第四十二回菊田一夫演劇賞授賞式が28日に東京・如水会館で行われ、菊田一夫演劇大賞を受賞した麻実れい、菊田一夫演劇賞の中川晃教・小池徹平・新橋耐子・藤田俊太郎、菊田一夫演劇賞特別賞の勝柴次朗が登壇した。大賞となった麻実は『8月の家族たちAugust:Osage County』『炎アンサンディ』の2作品で評価を受けた。「桜の咲く季節に宝塚で初舞台を踏み、47年目の春を迎えています」と気品を漂わせながら自身を振り返り、「この先どうなるかはわかりませんけども、いただいた勇気をもって、改めて歩き出したいと思います」と深く頭を下げた。『ジャージー・ボーイズ』フランキー・ヴァリ役が評価された中川は「最近、嬉しいことに、ミュージカルが本当に沢山の方々に求めていただく時代に入ってきたと感じている」と印象を語る。その実感ができているのは「僕達を牽引してきてくれた先輩たちがいたから」と感謝。「手取り足取り、時には姿勢で示してくださった一つ一つの瞬間が僕の中で学びになっている」と振り返った。さらに中川は、賞金の50万円を「語学学習に使いたい」と明かした。ブロードウェイへの意欲も見せ「ミュージカルシーンが日本の中でひとつもふたつも華やかになって世界に行けるように、今は頑張る時期だと思って、改めてやらねばという思いになりました」と新たな決意を示した。『1789-バスティーユの恋人たち-』『キンキーブーツ』で賞を受けた小池は、歌手、タレントと様々に活躍するが「自分が歩んでいた道が間違ってたわけじゃなかった」としみじみ。「今後のミュージカルの役者としても励みになる、力になる賞だと思って感謝しています」と喜びを表した。また、『ジャージー・ボーイズ』『手紙2017』の演出を評価された藤田は、師匠である故・蜷川幸雄さんに感謝。「『藤田、くれぐれも調子にのるなよ』と言われると思います」と笑いつつ、「蜷川さんの精神をきちんと引き継いでいこうと思います」と決意を改めた。
2017年04月28日ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」展 が、今春東京ドームシティにオープンしたGallery AaMo(ギャラリー アーモ)にて4月25日(火)から5月28日(日)まで開催中だ。「ハイキュー!!」展 チケット情報初日のオープニングセレモニーに、演出のウォーリー木下、主演の須賀健太をはじめ、共に主役校・烏野高校メンバーを演じる木村達成、小坂涼太郎、三浦海里、塩田康平、橋本祥平、川原一馬、秋沢健太朗、猪野広樹、冨森ジャスティンが登壇した。集英社「週刊少年ジャンプ」で連載中の大人気バレーボール漫画「ハイキュー!!」を舞台化し、現在3作目を公演中のハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」。チケット入手困難と言われる人気舞台の特徴的なセットや衣裳、さらに通常見られない“ボツ”アイテムなども展示される。ウォーリー木下は「演劇「ハイキュー!!」展は、やれたらいいなと初演の頃から言っていました。キャストとスタッフがワイワイ言いながらつくった作品のアイデアをたくさん見ることができますので、ぜひ楽しんでください」と挨拶。主演の須賀は「ここは読売ジャイアンツさんのホームですが、僕たち烏野(高校)のジャージはオレンジと黒…ジャイアンツさんと被っている!」と立地にちなんだひと言。さらに「僕たちと同じ場所(セット)に立っていただけるので、また新しい発見もしてもらえると思います。ご来場いただいた方にはプレイヤーズカード全36種がランダムで必ずゲットできるので、ぜひ集めていただきたい!」と宣伝も忘れず座長ぶりを発揮した。木村は「久しぶりに写真やセットを見たらジーンときちゃって。俺らがやってきたことが間違いじゃなかったんだなと思える瞬間がそこにあった」、小坂は「展示されているキャスト全員の色紙は、演じているキャラクターとは違うその人の個性が分かります。僕はそれが一番!」、三浦は「セットには跡や傷が残ってて、(小道具の)お面にはメイクが残ってて。こんな感じだったんだと感じてもらえると思う」、塩田は「この佳き日に“塩田謎掛け”をやります。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」と掛けまして「ハイキュー!!」展を観た今の気持ちと解く。その心は…“かんげき”です!」。橋本は「演劇「ハイキュー!!」の歴史と愛がたくさん詰まってます!」、川原は「僕たちがイチからつくってきた軌跡を感じてもらえたら」、秋沢は「劇団「ハイキュー!!」のみんなでつくり上げた作品をぜひ見てください」、猪野は「合宿シーンで使った布団は匂いが分かるかも!?」、冨森は「この舞台はけっこうキツいと評判。セットの傾斜に立って『これはキツい!』と体感して(笑)」とコメント。作品の晴れの日を賑やかに祝った。取材・文:中川實穗
2017年04月27日2015年に日本でワールドプレミアとして上演された舞台『デスノート THE MUSICAL』が帰ってくる。2003年から連載漫画として人気を集め、その後、テレビアニメや映画でも大ヒット。ミュージカル版は演出を栗山民也、楽曲をブロードウェイの作曲家・フランク・ワイルドホーンが手掛けた意欲作だ。前回に引き続き出演する柿澤勇人、小池徹平に話を聞いた。「デスノート THE MUSICAL」チケット情報「最近、2.5次元の舞台がはやっていますが、この作品はそうではないと思っていて。時計の音の始まりは、デスノートを手にしたことで命が次々と消えていく緊迫感と生々しさがある。悲しくもあるけれど、心に突き刺さる舞台だと思います」と柿澤。彼が演じる大学生の夜神月(浦井健治とWキャスト)は、平凡な毎日を送っている。しかし、ノートに名前を書いた人間は死ぬ運命にある死神の「デスノート」を拾ったことから、退屈な毎日は消える。デスノートの効力を知り、月は、この世の悪を裁こうと犯罪者の名前を次々とノートに書き込んで殺していく。小池が扮するのは、殺人事件の捜査を始め、月を追い詰めていく名探偵L。「とにかく栗山さんの演出の仕方が面白い。キャストが皆、舞台上では同じ場所にいるのに、ちょっとした照明の変化で実は違う場所にいることが分かる。リアルタイムでいろんな物語が進行する。ワイルドホーンの美しい音楽とも相まってそのテンポやスピード感もすごいんです」と小池は話す。前回は、栗山から「現在の日本人を映す鏡であってほしい」と言われたそうだ。「渋谷のスクランブル交差点で皆、スマホを見ているシーンがある。物では満たされているけれど、心は満たされていない。月は頭もルックスもいいのに退屈していて、現代の若者の象徴なんです」と柿澤。一方、いつも猫背で椅子の上にしゃがみ込み、お菓子やコーヒーカップを数本の指でつまむ特異なキャラクターのL。「彼みたいに変な人は、僕は今まで見たことないです(笑)。常に何かを考えていて退屈さとも無縁の人。Lの人生を全うするつもりで演じていたので、現代の若者を意識したことはないですね。僕にも謎の人物です」と小池は笑う。「正義とは何か」というのも物語のテーマだ。「月は救世主キラとして世界の人々から支持を集め、凶悪犯を殺すことが正義だと信じていた。でもそれが本当の正義なのか、僕にも分からない。お客さんに持ち帰って考えてほしいですね」と柿澤。その言葉に小池も深くうなずき、「正義は自分の意思を貫いた月なのか、その月を倒そうとしたLなのか。お客さんはどっちに感情移入するんでしょうか。どちらの生き方が好きかとシンプルに考えるだけでも意味があると思います」と答えた。公演は、6月24日(土)・25日(日)富山・オーバード・ホールにて。その後、台湾・台中公演を経て、8月19日(土)から21日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、9月2日(土)から24日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演。大阪公演のチケットは5月13日(土)より、東京公演のチケットは5月20日(土)より一般発売開始。取材・文:米満ゆうこ
2017年04月27日アメリカで実際にあった冤罪を題材にしたミュージカル『パレード』が、5月18日(木)に日本初演を迎える。それに先駆け製作発表会見が開かれ、石丸幹二、堀内敬子、岡本健一、武田真治、石川禅、新納慎也、演出の森新太郎が登壇した。ミュージカル『パレード』チケット情報本作は、ある事件の裁判の中で、人種や職業から生まれる立場や思惑が無実の人間を犯人に仕立て上げていく様、それに抗う姿を描いたミュージカル。ピューリッツァー賞受賞作家のアルフレッド・ウーリーが脚本、『マディソン郡の橋』のジェイソン・ロバート・ブラウンが作詞・作曲を手がけ、1999年トニー賞最優勝脚本賞・最優秀作詞作曲賞を獲得した。そんな本作を日本で初めて演出するのは、森新太郎。森は『エドワード二世』『汚れた手』で第21回読売演劇大賞大賞、最優秀演出家賞をW受賞するなど気鋭の演出家で、今回初めてミュージカルを手掛ける。また、犯人に仕立て上げられるユダヤ人レオ・フランク役の石丸幹二、夫の無実を晴らそうと動く妻ルシール役の堀内敬子をはじめ、実力派&個性派キャストがズラリ。石丸と堀内は劇団四季時代を共に過ごし、舞台で共演するのは17年ぶり。森は「“初”という響きに酔いしれながら、楽しく、思う存分、やりたい放題、演出させていただいています」とニコリ。「タイトルが『パレード』ということで、民衆のお祭りの日の熱狂はゾクゾクするほどの迫力でお届けしたい。物語の主人公は言うまでもなくフランク夫妻ですが、もうひとり主役がいるとしたら、それは彼らを追い詰める民衆じゃないかと私は思っております。なので今回は、石丸さんと堀内さん以外の全キャストの皆さんに名もなき民衆を演じてもらっています。その恐ろしくも晴れやかな民衆のエネルギーを生み出すべく、今、一丸となって歌い、踊り、ときには暴れ狂ったりもしながら、ダイナミックな舞台をつくり上げている最中です」と熱く語った。石丸は「今、この作品でこの役を演じる意味がすごくある、と実感しながら日々稽古場で追い詰められております。弱者はいつも肩身の狭い思いをしなくてはいけない。では弱者はどうやって生きていったらいいのかということを、作品を通して皆さんも考えてください」と真摯に語る。堀内は「お稽古のレベルが高い。森さんの熱い演出にみんなが食らいついていくような濃いお稽古場です。早く皆さんにお見せしたいなという気持ちでいっぱいです」と笑顔を見せた。さらに、招待されたオーディエンスを前に劇中歌も披露。石丸と堀内の『無駄にした時間』など3曲が披露され、会場を熱く盛り上げた。公演は5月18日(木)から6月4日(日)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。撮影・取材・文:中川實穗
2017年04月26日古代インドの舞姫と戦士の悲恋を描く古典バレエの傑作、『ラ・バヤデール』を上演する東京バレエ団が、ゲストのダニエル・カマルゴ(オランダ国立バレエ団プリンシパル)を迎えてのリハーサルを公開。その後設けられた記者懇親会では、彼とともに、斎藤友佳理芸術監督、ヒロインを演じる上野水香、川島麻実子らが舞台への意気込みを語った。東京バレエ団 チケット情報東京バレエ団は4月上旬、ドイツのシュツットガルト州立劇場で『ラ・バヤデール』を上演し、大成功をおさめたばかり。同団の代表作のひとつとして上演のたびに評判を呼ぶ作品だが、斎藤芸術監督は「ゲネプロの幕があいた時、私はなんて無防備なことをしてしまったんだろうと、すごく後悔した」と明かす。カマルゴも在籍していた名門、シュツットガルト・バレエ団を擁し、熱心な愛好家が多い当地でクラシックの大作を上演する。それゆえのプレッシャーを乗り越えての大成功だ。「受け入れてもらえたことは、とても大きな喜び」と斎藤。貴重な体験を得て舞台にのぞむ団員たちに、初の客演となるカマルゴが加わり、よりいっそう美しく、パワフルな舞台が生み出されようとしている。ニキヤ役上野水香のパートナーとして招かれたカマルゴは、伸びやかかつダイナミックな踊りで日本でも観客の心を掴む若手スター。東京バレエ団が上演しているナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』のソロル役は昨年、オランダで初めて踊り、マカロワ自身から直接指導を受けたという。「光栄なことでした。彼女はとても具体的に、スペシフィックな指導をされる方。それぞれの役の関係をとても明確に教えてくださいました」。初共演となる上野は「若くて才能があり、素晴らしいダンサー」とカマルゴを大絶賛。「私は2009年のバレエ団初演の時から、毎回違うパートナーと踊ってきました。今回もさらに違ったニキヤ、違った自分をお見せできるのではないかと思います」と話す。一方、2日目に主演する川島麻実子は、シュツットガルトでニキヤ役デビューを果たしたばかり。最終日にはガムザッティ役で出演する。「コール・ド・バレエ、ソリスト役とほぼすべての役を踊ってきました。それは私の財産。挑戦できるのはとてもありがたいことです。経験を活かしていきたい」と前向きだ。海外公演という大きな壁を乗り越えた彼らの、力に満ちた充実の舞台に期待したい。公演は6月30日(金)・7月1日(土)・2日(日)、東京文化会館にて。チケット発売中。取材・文:加藤智子
2017年04月25日ダンス・エンタテインメント集団の梅棒が6・7月に東京・大阪・福岡・愛知の4都市で、新作舞台『ピカイチ!』を上演する。梅棒 7th ATTACK『ピカイチ!』チケット情報J-POPのヒット曲にのせたパワフルなダンスで、笑いと感動のストーリーを綴る。その独自のステージが注目を集めるカンパニー、梅棒。今回はリーダーの伊藤今人が脚本を書き下ろす、とある高校を舞台にした熱血青春ドラマ。ゲストに千葉涼平(w-inds.)や吉川友、後藤健流を迎え、熱量満載のステージを届ける。梅棒 7th ATTACK『ピカイチ!』は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、7月4日(火)・5日(水)大阪・森ノ宮ピロティホール、7月8日(土)・9日(日)福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、7月12日(水)・13日(木)愛知・名古屋市青少年文化センター アートピアホールにて上演。東京公演のチケット一般発売は4月22日(土)午前10時より。
2017年04月21日昨年12月に劇団四季の新作ミュージカルとして東京で開幕し、注目を集めている『ノートルダムの鐘』が、7月23日(日)より京都劇場で上演される。その成功祈願が京都・高台寺で行われ、主人公・カジモド役のひとり飯田達郎と、ヒロイン・エスメラルダ役のひとり岡村美南が参詣した。劇団四季「ノートルダムの鐘」チケット情報『ノートルダムの鐘』は、『レ・ミゼラブル』でも知られる文豪ヴィクトル・ユゴーの代表作。このミュージカル版は、1996年にディズニーの長編アニメーションとして公開されたものをベースに作られ、2014年にアメリカで開幕した。物語の舞台は15世紀末のパリ。ノートルダム大聖堂の鐘楼に住む異形のカジモド、カジモドを世話する大聖堂大助祭フロロー、警備隊長フィーバスという男たちが登場。この3人の男と、彼らに愛されるジプシーの娘エスメラルダが織りなす、切なくも美しい愛の物語だ。成功祈願のご祈祷を受けたのは、壁や天井一面に涅槃図が貼り巡らされた利生堂。思わずスッと背筋が伸びるような空間で、般若心経が唱えられる中、役者やスタッフが公演成功を祈念した。そして、カジモドが劇中で大聖堂の鐘楼に住み、鐘をつくことに絡めて、飯田が高台寺の鐘楼前で劇中ナンバー『陽ざしの中へ』を奉納。さらに岡村と共に高台寺の鐘をつき、美しい音を響かせた。飯田が披露したナンバー『陽ざしの中へ』は、カジモドとして初めて歌う曲。外の世界と隔離され、塔の上から街を眺めて暮らすだけのカジモドが、外界への憧れを歌い上げる。「外の世界に憧れる彼の強い意志を表した曲で、物語の軸になる曲です。“たった一日だけ人と触れ合うことができたら”と、神様にお祈りするような気持ちで歌っています」と、曲への思いを語る。他にも劇中ではスティーヴン・シュワルツ作詞、アラン・メンケン作曲による数々の重厚な楽曲が展開される。また岡村は「時代を選ばない普遍的なテーマがある」と、本作の魅力を語る。「今は不寛容な時代と言われていますが、この作品では他者をいかに受け入れるかということも描かれていると思います。だから、今の時代にこの作品を劇団四季で上演できることに意義を感じています。そして音楽やテーマは重厚ですが、演出はとてもシンプルで、お客様の想像力をかき立てるものになっていますので、関西のお客様にどう受け入れられるか、すごく楽しみにしています」。6月25日(日)まで東京・四季劇場[秋]にて上演中。その後、7月23日(日)から9月28日(木)まで京都劇場にて上演。京都公演のチケットは4月22日(土)10:00より発売開始。一般発売に先駆け、4月21日(金)23:59まで、ぴあスペシャルシートS1席の先行先着プリセールを受付中。取材・文:黒石悦子
2017年04月21日アメリカの伝統的なドラム・コー(マーチングバンド)をショーアップした『ブラスト!』カンパニーは、2003年以来、昨年までで計10回来日。これまで740公演、111万人以上を熱狂の渦に巻き込んだ。昨年からはディズニー音楽と融合し、『ブラスト!: ミュージック・オブ・ディズニー』を世界初演。よりパワーを増し、人気を博している。日本におけるドラム・コーの第一人者で、5人いる日本人キャストのひとり、パーカッションの石川直が意気込みを語った。ブラスト! チケット情報昨年の『ブラスト!: ミュージック・オブ・ディズニー』の手応えはいかがでしたか。「お客さんにものすごく喜んでいただき、ディズニー音楽の力を実感しました。『ブラスト!』自体、これまで10年以上をかけて進化してきました。昨年は、新たなスタイルを目指して、ゼロから構成し、作りあげました。今年は5月下旬から日本・山形で合宿し、ブラッシュアップ。そのままツアーへと突入します。日本での合宿は初めてなので、ワクワクしますね。新曲が「どこまでも~How Far I’ll Go」(『モアナと伝説の海』より)、「彼こそが海賊」(『パイレーツ・オブ・カリビアン』より)を始め、5曲程度加わる予定です。また昨年から大きなLED映像が加わり、マーチングと映像をリンクさせる、ダンサーと動きをシンクロさせるなど、視覚的にもより楽しんでいただけるようになりました」印象的だった曲は?「『魔法使いの弟子』(『ファンタジア』より)や『ビビディ・バビディ・ブー』(『シンデレラ』より)は管楽器と打楽器の奏者の動き、ダンサーたちも交えて、上手くまとまりました。『アンダー・ザー・シー』(『リトル・マーメイド』より) では海の中の映像を背景に、ダンサーが足にフィンをつけて踊り、楽しい雰囲気で盛り上がりました」『ブラスト!』は幕間や終演後に、キャストと観客とのミート&グリートがあるのも楽しい点ですね。「はい。キャストとお客様が一緒に楽しめる時間を設けています。作品を観ていただくだけでなく、お客様と共に楽しみ、コミューニケーションすることで、時間と空間を共有する。その感覚は、ディズニーのテーマパークと似ていますね。また全国ツアーでは、お客さんの地域性を感じられます。一番ノリが良いのは大阪。今年も全国を回りますから、皆さんとの交流を楽しみにしています!」8月15日(火)から30日(水)まで東京・東急シアターオーブで上演するほか、7・8月に全国を巡演。取材・文/三浦真紀
2017年04月18日4月8日、東京・日生劇場でミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』が開幕した。ミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』チケット情報ステージ上に大きな本の枠があり、まるでページをめくるかのような感覚で進行する。この物語は、そもそも殺人で収監されたモンティ・ナヴァーロの告白記。時代は1900年頃、エドワード朝のイギリスとクラシックな風情ながら、セットは平面的な紙や布仕立てでアナログ感満載。現代的なテクノロジーと逆行した素朴なノリが微笑ましく、笑いを倍増させる。とにかくストーリーはドタバタで、登場人物はキャラの濃い、ネジが1本外れたような人ばかり。皆、ちゃっかり生きていこうよ!と、とにかくポジティブだから、観ているこちらも洗脳されて、あらゆるナンバーが応援歌に聞こえてくる始末。こんなに人が死ぬのに面白がってていい?とムズムズしつつ、こんな殺され方ってあり?!と、一幕でテンションは上がりっぱなし。二幕では、捕まったモンティをどうにか自由の身にしようと女たちが画策する。笑い転げる2時間半で観劇後はスッキリ。ラストには、ほろ苦さが残るのもいい。NY育ちのスティーブン・ストバクの音楽はブロードウェイらしさで満たされ、鮮やかなナンバーが続々。音楽が贅沢で真っ当すぎて、歌詞や物語とのギャップに悶絶する!ただし、音の飛び、複雑な多重唱も多く、歌うのはそう容易くないだろう。その点、しっかり歌えるキャストが揃っているから安心だ。何より、ダイスクイス・ファミリーの8人を演じ分ける市村正親の変幻自在さといったら!厳格な伯爵から始まり、銀行家、放蕩息子、マッチョな軍人、夢見がちな聖職者、バリバリの女優、オタクっぽい母の従兄弟、慈善活動家の女性など、目を見張る。場面によっては、一瞬で役替わり。市村の長年培われたコメディセンスが炸裂する。ウエンツ瑛士/柿澤勇人が演じるモンティは実にチャーミング。自分が名門ダイスクイス家の8番目の継承者と知り、ひょんなことから他の継承者を殺すチャンスが訪れる。たまたまがそのうち故意になり、図に乗って次々と…。ある意味、普通っぽく、意外と観客に一番近いのがモンティといえよう。そのモンティの彼女シベラ(シルビア・グラブ)は大人の色気ムンムン。一方、モンティが婚約するフィービー(宮澤エマ)は清純で天然。この女性ふたりに挟まれるモンティの可愛さ!モンティに母親のことを教えるミス・シングル(春風ひとみ)が、いい味を出している。トニー賞四冠が納得のクオリティ。理屈抜きにとにかく楽しめる作品、必見だ。東京公演は4月30日(日)まで。その後、大阪、福岡、愛知を巡演。取材・文:三浦真紀
2017年04月13日アダム・クーパー主演の『SINGIN’ IN THE RAIN ~雨に唄えば~』(演出:ジョナサン・チャーチ)が4月3日、東急シアター・オーブにて開幕した。ミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN ~雨に唄えば~』チケット情報「ジーン・ケリーを越えた」と評されたクーパーの名演が、日本の演劇ファンを魅了したのは2014年の来日公演だった。今回はその絶賛を受けて実現した特別な再演である。クーパーを始めとするメインキャストを英国オリジナルキャストで揃えたプレミア・ステージに、3階席までを埋め尽くした観客の期待が集中。その熱気のなか、古き良きハリウッドの匂いを連れたアンサンブルの軽やかなダンスでショーがスタート。セレモニーのシーンで白ハット、白コート姿のクーパーが優雅に現れると、客席から歓迎の拍手が沸き起こった。背景となるのは映画がサイレントからトーキーへ移ろうとする時代。映画業界の奮闘をコミカルに描きながら、クーパー扮する人気スター俳優ドン・ロックウッドと駆け出し女優キャシー(エイミー・エレン・リチャードソン)の恋がロマンチックに綴られる。スクリーン映像を巧妙に差し挟んだ演出が功を奏し、場内を何度も沸かせるが、やはり一番の見どころはとびきり華やかに繰り出されるダンスシーンだ(振付:アンドリュー・ライト)。クーパーはスターながらつねに好奇心でときめく少年のような親近感をにじませて、キャシーとの奇妙な出会いから、再会した彼女をからかう一連の流れを小粋なステップで表現。さらに親友コズモ(ステファン・アネリ)との見事に息の合ったタップダンスで興奮をあおる。コズモのソロ・ナンバー『メイク・エム・ラフ(笑わせろ)』に至っては、アネリの超絶軽妙なパフォーマンスが劇場内の誰をも破顔にした。多幸感に包まれるなか、ドン、キャシー、コズモによる『グッド・モーニング』のナンバーへ。ミュージカル映画作りに心躍らせる3人が、全身全霊でステージを駆け回る様はなんとも爽快!歌い、踊り終えてバッタリと倒れる3人に向けて拍手喝采が鳴り止まない。ショーストップを引き起こすほどの盛り上がりにクーパーが嬉しそうな笑みをこぼし、コミカルに手振りで客席の熱狂を抑え、芝居を続行する一幕が見られた。そして待望の、12トンもの雨が降り注ぐ名シーンに突入。前回以上に大胆に客席へ向けて水しぶきを蹴散らすクーパーは、観客との呼応を心から楽しんでいるように見える。歓喜の叫びが起こるたびに、しなやかな体躯がエレガントに躍動した。幸せな笑みを増幅させて進行するドラマは、クライマックスで思わぬ感動の涙を誘い出す。その瞬間、観客も彼らの味方として登場人物になれるのだ。開幕前のインタビューでクーパーが語っていた、「人生に対して肯定的になれる作品」という言葉の意味を強く実感。観終わった後に駆け出したくなる、そんな晴れやかな余韻をぜひ劇場で体感してほしい。公演は4月30日(日)まで。取材・文上野紀子
2017年04月10日赤坂大歌舞伎 新作歌舞伎「夢幻恋双紙 赤目の転生」が、4月6日に東京・TBS赤坂ACTシアターにて開幕した。作・演出は、昨年の『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016年)での第20回鶴屋南北戯曲賞の受賞も記憶に新しい気鋭の劇作家・蓬莱竜太。中村勘九郎たっての願いで初めての歌舞伎の作・演出に挑んだ。「赤坂大歌舞伎」チケット情報舞台は江戸時代。気の弱い男・太郎(勘九郎)が愛する歌(中村七之助)を幸せにするために転生を繰り返していくという物語だ。全編、現代語のセリフで書かれており、歌舞伎を普段見慣れていないひとにも聞き取りやすく、蓬莱の描く登場人物たちの心の機微がそのまま伝わってくる。切り絵を用いた舞台美術や、歌舞伎には珍しくピアノを使った音楽など、歌舞伎の枠にとどまらない演出も随所に施された。前日の会見で蓬莱は「歌舞伎の役者さんたちが『新しい歌舞伎だね』と言ってくださる。演劇のひと(ファン)が見ると歌舞伎のおもしろさを十分に堪能できるし、歌舞伎のひと(ファン)が見ると、また演劇のおもしろさも味わえるんじゃないかなと。両方をミックスしたような融合が見ものなのでは」と手ごたえ十分。蓬莱とのタッグを熱望していた勘九郎は「念願叶って蓬莱さんに作・演出をしていただいて、すごく充実した稽古を過ごすことができた。1日1日のライブ感を大切に、ひとりでも多くのお客様に僕たちの思いを届けられたら」と意気込み。七之助は、歌という自身の役について「歌は表面的には周りに好かれます。男性は女性の表面的な言葉だったりを真に受けますが、同じ言葉でも女性の心の中では鬱憤が蓄積されていたり。歌は悪い人間ではないけれども、心の中では人間の普遍的な、なくてはならない感情がずっと動いているひとだと思う」と解説。古典歌舞伎の女形では、自分の感情をそのまま言葉にすることはそうそうないが、今回の役では自分の気持ちをストレートに表現する。役作りにあたってモデルにした女性は?という記者からの質問に「全世界の女性です」と答えるなど、古典作品とはひと味違った七之助の女形も見どころだ。出演は勘九郎、七之助のほか、市川猿弥、中村鶴松、中村いてう、中村亀鶴、片岡亀蔵ら。亀蔵、猿弥は口をそろえ「お客様の反応を早く知りたい。今はそれが何よりの楽しみ」と新しい歌舞伎への自信を覗かせた。公演は4月25日(火)まで。チケットは発売中。
2017年04月07日第42回菊田一夫演劇賞が4日発表となり、女優の麻実れいが菊田一夫演劇大賞に輝いた。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。大賞に選ばれた麻実は、『8月の家族たちAugust:Osage County』バイオレット役、『炎 アンサンディ』ナワル役の演技が高く評価された。菊田一夫演劇賞には、読売演劇大賞の最優秀作品賞も受賞した『ジャージー・ボーイズ』でフランキー・ヴァリ役を演じた中川晃教、『1789~バスティーユの恋人たち~』ロナン役&『キンキーブーツ』チャーリー・ブライス役の演技が評価された小池徹平、『食いしん坊万歳! ~正岡子規青春狂詩曲~』八重役の新橋耐子、『ジャージー・ボーイズ』『手紙2017』の演出を務めた藤田俊太郎が選出された。また、菊田一夫演劇賞特別賞は永年の舞台照明デザインにおける功績がたたえられ、勝柴次朗が受賞した。
2017年04月04日3月21日、「五月花形歌舞伎」の取材会が行われた。これは大阪松竹座で5月に開催されるもので、市川猿之助、中村勘九郎、中村七之助の3人が2009年2月以来、じつに8年ぶりに大阪で共演するというもの。「五月花形歌舞伎」チケット情報取材会は、席に着くやいなや猿之助が手持ちのスマホで勘九郎を撮影するなど、終始和やかな雰囲気。かつて共演を重ねてきた「浅草歌舞伎」の思い出に話が及び、「楽しかった」と3人から笑顔がこぼれる。勘九郎が「『浅草歌舞伎』は1年の始まりでもあり、締めくくりでもあった」と話すと、七之助も「公演が終わって飲みに行くなんてことはほとんどなかった。でもお互いが舞台の上で理解しあい、熱気が生まれ充実していた」と懐かしんだ。当時は若手だった彼らも、8年という時を経て実力も人気もぐっと高まったタイミングで催される今回の公演。中村屋と澤瀉屋、それぞれの家が得意とする演目にお互いが出演するのがひとつの見どころだ。昼の部で上演される『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』は三代猿之助四十八撰の内のひとつで、宙乗りもあり、エンタテインメント性の高い演目。猿之助はこの公演中、5月16日(火)の公演で宙乗り1000回を達成することとなる。驚く勘九郎、七之助に「あっという間でしたね。それでもおじ(猿翁)の記録を更新するにはあと4000回やらないといけないですから」と淡々と話す猿之助。「最初は力んでいたが、年を重ねて無駄な力が抜けた」と道のりを振り返った。勘九郎、七之助はともに初役であり、「演じるのが楽しみ」と顔をほころばせる。夜の部で上演される『怪談乳房榎』は中村勘三郎が繰り返し工夫を重ねながら上演をしてきた演目。勘九郎、七之助も赤坂ACTシアターを始め数々の劇場で演じてきたが、松竹座での上演は初となる。今回磯貝浪江役を演じることとなる猿之助は、勘三郎との思い出として「『あなたは(観客に)魔法の粉を振りまくからね』と言ってくださったことがあった。それはいまも誇りです」と明かすと、勘九郎が「猿之助さんの芝居を観た父が僕に電話をしてきて、『俺に似てる!』と褒めていた」と笑わせた。若い頃に同じ舞台で共演を重ねた3人が、それぞれに経験を重ねて再びあいまみえる。その成長と息の合った演技に期待したい。公演は、5月2日(火)から26日(金)まで大阪松竹座にて上演。チケットの一般発売は4月5日(水)10:00より。一般発売に先駆け、チケットぴあでは、4月4日(火)23:59までインターネット先行先着(プリセール)を実施中。取材・文:釣木文恵
2017年03月31日2011年から恒例となった「明治座 五月花形歌舞伎」。今年は片岡愛之助を中心に、昼の部では『月形半平太』『三人連獅子』を、夜の部では『南総里見八犬伝』の通し狂言を上演する。3月24日に行われた制作発表では、愛之助が意気込みを語り、また新たな歌舞伎が生まれることを予感させた。「明治座 五月花形歌舞伎」チケット情報歌舞伎に馴染みのない人にもわかりやすくエンターテインメント性に富んだ演目で、好評を博してきた「明治座 花形歌舞伎」。今年も、「初めて歌舞伎をご覧になる方にもうってつけの公演」と愛之助は太鼓判を押す。確かに、新国劇から誕生して映画やドラマでもお馴染みとなった『月形半平太』を初めて歌舞伎にするという試みに、明治座での上演ならではの意欲を感じずにいられない。「せっかく初めて歌舞伎にするので、音楽などの演出方法もいろいろ考えています」。『月形半平太』といえば、「春雨じゃ。濡れてまいろう」の名台詞が有名だが、かつて月形半平太を演じたことのある里見浩太朗から、「歌うように言ったほうがいい」とアドバイスを受けたそう。「頑張って二枚目にしなければなと思っていますが(笑)、上方の人間としては、はんなりした部分も出せたらなと。色気のある部分や、強さ、忠義の心など、いろいろな要素を楽しんでいただけるよう作っていきたいと思います」。『三人連獅子』は、日本舞踊の楳茂都流の家元を継いだ愛之助にとって思い入れのある演目だ。「先代の家元が亡くなってから、先代がたくさん作っていた歌舞伎舞踊が上演される機会が少なくなって、知っていただく機会をできるだけ作りたいと思っていたので、思いが叶いました」。通常の父と子の『連獅子』とは違い、父・母・子が登場し、「親子の情愛がわかりやすく描かれている」とアピール。ぜひ目撃してみたい。そして、夜の部の『南総里見八犬伝』は、通し狂言として最初から最後までを一気に観ることのできるいい機会。「普段はあまり上演しない場面もありますから、みんなで見つめ直しながら、新たな八犬伝ができれば」。周りには、中村萬太郎、中村壱太郎、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村福之助など、浅草歌舞伎でもお馴染みの次代を担う花形役者が揃う。「みんながのびのびと楽しみながら自分の役を膨らませていくことで、お客さんにも芝居の楽しさが伝わるはず」と愛之助。座頭としてのその熱が、活気あふれる舞台を作ることだろう。公演は5月3日(水・祝)から27日(土)まで。チケット発売中。取材・文:大内弓子
2017年03月30日ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」″勝者と敗者″が、3月24日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、須賀健太、木村達成、猪野広樹、遊馬晃祐、小波津亜廉、演出のウォーリー木下が登壇した。【チケット情報はこちら】男子バレーボール(=排球)にかける高校生たちの姿を描いた古舘春一の同名大ヒット漫画を舞台化。2015年の初演からシリーズ3作目となる今作では、インターハイ宮城県予選を舞台に1年生の主人公・日向翔陽(須賀)が在籍する烏野高校と強豪・青葉城西高校の熱戦が描かれる。今作の大きな見どころは、木村演じる影山飛雄、猪野演じる菅原孝支、遊馬演じる及川 徹らセッター(トスをあげる役目の選手)の活躍。そのため囲み取材で須賀は「初めてこの作品を俯瞰で見られる立ち位置で、日向として冷静にコートの外から見る瞬間があります。そこが面白く、楽しく稽古しました」と振り返る。烏野のセッターを担う木村は「セッターは常に“誰にトスを上げて1点を取るか”を考える生き物。どのタイミングで誰に上げるかも見どころです」、猪野は「菅原が入ることで烏野と青城(青葉城西高校)にどう影響していくのかを楽しみにして頂ければ」。青城のセッターを演じる遊馬は「二幕、三幕と進むなかで最後にはどちらが勝つかわからなくなる緊迫感を楽しんで頂きたい」、及川と“阿吽の呼吸”の相棒・岩泉 一役の小波津は「今作は過去のドラマもひとつの見どころ。岩泉と及川の過去、及川と影山の過去、及川のもうひとつの面が垣間みれるので、注目していただければ」。須賀が「作品がひとつの協奏曲になっている」と話した通り、全三幕を第一楽章・第二楽章・第三楽章として上演された本作。“セッターはオーケストラの指揮者のようなもの”であることを軸に、天才の影山、センスもあるが努力を惜しまない及川、真面目で丁寧な菅原と、誰がセッターかによって変わるチームの空気が、音楽、そしてダンスでわかりやすく表現されていた。また、今作の舞台は3年生にとって最後になり得る試合。そのうえで描かれる過去、そこから生まれる熱い想い、だからこそ負けられない勝負…それぞれの物語を乗せた一戦が、演劇「ハイキュー!!」ならではの高い熱量によってまっすぐに客席に届けられた。ウォーリー木下が「今まで『ハイハー』ぐらいでしたが(笑)、今回ようやく『ハイパー』に格上げしました。びっくりするようないろんな演出をやっております!」と話す新演出も見どころの本作は、3月26日(日)まで東京・TOKYO DOME CITY HALLにて上演後、宮城、大阪、福岡、東京凱旋と巡演。5月7日(日)にはライブビューイングも実施。取材・文:中川實穗
2017年03月30日アダム・クーパー主演のブロードウェイ・ミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN 雨に唄えば』が、2年半ぶりに東急シアター・オーブに再登場する。2014年秋の前回公演が絶賛を博し、期待の声が高まって今回の再来日公演が決定した。しかもクーパーを始めとするメインキャストは、英国オリジナルキャストを再集結させての特別な日本公演である。聞けばキャスト、スタッフ陣は東京にて再会し、滞在しながら4月3日(月)の開幕へ向けてブラッシュアップ稽古を進めているという。来日キャストによるブロードウェイ・ミュージカルの稽古を、都内某所で見学する。そんな異例にして貴重な体験が叶うこととなった。ミュージカル「SINGIN’ IN THE RAIN ~雨に唄えば~」チケット情報稽古場のスペースいっぱいに舞台面が設えられているので、“かぶりつき”と言われるほどの近距離から稽古を眺めることに。引き締まった体躯のキャスト陣によるウォーミングアップの光景だけでも圧倒される。演出助手の合図ですぐさま幕開きから通し稽古がスタートした。Tシャツやスパッツなどの稽古着スタイルでも、アンサンブルのキレのある動き、生き生きとした表情がパーティー・シーンの豪華さを存分に伝えてくる。アダム・クーパーもトレーニングウェアの上に白のハット、白のコートを着て、映画スターのドン・ロックウッドとなって登場。本番の端正なスーツ姿とはひと味違ったコミカルさや愛嬌を感じるのは、稽古場ならではのお得感か。クーパー自身も非常にリラックスした様子で、ヒロインのキャシー(エイミー・エレン・リチャードソン)との偶然の出会いと、その後の再会で彼女をからかう一連のシーンを、悪戯っぽい微笑みを浮かべて小粋に演じてみせる。一幕で早くも興奮に拍車をかけるのは、相棒コズモ役のステファン・アネリとの息の合ったタップ・ダンスだ。ハット・チェンジも鮮やかに、クーパーとアネリの信頼が見てとれる軽やかなステップは見応え十分。観る者の頬を緩ませるアネリの演技は、ソロ・ナンバー『メイク・エム・ラフ(彼らを笑わせろ)』でその愛すべき魅力が炸裂した。共演者もスタッフも、稽古場中の人間が幸せな笑顔で彼を見つめている。ドン、キャシー、コズモによるナンバー『グッド・モーニング』は、映画の印象を忠実に残しながら、舞台ならではの新たな躍動感に惹きつけられるシーンだ。快活な滑り出しから、後半にはドンとキャシーの距離がぐっと縮まってロマンチックムードに一変。クーパーとリチャードソンの熱いやりとりにうっとりとさせられる。そしてドンが雨の中、恋の喜びに歌い踊るあの名シーンへ。客席に向けて水を蹴散らす仕種をするクーパーの表情は、実に晴れやかだ。本番はここで12トンもの雨が降るのか…と想像してさらに昂揚が高まる。今回の取材で、クーパーが「ドンの、脆さも含めた人間らしさを見てほしい」と語っていた。その言葉通り、ハリウッドを舞台とした心浮き立つ華やかさだけでなく、夢や恋に揺れる登場人物たちへの愛着、共感も強く沸き起こる作品である。彼が約束してくれた「魔法のような体験」を、次はぜひ本番の舞台で確かめなくてはならない。再追加公演も決定。取材・文上野紀子
2017年03月28日劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』横浜公演が3月25日、KAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて開幕した。1988年の日本初演以来6730回の総公演回数を誇る、四季を代表する人気作品だが、横浜での上演は初。横浜エリアでの長期公演は、2012年11月まで上演されていた『キャッツ』以来約4年ぶりになる。初日前日にあたる3月24日には最終舞台稽古が報道陣に公開され、俳優陣が熱の入った演技をみせた。劇団四季『オペラ座の怪人』チケット情報『オペラ座の怪人』はガストン・ルルーの小説を原作に、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋焦がれる“怪人”の悲しい愛の姿を描くミュージカル。ミステリアスなストーリーのほか、現代ミュージカルの巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーによる名曲の数々、幻想的で豪華な舞台セット、繊細な衣裳など、どこを切りとっても最高峰の作品だ。世界ではこれまで35か国・13言語で上演されており、全世界での興行収入は60億ドルという記録を誇っている。この日の舞台稽古に登場した怪人役は佐野正幸。1988年の同作四季初演時にはアンサンブルとして出演、その後メインキャストであるラウル子爵役などを経て、2006年から怪人役を務めているベテラン俳優だ。作品に長く関わり続けている佐野らしく、怪人の葛藤や切なさを深みのある熱演で魅せた。佐野は「劇団の本拠地である横浜で、この作品に参加できることを、大変光栄に感じています。『オペラ座の怪人』は、流麗で重厚な旋律によって綴られる哀しくも美しい愛の物語です。作品のドラマをしっかりとお届けできるよう、一回一回の舞台を誠心誠意努めていきたいと思います」とコメント。またヒロインのクリスティーヌ・ダーエ役は、近年、四季で数多くのヒロインを務め、同役も2014年から演じている山本紗衣。美しいソプラノボイスを存分に響かせた。ラウル・シャニュイ子爵役は『ジーザス・クライスト=スーパースター』のジーザス役、『ウェストサイド物語』のトニー役など主要キャストを次々と演じてきている新星・神永東吾がフレッシュに演じたほか、カンパニー全体が気合いの入った熱演を見せる。劇団の代表作を、劇団のお膝元・横浜で初めて上演するに際し、「劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい。」というキャッチコピーに嘘はないことを証明してみせていた。公演は8月13日(日)まで同劇場にて。チケットは発売中。
2017年03月27日1976年から「月刊プリンセス」で連載40年、コミックは60巻を超え、現在も連載が続く漫画『王家の紋章』。昨年8月にミュージカル化し、東京・帝国劇場での初演は連日満員御礼記録を達成する人気を博した。この話題の舞台が早くも再演、大阪に初登場する。「王家の紋章」チケット情報物語は、現代アメリカで考古学を学ぶ少女キャロルが古代エジプトにタイムスリップ、若き王メンフィスと3000年の時を超えた愛のドラマを繰り広げる。脚本・作詞・演出は荻田浩一、作曲・編曲は巨匠シルヴェスター・リーヴァイ。キャストも初演と同じく華やかだ。メンフィス王に浦井健治、キャロルには新妻聖子・宮澤佐江(Wキャスト)をはじめ、キャロルを奪おうとするヒッタイト王子イズミルには宮野真守・平方元基(Wキャスト)。ほかに、伊礼彼方、濱田めぐみ、山口祐一郎らが出演。この時空を超えた歴史ロマンスに再登板する平方元基が来阪、作品の魅力と再演への意気込みを語った。舞台は、原作の1~4巻を約3時間のミュージカルに凝縮して作り上げた。「内容が濃く、音楽をたくさん使ってダイナミックに仕上げているところが魅力だと思います。リーヴァイさんの楽曲は、『エリザベート』や『レディ・ベス』より一層ご覧になる皆さんの想像力をかきたてます。キャラクターも、漫画の中から浮き上がって来たようなイメージを大事に作り上げているし。大劇場のミュージカルとして、今まで観たことがないような作品に見えるんじゃないかな」。初演で、漫画が原作の舞台を初めて経験した平方。「お客様の反応が全然違って、すごく充実感がありました。これまで以上に歌の分量も多く、歌で魅せるところもあり。とにかく舞台セットや衣装、そして音楽が素晴らしいので、それらに埋もれないような描写をしないと。漫画の世界のイズミルに、どうやって人間の血を通わせているかを観てほしいです。そこを見逃さないでいただくと、物語をもっと深く楽しめると思います」。漫画ファンからは、Wキャストの宮野真守は“パッションが溢れたイズミル”、平方は“青い炎のイズミル”と評されたそう。「原作を知らなくても、テンポよく進んでいくので大丈夫。でも、漫画と同じ動きをするなど、漫画とリンクするシーンもたくさんあるので、4巻まで先に読んでおくともっと楽しめると思います。関西のお客様は、チケット代以上の価値のあるお芝居を楽しみに行くわよって来られますよね、必ず(笑)。反応が素直なのも関西の醍醐味で、すごく温かく迎えてくださる。相当ブラッシュアップして、いい作品にしてこないと敵わないですよね。今回は東京で1か月公演した後、1番いい時期に大阪に来ますから。いや~、でも、ドキドキします(笑)。公演は、4月8日(土)から5月7日(日)まで東京・帝国劇場、5月13日(土)から31日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。<衣裳協力>ジャケット、パンツ、Tシャツ:Psycho Bunny / ジョイックスコーポレーション靴:fabs class取材・文:高橋晴代
2017年03月24日世界の一流カンパニーとして人気を二分するパリ・オペラ座バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団のスターたちが集い、それぞれの珠玉のレパートリー、さらには彼らがひとつの作品で共演する合同プログラムを上演するオペラ座&ロイヤル夢の共演〈バレエ・スプリーム〉が、この夏、実現する。3月上旬のパリ・オペラ座バレエ団日本公演期間中、出演者たちがプレス懇談会に出席し、公演への抱負を語った。オペラ座&ロイヤル 夢の競演 〈バレエ・スプリーム〉チケット情報公演に参加する精鋭ダンサーたちとともに現れたのは、パリ・オペラ座チームのスーパーバイザーを務めるオレリー・デュポン(パリ・オペラ座バレエ団芸術監督)。「これはとても野心的なプロジェクト。英国ロイヤル・バレエ団は素晴らしい、豊かなバレエ団で、日本のお客さんにふたつの異なった流派を見比べていただける素晴らしい機会になる」と、自身が選りすぐったダンサーたちを紹介した。パリ・オペラ座バレエ団の最高位、エトワールとして日本公演初日の主役を担ったマチアス・エイマンとミリアム・ウルド=ブラームをはじめ、昨年暮にエトワールに任命されたばかりのレオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェ、懇談会前夜にエトワールに任命され、会場を興奮の渦に巻き込んだユーゴ・マルシャン、デュポンが「素晴らしいショーマン」と太鼓判を押すプルミエ・ダンスールのフランソワ・アリュ。彼らが踊るのは、オペラ座自慢のレパートリーの数々だ。エイマンとウルド=ブラームがAプロで踊るのは、ヌレエフ版『白鳥の湖』第2幕のパ・ド・ドゥ。「新世代のエトワールたちと共演できることは、貴重な経験」(エイマン)、「皆さんに舞台をお見せできるのは幸せ」(ウルド=ブラーム)とふたりは話す。ボラックとルーヴェも、同『白鳥の湖』より第3幕のパ・ド・トロワをAプロで踊る。ともにエトワール任命の日に踊った作品だけに、その思いは特別のよう。「踊れることが楽しみ。ジェルマンは完璧なパートナーです」(ボラック)、「彼女は、私を物語世界へ導いてくれる頼もしいダンサー」(ルーヴェ)。アリュがBプロで踊る『レ・ブルジョワ』(コーウェンベルグ振付)は、テクニックと芝居心が求められるユニークな作品。「個性を発揮できると思います」と自信をのぞかせる。マルシャンが、Bプロの『グラン・パ・クラシック』(クゾフスキー振付)他で共演するのは、日本出身初のプルミエール・ダンスーズとして話題のオニール・八菜。「彼女とともにフランスのバレエを国際的に広めることができ、嬉しい」とコメント。「素晴らしいコラボレーションとなる」と、デュポンも新たな試みへの期待感に胸を躍らせているようだ。公演は7月26日(水)から30日(日)まで、東京・文京シビックホール 大ホールにて。チケットぴあではインターネット先行を3月30日(木)午前10時より受付。取材・文:加藤智子
2017年03月24日若手から大御所までが漫才、落語、コント、吉本新喜劇を繰り広げるよしもとの看板寄席の東京版「東京グランド花月」が、ゴールデンウィークに6度目の開催を迎える。開催発表会には、同公演に初出演する吉本新喜劇の内場勝則座長、ガレッジセール、千鳥が登場し、囲み会見をおこなった。「東京グランド花月」チケット情報6回目にして初登場するベテラン内場座長は、「いままで、すっちーくんとか川畑(泰史)くんがやってますけど、彼らより上品な感じになると思います(笑)」と挨拶。「メッセージは一切ございませんので、何かを得て帰れることは何もないですけど、大いに笑って、すべてのことを忘れて、アホになって帰っていただきたいと思います」と意気込みを語った。ガレッジセールのゴリは、「18年前にエンジョイプレイというネタを作ってから、ほぼネタを作ったことがなかったんですが、2年前の20周年単独ライブでようやくエンジョイプレイ以外のネタができまして。いまもよしもとの舞台に立ってネタをやっているんですが……、どうやら評価を得ていると聞いております」と明かし、現場を笑わせた。一方、最近痛風になったことを告白した相方の川田広樹は、「本番までには治したいと思います」とほんわか回答。そんな川田にゴリは、「スタイリストがくると勘違いして地味な恰好をしている」と暴露。千鳥のノブは、「パチンコ屋に行った帰りですもんね」とツッコミを入れた。そんなノブは、「東京グランド花月に呼んでもらえるということは、吉本の漫才師の中でも、上位に君臨できているという証ですよね。“一番おもしろい演芸は劇場にある”というふうに、(博多)大吉さんとか(中川)礼二さんがよく言ってますので、みなさん来てほしいです」とPR。それを聞いていた相方の大悟は、「まず、ノブが人の意見でしゃべったことを、すいませんでした」と謝罪。見どころについては、「大阪からもいろんな芸人がくるので、日頃見られない(西川)よしお師匠の髪型とかを見てもらいたい。横をどれだけ刈り上げているのか、とか」と大悟。「のりお師匠の暴走とかを言えよ」とノブがフォローした。また、改めて内場が新喜劇について話し始めると、「気軽に来て、笑っていただいて。まぁこっちもね、3時間ぐらいの稽古でやってますんでね」とポロリ。「それ言っちゃダメですよ!」と総ツッコミが入り、「プロだから短時間で仕上がるんですよ(笑)」と言い直した。当日は、桂文枝、オール阪神・巨人、陣内智則、トレンディエンジェル、尼神インター、横澤夏子らが出演する。「東京グランド花月」は、5月2日(火)・3日(水・祝)にTBS赤坂ACTシアターで開催。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年03月24日小栗旬が初のミュージカルにして、初めて舞台上でコメディを演じることで話題になっているミュージカル「ヤングフランケンシュタイン」が、この夏、東京国際フォーラムで開幕。俳優陣が顔を揃えるチラシビジュアルが解禁された。ミュージカル「ヤングフランケンシュタイン」 チケット情報本作は喜劇の天才メル・ブルックスが1974年に公開した映画「ヤング・フランケンシュタイン」を、後に彼自身がミュージカル化した作品。フランケンシュタインの孫息子・フレデリック・フロンコンスティーン博士が巻き起こす騒動を描く爆笑ミュージカルコメディだ。2007年にブロードウェイで開幕。同じくメル・ブルックス映画をミュージカル化し、トニー賞12部門受賞の最多記録を持つ「プロデューサーズ」のクリエイティブスタッフが手がけたことでも話題となった。日本版では、根強いファンを多数持つ現代のヒットメーカー福田雄一が上演台本と演出を担当。福田は「とても賑やかな宴会みたいなミュージカル」とコメントしている。今回発表されたビジュアルはそのイメージ通り、パーティー中の面々のワイングラスから謎のピンクの液体が溢れ出した様を描いており、小栗旬が演じるフレデリックが生み出してしまうモンスターと、それを取り巻く人々のドタバタなコメディ感が表現されている。主演は本作がミュージカル初挑戦となる小栗旬。共演にはセクシーな助手インガ役に瀧本美織、フランケンシュタイン家を目の敵にしているケンプ警部役にムロツヨシ、変わり者の助手のアイゴール役に賀来賢人、モンスター役に吉田メタル、フレデリックの婚約者エリザベス役に瀬奈じゅんを迎える。チケットぴあでは、プレイガイド最速「プレリザーブ抽選先行」を3月24日(金)23:59まで受付中。<東京公演>8月11日(金・祝)~9月3日(日) 東京国際フォーラムホールC<大阪公演>9月7日(木)~9月10日(日) オリックス劇場
2017年03月21日2008年に宝塚歌劇で日本初演され、大好評を得たミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL』。2010年にも再演され、劇団の人気作のひとつとなった作品が7年ぶりに登場。星組の新トップコンビ紅(くれない)ゆずる、綺咲愛里(きさき・あいり)の宝塚大劇場お披露目公演として、3月10日(金)、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。『THE SCARLET PIMPERNEL』チケット情報舞台は王政が廃止され、ロベスピエールを指導者とするジャコバン党が恐怖政治を行っていた18世紀末のフランス。無実の罪で処刑される貴族を助けようと、「スカーレット・ピンパーネル」と名乗り、正体を隠して暗躍するイギリス貴族パーシー・ブレイクニーとその仲間たちの冒険活劇を、男女の三角関係を絡めて展開。フランク・ワイルドホーンによる名曲「ひとかけらの勇気」をはじめ、美しい楽曲の数々で彩られている。正義感にあふれ、時におどけた演技でコミカルに、時にクールにカッコ良く。正体がバレないようにさまざまな顔を見せるパーシーは、二枚目も三枚目も柔軟に演じる紅にピッタリの役だ。見た目の華やかさはもちろん、初日ではピコ太郎で笑いを取るなど、さすがのコメディセンスで楽しませてくれた。トップ娘役の綺咲は、フランスの元女優で、パーシーの妻・マルグリット役。家族にも正体を隠して生きるパーシーへの疑念と、彼女自身も秘密を抱えている後ろめたさから、パーシーと少しずつ距離が生じてくる。そんなマルグリットの寂しさやもどかしさを繊細に演じ、元女優らしい美しい立ち居振る舞いでも魅せる。また、スカーレット・ピンパーネルの正体をつきとめようと、血眼になって探しまわる革命政府の公安委員ショーヴランを演じるのは、芝居も歌も圧倒的な実力を持つ礼真琴(れい・まこと)。おどけた振る舞いをしながらヒーローとして活躍するパーシーが“光”の人なら、鋭い目つきでどこか狂気をまとったショーヴランは“影”の人物。革命を正義だと信じ、内から沸々と湧き上がる熱をストレートにぶつけるショーヴランと、七海(ななみ)ひろきが演じる独裁者・ロベスピエールの冷酷さとその裏に垣間見える孤独も、物語を深めている。衣裳がコロコロと変わるのも見た目に楽しく、特に一幕ラストの仮面舞踏会のド派手なシーンは見どころのひとつだ。華やかさとスリルと軽妙な笑いが絶妙なバランスで絡み合う物語は、ハラハラしながらも、スカッと痛快。紅率いる個性豊かな新生星組の、これからの期待も高まる幕開けとなった。4月17日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。その後、5月5日(金・祝)から6月11日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは4月2日(日)10:00より発売開始。取材・文:黒石悦子
2017年03月17日宝塚歌劇 宙組東京宝塚劇場公演『王妃の館-Chateau de la Reine-』『VIVA! FESTA!』千秋楽のライブ・ビューイングが決定した。宝塚歌劇宙組 千秋楽 ライブ中継ミュージカル・コメディ『王妃の館-Chateau de la Reine-』は、宝塚歌劇にとって初となる浅田次郎作品の舞台化。スーパー・レビュー『VIVA! FESTA!』は、演出家・中村暁による世界各地の”FESTA”をテーマにした新作レビューとなる。さらに今回は、宙組トップ娘役実咲凜音の退団公演となり、ライブ中継では実咲凜音サヨナラショー、退団挨拶、千秋楽挨拶まで見ることができる。チケットぴあでは一般発売に先駆けて先行抽選販売を実施。受付は3月18日(土)午前11時から4月3日(月)昼12時まで。■宝塚歌劇 宙組東京宝塚劇場公演『王妃の館-Chateau de la Reine-』『VIVA! FESTA!』千秋楽ライブ中継4月30日(日)会場:全国の映画館
2017年03月17日2014年のトニー賞で作品賞、脚本賞など4冠を達成したブロードウェイ・ミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』が、日本に初上陸。4月8日(土)の東京・日生劇場を皮切りに、大阪、福岡、愛知で上演される。本作に出演する宮澤エマが、公演に向けて意気込みを語った。ミュージカル「紳士のための愛と殺人の手引き」チケット情報主演を務める市村正親が「8役を務め、8回殺される」ことでも話題のミュージカル・コメディ。1900年頃のイギリスを舞台に、8番目の爵位継承権を持つモンティが、継承順位上位の者たちを奇妙キテレツな方法で次々と殺していくというブラックユーモアあふれるステージだ。宮澤は伯爵家・ダイスクイス家の令嬢フィービー役で、ウエンツ瑛士と柿澤勇人がWキャストで演じるモンティに思いを寄せる役どころ。「フィービーは裕福な家で暮らしているのですが、自分の生まれ持った環境や立場だけではなくて、本当の私を知ってほしいと強く思っている女性。モンティと出会うことによって、今まで以上の自分に出会っていける役どころなので、お客様に“あれ?こんな人だったの?”というギャップを感じていただけるように、意外性を大事にしたいなと思っています」。伯爵家の人たちが次々と殺されていく様を、ウィットに富んだ軽快な音楽と歌で彩っていく本作。そのバカバカしい姿に、観客は笑わずにはいられない。「一見、コメディとは思えない設定ですが、安心して痛快に笑っていただける作品です。罪悪感を覚えないくらいの強烈なキャラクターが次々と登場するので(笑)、モラルなどは心配せずに観ていただけるかなと思います」。また、楽曲の魅力については「すごく美しいクラシカルな音楽が印象的なのですが、歌詞自体はリアリティがあるので、そのギャップも面白いですね。音楽を極めることで、より一層作品の面白さを伝えたいです」。一方で「人を笑わせることは、ときに泣かせることよりも難しいのでは、と演じながら思います」と、コメディ作品の難しさも感じている様子。「センスもタイミングも問われますし、それを共演者全員で共有しなくちゃいけない。コメディとは思えない題材で、どうパワーを吹き込んでいくのか、大きなチャレンジではありますが、お客様に喜んでいただけるようにお稽古していきたい。女性ヒロインはコメディパートではないと思われがちですが、ひと笑いと言わず、いくつも笑いを起こせたらと思っていますので、ぜひ劇場で楽しんでください」。4月8日(土)から30日(日)まで東京・日生劇場、5月4日(木・祝)から7日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、5月12日(金)から14日(日)まで福岡・キャナルシティ劇場、5月19日(金)から21日(日)まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2017年03月16日片岡愛之助が現在、東京・新橋演舞場で上演中の『コメディ・トゥナイト! ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》』で初ミュージカルに挑戦中だ。「ずっとミュージカルに出たかった。でもまさか主役でやらせていただけるとは」と語る愛之助に、現在の心境や作品の魅力をきいた。チケット情報はコチラ『コメディ・トゥナイト!』は、『ウエストサイド物語』『太平洋序曲』『スウィーニー・トッド』などを手がけたブロードウェイの生ける伝説、スティーヴン・ソンドハイムの手によるミュージカル。奴隷が自由を手にするのと引換えに、主人の恋を成就させようと奮闘する顛末を面白おかしく描く物語だが、これを今回の日本版では舞台を江戸に、主人公を薬問屋の丁稚に置き換えたドタバタ喜劇として描き出している。上演台本・演出は宮本亜門。愛之助は「僕はミュージカルをやる時には明るくて笑えるものをとお願いしていたんです。一方で亜門さんはソンドハイムさんから『この作品を日本の江戸とかに置き換えたら面白いだろう、亜門、やってみなさいよ』と言われていたらしい。でもこれをちょんまげでやりたがる役者がいないと亜門さんは思っていたところ、僕と組んでコメディ・ミュージカルを…となり『あ、こんなところにいた!』と」上手く歯車がかみ合っての今回の実現となった、と話す。果たして、ブロードウェイ・ミュージカルをお江戸に移し替えた大胆な作品が出来上がったが、その手ごたえは「さすが亜門さん。こだわりぬいて、セリフや歌詞も毎日変更が入っていく。『今までこんなに悩んだ作品はありません』とも仰っていた。それだけ思い入れの強い作品をやらせて頂いて嬉しい」と愛之助。ちなみに妻・藤原紀香も亜門作品でミュージカル初舞台を踏んだ。「亜門さんの舞台では、稽古が始まった時に歌は全部歌えているのが当たり前だと妻に言われて。厳しいなと思ったのですが、実際の稽古に入ったらその理由がわかりました。歌の練習だけを先にやっていたのですが『今まで習ったことを忘れてください』と言われたんです。つまり、完成した上で一度壊す。語りかけるように歌っていくんです。亜門さんからは『適当にと言ったらおかしいけど、頑張りすぎないでください』とダメ出しをもらいました(笑)」。実際、出ずっぱりで体力的にはハードながら「ハッピーに終わるから、まったく重くない。精神的に疲れない」と笑顔だ。「最後には僕、飛んじゃいますからね!? この作品のどの場面で飛ぶわけ!? と思ったんですが。つくづく面白い(笑)。なんでもアリで、難しいことは何ひとつなく、変な人しか出てこない。ストレス発散にもなりますよ」とアピール。4月には大阪でも上演されるが「大阪の方々にも楽しんで頂けるに違いないと自信を持っています。あとは、個性の塊のような共演の皆さんが、アドリブを入れすぎて上演時間が延びすぎないように気をつけないと(笑)」。共演は内博貴、平野綾、ダイアモンド☆ユカイ、ルー大柴、高橋ジョージら。3月28日(火)まで新橋演舞場にて。その後4月2日(日)から25日(火)にかけて大阪松竹座で上演される。チケットは発売中。
2017年03月15日劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』が、この春、KAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて上演される。首都圏での同作品の上演は約4年ぶり。3月10日、その稽古場の様子が報道陣に公開されるとともに、出演予定キャストの佐野正幸、山本紗衣による取材会が開催された。劇団四季『オペラ座の怪人』チケット情報『オペラ座の怪人』はパリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛の姿を描くミュージカル。この日の稽古場で披露されたのは3場面で、第一幕の劇中劇『ハンニバル』のリハーサルシーン、クリスティーヌがソプラノで歌い上げる『スィンク・オブ・ミー』、第二幕の名曲『ザ・ポイント・オブ・ノーリターン』のシーンだ。劇団四季では本作の上演を1988年から重ねているだけあり、稽古場とはいえすでにかなりの完成度の高さで、俳優たちは充実の演技を見せる。劇中劇のリハーサルシーンは、巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーによるオペラ風のデコラティブな楽曲も印象的だが、バックステージの慌しい雰囲気も見どころのひとつ。舞台の端に至るまで、俳優たちそれぞれが細かい芝居を見せていて興味深く面白い。演出スーパーバイザーを務める俳優、北澤裕輔も「『ハンニバル』が終わったあとの皆さんの反応、リアクションが素晴らしかったです。引き続き、そのままで」とコメント。また怪人とクリスティーヌのデュエット『ザ・ポイント・オブ・ノーリターン』では、怪人役を長く務めている俳優・佐野正幸が、クリスティーヌに恋焦がれ、また自らの外見にコンプレックスを持つ怪人の苦しい胸のうちを、繊細な演技と迫力の歌声で圧倒していた。取材会ではまず佐野が「今回はやはり、KAATという劇場でやるということが目玉」、山本が「私自身、いま神奈川県に住んでおり、この劇団も横浜の劇団。私の地元でもあり、劇団の地元である神奈川で公演ができるのが楽しみ」と今回の横浜公演への期待をそれぞれ語る。さらに佐野は「今回のキャストは作品経験者が多く、しかも稽古期間がいつもより長い。また、本番ではなかなか見ることのできない、他の人の場面も見られるので、貴重な経験が出来ている」と、万全の体制で横浜公演に向けて準備を重ねていることを明かした。佐野は怪人役を務めるようになってから11年目。「1988年の初演、最初の公演はアンサンブルとして立っていました。その後色々な役を経験して、ファントムとしても11年。僕の劇団四季の人生のほとんどが『オペラ座の怪人』と共にある。昨年1年間は『美女と野獣』の野獣役などを主に演じており、1年間ファントム役からは離れていたので、自分でも今、新鮮に演じられています。1年のあいだに別の役で培った経験が、どう11年目のファントムに出てくるか、僕自身も楽しみにしています」と佐野。劇団四季がお膝元・横浜で、気合い十分に挑む『オペラ座の怪人』、お楽しみに。公演はKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて、3月25日(土)開幕。チケットは発売中。
2017年03月15日赤坂大歌舞伎 新作歌舞伎「夢幻恋双紙 赤目の転生(ゆめまぼろしかこいぞうしあかめのてんせい)」。その4月6日(木)の開幕を前に赤坂氷川神社で公演成功祈願が行われ、中村勘九郎、中村七之助、作・演出の蓬莱竜太をはじめ、出演者の市川猿弥、中村鶴松、中村いてう、中村亀鶴、片岡亀蔵が出席した。赤坂大歌舞伎 チケット情報「赤坂大歌舞伎」5回目にして初の新作歌舞伎としても注目を集めている本作。作・演出は『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016年)での第20回鶴屋南北戯曲賞受賞も記憶に新しく、勘九郎、七之助と同世代でもある劇作家・蓬莱が務める。成功祈願後に行われた囲み取材で、勘九郎は「赤坂大歌舞伎として成功祈願というものを初めてやらせていただきました。身の引き締まる思いです」と挨拶。現在真っ最中の稽古について蓬莱は「初めて歌舞伎の演出をやらせていただいていますが、劇団のようにみんなが一緒になって作っているという印象で、リラックスして充実した稽古ができています。歌舞伎と現代劇は違うと思って入ったのですが、そういうことをあまり意識しなくていいという空気を作ってくださって。自由に歌舞伎を発想していいんだという風に勘九郎さんも七之助さんも言ってくださるので、その言葉を鵜呑みにしてやっております」。本作が描くのは、男と女の業。愛する歌(七之助)を幸せにするために転生を繰り返す男・太郎を演じる勘九郎は「(今作で描くものが)普遍的だったり日常の会話だったりするので。そこで転生していく男としていろいろな言葉を浴びせられるのは…まあ疲れますね!歌舞伎でも、突拍子もなく殺されるとか自分の子供を身代わりにしたりとかいう感情の苦しさはあるんですけど、(本作のように)日常にあることを言われ続けるというのは、意外とクるものがあります」と古典とは違う感覚を明かす。“恋愛あるある”が描かれたストーリーについて七之助は「世の男性は少なからず体験したことはあるんじゃないかという台詞が散りばめられています。だからこそ表面だけで演じたらペラペラになっちゃう。ひとつ芯を持って掘り下げないと、せっかく蓬莱さんの描いた作品を台無しにしてしまうので、今はその稽古中ですね」。さらに成功祈願を行った赤坂氷川神社が東京三大縁結び神社のひとつであることにかけ「この作品に出合えたことも縁だと思いますし、普段の歌舞伎ではあまり一緒にならない出演者たちが集まっていることも縁。それを大切にしたい」と本作ならではの“縁”を語り、稽古の充実を感じさせた。出演者のこれまでにない姿が見られそうな本作。公演は4月6日(木)から25日(火)まで、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2017年03月15日元宝塚歌劇星組トップスターで、在団中は誰もが認める芝居・歌・ダンスの三拍子揃った実力派として知られていた北翔海莉。昨年11月に歌劇団を退団した彼女が、ミュージカル『パジャマゲーム』で女優デビューを果たす。演出はイギリスの若き鬼才トム・サザーランド。初タッグを組むふたりに話を訊いた。チケット情報はコチラ英国では名だたる演劇賞を次々と獲得し、今最もエキサイティングな若手演出家と称されているトム。日本でも『タイタニック』『グランドホテル』の2作品を上演。歴史のある作品を、深い脚本の読み込みと丁寧な人物造形から、普遍的でリアルな人間ドラマとして清新に創出し、日本の演劇ファンも一気に注目する存在となった。そのトムが北翔の卓越した技術に惚れこみ実現するのが『パジャマゲーム』だ。「北翔さんが主演した『ガイズ&ドールズ』を映像で観て、素晴らしくて。存在感が圧倒的だったんです。今回のヒロイン・ベイブは強さが必要な役。“あ、この役は北翔さんだ”とすぐにピンと来ました」とトム。物語は、7セント半の賃上げを望むパジャマ工場の労働者と雇用者の闘いと、その中の恋をコミカルに描くもの。北翔が演じるベイブは、労働者側の急先鋒に立つ女性。その役柄に北翔も「21年間、宝塚でズボンしかはいたことがなく、女優として出ることに不安があったのですが、ベイブ役なら今の自分で勝負できるかなと思ったんです。男性と対等に戦える芯の強さが要求されているのかな、と」と、すんなり腑に落ちている様子。ただし「ラブシーンがいっぱいある。今までは男性側の感情しか経験していないから、どんな感じでやればいいのかな(苦笑)」という不安はあるそうだが、そこは「恋に不器用というのはベイブも一緒。怖いと思ったら、その怖さも受け止めて、心を開いて楽しみましょう」とトムがフォロー。「自分が感じる、そのままでいいんですね」と北翔も納得の表情だ。またオリジナル版は伝説の振付家ボブ・フォッシーのデビュー作であることからもわかるように、ダンス満載の作品でもある。中でも『スチーム・ヒート』というナンバーが有名だが、残念ながらベイブのシーンではなく「そこに出られないのが残念! カツラをつけて違う役で出させてもらえませんか!?」と北翔がトムに直訴。その願いが叶うのか定かではないが、トムも「他のシーンもダンス! ダンス!というものになります。新しい北翔さんも引き出します!」とニッコリ。「もうダメだと思うくらい踊りたいし、歌いたい。稽古開始が数か月後というのがもったいない気持ちです」と北翔が言えば、「今、稽古しましょうか(笑)」とトムが返す。どうやら、生来のマジメさと作品への愛情で気が合いそうなふたり。名作『パジャマゲーム』が新たに息づく今秋の公演まで、しばしお待ちを。公演は9月25日(月)から10月15日(日)まで東京・日本青年館ホール、10月19日(木)から29日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。ぴあでは3月21日(火)11:00まで最速先行「いち早プレリザーブ」を受付中。
2017年03月15日村井良大、中川晃教らが出演するミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が4月より東京・シアタークリエほかで上演される。原作はチャールズ・M・シュルツのコミック『ピーナッツ』。誰もが知る人気キャラ、チャーリー・ブラウンやスヌーピーたちが歌いダンスする楽しい作品だが、あなどるなかれ、れっきとしたブロードウェイ産ミュージカルで、しかも今年で誕生から50年という由緒ある作品だ。開幕を約1か月後に控えた3月6日には、“顔寄せ”と呼ばれるキャスト・スタッフが一堂に会する場がもたれ、作品は本格始動。その模様をレポートする。チケット情報はコチラかつて坂本九や小堺一機、市村正親といった名優たちも出演したことのある作品だが、日本では16年ぶりの上演。演出を手掛ける小林香は「コメディ・ミュージカルであり、ずっとニコニコが続く。春爛漫の4月にぴったり」とその魅力を語る。同時に「子ども向けミュージカルなのではと誤解されることが多いのですが、この作品は、かつて子どもだったことのある大人が、大人になった今も忘れたくないと思っているものを、子どもの目を通して伝えているミュージカル。大人になればなるほど、この作品の良さがわかる。子どもも楽しめて、大人も楽しめる作品というのは難しい。手ごわいですが、みんなで一丸となって、心して立ち向かっていきましょう」とカンパニーにはっぱをかけた。小林が「キャストは6人。少人数ですが、才能豊かな、可能性に溢れる皆さんが集まった」と自信を見せる注目のメンバーは、チャーリー・ブラウンに村井良大、ルーシーに高垣彩陽、サリーに田野優花(AKB48)、ライナスに古田一紀、シュローダーに東山光明、そしてスヌーピーに中川晃教。主役の村井は「本当に素敵な作品なので、この6人で力を合わせて、素敵な舞台にしましょう」と意気込みを。また先ごろ、第24回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞したばかりの中川は「この作品のお話を最初に頂いたとき、真っ先に「あのスヌーピーだよね!?絶対やる!」と言いました。そして集まったこの6人の顔を見て、最高のものが生まれる予感しかありません」と話した。中川の言葉どおり、顔寄せ後に引き続き行われた稽古では、おなじみのキャラクターの可愛らしい日常の喜びや悩みを、キャスト陣が生き生きとした表情で紡ぎ出していく。まだ稽古初期段階で、動きのついていない状態であり、もちろん衣裳もつけていない。だがだんだんと村井の顔がチャーリー・ブラウンの困り顔に、中川の顔がスヌーピーの得意げな顔に見えてくる。ミュージカル界きっての美声・中川の本気の「ワン!」も飛び出した。すでに稽古場は笑顔がたえないハピネスな空間だったが、ここからさらに稽古を重ね、4月には幸せの花束のような作品が登場するのだろう。期待して待とう。公演は4月9日(日)から25日(火)まで東京・シアタークリエにて。その後、福岡、大阪、愛知でも上演される。チケットは発売中。なおチケットぴあ演劇専門サイト「げきぴあ」では本作の稽古場レポートを随時更新予定。
2017年03月14日2015年に上演され、話題になった『デスノート THE MUSICAL』がこの秋、2年ぶりに再演される。原作は社会現象にもなった大ヒットマンガ『DEATH NOTE』。これを豪華キャストと世界レベルのクリエイターの手で制作し、韓国でも上演された日本発信の大作ミュージカルだ。再演も楽しみな中、3月4日・5日には、夜神月(やがみ らいと)役の浦井健治・柿澤勇人(Wキャスト)、L役の小池徹平らメインキャストが集結し、東京・TBS赤坂ACTシアターにて『デスノート THE CONCERT』を開催した。『デスノート THE MUSICAL』チケット情報『デスノート THE MUSICAL』は、個性の強いキャラクターになりきった俳優たちのビジュアル再現度の高さに加え、『ジキル&ハイド』などを手がけたフランク・ワイルドホーンによる楽曲の素晴らしさも人気の要因。その音楽の良さを存分に堪能できるコンサートとあって、チケットは即日完売。劇場には大勢のファンが詰め掛けた。開幕前のステージ上にはスポットライトに照らされた真っ赤なリンゴ。『デスノート』のスリリングでスタイリッシュな世界観が早くも伝わってくる。コンサートは荘厳なエンディング曲『レクイエム』からスタート、続けてテーマ曲とも言えるナンバー『デスノート』を、浦井と柿澤、ふたりのライトが歌い継ぐ。ともにミュージカル界を代表する実力派俳優だが、2年の経験を得てふたりとも、歌声がいっそう力強くなったようだ。その後、弥海砂を演じる唯月ふうかが可愛らしいナンバーで会場を盛り上げ、小池も『ゲームの始まり』でLの決意を高らかに歌い上げる。実際の舞台の衣裳・メイクではないものの、前かがみの姿勢や上目遣いの視線に、好評だった小池のLが蘇った。死神レム役の濱田めぐみは相変わらずの圧巻の歌声。特に海砂を見守る深い愛を歌い上げる『愚かな愛』は、劇場を感動の渦に包み込む。そんな懐かしいメンバーに加え、再演で死神リュークとして参加する石井一孝も、その迫力の歌声とユーモア溢れる存在感でアピール。MCでも「自分はリュークと顔が似ているからこの役が来たのかな」と笑わせた。さらに韓国版のリューク、カン・ホンソクも参戦。鬼気迫るパフォーマンスの後、一転して人柄の良さがにじむにこやかなトークで作品への愛を語った。ワイルドホーンによるメロディアスな音楽を、日本ミュージカル界屈指の歌唱力を持つメンバーが思いいれたっぷりに歌い、さらに実際の舞台では叶わないふたりのライトが同じステージに立つ姿も観られた、豪華なコンサート。新キャストの高橋果鈴(夜神粧裕役)、別所哲也(夜神総一郎役)のビデオメッセージも流され、秋の本公演への期待も大いに高まった。さらには9月に新国立劇場 中劇場で行われる東京公演に先駆け、7月に台湾公演(台中ツアー)が決定したことも発表に。ワールドワイドに展開する日本発の舞台『デスノート THE MUSICAL』に、引き続き注目だ。
2017年03月13日