株式会社アンフィニ(所在地:茨城県つくばみらい市、代表取締役:片山 章彦)は、この度、つくばみらい市で初めてとなる民設民営の児童クラブの開設のお手伝いをさせていただくことになりました。みらい平駅前に民設民営学童を運営開始します□施設名 :(仮)みらい平放課後児童クラブ□所在 :茨城県つくばみらい市陽光台4丁目3-3 2F(つくばTXみらい平駅徒歩5分)□開所時間:平日 学校終了後~19:30土曜日 7:30~19:30/学校長期休み 7:30~19:30□保育料 :4,000円/月□おやつ代:2,000円/月その他、保険料・補食代・延長保育料などあり。長期休暇時にはお弁当提供あり(別途料金)。活動内容詳細はこちら私たちが運営する児童クラブは、「平等な保育を全ての家庭に提供する」ことを第一に掲げ、可能な学習支援、体験活動、行事を行います。建物は現在改修中で、2月末ごろに終了予定となり、その後見学などが可能です。施設は現在改修中、2月末ごろ完了予定です株式会社アンフィニは、受託運営の運営実績は300校以上。培ったノウハウと、株式会社アンフィニならではの特徴を併せ持つ民営の学童クラブを展開予定。指定小学校への無料送迎バス、塾や習い事とも連携し、保護者の就労支援を強化します。また、当社職員「プレーアドバイザー」による体験教室も開催予定。サッカー教室を中心に、子どもたちへ「体験」を届けます。プレーアドバイザーによる「体験教室」も開催予定子どもたちが、「居たい!行きたい!やってみたい!」と思える活動を提供し、健全な放課後の居場所をつくり、「子どもが真ん中」の児童クラブを実現します。【スタッフ募集】立ち上げメンバーとしてあなたの経験を活かしてみませんか?研修なども行いますので、保育関係のお仕事が初めての方ももちろん歓迎。□施設長もしくは主任(正社員) … 資格もしくは経験が必須□支援員(パート) … 資格の有無は不問 ※有資格者は時給優遇※該当する資格※保育士、社会福祉士、幼稚園教諭、小中高教員免許のいずれか放課後児童支援員をお持ちの方歓迎、2年以上類似業務に携わった経験のある方も応募可能詳細:株式会社アンフィニ公式採用HP ご興味のある方は、是非お問い合わせください。子どもたちに人気のサッカー教室【株式会社アンフィニについて】名称 : 株式会社アンフィニ所在地 : 〒300-2307 茨城県つくばみらい市板橋1812-16代表者 : 代表取締役 片山 章彦事業内容: 放課後児童健全育成事業の新規開設・運営受託、認可保育園・その他各種保育施設の新規開設・運営受託URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年01月25日中野市が保有する公立保育園は、9園中3園が建築後40年を経過し、園舎の老朽化が進んでいる状況です。その中でも特に築年数の多い、高丘保育園(昭和51年建築)および平野保育園(昭和53年建築)については、安心・安全な保育を維持するためにも園舎の建て替えは喫緊の課題で、これまで検討を進めてきました。この度、保護者の選択肢の拡充や保育サービスの向上および早急な2園同時の建て替えを実現するため、2022年11月に策定した「中野市公立保育所民営化ガイドライン」および9月に策定した「中野市保育所整備計画【改定版】」に基づき、「民設民営」方式により保育所または認定こども園(幼保連携型・保育所型)(以下「保育所等」という。)を設置・運営する事業者(以下「設置・運営事業者」という。)を募集することとしました。民営化対象園本募集に係る対象園については、以下に示す2園とし、両園とも設置・運営事業者が選定(用意)した新たな用地への移転整備とします。また、2園についてはそれぞれ別々に設置・運営事業者を募集します。・平野保育園(長野県中野市大字片塩41番地)地図 : ・高丘保育園(長野県中野市大字草間1502番地)地図 : 保育所等開園日2025(令和7)年4月1日(火)応募資格・条件等中野市公立保育所民営化に係る設置運営候補事業者募集要項をご確認ください。boshuyoukou.pdf : 選定方法中野市公立保育所民営化法人候補者選定委員会において、審査要領に基づき評価・選定します。その他今後のスケジュールや必要書類の応募様式など詳しくは市公式ホームページをご覧ください。中野市公立保育所民営化に係る設置運営候補事業者の募集について | 長野県中野市 : 中野市ってどんなところ?中野市は、県の北部に位置し、面積112.18㎢、人口約41,000人、四方を美しい山並みに抱かれた静かなまちです。市の中央に詩情豊かな千曲川が流れ、豊かな自然、美しい山々に囲まれ、日本のふるさとの原風景が広がります。また、誰もが知っている唱歌「故郷」の作詞者・高野辰之と、「カチューシャの唄」「東京音頭」など大正から昭和にかけて3,000曲にもおよぶ歌を世に送り出した作曲家・中山晋平は中野市で生まれ育ちました。農業が盛んで、リンゴやブドウは全国でも有数の品質と生産量を誇っています。早くからエノキタケの栽培に取り組み、キノコや果樹、野菜、花きの施設栽培の先進地としても知られています。長野県中野市は周囲を美しい山々に囲まれ豊かな自然にあふれるまちです長野県中野市は、懐かしい自然を残しつつ、常に時代に先駆けて新しいおいしさに挑戦する農業の先進地として知られています。トップページ | 長野県中野市 : お申し込み・お問い合わせ先中野市子ども部 保育課施設係〒383-8614長野県中野市三好町一丁目3番19号電話:0269-22-2111(内線292)Eメール: hoiku@city.nakano.nagano.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年10月19日現在、都議会で都立病院の“民営化”が審議されているのはご存じだろうか。その先にあるのは、金持ち優先医療だーー。「東京都のコロナ患者の約30%を受け入れてきた都立・公社病院が7月に廃止され、地方独立行政法人化(以下、独法化)されようとしています。いわば、民営化されるのです。そうなると、もうからない診療科は切り捨てられ、今後新たな感染症がはやっても、現在ほど患者を受け入れられなくなるでしょう」そう警鐘を鳴らすのは、NPO法人医療制度研究会の副理事長で、『日本の医療崩壊をくい止める』(泉町書房)の著書もある本田宏さんだ。現在、東京都には8つの都立病院と6つの公社病院がある。全国のコロナ確保病床でトップ11位まで、すべて都立・公社病院が占めるほどコロナ治療に貢献してきた。東京都庁職員労働組合病院支部の書記長で、都立駒込病院の看護師としてコロナ対応にあたる大利英昭さんは次のように話す。「独法化すると、過度に採算が重視されるため人件費も削減されていきます。その結果、看護師の離職率が高まってスキルが身につく前に辞めてしまうのです」そのあしき前例が、公立・公的病院の独法化を全国に先駆けて進めてきた大阪だという。’07年には府立の5病院が、’14年には市立の4病院が独法化されたが……。「その結果、徐々にベテラン看護師が減っていき、コロナ対応できる経験を持った看護師が少なくなりました。だからコロナ専門病院を作っても患者を受け入れられなかった。これが医療崩壊を招いた一因だと思われます」大阪府のコロナ死亡者数は全国最多の4,002人で、100万人当たりの死者数も452.8人と全都道府県でワースト。全国平均の193.0人と比べても断トツで多くなっている(3月3日時点)。大阪の病院事情に詳しい大阪医労連の副執行委員長・代喜伸吾さんは、「独法化によってもうけが優先になった」と、こう続ける。「’07年に独法化された大阪国際がんセンター(旧・大阪府立成人病センター)は、府民を診るための病院から、海外からのVIP患者を迎えて医療提供する“医療ツーリズム”が主たる目的のひとつになってしまいました。府は、海外からのVIPを集めるために、もともと大阪城の近くにあった病院を、より大阪城がキレイに見える場所にわざわざ引っ越しさせた。税金を使って大阪城のすぐ隣にあった大阪府庁の駐車場を工事して、移転させたのです」外国人VIPに人気のグレードの高い部屋は、1泊6万円もする。「税金が投入されたのに、利益追求が最優先で、府民のための医療が後回しになっています」こうした流れは、’10年に維新行政になってから加速したという。「橋下徹知事(当時)が、二重行政を解消すると言って、すでに独法化していた4つの病院のうち、年間700件ものや小児救急を扱っていた住吉市民病院を’12年に閉鎖し、別の病院に役割を統合したんです。しかし、これがうまく機能しませんでした」地域の分娩や小児医療を担っていた病院の閉鎖で、妊婦や子どもが医療にアクセスしづらくなった。「住吉市民病院の跡地に民間病院を誘致する話も出ましたが、〈医師不足〉や〈収支が合わない〉などの理由で失敗に終わりました」最近では、ここにふたたび公立病院を建てるという構想まで浮上しているというから本末転倒だ。■病床を減らすと100万円超の補助金がこうした悪例にもかかわらず、公立病院の独法化や統廃合が進められてきた。その背景には、「政府が進める“医療費抑制策”がある」と、前出の本田さんは指摘する。「厚労省は今後、人口が減っていくという前提で、’25年までに全国の病床を16万〜20万床削減する目標を立てています。公立病院の独法化や、統廃合もその流れのひとつ。しかし、もともと日本はG7でいちばん医師数が少ないうえに、公立病院が全体の2割とイギリスの8割やドイツの5割と比べ極端に少ない。これ以上減らしたら、国民の命は守れません」今年2月にも、青森県で県立中央病院と青森市民病院が統合。宮城県でも、公立病院の統廃合などの計画が進行中だという。「’20年度だけでも全国で約3,000床が削減されました。1床削減すると約100万〜200万円の補助金が病院に支給されることになっていて、この財源には、社会保障の充実に使われるはずの消費税が充てられているんです。多くの市民がこうした流れを知らずにいます」(本田さん)
2022年03月10日「東京都のコロナ患者の約30%を受け入れてきた都立・公社病院が7月に廃止され、地方独立行政法人化(以下、独法化)されようとしています。いわば“民営化”されるのです。そうなると、もうからない診療科は切り捨てられ、今後新たな感染症がはやっても、現在ほど患者を受け入れられなくなるでしょう」そう警鐘を鳴らすのは、NPO法人医療制度研究会の副理事長で、『日本の医療崩壊をくい止める』(泉町書房)の著書もある本田宏さんだ。現在、東京都には8つの都立病院と6つの公社病院がある。全国のコロナ確保病床でトップ11位まで、すべて都立・公社病院が占めるほどコロナ治療に貢献してきた。にもかかわらず、これらの公立病院を廃し、独法化するのはなぜなのか。2月22日の東京都議会で日本共産党の米倉春奈議員が、都立病院を独法化する意義を聞くと、小池百合子都知事はこう答えた。「独法化の目的は、医療環境が大きく変わるなかにおいても、安定的かつ柔軟な医療人材の確保や機動的な運営によって、行政的な医療をはじめとする質の高い医療を提供する役割を将来にわたり提供することであります」しかし、本田さんは指摘する。「現在も都立・公社病院は安定的かつ柔軟に、コロナ患者を含めさまざまな患者を受け入れています。独法化の真の狙いは、病院経営を東京都から切り離すこと。毎年、東京都から都立・公社病院に投入されている約500億円の繰入金を徐々に減らしていくことなんです」■“民営化”の先にあるのは金持ち優先医療税金の投入が減るのはいいことに思えるが……。「被害を受けるのは患者さん自身」と指摘するのは、東京都庁職員労働組合病院支部の書記長で、都立駒込病院の看護師としてコロナ対応にあたる大利英昭さん。「’09年にいち早く独法化された東京都健康長寿医療センター(板橋区)では、患者さんの負担が増えました。都立病院にはない個室の入院保証金を10万円も徴収。1日最高で差額ベッド代が2万6,000円する病室もあるのです」’09年当時、約10億4,000万円あった都からの同院への補助金は、’18年には約1,280万円にまで減らされている。患者の金銭的負担が増えるだけではなく、受けられる医療の質まで落ちることが懸念されるという。「独法化すると、過度に採算が重視されるため人件費も削減されていきます。その結果、看護師の離職率が高まってスキルが身につく前に辞めてしまうのです」日本の公的医療を「金持ち優先」にさせないために、まずは都議会の議論を注視せねばならない。
2022年03月10日長いようで短かった民営化への準備期間を経て、とうとう区から民間へ運営のバトンタッチの日がやってきました。臨時職員の先生数名が残ることになったものの、他の先生方はほとんどが区の運営する保育園へと異動となりました。まだ1歳にもならない長男を預かっていただき復職していっぱいいっぱいだった私にとって、ベテランの先生方との送迎時のやりとりは本当に心の支えでした。そして新年度。我が家には次男が誕生し、その年から次男も同じ保育園に入園することになりました。ドキドキの登園がはじまり…おーーーーっと、これはかなり緊張している…!!今までの園の先生はベテラン揃いだったので明らかに新卒?といったフレッシュな先生にこちらもちょっとドキドキ…。とりあえずよろしくお願いしますをして退室しました…。そして2ヶ月が経とうとしたある日…次男をお迎えに行くと、4月ド緊張していた先生が興奮気味に次男の生活の様子を報告してくれました。この頃次男はだいぶ体幹がしっかりしてきて、つかまり立ちからつたい歩きをしていました。園でも活発に動いていたようで念のため後ろにクッションを置いて様子を見守ってくれていたところ、一度も倒れず歩けたと。本当に嬉しそうに、次男の成長を話してくれる先生。いや、もう、先生こそすごい成長…!!(どこから目線だよ)ただでさえ、区のベテラン先生たちからのバトンタッチでさぞかしプレッシャーだったと思うんですよね。私なら毎日えずいちゃう…そう考えたらなんだか勝手にぐっときてしまいました。民営化にあたって正直心配なこともありましたが、いざ始まってみれば子どもたちは毎日楽しく通わせてもらっています。民営化の前と後、先生方や園の方針は変わりましたが、どの先生も子どもたちへの想いや私たち保護者への寄り添ってくださる気持ちは変わらないなと。園の民営化という、なかなかできない貴重な体験となったのでした。
2020年08月18日民営化の説明会を行ったのち、クラスの懇談会がありそこで次年度のクラス役員2名と民営化のオブザーバー1名を選ぶことになりました。まずは立候補を募るのですが…いるはずもなく…候補から外れるのはすでにクラス員をやった人のみ。「やりたくない」「忙しい」はどのご家庭でも同じこと。でも、今年はとくにやりたくない…民営化のオブザーバーになったら候補に上がった民営業者が運営する保育園を見学にも行かねばならない。そして月1である役員会は土曜。私はシフト制なので休み希望を出さないといけない。旦那は週末休みだけど役員やるなら役員会の日は休んでほしいと。確かにワンオペで役員会やって子どものお世話は大変…。でも役員会の為に休み希望出すのももったいない…。だからできれば2人目の産休・育休中にやりたい!!まだ予定はないけれども!!!ーと、いうことでその年に役員をやった2人い以外がくじ引きをすることになったのですがその年の役員だったママが可愛いくじ引きを作って持ってきてくれていた。ーと思ったら作ったのパパだったwwwお陰でその場が和みみんなくじを引いていき…外れた!!!(歓喜)いや、当たった?…んん…!?外れたで合ってる!!日本語難しいな!!なんとかこの年の役員・オブザーバーは免れました!!それから定期的に第三者協議会(園・保護者・行政・民間業者)があり始めの数回は仕事を休んで参加していましたが参加せずとも後日議事録が配布されるため後半は休みが被らない限り出席しませんでした。そして無事に運営する民間業者も決まって、そちらの職員の先生が一年引き継ぎ保育で入ることになりました。来年からはほとんどの先生が変わると思うと、その変化に長男はついていけるのか心配になりましたが…若い先生においでされて長男のテンションが上がった瞬間、大丈夫だって確信した笑(旦那もウキウキしていた笑)次回は最終回!いよいよ民営運営スタート!
2020年07月28日通っている保育園の民営化の説明会に行った私。最後の質疑応答で飛び交う挙手にたじろぎながら話を聞いていました。やはり多かったのは「先生」や「運営方法」などの質問。近隣保育園でも民営化がかなり進んでいて、中には数年前に民営化された保育園に自ら足を運んで保育園の様子をリサーチしている方もいました。え…すごくない…白熱する質疑応答。圧倒されているととなりにいたパパ友がスマホをいじり出して、ふと画面を見ると…服探してたwwwなんだろー…和むー…質疑応答が始まって30分過ぎたあたりから徐々に質問が脱線しはじめてさらに終わりが見えなくなってきました。「予定していたの時間を過ぎましたので次の方を最期の質問にさせてもらいます」というお声がかかったので、お昼ごはんの準備を家でスタンばっている旦那にメールしようとしたらまた隣のパパ友のスマホが目に飛び込んできて…パパ友がちょうど見つけた服に「いいね」押しいるタイミングで。他の保護者の方のすごさに圧倒されながらも、パパ友、良い服見つかって良かったとね思った説明会なのでした。次回、クラスから1人オブザーバーを決めるお話!
2020年07月12日通っている保育園は、長男が入園するタイミングですでに「民営化」が決まっていました。※民営化とは、区が行なっていた保育園の運営を民間事業者が行うことです。保育園って一言で言っても、認可とか無認可とか色々あって、そこに加えて民営化という言葉が出てきて当時の私は白目むきながら「はぁ…」としか思っていませんでした。「数年以内には民営化する予定なのでみなさん在園中にはなります」と言われていた民営化。そしてついに民営化に向けて動き出したのは入園して一年が経とうとしていた頃でした。まず、民営化に向けて区からの説明会が行なわれました。保育園の全体の集まりは年に数回あるますが主席率は全体の1/3程度。しかし民営化の説明会は半数近くのご家庭が主席していて部屋がパンパン。私の隣は同じクラスの旦那が仲良くさせてもらっているパパ友でした。「混んでますね」とか雑談しているうちに説明会がスタート。■気になる民間業者の決め方がまさかの…今後の流れがメインだった説明会でしたが…なんと民営化が始まる2年後以降在園するクラスの中から1人ずつオブザーバーを決めて立候補した業者が運営している保育園を見学し、点数つけて決めるとのこと。(オブザーバー以外にも役所の委員会の方たちの票もあったと思います)え…荷が重過ぎない…?思っていた以上にハードな民営化。1時間半くらい過ぎた頃、最後の「質疑応答」が始まった瞬間…伸びる挙手!!終盤になり「そろそろ終わりか〜」くらいに思っていた私はここからさらに長丁場になるとはこのとき思ってもいなかったのでした。次回に続きます。
2020年06月16日厚生労働省は4月26日、3~5年ごとの水道料金見直しをルール化する方針を固めた。その見直しルール化で、水道の値上げがいっそう広まるのではと懸念される。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。全国的に、水道事業は収益が悪化しています。その原因は大きく2つあり、1つ目は、人口減少などにより水道の使用量が減り、事業収入が増えないこと。2つ目は、高度経済成長期に造られた水道管の交換時期が迫っていて、多額の費用がかかることです。ですが、料金改定は市議会等での議決が必要で、値上げに踏み出せない自治体が多いのです、’17年度に料金改定した自治体は、5.3%しかありません(’18年4月時点・日本水道協会・以下同)。とはいえ、’17年度に福岡県大任町は42.8%の値上げを行いましたし、静岡市は’20年度に約15%の値上げ、その後も4年ごとに料金を見直すと発表しています。今回の見直しルールが実施されれば、水道料金の値上げが広まるのではないかと、私は心配しています。実はすでに、水道料金は地域格差が大きいものです。全国平均は3,244円ですが、もっとも高い北海道夕張市は6,841円で、もっとも安い兵庫県赤穂市は853円と、8倍もの差があります(家事用・月20立方メートル使用の場合)。広大な土地に長い水道管が必要な地域で利用者が減ると、1人当たりの維持費がかさみ料金が高騰するのです。さらに昨年、改正水道法が成立しました。今後は、水道事業の運営権を民間に売却する「コンセッション方式」が可能になります。現在、全国の3分の1の水道事業者が、給水の経費を料金収入でまかないきれず赤字です(’18年・厚生労働省)。それでも自治体の運営ですから、赤字を税金などで補填して事業が継続できるのです。運営が民間に移れば、コスト削減か、値上げしかないでしょう。老朽化を放置する事業者も出てくるかもしれません。料金は上がったのに水質は悪化したという最悪のケースも考えられます。また、日本の水道事業参入をねらっているのは、おもに外国の大手水道事業者です。当然ですが、大きく儲かりそうな、今、料金が安く水質のよい地域をターゲットにして、参入後は、今回の見直しルールを後ろ盾に値上げを行うでしょう。水道料金は、今後、どの地域でも上がっていくと思います。いっぽうで、利用者が少なく老朽化の激しい、儲けの少ない地域には、民間は見向きもしないでしょう。水道の地域格差はますます広がっていくと思います。水道は命と直結する大切な公共インフラです。赤字だとしても、手っ取り早く利益重視の民間に託してよいのでしょうか。そもそも改正水道法は、昨年、国民の関心がサッカーW杯に集中している時期に、わずか8時間足らずの審議で衆議院を通過しました。今でも、国民にていねいな説明がなされたとは思えません。改正水道法は今年10月から施行されます。将来「あのときが岐路だった」と苦々しく振り返ることのないよう、私たちは深刻なまなざしを向けていきたいものです。
2019年05月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「水道民営化」です。水道管の再整備が必要な時期。不透明なところも。昨年12月に「改正水道法」が成立しました。これにより、上下水道事業が民営化されやすくなります。改正の動きは数年前からありました。地方の自治体の財政基盤が弱っており、全国隅々まで水道インフラを維持するには、効率よく経営できる民間に任せたほうがいいという判断からです。日本の水道インフラは、主に高度成長期に整備を進めていきました。水道管の耐用年数は約40年のため、いままさに再点検が必要な時期なのです。昨年6月に起きた大阪北部地震では、老朽化した水道管が破裂し、高槻市や箕輪市で約9万戸が一時期断水に追い込まれました。今後こういう被害は増えていくだろうといわれています。実は水道料金は全国一律ではありません。破損した水道管を修理するにも、住民の数により負担額は変わります。平成28年4月の水道料金を見ると、全国平均は月額3227円。最も安いのは兵庫県赤穂市の853円で、最も高いのは北海道夕張市の6841円と、約8倍の格差があります。水道法の改正により、「コンセッション方式」といい、水道施設の所有権は自治体にあり、運営権のみを民間に売却できる仕組みを取り入れることになりました。民営化した場合の問題は、水道料金が高くなること。フランスは1980年代にコンセッション方式で水道民営化を実施しましたが、3か月後には水道料金が値上がりし、25年間で倍以上に高騰したため、2010年に公営化に戻りました。民営化でもうひとつ懸念されるのは、インフラの維持・管理。災害などが発生した場合に復旧されるのか?日本には、水メジャー(上下水道事業を担う巨大な国際企業)はありませんから、フランスのヴェオリア社やスエズ社、アメリカのGE社などが参入することになるでしょう。それらの海外企業が、災害で水道管が破損した際の費用負担をするのか。そもそも老朽化した水道管をまず整備しないことには、商売も始まらないのでは?という疑問も。ヨーロッパでは公営化に戻す動きが主流ななか、日本のこの、水道民営化に移行しようとする流れは、実は不透明なところもあるのです。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年2月20日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年02月15日7月22日に国会が閉会した。モリカケ問題で紛糾していた印象があるが、実は、政府が先の国会に提出した法案65本のうち、60本が成立している。「議論を尽くしたとは言えない法律が多すぎます」と語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。なかでも私たちの生活を揺るがしかねない進行中の法案を荻原さんが解説してくれた――。特に、「水道法の改正」は衆議院の委員会で、わずか2日間のべ8時間しか審議されていません。それでも衆議院で可決。参議院では時間切れで継続審議になりましたが、次の国会は、参議院審議から始まります。残念ながら、成立はもう時間の問題でしょう。しかし、改正水道法には、私たちの生活を揺るがしかねない大きな問題が含まれます。これまでは、水道事業を民間に委託することはあっても、主体は自治体にありました。ですが、改正水道法が成立すると、運営権そのものを民間にゆだねる“実質民営化”となってしまいます。私たちの大切な生活インフラを、民間に任せていいのでしょうか。1つの答えとして、約30年前に分割民営化された国鉄、今のJRを見てみましょう。明暗がくっきり分かれています。“暗”の代表はJR北海道です。営業赤字が年400億円を超え、先月、5路線5区間を廃止する方針を固めました。また、国土交通省も2年で約400億円の財政支援を決定。危機的な状況が続いています。いっぽう、“明”はJR東日本、西日本などで、収益は右肩上がり。今年3月期決算でも、純利益が過去最高を更新しました。もし、全国を一括管理する国営だったら、これほどの差は生まれなかったでしょう。生活インフラは、民営化にはそぐわないのです。世界を見ると、水道の民営化は’90年代から盛んに行われました。しかし、水道料金の引き上げや水質の悪化などを招いた、失敗事例がたくさんあります。【ヨハネスブルク(南アフリカ)】’94年民営化水道料金が高騰し、料金未納で1,000万人以上が給水停止に。汚染された小川や井戸などから水を飲んだことで、コレラが大流行。300人以上が死亡。→’02年に一定量の水を無償化。【マニラ(フィリピン)】’97年民営化水道料金が4~5倍に上昇。料金が払えない貧困層に給水を停止したうえ、水を分けたり売ったりすることも禁止。水質が悪化し、コレラに600人以上が感染。→’02年に再公営化。【アトランタ(アメリカ)】’98年民営化排水管の破損や泥水の噴出が相次いで起こる。その対応も遅く、不満が続出。→’03年に再公営化。【コチャバンバ(ボリビア)】’99年民営化水道料金が2倍以上に上昇。料金が払えない家庭には給水を停止。’00年に起きた大規模デモで死傷者が約200人にのぼり、「水戦争」と呼ばれる。→’00年に再公営化。19世紀、水道の開設当初から民営のフランスでさえ、値上がりがひどく、’10年に公営化しています。世界で民営化された水道事業はたくさんありますが、そのうち、37カ国の235の民営化事業が、再び公営化しているというデータもあります(’00~’15年3月・公共サービス国際研究所)。今から民営化して、うまくいくとは思えません。また、今でさえ、水道料金には大きな地域差があります。家事用20立方メートルあたりの1カ月料金が、もっとも高いのは北海道夕張市で6,841円。もっとも安いのは兵庫県赤穂市の853円と、実に、約8倍です(’16年・日本水道協会)。利益を追求する民間が運営すれば、水道管の老朽化が激しい地域、人口の少ない過疎地域などで、水道料金がもっと上がっていくのではないかと心配でたまりません。
2018年08月17日関空・伊丹空港、仙台空港のほかにも、次々と経営権を民間に売却する動きがある2016年は、「空港民営化元年」とも称されている。前半では先行する関空・伊丹と仙台の変化に触れたが、この後半ではこれから経営権売却のプロセスに入る高松空港、福岡空港、新千歳空港の民営化の行方を考察してみたい。○主導権で揺れる福岡先行する3空港のほか、2016年度以降に空港民営化と喧伝(けんでん)されているのは、高松、福岡、新千歳、広島、静岡、新潟の空港だ。しかし、今後の民営化の進展は空港により色々な思惑が交錯しており、複雑化する可能性がある。まず福岡だが、ここで焦点となるのは前福岡県知事の麻生渡氏が社長を務める空港ビル会社である。当初ビル会社は空港運営権の獲得に意欲満々で、ビル会社として入札に参加すると言明していた。これに国交省は反発し、「当事者である第三セクターがコンセッションに入札することは選定の公平性を損なう恐れがあるので認めない」との方針を打ち出した。「当事者による出来レース」の批判を排除しようとしたわけだ。一見透明性の高い制約を課したように思われるが、実情はそうではない。「県、市は応札企業に参加することはできないが、落札した企業に一定割合で出資することは可能」という落とし所が検討されており、これでは「県市が確実に勝ち馬に乗れる」方式になるだけだ。他方、地元の民間企業群にも積極的な動きがあり、福岡財界の中心である「七社会」、つまり九州電力、西鉄、JR九州といった中軸企業が「地元連合」を組織し入札しようしている。資金面で足りない部分を補う「外部プレーヤー」を加え、コンソーシアムを組む方式が有力と言われている。しかし、地元自治体や財界を敵に回しては事業運営が成功するはずもないので、外部参入者がどこまで主導権を握れるかは不透明であり、新運営権者が独自の経営で新たな空港運営を築くには制約を受ける可能性がある。○空港容量も課題また、福岡は容量が限界に達しつつあり、2016年夏ダイヤ以降はレベル3という最高格の混雑空港指定となった。2019年度末に誘導路の複線化、2025年度末平行滑走路の新設が計画されているが、滑走路間隔が狭いため空港容量は20%程度しか増えないとみられ、空港内のエプロン数の制約も拡大にブレーキをかける。より容量の増える志賀島沖新空港が議論されてきたが、地元の利害意識は空港よりもむしろ、新空港建設による天神地区の建築規制の緩和にあった。現在の平行滑走路計画ではこれの抜本改革は望めないが、「特区による建築制限の緩和」というウルトラCによって、一気に空港改良はより現実的、短期間なものにシフトチェンジしたのである。とはいえ、運営権者にとっては30~40年経っても空港容量が増えないのは経営上大きな問題だ。中期的な新規就航の受け皿としては、24時間運用が可能で容量に余裕のある北九州空港があり、空港間アクセスの改善が進むことを前提に北九州との一体運営もいずれ俎上に上るであろう。現在、北九州空港は赤字経営だが、福岡空港経営権売却スケジュールを阻害しないという前提のもと、福岡空港の容量等の制約でこぼれる需要の受け皿となることは可能である。福岡県、北九州市と十分な疎通を取りながら民間による「眠らぬ空港」のさらなる活用策が検討されることを期待したい。○高松は広島との連合で活路ありか福岡と相前後して民営化が検討される高松空港は、民間事業としての魅力は相対的に低い。事実、LCC(低ローコスト航空会社)の春秋航空日本が2015年10月より、成田=高松線から撤退した。同路線は中国インバウンドを牽引していたため、この撤退は大きな打撃となった。空港の発展性という点では潜在能力に乏しいと思われるが、ここは視点を広げて中四国広域観光圏をフルに活用することも手だろう。次に民営化が見込まれる広島空港とともに、インバウンド需要の強力な受け皿としても瀬戸内地域の空港連合を構築すれば、大きなポテンシャルがある。応札者の事業構想には、十分な工夫とソリューション提案力が求められるだろう。○新千歳は"同床異夢"状態残るは新千歳空港だ。現在言われているのは、「道内の国管理空港をひとまとめにした一括経営権売却」である。だがこれには紆余曲折が予想される。そもそも、滑走路増設予算と引き換えに経営権売却(民営化)を飲んだ福岡と違い、新千歳には経営権を売却し民間他社に移管するインセンティブがない。現在の運営会社である北海道空港会社は、土産物売上は全国ナンバーワンという旺盛な商業需要を背景に黒字経営を続けている。「道、国交省の関与を受けずにもっと自由に空港経営をしたい」という意欲はあっても、それを他者に売り渡そうという気はないだろう。その意味では国交省とは"同床異夢"の状態にあり、福岡のように「三セクは応札に参加できない」となれば、空港会社は国の新千歳空港民営化方針に抵抗することも予測される。また、北海道は道内コミューター会社(HAC)の経営問題も抱えており、一括民営化を転機としたリージョナル航空会社の再編も大きな課題だ。かつて民間による地域都市間コミューター輸送の試みもなされたが、小型機運航の非効率性の壁を克服できなかった。道内空港の民営化を論じるに当たっては、新千歳の収益を道内他空港への内部補助に転化するとかいう目先の方策ではなく、地域航空網の再整備という大きな視点で、大手航空会社(JAL・ANA)、地域型ハイブリッドエアライン(ADO)と地元支援によるオペレーションがどうかみ合い、成り立ち得るのかを議論すべきである。空港民営化元年、まだまだ各地の揺れ動く動向から目が離せない。○筆者プロフィール: 武藤康史航空ビジネスアドバイザー。大手エアラインから独立してスターフライヤーを創業。30年以上におよぶ航空会社経験をもとに、業界の異端児とも呼ばれる独自の経営感覚で国内外のアビエーション関係のビジネス創造を手がける。「航空業界をより経営目線で知り、理解してもらう」ことを目指し、航空ビジネスのコメンテーターとしても活躍している。スターフライヤー創業時のはなしは「航空会社のつくりかた」を参照。
2016年03月14日この4月には関西・伊丹空港が民営化での経営を開始する。そのほか、2月には仙台空港が新経営権者の設立した新会社のもとで6月から空港運営を開始、その後も、高松空港、福岡空港が経営権売却のプロセスに入る。そのため、2016年は「空港民営化元年」とも言われている。"コンセッション"と呼ばれるこの経営構造の転換は、今後の空港運営にどのような変化と影響を及ぼすのだろうか。○関空・伊丹の新会社はどう動く?まず、関空・伊丹から見てみよう。4月にはオリックスとフランスのVINCIグループが関西・伊丹の経営を開始するため、3月末に現在の新関西空港(NKIAC)が行っている空港運営業務が、オリックスグループが設立した新会社(関西エアポート)に移管される。NKIACは会社としては存続するものの役割を大きく変え、新経営権者からの毎年490億円に上る料金の収受や国有地等の管理などを行うのみ。NKIACの社員は原則そのまま新会社に転籍し、現在の業務を続行することとなる。これだけでは、経営主体が変わっても関空・伊丹の空港運営には大きな変化がないように見える。新会社である関西エアポートは喫緊の課題としては、まず空港稼働の向上、すなわち新規就航や増便化の促進を挙げている。これは、他空港に先駆けて空港営業を推進してきた現在のNKIACの営業チームでの活動を継続強化しようというものだ。新会社はLCC(低コスト航空会社)誘致の象徴となる第3ターミナルの建設を着実に進めながら、経営移管後の事業運営を安定軌道に乗せることを最優先としていると思われる。○関空・伊丹に期待できる変化では、完全民営化による変化とはどのようなものがあり得るのか。利用者目線で見ると、まずは商業エリアの充実が考えられる。特に、免税エリアはNKIACが自社で仕入れから販売までを行ってきたが、海外の空港では大手免税業者に入札させ、売り場を任せることで30%を超える高い利益率を確保しているケースが多い。自社仕入れでは自分たちで仕入れの交渉や目利きを行わなければならない関係上、扱うブランドの数も限られ、管理コストも結構かかる。空港会社の利益を最大化するノウハウの観点から見てみると、専門免税事業者には及ばないというのが実情だ。4月以降、委託方式がどれだけ導入されるかはまだ分からないが、新しいブランドや海外での話題商品が増え、利用者の選択肢が広がっていくだろう。また、VINCIの海外空港運営のノウハウを活用した安価なグランドハンドリング会社の設立や、着陸料等の空港使用料の弾力化(思い切った新規就航路線への値引き・優遇策等)など、エアラインのコスト削減につながる施策が実行されることも期待できる。さらに、経営改善といえばNKIAC時代のコスト構造の改善も重要だ。特に同社が多く抱える関連会社は関空・伊丹の統合以前に設立されたものが多く、伊丹に関わる旧OAT(大阪空港ビル)の関連会社の役割は関空の関連会社と重複するものも多い。これらは完全民営化を機に、大胆な整理統合を含めた効率化を図ることが可能と思われる。○仙台は誘致の活性化へ一方の仙台空港の経営権移行形態は、よりシンプルとなるだろう。仙台空港ビルは2月より、新たに仙台空港の経営権を取得した東急グループと豊田通商、前田建設が設立した新会社「仙台国際空港」の所有となった。空港運営の移管は6月に行われることになっている。まず、空港ビル会社を新運営権者が100%購入した上で空港運営を引き継ぐ。すでに宮城県、仙台市、航空会社などのビル会社への出向者は親元に帰っており、新会社の仙台国際空港がビル経営を行いながら、6月からの空港経営のあり方を練り直している。仙台空港で期待されるのは、民間の柔軟で豊富な運動量によるエアライン誘致の活性化と商業施設の充実だろう。新会社の岩井卓也社長はすでに、「旅客数に連動する着陸料=エアラインの閑散期リスクの軽減」を検討していることを言明しており、新規就航会社・路線へのインセンティブをひねり出す新たな工夫が行われていると見られる。既存の料金決定プロセスにとらわれない、柔軟な機軸が打ち出されるものと思われる。また、経営移行後の事業運営が軌道に乗った後は、関空・伊丹、仙台の空港周辺開発において、コンセッショネアであるオリックス、東急グループのノウハウ導入により今後いろいろな新しい開発アイデアが飛び出すだろう。空港内外に貨物、物流、サービスなどの新事業が創出され、両空港の活性化が図られることを期待したい。○空港料金負担のあり方にも変化ありもうひとつ、民営化で変化が起きそうなのが旅客が支払う空港施設使用料だ。関空・伊丹、仙台での運用を意識したのか、国交省は旅客空港施設使用料(PSFC)のより柔軟な設定を認めることについて提起し、1月27日までパブリックコメントを募集し、現在、取りまとめを行っている。従来は新たに行った旅客向け施設の設備投資を回収するためのPSFC課金しか認められていなかった。しかし、今後は空港運営者が事業運営に要する費用の回収のため、柔軟にPSFCを徴収することが認められるという方針である。「単に増収を図るための旅客負担増」というだけではなかなか新設・増額は認められないとは思われるが、例えば、エアラインの着陸料負担を軽減するための財源としてPSFCを活用するなど、総合的な課金根拠があれば新たな制度変更は認められるべきものと思われる。新たなPSFCの設定は一時的には利用者に負担増を強いるものであり、単純に消費者保護を主張する層からの反発も予想される。しかし、今後の空港運営のあり方を考える際、従来のような空港事業者への課金で空港収支を埋めるという単純な構図は、理想的ではないように思われる。利用者によるPSFC負担を原資としてエアラインの着陸料負担を軽減し、エアライン側はさらに低価格運賃の商品を増やす。その上で新規就航・増便を行う。結果的に総旅客数が増加し、商業収入などが増加して空港運営が改善されるという、「三方一両得」の好循環を実現させるためにも、PSFCの柔軟な設定は必要だろう。当然、PSFCの運用に当たっては課金根拠・数値の透明性が求められる。関空・伊丹、仙台に続いて、2016年度以降、高松空港、福岡空港が経営権売却のプロセスに入る。また、これらに続く空港民営化と喧伝(けんでん)されているのは、北海道、広島、静岡、新潟の空港だ。しかし、今後の民営化の進展は空港によりいろいろな思惑が交錯しており、複雑化する可能性がある。これについては、また後半で考察したい。○筆者プロフィール: 武藤康史航空ビジネスアドバイザー。大手エアラインから独立してスターフライヤーを創業。30年以上におよぶ航空会社経験をもとに、業界の異端児とも呼ばれる独自の経営感覚で国内外のアビエーション関係のビジネス創造を手がける。「航空業界をより経営目線で知り、理解してもらう」ことを目指し、航空ビジネスのコメンテーターとしても活躍している。スターフライヤー創業時のはなしは「航空会社のつくりかた」を参照。
2016年03月11日政府の郵政民営化委員会は25日、「今後の郵政民営化の推進の在り方に関する郵政民営化委員会の所見」を公表した。同所見では、今後の郵政民営化推進の在り方(金融二社)における業務等規制に対する考え方において、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融二社の限度額規制に対する考え方などについて見解を示した。○ゆうちょ銀行の限度額規制に対する考え方同所見では、まず、ゆうちょ銀行の限度額については、(1)年金、給与等の振込の都度、限度額を超過するケースが発生していること、(2)退職金、相続資金、保険金等の振込先としての預金サービスを提供し難いこと、(3)投資信託運用等の投資のための資金やその満期・解約金等の一時的受け皿としての預金サービスを提供し難いこと等、特に、金融機関の店舗が少ない過疎地の高齢者に多大の不便をもたらしており、早急に規制を緩和する必要があるとの意見があると指摘。他方、限度額規制の緩和は、ゆうちょ銀行の貯金残高を増加させ、経営上のリスクを高める懸念があるため、むしろ規模の縮小を図ることが先決であるとの観点から、規制緩和に慎重な意見があるとも指摘している。また、過去の事例や暗黙の政府保証の存在を指摘して、他の金融機関等からの資金シフトを懸念する意見もある。郵政民営化委員会では、「限度額の在り方を議論する場合も、最も重視すべきは利用者利便の視点」とし、「限度額のある預金は、送金決済に制限を設けて、預金者に不便を強いる大きな弱点のあるサービスであり、民間金融機関が提供するサービスとして適切なものとはいえない」と強調。「このような状況を放置しておくことは、将来的な顧客基盤の脆弱化につながりかねない」とし、「また、限度額が超過するたびに預金者に払い戻しを依頼することにかかる郵便局及びゆうちょ銀行直営店の事務負担の問題も無視できない」と指摘。その上で、「限度額規制を緩和すれば、サービス面の弱点が改善され、こうした問題も起こりにくくなる」とした。同委員会では、寄せられた意見を考慮すると、ゆうちょ銀行の限度額規制を緩和する方向としては、次の3つに大別できると考えられるとした。(1)通常貯金を限度額管理対象から除外する方法(郵政民営化法第107条第1号に規定する政令で定める預金等とする)(2)現行1,000万円の限度額(郵政民営化法第107条第1号イに規定する政令で定める額)を一定額まで引き上げる方法(3)通常貯金を限度額管理対象から除外するとともに、定期性貯金の限度額(郵政民営化法第107条第1号イに規定する政令で定める額)を現行の1,000万円から一定額まで引き上げる方法同委員会では、「限度額規制に関して起きている問題の多くは、ゆうちょ銀行が一時的な資金の受け皿となり得る預金サービスを提供し切れていないことに起因している」とし、「限度額超過の是正に伴う利用者の不便さや郵便局等の事務負担の軽減、資金の自由な流通の基礎となる送金決済機能の整備、投資信託販売等による貯蓄から投資への流れの促進等、様々な課題や社会的要請に対応していく必要性を考慮すると、(1)の通常貯金を限度額管理対象から除外する方法が、最も多くの人々のニーズに適う案であると考えられる」とした。他方、旧郵便貯金時代から継続してゆうちょ銀行を利用している人々の中には、定期性貯金を中心に利用している人々も存在すると考えられるとし、通常貯金を限度額管理対象から除外しても、こうした人々のニーズを満たすことには貢献しない可能性があると指摘。同委員会では、「そもそもゆうちょ銀行の提供する預金サービスをどのように利用するかは本来預金者の自由であるはず」として、多様なニーズがあることを踏まえれば、今回の規制緩和においては、(2)の限度額を引き上げる方向を採用することが現実的であると考えられるとした。同委員会は、この場合の方法論として、今回が限度額規制における民営化後初の緩和であること、年金振込み等のたびに限度額を超過するといった問題の解消や高齢化が進む利用者の貯蓄機会の確保等の観点から、まずは引上げ額を300万円程度とすることが妥当であると考えると説明。その上で、「他の金融機関等との間の競争関係やゆうちょ銀行の経営状況に与える影響等を見極め、特段の問題が生じないことが確認できれば、必ずしも株式処分のタイミングに捉われることなく、段階的に規制を緩和していくことが考えられる」とした。また、その際には、「単純な限度額の引上げという方法に限らず、あるいはそれとともに、最も多くの人々のニーズに応えることを主眼に、通常貯金を限度額の管理対象から除外する案や通常貯金と定期性貯金の限度額を別個に設定する案も検討に値すると考える」としている。○かんぽ生命保険の限度額規制に対する考え方同委員会は、かんぽ生命保険の限度額についても、「重視すべきは利用者利便の視点」とした。「合理的な理由がなく限度額が存在する商品が民間会社の提供するものとして不適当であることは、ゆうちょ銀行についてと同様」と強調。「限度額を設定することに合理性があるとすれば、それはリスク管理の観点から説明できなければならず、本来、それは経営判断事項であって、自らデータ等に基づき合理的に決定すべきものである」とした。また、かんぽ生命は、小口でシンプルな生命保険を、郵便局ネットワークを通じ家庭市場を中心に提供することを基本とし、職域における高額保障ニーズに対しては、他社商品を補完的に活用することにより対応している。「こうしたビジネスモデルは、上場後も基本的に変わらないとしていることから、かんぽ生命保険の限度額について検討する場合、少なくとも当面は、有診査保険への参入を前提とせずに、告知書扱いの生命保険を対象とすることが現実的であると考える」(同委員会)。同委員会では、このように考えた場合、かんぽ生命保険の限度額については、「検討すべき論点はあまり多くなく、保障性を中心とする他の生命保険会社に及ぼす影響も限定的と考えられる」とし、「かんぽ生命保険の基本契約の限度額は、国営時代から通算すれば38年間(一定条件の下での改定を入れても29年間)変更されておらず、ゆうちょ銀行においてと同様、経営の自由度を高める方向で考える余地はあると考える」と強調。かんぽ生命保険の現行の通計の仕組みでは、20歳以上55歳以下の青壮年層を対象に、加入後一定期間(4年)生存し、健康体であることが確認できた被保険者について、既契約分の保険金額を300万円まで限度額の計算に算入しないこととしている。同委員会では、限度額規制を緩和する場合は、「現行1,000万円の基本契約の限度額を増加させるのではなく、この通計の仕組みの活用を図ることが考えられる」とし、「それにより、限度額の引上げが一部の既契約のみを対象とすることとなるため、営業面を含めた経営改善効果は限定的となるが、リスク量の増加を抑制することが可能となる」とした。「将来的には、基本契約の限度額そのものの引上げや、高齢化に対応した通計対象年齢の拡大等、郵政民営化の進捗に応じて経営の自由度を高めていくべきことは当然であるが、今回が限度額規制の緩和の第一段階であることに鑑みれば、慎重な対応をとることも許容されよう」(同委員会)。郵政民営化委員会では、以上のような考え方を踏まえ、かんぽ生命保険の限度額規制について、当面の具体案を考えると、基本契約の限度額そのものは変更せず、前述の通計の枠内で、加入から4年経過した契約について、基本契約の限度額の計算に算入しない金額の限度を、現行の300万円から、基本契約の保険金額の限度額と同額の1,000万円に引き上げることが考えられるとした。
2015年12月25日東芝は2月16日、名古屋鉄道(名鉄)向けに、新型の直流電気機関車EL120形を2両納入したと発表した。民営鉄道事業者への納入は同社として約70年ぶり。納入された機関車は、通常電車と機関車で異なる電機品や装置の据付方法を、電車の床下吊り構造を機関車に応用することで機関車の小型化を実現。同時に運転操作などの取り扱いにおいても電車との共通化をはかっている。車体構造は同社で実績のある箱型両運転台方式を採用。機能性と堅牢性のイメージを踏襲しながら、デザイン性も重視して、名鉄特有のスカーレットレッド色と流線型のステンレスラインに仕上げた。主に保線作業での砕石やレール運搬を目的として使用される予定で、今後も40~50トンクラスの新型電気機関車を新たなラインナップとして、国内の鉄道事業者に展開していくとしている。
2015年02月17日郵政民営化で誕生した「ゆうちょ銀行」ですが、もともと郵便貯金ってどういうものだったのでしょうか。「前島密(まえじま ひそか)」という名前、聞いたころがありますよね。明治のはじめ、英国の近代的な郵便制度にならって日本で郵便事業をおこした人です。郵便貯金も彼が作りました。当時の日本の人々には「貯蓄」という考え方はなく、前島密はそれが貧困の原因になっていると考えました。英国で郵便局が貯金も扱っているのを見て、日本でもそれを取り入れて、人々の生活の安定と福祉の向上を図ろうとしたのです。1875(明治8)年、東京と横浜の郵便局で貯金の取扱いが始まり、だんだんに全国の郵便局に広がっていきました。このように、郵便貯金は最初から「貯金」のためのものだったわけです。一方、銀行は、個人や企業が預けた「預金」で企業に貸出しを行い、その利ざやを収入源としています。貯金と預金を合わせたものが「預貯金」です。では、なぜ民営化されたのでしょうか。郵便貯金は全国津々浦々にある郵便局が扱っていることから、身近な金融機関として根強い人気がありました。国が元本保証していることや銀行預金に比べて利率や手数料が有利だったことなどもあって多くの貯金を集め、その資金量は膨大になっていました。郵政民営化を提唱していた小泉純一郎氏の政権が誕生したのが2001年。このとき郵便貯金が保有する資金量は約260兆円にも達していました。当時、世界最大規模の銀行だったみずほフィナンシャルグループが163兆円でしたから、郵便貯金は「肥大化している」「民間の事業を圧迫している」と批判されたのです。郵便貯金が集めた資金は旧・大蔵省を通して道路公団などの特殊法人へ貸し出されましたが、採算管理が甘くて多額の焦げ付きを出したり、特殊法人が官僚の天下り先になっていたりするなど、経営が非効率的で不透明だったことも問題視されました。こうしたことから民営化を求める声が高まり、まず2003年に公社化されました。日本郵政公社が郵政三事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)を行うことになったのです。そして2007年10月、日本郵政株式会社が発足して民営化され、そのグループ会社として「株式会社ゆうちょ銀行」が誕生しました。ということで現在、ゆうちょ銀行は民間の銀行です。民営化前に預け入れられた定額郵便貯金などには政府による保証がありますが、それ以後のものは、一般の銀行預金と同じように預金保険の対象となります。一方、それまでの商品の中には民営化後に一部廃止されたものがあるものの、通常貯金、定期貯金、定額貯金などメインの商品には変わりはありません。1人当たり1000万円の預入限度額も残っています。ゆうちょ銀行も、他の銀行と同じように投資信託や変額年金保険を扱っています。今、それに加えて新規事業として住宅ローンと中小企業向け融資を始めようとしていますが、これには、民間の金融機関が強く反対しています。ゆうちょ銀行の株式は日本郵政株式会社を通して政府が保有しているため、”暗黙の政府保証”があって優位性が高く、民間金融機関の業務が圧迫されるから、というのがその理由です。ゆうちょ銀行は”民間の銀行”になりましたが、まだ、”普通の銀行”ではありません。普通の銀行になるのは、ゆうちょ銀行が上場して株が政府の手から離れるときです。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月24日