4月29日、骨が見つかった段階で小倉とも子さんは「美咲のものではない」と、週刊女性記者に気丈に語っていた「悲劇のヒロインぶるな」、「母親が怪しい」。小倉とも子さんは美咲ちゃんが行方不明になった当初から心ない誹謗中傷にさらされてきた。ジャーナリストの水谷竹秀氏は2年前からとも子さんに取材をし、その姿を間近に見てきた。水谷氏が見たとも子さんの慟哭の日々とはーー。こんなに憔悴しきっている彼女の姿を見たのは初めてだった。報道されている顔写真は、寝不足のためか、顔が少しむくんでいるようだ。今回ばかりはさすがに動揺を隠しきれないのが、その表情から感じ取れた。「山梨・道志村で人の“頭の骨”か?不明女児との関連性を調査」こんな見出しのニュースが目に飛び込んできたのは、ウクライナの首都キーウ中心部を車で走っているときだった。ロシア軍によるウクライナ侵攻を取材するため、3月下旬から現地入りしていたのだ。東京から約8200キロ離れた異国の地でその一報を知った私は、思わず目を見張り、記事を読んで身体が凍りついた。2019年9月、道志村で当時小学1年生だった小倉美咲ちゃん(千葉県成田市)が行方不明になっており、私は長らく母・とも子さん(39)の取材を続けていたからだ。4月26日のその一報によると、道志村で骨の一部を発見したのはボランティアの男性。届け出を受けた山梨県警は捜索を開始し、とも子さんは同日、ツイッターにこう投稿した。2年前から知る姿はなかった「美咲が無事に戻ってくると信じています」ところがその思いとは裏腹に、同月28日と29日には運動靴と靴下1枚が見つかった。そこで私は、とも子さんを励ますメッセージを送ると、「ありがとうございます! ウクライナお疲れ様でした。無事でよかったです。帰宅までお気をつけて」と逆に私のことを気遣う余裕すら見せていた。5月4日にはまた人の骨のようなものと、黒い服がそれぞれ見つかった。それでもとも子さんは、「私は絶対に諦めません」「必ず神様が美咲を守ってくれて、私の元へ無事に返してくれると信じています」と、その信念は揺らがなかった。だが、表情には言葉どおりの強さはなく、身も心もボロボロの寸前に陥っているように見えた。少なくとも、私が2年前から知るとも子さんの姿は、そこにはなかった。「週刊誌不信」から始まった出会いとも子さんに初めて会ったのは2020年5月26日。行方不明から9か月近くがたっていた。「ごめんなさい。今はお断りさせてください」取材を申し込むと、返ってきたのはわずかな言葉だけ。その理由を知りたいと、山梨県警が捜索活動を再開させるタイミングに合わせ、道志村までとも子さんに会いに行ったのが始まりだ。そこで彼女の口から聞かされたのが、週刊誌報道に対する不信感だった。すぐには難しいと判断した私は、2日間にわたる捜索の間、とも子さんとできるだけ話をした。2日目は報道陣が捜索活動の現場に張りついていたので、私はとも子さんと2人で山中を捜しながら2時間半ほど歩いた。話し始めるとだんだん打ち解け、こちらの質問にも丁寧に答えてくれた。その時に彼女が発した、次のような言葉が印象に残っている。「こうして山を歩きながら、美咲に関するものが出てこないことで、ホッとする気持ちもあります」美咲ちゃんは今もどこかで生きているはずだーー。それを裏付ける「物的証拠が存在しない」ことを確認するために、とも子さんは道志村まで足を運んでいたのだ。今思えばその時の道中が、今回、骨や衣類などの遺留品が見つかった現場付近だった。美咲ちゃんの捜索や情報提供を呼びかけるちらし配りなどのため、とも子さんは毎月2回ほどのペースで、千葉県成田市の自宅から山梨県まで車で通った。印刷したちらしは68万枚を超え、印刷代や交通費を含めるとかかった経費は少なくとも330万円。そんな活動を続ける傍らで、今もとも子さんが向き合わざるをえない現実がある。誹謗中傷に苛まれた日々SNSによる誹謗中傷だ。「悲劇のヒロインぶるな!」「募金詐欺か!」それは美咲ちゃんが行方不明になった直後から始まった。その急先鋒となった「怨霊の憑依」と呼ばれる謎のブログまで登場し、「とも子の周りは薬物関係者」「美咲ちゃんの事件は臓器売買で海外まで連れ去られた」といった根拠のない話を並べ立て、美咲ちゃんのことで頭を抱えるとも子さんの傷口に、塩を塗り込んだ。こうした心労が重なり、とも子さんは報道陣を前に会見するときはいつも、事前にどんな内容を話すのか考え、そして自分の言葉がどう報道されるのかを気にしていた。会見が終わると「今の私の言い方大丈夫でしたか?」とわざわざ報道陣に確認する場面もあった。それほどまでにとも子さんは繊細で、世間の受け止めを意識せざるをえない状況に追い込まれていたのだ。前述のブログを管理していた野上幸雄被告(71)は名誉毀損罪に問われ、千葉地裁は昨年末、懲役1年6か月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。野上被告は控訴し、現在、東京高裁で審理が続いている。美咲ちゃんの行方不明からちょうど2年が経過したときのこと。当初に比べて報道の数が減っていく焦りも感じていたのか、とも子さんはあるとき、こう漏らした。「今でしたらいつでも取材をお受けしますよ」あれほどまで週刊誌嫌いだったとも子さんが、自ら取材への協力を申し出た言葉に、藁にも縋りたい気持ちがにじみ出ていた。ツイッター投稿をストップしたとも子さんしかしその思いは今回、最悪の形でメディアから再び注目されることになった。山梨県警の捜索で見つかった人の骨や遺留品の鑑定作業が進み、美咲ちゃんのDNA型と同一であることが確認された。しかも美咲ちゃんが10歳の誕生日を迎えた翌、5月14日に発表され、とも子さんに伝えられた。このタイミングは偶然か必然か。確かに「美咲は無事に戻ってくる」と信じ続けたとも子さんの思いは届かなかった。しかし、別の意味で、美咲ちゃんに通じていたのではないだろうか。「ママ、今までありがとう。もう大丈夫だよ」天国にいる美咲ちゃんが、必死で捜し続けるとも子さんを思いやって、そんな心の声を発していたとしても不思議ではない。ツイッターへの投稿をぷつりとやめ、沈黙を続けるとも子さんははたして、次に会ったときに何を語るのだろうか。水谷竹秀(みずたに・たけひで)ノンフィクション・ライター。1975年生まれ。上智大学外国語学部卒。2011年『日本を捨てた男たち』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞。10年超のフィリピン滞在歴をもとに、「アジアと日本人」について、また事件を含めた世相に関しても幅広く取材している
2022年05月27日29日、取材に答える小倉美咲ちゃんの母、とも子さん撮影/北村史成山梨県道志村のキャンプ場で当時小学1年生の小倉美咲ちゃん(9)が行方不明になってから2年7か月。ここに来て事態は急転している。山梨県警は26日、同村の山中で子どものものと思われる頭部の骨が見つかったことを発表した。県警によると23日、40代男性が山道脇で人の骨のようなものを発見。写真を撮って確認し、25日に道志村の駐在所に届け出て、26日に人骨の一部と判明した。警察は美咲ちゃんとの関連を調べるとともに、周辺を重点的に捜索。すると28日、頭部の骨が見つかった同じ沢で美咲ちゃんが履いていたものと類似する運動靴が見つかったのだ。右足側だけで、劣化していたという。29日、母親のとも子さんは週刊女性の取材に応じた。「美咲ではないと信じています。だから大丈夫」と気丈に振舞っていたが、その心中には計り知れない苦悩があったことだろう。それは今年中学生になったばかりの長女も同じだ。「人骨が見つかったという話があったとき、私も長女も“美咲のはずがない”という思いでした。なのでそこまで気にしないで過ごしていたんですね。でも運動靴が見つかった時はさすがに長女がどう感じるか心配で……」(とも子さん、以下同)美咲が戻ってきたら何を食べようか事件が起きた当初は美咲ちゃんの「み」という言葉を聞くだけで敏感に反応し、泣きじゃくっていたという3学年上の当時小学6年生の長女。だが徐々に心境の変化が見え始め、母・とも子さんの捜索活動にも協力するようになっていった。美咲ちゃんが行方不明になって1年ほど経つと、姉も現場となったキャンプ場の来場者に情報提供を呼びかけるちらし配りに参加するように。昨年夏の取材では、とも子さんは長女とこんな話をしていると答えていた。『美咲が戻って来たら何を食べようか、何をしようか』美咲のものじゃないから大丈夫捜索をサポートしてきた姉にとっても、運動靴の発見は大きなショックとなるだろう。そう思ったとも子さんは長女がこのニュースに触れる前に、自身の口から伝えたという。「“美咲の履いていたのと同じシューズが見つかったけど、美咲のものじゃないから大丈夫だよ”って。すると長女はひとこと“うん、わかった”と。それでも不安な思いでいるだろうし、ゴールデンウィークだというのにちっとも楽しませてあげられない」そう話すと、とも子さんは視線を落とした。その先には美咲ちゃんが大事にしていた子犬のぬいぐるみが強く握り締められていた。とも子さんは希望を込めて続ける。「美咲が履いていた靴は保育園の頃から履いていたもので、私が書いた名前があるはず。見つかったシューズに名前は確認できませんでした。美咲が自分のもとに必ず元気で帰ってくると信じているので、見つかるまで探し続けたいです」そんななか29日午後、捜査関係者によると、28日に見つかった運動靴と同じ種類の左足側が発見されたという。警察は山中から見つかった骨とともに、新たに見つかった靴の鑑定を進めている。
2022年04月29日女優の伊東美咲さん(44)は、かねてよりお付き合いしていた大手パチンコ機器メーカー京楽産業社長の榎本善紀さんと2009年に結婚。2人の気になる馴れ初めですが共通の友人の結婚式がきっかけで知り合い、交際から結婚まで1年と早かったようです。現在は3人のお子さんのママというから驚きですね!先日は、美しいメガネ姿の写真を公開し注目を集めているようです。早速チェックしてみましょう!美しすぎる白ニットにメガネスタイルに反響 この投稿をInstagramで見る 伊東美咲(@misaki_ito_official)がシェアした投稿 マネージャーさんとコーヒーを飲んだときの1枚を公開してくれました。白のタートルニットにメガネ姿がとっても上品で素敵な美咲さん。今も昔と変わらぬ美しさで、美咲さんがコーヒーショップにいたらひときわ目立ちそうですね。コメント欄には「昔と変わらず、お綺麗です♡」「結婚しお子さんを産んで10年以上の年月を経過しても美しさが変わらない♡」「メガネ姿がオフ感あって新鮮です」とくぎ付けになるフォロワーが続出のようでした。子育てに専念するため、女優業は休止中の美咲さん。滅多に見ることができないため美咲さんの写真が公開されると注目が集まるようです。今後も素敵な姿をチェックしていきたいと思います!あわせて読みたい🌈賀来賢人さんバッキバキの肉体美を公開「脱いだら凄かった!」
2022年04月05日演出家・栗山民也と、劇作家・瀬戸山美咲の初タッグによる舞台『彼女を笑う人がいても』が上演中である。描かれるのは、現代と1960年のふたつの時代。現代において東日本大震災の被災者を取材している新聞記者・伊知哉と、彼の亡くなった祖父で1960年の安保闘争を取材していた新聞記者・吾郎が、その中心にいる。両者を演じるのは瀬戸康史だ。被災者の取材が継続できなくなり、仕事に行き詰まりを感じた伊知哉が、糸口を探そうと祖父の取材ノートを開くと、その瞬間、伊知哉から吾郎へ、現代から60年へと変わるのである。演劇ならではのマジックによって、自然にふたつの世界へ引き込まれていく。左から阿岐之将一、木下晴香、瀬戸康史、渡邊圭祐ふたりの新聞記者を観続けていくうちにやがて、時代は違っても、彼らが同じ苦しみを抱えていることがわかってくる。安保闘争が激化する中で命を落とした女子学生の死の真相を追おうとするも、新聞社の上層部が闘争の沈静化をはかろうとして阻まれる。東日本大震災の被災者の声はもう必要ないとばかりに連載を打ち切られ、配置転換させられる。本当の声が伝えられることはないのである。左から瀬戸康史、吉見一豊だからこそだろう。登場人物たちは、必死の思いで言葉を紡ぎ対話する。舞台上にあるのは、ふたつのテーブルといくつかの椅子。あるときはテーブルを挟んで向かい合い、あるときは隣同士に座り、伊知哉が、吾郎が、誰かの言葉を聞き、自分も言葉を放つ。しかも、ひとりの役者がふたつの時代の人物を演じ分けて、伊知哉と、吾郎と、次々に話していくのである。過去の会話と現在の会話がつながっていくかのような不思議な感覚に襲われる。左から木下晴香、瀬戸康史ストレートプレイ初出演となる木下晴香は、現代で被災者家族を、過去では、命を落とした女子学生の覚悟を尊敬しながらも運動に迷いを持つ学生を誠実に演じ、まさしく声なき声が聞こえてくるようだった。これが初舞台の渡邊圭祐の演じ分けも見事である。現代で演じた新人記者では、身体の置きどころが定まらないような様子で今どきの若者を軽やかに表現。一転、奉仕活動を行い運動を批判する過去の学生を演じるときには重さを感じさせ、その立ち姿は強い印象を残した。左から瀬戸康史、渡邊圭祐左から近藤公園、瀬戸康史近藤公園が演じたのは、被災者家族の兄と、女子学生の死の究明に協力する議員。被災地で生きるつらさに消えてしまいそうな姿が切なかった。そのほか、阿岐之将一、魏涼子、吉見一豊、大鷹明良がしっかりと脇を固め、その中心に立つ瀬戸が、あえてであろうが、伊知哉と吾郎の演じ分けをすることなく、とにかくまっすぐにずっと舞台にいて、彼らの声を聞き、疑問や怒りをぶつけていく。報道とは何か。言葉の力は消えたのかと。瀬戸康史タイトルにある「彼女」とは、命を落とした女子学生のことを指している。彼女自身は出てこないが、彼女の周りでこんなにも格闘した人がいて、今につながっていく。言葉が軽んじられたり、言葉による真摯な訴えが冷笑されることも多い今、笑う人がいてもあきらめたくない。言葉の芸術と言われる演劇で、そう心を強くした。取材・文:大内弓子撮影:細野晋司『彼女を笑う人がいても』作:瀬戸山美咲演出:栗山民也出演:瀬戸康史木下晴香渡邊圭祐近藤公園阿岐之将一魏涼子/吉見一豊大鷹明良2021年12月4日(土)~2021年12月18日(土)会場:東京・世田谷パブリックシアターほか、福岡・愛知・兵庫公演あり
2021年12月06日保育園時代の美咲ちゃん山梨県のキャンプ場で、当時小学1年生だった小倉美咲ちゃんが行方不明になっても9月21日で2年。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏が母の小倉とも子さんに取材を試みたところ……。(情報提供:)「美咲が一緒じゃないと楽しめない……」山梨県道志村のキャンプ場で小学3年生の小倉美咲ちゃん(当時7、現在9)=千葉県成田市=が行方不明になってから9月21日で2年──。当初は美咲ちゃんの「み」という言葉を聞くだけで敏感に反応し、泣きじゃくっていたという3学年上の小学6年生の姉(12)にようやく、心境の変化が見え始めた。「思い出してしまうので長女はしばらく山梨に一緒に行けませんでしたが、徐々に捜索活動に協力してくれるようになり、前向きな姿勢に変わりました」そう語る母親のとも子さん(38)は、今も毎月2回ほどのペースで、千葉の自宅から山梨へ車で通う。協力してくれる家族や友人、ボランティアの人々と一緒に、現場となったキャンプ場の来場者に情報提供を呼び掛け、ちらし配りを続けているのだ。「行方不明から1年ぐらい経って姉もちらし配りに参加できるようになりました。今は、美咲が戻って来たら何を食べようか、何をしようかという話ができるまでになったんです」(とも子さん・以下同)ところがまだ幼い姉の胸の内は、やはり複雑だった。そんな不安定な幼心を今年夏、とも子さんは目の当たりにすることになる。■つきまとう誹謗中傷美咲ちゃんが行方不明になった2019年9月21日以来、とも子さんが山梨へ通ったのはおよそ50回を数え、印刷したちらしは68万枚に上った。ガソリンや高速代など交通費は往復で1回2万円弱かかり、ちらしの印刷代や掲示の協力者への送料なども含めると、美咲ちゃんを探す活動に使った経費の総額は、少なくとも330万円。そんな地道な活動を重ねても、とも子さんの思いは未だに実を結ばず、心が沈んでしまいそうになる日もある。「こんなに長い間、美咲と会えなくなるとは思ってもみませんでした。1日1日できることを全力でやってきたらいつの間にか2年が経った感じです。風化への恐れはありますが、今も美咲のことを気に掛けてくれる人がたくさんいるので、私はそこに希望を見出し、活動を続けています」呼び掛けや情報発信は、ホームページやツイッター、インスタグラムなどのSNS上でも頻繁に行っているが、発生当初は、とも子さんに対する誹謗中傷や脅迫めいた投稿が殺到した。《よくこんな時にインスタに投稿できるな》《お前が犯人だろ!》《娘以上に怖い思いさせてやる!殺される残りのわずかな時間楽しめ》度を越した書き込みを続けた男性2人がこれまでに、脅迫や名誉毀損の容疑で逮捕され、うち1人には懲役6カ月執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。残る1人の刑事裁判は現在も続いている。これ以外にとも子さんは、誹謗中傷をした投稿者の情報開示を求める訴訟を相次いで起こしており、大阪地裁では今年8月、開示が認められた。開示された情報を基に、刑事告訴を検討している。こうした「闘う姿勢」が奏功し、誹謗中傷は当初に比べて大幅に減ったが、完全にはなくならない。つい先日も、《お前らどんだけ祈ってんねん──中略──目を離した親も悪いしただ世の中にありふれている事件の1つに過ぎない》という書き込みを目にした。「ゼロにはならないと思っていましたが、行方不明時に比べれば傷つく回数は減りました。その分、美咲のことに集中できるようになりました」■美咲ちゃんの姉が漏らした本音小倉家では、家族の誕生日にディズニーランドへ行くのが恒例行事だった。美咲ちゃんが行方不明になって以降は一転、足が遠のいた。昨年7月の姉の誕生日、とも子さんは久しぶりに姉を誘ってみたが「美咲が一緒のほうが楽しいから我慢する」との返事。小学校生活が最後となった今年の誕生日は、思いきって連れて行った。新型コロナウイルスの影響で入場が制限されたおかげで、いつも以上にアトラクションに乗る回数が増え、楽しんでいる長女の笑顔に嬉しくなった。ところが……。「乗り物にたくさん乗れて嬉しかったけど、心からは楽しめなかった」帰りの車中に、長女が発した言葉に、とも子さんは胸が締めつけられた。「やっぱり美咲が戻ってこない限り、心から本当に笑える日は来ないとあらためて感じました。早く2人を一緒に学校に通わせてあげたい。そのためにも親として、できることを全力でやりたい。絶対に見つかる、無事に戻ってくるという思いは今も揺らいでいません。戻って来た時には、笑顔で迎えられるようにしたいです」そう決意を新たにするとも子さんは、いつかの日を胸に、今日も山梨でちらしを配り続けている。美咲ちゃんに関する情報は、山梨県警大月警察署0554-22-0110小倉美咲ちゃん捜索ホームページ()取材・文/水谷竹秀(みずたにたけひで) ノンフィクション・ライター。1975年生まれ。上智大学外国語学部卒。2011年『日本を捨てた男たち』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞。10年超のフィリピン滞在歴をもとに、「アジアと日本人」について、また事件を含めた世相に関しても幅広く取材している。
2021年09月21日現代日本演劇界の巨匠・栗山民也と、近年凄まじい活躍ぶりの次代を担う劇作家・瀬戸山美咲がタッグを組んだ新作「彼女を笑う人がいても」の全キャストとツアー先会場が決定した。「安保闘争」をテーマに現代社会に向けた物語を投げかける本作。出演には、これまで発表した瀬戸康史、木下晴香、渡邊圭祐、近藤公園に加えて、話題の舞台作品に次々と出演している阿岐之将一、舞台・テレビドラマのほか声優としても目覚ましい活躍を遂げる魏涼子、舞台だけでなくテレビドラマ・映画・ラジオドラマ・吹替など幅広く活躍中の吉見一豊、長年舞台で活躍し続けテレビドラマ・映画にも多数出演している大鷹明良が決定した。また、ツアー先の会場も決定。世田谷パブリックシアターを皮切りに、福岡市民会館、刈谷市総合文化センター、兵庫県立芸術文化センターにて上演される。チケットなどの詳細は、追って発表される予定だ。【公演概要】「彼女を笑う人がいても」作:瀬戸山美咲 / 演出:栗山民也出演:瀬戸康史 木下晴香 渡邊圭祐 近藤公園阿岐之将一 魏涼子 / 吉見一豊 大鷹明良日程:2021年12月4日(土)~12月18日(土)会場:世田谷パブリックシアター主催:公益財団法人せたがや文化財団 / 企画制作:世田谷パブリックシアター / 後援:世田谷区<ツアー公演>[福岡公演] 12月22日(水) 福岡市民会館・大ホール [愛知公演] 12月25日(土)~26日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール [兵庫公演] 12月29日(水)~30日(木) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール ※詳しい公演スケジュールは、決定次第、世田谷パブリックシアターホームページにてお知らせいたします公演詳細は決定次第、劇場HPにてお知らせして参ります。
2021年07月20日舞台『染、色』のフォトコール及び取材会が28日に東京・東京グローブ座にて行われ、正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、三浦透子、岡田義徳、加藤シゲアキ(原作・脚本)、瀬戸山美咲(演出)が登場した。同作は、小説『オルタネート』で第164回の直木賞候補にあがった加藤が2015年に上梓した短編集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA/角川文庫刊)の一編を舞台化。主人公・市村(正門)は周りに才能を認められ、彼女もいて、何不自由なく過ごす美大生だが、そんな毎日を退屈に感じながら日々を送っている。ある日、壁にグラフィティアートを落書きする謎の女性・美優(三浦)と出会うと、彼女の不思議な魅力に魅せられた市村は、彼女と一緒に行動するようになり、退屈だった日常に変化が訪れていく。初主演の正門のほか、三浦透子、松島庄汰、小日向星一、黒崎レイナ、岡田義徳が出演する。「むちゃくちゃ気持ちが高まってます」という正門は、フォトセッション中に2回もタオルを差し入れられ、汗について指摘されると「出てますねえ。比例していってますねえ。ズクズクです」と独特な表現。初主演については「めちゃくちゃ緊張してます、本当に」と言うが、新型コロナウイルスの影響で1年延期となった上演について「去年出来なかったりとか、いろいろ中止になったりということもあったんですけど、この1年間で楽しみとか期待とかの気持ちがどんどん高まってきて、ほどよく色んな感情が今あります、自分の中に」と心境を吐露した。原作・脚本をジャニーズ事務所の先輩である加藤が務めていることについては「逆にすごくプレッシャーですね。怖いですよ! 初めてお話いただいたのは2年半前の秋だったんですけど、そのときはびびりまくってましたね。ようやくやるぞというのが高まってきた感じです」と苦笑する。加藤は「プレッシャーですよね、きっと。決して簡単ではない役ですし、かといって正門に合わせるのもある意味失礼かなと。なので、この役に飛び込んでもらうつもりで遠慮なく書かせてもらいました」と語る。加藤は「稽古場に何度か足を運ばせてもらって、あんまり近くで見たらかわいそうかな、遠くで座ろうと思ったんですけど、『真ん前に座ってください』と。プレッシャーに慣れたい、と。そういう意味では本番さながらの緊張感を与える役割だったかな」と振り返り、「どんどん成長していく姿は見ていてたくましいですし、初舞台なのに堂々としてるなと感心してます」と後輩を称賛した。加藤は正門に楽屋のれんも贈ったと明かし、正門は「びっくりしました。昨日小屋入りやったんですけど、楽屋入った瞬間スタッフさんが『ちょっと待ってください!』ってケータイで動画を回しだして、わからんまんま行ったらのれんがかかってて、ファーストリアクションを動画にいおさめたいと」と状況を説明。しかし加藤は「その動画、見てないんだけど! もらってない。写真は見たよ! 動画は見てない。あとで確認しておきます」と抗議し、「出せばいいんじゃない? ブログとかで」とアドバイスもしていた。正門について、岡田は「大変真面目だと思います。本当に、近年まれに見る真面目だなと思うくらい真面目で、その姿勢が伝わってくるので、アドバイスできることはいくらでもアドバイスするし、逆にわからないものは全部聞いてきて本当に努力家だなあと思います」と絶賛。「考えちゃうと周りが一瞬見えなくなる時があったりして、そういうの見てると、『ああ、かわいいなあ。自分もそういう考え込んだ時期ってあったなあ』と思うので、あたたかく見守って。そういう瞬間が稽古でもいくつかあったので、『調子悪い?』と聞いたり、『乗り切れない?』って聞いてみたりとか」と様子を明かす岡田に、正門は「カウンセリングに近いというか、支えられました」と感謝する。また三浦は「先にダンスの稽古があったので、割と緊張せずに入れた感じはあったかなと思います。最初は真面目で誠実でしっかりされてる方かなあと思って、実際ほとんどそういう印象なんですけど、割と抜けてるところがある。そういう瞬間とか稽古場とかでも笑いが起こる。意図してないと思いますけど、稽古場の雰囲気を盛り上げてくれてる」と語った。
2021年05月28日舞台『染、色』のフォトコール及び取材会が28日に東京・東京グローブ座にて行われ、正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、三浦透子、岡田義徳、加藤シゲアキ(原作・脚本)、瀬戸山美咲(演出)が登場した。同作は、小説『オルタネート』で第164回の直木賞候補にあがった加藤が2015年に上梓した短編集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA/角川文庫刊)の一編を舞台化。主人公・市村(正門)は周りに才能を認められ、彼女もいて、何不自由なく過ごす美大生だが、そんな毎日を退屈に感じながら日々を送っている。ある日、壁にグラフィティアートを落書きする謎の女性・美優と出会うと、彼女の不思議な魅力に魅せられた市村は、彼女と一緒に行動するようになり、退屈だった日常に変化が訪れていく。初主演の正門のほか、三浦透子、松島庄汰、小日向星一、黒崎レイナ、岡田義徳が出演する。レポーターからの「クリエイターの加藤さん」という呼びかけを受け、「クリエイターの加藤シゲアキです」と自己紹介した加藤。「本来であれば去年公演のはずで、瀬戸山さんとも何度も打ち合わせして『すごく良い台本ができたね』という話をした次の日に中止になってしまって。『せっかく話し合って良いものを作れたのに悔しいですね』という話をしたのが昨年の末くらい」と経緯を明かす。加藤はさらに「情勢がどうなるかわからないながらも、もう1度上演する機会をいただけた時にすごく嬉しかったですし、この1年いろいろあった思いを逆にエネルギー、バネにしていい作品にしたいというところで、瀬戸山さんとは、気持ちを一つにしてここまでやってこれたと思います。僕の思いを受け止めて演出していただいたので、すごくいいものができるんじゃないかなという気がしてます」と自信。この1年の間に著書『オルタネート』(新潮社)が「第42回吉川英治文学新人賞」に輝いたが、「何かと話題にしていただく機会が多かったので、そういう意味では良かったのかなと思います」と照れ笑いを浮かべた。演出の瀬戸も「1年前にすごく良い戯曲ができたという手応えがあって、世に出せないことが本当に悔しかったんですけど、稽古を重ねて本番も明後日。原作もとても面白いし、戯曲はさらに深まっていてとても良い作品だと思うので、実際に演じてもらって、作品が生き始めたなという感じがしています」と手応えを感じている様子。加藤は役者としても瀬戸山とタッグを組んでいたが、今回は「最初から僕が出ないプロジェクト」を希望していたという。加藤は「僕が出ることで僕のイメージ通りに出来るけど、そうじゃないのが見たいと思っていて。原作も自分の作品なので、手を離れたときに僕の想像を超えるものにしてくれる演出家の方にして欲しいということで話が進んでいたんです。瀬戸山さんとは1度ご一緒して、間違いなく良い作品にしてくださるだろうと思ったので、脚本家に徹することが喜びだと今回は感じてました」と、改めて意図を説明した。実際に原作・脚本を手がけた作品が上演されることについては「感慨深いものがあります。想像を超えて良い作品になっていますし、キャスティングが決まる前に台本が出来ているので、台本を読んでこの仕事を受けるというキャストの方もいると思う」としみじみ。「お芝居しやすい脚本というより、『読んでいて面白い作品にする』のが個人的なミッションで、楽しい台本にしようとしてめちゃくちゃ細かいト書きも書いて……僕はラブレターだと思ってみなさんに送ったんですけど、瀬戸山さんは挑戦状だと受けとったようです」と笑いを誘う。「無茶ぶりのようなト書きを忠実に再現しようとしてくださる意地みたいなものが見ていて楽しいし、変わったところは『ここはさすがに無理だったんだろうな』という面白さもあったりします。『変えてもいいですよ』と言ってるんですけど、瀬戸山さんもすごく真摯に『まずはそのままやります』と。『染、色』を愛してこの作品に臨んで下さってるんだなと思います」と、役者とは違う視点の面白さを語った。
2021年05月28日4人組ダンスパフォーマンスグループ「s**t kingzz(シットキングス)」の持田将史(shoji)と小栗基裕(Oguri)が主演する舞台『My friend Jekyll(マイ フレンド ジキル)』が4月21日(水)に開幕する。持田と小栗、上演台本・演出の瀬戸山美咲に話を聞いた。本作は、『ジキルとハイド』を題材にした物語を、持田と小栗が“朗読の語り手”と“パフォーマー”にわかれ(上演回によって入れ替え)、紡いでいく舞台。2019年に東京・Spiral Hallにて上演された作品で、多くのリクエストに応え、この再演が実現した。取材時は稽古期間中。瀬戸山は「初演よりも、作品世界に潜っていって創っている感じがあります。みんなで人物の感情や背景を掘り下げて、ひとつひとつのセリフがなぜ生まれているかを探究しています」と手ごたえを感じているよう。初演は持田と小栗にとって初挑戦も多く、持田は「当時は声を発してなにかを表現すること自体が初めてでしたし、台本の読み方もわかりませんでした。それからいろいろな経験をして(持田はドラマデビューし、『半沢直樹』や『エール』に出演)、今回ようやく少し本質に近い質問ができるようになってきたのかなと思っています」、小栗は「初演は『ちゃんとやらないと』という気持ちがすごく強かったのですが、それからいろんなお芝居を観たりレッスンを受ける中で、観ているほうも100点を求めていないし、100点がなにかもわからないということに気付きました。僕はずっと、ダンスは『できた、〇。ちょっとブレた、×』というような減点方式でやってきたのですが、芝居でそれをやったら絶対に面白くないし、むしろ予想がつかないほうが面白い。だから今回は、『この瞬間に出たもので大丈夫だ!』『ワクワクしろ、俺!』と自分に言い聞かせています」と、共に初演よりもひとつステップを上がった状態で取り組んでいるという。瀬戸山はふたりの印象を「本当にタイプが違う。朗読もダンスも違います。小栗さんはまず舞台上での佇まいが美しいですし、整った表現をされる。今回はさらに中身も燃やしていて、前回よりも感情の表現が進化しています。将史さんは感情の生き物。朗読もダンスもパッションの人なので、キワキワのところを狙っていきたい」と話す。そんな瀬戸山の演出を持田は「同じ台本でも、瀬戸山さんは稽古中、僕にアドバイスをしているときは『小栗さんはこれは聞かないでください』とおっしゃるんですよ。『ここは小栗さんは突っ走ってください。将史さんはセーブしましょう』というような、違う引き出し方をしてくださいます」と、全く違うものになりそうだ。新たな意気込みが詰まった『My friend Jekyll』は、4月21(水)から25(日)まで東京・シアタートラム、5月22(土)・23日(日)に⼤阪・ABCホールにて上演。ライター: 中川實穂
2021年04月19日正門良規(Aぇ! group / 関西ジャニーズJr.)主演舞台『染、色』の上演日が5月29日(土)からとなることが決定した。さらに本公演のキービジュアルも発表されている。この舞台は小説『オルタネート』で吉川英治文学新人賞を受賞したNEWSの加藤シゲアキが初の舞台脚本。2015年に出版された短編小説集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA / 角川文庫刊)収録の、美大生のリアルな日常と葛藤を描いた『染色』で、自身初の舞台化&脚本に挑む。主演は、19年に結成された関西ジャニーズJr.の“Aぇ! group”のメンバーで、NHKの連続テレビ小説『スカーレット』 での好演で幅広い世代から注目を集め、昨年は『DIVER-特殊潜入班-』にも出演した正門良規。自身の才能に葛藤する等身大の美大生・深馬役を演じる。壁にグラフィックアートの落書きをする謎の女性に三浦透子、深馬の大学の友人役に松島庄汰と小日向星一、深馬の恋人役に黒崎レイナ。そして深馬が所属するゼミの教授役を、実力派俳優の岡田義徳が務める。演出は、加藤シゲアキ主演舞台『グリーンマイル』(2017年)の演出を担当し、演出を手掛けた『現代能楽集X「幸福論」~能「道成寺」「隅田川」より』が「第28回読売演劇大賞」で選考委員特別賞を受賞した瀬戸山美咲。本作ではクリエイター側としてタイトル題字も手掛けた加藤と共に“才能”という壁に向きあう若きアーティストたちの生々しい葛藤と日常を鮮やかに彩る。■舞台情報『染、色』<東京公演>5月29日(土)~6月20日(日)会場:東京グローブ座料金 S席 9,000円A席 8,000円B席 6,000円(全席指定・税込)※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止一般発売日:5月8日(土)10:00<大阪公演>6月24日(木)~6月30日(水)会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ料金:9,000円(全席指定・税込)※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止一般発売日:5月8日(土)10:00
2021年03月10日’20年7月、野上被告を取材すると、小倉美咲ちゃんの写真などをプリントし「小倉とも子が犯人だという証拠」と主張していた山梨県のキャンプ場で、当時小学1年生だった小倉美咲ちゃんが行方不明になって約1年5か月。母・とも子さんを自身のブログで誹謗中傷したなどとして、名誉毀損の容疑で昨年逮捕された野上幸雄被告。逮捕前から被告への取材を続けてきたノンフィクションライター・水谷竹秀氏が初公判の模様を伝える。また、水谷氏にかかってきた脅迫電話の音声も初公開。(情報提供:)静まり返った法廷内に、証言台に立つ男の荒っぽい声が響き渡った。「はっきり言ってねえ、小倉とも子が犯人じゃないっていう証拠がない」その瞬間、傍聴席の最前列に座っていた、スーツ姿の小倉とも子さん(37)は眉をひそめた。これは検察官による起訴状の朗読後、被告人に対して行われた罪状認否の場面での出来事だ。■名誉毀損とはこれっぽっちも思っていない男の証言に面食らった向井香津子裁判長が「ええっとですね」と制しようとするも、男は無視して続けた。「はっきり言って分かんないんですよ。それを追及したらたまたまこういうことになったんだけど、これ(起訴状)ねえ、インターネットで意味のない感想文をだらだらと書いてるけど、1番肝心なものが抜けているでしょ?」男は身振り手振りで、裁判長に訴えかける。耐えかねた裁判長から、「先ほど読まれた起訴状の内容は名誉毀損に当たらないということでいいんですよね?」と問われてもなお、男は曖昧な答えを繰り返す。「だから、それはねぇ、わかんないの」弁護士からも「簡潔でいいですよ」と突っ込まれ、男はようやく本題に入った。「名誉毀損とはこれっぽっちも思っていないよ。(起訴状は)全然チンプンカンプンなことを言っている」2月25日午後、千葉地裁第701号法廷。初公判で起訴内容を否認した男は着席し、腕を組んだ。マスクの上から見える目は鋭く、薄い眉が、どこか威圧感を与えている。この男の名前は、野上幸雄被告 (70)。山梨県のキャンプ場で2019年9月、行方不明になった小倉美咲ちゃん(8)の母・とも子さんを自身のブログで誹謗中傷したなどとして、名誉毀損の容疑で昨年10月、逮捕されていた。起訴状などによると、野上被告は、『怨霊の憑依』と呼ばれるブログを管理し、事件発生直後から毎日、とも子さんへの憶測や偏見を生み出す書き込みを続けていた。ブログの管理人名は野上ではなく、「和田隆二」。肩書きは「霊媒師」。野上被告はこのブログの中で、美咲ちゃんの行方不明について、《募金詐欺、美咲ちゃんの事件はかなり組織だってやっているそうです》(2020年2月13日付)《今までの流れで親が関与し人身売買、臓器売買が真相だろう》(2020年10月3日付)などと説明し、とも子さんの名誉を毀損した。初公判での野上被告は相変わらず質問への受け答えができておらず、話の内容も支離滅裂だ。検察官が起訴状を読み終えた直後には、その内容について、「感想文だなぁと思った」と言って、こう持論を展開した。「私は行方不明の子を探しているだけであって、それに対して誹謗中傷しておとしめているっていうのは関係ない」人身売買に関しては開き直った。「人身売買は世界中で摘発されている。1日に何十件も。みんな親が関与している。だからそういうふうなことを書いて何が悪いんだ!」こうした野上被告の供述に対し、弁護士も、「被告人においては(ブログへの投稿は)社会正義と公益をはかる目的のために必要と考えている」と正当性を主張。■「お前ちょっと家まで来いや!」この一連のやり取りを傍聴席から眺めていた私は、昨年7月に静岡県熱海市で、野上被告に会ったときのことを思い出した。その模様については、『小倉美咲ちゃんの母を誹謗中傷し続けるブログ主を直撃、支離滅裂な「正義」の主張』(同年7月17日付)というタイトルで週刊女性の記事にした。するとブログで私に対する事実無根の書き込みがなされ、その1か月半後には、私の携帯に野上被告から電話が掛かってきた。「この野郎、ナメた記事書きやがって。お前ちょっと家まで来いや!」いきなりそう怒鳴りつけられ、30分にわたって恫喝が続いた。そこで今度は『小倉美咲ちゃんの母への“誹謗中傷男”逮捕、記者にもかけていた「脅迫電話30分」』(同年10月16日付)というタイトルで追加記事を発表した。野上被告が逮捕されたのはちょうどこのタイミングだった。話は少しややこしくなるが、とも子さんへの誹謗中傷では同じ時期に、もう1人、別の男が逮捕、起訴されている。その初公判を傍聴した際には、野上被告の「信者」とみられる中年女性からしばらく睨み付けられた。無視して退廷したものの、野上被告のブログには私への書き込みが続いていたため、「野上一派」からマークされているのはほぼ間違いなかった。だから野上被告の初公判でも、同じような人間が傍聴に来るのではないかと、少し警戒していた。だが、杞憂に終わった。とも子さんに対しても、法廷内で野上被告が直接的な暴言を吐くことはなかった。初公判終了後、とも子さんは裁判所前に集まった報道陣に向かって、野上被告と対面した感想を、神妙な面持ちで語った。「美咲がいなくて苦しみのどん底に突き落とされたまま1年5か月が経っている。そうした家族にあのような言葉をネットに書き綴られていたのは言葉にならないぐらい辛かった。人身売買のために美咲に手を掛けたというようなことを言われたのは事実無根。それが社会正義のためと言われたら、何でも通ってしまう世の中になる」涙ぐんだとも子さんは、今でも毎週のように、何らかの手掛かりを探すため、山梨に通っているという。「どこかに美咲が無事で元気でいてくれれば、また笑顔で会えると信じている」その手には、美咲ちゃんのお気に入りだったプードルのぬいぐるみがしっかりと握られていた。PROFILE●水谷竹秀●ノンフィクションライター。1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部卒業。カメラマンや新聞記者を経てフリーに。2011年『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞受賞。近著に『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』(集英社文庫)など。●情報提供のお願い【情報提供先】大月警察暑TEL:0554-22-0110情報提供はHP
2021年02月26日現代日本演劇界の巨匠・栗山民也と、近年凄まじい活躍を見せている劇作家・瀬戸山美咲がタッグを組んだ新作舞台『彼女を笑う人がいても(仮題)』が2021年12月に世田谷パブリックシアターにて上演されることが決定した。『彼女を笑う人がいても(仮題)』は2021年と安保闘争が起きた1960年を舞台に、正義と真実を問う社会派演劇。2021年、新聞記者の中村伊知哉は、岩井梨沙という「女性から自分の兄のことを記事にしてほしい」という依頼を受ける。彼女の兄は、ある出来事に巻き込まれ姿を消していたのだ。そんな中、伊知哉はタクシー運転手だった祖父・吾郎が若い頃は新聞記者であり、1960年の安保闘争を取材していたことを知る。なぜ、祖父は新聞記者をやめたのか。伊知哉は祖父の足跡を辿り始める。この度、本作に映像作品のみならず、演劇界でも活躍する瀬戸康史が出演することも明らかに。瀬戸は新聞記者を務める主人公・中村伊知哉を演じる。さらに、ミュージカル女優の木下晴香、期待の若手俳優・渡邊圭祐、舞台・テレビ・映画に幅広く出演する演技派の近藤公園が出演。公演日やチケットなど、詳細は追って発表される。続報に期待してほしい。『彼女を笑う人がいても(仮題)』作:瀬戸山美咲 / 演出:栗山民也出演:瀬戸康史、木下晴香、渡邊圭祐、近藤公園ほか日程:2021年12月 / 会場:世田谷パブリックシアター主催:公益財団法人せたがや文化財団企画制作:世田谷パブリックシアター / 後援:世田谷区
2021年02月09日アイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキが初脚本を務め、Aぇ! group/関西ジャニーズJr.の正門良規が単独初主演を務める舞台『染、色』の復活上演決定が28日、明らかになった。小説『オルタネート』で第164回の直木賞候補にあがった加藤が2015年に上梓した短編集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA/角川文庫刊)の一編を舞台化する同作。主人公・市村(正門)は周りに才能を認められ、彼女もいて、何不自由なく過ごす美大生だが、そんな毎日を退屈に感じながら日々を送っている。ある日、壁にグラフィティアートを落書きする謎の女性・美優と出会うと、彼女の不思議な魅力に魅せられた市村は、彼女と一緒に行動するようになり、退屈だった日常に変化が訪れていく。今年5月に上演を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて中止となってしまい、今回復活上演が決定。2021年5月下旬~6月中旬に東京グローブ座、2021年6月下旬に梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでの上演を予定している。関西ジャニーズJr.のユニット・Aぇ! groupの正門良規が舞台で初単独主演となり、自身の才能に葛藤する等身大の美大生・深馬役を演じる。ほか、壁にグラフィックアートの落書きをする謎の女性役を三浦透子、深馬の大学の友人役を松島庄汰と小日向星一、深馬の恋人役を黒崎レイナ、深馬が所属するゼミの教授役を岡田義徳、演出を瀬戸山美咲が務める。○加藤シゲアキ コメント今年行う予定だった舞台『染、色』を改めて公演させて頂くことになりました。すでに台本を書き上げていたので、中止の知らせを聞いたときは悔しくてしかたありませんでしたが、ようやく日の目を見ることができそうなのでほっとしております。『「染色」であり「染色」ではない。そんな不思議な戯曲をお届けできたら』というのは今年発表したコメントですが、まさにその通りの台本を書き上げることができ、手応えを感じております。この戯曲を演出の瀬戸山さん、正門とともに演じてくれる俳優陣、スタッフのみんなが鮮やかに染め上げてくれることを期待しております。○瀬戸山美咲 コメント『染、色』をみなさんにお届けできることになりました! 春に公演中止が決まったときは、肩を落としました。特に寸前まで戯曲の改稿を重ねていた加藤さんは本当に悔しかったことと思います。あのとき「これでいこう!」と走り出した作品にようやく取り掛かれます。あれから、主演の正門さんはさらに活躍の場を広げてきました。その経験はきっと作品を深めてくれると思います。2020年は多くの人が不安を抱え迷い続けた1年でした。でも、だからこそ、この日々をプラスに変えていくような作品にしたい。『染、色』は悩みながらも前に進む私たちにそっと寄り添ってくれる作品です。ぜひ劇場でお会いしましょう。○正門良規 コメント今年舞台が中止になってしまった時はとにかく悔しくて悲しかったのですが再びこういう機会を頂けた事、そしてこのお知らせを皆様に出来る事が本当に嬉しくてたまらないです。初の主演舞台という事もあり不安や緊張もありますが、それを超える楽しみで今からすでにドキドキしております。しっかりとこの物語を表現して皆様に届けられるよう頑張ります。楽しみにしていて下さい。○三浦透子 コメント台本を読んでいて、思わず声に出してしまうような生々しい会話の連続。僕は正門さん演じる深馬に嫉妬と憧れを抱く北見をやらせて頂きます。登場人物6人のみの濃厚な群像劇。まだ何にもなれていない大学生の繊細な感情を逃さず、瀬戸山さんの演出に染まって行きたいなと思います。今から楽しみです。○小日向星一 コメント加藤シゲアキさんの初戯曲を、瀬戸山美咲さんの演出で、素敵な共演者の皆様とご一緒に上演できることが楽しみで仕方ありません。ここの場面はどうやって作るのだろう、どんな舞台が出来上がるのだろうとワクワクしながら戯曲を読みました。演じる役の持つ悩みや日常を上手く表現できたらなと思っています。よろしくお願いします。○黒崎レイナ コメント私にとって念願の初舞台となります。『染、色』に携わらせていただけることを心から嬉しく思います。一途で繊細だけど少し不器用な杏奈というキャラクターが凄く魅力的に感じました。真摯に物語と向き合い、杏奈の想いを台詞に乗せて皆様に届けられるよう精一杯演じさせていただきます。『染、色』の物語が舞台でどう表現されていくのかとても楽しみです。皆様、宜しくお願い致します!○岡田義徳 コメント台詞のやりとりの中に、独特の世界観があり、それを皆でどのように作り上げていけるかをとても楽しみにしています。若いパワーと共に良い作品を作りたいと思います。
2020年12月28日壱「道成寺」左から 明星真由美 相葉裕樹 高橋和也 (撮影:細野晋司)『現代能楽集X『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』が11月29日に東京・シアタートラムにて開幕。初日を迎えた作家・演出家・出演者のコメントが公開された。<現代能楽集X『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より>公演情報はこちら本作は、世田谷パブリックシアター芸術監督である野村萬斎の企画・監修により、能・狂言を基に現代演劇を創造するシリーズ「現代能楽集」の第10弾。今回は気鋭の劇作家・演出家の瀬戸山美咲と劇作家の長田育恵がタッグを組み、瀬奈じゅん、鷲尾真知子、相葉裕樹、清水くるみ、明星真由美、高橋和也の6名のキャスト共に、それぞれの幸福論を立ち上げる。初日を終え、「隅田川」を手がけた長田は「能の物語を借りて描き出す2020年の現在地は、生々しくも、どこか目に見えないものを信じられるような不思議な力に満ちています」と心境を語り、「この企画だからこその劇空間、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです」とメッセージ。「道成寺」を書き下ろした瀬戸山も「初日を終えて、さまざまな時代、さまざまな局面で人の想いを鎮めてきた能の持つ力を改めて感じています。今年の終わりにふさわしい作品になっていると思います」と、演出を務めた本公演の魅力を語った。「今日シアタートラムの舞台に立てた事を幸せに感じています。行動の不自由を感じている中、劇場に足を運んでくださったお客様に感謝申し上げます」と感謝の気持ちを告げたのは、出演者の鷲尾。瀬奈は「舞台は、芝居は、お客様と共に作り上げていくものだと、改めて実感した初日です……」、相葉も「約半年ぶりにお客様と同じ空間、同じ時間を共有する事ができとても幸せでした」と語るように、それぞれが舞台に立つ喜びを噛み締めているようだ。さらに、清水は「千秋楽まで変わり続ける舞台でありたいし、その中でたくさん吸収していきたいです。正解があるのか分からない、人生みたいな道のりを、3週間、もがき進んでいきたいと思っています」と意気込みを語っている。『現代能楽集X『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』は、シアタートラムにて12月20日(日)まで上演中。<ポストトーク開催>12月9日(水)19:00鷲尾真知子明星真由美野村萬斎(世田谷パブリックシアター芸術監督)12月10日(木)19:00長田育恵(作)瀬奈じゅん清水くるみ12月11日(金)19:00瀬戸山美咲(作・演出)高橋和也相葉裕樹
2020年12月04日『現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』がシアタートラムにて開幕。初日を無事に終え、舞台写真と作家・演出家・出演者のコメントが到着した。本作は、能・狂言を土台に現代演劇を創造する人気シリーズ「現代能楽集」の第10弾。今回は演劇賞を立て続けに受賞している、気鋭の劇作家・演出家の瀬戸山美咲と劇作家の長田育恵がタッグを組み、今を生きる私たちのための現代演劇を創作した。「道成寺」では父と母、息子の3人で暮らす幸せな家族がさらなる幸福を激しく求めた結果の悲劇、「隅田川」では運命的に出逢った3世代の女たちが、誰の目も届かない社会の片隅でありえるかもしれない物語を紡ぎ出す。出演するのは、瀬奈じゅん、鷲尾真知子、相葉裕樹といった豪華な顔ぶれ。彼らは異なる役で、それぞれの幸福論を立ち上げる。『現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』は、シアタートラムにて12月20日(日)まで上演中。<初日コメント>初日を終えた現在の心境(11月29日)◆長田育恵 / 作(弐「隅田川」)開幕いたしました。炎のごとく、内からたぎるような「道成寺」。水のごとく、深度を増していく「隅田川」。能の物語を借りて描き出す2020 年の現在地は、生々しくも、どこか目に見えないものを信じられるような不思議な力に満ちています。この企画だからこその劇空間、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです。今、ご自身を慈しみ、ここから次の一歩を踏み出すための静かな力となりましたら幸いです。◆瀬戸山美咲 / 作(壱「道成寺」)・演出初日を終えて、さまざまな時代、さまざまな局面で人の想いを鎮めてきた能の持つ力を改めて感じています。今年の終わりにふさわしい作品になっていると思います。たいへんな困難の中、劇場に足をお運びいただく皆様に本当に感謝します。何もない空間に世界を立ち上げていく6人の俳優たちの姿を是非観にいらしてください。◆瀬奈じゅん / 安藤千佳役(壱「道成寺」)・真鍋夏帆役(弐「隅田川」)本日、初日を迎えました。舞台は、芝居は、お客様と共に作り上げていくものだと、改めて実感した初日です...。足をお運びいただき、誠にありがとうございました。千秋楽までもっともっと深めて参ります。シアタートラムでお待ちしています!!◆相葉裕樹 / 橘清史郎役ほか(壱「道成寺」)・ハヤシ役ほか(弐「隅田川」)無事に幸福論の初日が開きホッとしています。約半年ぶりにお客様と同じ空間、同じ時間を共有する事ができとても幸せでした。演じていく中で日ごとに感情の揺れ方や感覚が変化していくと思います。千秋楽まで「幸せとは何か?」「生きるとは何か?」「愛情とは何か?」あらゆる感情を探し続けたいと思います。是非また劇場にお越し下さい。◆清水くるみ / 奥野あんず役ほか(壱「道成寺」)・谷口彩佳役(弐「隅田川」)もうすでに色々な意見をいただいていて、改めて演劇ってナマモノだなと感じています。千秋楽まで変わり続ける舞台でありたいし、その中でたくさん吸収していきたいです。正解があるのか分からない、人生みたいな道のりを、3週間、もがき進んでいきたいと思っています。感染対策ばっちりの劇場で、お待ちしております!◆明星真由美 / 橘真姫役(壱「道成寺」)・吉田翠役(弐「隅田川」)どこか皆である目指したゴールに到達できたような達成感のある良い初日だったように思います。でも特に『道成寺』は旅の入り口に過ぎないと。最初この台本を読んだ時、作品の世界観を表現する方法がいく通りもある気がしました。それはお客様が「どんな視点で我々登場人物を見るか」によってストーリーが変化する可能性があるなと。とてもチャレンジングですが、お客さんの呼吸を感じながら演じられたらと思っています。『隅田川』は、誰かの傷と、誰かの傷が出会うことによって、浄化が始まる物語だと私は解釈しています。それって、全ての出会いにも言える事で、この世界が回り続けている理由みたいなものですよね。今日の1ステージと、来てくださったお客様との『交換』は1度きりのもので、映像配信では成されないものだと私は信じています。最後まで奇跡が起きますように。◆高橋和也 / 橘清役(壱「道成寺」)・酒々井直人役(弐「隅田川」)稽古期間も劇場入りしてからも常に緊張を強いられる状況の中、奇跡のように幕が開いた。いつもなら皆で乾杯し、喜びを分かち合う時だが今はそれも無い。芝居をする為だけに僕等は集まり、そしてそれぞれうちに帰る。それでも、この作品に出演できて本当に良かったと心から思います。尊い経験をさせて頂きました。ありがとう!◆鷲尾真知子 / 白河安子役(壱「道成寺」)・向坂悦子役(弐「隅田川」)今年の二月に世田谷パブリックシアターにて出演した「メアリ・スチュアート」の後、世の中が一変しました。今日シアタートラムの舞台に立てた事を幸せに感じています。行動の不自由を感じている中、劇場に足を運んでくださったお客様に感謝申し上げます。スタッフキャストそしてお客様と一体になり幕があきました初日の高揚感は一入(ひとしお)でした。明日から「すべての事に」甘える事なく、緊張感をもって、千秋楽まで舞台を務めます。【公演概要】『現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』11月29日(日)~12月20日(日)会場:シアタートラム
2020年12月01日東京・世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎による企画・監修で、能・狂言を土台に現代演劇を創作する「現代能楽集」シリーズ。これまで宮沢章夫や野田秀樹、倉持裕、前川知大ら日本の演劇界を代表する顔ぶれが、能の物語に着想を得て新作を書き下ろし、時には能の演出手法に触発されながら新たな“現代能楽集”を生みだしてきた企画だ。その第10弾となる『現代能楽集X『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』が11月29日(日)から同劇場シアタートラムにて開幕。今回は、近年、演劇賞を立て続けに受賞している劇作家・演出家の瀬戸山美咲と、スケールの大きな物語を描きだす筆力が注目される劇作家・長田育恵により、“幸福論”を立ち上げる2作を上演する。まず、瀬戸山が作・演出を手掛けるのは、山伏への恋慕のあまり大蛇の姿となった娘を描く『道成寺』に着想を得た、順風満帆な人生を送る家族の物語。広告代理店を辞め独立したばかりの橘清、その妻・真姫は高級コンサルティングサロンを経営し、息子・清史郎は医学部の4年生だ。3人は順風満帆に見えるが、まだまだ満ち足りず、清は作家・安藤千佳の小説教室に通い始め、真姫は新たな顧客・白河安子を迎える。そして清史郎はアイドルを目指す奥野あんずと付き合い始めるが……。幸福な家族がさらなる幸福を激しく求めた結果の悲劇とは?長田が書き下ろすのは、旅路の果てに我が子の死を知る母の悲しさを描いた『隅田川』を元にした、運命的に出逢う3世代の女たちの物語。家裁調査官の真鍋夏帆はある日、万引きをした谷口彩佳を担当することに。彩佳は過去にある男と一夜を過ごし、秘密を抱えていた。一方、独居老人の向坂悦子はヘルパーの吉田翠に世話をされている。異なる日常を生きてきた夏帆、彩佳、悦子の運命は、川のほとりに結ばれていき……。こちらも瀬戸山が演出を担当し、誰の目も届かない社会の片隅でありえるかもしれない物語を紡いでゆく。出演は瀬奈じゅん、相葉裕樹、清水くるみ、明星真由美、高橋和也、鷲尾真知子で、この6名が2作でそれぞれ異なる役を演じる。現代に生きる人々の幸福とは何なのか?気鋭の女性作家ふたりが生み出す濃密な世界を体感してほしい。文:伊藤由紀子現代能楽集X『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より作:長田育恵(弐「隅田川」)・瀬戸山美咲(壱「道成寺」)演出:瀬戸山美咲監修:野村萬斎(世田谷パブリックシアター芸術監督)出演:瀬奈じゅん相葉裕樹清水くるみ明星真由美高橋和也鷲尾真知子2020年11月29日(日)~12月20日(日)会場:東京・シアタートラムポストトーク決定!12月9日(水)19:00登壇者:鷲尾真知子明星真由美野村萬斎(世田谷パブリックシアター芸術監督)12月10日(木)19:00登壇者:長田育恵(作)瀬奈じゅん清水くるみ12月11日(金)19:00登壇者:瀬戸山美咲(作・演出)高橋和也相葉裕樹※開催回のチケットをお持ちの方がご参加可能
2020年11月29日鈴木仁が、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『オレステスとピュラデス』に出演する。これまで雑誌モデルや映像をメインに活動してきた鈴木にとって初めてとなる、舞台作品への挑戦。開幕を約2週間後に控え、稽古に励む現在進行形の思いに耳を傾けた。杉原邦生がKAATで演出してきたギリシャ悲劇シリーズの最終章として、『オイディプスREXXX』『グリークス』に続いて上演される本作。瀬戸山美咲が台本を手がける今回は、太陽神アポロンの神託を受け、母親殺しを行ったオレステスの行く先が“新たな”ギリシャ悲劇として創作される。劇中では、復讐の女神による呪いから解放されようとタウリケに向かうオレステスと、その親友ピュラデスの旅路がロードムービー的に展開。二人の若者が、冒険によって成長する姿が描かれるという。今回、タイトルロールのオレステスを演じる鈴木は「初舞台でいきなり主人公をやることになるとは……」と臆しつつも、旅の相棒となる親友ピュラデス役に濱田龍臣がキャスティングされたことに心強さを感じている様子。ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(2018年)など、3度にわたって共演している濱田に対して「親友同士を演じるのに、もともと龍臣を知っているのは大きなアドバンテージ」「稽古でも無理せず、自然と息が合うタイミングがあって安心できる」と心を寄せた。初めて臨む稽古に対しても「その場で瞬間的に生まれたアイディアを大切にする邦生さんの演出に乗って、キャストの皆さんが台本上で未知数だった余白をどんどん満たして、作品を豊かにしていく過程が本当にすごいんです!」と興奮まじりに観察する。特に、趣里と大鶴義丹に対しては「瞳の色を変えてお一人あたり“5役”を演じられる姿に、ぜひご注目ください」と華を持たせた。頼りになるキャストやスタッフに囲まれ、オレステス役をどのように立ち上げようとしているか──。最後にそう尋ねると、鈴木は「これまで自分の信じる価値観だけで生きてきたオレステスが、旅での出会いやピュラデスの存在を通じて世界を広げていく姿を見届けていただければ」とコメント。図らずもオレステスの冒険譚は、鈴木自身の俳優としての成長とも重なりそうだ。公演は11月28日(土)~12月13日(日)に、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年11月24日ドラマ『電車男』(フジテレビ系)や『危険なアネキ』(フジテレビ系)など、かつてさまざまな映画やドラマに出演していた伊東美咲さん。2009年に結婚を発表して以降、徐々に表舞台から遠ざかり、今ではあまりその姿をテレビ番組で見かけなくなりました。しかし、2020年には、ドラマ『ごくせん』(日本テレビ系)が再放送され、同ドラマに出演していた伊東さんに再び注目が。ネット上には「伊東美咲、久々に見た」「やっぱりきれい」といったコメントが寄せられ、改めてその人気の高さを示しました。そんな伊東さんが、同年9月25日に所属事務所のYouTube動画に出演。2年ぶりとなる映像出演を果たし、現在の姿に驚きの声が上がっています!伊東美咲、今の姿に「まったく歳をとっていない」2020年に43歳となった伊東さん。しかし、動画の中の伊東さんは、全盛期とまったく変わらない美貌を放っていました。視聴者から驚きの声が寄せられた話題の動画を、早速ご覧ください。伊東さんが出演していた『ごくせん』第1シリーズが放送されたのは、2002年。今の伊東さんを見ても、あれから約20年もの時が経ったとは思えません…!また、久々の映像出演を果たした伊東さんに、ファンからは喜びの声が上がっています。・『ごくせん』で改めてきれいだなって思ったけど、当時とまったく変わらないことに驚き。・これで43歳だと?現在の年齢を知って驚いた。まったく見えない。・充実した毎日を送っているんだろうな。輝いてる。動画の出演だけでこんなにも話題になるのは、伊東さんの人気の高さの証明なのでしょう。女優としての伊東さんの復帰を望む声はやみそうにありません。[文・構成/grape編集部]
2020年09月26日世田谷パブリックシアター芸術監督である狂言師の野村萬斎が企画・監修を務める「現代能楽集」シリーズ第10弾、現代能楽集X『幸福論』〜能「道成寺」「隅田川」よりの公演が11月29日(日)から上演されることが決定した。「現代能楽集」シリーズは芸術監督方針である「地域性、同時代性、普遍性」「伝統演劇と現代演劇の融合」「レパートリーの創造」という三つの柱にも基づき、古典の知恵と洗練を現代に還元し、現在の私たちの舞台創造に活かしていきたいという考えから生まれ、2003年以降、川村毅、鐘下辰男、宮沢章夫、野田秀樹、倉持裕、前川知大、マキノノゾミなど、日本の演劇界を代表する演出家が公演を手掛けきた。記念すべき第10弾となる今回は、演劇賞を立て続けに受賞している気鋭の劇作家/演出家の瀬戸山美咲と、たぐいまれな筆力をもつ劇作家・長田育恵により、今を生きる私たちのための現代演劇を創作。 鷲尾真知子、清水くるみ、相葉裕樹、瀬奈じゅん、明星真由美、高橋和也の出演者6名は「道成寺」「隅田川」でそれぞれ異なる役を演じ、それぞれの幸福論を立ち上げる。「道成寺」では、父・母・息子の幸福な家族がさらなる幸福を激しく求めた結果の悲劇を描き、「隅田川」では、運命的に出会う3世代の女たちが、誰の目も届かない社会の片隅でありえるかもしれない物語が紡がれるとのことだ。公演を通じて、現代に生きる人々の幸福について思いを巡らせてほしい。<長田育恵×瀬戸山美咲対談>――能狂言の謡曲を土台に現代演劇を立ち上げる「現代能楽集」。瀬戸山さんは、山伏への恋慕のあまり大蛇の姿となった娘を描く「道成寺」を、順風満帆な人生を送る青年を軸に、家族の物語として立ち上げるとか。瀬戸山:女の執念や激しい恋といった要素のある謡曲ですが、発端部分で娘に父が「毎年うちに寄宿しているあの山伏は、お前の夫になる男だ」と聞かされていた、という部分に着目しました。親から刷り込まれた幸せのイメージが不幸の始まりとも言えますし、それって現代でも十分あり得る感覚ですから。――確かに“外側の価値観”に自分を合わせてしまった不幸と考えると、近代にもある病にも感じられます。長田さんは「隅田川」を選ばれました。旅路の果てに我が子の死を知る母の悲しさを描いた謡曲ですが、10代の少女、順調にキャリアを積む女性、老女、3世代の物語として紡がれるそうですね。長田:「隅田川」は旅の物語ですよね。旅から戻って日常に帰るけれど、以前とは景色が全く変化してしまう......これって深く理解できる感覚ですし、一つの答えにたどり着いて、再び自分の世界に帰っていく部分に心惹かれました。女が舟の渡し守に「面白く狂わなければ乗せない」と言われる場面も印象的。 やりたくてやるのではなく、試練の中に何かを発見していく姿も、よく考えると普遍的だと思いました。――お二人とも女性が主人公(シテ)の謡曲を選択されましたが、現代的でリアルな葛藤を持つ人間の姿が浮かび上がりそうです。今回、長田さんの戯曲は瀬戸山さんが演出です。長田:これは今、初めて言うんですけど......瀬戸山さんが演出されることを意識し、自分の中で一つ、 大きな挑戦があるんです。一人の女性の、極私的な小宇宙を書きたいと思っていて。これまで私が描いてきた戯曲は、物語や、全体を貫くテーマが先にあり、その中で登場人物たちが役割を果たしていくような構成が多かった。でも今回は、一人の人間を中心に据えて、主人公のバーソナルな関係性を見つめて書いていく作業になりそう。瀬戸山:私の興味の中心は「人間が二人いたらどんな力学が働くか」なので、いつも四畳半で描けちゃう世界(笑)。長田さんは一瞬で違う景色が思い浮かぶような壮大な世界を描く作家ですから、極私的であっても、やっばり「小宇宙」なんだろうな......と期待が高まります。長田:瀬戸山さんは演出家でもあるから、「俳優が二人いれば物語が生まれる」というリアルな手応えがあるんでしょうね。――タイトルには「幸福論」と謳われています。瀬戸山:「論」と言うほど、大きく構えたことを言うつもりはないんですけれど(笑)。長田:打ち合わせで「どの人物も幸福を探しているんだよね」って盛り上がったんですよね(笑)。私たちが悩まされているコロナ禍は、さまざまな分断を生みました。例えば「新しい生活様式」にすぐ対応できる人と、取りこぼされる人たち、つまり変化に対応できない人たちが、ますます声を上げられなくなってしまった。今回私が書く物語は、そんな彼らの「幸福論」になりそうな気がしています。今って、これまで 散々描かれた大きな幸福論が脆くも崩れ去った世界に生きるような感覚。じゃあ自分が心から信じられるものってどれくらい残っているんだろう?と考えると、それはものすごく小さいものかもしれない。 そんな一人ひとりの「小さな幸福論」を見つける旅を描けたらと思っています。瀬戸山:多分、私が書く物語は、物質的には豊かで「ある幸福」は体現しているけれど、「幸福論」をアッブデートできない人たちの話のような気がしています。イメージとしてはシニカルで笑える作品になればいいな、と。その後、お客様には、長田さんの作品で人間の内面にグッと潜ってもらう。演出家としては、 そんなコントラストを生み出せたらと考えています。◆現代能楽集X『幸福論』〜能「道成寺」「隅田川」より日程: 11月29日(日)〜12月20日(日)会場:シアタートラム【料金(全席指定・税込)】一般:7500円高校生以下:3750円U24:3750円ほか各種割引あり一般発売日: 10月25日(日)お問合せ:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515(10:00〜19:00)※世田谷パブリックシアター/シアタートラムは劇場ガイドラインに基づきに感染拡大予防のために対策を講じています。 皆様に安心してご来場いただけますよう、ご理解・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。詳細は世田谷パブリックシアターのHPよりご確認下さい。( )
2020年09月10日昨年9月、キャンプ中に美咲ちゃんが行方不明になってから母・とも子さんには誹謗中傷がつきまとった。「美咲ちゃんは臓器売買で海外に連れ去られていた」「母親が殺した」「美咲ちゃんはキャンプに来ていなかった」。失意の母親にこんな追い打ちをかける人々は何者なのか。ブログ主に真意を聞くと──。(後編)「とにかく美咲が帰ってきてくれれば」と、とも子さん「SNSの誹謗中傷がひどく生活を脅かされています」山梨県道志村のキャンプ場。ここでおよそ10か月前に行方不明になった小倉美咲ちゃん(8)の母、とも子さん(37)は、報道陣に対して、そんな心境を吐露した。■「悲劇のヒロインぶるな」とも批判され山梨県警が2日間にわたって同キャンプ場で再捜索を行った5月下旬のことだ。とも子さんのインスタには事件直後から批判が殺到し、家族や親族の写真は拡散され、成田市にある自宅の写真までさらされる始末。「長女に話しかけた」とツイッターでつぶやく人物も現れ、とも子さんのプライバシーは完全に侵害されていた。「長女と会話をしましたっていうような書き込みを見ました。それを面白がった人たちが、『俺も行こうかな』と言い始めて、恐ろしすぎます。長女が縄跳びや庭遊びをするにしても心配で、ずっと見守るようにしています」そう語るとも子さんは、大金をはたいて防犯カメラを購入し、自宅に取り付けた。昨年10月半ばには、チラシ配りや情報拡散のため、知人が募金活動を始めてくれたが、台風19号が関東地方を襲来した時期と重なったことで、炎上につながった。「台風で被災者は困っているんだから、あんたなんかに募金しないというコメントがたくさん届きましたので、“美咲が無事に戻ったら、私も頂いた募金の残りを台風被災者に募金します”とSNSに投稿すると、“美咲ちゃんのために募金した人たちに失礼だ!”“募金の意図を変えたから募金詐欺だ”などと言われました」何をしても、言っても叩かれる──。これ以上、周囲に火の粉が降りかかるのは避けたい──。とも子さんはそう思い、募金はわずか5日間で終了した。こうした誹謗中傷が続く中、とも子さんを応援する「擁護派」からは、「いつまで誹謗中傷を放置するつもりなのか?」、「弁護士を雇ったほうがいい」などのコメントが寄せられた。しかし、ただでさえ美咲ちゃんのことで頭がいっぱいなとも子さんには、もはや対応できる余裕はなかった。「誹謗中傷を減らしたいのは山々ですが、もう手に負えません。投稿を削除すれば『証拠隠滅か』と言われ、『悲劇のヒロインぶるな』とも批判され、何を書いても、叩かれるんです」とも子さんたちと一緒にキャンプに参加した仲間も、ネットの標的にされた。とも子さんの長女が生まれた10年ほど前から参加していた「子育てサークル」で、その中でも特に仲のよい家族が集まって年に数回、キャンプをしていた。ところが事件後、仲間がメディアに登場しなかったことから「なぜ仲間が証言しないのか」と不審の目を向けられた。とも子さんが語る。「仲間のコメントをメディアから何度も求められていましたが、ネットでの嫌がらせや誹謗中傷がひどかったため、誰も表だって声を上げることができなくなったんです」■ブログで誹謗中傷を繰り返す人物中でも、とも子さんへの誹謗中傷の「急先鋒」として活動しているのが、「怨霊の憑依」と題するブログの管理人だ。ブログは、とも子さんの名前でネット検索すると、上位に引っかかる。公表されている管理人名は「和田隆二」だが、偽名を使っているとみられる。肩書は「霊媒師」。和田氏は、美咲ちゃんの行方不明直後からブログを立ち上げ、毎日のように更新を続けてきた。タイトルには《とも子の周りは薬物関係者》《当日美咲ちゃんはキャンプに来ていなかった》《鬼畜の夫婦》などの文言が並び、とも子さんへの憶測や偏見を生み出す書き込みで埋め尽くされている。ブログは事件の詳細を《育児疲れから次女美咲ちやんを自宅で殺し悪天候を利用し行方不明を企て、募金詐欺をした殺人事件》(2月25日付)、《美咲ちゃんの事件ですが、私は臓器販売で海外に連れ去られたと思います》(3月24日付)などと説明し、とも子さんや夫の雅さんの関与を主張している。投稿には、美咲ちゃんの写真を複数枚掲載し、写真と美咲ちゃんが同一人物ではないことを訴えたいのか、《この写真にはホクロがありません》《髪質も美咲ちやんは猫毛で髪が細い》などと説明。このほか、小倉さん一家が出かけたときの様子、とも子さんと雅さんの結婚式、美咲ちゃんの小学校入学式、誕生日、とも子さんの車……など、とも子さんの過去のSNSからごっそり抜き取った、ありとあらゆる写真が掲載されている。一体、和田氏は何者なのか。SNS被害が深刻化する中、発信する側の張本人に会ってみたいと思った私は、ブログに掲載の携帯番号にかけ、彼の家がある静岡県熱海市へと向かった。■仕事は「潜水艦のソフト開発」熱海駅から車で約15分、勾配の急な坂を上った住宅街に、古びた鉄筋コンクリート3階建てのその家はあった。人が住んでいる気配がしないほど、物静かな佇まいだ。玄関のドアは施錠され、インターホンもない。しばらくノックを続けると、中から物音が聞こえ、ドアが開いた。目の前に現れたのは黒いTシャツ姿の中年男性。年齢は事前に「30代前半」と聞いていたが、相応には見えない。あらためて自己紹介をすると、「どうぞ中へ入ってください。今から証拠の書類を持ってきますので」と、地下1階へ案内された。階段を下りると、教室ぐらいの広さの部屋に、サンドバッグやベンチプレス、フィットネスバイクが並ぶ。トレーニングルームのようだ。間もなく戻ってきた男性が、床に腰を下ろした。Tシャツにはムエタイの選手が描かれ、左上腕部分にはタイの国旗。「普段はタイにいます。今は飛行機が飛んでいないので、ここに1人でいます」床であぐらをかいた和田氏は、不敵な笑みを浮かべている。「証拠」と称する書類を並べたが、それらはいずれも、ブログに掲載された美咲ちゃんの写真をプリントしたものだ。うち何枚かを指さしながら語った。「とも子さんは美咲ちゃんの身長を125センチだと言っていますが、私のほうで測ったら110センチしかない」「美咲ちゃんの写真はホクロの位置が毎回変わっている」美咲ちゃんは保育園の文集に120・5センチと記録され、ホクロの位置が変わっていることも確認がとれない。しょっぱなから要領を得ない話が始まり、私は受け答えに困った。和田氏はブログで、美咲ちゃん事件の犯人はとも子さんだと主張している。その証拠が目の前に並ぶ書類なのかと尋ねると、「違います」と否定してから、こう続けた。「要するに私は今、タイに行けないので潜水艦探知機のソフトを作っています」和田氏はいきなり話題を変え、自身の仕事について説明を始めたようだが、質問に対する答えになっておらず、話がまったくかみ合わない。また、和田氏はとも子さんと何度も話をしているという。「とも子から頻繁に電話がかかってきて怒鳴り声や罵声を浴びせられるんですよ」とも子さんから頻繁に電話がくることが事実なら、とも子さんの電話番号を知っているはずだ。番号を尋ねると、「着信記録は無数にあるから消えているかも」と言いつつ、和田氏はガラケーを取り出し、調べ始めた。差し出された画面に表示された番号は「非通知」だった。「この非通知は間違いなくとも子からです。私はとも子の声を知っているので、話せばわかります。そのときは、とも子から『あんた証拠を持っているのか?』と尋ねられました」和田氏が示した非通知着信《6月26日18時45分》《6月26日15時53分》は、いずれも私が非通知で和田氏にかけた記録と合致していた。偶然とは思えない。そもそも、和田氏は両方とも電話に出ていないので会話が成立するわけがない。さらには「(私は)とも子さんや関係者の携帯電話をハッキングしている。違法行為をやっています」という発言まで飛び出し、メディアの前で自身を犯罪者と認めるなどもはや支離滅裂だ。■和田氏の告発状は受理されず1時間ほど話をしたが、とも子さんと事件を結びつける証拠らしきものは何も出てこない。さらに追及すると、和田氏は1枚の書類を見せてきた。差出人は、甲府地方検察庁事件管理担当。和田氏が甲府検察庁に出向き、告発状を提出したのは事実のようで、その内容についてはこう説明した。「告発の容疑は“警察の捜査妨害”です。とも子さんが警察に提出した美咲ちゃんの写真は本人とは異なっています。警察はまったくの別人を捜査してしまったので、これは捜査妨害に当たります」しかし、和田氏の書類は《告発状の返戻について》と題し、令和2年1月6日付の告発状を検討した結果が、次のように記されていた。《前記犯罪構成要件に該当する事実(いつ、どこで、どのようにして等)が具体的に特定されているとは認められません》和田氏のブログには、美咲ちゃんだけでなく、小倉家の親族の写真までもが掲載されている。プライバシーの侵害や名誉毀損に当たる可能性があるが、それでもブログを続ける理由について、和田氏はこう開き直った。「今の世の中にはジャスティス(正義)がない。とも子も旦那も美咲ちゃん事件の主犯です。名誉毀損というなら、訴えなさい。白黒つけましょう!」和田氏の家を辞した翌7月7日もブログはいつもどおり更新され、相変わらずとも子さんの家族写真を掲載している。同日は、とも子さんの慟哭の日々(前編)が綴られた本誌の発売日。ブログのコメント欄には記事を読んだユーザーからさっそく書き込みがあった。《またとも子ひとりの意見を垂れ流している》との感想をいただいたので追記しておこう。私はとも子さんの近隣宅や美咲ちゃんの通う小学校の取材もしており、いずれもとも子さんの話の整合性を確認している。また、私の経歴やメールアドレスも記載されており、特定班の動きの速度も確認できた。取材を終えた私は、和田氏とのやり取りを資料として警察署へ提出した。どちらにジャスティスがあるかはいずれわかるだろう。●情報提供のお願い「美咲に似ている子を見かけたなど、些細なことでも情報を求めています!」(とも子さん)【情報提供先】大月警察暑TEL:0554-22-0110取材・文/水谷竹秀ノンフィクションライター。1975年、三重県生まれ。上智大学外国語学部卒業。カメラマンや新聞記者を経てフリーに。2011年『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞受賞。近著に『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』(集英社文庫)など。
2020年07月17日昨年9月、キャンプ中に小倉美咲ちゃんが行方不明になってから、もうすぐ10か月がたつ。母・とも子さんにはこれまでさまざまなうわさがつきまとった。被害者なのになぜこんなに批判されなければならないのか。子どもから一瞬、目を離したことはそんなに罪なことなのか。とも子さんがこれまでの思いを明かしてくれた。(前編)自宅で取材に応じてくれたとも子さん■娘が見つかって喜んでいる夢を見た「ママ!」と呼びかけられ、娘が帰ってくる場面が夢にまで出てくる。ハッと目覚めると、頭の中に記憶された映像を書き留めようと、慌ててメモを取る。《娘が見つかって抱きしめ合い、喜んでいる夢を見た》これが正夢になる日を今か今かと待ち望んでいるのは、千葉県成田市に住む小倉とも子さん(37)である。昨年9月21日、山梨県道志村のキャンプ場で突然、行方不明になった美咲ちゃん(8)の母親だ。「あれ以来、長女の姉は不登校に、夫は口数が少なくなりました。日々の生活でそういう場面を見ると、あのとき自分がついて行けばよかったと。思い出すたび、悔やんでも悔やんでも悔やみきれない気持ちになります」あの日、とも子さんは正午過ぎに、美咲ちゃんと3歳上の長女の3人で「椿荘オートキャンプ場」に車で到着した。先着していたほかのキャンプ仲間に合流し、7家族27人が集まった。夫の雅さん(39)は、仕事の都合で翌日に来る予定だった。一同は昼食に、天ぷら蕎麦を食べた。午後3時半ごろ、おやつのチョコバナナを食べ終えた子ども9人が、近くの沢まで遊びに出かけた。遅れて食べ終えた美咲ちゃんは1人、先に行った9人の後を追いかけた。その際、とも子さんは、「ママ、行っていい?」と声をかけられ、「いいよ」と答え、小走りする美咲ちゃんの後ろ姿を見届けている。およそ10分後、大人たちが子どもを迎えに行ったが、そこに美咲ちゃんの姿はなかった。心配した大人たちは周辺を捜し始めたが、美咲ちゃんは一向に現れず、日没が近づく前に警察に連絡。夕方に警察が到着し、捜索が始まった。以来、警察や自衛隊、消防隊はこれまで、延べ約1700人を投入した。とも子さんも、夫と一緒に現場に泊まり込み、白い運動靴がボロボロになるまで捜し続けた。しかし、美咲ちゃんが姿を現すことはなかった。■教科書は新品のまま《学習は興味をもって取り組み、力を付けました。国語科「すずめのくらし」では、説明文を正しく読み取り、丁寧にノートにまとめました。運動神経がよく、運動会ではリレーの選手に選ばれ、毎日の練習に張り切って参加していました》これは美咲ちゃんが通っていた小学校の1年生の成績表に書かれた、担任教諭からの「総合所見」だ。行方不明になった当日は、学校で運動会が予定されていた。ところが天候の都合で延期され、とも子さんたちは、以前から計画されていた仲間のキャンプへ合流することに、予定を切り替えた。「美咲はリレーの選手に選ばれ、走るのをすごい楽しみにしていました。家の周りを何周も走って自主トレまでしていました。何に対してもやる気があって、最後まで納得いくまでやり切ります。芯が強くて、1人で努力するタイプですね」自宅でそう語るとも子さんの後ろには、「すき」と毛筆書きされた、美咲ちゃんの力強い字が飾られている。ディズニーランドが大好きで、家族で行くのを楽しみにしていたという美咲ちゃん。クラスのみんなは、毎朝の出欠確認時、美咲ちゃんの名前が先生から呼ばれると「待ってるよ!」と挨拶してくれる。そんな温かいクラスから昨年末、とも子さんはクリスマスリースをプレゼントされた。「夏休みにみんなで朝顔を育てたんです。2学期に入って種を取ったのですが、美咲は参加できなくて……。そのときに枯れた朝顔のつるで作ってくれたリースでした。みんなで飾りつけもしたのでよかったらどうぞ、と言われて先生や子どもたちの思いに涙があふれ出てきました」成績表に評価がつけられているのは2学期まで。3学期はすべて欠席したため、評価の欄には斜線が並んでいる。それを学年修了時に渡されたとも子さんは、またもや涙が止まらなかったという。「美咲が描いた絵も渡され、もっと学校で描かせてあげたかった。毎日学校に行くのを本当に楽しみにしていて、勉強にも意欲的だったのに、それをさせてあげられないのがかわいそうでなりません」2年生の教科書も支給されたが、新品のまま、今も部屋の学習机にしまわれている。■長女はしばらく不登校に「わたしじゃなくなった」美咲ちゃんの行方不明は、長女の心にも大きな異変をもたらした。最初にそれがわかったのは、山梨県警を中心にした大規模捜索が10月半ばにいったん、打ち切られた直後のこと。台風19号が関東地方を襲来したためで、美咲ちゃんの行方不明以来、現場に泊まりっぱなしだったともこ子さんも、ひと区切りつけて自宅に帰ると、祖父母の家に預けられていた長女は寂しさのあまり、泣きじゃくった。「祖父母の前では心配かけたくないから泣くのを我慢していて、押し入れで1人で泣いていたようです」祖母が小学校へ連れて行くと、周りの生徒から「美咲ちゃんはどうしたの?」と聞かれ、そのたびに胸が痛んでいた。「長女は、美咲の『み』と聞くだけで、わーっと泣き出すような状態でした。みんなから『美咲ちゃんのお姉ちゃん』と呼ばれるのが嫌だと。だから学校には行きたくなかったけど我慢したと言っていました」そんな不安定な長女から耳にした中で、とも子さんが最もつらかったのは、「わたしがわたしじゃなくなっちゃった」という言葉だった。「自尊心を傷つけられたというか、自分がなくなったみたいで。どんな思いで過ごしてきたかと思うと、かわいそうで……」とも子さんは小学校へ行き、校長や担任教諭に事情を説明。長女に美咲ちゃんのことを聞かないよう、お願いした。すると、その日から改善されていったという。以来、長女はしばらく不登校になった。ようやく学校へと足が向き始めたのは12月ごろ。だが、とも子さんが車で学校へ到着するも、長女はなかなか降りられない。「一緒に授業に行こうか」となだめすかし、長女のペースに合わせて付き添った。ところがすぐに「ママ……」とすがるような声をあげて早退。1日に5分だけでもと通い続けるうちに徐々に慣れ、2月半ばには丸1日、授業を受けられるほどに回復した。一方、自宅では美咲ちゃんのいない3人の食卓に、重苦しい空気が流れていた。とも子さんがため息まじりに語る。「美咲がいたときみたいに笑ってご飯を食べるとかは一切ありません。会話もほとんどなく、長女が1人で話し、それに私が相槌を打つだけです。美咲がいないこと自体がつらすぎて、夫も長女を思いやる余裕がなく笑ってあげることができないんです。家族がそれぞれ自分を保つので精いっぱいといいますか。美咲が戻って来ない限り、元どおりにはならないと思います」家族でどこかへ遊びに出かけることもなくなった。長女から「あれ食べたい!」と言われても、「美咲が帰って来てからね」と、贅沢を自粛するほどだ。「美咲がいないのに、美味しいものを食べるのも気が引けてしまうんです。心の底から何かを楽しむこともなくなりました」■なぜ批判されるのか……発生当初から、とも子さんは、通常の被害者とは異なる扱いを受けてきた。《畠山鈴香似》《疑惑の人物》SNS上では、秋田県で娘を殺害した犯人と、とも子さんが同列視されたり、とも子さん自身が行方不明事件の犯人だと疑われる、とんでもない書き込みまでされていた。とも子さんは今でも、インスタやツイッターに投稿すると、批判のコメントが一定数寄せられる。それでも投稿し続けるのは、美咲ちゃんのためだ。「とにかく風化はさせたくない。どんな些細なことでもいいから情報が欲しい。その一心でSNSを続けています」疑惑の発端は、行方不明直後のインスタの更新だった。《ご存じの方もいるかもしれませんが、うちの次女が行方不明になっています。皆さん、無事を祈って頂けると有難いです。》とも子さんが振り返る。「美咲の実名が報道されるまで数日ありましたが、私が経営する店のお客様が、インスタの投稿を心配する気持ちから拡散してくれたんです。ところが、過去の写真の投稿も残ったままだったので、美咲の写真が公開前に広まってしまいました。店のお客様だから直接やめてほしいとも言えなくて……」とも子さんは、拡散を止めたいという思いから再度、投稿した。そこには捜索ボランティアが連れて来た白馬の写真を掲載し、こんな文章を添えた。《みなさんの気持ち、美咲にも私にも十分届いています。私のことは心配しないでください。─中略─。動物が大好きな美咲に見つかったら、たくさんの人と動物達も美咲の為に頑張ってくれたんだよと話してあげたいので、不謹慎かもしれませんが写真撮りました》(原文ママ)しかし、とも子さんの意図が伝わらずにネットユーザーの誤解を招き、炎上した。《よくこんな時にインスタに投稿できるな》《親の自己責任だろうが!》ハッシュタグに店の名前を入れていたことも批判につながった。とも子さんが釈明する。「こんなときに店の宣伝かよって言われましたが、そうではありません。店の名前で検索する知人やお客様に伝えたかっただけです」拡散は止まることがなく、店の名前、住所、電話番号までもがネット上にさらされた。「電話は携帯に転送されるので、捜している最初の数日間は深夜も電話が鳴りやまず、大変でした。無言電話もありますし、出たら『お前はネットなんかしやがって、ふざけんじゃねえよ!』といきなり怒鳴りつけられ、説教されたりもしました」無言電話は今でもかかってくる。とも子さんは、娘を捜し続けている被害者だ。はたして、ここまでの誹謗中傷を受けなければならないほど、過ちを犯してしまったのだろうか。「元をたどれば、あのとき、私が美咲についていかなかったから、こんな事態に至り、世間からも批判を受けている。みなさんに迷惑をかけてしまった原因は私にあるので……」とも子さんは自分を責め続けている──。実はSNSによる被害は、これだけにとどまらなかった。(次号・後編に続く)取材・文/水谷竹秀ノンフィクションライター。1975年生まれ。上智大学外国語学部卒業。カメラマンや新聞記者を経てフリーに。2011年『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞受賞。近著に『だから、居場所が欲しかった。:バンコク、コールセンターで働く日本人』(集英社)。
2020年07月10日タレントの神部美咲が、15日発売の『週刊プレイボーイ』に登場。人生初となるシチュエーションでのグラビアに挑戦し、美ボディを披露している。フジテレビ系『馬好王国』を中心にバラエティ番組で活動している神部。最近ではさまざまな雑誌でもグラビア界でも活躍している。今回の『週刊プレイボーイ』では人生初となるシチュエーションでのグラビアに挑戦。デジタル写真集も同時発売となっている。神部は、「『週プレ』さんは、今回の撮影で3回目になりましたが、今回も、ドキドキ、ワクワクなシチュエーションを用意して下さいました。森の中や湖での撮影は初めてで、海や太陽の下、とはまた違った落ち着いた雰囲気になったんじゃないかなと思っています。久々のロケで、すっごい開放感で、すっごく気持ち良かったです!」と撮影を回顧。お気に入りのカットは「湖の写真」で、「肩肘張らず、希望は持ち続けてるような、今の自分の心境にぴったりなような気がしてます」と語る。そして、「森や湖でのページの合間にベッドシーンがひょっこり入れ込まれていて、異空間と日常のコントラストが自分でも気に入ってます。冒険はし続けていたいけど、たまには安心したい日もある、そんな感じです笑」と見どころを伝え、「いつも応援して頂き、本当にありがとうございます。異空間神部もぜひ、お楽しみください!!笑 引き続き、よろしくお願いします!!」とメッセージを送った。(C)小塚毅之/週刊プレイボーイ
2020年06月15日タレントの神部美咲が、8日発売の『ヤングマガジン』(講談社)の巻末ページに初登場。ランジェリー姿やビキニ姿で美ボディを披露した。フジテレビ系『馬好王国』を中心にバラエティ番組で活動している神部。4月から光文社『FLASH』、白泉社『ヤングアニマル』など数々の雑誌に登場し、グラビア界でも活躍している。『ヤングマガジン』の撮影について、神部は「初めてグラビア撮影に挑んだときのカメラマンさんやメイクさんがチームに居て、成長した自分を見せたい! と思いつつ、リラックスした状態で撮影ができたと思います。以前の私を知ってくださってるからこその新しい私を引き出してもらい、絶妙なところを切り取って貰っていると思います」とコメント。お気に入りのカットは「お風呂に入っている写真」。「いろいろグラビア撮影をさせてもらってきた中で、湯船の中にいるのは案外初めてかも!? ちょうど良いお湯加減と良い匂いの入浴剤とお天気の良さ、また入りたくなるような気持ちよさだった笑」と振り返った。そして、「今回は、ちょっと背伸びした大人な私と等身大の私、どっちも見てほしくて、その願いを叶えてもらいました。どっちの私も楽しんでほしいです笑」と見どころを伝え、「グラビア発売を楽しみにして下さってる皆さま、いつも本当にありがとうございます。飽きられない女になるために日々奮闘中です笑今後もお付き合いよろしくお願いします!」とファンに向けてメッセージを送った。(C)佐藤裕之/ヤングマガジン
2020年06月09日タレントの神部美咲が、初となるデジタル写真集を発売する。『神部美咲 初デートは自宅で』(光文社刊)の3部作は、5月15日、22日、29日に各ネット書店で発売予定。3週連続リリースはFLASHデジタル写真集史上初となる。このたび、『神部美咲 初デートは自宅で』より、谷間がチラリと見えるカメラ目線のカットを公開。神部は、デジタル写真集発売に「初の写真集なので、すごくうれしかったです。久々のグラビアで不安もありながら本誌発売を楽しみにしていたので反響を頂けて、写真集発売に繋がり、本当に感謝です」と喜びのコメントを寄せた。そして、「今回の撮影は、キメキメの顔や、ポージングというよりカメラマンさんやスタッフさんと話しながら撮っていたので、割と自然体な姿を切り取ってもらっていると思います。なので、少し気の抜けた顔も多いかと思います。笑」と見どころを紹介。「今回、皆さんのおかげで、写真集を発売させていただくことが決定しました。本当にありがとうございます。今後も、いろんな自分を表現していけるようにがんばります」とメッセージを送った。(C)光文社/週刊 FLASH 写真◎細居幸次郎
2020年05月12日タレントの神部美咲が、7日発売の『FLASH』のグラビアに登場。ランジェリー姿で美ボディを披露している。今月4日からフジテレビ系『馬好王国』のMCに抜てきされた神部美咲。MC就任後初グラビアとなる今回、バラエティ番組でおなじみの笑顔から大人の色気が漂うような表情まで見られる。神部は「よく笑いました! 洋服を着たカットを撮ったり、脱ぐ途中を撮ったり、『彼氏だったらこんな感じ?』と、みんなでキャッキャ言いながら撮ったのが楽しかったです」と撮影を回想し、「(休日のデートという)ストーリー仕立て。みなさんの想像力でよりよい作品にしてもらいたいです(笑)」と見どころをアピール。お気に入りの写真は「洋服で体を隠してる写真ですかね。今までのグラビアでは撮ったことない見せないカットです!」とのこと。そして、「バラエティとはまた違う私をみてもらえるのではないかと思います。これからもいろんな顔をお届けできるように頑張ります」とメッセージを送っている。(C)光文社/週刊 FLASH 写真:細居幸次郎
2020年04月07日アイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキが、舞台『染、色』にて初脚本を手がけることが14日、明らかになった。Aぇ! group/関西ジャニーズJr.の正門良規が主演を務める。作家としても活躍する加藤が2015年に上梓した短編集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA/角川文庫刊)の一編を舞台化する同作。主人公・市村(正門)は周りに才能を認められ、彼女もいて、何不自由なく過ごす美大生だが、そんな毎日を退屈に感じながら日々を送っている。ある日、壁にグラフィティアートを落書きする謎の女性・美優と出会うと、彼女の不思議な魅力に魅せられた市村は、彼女と一緒に行動するようになり、退屈だった日常に変化が訪れていく。美大生特有の葛藤を描いた原作は、加藤自身が知人から美大に関する情報収集を行ったという。主演舞台『グリーンマイル』(17)で演出×主演としてタッグを組んだ演出家・瀬戸山美咲と、今度は演出×脚本としてタッグを組み直し、自身の作品の世界と可能性を広げる。東京公演は東京グローブ座にて6月4日~21日、大阪公演はエブノ泉の森ホールにて6月25日~28日。○原作・脚本 加藤シゲアキ コメント「加藤さんの作品をどれか舞台化しませんか?」スタッフからそう相談されたのが始まりでした。そのとき僕の頭に浮かんだのは、『傘をもたない蟻たちは』という短編集の冒頭に収められた『染色』という作品でした。自分自身が今作を舞台で観たいと思ったのです。「でしたら加藤さん、戯曲を書きませんか」スタッフから次にそう言われました。仕事がいくつか重なっている時期だったのでお断りしようと思ったのですが、ふと脳内に戯曲化された『染色』が広がりました。そしてその内容は原作とは少し違ったストーリーでした。妖艶な気配はそのままに、美大生たちが織りなす群像劇。これは自分にしかできないのではないか。原作者だからこそ、大胆に変更することが可能なのではないか。そう思い直し、この話をお受けすることにしました。とはいえ原作とは異なる内容に、同名のタイトルを付けていいのか。試行錯誤した揚げ句、『染、色』という形で、読点を加えることにしました。『染色』であり『染色』ではない。そんな不思議な戯曲をお届けできたらと思い、目下NEWSのライブの準備と合わせて執筆中でございます。舞台でしか表出させることのできない僕の世界を、ぜひ楽しんでください。○演出 瀬戸山美咲 コメントこのたび、ご縁がつながり、加藤シゲアキさんの初劇作を演出させていただくことになりました。青春時代特有の危うさ、美しさに満ちた『染色』という短編小説が、新たな戯曲『染、色』として生まれ変わります。何者かになりたい、でも、それが何かもわからない。そんな普遍的な若者の魂の彷徨を描いたこの作品の主人公に、フレッシュさとまっすぐさを持ち合わせた正門良規さんはぴったりだと思います。今の正門さんだけが発することができる光のようなものを引き出せたらいいなと思っています。○正門良規 コメント主演舞台をこんなにも早く、そして、加藤シゲアキくんの作品で務められるという事がとても光栄です。役者としての経験も少なく、お芝居もまだまだ未熟で不安もありますが、主演として役と向き合えることに心から喜びを感じています。市村と美優の出会いが物語にどういう影響を与え、どのような変化をもたらしていくのか、原作ファンの方はもちろん、はじめて物語に触れられる方にも、舞台『染、色』の世界を楽しんで頂けるように精一杯頑張ります。
2020年03月14日土田英生や赤堀雅秋、その下の世代でいえば劇団チョコレートケーキの古川健、てがみ座の長田育恵、ミナモザの瀬戸山美咲……。いずれもいまの演劇界を盛り上げる、魅力的な物語を生み出す面々だ。創立75年を数える劇団青年座は設立当時から「創作劇」の上演を続け、彼らのように高い実力をもった劇作家の新作戯曲を積極的に上演している。そんな青年座が2月19日(水)から25日(火)まで東京・シアターグリーン BIG TREE THEATERで上演する『ありがとサンキュー!』は、劇団小松台東を率いる松本哲也が今回のために書き下ろしたもの。松本といえば、味わいのある宮崎弁と丁寧に紡がれる会話によって人間関係の機微を描く戯曲で、公演のたびにファンを増やしている劇作家だ。大正生まれの女性・いし。つらいときにもつねに讃美歌がそばにあった敬虔なクリスチャンの彼女が、大正から平成までの時代を生き抜き、子どもや孫に思いを伝える姿を描く。実際に2017年に104歳で亡くなった松本自身の祖母の実話がもとになっているのだという。いしを演じるのは、先日第27回読売演劇大賞で優秀女優賞を受賞することが発表された増子倭文江。松本と同世代の磯村純が演出を務め、21歳の新人から70代のベテランまで、14人の俳優がひとつの家族とそのまわりの人々の数十年間を描き出す。文:釣木文恵
2020年02月17日南果歩と小久保寿人が出演し、ミナモザの瀬戸山美咲が演出を手がける『あの出来事』が本日11月13日に東京・新国立劇場で開幕する。今作は、新国立劇場の演劇芸術監督である小川絵梨子が立ち上げたシリーズ「ことぜん」の第2弾。シリーズを通じて、「個と全」つまり個人と全体の関係性を描くプロジェクトで、10月にはゴーリキー作『どん底』が上演され、12月には『タージマハルの衛兵』の上演が控える。スコットランドのデイヴィッド・グレッグが書いた『あの出来事』は、2013年にエジンバラ演劇祭で初演、これが日本初演、初翻訳となる。新国立劇場初登場の瀬戸山に話を訊いた。「今回のお話をいただいたときは、まだ戯曲が決まっていない状況。いくつか候補を検討していたなかで、翻訳の谷岡健彦さんがふと、エジンバラ演劇祭で『あの出来事』をご覧になった話をしてくれたんです。戯曲を取り寄せて読んでみたら面白くて」映画『ウトヤ島、7月22日』の題材ともなった、2011年にノルウェーで起きた極右青年による銃乱射事件を題材にした物語。「英語は得意ではないんですけど、この作品は、初めて英語で読みきった戯曲でした。わからない単語をどんどん飛ばしながら読んだにもかかわらず、読み終えたら泣いてしまった。すぐ担当の方に電話して“ほかの候補作を一旦置いておいて、この戯曲にしたいので読んでいただけませんか”と伝えました」瀬戸山自身も、自らが戯曲を書く作品で現実の事件を扱うことがある。『あの出来事』を読んで、自分の追うテーマとの共通点を感じたという。「デイヴィッド・グレッグの興味のあるところが自分と近いな、とまず思いました。大きな出来事があって共同体がどう変化し、その中で個人がどうなるのか。その、再生の一歩を踏み出すまでのささやかだけど大きな戦いがこの作品には描かれている。あと、デイヴィッドとは物事が起きたときにすぐ反応するところが似ていると思います。2011年に起きた事件を2013年の時点で戯曲化している。批判もあると思いますが、やらなくてはという衝動と、それをきちんとフィクションの中に落とし込んでいるところがいい、私もこんなふうにできたらと思います」役者はたったふたり。生き残った合唱団の女性指導者・クレアと、犯人である少年。他にもさまざまな役柄が登場するが、そのすべてを少年役が演じることとなる。「日々発見のある戯曲です。とくに少年の演じる複数の役は外側から作ってみたり、内面を掘り下げてみたり……。なぜさまざまな役をひとりで演じるのかについてはいろんな解釈があります。ひとりの人間にいろいろな面があるともとれるし、クレアから見るとすべての人が少年に見えるともとれる。そういう存在を生身の人間が演じるってとても難しくて、ぎりぎりまで試行錯誤をしています」ある出来事に直面する女性・クレアを演じるのは南果歩。「事件前のクレアのオープンな感じが、果歩さんのポジティブさと重なる。クレアは大きい出来事によって傷を負い、そこから心の旅をしていくことになります。色んな経験を経て怒りや悲しみ、憎しみをくぐり抜けるという姿を、果歩さんは実感をもってやってくださる。こんなにぴったりのキャスティングはないと思います」少年役は、さいたまネクスト・シアター出身で蜷川幸雄のもと多数の作品に出演している小久保寿人。「正直言って、小久保さんは今、悩んでいます(笑)。でも悩まなくてはできない役だと思います。いろんな人物をただ声色や雰囲気で演じ分けるのではなく、ひとりひとりの背景をどこまで想像できるかの勝負だなと思って、稽古場でひとつひとつの役について全員で考えています。その分プレッシャーも大きくなると思いますが、まっすぐな方なので、とにかく一生懸命考えて毎日新しいものを持ってきてくれるんです」役者はふたりだが、この作品でもっとも特徴的なのは合唱団が登場すること。「上演地の合唱団が出ること」が上演の決まりとしてあるのだ。今回は既存の合唱団に依頼するのではなく、オーディションを行って今作のための合唱団を結成した。「条件は“楽譜が読めること”だけ。200人も応募してくださって、面白い方がたくさんいたので30人を選ぶのはたいへんでした。結果、プロの方もカルチャーセンターで合唱をしている方も、20代から70代までが集まりました」合唱団は歌詞を通じてふたりのキャストに訴えかけるなど、歌担当だけではない存在感を見せる。「彼らが舞台上にいることの持つパワーがとても大きいですね。合唱団が入ることで見え方がまったく変わったり、シーンの意味がわかったりもするんです」関わる全員で物語に対峙しながら、少しずつこの作品を形づくっている瀬戸山。「なぜこの事件が起きたのか、この事件に遭遇したときにどうあるべきか……。答えのない問題を、観ている間観客の方も考えることになると思います。分かり合えない人とも一緒に生きていくということについて考えつつ、前向きな気持ちで観終えられる作品にできたらと思っています」新国立劇場 小劇場にて11月26日(火)まで上演。取材・文:釣木文恵
2019年11月13日アイドルグループ・HKT48の荒巻美咲が8日、兵庫・ワールド記念ホールで開催されたファッションイベント「神戸コレクション 2019 AUTUMN/WINTER -ガールズフェスティバル-」(神コレ)に出演した。荒巻は、「rienda」のステージで、ワインレッドのスカートに黒のオフショルダーのトップスをあわせたコーディネートで、大胆にデコルテと背中を披露。普段よりも大人の雰囲気でランウェイを歩き、声援に笑顔で手を振る場面もあった。荒巻のほか、HKT48の朝長美桜、村川緋杏も出演。3人でランウェイデビューを果たした。「神戸コレクション」は、阪神・淡路大震災後の神戸の街を元気にしたいという想いのもと、2002年にスタート。今や国内で数多く開催されている「ガールズファッションショー」の先駆けで、毎シーズン、豪華ゲスト、アーティスト、モデルがランウェイに登場し、毎回約1万3,000人もの来場者を魅了し続けている。
2019年09月08日2009年、48歳の若さでこの世を去った劇作家・演出家の大竹野正典。『山の声』『埒もなく汚れなく』など、死後10年経った今も彼の残した作品は愛され続けている。なかでも『夜、ナク、鳥』は岸田國士戯曲賞の最終選考に残ったり、OMS戯曲賞の佳作を受賞したりと評価の高い作品。昨年にも瀬戸山美咲の演出で上演され、読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した。オフィスコットーネプロデュース〈大竹野正典没後10周年記念公演〉の一環として、この『夜、ナク、鳥』を再構築した新作『さなぎの教室』が本日8月29日より東京・駅前劇場にて上演される。題材となっているのは、かつて実際に起こった、看護師4人による保険金連続殺人事件。人を救う仕事である看護師たちが、夫を殺害したという衝撃的な事件だ。大竹野の作品をもとに新たな物語を紡ぎ出すのは、〈小松台東〉の松本哲也。宮崎弁の会話劇で人の心の小さな揺れを細やかに描く松本。実際の事件は福岡で起こったものだが、今回の作品も宮崎弁で上演されるという。その「言葉」の変化が新鮮な効果をもたらすかもしれない。今回、松本は大竹野の物語を再構築し、「その後の物語」を描くという。事実と、すでにある戯曲とを重ね合わせ、どんな形で2019年の舞台に蘇らせるのだろう。文:釣木文恵
2019年08月29日