セラフ榎本(所在地:埼玉県川口市、代表取締役:榎本 修)は、新型コロナウイルスの新たな変異種「オミクロン株」の影響で感染が急拡大し、今や第6波の渦中にある中、工事中も居住者の皆様に安心していただけるよう、マンション大規模修繕工事の全現場に抗ウイルスコーティング剤を噴霧しました。URL: 抗ウイルス剤を噴霧している様子噴霧したコーティング剤はウイルスや菌に対して「銅イオン・プラチナイオン・酸化チタン」を主成分として持続的な抗ウイルス・抗菌効果を発揮します。※1今回、大規模修繕工事等の現場で居住者様や作業員がよく手で触れたり行き来したりするエレベーターや現場事務所、共用エントランスのドアノブなどを中心に噴霧施工を行い、接触感染対策はもちろん、新型コロナウイルス感染予防対策にも有効に機能します。マンションのエントランスを噴霧また、抗ウイルスコーティング施工済みの現場にはステッカーを配布しています。目立つところに貼り、“見える化”することで、安心・安全な現場として、居住者様に周知しております。施工済みステッカー他にも現場では、非接触式ディスペンサーの設置や、マスクでの咳エチケットの実施・体温の測定と記録・手洗いうがいの励行・こまめな換気の実施など、徹底した除菌対策と安全品質を重視し、工事を進めています。マンション大規模修繕工事の際は安心してセラフ榎本にお声がけください。現場で手を除菌する社員※1 コーティング剤は製造メーカー(一般社団法人きょうと官民連携ネットワーク)と帝京大学との産学連携受託研究において、帝京大学 医療技術学部 臨床検査学科 松村 准教授により検証していただいた結果、本製品を使用した試験片による新型コロナウイルス(感染症名:COVID-19、ウイルス名:SARS-CoV-2)の不活性化(約90.0%減少)が確認されました。製造メーカーの商品名はD-REXですがセラフ榎本は製造メーカーより許可を得て「抗ウイルスコーティング剤」として取り扱っています。【株式会社セラフ榎本】昭和38年創業。ビル・マンションの大規模修繕工事を主軸とし、ドローン事業・ペットリフォームなど独自の事業を展開している。最近では、抗菌・抗ウイルスコーティング施工事業も始動。所在地 : 埼玉県川口市芝中田2-34-16電話番号 : 048-265-1883FAX番号 : 048-269-0578社員数 : 70名公式HP : 抗菌・抗ウイルスコーティングHP: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月28日「仲の良い友人でもずっと一緒にいるのはつらい」「自分の言動を振り返ってウワーっとなる」「組織になじむまでに時間がかかる」--。人付き合いは苦手ではなく、むしろ積極的にいろんな人と付き合っているのに、小さなことで疲れるのは「隠れ内向」だからかも……。そんな「隠れ内向」の悩みや対処法を解き明かし、うまく生かすためのヒントを示した『何でもないことで心が疲れる人のための本〜「隠れ内向」とつきあう心理学〜』(日本経済新聞出版)が10月に出版されました。完全な内向型の人ほどにはマイペースになれず、他人に対して感じよく振る舞おうと気を使って周囲に溶け込もうと頑張るタイプの「隠れ内向」について、心理学博士で著者の榎本博明 (えのもと・ひろあき)さんにお話を伺いました。全4回。調子がいい人と思われる?隠れ内向の悩み——第2回で、隠れ内向になったほうが生きやすくなる部分もあるというお話でしたが、隠れ内向としてうまく生きていれば、無理に治す必要はないということでしょうか?榎本博明さん(以下、榎本):治す必要はありませんが、無理をし過ぎないことです。「自分は無理しているかもしれない」と思ったら、本来の内向型の自分を出したっていい。そう思えば楽になるでしょう。自分が抱えてる不安だって、打ち消す必要はないと思いますよ。本屋さんに行くと「他人のことは気にしない」とか「自己肯定感を高めよう」と言っている本がずらっと並んでいますが、気にしたっていいし、自己肯定感を無理に高める必要なんてないわけです。——えっ、すごく気になります。榎本:自己肯定感に関して話すと長くなるので、『自己肯定感という呪縛』 (青春新書インテリジェンス)という新刊がそろそろ出るので、よかったらそちらも読んでみてください(笑)。——分かりました、話を戻しますね。隠れ内向の人は表向きは社交的なので、「調子がいい人」だと思われがちです。「八方美人」とか「内向型とか言ってるくせになんだかんだうまくやっていますよね」と言われることもあります。気にしなければいい話なのですが、もともとは内向型なのでそう言われるとウジウジしてしまいます。榎本:実は僕もそうなんですよ(笑)。しゃべり過ぎるので、調子がいいヤツだと思われているきらいがあります。子供のころは無口だったのですが、学生相手に教員が照れて無口になっていたら、授業になりませんからね。だから、いつの間にか、よくしゃべるようになったんです。それに隠れ内向でもあるので、その場の空気を察知して気を使って無理してしゃべっていることもある。でもなかなか周りに分かってもらえなくて「あいつは調子いいやつだ」と思われるんです。「隠れ内向あるある」というか、隠れ内向ならではの葛藤がありますよね。——時々ガチ内向型の人がうらやましく思うときもあります。そこまで自分を貫けていいなって。榎本:隠れ内向の人は、頑張って立派にやってるんです。自分の内面を見ながら、外に適応するために人のことも考えられるし、この場を気まずくしたくないという思いもあるので、我々は自分を自分で褒めてあげたいですよね(笑)。集団行動が苦手、でも世界は広げたい——元々は内向型なので集団行動は基本的に苦手です。でも、他人から誘われて自分では選ばないような場所に行ったり、新しいことに挑戦したりすることで自分の世界が広がることもあるので、できるだけ誘いには乗ってみようと思っています。もちろん中には「無理しすぎて疲れた」ということもあるのですが……。そこはトライ&エラーで自分にとっての疲れるポイントを探っていくしかないのでしょうか?例えば誘いに乗るのは週に1回までにしようとか。榎本:やはり優先順位をつけておくことだと思います。内向型の人は集団に溶け込みにくく、単独行動に走りがちです。集団に「溶け込めない自分」を「流されない自分」として開き直り、そんな自分を誇りに思う心理も働きます。そのほうが気持ちが楽になるからです。開き直ったり、自分を正当化したりするのではなく、自分の中の優先順位をはっきりさせていくのがよいでしょう。確かに外向型を推奨する今の文化の価値観の優先順位が高いと、いろいろな人と会うのが良いとか人脈はたくさんあったほうがいいとか、考えるよりまず動けとかになりがちだけれど、そういう文化に踊らされるのではなくて「自分はもう少しじっくり考えたい」とか「いろいろな人と会うよりは特定の人とじっくり語り合いたい」とか自分の中のこだわりをもう一度見つめる必要があると思います。「これだけは譲れない」ということがあるのは悪いことではありません。でも、あまり小さなことにこだわる必要はないし、少し緩めるだけで集団行動を取れるようになります。全員が外向型になれるわけではない——外向型にも内向型にも隠れ内向にも悩みがあると思うのですが、それぞれの性質に合った環境も大事だと思いました。榎本:今の日本社会は、「それぞれの個性を生かす」とか言いながら、「自己主張するのが個性だ」と考えられているフシがあります。それは自己主張が強い人の話で、そうではない人はそんな個性は持ってないんです。一方で、有名なスポーツ選手だって自分を抑えて、「支えてくださった方々のおかげです」とか、「今回はたまたまうまくいったけど、自分の課題が見つかりました」とか謙遜するわけですよね。「俺はすごいだろう」とか、「自分は優秀なんで当然です」なんて言ったら、非難囂々(ひなんごうごう)になるのが目に見えています。僕たちは、そういう謙遜の美学が根づいた社会を生きているんです。もちろん、バリバリ活躍して人からいくら批判されても突き抜けていく人はいます。でも、それは特殊な才能があるからで、全員が目指せることではないのに、欧米に倣おうとしている今の日本のやり方はちょっとおかしいと思っています。だから、この本に書いたような話を広めないと、生きづらい人がどんどん増えてしまうのではと危惧しています。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年12月16日「仲の良い友人でもずっと一緒にいるのはつらい」「自分の言動を振り返ってウワーっとなる」「組織になじむまでに時間がかかる」--。人付き合いは苦手ではなく、むしろ積極的にいろんな人と付き合っているのに、小さなことで疲れるのは「隠れ内向」だからかも……。そんな「隠れ内向」の悩みや対処法を解き明かし、うまく生かすためのヒントを示した『何でもないことで心が疲れる人のための本〜「隠れ内向」とつきあう心理学〜』(日本経済新聞出版)が10月に出版されました。完全な内向型の人ほどにはマイペースになれず、他人に対して感じよく振る舞おうと気を使って周囲に溶け込もうと頑張るタイプの「隠れ内向」について、心理学博士で著者の榎本博明 (えのもと・ひろあき)さんにお話を伺いました。全4回。心を砕くべきは社交よりも親交——これまで見てきたように、確かに人付き合いは疲れることもあるけれど、それでも周囲の人との関わりを大事にしていきたいと考えています。本に書かれていた「社交よりも心を砕くべきは親交」という部分が印象的でした。親交を深めるためには自己開示が大事とありましたが、詳しく教えてください。榎本博明さん(以下、榎本):自己開示には、いくつかの効果があります。その一つに、人と関わることで自分の内面が見えてくる「自己明確化効果」があります。自己洞察効果と言ってもいいんですが。分かりやすく例えると、僕が専門家として映画の試写会に呼ばれたとします。映画を見終わったあとに「150字くらいで感想を書いてください」と頼まれていざ書こうとするのですが、感動や楽しかったことを言葉にするのって結構難しいんですよね。でも、その感動をなんとか言語化することで、自分の内面の解釈ができるわけです。無理して言葉にすることで、モヤモヤっとした思いにはっきりした形ができてくるんです。自分が何を感じ何を思っているのか、それが明確になっていくんです。だから言語化することはすごく大事なんです。そんなふうに日頃から自己開示をしている人は、自分の内面がだんだんと開かれていくんですね。つまり、自己開示とは言語化すること。自分の内面に区切りをつけて、意味を与えるんです。意味を与えないと、言語化できないんですね。それが語るということだから。自己開示というのは、自己を語ることで、自分の内面を整理する、モヤモヤした思いをハッキリさせる自己明確化効果があるんです。——確かに、相手に話すことで初めて自分の内面や思っていたことに気付くことがあります。榎本:人に語ることで、自分の中にあったものを吐き出してスッキリするという意味で、カタルシス効果もあります。例えば、腹が立ったことや悔しいこと、あるいはうれしいことを人に語るとスッキリしますよね。もう一つは、「不安低減効果」です。不安になると人に話しかけたくなる。病院の待合室で知らない人に話しかけたくなるのもそれです。話しかけて「私も不安なんです」と相手も同じことを言ってきたら「不安なのは自分だけじゃないんだ」と思いますよね。自己開示をすることによって、不安が減るんです。さらに、自己開示をして心を開いたら、相手も心を開いてくれることがあります。これは、「親密化効果」と言います。相手の自己開示は、信頼や好意の証と解釈されるという研究データが出ています。そこで、「相手が自分に自己開示をしてくれたんだから、お返しに何か言わなきゃ」という気持ちになって、自己開示の相互性が進んでいく。そうすると、心理的距離が縮まる効果が生まれます。——自己開示をすることで、たくさんの効果があるんですね。榎本:そうですね。これらの効果によって、自分の心の居場所ができていく。これがすごく大事なんです。だから、プライベートな付き合いや親交がなく、利害関係中心の人脈だけで生きてきた人は、当然、定年後は孤独になりますよね。社交で付き合ってきた人は、うわべの話や利害に関係する話しかしてませんから。退職して役に立たなくなったら、その人と付き合う意味がないですからね。自己開示のポイントは相互性——ちょっと話がズレるかもしれないのですが、急に自己開示をしてきて距離を詰めてくる人がいてこっちが引いちゃうこともあるのですが……。榎本:人間関係が苦手な人にありがちですね。自己開示というのは、本来は相互性があるはずなのに、自分のことばかり話してくる。そもそもそういう人は、自分を受け入れてもらえる場が少ないから、話を聞いてくれる人がいると、相手にものすごく依存してしまうんです。人間関係は相互性が大事です。相互性がない人は、不適応な人だとみなされてしまいますし、一方的に深い自己開示をする人は、自分の思いを自分で抱えることのできない不安定な人とみなされ警戒されてしまいます。なので、自己開示も相互性が大切です。でも、心の居場所となる親交を得るには、あまり難しく考えずに、思い切って自己開示する勇気が必要です。ときに嫌な反応が返ってくることもあるかもしれませんが、その場合は浅い社交にとどめるべき人物だと分かるわけですし。むしろ相手も自己開示してくれて親交に踏み出すきっかけになることのほうが多いと思います。そのような内面を共有する付き合いには、内向型が適性をもっているのです。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年12月14日「仲の良い友人でもずっと一緒にいるのはつらい」「自分の言動を振り返ってウワーっとなる」「組織になじむまでに時間がかかる」--。人付き合いは苦手ではなく、むしろ積極的にいろんな人と付き合っているのに、小さなことで疲れるのは「隠れ内向」だからかも……。そんな「隠れ内向」の悩みや対処法を解き明かし、うまく生かすためのヒントを示した『何でもないことで心が疲れる人のための本〜「隠れ内向」とつきあう心理学〜』(日本経済新聞出版)が10月に出版されました。完全な内向型の人ほどにはマイペースになれず、他人に対して感じよく振る舞おうと気を使って周囲に溶け込もうと頑張るタイプの「隠れ内向」について、心理学博士で著者の榎本博明 (えのもと・ひろあき)さんにお話を伺いました。全4回。私は外向型?内向型?それとも隠れ内向?外向型・内向型のチェックテスト□1 何かする際には、自分はほんとうにやりたいのかをよく考えてみる方だ□2 自分らしさへのこだわりが強い□3 安易に人に同調したくないという思いがある□4 過去の出来事を振り返ることが多い□5 何かを決める際に、あれこれ考えて即断できない□6 クラス替えや入学・入社のときなど、新たな環境に馴染むのに時間がかかる□7 引っ込み思案で、友だちでもない相手に自分から話しかけることは少ない□8 人見知りをする□9 周りの人たちの様子を用心深く観察するところがある□10 よく知らない場に出かけたり、新たなことをしたりするのは抵抗がある□11 新しい友だちができにくい□12 交友範囲は狭いが、深いつきあいをする方だ□13 パーティ・懇親会のような大勢が集まる社交の場は苦手だ□14 とくに親しい人たちといるときだけ自由に振る舞える□15 何かする際には、みんなの意向やその場の雰囲気で決める方だ□16 その場その場にふさわしい態度や行動をわりとスムーズに取れる方だ□17 わりと自然に人に合わせることができる□18 ひとりになって自分と向き合うということはあまりない□19 決断は早い方だ□20 クラス替えとか入学・入社のときなど、新たな環境にすぐに溶け込める□21 自分から積極的に人に声をかけ、かかわろうとする方だ□22 他人からみて親しみやすい方だと思う□23 よく考えずに軽はずみな行動を取りやすいところがある□24 未知の状況にも躊躇せずに積極的に飛び込んでいく方だ□25 だれとでもすぐに親しくなれる方だ□26 社交的で交友範囲が広いため、どうしても浅いつきあいが多くなりがちだ□27 パーティ・懇親会のような社交の場を気軽に楽しめる□28 よく知らない人たちの中でも緊張せずに自由に振る舞える——前回のお話を聞いて「自分は内向型なのか?それとも隠れ内向?」と思った人もいると思います。本にもチェックリストが載っていました。私の場合、前半は8個、後半は7個当てはまりました。榎本博明さん(以下、榎本):項目1〜14は内向型の人が◯をつけることが多い性質を表し、項目15〜28は外向型の人が◯をつけることが多い性質を表しています。日本人は前半に当てはまる人が多いと思います。ただ、前半の14項目が多く当てはまり、後半も結構当てはまる項目がある人は、外向的に振る舞っているけれど元々は内向型である可能性があると言えます。つまり、隠れ内向の可能性が高い。典型的な内向型、外向型だったら、どちらかに偏ります。今は外向型の時代なので、後半の項目に当てはまるものが多いと思いますが、よく自分の内面を振り返ってみて前半の項目にも結構当てはまるものがみられる場合は隠れ内向かもしれません。自分では意識しないうちに抑圧していて、前半が後半よりも少なくなっている可能性もあります。その場合は、例えば、「そう言えば、新しいクラスになじむまで気を使ったな」とか、子供の頃を思い出すと内向型の自分に気が付いたりするはずです。日本人は人の間を生きている——内向型の性質は、遺伝的な要素も含まれますか?榎本:内向型であるか外向型であるかに遺伝要因が強く関与していることは、行動遺伝学的研究によっても実証されています。——では、内向型の人は無理して外向型になるのではなく、自分に元々備わっている性質を生かしたほうがいいということでしょうか?榎本:そうですね。ただ、内向型が損するのは確かなんですよ。だから、隠れ内向になったほうがいいかもしれませんね。内向型そのままだと、社会的に不適応になって生きづらさを感じることも多いかもしれません。今は外向型の人が生きやすい社会なので、「隠れ内向になれ」と言うのは変な話なのですが、できそうであれば少し頑張ってみるのも良いのかもしれないですね。——確かに自分を振り返ってみても、少し外向的になったほうが物事がうまくいくことが多い気がします。榎本:前回もお話しした通り、日本は欧米と違って「人間関係の中で生きる」という文化です。哲学者の和辻哲郎さんは、「人間」という「人の間」を意味する言葉が「人」の意味で用いられるところに日本人の特徴を見い出していますが、日本人は個ではなく人の間を生きている。僕も、今まで関わった人が自分の中で生きていて、それで自分は成り立っていると感じています。こうやってお話していても、自分が言いたいことをただ伝えるのではなく、目の前にいる人との対話の中で、相手が何を求めているか、どう感じているかを感じ取りながら、自分の出し方を決めている。それが日本的な対人関係だし、自己のあり方ですね。一方で、欧米人は、自分が言いたいことを相手にバンッとぶつけて、相手が違うことを言っても動じない。お互いにぶつけ合って調整していくんです。そもそも、自己のあり方が違います。無理をしながら頑張ってしまう「過剰適応」——「自分は無理をしてるかも…」ということに気付く方法はありますか?榎本:意識してないことに気付くのは難しいことなのですが、やる気が出なかったり、疲れてしまったり、ちょっと後ろ向きな気持ちになったりするときはどういうときか?と意識してみるといいかもしれません。楽しくみんなでワイワイやっていたのに、一人になったらちょっとホッとしたとか、仲が良い友人が泊まりに来て徹夜で楽しく盛り上がってしゃべってたけど、友人が帰ったらホッとしたとか……。そんなときに、「人といるのが好きだと思っていたけど、ちょっと疲れるかも」「自分は相当、無理をしていたのかもしれない」というような感じで振り返ってみると隠れ内向を発見するきっかけにはなると思います。——内向型の人がちょっと頑張って周囲とうまくいけばいいですが、やりすぎると疲れてしまいます。そういえば昔、上司から「君は過剰適応的なところがあるから気をつけたほうがいいよ」とアドバイスをもらったことがあるのですが、過剰適応とはどんな状態を指すのでしょうか?榎本:外向的に振る舞い過ぎて、無理をし過ぎるのが過剰適応です。人に合わせすぎて、無理してしまうんです。例えば、協調的とか受容的とか、愛想がいいこと自体は良いことなんだけれど、それが行き過ぎちゃうと、自分を抑えすぎることになってしまう。適応は良いことだけれど、それが過剰ということですね。隠れ内向と一緒で、本来の自分とは違う自分を出して無理しているわけですが、何かで行き詰まらないと気が付かないんです。——他人の期待に応え過ぎちゃうことも過剰適応ですか?榎本:はい、そう考えていいと思います。でも、それはけっして悪いことではない。人に合わせて期待に応えようという思いは、日本人はとても強いんです。確かに期待に応えすぎるのも考えものですが、自分本来の力以上のものを発揮できるという良い面もあるんですよ。日本的なモチベーションとしては、「人の期待に応えたい」というモチベーションがすごく強い。一方で、欧米的なモチベーションは、「自分が活躍したい」「有能になりたい」といった自分中心のモチベーションなんです。例えば、日本のスポーツ選手は、「お世話になった人のため」「監督のため」「コーチのため」と言いますよね?会社でも、「お世話になってる上司や先輩に迷惑をかけたくない」とか、「あの人のために頑張りたい」とか。日本人は、「人のため」という気持ちがすごく強いんです。それは良いことなんだけど、行き過ぎちゃうと過剰適応になって、疲れてしまうのでそこは気を付けたほうがいいと思います。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年12月09日「仲の良い友人でもずっと一緒にいるのはつらい」「自分の言動を振り返ってウワーっとなる」「組織になじむまでに時間がかかる」--。人付き合いは苦手ではなく、むしろ積極的にいろんな人と付き合っているのに、小さなことで疲れるのは「隠れ内向」だからかも……。そんな「隠れ内向」の悩みや対処法を解き明かし、うまく生かすためのヒントを示した『何でもないことで心が疲れる人のための本〜「隠れ内向」とつきあう心理学〜』(日本経済新聞出版)が10月に出版されました。完全な内向型の人ほどにはマイペースになれず、他人に対して感じよく振る舞おうと気を使って周囲に溶け込もうと頑張るタイプの「隠れ内向」について、心理学博士で著者の榎本博明 (えのもと・ひろあき)さんにお話を伺いました。全4回。外向的にならないと損する…「隠れ内向」って何?——「隠れ内向」という言葉にドキリとした人も少なくないと思います。この本を書いたきっかけとタイトルにもある隠れ内向について改めて教えてください。榎本博明さん(以下、榎本):学生の相手やカウンセリングを通じて「内向型で悩んでいる人が多い」と長い間、感じていました。僕が最初に内向型の本を出したのは20年以上も前ですが、文庫本にもなりましたし、いろいろな人が共感してくれている実感もありました。ここ数年は、グローバル化が進み、欧米人的な外向型の文化が取り入れられて、ますます「フットワークを軽くしよう」「人脈づくりが大切だ」「自己主張しよう」という仕事のスタイルに変化してきています。頑張って外向型の行動パターンを身につけないと損する社会ですから、内向型の人も知らないうちに外向的に振る舞ってしまうんです。例えば、職場の同僚や友人と楽しく過ごした後、みんなと別れて一人になったときにドッと疲れが出てしまう。その場合は人といる時にかなり無理をしていることになるので、本来は内向型なのに外向型のように振る舞っている隠れ内向である可能性が高いと言えます。——本人も知らないうちに外向的に振る舞ってしまうんですね。榎本:もちろん、隠れ内向として、外向的に振る舞うことで能力を発揮している人も多いのですが、プレッシャーが重くのしかかっているのも事実です。内向型の人は本来、“聞き上手”として生きる道を見つける人が多いはずなのですが、今の社会では自己アピールしたり、話し上手のほうが良いとされている。だから、結構ストレスをためて、苦しんでいる人がいるのではないかと思ってこの本を書きました。——若い世代にも隠れ内向が増えているのでしょうか?榎本:隠れ内向の人には、「人前でどう思われてるか」「自分の話はつまらないと思われていないか」という対人不安があります。授業で対人不安を取り上げると、普段はあまり感想を書いてこない学生までもが「自分もそうだと思う」とびっしり感想を書いてきます。本来は内向型なのに無理して積極的に人付き合いをしたり、人を笑わせようとしたりしていて、それで疲れてしまう人がすごく多いというのは毎年感じています。他人の目が気になってしまう理由——今の社会は、内向型の人が無理をしてしまう社会なんですね。榎本:そうですね。本にも書きましたが、欧米の「自己中心の文化」の影響を強く受けるようになってきているわけですが、日本社会の「間柄の文化」も根強く心の深層に刻まれており、人は関係ない、自分のやりたいようにやればいいんだと自己中心にはなり切れない。まあ、そうする必要もないのですが。他人の目を意識しすぎているといった感じがありますが、他人の目を意識すること自体は悪いことではないんです。日本人は他人の目を気にするからこそ、人を気遣うことができるし相手の期待に応えようと頑張ることができる。相手を配慮できることが、日本文化の中では成熟した人間の基準なわけです。一方、欧米の文化では、人に影響されずに自己主張することが、成熟した人間の基準です。だから、まずは欧米を基準にして自己卑下するようなコンプレックスに振り回されないことが大切です。冷静に自分が育った文化を考えれば、人の目を意識するのは当然のこと。日本人の多くは、「人にどう思われているか」を気にしているので、隠れ内向の人が欧米人に比べてものすごく多いと思います。——自分も他人の目をすごく気にする部分があるのですが、過剰に卑下する必要はないのですね。榎本:僕が10年ほど前から書いているのは、「間柄の文化」と「自己中心の文化」の違いです。相手の気持ちや立場に配慮しながら、何を言うか、何をするかを決める「間柄の文化」と、自分の思うように言いたいことを言ったり、やりたいことをやればいいという「自己中心の文化」の対比です。日本と欧米ではそれだけ文化のあり方や社会的な文脈が違うのに、日本では欧米をモデルにしたビジネス本や海外の本をそのまま信奉するのはおかしいと思っています。例えば「気にしなければいい」「言いたいことを言えばいい」といった文言もよく見ますよね?欧米人の生き方だったらそうかもしれないですけど、日本でそんなことをしたら、余計に生きづらくなるだけなんです。日本の場合は、他人とうまくいかなかったら、生きづらさがさらに深まってしまうし、やはり人あっての自分というのが、日本的な自己のあり方ですからね。日本は、アメリカのような競争社会ではなくて支え合いの社会なので、その違いはすごくあると思います。HSPとの関係は?——最近は「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」や「繊細な人」にフォーカスした本もたくさん出版されていますが、榎本先生はどんなふうに見ていますか?榎本:本でも詳しく書きましたが、HSPは音や光などの物理的な刺激に過敏な人も含まれるので、内向型とはちょっとズレる部分もあります。ただ、内向型は独自な内的世界とのつながりが強く、思考の深さに特徴があります。逆に、外向型は外的世界とのつながりが強く、行動範囲の広さと行動の早さに特徴がある。そういう意味でHSPと内向型は重なる部分も大きいと言えます。今回の本のテーマは隠れ内向ですが、「もともと内向型なのに、無理して外向的に振る舞っているから、隠れ内向が多い」ということに気付いてもらえれば、自分の生きづらさの理由も見当がつくのかなと思います。自分の強みに目を向けよう——隠れ内向の自分を認めるということですね。榎本:「外向型の人は素晴らしい」「内向型で内気な自分はダメだ」と思うのではなく、「内気で不安だからこそ、いろいろなことが用意周到に準備できるし、仕事でも人から頼りにされている」くらいに思ってもよいのではないでしょうか。「あれはちょっとまずかったな……」と自分の言動を振り返って落ち込むこともあるけれど、人の気持ちに配慮できるからこそ相手にとって心地よい存在になっている場合もあります。そんなふうに自分を振り返ってみれば、生きづらさから解放されて前向きになれる。「自分の良さを知らずに、無理して反対の性質を一生懸命演じているから大変なんだ」ということに気付けば、救いになるんじゃないかと思っています。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年12月07日お笑いコンビ・おぎやはぎの小木博明が16日、さまぁ~ずの公式YouTubeチャンネル『さまぁ~ずチャンネル』に出演。「【小木が突然やって来た!】小木の毒&チルでホンネでトークし過ぎた!YouTubeとテレビとお金と思い出・コラボしない理由」と題した動画内で、テレビ出演で思うことを打ち明けた。最近はテレビではなく、もっぱらYouTubeばかり観ているという小木。「テレビって本当に観れないんですよ。全録で2週間分くらい録れたとしても、結局は2週間のうちに観ないじゃない?」と話すと、「そう。取りこぼした方が話題になったり。ふかわの卒業で泣くとこ観ようかなって思ったら、MX入ってねーわ!って」(大竹一樹)、「教育テレビが話題になったりね。登録してねーんだよみたいな」(三村マサカズ)と、さまぁ~ずの2人も同調。続けて小木は、「でも、YouTubeはずっと残ってるんですよね。一個観ると、どんどん関連のやつが出てくるし。すごい観られるからいいなって」と、YouTubeの魅力を吐露。「だから、これからのテレビは全部、YouTubeみたいにいつでも観られるようにしてくれたら」と提案しつつ、「テレビって一回きりって、なんか嫌じゃないですか? 今となっては。今までは当たり前のようにやってましたけど、一回きりなのにここで言うのもったいねーなって思ったり」と苦笑しながらぶっちゃけていた。
2021年04月22日お笑いコンビ・おぎやはぎの小木博明が16日、さまぁ~ずの公式YouTubeチャンネル『さまぁ~ずチャンネル』に出演。「【小木が突然やって来た!】小木の毒&チルでホンネでトークし過ぎた!YouTubeとテレビとお金と思い出・コラボしない理由」と題した動画内で、お笑い芸人のYouTubeチャンネルでよく見られるコラボ動画について疑問を投げかけた。「テレビはみんな同じメンバーじゃないですか。ゴールデンなんて同じ人が出てて、同じサイクルで飽きてきて」と、テレビを観なくなった理由を語った小木は、「それで俺最近、ずっとYouTubeばっかり観てたの。YouTubeも芸人がどんどん出てるけど、それもみんな同じメンバーで固まっちゃって」と、YouTubeもテレビと同じような状況になっていると説明。お互いのYouTubeチャンネルに出演し合うコラボ動画も人気だが、「コラボとか恥ずかしい言葉じゃないですか(笑)。何? コラボって?」と一蹴し、「さまぁ~ずもコラボとか言い出すんじゃねーかと思って、すごい心配してたんですよ」と本音を打ち明けた。これまで、お笑い芸人とのコラボ動画を配信していないさまぁ~ずだが、三村マサカズは、「コラボしなさすぎて、登録者数が伸びない」とつぶやきつつ、「伸びねーなってイライラしてるわりに、コラボしたくないっていう謎の芸人になっちゃってる」と苦笑い。大竹一樹も、「申し訳ないけどやらないよって言ってる」と明かすと、小木は、「本当にそうです。コラボはやんない方がいいです」と安堵するも、「嫌だもん。コラボで違うチャンネルに出なきゃいけないやつ。なんだよ! って思って」「コラボも結局同じメンバーなんですよ。だから、芸人さんのはもう観てない。飽きちゃって」と、心底辟易している様子だった。
2021年04月21日グラビアアイドルの榎本ほのかが、最新イメージDVD『ナイショやけん!』(発売中 4,180円税込 発売元:apricot)をリリースした。昨年6月にリリースした1stDVD『ほのかな想い』でグラビアデビューを飾った榎本ほのか。155cmの身長に上からB90・W60・H88という抜群のスタイルとFカップのバストが魅力の25歳で、現在はグラビアと並行しながらヤンチャン学園音楽部でも活動している。その彼女が1stDVDに続くグラビアDVDをリリース。Fカップバストを全面にフィーチャーした作品となっている。福岡県出身ということで、博多弁を喋って小悪魔的な笑顔で誘惑する仕草が悩ましい榎本。後半になるにつれて25歳の妖艶さも放出しており、全体的にソフトな仕上がりも時折見せる色っぽさに興奮度も高まっていく。特に飴舐めや夜ベッドは見逃せない。その榎本の魅力はお椀型のFカップバスト。本作では手で隠しきれない手ブラも披露しているが、眼帯やV字形水着などバストを堪能できる露出度の高い水着ばかりで、水着からバストが溢れ出そうな勢いだ。
2020年10月26日お笑いコンビ・おぎやはぎの小木博明が、とんねるず・石橋貴明の公式YouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」で、8日に公開された動画に出演。初期の腎細胞がんを告知された後、心境の変化があったことを明かした。小木は8月に初期の腎細胞がんを告白し、治療のため一時休養。その後、9月に仕事復帰した。「小木退院おめでとう!突然快気祝いのジェットコースター(in 浅草花やしき・前編)」と題して公開された動画で、小木は「がんって告知されると、人が変わるんですよ。がん告知って、思った以上にショックですからね。まったく自分にはないと思っていたものですから」と説明した。続けて、「そこから急に涙もろくなっちゃって」と小木。石橋が「がんから生還した人は“もらった命”という気持ちになるって言うじゃん。新たに考え方や生き方が変わるんじゃない?」と言われると、小木は「今、マジで変わっちゃったんですよ。人の痛みがわかる人間になった」と語った。そして、小木が「人になんか言うのも申し訳なくなっちゃって、その人のこと考えると。映画とかも、声を出して泣けるんですよ」と告白すると、石橋は「小木がよりパワーアップした感じだね」と評していた。
2020年10月10日2020年8月14日、お笑いコンビ『おぎやはぎ』の小木博明さんが、『腎細胞がん』の治療により一時休業をすることが明らかになりました。『腎細胞がん』とは、腎臓にできるがんのうち、腎実質の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものです。所属事務所『人力舎』の発表によると、小木さんは頭痛の治療で入院中に検査をしたところ偶然に、初期(ステージ1)のがんが見つかったとのこと。そのため同月17日から入院し、治療に専念をするといいます。所属事務所のウェブサイトには、小木さんのコメントが掲載されました。小木博明コメント全文まったくの私事でございますが、とてもびっくりしたことがありましたので発表させていただきます。なんと私小木博明、腎細胞がんが見つかり、手術のためしばらくお休みをいただきます。幸い取り除けばよいという所謂ステージ 1 であるのですが、「まさか自分が」という有名な言葉を皆さまにお送りしたいと思います。元来自分は病院好きで、さまざまな検査をしていましたが、今回ゆっくり身体を診ていただいたおかげで見つけることができました。「まさか自分が」となる前に、皆さまもゆっくり時間を取って検査をされることを強くお勧めします。大事なことを言い忘れましたが、関係者の皆さまには、この度の休養に関してご理解頂き感謝しております。以上、びっくりしたことの発表でした。プロダクション 人力舎ーより引用国立がん研究センターによると、腎細胞がんには特徴的な症状がないため、小さいうちに発見される腎細胞がんは、ほかの病気のための検診や精密検査などで、偶然に発見されるものがほとんどだといいます。今回、小木さんが精密検査を受けていなければ、初期の段階でがんを見つけることは難しかったかもしれません。定期的な検査の重要性を改めて感じさせられます。ネット上では小木さんへのお見舞いの声などが多数寄せられました。・早期発見できたのが不幸中の幸いかな。どうぞお大事に。・ゆっくり養生し、健康になって戻ってきてください!・小木さんらしいコメント…。早くよくなることを祈ってます。治療に専念し、また元気な姿で活躍する姿を見せてほしいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年08月14日お笑いコンビ・おぎやはぎの小木博明が、腎細胞がんの治療のため一時休養することが14日、明らかになった。所属するプロダクション人力舎が公式サイトで発表した。サイトでは、「先日、頭痛の治療で入院した際に検査を受けたところ、初期の腎細胞がん(ステージ1)が見つかりました。8月17日から入院し、治療に専念致します」と説明。「仕事復帰時期に関しては9月頭を予定しておりますが、治療の経過を見ての判断になります」と伝え、「皆さまには、ご心配、ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます」と記した。小木もコメントを寄せ、「まったくの私事でございますが、とてもびっくりしたことがありましたので発表させていただきます。なんと私小木博明、腎細胞がんが見つかり、手術のためしばらくお休みをいただきます」と報告。「幸い取り除けばよいという所謂ステージ1であるのですが、『まさか自分が』という有名な言葉を皆さまにお送りしたいと思います」とつづった。そして、「元来自分は病院好きで、さまざまな検査をしていましたが、今回ゆっくり身体を診ていただいたおかげで見つけることができました。『まさか自分が』となる前に、皆さまもゆっくり時間を取って検査をされることを強くお勧めします」と呼びかけ、「大事なことを言い忘れましたが、関係者の皆さまには、この度の休養に関してご理解頂き感謝しております。以上、びっくりしたことの発表でした」と結んだ。
2020年08月14日みなさんは、わが子にどのような人間に育ってほしいと願っていますか?生まれる前は、「とにかく健康で元気な子だったらいい」と漠然と考えていたかもしれません。しかし、成長を追うごとに「勉強ができてスポーツが得意だったらいいな……」「誰からも好かれてお友だちがたくさんできたらいいな……」と、期待が膨らんでいっていませんか?今回は、「親の期待が子どもに与える影響」について考えていきましょう。イライラするのは、子どもに「期待」してるから子育てをしていると、わが子に対して「どうしてこんなこともできないの?」とイライラしたり、口うるさく注意したりすることもありますよね。ですが、みなさんが子どもに「どうして○○できないの?」と感じていることの裏側には、「あなたが子どもに期待していること」が隠されているのです。たとえば、モジモジしておとなしいわが子に対して、「どうして自分からお友だちに遊ぼうって言えないの?」とイライラしがちなのであれば、子どもが「社交的で積極的であること」を期待しています。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラーのマツダミヒロさんによると、「人は、相手にかけた期待が外れたときに、怒りを感じたりイライラしたりする」とのこと。そして「思い通りに動いてくれない子どもに、自分の価値観を押しつけて、自分の望む反応を求めている」とも述べています。私たちは親として、わが子によりよい人生を歩んでほしいと願う一方で、自分が想像する幸せの型に子どもをはめ込もうとしているのかもしれません。教育評論家の石田勝紀先生は、「親が子どもへの理想のイメージをもつこと自体は問題ない」としながらも、「“こうあるべき” 姿を押しつけて、親の価値観や思考の枠からはみ出た子どもを、強制的に戻させようとすることが問題」と述べています。自分が理想とする「こうあるべき姿」をわが子に押しつけていないか、いま一度思い返してみましょう。自分ではそんなつもりがなくても、子どもが本来望んでいることとかけ離れているようなら、少し立ち止まって考え直す必要があるかもしれません。親の期待は「子どもの自己肯定感」を低下させる親が子どもに期待しすぎることで、子ども自身にはどのような影響が及ぶのでしょうか。専門家の意見や、いくつかの事例を挙げていきます。■わかったフリをするようになる親が子どもの「現時点での能力」をちゃんと理解できずに、高いレベルばかり要求した結果、子どもの脳は “ある状態” に陥るのだそう。『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者、ジョン・メディナ氏は、「自分の脳にはまだその準備ができていないのに、親からの期待が高くなるほど子どもは窮地に追い込まれる。すると脳は強制的に『低次思考』のレベルへと思考力を戻す」と述べています。その結果、子どもはその場ではわかったようなフリをするものの、本質的には理解できていないので、何も身につかないというわけです。■妥協するようになるメディナ氏によると、親の過剰な期待は、子どもが本来もつ好奇心までも奪ってしまうとのことです。子どもは好奇心をかき立てられると「これってどうなっているのかな?」と自問し、それにより成長するもの。しかし、親の期待に応えようとする気持ちが強くなると、「どうすれば親を満足させられるだろう」と妥協するようになります。つまり、親の反応ばかりを気にするようになるのです。■自己肯定感が下がる家庭教育の専門家である田宮由美さんは、「親が子どもの可能性を信じることは、親子の信頼関係を深めることにもつながる」としつつも、あまりにも期待が大きすぎることで弊害も生まれると言います。親が常により高いレベルを求めることで、子どもは「いまの努力」を認められずに報われない気持ちになるでしょう。すると、期待に応えられない自分を卑下し、「自分はダメなんだ」と自信をなくして、自己肯定感の低下を招いてしまうのです。■いい子症候群になる「大人の顔色をうかがい、先回りして親の期待に応えようとする自主性のない状態」は、「いい子症候群」になっているサインです。『ほめると子どもはダメになる』の著者で心理学博士の榎本博明先生は、「親の言いなりに動く “いい子症候群” の子は、自立できない心配がある」とし、自分で考えて動くことができないので、判断力や実行力が欠けたまま大人になる恐れもあると述べています。■反動で反抗的になる『女の子の学力の伸ばし方』などの著者で、進学塾VAMOSの代表でもある富永雄輔先生は、「子どもに期待をかけすぎるのは、父親より母親が多い傾向がある」と述べています。特に娘に対して、母親はより大きな期待をかけることがあるそう。彼女たちは幼いが故に、親の期待が自分にとってつらいものになってきてもそれを表現する力がありません。だから、なおさら親はそれを押しつけてしまい、あるとき、親と子どものパワーが逆転したときに、大きな反抗となって返ってきます。(引用元:ダイヤモンドオンライン|娘に「自分の人生のリベンジ」をさせる子育てをしてはいけない)親の期待に押しつぶされてしまうことは、子どもにとっても親にとっても、望まない結果を招いてしまうのです。自分の「親としての評価」を気にしていませんか?いくら「子どもに期待するな」と言われても、愛するわが子に期待してしまうのは当然のことです。しかし先に挙げたように、過剰な期待は子どもの人生に悪影響を及ぼします。どうしたら子どもに過剰な期待をせずに、適度な距離感で見守ってあげられるのでしょうか。前出のジョン・メディナ氏は、「子どもは大人の成功の代用品ではない」と述べています。自分の親としての評価を上げるために、子どもを立派に育てようとしていませんか?まわりの人たちからほめられたいという理由だけで、子どもに無理を強いていませんか?親はつい、自分の子どもをまるで自分の分身のように考えがちですが、どんなに小さくても子どもは自分とは違う人間だということを忘れてはいけません。ですから、自分の人生でやり残したことをやらせようとしたり、自分が経験して失敗したことを頑なにやらせなかったりするのではなく、本人が望めば好きなようにやらせてあげるのがベストです。また、子育ては競争ではありません。「あの子に比べて優秀」「あの子に比べて劣っている」といった評価を自分の子どもに下すことは、わが子の本来の姿を見ていないのと同じです。まずは、親の自分だからこそわかる「わが子のよいところ」をしっかりと認めてあげましょう。現役東大生の西岡壱誠さんによると「東大生の親は子どもに過度な期待をしない」とのこと。しかし、子どもが「自発的に考えて、努力すること」を全力で応援する親が多く、プレッシャーを与えずに子どもの可能性を引き出すことに成功しているケースがよく見られるそうですよ。***わが子に期待してしまうのは、愛情をもって育てている証拠です。大事なのは、子どもの気持ちを無視して親の期待を押しつけたり、親の期待に沿うように子どもを誘導したりしないこと。子どもを信じ、適度な距離感を心がけましょう。(参考)マツダミヒロ(2014),『“質問”に答えるだけでイライラがニコニコに変わる!魔法の子育てしつもんBOOK』,カンゼン.東洋経済オンライン|子どもを追いつめる、親たちの「願望と正論」ダイヤモンドオンライン|「期待しない子育て」が脳にとてつもなくいいワケAll About|子どもの自己肯定感が低いのは親のせい?NG言動5つと高める子育てSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|心理学者が指摘する“いい子症候群”たちの未来ーー自主性のない子どもの特徴5つPHPファミリー|親がかける言葉で、子どもの人生が変わるダイヤモンドオンライン|娘に「自分の人生のリベンジ」をさせる子育てをしてはいけない東洋経済オンライン|東大生の親に「お受験ママ」が異様に少ないワケ
2020年07月06日みなさんは、お子さんを褒めることが多いですか?それとも叱る回数のほうが多いですか?「子どもの自己肯定感を高めるためにも褒めてあげなきゃ」とプレッシャーを感じている親御さんも多いのではないでしょうか。「子どもは褒めて伸ばすべき」という考えにとらわれすぎて、ちょっとしたことで過剰に褒めるなど、間違った褒め方をしている親御さんが増えているいま、子どもが「褒められ依存症」になっているケースも少なくありません。今回は「褒めることのデメリット」について、詳しく解説していきます。その褒め言葉、本当に必要?近ごろでは、「褒めて伸ばす」子育てが主流になってきています。育児書やメディアなどでは、子どもを褒めることのメリットが盛んに取り沙汰され、効果的な褒め方を指南する専門書もたくさん目にするようになりました。たしかに、叱られるよりは褒められたほうが自己肯定感も上がり、毎日を前向きに過ごせそうです。特に子どもは素直で単純なので、親が上手に褒めてあげることで、本人のやる気を引き出したり、持っている能力を伸ばしてあげたりできるでしょう。しかし、心理学者の榎本博明先生は「なんでも褒めればいいと勘違いしている親が増えている」と指摘します。褒めることで自信がつき、期待に応えようと頑張るようになるというメリットがある一方で、「打たれ弱くなる」「褒めないと機嫌を悪くする」「注意や叱責を素直に受け入れられない」「見返りがないとやる気になれない」などといった弊害をもたらすかもしれないのです。榎本先生は、「褒めることと叱ることのバランスを考えることが大切」と説きます。褒めてばかりいても、子どもにとっては悪影響を及ぼすことも。次に詳しく見ていきましょう。「褒められないとモチベーションが上がらない」人間になる!?「子どもを褒めることによる弊害」には、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。タイプ別に解説していきます。■“褒められること”が目的化する医師・臨床心理士の田中茂樹先生によると、褒められてばかりいると「親に褒められること」を優先的にやろうとするそう。しかも、繊細で大人の顔色をうかがうタイプの子ほど、その傾向が強いといいます。この問題点は、「自分が本当にしたいこと」と「親に褒められるからすること」の境界が曖昧になること。つまり、子どもは「自分で選んだ」と思い込んでいても、根底には「親が喜ぶから」「親が望んでいるから」ということが選択の基準になっているのです。それは、おもちゃや食事といった小さなことから、進路や友人選び、就職や結婚など人生における大きな選択に至るまで、子どもの心を支配します。■褒められないと不安になる些細なことでもすぐに褒めてしまう親御さんは要注意です。公認心理師・産業カウンセラーの大美賀直子氏によると、たとえば「宿題できたの?えらいわね」などと、やって当たり前のことでもいちいち褒められていると、子どもは「褒められる状態」がデフォルトになるそう。すると、「褒められない状態」に不満や不安を感じるようになるといいます。さらには、社会に出てからは「褒められないとモチベーションが上がらない」「上司が命令ばかりしてくるからムカつく」というように、自分は何もしなくても褒められて当然の存在だと勘違いして周囲とぶつかるケースも見られるそう。■失敗を恐れるようになる榎本博明先生は、「褒められてばかりいると、ちょっと注意されただけで自分が全否定されたような気になってしまう」と述べています。そのため、非常に打たれ弱く、挫折することを必要以上に恐れるように。頑張ってもいないのに、むやみやたらに褒められ続けてきた結果、困難に立ち向かったり、失敗を反省したりする経験がないまま大人になってしまうのは本人のためにもなりません。■難しい課題に挑戦しなくなる褒められ続けて「失敗を恐れる」という状態からさらに発展すると、「難しい課題に挑戦しなくなる」傾向が見られるようになります。榎本先生によると、褒められ続けると、その状態を維持しなければならなくなるため、失敗するかもしれない難しい課題には最初から挑戦しなくなるそう。確実に褒められる自信がある得意な課題ばかりに取り組み、自分を成長させるための難しい課題には手をつけなくなってしまうのです。■本番に弱くなる中学受験専門塾ジーニアス代表の松本亘正さんは、「褒めて伸びる子」と「褒めて伸ばすが通用しない子」の違いについて、次のように説明しています。そもそも、聞き分けがよくてかしこい子であれば、親は自然に褒める機会が多くなります。すると本人が勝手に自信をつけて、さらに伸びるようになるそう。一方で、調子に乗ってふざけやすかったり、うっかりミスが多かったりすると、親は叱ったり小言を言ったりする機会が増えます。しかし、親が育児本などを読んで「褒めて伸ばさなきゃ」と叱ることを我慢すると、子どもはますます野放し状態に。松本さんは、「注意されるべきときに甘やかされた子どもは、ここぞというときに実力を発揮することができない」と断言します。叱られずに甘やかされた環境では、いざ勝負というときに結果を出せるタフなメンタリティーは育たないのです。■ズルをするようになる米カリフォルニア大学、カナダのトロント大学、中国杭州師範大学の研究者らによる調査で、子どもを「賢い」「頭がいい」と褒めると不正行為を働きやすくなる可能性があるという驚きの結果が出されたそうです。3歳児と5歳児を各150人ずつ、計300人の子どもたちを対象にしたこの実験では、伏せられた数字カードの数を当てるという簡単な推理ゲームを行ないました。子どもたちが数字を当てたあとに、あるグループには「賢いね」と褒め、またあるグループには「がんばったね」と褒め、さらにはまったく褒めないグループを作ります。その後、「ズルをしないでね」と約束したあとに研究者らが部屋を出て子どもたちの様子を別室で観察しました。すると、「賢いね」と褒められた子どもたちだけ、伏せられたカードを盗み見し始めたのです。研究者らはこの結果を受け、不正行為を働いてしまう原因として、「賢い」という褒め方がプレッシャーになっている可能性を示唆しています。「いいことをした場合に『素晴らしい』とその行為を褒めるのとは異なり、『賢い』というのは自身の能力への評価であることを子どもは理解しています。自分の能力だけでは達成できない問題に直面したときでも他人の期待に応え、『賢い』と評価してもらう必要があると考え、不正行為を行うようになってしまうのです」(引用元:J CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよ)「頭がいい=賢い」ことを褒められた子どもは、「頭が良くない」結果が出ることを恐れ、期待に応えなければという過度なプレッシャーを感じます。そして、ズルをしてでも結果を残すことに執着してしまうのです。子どもを「褒められ依存症」にしないためにできること子どもを過剰に褒め続けた結果、子どもの人間性や将来の可能性にまで影響を及ぼしてしまうことがおわかりいただけたのではないでしょうか。最後に、子どもが「褒められ依存症」にならないために、親ができることをお伝えします。みなさんは、無意識のうちに「100点満点なんてすごい!」「A判定ばかりでよかったね!」と、テストや成績表の結果にだけ注目する褒め方をしていませんか?認定心理士の中垣俊子さんは、このような褒め方をしていると結果重視になり、結果にこだわって手段を選ばなくなることもあるといいます。この場合、「集中して勉強してたからだね」「苦手を一生懸命克服しようとがんばったからだね」と、子どもが取り組んだことに注目して褒めてあげるといいでしょう。ほかにも「それでこそうちの息子だ」「お母さんも鼻が高いわ」と、子どもと親を一体化したような褒め方も危険です。子どもの行動によって、まるで親の価値が上がるような気持ちにさせると、「お母さんのために○◯しなければ」とプレッシャーを感じてしまいます。子どもの手柄は子どものもの。子どもの成功やいい結果に対しては、共感して一緒に喜ぶだけに留めておきましょう。脳科学者の篠原菊紀先生は、「『気が向いたときに褒める』くらいの適当さが、褒めることの効果を高め、結果的には子どものやる気を維持させることにもつながる」と話します。常に子どもを褒め続けてしまうと、子どもが「こうすれば褒められるんじゃないか」と予測したときに脳の快楽物質・ドーパミンが分泌されるようになるそう。しかし次第に、実際に褒められたときには喜びが薄れてしまうようになるのです。「いつ褒めよう」「どうやって褒めよう」と考えすぎると、親子の関係性にまで影響を及ぼしかねません。だからこそ、親は子どものテストの結果だけに注目するのではなく、ありのままの姿を見て、いい部分を見つけたら認めてあげるように心がけましょう。***わが子がいいことをしたら、めいっぱい褒めてあげたいのが親心。ただし、ここで説明したように、間違った褒め方ばかりをしていると逆効果になることも。「褒めてあげなきゃ」と考えるよりも、お子さんの普段の様子をよく観察して、「成長したな」と思える部分に着目した声かけをするといいでしょう。(参考)榎本博明(2015),『ほめると子どもはダメになる』, 新潮新書.DIAMOND online|「ほめる子育て」の問題点は「命令」が隠れていること。All About|ほめすぎは逆効果?アドラー流・よりよい声かけのコツ東洋経済オンライン|「褒めて育てる」でダメになった日本の若者PRESIDENT Online|「子を褒めて伸ばす」ブームで子が潰れるJ CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよPHPのびのび子育て 2019年12月号, PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「ほめ方」メソッド
2020年03月10日お笑いコンビおぎやはぎ・小木博明(48)の発言が物議を醸している。ことの発端は、東出昌大(32)の妻・杏(33)が不倫騒動に謝罪したことだった。杏は、2月18日に都内で行われた文化庁主催のイベントに登壇。各メディアによると、杏はイベントの終わりに騒動について「お騒がせして申し訳ありません」と謝罪。今後については「ゆっくり考えたい」「何か決まったら報告します」とコメントしている。そんな杏の言葉に対し、小木は2月19日放送の「バイキング」(フジテレビ系)で言及。「(東出は)ドラマもやられていて、そのイメージもあるから」謝罪会見をしたくてもできないのではと推測し、「だから杏さんもうちょっと耐えて欲しかったなあ」と発言したのだ。直後に「男側からの勝手なことですけど」「もちろん(不倫は)悪いことですよ」と付け加えたものの、“東出擁護”ともとれる言葉にネットでは批判が噴出している。《3年も不倫されて充分耐えてきたのにこれ以上耐えろと?》《なんで杏さんだけ色々耐えなきゃいけないのか》《不倫されてさらに男のメンツも立てろって無理でしょ》東出はおぎやはぎのラジオ番組「おぎやはぎのメガネびいき」(TBSラジオ系)のリスナーで、番組にメールを送ったこともある。不倫報道直後にも、小木はラジオ内で「(杏には)許してあげて欲しいよ」と発言していた。
2020年02月20日「誰からも好かれる子になってほしい」そう思わない親御さんはいないのではないでしょうか。“クラス1の人気者”とまではいかなくても、できるだけたくさんのお友だちに好かれる子に育ってほしいと願うのが親心です。今回は、「なぜか人に好かれる子」の特徴を解説していきます。さらに、子どもが「人に好かれる力」を身につけるために親ができることについてもお伝えします。小さいころから「人に好かれる力」がある子は、大人になってからも人間関係に恵まれて、社会的に成功しやすい傾向が。ぜひお子さんにも「人に好かれる力」を身につけてもらいたいですね。人に好かれる子は「友だち力」が高い子どものころ、クラスの中に「リーダータイプじゃないけどみんなから信頼されている子」や、「目立つタイプじゃないけどいつもニコニコしていて好かれている子」がいたことを覚えていますか?このように “なぜか人に好かれる子” というのは、何年経っても私たちの心の中に残っているものです。そして自分が子どもをもったとき、漠然と「うちの子もみんなから好かれていた○○ちゃんのように育ってほしいな」と考えるようになります。いまは「自分の個性を発揮すること」や「大勢の前で自分をアピールできるプレゼン力」が求められる時代ですが、学校や社会で人と関わり合う以上、人から好かれる魅力が備わっていることも大切であると子どもたちに伝えるべきではないでしょうか。心理学博士の榎本博明先生は、「社会でうまく生き抜けるようにするには、思いやりや協調性を身につけさせることが大切」とし、「思いやりや協調性をもちながら、自分のいい部分、個性を伸ばしていける子こそが人から好かれる」と述べています。個性を磨くことも大事ですが、その前に周囲の人たちと良い関係を築く力を身につける必要があるのです。いわゆる「友だち力」とも呼ばれるその力、いったいどのようなものなのでしょうか。教育評論家の親野智可等先生は、「『友だち力』がある子とは、友だちとなかよくできる力と、ひとりでいる力、両方のバランスがうまく取れる子のこと」と述べています。どんなに友だちが多くても、「友だちが一緒じゃないとダメ」という子は友だちに依存する傾向があるので、クラスでいじめや仲間はずれが勃発すると、「いじめないと自分も仲間に入れてもらえない」と考えてしまいます。ひとりでも充実した時間を過ごせるけれど、友だちともうまく付き合っていける、そんなバランス感覚に優れたタイプが「友だち力」が高いといえるでしょう。自己肯定感と柔軟さが人に好かれる素地になる世界で活躍するスポーツ選手や成功者には、「人に好かれる魅力」が備わっています。最近では、“シブコブーム” を巻き起こした女子プロゴルファーの渋野日向子選手が記憶に新しいのではないでしょうか。弾ける笑顔で瞬く間に人気者になった渋野選手の魅力を、精神科医の和田秀樹先生は次のように分析しています。持って生まれた性格もあるのでしょうが、渋野さんは、勝ったときに自分が喜ぶタイプというより、勝ったときに周りの人間が幸せになるタイプですよね。つまり、「勝ってよかったね」と周りに思わせるかわいさがある。全英で勝って帰国し、「賞金女王になりたい」と言っても、「なんだよ、いきなり天狗かよ」とは思わせない。そういう発言すらかわいく見えるところが、彼女の強みですよね。(引用元:web Sportiva|渋野日向子が愛される理由。精神科医「周りの人間を幸せにするタイプ」)和田先生によると、渋野選手が周囲の人を幸せにできる理由は、「自分を信じることができているから」だそうです。自分を信じていない人間はプレッシャーに弱く、周りに左右されがち。そしてなにより、自分の実力を信じる強さが根底にあるからこそ、人の意見を聞き入れて取り入れる“柔軟性”も発揮できているといいます。明るく楽観的な印象を与える渋野選手ですが、根っこにあるのは、強い自己肯定感や柔軟な対応力であるといえるでしょう。「好かれる子」は将来成功する!?これまでに約4,000人の生徒・学生を指導してきた獨協大学名誉教授の永井伸一先生は、「なぜか好かれる子」が人生で成功している例をいくつも見てきたといいます。クラスの中で誰からも好かれる子は、「言動が楽しく」「誰とでも気さくに話ができて」「いつも生き生きと目を輝かせて」「毎日を楽しんでいる」という特徴が見られます。そういった子たちは、社会人になってからも良い友人に囲まれ、困難な局面でも自然と誰かが助けてくれるバックアップがあるそう。さらに永井先生は、“人に好かれる力”につながる気質として、いくつかの特徴を挙げています。たとえば、「優しい性格で、人の気持ちを思いやれる」「素直な性格で人なつこく、柔軟性がある」「我慢する力があり、地道に努力ができる」「ユニークな発想に富み、話がおもしろい」などです。幼い頃からこのような性質を持ち合わせている子は、往々にして周囲の人たちからかわいがられます。すると、良い性質はますます伸びて、“人に好かれる力” もぐんぐん高まっていくというわけです。その中でも最も重要なのが「素直である」ということ。永井先生は、「物事をあるがままに素直に受け入れ、人のアドバイスを聞き入れられる耳を持つ子どもは、人に好かれる力につながる性質を獲得していける素地がある」と述べています。先ほどの渋野日向子選手も、もともと素直だからこそ、周囲の人たちの意見を聞き入れて、柔軟に対応できる力をつけていったのではないでしょうか。人間関係の基礎は親子関係。親子の会話が「好かれる子」をつくる!最後に、「人に好かれる子」になるにはどうしたらいいか、また親が心がけることについてお伝えします。■思いやりの心が育つように導く前出の榎本先生によると、日常の何気ないやりとりのなかでも、相手の気持ちを想像するように導くことができるといいます。たとえば、子どもが話すエピソードから、「お友だちの○○ちゃん、嬉しいだろうね」と気持ちを代弁したり、散歩中に「このお花、おひさまが当たらなくて寒そうにしているね」と人間以外の生き物の気持ちを想像させたり、絵本の登場人物を題材にしたりしてもいいでしょう。■読書を通じて視野を広げる『わが子が「お友達」関係で悩まない本』(フォレスト出版)の著者で、小学校教師歴38年の風路京輝先生は、「人に好かれる子とは、相手の立場、状況、そして感情を想像して寄り添ってあげることができる子です」と述べています。その力をつけるのに効果的なのは「読書習慣」です。風路先生によると、「文字を通して頭の中で情景をイメージする能力は、相手の気持ちを推し量る能力にもつながる」とのこと。そして、さまざまな本を読むことで視野が広がると、違う価値観に遭遇しても柔軟に受け止め、対応できる力が養われるといいます。■子どもを問い詰める聞き方をしない風路先生は、子どもに対して「どうして○○なの?」という聞き方をしている親御さんには、「どうしたら△△になるかな?」という表現に置き換えることをすすめています。「どうして片づけしないの!」と注意したところで、子どもは黙るか言い訳をするしかなくなってしまいます。そうではなく、「どうしたら、ちゃんと片づけることができるかな?」とこれからの行動を問うことで、子どもは頭を働かせ、問題が起きたときの対処法を学ぶことができます。こうした会話を普段から心がけていると、友だち関係でトラブルになったときにも、「どうしたら、あの子と仲良くできるかな?」とスムーズに対応できるようになるでしょう。■親への不信感を助長する3つのNGワード前出の親野智可等先生は、「人に好かれる子に育てたいなら、人間関係の基礎となる親子関係を大事にすること」と述べています。その際に親が注意すべき点は次の3つ。「○○しなきゃだめでしょ!」と否定語でとがめる。「あなたが△△しなかったからこうなったんでしょ!」と自業自得であると追い込む。「勉強しないとゲームを捨てるよ!」など罰で脅す。以上の言動を続けると、子どもの自己肯定感が低下したり、困っているときに救ってもらえない寂しさやつらい気持ちが募ったりします。すると「親への不信感」が増して、いずれ親以外の他人に対しても不信感を抱くようになるので注意が必要です。「子どもは、親にされたことと同じことを友だちにするようになります。否定的な言葉を浴びせる、困っている友だちに“自分が悪いんだろ!”と言って助けない。“○○しないと遊んであげない!”と脅す…など。こういう子が好かれるはずがありません。どうか、日々のお子さんへの言動には十分注意してください」(引用元:ママテナ|人に好かれる子にしたいなら、親がやってはいけない3つのこと)このように、親野先生は「親子の会話がそのまま友だちとの会話につながる」ことを危惧しています。強い口調で叱っていないか、親の都合を押しつけていないか、理性を保てずに感情をぶつけていないか、子どもとの向き合い方について改めて見直してみましょう。***「人に好かれる子」は、持って生まれた気質だけではなく、成長の過程において徐々に形成されていきます。「素直さ」と「自分を信じる心」、そして「自己肯定感」を持ち続けていられるようにサポートしてあげたいですね。(参考)PHPファミリー|頭のいい子、性格のいい子の土台は家庭がつくるママテナ|友達とうまく遊べない子どもが増えている!その背景にあるものとは?web Sportiva|渋野日向子が愛される理由。精神科医「周りの人間を幸せにするタイプ」ダ・ヴィンチニュース|「なぜか人に好かれる子」に備わっている“7つの気質”とは風路京輝(2017),『わが子が「お友達」関係で悩まない本』,フォレスト出版.ママテナ|人に好かれる子にしたいなら、親がやってはいけない3つのこと
2020年01月24日私たちはよく、優秀な人に対してひとくくりに「頭がいい」と言います。頭の良さとは一般的に「テストの点数がいい」「偏差値が高い学校に通っている」といった、目に見えるかたちで表されることが多いのではないでしょうか。しかし、本当の意味で「頭がいい」とは、学校の成績だけでは判断できないものなのです。今回は専門家の見解をもとに、“頭がいい子ってどんな子?”というテーマでお送りします。知能が高くても“頭がいい”とは限らない!?私たちが考える「頭の良さ」は、勉強ができる=テストの点数が高い=良い学校に通っている、というイメージに集約されがちです。でも近頃は、少し違った視点で『頭がいい子』『賢い子』を見極めている専門家や教育関係者も増えてきています。脳科学者の西剛志先生もそのひとり。西先生は、“ただ知能が高い”ことを「頭がいい」としてもてはやすことに疑問を呈しています。その理由として、次のことが挙げられます。小さいうちからもてはやされ続けることで、本人が努力することを怠ってしまう。先々のことを予測しすぎて、リスクをともなうチャレンジをしないいわゆる「安定志向」になってしまう。相手が考えていることが聞く前からわかってしまったり、自分の考えを伝えても理解してもらえないだろう、などと考えたりすることで、人とコミュニケーションを取らなくなる。 いくら学校の成績が良いからといって、それだけで子どもの将来が明るくなるわけではないのです。むしろ、知能の高さだけを誇っていても、その他の能力を伸ばす努力をしなければ意味がありません。東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は、「単に成績が良い子というのは、必ずどこかで限界がくる」と述べています。そういった子は、ある程度まで伸びても、そこから先は伸びにくくなる傾向があるそう。「知りたい」「学びたい」という気持ちがともなっていないため、試験が終わったとたんに無気力になってしまうこともあるといいます。このように、知能の高さだけで「頭がいい」と判断することは、何よりも子ども自身を苦しめることにもつながるのです。では、本当の意味で「頭がいい子」「賢い子」とは、いったいどのような子なのでしょうか?専門家に聞く!頭がいい子・賢い子ってどんな子?「頭がいい子・賢い子ってどんな子?」という疑問に対して、脳科学者や心理学者、教育のプロである専門家の見解をご紹介します。■知的好奇心が旺盛である前出の瀧靖之教授は、「賢い子とは?」との問いに、「自分から『知りたい』と思える知的好奇心が旺盛な子どもです」と答えています。瀧教授によると、企業のトップや仕事ができる優秀な人は、たいてい好奇心旺盛で多趣味という共通点があるそう。反対に、何事にも無関心な人は、たとえ学力が高くて地位のある役職についていても、自分で考えたり創造したりする力に欠けていることがわかっています。瀧教授は、「好きなことに一生懸命取り組んだ子は、自分で自分の力を伸ばしていくことができる」と断言します。つまり、興味があることに対して努力とも思わず夢中になることができる子は、たとえ学校の成績に反映されなくても、いずれ必ず大きく成長できるのです。■物事を論理的に考えることができる文教大学教育学部教授で小児科専門医の成田奈緒子先生は、「親はつい学校の成績だけで頭の良し悪しを判断しがちですが、日々の生活の中で前頭葉が活性化されているかなど、脳の成長を確認することが大事です」と指摘しています。ある論文では、本当の頭の良さを「前頭葉をうまく使って、もっている知識を統合したり、何通りもの場合を考えたりして、漏れのない推論をつくり上げる論理的思考力」と定義していることから、成田先生は『論理的思考力』こそが真の頭の良さにつながっているといいます。同様に『論理的思考力』の重要性を説くのは、東進ハイスクールの現代文講師として活躍し、論理的な国語術に関する著書を多く執筆している出口汪先生。出口先生は「現代は世界中のありとあらゆる情報から、自分が本当に必要なものを選び、その真偽を確かめ、将来起こる事態を予想し、その対処法を考える力が求められる」ことから、論理的に考える力が必要不可欠だと断言しています。■自分で課題を見つける粘り強さがあるマニュアル重視の時代から、急速に「創造の時代」へと変貌を遂げた現代社会。「これからは自分で課題を見つけて、独自の解決策を編み出さないといけない」と強く主張するのは、『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』(PHP研究所)の著者・上田正仁先生です。自分で課題を見つけるには、ひとつのことをじっくり考える力が必要。つまり、粘り強く考えることができる子が、これからの「賢い子」だといえるでしょう。ほとんどの人は、人から与えられた課題をこなすことに終始します。それは、課題をもらうほうがラクだと考えているから。子どもたちの中にもそういうタイプは多く、上田先生いわく「自分で考えない回路」ができてしまっているそうです。「考える回路」を強くするには、知的に興奮する経験が欠かせません。そのためにも、たくさんの挑戦と失敗を繰り返して、自分で課題を発見できるようになりましょう。■物事を多面的にとらえる柔らかい思考をもっている心理学博士の榎本博明先生は、「本当の頭のよさって?」と聞かれて、「自分なりに思考し、物事を様々な角度からとらえることができ、認知能力、非認知能力ともに高いことです」と答えています。榎本先生によると、IQに代表される認知能力を高めるためには、「認知的複雑性」を高めることが大事だそう。認知的複雑性の低い子は、矛盾した情報を前にして混乱したり、考え方の違う相手に反発したりと、ものの見方が単純です。一方、認知的複雑性の高い子は、物事を多面的にとらえられるので、総合的な判断ができ、考え方の違う相手のことも理解できます。さらに、EQと呼ばれる非認知能力の高さも求められるとのこと。非認知能力とは、粘る力や自分の感情をコントロールする力、また人の気持ちや立場に対する共感性などを指し、この能力は勉強ではなく遊びや人間関係を通して身につくといわれています。■生きるために必要な力がしっかりと身についている脳科学者の茂木健一郎先生は、学力よりも大切なのは『地頭力』だと述べています。茂木先生いわく、地頭力とは「なにかに挑戦したり、問題を解決したり、変化に対応したりという、いわば生きるために必要な力」だそう。私たちを取り巻く環境など、変化の激しい時代だからこそ、新しいことにチャレンジしたり、柔軟な発想で変化に対応する力が求められるというわけです。また茂木先生は、「地頭力を育てずして学力だけを育てようとするのは、かなりリスクの高い戦略だということは、さまざまなデータでも明らかになっている」とも述べています。地頭力を身につけるには、早いに越したことはないのです。地頭力は、好きなものをとことん突き詰める場を与えたり、探求学習をさせたりと、日常生活でも充分鍛えることができるので、ぜひ取り入れていきたいですね。本当の「頭のよさ」ってなんだろう?最後にご紹介するのは、明治大学教授の齋藤孝先生による『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』(誠文堂新光社)という一冊。この本では、一生使えるものの考え方を身につけて、“頭のよさ” を磨いていく方法を子どもたちに伝授しています。『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』齋藤孝 著/誠文堂新光社(2019)齋藤先生はこの本の中で、「どんなに勉強ができても、人としてやっていいことといけないことの判断がつかないのは、本質的なところで頭がよくない」と述べています。さらに、子どもたちが学校を出てからの人生で求められる “頭のよさ” とは「社会的適応性」であり、現実社会の中でどう適応していくかが重要だとも説いています。そのためには、自分で考えて表現できる力や、自分の現状を把握して先を読む力、断片的な知識をつなげて考える力など、「生きるために必要な力」を身につける必要があります。本書ではより詳しく、今求められている「本当の頭のよさ」について解説しているので、ぜひお子さんと一緒に読んでみましょう。きっとこれまで思い描いてきた「頭がいい子・賢い子」のイメージが大きく変わるはずですよ。***学校の成績はもちろん大事です。しかし、テストで高得点をとることばかりに気を取られ、本当に身につけなければならない力をおろそかにすると、いずれ子ども自身が自分の道を見失ってしまうかもしれません。目先の点数や評価ではなく、もっと先の長い人生を見据えて子どもたちと向き合っていけたらいいですね。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|家の中に生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること瀧靖之(2016),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.ベネッセ 教育情報サイト|世界最先端の脳研究が解き明かした!「賢い子」の育て方とは?洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.出口汪(2015),『子どもの頭がグンと良くなる!国語の力』,水王舎.洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』,洋泉社.PHPファミリー|頭のいい子の土台は家庭がつくる齋藤孝(2019),『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』,誠文堂新光社.
2019年12月23日小さい子どもは、いつだって大人に褒めてもらいたいもの。みなさんの中にも、「いい子だね」と褒めてもらうために難しいことにもチャレンジするお子さんの姿を見ては、微笑ましい気持ちになっている人も多いのでは?しかし時に、「○○ちゃんのママ、わたし◯○ちゃんより上手にできるよ!」と、お友だちと比べて自分のほうが優秀だとアピールする子や、どんな話題でも強引に自分の自慢話に持っていこうとする子に対して、どのように反応すべきか悩むこともありますよね。もしくは、わが子が自慢ばかりすることに悩みを抱えている親御さんもいるかもしれません。そこで今回は、自慢話ばかりする子どもについて、その心理メカニズムと対処法を考えていきましょう。子どもの自慢話に深い意味はない!そもそも子どもが話す内容について、いちいち深読みしたり、「どういうつもりでこんなことを言うのかな?」と気に病んだりすることはあまりないでしょう。大人同士の会話では、謙遜やお世辞、駆け引きなどが複雑に絡み合いがちですが、子どもは思ったことをそのまま言葉にすることが多いからです。したがって、「たくさんおもちゃ買ってもらったんだ~!」「○○ちゃんよりもピアノ上手に弾けるよ!」「クラスで一番サッカーがうまいんだ!」などは、子どもならではの素直な発言。ほとんどのお子さんは、大なり小なり気軽に自慢話をしているはずです。教育評論家の親野智可等先生によると、小さな子どもは、嬉しい気持ちと自慢の区別がつかないといいます。たとえば大人の世界では鼻持ちならない自慢に見えるものも、小さな子どもにとっては必ずしもそうとは限らないとのこと。子どもがその瞬間に感じた嬉しい気持ちや、「自分にもできる。やってみたい」という気持ちのストレートな表現に過ぎないこともあるため、あまり深刻に受け止める必要はありません。自慢する子としない子、その違いとはとはいえ、自慢話ばかりしている印象がある子がいる一方で、どんなに優れた能力をもっていても、またどんなに努力をしていても、他人にはいっさい自慢することがない子もいます。その違いはどこから生まれるのでしょうか。誰もが持つ “承認欲求”。どうして人より強くなるの?そもそも “自慢” は、「自分を他人に認められたい」「高い評価を得たい」という『承認欲求』に起因しています。承認欲求は、心理学者アブラハム・マズローが定義している “人間の根源的な5つの欲求” のうちひとつ。程度の差はありますが、誰もが持ち合わせているものなのです。ただし、あまりにも承認欲求が強いのは困りものですよね。精神科医の熊代亨先生によると、承認欲求の強さ・弱さは、ほかの部分が満たされることで違いが出てくるそう。たとえば、ある集団に所属して生活したい「所属欲求」は、その最たるものです。「所属欲求」が満たされるのは、家族や仲間など所属しているコミュニティに恵まれているとき。周りの人たちとの関係性がうまくいっていれば、わざわざ褒められたり認められたりしなくても満足できるというわけです。逆に、家や学校、習いごとなどでの人間関係において、自分の居場所がないと感じていたり、うまくコミュニケーションがとれずに孤立していたりすると、承認欲求はより強くなっていきます。親の褒め方が子どもの承認欲求を左右する!?子どもに対する親の接し方にも注意が必要です。『ほめると子どもはダメになる』(新潮社)の著者で心理学博士の榎本博明先生によると、褒められて当たり前の環境にいると「つねに自分を認めて」「何かしたら褒めて」という気持ちが高まってしまうそう。そうなってしまうと、家庭の外でも「褒められないと動かない」「気分が乗らないとすねる」などの言動が目立つようになります。すると、ちょっとしたことでも大げさに自慢して、相手に褒めてもらおうと必死になるというわけです。ですので、日常的に “褒められること” に慣れてしまわないように、何でもかんでも褒めるのではなく、子どもが本当にがんばったことや努力したことを褒めるように心がけましょう。承認欲求を満たすことが第一歩わが子の自慢話が目に余ると感じている親御さんは、「うちの子、この調子だと友だちから嫌われちゃうかも……」と不安を募らせているのではないでしょうか。まずは受け止める親野先生は「このままでは嫌われるから直そう」という気持ちを優先して、冷たい反応をしたり叱ったりしないことが大切だと述べています。まずは子どもの気持ちを受け入れて、共感してあげること。すると子どもは、「自分の気持ちを受け入れてくれている」と安心感と自信を得ることができます。親野先生によると、小さいときはストレートに表現していた子も、成長するにつれて相手の気持ちを考えながら上手に表現できるようになるといいます。そしてそれは、親に受け入れてもらえてきた子ほど、上手にできるようになるのです。逆に、叱られたり否定されたりして親に受け入れてもらえなかった子は、なかなか上手に表現できるようになりません。なぜなら「自分にもできるということを絶対にわかってもらいたい。強く言わないとわかってもらえない」という気持ちが強烈にはたらき、より自己主張がエスカレートしてしまうからです。だからこそ、まず優先すべきは「子どもの気持ちを受け入れること」。そのうえで、次のことに注意しましょう。他者と比較して褒めるのはNGお子さんを褒めるとき、お友だちや兄弟など、ほかの誰かと比較して褒めていませんか?たとえば「お兄ちゃんはできなかったのに、あなたはできてすごいね!」「△△ちゃんより上手だったよ」「□□くんに負けないでえらかったね」などです。榎本先生は、「親が優越感にひたるために、他の子と比べて自分の子を持ち上げるような褒め方をしていたら要注意です」と警告しています。なぜなら、比較意識が強くなり、他人へのねたみや敵対心が生まれてしまうから。たとえそのときは勝っていても、そのうち追い越される時期が訪れるかもしれないこと、そして得意だと思っていたものがなくなると、より大きいダメージを負ってしまうことーー。私たち大人も、これらをきちんと理解しておかなければならないでしょう。ですので、わが子を褒めるときは、人と比べるのではなく本人の成長を褒めるように意識してください。「前はここまでだったのに、こんなにできるようになったね」というように、子どもなりの成長の過程を評価してあげるといいでしょう。子どもの存在そのものを認める一般社団法人 子育て心理学.協会代表理事の東ちひろさんは、子どもが自慢ばかりすることに悩んでいる保護者に向けて、「特別になにかができていなくても、子どもの存在そのものを認めてあげましょう」とアドバイスしています。たとえば、「今日のカバン、重そうね」「今日は青いお洋服にしたのね」「手を洗ってうがいもしたのね」のように、目に見えたことをそのまま言葉にしてみるといいそうです。「え!?そんなことでもいいの?」と不思議に感じるかもしれませんが、これらの言葉は子どものことをよく見ていないと言えません。子どもが自慢するときは、どこかに「自分の存在を認めてほしい」という気持ちが隠されているので、当たり前だと思えるようなことでもその都度言葉にして伝えてあげることが大事なのです。一見たいしたことない日常の些細な声かけも、それを積み重ねることによって、子どもは自分の存在に自信を持てるようになります。自慢 “される” 側の悩み最後に、わが子がお友だちから自慢ばかりされて落ち込んでいるときの対処法を考えていきます。持ち物の自慢、成績の自慢など、些細なことでも大げさに自慢するタイプの子どもはいますが、普段仲良くしているお友だちがいつも自慢話ばかりをしていたら疲れてしまいますよね。そもそも、お友だちの自慢話に影響を受けて気分が落ち込むような子どもは、とても感受性が豊かで人の気持ちや周りの状況をよく見ている子。相手の話をいちいち真剣に聞き、それに対してきちんと応えなければいけないと思うからこそ、疲れて落ち込んでしまうのです。親野先生によると、「こういう子はストレスを溜め込む傾向があるので、家ではリラックスできるようにしてあげましょう。そして、たくさん話を聞いてやることが大切です」とのこと。また、いろいろな体験をさせてあげたり、得意なことを褒めてあげたりすると、子どもの自信につながりたくましい心が育まれていきます。学校や習い事以外でも、地域の活動やワークショップ、子どもだけで参加するキャンプなど、人間関係を広げることで「私を受け入れてくれる場所はたくさんある」という心の余裕につながります。そして、できればイヤなことはイヤだとはっきり言えるように導いてあげることも大切です。お友だちの自慢話に直接「NO!」を突きつけるのではなく、さりげなく話題を変えたり、聞き流したりすることも、遠回しではありますが「NO」の表現です。『はっきり「NO!」と言える子に』(PHP研究所)の著者で臨床心理士の植松紀子先生は、「『NO』が言えない子は、相手を恐れている場合と、相手の気持ちを気づかっている場合があります。子どもは子どもなりに、その場の空気を読んでいます」と述べています。ですから、親御さんからは「イヤだな、と思ったら、正直に『イヤ』と言っていいんだよ」と言葉で伝えてあげましょう。そして普段から家庭の中でも、自分の意思をはっきりと表現できるように練習するといいかもしれませんね。***大人の自慢話とは違い、子どもの自慢話は大げさな表現による「ただの報告」である場合も多く、あまり深読みする必要はありません。ただし、あまりにもしつこい場合や、特定の相手にだけ自慢を繰り返す場合は、承認欲求が満たされていないということも。家庭での会話の内容や、子どもへの接し方について、今一度考えるきっかけにもなるはずです。(参考)親力講座|なんでも自慢する子に、どう対応しますか?新R25|承認欲求が強くなる原因は?どうやって充たせばいい?精神科医に聞いてきた子育て情報誌Kodomoe(コドモエ)web|こんな声かけしていませんか?子どもを伸ばしたければ「ほめすぎない」!東ちひろ(2017),『男の子のやる気を伸ばす お母さんの子育てコーチング術』,メイツ出版.ベネッセ 教育情報サイト|小学6年生の娘は友達に気を使いすぎて自分が疲れてしまうようです[教えて!親野先生]PHPファミリー|はっきり「NO!」と言える子に!
2019年08月30日物事に興味を持ち、「もっと深く知りたい!」と思う気持ちを「知的好奇心」といいます。知的好奇心は、大人になるにつれ失われがちなもののひとつです。「子どもの頃は知的好奇心旺盛だったけど、大人になって変わった」という方も少なくないはず。しかし、そんな自分の状態が、子どもに悪影響を及ぼしているかもしれないのです。なぜならば、親の知的好奇心の有無は、子どもの知的好奇心のみならず学力にまで関係してくるから。今回は、親子にとって知的好奇心がいかに大切かを知り、知的好奇心を育むためにできることは何かを考えてみます。知的好奇心旺盛な子は学力が高い!勉強ができる子や、成績のよい子には、知的好奇心旺盛な子が多いと言われています。教育関連著書を多く世に送り出している脳医学者の瀧靖之さんは、「賢い子」の条件を問われた際、「自分から『知りたい』と思える、知的好奇心が旺盛な子ども」と答えています。動物や植物、運動、どんなことでも良いのですが、興味を持った対象に自分からおもしろがって調べたり取り組んだりすることができる子だと思います。勉強にしても、テストの点数を取るのが目的ではなく、そもそもおもしろいからやっている。だから努力とも思わず夢中になることができる、そんな子どもですね。学ぶことが楽しくて仕方ないから、自然と学力が伸びていく。その土台となるものが、「もっと知りたい!」という学びへの意欲、すなわち知的好奇心なのです。(引用元:ベネッセ教育情報サイト|世界最先端の脳研究が解き明かした!「賢い子」の育て方とは?)例えば、ある外国の歌手の音楽に興味を持ったとしましょう。その音楽についてもっとよく知りたいという思いから、曲の歌詞に出てくる英単語を調べるようになることが考えられます。好きな曲の歌詞が理解できると、その喜びから、英単語を調べること自体が楽しく感じられるようにもなるかもしれません。そうすれば、自然と英語を勉強するようになるでしょう。知的好奇心は、こうして学びの土台を築いていくのです。実際、学力の高い人たちの多くが、知的好奇心を育むことの大切さを実感しています。東京大学新聞社の調査によると、東大生の95%が、小学生時代の学習姿勢として「知的好奇心を育むこと」が「大切」(とても大切だと思う・まあ大切だと思う)と答えたそうです。これは、「柔軟に考える力をつけること」(92%)や「塾や学習教室に通うこと」(23%)より多い回答でした。親の知的好奇心が子どもに影響するでは、子どもの知的好奇心を育てるには、どうすればいいのでしょうか。文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査から、親が子どもを図書館や劇場、科学館などの文化施設によく連れていく家庭で育った子どもは、そうでない子どもより学力が高いことがわかっています。このことにより、親に頻繁に文化施設に連れていってもらった子どもは、それぞれの場所で知的好奇心を刺激され、その経験がのちの学習習慣につながったと考えられます。また、同調査では、家にある本の数が多い家庭で育った子どもの学力が高いことも明らかになっています。しかし、だからといって、急に子どもに大量の本を買い与えたり、「本をたくさん読みなさい」と言い聞かせたりしても、効果がないことは誰でも予測できるでしょう。MP人間科学研究所代表であり、心理学者の榎本博明さんは、親自身の知的好奇心が子どもの知的好奇心、ひいては学力の高さにつながっていると指摘します。つまり、蔵書数の多い家庭は、親自身が知的好奇心が強く本をよく読むため、その結果として家庭の蔵書数が多くなる。さらに、子どもと一緒に美術館・劇場や博物館・科学館、図書館といった文化施設に行こうと思う。そのような親の心理傾向が子どもにとって知的刺激に満ちた環境を生み出すのである。(引用元:Business Journal|学力の高い子ども、親の習慣や家庭環境に「共通の傾向」…文科省調査で判明)また、一般社団法人教育デザインラボ代表理事であり、教育専門家の石田勝紀さんも、同様の意見を持つひとりです。石田さんは、「親の持つ “好奇心” そのものが子どもに伝播する」と明言しています。親が物事に興味を持ち、それについて楽しそうに学ぶ姿を日常的に見せていれば、それが子どもにも伝わっていくというのです。「親が、日々ワクワクした気持ちで『もっと知りたい!』と自ら学習していくような人間であればいい」(引用元:東洋経済オンライン|伸びる子の親は日々「好奇心」で生きている)つまり、子どもの知的好奇心を育てるには、まずは親自身が知的好奇心を育まなくてはならないのです。子どもと一緒に大人が無理なく知的好奇心を育むには……しかしながら、大人が日々仕事や家事、育児で忙しいなか、新しいことを始めたり、物事を深く探究したりすることは簡単なことではありません。「重い腰が上がらない」という方も多いでしょう。そんななかでも、子どもと一緒ならできることがあるはずです。好奇心を育むために、親子で無理なく始められることをご紹介します。声に出して言い聞かせる第一歩として、物事に興味を持つことが大切です。とはいえ、実際には日常生活のなかに心惹かれる物事が見当たらない、という方がほとんどでしょう。しかし、本当に心惹かれる物事は存在しないのでしょうか?そう感じるのは、自分自身が物事に対する興味の “アンテナ” を張っていないからかもしれません。先ほどご紹介した石田さんは、自らの「好奇心」という原動力を動かすために、日常的に「日々、楽しんでしまおう」「一見つまらなくみえるものを、おもしろくしてしまおう」と、口癖のように声に出しているそうです。声に出すと、意識が高まります。つまり、物事に対する興味の “アンテナ” を張っているのです。そうすると、小さな変化に気づいたり、ワクワクすることに出会えたりと、物事に興味を持ちやすくなります。まずは、毎朝1回、あるいは思いついたときにでも、「何かおもしろいことはないかな?」「今日も楽しく1日を過ごそう」と、子どもに語りかけてみましょう。子どもに言いながら、自分に言い聞かせるのです。そうして、子どもと一緒に、物事に対する興味の “アンテナ” を張ってみてください。 同じ習い事をしてみる子どもの習い事について「練習しなさい」と一方的に言っていませんか?親がお尻を叩くだけでは、子どもの好奇心はそこで止まってしまいます。前出の脳医学者・瀧先生は、息子さんと “一緒に楽しみながら” ピアノを習っているそうで、「子どもに何かをさせるなら、まず親がやること」がとにかく大事だと力説しています。「子どもの好奇心を思いっきり育てるためには、親自身も子どもと一緒に楽しむ経験が大切」なのです。幼少期に親子一緒に本気で知的好奇心を高めることで、子どもは親を模倣し、中学生・高校生になってからもその知的好奇心で生きていけるのだそう。親子で同じ習い事――うまくいけば、親子共通の趣味ができるかもしれませんよ!***親が知的好奇心を育むことで、子どもの知的好奇心や学力にもよい影響を及ぼすという好循環が生まれます。また、その過程で、親自身が幅広い知識を身につけたり、自分の新たな一面を発見したりと、これまでにない経験ができるはずです。このコラムを読んで、「よし、何か見つけてみるか!」――そう感じた方ならば、すでに一歩、いや十歩以上、知的好奇心の世界に向かって歩き出しているのではないでしょうか。子どもは親の姿を見て育ちます。いつまでも新しいことに挑戦する精神を忘れず、生き生きと輝く姿を見せていけたらよいですね!(参考)ベネッセ教育情報サイト|世界最先端の脳研究が解き明かした!「賢い子」の育て方とは?Business Journal|学力の高い子ども、親の習慣や家庭環境に「共通の傾向」…文科省調査で判明東洋経済オンライン|伸びる子の親は日々「好奇心」で生きている東大新聞オンライン|東大生の4割超が利用した、小学生時代の通信教育とは?「達成感を求めて楽しく勉強できる」生活百科|好奇心を失わないための10個の方法ベネッセ教育情報サイト|脳医学者も実践!子どもの「知的好奇心」を伸ばす“たった1つの秘訣”
2019年08月07日いま、博物館や科学館が改めて注目を集めていることをご存じですか?話題の展示にたくさんの人が詰めかけて長い列ができている光景は、ここ数年、テレビ番組でもよく見かけるようになりました。夏休み中の博物館や科学館は、子ども向けの特別企画が催されていることが多いので、自由研究のテーマに迷っている方にもおすすめのスポットです。今回は、博物館や科学館が注目されている理由や、実際に訪れるときに必要な準備・自由研究のまとめ方についてご紹介しましょう。この夏は、お子さんと一緒に博物館や科学館で楽しく学べる自由研究に取り組んでみませんか?博物館は子どもの興味を掘り下げるきっかけになるかつて「学校の社会見学で訪れるところ」といったイメージの強かった博物館は、いまや幅広い年代がこぞって楽しむお出かけスポットとなりました。博物館や科学館が注目されるようになった背景には、スタンダードな総合博物館が特別企画展示に力を入れていることや、鉄道・宇宙・恐竜・おもちゃ・アニメ・ラーメンといった子どもにも親しみのあるジャンルに特化した専門博物館が増えていることなどが挙げられます。また、最近では、展示されているものも、古い資料や模型のみならず、動画やバーチャル体験なども充実してきています。知識を深めるためのアプローチが多彩な点も、人気の理由のひとつだと言えるでしょう。平成29年度に実施された学力調査の結果と、その対象となった小学6年生および中学3年生の子どもたちの保護者に対する調査の結果を関連づける調査報告書によると、親が子どもを、美術館・博物館・科学館・劇場・図書館といった文化施設に連れて行っている場合ほど、子どもの学力が高いという結果が出ているのだそう。MP人間科学研究所代表であり心理学博士の榎本博明氏は、この結果について、小さい頃から親に連れられて文化施設に出かけることで知的好奇心が刺激され、のちの学習意欲につながるからだと推測しています。特に博物館や科学館は、興味をもったテーマについて深く知識を掘り下げることができるので、子どもの興味を掘り下げる良いきっかけになります。夏休みの自由研究で取り上げる題材としてもぴったりですよね。自由研究を、博物館や科学館に通う入り口にしてみてはいかがでしょうか。博物館や科学館へ行く自由研究は「準備」がキモ実際に、博物館や科学館をテーマにした自由研究を進めるには、大まかな手順として準備・見学・まとめの3つに分けられます。そして、この3つの中で自由研究の出来栄えを最も大きく左右するのが「準備」です。見学するまでの流れについて例をご紹介しましょう。●テーマを決めるどんなテーマについて調べるか、親子で話し合います。博物館や科学館によって、取り扱っているテーマはさまざまです。日本博物館協会のサイトでは、加盟している施設を分類や地域で検索できるようになっています。日本博物館協会のサイトはこちら。サイト内の博物館の分類を見ると「総合・郷土・美術・歴史・自然史・理工・動物園・水族館・植物園・動水植」と、とても幅広いことがわかります。ここでお気づきになったかもしれませんが、じつは動物園や水族館も博物館の仲間です。まずはお子さんが「何が好きか」「どんなことを知りたいか」を聞いてテーマを絞りましょう。お住まいの地域によっては、希望のテーマを取り扱う施設が近くにない場合もありますので、第3希望くらいまでリストアップするのがよさそうですね。●見学する博物館・科学館を決めるテーマが決まったら、行き先を決めます。たとえば「動物」をテーマに調べるなら、「太古の昔に生きていた動物」か、「絶滅しそうな動物」か、はたまた「動物の育て方」かによって、博物館か動物園か、適した行き先が異なりますよね。テーマと行き先がマッチするよう、情報を収集しましょう。また、夏休みの旅行を計画している場合は、旅先で見学できそうか考えてみるのもいいですね。●行き先の下調べをする見学先が決まったら、下調べをします。どんな展示があるのかだけでなく、開館時間、入館料、施設までのアクセス方法などもお子さんと一緒に調べることで、学びが広がりますよ。●知りたいこと、聞いてみたいことをまとめるたとえば、先ほどの「動物」がテーマであれば「どんな一生を送るのか」「仲間の動物にはどんな種類があるか」「どのあたりに生息しているのか」など、知りたいことをノートにリストアップしていきます。大まかにまとめてあるだけでも、目的をもった見学をすることができて効率的です。上野動物園教育普及係の井内岳志さんは、動物の体の部分の「細かな特徴を見比べる」ことを提案しています。動物の「目の位置」や「足の形」などです。目は動物によってついている場所が違います。草食の動物の目がついている場所は、頭の横のほう。(中略)逆に、肉食の動物の目は前の方についています。(中略)指が何本あるかなど、足の形もさまざまです。馬は1本指、ウシやキリン、シカは2本指(さらに小さな2本の指をもつことも)、バクの後ろ足やサイは3本指です。鳥の場合は、前に向いている3本の指のほかに、後ろに向かって親指が1本ついているものがあります。(引用元:Study Hackerこどもまなび☆ラボ|「夏休みの自由研究」は動物園で。上野動物園おすすめの“調べ学習”のテーマとポイント)また、井内さんによると、家であらかじめ親子で本や図鑑を読んでおくと、動物や動物園について興味が深まるそうです。そして、園内を回るときには小さな図鑑を持って歩くと、実際に動物を見ながらいろいろと考えることができるのですって。博物館や科学館の見学で注意したいポイント●当日の持ち物は早めに準備行き先や日程が決まったら、下調べをしながら持ち物リストを作ります。特に必需品なのは、これらです。筆記用具、ノート飲み物カメラ、ビデオカメラ(撮影が許可されている場合に限る)水分補給用の飲みもの筆記用具は、ペンのインクやシャープペンシルの芯で展示物を汚さないよう鉛筆をもっていきましょう。ノートは下調べしたことや聞きたいことを先に書いておくと、現地でポイントを押さえながら見学できてスムーズです。●写真は撮影できるかどうか常に確認する写真撮影NGの会場が多いですが、最近は撮影OKのエリアやSNS用のフォトスペースなどを用意している会場も増えてきています。撮影可能なスペースを逃さないよう、写真が撮影できるかどうか常に確認しながら見学しましょう。また、撮影ができずレポートに貼れる写真がない場合には、会場で配られるパンフレットを切り貼りして活用するのもおすすめです。●水分補給は入館するまえに済ませる水分補給のための飲みものは、持参することをおすすめします。ただし、館内は飲食禁止というところがほとんどなので、入館前にしっかり水分補給しておきましょう。●大人はあまり口出ししない大人の視点から、つい「ほら、あれ見てごらん」「これも見ておくといいよ」と声をかけてしまいがち。しかし、「スーパー保育士」として子育てに関する研究・執筆・講演活動を行なっている原坂一郎氏は、ぐっと我慢することを勧めています。大人と子どもの視点は違いますし、子どもは子どもなりに関心を抱いたものを見て、感動や発見を覚えているのです。子どもがどんなことに興味をもって、何を見ているのかを優先してあげましょう。見学してわかったことをまとめるときのポイント博物館や科学館の見学内容は、次のようにまとめるとわかりやすくなります。調べようと思ったきっかけどんなテーマで見学したか見学する前の予想(テーマに対する仮説)博物館や科学館で調べて分かったことこの研究をしてみた感想見学先の施設情報(名称、場所など) 特に「博物館や科学館で調べてわかったこと」は、メインの内容でボリュームが大きくなるので、まとめるのも大変です。お子さんが途中で飽きてしまわないよう、写真やパンフレットを使って見てきたものを振り返ってみるなどのサポートをしてあげましょう。「自由研究がきっかけで博物館にハマった!」というお子さんは、「博物館の達人」を目指してみてはいかがでしょうか。全国の博物館を10回利用し、学んだことの記録と感想文を国立科学博物館へ提出すると、認定証をもらえる企画です。夏休みならではの楽しい思い出にもなりますね。「博物館の達人」について、詳しくはこちら。***博物館や科学館は、子どもの学びを深める最良の教材とも言えます。もし、アニメやマンガを調べたいとお子さんが言い出したとしても、「もっと研究にふさわしいものに」とテーマを変えさせないことが大切です。好きなことで調べ方を学ぶほうが意欲も高まりますし、仕上がりもきっと満足いくものになるでしょう。(参考)ベネッセ教育情報サイト|おもしろくて、ためになる!博物館の歩き方【前編】見学編ベネッセ教育情報サイト|おもしろくて、ためになる!博物館の歩き方【後編】自由研究活用編国立科学博物館|博物館の達人についてSHINGA FARM|4歳児から楽しめる! 子どもと国立科学博物館をまわる5つのポイントBusiness Journal|学力の高い子ども、親の習慣や家庭環境に「共通の傾向」…文科省調査で判明ベネッセ教育情報サイト|親子で美術館・博物館に出かけてみよう!芸術の秋を親子で楽しみたい!【PR】
2019年08月01日成長するにつれて、子どもの個性は色濃く出てきます。長所も短所もその子の個性であり、良いところはどんどん伸ばしてあげたいですよね。一方で、短所になり得る点を早いうちから直してあげるのも、親としての大事な役目です。親の声かけや対応、周囲の環境などは、子どもの成長に大きな影響を及ぼします。今回は、物事が続かない・すぐにあきらめてしまうお子さんを変えるヒントをお伝えしましょう。「すぐにあきらめる子」は将来どうなる?「もういいや」「つまらない」「飽きちゃった」「どうせ僕(私)にはできないよ」ーーこれらの言葉がよくお子さんの口から出てくるとお悩みではありませんか?もしくは、お子さんの普段の様子を観察してみると、次のような傾向があるのではないでしょうか。・遊びや勉強など、最初のうちはやる気満々で夢中になって取り組むが、すぐに飽きる。集中力が持続しない。・あれもこれもと興味の対象が多いわりに、どれにも執着しない。・困ったことに直面しても、すぐに「まあいいか」と言って真剣に向き合おうとしない。たとえまだ小さな子どもでも、少し気になるこれらの言動。しかしこのまま放っておくと、高学年以降の成長過程においてさまざまな悩みの種になりかねません。勉強やスポーツでも、続けることでしか手に入らない結果があります。ちょっと壁にぶつかったくらいですぐにあきらめてしまうようでは、本人が望む成果は得られないでしょう。するとそのうち「自分は何をしてもダメなんだ」「結果が出ないのは自分の能力が低いせいだ」と、自己肯定感が低下していくのです。大人になって就職しても、変化のないルーティンワークからは刺激を感じられず、与えられた業務をおろそかにするようになります。その結果、周囲からの評価を得られないどころか、自分の実力に向き合うことをせずにすぐに環境を変えたがり、転職を繰り返す可能性もあるでしょう。「飽きっぽい」「あきらめが早い」ということは、大きな成功から遠ざかるひとつの要因にもなりうるのです。「あきらめ癖」がついてしまったのはなぜ?そもそも、なぜ「あきらめ癖」がついてしまうのでしょう。脳の仕組みを見てみると、熱しやすく冷めやすいタイプは、行動を促進するドーパミン神経系の活性化を求める傾向があると言われています。新しいものや刺激のあるものを求めることは、脳にとって決して悪いことではないのです。しかし一方で、コツコツがんばって続けられる人や、刺激を追い求めずに安定した日々を送る人もいます。「すぐにあきらめる人」との違いは一体何なのでしょう?そのヒントは、親の日頃の言動に隠されているようです。『ほめると子どもはダメになる』(新潮社)の著者で心理学博士の榎本博明氏は、「親から投げかけられた言葉や親の口ぐせは、自己観や人生観の土台になります」といいます。つまり、親の口ぐせが子どもの人生を方向づけると言っても過言ではないのです。たとえば、何かにつけて「どうせ無理」「きっとダメだよ」と言ってすぐにあきらめてしまう子は、親自身が後ろ向きなものの見方をしていることが多く、親の口ぐせを無意識のうちに心の中に取り込んでいるそう。とくに、次の2つの思考パターンには注意が必要です。■子どもを自分の思い通りにコントロールしようする「なんでできないの!」「こんなこともできないなんてダメね!」常日頃からこのような言葉を投げかけていると、子どもの自信はみるみるしぼんでいきます。それにより「どうせ何をやってもダメなんだ」と、あきらめ癖がついてしまうのです。■すぐに感情的になるたとえば朝、子どもが準備に手間取っているとします。そこで感情的になって「もう!モタモタしないで!」と思いつくままの言葉をぶつけていませんか?すると子どもは萎縮し、本来ならスムーズにできることもうまくできなくなり、ますます自信が失われてしまいます。私が実施した意識調査でも、子育て中の親のほとんどが、「子どもが思い通りにならない」といってイライラしています。社交的な親は、内気な子にイライラしています。神経質な親は、大ざっぱな子にイライラします。でも、子どもは親とは別人格、親の思うようには動きません。このことをしっかりと頭に刻んでおきましょう。(引用元:PHPファミリー|親がかける言葉で、子どもの人生が変わる)今からでも少しずつ親御さん自身の口ぐせや思考パターンを変えるように心がければ、お子さんの「あきらめ癖」も改善されていくはずです。ポイントは、前向きな言葉を口ぐせにすること。「モタモタしないで急いで!」ではなく、「さあ、もう少し急ごうね。がんばって!」と前向きな言葉をかけてあげるだけで、子どもは「自分はやればできる」と自信を失わずにすむのです。あきらめが早い=切り替えが早い!?枠にとらわれない思考法「リフレーミング」とはここでは少し視点を変えて、「あきらめ癖」について考えてみましょう。教育評論家の親野智可等氏は、わが子の短所ばかりが目につき、つい必要以上に心配したり叱ったりすることに悩む親御さんに向けて、「リフレーミング」という手法をすすめています。たとえば、「新しいおもちゃも、最初のうちは夢中になるけれど、すぐに飽きて見向きもしなくなる」「何かをやり始めたとき、ちょっとでも壁にぶつかると途端にあきらめる」「やる気が持続しない」という傾向があるとします。親からすると「こんな調子で将来大丈夫かしら?」と不安になりますよね。それこそが、一定の枠組み=“フレーム”を通してしかものを見ていない証です。「リフレーミング」とは、そのフレームを外して別の角度から見直すことを意味します。そうすることで、マイナスポイントに思えるものが、一転してプラスの側面を見せてくれるのです。「飽きっぽい」「あきらめが早い」といったマイナス要素を、別の角度から見直してみましょう。すると、「気持ちの切り替えが早い」「多様性を受け入れられる」「楽天的」「自分の気持ちに正直」……などの長所が思い浮かびます。それは将来、仕事に就くうえでも確実にプラスにはたらきます。あきらめ癖があるということは、決して悪いことばかりではないのです。その個性をうまく引き出せば、良い方向へと伸びていく可能性を秘めています。必要以上に心配しないようにしてくださいね。あきらめ癖がある子どもが粘り強くなる3つのコツとはいえ、すぐにあきらめて何ひとつまともに続かないのは困りものですよね。世の中には、続けることでしか手に入れられないものがたくさんあります。簡単に投げ出してはいけないものがあるのだということも、小さいうちから知っておく必要があるでしょう。ここでは、あきらめ癖がついてしまった子どもが「あきらめない心」を手に入れる方法をご紹介します。■クリアできそうな目標を常に用意するがんばればクリアできそうな目標に向かって取り組むと、快感にかかわる脳のドーパミン神経系の働きが最大化すると言われています。もっとも効果があるのは、子どもが50~75%の確率で達成できそうな目標を設定すること。スモールステップをクリアすることを繰り返せば、いつのまにか「やり抜く力」が身につくでしょう。■目標は「肯定的」で「具体的」に!否定語を入れないのがポイントです。「宿題が終わるまでゲームをしない」よりも「ゲームをしたくなったら窓の外を見る」というように、肯定的なフレーズを入れると◎。また「1年生のときよりも勉強をがんばる」では達成感がわかりにくいので、「テストでは毎回80点以上をとる」と具体的な目標を立てましょう。■「成功体験」を積み重ねることを意識する本格的なロジカルシンキングを取り入れた学習塾ロジムの塾長、苅野進先生は、「粘り強さを手に入れるためには、何かを成し遂げた『成功体験』が必要です」と述べます。「あのときうまくいったから、次もうまくできるはず」と思うことでさらに頑張れるというわけです。子どもにとって一番身近な成功体験は、親に褒められること。ただし結果を褒めるのではなく、問題に取り組んだことや、少しずつでも前進していることを褒めてあげましょう。たとえ失敗しても、チャレンジしたことを褒められれば、それが成功体験となります。***親の声かけによって子どもの粘り強さが身につくのなら、どんどん褒めてあげたいですね。「がんばって取り組んでるね!」「さっきより進んでるね!」「失敗したけど、ひとつわかったことが増えたね!」と、ありのままの姿や物事に取り組む姿勢を褒めてあげると、子どもの自信につながりますよ。(参考)洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』, 洋泉社.PHPファミリー|親がかける言葉で、子どもの人生が変わる東洋経済ONLINE |「いい子」「悪い子」すべては”親の決めつけ”だ洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』, 洋泉社.Study Hacker こどもまなび☆ラボ|才能よりも大切な「GRIT」!子どもの“やり抜く力”の育て方~家庭内ルール~
2019年04月20日どこへ連れていっても「いい子ですね」と褒められる、わがままを言うなど親を困らせるようなことは絶対にしないーーそんな “いい子” に育ってほしいと願う親御さんは多いはずです。しかし実際には、そのような “いい子” はいくつかの問題点を抱えており、そのまま成長するとさまざまな不調が出てくるといいます。もし今、お子さんが無理をして “いい子” を演じているのなら、親子の関係性や子どもへの対応の仕方、声かけなどを見直す必要があるかもしれません。いい子症候群の特徴教育カウンセラーの諸富祥彦先生によると、親に褒めてもらいたくて自らが頑張る力を発揮する「一般的な良い子」と、親の期待に過剰に応えようとするいわゆる「いい子症候群」には決定的な違いがあるといいます。子どもはみんな、お父さんやお母さんから褒めてもらいたいもの。それは当然の感情であり、褒めてもらうことを目的に良い行いをするのはごく一般的な子どもの特徴です。しかし「いい子症候群」に当てはまる子どもは、褒められることよりも、親が不機嫌になることを恐れ、どうしたら親が喜ぶのかを常に考えてしまうのです。その特徴とは一体どのようなものなのでしょうか?■言動が受け身■自己主張が苦手■感情表現が乏しい■親の指示がないと不安になる■小さな決断も自分ではできないおとなしい子、内気な子、優等生タイプの子とは少し違う「いい子症候群」は、親がどう思うか、親からどう思われるかが何よりも大事なのです。親の期待に応えられなければ自分の存在価値を認められないので、自分の意思を主張できなくなります。また、一見素直で従順ですが、実は自分を押さえ込んでいるため、突然感情を爆発させることもあるので注意が必要です。つまり「いい子症候群」とは、「大人の顔色をうかがい、先回りして親の期待に応えようとする自主性のない状態」であるといえます。問題は、期待されている「答え」(=正しい言動)を先取りするうちに、それが自分の意思であるかのように錯覚してしまうこと。いい子を演じている自覚がないまま成長すると、どのようになってしまうのでしょうか。成長後にも強い影響を及ぼす「いい子症候群」幼少期に親の前で「いい子」でい続けると、思春期には次のような言動が目立つようになります。・親の目の届かない場所で溜まったストレスを発散させるようになる・お友だちをいじめる側になったり、先生の言うことを聞かずに困らせたりと、問題行動が表面化することもある・トラブルの回避方法がわからないまま成長するので、コミュニケーション能力が低下してしまう・自分の感情に鈍感になり、喜怒哀楽をはっきりと表現できず相手の期待に沿った反応しかできないさらに「いい子症候群」のまま大人になると、たとえば友人と外食するときにメニューが決められない、という問題に直面します。自分が何を食べたいのかわからず、他者の好みや判断に任せてしまうのです。幼少時に親から聞かれたときも、実は「親に喜ばれるメニュー」を選んでいるため、その思考パターンが染みついていることが影響しています。ほかにも会社で上司に間違いを指摘されただけで、自分が否定されたと思い込み、「悪いのは自分じゃない、相手が悪いんだ」とキレてしまうことも。否定されると存在価値が揺らぐ傾向があるので、責任の所在が常に自分ではなく、他者にずれてしまうのです。『ほめると子どもはダメになる』(新潮社)の著者で心理学博士の榎本博明氏は、「親がコントロールしやすい子、つまり親の言いなりに動く子は自立できない心配がある」と述べています。自分で考えて動くことができない “指示待ち” の思考が身についてしまうと、判断力も実行力もないまま社会へと出ることになるので、子ども自身の将来のためにも「いい子症候群」からの脱却が望まれます。「いい子症候群」を引き起こす最大の要因子どもを「いい子症候群」にしてしまう一番の要因として、親が子育てで自分の欲求を満たそうとしていることが挙げられます。子どもへの期待が強すぎて、親が子どもに依存しているのです。親と子どもは違う人間であり、子どもはひとりの独立した個人である。そのことを忘れてしまうと、親は一方的に自分の理想を押しつけて、子どもはその期待に応えようと無理をしてしまいます。「いい子にしなさい!」「言うことを聞きなさい!」「なんでいい子にできないの?」「なんで言ったことができないの?」「ほかの子はできるのになんでできないの?」これらの言葉を言われるたびに、子どもは親の期待に応えられない自分を責めるようになるでしょう。できないことを残念がって失望した表情を見せたり、小さな成長を「できて当たり前」だと褒めなかったりしていませんか?また子どもが関心のあることに興味が持てず、子どもの気持ちを無視した行動をとっていませんか?小さな子どもにとって、親は絶対的な存在です。自分の本当の気持ちを伝えられる親子関係でなければ、子どもはいずれ親に対して心を閉ざしてしまうでしょう。子どもが「いい子症候群」になってしまうのは、性格の問題ではありません。親子の関係性こそが最大の要因です。だからこそ、お互いの人格を尊重して、本音を認め合える関係を築く必要があるのです。親の意識が変われば子どもも変わる!わが子が「いい子症候群」かもしれないと不安を感じているのなら、お子さんに対する言動を少し変えてみるといいかもしれません。■子どもの自主性を尊重するどんなに幼い子どもでも、必ず自分の意思を持っているものです。子ども自身に選ばせる機会をたくさん与えてあげてください。その積み重ねによって「自分は認めてもらった」という自信や責任感へとつながります。たとえば一緒に買い物に行ったとき、お子さんに「今日のサラダに使うトマトはどれがいいかな?○○くん、一番おいしそうなトマトを選んでくれる?」と選ばせてみましょう。そして食事のときも「○○くんが選んでくれたトマト、すごくおいしいね!」と伝えてあげてください。お子さんの自信につながり、自己肯定感が高まります。■まずは親の気持ちを子どもに伝える親自身の気持ちを伝えて、子どもが自分の感情を出しやすい親子関係に変える努力が必要です。「お母さんはこう思ってるけど、○○ちゃんはどう思う?」と聞いてあげてください。親と子の意見は別ものだとお互いに認識することが大切です。たとえば毎朝の洋服選びのとき、親が決めたものを無理に着させたり、子ども自身が選んだものにダメ出しをしたりしていませんか?「○○ちゃんが選んだお洋服、可愛いね。でも今日は寒くなるみたいだから、もう少し暖かい格好をしたほうがいいと思うんだけど、どう思う?」と、子どもの意見を一度認めてあげましょう。親と子が対等に意見を言い合える関係づくりを心がけてみてください。■ルールや決まりにとらわれすぎないルールを重視しすぎて大人の理想を押しつけてしまわないようにしましょう。家の中であれば、多少気ままに過ごしても誰にも迷惑はかけません。のびのびと過ごすことで、「自分の意思で行動してもいいんだ」という安心感を与えてあげてください。子どもがのんびり過ごしていると、ダラけているように見えて心配になりますが、「早く宿題をやっちゃいなさい!」と命令や指示をするのではなく、「何時になったら宿題を始める?」と聞いてみましょう。お子さんが自分の意思で行動できるように促してあげることが大切です。***「いい子でいてほしい」と願うのは親ならば当然です。しかし、過剰な期待を子どもに寄せるあまり、子ども自身が「親が望むいい子」であろうとすると、いずれどこかで無理が生じてしまうでしょう。そうならないためにも、親も子も理想を追い求めすぎずに、子ども本来の個性を認めてあげることが大切なのですね。(参考)ベネッセ教育情報サイト|「いい子症候群」とは?どんなお子さまに当てはまるの?exciteニュース|子を“いい子症候群”にする親の特徴exciteニュース|いい子症状群のまま大人になると、どうなる?PHPファミリー|親がかける言葉で、子どもの人生が変わる
2019年04月09日写真はイメージですあなたのまわりに、「なんだかハナにつく、人望がない人」はいませんか?そんな人たちに共通するのが「匂わせ」のしすぎであることだ。たとえば、「彼氏に大事にされている」ことをことさらに強調してくる人がいる。こっちは何も興味がないし聞いてもいないのに、「彼ったらね、こんなこと言うの」「どんなに仕事で疲れていても、かならず家まで送ってくれるの」などと、いかに自分が大事にされているかを強調する人がいる。『「上から目線」の構造』『薄っぺらいのに自信満々な人』(ともに日本経済新聞出版社)などがベストセラーとなり、現代の人間心理をずばりと読み解く手腕に定評のある、心理学博士の榎本博明氏。氏の新刊『「自分のすごさ」を匂わせてくる人』(サンマーク出版)は、発売と同時に大きな話題となっている。本書から、心理学者の榎本氏の目線で見た「自慢せずにいられない人」と「他人の匂わせに過敏に反応してしまう人」の心のメカニズムを紹介していこう。◇◇◇■「いい人がいる」匂わせ自分にはいい人がいるのだと、言葉の端々で匂わせたり、SNSの投稿写真で匂わせたりする人がいる。デートをほのめかすコメントをつけて、おいしそうな料理の並んだおしゃれなレストランのテーブルの写真や、ムードのあるラウンジのソファー席の写真をアップするなどの、手の込んだことをする人もいる。たとえば、そのような写真にさりげなく男性の存在を匂わせる。テーブルの隅に男物のハンカチが写っていたり、男物の財布が写っていたりする。男物の腕時計をした腕がチラッと写った写真や、わざと恋人の家で撮った写真をアップするという女性もいるようだ。このような写真を「チラ写り」というらしい。そのような投稿には、自分にはつきあっている異性がいると誇示したい気持ちがあからさまに漂っている。そうした投稿をくり返し、つけている腕時計が違っていたり、明らかに違う男性の腕だったりして、いかにも複数の異性とつきあっていることをほのめかす場合もある。そこには、自分は異性にモテモテだと誇示したい気持ちが漂っている。だが、そのような「匂わせ」は、本人が望むような効果を発揮しないことが多い。なぜなら、ほんとうにいい人がいて幸せなら、そんな「匂わせ」をしようなどとは思わないからだ。あまりにわざとらしいため、「どうせ一人芝居でしょ」「そこまですると、なんか見苦しいね」「必死すぎて“痛い”って感じ」などといった反応が多い。匂わせることで、「孤独なんだなあ」と見抜かれてしまう。それでも「いい人がいる」匂わせをしてしまう。やらずにはいられないのだ。劣等感を人間の成長の根源とみなす心理学を打ち立てたアドラーは、自分を大きく見せようという動きの中に、「劣等コンプレックス」を見ることができるという。劣等コンプレックスは無意識のうちに作用している。自分が他者に対して優越しているのを見せつけるように振る舞う人たちの心の中には、劣等コンプレックスが潜んでいるのである。劣等コンプレックスの強い人ほど、過剰な「匂わせ」をしてしまっているのだ。■結婚したとたんに福山雅治を攻撃したファンたちそれでも自分は「匂わせ」をされている、自分を見下している……と過敏に反応しすぎてしまう人もいる。人気絶頂の福山雅治が女優の吹石一恵と結婚したのが大きな話題になったとき、福山と親しい間柄のお笑いタレント今田耕司が、福山から結婚はどうするんだと心配されたというような話が伝わった。すると、ネット上で、「結婚したら急に上から目線になった」「余計なお世話だ」などと、福山に対する批判が殺到したという。福山ロスと言われるほど、福山の結婚はファンにとって大きな衝撃となったのは間違いない。好きなタレントを奪われたかのような気持ちになるのはわかるが、好きならその人の幸せを祝福してあげようという気持ちになってもいいだろう。手のひらを返したように攻撃するのはどうだろうか。愛と憎しみは紙一重というように、ちょっとしたことで反転してしまうこともある。だが、もしかしたら、とくにファンではなく、結婚願望が強いのに相手がいないという人たちが、今田のエピソードに反応したのかもしれない。「結婚したら急に上から目線になった」というように感じるのは、感じる側の心の中に、結婚できないことに対する焦りや引け目があって、それでつい幸せな結婚をしたように見える人物に対して攻撃的になってしまう、ということなのではないか。男の子を出産したモデルの蛯原友里のブログに、批判がつぎつぎに書き込まれたこともあった。蛯原は、お腹にいた赤ちゃんが自分の胸ですやすや眠っている寝顔を見ているととても愛おしく味わったことのない幸せな気持ちに包まれ毎日感動しているというように、自分の幸せな気持ちを書いただけで、別に、誰かを攻撃したわけではない。では、攻撃的な気持ちはどこからわいてきたのか。それは、蛯原を批判した人たちの心の中である。「赤ちゃんを抱いて見つめていると幸せな気持ちになる」という言葉から、「子どもを産めない女は幸せになれない」という攻撃的なメッセージを深読みしてしまう。■なぜ「幸せそうな投稿」にイラッとしてしまうのか?そこには、「投影」という深層心理メカニズムが働いている。投影というのは、たとえば、自分が相手を妬み、自分がそういう醜い気持ちになっていることを認めたくないとき、それが相手に投影されて、相手が醜い気持ちを持っていると思い込む心理メカニズムのことである。こちら側にある画像をプロジェクターで向こう側のスクリーンに映し出すように、自分の中にある醜い気持ちを相手の中に映し出す。つまり、自分が相手に対して向けている妬みとか攻撃的な気持ちを、相手がこちらに向けていると思い込むのである。この心理メカニズムには2つのメリットがある。ひとつは、自分自身の醜い攻撃的な気持ちを認めずにすむことである。もうひとつは、相手が醜い気持ちを持っていると非難することで、一見正当な理由のもとに相手に対する攻撃衝動を発散できることである。「いつも高級な服ばかり着てるね。自分が裕福だって、そんなに見せびらかしたいの」と、心にもないことを言われ、ものすごくショックを受けたという人がいる。「どうせ私は学歴がないし、頭悪いけど、自分の頭の良さをそんなにひけらかしちゃって。人をバカにして気持ちいいの?」と非難されたが、ひけらかすようなことを言ったつもりはないし、バカにするようなことも言ってないし、なぜそんなことを言われるのかわからないという人もいる。こちらは見せびらかすつもりなどないのに「見せびらかしている」と言われる。こちらはけっしてバカにしていないのに「バカにしてる」と責められる。こちらは自分の嬉しい気持ちを表現しただけなのに、「見下した」といわれる。それは、まさに無意識のうちに働いている、投影の心理メカニズムの仕業といえる。自分より恵まれた相手に対する憎たらしい気持ち、つまり妬みからわいてきた攻撃的な気持ちを、そのまま認めるのは辛い。だから、相手が「見せびらかしている」「バカにしている」「見下している」と思い込むことで、自分の中にある攻撃的な気持ちを正当化するのである。その場合、相手の態度に問題があってイラッときたように本人は思っているが、じつは相手には何の悪意も落ち度もないのに、自分が勝手に妬んで攻撃的になっているのである。匂わせる側と匂わせに反応する側にはこのような心理メカニズムが働いている。自分自身がイヤな気持ちになりすぎず、さらに相手もイヤな気持ちにさせずに生きていくための参考になれば幸いだ。(文/榎本博明)<プロフィール>榎本博明(えのもと・ひろあき)◎1955年東京生まれ。心理学博士。東京大学教育学部教育心理学科卒業。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員教授、大阪大学大学院助教授などを経て、現在、MP人間科学研究所代表、産業能率大学兼任講師。おもな著書に『「上から目線」の構造』『薄っぺらいのに自信満々な人』(ともに日本経済新聞出版社)、『カイシャの3バカ』(朝日新聞出版社)などがある。
2017年10月22日『ふたりはプリキュア Splash Star』美翔舞役などで知られる声優の榎本温子が3月7日、自身のTwitterで結婚を発表した。相手は『ガンダム Gのレコンギスタ』ベルリ・ゼナム役などを担当している声優の石井マーク。榎本は3月7日、Twitterに「榎本温子から皆さんへ大切なお知らせです」とウエディングドレス姿で石井マークとの写真を公開した。「マークさんとは番組がご縁で知り合い、お付き合いするようになりました。彼と過ごす時間はとても心地よく、また、お仕事のことでも分かりあえて、自然に将来を意識するようになりました。共通の趣味も多く、毎日二人で笑っています」とつづっている。石井マークは「温子さんとは番組や、趣味がご縁で知り合い、お付き合いするようになりました。温子さんは僕より12歳年上で、芸歴も上ですが、そういった差を感じさせない、彼女の暖かい優しさがとても心地よく、次第にこれからの人生のパートナーとして一緒に過ごしていきたいと思うようになり、結婚を決意しました」と発表している。石井は中学生のときにゲーム『.hack//G.U.』がきっかけで声優を目指し、2014年に『思い出のマーニー』で声優デビューを果たした。また、榎本はラジオ「.hack//G.U.RADIO ハセヲセット」でメインパーソナリティーを務めていた。
2016年03月07日【相談者:20代女性】彼がなかなか連絡をくれなくて困っています。仕事柄いつも忙しくしているので、なるべく私が負担にはならないようにしているつもりですが、デートの約束だっていつもギリギリです。 マメに連絡してくれとはいいませんが、こっちもストレスがたまるので脅迫メールみたいになってしまいます。どうしたらもっと連絡をくれるようになるでしょうか。●A. 彼の連絡であなたがどんな気持ちになるのか上手に伝えましょう。人生の迷宮脱出ガイド、心理分析士の咲坂好宥です。連絡が来ないって、恋愛に限らず仕事でも何でもストレスですよね……。もしかしたら彼は、あなたとのことだけでなく、ご友人や仕事でも同じような傾向があるのかもしれません。ただ、その理由は様々ですので、ここではどうしたら行動してくれるのかについて考えてみましょう。●行動しやすい脅しと行動しにくくなる脅しなかなか連絡をくれない彼に対して、つい脅迫メール(苦笑)のような連絡をしてしまうお気持ち、よくわかります。でもそれはあまり有効ではないみたいです。心理学者の榎本博明博士は著書『心理学者が教える 思うように人の心を動かす話し方』の中で、不安や恐怖を強く与えれば与えるほど人は思う通りに動いてくれるかというと、むしろ逆効果だという実験データを紹介されています。「歯を磨きなさい」という命令を、「恐ろしい病気になる」という強い脅しと「虫歯になる」という弱い脅しの2種類の言い方で比べたところ、強い脅しは恐怖が強すぎて逆に行動の妨げになってしまい、弱い脅しのほうが行動したとのことです。あなたの連絡、強い脅しになっていませんか?これは程度の差があるのでなかなか難しいところですが、「連絡くれないと虫歯になっちゃうよ」という程度の脅し(笑)を探ってみてください。●あなたの感情と感謝の気持ちを必ず添えましょうただ、強かろうが弱かろうが“恐怖”だけでは息詰まりますよね。人間は責められ続けている感じがすると、そこから逃げ出したくなるものです。そこで連絡をくれることがどんなにいいことなのか、彼がイメージできるように伝えることも大切だと思います。連絡をもらったらあなたはどんな気持ちになりますか?うれしかったり、ワクワクしたり、塞いでいた気持ちがパッと明るくなったり……。たとえばそんな気持ちを、ちゃんと彼に伝えてみてはいかがでしょうか。それともうひとつ。もしかして連絡をくれるのが当たり前になっていませんか?彼には彼の事情や価値観があります。決して当たり前ではないんですよね。では、当たり前の反対って何でしょうか。そう、「ありそうにない=有り難い」です。付き合っているんだから当たり前ではなくて、彼が連絡をくれることに対する「ありがとう」という思いを、弱い脅しに添えて(笑)きちんと伝えてあげてくださいね。お二人がますます仲良くなれますように!【参考文献】・『心理学者が教える 思うように人の心を動かす話し方』榎本博明・著●ライター/咲坂好宥(心理分析士)深層心理分析やコーチングなどを使った、人生の迷宮脱出ガイド。かつては「自分には愛される価値なんかない」という思い込みから人生がうまく行かず、借金苦、依存症、離婚など、どん底を経験。しかし、父の死や前世療法などの体験を通して、自分の価値を思い出す。その後、同じように人生の迷宮に入り込んでいる方々が、ココロを軽やかにして前に進むためのガイドを務める。出来事の解釈を変え、やる気と底知れぬ可能性を思い出していただくセッションを得意とする。
2015年03月02日