。これまで、丸1日カメラがつくとかそういうことはありましたが、今回の撮影期間はおよそ2か月。ここまでみっちりした取材ははじめてでした。いきなり肝のこと言っちゃいますけど、人間って一人でいる時間が必要なんやということを改めて再認識いたしました。いや~、ずっとカメラ入ってるの、やっぱキツかった~!夜の本気ダンスというバンドの鈴鹿(秋斗)は、何かで一緒になるとずーーーーっと僕の楽屋にいるんです。でもそれをなんとも思ってなかったんですけど、それはもともと彼が地元の同級生で、僕が素でおれてたってことなんでしょうね。カメラが入っているとやっぱり、“岡崎体育”でおらなあかんという変な緊張感が生じてしまい、全然リラックスできませんでした…。さらに今回は、実家の僕の部屋にも定点カメラが設置されていたんですが、それも気になって気になって…、ときどきオフにしていました。だって僕の部屋ですから、着替えとかもしますから。僕の着替えシーンなんてオンエアしないことはわかっています。わかっていますけど、編集の段階でNHKの方に着替えシーン見られるのもイヤやから、そこはきっちりオフにしていました。ドキュメンタリー番組で25分間、僕のことだけを流してくれるということがどれだけありがたいかは、十分にわかっています。だからこそ、アルバム制作がもっとも立て込んでいる時期にあえてカメラに入ってもらったんです。ドキュメンタリーの作り手は対象者が苦しんでいるところや足掻いているところを撮影したいわけじゃないですか。僕の通常の、表に立っている仕事…取材を受けたり、ライブをしたりという活動…を追いかけたいわけじゃない。裏の顔を撮りたいんだろうと思ったし、僕も1回くらいはそれをさらけ出してもいいかなと思ったんですけど、なかなか全部を見せるというのは難しいものですね。でも十分辛かったんで、そのモヤモヤしている姿をファンの方には楽しんでもらえたかなと思います。今回、出せるもんはすべて出し切ったので、もし次、密着取材をやるとしたら、岡崎体育が新しいフェス作りますとか、そういう何か大きなトピックがないとできないのでは?と思います。僕が自分の部屋で曲作りしているだけだと代わり映えしないですから。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年2月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年02月09日洗練されたグッドミュージックを常に提供し、結成3年目ながら確固たる実力と人気を兼ね備えたバンド、ナルバリッチ。そんな彼らが約1年ぶりとなるアルバム『Blank Envelope』をリリースした。「昨年得た良質のインプットが生み出してくれた、自信作なんです」そう語るのは、ナルバリッチの中心人物であるシンガーソングライターのJQ。昨年は、初の日本武道館単独公演をソールドアウトで成功させ、海外フェスへの進出も果たした。「武道館で強く感じたことは、オーディエンスと共有できるこの場所を消したくないって想いだったんです。そのために僕たちに何ができるのか。それは、より広い場所を目指すことだろうと。もっとスケールを上げていきたい、そう思えたんです」新しい景色を知り、広い視野を手に入れた上でたどり着いたのは、意外にも、聴く人の日常に溶け込むように、どんなシーンにも寄り添う、とても実直なサウンドだった。「ただ楽しければいいじゃんっていうのではもうないのかなって。喜怒哀楽の“喜”だけじゃない、すべての感情を知った上でポジティブな音を鳴らしたい、見つけに行こう、というのはメンバー全員の共通の想いです。ナルバリッチはメンバー全員の自己表現の場。それぞれの日常の中で生まれた音、日々感じた想いが、そのまま詰め込まれていると思ってもらえればいい」TVCMに採用された「Kiss You Back」など全13曲を収録。全編通して心地よいグルーヴに酔えるのは当然として、珠玉のバラード「Toy Plane」や壮大なスケール感の「Stop Us Dreaming」など、彼らの行く先を感じさせる聴きどころも多い。「僕、ロールプレイングゲームのレベル上げが好きなんですよ。コツコツ敵と戦った積み重ねで自分がレベルアップするのが快感で(笑)。ナルバリッチもそうやって日々成長できたらと思う。まだまだレベル上げの旅の途中なんだと思うんです」ナルバリッチボーカルJQを中心として結成。ファンク、アシッド・ジャズ、ヒップホップなどのブラックミュージックをベースに唯一無二のグルーヴを奏でる。3/31よりワンマンツアーが開始。3rd Album『Blank Envelope』全13曲収録。【完全生産限定盤A(CD+RemixCD+Blu‐ray)】¥5,500 【完全生産限定盤B(CD+RemixCD+DVD)】¥5,000【通常盤CD】¥2,800(Victor Entertainment)※『anan』2019年2月13日号より。写真・土佐麻理子ヘア&メイク・沖永大暉インタビュー、文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年02月06日今年、デビュー10周年を迎えるシンガーソングライターの阿部真央。18歳でアルバム『ふりぃ』でデビューしてから精力的に活動を続け、これまでアルバム8枚、最新シングル『変わりたい唄』までシングル16枚をリリース。胸にザクリと刺さる率直な歌詞とパワフルで説得力ある歌声は、いつも聴き手の心を揺さぶり、刺激し、泣かせ、励ましてきた。「よく、10年は早かった?長かった?とか聞かれるんですけど、改めて振り返ってみると本当にみっちりやらせてもらえたなあって思います。もともと私はシンガー志望。だから、ここまで自分で曲を書き続けられるというのは自分でも驚きで。よくこれだけ長く続けてこられたよなあというのが率直な感想です」その活動の集大成として、初のベストアルバムをリリース。2枚組で全36曲収録の特大ボリュームだ。「ベストアルバムを出すなら10年は活動をしないとねっていうのはずっと思っていて。だから、やっと念願が叶いましたね。選曲はかなり悩みました。最初、話し合っていたら50曲近くリストが膨れ上がってしまって。でも、阿部真央の入門編としても間違いないし、長く私の曲を聴いてくれている人たちにも楽しんでもらえる、バランスのいい一枚になったんじゃないかなと思います」ディスク1から発売年順に収録されているだけに、そのまま阿部真央の10年の軌跡を追うことができる。「偶然なんですけどディスク1と2で歌声が変わるんですよ。2011年に声帯手術をしたタイミングがちょうど境目になってびっくりで。声帯手術は自分にとって大きな転機になったこと。それまでは、私にとって音楽は自己表現で、自分は自分は、ばっかりだったんですよ。自我がとにかく強くて(笑)。でも、それを受け取ってくれるリスナーの方がいるんだってことに気づいて。いろんなことを意識して曲を書けるようになったのがディスク2になってから」10代の痛々しいほどの叫びも、恋する気持ちの葛藤や迷いや願いも、そして母になったからこそ歌えた慈しみあるバラードも、どれも10年という道のりをきちんと見つめ、悩み、歩いてきたからこそ描けたもの。「そうですね。私生活でもいろいろあったので(笑)。結婚して、子ども産んで、離婚して…やっぱりこの10年は濃い!でもそういう着実な日々があったからこそやっと今、ここから踏み出せるぞっていう気持ちもあります。歌唱も曲作りも10年やってこられたっていう裏付けがあるからこそ、もっと前へと進める気がします。これからの10年は思い切り楽しめそうです。きっと、全然違う場所に飛んでいけるんだろうなって今はすごく感じています」あべ・まお1990年生まれ、大分県出身。’09年デビュー。全国ツアー「阿部真央 らいぶNo.8 ~ Road to 10th Anniversary ~」開催中。1/22には日本武道館公演を終え、1/27神戸ワールド記念ホールでファイナルを迎える。「ふりぃ」「ロンリー」「変わりたい唄」のほか書き下ろしの新曲「28歳の唄」など全36曲収録。『阿部真央ベスト』【初回生産限定盤2CD+DVD】¥4,500【通常盤2CD】¥3,000*共に税込み(ポニーキャニオン)※『anan』2019年1月30日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年01月29日チャンネル登録者数60万人を超える、YouTuberカジサック公式チャンネル「カジサックの部屋」について、漫才コンビ・キングコングの梶原雄太さんにお話を伺いました。YouTubeは、やっと見つけた自分の居場所です。取材当日、待ち合わせ場所にカメラ機材と三脚を担いで現れた、漫才コンビ・キングコングの梶原雄太さん。「このあと近くのハンバーガーショップで動画の撮影をさせてもらう予定なんですよ」と笑う。動画配信サイトYouTubeに自ら撮影・編集した動画をアップするユーチューバー。梶原さんが“カジサック”としてユーチューバーの活動を開始したのは昨年の10月のことだ。「ユーチューバーに興味を持ったのは1年ほど前ですね。あるイベントで水溜りボンドさん、フィッシャーズさんという人気ユーチューバーとご一緒したんです。2組が登場したときに、客席からえげつない歓声があがって“なんじゃこりゃ”と。これは、自分に関係ない世界だとほっといたらあかんと思って、かたっぱしから動画を見漁りだしたんです」半年ほどYouTube研究を進める中で、ある穴を見つけたという。「有名ユーチューバーと芸人が、がっつりからむ動画って意外とないんですよ。そこからだったらこれもできる、あれもできると、アイデアが次々広がったんです。僕は、『はねるのトびら』終了以降、ずっと自分の居場所がないんじゃないかと悩んでいた。そんな中で、あれ、ここなら、席あいてるんじゃない?と思えたんです。それなら自分のチャンネルを立ち上げるしかないな、と」現在、チャンネル登録者数は60万人を超え、総再生回数は4000万回に迫る。ほかのユーチューバーと同様に企画・出演交渉・演出など、ほとんど梶原さん一人で手がけている。人気ユーチューバーであるラファエルやヒカルらとのコラボや、同期芸人と本音で語らうシリーズ、家族を巻き込んでのハートウォーミングなものまで企画はさまざま。キングコング梶原の芸人としてのプライドや本音が垣間見える企画は、お笑い好きなら必見のものばかりだ。「YouTubeって本当に一人テレビ局みたいなもの。自分が面白いと思うことを発信できる。だから誰でもスターになれる場所なんです。でも、僕は自分だけスターになりたいわけじゃない。できれば、YouTubeとTVの懸け橋になりたいんです。YouTube面白いっていう若い子たちに『TV出てる人らもやっぱオモロいな』と言わせたい。今はその橋を地道にコツコツ作っているつもりなんです」まず見てほしいオススメ3本「音を立てたら即タライ落下!!」音を立てずにポテチの袋を開けられる?チャレンジ企画、奇跡の一本。往年の名作タライ落としはやっぱりシンプルに笑える。「嫁にサプライズ誕生日パーティー!」梶原家が登場するシリーズも人気。なかでも、ほっこりするのがコレ。子どもたちも巻き込んだサプライズに嫁サックも大号泣。「同期の南海キャンディーズ山ちゃんとガチンコトーク」NSCの同期生でありながら19年間共演なし、二人でのトーク経験もないという両者ががっつりトーク。再生数は240万回超。かじわら・ゆうた1980年8月生まれ。1999年9月に西野亮廣と漫才コンビ、キングコングを結成。YouTuberカジサック公式チャンネル「カジサックの部屋」※『anan』2019年1月23日号より。インタビュー、文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年01月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「高橋優さん」です。自分のラジオ番組やいろんなところでお話しさせていただいていますが、シンガーソングライターの高橋優さんと仲良しです。出会いは2017年の「風とロック芋煮会」というフェス。このフェスは変わっていて、ライブ終了後に参加ミュージシャン全員でお客さんの前で野球をするんです。僕は小学生のころ野球をやっていたので、野球経験があまりないという優さんとキャッチボールしたりルールを説明したりして。それがきっかけで試合中もずっと僕の隣の席に座ってくれていたんです。でも、お互い人見知り同士なので全然、会話は弾みませんでしたね。「打ちましたね~」「…はい」「あ、また打ちましたね~」「…あ、そうですねえ」みたいな感じで。でも、同じ男性ソロアーティストなので親近感を持っていただけたのでしょうか。フェスで僕のライブも観てくれていたみたいで、「FRIENDS」って曲の気持ちもわかりますと言ってくれました。それ以降は、Mステでお会いするとご挨拶したり、お互いのCDを交換しあったり、少しずつおしゃべりもできるようになっていきました。距離がぐっと縮まったのは去年のこと。優さんが地元の秋田で「秋田CARAVAN MUSIC FES 2018」というフェスを主催されて、そこに僕を呼んでくれたんです。これが地元密着型のとてもいいフェスだったんです。地元を盛り上げようという優さんの気持ちが溢れていました。レーベルや事務所に言われてやっているとかじゃない前向きな姿勢が、めちゃくちゃ人間味があって素敵やなと思えたんですね。このときも、「もっと二人の距離を縮めたいから、このあと一緒にごはん食べましょう」なんて、ステージでお話ししていただいて。でも僕は、それはリップサービスやろと思っていたんです。だって、次の日も優さんはフェスがあるし、関係者へのご挨拶とか主催者はいろいろ大変です。邪魔にならんように帰ろうかなと機材をまとめていたら「ちょっと!ごはん食べようよ!」と呼び止められて。一緒にイワナの塩焼きをいただきました。おいしかったです。優さんのファンの方に言っておきたいのは、この人についていったら間違いないということですね。絶対、信じても裏切られないやろなと思います。そういう方です。自信もってファンでい続けてください!おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。オリジナルサードアルバム『SAITAMA』が発売中。6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定!※『anan』2019年1月16日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年01月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「配信リリース」です。この間、ネットサーフィンをしておりまして、気になるアーティストを発見しました。イギリス・ロンドンを拠点に活動しているソウル・シンガーで、サム・ヘンショウという方。24歳くらいで若いんですが声がめちゃくちゃかっこいい。これはCDが欲しいと思って探してみたら、フィジカルリリースはレコードのみ。音源は配信でしかリリースしていなかったんです。僕は、以前にこのコラムでデジタルでばかり音楽を買わないで、CDをもっとみんなに買ってほしいと言いましたが、最近はこういうケースも増えてきましたよね。グラミー賞を受賞しているアーティストや日本の人気ミュージシャンでも配信限定で楽曲をリリースすることがあるし、かくいう僕もテレビアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』の新オープニングテーマ「キミの冒険」をTVのオンエアと同時に配信のみでリリースしました。配信でしか手に入らない音楽って確実に増えつつあります。作り手側の話をすると、配信のみでのリリースってすごくハードルが低いんですよね。現物としてモノを準備しないといけないCDと比べると、手間もコストもかからないから、リリースしたいときにすぐにリリースできる。CDだとプレスして、梱包して、配送してと、タイムラグがどんどんできてしまう。そのスピード感の差が、アーティストが配信に切り替えている理由のひとつだと思います。リスナーとしても好きなアーティストの最新の楽曲をどこででも手に入れられるのですから、音楽の聴き方が配信やサブスクが主流になっていくのは当然かなと思ってしまいます。この間も、ぼくのりりっくのぼうよみ君と対談をする機会があって「CDは買いますか?」と聞いたら「ほとんど買わないです」と言っていました。10代や20代前半くらいになると、日常的にCDを買うという意識を持っていない方がほとんどなのかなと思います。CDプレーヤーやドライブをもう持っていないという人も多いんじゃないかな。確かに家で自分が一番気に入っている椅子に座ったままで、PCやスマホで好きな最新の音楽を選べるというのは、なんと贅沢な時代かと思いますね。とはいえ、個人的には好きなアーティストの音源は盤で買ってほしい、という思いは変わらずに持ち続けています。CDは音がいいだけじゃなく、ジャケットやブックレットに作り手のこだわりが詰まっていますから。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。’19年1/9にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売。’19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2018年12月19日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「全国ツアー」です。ミュージシャンは自分の音楽をみなさんに届けるために、全国各地を巡りライブをする“ツアー”をします。すごい方だと1年かけて47都道府県を全部まわるという人とかもいらっしゃる。それは本当にすごいことやなと思います。尊敬しかありません。そういう僕も今、絶賛ツアー中です。初の全国ホールワンマンツアーです。ただし僕の場合、埼玉・北海道・京都・愛知・福岡・大阪・東京の全国7か所での開催です。ちょっと偏っていますか?偏って見えますか?でも、僕にとってみたらもうこれがギリギリ限界の仕様になっております。なんでかと言いますと、「岡崎体育なめてんな」とか「甘えるな」とか言われてしまいそうですが、僕はライブが終わったら1回、家に帰ってきちんと眠りたいんです…。ホテルに何連泊もするとか、1か月ずっと各地をまわって家に帰らないでいるとか、僕にはできないんです。とにかくホテルだと眠れない。休めない。僕は寝るときにはS字型の抱き枕を使っているんですけど、まずそれがないと落ち着かない。じゃあ、それ持っていけば?と言われるかもしれませんが、僕はステージで使う機材もキャリーに乗せて自分で運んでいるので、さすがにそれに加えて枕も運ぶことは難しい…。今度、マネージャーにお願いして、枕をホテルに直送してもらおうかなとかも考えていますが、まだ実現には至っておりません。とにかく、ちゃんと家で寝ないと僕はパフォーマンスが確実に落ちてしまうんです。そんな落ちた状態でライブをするのはどうしてもイヤなんです。それをするくらいならわざわざであっても一度、宇治の自宅に戻り、慣れた布団できちんと眠って、肉体的にも精神的にもチャージをしてから次のライブに挑みたい。そういう考えのもとで全国7か所に限ってやらせていただいています。ある意味、僕は誰よりも健全な志向を持ったミュージシャンなんだと思います。たとえば、富山県にお住まいの方に僕のライブを観てもらいたい。もちろんそう思います。思ってます。でも、僕のライブを観たいんやったら富山から出てきてほしい。僕が富山に行くより、キミが京都の会場に足を運んでくれないか。そして、ちょっと京都観光して帰ったらええやんかと思うのですが、富山のみなさま、全国のみなさま、いかがでしょうか。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。‘19年1/9にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売。‘19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2018年12月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ミュージシャンが言われてうれしい言葉」です。僕がよく言われる褒め言葉は「面白いですね」。もちろん、それはそれでうれしいですが、“面白み”を評価されることが多い分、逆に音のことを褒めていただけると、すごくうれしくなります。「あのトラック作り込んでますね」とか「ここの音作りがすごい」などと言われると、めっちゃちゃんと聴いてくれてるやん!と、テンションがあがります。だからミュージシャンに何か言葉をかけるとしたら「ファンです」とか「好きです」だけでなく「この曲のここの音がすごいと思っていて」など具体的に言ってあげると、とても好印象になると思います。ミュージシャンって結局、楽器オタクや機材オタクなんですよ。メジャーのフィールドまで来ているということは、当たり前ですけど、時間をかけて考えて、こだわりぬいて真摯に音楽を作っている。だからこそ、音のことを率直に褒められるとめちゃくちゃうれしい。だから僕も、ライブの後などに共演者の方と話すときは、音作りの話を振ることが多いです。「ライブでめちゃくちゃ低音出ていましたけどPAにどういう指示されているんですか?」とか「あのギターの音はどんなエフェクトかけているんですか?」とか…そういう話をしています。そうすると話も弾みます。逆によく言われるなかで、がっかりする言葉もあります。それは「このエピソード、曲にしてくださいよ」っていうやつ。僕はこれ、めっちゃしょっちゅう言われます。僕がネタ曲を多く作っているせいもあると思いますし、面白いネタを常に探していると思われているのかもしれないですが、そんな大したことのないレベルのそこそこの面白エピソードなど、曲にできるかい!といつも思います。なので、この記事を読んだ方は二度と言わないでほしいです。ヤバTのメンバーもよくこの言葉を投げかけられるようで、わざと僕に「岡崎さん、この会話、曲にしてくださいよ~」とちょけてきますが、そのノリももう飽きました。ここ1年で褒められて最もうれしかったのは、Mステに出たときにタモリさんに「よくできた曲だね」と言われたことです。タモさんって曲終わりでコメントすることがほとんどないので、それなのにわざわざそうおっしゃっていただけたのには興奮しましたね。やっぱり率直に曲のこと褒めるのがミュージシャンへの最大の賛辞なんだと思います。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。’19年1/9にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売。’19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2018年12月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「タイアップ曲と自分の曲」です。タイアップ曲は、CMのためにこういう曲が必要とか、ドラマやアニメ、映画に合わせたイメージソングが欲しいと依頼されて作ります。僕は、タイアップの場合は商品だったり、作品だったりにめちゃくちゃ寄せて寄せて考えるタイプです。だから、作ったものにクライアント側からNGを出されることは、比較的少ないかもしれません。そして、もし修正を依頼されても素直に言われたことを聞いて直すタイプです。最初に、アカデミックな曲でと言われ制作したら、「いや、もっと岡崎さんの『MUSIC VIDEO』みたいにハジけたやつ!」と言われ、それ、どっちやねんと思ったことはありますが、それも結局オーダーに沿った楽曲に作り直しました。どちらかというと僕は、自分の中でのダメ出しが多いです。レコード会社に通達するまでもないボツが山ほどあります。そもそも、僕はタイアップで作った曲とアルバムに収録する自分の曲は別のものだと考えています。タイアップ曲は、クライアントに満足していただくことが最優先。自分のアルバム曲は自分のこだわりを追求します。曲が生まれるスタート地点からして違うというのが、僕の中でのタイアップ曲と自分の曲との違いですかね。ミュージシャンの中には、自分が作りたいように作った曲がCMのイメージソングになり得るという素晴らしい才能を持つ方もたくさんいらっしゃいますし、それはそれでお互いにとって幸せなことだと思いますが、僕はちょっと向いてないようです。だから、アルバムも『OT WORKS』というタイアップ曲だけを集めたものを作るなど区別するようにしています。アルバムにタイアップがついた曲がずらっと並んでいると購買意欲が上がるし、初めてのお客さんも「あ、あのCMの曲か」と手に取りやすくなるというのも理解しているのですが、僕はそれをしていません。コアなファンの方に「新しいアルバム、既存曲ばっかりやん」と思われてしまうことが怖いし、僕の場合ネタバレ感があるだろうから、それじゃ面白くないだろうなと感じてしまうんです。せっかく自分の名前のついたアルバムを出すなら真っさらな10曲でお届けしたい。アルバム曲は僕だけのものです。だから、あとからタイアップで使いたいと言われても、それはお断りしますね。うん…。断りますよ。…多分ね。あの、でもそこは使用料次第でポリシー変わるかもしれません。おかざき・たいいくNHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演決定。JINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」、11/17(土)埼玉・三郷市文化会館から全国7か所にて。※『anan』2018年11月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年11月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「泣ける曲の作り方」です。泣ける曲というのは、たいていコードとテンポで決まると思います。リズミカルでアップテンポなのに泣ける曲ってみなさん思いつきますか?あまりないですよね。だから泣ける曲を作るときの定石は、まずミドルテンポ以下の落ち着いたリズムであるということだと思います。そして、コードについてですが、これはコードの中に「セブンスコード」という特別なコードがあります。通常コードは3和音でできていますが、そこにもう1音プラスし、4和音にしたのがセブンスコードです。例えば「ド・ミ・ソ」の3音で作るCコードというのがあります。これに、ソの上のシの音を重ねるとCM7(Cメジャーセブンス)という響きになる。「ド・ミ・ソ」だけだと、なんかめっちゃポップなのが、そこに「シ」の1音が足されるだけで明るさの中にわびさびのようなものが生まれ、ぐっと切なさを醸し出してくれるんです。このセブンスコードを楽曲のコード進行の中にすっと入れ込むと曲に抑揚が生まれ感動的になる。つまり、泣ける曲に仕上がるというわけです。とか偉そうに話していますが…。僕は音楽理論になーんにも精通していないので、自身の作曲の際にはまず3和音でトラックを作り、あとからDTM( PCを使った音楽編集)で「ここ泣かせたい!」ってポイントを決めたら、鉛筆ツールを使い1和音ずつ、この音を足すでいいかな?違うかな?と、チマチマと再編集を繰り返し、4番目の音の魔法が生まれる場所を探します。僕の楽曲でいうと「チューリップ」や「スペツナズ」「式」などでセブンスコードを使っていますね。人生をテーマにした曲、繊細な印象にしたいときなどに活きてくるものですが、あまり使いすぎても安売りになってしまいそうなので、ひとつのアルバムに1~2曲くらいの必殺技とすることを心がけています。でも、泣ける曲の定義というのは難しいものだなとも思います。最初にコードとテンポで決まるといいながらも、例えばアメリカのカリスマ的ラッパーであるケンドリック・ラマーのようにコード進行も何もないビートとベースラインだけで、その魂の叫びやステージングが多くの若者を泣かせることもある。歌っている人の背景や人柄、発する言葉によってどんな激しい曲でも心に響いて涙することもある。本当の泣ける曲はテクニックだけじゃないんだと思います。おかざき・たいいく今月から始まった、NHK連続テレビ小説『まんぷく』出演決定。JINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」11/17(土)埼玉・三郷市文化会館から全国7か所にて。※『anan』2018年10月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年10月22日9月30日(日)にチームスマイル・豊洲PIT(ピット)で開催される「重神機パンドーラ」ネオ翔龍市民感謝祭に梅原裕一郎の出演が決定した。【チケット情報はこちら】「重神機パンドーラ」はTOKYO MX ほかにて放送中の TV アニメ。2031年、中国の翔龍(シャンロン)にて次世代エネルギーとして開発されていた量子リアクターの暴走事故により、生物、機械、植物を超越・融合した未知なる特異進化生物「B.R.A.I」が出現。事故から7年、驚異的スピードで進化を遂げ人類を滅亡の危機に陥れた「B.R.A.I」に対抗する人類最後の希望の砦、絶対防衛都市「ネオ翔龍」を舞台に、残された居住区を守る戦闘チーム「パンドーラ」の活躍を描く。同イベントは、シリーズ構成・脚本 根元歳三が書き下ろすオリジナル朗読劇を中心に、トークあり、ゲームありのスペシャルイベント。今回出演が決定した梅原はネオ翔龍の市長兼防衛軍司令官、セシル・スーの秘書官、ジェイ・ユンの声を担当している。今回の出演決定にあわせて、オリジナル朗読劇のストーリーが公開された。朗読劇のタイトルは「感謝祭 復活のゴールド大パニック!?」。舞台はとある日のネオ翔龍。市長セシル・スーが市民のために感謝祭を開こうとしている。各登場人物が感謝祭の準備を行う中、重大なアクシデントが発生!会場を巻き込んだドタバタ劇が繰り広げられる。また、イベント会場限定で販売されるグッズ情報も公開。チケットは発売中。■「重神機パンドーラ」ネオ翔龍市民感謝祭9月30日(日)【昼の部】開場15:00 開演15:30【夜の部】開場18:30 開演19:00会場:チームスマイル・豊洲PIT(ピット)(東京都)料金:7,000円出演:前野智昭 / 花澤香菜 / 津田健次郎 / 東山奈央 / 内田雄馬 / 梅原裕一郎 / 茅野愛衣 / 檜山修之 / 石川界人 / ゲスト:河森正治総監督
2018年09月18日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「マネージャー」です。インディーズ時代に僕のことを見出してくれたのは今のマネージャーの松下です。最初はなかなか心を開けずに、届いたメールも2週間近く無視していたんですが、彼女の熱意に押されに押され続けて、ソニーミュージックとメジャー契約を結ぶことになりました。彼女いわく「体育さんと話をしていて目があうようになるまで1年、心を開いてくれたと実感するまで3年かかった」ということですが、僕は他人を信用するのにまあそれくらいは時間がかかるので、逆にそれができあがってしまえば揺るがないので、今はすごくいい関係で仕事ができていると思います。基本的にマネージャーはアーティストのスケジュール管理や身の回りの世話をしてくれます。その仕事内容は、担当するミュージシャンや人となりによってだいぶ違うと思います。とくに僕はひとりなので、例えばラジオのDJ助手とか普通のマネージャーならやらんでもいいようなことまで彼女にお願いをしています。バンドのメンバーでもいればメンバー同士でおしゃべりしていればいいことですが、僕にはその相手がいないし、僕がよく知らん人としゃべれるタイプではないので、ラジオでは彼女に話し相手になってもらえて助かってます。同じようなことでいうと、ライブの打ち上げに参加してもらうこともあります。これもバンドメンバーが数人いれば、誰か1人でも2人でも参加しとけばカタチになる。でも、僕はひとりきり。僕が参加しなきゃ不参加です。そこで、松下の登場です。疲れ切って早々に帰ってしまう僕の代わりに、彼女が持ち前の社交性で打ち上げの場で楽しくおしゃべりして、岡崎体育の印象をあげてくれる。これは、何にも代え難い、アーティスト・岡崎体育への貢献です。痩せろとか、お菓子食べすぎとか、朝ごはん食べてきなさいとか、髪型キショイとか、まあいろいろ言われますがそれもありがたいと思っています。僕の持論ですが、男性アーティストには女性スタッフが、女性アーティストには男性スタッフがつくべきだと思います。やっぱり、ファンの方の視点、異性からの見え方って大事なんですよね。ファンの方に近い感覚って同性からの見え方だけだとどうしてもズレが生じてしまう。だから、女性視点の意見、マネージャーの松下が生理的にキモくないかどうかを岡崎体育のディレクションの最重要項目にしています。おかざき・たいいく8/5、NHK‐FM『今日は一日“岡崎体育と合唱”三昧~Nコン85回記念だよ~』(12:15~18:00)に司会で出演。11/17より全国7か所にて、初の全国ホールワンマンツアーが開催決定!※『anan』2018年8月8日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年08月12日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ライブのMC」です。ライブではほとんどのアーティストがMCをします。そもそもなんでMCって言うんですかね?司会の意味のマスター・オブ・セレモニー?それともマイク・コメントの略?僕はバンドにおけるMCって「待ち(休憩)」と「チューニング」の時間だと思います。…あまりうまいこと言えませんでした、はい。僕のライブでは1曲ごとにMCが入ります。岡崎体育としてソロでステージに立つようになってからはずっとこのスタイルです。その前やってたバンドはMC一切ナシの、楽曲で伝えたいことは伝える系の尖った感じでやっていたんですが、1人ともなるとそうもいきません。僕は、音源をパソコンのDTMソフトからそのまま流すスタイルをとっています。そうすると、ここは低音を下げて出したいとか、台詞部分の音量は上げたいとか、そういう音の調節も全部、自分でできてしまうんです。今でこそ、僕のツアーに制作チームのPA(音響)部隊が帯同してくれていますが、インディーズのころなんて、基本PAはライブハウス任せです。PAとは、音楽が客席で聴きやすいようにバランスをとったり、音量を変えたりという操作をしてくれるスタッフのことですが、これが、知らんライブハウスとかだと信頼できる方ばかりじゃない。PAさんにもそれぞれのクセとか好みがあるので。でも、僕は僕がやりたいようにやりたいので、スタッフには「全部、音の出方を平坦にしといてください」とお願いして、こちらでデータを調整して音を出してるんです。ただそのために、一曲一曲、データを読み込む時間がかかってしまうんですね。だいたい30秒くらい。それでMCを1曲ごとに挟むようになったんです。客席とベラベラおしゃべりして迎合しているようで実は、かなりトゲトゲと尖った僕のこだわりのためにこのスタイルになっているんです。でもそのおかげでMCの腕はかなり鍛えられたと思います。飽きさせない工夫もしてますよ。苦手なのは地方行ってその土地の名物食べたよー、観光地行ったよー系のMC。そういうのって誰でも同じだし飽きますよね?だから僕は、お客さんに問いかけます。地元の人が行く美味しい店教えてとか。どこ行くとおもろい?とか。なのでみなさん、僕のライブ来るときはおすすめのスポット考えてから来てくださいね。おかざき・たいいくタイアップ曲満載の企画アルバム『OT WORKS』が発売中。7月24日(火)、「夜の本気ダンス O‐BAN‐DOSS×LIVE TIPS presented by WOWOW」(会場:キネマ倶楽部)に出演。※『anan』2018年7月18日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年07月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「母の影響」です。僕が音楽を聴くようになったきっかけはおかんです。母はクイーンのファンで彼らのレコードが家に何枚もありました。それを僕も聴きはじめたのが音楽に傾倒したきっかけ。母もそうですけど、その従兄弟たちが音楽好きでした。兄弟でアマチュアですけどバンドをやってたんです。クイーンを聴いていたのも、彼らの影響ちゃうかな?と思います。そのおじさんたちの家には防音のスタジオもあったんですよ。盆暮れには、そこの家に遊びに行って、ドラム叩かせてもらったり、アンプ内蔵のミニギターを買ってもらってディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のギターリフの弾き方を教えてもらったりしていましたね。そんな音楽好きの親族なので今、僕がこうしてプロのミュージシャンになっているのをとても喜んでくれているみたいです。うちは母子家庭ということもあり、すごく過保護で過干渉。しつけも教育もとても厳しかったです。だけど、母子ともに音楽が好きということもあり、音楽に関するおねだりに対しては寛容だった記憶があります。CDもたくさん買ってもらった。でも、プロの音楽家になるっていうのは、想定外だったんじゃないでしょうか。ひとりっ子だし、いい大学出て堅い仕事についてほしかったんだと思います。だからプロになりたいと言ったときも当然、反対されました。それで、4年間の期間限定で音楽活動をさせてもらい、その期間内にデビューできなかったら諦めるという約束を交わしたんです。インディーズ時代は、自分の力でやりなさいという感じで突き放されてましたね。で、いざ、デビューしたら手のひらを返したようにめちゃくちゃ応援してくれています。いや、応援というかもはやディレクター気取りです。僕は実家で音楽制作をしています。家は木造です。音は母の部屋まできっちり届く。そうすると、めちゃくちゃチャチャ入れてきます。いきなり部屋に入ってきて「今のハモりどうなん?」とか言ってきます。「そこ、下ハモちゃう?」と。「あんたがいいならいいけど、あたしは下ハモやと思うけど?」と言い残し、去っていきます。僕は年中反抗期なんで、スタイルとして「もう、ええから」と返しつつ、その助言を試して「ほんまにええな…」と唸ったりしています。母は、今も僕の最大のインフルエンサーです。過去も今も、レール敷かれっぱなしです。おかざき・たいいくタイアップ曲満載の企画アルバム『OT WORKS』が発売中。NHK総合の新番組『テンゴちゃん~土曜深夜の辺境レボリューション~』(土曜24:05~、次回放送未定)パーソナリティ。※『anan』2018年6月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年06月21日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「楽譜」です。僕は楽譜一切、読めません。小学校1年生のときにピアノを習ったことがあったんですけど、教えてくれていたのはおかんの知り合いの近所の女子大生で、3か月くらいたったころに就職活動をするから音楽教室やめますってやめられてしまった。楽譜読むとか読まないとかにたどり着く以前のレベルで終わってしまったんです。そこから別の教室に行くなどすればよかったのかもしれないんですけど、そういう機会もとくになく…。ただ、家にはアップライトピアノがあって音楽はずっと好きだったので、指1本で気に入ったメロディを弾いたりとかそういうことはしていました。で、中学生のときにニンテンドーDSの『大合奏!バンドブラザーズ』という作曲ができるゲームソフトと出合います。これで、譜面というのをまったく使わずに作曲ができるようになりました。それ以降もDTM(Desk Top Musicの略)でパソコンの作曲ソフトを駆使するようになり今に至るので、本当に譜面に触れることはないです。今、そういうミュージシャンの人も実は多いんじゃないでしょうか?とはいえ、楽譜を読めることに憧れはあります。音楽家ヒエラルキーでいったら読めるクラスタと読めないクラスタでは、絶対、読めないクラスタが低層に位置すると思うので。よくTV番組でミュージシャン同士がセッションとかしてるじゃないですか。そういうとき譜面台置いてますけど、そういうチャンス、僕まったくないですからね。コード譜ですらCとかDとか簡単なヤツはさすがにわかりますけど、「セブンス」とか「ディミニッシュ」とか言われるとまったくついていけません。以前、ラジオ番組でヒャダインさんと即興ソング対決したとき、ヒャダインさんが即興ながら複雑なコードを使って演奏してくれた一方で、僕、使えるコード4つだけでしたから。「逆にそれだけで勝負してんのすごいな」とヒャダインさんにも言われました。そんな僕でもスコアブックが売られているから驚きです。先日、広島に行ったとき、偶然楽器屋さんでみつけて。「感情のピクセル」のスコアだったんですけど、誰が起こしてくれたんでしょうか?ありがたいです。せっかくだから僕も弾けるようになりたいと、スコアブック買わせていただきました。この広い世界で自分の楽譜買うアーティストって、きっと僕くらいやと思います。おかざき・たいいくタイアップ曲満載の企画アルバム『OT WORKS』が発売中。NHK総合の新番組『テンゴちゃん~土曜深夜の辺境レボリューション~』(土曜24:05~、次回放送未定)パーソナリティ。※『anan』2018年6月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年06月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ボーカリストの資質」です。僕は人前で歌うことが苦手です。ステージでお客さんを煽ったり、早口ラップしたりするのは好きなんですけど。歌を歌うということに関しては、そんなに正面切って向き合ったことはないですね。もともと、作曲家志望ですから、本音を言えば、もし誰かが歌ってくれるというなら歌ってほしいです。でも、インディーズの時代なんて頼める人がいませんでしたし、お金も払えません。仕方なく自分で歌い続けて今に至ります。ボーカリストとしての自分を客観的に判断すると0点だと思います。まだ音源はいいんです。ピッチだとか音程も修正できるし。しかし、ライブとなるとそうもいきません。ライブで歌うのが本当に苦手です。ずっと半音下がったままだとか、全然声が出てないままライブを終えることも多々あります。まあ、そんなこともあって口パクを始めたというのもあります。ここで、ちゃんとボイストレーニングしよ!とか、ちゃんと喉のケアしよ!とかならんところに、かなり逃げの姿勢を感じますね。それはさておき、口パクは便利です。僕は、ライブごとにネタ曲の歌詞やアレンジを変えています。それを思いつくのはたいてい、ライブの前日とか前々日くらいなんですね。そうすると、当日までに歌詞を覚えるのがだいぶムズい。それなら、歌詞見ながら録音しておいて、それをステージで口パクあてぶりすればええやんとなります。…はい、これボーカリストの発想じゃないですね。そもそも、ライブではなぜマイクを必ず持たないといけないのかとさえ思います。もうみんなマイク持たなかったらええのに…。必要ない人は必要ないでいいんじゃないでしょうか。みなさんそれぞれのパフォーマンスがちゃんと成立していればそれでいいのではないですか?違います?その一方で、シンガーへの憧れもこっそり持っています。歌がうまいというのは才能であり、個性です。自分が思った音程をすっと出せる能力は、“足が速い”とかと同じだと思います。足が速い人は、基本、頭を使って理屈で考えて走ってないでしょう?もっとフィジカルなもの。歌も同じだと思います。知識や練習である程度はうまくなれるけど、それだけじゃ本物の歌手にはなれない。なので、下手は下手なりにいろいろテクニックを使ってがんばっているんです。いつか、一人でさいたまスーパーアリーナを埋めるボーカリストになるためにがんばります!おかざき・たいいく2016年メジャーデビュー。タイアップ曲満載の企画アルバム『OT WORKS』が発売中。TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』の新ED曲、「ジャリボーイ・ジャリガール」も配信中。※『anan』2018年5月23日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年05月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「シングルリリース」です。すべてのミュージシャンがそのときイチ押しの楽曲をシングルCDでリリースしていると、みなさん思っていませんか?実は、そんなことないんです。僕はシングルは出しません。アニメの主題歌などを手がけて、そのアニメの視聴者に向けて出させてもらうとかそういう特別な状況でない限り、シングルはやらないですね。自主的に出そうとは思いません。だって、売れませんから。そもそも、シングルって1000円くらいするじゃないですか。2曲くらいしか入ってなくて。でも、アルバムは10曲前後入っていて2000~3000円で買えます。絶対そっちのほうが得じゃないですか!あと大抵、シングルの曲ってバージョン違いとか、新アレンジとかしてアルバムに入れるじゃないですか。だったらアルバムだけでいいじゃないですか!自分がそう思ってしまうので、僕は僕が必要としないシングルを作ろうとは思わないんです。では、もしシングル曲になりそうな引きの強いええ楽曲ができたときはどうするのか。そのとき、僕は「これをシングルカットしてリリースしよう!」と思う代わりに、「この曲でMV(ミュージック・ビデオ)を制作してYouTubeにアップしてみんなに観てもらおう!」と思います。もともと、僕はネタ重視のインパクトに賭けた楽曲を手がけるタイプのミュージシャンです。だから、みなさんに1~2回観てもらって、聴いてもらって、笑ってもらえたらそれで満足なんです。そこからさらに岡崎体育のこと掘り下げたいと思った人がアルバムを手に取ってくれる。そこには、何度も繰り返して聴きたくなるような味わい深いスルメ曲を数曲用意しています。僕の入り口となる面白い瞬発力のある曲を思いついたら、それでMVを作る、さらにその曲を軸にしたアルバムを制作する。これが、僕の音楽活動の基本です。でも、まあこれはすべてのミュージシャンに“こうせえ!”と言えることではまったくないです。シングルをバンバン出して売れていれば、それならそれでええし。どのやり方が正しいというものではないと思います。こんな感じですから、たまに「MUSIC VIDEO」でデビューした岡崎体育さんとかメディアに書かれますけど、それ違いますから。『BASIN TECHNO』という8曲入りアルバムでデビューしております。おかざき・たいいく2016年メジャーデビュー。タイアップ曲満載の企画アルバム『OT WORKS』が発売中。TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』の新ED曲、「ジャリボーイ・ジャリガール」も配信中。※『anan』2018年5月16日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年05月12日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「シティ・ポップ」です。…はあ、なかなかしんどいお題がやってきました。ぶっちゃけ僕は確実に今のシティ・ポップ界隈から嫌われていますからね…。だって、やってること真逆でしょう?僕が大事にしているのはキッズたちですからね。僕の音楽、キッズたちに届けと思っていますから…。シティ・ポップは、やはり洗練された大人のための音楽ですよね。音楽性もファッションやスタイルもどれも研ぎ澄まされていて水準がむっちゃ高い。僕がどうこう言うと、ネットがまた炎上してしまいそうです…。さらに言うとくと、母親がシティ・ポップ系のメロウな音楽がめちゃくちゃ好きなんです。いつも隣の部屋から、NulbarichやD.A.N.が流れてきます。時には僕の部屋にやってきて「この音楽いけてるからYouTubeで検索してみ?」とかめちゃくちゃ言ってきます。「もう、俺、知ってるから!」と言っても聞いてくれません。お母さん、もともと渋谷系とか好きで聴いていた感じなので。シュッとした音楽が好きなんですよね。息子は全然、シュッとしてないんですけど。きっと、息子にもシュッとしたやつ、やってほしかったんやろな。ファッションの流行と同じで音楽にも流行があって、それが繰り返されています。シティ・ポップという言葉自体は’70年代に生まれた、はっぴいえんどや大瀧詠一さんに代表されるポップ・ミュージックのこと。それに連綿と続く、新しいミュージシャンたちによるシティ・ポップが今、注目されているものです。ルーツに’70年代のシティ・ポップやブラックミュージック、そしてクラブカルチャーがあって、都会的な匂いと聴き心地いいサウンドが、ライトなリスナーからディープな音楽通までを魅了しているんやと思います。少し前までは、どこもかしこも四つ打ちのダンスロックばかりで、そのちょっと前はゴリゴリのバンドサウンド全開の青春パンクが全盛。そのカウンターとして登場したのがシティ・ポップなんやと思います。音楽の流行は、常に移り変わっているんです。次は何がくるんでしょうね?そろそろ、また新しい時代に突入しそうな予感です。とはいえ、今のミュージシャンたちはヒップホップもロックもソウルもなんでも取り込んでる総ミクスチャー時代です。そろそろジャンルで語るのはナンセンスになるのかも。そもそも僕自身、カテゴリー謎ですしね。おかざき・たいいく2016年メジャーデビュー。全曲タイアップ(?)アルバム『OT WORKS』が発売されたばかり。TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』の新ED曲、「ジャリボーイ・ジャリガール」配信中。※『anan』2018年5月2・9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年04月29日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「いい曲の見つけ方」です。新しい曲を探したいとき、みなさんはどうしてますか?僕はやっぱりサブスク系のストリーミングサービスを聴いたり、YouTubeの急上昇音楽ランキングをつい見たりしてしまいますね。そういう感じで、今の時代は家にいながらお金もほとんど使わずに全世界の音楽に触れられる。すごく音楽をディグ(探)しやすい環境になってる。でも、だからこそ逆に音楽というものの貴重さや価値が薄まっているんじゃないかなとも思います。今のティーンの子らはCD一枚も持ってないとか普通にあるそうです。僕らは、きっと、ラックにずらっとCDアルバムが並んでいるのがかっこいいって感じる最後の世代なんじゃないかと思います。昔はレコ屋行って、こんなんあるんやってジャケだけ見て判断して買うなんてことも当たり前でしたから。全部が全部、試聴機に入っていてお試し聴きできるわけじゃなかった。だから、少ないおこづかいで思い切って自分のセンス信じて買ったのに、ジャケットかっこいいけど内容クソださくて落ち込むなんてことよくあったんです。でも、それってすごくいい音楽体験だと思うんです。いい曲に出合いたいと思っている今の子たちにこそ、そういうことしてみてほしいです。情報の詰まったスマホの電源を今すぐ切って、4万円下ろしてみる。そんで、最寄りのレコ屋に駆け込んで、その手にある4万円で好きなCDをその場の勢いで選んで買ってみてほしい。そうすると、多分6000円分くらいは成功する。1割5分は、なんか気になる音楽に当たる。衝撃的なものに出合えるはずなんです。そうやって得た音楽体験って、価値のあるものだと思いませんか?さっき僕、急上昇音楽ランキングとか見ていると言いましたけど、そういうのも正直あかんと思うんです。人が作ったランキングとかまとめとかで自分が聴く音楽を決めてはいけない。やっぱり自分の耳で聴いて、これで自分が聴く音楽を決めてはいけない。やっぱり自分の耳で聴いて、これ好きだなとか、これは好きじゃないとか体感して見つけるべきなんです。人やネットのオススメばかりを情報源にしていると、本当に自分に合っている音楽っていうのがわからないままなんです。わけわからん知らんジャンルのものも試しに聴いてみる。そうやって、自分の体質はどんな音楽なら合うのかを知っていく。実体験で作り上げることが、本当に自分にとっていい曲に出合ういちばんの近道だと、僕は思います。おかざき・たいいく2016年メジャーデビュー。4月25日に全曲タイアップ(?)アルバム『OT WORKS』を発売。現在、全国ワンマンツアー中。※『anan』2018年4月18日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年04月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「即興ソング」です。即興ソングとは、その場の発想で作る曲のこと。僕はライブでよくやっています。お客さんからランダムに好きな単語を3つもらって、それを組み合わせて1曲の中に入れて歌う。デビュー前からやっていて、こんなんできるの俺くらいやでと思っていたら、aikoさんやラッパーのR‐指定くんはお題7つもらってやっているとか最近、聞いて。俺あかんやんけ、半分以下やんけとショックを受けました。…でも、僕が重きを置いているのはお題の数じゃないんです!僕が大事にしているのは、3つ目のワードでちゃんとオチをつけること。このクオリティに関しては、各方面から高い評価を頂いております。即興ソングを上手に作れるようになるコツは、なんでしょうね。日頃から上辺だけで話す練習をするといいかもしれません。僕は、学生時代から興味ない相手だとか苦手な人と話すときはこの手法を採用していました。口では「え?そんなんして大丈夫やったんですか?」とか絶妙なあいづち返しているんですけど、頭の半分では「それ、俺に話すほどのことでもないやんけ」とか、ツッコミを入れているんです。ツッコミ入れるほどでもないレベルの会話のときには、まったく別のことを考えていることもあります。「今夜、何食べようかな」とか「明日のライブのネタどうしよ」とか。だから、ライブのMCしているときもお客さんと話しながら、頭の上半分ではまったく別のこと考えています。一度、お題で「剣道」と「抗生物質」って言葉がでたことがあったんです。そのときも口では「抗生物質って何?菌殺すやつ?」とかお客さんとおしゃべりをしているんですけど、頭の中では、「物質」って「部室」って言い換えられるな、そうすると「剣道」とリンクできるな…とか同時進行で考えているんです。即興ソングは僕にとってボケ防止。お客さんにお題を頂いて、脳トレさせてもらっているようなものです。うまくオチがハマらなくて失敗することもたまにあります。このあいだのツアーでも、実は5本中2本も外してた。難しいのは固有名詞ですね。この前も「細川たかし」さんって出てきて、これはムズかった。メロディに関しては何も考えてないです。それこそ前奏弾いて、その場で降りてくるもの。ミュージシャンってそういうものでしょ…って、最後のこのコメント、かっこよくない?おかざき・たいいく2016年メジャーデビュー。4月25日に全曲タイアップ(?)アルバム『OT WORKS』を発売。現在、全国ワンマンツアー中。※『anan』2018年4月11日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年04月07日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「賞レース」です。まだデビュー前の路頭に迷っていた時代に一度だけ賞レースに出たことがあります。某テレビ局のバラエティ系の歌ネタレースで、あっさり一次審査で落ちました。それがあまりいい印象でなく、ちょっとトラウマになって賞レースやオーディションに自ら進んで参加することはなくなりました。とはいえ、賞をとるというのはいいことだと思います。それを理解できたのは、僕が「MUSIC VIDEO」のMVで文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門新人賞をとったことがきっかけでした。これも、エントリーは僕じゃなくてMVの映像監督をしてくれた寿司くん(編集部注:ロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん」としても活躍中のこやまたくや氏の映像作家名義)がやっていてくれて。最初「すごい賞をとってしまいました!」と寿司くんに言われたときも「…はあ、おめでとうございます」くらいだったんです。でも、それが『シン・ゴジラ』や『君の名は。』という2016年を代表するエンターテインメントと並んで国から評されるものだと知ってめちゃくちゃ驚いて。そりゃ、寿司くん興奮するわ!と。賞をとることで周囲の見方は変わるものです。箔がつくといいますか、メディアの取り上げ方も違ってくるし、一般の人たちにとってもわかりやすい“ものさし”になってくれる。だから、それ狙ってばっかりとかは違うと思うけど、評価されたら素直に喜びたいものですね。最近、ツイッターで知ったんですが、アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤(正文)さんが、自腹で賞金を出して新人賞を創設したそうです。そういうのもいいですよね。ミュージシャンという同じ立場の人にいいねって言われることほどうれしいことはないし、多くの人に自分たちの音楽を知ってもらえるチャンスにもなる。僕も出だしのころ、尊敬していたヒャダインさんにブログで褒めてもらったことがあって、それがすごく励みになったことを思い出します。もし今、賞をとりにいくとしたら何のステージがいいかなあ。グラミー賞とかかっこええけど英語でスピーチとかムズいしな…。まずは日本アカデミー賞ですかね。最近、NHK Eテレで役柄ある仕事とかやらせていただいたんで、まずは助演男優賞を狙います。主演だとなんかその映画、跳ねなさそうやなと思うので助演希望です。おかざき・たいいくNHK Eテレ『天才てれびくんYOU』に出演中。全国6会場7公演、ワンマンツアーが3/25・仙台を皮切りにいよいよスタート!※『anan』2018年3月28日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年03月21日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「関ジャニ∞(後編)」です。すいません。前回、村上さんとの面白エピソードで1回分使ってしまいました。音楽の連載なのに、関ジャニ∞の音楽の話、全然していませんでした。そんなわけで後編ではちゃんと話します。正直言って、当初はミュージシャンとしての関ジャニ∞のこと舐めてました。楽器をやっているというのも知ってましたが、それもやらされている感じなのかなと思ったらとんでもない。熱意を持ってみなさん取り組まれていますし、実際の演奏力もすごい。僕は、地元が一緒ということで丸山(隆平)さんとすごく仲良くさせていただいているんですけど。…ここ、自慢したいとこなんですけど、一緒にご飯行ったり、カラオケ行ったりするくらい仲良くさせていただいてます。…話戻しますね。なので丸山さんとはプライベートでも音楽の話をよくします。めっちゃ詳しいんです。影響を受けたベーシストとかも、アメリカのブラック系のめちゃくちゃ玄人好みなミュージシャンの名前を挙げたりだとか。あとは、作詞作曲もメンバーみなさんやっているというところもすごい。もはや、アイドルが作ったというレベルの話じゃないんですよね。そういうクオリティを知ると、「ああ、舐めててすみませんでした」って思います。あと、関ジャニ∞のみなさんは、全員でいるときの「ノリ」がいいです。僕が書いた「えげつない」は、メンバー同士がフリースタイルラップでディスり合う曲。それってつまり、メンバー同士のイチャイチャなんです。ファンの方って、メンバーがイチャつくのを見るのが好きじゃないですか。それでこういったタイプの曲が面白いと思ったんですが、この曲をライブで観て、ただの馴れ合いのイチャイチャに終わってない、もっとレベルの高いところで面白くなっていると感動しました。関西ノリのいいところというか、「なんでやねん精神」といいますか。関西では、よく「ちょける」って言うんですけど、「ちょけ」にも、質のいい「ちょけ」と悪い「ちょけ」があって、関ジャニ∞さんたちは、質の高い「ちょけ」感を持ってるんです。言葉のチョイスとか会話の精度の高さとかが絶妙。だから見ていて面白いし、めっちゃ魅力的に感じる。自分が中1で、部活の中2のイケてる先輩方が何話してんねやろって感じで見つめながら、関ジャニ∞さんのこと応援してます。おかざき・たいいく2016年『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。3/25より岡崎体育ワンマンツアーが宮城・SENDAI GIGSを皮切りにスタート!※『anan』2018年1月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年01月18日岡崎体育の新連載「体育ですけど、オンガクです」が始まりました!第4回目となる今回のテーマは「紅白歌合戦」です。僕は今も実家暮らしです。おじいちゃん、おばあちゃんも一緒に住んでいるので、やっぱり大晦日はNHKの『紅白歌合戦』を観て過ごしますね。それで23時45分になると『ゆく年くる年』でしょ。「ぼーーーーん」ってお寺の中継ね。テレビの鐘の「ぼーーーーん」を合図に年越し蕎麦出てきますよね。「ぼーーーーん」がゴングなんですよね。みなさんもそんな感じでしょうか?それともカウントダウンのパーティとか行ってるんですかね。いいですね。とはいえ、僕自身もここ数年は、ありがたいことにカウントダウンイベントに呼んでいただけることが多いので、大晦日に実家にいないことがほとんどです。一人っ子なんで、僕がいないと家族はさぞかしさみしいやろなと思います。できれば家で過ごしたいものです。だから、いつかは『紅白歌合戦』に出てみたいですね。紅白だったら画面を通して家族と大晦日感を共有できますから。それに、おじいちゃん、おばあちゃんを喜ばせてあげられる最高のステージじゃないですか。紅白に孫が出たことあるってかなりすごくないですか。これは孫冥利につきますよ。これまでの紅白の中でとくに印象に残っているのは、DJ OZMAさんの「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」ですかね。ああいう尖ったパフォーマンスを紅白でやっちゃうっていうのがすごい。紅白は格式があるし、幅広い年齢層が観るので、いろいろ制約が多いと思うんです。生放送ですし。でも、批判とか批評も覚悟の上で仕掛けていくっていうのがかっこいいです。僕も『ミュージックステーション』で口パクのネタ歌したりだとか、なにか奇をてらいたい、爪痕残したいっていう願望があるタイプなので、そういうパフォーマンスをするアーティストの方々っていうのはかっこいいと思いますし、紅白のステージでそれができるというのは、かなり憧れますね。僕が出られるとしたら何するかな?とりあえず紅組から出てみたい。紅とか白とかの壁を取り払いたいです。え、無理かな?無理か。それなら中継させてほしい。「地方在住で活動しているアーティストが今増えています」とか前振りしていただいて、地元の平等院から生中継。それを実家で観ているおじいちゃんとおばあちゃんのカットも映るとか、めっちゃいいわ。終わったらすぐ実家に帰れるのも最高ですね。おかざき・たいいく2016年、『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。’18年3/25より岡崎体育ワンマンツアーが宮城・SENDAI GIGSを皮切りにスタート!※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2017年12月30日岡崎体育の新連載「体育ですけど、オンガクです」。第2回目となる今回のテーマは「さいたまスーパーアリーナ」です。前回、自己紹介として「盆地テクノ」についてお話しさせていただきました。もう一つ、僕にとって大事なキーワードが「さいたまスーパーアリーナ」です。いろんなところで敢えて公言しているんですけど、2020年までにさいたまスーパーアリーナでライブをすることを一つの目標にしています。なぜここかというと、名前がかっこいいから!…え、かっこよくないですか?ひらがなとカタカナを組み合わせた感じとか、あと、「○○アリーナ」はよくありますけど、「スーパー」ですよ。「スーパー」ついてる「アリーナ」って他にあります?ないんちゃうかな?…って、そもそも「スーパー」な「アリーナ」ってなんやねん。何がスーパーなのか。そこがまず気になる。きっと、どうスーパーかはステージに立った人間しかわからないと思うんですよね。だから、僕もさいたまスーパーアリーナのステージに立って、やっぱりここはスーパーだった…って思いたい。もう一つの理由が、音楽に本格的に取り組み始めたとき、最初に行った大きなライブ会場がさいたまスーパーアリーナだったんです。友達に誘われてニコニコ動画のイベントに行って。ニコ動の人気踊り手さんとか歌い手さんが参加していたんですけど、まあ、“プロではない”方々じゃないですか。その方たちがステージでパフォーマンスをしていて、それを見ているティーンエイジャーたちが熱狂している様にすごくショックを受けたんです。僕も、ネット発とかSNS世代のアーティストと言われることが多い。世間からの見え方としては近い存在だと思うんです。で、そのニコ動発信のみなさんがここまでやれるんなら、僕にもできるはずだ!とちょっと奮起させられたというか。パソコン1台と人間1人で、アリーナ1万6000人というキャパシティを熱狂させられたら、めちゃくちゃ気持ちいいんじゃないかと思いましたね。1万6000のお客さんって、けっこうすごい。昨年、カウントダウン ジャパンでそれぐらいの人数に僕のステージを観ていただいて。みんなの顔がわーっと並んでて、なに、なんか、もうこれ、モザイクアート?と思いましたね。目を細めたらモナリザ見えてくるんちゃうかってくらいのピクセル感で。1万6000画素ってデジカメならなかなかのものですよ。僕だけのための、そんな高画質な客席をいつか見てみたいっていうのが今のとこの最大の野望です。おかざき・たいいく2016年、『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。今年、第20回文化庁メディア芸術祭「エンターテインメント部門 新人賞」を受賞。※『anan』2017年12月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2017年12月13日岡崎体育の新連載「体育ですけど、オンガクです」が始まりました!第一回のテーマは「盆地テクノ」です。はじめまして、岡崎体育です。音楽をやっています。そんな僕の「オンガク」についての連載です。ひゃっほーい。anan読者に愛されるシャレオツ連載目指してがんばりまーす。うわーい。初回は自己紹介を兼ねて、僕が作った架空の音楽ジャンル「盆地テクノ」を知っていただこうかと。大学時代に続けていたバンドを解散して、どうする?ってなったとき、「テクノならパソコン1台でできる!」と一念発起してソロ活動をスタート。当初はテクノサウンド1本でやってたんですけど、レコード会社の人の目にとまりたい、お客さんにウケたいと、どんどん欲が出てきて、ステージングが徐々にコミック・テクノ・ポップ寄りになっていきました。そうなってくると「あれ?俺この程度でテクノを名乗ってたらテクノ界隈の人に怒られるな」と思いまして。それなら新ジャンルを作って逃げの姿勢を示そうと「盆地テクノ」の看板を掲げました。はい、クソですね。では、なぜ盆地なのか?テクノって「ブリティッシュ・テクノ」とか地域で区切られることが多いんですよ。僕は曲中に関西弁をよく使っていて故郷の京都で活動しているので、最初は「京都テクノかな?」という浅はかな考えに至ったんです。でも「京都」っていう歴史的都市と「テクノ」の双方に失礼になるだけやんと思って4秒で思いとどまりました。あぶねー。で、まぁいろいろ考えて「地形」っていうジャンルにたどり着いたんです。京都の主な地形=「盆地」をレペゼン(代表)してやろうと。まぁ同級生に「俺、盆地代表やねん!盆地!俺代表!ヒュー!」とか言ってるヤツいたらFacebookの友達申請とか絶対、拒否しますけど。でも、それがダサくていいなあと。それで頭に「盆地」をつけてお茶を濁しました。ダサい「盆地」って言葉と横文字の「テクノ」って言葉の組み合わせのバランスが絶妙で、僕は気に入っています。テクノポップとコミックソングが混ざったこの新しいジャンルこそが“岡崎体育”であり、“盆地テクノ”であることを覚えてもらえたら幸いです。ここまで書きましたけど、あれですね。全然、anan読者に愛されるような気配ないですね。クソやばいな。せめて最後にためになるようなこと書いて終わりますね。黒かベージュのタイトめのニットセーター着てポニーテールしてる女子はカワイイと思います。少なくとも僕はカワイイと思います。おかざき・たいいく2016年、アルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。“BASIN”とは盆地のこと。今年3月、第20回文化庁メディア芸術祭「エンターテインメント部門 新人賞」を受賞。※『anan』2017年12月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2017年12月07日映画・舞台・ドラマと活躍中の若手俳優、村上虹郎さん。締め切りが間近! ちょっと落ち着こうってときの3曲とは?村上虹郎さんが“焦る気持ちをクールダウンする”ときに聴く3つのうたアンケートやコメントなど、期日までに提出してねとマネージャーに宿題を出されることがあります。試験勉強じゃないけれど、そういうものって気分が乗らないとできない。やらなきゃいけないのに、全然、そういうモードになれないとき、いちど自分を落ち着かせるために聴きたい曲を選んでみました。響心SoundsorChestrAは、ボーカルの総理とここ1年ほどの付き合いなのですが、急速に意気投合して一緒に旅行もしたくらいの仲(笑)。僕は、音楽ってイントロ5秒を聴けば好きな曲か苦手な曲かわかると思っていて。響心の「そうじゃないと言える生活」はまさに、出だしの5秒がガツンと響いた。王道のロックであり、バンドサウンド。歌詞もすごくいい。総理は、ミュージシャンというより思想家なんです。とても博識で、僕は“知の巨人”と呼んでいます。だから、彼の言葉にもすごく刺激を受ける。音楽は表現のための手段と言い切るだけあって、これからも激変していくバンドだと思う。同世代だし、ずっと注目していきたいし、一緒に成長していきたいと思わせてくれる表現者です。とても温かで穏やかな空気感のハンバート ハンバートの音楽も大好きです。2人の歌声が童謡のように優しいのですが、歌詞をよく聴くとすごく言葉にエッジが利いていて、キツイこととか、生きること、死ぬことみたいな人間の芯に迫ることもさらっと歌ってくれている。「ぼくのお日さま」も、言葉がうまく出せない心苦しさみたいなものを歌っている曲。2人のハモりがちょっとズレていたり、なんだか不器用な感じがかわいらしくも切なく聞こえるのがいい。野田さんの音楽は、中学生時代にRADWIMPSを父親に教えてもらって。それ以来、ずっと聴いています。illionはもうセンスの塊というか、レベル違いのかっこよさ。音の一つ一つが踊っているようなダンスミュージックで、ずっとリピートして聴いていられます。ヘッドフォンで一人、音楽を聴くことって結局、自分との対話だと思うんです。音楽を通して自分の考えや願望が溢れてくる。そのきっかけを作ってくれる音楽に、もっともっと出合いたいです。『そうじゃないと言える生活』響心SoundsorChestrAオルタナティブ新世代バンド。音源はiTunesほかで配信中。「ボーカルの総理は盟友。彼の思想は半端じゃない!」『ぼくのお日さま』ハンバート ハンバート(SPACE SHOWER MUSIC)来年、結成20周年の男女デュオ。アルバム『むかしぼくはみじめだった』に収録。「エッジの利いた言葉遣いにハッとする名曲。」『Water Lily』illion(ワーナーミュージック)RADWIMPS 野田洋次郎のソロプロジェクト。アルバム『P.Y.L[Deluxe Edition]』に収録。「音自体が踊りだすような格別な高揚感に震える!」むらかみ・にじろう1997年、東京都生まれ。2014年、主演映画『2つ目の窓』でデビュー。2018年2月2日から石原さとみ主演舞台『密やかな結晶』に出演。※『anan』2017年11月22日号より。文・梅原加奈(by anan編集部)
2017年11月18日