読むのに真面目な理由も目的も不要。ただただ楽しいエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』について、著者・朝井リョウさんに話をうかがいました。トリュフチョコレートを彷彿させる色合いに金色の飾り文字が並ぶ表紙。どんな重厚な作品かと思ったら、朝井リョウさんのエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』である。「装丁はできるだけ名作っぽくしてください、ってお願いしました」本を開きページをめくってまた驚く。紙がやたらと、妙に、分厚い。「間違えて2枚めくっちゃった、って思いますよねー。名作らしくボリューム感を出したかったんです」小説家の随筆集は、新聞や雑誌に載ったものを収録する場合が多い。だが本作は書き下ろしがメイン。「新聞連載分以外は全部、雑誌に掲載した数本も含め、この本のために書きました。エッセイを書くこと自体が楽しくて幸せなんです」眼科医との攻防、作家仲間・柚木麻子さんと臨んだ結婚式の余興、レンタル彼氏との騙し合い…。軽妙な語り口に笑いつつも、自分の感情を客観視するバランスの良さに感服。日頃から自発的に書くそうで、「一日のうちにある程度枚数を書かないと、全然生産していなくていいのかという気分になってしまう。なので小説が進まなかった日は、発表するあてがなくてもエッセイを書くんです。エッセイ用の語彙は別腹のようで、言葉が湯水のように出てくる。小説で堅苦しい言葉を使うと気取った感じになりますが、エッセイだとそれが面白かったりする。使える言葉の範囲が広がるので、小説を書いている時より辞書をよく使います。それも楽しくて」帯には<ひたすら楽しいだけの読書体験をあなたに>とある。「小さい頃、本が好きなのに“読んで何か得なければ”と感じることもありました。そうしたプレッシャーが一切なく読めたのがさくらももこさんの『もものかんづめ』から始まるエッセイ三部作。どこから読んでも、5分だけ読んでも1時間読んでも面白くて、何も試されることなく文章を読む楽しさを味わえて、ありがたかった。その感謝の気持ちもあって、自分も作家になったらそういうものを出したいと思っていました。さくらさんに倣って三部作を目指します」噴き出すこと間違いなしなので人前で読むのは危険。また、278、282ページは人前で開くのも危険かも…。理由は見れば分かります。あさい・りょう作家。1989年生まれ。‘09年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。‘13年『何者』で直木賞、‘14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞受賞。※『anan』2017年8月9日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2017年08月07日フワフワしたウィスパーボイスと多彩なサウンドで、独特の世界観を放つシンガーソングライター、ラブリーサマーちゃん。最新作『人間の土地』について話をうかがいました。最新作は4曲入りEP盤『人間の土地』。ラブリーサマーちゃんが大好きだというサン=テグジュペリの作品名をタイトルに借り、海を思わせる曲もある、サマー気分な作品だ。「名前もこうなので、今までも『夏っぽい曲を書いて』と言われていたんですが、去年までは頑なに拒否していました。いわゆる『ザ・夏の曲』みたいなイケイケな世界観が苦手なんですよ、根暗なので。だけど、あの夏はラブサマちゃんの曲けっこう聴いたなー、と言ってくれるファンがいるかもしれないと思い、ポリシーを崩して、夏に聴きたくなるような曲を書いちゃいました(笑)」とはいえ≪終電で海へ行く≫という物語が彼女らしいというか、ユニーク。全ての歌詞は実体験に基づいて書いているそう。一曲一曲から彼女の物事の感じ方や捉え方が誠実に伝わってきて、ハマる人が多いのもうなずける作品ばかりなのだ。「高校時代に同い年の子たちとバンドをやっていたんですが、3年生になるとみんな受験で忙しくなり、一人になってしまって。そこから宅録を始めたんですよ。パソコン音痴だったので、ハウツー本を見ながら曲を作り始めました。そうすると今日はエフェクトのかけ方を覚えたとか、毎日少しずつですが新しいことができるようになり、なんて楽しい!とモチベーションになりました」完成した作品をネットにアップし始めると、徐々にネット上で知られる存在に。アーティスト名もそのころ決めたそうで、本名の漢字を英語に置き換えたものとか。「本気で書いたガチンコの曲が評価されなかったら落ち込むと思ったので、最初はふざけた曲ばかり上げていました。その後、本気で書いた『あなたは煙草私はシャボン』がきっかけでレコード会社から連絡が来たんです。でもネットでしか活動していなかったので実在しないと思われたみたいで、中の人はこんなです、って自分のプリクラを送って、実在する女の子だと信じてもらいました(笑)」今作『人間の土地』はメジャー2作目。今までの曲と同様に、ラブサマちゃんが日々様々なものを見て感じて、悩み傷つき…というリアルな息遣いが聞こえてくるよう。つぶやきのような歌詞と、その言葉に寄り添うアッパーなサウンドが、聴くほどに沁みてくる。「音楽を作るって、自分の頭の中でしか鳴っていないものを、他の人も聴けるようにすること。そういうモノ作りが、すごく面白いんです」ラブリーサマーちゃん1995年生まれ、現役大学生。高3のとき自宅で音楽制作を始め、ネット上に公開した作品が話題になる。昨年秋『LSC』でメジャーデビュー。8/25にShibuya WWW Xで初の自主企画イベント「ラブリーサマーソニック 2017」を開催する。1st EP『人間の土地』【初回限定盤CD+DVD】¥1,800「海を見に行こう」など4曲入りEP盤。DVDには初の映像作品を収録。【通常盤CD】¥1,200(SPEEDSTAR RECORDS)※『anan』2017年8月9日号より。写真・水野昭子文・北條尚子(by anan編集部)
2017年08月04日普通のおばあちゃんなのに、なぜか応援したくなる。おざわゆきさんの『傘寿まり子』は、そんな80歳のおばあちゃんを描いた作品です。ひょっとしたら、現代に生きるおばあさんのことを誤解していたかもしれない。おざわゆきさんの『傘寿まり子』を読むと、反省の意味も込めてそんなふうに思ってしまう。「私の周りには母を含めて高齢の方がわりと多く、仲間みたいな感じで接していたので想像しやすかったんです。今のおばあさんは昔と違ってどんどんおしゃれになっていますし、気持ちも若くなっている。そういう意味でも、より多くの方が興味を持ちやすいテーマかなと思いました」おざわさんいわく「達観しつつ、欲もある」のが現代のおばあさん。「80代にもなると、高齢者という意識を持ち始めてから長い年月が経っています。人生どうなるかわからない不安を散々経験しながら、かといって自分のやりたいことも捨てきれないんじゃないかって思うんです」80歳で作家のまり子さんは、4世代同居で居場所がなくなり、家出を決行。一応仕事があるので、ひとりでも暮らしていけると高をくくっていたが世間はそう甘くない。それでもめげずに自らの足で立っていこうとするのだが、見ず知らずの人を無闇に信じることが難しい世の中でバカ正直なくらい人を信じ、結果、人とつながっていく様が気持ちいい。「絶望的な状況に陥ったとしても、それを真正面から受け止めず、うまい具合に回避して、自分なりに解決できる方法があるかもしれない。まり子さんはひとつずつこういうふうにやり過ごしているんだ、と思ってもらえるように描いています」聖人でもスーパーおばあちゃんでもないまり子さんを応援したくなるのは、希望的観測も含め未来の自分と重ね合わせてしまうからなのか。「たとえば30年後の私は、今の私がシフトするだけで中身は変わっていない気がします。高齢者という名前になっても私は私であり、最後の瞬間まで自分の人生なんですよね」『傘寿まり子』80歳のベテラン作家・まり子さんが、家出をしてネットカフェに居座ったり、初恋の人と同棲をしたりしながら、人生を切り拓いていく勇気溢れる物語。講談社各580円おざわゆきマンガ家。母親の戦争体験をモチーフにした『あとかたの街』(全5 巻)と『凍りの掌 シベリア抑留記』で第44回日本漫画家協会賞コミック部門大賞を受賞。※『anan』2017年8月2日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年08月01日夏休み、どこに出かけるか迷っている人へ、強力にプッシュしたい一冊がある。三浦しをんさんが各地の博物館を探検したルポエッセイ『ぐるぐる♡博物館』だ。「学生の頃、国内をぶらぶら旅するのが好きだったんです。夜は居酒屋に行くとして、昼間することがない。美しい景色には興味がないし、美術館も芸術的素養がないので躊躇する。それで、その土地の博物館に行くことが多かったですね」今回訪れたのは、茅野市尖石縄文考古館や奇石博物館、めがねミュージアム、ボタンの博物館…等々10館。思えば小さい頃から博物館が好きだったという三浦さん。「今回思ったのは、博物館ってきれいなものだけでなく、“え、なぜこれを集めたんだろう”というものがたくさんある。それを集めて館まで作った人の息吹や、展示に工夫して伝えようとしている人たちの情熱が感じられるんですよね。自分はそこが好きなんだなと分かりました」博物館は、誰かの熱い思いを保管している場所でもあるのだ。「その人が生涯をかけた思いの結晶がいつか学問を進展させることがあるし、まったく世の役に立たなかったとしても、こうして時を経て見る者の胸を打つものなんですね」そしてその思いに励まされた様子。「石を集めるなんて変わった人もいるんだなと奇石博物館に行ったら、古代から石を集めた人がいたと知って驚くと同時に、心強く感じました。自分にも説明できないけれど譲れない好みはありますが、きっとこれまでの人類で自分と同じ趣味を持った人はいたんだろうと思うと、時空を超えて“お前は一人じゃない!”って言ってもらえた気がする(笑)」それにしても三浦さん、文章はもちろんインタビューも上手で、各館そのものの妙味や見どころ、そして案内役の学芸員さんの魅力を見事に引き出している。みなさんの静かな情熱の激しさといったら!「これまでは一人で展示を眺めていただけですが、学芸員の方に話を聞いたほうが、その博物館の魅力が具体的に感じられますね。ガイドツアーに参加するのもいいし、分からないことがあったら積極的に聞くといいんだなと気づきました」この夏お出かけできない人も、本書を読めば旅気分になれます。『ぐるぐる♡博物館』国立科学博物館、大牟田市石炭産業科学館、雲仙岳災害記念館などのほか、寄り道編として熱海秘宝館や日本製紙石巻工場なども探訪。実業之日本社1600円みうら・しをん1976年生まれ。‘00年『格闘する者に○』でデビュー。‘06年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、‘12年『舟を編む』で本屋大賞、‘15年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞受賞。※『anan』2017年8月2日号より。写真・土佐麻理子(三浦さん)水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2017年07月26日女優の水野美紀(43)が26日、自身のインスタグラムを通じ、第1子を出産したことを発表した。水野は「先日、元気な赤ちゃんを授かりました」と報告。「妊娠中からお心遣い頂いた皆さま、出産にご助力下さった皆さま、立会ってくれた夫、みなみなさまに感謝でいっぱいです」と支えられた人々への思いを記した。また、「目の前の小さな命の、生きようとするエネルギーに圧倒されて胸がいっぱい」と感動を伝え、「早くも涙脆(もろ)くなっている新米母ですが、しっかりと気を引き締めて、歩んでゆきたいと思います」と呼びかけている。昨年6月、俳優の唐橋充(40)と結婚。水野のインスタグラムには、ファンからの祝福の声が続々と寄せられている。
2017年07月26日アラサー女子のゆるふわな日常を描く雁須磨子さんのショートコミック『かよちゃんの荷物』。アラサー女子のゆるふわな日常に、共感必至のショートコミック。アラサー女子が主人公を務めると、とかくヒリヒリした展開になりやすいのがフィクションの世界。結婚やキャリアなどの悩みが切実すぎる分、やむなしではあるけれど、もっと肩の力を抜いて読めるマンガとかないのかな…と思う女子たちにオススメしたいのが、雁須磨子さんの『かよちゃんの荷物』。完結から6年ぶりに、描き下ろしエピソードを加えて復刻したエバーグリーンな作品だ。「最初は、かよちゃんたちの10年後を描こうと思っていたんですが、周囲から『40歳になったかよちゃんたちの日常なんてしょっぱいかな』と言われまして(笑)。結局、地続きの作品に。あまり変わっていない彼女たちと会えて楽しかったです」主人公のかよちゃんは、ぱんぱんに膨らんだバッグを提げて歩く30歳。「転ばぬ先の杖」という名の野心(いつか体調を悪化させた男性に薬などをあげて運命の出会いを釣る)を詰め込んだバッグの中身は、ケータイやお財布、化粧ポーチなどマストアイテムの他、数種類の薬など。さらに、万華鏡やヘアピン1ダースなど「いまそれいる?」的なグッズが入っていて、周囲をのけぞらせる。「かよちゃんのモデルは特にいないのですが、強いていえば、おっとりしているのにとんでもないポカをやらかすかよちゃんの雰囲気は、長女揃いの私の友人たちに似ていて、次女である私がやりがちなことを、かよちゃんにやってもらっている。合体させて作り上げたキャラですね」恋人はいないけれど、心を許せる友達はいるし、再就職した雑貨屋の職場環境も楽しい。そんなかよちゃんのマイペースな日々を眺めていると、自然とほんわかした気分に。かよちゃんの周辺には、イケメン若社長なのに残念な<てるひこ>や、ビジュアル系オタクなのに年下ナイスガイの<アニメ君>などがいて、ときどき恋の予感をのぞかせるが、その先に進まないのも、ある意味、現代のリアルかもしれない。「連載していた媒体の特性もあって、どの回にもボケやオチを入れるよう意識したショート作品なんです。クリスマス、猫、試着室などをめぐってこんなことを考えちゃうよねという、いわゆる“女の子あるある”を楽しんでもらえたらうれしいです」今年で30歳になった、かよちゃんこと阿部かよ子。無職のぐーたら生活の後で再就職した雑貨屋さんは水が合っていて…。短編やおまけページを加えた新装版。竹書房740円(C)雁須磨子/竹書房かり・すまこマンガ家。隔月刊コミック誌『WINGS』にて読み切りシリーズ「ロジックツリー」を連載中。『オロチの恋』(全2巻)、『感覚・ソーダファウンテン』(全3巻)など著書多数。※『anan』2017年7月26日号より。写真・水野昭子、インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2017年07月24日宇仁田ゆみさんのマンガ『パラパラデイズ』は、アニメの制作現場を描いた作品。自身の作品がアニメ化されたこともあり、その制作現場に興味を持つようになったという宇仁田ゆみさん。「みなさんすごく強くて聡明な方々で、心惹かれるものがあったんです。この人たちが働く世界として物語を構築していくなら、自分にももしかしたら描けるかもと思いました」『パラパラデイズ』の主人公は、10年少々キャリアがあり、作画監督を任された八嶋くん。いわゆるお仕事マンガは、新人が成長していく過程をメインにしたものが多いだけに、中堅の奮闘ぶりは、ある意味新鮮だ。「会社などで働いていると、自分は新人のつもりでもあっという間に下の人が入ってきますよね。ある程度仕事を続けているとどんな職業でもすぐにそういう立場になるし、そこからが仕事の本番のような気がするので、いろんな方の心に届くように描けたらいいなと思って、中間管理職的な主人公にしました」人に教えることが苦手だと思っている八嶋くんの言動や考え方に、思わず共感してしまう人も多いはず。「目の前にある仕事を自分でやってしまうのが一番早いのはわかっているけど、職場と自分の未来のために少し回り道をしなきゃいけないこともありますよね。かといって本当に時間がなくて自分で『おりゃー!』とやっつけてしまわないと、絶対に終わらないときも。そういうせめぎ合いや選択も描いていきたいです」キツいイメージのあるアニメの現場だが、登場人物たちの姿を通して働くことの意味を考えさせられる。「一日中好きなことと向き合って、収入や評価を得られる楽しさもありますが、好きなことによって心や体がむしばまれる可能性も。楽しさとつらさのバランスのとり方を、各キャラクターで匂わせられたらいいですね。アニメーターさんは基本的に作品ごとに職場や周りのメンバーが変わっていくので、その辺りも楽しみにしていただけたら嬉しいです」『パラパラデイズ』作画監督を任された八嶋くんの前に気になる絵を描く後輩が現れたり、尊敬する先輩が出戻ってきたり。夢を追うことの楽しさとつらさを丁寧に描いた奮闘記。小学館552円(C)宇仁田ゆみ/小学館うにた・ゆみマンガ家。アニメ化もされた『うさぎドロップ』、大家族ストーリー『よっけ家族』、子育てエッセイ『ソダテコ』、眠りがテーマのコメディ『ねむりめ姫』などがある。※『anan』2017年7月19日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年07月16日アラサーにもなると、誰もが人には言えないような思いのひとつやふたつを抱えながら生きているもの。そこで今回は、悩める女子たちにオススメの話題作をご紹介します。その作品とは……。自分の居場所を求めてもがく人々を描いた『彼女の人生は間違いじゃない』!【映画、ときどき私】 vol. 101震災で母を亡くし、父親と2人で仮設住宅に暮らしていたみゆき。平日は福島にある市役所に勤めていたが、週末になると東京の英会話教室に通うためだと嘘をついて高速バスに乗り、渋谷でデリヘルのアルバイトをしていた。福島と東京を行き来する生活のなかで、みゆきが抱えていた思いとは……。同名小説で作家デビューをはたした廣木隆一監督が、自身の出身地である福島を舞台に描き、自ら映画化した本作。それだけに、監督にとっては「これまでの作品とは全く違う意識で撮った」というほど思い入れの強い作品ですが、重要な役どころに指名されたキャストの方々にそれぞれの思いを語ってもらいました。今回ご登場いただくのは……。瀧内公美さん&高良健吾さん!若手女優のなかでも今後ますますの活躍が期待されている瀧内さんが主人公のみゆきを演じ、みゆきを見守るデリヘルの従業員である三浦をananweb読者からも高い人気を誇る高良さんが演じています。まずは、公開を控えたいまのお気持ちは?瀧内さん撮影から上映までがあっという間でしたし、撮影中はとにかく必死だったので、まだあまり実感がないですね。でも、この映画を観ることで誰かが救われたり、小さなことでも幸せだなと感じてもらえれば、上映する意味があると思うので、いろんな方に観てもらいたいなという気持ちです。高良さん公開されても観てもらわないと、この作品は存在していないと一緒なので、とにかく多くの人に観てもらいたいです。そして、観た人のなかに残るものになって欲しいとも思っています。僕は現場で瀧内さんがめちゃくちゃ戦って、ボロボロになっているのも見ていましたし、それがこうしていい映画として、できあがっているのであれば、絶対に観てもらいたいなと思いますね。撮影の前後でお互いの印象が変わったことはありますか?瀧内さん高良さんは現場にいるときは三浦なんですけど、試写でお会いしたときは高良健吾さんというひとりの人間ですし、いま隣にいるのは役者としての高良健吾さん。とにかく全部顔が違うので、どれが本物かなと思うくらいなんです(笑)。でも、マインドや思いは変わらない人というイメージがありますし、いつも言葉に力があるので、お話を聞いていても耳にスッと入ってくるんですよね。セリフでもインタビューでも、やっぱり影響力がある人だなと思っています。高良さん瀧内さんは現場でとても戦っていて、落ち込んでいたので、「闇が深い人だな」と思ってたんです。でも、撮影が終わって試写で会ったときにはすごく笑顔で、「こっちが本当なんだな」と安心してうれしかったです(笑)。あと、瀧内さんは、ちょっと泣きそうな声の感じがよくて、それがみゆきにはぴったりだなと現場で思ってました。できあがった作品をご覧になったときに感じたことは?瀧内さん自分の作品を観るときは、あまり自分に期待してないんです。でも、今回はひとつの作品として観ることができて、そういうのは初めてでした。というのも、廣木組に参加するまでは、自分の粗ばっかり探してたところもありましたけど、今回はそれがなくなって、楽な気持ちで観れたんです。作品としてはすごくメッセージ性が強いですけど、廣木監督の優しさもつまっている映画だと思います。高良さん廣木さんの映画の魅力は、人物の切り取り方と時間の進め方、そしてそこにある優しさなんです。この作品でいうと、震災に巻き込まれてしまった福島の人たちに対する廣木さんの目線は優しいけれど、福島出身ということで、福島が置かれている現状に対しての怒りがあったんだと思います。だから、それを映画監督である廣木さんは、映画を武器にして訴え、表現していましたが、こうやって戦うこともできるんだなと改めて感じました。本作のなかでも、おふたりのシーンは印象的でしたが、監督から演出されたことはありますか?瀧内さん特になかったですね。というのも、私の思う廣木監督というのは、要求しない人なんです。押し付けるようなことは絶対言わないし、相手から出てくるものを全部拾ってくれるんですよ。だから、何かを求めたりせずにいつも声をかけてくれて、私のことをちゃんと見ていてくれましたね。高良さん廣木さんは、いつも役者の手柄にさせてくれようとしてくれるんですよ。アドバイスがあるとしても、短い言葉だけだったりする。けれど、それをするためには相当な準備と覚悟が必要だったりもする。でも、廣木さんというのは、その人から出てくるものを信じてくれるし、それをちゃんと拾ってくれる人なんです。瀧内さんと2人っきりの車のシーンは楽しかったですね。デリヘル嬢という職業柄、身も心もさらけ出して全身全霊でみゆきと向き合った瀧内さんですが、素の自分に戻らないようにするため、撮影中は家に帰らずに、みゆきと同じように渋谷のホテルに滞在し続けたという。この作品に出演したことで、女優としての意識は変わりましたか?瀧内さん180度というか、本当にすべてが変わりました。いままでは、言葉やイメージを考えて現場に行ってたんですけど、廣木組の現場を通して、イメージではなくて、そうなる理由や意味について考えるようになったんです。でも、答えがないからずっと考え続けるんですよね。そんなとき、廣木監督から「その日に感じたことを何でもいいからノートに書いて」って言われて、それを繰り返していたら、すごくいろいろなことが見えてくるようになりました。だから、自分の言葉にして書くというのは、大事なことなんだなと感じています。高良さんも「廣木監督は人生を変えた人」と公言しているほど、大きな影響を受けているひとり。数年ぶりの廣木組の現場で、以前と違いを感じたことはありましたか?高良さんプレッシャーがあることは当たり前ですけど、現場に行けることがうれしかったですね。その割合がすごく大きくなっていたのは、自分のなかで変わったことだと思います。というのも、いままでは「行きたくないな」というのがどっかにあったんです。それはなぜかというと、廣木組に行くと全部バレるから。それがあって、本当はうれしいのに、怖いと感じてたところもありました。けれど、今回はうれしさしかありませんでした。かといって、廣木さんに自分がこれだけ成長したんですよというのを見せたいとかではなくて、「僕はこういう三浦を用意してきました」というシンプルな感じ。それがこれまでとは違うのかなとは思いましたし、廣木さんも僕のことを信頼してくれて、何も言わずに任せてくれたというのがいままでとは違ったところかなと感じてます。監督から影響を受けていることは?高良さん18歳のときに「目の前にいる人に伝えなさい」とか「俺に褒められたくて芝居しただろ」みたいなことをたくさんと言われました。つまり「ちゃんとその場にいなさい」ということなんです。だから、僕はそれをずっと守りたくて役者をやってきてるのかなと思いますね。ananweb読者と同世代のおふたりですが、仕事において大切にしていることや原動力は?瀧内さんやっぱり現場が好きだというのがありますけど、仕事として大切にしているのは、輪のなかに一生懸命入ること。自分とはもし考え方が違うと思って尻込みしてしまっても、一度それを取り除いてみて、輪のなかに入ってみるということを大切にしてますね。高良さん僕はものづくりや現場が好きだということ。結局それに尽きると思いますね。この作品から感じて欲しいと思うことがあれば、読者にメッセージをお願いします!瀧内さんみゆきはデリヘルという職業を選んでいて、それには必ず理由があって、しなければいけない心のよりどころや居場所のなさがあるということなんです。だから、自分の選択が正しいかがわからなくても、どんなに周りから否定されてもそれは間違いではないし、それでも前に進んで行く強さがこの作品にはあると思っています。特に私と同世代だと悩んでいる人も多いと思うんですけど、「みんなそうなんだよ」と感じられると思うので、まずは観ていただきたいです。高良さん本当にその通りで、この作品はどんなことがあっても生きている人を肯定してくれる映画。それは観てもらえれば、伝わるかなと思っています。インタビューを終えてみて……。どんな質問にもひとつひとつ丁寧に言葉を選んで話してくださったおふたりからは、廣木監督への思いとこの作品への愛がひしひしと伝わってきました。みゆきとは別人のように柔らかい笑顔でいっぱいの瀧内さんと、年々男らしさを増す高良さん。おふたりの熱い思いをぜひスクリーンからも感じて欲しいと思います。いまの時代だからこそ感じる思いに胸が締めつけられる!予期せぬ出来事によって大きく運命が変わってしまったり、居場所を見失って葛藤する瞬間は誰にでもあるもの。それでも、自分なりに前を向いて進んでいけば、きっと希望の光は差し込んでくるはず。みゆきと一緒に未来を見つめてみては?心の叫びが聞こえる予告編はこちら!作品情報『彼女の人生は間違いじゃない』7月15日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー配給:ギャガ©2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会■瀧内公美ヘアメイク:中島愛貴(raftel)スタイリスト:馬場圭介■高良健吾スタイリスト:小野田 史写真・水野昭子 (瀧内公美、高良健吾)
2017年07月13日2017年1月“放牧宣言”をしたバンド「いきものがかり」のギター&リーダーで、現在ソロ活動中の水野良樹が、NHK Eテレ「おかあさんといっしょ 7月の歌」に、初楽曲提供!7月3日(月)に初オンエアされた。水野さんは、山下穂尊、吉岡聖恵と1999年「いきものがかり」を結成し、2006年メジャーデビュー。デビューシングルの「SAKURA」をはじめとして作詞作曲を担当した代表曲に「ありがとう」「YELL」「じょいふる」「風が吹いている」などがあり、デビュー10周年を機にグループは2017年1月放牧宣言を発表。ソロ活動に入ってからは、和田アキ子、「関ジャニ∞」、D-LITEら著名なミュージシャンに次々と楽曲を提供。また、Eテレ「天才てれびくん」のテーマソング、今年「おかあさんといっしょ」のうたのお兄さんを卒業した横山だいすけが歌う映画『映画くまのがっこう&ふうせんいぬティニー』の主題歌など、幅広い活躍を見せている。そんな水野さんが今回、作詞作曲した新曲「ぱんぱかぱんぱんぱーん」を、NHK Eテレ「おかあさんといっしょ 7月の歌」に提供。本楽曲はとっても元気なマーチ。“ぱんぱかぱんぱんぱーん”というファンファーレが、子どもたちを希望でいっぱいの冒険へ誘う。今年2月に第1子となる男児が誕生しただけに、水野さんは「不思議な縁だなと感じています」と、このタイミングでの楽曲提供に感慨深い様子。「これから続いていく毎日が、子どもたちにとって、わくわくするような楽しいものであればいいなというシンプルな思いを持ってこの歌をつくりました。聴いてくれたり、歌ってくれたりする彼らの背中を、まさにファンファーレのように後押しできたらなと。ぜひ、みんなで楽しく歌ってくれたら嬉しいです」と思いを語った。「おかあさんといっしょ 7月の歌」は月~土曜日、8時~Eテレ(教育)にて放送。(text:cinemacafe.net)
2017年07月03日鈴木おさむが脚本を担当し「不機嫌な果実」のスタッフが集結、倉科カナ、三浦翔平、大谷亮平、水野美紀らを迎え“ドロキュン”ラブストーリーを描く金曜ナイトドラマ「奪い愛、冬」の第4話が2月10日(金)今夜放送される。デザイン会社勤務の主人公・池内光を倉科さんが、そのアシスタントで光にプロポーズし婚約者となる奥川康太を三浦さんが、光のかつての恋人・森山信を大谷さんが、その妻・蘭を水野さんがそれぞれ演じるほか、康太の母・美佐に榊原郁恵、光の母・池内麻紀にキムラ緑子、光に好意を抱いていた上司・武田玄を三宅弘城、光から康太を奪おうとする豊野秀子に秋元才加、康太の幼馴染みで元カノ・尾上礼香をダレノガレ明美、信の後輩・加藤清に西銘駿といったキャストがズラリ。光は康太にプロポーズされ幸せな日々を送っていたが、デザインコンペでかつての恋人である信と再会、信への想いがよみがえる光だったが、いまの信には妻・蘭がいた。康太の母は光のことが気に入らず身辺を調査、蘭も夫に目を光らせるなかで光と信の距離が再び接近、それを察した蘭は陰険な“攻撃”を開始、康太の心も乱れていく――というのがこれまでのおおまかなあらすじ。今夜の第4話では光が信とのキスを蘭に見られてしまい、SNSに「淫乱」「泥棒」といった罵詈雑言の数々が書き込まれることになる。さらに康太を狙う同僚の秀子が蘭に接触。女同士で結託し光に“天罰”を与えようと画策。一方で結婚に猛反対していた康太の母・美佐が態度を軟化させ、光を家に招いてこれまでの嫌がらせを詫びるが、そこへ思いがけない宅配便が届いて、その中身を見た康太は突然光の目の前でとんでもない行動に出る。そんななか光と康太は“ある目的”を果たすため信と蘭の家を訪問。蘭は2人を冬の海へと旅行に誘う。イマ彼と元彼、その妻、一寸先は闇の四つ巴旅行の先に待つものとは――というのが第4話のストーリー。「奪い愛、冬のドラマめっちゃ怖い。」「奪い愛、冬ばりこえぇ」など恐怖に陥る視聴者が続出する一方、「展開がベタベタやけど視聴者が見たい道で走って行ってくれてる」など、その“ドロキュン”ぶりを存分に楽しんでいる視聴者も。今夜もどんな“ドロキュン”が見られるのか放送が待ち遠しい人も多いのでは?金曜ナイトドラマ「奪い愛、冬」第4話は2月10日(金)23時15分~テレビ朝日系で放送。(笠緒)
2017年02月10日3人組バンド・いきものがかりのリーダー・水野良樹(34)が8日、自身のツイッターを更新。第1子となる男児が誕生したことを報告した。2013年8月に一般女性と結婚した水野。ツイッターでは、「母がつむじが二つあって、それを受け継いだのか、僕もつむじが二つあります。そして生まれてきた息子も、つむじが二つありました」とユーモアたっぷりに誕生を報告し、「お祝いのリプライ、ありがとうございます。気を引き締めて頑張ります。これからもよろしくお願いします」とつづった。いきものがかりは、今年1月5日にグループとしての活動休止を発表。リフレッシュのための"放牧宣言"とし、「ここらで一度、メンバーそれぞれ、自由になってみようと思います」とコメントを発表した。
2017年02月08日女優の水野美紀が16日、東京・代官山の結婚式場で行われたテレビ朝日系ドラマ『奪い愛、冬』(20日スタート、毎週金曜23:15~24:15)の制作発表会見に出席し、劇中でいじめる倉科カナに「キュンとしている」と明かした。このドラマは、主演の倉科カナ演じるデザイン会社社員・池内光が、三浦翔平演じる婚約者・康太がいるにもかかわらず、かつて死ぬほど愛した元カレ・信(大谷亮平)と出会い、心が奪われていくストーリー。水野は、この元カレの妻役を演じるが、自身の役柄について「100%のヒール役。実際の私は、とても善良な大人しい人間なので…」と自身との共通点を真っ向から否定した。一方で水野は、今回の脚本を読んで「こんなに敵が多い恋愛が描かれているドラマは見たことがない。しかも、その敵がみんなボスキャラ級」と感想。「この攻撃を全部受けていく倉科さんが大変だぞと思いました」と同情を見せながら、「いじめられて苦悩する、耐える倉科さんが妙に色っぽくて、私も今まで自分で感じたことのないようなマゾヒズムをくすぐられる」と魅力を語った。ドラマのテーマが、ドロドロでキュンキュンの恋愛ということで、最近キュンとしたことを聞かれても、水野は「昨日撮影した、私にいじめられて泣いている倉科さんにキュンとしました」とゾッコンのようだ。会見では、恋愛に関するゲーテの名言の穴埋めクイズを出題。「人は四十代に達して初めて真の◯◯な恋愛を知る」という問題に、倉科が「純」、三浦が「ピュア」、大谷が「オシャレ」と単語で回答する中、水野は「現実を思い知らされる様」と記入した。その理由を「男の人目線で考えてみたんですけど、40代になって結婚して、奥さんに犬より下の扱いを受けて、下手なこと言うとビンタが飛んできくるので、奥さんの機嫌を取ることがとにかく何よりも大事だっていうことを知っていくのではないでしょうか」と説くと、脚本の鈴木おさむは「さすがに40代になってくると答えが違いますね(笑)」と感心していた。
2017年01月16日俳優の大谷亮平と女優の水野美紀が、来年1月20日スタートのテレビ朝日系ドラマ『奪い愛、冬』(毎週金曜23:15~24:15)に出演することが8日、明らかになった。このドラマは、主演の倉科カナ演じるデザイン会社社員・池内光が、三浦翔平演じる婚約者・康太がいるにもかかわらず、かつて死ぬほど愛した元カレと出会い、心が奪われていくというストーリー。大谷が演じるのは、この元カレ・信役で、妻がいるにもかかわらず"禁断の愛"に走り出してしまう。その妻・蘭役を演じるのが水野。狂気としか思えないほどの愛情を夫へ注ぎ、光に激しい嫉妬心を燃やすというキャラクターだ。大谷は「信の表の顔、そして決して外には見せない"とてつもない闇"をしっかりと表現し、それがセクシーさにつながればいいな」とコメント。一方の水野は「今回のような完全なヒール役は自分史上初なので、やりがいを感じてワクワクしました」と興奮を語っている。他にも、息子の康太を溺愛し、光に陰湿な嫌がらせを繰り返す奥川美佐役で榊原郁恵。娘・光の幸せを切望する優しい母・池内麻紀役でキムラ緑子。光のことが好きだった過去を持つ上司・武田玄役で三宅弘城。光と仲良くしながら、姑息な手段で康太を奪おうとする豊野秀子役で秋元才加。学生時代に康太と付き合っていた幼なじみ・尾上礼香役でダレノガレ明美。さらに、後輩・加藤清役で西銘駿も出演する。
2016年12月08日水野美紀が主宰する劇団ユニット「プロペラ犬」の第7回公演『珍渦虫(ちんうずむし)』が東京・下北沢のザ・スズナリにて10月27日に開幕。今作では、水野が脚本・演出・出演を務め、演劇人として大きな一歩を踏み出す作品となった。プロペラ犬『珍渦虫(ちんうずむし)』チケット情報昨年、劇団居酒屋ベースボールのえのもとぐりむ、宮下貴浩、福澤重文とともに立ち上げた劇団ユニット「かくたすのいるところ」で水野は演出を担当しているが、プロペラ犬としては今回が初。連行おい名義で脚本も手掛けているが、こちらもプロペラ犬としては今作が初めてとなった。そんな水野が描くのは、引きこもりのラノベ作家・桐生たくみと新人編集者・吉川麗子の交流によって明らかになる人間の光と闇。スランプ状態に陥っている桐生のもとに訪れた吉川が、小説を完成してもらおうと奮闘するうちに、桐生の心の奥に眠っていたトラウマを呼び起こしていく。毎回、実力のある演技派の役者が揃うこともプロペラ犬の見どころ。内向的で気の弱い桐生を演じるのはノゾエ征爾(はえぎわ)、ぶしつけにぐいぐいと迫る吉川は伊藤修子(拙者ムニエル)。対照的なふたりが密室にいるだけでもおかしいのに、コミカルなやりとりが絶妙で、次々に笑いを起こしていく。そんな地味な現実から一転、桐生が描く小説の中は華やかな世界。引きこもりヒーロー影山たぎりを演じる猪塚健太(劇団プレステージ)の過剰すぎるイケメンぶりは必見。ヒロインうずみ役の福永マリカはとてもキュートでツンデレな姿もかわいらしい。現実と空想の世界が小気味いいテンポで絡み合い、爆笑につぐ爆笑に。水野はベテラン編集者の沼袋ふみこやヒーロー影山の秘書などを熱演。福澤重文と宮下貴浩によるキャピキャピな女子高生や、米村拓彰らによる歌とダンスも見ものだ。物語が進むにつれて、次第に個々の胸の奥に潜む深層心理が浮き彫りになっていく。人間が持つ表と裏、封印されていた過去、序盤からたびたび登場する突拍子もない出来事や事柄、それらばらばらに思えたことがつながっていく。それは観る者にとっても他人事ではなくなり、自分を見つめ直すきっかけとなるはずだ。プロペラ犬『珍渦虫』は、11月8日(火)まで上演。チケット発売中。取材・文:門 宏
2016年11月01日女優の水野美紀さんが「結婚していた!」というニュースにびっくりした方も多いのでは?もちろんとてもおめでたいことですが、入籍から既に何ヶ月も経っているというだけでも驚きなのに、交際3ヶ月のスピード婚って!ご主人、年下のイケメンだし。さておき、水野さんみたいに、なかなか結婚しなそう(できなそう)なイメージの女性が結婚すると、私もできるかも?と、なんとなく勇気が湧いてきたりもしますよね。そこで、彼女はなぜこのタイミングで電撃結婚したのか。また、どんな恋愛観をお持ちなのかを、女性誌で“当たる”と話題の占い「0学占術」のモバイルサイトでチェックしてみました。■水野美紀の今年の運勢は?運命グラフによると、彼女の2016年の運勢は【決定期】。【決定期】「これまで抱えていた迷いや悩みから解放され、人生の進行方向が定まることになる一年間です。目新しいことにチャレンジするのには最高の運気だと言えるかもしれません」今年は水野さんにとって、人生に関わる大きな「決定」をするのにふさわしい時期だったんですね。そのタイミングを逃さず、電撃婚を果たした行動力は、まさにお見事!の一言。■水野美紀の恋愛&結婚傾向◎恋愛について「よくみんなが言う“お金を持っていて、高学歴で、いい会社に勤めている人が好き”などということは、あなたに限ってはありません。目の前にどんなにお金を積まれても、好みではない異性には見向きもしないでしょう。その代わり、夢を語る人には弱い。特に、お金はないけれど小説家志望などと聞くと、放っておけないのです」◎結婚について「出会いがたくさんあり、ご自身の結婚願望も強いのに、なぜか縁遠い可能性が。それはあなたが相手を間違えているからかもしれません。どうも口先だけの異性に夢中になったり、いい加減な人を愛してしまったり。相手さえ間違えなければ、幸せな結婚ができるはず」ものすご~く当たっているように見えるのは気のせいでしょうか?ご主人の唐橋充さんは知る人ぞ知る、という印象のイラストレーター兼俳優さん。夢を語ったかどうかはわかりませんが、水野さんは彼の才能や将来性にほれたんだろうな、というのは容易に想像できます。そして、「出会いは多いのに縁遠い」って彼女のイメージにぴったり。熱愛の噂はちょこちょこありましたが、その一部は不倫報道だったりもして、確かに選ぶ相手を間違えちゃったんだろうなという感じ。それでは、水野さんと唐橋さんの結婚相性はというと…■二人は電撃婚する運命だった?◎月星の水野美紀さん×蛇座の唐橋充さん「情熱に飲まれるようにして結ばれれば電撃婚を迎える可能性は十分にあります。けれど、基本的には水野美紀さんと唐橋充さんは何事も思うように進まず、じりじりとした進展を迎える可能性が高い相性です。最初のきっかけを失ってしまうと、お互いが望んでいたわけではなくとも結果的に熟年婚となってしまうでしょう」もし今回電撃婚していなかったら、“永すぎた春”状態になっていた可能性大!?女性にとってアラフォーは結婚願望の分岐点とも言うし、ある程度、勢いは大事なのかもしれませんね。ここでせっかくなので、最近、スピード婚した他の芸能人についても占ってみましょう。■優香の今年の運勢は?まずは、今年6月、交際半年で青木崇高さんと結婚した優香さん。彼女の2016年の運勢は…【充実期】「収穫期です。これまで培ってきた努力が報われ、大きな実りをもたらすでしょう。公私ともに充実し、ハリのある毎日を送ることができそうです。引っ越しや転職、結婚などの大きな決断は吉。この期間に行動に移し、結実させることで安定した基盤を築くことができます」何と言うかドンピシャ!ここで結婚しなかったら、いつするんだ?っていうタイミングじゃないですか。実は、5月にスピード婚した上野樹里さんも今年が【充実期】。どちらも確かに充実してますね!■鈴木亜美の今年の運勢は?7月に結婚報告した歌手の鈴木亜美さんも、交際7ヶ月のスピード婚。彼女の2016年の運勢は…【再開期】「今までを振り返り、経験を生かして次なるステージを目指していくことが、この年のテーマとなりそうです。不思議な縁によって、新しい何かが生まれるかもしれません」苦労人のイメージが強い彼女は、幸せをつかんで来年1月に出産予定(まさに生まれる!)。文字通り今年は、リ・スタートの年になったのではないでしょうか。■終わりにこうして見ていくと、どの方も、本当にするべくしてこのタイミングで結婚したんだなと感慨深いものが…。自分の運勢を知り、その上で目の前のチャンスを逃さず、ちゃんとつかむことが大切なんですね。みなさんもご自身の今やこれからをチェックしてみてはいかがでしょうか。上手いこと運気の波に乗れば、水野美紀さんのようにサクッと結婚できちゃうかもしれません!監修者紹介0学会本部0学は、歴史を大きく左右してきた様々な占術の集大成として生まれました。人や社会そして自然界の『運命』をテーマに、すべてを統合する学問として研究されるものです。昭和15年に開祖である御射山宇彦によって樹立された後、その方式や早見表などが特許・実用新案として国に認可・登録された実績を有するたいへんユニークで知的な占術です。また「登録商標」とされており、今では独自のブランドとして認知されています。0学の根幹を知り、日々の生活を充実させることに役立ててください。
2016年10月25日女優の成海璃子、トリンドル玲奈、佐藤仁美、水野美紀が、9月29日にスタートする読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『黒い十人の女』(毎週木曜23:59~24:54)で、船越英一郎演じる主人公・風松吉をとりまく愛人役を演じることが26日、明らかになった。1961年に公開された市川崑監督の映画を、脚本・バカリズムで現代版にリメイクするこの作品は、プレイボーイのテレビプロデューサー・風松吉(かぜ・まつきち)が、妻や9人の愛人たちに殺害を共謀される様を、ブラックユーモアを交えて描くもの。船越が演じる松吉は、映画で当時大映のスターだった父・英二さんが演じていた。このたび、妻のほかに9人の愛人がいるという松吉をとりまく愛人役のキャストが決定。松吉とは付き合って半年という9人目の愛人でテレビ局の受付嬢を務める神田久未役に成海璃子、松吉とディレクターの浦上との間で揺れている若手女優の相葉志乃役にトリンドル玲奈、松吉の部下で一番長い時間を過ごし、愛人の中で自分が一番という意識が強いドラマAPの弥上美羽役に佐藤仁美、そして、松吉と付き合って8年のベテラン愛人で舞台女優の如野佳代役を水野美紀が演じる。成海は、バカリズムの脚本について「独特の会話劇が特徴だと思うので、テンポの良さを意識して演じたい」と話し、「女性同士のパワフルでしたたかなやり取りや先の読めないストーリーを楽しんでいただけたら」とコメント。トリンドルは「内容にとても惹かれましたし、何よりバカリズムさんの脚本にワクワクしています。何度読んでも面白いんです! 役を楽しみながら、精いっぱい頑張ります!」と意気込む。佐藤と水野もバカリズムの脚本を称賛。佐藤は「バカリさんは、男性なのによく分かってるなぁと思いました」と不思議がり、水野は「バカリズムさんが普段感じておられるのであろう、女という生き物の不可思議で滑稽な生態への疑問が詰まっている脚本だと思います。読んだ時に感じる面白さを体現できるか、プレッシャーを感じています。全力で務めさせていただきます」と気を引き締めている。
2016年08月27日女優・水野美紀が、テレビ東京の六本木3丁目移転プロジェクト ドラマスペシャル 湊かなえサスペンス『望郷』(2016年放送)に出演し、広末涼子と15年ぶりに姉妹役を演じることが6日、わかった。原作は『告白』『白ゆき姫殺人事件』など、ヒット作を数多く持つ小説家・湊かなえのミステリー短編集『望郷』(文春文庫)。収録された作品のなかから、「みかんの花」「海の星」「雲の糸」の3作をオムニバスドラマ化し、それぞれ広末、伊藤淳史、濱田岳が主演を務める。瀬戸内海に浮かぶ島で生まれ育った人々の人間模様を、連作で描いていく。水野は広末主演の『みかんの花』に出演する。広末演じる美里の姉・富田笙子を演じ、島を出て東京で人気小説家として活躍している設定だ。水野は「『大切なものを守るために』囚われ、足を踏み外す人間の機微を、因島の美しい景色が包み込んでいます。ぜひ、お楽しみください」とコメントを寄せた。また姉妹の母役に倍賞美津子、さらに田中圭、水橋研二、山口まゆ、中村靖日、田辺桃子が出演する。伊藤主演『海の星』では、伊藤演じる洋平の母役として若村麻由美が出演。ある日いなくなった夫を探すため、毎晩歩き続けるという役柄に、若村も「過酷でした」と振り返る。「因島の夕焼けと美しい海が切なく迫り忘れられません。ぜひ、ご覧いただきたいです」と作品を語った。洋平が「おっさんと呼んでいた漁師・真野幸作役にはテレビ東京系ドラマ初出演の椎名桔平。椎名は「以前、湊さん原作の連続ドラマ『Nのために』を見て感銘を受けていた私は、二つ返事でお引き受けした」と経緯を語った。さらに伊藤の少年期を加藤清史郎が演じるほか、平山あや、紺野まひる、橋本じゅん、平祐奈、モト冬樹が出演する。濱田主演『雲の糸』では、濱田演じるヒロタカの姉・亜矢役を内山理名が演じる。内山は「深く閉ざしているヒロタカの心を姉でしか出来ないやり方でぶつかっていくラストシーンは、 言葉ひとつひとつ大事に演じさせて頂きました」と、印象に残っているシーンを挙げた。姉弟の母役として麻生祐未が出演するほか、井頭愛海、西岡徳馬が脇を固める。(C)テレビ東京::link;;/news/2016/07/26/023//news/2016/07/25/008//news/2016/03/10/164//news/2016/01/07/668//news/2014/11/20/228/
2016年08月06日不倫騒動が大きく注目された2016年上半期。しかし、占い師のJuicy☆さんによると、下半期もまだまだ騒動はあるようで……。気になる2016年の下半期について聞いてみました。■日本はどうなる?→さらなる不倫問題が明るみに!?‘16年を象徴するタロットのカードは「隠者」。これには“道を探す”という意味があり、社会的な素晴らしい発見がある一方、さまざまな問題点が明るみに出ることも暗示しています。上半期に世間を騒がせた不倫問題や、パナマ文書漏えいのような問題は、今後も引き続き起こりうるでしょう。気候的なことでは、「嵐」のカードが出たので、風の強い半年になりそう。個人の心の中も荒れがちなので、逆風に負けない強い気持ちを持つことが大切。■政治経済・社会の動きは?→安倍首相の柔和な笑顔の裏には強い意志としたたかな戦略が?安倍首相の生年月日を象徴するタロットカードは、「皇帝」「女帝」「隠者」の3つ。表向きはフレンドリーでサービス精神が旺盛だけど、裏の顔はとても頑固。誰がなんと言っても自分の志は絶対に曲げない性格なので、憲法改正など、自身が当初から掲げている政策については下半期も強硬に推し進めていくでしょう。社会の流れとしては、ケンカのエネルギーに満ちているよう。SNSでの暴言、失言、裁判沙汰にも十分用心して。■トレンドはどうなる→大人なパンツスタイルに人気集中ファッションの傾向としては、コンサバかつ爽やかなスタイルがトレンドに。性別をあまり感じさせないユニセックスなファッションや、大人っぽいパンツスタイルに女性の支持が集まります。さらに今後、タロット的には“強い信念”を表す「正義」のカードが大きな意味を持ち始めます。最終的には流行に流されず、それぞれが「私はこれが好き」と思うマイフェイバリットな価値観をファッションでも表現していくでしょう。◇Juicy☆タロットと数秘術を織り交ぜた独自の占いメソッドを展開。対面鑑定のほか、携帯コンテンツの占い原稿執筆など多岐にわたり活躍中。※『anan』2016年6月22日号より。写真・水野昭子文・瀬尾麻美
2016年06月17日紫外線が益々気になる季節到来!降り注ぐ紫外線から身を守るには、日焼け止め以外に服装でも対策が必要。「アウトドアブランドから出ているUVカット素材のアイテムも、街着にしやすいデザインが結構あるので、普段から取り入れやすいと思います」(スタイリスト・白男川清美さん)普通のファッションブランドからも、高性能の紫外線対策付きの商品が増えているとのこと。「アウトドア系のファッションをしない人にも取り入れやすいものがあるのは嬉しいですよね。やはり、何かしらの機能がある服を着ておくのが安心。最近出ているものはUVカット率が85%から99%と高機能なものも多いので、好きなデザインを探してみてはどうでしょう」おしゃれで機能性の高いアイテムを幾つかご紹介します!◇傘頭上にすっぽりかぶさるドーム型で完全防御。ストライプ×フリルの一本は、3層構造の生地で紫外線、赤外線、可視光線を100%カット。裏側は黒のポリウレタンフィルムラミネートで照り返しを吸収し、眩しくない。¥13,500(サンバリア100)◇ストール大判ストールは濃紺で遮光効果も。薄くて軽いコットンのストールは、肩や腕にまとうのに十分な大きさ。UV カット加工に加え、濃い色なら涼しさもゲット。縁のタッセルで華やかさもプラス。¥5,300(アフタヌーンティー・リビング)◇帽子ポケッタブルが嬉しい晴雨兼用ハット。広めのつばで首まわりも防御するハットはナイロン製で、紫外線を85%以上カットする機能付き。フルシーム加工で雨にも強い。¥5,500(ヘリーハンセン/ヘリーハンセン原宿店)◇ウエア旅先でも頼りになるUV対策ワンピース。しゃり感のある生地のシャツワンピースは、UV カット率95%以上のUVプロテクト機能付き。着心地は軽く、羽織りにもなる。¥18,000(ザ・ノース・フェイス/ザ・ノース・フェイス3〈マーチ〉)◇しらおがわ・きよみスタイリスト。アウトドアやスポーツ系にも詳しく、本誌ほか多数の媒体で活躍。2児の母で、日常の日焼け対策にも余念がない。※『anan』2016年6月1日号より。写真・水野昭子(商品)
2016年05月25日歌手で俳優の福山雅治と、女優の水野美紀が4日、東京・フジテレビ湾岸スタジオで行われた月9ドラマ『ラヴソング』(11日スタート、毎週月曜21:00~21:54 ※初回は30分拡大)の制作発表会見に登場し、それぞれが自身の役柄の苦労を明かした。このドラマは、元プロミュージシャン・神代広平(福山)が、孤独を背負った女性・さくら(藤原さくら)と出会い、音楽を通して心を通わせることで、失いかけた人生を取り戻す姿を描くもの。劇中ではアーティストとしても活躍する福山ならではの演奏シーンも披露される。主題歌は、福山が作詞作曲を手がけ、藤原が歌う「soup」。また、劇中で広平が作曲した設定の曲は、実際に福山が作曲を担当した。福山は「『3曲お願いします』と言われて快諾したんですが、ずいぶん煮詰まりまして」と告白。「1つの作品で3曲も書いたことがないということに、オファーを受けた後に気がつきまして、自分にとっては前代未聞の煮詰まり方をしてしまいましたね」と、役づくりと音楽制作の両立に、かなり苦労したようだ。一方、元バンドメンバーで広平に思いを寄せる宍戸夏希役の水野美紀は、今作でキーボードやピアノを演奏するシーンがあるが、自身の経験は「子供の頃に習っていた程度」だそう。福山監修のジャムセッションのシーンがあり、これに向けてひたすら練習したそうだが、演奏に演技が加わるとパニックになってしまい、「冷や汗と、どエラい脇汗をかきながら撮影しています」と、新人時代のような緊張感で演じていることを明かした。福山と水野はともに40代ということで、今回のキャストの中では共感する場面も多い模様。さくらに思いを寄せ、広平の恋敵である天野空一役を演じる菅田将暉が、福山の想像を上回る迫力でバイオレンスをかましてきたとき、福山は「こんな怖い人なんだ!」と驚いたといい、水野も「アドリブで氷嚢をホイって投げ渡したら、バーン!って蹴り返されてめっちゃ怖かった」と報告した。福山は「中年になってくると慣れてなくて…」と若いパワーに圧倒されているようだが、「われわれアダルトチームのちょっとくたびれた感じの生活の恋愛観が、若者のエネルギーに刺激されてどうなっていくのかっていうのが、すごく楽しみですね」と期待。こうした世代間のギャップが、今後のストーリーに影響していく部分を見どころとして挙げた。
2016年04月04日「アパートの清水」に突如越してきた、さとうコタロー。「わらわは」と殿様言葉でしゃべる奇妙な4歳児と、同じアパートの住人たちとの交流を描く『コタローは1人暮らし』は、2016年のベストコミックに食い込むこと間違いなしの傑作!「甥っ子と同居していたことがあるんです。お気に入りのアニメにすぐ影響されるところとか、キレイな女の人に寄っていく少しませたところとか、その言動が面白かったので、子どもが一人暮らししたらどうなるかというアイデアが浮かびました」見た目は年相応の子どもなのに、並の大人よりずっと生活力があり、気働きもできるコタロー。「ヘタな大人よりちゃんとしている。ダメ人間と組ませたら、しっかり感が引き立つのではと思いました」コタローを取り巻くのは、マンガ家の卵の狩野、キャバ嬢のみづき、ヤクザの田丸。コタローを庇護しているようで、逆に慰められてしまう、持ちつ持たれつの関係性がいい。「引っ越しの日の挨拶まわりなど大人びた社交はできるのに、バッジをつけるとか他愛ないことが案外できないコタロー。それはおそらく、子どもなのに“やらざるを得なかったこと”と“やる機会がなかったこと”の両方があるんだろうなと」コタローが抱える複雑な事情は、少しずつわかってくる。たとえば、公園でひとり遊んいるシーン。表情は淡々としたコタローのままだが、ブランコやジャングルジムなど遊具で遊ぶ間中、握りしめているのは…。駆け寄っていって抱きしめたくなるほど、愛らしい。だが本書はあくまで、しっかりしててけなげなコタローにスポットを当て、読者を幸せな気分にさせる。逆説的だが、だからこそ、涙腺もついゆるんでしまうのだ。津村さんが苦労したのは、よくいる可愛い子どもという造型になっていない、コタローのキャラデザイン。「ふつうは、喜怒哀楽が一目瞭然というのが子ども。でもコタローは子ども離れしているという設定なので、基本的に無表情なんです。表情は抑えめに、けれど心の中には喜怒哀楽があるというふうに、行動やしぐさで表現できたらいいなと思っています。私自身、コタローが可愛い。ずっと描いていきたいキャラなので、応援よろしくお願いします!」◇『コタローは1人暮らし』津村マミアニメ〈とのさまん〉が好きで、星マークアイテムをひそかに愛用しているなど、時折見せる子どもらしさが超可愛い。『ビッグコミックスペリオール』で連載中。小学館552円◇つむら・まみマンガ家。2006年デビュー。Twitterではコタローと著者との1コママンガを不定期に投稿。他の著作に『コンビニの清水』(小学館)がある。(C)津村マミ/小学館※『anan』2016年3月30日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・三浦天紗子
2016年03月26日劇作家で演出家の鄭義信さんが、時代や人種の狭間で生きてきた在日コリアンの姿を描いた『焼肉ドラゴン』『たとえば野に咲く花のように』『パーマ屋スミレ』の三部作。上演のたび、大きな話題と感動を呼んだ舞台が、今回一挙上演される。鄭さん自身に今回の公演への思いを聞いた。「そもそも1作目の『たとえば~』は、ギリシャ悲劇を題材に何か一本舞台をという依頼で書いたものでした。“在日”を題材にしたのも、そこに出自を持つ僕にとっては必然的なもの。ただ、次の『焼肉~』は、すでに日韓両国での上演が決まっていたこともあり、自分が在日として生きてきたことを記録に残さないといけないという気持ちがありました。とはいえ、この題材がそんなに受け入れられると思わず、僕は“隙間産業”と言っていたんですけど(笑)」その予想を裏切り、舞台は日本でも韓国でも、開幕直後から熱狂をもって受け入れられた。「泣いたり笑ったりしてくださればとは思っていましたが、それ以上に観客が物語を身近な家族の話として受け入れてくださったことに驚きました。ましてや韓国では、在日という存在がよく理解されてませんから、上演前は現地のメディアの方に“この芝居はウケませんよ”とまで言われていたくらい。でも、上演してみたら驚くほど反応が良くて。まさかそこまでの評価は予想外でした」その後、新作の依頼を受けて生まれたのが『パーマ屋~』だ。「『たとえば~』で‘50年代を、『焼肉~』で‘70年代を描き、ひとつの流れとして‘60年代を描きたいと思い、結果的に三部作になりました。戦後の復興から高度経済成長に向かう時代の底辺で、労働力として日本を支えた在日の人たちを再認識してもらう機会になればと思います」日本では居場所を追われ、韓国では忘れられた存在である彼らを、次々と悲劇が襲う。しかし、そんななかにも前を向く強さと笑いがあるのが鄭さんの作品の魅力だ。「人生って、悲劇と喜劇が同時に進んでいくものだと思うんですよね。それに僕、関西出身なんで、やっぱり笑かしたいんだと思います」■information鄭義信三部作Vol.1『焼肉ドラゴン』3月7日(月)~27日(日)初台・新国立劇場 小劇場A席5400円B席3240円(共に税込み)新国立劇場ボックスオフィスTEL03・5352・9999(10:00~18:00)Vol.1『焼肉ドラゴン』在日コリアンの家族を通じ、好景気に沸く’70年代の裏側を描く。「ほぼキャスト総入れ替えの新たな挑戦になります」。(写真は’11年公演より)Vol.2『たとえば野に咲く花のように』 朝鮮戦争中の九州が舞台の男女の物語。「ギリシャ悲劇が題材なのに喜劇的な作品になりました」。4月6日(水)~24日(日)(写真は’07年公演より)Vol.3『パーマ屋スミレ』 炭鉱の町で運命と戦う人々の悲劇。「僕の作品には珍しくそこに居続ける人たちの物語です」。5月17日(火)~6月5日(日)(写真は’12年公演より)※2016年3月9日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・望月リサ
2016年03月08日通販大手「フェリシモ」内の、猫好き社員が大集合。猫好きの人々に喜んでもらえる商品を企画& 開発するチームが、“フェリシモ猫部”。話題沸騰のアイテムを作るその内側を、こそっと覗いてみます…。「スタートは’10年です。弊社には週に1度、普段従事している業務とは違うテーマで、部門や役割を越えて活動できる、〈部活動〉という制度があり、“猫の殺処分をなんとかしたい”という思いを持ったメンバーが集まったことが、結成のきっかけです。目指すのは、“猫と人が共にしあわせに暮らせる社会”です」と語るのは、広報の市川美幸さん。どのアイテムも、唯一無二&前代未聞なものばかりで驚かされます。「猫が好きな人は、“猫になりたい!”という猫への憧れの気持ちも強く、その願いを叶えるような商品を考えることも多いです。話題になった『肉球の香りハンドクリーム』は、“猫の肉球のようにぷにぷにとしたくなる、そんなお肌になりたい…”というところから開発がスタート。猫部のSNSでユーザーさんに、愛猫の肉球の香りをうかがい、猫を飼う社員を集めて色や香りを調査。香料会社の方と香りを徹底研究し、2か月半後にハンドクリームが完成しました」驚くべき研究心の高さ…!!そしてどの商品も、価格の一部が全国の動物愛護団体に拠出されるというしくみも素晴らしい。これからも、<猫部>の活動から目が離せない~!以下では、そんなフェリシモ猫部が開発した商品の一部をご紹介。猫好きなら、どれも垂涎のアイテム!■人生一度は猫になりたい!!そんな夢を叶えるアイテム肌触り抜群のルームウェアにはしっぽが。ソックスの肉球は滑り止めの役割も。猫耳ターバンをハメれば完璧!猫耳もふもふヘアターバン¥900もふもふ子猫みたいな耳つきルームウエア¥3,980猫足¥764(以上フェリシモ猫部/フェリシモTEL:0120・055・820)パンツ¥16,800(オアスロウ×ビームス ボーイ/ビームス ボーイ 原宿TEL:03・5770・5550)■まさかの!猫のおでこの匂いを再現アンケートで多数集まった、「焼きたてパンに似てる」との声が高い猫のおでこの香りを再現。クッションなどに。モフモフ おでこの香りファブリックウォーター¥1,200■愛しいあの香り…あなたの手を肉球にします!肉球の香りを常に嗅いでいたい…。そんな人々の夢を叶えるべく、開発された。優しいピンク色、甘く香ばしい香りにきゅん。プニプニ 肉球の香りハンドクリーム¥1,050■眠る姿が愛しすぎる…!猫さま用お布団足元側の穴からおもちゃなどでおびき寄せ、猫さまに中に入ってもらうというしくみの布団。成功率は意外と高いとの噂。かわいい寝姿を自慢できる 猫用和布団¥3,600■ヒト用だけど…カツオだしで猫好みのお味?「キリンラーメン」とコラボしたラーメンは、猫大好きのかつおだし。化学調味料&着色料は不使用なのも嬉しい。梱包ダンボールも注目。にゃーん麺 8袋で1セット¥1,790※『anan』2016年2月17日号より。写真・多田 寛(DOUBLE ONE/モデル)水野昭子(商品)スタイリスト・仮屋薗寛子(モデル)ヘア&メイク・浜田あゆみ(メランジ)モデル・メイ・パクディ
2016年02月16日注目の新人作家がまた一人誕生した。今年、第31回太宰治賞を受賞した伊藤朱里さんだ。「子供の頃から好きな本を真似して書いてみたり、高校生くらいから短いものを書いてみたりしていました。でも社会人になってからは読む時間も書く時間もなくなってしまって。一度ちゃんと試してみたいと思い会社を辞めて、去年1年間、書いては応募していたんです」太宰賞を受賞した表題作は、幼い頃父親に虐待され、接触恐怖症になった25歳の女性・恵那が主人公。契約社員だった会社を辞めたばかりの彼女は、元同僚から不倫相手に娘が生まれたと聞かされて動揺する…。「実は、どういう話になるのか決めずに書きはじめたんです。私自身が会社を辞めた時に、不倫していたという噂があったと知って。事実無根だったのですが、男の人と女の人が少しでも近づくとすぐそう考える人がいるのを不思議に感じました」家族との関係も、恋愛も仕事も、将来のことも不安な状態にいる彼女。「まっとうに生きている女の子に降りかかりそうな不幸を全部盛り込んで、一緒に苦しんで書きました」痛快なのが友人メリッサの存在だ。日常では男性として働き、プライベートでは女性名を名乗ってゴスロリファッションに身を包むこの親友は、辛辣だが愛ある言葉で恵那を励ます。「二人のやりとりを書いている時は楽しかったですね。メリッサのように何でもずばずば言えることって私も憧れますが、言葉を武器にしないと叩き潰されるから、仕方なく身につけた武器だろうなとも思います」この存在だけは唯一の救いなのだが、やがて恵那は彼女(彼)さえも傷つける行動に出てしまう。「あまりにもずぶずぶと沈みこんでいたので、大事な人を傷つけるくらいのことをしないと、彼女は上にいけない気がしたんです」そうして底の底まで辿りついた時に、恵那にも変化が訪れる。また、読者は終盤になってある事実が隠されていたと知って驚くはず。「緻密な構成と言われると、すみません!という気持ちになります(笑)。主人公の気持ちになって、今この子が言いたくないだろうということは書かなかっただけなんです」這い上がるまでの壮絶な道のりを書き切った本作。新人離れしてます。◇いとう・あかり作家。1986年生まれ。今年「変わらざる喜び」(「名前も呼べない」に改題)で第31回太宰治賞を受賞、作家デビュー。本作が初の単行本。◇表題作のタイトルは「この子の苦しみは、恋人の名前もメリッサの本名も呼ぶことができなかったことだなと思って」。他1編を収録。筑摩書房1500円※『anan』2015年12月25日号より。写真・土佐麻理子(伊藤さん)水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2015年12月22日スナック「ころあい」で働く3人のワケあり女子が、しょうもない会話に花を咲かせ、やがて半歩だけ前へ踏み出す。青野春秋さんの『ガールズトーク』には、切なさとドタバタが叙情たっぷりに描かれている。「僕自身がスナックが好きで、舞台にしました。女性のいるお店では、普通はお金を使えばちやほやしてもらえる。けれど現実のスナックって、うんと年上のママにいなされる人生修練の場なんですよね。自分が男としてまだまだなんだと思い知らされ、向上心がわきます。色恋抜きでも、本当にあったら行きたくなる。そんなお店にしてみました」登場するのは、生い立ちが不憫、孤独が友達、いまの境遇に難ありなど、何らかのもの哀しさを背負った個性派揃いの女の子たち。「彼女たちはいつもふざけているんですけど、心の奥底では哀しいことを考えてしまう。僕自身がそうなんです。空気に合わせて楽しそうにはしますけど、我を忘れてはしゃぐことができない。ただ最近は、人とつながってバカ話をして一日一日を楽しむ、自分をいたわる瞬間を大切にしてほしいなという気持ちが強くなった。この本に限らず、僕の現在の大きな創作テーマになっています」青野さんはあまり登場人物に感情移入して描かないそうだが、「この作品では、強いていえば僕がマスターの位置。彼は、女の子たちがヘンなことをしゃべっているととまどうんですが、そこが笑うとこですよ、という目印にもなっています」巻末には、阿川佐和子さんとのディープな対談が収録されている。「阿川さんが聞き上手すぎて、ふだん話さないようなことまで引き出されてしまい、妙に重い対談に。本当は、僕が阿川さんを口説いてたしなめられるという展開にしたかったんですが、話術に完敗しました(笑)」現在、「スラップスティック」「100万円の女たち」など、週刊誌を含む3つの連載を抱える。「『ガールズトーク』のときは、4つの連載をほぼ同時期にスタートさせる荒業に挑戦して死にかけたのに、またやる気を出しちゃいました。いえ、まだ本気は出していません」◇あおの・しゅんじゅうマンガ家。1979年、茨城県生まれ。『俺はまだ本気出してないだけ』で話題に。近著に『スラップスティック』など。お笑い芸人「ブランコ」のプロデュースも。◇菜月(23歳)、琴音(20歳)、加奈(21歳)はスナックのホステス。彼女たちを軸にマスターを巻きこんで進む、コミカルでほろりとする会話劇。KADOKAWA/角川書店980円、(C)青野春秋/KADOKAWA※『anan』2015年12月25日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・三浦天紗子
2015年12月22日「アート」と聞いて思い浮かぶものは、印象派の油絵?それとも前衛的な現代アート?いずれにしても、“ちょっと敷居の高い特別なもの”というイメージを持つ人も多いはず。そんな固定観念に囚われず、日常生活で気軽にアートを楽しもう!という発想から生まれたサービス「ART STAND」が12月9日にスタート。簡単に言うと、アーティストの作品を、自宅やイベント用にレンタルして楽しめるサービス。「絵画や彫刻だけでなく椅子やランプなどのインテリア、アクセサリーもアートだと考えています。一点ものの作品に触れて、ちょっと特別な日常を楽しんでいただきたいです」(ART STAND代表・加藤さん)以下では具体的な使い方をご紹介。■例えばこう使う!クリスマスのオーナメントに一工夫。クリスマス気分を盛り上げるインテリアグッズやツリーのオーナメント。季節限定だからこそ、毎年ちょっとずつ変化をつけられるのが理想的!でも、シーズン時期以外の収納場所を考えると、あまり増やすこともできない…。そんな時、使いたい期間だけレンタルできるのは便利。気分に合わせて、ちょっと個性的な飾り付けにも挑戦できる。もちろん全て一点ものなので、気になる作品は早めに予約して!■例えばこう使う!友達同士のイベントがワンランクアップ!結婚式の二次会や誕生日パーティなど、友達をたくさん呼ぶイベントをちょっとアートな空間にしたいなら、テーブルグッズを変えてみるのもいいかも。パーティで使ってしまいがちな味気ない紙皿はやめて、アーティストのデザインした食器を一式レンタルすれば、ゲストの間でも話題になりそう!手作りの料理もぐっとおしゃれに見える。3日間から借りられるのが、単発のイベントにも嬉しいポイント。サービスの使い方は以下の通り。(1) 登録まずは、公式サイトからメンバー登録。メンバーになれば、用途に合わせた作品をART STANDキュレーターに問い合わせることもできる(有料)。注文の前にぜひ相談してみて。(2) Web注文約500名の参加アーティスト、約5300点の作品の中からお好きなもの、期間を選んでWebで注文。借りたい日程が先であれば、事前に予約することももちろん可能。(3) 楽しむ作品が届いたら、あとは気軽に楽しむだけ。そっと眺めて癒されるもよし、みんなでわいわい鑑賞するもよし。自分の後には別の人が使うので、丁寧に扱うのがルール。(4) 返却基本的に宅急便で返却する仕組み。何かと忙しいホームパーティなどの後でも、後片付けや返却時の手続きに手間がかからないので、気軽に利用できる!◇オシャレな食器のレンタルで食卓もグッと華やかに。(C)2015 ART STAND/キギ『KIKOF』(34点セット)レンタル価格:1か月5万979円◇クリスマスにはこんな可愛らしいオーナメントはいかが?(C)2015 ART STAND/KLOKAクリスマスオーナメント(30点セット)レンタル価格:1か月1万1420円◇いつものツリーも、アートなオーナメントでオシャレ感アップ!(C)2015 ART STAND/KLOKAクリスマスオーナメント(30点セット)レンタル価格:1か月1万1420円◇加藤晃央さんART STAND代表。contact@artstand.jp※『anan』2015年12月16日号より。写真・水野昭子(加藤さん)
2015年12月15日パリっ子らしいエレガントな物腰に陽気な笑顔、如才ない会話力。昨年、日本のミステリー界の話題をさらった『その女アレックス』で、読者を鬱々とした気持ちにさせた作家・ピエール・ルメートルは、インタビュー中に何度も意外な素顔をのぞかせた。『悲しみのイレーヌ』は、カミーユ・ヴェルーヴェン警部が活躍するシリーズの第1弾。パリ北西部郊外のロフトで、〈悪夢にも出てこないような最悪の〉殺人事件が発生。それを序章とする仰天の犯罪を、カミーユたちパリ警視庁の精鋭が追っていく。全貌が見えたとき、“行き届いた仕事”という原題の意味に、思わず首肯してしまうこと請け合いだ。その面白さの一翼を担っているのが、カミーユの個性だろう。「実はカミーユには、多分に私の父を投影しています。父もカミーユと同じ身長145cmしかなく、いわば生まれたときから悲劇の概念を抱えていた存在ともいえます。それを一生背負って闘う上では、彼を温め、受け入れてくれる、女性の存在は大きい。そうした愛が得られないことは、悲劇の陰を暗くします。私は父を見ることによって、そのことが身にしみてわかりました。このシリーズでカミーユと女性との関係が重要なのには、そんな背景もあるのです。背が並外れて低い彼はふつうの男性のように女性を魅了することはできません。でも、読んでいると魅力的に思えてきませんか?」ミステリー作家としての実力は評価されていたピエール・ルメートルさんだが、なんと『天国でまた会おう』がフランス文学賞の最高峰「ゴンクール賞」を獲得。いまや名実ともにフランス最高の作家のひとりだ。『天国~』の舞台は、第一次世界大戦の終結間際から戦後の混乱期。命からがら戻ってきたアルベールとエドゥアールを待っていたのは、戦地同様に過酷な、元兵士たちに冷たい祖国だった。彼らは生き延びるためにある犯罪計画を思いつく。実際、これまで邦訳された作品に共通するのは「復讐への執念」かもしれない。自分を痛めつけた社会や国家、あるいは個人。それに一泡吹かせてやりたいと、綿密に計画し、実行する人たちが多く登場する。「フィッツジェラルドも言っていますが、作家にはこだわり続けるテーマがあって、それをどう読ませるかを工夫するものだと。私にも2~3のテーマがあります。そのひとつがモラルの問題というか、倫理的な葛藤です。正義だ悪だと単純に断罪できないパラドックスを孕んでいる作品に興味があります」そんなルメートルさんの日常は、「朝から晩まで仕事の職人みたいな毎日です。どこでも集中できるので、タクシーや飛行機での移動中も書きます。書き始めるとずっと物語の中にいて気もそぞろ。しばしば妻に『ねえ聞いてる?』と言われます。カミーユのようにね(笑)」◇ピエール・ルメートル作家。1951年、パリ生まれ。2006年、55歳のとき『悲しみのイレーヌ』でデビュー。在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本の招聘によりイベント「読書の秋2015」に参加するため来日。※『anan』2015年12月9日号より。写真・土佐麻理子(ルメートルさん)水野昭子(本)インタビュー、文・三浦天紗子
2015年12月08日村にとどまり、とっかえひっかえ村の男と寝ることで村に復讐しようとする女子高生の野口、いつか村から出ていく決意を固める同級生の田上や、村から逃げそびれた同級生の友之、いったんは脱出したのに戻ってきた高校教師のヒデジや妙子…。こざわたまこさんの小説『負け逃げ』は、地方の閉塞感から逃れようとあがく人々を描いた連作短編集。「私の故郷は、帰ろうと思ったらすぐ帰れるくらいの中途半端な距離なんですよね。だからなのか、いまでも田舎にからめとられているような感覚が取れないんです」6つの章に登場する語り手たちやその家族が、それぞれに抱えている苦い記憶。だが、みなその出来事をなかったことのようにふるまい、痛みから目を背ける。「そんな欺瞞がキライで、暴いてやりたいという衝動もあったかもしれません。その一方で、周りから浮かないようにという意識は強かった。合わせるふりがヘタだったとは思わないのですが、その分、違和感は澱おりのように溜まっていきました」それを各章の主人公に重ね、ぶつけた本作。出ていける人と出ていけない人の対比がリアルで生々しい。「いつか出ていくという希望を持てる高校生だけでなく、出ようとして出られなかったとか、出戻ってきたとかした大人も書きたかった。1回結果が出ているので、やるせなさを加味できると思ったからです」だが、いまいる場所からおいそれと動けないのは、都会であれ田舎であれ、誰しも同じ。身に覚えがある感情だからこそ、共感してしまう。本書のもう一つのテーマが、ボーイミーツガールだ。「野口と田上の間にある、恋愛とも友情とも違う、けれど深く信頼し合っているピュアな感情にとても憧れます。私は女性ですが、女性を通して女性を書くより、男子高校生や男性教諭を通して女性を書くほうが、すんなりできたような(笑)。女性を美化しがちな男性の妄想フィルターを通すと、女の人がすごくキレイなものに見えるからでしょうか」イヤでしかたなかった故郷。だが、本当は少し愛しかったことに登場人物たちは気づく。だから読んだ後に残るのは、鬱々とした息苦しさではなく、息をぐっとこらえた後に思い切り深呼吸した、あの爽快感だ。◇こざわ・たまこ作家。1986年、福島県生まれ。2012年に「僕の災い」で第11回「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞し、デビュー。演劇鑑賞とマンガが趣味。好きな作家は、窪美澄、重松清。※『anan』2015年12月9日号より。写真・岡本あゆみ(こざわさん)水野昭子(本)インタビュー、文・三浦天紗子
2015年12月08日初心者でも簡単にできる、ラッピング術を伝授。使うのは、身近にある便利アイテムです。形の崩れやすいものだったり、もともとラッピングされていないアイテムを手みやげにしたい…といった場合、自分でラッピングするのがいちばん手っとり早いもの。そこで、初心者でも簡単にトライできるラッピング方法をご紹介。教えてくれたのは、インテリアスタイリスト・矢口紀子さんです。「自分で包むことで、見た目にオリジナリティも出せますし、相手への感謝の気持ちもより強く伝わります。ラッピングをするときは、包むアイテムの形や特徴を考えて、最適な入れ物を選ぶことも大事なポイントです」(矢口さん、以下同)今回は、身近で手に入る、ワイヤーバスケットを使ったセルフラッピングにチャレンジ。ほんのひと手間で、手みやげがワンランク素敵に生まれ変わる!最近では100円ショップなどでも売られているワイヤー製のバスケット。パンやフルーツなど、形が一定でないものや、崩れやすいものを詰めるときはこのアイテムが大活躍!「キッチンクロスを敷いてさっと包むだけで、遊び心ある見た目に。バスケットごと渡せば、ラッピングもプレゼントの一部になるので喜ばれるはず」■こんな手みやげのラッピングにおすすめ!・パンやフルーツなど、形が崩れやすい食品・こまごまといろいろなものを詰め合わせたいとき◇ワイヤーバスケットにキッチンクロスを敷き、アイテムを詰め合わせてさっと包む。仕上げに紙の紐で軽く縛り、ギフトタグを装着すれば完了!※『anan』2015年12月2日号より。写真・水野昭子文・瀬尾麻美
2015年11月29日手みやげを選ぶときのポイントはなんですか?相手の好みや味はもちろんだけど見た目も重要ですよね?「かわいくておいしいものに、常にアンテナを張っている」という甲斐みのりさん。都内でも旅先でも、気になるお菓子は必ず買い、全国の「お菓子仲間」との情報交換も欠かさないという甲斐さんに選りすぐりのかわいい手みやげを教えてもらいました。「手みやげは『喜んでほしい』気持ちが大切。見た目が愛らしい“乙女な”お菓子には、相手の心を弾ませてパッと笑顔にする力があるので手みやげにも最適です。喜ぶ姿にこちらも嬉しくなって、お互いハッピーになれますよ」■『nikiniki』の季節の生菓子聖護院八ッ橋総本店の新ブランド『nikiniki』の創作生菓子。生八ッ橋生地でできた季節の品々は、衝撃的なキュートさ!「偶然お店で見かけて、繊細なかわいらしさに感動。京都限定ですが、関西で友人に会うときなどに利用します。季節ごとのデザインが並ぶのも楽しみ」◇594円(税込み、デザイン違い2個入り)。季節によりデザインが変わる。●京都府京都市下京区四条西木屋町北西角TEL:075・254・828410:30~19:00 不定休京都駅アスティロード店もあり。■『こけし屋』の犬のデコレーションケーキ発売から60余年変わらない、クラシカルなバターケーキ。ほどよい甘さのバタークリームは、さわやかな軽さがポイント。「老舗のこけし屋は、長年通う一軒。友人の誕生会に持っていったら大好評で、それ以来手みやげにも。箱を開けると歓声が上がり、必ず撮影会が始まります」◇5号ホール(15cm)2500円。6号ホール(18cm)3000円も。●東京都杉並区西荻南3‐14‐6TEL:03・3334・51119:00~22:00火曜休荻窪タウンセブン店もあり。■『cineca(チネカ)』のpalette映画を題材に、物語のあるお菓子を作るcineca。「cinecaさんのお菓子はアートのよう。このpaletteは、名前の通りパレットの上に色とりどりの絵の具が乗ったような美しいジンジャークッキー。友人に贈ったら、あまりのかわいさにしばらく飾って眺めていたそう!」◇600円(長辺約10cm)。1400円(長辺約14cm)も。●イベントなどを中心に販売し、東京都美術館ミュージアムショップでも取り扱い中。オンラインストアでも購入できる。◇かい・みのりお菓子、手みやげ、旅など、女性が好み憧れるモノやコトを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。『気持ちが伝わるおいしい贈りもの』(大和書房)など著書多数。※写真・水野昭子文・熊坂麻美撮影協力・AWABEES
2015年11月29日