そろそろ春に向けて、なにか新しいことを始めようかな……と考えている人も多いのでは。そんな方は、この機会に日本の伝統芸能に触れてみるのはいかがでしょうか。自らのルーツを知るだけでなく、知らなかった日本の文化や作法に触れて、自分と深く向き合うきっかけになるかもしれません。今回は、和の学びと楽しい体験がつまったイベント「ふらっと能楽体験」をご紹介します。■「能楽」って知っていますか能楽の上演は主としてこのような専用舞台で行われます。歌舞伎や文楽と並ぶ日本の伝統芸能として有名な能楽。能の作品の多くは、主役である幽霊が出てきて、昔の想いを語って去っていくという内容です。幽霊が出てくるだけでなく、その幽霊が主役である、という演劇は海外でもあまり例がないのだそう。幽霊や神など、人ではないものを内包する能楽の世界観は、しばしば「幽玄」と表現されます。「ふらっと能楽体験」では、能楽の世界の奥深い美しさだけでなく、能楽を支える「身体性」や「道具」など、その内側にまでたっぷり触れることができます。どちらかといえば能楽初心者向けのこちらのイベント。筆者がお邪魔させていただいたときは、20代から50代まで幅広い年代の方々が参加されていました。定期的に能楽を観るという人もいれば、少し見たことがある程度の人まで、能楽キャリアも人それぞれ。今回は、「特に楽しかった!」と感想が寄せられた体験型コンテンツに焦点をあてて、イベントの一部をご紹介します。■基本の構えとすり足はなかなか過酷最初に教えてもらったのは、基本の構えと足の運び。これが思った以上に過酷!能舞台の「橋掛かり」という場所をすり足で進みます。能楽の表現では、たとえお爺さんの役だからといって、“いかにも”なお年寄りの動作をしません。能の動きはすべて基本の「構え」に支えられていて、しっかりとした骨格を保つからこそ装束も生きてくるのだとか。そうした能楽の基本姿勢は、ぜひ一度体験してみてほしいほどに難しいのです。・まずは前傾姿勢になり、お尻を後ろに突き出す。・その状態から上体を起こす。その際、骨盤はそのままに、胸だけ起こしてくるように。・進むときも、膝はできる限り曲げず、かかとは床から離さないように(俗に言うすり足ですね)という内容。実際にやってみると、まったくもって言われる通りにはいかないことがわかります。能の舞の美しさは、普段私たちが普通にしている姿勢とは異なった「構え」や「すり足」など、知られざる身体性によって支えられていたのですね。■能面を着けての記念撮影もイベントでは紹介する曲に合わせて、実際に舞台で使われる小道具や能面に触れることができます。今回は『高砂』という大変おめでたい演目で使われる道具を紹介してもらいました。『高砂』という曲で使われる2種の能面。能『高砂』曲紹介兵庫県の高砂神社にある「相生の松(あいおいのまつ)」に由来する、大変格式の高いおめでたい曲。松は古来、神が宿る木とされ、常緑樹である「松」に「長い繁栄」を、「相生(あいおい)」という言葉に「ともに老いる」という意味がかけられています。能『高砂』は、夫婦和合の象徴として、その一節が結婚式等で謡われることもあるのだとか。『高砂』に登場するお爺さんが着用する「小牛尉」という面を着けて撮影タイム。能面と一緒に着けている鬘は1回1回結うのだそう。「能面のような表情」という表現は、表情があまりないという意味で使われますが、実際の能面をよく見ると、ちょっとした角度で見え方が変わるほど、豊かな顔つきであることに気づきます。能楽師はその微妙な角度を工夫しているため、時に自分の視界より面の角度を優先することもあるという、普通だったら考えられないようなお話まで聞くことができました。■謡(うたい)で舞台に反響する声を楽しむせっかく能舞台に立てるからには、あの不思議な響きの謡も体験したい。今回教えていただいたのは、祝賀の場面で謡われることもあるという「四海波静かにて」から始まる詞章。お能の詞章には、素人には難しい独特の節付けが存在しているので、能楽師の安藤さんの後に続いて一緒に謡っていきます。安藤さんからは、「とにかく大きな声で謡ってください」とのアドバイス。謡のときにも扇を必要とするのは、結界を結ぶ意味があるからなのだとか。扇をもって結界とみなすのは、能だけでなく茶道などほかの日本文化にも通ずる部分があります。この微妙な節付けが難しく、苦戦します。しかしながら、大人になってから人前で大きな声を出す機会はそう多くないもの。能楽堂で声を出すと、自分の声ではないかと思うほど響いてくるので、これはなかなか気持ちいいものでした。そして何よりプロの能楽師の声はけた違いで、真正面に向き合うと圧倒されます!プロの能楽師の声を浴びつつ、出せる限りの声を響かせます■ゆったりに見えて意外に難しい能の舞謡を習った後は、その謡にあわせた舞を実際に舞台で舞うことができます。最初に教えてもらった基本の構えとすり足を軸に、「型」と呼ばれる舞の振付けを教えてもらいます。実際に体験するのは、30秒ほどの短い舞。先に練習した「四海波静かにて」の一節を謡ったら、後はプロの能楽師の謡にあわせて教えてもらった通りに舞います。型を覚えたら、一人ひとり能面を着けて舞ってみます能面を着けたときの視界の狭さは想像以上。頼りになるのは、サポートしてくれる能楽師の方の声、謡が聞こえてくる方角、そしてうっすら視界に入る柱のみ。特に柱については、観客側から見ると邪魔でしかないものが、なぜ能舞台に存在するのかを身をもって体験しました。能面をつけて視野を狭められると、否が応にも視覚以外の感覚を研ぎ澄まされることがわかります。それは同時に、普段私たちが何気なくしている仕草が、いかに無意識的で受動的なものか、ということでもありますね。楽しい体験のなかには、そうした気づきも存在していました。■初心者こそ行ってみて!まずは触れてみることからプロの能楽師による舞も見ることができる。上演時以外は簡単に立ち入ることのできない能舞台を貸切状態で行われるこちらのイベント。能楽の奥深い世界にもっと気軽に触れてみてほしいという想いから、3000円という低価格で、毎月2回、定期的に開催しているそうです。紹介される能面や装束は、すべて主催の銕仙会で所蔵されているもの。普段の演能で実際に使用されているばかりでなく、江戸時代に作られた歴史ある貴重品もあるのだとか。初めての人でも楽しめる体験なのは、舞台から能面・装束にいたるまで、「本物」に触れることができるからこそ。紹介される道具類は曲に合わせて毎回変えるそうなので、何度でも楽しめそうですね。参加者からは、「プロの能楽師の謡をこんなに至近距離で浴びるのは、観ているときとまた違った感覚があった」「能面を着けて舞うなんて、なかなかできないから嬉しかった」などの感想が寄せられました。足袋や扇などの必要な道具もすべて貸し出してくれるので、イベント名の通り「ふらっと」能楽の世界にトリップすることができそうです。百聞は一見にしかず、「伝統芸能は敷居が高い」と思う人こそぜひ参加してみては。あっという間の2時間になること間違いなし、ですよ。■ふらっと能楽体験イベント概要ふらっと能楽体験■開催日:・3月22日(木)・4月6日(金)・20日(金)・5月4日(金・祝)・18日(金)※以降も月2回の開催を予定。■開催時間:全日程10時~12時■開催場所:銕仙会能楽研修所(東京都港区南青山4-21-29/表参道A4出口より徒歩5分)■参加費:3000円(足袋・扇・資料の貸出含む)下記「じゃらん」の専用ページよりお申込みください。
2018年03月12日今年20周年を迎える宙組で、新トップスターとなった真風涼帆(まかぜ・すずほ)。3月16日(金)開幕の『天(そら)は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』で宝塚大劇場お披露目を果たす。【チケット情報はこちら】真風は男役10年の節目に星組から異動してきたが、「初舞台は宙組公演(『NEVER SAY GOODBYE』)でしたので、20周年の宙組でこの立場に立たせて頂いたことに不思議なご縁を感じます」と感慨深い様子。2月に行われた「宙組誕生20周年記念イベント」では歴代のトップスターと共演し、「20年分の皆さまの想いを肌で感じ、伝統をつないでいかなければと気持ちも新たになりました」と明かす。『天は赤い河のほとり』は、1995年から2002年まで「少女コミック」で連載された篠原千絵の同名漫画が原作。真風演じるカイルは、古代ヒッタイト帝国の世継ぎと目される勇ましい皇子で、現代からタイムスリップしてきた日本人少女・鈴木夕梨(ユーリ)と惹かれ合い、彼女を陰謀などから守り、国創りに邁進する。あらためて漫画を読み返した真風は、「キャラクターそれぞれに素敵なドラマがあるところが魅力。小柳奈穂子先生が漫画のエッセンスをうまく盛り込んでくださっています」と話す。カイルとしてはユーリへの真っすぐな愛と、平和な治世を目指すところを大切にしたいという。「少女漫画の憧れの存在でいられるように表現できたら。前回の『WEST SIDE STORY』とはビジュアル、演じ方もまったく違うので、漫画とのバランスを考えながら創っていきたいです」。腕の中にすっぽりとユーリを包み込む、そんな原作に違わぬカイルを包容力溢れる演技で魅せるだろう。新トップ娘役・星風(ほしかぜ)まどかとも、「『100回の稽古より1回の舞台』と言いますが、『WEST-』で培われたものは大きいです」と、ひと公演ごとに絆が深まるのを感じたという。『シトラスの風-Sunrise-』は、岡田敬二のロマンチック・レビュー・シリーズ第20弾。宙組誕生時に初演、その後も再演されてきた『シトラスの風』の新バージョンだ。「私は全国ツアーで1度出演しましたが、『明日へのエナジー』の場面で胸にくるものがありました」と微笑む。ゴスペル調の曲にのせて力強く歌い踊るこのシーンは今回も外せない名場面。「今はコーラスの力を真ん中でじかに感じます。稽古場で姿月あさとさん(宙組初代トップスター)に教えていただいた細かなニュアンスも大切に、今の宙組でしっかりと創っていきたいです」公演は兵庫・宝塚大劇場にて3月16日(金)より4月23日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は5月11日(金)から6月17日(日)まで。4月8日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2018年03月12日脚本・作詞・演出・石丸さち子×音楽・和田俊輔によるRock Musical『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』が、4月3日(火)にKAAT神奈川芸術劇場 中スタジオで開幕する。それに先駆け、稽古場にて公開稽古が行われた。Rock Musical『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』チケット情報シェイクスピアの恋愛悲劇「ロミオとジュリエット」を下敷きに、舞台を現代として血縁や国境、性別、人種、宗教、経済など見えない“ライン”に隔てられた若者が、その“ライン”をも飛び越え命を燃やした5日間の恋を描くオリジナルミュージカル。主演は東啓介、ヒロインは豊原江理佳、そして柳下大、中山義紘、大山真志、マルシアが出演する。楽曲を中心に披露した公開稽古。一曲披露するごとに石丸は、例えば主人公・ハワル(東)とヒロイン・リェータ(豊原)が恋の喜びを歌う楽曲で、東と豊原に「ハワルの台詞(恋にまつわるある台詞)は世紀の大発見なの。その発見の喜びの中で歌い始めて!」と伝えたり、“ライン”上に暮らす女・ドゥーシャ(マルシア)が恋するふたりを祝福する楽曲についてマルシアに「果実がはじける瞬間を思い出しながら、若い恋が温かく育まれることを祈るように。それでいて自分の中に“かつて激しい恋をした人”と“母”を両方抱えておいてほしい」と話したり。熱く、俳優たちの心を揺さぶるように演出をつけていく。それに応えながら自身もアイデアや疑問をどんどん出していくキャストの姿も石丸の稽古場の特徴のひとつ。そうやってみんなでつくりあげていくのだ。この日はまだ稽古2日目であったが、和田ならではの耳に残るメロディと、石丸の脚本と演出、そして俳優たちの歌唱力、表現力が化学反応を生み、既にこのカンパニーだけの新しい世界が立ち上がりかけているように感じた。稽古後、東は「石丸さんの演出と和田さんの音楽で、すごく新しい『ロミオとジュリエット』ができているのではないかと思います!」、豊原は「演出の石丸さん、音楽の和田さんと共にこの6人のキャストでいい作品にしたい…革命を起こしたいです」、柳下は「石丸さんは本当に世界を変えようとしているんじゃないかなっていう熱量なので。僕たちはそれに乗っかって、ミュージカル、演劇の新しいものをつくっていけたら」、中山は「今、毎日の稽古やこの6人のキャストの皆さんに会えるのが、すごく楽しいです」、大山は「ミュージカルとお芝居の“線”をなくした作品になるんじゃないかなと思います」、マルシアは「とにかくすべてが新しい。みんなでひとつになってお客様の心に残る何かが届けられたら」とそれぞれコメントした。公演は4月3日(火)から23日(月)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオにて。撮影・取材・文: 中川實穂
2018年03月09日元宝塚歌劇団雪組トップスター・壮一帆が、玉野和紀の作・演出・振付によるSHOW HOUSE『GEM CLUBⅡ』に出演する。2014年に宝塚歌劇団を退団し、2016年に女優デビュー。次々とミュージカルなどに出演し、昨年はソロライブを開催するなど、活動の幅を広げてきた。今作について、「最近はお芝居が続いていたので、久しぶりにショーができるのは楽しみ。私自身ディナーショーでは構成も考えるので、玉野さんの考え方が刺激になります」と声を弾ませる。SHOW HOUSE 「GEM CLUBⅡ」チケット情報今作は、10年以上の人気を誇る『CLUB SEVEN』シリーズの新機軸、多彩なジャンルの歌やダンス、コメディ要素の芝居などを盛り込んだショー・ミュージカルだ。壮は若い才能の原石(=GEM)が集まるショーハウスのオーナー役となり、若手キャストたちとも絡む。「私のディナーショーに出演してくれた木戸邑弥くん以外、初共演の方ばかりですが、私は人見知りしないのでなんのストレスもないです(笑) 。1回のステージに女性キャストはふたりしか出ないけど、“男性メンバーにも絶対に負けない!”という思いはあります」と、明るく話す。ショー形式となる2部では、今年公開の洋画のナンバーをソロで披露する予定。「とてもいい曲なので歌いこんでいきたい。今、高いキーの歌も頑張っているところで、シフトチェンジしているこの時期に、歌や踊りに挑戦できるのはありがたいです」。2016年に上演された第1弾の、名前順メドレーのようなメドレー場面もあるそうで、ノンストップのショーになるのは必至。玉野とのタップダンスのデュエットもあるという。タップの名手である玉野から、「そこまでできたら大丈夫」と太鼓判を押されたそうだが、タップは苦手意識があり、男役の時にショー『ON THE 5th』などで踊っていたものの特訓中だ。「玉野さんは本当に凄い!振付もハード! 『今の日本ではショーで公演を打つのは厳しいけど、僕はできる限りずっと続けたい』と仰っていたのが印象的です」と、尊敬の念を込める。宝塚時代もショーが好きだったと話す壮。もともと歌やダンスに定評があり、何より大らかな人柄が滲み出る存在感で魅了してきた。「大澄賢也さんが『踊りで人となりが見える』と仰っていたのですが、私も普通に話す以上に相手のことが見える、と感じます。だから今回も歌や踊りを通して共演させていただくみなさまとの交流を楽しみたいです。ライバルは自分。負けそうになっても打ち勝ち、人間性に磨きをかけたいです」3月16日(金)から18日(日)まで東京・THEATRE1010、3月24日(土)から4月5日(木)東京・シアタークリエ、4月14日(土)・15日(日)大阪・サンケイホールブリーゼ、4月18日(水)愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2018年03月09日3年に一度、世界のトップダンサーたちが東京に集結、2週間にわたって豪華な競演を繰り広げる世界バレエフェスティバルが、今夏、開催される。3月5日に都内ホテルで行われた記者会見で、その詳細が明らかにされた。世界バレエフェスティバル チケット情報記者会見では、フェスティバルを主催する公益財団法人日本舞台芸術振興会(NBS)の高橋典夫専務理事が登壇。1976年に第1回が実現し、その後3年に一度のペースで開催、世界的にも注目されるこのフェスティバルについて、「今回が15回目の開催。世界バレエフェスティバルの生みの親である佐々木忠次が2年前に亡くなり、その没後初の開催でもあります」と話す。2020年、東京五輪での文化イベントを見据えて「これを機会にさらにバレエ界が盛り上がれば」とも。さらに、「今回初めて株式会社コーセーに特別協賛をいただきます。日本経済新聞社に加え、これまでの大半の公演を開催してきた東京文化会館(公益財団法人東京都歴史文化財団)と初めて共催することに」と、同フェスティバルの大きな節目を印象づけ、「これは日本が誇る文化資源のひとつ」との思いを明かした。高橋氏とともに登壇した株式会社コーセーの北川一也執行役員宣伝部長は、「世界中のトップダンサーが集う公演の、クオリティの高さとインパクト、本物の美しさが見える機会をスポンサードしたい」多くのファンが注目するのは出演ダンサーの顔ぶれだが、開幕を飾る全幕特別プロ『ドン・キホーテ』に主演する二組のカップル──ミリアム・ウルド=ブラームとマチアス・エイマンらパリ・オペラ座のふたり、イングリッシュ・ナショナル・バレエのアリーナ・コジョカルとセザール・コラレスをはじめ、ボリショイ・バレエ、ハンブルク・バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団ほか、世界の檜舞台で活躍するスター、33名がずらりと並ぶ。会見の後半では、世界各地のダンサーたちから届いたメッセージ動画が紹介され、その多彩さ、豪華さに、会場からため息が漏れた。質疑応答で「出演ダンサーの世代交代が進んだのでは」との声が寄せられると、「世界バレエフェスティバルの使命として、新しいダンサーを紹介していくことも重要」と高橋氏。見ごたえある舞台が期待される。世界バレエフェスティバルは、全幕特別プロ『ドン・キホーテ』が7月27日(金)・28日(土)、Aプロが8月1日(水)から5日(日)、Bプロが8月8日(水)から12日(日)、いずれも東京文化会館にて。チケットは4月4日(水)に先行発売開始。8月15日(水)には1日限りの〈ササキ・ガラ〉も予定されている。取材・文:加藤智子
2018年03月07日3月3日(土)昼公演にて、劇団四季 ミュージカル『リトルマーメイド』(福岡・キャナルシティ劇場、 愛知・名古屋四季劇場で同時上演中)は、日本公演通算 2000 回を達成した。 この作品は、ディズニーと劇団四季の提携第 4 弾作品として、2013 年 4 月に東京で開幕。フルオートメーションの最新フライング技術やパペット等の様々な創意工夫で、神秘的な海の世界を華やかに描いた新感覚のミュージカルだ。総観客動員数は約 220 万にのぼり、初演以来変わらない人気を保っている。劇団四季 ミュージカル『リトルマーメイド』チケット情報3日(土)当日は、本編終了後に特別カーテンコールが開催された。舞台上に「2000th PERFORMANCE」と書かれた看板が登場し、出演者も登壇。福岡公演では、王子・エリックを演じる竹内一樹が「永きにわたり作品を育んでくださった全ての皆様に、出演者、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。これからも、作品の感動をお届けできますよう、一回一回の舞台を精一杯つとめてまいります。どうぞ引き続き、温かいご声援を賜りますようお願い申し上げます」と挨拶を述べ ると、客席からは大きな拍手が送られた。ミュージカル『リトルマーメイド』名古屋公演(愛知・名古屋四季劇場)は、8月26日(日)(千秋楽)公演分まで発売中。福岡公演(福岡・キャナルシティ劇場)は6月30日(土)公演分まで発売中。最終期7月1日(日)~11月4日(日)(千秋楽)公演分チケットを4 月 22 日(日)10 時より発売。
2018年03月06日昨年12月から全国を巡演してきたミュージカル「HEADS UP!」。2か月に及ぶ旅公演のラストを飾る東京凱旋公演に先駆け、囲み取材と一部シーンの公開稽古が行われ、取材には原案・作詞・演出のラサール石井、主演の哀川翔、相葉裕樹、橋本じゅん、青木さやか、池田純矢、大空ゆうひ、中川晃教が登壇した。ミュージカル「HEADS UP!」チケット情報石井が「旅公演をまわって、(カンパニーは)もう家族みたいなもの」と話した通り、囲み取材の雰囲気も和やかで、公演を経てチームワークがより深まった様子が伝わる。ムードメーカー哀川の呼びかけで釣りにも行くこともあったそうで、哀川が「劇場に入ると入りっぱなしなのでね!陽を浴びないと!」と明るく笑う姿に、共演者たちも自然と笑顔に。橋本が「翔さんが(この作品に)参加してくださったことは大きな奇跡」と感慨深げに話すと、今回初参加の池田も「初演から出演する皆さんの仲が良くて、最初はこの中に急に入るのは不安だなと思っていたのですが、稽古初日に翔さんからカブトムシをいただいて(笑)、皆さんに温かく接してくださいました。この東京公演で終わってしまうのが今、寂しくて切なくなるほどです」と明かし、大空も「自分がこんなに舞台でも袖でものびのびできるのはとても貴重だと思います」と笑顔を見せた。相葉が「(初演から)カンパニー全体がさらに濃く深くなりました。僕はみんなに振り回される役どころですが、その振り回され度合いも前よりも高まったんじゃないかな」と変化を語ると、青木は作品について「とにかくお客様の興奮がすごい。それは劇中でもそうだし、カーテンコールでも『楽しかった』って気持ちがものすごく伝わるんですよ。出るほうも観てるほうも幸せな気持ちになれるお芝居です!」と紹介。「この作品は中毒性があります!」と熱く語った中川は「初演からお客様に育てていただきました。旅公演を経て、今一番いい状態に仕上がってます」と呼びかけた。あるミュージカルの仕込みから本番、そして閉幕後のバラシまでの様子を、芝居・楽曲・ダンスで描くバックステージエンターテイメント。初演(2015年)で第23回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞した作品でもあり、今回は新キャストも迎えて華やかさも楽しさもパワーアップしている。石井が「必ず爆笑して号泣して感動してお帰りいただけます。こんなに自信をもっておすすめできる作品はないです!」、哀川が「死に物狂いでやりたいと思います。足を運んでいただければ最高です!」と話す、舞台がもっと好きになる本作は、3月12日(月)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演中。撮影・取材・文:中川實穗
2018年03月06日あらすじ 本作品は“消滅”とともに記憶も失われていく、海に囲まれた静かな小島が舞台となっています。〈わたし(石原さとみ)〉は、少しずつ記憶が“消滅”していく島に暮らす小説家。〈わたし〉の母は秘密警察に連行されて死に、島の研究者だった父も亡くなり、指輪、香水…ふいに記憶から消えてしまったものたちをこっそり保存しながら、幼い時から世話をしてくれる〈おじいさん(村上虹郎)〉と共に、現実を受け入れながらひっそりと暮らしています。しかし、この島にも「レコーダー」と呼ばれる記憶が消滅しない人たちが存在し、担当編集者の〈R氏(鈴木浩介)〉もそのうちの一人。無くしたものが見つかってしまうと秘密警察に回収されてしまうだけでなく、「レコーダー」を見つけて連行する「記憶狩り」が激化する中、〈わたし〉は大切な人を奪われたくないという思いから、〈R氏〉を守るために自分の隠し部屋に匿うことを決意します。〈わたし〉、〈おじいさん〉、〈R氏〉との不思議な共同生活のはじまり、島から消えていくものはやがて人間の肉体にまで及んでいき、人間そのものが消滅してしまうかもしれないとき、〈わたし〉と〈R氏〉はどうなってしまうのか…ロマンチックでミステリアスな物語は、原作にはないユーモアなシーンだけでなく、リズミカルな歌なども交えて展開されていきます。 愛惜の念に駆られていく人々 ある日突然、“物”の存在とそれについての記憶が消え去ってしまう島で、現実を前に葛藤する主人公の小説家〈わたし〉を勤めるのは、これが4年ぶりの舞台出演となる石原さとみさん。その島で〈わたし〉を見守る〈おじいさん〉役には、瑞々しい感性で映画や舞台の観客に新鮮な印象を与えている村上虹郎さん。〈わたし〉が現実に立ち向かうキッカケとなる〈R氏〉役には、個性的な魅力で出演する作品毎に違った顔を見せる鈴木浩介さん。3人の生活を変えていく島の住人たちの役では、山内圭哉さん、ベンガルさんをはじめとする実力派俳優が脇を固めています。 傑作小説を演劇的に昇華 舞台『密やかな結晶』は、芥川賞受賞作品の「妊娠カレンダー」や、映画化もされた「博士の愛した数式」など、独特の視点と美しい言葉で多くの傑作を生み出している小川洋子さんによる同盟小説を原作としています。舞台化に当たっての脚本と演出を手掛けるのは、演劇と映画の双方の分野で活躍され、揺るぎない愛と信念で人間を描き、近年の創作活動が注目されている鄭義信さんです。薔薇や小説など…少しずつものの記憶がなくなっていく島を舞台に、独自の解釈で傑作小説を演劇的に昇華させています。 彷彿するホロコースト 「記憶狩り」や秘密警察、〈R氏〉が暮らす隠し部屋の設定は、ホロコーストをめぐる史実を彷彿させます。まさに第二次世界大戦中にナチスが行なっていたユダヤ人狩りは、「記憶狩り」と同様に恐ろしく理不尽なものです。不意に生活から様々なものが奪われ、それを保持しようとする者は秘密警察のもとで管理。言葉や表現が制限されるだけでなく、正しい情報が報道されないまま、次第に状況が変化しているようなことは、現代にも起こり得ることです。 無の果ての絶望から希望の光を見出す物語 “消滅”して記憶が消えてしまう恐怖と、それに対する悲しいくらいの柔軟性。しかし、大切な人を守ることで強く芽生える“忘れたくない”という感情への葛藤。肉体、時間、運命…あらゆるものに閉じ込められながら、閉ざされた世界に潜む永遠を、健気に求めていく登場人物の姿に胸が熱くなります。近年、嫌な事件が蔓延し、誹謗中傷が横行し、大切なものが失われようとする現代だからこそ、私たちは希望を謳わなければならないと教えてくれる本作品。ぜひ劇場に足を運んでお楽しみください! 【情報】 密やかな結晶原作:小川洋子「密やかな結晶」(講談社文庫)脚本・演出:鄭義信出演:石原さとみ村上虹郎鈴木浩介藤原季節山田ジェームス武福山康平風間由次郎江戸川萬時益山寛司キキ花香山村涼子/山内圭哉ベンガル企画制作:ホリプロ富山3月3日~4日富山県民会館大阪3月8日~11日大阪新歌舞伎座福岡3月17日~18日久留米シティプラザザ・グランドホール
2018年03月05日宝塚歌劇月組公演『カンパニー-努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)』、『BADDY(バッディ) -悪党(ヤツ)は月からやって来る-』が2月9日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。宝塚歌劇月組『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』/『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』チケット情報第一幕の『カンパニー』は、2017年に発行された伊吹有喜の小説「カンパニー」を原作にしたミュージカルで、主人公は製薬会社の青年サラリーマン・青柳誠二。愛妻を亡くし、生きる希望を失った青柳が、出向先のバレエ団で公演を成功に導こうと奮闘する姿を、ハートウォーミングに描いた物語だ。平凡なサラリーマンが主人公の現代劇だけに、華やかな衣装や派手なパフォーマンスで魅せる部分は限られているが、その分、“芝居”で魅せる。「努力、情熱、仲間がそろえば、希望は必ず見えてくる」など、要所に宝塚歌劇の舞台に立つ自分たちに繋がる言葉もあり、一人ひとりが丁寧に言葉を届けている。トップスター・珠城(たまき)りょうが演じる青柳は、空手技を使ってスリを捕まえるなど、真面目で正義感が強いが、奥手な男。バレエの“バ”の字も知らない青柳が、悩みや問題を抱える者たちと真っ直ぐに向き合う。その気持ちが一人ひとりの意識を変え、仲間たちの絆が強くなっていく。爽やかな佇まいに、ナチュラルな存在感と周囲を引き寄せる人間性は、珠城にピッタリとはまっている。トップ娘役・愛希(まなき)れいかは、アルバイトをしながらバレエ・ダンサーをしている高崎美波役。実力はあるのに本番に弱い一面と、自分の思いは真っ直ぐに伝える積極的な一面を持つ女性を、愛嬌たっぷりに演じている。世界的プリンシパルの高野悠を演じる美弥るりかも、クールで心を開かない高野の心情の変化を繊細に表現。美しく、色気のある佇まいに目を奪われる。ほか、等身大の物語だからこその人間味あふれる多彩なキャラクターを、それぞれが好演している。第二幕のショーは、演出家・上田久美子の初のショー作品。まだ稽古中のときに珠城が「想像を超えるショーになると思います」と自信たっぷりに語っていたように、これまでの宝塚歌劇では観たことのないようなユーモアあふれるステージに仕上がっている。ストーリー仕立ての内容で、珠城が月から地球に乗り込んでくる大悪党バッディ、愛希が地球の秩序を守る女捜査官グッディに扮する。『カンパニー』で見せた誠実な姿から一転、サングラスをかけて常にタバコをくわえ、キザにふるまう珠城。コミカルな場面では表情豊かに楽しませてくれる。美弥は中性的な妖しい雰囲気をまとったキャラクター。『カンパニー』とのギャップも楽しい月組のステージで、珠城をはじめ月組生の新たな魅力を発見できるはず。兵庫公演は3月12日(月)まで。東京公演は3月30日(金)から5月6日(日)まで東京宝塚劇場にて。
2018年02月28日昨年のインタビューの「フリートークの本質とは?」との問いに「自由は不自由」と答えた笑福亭鶴瓶。25周年を迎える鶴瓶噺の舞台を控えた男に「では、鶴瓶噺の本質とは?」から話を聞いた。【チケット情報はこちら】「“自由は不自由”にもつながるかもしれませんが、“無意識が運命を決める”と感じています。もともとは『家族に乾杯』で決め事をするとおもしろくならないなぁと感じたからうまれた言葉なんですけど、鶴瓶噺も本当にそうで。たとえば、ある公演がウケたとすると、やっぱり鶴瓶噺はアトランダムがいいんだなぁと思う。自由に本当にあったことをしゃべろうと。でも、次の公演ではアトランダムにいこうと意識すること自体が、もうあかんのでしょう。ウケが弱くなる。禅問答のようでキリがないんですけど、それが鶴瓶噺だと思います」鶴瓶噺で紡がれるのは、本当にあったおもしろいこと。その「本当」には出会うことも再現することも作為があってはならないということなのか。まるで剣豪のような境地であり、簡単そうで難しいと想像するが、演者の内面はどうか。この25年間で喜怒哀楽が占める比率も変わってきたのだろうか?「最近は、どうなんやろうなぁ。でも“怒”はもう、あんまりないです。この間もね、僕は肩紐付きの小さなバッグを使っているんですけど、車椅子の方のタイヤにその紐が引っかかってしまって。その方には申し訳ないことしたなぁと思って、めっちゃ謝りましたけど、“どうすれば引っかかるの?”ってそのバッグには腹が立って(笑)。あとは、タクシーのナビ。高速に乗って、ある所で降ろしてもらおうとすると、いっつも反対側の出口に降ろしよるんです。“ここどこ?”っていっつもなる。ナビって衛星を打ち上げて宇宙のすごいところからがんばってるんでしょ?なのに、いっつも(笑)。あれは頭にくるんですけど、おかしいですね。いま振り返ったら、僕の最近の喜怒哀楽は怒ばっかりでした(笑)」2時間ノンストップ×公演数×25年。鶴瓶噺を四半世紀も積み重ねてきた男には、いわゆる表現者の孤独が「一切ない」と言う。でも、「朝、歯を磨いている時にうしろから“お前、ええ加減にせえよ!”と知らないおっさんに怒られたらめっちゃ怖い」と真顔で続けた。この独特な会話の変換感覚。怒を(笑)に変換するように、笑福亭鶴瓶は自分が感じる「おもろいってなんだ?」に純粋であり続けている。作為なく、無意識のうちに。「太田胃散 PRESENTS TSURUBEBANASHI2018」は4月11日(水)から15日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアター、4月18日(水) から22日(日)まで、大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。チケットの一般発売は3月10日(土)午前10時より。取材・文:唐澤和也
2018年02月27日フランス革命を背景に、身分や立場の異なる恋人たちの運命を熱く描いたフレンチ・ロック・ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』。日本初演は2015年、宝塚歌劇で開幕し、2016年には小池修一郎が潤色・演出を務め東宝版として初演した。ミュージカル「1789-バスティーユの恋人たち-」チケット情報待望の再演となる今回は新たなキャストも加わり、さらにパワーアップして大阪・上本町の新歌舞伎座で6月2日(土)より幕を開ける。元・宝塚歌劇団月組トップスターで、宝塚版初演では主人公ロナンを演じた龍 真咲も、波乱の人生を送ったマリー・アントワネット役で初登場。龍にとって宝塚退団後初のミュージカル作品となる。「今回、宝塚初演では憎くて仕方なく感じていたマリー・アントワネット役をさせていただきます。出演が決まった直後は、革命を起こされる側に立つとどういう感覚になるのだろうという思いもありました」と戸惑いを隠せなかったと話す。だが、昨年9月に発行されたヴェルサイユ宮殿公式写真集のオフィシャルサポーター就任もあって、その距離はぐっと近づいた。「実際にヴェルサイユ宮殿に足を運んで、様々なお話を伺うことで、マリー・アントワネットが見ていたもの、感じていたものをより身近に触れることができました。その感覚をうまく取り入れられたら。そうして『1789』に向けて自分なりに経験したことを、どれだけ正面から受け止めることができるか、そこも新たな挑戦だと思っています。女性の役を演じるのは初めてなので、少し心配もありますが、小池先生の頭の中を理解して挑みたいと思います」。マリー・アントワネットの登場は贅の限りを尽くした貴族たちの華やかな場面。「フランス革命をテーマにした作品の中では特徴的な切り口から始まります。一気に物語に集中できるように作られています」と、前作で好評を博した登場シーンもそのままだと語る。「宝塚退団後、再びこの作品に出会えたことをうれしく思います。時代に翻弄されつつも、とても強く、しなやかな女性であったマリー・アントワネットを、感情を奮わせて追求していきたいと思います。この作品は、どの役に感情移入するかで物語が大きく変化するところも魅力のひとつだと思います。いろんな役に興味を持っていただき、何度でも新歌舞伎座に足を運んでくださるとうれしいです!」と意気込みを語った。公演は、4月9日(月)から5月12日(土)まで東京・帝国劇場、6月2日(土)から25日(月)大阪・新歌舞伎座、7月3日(火)から30日(月)まで福岡・博多座にて上演。東京・大阪公演のチケットは発売中。取材・文:岩本和子
2018年02月27日ストーリー性のある演劇的な世界観を、ダンスとJ-POPで創り上げるダンスエンタテインメント集団・梅棒。その第8回公演『Shuttered Guy(シャッター ガイ)』が、3月28日(水)・29日(木)のシアター1010での東京プレビュー公演を皮切りに、4都市5会場で上演される。梅棒 8th SHOW『Shuttered Guy』チケット情報本作の舞台は、人情味あふれる商店街。ハートウォーミングなホームコメディを展開するべく、今回も多彩な顔ぶれがそろった。ゲストは、大久保祥太郎、佃井皆美、まちゃあき(エグスプロージョン)、YOU、RYO(Beat Buddy Boi)、泰智(KoRocK/ENcounter ENgravers)、古川小夏(アップアップガールズ(仮))、一色洋平、田中穂先(柿喰う客)、東理紗(ピヨピヨレボリューション/東東東東東)、ひこひこ。個性溢れる面々が、伊藤今人率いる梅棒メンバーと共にエネルギッシュなステージをお届けする!※ひこひこは伊藤今人とダブルキャストでの出演。梅棒 8th SHOW『Shuttered Guy』は、3月28日(水)・29日(木)東京・シアター1010(プレビュー公演)、3月31日(土)・4月1日(日)愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、4月6日(金)から8日(日)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、4月12日(木)・13日(金)福岡・福岡国際会議場メインホール、4月18日(水)から26日(木)東京・世田谷パブリックシアターにて上演。東京公演のチケットは発売中、愛知・大阪公演は2月24日(土)10時より、福岡公演は2月17日(土)10時より一般発売開始。ぴあ関西版WEBでは今作のゲストについてご紹介!こちらもぜひチェックを。
2018年02月23日ラサール石井が構想10年の時を経て舞台化したオリジナルミュージカル『HEADS UP!』。あるミュージカルのバックステージを描くストーリーの面白さ、ミュージカルとしての質の高さで2015年の初演が大きな評判となった伝説の作品だ。パワーアップした再演が全国ツアーを経ていよいよ東京にやってくる。出演する相葉裕樹、中川晃教に作品の魅力を語ってもらった。ミュージカル『HEADS UP!』チケット情報ミュージカル史に燦然と輝く名作『ドルガンチェの馬』。1000回目の公演を終え華々しく終了したはずだったが、主演俳優の鶴の一声で、地方の劇場で1001回目の上演をすることに。舞台美術も廃棄済み、キャストもスタッフも足りない中、それでも関係者はなんとか幕を開けようと奮闘する……。自らの仕事に誇りを持った、しかしクセの強い登場人物の姿に爆笑すると同時に、ひとつのことに皆で力を合わせる姿にじんわり胸が熱くなる物語。「舞台愛に包まれている作品です。舞台監督や照明、制作、キャスト……誰にスポットを当てても共感できます」と語るのは、新人舞台監督・新藤を演じる相葉。「スタッフの皆さんの熱い気持ちも、この作品を通して改めて知ることが出来て、僕はより一層、舞台が好きになりました!」。劇場付き雑用係の熊川を演じる中川も「ひとりひとりが抱いている舞台愛だけじゃなく、関っているみんなで作り出す愛があったり、さらにそれがお客さまに届いたときにどんなミラクルが起こるのか……ってところまで教えてくれる作品」と話す。「役者の仕事は、観に来てくださったお客さまが劇場を出るときに元気になっていただけるようなものをお届けすることだと思うんです。そんな“役者としての使命”に向き合う役でもあります」。キャストは哀川翔、橋本じゅん、青木さやから個性的な俳優が集まる。普段からミュージカルのフィールドで活躍するふたりは、作品の“ミュージカル”部分を支える役割も。「面白いキャストが集まっていて、それもこの作品の魅力でもあるんですが、でもその中でミュージカルとして成立させるために色々とアイディアを出し、時には演出のラサールさんと話をしてくれたのがアッキー(中川)さんでした。やっぱり柱としてアッキーさんが居てくれることで、作品が引き締まりますよね」と相葉が言えば、中川も「(レ・ミゼラブルで)アンジョルラス役を経験したばっち(相葉)の方が支えていると思うよ! ばっちはとても人間味があって本当に良い俳優。しかもすごく歌も上手くなってる!」。お互いへのリスペクトもひしひしと伝わってくるが、中川によるとそんな気持ちこそが大切なのだそう。「僕らの普段と地続きの物語であるがゆえに、稽古場から舞台に立つまでの日常の小さな瞬間に、この『HEADS UP!』の感動は生まれていくんじゃないかなって思います。作品に込める気持ちが『HEADS UP!』を成り立たせている」(中川)。俳優たちが普段から抱く“舞台への愛”すら伝わる奇跡のミュージカル。評判の理由をぜひその目で確かめて。東京公演は3月2日(金)から12日(月)まで、TBS赤坂ACTシアターにて上演。
2018年02月23日桂吉弥、桂春蝶、桂かい枝による落語会『くしかつの会』が3月5日(月)、大阪・ABCホールで開催される。2度目の開催となる今回の公演に向けて、3人が意気込みを語った。「吉弥・春蝶・かい枝 くしかつの会」チケット情報桂吉朝に入門し、桂米朝のもとで内弟子期間を過ごした吉弥、三代目桂春團治に入門した春蝶、五代目桂文枝に入門したかい枝。3人は1994年に入門した同期であり、良きライバルで「今後の上方落語を引っ張っていく存在になれるように」と、本公演が昨年初開催された。昨年は、吉弥が『百年目』、春蝶が『芝浜』、かい枝が『三十石夢の通い路』と、東西を代表する大ネタを披露した。今回も「大ネタを堪能してもらおう」と、吉弥が『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』、春蝶が『たちぎれ』、かい枝が『子はかすがい』を口演する。『地獄八景亡者戯』は、時事ネタを織り交ぜて展開する“あの世”の話。「大ネタではありますが、他愛もない、今どきのお話。3人とも“四天王”といわれる人のもとで弟子を経験し、そのエッセンスを伝えるのは僕ら世代じゃないかなと。僕らが素敵やなと思うところを、初めて聴く方にもいかに分かってもらえるか、そういうことを考えながらやっていかなあかんなと思っています」と意気込む吉弥。若旦那と芸妓の悲恋を描いた『たちぎれ』について春蝶は「いつでも繋がれる今の時代、会えない哀しさを表現できるのは、実は古典なんじゃないかなと思う。『君の名は。』で心動かされた方は、ぜひ『たちぎれ』を聴きにきていただきたいですね(笑)」。また親子の情愛を描いた『子はかすがい』を披露するかい枝は「今回は人情噺。親子にまつわる事件が多い中、いつの時代でも通じるものがあると思います」とコメント。前回公演では「初めて落語を聴きに来られた方も多かったけど、喜んでいただけた」と、3人は手応えを感じた様子。刺激し合える3人だからこそ、成功に繋がった。「いつも意識するのはお客さんだけ。でもこの同期の会はふたりに負けたくない気持ちも生まれるので、疲れました(笑)」とかい枝。また春蝶は「世阿弥の『初心忘るべからず』という言葉は、“初心(=未熟な頃)に戻ってはいけないけど、たまには戻ることも大切”という意味。このメンバーとやるとものすごく緊張するし、地に足がついていない状態になる。そういう状況を年に一度でも提供してくれるこのふたりと、僕は老後まで続けていきたいなと思うんです」としみじみ語った。チケットは発売中。
2018年02月22日ミヒャエル・クンツェ(脚本/歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(音楽/編曲)による傑作を、日本ミュージカル界最高のキャスト・クリエイター陣で創り上げる、ミュージカル『モーツァルト!』。35歳で夭折した天才作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生涯とその真相に迫る本作は、2002年の日本初演以来、多くの賞賛を得てきた。ミュージカル「モーツァルト!」 チケット情報3年ぶりの上演となる2018年度版のタイトルロールは、前回に続く山崎育三郎と、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役やミュージカル『黒執事』のセバスチャン役など昨今、大作の主演を務め、名実ともに急成長を遂げている古川雄大が抜擢された。オーディションでこの大役を射止めた古川は、作品を前にして改めて身を引き締める。「数あるミュージカルの中でも代表的な作品ですし、モーツァルトは中川晃教さん、井上芳雄さん、山崎育三郎さんと歴代のミュージカルスターが演じてきた役。いつかはあの高みに行きたいと思っていましたが、自分自身を客観視してみても、あと何年かかるのだろうと思っていました。なので、このチャンスをいただいたことに僕自身が一番驚いています。かなり挑戦的なことになると思いますが、覚悟を決めて臨もうと思います」。モーツァルトは天真爛漫で自由奔放なキャラクター。これまで演じてきた役とは180度異なり、今までの自分にはないものだと語る。「だからこそ、稽古場からがむしゃらに、丸裸になって挑んでいかないと。自分にはない部分も想像して、構築して、トライしていこうと思います。自分の壁を越えたいですね」。ミュージシャンとしても活動し、オリジナルの楽曲では作詞・作曲も手掛ける。時代やジャンルに差異はあれど、「生みの苦しみも分かる気がする」と歩みを寄せる。「曲を作る上でゼロから1にする大変さはすごく理解しています。ただ、モーツァルトは自分の才能に確信を持っている。その感覚は僕にはないので、その違いを稽古から埋めていきたいです」と意気込む。モーツァルトの妻コンスタンツェ役は、前回に続いて平野綾が出演するほか、『ロミオ&ジュリエット』で共演した生田絵梨花、木下晴香のトリプルキャスト。また、パトロン的存在となるヴァルトシュテッテン男爵夫人役を涼風真世、香寿たつきの実力派Wキャスト、モーツァルトの前に立ちはだかる権力者・コロレド大司教役の山口祐一郎と父レオポルト役を初演以来すべての公演に参加している市村正親が演じるなど、フレッシュかつレジェンダリーな豪華布陣が実現。燦爛たる舞台になるに違いないと、おのずと期待も高まる。公演は、5月26日(土)から6月28日(木)まで東京・帝国劇場、7月5日(木)から18日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。東京公演のチケットは3月3日(土)より、大阪公演は3月24日(土)より発売。一般発売に先駆け、3月3日(土)9:00まで東京公演の座席選択プリセール実施中。2月21日(水)10:00より大阪公演の先行先着プリセール受付開始。取材・文:岩本和子
2018年02月20日3年半ぶりに上演されるミュージカル『モーツァルト!』の製作発表会見が2月15日に開催された。ウィーンで誕生し、日本でも2002年の初演以降上演を重ねる人気作。主人公のヴォルフガング・モーツァルトは山崎育三郎と古川雄大がWキャストで務める。ミュージカル「モーツァルト!」チケット情報音楽の天才・モーツァルトの35年の人生を綴る物語。日本では今回が6度目の上演となるが、ハンガリーでの上演時に追加になった新曲も加わり、舞台ビジュアルもリニューアルされるとのこと。初演から演出を手掛ける小池修一郎はこの日の会見は欠席ながらビデオメッセージを寄せ、「もともとの日本版は、ウィーン版とハンブルク版を混ぜて作ったので、尺が少し長い。テンポを出し、少し過剰と思われるところは圧縮し、新たな『モーツァルト!』をお届けしたい」とリニューアルの意図を語る。具体的な演出プランはこれからと断りを入れつつ「もちろん必要なものは出てきますが、基本、ピアノ1台ですませたいというのが私の願い。1台のピアノのまわりで起こる様々な人間の葛藤、そしてモーツァルトの才能の戦い、(妻の)コンスタンツェとの愛の物語にご期待ください」と構想を話した。ヴォルフガング役は、3度目の登板になる山崎と、今回初挑戦となる古川。山崎は「8年前に初めてこの舞台に立ちましたが、緊張で足が震えていた初日を今でも覚えています。でもこの作品は、舞台に一歩出たら、作品自体が(自分を)ヴォルフガングにしてくれて、ラストまでその波に乗っていける。今回は僕も30代になり、今の自分がどう役と向き合えるのかなと考えています。演出も新しくなるので、ゼロから向き合い、新しいヴォルフガングに出会いたい」と意気込みを。そして16年間で井上芳雄、中川晃教、山崎と3人しか演じてきていないヴォルフガング役に、帝国劇場初主演で抜擢された古川は「いつかこういう大きな作品でこういう役が出来るようになりたいなという目標がありましたが、まさかこんなに早くチャンスをいただけるとは。自分で“4人目のヴォルフガングを作る”という目標を作りました。がむしゃらに稽古をして、頑張っていきたい」と話した。古川はこの日は少し緊張気味のようだったが、山崎からは「雄大がヴォフガング役に決まる前から、僕は『雄大がなるんじゃないかな』と本人に言っていました。何度も言った。決まった時は、やっぱり! と思いました」と背中を押す発言も飛び出した。ヴォルフガングの妻・コンスタンツェは平野綾、生田絵梨花、木下晴香のトリプルキャスト。乃木坂46の現役メンバーでありながらミュージカル界でも躍進を続ける生田は「私は11年前、10歳のときにこの作品を観ていました。その時は“(子役が演じる)アマデをやりたいな”と思っていたので、あの時の自分にコンスタンツェを演じると告げたら本当にびっくりすると思います」と笑顔で語っていた。公演は5月26日(土)から6月28日(木)まで東京・帝国劇場、7月5日(木)から18日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。8月に愛知公演も有り。
2018年02月19日ミュージカル『Romale ~ロマを生き抜いた女 カルメン~』の制作発表会見が2月14日、都内で開催された。主役のカルメンは、元宝塚歌劇団トップ娘役の花總まりが扮する。ホセ役は松下優也。ミュージカル「Romale」チケット情報オペラなどでもよく知られる物語だが、今回の舞台では、演出・振付の謝珠栄が新たな視点でカルメンを描くという。謝は「カルメンという女性の印象が強い物語ですが、私はホセとカルメンの愛の絆についてもっと知りたかった。またメリメの原作も“白人の男性から見たカルメン像”であって、女性の私から見るとカルメンはもっと違う女だったのではという疑問を抱きました。そのことがこの作品を作り出すきっかけ。情熱的で男を魅了する恋多き女の代名詞のように言われているカルメンですが、その光の部分ではなく影の部分、そして(虐げられながらも誇り高く生きる)ロマ族として生きた女・カルメンに焦点を当てたい」と創作意図を熱く語る。そのカルメンに扮する花總は1999年、宝塚時代に同じく謝が演出した『激情-ホセとカルメン-』でカルメンを演じ、好評を得ている。脚本・音楽は違えど同じ役に再び挑むことになるが「カルメンを知り尽くした謝先生と一緒に、もっと深く深く、カルメンという女性を作っていきたい」と意気込みを。またカルメンについては「すべてが魅力。その魅力をたくさん皆さまにお見せできるような作品にできれば。いい意味で皆様の期待を裏切りたいですし、期待通りのところにもいきたい」と話した。ホセ役にはNHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』栄輔役でも話題になった松下が抜擢された。この日は会見冒頭で劇中歌を花總とデュエットで披露、まずは「歌い終わってほっとしています」と心境を語る。そして「今回、このように素晴らしい役を演じさせていただくこと、すごく嬉しく思っています。このメンバーの中では一番若いので、自分で言うのは変ですが“若いパワー”で頑張っていきたい」と話した。さらに「役者人生初、ヒゲをはやしました。今回はドスケベな役。自分も少し前だったらホセのポジションだったんですが、こうやってヒーローからヒールにシフトチェンジしていくんですね」と語った伊礼彼方、「僕は根っからの悪役でヒーローをやったことがない」と迫力のメイク姿でボヤいたKENTAROらが場を盛り上げ、カンパニーの和気藹々とした空気感も伝わってくる会見だった。ほか、太田基裕、福井晶一、団時朗らが出演する。公演は3月23日(金)から4月8日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、4月11日(水)から21日(土)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。
2018年02月15日浦井健治と城田優がW主演を務めるミュージカル『ブロードウェイと銃弾』が2月7日、東京・日生劇場で開幕した。ウディ・アレンによる同名映画を原作に、ウディ自身が2014年にブロードウェイでミュージカル化した作品の、日本初上陸。演出は映像に舞台にと引っ張りだこの福田雄一が手がける。1920年代のNYを舞台に、自分の作品がやっとブロードウェイで上演されることになった売れない劇作家デビッドが、出資者であるギャングの親玉ニックやその部下チーチ、主演の大女優ヘレンや、ニックの愛人である大根女優オリーブらクセのキャラクターたちに振り回されていく物語。振付は『クレイジー・フォー・ユー』『コンタクト』などで知られる巨匠スーザン・ストローマンが手掛けたブロードウェイ版を、日本版でも踏襲。さらにNYのキラキラしたネオンや夜の街角を彷彿とさせる舞台セット、全編を彩る20~30年代に生まれたジャズ・ソング……どこを切り取ってもゴージャス! ソング&ダンス満載で、旧き良きブロードウェイ・ミュージカルといったテイストだ。そしてここに、現代的なセンスの笑いが鋭く細かく、差し込まれていく。何と言ってもキャストのハマり具合が素晴らしい。“ミュージカル界のプリンス”と呼ばれながらも、最近ではその天然キャラが愛されている浦井は、勃発する事件に翻弄され振り回されていくデビッドを豊かな表情で熱演。気が弱いようでいて、自分の意見は曲げない頑固さなども、どうしようもなくチャーミングでピッタリだ。一方で城田演じるチーチは表情も変えずに銃を人に突きつけるような、コワモテの男。長身にピシッと決めたスーツがよく似合う迫力のギャングっぷりだが、こちらも不条理な状況にイラつきが噴出してしまうシーンなどが、普段が無表情なだけに爆笑モノ。ちなみに城田には圧巻のタップダンスシーンもあるので必見。“キンキン声の大根女優”をさすがのアニメ声で演じた上にお色気も振りまき笑いをさらう平野綾や、大女優感たっぷりの前田美波里など、それぞれが“アテ書き”ではないかと思わせるほどのハマりっぷり。福田はメインキャストのみならず、舞台の隅まで、その人が持つ個性を増幅させ、笑いに変換していく。今回、翻訳台本のセリフには一切アレンジは加えていないとのことで、いわゆる“福田流”の笑いは控えめだが、ちょっとした間合いや、時折挟みこまれる戯画的な周囲の反応などはまぎれもなく福田テイスト。ブロードウェイ×福田流コメディの結婚は、大成功をおさめた。開幕前日には、メインキャストと福田が囲み取材に出席。「自分のキャリアの中でもとても刺激になった。僕の“初・日生劇場”に相応しい作品になった」(福田)、「オシャレでセクシーでムーディ。こういった小粋なミュージカルはなかなか日本では観られないんじゃないかな」(浦井)、「ブロードウェイに来ちゃったような感覚になると思います」(城田)と口々に自信を語った。東京公演は2月28日(水)まで。3月5日(月)から20日(火)には、大阪・梅田芸術劇場メインホールでも上演される。その後福岡公演もあり
2018年02月09日小池徹平と加藤和樹がWキャストで主演をつとめるミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』の製作発表会見が2月7日、都内ライブハウスで開催された。18世紀のパリを舞台に、フランス革命が勃発する時代を描く作品。演出はヒットメイカー小池修一郎が手がける。ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』チケット情報2012年にフランスで初演された作品で、打ち込みなども多用した現代的なロックサウンドと激しいダンス、ファッションショーのような華やかなコスチューム等で世界的な大ヒットとなったフレンチ・ロック・ミュージカル。日本では2015年に宝塚歌劇団月組が初演し、翌2016年には男女混合出演の新たな演出で帝国劇場で上演された。今回はその帝国劇場版の再演だ。会見は、劇中ナンバーの披露からスタート。マリー・アントワネット役の凰稀かなめと龍真咲が『全てを賭けて』をコケティッシュに歌い、主人公のロナンに扮する小池徹平と加藤和樹、その恋人オランプをWキャストで演じる神田沙也加と夢咲ねねがバラードナンバー『この愛の先に』をドラマチックに熱唱。さらに小池、加藤に加え実在した革命家たちを演じる三浦涼介、上原理生、渡辺大輔が人気ナンバー『自由と平等』『サ・イラ・モナムール』をエネルギッシュかつカッコ良く歌い上げた。事前応募総数4000通の中から抽選で選ばれた200名の一般オーディエンスも熱い眼差しをステージに注ぎ、手拍子で会場を盛り上げた。キャストはほぼ前回からの続投になる。小池徹平は「2年ぶりに歌いましたが、改めてパワーのある楽曲だなと感じました。とても仲の良いカンパニーなんです。仲が良いということはみんなが同じ方向を見て作品を作れるということ。この空気感をより一層深め、最高の革命を起こしたい」と意気込みを。加藤も「初演のときに凄まじいエネルギーを持ってみなで作り上げた作品です。再演ではさらにそのエネルギー量を超えていかなければいけないという覚悟が必要。さらにパワーアップした『1789』を劇場で体感していただきたい」と熱く語った。マリー・アントワネット役の龍とロベスピエール役の三浦は初参加となるが、龍は2015年の宝塚版で主人公のロナンを演じており、作品自体には縁が深い。「先ほども皆さんが歌う『自由と平等』を聴いていて(ロナンとして)ノってしまいそうになりました(笑)。でも今回はマリー・アントワネットにちゃんと集中して頑張りたい」と笑顔で話す。三浦は「子どもの頃から母に『帝国劇場に立ってほしい』とずっと言われていた」とあかし、「(初めてその舞台に立つが)しっかり立って、しっかり芝居と歌とダンスを頑張りたい」と気を引き締めていた。公演は4月9日(月)から5月12日(土)まで東京・帝国劇場にて。チケットは発売中。その後6月に大阪・新歌舞伎座、7月に福岡・博多座でも上演。
2018年02月08日友近の全国ライブツアー「友近ワイド劇場」が4月から5月にかけて開催されることが発表された。ツアー初開催となる高知を含め全国6か所(7公演)を駆け巡る。友近ワイド劇場 チケット情報今回もロバート秋山や渡辺直美、ゆりやんレトリィバァなど超豪華メンバーが集結。江戸川乱歩の世界を、友近と個性豊かな面々が笑いを通して表現する。新ネタやユニットコントも披露される模様。独特な世界観が繰り広げられる友近ワールドをこの機会にお楽しみあれ。チケットぴあではプレイガイド最速先行を2月6日(火)11:00~2月12日(月・祝)23:59まで受付中。■友近全国ライブツアー「友近ワイド劇場」4月8日(日)東京・有楽町よみうりホール開場/16:00開演/16:30バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、渡辺直美4月25日(水)大阪・なんばグランド花月開場/19:00開演/19:30バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美4月29日(日)高知・高知市文化プラザかるぽーと大ホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美5月6日(日)名古屋・日本特殊陶業市民会館フォレストホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、ゆりやんレトリィバァ5月20日(日) 東京・有楽町よみうりホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、ゆりやんレトリィバァ5月23日(水)福岡・福岡国際会議場メインホール開場/18:00開演/18:30バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美5月27日(日)仙台・仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール開場/15:30開演/16:00バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、ゆりやんレトリィバァ※出演者は変更になる可能性あり
2018年02月07日2月3日、ミュージカル『マタ・ハリ』東京公演が開幕した。『ジキル&ハイド』などを手がけるフランク・ワイルドホーンが音楽を担当し、2015年に韓国で初演されたミュージカル。日本初演の今回は、主人公のマタ・ハリを柚希礼音、彼女の運命に深く関るふたりの男性、ラドゥーとアルマンの2役を回替わりで加藤和樹が演じる(初日は加藤がアルマンを、Wキャストの佐藤隆紀がラドゥーを演じた)。演出は石丸さち子。ミュージカル『マタ・ハリ』チケット情報物語は1917年、第一次世界大戦下のヨーロッパが舞台。パリではオリエンタルなダンスで人々を虜にしているダンサーがいた。名はマタ・ハリ。フランス諜報局のラドゥー大佐は、ヨーロッパをまたにかけ活躍するマタに目をつけ、スパイになるよう圧力をかける。同じ頃、マタは戦闘機パイロットの青年アルマンと出会い恋に落ちるが、実はそれもラドゥーが仕掛けた罠で…。舞台には、水墨画にも似た煙のような雲のような背景。モノトーンのシンプルなセットの中、シックな衣裳に身を包んだキャストが、戦争に苦しむ市井の人々の嘆きを叫ぶ。それぞれがワンポイントで赤い何かを手にしているのは、彼らが願う生への渇望か、命そのものか。そして「生きろ」と叫ぶ彼らの中に、誰よりも鮮やかな朱色の衣裳で、マタ・ハリが舞い立つ。柚希は、しなやかかつダイナミックなダンスが美しいだけでなく、女性らしい腰まわり、筋肉、すべてが美しく妖艶。何よりも“生”のエネルギーに溢れている。まさに、この閉塞した時代に舞い降りた女神といったインパクトだ。演出の石丸と柚希はしかし、マタ・ハリをただ“謎めいたカッコいい女スパイ”とは描かない。凄絶な過去を抱え、それでも人生に立ち向かうけなげな女性、必死に生きる普通の女性として、誰もが共感し得る感情を繊細にすくい上げる。マタ・ハリの、アルマンに恋し、普通の暮らしを望むと語る笑顔が柔らかく、可愛らしい。柚希は女性の弱さも強さもとても自然に演じる。彼女だからこそのマタ・ハリを生み出し、彼女にとって本作が女優としてのターニングポイントになるに違いないと確信させた。一方でその恋の相手であるアルマンを演じる加藤も、マタと同じく心に抱えた孤独と傷を丁寧に描く。だからこそ、彼女と自然に心を寄り添わせつつ、最初は策略で彼女に近付いた事実に苦しむのだ。色気と少年の純粋さを同居させた加藤のアルマンは、マタが恋に落ちる説得力が十分だったが、それゆえにもうひと役、マタにスパイ活動を強いるラドゥーを加藤がどう演じるのかも気になるところ。そのラドゥーを初日で演じたのは佐藤隆紀。マタを利用しつつ彼女に溺れていく男という難しい役柄を、その深みのある歌声も上手く使い、好演していた。初日には作曲のフランク・ワイルドホーン、脚本のアイヴァン・メンチェルも来場。ふたりとも笑顔で、特にフランクは「なんて素晴らしいキャスト!」と賛辞を贈っていた。2月18日(日)まで、東京国際フォーラム ホールCにて上演。なお、加藤がラドゥーを演じる日は、アルマンを東啓介が演じる。
2018年02月06日原作小説は全世界で5千万部以上売り上げ、1995年にはクリント・イーストウッドにより映画化もされた『マディソン郡の橋』のミュージカル版が、山口祐一郎と涼風真世の主演で日本初演される。作品について、ふたりが語った。舞台『マディソン郡の橋』チケット情報アメリカ・アイオワで農家の妻として家族に尽くしてきた主婦フランチェスカが、その地特有の屋根つきの橋を撮影しに来たカメラマン・ロバートと出会ったことから始まる、4日間の恋を描いたラブ・ストーリー。大人の道ならぬ恋……という印象が強い物語だが、フランチェスカを演じる涼風は「これは大人の初恋、純愛。フランチェスカは、この4日間の純愛を大切に、その後の人生を生きていけたのかなと感じています」と、そのピュアさを強調する。ロバートを演じる山口は「ロバートはカメラマンで世界中を歩き回っている。一応、職業があるゆえにギリギリ“社会の範疇”にいますが、家庭もなければ、地域のコミュニティにも属していない。舞台設定は1960年代で、当時は彼のような人は少数派でしたが、共同体や家族関係が薄まっている今、彼の持つ疎外感や孤独は、皆さんにも共感してもらえるんじゃないかな」と、現代の視点からこの物語を語る。さらに山口は「当時の共同体には、女性はこうあるべき、父親は、母親はこうあるべきという無言の圧力があった。映画ではふたりの関係性を肯定するために、その中で孤立しているフランチェスカという面も強調されていた。ただ現代の僕らは、どちらかというとそういうこと(性役割)を批判的な目で見ている。2018年にやる今回の舞台では登場人物ひとりひとりが本当に誠実に生きていて、例えば“女性はこうあるべき”と思っている父親も、その人なりに一生懸命生きている。そこが魅力的です。誠実に生きているんだけれど、ちょっと噛み合わない人間関係。そんな中で(ふたりが出会い)ふと湧き上がってしまった人の思いは止められない……、そんな風になっています」と、今回の舞台版ならではの魅力も語った。ちなみにこれまでも『エリザベート』『貴婦人の訪問』など共演が多いふたり。今回は改めてどっぷりと恋愛関係に陥る関係性になるが……。「(今作の共演が)今で良かった(笑)。もうちょっと前だったら人生をダメにしていたかも(笑)」(山口)、「何作か共演させていただいていますが、こんなに間近に感じることは初めてでドキドキ。今、山口さんの顔を見られません(笑)。これが純愛なのかも」(涼風)と、お互いに照れ笑い。息もピッタリのふたりが、名作にどう息を吹き込むのか。乞うご期待。2月24日(土)開幕の東京・THEATRE1010公演から始まり、3月2日(金)から21日(水・祝)まで東京・シアタークリエ、3月28日(水)から4月1日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。チケットは発売中。
2018年02月02日約4年ぶりに全国19都市を回る、劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター』。1月下旬に公開舞台稽古が行われた。劇団四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」エルサレム・バージョン チケット情報稽古場には、荒涼とした砂漠を思わせる八百屋舞台が設置され、本公演とまるで同じ風景に胸が高鳴る。この日は1幕冒頭の「序曲」から「私はイエスがわからない」までを通した。特に音楽は激しいロックからバラードに至るまで彩り豊かで圧巻!天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーはキリストが十字架に掛けられるまでの最後の7日間をこの作品で描いて世に躍り出たが、今もその輝きは色あせることがないと改めて実感した。ジーザスは抑圧されたパレスチナの民に神の子だと崇め熱狂されるが、実は悩み苦しみ、孤独を深める。使徒のひとりであるユダはジーザスを愛してはいるが嫌疑的。唯一彼を理解する娼婦マグダラのマリアは、ジーザスの苦悩を取り除けないことに悩み戸惑う。三者三様の思いに加え、権力者の思惑や人々の業と欲が渦巻く。ダイナミックな音楽とアースカラーに彩られた根源的な世界が、人間の内側をより鮮やかに浮かび上がらせる。多くのシーンで「人間ってこうだよなぁ」と刺さってくるのが面白い。ジーザス・クライスト役の神永東吾は美しく、凛とした存在感。その中に内なる葛藤がこぼれ出て実に魅力的だ。イスカリオテのユダ役、芝清道は1987年以来、この作品で複数の役を演じるベテランで躍動感たっぷり。マグダラのマリア役の山本紗衣は、穏やかでまっすぐ。伸びやかなソプラノが心にしみる。そして、群衆のうねるような激しいダンスと重唱にワクワク!通しが終わると、10分ほど全員で振り返り、細かい部分まで確認。人数が多い分、ステージングも大変だ。「全体を見て自分の位置を把握し、もし空間が空いたところができたらそこに入ってください」「スーパースターの時は、少しでもジーザスに近づきたいという思いを限界まで身体で表現」「シモンのラッパはまず耳で聞く。先に見ない」「ジーザスを触りに行く時、全員がそうっと崇めすぎ。熱烈な人が何人か必要」「群衆のぐるぐる巻きは後半スピードが上がってよかった」など。記者懇談会では、神永「クリスチャンの僕が劇団四季に入りたいと思うきっかけの作品で、この演出は特別。ジーザスに関しては、次元の違う存在感を表現し、周りの人々との交流を大事に演じたい。深いテーマ性のある作品ですが、気軽に観に来ていただきたいです。ジーザスの俳優がイケメン!とか(笑)」山本「歌はクラシックの手法だけでは難しい。でもそこに捉われず、歌で言葉を語りたいです。聖書に書かれていることだけではない部分を演出などで埋めて、マグダラのマリアとして1時間45分を生き切りたい」芝「全編歌でつながっていますが、まるでストレートプレイを演じている感覚。歌と踊りの中にある心理やリアルさを出したいです。年々、劇団員の能力が上がりこのカンパニーもみんな優秀。自分も含めて、この先、生きているエネルギーをもっと注入していきたい」と意気込みを語った。取材・文:三浦真紀
2018年02月01日演劇、ミュージカル、伝統芸能など、舞台に関する最新情報やインタビューをお届けするフリーマガジン「ステージぴあ関西版」。2月1日発行の最新号で表紙を飾るのは、舞台『シャンハイムーン』で主演を務める野村萬斎。インタビューでは、『シャンハイムーン』上演にかける思いを聞いた。今号は、裏表紙も宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょうの撮りおろし。ほかにも、ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』に挑む城田優に思いを聞いたり、4年ぶりの舞台出演となる石原さとみに『密やかな結晶』にかける意気込みを聞くなど、今号もミュージカルから伝統芸能まで様々なジャンルの俳優・クリエイターにインタビュー。さらに、岸谷五朗、寺脇康文によるユニット地球ゴージャスの最新作や、話題のダンスエンタテインメント集団・梅棒など、注目公演の読者先行予約も実施!この機会にぜひチケット入手を。「ステージぴあ関西版」2+3月号はチケットぴあカウンター、劇場などで配布中。WEB上でも全ページ無料でご覧いただけます。
2018年02月01日ハンブルク・バレエ団2018年日本公演が間もなく開幕する。1月29日に都内ホテルで行われた開幕記者会見には、ジョン・ノイマイヤー芸術監督とふたりのプリンシパルが登場、日本公演への思いを明かした。ハンブルク・バレエ団 チケット情報「あまり長くならないように、と言われています(笑)」と冒頭から穏やかな笑顔のノイマイヤー。「初来日(1986年)のずっと前から、私は日本に大きな影響を受け、ここではいつも特別な時間を過ごします。今回は私たちの、もっとも人気の高い作品を持って来ました。偶然にもひとつは女性が主役、もうひとつは男性のバレエです」と、自作について語り出した。公演期間前半に上演される『椿姫』は、世界各地の劇場で上演されている傑作だが、「どの公演も一度きり、ということを大切に演じてもらいたい。ここにいるアレクサンドル・トルーシュは、今回初めてアルマンを踊ります。パートナーはアリーナ・コジョカル。新たな組み合わせで見るということは、再発見ができるということ。彼らのリハーサルを見て、新たに気づいたり、新しい色付けをしたりしています」。もうひとつの『ニジンスキー』は、ノイマイヤーが「20世紀でもっとも重要なアーティストではないか」と信奉する天才ダンサー、振付家のヴァスラフ・ニジンスキーを題材としたバレエだけに、「話し始めたら朝までかかりますよ」とジョークを放つ。ニジンスキーという人物を描くバレエではあるが、「ドキュメンタリーではありません。彼の劇的な人生の断片を取り上げ、彼がいかに深い思いを持つ人間であったかということを表現したいのです」という。この日登壇したプリンシパルのひとり、アレクサンドル・リアブコは、2000年の初演時からニジンスキー役を踊っているが、「毎回、困難をともない、達成できるかどうか不安になる。全く他では体験したことのない特別な作品。皆さんの前で踊ることができて幸せです」と笑顔を見せる。一方のトルーシュは、「『椿姫』を最初に観たのは12~13歳の時。多分彼(リアブコ)が踊った舞台ですが、その時からこの役を踊ることを夢見ていました」と振り返る。『ニジンスキー』についても、「いろんな側面を持つ人物を表現できるのは、アーティストとして幸せなこと」と語った。期間中にはガラ公演『ジョン・ノイマイヤーの世界』も予定されている。ハンブルクの才能豊かなダンサーたちが総動員で紡ぐ、奇跡の舞台との呼び声も高い。公演は2月2日(金)から12日(月・祝)、東京文化会館にて開催。2月17日(土)にはロームシアター京都にて『ジョン・ノイマイヤーの世界』公演も。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2018年01月31日2001年に日本初演の幕が開き、今回で7度目の上演を数える大ヒットミュージカル『ジキル&ハイド』。その製作発表が1月25日、都内某所で開かれ、主演の石丸幹二ほか計22名のキャストと、演出の山田和也が登壇した。ミュージカル『ジキル&ハイド』チケット情報約200名の一般オーディエンスも見守る中、まずはカンパニーキャスト18名が登場。ミュージカルナンバー「嘘の仮面」が披露されると、会場は一気にダイナミズム溢れる『ジキル&ハイド』の世界に。続いて演出の山田、石丸のほか、メインキャストの笹本玲奈、宮澤エマ、田代万里生、畠中洋、花王おさむ、福井貴一が壇上に現れ、それぞれ舞台にかける抱負を語った。初演から演出を手がける山田は、本作について「やっぱり面白い」と切り出し、「人間のネガティブな部分がとてもドラマティックに描かれた作品です。しかもフランク・ワイルドホーンさんの実に見事で、魅力的な音楽が、作品全体を妖しく、セクシーなものにしている」とその魅力を分析する。今回で3度目のジキルとハイド役に挑む石丸は、「個人的にハイドを演じることが快感になってきました」と笑い、「まだまだいろんなところで工夫出来ると思っていて。ぺろっと剥がれた時にハイドが出てくるような、そんなジキルを今回はつくっていきたいです」と、新たな試みに意欲を燃やした。2012年、2016年とエマを演じてきた笹本は、今回娼婦のルーシー役に初挑戦するということで、「いつかやりたいとずっと思っていた役なので、今回お話をいただいた時は舞い上がってしまって、エマをやっていた自分のことはすっかり忘れました!」ときっぱり。出産を経ての約1年ぶりのミュージカル復帰作で、いかなるルーシーを見せてくれるのか。期待は高まる。またこてこての関西弁とそのマイペースぶりで笑いを誘ったのは、宮澤演じるエマの父、ダンヴァース・カルー卿役の福井貴一。劇中の好きなナンバーを聞かれた福井は、「まだ聞いたことないんやけど、これはええ歌詞やなと。あれなんて曲?」と石丸に質問。「『知りたい』。これから歌うから聞いてください」と石丸が返すと、「あっ、このあと歌うの?結構いい振りになったんちゃう?」と笑い、ドッと会場を沸かせた。その流れでまずはルーシーのソロナンバー「あんなひとが」を笹本が熱唱。さらに福井イチ押しの「知りたい」を石丸が圧巻の歌声で披露すると、会場は大きな拍手に包まれ、オーディエンスの中には目頭をおさえる者までいた。ミュージカル『ジキル&ハイド』は3月3日(土)から18日(日)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演。また3月24日(土)・25日(日)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、3月30日(金)から4月1日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは現在発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年01月31日中村勘九郎、中村七之助兄弟らによる全国巡業公演が今年も開催される。「春暁特別公演2018」と銘打ち、3月中旬の埼玉を皮切りに全国12か所を巡るふたりに、話を聞いた。春暁特別公演2018 チケット情報普段、歌舞伎の舞台を生で観ることができない全国の人たちに、歌舞伎の楽しさを届けたい、と2005年より毎年開催、兄弟ふたりが中心になってのこの巡業は、「最初の頃は不安でした。が、継続は力なり。この公演を見て歌舞伎を好きになったという方が多く、やってきて良かったなと思います」と話す勘九郎。上演演目も、初めて歌舞伎を観る人も存分に楽しめるものをと工夫を重ねてきた。今回、勘九郎が演じる「浦島」は、かの昔話の主人公の後日談。「海から戻ってきた浦島が、竜宮城での思い出を踊りで見せます。その後玉手箱を開けたらどうなるか──、皆知っていることですが(笑)、これが意外と古風な早変わりで、楽しく観ていただけると思います」(勘九郎)。いっぽう、七之助が踊るのは華やかさに満ち満ちた「枕獅子」。「『鏡獅子』の元となったとても古風な踊りです。僕が演じるのは傾城で、その切ない女心を格式高い曲調で踊ります。『鏡獅子』よりもさらに華やかなところもあり、春にぴったりですね」(七之助)。中村屋門弟らによる「鶴亀」も、春にふさわしい、おめでたい雰囲気に溢れた舞踊だ。この巡業公演ならではのお楽しみ、「芸談」の時間も。「芝居のことも、プライベートのこともざっくばらんに話すトークショーです」と勘九郎。この時間はいつもスーツ姿での登場だが──「いまだに『おおーっ!』と声があがる。あれは絶対、『着物じゃない?スーツだ!』『普通の人だ!』ということでしょう(笑)。生で観る歌舞伎は初めてという人は?と聞くと、半分以上の方が手を上げられる。まだまだ、ですね」と七之助も言葉に力を込める。質疑応答のコーナーでは、「どんなニックネームで呼べばいいか」という斬新な質問も。「屋号以外で?じゃあ何か考えてください、と返すと、『カン』と『シチ』って(笑)──」と七之助。「そんな掛け合いもできるんです」と勘九郎も楽しげだ。都市によってシャイだったり積極的だったりとか客席の雰囲気は様々だが、客席との直接の交流が生まれるかけがえのない時間といえるだろう。2019年の大河ドラマ主演を控える勘九郎だが、これを逃すと勘九郎の生の舞台はしばらくお預けとなるだけに、兄弟揃っての公演は見逃せない。公演は3月17日(土)さいたま市文化センター 大ホールから4月5日(木)鎌倉芸術館 大ホールまで全12か所で開催、チケットは発売中。取材・文加藤智子
2018年01月30日いま演劇界の枠を超えて注目されるマームとジプシーの藤田貴大さん。その藤田さんが紡ぐ詩的で繊細な言葉の数々は、この人の身体を通すことで、圧倒的な切実さや重量感をもって我々観客の元に届く。その身体に少女性と少年性を同居させながら、内には激しさや屈強さを感じさせるのが、青柳いづみさんという女優。「私、演劇がやりたいわけではないんです」と、青柳さんは言う。「演劇をやりながら、演劇ではない…私が本当に見たい、知りたいと思っている世界を作ることができるのが藤田君という存在。私が演じることで、観客にも、さらにはもっと遠くまで、それを見せることができたらと思っています」学生時代から活動を共にする藤田さんからは、「お前も俺と同じ、自分の才能にしか興味のない青い血の人間だから、そこから逃げるな」と言われているのだとか。「自分でも自覚があるからいいんですが(笑)」そんな青柳さんの次回作は、小説家の川上未映子さんと藤田さんとの共作となる舞台『みえるわ』。前回の公演『まえのひ』に引き続き、出演者は青柳さんひとりのみだ。「未映子さんの詩は誰のものでもない言葉なのに、発語してみると、まるで私自身も知らない本当の“わたし”を一番言い表しているように感じる。なかでもいっとう好きなのが“どうして?”という言葉ですが、大人になると誰もが通り過ぎてしまうような疑問を、未映子さんは無視できずに“どうして?”と問いかける。まだ言葉になっていない何かを、言葉を通して探し続けている。それは藤田君や私の中にもある感覚だと思います」ただ、’14年の公演と比べると、青柳さん自身、変化したこともある。「以前は言葉本来の持つ美しさをそのまま見せたいと思って演じていたところがありました。でも昨年末に、藤田君が歌人の穂村(弘)さんと装丁家の名久井(直子)さんと共作した舞台で、言葉そのものは穂村さんや名久井さんや藤田君のものなのに、私が発語することでその言葉が生まれ直すという感覚があったんですね。今、再び未映子さんの言葉を発語した時に、一体何が見えるのか、見せられるのかを考えています」あおやぎ・いづみ女優。マームとジプシーとチェルフィッチュの両劇団を中心に、近年、現代美術家とのコラボなどもおこなっている。テキスト/川上未映子演出/藤田貴大出演/青柳いづみ1月31日(水)~2月3日(土)渋谷・WWW予約4000円当日4500円(共にドリンク代別途500円。税込み)宮城、長野、福島、北海道、神奈川、山口、大阪、熊本、沖縄で公演あり。※『anan』2018年1月31日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年01月24日2016年に韓国で世界初演された作曲家フランク・ワイルドホーンの最新作、ミュージカル『マタ・ハリ』。素晴らしい楽曲と豪華なセットが話題となり大ヒットを記録した。待望の日本公演は訳詞・翻訳・演出を石丸さち子が手掛け、柚希礼音×加藤和樹のW主演で上演。1月21日に大阪・梅田芸術劇場メインホールで日本初演の幕を開けた。ミュージカル「マタ・ハリ」チケット情報1971年、第一次世界大戦下のヨーロッパで、フランスのスパイとなったダンサー、マタ・ハリの数奇な運命を描いた本作。オリエンタルな魅力と力強く、美しいダンスで魅了するマタ・ハリに挑むのは柚希礼音。加藤和樹も、マタ・ハリの運命を変えるフランス諜報局の大佐ラドゥーとその部下アルマンという、立場も年齢も性格も全く異なる2役を日替わりで演じ、Wキャストに佐藤隆紀(ラドゥー)、東啓介(アルマン)が出演。初日目前の1月20日に公開舞台稽古及び囲み取材を行い、意気込みを語った。「美しさと醜さ、優しさと残酷さなどこの世界が持つ両極端な面や、過酷な戦争の中で、マタ・ハリやラドゥー、アルマンらにどのような愛と裏切りが生じるか。極限に立たされながらも人はどう生き抜こうとするか、描きたい」と力を込める石丸。柚希も「マタ・ハリは壮絶な過去を持っていますが、強く生きようとしている。マタ・ハリとして思いっきり生き抜きたい」と意気込み、高い精神性と極上のエンターテインメント性を持つ“寺院の踊り”をぜひ見てほしいと語った。加藤は、2役演じ分けについては思いのほか、迷いや混乱はなかったと話すが、「稽古中はアルマンを演じているのにラドゥーのパートを歌ってしまうことがありました(笑)」と明かす。だが、今は何よりも舞台に立つことが楽しみだという。そして「戦時下での生きるという思いや力強さ、エネルギーを感じてもらえたら」と続けた。「自分にとって財産となる作品」と話すのは東。初のWキャストに学びも多いとか。佐藤は「この時代だからこそ『マタ・ハリ』の人生を体験して、戦争について考えるきっかけにしてもらいたい」と話した。「大阪で初日を迎えられてうれしい」と柚希、最後に「彼女の半生を思いっきり壮絶に、勇敢に生きたいと思います!」と言葉に熱を込めた。ミュージカル『マタ・ハリ』は1月28日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演中。2月3日(土)から18日(日)は東京国際フォーラムで幕を開ける。チケット発売中。取材・文:岩本和子
2018年01月22日宝塚歌劇団花組の『ポーの一族』が1月1日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇花組『ポーの一族』チケット情報『ポーの一族』は、漫画家・萩尾望都の代表作であり、漫画史上に残る不朽の名作。本作を「いつかミュージカル化したい」と夢見て宝塚歌劇団に入団した演出家・小池修一郎による、念願の舞台化だ。永遠に年を取らず生き永らえていくバンパネラ“ポーの一族”。人間であった主人公エドガー・ポーツネルが、唯一の肉親である妹・メリーベルを守るために一族に加わり、哀しみをたたえつつ仲間と共に時空を超えて旅を続ける物語。トップスター・明日海(あすみ)りお扮するエドガーが一輪の赤いバラを手に持って現れるプロローグ。漫画の雰囲気そのままの、美しくも妖しい、憂いを帯びた佇まいに引きつけられ、思わずため息がこぼれる。バンパネラの一族に育てられていることを知らず、メリーベルと共に無邪気に過ごしていた日常から一転、一族の儀式を覗き見し、自身の運命を悟るエドガー。バンパネラとなった後もその運命を受け入れられない思い、人間の血に反応してしまう身体、終わりのない命を持つことの哀しさ…。そのひとつひとつの感情を明日海は繊細に表現。血を吸う姿もゾクッとするほどになまめかしい。トップ娘役・仙名彩世(せんな・あやせ)が演じるシーラ・ポーツネル男爵夫人は、ポーツネル男爵との愛を貫き、婚約のために一族に身を捧げる女性。色気のある妖艶な佇まいで魅せる一方、エドガーの義母として、孤独なエドガーを優しく包み込む存在でもある。権力者の息子のアラン・トワイライトを演じる柚香光(ゆずか・れい)も作品の幻想的な世界観にナチュラルに溶け込み、複雑な環境の中で孤独に生きるアランを好演。傲慢な振る舞いの裏で見せる寂しさ、エドガーやメリーベルと出会ってからの変化を丁寧に見せている。宝塚歌劇だからこそ表現し得る神秘的な世界観。中でも、エドガーとアランのふたりが並ぶシーンは息を呑む美しさだ。エドガー、シーラ、アランのほか、華優希(はな・ゆうき)演じるメリーベル、瀬戸かずや演じるフランク・ポーツネル男爵など、すべてのキャラクターが漫画から抜け出してきたようなオーラを放つ。満を持して、小池修一郎と花組生が心血を注いで作り上げた『ポーの一族』。その世界にどっぷりと浸ってほしい。公演は、2月5日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月16日(金)から3月25日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。宝塚大劇場では枚数限定で当日券を販売。ご観劇当日の10:00(11:00公演実施日に限り9:30)からおひとり様1枚、先着順で販売いたします。詳細は劇場ホームページ(まで。
2018年01月18日