ライアン・ゴズリングが『The Actor』に主演することがわかった。プロデューサーも兼任する。原作は、ドナルド・E・ウェストレイクが書いたハードボイルド小説『Memory』。1950年代のオハイオ州で暴力を受け、記憶を失ったニューヨークの俳優が、自分が誰だったのかを思い出そうとし、自分が住んでいたところに戻ろうと模索するという物語。監督はデューク・ジョンソン。ゴズリングは、他にリー・ワネルが監督する『ウルフマン』のリメイクや、ルッソ兄弟監督のアクションスリラー『The Gray Man』の撮影も控えている。文=猿渡由紀
2021年02月26日デビッド・フィンチャーが、次に『The Killer』を監督することになった。マイケル・ファスベンダーが主演の交渉をしている。原作はグラフィックノベル。優れた腕前を誇る暗殺屋が、客からの需要が絶えない中で良心に目覚め、苦しむという設定。製作は、フィンチャーの最新作『マンク』も配信するNetflix。撮影はこの秋スタートする予定。フィンチャーは2007年からこの映画を作りたいと願っており、一時はフィンチャーが『ファイトクラブ』で組んだブラッド・ピットが主演を検討していた。このアワードシーズン、大健闘している『マンク』とはがらりと変わった作品になることは間違いなしだ。文=猿渡由紀
2021年02月25日ジョン・ハムとティナ・フェイが『Maggie Moore(s)』に出演することになった。ブラックコメディで、ジョン・スラッテリーが監督を務める。『MAD MEN マッドメン』でハムと共演したスラッテリーは、2014年の『God’s Pocket』で監督デビューを果たしている。『Maggie Moore(s)』の舞台は、平和な田舎町。だが、ある時、立て続けに殺人事件が起こり、被害者の女性が同姓同名だったことから警察がパニックするというストーリーのようだ。ハムの次回作は、コロナで延期になっている『トップガン:マーヴェリック』。フェイの最近作は、ピクサーの『ソウルフル・ワールド』。文=猿渡由紀
2021年02月24日ガイ・リッチーが、第二次世界大戦を舞台にした映画を監督することになった。タイトルは『Ministry of Ungentlemanly Warfare』。原作本の映画化権は2015 年にパラマウントが取得し、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーのもとで脚色の準備が進められていた。リッチーは脚本家としても参画し、さらなる書き直し作業が行われるようだ。時代は1939年。ナチ軍がヨーロッパで猛威をふるう中、ウィンストン・チャーチル英首相は、紳士協定を無視して敵を攻撃しろと命令する。物語は、そのために集められた勇気ある男たちについてのものらしい。リッチーの最近作は、今年日本でも公開される『The Gentlemen』。出演はマシュー・マコノヒー、ヒュー・グラントら。次の映画『Wrath of Man』は、コロナで公開が延期になっている。文=猿渡由紀
2021年02月24日ジェニファー・ガーナーが、『Family Leave』に主演することになった。朝起きたら、家族全員の体が入れ替わっていたというコメディ映画。地球の反対側で、もうひとつの家族に同じことが起こっていると知り、一家は、原因を突き詰めるためにその人たちと力を合わせようとする。原作はエイミー・クローズ・ローゼンタールが書いた『Bedtime for Mommy』。製作、配信はNetflix。ガーナーの次回作は、やはりNetflixが配信するコメディ映画『Yes Day』。共演はエドガー・ラミレス。こちらも原作を書いたのはエイミー・クローズ・ローゼンタールだ。配信開始は来月12日。文=猿渡由紀
2021年02月18日脚本家組合賞(WGA)のノミネーションが発表された。脚本部門に候補入りしたのは、『Judas and the Black Messiah』『パームスプリングス』『Promising Young Woman』『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ』『シカゴ7裁判』の5本。脚色部門の候補は、『続・ボラット栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』『マ・レイニーのブラックボトム』『この茫漠たる荒野で』『あの夜、マイアミで』『ホワイトタイガー』の5本だった。受賞発表は3月21日。文=猿渡由紀
2021年02月17日『サイドウェイ』や『Bottle Shock』など、ワインをテーマにした映画はいくつもあるが、映画の公開に合わせて新たなワインをリリースという珍しいプロジェクトが進んでいる。映画のタイトルは『Chasing Crush』。ワインの名前も同じだ。今年の夏から秋の収穫時期にナパバレーとソノマバレーで撮影される映画で、ストーリーには、最近、このエリアが山火事で大きな被害に遭ったことも入れられるという。監督、脚本はジョージ・ガロ。ワインは、映画の公開に先立って発売する予定。ミレニアル世代に向けて、缶入りのカベルネ・ソーヴィニヨンになるようだ。文=猿渡由紀
2021年02月16日ブレンダン・フレイザーとホン・チャウが、新作映画で共演することになった。タイトルは未定で、監督はダーレン・アロノフスキー。肥満の問題を抱える教師が、ティーンエイジャーの娘との関係を修復しようとする物語で、チャウはフレイザーが演じる主人公の友人を演じるとのことだ。ほかに、サマンサ・モートン、サディ・シンクも出演を検討している。製作はA24。フレイザーは現在、アダム・マッケイ監督の『Don’t Look Up』を撮影中。共演はレオナルド・ディカプリオ、クリス・エヴァンス、メリル・ストリープ、ジェニファー・ローレンス、ティモシー・シャラメら。チャウの最近作は、Amazonプライム・ビデオの『ホームカミング』。文=猿渡由紀
2021年02月12日伊坂幸太郎の『マリアビートル』をハリウッドで映画化する『Bullet Train』に、サンドラ・ブロックが出演することになった。すでにブラッド・ピット、アーロン・テイラー=ジョンソン、マイケル・シャノン、マシ・オカ、ローガン・ラーマンらの出演が決まっている。ピットとブロックが共演するのはこれが初めて。監督は『デッドプール2』『ジョン・ウィック:パラベラム』のデビッド・リーチ。ブロックの最近作は、2018年末にNetflixがリリースして大ヒットとなった『バード・ボックス』。ピットの最近作は、昨年のオスカーで助演男優賞をもたらした『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。文=猿渡由紀
2021年02月10日放送映画批評家協会賞のノミネーションが発表になった。最多ノミネーションを受けたのは、デビッド・フィンチャー監督の『Mank/マンク』で、12部門。次は、『ミナリ』の10部門だった。作品部門の候補は、『ザ・ファイブ・ブラッズ』『マ・レイニーのブラックボトム』『ミナリ』『あの夜、マイアミで』『シカゴ7裁判』『Mank/マンク』『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ』『ノマドランド』『この茫漠たる荒野で』『Promising Young Woman』の10本。映画の主演男優部門候補は、リズ・アーメド(『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ』)、チャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)、アンソニー・ホプキンス(『ファーザー』)、ゲイリー・オールドマン(『マンク』)、スティーブ・ユァン(『ミナリ』)、トム・ハンクス(『この茫漠たる荒野で』)、デルロイ・リンド(『ザ・ファイブ・ブラッズ』)、ベン・アフレック(『The Way Back』)。映画の主演女優部門候補は、ヴァイオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)、ヴァネッサ・カービー(『私というパズル』)、フランシス・マクドーマンド(『ノマドランド』)、キャリー・マリガン(『Promising Young Woman』)、アンドラ・ディ(『The United States vs. Billie Holiday』)、シドニー・フラニガン(『Never Rarely Sometimes Always』)、ゼンデイヤ(『マルコム&マリー』)だった。授賞式は3月7日。文=猿渡由紀
2021年02月09日SAGアワードのノミネーションが発表になった。俳優組合SAG-AFTRAの会員が投票するこのアワードは、演技に対して贈られるもの。通常のアワードで「作品部門」にあたるのは、「キャスト部門」となる。今年、キャスト部門に候補入りした映画は、『ザ・ファイブ・ブラッズ』『マ・レイニーのブラックボトム』『ミナリ』『あの夜、マイアミで』『シカゴ7裁判』。テレビシリーズのキャスト部門候補は、『ブリジャートン家』『ザ・クラウン』『オザークへようこそ』『ベター・コール・ソウル』『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』。映画の主演男優部門候補は、リズ・アーメド(『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ』)、チャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)、アンソニー・ホプキンス(『The Father』)、ゲイリー・オールドマン(『マンク』)、スティーブ・ユァン(『ミナリ』)。映画の主演女優部門候補は、エイミー・アダムス(『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』)、ヴァイオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)、ヴァネッサ・カービー(『私というパズル』)、フランシス・マクドーマンド(『ノマドランド』)、キャリー・マリガン(『Promising Young Woman』)だった。授賞式は4月4日。文=猿渡由紀
2021年02月05日AKB48・柏木由紀のニューシングル「CAN YOU WALK WITH ME??」(3月3日発売)のミュージックビデオとジャケット写真が5日に公開された。AKB48として約14年、今年30歳を迎えるグループ最年長の柏木。レーベルを移籍し、7年5カ月ぶりのCDリリースとなるソロシングルは、BiSH、豆柴の大群等を手掛けた独自路線を突き進む業界の鬼才、WACK代表取締役の渡辺淳之介氏をプロデューサーに迎えた。2人は昨年5月、AKB48総合プロデューサー・秋元康氏が監修するTOKYO FM「TOKYO SPEAKEASY」で出会い、生放送中に秋元氏から「ぜひ、渡辺さんに柏木をプロデュースしてほしい」と連絡があったことがきっかけで、今回のプロデュース計画がスタート。何度も打ち合わせを重ね、「柏木由紀のこれまでとこれから」をテーマに制作されたミュージックビデオは、早朝からスタジオでのバンドシーンを撮影した後、「こんなこと今までやらされたことない!」と柏木が訴えるほどの厳しいロケへ。真冬の極寒のなか、風に吹かれ、火に炙られ、土砂降りの雨に打たれ、トンネルをさまよい、その先に辿り着いた世界は、夕焼けが映える絶景。約14年間のつらく厳しいアイドル人生を努力と持ち前の前向きさで乗り越え、今の境地に達した柏木を“ドS”な演出で表現している。一度で撮り終わる予定だった「土砂降りシーン」はテイク5まで撮影することになったが、柏木は弱音、文句の一つも言わず乗り切った。ミュージックビデオについて、柏木と渡辺プロデューサーからコメントが到着した。■柏木由紀 コメント風、雨、火。何かの試練、罰ゲームかな?と正直はじめは思ってしまいました……(笑)。しばらくAKBでぬるま湯に浸かっていたので、久しぶりに初心を思い出して、とにかく一生懸命取り組みました!! 飾らない今の等身大の柏木由紀を詰め込んでいただけて大満足です。渡辺淳之介さんも、MVの監督さんや撮影現場のスタッフさんも、優しくて安心しました。良い意味で遠慮なく、ぶつかっていけたと思います。このMVを観て、これからのアイドル像、柏木由紀を感じていただけたら嬉しいです。■プロデューサーWACK 代表取締役 渡辺淳之介 コメント大変申し訳ございませんでした。そんなつもりは毛頭なかったのですが、私、柏木由紀さんをナメていたようです。せっかく柏木さんをプロデュースさせていただくのだから、自分たちのすべてを持ち込んでやろうと思いました。そうです。世間ではサイコパスと呼ばれる私です。こんなのはNGじゃないかな? こんなのは絶対やらないだろ? 過酷だけど大丈夫かな?? という企画をこれでもかと提案させていただきました。……すべてを快諾いただきました。驚きでした。今までにない柏木さんを撮れました。恐る恐るびびりながら撮り終えた瞬間、弊社のスタッフは全員柏木さんのファンとなり、そして、自分たちの無力さをなげきました。最高のMVができました。しかしこれはまぎれもなく柏木さんのおかげだと。これがアイドル柏木由紀なのだと。もう一度言いますが最高のMVができました。
2021年02月05日現地時間3日に終了するサンダンス映画祭で上映された『Passing』を、Netflixが獲得することになりそうだ。Netflixは世界配信権のために1,500万ドル以上を払う模様。先にAppleがディールを結んだ『CODA』の2,500万ドルには及ばないが、人種問題についてのモノクロ映画としては立派な数字だ。今作は、レベッカ・ホールの監督デビュー作。主演はルース・ネッガとテッサ・トンプソン。20年代のニューヨークを舞台に、見た目が白人で通じるため、夫にまで嘘をついて白人として生きるクレア(ネッガ)と、その友人アイリーン(トンプソン)の複雑な関係を描く。クレアの夫役でアレキサンダー・スカルスガルトも出演する。文=猿渡由紀
2021年02月04日ブロードウェイのヒットミュージカル『ウィキッド』の映画版を、ジョン・M・チュウが監督することになりそうだ。『ウィキッド』の監督には、先にスティーブン・ダルドリーが決まっていたが、降板。チュウもDisney+で予定されている作品を降板したところで、タイミングが一致した。チュウは、コロナのため公開が昨年から今年に延期された『In the Heights』でも、ブロードウェイミュージカルの映画化を手掛けたばかり。チュウの過去作品には『G.I.ジョー バック2リベンジ』『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』『クレイジー・リッチ!』などがある。文=猿渡由紀
2021年02月03日2016年のデビュー作『Hooligan Sparrow』、2019年の『一人っ子の国』に続き、中国生まれのドキュメンタリー映画監督ナンフー・ワンが、最新作『In the Same Breath』をサンダンス映画祭でお披露目をした。今回のテーマは、新型コロナ。昨年秋のトロント映画祭では、やはり新型コロナをテーマにしたドキュメンタリー『76 Days』が上映されたが、そちらは都市封鎖された76日間の武漢の病院に焦点を当てるものだった。一方で、過去2作でも中国政府を批判したワンは、政府の対応にフォーカスする。2019年の12月から武漢では同じ症状を訴える人が続出していたことを見せるセキュリティビデオ、中国政府は死者数を3,300人と言っているが「桁がひとつ違う」という葬儀屋のコメント、政府のプロパガンダをそのまま垂れ流す現地メディアの様子などを、ワンは批判たっぷりに見せていくのだ。批判の矛先は、現在ワンが住むアメリカにも向けられる。アメリカの政府は、当初、コロナの脅威を過小評価し、「アメリカは大丈夫だ」「心配する必要はない」と国民に言い続けた。アメリカのコロナ感染のメッカとなるニューヨークですら、ロックダウンが始まる直前まで同じメッセージが伝えられていたことを、ワンはこの映画で人々に思い出させる。そんなふうに現実をきっちり見なかったがために、患者が一気に押し寄せてくると、十分なマスクや防護服が足りず、医療従事者は不安な状況でケアを行うことを強いられたのだ。映画には、その状況に反論したためにクビにされた元看護士も登場する。もし、政府が最初からことの大きさを理解し、国民に真実を語って、早急にロックダウンをしていたら?亡くなった人々の墓を映しながら、ワンはそう問いかける。コロナは進行形であるだけに、これについてのドキュメンタリーは、おそらくこの後も出てくるだろう。そんな中で、今作は、この1年を振り返り、考察する、意義ある作品といえる。文=猿渡由紀
2021年02月01日過去に女優としてサンダンスを訪れているレベッカ・ホールが、監督として、この映画祭に戻ってきた。作品は『Passing』。1929年に書かれた小説を映画化するもので、テッサ・トンプソンとルース・ネッガが主演を務める。舞台は20年代のニューヨーク。肌の色が白く、白人として“パス”するアイリーン(トンプソン)は、ある日、黒人お断りのホテルのカフェでかつての同級生クレア(ネッガ)に久々に出くわす。やはり“パス”できるクレアは、アイリーンのように時々ではなく、完全に白人だと偽って生活しており、人種差別者の白人の夫(アレキサンダー・スカルスガルド)までいるのだった。クレアがやっていることにアイリーンは抵抗を感じるが、この再会をきっかけに、クレアはアイリーンの人生に入り込んでくる。アイリーンの夫で医師のブライアン(アンドレ・ホランド)もクレアを受け入れ、夫妻は頻繁にクレアと一緒にクラブやパーティに出かけるようになるのだった。この話を白人が語るのは、今の感覚ではとりわけ奇妙に感じるが、実は、ホールは今作にぴったりの監督なのである。ホールの母方の祖父は“パス”する黒人で、白人女性と結婚し、子供たちも完全に白人として育てたのだ。そんな自分のルーツについて考えをめぐらせている時に、ある友人が原作小説を教えてくれ、大きく心を揺り動かされたのだと、ホールはプレミア上映後のヴァーチャル会見で語っている。モノクロで撮影することは、早くから決めていたそうだ。理由のひとつは、「(肌の)色についての話から色を取り去ることは象徴的だと感じた」から。また、このストーリーが、白黒はっきりしているわけでなく、グレーなエリアが多いことも、このやり方が適していたという。ふたりの女優で先に決まったのはネッガ。ネッガはクレアを選び、その後にトンプソンが決まった。ネッガとトンプソンは、女優としての経験が長いホールが現場を温かく、信頼のある雰囲気にしてくれたおかげで、のびのびと演技ができたと語っている。ホールの今後の監督としてのキャリアに期待が集まる。文=猿渡由紀
2021年02月01日2016年の監督デビュー作『タルーラ〜彼女たちの事情〜』をサンダンスでお披露目したシアン・へダーが、その次の作品『CODA』で再びこの映画祭に戻ってきた。タイトルは、『Child of deaf adult』。つまり耳の聞こえない大人の子供という意味。主人公の高校生ルビーはまさにその例で、両親も、兄も、耳が聞こえず、生まれた時からずっと家族の通訳の役割を果たしてきた。父、兄は漁師だが、収穫物を売るためにも、ルビーの助けが必要だ。そんな中、音楽が好きなルビーは学校のコーラス部に参加し、顧問のヴィラロボス先生に優れた才能を発見される。卒業後も家業を助けるのだろうと思っていたルビーに、先生は、ボストンの名門音楽学院バークリーの試験を受けるよう勧めた。しかし、ルビーがいなくなると聞こえる人たちとのコミュニケーションが絶たれると、両親は賛成しない。高校生が自分の将来について悩む、あるいは親が期待するのと違う道に進みたいと葛藤する話は何度も語られてきたが、この状況は独特。両親の仲が良く、愛に満ちた家庭であることも、ルビーのジレンマを強くする。ルビーが舞台で歌うシーンで、しばらく音を遮断し、両親と兄の視点で体験させるのも感動的だ。今作は、2014年のフランス映画「エール!」のリメイク。へダーは自分が育ったマサチューセッツ州に舞台を据え、ルビーの両親と兄の役には全員、実際に耳が聞こえない俳優を雇った。へダーも、ルビー役のエミリア・ジョーンズも、撮影前に手話の特訓を受けている。プレミア上映後のヴァーチャル会見で、へダーは、手話の通訳はもちろんいたが、できるかぎり自分でもコミュニケーションを取りたかったし、休憩時間におしゃべりをしたりしたかったからだと語った。家のセットを作ったりする上などで、耳の聞こえない彼らからアドバイスを受けたともいう。この撮影体験は自分の人生を大きく変えたというジョーンズは、これからも手話を学んでいきたいと語っている。今作はバイヤーの間でも強い関心が集まり、競売の結果、アップルが2,500万ドルで全世界配給権を取得した。この金額はサンダンスの歴史で最高記録。来年度のアワードシーズンでも、早くも健闘が期待される。文=猿渡由紀
2021年02月01日『レクイエム・フォー・ドリーム』以来21年、ジャレッド・レトとダーレン・アロノフスキー監督が再び組むことになった。作品は『Adrift』。鈴木光司の『仄暗い水の底から』に含まれる短編小説のひとつで、10年前からレトが映画化を望んでいたものだという。プロデューサーは低予算ホラーをヒットさせることで有名なジェイソン・ブラム。アロノフスキーは次に別の映画を監督する予定で、今作はその後になるようだ。レトの最新作は、22日にアメリカで劇場公開とHBO Maxの同時配信が始まる『The Little Things』。共演はデンゼル・ワシントンとラミ・マレック。その後には『モービウス』が控える。文=猿渡由紀
2021年01月29日コロナが収束する気配を見せない中、カンヌ映画祭が、今年の開催を2か月延期すると発表した。新たな日程は7月6日から11日。9月1日に開催のヴェネツィア映画祭まで1か月半しか開かないことになる。トロントとニューヨークはヴァーチャルで決行し、明日から開催のサンダンスや3月のサウスバイ・サウスウエストも同様だ。しかし、カンヌをはじめとするヨーロッパの映画祭は、昔ながらのやり方にこだわり続けている。昨年、カンヌはキャンセルをやむなくされ、上映が決まっていた作品は、カンヌのレーベルをつけて、その後のほかの映画祭で上映された。文=猿渡由紀
2021年01月28日フィルム・インディペンデント・スピリット賞のノミネーションが発表になった。作品部門の候補は『マ・レイニーのブラックボトム』『ミナリ』『ノマドランド』『First Cow』『Never Rarely Sometimes Always』の5本。監督部門は、クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)、リー・アイザック・チョン(『ミナリ』)、イライザ・ヒットマン(『Never Rarely Sometimes Always』)、ケリー・ライシャード(『First Cow』)、エメラルド・フェンネル(『Promising Young Woman』)。主演男優部門はチャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)、リズ・アーメッド(『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』)、アダーシュ・ゴーラヴ(『ザ・ホワイトタイガー』)、ロブ・モーガン(『Bull』)、スティーブン・ユァン(『ミナリ』)。主演女優部門はフランシス・マクドーマンド(『ノマドランド』)、ヴァイオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)、シドニー・フラニガン(『Never Rarely Sometimes Always』)、キャリー・マリガン(『Promising Young Woman』)、ニコール・ベハーリー(『Miss Juneteeth』)だった。受賞発表は4月22日。文=猿渡由紀
2021年01月28日新型コロナウイルスの勢いが収まらない中、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』がまたもや延期になった。新たな公開日は9月17日。今作の延期はこれが3度め。オリジナルの北米公開日は昨年3月20日で、すでにプレミアも済ませていたが、コロナがアメリカを直撃して、半年後の9月4日に延期。その段階でもニューヨークやL.A.で映画館がクローズしていたことから、再び今年の4月に延期された。しかし、1月も下旬になった今、あと3カ月弱で全米の映画館がオープンし、人々が駆けつける状況になっていることは現実的でないと判断したようだ。2018年のオリジナルは全世界で3億ドルを超える大ヒットになっている。続編の監督、脚本もジョン・クラシンスキが務める。『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』2021年公開文=猿渡由紀
2021年01月25日世界中でコロナがまだまだ猛威をふるう中、4月に北米公開が予定されていたトム・ハンクス主演映画『Bios』が延期になった。新たな公開日は8月13日。SF映画で、監督は『ゲーム・オブ・スローンズ』などのミゲル・サポチニク。未来を舞台に、ロボットが友情、愛、人間であることを学んでいくという物語らしい。ハンクスの最近作『この茫漠たる荒野で』は、クリスマスにアメリカで劇場公開されたが、コロナでL.A.やニューヨークなど大都市の映画館が完全に閉まっている中、興行成績はまったく冴えなかった。日本を含む海外では、Netflixが世界配信する。こちらの監督はポール・グリーングラス。そのひとつ前のハンクス主演作『グレイハウンド』も、コロナのため、ソニーがApple TV+に売却し、配信でのリリースになっている。文=猿渡由紀
2021年01月22日ザカリー・リーヴァイが『American Underdog: The Kurt Warner Story』に主演することになった。伝説のプロフットボール選手カート・ワーナーの伝記映画で、監督はジョン・アーウィンとアンドリュー・アーウィン。ワーナーの母親役でヴァージニア・マドセン、セントルイス・ラムズのコーチ役でデニス・クエイドが出演する。ワーナー本人もプロデューサーに名を連ねる。製作はライオンズゲート。リーヴァイの次回公開作は、ジョディ・フォスター、ベネディクト・カンバーバッチと共演する『The Mauritanian』。『シャザム!』の続編の企画も2023年公開予定で進んでいる。文=猿渡由紀
2021年01月21日ガル・ガドットが主演する『Heart of Stone』をNetflixが製作配給権することになった。競売に手を挙げた他社を抑えての獲得だ。監督は『ワイルド・ローズ』『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』のトム・ハーパー。世界を舞台にしたスパイスリラーで、女性版『ミッション:インポッシブル』『007』のようなシリーズものを目指しているようだ。脚本は『ドリーム』のアリソン・シュローダーと『オールド・ガード』のグレッグ・ルッカ。ガドットはプロデューサーも兼任する。ガドットの次回作は、ケネス・ブラナーが監督する『ナイル殺人事件』。昨年秋に公開される予定だったが、コロナで延期されている。文=猿渡由紀
2021年01月18日今月20日のジョー・バイデン大統領就任を祝う特別番組のホストを、トム・ハンクスが務めることがわかった。コロナのため、就任式の儀式が簡素化され、パレードもキャンセルされることを受けての特別番組で、就任式が終わった後のプライムタイムに放映される。ハンクスのほかに、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・ボン・ジョヴィ、デミ・ロヴァートらも出演予定だという。番組は90分。放映するのは、ABC、 CBS、NBCのメジャーネットワークに加え、ケーブルニュースチャンネルのCNN、MSNBC。YouTube、Facebook、Twitterで、海外からも見られる。文=猿渡由紀
2021年01月14日ジョー・ジョナスとトーマス・サドスキが『Devotion』に出演することになった。大型予算をかけた実話にもとづく戦争映画で、ほかにジョナサン・メジャーズとグレン・パウエルが出演する。舞台は朝鮮戦争。ふたりの若いパイロットは友情を築くが、そのうちひとりが敵に撃ち落とされてしまうという物語らしい。監督は『Sleight』(日本未公開)のJD・ディラード。撮影は来月、ジョージア州でスタートの予定。ジョナスの弟ニック・ジョナスは、昨年秋日本公開されたローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェイ』で戦争映画に初挑戦している。文=猿渡由紀
2021年01月13日全米映画批評家協会賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『ノマドランド』。今作ではほかに、クロエ・ジャオが監督賞、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞を受賞した。主演男優賞は『ザ・ファイブ・ブラッズ』のデルロイ・リンドー。助演男優賞は『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』のポール・レイシー、助演女優賞は『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』のマリア・バカローヴァ。脚本賞は『First Cow』のイライザ・リットマンだった。文=猿渡由紀『ノマドランド』3月26日(金)公開
2021年01月11日『ゆきりん』の愛称でおなじみの、アイドルグループ『AKB48』で活動する柏木由紀さん。2020年2月にYouTubeチャンネル『ゆきりんワールド』を開設し、いろいろな動画を投稿しています。セクハラコメントに苦言を呈したり、メイク動画を投稿したりと、YouTubeでの活動によって女性ファンがさらに増えているようです。柏木さんの親しみやすい人柄や、アイドルだからといって飾らない姿は、多くの人の心をつかみました。『ドすっぴん』をさらした柏木由紀に反響同年12月28日に公開された、柏木さんのメイク動画がネットで話題になっています。柏木さんが投稿したのは、オススメのベースメイクについての動画。毛穴やシミ、ニキビなど、肌に関する悩みは数多く存在します。そんな悩みを抱えた人たちのため、柏木さんは動画で完全に何もしていない『ドすっぴん』を初めて公開!芸能人は見た目が重要なため、一般人以上にすっぴんを隠したがるもの。中でもアイドルは、昔からかわいらしさを求められる存在です。また、『すっぴん』といいつつベースメイクをしている人も珍しくありません。しかし、柏木さんはクマやニキビなどをすべて公開し、自身がオススメするベースメイクの方法を動画で説明したのです。『ドすっぴん』公開に恥ずかしがりながらも、「すっぴんに関してはもう褒めなくてもいいし、悪口もいらない。私が見せたいのは化粧だけなので」とハッキリいい切った柏木さん。「素晴らしいメイク方法を教えたい!」という熱い思いを感じるその姿はネットで話題になり、主に女性から多くの反響が上がりました。・現役アイドルがドすっぴんをさらして、メイクを教えてくれるなんてありがたすぎる!・好感度が急激に上がった。アイドルだって自分と同じ女性で、頑張ってるって分かる。・『すっぴん風』をすっぴんと主張する人よりかっこいい。内容もすごく参考になった。肌の悩みがある人たちは、柏木さんが伝授するテクニックに救われたようです。YouTubeで新たな一面を見せ、今後も柏木さんは『ゆきりんワールド』を広げていくことでしょう![文・構成/grape編集部]
2021年01月09日『ポリス・アカデミー』のラヴァーン・フックスことマリオン・ラムジーが亡くなった。73歳。死因は明らかにされていないが、ずっと病気だったという。亡くなったのはL.A.の自宅だった。ラムジーはフィラデルフィア生まれ。舞台でキャリアを始め、テレビや映画でも活躍するようになった。代表作は1984年の『ポリス・アカデミー』と、その続編。最近ではホラーコメディ映画『ラバンチュラ 全員出動!』に出演している。シンガーソングライターとしても活動した。また、AIDS撲滅のための慈善活動にも情熱を注いでいる。文=猿渡由紀
2021年01月08日ブロードウェイのヒットミュージカル『モンティ・パイソンのSPALAMOT』の映画化を、パラマウントが手がけることになった。この映画化は20世紀フォックスで進められていたが、フォックスがディズニーに買収されて以来、保留になっていたもの。製作準備はかなり進んでおり、監督には舞台劇のコレオグラファー、ケイシー・ニコロウが決まっている。舞台版は、ミュージカル部門と演出家部門でトニー賞を受賞している。舞台劇は1975年のコメディ映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』にもとづくもの。監督はテリー・ギリアムとテリー・ジョーンズ、出演はギリアム、ジョン・クリーズ、グレアム・チャップマンらだった。文=猿渡由紀
2021年01月07日