俳優の窪田正孝が主演を務める映画『決戦は日曜日』が公開された。坂下雄一郎監督・脚本によるオリジナル作で、とある地方都市を舞台に、衆議院議員・川島昌平の事務所で私設秘書として働いている谷村勉(窪田)が、次の選挙で川島の地盤を引き継ぐ人間として白羽の矢が立った川島の娘・有美(宮沢りえ)に振り回されながら、有美の当選を目指す姿をコミカル&シニカルに描く。朝ドラ『エール』直後に撮影したという同作は、演技に対しても考え方が変わりはじめている状況だったという。現実への皮肉も多大に含む作品についてもどう思っていたのか、主演の窪田にインタビューした。○■宮沢りえと「そんな話ができるなんて…」――作品についてはどのような印象でしたか?今回初めて坂下監督とご一緒させてもらいました。前作の『ピンカートン』(『ピンカートンに会いにいく』)もめちゃくちゃ面白いですし、どんな方なのかなと思っていたら、けっこう無口で、意外にドSな感じがしました。コミュニケーションをとろうとしてもちゃちゃっとしている感じもあって、僕はすごく好きでした。『ピンカートン』でご一緒されていた内田慈さんがいろいろと監督のことを教えてくださって、一緒にいると少し会話が弾むんです(笑)。撮影自体は短かったけど、毎日楽しかったです。――とにかく現実への皮肉が効いていて、どこに着地するんだろうと思いながら観てしまいました。考えるとゾッとしてしまう感じもあって、笑っていいのか? という気持ちもありました。政治のことなど、あまり言っちゃいけないという空気があるじゃないですか。僕はそうとは思わないんです。でも、言えないところはあって、それが映画ならできる。今の政治をただ否定するのではなく、監督の歪んだ愛情を感じられる気がするんです。真面目にやってそれが滑稽って楽しいじゃないですか。だから存分に笑ってもらいたいです。本当に、笑っていいと思うんです。それと同時に、この作品が新しい視点になる気もします。これはあくまでフィクションだから……というところもあるけど、本当はもっとひどいかもよ? という気持ちもある。だから、みんなが声に出さないことを代弁してくれる作品のような気もします。声にできない声を拾っている作品を一つ残せたから、嬉しいです。――共演の方々も個性豊かで、特に有美には振り回されることになりますが、宮沢さんについてはどのような印象でしたか?魅力的な方、です。それはもう世の中が知ってると思うけど、りえさんが現場に入ってくるとすぐにわかるくらいなんです。本当に太陽みたいな方で、常に体温が高いようなイメージ。一緒にいると照らしてくれます。光みたいな、ずっとまぶしいという感じでした。りえさんと共通点があって、いろいろと話を振ってくださったりもしました。撮影の合間に「家のイスはこれがいい」とか身近な話をしていたんですけど、僕は宮沢りえさんとそんな話ができるなんて思ってもなかったので(笑)。キュートなギャップにハートを持って行かれました。家で育てている観葉植物とか、りえさんから贈りものをいただいたりもして、こちらもお返ししたりとか。妻の方がりえさんと仲がいいので、家で渡されたものを僕がそのままりえさんに渡して、仲介役みたいなことをしていました(笑)――共演するまではやっぱり「テレビで見ていた人」というような感じだったんですか?もう「テレビの中の人」でした! 高嶺の花というか。実際に会ってみるとすごく気さくで、こんなに話しやすい方はいないというくらいです。ずっとしゃべっていたいですし、話を聞いていたい方でしたね。――赤楚衛二さんとも同僚役で一緒のシーンが多かったと思いますが、いかがでしたか?何者にも染まらないピュアな感じでしたし、それが役につながっている印象がありましたね。怒ったこととか、あるのかな? すごく透き通っているから、これからどんな役をやってどう体現していくのか、楽しみな役者さんだなと思います。本当に優しい子なので、なんでもしてあげたくなるような感じでした。○■引き算することが楽しい――窪田さんは俳優生活15年になりますが、自分にとって初心に戻る場所や、原点みたいなものはありますか?三池(崇史)さんからオーディションで選んでいただいた20歳の時に「彼のことを選んだ理由は10年後にわかるよ」と言われて、その10年後にもう1度ご一緒したのが『初恋』という映画だったんです。そこで1回恩返しできたのは、1つ原点に戻ったというか、勝手に何か1つのシリーズだったような気がしています。あとはやっぱり、結婚したことで、今がまた1つの原点になったかもしれません。自分はどこか人と共有することを避けて生きてきた方で、誰かと共同生活ができると思っていなかったから、今がすごく0な状態です。初めてやりたいことも色々と出てきました。今までは仕事がないと不安で、今もその気持ちはあるんですけど、それでもプライベートのインプットの時間も大事にしないと、出てくるものも出てこないと思うようになりました。――「共有することを避けて生きてきた」というのは意外でした。人当たりをよくしている自分もいるし、でも人に会いたくないと思う自分も嘘じゃなくて。役者はプレイヤーで表に出る仕事だから、どうしても自分を着飾ったりしてしまいます。20代は特に「カッコつけたい」「よく映りたい」とか、「この作品を残したい」といった思いも強かったんですけど、今はそれよりも溶け込む方がすごく楽しくなっているんです。今まではどうしても芝居を足し算で考えていたところがあって、表現することが仕事だから、もちろん台本はあった上で役の強弱をつけなきゃいけないと思っていたんだけど、最近はそうじゃないなと思えてきて、むしろ引き算することがすごく楽しいです。何も飾らないというか、何も付けない。朝ドラ(『エール』)が終わって次の仕事がこの作品だったので、この映画を撮っていた時が、そんな自分に気付き始めていたくらいだったように思います。僕にとっては貴重な時間でした。■窪田正孝1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。2006年に俳優デビュー。08年には『ケータイ捜査官7』でシリーズ監督をつとめていた三池崇史と出会い主演に抜擢される。以降、TVドラマ、映画などを主に幅広く活躍。12年には『ふがいない僕は空を見た』などで第34回ヨコハマ映画祭新人賞、第27回高崎映画祭で最優秀助演男優賞を受賞。主演を務めた『初恋』(20年)は第72回カンヌ国際映画祭監督週間に正式出品される快挙を果たし、世界中の映画祭で喝采を浴びた。20年にはNHK連続テレビ小説『エール』にて主演、第45回エランドール賞新人賞を受賞した。これまでの主な映画出演作は、『ガチバン』シリーズ(11-14年)、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13年)、『予告犯』(15年)、『MARS~ただ、君を愛してる~』(16年)、『東京喰種 トーキョーグール』シリーズ(17・19年)、『犬猿』(18年)、『Diner ダイナー』(19年)、『ファンシー』(20年)、『初恋』(20年)など。2022年には『劇場版 ラジエーションハウス』、『ある男』の公開を控える。 ヘアメイク:糟谷美紀 スタイリスト:菊池陽之介
2022年01月14日俳優の窪田正孝が主演を務める映画『決戦は日曜日』(2022年1月7日公開)の予告映像が28日、公開された。同作は坂下雄一郎監督の脚本によるオリジナル作。とある地方都市を舞台に、衆議院議員・川島昌平の事務所で私設秘書として働いている谷村勉(窪田)が、次の選挙で川島の地盤を引き継ぐ人間として白羽の矢が立った川島の娘・有美(宮沢りえ)に振り回されながら、有美の当選を目指す姿をコミカル&シニカルに描く。解禁となる予告編は、川島有美の衆院選立候補表明会見から始まる。地元の有力な議員として手腕を振るっていた衆議院議員の父・川島昌平の地盤を引き継ぎ、二世議員が何を語るのか注目が集まる中、有美の口から発せられたのは各々を「かくかくが、かくかくの信頼を取り戻す」という読み間違い。私設秘書の谷村は心の中で 「おのおのだよ……」とツッコむ。「君たち秘書があのバカ操作してくれないと! うまくいくものもいかんだろう!」「もっとち ゃんとしなさいよ!」と地方議員や後援会からの叱責に「申し訳ない」「すみません」と頭を下げてばかりの谷村、岩渕(赤楚衛二)、田中(内田慈)、濱口(小市慢太郎)、向井(音尾琢真)の事なかれ主義の秘書チームは、やる気だけは十分な世間知らずのド素人二世候補による「他候補者の街頭演説に横槍を入れる」「突撃取材に怒り暴行」などの行動に頭を悩ませる。「クルーの皆さんも当選目指してがんばりましょう!」と発破をかける有美に対し「ちょっと欧米感あったね」「やる気あるんですけど、わかってないんですよね」とどこか冷めた反応も。さらに映像では、「気になることがあったら何でも言って!」と有美に言われ、谷村は「今の振る舞いではただの不愉快な素人に見える」「やる気があるのはいいが、やり方をはき違えている」「相槌が適当過ぎて話を聞いていないのがバレている」「スマホのカバーダサすぎ」と列挙し、怒りのあまり表情が固まった有美は事務所の屋上から「改善を要求しま す!」と演説する始末。予告の最後には有美の「日本の政治は終わってる」「選挙に落ちたらいい」という衝撃の発言と驚く谷村の姿も収められた。(C)2021「決戦は日曜日」製作委員会
2021年10月28日来年1月に公開の窪田正孝×宮沢りえ共演のポリティカルコメディ『決戦は日曜日』より、本予告が解禁となった。本作は、窪田正孝演じる事なかれ主義の議員秘書が宮沢りえ演じる世間知らずの二世議員とともに選挙戦を戦うことになる、ユーモアと皮肉に満ちた新時代のポリティカルコメディ。 脚本・監督を務めるのは『東京ウィンドオーケストラ』『ピンカートンに会いにいく』などのオリジナル脚本でコメディ作品を発表してきた坂下雄一郎。執筆に5年の月日をかけた脚本で、豪華キャスト陣によるコミカル&シニカルな選挙活動を描く。解禁となった予告編は、宮沢さん演じる川島有美の衆院選立候補表明会見から始まる。地元の有力な議員として手腕を振るっていた衆議院議員の父・川島昌平の地盤を引き継いだことを示す重要な局面だ。二世議員が何を語るのか注目が集まる中、有美の口から発せられたのは…「かくかくが、かくかくの信頼を取り戻す」というまさかの堂々たる読み間違い。窪田さん演じる私設秘書・谷村勉は心の中で「おのおのだよ…」と、心の中でツッコむのだった。「君たち秘書があのバカ操作してくれないと!うまくいくものもいかんだろう!」「もっとちゃんとしなさいよ!」と地方議員や後援会からの叱責に「申し訳ない」「すみません」と頭を下げてばかりの谷村、岩渕(赤楚衛二)、田中(内田慈)、濱口(小市慢太郎)、向井(音尾琢真)の事なかれ主義の秘書チーム。有美はド素人の二世議員であってもやる気だけは十分。他候補者の街頭演説に横槍を入れ、突撃取材に怒り暴行するなど世間知らずな行動を取り、秘書たちの頭を悩ませることに。秘書チームの面々も、「クルーの皆さんも当選目指してがんばりましょう!」と発破をかける有美に対し「ちょっと欧米感あったね (笑)」「やる気あるんですけど、わかってないんですよね」とどこか冷めた対応。足並みのそろわないまま、彼らは選挙戦を戦い抜くことができるのか…と思った予告の最後には有美の「日本の政治は終わってる」「選挙に落ちたらいい」という衝撃の発言と、それに驚く谷村の姿が。果たして、前代未聞の選挙戦の行方は…?本格的なコメディ映画は初挑戦だという宮沢さんのコメディエンヌぶりも光り、本編への期待が高まる予告編となっている。『決戦は日曜日』は2022年1月7日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:決戦は日曜日 2022年1月7日より全国にて公開Ⓒ2021「決戦は日曜日」製作委員会
2021年10月28日妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝らが出演する映画『ある男』が2022年に公開されることが31日、明らかになった。同作は第70回読売文学賞を受賞し、累計19万部を超える平野啓一郎のベストセラー小説の実写化作。主人公である弁護士・城戸(妻夫木)はかつての依頼者である里枝(安藤)から、里枝の亡くなった夫・大祐(窪田)の身元調査の依頼という奇妙な相談を受ける。里枝は子供を連れて再婚した相手・大祐と幸せな家庭を築いていたが、ある日突然夫が不慮の事故で命を落としてしまい、さらに彼が本物の「大祐」ではないことが発覚する。 城戸は“ある男”の正体を追う中で様々な人物と出会い、衝撃の事実に近づいていくが、いつしか城戸の心にも他人として生きた男への複雑な思いが生まれていく。監督は、『愚行録』(17年)でベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出され、『蜜蜂と遠雷』(19年)では、毎日映画コンクール日本映画大賞、日本アカデミー賞優秀作品賞など多くの賞を受賞し、国内外で高い評価を得る石川慶。 脚本は、『リアリズムの宿』(03年)、『リンダリンダリンダ』(05年)、『マイ・バック・ページ』(11年)、『聖の青春』(16年)など、数々の話題作を手掛けてきた向井康介が務め、石川監督とは『愚行録』に続き2本目のタッグとなる。妻夫木は主人公の弁護士・城戸章良を演じ、石川監督とは『愚行録』『イノセント・デイズ』に続き、本作で3度目のタッグで初の弁護士役に挑む。安藤は城戸に夫の身元調査を依頼する谷口里枝を演じ、映画への本格出演は『万引き家族』以来4年ぶりに。窪田は里枝の夫となる谷口大祐を演じる。さらに、清野菜名、眞島秀和、小籔千豊、仲野太賀、真木よう子、そして柄本明といった日本を代表する豪華俳優陣が顔を揃えた。○妻夫木聡 コメント人間のアイデンティティとは何かを問い詰めるこの作品との出会いは、自分の人生を見つめ直す良いきっかけとなりました。人生に正解はない。かといって間違いもない。どんな答えであってもいいと思う。だから恐れずに向き合って欲しい。観てくださった方にとって、この作品が人生の道標のような存在になるのであれば僕は幸せです。○安藤サクラ コメントわたし自身がこの作品がどんな映画なのか、なかなか想像ができません。ミステリーと一括りにしてしまうのは勿体ないなと思いつつラブストーリーなのかサスペンスなのか、、と問われるとこれまたわかりません。でも現場では、ジャンルにとらわれず人間模様をやさしく繊細に、且つ淡々とシンプルに描いていたように思います。久しぶりの映画、石川監督のもと、たくさん笑ってたくさん泣いて、苦しみながらも楽しく撮影させていただき、あ~わたしは現場が好きだ!と再確認しました。この作品だったからそう感じられたのだと思います。公開が楽しみです。○窪田正孝 コメントある男の静寂な心の中に蠢く「悍ましいナニカ」をずっと感じながら演じてました。人の皮を被った怪物が身体の中からずっと自分だけをみている。そんな支配されて壊れきった空っぽの心を里枝が少しずつ溶かしていく。里枝役のサクラさんはやはりとても刺激的で芝居の面白さ、やりがい、その答えをどこまでも追求していきたい衝動に駆られました。ある男が観て頂く方々にどんな感情を残すのか今から楽しみでなりません。○清野菜名 コメント今、日本映画を牽引する俳優陣の中に畏れ多くも入れていただき毎日が刺激的でした。完成した作品を観るのを、心待ちにしています。○眞島秀和 コメント大好きな石川組に再び参加することができて、大変嬉しく思っています。しかし、石川組では繊細な緩急が求められますので試練の場にもなりますが、その緊張感の心地よさが石川組の魅力でもあります。頂いた役がほんのちょっとでも映画のスパイスになってますように。。○小籔千豊 コメント台本を読んで、撮影に入る前からビビり倒しておりましたが、撮影に入り改めてとても素晴らしい映画に参加させて頂いていると、恐縮しっぱなしでした。パッパと撮影していくものかと思いましたが、じっくり監督が向き合ってくださり、演出してもらえて助かりました。妻夫木さんはただの気のいい兄ちゃんで、撮影の合間では楽しくおしゃべりしていたんですが、本番はがっつり俳優オーラ全開出してくるので圧倒されました。素敵な映画のひとつのパーツになってしまった事を、ビビりながらも密かに光栄に思っております。○仲野太賀 コメント石川組『ある男』に参加できたこと、とても嬉しく思います。脚本を読んだ時、この役の人生を辿ってみたいと強烈に惹かれました。それは物珍しさではなく、心に共感めいたものが湧き上がったからだと思います。空白になってしまった時間に色を塗っていくように、実人生では経験できないような感情を手繰り寄せて、心を込めて演じました。○真木よう子 コメント台本を読んで「心憂い」そんな言葉が思い浮かびました。重く、深く、心が滲むような、、何と表現すれば良いのか、、でもどこかで、こんな映画を待っていた。とても素晴らしい作品に携われたことが大変光栄です。○石川慶監督 コメントシンプルなタイトルに惹かれて手に取った『ある男』。 「これは誰もが映画化したがるに違いない」という思いと同時に「こんなに映画化が難しい小説もそうそうない」という、相反する感想を持ちました。でも、すでに『ある男』に強烈に共鳴してしまっていた自分には、手を挙げないという選択肢はありませんでした。この大きな挑戦に、妻夫木聡という役者が一緒に戦ってくれたことは、とても大きな意味を持っています。常に変わらず、そして常に新しく、底が見えずとも物語の深層へ、躊躇なく一緒に潜ってくれる、自分にとって唯一無二の存在です。そこに、安藤サクラさん、窪田正孝さん、清野菜名さん、眞島秀和さん、小籔千豊さん、仲野太賀さん、真木よう子さん、柄本明さんといった、日本映画界の最前線にいる俳優たちが集結してくれました。カメラの後ろで日々目撃した、あの奇跡のような瞬間の数々を、早くみなさんに届けたくてうずうずしています。○原作:平野啓一郎 コメント『ある男』は、私の小説家生活20年目のタイミングで刊行された長篇です。前作『マチネの終わりに』で描いた「未来は過去を変える」という主題を、分人主義的に更に発展させ、「愛にとって過去は必要なのか」という切実な問いを追求しました。重層的に入り組んだ複雑な構成美が持ち味の小説なので、映像化はなかなか難しいだろうと思っていましたが、素晴らしい監督と俳優陣に恵まれ、強く胸を打つ映画となったことに感動し、また感謝の気持ちを抱いています。原作と映画、両方の世界を是非お楽しみください。(C)2022「ある男」製作委員会 (C)ogata_photo
2021年08月31日窪田正孝と宮沢りえが共演する、ユーモアと皮肉に満ちた新時代ポリティカルコメディ映画『決戦は日曜日』よりティザーポスタービジュアルと場面写真が到着した。今回完成したティザーポスターは、選挙が近くなると街中で目にする選挙ポスターを模したデザイン。民自党公認・新人の川島ゆみ(宮沢さん)の選挙ポスターが貼られ、その下で主人公・谷村勉(窪田さん)が困惑の表情を浮かべる、選挙戦の行方が気になる仕上がりとなっている。そして今回新たに、場面写真が9点一挙に到着。谷村や、市民の前で熱弁する川島。川島をサポートする秘書軍団メンバー岩淵勇気(赤楚衛二)、田中菜々(内田慈)、濱口祐介(小市慢太郎)、向井大地(音尾琢真)。癖のありそうな後援会重鎮三人衆や、県議会議員などの姿も写し出されている。『決戦は日曜日』は2022年1月7日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:決戦は日曜日 2022年1月7日より全国にて公開Ⓒ2021「決戦は日曜日」製作委員会
2021年07月28日人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の空間を貸切体験できるレンタルスペース「逃げ恥スペース presented by TBS」-私とみくりと平匡と-が期間限定でオープン。当初は2021年10月31日(日)までの実施を予定していたが、好評につき12月31日(金)まで期間が延長される。新垣結衣×星野源『逃げるは恥だが役に立つ』期間限定レンタルスペース『逃げるは恥だが役に立つ』は、2016年10月期の火曜ドラマ枠で放送された新垣結衣主演の連続ドラマ。夫が雇用主で妻が従業員という仕事としての契約結婚をテーマとする、新しい“結婚”の形、そして“仕事”についても考えさせられる社会派ラブコメディで、笑って泣いてキュンとするストーリーは多くの人の心を掴んだ。また、主人公の森山みくりを演じる新垣結衣と、契約結婚の相手である津崎平匡を演じる星野源の好演も話題に。星野が書き下ろした主題歌「恋」は、エンディングで出演者たちが躍る「恋ダンス」とともに人気を博した。『逃げ恥』ドラマスタッフ演出、“みくりさん”と“平匡さん”が暮らすリビングその人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で“みくりさん”と“平匡さん”が暮らすリビング空間を、スペースマーケットとTBSテレビのコラボレーション企画によって忠実に再現。ドラマ制作スタッフが直々にプロデュースするスペース内には、恋ダンスの飾りやもちくま・雇用契約書・ペアスリッパ・原作漫画全巻などファン必見のアイテムも。さらに、本企画のために『逃げ恥』ドラマスタッフが考えたオリジナル演出も加えられている。ドラマのワンシーンを思い出しながら“みくりさん”と“平匡さん”気分でのんびり過ごすのもよし、みんなで「恋ダンス」を楽しむのもよし、テレワークスペースとして使うもよし、自由な時間を楽しむことができる。11月17日(水)からは期間限定でクリスマス仕様に11月17日(水)から12月25日(水)までは、部屋がクリスマス仕様の飾り付けに。“みくりさん”と“平匡さん”とクリスマスパーティーを楽しむような気分で、特別なひと時を過ごすことができる。【詳細】「逃げ恥スペース presented by TBS」-私とみくりと平匡と-住所:東京都世田谷区奥沢6-1-21 奥沢ハイツ1階貸出期間:2021年7月22日(木)~12月31日(金)金額:4,065円 ※サービス料込み/1時間から利用可能利用人数:1~8名■クリスマス限定装飾期間:11月17日(水)~12月25日(土)予約開始日:10月20日(水) 10:00~申し込みURL:※予約対象期間は順次公開予定。※商用目的での利用は不可。
2021年06月20日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第80回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】友人のメンタルが不安定で心配です。最近、私の友人の一人が大学をやめました。その子は授業にあまり出席せず、よく「大学、つまらない」と言ってアルバイトに精を出していたので、やめると聞いた時はあまり深く考えていませんでした。ただ、久しぶりにその子の家にいくと部屋の中が半ばゴミ屋敷状態で。ゴミや衣服が床に散乱して足の踏み場はなく、生ゴミを片付けていないのか悪臭が漂っていました。何でこうなったのか聞くと、返事は「なんか、どうでもよくなっちゃって」の一言。このままでは生活できなくなるのが目に見えていましたし、私だけの手には負えないと思ったので、片づけを少しして、「絶対、親にすぐ連絡しなよ」と伝えて帰りました。会った時にはすでに鬱っぽい表情や態度だったので、すでに彼の両親や医者の助けがもっとも必要で、私にできることはあまりないかもしれません。ただ大事な友人ですので、もし何かしてあげられることがあるなら、してあげたいです。こういう時、どうやってその友人と接したらいいでしょうか。(22歳・男性・学生)【回答】たぶん、あなたがアセスメントしていらっしゃる通り、ご友人にはご両親や医者の助けが早急に必要だと思います。大事なご友人のためにできることは、一刻も早くご家族や医療・福祉につなげてさしあげることでしょう。ご友人に「親にすぐ連絡しなよ」と言ってくださったとのことですが、ご自分で連絡することができない場合もあるでしょうから、しばらくは様子を見ていく必要があると思います。大事なご友人がこういう状況になってしまっているのを目の当たりして、さぞかしご心配でしょう。特にあなたのように優しい方は、なんとかして力になりたいと四苦八苦されていらっしゃることと思います。でも、「私だけの手に負えない」とご判断なさったのは賢明でした。ここであまりにもあなたが介入しすぎると、共倒れになる危険性があるからです。そうなれば、ご友人の為にも決してよいことにはなりません。ここはひとつしっかりと線を引いて、してあげられることとしてあげられないことを分けて考えていきましょう。繰返しになりますが、今できることは、まずご両親に現状をお知らせすること。ご友人が自分ではできないようでしたら、ご友人の承諾を得て、代わりにご連絡して差し上げるのもよいかもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月11日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第79回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、自分の将来のことをよく考えます。現在、私は55歳。結婚はしたことがなく、もちろん子どもはいません。今は実家の総菜屋を切り盛りしながら、足の不自由な父と認知症気味の母と3人で暮らしています。こんな還暦間近の私ですが、「郊外で有機栽培の野菜を育てて、それをお惣菜にして売る」という夢があります。そのために、今は野菜の育て方の勉強をしたり、新たに店を開く場所や資金繰りを考えたりしていますが、年齢を考えると今すぐにでも、本格的に動き出さなければいけない気がします。ただ、両親の介護にどうしても時間を取られてしまって……。思うように自分のやりたいことができていません。幸いにも近くに住む弟と妹が通院や介護を手伝ってくれていますが、実家にいる私の負担はどうしても大きいです。かといって両親を蔑ろにして、自分の夢ばかりに力を注ぐのは気が引けてしまいます。このまま私の将来は、目の前のことに追われて閉ざされてしまうのでしょうか。現状のやるせない状況と気持ちを打破するために何かアドバイスをいただけたら嬉しいです。(55歳・女性・自営業)【回答】夢と介護の板挟み。お読みしているだけで、胸が苦しくなってくるようです。たしかに、55歳というのは、これから動ける時間が十二分にあるわけではなく、かといってすべてを諦めるほど残りの時間が短いわけでもなく、なんとも身動きのとりづらい年齢ではあります。そこで、勝手ながら、ふたつ、チェックポイントをご提案させていただきたいと思います!チェックポイント(1)「後悔を背負う覚悟で、本当にやりたいことを選んでいるか」人は、選択肢があればあるほど迷い、あげく選んだものを手にしながら選ばなかったものに思いを馳せる生きもののようです。どのみち後悔するのであれば、せめて納得できる後悔になるよう、自分の心にとことん忠実でありましょう。チェックポイント(2)「自分が言っていることは、夢を諦めることの言い訳ではないか」人間の脳は言い訳を考えるのがとても上手で、夢を諦めることを正当化するために、いかにももっともな言い訳を作り出すのが大得意です。言い訳で自分を誤魔化していないか、確認しましょう。さて、いかがでしょう。まずは、ご自分の気持ちの、本当に本当のところを見つけてください。それが見つかれば、問題は8割解決。あとの2割で、どうやって実現するかの方法を考えるだけです。お気持ちさえ定まれば、現状を打破する方法は必ず見つかるはずです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月04日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第78回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年で57歳となり定年も近づいてきた私ですが、長年、仕事で細かいミスを連発してしまいます。書類を作成すれば誤字脱字や記入漏れをどうしても見逃してしまい、エクセルにデータを入力すれば入力する位置がずれてしまい、私の書類やデータを基に作業する人に、毎回のことのように、迷惑をかけています。もちろん、私もミスをなくそうと、机のパソコンには「必ず確認」と書いた付箋を貼っていますし、確認する際は自作のチェックシート見ながら一つ一つ確認したり、声を出して確認するようにしています。ただ、どうしても客観的に自分の仕事をチェックすることができず、ミスを減らすことができません。幸いにも職場の周りの人は私のミスを修正したり、指摘したりしてくれるので大事に至るようなことはないのですが、迷惑をかけてばかりで本当に申し訳なく、情けない気持ちです。どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるでしょうか。(57歳・男性・会社員)【回答】今年で57歳になられるのですか。まあ、私たち同い年です。奇遇ですね。そして、あなたさまのご相談を拝読していて気付きました。私たち、もうあと数年で「定年」なんて年になっているのですね。はあ〜。驚いた……。さて、「どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるか」ということですね。まずは、自分の現状に甘んじることなく、さらに成長しようとしている姿勢に感動です。私たちくらいの年齢になると、良い悪いは別として、もう固まっちゃってる人が多いですものね。あなたさまは、まだまだ柔らかいわあ。素晴らしい。その柔軟さを活かして、「苦手なこと」より「得意なこと」を見るようにシフトチェンジしちゃいませんか。周りの人にミスを修正してもらいながらも、長年働いてこられているということは、小さなミスをカバーして余るなにかが、あなたさまにはあるのだと思います。だから周りの人が助けてくれるのでしょう。それは、仕事ができるとかできないとかではなくて、あなたさまが醸し出すオーラのようなものかもしれません。あの人がいると、場が落ち着くんだよね〜とかね。誰にだって凸凹があると思うんです。もう、私たちこの年ですから、凹を修正しようと躍起になって落ち込むより、客観的に見つめ直して自分の凸をしっかり自覚して、それをどんどん発揮していこうじゃありませんか!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第77回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】反復性のうつ病で療養を続けています。これまでの様々な家庭や家族の諸事情から無茶な働き方をしたことが、発症の原因だと思っています。なので、治療は人生を振り返る機会かとも考え、今も続けております。ただ、ひきこもり状態が続く中では、どうしても先を明るく見ることができません。「自分の病気や生きてきた過程を通して、誰かの役に立てれば」と思えても、「やはり私なんかには無理では」とすぐに否定してしまって、葛藤の日々が続いています。こんな時、前を向くにはどうしたらよいでしょうか。(56歳・女性・無職)【回答】うつ病の治療中でいらっしゃるのですね。鬱の症状は本当に辛いと聞いています。さぞかしお辛いだろうと、案じるばかりです。さて、私たちは幼いころから、「目標を立ててそれを達成すること」を良しとして、繰り返し、繰り返し、教わってきました。目標に向かって努力して成果を手に入れれば認められ、途中で挫折すれば反省を求められ……。だから、いつの間にか、「ありのままでいる」ということができなくなってしまったようです。でも、本来、私たちはこの世に誕生したときすでに、足りないものも余るものもなく、まるっと完成しているのではないかと思うのです。看護学校で人体の仕組みについて勉強したとき、本当にそう思いました。いったいどうやって、いったい誰が、こんなすごいもの(人間の体)を作ってくれたんだろうって。だって、身体にちょこんと入っている腎臓ですら、その働きを機械で代行させようと思ったら、ちょっとした冷蔵庫くらいの大きさになってしまうんですよ。だからもう、そんな完璧な体をいただいてこの世に生まれた時点でミッション完了!!そこから続く人生に起こるあれこれは、すでにすべてを達成している上にオマケで加える彩にすぎないのではないかと思えてならないのです。「誰かの役に立ちたい」でも、「私なんかには無理」と葛藤される日々とのことですが、私のこの考え方でいけば、この世に存在しているってことだけですでに「役に立って」います。少なくとも、この体の仕組みを作ったなにかは、大満足してくれているはずです。だから、ありのままでいいんじゃないかしら。まずは、そんなふうに考え方をちょっと修正してから、次のステップに行きましょうよ!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月21日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第76回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】同じ町内会に所属する年上の人たちの態度に辟易しています。私が所属する町内会は10世帯ほどの集まりで、私も含めて8割以上が高齢世帯です。こぢんまりとした会ですが、毎年春先になると、誰が役員になるかで大揉めを起こします。これまでは、それでもみんな、嫌々ながらも公平に、順番で受け持つようにしていました。ただ最近、私よりも年上の人たちが、自分の番になっても頑なに役員をやろうとしなくなったんです。もちろん、年とともに億劫になる気持ちは分かります。でも、「こういうのは若い者に任せればいい」とか、「どうしてもやれというなら町内会を抜ける」とか、受けたくないがために、言いたい放題で協力するそぶりも見せないのはどうかと思います。こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか。もしできるならどうやって接すればよいのでしょうか。(61歳・女性・会社員)【回答】人間関係ほど面倒なものはないですね。町内会でのご苦労、本当にお疲れさまです。あなたさまよりも年上の方々というと、70代のみなさまでしょうか。町内会役員の就任拒否。人生の残り時間を考えると、役員の仕事なんかにかかずり合っている余裕はないといったところでしょうか。もしくは、寄る年波には勝てずにいらっしゃるのかもしれませんね。いずれにしても、「こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか」、できません。そもそも、私たちに他人さまを自分の思い通りに動かす力は備わっていないのです。120%無理です。なので、アプローチを変えて考えてみましょう。まずは、町内会とは、なんぞや。そもそも、必要な組織なのか。10世帯がかわりばんこに役員を押し付け合って、毎年大揉めを起こしながら嫌々でも継続しなければならないほどの機能を持った組織ですか?もし、そうであるなら、日常生活に必須の組織ですから、より若い者に運営を任せるのが得策でしょう。もし、そうでないなら、毎年恒例のストレスにさらされながら無理して関わり合っている必要はありません。即刻脱会してさっぱりしましょう。「そうはいかないから、困っているんです」と言うあなたさまの声が聞こえてくるようです。そうですよね。そうなんですよ。はたから見るとものすごく単純なからくりなのですが、渦中にいる者にとってはにっちもさっちもいかない状況に見えるのが、人間関係なのです。なぜか。そこに情(感情)がからまってくるからです。「私だってやったんだから、あの人もやるべき」とか、「自分ばっかりラクしようとしてるんだわ、そうはさせないから」とかね。いったん情を捨てて考えてごらんになることをおすすめしたいと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月14日Hey! Say! JUMPの知念侑李が単独初主演を務める新作舞台、そこそこ本格ミステリ 「照くん、カミってる!~宇曾月家の一族殺人事件~」の東京公演が5月12日に開幕。併せて、演出を務める河原雅彦と知念侑李のコメント、舞台写真が到着した。本作は演劇界の奇才・河原と気鋭の脚本家・須貝英のタッグを組んだ、シリアスでありながらコメディ要素もある本格的な推理が盛り込まれた“コメディミステリ”という新ジャンルの舞台となる。本格的なストレートプレイに初挑戦となる知念の、“極度のめんどくさがり屋な探偵”というかなりクセの強いキャラクターにも注目だ。さらに、共演には岡本夏美、玉置孝匡、川久保拓司、長井短、永井若葉、シューレスジョー、カイル・カード、山本圭祐、中山祐一朗、伊藤正之、近江谷太朗、広岡由里子と、若手からベテランまで、河原が信頼を寄せるメンバーも集結。昨年公演中止が決定した際には、すでに稽古は中盤に差しかかっており、開幕を迎えられなかったことがキャスト、スタッフ全員の心残りであった。今回は一部公演がやむを得ず中止になるも、悲願の上演を迎えることができた本作が届ける舞台に引き続き期待してほしい。■演出:河原雅彦去年は延期になってしまい、今回も数公演中止になってしまったけど、おかげさまで(苦笑)たくさん稽古ができたので万全の状態です。早く観ていただきたかったので無事に幕が開けられてまずはホッとしています。公演がどうなるかわからない状態で準備を進めなくてはいけないのはしんどい部分もありましたけど、誰もそういった雰囲気を出さずにいい空気感のままで、今回のカンパニーにはとても感謝しています。あまり舞台に慣れていないはずの知念君も、初々しさはそのままに、求められたことをことごとくクリアしていってくれるので、ちっとも手がかからないすごくできる子でした!主人公の照くんは、まだ世界のどこにもない、舞台ならではのケレン味を持ったオリジナリティ溢れる若き探偵。バディを組む相方との関係もなかなかに斬新なので、そのへんも注目してもらえると。ま、なにせ「そこそこ本格ミステリ」という冠に恥じない、主にゆるーくて、時々スリリングな面白い作品が生み出せたと思っています。個人的に、企画の立ち上げから連ドラ化を視野に入れてますので。いつか夢が叶うといいんですけど。このご時世で、緊張した状態で観劇される方も多いと聞きましたが、せっかくの機会ですので、肩の力を抜いて、目一杯楽しんでもらえたら。演目の性質上、ずっと真顔で観られてると、キャストもめちゃめちゃやりづらいですから(笑)■主演:知念侑李ゲネプロまで来れたという安心と、幕が開くことの嬉しさを感じています。稽古場では、時間が空いた時にキャストみんなで年甲斐もなく遊んだりもして、楽しい稽古場でした。いろんな方から“リーダー”と呼ばれている河原さん。稽古場でみんなの士気を高めてくれて、さすが“リーダー”でした!舞台の登場人物にまともな人が誰一人としていなくて、とんでもないキャラクターばかりが出てくるのでぜひ注目して欲しいです。でも、シリアスなシーンもちゃんとあるので、そのギャップや空気感も楽しんでいただけたら。このご時世ではありますが、劇場の中では現実を忘れて、気軽に、好き勝手に楽しんで欲しいです。そうしてくれないと、僕たち泣いちゃうので(笑)。【公演概要】そこそこ本格ミステリ 『照くん、カミってる!~宇曾月家の一族殺人事件~』作:須貝英 / 演出:河原雅彦出演:知念侑李/岡本夏美 玉置孝匡 川久保拓司 長井 短 永井若葉 シューレスジョーカイル・カード 山本圭祐 中山祐一朗 伊藤正之/近江谷太朗 広岡由里子公式サイト: 主催・企画製作:東京グローブ座●東京公演公演期間:2021年5月12日(水)~23 日(日)会場:東京グローブ座チケット料金:S席 9,000円 / A席 8,000円 / B席 6,000円(全席指定・税込)※未就学児童入場不可 ※営利目的の転売禁止お問合せ:東京グローブ座 03-3366-4020※全公演中止●大阪公演公演期間:2021年5月28日(金)~30 日(日)会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2021年05月13日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第75回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年は修士2年の私にとって就活の年です。今は就職試験に向けて毎日、机に張り付いて勉強しています。希望の就職先はコロナ禍もあってか今年は倍率が高く、受からなかった場合は就職浪人して、もう一度だけ試験を受けようと考えています。ただ、周囲を見渡すと学生なのは、もう自分しか残っていなくて……このまま進んでいいのか不安になります。学部を卒業した友人はすでに私よりも1年以上社会人としての経験を積んでいます。高校卒業と同時に就職した友人にいたっては、社会人経験5年以上で、子どもを授かった人もいて、私よりはるかに人生経験豊かです。そうした中、客観的な視点で俯瞰してみると、私は周囲から置いて行かれているようにしか見えません。この不安を拭い去って覚悟を決めるにはどうしたらいいのでしょうか。(24歳・女性・学生)【回答】就活ですか。新型コロナウィルスに翻弄される昨今の状況下では、さぞ大変でしょう。お察しいたします。現在は修士課程に在籍中でいらっしゃるのですね。修士では何を研究なさったのですか。研究はうまくいったでしょうか。手ごたえを感じられる修士論文は書けましたか。さて、学部卒業生や高校卒業と同時に就職された方々と比べて焦っていらっしゃるようですけれど、そもそも、あなたとその方々とは目指すところが違っているのですから比べる必要はまったくありません。あなたは極めたい学問があって、大学に残ったのですものね。あなたよりも早く社会に出ることを選んだ方々とは、歩いている道が違うのです。あなただって、カエルとハトを比べたりはしないでしょう?とはいえ、不安が拭い去れずにいらっしゃるのですから、なんとかしなくては!ご参考になればと願いつつ、ひとつの考え方をご紹介しようと思います。「自分を顧みるとき、『can』で考えずに『state』で考える」です。あなたの場合で言えば、“社会人経験がない”“人生経験を積んでいない”“子どももいない”と「できる」「できない」で考えるのではなく、“もっと勉強したいと思って修士に進学した”“就職浪人してもチャレンジしようとしている”自分の今の姿勢をよしと考えるのです。「できる」「できない」はその姿勢の先にくっついてくるだけのものです。しかも、その結果に対する善し悪しの評価は、時代や文化や人によって変わってしまうあやふやなものです。だから、今在る自分の姿勢をきっちり評価してください。なあに、ちょっと考え方を変えればいいだけです。大丈夫、頑張って!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月07日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第74回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、亡くなった父と話がしたいと思うことが多くなりました。子どもの頃、私は父と仲が良く、学校や友達、進路のことまで日常のあれこれを父に話していました。父からのアドバイスはどれも参考になり、振り返ると、そのときの心の支えであったとも思います。しかし、大学進学や就職をする中で、それまで聞かされていた父の話が、必ずしも正しい内容でなかったり、偏見のある内容であることに気づいて。父から心が離れ、それから相談したり腹を割って話したりすることもなく、父は亡くなってしまいました。それから3年。一転して、父ならどうアドバイスするだろう、自分の気持ちを聞いてほしい、と思うことが増え、大人になってから父と素直に接することができなかったことに後悔するようになりました。父なき今、どうすることもできないことは分かっています。ただ、このやるせない気持ちと折り合いをつける方法はないものでしょうか。(58歳・女性・主婦)【回答】私も、去年の春に父を送りました。だからと言うわけではないのですが、あなたさまの寂しさ、後悔、なんとも言えないやるせないお気持ちが我がことに重なり、沁みてきました。本当に、この寂しさたるや、どんな言葉を使ってもあらわしきれないものがありますね。私たちはそれがあまりに苦しいので、少しでも楽になる「折り合いをつける方法」を探してしまいますが、私は、そんなのないと思っているんですよ。もう二度と会えない人を思い出し、あれこれ考えてしまうことは、たしかにどうしようもなく辛いです。考えれば考えるほど会いたくなるのに、会いたくなった端からもう二度と会えないという現実を突きつけられる。でも、それが故人を「悼む」ということなのではないかと思うようになりました。「悼む」というのは、なにも死を悲しみ嘆くばかりではありません。その人の残した言葉を思い出し、その人の一瞬一瞬の表情を懐かしみ、その人の生きてきた時間を丸ごと慈しむ。その人がここに存在していたということを、決して忘れないでいつづける。それが「悼む」ということだと思います。だから私たちは、積極的に悼んでいるのです。あなたさまが覚えていなくて、誰があなたさましか知らないお父さまを覚えているでしょう。いつまでも忘れず、繰り返し想うこと。それが残された私たちにできることなのではないでしょうか。そしていつか、私たちも誰かに悼まれる時が来るのです。すべては回り、巡り、流れていきます。それを止めることは、誰にもできない。「折り合いをつける方法」を探して、もがき苦しむより、流れに身をまかせてみようではありませんか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第73回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】一昨年に定年を迎え、同じ会社でそのまま嘱託で働いています。仕事内容は定年前と同じで、社内の様々なデータを分析し、レポートをまとめることです。嘱託になる前は、そのときの上司に「役立っているよ」と言ってもらえたこともあり、少しは自分が会社にいる価値はあるのかな、と思えていました。でも、最近、レポートを渡しても反応が全く返ってこなくて……。本当に役に立っているのか心配でたまりません。改善した方が良いところを聞いても返事はなく、自分に作業依頼する人も減ってきたように思います。自分の作る資料に不足があるのか、自分には頼みにくいのか、そもそも資料は必要ないのか。考えれば考えるほど、嘱託という立場もあってか、自分の会社での存在価値に自信がなくなります。職場にもう私の居場所はないのでしょうか。(62歳・女性・会社員)【回答】悩ましいご状況ですね。さぞかし、日々鬱々したご気分でおられることだろうと心配です。定年前同様にさまざまなデータを分析し、まとめていらっしゃるお仕事に対して、最近周りの反応が思わしくないと。それで自分の存在価値に自信がなくなり、居場所まで危ういと。では、ここに1本の大樹があると想像してください。天高く伸び、大きく枝を張った大樹です。その大樹の周りには、幾人もの人が小屋をつくって住み着いていました。住人Aは常々こう言っています。「この大樹のおかげで私たちは強い日差しをよけて快適に生活できるのだ」。しかし、住人Bはこう言います。「本当に迷惑な大樹だ。こいつがあるせいで私の畑に日が当たらない」。そして、住人Cは「え、大樹なんてあったかい?魚釣りが本業の私には、あってもなくても関係ないね」と言っています。そんなさまざまな声を聞きながら、今日も大樹はすっくと天に向かって伸び、しっかりと大地に根を張っています。粛々と水を吸い上げ、葉を茂らせ、二酸化炭素を吸って、酸素を放出しています。さあ、大樹の存在価値を決めるのは、Aさん?Bさん?それとも、Cさん?みんな自分の都合で勝手なことを言っているように見えるのですが、それらの言葉を鵜呑みにして大丈夫でしょうか。仏教的な考え方の中に、「直観」を真実とするという考え方があります。「直観」とは、自分の身体もってして知ることで、数値・言葉・道具・計算などに寄らず、どんな理由をつけても変わらない真実だそうです。つまり、「もう私の居場所はないのか」との問いに答えがあるとしたら、「自分が自分の身体でどう感じているか」がすべてだということです。ぜひ今一度すべての雑音を排除して、ご自分の奥にあるシンプルな「感覚」を見直してごらんになってみてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月23日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第72回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】1月に夫をがんで亡くしました。本人が望んでいた通りの在宅での看取り。希望を叶えられたのはよかったと思っているのですが、それでも他にもっと何かしてあげられることがあったのではとの後悔もあり、まだまだ気持ちの整理はついていません。そんな中、同居する娘(次女)の振る舞いが気持ちの余裕をどんどん奪ってきます。娘は強迫性障害がひどく、一日に何度もシャワーを浴びないと、落ち着いていることができません。それを責めるべきではないとわかっていますが、一緒に暮らしていると、どうしても目についてしまいます。また、平気で嘘をつくことも多々あり、それがさらに私の心を苛立たせます。ただでさえ、悲しく辛いときに苛立たせる娘の振る舞い。気持ちを整えるにはどうしたらいいでしょうか。(61歳・女性・主婦)【回答】夫さまを看取られたとのこと。大仕事をなさいましたね。まだまだ日も浅いですから、お気持ちが千々に乱れることもおありでしょう。無理もありません。私たちには“時間薬”という強い味方がついていてくれますが、気持ちが整ってくるまでには、2年くらいの月日が必要と気長にかまえていてくださった方がよいように思います。大切な人を失った悲しみを癒すには、そのくらいの時間をかける必要があるということです。そんな中にあって、娘さんの行動がいちいち目についてしまうというのも、これまた無理もないこと。私たちは、それぞれに“許容のコップ”を持っていて、それには上限があると思うのです。心身ともに快調で、物事も万事うまくいっているような時には、コップの容量に余裕があります。だから少々のことは、大目に見られるのです。でも、身体の調子が悪い時や、今回のように大切な人を看取られたばかりなどという時には、コップは既にいっぱいいっぱいです。そうなれば、ちょっとの刺激で、たとえ普段は気にならないようなことであったとしても、コップは溢れ出してしまうでしょう。娘さんが悪いわけでも、ましてやあなたが悪いわけでもない。今、そういう状況にあるというだけです。一番手っ取り早い対策は、コップを溢れさせる原因から物理的距離を置くということです。今回の場合で言えば、娘さんとの距離をとるということですね。でも、一緒に暮らしていらっしゃるのですから、物理的な距離を置くことはそう簡単ではないでしょう。わかります。では、せめて、心の距離はとってみようではありませんか。「どうしても目に付く」という状況になったとき、私たちはそれをコントロール不能な状況と考えがちですが、「どうしても目に付く」のではなく「自分が積極的に見てしまっている」のだ、ということが案外あるのです。つまり、自分が見ているのですから、事象の軸は自分にあり、コントロール可能だということです。ぜひそこに気づいていただきたい。自分の心を守るバリアをしっかりイメージしていただいて、3回に1回でいいので、娘さんの行動から目を離してみてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月16日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第71回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】長い間、夫との不仲で苦しんでいますが、離婚出来ませんでした。子育てや仕事で考えないようにしてきましたが、今は、リタイアして毎日、夫と二人暮らしです。夫は、いわゆる古い男尊女卑の考えが根強くあり、何度も話し合いましたが、折り合いはつかず、もう40年以上我慢しています。これからの人生考えると本当に真っ暗で出家したいとも考えます。どうにか心穏やかに生きる道はないのでしようか。(69歳・女性・無職)【回答】40年以上も我慢を続けてこられたのですね。なんと大変な人生を送ってこられたことか、拝読しながら胸が痛みました。これからを考えると真っ暗ですか。困りましたね。なんとか心穏やかに生きる道はないか、お探しになるのも無理はないと思います。離婚したいと思いつつ、そうはできない理由がおありだったのでしょう。煮え湯を飲むような思いも、きっとなさったことでしょう。でも、結局、離婚しないでここまでやってこられた。人生100年とはいえ、もう半分以上も我慢で過ぎてしまったのですから、もうそろそろご自分の思い通りに行動したとて、罰は当たらないと思いますがいかがでしょう。とはいえ、思い通りにできないから困ってしまう。夫と離れて暮らしたいけれど、経済的に立ち行かないということもあるでしょう。夫とは離れたいけれど、子供や孫とは離れたくないということもあるでしょう。すべてが自分の思い通りにはいかないのが世の常です。おのずと、塩梅を見て折り合いをつけるということになりますね。夫さまと折り合いをつけろというのではありませんよ、自分が自分と折り合いをつけるということです。自分が自分と折り合いをつけるには、覚悟が必要です。「これでいいんだ」「どんなことがあってもこうしよう」と腹をくくる覚悟です。私たちは道に行き詰まるとすべてを他人のせいにしてあきらめてしまうクセがあるようですが、そこから先の道がどうなるかは、実のところ自分の覚悟ひとつなのです。やるかやらないかを決める覚悟。決めた道が大失敗であったとしても責任を持つ覚悟。日々明るく幸せに過ごしてやる!という覚悟。その覚悟さえしっかりしていれば、道はおのずと開けて行くような気がします。「これからの人生真っ暗だから出家したい」のではなく「もっと自分を高めたいから出家したい」とのご覚悟でしたら、いつでもご相談くださいね。心から応援させていただきますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月09日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第70回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】「親の老い」がなかなか受け入れられません。母はこれまで記憶の衰えなど感じさせず、元気に生活をしていました。ただ、90歳を過ぎてから急に物忘れが増え、危なっかしい行動を何度もするように。母も自分に老いが迫っているのを感じているのか、何か失敗するたびに落ち込んで泣いています。私は母が落ち込んだ時は、「こんな元気な90歳、周りにいないよ!」と元気づけ、毎回、失敗しないようにどうするかを伝えるようにしています。母もそのときは「わかった」と答えてくれます。ただ、何度言ってもやることはなく、同じことの繰り返しで、もう小さい子どもに接している気分です。こういうのが「老いる」ということかもしれませんが、それがやるせなくて仕方がありません。親の老いをスッと受け入れる方法はあるのでしょうか。【回答】時に厳しく、時に優しく、なんでも知っていて頼りになり、いつでも守ってくれたお母さん。いついつまでも、あの頃のお母さんのままでいて欲しい。本当にそうですね。私も、そう思います。物忘れが増え、危なっかしく行動する親の姿をスッと受け入れることは、なかなかできません。なぜ、親の老いを受け入れることは、こんなにも難しいのでしょう。思うに、親の老いた姿の先に、無意識のうちに、自分の老いを見ているからではないでしょうか。私たちは、いずれ誰もが老いて死にます。きっとどなたさまも「そんなことあたりまえじゃないか」とおっしゃるでしょう。でも、実際にその老いや死を、自分のこととして腹に落としているかというと、そうではないようなのです。だってみなさんその時になると「まさかこうなるとは!」とおっしゃるのですから。つまり、日頃私たちは「老い」や「死」を封印して過ごしているのです。でも、親の老いた姿を見ることでその封印が破られ、人間が根本的に抱えている「なんで人は老いるんだろう」「なんで人は死ぬのに生まれてくるんだろう」という思い(これをスピリチュアルペインと言います)に気づかされてしまうから、心がザワつくのではないでしょうか。となりますと、スッと受け入れる方法は、おいそれとはありません。あえてご提案するとすれば、「なんで?」ではなく、「こういうもんなんだ」と思うようにすること。考えてもどうしようもないことを、どうしようもないままにしておく胆力を持つことなのです。やるせなくなってきたら、無理をしてでも「こういうもんなんだ」と声に出して言ってみてください。少しは心のザワザワが、静まるかもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月02日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第69回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】22歳になる娘は高校生のときに、友人関係に悩んで不登校になりました。病院に通い、担任の先生とも相談を重ねながら、当時はなんとか高校を卒業し、地元の私立大学に入学。私は大学に入れば、環境も友達も変わり、少しずつ変わっていけるかと思いました。しかし、状況はなかなか改善しませんでした。娘は家族と普通に会話しますし、一緒なら外出もできます。ただ、大学に行ったり、就職活動することはできません。私たちも病院に連れていく以外、見守ることしかできていません。私たち親が死んだときに一人っ子の娘はひとりで生きていけるのか。先の見えない悩みが頭から離れません。(50歳・女性・会社員)【回答】ご心配ですね。ご心労いかばかりか。大切なひとり娘さんですもの、目の中に入れても痛くないほど可愛がり、愛情を注いでいらっしゃることでしょう。ましてや、娘さんは人間関係の禍に巻き込まれた被害者でいらっしゃる。なんとお可哀想なことか。「私たち親が死んだとき、娘がひとりで生きていけるか」とのご心配も、痛いほどわかります。でも、お二人がいなくなったら、娘さんは、きっとひとりで生きてゆけますよ。見守ることしかできないとおっしゃっておいでですが、日々の食事はどうしていらっしゃいますか。掃除洗濯は?入浴や空調、なんだかんだと光熱費もかかるでしょう?想像いたしますに、すべて問題なく整えて差し上げていらっしゃるのではないでしょうか。娘さんにとって、お家は極めて安全な「繭」ですね。そこに潜り込んでいれば、お父さんお母さんに可哀想だとかばってもらえ、たっぷりと愛情を注いでもらえ、何不自由なく暮らしていけるのです。そんな「繭」から、どうして出るものですか。そうなれば娘さんは、無意識のうちに「繭」に居続ける理由を積極的につくります。だから、状況は改善するわけがありません。そして、あなたさまは、「繭」に籠り続ける娘さんを心配しつつも、娘さんが「繭」に居続けてくれていることに、心のどこかでほっとなさっている……。現在の困った状況は、同時に、安定した状況でもあるという、絶妙なバランスを保っているのではないでしょうか。ごめんなさい。あくまでも数行のご相談の文章から、勝手に想像したに過ぎません。どうかお気を悪くしないでくださいね。もうすぐ春です。良い気候になりますから、思い切って窓を開けて外の空気を入れましょう。膠着して澱んだ気を換えなければ変化は始まりません。明るい明日が、待っていますように。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第68回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】義母のお金の管理に困っています。私たちと一緒に暮らす義母は年金をお小遣いにしています。義母のお金なので、その使い道を私たちが口出しすることはないのですが、お金の管理はとても杜撰で……。しょっちゅう「お金がなくなった」と言って家中を探し回るんです。私もそれにつきあうことになるのですが、ほとんどはいつもの場所にしまわなかったり、置き場所を変えたりといった甘い管理が原因。毎回同じことの繰り返しで、最近は「今日もかぁ」と辟易しています。ただ、義母は他人にお金を管理されるのがどうしても嫌なようで、私たちが話を持ち掛けても断固として拒否します。こういった時、義母も私たちも納得できる折り合いのつけ方はあるのでしょうか(58歳・女性・主婦)。【回答】お金の問題って、厄介ですよね。義理のご関係だとなおさらでしょう。ところで、ご相談を拝読して、私、看護師なものですから、ちょっと心配になったのは認知症のことです。お義母さま、そのへんは大丈夫そうですか。お金の管理が甘いとか杜撰だとかの問題ではなく、認知機能がうまく働いていないという場合にもこういったことがよく起こります。お金に関していえば、「お財布の中が小銭だらけ」などというのも要注意現象。端数に合わせて小銭を出すことがうまくできなくなり、ついついお札で支払ってしまうので、お財布の中に釣銭の小銭ばかりがたまってしまうという現象です。「しょっちゅう家中を探し回る」ことに加えて、そういったこともあるようなら、すこし注意して見てさしあげたほうがよろしいかもしれません。あらあら、老婆心、大変失礼いたしました。さて、お義母さまも、ご家族さまも、双方が納得できる折り合いのつけ方、ですね。う〜ん。お金を置く場所を決めてつくったところで、そこに置かないから探し回ることになっているのですものね。それはダメ。かといって、こちらが管理するというのもお気に召さない。どうしたものでしょう。医療・介護の現場では、こういった場合、「注意する側」と「注意される側」、「管理する側」と「管理される側」といった対立にならないように、チームとなる働きかけを試みることがあります。いうなれば、お義母さまの「お金管理チーム」の設立ですね。一緒に困って、一緒に考えて、一緒に管理するというスタンスです。きれい事ですまないのは重々承知しておりますが、ご参考までに。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第67回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】転職に踏み切れないでいます。私は今の会社に勤めて5年目。1年前には営業部への異動がありました。ただ、この部署が万年人手不足の状態で、給料は変わらないのに残業ばかりが増えています。会社もそれは認識しており、上からは「そろそろ補充する」とは聞かされるのですが、2年間で2人がやめているのにも関わらず、一向に新しい人が入ってくる気配はなく……。このままなら転職したいと考えています。一方で、会社には私を会社に誘ってくれた恩人がおり、新人の頃には期待して海外研修も1年間行かせてくれるなど、とてもお世話になっているので、裏切るような形になってしまうと思うと、どうしても一歩踏み切れないでもいます。こんな時、恩人の方との関係を保ちながら、最後の一歩を踏み出す方法はあるのでしょうか(28歳・男性・会社員)。【回答】ありません。あっちもこっちもまるく収まる方法なんて、そうそうありませんよ。私たちには、知らず知らずのうちに天秤にかけて判断していることが、なんと多いことでしょう。たとえば、スーパーに行って果物を選ぶ。リンゴとミカン。どちらがフレッシュか。コスパがいいか。甘そうか。目的地まで行く交通手段を選ぶ。電車とバス。どちらが空いているか。時間がかからないか。安いか。そんなふうに、さまざまなことを天秤にかけて判断しているのです。だから得意なはずなのですけれど、ときどき進むに進めず引くに引けずという膠着状態になってしまうのはなぜでしょうか。そんなときはたいてい、天秤にのせるものを間違っているような気がします。天秤にかけて比べることが可能なのは、あくまでも同質のものです。つまり、リンゴとミカンなら天秤にのせて比較検討することができますけれど、リンゴと電車を天秤にのせて「どっちがいいか」と考えても決められないってことです。そうしてみると、「給料が変わらないのに残業ばかり」「人員の補充がない」という労働環境と、「海外研修に行かせてもらった」という恩師への御恩は、同時に天秤にのせても比べることのできない異質のものでしょう。だから、にっちもさっちもいかなくなっているのではないでしょうか。天秤の片方に「恩」をのせたとき、もう片方にのるのは「義理」では?恩師に今の状況とあなたの考えを真摯にお話しさせていただいて、義理を通しましょう。そして、労働環境については、他社と比較して検討されてはいかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月12日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第66回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、友人が自暴自棄になっていて心配です。彼女は昨年、休学をして1年ほどヨーロッパのある国に留学する予定だったのですが、コロナ禍でそれが急遽中止に。突然、目標を失ってしまい、無気力な生活が続いていたようです。その影響か、久しぶりに連絡を取ると、「大学院にいる意味も見いだせないからやめようと思っている」と相談してきました。すでに退学用の書類も揃えており、彼女は退学する気満々なのですが、就職先などは決まっておらず、やめてすることもあまり考えていないようで……。コロナ禍で求人も少なくなっている中、私はできれば辞めてほしくないと思っています。こういう時、どういう言葉を友人にかけるのが正解なのでしょうか(23歳・女性・学生)。【回答】ほっておいておやりなさいな。正解の言葉なんてないですよ。それより、なんであなたは「辞めてほしくない」と思うのかしら?世の中すっかり変わりましたから、大学院出の学歴があっても、仕事にありつけるとは限りません。私が大学生だった40年前には、そりゃまだ「三高(高学歴・高収入・高身長)」なんてのがもてはやされていましたから、大学院出という学歴は役に立ったかもしれませんが、今は違うでしょう?大学院は、学問を追究し研究を重ねて極めたいことがある探求者が行くところで、その情熱を失った者がいても時間とお金の無駄使いというデメリットしかありません。「就職先も決まっておらず、大学院をやめてすることも考えていない……」大いにけっこう。鬱々と意味を見出せない大学院に居続けるより、なにがあるかわからない大海原に漕ぎ出したほうがよっぽどいいと思います。己のことを思い返すと、23歳くらいの時って、なんだかあらかた人生が決まってしまったような気分になっていたように思います。あなたはそんなことないですか?ところがどっこい、人生はそのあとに逆転、逆転、大逆転です。無限の可能性が待っています。これ、本当よ。だから、ちっちゃくならずに、どどーんと大きくかまえていて欲しい。人生ね、コロナ禍に限らず、いろんなことがあるものです。いちいち自暴自棄になっているヒマなんてない。彼女もいつか必ずそのことに気づくはず。友人としてできることは、その彼女の底力を信じること。信じ切ること。どこまでも彼女の選択をリスペクトすること。安っぽい言葉をかけるよりずっと覚悟のいることだから、頑張って!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月05日アイドルグループ・Hey! Say! JUMPの知念侑李が主演を務める、舞台 そこそこ本格ミステリ『照くん、カミってる! ~宇曾月家の一族殺人事件~』の上演決定が28日、明らかになった。同作は河原雅彦が演出を務める新作舞台で、河原からの指名により気鋭の脚本家・須貝英が脚本を務める。大学生の能神照(知念)は、ミステリ作家の兄・久の依頼により、同じ夜間学部に通う中年大学生の明智大五郎とともに東北と関東の境目にある小さな集落・天狩村に赴き、旧家である宇曾月家(うそつきけ)で起こった殺人事件に巻き込まれることになる。昨年春の新型コロナウイルス感染拡大に伴い公演中止となっていた同舞台だが、今回改めて上演が決定。公演中止が決定した際にはすでに稽古も中盤に差しかかっており、開幕を迎えられなかったことがキャスト、スタッフ全員の心残りであったという。知念は初主演にして初ストレートプレイに挑戦し、共演には岡本夏美、玉置孝匡、川久保拓司、長井短、永井若葉、シューレスジョー、カイル・カード、山本圭祐、中山祐一朗、伊藤正之、近江谷太朗、広岡由里子と、若手からベテランまで、河原が信頼を寄せるメンバーが集結した。東京公演は東京グローブ座にて5月3日~23日、大阪公演は梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて5月28日~30日。
2021年02月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第65回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】“元父親”のこれからの世話をどうするか悩んでいます。父は15年以上前に母と離婚していて、すでに還暦を迎えました。離婚後はずっと一人で生活しているようで、今後、新たなパートナーと一緒になる雰囲気もありません。私は離婚してからも父と定期的に会っており、嫌いなわけではないので、今の姿を見ていると「父はこれから孤独な生活を送るのではないか」と心配になります。一方、だからといって私が今後の父の世話を見ると、父ばかりが苦労せずに甘い蜜ばかりを吸い、今まで私と妹を一人で育てた母が損しているようで、母にとても申し訳ない気もして……。まだ先の話ではあるのですが、どういう選択肢を取ればいいのか答えが見つかりません。そもそも、父と母、両者が納得できる方法はあるのでしょうか。(27歳・男性・会社員)【回答】子としてのお立場、そしてご心情、伝わってくるものがあります。まだまだお若いのに、ここまで考えが及んでいらして敬服いたしました。立派にお育ちになりましたね。さて、最初に思いましたことは、「離婚は親の問題、親の身勝手」ということです。もちろんご両親さまにもやむにやまれぬ理由があってのことだったとは思いますが、離婚はやはり親の都合です。子どもは言わばまき込まれてしまっただけ。だから、「今まで私と妹を一人で育てた母が損しているようで、母にとても申し訳ない」と気に病む必要はまったくないと思うのです。そこまであなたが責任を負う必要はありません。どんなことでもそうですが、「これからどうしようか」と考えるとき、まず主軸になるのは「自分はどうしたいのか」でしょう。自分の気持ち。自分の希望。自分の願い。それ以外にしっかりとした原動力となり得るものはないのです。無理や我慢をして「自分はどうしたいのか」に矛盾する行動を取ったとしても、そこにはろくなものが生まれてきません。あなたは今「父ばかりが苦労せずに甘い蜜を吸う」とか、「母が損している」とか、なんだか「軸」が自分以外の人にいってしまっていますね。それらのことは、自分の気持ちが決まってから、配慮すればいいことではないかしら。お父さまとお母さま、共にご納得いただける方法は、あなたの「軸」を真ん中にして成り立つものだと思うのです。だから、まずはごちゃごちゃとしたしがらみをひとつひとつ払って、純粋に「自分はどうしたいのか」だけを考えてみてください。そこに答えがあると思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第64回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】たび重なる闘病生活に疲れてしまいました。最近、甲状腺がんとの診断を受けました。がん宣告はこれで3回目。1度目は12年前の卵巣がん、2度目は昨年の乳がんで、3度目がこの甲状腺がんです。生涯のうち2人に1人ががんを患うと言われるこの時代。なってしまうのは特別なことじゃないと思いますし、子どもの成長を見届けたいとの思いで、手術や長期治療を続けてきました。幸いにもその間、日常生活に大きな支障はなく、12年前の卵巣がんについては完治のお墨付きをもらうこともできています。でも、3度目ともなると、どうしても「なぜこう何度も……」という思いを鎮めることができなくて。まだまだやりたいことがあるし、子どものサポートはしたいと思いつつも、疲れてしまって気持ちを上向きにすることができません。どうしたら改めて前を向くことができるようになるでしょうか。(58歳・女性・会社員)【回答】前を向く方法……このような大変なご状況を抱えて、それでも前を向く方法……すぐには思いつけません。どんな言葉も、ここまでを生きてこられたあなたの前では、薄っぺらなものになってしまいます。子どもさんの成長を見届けたいという一念で、果敢に治療を続けてこられた。正にその意志の力が病を押さえ込み、命を燃やし続けさせてきたのだと思います。本当に、心からリスペクトします。でも、3度目のがん宣告を受けた今、前を向けなくなっていらっしゃる。そりゃそうでしょう。そりゃそうですよ。なにかあなたにお伝えできる言葉がないか必死で探しましたが、どんな言葉も力不足でダメです。なので、私が常々感じていることをお話しさせていただこうと思います。私は看護師なのですが、これまでにいろいろ見させていただいて「わかった!」と思っていることがあります。それは、「死ぬときは決まっている」ということです。実は生まれた時から、○○年○○日までと、命の限りは決まっている。どんなに元気でもその時がくれば死ぬし、どんな大病を抱えていてもその時がくるまでは死なない。そういうものなのだなと、わかったように思っているのです。その日がいつなのかは、たかだか人間の私ごときにはわかるわけもありませんが、そのかわり、心配も無用です。「事故に合わないように」とか「病気にならないように」とか、心配しなくていい。だって、生きるところまで生きることが決まっているのですからね。あとは、もらったその時間をどう使うかだけです。なんだか乱暴な話になってしまってすみません。あなたの日々が安寧でありますように、朝に夕に祈ります。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第63回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】がんと診断されて心が不安定な姉との付き合い方がわかりません。私の姉は3年前にステージ4の乳がんが見つかりました。現在は通院治療を受けており、独身で視力がほとんどないこともあって、80歳近い両親が世話をしています。元々、姉と両親は仲が悪いのですが、がんの診断を受けてからというもの、姉は両親に向かって「自分が病気になったのは両親や先祖のせいだ」と、罵倒を繰り返すようになりました。もちろん、今の姉の状態を考えれば、不安と無力感でやるせない気持ちでいっぱいになっているのは理解できます。でも、私が何度、両親と姉の間に入ってその場を収めても、すぐに罵詈雑言が飛んでくるため、今では私も親も親戚もお手上げ状態です。家族全員が少しでも穏やかな日々を過ごせるようにするにはどうしたらよいでしょうか。(55歳・女性・会社員)【回答】「今では私も親も親戚もお手上げ状態」というご状況、なんと申し上げてよいのか……。ご家族全員が穏やかにお過ごしになれるときが一日も早く訪れますように、心からお祈りいたします。お聞きする限り、お姉さまのご病気は決して楽観できるご状態ではないでしょう。たぶんお姉さまには、ご自身の「死」の影が見えているのではないかと想像します。キューブラー・ロスという学者は、人は自分の死を受け入れるまでに5つの段階を通過すると説きました。第1段階は、否定。第2段階は、怒り。第3段階は、取引。第4段階は、抑うつ。第5段階は、受容。この説に当てはめて考えてみると、お姉さまは今、第2段階の怒りに呑み込まれていらっしゃって、甘えられるご家族にそれをぶつけていらっしゃるのかもしれません。罵詈雑言の裏には、「死」への不安が隠れているのかもしれません。とはいえ、だからすべてを許さなければいけない、というわけではありません。すべてを許してくれそうに見えるお釈迦様も、「もし罵る者に罵りを、怒るものに怒りを、言い争うものに言い争いを返したならば、その人は相手からの食事を受け取り、同じものを食べたことになる。わたしはあなたが差し出すものを受け取らない。あなたの言葉は、あなただけのものになる。そのまま持って帰るがよい。」(『サンユッタ・ニカーヤ』)といって悪態をついた人を突き放したといわれています。良かれと思ってかける情けが、かえって相手のゆく道をふさぐという場合もあります。介護や福祉の制度を活用して、一度、思い切ってお姉さまとの距離を置いてみるというのもひとつの手かもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月12日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第62回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】上司に子育てと仕事の両立を理解してもらえなくて困っています。私には1歳になる息子がいます。今の部署には妊娠する前から所属していて、当時は産休と育休も取得。上司である部長は女性で、私と同じママでもあるので、仕事と子育ての両立で大変な部分も理解してもらえると思っていました。ただ、現場に復帰してみると、上司は子どもや家庭の事情など関係なしに、残業になる仕事を急に振ってくることが多くて……。上司には率直に相談もしましたが、改善される気配はなく、上司ばかりが子どものお迎えで定時に上がり、私は遅刻を繰り返す日々です。今の仕事が好きなので、仕事をやめたいとは思っていません。でも、早くも両立することの難しさを痛感して、今後どうしていけばいいのか途方に暮れています。(30歳・女性・会社員)【回答】子育てと仕事の両立。これは私たちが抱える永遠のテーマといっても過言ではなさそうです。さて、お子さんは1歳とのこと。かわいい盛りでしょう。でも、まだまだ手がかかりますね。たしか、育児休業であれば延長もできたと記憶していますが、なんらかの理由で延長されなかったのでしょうね。それで、職場復帰してみると、急な残業ですか。保育園のお迎えの時間は厳格ですから、本当に困りますよね。つらいなあ。子どもに手がかかる時期は、そう長くはありません。雇用主様には子育てへの配慮を、是非ともしてほしいものです。でも、一方で、仕事には厳しさがつきものだということも忘れてはいけないような気がします。どんな人も、さまざまな事情を抱えながら仕事に従事しているはずです。こちらの事情ばかりをゴリ押しするのは、大人としてフェアじゃない気がするのです。大切なのは、自分自身と折り合いをつけることかな、と思います。子どもはかわいいけれど、ずっと頑張ってきたキャリアをゼロに戻したくない。好きな仕事は辞めたくないけれど、子育ても大事だとわかっている。そりゃ、ベストは、理解のある職場で定時に退社でき、子育てもキャリアも両方手に入れられることですが、そうはいかないのですよ。世の中は自分の思い通りには回ってくれないのです。そういうものなのです。だから、自分の中で折り合いをつけていくしかない。そのとき、「上司が……」とか、「職場が……」とか「ダンナが……」と舞台の上に第三者をあげて考えない。なぜなら、他人はコントロールできない最たるものだからです。「今後どうするか」の答えを見つけるには、「今後どうしたいのか」を自分に聞いてみること。まずは、舞台の上にご自分だけでしっかり立って、考えてごらんになってみてはいかがでしょう。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月05日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第61回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】意力や気力の抜けた先輩社員を見ていて、将来が不安になりました。私が勤める会社には“窓際族”に該当するような年配社員の方が多いです。毎日、パソコンに向かってはいるものの、しているのはいつもネットサーフィン。少し時間が経つと、他部署と関わるような業務もないのに席を何度も立ち始めるようにもなり、どうしても仕事をもう少し積極的にしてほしいと思ってしまいます。ただ、そんな様子を見ていると、将来、自分が“窓際族”になる可能性も感じるようになって……。はたしてこの人たちと同じ年齢なった時、主要なポストに就いて、部下のお手本となるような働きが自分はできているのか不安を抱くようになりました。ずっとモチベーションを維持して働くにはどうすればよいのでしょうか。(28歳・男性・会社員)【回答】ずいぶんと熱心に年配社員さまのことを観察なさっていらっしゃるご様子に感心いたしました。もしかすると、年配社員さまのお世話があなたさまの業務なのでしょうか。そうであれば、「仕事をもう少し積極的にしてほしい」とさぞかしお気を揉まれることでしょうね。ご心労お察しいたします。ただね、他人様をコントロールすることは原則できません。もっとこうしてほしいと思っても、そうはしてもらえないのが、世の中の理です。ですから、あなたさまがどんなに気を揉んでも、年配社員さまの働き方は残念ながら変わらないでしょう。さて、万一、あなたさまの業務が年配社員さまのお世話ではない場合ですが、この場合「仕事をもう少し積極的にしてほしい」は、びっくりするくらい大きなお世話といえましょう。そんなことをお考えになっているヒマがあったら、もっとご自分のお仕事にしっかり集中なさったほうがよろしいでしょう。いらん観察して、いらんこと考えて、挙句の果てに将来自分が“窓際族”になる可能性を感じて不安になってしまうとは……本末転倒ですよ。モチベーションを維持して働くにはどうすればよいかは、至極簡単です。他人がネットサーフィンしてようが、席を何度も立とうが、そんなことに影響されないあなた自身の目標を持つことです。あなたのモチベーションは、あなたのものですからね。潰すのもあなただし、維持するのもあなたです。拝読いたしますに、当座、将来主要なポストに就いて、部下の手本となるような働きをするのが目標でいらっしゃるのかしら。そうであれば、それを目指して脇目もふらずご自分のお仕事に没頭し、精進されるがよろしいでしょう。他人がどのような働き方をしていようが、かまったこっちゃありません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月29日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第60回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】大学卒業後、長男がしっかり働いてくれるか心配です。来年、大学4年になる長男は働くことに全く興味がないようで、入学してからアルバイトをしたのはコンビニで一度だけ。それも、コロナウイルスの感染リスクがあるからと、半年も経たないうちにやめてしまいました。さらに今年は就活もあるというのに去年の夏からオンラインインターンの一つも受ける様子はなく、スーツは持ってないわ、就活サイトにも登録しないわで、就職する気が全く感じられません。「一生働かないまま過ごしたい」と言う始末です。このまま実家暮らしのニートになってしまわないでしょうか。(54歳・女性・薬剤師)【回答】心中、お察しいたします。私も息子のことで似たような心配をしたことを思い出しました。さて、あなたは、心配のあまり日々ご子息にお小言を言っているのでしょうか。もしそうであれば、お気の毒に。あなたが、ではなくて、ご子息が、ですよ。私たちは相手を見るときに、どうしても自分のフレームを通して見てしまうのですね。「スーツは持ってないわ」「就活サイトにも登録しないわ」と嘆いていらっしゃいますが、スーツを持っていたら、就活サイトに登録したら、就職できますか?そうすれば何とかなると思っているのは、あなたの経験からつくりあげたフレームを通して見た虚構の世界です。実際には、スーツ着たって、就活サイトに登録したって、どうなるかわかりゃしません。しかも、私、ご子息のおっしゃる「一生働かないまま過ごしたい」には、心から同意します。私もそんな儚い夢を抱いていた時期がありました。でも、人生にはもっと面白いことがあると気付いて、それを実現するために動かざるを得なくなりました。結果、“働く”ということになったのです。私も“働く”こと自体に興味なんてありませんでしたよ。母として心配すべきは、ご子息が働くことに興味がないことではなく、楽しいことを見つけられていないことではないかしら。とはいえ、ご子息はまだ20数年しか生きていないのですから、これからです。人生100年の時代。楽しいことを見つける時間は、まだまだたっぷりあります。こう考えてみると母親なんて、所詮なにもできないものですね。渾身の力を振り絞ってお小言を言ったとて、なんの効果もありゃしません。だったら、ご子息をリスペクトしちゃったほうがいいかも。「男子家を出ずれば七人の敵あり」、ということわざがあります。(女子だって同じですが。ご子息は敷居を跨いでもいらっしゃいませんが。)だとすれば、せめて母までもが敵にならないようにしようではありませんか。まったく、お互い、苦労が絶えませんね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月22日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第59回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私は入社してから33年、ずっと同じ仕事に携わってきました。その仕事にはやりがいを感じていて、会社で自分の存在意義も感じていました。そんな中、2年前に会社の配置変えがあって、初めて別の業務を担当することになったんです。ただ、会社からのサポートが期待したほどなかったこともあって、その仕事に私はどうしても馴染むことができなくて。先月、会社に退職届を出しました。入社してから35年、定年まではあと2年でした。もちろん、会社の同僚や家族には「あと2年の辛抱だよ」「新しい仕事を見つけるのは難しい」「今の会社で何が不満なの?」と反対されました。私にもコロナの影響で職を失う人や収入がない人が多くいる中、後ろめたさや将来に対する不安があったことは確かです。ただ、それでも辞めたかったんです。新しい作業には満足できず、やりがいのあった作業からは離れて、どうしても自分の存在価値が感じられなかったんです。私は間違った選択をしてしまったのでしょうか。(58歳・女性・会社員)【回答】「辞めたくなかった」「辞めて失敗した」と、一番思っていらっしゃるのはあなたのようですね。配置変えされてからの業務に、なじめなかった。そういうこともあるでしょう。それで、退職を決断された。うん。それもありですよね。35年勤めていたとか、定年まであと2年だったとか、同僚や家族が反対したとか、いつだって相反する見方はできるものです。大事なのは、あなたがなじめないと判断して、辞めると決断したということ。よくご決断されましたね。自分の存在価値を感じることができないような場所から離れたことに、間違いはなかったと思いませんか。変化には、大なり小なり痛みがつきものではないかしら。物事に陰陽がある限り、“良いことばかり”もなければ、“悪いことばかり”もない。どうしたって少々の後悔を伴いながらの、新しいスタートになるような気がします。さて、せっかく新しい道の前に立ったのに、いつまで後ろを振り向いているおつもりでしょうか。私たちに与えられた時間には限りがあります。そして、時間が過ぎるのは本当に早い。おお、もったいない、もったいない。間違った選択だったのだろうかなんて悩んでいるその時間と労力を、これからどうやって楽しんで生きていくかを考えることにお使いになった方がよっぽど健全です。だって、いくら悩んだって巻き戻しはできないのですから。あなたは、間違った選択なんてしていないですよ。あなたの人生の中で、あなたが決めたことは、すべてベストチョイス。「間違った選択はしていない」と、あなたが決めればいいのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月15日