澤田空海理(読み:さわだそうり)が主催するツーマンライブ『手 vol.1』が4月5日、渋谷PLEASURE PLEASUREで開催された。ライブタイトルにvol.1とあるように、このツーマンライブは今後シリーズ化する予定。記念すべき初回にあたるこの日は、澤田が敬愛するシンガーソングライター・古川本舗をゲストに招いた。まずは、アコースティックギターを携えた古川本舗が登場。夕焼け色の照明に包まれた古川の爪弾くアルペジオから、1曲目の「ordinaries」が始まった。吸った息をただ吐いただけのように自然な、しかし外の世界には安易に染まらないこの歌声の凛とした存在感は何だろうか。「夜」の空気をまとった古川の歌に、客席にいる一人ひとりが声を上げず、音も立てずに聴き入っている。観客にとっては、歌と自分が一対一になれるような贅沢な時間であり、自分が過去に置いてきたものに想いを巡らせられる貴重な時間だ。古川本舗対バンに呼ばれる機会はあまりないという古川。「今日はわたくし前座です。こういうことを言うと、やつはすごく嫌がるんだけど(笑)」という発言から読み取れたのは、澤田との飾らない関係性だ。MCでは、澤田のことを「アーティストとしてまっすぐで、すごくいいやつ」と称しつつ、「今日呼んでもらって、気恥ずかしいながらも嬉しいです。改めて澤田くん、ありがとう。そして来てくださった皆様もありがとうございます」と語った。古川はその後、4月24日に配信リリースする新曲「三分半 feat. mm.」や未配信曲も披露。ライブ終盤では「緊張しつつも楽しかった」と振り返り、「今年は社会性を身につけたい」「人と一緒にどんどんライブをしていきたい」と展望を述べたあと、澤田や観客へ再び感謝を伝えた。そして「ベイクドパンケイクス」で鮮烈な印象を残して終了。澤田空海理のステージは、SE代わりの朗読音声からスタート。しばらくして登場した澤田は、ステージセットのベンチに腰掛け、アコースティックギターを鳴らしながら「可笑しい」を歌い始めた。澤田の楽曲には主人公の心の声や実際に発した声、思考の足跡や感情の移り変わりが詞になっているものが多い。そしてライブだと、呟くように歌ったり、声を思いきり張ったりといったボーカルの振れ幅によって、それが表現される。観客は、曲の主人公の心情に自分を重ねながら、あるいは重ならない分の距離を内省の種に変えながら、音楽に浸っていたことだろう。澤田空海理「またねがあれば」「薄荷飴」と春の曲を続けて披露したあとのMCでは、古川や来場者、この日のライブをともに作ったスタッフに向けて、「本当にありがとうございます。夢が一個叶ったような気がしています」と伝えた。自分が一番楽しむつもりでいるからMCでは好きなことを喋ろうと、事前に内容を考えてこなかったとのこと。観客へ語りかける時の声色がやわらかかったこと、また、古川について語るときの声色が明るかったことが印象的だった。その後は、ライブの前々日に配信リリースした新曲「作曲」をピアノアレンジで披露。澤田空海理「作曲」MVさらに、古川本舗の楽曲「スカート」「東京日和」を前者はギター、後者はキーボードの弾き語りでカバーするなど、この日ならではの特別な場面が続いた。ライブの終わりが近づく中、「僕はみんなに悲しんで帰ってほしいんです。思い出すこといろいろとあるだろうし。そういうトリガーになりたいと思います」と観客に伝えた澤田。ラスト2曲、「振り返って」「遺書」で拍手もせずに聴き入っていた観客の姿を見るに、この日披露された楽曲の一つひとつは聴く人の心に強く残ったはずだ。深い余韻とともに、ライブは幕を閉じたのだった。Text:蜂須賀ちなみPhoto:星野健太<公演情報>澤田空海理 ツーマンライブ『手 vol.1』4月5日(金) 東京・渋谷PLEASURE PLEASURE出演:澤田空海理 / 古川本舗セットリスト■古川本舗1. ordinaries2. ナイトクルージン3. ライフタイムサウンドトラック4. HOME5. 知らない6. World borderline7. クロエ8. 三分半9. ベイクドパンケイクス■澤田空海理1. 可笑しい2. またねがあれば3. 薄荷飴4. 作曲5. 已己巳己6. 望春7. スカート(カバー / オリジナル:古川本舗)8. 東京日和(カバー / オリジナル:古川本舗)9. 振り返って10. 遺書<リリース情報>澤田空海理 配信シングル『作曲』配信中澤田空海理『作曲』ジャケット【収録曲】1. 作曲2. 作曲(instrumental)配信リンク:公式サイト:
2024年04月08日澤田空海理が、メジャー3rdシングル『作曲』を4月3日(水) にリリースすることを発表。同日20時より表題曲「作曲」Music Videoがプレミア公開されることも決定した。本作は、澤田が生活と音楽の真ん中を手探りで見つける、日常の延長線上を描いたナンバー。澤田にとって作曲は生活そのもので、嘘や誇張なく、自分に誠実に生活することから音楽は生まれるという。本楽曲は、さくら味を表現するための言葉選びよりも、春を食べたいという感情が優先された。併せて、澤田本人のコメントが到着した。■澤田空海理本人コメント私は春を食べたい。曲を作る、で作曲ですがその本質は何なのかと時に考えます。日々の些事を音楽へと昇華することは容易ですが、果たしてそれだけが作曲なのでしょうか。「生活」と「作曲」を切り離す方もいれば、そのふたつは地続きであると考える方もいらっしゃいます。私は間違いなく後者です。裏返せば、「生活」が停滞した時、「作曲」は立ち行かなくなります。では「生活」を「作曲」のための、いうなれば発生装置のようなものとして扱えば良いのでしょうか。日録から歌詞を引っ張り出すのではなく、歌詞にするに値する経験を自ら探し求める姿は求道者のそれに映るかもしれませんが、言ってしまえば本末転倒です。曖昧な境界線の上を歩くことでしか書けない情景が在るはずで、それこそ歌を歌たらしめるものだと私は信じます。さくら味って実のところ何味なのか、私は知りたくありません。私は春を食べたいのです。「作曲」MV※4月3日(水) 20:00 プレミア公開<配信情報>メジャー第3弾配信シングル『作曲』『作曲』ジャケット4月3日(水) 配信リリース【収録曲】1. 作曲2. 作曲(instrumental)配信リンク:<ライブ情報>『手 vol.1』(SOLD OUT)4月5日(金) 東京・渋谷PLEASURE PLEASUREOPEN 18:00 / START 19:00出演:澤田空海理 / 古川本舗公式ホームページ:
2024年03月30日毎日新聞出版株式会社は、2022年7月4日に直木賞作家・澤田瞳子さんの歴史小説『恋ふらむ鳥は』を発売します。『恋ふらむ鳥は』書影(帯あり)「誰かの娘、妻、そして母としてではなく、一人の人間として生きる――」飛鳥の動乱を生き抜いた万葉の歌人、額田王(ぬかたのおおきみ)の激動の半生従来の額田王像にとらわれない物語構成、女性の自立、壬申の乱からちょうど1350年など、2022年の今、ぜひ読んでいただきたい要素がぎっしりとつまった一冊です。【本書の内容】古しへに 恋ふらむ鳥は 杜鵑(ほととぎす) けだしや鳴きし 我が念へるごと時は7世紀。飛鳥の世に生きた一人の女、額田王(ぬかたのおおきみ)は子まで成した大海人王子(おおあまのみこ)と別れ、その兄、葛城王子(かつらぎのみこ)の仕切る宮城で宮人として勤めに邁進する。女の身で、一人の人間として歌詠みとして生きる道を模索するも、葛城の死、大海人の挙兵でその運命は一転する。白村江の大敗、叔父と甥が争う壬申の乱……。動乱の飛鳥の世を生き抜いた額田王の運命はいかに。【書誌情報】書籍タイトル: 『恋ふらむ鳥は』著者 : 澤田瞳子価格 : 2,200円(税込)発行 : 毎日新聞出版判型 : 四六判・上製ページ数 : 568ページISBN : 978-4-620-10857-5 【著者プロフィール】澤田瞳子(さわだ・とうこ)1977年、京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院博士前期課程修了。2011年、デビュー作『孤鷹の天』で第17回中山義秀文学賞を受賞。13年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞2012ならびに第32回新田次郎文学賞を、16年『若冲』で第9回親鸞賞を、20年『駆け入りの寺』で第14回舟橋聖一文学賞を、21年『星落ちて、なお』で第165回直木賞をそれぞれ受賞。近著に『輝山』『漆花ひとつ』がある。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年07月04日第165回直木賞作家澤田瞳子氏トークイベント「松花堂文化サロン京都やわたで紡ぐ創作の糸」を令和4年3月21日(月・祝)に八幡市立松花堂美術館(京都府八幡市)にて開催致します。イベントURL: 澤田瞳子氏トークイベント「京都やわたで紡ぐ創作の糸」について松花堂美術館は、江戸時代初期を代表する文化人であった松花堂昭乗ゆかりの美術館です。その昭乗が当時の文化人と交流した遺徳をしのび、現代の「松花堂文化サロン」として「創作」をテーマとしたトークイベントを開催。古来から京の都の守護神であった国宝・石清水八幡宮を中心とした、歴史・文化が豊富な「京都やわた」を舞台に、創作について語ります。ゲストは歴史小説家であり直木賞作家でもある澤田瞳子氏、聞き手は松花堂美術館館長と並木学芸員。※コロナ禍であることを鑑み、当館では初となる、オンライン同時配信も実施します。澤田瞳子氏Ⓒ文藝春秋開催概要日時: 令和4年3月21日13時~14時30会場: 八幡市立松花堂美術館アクセス: 京都府八幡市八幡女郎花43-1JR京都駅・大阪駅から最寄駅まで約30分参加費: 会場参加2,000円 オンライン参加1,000円3月上旬刊行予定の新刊「漆花ひとつ」の名前入りサイン本も同時購入可定員: 有お申し込みはこちら : 松花堂美術館とは庭園は約20,000㎡の広さがあり、文化財に指定・登録されている草庵「松花堂」、泉坊書院のほか、小堀遠州が松花堂昭乗と共に創作した茶室「閑雲軒」を含む松隠、千宗旦好みの四帖半の茶室がある梅隠、江戸時代から続く京の数寄屋大工が建てた竹隠の三棟の茶室があります。美術館の主な収蔵品は、草庵「松花堂」や泉坊書院に付属する内装品、松花堂昭乗およびその門人に関連するもの、そして八幡市にゆかりある美術品や資料等です。展覧会は、春と秋に企画展・特別展を開催するほか、年に3回ほど館蔵品を中心とした展示をおこなっています。松花堂庭園(外園部分)美術館展示室本イベントに関するお客様からのお問い合わせ先MKトラベルTel:075-662-1700 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月16日国内外の有能な映像作家を数多く見い出してきた《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》が4日に閉幕した。コロナ禍の影響で映画祭自体はオンライン配信での開催となったが、授賞式に関しては例年通り、SKIPシティ映像ホールで実施。国内の入選監督が集まる中、各賞が発表された。注目の国際コンペティション部門で最高賞となる最優秀作品賞の栄冠は、ノルウェーとスウェーデンの合作映画『願い』が手にした。過去最高数の国と地域から、過去最大本数の作品が集まった本年度の国際コンペティション。過去最高の激戦といっていい賞争いは、今回が初長編となるマリア・セーダル監督が制した。『願い』は、突然、末期がんを告知された中年女性と、そのパートナーの男性の物語。事実婚である彼らが直面する試練と苦難、その先にかすかにみえる希望がじっくりと描かれる。セーダル監督自身の体験を元にした作品で、トロント国際映画祭をはじめ、のベルリン国際映画祭など、世界の映画祭を巡り高い評価を受けている。コロナ禍で来日が叶わなかったセーダル監督はビデオメッセージを寄せ、「ノルウェーにある山小屋の自宅で、受賞のメールを受け取りました。この受賞は私にとって特別なことです。というのも、自伝的な体験を作品にすることは初めてのこと。それは自分にとってチャレンジングなことでした。その作品がこのような評価を受けたということは、人としても、文化としても、国境を超えられたのではないかと感じています。たいへん勇気づけられました」と述べ、最後は日本語で「ありがとう」と感謝の意を伝えた。審査員を代表してコメントを寄せた審査委員長の映画プロデューサー、澤田正道氏は、冒頭で「審査員全員一致でこの作品が大賞に決まりました」と語り、「ガンを告知された女性という強いコンセプトで始まりながらも、映画は、この主人公の人間そのもの、本質を描き出していく。この主人公は決して憐れみを受け入れず、ときに観客にとっても目をそむけたくなるような態度をみせる。だが、彼女の死んでいくことへの恐怖と、残されていく子どもたちへの母親としての責任が(こちらに)ひしひしと伝わってくる。まさにそこに生身のひとりの女性、ひとりの母親を見ることができる。その傍らで何もできない夫のふがいなさはとても実感できるものがある。撮り手の監督自身がこの主人公の女性と寄り添って、『生きる』ということを問いただしている気がする。監督が次になにを撮るのか興味深い」と作品を評した。もうふたつの主要賞である監督賞と審査員特別賞は、こちらも女性、ロシアのナタリア・ナザロワ監督の『ザ・ペンシル』が受賞。2冠を手にした。『ザ・ペンシル』は、暴力の恐怖に対抗する武器として、生徒たちに鉛筆を与えた、ある女性美術教師の物語。いかなる不条理にも圧力にも屈することなく、芸術の力を信じて己を貫くヒロインの気高き生き様が描かれる。審査員を務めたロッテルダム国際映画祭およびロカルノ国際映画祭のプログラマー、ジュリアン・ロス氏は本作について「いまは、社会的圧力によって前に進むことがひじょうに困難な時代。この問題はロシアを含む世界各地が抱えている。そこに本作は焦点を当てている気がする」と語り、もうひとりの審査員である映画監督の三島有紀子氏は、「ほんとうに力強い作品。ロシアの社会構造と、世界中で蔓延している『みたくないものをみない』という風潮を寓話として物語に落とし込めているところがすばらしい。ナザロワ監督は『みたくないものをみていかなければならない』『わたしたちはみなければならない』ことを力強くメッセージとして伝えてくれた」と称賛のコメントを寄せた。セーダル監督同様に来日が叶わなかったナザロワ監督は「私は日本が大好き。詩をはじめあらゆる日本の伝統的な文化を私は愛しています。ですから、日本での受賞は私にとってとても大きなことです。いつの日か日本を訪れたい」と喜びをビデオメッセージで伝えた。国内コンペティション部門に目を転じると、長編部門がアンシュル・チョウハン監督の『コントラ』、短編部門が藤田直哉監督の『stay』がそれぞれ優秀作品賞に。国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して授与するSKIPシティアワードは、国内作品で唯一国際コンペティション部門に選出されていた『写真の女』の串田壮史監督が手にした。今回の開催を振り返ると、コロナ禍でも起きている人間同士の分断、あるいはジェンダーの問題、社会の多様性など、いままさに目を向けるべき問題を体感する機会になったといっていいかもしれない。それほど入選作品には、今の時代を色濃く反映し、今の社会や人間の在り方を問う力作が並んだ。審査委員長の澤田正道氏も総評で「女性監督の作品をもっと推薦すべきだという意見を映画祭でも業界でも聞く。しかし、本映画祭で改めて実感したのは、女性監督の作品がすでにしっかりと根をはってきていること、女性・男性という考えが徐々に昔のことになっていこうとしていること。近い将来、女性監督の映画、男性監督の映画という言い方自体が古く感じさせるときが近づいているような気がする。今回、受賞した2作品はいずれも女性監督です。でも、誰も女性監督の作品と意識してみていないものです。映画は性別などないこと。さまざまな人が映画という表現方法を使って世界と対峙していることを見せてくれました。もうひとつ考えさせられたのは戦争について。今起きている戦争、過去に起きた戦争、今起こっている戦争にわれわれはどう接するべきなのか、過去に起きた戦争に対する私たちの立ち位置とはどうあるべきなのか、そういうことを映画を通して考えさせられるのはとても意義のあることだと思う。われわれのように作る側においては、このテーマを扱う際の責任と覚悟をあらためて感じさせられました」と審査を通して、今の時代を痛感した主旨のコメントを述べた。また、コロナ禍という事態を受け本映画祭は、苦渋の決断でオンライン配信での開催を余儀なくされた。制約がつく中での開催となったが、会期中の視聴数は6000を突破。コンペティション部門のみの配信上映で、例年に比べると上映本数も少なくイベントもない中で、この数字は大健闘といっていい。その中で審査員の澤田氏は映画祭についても触れ「いま商業的にいうとイベント性をもたない映画は公開さえ難しくなってきている。そういう状況の中で、映画祭は、シンプルに映画を映画としてみせる可能性を残している。そのことを今回の開催では実感した。この映画祭が末永く続いていくことを望む」とメッセージを寄せた。そういう意味で、今年の《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》は、改めて映画祭の存在意義を示す開催になったといっていいかもしれない。なお受賞結果は以下の通りになる。<国際コンペティション>最優秀作品賞:『願い』監督:マリア・セーダル監督賞/審査員特別賞:『ザ・ペンシル』監督:ナタリア・ナザロワ観客賞:『南スーダンの闇と光』.監督:ベン・ローレンス<国内コンペティション>SKIPシティアワード:『写真の女』監督:串田壮史<国内コンペティション>優秀作品賞[長編部門]:『コントラ』監督:アンシュル・チョウハン優秀作品賞[短編部門]:『stay』監督:藤田直哉観客賞[長編部門]:『コーンフレーク』監督:磯部鉄平観客賞[短編部門]:『ムイト・プラゼール』監督:朴正一取材・文:水上賢治《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》詳細は
2020年10月05日8月31日(月)、デジタルシネマにフォーカスし、今年で第17回を迎えた「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020」のラインナップ発表会見がオンラインで行われた。「SKIPシティ映画祭」は映像表現の可能性とエンタテインメント性を備えた作品を世界中から厳選し上映する、若手映像クリエイターの登竜門として有名な国際コンペティション映画祭。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、史上初となるオンライン配信で9月26日(土)~10日4日(日)の9日間に開催されることになった。上映部門も例年より縮小し、コンペティション部門(国際コンペティション、国内コンペティション長編部門、国内コンペティション短編部門)のみ実施される。実行委員会会長の大野元裕・埼玉県知事、実行委員会副会長である奥ノ木信夫・川口市長はそれぞれビデオメッセージで「オンライン配信は初めての試み。ファンを広げる機会になれば」「映画界の次代を担っていくクリエイターの発掘と育成を今後も継続して支援していく」とコメント。会見に出席した映画祭ディレクターの土川勉氏は、コロナ禍において「若いクリエイターが作品を発表する機会が減っている」と指摘し、「発表の場を設けないと、映画祭の意義はないと思い、コロナ禍の影響を受けない方法として配信を選んだ」とオンライン配信での映画祭開催に理解を求めた。会見では国際コンペティション、国内コンペティションの各審査員も発表された。国際コンペティション審査委員長に就任した映画プロデューサーの澤田正道氏は「国境を超えることが制限されている今、映画はさまざまな方法を見つけて、国境を超えようとしています。伝えたい、作りたいという願望と、見たい、共有したいという欲求が相互作用で存在しているからだと思います」とビデオメッセージで熱弁。さらに、「多くのことを発見し、学ぶことになると思います。同じ映画人として、ジェラシーを覚えるような作品に出合えることに期待しています」と抱負を語った。そして、国内コンペティション審査委員長に就任した美術監督の部谷京子氏は、ビデオメッセージの中で「コロナ禍のなかで、映画製作者の皆さんは、揺るぎない信念と覚悟をもって、現場に臨んでいらっしゃると思います。この映画祭を通して、皆さんの作品に出合えること、そして皆さんを知る機会を得られて、本当に幸せです。目いっぱい楽しみましょう」と声を弾ませていた。なお、国際コンペティション部門には、パトリック・エークルンド監督の『カムバック』やアナトール・シュースター監督の『シュテルン、過激な90歳』、国内コンペティション長編部門には、磯部鉄平監督の『コンフレーク』、長谷川朋史監督の『あらののはて』、短編部門に宮部一通監督の『つぐない』や若葉竜也監督の『来夢来人』が選出されている。取材・文=内田 涼SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020(第17回)開催概要■会期:2020年9月26日(土)~10月4日(日)までの9日間■上映:動画配信サイト「シネマディスカバリーズ」での有料配信。WEBブラウザ(PC、タブレット、スマートフォンなど)動画再生は日本国内からのアクセス時のみ可能■内容:国際コンペティション10作品、国内コンペティション(長編部門5作品)、国内コンペティション(短編部門9作品)■公式サイト: ()■シネマディスカバリーズ× SKIP シティ国際D シネマ映画祭特設サイト: ()
2020年08月31日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。■『Substance』澤田育久「無個性な駅構内(公共空間)を切り取っていく行為は、写せば写すほど自分の感情と切り離され抽象さを増し、人工的な被写体の連続する構成は重さねれば重なるほど、物質的なメディウムに還元されていく。普段、私たちが目にする空間をなるべく感情的な高揚や美的な感覚から遠ざけ、淡々と無機質な物質として鑑賞者に提示することで、無個性な環境の異質さ歪さを増幅させていく。この作品集『Substance』は澤田が捉えた写真と、改めて空間に配置された作品を同じ時間軸に並べることで見えてくる視点を中心に構成されている。ページを捲ることによって変化する写真の重なりと構成は作家の視点と見る側の視点がクロスしながら、澤田が常に意識する被写体との距離を体現しているような感覚に落ちていく」(Publisher’s Description)駅の壁や柱、階段、シャッターなどを断片的に撮影した写真を、現代アート作品を見せるかのように提示する澤田育久の作品集。本書は、異なるサイズのページを階段状に綴じ、後ろページのイメージと前ページの重なりがもらたす視覚的効果も含めて体感するスタイルの本となっている。今回、写真集の刊行を機に、東京・恵比寿にある路上から見ることができるディスプレイ型ギャラリー「CAGE GALLERY」と、澤田育久が代表を務める神保町のオルタナティブ・スペース「The White」で展覧会が開催される。「CAGE GALLERY」では、空間に吊るした写真同士の関係性、写真と空間の関係性を考察。「複数の写真に写されている関係性を同時に見ることによって、新しいイメージを獲得することができるのではないか? 」という考えに基づき、空間に配置したプリント、それらイメージが持つ関係性を衝突させて、フレームの外まで写真を拡張させるという展示を試みる。澤田育久は、1970年東京生まれのフォトグラファー/作家。2012から2013年に「The Gallery」、2014年よりオルタナティブ・スペース「The White」を主宰する。これまで、2011年に個展「closed circuit」(TOKI Art Space/東京)、2012年11月から1年間にわたり毎月新作による連続展「closed circuit, monthly vol.1-vol12」(The Gallery/東京)などで作品を発表してきた。書籍は、2017年に自身のレーベル・The Whiteより写真集「closedcircuit」を刊行。2018年10月にRONDADEより今回紹介した最新作を「substance」発表している。【書籍情報】『Substance』写真:澤田育久出版社:Rondadeソフトカバー/120ページ/260×400mm発刊:2018年価格:6,200円■Shelfオフィシャルサイトで『Substance』を購入する【展覧会情報】substance Ikuhisa Sawada会期:11月27日〜2019年1月14日会場:CAGE GALLERY住所:東京都渋谷区恵比寿2-16-8 1F澤田育久展会期:12月3日〜15日会場:The White住所:東京都千代田区猿楽町2-2-1 #202時間:13:00〜19:00休廊日:日・月曜日
2018年11月10日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)です。■「澤田知子 FACIAL SIGNATURE」澤田知子「顔は印鑑や署名のようなもので、その人それぞれのID、本人を証明するものだと思う」の言葉にあるように、1998年に『ID400』という、400 通りに自身の姿を変えた証明写真の作品を発表して以来、セルフポートレイトを手法として多くの作品を生み出してきた澤田知子。約8年振りとなる今回の新作『FACIAL SIGNATURE』は、作家がニューヨークで生活をしていた体験が元になっている。「人は何を、どこを見て個人を判断しているのか知りたいと思い、様々な東アジア人に見えるように変装した」という考察の下、300点のセルフポートレイトを撮影した。ページを捲るたびにこちらを直視する女達。どこかで見たことがあるような、誰かに似ているような、自分自身を見ているような、人間のアイデンティティの強さと儚さを浮き彫りにし、見る者に正面から問い掛ける。ナディッフ本店を有する複合アートスペースNADiff A/P/A/R/T 2F MEMにて現在開催中の「澤田知子FACIAL SIGNATURE」展は4月19日まで。18日にはナディッフアパートにて、本人を招いた出版記念トーク&サイン会開催も開催される。【書籍情報】「澤田知子 FACIAL SIGNATURE」著者:澤田知子出版社:青幻舎言語:日本語ソフトカバー/320ページ/B6発刊:2015年価格:5,000円
2015年04月02日