『顔』の監督・阪本順治×主演・藤山直美がコンビが贈る最新作『団地』。このほど、何かとウワサの絶えない団地を舞台にさまざまな人間模様が交錯する本作から、“妄想としゃべくりのハーモニー”を奏でる予告編が解禁。阪本組初参加の斎藤工も、なんとも奇妙な登場の仕方をしていることが分かった。とある事情で家業の漢方薬局を畳み、団地に越してきた山下ヒナ子(藤山直美)と夫の清治(岸部一徳)。住人たちは、自治会長の行徳(石橋蓮司)と妻の君子(大楠道代)、クレーマーで次期会長を狙う吉住(宅間孝行)に、暇を持て余した奥さま連中。ある日、些細な出来事でヘソを曲げた清治が「僕は死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の姿がぱったり見えなくなっても淡々とパートに通い続けるヒナ子に、隣人たちの“妄想”は膨らむばかり。さらに、妙な立ち居振る舞いの青年(斎藤工)が山下家を訪れ…。数々の映画賞を総なめにした『顔』から16年、阪本監督が書き下ろす完全オリジナル脚本の会話劇は、さまざまな人生が交差する大阪近郊の古ぼけた団地が舞台。予告編映像には、「阪本監督が撮ってくれるなら」と久々にスクリーンへ復帰した藤山さんをはじめ、岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代ら阪本組常連にして最強と言うべきカルテットが集結。「死んだことにしてくれ!」とヘソを曲げ突然床下へ潜ってしまった夫・清治。「最近、姿を見ていない」と口を揃える、距離感の近すぎる隣人たちの好奇心、妄想はとどまることなく加速し続け、ついには失踪説まで流れ出し、緊急会議をひらく始末…。そんな中、今回、阪本組初参加となる斎藤さん演じる青年も謎の言葉を発しながら、異質な存在感を放って登場。また、大阪弁のテンポの良さが会話の応酬にさらなる拍車をかけていき、庶民劇でありながら、大胆不敵な大どんでん返しをも予感させていく。予告編でナレーションを務めているのは、大阪を代表するラジオパーソナリティとして知られ、本編にも声の出演で参加を果たしている大ベテラン、浜村淳。浜村さんは本作について「ウソもマコトも、団地ではうわさの広まり早すぎる。笑わせ泣かせ怖がらせ、ああ、家の団地も良く似てる」とコメント。DANCHI――。それは、なんでもありえる昭和の集合住宅にして、ウワサが転がる“小宇宙”。稀代のコメディエンヌ・藤山さん演じるヒナ子も思わず「団地っておもろいなあ」とつぶやいてしまう、観客巻き込み型の秘密共有エンターテイメントを、ここから目撃してみて。『団地』は6月4日(土)より有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月23日藤山直美が主演を、阪本順治が監督を務める映画『団地』の予告編映像が公開になった。大阪近郊にある昭和のムード漂う団地を舞台にした作品だ。予告編映像藤山と阪本監督は『顔』でタッグを組み、高い評価を得たが、16年ぶりに再タッグを組んだ本作は、ごく平凡な夫婦が予想外の出来事を描く異色コメディだ。藤山演じるヒナ子と夫の清治(岸部一徳)は昭和のムード漂う団地に引っ越してきたが、ある事件をきっかけに夫は「僕を死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の要求を受け入れたヒナ子は夫が消えても普通の日常を送ろうと振舞うが、そのことが隣人たちの妄想をかきたて、団地に騒動が巻き起こる。本作は、テンポのよい会話で独特の世界観を描き出していく作品で、予告編でも団地で暮らす人々がひたすらに“しゃべりまくる”のが大きなポイントだ。また、藤山、岸部のほかにも石橋蓮司、大楠道代、斎藤工らが出演し不可思議で濃いキャラクターを演じており、これまでにない会話劇になっているようだ。『団地』6月4日(土) 有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
2016年03月23日ミュウミュウ(MIU MIU)が2月16日、国際的に活躍する女性映画監督が手掛けるショートフィルムプロジェクト「MIU MIU WOMEN’S TALES(女性たちの物語)」の第11弾となる河瀬直美監督の『SEED』をニューヨークで初公開した。「MIU MIU WOMEN’S TALES」プロジェクトは、国際的に活躍する女性監督たちが21世紀の女性らしさを鋭い視点で称えた作品を展開するショートフィルムシリーズ。2011年にスタートし、これまでにそれぞれ異なるシネマチックな世界が描き出された10本のショートフィルムが公開されており、ヴェネツィア・デイズのプログラムやニューヨークコレクションでも上映されている。第11弾となる同フィルムは、カンヌ国際映画祭で複数の受賞歴を持つ日本人監督の河瀬直美によって制作されたもの。主人公には国内外の映画賞を多数受賞している安藤サクラを起用した。安藤サクラはフィルムの中で、野生的な大自然が息づく奈良から東京の混沌とした人混みへ旅に出るひとりの少女を演じている。音楽はサカナクションが手掛けた。ニューヨークでの初公開に続き、9月に開催されるヴェネツィア映画祭のヴェネツィア・デイズ部門Giornate degli Autoriにおいても公開を予定している。なお、同プロジェクトのアーカイブは、独占インタビューや撮影風景とともにミュウミュウの公式ホームページ()にて閲覧可能となっている。動画引用元: (ミュウミュウオフィシャルYouTube:
2016年02月17日直木賞受賞作家・小池真理子の小説を、成海璃子、池松壮亮、斎藤工で映画化する『無伴奏』が、1月29日(金)から開催される「第39回ヨーテボリ国際映画祭」に正式出品されることが決定した。日本中が混沌としていた 1969年、杜の都・仙台。多感な女子高生・響子(成海さん)は、制服廃止闘争委員会を結成し、学園紛争を行っていた。そんな中、同級生のレイコに連れられ、初めてクラシック音楽の流れる喫茶店「無伴奏」へ足を運ぶ響子。そこで偶然に出会ったのは、大学生の渉(池松さん)、祐之介(斎藤さん)、エマ(遠藤新菜)。この喫茶店では、好きな音楽をリクエストできるのか、バッヘルベルのカノンをリクエストする渉。響子は席が隣り合わせになったそんな渉に興味を抱き、逢うたびに強く惹かれていく。時に嫉妬や不安に駆られ、それでも熱い想いを渉に傾けていく響子。だが、いつしか見えない糸が絡み始め、想像すらできない出来事により、どうすることもできない衝撃的な結末に巻き込まれていく…。今回本作の出品が決定した「ヨーテボリ国際映画祭」は、フィルムマーケットも併設されている北欧最大の映画祭。昨年の来場者数は13万人を記録し、23の映画館及び試写室で、塚本晋也監督の『野火』や河瀬直美監督の『二つ目の窓』など450本の長編及び短編の映画が合計1000回上映された。35のセミナーには約8000人が出席し、1600人の監督、プロデューサー、ジャーナリスト、業界関係者が映画祭に出席。また、併設されているノルディックフィルムマーケットでは、150人の海外のバイヤーや映画祭のプログラマーが新作を鑑賞し、世界的に注目を集める映画祭だ。今回の出品は、プログラマーのフレディ・オルソンが作品を鑑賞し、「その美しく、非常に素晴らしいドラマにとても感銘を受けた」ため決定したという。外国映画のコンペはデビュー作のみが対象となるため、本作は「Five Continents部門」での正式出品となっている。また、そのほかにも同部門の日本からの正式出品には、『ハッピーアワー』『さようなら』『俳優 亀岡拓次』が決定。その他の部門には、『岸辺の旅』『天の茶助』『BLANKA』(仮題)『春子超常現象研究所』が出品される。また、今年のオープニング作品はモンス・モーンソン監督の『Yarden』で、クロージング作品は『パーフェクト・プラン』のヘンリク・ルーベン・ゲンツ監督の新作『Satisfaction 1720』に決定した。本作の監督を務める矢崎仁司は、今回の出品決定について「今の日本を代表する若い俳優たちの素晴らしい演技を世界の皆さまにお届けするチャンスを頂きありがとうございます。愛と死とエロスは国境を越えるパスポートだと信じています。ヨーテボリ国際映画祭で私の作品が上映されるのは『三月のライオン』以来で、だからこそ、この愛のかたちを描いた映画が招待されたことが凄くうれしいです」と喜びを語った。『無伴奏』は3月26日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年01月13日日本を代表する名女優の樹木希林を主演迎え、ドリアン助川の同名小説「あん」を世界を舞台に創作活動を続ける名匠・河瀬直美が映画化した『あん』。このほど3月16日(水)にブルーレイ&DVDリリースが決定したことを受けて、河瀬監督の最新コメントが到着した。縁あってどら焼き屋“どら春”の雇われ店長として平凡な日々をやり過ごしている千太郎(永瀬正敏)と、“どら春”の求人募集の張り紙を見て働きたいとやってきた老女、徳江(樹木)の物語だ。河瀬監督は、「『あん』を劇場でご覧になった方も、まだご覧になっていない方も、この日を心待ちにしていただいていたなら幸いです。公開から10か月の時を経て、ようやく皆様のお手元にお届けできる運びとなりました」と喜びの胸中をコメント。また、「多くの映画を愛する人々の力が結集してこの世に誕生した映画『あん』。原作小説のある物語ですが、映画独自の世界観をもって、小説と共にずっと置いていて欲しい。そう願って特典映像にもこだわった自信作です!」と特典映像をアピールする河瀬監督。スペシャル・エディションには秘蔵映像が満載の特典ディスクやブックレットなどが付く。国内でもTAMA映画賞・最優秀男優賞、最優秀女優賞を受賞したほか、報知映画賞をはじめとした国内の映画賞も席巻した同作。なお、本編ディスクは完全バリアフリー仕様で、特典ディスクにはメイキング、舞台あいさつ集などを収録するメモリアルな永久保存版だ。『あん』ブルーレイ&DVDは3月16日(水)発売。(text:cinemacafe.net)
2016年01月08日12月23日(水・祝)、『映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』が公開初日を迎え、ゲスト声優を務めた中川大志、劇団ひとり、パパイヤ鈴木、渡辺直美、ローラが舞台挨拶に登壇。クリスマスをイメージした赤いドレス姿のローラさんは、クリスマスイブの予定を「女性3人で過ごす」。クリスマスツリー風の衣装で登場した渡辺さんは「女芸人の皆さんと過ごします」と、それぞれ明かした。原作者のさくらももこが脚本を手掛け、23年ぶりに映画化された「映画ちびまる子ちゃん」で、世界各国の子供たちを演じたゲスト声優の皆さんたち。好きなシーンについて渡辺さんが「私はやっぱりみんなで歌うところ」と語ると、ひとりさんが「せっかくだから、みんなで歌おうか」と提案し、劇中歌「ずっと ともだち」を即興で披露。さらに、観客へのクリスマスプレゼントとして、サンタ姿のまるちゃんが描かれたマカロンを中川さんたちが壇上から客席に投げ入れる予定だったが、ひとりさんが「これ行けるんじゃない?」と早々とステージから降りて客席に進むと、ローラさんたちもそれに続き、小さい子供たちにも手渡し。台本にないファンサービスで会場を沸かせた。その一方で、自身が欲しいクリスマスプレゼントについては、パパイヤさんが「今年で40代最後なので、健康な体。切実に」と答えれば、ひとりさんは「この間、車を車検に出したら、サスペンションの交換で27万8,000円もかかったので、27万8,000円」、渡辺さんも「私も免許を取りに行き始めたので、車…か男。イケメンの」とかなり現実的な回答。中川さんは「こたつ」と答えたものの「またおじさんっぽい答えになっちゃいました。今日はフレッシュさを出していこうと思っていたのに」と17歳とは思えない回答を自分で悔み、ローラさんは「飼っている猫ちゃんが喜ぶから、変わったおやつ!この間あげたのは、なんかのなんかのクリームミックスなんとかみたいな…」と無邪気に語り、それぞれ爆笑を巻き起こしていた。『映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』は全国東宝系にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年12月24日モロッコで行われた第15回マラケシュ映画祭で、鶴岡慧子監督の『過ぐる日のやまねこ』が審査員賞を受賞し、審査委員長のフランシス・F・コッポラが鶴岡監督にトロフィーを手渡した。その他の写真映画祭の審査員はコッポラをはじめ、ジャン=ピエール・ジュネ、アントン・コービン、女優のオルガ・キュリレンコ、河瀬直美が務め、コッポラは「日本映画の偉大な歴史の中で“幽霊譚”の系譜にある鶴岡慧子監督の『過ぐる日のやまねこ』は、寄る辺ない少年と少女の出会いを心震える物語に昇華した」とコメント。鶴岡監督は「映画を一緒につくった皆さん、故郷・長野県上田市の皆さん、映画を観てくれた皆さん、マラケシュ国際映画祭に『過ぐる日のやまねこ』をお招きくださった皆さん、そしてフランシス・F・コッポラ監督に、心から感謝を伝えたいです。ありがとうございました」と感謝のコメントを寄せている。本作は現在、全国で順次公開中で、19日(土)から富山・フォルツァ総曲輪で、年明けから京都シネマで公開になる。『過ぐる日のやまねこ』公開中
2015年12月15日日本アカデミー賞を2度受賞し、これまで100本を超える作品に出演してきた樹木希林が、映画『あん』で日本人女優としては初めてアジア太平洋スクリーンアワードにおいて「女優賞」を獲得。本人から喜びのコメントが到着した。河瀬直美監督の『あん』は、縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)と、求人募集の張り紙を見て「どら春」で働きたいとやってきた老女、徳江(樹木さん)の物語。徳江のつくる粒あんは絶妙な味わいで「どら春」は大繁盛、徳江は店の常連の中学生・ワカナ(内田伽羅)とも親しくなるものの、やがて徳江がハンセン病患者という噂が流れ、彼らの運命は大きく変わっていくことになる。日本でも現在ロングランヒット中で、台湾、韓国でも盛況をおさめ、ヨーロッパやアメリカ大陸でも上映が始まっている本作。これまで、カンヌ国際映画祭「ある視点部門」のオープニング上映を飾ったほか、イタリア・マルタ島のバレッタ映画祭では「最優秀作品賞」「最優秀女優賞」をW受賞、9月にはトロント国際映画祭での北米プレミア上映を果たし、国内でも樹木さんは報知映画賞、TAMA映画賞の「主演女優賞」を獲得している。そして今回は、オーストラリアのブリスベンで開催されていたアジア太平洋スクリーンアワードにおいて、日本人の女優としては初の「女優賞(Best Performance by an Actress)」を受賞。オセアニアから中東を含むアジア全域70か国の作品を対象に、ロシア、イラン、韓国、フィリピンの女優も同賞にノミネートされている中での快挙となった。世界45か国以上での配給が決定している本作。樹木さんの渾身の演技と『あん』に流れる温かなテーマは、まさに国境や人種を超えて絶賛の的となっている。<樹木希林コメント>アジア太平洋スクリーンアワードの「女優賞」をいただけるということで、私72歳になりまして、この歳まで女優をやっていると、疑り深くなりましてね(笑)。まして褒めていただけると、「う~ん、そうかな~」という風になります。ロシア、韓国、フィリピン、イラン、日本。この中で私がということはそれほど差があるわけではないと思いますが、一番の年上ということでこの度(賞を)頂戴させていただきます。どうもありがとうございました。『あん』は全国にてロングラン公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年11月30日韓国で開催中の第20回釜山国際映画祭で、現地時間4日夕、人気イベントである“オープントーク”に『海街diary』の是枝裕和監督と長澤まさみが登場し、観客との交流を楽しんだ。四姉妹の物語である『海街diary』では恋愛に奔放な次女・佳乃を演じた長澤さん。肩を見せたセクシーなドレスで登場すると、「まさみ、きれい!」という日本語の歓声が飛んだ。「『涙そうそう』など青春映画のイメージがずっと強かったのですが、今回は大人の演技を見せてくれましたね」という司会者の言葉に長澤さんは、「私も28歳になったので、自然な流れなんだと思います」と答えた。是枝監督は、長澤さんを次女役に起用したことについて、「長澤さんは太陽のように明るい。陰と陽で言えば、陽。長女は陰で、看護婦であり、死のイメージがありますが、長澤さんにはエロス=生を担ってほしいと話しました」と語った。是枝監督は2年前に同じ海辺のステージで福山雅治ともトークを行っているため、司会者から「『そして父になる』で父親を演じたことがきっかけで、福山さんは結婚を決意したのでは?」という質問が飛び出た。これに是枝監督は「その話しは本人に聞いていないのでわかりません。ゆっくり聞いてみたいです」と答え、「ファンの方にうらまれちゃいますね」と笑った。また、監督は「死ぬ前に何を考えると思いますか?」との質問されると、「やっぱり、もっと映画が撮りたい、と思うんじゃないでしょうか」と映画にかける情熱を語った。釜山国際映画祭は10日まで開催され、このあとも、佐藤健、河瀬直美監督らの釜山入りが予定されている。(photo / text:Ayako Ishizu)■関連作品:海街diary 2015年6月13日より全国にて公開© 2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン小学館東宝ギャガ
2015年10月06日9月に行われる第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)の“サプライズ上映”のプログラム内容が発表になった。その他の写真これまで発表になっていなかった“サプライズ上映”は全3作品。映画祭では特別講座にも登場する周防正行監督と、美術監督の種田陽平が手がけた『変態家族兄貴の嫁さん』を上映。周防監督が1984年に発表した作品で、小津安二郎監督作品にオマージュを捧げた作品として、現在も語り継がれている。さらに映画祭で最新作『唇はどこ?』がプレミア上映される長崎俊一監督が1982年に発表して熱狂的なファンを生んだ伝説の8ミリ作品『闇打つ心臓』も上映。若き日の内藤剛志、室井 滋、諏訪太郎が出演しており、後に35ミリでリメイク版も製作されたが、本映画祭ではオリジナル版が上映される。また、韓国のインディーズ映画で、河瀬直美がプロデューサーを務めた『ひと夏のファンタジア』も上映。監督のチャン・ゴンジェは世界の映画祭で注目を集めている俊英で、上映日には監督も緊急来日することが決定している。“PFF(ぴあフィルムフェスティバル)”は、世界最大級の自主映画コンペ“PFFアワード”をメインプログラムに据えている映画祭。今年も全国から集まった577作品の中から20作品が入選作に決定。全作品が映画祭で上映され、各賞が決定する。また、“サミュエル・フラー~誰もが憧れた奇跡の作家~”や、“映画内映画~映画は映画をつくることをどのように描いてきたか~”などの特集も開催される。第37回PFFぴあフィルムフェスティバル9月12日(土)から24日(木)まで 東京国立近代美術館フィルムセンター10月3日(土)から9日(金)まで 京都シネマ10月31日(土)から11月3日(火・宿)まで 神戸アートビレッジセンター11月12日(木)から15日(日)まで 愛知芸術文化センター2016年4月(予定)福岡市総合図書館で開催
2015年08月31日ゲームキャラクターが地球を侵略する米映画『ピクセル』の公開アフレコが7月9日に、都内で行われ、日本語吹替え版で声優を務める柳沢慎吾と渡辺直美が出席した。柳沢はアダム・サンドラー演じる主人公で、ゲームの元世界チャンピオン役。渡辺は劇中に本人役で登場するテニス選手のセリーナ・ウィリアムズを演じている。その他の画像本作は30年前にNASAが宇宙に発信した“平和のメッセージ”を、宇宙人がなぜか宣戦布告と受け取り、メッセージに含まれていたパックマンやドンキーコング、ギャラガ、スペースインベーダーといったゲームキャラクターに変身し、地球を侵略するパニック映画。クリス・コロンバス監督がメガホンをとり、サマーシーズンの“大穴”として、ハリウッドで脚光を浴びている。柳沢は「朝から収録していて、休憩中もしゃべっちゃうから、扁桃腺がはれて(笑)。おれの口がパックマンだからね」と絶好調だったが、実写映画の吹き替えは初体験で「どうしても演技がオーバーになっちゃっう。抑えた演技は難しいですね。ディレクターさんからも『もっとゆとりをもって演じてください』って言われちゃった」と悪戦苦闘していた。一方、渡辺はテニス選手のユニフォームに身を包み、外見からセリーナになりきり「そういえば今日、ウィンブルドンでシャラポワと準決勝ですよね? もしセリーナが優勝してくれたら、映画のいい宣伝になる」とエールをおくった。また、「柳沢さん、主演ですから、これをきっかけにハリウッド進出、ありますよ!」と持ち上げると、当の柳沢は「もしおれがあっち(ハリウッド)に行ったら、ヤバいよ~。バカにした連中を見返したいね」とご機嫌だった。『ピクセル』9月12日(土)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー取材・文・写真:内田 涼
2015年07月09日エレファントハウス配給の河瀬直美監督作『あん』が、イタリアのシチリア島に位置するマルタ共和国の首都・バレッタで今年から開催されているバレッタ映画祭にて、メインの長編コンペティション部門の最優秀作品賞と、主演の樹木希林が最優秀女優賞のダブル受賞を果たした。本作は、縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)と「どら春」の求人募集の張り紙をみて、そこで働くことを懇願する一人の老女、徳江(樹木さん)の物語。初週77館スタートで、23日目にして興行収入3億円を突破。樹木さんを始め、河瀬監督、永瀬正敏、内田伽羅、原作者のドリアン助川らが出席した今年のカンヌ国際映画祭でも拍手喝采を浴びていた。バレッタ映画祭の審査委員長を務めるのはローランド・ジョフィ。カンヌ国際映画祭で自身の監督作品『ミッション』(’86)がパルム・ドールを受賞している重鎮だ。今回の日本映画のダブル受賞という結果には、現地の映画祭関係者や来場者たちからも大きな反響があったという。本映画祭での受賞結果を受け、現地にメッセージを送った河瀬監督は「この度は、映画『あん』を最優秀作品賞に選んでいただきまして、本当にありがとうございます。主演の樹木希林さんにも成り代わりまして、お礼を申し上げます」と感謝を述べるとともに、受賞の喜びを噛み締めている様子。さらに、「この作品は日本の四季を通して、3世代の異なる人たちが、本当にシンプルですが、心の交流を描いた作品です。徳江さんが最後に残した言葉は、本当に底辺を観た人間が、それでも尚かつその命を前向きに生き抜いたそんな人たちの言葉だと思います。その人たちから受け取ったものを、千太郎やワカナが引き継いで、心に刻み、一歩を踏み出す先に、皆さんの笑顔があることを信じて作りました。国境も越えて、人は人がそこにいるということを認め合うことで何かしら、あたたかな気持ちが生まれるのではないかと思います」と作品に込めた熱い思いを語った。現在、世界40か国以上での配給も決定している本作。映画『あん』が、海を越えて世界を感動で繋いでくれるかもしれない。『あん』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年06月23日「ドラマの影響で、セクシー俳優っていう説明書きが加わったことは自分でも認識しています。僕としては、世間のイメージを楽しんでいる。風が吹いているといっても、芸人さんの一発ギャグと似た感覚かなと思っています。そろそろ賞味期限が近づいているな、て」昨年、不倫を描いたドラマ「昼顔」で日本中の女性をとりこにした俳優・斎藤工は、いまの自分が置かれている状況を謙遜でも自嘲でもなく、あくまでフラットな視点で見つめている。そんな斎藤さんが「自分の名刺代わりになる作品。イメージとは反した“本質”を捉えてもらった気がする」と胸を張るのが、最新主演作『虎影』。遊び心満載のアクション作品で“忍者”を演じたと聞けば、混乱する女性ファンも少なからずいるかもしれない。斎藤さんが演じる主人公・虎影は、かつて「忍びの世界で最強」と名を馳せた伝説的な忍者。6年前に抜け忍となり、愛する家族とともに平穏な暮らしを送っていたが、宝のありかを示す巻物をめぐる陰謀に巻き込まれ、再び刀を抜くことに…。国内外でコアな支持を集め、実写版『進撃の巨人』で特殊造型プロデューサーも務める西村喜廣監督のメガホン作。長年の親交があり、斎藤さんが「オファーを断る理由がない」と全幅の信頼を寄せる存在だ。原作ものが幅を利かせる現在の映画界にあって、完全オリジナルで勝負した本作は「もちろん、バジェット(製作費)も限られていた」(斎藤さん)。それでも「西村監督が、持ち前の好奇心とクリエイティビティを駆使して、しかも忍者というフィルターで世界に勝負をかけるんですから、いち映画ファンとしてもワクワクしますよ」と声を弾ませる。ピュアな瞳の輝きは、紛れもない映画少年!「虎影は西村さん自身の姿だなって思います。監督も父親であり、子どもを育てながら、作品をつくり続けている。例えば、ピンチに立たされた虎影が、『どうしよう~』と絶叫しながら野原を全力疾走する。お客さんにはコミカルに見えるシーンですけど、父親としてはとても実直な行為なんです。何より虎影が放つ“土っぽさ”を、斎藤工という俳優からしっかり見出してくれる。だからこそ西村監督は、常に信頼できる存在です」(斎藤さん)。派手なプロモーションが仕掛けられない代わりに、「もう、主演兼宣伝担当と思ってもらって構いません!」と宣伝にも意欲的に取り組んでいる斎藤さん。「最近ファンになった方に、劇場に足を運んでもらって、西村さんの才能をひとりでも多くの人とシェアしたいんです。『虎影』は公開が終わっても、付き合い続けたい作品。だからこそ、俳優として、宣伝も含めた映画の新しいあり方を模索していきます」と強い覚悟を示す。ともすれば、『虎影』のような強烈な個性を放つオリジナル作品を、単なる「ジャンルムービー」と扱いがちな現在の日本映画。俳優界きってのシネフィルでもある斎藤さんには、どう見えているのだろうか?「決して不遇の時代とは思っていません。西村さんをはじめ、塚本晋也監督、是枝裕和監督、西川美和監督、河瀬直美監督、園子温監督といったエネルギッシュな監督が世界で勝負し、若いクリエーターの指針になっていますから」(斎藤さん)。数本のショートフィルムを手がけ、制作業にも意欲を見せる斎藤さん。「意識しているのは『何をテーマに、誰に届けるか』ということ。いま、海外のとあるニュースをもとに、遺品からその持ち主の人生を描くというプロットを温めています」と次回作の構想を明かしてくれた。常に映画に新たな可能性を見出そうとする姿勢こそが、斎藤さんの“本質”であり、その結晶が『虎影』だ。俳優・斎藤工を深く理解する上で、非常に重要な作品なのだ。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:虎影 2015年6月20日より全国にて公開(C) 2014「虎影」製作委員会
2015年06月17日アジア最大の短編映画の祭典『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2015』が6月15日に最終日を迎え授賞式が開催。イラン映画『キミのモノ』がグランプリを獲得した。その他の写真今年で17回目を迎える同映画祭は6月4日より渋谷、原宿、表参道、二子玉川、横浜などで12日間の日程で開催されてきた。コンペティション部門は作家の冲方丁、俳優で映画監督の奥田瑛二、映画作家の河瀬直美、俳優の要潤、女優の藤原紀香、韓国の人気俳優チョン・ウソンという豪華メンバーが審査員を務め、期間中に上映された85作品(応募総数は4559作品!)の中から、“インターナショナル部門”、“アジア インターナショナル部門”、“ジャパン部門”の優秀作品を選定。その3作品からさらに、グランプリが選ばれた。『キミのモノ』は手に入ることのない物を自分の物だと主張するふたりの少年の姿を描いた作品で、テヘランで映画制作を学んだイラン人監督のレザ・ファヒミ監督にとっては2作目のショートフィルムとなる。“アジア インターナショナル部門”に続き、最優秀賞にあたるグランプリの受賞を知らされたファヒミ監督は満面の笑みを浮かべ「夢を見ているよう。この作品に携わり、協力してくれたみなさん、そして子供たちに感謝したいです。撮影を行った7日間、私たちは子供の視線で世界を見ていました」と喜びと感謝を口にした。なお同作は来年の米アカデミー賞の短編部門のノミネート選考対象となる。審査員6名はいずれも子供の視点で現実を描いた同作を激賞。藤原は子供の所有欲を描きつつ「大人になっても所有や侵略が世界の平和を脅かしている。メッセージをダイレクトに感じました」と語り、海外映画祭常連の河瀬も「世界の縮図に思えて、刺激的で勉強させてもらいました」とうなずいた。“インターナショナル部門”優秀賞はチュニジア出身のロットフィ・アコー監督の『父親』、“ジャパン部門”優秀賞(東京都知事賞)は沖縄出身の岸本司監督の『こころ、おどる-Kerama Blue-』に贈られた。授賞式には音楽をテーマにした“ミュージックShort部門”にGLAYやKABA-BOONも来場。ネット上の投票でネスレアミューズ映画祭のアワードを受賞した園田俊郎監督がネスレ日本の支援を受けて制作した『恋する占女リータ!』もこの場でお披露目され、主演の浅見れいな、大和田健介、IVANらによる舞台あいさつも行われるなど、多彩なゲストに声援が送られた。取材・文・写真:黒豆 直樹
2015年06月17日2011年4月からフジテレビ・ノイタミナ枠にてTVアニメが放送され、「大人も泣けるアニメ」と大反響を呼び、2013年に公開された劇場版は興行収入10億円を突破する記録を打ち立てた大人気アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」。物語の舞台・秩父市に“聖地巡礼”と称してファンが集まるなど社会現象を巻き起こした本作の実写化が決定!スペシャルドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と題して今年中のゴールデン枠での放送が決まった。舞台は秩父。活発なリーダー的存在である宿海仁太(あだ名=じんたん)、笑顔を絶やさない柔和な本間芽衣子(あだ名=めんま)、怜悧な秀才タイプ、松雪集(あだ名=ゆきあつ)、引っ込み思案な安城鳴子(あだ名=あなる)、しっかり者のまとめ役、鶴見知利子(あだ名=つるこ)、無邪気な皆の弟分、久川鉄道(あだ名=ぽっぽ)の6人は大の仲良しグループで、いつもつるんで遊んでいた。グループ名は「超平和バスターズ」。じんたんの考案で、「何でも平和にするグループ」という意味だ。しかし、めんまの事故死により、6人の絆は決裂してしまう…。それから7年後。高校に入学したものの、家に引きこもってしまったじんたんの前に、少し成長しためんまの幽霊が現れた。めんまは、生きているときにかなえられなかった“ある願い”が心残りで現れたというが、どんな願いなのかは思い出せないという。めんまの願いをかなえるため、再び集まった「超平和バスターズ」の6人。あの日を境にバラバラになってしまった「超平和バスターズ」は、失われた笑顔を取り戻すことができるのだろうか。そして“めんま”の願いとは一体何なのか――。日本の夏の原風景的な秩父を背景に、幼なじみの幽霊が現れるというファンタジーでありながら、誰しもが共感できる少年少女たちの友情と恋が描かれる本作。めんまの願いを探すミステリー的要素や、登場人物たちの秘められた思いが絡み合うシーンが物語に深みを与え、一瞬も飽きさせないエンターテインメント作品に仕上がっており、「あの花」の略称で親しまれ、いまだに根強い人気を誇る。そんな大人気作品の実写化には次世代を担う豪華若手キャストが集結。引きこもりで、心に忘れられない傷を持つ主人公“じんたん”を演じるのは、本作がテレビドラマ初主演となる村上虹郎。2014年に公開された河瀬直美監督作品『2つ目の窓』でデビューを飾り、JR東日本のCM「JR SKISKI」では恋にたどたどしい純朴な青年を演じるなど、そのピュアな存在感と芝居が絶賛されている。今回の初ドラマ主演について「これまで出演させていただいた映画と(ドラマ)の違いを知り、そこで主演をやらせていただくことは本当にありがたいことで、真摯にやりたい」喜びのコメント。さらに、大人気作品の実写化について「アニメを100%表現するのは難しいですが、この現場では、僕も含め、それぞれが自分から役に近づくということをしていて、人間がいることで、アニメとは違う味が出せると思います。ファンの方もアニメを知らない方も、気持ちよく見られる作品にしたいな、と思いますのでご期待ください」と意気込みを語った。そして、ヒロインで幽霊の“めんま”を演じるのは浜辺美波。沢口靖子や長澤まさみらを輩出してきた東宝「シンデレラ」オーディションの第7回でニュージェネレーション賞を受賞しデビューして以来、現在放送中のNHK「まれ」や、『エイプリルフールズ』などに出演。愛くるしいキャラクターで大人気のキャラクターを演じるにあたり、「たとえば、なるべく軽やかに見えるように歩いたり走ったりしています。また、“めんま”は憎めないキャラクターなので、“じんたん”を、からかったりするお芝居では、“じんたん”とお話ができることが純粋にうれしい、という表情と口調でからっかたり。そういうことの積み重ねで“めんま”というキャラクターを作っていければ、と思います」と、役作りについて明かした。秀才タイプで地元一番の進学校に通う“ゆきあつ”を演じるのは志尊淳。今回がフジテレビ系ドラマ初出演であるが、「烈車戦隊トッキュウジャー」では主演を、7月からスタートのTBS「表参道高校合唱部!」のレギュラー出演が控えるなど、ネクストブレイク必至の若手俳優のひとりだ。志尊さん演じる眉目秀麗で怜悧な“ゆきあつ”に胸をときめかせる視聴者も続出するだろう。引っ込み思案な少女だったが高校生デビューでギャルとなった“あなる”を演じるのは松井愛莉。「GTO」「地獄先生ぬ~べ~」と立て続けて話題作に出演し、大ヒット中の映画『ビリギャル』では主人公の親友のギャルを熱演。本作でもギャル役だが、どのように演じるのか期待がかかる。しっかり者で、いまは“ゆきあつ”と同じ進学校に通う“つるこ”を演じるのは飯豊まりえ。フジテレビ系「あすなろ三三七拍子」、「信長協奏曲」、日本テレビ系「学校のカイダン」、TBS系「アルジャーノンに花束を」と4クール続けてドラマに出演する実力派。さらに情報番組「めざましテレビ」の「イマドキガール」を務めるなど、お茶の間での人気も高い。最後に、昔は皆の弟分で、今は高校に行かず、世界中を旅している“ぽっぽ”を演じるのは高畑裕太。女優・高畑淳子を母に持つ高畑さんは、「まれ」などに出演中。なお、本作がフジテレビ系ドラマ初出演となる。バラエティー番組では独特のキャラクターが笑いを誘い、多方面での活躍が期待されている。無邪気で明るい“ぽっぽ”は、まさに高畑さんにとってハマリ役となるに違いない。今回の実写化について、アニメでの原作脚本を務めた岡田麿里は「実写作品的な内容を、アニメでしかできない表現で描いてみたい…と考えて生まれたのが『あの花』でした。それが、まさかのドラマ化。感動&動揺しつつも、スタッフの皆さまの手による、ドラマでしかできない表現で描かれた、新しい『あの花』を楽しみにしています!」と期待を寄せた。フレッシュな若手俳優陣を迎えた本作は、既にクランクイン済みで、撮影は全編を通じて、ほぼ秩父ロケを敢行するとのこと。現在、秩父の観光課含め、街全体の応援を受け撮影は快調に進んでいるという。若い人だけでなく、幅広い世代のファンが何度観ても涙してしまうという「あの花」。今年、スペシャルドラマとして実写化される本作でも、思い切り涙し、爽やかな感動を味わってみてほしい。スペシャルドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は全国フジテレビ系にて今年、ゴールデン枠にて放送予定。(text:cinemacafe.net)
2015年06月17日映画『あん』の3夜連続のトークイベントが6月16日(火)に最終日を迎え、河瀬直美監督と、監督と親交の深いシンガポール出身の写真家レスリー・キーが登壇。作品およびアーティスト論について熱く語り合った。ドリアン助川の小説を映画化した本作。街のどら焼き屋を舞台に、あん作りの名人だが、かつてハンセン病を患ったことで偏見にさらされる老女・徳江、雇われ店長の千太郎、女子中学生のワカナらの交流を通じて生きる意味や命について問いかける。全国77館という小規模公開ながらも連日、立ち見が続出し、ぴあ映画満足度でもNo.1を獲得するなど好調な興行を維持してきた本作。すでに観客動員数は20万人を突破した。6月15日(日)より3夜連続のトークイベントが河瀬監督によって企画され、一夜目は斎藤工、2夜目は浅野忠信、そしてこの日は、本作のカンヌ国際映画祭への出品にも同行したレスリーが来場した。河瀬監督はまず、映画を見終えたばかりの観客に対して「徳江さんが最後に遺したメッセージに尽きます。『見なければ何もない(=見ようとしなければ、存在しないことになってしまう)』というシンプルな哲学です。夢や希望もあった方がいいけど、“何か”になれなかったとしても大丈夫、私たちが見る世界はこんなに素晴らしいと言ってる」と作品に込めた思いを語りかける。この日の客席には、レスリーと河瀬監督がかつて通った「ビジュアルアーツ専門学校」(旧大阪写真専門学校)のアーティスト志望の若者たちの姿も多く見られたが河瀬監督は、カンヌのレッドカーペットで「ヨウジヤマモト」のドレスを着用したが、彼がクリエイターを目指す人に対して語った「この服を作るために死ねますか?」という言葉に言及。「ハサミひとつと命を引き替えにする情熱を持って作っているかということだと思う」と語り、さらにレスリーが監督に送ったという「直美のためなら死ねる」というメッセージを紹介。レスリーは「最愛のモノに出合って、そのくらい思えたら生きる意味がある」とそのメッセージの意味を説明し、河瀬監督も「私自身、正直なところ、それくらいの気持ちで向き合ってる。映画撮るために命を懸けてるし、『自分よりもここにあるもの(=作品)の方が大事』とスタッフに言える。それくらいのものに出会えるって幸せだと思います」と持論を口にした。だが、現代社会では「そうした気持ちが薄くなっている。別のモノでも大丈夫、という人が多い」とも。かつて映画祭で一緒に審査員を務めたスピルバーグが口にした「ハングリー」という言葉に触れ「スピルバーグでさえ、富と名声を掴んだあの人でさえいまでもそう言っている」と常に何かを追い求める情熱の重要性を熱く説いた。レスリーはローティーンの頃にシンガポールで松任谷由実の曲を聴いて感動し、10年間お金を貯めて来日し、写真学校に通った。自身、小さい頃の写真を持っておらず「妹の写真を撮りたかった。妹を子供時代の写真のない大人にさせたくなかった」と写真という道を選んだ理由を明かす。河瀬監督はこのレスリーのモチベーションに深くうなずく「私は、“瞬間”を失いたくなくて、映像という“動く画”を選んだ。当時、現像に出して上がってきた映像を見て、それを撮っていた時の自分がよみがえって『タイムマシンだ』と思った。記憶はそれぞれの人の中でバラバラだけど、写真や映像は記録なので変わらない。でもその記録が記憶と結びつく瞬間があるんです。この映画を見て、徳江を母と思う人もいればおばあちゃんと重ねる人もいるし、千太郎を自分だと思う人もいる。記憶と記録が結びつくことが原点。どうしても残したいという思いがあるから、絵画や壁画、映画がある。そこには人の『心』が必ずある。何が重要って『心』です!」と自らの創作の姿勢と重ね合わせつつ語り、客席は2人の言葉に静かに耳を傾けていた。『あん』は公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年06月17日浅野忠信が6月15日(月)、映画『あん』のヒット御礼イベントに出席。サプライズで本作の出演者である永瀬正敏が駆けつけると「先日メールをくれたばかりなのに…」と恐縮しきり。一方、永瀬さんは浅野さんの丸刈り頭をナデナデし、してやったりの笑顔を見せた。樹木希林演じるハンセン病に人生を翻弄された老女・徳江の魂の旅路を描く本作。犯罪歴をもつ千太郎(永瀬さん)が雇われ店長を務めるどら焼き店は、徳江がつくる粒あんのおいしさが評判になるが、かつて徳江がハンセン病を患ったという噂が客足を遠のかせ、千太郎は徳江を辞めさせなければならなくなる…。「(本作に)出ていないのに、ずうずうしく来てしまって…」と照れ笑いを浮かべる浅野さん。10代の頃、永瀬さん主演の『ミステリー・トレイン』(ジム・ジャームッシュ監督)を見て「強烈にあこがれていた。日本の俳優でも、こんなカッコイイ海外作品に出れるんだと思った」と言い、“海外進出の先輩”に対する変わらぬ敬意を示した。また、永瀬さんが相米慎二監督の『ションベン・ライダー』(1983)で映画デビューを飾り、浅野さんは同監督の遺作となった『風花』(2001)に出演した“縁”があり、「とんでもないオヤジだったけど、今も悩んだときは相米監督の作品を見る」(永瀬さん)、「強烈な何かを植え付けられた」(浅野さん)と思いをはせた。東京・シネスイッチ銀座で行われたイベントには、メガホンをとる河瀬直美監督も出席。本作がオープニングを飾った第68回カンヌ映画祭ある視点部門で、浅野さんが出演した『岸辺の旅』(黒沢清監督)が監督賞を受賞しており、河瀬監督は「おめでとうございます。自分のことのように嬉しかった」と祝福していた。また、『ELECTRIC DRAGON 80000V』(2001公開)以来となる永瀬さん&浅野さんの“再共演”に期待が寄せられると、「浅野くんがよければ」(河瀬監督)、「今日はそのために来たんですよ!」(浅野さん)と意欲満々。永瀬さんも「浅野、今日は来てくれてありがとう」と感謝を表した。『あん』は現在公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年06月16日「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2015」が6月15日(月)に最終日を迎え、アワードセレモニーが開催。イラン映画『キミのモノ』がグランプリに輝いた。今年で17回目を迎える映画祭は12日間の日程で開催され、コンペティション部門だけで85作品が上映されたほか、各種イベントも行われるなど、アジア最大の短編映画祭にふさわしく大きな盛り上がりを見せた。ちなみに、コンペ部門の審査員を務めたのは、作家の冲方丁、俳優で映画監督の奥田瑛二、海外映画祭の常連監督である河瀬直美、俳優の要潤、人気韓国人俳優のチョン・ウソン、そして女優の藤原紀香と超豪華な顔ぶれ。中でもつい最近、歌舞伎役者の片岡愛之助との熱愛が報じられた藤原さん目当ての報道陣も数多く会場に詰めかけたが、藤原さんはチャイナドレス風の真っ赤なドレスでスリットから素足をのぞかせながら笑顔でレッドカーペットを歩いた。このほか、楽曲を元に製作される「ミュージックShort」部門に楽曲「疾走れ!ミライ」を提供した「GLAY」や「生きていく」を提供し、俳優業にも挑戦した「KANA-BOON」なども来場し、大きな盛り上がりを見せた。85作品の中から「インターナショナル部門」、「アジア インターナショナル部門」、「ジャパン部門」の3部門の優秀賞が選定され、その中からさらにグランプリが決定するが、子供の視点で物語を紡いだ、イラン人レザ・ファヒミ監督の手による『キミのモノ』が「アジア インターナショナル部門」優秀賞に続き、グランプリを獲得!ファヒミ監督は「夢を見ているよう。撮影を行った7日間は子供の視点で世界を見ていました」と喜びを口にした。審査員の中でも藤原さんは、子供たちがあらゆるものを“自分の物”であると主張するさまを描いた同作に触れ「子供の世界を描いていますが、大人になっても所有や侵略により、世界の平和が脅かされている。メッセージがダイレクトに伝わってきました」と称賛。他の審査員からも、現実や大人の世界を感じさせつつ、子供の視点で世界を描いた本作への絶賛の声が寄せられた。グランプリ受賞はならなかったものの、「インターナショナル部門」優秀賞はチュニジア出身のロットフィ・アコー監督の『父親』、「ジャパン部門」優秀賞(東京都知事賞)は沖縄出身の岸本司監督の『こころ、おどる-Kerama Blue-』が受賞した。映画祭の創設者であり代表を務める別所哲也はあと3年で迎える記念すべき20回に向け、さらなる飛躍を誓い、盛況の中で映画祭は閉幕した。(text:cinemacafe.net)
2015年06月15日映画『あん』のヒットを記念し6月14日(日)、都内劇場で河瀬直美監督とゲストの斎藤工のトークベントが開催された。河瀬監督と親交の深いドリアン助川の小説を映画化した本作。千太郎が雇われ店長を務めるどら焼き屋にバイト募集を見てやってきた老女・徳江はあん作りの名人で、彼女の腕で店は繁盛をするが、実は彼女がかつて、ハンセン病を患っていたことがうわさとなり…。斎藤さんと河瀬さんはこの日が「はじめまして」。河瀬監督たっての希望で芸能界きっての映画通であり、監督としての顔も持つ斎藤さんとのトークセッションが実現した。控室では斎藤さんが「僕の一発芸になってる(笑)」という壁ドンを河瀬監督相手にやったそうで、しかも斎藤さんによると「僕が照れてしまい、ピクリとも心を動かせず、逆に壁ドンをしていただいた(苦笑)!」とか。登場時も、河瀬監督はまるで結婚式のように仲良く腕を組んで、斎藤さんにエスコートされて壇上に上がり、集まった女性ファンを前に「ごめんなさい」と謝罪し「ごちそうさまでした」と満足そうに語り、笑いを誘っていた。斎藤さんは『萌の朱雀』以来、河瀬監督の作品を見続けているそう。「いま、僕はTVの仕事が多くて、どうしても説明的な作業になってしまうんですが、河瀬さんの作品は説明じゃなく、演技でもなく、そこに存在しており、ドキュメンタリーがライバルのようにさえ見える」と語り、どうやってあの現場を作っているのかと興味津々で質問!河瀬監督は「他人の現場はわからないけど『よーいスタート』から『カット』までの間にここからここに来て、これを言って…というのでは決まり事が多い。私は360度、誰が何をしてもいいようにまず“場”をセッティングして、どこをカメラが抜いてもスタッフも映らないし、照明もケーブルも見えないようにする」と場づくりを説明。「テストもしない。役者さんがどこに立っても、だいたいスタッフがそれを受け止めて作っていく」と明かした。前作『2つ目の窓』では村上淳と村上虹郎の親子が劇中でも親子役で共演。今回、樹木希林とその孫で、本木雅弘の娘でもある内田伽羅が共演しているが、本作での2人の起用について「ドリアンさんが、徳江さんは樹木さんしかいないと。樹木さんを思い浮かべて(小説を)書いていたそうです。(内田さんが演じた)ワカナはちょっと普通の中学生ではない役ですが、伽羅ちゃんは最初のどら焼きのかじりつき方が普通の14歳じゃなかった」と述懐。その上で、ワカナはシングルマザーの娘役であるということで、内田さんを撮影の期間中、団地に一人で生活させていたと明かす。「(母親役の)水野美紀さんには、最初の2日だけ一緒に寝泊まりしてもらい、最初に母親の存在を体験させておいて、それから母親が帰ってこない状態にした。それが演出といえば演出」と語り、斎藤さんを驚かせていた。また、河瀬監督は演技指導についても「リアリティを追求して『自由にやってください』じゃ舵取りがなくなってしまう。行先は船長(=監督)が決めないといけない。どの道を通ってもいいし、道に迷ってもいいけど、迷うからには出口が必要」と持論を展開。その上で、決して直接的な指示の言葉を掛けることはないとし、今回の樹木さんへの演出を例に「樹木さんに『この店に来るのがこれが最後の日だったらどうですか?』と言って、もう1回やってもらうと、エプロンのたたみ方が変わるんです。日本の俳優さんはそれができる人たちなんですけど、それをやらせてもらえない。そういう時間のかけ方をさせてもらえないんだと思う」と語る。斎藤さんも「僕もそういう経験はさせてもらったことはないです」と羨望の表情を浮かべて深くうなずいていた。司会者から今後、斎藤さんを起用するを問われると、斎藤さんの方が「僕を前にそれを聞きますか?」と困惑。河瀬監督は会場の女性ファンに「工くんの魅力って何?甘いマスクもあるけど、言ってることやしていることもいいの?」と質問し、斎藤さんに演じさせるべき役柄を「考えます」と語りファンを喜ばせる。改めてその印象を問われ「目が合って『かわいい』と思いました。壁ドンしててもかわいいなぁ、飼っておきたいなと思った」と語り、会場は笑いに包まれた。『あん』は公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年06月15日今月、13日(土)からは『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』、そして20日(土)からは『ターナー、光に愛を求めて』と、立て続けに2人の天才画家の生涯を描いた作品が公開される。前者は、本年が没後120年となるフランス印象主義の立ち上げ人物の一人で、人や物をモチーフに絵を描く女性画家ベルト・モリゾが、巨匠マネとの出会いにより絵画を学び、成長していく物語。一方、後者は生誕240年となる現在も絶大な人気を誇る、英国史上最高の風景画家J・M・W・ターナーの謎に包まれた人となりを、『ハリー・ポッター』シリーズのティモシー・スポールが主演を務め、美しい映像で映画化した。ターナーからモリゾへ。光の伝道18世紀に流行した、地域の特徴や名所などを描く地誌的水彩画から出発したターナーは、光の表現を追究して油彩、水彩、素描を問わず、多くの風景画を描いた画家として知られている。賛否両論を受けつつも、新たな絵画表現を探求し続け、100年先に誕生する“印象派”を予兆する絵画を世に送り出すことになった。鮮やかな色彩と生き生きとした筆遣いによって、自然の“光”をカンヴァスに焼き付けたターナーは“光の画家”と呼ばれ、後にモリゾをはじめとする印象派の画家たちにも多大な影響を与えた。天才画家の孤独と理解者また、モリゾがパリに生きた19世紀は、まだ女性たちが本格的に学んだり、職に就いたりすることは困難な時代だった。画家になるための登竜門であった国立美術学校は、女性に門戸を閉ざしていたものの、モリゾはこの時代に才能を開花させる。ルーヴル美術館で姉と摸写をしている際、画家マネと出会った彼女は、彼に導かれてモデルとして、そして女性画家としてたくましく成長してくことになるのだ。対して、ターナーは精神を病んで亡くなった母の影響で、人付き合いに不器用で極端な秘密主義者だった。ただ、ひたすらに絵を描くことに情熱を捧げていた彼の最大の理解者は、父親。彼に読み書きを教え、画家としての才能を支えたことによって、労働者階級でありながら、史上最年少でロイヤル・アカデミーの正会員になるなど、イギリスが誇る天才画家としての名声を得ていった。眠っていた天才画家に息を吹き込んだのは2人の名匠女性画家ベルト・モリゾの半生に息を吹き込んだのは、フランスのカロリーヌ・シャンプティエ監督。彼女は長編監督としては本作が初となるが、過去に撮影監督としてゴダール、ドワイヨン、ジャコー、カラックスなどの作品に携わり、諏訪敦彦監督や河瀬直美監督作品でも撮影監督を、そして第22回東京国際映画祭でも審査員を務め、日本にも縁が深い。そして、謎に満ちたターナーの人生を描いたのはイギリス人監督マイク・リー。カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭の常連で最高賞「パルム・ドール」「金獅子賞」を受賞した巨匠であり、家族や愛をテーマに即興演出で役者たちの生の演技を引き出し、本作でもカンヌ国際映画祭「男優賞」「芸術貢献賞」を受賞。本年度アカデミー賞では「撮影賞」など4部門にノミネートされた。ひと時代前のターナーの描く絵の中の“光”に、心を奪われていたというモリゾ。それぞれの時代に名画を描き、後世に名を残した2人は、女性と男性、絵のモデルに引っ張りだこだった絶世の美女となりふり構わず絵に集中する自由な個性派、多くの家族を描いた作品と物言わぬ自然を独り描いた作品と、一見正反対の画家のよう。だが、実は相通じる部分があったことを、この2本の映画が教えてくれるはずだ。『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』は6月13日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。『ターナー、光に愛を求めて』は6月20日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密 2015年6月13日よりYEBISU GARDEN CINEMAにて公開(C) K’ien Productions - 2012
2015年06月11日河瀬直美監督の映画『あん』で主演を務めた樹木希林さんは、ごく自然体で演技と向き合っているような印象を受ける。今回は、いつも人前に立たねばならない芸能という仕事について、樹木さんに詳しく聞いてみた。***――『あん』では、お孫さんの内田伽羅(きゃら)さんと共演されています。樹木さんは、若い俳優さんの演技にも厳しいと言われていますが、伽羅さんに対しては何かおっしゃったりされましたか。自分のことで精一杯だったから、人の芝居まで考えていられなかったのよ。若い人に厳しく言ってたのは、40代の頃まで。事務所が売り出そうとしている“化粧と挨拶が第一”みたいな人ばっかりだと、そりゃあ文句も言うわよ。第一、当時は若い人に限らず、上から下までなぎ倒してたからね。でも、いまはもうそんなエネルギーがなくなっちゃった。ある意味、それは体力がなくなった賜物ね。――伽羅さんの出演は、樹木さんからの提案だったそうですね。実年齢と同じ14歳の役で、私の14歳の頃も演じることになっていたから、じゃあ血縁者のほうがいいんじゃないっていう軽い気持ちだったのよ。でもそのせいで過酷な思いをさせちゃった。河瀬さんからの要望で、撮影の間ずっとアパートでひとり暮らしをさせられたのよ。孤独だったと思うけれど、こちらがオーディションに応募したんだから文句言えないし、私は現場で接触しないように言われていたから話も聞いてあげられなくて。ただ試写を観たら、あの年にして周りから突き放された孤独感が出ていて、貴重な経験をさせてもらえたことに感謝しましたね。――樹木さんは、いわゆる芸能界的なものがお好きじゃない印象だったので、お孫さんを芸能界に誘われたというのが意外でした。好きじゃないっていうのとは違うのよ。魑魅魍魎の面白さは好きなんだけれど、その渦の中に混ざってしまうと情けないなって思うのね。今回は、河瀬さんという監督だったというのが大きいわね。あの人は、非常に真っ当なものの考え方をする人で、損得で豹変したりしないの。ブレない憎らしさもあるけれど、人間としては信用できるのね。それに、このまま彼女が女優を続けるとは思わないし。――では、もし、女優になりたいって言われたら?それはそれ。もともと遺伝子がそういうものだから、仕方ないわよね。芸能人であるがゆえの得も、芸能の家に生まれた面白さもあるけれど、損もあるわけじゃない。その意味合いを承知してるんならば、反対はしないわよ。――確かに、芸能人はプライベートまで公にされる損があります。ただ樹木さんはそれを隠そうするどころか、自ら話すわけですから、肝が据わっていらっしゃるなと。昔は(プライベートを報道されることを)損だと思っていたのよ。でも、そのことによって自分を客観的に見られるから、損じゃないのよ。人の目に立つところに出れば、裏側も見られるのは当たり前のこと。人前に出るっていうことには責任もあるし、そんな生易しいもんじゃないと思うのよ。――全身癌を公表されていらっしゃいます。こんなことを伺っていいのかわからないですが…。いいのよ。何でも聞いて。――死を意識される状況になって、残りの人生をこう過ごしたい、と思われることはありますか。差し当たってはないわね。いま、マネージャーはいないし、車も自分で運転している。私が役者をやめても迷惑を被る人がいないから、自由に考えているのよね。人が生きるのに必要な方丈(1丈=約3m四方の部屋)があって、そこから椿が落ちたり桜が咲いたりするのが見られる庭も作ってあって、それでもう十分。――そういえば、お宅拝見が趣味だそうですね。この家も…。お宅というより物件が好きなの。ここのインテリアは全部寄せ集めで、テーブルは平幹二朗さんからのもらい物。粗大ごみから拾ってきたものを、オイルステインを塗って使っていたりもするんだから。――オイルステインなんて言葉をここで聞くとは思いませんでした。自分のことはね、自分でやるのよぉ~。とくに役者はそうじゃないと。だって、普段から付き人がついて運転手が現場まで送ってくれて、ヘアメイクやスタイリストが付いているのが当たり前って…それで本当に生きた人間を演じられるの?って、私は思うのよ。◇きき・きりん文学座を経て、ドラマ『寺内貫太郎一家』で演じた老婆役が話題に。’86年のNHK連続テレビ小説『はね駒』でヒロインの母を演じ、芸術選奨文部大臣賞。以降、数々のドラマや映画で高い評価を受ける。映画『駆込み女と駆出し男』『海街diary』など、出演作の公開が相次ぐ。※『anan』2015年6月10日号より。写真・中島慶子取材、文・望月リサ
2015年06月08日「ぴあ」調査による2015年5月29日、30日のぴあ映画初日満足度ランキングは、河瀬直美監督、樹木希林主演のヒューマンドラマ『あん』がトップに輝いた。2位にダライ・ラマに迫ったドキュメンタリー映画『ダライ・ラマ14世』が、3位に人気コミックを綾野剛主演で実写化した園子温監督の新作『新宿スワン』が入った。その他の写真1位の『あん』は、ドリアン助川の同名小説を原作に、どら焼き屋で働きはじめた老女と、周りの人々の心の通い合いを繊細に描いた人間ドラマ。観客からは「淡々と日々の生活を描いた作品だったが“生きている”とはどういう事か、ハートに響く」「台詞や説明が少ないのに、伝えたいことが伝わってきた。メッセージ性は強いが説教くさくなくていい」「特別なことをしなくても、そのままでいいんだよ、と伝えているような作品」などのコメントが寄せられた。中でも樹木希林については「樹木さんの素晴らしい演技に涙が出た。ハンセン病についての歴史も知ることができてよかった」「樹木さんの演技が素晴らしい。終盤での彼女の姿は痛ましいほど真に迫っていて、胸を突かれた」など絶賛する声が相次いだ。2位の『ダライ・ラマ14世』は、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ法王14世に焦点を当てた記録映画。出口調査では「凄い人なんだなと改めて感じ、“存在”が素晴らしいと思った」「いろいろな問題があるけれど、結局は自分自身で考えて答えを出すしかないんだなと、改めて気付かされた」「ダライ・ラマのなんとも言えず和やかな姿、その人物像が印象的だった」「“心”というものを上手くつたえている映画。本当に大切なものは何か?考えさせられた」などの感想が寄せられた。(本ランキングは、5月29日(金)、30日(土)に公開された新作映画13本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)(C)2015 映画『あん』製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/MAM/ZDF-ARTE
2015年06月01日第68回カンヌ映画祭ある視点部門のオープニングを飾った河瀬直美監督の『あん』が5月30日(土)に封切られ、東京・シネスイッチ銀座で河瀬監督をはじめ、樹木希林、永瀬正敏、浅田美代子、河瀬直美監督、原作者のドリアン助川が初日舞台挨拶に立った。ハンセン病に人生を翻弄された老女・徳江(樹木さん)の魂の旅路を描く本作。犯罪歴をもつ千太郎(永瀬さん)が雇われ店長を務めるどら焼き店は、徳江がつくる粒あんのおいしさが評判になるが、かつて徳江がハンセン病を患ったという噂が客足を遠のかせ、千太郎は徳江を辞めさせなければならなくなる…。この日は河瀬監督の46回目の誕生日ということで、映画にちなんだどら焼きケーキが用意されたほか、秦基博が急きょ駆け付けて主題歌「水彩の月」を披露し、お祝い。すると、樹木さんは「あの…、マイク交換してもらっていいですか?」と秦さんにお願い。その理由は「だって、お口がマイクについていたでしょ?」とおちゃめな素顔を披露していた。一方、誕生日を迎えた河瀬監督は、「歌にケーキに、まるで盆と正月が一緒に来たみたい。(樹木さん演じる)徳江さんを見ていると、年齢を重ねるのも嬉しいことだと思える。胸がいっぱいです」に感無量。そして「この映画はフィクションですが、ここに刻んだ人物と風景は現実に存在している」と本作に魂を吹き込んだキャスト陣に敬意を表した。カンヌの旋風に続き、すでに世界28地域、30か国以上での配給も決定済み。この日はドリアンさんから「アメリカでの公開が決定しました!」と嬉しい報告もあった。『あん』は公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年05月30日藤山直美が主演する舞台『おもろい女』が5月29日、東京・THEATRE1010にて開幕する。実在した天才漫才師ミス・ワカナの波乱に満ちた36年の生涯を、ドラマチックに描き出す物語。これまで森光子主演で長く人気を博していた舞台だ。ミス・ワカナとコンビを組んだ玉松一郎は、渡辺いっけいが演じる。初日を前にした28日、同劇場にて藤山と渡辺が心境を語った。舞台『おもろい女』チケット情報まくしたてるワカナのしゃべりに、アコーディオンを抱えた一郎がボーっとした絶妙の間合いで合いの手を入れるというスタイルで、昭和初期にエンタツ・アチャコと並び一世を風靡した夫婦漫才師。戦争・敗戦と移りゆく社会情勢の中、ワカナと一郎は結婚・別離を経てなお二人三脚で漫才師として頂点を極めていく…。藤山と渡辺は息のあった漫才シーンもさることながら、ふたりの日常を描く会話のテンポ感に味があり、面白い。さらに昭和の人情の温かさや、漫才に愛情を注ぎ、軽視されていたこの芸事を一流のエンターテインメントとして認められるようにと奮闘する人々の姿が胸を打つ。笑いと涙が絶妙にブレンドされたお芝居だ。この作品、もとは1965年に森光子と藤山寛美がワカナと一郎を演じたテレビドラマ。藤山は父が主演したこのドラマに子役として出演していた。実に50年ぶりの『おもろい女』への出演となるが、当時のことは「ほとんど覚えていない」と藤山。ただその後、森光子主演で上演されていた舞台は観ていたそうで、「面白かったですし、森さんしか出来ないミス・ワカナというものがちゃんとありましたから、自分がやることになるとは夢にも思っていませんでした。話が来た時には『どうしよう』とうなだれました」と話す。ただし「森さんと同じ役をやると考えたら、今この場に立っていない。同じレベルのものをやろうとは思っていない、ひとつの作品としていっけいさんと巡り合い、皆さんと巡り合い、(今回)させてもらう」と、自分たちならではの『おもろい女』を作ることを決意しているよう。渡辺もまた「(藤山の)お父様が演じた役ですね」と記者に話題を振られると「そのことに関しては考えも出来ないくらい。それを考えていたら多分断っていた。そうではなく、直美さんとだからやってみたいと思った」と話す。真摯な姿勢でも息の合ったところを見せた新生“ワカナと一郎”だが、実はこれが初共演。お互いの印象は「大げさな言い方ですが、お芝居に生きてはる人」(渡辺)、「こんな真面目な人いてるんかなと思うくらい真面目な方で、お芝居に対して前向き」(藤山)とのこと。そんな人柄や温もりも伝わってくる漫才コンビの珠玉の芸が、客席に大きな笑いと感動の涙を届けるに違いない。公演は6月2日(火)まで同劇場にて。その後6月5日(金)から30日(火)まで、東京・シアタークリエにて上演される。チケットは発売中。
2015年05月29日第68回カンヌ映画祭「ある視点部門」のオープニング作品として出品された河瀬直美監督の『あん』。今回の「おいしい映画」は、作品の舞台である「どら焼き屋」と、そこに集まる人々の隠れた心の奥の声、「生きること」の意味を問いかけた本作をご紹介したいと思います。雇われ店長として、どら焼き屋「どら春」で単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)。彼の前に求人募集の張り紙を見て一人の老女、徳江(樹木希林)がやってくる。やがて徳江に粒あん作りを任せると、その美味しさに店はみるみるうちに大繁盛。いつも1人で店に訪れる常連の中学生・ワカナ(内田伽羅)も徳江と親しくなるが、やがて徳江がハンセン病患者であるという噂が流れ、彼らの運命は大きく変わっていく…。あん作りの最中、小豆をじっと見つめている徳江さんに、千太郎が「そんなに顔を近づけて、小豆の何を見ているんですか?」と訊ねると、徳江さんがある言葉を発します。このセリフがこの作品の本質のように私は思いました。「食べてくれる“お客様”へ」ではなく、それよりもまず先に「原料である素材本来の素の姿」に感謝と敬意を払うこと。映画『あん』は全編を通して、「本質を見る」、「声を聴く」ことを訴えているように思います。何が本当に大切なのか。私たちが本当に見るべきものはなんなのか。千太郎が心に隠した思いや、ワカナが小さな胸に抱える寂しさと孤独。そして、ハンセン病によって自分ではどうすることもできず、時代に、世間に、人生を奪われてしまった徳江の思い。どら焼きの生地に挟まれて、表からは隠れて見えないあんは、誰もが傷ついた心をどうにか支えながら、それでも日々を生きている“私達”なのかもしれない、と思わずにはいられません。私達は、人に物に、人生に、ちゃんと耳を傾けているのだろうか。『あん』は私達に静かにそっとそう問いかけてくる、そんな映画。『あん』を観終わったら、ゆっくりと、じっくりと、どら焼きを味わってみましょう。そこには「あなた」の、そして「誰か」の人生の味がするかもしれません。(Umi)
2015年05月28日5月30日公開の映画『あん』のプレミアム試写会が26日、東京・元赤坂の明治記念館で行われ、樹木希林、永瀬正敏、河瀬直美監督、原作のドリアン助川が出席した。ドリアン助川の同名小説を世界が認める河瀬直美監督が映画化。小さなどら焼き屋の求人に応募したハンセン病を経験したことのある一人の老女を主人公に、生きることの意味を描く。この日は特別来賓として高円宮妃殿下がご出席したほか、安倍晋三首相夫人の安倍昭恵さんらも参加した中、主演の樹木は「平成になってやっとハンセン病が世に受け入れられるようになりましたが、それよりもずっと前の昭和23年に高松宮宣仁親王はマスクもせず防御服も持たないで多磨全生園にいらしてハンセン病の方と握手をしている記録があります。国よりも先にそういうものを開いて下さったことに感謝して今日はこの場に立っております」とあいさつ。原作者の助川は「この物語を書きだしたのが7、8年前で12回書き直し、期待していた大手出版社から切られてしまいました。お話を聞いたハンセン病の患者の皆さんの期待を裏切ることになると酒に潰れたこともありましたが、日本を代表する俳優さんや監督さんによって素晴らしい映画となって誕生しました。本当に幸せに思っています」と感慨深げだった。本作は先の第68回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門のオープニングフィルムとして正式出品され、世界の映画人から大喝采を浴びた。4人はカンヌから帰国したばかりで、同映画祭の感想として樹木が「最後に終わってタイトル(エンドロール)が出たら逃げたいと思ってました。そしたら先に拍手が始まり、素敵な洋服を着てバレリーナみたいな河瀬さんが私の手を差し伸べてきてから『勘弁して』と思いました。それぐらい恥ずかしかったです」とコメント。また、ドリアン助川が「映画が終わったら1,000人ぐらいの方が形式的な拍手ではなく、心のこもった拍手をされていました。あのスタンディングオベーションの渦中にいれて幸せでしたし、確実に弾みが付いていると思いますよ」と話すと、河瀬監督が「一気に弾んでいきましょう!」と日本でのヒットに期待を込めた。映画『あん』は、5月30日より全国公開。
2015年05月27日元ハンセン病患者の姿を描いた『あん』のプレミアム試写会が5月26日(火)に開催され、河瀬直美監督をはじめ、主演の樹木希林、永瀬正敏、原作者のドリアン助川が舞台挨拶に出席。来賓として高円宮妃殿下がご来場され、安倍首相夫人の昭惠氏も姿を見せた。千太郎が雇われ店長を務めるどら焼き屋の求人にあん作りの名人である老女・徳江が応募してくる。彼女のあんが評判を呼び店は繁盛するが、彼女がかつてハンセン病を患っていたという噂が広まり客足が途絶えはじめ…。樹木さんは、平成の世になってようやく元ハンセン病患者に対する差別撤廃に国が動き出したが、それよりはるか前に、大正天皇の皇后である貞明皇后がハンセン病患者の施設を訪れ、患者と触れ合いの時間を持ったという事実に触れ「国よりも先に啓いてくださった、そのことに感謝してここに立っております」と語り、この日、高円宮妃殿下が来賓として来場されたこととあわせて、皇室のハンセン病に対する関わりに深い感謝の思いを口にした。原作者のドリアンさんは「この小説を書こうと思ったのは20年くらい前で、書き始めたのは7~8年前。12回書き直しました。期待していた大手出版社には断れ、話を伺った元患者の方々との『本にする』という約束を裏切ることになるんじゃないかと思ったこともありました。こうして日本を代表する俳優さん方と監督の手で映画になり、世界の人に見ていただけました」と喜びを語った。先日、閉幕したカンヌ国際映画祭では本作がオープニングを飾ったが、永瀬さんは「世界中に映画に関わるいいろんな友人がいますが『おめでとう』と連絡がありすごく嬉しかったし、本当にすごいことなんだと感じました」と振り返る。樹木さんは「上映が終わったら、明るくなる前に逃げようと思った」と語り、その後のスタンディングオベーションの中、河瀬監督に手を差し伸べられたことについても「恥ずかしかったです」と語る。ドリアンさんはその時の様子について「千人以上の人が形式上ではなく、心から拍手を送ってくれました」と世界に本作が届いたことを実感したよう。改めてこの日の上映を前に「ハンセン病の元患者の人生を描いていますが、ハンセン病そのものを描いているわけではありません。人はなぜ生まれたのか?人生を全うするとはどういうことか?どうしても目標を持って頑張るということになりがちですが、それでかえって見えなくなるものがあるのではないか?生まれてきただけで既に与えられているのではないか?という人生の普遍的なテーマに向かった作品です」と語り、温かい拍手に包まれた。『あん』は5月30日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月26日今年で17回目となる、米国アカデミー賞公認、日本発・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」(以下「SSFF&ASIA」)。6月4日(木)の開催に向けて、「オフィシャルコンペティショ」と地球環境問題をテーマにした「地球を救え!部門」の審査員が決定した。インターナショナル部門、アジア インターナショナル部門、ジャパン部門の3部門からなる「オフィシャルコンペティション」では、世界中から応募されたショートフィルムの中から、メッセージ性、エンターテイメント性の優れた選りすぐりの約100作品を上映。部門ごとに1作品を優秀賞として選定し、さらに各部門で優秀賞を受賞した3作品の中から出されるグランプリ作品は、第88回(2016年)の米国アカデミー賞短編部門ノミネート選考対象作品となる。優秀賞とグランプリ作品を選出する審査員は全部で6名。「天地明察」で第7回本屋大賞などを受賞、直木賞にもノミネートされ岡田准一を主演に映画化もされた作家の冲方丁。俳優や映画監督として活躍する傍ら、画家としても個展を開く奥田瑛二。現在、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」に出演中の俳優・要潤。最新作『あん』が開催中のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング作品として上映された映画作家の河瀬直美。そして、『私の頭の中の消しゴム』や『愛のタリオ』など役者としても数多くの作品に出演し、最近ではプロデューサー業へと活躍の幅を広げているチョン・ウソン。さらに、俳優、声優、司会業のほか、京都国立博物館文化大使、赤十字広報特使を長年務めるなど、幅広い分野で活躍中の女優・藤原紀香。優秀賞、グランプリの発表は、6月15日(月)に渋谷ヒカリエ ヒカリエホールAにて開催されるアワードセレモニーにて行われる予定だ。そして、地球環境に関する様々なテーマの作品を、7か国11作品上映する「地球を救え!部門」の審査員を務めるのは、2009年『8ミリメートル』にて「SSFF&ASIA 2010」ミュージックShort部門にてPV部門優秀賞を受賞した映画監督にして漫画家の岩田ユキ。ドラマバラエティやCMで活躍するタレントの田中律子。市民ニュースサイト「8bitNews」の代表、堀潤。そして、日本語と英語をトゥギャザーした話術で人気なタレント業のほかに、富士山麓の清掃や地域のゴミ拾いをするなど環境活動にも積極的に取り組むタレントのルー大柴の、計4名。本部門の審査員4名は、6月4日(木)に表参道ヒルズ スペース オーにて開催されるオープニングセレモニーに登壇し、優秀賞(環境大臣賞)1作品を発表する予定となっている。また、各審査員たちが登壇するイベントも開催。6月6日(土)には、冲方氏を中心に、出版社やビデオメーカーのスタッフが集結した組織「冲方サミット」に、短編小説をWEBで公募し、大賞作品をショートフィルム化、ラジオ番組化するプロジェクト“ブックショート”が参戦。「マルドゥック・ スクランブル」、「天地明察」、「もらい泣き」の二次創作解禁企画について詳細が発表されるとのこと。また冲方氏と「SSFF&ASIA」代表・別所哲也とのスペシャル対談も実施。翌6月7日(日)には、韓国を代表する俳優のひとり、チョン・ウソンを迎え、彼の監督作品を上映、チョン氏のクリエイティブな側面に迫るトークイベントも開催される。上映とあわせて審査員たちによる各イベントでも「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」を楽しんでみて。「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」は6月4日(木)~6月15日(月)まで開催。(text:cinemacafe.net)
2015年05月22日黒沢清監督の『岸辺の旅』が5月17日夜(現地時間)、第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で公式上映され、主演の深津絵里、浅野忠信、黒沢清監督が登場した。映画は、失踪した夫を待つ妻のもとへ、3年ぶりに夫が帰ってくる。しかし、夫は「俺、死んだよ」と言い、妻と最後に旅をしたいと持ちかける…というストーリー。上映後には5分以上に渡るスタンディング・オベーションを受け、深津さんたちも感無量の面持ちだった。深夜に行われた上映後の取材では、「撮影中も夢の中のようでしたが、まさに今日も夢の続きの中にいるかのような気持ちになりました。あたたかい拍手でした」(深津さん)、「あんなにたくさん拍手をいただけて嬉しかったです。監督が描いた、愛のかたちが伝わったと思います」(浅野さん)、「上映会場の外でも話しかけられ、あの拍手は本物だと思いました」(黒沢監督)と感激を語った。フランスでは人気の高い黒沢清作品だが、カンヌでの公式上映は意外にも同部門で審査員賞を受賞した『トウキョウソナタ』以来、7年ぶり。7年前に上映時には、黒沢監督夫人が日本で入院中ということで、愛妻家で知られる監督は一晩のみで滞在を切り上げるという慌ただしさだった。今回はお元気になられた夫人も同伴。配偶者との関係を深く掘り下げていることについて聞くと、「自分のことを話すのは恥ずかしいですが、やはりどんな作品にも僕自身が出ているんだと思います」と照れ笑いを浮かべていた。「ある視点」部門はコンペティション部門に対し、若手のフランス国内配給を支援することを目的に設立された部門だったが、年々、大物が参加するようになり、今年はコンペの常連がずらり。アピチャッポン・ウィーラーセタクンや河瀬直美なパルムドールやグランプリ受賞者もある視点部門にまわっており、まるでもう一つのコンペといった様相を呈している。「ある視点」部門の受賞結果は23日(現地時間)に発表される。(text:Ayako Ishizu)
2015年05月19日5月14日(現地時間)、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング作品として河瀬直美監督の『あん』が公式上映され、樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、原作者のドリアン助川らが出席。5分以上に渡る拍手喝采に包まれた。『あん』は、どら焼き屋を舞台に、人生を見失っていた店長(永瀬さん)や、常連客の中学生(内田さん)らが、あんこ作りの名人である元ハンセン病患者の徳江(樹木さん)との出会いによって、再生していく姿を描いていく。徳江が2人に残した「何かになれなくても、生きる意味はあるのよ」というメッセージは観客にも強く響いた様子で、上映後はスタンディング・オベーションが10分近く続く中、樹木さんと河瀬監督が握手をし、喜びを分かち合う様子も見られ、永瀬さんは目を潤ませていた。また、上映には撮影に協力した元患者の森本さん夫妻も参加していた。上映後に樹木さんは「あんなに大勢の前に姿をさらして、恥ずかしい。がまが油汗をかいた気分です」と照れ笑い。永瀬さんは「映画は海を越えると思いました。泣くのを必死にこらえました」と感無量といった表情。樹木さんの実の孫である内田さんは「あんなに感動してもらって嬉しい。女優をもう少し続けてみたいと思いました」と、感激していた。河瀬監督は「ドリアンさんの原作は大手の出版社に断られて、ようやく出せた本。この本も、ハンセン病患者の方たちも、世間に見捨てられていたけれど、それがこうして受け止められたことに、感激しています」と語っていた。(photo / text:Ayako Ishizu)
2015年05月15日