1月2日(火)より大阪松竹座にて上演される「坂東玉三郎初春特別舞踊公演」に向けて、玉三郎が記者会見を行った。「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」チケット情報玉三郎が大阪松竹座の初春公演を勤めるのは4年ぶりで、今回は中村壱太郎とふたりで「なるべく彩りに富んだ舞踊をお見せしたい」と語る玉三郎。新年の挨拶と自身の思いを伝える『口上』から始まり、元禄期の華やかな花見の風情を描いた『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』、美しい秋の情景を歌った長唄の名曲と、季節感あふれる舞踊が楽しめる『秋の色種(あきのいろくさ)』、女方の魅力が詰まった冬の名作『鷺娘(さぎむすめ)』、美しく気品にあふれた吉原絵巻『傾城(けいせい)』を上演。春夏秋冬の美しさを感じられる演目が堪能できる。また、共演の壱太郎については「近年はすっかり大人になられて、いろんな役に挑んでらっしゃる。大変勉強家で、分からないところがあればたびたび聞きにこられます。ゆだねられるところもあり、頼れる存在です」と信頼を寄せ、「以前博多座で演じられていた『芸道一代男(げいどういちだいおとこ)』では、裾をからげて芝居をしているときの足元がとてもきれいだったのが印象的でした。かなり踊りの勉強をされているのだろうと思いました」とコメント。壱太郎が勤める『鷺娘』についても高い期待を寄せた。「劇場ではお正月らしくにぎやかにお迎えしたい」と、獅子舞をはじめ、ロビーを華やかに飾るとのこと。新年の幕開けに、美しいふたりの共演を堪能したい。公演は1月2日(火)から26日(金)まで大阪松竹座にて。チケットは12月5日(火)より発売開始。
2017年12月05日『レ・ミゼラブル』初代マリウス役で知られる英国ミュージカル界の大スター、マイルケル・ボール。世界が注目した『レ・ミゼラブル25周年記念コンサート』主役ジャン・バルジャン役で一躍スターダムへと駆け上がったアルフィー・ボー。間違いなく、世界最高峰の歌声を持つふたりのオジサマが共演を果たす、奇跡の初来日コンサート「マイケル・ボール&アルフィー・ボー トゥギャザー・ジャパン・ツアー2018」が2月、東京で開催される。ふたりに話を訊いた。チケット情報はこちらふたりの出会いは2007年のミュージカル『キスメット』での共演。2016年には有名ミュージカルソングを収録した初共演アルバム『Together』をリリース。これはこの年リリースされた英国人アーティストのアルバムとして最大のヒットになった。ふたりのスゴイところは、ひとりでも素晴らしい歌声が重なると、その素晴らしさが10倍にも100倍にも輝くところ。アルフィーはこう語る。「私たちの声は非常にうまく合うんです。お互いに引き立たせることができる。私たちは競争をしたりはしないんです。……マイケルはいつも私の気を散らそうとはするけれどね(笑)。最初は、仲の良いふたりが一緒になって歌い、ショーをやるという、ただ本当に楽しもうと始めたプロジェクトだったんです。それがだんだん大きくなって、我々が予想していた以上に凄いことになってしまいました」。“予想していた以上に凄いこと”―― 昨年の英国ツアーはソールドアウト続出、今冬のツアーは2万人収容のO2アリーナを含むアリーナツアーだ。そんな彼らの歌声を日本ではホールサイズで味わえるのだから、日本のファンは幸せである。……と言っても、日本には、まだふたりの凄さをご存じない方もいるかもしれない。ということでふたりにお互いの魅力を尋ねてみた。「私はアルフィーの大ファンなんです。彼は素晴らしい才能の持ち主。それに彼は堅実で、思慮深く、尊敬出来る。でもなぜ彼と組んだかというと、ただ、彼が友だちだからだよ。一緒に大笑いが出来るんだ」(マイケル)。「マイケルは常にTOP10チャートを賑わす人気シンガーで、30年以上にわたり第一線で活躍するミュージカルスター。素晴らしいシンガーであると同時に素晴らしい俳優だ。あと、彼はいつも喋っているね(笑)」(アルフィー)。公演は『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』『ウエスト・サイド・ストーリー』『美女と野獣』ほか、ブロードウェイ・ヒッツ満載の究極のミュージカル・コンサートになるという。「日本のファンの皆さんの熱い期待に応えて追加公演が決定しました、ありがとう! 日本公演のための新しいセットリストで、たくさんの素晴らしいミュージカルからヒット曲を贈ります。皆さんに会えるのを楽しみにしています、僕らも日本に行くのが待ちきれません!」(マイケル&アルフィー)公演は東京・東急シアターオーブにて。2月10日(土)・11日(日)公演のチケットは発売中。なお2月12日(月・休)は追加公演、チケットは12月2日(土)に一般発売開始。
2017年12月01日劇団四季大阪四季劇場の製作発表会が11月27日に行われ、5月に千秋楽を迎える『キャッツ』に続くロングラン作品として、ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』の上演が発表された。劇団四季「リトルマーメイド」チケット情報ミュージカル『リトルマーメイド』は、ディズニーが1989年製作の劇場版長編アニメーションを舞台化したもので、2008年にブロードウェイで初演されて話題となり、2012年にはヨーロッパ版が発表された。日本初演は2013年、『美女と野獣』『ライオンキング』『アイーダ』に続くディズニーとの提携4作目として劇団四季が上演し、現在も名古屋と福岡でロングラン上演が行われている。本作は、地上の世界に憧れる人魚姫アリエルが、人間の王子エリックに恋をする物語。未知の世界へと勇気と強い意志を持って進むアリエルの姿が観るものの共感を呼び、心を惹きつける。作品の魅力について、会見に出席したアリエル役候補の三平果歩は、「私が感じる一番の魅力は、音楽が素晴らしいことです。映画版にはなく、舞台版で追加された曲もあるのですが、全曲本当に素敵な曲ばかりです。中でも二幕の冒頭の『マエムキニ』というシーンは、アリエルが足をいただいて、立ってみたり、走ってみたりすることが詰め込まれているナンバー。演じながら、自分も頑張ろうって勇気付けられます」とコメント。アリエルのお目付け役となるセバスチャン役候補の飯野おさみは、「親子の愛を感じられるとてもいい作品なので、親子でご覧になるとより絆が深まるんじゃないかなと思います。いいシーンがたくさんある中で、いろんな魚たちが登場する『アンダー・ザ・シー』の場面はとても華やかで、見どころのひとつだと思います」と語った。また劇団四季公演は、ディズニーと劇団四季クリエイティブチームの共同により、ヨーロッパ版をより進化させた内容で展開。日本オリジナルの表現をさまざまに取り入れながら、イマジネーションあふれる空間を生み出している。現在、福岡・キャナルシティ劇場、愛知・名古屋四季劇場にて上演中。大阪公演は2018年10月13日(土)開幕。チケットは2018年6月30日(土)に一般発売開始。
2017年11月29日ディズニーの不朽の名作映画『メリー・ポピンズ』がミュージカル化。その日本初演が、2018年3月、東京・東急シアターオーブで幕を開ける。そこでオーディエンス200名が見守るなか、ほぼ全キャストが登壇する大規模な記者会見が行われた。【チケット情報はこちら】冒頭を飾ったのは、誰もが知る『メリー・ポピンズ』の名曲の数々。バート役の柿澤勇人が『チム・チム・チェリー』を歌い始めた途端、会場は早くも『メリー・ポピンズ』の魔法の世界へ。そこにバート役Wキャストの大貫勇輔、メリー・ポピンズそのものといったいで立ちの濱田めぐみ、メリー・ポピンズ役Wキャストの平原綾香も登場。メリー・ポピンズを象徴する『プラクティカリー パーフェクト』から名曲中の名曲『フィード ザ バーズ』、全キャストが登場しての華やかな『ジョリー ホリデイ』までが一気に披露されると、会場のテンションは最高潮に。心地よい高揚感に包まれつつ、キャストによる挨拶が始まった。濱田にとってディズニー作品への出演は、劇団四季時代から数えて4作目。「想像を具現化し、舞台上にかたちとして見せるのはディズニーミュージカルが一番」とその魅力を語り、「ひとつひとつを明確に、はっきりとした夢のかたちをお届け出来るよう精進したい」と意気込む。3作目のミュージカル出演となる平原は、自らの前世について「平原さんはまだ地球に慣れていないから頑張って」と言われたことがある過去を告白。演出家から「メリー・ポピンズは宇宙人のようなもの」とアドバイスされたことを受け、「宇宙人だったころを思い出して頑張りたい」と、会場の笑いを誘った。大貫は「正直プレッシャーの方がかなり大きい」と切り出しつつも、「日本初演のオリジナルキャストに選ばれたことは本当に嬉しい。全力で、楽しみつつ稽古に取り組んでいけたら」と目を輝かせる。柿澤はこれまで人を殺める役が多かったことから、「やっと大人から子供まで楽しめる役に挑戦出来る。たまには僕も愛されたい!」と、平原に続く笑いを会場に呼び起こした。他にもジョージ・バンクス役の駒田一、山路和弘、ウィニフレッド・バンクス役の木村花代、三森千愛、バードウーマンとミス・アンドリュー2役の島田歌穂、鈴木ほのからが登壇。それぞれ本作にかける思いを熱く語った。最後には「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」を全員で熱唱。その美しく力強い歌声は、本番への期待をさらに高めてくれた。公演は2018年3月18日(日)より。なお、チケットの一般発売に先駆けて、チケットぴあでは抽選先行を実施中。いち早プレリザーブの受付は11月27日(月)午前11時、プレリザーブの受付は11月30日(木)11時まで。取材・文:野上瑠美子
2017年11月24日浦井健治と城田優が、来年2月から上演される『ブロードウェイと銃弾』で6年ぶりの共演を果たす。ふたりが口を揃えて「すごく楽しみ」という作品の魅力、久々の共演への喜びを語った。チケット情報はこちら作品の舞台は1920年代のNY。売れない劇作家のデビッド(浦井)が、ギャングの親玉という出資者を得てやっとの思いでこぎつけた自作のブロードウェイ上演。ギャングの子分であるチーチ(城田)の監視のもと、クセのある俳優たちに翻弄されながら作品を作っていくも、さらにチーチまでも作品に口出しをしてきて……。アカデミー賞7部門にノミネートされたウディ・アレンによる同名映画を原作にブロードウェイでミュージカル化されたコメディの、日本初上演だ。浦井は「エンタテインメントを作り上げる素晴らしさを体感し、男同士の絆が生まれていく。デビッドとチーチの友情物語でもあるので、優とだったら自然体で出来るんじゃないかな」と城田との久々の共演への期待を語る。演じるデビッドについては「完全に巻き込まれ系ですね」と話し、「突飛なキャラクターたちに、いかに僕が振り回されるか。「どうしよー!」って、オドオドしていればいいかな(笑)」。対する城田は「僕は逆に周りで遊びを入れていく側。だから健ちゃんの方が大変だよね、(観客の)共感軸だからブレずにいないといけないから。でも、健ちゃんとは前回共演した2011年の『ロミオ&ジュリエット』の時に“目で芝居が出来る”関係性が築けた。今回は浦井健治を信頼して、後ろについて行こうと思っています(笑)」と浦井への絶大なる信頼を明かしつつ、「脚本がめちゃめちゃ面白いんです。「こんなんで舞台が作れるの!?」というほどクセの強いキャラクターが揃っている。最終的にそれまでの伏線が全部繋がっていくところとかもエンタメ要素が強い」と作品の魅力を熱弁する。ブロードウェイのバックステージを描いている物語ゆえ、華やかさもみどころ。全編を彩るのは20~30年代の軽快なジャズやポップスだ。「2014年に作られた割にはオールドテイストで、日本で言う昭和の匂いがします。“旧き良き”、ですね。“ジャズミュージカル”といった雰囲気のものも、僕も健ちゃんもあまりやっていませんので、僕らの新しい一面もお見せできると思いますよ」(城田)。演出はコメディを作り上げる手腕に定評のある福田雄一が手がける。映画『銀魂』やドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズで知られる福田は映像作品の印象が強いが、演劇からキャリアをスタートさせ、ミュージカル好きを公言していることでも有名だ。「脚本家でもあり演出家でもある福田さんは、デビッドと重なるところもある。そんな福田さんだから、舞台芸術の持つ力や、舞台作りへのオマージュも込めていかれるんじゃないかなと思います」(浦井)。共演は平野綾、保坂知寿、愛加あゆ、ブラザートム、鈴木壮麻、前田美波里ら。公演は2月7日(水)から28日(水)まで、東京・日生劇場にて。チケットは11月25日(土)に一般発売開始。その後大阪・梅田芸術劇場 メインホール、福岡・博多座でも上演される。
2017年11月24日傑作小説を原作に、作詞家レスリー・ブリカッスと作曲家フランク・ワイルドホーンが生み出した、世界的大ヒットミュージカル『ジキル&ハイド』。日本でもその人気は高く、2001年の初演以降、今回でなんと7度目の上演を数える。そこで新たにエマ役に抜擢された宮澤エマに話を聞いた。ミュージカル「ジキル&ハイド」チケット情報近年ミュージカル女優として大活躍中の宮澤。そんな彼女にとってもこれだけの名作、さらにジキル博士&ハイド氏役の石丸幹二との共演は、大きなプレッシャーだという。「正直とてもビックリしました。歴史ある作品の一員にしていただけることはとても嬉しいのですが、やはりお客さまの期待値も高い作品だと思うので…。しかもミュージカル界のスターである石丸さんとの共演ですから。石丸さんって歌がうまいというのを超越した、違う次元にいらっしゃる方だと思うんです。そういった方と一緒に歌わせていただく以上、そのレベルに見合ったものをお届けしなくてはいけないなと思っています」。宮澤演じるエマは、ジキルの婚約者であり、彼を深い愛情で包み込む心優しい女性。「エマ役が決まった時に、『ぴったりだとは思うけど、ある意味この作品の中で一番難しい役だよね』ということをよく言われました。エマはあまりキャラクターのない、いわゆる“お嬢様”に思われがちですが、実はとても強い女性。何があってもジキルを愛し続ける、その強さはいったいどこからくるのか。そして外見の可憐さと内面の強さ、そのギャップをいかに表現していけばいいのか。非常に難しい課題ではありますが、前回、前々回とエマ役をやられた笹本玲奈さんがルーシー役で出演されるので、いろいろ指導していただけたらなと思っています」。一線を越えてしまったジキルにも、揺るぎない愛を捧げるエマ。さらにハイドに翻弄されていく娼婦のルーシー。果たしてこの物語は、今の観客に何を訴えかけるのか。「いろいろな要素が詰め込まれたミュージカルだと思います。人が人を信じ続ける強さや美しさ。いけないとわかっていても人を愛してしまう刹那。――そういった人の生きざまみたいなものを見せられる作品なのかなと。そしてエマがリアルで、魅力的であればあるほど、物語が持つパワーみたいなものをしっかりとお客さまに伝えられるのではと思っています。決して安いチケットではありませんが、次の日から考え方が変わるような経験が出来る作品だと思いますので、ぜひ劇場へ足をお運びください」。公演は、2018年3月3日(土)から18日(日)まで東京国際フォーラム ホールC、3月24日(土)・25日(日)は愛知県芸術劇場 大ホール、3月30日(金)から4月1日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。東京・大阪公演のチケットは発売中。愛知公演は12月9日(土)一般発売開始。取材・文:野上瑠美子
2017年11月24日2018年4月に上演されるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』の製作発表会見が、東京・スウェーデン大使館で行われ、主演の大竹しのぶ、風間杜夫、蓮佛美沙子、ウエンツ瑛士が登壇した。ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』チケット情報愛を求める男女が滑稽にすれ違い、愛し合う一夜が描かれるミュージカル・ラブ・コメディ。作詞・作曲はスティーブン・ソンドハイム、脚本はヒュー・ホイラーが手がけ、初演以来トニー賞7部門、グラミー賞2部門を受賞した。日本では19年ぶりの上演となり、演出はマリア・フリードマンが初来日して手掛ける。作品の魅力を伝えるため(!?)に、大竹&風間・蓮佛&ウエンツの2組でベッドに入り開かれた会見。とはいえ関係性は、風間演じるフレデリックと蓮佛演じるアンが年の差新婚夫婦、ウエンツ演じるヘンリックはフレデリックの息子ながら義母のアンに恋する青年、そして大竹演じる主人公・デジレはフレデリックのかつての恋人という複雑なもの。大竹は「なんだか奇妙なシチュエーション」と笑いつつ、「歌はもともと好きだったのですが、本格的なミュージカルはこの作品と同じソンドハイム(作詞・作曲)の『スウィーニー・トッド』で。一つひとつの音が重なりあって、台詞があって、歌があって、ミュージカルってなんて素晴らしいんだと思った作品です。それに今回、マリア・フリードマンさんという素晴らしい演出家の方が日本で初めて演出をしてくださる。歌と芝居が分かれるのではない、『これぞミュージカルだ』と思うものができたらいいなと思っています」と語った。初めてミュージカルに挑戦する風間は「恩師のつかこうへいに『日本で一番踊ってはいけない役者』だと言われ続けてきたので。今回、ミュージカルだけど踊るシーンはないということでお引き受けしました」と笑いを誘いつつ、「しのぶちゃんとは古い間柄なんですけど、舞台で共演するのは初めてで嬉しい」と笑顔を見せた。これが舞台初挑戦となる蓮佛は、今回の挑戦を「大竹しのぶさんといつかご一緒できたらと思っていました。お芝居をつくっていく過程を含めそばで見させていただける…それだけで『やりたい』と言いました」と明かした。ウエンツは自身の役柄について「おない年といえど義理の母親に恋をする役柄で。恋敵が自分の父親というところで苦悩する部分だったりとか、いろんなものを失うかもしれなくても手に入れたい愛が、どれだけ素晴らしいものかを表現できたら」と語った。大竹が「一生のうちで“忘れられない一夜”というのがあると思うんですけど、それを舞台の上で毎日できるのがすごく嬉しい」という公演は、2018年4月8日(日)から30日(月・祝)まで東京・日生劇場にて。チケット一般発売は12月9日(土)午前10時より。取材・文:中川實穗
2017年11月22日演劇界で多くの名作に携わってきた謝珠栄が、構成・演出・振付を担当する『Pukul(プクル)』。ダンスと歌で綴られるストーリー仕立てのオリジナルショーで、宝塚歌劇団を除いては、今の日本では珍しいとされるショー作品だ。湖月わたるや水夏希、蘭乃はな、舞羽美海ら宝塚OGに加え、坂元健児、大貫勇輔、岡幸二郎、島地保武ら豪華キャストが勢ぞろいした本作。その公開稽古が、11月17日、都内のスタジオで行われた。舞台『Pukul~プクル~』チケット情報謝が「インドネシア語で“鼓動”“時間”、それからマレー語でも“時”を表す『pukul(プクル)』という言葉をタイトルにしました」と話すように、ACT1は「アジアの音色」、ACT2では「西洋の音色」をモチーフにして展開。過去、現在、未来をつかさどる神々が見守るなか、“地球”と“人類”のストーリーが描かれる。公開稽古では4場面から一部を抜粋。『宇宙の鼓動』では“現在”の神である姿月あさと(スペシャルゲストとして出演)、“過去”の神の岡、“未来”の神・坂元が登場。宇宙の創世を壮大なスケールで歌い上げる。傍らで何かの始まりを暗示するかのように、激しく踊り続ける大貫の姿が印象的だ。続く『星たちの鼓動』は、湖月、水、蘭乃、舞羽らが腰を低く落とし、指先をつまむようにして踊るインド舞踊の型を取り入れたダンスで、星々の誕生を表現。ガムランの音が高まってゆくなか、『星の一生』の場面へとなだれ込む。男性キャスト陣も合流し、最高潮に達したところで突然音楽がやみ、春野寿美礼(スペシャルゲスト)が現れた。星々に語りかけるような春野の歌声が静寂の中に響く。公開稽古の最後は、『銀河の回転』の場面だ。彩吹真央(スペシャルゲスト)が、銀河の頂点に君臨する太陽について語ると、岡の歌、大貫のダンス、湖月ら他のキャストも次々に加わり、太陽と、その周りを公転する惑星をダンスで表してゆく。いずれも主演級のキャストだけに、その迫力は圧巻のひと言だ。ゲネプロ後の囲み会見では、謝と姿月、湖月、水が登壇。「人々が忘れてはいけないことを、私たちなりに伝えられる作品」(姿月)、「宝塚OGの踊りに、男性キャストの力強さが加わったショー」(湖月)、「謝先生らしい生命賛歌の物語」(水)といった言葉が聞かれた。一方、謝が「バリ、韓国、中国、インド……それからグルジア、ロシア、中近東など、6~7種類のダンスを取り入れてますね」と語る場面では、水が取材陣に「ほんと大変!」と漏らして笑いを誘うひと幕も。「稽古場の“戦い”が出演者一人ひとりのエネルギーとなってお客様に伝われば」との水の言葉に、思わず納得した公開稽古となった。公演は12月9日(土)から14日(木)まで東京・日本青年館ホール、12月21日(木)から25日(月)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。取材・文佐藤さくら
2017年11月22日宝塚歌劇団雪組新トップスター・望海風斗(のぞみふうと)と新トップ娘役・真彩希帆(まあやきほ)のお披露目公演『ひかりふる路(みち)~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』『SUPER VOYAGER!-希望の海へ-』が11月10日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇雪組『ひかりふる路(みち) ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』『SUPER VOYAGER!-希望の海へ-』チケット情報第一幕の『ひかりふる路』は、フランス革命後のパリを舞台に、革命家マクシミリアン・ロベスピエールの生涯を仲間との絆や運命的なロマンスを絡めて描いた物語。『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』などを手がける作曲家フランク・ワイルドホーンが全曲を書き下ろしたミュージカルで、優しい楽曲から力強い楽曲まで終演後も心地いい余韻を残すものばかり。抜群の歌唱力を誇る望海と真彩の魅力も存分に引き出されている。人々の平穏な暮らしを守ろうと、弁護士から政治家に転身。理想を追い求め、革命に身を投じたロベスピエール。ジャコバン派に所属し、革命の指導者としてフランスを新しい時代へと導いた彼に人々は熱狂する。一方で、罪なく人生を狂わされた革命の犠牲者マリー=アンヌは、“革命そのもの”であるロベスピエールを暗殺しようと機をうかがっていた…。自分の理想を追い求め続け、辿り着いたのは恐怖政治。共に戦ってきた仲間のダントンやデムーランとも次第に距離が生まれてくる。それでもただ理想を信じて突き進むしかないロベスピエール。彼の情熱、温かさ、孤独、その心の変化を望海は情感あふれる演技と歌で繊細に表現する。一方の真彩は、ロベスピエールを恨みながらも、そのまっすぐな心に触れたことで変化していくマリー=アンヌ。憂いを漂わせつつ、気品と芯にある強さを持たせて演じている。運命的に出会ったこのふたりが迎えるラストシーンの美しさも強く印象に残る。また、彩風咲奈(あやかぜさきな)が扮するダントン、専科・沙央(さおう)くらまが扮するデムーランとの友情も見どころのひとつ。同じ方向を向いていた同志がいつしかすれ違っていく様、その心の痛みは観る側にも響いてくる。第二幕のレヴューは、新生雪組の“船出”をイメージ。豪華客船が海へと出航するシーンで爽快に幕開けし、客席降りの演出でも楽しませてくれる。その後もジャズの音色に乗せて踊るクラシカルなシーンや、冬の港町で望海がしっとりと歌い上げるシーン、白燕尾姿の群舞、スパニッシュのシーンなど、緩急つけたステージを展開。両作を通して、新生雪組の魅力がたっぷりと詰まったステージに仕上がっている。公演は12月15日(金)まで兵庫・宝塚大劇場、2018年1月2日(火)から2月11日(日・祝)まで東京宝塚劇場にて上演。宝塚大劇場公演のチケットは発売中。東京公演のチケットは11月26日(日)10:00より一般発売開始。11月21日(火)11:00まで先行抽選受付中。
2017年11月17日宝塚歌劇団花組が、漫画史上に残る傑作『ポーの一族』の初の舞台化に挑む。11月16日、原作の萩尾望都も臨席する中、制作発表会が開催された。宝塚歌劇花組『ポーの一族』 チケット情報永遠に年をとらず、哀しみをたたえつつ時空を超え旅を続けるバンパネラ“ポーの一族”の姿を描いた物語。会見冒頭ではエドガー役の明日海りお、シーラ役の仙名彩世、アラン役の柚香光が劇中歌2曲を披露。幻想的なパフォーマンスで報道陣を魅了したが、原作の萩尾も「この世のものとも思えぬものを見て、頭がどこかへ行ってしまった」と感激しきり。特に花組トップスター、明日海が扮するエドガーには「心臓がバクバク(笑)。言葉になりません」と絶賛の言葉を惜しまなかった。一方で原作者を前に劇中の登場人物に扮した明日海は「漫画のキャラクターを立体にしてしまうという、ことの重大さを感じ緊張しました」と語り、「先生の描かれる絵の表情、目の寂しさ、結んだ口の薄さ、後頭部に感じるオーラ……エドガーの存在すべてに魅力を感じています。稽古場でエドガーと呼ばれて「はい」と返事することすら恐れ多いほど特別な役。自分のイマジネーションをフル活用し、小池先生と話しながら、自覚を持って役を作り上げたい」と意気込みを。仙名も「シーラは美しい貴婦人ですが、愛に生きようとする強さやエドガーたちを包み込む優しさがある。女性として魅力的にみえるように作っていきたい」と役作りについて語った。また、エドガーたちの仲間になるアラン役の柚香は「今回の宝塚での舞台では、アランは一族に入る前の“人間”の状態が長い。今日、エドガーを演じる明日海さんが照明を浴びているのを舞台袖から観て、ゾクっとした。アランもバンパネラを初めて観たときに、このように身の毛がよだつ思いをしたのかもしれない。この感情を新鮮に覚えておきたいと思った」と感想を話した。演出を手がけるのは、『エリザベート』などのヒット作を数々送り出している鬼才・小池修一郎。『ポーの一族』を上演するために宝塚歌劇団に入ったという逸話を持ち、舞台化を申し出てから30余年を経ての実現となったが、「1985年に宝塚の公演後にコーヒーショップに行ったら、隣の席が打ち合わせ中の萩尾先生だった。こんな機会は二度とないと思い「ファンなんです」とお伝えし、名刺をお渡しした。確かその時に「いつか(舞台化を)やらせてください」とお伝えしたはずです」というエピソードを明かす。その後、当時ミュージカルの脚本を書いていた萩尾が小池に意見を求めたことからふたりの付き合いが始まったそうで「小池先生の作品はとてもセンスが良く、私ごのみ。小池先生ならいつでもOKですよと言っていたのに、(実現まで)こんなに待たされました(笑)」と萩尾。「私のイメージを超えた美しい世界が目の前に広がるというのが予感できて、今からドキドキワクワクしています」と原作者も期待大の公演は1月1日(月・祝)から2月5日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月16日(金)から3月25日(日)まで東京宝塚劇場で上演される。
2017年11月17日ロシア国家劇場賞受賞、サンクトペテルブルグ都立最高劇場賞に輝いた注目のバレエ団、ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエが12月22日(金)より4年ぶりの来日公演を開催。ゲストソリストとして、アレクセイ・ポポフの出演が決定した。【チケット情報はこちら】アレクセイ・ポポフは2010年にワガノワバレエアカデミーを卒業。マリインスキー・バレエを経て、2016年のシーズンからファースト・ソリストとしてバイエルン国立バレエの団員となり、世界をまたにかけ活躍している。芸術監督のアンドリアン・ファジェーエフは、今回のアレクセイ・ポポフ起用について、「彼はロシアのバレエ学校のお手本と言えます。彼はワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業し、マリインスキー・バレエに入団しました。マリインスキー・バレエで6年間ソリストを務めたのち、今はドイツ・ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場にてプリンシパルとして活躍しています。彼はクラシック・バレエの主要キャラクターを演じる事において感嘆するような才能を見せます。私は今回の彼の特別出演は、日本への来日ツアーをより素晴らしいものにしてくれると確信しています」とコメントを寄せている。来日公演は12月22日(金) 神奈川・藤沢市民会館大ホールから1月14日(日)大阪・グランキューブ大阪メインホールまで。チケットは発売中。
2017年11月16日12月21日(木)から2018年1月10日(水)まで、渋谷ヒカリエなど渋谷の3か所で、現代演劇ポスターが展示される「現代演劇ポスター展 2017-演劇の記憶、時代の記憶、デザインの記憶、都市の記憶」が開催される。【チケット情報はこちら】主に演劇やイベントなどのポスター、チラシを劇場や飲食店、ギャラリーなどへ配布する業務を行っているポスターハリス・カンパニー。同展ではそのポスターハリス・カンパニーが所蔵する2万点にも上る現代演劇ポスターコレクションから厳選した約300点を展示する。1960年代後半に劇団の旗印として登場し時代を挑発したアングラ演劇のポスターから、小劇場ブーム、静かな演劇なども含め、時代の流れとともにポスターや劇団はどう変化したのか。同展で展示されるポスターは、有名な美術家やグラフィックデザイナーが手掛け現代美術として評価の高い作品も多く、当時の時代性や世相、演劇、デザインの歴史を感じる事ができる。なお、同展の開催にあわせ、本展覧会でしか聞く事が出来ないトークショーを実施。出演は麿赤兒、及川正通、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、長塚圭史など。詳細は公式サイトでご確認を。チケットは12月1日(金)より発売開始。■「現代演劇ポスター展2017-演劇の記憶、時代の記憶、デザインの記憶、都市の記憶」日程:2017年12月21日(木)~2018年1月10日(水)<※1月1日は休業日>時間:11:00~20:00(最終入場 19:30まで)会場:【1】ヒカリエホールホールB【2】渋谷キャスト スペース【3】アツコバルー arts drinks talk料金:【前売】一般1300円 / 大学生500円【セット割引券】ペア券(2枚セット)2500円 / トリプル券(3枚セット)3690円※セット割引券はチケットぴあのみ取扱い(サービス休止期間:2018年1月2日(火)23:00 ~ 1月5日(金)18:00(予定))※3会場フリーパス(初回入場時の会場でチケットの半券を回収)※前売にて一般チケットご購入の方には先着で初回入場時に特製缶バッジをプレゼント
2017年11月15日ローザンヌを拠点とするモーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)が、単独では4年ぶりとなる日本公演を控え、来日した。巨匠ベジャールがオペラの舞台を丸ごとバレエにした『魔笛』(Aプロ)と、かの傑作『ボレロ』ほか3作品によるBプロとを携えてのこのツアーは、振付家ベジャールの没後10年を記念する特別なもので、彼の命日にあたる11月22日と翌23日には、兄弟カンパニー、東京バレエ団との特別合同ガラが予定されている。〈ベジャール・セレブレーション〉と名付けられたこの公演で上演されるのが、ベジャール作品の傑作集、『ベジャール・セレブレーション』だ。昨年12月にローザンヌで初演し、ツアーで上演を重ねたこの作品の、東京バレエ団との特別ヴァージョンの全貌が、14日の公開リハーサルで明らかとなった。モーリス・ベジャール・バレエ団 チケット情報冒頭で踊られるのは、ベジャール1989年の作品『1789…そして私たち』からの抜粋、音楽はベートーヴェンの第一交響曲だ。BBLと東京バレエ団のダンサーたちが渾然一体となって、ベジャールの世界への扉を開け放ち、これに『ヘリオガバル』『わが夢の都ウィーン』『ライト』『ハムレット』『バクチIII』といった傑作からの抜粋が続く。東京バレエ団のパートとして新たに加えられた場面も実に様々。躍動感たっぷりの『アレポ』や『バロッコ・ベルカント』のパ・ド・シス、また、同団のプリンシパル、上野水香と柄本弾がバッハの合唱曲で踊る『我々のファウスト』の美しいパ・ド・ドゥなど、見どころの連続だ。冒頭に対応するように、最後に配されたのが、やはりベートーヴェン。これも『1789…そして私たち』からの抜粋、第九交響曲の第三楽章だ。リハーサル終了後に囲み取材に応じたBBL芸術監督のジル・ロマンは、これについて、「プログラム全体が大きなアンサンブルとなるようなものを作りたかった」と話した。「ベジャールは振付家という枠組みを大きく超えた人物。深い教養があり、日本が大好きで、オペラや演劇、映画なども手がけた。観ればきっと何かを受けとっていただくことができるはず。ぜひ、劇場に観にきてください」とも。「ベジャールは師であると同時に、彼の作品を上演する時、常に一緒にいて、私を守ってくれる存在。だから命日の22日も、彼はもちろん来てくれるでしょう!」モーリス・ベジャール・バレエ団日本公演は11月17日(金)から26日(日)まで、特別合同ガラ〈ベジャール・セレブレーション〉は11月22日(水)・23日(木・祝)、ともに東京文化会館 大ホールにて。チケットは発売中。取材・文加藤智子
2017年11月15日鹿賀丈史と市村正親。劇団四季時代以来の盟友がコンビを組んで10年を迎える『ラ・カージュ・オ・フォール』が、2018年3月から上演される。この作品で、夫婦として暮らしている男同士のカップルを演じてきたふたりに、 「コンビ結成10周年アニバーサリー会見」のあと話を聞いた。このふたりだからこそ表現できる夫婦愛とは。そして、これほど長く愛される作品の魅力とは。ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』チケット情報『ラ・カージュ・オ・フォール』という作品の歴史は古い。ストレートプレイとしてフランスで1973年に生まれ、その10年後にミュージカル版が誕生。日本でもいくつかのバージョンが上演されたのち、1993年から市村が“妻”のザザことアルバン役で登場している。その市村が、2008年の上演の際、“夫”のジョルジュ役にと望んだのが鹿賀丈史だった。「劇団四季で出会ってから来年で45年。20代前半の頃からお互いのいろんなことを知っていますからね。たとえばふたりで見つめ合うという芝居にも、そこに流れるものはやっぱり違う。それをまた、僕たちを45年見てくださっているお客様が見ることで、何とも言えない感慨も湧き上がってきますから。僕たちが夫婦をやるというのは、やっぱり特別な意味があると思うんです」(市村)。市村の言葉を受けて鹿賀も言う。「芝居をしていても、微妙な間とかにやっぱりふたりならではの呼吸が生まれる。そのときの調子なんかも肌で伝わってきますしね。芝居していて本当に楽しいんです。そういう空気が劇場全体に広がっていくんじゃないかと思いますね」(鹿賀)。コンビとしては、2008年、2012年、2015年に続いて今度の上演で4度目になる。鹿賀が参加して以来、少しずつバージョンアップもしてきた。「少しでも面白くなればと、それまですべて男言葉だったセリフにちょっと女性的なニュアンスを入れさせてもらったんですけど、公演のたびにそういうところが増えていって。今回もまた改めて見直したいなと思っているんです」(鹿賀)。ジョルジュがゲイらしくなることで、息子のためにゲイであることを隠そうとする場面に、より大きな笑いと感動も生まれてきた。「だから、演じ方によってまだまだ面白くなると思っています。コメディーの部分だけでなく、ドラマももっとしっかり探っていきたい。人がなんと言おうとありのままの自分たちの姿を見せて生きるんだというこの夫婦の物語は、誰にとっても心強いものであるはずですから」(市村)。ゴールデンコンビはさらなる高みを目指す。『ラ・カージュ・オ・フォール』は2018年3月9日(金)から東京・日生劇場にて。チケット発売中。取材・文:大内弓子
2017年11月15日浦井健治と城田優がW主演するミュージカル『ブロードウェイと銃弾』の製作発表会見が11月10日に行われた。ウディ・アレンによる同名映画を原作に、ウディ自身がブロードウェイでミュージカル化した作品の、日本初上演。演出は映画『銀魂』やドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズで知られる福田雄一が手がける。ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』チケット情報映画版はアカデミー賞7部門にノミネートされた、傑作との呼び声の高い作品。1920年代のNYを舞台に、自分の作品がやっとブロードウェイで上演されることになった売れない劇作家が、出資者であるギャングの親玉や、監視役のその部下、ギャングの愛人である大根女優、クセのある俳優たちに振り回されながらも舞台を作り上げていく様を描くコメディだ。「日生劇場(という大きな劇場)でやるということで身の引き締まる思いなのですが、真ん中のふたりがふざける気満々のようで、ちゃんと言うこときいてくれるか……」という福田のボヤきから始まったこの日の会見は、終始爆笑に包まれたものとなった。劇作家のデビッド役である浦井は「僕は福田さんの作品が大好き。福田作品の、みんなで楽しみながら楽しいものを作っていく現場も大好きです。城田優とコメディを一緒に作るのも初めてなので、そこも楽しみたい」と意気込みを真面目に語るも、会見終盤には城田に煽られ、なぜか美輪明宏氏のモノマネを披露する展開に。会場の爆笑を誘っていたが、「僕、この個性豊かな面々のなかで今も右往左往していますが、それがそのままデビッドというキャラクターになっていくんじゃないかな」。城田はギャングのボスから現場に監視役として送り込まれてきた部下、チーチ役。「みなさんに笑顔や勇気や元気を届けらるような、ハッピーなものを作りたい。チーチはクールで怖い感じなのですが、芝居作りにものすごくのめり込んでいく。そのギャップが面白いです。僕も演出家に(意見を)言ったりする面倒臭いタイプなのでそのあたりはチーチと似ているかな」と、自分と役柄の接点を語った。浦井と城田は6年ぶりの共演だが「友だちでもあり親友でもあり同志でもあり戦友でもある」(浦井)とのことで、掛け合いのようなやり取りが続いたが、コメディセンスについては「優の方がある」(浦井)、「狙って笑わせるのは僕だよね。でも天然で面白いのは健ちゃん」(城田)。ふたりがどんなコンビを生み出していくのかにも注目だ。ほかに平野綾、保坂知寿、愛加あゆ、ブラザートム、鈴木壮麻、前田美波里といった顔ぶれが脇を固める。“キンキン声で才能がないにも関らず芝居の主演を狙う”という役柄の平野が甲高いアニメ声で挨拶をしたり、“プライドの高い主演女優”役の前田が「浦井さんとキスシーンがあります!」と高らかに宣言したりと、それぞれの個性が噴出した楽しい会見に、本番の舞台への期待度が高まった。公演は2月7日(水)から28日(水)まで、東京・日生劇場にて。チケットは11月25日(土)に一般発売開始。その後大阪・梅田芸術劇場 メインホール、福岡・博多座でも上演される。
2017年11月14日ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』の初日開幕に向けて、11月12日、大阪・梅田芸術劇場メインホールでプレスコールと囲み取材が行われた。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」チケット情報本作は、フランス革命直後のパリを舞台に繰り広げられるスリリングかつコミカルな痛快冒険活劇。2016年、ブロードウェイ版をもとに、ガブリエル・バリーによる潤色・演出で新バージョンが上演され、大好評を得た。今回、新進気鋭の演出家・石丸さち子演出のもと、1年ぶりに再演される。ロベスピエールを指導者とする新政府により、恐怖政治が続くパリ。イギリス貴族のパーシー・ブレイクニー(石丸幹二)率いる「ピンパーネル団」が、秘密裏に無実の人々を救出する。しかし妻・マルグリット(安蘭けい)にもその真実を知らさず、夫婦の間には深い溝が生じていた。そんな中、ピンパーネル団の素性を暴こうと執念を燃やすフランス政府特命全権大使・ショーヴラン(石井一孝)が元恋人のマルグリットに接近する…。プレスコールでは、ショーヴランがマルグリットへの思いを歌う『あの日の君はどこへ』、ピンパーネル団の勇ましい姿が印象的な『炎の中へ』、宝塚歌劇版の代表曲『ひとかけらの勇気』を書き換えた『悲惨な世界のためにリプライズ』など、本作を代表する楽曲が披露された。囲み取材では、初演から続投する石丸、安蘭、石井と、今回初出演の上原理生、泉見洋平、松下洸平が参加。石丸は「新たな気持ちで作品に向き合った結果、どんどん変わっていきました」と語り、安蘭は「今回、ショーヴランとの関係をより深めるように作りました。またピンパーネル団のメンバーが前回と全然違うので、初演でご覧いただいた方も新鮮に楽しんでいただけると思います」とコメント。初参加の上原は、ロベスピエールとパーシーの友人プリンス・オブ・ウェールズの二役で、石井から「僕の上司がものすごく怖い!(笑)」と言われる一方、「プリンス・オブ・ウェールズはとてもお気楽な人物で、楽しんでやっています」と、その演じ分けにも注目だ。本作の大きな魅力であるフランク・ワイルドホーンの楽曲については、マルグリットの弟・アルマン役の松下が「誰の耳にも心地いいメロディーで、何度も聴きたくなる曲ばかり」と語り、イギリス貴族・デュハ-スト役の泉見も「ピンパーネル団が歌う勇ましい曲やショーヴランの怪しい曲など、タイプは全然違うのに、どれも言葉がつきささるように届きます」と語った。大阪公演は11月13日(月)から15日(水)まで梅田芸術劇場メインホールにて、東京公演は11月20日(月)から12月5日(火)までTBS赤坂ACTシアターにて上演。チケット発売中。
2017年11月13日昨年、ニューヨーク、東京、福岡で上演され、好評を博したトシ・カプチーノの自伝ソロ・ミュージカル『“Super” Late Bloomer ~大器“超”晩成~』の再演が決定。本作に懸ける想いをカプチーノに聞いた。【チケット情報はこちら】ニューヨークで舞台芸術評論家として活躍する彼がパフォーマーとして初めてソロ・ショーを行ったのは2005年のこと。「ブロードウェイで切磋琢磨するアーティストたちの姿に影響され、自分もショーを作ってみたい、ステージで歌ってみたいと思うようになった」のがきっかけだった。歌とトークでつづるショーの長さは大体90分ほど。現在はニューヨークの老舗ピアノバー、ザ・デュープレックスで定期的に公演を行うほか、日本各地を巡業している。今回再演される『“Super” Late Bloomer ~大器“超”晩成~』は、自身の波乱に満ちた半生を描いたソロ・ミュージカル。「悩みや問題を抱えている人にとって、いい方向に向かうための起爆剤になれば」と作品に込めた想いを語る。「僕は、高校時代に『スター誕生』という番組に出て夢だった歌手になったけれど、ゲイだということを表に出せず苦しかった。そのせいで歌を封印してしまったほど。でも紆余曲折を経て、今は自分に正直に生きることの素晴らしさを人一倍感じています。そのことを本作を通じて多くの人に伝えたいと思った。セクシャリティを超えてね」。使用される楽曲には、ミュージカルやシャンソン、歌謡曲などさまざまなジャンルからの名曲に加え、自ら作詞を手掛けたオリジナルソングも。中でも最愛の母への想いをつづった『ピンクのポーチ』と、みなぎるパフォーマー魂を英語とラップで表現したタイトルソングが出色だ。「脚本と音楽はミュージカルのかなめだから、本番に向けてできる限りブラッシュアップしていくつもり。あと大事なのは熱量かな。お客様を緊張させないように程よく力を抜きつつ、熱く、楽しいステージをお届けしたいですね」自称「大器“超”晩成」型のカプチーノは、地元ニューヨークでは“キャバレー・スター”としての認知度が右肩上がり。その勢いのまま、自身最大規模の会場東京・TOKYO FM ホールでのパフォーマンスに挑む。「僕のショーを観たことがない人にとっては、“トシ・カプチーノなんぼのもんじゃい”って感じでしょうね。でも、だまされたと思って観に来てほしい。“えっ、思った以上にやるじゃん!”とビックリするはずだから(笑)」。公演は2018年1月19日(金)から21日(日)まで。チケット発売中。取材・文=兵藤あおみ
2017年11月10日全世界で熱狂的人気を誇るミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」。過去何度となく上演されてきた本作が、11月7日に東京・Zeppブルーシアター六本木にて幕を開けた。ミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」本作は、婚約しているブラッド(小池徹平)とジャネット(ソニン)が乗っていた車が故障し、助けを求めるためにとある古城を尋ねるところからはじまる。執事リフラフ(ISSA)と使用人のマジェンタ(上木彩矢)、コロンビア(アヴちゃん)らが醸し出す異様な雰囲気に加え、城の主というフランク “N”・フルター(古田新太)は艶めかしい格好をして登場し、彼らを戸惑わせる。そんなフランクは、怯えるふたりにロッキー(吉田メタル)という人造人間誕生の瞬間に立ち会えと要求し……。開演前の囲み取材の登場した主演の古田新太は、意気込みについて問われると「キケンがいっぱい」と、その仕上がりのキレ味の良さについて端的に表現。本作に参加することを楽しみにしていたという小池は「ものすごく尺は短い作品ですが、ものすごく濃厚な内容に仕上がっていると思うので、皆さんに汗だくで騒いでいただけたらなと思う」と笑顔を浮かべた。小池と同じく“ロッキー・ホラー・ショー初参戦”というソニンは「お客さんと一体型のミュージカルだと思っているので、ライブでどういう風に変化するのかを楽しみたい」と意気込みを語り、演出を務める河原雅彦も「ミュージカルというよりもこれは出し物だと思ってやっているけれども、この出し物はお客さんに入ってもらって、お客さんの熱量が加わって初めて完成みたいな感じ」と評し、「やっと人に観せられるという喜びでいっぱいです」と喜びを露わにした。本公演は11月12日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、11月16日(木)から12月3日(日)まで東京・サンシャイン劇場で上演。その後、北九州・仙台・松本・大阪と各地を巡演予定。六本木公演については、当日引換券を各日前日23:59まで販売中。
2017年11月09日芸暦四十周年を迎えた桂雀々。上方落語の雄が明治座に初登場し、記念の公演を開く。昼の部は「地獄八景亡者戯二〇一八」を披露し、夜の部は「雀々と落語天国愉快戯」と銘打って、東京の落語家仲間も登場。6年前から東京に拠点を移し、関東でも着実にファンを増やしているその実力と上方ならではの楽しさが味わえる、絶好の機会となりそうだ。桂雀々 芸暦四十周年記念公演 チケット情報天才と呼ばれた故・桂枝雀に入門して今年で40年。師匠の芸をしっかりと受け継ぎながら、桂雀々は独自のパワーのある笑いを作り上げてきた。「大阪以上に大都会で、いろんなところから才能が集まっている東京で勝負してみたい」と、拠点を東京に移したのが51歳のとき。「粋な言葉遣いでいなせでカッコいい江戸落語のなかに、とにかく笑ってもらうことが大事な上方落語がポンと入り、衝撃があったみたいです。言ってみれば僕だけ飛び出す絵本のような(笑)。でも、それを楽しんでくださる方がだんだんと増えてきた。本当にありがたいことです」。伝わりづらい上方独自の言葉を変える工夫もしながら、でも、肝心の笑いは徹底的に。「上方落語には、大阪で言うところの、“あほな”登場人物がいっぱい出てくるんです。そして、まさかこんな人おらへんやろと思うような人が昔もいたんやな、人間って変わらへんなというところを面白がっていただく。そのキャラクターをどう味付けするか、どう可愛げのある人物にしていくかが、上方落語の要じゃないかなと思いますね」。四十周年記念公演に選んだ「地獄八景亡者戯」は、その上方落語の魅力がまさしく堪能できる演目だろう。サバにあたって突然死んでしまった男が冥土の旅の途中でさまざまな亡者に出会い、鬼や閻魔大王など地獄の番人たちも登場する。大師匠である故・桂米朝が作り上げた1時間を超す大ネタだ。明治座では、さらに、「明治座の舞台機構も存分に使って、あの世を体感してもらいたい」というのだから、楽しさ倍増だ。夜の部は「好きな噺家さんに集まっていただいて、憧れていた口上をやらせていただきます。ただし、ずっと頭を下げて皆が話すのを聞いている普通の口上とは違って、僕もどんどん喋り倒しますから(笑)」と、こちらも期待せずにはいられない。自らを「笑いの添乗員」という雀々。気持ちよくその世界に引っ張っていける自信があるからこその言葉だろう。観る者はただ身を委ねていればいいだけだ。公演は2018年2月18日(日)。チケットの一般発売は11月12日(日)午前10時より。なお、チケットぴあではインターネット先行を実施中、11月11日(土)午後11時30分まで受付。取材・文:大内弓子
2017年11月09日大阪生まれで同志社大学文学部に在学中、9月に20歳になったばかりの観世流能楽師・大槻裕一。文字を書くより先に謡(うたい)を謡っていて、初舞台は2歳。中学3年生の時にシテ方観世流能楽師で人間国宝の大槻文蔵の芸養子となり、グングン成長して、今や若手の注目株だ。師父・文蔵と「大槻文蔵裕一の会」を主催し、2014年には移動式能舞台を大阪城の本丸に設置、天守閣をバックに薪能も企画した。15年に続き、今年も10月7日(土)~9日(月・祝)に二十六世観世宗家の当代・観世清和や狂言師・野村萬斎らを迎えて開催。能の未来を切り拓き、広く一般に親しんでもらえるよう果敢に挑戦する若き能楽師が、大槻能楽堂でまた新たなイベントをスタートさせる。それが『能×アート奇跡のセッションシリーズVOL.1BORDERLESS』。第1回目のゲストには、元宝塚歌劇団宙組初代トップスター・姿月あさとを迎える。ふたりの思いを聞いた。「BORDERLESS」チケット情報「2歳からずっと能だけをやってきて、ほかの分野の方や自分とは違う一芸を極めている方とセッションしてみたいと思っていたんです。能楽堂のステキな空間を生かしながら、芸の世界で生きる辛いことや楽しいことのお話ができればと。お客様にも知っていただき、またこの企画によって、自分が新たに能を再確認することの意味も大きいと思っています」と裕一。彼は、母親がファンだった姿月の宝塚現役時代のDVD『ミーアンドマイガール』を見て「その時のかっこ良かった姿月さんの姿が忘れられなくて。ダメもとでオファーしました。1回目から大きな挑戦です」。その姿月は今年、宝塚で初舞台を踏んでから30周年。様々なコンサートやイベントを自らプロデュースし、開催している。「その一環としても、こういう形のイベントが出来るのはうれしいですね。これまで、お三味線の方とのコラボはありますけれど、お能や狂言、歌舞伎の方たちといった古典芸能の方とは初めて。退団してから17年。誰と出会うか、どんな仕事と出会うかは運だと思うので、すごく楽しみです」。今回、姿月はソロで歌も歌い、裕一は能のダイジェスト版ともいえる舞囃子を舞う予定。さらにふたりのセッションやトークショーも企画されている。「日本人として、知らないことがいっぱいある」という姿月は、お能はまったくの初心者だ。「自分も含めて、これまでお能を知らなかった方に知っていただくきっかけになれば」。裕一は「“極める”という思いを持って進んでいる人は、全然違う分野でも一緒、きっと繋がる部分があると思います。今後も続けていきたいですね」。能楽堂から発信する、若き能楽師の挑戦を応援したい。公演は、11月26日(日)大阪・大槻能楽堂にて開催。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2017年11月08日ロシア国家劇場賞受賞、サンクトペテルブルグ都立最高劇場賞に輝いた注目のバレエ団、ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエが12月、4年ぶりに再来日を果たす。劇場の芸術監督を務めるのは、マリインスキーのプリンシパルダンサーとして人気を博したアンドリアン・ファジェーエフだ。ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエ チケット情報かつて、マリインスキー・バレエのプリンシパルとして活躍し、その麗しいスタイルとテクニックで世界を魅了したアンドリアン・ファジェーエフ。華やかな表舞台から惜しまれつつの引退をした彼が、今や歴史あるバレエ劇場のトップとして一団を率いての来日を果たす。若き芸術監督に、公演の見どころをインタビューした。上演するのは2演目。「『白鳥の湖』は世界の芸術において、最も完璧で有名な作品のひとつだと思います。昔からその音楽と振付は世界クラスの傑作とみなされ、ロシアの文化歴史上の優れた成功のひとつであると言えるでしょう。『くるみ割り人形』も同じく、ダンスの世界ではシンボル的な作品です」とファジェーエフ見どころについて「バレエの“言語”は世界共通です。伝統的な2作品に加えたわたしたちの現代的解釈は、価値観の異なるさまざまな人々に、広く受け入れていただき、評価いただきました。観客の皆さまには、有名なデザイナーが手掛けた豪華な衣装・舞台セットや努力を惜しまないダンサーの動きに感心するだけでなく、舞台上のダンサーたちの生命力、そして想像力に満ちた若い力に対し、プティパが生きた時代と同じくらい強烈に共鳴して頂きたいと思います」とアピール。バレエ団のメンバーに求めるのは向上心。「ダンサー一人ひとりが、日常のリハーサル時間以外において常に向上心を持っていること。また一方で、体の曲線美を維持し、ジョギングやジムで磨き上げる努力を惜しまず、また劇場へ観客として通ったりすることで人として成長をすること。鋭い知性と文化に対する興味は一人前のバレエダンサーにとても必要な要素なのです。これらの信条が、我々劇場の基盤を為しています」と言葉に熱を込める。「日本の人々の持つ、シンプルなものの中にある美しさを見抜く感性、そしてその感性をエレガントに表現する能力に畏怖の念を抱いています。世界は、この美しさに対する自然な受容力を持つ日本の観客のみなさまを求めているのだと感じています。だからこそ、私はいつも日本のみなさまにお会いすることをとても楽しみにしています」と日本の観客へメッセージを送った。本場ロシアの芸術をぜひ劇場で楽しみたい。≪公演日程≫12月24日(日)・1月8日(月・祝)昭和女子大学人見記念講堂 (東京都)12月27日(水)・12月28日(木)オーチャードホール (東京都)12月30日(土)大宮ソニックシティ大ホール (埼玉県)ほか全国にて公演
2017年11月07日落語家・立川談春が2015年より毎年開催している年末恒例の独演会が12月28日(木)、大阪・フェスティバルホールで行われる。今年の演目は『芝浜』と『文七元結』の2本。2017年を締め括る本公演に向けて、意気込みを語った。「立川談春 独演会」チケット情報『芝浜』は2015年から毎年披露している演目。酒好きで失敗を繰り返す行商人の勝と、ただひたすら主人を支える女房の思いが垣間見える人情噺だ。「同じ『芝浜』でも、去年と今年では全然違う。自分でやっていても感じます。それは、自分の置かれた状況が変わるから。例えば去年の『芝浜』は女将さんがとてもカラッとしていたし、強気だったし、勝を追い込むようなことを言っていた。でも一昨年は、勝が一生懸命女将さんをいたわっていた。やるたびに変わるのは、個人芸だからしょうがないんだと思います。人は更正できるとか、縁の中で生かされているというのはいつの時代も一緒なんだなということが描かれている。揺らぎは見せつつも、その軸は変わりませんね」15歳の頃、立川談志の『芝浜』を聞いて落語家を目指し、談志に弟子入りした談春。終わった後、立てないくらいに衝撃を受けたと語る。「本で読んだときは、何がいいのかさっぱり分からなかった。その中途半端な知識で談志の『芝浜』と対面したときに、ぶっ飛びましたね。落語でこんなに感情移入をしたり、感情表現できるのかと。それに、周りの大人たちもうつむいていました。ひとりひとりがこの噺を聞いて自分と向き合ってるんだなって、子ども心に感じました。そして僕も談志のように聞き終わった後の感想を持ってもらえる芸人になりたいと思って、弟子になろうと思ったんです」。一方『文七元結』で登場するのは、無類の博打好きで仕事もろくにしない左官の長兵衛。負けて丸裸になった挙句、長屋に帰ると女房が愛娘・お久が戻ってこないと泣きじゃくる…。『芝浜』と同様、年の瀬の江戸を舞台に繰り広げられる人情噺の大ネタだ。「落語好きの人にとっては、ステーキ食べ放題に行った後、すき焼き食べ放題に連れて行かれるようなものです。きっと胃もたれするでしょうし、もたれさせたいんです。ただそれはフェスティバルホールという素晴らしい会場だからこそ挑戦できるんです。それに、落語を知っている人には胃もたれする2本かもしれませんが、初めて落語を観る方たちにとってはそうでもないはず。“これが落語なんだ!”って思ってもらえる効果はあると思っています」。公演は12月28日(木)大阪・フェスティバルホールにて。チケットは11月11日(土)10:00より一般発売開始。11月9日(木)23:59まで先行先着プリセールを受付中。
2017年11月07日山本耕史が主演するミュージカル『メンフィス』の製作発表会見が11月2日、都内にて行われた。ブロードウェイで初演され、2010年トニー賞では4冠に輝き、日本では2015年に初演した名作の待望の再演。登壇は山本のほか、濱田めぐみ、ジェロ、米倉利紀、伊礼彼方。ミュージカル『メンフィス』チケット情報物語は、1950年代のアメリカ・メンフィスで、当時タブーとされていた黒人音楽であるブルースを、ラジオやTV番組で紹介した実在の白人ラジオDJデューイ・フィリップス(このミュージカルではヒューイ・カルフーン)の半生を描いたもの。人種の壁、人種差別といった当時のアメリカ社会をとりまく問題とともに、その壁を乗り越え愛し合う男女の姿を描いていく。ボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが手がけた音楽のパワフルさも特徴だ。前回に続き、ヒューイを山本耕史、彼が恋に落ちる黒人歌手フェリシアを濱田めぐみという鉄壁の布陣で贈る。「初演から2年半。でもその時から、また再会できる作品なんじゃないかなと思っていたので、叶って嬉しい」と山本。ふたりはこの初演が初共演だったが、濱田が「私のフェリシアは耕史さんのヒューイがあって出来上がった」と話すように、息の合ったコンビっぷりが評判だった。さらに濱田は、山本のことを「とにかく、天才なんです。お芝居の呼吸も、ご自身の芝居をちゃんとやっていながら相手の芝居もわかっている。感覚、直感、インスピレーション……その瞬間に受け取るものが具体的で的確。今まで色々な方とお芝居しましたが、感覚の凄さはもしかしたら一番かもしれない」と絶賛。それに対し山本が「僕、誕生日が10月31日なんです。“テンサイ”なんです(笑)」と応え場を和ませたところにも、よい関係性が見てとれる。また今回は、山本が主演のみならず、演出も手がけるのも話題。山本によると「基本的には(初演から)全然変わる。空間的にガラっと変えちゃうので、全然違います。前は抽象的でしたが、今回はリアルに寄せていきたい。シャープに描ければ」とのこと。演出家・山本耕史については共演者から厚い信頼を寄せられているようで、「耕史さんについていけば間違いないと思っている」(濱田)、「僕たちを信頼してくれて、僕たちを遊ばせてもくれるから楽しい」(伊礼)等々の言葉が語られた。伊礼が「ネタバレになっちゃうので具体的には言えないけれど、山本さんの頭の中にある構成は、日本初(の試み)なんじゃないか」と振ったところ、山本から「演出的には初めてのことかも。スタッフは大変だと思いますが。イメージとしては…“お客さんに劇場を移動してもらう”ような感じ。二度楽しい、じゃないですが」と気になる発言も飛び出した。新しく生まれ変わる『メンフィス』、ぜひ実際にその目で見届けて欲しい。公演は12月2日(土)から17日(日)まで、東京・新国立劇場 中劇場にて。チケットは発売中。
2017年11月06日ミュージカル『魔界王子 devils and realist』the Second spiritが11月4日に開幕した。それに先駆け公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には石渡真修、鮎川太陽、田村良太、櫻井圭登、碕 理人、山中健太、松本祐一、遠藤 誠、KENが登壇した。ミュージカル『魔界王子』チケット情報本作は、原作・高殿円、漫画・雪広うたこによる同名人気コミックを原作に、演出を元吉庸泰、脚本を伊勢直弘が手掛けるミュージカルシリーズ第2弾。昨年6月に上演された第1弾の続編となる今作では、主人公・ウイリアムを演じる石渡や、ウイリアムに仕える悪魔ダンタリオンを演じる鮎川ら続投メンバーに、田村、櫻井、山中ら新キャストも加わり、前作以上にミュージカル色の濃い作品となった。物語の舞台は19世紀の英国。選ばれた生徒のみが入学できるパブリックスクールに通う名門貴族・トワイニング家の跡継ウイリアム(石渡)は、ひょんなことから悪魔ダンタリオン(鮎川)を召喚してしまう。そこでウイリアムが古代イスラエルの王ソロモン血を引いた人間で、魔界の“代理王”を選ぶ権利を持つ“選定公”だと発覚。ダンタリオン以外にもシトリー(櫻井)やカミオ(米原幸佑/ゲネプロは欠席・代役は市川耕大)ら悪魔が集まり、代理王に選んでもらうために学園生活を共にしていた。しかし、リアリストで悪魔を信じないウイリアムが誰も選ばないことに業を煮やした魔界の公爵バアルベリト(遠藤)は、ジル・ド・レイ(碕)に“ソロモンの指輪”を探せと命令。同じ頃、天界も指輪を狙う――。初演でも楽曲のユニークさが印象的だった本作。今回は曲数も大幅に増え、ミュージカルの王道からアイドル風まで20曲以上がラインナップ、彩り豊かな原作の世界をより鮮やかに表現した。もちろん“リアリスト”ウイリアムによる、ミュージカルの根底を覆す“歌”への反応なども健在。本作らしい笑いを交えながら、濃厚な物語を軽やかに描いていく。また、今作では新たに空間全体を使うステージ構成を採用。さらに中央の360°円形ステージを客席が囲むつくりで、舞台上の出来事や熱気に巻き込まれていくような感覚が味わえる。そして前作同様の八百屋舞台や布を使った演出も。初演の記憶も大切にしつつ新たな挑戦が詰まった作品となっている。ゲネプロ後の囲み取材で、石渡は「僕たちも体験したことのない舞台です。きっとお客様も体験したことのない世界が広がっていると思うので、みんなで楽しみたいと思います!」、鮎川は「ザ・ミュージカルです。人間界と魔界と天界が三つ巴になっての激戦が繰り広げられています!お待ちしてます!」とコメント。公演は11月12 日(日)まで東京・新宿FACEにて上演中。取材・文:中川實穗
2017年11月06日米アカデミー賞7部門にノミネートされたウディ・アレンの名作映画を監督自ら脚本化、2014年にブロードウェイで初演されたミュージカル『ブロードウェイと銃弾』が、福田雄一演出で来春上演される。1920年代のNYを舞台に、マフィアとショウビズ界のアンタッチャブルな関係をコミカルに描いた物語だ。出資者であるマフィアの親玉ニック(ブラザートム)から「愛人のオリーブ(平野綾)を主役に!」との絶対条件付きで、ブロードウェイデビューの夢を掴んだ劇作家のデビッド(浦井健治)。早速稽古に入るが、主人公が大根役者な上、突然オリーブの監視役でマフィアのチーチ(城田優)が脚本にダメ出しを始めて…。混迷を極めていくデビッド役について、浦井健治はこう語る。ミュージカル「ブロードウェイと銃弾」チケット情報「演出の福田さんがある現場で言っていたのは、『真ん中にいる人はなるべく余計なことはしないで』と。主役のデビッドまでいろんなことを仕掛けると作品の軸がブレてしまうので、僕は周囲に揉みくちゃにされながらも耐える役です。でも、先日のビジュアル撮影では、役になりきる僕を見てスタッフさんたちが爆笑していました。『一番個性のない役のはずなのに…』って(笑)」。無個性な彼でさえこの反応とは、個性際立つ共演者らの爆笑度合いは推して知るべし。とりわけ、城田優が演じるチーチとの“迷コンビ”ぶりは、物語を躍動させる鍵となる。「デビッドはチーチのダメ出しによって気づくんですよね、『こいつ、俺より才能あるな』と(笑)。彼としては劣等感を抱きつつも互いに認めあうことで、それぞれの道が拓けていく。人生何が起こるか分からない。この作品はデビッドの成長の物語でもあるのかな」。チーチとの「友情にも似た関係」を演じる上で相手役には、城田優がぴったりだとも。共演した『ロミオ&ジュリエット』では目で対話ができるまでに信頼感を深め、キスシーンも盛り込まれた『エリザベート』ではデュエット曲『闇が広がる』で万雷の拍手を獲得した。「『芝居を止めてまで拍手が止むのを待ったのは、後にも先にもあの瞬間だけだ』と後に優が言ってくれました。板の上で様々な経験を共有してきた彼とだからこそ、描ける関係がある。ただ、今回は福田組なので、逆に優とふたりで『ここで、拍手ください!』とか言っちゃってるかもしれないですね(笑)」ドラマ『勇者ヨシヒコシリーズ』や『ニーチェ先生』、映画『銀魂』など、映像でも活躍する福田雄一が手掛ける舞台は、普段演劇を観ない人や男性にも「絶対に後悔させない」と太鼓判を押す。「福田さんは現代に通じる笑いを日々追求されていると思うので、初観劇にもお勧め。逆に会社や学校で、観たことを自慢できるような舞台になると思います。きっと華やかなセットになるだろうしダンスシーンも満載で、演劇界の裏側を覗き見するような趣向にゲラゲラ笑って、すっきり爽やかにエナジーチャージができる。素敵な作品になります!」2018年2月7日(水)から28日(水)までの東京・日生劇場公演を経て、大阪・梅田芸術劇場メインホール、福岡・博多座でも上演。取材・文:石橋法子
2017年11月06日宝塚歌劇団雪組新トップスター・望海風斗(のぞみ・ふうと)の、宝塚大劇場お披露目公演初日が近づいている。2003年に初舞台後、色濃い役まで自在にこなし、特に表現力豊かな歌唱力で魅了してきた望海が、世界的な作曲家、フランク・ワイルドホーンの全曲書き下ろしミュージカル『ひかりふる路(みち) ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』に主演する。望海自身、大きなギフトをもらったような感慨があるといい、「ワイルドホーンさんの『一緒にやろう』というお気持ち、温かさに感謝しています」と顔をほころばせる。【チケット情報はこちら】本作は無名の弁護士からフランス革命の中心人物の一人となり、恐怖政治を進めたロベスピエールの生涯を描いた物語。仲間との絆、運命的なロマンスなどを通し人類の歩むべき路を問いかける意欲作だ。「彼は弁護士でもあったので、理想のために闘う、というところがすごい人。上を目指して進むという部分は自分と似ていると思います」。制作発表会の前にワイルドホーン氏から「感じたまま作りこまず、音楽に身を委ねて歌ってほしい」とアドバイスを受けた。「(ワイルドホーン氏のピアノ)生演奏で歌うと、どんどん心が解放され導かれるように歌えました。役についても『ひとりの熱い男が出会ってはいけない人と出会うのが、この作品のドラマティックでセクシーなところ。史実上の人物を演じる気持ちはなくてもいいんじゃないか』と仰ってくださり、とても気持ちが楽になりました」と打ち明ける。「この時代、民衆や議員も現代の想像以上のエネルギーをもって生きているからこそ、楽曲の強さが合うと思います。みんなでクリアしていこうという姿勢が、大きなエネルギーになっています」と、作品力が新生雪組の勢いにつながっている。同時上演のレヴュー『SUPER VOYAGER! ―希望の海へ―』は、“望海風斗”の名前にまつわる場面を綴った作品。「ラテン調の中詰だけでも『ショーを観た』という満足感を覚える熱量があります。私自身大好きな、哀愁漂う男役の格好いいシーンもあり嬉しいですね」と笑顔。ただ「たくさん歌わせていただける喜びと共に、これまでの歌の量との違いに追いつけなくて。今までは1曲にとても時間をかけて作ることが出来たんですけど…」と、真面目な彼女らしい悩みも。トップとして「自然体でいさせてくれる」という雪組。「だからこそ芯として強く立てるように、自分自身強くなりたい。いい意味で気負わずにいたいです」。キャリアを重ねた望海ならではの舞台がいよいよ幕を開ける。公演は兵庫・宝塚大劇場にて11月10日(金)から12月15日(金)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は2018年1月2日(火)から2月11日(日・祝)まで。11月26日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年11月02日演劇、ミュージカル、伝統芸能など、舞台に関する最新情報やインタビューをお届けするフリーマガジン「ステージぴあ関西版」。11月1日発行の最新号で表紙を飾るのは、舞台『黒蜥蜴』で主演を務める中谷美紀。インタビューでは、『黒蜥蜴』の魅力や公演にかける思いを聞いた。「ステージぴあ関西版」発刊情報はこちらほかにも、年末恒例の極上落語会『夢の三競演2017~三枚看板・大看板・金看板~』に挑む桂文珍、桂南光、笑福亭鶴瓶に落語への思いを聞いたり、宝塚歌劇花組トップスター・明日海りおの『ポーの一族』にかける意気込みを聞くなど、今号もミュージカルから伝統芸能まで多彩なインタビューを掲載。さらに、板谷由夏が初舞台で初主演を務める舞台『PHOTOGRAPH 51(フォトグラフ51)』や、映画『銀魂』や『斉木楠雄のΨ難』などを手がける鬼才・福田雄一が演出し、浦井健治、城田優が主演するミュージカル『ブロードウェイと銃弾』など、注目公演の読者先行予約も実施!この機会にぜひチケット入手を。「ステージぴあ関西版」11+12月号はチケットぴあカウンター、劇場などで配布中。WEB上でも全ページ無料でご覧いただけます。
2017年11月02日1964年にブロードウェイで初演されトニー賞9部門を受賞、日本でも1967年に開幕し再演を繰り返す名作ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。このたび、2004年からテヴィエ役を務める市村正親の主演で「日本初演50周年記念公演」が行われる。テヴィエの妻で5人娘の肝っ玉母さん・ゴールデを演じる鳳蘭と、長女ツァイテル役の宝塚歌劇団元宙組トップ娘役・実咲凜音に話を聞いた。ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」チケット情報帝政ロシアの時代、寒村のアナテフカで暮らすユダヤ人一家を通し、深い信仰、人種の違い、普遍的な家族の絆などを描いた本作。2009年よりゴールデ役を務める鳳は、「3年ぶりに台本を読み、新幹線の中で恥ずかしいぐらい嗚咽しました。あらためて最後の場面と、その先の一家について思いが巡り……。日本人のお客様にもユダヤ人の悲劇など、作品の深さをもっと感じていただけるように演じたいです」と再演の抱負を語る。ツァイテルは、母が喜ぶ金持ちの肉屋・ラザールとの結婚話を断り、貧乏な仕立屋・モーテルと結婚する。映画で初めて作品に触れた実咲は、「クスッと笑える部分もあり感動もあり、長年愛されている理由が分かりました。ツァイテルのしっかりしている長女らしいところや、5人娘の中での個性を出せたら」と話す。ともに宝塚歌劇団、そして神戸出身のふたり。鳳は「私はジェームス山出身で、彼女は名谷出身。年代はあまりに違うけれど、すごく近所なの!」と笑う。これまで共演したツァイテル役も宝塚出身者だったが、「元男役(貴城けい、水夏希)だったのでボーイッシュなイメージのツァイテルでした。今回初めて元娘役なので“女の子”という感じですね」と目を細める鳳。一方実咲は、「鳳さんは宝塚出身の方皆さんの憧れ。このようにご一緒させていただける時間も幸せで、お母さんとのお芝居も多い。退団後初めての舞台がこの作品で本当に嬉しいです」と笑顔が絶えない。4月に退団したばかりの彼女に鳳は、「宝塚出身者は“無菌者”なので『だまされないように!』と言っています。私が守ってあげる(笑)」と頼もしい言葉をかける。娘がふたりいて、先頃4人目の孫が生まれたという鳳。「やはり子どもが転ぶと身を切るように痛い、私が代わってあげたいと思う。親になり孫ももち、『両親も同じ気持ちだったんだ』と分かります。この作品は笑いと涙の感動的な世界三大ミュージカルのひとつ。ぜひともご覧ください」。鳳がテーマとなる大きな家族愛をのぞかせアピールした。公演は、12月5日(火)から29日(金)まで東京・日生劇場、2018年1月3日(水)から8日(月・祝)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、1月13日(土)から14日(日)まで静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)、1月19日(金)から21日(日)まで愛知・愛知県芸術劇場大ホール、1月24日(水)から28日(日)まで福岡・博多座、2月10日(土)から12日(月・祝)まで埼玉・ウェスタ川越大ホールにて上演。チケットは順次発売。取材・文:小野寺亜紀
2017年11月02日フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットの生涯を題材にした能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』が12月12日(火)に上演される。それに先駆け記者発表会が行われ、演出と出演の人間国宝の観世流シテ方能楽師・梅若玄祥、振付・長唄作調の藤間勘十郎、脚本の植田紳爾、女優の未沙のえる、プロデューサーの西尾智子が登壇した。能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』チケット情報宝塚歌劇団の名作『ベルサイユのばら』を手掛けた植田が脚本を担当し、霊的な存在が主人公となる「夢幻能」として描かれ、アントワネットの後半生を描く本作。玄祥と植田は、漫画『ガラスの仮面』(原作・美内すずえ)を題材にした新作能『紅天女』(2006年初演)以来のタッグとなる。植田は「宝塚歌劇団で『ベルサイユのばら』を再演する度に原作漫画を読み直し、アントワネットの資料を読み直してくる中で、こんなに悲劇的な女性はいないという思いが深くなってきました。僕が一番謎に思っているのは、目隠しもせずに堂々とひとりで断頭台に上がっていったときの思い。恐怖や恨みがある中で、目隠しも断り、首を落とされた。そのときの彼女の心境について今回、脚本を書くうえで感じたのは、アントワネットというひとりの女性が、最期の日に未来が見られたのではないかということ。だからこそああして上がっていったんだと考えました。今回の脚本はそういったことをテーマにしています」と内容を明かす。玄祥は「僕も宝塚が好きなものですから、『ベルサイユのばら』は何十回と拝見していて、その中で、いつかこのマリー・アントワネットという女性を演じてみたいと思っておりました。植田先生には、見事に夢幻能として、死後の世界でマリー・アントワネットが語る、舞うというカタチを取っていただきました。私共にとっては演じやすいカタチになりましたが、題材が題材です。人気がある作品を能としてやるというのは難しいことかもしれないですが、挑戦してみます」と語った。未沙は「宝塚時代に『ベルサイユのばら』初演にも出演しておりました。伝統芸能である能に携わらせていただくだけで本当に光栄。今はドキドキワクワクしています!」、玄祥の息子でもある勘十郎も「なにせ植田先生がいらっしゃいますし、父はどんなものでもすぐお能にしてしまいますので(笑)、見事なマリー・アントワネットをつくると思います。すごい先輩方がおられますから、存分に自分の力を発揮したいと思います」と期待を語る。西尾も「話を知っていると、とっつきやすい」と話すなど、能を知らない層の初めての作品にもオススメだ。公演は、12月12日(火)に東京・国立能楽堂にて。同日15時開演の追加公演のチケットが現在発売中。
2017年11月01日アメリカで初めて黒人音楽をラジオで紹介した伝説のDJ、デューイ・フィリップスの半生を描いて話題を呼んだミュージカル『メンフィス』が、早くも再演される。舞台は1950年代のメンフィス。人種差別が根強く残り、音楽にさえ人種の壁があった時代に、その壁を越えようとした白人の男と黒人の女。あの感動の物語が、ボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが手がけたソウルフルな音楽とともに再び立ち上がるのである。この再演では、主演を務める山本耕史が演出に加わることも決定。山本とともに物語を推進していく濱田めぐみが、再演への思いを語った。ミュージカル『メンフィス』チケット情報濱田が演じるのは、兄が経営するクラブで歌う黒人女性フェリシア。クラブを訪れた音楽好きの白人ヒューイ(山本)と恋に落ち、やがてDJとなった彼の応援を得ながら本格的に歌い手を目指していくという役だ。黒人と白人の恋に非難の目を向けながらもひるまず夢を追う女性を演じた舞台上の濱田は、実にパワフルだった。「フェリシアは、黒人が差別されることが当たり前だった時代に、それは当たり前じゃないと思っていたちょっと先進的な人。自分にも人としての権利があるはずだと思っている。だから、テーマ的には重く深いものを扱っているんですけど、演じていてあまり重々しくならず、毎日、『よし、明日も頑張ろう』と思えていました」。おそらくその力強さが観客に届いたのだろう。舞台は連日のスタンディングオベーション。「お客様がもう一度観たいと思ってくださってることがひしひしと伝わってきました。ヒューイとフェリシアの関係とか、楽曲の力とか、すべてが充実した作品だったと思います」。再演に向けては、「初演のときから、(山本)耕史さんは演出の目を持っていろいろアイデアを出してくださってましたから。耕史さんのセンスで一緒に突き進んでいけることがいちばんだと思います」と、演出に加わる山本に全幅の信頼を寄せる。その中で、「前のフェリシアをなぞることなく、その瞬間に生まれてきたことを大事にしたい」と言う濱田。「というか、自然と前のことを忘れちゃってるんですけどね(笑)。おかげで毎回真っ白な状態で入れる。我ながら役者向きの体質だなと思います」。歌についても、「そのとき生まれた感情で歌うので、毎回同じようには歌えない」のだという。だからこそ、濱田の歌声は多くの心を捉えるのだ。「そのときの真実はその瞬間にしかない」と濱田。舞台の本質を突くその言葉が、また新たな『メンフィス』を見せてくれることを予感させる。公演は12月2日(土)から17日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。チケットは現在発売中。また10月21日(土)~26日(木)の期間限定で、購入者から抽選で『メンフィス』制作発表が当たる【ミュージカル『メンフィス』 | S席/制作発表抽選付チケット】も発売中。取材・文:大内弓子
2017年10月24日