『五・七・五・七・七』の形式で歌を詠む、短歌。俳句とは異なって季語を使う必要がなく、自由度が高いのが特徴です。指定された文字数で、いろいろな言葉を使って気持ちを表現できるため、子供たちに課題として出題する小学校も少なくありません。ボクサーの澤田京介(kyosuke_box)さんの息子さんも、夏休みの宿題として短歌を詠むことになった1人。夏休みが始まってから数日が経過し、息子さんは早くも、自身の気持ちを『夏の一首』で詠みたくなった模様です。夏休みセミがミンミンうるさいなついでにママもガミガミうるさい夏休みは通学がなく、自宅にいる時間が長いため、親子で過ごす時間が急増します。家族の楽しい時間が増える一方で、時には親から「宿題はやったの?」「遊んでばっかりいないの!」といった注意をされることも。たとえ親がいっていることが正しくても、子供には思うところがあるのでしょう。夏休みという時期ならではの、子供の気持ちを表現した一首に、澤田さんは「核心をついている…!」と思ったといいます。息子さんの短歌は、ネットを通して多くの人に笑いを届けた様子。「将来は大物になる予感」「文才が光りすぎ!」といった絶賛の声が上がりました。いつか息子さんが大きくなったら、母親がセミのようにうるさかった『大人側の気持ち』を汲み取るのでしょう…![文・構成/grape編集部]
2023年07月28日「現代美術の過去・現在・未来展」が、松坂屋名古屋店にて、2023年5月18日(木)から5月23日(火)まで開催される。社会的現象を巻き起こす現代アート「現代美術の過去・現在・未来展」は、現代アートの社会的現象を巻き起こした多彩なアーティストによる作品を展示する展覧会。「ストリートアート」「ポップアート」「国内人気作家」「NEO浮世絵」の主に4つを特集し、ストリート系の海外現存作家を中心とした作品を紹介する。「ストリートアート」や「ポップアート」1960~70年代、ペンキやスプレー塗料等を用いて壁や地下鉄に描かれたグラフィティアートはいたずら書きとして扱われていたが、市民権を得てからはストリートアートとして芸術の位置づけになった。現在では、過疎化した村でのストリートアートイベントや、廃墟の建物に描かれた作品目当てに世界中から人々が集まるなど、経済効果を上げる役割も担うようになった。「ストリートアート」の特集では、ウクライナでの制作活動で話題のバンクシーや、バンクシーに影響を与えたとされるイギリスのアーティスト、ニック・ウォーカーらの作品に注目だ。また、1950年代半ばにイギリスから始まり、 1960年初頭よりアメリカを中心として盛んになった「ポップアート」も特集。ポップアートは、日常で大量生産、大量消費されている食料品や漫画、映画、写真といった物質をアイコン化し、芸術へと転化した。20世紀の現代美術において重要な表現方法となっている。アンディー・ウォーホルらの作品が展示される。ノルウェーの人気アーティスト、ドルクが来日なお、会場にはノルウェーのグラフィティアート・シーンを牽引する人気アーティスト、ドルクが来日。ストリートアーティストとして活動しつつも、ノルウェー政府から報酬を得て主要な鉄道駅に作品を残すなど、絶大な評価を得ているアーティストだ。代表的なグラフィティアートをはじめ、コンテンポラリー作品をノルウェー国外で初披露する。【詳細】「現代美術の過去・現在・未来展」会期:2023年5月18日(木)~5月23日(火)場所:松坂屋名古屋店 南館8階マツザカヤホール住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1時間:10:00~19:00(最終日は16:00閉場)■ドルク来場情報来場日:5月18日(木)、20日(土)、21日(日)時間:1 10:00=12:00、2 14:00~17:00※過去に松坂屋名古屋店でドルクの作品購入者、または当日購入者にはその場で直筆色紙をプレゼント
2023年05月18日広島市現代美術館では、「リニューアルオープン記念特別展Before/After」を、2023年3月18日(土)から6月18日(日)まで開催する。広島市現代美術館がリニューアルオープン2年3か月の改修工事を経て、2023年3月にリニューアルオープンする広島市現代美術館。これを記念して開催される「Before/After」展では、美術館の改修工事を契機に生じる「前/後」を起点として、劣化や修復、原爆ドームといったキーワードをたよりに、「まえ」と「あと」にまつわる現象や状況に着目してコレクション作品や本展のための新作を紹介する。美術作品を通して「まえ」と「あと」を考察本展では、社会の変化やシステムにおける綻び、隠された過去や歴史に光をあて、作品として発表してきたアーティストの作品を展示。たとえばコレクションからは、世の中に存在する不条理、抑圧、暴力などをテーマに作品を手がけるシリン・ネシャットの《Land of Dreams》を初公開する。2点の映像と複数の写真から構成される本作では、その映像の一部で広島の被爆者の言葉が取り上げられている。一方、田中功起の《everything is everything》は、2006年に台北で発表された作品。同作は、現地で購入した日用品の新たな用途を探る様子を撮影した映像と、実際に使用された日用品から構成される。本展では、劣化を避けられない作品の問題に着目し、作家とともに新たな保存のあり方を探る実践を試みる。8名の作家による新作も発表また、会場では、石内都や髙橋銑、竹村京などの新作も公開。石内都は、広島平和記念資料館に収蔵される被爆者の衣服などを撮影する「ひろしま」シリーズに継続的に取り組んできた。本展では、2019年の台風による浸水で被害を受けた自身の作品プリントを被写体とする「The Drowned」シリーズから、未発表の新作を交えて紹介する。彫刻の保存修復と作家活動を行う髙橋銑は、ブロンズの保存技法をそのままニンジンに適用した代表作「Cast and Rot」シリーズや、移ろう香りを素材とする新作を展示。さらに、壊れた陶器の破損部分を絹糸で縫い直す「修復」シリーズなどを手がける竹村京は、美術館の改修工事を進めるなかで意図せず破損した回廊のガラスや、役割を終えた品々を用いた新作を発表する。展覧会概要リニューアルオープン記念特別展Before/After会期:2023年3月18日(土)〜6月18日(日)会場:広島市現代美術館住所:広島県広島市南区比治山公園1-1開館時間:10:00〜17:00(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜日観覧料:一般 1,600円(1,250円)、大学生 1,200円(900円)、 高校生・65歳以上 800円(600円)、中学生以下 無料※( )内は前売および30名以上の団体料金■出品作家靉嘔、石内都、伊藤公象、井上覚造、大岩オスカール、岡本太郎、デニス・オッペンハイム、 オノ・ヨーコ、河原温、コウミユキ、笹岡啓子、鴫剛、四國五郎、下道基行、 新生タイポ・プロジェクト(岡澤慶秀、岡本健+)、SUPERFLEX、菅井汲、ナンシー・スペロ、 髙橋銑、高山良策、竹村京、田中功起、田村友一郎、蔡國強、土田ヒロミ、殿敷侃、 毒山凡太朗、2m26、シリン・ネシャット、ダラ・バーンバウム、浜田知明、 ジョン・バルデッサリ、平田尚也、吹田文明、キース・ヘリング、細江英公、松澤宥、南薫造、 宮川啓五、ヘンリー・ムーア、森村泰昌、ヤノベケンジ、横山奈美、若林奮、和田礼治郎【問い合わせ先】広島市現代美術館TEL:082-264-1121 (代表)
2022年12月10日ピッチ上のカオスを「一枚の絵」で表す株式会社カンゼンはカタール・ワールドカップを前に、 これまで現代のフットボールの最先端の現代サッカーを"異端用語"を駆使して「一枚の絵」で解いてきた異端のアナリスト庄司悟氏によるフットボール批評の骨太連載を『現代フットボールの主旋律ピッチ上のカオスを「一枚の絵」で表す』というタイトルで待望の書籍化‼『現代フットボールの主旋律』書影これを読まずして現代サッカーを語ってはいけない“異端のアナリスト”庄司悟はこれまでピッチ上で起こる様々な「主旋律」を、誰もが一目でわかる「一枚の絵」で表してきた。「2軸」「非対称」「皿と団子」「同期・連動」「連動→連鎖→連結→連続」「志・智・儀」といった“異端用語”を駆使しながら、ペップ・グアルディオラ、ユルゲン・クロップ、ユリアン・ナーゲルスマン、ハンス=ディーター・フリックたちが標榜する世界最先端の現代サッカーを「一枚の絵」で明らかにする。サンプルページ「一枚の絵」の変遷「現代フットボール」の時系列Op.1 第4楽章 90分のコンセプトを「一枚の絵」で表すOp.2 第1楽章皿と団子Op.2 第3楽章修正→構築→継続目次目次Ouverture〈序曲〉はじめにPraludium〈前奏曲〉・起源・クロップ魔法陣Op.1〈第1楽章〉ゲーゲンプレス2.0〈第2楽章〉複数で突っ走る〈第3楽章〉「レコード」は「データ」にあらず〈第4楽章〉90分のコンセプトを「一枚の絵」で表す〈Zugabe〉木を見て森を見ずPause〈休憩〉Jの主旋律Op.2〈第1楽章〉皿と団子〈第2楽章〉有効性か効率性か〈第3楽章〉修正→構築→継続〈第4楽章〉情報≠知見〈Zugabe.1〉志・智・儀〈Zugabe.2〉ハイブリッド型0局面Das Finale〈終曲〉おわりにプロフィール庄司悟(しょうじ・さとる)1952年1月20日生まれ、東京都出身。1974年の西ドイツワールドカップを現地で観戦し1975年に渡独。ケルン体育大学サッカー専門科を経て、ドイツのレコード配信会社IMPIRE(現Sportec Solutions、ブンデスリーガの公式データ、VARを担当)と提携し、ゴールラインテクノロジー、トラッキングシステム、GPSをもとに分析活動を開始。著書に『サッカーは「システム」では勝てないデータがもたらす新戦略時代』(ベスト新書)。書誌情報書名:現代フットボールの主旋律ピッチ上のカオスを「一枚の絵」で表す著者:庄司悟ISBNコード:978-4-86255-664-6定価:1,980円(本体1,800円+税)判型:四六判ページ数:248P発売日:2022年10月17日出版社:カンゼンamazon : Rakutenブックス : 商品情報 : 【この件に関する問い合わせ先】株式会社カンゼン営業部担当:伊藤真TEL:03-5295-7723MAIL: ito@kanzen.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月05日三十一文字(みそひともじ)の言葉の世界。今、ますます注目されているジャンル“現代短歌”。初心者でも、今日から楽しめるヒントを紹介します!SNSで裾野を広げて盛り上がる、今の短歌。この1~2年、“短歌ブーム”といわれているが、この現象は今に始まったことではないようだ。「過去の大きなブームとして俵万智さんの『サラダ記念日』がありますが、それ以前も例えば学生運動の際に短歌が多く読まれたりなど、ブームと呼ばれる現象は意外と定期的に起きていると思っています」(歌人・瀬戸夏子さん)昔の短歌は、詠まれた時代の感情を垣間見られる味わい深さがあるが、同時代に生まれる短歌の魅力はやっぱり、現在の「空気感」や「気分」を共有できること。「非正規雇用で明るく生きる自己像を提示する永井祐さんの歌は、同時代に読むからこそ共感しやすいですし、榊原紘さんが紹介している、推しをモチーフにした『推しと短歌』も、自分の好きなものをリアルタイムで楽しめます」昨今の盛り上がりに欠かせない存在といえるのが、SNSだ。「雑誌や新聞の投稿だと発表されるまで1か月程度かかりますが、SNSはかつてないほど早く反応が届きます。短歌botなどは読み手も短歌を身近に感じられますし、バズるような作品は、短歌であることを意識せずに反応している人も多いのかもしれません」SNSで興味を持ち、次のステップとして好きな歌人を見つけるのであれば、アンソロジーを。「東直子さんほか著・編集『短歌タイムカプセル』や山田航さん著・編集『桜前線開架宣言』などのアンソロジーや解説書で自分の好みを知ってから歌集を読むのもおすすめ。さらに自分でつくると難しさもわかりますし、短歌の読み方も変わってくると思いますよ」“現代短歌”とは?まずは基本の定義を知るところから。歌人の瀬戸夏子さんが、現代短歌の特徴を映し出す代表的な短歌をピックアップ。「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日俵万智『サラダ記念日』(河出文庫)P.127/河出書房新社1989年終バスにふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて穂村弘『シンジケート[新装版]』P.80/講談社2021年こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう枡野浩一『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである枡野浩一全短歌集』P.7/左右社2022年好きだった世界をみんな連れてゆくあなたのカヌー燃えるみずうみ東直子『青卵』(ちくま文庫)P.25/筑摩書房2019年王子Aは王子Bを激しくすきでBはAをしみじみすきみたい雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』P.118/書肆侃侃房2018年そもそも現代短歌とは?変遷から見えてくる魅力現代短歌といっても幅広いが、一般的には「『サラダ記念日』が生まれた’80年代後半以降」と捉えてよさそう。まずは、エポックメイキングとなった2首について。「この時期に一番大きく変化したのは、読みやすさ。なにげない日常をポップに表現した俵万智さんや、穂村弘さんが描く都会的な情景は、広く共感されました」続く3首からもわかるように、これ以降、今につながる現代短歌の展開はさらに多様に広がっていく。「すべて文語ではなく口語なのが特徴で、なかでも口語にこだわったのが枡野浩一さん。口語は語彙などの問題で硬い印象になりがちなのですが、口語でもやわらかい表現の短歌を作ったのが東直子さん。また、雪舟えまさんは、自身の小説と登場人物がリンクしている男性同士の恋を詠み、新しい楽しみ方を開拓しました」こうした流れを踏まえると、いま活躍する若い世代の短歌も、また違った魅力が見えてくるはず。せと・なつこ歌人。歌集に『かわいい海とかわいくない海 end.』(書肆侃侃房)など。『桜前線開架宣言』の姉妹編『はつなつみずうみ分光器 after 2000 現代短歌クロニクル』(左右社)も執筆。※『anan』2022年10月5日号より。取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2022年10月02日軽井沢のセゾン現代美術館では、「セゾン現代美術館コレクション展Art belongs to everyone」を、2022年9月3日(土)から11月23日(水・祝)まで開催する。セゾン現代美術館のコレクションを紹介1981年8月に開館し、2021年に40年を迎えたセゾン現代美術館。建築の設計は菊竹清訓によるものであり、庭園全体のプランは戦後を代表する彫刻家・若林奮が制作した。広大な庭園には、数々の彫刻作品が点在している。「セゾン現代美術館コレクション展Art belongs to everyone」では、20世紀初頭から現代に至るセゾン現代美術館のコレクション作品を紹介。ワシリー・カンディンスキーやパウル・クレー、マルセル・デュシャン、マン・レイ、ジャクソン・ポロック、加納光於、中西夏之、横尾忠則、宇佐美圭司、大竹伸朗などの作品を展示予定だ。展覧会概要「セゾン現代美術館コレクション展Art belongs to everyone」会期:2022年9月3日(土)〜11月23日(水・祝)会場: セゾン現代美術館住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140開館時間:10:00〜18:00(11月は17:00まで)※入館は閉館30分前まで休館日:木曜日(11月3日(木・祝)は開館)入館料:入館料 一般 1,500円(1,400円)、高校・大学生 1,000円(900円)、小・中学生 500円(400円)※( )内は20名以上の団体料金■出品予定作家ワシリー・カンディンスキー、パウル・クレー、マルセル・デュシャン、マン・レイ、ジョアン・ミロ、マーク・ロスコ、ジャクソン・ポロック、ロイ・リキテンスタイン、ジャン.ティンゲリー、イヴ・クライン、アンディ・ウォーホル、ジャスパー・ジョーンズ、アンゼルム・キーファー、菅井汲、堂本尚郎、加納光於、中西夏之、横尾忠則、荒川修作、宇佐美圭司、山本富章、大竹伸朗、中村一美、小林正人 ほか※出品作家は変更となる場合あり【問い合わせ先】セゾン現代美術館TEL:0267-46-2020
2022年08月22日松本喜三郎らの生人形、高橋由一の油彩画を導入部として、現代の絵画と彫刻における写実表現を検証する『リアル(写実)のゆくえ現代の作家たち生きること、写すこと』が4月9日(土)より平塚市美術館にて開催される。江戸期の自在置物、鎌倉時代の仏像など、日本では昔から写実表現が用いられてきた。明治 20 年代に滞日した人類学者シュトラッツは「解剖学の知識もなしに強い迫真性をもって模写することができる」生人形師の力量に感嘆。さらに、生人形が理想化も図式化もされず、ありのままの姿であることにも着目していた。 仏師で彫刻家の高村光雲も、幼い時に松本喜三郎の生人形の見世物を見ており、後年、西洋由来ではない写実を気付かせた存在として、松本喜三郎をはじめとする生人形師を敬慕していた。同展では、東西を問わず追求され、既存の方法や感性を上書き、 もしくは書き替えながら発展してきた写実表現を、松本喜三郎、安本亀八、高橋由一、小谷元彦、深堀隆介らの作品を通して紹介。西洋の文脈のみではとらえきれない日本 の「写実」が如何なるものなのか、またどのように生まれたのか、その手がかりを探る。深堀隆介《桜升命名淡紅》2017 年、平塚市美術館安本亀八《相撲生人形》1890年、熊本市現代美術館蔵※会期中展示替えあり本田健《夏草(芝棟の土)》2021年、作家蔵中谷ミチコ《夜を固めるⅢ( 雨)》2019 年、作家蔵前原冬樹《一刻―苺―》、2017 年、作家蔵 撮影:橋本憲一【開催概要】『リアル(写実)のゆくえ現代の作家たち生きること、写すこと』会期:2022年4月9日(土)~ 6月5日(日)※会期中展示替えあり会場:平塚市美術館時間:9:30~17:00休館日:月曜料金:一般900円、大高500円(土曜は高校生無料)※同時開催『けずる絵、ひっかく絵』美術館公式サイト: www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/()
2022年03月24日スマホの普及により、インターネットは多くの人にとって、さらに身近なものになりました。ガラパゴス携帯(通称:ガラケー)よりも性能が上がり、さらに多くのウェブサイトを手軽に見ることができるようになったり、搭載機能が増えたりしています。しかし、便利すぎるがゆえに『ネット・スマホ依存症』になってしまう人が急増。気が付けばスマホをいじってしまう…という人は多いでしょう。スマホを封印したら、生活が一変…!?天竜川ナコン(@love_eminemu)さんも、スマホを使う時間が多い1人。そこで、スマホ依存を強制的に解決させる『あるアイテム』を購入したといいます。それは、スマホを入れたら決まった時間まで取り出すことができない箱。『スマホロック』と呼ばれるこのアイテムは、スマホを入れてロック時間を設定すると、その時間が来るまで取り出すことができなくなります。スマホが気になって物事に集中できない人など、『スマホ依存症』に悩まされている人にはピッタリのアイテムです。実際に使用した結果、なんと天竜川さんの生活は一変したのだとか。スマホ封印後の姿が、こちらです。「スマホを入れたら取り出せなくなる箱」を買ったらマジで生活が一変した… おすすめです pic.twitter.com/oBhCsmtSRL — 天竜川ナコン (@love_eminemu) October 3, 2021 きっと多くの人が、「いや、そっちかーい!」とノリツッコミをしてしまったことでしょう。スマホ封印後の写真には、天竜川さんが横になりながらノートパソコンでTwitterを見る姿が。確かに生活は変わったようですが、とっている行動は同じです…!投稿は拡散され、根本は何も解決していない天竜川さんの様子に多くの人が笑ってしまいました。・まさに今の自分の生活で爆笑した。いや笑えないわ。・泣ける。スマホが普及する前の光景に戻っただけっていう…。・悲しき『現代人あるある』…。ネットを完全に遮断するの難易度高すぎ。天竜川さんのようにスマホロックを購入し、ノートパソコンを代用してネットを見続けた人は多い模様。現代社会においてネットは生活の一部と考えると、解決はとても困難なのかもしれません…。[文・構成/grape編集部]
2021年10月04日五・七・五・七・七の31文字で、自分の気持ちなどを表現する短歌。日本では古くから愛されてきました。おしそ(@_______aona)さんの祖母は、短歌で入賞するまでの実力があるといいます。入賞した作品をTwitterに投稿すると、大きな反響が上がりました。実際の作品がこちらです。数年前にお婆ちゃんが私の事をうたった短歌で入賞したやつ、最高なので見てください pic.twitter.com/r6urlkzX69 — おしそ☺︎ (@_______aona) February 16, 2021 『末孫がロックフェスのTシャツを八十路の我に着せて笑えり』ロック音楽のフェスでは、オリジナルのTシャツが会場で販売されます。フェスに参加した、おしそさんはTシャツを購入し、祖母に着てもらったのでしょう。『ロック』と『おばあちゃん』という異色の組み合わせに、おしそさんは思わず笑いが止まらなかったようです。祖母は「やっぱ生地は綿がいいわ」と、Tシャツを気に入った様子。投稿には、祖母と孫のやり取りに反響が上がりました。・情景が目に浮かぶ。内容がとてもかわいい。・毛筆で書く『ロックフェス』が、かっこよすぎる。そして達筆ですね!・素敵な短歌。最高にロックなおばあちゃんですね。おしそさんは、これからも祖母のフェスのTシャツが増えるよう、イベントに参加していきたいとのこと。祖母と孫の心温まるやり取りに、思わず笑顔になりますね。[文・構成/grape編集部]
2021年02月18日短歌や俳句のように形式がなくとことん自由な詩の世界。注目の現代詩人、水沢なおさんに詩の魅力と楽しむコツを聞きました。詩に興味はなかったという水沢さんの心を最初に動かした作品は、高校の教科書に載っていた宮沢賢治の「永訣の朝」と吉野弘の「I was born」。「短編小説のようで、切なさと言葉の力強さが印象的で、詩の印象が一変しました。さらに、国語の先生が言った『世の中で一番美しいのは詩です』という言葉が心に残り、詩を書き始めたんです」詩人になって水沢さんが一番感じるのは、「詩はなんでもアリ」ということ。「詩は本当に自由。いろいろな作品があるので、心に響く運命の詩が必ず見つかるはずです。難しそうとイメージで敬遠するのはもったいない。思い切って、広い詩の世界に飛び込んでみてください」五感を刺激される。読み進めるうちにイメージがくっきり立ち上がり、音や匂いまで感じられたり、研ぎ澄まされた言葉に心を射貫かれたり。五感に直接的に響く読み心地は詩ならでは。水沢さんの作品でいえば、湿度をまとった淡い色彩の絵画やSF映画を鑑賞しているような気分にも。「詩は読むというより、感じる、味わう感覚が近い気がします。私が好きな井戸川射子さんの詩は、脈絡のない言葉の連なりのなかに手触りがあって、それが自分の記憶とつながって懐かしい気持ちになります。想起される五感を頼りに詩を楽しんでみて」(水沢さん)属性にとらわれず読める。詩の語り手はひとりの人間とは限らない。モノや動物だったり、複数の語り手が入れ替わったり。そもそも明示されないことも多い。そうした設定を限定しない詩の特性に加え、水沢さんと同世代の作品は、多様性やジェンダーレスの時代を映した「揺らぎ」が宿り、属性がよりあいまいに。「女性であるとか会社員であるとか、自分の立場と関係なく読めるものが多いなと感じています。あえて属性を際立たせないところに普遍的な感情や、優しさも感じられて、読んでいてとても心地がいいです」「わからない」ことを好きになれる。難解なイメージから詩を遠ざけてきた人も多いはず。また詩を理解できないとき、自分の未熟さを感じてしまう…なんてことも。でも「わからなくても『好き』と言えるのが詩の良さ」と水沢さん。「小説や映画は主題が伝わりやすい創り方をしているけど、詩はそうではありません。意味が理解できなくていいんです。なんか好き、なんだか気になるという感覚を大事にして、作品に触れてほしい。好きだけど、ちょっと距離のある感じも詩の魅力だと思うし、その距離がぐっと縮まる瞬間と出合えるのも喜びです」読み手の受け取り方も作品の一部となる。水沢さんいわく、詩は「説明」を削ぎ落として、どんなふうにも読めるように書かれているという。つまり、読み手が解釈できる余地が無限にあるということ。「たまにSNSで私の詩を私の意図とは違う解釈をつけてくれている人を見つけますが、『そんな受け取り方もあるのか!』と吃驚します。その人が言葉と向き合い、その人自身と混ざり合った結果の解釈は、とても興味深いです」読む人それぞれの価値観や経験、そのときの状況によっても受け取り方は千差万別。多様な解釈も含めて詩の豊かさは作られる。すき間時間に楽しめる。小説や映画の鑑賞はある程度まとまった時間が必要だが、詩ならすき間時間で区切りよく読める。決まった時間に一編読むことを日課にしたり、気持ちを切り替えたいときにパッと開いたページの詩を楽しんだり。思い思いの読み方で味わってみよう。「さあ読むぞと、構えなくてもさらっと読めるのがいいですね。私はひと息つきたいときや寝る前などに詩集を開くことが多いです」ハンディな詩集は移動中の読書や旅のお供にもぴったり。お気に入りの詩集を一冊、バッグに入れて持ち歩いてみては。言葉の美しさに浸れる。詩のなかの言葉は、私たちが普段使う伝達の言葉と違い、作者の心のうちを表現するために一字一句磨き抜かれたもの。それゆえ、しなやかで力強く、美しい。「詩を読んでいると、磨かれた言葉のなかに自分がどんどん溶けていく感覚があります。いい意味で自我が消えて、裸の自分で世界にひとり立っているような。この感覚が味わえるのは詩だけだと思うし、私もそういう作品が創れるようになりたいです」言葉の海にたゆたい、新たな自分を発見する。詩はそんな得がたい読書体験をもたらしてくれる。水沢なおさん1995年生まれ。武蔵野美術大学在学時から詩作を始め、第1詩集『美しいからだよ』(思潮社)で2020年の中原中也賞を受賞。“身体性”をテーマに、残酷さをはらむ美しい作風で注目の的に。※『anan』2021年2月10日号より。文・熊坂麻美(by anan編集部)
2021年02月06日自身が経営するホストクラブのホストたちと共に詠んだ短歌をまとめた『ホスト万葉集』が現在、大ヒット中の手塚マキさん。31文字が持つ不思議な魅力を感じて。「短歌を読むと、詠んだ人の心を歌の中に感じることができるだけでなく、自分の心の中に潜む、忘れていた何かが呼び起こされる感覚をおぼえます。また、短歌を詠んだ時は、その瞬間に歌の中に閉じ込めた自分の気持ちを、鮮度を保ったまま、ずっと心に残すことができる。読み手として、そして詠み手として、この31文字という定型が持っている不思議な魅力を感じずにはいられません」そんな手塚さんがセレクトしたのは、短歌の入り口としてぴったりのものから、最先端の感性を味わえるものまでとさまざま。なかには初めて涙したという作品も。31文字が作り出す世界観を堪能してみて。『はじめての短歌』穂村 弘/河出書房新社したあとの朝日はだるい自転車に撤去予告の赤紙は揺れ――岡崎裕美子新聞などに投稿されたものなど、さまざまな人が詠んだ短歌を、歌人である穂村弘が自身で改悪例を作りながら評する。「短歌の読み方を教えてくれる短歌入門です。決して難しいものではなく、読んでいて“なるほど”と空を見つめることがしばしば。ビジネス的な言葉の表現との違いに触れることができ、短歌の世界の入り口に立てるので、これから始める人にも。それにしても、選出した歌の“したあと”って何ですかね(笑)」『あなたと読む恋の歌百首』俵 万智/文藝春秋私をジャムにしたならどのような香りが立つかブラウスを脱ぐ――河野小百合歌人の俵万智さんが選んだ恋の歌100首。幸せに満ち溢れていたり、許されない恋に悩んでいたりと、さまざまな恋模様が詠まれている。「それぞれの歌に俵さんの解説と感想が付き、短歌の自由な鑑賞の楽しみ方を教えてくれます。選出した歌を、どの立場でどう読むかは人それぞれに違うでしょうが、私はこんなにエロティックな女性を知らない。想像するだけでエロいです。100首もの作品が読めるので、短歌を学びたい人にも」『歌に私は泣くだらう妻・河野裕子 闘病の十年』永田和宏/新潮社何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋ぢやない――河野裕子乳がんの宣告を受けた女流歌人・河野裕子。闘病生活の中で歌を詠み続けた夫婦の物語。「病気の告知から亡くなるまでの闘病記とともに、互いの気持ちを込めた歌が連なります。死に向かう物語を背景にした短歌に触れることで、言葉の強さをあらためて知ることができる。短歌は、その瞬間を、鮮度をそのままに31文字に閉じ込めることができるものだと思いますが、この絶望する夫に向けた歌を読み、私は初めて短歌で泣きました」『メタリック』小佐野 彈/短歌研究社セックスに似てゐるけれどセックスぢやないさ僕らのこんな行為はゲイであることを公表している台湾在住の歌人であり作家が、30歳からの4年間で詠んだ短歌より、370首を選んだ第一歌集。「生々しくて強い、そして儚い思いに正面から向き合って言葉にする彼の姿勢には、憧れを感じると同時に、“もし、自分であったら壊れてしまうだろうな”とも思う。選んだ歌もですが、性的マイノリティと呼ばれる方々の葛藤に触れるとともに、“一体、何がマイノリティなのだろうか?”と考えさせられます」『眠れる海』野口あや子/書肆侃侃房わたしが持てばどんなあなたも銃身であるから脚をからませて抱く現代を代表する歌人の2012~2017年までの作品を収録。「彼女の選ぶ言葉の世界観に浸ると、まさに、この歌集のタイトルのように、自分の心の奥底にある暗い深海を漂っているような心地になる。自分の記憶を自分が貪るように促す感覚をおぼえます。選出した歌を読み、あなたはどんな“わたし”を呼び覚ますでしょうか?観念的な歌が多く、少し難しいところもあるのですが、現代の最先端の短歌に触れることができます」てづか・まき「Smappa! Group」会長。歌舞伎町でホストクラブやバー、飲食店などを構える。LOVEをテーマにした書店「歌舞伎町ブックセンター」のオーナー。著書に『裏・読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。※『anan』2020年9月23日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2020年09月19日強い日差しを和らげてくれる日傘。日本気象協会によると、真夏に日傘をさすと体感温度が7℃も下がるといいます。2020年は新型コロナウイルス感染症の流行によって、日傘をさせば社会的距離(以下、ソーシャルディスタンス)を保てるとして使用が呼び掛けています。学校でも、そのような効果を期待して日傘をさして登校するようにしているところもあるようです。問題なのは紫外線よりも偏見しかし、『日傘=女性のもの』というイメージがある人もいるでしょう。「男性が日傘をさしているのはおかしい」「男性が日傘を買うのは変」と考える人がいるのも事実。そのような考えから、積極的に日傘をさしている男性はまだ少ないようです。ですが、暑さは男女問わず変わりません。また、ソーシャルディスタンスを保つのにも男女変わりはないのです。そこで、日本気象協会は、男性にも日傘をさしてもらおうと3つのポスター制作。反響が上がりました。日傘は無限に日陰を歩けます冒頭でも説明した通り、暑い夏の日に日傘をさすと体感温度は7℃下がります。暑い中、歩く人にとって7℃の温度変化は大きいものでしょう。日本気象協会 tenki.jp日傘は女っぽい?これまで「日傘は女性が日焼け対策のためにさしていたもの」と考えていた人も多いかもしれません。しかし、日本の夏が厳しくなるにつれ、日傘の実用性はしだいに変化。男性がさしていてもおかしくはないのです。ポスターでは『問題は、紫外線ではなく偏見』と強く訴えました。日本気象協会 tenki.jpソーシャルディスタンス回避のためにも…傘をさすことによって、自然と相手と距離ができます。密集することがないため、感染対策にもなるのです。日本気象協会 tenki.jpポスター制作について質問してみた今回、このポスターを制作した日本気象協会に、経緯と特徴的なデザインについて質問してみました。―ポスター制作にいたった経緯は?外部のプランナーさんやデザイナーさんと共に制作を進めました。「熱中症など、気象と関連が深い社会的な課題に対し、クリエイティブな力をかけ合わせて何かアクションできないか」ということで、外部のプランナーさんにお声掛けし、共感いただいたところから企画がスタートしました。ポスターの制作は2019年の夏に続いて、今年が2回目となります。―なぜ2色だけのポスターになった?ヴィジュアルインパクトを出しやすいこと、そして色彩の持つ効果を発揮しやすいことから色を絞りました。『日傘=陽射し』の話であるため、光を感じさせるべきと考えました。そこで、2色の掛け合わせによる表現をしています。色は、真夏の暑さを感じる赤と、涼しげなシアンを使うことにしました。ポスターは多くの人の目が留まるようなデザインとなり、関心を集めたようです。早速ネット上では「傘と同じように誰が使っても当たり前になればいい」「男性ですが、使ったら『こんなに涼しいのか!』と驚きました」「健康のためにもみんな使おう!」などの声が寄せられていました。日傘は、暑さ対策だけでなく、感染対策にもなる一石二鳥のアイテム。さらに、急な雨でも晴雨兼用ならば濡れる心配もありません。年代・性別問わず日傘の使用が広まるといいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年09月03日現代美術家6名によるグループ展『話しているのは誰? 現代美術に潜む文学』が国立新美術館で11月11日(月)まで開催されている。同展に参加するのは、北島敬三、小林エリカ、ミヤギフトシ、田村友一郎、豊嶋康子、山城知佳子の6名のアーティストたち。1950年代から1980年代生まれまでと年齢は幅広く、表現方法も映像や写真を用いたインスタレーションをはじめとして多岐にわたる。そんな彼らの共通点は、作品のうちに「文学」の要素が色濃く反映されていることだ。2014年より日本各地を撮影した風景写真シリーズ「UNTITLED RECORDS」の制作を行う北島敬三。目に見えないもの、時間や歴史、家族や記憶をモチーフとして作品を手がける小林エリカ。映像や写真などを用いて、社会政治的事象、とりわけセクシュアリティとマイノリティの問題を取り上げた作品を手がけるミヤギフトシ。既存のイメージやオブジェクトを起点にしたインスタレーションやパフォーマンスを手がける田村友一郎。そろばん、サイコロ、安全ピン、油絵具などの既製品や美術に馴染みのある物質を素材に手を加え、これら事物の中に複数の見え方が表出する作品を制作する豊嶋康子。写真、映像、パフォーマンス、インスタレーションによって沖縄における米軍基地や戦争の問題を掘り下げてきた山城知佳子。さまざまな形式で表現活動を行う彼らの作品の中に「文学」がどのように潜んでいるのか?その多様な現れ方を感じ取ってみたい。【関連リンク】 国立新美術館(https:// www.nact.jp )北島敬三 《ツィルカール村 アルメニア共和国》(「USSR 1991」シリーズより)1991/2019 年 顔料印刷 66.0×93.0cm 作家蔵 ©KITAJIMA KEIZO小林エリカ 《ドル》 2017年 ウランガラス、鏡、紫外線ランプ 61.0×41.0×7.5 φ70cm 個人蔵 協力:妖精の森ガラス美術館 © Erika Kobayashi Courtesy of Yutaka Kikutake Galleryミヤギフトシ 《A Lamp》(「物語るには明るい部屋が必要で」より) 2019 年 デジタルCプリント 作家蔵 ©Futoshi Miyagi田村友一郎 《Sky Eyes》 2019 年 ミクストメディア 作家蔵 ©Yuichiro Tamura豊嶋康子 《ズレ》 2018 年 紙、割りピン、アクリル絵具、ボールペン φ11.5cm 作家蔵 撮影:木奥惠三山城知佳子 《チンビン・ウェスタン『家族の表象』》 2019 年 4KHD ヴィデオ、カラー、サウンド 作家蔵
2019年09月05日箱根のポーラ美術館では、初となる現代アートの企画展覧会「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展を、8月10日から12月1日まで開催。展覧会にあわせて制作された新作や、本展でしか鑑賞できないインスタレーション作品を公開する。オリヴァー・ビア《悪魔たち》(部分)2017年 16個の器、音響機器フォーリンデン美術館蔵(ワッセナー、オランダ)Image courtesy of the artist and Galerie Thaddaeus Ropac © Oliver Beer Photo: Stephen White「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」は、ポーラ美術館の企画展としては初めての現代美術の作家たちを本格的に紹介する展覧会。展覧会タイトルである「シンコペーション」(切分法)とは、音楽において、軸となる拍の位置を意図的にずらし、リズムを変化させることで楽曲に表情や緊張感をあたえる手法だ。今回の展覧会にあわせ、立地環境を活かしたインスタレーションや、ピカソ、セザンヌなど同館のコレクションにインスピレーションを受けて制作された新作が展示される。空間全体に広がるインスタレーション、音、映像作品、野外展示など、現代の作家たちによる多様な表現は、過去の巨匠たちの作品に今日的な光を当て、感覚を揺さぶるさまざまなリズムをもたらす。セレスト・ブルシエ=ムジュノ 《クリナメン v.7》 2019 年 Installation view: Pola Museum of Art© Céleste Boursier-Mougenot 写真:木奥惠三セレスト・ブルシエ=ムジュノの《クリナメン v.7》は、展示室内の窓から箱根の緑を望む空間に作り出した円形のプールに、大小の白い陶磁器を浮かばせ、偶然の衝突を誘発する作品。印象派のクロード・モネが、画家を志したころから水に注目し、後半生には自宅に睡蓮の浮かぶ池を造成して水面を繰り返し描いたように、水の流れや動きには、古今東西を問わず、思想、文学や美術において、「時のうつろい」の感覚が託されてきた。ここでは、2人の作家がそれぞれの時代に造りあげた環境の中で、久しくとどまることのない水面のうつろいが捉えられている。アブデルカデル・バンシャンマ 《ボディ・オブ・ゴースト》 2019 年 Installation view: Pola Museum of Art写真:木奥惠三ダイナミックな大地のヴィジョンをモノクロームのドローイングで表現するアブデルカデル・バンシャンマ。一方、バンシャンマが敬愛するクールベは、地殻変動の跡があらわな岩山や、起伏のある土地を画題に求めて森を探索した。アブデルカデル・バンシャンマ × ギュスターヴ・クールベの作品では、自然界の持つ底知れぬ生命力に魅せられたアーティストたちが、その魔力を筆にのせて驚くべき風景を描き出す様を感じられる。また、描くことの原点、さらにはリアリティを追究する主題として、画家たちが挑んできた肖像。渡辺豊は、ピカソ、セザンヌ、フジタとそのモデルたちの「名前」をインターネット上に求め、真偽の混じるいくつものイメージを参照しつつ、「キュビスム」を想起させるポートレートを制作。渡辺の探究の成果として、リアルでユーモラスなポートレートの現在形が呈示されている。スーザン・フィリップス《ロング・ゴーン》2006年 2チャンネル・サウンド・インスタレーションInstallation view: Aspen Art Museum, 2008 Photo: Susan Philipsz同美術館の森の遊歩道には、楽器や環境音、自身の歌声などを用いて、空間と物語、音に関する作品を制作するスーザン・フィリップスのインスタレーションが設置される。音楽の印象派とも称される作曲家ラヴェルの歌曲を題材とすることで、同美術館のコレクションの核をなす印象派絵画との共鳴を生みだした。第一線で活躍する12組の現代作家たちと、モネやピカソら近代芸術の巨匠とのセッションにより生み出される、新たな共鳴と響きを堪能してみては。【展覧会情報】「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展会期:8月10日~12月1日会場:ポーラ美術館住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285時間:9:00~17:00(最終入館は16:30まで)※会期中無休
2019年08月21日日本とポーランドの国交樹立100周年記念事業の現代美術展覧会「セレブレーション-日本ポーランド現代美術展2019 in Japan(CELEBRATION-Japanese-Polish Contemporary Art Exhibition)」が5月18日、京都で開幕した。岡本光博「トラロープ」@ロームシアター京都京都芸術センター、ロームシアター京都、ザ ターミナル キョウト、二条城・東南隅櫓の京都市内4会場で6月23日までの約1ヶ月にわたって行われる同展(二条城は5月18、19日2日間のみ開催)には、日本とポーランドの若手現代美術アーティスト21組が参加。パフォーマンスや映像、インスタレーションなどの作品は、すべての会場において無料で公開される。また、ポーランドのポズナン、シチュチンの各都市では、同展を再編した展覧会が行われる。同展はいずれも2000年に設立されたポーランドの国立文化機関であるアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート(Adam Mickiewicz Institute)と京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)の主催により、キュレーションは中欧の現代美術を専門とする加須屋明子・京都市立芸術大学教授と、草間彌生など日本の現代美術を研究するポーランド文化省のパヴェウ・パフチャレク氏(大阪大学博士後期課程)が担当した。@ザ ターミナル キョウト出展作家は先日、ナイキとアンダーカバーのコラボスニーカーのPVに起用され話題になった、コンタクト・ゴンゾ(contact Gonzo)が映像作品で参加。ワルシャワ美術アカデミーと東京藝大で学び写真、映像、音楽、絵画などさまざまな技術を使い、今回は植物を使ったミクストメディアを京町屋(ザ ターミナル キョウト)の床の間に展示しているアグニェシカ・ブシェシァニスカ(Agnieszka Brzezanska)、同町屋のエントランスと地下の防空壕や明倫小学校跡である京都芸術センターの環境を使い、樹脂のオブジェ作品を展示した東影智裕、東京とポーランド・クラクフの両都市に在住し、パンクをテーマとした作品を展開するピョトル・ブヤク(Pitr Bujak)、アーティスト集団「キュピキュピ」を主宰し海外での活動でも知られる石橋義正、本人がモデルとしても登場する映像やインスタレーションなどすべて自身で制作する笹岡由梨子、ロームシアター京都のエントランスに工事用ロープでトラの頭部を制作した岡本光博、造形作品に身体を介在させアクティベートさせたパフォーマンスを作品として提示する谷中祐輔など、日波の若手中堅アーティストのなかでも先鋭的でクリティカルな作風を特徴とする作品がキュレーションされている。笹岡由梨子、ジャイロ(Gryo)@京都芸術センターピョトル・ブヤク(Piotr Bujak)「THIS_IS NOT AMERICA」@京都芸術センター「日本とポーランドの両国と何らかの関係を持つ作家と、ポーランドアートの特徴とも言える内面に深く問いかける作品を特徴とする作家たち」(加須屋明子教授)、「ただ日本とポーランドに滞在して作品を制作するのではなく、それぞれが刺激を与えつつ、何らかの関係性が生まれ、お互い協力して継続していく活動が出来ること」(パヴェウ・パフチャレク)と、キュレーターの2人は今回の企画の意図を説明。主催者のアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートは、今回の展覧会を東京ではなく京都だけで開催した理由を「コマーシャル、経済活動が優先する東京ではなく、歴史を大切にして芸術系の大学も多い京都でじっくりと作品を展示する方法を我々は選択した。セレブレーションのタイトルが示すように過去を振り返るのではなく、未来を見つめ世界が近くなっている現在を提示した」と説明する。アンジェイ・ワイダやロマン・ポランスキーなどの映画監督を輩出したポーランド映画のDNAを感じさせる社会性の強い映像作品はカロリナ・ブレグワ(Karolina Bregula)、アリツィア・ロガルスカ(AlicjaRogalsaka)などの作品とともに、日本の小泉明郎の作品が各会場で終日鑑賞可能。京都ロームシアターでは川田知志とスタフ・シュムスキ(Stachu Szumski)が今回のために共作した作品が展示されている。5月17、18、19日のオープニングには京都芸術センターで西原尚とパヴェウ・ロマンチェク(PAWEL ROMANCZUK)の即興演奏、ライブハウス外SOTOで京都を拠点に活動する音楽集団・空間現代とポーランドのギタリスト、フベルト・コストキェヴィチ(Hubert Kostkiewicz)のライブなどが行われた。西原尚とパヴェウ・ロマンチェク(PAWEL ROMANCZUK)@京都芸術センターText by Tatsuya Noda【イベント情報】セレブレーション-日本ポーランド現代美術展2019 in Japan(CELEBRATION-Japanese-Polish Contemporary Art Exhibition)会期:5月19日〜6月23日会場・時間:●芸術センター(京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)10:00〜18:00 ※5月29日、6月12日は休業(ギャラリー北・南は20:00まで、無休)●ロームシアター京都(京都市左京区岡崎最勝寺町13)10:00〜19:00 ※5月29日、6月3日、6月12日は休業●ザ ターミナル キョウト(京都府京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町424)10:00〜18:00 ※無休入場無料<出展作家>カロリナ・ブレグワアグニェシュカ・ブジェジャンスカピョトル・ブヤクcontact Gonzo東影智裕Hyslom今村遼佑石橋義正+安藤英由樹川田知志小泉明郎ダニエル・コニウシュロベルト・クシミロフスキマリア・ロボダ松田壯統岡本光博アリツィア・ロガルスカ笹岡由梨子ウーカシュ・スロヴィエツスタフ・シュムスキ谷中佑輔山本麻紀子<イベント>■パフォーマンス「巨人と眠りーポーランド編」ポーランド南部にあるタトラに残る伝説を追いかけた実体験を夢と現実の間で思い出しながら語る。即興演奏あり。全員布団に横たわる。日時:2019年6月23日 14:00〜15:00会場:京都芸術センター 和室「明倫」 ゲスト:野村誠(音楽家)、やぶくみこ(音楽家)定員:15名(先着順)※無料・要事前予約<ポーランドでの展覧会概要(予定)>■セレブレーション-ポーランド日本現代美術展― in ポズナン会期:2019年5月31日〜7月31日 ※5月31日〜6月9日 ポズナンアートウィーク会場:ポズナン芸術大学ギャラリー、スターリ・ブロウヴァルほか■セレブレーション-ポーランド日本現代美術展― in シチェチン会期:2019年6月13日〜8月31日 会場:トラフォスタツィアほか
2019年05月25日恋の駆け引きは、主に男性との電話やデートの時にするものですが、それはもう過去の話になりつつあります。最近ではコミュニケーションのメインがLINEとなったため電話する機会も減り、LINEでのやりとりにおいて恋の駆け引きをしなければなりません。また、LINEに限らずFacebookやTwitter、Instagramも出会いのきっかけになっており、いわゆるSNSきっかけの恋愛が一般化しています。そんな現代の恋愛では、SNSでの恋の駆け引きも熟知しておく必要があります。1. 好感度アップを狙えるテクニック好きな男性に自分をアピールしたい時、直接会ったり電話したりの方法だとアピール内容によってはアピールしたくてもできない状況になります。しかしそれもSNSを使えばアピール可能であり、その点でSNSは自分のことを知ってもらうのに最適です。このため、SNSを単なるコミュニケーションとしてではなく自分の普段見せられない長所を見せる…つまりアピールするために使えば女性の好感度アップにつながります。(1) SNSの投稿で好感度アップ!SNSの特徴として、今していることや近状を投稿できるというのがあります。そしてこれを利用すれば、簡単にアピールすることが可能です。例えば料理上手な女性がいたとして、本来それを男性にアピールするとなると、少なくとも料理や食事の話題の時にしかアピールできませんし、それ以外の場面でのアピールは明らかに不自然です。その点SNSは、LINEのタイムラインやTwitter、インスタなどでアピールしたいことを投稿すれば良いのです。例えば「肉汁たっぷりハンバーグ作ったよ」と写真と一緒に投稿すれば、それだけで料理上手という一面を簡単にアピールできるのです。ただしやり過ぎると自己顕示欲の強い女性に思われ、マイナスアピールになることもあるので注意が必要です。(2) メッセージを飾るだけで好感度アップ!SNSの場合、何でもない言葉でもそのメッセージを飾るだけで好感度がアップします。例えば冬に雪が降ってきたとして、男性と会った時に「雪が降ってきたよ」と言ってもそれで男性の心が動くはずないですよね。しかし、そのメッセージをLINEで送った場合はどうでしょうか。「雪が降ってきたよ」…この一言でも、絵文字を使ったり表現をかわいくしたりするだけで、丁寧にメッセージを送ったことが男性に伝わります。自分に丁寧なメッセージを送ってくれている…男性はそう実感できるため、女性の好感度も上がりますし、それどころか女性の気持ちが伝わる可能性すらあります。2. 注意が必要!やってはいけないSNSでの駆け引き何事にも失敗はつきものですが、恋の駆け引きにおいて失敗はできるだけ避けたいものですね。さて、SNSの恋の駆け引きにおいてもやってはいけないことがあり、それをすれば男性にプラスどころかマイナス印象を与えてしまいます。難しいのは、一見アピールに思えることが逆効果になってしまうケースがあることで、そんな紛らわしくやってはいけない間違った駆け引きの一例をお伝えします。(1) 自撮り画像を送る自撮り画像はいくらかわいく撮れても男性に送るべきではないですし、アイコンやトップ画像にしてしまうのは厳禁です。例えば遊びに行った時にみんなで撮った写真なら問題ないですが、明らかな自撮り画像は「自分はかわいいです」と受け取られてしまいます。仮に写真を送るのであれば、部屋の写真を撮ってその中に女性の腕なり脚なり一部だけ写っている方が余程男性をドキッとさせられるでしょう。これは例えルックスに自信がある女性であったとしても例外ではなく、自撮り画像を送る行為自体がマイナス印象を与えてしまうのです。(2) 長文丁寧なメッセージを送ろうとするとどうしても長文になりがちですが、多くの男性がSNSにおける長文を嫌います。その理由は簡単で、読むのが面倒だからです。メッセージのやりとりは短文が基本ですし、シンプルすぎて気になるのであれば、絵文字やスタンプで飾ることを考えましょう。最も、長文は常にNGと言うわけではなく、会話の中でここぞというタイミングで使うと効果的です。また、普段短文で送るからこそたまに送る長文に価値が出て、男性もきちんとそれを読んでくれます。この長文を使うタイミングこそ、SNSにおける恋の駆け引きの一つと言えるでしょう。3. まとめまとめると、SNSでの投稿を利用すれば簡単にアピールが可能です。このため、普段言う機会のない長所だとしても、投稿やプロフィールにあげることでその長所が確実に男性に伝わります。しかし、こうした利点がある一方でSNSならではの注意点もあります。例えば、自撮りはいくら自分の顔でもそれを送るだけで「自分はかわいいアピール」に思われてしまいます。また、直接の会話なら問題ないことでも文章にした時に長文になってしまうのであれば、それもまたマイナスの印象を与えてしまうのです。つまり、SNSの恋の駆け引きは実際に会った時の駆け引きとは全くの別物です。written by Ryuka
2018年12月13日村上隆の展覧会「村上隆のスーパーフラット現代陶芸考」が、3月11日から5月28日まで青森県の十和田市現代美術館にて開催される。アーティストとしてだけでなく、コレクター、キュレーター、ギャラリストとしての顔も持つ村上隆。そんな村上が近年特に興味を持っているのが、日本の現代陶芸だ。村上は陶芸をコレクションするだけでなく、現代陶芸のショップ「Oz Zingaro」も持っており、海外への紹介も行ってきた。さらに、昨年に横浜美術館で開催され、そのスケールで話題を呼んだ「村上隆のスーパーフラット・コレクション-蕭白、魯山人からキーファーまで-」では約400点もの現代陶芸を出品した。本展では、現代陶芸作家の作品から現代美術作家による陶芸作品まで28作家・約300点を村上のコレクションから展示予定。出展作家は、青木亮、安藤雅信、村田森、小嶋亜創、奈良美智や小出ナオキ、青島千穂、大谷工作室、ガブリエル・オロスコ(Gabriel Orozco)、ローズマリー・トロッケル(Rosemarie Trockel)、クララ・クリスタローヴァ(Klara Kristalova)など。【イベント情報】「村上隆のスーパーフラット現代陶芸考」会場:十和田市現代美術館住所:青森県十和田市西二番町10-9会期:3月11日~5月28日時間:9:00~17:00(入場は閉場の30分前まで)料金:企画展+常設展セット券1,000円、企画展のみ600円、高校生以下無料
2017年01月22日~現代の若者はどうしてすぐムカツクのか〜 敬愛する斎藤孝先生との対談の中で「どうして現代の若者はすぐムカツクのか?」について話したことがあります。斎藤先生曰く「心に襞(ひだ)がなく、感情に起伏がなく慢性的に気分が悪い状態にあるから」。人間の生活には、人間味溢れた家の造作、インテリアや街並み、喧しくないゆったりとした甘く優しい音楽、絵画、文学、髪型、服装、映画演劇が失ったのが原因です。だから相手とコミュニケートが成立しない。現代の若者を取り巻く文化が、建物で言えば灰色の打ちっぱなしのコンクリートのような状態にあるのです。だからロマンや人情の優しさが無くなり思い通りに行かなかったり、少しでも気に触れば“ムカツク”とマイナス感情に陥る。まずは、優しく美しく上品で和やかな文化や芸術で心に栄養を与え潤し感情を豊かにすることからです。さざ波のような心の起伏や変化は、人間の魅力のひとつです。
2016年09月26日展覧会「恋する現代アート」が、7月24日から11月23日まで、長野・軽井沢のセゾン現代美術館で開催される。恋愛は、人類最古の叙事詩と言われる『ギルガメッシュ叙事詩』や、日本で平安時代に生まれた世界最古の小説『源氏物語』など、昔から存在する文学作品に登場する。そして、現代美術作品においても数多くの作家が恋愛をテーマに、また、恋愛からインスピレーションを得た作品を創作してきた。本展では恋愛の要素を中心に、「好きな人に切ないまでに深く想いを寄せること」だけでなく、「昔の場所や事物に思いをはせること」という広義の恋からも着想を得ながら、恋愛にまつわる作品や恋愛を彷彿とさせる作品が主観的に展示される。出展作家には、アンディ・ウォーホルと共にアメリカン・ポップ・アートの旗手として知られるロイ・リキテンスタインや、ニュー・ペインティングの代表的な作家で、近年は『バスキア』や『潜水服は蝶の夢を見る』など映画監督としての活動で知られるジュリアン・シュナーベルの他、A.R.ペンク、篠原有司男、エルズワース・ケリー、ロバート・ロンゴ、宇佐美圭司、箱嶋泰美、小林正人らが名を連ねる。軽井沢の森の中で作品に「恋」をして、一見難しそうな現代アートがいかに簡単で面白いかを感じてみては?【イベント情報】「恋する現代アート」会場:一般財団法人セゾン現代美術館住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ヶ沢2140会期:7月24日~11月23日時間:10:00~18:00(11月は17:00閉館)※最終入館は閉館30分前料金:一般1000円、大高生700円、中小生300円休館日:木曜日(9月22日、11月3日は開館)但し8月は無休
2016年07月23日展覧会「恋する現代アート」が、7月24日から11月23日まで、長野・軽井沢のセゾン現代美術館で開催される。恋愛は、人類最古の叙事詩と言われる『ギルガメッシュ叙事詩』や、日本で平安時代に生まれた世界最古の小説『源氏物語』など、昔から存在する文学作品に登場する。そして、現代美術作品においても数多くの作家が恋愛をテーマに、また、恋愛からインスピレーションを得た作品を創作してきた。本展では恋愛の要素を中心に、「好きな人に切ないまでに深く想いを寄せること」だけでなく、「昔の場所や事物に思いをはせること」という広義の恋からも着想を得ながら、恋愛にまつわる作品や恋愛を彷彿とさせる作品が主観的に展示される。出展作家には、アンディ・ウォーホルと共にアメリカン・ポップ・アートの旗手として知られるロイ・リキテンスタインや、ニュー・ペインティングの代表的な作家で、近年は『バスキア』や『潜水服は蝶の夢を見る』など映画監督としての活動で知られるジュリアン・シュナーベルの他、A.R.ペンク、篠原有司男、エルズワース・ケリー、ロバート・ロンゴ、宇佐美圭司、箱嶋泰美、小林正人らが名を連ねる。軽井沢の森の中で作品に「恋」をして、一見難しそうな現代アートがいかに簡単で面白いかを感じてみては?【イベント情報】「恋する現代アート」会場:一般財団法人セゾン現代美術館住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ヶ沢2140会期:7月24日~11月23日時間:10:00~18:00(11月は17:00閉館)※最終入館は閉館30分前料金:一般1000円、大高生700円、中小生300円休館日:木曜日(但し8月は無休)
2016年07月20日毎日、仕事と育児に追われてしまうと、息抜きする時間もなかなかとれないもの。小説をゆっくり読みたいんけどそんな時間もない…。そんなときは、短時間で楽しめる現代短歌で気分を変えてみませんか? ■例えが面白い短歌「鋏状(はさみじょう)のものに睫毛をつかみ上げいくらも違わぬ面(めん)となりたり」『時のめぐりに』/著:小池光 出版社:本阿弥書店メイクをしない男性にとってビューラーはふしぎな道具。しかも「鋏状」と表現したところに、睫毛をカールすることに、小さな怖れがふくまれているのがわかります。実はこの作品、向かいの席で化粧をしている人がいるという、簡単な状況説明が添えられています。化粧する女性を未知の生物のようにとらえた視点がコミカルですね。「四十九個の疣(いぼ)の一つをわれ押してはなれたところのテレビを消しつ」『思川の岸辺』/著:小池光 出版:角川書店今度はリモコンのボタンを“疣”に見立てました。テレビを消すという日常の行為が謎めいた行動にみえます。疣にふれて家電を操作するのは、なんとも皮肉です。■共感をよぶ短歌次は、青春期の美しさと残酷さを目のあたりにした1首です。「東京に出でて女優になることもひと生(よ)の恋に似たるかなしみ」『行春館雑唱』/著:大野誠夫 出版:白玉書房スポットライトを浴びる女優。若いころは熱にうなされるように華やかさに憧れます。けれど、まぶしい舞台に立てる人はほんのひとにぎり。自分はスターになれない側の人間だと気がついたときの淋しさは恋と似ているのでしょうか。納得したり、共感したり、31音で完結するドラマはちょっとシニカルだけど、詠みやすく、初心者向けの本がたくさん。気軽に文学の世界に触れたい人にもおすすめです。
2016年04月29日俳句にあって短歌にはないもの。それは「季語」です。短歌は俳句のように季節を感じる言葉を入れなければならないというルールはありません。しかし、1首の中に春夏秋冬が入ると、くっきりとした情景がたちあがります。■短歌で感じる「春」「春に来て春に去り行くこの町の貯金通帳二冊が終わる」大田省三(『第10回 若山牧水青春短歌大賞入選作品集』)作者は「二冊」の「貯金通帳」という具体的な小道具を使い、町への愛着となごり惜しさを表現しました。さりげない言葉の奥の感情が刺激されます。「置時計よりも静かに父がいる春のみぞれのふるゆうまぐれ」藤島秀憲(『すずめ』)しんとした春の情景画のような作品。「置時計よりも静か」という描写で父親の存在感が深く胸に響きます。■「草花」のうた春といえば桜。桜の花を題材に詠ったことがないという歌人は、おそらくいないことでしょう。しかし、いっせいに草が芽吹き花がわらう春の花は、桜だけではありません。「エタノールの化学式書く先生の白衣に届く青葉のかげり」小島なお(『乱反射』)着眼点が非凡です。青葉のかげが映る白衣とは、ポエジーにみちています。春の教室特有の、空気のやわらかさや、あたたかさが伝わってきます。黒板に向かってC2H5OHと書く、教師をながめている一瞬がドラマになりました。「宇宙時間思えば一瞬にも満たずわたしの記憶にパンジーが咲く」小島なお(『サリンジャーは死んでしまった』)はるかな「宇宙時間」と「わたしの記憶」のコントラストがあざやかです。まだ若い作者は、自分が生きてきた時間をパンジーに重ね合わせました。冬から春にかけて庭にひろがるパンジーのかれんさと、作者の感性がオーバーラップするようです。「菜の花の黄(きい)溢れたりゆふぐれの素焼きの壺に処女のからだに」水原紫苑(『びあんか』)桜や梅はフォーマルな花。けれども、あぜみちや、バス停にひっそりと咲く菜の花はカジュアルなイメージがありませんか? ところが、かわいた素焼きの壷や、無機質な生娘のからだにあふれる「菜の花」は、幻想的で、美しい毒をはらんでいます。陽気なだけではない、ミステリアスな名歌だといえるでしょう。■春の「余韻」「ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は」穂村弘(『ジンケート』)冷蔵庫をあけると卵を置くための独特の空間があります。あのくぼみにひと粒ずつ涙が落ちていきます。ぬるくてしょっぱい涙も落ちてしまえば、もう誰のものなのかわかりません。「ほんとうにおれのもんかよ」と、つきはなしているのは自分自身なのか、それともまた別の誰かのことなのでしょうか。悲しい場面に悲劇的にならず、ちょっぴり投げやりにうたう技法は上級者ならではのテクニックです。「音楽になる一歩手前のまっさらな風だけが吹いてゆける市街」井辻朱美(『コリオリの風』)風は、やがて音楽にかわるのでしょうか。急激にあたたかくなる春は風が強い季節。まっさらな、洗いざらしの木綿のような風がかなでる名曲に耳をすませてください。歌人たちはうたいます。きびしい寒さにたえて芽吹く木々の生命力を。まぶしい青空を。光と風を。そして、永遠にもどらない現在という、その一瞬を。春を詠んだうた。春に読みたいうた。春は、ドラマがはじまる季節です。
2016年04月11日前回 は、子育てまっさかりの女性歌人がうたった子育て短歌をご紹介しました。今回は、パパになった男性歌人にうよる子育て短歌です。赤ちゃんが産まれる前からお腹の中で育てている女性にとって、つわりに苦しみ、陣痛に耐えて、ようやく対面したわが子は自分の分身のような存在。ところが男親にとっては、わが子の誕生はうれしい反面、戸惑うことも多いようです。現代歌壇で活躍中の男性歌人たちは、父親になることや育児、子育てをどのように考えているのでしょうか?父になる違和感?「陰暦の八月みたいにずれている 二十五歳の父であること」 吉川宏志『夜光』吉川氏は父親になった不思議さを、太陰太陽暦にたとえました。陰暦とは、日本では明治5年まで使われていた暦(旧暦)です。月の満ち欠けを基準に「月」を決め、太陽の動きをもとにして「年」を数えます。よって毎月1日はかならず新月になり、15日頃が満月になります。そのため現在の暦よりも1ヶ月ほど遅れます。だから、陰暦の8月を新暦に直すと秋になってしまいます。慣れ親しんでいる暦なら、真夏の8月に鈴虫が鳴き、すすきが生えているのは、なかなか理解しがたい感覚ですよね。「乳足らぬ 夜に鮎太が泣きはじむ 歯のない歯茎を我は見ており」 同上まだ、歯の生えていない新生児の口のなかはまっくら闇。そこにピンクの歯茎があるのは、なまなましく見えるものです。泣き出した息子をながめながら、作者は「歯がない歯茎」を発見した自分自身を客観視している、そんな歌です。ママよりもパパは、わが子を客観的に観察しているのかもしれませんね。しかし、歌集はクールな作品ばかりではありません。「頭(ず)の中で石の割れたる感じして 子の頬を撲つ飯食わぬ子を」同上「遊びたい 寝るのは嫌と子は泣けり こんなにわれは眠りたいのに」 同『海雨』子育てを歌にして詠むことで、人間くさい本心が見え隠れして、作品世界に奥行きが広がっています。父と母とで異なる、子が育つ楽しさと戸惑い「子が乳を飲まなくなりし寂しさと いうを聞けどもついにわからず」 松村正直『やさしい鮫』「子とふたり ならんで用を足すときの 何だろうこのかなしみのごときは」同上子が育つ楽しさと戸惑いにも、男女で温度差があるようです。しかし、卒乳の寂しさも、子と2人並んで用を足すときの哀しみに似た感覚も、ある意味では同じ気持ちだと言えるでしょう。赤ちゃんが、すこしずつ小さな人間に成長していく過程は、かすかな鈍痛をともなうものかもしれません。「出勤の前のひととき 仰向けの二十一本の子の歯を磨く」 同『午前3時を過ぎて』だからこそ、毎日が新しい感情の連続で、父も母も子の時間もまぶしく輝いているのではないでしょうか。お父さんも頑張っています!働きざかりの男性が、育児や子育てを頑張る姿は増えてきました。「聞けよ 父は何でもなんでも出来るのだ 母乳をくれてやる以外なら」 本多稜『こどもたんか』「はっきりと言える言葉はまずママでその次がイヤっ他はまだなし」 同上「抱き上げてむすめの涙乾くまで夕べの町をあるいていたり」 同上本多稜の作品『こどもたんか』は父親の立場で、全編を子育ての作品だけで構成した歌集です。これは、1,000年をこえる短歌史上初の挑戦です。本多氏は『こどもたんか』の「あとがき」に、子育ての楽しさをこのように語っています。「子育ては、発見の毎日。人生の復習でもある。子供の目を通して見る世界はなんと輝きに満ちていることか。その輝きを、ちいさな欠片でもいいから形のあるものにとどめておきたい」父親歌人としてのこうした作品が増えて、男性の育児参加が、もっと当たり前のことになってほしいですよね。パパは、授乳のほかは、何だってできるのですから!(有朋さやか<フォークラス>)
2016年03月22日子育て中の女性と短歌は、とても相性がよいのです。5・7・5・7・7文字の31音で完結する短歌には、短いながらにさまざま感情や情景が込められています。今回は、育児や家事をしながら言葉をつむぐ現役ママさん歌人たちが詠んだ、子育てをテーマにした短歌を紹介します。短歌のなかにはまさに「子育てあるある」がたくさん詰まっていました。子育てはネタの宝庫!?はじめに紹介する、春野りりんは、水彩で描くイラストのような作風が持ち味。昨年出版した歌集『ここからが空』(本阿弥書店)は、わが子の成長をよろこぶ、素朴で心温まる1冊です。そこに載っている短歌を数首、ご紹介します。「幼稚園 受験願書にひろびろと 長所欄あり 花の種をまく」 春野りりん(『ここからが空』)「手をあげて こたへる児あり 診察に ほかの患者のよばれるたびに」同上「母親はムスカ大佐、父親はオバマと登録されたるケータイ」同上病院でほかの患者が呼ばれても手をあげて返事をしてしまう…そんな愛らしい時期はひとときしかありません。作者がそうした、かけがえのない蜜の期間を大切にしていることが、短歌から見て取れます。「現在」にしかない、時間のきらめきが魅力的です。特別じゃなくていい。日常こそが、かけがえない日々中井守恵は、仙台在住。2014年に角川短歌賞次席に選ばれ、50首連作「あかるい春」で、息子と過ごす日常風景を詠い、注目されました。「震災を 思い起こせば その刹那 「きらきら星」を子は歌いだす」中井守恵(『短歌人』2016年1月号)「蟻を追う 息子のうなじを眺めれば しののめ色になりゆくこころ」同(『短歌』2014年11月号)「たいせつにたたむ靴下 草原に恐竜二頭が描かれていて」同上蟻を追いかけたり、靴下を畳んだりという何気ない生活を通して、赤ちゃんから子どもに少しずつ変わっていくわが子をいとおしく見つめる母親の姿が印象に残る歌ではないでしょうか。子育てはキレイごとだけじゃない、母の葛藤を詠んだ短歌次に紹介する森尻理恵は、地球物理学の研究者。子育てと研究を両立する日々を詠った歌集は読みごたえがあります。キレイごとだけにとどまらず、ワーキングマザーの葛藤をありのままに表現しています。「何もかも ママのせいだと子は泣きぬ 例えば庭が暮れゆくことも」森尻理恵(『グリーンフラッシュ』)「黒で絵を描く子は心が病んでいるとテレビは言えり さあて困った」同上「子をなして ハンディー負うは女ゆえ 君が決めよと同業の夫」同上「抱き方の下手なるわれによりすがり 泣く子に不思議な温かさあり」同上小さくても子どもは1人の人間。それゆえ、人が人を育てる過程には、ときに修羅場をさけて通れないこともあるでしょう。しかし、たとえ抱き方が下手であってもやはり、子どもは「ママが大好き」なのです。焦りや不安などの気持ちを素直に認めて短歌にしている面に、とくに共感しました。歌集は育児書や育児体験記のような実用書ではありません。しかし、ママさん歌人たちの作品には、ハウツー本でも得られないようなリアリティーがあり、他人にはおいそれと語れないような育児への不安や本音、そしてわが子への思いが込められていました。「「赤ちゃん」と かつて赤ちゃんだった子が 寄って行くなり 桃咲く道を」川本千栄(『樹雨降る』)ここに描かれている赤ちゃんも、やがて子どもになり、その後大人へと成長していきます。一瞬ごとに変化していくわが子の姿に、歌人たちは今日も、ことばをつむぎます。(有朋さやか<フォークラス>)
2016年03月15日以前、「職業・女優」というキャッチコピーがありました。確か、確定申告のポスターだったと思います。女優は舞台や映画に出演し、お芝居をすることで生活をしています。また、小説家は物語を書き、漫画家は絵を描き、ストーリーを練るのが生業(なりわい)です。ところが歌人は、短歌をつくるだけでは生活はできません。そのため歌人のプロになっても、皆それぞれに仕事を持っています。だからこそ、創作としてつくりあげるのではない、現場の、臨場感あふれる職場うたが生まれるのです。なかでもわかりやすくて、リアリティーある作品を紹介します。■21世紀の歌人がつむぐ、仕事のうた「皮膚科医の要らぬ性なり街なかで 義髪がすぐに見抜けることも」 「訊かざれど皮膚は語れり俯ける 少年の腕の煙草の跡よ」 医師:久山倫代「星芒体」皮膚科の医師である作者。もしも、皮膚科医でなければ、義髪も、たばこの跡もわからなかったことでしょう。けれども、勤務時間が終わってからも、また別件で診察をしていても、意識してしまう医師としての〈性〉を、シニカルに描いています。歌集のタイトル「星芒体」(せいぼうたい)はあとがきによると、「ある種の皮膚疾患の組織標本の中に見られる美しい物質」とのこと。なるほど。さすが、専門家ならではの着眼点です。「〈馬〉といふ漢字を習ひみづからの 馬に与ふるよんほんの脚」「日本語の日記見せにくる学生の 助詞の欠落のみ補いつ」日本語教師:大口玲子「海量」母国語でない言語を習得するのは難しい。なぜなら正確な発音や、文法を覚えなければいけないから。その反面、外国人が達者すぎる日本語をあやつると違和感があるときも。日本語教師の作者は懸命に漢字を覚える学生に、もどかしさと初々しさの両方を感じています。初心の時期にしかない輝きは、美しい反面、痛々しさも秘めているのではないでしょうか。「平身低頭謝っている鼻先で 羊羹2ミリ動いたようだ」「身のほどを知れと言われて大いなる 机かついで帰りぬ」会社員:奥田亡羊「亡羊」緊迫感がある場面とは裏腹に、作者の視線はわずかに動いた羊かんや、大いなる机といったこまかい部分に注目しています。■21世紀の啄木たち石川啄木が、「はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし) 楽にならざりぢつと手をみる」と、詠んでから約100年がたちました。さて現代の歌人は、時代と生活をどのように表現しているのでしょうか?「たぶん親の収入超せない僕たちが ペットボトルを補充してゆく」 山田航「さよならハグ・チルドレン」「手をつたう洗剤の泡アルバイト やめていいよと今日も言えずに」山田航「短歌」(2015年10月号)近年は、非正規雇用が急増。とくに男性にとって、結婚にふみきるのも度胸がいるのでしょう。21世紀の啄木ともいえる作品です。給料と、結婚にまつわるうたといえば、第61回角川短歌賞の次席に、こんな名歌がありました。「給料は「いくら」と問うてくる君に 「二十八」だと年齢答える」佐々木定綱「短歌」(2015年11月号)感情をこめずに事実のみを伝え、現実を浮かび上がらせているユニークな一首。ちなみに受賞したのは、就職活動をモチーフにしたこちらの一首。「鉛筆でごく簡潔に描く地図の 星のしるしのところへ向かう」鈴木加成太「短歌」(2015年11月号)「どんなにうまく傘をさしても容赦なく スーツを濡らす雨の散弾」鈴木加成太「短歌」スニーカーを履いて通学していた青年が、春からは革靴でどんな会社に通勤することになるのでしょうか。あたらしい環境でもまれながらつむぎだす言葉の結晶に、これからも注目したいですね。
2016年01月21日5・7・5・7・7の31文字で表現する、世界でいちばん短いポエム。それが、短歌です。短歌のルールは、自分の思いを31音で表現するということだけ。その決まりごとさえ守れば、何を詠むのかは自由です。よく、「短歌って、花鳥風月を入れるんでしょ?」ときかれます。おそらく国語の教科書に載っていた『万葉集』や『百人一首』の小むずかしいイメージが抜けないせいでしょうが、そんなことはありません。家族や恋愛、仕事や時事問題など、短歌はジャンルを問わないのです。短編小説をよむように、絵本を開くように、簡単に楽しめる短歌の世界。多くの短歌のなかから、21世紀を生きる女性歌人たちの相聞歌(恋愛の歌)を紹介しましょう。■ドラマチックな展開を予想させる博物館での逢瀬「触つてはいけないものばかりなのに博物館で会はうだなんて」山木礼子(『短歌研究』2013年9月号)博物館に展示されている作品には、「お手を触れないでください」と書かれています。遠い昔に使用していた道具や、泥のなかから発掘され、研究対象として保管されている貴重な品々…。うっかりさわるとこわしてしまうこともあります。そんな、「触つてはいけないものばかり」の展示室での逢瀬は、これからどのように発展していくかわからない恋愛模様を、ドラマチックに表現しています。山木礼子は、この歌をふくめた連作30首「目覚めればあしたは」で、第56回短歌研究新人賞を受賞しました。当時25歳でした。■一途に相手を思いつづける歌次に紹介する田中雅子は、決してふりむいてくれない人を思いつづける、静かな作風です。「許される程度に君を思う夜壁はぶあつく距離を知らせる」田中雅子(『青いコスモス』青磁社)「人づての便りを拾い集めれば嗚呼君が今この世に生きている」同(『令月』砂子屋書房)「ほんとうはかなしいロシアの民謡(うた)なんだ トロイカを君は教えくれにき」同頭では理解していても、心は一途に「君」をもとめてしまう。せつなさと、やりきれなさが伝わってきます。田中雅子は、苦しい心情をさりげない言葉に託します。さらっとした言葉選びをすることにより、美しく哀しい情景が強く胸に迫ってくるのです。■熱い気持ちと冷静さを表現最後は、情熱的でありながら、ガラスのような繊細さと、鋭さを持ちあわせている谷村はるかの作品を紹介します。「薄い鏡貼りつめられたきみの内部小さな言葉ほど反射する」谷村はるか(『ドームの骨の隙間の空に』青磁社)「土砂降りに打たせておいた そばで傘さしかける資格などないから」同「少年と少女みたいに回り道少年と少女ほど時間はないのに」同大人になれば、人と人との間合いの取り方にたけてきます。言葉を変えると、駆けひきが上手になるということでもあります。ところが、恋をすると、そんな自分自身が逆にもどかしくなることも。思いをよせる人と素直に向きあうことは、大人になるにつれて、むずかしくなるものかもしれません。歌集『ドームの骨の隙間の空に』は、つきつめて人を思う気持ちと、そんな自分自身を冷静にみつめるまなざしが交差する秀作だといえるでしょう。これからはじまる恋。おそらく実らない恋。素直になれない恋。恋愛には、さまざまなバリエーションがあります。人を思う気持ちが言葉に変わる瞬間に飛びかう火花。その美しさに息をのむのは、いつの時代にも共通している感覚なのかもしれませんね。
2016年01月07日