常に深化を重ねるピアニストの牛田智大。24歳にして既に12年というキャリアを重ねながらも、常に謙虚に学ぶ姿勢を忘れず音楽向き合う彼の演奏は多くの感動を与えてくれる。そんな彼が2024年、早速得意とするレパートリーであるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を、プラハ交響楽団(指揮:トマーシュ・ブラウネル)との初共演で奏でる。「プラハ交響楽団の皆さんの演奏はこれまでにもお聴きしており、その音色に感激していました。このオーケストラは2年前にブラウネルさんの指揮、ルカーシュ・ヴォンドラーチェクさんの独奏でラフマニノフのピアノ協奏曲の全曲録音を出されており、いま最もラフマニノフの音楽を知り尽くしている楽団の一つといっても過言ではありません」以前から牛田はチェコのオーケストラの音色に感銘を受けていることがあるという。「プラハ交響楽団に限らず、チェコのオーケストラは弦楽器の響きが特徴的で、すすり泣きを思わせるような、とても心を震わせる音を奏でてくださるのです。ラフマニノフはロシアの作曲家ですが、チェコと同じくスラブの民族性をもっているので、親和性があると思います。今回ご一緒させて頂くことで今までにない響きを皆様にお届けできるはず…と期待が膨らみますね」牛田にとってラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はどのような作品なのだろうか。「ラフマニノフの他の協奏作品に比べて交響的で、オーケストラとピアノのつながりが深いです。そのぶんアンサンブルのやりとりが大変な面もありますが、これまで様々な指揮者やオーケストラの皆様と共演させて頂いた中で、どのようにバランスを取っていけばいいのか学ばせて頂いてきました。特に第2番はオーケストラとピアノが逆方向に綱引きをするような感覚があり、それぞれがどのように音楽を引っ張っていくか、それぞれの主張すべきところの両立をどのようにしていくか、といった調整がとても重要です。今回プラハ交響楽団のみなさんとどのように音楽でコミュニケーションを取っていけるか、ぜひじっくりとお聴き頂きたいです」2023年はラフマニノフのアニヴァーサリーイヤーであったが、牛田はそれを機に様々な独奏曲にも挑戦したいと意気込みを語ってくれた。「これまでなかなか独奏曲に向き合う時間がなかったのですが、これからはピアノソナタの第1番など、様々な楽曲に挑戦していきたいです。協奏曲から入ったからこその見方があると思うので、私ならではのラフマニノフを皆様にお届けできればと」取材・文:ピアニスト・音楽ライター 長井進之介プラハ交響楽団2024年1月9日(火) 19:00開演東京芸術劇場 コンサートホールトマーシュ・ブラウネル(指揮)、牛田智大(ピアノ)出演■チケット情報()2024年1月12日(金) 19:00開演ミューザ川崎 シンフォニーホールトマーシュ・ブラウネル(指揮)、岡本侑也(チェロ)、牛田智大(ピアノ)出演■チケット情報()
2023年12月20日松田華音&牛田智大という、今をときめく期待の若手ピアニスト2人によるデュオ・コンサートが実現する(2022年7月21日:東京オペラシティ コンサートホール)。過去の歴史を振り返ってみれば、“ピアノ界の女王”マルタ・アルゲリッチが、ニコラス・エコノム、ネルソン・フレイレ、ダニエル・バレンボイム、ミヒャエル・プレトニョフといった、時代を代表するピアニストたちと共演してきたステージや録音が、その圧倒的なパフォーマンスによって常に聴衆を熱狂させてきた事実に思い当たる。まさに、1+1が、3にも4にも成り得る面白さをはらんでいるのが、スーパースター同士の共演だ。その華やかな歴史を継承する可能性を感じられる「松田華音×牛田智大デュオ」の誕生は嬉しい限りだ。それぞれのソロも楽しみつつ、2台ピアノへと移行するプログラムと、そこから見えるであろう“2つの個性と可能性”に注目したい。牛田智大:「松田華音さんという素晴らしいピアニストとご一緒させていただけることを非常に光栄に感じています。名匠ヴィルサラーゼ女史のもとで学び、シチェドリンをはじめとする現代作品の演奏経験を積む中で培ったバランス感覚や響きのコントロールがもたらす今回のプログラムへのアプローチがどのように興味深いものとなるのか、そこに自分がどのように溶け込めるか、今から非常に楽しみにしています。」松田華音:「牛田さんとご一緒できるということを、今から本当に楽しみにしています。牛田さんのとても繊細で、美しい音を支えながら、周りのハーモニーを作っていくことで統一感が出せればと思っています。」●公演概要7月21日(木)東京オペラシティ コンサートホール「松田華音×牛田智大2台ピアノ・コンサート」<公演プログラム>・J.Sバッハ(ブゾーニ編):コラール前奏曲「主よ、われ汝に呼ばわる」BWV639【牛田智大ソロ】・チャイコフスキー:18の小品Op. 72より第8番「対話」、第18番「踊りの情景」(トレパークへの誘い)【松田華音ソロ】・ラフマニノフ:組曲第1番「幻想的絵画」Op. 5【2台ピアノ】・プロコフィエフ(プレトニョフ編):バレエ組曲「シンデレラ」Op. 87【2台ピアノ】●松田 華音 Kanon Matsuda (ピアノ, Piano)4歳でピアノをはじめ、6歳よりモスクワに渡り、E.イワノーワ、M.ヴォスクレセンスキー、E.ヴィルサラーゼ各氏に師事、翌年ロシア最高峰の名門音楽学校、モスクワ市立グネーシン記念中等(高等)音楽専門学校ピアノ科に第一位で入学。エドヴァルド・グリーグ国際ピアノ・コンクール(モスクワ)グランプリ受賞他、多くのコンクールで優勝を果たす。国立アレクサンドル・スクリャービン記念博物館より2011年度の「スクリャービン奨学生」に選ばれ、2013年2月にはモスクワ市立グネーシン記念中等(高等)音楽専門学校で外国人初の最優秀生徒賞を受賞。翌年同校を首席で卒業。9月、モスクワ音楽院に日本人初となるロシア政府特別奨学生として入学、2019年6月首席で卒業。同年、モスクワ音楽院大学院に入学、2021年6月修了。 2014年11月ドイツ・グラモフォンよりCDデビュー。2017年6月に最新アルバム「展覧会の絵」をリリースした。2018年かがわ21世紀大賞受賞。 これまでにM.プレトニョフ、V.ゲルギエフや秋山和慶、尾高忠明、小林研一郎、高関健各氏などの指揮者と共演。●牛田 智大 Tomoharu Ushida (ピアノ, Piano)2018年第10回浜松国際ピアノ・コンクールにて第2位、併せてワルシャワ市長賞、聴衆賞を受賞。2019年第29回出光音楽賞受賞。 1999年福島県いわき市生まれ。2012年、クラシックの日本人ピアニストとして最年少12歳でユニバーサル ミュージックよりCDデビュー。2015年「愛の喜び」、2016年「展覧会の絵」、2019年「ショパン:バラード第1番、24の前奏曲」は続けてレコード芸術特選盤に選ばれている。 S.ヴラダー指揮ウィーン室内管(2014年)、M.プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管(2015年/2018年)、小林研一郎指揮ハンガリー国立フィル(2016年)、J.カスプシク指揮ワルシャワ国立フィル(2018年)各日本公演のソリストを務めたほか、全国各地の演奏会で活躍。その音楽性を高く評価され、2019年5月にはプレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管モスクワ公演、8月にワルシャワ、10月にはブリュッセルでのリサイタルに招かれた。2022年3月にデビュー10周年を迎えてリサイタルを開催し、各地で好評を博した。人気実力とも、若手を代表するピアニストの一人として注目を集めている。
2022年06月15日展覧会「白髪一雄」が、東京オペラシティ アートギャラリーにて開催。当初の予定より会期を短縮し、2020年3月13日(金)に閉幕が発表された。当初は2020年3月22日(日)まで開催される予定だった。“フット・ペインティング”の画家、その全貌に迫る戦後日本の前衛芸術グループ・具体美術協会の中心メンバーとして知られる画家、白髪一雄。絵筆などを用いず、床に広げた支持体に足で直に描く「フット・ペインティング」での制作を行った白髪は、それまで制作手段にすぎなかった“身体運動”を絵画表現の主役へと押し上げる、革新的な役割を果たした。東京の美術館初の本格的回顧展となる「白髪一雄」は、初期から晩年までの絵画約60点を筆頭に、制作プロセスをうかがえるドローイングや資料も加えた約100点を通して、その活動の全貌へと迫る展覧会だ。代表作が集結見どころは、具体美術協会が全盛期を迎えていた50年代から60年代にかけて生み出された代表作30点だ。「フット・ペインティング」により描かれた《地暴星喪門神》や《天空星急先鋒》をはじめ、身体運動から生まれる圧倒的な力と、油彩ならではの絵具の物質性が緊密に結びついた作品を楽しめる。密教の影響を受けた作品また、これまで展示の機会の少なかった、密教の影響を受けて作られた70年代の作品も展示。素足のかわりに長いヘラを用いた《貫流》などからは、流動感を湛えた妖しくも濃密な表現を見てとることができる。初期のパフォーマンス映像もさらに絵画作品のみならず、具体美術協会に携わった時代初期の実験的な作品《作品(赤い材木)》や、パフォーマンスの記録映像なども紹介。今日のインスタレーションやパフォーマンス・アートなどの先駆として評価される、身体と精神を軸に据えた制作へと迫る。展覧会概要展覧会「白髪一雄」※会期を短縮し、2020年3月13日(金)をもって閉幕。※当初は、2020年3月22日(日)まで開催予定であった。会場:東京オペラシティ アートギャラリー住所:東京都新宿区西新宿3-20-2開館時間:11:00〜19:00(金・土は20:00まで) ※最終入場は閉館30分前まで休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2月9日(日)入場料:一般 1,200(1,000)円、大・高生 800(600)円、中学生以下 無料※( )内は15名以上の団体料金※同時開催「収蔵品展069 汝の隣人を愛せよ」「project N 78 今井麗」の入場料を含む※障害者手帳所有者および付添1名は無料※割引の併用および入場料の払戻は不可【問い合わせ先】東京オペラシティ アートギャラリー(ハローダイヤル)TEL:03-5777-8600
2019年12月20日日本半導体製造装置協会(Semiconductor Equipment Association of Japan:SEAJ)がこのたび創立30周年を迎え、それを記念して、式典と講演会が東京で12月8日に開催された(図1)。まず、2015年に新たにSEAJ代表に就任したニコンの牛田一雄社長(図2)が挨拶し、「SEAJは、1985年に設立されて以来、最初の20年間は、シリコンサイクルという景気の波に影響を受け、多少の好不況を繰り返したとはいえ、右肩上がりで成長することができた。しかし、2008年のリ―マンショック以降、ビジネス環境は大きな試練に見舞われた。2011年には東日本大震災に見舞われた。このような苦境の中でも、試練を乗り越えることで世界と戦える強さを身に付けた。日本の半導体装置メーカーは世界最先端の技術を開発し、新製品を積極的に海外に展開し、高いシェアを維持している。近年は、政府の成長戦略によりビジネス環境が改善されつつある。これをチャンスととらえて、半導体装置業界もアベノミクスの成長戦略の一翼を担えるよう会員企業が一丸となって世界に挑戦し、頑張っていきたい」と将来への抱負を述べた。次に、名古屋大学未来材料・システム研究所未来エレクトロニクス集積研究センター所長の天野浩教授(2014年ノーベル物理学賞受賞者、図3)が「窒化物半導体デバイスの歴史と今後の展開」と題して講演を行った。同氏は、今から56年前の1959年にドイツでVon H.G. Grimmeissが世界で初めてGaNが発光することを見つけて以来、日本で発光効率の高い、実用的な青色LEDが発明されるまでの長い歴史を紹介した。現在、深紫外LEDの開発に注力しており、これが量産化できれば、簡易型水浄化装置に応用でき、安全な飲料水にアクセスできない開発途上国の人々を救えると意欲を燃やす。そして、次にGaNのパワーデバイスへと話題を移して、次のように述べた、「エネルギー問題に目をやると、2023~25年を越えるあたりから、世界のGDPの伸びに電力供給能力が追いつかなくなると懸念されている。この問題を解決するためには、LED照明による省エネルギーだけでは不十分なので、エレクトロニクス全体で貢献しなければならない。1つの可能性として、パワーデバイスの普及がある」「パワーデバイスの市場規模は、2020年にシリコン系が2兆6000億円規模、これに対して新たに登場してきているSiCやGaN系は未だSi系の1/20から1/10の規模しかないが、将来はどんどん伸びていく。なぜなら、太陽電池の直流出力を交流に換えるにも、電機自動車で電池出力をモーターを駆動するために交流に変換するにはインバータが必要であり、パワーデバイスの出番だ。Siの絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ(IGBT)の変換効率は95%で、電力損失は5%となっている。バンドギャップの大きな材料を使えばサイズを小さくでき、直列抵抗を減らせるので、電力損失はSi の1/6から1/10ぐらいに減らせる」「現在、パワートランジスタ基板には、SiCはSiより高耐圧、GaNはSiよりハイスピードのスイッチング(MHzから数百MHz)という特徴をそれぞれ生かした棲み分けがある。従来はSiベースのGaN-on-Si基板しか入手できなかったが、最近、GaN-on-GaN基板の開発が進んできた。これを使えば電流を縦に流せるようになるので集積化して大電流を流せるようになる.ので、将来は、高耐圧のGaNデバイスが可能になるだろう」天野研究室への韓国からの留学生が中心になって3次元構造のGaNデバイスの開発を行っているという(日本ではかつては電子工学分野が一番人気だったが、いまはがた落ちで、特に博士課程へ進学しようという学生は少ない。天野研究室の8人の博士課程学生の内6人は外国からの留学性というありさまだという)。最後に、日本のエレクトロニクス復権と大学の役割について、「日本の輸出品の長期推移は、大昔は生糸だったが、エレクトロニクスは1990年代にピークを打ち、その後は衰退の一途をたどっている。エレクトロニクスをなんとかV字回復させねばならぬが、大学としても何とかこれに貢献したい。大学のシ―ズ研究はそれなりの評価を受けてはいるが、産業に結びつける所が弱いと言われている。シ―ズ研究と実用化の間に横たわる"死の谷"を超える仕組みが欠けていた。名古屋大学ではその仕組みをつくるために、組織を変えて枠組みを整えつつある。大学で起業家を育てるようにしていきたい」と述べた。そして、「GaNデバイスに関する研究はいままで各大学でバラバラにやってきた。これを組織化するため、名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学、豊田工業大学、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構(NIMS)が中心になってオールジャパンのコンソーシアム("GaN研究コンソーシアム"を今秋設立した。当初の9大学23企業から14大学27企業(2015年12月現在)へと参画する大学や企業が増えてきている。世界をリードする省エネルギーイノベーション(社会的・経済的価値)を起こしたい。新産業創出のため、製造装置開発でSEAJの会員企業の協力をお願いしたい」と述べ話を結んだ。
2015年12月21日ドキュメンタリー映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』が第69回毎日映画コンクールでドキュメンタリー映画賞を受賞したことを受け、同作に出演した石川一雄さん(76)が10日、神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールで行われたオープニングセレモニーに出席した。1963年5月1日に埼玉県狭山市で女子高生が殺害された「狭山事件」で無期懲役とされて服役し、仮釈放後も冤罪を訴え続けている石川一雄さん。同作はその石川さんと妻・早智子さんの「泣き笑い怒り、日々を凛として生き抜く」夫婦の姿を3年にわたって密着したドキュメンタリー作品となっている。観客の拍手を浴びながら早智子さんと共にグリーンカーペットに立った石川さんは「まさか、こういう賞をいただけるとは思いもしませんでした」と受賞に驚き、「これからやがて無罪になると思いますが、この賞を励みに生涯を生きていこうと思います」と喜びを伝えた。表彰式では、金聖雄監督が制作スタッフを代表してトロフィーを受け取った。金監督は、石川さんと会うまで「殺人犯と呼ばれている人はどんな人だろう」「きっと暗くて怖くて不幸の塊のようなそんな人なんじゃないか」と不安を抱いていたが、夫婦そろって対面した時に「現実を真正面から受けとめて凛と生きるその姿」を目の当たりにし「とても心を揺さぶられました」。事件の真相を解明する映画ではなく「2人のラブストーリーとして描こう」と決心したのは、その時だったという。
2015年02月11日3月14日にアルバム『愛の夢』をリリースし、クラシック日本人ピアニストとして史上最年少CDデビューを果たした牛田智大。12歳の天才少年として話題のピアニストの本格的デビュー公演が、7月に開催されることが決定した。「牛田智大 デビュー ピアノ・リサイタル」の公演情報両親の仕事の関係で上海にわたった3歳の頃より、ピアノを弾きはじめたという牛田智大。弱冠5歳にして上海市で行われたコンクールで1700人の中から1位に輝く。さらに若きピアニストの登竜門「ショパン国際ピアノ・コンクール IN ASIA」年齢別出場部門において、8歳から12歳までの5年連続で1位を獲得。また今年2月に行われた第16回浜松国際ピアノアカデミー・コンクールでは、19歳のイタリアの女流ピアニストと1位を分かち合い、同アカデミー音楽監督の中村紘子や世界的ピアニストのラン・ランからもその才能を絶賛されている。昨年10月に放送されたテレビ朝日『題名のない音楽会』出演を機に、注目度も急上昇の牛田智大。本格的デビュー公演となるピアノ・リサイタルは、7月17日(火)に東京オペラシティ コンサートホールにて開催。チケットの一般発売は3月31日(土)10時より。また一般発売に先駆け、チケットぴあではインターネット先行先着プリセールを3月27日(火)10時より受付開始。■牛田智大 デビュー ピアノ・リサイタル【日時】7月17日(火) 19:00開演【会場】東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル (東京都)※本公演は20:00終演予定(休憩無し)
2012年03月26日