日本でも発行部数300万部を超える大人気小説『アルジャーノンに花束を』。2006年、2014年と浦井健治主演でミュージカル版が上演され大反響となった。今回新たに若手俳優矢田悠祐をキャスティング、矢田は本作で初主演を務める。ミュージカル『アルジャーノンに花束を』チケット情報そんな注目の舞台の稽古場が2月、報道陣に公開された。発声練習から始まり、前日までに振りがついた冒頭のシーンを公開。32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードンが白ねずみのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受け、手術により天才に変貌していく様を熱く演じ、透き通る美声を披露。取材している報道陣をその世界観へ導いた。主演の矢田は「今回初主演をさせて頂いて、本当に出番も多くて、歌もたくさんあって。作品を今まで応援してくださっているファンの方にも喜んでくださる作品になると思っています。この『アルジャーノンに花束を』という作品自体すごく面白い作品で、それを荻田(浩一)さんが素晴らしい演出をして下さり、斉藤さんが素晴らしい音をつけて下さっているので、その魅力を100パーセント伝えられるように頑張っています。ぜひ劇場に足を運んでください!』と笑顔で語った。東京公演では、出演者と一緒にレインボーブリッジをくぐり抜け、360度に広がる東京湾パノラマを楽しむことができる東京湾クルーズ企画が決定している。乗船中は出演者によるトークショーが開催予定だ。また、舞台上演後のアフタートークショー開催も決定している。ミュージカル『アルジャーノンに花束を』東京公演は3月2日(木)から12日(日)まで天王洲 銀河劇場にて。兵庫公演は3月16日(木) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて。取材・文:平林孝棋
2017年02月14日ティム・バートン監督の傑作映画をミュージカル化した舞台『ビッグ・フィッシュ』が2月7日、東京・日生劇場で開幕した。2013年にブロードウェイで大ヒットした作品で、日本では今回が初上演。前日の6日には、川平慈英、浦井健治ら出演者が意気込みを語るとともに、最終舞台稽古が報道陣に公開された。ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』チケット情報自らの体験談を現実にはありえないほど大げさに盛って語る父親エドワードと、その奇想天外な話を聞いて育った息子ウィル。ウィルは大人になるにつれ父の話が作り話にしか思えなくなり、父子の間には隙間が生まれてしまうのだが……。少しすれ違ってしまっているけれど解りあいたい父と息子のもどかしい現実と、エドワードが語る奇想天外な物語――子どもの頃、魔女に死の様子を予言された話、巨人との友情、サーカスで最愛の女性と出会った話などなど――、イマジネーションの世界とリアルな家族の物語が交互に語られ、めくるめく世界に観客を誘う。その行き来を違和感なく描き出す力があるミュージカルという手法、そして実力派揃いのキャスト陣がしっかりと家族の絆を表現することで、ティム・バートン監督映画に負けない、ファンタジックで心あたたまる素敵な作品が誕生した。中でもやはり主演の川平慈英が、エドワードそのものといった魅力を振りまいている。大ボラのような物語をくしゃくしゃの笑顔で得意げに話す姿はチャーミングで、その憎めなさに、いつの間にか観客も彼を好きになってしまうに違いない。現実的な息子・ウィルを演じる浦井健治も、生来の純真さと優しさがそこかしこから溢れていて魅力的。またエドワードの妻・サンドラ役の霧矢大夢はアメリカ娘らしいキュートな少女時代から、病を得た夫を優しく見守る晩年までを見事に演じ、ウィルに寄り添う妻・ジョセフィーンの赤根那奈の聡明さも、家族をしっかり支えている。さらに少年時代のウィルを演じる鈴木福(りょうたとWキャスト)がその愛らしさと純粋さで、家族愛の基盤を強く築いた。ほかにもエドワードの語る物語の登場人物に扮する藤井隆、ROLLY、J Kim、深水元基、鈴木蘭々らが個性的かつ魅力的な不思議なキャラクターになり、夢のような世界を紡ぐ。視覚的にも美しく、見ごたえのある舞台作品だ。会見で川平が「思っていた以上にゴージャスな舞台になりました。申し訳ないのですがお客さんよりも僕が一番楽しんじゃおうかなという気分。楽しんでいる僕たちを見て、お客さんの心が温まってくれれば、こんな嬉しいことはない」と語ったが、その言葉どおり、舞台上から幸せな空気が客席に流れこみ、劇場空間全体を、ポジティブで温かい空気が包む。「劇場に来て、座席に座ってくだされば、この『ビッグ・フィッシュ』チームが幸せに誘います」と川平。寒い2月、ぜひ『ビック・フィッシュ』で優しく温かい気持ちになってみては。公演は2017年2月28日(火)まで同劇場にて。チケットは発売中。
2017年02月08日2016年8月に東京でのみ上演されチケットは即日完売に沸いた世界初演ミュージカル『王家の紋章』が、熱烈なアンコールに応え早くも再演が決定した。再演では初の大阪公演が実現する。原作は「月刊プリンセス」(秋田書店)にて1976年から現在まで連載を続け、累計発行部数4000万部を誇る同名の歴史大作少女漫画。古代エジプトを舞台にタイムスリップした現代アメリカ人少女キャロルと時の少年王メンフィス、そして恋敵のイズミルを軸とした愛とロマンの物語だ。音楽は『エリザベート』『モーツァルト!』などを手掛ける巨匠シルヴェスター・リーヴァイ、演出は荻田浩一。浦井健治ら華やかなキャストが再び集結する。「王家の紋章」チケット情報初演に引き続き、宮澤佐江とダブルキャストでヒロインのキャロルを演じるのが、新妻聖子。「冗談半分で役作り30年と言ってるんです」と笑う根っからの原作マニアだ。ほぼすべての台詞を反芻できるほど原作を読み込み、15歳で旅したエジプトでは「メンフィスいないかな?」とピラミッド内に足を踏み入れた経験もある。嬉しさと興奮で「ニヤニヤが止まらなかった」という初演を振り返り、改めて再演への思いを語った。「生粋の“王族(原作ファンの通称)”として、神聖な部分へ足を踏み入れる恐ろしさもありました。でも他の方が演じている姿を、ただ指をくわえて観ているだけというのは悔しいだろうな」とオファーを快諾。初演では完全に役が憑依し、共演者もキャラクターとして認識していた。そのため、「打ち上げの席で浦井さんに話しかけられた時は、愕然としました。(笑)今までメンフィスだったのに!?『私のメンフィスを返して!』って(笑)」。そこまで熱狂させる作品の魅力とは?「やはりエジプトという土地や遺跡が持つパワーとロマン、神秘さがすごいので。それが物語のスケール感をアップさせ、飽きさせない。40年間ファンを引き付けて離さない理由だと思います」各キャラクターも感情豊かで、キャロルは華奢な金髪碧眼の美少女なのに、ヒーローのような勇敢さもあるという。「それでいて、腕を捕まれたら簡単に連れ去られてしまうあの感じ。とにかくモテるしリード家の令嬢としての気品もあり、ヒロインとしての魅力が全部詰まったようなキャラクターです」。浦井が演じたメンフィスは「見目麗しく、荒々しさの中にも優しさが」あり、色気がポイントというイズミルは「ダブルキャストの宮野真守さん、平方元基さんがともに絵に描いたような長身のイケメンで、女性客をキュンキュンさせるというお仕事を存分になさったと思います」。再演ではさらに各自が精度を上げる。「前回は世界中の“王族”の方に東京まで足をお運びいただいたんですけど、今回近畿地方の王族の方には、もう少し近い距離で観ていただけるのかなと非常に嬉しいですね。お祭りは続いているんだぞ!というテンションのまま、第二章に突入したいなと思います」公演は、2017年4月8日(土)から5月7日(日)まで東京・帝国劇場、5月13日(土)から31日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。取材・文:石橋法子
2017年01月26日昨夏の公演は全日程完売、大評判となったミュージカル『王家の紋章』。累計発行部数4千万部を誇り、40年間連載が続いている少女漫画界屈指の大ヒット作を、世界で初めてミュージカル化した作品だ。その中で、主人公であるエジプト王メンフィスを演じたのが浦井健治。演技や歌はもちろん、その“ビジュアル力”も評判となった。浦井に、約半年というはやさで再演される『王家の紋章』について話を聞いた。チケット情報はこちら「ありがたいことに、とても大きな反響を頂きました。ひとえにそれは、原作の力であり、細川智栄子先生と芙~みん先生が40年、命をかけて作ってきたものが素晴らしいから、です」と、まずは原作へのリスペクトを口にする。「その大切な作品を僕らに託してくださった。その重みを考えると大変なことでした。でも原作ファンの方からも『いつも読んでいた漫画のメンフィスが目の前に現れた!』といったお手紙もたくさん頂いた。すごく嬉しかったですし、衣裳さんやメイクさんとも一緒に喜びました。嬉しいことに、先生方からも『メンフィスにぴったり』という言葉をもらったんですよ」。演じたメンフィスは、若きエジプト王。絶対的な権力を持つ彼が、現代アメリカから古代エジプトに迷い込んできた少女・キャロルに心を惹かれていく…というのが物語の骨子だ。原作者お墨付き、浦井が扮するメンフィスは雄々しさと美しさ、そして甘さを同居させた、まさに少女漫画から抜け出たようなヒーローだった。「最初はメンフィスは身勝手な人間に見えたのですが、実際に演じてみると“ファラオとして存在しているのだから、人を人とも思えないのは当たり前だな”とわかりました。古代のファラオは、触れてはいけないくらいの偉大な存在ですから。でもひとりの人間としては、素直でまっすぐで、実は優しいというのも見えてきました」と“メンフィス像”を語る。ちなみに、なかなか現代日本で暮らす我々には縁遠い役柄だが「演じていると、だんだん快感になってくるんです。メンフィスの衣裳を着て歩けば、舞台裏でもみんなが道をあけてくれますし(笑)」というエピソードも。さて、約半年の熟成期間を経てふたたび挑むメンフィスは、どういったものになるのだろう。「より高みを目指し、より多くの方に満足していただけるメンフィスを目指したいです。例えば振り返った瞬間に『浦井がいる』じゃなく『メンフィスがいる』と思ってもらえるように」。そして再演ではリーヴァイ氏による新曲も追加され、脚本・演出もブラッシュアップされるという。「いま、スタッフさんたちがかなりの熱を帯びて、総力をあげて練り直しています。僕自身も演者として、初演の自分を超えるのが課題。単なる再演にはなりません!」。メンフィス王が力強く宣言したその言葉を信じ、さらに壮大な愛とロマンが目の前に現れる日を楽しみに待ちたい。公演は4月8日(土)から5月7日(日)まで東京・帝国劇場にて。チケットぴあでは1月26日(木)23:59までWEB先着先行「プリセール」を受付中。5月には大阪公演も。
2017年01月25日シェイクスピアの歴史劇『ヘンリー四世』二部作が鵜山仁の演出により、11月26日(土)新国立劇場にて開幕する。稽古も佳境を迎えた11月中旬、第一部の通し稽古の模様を取材した。舞台『ヘンリー四世』チケット情報同劇場では鵜山の演出で、2009年に『ヘンリー六世』、2012年には『リチャード三世』を上演。この2作にメインキャストで出演してきた浦井健治が今回、父王ヘンリー四世にとっては頭痛の種である奔放な放蕩息子・ハル王子を演じ、同じく過去2作に出演した岡本健一が、王に反旗を翻す“ホットスパー”に扮する。取材したこの日は第一部の後半、まさにこのふたりの見せ場を稽古。反乱軍と体制側が交互に描かれ、異なる立場のふたりが己の運命に向き合い、やがて、一騎打ちに至るまでが描かれる。物語を包む空気をひとことで表すならば、超ハイテンション。浦井は常に陽気で“正”の磁力とスピード感にあふれるハル王子を体現し、舞台上を何度も全力疾走で駆け抜ける。衣裳は当時の時代風俗に沿ったもので、小道具もしかり。ところが、浦井だけヘッドフォンをぶら下げているのが気になる。また同じハイテンションでも、岡本演じるホットスパーはどこか狂気を宿し、自らの言葉に陶酔しているようにも見える。戦いを前にしてのパワフルな演説は、見る者の胸を熱くさせるが、その裏に、王に反抗する男の悲壮な決意、哀しみさえも感じさせる。そんなふたりがクライマックスで激突。高低差のある遊園地のアトラクションのような巨大なセット(稽古場ではあくまで木が組んであるだけで、本番でどのように仕上がっているかは分からない)が目を引くが、浦井と岡本は縦横無尽に駆け巡り、激しく刃を交わらせる。もちろん、このふたり以外の個性豊かな登場人物たちも魅力的に物語を彩る。ヘンリーの“悪友”の大酒飲みで、シェイクスピア作品の中でもひときわ高い人気を誇るフォールスタッフを愛嬌たっぷりに佐藤B作が演じるほか、ホットスパーの叔父で共に王に反旗を翻すウスター伯を演じる下総源太朗、同じく反乱軍に参加する騎士ヴァーノンの今井朋彦など実力派俳優たちが存在感を放つ。そんなベテラン俳優たちも、浦井&岡本の熱気に乗せられるかのように、演技がどんどんヒートアップしていく。シェイクスピア芝居でありながら、ライブ会場か熱狂的なカリスマ政治家の演説会に来ているかのような錯覚、興奮さえ感じる。唯一、落ち着きを持っているのが王ヘンリー四世を演じる中嶋しゅう。周囲があまりに高揚しているせいか、王の静かにつぶやくようなひとことが、まるで“ツッコミ”のように作用し、何気ないシーンでドッと笑いが起こる一幕も。なんとも不思議な空気とリズムが包むシェイクスピア劇になりそうだ。公演は11月26日(土)から12月22日(木)まで「第一部」「第二部」を交互上演(一部例外あり)。チケットは発売中。取材・文・撮影:黒豆直樹
2016年11月23日シェイクスピアの歴史劇で第一部だけでも約3時間、二部を通しで観たら6時間超…。そう聞くと、何かの修行?と感じそうなものだけれど、'09年の『ヘンリー六世』からスタートした新国立劇場のこのシリーズは、長時間もまるで苦にならないほど、めっぽう面白い。「最初に台本を読んだ時は、堅いし難しいし、まったくセリフが頭に入ってこなくて大変でした。でも、稽古場で人が口にした途端に、言葉がものすごくエネルギーを放ち始めたんです。セリフの裏にある役の背景が見えてきたり、口にしていることとは真逆の気持ちが生まれてきたり。シェイクスピアは400年経っても何も変わらない人間の根底を描いているんですよね。観れば、こういう人いるな~とか、うちの家族もこんな感じだな~とか、きっと、舞台を斜めに見ながら笑ったり共感したりしてもらえると思います。頭で難しく考えるより、むしろ感覚的に観ていただくほうが、わかりやすく楽しめるのかもしれません」そう話すのは、いまやこのシリーズになくてはならない浦井健治さん。これまでにヘンリー六世、ヘンリー七世を演じてきたが、今回は『ヘンリー四世第一部-混沌-・第二部-戴冠』で同じ血脈に繋がるヘンリー五世に扮する。「イングランドの歴史のなかでも偉大といわれる王様ですから、高貴で気高い人物を思い描いていたんです。でも、王子時代のハル(後のヘンリー五世)にはそのイメージが全然なくて、それまで考えていた役作りは全部白紙に(笑)。先輩方からいろいろアドバイスをいただいて、もう一度台本と向き合ってみると、対峙している相手とは別の人に自分の考えを伝えようとして意図的にしゃべっていたり、言っていることと考えていることが真逆だったりすることがわかってきて、なんて複雑でひねくれた人物なんだろうって。でもいまは、ハルのそんなところに、興味を惹かれています」浦井さんをはじめ、岡本健一さんや中嶋しゅうさんなど、共演者の多くはシリーズを通じて出演しているお馴染みの面々。「心にゆとりがあって、お芝居が好きで、何より作品をいいものにすることを第一に考えているような先輩方ばかり。いまは、皆さんにぶつかるだけぶつかって、ときどきとっ散らかる自分を楽しんでいます」◇うらい・けんじ1981年、東京都生まれ。近作にミュージカル『王家の紋章』、舞台『アルカディア』など。来年2月にはミュージカル『ビッグ・フィッシュ』出演が決まっている。ジャケット¥48,000 カットソー¥13,000パンツ¥19,000(以上DISTICTION MEN'S BIGI/メンズビギ リミテッド 有楽町マルイ店 TEL:03・6738・3801)その他はスタイリスト私物◇'09年に上演され、数々の演劇賞を受賞した『ヘンリー六世』。その続編『リチャード三世』が'12年に上演された際には、同じ役を同じキャストが演じ、歴史の流れが掴みやすいと評判に。今回の『ヘンリー四世』は『~六世』の前の時代の物語。浦井さんは今回、以前に自身が演じたヘンリー六世の父を演じることになる。写真は、'09年『ヘンリー六世』より。撮影:谷古宇正彦◇11月26日(土)~12月22日(木)初台・新国立劇場 中劇場作/ウィリアム・シェイクスピア演出/鵜山仁出演/浦井健治、岡本健一、ラサール石井、中嶋しゅう、佐藤B作ほか二部作通し券1万6000円(S席)S席8640円A席6480円B席(注釈付2階席)3240円*すべて税込み新国立劇場ボックスオフィス TEL:03・5352・9999(10:00~18:00)写真は、'12年『リチャード三世』より。撮影:谷古宇正彦※『anan』2016年11月23日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・宮崎智子ヘア&メイク・山下由花インタビュー、文・望月リサ
2016年11月21日ティム・バートンの傑作映画をミュージカル化し、2013年にブロードウェイで大ヒットした作品が日本初上陸する。そのミュージカル『ビッグ・フィッシュ』の製作発表会見が11月1日、都内にて行われた。出演は川平慈英、浦井健治ら。演出は白井晃。ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』チケット情報『チャーリーとチョコレート工場』『シザーハンズ』など、日本でも熱狂的なファンが多いティム・バートン監督。『ビッグ・フィッシュ』はその監督がユアン・マクレガーなどの名優とともに生み出したファンタジー映画だ。自らの体験談を現実にはありえないほど大げさに盛って語る父親エドワードと、その奇想天外な話を聞いて育った息子ウィル。ウィルは大人になるにつれ父の話が作り話にしか思えなくなり、さらにある出来事をきっかけに大きな溝を作ってしまった父と息子だが……。エドワードを演じるのが川平慈英。「最初にこのお話を聞いた時に「東宝の製作で、日生劇場?普段“ムムッ”とか“くぅー!”とか“いいんです!”と言ってる人間が、ノーブルな環境の中でやっていいのかな」と二の足を踏んでしまいました」と、川平節をふんだんに交えて驚きを語りながらも、「映画やブロードウェイ版の映像を観て、なんてファンタジックで素晴らしい作品なんだ、このこの大きな魚を逃してはいけない!と思いました。自分の代表作となるよう頑張りたい」と意気込みを。ちなみに演出の白井によると、映画では年老いた父親と若き日の父親は別の俳優が演じていたが、舞台では両方とも川平が演じ、そこも見どころになるそう。息子・ウィルを演じる浦井健治も「ティム・バートンさんの作品の中で、自分は実はこの『ビッグ・フィッシュ』が一番好き。最後の最後でいつもホロリと涙が出てしまう」と原作愛を語る。そして、ウィルの幼少時代を人気子役の鈴木福が演じるのも話題(りょうたとのWキャスト)。「僕は舞台が初めてなんですが、皆さんに色々教えてもらいながら、一生懸命頑張ります」と可愛らしく挨拶をするも、「すごく落ち着いていらっしゃる。自分より絶対大人だろうなという感じ」(浦井)、「石原裕次郎的な貫禄がすでにあるので。ボスって呼ぼうかな」(共演のROLLY)等々、周りの大人たちからの評価に「やめてください…」と困り顔だった。会見の最後には、川平が「日生劇場に…来ちゃって、いいんです!」とお馴染みのセリフで締めるサービスっぷり。笑いのたえない会見で、白井も「一斉にお会いするのは今日が初めてだったのですが、温かい、柔らかい空気があって、いい意味であまり緊張感がなかった。いいファミリーになるんじゃないかな」と手ごたえを感じているようだった。ほか、出演は霧矢大夢、赤根那奈、藤井隆ら。公演は2017年2月7日(火)から28日(火)まで、東京・日生劇場にて。チケットは11月26日(土)に一般発売開始。
2016年11月02日ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』の製作発表記者会見が1日に行われ、川平慈英、浦井健治、霧矢大夢、赤根那奈、藤井隆、鈴木福、ROLLY、演出の白井晃が登壇した。同作は、ティム・バートン監督による2003年の同名映画を2013年にミュージカル化したブロードウェイ作品。自分の体験談をありえないほど大袈裟に語る男エドワード・ブルーム(川平)のことを、息子のウィル(浦井、鈴木)が探っていく。公演は日生劇場で2017年2月7日~28日。現在と過去が交錯する構成で、川平は若い頃のエドワードと老人のエドワードを両方演じ、少年時代のウィルを鈴木、現在のウィルを浦井が演じる。浦井は、同役を演じる鈴木の印象を「とても落ち着いていらっしゃって、自分より絶対大人だろうなという感じがある」と称賛し、周囲を笑わせた。「でもニカーッと笑うと本当に子供らしい笑顔をされるので、どれくらい仲良くなれるのか楽しみです」と語った。浦井から「初舞台、どうですか?」と聞かれた鈴木は「頑張ります」と答え、浦井も「しっかりしてます」と笑顔に。ROLLYが「彼、石原裕次郎的な貫禄があるので、ボスと呼ぼうかな」と印象を述べると、鈴木は「やめてください」と困った様子を見せた。鈴木は、舞台について「やっぱりやり直しができないから、ドラマとかと違って。ちゃんと覚えて頑張らなきゃなというところは緊張してるかなあ」とコメント。「今日の服装は石原裕次郎さんを意識しているんですか?」と聞かれると、「そういうわけじゃない」と否定していた。主演を務める川平は「日生劇場というのは僕にとって聖地みたいな場所なので、毎ステージ毎ステージ、絶対に負けられない戦いがある」とサッカーにからめて発言。川平は「今なかなか寛容になれない時代なので、これを観てくださって、自分の大切な人に優しくなれるような気持ちになってくれれば嬉しい」とメッセージを送り、「ぜひ日生劇場に来ちゃって、いいんです」といつもの台詞を決めた。しかし、語尾が少し弱くなったことに対して「恥ずかしくなっちゃった、自分で」と照れてうつむいていた。
2016年11月01日8月には主演ミュージカル『王家の紋章』が大きな評判となったミュージカル界のプリンス、浦井健治。“ミュージカル界の…”と言っても、今年はドラマ『ニーチェ先生』(Hulu配信/日本テレビ系)に主演、月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)に出演するなど、活躍の幅をどんどん広げている注目の俳優だ。その彼がデビュー15周年を記念したコンサートを9月29日(木)に開催する。『Wonderland』とタイトルを冠したこのコンサートへの意気込み、そして自身の15年について、話を訊いた。チケット情報はこちら2001年、『仮面ライダークウガ』(テレビ朝日系)でデビューした青年が、いまやミュージカルの殿堂・帝国劇場で主役を張る存在になった。「15年…。密度が濃く、充実していました。たくさんの人や作品や楽曲に出会うことによって、自分の人生さえも豊かに感じるようになりました。本当に15年たったんだなというのと、まだ15年しかたっていないんだという思い、両方がありますが、すべての出会いが自分に与えてくれた影響を考えずにはいられない。かけがえのない時間だったなと思います」と浦井は振り返る。そんな中でのコンサート開催である。井上芳雄、山崎育三郎とのユニット・StarSでのコンサート経験等はあるが、ソロでは初めての挑戦だ。「自分の15年をギュッと詰め、おもちゃ箱をひっくり返したように何でもアリで、とにかくお客さまに楽しんでもらえるコンサートにしたいです。でも実は今回、浦井は何を歌いたい? どんなコンサートにしたい? と訊かれた時に、まったく何も浮かばなくて。その瞬間、“あ、自分は役者なのか”と改めて気付きました。自分は芝居の中で歌うことをずっと深めてきた。今回も“役者がコンサートをやる”というところを、徹底してやりたい。それによってお客さまにも、よりミュージカルを愛する、楽しむきっかけになってくれたら嬉しいですね」。浦井は自身が目指す歌を、シンガーの歌とは異なり物語の中で歌う歌、“芝居歌”と呼んでいる。「面白いのは、ある作品の楽曲を歌うと、身体が役を覚えていて、その時の喉やエネルギーで歌ってしまうんですよ。その1曲のまわりにあった楽曲や対峙していた役、共演していたみんなの顔すら見える。その作品の3時間分の空間の認識込みで1曲を歌えるというのは、役者ならではと思います。僕自身もこのコンサートを経て、芝居の中で歌う歌により説得力が出たり、声色が豊かになったりしていけたら最高だなと思っています。僕にとっても新たな一歩になるはずです」。コンサートでは浦井が過去出演した多くの名作ミュージカルから、名曲の数々が多数披露される予定。浦井の15年の集大成にして“新たな一歩”をぜひ劇場で見届けよう。コンサートは9月29日(木)に東京国際フォーラム ホールAで開催。チケットは発売中。
2016年09月23日『ヘンリー六世』三部作(09年)、『リチャード三世』(12年)と続いた新国立劇場のシェイクスピア・シリーズに、待望の第三弾『ヘンリー四世』が登場する。『ヘンリー六世』ではタイトルロールを、『リチャード三世』では、リチャードを倒すリッチモンド伯、後のヘンリー七世を演じた浦井健治が、今度はヘンリー六世の父、後に名君ヘンリー五世と称えられるハル王子に扮する。「7年前、ヘンリー六世を演じながら、ずっと父・ヘンリー五世の偉大さを感じていました。その役を演じることができるのは、とても光栄に思います。壮大な企画に関わる皆さんの熱意にこたえたいですし、僕自身もやるからには全力で臨みます」新国立劇場演劇『ヘンリー四世』チケット情報第一部では、ハル王子は父王の心配をよそに、素行のよくない中年騎士フォールスタッフと遊びほうけてばかりいる。しかし、反乱が起きてハル王子もフォールスタッフも戦場へ。第二部では、フォールスタッフが抵抗勢力の討伐に向かうが、ハル王子がヘンリー五世として即位したことを聞きつけ、恩賞目当てに王宮へ向かう。しかし、待っていたのは思いがけないハルの変貌だった。1・2部を通して上演すると6時間にもなる大作だ。「第一部は喜劇タッチで、ハルとフォールスタッフの親密さが大事だと思っています。ふざけ散らすのは、結構エネルギーが必要ですけど(笑)。第二部では、時代が大きく動いていく歴史劇になっていて、全く違うのが面白い。6時間と言っても戯曲を読んだ体感としては長くはありません。ハルとフォールスタッフの人間的な変化が面白くて、夢中で読みました。お客様にも楽しんでいただけるのではないかと」ハル王子は、やんちゃなこともするが、父との葛藤を乗り越えていく強さも持っている。「ただの放蕩息子ではなく、何か考えがあって、庶民の中に混じっていると思います。そのほうが父との和解のシーンがより深いものになる気がします。頭もいいですし、比喩の言葉もセンスがすごくいい。まだ、演出の鵜山さんのお話を聞いていないのでわかりませんが、王子としての自覚は忘れずに、品を失わないようにしたいですね」演出の鵜山仁とは、新国立劇場では3作目、他作を含めると5作目のつきあいとなる。「一番インパクトがあったダメ出しは“その長台詞ではお客さまが飽きる”。同じトーンでしか語っていなかったからですが、鵜山さんは色に例えて、そこは青、次は赤とイメージを言ってくれて、叫べというのもありました。結局、叫ばないことになったのですが、一度叫んだことが僕の中に残って、その台詞の表現が変わるのです。全てを把握した演出で、ついていくのに迷いはありません」身分を超えた友情、父と息子の葛藤と和解、そして目まぐるしく変わる権力の行方など、多彩な魅力に満ちた『ヘンリー四世』を、浦井はしっかりと背負って堂々と立つ覚悟だ。公演は11月26日(土)から12月22日(木)まで東京・新国立劇場中劇場にて上演。チケット発売中。取材・文:沢 美也子
2016年09月16日連載開始から40年を迎える大人気少女漫画『王家の紋章』が世界で初めてミュージカル化、現在東京・帝国劇場で上演中だ。現代のアメリカと古代エジプトをまたにかけた、壮大な愛が描かれる歴史ロマン。この公演で主人公のエジプト王・メンフィスを演じている浦井健治と、ヒロイン・キャロルの兄ライアンを演じる伊礼彼方に話を聞いた。『王家の紋章』チケット情報はこちら伊礼が「今回、俺は健ちゃんの主演だから、出演オファーを受けたんです」と明かす。その理由はさかのぼること6年前。ふたりはかつて若手ミュージカルスターの登竜門とも呼べる役、『エリザベート』のルドルフ皇太子役を同時期(2008年~2010年)に務めていた。その後6年間、ふたりの道が重なることはなく「同じ役をやっていたのに、今はまったくキャラが被らない(笑)。でもルドルフの頃「いつか一緒にやりたいね」って約束していたんです。しかも、彼は主演は何度もやっていますが、帝国劇場のセンターに立つというのは、特別ですから」(伊礼)。「ありがたいです。やっぱり帝国劇場は“聖地”なので、僕にとっても特別です」(浦井)。「だから、僕もその場には絶対に入りたいなって思っていました」(伊礼)。果たして、ミュージカルの聖地・帝国劇場で待望の共演となった。浦井が「彼方は本当にまっすぐに生きているから、僕は絶対的に信頼しています。唯一無二の存在」と言えば、伊礼も「僕ら、演劇に対する志も似ている。方向性は違うんだけれど、目指しているところは一緒」と話す。その息の合いっぷりはまさに“同志”だ。ささいな思い出話に笑い転げながらも、「あの頃、某牛丼屋とか、某定食屋とか、いっぱい一緒に行ったよね。色々話をしたよね」(浦井)と、ちょっとしみじみもするふたり。さて今回の作品は、原作は少女漫画であり、原作のセリフ等も忠実に再現されているのもみどころ。だがやる側としては、現実離れした言葉を口にする難しさはないかと訊いたところ「(リアルを)飛び越えちゃってるから、逆にやりやすい。普通だったらちょっと笑っちゃうかも、というようなセリフを話し、お客さまがそれを喜んでくれるというのはパフォーマーにとって最高」(浦井)、「ちょっとそれ、わかる(笑)。ああいうセリフを本気で言うのって、役者としてたまらないよね」(伊礼)と、こちらも同じポイントを楽しんでいるようだ。そのミュージカル『王家の紋章』は、完売御礼の大盛り上がり。初日には早々に、来年の再演も発表された。「原作ファンの方にも、ミュージカルを好きな方にも、初めてミュージカルを観る方にも満足していただけるような再演を目指して、まず初演をやりきりたい」と意気込みを話した浦井。ちなみに聖地・帝国劇場の初主演に関しては「“帝劇には魔物がいる”とよく言われますが、僕にとってそこにいたのは、天使でした。みんなが見守ってくれていました」。幸せをかみ締め、作品は来年の再演へ続いていく。公演は8月27日(土)まで、同劇場にて。来年の再演は4月に帝国劇場、5月に大阪での上演が発表されている。
2016年08月25日ミュージカル『王家の紋章』が8月5日(金)、東京・帝国劇場で幕を開けた。原作は、連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔。主演は浦井健治。ミュージカル『王家の紋章』チケット情報少女漫画史に残る歴史大作ロマンが、世界で初めてミュージカル化された。考古学を学んでいるアメリカ人少女キャロルが古代エジプトにタイムスリップしてしまい、若きエジプト王・メンフィスと運命の愛に落ちる物語が、ウィーン・ミュージカル界の巨匠シルヴェスター・リーヴァイによる美しい音楽で紡がれる。漫画から抜け出したような豪華な衣裳を身に纏った出演者の熱演で、壮大かつロマンチックな世界が舞台上に広がった。初日の舞台は熱狂する観客が熱い拍手を贈り、カーテンコールでは客席内が総立ちに。キャロル役の新妻聖子が「私はウン十年来の原作のファン。ずっとこの『王家の紋章』から私が頂いてきた幸せを、少しずつでも舞台上でお返しできれば。客席に(原作の)細川智栄子先生と芙~みん先生の姿が見えるだけで涙が出そうです。もう死んでもいいです…死なないです、死んでもいいくらい幸せです」と興奮気味に挨拶。イズミル役の宮野真守も「人生で初めて帝国劇場に立たせていただけることになりました。子役の頃からずっと役者をやっていて、帝劇を目指したこともあって、なかなか上手くいかないこともあった。でも今こうして、最高のメンバーと最高の作品で、この場所に立てていることが嬉しく不思議。自分の人生において大きな一歩になりました」とこちらも感無量の言葉。そしてメンフィス役を演じた浦井健治が、初日を無事迎えたことに対し感謝を述べるとともに、「ひとつお知らせがあります。『王家の紋章』再演が決まりました!2017年4月に帝国劇場、そして5月に大阪で公演決定です!」と発表。上演前から話題騒然で、今回の公演チケットは完売している作品だけに、客席からは驚きと喜びの声が上がった。続いて作曲者のリーヴァイ氏が登壇し、客席の細川智栄子氏と芙~みん氏を紹介。また日本語で「すべてとってもすばらしかった!」と大きな声で叫ぶと、客席はさらに大きな拍手で包まれた。出演はほか、キャロル役(Wキャスト)に宮澤佐江、イズミル役(Wキャスト)に平方元基、ライアン役に伊礼彼方、アイシス役に濱田めぐみ、イムホテップ役に山口祐一郎ら。公演は8月27日(土)まで、東京・帝国劇場にて。
2016年08月05日ミュージカル『王家の紋章』の初日会見が5日、東京・帝国劇場で行われ、メンフィス役の浦井健治、キャロル役の新妻聖子・宮澤佐江(Wキャスト)が出席した。同作は、1976年から現在まで連載が続き、累計発行部数4,000万部を誇る同名漫画を原作とした新作ミュージカル。『エリザベート』『モーツァルト!』などの人気作を手がけるシルヴェスター・リーヴァイが音楽を担当した。公演は東京・帝国劇場にて8月5日~27日。AKB48を卒業してから初の舞台となる宮澤は、6日からの登場となるが「明日は泣いちゃうかな」と心情を吐露した。宮澤は「いろいろな思いがこみ上げてくると思います」と想像しつつ、「帝国劇場でお稽古をするようになってから1週間くらいで、やっと楽しめるようになってきました。すごく今は楽しいし、楽しみです」と笑顔を見せた。原作の大ファンという新妻は「初日にはきっと王族(王家の紋章ファン)が全国、全世界から集ってらっしゃったと思うので、この後オフ会を開きたいくらいです」と興奮しながら「私が神エピソードと認定している、水をろ過するシーンだとか、腕ポキシーンが盛り込まれていて、台本をいただいた時震えました」と早口で語った。また新妻が「日に日にメンフィス様の俺様度が増していて、すごい高まってる」と告白すると、浦井も「ウェイ!」と反応。新妻も「ウェイって感じです」と返した。浦井は稽古場でも新妻のこだわりを感じたエピソードを披露。「金髪を『黄金の糸の髪とは珍しい』と撫でていたら、(新妻から)『違うの! モノのように扱って!』とダメ出しをいただきまして」と、指示を出されていたことが発覚した。新妻はその意図について「最初はメンフィスにとってキャロルはただのモノなんですけど、徐々にワンアンドオンリーになっていくんじゃ。何者にも囚われなかったメンフィスが」と解説した。浦井からの壁ドンシーンも「両手でやってもらっていいすか」と自ら提案したことを明かし、宮澤も「私も新妻さんのおかげで壁ドンしてもらえることになりました」と感謝していた。
2016年08月05日ミュージカル『王家の紋章』の初日特別カーテンコールが5日、東京・帝国劇場で行われ、メンフィス役の浦井健治、キャロル役の新妻聖子、イズミル役の宮野真守ら公演メンバーが登場した。同作は、1976年から現在まで連載が続き、累計発行部数4,000万部を誇る同名漫画を原作とした新作ミュージカル。『エリザベート』『モーツァルト!』などの人気作を手がけるシルヴェスター・リーヴァイが音楽を担当した。公演は東京・帝国劇場にて8月5日~27日。カーテンコールで登場した浦井が同作の再演を発表すると、会場は大きな拍手に包まれた。浦井が「2017年4月に東京・帝国劇場、5月に大阪」と、用意していたチラシを衣装から取り出して見せると、宮野が「できる子だね!」と合いの手を入れた。新妻は「王家の紋章という名作が大好きで、長らくいただいていた幸せをなんとかステージ上で返していければと思います」と原作への愛を語る。「こんなにゴージャスなコスチュームも着せていただいて、もう死んでもいいです。死なないけど、死んでもいいくらい幸せです」と深く喜びを表した。人気声優として活躍している宮野は「子役の頃からずっと活動をしていて、帝劇でミュージカルを見て目指したというのもあって、なかなかうまくいかない時もあったんですけど、今こうして、最高のメンバーで最高の作品でこの場所にいるのは、嬉しいし不思議だし、大きな一歩だと思っています」と感動。「皆さんの拍手のおかげで幸せな気持ちでいっぱいです」と客席に感謝した。また、この日は作曲のリーヴァイも登場。「すべてとっても素晴らしかった!」と日本語で称賛の言葉を贈った。浦野は「本当に暑い夏が始まります。ぜひとも応援よろしくお願いします」と客席に語りかけ、その場で見守っていた原作の細川智栄子と芙~みんの姉妹に「40年間、人生をかけた少女漫画を我々に託してくださって、ありがとうございます」と頭を下げた。
2016年08月05日『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズや『東のエデン』の神山健治監督の新作映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』が来年3月に公開されることが決定し、ポスター画像が公開になった。『ひるね姫~知らないワタシの物語~』/その他の画像映画は、岡山県倉敷で自動車整備工をしている父とふたりで暮らしている高校生・森川ココネが主人公。東京オリンピックを2日後に控えた日から物語が始まり、どこでも昼寝をしては怒られているココネは、いつも同じ夢を見ていることに気づき、彼女の知らなかったココネの家族の秘密が明らかになっていく。このほど公開になったのは、犬のぬいぐるみを抱いたまま眠っているココネを描いた画像で、女優の高畑充希がココネの声を演じる。本作は、下村陽子が音楽を、森川聡子がキャラクター原案を、佐々木敦子が作画監督を、堀元宣、河野利幸、黄瀬和哉が演出を、コヤマシゲトが劇中に登場するハーツのデザインを、クリストフ・フェレラがクリーチャーデザインを、片山由美子が色彩設計を、鮫島潔と日野香諸里が美術監督を、塚本倫基が3D監督を、田中宏侍が撮影監督を、はたしょう二が音響監督を務める。『ひるね姫~知らないワタシの物語~』2017年3月全国ロードショー
2016年07月12日東京・新国立劇場で、6月8日『あわれ彼女は娼婦』が開幕した。本作はイギリスの劇作家ジョン・フォードによる、シェイクスピアら名立たる劇作家を輩出したエリザベス朝演劇の終盤を代表する名作戯曲。純粋にお互いを愛するがゆえにあやまちを犯してしまうジョヴァンニとアナベラ兄妹を中心に、二人を取り巻く人々の欲望が壮絶に描かれる愛憎劇だ。演出に栗山民也を迎え、兄妹に浦井健治、蒼井優、そして若手からベテランまで実力と存在感を兼ね備えた俳優陣が集結。舞台『あわれ彼女は娼婦』チケット情報初日公演終了後に浦井と蒼井からコメントが寄せられた。★浦井健治演出の栗山さんにジョヴァンニ役としてご指名いただき、「絶対にやりたい!」と思った作品です。近親相姦というのは理解しづらいですが、兄として大切な妹を守りたい気持ちから始まって、段々歯車が狂っていくのだと思っています。ジョヴァンニとアナベラ兄妹の愛が純粋なほど、周囲の人々のエゴや欲望が浮き彫りになってくる仕組みで、古典でありながら現代人にも共感できる部分が多くあると感じます。それがお客様に伝わるよう、エネルギーを持って演じ切りたいです。★蒼井 優兄妹の悲恋だけでなく、むしろ人のモラルや常識を核として、人間の業をドラマチックに描いた舞台だと思います。何が「正しい」というのは人間が勝手に決めていることですよね。その点で、今を生きる私たちも考えさせられる作品です。また、栗山さん曰くアナベラは「女性の履歴を駆け抜けた女性」。少女が恋をして母になり、最後には娼婦と呼ばれてしまう。その成長の早さをどう生き抜くかを、お客様にしっかりとお見せしていきたいです。公演は6月26日(日)まで新国立劇場中劇場にて。チケットは一部を除き発売中。なお、25日(土)13時の回<ぴあスペシャルデー>では出演者によるスペシャルカーテンコールを実施。
2016年06月09日俳優の山崎育三郎が、初の自叙伝『シラナイヨ』(7月16日発売 ワニブックス刊)を発売することが2日、わかった。価格は税抜き1,800円で、A5判の160ページ。山崎は『レ・ミゼラブル』マリウス役、『モーツァルト!』のモーツァルト役、『エリザベート』ルキーニ役など多くのミュージカル作品で人気を博し、現在はテレビ朝日系ドラマ『グッドパートナー 無敵の弁護士』(木曜21:00~)にも出演している。また、"三大ミュージカルプリンス"として、井上芳雄、浦井健治とともにユニット・StarSを結成、コンサートを行うだけでなく、バラエティ番組にも出演するなど幅広く活躍。私生活では2015年に女優・安倍なつみと結婚した。同書では、30歳という節目をむかえた山崎が、初めての記憶から人生の転機まで正直に語った、集大成の内容に。更に、山崎の地元の友人による暴露や、人生の成功の秘訣なども盛り込まれているという。山崎は、「初舞台から18年、30歳という節目に、このような形で本を出させて頂く事を感謝します」と喜びを語り、「ミュージカルの世界、映像、家族、仲間、介護、今まで話すことのなかった全てがここにあります」と自著の内容を明かす。さらに山崎は「葛藤し、挫折を繰り返した10代、夢を叶えるために走り抜けた20代。今の僕はこうして存在している。『受け入れ、歩き続けてきた。』この30年の想いを覗いてみてください」と、メッセージをおくった。ワニブックスでは、本の発売を記念して7月17日に「トークショー&握手会」を開催。楽天ブックスでの購入者より抽選で150名を招待する。
2016年06月02日「レ・ミゼラブル」のマリウスをはじめ名だたる作品に出演する“ミュージカル界のプリンス”にして、ドラマ「下町ロケット」の真野役で大きな注目を集めた俳優の山崎育三郎が、自身初の自叙伝「シラナイヨ」を発売することが分かった。2007年にオリジナル演出版ミュージカル「レ・ミゼラブル」のマリウス役に抜擢され、以来、甘く気品のある歌声と確かな演技力で多くの観客を魅了してきた山崎さん。出演作は、ミュージカルは「モーツァルト!」「ミス・サイゴン」など多数。「下町ロケット」でのブレイク以来、「お義父さんと呼ばせて」「悪党たちは千里を走る」「グッドパートナー無敵の弁護士」など、ドラマでも引っ張りだこ。井上芳雄、浦井健治と組むユニット「StarS」として出演する、福田雄一監督のミュージカルコメディドラマ「トライベッカ」がWOWOWにて現在放送中で、6月28日(火)からはミュージカル「エリザベート」にルイジ・ルキーニ役、12月8日(木)からは「プリシラ」に主人公のドラァグクィーン、ティック役として出演。バラエティーでのトークも評判で、ますます注目を集めている。彼が初めて打ち明けた、意外な過去や本音。大好きな自然の中で初めて見せた表情…。本書では、初めての記憶から人生の節目になった出来事まで全て赤裸々に語っており、どんなことがあろうとも前を向き、自分の手で切り開いては夢をつかんできた30歳の山崎さんの集大成ともいえる1冊に。また、山崎さんのことをよく知る地元の友人らによる秘密の暴露も!?ファンのみならず、“何かを成功させたい”と夢を持つ人たちにとっても興味深いエピソードが満載となっている。<山崎育三郎コメント>このたび、初めて自叙伝を出させていただくことになりました。初舞台から18年、30歳という節目に、このような形で本を出させていただくことを感謝します。ミュージカルの世界、映像、家族、仲間、介護、いままで話すことのなかった全てがここにあります。葛藤し、挫折を繰り返した10代、夢を叶えるために走り抜けた20代。いまの僕はこうして存在している。「受け入れ、歩き続けてきた」この30年の想いを覗いてみてください。「シラナイヨ」は7月16日(土)よりワニブックスにて発売。(text:cinemacafe.net)
2016年06月02日浦井健治と蒼井優が禁断の愛に挑戦する――。そんな触れ込みで開幕前から注目を集める『あわれ彼女は娼婦』。イギリスの劇作家、ジョン・フォードにより1620年に描かれたこの物語は、兄・ジョヴァンニ(浦井)と妹・アナベラ(蒼井)が愛しあってしまう近親相姦の関係がクローズアップされがちだが、実は、彼らを取り巻く様々な人間の思惑が交差していく重層的な作品だ。6月8日(水)に新国立劇場で初日を迎える本作の稽古場を訪ねた。舞台『あわれ彼女は娼婦』チケット情報演出を手掛けるのは栗山民也。「演出の6割くらいはキャスティングで決まる」そう語る栗山が、浦井と蒼井を選んだ理由は、「ピュアで、ふつうの感覚」であったこと。「それぞれのたくらみが混じり合う時代のなかで、近親相姦はむしろピュアにさえ見える行為。ふつうに思える人たちが、“えっ?”と驚くような行動に突き進んでしまう、そんな人間の“業”を際立たせるには、このふたりがぴったりだと思った」と話す。浦井とは5度目のタッグ。「健ちゃんは演技に白紙の部分を必ず残す。その冷静さが魅力」と分析する。稽古場に組み上げられたセットは、作品世界を象徴するかのように広い道が大きくクロスした形になっている。栗山は「稽古場にはわからないことがたくさん存在する。この役は何を求めようとしているのか、どこへ向かおうとしているのか。それをみんなで話し合い、確認しあうことができるのが稽古場の喜びなんだ」と楽しそうに話す。その言葉どおり、一幕ごとの通し稽古が終わると栗山の周りにキャストやスタッフが集まってくる。細かなセリフのニュアンスや動きのタイミングを栗山が指摘し、キャストはそれを真剣に聞き入る。その合間に笑い声が上がることも少なくない。400年も前に書かれた戯曲をいまの時代に上演することについてはこう話す。「この作品のなかに描かれた人間といまの人たち、明らかに違うのは欲望、あるいは好奇心の強さだね。この作品の登場人物たちは、あらゆることに対する欲望がいまの何倍も濃い(笑)。すごくエモーショナル。草食系なんて言葉が生まれて、傷つくのが怖いからと何もしない若者が増えるなかで、この情熱の濃さは僕にとってすごく興味深い」と話す栗山。「劇作家は記憶の声を描く。それを現代の肉体を通して、現在形のドラマにしていくのが僕らの仕事。結論なんて存在しないし、演出家が人間に対する答えなんて出せるわけもない」と語りながら、400年前の“声”を2016年の日本に立ち上げようとする栗山。そして栗山のもと、強烈な欲望と好奇心をもった人々を演じるキャストたち。それぞれの思いが集まった稽古場には静かに熱気が立ち込めていた。公演は6月26日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。チケット発売中。なお、25日(土) 13:00回の<ぴあスペシャルデー>では出演者によるスペシャルカーテンコールを実施する。取材・文/釣木文恵
2016年06月01日フリーアナウンサーの福澤朗が、28日(21:00~23:10)に放送されるフジテレビ系オムニバスドラマ『世にも奇妙な物語’16春の特別編』に、本職の司会者として出演する。今回の『世にも奇妙な物語』で語られるエピソードは4本で、福澤が出演するのは「クイズのおっさん」。何の面白みもない毎日に嫌気が差した古賀三郎(高橋一生)が、軽い気持ちで出演したクイズ番組の司会者として登場し、スタジオ中に響き渡る声で古賀の優勝の瞬間を彩る。しかし古賀は、この番組をきっかけに、クイズを出題してくるおっさん(松重豊)に追いかけ回されるという、奇妙な日々を送ることになる。さらに、俳優・浦井健治が、佐々木希主演の「美人税」に出演することも決定。美人であるが故に"美人税"を払わされることになった愛子(佐々木)に、救いの手をさしのべる魅力的な男性・野々村健一役を演じる。ほかにも、さまざまな出演者が4作品の随所に登場。加えて、番組の最後のエンドロールにも趣向が凝らされており、それぞれの作品内容に関わるスペシャル映像が準備されている。
2016年05月23日5月28日(土)に放送される「世にも奇妙な物語’16春の特別編」。今回放送される4本の作品に、新たに俳優の浦井健治とフリーアナウンサーの福澤朗が出演することが発表された。浦井さんは、舞台やミュージカルを中心に活躍中で、昨年にはアニメ・映画化と世界的な人気を持つ「DEATH NOTE」の舞台「DEATH NOTE the musical」を公演、小池徹平らと共演を果たした。さらに、今後も数々の出演舞台が控えており、いま注目の舞台俳優のひとりだ。そんな浦井さんが登場するのは、佐々木希主演の「美人税」。あらゆる点で得をしている“美人”は税金を払うべき、というとんでもない政策を導入した日本政府。佐々木さん演じる美女の愛子は20%もの税金を払うことを命じられ、窮地に陥ってしまうが、そこに浦井さん演じる野々村健一が救いの手を差し伸べる。また、松重豊&高橋一生がW主演を務める「クイズのおっさん」に登場するのは福澤さん。高橋さん演じる古賀は、何の気なしに出たクイズ番組で賞金100万円と「クイズ1年分」を手に入れる。その「クイズ1年分」とは、毎日目の前に松重さん演じる“クイズのおっさん”が現れる…というもの。本作で福澤さんは、主人公の古賀が賞金と「クイズ1年分」を手に入れることになるクイズ番組の司会者。福澤さんといえば、ニュース番組などの司会のほか「全国高等学校クイズ選手権」をはじめとしたクイズ番組の顔でもある。福澤さんならではの、のびのあるスタジオ中に響き渡る声が、本作の重要なシーンを飾る。今回は、この2本のほか、西島秀俊主演の「通いの軍隊」、窪田正孝主演の「夢みる機械」を放送。さらに番組の最後のエンドロールにもスペシャルな仕掛けが。オムニバス4作品の内容に関わるスペシャル映像がエンドロールで流れるため、最初から最後の1秒まで目が離せない。「世にも奇妙な物語’16春の特別編」は5月28日(土)21時~フジテレビ系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年05月23日連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔『王家の紋章』が、世界で初めてミュージカル化される。5月16日、主演する浦井健治ほか、宮澤佐江、新妻聖子ら出演者が劇中衣裳で登壇した豪華な製作発表会見が開催された。ミュージカル『王家の紋章』チケット情報物語は、アメリカ人少女キャロルがピラミッド発掘に参加している中、古代エジプトにタイムスリップしてしまうことからはじまる歴史ロマン大作。現代へ帰ることを願いながら、その地で若きエジプト王・メンフィスとの愛憎を繰り広げるキャロル、キャロルを愛するヒッタイト王国のイズミル王子、メンフィスに報われない愛を注ぐ実姉アイシスらの運命が交錯していく。会見には原作者である細川智栄子氏&芙~みん氏も出席。累計部数4000万部を誇る、少女漫画界きっての人気連載の初の舞台化について、細川氏は「若いときにテレビドラマ化をやったことがありますが、テレビの放送と漫画を描くスピードが異なってきてとても苦労しました。ですので『王家の紋章』は今までアニメ化の話などもありましたが、一切お断りしようと妹(芙~みん氏)と話していました。でも今回は「4巻まで(の舞台化)だったらどうか」と言われ、それだったら(漫画の続きを)急かされることもないのでお受けしました。それに間に立っていただいたプロデューサーさんがとても素敵な方で、そちらに参ってしまって…」と、許諾の理由をチャーミングな笑顔で明かす。主人公のメンフィスは、ミュージカル界のプリンス・浦井健治が務める。「連載40年、先生方が生涯をかけて紡いできたこの漫画が、ミュージカルとして、帝国劇場で初めて舞台化される。このことこそがロマンであり奇跡」と感慨深げ。浦井は初の帝国劇場単独主演だが、「とても嬉しいのですが、今はド緊張しています。帝国劇場はレジェンドであり、この舞台に立てること自体がとても光栄なこと。そのセンターに立たせてもらえる機会を与えてくれた皆さんに感謝しつつ、その期待に応えていきたい」と気を引き締めていた。キャロルはSKE48を卒業したばかりの宮澤佐江と、ミュージカル界の歌姫・新妻聖子がWキャストで演じる。「夢にも思い描かなかったくらい素晴らしい劇場に立たせていただく。自分が10年間(アイドルとして)やってきたものを形にしてこの舞台に捧げたい」と宮澤が緊張気味に語れば、新妻は「『王家の紋章』が大好きで、子どもの頃から夢と感動を頂いてきた。その魅力を語りだすと止まらない(笑)。メンフィスというのは、少女漫画の歴史における元祖・俺様男子。昨今、壁ドンとか顎クイとかありますが、メンフィスはキャロルの腕を折っちゃいますからね、“腕ポキ”ですよ、スゴイんですよ!」と原作愛を爆発させ、会場内を笑わせていた。出演はほか、宮野真守・平方元基(Wキャスト)、伊礼彼方、濱田めぐみ、山口祐一郎ら。公演は8月5日(金)から27日(土)まで、東京・帝国劇場にて。チケットぴあではぴあ半館貸切公演回の先行抽選「プレリザーブ」を受付中。受付は5月19日(木)11:00まで。
2016年05月17日『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズや『東のエデン』の神山健治監督の新作映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』の主人公・森川ココネの声を高畑充希が演じることが発表になり、特報映像が公開になった。特報映像映画は、岡山県倉敷で自動車整備工をしている父とふたりで暮らしている高校生・森川ココネが主人公。東京オリンピックを2日後に控えた日から物語が始まり、どこでも昼寝をしては怒られているココネは、いつも同じ夢を見ていることに気づき、彼女の知らなかったココネの家族の秘密が明らかになっていく。ココネを演じる高畑は「声優はこれまで2度やらせていただいたことがあるのですが、表情は自分じゃないのでとても難しいです。私は自分の声はクセが強いように感じているので、声優としてオファーを受けた時は嬉しかった半面『私でいいんだろうか』とも思いました。でも、神山監督が丁寧にキャラクターを伝えてくださったので、できるだけ監督のイメージに合うように、何度でもトライしたいと思います」とコメント。特報映像に登場するココネは岡山弁で話しており、高畑は「方言は難しいですね。岡山の方が聞いても違和感がない音を目指したいです」と語っている。本作は、『猫の恩返し』の森川聡子がキャラクター原案を、コヤマシゲトが“ハーツ”のデザイン原案を、『東のエデン』の佐々木敦子が作画監督を担当。IGポートグループのシグナル・エムディが制作を手がける。『ひるね姫~知らないワタシの物語~』2017年 全国ロードショー
2016年05月17日●ライブエンタメを行う、劇場の存在意義『アナと雪の女王』『レ・ミゼラブル』などのミュージカル映画がヒットし、井上芳雄、山崎育三郎、浦井健治などのミュージカル俳優がTVドラマに出演。更に「2.5次元ミュージカル」の隆盛など、日本のミュージカル界は新たな動きを見せている。移り変わる時代の中で、100年以上の歴史を持ち、今なお第一線で多くの作品を上演する「帝国劇場」を支えるのは一体どのような考え方なのだろうか? 副支配人・竹本一輔氏と、東宝演劇部宣伝室長・洗秀樹氏に取材を行った。○『テニミュ』は大きなファクター――有楽町・日比谷エリアは、日生劇場、東京宝塚劇場などの大劇場が多いですが、良い効果はありますか?竹本規模が全然違うのですが、ニューヨークのブロードウェイ、ロンドンのウェスト・エンドのように、劇場が密集している方が、賑わいがでますよね。創業者の小林一三が、界隈の映画館をつくったのですが、この規模の大劇場が集積しているエリアは他にありません。競合している劇場と比べられることはありますが、意識はしないです。私たちは大衆娯楽を提供する場所でありつづけるべきだと思っています。――現在2.5次元ミュージカルなどの上演が盛んですが、ミュージカルシーンが活性化しているように感じますか?竹本ミュージカル『テニスの王子様』は大きなファクターだと思います。『テニミュ』出身の若い方が今、うちの舞台にも出ています。若いタレントを志す方が、TV・映画のほかに「舞台に出たい」「舞台で役者になりたい」と思えるようになっていけばいいなと思いますね。洗現在、帝劇に出ることについて、ある種「オリンピック出場」と近いイメージを持っていただけていると思います。我々は日本一の劇場で日本一の公演をお届けしているというプライドは常に持ちながらやっています。○ライブエンタメに関わる人間として――劇場運営において、観客から意見をすいあげることはありますか?竹本一人ひとりのお客様にどこまでコミットできるかと考えると、限界は存在します。だから、その瞬間のサービスに最善をつくすしかないんですよね。役者さんも、調子が悪い時にお客さんに気づかれるのはプロの仕事ではなく、そのときの状態でベストをつくすのがすべてだと思います。表方も裏方も全員、劇場の中に立ってお客様をむかえる者であるという気持ちでないと、簡単にチープになってしまいます。毎日同じことをやっている中で、漫然とルーティン・ワークにしないのは、一期一会と考えているからです。――劇場に関わる方全員がライブという意識を持っていると。竹本そうしないと、劇場の存在理由がありません。お客様は劇場にライブを求めてくる。そこにどこまで真剣に取り組むかがすべてだと思っています。今の時代だから、評判は瞬時に伝わります。ライブエンタメに関わる人間にとって、その時々の瞬間のお客様の感想を、聞かないふり・見ないふりで済ますという選択肢は、ないと思います。●何かを生み出す場としての劇場○ただ芝居を流す小屋ではない――観客も含めて、劇場から発信されるものがとても重要になってくるんですね。竹本劇場から発せられる情報が、色々なものへ影響を及ぼすような場でなければいけないなと思います。ここでほかのアイディアや、次に観たい何かが生まれる。そういったライブエンタメの場が、これからはもっと大事になってくるのではないでしょうか。ただ芝居を流す小屋ではなく、何かを生み出す場でないと。私達のように川上から川下まで全部やっていくことで、すべてのセクションが情報を共有できるのは良いことだと思います。洗それは思いますね。「違う業界でこんなことやっていたよ」「こんなことできないかな」と、突拍子もない意見が出てきて、その場では実現しなくても、あとから「この前言っていたこと、今できるんじゃない?」などと、ポロッとうまくいくこともあります。――おふたりも仲良さそうな雰囲気が伝わってきます。竹本そういうのは超えていますね(笑)。洗「みんなで成功させよう」という空気は強いです。それは、成功しなかったときの悔しさを知っているから。「けっこう空席あるな」「評判があんまり良くない」と聞くと、宣伝の打ち出し方が悪かったのだと落ち込んでしまいます。新しいチャレンジをしていれば、成功しない時も当然あります。そういったときに、「次はこうしよう」という意見を交わしやすいですね。そして、成功体験も自分で振り出しに戻していかないといけません。成功体験をリセットして、お客様のご期待を上回るものを提供し続けないと。――時代の空気もつかまないと……。洗大事ですね。同じ演目を宣伝する場合も、20年前と今だと全然違います。TVと新聞がメディアとして大きな力を持っていた時代と、今のSNSの時代とでは手法も違いますし、人の感覚も違ってきていると思います。――『レ・ミゼラブル』のフラッシュモブ映像も面白い宣伝でした。洗それも「役者を集めるのが困難だ」とか「時間がない」とか議論にはなったのですが、結果的にはお客様に面白がっていただけたのかなと。あの時に『レ・ミゼラブル』で行ったのが良かったのだと思います。一度ウケたからと別の作品で行っても、二番煎じではサプライズをお届けすることは出来ません。○成功と失敗の繰り返し――そういった試みを続けてきたからこそ、100年の歴史があるのでしょうか。竹本同じように、のたうち回っていたと思うんですよ。失敗と成功の繰り返しです。けっこう狭い所帯なので、いがみあっていてもしょうがないし、目の前にあることを考えないと、先も何もなくなってしまいます。――そういった歴史は共有されているんですか?竹本40年前を知っているプロデューサーたちがまだいて、私たちに情報を残してくれているのはありがたいですね。私たちは会社員なので定年がありますが、「死ぬまでやる」と考えているクリエイティブの方たちの思考や取り組み方は、普通では学べません。――どういった思考なのでしょうか。竹本「できないと思っていることをやる」ということだと思うんです。往々にして、「そんなことはできない」と言ってしまうのですが「できないというな、まずやってみろ」と返されます(笑)。失敗を咎める社風ではないのもありがたいですね。あとはもう、各々が他人事にしない。すべて自分ごとにして、各自徹底的にプロ意識を持つことが、劇場を支えているのだと思います。
2016年05月02日●『1789』は新しい流れをもたらす作品『レ・ミゼラブル』『エリザベート』など多くの人気の作品を上演している帝国劇場。銀座にも近く、多くの買い物客や観光客でにぎわう有楽町・日比谷エリアに位置し、105年の歴史を持つ日本初の洋式劇場としても知られている。様々な俳優が「いつか帝劇に立ちたい!」と思い、「日本ミュージカルの聖地」と呼ばれることもあるこの劇場は、一体どのような空間なのだろうか? 副支配人・竹本一輔氏、東宝演劇部宣伝室長・洗秀樹氏に取材を行った。今回は主に「帝国劇場」の基礎知識について紹介していく。○劇場を持つ幸せ――100年以上もの歴史がありますが、どういった理由で建てられたのでしょうか。竹本開場が1911年、明治44年ですね。当時は欧米に追いつけ追い越せで、大きな洋式の劇場を建てようとなったようで、国を牽引していた実業家たちによって、民間で作られた劇場です。「帝国」と冠しているのですが、一度も国の資本が入ったことはないんですよ。現在の阪急阪神東宝グループや宝塚歌劇団を設立した小林一三によって、1937年に東宝が吸収合併して直営の劇場となりました。――都内の劇場が複数建て替えに入ってしまう、いわゆる「2016年問題」など話題になっていますが、ずっと存在してくれるのは頼もしいですね。竹本ライブエンタテインメントを発信する方にとって、ステージ=劇場はなくてはならない存在ですが、自分たちで創った演劇を、自分たちの劇場で観ていただけるなんて、これほど幸せことはないと思います。私自身は劇場運営というセクションで、特にビジネス面を厳しく見なければいけない立場でありますが、作り手の一端を担うものとして「劇場を持つ幸せ」を強く感じます。――帝国劇場で観ることのできる作品で、おすすめなどはありますか?洗今はやはり、最新作『1789 -バスティーユの恋人たち-』ですね!(笑) 帝劇は100年の歴史のなかで、常にチャレンジをしています。バレエ、歌舞伎などからはじまり、『放浪記』『細雪』のような座長公演を行うようになり、『レ・ミゼラブル』という大型ミュージカルがやってきて、さらに2000年代になると『SHOCK』(現『Endless SHOCK』)というとてつもない作品がやってきます。今回の『1789 -バスティーユの恋人たち-』では、また新しい流れが加わったのではないかと思っています。『1789 -バスティーユの恋人たち-』には、ミュージカル『テニスの王子様』に出ていた若々しいキャストも、宝塚歌劇出身の方も、帝劇にずっと立ってきたミュージカルキャストもいる。更に、生オケではなくデジタル音源を使っているところも特徴です。「ミュージカルは生オケ」という固定観念もあったのですが、実際に聴くと、ものすごいんですよ! ズンズンと重低音のリズム感があり、ダンスもすごくて、斬新ですね。おかげさまで評判も上々です。――2016年のラインナップでいえば、『王家の紋章』も驚きました。洗『王家の紋章』もサプライズ演目だと思うのですが、帝劇ならではの大作感や格式を出していきたいと思っています。こちらのキャストも、山口祐一郎さん、濱田めぐみさんといったベテランから、若手ミュージカルスターの浦井健治さん、帝劇初出演の宮野真守さんなど、さらに音楽は『エリザベート』のシルヴェスター・リーヴァイさんという最強のキャスト・スタッフでつくる古代ロマンです。●心血を注いで作られた劇場○既に3~4年先まで考えられている――『1789 -バスティーユの恋人たち-』『王家の紋章』が新作で出てくるとは、すごい年ですね。洗お客様も宣伝手法をご存知ですし、他社も知恵をしぼっていますから、「こう来たか!」というものがないと。期待を抱いていただきながら、その期待を断然上回りたい、そのために何をしたらいいのかを、宣伝担当は常に考えています。『SHOCK』も16年続いていますが、毎回新しいことにチャレンジしているから、何回観ても新しい発見がある。堂本光一さんご自身も、生で新しいものを観てもらうことを大事にされていますし、それこそがライブエンタテインメントを作り続ける醍醐味だと思います。――人気作を上演し続けるだけでなく、チャレンジを盛り込んでいくと。洗その上で、新しいものを作るのは一朝一夕でできることではなく、企画してから上演に至るまで、やはり3~4年はかかります。逆に言えば、今すでに3~4年先の話を進めているので、また「えー!?」というサプライズをお届けできると思います。過去のヒット作を毎年上演すれば良いと考えてはだめで、新しい作品にチャレンジしてラインナップに厚みを出していかないと、お客様の興味も尻すぼみになってしまいます。○稽古場も併設された劇場――帝国劇場の特徴は、どのような点にあるのでしょうか。竹本1,800席を少し上回る客席数で、演劇を見せる劇場としてはかなり大きなサイズだと思います。音響などは、コンサートホールの方が優れているかもしれないですが、私たちは劇空間ですので、365日12カ月、満足いただけるようなスケールの大きな演劇を見せていくべきだと思っています。――稽古場も劇場内にあるんですよね。竹本9階に帝劇の舞台面と同じ寸法の稽古場があって、地下にさらに小さな稽古場があります。次の公演の稽古はほぼ9階でやっていますね。役者さんもすれ違っているのではないでしょうか(笑)。――この一等地に稽古場があるというのもまた贅沢な気がします。竹本当時の担当役員だった菊田一夫が心血を注いで作った劇場で、稽古場を入れたのも「これが必要だ」と考えたのでしょう。できてから50年たっても、われわれにとってはかけがえのない財産です。もう、こういった劇場を一から作るのは厳しいと思いますよ。○椅子の裏までメンテナンス――劇場運営で、ふだんから大切にしていることはありますか?竹本細かいところですが、見えないところも含めて、清潔でなければいけないと思っています。例えば手すりや椅子の裏など、目には届かないところこそきれいにしていく。舞台裏もそうですが、常にメンテナンスをしていかないとだめになってしまいます。――椅子の裏まで!竹本暗くて見えないところでも、意外とほこりがたまったりするんですよね。椅子も、バネがあれば壊れることもあるので、毎日毎日チェックをしています。まずは掃除からですね。洗手を抜いたらわかりますよね。「トイレが汚いな」「列が長すぎる」とか(笑)。列を短くするのは難しいですが……。――誘導してくれるとうれしいですよね。洗ホスピタリティでカバーしていこうと。ハード的にもソフト的にも手が届いている、満足度高く帰っていただけるように、全社一丸となって取り組んでいます。――作品によって内装が変わったり、劇場内が商店街のようになっているのもずっと変わらないのでしょうか。竹本私が演劇の仕事を始めて約20年経ちますが、にぎわいをつくるというコンセプト自体は変わっていません。非日常な異空間をお届けしたいと思っています。
2016年04月30日『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズや『東のエデン』の神山健治監督の新作映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』が来年公開されることが発表になった。2020年の東京オリンピックを目前にした岡山が舞台になる。その他の画像「重苦しい現実と対峙していかなければならない時代に、アニメーション映画がやるべきことは何か?自問自答していたある日、『自分の娘に観せたい映画を作ったらどうだ』と言われふっと天真爛漫な女の子とお父さんの物語が浮かんできました」という神山監督は「でもこれがなかなか一筋縄ではいかずどうしたら娘に観てもらえるかを考えながら奮闘する毎日でした。この物語は、あるミニマムな個人の想いに寄りそった『父と娘の物語』です」と説明。映画の詳細なストーリーは不明だが、主人公の森川ココネ、ロボットに変形するサイドカー“ハーツ”のデザイン画と、岡山県児島を描いた背景美術が公開になった。『猫の恩返し』の森川聡子がキャラクター原案を、コヤマシゲトが“ハーツ”のデザイン原案を、『東のエデン』の佐々木敦子が作画監督を担当。IGポートグループのシグナル・エムディが制作を手がける。『ひるね姫~知らないワタシの物語~』2017年 全国ロードショー
2016年04月18日毎週月~金曜朝8時からTBS系で放送の「白熱ライブ ビビット」での特集枠「密着 ビビット」の4月11日(月)放送回に、ミュージカル俳優の井上芳雄が登場する。大学在学中の2000年にミュージカル「エリザベート」でデビューした井上さん。主にミュージカルを中心に活動しており、近年では今年2月より放送していたドラマ「わたしを離さないで」の出演や、来年2月には渋谷・Bunkamura シアターコクーンにて、「シアターコクーン・オンレパートリー+キューブ 2017」の上演が決定したばかり。今回、番組では一緒に暮らす“相棒”や中学時代からの親友、そして井上さんを慕う後輩の俳優・浦井健治、山崎育三郎も登場し、井上さんの素顔に迫っていく。また、自称“ミュージカル・マニア”だという井上さん。当番組MCの真矢ミキには並々ならぬ思いが…。熱すぎるミュージカルトークはファンならずとも必見!「白熱ライブ ビビット」は4月11日(月)8時~TBS系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年04月11日堤真一、寺島しのぶ、井上芳雄、浦井健治らの華も実力も兼ね備えた俳優陣たちが出演する舞台『アルカディア』が4月6日(水)、Bunkamuraシアターコクーンにて開幕する。舞台『アルカディア』チケット情報物語は、英国の貴族の屋敷を舞台に、「19世紀初頭」と「現代」のふたつの時代が、時には交互に、時には複雑に交錯し合いながら進行する。一見何の関連もなさそうなふたつの世界が、「ある謎の追究」を巡り、時空の隔たりを感じさせないほど絶妙にリンクし合いながら躍動する。そんな名作戯曲に挑戦する出演者から最終通し稽古後のコメントが到着。堤真一膨大な台詞の多くは、哲学的であったり数学的な言葉なので、高尚で重苦しい文芸作品のように思われがちです。ところが、実はそういう学術的な言葉は本筋ではなく、軽やかでユーモラスに、登場人物たちの恋愛熱や研究への情熱が 200 年の時空を駆け巡ります。学術的な話が多いので、確かに台詞を喋る役者は大変(笑)。でも、そこで描かれている人間たちの姿をハッキリとお見せできれば、お客様により一層楽しんでいただけるはず。まずはその「人間ドラマ」に集中したいと思っています。寺島しのぶここに登場する人物は皆、研究なり恋愛なり、一つのことに「熱」を傾けている人たちです。私が演じる「ハンナ」も、19世紀の詩人バイロンの研究にエネルギーを燃やしていて、研究以外には全く無頓着。でも自分の研究への愛と情熱は誰にも負けない。そんな「熱」が伝えられれば、素晴らしい舞台になると思っています。栗山さんが、「これは愛の話」と仰っていたように、劇中には色々な形の愛があり、ハンナもその中で成長していきます。劇中に生まれる変化を演じられるのは、とても楽しいことですね。井上芳雄ストッパードの伝説的な作品で、それを栗山民也さんの演出で、堤真一さん、寺島しのぶさんをはじめとする憧れの役者さんたちとご一緒できる!それだけで、台本を読む前に即答で出演を決めました。栗山さんの舵取りで、皆さんと一緒に掘り下げて行った稽古は、謎解きの面白さと演劇の喜びに溢れた現場でした。間違いなく、「日本最高峰のメンバーが集結した舞台」と言っても過言ではないです!ぜひ多くの方々に観に来ていただきたいですね。浦井健治稽古初日の本読み後、思わずため息をつきながら、机に突っ伏してしまったんです(笑)。学術的な台詞が多いし、意味もよくわからないし……。それが、立ち稽古が進むにつれ、どんどん見えてくる景色も広がって、この戯曲の凄さや面白さを発見する毎日でした。栗山さんや皆さんとご一緒できる現場は、僕にはかけがえのない時間。そこから生まれる「熱」をお客様に感じていただけたら嬉しいですね。4月30日(土)まで東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演後、5月4日(水・祝)より森ノ宮ピロティホール(大阪府)へと舞台を移す。
2016年04月06日舞台『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』や映画『恋におちたシェイクスピア』の脚本で知られるトム・ストッパード。彼の最高傑作と称される『アルカディア』がついに日本で初上演される。演出に栗山民也、キャストに堤真一、寺島しのぶ、浦井健治など豪華なカンパニーで構成されたこの作品。なかでも、キーマンとなるセプティマス役を演じる井上芳雄は「これは日本最高峰の舞台と言っても過言じゃない」とすでに強い手応えを感じている。舞台『アルカディア』チケット情報舞台となっているのはイギリスの豪壮な屋敷。物語は、そのひと部屋で“ある謎の追求”をめぐり、19世紀と現代が交錯する二重構造となっている。「セットは同じで、登場する人物だけが違うというのが、どのようにお客さんに見えるのか、興味がありますね」と井上。「しかも、ときには200年の時代を超えて、それぞれの人物が同じ空間に現れる。お互い直接会話を交わすわけではないけれど、同じノートを見ながら、同じテーマの話をするんです。ノートに限らず、その部屋で200年もの間、多くの人がいろんな会話をしてきたんだなと思うと、すごくロマンがありますよね」稽古場では19世紀組と現代組に分かれて稽古をすることがほとんど。でも、ここにもそれぞれのカラーが出ているそうだ。「19世紀組はストイックですね。当時は階級社会なので、その階級の中での登場人物の立ち位置や発言がとても重要になってくる。そのため、セリフの一つひとつに気を遣って繊細に表現しています。一方、現代組はライトな雰囲気。しかも、堤さんも、寺島さんも、演出家が求めるその先の表現を求めてお芝居をされているので、どんどんいろんなアイデアが生まれてくるんです。たまにやり過ぎて芝居が崩壊することもありますが(笑)、それも含めて楽しい稽古場になってます」また、作品の内容について、「難解で、最初はよく理解できないところが多かった」と井上は笑う。しかし今は、共演者や演出家の栗山たちと意見を重ね、「その作業が謎解きみたいで面白い」そうだ。「テーマは“熱”なんですよね。そこで生きている人たちの情熱や愛情、それに愛欲などが描かれている。それって、どの時代でも誰しもが持っているものだと思うんです。ですから、時代を超えてもあふれだす人間の壮大なエネルギーを舞台上で表現できたらなと思ってます」公演は4月6日(水)から30日(土)東京・シアターコクーン、5月4日(水・祝)から8日(日)大阪・森ノ宮ピロティホールにて。取材・文:倉田モトキ
2016年03月25日イギリスの劇作家、ジョン・フォードの代表作『あわれ彼女は娼婦』が今夏、東京・新国立劇場で上演される。17世紀に書かれ、兄と妹の禁断の愛を描いたこの戯曲は、実際にあった事件を参考につくられたもの。日本でも何度か舞台化された本作に今回挑むのは、浦井健治と蒼井優だ。舞台『あわれ彼女は娼婦』チケット情報ふたりは2012年、劇団☆新感線の『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』で共演して以来の再会。このときは完全なるコメディだったが、今回は非常にシリアスな物語だ。「『五右衛門~』のときは出演者みんな仲が良くて、常に笑っていたんです。その印象が強くて、久しぶりに蒼井さんと会ってもなんだか笑ってしまいます」という浦井。対する蒼井は「私も『五右衛門~』でシャルルという役をやっている浦井さんしか見ていない。でもその後作品を拝見するたびに違う人のように見えるので、今回は“知らない”浦井さんとお芝居をすることになるのかなと楽しみです」と語る。兄と妹との許されない愛を描く物語だが、脚本を読んだ感想を聞くと冗談交じりに「登場人物が多い!」と声をそろえるふたり。確かに、この作品はふたりを取り巻く周りの人々の思惑が折り重なって物語が展開していく。「一見共感しづらい作品に思えるけれど、脚本を読み進めると、決して近親相姦という部分がメインというわけではないことが見えてくる。兄妹間の純愛が軸にありつつも、そこから周りの憎悪やエゴが浮き彫りになってくる愛憎劇なんです」と浦井が一転真面目に話すと、蒼井は「浦井さんの言うとおりだと思います。だからこそ私たち兄妹はつっぱしらないといけない。それは自分たちの恋愛を表現するのではなく、作品がもつものを浮かび上がらせるために。そんなふうに今は思います」と続けた。演出を手掛けるのは栗山民也。浦井は『デスノート The Musical』で栗山演出を経験している。「栗山さんは、現場と作品に愛を持って挑まれる方だから安心感があります。栗山さんがもつ揺るがないビジョンに対して、自分が何を出せるか、つねに挑戦です」と決意を新たにする浦井。一方の蒼井は栗山にストレートプレイの演出を受けることが、かねてからの念願だったという。「一度だけ、宮沢賢治さんの作品の朗読劇でご一緒したことがあったんです。そのとき、事前の下調べの深さ、読解力のすごさに驚かされました。いつかこの人の演出を受けたいという願いが思いのほか早くかなってうれしいんです。栗山さんと同じくらいの熱量で稽古に挑まなくては……まずは登場人物の名前を覚えるところから頑張ります(笑)」公演は6月8日(水)から26日(日)まで、東京・新国立劇場 中劇場にて上演。一般発売は4月2日(土)。なお 、チケットぴあでは【ぴあスペシャルデー:6月25日(土)13時回】の最速先行《いち早プレリザーブ》を3月15日(火)11時から受付開始。また《プリセール》は3月21日(月・祝)10時より申込みを開始する。取材・文:釣木文恵
2016年03月14日