「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。7人目は、美術担当の松宮敏之氏。時代劇の礎ともいえる東映京都撮影所の技術と歴史は、本作でどのように表れているのか。連載第16回「役者との向き合い方」、なぜ木村は「おかえり」を感じるのか。○「本当に片目つぶってるのか」――映画化の話を聞いたのはいつごろでしたか?去年の1月に撮影が終わりまして……8月ぐらいには準備を始めていたと思うので……ちょっと記憶が曖昧です(笑)。三池監督と久しぶりにご一緒できるのがうれしくて、『無限の住人』という作品がどんな世界観で広がっていくんだろうなという楽しみが最初の印象でした。――木村さんとの面識は?いえ、今までは機会がなかったので、ご一緒させていただけると聞いて、うれしかったです。現場では独眼でやっていらっしゃったので、足元とか不自由になる場所がないかなと心配していましたが、すごくテキパキと動かれていて。本当に片目つぶってるのかなと思うくらい、機敏な動きでした。これを「勘が良い」と言うんですかね? 驚きました。○役者との「信用」と「信頼」――木村さんは以前、別作品で京都撮影所に来られていたんですよね。ええ。私は担当してなかったのですが、時代劇の役柄が様になっていて、立ち回りもすごく上手な方だと聞きました。担当スタッフの間でもすごく評判良かったですよ。装飾の極並(浩史)さんが以前の作品も担当していて、武器の使い方とか密にコミュニケーションを取っていました。非常に仲よさげな雰囲気でした。――そういう役者さんとの接し方は、代々受け継がれてきたものなんですか?装身具の担当は、そうやって役者さんと自然に密なやりとりになりますね。現場でいろんなことを決めていく中で、そういう「信用」や「信頼」はとても重要だと思います。一対一の関係とは違って、僕はセットを作る方なので、役者さんとの直接なやりとりはあまりないです。――木村さんとはあまり話す機会はなかったんですか?そうですね、われわれは美術部ですから(笑)。何か聞かれれば、お答えすることもありましたよ。――木村さんは京都撮影所に帰ると、「おかえり」と迎え入れられている雰囲気があると。俳優さんにとっては特別な場所なんですね。そういってもらえるとありがたいですね。撮影所は独特の空気感があると思いますが。来てもらえると、おっしゃる通り「迎え入れる」空気はあります。会えば、「おかえりなさい」みたいな(笑)。あいさつとしては、みんなそんな感じです。「また一緒にやりたい」と思ってもらえたら、うれしいですね。■プロフィール松宮敏之(まつみや・としゆき)和歌山県出身。東映京都撮影所に所属。1994年の『新・極道の妻たち 惚れたら地獄』で美術監督デビューし、これまで『SABU さぶ』(02年)、『魔界転生』(03年)、『IZO』(04年)、『男たちの大和/YAMATO』(05年)、『桜田門外ノ変』(10年)、『幕末高校生』(13年)、『この国の空』(15年)などを担当。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年06月09日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。6人目は、撮影を担当したカメラマン・北信康氏。連載第15回「俳優部」、三池組に共通する職業観とは。そして、カメラマンとして"記録"を更新し続ける生き方とは。○木村拓哉の役作りは「普通」――木村さんは寒い現場で着流し一枚、立ち回りでも雪駄。多くのスタッフさんが口を揃えて「すごい」とおっしゃっています。やっぱりすごいですよね。こちらが気を使うぐらい(笑)。でも、本人がそうしたいと思っていることですから、こちらが気を使うべきじゃないんですよね。余計なお世話になりますから。万次に集中するために必要なのであれば、もちろんやるべき。すごいなとは思いますけど、それもまた「仕事」ですからね。それは僕らや監督も同じ。「そんなところから撮ります?」みたいなこともあるんですが(笑)、それも「仕事」。そこから撮った方がよければやるというだけの話で、大変にさせたいから言ってるわけじゃない。すべては、映画をより面白くするためなんです。――プロデューサー・坂さんの取材時のコメント「私の『仕事』なんです。大変なんて思っていたら、プロデューサーの仕事なんて務まらない」と共通するものがありますね。そうです。どんな仕事でも、みんな大変なんですよ(笑)。木村さんが役作りの一環としてそうされるのは、極論すると「普通」ですよね。――「すべては、映画をより面白くするため」は、これまで一貫していることですか。ええ。当然、そうします。そのほうが効果的であるならそうした方がいい。撮影場所に行けるのに、大変だから行かないという選択肢はない。行って良くなるんだったら、どこでも行きます。スターと言われる役者たちも、みんなこういう考えでやってきたはずです。――高倉健さんや木村大作さんの『八甲田山』(77年)は、過酷な現場エピソードが語り継がれていますが、今も昔も変わらないわけですね。そうですね。要は、俳優部なわけですよ。映画という組織の中で、演出部、撮影部、衣装部と複数に分かれていて、木村さんは俳優部。だから、『無限の住人』というパズルのピースの1つ。ある意味、スタッフとも対等な関係なんです。そういう意識はご本人にもあると思います。だから、「大変じゃない」という感じになる。本人に聞いたわけじゃないですけどね(笑)。○世界で勝負するなら時代劇――木村さんとは初めてですか。初めてです。以前からストイックな方だと思っていたんですが、やっぱりストイックだった。自分の見せ方も案の定、ご存知で。イメージは変わりませんでした。――スチールカメラマンの方からは「この人を撮りたい」みたいなことを聞くんですが、ムービーのカメラマンにもそういう願望はあるんですか?お仕事をしたい役者はたくさんいます。木村さんもその中の一人でしたが、こればっかりは縁ですからね。たまたま、今回ご一緒できました。なかなかない機会です。10年以上前になりますが、吉永小百合さんと『北の零年』(05年)でご一緒した。吉永さんとご一緒できるなんて、想像もしなかったですよ。イメージできるわけがない(笑)。だけど、そういうことが現実として起こるから、この仕事は楽しいんです。――今日は公開前日ですが、どんな心境ですか?(4月28日に取材)僕らの仕事は初号という1回目の完成試写が終わったところまで。そこから先、映画はお客さんのものとなりますので、特別な感慨はありません。ヒットすることがすべてではないんですが、より多くの人に観てもらいたいと思います。――でも、ヒットするといいですね。映画としての完成度、質はかなり良いはず。それが受け入れられるかどうかは、時の流れや運もあります。この映画は今の映画界の流れでは、反体制的な作品です。そこが面白いところだとは思います。カンヌで海外の人がどのように受け止めるのか。それは楽しみですね。やっぱり世界で勝負しようと思ったら、日本の映画は時代劇しかない。三池監督、木村さんがそろってカンヌに持って行くとどうなるのか。楽しみです。――300人斬りのラストシーンも話題になっていますね。あれはね、淡々と。淡々と撮っていくしかないです(笑)。監督が編集で、ものすごくうまくつないでいるので、アクションのすばらしさは監督の編集のうまさも関係していると思います。三池監督とは何本か一緒にやっているので、使いどころがだいたいこのあたりかなというのは何となく分かる(笑)。役者さんのテンションを切らないために、カットをかけないだけで、ある程度は使うところが決まっています。○「『無限の住人』が僕のベスト」――先日三池監督を取材しました。強面な方ですが、笑顔がすごく魅力的で(笑)。監督はすごく愛のある方ですよ(笑)。すべてにおいて。映画に対しても、人に対しても、作品に対しても。――お付き合いも古いんですよね。そうですね。『クローズZERO II』(09年)からです。三池組の魅力は、殻を破っていこうとする勢いがあるところ。「今まで撮った作品で一番は」と聞かれることがあるんですが、「今撮っている作品が一番」と答えています。自己更新をしていきたい。退化するのであれば辞めた方がいい。うまくいかないこともあるんですけど、自己ベストを更新し続けたいんです。監督と一緒にいるとそんなテンションになれる。そういう面白さがあります。――明石家さんまさんも同じようなことをおっしゃっていました。あ、そうですか(笑)。今、聞かれたら迷いなく、『無限の住人』と答えます。これが僕のベストです。そう胸を張って言えるように、現場では常に全力を尽くしています。■プロフィール北信康(きた・のぶやす)1960年生まれ。香川県出身。数多くの三池崇史監督作で撮影を担当し、『十三人の刺客』(10年)で第34回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞。『阿修羅のごとく』(03年)、『北の零年』(05年)、『一命』(11年)、『エヴェレスト 神々の山嶺』(16年)など。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年06月02日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。6人目は、撮影を担当したカメラマン・北信康氏。連載第14回「木村拓哉の魅力」について熱く語る。三池組では、なぜモニターチェックをしないのか?○「答えを見て演じる」「演じた後に答えを見る」――これまでカメラを通してたくさんの役者さんをご覧になってきて、木村さんは役者としてどのような魅力がありますか。やっぱり先ほどの通り、自己演出がすばらしい。それはスターとよばれる人が持って生まれた、意識を全くしないところから出てくるもの。本人は何も意識していないはずです。佇まいもいいですよね。――ということは、モニターチェックも入念なんですか?三池組は全くしません。監督が「OK」を出したものですから。昔の映画はモニターも何もなかった。ラッシュ(完成前の試写)で確認し、基本的に役者さんには見せなかったんですよね。役者さんは完成したもので初めて観る。ある時から現場でモニターが使われるようになって。それが、良いのか悪いのか分かりませんけど、テレビやコマーシャルでは役者さんが現場で確認するのが当たり前になりました。便利なこともあるんだろうけど、イマジネーションが無くなってしまうというか。「答えを見て演じる」のと、「演じた後に答えを見る」のとは大きな違いがあるので、個人的には見ない方がいいと思います。僕は古いタイプの人間なので(笑)。――三池組では監督に委ねるわけですね。そうですね。木村さんもモニターとか見ないんじゃないですかね。現場にはいろいろなパートのプロがいます。カメラマンである僕であったり、監督であったり。そのプロたちが判断して、決めている。そのOKとNGを出すのは、役者ではなく、監督の仕事なんです。監督がOKといったものはすべてOKなんです。僕もカメラマンとして「もう1回やらせてください」とは言わない。あまりにひどかったら言いますけどね(笑)。でも、基本的には監督がOKであればOK。これは三池組問わず、僕のやり方です。――とはいっても、どうしても気になること、譲れないこともあるのでは。でも、監督がOKならOK。確かに、出来上がったものを観た時に、自分の中ではもうちょっとこうしておけばよかったとか、いろいろあったりはします。でも、それを言い出したら、キリがない。たとえ撮り直したとしても、またその上を見ますよね。現場でその一瞬でしか見られない芝居を、監督の感覚の中でOKを出したもの、それが最良のシーンなんです。○「この顔が見たい」からの逆算――殺陣の辻井啓伺さんは、木村さんのリハーサルの立ち回りでフレームにきっちり収まった時に現場のテンションが上がったとおっしゃっていました。木村さんは芝居が流れないです。先ほども言ったように、緩急がついてるからダラっとしない。動いて一瞬、間があって再び動き出す。ダラッとした画にならず、パッパッとメリハリがついて、撮っていて非常に撮りやすいですよね。気持ちが良い。ダラッとするとね、「どうしてくれるんだよ……」と言いたくなる(笑)。そういうことは、僕らがちゃんと教えてあげないといけないんでしょうね。――ダラっとしている人も、当然そんなつもりはないわけですよね。そうでしょうね。これを教えるのは難しい。芝居が流れちゃうんです。アクションだけじゃなくて、普通のお芝居でも。経験もあるんじゃないですかね。僕らカメラマンには、「この顔が見たい」という場面があるんです。その顔をより効果的に見せるためにどうすればいいか逆算するんですが、それがメリハリがない感じになると、計算できなくなる。お客さんに見せるべきところを見せる。見せてあげたい。木村さんはそういうところもちゃんと分かっている気がします。■プロフィール北信康(きた・のぶやす)1960年生まれ。香川県出身。数多くの三池崇史監督作で撮影を担当し、『十三人の刺客』(10年)で第34回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞。『阿修羅のごとく』(03年)、『北の零年』(05年)、『一命』(11年)、『エヴェレスト 神々の山嶺』(16年)など。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年06月01日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。6人目は、撮影を担当したカメラマン・北信康氏。連載第13回は、「漫画原作と"殺し合い"」の撮り方について。○映画で効果的な「ダウンアップ」――三池監督と試写をご覧になったそうですね。ええ。当然、編集されて良いところが使われているわけですけども、それでも何というんでしょうね、木村さんのお芝居、アクションだけでいえば緩急のつけ方が抜群にうまいというか。より速く見せるためには、一度緩く見せて、それから上げる。上げて、下げる。この「ダウンアップ」みたいなことを繰り返していくと、メリハリの利いた動きになります。これは彼なりの速く見せる方法とでも言うんでしょうか。それが、映画では非常に効果的なんです。――過去にも漫画原作を担当されたことがあると思いますが、オリジナル作品と撮り方の違いは?基本的には一緒です。ただ、漫画原作は長く続いているものもあります。かなりのファンの方々がいらっしゃる。しかも小説と違って画が作られているので、みなさんにイメージが植え付けられている。このあたりは監督が意識するところはあるんですが、漫画のコマ割りと同じような決めカットになることもあります。――殺陣師の辻井さんは絵コンテが立ち回りのもとになっているとおっしゃっていました。カメラマンの場合は何がもとになるんでしょうか。絵コンテというのは監督が撮りたい画の意思表示。イメージのベースにはなりますよね。アクションはどこまでやるのかにもよるし、接近戦の方がこの芝居は面白いのかとか、望遠で振り回した方がいいのかとか。そのあたりは、場面や芝居によって変わっていきます。○木村拓哉の「持って生まれたもの」――木村さんは、「殺陣とか立ち回りという言い回しがあまり好きではない」とおっしゃっていて、「殺し合い」を追求する三池監督に感銘を受けたそうです。ずっとこの仕事をやってきて身についているものなのか、持って生まれたものなのか。本人もどういうふうに映るかということは、いつも想像できているんじゃないでしょうか。とにかく、自分の見せ方がうまいというか。――思い出の1シーンは?万次が刀を取り返してきて、戻って来るところ。(杉咲)花ちゃんと1カットで延々撮っているシーンがあるんですけど、良い距離感の画が撮れたような気がします。カメラもそこまで近づかず、良い距離感でお芝居をされていましたね。――てっきり壮絶なバトルのシーンかと。バトルはね(笑)。木村さんのテンションがビシビシ伝わります。こちらも刺激されて、そっちがこう来るなら、こっちはこう行きますよ! みたいにテンションに乗せられて、撮ってるような感じでした(笑)。■プロフィール北信康(きた・のぶやす)1960年生まれ。香川県出身。数多くの三池崇史監督作で撮影を担当し、『十三人の刺客』(10年)で第34回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞。『阿修羅のごとく』(03年)、『北の零年』(05年)、『一命』(11年)、『エヴェレスト 神々の山嶺』(16年)など。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月31日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。5人目は、本作の生命線ともいえる殺陣師・辻井啓伺。連載第12回は、立ち回りの常識を覆す「斬り合い」について。木村のストイックさは、どのような形で表れたのか。○"死なない"が目立つと卑怯――木村さんとは初仕事ですか?仕事は何回かしたことありましたが、ここまでガチッと立ち回りをしたのは初めてです。昔から真面目な方で現場の人間にも優しい。『南極大陸』(11年・TBS系)でもご一緒しましたけど、厳しい環境の中でも本当に真面目な人だなぁと感じました。それから、常に裏表がない人。普通に会話している時も、全然変わらない。現場に入って万次になっても変わらないし、どんな時も「木村拓哉」なんだなぁと。常に真面目、それが彼の普通であり、日常なんでしょうね。つい、そこまでストイックにならなくても……なんて思ってしまいます。でも、それが彼なんでしょうね。それをずっとやって、生きてこられた。すごい人だからそういうふうに見えるのか、続けてきたからすごい人に見えるのか。万次は、ずっと一生懸命でした。――万次が物語の主人公として特徴的なのは、斬られることが多いこと。そう。今回の映画では、実は全然強くないんですよね。やられまくっている。でも、そこが目立ちすぎると、逆に卑怯になっちゃうので気をつけました。普通、人間は死にたくないので、斬られないようにするじゃないですか。立ち回りの根本です。ところが、万次と同じ不死身の閑馬永空役・海老蔵さんとの立ち回りは、一切避けないでやっちまおうと(笑)。お互い死なないんだから、バツバツ斬っちゃえとなっちゃったわけですけど、もうね、立ち回りにならないんですよ(笑)。避けなくていいんだから。もう、2人でバツバツ! 大丈夫かな? と心配になるくらい斬り合っていました。海老蔵さんも、「もういい加減にしろ(笑)」みたいなことを言ってましたね。――これまで「互いに斬り合う」シーンを演出したことはあったんですか?ないです。斬ったら死にますからね。僕らが時代劇をやる時には、一太刀のための間であり、立ち回りなんですよ。いくらカンカンやりあっても、一度斬られたら終わりという緊張感があります。本当の戦いは一瞬で終わる。昔の東映は刀をかわすシーンがあったりしたんですけど、黒澤映画や東宝系の三船敏郎さんなんかは、刀を合わせないでバツバツ斬る。かわす間があったら叩き斬る。万次の場合はかわさなくても斬っちゃえばいい。相手に斬らせてまで、相手を殺そうとする。ただ、それが痛みを伴うことは分かっている。人間だから、当然痛い思いしたくない。痛いのは痛いんですよ、万次は。○エキストラに「殺し合い」指示――そのほか、倒した相手の武器を自分のものにすることも万次の特徴です。武器の種類は全部で38もあったそうですが、殺陣師の腕の見せどころですね。
2017年05月30日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。5人目は、本作の生命線ともいえる殺陣師・辻井啓伺氏。連載第11回は、「立ち回りではない立ち回り」について。辻井氏の度肝を抜いた木村の"天性"とは。○「引き出し」から作り上げる立ち回り――激しい殺陣が注目を集めています。どのような流れで動きをつけていったのでしょうか。台本をもとに作られた絵コンテに沿って、動きをつけていきます。もちろん原作も読みますよ。昔は現場でカット割りをしていたんですが、最近はCGをどこに入れるかも含めて想定しないといけないこともあるので、予算の兼ね合いもあって事前に打ち合わせをします。今回の立ち回りは、ほとんど現場で作りました。僕らアクションチームで前もってやったりはするんですが、結局リハーサルできたのは木村(拓哉)さんと満島(真之介)くんの戦いぐらいですね。でも、今回はみなさん、覚えが早かった。万次が300人と戦うラストは現場で作っていきました。――木村さんは「殺陣に見せたくなかった」とおっしゃっていました。そうそう。現場のアイデアで立ち回りはどんどん変わっていきます。僕らは、「払って斬って」というリズムで作ったりするんですけど、「かわす間があったら斬る」みたいなアイデアがあれば、そのリズムも崩れます。木村さんは剣道経験者なので、その場その場でどんどん変わっていく。一連のおおまかな流れは僕が作りますが、お願いするのは「最後はカメラの方を向いて終わってください」程度です。――役者さんの経験値によって左右されるんですね。得意・不得意もありますし、癖もあります。僕らは形から入りますが、そこには心情的な部分も必要になります。立ち回りは、お芝居の意見の1つ。監督にとってそれが違っていたら、また違う意見を出す。そういういろいろな引き出しを持っておいて、現場で出しています。――殺陣師として「ここだけは譲れない」みたいなことはないんですか?もちろんあります(笑)。その時は、納得してもらえるように話し合っています。○「1回目でやり遂げてしまう」――今回の撮影を通して、木村さんの秀でた部分も感じたのでは?常に客観的に自分を見られるところ。後ろ姿でも、「こう撮ってほしい」みたいな動きをされます。後ろ姿でも撮られることを意識できるのは、本当にすごいです。顔を映さなくても、セリフが聞こえてくるような気がするんですよね。僕が驚いたのは、テストでモニターを見ていた時。何十人もブワーと斬りまくってバシッと構えたんですよ。それが1回目からフレームの中にビシっと収まった。引きすぎでも、寄りすぎでもない。こんなの、普通の人じゃ無理ですよ。たぶん、カメラのピントマンも楽だったと思いますよ。いつもビシっと収まる。しかも、それを1回目でやり遂げてしまう人。――そういうシーンがあると、現場のテンションも上がりそうですね。ええ。これ、カット割らなくていいよね、となる。それまで、ああしようこうしようと考えているんですけど、1カット目から何十人も斬ってピタッと収まると、その1カットで見せるしかないよねとなります。今まで頭の中で必死に考えていたカットも、いらなくなるわけです(笑)。木村拓哉がフレームの中でビシっと構えるカットがあれば、他はいらない! OK!もちろんこれまでの経験もあると思いますが、きっと天性のもの。1対1の場合は隠しすぎてもダメ出し、離れすぎてもダメ。僕ら立ち回りのプロはいつも後ろ姿に力を入れますが、そういうのもできちゃうから。相手も楽だと思います。■プロフィール辻井啓伺(つじい・けいじ)1963年1月12日生まれ。大阪府出身。1981年、ジャパンアクションクラブに入団。その後、ワイルドスタントチーム設立メンバー、スーパーアクションメガシステム設立メンバーを経て、2001年にスタントチーム「ゴクウ」設立。これまでの主なスタントコーディネート作品は、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)、『許されざる者』(13)、『クローズZERO』シリーズ(07・09・14)、『精霊の守り人』(16・17/NHK)など。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月29日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。4人目は、万次のメイクを担当した酒井啓介氏。木村とはテレビ朝日系『アイムホーム』が縁で本作の声が掛かる。連載第10回は「最も近い距離で分かったこと」。近づくと「普通」、離れると「普通じゃなくなる」というのは、どういうことなのか。○「カッコいい人」を汚す――正式に三池組に加わることが決まった時は、どのような心境でしたか。三池さんはぜひやらせていただきたいと思っていた監督のお一人だったんですけど、「組」として出来上がっているから、初めての自分が入る隙があるとは……。ドラマ(『アイムホーム』)が終わった直後ぐらいにはお話をいただきました。――二つ返事で?もちろん。内容がすごくインパクトありましたし、木村さんの新たなイメージになるような気がしたので、すごくやりたいと思いました。カッコいい人を汚すのって、欲求としてありませんか(笑)?プレッシャーや不安よりも、そういう楽しみの方が勝っていました。緊張より、ワクワクする感じ。木村さんもメイクのことは任せて下さる感じで、「一緒にやろう」という感じでしたのですごく撮影が楽しみでした。――三池組にはすんなり入れましたか?初めてですし、いきなりは入り込めないと思いました。出来上がったチームにお邪魔させていただくような感じでしたが、専属の仕事なので、「思いっきりやろう」と。木村さんと「ここはどうしよう」とか話し合いながら、楽しんでやらせていただきました。○三池組の木村拓哉は「すごく幸せそう」――今回の現場で、木村さんと最も近い距離にいたのが、酒井さんだと思います。話してると本当に普通に感じて、でも普通じゃないというか。近くでお話してると、すごく親しみやすく接してくださるんですが、ふと離れると「おぉ……」という感じ。そのギャップが極端ですね。――木村さんは右膝じん帯損傷のケガをしたり、相当過酷な現場だったと思いますが、最後のメイクをした日のことは覚えていますか?最後って何の撮影だったのかな……あっ、金子賢さんとの冒頭のシーンですかね。刀傷を毎日、毎カット作っていたので、「これが最後の傷かな」と思いながらやっていました。2カ月近くですかね。同じ車に乗って現場に行って、また同じ車に乗って一緒に帰って来る。「またやろうぜ」みたいなお言葉はいただいたと思います。――現場を共にして、酒井さんだからこそ感じ取ったことは?三池組というチーム感が出来上がった組だったからこそ、木村さんはどんなつらい現場でも、そういう一体感さえあれば全部楽しんでしまう。すごいなと思いました。一体感がない現場だったら、少し違った現場になったのかもしれません。三池組さえあれば、どんなにきついことでも楽しんでやれる。そういう巡り合わせも、すごく幸せそうでした。――次は何の作品でしょうね。もうオファーは来てますか。それはナイショです(笑)。――では、楽しみにしています。さて、いよいよ明日公開です(取材は公開日前日)。そうですね。とりあえず観て欲しい。本当にすごいですよ。■プロフィール酒井啓介1979生まれ。福島県出身。映画『たたら侍』(17年)、『ジョジョの奇妙な冒険』(17年8月4日公開)、『ラプラスの魔女』(18年公開予定)、ドラマ『DOCTORS』(11年~・テレビ朝日系)、『BORDER』(14年・テレビ朝日系)、『アイムホーム』(15年・テレビ朝日系)、『コールドケース』(16年・WOWOW)などを担当。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月28日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。4人目は、万次のメイクを担当した酒井啓介氏。木村とはテレビ朝日系『アイムホーム』が縁で本作の声が掛かる。連載第9回は「メイク秘話」。不死身の質感と顔の傷、独眼の右目はどのように作られていたのか。○世界になじませる「ギリギリ」の勝負――いよいよ明日公開ですね(2017年4月28日に取材)。明日ですね……。普通だと、撮影終わって別の仕事をして一時的に考えなくなるというか、ポッカリ空く時があるんですが、『無限の住人』に関しては、ずっとずっと続いているような感じがしています。木村さんの存在が大きかったこともあると思うんですけど、「ずっと続けてやってきた」みたいな感じです。――試写をご覧になってどのように思われましたか。とにかくすごいアクションです。カット割で撮った場合は、「つながってこうなるんだ」という驚きがありますが、これの場合はものすごい立ち回りが続いて、「確かにこのスピード感だったな」とか、「撮っていた時もこの勢いだったな」とか、現場で見ていたそのままの臨場感をあらためて感じることができました。――殺陣の辻井啓伺さんにも試写の感想をうかがったのですが、ストーリーよりも殺陣師の目線で見てしまうとおっしゃっていました。酒井さんはいかがですか。僕は自分の仕事を細かく見るというよりは、ストーリーを見ていく上で、悪目立ちしないかのチェックはしています。物語にすんなり入っていけるか、浮いてないか。その世界になじませるためのもの、それがメイクだと思っています。奇抜なキャラクターも多いんですが、つられてやり過ぎないギリギリのところを注意しながらやっていました。――現実と非現実の間のような独特の世界観です。そうですね。ただ、原作の絵に似せるということはしませんでした。沙村先生が、仮に誰かをモデルに万次を描いたとして、それを思い浮かべてメイクに落とし込んでいくイメージです。漫画が原作の場合はだいたいそういうやり方をしています。さらに、今回は「不死身をどうやって表現するのか」が大切なポイントでした。○照明部に足を向けて寝られない理由――不死身になる前となった後では、雰囲気もガラリと変わりますよね。実際にはそこまで変わらないんですが、カメラを通してスクリーンに映った時にどのように感じるのか。どう見えるかではなく、観る方がどのように感じるのか。――通常であれば、メイクは人をよりきれいに美しく見せるもの。まるで違う作業ですね。そうですね。勝手な考えですが映画は少しソフトめに写って肌がきれいに見えると思うんです。万次は皮膚の毛穴やシミとかそういう本来の粗い質感をより感じさせたかったので、そのあたりは意識しました。照明込みの質感を確認しながら、嵩上げしていくようなイメージです。――光の加減も重要になってくるんですね。もちろんです。照明さんにメイクの仕上げをお願いする感じですかね。セットの中と外、ロケのような環境によっての違いも出てきます。照明さんには足向けて寝られません(笑)。現場に入るとよく分かりますよ、影の出方やツヤの出方も光によって変わってきます。撮っていくうちに狙いたいものが見えてきて、たとえば目を光らせたいなとか。そういう時はこそっと照明さんに相談します。そうやって狙う作業が、仕事として面白い。たとえば血糊。殺陣の最後に見得を切るタイミングで血が垂れるように「狙う」。もちろんうまくいかないことの方が多いですが、「狙ってみよう」という遊びが面白いんです。だから、スタジオの時は特にですが、撮影がスタートする朝の段階でのメイクは、半分という感じ。あとは現場でライティングを見ながら足して引いて、また足してみたいなことを繰り返しています。○メイクを手伝う木村拓哉――そういえば、先日木村さんを取材したのですが、メイクの方が原作と自分の顔を見比べて首をかしげられたことがあったとおっしゃっていました。非常に焦ったそうですよ。ハハハッ! それ、僕じゃないですよ(笑)。ほかのキャラクターを含めて全体を統括しているメイクディレクターの方だと思います。僕は万次専任でした。――そうだったんですね(笑)。独眼についての取材も多いと思います。完成までどのくらいの時間がかかるんですか。最初は1時間半ほど時間をとっていましたが、徐々に慣れてきて。木村さんも工程を理解して、道具を取って「はい」と渡してくれる(笑)。自分でやってしまうんじゃなくて、アシスタントのように僕をサポートしてくださるんです。そういう感じでどんどん早くなっていって、最終的には1時間を切って完成していたと思います。――右目は完全に閉じている状態なんですか?そうです。傷を含めて貼り付けています。その上に、シーンごとに色を足していきました。色がついていない特殊メイクパーツをいただいて、それを貼ったり、色付けしていくのが僕の作業。シーンによって、傷口の赤を強くしたり、薄くしたり調整しています。■プロフィール酒井啓介1979生まれ。福島県出身。映画『たたら侍』(17年)、『ジョジョの奇妙な冒険』(17年8月4日公開)、『ラプラスの魔女』(18年公開予定)、ドラマ『DOCTORS』(11年~・テレビ朝日系)、『BORDER』(14年・テレビ朝日系)、『アイムホーム』(15年・テレビ朝日系)、『コールドケース』(16年・WOWOW)などを担当。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月27日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。3人目・連載第8回は、『戦場のメリークリスマス』『ラスト・エンペラー』『BROTHER』など数々の名作を手掛けてきたイギリス人プロデューサー、ジェレミー・トーマス氏。三池監督作は、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)に続いて3度目。同氏が代表を務める「Han Way Films」が本作の海外セールスを担っている。世界的に活躍する敏腕プロデューサーは、木村拓哉と三池崇史をどのような人物として捉えているのか。○パーフェクトなキャスティング――いよいよ公開を迎えます(4月に取材)。三池監督と木村さんのタッグについては、どのような印象ですか。パーフェクトなコンビネーションではないかと思っています。三池監督はとても素晴らしい監督で、技術的な面でも芸術的な面においても巨匠と呼べる監督です。非常に優れた映画作りをすることが出来て、今回の現場では、シングルカメラでセットアップが多くなってしまう状況を見事にこなしたことは彼の力量を証明していますし、木村さんは現場でも監督と常にタッグを組んでいて、それは文章で表される以上に素晴らしいものであったように感じています。――三池監督は木村さんが不死身の侍・万次を演じることについて、運命的なキャスティングだったとおっしゃっていましたが、そのことについてはどのように思われますか?キャスティングというのは私も長年大切にしてきたことですが、今回の場合はパフォーマー、例えば木村さんが音楽をやってきたことや市川海老蔵さんが歌舞伎をやってきたこと、様々な形で役者としてやってきたことを踏まえた上でこの作品でも素晴らしい演技をみせてもらう、そういった意味においても、とても良いキャスティングであったように感じています。大島渚監督と働いた『戦場のメリークリスマス』という作品では、坂本龍一さん、デヴィッド・ボウイさんらは音楽家であるにも関わらず演技が素晴らしくて、三池監督もそういった部分を見抜いた上でキャスティングしたのではないでしょうか。監督はポップカルチャーに造詣が深く、キャスティングに関しては木村さんのみならず、色々なところから才能を上手く組み合わせて作り上げていく。パーフェクトなキャスティングだと思いますし、そのことがこの映画にパーソナリティ、性格を付与しているではないでしょうか。海外に目を移せば、SMAPの木村さん、歌舞伎の市川さんらの名前の方が知られているのかもしれませんが、他のキャスティングに関しても素晴らしいと考えています。またキャスティングというと役者のことばかり考えがちですが、この映画の場合、音楽を含め、スタッフも素晴らしいキャスティングでした。はじめMIYAVIさんが音楽を担当されると聞いた時は、ポップソングであることに少しだけ抵抗を感じました。時々、どうしてこの映画にこの音楽なのだろうと思うことがあるからです。しかし実際にMIYAVIさんの曲を聴いてみると本当に素晴らしく、独特の世界観を持っていて、この映画の物語にピタッとはまる、そういう楽曲になっていたように思います。○日本映画を世界に届けたい――世界中の名だたる巨匠達の作品をプロデュースしてこられましたが、三池監督とはどういった経緯で関わるようになったのでしょうか?私は谷崎潤一郎が大好きで、村上龍さんの『オーディション』や『イン ザ・ミソスープ』等を読んでいました。そこから三池監督の『オーディション』を観ることになって、元々三池監督の『中国の鳥人』等は拝見していて素晴らしいと思っていたのですが、『オーディション』を観てこれぞマエストロだと感心しました。今の若い人達はあまり谷崎文学を知らないかもしれないですが、私は谷崎が大好きで、当時是非脚色したいと考えていた作品がありました。その話をヴェネツィア映画祭に参加していた三池監督とお会いした時にお話ししたのですが、その数カ月後、『十三人の刺客』の中沢敏明プロデューサーから電話がかかってきて、それをきっかけに三池作品の製作に関わるようになりました。そしてその後も続投したのは、やはり三池崇史という才能と是非組みたいと思ったからです。思い起こすのは大島渚という本当に素晴らしい監督で、リスクを負って非常に強いものを持った作品を作っていった、それと同じようなものを感じますし、その後も北野武監督といった素晴らしい日本の監督と働かせていただく中で、私にとっての三池監督は、そういった日本に連なっている映画的才能を受け継ぐ監督であると考えています。三池監督だからこそコラボレーションしたいと思うのです。人は私のことを変わったプロデューサーと呼びます。それは何故かというと、私が一番大切にしているものが、テイスト(自分の趣味にあうかどうか)、であるからです。そういった意味においても私は三池監督が大好きですし、『無限の住人』に関わりたいと思ったのも、三池監督の作品だったからです。その時にはまだ木村さんのキャスティングも出ていませんでした。映画の世界というのは私が業界に入ってから随分と変わりました。1967年からずっと映画に関わり続けていますが、当時の日本映画の重要な監督といえば、今村昌平、溝口健二、黒澤明、小津安二郎、こういった監督達が常に何かしらの作品を発表しているという状況がずっと続いていましたが、それがある時期を堺に止まってしまいました。しかし私は今、日本映画というものを世界の観客に届けることができる、そういった監督の一人が三池監督であると考えています。『十三人の刺客』でまさにそれを証明していると思いますし、世界の観客が日本映画を求めている、そして三池監督も自分の作品を世界に届けたいと思っていらっしゃるから、是非私も力添えしたい、こういったタイプの日本映画を観たことのない人に、是非観てほしいと思っています。また、日本映画を外国に持っていくと、どうしても字幕が入ってしまいます。そうすると作品は日本でいう所謂アートハウス系の映画館に入ってしまい、色々な人にたくさん観てもらうといったことが難しくなってしまうのですが、だからこそ私はカンヌ映画祭のような場所に『無限の住人』を持っていきたい。そうすることによって、世界中の映画を愛する方々にこういう映画があるということを伝えることができるからです。○海外メディアの高評価確信「本当のこと」――木村さんの存在は、世界でどのように受け止められると感じていますか?木村さんは非常に才能があり、知的な人です。私にとっては坂本龍一さんを思い起こさせます。とても素晴らしい役者ですし、強烈な存在感。主演として出演時間も長いですし、ハンサムな顔も映される、そしてスタントを使わず全てのアクションをこなしているわけですから、『無限の住人』を通して世界からも注目されるようになるのではないでしょうか。サーファーとしてかなり腕があると聞いていますが、やはり肉体的な強靭さや身体能力の高さがその演技力と相まっていて、そういった意味においても世界から認知される資質はあると思いますし、そうなると思っています。私は、『無限の住人』がニューヨーク・タイムズ等といった世界的に権威のあるメディアから「すばらしい侍映画である」、そういったレビューが出ることを待っています。なぜならそれは、本当のことですから。■プロフィールジェレミー・トーマス1949年7月26日生まれ。イギリス・ロンドン出身。映画プロデューサー。これまで、『戦場のメリークリスマス』(83)、『ラスト・エンペラー』(88)、『リトル・ブッダ』(94)、『BROTHER』(01)、『裸足の1500マイル』(03)、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)などを手掛ける。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月26日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。2人目は、スケジュールや予算など制作全般の進行を管理した坂美佐子プロデューサー。これまで数々の三池作品を手掛けてきた”右腕”ともいえる人物だ。連載第7回は、「カンヌ公式上映の重み」と「裏方のプライド」。○カンヌ出品の苦労――三池監督は取材した時点で、すでに別の作品を撮っていたりしますよね。映画化が発表されると「あの時はこれを撮っていたのか!」と、いつも驚かされます。そうですね。映画監督の「作りたいもの」には芸術性を求めがちだと思うんですけど、三池監督には当てはまらない気がします。今の世の中の人が見たいものをキャッチして、どのように作るかを考える。そして、自分が楽しめるものを作っていく。三池監督の想いは、芸術性とは全く違うところにあると思っています。――カンヌで公式上映されることが決まりましたが、このあたりも見据えていたんですよね(4月下旬に取材)。海外だけを視野に入れていたわけではありませんが、もちろんエントリーしました。われわれ映画人にとって、カンヌは誰もが掲げる目標。三池監督は海外から支持されていますが、発表されるまではドキドキでした。本当にホッとしています。世界中からの何千本という中から数十本しか選ばれないわけですから、それがどれだけ難しいことか。三池監督で何本も経験していますけど……やっぱりみなさん「カンヌ」をすごく軽くおっしゃるんです。この苦労はきっと伝わらないと思います(笑)。○木村拓哉と再会して涙――ここは丁寧に書き残しておこうと思います(笑)。本当にオフィシャルセレクションはハードル高いんです。でも、カンヌはみんなの合言葉のようになっていました。いま別の作品を撮っているんですけど、発表時はその現場でした。YouTubeの中継を見ていたんですが、さすがに音は出せない。電話で「呼ばれましたよ!」と言われて、監督も私もYouTubeを見ていたのに全く気づかず(笑)。膝の力が抜けました。次の日、キャンペーンで木村さんに会ったんですけど……その顔を見た時に泣けました。木村さんにはすぐに電話して、監督に替わって監督の口から伝えてもらいました。その時も木村さんと話しているんですけど、次の日に新幹線の駅で木村さんを見た時に……込み上げてきたんです。うれしいとかじゃなくて、本当によかったと。電話した時、監督は木村さんに「隣の坂さん、ぐったりしてる」と伝えてくださいました(笑)。うれしいのはうれしいんですけど、現場の責任者ですから、本当の喜びになるまでは時間が必要なのかもしれません。――今回の取材で、1つの作品にはさまざまな人間ドラマがあることがよく分かります。そうですね。でも、映画を観る方々にとっては、あまり関係のないこと。いろいろな利害関係が生じるのが私たち裏方の仕事で、そこは本来であれば見えちゃいけないものなので、皆さんには作品を表面的に楽しんでほしいと思っています。そのためは我々は日々、自分の仕事を全うしています。■プロフィール坂美佐子(さか・みさこ)静岡県浜松市出身。映画プロデューサー。NHKエンタープライズを経て、現在株式会社OLM、OLMデジタル取締役。これまで、『極道恐怖大劇場 牛頭』(03)、『ゼブラーマン』シリーズ(03・10)、『着信アリ』(04)、『IZO』(04)、『妖怪大戦争』(05)、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)、『クローズZERO』シリーズ(07・09)、『神様のパズル』(08)、『ヤッターマン』(08)、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)、『愛と誠』(12)、『悪の教典』(12)、『藁の楯 わらのたて』(13)、『喰女-クイメ-』(13)、『土竜の唄』シリーズ(14・16)、『神さまの言うとおり』(14)、『風に立つライオン』(15)、『極道大戦争』(15)、『テラフォーマーズ』(16)など、数々の三池監督作を手掛ける。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月25日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。2人目は、スケジュールや予算など制作全般の進行を管理した坂美佐子プロデューサー。これまで数々の三池作品を手掛けてきた"右腕"ともいえる人物だ。連載第6回は、プロデューサーが見た木村拓哉の素顔と「独眼」秘話。○「独眼」の説得を拒み続ける――映画の話を聞いたのはいつごろからなんですか?2年前ぐらいですね。(エグゼクティブプロデューサーの)小岩井(宏悦)さんから聞きました。三池監督が主演を木村さんに決めて、出演が正式に決まったのが7月の終わり。『無限の住人』は業界内でもかなり有名な作品で、詳しい事情は分かりませんが、いろいろな方がやろうとしてダメになったという話は何度か聞きました。――木村さんとは今回が初めてですか?初めてです。――これまでとイメージが変わった部分はありましたか?私にとっても大スターなので、こういう人だろうとかは、あまり想像しませんでした。万次は独眼で、原作では右目を塞がっています。三池組の"母"として、「塞ぐ目を左目にしましょう」という説得は本当に数え切れないほどしました。でも、彼は「ダメだ」と。「原作が右目だから」というシンプルな理由でした。それが「木村拓哉」なんです。――なぜそこまで説得したんですか?利き目である右目を塞ぐと、立ち回りがさらに危険になります。万次はいろいろな武器を使うキャラクターなので、相手との距離感もそれぞれの武器によって変わってきます。本当に危険なんですよ。危険な撮影は、作品への愛情がないとできない。譲らないのが「木村拓哉」です。それは反抗でもなく、原作に従うというだけ。原作に対するリスペクトなんだと思います。自分の出番だけじゃなくて、他の人が芝居している時にはカメラ側にいてリアクションされていました。○「俳優部」を特別扱いしない――印象に残っているシーンはありますか?最後の立ち回りのシーンは、エキストラさんが300人ぐらい参加しています。極寒の中で、川に足を入れている人もいました。われわれスタッフはもちろんフォローします。私、現場で炊き出しもするんですよ(笑)。玉こんにゃくなんか、寒い現場にピッタリ。紙コップに入れてみんなに配るんです。こんにゃくって冷めづらいんですよね。そして、ちょっとお腹にもたまる。スタッフはもちろん当たり前のようにフォローしますけど、木村さんはエキストラの方々に「寒いですね。すみません」「ありがとう」と話しかけるんです。そんな光景を目にすると、すごく良い現場だなと感じますね。全員が三池組。きっと皆さん、スタッフが俳優を迎え入れるみたいな印象あると思います。でも、三池組の場合は撮影部、照明部、美術部と同じように「俳優部」なんです。俳優部としての木村拓哉。寒さのケアは、スタッフもキャストも一緒。俳優だからといって特別扱いするわけでもないんです。――木村さんが海外映画のような印象を受けたと言っていたのは、そういうことなんですかね。もしかしたら、言葉は悪いけどキャストを大事にしないというか。ちやほやしない。三池組には、そんなことをするパートがないんです。■プロフィール坂美佐子(さか・みさこ)静岡県浜松市出身。映画プロデューサー。NHKエンタープライズを経て、現在株式会社OLM、OLMデジタル取締役。これまで、『極道恐怖大劇場 牛頭』(03)、『ゼブラーマン』シリーズ(03・10)、『着信アリ』(04)、『IZO』(04)、『妖怪大戦争』(05)、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)、『クローズZERO』シリーズ(07・09)、『神様のパズル』(08)、『ヤッターマン』(08)、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)、『愛と誠』(12)、『悪の教典』(12)、『藁の楯 わらのたて』(13)、『喰女-クイメ-』(13)、『土竜の唄』シリーズ(14・16)、『神さまの言うとおり』(14)、『風に立つライオン』(15)、『極道大戦争』(15)、『テラフォーマーズ』(16)など、数々の三池監督作を手掛ける。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月24日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。2人目は、スケジュールや予算など制作全般の進行を管理した坂美佐子プロデューサー。これまで数々の三池作品を手掛けてきた"右腕"ともいえる人物だ。連載第5回は、そんな裏方の「トラブルとの向き合い方」について。○雪予報の対処法――本作は、人気の俳優が数多く出演しています。スケジュール調整も大変だったのでは。それぞれの俳優のスケジュールを押さえた上で香盤を固め、予算も含めてすべて成立させてから撮影がスタートします。それよりも困るのが天気です。あらゆる可能性を考えると、予備日はいくつあっても足りない。最悪の場合、撮影を入れ替えればいいんですが、両方が雨の場合はどうするのか。2015年末から2016年1月17日までの撮影で、京都では雪の予報もありました。これは予想外でしたね。戸田(恵梨香)さんが屋根の上から落ちるシーンがあるんですが、撮影のタイミングがちょっと雪が降る可能性のある時期だったので、屋根の部分だけは新たにセットを作り込みました。――えっ! そうだったんですか。はい(笑)。木村(拓哉)さんや(杉咲)花ちゃんが窓から飛び降りるシーンは現場で撮りましたが、戸田さんのシーンはセットです。建てるのは3~4日かかるので、雪が降ってからでは遅い。高さのある場所での降雪は危険を伴いますし、思い切った決断が必要でした。ただし、セットを作ると当然お金もかかるので、予算のやりくりをしないといけません。すべてガチガチの予算で進めていくわけにはいかないので、Aで使うものをBに持って来て、その補填を別のところから持ってくるとか。そんな計算を常に考えています。さらに言うと、セットは屋根のみなので、今度は合成が必要になる。VFXの予算がかかって……みたいなことです。○木村拓哉の終電との戦い――そういったことが大小含めて無数にある。そうですね。今日撮影が長引くと、「お弁当どうしよう」とか。それが何日も続くと、「ロケ費大丈夫かな」とか。心配は尽きません。――大黒柱的な存在ですね。プロデューサーですからね。監督とは役割を分担していないと、現場が回りません。楽しんでいる三池崇史を見て、みんながそれに吸引されて作品がどんどん加速していく。すべては、その楽しい空間にいる人たちを支えるために。それが私の仕事です。――これまで数々の作品で、三池監督と共に歩んで来られましたが、そういった意思疎通もスムーズなんでしょうか。そうですね。ただ、目的を同じにはできないんです。例えば、監督があるシーンを2日間かけて撮りたい場合、私の立場上、反対しないといけないこともあります。セットを今日壊して、明日から別の建て込みをしないといけないとか、ロケの日程を組んでいたりとか。全体の進行はパズルのような状態で、それのどれが欠けても崩れてしまいます。そういえば、監督が骨折、主役である木村さんがじん帯を切っちゃったこともありましたね(笑)。終わったら木村さんを最終の新幹線に乗せないといけない。でも、そのままの格好で乗せられないから、ちゃんとメイクを落とす時間も逆算して。そんな感じで、監督とは一定の距離感を保ったまま仕事をしているという感じです。監督と言い争うことはありませんが、利害は完全に相反するんです。○三池組の"お母さん"――毎日が小さなトラブル、苦労の連続ですね。そうなんです。でも、実は苦労でもなく、楽しみでもないんです。それが「仕事」なんです。トラブルを解決していくのが、私の「仕事」なんです。大変なんて思っていたら、プロデューサーの仕事なんて務まらない。すごくたくさんお金があって、すごく時間がある人たちが集まっていれば、プロデューサーなんていらないでしょうね(笑)。――なるほど。何か工夫していることはあるんですか。そのかわりじゃないですけど、いろいろな情報が集まりやすいようにしています。だいたい100人ぐらいのスタッフがいて、アシスタントの子たちも含めるともっと大人数。困っていることとか、何気ない世間話でもいろいろなことが耳に入って来ます。情報が多ければ多いほど、より正しい判断ができるようになります。―― 一人ひとりとのコミュニケーションが重要になってくる。そうですね。みんなのおばちゃんであり、お母さん的な役割なのかもしれません(笑)。――先ほどは大黒柱と表現しましたが、家計的なことも担うとなると、やはり「母」ですか。大黒柱は監督で、私はどちらかというとお母さんですね(笑)。■プロフィール坂美佐子(さか・みさこ)静岡県浜松市出身。映画プロデューサー。NHKエンタープライズを経て、現在株式会社OLM、OLMデジタル取締役。これまで、『極道恐怖大劇場 牛頭』(03)、『ゼブラーマン』シリーズ(03・10)、『着信アリ』(04)、『IZO』(04)、『妖怪大戦争』(05)、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)、『クローズZERO』シリーズ(07・09)、『神様のパズル』(08)、『ヤッターマン』(08)、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)、『愛と誠』(12)、『悪の教典』(12)、『藁の楯 わらのたて』(13)、『喰女-クイメ-』(13)、『土竜の唄』シリーズ(14・16)、『神さまの言うとおり』(14)、『風に立つライオン』(15)、『極道大戦争』(15)、『テラフォーマーズ』(16)など、数々の三池監督作を手掛ける。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月22日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。2人目は、スケジュールや予算など制作全般の進行を管理した坂美佐子プロデューサー。これまで数々の三池作品を手掛けてきた"右腕"ともいえる人物だ。連載第4回は、そんな裏方の「喜び」について。○「この仕事をやってよかった」――いよいよ公開です(取材は4月下旬)。プロデューサーとして、公開前はどのようなお気持ちですか?ドキドキです。お客さんに届く直前というのは、やっぱりいつも緊張しますね。制作するかしないかも含めて、いちばん先に携わるのがプロデューサーという立場。初めてタイトルを聞いたときから今までのことで間違いはなかったのか、公開前はいつも不安になります。ワクワクするというよりも、ドキドキという感じです。――今回に限らず、苦労してよかったと思えるのはどんな時なんですか?電車に乗っていて、隣の人が作品の話をしてくれた時とか。もちろん、業界の方含めて私の周りで褒めてくださるとうれしんですが、映画館を出てトイレに行った時に作品の話で盛り上がっている方がいると別のうれしさがあるというか。観た後の感想だけじゃなくて、「あの衣装いいよね」「今度お母さんと『無限の住人』観に行くんだ」とか、今まで会ったことない方が私の担当した作品について話題にしてくれていると、とてもうれしい。そういう瞬間は、この仕事をやっていてよかったなと思います。――興行的に成功した時の喜びも格別でしょうね。数字的なところをいつも追いかけていると、「作りたいもの」と「観て欲しいもの」が一致しない作品もあります。でも、プロデューサーとしての考え方の基本にあるのは、「いい作品を作れば必ずたくさんの人が観てくれる」。そこに迷いはありません。○2つの心がけ「私が楽しむわけにはいかない」――三池監督は、「とにかく自分たちのやりたいことを、やりたいようにやる。そうやって無我夢中で作ったものが結果的に、日本人にしか作れない日本の物語として、世界中の人たちにとって、観たことのない価値のあるものになるはずだ」と。監督は「自分たちが楽しまないとお客さんも楽しんでもらえない」という信念のもと、スタッフを束ねて1つの方向に導いていくのが得意な方。それが三池組の大きな魅力と力になっていますが、同じように私が楽しんでしまうわけにはいかなくて。私が心がけることは2つ。1つは、いい作品を作ればたくさんの人が観て興行的に成功するという信念。もう1つは、仕事の内容と予算、スケジュール、クオリティがちゃんと正三角形を成しているかどうかを常に意識すること。予算だけがどんどん膨らんでいってもいけないし、スケジュールだけが守られなくてもいけないし、クオリティが落ちてもいけない。「楽しむだけでは済まない」部分は、私の方で引き受けているつもりです。■プロフィール坂美佐子(さか・みさこ)静岡県浜松市出身。映画プロデューサー。NHKエンタープライズを経て、現在株式会社OLM、OLMデジタル取締役。これまで、『極道恐怖大劇場 牛頭』(03)、『ゼブラーマン』シリーズ(03・10)、『着信アリ』(04)、『IZO』(04)、『妖怪大戦争』(05)、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)、『クローズZERO』シリーズ(07・09)、『神様のパズル』(08)、『ヤッターマン』(08)、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)、『愛と誠』(12)、『悪の教典』(12)、『藁の楯 わらのたて』(13)、『喰女-クイメ-』(13)、『土竜の唄』シリーズ(14・16)、『神さまの言うとおり』(14)、『風に立つライオン』(15)、『極道大戦争』(15)、『テラフォーマーズ』(16)など、数々の三池監督作を手掛ける。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月20日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。1人目は、本作の"生みの親"ともいえる小岩井宏悦エグゼクティブプロデューサー。連載第3回は、「大きな賭け」でもあったヒロイン・杉咲花について。彼女がなぜ本作の浮沈にかかわるとみていたのか。そして、「すごい」と驚いた一面とは。○マスコミの期待を見事に裏切った一言――完成した映画をご覧になっていかがでしたか?僕が一番最初にみたのは2時間35分バージョンでした。特に具体的な注文をすることは全くなくて、観客として打ちのめされた。ただ、少しだけ短くしてくださいとだけは言いました。伝えたことと言えば、それぐらいですね。唯一、冒頭の白黒映像については、プロデューサーとしては観客に少しでも見やすくしたいので、カラーの方がいいのかなとも思ったんですが、結果としては圧倒的に白黒の方が良かったですね。その後も切り過ぎてしまったり、元に戻したり細かい調整を経て、今あるものが「最高地点」に到達したものだと確信しています。――事前のコメントで、小岩井さんは「この映画の成功と失敗は杉咲花にかかっている」とおっしゃっていました。そのあたりはいかがですか。杉咲さんといえば、3月の第40回日本アカデミー賞で、最優秀助演女優賞と新人俳優賞をW受賞したことでも話題になりました。見る目ありましたね(笑)。――さすがです(笑)。冗談ですが(笑)。でも、ここまでの勢いがあって、本当にラッキーでした。撮影初日、2人のシーンではじまったんですが、撮影の最後に二人が自然とハイタッチして終わっていました。僕らとしては、二人の相性がどうなんだろうかと内心ヒヤヒヤしていた中でホッとしましたね。商業性も重要ですが、この凜役については我々は作品性を重視しました。2人は、絶対に「LOVE」に見えちゃいけない。でも、親子に見えるのも違う。兄妹でもない。でも、凜の側からであれば、異性として見ていてもいいわけですよ。でも、万次の側からは絶対にその要素はあってはいけない。つまり、相当にアンビバレントな要素をビジュアル的、年齢的に持っていなければならない。しかも、お芝居ができることは絶対条件。そう考えると、凜という役はすごくハードルが高いんです。ある種の大きな賭けであるけども、作品性を重視した上で当時は無名に近い花ちゃんだったわけです。そして、お芝居ができるからと言って、イコール木村さんと噛み合うとは限らない。花ちゃんを「すごい」と思った出来事がありました。現場でマスコミ向けにミニ会見をした時のこと。登壇者は、監督と木村さん、花ちゃんの三人です。当然、花ちゃんには、相手役である木村さんに関する質問が飛ぶ。すると花ちゃんは、「誰の相手なのかは関係なく、私はこの凜という役をちゃんと演じきれるかどうかだけで精一杯です」と言った。木村さんは、彼女のこういう所を信頼しているんだなと思いました。「子供の頃から見ていた木村さんとご一緒できて、すごくドキドキしました」みたいに媚びたりしない。きっと、マスコミの方々はそういうコメントを期待して聞いたと思うんです。でも、相手が誰かではなく、もらった役をどう演じ切るかが一番重要だ、と言う本物の役者しか言えないことを、木村拓哉さんを横に置いて当り前のように言ったことがすごいと思いました。○カンヌは最高に幸せな「運命」――アカデミー賞のスピーチでも、宮沢さんのことを「本当にお母ちゃんでした」とおっしゃっていました。そういう演技の考えがしっかりしているところも、ある程度事前につかんでいたんですか。いえ、そういうところは分かりません。だから、まさにそれがさっき言っていた「ラッキー」なんです。僕はお芝居だけを見て「この子がいい」と決める。でもその子がどんなキャラクターなのか分からないですし、現場でどのように振る舞い、木村拓哉さんという稀代のビッグスターとどのような化学反応を起こすのか、というのは全く分からないです。下手すると、虎の尾を踏んでしまう可能性もあった。でも、自然と木村さんの方から愛情を示しやすい関係性になっていました。彼女の演技に対するひたむきな姿を感じ取って、木村さんも殺陣なんかを熱心に教えてあげていました。――2月の制作会見で、三池監督は「キャスティングは運命である」とおっしゃっていました。この言葉を聞いて、どう思われますか?僕もいつも「ご縁」と言っていますし、「恋愛と同じ」だと思っています。お互いが好きじゃないと、片方がどんなに強く望んでも成立しない。しかも、タイミングも重要でお互い好きでも、相手に違うパートナーが決まってしまっていたら成立しない。2年前に言ってくれたらよかったのに……とかありますよね(笑)?運命で言うと、私は作品そのものが持っている「運命」というものがあるといつも思っています。生まれ落ちるところから決まっているものがあるのです。その意味で、三池崇史監督が撮り、木村拓哉さんが主演し、杉咲花というニュースターを作り、多くの素敵な共演者を得て、カンヌ国際映画祭の特別招待されるこの映画は、最高に幸せな「運命」を持っているのだと思います。■プロフィール小岩井宏悦(こいわい・ひろよし)1960年7月28日生まれ。長野県出身。89年4月にフジテレビ入社。10年以上にわたって数々のドラマをプロデュースし、03年からは映画も手掛ける。07年4月にフジテレビを退社し、同月ワーナー・ブラザース映画ローカルプロダクション本部長に就任。これまでのドラマは、『Age,35恋しくて』『ラブジェネレーション』『神様、もう少しだけ』など、映画は、『星になった少年』『ブレイブ・ストーリー』『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』『るろうに剣心』シリーズ『オオカミ少女と黒王子』『ミュージアム』など。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月17日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。1人目は、本作の"生みの親"ともいえる小岩井宏悦エグゼクティブプロデューサー。小岩井氏はフジテレビ時代、『あすなろ白書』や『ラブジェネレーション』など数々の作品で木村と関わってきた。連載第2回は、「再会」について。○歌番組収録現場で触れた熱意――木村さんと直接対面しての説明の場みたいなものはあったんですか?ありましたよ。それが2015年7月ですね。クランクインする4カ月ぐらい前でした。彼に会ってやってくれると聞くまでは、みな半信半疑でした。木村拓哉さんが、三池崇史という監督に興味があること、時代劇アクションであることなど、好感触であることは聞いていたしたが、本人と話してみるまでは本当のコミットメントがあるかどうかは分からない。私と三池監督とプロデューサーの坂さんと3人で、歌番組の収録現場まで会いに行きました。――どんな反応でしたか。とにかく彼はアイデアが豊富なので、いろいろなアイデアが出てきて、そして、最後に「世の中をあっと言わせましょう」と。彼のそういう圧倒的なリーダーシップというか、作品への愛情というものは、作り手にとっては本当に涙が出るほどありがたいものですね。その時点で、作品そのものがあっと言わせるものになる、と彼が思ってくれたのだとしたら、我々はその意気込みに答えなくてはならない、という覚悟を決めた瞬間でもありましたね。○『SMAP×SMAP』で「久しぶり!」――木村さんとは、いつぶりの再会だったんですか?20年近くぶりですよ。仕事としては、『ラブジェネレーション』(97年・フジテレビ系)以来です。2003年に藤木直人くんと仲間由紀恵ちゃんの『g@me』(03年)で、『SMAP×SMAP』のゲストで呼ばれた時がありました。そこで木村さんに会って、「久しぶり!」と言葉を交わしたのを覚えています。厳密に言うと12年ぶりになるんですかね。『ラブジェネレーション』以前は、『あすなろ白書』(93年・フジテレビ系)やSMAPの5人が出演した『僕が僕であるために』(97年・フジテレビ系)などがありました。――初仕事は『あすなろ白書』ですか?そうですね。オーラがあるところは当時も今も変わっていません。『あすなろ白書』になると、23・4年前ぐらいなのかな。それから今に至るまで、その時からまとっているスターの雰囲気は変わらないですね。ただ、会わない間に風格みたいなものは確実についています。ほかの方もおっしゃっているかもしれませんが、今回の撮影でも、真冬の中、草履と着流しで現場にいるんですよ。僕らはヒートテックの上に、ダウンを着込んでガンガンに手をかざしながら寒さをしのいでいた(笑)。でも、木村さんは控室にすら戻らないわけですよね。自分の出番じゃない時も、杉咲さんの目線の先に立っている。立ち回りの時、相手方のカットなのに自分でもやる。その上、現場の末端のスタッフにまで声を掛ける。それらが、彼の風格になっています。自分の立ち居振る舞いが、すべてのキャスト、スタッフに影響を与えるということを、彼自身がよくわかっているんじゃないでしょうか。■プロフィール小岩井宏悦(こいわい・ひろよし)1960年7月28日生まれ。長野県出身。89年4月にフジテレビ入社。10年以上にわたって数々のドラマをプロデュースし、03年からは映画も手掛ける。07年4月にフジテレビを退社し、同月ワーナー・ブラザース映画ローカルプロダクション本部長に就任。これまでのドラマは、『Age,35恋しくて』『ラブジェネレーション』『神様、もう少しだけ』など、映画は、『星になった少年』『ブレイブ・ストーリー』『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』『るろうに剣心』シリーズ『オオカミ少女と黒王子』『ミュージアム』など。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月16日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。1人目は、本作の"生みの親"ともいえる小岩井宏悦エグゼクティブプロデューサー。連載第1回は、映画化に至るまでの経緯をたどる。○『るろうに剣心』の影響――まずは制作に至る経緯からお聞かせください。『無限の住人』は、プロデューサーたちの中で、映像化したい作品の1つとしてずっとささやかれきた作品です。ハリウッドのスタジオ含め、映像化権をどこが持っているか都市伝説のようになっている中で、ある制作会社が私のところにこの作品の企画書をシナリオと共に持ち込んで来たんです。ただそれは、今のパッケージ感とはまったく違うドラマ主体の低予算の時代劇映画、と言うものでした。でも、この作品はそういう規模ではもったいない。何としても自分たちでやりたい、なるべく大きなアクション時代劇大作にしたいと。そこで、その制作会社からもろもろの権利を買い取り、シナリオも一から作り始めました。2014年はじめ頃のことです。――その年、『るろうに剣心』の続編2作が公開されましたね。そうです。まさに2012年の『るろうに剣心』を観て、「ワーナーだったらできるんじゃないか」と思って持って来てくださる話がいくつもありました。その中の1つが『無限の住人』でした。『るろうに剣心』のような大型サイズの時代劇にするにはシナリオが重要です。それに、原作の理解が深くないと沙村広明先生や原作ファンを裏切ることになってしまいます。そこで、持ち込まれたシナリオを書いていた大石哲也さんにそのままシナリオをお願いしました。長い原作なので試行錯誤が続き、1年~1年半ぐらいかけてシナリオを直していったんです。シナリオがある程度の段階になったところで、監督は三池崇史さんしか考えていませんでした。時代劇アクション、不死と言うファンタジックな世界観と残虐性、そしてエロチシズムとサディズム。この世界観を描けるのは三池さんしかいない。そう確信し、話を持っていったら快諾してくれました。○最強の枠組みで「私の仕事は終わり」――そこから配役に。ええ。「主演はどうしましょうか」という話になり、三池さんの希望は木村拓哉さんでした。「大きく」するつもりで企画していたので、木村さんはその意味では、最大級ですよね。ただ、木村拓哉さんが、この血まみれになって人を斬りまくる壮絶な万次という役を引き受けてくれるかはまったく予見不可能で、引き受けてもらった時は、三池監督、プロデューサーの坂美佐子さんと一緒に本当に喜びましたね。おそらく時代劇というファンタジー性の中なので、木村さんにも、人を殺しまくるし100%の善じゃない、そして、残虐性まである万次という役を受けてもらえたし、そして、その決断をしてもらうためには、監督が三池崇史さんであるという要素が一番大きかったんだと思います。この「最強の枠組み」を作ったところで、私の仕事はほぼ終わりです。――カンヌでの公式上映も決定しましたが、海外も視野に?そうですね、そこは事前に狙ったり、誰かが約束してくれることではないのですが、ただ、「三池崇史」の名前は海外映画祭では圧倒的に強いので期待していた部分はあります。三池さんの時代劇は、『一命』(11年)、『十三人の刺客』(10年)など、ほぼすべて海外の映画祭に出ているんですよね。木村拓哉さんで映画を作るのであれば、内容もワールドワイドに通用するものですし、「世界を見たい」という思いは僕らの中にありました。■プロフィール小岩井宏悦(こいわい・ひろよし)1960年7月28日生まれ。長野県出身。89年4月にフジテレビ入社。10年以上にわたって数々のドラマをプロデュースし、03年からは映画も手掛ける。07年4月にフジテレビを退社し、同月ワーナー・ブラザース映画ローカルプロダクション本部長に就任。これまでのドラマは、『Age,35恋しくて』『ラブジェネレーション』『神様、もう少しだけ』など、映画は、『星になった少年』『ブレイブ・ストーリー』『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』『るろうに剣心』シリーズ『オオカミ少女と黒王子』『ミュージアム』など。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月13日俳優・木村拓哉が、2006年公開の『武士の一分』以来となる時代劇主演に挑んだ。初タッグとなる三池崇史監督が「キャスティングは運命」と語る通り、木村は吸い寄せられるように『無限の住人』(4月29日公開)に身を投じ、百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次を憑依させた。剣客集団・逸刀流に両親を殺され、敵討ちを渇欲する少女・浅野凛の用心棒を請け負いながら、「正義とは何か」「命とは何か」を投げかける。1993年から2012年まで漫画家・沙村広明氏が命を削るように描き続けた万次を、木村はどのように体現したのか。「無限」を「時間や時空ということではなく、想い」と捉えていた木村。今回のインタビューでは全6回・約7000字にわたり、本作に対する木村の「無限の想い」に迫る。最終回となる第6回は、「木村拓哉の今後」について。――「不死身」に対してはどのようなイメージですか?チラッと思ったことがあるのは、幸せな時じゃないですか? ずっとずっと、こうだったらいいなって思えるような。でも、そんなことは不可能だと、すぐに分かる。だからこそ、真剣に考えたり、向き合ったり、取り組んだりするんだろうなと思います。今やらせていただいている仕事では、役も変わっていろいろなことをやらせてもらっていますけど、そこは見据えられない。すごく俯瞰で広いワイドレンズで世の中と今の自分を見た時に、「永遠じゃない」「無限じゃない」と分かる。「やるからには残したい」という気持ちになります。――今後の活動として、歌やミュージカルを望む声もあります。自分の中で想像をクリエイトしていくことは、なかなか見えてこない。でも、求められた場合は考える必要があると思います。それは踊りにしても、歌にしても。でもね、歌ってないし、踊ってないから、マジで筋力が大事なんだと思っています(笑)。昨日、ちょっと必要性があって、スタッフと一緒に軽くリハーサルをさせていただいたタイミングがあったんですが、これはヤバイと(笑)。筋力が落ちていることを実感しました。――木村さんにとっての「無限」は、「時間や時空ということではなく想い」だと。質量で計れるものではなく、過ぎ去った時間ではなく、人の「想い」。そっちだったら、有り得そうな気がします。時間の無限って、厳しいと思うんです。言葉でもいい。そのベースとなる「想い」であれば、無限はあり得るんじゃないかなと思います。■プロフィール木村拓哉1972年11月13日生まれ。東京都出身。O型。これまで数々の出演ドラマをヒットさせ、映画では『君を忘れない』(95)、『HERO』(07・15)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などに出演。スタジオジブリ作『ハウルの動く城』(04)ではハウルの声優を好演した。山田洋次監督がメガホンを取った時代劇主演映画『武士の一分』(06)は、興行収入40億円を超えるヒットを記録した。
2017年05月04日俳優・木村拓哉が、2006年公開の『武士の一分』以来となる時代劇主演に挑んだ。初タッグとなる三池崇史監督が「キャスティングは運命」と語る通り、木村は吸い寄せられるように『無限の住人』(4月29日公開)に身を投じ、百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次を憑依させた。剣客集団・逸刀流に両親を殺され、敵討ちを渇欲する少女・浅野凛の用心棒を請け負いながら、「正義とは何か」「命とは何か」を投げかける。1993年から2012年まで漫画家・沙村広明氏が命を削るように描き続けた万次を、木村はどのように体現したのか。「無限」を「時間や時空ということではなく、想い」と捉えていた木村。今回のインタビューでは全6回・約7000字にわたり、本作に対する木村の「無限の想い」に迫る。第5回は「殺陣師の心に残るシーン」を振り返る。○スタッフの涙が物語る「三池組の魅力」――先日、殺陣を担当された辻井啓伺さんにお会いしたんですが、これまで数多く手掛けてきたアクションシーンの中でも海老蔵さんとのシーンが印象的だったとおっしゃっていました。「互いに斬り合っちゃいましょう」と。木村さんにとっては、どのようなシーンでしたか?ある程度の大まかなところはアクション部の方、辻井さんや出口(正義)さんにケアしていただいたんですが、閑馬(永空)とのシーンは海老蔵と反射的に作っていった感じです。お互いに不死身の体を持った人間同士、その二人が対峙して斬り合うとなった時、動きの話し合いはなかったですね。――かなり危険な撮影ですね。本当に。感じるがまま、向こうがこう来たら、こう返す。避けるという作業が1つもありません。あの撮影での万次、閑馬には「避ける」「凌ぐ」つもりはない。その作業がいらない2人の時間。すべて反射的にやった時間でした。――長時間撮ったんですか?いえ、撮影自体は短かったですよ。――OKが出た時の現場の雰囲気は? どのような感じだったんでしょうか。こんな裏話してもしょうがないんですけど(笑)。不死身の体で長い時間を生きて、たくさんの妻に先立たれてきた閑馬が「疲れた」と語るシーンがあります。同じ境遇の男・万次が斬りつけ、「避けようと思ったら避けられただろ」「何で斬られた」と声を掛けた後の言葉です。その後の展開を見守っていたスタッフが泣いていました。三池組にはそういう思いのスタッフが現場にたくさんいます。「万次をどうやって演じるのか」ではなく、撮影現場という場所で自分の仕事・役割を担っている人も、僕らと同じぐらい気持ちを高めた上でフォーカスを合わせてくれる。そういう思いで共同作業してくれているんだと、あらためて思いました。――まさに三池組の魅力ですね。そうです。それを感じてしまうと、やっぱり三池組はとんでもないなと思います。三池監督とはもっと早くお会いしたかったなと、会ってみて思いました。でも、会えなかったわけではない。今回、こうやって参加させていただいたことにはすごく感謝していますし、三池組で共有できたことも喜びです。■プロフィール木村拓哉1972年11月13日生まれ。東京都出身。O型。これまで数々の出演ドラマをヒットさせ、映画では『君を忘れない』(95)、『HERO』(07・15)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などに出演。スタジオジブリ作『ハウルの動く城』(04)ではハウルの声優を好演した。山田洋次監督がメガホンを取った時代劇主演映画『武士の一分』(06)は、興行収入40億円を超えるヒットを記録した。
2017年05月03日俳優・木村拓哉が、2006年公開の『武士の一分』以来となる時代劇主演に挑んだ。初タッグとなる三池崇史監督が「キャスティングは運命」と語る通り、木村は吸い寄せられるように『無限の住人』(4月29日公開)に身を投じ、百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次を憑依させた。剣客集団・逸刀流に両親を殺され、敵討ちを渇欲する少女・浅野凛の用心棒を請け負いながら、「正義とは何か」「命とは何か」を投げかける。1993年から2012年まで漫画家・沙村広明氏が命を削るように描き続けた万次を、木村はどのように体現したのか。「無限」を「時間や時空ということではなく、想い」と捉えていた木村。今回のインタビューでは全6回・約7000字にわたり、本作に対する木村の「無限の想い」に迫る。第4回は「最強剣客集団との戦い」「ラストシーン」撮影秘話に迫る。○「避けなかったら死ぬ」覚悟――数々の手強い剣客と対峙しますが、その相手とは魂のやり取りのような現場だったのでしょうか。確かにそうでした。こういう撮影では、本当に気をつけてやってくださる人もいるんですよ。「避けなかったら死ぬよ」という感覚でやっていく中での「抵抗」や「反発」というか。それこそ(市原)隼人なんかは、自分とは別のカットを向こう側で撮影している時、「殺しに来いよこの野郎!」という叫び声が聞こえてきて。最高ですよね(笑)。「できる」「できない」ではなく、「やる」か「やらない」か。そういう作業を今回の現場でやらせてもらえました。そこには男性や女性によっての変化や、相手が使う武器の形状によっての違いもありました。(戸田)恵梨香ちゃんも、アクション部から言われることを体現化するのは非常に大変だったと思いますが、一生懸命やっていました。「やる」か「やらない」かでいえば、彼女は確実にやってくれていた。それはどのキャストの方も同じでした。自然とそういう流れになっていったというか、お互いがお互いを相乗させるような雰囲気がありました。一連の動きや速さ、間合い。音楽のような「テンポ」ではないから、避けなかったら死ぬ。そこに加減は必要ないし、互いに真正面から向き合う。そういうものを重ねていくと、自然とみんながそうなっていました。すごかったです。――中でも手強かったのは?海老蔵の剣は速かった。さすがでした。やっぱり、時代劇に慣れていますからね。僕らにとっては非日常ですが、彼は週3ぐらいでやってますから(笑)。その感覚が対峙していても伝わってきました。役の設定上、海老蔵とは特殊な関係性にあるので(※市川海老蔵演じる閑馬永空は、万次と同じく血仙蟲を身に宿す不死身の剣士)、互いの剣は言葉を交わすのと一緒だったんじゃないかと。同じ言葉でも、発言する人によって届き方が違う。それと同じで、誰も加減をしない中で探していたんだと思います。○斬り続けて足場が無くなる恐怖――300人と戦うラストシーンが公開前から話題になっています。大勢の方があのシーンに参加してくださいました。画角の中に収まっている、そこに映し出されている人たちがあのシーンのすべて。あれだけハードな状況下にもかかわらず、ものすごい数の人間があの1カットにかかわっています。三池組ならではと思うことがありました。通常の作品であれば、あれだけ人を殺めていくと足場がなくなるので、斬られた人が次の動きやスペースを考えながら動いていることがあります。でも、三池組はそれがゼロなんですよ。だから、殺めれば殺めるほど足場を失っていく。そこはちょっと怖かったです。冒頭のシーンでもそうでしたが、斬られた人たちも「死」を演じています。生き残った人間からすると、命絶えた者でしかない。踏みつけようが何しようが構わないという感覚も、三池さんの現場で初めて体感したことでした。――京都太秦のスタッフと久しぶりの再会でした。再会といえば再会なんですが、その際にみなさんの独特の感覚に触れることができました。自分はちょっとドキドキしながら、現場に入っていったんですね。するとみなさんが口揃えて「おかえり」「待っとったで」という感じで迎え入れてくれた。あの言葉にはやられましたね。それは「仕事」ではあるんですけど、それ以前の想いがしっかりある。そしてそれが結果として「仕事」になる。それはものすごい力になるし、モチベーションにもなります。■プロフィール木村拓哉1972年11月13日生まれ。東京都出身。O型。これまで数々の出演ドラマをヒットさせ、映画では『君を忘れない』(95)、『HERO』(07・15)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などに出演。スタジオジブリ作『ハウルの動く城』(04)ではハウルの声優を好演した。山田洋次監督がメガホンを取った時代劇主演映画『武士の一分』(06)は、興行収入40億円を超えるヒットを記録した。
2017年05月02日俳優・木村拓哉が、2006年公開の『武士の一分』以来となる時代劇主演に挑んだ。初タッグとなる三池崇史監督が「キャスティングは運命」と語る通り、木村は吸い寄せられるように『無限の住人』(4月29日公開)に身を投じ、百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次を憑依させた。剣客集団・逸刀流に両親を殺され、敵討ちを渇欲する少女・浅野凛の用心棒を請け負いながら、「正義とは何か」「命とは何か」を投げかける。1993年から2012年まで漫画家・沙村広明氏が命を削るように描き続けた万次を、木村はどのように体現したのか。「無限」を「時間や時空ということではなく、想い」と捉えていた木村。今回のインタビューでは全6回・約7000字にわたり、本作に対する木村の「無限の想い」に迫る。第3回は「作品との対峙」「公開前の心境」。○R指定寸前の「反射的に動く」――この作品を通して伝えたいことは?万次をやらせていただいて、観てくださる方々に「こう思ってほしい」「こう感じて欲しい」とか、自分の中でメッセージ性を持つべきなんでしょうが、そこまで頭が回っていなかったというか。このキャラクターをあの現場でただただプレイする……だから完成したものを拝見させていただいて、「こういうものになったんだ」というのが率直な感想でした。試写で観た後に、「みなさん、どういうことを感じるんだろう?」と思えて、その時に初めてチャンネルが変わったというか。作業している間は、劇場に来て下さる方のことは、全然考えられなかったです。――そこは観客に委ねる気持ちでしょうか?そうですね。それしかないと思います。過激な映像には規制が付き物ですが、あそこまでの内容にかかわらずそういう規制もよく入らなかったなと思います(笑)。作業中は反射的に動いてしまうこともありました。刀を突きつけて相手を殺めるカットを撮ってカットを撮り終えた時に、監督から「OK!」が出たんですが、そのあたりに落ちている枝を拾ってポキポキ折りながらこちらに近付いて来たんです。「なんだろう?」と思ったら、すごくうれしそうな顔で「今のでR指定確定ですね」って(笑)。(※実際にはそうはならなかった)こちらとしては「すみません」という気持ちだったんですが、監督も「反射的に動く」に近い感覚だったんじゃないかなと思います。観てくれる人たちに対しての気遣いは、もっともっと後の話。現場で作業している時は、戦う相手とそれを捉えてくれるスタッフのみ。そういう世界でした。ケガやアクシデントは、できるだけ避けたい。でも、撮影する内容が内容です。本当にトラブル、ケガ、事故に気をつけてやってはいるんですけど、そこに気持ちを持っていきつつも、「表現」とは関係のないこと。監督と同じモチベーションでやらせてもらうことができたので、すごくエキサイトしたというか。そういう瞬間が1カット1カット重なっていくので、演じている自分だけではなく、それを撮る人までもがグッと熱くなる現場でした。○どの作品もすべて同じ"棚"――この作品だから実現できたことは?どうでしょう。作品には一切関係ないんですが、パーソナルな自分……万次をやるベースの自分が非常にゴタゴタしていた時期だったので、制限無しで爆発できる場があってくれたおかげで非常にバランスが保てたというか、助かりました。これは原作どおりなんですが、相手の使っていた武器を全部自分のものにしていくので、そこは手にするものによって使い方も変わりますし、本当に頭を使いました。考えなければいけないことはたくさんありましたが、その分楽しむことができた。冷静に考えたら、普通侍の刀は「大」「小」なんですよ。それが「大」「大」ですからね(笑)。その時点でまずおかしい。でも、徐々に慣れて自分のバランスが整ってくると、その違和感が特別感になっていく。それが万次ならではの居方、そして動き方。面白かったです。――命に関わった作品が多いですが、この作品はどのような位置付けになりますか。特別な「ケース」に入れるものではありません。すべて同じ「棚」。こういうことができたんだという思いを実感しているので、「次」への新たな可能性を感じています。――次回作があれば出演しますか?そうですね(笑)。うーん……三池さんに言われたら考えます。ちょっと後ろを歩いていても、そこら辺でラーメンを食べる役でもいい(笑)。■プロフィール木村拓哉1972年11月13日生まれ。東京都出身。O型。これまで数々の出演ドラマをヒットさせ、映画では『君を忘れない』(95)、『HERO』(07・15)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などに出演。スタジオジブリ作『ハウルの動く城』(04)ではハウルの声優を好演した。山田洋次監督がメガホンを取った時代劇主演映画『武士の一分』(06)は、興行収入40億円を超えるヒットを記録した。
2017年05月01日俳優・木村拓哉が、2006年公開の『武士の一分』以来となる時代劇主演に挑んだ。初タッグとなる三池崇史監督が「キャスティングは運命」と語る通り、木村は吸い寄せられるように『無限の住人』(4月29日公開)に身を投じ、百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次を憑依させた。剣客集団・逸刀流に両親を殺され、敵討ちを渇欲する少女・浅野凛の用心棒を請け負いながら、「正義とは何か」「命とは何か」を投げかける。1993年から2012年まで漫画家・沙村広明氏が命を削るように描き続けた万次を、木村はどのように体現したのか。「無限」を「時間や時空ということではなく、想い」と捉えていた木村。今回のインタビューでは全6回・約7000字にわたり、本作に対する木村の「無限の想い」に迫る。第2回は「万次との向き合い方」と「役作り」。○原作画集を胸に――万次は右目に傷を負った独眼の侍です。そのことにもこだわりがあったと聞きました。あの沙村さんの世界観を三池監督のもとで具現化していく上で、「万次をやらせていただく」ということがすべてでした。役を作っていくというよりは、独眼は「条件」。「右目を特殊メイクしよう」ではなくて、1つの条件として当たり前にやったことでした。――撮影の合間も含め、不都合なところもあったのでは?不都合どころじゃなかったです(笑)。撮影がはじまって3~4日は、階段の昇り降りすらやっと。現場にはプレハブの支度小屋があったんですが、そこで衣装を着させていただいて、京都の太秦のスタッフが帯をグッと締めてパンパンとお尻をたたいて送り出してくださる。そこから階段で下りていく時に、クランクインして3日ぐらいは危険を感じました(笑)。アクションの撮影をする頃にその感覚は自分の中に染み込んできていたので問題ありませんでした。――今回の撮影で追い込まれたことは?肉体的にハードだったり、そういう大変なところは本編の中に必要ないものです。作品にいらないものは、現場にもいらない。自分が寒いとか、痛いとか、作品には関係ない。本編に必要なものしか、現場にはないんです。○不器用な男・万次に抱く「哀れみ」――万次をどんな男と捉えていますか?不器用ですよね。なんか、包み込むことができないやつというか。長い間、生きてはいるけども、人を包む優しさというものを持てていない。きっと不器用だから、「必要ない」と思っているんでしょうが、不器用な分、正面から当たって向き合っていく。愛おしさを超え、哀れみを感じます。台本は設計図。だからといって台本とは別に原作を現場に持ち込むとか、(市原)隼人みたいにハイエナの捕食動画を見るとかもなかったんですけど(笑)、温度というか、どこか基準として感じていたかったので、沙村先生の画集は近くに置いておきました。――そんな万次をどのように表現しようと思ったのでしょうか?万次は、決して剣に長けた人間ではありません。実はめっちゃ弱いんですよ。八百比丘尼から無理やり血仙蟲を入れられて無限の命を手にし、あとは彼が判断していく。とんでもない時間を生きながら、剣を手にする身としてはずっと決められずに、答えを探し続けてきたんじゃないかと、台本を読んだ後に思いました。そんな彼の前に、杉咲(花)さんが演じてくださった町・凜が現れたことによって、最終的に理由というか答えが出せたんじゃないかと。そういう自分なりのアプローチの中で、撮影させていただいていました。杉咲さんの凜を感じると、自ずと答えが出てきました。■プロフィール木村拓哉1972年11月13日生まれ。東京都出身。O型。これまで数々の出演ドラマをヒットさせ、映画では『君を忘れない』(95)、『HERO』(07・15)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などに出演。スタジオジブリ作『ハウルの動く城』(04)ではハウルの声優を好演した。山田洋次監督がメガホンを取った時代劇主演映画『武士の一分』(06)は、興行収入40億円を超えるヒットを記録した。
2017年04月30日俳優の木村拓哉(44)が29日、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで映画『無限の住人』の初日舞台あいさつを行い、公開初日を迎えた心境を語った。本作は漫画家・沙村広明氏の同名漫画を原作に、三池崇史監督がメガホンを取った作品。興行収入41億円を記録した『武士の一分』(06年)以来の時代劇主演に挑む木村が、百人斬りの異名を持つ不死身の侍・万次を演じる。大歓声と拍手の中、木村は「皆さまお集まりいただきまして本当にありがとうございます」とあいさつ。「今日4月29日をもって『無限の住人』は客席の皆さまのものになりますので、どうかかわいがってやってください。よろしくお願いします」と丁寧な口調で思いを伝えた。また全国70館で生中継されていることを受け、「この模様が全国70館のスクリーンにつながっているということで本当にその現実にも驚いているんですが、ぜひたくさんの方たちに劇場にいる皆さんにこの作品と客席とつながっていただきたい」とコメントした。この日は木村のほか、杉咲花(19)、福士蒼汰(23)、市原隼人(30)、戸田恵梨香(28)、満島真之介(27)、市川海老蔵(39)、三池崇史監督(56)が出席。最後にマイクを託された木村は、「劇場に足を運んでくださって、この模様を全国で見ていただいている皆さま本当にありがとうございます。4月29日をもってこの『無限の住人』という作品が客席の皆さまのものになりました。あとはもう、皆さまの中でどれだけ楽しんでいただけるか、どれだけつながっていただけるかだと思うので、これからも温かくかわいがってやってください」と呼びかけた。
2017年04月29日俳優・木村拓哉が、2006年公開の『武士の一分』以来となる時代劇主演に挑んだ。初タッグとなる三池崇史監督が「キャスティングは運命」と語る通り、木村は吸い寄せられるように『無限の住人』(4月29日公開)に身を投じ、百人斬りの異名を持つ不死身の侍・万次を憑依させた。剣客集団・逸刀流に両親を殺され、敵討ちを渇欲する少女・浅野凜の用心棒を請け負いながら、「正義とは何か」「命とは何か」を投げかける。1993年から2012年まで漫画家・沙村広明氏が命を削るように描き続けた万次を、木村はどのように体現したのか。「無限」を「時間や時空ということではなく、想い」と捉えていた木村。今回のインタビューでは全6回・約7000字にわたり、本作に対する木村の「無限の想い」に迫る。第1回は「三池崇史監督との出会い」と「三池組」について。○「とんでもない返事をしちゃった」――本作の制作が発表された時、「今回参加するにあたって三池崇史さんという存在が大きかったですし、映画監督が映画を撮りたいという前提で自分を欲してくれたということが一番大きかったです」とコメントを出されていました。あらためてお気持ちをお聞かせください。そこに尽きます。目の前に三池崇史さんがいて、「やろうよ」と言われたこと、それがすべてです。出演を決めた「経緯」とかはなく、時間の流れは全然ありません。その「瞬間」というか。一映画監督が「やろうよ」と言ってくださったことに尽きます。監督の初対面、正直僕も相当構えていたと思います。後日、監督から「趣味、威嚇でしょ?」と言われるほどで、その時はすぐに「そんなことないです」と否定しました(笑)。お会いした場所が特殊な環境で。収録場所まで来てくださったんです。そんな状況で「三池崇史」が現れた。監督はどこか「Let’s」な感じではなくて、「Excuse」な感じ。後日、「それは威嚇されたからだよ」と説明されて笑い話になったからよかったんですが、正直、すごく間合いを取り合っていたような気がします。威嚇ではなく、構えていた。若干色が入ったメガネを掛けられているんですが、その奥には監督としての責任を果たしてきた方の眼差しがありました。「信じたい」という思いになり、「よろしくお願いします」という言葉を掛けさせていただきました。その後に、便利な通販のアプリで原作を大人買いして読んでみると……とんでもない返事をしちゃったなと(笑)。○ヘアメイクの反応にハラハラ――三池監督は、万次と木村さんは相通ずるものがあるとおっしゃっていましたが、それについてはどのように思いますか?三池監督はそうおっしゃるんですけど、そうやって荷物を背負わされる感じはあります(笑)。監督の中でのイメージなんでしょうね。でも……そこまで孤独じゃないですよ? 万次ほどは(笑)。――三池組は何度も衣装合わせをすることでも知られていますが、実際に体験していかがでしたか?最初は「なぜ?」と思いました。でも、回を重ねていくごとに安心していく。監督、衣装部が「よしよしよし」と大事に作り上げていく場ではなく、僕らのためにやってくれているんだと気づきます。「ようこそ三池組に」みたいな雰囲気はありません。自分が手にする鉄の武器を、すごくぶっきらぼうに渡される。でも、そこでの感覚は1つも無駄になっていません。最初の頃、メイクを統括するスタッフの方が沙村先生のイラストとメイクした自分を見比べて、首をかしげたときは、さすがに「いやいやいや!」と焦りました(笑)。■プロフィール木村拓哉1972年11月13日生まれ。東京都出身。O型。これまで数々の出演ドラマをヒットさせ、映画では『君を忘れない』(95)、『HERO』(07・15)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などに出演。スタジオジブリ作『ハウルの動く城』(04)ではハウルの声優を好演した。山田洋次監督がメガホンを取った時代劇主演映画『武士の一分』(06)は、興行収入40億円を超えるヒットを記録した。
2017年04月28日木村拓哉が三池崇史監督のもとで主演を務めた『無限の住人』が、5月17日より開幕する第70回カンヌ国際映画祭の「アウト・オブ・コンペティション部門」にて公式上映されることが決定。木村さんは邦画の主演作としては初めて、カンヌに“斬り込む”ことになった。かつて100人斬りと恐れられた伝説の人斬り万次。罠にはめられ妹を失い、生きる意味を失ったとき、謎の老婆に無理やり“永遠の命”を与えられてしまう。斬られた傷は、勝手に再生、死にたくても死ねない“無限の体”になってしまった。生きるには十分すぎるその時間は、剣術の腕も鈍らせ、彼は永遠の時をただ孤独に生き続けるだけ。そんなある日、親を殺され、仇討ちの助っ人を依頼したいと現れた少女・凜。だが、それは不死身の万次をも追い込む予想外の戦いの始まりだった――。木村さんが、“不死身の剣士”という新境地ともいえるキャラクター像を体現し、全キャストが全編ノースタントで挑んだド迫力のアクションが展開する本作。このたび、第70回カンヌ国際映画祭「アウト・オブ・コンペティション部門」に公式選出されることになった。『十三人の刺客』がベネチア国際映画祭に、『藁の楯 わらのたて』がカンヌ国際映画祭に選出されるなど、海外からも評価が高く、世界三大映画祭の常連ともいえる三池監督は、『極道大戦争』(’15)以来、2年ぶり6本目となるカンヌ。木村さんにとって、海外映画祭参加は『武士の一分』(’06)のベルリン以来、カンヌはウォン・カーウァイ監督の『2046』(’04)以来、実に13年ぶりで、邦画・主演作品の公式選出として今回が初。凜役の杉咲花にとっては、本作が初の世界三大映画祭の参加作品となる。さらに、『戦場のメリークリスマス』(’83/大島渚監督)、『ラスト・エンペラー』(’87/ベルナルド・ベルトルッチ監督)、『BROTHER』(’01/北野武監督)などを手がけ、国際的に活躍する映画プロデューサー、ジェレミー・トーマスもプロデューサーとして本作に参加。三池作品では『十三人の刺客』『一命』に続く3度目のタッグ。トーマスが代表を務める「HanWay Films」が本作の海外セールスを担当しており、「この素晴らしい作品に携われたことを誇りに思います。それぞれの役者の高い演技力、それをまとめ上げた三池崇史監督の演出は、世界中の人を興奮させ、心を打つに違いないと確信しております」と絶賛の声を送っている。木村さんは、今回の決定を「三池監督から直接電話で聞けたときには本当に嬉しかったです!」とコメント。「海外の方がどう受け取って下さるのかが、とても興味深いですが、『1つの作品』として招待していただけることに本当に感謝します」と感激の様子。三池監督も「不死身の男=万次(木村拓哉)が、カンヌから世界に飛び立つことになりました。最高です。ありがとう」と感謝のコメントを寄せている。現地時間5月17日~5月28日に開催されるカンヌ国際映画祭に、キャスト・スタッフが渡航するかどうかはまだ未定。とはいえ、国内外から、さらなる注目を集めることになりそうだ。『無限の住人』は4月29日(土・祝)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:無限の住人 2017年4月29日より全国にて公開(C) 沙村広明/講談社 (C) 2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年04月14日Twitterを中心に話題を呼んでいる“無限○○レシピ”。その名の通り、“無限”に食べられるほどおいしく、かつ調理も簡単なので忙しい主婦には特に人気があります。今回は、無限シリーズの中から“無限きんぴらごぼう”の作り方を紹介しちゃいます!にんじん&ごぼうを使った相性抜群コンビですので、常備菜に、お弁当のオカズに、ぜひ作ってみてくださいね!●無限きんぴらごぼうの材料無限きんぴらごぼうを作るのに必要な材料は以下の通り!・ごぼう……2分の1本・にんじん……2分の1本・ツナ缶……1缶・ウェイパー(鶏ガラスープの素)……小さじ1・ごま油……小さじ1・砂糖……小さじ1・黒胡椒……少々・胡麻……大さじ1●無限きんぴらごぼうの作り方(1)まず、ごぼうを2分の1本にカットします。使う方を水で洗い、笹掻きにします。笹掻きにしたごぼうは水に5分ほどさらしておきましょう。(2)ごぼうを水にさらしている間に、にんじんを千切りにします。(3)耐熱容器にごぼうとにんじんを入れ、ウェイパー(または鶏ガラスープの素)、砂糖、ごま油をそれぞれ小さじ1杯分投入します。さらにツナ缶を1缶まるまる入れ、黒胡椒を少々ふりましょう。(4)そのままラップをし、600wのレンジで5分間過熱します。過熱したら胡麻を大さじ1杯加えます。(5)全体をよくかき混ぜたら完成です!----------混ぜるだけで簡単にできちゃう“無限きんぴらごぼうレシピ”。皆さんもぜひ試してみてくださいね♪●文/パピマミ編集部
2017年03月10日以前テレビ番組で、ピーマン農家の方が「ピーマンは、種もヘタも食べられるんですよ」とおっしゃっていました。本当かな? と思って試してみたところ、しっかりと火を通せば種もヘタも気にならずに食べられてびっくり。そのときに思ったのが、せっかくピーマンを包丁を使わずに調理できるのだから、ほかの材料もすべて切りものなしで、なにか簡単料理ができないかな、ということ。そこでお肉と組み合わせた煮物にしたら、包丁いらずでボリュームのある一品が完成しました!しっかり火を通さないと種のプチプチ感が気になってしまうので、仕上がりのピーマンの色は鮮やかではありませんが、種もヘタも気にならずにいただけますよ。ちょっと前に料理の撮影があり、“ピーマンが丸ごと食べられる”という話をしていたところ、器のスタイリストさんが「私の師匠(有名スタイリストさん)も、『この前ピーマンを丸ごと調理する撮影に行ってきた』と言っていました!」と教えてくれました。そのときスタッフみんなで、「もしかして丸ごとピーマン料理はこれから流行るかもね」という話に。なので今年流行ったりするかも!?■丸ごとピーマン煮レシピ制作:管理栄養士 長 有里子<材料 2人分>ピーマン 6個豚肉(薄切り) 180gごま油 少々水 1/2カップ醤油、みりん、酒 各大さじ2<作り方>1、ピーマンを片手で持ち、ギュッと握りつぶす。※爪で穴を空けるイメージです。切れ目を入れることで、煮えやすくします。2、ごま油を熱したフライパンで豚肉を炒め、火が通ったら1を加える。3、水と調味料を入れ、ふたをしてピーマンがくたっとするまで火を通す。お肉は豚肉を使用していますが、牛肉でもOK。豚肉はビタミンB1という成分が豊富に含まれており、疲労回復にオススメのお肉です。そして牛肉には鉄分が豊富。私は、ちょっと疲れたなというときは豚肉を、月経前には牛肉を、という感じに使い分けたりしています。
2017年02月17日俳優・木村拓哉(44)の主演映画『無限の住人』(4月29日公開)について、原作者の沙村広明氏が絶賛のコメントを寄せた。沙村氏が1993年から2012年まで漫画誌『月刊アフタヌーン』で連載し、累計発行部数は750万部を突破した原作。三池崇史監督がメガホンを取り、木村拓哉が百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次(まんじ)を、その万次に用心棒を依頼する女性・浅野凜を杉咲花(19)が演じる。「今まで何度か映像化の話はいただいていたのですが実現せず、今回三池崇史監督・木村拓哉さん主演という豪華すぎる布陣で映画化が実現し感無量です」と沙村氏。「私のライフワークとなっていた連載19年・30巻の『無限の住人』を、一本の映画にまとめていただき、極上のエンターテイメントに仕上げていただいたことをとても感謝しています」とデビュー作の実写化に感慨深げだ。また、「思っていた以上に剣術のシーンも多く、アクションシーンの迫力はすごいです。これ以上無いというほどに格好良く万次を体現していだいた木村拓哉さん、芯がしっかりしていて復讐心を秘めた力強い凜を演じてくれた杉咲花さん、凛々しい姿が次第に悲壮感に満ちあふれていく天津を力強く、かつ繊細に演じていただいた福士蒼汰さんをはじめとした俳優の皆さんの熱演には頭が下がるばかりです」と役者陣を絶賛。「原作者としてこれ以上のものが無いと言い切れる映画に仕上がっています」と太鼓判を押し、「大きなスクリーンで楽しんでください」と呼びかけている。そのほか、出演者と原作カットの比較画像も公開。撮影には緻密なコンテが用意され、キャラクタービジュアルだけでなく、これまでの時代劇とは一線を画した大迫力の殺陣が繰り広げられる。
2017年02月15日市川海老蔵が出演する映画『無限の住人』(2017年4月29日公開)の劇中カットが8日、公開された。木村拓哉と三池崇史監督の初タッグによって描かれる本作は、累計発行部数500万部を記録する同名人気漫画が原作。木村は、興行収入41億円を記録した『武士の一分』(06年)以来の時代劇主演に挑み、「面倒くせぇ」が口ぐせで百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次(まんじ)を演じる。海老蔵が演じるのは、天津影久(福士蒼汰)率いる剣客集団"逸刀流"最強の刺客である閑馬永空。ふだんは坊主姿の海老蔵だが、長髪姿のキャラクターとなっており、自身のブログでも「劇中で私、髪の毛長いんですが、撮影しばらくしたら、あのロン毛の髪の毛の木村さんから、海老蔵ロン毛もいけんじゃん! と褒めてもらった、嬉しかった(笑)」と喜びを語っている。また海老蔵は、「映画の中では不死身の万次を窮地に追い込むほどの強い役でしたので、脚本を読んだ時から木村さんと対峙するシーンをどう演じるのか何度もシミュレーション」と役作りについて語る。「木村さんとの1対1の真剣勝負のお芝居は、緊迫した空気が張り詰め、久しぶりの映画の現場でとても刺激的でした」と振り返り、「完成がどうなっているか僕自身本当に楽しみです」と期待を寄せた。
2016年12月08日主演・木村拓哉×監督・三池崇史で贈る映画『無限の住人』。この度、豪華キャストたちが集結、壮絶アクション初披露となる特報映像が公式Webサイトにて公開された。かつて100人斬りと恐れられた伝説の人斬り万次。罠にはめられ妹を失い、「生きる意味」を失ったとき、謎の老婆に無理やり「永遠の命」を与えられてしまう。斬られた傷は勝手に再生、死にたくても死ねない「無限の体」になってしまった。生きるには十分すぎるその時間は、剣術の腕も鈍らせ、彼は永遠の時をただ孤独に生き続けるだけだった。ある日、親を殺され、仇討ちの助っ人を依頼をしたいと現れた少女。だがそれは、不死身の万次をも追い込む予想外の戦いの始まりだった――。原作は、1993年から2012年まで「月刊アフタヌーン」(講談社)にて連載され、その圧倒的な画力と斬新な殺陣描写により「時代劇」というジャンルを超えたアクションコミックとして話題を呼び、累計発行部数は750万部突破を誇るカリスマコミック。キャストには、独眼で不死身の男、主人公・万次を演じる木村さんを始め福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、北村一輝、栗山千明、満島真之介、市川海老蔵、田中泯、山崎努ら超豪華キャストが集結。不死身の男にとって”希望“になる少女との出会い、そして彼をも襲う死闘を描く、アクションエンターテイメント作品となっている。このほど、万次が“300人斬り”に挑む圧巻のクライマックスシーンの一部が公式Webサイトにて初公開!ここで解禁となった映像は、万次の登場シーンから始まる。「凜、俺は誰を斬ればいい?」と問う不死身の男・万次と、彼を真っ直ぐ見つめ「私のことを斬ろうとする人」と訴えかける、杉咲花演じる凜。そんな2人に立ちはだかるのは、“勝つことのみを目的とする”剣客集団・逸刀流の統主・天津影久を演じた福士さんを筆頭に、市原さん、戸田さん、市川さんとまさに規格外な豪華キャストたち。個性的なビジュアルの刺客たちが斬新な武器を手に万次に迫る様子が映し出されている。撮影は極寒の京都で行われ、凜を守りながら圧巻の“300人斬り”の大立ち回りを繰り広げるクライマックスシーンは、約15日間かけて撮影されたそう。今回木村さんは、独眼の万次を演じるため実際に右目を特殊メイクで閉じて全編に渡って撮影。普段とは異なる視界と距離感のはずだが、まったくそれを感じさせない壮絶アクションに挑んでいる。そんな木村さんは「今回参加するにあたって三池崇史さんという存在が大きかったですし、映画監督が映画を撮りたいという前提で自分を欲してくれたということが一番大きかった」と語り、「映画監督に求められるというのは役者にとって最もありがたいことなので、「三池崇史監督が僕のことを要してくださった」という事実に、自分の中でなんかざわめいた、という気持ちがありました」とコメント。原作においては、木村さん自身好きな世界観だと話し。「万次を『死ねない』と考えるか、『不死身』ととるかは一線上にあるものだと思います。原作にある『死なない』ことと『死ねない』ということの向き合いについては、今回の脚本にも描かれているので、そこをどう体現するのか、監督が求めるものがどこなのか、頭でっかちにならずに現場を体感しながら演じました」と撮影をふり返った。『無限の住人』は2017年4月29日(土・祝)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年11月11日映画『無限の住人』が、2017年4月29日(土・祝)に公開される。主題歌はMIYAVIによる「Live to Die Another Day - 存在証明 -」。原作「無限の住人」(沙村広明著)は、1993年から2012年に「月刊アフタヌーン」で連載され、圧倒的な画力と斬新な殺陣描写により話題を呼び、累計発行部数750万部突破を誇る人気漫画。『無限の住人』のキャスト“無限に生きる”用心棒であり、かつて100人斬りと恐れられた伝説の人斬り万次役を演じるのは、木村拓哉。斬られた傷は、勝手に再生し、死にたくても死ねない無限の体で壮絶な戦いに身を投じる万次役に、規格外のアクションと共に挑む。だが、初めから万次役は不死身の体だったわけではない。万次役は、愛する妹・町を賞金稼ぎに殺され、後に“100人斬り”と呼ばれる復讐をはたすのだが、致命傷を負い瀕死の状態に。しかしそこに謎の老婆・八百比丘尼(やおびくに)が現れ、不死身の体にされてしまうのだ。ヒロインの杉咲花は、『無限の住人』で妹・町と、万次が命を懸けて守る少女・浅野凜役を演じる。浅野凜は、江戸最強と謳われる“無天一流(むてんいちりゅう)”を受け継ぐ浅野道場の一人娘。しかし、統主・天津影久(あのつかげひさ)率いる謎の剣客集団・逸刀流(いっとうりゅう)が道場破りに現れ、両親を殺されてしまう。自身の命を懸けて仇討ちすることを決意した凜は、不死身の体を持つ男・万次に用心棒を依頼。妹・町が死んでから50年後、瓜二つな顔をした凜と出会った万次。用心棒となり凜を守るため、逸刀流への復讐に挑む。また、凜が復讐を誓う、強敵・天津を演じる福士蒼汰は、本作で初の悪役を務めることになる。万次との鬼気迫る決闘シーンは本作のみどころの一つとなりそうだ。さらに、逸刀流を狙う集団「無骸流」(むがいりゅう)に所属し、天津を倒すべく万次に共闘を持ちかける尸良(しら)役に市原隼人、天津がもっとも信頼を寄せる最強の女剣士・乙橘槇絵(おとのたちばなまきえ)役に戸田恵梨香、不死身の万次を窮地に追い込むほどの力を持つ逸刀流の刺客・閑馬永空(しずまえいくう)役に、市川海老蔵と豪華キャストが集結している。主題歌はMIYAVIによる「live yo Die Another Day -存在証明-」に決定した。MIYAVI初となる邦画書き下ろしの主題歌は、三池監督の「主題歌は世界的に通用する日本人アーティストにしたい」との希望から実現したもの。万次の葛藤や強さが時に激しく、時に切なく表現されている。ストーリー・あらすじ無限の命を持つ男・万次。その命、誰のために使う?かつて100人斬りと恐れられた伝説の人斬り万次。罠にはめられ妹を失い<生きる意味>を失った時、謎の老婆に無理やり<永遠の命>を与えられてしまう。斬られた傷は、勝手に再生し、死にたくても死ねない<無限の体>になってしまった。生きるには十分すぎる時間は、剣術の腕も鈍らせ、永遠の時をただ孤独に生き続けるだけだった。ある日、親を殺され、仇討ちの助っ人の依頼をしたいと現れた少女。どこか妹に似ているその姿に、無限の命を使い、用心棒として少女を守ると決めた。だがそれは、不死身の万次をも追い込む、凄絶な戦いの始まりだった。作品情報映画『無限の住人』公開日:2017年4月29日(土・祝)キャスト:木村拓哉、杉咲花、福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、北村一輝、栗山千明、満島真之介、金子賢、山本陽子、市川海老蔵、田中泯、山﨑努監督:三池崇史脚本:大石哲也音楽:遠藤浩二原作: 沙村広明「無限の住人」(講談社『アフタヌーン』所載)(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2016年11月10日