赤ちゃんが生まれたときの授乳室でのこと、隣の赤ちゃんは幸せそうにゴクゴクと喉を鳴らしておっぱいを飲んでいます。いつかは自分とわが子もそうなれると思って頑張っていたのに。乳首の形が違うのか、きっとおっぱいの出方が違うのかもしれない……と、周りのママたちと自分を比べてしまうことがあるかもしれません。 ミルクがあるのに母乳を飲ませたい退院後、体重計をレンタルし、飲む前と飲んだ後の体重を測ってみた。「30gしか増えていない! これでは赤ちゃんがかわいそう。おなかを空かせてひもじい思いをしているね。ゴメンね、ママが悪いよね」と、そんなふうに思ってしまう方もいるかもしれません。 周囲からは「なんで出ないおっぱいをいつまでもくわえさせているの?」「さっさとミルクに切り替えれば夜も楽になり、赤ちゃんだって成長して、満足そうに眠るはず。今はミルクの質もいいし、液体ミルクだってできて調乳の手間も省けるようになるのに」と言われてしまいます。 「母乳を飲ませたい」という思いは自然なことでも、「母乳を飲ませたい」というママの気持ちはそんな単純に割り切れるものなのでしょうか。 大変なお産を乗り越え、脳からはオキシトシンという母性愛を育むホルモンが分泌されます。赤ちゃんを産んだ途端に母乳をあきらめるママは少ないと思います。おっぱいを飲ませたいという気持ちは自然な衝動なのです。 誰もが溢れるおっぱいをもっているわけではありません赤ちゃんもみんな飲みじょうず、くわえじょうずとは限りません。乳首だって「短い」「硬い」「大きすぎる」「小さい」なんてざらなことです。くわえては離し、また吸わせ、ママと赤ちゃんでなんとか折り合いをつけていくのです。 赤ちゃんがおっぱいに吸いついたとしても、ゴクゴク飲むとは限りません。分泌が不十分であれば強い力で吸いつく赤ちゃんもいるかもしれませんし、すぐにあきらめてしまう赤ちゃんであれば、ママがやさしく「もう少し飲んでね」と励ますこともあるでしょう。一方、溢れるおっぱいでは強く飲むとむせ返ったりする赤ちゃんもいますし、難なく飲み終えてママの励ましがいらない赤ちゃんもいるでしょう。 どのようなおっぱいでも吸えばそれだけ顎の力がついてきます。顎が動けばこめかみも動き、脳の血流も増えるかもしれません。足りない分だけミルクで補充し、諦めずに続けましょう。母乳に含まれる免疫を与えることが重要です。離乳食を与えるころには、補充分のミルクが減ってくるかもしれません。おっぱいの出方が少なければ、少ないなりに与えていけばいいのです。 著者:助産師 YAMADA助産師資格取得後、国立病院、日赤病院、大学病院などで助産師として勤務。現在は母乳相談室を開設するかたわら、ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。助産師一筋、2児の母。
2019年06月21日こんにちは。助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。 今回は、夏になって気になる赤ちゃんの日焼け予防についてお話します。知っておくことで、不安なく夏のレジャーが楽しめるようになりますよ。 赤ちゃんにも日焼け予防は必要?昔は、子どもは日光に当たることを推奨されていました。骨をつくる栄養素のビタミンDは日光に当たることでつくられますが、手の甲に15分程度あたるくらいで十分とされています。 紫外線をたくさん浴び続けると将来的に、様々な皮膚のトラブルになることがあります。赤ちゃんのうちから強い日焼けをしすぎないようにすることが大切です。 日焼けしすぎないように注意することは?■時間帯に注意する1日のうちで午前10時〜午後2時までに紫外線量が1番強くなります。この時間に長時間屋外で過ごすことは避けるようにしましょう。短時間であれば問題ありません。 ■場所に注意する日陰を選んで遊びましょう。ひさし、屋根、パラソルなどがあるところを選ぶようにします。 ■衣類や帽子つばの広い帽子、首にカバーがある帽子をかぶせましょう。衣類は肌の露出が少ないもの、紫外線を反射しやすい白や淡い色のもの、UVカット効果のある素材のものを選びましょう。ケープやベビーカーの日差しよけも良いですね。プールの場合、ラッシュガードなどを着るのも効果的です。 日焼け止めクリームはどんなものを選べば良い?肌に負担の少ない低刺激性で、ベビー用や子ども用のもの、石鹸で落とせるものにしましょう。 生後3カ月以上で使用可能とされていますが、メーカーによっても異なるので説明書などで確認しましょう。プールなど水遊びのときは、ウォータープルーフのものにしても良いかもしれません。 日常の生活では、SPF15〜20、PA ++海や山では、SPF20〜40、PA ++〜+++を目安にしましょう。 汗で落ちやすいので、こまめに塗るようにします。お風呂のときは、日焼け止めをしっかり洗い流し、保湿をするようにします。 日焼け止めの塗り方使用前は、腕の内側や太ももなどの目立たないところでパッチテスト(1円玉大ぐらいに塗って赤くならないかみる)をします。 ■顔クリーム状はパール1個分、液状は1円玉1個分手のひらにとる。額・鼻の上・両頬・アゴに分けておいてそこからまんべんなく丁寧に塗りのばします。その後にもう一度同じ量を重ねづける。 ■腕や脚などの広範囲容器から直接直線を描くようにつけてから、手のひらでらせんを描くように均一にムラなく伸ばす。 塗り薬と虫よけを一緒に使う場合は、塗り薬→日焼け止め→虫よけの順番になります。 紫外線の強い季節、外出や外でのレジャーも増えます。曇りの日も、紫外線を浴びているので長時間の野外活動の場合、日焼け予防に努めることが大切です。ぜひ、参考にしてみてくださいね。 ※引用・参考文献日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会「保育園・幼稚園での集団生活における紫外線対策に関する日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会統一見解(2015.09)」 監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年06月19日赤ちゃんに授乳するようになると、母乳の出る量が増え、自然に母乳が溢れ出てくるという方もいると思います。そんなときに便利なのが「母乳パッド」。 今回は、いつごろから必要になったか、どんなタイプがあるのか、愛用していた「母乳パッド」について先輩ママ2,306人が教えてくれました!アンケートの結果から、リアルな口コミや、おすすめの「母乳パッド」をご紹介します。 「母乳パッド」はいつ必要?種類は?どう使うの?一般的には出産後、授乳が始まってから母乳が出るようになる方が多いのですが、なかには妊娠中から母乳が出る方もいます。母乳の出る量は個人差がありますが、たくさん出るようになると「母乳パッド」がないと下着や服がびしょ濡れになってしまうこともあります。新生児用品を購入するのと同時に、妊娠中から準備しておくと安心です。 「母乳パッド」は、大きく分けて布タイプと紙タイプの2種類があります。布タイプは洗濯して何度も繰り返し使用でき、紙タイプは生理用ナプキンのように下着へ貼り付け、汚れたら剥がして新しいものに取り替えます。 布タイプは繰り返し使えて経済的ですが、洗う手間がかかります。また、紙タイプは気軽に取り替えられるので乳房を清潔に保てますが、夏は蒸れやすくなります。お出かけ時や母乳分泌過多の間は紙タイプを、すぐに洗濯できる在宅中や蒸れやすい夏は布タイプを、シーンや時期によって使い分けてもいいですね。 先輩ママ2,306人に「母乳パッド」事情を聞いてみました! なんと8割以上の方が、母乳が漏れて下着・服が汚れるのを防ぐためなどの理由で「母乳パッド」を使用していました。使用していなかった方は、「母乳が溢れるほど出ることはなかった」「ガーゼやタオルで代用した」「汚れたら着替えていたので必要なかった」という回答でした。 また、使用していた時期については、開始時期は産後すぐ(当日〜1週間以内)が最も多く、使用をやめた時期は卒乳・断乳のタイミングという方が多く見られました。なかには妊娠中から使用を開始した方もいたので、やはり準備は早めが良さそうです。 「母乳パッド」を使用していたママに使用していたタイプを聞くと、紙タイプを使用していたママが圧倒的に多数でした。「洗濯の必要がない」「取り替えがラク」「衛生面を考えて使い捨てが良い」という理由で紙タイプが選ばれたようです。また、自宅では布タイプを使用し、お出かけの際は紙タイプにして使い分けているママもいました。 選ぶ際に重視したポイントは以下のようなアンケート結果になりました。 毎日使用するものだからこそ、やはり“低コスト”に抑えたいですよね。乳首を守るという機能も欠かせないので、“肌触り”も重要になってきます。「母乳パッド」がズレて下着に母乳が漏れてしまった……なんて事態になると元も子もないので、“ズレにくい”ことも重要なポイント。 先輩ママに人気の「母乳パッド」TOP3先輩ママへのアンケート調査結果をもとに、とくに人気だった「母乳パッド」をご紹介します。 dacco 母乳パッド マミーパット助産師さんとママの声から生まれたブランド・daccoの「母乳パッド マミーパット」。下着からはみ出ないサイドカット形状で、長い4本のテープで下着にしっかり固定できる母乳パッドです。 ピジョン 母乳パッド フィットアップ プレミアムケアピジョンの「母乳パッド フィットアップ プレミアムケア」は、中心部はふわふわで、敏感な肌にやさしい肌触り。かゆみを感じやすい方、肌荒れしやすい方にも◎。乳首がデリケートなママや、はじめてのママに特におすすめの、プレミアム品質の母乳パッドです。 ピジョン 母乳パッド フィットアップたくさんのママから支持されたのは、ピジョンの「母乳パッドフィットアップ」。クッション性がある立体的なカップシートがおっぱいを包み込み、母乳を吸収してくれます。 初めはあまり母乳が出ず、「母乳パッドは必要ない」と感じるかもしれません。それでも、赤ちゃんのおっぱいを吸う力が強くなり、母乳をしっかり飲んでくれるようになると、母乳の分泌量が増えたというケースもあります。念のため、妊娠中に1つ用意しておくと安心ですね。ぜひ先輩ママの口コミを参考に、ご自身に合った母乳パッドを選んでみてください。 <調査概要>調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用された方調査期間:2019年6月9日(日)~2019年6月10日(月)調査件数:2,306件 監修者:助産師 保健師・看護師・アドバンス助産師(※) 高塚あきこ都内の看護大学にて保健師・助産師・看護師の資格を取得。大学卒業後、大学附属病院の総合周産期母子医療センターにて、助産師として妊娠期から産後のケア、新生児のケアに携わる。9年程勤務した後、出産を機に、横浜市内の総合病院の産婦人科病棟にて勤務し、母子のケアをおこなっている。現在、自身も3人の子の育児に日々奮闘中。※アドバンス助産師とは、日本助産評価機構より自律して助産ケアを実践できると認証された助産師の呼称です。
2019年06月19日私の上の子が赤ちゃんだったころ、周囲は完全母乳育児だったママ友が多く、母乳とミルクの混合育児だった私は憧れの思いで見ていました。私の周囲に限っていえば、そんな1人目完母だったママ友たちが2人目を妊娠すると、みんな口を揃えて「今度は混合で育てたい」と言うのです。その理由とはいったい何なのでしょうか? 「パパの育児」に影響?ママ友たちに話を聞くと、その理由は「パパの育児」と関係していました。完全母乳だと、おっぱいを飲ませるのはもちろんのこと、その後のゲップ出しも直後にうんちが出たときのおむつ替えも、ついつい流れでママがやることが多かったそうです。 たしかに授乳が済んだらゲップ出しはパパにバトンタッチ……とは、意識していないとなかなかできないかもしれません。 赤ちゃんはおっぱいがないとダメ?また、母乳指導に熱心な産院などでは、母乳育児を軌道に乗せるには「可能な限り頻回授乳を!」と言われることが多いと思います。その影響もあってか、赤ちゃんがグズると、まずは「おっぱいかな?」となり、その習慣が赤ちゃんがある程度大きくなってからも続いてしまったそうです。 同様に寝かしつけのときも、まずはおっぱい。グズったときも寝かせるときも、赤ちゃんはママのおっぱいがないとダメという思い込みができてしまったということでした。 授乳以外は積極的にパパに任せてみてもでも本当なら完全母乳で育てていても、グズったときにあやしたり寝かしつけたりするのはおっぱいがなくても可能な場合もあるはず。保育士さんやベビーシッターさんは、預かった赤ちゃんがグズったときも眠たいときも、おっぱいなしで対応していますよね。時と場合によるかもしれませんが、パパだって慣れないうちは大変かも知れませんが不可能ではないはずです。 赤ちゃんを完全母乳で育てたい! パパには積極的に育児をしてもらいたい!と考えているママさんは、授乳以外のお世話は意識してパパに任せてみるのもいいかもしれませんね。 イラスト:imasaku著者:奥田美紀二児の母。IT企業にてSE・プログラマーとしてシステム開発やWEBサイト運用等をおこなう。夫の転勤や子育てのために退職し、現在は妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2019年06月19日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本さんからメッセージです。 こんにちは。助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。 授乳期間は、おっぱいに関する様々なトラブルや「これでいいのかな?」という不安もいっぱいな時期です。 母乳育児がラクになるように、母乳外来を利用してみましょう。 母乳外来はどんなときに利用するの?一般的に、母乳外来というと、乳腺炎などのおっぱいのトラブル発生時に受診するイメージがあると思います。 そのほかにも、・母乳分泌を増やしたい・授乳姿勢がうまくできない・赤ちゃんがおっぱいを吸ってくれない・母乳が足りているか心配・赤ちゃんの体重が増えているか心配・混合栄養でミルクをどのくらい足したらいいの?・母乳分泌が多すぎて困っている・卒乳や断乳時のケアなど、たくさんの相談ができます。 不安を解消することで、精神的なサポートが受けられ、母乳育児がよりラクになっていきます。 母乳外来にはどのようなものがある?■産婦人科クリニックや総合病院出産した病院であれば受診しやすいですし、乳腺炎などのときも医師の診察や処方などもしてもらえます。病院によっては、授乳姿勢チェックや体重測定、母乳相談のみで乳房マッサージは実施していない場合や、出産した方限定で受診できる場合、また受診できる曜日・対象月齢などの制限があるところもありますので、事前の確認が必要です。 ■助産院お産のイメージが強いですが、分娩だけでなく母乳相談ができるところも多くあります。助産院で出産されていなくても、母乳外来は受診できることもあります。また、出張訪問もしているところもあるようです。 ■母乳相談室地域で母乳相談を専門として開業しています。来院型や訪問型のタイプがあります。おっぱいマッサージやケアの理論など、専門の知識をもった助産師が開業しています。桶谷式母乳育児、堤式乳房マッサージ、国際ラクテーションコンサルタントも、母乳育児のケア専門家の資格のひとつです。 日本助産師会のホームページから、全国の開業助産師の一覧を検索できます。 気になる料金は?母乳外来は、一般的に相談する場所であって、病気を治療する場所ではありません。そのため、母乳外来でかかる診察料は保険適用外になり、病院であっても全額自己負担になります。 比較的、病院の母乳外来のほうが安い傾向があります。費用は施設によって異なりますが、初診で5,000~7,000円程度、再診で3,000~5,000円程度かかります。また、診察料とは別に、乳房マッサージに料金がかかる場合もあります。助産院や開業助産師の母乳相談室の料金は、助産師業務料金参考表(平成29年9月改定 乳房管理指導料7000円以上)に基づき設定しています。施設によって料金には差があるようです。 訪問型は、交通費などが別途かかることが多いです。実際に母乳外来に訪れる前に料金の詳細について問い合わせてみることをおすすめします。領収書はかならずもらいましょう。 乳腺炎などの乳房トラブルでの受診など、場合によっては医療費控除の対象となる可能性があります。また、自治体によっては母乳外来でかかった料金を一部補助してくれることがあります。 母乳外来は来院型と訪問型、どちらが良い?赤ちゃんを連れての移動は、月齢が浅いと大変です。ご家族の方に送り迎えをお願いしたり、タクシーなどを利用されたりする方が多いです。 特に新生児期は訪問型をおすすめします。ただ、おうちに訪問されることに抵抗を感じる方にとっては、来院型のほうが良いかもしれません。料金も安くなります。しかし、交通費がかかり思わぬ出費があることもあり、訪問型のほうが反対に出費を抑えられる場合もあります。お子さんの月齢やお母さんの体調、母乳外来場所との距離、家族の送迎など、トータルで検討されるとよいと思います。 母乳外来を選ぶ基準は、口コミだけでなく助産師との相性もあると思います。セカンドオピニオンも有効的です。 地域や病院では、母乳育児を支援している助産師がいます。母乳育児をラクにできるように、ぜひ活用してみてくださいね。 監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年06月16日出産後2日程は助産師さんのすすめもあり、乳頭保護器を使用せずに直接授乳しました。しかし、授乳しているという喜びを噛み締めたのも束の間、2日目には乳首は傷ついてしまいました。授乳時の痛みがどんどん増していくのに加え、乳首にうまく吸いつけない娘。そのため産後3日目から乳頭保護器を使用した体験談をお伝えします。 乳頭保護器を使ってみて…私は産院でも使用しているという、メデラの乳頭保護器「ニップルシールド」を購入しました。まず娘が保護器に吸い付いてくれるか心配でしたが、嫌がらなかったのでよかったです。しかし新生児の力では、乳頭保護器のついた乳首から母乳を飲むことは難しいようで、娘自身も慣れて満足に飲めるまで少し時間がかかりました。 その間に私の少し短い乳首も乳頭保護器によって引き伸ばされ、傷も深くなることなくきれいに治り、徐々にお互いがストレスなく授乳することができるようになりました。 使用の際に大変だったこと新生児のころは授乳時の動きも少なく、スムーズに娘の口にくわえさせることができていましたが、少し動けるようになってくると乳首を探す動きを片方の手で押さえ、もう片方の手で乳頭保護器を押さえるという作業が必要でした。 娘の動きによって、せっかく消毒した乳頭保護器を床に落としてしまったり、ぴったり肌に密着するものではないので、スムーズにいかないときは手こずってしまいました。 乳頭保護器のやめどき乳頭保護器を使った授乳をしていた私でしたが、娘が生後1カ月半ごろに1度、直接授乳をしてみました。また傷ができるかもと心配でしたが、くわえさせてみると吸いつかないのです。乳頭保護器を付けると吸い付くのに……。そのときは、「まだ保護器が必要なのだ」と諦めました。 次の授乳時に、くわえる練習として乳頭保護器だけを最初にくわえさせ、すぐに直接乳首をくわえさせるという方法を試しました。すると、うまく吸い付くことができ、直接授乳に成功! 痛みも軽減していたのでよかったです。 気持ちに余裕があるときは乳頭保護器なしで授乳することにしていました。しかし、だんだんと生後2カ月には直接乳首からしっかり飲むことができるようになり、乳頭保護器を卒業しました。 乳頭保護器を使用することによって、乳首の痛みや傷にほとんど悩まされることなく授乳することができたのでよかったと思っています。乳頭保護器を卒業した現在も、乳首の痛みや傷は問題なく、娘の哺乳量も十分与えることができています。著者:上田かんな0歳の娘を育てている、理学療法士。写真を撮ることが好き。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
2019年06月16日私が出産をした産院は、母乳育児を推進しているところ。そこでは、赤ちゃんに湯冷ましを飲ませる必要はないと教わりました。ところが同居する義母は真逆のことを言います。今回は、この体験を通じて感じた、湯冷ましの必要性についてお伝えします。 世代で育児方針が異なることをわかって!入浴後や汗ばむ季節など、どんなときでもおっぱいだけ飲ませればいい。そう産院で教わり、自宅へ帰った私に、同居する義母は「のどが渇いているんじゃない? 湯冷ましをあげたら?」と言います。 私はおっぱいしかあげたことがないことを伝えたのですが、「飲ませてみたらいいのよ」と義母。育児に口出しをしてくる義母に正直イライラしてしまったことを覚えています。世代で育児方針が異なることをわかってほしい。そういった気持ちでした。 義母が湯冷ましをあげていた!ある日、わが子を義母に預けて外出していた日がありました。お風呂の時間には帰宅する予定だったのですが、帰ってみると入浴を済ませてくれていたんです。とても助かったのですが、私の目に飛び込んできたのが「哺乳瓶に入った湯冷まし」です。「えっ……勝手に飲ませてるの?」とびっくりしすぎて声になりませんでした。 義母からしたら入浴後の湯冷ましは、当たり前のことなのでしょう。ただ、義母は湯冷ましを与えようとしたようですが、おっぱいしか口にしたことのないわが子は嫌がって飲まなかったようでした。 母乳外来で聞いた水分補給の話そんな義母とのやりとりもあって、私は改めて母乳外来で湯冷ましの必要性について相談してみました。すると、母乳育児の場合は離乳食が始まるころまで、おっぱいだけでもOKとのこと。ミルク育児の場合は、湯冷ましを与えても飲ませ過ぎない程度であればOKだと聞きました。 入浴後であれば水分補給に1回30~50ml程度。1歳6カ月ごろでも1回に100mlまでにし、飲ませても1日に200~300mlが目安だと教わりました。 義母の言うことが100%間違っているとは言えません。実際に、夫は元気に育っていますからね。でも、自分がおこないたい育児方針を否定されると嫌な気持ちになってしまいます。今は一旦義母の話を聞いておいて、取り入れるかどうかは自分で決めるなど、ある程度割り切って義母と付き合うようにしています。 イラスト:sawawa著者:田中由惟一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年06月14日こんにちは。助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。 今回は、赤ちゃんの頭が変形している? と心配されるお母さんへ。頭の変形を予防する方法についてお話ししていきます。 赤ちゃんの頭は柔らかい?赤ちゃんの頭は5枚の骨でできていて、大泉門という隙間があいています。これはお産のときに、頭を小さくしてせまい骨盤を通るために大切な形状です。また、この構造は、脳が成長するためにも必要です。 ひし形の隙間である大泉門が縮小し始めるのは生後10カ月~1歳2、3カ月で、1歳6カ月ごろに閉じてくるといわれています。頭の形を改善するためには、大泉門が閉じてくる、このころまでが大切です。 頭の変形を予防するには?首すわりや寝返りをする前頭の一辺がへこんだタイプにオススメ・抱っこや授乳の頭の方向を時々変えてみる・同じ方向を向かないように頭の向きを変える・明るいほうや音のなるほうを向くことが多いので、寝かせる場所を変える・興味のあるおもちゃを置く位置を変える 頭の後頭部が平らな(絶壁)タイプにオススメ・背中に薄いクッションやタオルを入れてやや横向きにする・ドーナツ枕(あまり効果はないとされています)・首枕をする(後頭部の首の隙間にタオルなどを丸めて入れる)。商品化しているものもあります※上から見て頭が縦に長いタイプにもオススメです 寝返りやおすわり、はいはいが始まったらどのタイプにも共通・日中の活動量を増やしてみる(横になっている時間を減らす)・うつ伏せの状態や座位での遊びを一緒にしてみる 遺伝的要素も大きい?頭の形が変形していると、心配になってしまいますよね。1歳ごろになると、仰向きや横になっていることが少なくなり、頭が圧迫される時間は自然に減っていきます。自然に丸くなってくることがほとんどですので、あまり心配し過ぎないようにしてくださいね。 1歳を過ぎても、変形が強い場合にはヘルメットなどを使用した治療が行われることもあります。最終的な頭の形は、遺伝的要素が影響するといわれています。 頭の変形は、頭蓋骨の圧迫によって起こるので、比較的よく眠ってくれる赤ちゃんに多くみられます。SIDS(乳幼児突然死症候群)予防でうつぶせ寝を避けるようになったために、頭の変形がみられる赤ちゃんが増えてきたといわれています。早めに予防することがオススメですが、自然に改善されていくこともあるので、心配し過ぎないことが大切です。 監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年06月10日赤ちゃんが生まれたら、母乳育児で頑張ろうと意気込んでいた私。出産前から母乳を出しやすくするというおっぱいマッサージをする、食事に気をつかうなど、できることはしていたつもりでしたが、現実はそううまくいきませんでした。入院中、必死で母乳をあげ続けていた私が、言われてショックだった・悲しかった言葉です。 母乳育児への憧れ私はもともと母乳育児に憧れを抱いており、妊娠中に読んだ育児雑誌で母乳の良さや便利さといったメリットを知ると、ますますその憧れが強くなりました。 妊娠がわかってからは、産院で教わった母乳が出やすくなるというおっぱいマッサージをし、準備は万端。幸いにもおなかが張りにくい体質だったので、マッサージを毎日のようにおこなうことができましたし、出産前から食事にも気をつけ、母乳が出ると信じて疑いませんでした。 最初からミルクしかし、分娩中に異常があり、緊急帝王切開になったので、わが子が最初に口にしたのは粉ミルク。仕方ないとわかっていながらも、母乳育児に幻想ともいえるほど憧れを抱いていたので、それもショックでした。 わが子が部屋に来てからも、不慣れなことと体の疲れで授乳がうまくいかず、泣かせっぱなし。出なくてもおっぱいを吸わせないとますます母乳が出にくくなると聞いていたので、なるべくミルクは足さず、泣くたびに吸わせていました。 助産師さんのひと言が…授乳を始めてまだ4日目くらいだったと思いますが、乳首が切れて血がにじむようになってしまいました。なかなか母乳が出ないこと、そのせいでわが子がずっと泣いていること、おっぱいが痛いことなどで、こっちのほうが泣きたい気持ちに……。 部屋にきた助産師さんに相談すると、「どのくらいの頻度で授乳しているんですか」と聞かれました。「泣き止まないので、30分おきくらい……」と答えると、助産師さんはあきれ果てたという顔で「そんなことしてるからですよ。当たり前です。ミルクを足してください」と言い、出ていきました。悲しいのと悔しいのとで、泣きました。 当時の私にとっては母乳が出ないことは一大事で、とてもショックなひと言でした。しかし、不思議なのですが退院すると入院中の苦労が嘘のように母乳がたくさん出るようになり、それからはミルクを足さなくてもおなかいっぱい飲ませることができるようになりました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:ライター 銀鏡あゆみ二児の母。生まれ育った町で、自身の父母・祖母・夫・子ども2人との大家族で暮らす。地元を中心に取材・撮影・執筆を行うライター。
2019年06月10日子どもを授かる喜びは一入!みなさん、こんにちは。ロシアンハーフ子育てに奮闘中の室伏真由子です。先日、母の口から「最近のママは出産してもガリガリね」という言葉を耳にしました。母にしてみると、体格の良い「肝っ玉母さん」みたいなが昭和の時代は多かったそう。産前産後ですっかり太ってしまった私は、出産した後も抜群のスタイルをキープしているママさんをみるとすごいなあ~と尊敬します。体重の増減といった表面的に表れやすいものも含めて、出産を経験したママには色々な変化が起きています。まさに人生の中で一大イベントとも呼べるほど、心身が転換するタイミングです。体重の増加もそうですが、それだけでなく産後すぐに感じた変化が大きいものから小さいものまで沢山ありました。「子どもを授かった」という幸せに比べればあまり大したことはありませんが、体型が崩れて嫌だなあ~とネガティブに感じることも。ママによって体感する変化はそれぞれだと思いますが、今回は私が実際に経験した産後の変化についてご紹介をしていきます!産後翌日から! 身体の不調が続いてピンチ…私が出産した場所は、母子同室が基本の産院。出産した翌日は、10ヵ月経ってやっと出会えた赤ちゃんのために色々とお世話がしたくて張り切っていたのですが、発熱していてあまり身体が動きませんでした。結局、熱っぽくてだるい状態は退院後数週間続き、その間の買い物や用事は主人に沢山助けてもらいました。私の場合、身体はしんどい状態だったのですが、無事に出産できた安心感と赤ちゃんの可愛さで心は満たされていたため、産後うつを経験することなく済みました。しかし、産後うつは一般的に起こり得ることなので、イライラしたり眠れなくなったりといった症状が1ヵ月以上続く場合は、単なるマタニティブルーでは無い可能性があるので早期の受診をおすすめします。また、産後の尿漏れは良く聞くのですが、私は尿漏れではなくてトイレが近くなったように感じました。これは出産してから3年が経過した今も現在進行形。骨盤のゆるみや体型の変化によって尿意を感じやすくなってしまったのかなと思います。ただ、生活に支障があるわけではなく「産前より若干」という程度の小さい変化でした。産後2ヵ月で仕事復帰! おっぱいトラブルが待ち受けていた?!過去の記事でも紹介しましたが、日中の育児は在宅勤務する主人にお願いしようと決めていたので、私は育児休暇を取得することなく産後2ヵ月で仕事に復帰。出産した時はまだ25歳。若いから体力的には大丈夫だろうと考えていましたが、初めての出産だったこともあって考えが甘かったなと…。産後すぐというよりは、復帰してから起きた体の変化に対処する方が大変でした。それでも子どもとの時間を楽しみながらうまく乗り切ることができたのは、家族や友人など色々な人に支えがあってこそ。産後数ヵ月が経っても体の変化は続きます。油断は禁物ですが、どれも一過性のあるものなので、上手に付き合っていけると◎。我が家は、生後すぐミルクと母乳の混合育児をしていたのですが、基本的には息子が欲しがるだけ母乳を与えていました。しかし仕事に復帰すると、母乳を与える回数が一気に減り、母乳が溜まりおっぱいが岩のように固くなってしまいました。張りが強くて痛い時には、休憩時間に搾乳して溜まった母乳を排出して、専用の保存パックで冷凍して家に持ち帰る日が続いていました。母乳を排出できれば痛みも楽になったので、乳腺炎で病院にかかるほどにはならなかったのは幸運でした。仕事復帰してから3ヵ月も経つと母乳の生成量も徐々に減ってきて痛みも少なくなりましたが、それまでは仕事中に痛みが伴ってかなり辛かった記憶があります。先輩ママさんの忠告あり! 抜け毛対策・毛髪ケアはしっかりと産後の身体の変化については、先輩ママより聞いていたものの、一番驚いたのは、抜け毛。数ヶ月~1年ほどは抜け毛に見舞われました。全体的にまんべんなく毛が抜けていくわけではなく、こめかみのあたりが集中的に抜けていたので「このままいくと禿げるんじゃないか…」とかなりの焦りモードに。私自身もともと髪の量が多いので、かなり抜け毛はありましたが目立たずに済んだ方だと思います。ただ、抜け毛があった時期は毛質が変化してしまったのは困りました。1本1本が太かった髪の毛が、細く縮れてスカスカな状態になってしまい、一気にくせ毛がパワーアップ!健康的な髪を取り戻すために、美容師の友人に相談して、頭皮が凝り固まらないようにヘッドスパをしたり、栄養素が含まれたシャンプーに変えたりしていました。その後もしばらくは、カラーリングやパーマをするのが怖くて控えていたために、今ではすっかり地毛の黒髪がお馴染みに。産後1年が経った頃には、抜け毛もくせ毛も落ち着いたので安心しましたが、会社の先輩ママからは「ハゲたから帽子が必須だったよ(笑)」という話も聞いていたので、毛量が少ない人や髪が痛んでいる方は対策を考えていた方が良いかもしれません。思い返せば、産後すぐに現れる変化と、数ヶ月経ってから現れるものと様々なことを経験。今となっては「わたし、結構頑張ってたなあ(笑)」なんてクスっと笑える思い出ばかり。でも、その当時は真剣に悩んだり、悲しい気持ちになったり…。自分の体調のこともあって、産後1年間くらいはとても大変ではありましたが、子どもが成長し、どんどんできることが増えていく喜びや感動を知ることができたので、自分の人生は間違いなく豊かになったと感じます。産前産後は、ママの身体や心が大きく変化していきます。一人で無理することなく、周りの人に相談したり頼ったりしながら、その変化とうまく付き合っていけたら良いですね。
2019年06月09日初めての出産を経験した後、父親からの何気ない一言にどん底に陥ってしまった私。母乳がうまく出ないことがきっかけで、慣れない育児に輪をかけるように悩みが積もっていった私のエピソードをお伝えします。 うまくいくと思っていた初めての育児私は器用なタイプだったので、これまでの人生で特に苦労した経験がありませんでした。悩みもすぐに解決できるほうで、ポジティブな性格。そのせいか、初めての育児を経験する前からなぜか自信たっぷりで、「育児なんて簡単だろう」ぐらいの気持ちでいたのです。 しかし第1子を出産後、病院で初めておこなったおむつ替え、沐浴指導、夜中に泣き出す長男と向き合うなかで、お見舞いに来てくれる家族や友人の何気ない言葉が棘のように感じることがありました。特に「母乳はどうなの?」という言葉には痛いところを突かれるような気分になっていったのです。 母乳が出ない… 病院にいる間は助産師さんに言われた通り、できる限り母乳を飲ませるようにしていたのですが、コツが掴めず乳首はボロボロに……。痛みで母乳をあげるのもためらうほどでした。 それでも、乳首に馬油を塗ったりして、退院後も痛みに耐えながら母乳をあげ続けました。しかし長男はおっぱいを吸わせてもすぐに泣き出し、足りない分をミルクで足すしかなかったのです。 試しに搾乳を試みたものの、頑張って30分搾っても10ml程度。母乳が出ないことが情けなくて、泣いているわが子を抱きしめ「こんなママでごめんね」と呟くこともありました。 父親の何気ない一言でどん底へ母乳が出るためにはどうすればいいのか、ネットで調べたり育児本を読んだりしたのですが、どれも効果なし。そんなある日、昼食でなかなか箸が進まない私を見兼ねた父親が「ちゃんと食べないから母乳が出ないんだよ」と呟いたのです。 きっと、本人は軽く呟いただけたったのでしょうが、私にとってその言葉は重くのしかかりました。とっさに、母乳育児のために読んでいた本をテーブルの下に隠しました。そのとき、私はまさにどん底に陥ってしまったのです。ひとりになると耐えきれず、声を抑えながら涙しました。 その後、1番の相談役であった母に母乳が出ないことで悩んでいると泣きながら打ち明けると、「私もそうだったんだよ。でもあなたたちはミルクでも立派に育ってるじゃない」と言われました。その言葉に胸がスーッと晴れ、「母乳が出ないことは悪いことではない」と、気持ちがラクになったのです。私をどん底から救ってくれた母親には、感謝してもしきれません。著者:堀江ゆうき二男の母。現在第三子を妊娠中。現在はフリーランスとして育児をしながら、体験談・出産・妊娠についての記事を執筆。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年06月07日こんにちは、離乳食インストラクターの中田 馨です。「赤ちゃんが離乳食を食べてくれない!」というママからのお悩みをよく聞きます。実はこのお悩み、どの時期にもあることです。赤ちゃんがひと口食べて「もう離乳食いらない」となってしまったら? このひと口は一食としてとらえていいのでしょうか? 今日は、そんな疑問に答えていきたいと思います。 離乳食は食事の練習期間離乳食は「食事の練習期間」でもあります。ママがいくら頑張っても、ひと口しか食べなかった場合、それはもう仕方ありません。その食事は、あきらめて次に切り替えたほうがいいと私は思います。とはいえ、赤ちゃんがひと口しか食べてくれなかったら心配だと思いますので、以下を参考にしてください。 30分後に再チャレンジ今は食べる気分ではないのかもしれません。私が経営している保育所でもよくする方法なのですが、30分ほど時間をおいて再チャレンジしてみましょう。赤ちゃんに、ほかの欲求(たとえばおむつ替え)があり、それが満たされたら食べ始めるということもあります。 5~8カ月ごろ(離乳食初期・中期)なら母乳やミルクに切り替え赤ちゃんの月齢が離乳食初期・中期に当たるのであれば、今回の離乳食はあきらめて、母乳やミルクに切り替える方法も。この時期の赤ちゃんの栄養の大半は母乳やミルクだといわれています。「母乳やミルクを飲んで満足したあとに、離乳食を食べてくれた」ということもありますよ。 9カ月~1歳6カ月ごろ(離乳食後期・完了期)なら離乳食に興味を持つよう心がける30分後に与えてもダメな場合。もし母乳やミルクを欲しがるようでしたら、与えてください。ただし、この時期から徐々に栄養のメインが離乳食になっていきます。離乳食に興味を持つよう、声かけやメニューづくりに工夫が必要になる時期でもあります。完了期近くになると、ごはんの代わりになるおやつを次の食事までに与えるよう心がけましょう。 ママができる2つのこと赤ちゃんが何も食べてくれなかったら本当に心配ですよね。私の息子もそうだったのでママの気持ちもよくわかります。以下の2つのことを意識してみましょう。 無理強いはしない無理強いすると離乳食のイメージが悪くなる可能性があります。「この時間になるとママが怖い顔をして何かを口に入れてくる!」赤ちゃん目線でいうとこんな感じでしょうか。この怖いママ、まさしく過去の私です。 いっぱい遊んでしっかり寝ておなかを空かせる食事・睡眠・運動。この3つがきちんとできていると、生活リズムが整い、自然におなかが空いてきます。赤ちゃんにとって運動とは、走り回ることだけではなく、ママとのふれあいや遊びのこと。赤ちゃんと全身でふれあい、スキンシップを多く持ちましょうね。 どの程度の期間赤ちゃんが食べてくれないのか? 身長や体重が増えているのか? ということも見ながら、離乳食を進めてくださいね。 もし心配なときは主治医に相談してみてください。 私の息子も食べない子でしたので、0歳のときはミルクで育ったようなものでした。「近い将来、食べてくれるようになる!」という気持ちを持ちながら、あきらめず、気負わず、気長に進めてくださいね。 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。
2019年06月05日私は母乳育児を推奨している産院で出産しました。今日は、私が母乳育児をしてみて、よかったことと困ったことをお伝えしたいと思います。 母乳育児推奨の産院での出産私が出産した産院は母乳育児を推奨していました。健診のときには、母乳外来というものがあり、問診や乳房のチェックなどがありました。また、母乳育児についての勉強会もあり、出産前から完全母乳で育てる気持ちになっていました。 先に出産した友人から、母乳があまり出ないうちは、泣いてグズる赤ちゃんとの母子同室がつらいという話を聞き、少し不安な気持ちもありました。 母乳育児でよかったこと産後の入院中は溢れるくらいに母乳が出て困ることがなかった私は、退院後も母乳がよく出て、ミルクを足さなくてもいいくらい。ミルクを作るには、哺乳瓶などの消毒やミルクを作る手間も必要ですが、母乳だと飲ませるだけなので、ミルク育児に比べてとても楽でした。 産院では、母乳で育った子どもは風邪を引きにくいという話も聞いていましたが、母乳の影響なのか、わが子も風邪はほとんど引きませんでした。 母乳育児で困ったこと母乳育児で困ったことは、私が熱を出したとき。このときだけミルクを飲ませようとしましたが、母乳に慣れてしまっていた息子はまったく飲みませんでした。 カップで飲ませてみたり、スプーンで飲ませてみたりしましたが、どうやっても飲まず、泣いて開けている口に流し込むことしかできずにとても困りました。少しだけでもミルクを飲ませて慣れさせておくべきだったと思っています。 完全母乳を目指すママが多いとは思いますが、こだわりすぎるとストレスにもなります。赤ちゃんとママに合わせて無理のない範囲でミルクを足すなど、柔軟に考えられたらいいですね。著者:藤川智子結婚前は小学校教員、現在は幼児への音楽教育を指導している音楽ママ。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年06月05日こんにちは。助産院ばぶばぶ院長のHISAKOです。助産院ばぶばぶでは、おっぱいトラブルで落ち込むママに出会います。授乳中はハメを外してはいけないのでしょうか? 前向きな気持ちで、ありのままのおっぱいに向き合ってほしい。今日は、そんなおっぱいの話をお伝えします。 長期休暇はおっぱいトラブルが起きやすい長期休暇は旅行や帰省、普段と違う過ごし方をする機会が増えます。子連れでのお出かけは荷物は増える、予定通りにことは運ばない、子どもは大人の思い通りには動いてくれなくて本当に大変! お盆やお正月、ゴールデンウィーク、シルバーウィークなど、大型連休の直後は、休みの疲れからか、または気が抜けるのか、授乳中ママのおっぱいトラブルが激増します。トラブルを回避できたおっぱいも、低空飛行になっていることが多いです。 いつも完璧なおっぱいじゃなくていい授乳中は食事内容を徹底! と言われることがありますが、授乳中でも、たまには高カロリーのおいしいものを食べたいですよね。休日には、生活リズムが崩れがちになるけれど、それは決して「悪」ではないし、「ママ失格」なんてことも絶対にありません!力を抜いて自分を甘やかせてあげたり、ごほうびをあげる日もあっていいんです。その結果、おっぱいが一時的に低調になっても「そんなこともあるよね」って受け入れてしまいましょう! 授乳中の食事管理は適度にね♪授乳期間は長いから、ストレスが溜まらないように適度に管理していきましょう。ケーキやピザを「食べるな!」ではないんです。基本はバランスよく食べて、たまにはハメも外しながら、「おっぱい詰まった!」ということがあってもいいんです。 徹底管理でギスギスした授乳期間を過ごすより、適当に脱力しながら楽しくハッピーな授乳生活を送ることが、ママにとっても赤ちゃんにとっても大切なんじゃないかと思います。求められるのは「バランス」ですね。 いい母乳をつくるための頑張りどころ。力の抜きどころ。大事なのは極陽でもなく極陰でもなく中間。極端に偏ると、ひずみが出ますね。心も体も健やかであってほしいから、たまには暴飲暴食、失敗してもいいんです! 監修者・著者:助産師 助産院ばぶばぶ院長 HISAKO総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門助産院を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2016年11人目出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。
2019年06月04日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本さんからメッセージです。 こんにちは。助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。 母乳をあげていると、虫歯になりやすいといわれていますが、本当でしょうか?歯が生えてきても、安心して母乳育児が続けられるように、ラクに虫歯予防できる方法をお話しします。 母乳は虫歯の原因になる?母乳相談の中に、お子さんに虫歯ができて、母乳のせいだからと歯科医に断乳をすすめられたというお話がありました。母乳が虫歯の原因なのでしょうか? 実は、母乳に含まれている乳糖からは、虫歯の原因となる酸は生成しないといわれています。 しかし、離乳食が始まり、食物の残りカスなどに母乳の乳糖が混じると、急に虫歯のリスクが上がってきます。母乳だけでは、0.01%だった虫歯のリスクが、食物の糖分(しょ糖)が加わると、1.3%になったという研究データがあります。特に睡眠中に、口腔内は虫歯になりやすい環境になるため、寝る前はしっかり食物のカスを残さないようにしてから授乳することが大切です。 虫歯になりにくいお口の環境をつくろう・普段からの甘いものに気をつけよう 市販のお菓子やジュースなどは、赤ちゃん用であっても砂糖の入っているものが多くあります。しかし、おやつ(間食)はお子さんの楽しみだったり、栄養の補足のためには必要なことも。市販のお菓子やジュースを与える場合は、砂糖不使用のものや、できるだけ糖分の少ないものを選ぶようにしましょう。 ・歯に食べカスを残さないように食事やおやつ(間食)の最後にお茶や白湯を飲んで洗い流すようにしましょう ・ずっと食べ続けない口の中のPHは、食事が始まると食べ物に含まれるしょ糖によって酸性に傾き、虫歯になりやすい環境になります。そして、食事の時間の合間に修復されます。食事やおやつ(間食)は時間を決めてダラダラと食べないようにすることが大切です。 効率的な歯みがきで時短テクニック寝ている時間は唾液の分泌が減るため、口腔内が虫歯になりやすい環境になってしまいます。寝る前の歯みがきが1番重要で、1日1回、この時間の歯みがきだけでも十分とされています。 歯みがきを嫌がる赤ちゃんの場合、お互いに憂鬱な時間になってしまうこともあるかもしれませんが、虫歯のリスクが高い部位を知って効率的に歯磨きをしてあげましょう。 【虫歯のリスクの高い部位ランキング】1位…上の前歯 (上唇を持ち上げて表裏を横磨きしましょう)2位…上の奥歯のほっぺた側(指を入れて広げて横磨きしましょう)3位…下の奥歯の舌側 下の歯は最初に生えてくるので、ついつい先に磨きがちですが、唾液などで虫歯になりにくいので、最後にするようにしましょう。 歯医者さんにいって虫歯予防歯が一本でも生えてきたら、小児歯科のあるところで健診を受けてみましょう。お子さんの対応に慣れている医師や歯科衛生士が子どもの歯の健康をサポートしてくれます。 最初は泣いてしまう子も多いですが、お母さんと一緒だから大丈夫。口をあーんとあけることに慣れることも大切です。 歯医者さんを身近に感じることが虫歯予防のひとつになります。また、お子さんの個性や歯の生え方に合わせた歯みがきのアドバイスを受けたり、定期的にフッ素を塗ってもらうことで、歯も虫歯に強くなります。 母乳育児は、顎の発達を良好にし、歯並びを良くするといわれています。歯が生え始めても、離乳食が完了するまでは出来るだけ長く母乳育児は続けていくことが大切です。今回は、母乳育児の視点から虫歯予防のお話をしましたが、ミルクで育っているお子さんでも共通することです。お母さんやお父さんも一緒に虫歯予防をして、小さいころから習慣をつけるようにしましょう。※引用・参考文献母乳育児支援を学ぶ北関東教室2016 資料集青葉達夫「長期授乳のための歯・口腔の衛生について」 監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年06月03日無事に1人目の子どもが生まれ、パパになった夫。なんで赤ちゃんが泣いているのか最初はわからなかったようですが、毎日試行錯誤しながら抱っこを続けていました。そうすると、徐々にパパにも変化が……。泣きながら伝えている「赤ちゃんの気持ち」に気付き始めたのです。 なんでこんなに泣くの?!生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしたパパ。赤ちゃんがご機嫌だとかわいい寝顔を見せてくれるので、パパもママも癒されています。しかし、パパは赤ちゃんが泣く頻度の多さにびっくり! 「自分が抱っこをするとなんでこんなに泣かれるんだろう」「俺は嫌われているのかなぁ……」などと悩んでいました。 でも、パパは赤ちゃんに泣かれてもへこたれることなく、抱っこをすることで赤ちゃんの気持ちを察するようになっていったのです。 泣き方によって意味が違う?四苦八苦しながらも徐々に赤ちゃんとの距離を縮めようと、毎日抱っこしてあやし続けていたパパ。そして、わかってきたのが赤ちゃんの泣き声や泣き方で意味が違うということでした。 ただ意味もなく泣くのではなく、まだ話すことができない赤ちゃんは泣きながらパパに何かを伝えているということに気付き始めたのです。それがわかったことで少しずつパパと赤ちゃんの距離が縮まっていきました。 おなかが空いているときは抱っこじゃダメ生まれて数カ月経過し、パパも徐々に赤ちゃんが好む抱き方を覚え始めていました。しかし完全母乳だったため、おなかが空いたときはパパの抱っこではどうしても赤ちゃんが泣きやみません。そんなときだけは私が抱っこでおっぱいをあげることにしています。 その後、パパはおっぱいのタイミングも少しずつ覚えて、慌てることなく落ち付いて対応をするようになっていきました。 赤ちゃんが眠いときの大泣きもパパが対応眠いけどうまく眠れないときの赤ちゃんは、目をつむりながらも大きく泣いて、まるで「眠れないよー!」と話しているようでした。 そんなとき、パパは赤ちゃんが好きな体勢で抱っこをし、肩を心音と同じくらいの速さでポンポンと叩きます。すると、泣いた疲れもあってぐっすりと眠ってくれるようになりました。赤ちゃんが寝ている姿を見て癒されるパパ。赤ちゃんを見て和むのが日課になりました。 最初は赤ちゃんが泣くだけで慌てていたパパでしたが、毎日抱っこをして赤ちゃんの気持ちを悟ることができるようになりました。抱っこをすることは、パパと赤ちゃんにとっても最大のコミュニケーションになったようです。著者:永田真結4歳の長女、2歳の長男、0歳の次女を持つ母。自身の妊娠、出産、育児に関する体験談を中心に記事を執筆している。
2019年06月03日授乳をし始めの2カ月ごろまでは、出過ぎたり、上手に飲ませられなかったりするため、おっぱいが張ったり、痛くなったりトラブルを起こしがち。病院に行くほどでもないし、そんな時間もない! そんなママたちのためにおっぱいトラブルの対処法を助産師に相談コーナーでおなじみの宮川さんに教えてもらいました。 おっぱいトラブルの原因と対処法は?低月齢のころは、ママも赤ちゃんも授乳に慣れていないため、母乳を上手に飲むことができません。飲む量にむらがあったり、授乳間隔が不規則だったりして、母乳がおっぱいに残ってしまうのが張りや痛みの主な原因です。赤ちゃんが飲んでくれて、ラクになれば心配はいりません。飲ませ方は横抱き、縦抱き、フットボール抱きなど、ママと赤ちゃんに合う方法ならどんな姿勢でもOKです。 張って痛いときの授乳のポイント1)張って痛いほうのおっぱいから飲ませる。母乳が残っていることが痛みの原因なので、まずは張って痛いほうから飲ませます。いつもより少し長い時間飲んでもらったりしましょう2)赤ちゃんが寝ているときに張ってしまってつらい場合は、起こして飲んでもらっても大丈夫です3)赤ちゃんが飲んでくれたあともまだ痛みを感じるような張りがある場合は、保冷剤をハンドタオルで包み、張っているところや熱を持っているところに当たるようブラジャーの中に入れて冷やすとよいでしょう。ただし、冷やしすぎないよう、気持ちがいい程度にとどめておきましょう。 乳首に傷があるときの授乳のポイント1)乳首が傷ついている場合は傷がついていないほうからあげます。2)乳首に傷がついている場合は、傷のある方向に赤ちゃんの口角(口の端)がくるように抱っこします。 おっぱいを冷やす方法は、保冷剤のほか冷却シートなどでも○。気持ちいい程度で、冷やしすぎないことが大切です。張りや痛みが強いときはトラブルがひどくなる前に助産師さんや医師に相談をするとよいでしょう。 監修者:助産師 特定非営利活動法人だっことおんぶの研究所認定 ベビーウェアリングコンシェルジュ 宮川めぐみ2001年京都第二赤十字看護専門学校卒業、2002年国立病院東京医療センター附属東が丘看護助産学校助産学科卒業。産科病棟にて約12年間助産師として勤務し、多くの妊産婦、褥婦、新生児のケアに関わる。2013年に退職後パリで数カ月過ごし、自分自身と向き合う。大切にしていきたいことなどに気づいて「lier」を立ち上げ、個人の活動を開始する。現在、東京23区内で新生児訪問、母乳育児相談を中心に母子のケアに携わる。
2019年06月01日こんにちは。助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。今回は育児でストレスや疲労がたまってしまってつらいお母さんたちに、少しでもラクになれる方法や相談場所などをお伝えします。 自分の怒りをコントロールしてみよう育児のイライラやストレスの原因は、子どもそのものよりも、夫や家族への不満であることが多いといわれています。もっとサポートしてほしい、理解してほしいという気持ちを話し合える環境ができると良いですね。 イライラしてしまう、お子さんにあたってしまいそうなときは、まずは少し離れて目を閉じて6秒我慢し深呼吸しましょう。怒りのピークは6秒。ここを我慢すると落ち着いてきます。 それでもお子さんにあたってしまいそう・叩いてしまいそうなときは以下のことをするとアンガーマネージメント(怒りを抑える)できるといわれています。 【怒りが収まる行動】・手を繋ぐ・抱きしめる・キスをする・愛称で呼ぶ(かわい子ちゃん、こまったちゃん、元気ちゃん、頑固ちゃん、ラブちゃんなど) 誰かに相談してみよう赤ちゃんのことや育児のこと不安や心配があったら誰かに相談してみましょう。 私自身も、母乳相談室を開業していて、母乳だけではなく、様々な育児相談を受けます。定期的に訪問することで、不安が軽減や育児の自信がつくようにサポートしています。専門家に聞いたり、なかなか話しにくいときも匿名で相談できるところもあります。話をするだけでも負担が少し減ることもあります。 【相談できる場所の例】・出産した病院(産後1カ月ごろまで)・保健センター・子育て支援センター・ベビーカレンダー〈助産師に相談コーナー〉・地域の開業助産師・日本子どもの虐待防止ネットワーク(メール相談も可)・子どもの虐待防止センター・子育て・女性健康支援センター 赤ちゃんと一緒に出かけてみよう家にいると孤独を感じたり、赤ちゃんとの生活にイライラしてしまうことも。赤ちゃんのためでなく、お母さんのためにも、一緒に出かけて参加してみましょう。 おすすめなのは、子育て支援センターです。全国にあり、保育園や公民館に併設されています。お住まいの地域のホームページや保健センターなどで調べてみましょう。様々な無料のイベントのお知らせやママサークルの紹介もあります。 また、ベビーマッサージ、ベビースイミングなど、赤ちゃんとできる習い事も良いかもしれません。 赤ちゃんと一緒にバランスボールを使ったエクササイズをするマドレボニータ協会もおすすめです。体の回復だけではなく、お母さん同士のコミュニケーションを通して心の回復も促進します。産後ケアサービスを活用してみようベビーシッターや一時預かりなどを利用して、リフレッシュしましょう。お住まいの地域の保健センターでご相談されると紹介してもらえますよ。 そのほかには、産後間もないときであれば、産後ケア入院できる施設が全国にあります。産後おうちではサポートが受けられない方が入院して育児のお手伝いや母乳育児の支援をしてもらえます。高額の施設もありますが、自治体によっては、助成金が出ることもあります。 お家でのサポートをご希望の方は、産後ドゥーラがあります。母子に寄り添い、自宅に出張して日常生活(育児や家事・食事)のサポートをしてもらえます。 産後の育児のつらいとき、家族だけでなく周りにはサポートしてくれるところがたくさんあります。お母さんは完璧でなくても大丈夫。周りの手を借りながら育児をしていくようにしましょう。私たち、ベビーカレンダースタッフもお手伝いさせていただきます。 監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年05月29日こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。乳児湿疹に出会ってしまったママ達は、きっと大変な思いをしているでしょう。かわいい我が子に湿疹が出ていると、何とも言えない悲しさ・やるせなさを感じてしまうかもしれません。そこで正確な情報とその心配を取り除くために、小児科医の先生にお話を伺ってきました。今回お話を伺ったのは、青森県六戸町で沼田医院の医院長で、小児科・内科医の沼田知明先生。先生は、長年にわたって乳幼児検診や町の学校保健会長をしておられます。乳児湿疹ができてしまう原因5つ産後1週目あたりから3ヶ月までに出ている肌のトラブルを総称して『乳児湿疹』と呼びます。アトピー性の皮膚炎や、蕁麻疹等もこれに含まれます。この乳児湿疹が出てしまう理由を聞いてみました。「赤ちゃんの肌は、大人の肌と違って敏感で弱いです。脂漏性や肌のバリアの機能が弱いなどの理由があります。」とのことでした。先生の話から原因は大きく分けて5つあることがわかりました。●アレルギー赤ちゃんの体や肌は非常に敏感です。卵や乳製品等の食物アレルギーはわかりやすいですが、それ以外にもベビーオイル、クリームに含まれる成分により、肌に赤みやポツポツと湿疹が現れたりとアレルギー反応が起きる可能性もあります。お子様のために事前の診断を受け、しっかりと身体に合った製品を届けてあげると良いですね。●ママのホルモンの影響で脂分が多く出てしまって毛穴を塞ぎやすくなっている生後1ヶ月までは、ママの助成ホルモンの影響を受け、皮脂の量が増えています。そのため、皮脂が毛穴をふさいでしまって、毛穴に汗や老廃物の分泌を妨げてしまっています。これにより、顔ににきびができてきたり、肌に赤みが出たり、小さな水ぶくれや、ブツブツと鱗のようなかさぶたができたりと湿疹が起きてしまいます。●肌に触れた物が合わない上に書いたように赤ちゃんの肌はとても敏感で刺激を受けやすいです。そのため、衣服や触れるものに含まれる化学薬品や、肌と服がこすれあうだけで、影響を受けてしまいます。よだれを拭いたりするタオルの肌触りや洗剤にも気をつけてあげましょう。例えば、おしりや腰の周りに湿疹が見られる場合だと、おむつかぶれが起きている場合があります。大人の肌には何気ないことでも、湿疹の原因となってしまっているものがあります。●汚れ・よだれなど外で泥だらけになったり、目に見えるような汚れは少ないものの、よだれや汗により赤ちゃんの肌には汚れている場合が多々あります。汚れが溜まってしまった場合、あせもができて、かゆみや肌トラブルにつながってしまう場合があります。頭皮や背中、耳の裏など汗の溜まりやすい部位に限らず、背中やお腹などの部位にもこまめにきれいにしてあげましょう。●皮膚のバリア機能が弱い大人の肌ですと、皮膚のバリア機能が一定の外部の刺激から守ってくれます。しかし、新生児期や乳児期はバリア機能が弱く、肌に悪いものも吸収してしまいます。そのためウイルスの感染等の危険もあり、湿疹の原因となってしまいます。●母乳は乳児湿疹に関係があるのか?先生から時に、母乳やミルクに原因があるのではないかと考える方がいると聞きました。赤ちゃんの体内に入っていく栄養ですし、ママとしても非常にきになるところです。「母乳やミルクが悪いのではないかと考える方がいるようですが、ほぼないと考えていいでしょう。持病などで薬を飲んでいる場合は、薬によって変わってきます。その際は、医師の判断を仰ぎましょう。」とのことでした。お母さんの体の状態によって、母乳が影響を受けてしまうことはあるので、妊娠時はもちろんですが、授乳時も食べ物や服用するお薬には十分に注意する必要がありそうです。発疹の対応と予防方法発疹が出てしまってからの対応と予防策について教えていただきました。大切なポイントは2つとのことでした。●清潔にする「発疹は、おでこ・頬・関節のあたりなどに出やすいです。ですから、清潔を保つことが一番大切です。赤ちゃん用の石鹸などを使って、しっかり泡立てて優しく、汚れや脂分などを洗ってあげましょう。清潔にしてあげることが大切なんです。洗うことで、ちょっとしたものであれば、たいがい良くなります。」●洗った後は速やかに保湿する洗うだけでは不十分なようで、「皮膚を乾燥から守っていかないといけません。赤ちゃんの肌は、バリア機能が弱いです。乾燥することで、水分も飛んでいってしまいます。洗った後は、皮膚のコンディションを整えるために保湿をしてあげましょう。入浴後は乾燥しやすいので、できるだけ早めに塗ってあげます。入浴後10分以内に保湿クリームやローションをした方が良いとされています。」とのことでした。乾燥がひどいお子さんの場合は、保湿クリームだけでは足りないことがあるそうです。その時の対処法も教えていただきました。「乾燥肌で、慢性的にひどい場合や湿疹が出やすい子の場合は、ワセリンを使うのがおすすめです。白色ワセリンと呼ばれているのが一般的で、よだれや汚れなどで起こりやすい皮膚トラブルからも守ってくれます。べたついたり子どもが舐めてしまったりという心配をする人もいるかと思いますが、万が一、口に入っても大丈夫です。」発疹が出ているからと、入浴を控えることは逆効果だとも教えてくださいました。お風呂に入れてあげて、お肌を綺麗に保ち続けてあげましょう。皮膚トラブルは、清潔にすることが一番大切だからだそうです。●ライター/パピマミ編集部
2019年05月28日顔や性格にそれぞれ個性があるように、乳首の形にもそれぞれ個性があります。私の場合は赤ちゃんが吸いづらい形をしており、乳頭保護器を使って授乳をしていました。一生懸命吸ってもなかなか出ない、一生懸命吸われるからめちゃくちゃ痛い、という、赤ちゃんにもママにも厳しい状況で、大変つらい思いをしました。そんな私が完母になるまでの道のりについてお話ししたいと思います。 母乳じゃなければ母失格?! きっとこういう思いを経験した人は私だけではないかもしれません。母乳神話はこの国の文化なのか、風習なのか、誰に言われた訳でもないのに、なぜだか「母乳じゃなくてはいけない」という無言のプレッシャーがありました。 私の出産した病院は母乳育児を推奨していて、周りのママたちもほぼみんな完母で育てていたため、「母乳で育てなくてはいけない!」という思い込みがありました。 恐怖の授乳タイム しかし私の想いとは裏腹に、痛みに耐えておっぱいマッサージを受けても、私のおっぱいはなかなか吸いやすくなってくれませんでした。吸い始めには強烈な痛みに襲われ、文字通り血を滲ませながら歯を食いしばって授乳をしていたのです。3時間毎の授乳の時間が迫るだけで暗い気持ちになって、授乳が終わると「やっと終わった!」という少しの喜びと、また次へのカウントダウンが始まった恐怖心にさいなまれていました。 私を救った言葉、「おっぱい100日」「なんで私だけ……みんな幸せそうに授乳しているのに」。そんな風に思っていた私に、桶谷式乳房管理士でもある助産師さんが言ってくれたのが「おっぱい100日」という言葉でした。スムーズに授乳ができるおっぱいができるまでは100日くらいかかる、という意味だそうです。出口の見えないトンネルの中でずっともがき苦しんでいた私にとって、この言葉は「100日頑張ればいいんだ!」という光を照らしてくれました。 「100日頑張って、それでもだめなら諦めてミルクにしよう」。そう思うことでゴールが明確になり、痛くても頑張る力が湧いてきました。生後100日程経ったお食い初めのころ、本当に痛みなく授乳ができるようになりました。 スムーズに授乳できるようになってみれば、母乳は確かに便利です。痛くてつらい思いはしたけれども、「おっぱい100日」という言葉を信じて頑張ってみてよかったと思っています。卒乳してしまった今となっては、あのころのことも良い思い出です。 著者:わけ はるか2017年6月に長女出産。1歳を過ぎても夜泣きに悩まされ、アメリカの赤ちゃん専門の睡眠コンサルタントに相談をし、自身も睡眠コンサルタントになるべく資格取得中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年05月27日「副乳」は、「退化しきれなかった乳房」と考えられているもので、私の場合は脇にありました。人によっては、おなかに副乳がある人もいるようです。前編「妊娠中の副乳の変化」につづき、後編では「産後の副乳の状態」についてお話します。 出産直前の副乳の状態妊娠してから2ミリくらいの小さな乳首の黒ずみや脇の下のふくらみが大きくなるなど、変化があった私の副乳ですが、妊娠中期くらいからはあまり変化はありませんでした。 「副乳はこのままなのだろうか……」と、不安に思うこともありましたが、出産直前にもあまり変わることはなく、出産して2日目までは違和感も変化も特にない状態でした。産後3日目から徐々に痛みが……!産後、母乳の出が悪かったのですが、助産師さんの協力もあり、3日目から少しだけ母乳が出るようになりました。それと同時に脇の副乳に痛みが出てきて、産後4日目には痛すぎて脇がまったく閉じられない状態に! 副乳がカチカチのゴルフボール大のしこりのようになってしまいました。 対処法としては冷やす以外の方法はなく、産後6日目くらいまでは脇に保冷剤をはさんでいましたが、かたいままだと痛くてはさめないので、少し溶けたくらいのやわらかい保冷剤を使用していました。 痛みが引いたあとの副乳産後7日目くらいからようやく痛みがなくなっていきました。一度、痛みが引いてからは再度痛くなることはありませんでした。妊娠中、気になっていたふくらみも妊娠前くらいの大きさに戻り、産後半年ごろには副乳にある乳首の色も薄くなり、目立ちにくくなりました。 助産師さんいわく、副乳がある人は母乳がよく出る人が多いようです。私も母乳が出始めるまでは2週間弱かかりましたが、そこからは十分完母で育てられるほど母乳がよく出ました。 副乳は美容整形で切除することもできるようです。ただ私は、自分の体の個性として、うまく付き合っていきたいと考えています。 イラスト:sawawa著者:田中麻奈一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年05月24日こんにちは。助産院ばぶばぶのHISAKOです。ついこの前まで赤ちゃんがなかなかおっぱいを飲めずに悩んでいたのに、1歳ごろになると「おっぱい離れしてほしい」などと思ってしまうことも。今日はおっぱいの飲み方の変化についてお話しします。 おっぱいを飲むのは至難のワザ!?生まれてしばらくの赤ちゃんは、抱っこされると本能的に乳頭を探す仕草をしますが、飲むのに最適なお口の開き方や舌の使い方のコツを知りません。授乳に費やす時間は左右5分ずつの2クール程度ですが、ママの乳頭と赤ちゃんの舌がベストポジションに密着するまでが至難の技です。 最初はなかなかうまくいかず、小刻みに首を左右に振りながらおっぱいを探します。ママは必死に角度調整をしますが、何度も仕切り直し。ベストポジションに落ち着くのは、赤ちゃんの技術が伴ってからの必然ではなく、偶然だったりもします。 生後5~6カ月ごろまでのおっぱいの飲み方それでもめげずに1日に何度も何度もトライしていくうちに、赤ちゃんはぐんぐん上達していきます。お口の開き方も舌の使い方もコツをつかむようになっていきます。やがてスタートラインに立つのは瞬間技になります。 生後3〜4カ月になると、ママがおっぱいを飲ませる体勢を取ろうとしただけで、自らすすんでおっぱいに吸い付けるようになります。 生後5~6カ月になるとアクロバティック飲みが始まります。小さなおててで、おっぱいを押しながら飲んだり、バシバシ叩いたりもします。 生後8カ月以降のおっぱいの飲み方生後8カ月ぐらいになるとママが寝転んでいても、目の前におっぱいがあれば勝手にずりばい、ハイハイで近寄って来て吸い付いてくるようになります。お風呂の中でも自由自在にセルフで飲みます。ときどき歯を立てて、ギューっと噛んでは、ママを見上げてニヤリ……。もう、ママの角度調整など必要ありません。おっぱい星人は、プロの領域に突入です。 1歳前後には、おっぱいがほしくなるとママの洋服をめくろうとするようになり、片方のおっぱいを飲みながら、反対側の乳頭をクリクリと指先でいじくり回しながら飲みます。 そして、赤ちゃんのおっぱいの飲み方が変化していくのと同時に、おっぱいの形、乳頭の形、大きさ、伸びは「授乳のためのおっぱい」に変化していきます。その変化は赤ちゃんにとってはハッピーだし、ママにとっても喜びが溢れます。 授乳生活は、あっという間に終わりの日を迎えます。二度と帰ってこない日々だから、十分に堪能してくださいね! イラスト:sawawa 監修者・著者:助産師 助産院ばぶばぶ院長 HISAKO総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門助産院を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2016年11人目出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。
2019年05月22日こんにちは! 助産師のREIKOです。赤ちゃんが生まれたら、「できれば」母乳で育てたいというママは多くいらっしゃると思います。しかし、実際に赤ちゃんが生まれて授乳が始まったら、「こんなはずじゃなかった……」「授乳指導、超スパルタ!」なんて感じることも多いようです。そこで今回は、ママがそのように感じてしまう要因についてお話ししたいと思います。 「できれば」母乳のすれ違い私が働いていた病院は、母乳育児を推進していて、母親学級でも母乳育児に関する内容がしっかり組み込まれていました。また、お産前には、ママたちに授乳方針を確認して、その希望に沿うように指導がおこなわれていました。 実際、出産前から「”完全母乳”で!」というママは少数派で、「”できれば”母乳で」というママが大多数でした。この「できれば」という言葉の認識が、母乳育児を希望するママと助産師で違うことによって、すれ違いが起きてしまうのではないかと私は思います。 「できれば」母乳で育てたいママたちの大半は、「無理のない程度に頑張って、母乳が出たら母乳で……」というニュアンスのほうが多いのではないでしょうか。しかし、助産師はスタートが肝心!と母乳育児を確立すべく、指導を開始します。 お産の疲れを癒す間もなく始まる授乳指導、そしてその内容にママたちは「こんなはずじゃなかった……」「授乳指導、超スパルタ!」と感じてしまうのではないでしょうか? さまざまな「こんなはずじゃなかった……」母乳育児を希望していたママにとって、こんなはずじゃなかった……と思うことはたくさんあると思います。 赤ちゃんが寝ない、泣いてばかりいるおっぱいを飲ませたから、このあとはぐっすり寝てくれるかな……なんて思って、ベッドに寝かせたら赤ちゃんが泣き出したということも多々あります。つい最近までママのおなかの中にいた赤ちゃんは、常にママと一緒。動いているときのほうが多かったかもしれません。しかも、せまくて温かいおなかの中。でも、赤ちゃんのベッドはどうでしょう? 何かが違う!って赤ちゃんもわかるのではないでしょうか。 また、赤ちゃんが生まれて、意外と夜行性なのにも驚かれると思います。それは夜のほうが母乳分泌に関係するホルモンがよく出るため、夜赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことで、さらに母乳がよく出るようになるということも。そのため、出産近くになると、夜中に赤ちゃんが動く頻度が多くなって、ママの身体をを夜型にする……なんて話もあります。 飲ませたばかりなのにすぐおっぱいを欲しがるさっきおっぱいを飲ませたばかりなのに、赤ちゃんがまた欲しがるということも多々あります。生まれたばかりの赤ちゃんの胃の大きさはビー玉くらい。加えて母乳はミルクに比べて消化が早いので、1~2時間おきのペースになることが多いです。 おっぱいが痛い最初は慣れない者同士。じょうずにおっぱいを含ませることも、含むこともできないということがあります。それによって、痛みが生じます。赤ちゃんがママの乳首を深く含めないことで、傷ができてしまうこともあります。 産後、数日するとおっぱいが張ってつらい思いをする方もいらっしゃいます。そのときのおっぱいマッサージは激痛だったという感想を持つ方も多いのですが、本来おっぱいマッサージは痛くないんですよ。 きっとこれ以外にも、こんなはずじゃなかった……と思うことがあると思います。出産の疲れも癒えないうちに、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけおっぱいを飲ませる……。たしかにしんどいですよね。しかし、その指導の裏には、お産後のママのホルモンの変化と密接な関係があったんです。 まだおっぱいが出ていないのに、赤ちゃんに吸わせる理由は?出産後、すぐ母乳が出るようになると思っている方も多いのではないでしょうか? 出産後は、ほんのにじむ程度という方がほとんどです。それなのに助産師は、「赤ちゃんが欲しがるときにおっぱいを吸わせましょう」「1日8回以上、赤ちゃんにおっぱいをあげましょう」という指導をします。 それにはママのホルモンである「プロラクチン」が深く関係しています。プロラクチンは、母乳分泌を開始させ、分泌を維持させる働きのあるホルモンです。プロラクチンの濃度はお産直後に最高になり、徐々に低下していくのですが、赤ちゃんがおっぱいを吸うたびに濃度が上昇します。 授乳をしないと2週間で妊娠前の濃度にまで戻ってしまうといわれていて、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう回数が多いほうがプロラクチンの濃度が高くなります。また、1日に8回以上おっぱいを吸ってもらっていると、次の授乳までにプロラクチンの濃度が下がるのを防げるともいわれています。 頻回授乳じゃ寝不足になる!?母乳がまだにじむ程度しか出ていないのに、赤ちゃんが生まれてすぐ授乳をしたり、出産の疲れも癒えないうちに母児同室が始まり、赤ちゃんが欲しいときに授乳する頻回授乳をおこなったりするのには、ほかにも理由があります。 それは、授乳にかかわるもう1つのホルモン「オキシトシン」です。オキシトシンは、母乳が作られるのを維持したり、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激に対して、母乳を出す射乳反射を起こすホルモンです。 お産直後にママと赤ちゃんが触れ合う早期接触の際に、おっぱいを吸ってもらうと、ママのオキシトシン濃度は急上昇する一方、何もしないと1時間以内に元の濃度に戻ってしまいます。ですので、生まれたばかりの赤ちゃんも出生後2時間を過ぎると眠りに入ってしまうことが多いため、遅くともお産後2時間以内にはママのおっぱいを赤ちゃんに吸ってもらうようにしているんですよ。 また、オキシトシンには、射乳反射を促すだけでなく、鎮静作用もあります。そのため、ママが細切れ睡眠になっても、短時間で休養できるよう働いてくれるんです。それでもやっぱり最初は、睡眠不足との闘いかもしれません。 意外と指導する側は気付いていないかも……これは私が働いていた病院のことなのですべての施設に当てはまることではありませんが、母乳育児を推進していたとはいえ、助産師によって熱意はさまざまだったように思います。それでも、「ここの病院はスパルタだって聞いた」というお話をされたママも何人かいらっしゃいました。 たしかに母乳育児希望のママには、赤ちゃんが欲しがるだけ、1日に8回以上……といった指導はしていましたが、ママが希望すれば赤ちゃんを新生児室で預かることも、状況に合わせてミルクを足すこともできたので、スパルタという話を聞いたときは正直驚きました。意外と指導している側にはスパルタという自覚はないんです。 残念ながら、母乳は赤ちゃんを産んですぐに出るというものではなく、ママの頑張りも必要になってきます。でも、頑張り過ぎる必要はないし、ママがつらい、苦痛だと思いながらの授乳は続かないと私は思っています。 母乳育児が確立するには時間がかかります。ママの心と体と相談しつつ、休憩したり、ミルクを足したりしてもいいと思います。ママが笑顔で赤ちゃんに接することができる……それが一番だと思いますよ。 イラスト:sawawa 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2019年05月21日妊娠前から脇にお肉がついていることがコンプレックスで、ノースリーブの服が苦手でした。そんな私が妊娠したことで脇に変化が起き、「副乳」があることが判明。今回は、私の妊娠中の副乳についてお話しします。 「副乳」って何!?人間の乳房は進化する過程で、左右一対の状態になっていますが、副乳は「退化しきれなかった乳房」と考えられているようです。私は脇の部分にありますが、人によってはおなかに副乳がある人もいるよう。妊娠する前から、ふくらみ具合や小さな乳首が付いていることで気が付く人もいるようです。 妊娠して副乳におきた変化妊娠するとホルモンの変化から、乳輪や脇などが黒ずみやすくなるといわれています。それと同様に、私の脇に小さいほくろのようなものがあらわれました。よく見ると、2mmくらいの乳首のようなものがついていたのです。 また、脇のふくらみも少しずつ大きくなっていき、脇を閉じるとふくらみが以前よりも目立つようになりました。普通に生活していると痛みはありませんが、押さえると乳房を押したときのような痛みがありました。 助産師外来で相談すると……私は妊娠して副乳の存在に気が付きましたが、だんだんと「副乳ってどこまで成長するの?」「副乳も母乳は出るの?」と不安になり、産院の助産師外来で助産師さんに相談することにしました。 助産師さんからは、「副乳でも乳腺が通っている人と、通っていない人がいるようで、産後、副乳から母乳が出る人もいます。個人差がありますが、妊娠すると乳房が大きくなるように、副乳も大きくなる人もいます」と、教えていただきました。副乳に乳腺が通っていることもあるなんてびっくりしましたが、副乳を見守りながら妊娠生活を過ごしました。 妊娠によって気付いた私の副乳。次回は、産後の副乳の状態についてご紹介したいと思います。 イラスト:sawawa著者:田中麻奈一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年05月20日ゲップがなかなか出せず、いつまで続けたらいいのか、やめてしまってもいいのか悩んでしまった経験はありませんか? そんな時のケアの仕方を助産師に相談コーナーでおなじみの宮川さんに教えてもらいました。 抱っこの仕方のポイント1)ママの胸からおなかのあたりで、片方の腕で赤ちゃんを抱きかかえます。2)逆の腕も添え両腕で浮き輪を丸く浮きようにし、その中に赤ちゃんのお尻がすっぽり入る様に抱っこします。赤ちゃんの腰からお尻にかけて丸くなっていればOKです。3)抱っこしたら、上下にゆらゆらをします。縦揺れすると、おなかに溜まった空気が出やすくなります。ママが縦抱きより横抱きの方がしやすいようなら横にゆらゆらしてもOK。4)10分ほどゆらゆらしても、出ない時はやめて寝かせても大丈夫です。 寝かせ方のポイント10分抱っこでゆらゆらしてもゲップが出ない時は、飲んだ時にさほど空気を飲み込んでいないか時間差で出てくることも考えられます。そのまま布団に寝かせても問題ありません。ただし、仰向けに寝かせると、吐き戻したものがのどに詰まってしまう心配があります。首が横を向くように、背中にタオルを挟んで少し斜めにして寝かせてあげましょう。タオルは頭が動かしにくくならないよう、頭や首にかからない位置に置きます。 赤ちゃんのおなかに自然に腹圧がかかることが大切です。赤ちゃんの体がママの腕の中で丸くなっているか確認をしましょう。大人が浮き輪の上でぷかぷか浮いているような形をイメージするとわかりやすいかもしれませんね。この抱っこの姿勢は赤ちゃんも安心するので、ゲップをせずに寝てしまうことも。その場合は顔が横を向くように、寝かせましょう。 監修者:助産師 特定非営利活動法人だっことおんぶの研究所認定 ベビーウェアリングコンシェルジュ 宮川めぐみ2001年京都第二赤十字看護専門学校卒業、2002年国立病院東京医療センター附属東が丘看護助産学校助産学科卒業。産科病棟にて約12年間助産師として勤務し、多くの妊産婦、褥婦、新生児のケアに関わる。2013年に退職後パリで数カ月過ごし、自分自身と向き合う。大切にしていきたいことなどに気づいて「lier」を立ち上げ、個人の活動を開始する。現在、東京23区内で新生児訪問、母乳育児相談を中心に母子のケアに携わる。
2019年05月18日生後間もない赤ちゃんが泣き続けて、困ったことのあるママやパパも多いのではないでしょうか。赤ちゃんが泣いているときは、何らかの理由があるため、その理由に合わせた対処を心がけるようにしましょう。今回は、赤ちゃんが泣き止まないときに考えられる原因や、泣き止んでもらうためのコツについてお話ししていきたいと思います。 ママやパパの大きな悩み! 赤ちゃんが泣き止まないのはどうして?赤ちゃんがなかなか泣き止まないときは、何らかのサインを発している可能性があります。言葉を知らない赤ちゃんは、感情を伝える方法が「泣く」以外にありません。そこで、ママやパパは赤ちゃんに変わったことが起きていないか、確認してみると良いでしょう。泣く理由の多くはおなかが空いたとき。これは、授乳をすることで泣き止みます。このほか、おむつが濡れているケースもよくありますが、これもおむつを替えることで解決します。 おっぱいをあげたばかりで、おむつもきれいなはずなのに泣き続けるときは、赤ちゃんは「不快感」を覚えていることがあります。眠りたいのに眠れない、体感温度が熱すぎるか寒すぎる、ベッドの寝心地が悪いなどの理由を探ってみましょう。ちょっとした音や照明を嫌がっていることもありえます。大人にとっては何も感じない環境でも、繊細な赤ちゃんにとっては気になる要素になってしまうことがあるのです。 また、生後5カ月ほどまでの赤ちゃんは特に理由がなくても泣き続ける傾向があります。ママやパパは、赤ちゃんとは泣くのが当たり前だと受け入れ、やさしく接するように心がけましょう。 ただし、「赤ちゃんは泣くのが普通なので、泣き止まなくても放っておけばいい」という考え方は危険です。ときとして、赤ちゃんは便秘などの体調不良や発熱を伝えたくて泣いている恐れがあるからです。泣き止まない状態が続くようなら、体温を測ってみるなどして体調が悪くないかどうかを確かめ、必要があれば病院に連れて行きましょう。便秘ぎみだったり、おなかが張っている様子があれば、綿棒浣腸をしてうんちやガスを出してあげると良いでしょう。 赤ちゃんが泣き止まないときの対処法について赤ちゃんが泣き止まないとき、真っ先に考えたいのは「おなかがすいている可能性」です。このとき、「十分に母乳をあげたはずなのに」という先入観は捨てましょう。赤ちゃんはその日の体調によって、満足する量が変わります。いつもの量では足りずに、泣いていることも多いのです。臨機応変に母乳をあげましょう。ただし、市販のミルクや離乳食は1日あたりのカロリーや栄養量が計算されています。多めにあげる場合は、ミルクよりも母乳にするのが適切です。 気をつけたいのは、「泣いたら、とにかく母乳」と安易な対処を繰り返してしまうことです。赤ちゃんはおっぱいをくわえたら、おなかがいっぱいでも飲んでしまう習性があります。そうすると、本当の泣き止まない原因が解決されないままになってしまうことがあります。赤ちゃんのおなかがふくらんでいるときは、おっぱい以外の原因がある可能性が高いです。たとえば、「おむつが汚れている」のもよくあるケースなので、すぐに取り替えてあげるようにしましょう。 そのほか、「乱れた洋服を直してあげる」ことや、寒暖に対する訴えの場合は「重ね着させたり、逆に枚数を減らしたりしてみる」など、衣服の調整も泣き止まない赤ちゃんへの効果的な対処法となります。遮光したり、テレビなどの音量を下げたりして、赤ちゃんが過ごしやすい環境を整えるのも効果的です。寝苦しくて赤ちゃんが苦しんできるときは、寝返りを手伝ってあげたりすると泣き止むこともあります。 しかし、何をしても泣き止まないときはあり、泣きのピークは生後1~2カ月ごろからおきて、生後5カ月ごろにおさまってきます。そのことを知っておくだけでも気持ちが楽になるかもしれません。 揺さぶりすぎに要注意! ママの心構えとイライラ解消法泣き止まない赤ちゃんに接するとき、泣き止まないことで、赤ちゃんを激しく揺らしてしまうことのないように気をつけましょう。激しく揺さぶられることによっておこる「乳幼児揺さぶられ症候群」となる危険性があります。この症候群は、網膜出血や硬膜下出血、意識障害が起こる可能性があります。赤ちゃんにさまざまな悪影響があるだけでなく、最悪の場合には死に至る恐れすらあるのです。赤ちゃんが頻繁に嘔吐したり、長時間眠って目覚めなかったり、異変が目立つような場合は、病院ですみやかに検査してもらいましょう。 乳幼児揺さぶられ症候群は、生後半年までの赤ちゃんがかかりやすいのですが、2歳までは発症のリスクが消えません。乳幼児揺さぶられ症候群を防止するためには、赤ちゃんをゆっくりとやさしく抱っこする必要があります。 とはいえ、泣き止まない赤ちゃんにストレスを感じてしまうと、思わず激しく揺さぶってしまうママやパパもいます。特に、赤ちゃんに長時間接することが多いママは、いわゆる「育児ノイローゼ」にかかることも珍しくありません。赤ちゃんの健康には、ママのメンタルケアも大きく関わってきます。 ママのストレスを軽減するためには、周囲の協力が大切です。パパや家族にサポートをしてもらい、心身ともに疲労がたまったときは休息をとりましょう。また、パパに家事を代わってもらったり、夜泣きのときに対応してもらったりするのもストレス解消のコツです。「自分だけが苦しんでいる」という状況を改善すれば、イライラも収まっていくでしょう。 まとめ赤ちゃんが泣き止まないときは、パパやママにとってストレスになりますよね。ストレスが蓄積されると、育児ノイローゼにもなりかねません。しかし、赤ちゃんが泣く理由を知っていると冷静に対処することができることもあるかもしれません。そもそも、「赤ちゃんが泣くのは健康の証」だと考え、マイナスな感情を抱かないようにできると良いですね。どうしてもストレスや疲労が解消されないときは周囲の協力を求めるなどして、思い悩まないようにしましょう。 ※参考:厚生労働省「赤ちゃんが泣き止まない~泣きへの対処と理解のために~」 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医
2019年05月17日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、助産師・おむつなし育児アドバイザーの榎本さんからメッセージです。 こんにちは。助産師・おむつなし育児アドバイザーの榎本です。おむつなし育児とは、おむつをしながら、おしっこやうんちが出そうなタイミングや赤ちゃんのサインを周りの大人が受け取って、できるだけおむつの外(おまるやトイレなど)に排泄することを手助けすることです。 今回は、おむつなし育児の実践編についてです。用意するものや、おしっこのタイミング・サインの見つけ方、月齢別の始め方かなどをお話しします。おむつなし育児をしているとトイレトレーニングがスムーズに進みやすいので、ママにとってはメリットもたくさんあります。 おむつなし育児で用意するものは?特別なものはありません。 布おむつや布パンツを使っている方が多いですが、紙おむつでもOK。排泄のサインが出てからすぐに座らせられたり、遊びの途中でも嫌がらずにしてくれるので、おまるを使うことが多いです。 片付けるのが手間だなという方はトイレに連れていくのもいいですね。補助便座を使ったり、洋式便座の前の方に支えて座らせたり、一緒に座って足の間に座らせて後ろから支える方法も。 お風呂で立ってするのが好きなお子さんもいます。 おしっこが床に漏れたときのために、雑巾を用意しておきましょう。わが家は、臭い消しに重曹水をスプレーボトルに入れて、シュシュとしてから、洗いやすくて乾きやすい布おむつを雑巾がわりに使っていました。 おむつなし育児を気軽に始めてみよう!一日中できなくても大丈夫! 例えば、午前中だけ、お出かけしない日だけなど、できるときだけでもいいのです。わが家は、保育園に行っている間は紙おむつ、家では布おむつやパンツで過ごしました。 また、うんちのほうが出るサインをキャッチしやすいので、うんちのときだけ試してみてもいいかもしれません。便秘がちのお子さんですと、腹圧をかけやすくなるので出しやすくなって便秘が改善されたという事例もあります。 タイミングやサインをみつけてみよう!【よくあるおしっこのタイミング】寝起き・おんぶや抱っこから降ろされたとき・授乳中や食事中とその後・おむつをあけたとき・外出後・入浴前後・寝る前など 【おしっこが出るときのサイン】泣く・授乳中に乳首をくわえたり話したりする・体に力が入る・体がふるえる・表情が固まる・おならをする・のけぞるなど さらに月齢が進むと、おまるやトイレに向かっていく・おむつを触る・股間を触る・「ちっち」など、決まった音を出すなど 年齢別の進め方【生後3〜6カ月】おむつなし育児の黄金期! おしっこの出るタイミングやサインをよく観察してみましょう。 【生後6カ月〜1歳】行動範囲が広がり、好奇心旺盛で、“おまるイヤイヤ期”になることも。無理強いせずに、前回お話した3つのステップに合わせてやってみましょう。 【1〜2歳以上】トイレトレーニングのようになります。3つのステップをベースに、おむつを思いきってはずしちゃいましょう。 お子さんがショックを受けて失敗が怖くならないように、お漏らししても騒がないことが大切です。叱らずに「大丈夫だよ」と伝えます。そしておまるでしてくれたら、「ありがとう」「上手だね」と声かけをしてあげましょう。 おむつなし育児をしていると、おむつがはずれるのが早い傾向にあります。しかし、個性もあるので時間がかかっても焦らないことが大切です。おしっこを吸収したおむつは意外に重く、小さな体や腰に負担もかかります。蒸れてかさばるおむつをはずして動きやすくしてあげたいですね。そして、お母さんだけでなく、家族一緒に、赤ちゃんの心地よい排泄をサポートできるといいですね。 ※参考・「おむつなし育児アドバイザー養成講座テキスト」(おむつなし育児研究所)監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年05月16日こんにちは、助産院ばぶばぶのHISAKOです。1回の授乳で、赤ちゃんが片方しか飲まなかったということはありませんか? たまにならいいのですが、これが毎回続くとよくないこともあります。なぜ危険なのか、片乳授乳のリスクについてお話しします。 母乳が出るしくみとは作られた母乳は少しずつ乳管腔に溜まって行き、授乳間隔が空くと満タンになります。乳腺腔の真ん中には、脂肪分以外の母乳成分が溜まり、脂肪分は乳腺胞の壁に付着しています。 赤ちゃんがおっぱいを吸うと、その刺激で母乳分泌ホルモン(オキシトシン)にスイッチが入ります。するとホルモンの分泌を受けて、乳管胞を取り囲む筋肉が収縮し、中に溜まった母乳を排出する「射乳反」が起きます。 授乳の最初と最後で栄養価が違う射乳によって乳管胞の容積が小さくなるにつれ、徐々に壁からはがれ落ちた脂肪分が乳管へと押し出されて行きます。乳頭に向かって、より脂肪含有量の高い母乳が流れ出て行きます。 飲ませ始めの母乳(前乳)より、飲ませ終わりの母乳(後乳)のほうが栄養価が高いので、ぜひ赤ちゃんに後乳を飲ませましょうという片乳授乳推進の意見につながっているのはそのためだと思います。 後乳だけを飲ませるのはあり? なし?未熟児や低出生体重児、早急に高カロリー食で体重を増やさなければならない赤ちゃんは体力がないので、後乳を飲む前に放心してしまう可能性が。だから前乳は搾って捨てて、後乳を飲ませることを優先する指導が存在します。 でも、前乳に栄養がないわけではなく、健常新生児にわざわざ高カロリーな母乳のみを選んで与える意義は感じません。 また、片側をとことん飲ませる授乳方法では、反対側を同等に飲めるはずがありません。結局片っぽで赤ちゃんは力尽きてしまいます。こうなると反対のおっぱいをくわえさせようとしても無意味です。 アンバランスな授乳は乳腺炎になる可能性も授乳間隔が3時間ごとだと仮定すると、片乳授乳なら飲まなかった側は6時間も授乳間隔が空くことになりますね。そのうち、左右のおっぱいはアンバランスになって心身ともに収拾がつかなくなってしまいます。 片乳授乳を励行することで乳房内に長時間母乳が溜まったままにすると、張ったおっぱいを赤ちゃんが上手に飲めず浅吸いになる結果、乳頭亀裂の原因をつくり、乳腺炎になるリスクが上がります。だからこそ、一回の授乳では必ず両乳を飲ませてほしいと思います。 監修者・著者:助産師 助産院ばぶばぶ院長 HISAKO総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門助産院を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2016年11人目出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。
2019年05月15日こんにちは、離乳食インストラクターの中田馨です。9~11カ月ごろ(離乳食後期)になると、1日の離乳食の回数が3回になるので、今までよりも離乳食を食べる量が増えていきます。しかし、9~11カ月ごろ(離乳食後期)になっても離乳食を食べたがらず心配というママもいます。 今回は、9~11カ月ごろ(離乳食後期)になっても離乳食をほとんど食べてくれない子へのアプローチ方法をお話します。 離乳食を食べない赤ちゃんを持つママの悩み離乳食を食べない赤ちゃんを持つママから多い、2つのお悩みにお答えします。 Q1 母乳・ミルクばかりでも大丈夫?9~11カ月ごろ(離乳食後期)は離乳食と母乳・ミルクの栄養の対比が6:4~7:3と言われています。そのため、あまりにも離乳食を食べてくれなかったら心配になりますが、母乳・ミルクにも栄養があります。離乳食後は、ミルクの場合は適量を、母乳の場合は赤ちゃんが満足するまで飲ませてあげましょう。 Q2 卒乳したほうがいい?「離乳食を食べなければ、その後は母乳(ミルク)が待っている」と赤ちゃんは分かっているから、食べない場合があるのではないか? 卒乳したら嫌でもおなかがすくから離乳食を食べてくれるのではないか? と相談されるママもいます。でも、9~11カ月ごろ(離乳食後期)の赤ちゃんにはまだ乳汁栄養が必要。卒乳はしないようにしましょう。 ママができる5つの対処法あまり離乳食を食べてくれない赤ちゃんに対してママができることがあります。「今すぐ効果がある」ものではありませんが、毎日続けていくことが大切ですので、ぜひ試してみてください。 1:ママが必死になりすぎないまずは、ママが必死になりすぎていないか、自分自身に問いかけてみましょう。 私の息子もあまり食べてくれない子でした。その当時の私は「とにかくひとさじでも多く食べさせないと!」ということに集中してしまい、「楽しく食べる」ことは考えていませんでした。もし、今必死になっているなら、少し肩の力を抜いて離乳食に取り組みましょう。「私も赤ちゃんと一緒に離乳食を食べてみようかな」と一緒に食べてみてもいいですね。 2:赤ちゃんが離乳食の何が嫌なのかを観察する赤ちゃんは離乳食の何が嫌なのかをよく観察してみましょう。 きっと「これは(少し)食べてくれる」という食材やメニューがあるはず。そのメニューの何が好きなのか? 食べないメニューと何が違うのかを考えてみましょう。「水分が多くベタッとしたものよりも、水分が少ないメニューのほうが好き」「月齢の目安の大きさよりも小さいほうが食べてくれる」ということなら、水分を少なくしたり、小さく刻んだりして与えてもOKです。 3:スープから試してみる保育所であまり食べてくれない赤ちゃんには、だしで数種類の野菜を煮たスープ(みそ汁)から試してみます。スープの味が「おいしい」と分かれば、ゴクゴクと飲んでくれます。 1日目はあまり欲張らず、他のメニューを食べる様子がなければ、ここでおしまいにします。スープがおいしいと分かった赤ちゃんは、その経験があるので次の食事もスープを飲む確率が高くなります。まずはスープからチャレンジし、その後に具も食べるようになります。そうしているうちに徐々に他のメニューにも興味を持ち始めます。 4:一段階前に戻ってみる今、9~11カ月ごろ(離乳食後期)でも、7〜8カ月ごろ(離乳食中期)のやわらかさや大きさに戻っても、もちろんOKです。思い切って5〜6カ月ごろ(離乳食初期)に戻ってもOK。これで食べてくれたら嬉しいですよね。 食べることはおいしい、楽しいという経験を積んで、徐々に9~11カ月ごろ(離乳食後期)の形状に戻していきましょう。 5: 自分で食べるメニューを取り入れてみる9~11カ月ごろ(離乳食後期)ですので、そろそろ手づかみをして、自分で食べる時期になります。自分で食べることは食べる意欲を増やしてくれるので、手づかみメニューも徐々に取り入れてみましょう。 赤ちゃんが食べてくれないと成長や発達が気になります。でも、赤ちゃんが離乳食に興味を持ち「食べてみようかな」と思うまでには、時間がかかる場合もあります。今、ママができることは、離乳食づくりの工夫をしながら、赤ちゃんの様子をゆっくり見守ることなのかもしれませんね。 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。
2019年05月13日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、助産師・おむつなし育児アドバイザーの榎本さんからメッセージです。 こんにちは。助産師・おむつなし育児アドバイザーの榎本です。 今回はおむつなし育児で、トイレやおまるでうんちやおしっこができるまでの、3つのステップについてお話していきます。おむつなし育児をしているとトイレトレーニングがスムーズに進みやすいといわれています。今トイレトレーニングを始めようとしている方へも何かのヒントになるかもしれません。 トイレやおまるでするためのSTEP1ジャーっと出して、うんちやおしっこが体から出ていることを五感を使って認識する 「ためて一度に出す」という排泄コントロールの感覚が育つには、うんちやおしっこが体から出ている事実を、脳が五感(目、肌、耳、鼻)を使って認識することが必要です。 それには、うんちやおしっこが体から出ていることが認識しやすい服装(布おむつ、布パンツなど)で過ごす時間をつくってあげます。トイレトレーニング用のパンツやおむつ、おしっこパッドなどでも良いのですが、ジャーっと太ももまで濡れないと分かりづらいお子さんもいるようです。 一日中が難しければ一定の時間(15〜30分)や、漏らされても気にならない場所(フローリングや子ども用フロアマット、屋外、お風呂場など)で、布おむつや布パンツで過ごす時間をつくってあげます。 トイレやおまるでするためのSTEP2「しーしー」という言葉がけで、おむつの外でするという排泄感覚を取り戻す 生まれてからずっとおむつの中で排泄してきた赤ちゃんは、おむつの外でするという感覚を取り戻す必要があります。その合図は、「しーしー」という言葉がけです。 この「しーしー」は、水を連想させて膀胱の筋肉を緩ませます。おしっこをしそうなサインがあったり、おしっこをすでにしていたら、「しーしー」という合図を出してあげることを何度も繰り返しているうちに、合図とおしっこが連動していることを理解できるようになります。 トイレに一緒に行って、大人がおしっこをしているところをみせるのも効果的です。ここのステップ2に時間がかかる子もいるので、焦りは禁物です。 トイレやおまるでするためのSTEP3おまるやトイレという決まった場所で排泄するという社会的ルールを学習する おしっこやうんちをしたそうなときがわかるようになってきたら、おまるやトイレに誘ってみましょう。大人がトイレに行きたいときに、一緒に誘ってみるのも良いですよ。 おまるやトイレを嫌がる場合は無理強いせず、まずはおむつをつけたまま、おまるやトイレに座らせて慣らしていきましょう。リラックスして、楽しい時間になるように絵本やおもちゃ、手遊びや歌を歌ってあげるのも効果的です。会話ができるくらいの年齢でしたら、「トイレやおまるをスタートする日」を話し合って子どもに決めさせてもいいでしょう。決めた日にスタートできなくても叱らずに、次の目標日を決めさせます。 3つのSTEPの進め方生まれてから1年以上、100%おむつの中で排泄してきた赤ちゃんは、「おむつの中でする」ということを強く学習している可能性が高いので、このSTEPを知っておくと便利です。2〜3歳を過ぎてから、トイレトレーニングを始める場合にもこのSTEPは役立つと思います。 逆に、生後6カ月未満の場合は、「おむつの中でする」ことを学習していないため、STEP1と2は自然にできるようになるので、1歳半〜2歳ごろになって自分で動けるようになったらSTEP3をするだけでトイトレをラクにすることができます。1日15〜30分のおむつなし時間を習慣づけることで、ラクにスムーズにトイトレができるようになるので、ぜひできるときからスタートしてみてください。 おむつなし育児は、親子のコミュニケーションのひとつとして楽しんでやることが大切です。焦らず、ゆっくりと、赤ちゃんの排泄に寄り添ってあげてくださいね。次回は、おむつなし育児の実践編です。 ※参考・「おむつなし育児アドバイザー養成講座テキスト」(おむつなし育児研究所) 監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年05月11日