4月にTBS赤坂ACTシアターで上演される「赤坂大歌舞伎」。2008年に始まり5回目となる今回、初めての新作歌舞伎『夢幻恋双紙 赤目の転生(ゆめまぼろしかこいぞうしあかめのてんせい)』を上演する。その作・演出をつとめるのは、中村勘九郎・中村七之助と同世代の劇作家である蓬莱竜太。赤坂大歌舞伎 チケット情報今作を「演劇界をひっくるめての事件になれば」と熱く語る勘九郎に話を聞いた。「前々から蓬莱さんに書いて欲しいと話していたのですが、4月に赤坂大歌舞伎をやることになって『じゃあここでできるじゃん!』って」と、待ちに待ったタッグであることが笑顔から滲み出る勘九郎。蓬莱といえば小劇場のイメージもあり、先日行われた製作発表会見でも「僕が普段やってる芝居は歌舞伎とは縁遠いというイメージを持っていまして。逆にそれがどう融合するか楽しみ」(蓬莱)と話していたが、勘九郎自身は「蓬莱さんは家族や日常を…日常の変な人たちを描くのがすごくうまい。(蓬莱が脚本を手掛けた)『まほろば』を観たときに絶対に(歌舞伎でも)書いて欲しいと思ったんです」。同世代の蓬莱とのタッグは、父である十八代目中村勘三郎の言葉も背景にある。「父が言っていたんですよ、『俺はしあわせだ。同世代で野田秀樹、渡辺えり、それに串田和美さんとか、いろんな人と巡り会って新しいものを生み出してきた。お前達も巡り会えたらいいね』って。だからこれは喜んでくれると思います。ただやっただけじゃ怒られますけども」。気が弱くイマイチな男・太郎(中村勘九郎)が、愛した歌(中村七之助)を幸せにするために転生を繰り返す物語。勘九郎は「あらすじを読んですぐ電話しましたね、『天才だ!』って(笑)。ミステリーであって、喜劇のようで、笑いながら深い闇に落とされるような話です」。会見では蓬莱が「パラレルワールドみたいなもので、人格がこんなに人生に影響していくんだっていうことが描かれています」と解説。恋模様については勘九郎が「さすが蓬莱さんというような台詞が散りばめられています。(愛する女性に)これを言ったらいけないよとか、これ絶対『帰る』って言い始めるよ…って言葉がね、あるんですよ(笑)。男性も女性も覚えのあるものが表現されると思います」と話し、どこか馴染みやすさを感じさせる。会見では七之助も「リアルな描写。これを歌舞伎にしてどうなるのかなというのが楽しみです」と感想を述べつつも、演者として「役者が一生懸命やらないとダメにしてしまう作品。がんばらないと」と気合いをみせた。公演は4月に東京・TBS赤坂ACTシアターにて。チケットぴあでは2月8日(水)午前11時まで抽選先行プレリザーブのエントリーを受付中。取材・文:中川實穗
2017年02月03日「助六」に「義経千本桜」、和風な歌舞伎演目イメージネイル今回は、日本の伝統芸能の歌舞伎をテーマに、ネイルシールで簡単に作れるアートを作りました。歌舞伎の観客席には和装の方も多いのですが、着物や小物は季節感を演出するだけでなく、役者の方や演目、登場人物など、その日に観るお芝居に関連のあるモチーフを取り入れて観劇ファッションを楽しんでいるそうです。和装でおしゃれをして観劇って、すごく素敵で憧れますが、普段、着物に触れる機会がない人にとってはハードルが高いのも正直なところ。そこで、歌舞伎にまつわるモチーフもネイルなら取り入れやすくなるはずと思い、作ってみました。今回のネイルは、歌舞伎役者の坂東巳之助さんと坂東新悟さんが監修されたネイルシールを使用しています。このシールには歌舞伎のモチーフや隈取と共に、お二人が考案されたキャラクターと、キャラクター用の着せ替え隈取やかつらシールが入っています。キャラクターを着せ替えて、演目をテーマに2パターンご紹介します。 江戸一番の伊達男!「助六」イメージネイル1つ目は、「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」ネイル。この演目は、「助六」さんという、強引に一言で表すと“超おしゃれイケメン”が登場するお話です。黒ベースのストレートフレンチは、助六の着ている着物、小指は履いている足袋と下駄の配色をイメージしました。中指は、キャラクターに助六の隈取を重ねて、トレードマークの鉢巻を表す紫のワンカラーをベースにしています。 満開の桜に初音の鼓!名場面をイメージした「義経千本桜」ネイル2つ目は、「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」ネイル。劇中に登場する「静御前」というお姫様は、赤い花柄の華やかな着物、姫の髪型にキラキラのかんざし、そして鼓(つづみ)を持っている人物。赤のベースカラーに、姫のかつらを被せたキャラクターや鼓のシールを貼りました。また、劇中で重要な役割を持つ“狐”をイメージし、狐として登場する姿を“白”、変身して人間として登場する姿を“藤色”で表しています。全体に桜のシールとホロを散らして、名場面として有名な、“桜の咲く中で静御前が鼓を打つシーン”を表現してみました。お芝居のモチーフと、ちょっとユルい遊びの要素をネイルに取り入れて観劇に行くと、より一層楽しめるのではないでしょうか?ぜひ和風の歌舞伎ネイルを楽しんでみてくださいね。Cool NAILS make you smile‼︎ ネイルアーティスト/SAYOKO
2017年01月13日歌舞伎の舞台に使われる“定式幕”って知ってる?今回は、お正月にちなんで和をテーマに、歌舞伎の要素を取り入れたネイルを作りました。みなさんは定式幕(じょうしきまく)って、ご存知ですか?歌舞伎のお芝居で、幕開きと終幕に使われる、あの3色のストライプの幕のことです。名前は知らなくても一度は見たことがある方も多いのではないでしょうか。江戸時代、歌舞伎を観る劇場が3カ所あり、それぞれの劇場で幕の配色が異なっていたそうです。(現在でも、劇場によってこの配色のいずれかを採用していて、統一はされていないそうですよ。)以前からこの3色をネイルにしてみたら……とは思っていまして、いざ調べてみるとパターンが劇場ごとに決まっていたことや、歌舞伎通の方は配色でどの劇場を表しているのかがわかるということを知り、ぜひ通好みのネイルを作りたい!と思い、今回ネイルチップで表現してみました。 日本の伝統色を使用したシンプルなワンカラーネイルが上品かわいい余計な装飾をしたくなかったので、ワンカラーでシンプルに仕上げました。上から順番に、①森田座(守田座)…黒・柿色・萌葱②市村座…黒・萌葱・柿色③中村座…黒・白・柿色だそうです。装飾をしない分、色にはこだわりました。ビビットなオレンジではなく、和の伝統色の「柿色」。ダークグリーンではなく「萌葱色」。少しくすみ抑えた色味が、目立つ配色なのに品がある理由なんだと思います。インパクトのあるカラーと配色も、ネイルにする事で指1本ずつの距離感が出て、ツヤも加わるため上品さが出てきます。また、ワンカラーだと少し抵抗がある方向けに、同じカラーで控えめなフレンチバージョンと、市販のネイルシールを使用したポップでカワイイバージョンも作ってみました。 歌舞伎フレンチネイルで上品な大人っぽさの中に遊び心を!フレンチも、色にインパクトがあるためシンプルに装飾なし。黒と萌葱のトーンを抑えてグレー×柿色の2色にすると、普段の生活にも使いやすいモードなネイルになります。 ネイルシールを貼れば、普段使いもしやすいポップなネイルに!ネイルシールを使用したカワイイバージョンは比較のために同じ配色のワンカラーも並べましたが、シールの有無で全く印象が変わりますよね!ダークグリーン(萌葱色)にゆるキャラが描かれていると、学校の黒板に落書きしたみたいにも見えます。今回はただの落書き風シールではなく、歌舞伎役者の方が監修した「歌舞伎ネイル」用のシールを使用しました。代表的な歌舞伎のモチーフや隈取と共に、歌舞伎役者さんの落書きから生まれたキャラクターも入っていたので、敢えてカワイイ感じにするためキャラクターをメインで使いました。この“知ってる方は気が付く”感覚と遊びの要素をネイルに取り入れれば、きっと「通好み」のさりげなさアピールができるネイルになると思います。ぜひお正月には和風のネイルを楽しんでみてくださいね。Cool NAILS make you smile‼︎ ネイルアーティスト/SAYOKO
2017年01月06日●歌舞伎俳優は、"板の上にいるのが自然"な人たち大人気漫画『ONE PIECE』が日本の伝統演劇・歌舞伎とコラボ!? スーパー歌舞伎II『ワンピース』は歌舞伎界だけではなく、少年漫画ファンや演劇ファン、ネットユーザーからも注目を集めた。現在は、大好評の舞台版を全国の映画館で楽しめる"シネマ歌舞伎"が上映中だ。主人公・ルフィを演じる市川猿之助を筆頭に数々の歌舞伎役者が出演しているが、実はルフィの兄・エースを演じているのは、俳優の福士誠治。原作屈指の人気キャラクターで二枚目っぷりを発揮した福士に、その役作りや、外部から見た歌舞伎界の印象を聞いた。○猿之助さんはあえて原作を読まない――最初に「ワンピースを歌舞伎で」と聞いた時の感想はいかがでしたか?「猿之助さん、ついに!!」という感じでしたね(笑)。いつも人を驚かすのが大好きだし、すごい企画だと思いました。もちろん『ONE PIECE』自体も読んでいたので、舞台化、それも歌舞伎、そして自分がエースをやらせていただけるなんてと、いろいろと不思議でした。想像がつきませんでした。どういう話にするのかも、気になりました。長い作品ですし、初期のナミ、ゾロ、サンジ、ウソップ……とだんだん仲間が増えて行く部分も面白いじゃないですか。脚本を開いたら、すでに仲間が揃っている状態からのエース奪還だったので、「ここをクローズアップするんだ」と意外でした。――福士さんはもともと原作も読み込まれていたんですね。でも、実は猿之助さんは『ONE PIECE』を読んでないんです。全部読んでしまうと、漫画ならではの"当たり前"に疑問を持たなくなるとおっしゃるんですよね。例えば、『ONE PIECE』を読んでいたら「悪魔の実」の存在は当たり前。でも猿之助さんは脚本会議で「なんで手が伸びるの?」というところから疑問をぶつけておられました。だから「この実を食べると能力が身につくんですよ」と説明すると、「みんなに手が伸びる能力が増えるの?」「いやいや、実によって違うんですよ」とさらに説明不足に気づけて。猿之助さんは「俺がこうやってわからないってことは、歌舞伎のファンにもわからないってことだよね」と指摘してくださいました。――歌舞伎と『ONE PIECE』、なぜこのようにハマったのだと思いますか?『ONE PIECE』の「誰かのために動く力」というテーマが、歌舞伎的にも熱いのではないかと思います。人と人のつながりで、ルフィのためにみんなが力を貸す、自分のためじゃなく他人のために動く、というテーマが、歌舞伎で発信するのに合っていたのではないでしょうか。○研ぎ澄まされた感覚にいる人たち――福士さんは俳優として活動されながら、スーパー歌舞伎IIにも何回か参加されていますが、歌舞伎界に驚いたことなどはありましたか?澤瀉(おもだか)屋※さんって、すごく仲が良いんですよ。歌舞伎って古い、難しいというイメージがあるかもしれませんが、実は演出にしても舞台の最先端をやっているので、イメージをぶち壊されるという体験をした気がします。※澤瀉屋の「瀉」の字は正しくはわかんむり――普通の俳優さんとの違った部分などはあるのでしょうか?印象深かったのは、みなさんのナチュラルさです。歌舞伎役者さん、あんまりストレッチとかしないので「なんでストレッチをしないんですか?」と聞いたら、「あのね、体力がもったいない」と言われて、ちょっと笑っちゃいました(笑)。上演時間が1回4時間半強あり、1日で10時間以上劇場にいるから、本当に長時間ですよね。でも、それだけ舞台の上にいることがナチュラルな状態なのだなと。僕らは「舞台だ」と思うと気負って力が入って、怪我につながってしまうことも。でも歌舞伎役者さんたちは、板の上に立つことが当たり前になっている方が多いので、その心持ちでいられるのが、すごいですよね。僕らとは違う研ぎ澄まされた感覚にいる方が多いなと思います。●"見得"の切り方を必死で稽古○歌舞伎ならではのキャラクター衣装も――スーパー歌舞伎II『ワンピース』の中で、福士さんのお気に入りのキャラクターを教えてください。不動のボンちゃん(ボン・クレー)ですね。原作でも元々いいキャラクターですけど、リアルに生き写しというか。みっくん(坂東巳之助)が演じて、原作から飛び出してきた感じがありましたね。(市川)春猿さんの演じるナミが着物なのも、歌舞伎ならでは。猿之助さんは3役(モンキー・D・ルフィ、女帝ボア・ハンコック、赤髪のシャンクス)で出演されていますが、「今回はそんなに辛くないよ」と。本水(水のシーン)で自分が戦っていないから、ということらしいです。「若手に体験させてあげよう」とおっしゃっていましたが、確かにあれはきついと思いますよ。――宙乗り(フライング)は猿之助さんの見せ場でしたね。猿之助さん、宙乗り好きそうですよね(笑)。○見得に大切なのは心――人気キャラクター、そして猿之助さんの兄という役どころでしたが役作りはいかがでしたか?カリスマ的なキャラクターでもあるので、気合いを入れていきたいなというのはもちろんありました。でも例えば、アニメを見て勉強しよう、などとはならなかったですね。モノマネになってしまいますし、舞台ならではの伝え方を模索しようと考えました。「スーパー歌舞伎II」は2回目の出演ですが、今回初めて見得を切らせていただきました。初めての割にはだいぶ多かった気が!(笑) 登場しては見得を切って、こっちに行っては見得を切って、とかなり場面があったので、稽古場でいろんな方に聞いて努力しました。待っているだけでは教えてくれないので。――見得というのは、教えるものではないということでしょうか?見て勉強して、盗んで表現するということなのかもしれません。でもみなさんと同じようにしていたら、僕は何年もかかってしまうので、直接聞かないと(笑)。(市川)右近さんにも聞きましたし、質問したらすごくきちんと教えてくださいました。ただ、いろいろな人に聞いていくと、それぞれの味があって、少しずつ違う。Aパターン、Bパターン、どちらを取るのがいいかなあとか、お客さんに向かってこれはどうでしょうかとか、全部周りの方に相談しました。――見得の稽古をする上で、一番大事なのはどの部分だったんでしょうか。顔なのか、形なのか……。一番は、絶対に心です。首を回して、ストップモーションで止まるのがいい、ではなくて。お客様を引き付ける何かがないと、やっても見てくれないですし、真似しているだけだと、笑いが出ちゃうのではないかと思います。ただ僕には、心を出すための器がないので、器を作る努力から始めなければなりませんでした。その上で、すごく綺麗な形を作っても心が入っていなかったら伝わらないですし、少しブサイクな形でも心が入っていれば伝わるのだろうなと。でも難しいですよ。「見ろ!!」ってことですからね。「今僕を見てください!!」と気持ちを込めなければいけない。――ダンスなどでも、形を習得すれば、自然と個性が出てくるといったお話も聞きますね。そうですね、よく先輩方も「見得は味だよ、味になってくるよ」と言ってくださいました。「簡単に言いますねえ」と返していたのですが(笑)。基本を知っていてわざと崩せるのが、味なんですよね。何も知らなくてやっていては、芯がなくなってしまうし。もちろん僕には経験としての芯がないので、稽古場で散々鏡の前で練習をしました。稽古しないと、出したい心も出せないですしね。――"シネマ歌舞伎"では、大画面で舞台の様子が出てくるわけですが、ご自身でご覧になっての感想はいかがでしたか?シネマ歌舞伎は舞台ありきで出来上がったものですけれど、"ならでは"の映像も魅力だなと思いました。舞台では観たことのないアングルや、顔のアップも見えるという意味で、すごく面白い媒体ですよね。エースの見せ場でいうと、"火拳"の火が増えているんですよ! 僕、必死で「ボッ」とやっていたのですが、シネマ歌舞伎で観たら、「ボオオオオッ」となっていましたから(笑)。簡単に増やしたな……って! 「火も大きくなっているよ!」と言われて、「本当に大きくなっている!」と。舞台を観ていない人は「え、これ本当に火が出ているの!?」と驚くかもしれません。映像ならではの面白さですね(笑)。
2016年11月10日あの国民的人気漫画「ONE PIECE」を、まさかの歌舞伎化したシネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎IIワンピース」。まもなくシネマ歌舞伎として映画館で公開される本作から、歌舞伎界の若手二枚目俳優にしてドラマ「せいせいするほど、愛してる」出演でも話題を呼んだ中村隼人の劇中画像が、シネマカフェに到着した。単行本として世界最高の累計発行部数3億2,000万部を誇り、国内外で絶大な人気を集める「ONE PIECE」の世界と、四代目市川猿之助による「スーパー歌舞伎II」が奇跡の融合を果たしたシネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎II ワンピース」。歌舞伎の古典的手法と最新の技術を駆使したエンタテインメント性あふれる演出に、瞬く間に口コミが広がりチケットは入手困難に。劇場には、小学生から年配層まで幅広い客層が押し寄せた。そんな舞台を、映像ならではのカットもふんだんに盛り込み、編集を重ねて2時間に凝縮、シネマ歌舞伎として公開されるのが本作。舞台は、あの頂上戦争編。大秘宝ワンピースを探す大いなる航海の次なるステップ・新世界への入り口となるシャボンディ諸島での海軍との戦いの中で、麦わらの一味は散り散りになってしまう。1人になったルフィ(市川猿之助)は兄・エース(福士誠治)の処刑宣告の知らせを聞き、救出に向かう。侵入不能の海底監獄を突破するルフィだが、エースは海軍本部に移送されてしまった後だった。そして、ついにその海軍本部を舞台に、エースを救おうとする海賊団やルフィと、海軍との間で壮絶な決戦が繰り広げられる!!本作品で隼人さんは、革命戦士イナズマに扮している。ルフィの兄・エースが囚われていた監獄にいた男で、監獄を脱出する際に看守たちと大立ち回りを披露する。監獄は火に包まれているが、その火を本物の水で消すというシーンでは、看守たちや監獄の所長と水浸しとなって戦うのだ。まさしく水も滴るイイ男になる隼人さん。その雄姿を、まずはこちらから確かめてみて。シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎IIワンピース』は10月22日(土)より東劇・新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年10月10日歌舞伎の様式美に現代的なセンスを加え、古典の新たな魅力を創造している「コクーン歌舞伎」。今回上演されるのは“お岩さん”でおなじみの『四谷怪談』。お岩と夫・伊右衛門、お岩の妹・お袖と直助の悲劇を軸に忠臣蔵のドラマが絡んでいく。「15歳で東京バレエ団に入団した時、最初に出た舞台が、忠臣蔵を題材にしたモーリス・ベジャールさん振付の『ザ・カブキ』という演目でした。それから18年を経て、退団する時に最後に踊ったのもこの作品。そもそも自分が、歌舞伎の舞台にお誘いを受けたこと自体が予想外すぎたので、思い切ってそんな縁を繋げて、エイッてお引き受けしました」バレエダンサーながら、近年は現代劇や映像でも活躍中の首藤康之さんも、さすがに歌舞伎でのオファーは驚いたそう。「稽古が始まったいまも、まだ緊張が解けない」とか。「皆さんのセリフを聞いたら圧倒されて、古典の偉大さと、そこで生きてこられた方々の力強さを実感しました。バレエもそうなんですが、古典をやりこなすには、積み重ねたものがベースにないと難しいんですね。それを皆さんの佇まいから少しでも取り入れられたらと思います」コクーン歌舞伎の演出を長年手がけてきた串田和美さんからのオファー。あえてダンサーの首藤さんを歌舞伎の舞台にキャスティングした狙いがきっとあるはず?「どうでしょう…串田さんに伺っても、なかなか手の内は明かしてくださらないので(笑)。でも、こちらが聞いてもお話しされないのは、僕に余白を与えてくださってるんだと思うんです。これまでお仕事でご一緒してきて、串田さんのお作りになる世界を信頼していますし、それを拠り所に頑張りたいと思っています」◇6月6日(月)~29日(水)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作/四世鶴屋南北演出・美術/串田和美出演/中村獅童、中村勘九郎、中村七之助、首藤康之、笹野高史、片岡亀蔵、中村扇雀1等ベンチ席1万3500円~3等席4000円当日立見券3500円・2500円あり(すべて税込み)チケットホン松竹TEL:0570・000・489◇しゅとう・やすゆき9歳からバレエを始め15歳で東京バレエ団に入団。’04年の退団以降は、現代劇、映像へも挑戦。現在放送中のドラマ『99.9』(TBS系)にも出演。◇首藤さんが演じるのは、病に臥せる小汐田又之丞。彼への忠義一心で薬を盗んだ小平は、伊右衛門に殺され、お岩同様に亡霊となって現れる。復讐劇の鍵を握る存在だ。※『anan』2016年6月8日号より。写真・津留崎徹花インタビュー、文・望月リサ
2016年06月03日国内外で絶大な人気を集めるマンガ「ONE PIECE」と四代目市川猿之助による「スーパー歌舞伎II」が奇跡の融合を果たした、「スーパー歌舞伎II『ワンピース』」。先日大千穐楽を迎えた本舞台が“シネマ歌舞伎化”として劇場で公開されることが分かった。単行本として世界最高の累計発行部数3億2,000万部を誇り、国内外で絶大な人気を集めるマンガ「ONE PIECE」と、次世代を担う歌舞伎俳優の一人であり、三代目市川猿之助(現二代目猿翁)が歌舞伎とをコラボさせ生み出した「スーパー歌舞伎」。その精神を受け継ぎ、四代目市川猿之助が「スーパー歌舞II(セカンド)」を創出。人気マンガと歌舞伎とのコラボに、世間では製作発表時から話題沸騰。公演が始まってからも、歌舞伎風のアレンジが絶妙にマッチした登場人物たちが舞台、花道、客席を所せましと駆け巡り、大量の水が滝のように流れる中での大立廻りや、2階・3階席からも手が届きそうな宙乗り、最新のプロジェクションマッピング、ミュージカルさながらのダンスなど、エンタテインメント性溢れる演出に、観客は大熱狂。また、「ONE PIECE」の魅力の一つでもある、仲間との絆を描くドラマは歌舞伎版にもしっかりと盛り込まれ、ワンピースファン、歌舞伎ファンではない人たちからも高評価を獲得。瞬く間に口コミが広がり、チケットは入手困難になったほどだ。本公演は、昨年10月に新橋演舞場を皮切りに松竹座を経て博多座で公演。そして大千穐楽を迎えたこの日、興奮冷めやらぬ超満員の劇場で、カーテンコールに立った主演の市川猿之助が「4か月一緒だった仲間とも今日でお別れです。しんみりして終わるのはいやだから発表します!このワンピース、シネマ歌舞伎になります!全国の映画館で上映されます。見に来てください!」とシネマ歌舞伎化を発表。会場からは割れんばかりの盛大な拍手と歓声が沸き起こったという。シネマ歌舞伎版は、2015年11月1日の新橋演舞場公演を撮影。映像ならではのカットを盛り込み、舞台版の魅力のエッセンスを凝縮、上映時間は2時間弱と見やすく、幅広い層が楽しめる映像作品に仕上がっているそう。さらに、猿之助さんの口から、来年には“再演”することが発表!映画化&舞台の再演と、ファンには嬉しいダブル・サプライズで、今秋から来年へと“ワンピース旋風”は吹き荒れそうだ。シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎IIワンピース』は10月22日(土)より東劇・新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月30日リラックマと歌舞伎のコラボレーショングッズが登場。歌舞伎グッズ専門店「松竹歌舞伎屋本舗」などで2016年4月2日(土)より発売する。歌舞伎の演目の衣裳を身に着けた、リラックマやコリラックマ、きいろいとりが可愛らしい、今回のコラボレーション。チェーンキーホルダーやストラップ、ミニタオル、クリアファイルなどが展開される。また、発売に合わせてリラックマが、歌舞伎俳優の中村隼人とともに歌舞伎の見得に挑戦するムービーも公開。ほっこり癒される映像も、合わせてチェックしてみて。【詳細】リラックマ×歌舞伎発売日:2016年4月2日(土)発売場所:・東京駅一番街 東京キャラクターストリート店住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街B1TEL:03-3211-8535営業時間:10:00~20:30・GINZA KABUKIZA木挽町広場店住所:東京都中央区銀座四丁目12-15営業時間:9:30~18:30 ※歌舞伎座休館中は18:00まで。・松竹歌舞伎屋本舗 アマゾン店(C)SAN-X CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.(C)SHOCHIKU Co., Ltd. All Rights Reserved.■価格・ぬいぐるみボールチェーン リラックマ、コリラックマ、キイロイトリ 各1,600円(税込)・根付マスコット リラックマ、コリラックマ、キイロイトリ 各756円(税込)・クリアファイル 450円(税込)・ミニタオル 700円(税込)
2016年04月01日歌舞伎役者の市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助が主演を務めるシネマ歌舞伎 『歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉』が2016年6月25日に公開されることが決定した。シネマ歌舞伎第24弾となる本作は、今年7月に東京・新橋演舞場で上演。もともとは2002年、染五郎が、2002年に劇団☆新感線とタッグを組み、神話や史実をモチーフとした時代劇シリーズ・いのうえ歌舞伎『アテルイ』として上演した。それから13年の時を経て、再び染五郎が歌舞伎化したものが新橋演舞場での公演で、映画では演劇の可能性を広げた、新たな歌舞伎誕生の瞬間をも捉えているという。タイトルにもなっている、阿弖流為の役を務めるのは、染五郎。苦悩しながらも蝦夷を率いる若いリーダーを演じる。そんな阿弖流為に奇妙な友情を感じながらも蝦夷征伐へと向かう坂上田村麻呂の役は、映画および舞台『真田十勇士』(2016年9月公開)でも主演を務めることが発表された勘九郎が、阿弖流為を導く謎の女・立烏帽子の役は七之助が、それぞれ務める。このほか、坂東彌十郎、市村萬次郎、片岡亀蔵らの出演も決定している。染五郎は本作を、「自分の夢でもある歌舞伎と映像の融合の第一歩になる、さらなる可能性を感じる作品」と形容。「舞台では表現できない編集によって生まれ変わりました」とした上で、「映像ならではの魅力が詰まった、歌舞伎NEXT『阿弖流為』を多くの方にご覧いただくことを心より願っています」とアピールしている。
2015年12月24日赤と黒のシックな劇場に映える、中村屋ならではの「黒・白・柿」の定式幕。幕が開けば、歌舞伎特有の鮮麗な色彩が次々に溢れ出す――。そんな、赤坂大歌舞伎でしか見られない景色が、2年半ぶりに蘇る。9月7日の初日を前に、舞台稽古の一部が公開された。赤坂大歌舞伎 チケット情報1演目は舞踊『操り三番叟』。まず、面箱を持った千歳(坂東新悟)、続いて翁(坂東彌十郎)が登場する。恭しく礼をし、扇を手に厳かに舞う両者。静謐な雰囲気から、この作品が本来、神事に近いものであることが伝わってくる。続いて、切戸から後見(中村国生)が現れて一礼し、背景の書割が松羽目から二羽の鶴に。人形箱から三番叟(中村勘九郎)の人形を取り出し、丁寧に点検する後見。三番叟が動き出すと同時に、静謐な雰囲気から一転、囃子方の演奏が賑やかさを帯び始める。勘太郎時代に初役で勤めた2009年以来、約6年ぶりにこの役を踊る勘九郎は、キレ味鋭い動きに加え、伸びやかな浮遊感をも表現。巧みに身体をコントロールし、あたかも糸に操られているかのような人形振りを、躍動感たっぷりに表現してみせた。休憩を挿んで、中村七之助が七役を演じる『於染久松色読販 お染の七役』。序幕「柳島妙見の場」では、浄瑠璃塚が建つ柳島の妙見神社境内を舞台に、可愛らしい質屋「油屋」の娘お染、その恋仲の丁稚で実は侍の子である久松、久松の姉で威厳漂う奥女中竹川、久松の許嫁で可憐なお光、艶やかな芸者の小糸……と、七之助が演じる主要登場人物がずらり。恋と刀を巡るドラマが、ここから始まるのだ。山家屋清兵衛役の彌十郎、庵崎久作役の片岡亀蔵らの確かな演技も舞台を支える。このほか、勘九郎扮する鬼門の喜兵衛と七之助扮する土手のお六による序幕第三場「小梅莨屋」と二幕目第一場「油屋店先」での息の合った応酬、そして華やかな大詰と、目が離せそうにない。『操り三番叟』からの流れを感じさせるちょっとした趣向も。出演者が立ち位置や台詞・動きのタイミングを確認し相談し合うなど、稽古らしい風景も。その中で勘九郎、七之助がイニシアティブを取る姿に、改めて、座頭としてのふたりの成長・飛躍がうかがえた。多くの観客が楽しめるよう、本番に向けてギリギリまで調整が続いた“赤坂大歌舞伎”は、9月7日(月)から25日(金)まで、東京・赤坂ACTシアターにて上演。取材・文:高橋彩子
2015年09月11日「子供歌舞伎フェイスパック」発売記念イベントが、5日(水)、渋谷区文化総合センター大和田伝承ホールで開催され、歌舞伎役者の市川染五郎が特別ゲストで登場した。市川さんは、デザインフェイスパックシリーズの第一弾商品として、「歌舞伎フェイスパック」を考案。国内外問わず根強い人気を集め、これまでシリーズ累計約110万個を売り上げている。「歌舞伎フェイスパックをしていると、子どもも必ずやりたがる。子どもも使えるフェイスパックがあれば欲しい!」というユーザーからの声を受け、第13弾・第14弾の商品として、子供用サイズに改良した世界初の子供用フェイスパック「歌舞伎フェイスパック」と「動物フェイスパック」の2種が7日(金)より同時発売されることとなった。「小さな頃から歌舞伎ごっこが好きだった」という市川さん。子ども用サイズを見て「隈取りは本来格好よかったり、迫力があったりするものですが、子ども用サイズになるだけで可愛らしくなって嬉しいです。これをつけて歌舞伎ごっこをして欲しい」と満足げな顔を見せていた。また、同ホールで7日から9日(日)まで開催される「カブキ踊り『渋谷金王丸伝説』」に市川さんと共に出演をしている、寺子屋の子どもたちがフェイスパックをつけて登場。「可愛らしい!今からパックをしていたら、どれだけ美男美女になるんだろうね!」と市川さんも興味深々な様子だった。司会者から、子どもたち全員と見得のポーズをリクエストされると、「ちょっとリハーサルしてもいいですか」と市川さんが子どもたちに稽古をつける姿も。手の高さまで細かく指導し、見事に見得を決めた。「今日帰ったら、子どもにこのフェイスパックをつけようと思います」と笑顔で話した。「子供 歌舞伎フェイスパック」「子供 動物フェイスパック」は8月7日(金)より同時発売。(text:cinemacafe.net)
2015年08月05日世界で一番売れているマンガ『ONE PIECE』が歌舞伎になる。7月28日、スーパー歌舞伎II『ワンピース』の製作発表記者会見が行われ、主役ルフィを演じるとともに演出も手がける市川猿之助らが登壇した。スーパー歌舞伎II『ワンピース』チケット情報海賊になった少年モンキー・D・ルフィを主人公に、幾多の海賊たちが「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」をめぐり覇権をかけて争う大冒険ロマン『ONE PIECE』。累計発行部数が世界最高となる3億2000万部を突破している、日本が誇る大ヒットマンガだ。一方、“スーパー歌舞伎”は三代目猿之助(現猿翁)がはじめたスペクタクルな演出が特徴の歌舞伎。当代猿之助はその精神を継承し、現代演劇界を代表する才能たちとのコラボで“スーパー歌舞伎II”を新たに創造している。そんな日本を代表するふたつの文化がこのたび融合する。その猿之助は「実は原作は1巻目の10ページまでしか読んでいない」と衝撃の告白。その理由は「本当に好きな者が作ると、こだわってオタク的になってしまう。素人的な疑問を大事にしようとあえて触れないようにしています」とのこと。ただ「この話をいただいた時に、色々な人が「俺、この役をやりたい」と言ってきた。それだけ愛されている作品なんだとわかりました」と、人気のほどは感じているようだ。演じるルフィに関しては、ゴム人間ということで「手は伸ばさなきゃいけないの? 困ったねぇ。ゴムの表現なんて歌舞伎にないからね(笑)。ルフィは水が苦手なんでしょ。僕も水が苦手。泳げないから、そこは非常に親近感あります(笑)」とのこと。また一人三役でほかにハンコック、シャンクスも演じるが「早替わりができて、しかも僕は女形が主ですから、そういう特性が活かせないかということでこうなりました。(人気キャラクターばかりで)知らないゆえの度胸ですよね」と話していた。脚本・演出を手がける横内謙介は「これだけ世界的に愛されている巨大な物語。たとえこの船が難破しようとも(笑)、逃げずに王道をいきたい。ストーリーはほぼ原作どおりやろうと相談しています。(歌舞伎ファンで)『ワンピース』に初めて触れる方も多いと思いますが、その方たちにも理解していただけるようにしたい」と意気込み。長大な物語の中<頂上戦争編>が上演されるが、その理由については「『麦わらの一味の勢揃い』はあった方がいいと思った。“勢揃い”という言葉自体、歌舞伎っぽい」(横内)、「歌舞伎は長い物語のなかのひと場面だけをクローズアップして上演するというのを昔からやってきている。歌舞伎というのは『ワンピース』を上演するのに一番相応しい演劇形態なんじゃないか。うまくいけば今後、『スターウォーズ』のように物語をどんどん遡っていくようなことも出きるかも」(猿之助)とそれぞれ語っていた。ほか、白ひげに市川右近、エースに福士誠治などがキャスティング。公演は10月7日(水)から11月25日(水)まで、東京・新橋演舞場にて。チケットは10月公演分が8月20日(木)に、11月公演分が9月20日(日)に一般発売を開始する。
2015年07月29日昨今の日本美術ブームをうけて、江戸のポップアートと称される「浮世絵」に注目が集まっています。2014年に開催された「大浮世絵展」は、3館(江戸東京博物館、名古屋市博物館、山口県立美術館)で来場者数約38万人という大盛況ぶり。また葛飾北斎(かつしかほくさい)や娘の葛飾応為(かつしかおうい)を描く、杉浦日向子原作の漫画「百日紅」(さるすべり)が映画化されるなど、どうも“浮世絵”がキテいる感じなのです。そこで浮世絵専門美術館の太田記念美術館で、浮世絵の魅力や楽しみ方、一万四千点もの所蔵作品から大人女子に観て欲しい浮世絵を教えていただきました。江戸市民が生み育てた芸術だから大人女子が共感する部分も多い浮世絵は、江戸市民が生み育てた芸術。だから描かれた題材に親近感や共感が持てることが魅力のひとつだと言います。浮世絵には、様々な江戸が表現されていますが、なかでも多いのは美人画、風景画、役者絵の3つの題材です。美人画には、美人の変遷がわかる楽しみがあります。髪型はもちろん、顔の造作やたたずまいが時代によってまったく違うのが面白い。また吉原の花魁を描いたものだけではなく、真剣にお化粧をする町娘、浴衣で夕涼みする色っぽい芸者、旬ものをおいしそうに食べる遊女、など江戸市民の日常を描いた作品も多いのです。今と変わらぬ江戸女の日常を観ているとなんだか親しみが湧いてきます。美人画を画期的な手法で表現したのが喜田川歌麿(きたがわうたまろ)です。彼は、胸元から上をクローズアップする手法(大首絵)をはじめて美人画に用いた浮世絵師。表情には心の機微まで表現された美人画は、庶民の心をつかみ爆発的に売れたと言われています。「百日紅」で北斎宅の居候として出てくる溪斎英泉(けいさいえいせん)。「百日紅」では葛飾応為に絵が下手と揶揄されたこともある英泉ですが、美人画の名手として名を馳せます。ちょっとあだっぽい美女がお得意。高価な紅を重ねづけて玉虫色に光らせる笹紅に、眉をつくっている女性の姿を観ていると、ふわっと白粉の香りが立ち上ってきそうです。今の風景と重ねる面白さ風景画で江戸へタイムトリップ美人画や役者絵より後に人気となった風景画。地名が記されているので、今の風景と重ねる楽しさがあります。歌川広重が描く江戸の名所絵を観ていると、赤坂は桐畑だったこと、浅草寺や日本橋は今と同じく賑わっていたこと、江戸ではどこでも富士が見えたことなど、発見だらけ。大きく変わった町並みや光景と重ねながら、江戸の町へタイムトリップができちゃいます。描き損じの絵に囲まれた家で暮らし、ゴミ屋敷になるたび引っ越しを繰り返したとされる葛飾北斎(かつしかほくさい)。そんな暮らしから生まれたとは思えぬ、ダイナミックで斬新な構図の「冨嶽三十六景」シリーズ。特に波と富士山の色と形のバランスがすばらしい「神奈川沖浪裏」は、ひと目見たら忘れられない作品です。北斎の風景画と並び称される歌川広重(うたがわひろしげ)。力強い筆致の北斎に対して、抒情的な表現が持ち味です。なかでも雨、雪、夜景を描いた作品には、秀作が多いといわれます。「名所江戸百景 日本橋雪晴」は、雪が降った翌日の晴れ渡る江戸市中が描かれた作品。真っ白な富士を愛でながら雪かきする江戸市民の姿が浮かんできます。一枚の浮世絵を通して江戸の人々との対話を楽しみたい役者絵は、江戸市民のアイドルだった歌舞伎役者が描かれたもの。昔から市川団十郎は目が大きく、松本幸四郎は彫の深い顔立ちなど、今に続く名跡の顔や雰囲気が似ている点を探しだすのが面白い。ほかにも愛らしい動物、恐ろしい妖怪、事件や風俗が描かれた浮世絵からは、江戸市民が何に興味を持ち、どんなことを楽しんだのかがわかります。絵を通して彼らと対話している気分になってきます。赤穂浪士の仇討は「仮名手本忠臣蔵」として歌舞伎や人形浄瑠璃で演じられ、その物語は江戸の人々を熱狂させました。この作品の役者絵は数多いのですが、役者を蛙に描き変えた奇才・歌川国芳(うたがわくによし)の「蝦蟇手本ひやうきんぐら」は観ておきたい一枚。ユーモアセンスや批評眼に優れた国芳は、動物などを人に見立てた作品が多く、大の猫好きだったので猫の浮世絵が数多くあります。明治初期の作品ですが、四代目・歌川国政(うたがわくにまさ)「しん板猫のそばや」は、猫が蕎麦屋で楽しむ様子を描いた浮世絵。かけともりが八十文であること、膳の上で食べていること、当時の蕎麦屋が見える一枚ですね。ご紹介した浮世絵ですが、雑誌や書籍ですでに観たことがある作品かもしれません。しかし絵の迫力、摺り色の妙、彫の細やかさ、は印刷物ではなかなか伝わりにくいもの。また浮世絵は退色もしやすいため、保存状態のいい本物の作品に触れて欲しいと思います。今キテいる、江戸のポップアート“浮世絵”を観に行きませんか。取材協力/太田記念美術館東京都渋谷区神宮前1-10-10 03-5777-8600(ハローダイヤル)開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで) 一万四千枚の所蔵作品を持ち、常にオリジナリティの高い展示を仕掛けている太田記念美術館。大盗賊や悪女、侠客を題材にした「江戸の悪」展(2015/6/2~6/26)や「浮世絵の戦争画」(2015/7/1~7/26)が近日開催予定。
2015年06月22日ミュージカル、バラエティと幅広く活躍する尾上松也。彼が毎年夏に行い、大切にしているという歌舞伎自主公演『挑む』シリーズ。今年8月に上演される『挑む~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)』について話を聞いた。『挑む~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)』チケット情報毎年新たなことに挑戦している『挑む』シリーズだが、今年は「近年まれにみる挑戦」と語る松也。「大きな劇場(KAAT)で演じるということもそうですし、すべてを生演奏で演じることもひとつのチャレンジです。また、自主公演で一度演じている『二人椀久』という演目を再び、今回は僕と大先輩の片岡孝太郎さんというキャストで上演します。『二人袴(ふたりばかま)』という演目に関しては元々の名作狂言を尊重しつつも、いちから、オリジナルのつもりで作ります」おめでたいときに演じられる歌舞伎の代表的な踊りを操り人形仕立てにした「操り三番叟」、惹かれあう男女の幻想的な舞が強い印象を残す「二人椀久」、ドタバタコメディのような「二人袴(ふたりばかま)」と、さまざまな演目が一度に楽しめる。「『操り三番叟』と『二人椀久』は僕の発案で、市川蔦之助くんが『二人袴(ふたりばかま)』をやりたいと。それをみんなに相談して、『面白そうだね』ということで決まりました。だいたいの構成やアイデアは僕が出しますが、メンバーからもいろいろな意見が出て、全員でいいと思えるものを上演するようにしています。みんな忙しくて実際集まれないことも多いので、だいたいLINEで相談します」本当にやりたいことを実現するため、この公演に関わる歌舞伎俳優全員がどんな仕事もいとわず動くのだという。「舞台に立って何かを演じるということだけでなく、制作する側でもあるという意識が強いんです。最初の頃は、僕がひとりでがむしゃらに突っ走りすぎて、みんなを置いてきぼりにすることもあった。でも、今は本当にみんなが一丸となってやってくれるようになりました。僕も、ほかのメンバーも、プロデューサー的な面や、裏方的な仕事を兼務しながらつくっている公演です」年を重ねるごとに制作陣も含め、チームワークがどんどんよくなってきた。しかし、それに甘んじてはいけないという思いも持っているのだとか。「毎年経験を重ねて、スムーズにいくことも多くなりました。だからこそ、そこに落ち着くのではなく、自分たちにプレッシャーをかける意味でも毎年未知の領域に足を踏み入れる要素を作るようにしています。もちろん、すべてはご来場くださるお客様に満足していただければと。歌舞伎を初めて観る方にも楽しいと思える公演にしたいと思っていますので、ぜひとも観にきていただきたいですね」『挑む~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)』は8月8日(土)昼の部11:30~、夜の部16:30~KAAT(神奈川芸術劇場)にて上演。また、公演への意気込みと松也の素顔を感じることができるイベント『歌舞伎トークパーティwith尾上松也』も6月21日(日)に開催。取材・文:釣木文恵
2015年06月18日団扇で夕涼みする姿は、夏の風物詩ですね。団扇は、奈良時代に中国から伝わり平安中期の書『和名類聚抄』には唐で作られた宇知波(うちわ)との記述があります。道具として古い歴史を持つ団扇ですが、庶民に普及したのは、紙や竹材を使って大量生産できるようになった江戸中期以降のことです。広重、豊国、国芳とコラボ江戸市民が待ちわびた江戸うちわ地域特産の和紙を使ったもの、ひとりの職人が型から絵まで描くものなど、日本各地の特色を打ち出した団扇は夏を彩ってきました。さまざまな団扇がありますが、江戸の団扇といえば日本橋生まれの「江戸うちわ」です。江戸きっての繁華街、日本橋には和紙や竹材を商う店がたくさんありました。そんな店が自然に作り始めたといわれる江戸うちわ。世界に先駆けて百万人都市になった江戸、そんな江戸市民に向けてですから大量生産は必須です。仕様を簡略化するため持ち手や骨を1本の竹を割いて作りました。また人口密集で熱気がこもりやすい江戸の町ゆえに涼をとりやすいように形状も大きめだったそうです。そんな江戸うちわを道具から嗜好品へと変えたのは、今も日本橋で団扇や扇子を商う「伊場仙」(いばせん)。天正18(1590)年を創業年とする伊場仙は、徳川家に竹や和紙を収めていました。その材を使って団扇や扇子を手掛けるようになります。江戸後期には、初代の歌川豊国や歌川国芳、歌川広重などの絵師の版元になり、錦絵を刷り込んだ「浮世絵団扇」を考案。絵師の描く歌舞伎役者や花魁、日本の名所が刷り込まれた団扇は大当たり、江戸市民のみならず江戸土産として京や大坂の人に喜ばれたそうです。昭和30年代ごろまで店で団扇を作っていた伊場仙ですが、今ではその技術を踏襲する千葉・館山の職人さんにお任せしているそうです。大人女子が注目する、竺仙とのコラボ団扇江戸薫る浮世絵団扇、気軽に使える手拭生地の団扇など、さまざまな団扇を商う伊場仙。大人女子におすすめしたい団扇をご紹介します。大人女子の人気ナンバーワンは、竺仙(ちくせん)の浴衣地で作られる団扇たち。竺仙ブルーと称される青の生地から仕立てられる団扇は、見た目に涼感が感じられます。花や蝶などの身近なものを染め抜いた柄も竺仙ならでは。新作柄の浴衣は新調できなくても、団扇ならば気軽に楽しめそうです。手拭生地で作られた団扇も人気。洒脱で遊び心のある、斧琴菊(よきこときく)や弁慶格子などの柄は江戸っぽさを醸します。サイズが小さめでお手頃な価格なので、夏のプチギフトにいい。かくいう私自身、仕事仲間や友人へ贈る夏の定番ギフトになっています。手拭生地の柄長タイプ(踊り団扇仕様)は、デスクのペン立てやラックに差しやすいのでオフィス用に購入する人も多いそう。金魚や竹林など見た目に愛らしく涼しげな柄は、仕事のストレスをちょっぴりやわらげてくれるかもしれません。浮世絵シリーズ復刻版。歌舞伎座などで販売していて、海外からの観光客がお土産に購入していくそうです。軽くてかさばらず、道具にも飾り物にもできる、そう考えるとお土産にぴったりですね。江戸土産として喜ばれた江戸うちわが、時を経て日本土産に! 私も浮世絵シリーズを一枚持っています。お値段が張るのでもったいなくて道具使いできませんが、初夏から夏にかけて部屋に飾って楽しんでいます日本の暦に根ざした古からの道具毎年五月には、新作の団扇や扇子で賑やかに彩られる伊場仙。「本来、団扇はいつごろまで使うものですか?」と伊場仙でお尋ねしたところ「七月いっぱいかな」というお答えでした。少し早いように感じますが、旧暦の秋は七月から始まります。日本の暦に根ざした道具だということを実感しました。暦は皐月、まだまだ団扇に頼れますね。あおげば涼し江戸の風です。伊場仙のうちわは、拙書『江戸な日用品』(平凡社刊)にてご紹介しています。取材協力/伊場仙(いばせん)東京都中央区日本橋小舟町4-103-3664-9261営業時間 10:00~18:00(土・日曜のみ11:00~17:00)休日 土日曜・祝日(5月~8月末まで土日曜営業)
2015年05月26日ユニクロは松竹と協業し、日本を代表する伝統芸能である「歌舞伎」を、服を通じて現代のポップカルチャーとして世界に発信する「松竹歌舞伎×ユニクロ プロジェクト」を始動。20日より順次世界に向けて展開する。○市川猿之助が監修同コレクションは、日本の伝統文化を、本物のジャパンポップカルチャーとして体現するため、ユニクロのUTクリエイティブディレクターであるNIGO氏が最適なデザイン、ボディ、素材を考え、歌舞伎の殿堂・歌舞伎座を運営する松竹と市川猿之助氏監修のもと商品を完成させた。多彩な演目から生まれたユニークな衣裳デザイン、歌舞伎独特の化粧法である隈取に加えて、プロジェクトアンバサダーである猿之助氏の屋号「澤瀉屋(おもだかや)」(※瀉のつくりは「わかんむり」)にまつわる紋や文様など、歌舞伎のアイコニックなモチーフをベースに、UTやSTETECO&RELACO、バンダナ、ストール、トートバックまで、全9種64型を展開する。中心となるTシャツコレクションでは、本物の衣裳を着る時のような感覚で身に付けてほしいという思いから、歌舞伎の代表的な演目で用いられている衣裳、独特の化粧法である隈取(くまどり)など一つ一つのモチーフや柄を、それぞれに込められた意味や特徴を忠実に再現し、色、素材、ディテールまで表現した。たとえば、歌舞伎の演目「お祭り(おまつり)」で使われる衣裳を元にしたTシャツでは、猿之助氏を表す紋である「三つ猿」をモチーフに使用。実際の衣裳と同じ「首抜き」と言われるデザインで、「三つ猿」の紋の中心をあえて少しずらして施すことで、粋なデザインに仕上げている。「黒塚(くろづか)」のTシャツでは、猿之助氏がみずからの汗と共に布に写しとった隈取をそのまま再現。写し取られた化粧を原寸で使用し、隈取の躍動感やかすれを忠実に表現する為、4色の異なる色を少しずつ重ねる事で、絶妙なかすれ具合を実現させたという。その他、「車引(くるまびき)」「身替座禅(みがわりざぜん)」「茨木(いばらき)」「天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)」など歌舞伎の演目に登場する衣裳、文様などを元にした商品も展開する。同コレクションの発売を記念し、26日、ユニクロ銀座店オープン時(開店時間11時)に猿之助氏が登場。当日並んだ人先着100名に、猿之助氏の隈取を施したオリジナルの手ぬぐいをプレゼントする。さらに、全国のユニクロ店舗、およびオンラインストアにて、同商品を含め5,000円以上(税別)購入者に、先着でオリジナル扇子をプレゼントする。商品ラインナップは、「メンズTシャツ(16色15柄)」「ウィメンズTシャツ(10色9柄)」「ウィメンズチュニック(4色4柄)」が各1,500円、「ステテコ(6色6柄)」「リラコ(6色6柄)」が各1,290円、「ミニバック(4色4柄)」が990円、「トートバック(4色4柄)」が1,500円、「ストール(5色5柄)」が1,500円、「バンダナ(8色8柄)」が500円。※価格はすべて税別価格
2015年03月14日金製品の販売や貴金属の買取り業務を行うSGCは6日、歌舞伎のデザインをモチーフにした「歌舞伎小判」を発売した。本商品は歌舞伎三大名作のひとつ「菅原伝授手習鑑」(すがわらでんじゅてならいかがみ)の「車引」(くるまびき)と呼ばれる一幕に登場する三兄弟のひとり、「梅王丸」(うめおうまる)の隈取と衣裳・小道具をモチーフとした2枚組の小判。銀座三越ゴールドショップで発売しており、その他の兄弟「松王丸」(まつおうまる)「桜丸」(さくらまる)のデザインについても順次発売していく予定だという。菅原伝授手習鑑に登場する梅王丸は腕っ節が強く血気盛んな正義漢。片方の小判ではその激しい気性を荒々しい筋隈(すじぐま)で表現。もう片方には、梅王丸の衣装の格子柄と襦袢の梅、梅王丸が刀を三本さして登場することにちなんだ三本の太刀、また物語中の重要な道具として登場する牛車の車輪があしらわれている。「K24 歌舞伎小判 車引 梅王丸(2枚セット)」は重量約24g(1枚約12g)、高さ約6.3cm、幅約3.5cmで240,000円(税別)。
2015年03月13日市川染五郎さん監修一心堂本舗株式会社では、「歌舞伎フェイスパック~寿~」を12月12日(金)より新発売。「歌舞伎フェイスパック~寿~」は既に販売中の「歌舞伎フェイスパック」の第二弾。歌舞伎俳優市川染五郎氏の考案で、めでたい隈取りを施したフェイスパックです。歌舞伎フェイスパック~寿~歌舞伎の隈取りは、正月公演などで上演される「寿(ことぶき)曽我(そがの)対面(たいめん)」と「操り三番叟(さんばそう)」から、「むきみ隈」と「戯れ隈(ざれくま)」を使用。もちろん、フェイスパックとしての実力も確かなもので、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの3つの美容成分と、ツバキ種子エキス、チャ葉エキス、サトザクラ花エキスの3つの和エキスを配合。パックを使用し、歌舞伎役者になりながら、「くま」取りできるユニークな商品です。お土産や、プレゼントに一心堂本舗は、これまでも「上野動物園協力 動物フェイスパック」「劇団四季キャッツフェイスパック」など、遊び心満点、話題性抜群のフェイスパックを多数展開。今回の「歌舞伎フェイスパック~寿~」も海外向けの日本のお土産・プレゼントなどに適した一品です。(画像はプレスリリースより)【参考】・発売から約1年で累計約35万個を売り上げているフェイスパックシリーズ 『歌舞伎フェイスパック~寿~』発売決定
2014年12月08日10月14日(火)、都内で新作歌舞伎「六本木歌舞伎」の製作発表が行なわれ、出演する市川海老蔵、中村獅童、脚本を務める宮藤官九郎、演出を務める三池崇史らが出席した。同作は2015年2月3日(火)より東京・EX THEATER ROPPONGIにて上演。元禄時代を舞台に、中村獅童扮する宇宙人の悪の親玉と、市川海老蔵扮する正義の味方の対決を描く作品。今作を製作する事になった経緯について海老蔵は「今年の1月に獅童さんと歌舞伎をする機会があったのですが、その控え室で「こんな事をしたい、あんな事をしたい」と話していて、3時間後にはやる事が決まっていました。そこから獅童さんが官九郎さんに、私が三池さんにそれぞれ電話をして、3日後には決まったという奇跡的な舞台です」と説明。内容については、生前勘三郎から海老蔵が言われていた「成田屋の家の芸は荒事なんだから、宮藤さんのような若い人と組んで、最後は地球を投げるくらいの事をして欲しい」という言葉がベースになっていると明かした。また、歌舞伎が上演されるのは今作が初めてというEX THEATER ROPPONGIを会場に決めた理由について、獅童は「歌舞伎を上演した事がない劇場を探していた所、夜中にこの劇場をテレビで見て、すぐ決めました。実は、この劇場が出来る前、ここには僕も海老蔵くんも通っていた稽古場があったんです」と場所との縁について語った。獅童が「後から大人計画の社長から怒られました(笑)」と明かすほど、ハードスケジュールの中、脚本を務める宮藤官九郎。海老蔵が言われた事と同じ構想を生前勘三郎から聞かされており、オファーを受けてすぐにOKしたとのこと。今作で歌舞伎は3作目だが「1作目の『大江戸りびんぐでっど』でオールド歌舞伎ファンから反発を受け(笑)、2作目のコクーン歌舞伎で、ファンの方から「そんな悪い奴じゃない」と認知された所での今作なんですが(笑)、伝統という事を意識しすぎて、萎縮しないようにしたい」と意気込みを語った。今作が歌舞伎の演出初挑戦の三池崇史は「歌舞伎って本当に面白いんです。ただ歌舞伎を定期的に観に行こうという習慣が周りを見ても中々ない。なので歌舞伎をもっと多くの人に見ていただきたいし、今作を見に来た方を失望させないようにしたい。そのために第一に、歌舞伎役者って凄い、って事をテーマに演出してみたいと思います。期待していただいて結構です・・・と言って自分にプレッシャーをかける事にします(笑)」とコメント。海老蔵は「最近「結婚したら丸くなった」とよく言われるのですが、もっと皆さんに「あいつ何をやるんだ」って注目を集めないといけない。そういう意味で、私も獅童さんもまだまだ甘っちょろい自分に活を入れないといけない、という想いから動き出した作品です。伝統と言うのは改革と革新。伝統は伝統で守るべきですが、改革と革新の連続が伝統であると思っています」と同作へ強い意欲を見せた。
2014年10月14日出演俳優がご当地に到着したことを船でお披露目する、歌舞伎独特の伝統行事「船乗り込み」が5月29日に福岡市の中心部を流れる博多川で開催され、「六月博多座大歌舞伎」に出演する坂田藤十郎、市川染五郎、片岡愛之助らが顔を揃えた。『六月博多座大歌舞伎』 チケット情報江戸時代に始まったと言われている「船乗り込み」だが、現在では大阪と福岡だけで実施。福岡では博多座開場の1999年から行われており、今年で15回目。初夏の風物詩としてすっかりお馴染みの光景だ。今年は晴天にめぐまれ、沿道は約3万人という多くの見物客で賑わった。「六月博多座大歌舞伎」に出演の俳優13名と、公募で選ばれた市民約20名らが、キャナルシティ博多横の清流公園から手こぎ船10隻に分乗。色とりどりの幟をはためかせながら小舟がゆるやかに進みだすと、橋の上や沿道から紙吹雪がまかれ、詰めかけた見物客から大きな歓声が沸いた。鐘や太鼓、笛のお囃子が響く中、熱心なファンは船を追いかけ、お目当ての俳優が現れると「山城屋っ!」「高砂屋っ!」など屋号で声援と拍手をおくり、俳優は和やかな笑顔で手を振り応えていた。途中、船上で口上が述べられ、博多リバレインまでの約800メートルの道のりを終えた。下船後、博多座の隣にあるリバレインで行われた式典で、坂田藤十郎は「今日も温かい拍手を頂いて有難い。博多座に来ると歌舞伎役者になってよかったな、と本当に思う。千穐楽まで大入り満員が続きますように」と挨拶。母親が福岡市出身の市川染五郎は「私の身体には博多の血が半分流れています。第2の故郷と思っている特別の場所・博多に、もっともっと歌舞伎が根付くように頑張りたい」、5年ぶりの博多座出演となる片岡愛之助は「昼夜ともに大きな役を演じさせて頂いてます。夜の部では本物の水を使った演目もあります。ぜひ劇場でご覧ください」とそれぞれ意気込みを語り、歌舞伎開催前のイベントを華やかに彩った。「六月博多座大歌舞伎」は6月26日(木)まで博多座で開催。チケットは発売中。
2014年06月04日「梨園」とは歌舞伎の世界を表す言葉ですが、普通の人間にその中はどうなっているのかよく分かりません。この「梨園」で輝く歌舞伎役者さんについていろいろご紹介します。■歌舞伎役者の給料ってどこから出るの?歌舞伎役者の皆さんの給料はどこから出ているのでしょうか。例えば、芸能事務所に属して、一般のサラリーマンのように月給制や年俸制のような人を除けば、基本的には「自由業」です。ですから、仕事その都度のギャラを集積したものが収入になります。有名な役者さんであれば、舞台興行の出演代、諸手当、またお弟子さんたちからのお稽古代などが主な収入源。ほかにCM出演代、講演代金など副次収入も多いでしょう。どのくらいの金額になるかは不明ですが、手がかりはあります。2004年度分までは「高額納税者公示制度」というシステムがありました。今から9年前のデータになりますが……。市川海老蔵さん納税額:4,970万円推定の年収額:1億4,100万円松本幸四郎さん納税額:4,101万円推定の年収額:1億1,800万円坂東玉三郎さん納税額:2,848万円推定の年収額:8,400万円以上が「歌舞伎役者」におけるトップ3でした。■そもそも「屋号」って何!?歌舞伎役者には「屋号」がつきものです。舞台の役者に「成田屋っ!」とか「音羽屋っ!」とか声がかかります。あれがその役者の「屋号」です。そもそも「屋号」が付くようになったのは江戸時代までさかのぼります。そもそも歌舞伎役者は身分上は大変に低いものとされていました。芸事でいかに人気があっても社会的な地位はとても低いものだったのです。簡単にいえば「無職」とされていたわけです。江戸時代、無職の者は家を構えてはならないという慣習がありました。そのため歌舞伎役者は人気もあってお金があるのに、家も持てない状況でした。しかし社会的地位が向上するにつれ、役者の中から商売を始めて店を構える人が登場します(なにせ人気役者はお金を持っていたので)。「商売をしていますので家を出しますよ」という一種のカバーストーリーでもありました。そのうち、我も我もと誰もが商店を出すようになります。「スター」と「小商い」が切り離せないのは昔も今も同じです(笑)。やがて役者の間で、お互いの名前を呼ぶのに、役者名ではなくこの商店の名前を使うようになります。「音羽屋さんよぅ」なんて感じですね。これが一般に伝わって歌舞伎役者を呼ぶ際の「役者屋号」になりました。ただし、役者屋号がすべて商店の名前から採られているわけではありません。自分が信仰している寺社の名称から採ったものもありますし、由来が分からなくなってしまっているものなどもあって、さまざまなのです。ちなみに歌舞伎役者を名字や名跡で呼ぶのは失礼に当たります。屋号を使って「成田屋さんはどう思われますか?」などのように使います。■有名な役者屋号役者屋号で有名なものを挙げてみましょう。●成田屋(なりたや)歌舞伎役者の屋号は、そもそもこの「成田屋」から始まったといわれます。先日他界された市川團十郎さん、市川海老蔵さん、いわゆる「市川宗家」が成田屋です。●中村屋(なかむらや)先日、亡くなられた中村勘三郎(五代目中村勘九郎)さんの屋号です。江戸三座と呼ばれた歌舞伎座「中村座」が由来です。●澤瀉屋(おもだかや)俳優の香川照之さんが九代目「市川中車」(ちゅうしゃ)を名乗っていますが、澤瀉屋はこの市川家の屋号です。おもだかは薬草の名前です。初代市川猿之助の生家が薬屋で、おもだかを扱っていたのでそこから採ったとのこと。●高麗屋(こうらいや)松本幸四郎さん、市川染五郎さんはこの「高麗屋」。初代松本幸四郎さんが丁稚奉公をしていた商家から採ったそうです。●萬屋(よろずや)映画の大スターであった中村錦之助さんの小川家が独立して1971年にできた屋号。中村錦之助さんはこれで「萬屋錦之介」になったわけです。中村獅童さんはこの萬屋一門です。ほかにも、『鬼平犯科帳』の鬼平役で有名な中村吉右衛門さんの「播磨屋」(はりまや)、坂東玉三郎さんの「大和屋」などが有名です。ちなみに、歌舞伎の舞台でかかる掛け声は専門の人がやっています。間違っても自分もやってやろうと思わないようにしてください(笑)。■歌舞伎役者になる方法はあるのか?歌舞伎役者の家に生まれないと歌舞伎役者になれないのでしょうか。一応、道は二つあることになっています。●歌舞伎役者の下に弟子入りする●「伝統芸能伝承者養成所」へ入学する「弟子入り」の場合は、歌舞伎役者の下に師事して修業を積み、舞台に上がれるようチャンスをうかがうわけです。「伝統芸能伝承者養成所」は、独立行政法人「日本芸術文化振興会」が運営しています。歌舞伎俳優の研修生募集では「中学校卒業以上23歳までの男子」が対象です。研修生にうまくなれたら3年間さまざまな授業を受けます。研修後は舞台に立てるように指導してもらえるようです。このコースは1970年(昭和45年)に開催され、現在までに研修出身者90人が歌舞伎の舞台で活躍しているそうです。(高橋モータース@dcp)⇒独立行政法人「日本芸術文化振興会」の研修生に関するページ
2013年03月28日歌舞伎俳優の市川海老蔵が来年1月の『新春浅草歌舞伎』に14年ぶりに出演することが発表された。海老蔵は第1部で『寿曽我対面』の工藤祐経、初役で挑む『幡随長兵衛』の幡随院長兵衛、第2部で『毛谷村』の杣斧右衛門、『口上』、『勧進帳』の武蔵坊弁慶と全ての演目に出演する。海老蔵に現在の心境を訊いた。「浅草は若い俳優たちがやるフレッシュなお祭りであって欲しい」という思いもあり、はじめは出演を辞退したそう。だが「幡随院長兵衛はいつかはやる役。父(市川團十郎)が元気なうちに習っておきたいですから、それは今がチャンスだと思う」と前向きに答える。それでも侠客の元祖と言われ、度量の大きさをみせる長兵衛役については「気合を入れないとね。恥をかいてでも今やって、(いつかは)出てきただけで『ああ、やっぱり成田屋(海老蔵の屋号)の長兵衛だな』と思わせたい」と胸のうちを明かした。弁慶は1999年1月に同じ浅草歌舞伎で初めて演じた。「(初役の時は)すごかったんですよ、精神的に。そいういう思いに浸りながらできるのは感慨深いなと。まさかまた浅草でやらせてもらえるとは思わなかったので、一から考え直し、作り直して再構築しようと思っています」と語る。相手役の富樫は「ずっと前から一緒にやりたかった」という片岡愛之助が勤める。『口上』は「三が日なのでにらむ方向も視野に入れてます。基本は仕初式(しぞめしき)でしょうね」と話す。その来年は浅草のあと2月、3月に團十郎と一緒に『オセロー』に出演、4月以降も12月までスケジュールがぎっしり詰まっている。来年の抱負を訊くと「無事に生き延びる」ときっぱり。「(浅草歌舞伎は)『勧進帳』で締めくくれるということで、何か見つかるんじゃないか。休むよりかは出続けて(何かを)見つけたい、そして次に進もうかと」。公演は2013年1月2日(水)から27日(日)まで東京・浅草公会堂で上演。チケットは11月24日(土)より一般発売開始。
2012年10月23日11月に全国を巡演する『松竹大歌舞伎』秋季公演の製作発表会見が7月30日行われ、出演の中村橋之助と片岡孝太郎、中村児太郎が登壇した。『松竹大歌舞伎』チケット情報演目は、歌舞伎の魅力を分かりやすく、親しみやすく案内する『歌舞伎のみかた』、豪傑とうたわれた弁慶の生涯でただ一度の涙と恋を描いた『弁慶上使』、娘の姿に初々しさと華やかさが溢れる、長唄の名作舞踊『手習子』を上演する。会見で橋之助は「巡業はお芝居はもちろんのこと、その土地土地で美味しいもの、美味しいお酒をいただくのも楽しみのひとつですが、今回は(甥の)児太郎も一緒なので、あまり羽目は外せませんね(笑)。『弁慶上使』は子供のころから大好きな作品。弁慶の大らかさを出していきたい」とコメントした。また、児太郎が演じる『手習子』の衣裳については「父の(故七代目・中村)芝翫が考えて作ったもの。父も一緒について来てくれるんじゃないかという気がします」と感慨深げだった。今回、被災地を訪れることに関しては「精魂込めたお芝居を見ていただいて少しでも温かい気持ちになっていただくことが、僕たちにできること。今後もできる限り歌舞伎の興行を被災地で実現できればと思います」と意気込みを語った。『弁慶上使』でおわさを初役で演じる孝太郎は「女方のほとんどは芝翫のおじさまに教えていただきましたし、それを支えてくださったのが橋之助さんです。女方の次の世代の後輩の児太郎さんとご一緒するので責任を持って一緒に頑張りたいです。おわさは、自分の子供が斬られてしまうというところで、昔の恋人と再会する、つらい、悲しい、うれしい……といっぺんにいろいろな感情表現をしなければならない役。その複雑なところをお客さんに自然に見てもらえるように頑張りたいと思います」と抱負を語った。公演は11月1日(木)から25日(日)まで、全国18都道府県、20都市をまわる。
2012年07月31日歌舞伎俳優の・中村勘九郎、中村七之助、中村獅童が出演する「渋谷・コクーン歌舞伎第十三弾『天日坊(てんにちぼう)』」の公開稽古が6月14日、東京・渋谷Bunkamuraシアターコクーンで行われた。コクーン歌舞伎『天日坊』チケット情報本作は、河竹黙阿弥が1854年に書いた『天日坊』をもとに、人気脚本家の宮藤官九郎が新たに脚本を執筆。それを串田和美の演出・美術により、実に150年ぶりに現在の歌舞伎として上演するもの。物語はふとした野心から将軍・源頼朝の落胤になりすました法策=後の天日坊(勘九郎)を軸に展開。悪事を重ねながら鎌倉を目指す法策は、旅の途中で出会った盗賊・地雷太郎(獅童)とその妻・お六(七之助)から思いもよらぬ自分の運命を知ることになる。宮藤の書いたセリフには「マジかよ」などの現代語と黙阿弥の七五調が混在し、その状態をさらにセリフでつっこんだりと、飽きさせない工夫が随所にある。また黙阿弥お得意の因果話に加え、化け猫退治や東海道への旅など盛りだくさんの要素をわかりやすくまとめている。串田の美術は整ったものではなく、手作り感を生かしたようなセット。衣裳やかつらは今までの歌舞伎で見慣れたものとはひと味違うデザインで面白い。音楽は歌舞伎で使う下座音楽は使わず、全編トランペットとエレキギター、ベースを使用。トランペットの音色と法策の心情がシンクロするような場面もあり、従来の歌舞伎では見られない新しい演出効果になっていた。この日の稽古前には会見も行われ、勘九郎、七之助、獅童と串田が登壇。勘九郎は「父(勘三郎)が18年前にコクーン歌舞伎を始めた時は“勘九郎”でしたから、その名でここに立てることはプレッシャーもあり、誇りに思っています」と挨拶。弟の七之助も「うちの父が『面白い!出来てるじゃん』って言ってました」と父・勘三郎も驚いたことを明かした。これを受け串田も「稽古場でやけに笑う人がいるな~、誰だよ」と勘三郎が様子を見に来たときのエピソードを披露。また、獅童は「僕は盛り上げ役ですから」と謙遜しながらも「七之助さんと毎日一緒にご飯を食べて、恋愛や芝居の悩みを相談してます。人生ってのは楽しいですよ」と話し、場を和ませていた。東京公演は同所にて6月15日(金)から7月7日(土)まで上演される。その後、「信州・まつもと大歌舞伎『天日坊(てんにちぼう)』として長野・まつもと市民芸術館主ホールにて7月12日(木)から18日(水)まで開催。チケットはいずれも発売中。
2012年06月15日人間国宝で歌舞伎俳優の坂田藤十郎が5月30日、都内で会見を行い、今夏上演される近松座30周年記念『松竹大歌舞伎近松座公演』への意気込みを語った。『松竹大歌舞伎近松座公演』チケット情報昨年、東日本大震災の影響でやむなく中止となったが、今年は震災の影響のあった岩手や福島も回り、改めて開催されることになった。会見で藤十郎は「昨年は震災が起こり、巡業に伺うことができませんでした。今年、また同じメンバーでやらないと言ってもらえたのでぜひ伺いたい。震災に遭われた方に少しでもわれわれの歌舞伎を見てもらい、喜んでいただきたい」と語った。上方を代表する近松門左衛門の作品の上演を目的に、近松座を立ち上げてから今年で30年。当初は自主公演のような形ではじめたという。「江戸歌舞伎と上方歌舞伎、この両方が隆盛にならないといけないと思い、はじめました。上方の役者を先祖に持つ私としては、近松の作品だけを取り上げて、とにかく上方歌舞伎を一生懸命やるんだという気持ちで取り組みました」と当時を振り返る。出演は、藤十郎のほか、中村翫雀、中村扇雀、中村亀鶴、中村壱太郎、中村虎之介と一門の役者が揃う。「30年前の第一回公演『心中天網島』の時は血縁(の役者)は誰も出ていなかったけれど、今回は上方歌舞伎の血の流れている役者が大勢出ていることに、深いものを感じます」と感慨もひとしおの様子。「平成24年度(社)全国公立文化施設協会主催・中央コース『松竹大歌舞伎近松座公演』は6月30日(土)から7月31日(火)まで東京、兵庫ほか各地を回る。また、演目は30周年を記念し、『お目見得御挨拶』『夕霧名残の正月』『曽根崎心中』を上演する。
2012年06月01日歌舞伎俳優の市川染五郎が東京・新橋演舞場『五月花形歌舞伎』で『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の源為朝を初役で演じる。祖父・初代松本白鸚、父・松本幸四郎も演じた役に挑む染五郎が現在の心境を語った。市川染五郎関連のチケット情報1969年に初演された本作は、曲亭馬琴原作の伝奇物語をもとに三島由紀夫が書いた創作歌舞伎。三島は小説以外にも『地獄変』や『鰯売恋曳網(いわしうりこいのひきあみ)』などの歌舞伎を創り、一連の作品は“三島歌舞伎”と呼ばれている。初演時は演出も三島が買って出るなど渾身の力を注ぎ、壮大な物語を幻想的でロマン溢れる歌舞伎に仕立て上げた。物語は忠誠を貫く英雄、源為朝の活躍を描いたもの。「上の巻」「中の巻」「下の巻」からなり、伊豆、四国、九州、琉球(現在の沖縄)と様々な地で繰り広げられるスケールの大きな芝居で、上演時間は休憩を入れて5時間近い。染五郎は「祖父が三島さんと創り上げた作品で、細部にわたってこだわりがあります。SF的でどこか古怪な感じもします。三島さんを筆頭に、(創作した)一座の熱を感じますね。そういうものを全て再現できれば」と意欲を語る。脚本も初演時のものを変えずに上演するそうだ。「あえて変えないでと思っているのは、この作品に対する取り組み方のひとつのテーマだと思っています。もしも変えるのであれば、初演時と同じ苦労をすべきじゃないかと。練り上げたものを通らないと変えることは出来ないです」。見どころについては「スペクタクルというよりはパンクですかね。絵に描いたようなヒーローの活躍や、役者がどれだけ輝いているか」を楽しんでと話す。今月は同じ新橋演舞場で『仮名手本忠臣蔵』の大役、大星由良之助役にも挑んでいる。「これが出来なきゃ意味が無い、高麗屋としてもとても大事な役です」。梨園の名家に生まれ、年齢とともに重責を担っていく立場になった今、歌舞伎俳優としての決意が垣間見えた。今後やってみたいことについては意外な答え。「究極は自分が書いたものを人に演じてもらって、自分は客席で観たいです」。来年は40歳を迎える。「ちょうど新しい歌舞伎座が完成する年なので、ハッキリとした目標が定められます。今年一年、来年に照準を合わせて頑張ります」。公演は新橋演舞場にて、5月1日(火)から25日(金)まで夜の部で上演する。チケットは発売中。
2012年04月18日大阪松竹座「二月花形歌舞伎」の製作発表が1月17日都内で行われ、出演者の市川染五郎、片岡愛之助、中村獅童が出席した。「二月花形歌舞伎」の公演情報次代の歌舞伎を担う人気花形役者による、古典の名作から新作歌舞伎まで、多彩な演目を揃える今回の舞台。3人は口々に本公演にかける意気込みを熱く語った。染五郎「今回の公演は四演目ございますが、全てに愛之助さん、獅童さんと共に出演いたします。昼の部はほぼ新作、夜の部は古典の名作、上演が途絶えていた作品と、かなりアグレッシブな作品の気がいたします。アグレッシブなエネルギーに乗っかりまして、それをパワーアップさせて、舞台上で暴れることが出来ればと思っています。『大當り伏見の富くじ』は、十年以上前からこの作品がやりたいと思っておりまして、それがやっと実現することにすごく興奮を覚えております。“歌舞伎でやったことのないことをやる、やったことのあるものはあえてやらない”ということを目標に徹底した喜劇を作りたいと思っています。2月は話題の舞台が多いですけれども、どこよりも目立つ公演を目指したいと思います」愛之助「一つ目の『慶安の狼』では野中小弥太というお役ですけども、獅童さん演じる丸橋忠弥とその時代を生き抜いていく二人の青春群像劇で、熱く演じたいと思います。『富くじ』では、傳七という侠客を、かっこよく演じたいと思います。そして夜の部の『すし屋』の権太は浅草で勤めさせて頂いて二度目でございますが、二度目というのは怖いものでございまして、うちの伯父の仁左衛門に手取り足取り教わりました。初心に返って勤めたいと思います。そして『研辰』は、初役の九市郎でございます。二月は染五郎さんが仰ったように、話題の舞台がたくさん開いておりますので負けないように、また外の寒さにも負けないように熱い舞台を繰り広げたいと思いますので、どうぞ千秋楽までよろしくお願いいたします」獅童「昼の部はまず、新国劇の作品であった丸橋忠弥を勤めさせて頂きます。『富くじ』は黒住平馬という役を勤めますが、どうやら禿げてる人で、カツラをかぶっている人という…途中でかつらがとれたり、とんでもない芝居になりそうです(笑)。大阪ですので、笑いにも厳しいですし、関西の芝居ですので、気をひきしめて劇場の皆様に楽しんでいただける芝居になれば、と思っています。『すし屋』では梶原平三をやらせて頂きますが、これは三度目でございます。『研辰』も皆で色々と相談しながら、野田版とは違った魅力の作品になればなと思います。こういった普段やらない演目ですとか、歴史上に残るといった公演で大役を勤めさせて頂くのは嬉しいことで、ゼロから作り上げていくということは大変な反面、喜びもありますし、わくわくする気持ちもあります。エネルギーと熱意と情熱とで、良い芝居を作りたいと思います」同世代の3人とあって、終始笑顔の絶えない会見。カメラマンの求めに応じ、照れながらもポーズを決め互いにツッコみあう様子に、3人の息の合った姿が垣間見えた。公演は2月2日(木)から26日(日)まで。
2012年01月20日