国立天文台ハワイ観測所(すばる望遠鏡)の研究グループは5月29日、チリにあるジェミニ南望遠鏡を用いて、ケンタウルス座の方向にある太陽型惑星HD 115600の周りに、塵がリング状に分布した構造を発見したと発表した。同成果は国立天文台ハワイ観測所(すばる望遠鏡)研究員のセイン・キュリー氏が率いる研究チームによるもので、米天文学誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載される予定。太陽系の海王星軌道の外側には主に氷から成る天体が多数存在する「カイパーベルト」と呼ばれる領域がある。こららの氷天体は惑星形成の名残と考えられるため、若い恒星にあるカイパーベルトを観測することで、初期の太陽がどのような姿をしていたか知ることができると考えられている。塵のリングが観測されたHD 115600は、太陽より少しだけ重い、太陽が生まれた環境に似た星団に位置している、リングが太陽系のカイパーベルトとほぼ同じ距離にあるなどの特徴から、若かりし太陽にそっくりな恒星である可能性があるという。
2015年06月01日ウェザーニューズは5月29日、口永良部島新岳(鹿児島県熊毛郡)の噴火について、火山灰の拡散予測と気象見解を発表した。同社によると、5月29日9時59分、口永良部島の新岳で爆発的噴火が発生。噴煙が火口上9,000m以上まで上がり、火口周辺に噴石が飛来した。これにより噴火警戒レベルは3(入山規制)から5(避難)まで引き上げられた。また、噴火に伴い火砕流が発生し、新岳の南西側から北西側(向江浜地区)にかけての海岸まで到達したことが確認されているとのこと。同日13時の時点では、火山灰は上空の西寄りの風に流され、種子島の南南東約100km付近上空を拡散していたという。今後、火山灰は西寄りの風に流され、日本の南海上を東に拡散していく予想。なお、本州には到達しない見込みとなっている。口永良部島周辺は、30日夜から31日の日中にかけて、前線や低気圧の影響で強い雨となる可能性があるという。総雨量は最大100mm程度の見込みで、口永良部島の降灰のあった地域では土石流の危険性があるため、二次災害に注意が必要とのこと。
2015年05月29日気象庁は5月20日、箱根山の火山活動が活発化したことに伴い、観測体制の強化の一環として、噴火などに伴う空気の振動を観測できる計測機器「空振計」を大涌谷に増設すると発表した。監視体制の強化としては、大涌谷(箱根ロープウェイ大涌谷駅)に遠望カメラを臨時で設置したのに続く措置となる。なお気象庁では 21日より設置作業を進めており、観測の準備が整い次第運用を開始する予定としている。
2015年05月21日日本気象協会と防災科学研究所は5月21日、最大10分前にEメールで情報を伝達する「10分先の大雨情報」の有効性を検討すたための社会実験を6月1日から10月31日まで実施すると発表し、モニターの募集を開始した。同実験は、関東地方の一部(北緯35°~36.4895°、東経139°~140.705°)を対象に国土交通相が運用するXバンドMPレーダーネットワークを活用し、激しい雨が上空で検知された時点で情報を発信するというもの。雨粒が上空から落ちてくるまでの時間差を利用したシステムとなっており、10分間5mm(30mm/h)以上を満たす場合に登録したアドレスに通知メールが届く仕組み。モニターは先着1000名までとなっており、指定のアドレスに空メールを送信し、折返しの登録案内メール中のURLにアクセスし、必要事項の入力や登録地点の設定を行う。詳しくは日本気象協会と防災科学研究所のウェブサイトを参照してほしい。
2015年05月21日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月27日、4月25日に発生したネパールの地震を陸域観測技術衛星「だいち2号」で観測した結果を公表した。だいち2号は、2006年から2011年まで運用された「だいち」の後継機として、災害状況把握、国土保全管理、資源探査、森林監視など幅広い分野への貢献を目的とする地球観測衛星。世界最高水準のLバンド合成開口レーダー(PALSAR-2)を搭載し、高分解能かつ広域なレーダー画像取得が可能となっている。今回の観測はセンチネル・アジアや国際災害チャータなどの緊急観測要請に基づくもので、「だいち2号」のPALSAR-2を用いて4月26日に行った。JAXAは今後も関係機関と協力し、ネパールの観測を継続する予定としている。
2015年04月27日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月23日、磁気圏観測衛星「あけぼの」の運用を終了したと発表した。「あけぼの」は1989年2月22日に、M-3SIIロケット4号機で打ち上げられた国内で3番目の磁気圏観測衛星。目標寿命は1年とされていたが、それを大幅に超えた約26年という長期間にわたり運用を継続し、オーロラの観測、地球をドーナッツ状に取り巻く放射線帯であるヴァン・アレン帯の観測などで成果を挙げてきた。しかし、観測機器の多くが放射線劣化によって観測を停止していること、衛星の電源系機器の劣化や高度の低下のため、科学的成果を得られる観測データの取得ができなくなったことから、運用を終了することとなった。
2015年04月24日日本気象協会は4月3日、日本全国89地点の桜(ソメイヨシノ)の第7回開花予想および満開日の予想を発表した。なお、長野県伊那市(高遠城址公園)ではタカトオコヒガンザクラ、北海道稚内市・留萌市・旭川市・網走市・帯広市・釧路市・浦河町ではエゾヤマザクラ、根室市ではチシマザクラを対象としている。同協会によると、2015年の桜前線は、現在北陸や甲信地方、東北地方を進んでいるという。4月第2週には寒の戻りが予想されているが、東北地方の開花日は平年より4~7日早くなるとのこと。九州から関東地方ではすでに満開を迎えている所が多く、4月第2週では北陸や甲信地方、東北南部で満開となる所が多い見込みとなっている。4月中旬から下旬の気温は平年並みか高い予想で、甲信地方と東北地方の予想満開日は平年より早く、7日前後早くなる所もある見込み。5月の気温は平年並みか低い予想となっているが、4月の気温が平年並みか高いため、北海道では平年より早く、ゴールデンウィーク頃までに開花する所が多い見込みとなっている。
2015年04月06日世界各地の奇妙な気象現象を紹介する番組『気象ミステリー シーズン2』(毎週土曜22:00~23:00 全8話)が、14日から動物エンターテイメントチャンネル「アニマルプラネット」で放送される。夜間に青く光り輝く波、コンクリートで覆われたような湖、砂漠に現れた巨大な湖、空を飛ぶクモの大群、奇妙な形の雲、高さ20メートルもの雪の壁…。同番組では、地球上で起こるさまざまな気象現象を、目撃者の証言や専門家の意見を交えて、その原因を科学的に探っていく。初回放送の14日は「雪の壁」にスポットを当てる。透明の水がドロドロのコンクリート状になるアルゼンチンの湖。そこには、遠く離れたチリの自然現象が関係していた。一方、立山黒部アルペンルートは、最大で高さ20メートルもの雪の壁が観光客の前にそびえ立つ。このほか、日没に山頂で見られる赤い輝きや、異常潮位のアクア・アルタ、夜間に光り輝く波などの映像が公開される。21日は「空飛ぶクモの大群」。ブラジルでは、ある自然現象に伴って、何百ものクモが空を飛ぶ光景が見られるという。また、オーストラリアのニューサウスウェールズ州では気温が30度の翌日、ビーチにひょうが降るという噂も。ニュージーランドのある町では、激しい嵐の後、通りで大量のウナギが発見された。"そこにあるはずのないもの"にまつわる現象を分析する。そのほか、3月28日は「クラゲ形の雲」、4月4日は「蔵王 樹氷の秘密」、4月11日は「ポップコーンが降る町」、4月18日は「氷のパンケーキ」、4月25日は「消える湖」を特集。
2015年03月13日ウェザーニューズは3月10日~12日の気象について見解を発表した。同社によれば、猛発達する爆弾低気圧(9日朝~10日朝で中心気圧が30hPa低下)が日本付近を通過する影響で、上空に3月としては観測史上最強クラスの寒気が流れ込み、西~北日本の日本海側を中心に広いエリアで大雪や暴風雪となる。地域別に見ると、関東北部の平野や首都圏ではまとまった降雪はないものの、11日の昼までは風の影響により一部電車に遅延などの影響が出る可能性がある。名古屋では10日夕方から11日朝にかけて道路にうっすら積雪する可能性がある。西日本では西からの風が強まり、沿岸部を中心に交通機関に影響が出る恐れがあるほか、日本海側では近畿北部や山陰は11日いっぱい断続的に雪が降ると予想した。また、この爆弾低気圧は北海道付近で最も発達した後に停滞するため、北日本を中心に12日まで猛吹雪が継続する恐れがあり、なるべく外出は控えるように呼びかけたほか、道東の海沿いでは高潮にも警戒が必要とした。同社は今回の寒気を受けて、スマホアプリ「ウェザーニューズタッチ」で鉄道・道路・航空の運行情報を都道府県別に提供する「交通への影響予測」を公開。今回の爆弾低気圧は広い範囲で交通に乱れが発生する可能性があるため、最新の気象情報や交通への影響予測を確認して欲しいとした。
2015年03月10日●17年越しで打ち上げられたDSCOVR米国のスペースX社は2月10日、地球・宇宙天気観測衛星「DSCOVR」を搭載した、「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功した。この打ち上げは2つの点で大きな注目を集めた。ひとつは、DSCOVRがかつてアル・ゴア元米副大統領の肝いりで開発が始まったものの、打ち上げ中止などの紆余曲折の末に、実に17年越しで打ち上げられた衛星であったこと。そしてもうひとつは、ファルコン9の第1段機体が海上への着水に成功したことだ。○17年越しで打ち上げられた「ゴアサット」DSCOVRは米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気庁(NOAA)が開発した衛星で、太陽から放出される荷電粒子や、磁気嵐の状況といった「宇宙天気」を観測すること、また地球の昼側(太陽光が当たる側)を常時観測することを目的としている。DSCOVRは「Deep Space Climate Observatory」の略で、直訳すると「深宇宙の気象観測所」といった意味になる。またDSCOVRという略語は、「発見する」という意味の「Discover」に掛けられている。打ち上げ時の質量は570kgで、設計寿命は約2年が予定されている。軌道は、太陽・地球系のラグランジュ第1点と呼ばれる場所に投入される。下図にあるように、この場所は常に太陽と地球の間に存在しているので、太陽と地球の間の環境や、お互いがお互いに与える作用を観測したり、また地球の昼側を観測し続けるのに適している。DSCOVRには、大きく3種類の観測機器が搭載されている。まず「PlasMag」は、太陽から地球に向かって飛んでくる荷電粒子や電子、そして磁場などを観測する。「NISTAR」は地球のエネルギー収支を観測する。そして「EPIC」は、地球表面からのエネルギーの放射量やエアロゾル、オゾン、雲の動きなどを観測することを目的としている。DSCOVRは実に17年越しに打ち上げられた衛星だ。DSCOVRの開発は、もともと1998年に開発がはじまったトリアーナ(Triana)計画をその源流に持つ。トリアーナという名前は、1492年にコロンブスの艦隊がアメリカ大陸に訪れた際、最初に船から大陸を発見した乗組員の名前にちなんでいる。そしてトリアーナにはもうひとつ、「ザ・ブルー・マーブル」のような青く輝く地球の写真を、ほぼリアルタイムで世界中に配信するというミッションも課せられてた。「ザ・ブルー・マーブル」というのは、1972年にアポロ17の宇宙飛行士たちが撮影した、太陽の光を全面に受けて、宇宙に浮かぶビー玉のように輝く地球の写真のことだ。トリアーナを使い、現代の、そして常に最新のブルー・マーブルの映像を世界中に配信することで、環境問題や世界平和への意識を高めることが期待されていた。これは当時のアル・ゴア米副大統領の肝いりで進められたもので、後の証言によると、トリアーナはそもそも、このゴア副大統領の提案が発端となって計画が立ち上がり、他の科学機器はその後に徐々に付け加えられていったのだという。また、ゴア副大統領は太陽・地球系のラグランジュ第1点の持つ価値や、衛星からの観測で分かることなどについて、深い知識を持っていたという。しかし周囲からの評判は芳しくなく、「高価なスクリーンセーバーに過ぎない」と非難されたり、必要性を強固に訴えるゴア氏の名前を取り「ゴアサット」などと揶揄される始末だった。また、他の機器による科学ミッションについても「すでにある気象観測衛星からのデータで十分」という批判が集まるようになり、すでに衛星はほとんど完成していたにもかかわらず、2001年に計画は中止されることになった。トリアーナはスペースシャトルで打ち上げることが予定されていたが、国際宇宙ステーションの建設や、ハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションの方が優先順位が高かったために中止され、打ち上げ手段がなくなったのだ。ちなみに、打ち上げが中止される直前の時点で、トリアーナは、2003年2月1日に空中分解事故によって悲劇的な結末となった、STS-107コロンビアで打ち上げられることが計画されていた。また、この中止の背景には政治的な事情があったといわれることもある。ゴア氏は2000年の米大統領選挙に民主党候補として出馬し、激しい選挙戦の末、共和党候補のジョージ・W・ブッシュに破れている。トリアーナが中止されたのは、まさにブッシュ政権が誕生したのと同じ2001年のことであり、当時のことについて触れられた記事などでは「ブッシュ大統領はゴアサットを見せしめとして潰したのだ」などと書かれることもある。だが、スペースシャトルの運行予定が詰まっていたことは事実であり、かといって別のロケットで打ち上げるには追加予算が必要になること、さらに衛星の必要性が疑問視されていたことから、たとえゴア氏の息のかかった衛星でなかったとしても、打ち上げは中止されていたと見るのが自然だろう。トリアーナは打ち上げ中止となったが、しかし解体されることにはならなかった。NASAは、ゴダード宇宙飛行センターの窒素が充填された箱の中でトリアーナを保管し、いつか打ち上げの機会が巡ってくるときを待ち続けた。2003年には、トリアーナからDSCOVRへと名称が変更された。そして2009年、トリアーナ改めDSCOVRに、NOAAが救いの手を差し伸べた。当時NOAAは、NASAが打ち上げたACE(Advanced Composition Explorer)という太陽風の観測衛星に観測機器を提供し、宇宙天気の研究や、大規模な太陽嵐が発生する可能性があるときには警報を出すといったミッションを行っていた。しかしACEは1997年に打ち上げられた衛星であり、老朽化が進んでいたことから、NOAAでは後継機を欲していた。そこで目をつけたのが、ほぼ完成した状態で保管されていたDSCOVRだったのだ。NOAAの資金提供によって、約8年ぶりに保管庫から出されたDSCOVRは、まず各機器が正常に動くかが確かめられた。また搭載する観測機器はトリアーナ時代と変わらないが、NOAAの要求に合わせて再調整が行われた。こうしてDSCOVRは、姿かたちこそ変わらないものの、ミッションの主役はNASAからNOAAへ移り、新たに宇宙天気の観測を目的とした衛星として生まれ変わった。また、DSCOVRには米空軍も資金を提供している。これには2つの狙いがあった。まず1つ目は、宇宙天気の情報は米空軍の活動、特に弾道ミサイルの発射などを探知するための早期警戒衛星の運用にとって重要であること。そして2つ目は、新興企業のスペースX社が開発した新型のファルコン9ロケットに、1回でも多くの打ち上げの機会を提供することで、「育てる」という狙いがあった。ロケットに打ち上げ機会を提供するために衛星を新しく造るのはお金がかかるし、かといって単なる重りを打ち上げたり、あるいは空荷で打ち上げるのはもったいない。そこで、ある程度製造が終わっていたDSCOVRに資金提供が行われ、DSCOVRの復活を後押しした。米空軍が提供した分の金額は、ほぼすべて打ち上げ費用に充てられた。こうした紆余曲折を経て、DSCOVRは米東部標準時2015年2月11日18時3分(日本時間2015年2月12日8時3分)、米国フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-40から旅立った。ロケットは順調に飛行し、約35分後に予定通りの軌道にDSCOVRを投入した。DSCOVRは現在、太陽・地球系のラグランジュ第1点に向けて飛行を続けている。2月24日にはその道程の半分を通過している。観測が始まれば、宇宙に浮かぶ、青く輝く地球の画像が、毎日のように送られてくる。それはきっと息を呑むほど美しいものに違いない。DSCOVRの打ち上げに立ち会ったゴア氏は、自身のblogの中で次のように語っている。「DSCOVRは、地球に関する私たちの理解を深め、市民や科学者たちに異常気象の現実を教え、その解決策を考えるためのミッションへ旅立った。そしてDSCOVRはまた、この地球の美しさと、そして脆さを映し出し、このたったひとつの地球を守る義務を思い起こさせてくれる、すばらしい機会を与えてもくれるだろう」。●ファルコン9ロケットは着水に成功○ファルコン9の第1段は精度10mで着水今回の打ち上げにおける世間の注目は、どちらかというと積み荷のDSCOVRよりも、それを打ち上げるファルコン9ロケットの第1段機体の回収試験に集まっていた。スペースX社は、ロケットを再使用することで、打ち上げにかかわる費用を大きく引き下げることを目指しており、その最初のステップとして、打ち上げを終えて地球に戻ってきたロケットの第1段機体を、広い甲板を持つ船で回収する、という試験を進めている。同社はこれまで、垂直離着陸実験機による試験飛行や、打ち上げ後に第1段を海上に降ろす着水試験を行い、今年1月10日には船の上に着地する試験に初挑戦した。ロケットは巧みに制御されつつ船の真上まで舞い戻りはしたものの、甲板に激しく衝突するように着地し、残念ながら完璧な成功には至らなかった。その詳細については、拙稿『隼は舞い降りられるか? - 再使用ロケットに賭けるスペースXの野望と挑戦』を参照していただければと思う。今回のDSCOVRの打ち上げでは、1月の試験と同じく、太平洋上に用意した回収船の上にロケットの第1段機体を着地させることを目指していた。しかし、打ち上げ当日に着地予定海域を嵐が襲い、船が出せなくなってしまった。また船自体も、エンジンの1つに問題を抱えていたという。あくまで主目的はDSCOVRを打ち上げることにあったので、回収船が出せないからといって打ち上げが延期されることはなかった。しかし、スペースX社は転んでもただでは起きなかった。船こそないものの、本番さならがらに、海のある一点を目指して着水させることを試みた。その結果、約10mの精度で垂直に安定して降下することに成功したという。同社のイーロン・マスクCEOは「天気が安定していれば、船の上に降り立つことは可能だろう」とTwitterで述べている。もちろん今回がうまくいったからといって、次の試験で成功するとは限らないが、それでも可能性は高くなったと言ってよいだろう。ファルコン9の次の打ち上げは3月1日以降に予定されているが、この打ち上げと、さらにその次の打ち上げでは、ロケットの持つ能力を最大限に使う必要があり、着地に使うための追加の推進剤や着陸脚を積む余裕がなく、回収試験は実施されない見通しだ。次に回収試験が実施されるのは、今年4月に予定されているドラゴン補給船運用6号機の打ち上げの際となる予定なので、今しばらく待たねばならない。なお、同社は1月27日に、「ファルコン・ヘヴィ」ロケットの打ち上げを描いたCGアニメを公開した。ファルコン・ヘヴィは、ファルコン9の第1段を3基束ねて、より重い人工衛星を打ち上げられるようにしたもので、現時点で今年中に初の打ち上げが行われる予定だ。ファルコン・ヘヴィも機体の再使用することが考えられており(再使用しなければもっと重いものを打ち上げることができる)、このアニメでも、3基の第1段機体が打ち上げた場所にきれいに舞い戻ってくるという、にわかには信じられないような光景が描かれている。次の回収試験に向けて、期待は高まるばかりだ。参考・ ・ ・ ・ ・
2015年02月27日一般財団法人日本気象協会とP&Gは2月9日、花粉飛散ピークとPM2.5に備えて共同開発した「部屋干し指数」の情報提供を開始。同日、共同記者発表会を行った。「部屋干し指数」とは、「天気」だけでなく、洗濯物に付着してしまう花粉やPM2.5といった大気の汚れも条件判断に含めて5段階で指数化したもの。算出方法は、日本気象協会の天気・風速・花粉の飛散量予測・PM2.5の分布予測と、アレルギー専門医の清益功浩氏が監修した洗濯物の花粉付着モデル実験の結果を掛け合わせている。これにより、洗濯物を乾かす際に、屋外干しよりも部屋干しがふさわしい環境であるかを判断できるという。○花粉対策の3原則日本気象協会が1月14日に発表した「2015年春の花粉飛散予測(第3報)」によると、スギ花粉は2月上旬から飛散を開始。北陸、関東・甲信、東北地方の花粉飛散量は前年の2~3倍となることが予測されている。清益氏は、花粉対策の3原則として「花粉症の症状を軽減すること」、「花粉の体内への侵入を防ぐこと」、「花粉を室内に持ち込まないこと」をあげた。まず花粉症の症状を軽減するためには、「抗ヒスタミン薬」「抗ロイコトリエン薬」などの内服薬をできるだけ早い時期に服用することだという。このほか、スギ花粉エキスを体内に吸収させる「皮下免疫療法」や「舌下免疫療法」なども有効とのこと。次に花粉の体内への侵入を防ぐ方法として、飛散量の多い日は外出を控えること、外出する場合にはマスクとメガネを装着することをあげている。そして、花粉を室内に持ち込まないためには、洗濯物などの衣服の扱い方がポイントとなる。具体的には、「花粉が付着した衣服をはたくことと、洗濯物を屋外干しから部屋干しに切り替えることがあげられます」と清益氏。実際に、清益氏が監修した花粉付着モデル実験では、花粉の飛散量が多いと「ウール」「綿」「ポリエステル」の3種類の衣服素材への付着量も多いことがわかっている。○正しい洗濯物の干し方とは?同発表会には、"洗濯王子"こと洗濯アドバイザーの中村祐一氏も登場。中村氏は、部屋干し特有の嫌なニオイの原因を「洗濯物の湿り気によって衣類に繁殖した雑菌」とし、それを防ぐための洗濯物の洗い方と乾かし方のポイントを伝授した。洗い方のポイントは、洗濯物を溜め込まず、できるだけこまめに洗濯することだという。そして、濡れた洗濯物を洗濯機に入れたまま長時間放置しないこと。さらに、洗浄力が高く雑菌臭に強いタイプの洗濯用洗剤を使用することだという。そして、乾かし方のポイントは2つ。エアコンや除湿機などで空気を循環させることと、洗濯物の空気に触れる表面積を増やすようにして干すことだという。具体的には、ジーンズなどの厚手のボトムスは裏返しにし、洗濯バサミなどを使って筒状(履いた時と同じような状態)にして干す。そうすることで、空気が通りやすくなり、型崩れも防ぐとのこと。また、フードのついたパーカーなどは、腰部分をハンガーにかける"逆バンザイ干し"にすると、空気に触れる表面積が広がって乾きやすくなるという。なお部屋干し指数は、日本気象協会が運営する天気予報専門サイト「tenki.jp」にて閲覧できる。8時と18時の1日2回更新。配信期間は5月末までを予定している。
2015年02月13日東京都などは2月1日、東京都健康安全研究センターにて「第9回 花粉症予防・治療シンポジウム」を開催。同シンポジウムでは、気象業務支援センターの専任主任技師・村山貢司気象予報士が「今春の花粉飛散予測について」との題で講演し、花粉の飛散量や飛散開始日などについて解説した。○花粉は日中に100キロ先から飛んでくるまず村山さんは花粉の飛散方法について説明。花粉の代表格の一つであるスギ花粉は、大気の渦(乱流)が発達しやすい日中に飛散しやすい。その距離は100キロメートルにも及ぶ一方で、夜間はほとんど移動せずにおおよそ10キロ以内の飛散にとどまる。○花粉量を決める要素そんな遠方よりわざわざ飛来してきて私たちを悩ます花粉だが、毎年の花粉飛散量はどのように決まるのだろうか。村山さんは、花粉は前年の夏の気象と関連性があると話す。具体的には■7月中旬~下旬の気温と7月中旬~8月中旬の日照時間が影響する■ヒノキは気温、雨量の影響が大きい■スギは雨量の影響が小さいこれらが花粉の多寡を決める要素となってくる。「2014年の関東地方の日照時間は、平年に比べて110%でした。この気象条件だけで見ると、今年は花粉が例年よりも多くなると考えられます。ただ、これだけでは(花粉量は)決まりません」。そう話す村山さんがもう1点強調した要素は、「前年に花粉が多いと次の花粉シーズンは花粉が少ない」。すなわち、2015年シーズンでいえば、2014年シーズンの花粉量が多いか少ないかが関係してくるということだ。これらの条件を鑑みると、関東地方は例年並みかやはり例年よりも多いと予想されると、村山さんは解説した。関東地方の中でも東京23区に限定すると、2015年シーズンの花粉量は例年並みかやや少なくなると予想される。だが、油断はできない。「23区内では過去10年の平均値と同じか、若干少なくなると思われます。ただ、静岡県からどれぐらい花粉が飛んでくるかによって、23区は最大で(1平方センチメートルあたり)5,200個ぐらいになる。それがなければ、(1平方センチメートルあたり)4,000個かもうすこし少なくなるでしょう」。○30年で都内の飛散量は3倍に1平方センチメートルあたりの花粉が4,000個、5,000個と言われてもピンとこない人もいるだろう。では、過去の数字と比較してみるとどうだろうか。都内在住の人にとっては悲しい事実だろうが、都内の平均花粉量は年々増加しているのだ。「昭和60年代から平成はじめまでの頃の平均値は(1平方センチメートルあたり)2,000個台だったのですが、今の都内全体の平均値は6,000個台です。この30年くらいの間に、花粉がおよそ3倍に増えています」。すなわち、報道などで「今年の花粉は例年の半分ほどです」と言われても、30年前の時代では例年の1.5倍量に該当するというわけだ。村山さんは、直近20年における1平方センチメートルあたりの花粉量は毎年200個増えていると話した。○花粉が飛び始めたらすぐに予防策をそして最後に、2015年シーズンの花粉飛散開始日についても解説してくれた。スギの雄花は「11月~12月が低温」「1月~2月初めが高温」だと、開花が早くなる。今冬は1月が平年並みの気温で、2月以降も平年並みの予想がされているため、「飛散開始時期はほぼ例年並み」(村山さん)とのこと。飛散開始日は「1平方センチメートルの花粉が連続して1個になった最初の日」と定義されている。例えば、2月3日に1平方センチメートルあたり1個の花粉が確認され、翌4日にも確認された場合、2月3日が「飛散開始日」となる。村山さんは、例年1月下旬には1平方センチメートルあたり、0.3個とか0.6個の花粉が確認されるようになると話す。「早い時期に花粉症を発症される方は、やはり少ない花粉で症状が出てしまうので、飛散開始日より少し前から予防策を取るようにしましょう」。さらに、一昔前と比べて花粉の飛散量が急激に増えるようになったことについても言及。「花粉が飛び始めて2、3日で(1平方センチメートル)1個だったのが30個とか50個も飛ぶ時代になってきています。花粉が飛び始めたら、すぐに予防策を取ってください」と結んだ。
2015年02月03日日本気象協会はこのたび、天気予報で物流を変える取り組みとして2014年7月より実施する「食品ロス削減・省エネ物流プロジェクト」の中間報告を実施した。食品ロス削減・省エネ物流プロジェクトとは、気象情報やPOS(販売時点情報管理)データなどのビッグデータを解析し需要予測を行ったうえ、製・配・販の各社にデータを提供することで、サプライチェーンの効率化の推進や、食品ロスと不要に発生する二酸化炭素の5%削減を目指す取り組み。今回の中間報告では、Mizkanが販売する季節商品「冷やし中華つゆ」を対象とした「需要予測手法の検討」を実施。対象期間は2009年~2014年で、対象地域は東京都や埼玉県、千葉県、神奈川県とした。これによると、「冷やし中華つゆ」市場規模の売上を解析し手法の寄与率を比較したところ、従来の統計手法に比べ日本気象協会独自の需要推定統計手法では、およそ1.6倍に向上することが確認されたという。また、同統計手法とアンサンブル予測を組み合わせることで、市場規模と連動性の高いMizkan商品の発注量予測が可能となり、当初の目標であった5%を超える余剰生産量(食品ロス)が一定量削減できることが示唆されたと報告した。なお、最終報告は2月に実施を予定する。
2015年01月30日一般財団法人日本気象協会はこのほど、全国・都道府県別の「2015年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測(第3報)」を発表した。第3報では、全国8都市のスギ・ヒノキ花粉飛散のピーク時期について予測。また、最新の長期予報や花芽調査などに基づいて、前回予測(2014年12月3日発表・第2報)に一部修正を加えた。○飛散開始時期&ピークは?2015年春のスギ花粉の飛散開始は、例年並みか早くなる予想となり、2月上旬に九州、四国、東海地方から花粉シーズンが始まる見込みだという。気温の点から見ると、1月下旬は全国的に概ね平年並みとのこと。2月から3月にかけては、西日本と東日本では平年並みか高く、北日本は平年並みだという。この時期の気温が平年より高いとスギ花粉の飛散開始は早くなる傾向にあるため、スギ花粉の飛散開始は、西日本と東日本は例年より早く、北日本は例年並みと予測されている。ただし、寒い日が続いていても急に気温が高くなる日があると、予測よりも早く飛び始めることもあるという。そこで、天気予報専門サイト「tenki.jp」では、全国各地の飛散情報を公開している。スギ・ヒノキ花粉の飛散数がピークになる時期は、花粉シーズン中の気温や予想される総飛散数と関係があるとされている。2~3月の気温は全国的に平年並みや高い予想だが、ピークを早めるほどではない見込み。このため、スギ・ヒノキ花粉それぞれのピークは例年並みだという。スギ花粉のピークは、福岡(福岡県)は2月下旬から3月上旬、高松(香川県)、広島(広島県)、大阪(大阪府)、名古屋(愛知県)、東京都は3月上旬から中旬の見込み。また、金沢(石川県)と仙台(宮城県)は3月中旬から下旬にピークを迎えるという。そして、スギ花粉のピークが終わった後は、金沢と仙台を除く各地でヒノキ花粉がピークを迎える見込み。金沢と仙台は4月にヒノキ花粉が飛散するものの、飛散数が比較的少なく、はっきりとしたピークはないという。○飛散数は?2015年春のスギおよびヒノキ花粉(北海道はシラカバ)の総飛散数は、九州から近畿地方のほとんどの地域は例年より少ないかやや少なく、東海から東北地方は例年並みとのこと。ただし、北海道は例年よりやや多くなる見込みだという。2014年の花粉の飛散数が少なかった北陸、関東甲信、東北地方では、2015年春の飛散数は前年の2~3倍になるとのこと。一方、前年の飛散数が例年よりも多かった九州や四国地方では、2015年春の飛散数は前年に比べて非常に少なくなる見込みだというまた、花粉の飛散数は前年の夏の気象条件が大きく影響し、一般に気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は、花芽が多く形成され、翌春の花粉の飛散数は多くなるとのこと。2014年の夏は、北陸、関東甲信、東北地方では気温が高い所が多く、九州や四国地方では「低温」「少照」「多雨」という花芽が形成されにくい気象条件となった。このため、2015年春の花粉飛散数は、西日本では例年より少ない所が多く、東日本と北日本では例年並みかやや多いと予測されている。
2015年01月26日OSIsoftジャパンとESRIジャパンは12月16日、東京大学との共同研究の成果として気象情報の時空間連携可視化システムを構築したと発表した。この取り組みは、気象情報や都市活動などの情報が自由に流通し共有される電子基盤の創造を目指す産官学連携コンソーシアム「Live E!プロジェクト」のシステムと、同コンソーシアムのメンバーであるユビキタスが技術支援するかたちでKDDIとウェザーニューズが構築した気象情報共有サービス「ソラテナ」が生成する気象ビッグデータを、時間的および空間的な側面で統合的に分析可能とするもの。同システムにはビッグデータを高速かつ効率的に時系列で長時間蓄積する米OSIsoftのPI Systemと、リアルタイムGIS機能を実装している米EsriのArcGIS GeoEvent Extension for Serverを連携するために開発されたインターフェース機能を持つPI Integrator for Esri ArcGIS(OSIsoft製品)が採用されている。これにより、時系列に管理されたビッグデータとリアルタイムGISのシステムがシームレスに連携され、約3000拠点(約2万1000点の気象センサー)の気象ビッグデータをリアルタイムに地図上に表示し、時間軸でも管理することが容易となった。同システムは今後、新たな検証実験への活用のほか、気象データだけでなくM2M、IoT、IPv6、ユビキタス社会といったビッグデータに関連する様々な分野への応用が期待される。
2014年12月16日8月にコミックマーケット86で気球型Wi-Fiスポットを打ち上げたソフトバンク。元々は災害対策用に開発された気球無線中継システムを改良したものだが、今回は災害対策用の気球をこれまでの3G(W-CDMA)から、最新の通信規格である4GのLTEに対応させた。11月に宮城県の本吉郡南三陸町で行われた実証実験の様子をお伝えしたい。○災害時に携帯が利用できるように携帯キャリア各社は東日本大震災を契機として、災害時でも電波が途切れない環境作りを強化している。例えば、各キャリアがそれぞれ自衛隊方面隊と防災協定を締結(KDDIの防災協定レポート)。大規模災害時に通信機材の貸出を自衛隊に行うほか、携帯キャリアも通信手段の確保のために基地局が深刻な被害を受けた際に、人命に影響しない形での修理援助や可搬型基地局の運搬協力が行われる。また、NTTドコモやKDDIは太陽光発電システムを組み合わせた"グリーン基地局""トライブリッド基地局"などの電源が途絶えない基地局化も進めている。事業者がそれぞれ独自に動いている災害対策もあれば、互いに協力し合う災害対策もある。それが「災害用統一SSIDの運用」だ。携帯キャリア各社はそれぞれのユーザー向けにどこでも快適な通信環境を提供できるように公衆無線LANサービスを用意している。通常時は契約携帯キャリアのWi-Fiスポットしか利用できないが、災害時に「00000JAPAN」という共通のSSIDを提供することで、非常時の通信手段を確保できるようにしている。○LTE対応で基地局がスリム化話が少しそれてしまったが、こうした取り組みの中でも異彩を放つのが、この「気球無線中継システム」だ。このシステムは、通常の移動中継基地局などと比較しても短時間で実運用ができる。これは、無線中継(レピーター)であるため、装置構成が勘弁で済むからだ。また、中継アンテナを移動中継基地局よりもはるかに高い位置に係留できるため、比較的大きなサービスエリアも確保できるという。例えば、多くの鉄塔型基地局が40m程度の高さであるのに対して、移動中継基地局は10m程度となり、セル半径は1/2程度まで狭まってしまう。一方で気球基地局は100mの高さにアンテナを係留できるので、セル半径は鉄塔型基地局の約1.8mまで広がる。こうした「災害時に基地局が正常に作動しなくても何らかの方法で携帯エリアをカバーする」という取り組みはNTTドコモやKDDIも行っている。しかしながら、ソフトバンクが公開した取り組み例の比較写真を見ていても、明らかに1つだけ趣きが異なる。今回実証実験が行われた南三陸町は、東日本大震災で津波による深刻な被害を受けた地域。こういった環境では、KDDIの海上基地局やソフトバンクの気球基地局が迅速なエリア対策を行いやすい。KDDIの海上基地局は、海上保安庁と連携して、船舶上から沿岸部に向けて電波を放射。東日本大震災で沿岸部のエリア確保が難しかったことを受けての実験で、すでに複数の環境で実証実験を行っている。これに対してソフトバンクモバイル 研究本部で本部長を務める藤井 輝也氏は、海上基地局よりも気球基地局の方が安定したエリア構築ができると胸を張る。「気球基地局のメリットは、海上の状態に関係なく、上空まで高くアンテナを上げられることにある。船舶上から放射するよりも高く、広く、安定的にエリア展開が可能となる。今回、沿岸部対策として海上(船上)における気球係留が必要と考え、実証実験にいたった」(藤井氏)報道陣に公開した実証実験は今回が2度目。前回は3G(W-CDMA)を利用した実証実験だったが、今回は4G(LTE)対応や船上の気球係留や、これまでの実験で確認した課題の解消を目的に実験を行った。1点目のLTE対応では、最大20MHz帯域幅を利用。従来の無線中継装置はW-CDMA専用で最大5MHz帯域幅しか利用できなかったため「LTE対応」「帯域幅の拡張」と大幅なジャンプアップを果たしている。性能向上の裏にはアナログ回路からデジタル回路への切り替えがあった。従来の中継装置では、周波数帯域ごとにアナログフィルタを搭載。ソフトバンクに割り当てられている4つの周波数帯域のうち、最大2つの周波数帯域しか選択できなかった。しかし、今回の新しい装置では、デジタルフィルタを搭載。任意の周波数帯域幅が設定可能となり、「LTEに10MHz帯域幅、W-CDMAに5MHz帯域幅×2」「LTEに15MHz帯域幅、W-CDMA帯域幅」といった具合に帯域幅を割り当てられるようになる。1つのデジタル回路で様々な周波数帯域に対応できるため、使用周波数帯域の組み合わせが異なっても柔軟に対応でき、なおかつ小型・軽量化にも成功している。「VoLTEがまだ始まっていないため、通話用にW-CDMAの帯域を残す必要があります。しかし、最大20MHz帯域幅全てを割り当てるといったことも可能です」(ソフトバンク 研究本部 無線アクセス制御研究課 課長 太田 喜元氏)無線中継機については実証実験にあたって割り当てられている3.3GHzの周波数帯を利用。送信出力レベルは無線中継機の親機、子機共に1Wとなっている。子機は携帯電話に対して送信出力レベルが10W。親機の重量は7.1kgだが、子機の重量はわずか3kg。以前は5kg程度だったが、先述の通りデジタル化や無線機の外郭の素材を0.5mmまで削ったほか、10Wの出力を行う中継器としては珍しい空冷を行うことで、重量を最小限にとどめられたという。2GHz帯の無指向性アンテナを4本搭載しており、水平に配置している。無指向性である理由は「気球」だと太田氏は話す。「気球は天候の影響を受けてしまう弱点があるため、指向性アンテナは使っていません。エリアを安定させるために、無指向性のものを利用しています」(太田氏)○迅速に気球を上げるためには災害対策としての気球基地局では、長期間の気球係留が求められる。電波を安定的に放射するだけではなく、災害時の迅速な配備やその後の気候条件に左右されない安定性な運用の施策が必要となるわけだ。そこでソフトバンクは、「車載係留システム」と連続使用1カ月以上、最大1年を目指した「自動着陸機能の実装」を目指した。車載係留システムについては、実はコミケ86ですでに実用段階にあった。通常の気球基地局は、ウインチの設置作業や補助車両などの用意が必要となるため、設営までに4時間程度かかり、作業員も5人程度必要となる。一方の車載係留システムでは、足場がすでに車両に組み込まれているため、わずか30分~1時間、設営人数は3人まで減らせられる。これらのメリットから、短時間で基地局を展開し、その後に長期係留用の気球基地局などに置き換えるといった方策が考えられる。「気球上げる時に一番大変なのは杭を打つこと。気球を上げるまでに4時間は長すぎるため、丸ごと運んだ方がいいだろうということで、車載係留システムの話になった」(ソフトバンクモバイル 研究本部 無線応用研究課 課長 中島 潤一氏)○安定運用は自動昇降が鍵4時間かかる気球基地局のメリットは、連続使用1カ月、最大1年という高耐久性。ただし、気球の改良だけでは限界があるため、気象条件が悪い時には遠隔で昇降作業ができるようにシステムを構築した。「風への対策として係留気球にスクープを取り付け、気球が安定して浮力を保てるようにしています。また、これまでの実証実験の成果から、気球を42立方メートルから30立方メートルへと小型化。耐風性についても最大20m/sまでは確保しています」(中島氏)遠隔操作による昇降作業は、これまでの昇降ウインチに制御ボックスと各種センサー、カメラを備え付けることで対処できるようになった。長期係留に必要なものはこういった各種センサー以外にも、ソーラーパネルによる発電を行い、発電機と合わせた電源リソースの冗長化を図っている。○実証実験スタート!ここまで、大まかに技術説明を行ってきたが、恐らく「早く実物を見せてくれないとわからない」という読者の方も多いだろう。動画で打ち上げの様子から一旦回収するまでの一連の動きを撮影したので、ご覧いただきたい。100m打ち上げるまでにかかる時間は約10分。つまり、4時間程度の作業時間の多くは現場の安全確保のために費やされるわけだ。また、60m以上気球を上げる場合は、飛行機などとの接触事故を防ぐために赤旗を掲げる必要があるという。天候の影響を大きく受ける気球だが、風が大きく吹いたとしても、スクープのお陰で安定して上空にとどまっていられる。ただし、ある程度風に流されるため、常時100mの高さを保てるわけではなく、数十mの上下移動(正確には地上とケーブルで繋がっているため、斜め移動する)が起きる。ただ、この風の影響も「山間部ほどではない」と中島氏は言う。山ではダウンバーストと呼ばれる山頂からの強い吹き降ろしが気球を襲うのだが、海岸付近では悪天候時を除くと一定方向に安定した風が流れ、横にすーっと抜けていくだけなのだという。天候といえば「雨」もある。「雪」の方が大変なのでは……?と思われるかもしれないが、雪は気球の形状や風による揺れから、積もることなく下に落ちるため、あまり影響がないのだという。一方で雨は気球に浸透するため1kg程度重量が増してしまう。重量管理も気球の敵だと中島氏は話している。敵は天候だけではない。野生動物たちも敵となりうるのが実情だ。例えば、山間部で行ってきた実証実験では、気球には直接関係のない地上部のケーブルが狙われた。何らかの野生生物が電源ケーブルをかじり、問題を起こしてしまったのだという。その後、対策を施したのだが、海岸付近では「鳥」が天敵となった。「鳥にとって、ちょうどいい休憩所のようで、気球の上によく止まります。ただ、鳥の爪は鋭く、止まるだけで皮膜を破いてしまうこともあるので、そういった監視・対策も必要だと思っています」(中島氏)
2014年12月15日東北大学は12月4日、新型鉄系高温超伝導体のモデル物質である鉄セレンにおいて、超伝導を担う電子が、異常な秩序状態を形成することを観測したと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、谷垣勝己教授、および同大大学院 理学研究科の中山耕輔助教らによるもの。詳細は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載される。鉄セレンは、鉄系超伝導体の中で最も単純な結晶構造を持つことから、超伝導機構の解明に向けた基礎科学的な面でも、モデル物質として期待を集めている。高温超伝導が起こる起源を解明するためには、超伝導を担う電子の状態を調べることが重要だが、高品質の鉄セレン結晶を作成することが極めて困難だったため、この物質の電子状態はこれまで明らかになっていなかった。今回、研究グループは、鉄セレンの高品質単結晶の育成に成功し、外部光電効果を利用した角度分解光電子分光という実験手法を用いて、鉄セレンから電子を直接抜き出して、そのエネルギー状態を高精度で調べた。その結果、超伝導が発現するよりも高い温度(110K)で電子のエネルギー状態に大きな変化が起こり、伝導面を縦方向に動く電子と横方向に動く電子で、動きやすさに違いが生じることを明らかにした。さらに、このような異常な状態が、鉄セレンの結晶構造の変化が起こる温度(約90K)よりも高い温度(110K)で起こっていることも明らかにした。これは、電子軌道の変化が、結晶構造の変化という外的要因によらず、自発的に引き起こされている可能性が高いことを示している。鉄セレンでは、高温超伝導をはじめとする興味深い超伝導特性が報告されているが、今回の研究によって、その背後に異常な秩序状態が存在することが明らかになったとコメントしている。
2014年12月09日気象庁は12月2日、、「東京」の観測地点を千代田区大手町から北の丸公園へ移転し、 9時40分から新たな地点において気温、相対湿度などの観測を開始したと発表した。「東京」での気象観測は1875年に開始され、過去に3回移転している。観測地点の移転は、気象庁本庁舎の移転計画に伴う措置で、移転する観測要素は、気温、相対湿度、気圧、降水量、積雪の深さなど。風(風向・風速)、日射量、日照時間は平成19年11月より北の丸公園で観測しており、また、大気現象などの目視観測は、引き続き気象庁本庁舎で行う。移転による観測値の変化は、最高気温はほとんど変わらないが、 最低気温はこれまでより約1.4℃低くなるという。この変化傾向に基づき、日々の天気予報で利用される「東京」の平年値が更新される予定。
2014年12月03日スマートニュースは27日、同社が提供するニュースアプリ「SmartNews(日本語版)」において、日本気象協会と連携し「地震速報機能」を追加した。Android版、iOS版問わず利用できる。「地震速報機能」は震度4以上の大規模な地震が発生した際、地震情報が「SmartNews(日本版)」に配信される機能。情報は、日本気象協会が運営する天気予報専門サイト「tenki.jp」から提供されたもので、トップチャンネル等への記事掲出、詳細情報の表示のほか、号外プッシュ通知としてユーザーに届けられる。なお、「地震速報機能」について、大規模な地震発生後、数分以内に情報を配信することを目的としており、「緊急地震速報」とは異なるとしている。(記事提供: AndroWire編集部)
2014年11月28日日本ユニシスは11月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星データの利用拡大に向けたビジネス・インキュベーション施策「衛星データを活用した新たなビジネスソリューション構築のためのパイロットプロジェクト」において「EMS(Energy Management System)サービスへの衛星データ活用」を提案し、「新規に開拓する利用分野」のエネルギー分野において採択されたと発表した。同プロジェクトでは、地球観測衛星センサーと地上センサーから取得したビッグデータを解析し、外部環境による再生可能エネルギーの電力変動に対応した高精度な発電量の予測を行うシステムの開発を目指す。さらに、同社のEMSサービスに適用することで、より付加価値の高いサービスの実現につなげていく。複数の地球観測衛星から得られる大量のデータを解析し、リアルタイムな電力管理を行うEMSへ適用する国内初の取り組みとなる。なお、再生可能エネルギー発電予測モデルの開発およびフィールド検証は、研究機関や発電所を持つ事業会社などと協業するとのこと。今後日本ユニシスは最長で3年間、JAXAから衛星データや技術アドバイスの提供を受け、JAXAと連携しながら協業企業との実証実験を通し、ビジネスモデル・技術の構築を図っていくことになる。また、同プロジェクトを通して、分散電源の効果的かつ安定的な運用にも取り組んでいく。
2014年11月28日スマートニュースは11月27日、ニュース閲覧アプリ「SmartNews」にて、日本気象協会の提供する地震情報の配信を開始した。これにより、最大震度4以上の大規模な地震が発生した際、SmartNews日本語版のユーザーは、日本気象協会が運営する天気予報専門サイト「tenki.jp」から提供される情報をアプリ上で閲覧することが可能となる。同情報は、タップ後に詳細情報のページへと移動する「号外プッシュ通知」の配信や、トップチャンネルなどに掲載される。なお、SmartNews上の地震速報機能は、大規模な地震発生後、数分以内に迅速に正確な情報を届けることを狙いとしたもの。地震発生後大きな揺れが到達する数秒~数十秒前に警報を発する地震早期警報システム「緊急地震速報」とは異なる。
2014年11月27日黒部観光ホテル(長野県大町市)はこのほど、「高度30メートルの空中散歩♪三段紅葉と初冠雪の絶景を楽しもう☆熱気球体験付プラン/人気のバイキング<夕食朝食付>」の販売を開始した。宿泊可能期間は11月15日~16日、22日~24日。同プランでは、同ホテルへの宿泊翌日に、安曇野气船の「熱気球係留フライト」を体験できる。部屋タイプは、和室6畳(2名1室/洗面トイレ付)、和室8畳(2~4名1室/洗面トイレ付)、和室10畳(2~5名1室/洗面トイレ付)、和室12畳(2~6名1室/洗面トイレ・バスルーム付)。料金は2名1室で大人1名1万円~(サービス料・税込/入湯税別)。係留フライトは、チェックアウト後にホテルから車で約15分のところにある「国営アルプスあづみの公園 大町・松川地区」の臨時駐車場に集合し、9時半から11時半の間で実施。高度約30メートルのフライトは、山頂にかかった雪、その下の紅葉、 ふもとの緑という3色の三段紅葉が楽しめるという。フライト時間は約5分。雨天および風速3メートル/秒以上の場合は中止となる。同プランの詳細は公式サイトより確認できる。
2014年11月10日博報堂生活総合研究所(生活総研)はこのたび、22年間にわたり隔年で実施している生活者意識の定点観測調査「生活定点」を無償で一般公開した。同調査データは、フリーダウンロードや二次利用が可能。同調査は、1992年から22年間にわたり隔年で実施している生活総研のオリジナル定点観測調査。首都圏と阪神圏に住む3201名の対象者(20~69歳の男女)に対し、訪問形式で同じ質問を継続して実施し、同回答の変化を時系列で分析したものとなる。項目数は約1500項目で、「衣・食・住・健康・遊び・学び・働き・家族・恋愛・結婚・交際・贈答・消費・情報・メディア接触・社会意識・国際化と日本・地球環境」など、生活者のありとあらゆる領域を網羅する。生活総研は、今回の公開に伴い特設サイトをオープンした。同Webサイトでは、蓄積された回答値をさまざまなグラフやランキング形式にまとめ、時系列の変化が直感的に分かるデータを約1500ページにわたり掲載しているほか、折れ線グラフの形状から22年間で変化のあった日本人の意識や行動を一覧できる「グラフの形から見る」コーナー、回答の増減が似ている意識や行動を、約4200万件の組み合わせの中からプログラムが抽出し表示する「似てるかもグラフ、紹介します!」コーナーを設ける。加えて、時系列グラフを自動で簡単に作成できるプログラムを提供。複数の折れ線グラフを同時に出力することで、過去22年分のすべての回答値を全体・性年代別・地区別などに一覧できる集計表を無償でダウンロードできるほか、生活者の意識や欲求の変化を多面的に分析することができる。ユーザーは、登録の必要はなく、日本語と英語での利用が可能だ。生活総研では、データ分析が身近ではない人にも、データに触れて、意外な発見や発想のヒントを得てほしいとしている。
2014年10月24日日本気象協会はこのほど、全国・都道府県別の2015年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測(第1報)を発表した。2015年春のスギおよびヒノキ花粉(北海度はシラカバ)の総飛散数は、九州と中国・四国のほとんどの地域では例年を下回ることが予想され、近畿から北海道にかけては例年並みの所が多い見込みとなっている。前年(2014年)の飛散数と比較すると、九州と中国・四国は少ない所がほとんどであるという。しかし、近畿から東北にかけては前年より多く、特に関東や東北では非常に多くなる所があることが見込まれるとのこと。北海道は、前年並みの飛散数になると予想している。花粉の飛散数は夏の気象条件が大きく影響する。一般には、「気温が高い」「日照時間が多い」「雨が少ない」と花芽が多く形成され、翌春の花粉の飛散数が多くなるとされている。2014年の夏は、太平洋高気圧の西への張り出しが弱く「平成26年8月豪雨」の影響を受けたことにより「北暑西冷」となった。気温は北海道から中国・四国にかけては平年並みか高く、四国や九州では低め。日照時間は、北海道から関東では平年並みが多く、東海から西は少ない傾向が見られた。降水量は、平年を上回った所が多く、特に北海道や西日本の太平洋側では顕著となった。また、花粉の飛散数の多い年と少ない年は、交互に現れる傾向がある。2014年は、西日本の一部を除き全国的に花粉の飛散数は例年並みか例年より少なかったが、高温・多照・少雨などの花芽が多く形成される夏の気象条件がそろった所も少なかった。そのため、特に九州や中国、四国は花芽の形成にとっては悪条件となり、例年を大幅に上回ることはない見込みだという。ただし、東京では2倍以上、大阪は、およそ1.5倍になると予想している。
2014年10月14日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月30日、2014年5月に打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」により、9月27日に噴火した御嶽山の緊急観測を行い、噴火により発生した窪みや降灰堆積の様子を捉えることに成功したと発表した。同観測は、JAXAと防災関連機関との間の、災害に関する衛星情報提供協力の枠組みにより、火山噴火予知連絡会および内閣府からの要請により行ったもの。今回の観測では、「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)を用いた噴火前後の山頂付近の比較から、長さ210m、幅70mほどのくぼみが新たに発生していることを確認。これが新たに形成された噴出口(火孔)であると考えられるとする。また、噴火前後の御嶽山山頂部を同じ軌道から観測した画像の変化を比較したところ、衛星画像においても御嶽山山頂の火口の周辺に降灰堆積が多く分布することが推察される結果を得たという。なおJAXAでは引き続き防災関連機関と連携しながら、御嶽山の観測を継続する計画だとしている。
2014年10月01日日本原子力研究開発機構(JAEA)とJ-PARCセンター、東北大学は9月26日、高温高圧力下において鉄中に高濃度に溶けた水素の位置や量を観測することに成功したと発表した。同成果は、JAEA 量子ビーム応用研究センター、J-PARCセンター、東北大 金属材料研究所の研究グループによるもの。東北大 原子分子材料科学高等研究機構、中央大学 理工学部、愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センターと共同で行われた。詳細は、英国科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。水素は鉄などの金属中へある温度、圧力条件で溶け込む。溶けた水素は、例えば材料強度を弱めるといった機械的な特性変化(水素脆性)を引き起こすが、その現象を理解するには、水素がどこにどのくらい存在するのか、という情報が重要になる。鉄中に水素は、数万気圧という高圧力下でしか高濃度に溶け込むことができない。材料中の水素を観測する方法は限られ、また高温高圧力下での測定は技術的に困難なため、これまで実験的に観測できなかった。今回、水素を観測することができるJ-PARCの大強度中性子線を利用して、高温高圧力下の鉄中に高濃度に溶けた水素の位置や量を、実験的に決定することに成功した。そして、これまで面心立方構造の鉄中においては、鉄原子が作る八面体サイト(隙間)の内部のみに水素が存在すると考えられていたが、高温高圧力下における中性子回折実験により、八面体サイトに加えて鉄原子の作る四面体サイトの内部にも水素が存在することを明らかにした。今回の成果によって、鉄中に溶けた水素に関係する特性の変化に対する理解がより一層進むと期待される。また、各種鉄鋼材料の高品質化・高強度化に向けた研究開発や、地球内部のコア(核)に存在する鉄の研究などの進展にも役立つことが期待されるとコメントしている。
2014年09月30日アメリカ航空宇宙局(NASA)は9月24日、ハッブル、スピッツァー、ケプラーという3つの宇宙望遠鏡を用いた観測で、地球から120光年の距離に位置する惑星「HAT-P-11b」の大気中に水蒸気を発見したと発表した。これまでは木星かそれ以上のサイズの惑星しか大気の組成を観測することができておらず、海王星ほどの大きさの「HAT-P-11b」は大気の組成を調査できた惑星としては最小となる。従来も同サイズの惑星の大気を調査しようと試みられていたが、雲や塵に覆われていたため観測することが難しかった。「HAT-P-11b」はそれらの惑星とは異なり、澄んだ大気をもっていたことが観測成功につながった。同局の研究グループは「今回の発見によって『HAT-P-11b』と同じ大きさの他の惑星についても大気を観測できる可能性が大きく広がった」とコメントしており、今後、地球と同じように主に岩石で構成されながら地球の約10倍の質量をもつ「巨大地球型惑星」についても同様の手法で大気を調べることを目指すという。太陽系には「巨大地球型惑星」は存在しないため、ケプラーでの捜索に加えて、2018年に打ち上げが計画されているジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も投入する予定だ。
2014年09月26日東北大学は9月24日、惑星大気観測専用望遠鏡T60観測施設をハワイ・ハレアカラ山頂に開所し、ハワイ大学天文学研究施設と科学協力合意書を締結したと発表した。同大学は1999年より福島県飯舘村において、国内唯一の惑星大気観測専用60cm望遠鏡を用いた観測・教育活動を実施してきた。しかし、2011年3月の原子力発電所事故により、空間放射線量が毎時6.5マイクロシーベルトに達し、長時間滞在を要する望遠鏡観測が困難となっていた。そのような背景から代替の観測地を検討し、観測条件が最適であったハワイに福島県にある望遠鏡を移設することとなり、2014年9月8日に、ハワイ・ハレアカラ山頂においてT60観測施設の開所式を行った。また、同日に科学協力合意書の署名式をハワイ大学・天文学研究施設・マウイ先端技術研究センターにて実施した。同施設はすでに観測を開始しており、ファーストライトデータを取得することができたとのこと。
2014年09月24日ソフトバンクモバイルは、8月15日より東京ビッグサイトにて開催される「コミックマーケット86」にて「車載係留気球Wi-Fiシステム」(以下気球Wi-Fi)を配備することを発表した。「気球Wi-Fi」は、係留気球を利用した臨時無線中継システム。8月15日から8月17日に東京ビッグサイトにて開催される「コミックマーケット86」にて配備する。同システムは、同社がこれまで開発、提供してきた係留気球による臨時無線中継システムとは違い、車外に広い作業スペースを必要とせず、風速10メートル以上の強風でも作業を行える。また、会場到着後約30分程度でサービスを開始できるという。イベント会場へは、車載の係留気球BOXに収納し運搬。会場到着後は、膨らませた気球にWi-Fi基地局を取り付け、地上数十メートルの高さまで掲げサービスを提供する。そのほか、「コミックマーケット86」では、Wi-Fiアクセスポイントを配備したスタッフが「Wi-Fi忍者」としてソフトバンクWi-Fiスポットを展開する。なお、「気球Wi-Fi」は、東京ビッグサイト東側駐車場付近に配備される。(記事提供: AndroWire編集部)
2014年08月14日日本気象協会とフィードテイラーは、250mメッシュで雨雲の位置を通知してくれるiOSアプリ「そらレーダー」の提供を開始した。ダウンロードは無料。ただし、全機能を利用する場合月額100円必要。対応OSはiOS 7.0以降。そらレーダーは、5分間隔で1時間先までの雨雲の位置を予測したiOS専用アプリ。250メートルメッシュで雨雲の位置がわかり、詳細な予測が可能になっている。通知設定をすることで、登録地点での降雨予測がある場合に、プッシュ通知で通知を受け取ることができる。無料で利用できる主な機能は、直近の雨雲の様子の表示、直近5分間の雨雲予測の表示、レーダー画像のシェア(TwitterとFacebook)。有料会員の場合、5分単位で最大1時間後までの雨雲予測の表示、現在地や登録地点の1時間以内の降雨情報のプッシュ通知、広告の非表示が可能となる。
2014年08月05日