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頑固なカビ汚れ。気になっていても、なかなか本格的に掃除に踏み切れない方もいるのでは?今回は酢や重曹、市販の掃除スプレーを使ったカビ掃除をお風呂、キッチンなど場所別に実践。この記事を見れば、このカビをきれいさっぱり落としたくなるはず!家の中に突如現れる「カビ」。湿気の少ない時期でも、例えば結露から窓枠に、お風呂に、キッチンに。いろんなカビが身近なところに出てきますよね。まめに水分を拭き取ったつもりでも、いつの間にかにポツポツと姿を現します。「家族の健康の〜不完全燃焼。」というお悩みを抱えている方、「カビってそもそもどうしてできるの?」と疑問に思っている方、また「時間も〜どうしたらいいの?」と考えている方。そんな方も、適切な掃除方法が見つかれば、今後はカビに悩まされなくて済むはずです。そこで、カビ取り掃除で代表的な「酢+重曹」、「市販スプレー」を使う2つの方法で、家の中のカビ取りを実践。どちらがカビ取りには効果的なのか検証してみました。■目次1.黒カビって何?2.カビ退治に今回使ったのはこれ!3.「酢+重曹」と「市販スプレー」4.【実践編】キッチン5.【実践編】浴室6.【実践編】窓際7.【番外編】畳8.どちらがお得なの?実践結果から考えてみました。9.まとめ1. そもそも、黒カビって何?そもそも、カビってどういう存在なのでしょうか?カビは、空気中に浮遊している胞子が室内の表面に付着し、温度が5℃~35℃前後であれば、付着した表面の栄養と水分を利用して発育します。室内の空気1㎥中には、いつも数個から数千個のカビの胞子が浮遊しています。現在使用されているほとんどの建材を栄養にし、さらに建材の表面にほこりや汚れなどがあると、カビは喜んで育ちます。一般住宅の1年間の平均温度は10℃~30℃。一定量の湿度も確保されているため、家の中はカビの生息条件にぴったりなのです。3万種以上あると言われているカビの中でも、黒カビは世界各地に広く分布し、一番身近に存在しています。黒カビの正式名(学名)はクラドスポリウムといい、空気中に多く浮遊しています。湿度80%以上、温度20~30℃がこのカビにとっては最適な環境です。さらに、カビにとって汚れやほこりは大好物で、空気に触れることで元気に活動しはじめます。繁殖しやすい場所は、湿気がこもりやすい浴室内や洗面所の壁、結露が発生して湿った窓のサッシや壁、床。生活水で頻繁に濡れる台所の流し周辺、エアコンなどです。他にも、野菜や衣類など家中のいたるところに存在しています。繁殖力があり、低温・乾燥にも強いので掃除が行き届かない場合にも繁殖しやすく、喘息やアレルギーの原因になるとされています。こまめな掃除、高湿度環境が続かないように湿度管理、通気確保、水分でぬれた場所はふき取って乾燥させる、といったことを日常的に行うと、黒カビを防ぐことができます。2. カビ退治に今回使ったのはこれ!■家にあるものでカンタン退治!・酢・重曹・スプレーボトル・使い古しの歯ブラシ■取り扱い注意!化学の力で根こそぎカビ退治・市販のカビ取りスプレー・ゴム手袋・マスク・眼鏡3. 「酢+重曹」と「市販スプレー」ってどんなもの?■酢+重曹酸性の酢は雑菌が増えるのを防ぐと同時に、物を溶かし、はがす働きがあります。一方で、重曹には汚れを中和して分解する力があります。研磨する時、壁などの表面を傷つける前に重曹の方が削れて小さくなり、汚れだけを巻き込んで溶けます。軽く擦るだけで表面の汚れを落とせるので、掃除の際には大活躍しますね。酢と重曹を混ぜると、発泡します。発泡することで弱い汚れを浮かせることができ、狭くて手が届きにくい場所の汚れを浮かせる助けになります。混ぜることで、強力な洗浄力が生まれるわけではないので、お子様がいるご家庭でも安心して使用することができます。酢水スプレーの作り方は、酢50mlに水100mlをスプレーボトルに入れて、軽く振って混ぜるだけ。使い方は、酢水スプレー後に重曹をふりかけ、さらにその上から酢水スプレーをして約一時間待ち、洗い流すか拭き取ります。それで落ちていなければ、歯ブラシなどで擦りましょう。■市販スプレーカビの根まで撃退してくれる、強力なカビ取り用洗浄剤です。酸性タイプの製品と一緒に使う(まぜる)と有害な塩素ガスが出て、換気が不十分だと死に至ることもあります。使い方、使用上の注意、応急処置など、説明書きがていねいにされているので、きちんと確認してから使用しましょう。4.【実践編】キッチン水回りのパッキン部分にポツポツ黒カビが見えますか?部分的にパッキンと台の間にも入り込んでいます。■酢+重曹まず酢水スプレーを噴霧して、重曹をふりかけ、1時間待ちました。酢がかかっていたパッキンは以前より白くなっていますが、カビはやや薄くなっただけで落ちていません。同じ工程をもう一度しましたが変化はありませんでした。3回目は酢水スプレー後ラップをして1時間、その後重曹をつけて歯ブラシで擦りました。カビはやや薄くなったと感じるくらいでスッキリきれいには落ちませんでした。パッキンにカビの根を張ってしまっているようです。■市販スプレー乾いた状態で、【使い方】の通りにスプレーして、パッキンと台の間にも黒カビが入り込んでいるようなので歯ブラシで擦り、10分待った後洗い流しました。パッキンと台の間に入り込んだカビは少し残っているようです。5.【実践編】浴室浴室と脱衣所を仕切る扉のすりガラス部分に黒カビが生えています。日頃は洗剤をつけたスポンジでゴシゴシ擦りますが、減らすことはできてもスッキリ落とすことができません。狭い浴室で体を洗うときの、石けんや垢などがよく付着する場所です。■酢+重曹乾いた状態で、まず酢水スプレーを噴霧して、重曹をふりかけ、1時間待ちました。その後シャワーのお湯で洗い流しましたが、取れなかったので、もう一度酢水スプレーをして重曹を付け、古歯ブラシで軽く擦りました。その結果、黒カビは跡形もなくきれいに取れました。■市販スプレー乾いた状態で、【使い方】通りに使用。5分後にシャワーの水で洗い流すと、黒カビはスッキリきれいに落ちました。6.【実践編】窓際ほこりや結露、空気、温度などカビの大好物がいっぱいの場所です。■酢+重曹ここでも、まず酢水スプレーを噴霧、重曹をふりかけ、1時間待ちました。その後ぼろ布で拭き取りました。酢水スプレーをかけてもう一度拭き取りました。その結果、きれいに落ちました。■市販スプレー乾いた状態で、スプレーして5分待ちました。乾いたぼろ布で拭き取り、水で濡らして固く絞ったぼろ布で拭き取りました。拭き取り後は、まるで新品のようです。7.【番外編】畳畳にできてしまったカビはどうすればいいのでしょうか。畳のカビ取りに関しては、これまでの方法とは異なります。というのも、畳のカビ取りでは、重曹を使うと黄色く変色させてしまうのです。また、市販スプレーは説明書きの使えないもの欄に、獣毛のハケ・ブラシ、木製品と書いてありました。畳のい草は自然物であることから、おそらく使用できないものの部類に入るでしょう。ということで、畳のカビ取りでは、畳屋さんもお勧めしている「エタノール」を使いましょう。カビを殺菌し、水分を揮発させて掃除機で吸いとり、エタノールを吹き付けた布で拭き取るという方法が効果的です。酢は酸性で、揮発効果もあることからエタノールの代用ができますが、畳替えして半年以内の新しいものは変色してしまう可能性があるので注意が必要です。築30年ほどの家の畳です。一見わかりにくいのですが、近づいて見ると黒カビのポツポツが見えています。畳に酢をスプレーして、たわしで擦り、浮き出たカビを掃除機で吸います。その後、布に同じく酢をスプレーして拭き取りました。掃除機の後、酢をスプレーしたタオルで畳を拭くと、カビやほこりが混ざっていると思われる汚れがついてきました。この過程を3回繰り返すと黒いポツポツが薄くなり、畳全体もやや明るくなりました。8. どちらがお得なの?実践結果から考えてみました。■カビの取れ具合表面にできているカビは、「酢+重曹」も「市販スプレー」もカビの取れ具合には大差がありませんでした。ただ、パッキンの奥に根を張っている黒カビには、どちらの方法も何度も繰り返す根気が必要で、完全に元の状態に戻すのは難しいということがわかりました。一方で、大きな違いは、カビ取りにかかる時間です。「市販スプレー」が断然早く、どの汚れも5〜10分置いて洗い流したり、拭き取ったりするだけで、スッキリきれいにカビを取り除くことができました。「酢+重曹」の場合はゆっくり効いていくため、1時間待つのが基本。洗い流したり、拭き取ったりした後にブラシで更に力を加え、時には同じ工程をもう一度繰り返すことで、やっとスッキリ取れるといった具合でした。■掃除のしやすさ「酢+重曹」は皮膚が敏感な方は手袋をはめた方が良いかもしれませんが、ある程度気軽にお掃除を始めることができます。酢と重曹のおかげで汚れが取れやすくなり、ブラシで軽く擦るだけという利点を実感できました。一方で、「市販スプレー」は皮膚に付いたり、吸い込んだり、換気が不十分だと体に大きな影響が出ることから、ゴム手袋やマスクが必須です。目に入ると失明の恐れもあることから、眼鏡をかけるなど入念な準備が必要になってきます。小さなお子さんがいるご家庭では、掃除するときに使ったエプロンや服を終了時には着替えることをお勧めします。ただ、準備と使用するときの注意点を守って使えば、短時間でカビがスッキリ取れることを実感できる、便利なアイテムです。■コスパ基本的には家にあるものを使えばよいのですが、もし、全部の道具を一から揃えるとしたら、どうでしょう。今回の場合ドラッグストアで穀物酢78円、重曹1kg378円、ゴム手袋88円、カビ取り用スプレー278円。酢水スプレー容器と古歯ブラシ、マスク、眼鏡は家にあるものを使いました。カビ取り用スプレーはしっかりと効果のありそうなものを、説明書きを読んで選びました。実際にお掃除する人のこだわりや、もともと家にあるものなどにもよりますし、100円ショップを利用すれば、お安く揃えることができますね。ですが、酢や重曹はカビ取りだけでなく、多くの使い道があるので長い目で見たらお得と言えるでしょう。まとめ「酢+重曹」と「市販スプレー」、カビ取りに有効なのは結局どちらなのか。どちらか一つに決めなければいけないわけではないので、お掃除しようと思った時の、ご自分の生活状況に合わせて使えばよいのではないでしょうか。例えば、待つ時間もあり、安全に使いたいと思う方であれば、「酢+重曹」を使う選択を。日々忙しく、短時間で済ませてしまいたい方は「市販スプレー」を選択するとストレスを少なくできると思います。春の新年度を迎える前に徹底的なカビ取り掃除で家中スッキリしたら、新たな気持ちで春を迎えられそうですね。
2017年03月01日社会的にも省エネ化がうたわれるようになり、家づくりのテーマのひとつとしても省エネが掲げられるようになりました。その中でしばしば聞かれるのが「省エネ基準義務化」という言葉。一体どのような義務で、住宅や生活はどのように変わるのでしょうか。詳しく見てみましょう。■省エネ基準義務化への対応2015年から、現代の住宅における「省エネルギー性」に関する基準が設けられ、省エネが義務化することが決定しました。法案の名称は「建築物の省エネルギー性能の向上に関する法律案」というものです。日本の省エネルギー基準は、当初「新省エネルギー基準」というものが設けられ、そこから「次世代省エネルギー基準」「改正省エネルギー基準」へと強化され、東日本大震災後の2013年、新たに「改正省エネルギー基準」というものに改正されました。そして、これまでは基準でしかなかった省エネルギー基準が2020年にはすべての新築住宅を対象に義務化することが求められるようになりました。つまり、国が定めた省エネルギー基準に則った家でないと建てられないことになっているのです。これまでの住宅では、石油やガスなどのエネルギーが多用されていましたが、国内におけるこれらのエネルギーの自給率はわずか4〜5%。そのため国としては少しでも住宅での消費エネルギー量を減らしたいと考えているのです。また、義務化されることで温室効果ガスの排出量の削減も狙えるため、こうした目的も考えられるでしょう。突如起こったことのようにも思えますが、海外ではすでに省エネ基準の義務化は進んでいて、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国などでは数十年前から適合義務がありました。冬に暖房が必要になる国でありながら無断熱が許されていたという日本の状況は、世界から見ても遅れた状態にあったのです。また、日本で特に弱点だったのが窓の性能。窓の断熱性能は「熱貫流率」が低いほど高性能と言われますが、日本ではこの数値が4を超えるアルミ複層ガラスを用いている住宅が多く見られます。実は窓は、暑さ、寒さの原因と言われるほどに重要なもので、ドイツでは数値が1.3を超えるものは使用禁止となっています。こうした点を考慮すると、これまでの日本は他国に比べると基準が低いと言わざるを得ない状況だったのです。■改正省エネルギー基準は前の基準とどこが違う?改正省エネルギー基準の義務化が重要であることはわかりましたが、省エネ基準自体は昔からあったものです。今回の改正省エネルギー基準が今までのものとどのように違うのかわからないという方も少なくないでしょう。以下では、以前の基準と比較してどのように変わったのかを見てみましょう。【一次エネルギー消費量基準を導入】もっとも大きな違いとしては、旧基準である次世代省エネルギー基準が、壁が開口部などの冷暖房する空間と外気を仕切る「外皮」を断熱性能だけで評価していたのに対し、改正省エネルギー基準では、外皮に加え「一次エネルギー消費量基準」というものを新たに導入した点が大きな変更点です。一次エネルギー消費量とは、住宅の燃費の良さを表すもの。これまでの住宅では主に断熱性能を評価していましたが、それだけでは家の中で使うエネルギー量を減らすには至りませんでした。そこで、設備機器を含めた全体の省エネ性能を評価することで燃費の良い家を増やそうと、一次エネルギー消費量の基準が設けられたのです。戸建住宅の場合、空調や冷暖房、換気、照明、給油、家電調理などの設備のエネルギー消費量を合計することで、一次エネルギー消費量は算出されます。その際、太陽光発電やエコキュートなどの高効率給湯器は、エネルギー削減量として差し引くことができます。こうして算出された一次エネルギー消費量が、旧基準の断熱性と標準的な設備を考慮して割り出された基準値を下回ることが求められます。【外皮の計算方法も新しいものに変更】一方、外皮の評価方法も従来のものとは変わります。これまでは床面積から算出した「熱損失係数」と「夏期日射取得係数」を活用していましたが、それに代わり、外皮表面積から算出する「外皮平均熱貫流率」と「冷房期の平均日射熱取得率」に変更されました。これは、室内の寒暖差によって急病を起こしてしまう「ヒートショック」や結露の防止など、エネルギー消費量だけでは測ることのできない室内温度分布の観点も考慮されています。そしてこれまであった「年間暖冷房負荷」の基準が廃止となりましたが、断熱性能については旧基準に相当する水準が引き続き求められます。【地域区分は6から8に変更】改正前は6つだった区分が8つに変更されました。また、すべての区分で「日射遮蔽性能(日射熱取得率)」「断熱性能(熱貫流率)」の基準が設けられていましたが、改正後は区分1〜4に属する寒冷地においては日射遮蔽性能の基準が設けられておらず、区分8に属する蒸暑地においては断熱性能の基準が設けられていません。省エネ基準の判定は、「建築主の判定」と「設計・施工指針」のふたつのルートで行われます。建築主の判定は複雑な計算を用いる必要があるため、特別な支援プログラムが用いられ、一方の設計・施工指針に用いられる「外皮性能簡易計算法」は、外皮の建材に関する仕様書を使うと簡単に算出することができます。■新しい基準では光熱費が以前と比べてどれくらい削減できる?新しい基準が定められたことで、光熱費にはどのような変化があるのでしょうか。改正省エネルギー基準をすべて満たしている家と無断熱の家で比較してみると、60%近くもの削減が予想されることがわかりました。また、国土交通省が発表している資料によると、昭和55年に建てられた無断熱の家の年間光熱費が133,000円なのに対し、平成28年に建てられた省エネ基準を満たした家の年間光熱費は52,000円という結果が出ています。年間費用で比較しても大きな差額だと言えますが、これが35年も積もると、その差額は2,835,000円にものぼることになるのです。それでは、具体的にどのような部分において費用が削減されるのか見てみましょう。家庭におけるエネルギー消費は「給湯」がもっとも多く、次いで「照明・動力」「暖房」「冷房」という順番になっています。そのため、空気中の熱を集めて熱に変えるヒートポンプ技術を使った「エコキュート」、これまで無駄にしていた排熱を使ってお湯をつくることができる潜熱回収給湯器「エコジョーズ」などを駆使することで、給湯にかかる光熱費をぐんと抑えることができます。また、照明はLEDへの切り替えが進んでいますが、これも省エネに効果的。LEDの消費電力量は白熱電球の4分の1〜5分の1と言われていて、電力の変換効率は最大で34%。蛍光灯が25%、白熱電球が10%なのに比べると節電性が高いことがうかがえます。LEDは寿命の長さも特徴のひとつで、白熱電球の寿命が1,000〜2,000時間、蛍光灯の寿命が6,000〜12,000時間なのに対しLEDの寿命は40,000〜60,000時間。圧倒的に長く、光熱費のコストダウンも狙えるのです。さらに、実際に家を建てる地域よりも1段階寒い地域での省エネ基準に合わせると、節約効果はぐんと向上します。こうした機能の高い住宅を昭和55年の無断熱の家と比べると、年間で光熱費に190,000円もの差が生じるという結果も見られました。この金額が15年積み重なると3,000,000円もの差額になります。省エネ基準を満たすためには初期費用がかかるという懸念がありますが、こうした光熱費の差額を考慮すると、最終的には省エネ住宅の方がずっとお得だと言えそうです。■ゼロエネルギー住宅とは?これからどんどん普及していく?住宅の省エネルギー化を進めるにあたって、政府が最終的な目標としているのが「ゼロエネルギー住宅」です。これは住宅で使用されるエネルギーをゼロにすることを目標としているもので、現在の計画では、2030年に新築住宅の平均をゼロエネルギー住宅に、2050年にすべての住宅がゼロエネルギー住宅となることを目指しています。ゼロエネルギー住宅では、これまで掲げられてきた省エネに加え「創エネルギー」の導入も推奨されています。そして自宅で消費するエネルギー量よりつくりだすエネルギーの方が多い家を「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」、ZEHには至らないものの近い状態の住宅を「NearlyZEH(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」と呼んでいます。NearlyZEHの定義としては、「ZEHを見据えた先進住宅として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた住宅」とされています。数値で言うと、100%以上の省エネを実現したものをZEH、75%以上100%未満の達成率のものをNearlyZEHと定めています。以下では、具体的にZEHと認可されるために必要な条件を見てみましょう。【外皮の高断熱化】ZEHを実現するには、屋根や壁など外皮の断熱性を高めなくてはなりません。「強化外皮基準」で8つに分けられた区分のうち、住宅が該当する区分が定める数値を下回らなくてはなりません。高断熱が実現し、夏は涼しく冬は暖かい家になると、冷暖房の利用が自ずと減ってきます。住宅における冷暖房によるエネルギー消費量は大きいため、この部分が減ることによってエネルー消費量はぐんと少なくなります。ZEHの目的として、単純にエネルギー面がプラスマイナスゼロになれば良いというわけではなく、使用するエネルギー量自体をきちんと減らすことも考慮されていることが窺えます。【高効率な省エネルギー設備】ZEHの住宅では、使用する設備に省エネタイプを選ぶことも重要です。前述のようなエコキュートやエコジョーズといった設備や電球などの設備をはじめ、工夫できるところはたくさんあります。住宅で使用する設備は給湯や照明のほかにも、冷暖房や換気に関するものなど多岐にわたります。これらのひとつひとつに省エネタイプのものを選ぶことで、住宅全体のエネルギー消費量が抑えられZEHの実現へとつながるのです。【再生可能なエネルギーを活用】上記でご紹介した方法のように、極力使用するエネルギー量を抑えることは大切です。しかし暮らしていく上で、エネルギー量を完全にゼロにすることは不可能でしょう。そこでZEHの住宅を叶えるために、消費量以上のエネルギーを生み出すことが求められるのです。ポイントとなるのが、「自然エネルギー」。自然エネルギーとは太陽光や地熱、風力、水力など自然の力を活用して起こすエネルギーのこと。エコキュートなども自然エネルギーを上手に活用した設備となっています。ほかにも屋根に太陽光パネルをつけて発電をしたり地中に管を通したりすれば、家で使う電力をまかなえるだけでなく、余った分は電力会社に売ることもできます。また、こうしたエネルギー量を測るために計測装置を設置することも、ZEHの条件のひとつと言えるでしょう。もし家を建てる際にZEHを希望する場合、高性能な設備などを用意するために追加費用として2,500,000〜3,000,000円ほどかかると言われています。やむを得ない費用とは言え、大きな額の出費となってしまうことが予想されます。そこで国ではZEHの補助金制度を設けています。対象となる設備は高断熱の外皮や窓、高効率の空調や給湯、換気、照明器具などで、2016年度の補助金の額は全国一律で1,250,000円、寒冷地仕様の住宅の場合は1,500,000円でした。この時注意しておきたいのが、ZEHにおいて不可欠な太陽光発電は補助の対象外であるということです。しかし、太陽光パネルの設置費用は補助金の額にほぼ相当しています。そのため、補助金は太陽光パネルの設置費用に充てると良いでしょう。また、対象となる住宅の条件は以下の通りなのでこちらも申請前に確認しておきましょう。・専用住宅で、補助金の申請者自身が常時居住する住宅であること。ただし、住宅の一部に店舗などの非住宅部分があっても、条件を満たせば認められます。・新築建売住宅の場合は、申請者が建売住宅の購入予定者でもあること。・既築住宅の場合は、申請時に申請者自身が所有していること。賃貸住宅や集合住宅は基本的に対象外となりますが、申請者が所有する賃貸住宅・集合住宅の一部に申請者自身が居住する場合、その部分にのみ申請することは可能です。■まとめ国は2020年までに省エネ基準の義務化やZEHの標準仕様化を目指しています。もちろんエネルギー消費量を考えたゆえのことではありますが、これによって私たちの住宅が快適で暮らしやすいものになることが予想されます。省エネ基準の義務化にともない、省エネと創エネを実現していきましょう。
2017年03月01日地球温暖化を緩和させるためにさまざまなエコ活動が見られますが、その活動を住宅に応用したものが「省エネ住宅」です。しかし「実際に住人にはどのようなメリットがあるのかいまいちよくわからない」という方もいるのではないでしょうか。そこで今回は省エネ住宅について詳しくご紹介します。■省エネ住宅って?そもそも省エネ住宅とはどのような住宅なのでしょうか。簡単に言うと、消費エネルギーを極力抑えた家のこと。家庭では冷暖房や給湯器などさまざまなものにエネルギーを使っていて、日本で1年に発生する二酸化炭素は12億トンにものぼると言われています。そして、そのうちの1割が住宅から出ていると言われているのです。こうした点から、消費エネルギーの削減とともに二酸化炭素の排出量を減らすことが省エネ住宅の目的となっています。また、単純にエネルギー消費を抑えれば良いのではなく、省エネでありながら快適であるという点が省エネ住宅におけるポイントとなります。「快適な住宅」とは、真冬や真夏でも過ごしやすい家のこと。中でも、部屋の暖かさを逃さない「断熱」、外からの熱気を入れない「日射遮蔽」が快適さを決めるカギとなります。断熱と日射遮蔽の機能が高い家であれば、冷暖房に頼る必要がなくなり、自然と消費エネルギーの削減にもつながるためです。家の中ではさまざまなことにエネルギーを消費しますが、全体の30%を冷暖房が占めていると言われています。そのためこの部分を改善することで大幅な省エネも見込めるのです。■省エネ住宅で利用される自然エネルギー省エネ住宅において欠かせないのが「自然エネルギー」というもの。あまり聞きなれない言葉ですが、太陽光や風、水の力を活用したエネルギーのこと。これらを二酸化炭素の原因となる電気やガス、石油などのエネルギーの代わりに使うことで省エネにつながります。自然エネルギーは、主に「太陽熱」「風」「地熱」の3つが重宝されています。以下でそれぞれのエネルギーの活用法を見てみましょう。【太陽エネルギーの活用】太陽エネルギーは主に太陽光発電に活用されていて、屋根や庭に太陽光パネルを設置して電気に変換するという方法が採用されています。実際につくられた電気は家庭で使うことができるほか、余ったら電力会社に買い取ってもらうこともできます。また、太陽光とオール電化を併用すれば、節約にもつながるでしょう。つくられた太陽光熱は、冬と夏で異なる活用法が考えられます。例えば冬は、外気を専用のダクトで取り込んで屋根に設置したガラスで暖め、それを床下に送って放出することで家を暖めることができます。夜は外気の取り込みを中止して、床下に貯めた暖かい空気を放出すれば家中が暖かいまま夜を過ごすこともできるでしょう。一方、夏には暑い空気が家に溜まらないように屋外に熱気を放出することもできます。さらに、放出した空気や太陽熱を活用してお湯を沸かす仕組みにしておけば、お風呂や給湯などに活用することもできます。【地熱エネルギーの活用】地熱エネルギーとは、日本の豊かな地熱資源を活用したもの。地下5メートルの地中は一年中安定した温度を保っているため、太陽光発電や風力発電のように天気に左右されることがないという強みを持ったエネルギーです。地中熱の活用法にはいくつかありますが、ひとつめは「空気循環」、ふたつめは「熱伝導」です。空気循環には「クールチューブ方式」と「ヒートポンプ方式」があります。クールチューブ方式は建物の外から地中にかけて管を埋め、地中から建物内にもその管を通すというもの。夏に30度の外気を管に通すと、15度ほどの地中で冷やされます。そしてそれを屋内に持ち込んで室内を冷やすという仕組みです。しかしこの方法にはデメリットもあります。高温多湿な地中で冷やすため結露が生じカビが生えてしまうのです。そこで採用されるのが「ヒートポンプ方式」。管の中には外気ではなく気体の冷媒を通して熱を取り除くことで結露を防ぐことができるのです。また、熱伝導に利用する場合は「伝導型地中熱利用方法」というものが採用されています。床下システムというものを設置しておき、春から夏にかけて暖められた地中熱を冬まで持ち越します。そして冬になると床下に暖気を送り込み家を暖めるという仕組みです。そのほかにも、風車の回転を利用した風力エネルギーや、水の力を利用した水力エネルギーなどが挙げられます。■省エネ住宅の設計ポイント実際に省エネ住宅の建設を考える際に、どんなところに気をつけたら良いのでしょうか。住宅が省エネ住宅に該当するかどうかを判断するには「住宅の省エネルギー基準」というものが基準とされていて、一般的にはこれを満たすと省エネ住宅とみなされています。これは1980年に制定されて以来、法律の改正に合わせて強化されていて、2013年の改正時からは外皮性能と住宅全体で使用するエネルギー量の二面から住宅の省エネルギー性能が評価されるようになりました。また、この基準は日本全国を8地域に分け、エリアごとに基準値を定めています。さらに、省エネ基準を上回る基準として「住宅事業建築主の判断の基準」、「低炭素建築物の認定基準」というものもあります。これらの基準を満たすためには高度な設計が求められますが、以下のような点に気をつけておくと良いでしょう。【断熱】まず大切なのが断熱を意識することです。床、外壁、天井、屋根など外気に接している部分を断熱材で隙間なく包みましょう。室内から熱を逃さず温度を下げないことが大切です。もし断熱材に隙間があると熱が室外へと逃げてしまうだけでなく、逆に外から熱が侵入しやすくなってしまいます。すると室内の温度を一定に保つことが難しくなり、結果的に結露ができやすくなってしまうのです。特に大切なのが、窓など開口部の断熱。冬の暖房時に室外へ出てしまう熱の5割が開口部から、夏の冷房時に外から侵入する熱の7割が開口部からと言われていることからも、断熱のキーポイントであることが窺えます。二重窓にしたり複層ガラスの窓にしたりすることも効果的です。【遮熱】次に大切なのが遮熱です。断熱が進むと今度は熱を外に出すことが難しくなってしまうため、直射日光による熱が入り込むのを避ける必要があるのです。遮熱をすると冷暖房の効きが良くなるというメリットがあります。遮熱の具体的な方法には、窓の内外にブラインドや遮熱ガラス、ひさしなどを設置して太陽熱を遮断する方法が考えられます。ブラインドなどは、窓の内側より外側につける方が効果がぐんと上がります。【換気】そして換気も非常に重要です。絶えず空気が流れる環境をつくっておくことで部屋間の温度を一定に保つことができるようになり、快適性が向上するだけでなく結露予防にもなります。■省エネ住宅のメリット省エネ住宅にすると快適な住まいが手に入ることがわかりましたが、実際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で見てみましょう。【コストが削減できる】まずは省エネが実現することによってコスト削減につながるという点がもっとも大きなメリットだと言えるでしょう。住宅の環境が整うことによって冷暖房に使う費用を削減することができます。さらに太陽光発電などでつくった電気を売ればお金をつくることも可能です。【家の中の寒暖差が少ない】前述の通り、省エネ住宅には断熱材が使われていて、家の中の温度差を少なくするように努めています。機密性にも優れているため、外の寒さや気温の変化に影響を受けることが少なくなります。家の中の部屋間の温度差も少なくなるので、高齢者やペット、赤ちゃんにとっても住みやすい住宅が実現します。【空気がきれい】省エネ住宅は気密性にも優れていますが、一方で空気が外へ出て行きにくくなり淀んでしまうというデメリットも考えられます。そこで現在の省エネ住宅では、室内の空気を効率よく換気するシステムを採用。計画的に空気を循環し、いつでも家の中の空気をきれいに保つことができるようになりました。【遮音性、耐久性が高い】気密性の高さゆえに、外からの騒音をシャットアウトするとともに、家の中で発生した音も外に漏れにくいつくりにもなっています。結果、遮音性の高さも兼ね備えた住宅になります。また、断熱性が高く結露を防いでくれるのも省エネ住宅のポイントのひとつ。そのため構造部に腐食が出ることもなく家自体の耐久性も向上します。【環境にやさしい】そして忘れてはならないのが、本来の目的である地球にやさしい家であるという点。自然エネルギーを駆使しているので、問題となっている二酸化炭素や有害物質の排出量を抑えることに成功し、人間だけでなく、環境にもやさしい住宅が実現します。■省エネ住宅のデメリット良いところだらけのように思える省エネ住宅ですが、デメリットもあるのでしょうか。実は使うエネルギーやつくりが通常とは異なっているために初期費用が高くなってしまうのです。例えばオール電化にする場合、自然エネルギーを使った設計にすることからも、一般的にガスの設備に比べると費用は高く設定されています。新築で省エネ住宅にする際はもちろん、リフォームで省エネ住宅を実現する場合でもコストは高くついてしまうでしょう。そのため、窓などの開口部だけに絞ってリフォームをするなど部分的なリフォームからはじめるという方も多く見られます。しかし、初期費用が高いからと言って省エネ住宅を諦める必要はありません。日本では省エネ住宅の普及に力を入れていることからも省エネ住宅に対する補助を拡大しています。実際に以下のような補助があるので、一度検討してみると良いでしょう。【エコキュート補助金】給湯に使用するエネルギーは、家庭で消費するエネルギー量の3分の1を占めていると言われています。そのためエコキュートは省エネ効果の高い給湯器として国から認定され、補助金の交付対象になっています。しかし、国の補助はすでに終了していて、全国一律の補助は存在していません。現在は自治体ごとに補助を行なっていて、補助金額も自治体によって異なります。また、自治体によっては補助を終了しているところもあるので注意が必要です。補助を希望する場合は、まず自治体が補助を行なっているかどうか確認しましょう。さらに補助は先着順となっているため、見つけたら早めに申し込んでおくと良いでしょう。【省エネリフォーム減税】また、省エネ機能が向上するリフォームを行う場合は税の控除が受けられます。例えばすべての窓に二重サッシやペアガラスを取り付けるなどの断熱リフォームと、天井裏に断熱材を設置するなどのリフォームを行った場合などが対象となります。減税には主に、「ローン型減税」、「投資型減税」、「固定資産税の減税」の3つがあり、状況に応じて併用することも可能です。ローン型減税の場合は5年以上の住宅ローンを借りて一定の省エネリフォームをした場合に利用することができ、一方の投資型減税の場合は住宅ローンの借り入れがなくても利用することができるもの。太陽光発電も設置する場合は控除額が増額されます。また、リフォーム完了の翌年にかかる固定資産税を3分の1減額することも可能となります。もし省エネリフォームを検討している場合は、これらを上手に使って賢く省エネ住宅をつくりましょう。■まとめいかがでしたか?省エネ住宅は環境にやさしいだけでなく人間にとっても快適で住みやすい家を実現してくれるものであることがわかりました。初期費用が高いというネックは補助金を活用しながら解決すれば、通常のリフォームと大差ない費用で行うことも可能です。家での時間をより心地よいものにするためにも一度検討してみるのも良いでしょう。
2017年03月01日進学や就職などを機にこれから一人暮らしを始めるという方にとって気になるのが、初期費用がどのくらいかかるのかという点です。せっかくの新生活をゆとりをもって始められるよう、一人暮らしにかかる費用と安く抑えるためのポイントをご紹介します。■部屋を借りる際にかかる費用の種類当然のことながら、まず一人暮らしを始めるために準備しなくてはならないのが、自分が暮らす部屋です。部屋を借りると言っても、敷金や礼金以外にも費用が必要になり、契約する会社や物件によって求められる金額は異なります。以下では、部屋を借りる際に主に必要となる費用と相場について見てみましょう。【敷金】敷金とは、貸主である大家さんに渡す「保証金」にあたるものです。住み始めた後に家賃を滞納してしまった際や、部屋を退去する際に修繕・クリーニングが必要な際などに使われます。そのため、原則として返還されるお金ではありますが、たとえ家賃の滞納がなかったとしても退去時に必要になることが多く、返還されないこともしばしば。もともと敷金が返還されない契約になっている場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。敷金は、基本的には家賃の1ヶ月分〜3ヶ月分の間で設定されています。家賃70,000円の部屋を借りる場合、敷金の設定が1ヶ月分だったら70,000円、2ヶ月分だったら140,000円という計算になります。また、「敷金ゼロ」をうたっている物件もありますが、退去時にクリーニング代を求められるケースがほとんどなので、先に払うか退去時に払うかという違いに過ぎません。【礼金】礼金とは、その名の通り、大家さんにお礼の気持ちとして渡すお金のことです。昔は、親御さんが下宿先の大家さんに「うちの子どもをお願いします」と言って渡していたため、その慣習が礼金として残っているのです。こちらも敷金と同様、ほとんどが家賃の1〜3ヶ月分の間で設定されています。礼金は敷金とは違い、返ってこないお金なので、借主としては極力抑えたいところです。次のような物件の場合は礼金ゼロにしているケースも見られるため、探してみるのも良いでしょう。礼金ゼロ物件で特によく見られるのが、空室が多い物件。大家さんにとっては空室が長引くほど家賃収入が減ってしまうので、礼金を引くなどして少しでも早く借り手を見つけたいという思いがあり、礼金をなくしているのです。また、礼金はお礼のお金なので、UR賃貸住宅など公的機関が貸主となっている物件の場合は徴収できないという決まりになっています。【仲介手数料】仲介業者を介して契約を結んだ際は、業者に対して支払う手数料も必要になります。こちらは成功報酬なので、契約が成立した時に発生します。物件を紹介しただけでは払う必要はありません。仲介手数料の上限は貸主・借主の双方から家賃0.5ヶ月分ずつと定められていますが、借主が了承した場合は、貸主が全額に当たる家賃1ヶ月分を支払う契約にしても良いことになっています。実際、家賃1ヶ月分の支払いを求められることが多いようです。【前払い家賃】家賃は基本的に前払いなので、翌月分の家賃の支払いが必要になります。さらに、入居日が月初めでない場合は当月分の日割り家賃も発生します。例えば、3月20日に家賃70,000円の物件に入居した場合の日割り家賃は、以下の通りです。70,000円÷31日(3月の日数)×12日(入居日数)=27,097円【火災保険料】火事や水回りのトラブルなど災害による被害に対する保険です。賃貸の契約期間と同じ期間を対象にしていて、相場は20,000円前後となっています。賃貸契約の更新の際には、こちらも合わせて更新しなくてはなりません。【鍵の交換費】前の入居者が使っていた鍵から別の鍵に付け替えるために必要な費用です。鍵を交換しない選択もできますが、交換しておいた方が安心でしょう。費用は10,000〜20,000円程度で、オートロックの場合は30,000円近くかかることもあるようです。入居時ではなく退去時の支払いにしているところもあるようなので、支払いのタイミングはあらかじめ確認しておきましょう。上記を踏まえ、家賃70,000円(他、共益費・管理費3,000円)の物件で、敷金・礼金は各2ヶ月分、仲介手数料1ヶ月分、前払い家賃1ヶ月分として費用の計算をしてみましょう。敷金140,000円+礼金140,000円+仲介手数料70,000円+前払い家賃73,000円+火災保険料20,000円+鍵交換20,000円=463,000円こうしてざっと見積もるだけでも、家賃の半年分ほどの費用がかかることがわかります。■引っ越し屋にかかる費用引っ越しも費用がかかりますが、移動距離や荷物の量によって金額は変わります。3〜4月の新生活の時期は引っ越し業者の繁忙期にあたるため、それ以外の時期に比べると費用は高くなる傾向にあります。一人暮らしの場合は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、レンジなどの主な家電に加え、布団やベッド、その他の荷物はダンボール10箱程度になることが予想されます。前述の荷物を想定し、以下で引っ越し費用について見てみましょう。【通常期の引っ越し費用】・同市区町村内(〜15㎞)…20,000円前後・同都道府県内(〜50㎞)…2,2000円前後・同一地方内(〜200㎞)…30,000円前後・東京から大阪など他の地方への移動(〜500㎞)…43,000円前後・遠距離移動(500㎞〜)…5,5000円前後同程度の距離の引っ越しでも、繁忙期となると以下のように値上がりします。・同市区町村内(〜15㎞)…25,000円前後・同都道府県内(〜50㎞)…30,000円前後・同一地方内(〜200㎞)…47,000円前後・東京から大阪など他の地方への移動(〜500㎞)…60,000円前後・遠距離移動(500㎞〜)…80,000円前後引っ越す距離や時期によって費用は大きく異なることがわかります。また、家族や友人たちの力を借りてレンタカーで引っ越しをすれば、費用もぐんと抑えることができるので、近距離であれば検討してみるのも良いでしょう。■必要な家具や家電にかかる費用一人暮らしの場合はシングル用の家電や家具で十分に事足りるでしょう。買い揃えるのにかかる費用を見てみましょう。【冷蔵庫】家庭用の大きいサイズの冷蔵庫だと、電気代もかさんでしまいます。そのため200ℓ以下のコンパクトサイズのものを選ぶようにしましょう。一人暮らし用のものであれば、30,000円以内で購入することができます。【洗濯機】一人暮らしになると洗濯の頻度は週に2〜3回程度になるので、こちらも必要以上に大きなものを買う必要はありません。タテ型やドラム式などさまざまな種類がありますが、それぞれメリットは異なります。ドラム式は水道代の節約になりますが、洗浄力が高く洗濯機自体の価格が安いのはタテ型。20,000円代で購入することができるので、一人暮らしの際はタテ型がおすすめです。【オーブンレンジ】一人暮らしをすると、一度に食べられる量なども限られるのでレンジに頼ることが多くなります。実家ではあまり使わなかったという方も、購入を検討しておきたいところです。温めや解凍などの最低限の機能のものであれば5,000円前後から、オーブン付きのものは10,000円以上します。【炊飯器】自炊の際に欠かせないのが炊飯器。最近ではご飯を炊くだけでなく、さまざまな料理に活用するアイディアも人気を集めています。2〜3合炊きの小さなものは5,000〜10,000円ほどで購入することができます。【ベッド】一人暮らしの場合は、毎日布団をたたまなくて済むためベッドを利用する方が多いようです。ベッド下に収納スペースがあるものを選べば、部屋をすっきり見せることも可能です。シングルベッドは15,000〜20,000円前後、下にデスクやソファを置くことができるロフトベッドは20,000〜50,000円ほどします。【テーブル】一人暮らしであれば座卓のテーブルをまずひとつ購入しておきましょう。横幅1mほどのものであれば5,000円以内で購入できます。その他、掃除機やテレビ、照明器具なども必要に応じて購入しておきたいところです。家具・家電には合わせて100,000円ほどは用意しておきましょう。また、冷暖房器具がすぐに必要な場合は、そちらも合わせて購入しましょう。家具や家電や容易に買い替えられるものではありません。あらかじめ部屋の寸法やレイアウトを確認し、失敗のないようにしておくことが大切です。■必要な生活必需品にかかる費用上記の家具・家電に加え、生活に欠かせない細々とした必需品も買い揃えなくてはなりません。どのようなものが考えられるか、以下にリストアップしました。【キッチン】・コンロ・鍋、フライパン・やかん・まな板・包丁・ボウル、ざる・食器・箸、スプーン料理があまり得意でない方は、軽量スプーンやピーラーなどの器具も揃えておくと安心です。部屋によってはガスコンロが使えないこともあるので、契約書で自分の部屋で使えるコンロの種類を確認しておきましょう。【トイレ、バス】・シャンプー、ボディソープ・洗顔料・歯ブラシ、歯磨き粉・トイレットペーパー・タオルタオルは忘れがちですが、バスタオルやフェイスタオルなど複数のサイズを用意しましょう。【掃除、洗濯用具】・ゴミ袋・各種洗剤、漂白剤・トイレ用ブラシ・雑巾、スポンジ・物干し竿、洗濯紐・洗濯バサミ・洗濯ネットその他、カーテンやゴミ箱なども必要になります。それぞれの単価は安いものが多いですが、一度に買うと費用もかさみます。20,000〜30,000円ほど確保しておくと安心でしょう。■初期費用を節約するコツ上記では一人暮らしを始めるための初期費用について見てきましたが、想像以上にお金がかかると感じた方が多いのではないでしょうか。しかし、うまく節約すれば初期費用を抑えることも可能です。以下では、「物件」、「引っ越し」、「家具・家電」それぞれの初期費用節約のコツをご紹介します。【物件費用を節約するコツ】①敷金あるいは礼金をゼロにする初期費用のうち、半分以上を占めるのが物件に関する費用です。ここを抑えると、大幅な節約になります。前述の通り、敷金・礼金がゼロの物件も探せばあります。もし希望の物件に敷金・礼金がついていたとしても「どちらかをゼロにしてもらえたら即決します」と交渉をすればゼロになることも多々あります。即決という切り札が大きな効力を発揮しますが、契約成立後に「やはり住むのをやめる」というのはマナー違反なので、本当に住みたい部屋にだけ交渉しましょう。②直接契約で、仲介手数料ゼロに仲介手数料が発生するのは、仲介業者を介した場合です。そのため、物件の管理業務を行なっている会社と直接契約を結べば、仲介手数料はかかりません。特に、物件の近所に店を構えている地域密着型の不動産であれば、仲介手数料ゼロのケースも多く見られます。また、仲介手数料ゼロの不動産サイトも増えてきているので、そうしたところで探してみるのも手です。③フリーレント物件を活用しようフリーレントとは、一定期間の家賃が無料になる物件のこと。無料期間は数週間から2ヶ月の間で設定されていることが多いようです。フリーレント物件の場合、短期間の契約は受け付けていないこともあるので、希望する契約期間と合うものを探しましょう。【引っ越し費用を節約するコツ】①単身パックなどお得なプランで依頼する引っ越し会社によっては、単身者向けの引っ越しプランを設定しているところもあります。学生なら学割があるところもあるので、そういったものを利用すると安くなります。ただし、設定されている積載量を超えると余計に費用がかさんでしまうこともあるので要注意です。②引っ越し時期の他、時間を譲れば安くなる引っ越しには繁忙期とオフシーズンがあることをお伝えしました。オフシーズンに引っ越しをすれば費用削減になりますが、引っ越し時間によっても費用を抑えることが可能となります。例えば土日の午前中などは人気の時間帯ですが、平日の午後便や、時間を指定しないフリー便を活用すれば、それだけで安くすることが可能です。見積もりの際に比較してみると良いでしょう。【家具・家電費用を節約するコツ】①家電つき物件なら購入の必要なし家具や家電については、最初から物件についているところもあります。すべて新品で揃えると100,000円近くがかかり、さらに次に引っ越しをした際に、前の部屋で使用していた家電が合わないというケースもあります。「家具家電付」という検索方法ができる不動産サイトもあるので、調べてみましょう。②家電のまとめ買いは、値引き交渉のチャンス家電量販店での買い物は値引き交渉ができるチャンスでもあります。特にまとめて家電を購入する場合は、費用が大きくなるので交渉もしやすくなるでしょう。また、配送料の値下げであれば交渉しやすいでしょう。■まとめ一人暮らしの初期費用は想像以上にかかってしまいがちです。しかし、ポイントを抑えれば、ぐんと節約することも可能になります。上記を踏まえた上で、自分にできる節約ポイントから実践してみてはいかがでしょう。
2017年03月01日車を購入するのにお金がかかるのはもちろんのことですが、維持費にもお金がかかってしまいます。少しでも費用を抑えて車に乗り続けるために、車の燃費は良くしておきたいもの。そこで今回は、車の燃費を良くするアイデアとガソリン代節約のコツをご紹介します。■車の燃費の確認方法まずは、車の燃費を知ることからはじめましょう。最近の車には燃費計が搭載されているものも多く瞬間燃費や平均燃費がわかるようになりましたが、燃費計のついていないものではなかなか燃費を知ることができません。また、車を購入する際に見るカタログと実際の燃費の差異に驚いたという方もいるのではないでしょうか。カタログ用の燃費は「JC08モード」という国土交通省が定めた特殊な計算方法を用いていて、実際に道路を走行して計測するのではなく、シャーシダイナモを使ってさまざまなパターンを計測したものを表記しています。そのため、道路状況などの条件が実際とは異なっていることが多く、燃費にも差が出てしまうのです。実際の燃費はカタログに表記されているものの70%程度ほどとなっています。それでは、実際の燃費を計測するにはどのような方法があるのでしょうか。以下では、燃費計の有無にかかわらず燃費を確認することができる「満タン法」という方法をご紹介します。【1.トップメーターをリセットする】だいたいの場合はメーターの横にリセットボタンがあるので、給油前にリセットボタンを押しましょう。【2.ガソリンを満タンに給油する】ガソリンまたは軽油を満タンまで給油します。【3.燃料が減るまで走行する】燃料を減らすことで、燃費の計算がしやすくなります。極力減らしましょう。【4.ガソリンを給油する】燃料がある程度減ったら、再び満タンにします。【5.走行距離を給油量で割る】1の手順でリセットしたトップメーターに表示されている数値を、給油した燃料のリッター数で割ります。例えばトップメーターの数値が「600.0km」となっていて、給料が「60L」だとします。すると走行距離の600を給油量の60で割るという計算になり、これによって算出された10という数値が1リッターあたりの走行距離となり、実燃費「10L/km」ということがわかります。また、最近では燃費の計算ができるアプリも登場しているので、ダウンロードして試してみるのも良いでしょう。前述のトップメーターの数値と給油量を入力するだけで燃費を割り出してくれます。さらには以前計算した燃費との比較もできるので、遠出した際の燃費などを比較してみても良いでしょう。■燃費を良くする運転方法ガソリンが多く消費されるのは、アクセルを強く踏み込むなどパワーを使う時。そのため、運転方法を少し工夫するだけで、燃費を良くすることができます。以下で紹介するポイントを意識して、できることから実践してみましょう。【発進時は徐々にアクセルを踏もう】一番ガソリンを使うのが発進時と言われています。アクセルを踏み込むとエンジンに高い負荷がかかるためです。ブレーキを離してすぐにアクセルを踏み込むのではなく、徐々にアクセルを踏みこんで無駄な加速はしないようにしましょう。AT車の場合はブレーキを離すとゆっくり加速するので、それを利用してアクセルの踏み込みを減らすのも有効です。【できるだけアクセルの踏み加減は一定に】また、アクセルの踏み具合は一定に保つよう留意しましょう。急なブレーキや加速を繰り返すとガソリンを無駄に消費し、燃費が悪くなる一方です。エンジンにも負荷がかかってしまうため、車に長く乗り続けるためにも注意しておきたいところです。速度に気をつけるのはもちろん、車間距離を十分に保つなどの工夫も考えられます。そしてなるべくブレーキとアクセルを多用しなくて済むよう、緩やかな速度で一定な運転をするよう心がけましょう。【エンジンブレーキを活用しよう】車は、エンジンブレーキを使っている間は燃料の供給がストップする仕組みになっています。そのため極力エンジンブレーキを活用してガソリンを節約するよう努めましょう。長い下り坂を下りる時や前方の信号が赤になった時などは、数100m手前からゆっくりアクセルを離しながら減速しましょう。ブレーキペダルは燃料を使ってしまうので注意が必要です。【アイドリングはなるべくしないように】エンジンがかかった状態で停車していることをアイドリングと言います。ガソリンの消費自体は少ないですが、積み重なると燃費が悪化する要因となってしまうので、踏切待ちなどで長時間停車する際などはエンジンを切るようにすると良いでしょう。また、近年発売されているエコカーにはアイドリングストップ機能というものがついていて停車の際は自然とエンジンが止まるようになっていますが、ついていない場合は極力手前から減速するなどの工夫をするとアイドリングをせずに済みます。他にも、渋滞に巻き込まれると加速や減速を繰り返すことになりガソリンが大量に消費されてしまいます。【クーラーは極力使わないように注意しよう】どうしても車内は熱がこもりがちなので、クーラーを活用しているという方は多いでしょう。ところがクーラーはエンジンへの負担が大きく、最大20%ほど燃費を悪くしてしまうこともあります。窓を開けたりするなどして極力使用しない環境づくりに努めましょう。一方、暖房の場合はエンジンの熱を活用して温める仕組みになっているため燃費に影響を及ぼすことはありません。【短距離走行を避ける】日常生活で車を活用しているという方が多く見られますが、実は短距離の走行を繰り返すと燃費が悪くなってしまうのです。というのも、エンジンが十分に温まらない状態で走行することになるため、燃料効率が落ちてしまうからです。短距離走行はガソリン消費量も多くなってしまうので、できるだけ避けたいところです。ひとつの目安は20km。20km以上の移動の時は車を活用するようにして、近場のスーパーなどであれば自転車や徒歩で済ませるようにしましょう。【車内に載せる荷物は少量に】車の中に使わないものまでたくさん積み込んでいる方がいますが、これも燃費を悪くするのでやめましょう。車が重くなるとその分ガソリンを消費してしまいます。どうしても重いものを積み込む場合は、トランクではなくできるだけ前方に積むようにすると車体が上向きにならずに済むので、空気抵抗が軽減できて燃費の悪化が軽減できます。大人数での乗車をする際にも同様に注意しましょう。■燃費を良くするための車のメンテナンス運転方法以外にも、メンテナンスを怠るとエンジンに負担がかかりガソリンを消費しやすくなってしまいます。日常的にメンテナンスを行い燃費の良い状態を維持するよう心がけましょう。【タイヤの空気圧を上げよう】タイヤの空気が少ないと地面との摩擦が多くなります。そのため、余計な負荷がかかりタイヤが一回転するのに必要なガソリンの量も多くなってしまいます。そこでタイヤの空気圧を上げておくと摩擦を減らすことができ、燃費も良くなります。また、「エコタイヤ」と呼ばれる低燃費のタイヤも登場しているので、そちらに買い換えてみるのも良いでしょう。たとえ摩擦が少なくても悪天候の日にブレーキが効きづらくなったり滑りやすくなったりしてしまうため、注意が必要です。【エアクリーナーをきれいな状態に保とう】意外と見落としがちなのがエアクリーナー。油汚れによる目詰まりなどを起こしていると、空気の通りが悪くなりエンジンの性能が悪くなってしまい、燃費にも影響を及ぼします。消耗品の中ではもっとも燃費に影響が大きい箇所でもあるので、定期的にチェックしましょう。【エンジンオイルの点検・交換は定期的に】車のエンジンオイルは人間の血液にもあたる大事なもの。ドロドロの血液が人のカラダに良くないのと同じように、エンジンオイルも汚れていると燃費が悪くなってしまいます。オイルの交換は3,000〜5,000km走行したところが目安だと言われていますが、3ヶ月に1度は点検してもらいましょう。【ラジエター液の交換も忘れずに】ラジエター液の交換も燃費を改善するのに有効です。ラジエター液を交換せずにいると、内部の腐食やエンジンの冷却効果を低下させる原因となってしまいます。車検時に一緒に交換してもらいましょう。【プラグ交換は20,000kmを目安に】エンジン内の発火を担う重要な部位であるプラグ。古く劣化していると火花が弱くなり燃焼効果も弱くなってしまいます。するとエンジンのパワーも落ちて燃費が悪くなってしまうのです。プラグは寿命が長いものですが、消耗品。20,000kmを目安に交換するようにしましょう。■燃費を良くするためのガソリンの入れかた運転方法や車のお手入れ以外にも、車の燃費を良くすることができます。以下では、燃費を良くするためのガソリンの入れかたをご紹介します。【ガソリンは朝入れた方が多く入れることができる】ガソリンも液体なので、気温が高いと膨張し、逆に低いと萎縮します。そのため、同じ量であっても気温が低い時の方がたくさん入ります。さらに、ガソリンは気化することでエンジンを冷やす効果もあるため、これによって燃費にも影響があります。そのため、気温が低い朝一番に入れるのがもっとも多く入れることができて燃費が良いと言えるのです。【満タンにせず少しずつ補給しよう】また、ガソリンを入れる際は必ず満タンにしているという方も多いのではないでしょうか。しかし満タンにすると、その分車が重くなるので逆効果。たとえば30L入れるだけでも子ども一人分の重さに値するので車からしたら相当な重量です。スピードやハンドリングにも影響が出ることが考えられるので少しずつ入れるようにしましょう。■ガソリン代を安くするコツ燃費を良くするのはもちろん大事ですが、車を維持する上でガソリンの費用を抑えることも重要なポイント。以下では、ガソリン代を抑えるコツをご紹介します。【ガソリンスタンドのクレジットカードを使う】ガソリンスタンドでは、専用のガソリンが安くなるクレジットカードを発行しています。リッター2円引きなどの割引ですが、ガソリンの費用が月に10,000〜20,000円ほどになる場合はこうしたクレジットカードを作った方がお得だと言えるでしょう。ただし、ある程度の利用がないと還元されない仕組みになっているため、まずは利用量と照らし合わせて検討してみるのがオススメです。【ポイント還元率の高いクレジットカードを使う】上記でご紹介したガソリンスタンドのクレジットカードではなく、ポイント還元率を重視したクレジットカードを利用するという方法もあります。また、普通のクレジットカードでもガソリンスタンドと提携しているところもあるので、クレジットカードを利用することでお得になる場合もあります。【セルフスタンドを使う】セルフサービスのガソリンスタンドも増えてきましたが、有人のスタンドより費用が安く抑えられるのでこちらもオススメです。給油の他、窓拭きや洗車も自分で行わなくてはなりませんが、不要な勧誘を受けなくて済むなどのメリットもあるので、慣れてしまえば気軽に使えるようになるでしょう。【JALやANAのマイルを貯める】ガソリンスタンドとJALやANAはマイレージプログラムで提携しています。そのためガソリンを給油すると、クレジットカードのポイント以外にマイレージも貯まるシステムになっています。例えばエネオスの場合、JALカードのお買い物で貯まるマイルが2倍になったり、ANAカードであればクレジットカードのポイントとは別にクレジット決済100円で1マイルが貯まったりします。【共通ポイントカードを活用する】上記でご紹介したクレジットカードの他に、Tポイントや楽天ポイントなどの共通ポイントカードともガソリンスタンドは提携しています。エネオスの場合、Tポイントなら200円で1ポイント、ドコモの共通ポイントであるdポイントであれば、通常100円につき1ポイントのところが2ポイント貯まります。共通ポイントとクレジットカードのポイントは併用して貯めることができない場合もあるので、その点だけ注意しておきましょう。■まとめいかがでしたか?車の燃費を良くする方法とガソリン代を安く抑える方法にはさまざまなものがあることがわかりました。どれも費用を抑えるだけでなく、車を長持ちさせる意味でも有効なものばかりなので、ぜひ試してみてください。
2017年03月01日電化製品を使っていなくてもコンセントに接続しているだけで消費される待機電力は、いわばムダな電力です。しかし、もちろんこのムダな電力にもお金はかかっています。そこで今回は、待機電力を削減して電気料金を削減する6つの効果的な方法をご紹介します。■待機電力って?電化製品が作動していなくても、コンセントにプラグを差し込んでいるだけで消費される電力のことを「待機時消費電力」、または「待機電力」といいます。待機電力とはその名の通り、次の作動を“待機している状態のときに消費する電力です。そのため、リモコン操作が必要な機器、受信・通信のために常に通電していなければならない機器、タイマー機能が付いており電源をオフにしても時間などが表示される機器など、常にスタンバイの状態を保つ必要がある電化製品で消費されています。待機電力は、私たちがより便利に電化製品を使えるように工夫された結果だともいるのですが、電化製品を使用しているわけでもないのに電気を使い続けているとすればこれほどムダな電力はないといわざるを得ません。しかしながら、省エネや節電の話になると頻繁に取り上げられるにもかかわらず、待機電力を節約しようという意識を持っている人はとても少ない印象です。その理由は、多くの人が「待機電力で使用する電力量なんてほんのちょっと。大した節約にはならないのでは?」と考えているからではないでしょうか?待機電力は家庭で消費している電力量の約5.1%を占めています。これを電気代に換算すると、4人世帯の場合では年間で約7,200円になります。4人世帯の1ヶ月にかかる電気代の平均が約12,000円なので、待機電力をすべてカットできればおよそ半月分以上の電気代を節約できることになるのです。このように考えると「たかが待機電力、されど待機電力」であり、待機電力のカットによって節約できる金額も、なかなかバカにならないと感じるのではないでしょうか?以下では、待機電力を節約する効果的な方法をご紹介していきます。「もったいない!」と感じた方はぜひ実践してみてください。■待機電力の効果的な節約方法5つ【方法1】待機電力量が大きい家電製品を把握する待機電力を節約するといっても、家の中に数ある電化製品すべてに節電対策を行うのは大変面倒ですし、継続して行うことも難しくなります。また、電化製品の中には、機器の特性としてこまめな電源のオンオフが適切でないものもあります。そこでまずは待機電力を大きく消費する家電製品、または待機電力を小さくしやすい電化製品を知り、それらに焦点を当てて待機電力量を見直していくのが有効です。いくつかの気になる電化製品だけでも節約対策するだけで、待機電力の大幅カットにつなげることができるでしょう。以下にランキング形式で待機電力が大きな家電製品をご紹介しますので参考にしてみてください。ちなみに、各電化製品のワット数(W)はそれぞれの待機電力を示しています。つまり、その数値にプラグをコンセントにつないでいた時間を掛けることで、待機電力による電力消費量が算出できます。1位:【モデムやホームゲートウェイ機器類】(7.34W)ほとんどの人がスマホやパソコンを所有している現代では、多くのご家庭でモデムなどのネット回線に関わる通信機器は生活に欠かせないものとなっています。しかし、通信機器類は精密機器でもあるため、こまめな電源のオンオフが機械の故障につながる可能性もあります。そのため、回線を使っていないときでも常に主電源をオンにする必要があり、必然的に待機電力が大きくなってしまいます。2位:【ガス瞬間湯沸かし器】(7.05W)ガス瞬間湯沸かし器はガスで瞬間的に水を加熱し、蛇口からお湯が出るようにするための電化製品です。「ガスを使ってお湯を沸かしているのに電力が必要なの?」と疑問に思うかもしれません。しかし蛇口をひねったときの水の流れをセンサーで感知し、水を設定温度に温められるようガスの量を調節し、水圧を制御して水量を一定に保つといった一連の細かな動作はすべて電気によって行われているのです。蛇口をひねればいつでも数秒で適切な温度のお湯が流れてくることを考えると、電源が入っているときには常にスタンバイの状態であり、多くの待機電力を消費していることが想像できます。3位:【ガス給湯器付き風呂がま】(6.65W)ガスを利用していることで盲点になりがちですが、ガス給湯器付きの風呂がまも瞬間湯沸かし器と同様、待機電力が大きい家電の筆頭です。ガス給湯器の場合は、夏場であれば入浴時以外に使う必要があることはほとんどありません。もちろん冬場でも、使わないときは電源をオフにすることを習慣づけましょう。待機電力に加えてガス代の節約にもつなげることができますよ。4位:【パソコンネットワーク機器】(5.92W)パソコンネットワーク機器には、ルーターやコンバータなどが含まれます。こちらもモデムなどと同じく電源を落とすことが適切でない場合が多いため、待機電力量を抑えにくい電化製品だといます。5位:【FAX】(3.43W)FAXには専用機のほか、FAX機能付き電話も含まれます。FAXは電源が入っていれば常に受信待ちの状態であるため、待機電力を大きく消費する電化製品の1つです。データの送受信などは、現在ではパソコンなどを通じて行う場合も多いでしょうから、ほとんど使っていないならば思い切ってコンセントからプラグを抜いてもよいかもしれません。6位:【固定電話】(2.46W)家庭に設置している固定電話も、FAXと同様の理由から常に受信待ちの状態を維持する必要があり、待機電力は比較的高くなっています。ご家族全員がそれぞれにスマホや携帯電話を所有しているならば、設置の必要があるかも一度検討してみるとよいでしょう。7位:【温水洗浄便座】(2.21W)エアコンやテレビ以上と意外にも大きな待機電力を消費しているのが、温水洗浄便座です。夏場など便座や温水の温度がそれほど気にならなければ、プラグを抜いて待機電力を節約することも可能です。8位:【ミニコンポなどのオーディオ機器類】(1.91W)AV機器は以前から待機電力が大きな電化製品として知られています。もちろん、製品性能の向上により数年前に比べて待機電力量が飛躍的に小さくなっていることも事実ですが、オーディオ機器の場合は、タイマー機能などの必要性がなければ使わないときはプラグから抜いてしまうことをおすすめします。9位:【DVDレコーダー】(1.77W)AV機器の中でもDVDレコーダーやテレビなどの場合は、実はプラグを抜いてしまうことでかえって消費電力が大きくなる可能性があります。プラグを抜くと、それまで機器に記録されていたさまざまな情報が一度リセットされてしまうことになります。そのため、いざ使おうとしてプラグをつなぎ電源を入れると、失った情報をもう一度ダウンロードしなければならなくなるのです。このときかなり大きな電力を消費してしまうため、あまりこまめにプラグを抜いてしまうと、削減できる待機電力よりも電源を入れた際に消費する電力のほうが大きくなってしまいます。DVDレコーダーなどの場合は、製品に省エネ機能などがあれば積極的に活用していき、プラグを抜くのは長期間家を空けるときなどに限定するほうが無難です。10位:【冷暖房兼用のエアコン】(1.74W)以前は待機電力量の上位にランクインしていたエアコンですが、近年の製品は性能がよく、他の電化製品に比べて比較的待機電力が小さくなっています。とはいえ、エアコンは春・秋の時期など使わない期間も長い家電製品ですから、長期間使用しないときにはプラグを抜いて待機電力の節約に努めましょう。エアコンと同じく、以前は待機電力量が大きいと考えられていたテレビはランク外。エアコンに続く11位で、待機電力は1.66Wになります。テレビも現在では機能性が向上しており、以前ほど待機電力を消費しないようになっています。一方で、従来通り待機電力が大きい電化製品が給湯機器です。給湯機器は通信機器とは違ってこまめに電源をオンオフすることもできるため、とにかく「使わないときは電源オフ!」を徹底していくことが、待機電力節約の大きなポイントになります。【方法2】主電源をオフにする特にテレビなどのリモコン操作をともなう電化製品は、リモコン操作でスイッチを切ってもスタンバイの状態になっているので、より大きな待機電力を消費します。使わないときは主電源からオフにすることをクセづけましょう。これだけで、待機電力量の約33%を節約することができます。【方法3】コンセントからプラグを抜くある期間しか使わない電化製品(エアコンなど)、こまめにプラグを抜いても機械そのものの機能性に問題がない電化製品(洗濯機など)はプラグを抜いてしまいましょう。プラグとコンセントがつながっていなければ通電することはないため、待機電力は0になります。電化製品を使っていないときだけでもプラグを抜いておくだけで、待機電力の約49%を節約することが可能です。ただしプラグを抜く際には、製品の機能性に影響を及ぼさないかを考慮するのが重要なポイントです。先ほどネット関連の通信機器やDVDレコーダーなどのAV機器にプラグを抜く節電方法が向かないことはご説明しましたが、もう1つ注意してほしい電化製品にエアコンがあります。オフシーズンにプラグを抜いておくことはもちろん待機電力の節電対策として効果的です。しかし、あまりこまめに抜いたりさしたりを繰り返すと、エアコンが故障する可能性があります。特に気をつけるべきは、コンセントにプラグをさした直後です。このときすぐに運転をはじめてしまうとエアコン内部の空気の循環が滞り、エアコンが傷つくおそれがあります。コンセントにプラグをさしてから数時間は、エアコンを使用しないようにしましょう。【方法4】節電タップを効果的に活用する待機電力の節約といえば、多くの人が思い浮かべるのが節電タップではないでしょうか?ひとつひとつの電化製品のプラグをいちいち抜く手間が省けるので、取り組みやすく続けやすい節電対策としてもおすすめできます。しかしながら、節電タップを取り入れることでいったいどれほどの節約効果があるのでしょうか?家庭にある主要家電6つを節電タップにつなぎ、就寝時間などを利用して1日8時間スイッチをオフにしたとすると、年間では1,000円以上もの節約になるそう。一方で、スイッチランプをつけたままにしていた場合に6つの節電タップが消費する電力は、年間約136円になります。この金額を考慮しても十分な節電効果が見込めることが分かりますね。【方法5】長期間家を空けるときはブレーカーを落とすもっとも手っ取り早く待機電力の節電効果も高いのが、すべての電化製品の大元となるブレーカーを落としてしまうこと。もちろん、冷蔵庫など常に運転している必要がある部分まで電源を落とすのでは生活に支障が出るので、必要な部屋のブレーカーを落とすだけでOK。出張や旅行などで長期間家を空けてしまう場合は、安全性を確認したうえで実行してみてください。■省エネ家電に買い替えてみようここまで待機電力を効果的に節約するための5つの方法をご紹介していきましたが、実はもっとも待機電力の節約効果が高いといえるのは、現在使っている家電製品そのものを省エネ家電に切り替えることです。さまざまな家電製品の機能は年々向上し、それにともなって待機電力を削減する仕組みも優れたものになっています。たとえばオートオフ機能。一定時間が経つと自動的に電源が落ちる仕組みになっており、待機電力を最小限に抑えることができます。また、DVDレコーダーなどでは表示オフ機能で省エネできるものもあり、プラグを抜くことで設定が毎回リセットされるといった煩わしさもなくなります。もちろん初期投資は必要ですが、省エネ家電に切り替えることで待機電力だけでなく、消費電力全体を抑えることができます。長い目で考えれば、結局は電気代の節約になることも少なくありません。先ほどご紹介したランキング上位の家電を1つでも省エネのものに切り替えるだけで、大きな節約効果が期待できます。ぜひ検討してみてください。■まとめいかがでしたか?今回は消費電力の中でも特に待機電力について取り上げ、効果的に電気代を節約する方法をご紹介しました。何か1つでもできることからはじめてみて、待機電力の削減、そして電気料金の節約につなげていただければと思います。
2017年03月01日電力自由化により、私たちにとって身近なものになりつつあるスマートメーター。2020年代にはすべての家庭へ設置されることが予定されています。今回はそんなスマートメーターについて、導入のメリットやデメリットなどを解説していきます。■スマートメーターってどんなもの?スマートメーターは電力の自由化にともなって導入が進められている電力量計測器で、いわゆる電気メーターの1つです。スマートメーターの導入以前には2つのタイプの電気メーターを用いていたのですが、これら従来の電気メーターとスマートメーターにはどのような違いがあるのでしょうか?【従来の電気メーターとの違い】電気メーターの種類の1つに、アナログ式誘導型電力量計があります。機械式でメーター内部に円盤が組み込まれていることが特徴です。電力を使用すると電源からメーター内部にも電力が届き、円盤が回転します。円盤の回転数は電力の使用量と連動しているので、回転数を確認すれば電力の使用量を計測することができます。また、電子式電力量計と呼ばれるタイプもあります。メーター内部に電子回路を組み込んだ電気メーターで、オール電化を採用しているご家庭で多く利用されています。アナログ式のようにコイルや円盤、ギアなどはなく内部がすべて半導体で構成されています。より正確に計測できる、計測した電力使用量を複数表示できる、時間帯ごとの電力使用量を記録できる、といったアナログ式にはないメリットがあります。スマートメーターとは、分かりやすくいえば電子式電力量計に通信機能が付加された電気メーターです。しかしながら、30分単位で使用電力量を計測できるほか、電力会社とネットワークでつながっているため遠隔操作も可能であり、電子式電力量計に比べて格段に充実した機能が備わっているといえます。【HEMSとの違い】HEMS(ヘムス)は、より正確には「ホームエネルギーマネジメントシステム」といいます。HEMSはスマートメーターと仕組みがよく似ているので、ここで2つの違いに触れておきます。HEMSとはご自宅のありとあらゆる電化製品を、ネットワークにつないで管理するシステムです。30分単位で電力の使用量を計測・記録してくれる点はスマートメーターと同じですが、スマートメーターが計測するのは家庭全体の消費電力であるのに対し、HEMSはひとつひとつの電化製品の消費電力を計測することができます。つまり、ご家庭にHEMSを導入すると「ある時間帯にどの電化製品がどれだけの電力を消費していたか」をこまかく知ることができるのです。また、スマートフォンと連動させることにより、エアコンなどのオンオフを遠隔操作で行うことが可能になります。さらにより機能性の高いものでは、それぞれの電化製品を自動制御し、消費電力を一定に保つことができるものもあります。スマートメーターはご家庭と電力会社をつなぐもの、HEMSは電化製品全体のまとめ役、と考えれば理解しやすいかもしれません。将来的には、スマートメーターとHEMSを連動させることが期待されています。たとえば、スマートメーターが電力の使用状況を電力会社に送信し、電力会社はその情報に基づいた最適な電気料金プランを提供します。そして契約している電気料金プランに沿って、HEMSが電化製品の稼働状態を管理していくといったことが可能になるのです。■設置や交換にはどれくらいの費用がかかるの?【導入に費用はかからない】電気メーターは各家庭に備え付けられていることから、使用者のものだと思っている方も多いかもしれません。しかし実は、電気メーターは電力会社が所有しているものです。そのため、スマートメーターを含むすべての電気メーターは無料で設置や交換ができます。ただし、外壁不良などがあったときはスマートメーターの設置や交換の際に、ご自宅の修繕工事などが必要になることがあります。その場合は、工事費用は消費者が負担することになるので注意が必要です。【導入までの流れ】スマートメーターの設置や交換は基本的に、家を建てる、引っ越しをする、電力会社を切り替えるなどのタイミングで行われます。電力会社を切り替える場合は、新たに契約する電力会社に申し込みをした後に地域の電力会社(「一般電気事業者」と呼ばれる、東京電力など各地域の電力会社のこと)が日程を調整のうえ設置や交換を行ってくれます。家を建てたり引っ越しをしたりする予定がなく、引き続き地域の電力会社から電力の供給を受ける場合は、既存の電気メーターが10年の耐用年数を迎えたタイミングでスマートメーターへ切り替えることになります。スマートメーターの導入といっても、電気メーターを変更するだけで電線を引き直すといったことはないので工事は短時間で済みますし、原則として立ち合いの必要もありません。基本的には停電となることもありませんが、場合によっては電源を落として工事をすることもあるため、IT機器などをお持ちの方は事前に確認しておきましょう。■どんなメリットやデメリットがあるの?【メリット1】使用電力量の「見える化」で節電現在使っている電化製品を省エネ性能が高いものに買い替えたり、電化製品の使い方を見直したり、電気の代わりにガスや石油を使う製品に移行したりなど、ご家庭で実践できる節電対策はたくさんあります。しかし、これまでは電力会社から毎月送られてくる使用電力量の変動を見るくらいしか節電対策の効果を知る術がなかったのです。スマートメーターを導入すれば、電力の使用量を数値として確認することができ、より効果的な節電対策が行えるようになります。もちろん、スマートメーターだけではひとつひとつの電化製品の使用電力量まで計測することはできません。しかし、30分単位という比較的短い時間で記録されるのでこまかくチェックしていけば、「どの電化製品の消費電力が大きいか」といったこともある程度把握することができるでしょう。【メリット2】ライフスタイルと電気料金プランの適合30分単位で記録された消費電力のデータを管理・分析していけば、どの時間帯にもっとも多くの電力を消費しているのかが分かります。そのため、夜間が安いプラン、早朝が安いプラン、土日が安いプランなどライフスタイルに合わせて最適な料金プランに変更し、効果的に電気代の節約につなげることが可能です。また、それぞれのご家庭でライフスタイルに適した電気の使い方を考えることは、結果としてピークシフト(電力の使用量がピークとなる時間帯を、別の時間帯や曜日に移行すること)にもつながります。そのため電力の需要と供給のバランスが安定し、停電の発生を最小限に抑えることもできます。【メリット3】人件費の削減従来の電気メーターでは、電力使用量を人の目でチェックする必要がありました。現代で電気をまったく使わないご家庭はほとんど0に等しいので、月に一度検針のために必要になる人件費も莫大なものになります。一方で、使用した電力量が電力会社に自動で送信されるスマートメーターでは検針の必要はありません。将来的には、削減された人件費が電気料金の割引に還元される可能性もあるかもしれませんね。【メリット4】契約変更や手続きの簡略化各家庭のスマートメーターは電力会社とネットワークでつながっているため、遠隔操作が可能です。そのため、契約アンペア数の変更や引っ越しによる契約手続きの際にも、わざわざ電力会社の担当者に出向いてもらう必要はありません。これにより立ち合いなどの手間と時間が短縮され、契約の変更や諸手続きは今よりずっと簡単になります。【メリット5】メーターの精度や耐久性の向上従来の電気メーター、特にコイルやギアなどを用いた機械式のアナログ式誘導型電力量計は、経年劣化により計測の精度が低下することが分かっています。そのため、10年の耐用年数が設けられ、10年ごとにメーターの交換が行われていました。一方でスマートメーターに使われている半導体シリコンは、熱に強く故障率も低いといわれています。そのため、従来の電気メーターよりも耐久性が増し、計測の精度も向上すると考えられます。【デメリット】消費者のプライバシーが侵される危険性現代では日常生活において電気が果たす役割は大きく、こまかな時間帯での消費電力の状況は、家庭内でのライフスタイルに直結するといっても過言ではありません。スマートメーターでは、30分ごとの使用電力量がデータとして逐一電力会社に送信されます。そのため、通信環境や電力会社のデータ管理の方法によっては、個々人が意図しないところで個人情報が外部に漏れたり、プライバシーが侵害されたりする可能性も否定できないのです。この点については国もスマートメーター導入における課題の1つとして認識しており、対策についての協議が進められています。■すべての家庭に設置されるって本当?【スマートメーターの導入は国が進める施策】スマートメーターは、実は設置したい人が設置すればいいというものではありません。スマートメーターの導入は、2014年に国が策定した「エネルギー基本計画」の一部として考えられたものです。2020年代にはすべての家庭に導入されることが予定されており、現在も全国10ヶ所の一般電気事業者によって、各家庭への設置が進められています。【導入の背景】国の施策としてスマートメーターの導入を進める背景には、2011年に起こった東日本大震災の影響があります。地震や津波により福島第一原子力発電所が大きなダメージを受けたことは記憶に新しいかと思いますが、その余波で全国各地のほとんどの原子力発電所は現在運転停止の状態です。これにより電力不足が深刻な問題となっているのです。電力不足を解消するには、電力量の供給を増やすよりも全体的な需要を減らすほうが効率的です。そこでスマートメーターを導入し、消費電力量を可視化することで、個々に節電の意識を高めてもらおうという狙いがあります。また、東日本大震災以降は火力発電への依存が高まっており、電力の供給コストが膨らんでいることも大きな問題となっています。国内の供給電力のうち、化石燃料である天然ガス、石油、石炭を利用した火力発電の割合は約87%(2013年現在)に及びます。一方で、国内でまかなえているエネルギー資源はたった6%であり、発電に必要なエネルギー資源のほとんどは国外からの輸入に依存しているのが現状です。そこで注目されているのが再生可能エネルギーです。代表的なものは風力や太陽光などで、これらは一度資源として利用しても比較的短い時間で再度生み出すことができます。つまり、半永久的に枯渇することがない点で、エネルギー資源として大きなメリットがあるといえます。しかし、これらのエネルギー資源には、天候によって電力の供給が左右されてしまうデメリットもあります。そこで電力の供給量が不安定になった場合でも問題なく電力を届けることができるように、需要と供給のバランスを維持することが重要なポイントになります。国はスマートメーターの導入に加えて、2030年には各家庭にHEMSを導入することも目標として掲げています。これにより、将来的には各家庭の生活状況に沿った、適切な時間帯別の料金プラン提供することができるようになります。消費電力のピーク時間帯を分散させることができれば、電力の需要と供給のバランスの維持が可能になるでしょう。【導入の現状】現在、スマートメーターの導入は全国10社の一般電気事業者によって本格的に進められています。2020年代の導入完了が目標として掲げられていますが、より具体的には東京電力で2020年度末、中部電力と関西電力で2022年度末、沖縄電力で2024年度末、それ以外の6つの電力会社で2023年度末の完了を予定しています。しかしながら、2016年3月時点で東京電力ではすでに約10万件の遅れが出ています。また、電力会社が負担している年間300億円にも上る設置費用について、今後どのように対応していくか、導入完了後に各家庭の個人情報をどのように管理していくか、といった課題も見えてきています。■まとめいかがでしたか?スマートメーターの導入は、今後の私たちの生活に密接に関わってきます。導入によるメリットだけでなく、導入にいたった背景にさまざまな問題があることを知り、ひとりひとりが「限りある資源を大切にしながら、生活の質を向上していく」ことを意識していきましょう。
2017年03月01日毎月の電気料金の支払い方法はいくつかありますが、なんとなく選んでいる人も多いのではないでしょうか。実は電気料金の支払いは、方法を選ぶことで今よりも安く抑えられる可能性があります。そこで今回は、どういう場合にどのような支払い方法がお得なのかについて詳しくご紹介していきましょう。■電気料金の支払い方法を見直すメリット電気料金などの公共料金の支払いは毎月あるため、月々の支払い額がたった10円違うだけでも、その状態が1年間続くと120円の差になります。何年も払い続けることを考えれば、「塵も積もれば山となる」の言葉通りそれなりの額を節約できることになるのです。公共料金の中でも電気料金は支払い額が大きくなりがちですから、できる限り安くなる方法を選びたいものです。また、電気料金には支払い期日が定められていて、遅れるとペナルティが課せられるため、より確実に期限内に支払うことができる支払い方法を選ぶのが得策と言えます。電力自由化の前から存在する大手電力会社10社を例として説明すると、支払い期限は検針日の翌日から30日目となっており、支払い期限を過ぎると年利10%の延滞利息が請求されてしまいます。これは1日あたりに直すと約0.03%にあたる数字です。電力会社によっては期限から10日間に限り延滞利息を猶予してくれるところもありますが、いずれにしても毎月欠かさず期日までに支払うというのが節約するための鉄則と言えるでしょう。ちなみに大手10社のうち、例外として中国電力は現在早遅収料金制度となっていますが、平成29年4月から他の電力会社と同様の延滞利息制度に移行する予定とされています。早遅収料金制度では、検針日の翌日から20日間を早収期間としてその期間の支払いには早収料金が適用され、その後の支払いには早収料金に3%を加えた額が適用されます。このようにうっかり支払い期限を過ぎてしまうと、お金を余分に支払わなければなりません。確実に支払うためにも、支払いの手間が少ない方法を選ぶとよいでしょう。支払い方法の変更は少し時間がかかる場合もありますが、一般的には簡単な手続きだけでできます。詳しくは後半にご紹介します。■電気料金の支払い方法は3つ大手電力会社10社の電気料金の支払い方法は、振込用紙による支払い、口座振替、クレジットカードの3種類に分けられます。【振込用紙による支払い】毎月所定の振込用紙が送られてくるので、それを使って銀行やコンビニなどで支払います。支払いができるコンビニは振込用紙の裏面に記載されています。バーコード付きの振込用紙であれば郵便局でも支払いが可能であり、コンビニの場合は土日祝日も含めていつでも支払うことができます。なお、手数料は無料です。ただし、振込用紙による支払いの場合は支払い期日までに支払いに行かなければならず、万が一遅れると振込用紙が使えなくなってしまう場合がある他、延滞利息が加算されたり、送電が止められてしまったりするので注意が必要です。【口座振替】あらかじめ指定した預金口座から、電気料金が毎月自動的に引き落とされます。口座の残金に注意していれば、支払いをうっかり忘れてしまう恐れがなく安心です。また、電力会社によっては口座振替割引サービスがあるため節約になります。【クレジットカード】クレジットカード会社が電気料金を立て替えて支払い、その分がカード利用代金として後から請求されます。こちらも口座振替と同様に、うっかり支払いを忘れる心配がないという利点があります。また、クレジットカードによっては利用金額に応じてポイントが貯まり、そのポイントをギフト券や各種景品の他、マイルや電子マネーなどに交換できる場合もありとてもお得です。大手電力会社10社で電気料金の支払いに使えるカードは、三井住友VISAカード、JCBカード、DCカード、セゾンカードなどをはじめ、各社十数種類から二十数種類あるため、多くの選択肢の中から自分に合ったカードを選ぶことができます。クレジットカードをこれから作る場合や、クレジットカードを複数持っている場合には、還元率の高いものやポイントが貯まりやすいものを選ぶとよいでしょう。また、電気料金に直接関わる特典がなくても、「普段行くスーパーの割引券がもらえる」「よく使うインターネットショッピングサイトでポイントがよく貯まる」など、自分のライフスタイルに合ったカードを選ぶというのもひとつの賢い方法と言えます。以上3つの支払い方法のほかに、一時的なクレジットカード決済が可能な電力会社もあります。例えば関西電力では、振込用紙を失くしたり、振込用紙の支払い期限が過ぎてしまっていたりする場合に、一時的にクレジットカードで支払うことができる「ワンショットクレジットカード決済」というサービスが用意されています。これは、関西電力のウェブサイトにある「ワンショットクレジットカード決済専用フォーム」から支払うものであり、振込用紙に記載されている11桁と4桁の数字が必要になります。振込用紙を失くしてしまって数字がわからない場合には、関西電力に電話で問い合わせると発行してくれます。この手続きをする際に、クレジットカードによる支払いへの変更手続きも同時に行うことができます。東京電力でも、「クレジットカード一時払い」というサービスを提供しています。このサービスは、カスタマーセンターに電話をして手続きを行います。クレジットカード情報の登録は、携帯電話のSMS(ショートメールサービス)に送られてくる受付画面のURLにアクセスして入力する方法と、電話の自動音声ガイダンスに従って入力する方法があります。このサービスを利用すると、次回以降も登録したクレジットカードから支払うことになります。なお、電力自由化後の新規電気事業者の場合は、クレジットカード払い一択のところが多くなっています。■自分にとって一番お得な支払い方法の選び方では、どの支払い方法が一番お得なのでしょうか。まず押さえておきたいのが、振込用紙による支払いには、特に大きなメリットがないというポイントです。それどころか、先述のように支払いをうっかり忘れてしまうと電気料金に延滞利息が加算されてしまうというリスクがあります。もともとの支払い額が大きい場合には、延滞利息による額も大きくなってしまうため特に注意が必要です。つまり、お得な支払い方法は口座振替かクレジットカード決済のどちらかということになります。次に、口座振替とクレジットカード決済についてそれぞれ見てみましょう。口座振替のメリットとしてチェックしておきたいのは口座振替割引です。大手電力会社10社の中では、北海道電力、東北電力、沖縄電力を除く7社で提供されているサービスであり、口座振替による支払いを選択すると毎月54円の口座振替割引が適用されます。指定口座にお金が入っておらず引き落とせなかった場合には適用されないため、残高には注意しておく必要がありますが、支払いを忘れる心配が少ないばかりでなく、1年で合計648円も安くなるというのは、節約の面でも良い方法だと言えるでしょう。一方クレジットカードには、利用額に応じてポイントが貯まるものが多くあります。ポイントの貯まりやすさはカードによってさまざまであり、100円につき1ポイントが加算されるものを還元率1%と表現しますが、還元率は大体0.5%~1.5%が一般的です。ポイント5倍キャンペーンがあったり、公共料金の支払い手続きをすると年会費が無料になったりといろいろな特典が付いているものも多いので、カードの選び方も節約に大きく関わってくると言えます。以上の情報から考えると、口座振替割引がない電力会社の場合はクレジットカード支払いが良いでしょう。口座振替割引がある場合は口座振替を選ぶと割引額54円分安くなり、クレジットカード支払いでは電気料金額にカードの還元率をかけた分がポイントとして返ってくるということになります。つまり、口座振替とクレジットカードのどちらがお得かは、月々の電気料金額とカードの還元率によって異なるというわけです。以下で詳しく見てみましょう。【クレジットカードの還元率が0.5%の場合】例えば電気料金が10,000円だとするとポイントは10,000×0.005=50ポイントとなり、口座振替割引の方がお得です。電気料金が10,800円以上であれば54ポイント以上貯まることになるので、クレジットカード支払いを選んだほうが節約できるということになります。【クレジットカードの還元率が1%の場合】54ポイント以上貯まるのは、電気料金が5,400円以上のときです。単身世帯の場合や、少人数世帯であまり電気を使わない場合などはこれを下回る場合もあるかもしれません。ただし、電気料金は季節によって大きく変動します。ひと月の平均だけを見て決めるのではなく、年単位で電気料金を把握し、クレジットカードの還元率と照らし合わせて考えるとより確実にお得な支払い方法を選ぶことができるでしょう。■支払い方法の変更手続きをするには【東京電力の場合】口座振替への変更は、銀行、郵便局、東京電力の事業所にある窓口で受け付けています。手続きに必要なものは、お客さま番号、銀行や郵便局への届け印、預貯金通帳です。お客さま番号は「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」または「電気料金領収証」に記載されています。クレジットカード支払いへの変更は、インターネット申し込み、申込用紙の郵送、事業所の窓口での手続きの3つの方法があります。インターネット申し込みが最も簡単で、電気の契約情報とクレジットカード情報を登録すれば大抵の場合翌月の支払いから切り替えが可能です。郵送の場合は、申込用紙をホームページから取り寄せ、記入、捺印して、返送します。また、事業所の窓口に直接出向いて手続きする方法もあります。【関西電力の場合】口座振替への変更は、インターネット上での手続きが早くて簡単です。用意するのはお客さま番号、キャッシュカードの暗証番号、預貯金通帳などで、数分で完了します。申込用紙をダウンロードしたり取り寄せたりして郵送する方法もありますが、申し込み完了まで1~2か月かかります。インターネットバンキングを契約している場合はインターネットバンキングのページから直接金融機関に申し込むこともできます。クレジットカード支払いへの変更も、お客さま番号と利用可能なクレジットカードを用意して、インターネット上で手続きするのが最も簡単です。口座振替の申し込みと同様に郵送での手続きもできますが、1~2週間かかってしまいます。■支払い期限を過ぎてしまったときの対処法万が一、電気料金の支払い期限を過ぎてしまうとどうなるのでしょうか。東京電力をはじめとした大手電力会社の多くは、支払い期限は検針日の翌日から30日後に設定されており、支払い期限の10日後までは延滞利息がつかないことは既に紹介しました。それを過ぎると年率10%の延滞利息が加算され、20日後(検針日の翌日から50日後)までに支払わない場合は、事前に通知があった上で送電が止められてしまいます。払い忘れに気づいたら、とにかくできるだけ早く支払うのが得策です。期限が切れてすぐの場合には、コンビニなどで振込用紙がそのまま使える可能性もあるため、支払いを忘れていたことに気づいたらまずはできるだけ早く振り込みに行ってみることをおすすめします。また、振込用紙が使えない場合や失くしてしてしまって手元にない場合などは、電力会社に連絡して振込用紙を再発行してもらうこともできます。支払い期限後10日以内に支払いが完了すれば、特に何の問題もなくそれまで通りに電気が使用できます。支払い期限後10日以降になってしまった場合には、延滞利息を支払う必要性が生じます。延滞利息分は通常、次回の請求時に加算されることになっています。電話での問い合わせや督促状などで電力会社から指示があった場合などを除き、検針時の請求額をそのまま支払います。また、東京電力の場合は最寄りの事業所の窓口で料金を支払うこともできます。ついでに支払い方法変更手続きもできるため、振込用紙による支払いをしている場合には、払い忘れを繰り返さないためにもこの機会に支払い方法を変更してしまうのも良いでしょう。電力自由化後に誕生した新規の電気事業者と契約している場合は、先にも述べたように支払い方法はクレジットカード決済のみの場合が多いため延滞の心配は少ないでしょう。しかし、大手電力会社には最終保障供給の義務があるので延滞しても解約されてしまう恐れはありませんが、新規事業者の場合は電気が一時的にストップするだけでなく、解約となってしまう場合もあります。■まとめ電気料金の支払いは毎月のことなので、ほんの少しの節約でも何年か後には大きな差となります。支払い方法の検討や変更手続きはどうしても行う必要があることではないため、ついつい後回しにしてしまいがちです。しかし、一度手続きをするだけでその後ずっと節約できる上、手続きをするのが早ければ早いほどお得です。ぜひ一度、電気料金の支払い方法を見直してみてください。
2017年03月01日新電力(PPS)とは、電力自由化により電気の小売業に新規参入した電力会社のことです。私たちの生活に大きなメリットを生む可能性もある新電力(PPS)。今回はそんな新電力について、既存の大手電力会社と比較しながら理解を深めていきましょう。■電力会社の種類【一般電気事業者】一般電気事業者とは、電力の小売自由化以前から各家庭に電力を供給している地域の電力会社のことです。北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10社があります。【特定規模電気事業者(新電力、PPS)】2016年4月に一般家庭や個人商店なども含め、電力の小売りが全面的に自由化されました。これにともない、新しく電力会社となった電気事業者のことを特定規模電気事業者、または、新電力やPPSといいます。特定規模電気事業者と名乗るには、1.資源エネルギー庁へ「特定規模電気事業開始届出書」を提出する2.「電力広域的運営推進機関」へ加入するという2つの条件を満たす必要があります。とはいえ、特定規模電気事業開始届出書を提出する際に、資源エネルギー庁の認可を得る必要はありません。また、電力広域的運営推進機関とは、消費者が安定して電力の供給を受けることができるように電力供給のバランスを調整する役割を担う機関です。つまり、電力の小売業をはじめるのに電気事業の実績などは必要なく、言い方を変えればこの2つの条件さえ満たせば、誰でも電気の小売事業者になれるともいえます。現在、特定規模電気事業者として電気事業に参入している企業も、通信会社やガス会社、石油会社、自動車会社、商社など、多岐にわたります。【小売電気事業者】電力会社のことを小売電気事業者という場合もありますが、これは電気小売業を行っているすべての電力会社の総称です。そのため特定規模電気事業者はもちろん、これまで各地域の電力供給を担ってきた一般電気事業者も含まれます。より厳密にいえば、一般電気事業者のすべての部門が小売電気事業者に含まれるわけではありません。電気事業は大きく、発電部門・送配電部門・小売部門の3つに分けられますが、全国10社の一般電気事業者はこれまで3つの部門を一手に引き受けていました。しかし電力自由化後は10社すべてにおいて、2020年をめどに3部門がひとつひとつの事業会社として分割されます。つまり、今後1つの会社として分離する一般電気事業者の小売部門と、新たに電気事業に参入する特定規模電気事業者を合わせて「小売電気事業者」と呼ぶことになります。■新電力(PPS)とは?大手電力会社との違いPPSとは特定規模電気事業者のことで、「PowerProducerandSupplier」と英語で表したときの略称からきています。最近では既存の大手電力会社(一般電気事業者)と区別する意味で新電力と呼ばれることが増えており、新電力の名称のほうがなじみのある方も多いことでしょう。では、新電力と大手電力会社にはどのような違いがあり、どちらを選ぶかによって消費者にはどういったメリットがあるのでしょうか?以下で具体的に見ていきましょう。【発電設備】新電力と大手電力会社には、主に2つの大きな違いがあります。その1つが発電設備の違いです。電気事業の中でも発電部門に関しては、小売自由化以前からすでに自由化がはじまっていました。そのため大手電力会社以外の企業も自由に電気を作ることができていたのですが、新電力の中には自社で発電設備を持たないところも多くあります。自社に発電設備を抱えていない企業が電気事業を展開するには、大手電力会社や発電設備を保有している他の企業から電気を買い取って販売する方法があります。しかし、「大手電力会社から新電力に切り替えれば、電気料金が安くなる」と聞いたことがある方も多いことでしょう。他の電力会社から電力を買い取りつつ電気料金も安くするとすれば、その電気事業者に利益は生まれるのでしょうか?結論からいえば、発電設備を保有していない企業が電気事業を行っても、利益を得ることができます。その仕組みを理解するにはまず、電気の特性を知っておく必要があります。電気はたとえばダムに溜まった水のように、どこか1ヶ所に集めて溜めておくといったことができません。そのため発電しても、使われなければムダになってしまうのです。この使われずに余ってしまった電力のことを、余剰電力といいます。余剰電力は需要がない限り捨てられてしまうも同然なので、通常の電力よりも安い価格で購入することができます。新電力は大手電力会社などから余剰電力として電力を安く仕入れることでコストを抑え、利益を得ているのです。加えて自社に発電設備がないために、設備にかかる維持費などのコストも削減できます。そのため、より低価格で消費者に電力を提供することができます。一方で大手電力会社は、原子力や火力、水力を利用した、新電力にはない大規模な発電設備を自社で保有しているのが特徴です。現在、原子力発電所のほとんどは運転を停止していますが、その分の電力の多くは火力発電で補っています。そのため、日々大きな電力を必要とする企業や工場に対しても高電圧で十分な電力を供給することができますし、一般家庭に対しても常に安定的な供給が見込めます。その代わり、発電に必要な燃料費や設備の維持費といったコストも大きくなります。【送配電線の有無】2つ目の違いは、自社で送配電線を所有しているかどうかの違いです。電気事業のうち、発電部門と小売部門は自由化となっていますが、送配電部門は引き続き大手電力会社が担うことになっています。新電力が自社で発電した電力を供給する場合も、大手電力会社が所有する既存の送配電線を借りて各家庭へ電力を届けることになります。いくら発電力があっても、消費者のもとに届かなければ電気を使うことはできません。そのため、電力の安定供給を確保するという意味で送配電部門は非常に大きな役割を担います。言い方を変えれば、送配電部門を引き続き大手電力会社が管理してくれることで、私たち消費者は新電力からであっても安定して電力を受け取ることができるのです。【電力の質や信頼性は?】前述の通り、契約する電力会社が新電力か大手電力会社かにかかわらず、すべての電力は同じ既存の送配電線を通って消費者のもとに届けられます。また、契約した電力会社が十分な電力を確保できなかった場合は、大手電力会社が不足分を補うシステムが整えられています。そのため、選択する電力会社によって電力の質や信頼性が低下することはありません。■失敗しない電力会社選び5つのポイント新電力(PPS)と大手電力会社(一般電気事業者)では、このように電力を供給する仕組みに大きな違いがあります。そのため、両者の違いも把握したうえで、今より生活の質が向上するような電力会社を選ぶことが重要です。私たち消費者にとって新電力に乗り換える最大のメリットだといえるのは、電気料金が安くなる可能性が高いことです。電気料金は生活費に直接関わってくるものであり、もちろん価格が安ければそれに越したことありません。しかし、価格だけで安易に切り替えると後々後悔することも。気になっている部分があればクリアにし、すべてに納得したうえで契約するようにしましょう。以下に、電力会社を選ぶ際に比較したい5つのポイントをまとめています。切り替えを検討する際はぜひ参考にしてみてください。【ポイント1】基本料金で選ぶ電気料金は通常、基本料金と従量制料金を基本とし、これに燃料費調整が加わった金額が請求されます。従量制料金と燃料費調整の金額は発電にともなうコストが関係しているため、新電力と大手電力会社で大きな差はありません。しかし、基本料金の場合は選択する新電力によっては、現在契約している大手電力会社よりも大幅な値下げとなる場合があります。電力自由化以前は、たった10社の大手電力会社のみで国内すべての電力供給をまかなっていました。そのためそれぞれの大手電力会社が抱える顧客数は非常に多く、しかも広い地域に分散しています。また前述の通り、大規模な発電設備を維持していく必要もあります。そのため、人件費や設備費といったコストがかかり、必然的に基本料金も高くなります。一方で新電力の場合は、発電設備にかかる費用はありません。自社で発電設備を保有している場合も、大手電力会社に比べればずっと小さなコストで済みます。加えて、大手電力会社と比べると自社で対応できる顧客数・地域が限定されるため、人件費も最小限に抑えることができます。このような理由から、大手電力会社よりも基本料金を低く設定している新電力が多くあります。【ポイント2】電気料金プランで選ぶ前述した従量制料金について、もう少し詳しく説明しましょう。従量制料金とは、1kWh当たりの電力量の単価で電気料金を計算する料金制度です。電力会社との契約が1kWh当たり25円だとすると、ある月に200kWhの電力を使用した場合は、その月の電気料金は5,000円ということになります。先ほどもご説明した通り、1kWh当たりの単価そのものが大きく変わることはあまりありません。しかし、各新電力は独自の電気料金プランを提供しており、いくつかの時間帯ごとに区切ってそれぞれに異なる単価を設定しています。つまり、1日で平均すると単価が変わることはなくても、ある時間帯に限っていえば単価そのものを安く抑えることができます。まずは1日のうちでもっとも電力を消費している時間帯を把握し、その時間帯において電力量単価が低く設定されている料金プランがないか探してみましょう。【ポイント3】セット割で選ぶセット割とは、現在契約しているガス会社や携帯会社、ネット会社などと同じ会社から電力の供給を受けることにより、それらと電気料金トータルの金額から割引を受けることができるサービスです。基本料金や電気料金プランが今よりも安い電力会社であれば、セット割も加えることで大きな減額が見込めるでしょう。また、基本料金や電気料金プランではそれほど安くならない場合でも、生活費としてのトータルの支出で見るとおトクになる場合があります。しかし、電力以外の契約期間も関わってくる場合があり、自分の好きなタイミングで電力会社を切り替えられなくなる可能性には注意する必要があります。契約を結ぶ前に、それぞれの契約期間と解約金や違約金の発生の有無などをしっかりと確認しておくと安心です。【ポイント4】電気事業の実績で選ぶ前述した通り、電力自由化後も電力の安定供給を確保するシステムが整えられているため、選択する電力会社によって電力の質や信頼性が変わることはありません。もちろん、自分が契約している電力会社だけ停電が頻繁に起こるなどといったこともありません。とはいえ、万が一予期せぬトラブルが起こった場合には、やはり電気事業者としての経験とノウハウを持っている大手電力会社のほうが迅速かつ適切に対応してくれることが予想されます。安心できることを最優先し、大手電力会社と契約することも1つの選択肢ではあるといえるでしょう。また、一般家庭に対しても電力の小売りが自由化されたのは2016年4月以降ですが、企業や工場などに対してはそれ以前から自由化が進められていました。そのため、新電力の中にも電力の販売実績を持つ企業があります。届け出を出しているだけで未だ電気事業に着手していないという企業も少なからずあるので、「名前も聞いたことがない電力会社と契約するのは心配」という方は電気事業の実績を確認してみるとよいでしょう。【ポイント5】発電方法で選ぶセット割と並んで電力自由化ならではのメリットといえるのが、どのような方法を用いて発電している電力を購入するか消費者側が自由に選択できることです。発電設備を保有している新電力には、環境にやさしい再生可能エネルギーを資源としているところが多くあります。エコへの関心が高い方は、そのような視点で電力会社を選ぶことも可能です。■電気料金プランの比較サイトを有効に活用しよう電力自由化により、現在、数百通りもの電気料金プランが存在するといわれています。ここまで5つの選び方のポイントをご紹介してきましたが、これらをひとつひとつの電力会社と照らし合わせ、その中から自分に最適なプランを選ぶのは、時間も労力も必要とする大変な作業になるでしょう。そこでおすすめしたいのが、電気料金プランの比較サイトの活用です。現在の電力の使用状況、契約内容などいくつかの項目を記入するだけで、自分に合った電気料金プランを提示してくれます。ぜひ一度試してみてください。■まとめいかがでしたか?ここまで、新電力(PPS)と大手電力会社(一般電気事業者)の違いや、電力会社を選ぶ際のポイントなどについて解説してきました。2つの電力会社の違いを把握していると、より自分に合った電力会社や電気料金プランを探しやすくなります。ぜひ参考にしてみてください。
2017年03月01日日々の暮らしに欠かせない電気。「月々の電気代はそれなりにかさむけれど、電気料金を節約するためには電気を使わないようにするしかない」と思い込んでいませんか?しかし、実は電気料金プランを見直すだけで、電気代を安く済ませられるかもしれません。そこで今回は、電気料金プランの見直し方などについてご紹介していきます。■まずは契約アンペアをチェックして節約電気料金プランの見直しと言っても、どこから手をつけるべきかわからない人も多いのではないでしょうか?最も簡単にチェックできるものとしては、「契約アンペア」が挙げられます。契約アンペアとは、同時に使用できる電気の量の上限を定めたものです。アンペア数によって基本料金が異なるため、契約アンペアを変更することで電気料金を節約できる可能性があるのです。そもそも、電気料金はどのように計算されるのでしょうか?例えば東京電力の場合、以下の式で電気料金が計算されています。《電気料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金》上記の電力量料金と再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電気の使用量に応じて課金されるため、この部分を節約するためには節電をする必要があります。そこで注目したいのが、契約アンペアによって金額が異なる基本料金です。例えば、東京電力の一般家庭向けプラン「従量電灯B」では、以下のように電力量料金が3段階になっています。・120kWhまで…1kWhあたり12.52円・120kWh~300kWhまで…26.00円・300kWh超…30.02円また、基本料金に関しては以下のように設定されています。・10A…280.80円・15A…421.20円・20A…561.60円・30A…842.40円・40A…1,123.20円・50A…1,404.00円・60A…1,684.80円先ほど述べた通り電力量料金は電気の使用量によって決まるので、同じだけ電気を使用した場合には、40Aから30Aに変更することで月々280円を節約できる計算になるのです。ただし、契約アンペアの見直しはすべての人が行えるわけではありません。実は、電気料金にはアンペア料金制と最低料金制の大まかに分けて2つの料金体系があり、電力会社によってどちらのシステムを採用しているのかが異なります。契約アンペア制では、東京電力の例で見たように契約アンペア数ごとに基本料金が定められており、さらに電気使用量に応じて課金されます。北海道電力、東北電力、北陸電力、東京電力、中部電力、九州電力などはこの契約アンペア制を採用しています。契約アンペアの変更ができるのは、こちらの契約アンペア制を採用している電気事業者と契約している場合です。それに対して最低料金制は基本料金が無く、ある一定の量までは一律の最低料金が定められており、それ以上は使用量に応じて課金されます。例えば関西電力では、一般家庭用の「従量電灯A」というプランの場合、以下のように料金が設定されています。・15kWhまで…一律373.73円・15kWh~120kWhまで…1kWhあたり22.83円・120kWh~300kWhまで…29.26円・300kWh超…33.32円このシステムを採用している電力会社としては、関西電力のほかに中国電力、四国電力、沖縄電力などが挙げられます。これらの電力会社を利用している場合には、契約アンペアによる料金の差は無いので、ライフスタイルに合ったお得な料金プランを検討してみると良いでしょう。■契約アンペアを見直すときのポイントまずは、現在契約しているアンペア数を確認しましょう。玄関や洗面所などにある分電盤を見ると、ブレーカーが色分けされていたり、数字が書いてあったりします。色分けは電力会社によって異なるため、わからない場合は各電力会社のウェブサイトなどで調べましょう。また、毎月の電気使用量のお知らせにも記載されています。次に契約アンペア数を見直しますが、ただやみくもに下げればよいというわけではありません。エアコンや照明、テレビ、電子レンジ、掃除機、洗濯機、ヘアドライヤーなど家の中には電化製品がたくさんありますが、これらを一度に使おうとして契約アンペア数以上の電流が同時に流れると、ブレーカーが落ちる仕組みになっています。ブレーカーが落ちても、スイッチひとつで回復する場合が多いですが、あまり繰り返すとブレーカー自体がうまく作動しなくなる恐れがあるのでとても危険です。そのため、同時に使う電気の量を見定めて、必要な分がギリギリ収まるアンペア数を選ぶのが安全に節約をするコツです。同時に使用する電気の量は、1年のうちで一番電気の消費量が多いときを基準にして考えるとよいでしょう。月々の電気料金を比べてみた場合、どの季節に一番多く支払っているでしょうか?一般的に春や秋の電気消費量は少なく、夏と冬に多く消費すると言われています。特に冬は、日が短いことから照明をつけている時間が長かったり、電気ストーブや電気毛布などの暖房器具を使ったり、長袖や厚手の服で洗濯物が増えることから洗濯回数が増えたり、気温が低くて洗濯物が乾きにくいため洗濯乾燥機を使ったりと、電気消費量が増えやすい傾向にあります。一方、夏場もエアコンによる電気消費量が多く、夏の需要全体のおよそ半分を占めると言われています。また、東京電力エナジーパートナーによると、1日の電気消費量をグラフにしてみたときに、夏と冬では電気需要のカーブが異なるとされています。夏は日中にのみエアコンをつけている場合が多いため、昼夜の電気消費量の差が大きくなり、ピーク時の電気消費量は冬に比べて多くなります。それに対して冬は起きて活動を始める朝と、日が暮れて暗く寒くなる夕方の2つのピークがあり、全体的に緩やかなカーブを描きます。電気の使い方は家によってさまざまですが、契約アンペア数を考えるときに重要なのは「一度にどれくらいの電気を使うか」というポイントなので、ピーク時に何アンペアが必要になるのかを考えるとよいでしょう。では、具体的にどんな電化製品がどれくらいの電気を必要とするのでしょうか?まずは、家の中にあるさまざまな電化製品のアンペア数がどれくらいなのかを把握しましょう。アンペアとは、電気の流れる量を表す単位のことで一般的にはAと表します。電化製品の電気消費量というと消費電力(W)が思い浮かぶ人が多いと思いますが、「電力(W)=電圧(V)×電流(A)」という式に当てはめることで、ワット数からアンペア数を計算することができます。日本の電圧は全国一律100Vなので、例えば1,000Wの掃除機と1,500Wの電子レンジの場合は、以下の式でアンペア数を導き出せます。・1,000Wの掃除機のアンペア数…1,000(W)÷100(V)=10A・1,500Wの電子レンジのアンペア数…1,500(W)÷100(V)=15A東京電力エナジーパートナーによる主な電化製品のアンペア数の目安は、以下の通りとなっています。・掃除機(強)…10A・450リットルクラスの冷蔵庫…2.5A・電子レンジ…15A・ドラム式洗濯乾燥機の乾燥時…13A・IHジャー炊飯器…13A・プラズマ42型テレビ…4.9Aただし、例えばインバータエアコンは暖房使用時の稼働中は6.6Aですが、立ち上がり時などは一時的に20A前後になるなど、使用中に変動がある機器も多いため注意が必要です。さて、これらの電化製品を常に使っているものと一時的に使うものに分けて考えます。例えば、冷蔵庫(2.5A)や照明(1A)、エアコン(6.6A)などを大体いつも使用しているとすると、常時10.1Aは必要だということになります。その上で、一日の生活を思い浮かべてみて、「食器洗浄機(13A)でお皿を洗う一方で洗濯機(13A)を回しながら掃除機(10A)をかける」という場面がある場合、さらに追加で39Aが必要となり総アンペア数は「10.1A+30A=49.1A」となるため、契約アンペアの目安は50Aとなります。一方、一度に使うのはせいぜい「炊飯器(13A)でご飯を炊きながら電子レンジ(15A)でおかずを温める」くらいだとすると、追加で必要なアンペア数は28Aとなり、総アンペア数(10.1A+28A=38.1A)から判断すると契約アンペアは40Aあれば足りることになります。このように、アンペア数の合計が一番大きくなる場合を想定して、現在契約しているアンペア数より一段階下げられそうであれば、その分の基本料金を節約することができるのです。もし、現状ではアンペア数を変更できないというときには、ほんの少しライフスタイルを変えてみてはいかがでしょうか。多くの電気を消費する電化製品を同時に使わないように、食器洗浄機や洗濯乾燥機などは、タイマー機能を使って稼働時間をずらせばアンペア数のピークを抑えることができます。電化製品の機能をフルに使って賢く節約しましょう。■安い時間帯がある電気料金プランで節約契約アンペア制でない場合や、契約アンペアの見直しを済ませてもっと節約をしたい場合には、電気料金プランの変更を検討してみましょう。例えば、時間帯によって電気料金が変わるプランは、複数の電力会社が提供しています。当たり前のことですが、電気の消費は多くの人が活動している昼間に集中しています。一方、発電所はこまめに発電量を調整することができないため、夜間は電気が余りがちになります。そんな電力会社の事情もあり、夜間に電気料金を安く設定したプランが多く見られるのです。夜間以外にも、休日や春・秋など、オフピークに電気料金が安くなるプランは多くの電力会社で用意されているため、ライフスタイルと照らし合わせて検討してみてもよいかもしれません。例えば、以下のようなプランが見られます。【関西電力の「時間帯別電灯」】昼間の電気料金が少し割高になる代わりに、23時から7時の間の電気料金を安く設定しています。関西電力の通常のプラン「従量電灯A」では第2段階(120kWhから300kWhまで)は29.26円ですが、「時間帯別電灯」では日中の料金が31.66円、夜間は13.10円です。電気給湯器を使用している場合はお風呂も夜間に入ったり、洗濯乾燥機や食器洗浄乾燥機などをタイマーで夜間に使ったりすることで節約が期待できます。【東京電力の「夜トク」】夜間の割安になる時間帯が23時から7時と短い「夜トク8」と、21時から9時と長い「夜トク12」があり、夜間の料金がそれぞれ20.78円、22.55円となっています。■自分に合ったお得なプランで節電時間帯別のほかにもお得なプランはあります。特にオール電化の住宅に住んでいる場合には、電気使用量が多い人向けのプランに切り替えた方がお得かもしれません。一般的なプランでは、電気料金は使用量が増えるほど1kWhあたりの値段が高くなります。すると、オール電化住宅などで使用量が多い場合には、電気料金は割高になってしまいます。それに対して、オール電化用のプランはどんなに使っても1kWhあたりの電気料金は変わりません。例えば、以下のようなプランが選択肢として挙げられます。【東京電力の「スマートライフプラン」】1時から6時までの夜間は17.46円、それ以外の昼間は25.33円で固定となっています。夜間蓄熱式機器などを使用したり、タイマー機能で洗濯や食器洗浄を夜に行ったりすれば、効率よく節約することができます。【九州電力の「電化でナイト・セレクト」】昼間と夜間に固定料金が設定されており、夜間10時間が13.02円と割安になるプランです。夜間時間帯を21時~7時、22時~8時、23時~9時から選ぶことができ、夜遅くまで起きている人や朝に家事をする人など、さまざまな生活スタイルに対応しています。また、昼間の電気料金は夏と冬の平日が26.40円、休日が20.88円、春と秋は平日が23.56円、休日が17.55円と平日より休日が安く、夏と冬よりも春と秋に安くなっており、電力需要の少ない時間に電気を使うことで節約ができるようになっています。ほかにも、以下のようにそれぞれの土地の事情に寄り添ったプランが用意されている場合もあります。また、ライフサポートと電気料金がセットになっているプランも登場しています。【北海道電力の「融雪用電力A~D」や東北電力の「よりそうCスノー」など】道路の融雪設備を使用する人向けのプランであり、毎年3か月あまりの間のみ決められた時間に電気を使うことができます。【中部電力の「暮らしサポートセット」】水回りや鍵のトラブルにすぐ対応してくれるサービスや、さまざまな電話相談サービス、ハウスクリーニングの割引などが、電気の基本料金プラス300円で受けられます。注意すべきなのは、電力小売全面自由化した2016年4月を境に、電気料金プランを変更した電力会社が多いことです。それにともなって、今までにあったプランに新規に加入することができなくなっている場合があります。一方で、新しい料金プランができているところもあるので、今まで知らなかったお得なプランが見つかるかもしれません。一度詳しく調べてみることをおすすめします。ここでは紹介しきれませんでしたが、主要電力会社以外にもガス会社や携帯電話会社など新規の電気事業者は多数あり、それぞれさまざまな料金プランやサービスを提供しています。既に集めているポイントがさらに貯まったり、支払いがセットで割引になったりと、自分に合ったプランが見つかる可能性があるので、馴染みの会社が電気事業を始めていたらどんな料金プランがあるのか調べてみましょう。■まとめいかがでしたか?電気料金の節約というと照明をこまめに消したり、エアコンの設定温度を変えたりといった「節電」にばかり目が行きがちですが、電気料金プランを変えるだけでも安く抑えることができる場合があります。電力自由化で選択肢の幅が広がり、これまでよりさらにいろいろな料金プランやサービスが出てきているので、ぜひ一度、調べてみてください。
2017年03月01日引っ越しや部屋の模様替えによって、家電の買い替えを考えている方はいらっしゃいませんか?その際に、新しい家電のサイズや配送とともに気をつけなくてはならないのが、いらなくなった家電の処分方法。特に、まだ使えるものである場合は上手にリサイクルしたいところです。今回は、いらなくなった家電の処分方法について詳しくご紹介します。■購入店やメーカーに引き取ってもらう場合まず家電を処分する際に知っておかなくてはならないのが「特定家庭用機器再商品化法」という法律です。「リサイクル法」とも呼ばれていて、廃棄される家電製品の適切な処理と資源の有効活用を目的としています。対象となるのは、エアコン、テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式)、洗濯機、衣料乾燥機の4品目。これらは「特定家庭用機器」に指定されています。さらに「小型家電リサイクル法」も定められ、パソコンや携帯電話、ステレオや電子レンジなども対象になりました。この法律によって、消費者には適正にリサイクルできるよう家電小売店に不要な家電を引き渡すこと、リサイクルの際に必要な収集・運搬料金の支払いに応じる義務があります。一方、小売業者には、自らが過去に販売した廃棄物を引き取り製造業者等へ引き渡す義務と、消費者が買い換えの際に同種の廃棄物の引き取りを求めたら引き取る義務があります。そして製造業者は自らが製造した廃棄物を引き取り、家電リサイクル法に基づいて定められた基準に則ってリサイクルする義務があります。それでは、実際に家電小売店やメーカーに引き取ってもらう場合の手順について見てみましょう。回収の際は、電話かWEBであらかじめ引き取りをお願いするお店に連絡を入れておく必要があります。この時に伝えておかなくてはならないのが、廃棄物の品目メーカーと回収日時です。回収可能なメーカーの一覧は各社のホームページに記載されているので、自分の持っている家電が引き取ってもらえるかどうか、確認しておくと良いでしょう。また、回収を依頼する際に注意しておきたいポイントについて、以下でご紹介します。■新しく購入した家電との引き換えしか行っていない場合がある業者によっては、新たな特定家庭用機器を購入した場合のみ、旧機種の回収を請け負う仕組みになっているところがあります。この場合は、新たに購入した家電を配達してもらった際に、引き換えに旧機種を回収してもらう流れになります。冷蔵庫を購入した際に依頼できるのは旧機種の冷蔵庫の回収のみとなり、冷蔵庫と引き換えにテレビを回収してもらうことはできません。■リサイクル費用をあらかじめ確認しておこう回収の際には、リサイクル費用を払わなくてはなりません。支払いが必要なのは、リサイクル料と収集運搬費、訪問回収費です。【リサイクル料】品目やメーカーによって異なり、例えば同じテレビでも16型以上は2,900円ほど、15型以下は1,800円ほどというようにサイズによっても変わります。この料金を確認するためにも、前述の通り廃棄物の品目とメーカーを一覧で確認しておくことが大切です。【収集運搬費】540円か1,080円のいずかになっていて、回収してもらう廃棄物のサイズによって異なります。【訪問回収費】引き取るお店によって金額設定が異なるので、依頼の際に確認しておきましょう。1,600〜2,900円程度が相場となっていて、台数が増えるほどに訪問回収費は増えていきます。一方、新機種と交換で回収してもらう場合は、廃棄する家電の回収費用はかかりません。また、場合によっては事前にリサイクル券の購入が必要になることもあります。購入をする際は、郵便局に設置されているリサイクル券に必要事項を記入の上、郵便局窓口あるいはATMから料金を振り込んでおきましょう。■リサイクル券は保管しておこう回収当日になったら、上記の費用と引き換えにリサイクル券の控えをもらいます。リサイクル券の控えは、定められた方法でリサイクルをしたという証になると同時に、記されている管理表番号から、回収された家電のリサイクル状況を確認することもできます。家電小売店には3年の保管義務がありますが、回収してもらった人も保管しておくと安心でしょう。■回収してもらう家電は自分で玄関前に移動しておこう回収してもらう家電は、事前に玄関などに移動させておかなくてはなりません。家電回収は、基本的には家の前にある家電を持っていくことしかしていないためです。もし自分で玄関先まで運べない場合は、あらかじめ伝えておきましょう。エアコンのように自分では取り外しできないものについても、現地で別途工事料金が求められることがあります。■不要品回収業者に頼む場合次に、不用品回収業者に頼む場合を見てみましょう。「家電を回収します」といった内容をスピーカーで流しながら回っているトラックや、「無料回収」のチラシをもらったことがある方は多いのではないでしょうか。これらが不用品回収業者になります。依頼をする際は、電話やメールで問い合わせをした上で見積もりを作成してもらいます。この時に、できるだけ具体的にサイズや容量について伝えておくと、より正確な見積もりをもらうことができます。また、訪問見積もりを行っている業者もあるので、問い合わせの際に見積もりの方法について聞いておくと良いでしょう。それから、回収日時を決めましょう。深夜や早朝でも対応してくれるところがありますが、割増料金が必要になる場合もあるので注意が必要です。回収当日には、実際の不用品の増減によって料金に変更が生じます。どのくらい差額が発生したかも確認しておくと良いでしょう。クレジットカードでの支払いができるところもあるので、控えをとっておくと金額の確認ができて安心です。上記が不用品回収業者に依頼する場合の流れですが、この時に気をつけなくてはならないのが、信頼できる業者であるかどうかという点です。無料回収をうたっておきながら費用を請求する業者などもあるので、トラブルを避けるためにも業者選びは慎重に行いましょう。以下では、業者選びのポイントをご紹介します。■許認可を取得しているか廃家電を一般家庭から回収する場合には「一般廃棄物処理業」の許可が必要となります。持っていない場合は無許可での営業となるので、依頼するのはやめましょう。家電リサイクル法において、回収した家電はフロンガスを回収した後に解体して素材ごとに仕分けられ、使える部分を再生利用しています。ところが、無許可の業者の場合はそのまま海外に横流しをしたり、山の中に不法投棄したりしていることもあるのです。■住所が実在する会社かもし許認可を得ている会社であったとしても、活動範囲が市や県を超える場合は自治体の許認可も必要になります。各自治体のホームページでは、行政処分を受けた業者を確認することができるので、どこの不用品回収業者がどのような処分を受けているのか、確認しておきましょう。■プライバシーマークを取得している会社か個人情報が特定されるような不用品がある場合は、特に業者選びには気をつけたいところです。そのため、プライバシーマークを取得しているかどうかは重要なポイント。依頼の際には確認しましょう。この他、業者には、適正に処理することを説明するための「産業廃棄物管理票」を発行する義務があります。これがしっかり発行できる会社であるかどうかも判断材料になるでしょう。■リサイクルショップで売る場合上記でご紹介した方法が、廃棄物を解体して別の物を作る「リサイクル」であるのに対し、そのままの状態で再利用することを「リユース」と言います。廃棄したい家電の状態が良く、まだ使用できそうであれば、リサイクルショップに売ってリユースをするのがおすすめです。リサイクルの場合は費用を支払わなくてはなりませんが、リサイクルショップに売る場合は、逆に査定金額を受け取ることができる点も大きなメリットです。買取方法は主に、店頭買取、宅配買取、出張買取の3つです。以下でそれぞれの流れを見てみましょう。■店頭買取直接店頭へ持ち込み、査定してもらう方法。10〜15分程度で査定が完了し、査定金額に合意したらその場で現金を受け取る流れになります。■宅配買取ネットで申し込んだ上で、売りたいものを梱包して発送し査定してもらう方法です。梱包用のダンボールがない場合は業者に届けてもらうことができ、送料も無料で送ることができます。査定は7〜10日で完了し、査定金額に合意したら指定した口座に振り込んでもらう流れになります。■出張買取こちらは、近隣のリサイクルショップに電話をして出張買取に来てもらう日時を決めます。当日スタッフに来てもらい、その場で査定。査定金額に合意がしたらその場で現金を受け取ることになります。また、どの方法においても買い取ってもらう際には本人確認証が必要となり、荷物を出荷する現住所、生年月日、氏名のすべてが確認できる運転免許証や保険証などが求められます。外国人の場合は外国人登録証明証なども必要になります。これらの本人確認証は、店頭買取や出張買取の場合はその場で提示し、宅配買取の場合はコピーしたものを品物と一緒にダンボールに入れて配送することになります。買い取ってもらう際には、きれいに掃除をしておいたり、付属品は揃えておいたりするなどの配慮をしておくと買取金額が高くなります。次に使う人のことも考えて極力整えた状態にしておきましょう。■自治体に回収してもらう場合家電小売店やリサイクルショップの他に、粗大ゴミとして自治体に回収してもらう方法もあります。自治体で回収してもらえるのは、特定家庭用機器の4品目以外のもので、一辺の長さが約30㎝以上のものが対象となっています。小型家電リサイクル法の対象製品については回収してもらえるものもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。まずは自治体のホームページか電話で、回収してもらえる品目であるか否かを確認しましょう。回収できるものであることがわかったら、処分する品目、サイズなどを伝えると、回収日と費用、収集場所についての指示がもらえます。次に、回収日までにコンビニや金融機関で指定された費用を納め、収集シールをもらいましょう。ごみ処理の手数料は200〜1,500円ほどなので、家電小売店などに依頼するよりも比較的費用は抑えることができるでしょう。また、この時にもらう収集シールには担当地域が印字されているため、不用品を出す地域と同じ地域で購入しなくてはならないので注意しましょう。回収日当日になったら、廃棄物に収集シールを貼り、指定場所へ置いておけば引き取ってもらえます。一般的に朝の8時が回収時間になっているので、早めに出しておくと安心です。■自分で指定取引場所に持ち込む場合上記の方法の他、自分で指定場所に持ち込む方法もあります。事前に処分する家電のメーカー名と、テレビの場合は画面サイズ、冷蔵庫や冷凍庫の場合は容量などを確認しておきましょう。次に、郵便局でリサイクル券を受け取り、リサイクル料を窓口あるいはATMから振込みます。この時に、窓口では130円、ATMでは80円の振込手数料が求められます。窓口で振込んだ場合は振込払込受付証明書に日付印を押印してもらい、ATMから振込んだ場合は利用明細の写しを振込払込受付証明書として使用することになります。振込払込受付証明書あるいは利用明細書の写しは、リサイクル券に貼り付けておきましょう。振込が済んだら、「一般財団法人家電製品協会家電リサイクルセンター」のホームページから指定引取場所を確認しましょう。家電リサイクル券を指定のミシン目から切り離したら、残ったリサイクル券を台紙から離して廃棄物の所定位置に貼り付けます。冷蔵庫は右側面上部、液晶やプラズマ式のテレビは背面左上部など決められています。貼り付け位置もホームページから確認することができますが、もしわからなかったら貼り付けずにそのままリサイクル券を引き渡すようにしましょう。回収日当日になったら、廃棄物とリサイクル券を持込み、担当者に引き渡したら完了となります。■まとめ回収の方法に種類があることがわかりましたが、方法によって回収できる品目や状態が異なり、かかる費用もそれぞれ異なります。まずは回収してもらいたい家電がリサイクル法に該当するのか、まだ使える状態であるのかなどを確認した上で回収方法も選ぶようにしましょう。
2017年02月24日新築住宅や中古住宅の購入、リフォームの際には、国の補助金を申請できます。申請者の収入や申請住宅の設備などについて要件があるため、細かくチェックしましょう。補助金額は30万円ほどのものから200万円を超えるものまで幅広くあります。なかでも近年は三世代同居に対応した住宅(二世帯住宅)への補助が厚くなっている傾向にあります。■新築住宅購入で利用できる補助金一覧新築住宅を購入する際に利用できる補助金には以下のものがあります。【すまい給付金】消費税率引き上げの負担を軽減するため、引き上げ後の税率が適用される住宅を購入する人を対象に現金を給付する制度です。平成26年4月から平成33年12月まで実施されます。不動産登記上の持分があれば配偶者でも給付金を受け取れる点、住宅ローン減税と併用可能な点がポイントです。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。一般的な要件のほかに、以下の独自の要件があります。1.収入が一定以下であること。・8%時:収入額の目安が510万円以下・10%時:収入額の目安が775万円以下2.住宅ローンを利用しない場合は、年齢が50才以上であること。さらに10%時には、収入額の目安が650万円以下であること。3.引き上げ後の消費税率が適用される住宅であること。4.床面積が50平方メートル以上の住宅であること。5.住宅ローンの利用がない場合は、フラット35Sの基準を満たす住宅であること。フラット35Sの基準は以下のいずれかに該当することです。1.耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)2.省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4または省エネルギー対策等級4)3.バリアフリー性に優れた住宅(等級3)4.耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3、維持管理対策等級2等)給付額は、住宅取得者の収入によって決まる給付基礎額と、不動産登記上の持分割合で、以下の計算式により決定します。給付額=給付基礎額×持分割合補助金額上限は、消費税率8%の場合最大30万円、10%の場合最大50万円です。手続き時期は入居後随時(入居後1年3カ月以内)です。【住宅ストック循環支援事業】エコ住宅への建て替えに対して補助金を申請できる事業です。建設業者や宅建業者が補助金を申請し、給付を受けます。業者が受け取った補助金は、住宅所有者に還元されます。要件は一般的な要件のほかに、以下のような独自の要件があります。1.耐震性のない住宅を除却すること。2.エコ住宅に建て替えること。補助金額は30万円~50万円です。手続き時期は補正予算成立後(10月頃)~同年度3月末日までです。【地域型住宅グリーン化事業】地域における木造住宅の生産体制を強化する目的で実施されている補助金事業です。三世代住宅(二世帯住宅)への対応に対して補助金が加算される点がポイントです。施行事業者などからなるグループが補助金を申請し、給付を受けます。補助金は住宅所有者に還元されます。以下のいずれかの要件を満たす必要があります。なお、いずれも木造建築が条件です。1.長寿命型(長期優良住宅の認定を受けたもの)2.高度省エネ型(認定低炭素住宅の認定を受けたもの)3.高度省エネ型(性能向上計画認定住宅の認定を受けたもの)4.高度省エネ型(ゼロ・エネルギー住宅の認定を受けたもの)補助金額は以下のとおりです。1.長寿命型:100万円2.高度省エネ型(認定低炭素住宅):100万円3.高度省エネ型(性能向上計画認定住宅):100万円4.高度省エネ型(ゼロ・エネルギー住宅):165万円さらに地域材を利用した場合は20万円を上限に補助金額が加算、三世代同居に対応した場合は30万円を上限に加算されます。手続き時期は4月~6月頃です。【ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業】住宅における年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロとなる住宅(ZEH)に対して出される補助金です。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。一般的な要件のほかに、以下のような独自の要件があります。1.ZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たしていること。《ZEHの定義》(1)住宅の外皮性能が地域区分ごとに定められた強化外皮基準以上であること。(2)設計一次エネルギー消費量が再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上削減されていること。(3)太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを導入すること。(4)設計一次エネルギー消費量が、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上削減されていること。2.申請する住宅はSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されたZEHビルダーが設計、建築または販売を行う住宅であること。3.導入する設備は本事業の要件を満たすものであること。4.要件を満たすエネルギー計測装置を導入すること。補助金額は以下のとおりです。1.交付要件を満たす住宅:125万円2.交付要件を満たし、寒冷地特別外皮強化仕様である住宅:150万円3.設計一次エネルギー消費量が、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上削減されている住宅:125万円さらに蓄電システムを導入する場合には、補助金額が以下のとおり加算されます。1.蓄電システムの補助金額:蓄電容量1kWh当たり5万円2.蓄電システムの補助金額上限:補助対象経費の3分1のまたは50万円のいずれか低い金額手続きは年度内に随時行えます。【民生用燃料電池導入支援事業】家庭用燃料電池システム「エネファーム」を住宅に導入する場合、その購入費用の一部を支援してもらえる補助金制度です。一般的な要件のほかに、以下のような独自の要件があります。1.申請者は燃料電池システムを購入し、実際に使用する人であること。2.設置予定の燃料電池システムが、「FCA(燃料電池普及促進協会)が指定した燃料電池システム(補助対象システム)」であること。3.「補助対象システム」を6年間以上継続して使用できること。4.他の国庫補助金と重複して補助を受けない(受けていない)こと。5.補助対象システムの設置などに関するFCAへの情報提供に同意できること。6.個人(個人事業主を除く)が申請する場合、排出削減事業への参加を表明できること。住宅所有者が直接申請し、給付を受けるタイプの補助金です。補助金額は、補助の対象となるエネファームの機器価格と工事費の合計価格(補助対象経費)の大きさによって以下のとおり変わります。1.合計価格が基準価格以下の場合固体高分子形(PEFC):15万円固体酸化物形(SOFC):19万円2.合計価格が基準価格を上回り、裾切価格以下の場合固体高分子形(PEFC):7万円固体酸化物形(SOFC):9万円さらに設置対象の燃料種別がLPガスの場合や、補助対象システムが寒冷地仕様の場合は、3万円ずつ補助金額が追加されます。基準価格は、固体高分子形(PEFC)は127万円、固体酸化物形(SOFC)は157万円です。また裾切価格は、固体高分子形(PEFC)は142万円、固体酸化物形(SOFC)は169万円と定められています。なお基準価格や裾切価格は、使用や燃料種別によって変動するため、詳細については個別に確認が必要です。手続きは年度内に随時行えます。【地方公共団体の補助金事業】国だけでなく、都道府県や市町村でも、さまざまな補助金事業が実施されています。お住まいの地域で受けられる補助金がないかチェックしてみましょう。■中古住宅購入で利用できる補助金一覧中古住宅を購入する際に利用できる補助金には以下のものがあります。【すまい給付金】すまい給付金は中古住宅の購入も対象になります。ただし給付の対象となる中古住宅は、売主が宅地建物取引業者である中古住宅(中古再販住宅)だけである点に注意が必要です。これは売主が個人の場合には、同給付金の根拠となる消費税が課税されないためです。おもな要件は新築住宅購入の場合と同様です。【住宅ストック循環支援事業】良質な既存住宅の流通を促進する目的から、中古住宅の購入の際にも同事業の補助金を申請できます。新築住宅を購入する場合とは要件が異なるため気をつけましょう。宅建業者やインスペクション事業者が補助金を申請し、給付を受けます。業者が受け取った補助金は、住宅所有者に還元されます。要件は以下のとおりです。1.若者(40歳未満)が既存住宅を購入すること。2.売買に際して、インスペクションを実施し、既存住宅売買瑕疵保険に加入すること。インスペクションとは、専門家が第三者的な立場から、住宅の劣化状況や欠陥の有無などをチェックすることを指します。補助金額は以下のとおりです。1.インスペクション5万円2.リフォーム工事内容に応じて定める額(定額)上限はインスペクションとエコリフォームの合計で50万円(耐震改修を行う場合は65万円)です。手続き時期は補正予算成立後(10月頃)~同年度3月末日までです。【地方公共団体の補助金事業】中古住宅を購入する場合も、都道府県や市町村の補助金が利用できることがあります。積極的に問い合わせてみましょう。■住宅リフォームで利用できる補助金一覧住宅リフォームで利用できる補助金には以下のものがあります。【住宅ストック循環支援事業】エコリフォームを行う場合は、同事業の申請が可能です。リフォーム会社が補助金を申請し、給付を受けます。リフォーム会社が受け取った補助金は、住宅所有者に還元されます。要件は以下のとおりです。1.エコリフォームを実施すること2.リフォーム後に耐震性が確保されること補助金額は、リフォーム工事内容に応じて定める額(定額)が支給されます。上限は30万円(耐震改修を行う場合は45万円)です。手続き時期は補正予算成立後(10月頃)~同年度3月末日までです。【地域型住宅グリーン化事業】新築住宅の購入だけでなく、リフォームを行う場合も要件を満たせば同事業の補助金を申請できます。補助金の受け取り方法や補助金額などは新築住宅購入の項目における「4.高度省エネ型(ゼロ・エネルギー住宅)」と同様です。要件はゼロ・エネルギー住宅に認定された木造の住宅であることです。【ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業】新築住宅の購入だけでなく、リフォームの場合も同事業を利用できます。なお補助金額など要件以外の内容は新築住宅購入の場合と同様です。一般的な要件以外に、以下の独自の要件が定められています。1.既築住宅は住宅全体の断熱改修を含み、導入する設備は原則としてすべて新たに導入すること。【民生用燃料電池導入支援事業】リフォームでも同事業を利用できます。詳細は新築住宅購入の場合と同様です。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。【住宅省エネリノベーション促進事業】住宅の省エネ化を促進するための補助金事業です。一般的な要件のほかに、補助対象となる製品について以下のとおり独自の要件があります。1.住宅の省エネルギー改修(省エネリノベーション)に有効な高性能建材・設備としてSIIの定める要件を満たした製品であること。2.未使用品であること。補助金額は以下のとおりです。1.高性能建材(ガラス・窓・断熱材):補助対象費用の3分の1以内、上限150万円2.蓄電システム:5万円/kWh、上限額は補助対象費用3分の1または50万円のいずれか低い金額3.高効率給湯機:補助対象費用の3分の1以内、上限15万円手続きは年度内に随時行えます。【長期優良住宅化リフォーム推進事業】既存住宅の長寿命化を目的とした補助金事業です。三世代同居のためのリフォームは補助金がアップします。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。あるいはリフォーム会社が補助金を申請して給付を受け、その補助金を住宅所有者に還元することも可能です。要件は以下のとおりです。1.リフォーム工事前にインスペクションを行うとともに、工事後に維持保全計画を作成すること。2.下記性能項目のいずれかの性能向上に資するリフォーム工事または三世代同居改修工事を行うこと。劣化対策、耐震性、省エネルギー対策、維持管理・更新の容易性、高齢者等対策(共同住宅のみ)、可変性(共同住宅のみ)、三世代同居改修工事3.リフォーム工事後に少なくとも劣化対策と耐震性の基準を満たすこと。補助金額は、リフォーム工事に必要な費用の合計額の3分の1以内、上限は100万円が基本です。ただし三世代同居改修工事を実施する場合は150万円が上限となります。なお認定長期優良住宅とする場合はプラス100万円が上限になります。手続きは年度内に随時行えます。【市町村の補助金事業】住宅リフォームについても、都道府県や市町村の補助金を受けられる場合があります。ぜひ調べてみてください。■まとめいかがでしたか?補助金にはそれぞれに要件や特徴があることがわかったかと思います。住宅の購入やリフォームにはお金がかかりますが、補助金事業を賢く利用して、費用を抑えたいところですよね。住宅の購入やリフォームを検討する場合には、利用できる補助金がないかどうか、ぜひチェックしてみてください。
2017年02月24日一人暮らしを始めるにあたって、一番気になるのはやはり生活費のこと。毎月、家賃の他に食費や光熱費、交際費など様々なことにお金がかかります。また、学生や社会人など、職業などによってもお金の使い方は異なるでしょう。そこで今回は、学生と社会人、それぞれにかかる一人暮らしの生活費をご紹介します。■家賃の目安は?立地や間取り、アパートかマンションかによってどれくらい違う?一人暮らしにおいてもっともお金がかかるのが家賃です。間取りや条件によって家賃はまったく異なるので、条件ごとの家賃を把握し、自分に合った部屋を見つけることが大切です。家賃の目安は、一般的には月収の3分の1と言われています。この時の「月収」とは手取り額のことを指しているので、月収18万円の人は14〜15万円が手取りとなります。具体的な収入と家賃の金額としては以下のようなイメージです。・月収15万円以下…家賃4〜5万円・月収15〜20万円…家賃5〜6万円・月収20〜30万円…家賃6〜8万円・月収30万円以上…家賃8〜10万円また、アパートとマンション、間取りや立地によってどのくらい値段が変わるのでしょうか。以下を参考に、自身のこだわりポイントと予算を検討してみましょう。【アパートとマンションの差額】一人暮らしの場合、住む物件はアパートかマンションの二択から選ぶことがほとんどでしょう。両者の違いは、建物の構造。アパートは・木造・プレハブ・造軽量鉄骨造のものマンションは・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)・鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨造(ALC)のものを指します。一般的にマンションの方が頑丈なつくりになっていて、5階建以上の場合は必ずエレベータが付いています。防音効果もマンションの方が高いので、同じエリアや同じ間取り、同じ築年数であっても、マンションの方が家賃は1万円ほど高くなります。【間取りによる家賃の違い】一人暮らしの間取りは、主にワンルーム、1K、1DK、1LDKの4種です。ワンルームは、トイレやバスルームを除くすべてのスペースがひとつになっている部屋のこと。キッチンも部屋の中に含まれています。一方、1Kはキッチンが部屋とは別で確立されているもの。そのため、1Kで6帖と記載されている場合は部屋のみの広さを指していますが、ワンルームの6帖にはキッチンも含まれているため、実際の部屋のスペースは6帖未満になってしまいます。家賃で比較すると、ワンルームと1Kでは、同じ立地や敷地面積であっても、最大1万円の差額が生じることも珍しくありません。1DKは、部屋とは別で4.5〜8帖ほどのダイニングキッチンがついている部屋のこと1LDKは部屋と別で8帖以上のリビングダイニングキッチンがついている部屋のことです。1Kと1DKの家賃の差額は2万円前後、1DKと1LDKの差額は3万円前後が目安です。【立地による違い】駅からの距離によっても家賃に差が出ます。徒歩5分以下と徒歩6〜10分の物件ではほとんど家賃に差はありませんが、徒歩11分になるとぐっと家賃は下がります。徒歩5分以内の物件と比べると1万円以上の差額が生じ、徒歩16〜20分の物件になると、そこからさらに1万円ほど下がります。また、急行が止まったり始発電車があったりする駅の場合は、隣駅と比べ家賃相場が1万円ほど上がることもあります。■食費の目安は?自炊と外食とお惣菜、どれが安くつく?収入のうちの3分の1が家賃にかかるとして、残りの3分の2のお金の使い方に気をつけたいところです。中でも毎日お金がかかる「食費」は、出費を左右する大事なポイントとなります。総務省統計局が行なった「全国単身世帯収支実態調査(平成26年)」によると、一人暮らしの1ヶ月の食費平均額は男性で41,772円、女性で32,142円という結果になりました。年齢別では、以下の通りとなります。・30歳未満…男性は36,100円、女性は2,8048円・30〜39歳…男性は42,152円、女性は30,217円項目別に見てみると、野菜や海藻などの素材に関しては女性の方がお金をかける傾向があるのに対し、お弁当や冷凍食品を指す「主食的調理食品」は明らかに男性の方が高くなっています。さらに外食の平均額を男女で比較すると、30歳以下では5,000円、30〜39歳では1万円ほど男性の方が高くなっていました。これは、男性は外食が多く、女性の方が自炊をする傾向にあることを示していると言えるでしょう。男女の差額からも自炊の方が安く済むことがわかりますが、実際どのくらい差額が生じるのでしょうか。以下では、自炊と外食、お弁当やお惣菜などの中食を活用した場合をシミュレーションしてみましょう。【自炊の場合】3食自炊でまかなう場合、米1キロ、野菜、肉、魚、卵、調味料などを買い揃えたとしても1週間分は3,000円ほど。中食や外食に比べると食費はぐんと下がりますが、代わりに調理の際に使用するガスや電気代が高めになります。【中食の場合】朝はコンビニでパンやおにぎり、飲み物を買うと想定し300円、昼と夜はコンビニや惣菜屋さんで買ったお弁当500円を食べると想定します。すると1日あたり、300円+500円+500円=1,300円。1週間で9,100円の計算になります。栄養に気を使ってサラダなどを買い足すと、さらに費用がかかりそうです。【外食の場合】朝は中食派と同様にコンビニで買うと想定し300円、昼は定食屋さんで700円のランチ、夜は1,000円で外食していると想定します。すると1日あたり、300円+700円+1,000円=2,000円。1週間で14,000円の計算になります。お酒を飲んだりすると、さらに高くなることが予想されます。上記は3食すべてを自炊や中食、外食にした場合のイメージです。自炊と外食では1万円以上の差が出ました。しかし実際は、一人暮らしで毎日自炊をするのは難しく、一方で外食ばかりというわけにもいかないでしょう。自炊用の食材を1,800円程度に抑え、代わりに中食を週4日、外食を週3日に抑える場合を見てみましょう。1,800円+500円×4日+1,000円×3日=6,800円。すべて自炊をするよりは高くなりますが、中食や外食よりは安く、栄養バランスも整えやすく無理のない方法です。他にも、食材を冷凍したり、お弁当が作れなくてもごはんだけは持っていったりするなどの工夫をすれば、費用は抑えられるはずです。■水道光熱費、通信費、携帯料金の目安食費とともに、毎月必ずかかるのが水道代や光熱費、通信費です。「全国単身世帯収支実態調査(平成26年)」によると、「光熱・水道」の月額平均は、30歳未満と30〜40歳を見てみると、男女ともに7,000〜8,000円。電気代、ガス代、水道代をそれぞれ見てみると以下の通りとなりました。・電気代の平均…3,000〜3,500円・ガス代の平均…2,200〜2,500円・下水道代の平均…1,700〜1,800円通信費に関しては、男女ともに7,000〜8,000円が平均額となっていて、携帯電話の通信料金は5,000〜6,000円程かかっていることがわかります。上記の金額は、住む地域によっても変動します。契約する会社がエリアによって異なることが理由ですが、中でも関西のガス代に関しては、ガスの自由化に向けて各社が料金見直しを行ったため値下げ傾向が顕著になりつつあります。東京と比べても、基本料は半額近くにまで下がっているようです。また、これらの費用を節約するにはさまざまな方法があるので、節約アイディアを以下でいくつかご紹介します。【ガス代】暮らしの中でもっともガスを使うのがお風呂と言われているため、お風呂での節約を心がけるとガス代が大幅に削減できます。具体的には、追い炊きの回数を減らすためにお風呂にフタや保温シートをかぶせたり、シャワーを短くしたりするなどの工夫が考えられます。40度のシャワーの場合、1分短くなるだけで3円の節約につながります。また、キッチンでお湯を沸かす際は電気ポットではなく、やかんで必要な量だけを沸かす方が節約になります。1リットルの水を3回コンロで沸かしたとしても、3リットルの水を電気ポットで1度に沸かして保温するより安く済ませることができるのです。【電気代】一人暮らしの物件では、だいたいが30Aでの契約となっています。しかし、これを20Aに引き下げれば、電気の使いすぎを防ぐことができます。30Aの基本料金が840円ほどなのに対し、20Aは560円ほど。実際に一人暮らしでは20Aでも十分です。他にも、コンセントを抜いて待機電力を抑える、冷蔵庫にものを詰め込みすぎない、テレビの明るさを少し抑えるなどの方法が考えられます。掃除機を使う時間を減らすために、あらかじめクリーナーなどでほこりは取っておくという方法なども効果的です。【水道代】水道代に関しては、主にお風呂とトイレでの工夫が効果的。お風呂でついシャワーを出しっ放しにしてしまうという方が少なくありませんが、10分の洗髪などの間に3分間シャワーを止めるだけで36リットルの節水につながります。これを1ヶ月続けると1,000円の節約になります。トイレでは、流す際の流水レバーに注意。いつも大で流すという方が多くいますが、実はこれを小にするだけで2リットルの節水になります。こちらも金額に換算すると1ヶ月で170円の節約。1年で2,000円削減できます。【通信費】今やスマートフォンは生活必需品のひとつ。利用頻度は抑えられなくても、パケット代を抑える工夫をしましょう。自宅にインターネット回線が引いてある場合は、極力そちらに切り替え、外出時も公共のWi-Fiサービスを活用しましょう。また、電気とインターネット、携帯電話のセット割を提供している電気会社もあります。他にも、2016年4月から開始した電力自由化にともない、各社がさまざまなプランを発表しています。これらを比較し、自分に合ったプランを見つけるのも手です。■学生の交際費、雑費の目安家賃や光熱費などを引いた金額が、自由に使えるお金になります。学生の場合は平均していくらくらい使っているのか見てみましょう。全国大学生活協同組合連合会が行った「第51回学生生活実態調査の概要報告」によると、一人暮らしの学生が受け取っている親からの仕送りは平均で月額71,440円、奨学金の平均は23,270円、アルバイトの収入は平均25,320円。その他の収入などを加味した上での平均収入は、月額122,580円となりました。家賃が5万円、自炊や学食などを利用して食費が2万円、水道・光熱費が7,000円、携帯電話などの通信費が5,000円とします。すると、残りは4万円弱となります。ただし、残りがすべて自由に使えるというわけでもなく、統計によると、主に以下の出費が見られました。・教育娯楽費…8,490円・書籍費…1,680円・日常費…4,800円これらを引いた金額が交際費に充てられますが、その額は25,000円前後。学生の場合、サークルの飲み会などは1回あたり3,000〜4,000円程度。毎週参加するとあっという間にお財布が空になってしまいそうです。また、女子の場合は化粧品や髪型にも気を使いたいところでしょう。こちらは女子の方が金額が多くなる傾向にありますが、それでも2万円以内には抑えておくのが賢明です。その他、交通費なども考慮すると、やはり交際費や雑費は15,000円程度が理想的です。万が一のことなども考えて、最終的に手元には1万円を残しておくことも考えておきましょう。そのためには、上記の書籍費を浮かせるために学校などの図書館を活用することなどの工夫をすることが大切。図書館であれば書籍代を節約できるだけでなく、冷暖房の設備も整っているので、電気代やガス代の節約にもつながるでしょう。■社会人の交際費、雑費の目安社会人の場合は、年齢や経歴によっても収入はまったく異なります。今回は新社会人の場合を見てみましょう。厚生労働省が行った「平成28年賃金構造基本統計調査結果(初任給)」によると大学卒の初任給の平均額は203,000円。これは所得税や社会保険料なども含んだ金額になるので、実際に手元に残るのは16〜17万円ほどになります。住民税も給与から引かれますが、前年度の所得に対してかかるものなので、新社会人の場合はありません。家賃が7万円、外食などが増えるので食費は25,000円、水道・光熱費が7,000円、携帯電話代と自宅での通信費が10,000円とします。すると残りは5万円前後。そこから日用品などに5,000円使い、貯金を15,000円すると、残りは3万円。学生に比べると自由に使えるお金が3万円というのは大きな額に見えますが、社会人の場合は自分でスーツやメイク道具などの身だしなみ費用も捻出しなくてはなりません。さらに、社会人の場合は食事に行くお店も学生に比べ価格が高くなります。すると、交際費に充てられる金額は2万円前後が理想的だと言えそうです。■まとめ学生と社会人では収入が違いますが、必要な支出も異なることがわかりました。両方に共通して言えることは、万が一の時のために、多少は手元にお金を残すことが大切だということ。まずは、自分の中で優先順位をつけながら、生活費のシミュレーションをしてみましょう。
2017年02月24日葬儀や法事では、喪服をまとって出席することが常識です。しかし、喪服は滅多に着ることがないため、喪服の格式や価格などに疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?今回はそんな喪服について、格式からレンタル方法までご紹介していきます。礼服と喪服って何が違う?格式に合わせた喪服を着る礼服と喪服、どちらも似ているように思えますが、何が違うのでしょうか?礼服と喪服の違いは一言で言うと、慶事用か弔事用かです。人生には冠婚葬祭という4つの催しがあるとされています。冠は成人式、婚は結婚式、葬は葬儀や告別式、祭はお盆などの先祖の霊を祭るイベントのことを指します。このうち、冠と婚に使われるものが礼服、葬と祭に使われるものが喪服です。広い意味で捉えれば冠婚葬祭全てに着用できる服のことも礼服と呼びます。礼服も喪服も基本的には黒が主流ですが、これはもともと黒がおめでたい色だった名残です。しかし、礼服の黒は光沢があるのに対して、喪服には光沢がありません。光沢のある黒は華やかなイメージを与えるため、葬儀などの弔事にはふさわしくありません。逆に結婚式などの慶事に光沢のない黒を着ていくことも、弔事を連想させるため控えた方がよいでしょう。主に喪服として着られる男性のブラックスーツは、一言に「黒」といってもさまざまな深みの黒があります。喪服の寿命はおよそ10年と言われているため、10年後の自分が着られるものかどうか、イメージしながら選ぶとよいでしょう。女性の喪服はボレロ風ジャケット、テーラードジャケットなど、さまざまなタイプのデザインがあります。ボレロ風ジャケットであれば、20代から30代の若い方に似合いますし、40代であればゆったりと落ち着いた印象のテーラードジャケットもおすすめです。自分の年齢や体型に合ったものを選びましょう。ただし、弔事の場では膝が見えることは好ましくないため、女性の喪服は膝が隠れるかどうかを基準にしてください。弔事の場では立ったり座ったりする動作が多いため、ある程度動きやすさもあった方がよいでしょう。ポリエステル製のオールシーズンのものが1着あれば、どんな季節でも着られて便利です。喪服には、正喪服、準喪服、略喪服の3つの格式があります。正喪服は本喪服とも呼ばれ、基本的に遺族が葬儀や告別式、1周忌などで着るものです。喪服の中では最も格式の高いものとされています。基本的に参列者が着ることはありません。準喪服は一般的な喪服で、遺族側、参列者側問わず着られます。遺族の場合は法事や急な弔問、通夜の際に着用します。参列者側は1周忌までの法要や葬儀、告別式などに着るとよいでしょう。略喪服は簡略化された喪服であり、主に参列者が3回忌以降の法要で着用します。また、葬儀や告別式ではなく、小さなお別れ会の場合や「平服で」と指示があった場合にも、略喪服を着ていくようにしましょう。葬儀や告別式、通夜などでは、参列者は遺族よりも格式の高い服装にならないことがポイントです。そのため、いくら故人を偲ぶためでも仰々しい服装はよくありません。遺族の気持ちを考えたバランスも大切です。【葬儀・告別式】遺族は正喪服・参列者は準喪服葬儀や告別式で着用する喪服は、遺族の場合は正喪服か準喪服、参列者の場合は準喪服です。遺族側であれば、光沢のない黒の素材の喪服を選びましょう。男性の場合はモーニングが正喪服です。白べりを外し、ベスト、ネクタイ、靴下などは全て黒で統一します。女性の場合はワンピースやアンサンブルで、肌の露出を最小限に抑えます。基本は長袖で、スカート丈もくるぶしが隠れるくらいの長めのものを用意しましょう。ストッキングは黒で、バッグも飾り気のない黒のものを選びます。また、遺族側の着る正喪服には和装もあります。この場合、男性も女性も紋付の黒を着用します。男性の和装の場合、基本的には礼服と同じですが、袴のひもは一文字結びで、半襟や鼻緒の色は黒か地味な色にしましょう。女性の場合は染め抜きの紋付に白の半襟、帯揚げや帯締めは黒にします。ただし、和装の場合は羽織のひもに白を使ったり、ちりめんの生地だったりと地域の風習によって装いに差があります。和装を着用する場合には、年長者に聞いて地域の風習を最優先にしましょう。準喪服は男性の場合ブラックスーツ、女性の場合は一般的なブラックフォーマルです。男性の場合シャツは白、ネクタイ、靴下、靴は黒のものを身に付けます。女性の場合は露出の少ないワンピースやアンサンブル、スーツなどで、アクセサリーは黒か白の1連の真珠、黒曜石などであれば身に付けても構いません。化粧は薄めにして、アイシャドウやマニキュアなどは避けましょう。学生の場合は制服で、小さなお子さんや制服がない場合には黒や紺、グレーなどの地味な色のフォーマルを着用します。シャツやブラウスは白、靴は黒、靴下は黒か白のものを選びましょう。女の子なら地味な黒や紺、グレーなどのワンピースでも問題ありません。新生児や乳児の場合には白やグレー、ベージュなどの自然な色のものを身につけてください。明るい色を使うことは厳禁です。ただし、基本的に新生児や乳児は親族以外は弔事の場に連れていかない方がよいでしょう。また、冬場のコートに関してですが、毛皮のコートは殺生を感じさせるため厳禁です。手袋やマフラーも同様のため、動物の毛皮を使った製品は身に付けないようにしましょう。コートなどの防寒着は会場に入る前に脱ぐことがマナーです。【通夜】準喪服か略喪服で失礼にならないように通夜では、基本的に遺族よりも仰々しくならない程度の服装で行くようにするとよいでしょう。仕事の帰りに駆けつける場合には、派手な格好でなければ喪服でなくても構いません。しかし、訃報は急にやってくるものとはいえ、あまりカジュアルな服装で行くのは好ましくありません。ある程度準備ができるようであれば、準喪服か略喪服を着用することが好ましいです。通夜の場合、男性はダークスーツが基本です。ネクタイや靴などは黒のものを着用します。目立たなければストライプのスーツでも構いません。ネクタイピンや派手な時計をしている場合には、通夜の会場に駆けつける前に外しておきます。黒のネクタイはコンビニエンスストアでも販売されているため、急な訃報の場合でも簡単に購入できます。仕事上の付き合いが多い人は、仕事場に黒いネクタイを常備しておくとよいでしょう。女性の場合はダークスーツか、紺やグレーのワンピースが望ましいです。ストッキングは黒か肌色のものを着用し、化粧も薄めにしていきます。アクセサリーは1連の真珠のものと結婚指輪以外は外し、髪もシンプルにまとめるようにしましょう。バッグや靴は光沢のあるものを避け、地味なものが好ましいです。ショルダーバッグはなるべく避けたいところですが、急な訃報の場合にはそうもいかないこともあるでしょう。そういった場合には参列時に肩にかけずに手で持つ等の配慮をすれば大丈夫です。仮通夜に駆けつける場合には、地味な平服を着ていきます。仮通夜は亡くなった直後に行われるため、しっかりした喪服で行くと不幸を予期していたようで、かえって遺族の気分を害してしまいます。【法事】回数と共に格式を下げる法事では遺族側は準喪服で迎え、参列者は回数を重ねるごとに喪の表現を薄くしていくことが基本です。1周忌の場合には遺族側、参列者側共に準喪服を着用します。男性の場合は黒のスーツにネクタイ、白いシャツが基本です。足元は黒の靴と黒の靴下、葬儀や通夜と同様、ネクタイピンや派手な時計など光るものは外しておきましょう。ベルトも光るものは着用せず、バックルも派手に見えるものは控えましょう。女性の場合は黒のワンピースやアンサンブル、スーツなどを着用します。夏であっても露出は控え、6分丈から7分丈ほどに留めておきます。ストッキングや靴、バッグも黒で、光沢のあるものは厳禁です。いずれも飾り気のない地味なものを身に着けていきます。アクセサリーも葬儀や通夜と同様、1連の黒や白の真珠、オニキス、黒曜石などの地味なものに留めましょう。遺族の場合は3回忌までは以上の服装ですが、前述したように参列者の場合、法事は回数を重ねるごとに喪の表現を薄くしていくことが基本です。そのため3回忌以降の場合には「平服でお越しください」と書かれることもありますが、カジュアルな服装はやはり好ましくありません。基本的には略喪服を着用していくことがマナーです。3回忌以降の場合は、男性はダークスーツが基本です。色は黒や紺、グレーなどで構いませんが、1周忌と同じように光るものは避けるようにしましょう。女性も黒や紺、グレーといった地味な色のスーツやアンサンブル、ワンピースなどが好ましいです。地味なものであればストライプやチェック、織り柄の入ったものでも構いません。靴やバッグも黒ではなく、紺やグレーなども地味な色のもので大丈夫です。ただし、爬虫類の皮を使ったものなどは殺生を感じさせるため厳禁です。略喪服の場合、正喪服や準喪服に比べて制限は少ないですが、夏場でも肌を露出することはやはり好ましくありません。夏場の場合には上に黒の薄い上着を1枚羽織るなどして対応しましょう。アクセサリーも光るものを控え、結婚指輪や黒や白の真珠程度に留めて置きます。華美になりすぎないように注意が必要です。子供の場合には葬儀や通夜同様、制服が基本です。学生でない場合や制服がない場合には、黒や紺、グレーといった地味な服装であれば問題ありません。足元は黒が好ましいですが、ない場合は白い靴下でも大丈夫です。スニーカーも黒であれば不快に思われないでしょう。7回忌以降は遺族側も略喪服で構わないとされています。参列者の場合、7回忌以降は普段の服装でも構いませんが、派手な服装は控え、地味な服装で参列するようにしましょう。喪服の価格はピンキリ!安く済ませたい場合はレンタルも検討を一言に喪服といっても、価格はピンキリです。20,000円ほどで購入できるものもあれば、100,000円以上するものもあります。この価格の違いは、主に「黒の深さ」で決まっています。黒が深ければ深いほど品がよく、着心地やシルエットの美しさも違い、高い価格になる傾向にあります。これらの違いはぱっと見ただけではわかりにくいですが、安いブラックフォーマルと並んだときに差が歴然とします。男性の場合、20代から30代ほどの若い人であれば比較的安いものでも構いませんが、それなりに立場のある人であればいいものを選んでおいた方がよいでしょう。40代くらいの人であれば安くても40,000円~50,000円のもの、80,000円以上のものになると着心地も見た目の美しさも変わってくるため、立場のある人は80,000円以上のものがおすすめです。女性の場合も黒の深さで価格が違い、30,000円~60,000円ほどで購入可能です。若い人の場合は30,000円~50,000円ほど、落ち着きが必要なミセス世代であれば50,000円から60,000円のものを選ぶとよいでしょう。しかし、訃報とは急に届くものです。喪服は決して安いものではありません。急な出費としては痛いという人も多いでしょう。そうした人は喪服をレンタルするという方法もあります。喪服レンタルは基本的に購入するよりも安い金額で済むため、出費の軽減になります。また、喪服レンタルには「収納場所に困らない」「体型や年齢の変化に対応できる」「手入れが必要ない」という3つのメリットがあります。必ず必要になるとはいえ、滅多に着る機会がないものが喪服です。持っていてもクローゼットの片隅や衣装ケースの奥に閉まったままになりがちで、いざ必要になったときにどこに置いたかわからなくなるということは多々あります。レンタルであれば収納場所に困ることもありませんし、どこに置いたかわからないというトラブルも防げます。また、購入したときと体型が変わってしまい、喪服が入らないという可能性もあります。さらに若いときに購入した喪服が、デザインを考えると年齢と合っていないということも考えられるでしょう。レンタルであればこうした悩みは必要ありません。また面倒な手入れも、すべてレンタル会社が行ってくれます。ただし、葬儀や通夜、法事などが多い人の場合、レンタルするとかえって高額になることもあります。レンタルと購入、どちらか得か、自分のスタイルとよく考えて決めるようにしましょう。まとめ喪服は故人を偲び、遺族の気持ちを大切にするものです。おしゃれではなくTPOに合っているかを考え、ルールを守るようにしましょう。
2017年02月24日2016年4月から一般家庭においても電力自由化がスタートしましたが、「そもそも電力自由化ってなに?」「どんなメリットがあるの?」と思っている人も多いはず。今回は、そのような疑問を解決すべく、電力自由化について分かりやすく解説していきます。■電力自由化で押さえておくべき4つのポイント■【ポイント1】電力自由化の仕組み2016年4月からスタートした電力自由化とは、一部の電力会社が独占するのではなく、さまざまな事業者が電力を販売できるようになったことを指します。これにより、大きな工場やオフィスビルから個人商店や一般家庭まで、すべての消費者が、各地域の一般電気事業者(東京電力をはじめとする全国10社の電力会社)以外からも、好きな電力会社を自由に選べます。とはいっても、電力の供給システムがこれまでと大きく変わるわけではありません。電力の供給は、主に発電・送配電・小売の3つの部門に分かれています。発電は、火力や水力などを利用して電気を生み出す部門、送配電は電線を利用して電気を届ける部門、小売は消費者と直接契約をして料金プランやサービスを提供する部門です。発電部門は、原則としてすでに自由に参入できるようになっているため、電力自由化によって大きく変わるのは小売部門のみだといえます。送配電部門は、電力自由化後も安定的な電力の供給の確保が求められることから、従来通り一般電気事業者によって管理されます。■【ポイント2】電力自由化の目的電力の自由化には、主に3つの目的があります。①電力を常に安定して供給する東日本大震災以後、原子力発電所は大きな打撃を受け、電力不足は大きな課題となっています。そのような中、電力自由化により、特定の地域で電力が十分に供給できないとなった場合に、別の場所から電力を融通できる仕組みを確立することを目指しています。②電気料金を抑える各地の原子力発電所が運転停止に追い込まれたことで、現在、電気の中心は火力発電が中心となっています。これにより燃料費のコストが上昇し、各地で電気料金が値上げされたことは、記憶に新しいでしょう。電力自由化には、たとえ供給コストが上昇したとしても、各電気事業者の価格競争を促すことで、電気料金を最大限に抑える狙いがあります。③経済の活性化これまで一般電気事業者によって独占されていた電気の小売市場には、およそ7.5兆円という莫大な市場規模がありました。電力自由化によってさらにこの市場が活性化すれば、大きな経済効果が期待できるでしょう。■【ポイント3】電力会社を切り替える方法新規事業者への切り替えは簡単で、原則として誰でも自由に行えます。まずは、切り替えたい電力会社へ電話や窓口、ホームページなどから申し込みをします。このとき、現在ご契約の従来の電力会社との解約手続きは、契約者自身が行う必要はありません。希望する電力会社が、契約者の同意の下、代わりに行ってくれます。なお、電力会社を切り替える際には、必ずスマートメーターの導入が必要です。ご自宅にスマートメーターが設置されていない場合は、新しい電力会社へ申し込みをしたあとに、現在契約を結んでいる地域の電力会社が交換工事を請け負ってくれます。スマートメーターへの交換に際しては、設備の改修が必要になるなど特別な場合を除き、基本的に費用の負担はありません。■【ポイント4】電力自由化の現状男女100人を対象にしたあるアンケート調査によると、電力の自由化にともなって電力会社を変更したいと考えている人は、引っ越しを機に変更したいと考えている人とすでに変更している人を含めると、全体の約75%に上ったそうです。一方で、電力広域的運営推進機関のデータによれば、電力自由化がスタートして半年の2016年9月末時点において、電力会社を変更した人は全体のわずか3%ほどに留まっています。「電力自由化という言葉は知っているし、興味もあるけれど、その実態をよく把握できていない」という方がまだまだ多いのが現状です。電力自由化は、さまざまな事業者にとってビジネスチャンスとなるのはもちろんですが、消費者にとっても大きなメリットがあります。そこで以下では、電力自由化に関するよくある疑問を4つまとめています。電力会社の切り替えを検討する際の参考にしてみてください。■【疑問1】電力会社によって電気の質は低下する?どの電力会社から購入するかにかかわらず、電力は、これまでと同じ送電線や配電線を使って各家庭に供給されます。そのため、電気事業者によって電気の質が低下する、供給電力への信頼性が保障されない、といったことは起こりません。また、火力発電や原子力発電、再生可能エネルギーによる発電など、電気を生み出すにはさまざまな方法がありますが、発電の違いによって電気の質に差が生まれることもありません。■【疑問2】電力会社が倒産したら電気が止まってしまう?新たに契約した電力会社が倒産した場合でも、電気が止まってしまうことはありません。別の電力会社が見つかるまでは、従来のように、住んでいる地域の電力会社が電力を届けてくれるシステムになっています。また、消費者が電力の供給に関する契約を直接結ぶのは小売業者ですが、物理的に電力を届けてくれているのは、送配電に関わる業者です。先ほど少しご説明しましたが、電力自由化後も、送配電は各地域の一般電気事業者が担います。そのため、たとえば契約している電力会社が十分な電力を賄えなかった場合でも、その分を一般電気事業者が補ってくれるため、電力の供給がストップすることはありません。■【疑問3】賃貸やマンションでも電力会社を変更できる?賃貸の場合、現在電力会社と契約を結んでいる名義人がご本人の場合は、自由に変更が可能です。マンションやその他の集合住宅の場合も、それぞれの家庭で個別に契約を結んでいる場合は、電力会社を切り替えることができます。ただし、集合住宅の場合は、管理組合などを通し、マンション全体でまとめて電気を購入していることもあります。購入の契約内容や集合住宅内の規約によっては、個別の契約が制限されることもあるため、確認をとってから切り替えを検討するようにしましょう。■【疑問4】電力会社を自由に選べない地域がある?基本的には、お住まいの地域に、参入している電気の小売事業者があれば、都市圏や地方の山間部など、住んでいる場所にはかかわらず、好きな電力会社から電力の供給を受けることが可能です。ただし、離島の場合は、電力会社を自由に選べる可能性はほとんどありません。電力会社は「離島供給約款」に基づき、日常生活に必ず必要となる電気を離島の各家庭に届ける義務を負っています。そして、日常生活の妨げになったり、島民の負担になったりすることがないように、供給電力の価格や質を変えることはできません。一方で、海を渡って電気を届けることは簡単ではなく、離島への電力の供給にはコストがかかります。そのため、新たな事業者が離島で電力を販売するには、メリットがほとんどありません。離島にお住まいの場合は、今後も継続して現在の電力会社から供給を受けることになるでしょう。■電力自由化のメリット【大きな経済効果が期待できる】電力の販売は、これまで全国各地の一般電気事業者に独占されている状態でした。しかし、電力自由化によって電力小売事業は開かれた市場になり、それぞれが顧客を獲得するために、さまざまな料金プランやサービスを打ち出すことで、激しい競争が繰り広げられるようになります。これにより、経済の活性化が期待できます。【電気料金が安くなる可能性がある】従来は政府による規制があり、定められた料金でしか電力を提供することができませんでした。しかし、電力自由化によって電気料金も完全に自由化され、それぞれの電力会社は顧客獲得のため、戦略的に価格設定を行っています。たとえば、料金単価そのものの値下げのほか、継続して契約するほどより多く割り引かれたり、早朝・深夜や土日の電気料金が安くなったりする料金プランを提供しているところがあります。ライフスタイルを考慮して適切な電力会社を選べば、今よりぐっと電気料金を抑えられる場合もあり、消費者にとっては最大のメリットになるといえそうです。【電力会社独自のさまざまなサービスが受けられる】電力自由化によりさまざまな分野の企業が電気小売事業に参入してきたことで、各電力会社独自のサービスが打ち出されています。特に注目したいのは、「セット割」といわれるサービスです。セット割とは、現在契約しているガス会社やネット会社、携帯会社などと同じ会社から電力の供給を受けることにより、より大きな割り引きが受けられるというもの。電気代だけで見ればそれほど大幅な値下げとはならなくても、セット割を上手に活用することで、生活費全体の支出を抑えられる可能性があります。【クリーンエネルギーを選択できる】現在、国内の発電は火力発電が中心ですが、そのエネルギーを生み出す手段としてはほとんど、石油や石炭などの化石燃料が用いられています。化石燃料は、はるか昔の枯死した植物や微生物の死骸などが、何億年という長い時間をかけて積み重なることで生まれます。ところが現在は、そのプロセスよりもずっと短い時間で大量の化石燃料を消費し続けており、このままでは、石油の場合は40年ほど、石炭の場合は160年ほどで完全に枯渇してしまうといわれています。そこで注目を集めているのが、風力や地熱、太陽光、バイオマスなどのクリーンエネルギーです。これらは、資源として利用しても比較的短い間に再生することができ、半永久的に枯渇しないことから、「再生可能エネルギー」とも呼ばれています。電力自由化によって各電力会社には電力の調達先を表示することが義務づけられているので、地球環境にやさしい発電方法で生み出された電力を、消費者が意識的に購入することが可能になります。■電力自由化のデメリット【電気料金が高くなる可能性がある】政府は電力自由化により電気料金が最大限に下げられることを期待していますが、価格設定が完全に自由化され、規制がないところで各事業者間での競争が激しくなれば、必ずしも価格が安くなるとは限りません。燃料費のコスト上昇や天候の変動などさまざまな要因が重なれば、逆に価格が高騰してしまう可能性もあるのです。事実、すでに電力自由化が進んでいる海外では、電気料金が以前よりも高くなってしまったケースが少なくありません。また、個々のレベルにおいては、電力会社や料金プランの選び方によっても、今より電気代が高くなることがあります。【解約金・違約金が発生する場合がある】従来は、住んでいる地域の一般電気事業者から自動的に電力が供給されるシステムだったため、一応は年間契約としている電力会社がほとんどですが、契約期間がはっきりと定められているわけではありませんでした。しかし電力自由化となった現在では、シェア拡大の戦略として契約期間をしっかりと定めている電力会社も多く、それにともなって、解約金や違約金が発生することもあります。そのため、場合によっては、より柔軟に、好きなタイミングで電力会社を変更できない可能性も出てきます。電力会社を選ぶ際は、契約の前に解約金・違約金の有無をきちんと確認し、本当に自分に合ったプランであるか慎重に検討しましょう。【適切なプランを選ぶ労力がかかる】上記2つのデメリットからも、適切なプランを選ぶことの重要性がお分かりいただけたと思いますが、2016年9月時点ですでに数百に上る料金プランが存在しており、今後ますます増えていく可能性も大いにあります。そのような中で自分の生活にあった料金プランを探すのは簡単ではなく、時間や労力がかかってしまうことも、デメリットのひとつだといえるでしょう。ただし、電力自由化が進められていく中で、さまざまな料金プランを比較しながら検討できるWebサービスなども増えつつあります。そうしたサービスを有効に活用できれば、より多くの人にとって、電力自由化がもっと身近なものになっていくかもしれません。■まとめいかがでしたか?電力自由化は、デメリットをきちんと把握し、電力会社や電気料金プランを適切に選択すれば、消費者にとって大きなメリットを得られるものです。これを機に、自分なりに情報収集し、電力自由化に関する知識を深めていただければと思います。
2017年02月24日夏のピーク時には、消費電力の約60%を占めるともいわれるエアコン。賢く使ってしっかりと電気代を節約できていますか?こちらの記事では、今からでもはじめられるエアコンの節約術と、一緒に試したい夏冬の節電アイデアをご紹介しています。■冷房と暖房の節電アイデア3つ【1】基本の設定温度を守ろうエアコンの設定温度は、冷房は28℃、暖房は20℃が基本です。温度がたった1℃変わるだけで、電気代は約10%もアップします。夏場は28℃よりも下げないように、冬場は20℃よりも上げないようにし、基本の設定温度を保つようにしましょう。28℃でも暑いな、20℃でも寒いな、というときには、設定温度は変えずに体感温度で調節するのが、賢いエアコンの使い方です。以下に2つのポイントをご紹介します。【2】風量を調節しよう風量を強にすると、冷房時は体感温度が下がり、暖房時は体感温度が上がるので、設定温度を変えなくても快適に過ごせるようになります。電気代も若干高くなりますが、設定温度を上げるよりもずっと少なく済むため、結果的には節電につなげることができます。また、特に風量を強くする必要がないときには、常に自動運転に設定しておくのがベスト。電気代が安く済むからと、はじめからずっと弱運転にしている方もいるかもしれません。しかし実は、エアコンは、室内の温度を設定温度にするまでにもっとも電力を必要とし、その後はそれほど大きな電力を使うことはありません。そのため、はじめから弱で運転を続けてしまうと、室内が設定温度に達するまでに長い時間がかかり、かえって電気代が高くなってしまいます。自動運転には、はじめは設定温度になるまで空気を一気に冷やしたり温めたりし、その後は送風や微弱運転によって室内の温度を一定に保つ機能が備わっています。ムダに電気代をかけないためにも、自動運転機能を上手に使いましょう。【3】風向きを変えてみよう風量と同時に、風向きを調節することでも体感温度を変えることができます。冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまる性質があるので、冷房時は風向きを水平に、暖房時は下向きにしてみましょう。このようにすると、室内の空気が上手く循環し、部屋全体を快適な温度に保つことができます。それでも部屋が冷えにくい、暖まりにくいと感じたら、扇風機やサーキュレーターをエアコンと併用するのがおすすめです。扇風機やサーキュレーターを上に向けて回すと、空気がより循環しやすくなります。冷房時は、下にたまった冷たい空気をかく拌できるので、扇風機やサーキュレーターを少し下に向けて、首ふり機能を使ってもOK。扇風機やサーキュレーターの電気代は、エアコンの10分の1程度ととてもおトクです。最近のものは性能がよいので、さらに電気代がかからない製品も多くあります。有効に活用して、賢く節約しましょう。■エアコンの節電アイデア5つ【1】電源はこまめに切らないようにしよう電気代の節約のために、暑すぎたり寒すぎたりしたらこまめに電源をオフにしている方もいるでしょうが、実は逆効果。前述したとおり、エアコンは、運転直後から設定温度にするまでにもっとも電力を消費するからです。設定温度を28℃よりも上げたり20℃よりも下げたりするか、風量や風向きで調節し、あとは自動運転でつけっぱなしにしておくのが、賢いエアコンの使い方です。とはいえ、もちろん24時間つけっぱなしにしておくのでは、かえって電気代が高くなってしまいます。目安としては、1時間以内のちょっとした外出の間なら、つけたままにしておくほうが節約になる場合がほとんどです。【2】定期的にフィルターの掃除をしようほこりや湿気などでフィルターが汚れていると風の通りが悪くなり、最大で約25%とより多くの電力を消費してしまいます。掃除機でほこりを吸い取るなど、2週間に一度はお手入れをしましょう。こまめにフィルターを掃除していれば、かび臭いにおいや騒音なども改善されます。それほどこまめに掃除をする暇がない場合は、月に一度を目安に、フィルターをシャワーなどで水洗いすればOK。ただし、フィルターが濡れたままでは、カビや目詰まりの原因になります。しっかりと乾かしてから取り付けることを忘れないようにしましょう。【3】室外機の周りを整理しようエアコンは外気との熱交換によって部屋を冷やしたり暖めたりしているので、室外機の役割はとても重要です。外気の出入り口を植木や物などでふさいでしまうと、熱交換の効率が下がり、ムダな電力を消費してしまうことに。室外機の周りは常に整理しておきましょう。その際、枯れ葉や雑草などが詰まっていないかなどもチェックしておくとよいです。また、冷房の場合は、室内の熱を外へ排出するときにも多くの電力を消費します。しかし、直射日光や照り返しなどで室外機が熱を持ってしまうと、室内の熱を排出する力が弱まり、さらに多くの電力が必要になります。そのため、夏場はすだれやよしずなどで室外機の設置場所に日陰を作ってあげることも、節電対策として有効です。ただし、カバーなどで室外機全体を覆ってしまうのは逆効果。外気の出入り口はふさがないように配慮しましょう。【4】夏場は弱冷房除湿を上手に使おうほとんどのエアコンには冷房と暖房のほかに、除湿機能があります。除湿は冷房よりも電力を消費せず、しかも湿度が低くなることで体感温度が下がるため、同じ温度でも除湿のほうが涼しく感じるというメリットがあります。湿度が高い日は除湿機能を有効に活用し、電気代を節約しましょう。ただし、除湿には弱冷房除湿と再熱除湿の2つのタイプがあるため、注意が必要です。空気中から水分を奪うと、それにともなって空気が冷たくなります。弱冷房除湿では冷たくなった空気をそのまま室内に送りますが、再熱除湿では冷たくなった空気を適温に暖め直すプロセスがあります。そのため、再熱除湿の場合は、冷房よりも余計に電気代がかかってしまうのです。ご自宅のエアコンがどちらのタイプであるかは、取扱説明書で確認してみましょう。【5】長期間使わないときはプラグを抜こうエアコンは、比較的待機電力が大きい家電です。製品にもよりますが、エアコンのみの待機電力で1年間にかかる電気代は、500~700円ほど。たったそれだけだと思うかもしれませんが、夏の冷房を1週間~10日間我慢したのと同じくらいの電気代だと考えれば、バカにできない金額ではないでしょうか?生活スタイルによっても異なるでしょうが、エアコンを使うのは夏と冬、それも特に暑さや寒さが厳しくなる数ヵ月です。多くの場合、1年間を通して考えれば、エアコンを使わない期間のほうが長いといえます。長期間エアコンを使わない春や秋、出張や旅行などで数日家を空けるときなどは、プラグを抜いて待機電力を節約しましょう。■夏にできる節電アイデア3つ【1】窓からの熱を遮断しよう建物外から入ってくる熱のうち、約70%が窓からだといわれています。そのため、窓からの熱をしっかりとシャットアウトすることができれば、部屋全体を効率よく冷やすことができます。夏場は薄手のレースカーテンなどを使用している人も多いかもしれませんが、遮熱の点からいえば、厚手のカーテンや遮光カーテンがベスト。特に日差しが強い場所では、朝顔やゴーヤを利用した緑のカーテンも有効です。日差しを遮ってくれるだけでなく、植物の葉は太陽からの熱も吸収してくれます。また、窓からは熱気だけでなく冷気も入ってくるため、冬の暖房効率を上げたいときにも窓は大きなポイントになります。もっとも有効なのは窓ガラス自体を断熱ガラスに変えることですが、窓ガラスに断熱シートや断熱フィルムを貼ったり、カーテンを断熱仕様のものに変えたりすることでも、室内の熱を逃がさないように工夫することができます。【2】エアコンをつける前に換気をしよう外出先から帰ってきたときはすぐにでも涼みたいところですが、部屋を閉め切った状態では熱がこもっているため、エアコンをつけてもなかなか空気が冷えてくれません。そのようなときはまず窓を開けて換気し、こもった熱を逃がしてあげるのが有効です。繰り返しになりますが、エアコンは運転直後から設定温度にするまでにもっとも電力を使います。そのため換気は、部屋全体が早く涼しくなるとともに、節電にも効果的です。【3】昔ながらの涼を取る工夫を取り入れよう日本には、扇風機やエアコンなどが普及するずっと前から、昔ながらの涼みの工夫があります。たとえば、風鈴。最近では見かけることも少なくなりましたが、涼しげな音を聴いて気分だけでもスッキリすると、意外にも暑さをしのぐことができますよ。風がある日は窓を開けて、風鈴の音を聴きながら、気温が落ち着く朝夕だけでも窓辺で涼んでみてはいかがでしょうか。その際、風邪の通り道に濡れたタオルやシーツを干しておくと、さらに効果的です。水分が蒸発するときに周りの空気から気化熱が奪われるので、心地よい風を取り入れることができます。また、同じ気化熱の原理からいえば、ベランダや庭、玄関先など家の周りで打ち水をするのも効果的。打ち水は体感温度を下げるだけでなく、物理的に周辺の温度を2℃ほど下げてくれます。ポイントは、1日の中でも比較的涼しい午前中のうちに行うことです。気温が高い日中に水をまいても、涼しさが持続しません。朝のうちに打ち水をしておけば、午前中いっぱいは過ごしやすくなるでしょう。■冬にできる節電アイデア3つ【1】換気扇は必要なときだけ動かそうこれは暖房時だけでなく冷房時にもいえることですが、換気扇を動かしたままにしてしまうと、エアコンのおかげで適温になった室内の空気が外に逃げてしまいます。料理などで換気扇を使った後は、こまめに止めるようにしましょう。また、同様の理由で、ドアの開け閉めをきちんとするように心がけることも大切です。これだけで暖房効果も冷房効果もぐっと高まります。【2】エアコン以外の暖房器具を有効活用しようなんとなく暖房よりも冷房のほうが、電気代がかかるイメージがありませんか?しかし実は、暖房のほうがより大きな電力を消費するため、冷房よりも暖房のほうが電気代がかかってしまいます。なぜなら、冬のほうが室内の温度と外気温の差が大きいからです。そのため、暖房の消費電力をいかに抑えられるかが、冬の節電の大きなポイントになります。エアコンと併用したいおすすめの暖房器具は、電気ストーブです。エアコンの電気代が運転直後のもっとも電力を使うときで1時間当たり約50円であるのに対し、電気ストーブは強でも1時間当たり約30円です。エアコンに比べて格段に電気代が安いとはいえないかもしれませんが、ピンポイントですぐに暖めてくれるのが、エアコンにはない電気ストーブのメリットだといえます。そのため、まずは電気ストーブを使ってある程度部屋を暖めてから、エアコンを使う方法がおすすめです。室内が設定温度になるまでの時間を短縮でき、体が温まることから設定温度を下げることもできるので、電気代の節約につながります。ただし、電気ストーブはエアコンに比べて部屋全体の空気を暖める力は弱いので、リビングなど比較的広めの空間ではあまり効果が得られない場合もあります。また、意外にも電気代が安い暖房器具として、こたつや電気カーペットが挙げられます。こたつは強で1時間当たり約5円、電気カーペットは高で1時間当たり約9円です。どちらも直接体を温めてくれるので体感温度が上がり、暖房の設定温度を低めに設定しても快適に過ごせます。【3】加湿器を有効活用しようエアコンの節電アイデアでも触れていますが、湿度が低くなると体感温度も低くなり、反対に、湿度が高くなると体感温度も高くなります。そのため、暖房と加湿器を併用することで、暖房の設定温度を2℃上げるのと同じくらいの効果が期待できます。ただし、加湿器はエアコンよりもずっと少ない電気代で済むものが多いのですが、種類によっては電気代がかかるものもあるので注意が必要です。節電で選ぶなら、消費電力が小さい超音波式か気化式がおすすめ。空気が乾燥しやすい冬場はウイルスなども蔓延しやすいため、加湿器を使うと風邪予防にも有効ですよ。■まとめいかがでしたか?エアコンは数ある家電製品の中でも特に電力を消費します。しかし、ちょっとした工夫をするだけで、電気代を大幅に節約することが可能です。今回ご紹介した節約術はすぐにでもはじめられるものばかりですから、ぜひ日常生活に役立ててください。
2017年02月22日みなさんは、きちんと節電していますか?「電気代なんてそんなに変わらないでしょ」と侮るなかれ。すべての節電対策をトータルした年間の節約額が、約1ヶ月分の電気代に相当することもあるのです。そこで今回は、おすすめの節電方法を5つご紹介します。1. 消費電力のピーク時間帯を避けよう■なぜピークの時間帯を避ける必要があるの?電力の使用がある時間帯に集中してしまうと、1日の中で電力需要に格差が生じてしまい、供給設備の利用率が下がります。利用率の低下は供給コスト上昇の一因となってしまうので、安定した適正価格で電力を供給してもらうためには、各家庭でピークの時間帯に大きな電力を消費しない工夫が必要です。ご家庭でできる方法には、主に以下の2つがあります。①ピークカットピークカットとは、ピーク時間帯における電力そのものの消費量を減らす対策です。そのため、節電と省エネを同時に実行できる対策でもあります。ピークカットには、電化製品の使用を抑えたり、消費電力が通常よりも小さくなるように使い方を工夫したり、省エネ機能を備えた電化製品に切り替えたりなど、さまざまな方法があります。②ピークシフトピークシフトとは、1日のうち消費電力がもっとも大きくなる時間帯を他の時間帯に移動させる対策です。複数の電化製品の使用が重ならないようにしたり、電気を多く使用する時間帯を消費電力が小さくなる夜間や早朝にずらしたりする方法があります。また、蓄電システムを利用して夜間のうちに充電しておき、日中はその電力を用いて、電力会社からは電力を供給しないようにする方法も有効です。ただしピークシフトは、ピークカットのように電力そのものの消費量を減らすことはできません。そのため、節電や電気代の節約にはつながっても、省エネ対策にはならないといえます。1日のうちもっとも電力を消費するピーク時間帯は、在宅率が高い夕方頃だといわれています。中でも夕食の準備に取りかかる人が多い18~19時頃は、特に消費電力が大きくなります。18~19時を中心とした夕方の時間帯は、ピークカットやピークシフトで消費電力を抑えましょう。2. 窓の断熱でかしこく節電しよう水が高いところから低いところへと流れていくのと同じように、熱にも、温度の高いところから低いところへと移動していく性質があります。そのため、室内の温度と外気温との差が激しい夏場や冬場は特に、熱の出入りをいかにコントロールできるかが節電を考えるうえで重要なポイントになります。住宅の中でもっとも熱の出入りが激しい場所が、窓。建物から出入りする熱のうち、夏は約50~70%が窓から侵入し、冬は約50%弱が窓から逃げています。最近の住宅は壁や床には断熱材が施され、従来よりも建物の熱の出入りは抑えられるようになっています。しかし、ガラスは熱が伝わりやすく、日本の住宅で一般的なアルミサッシにもそれほど断熱性がないことから、窓はどうしても熱が通りやすい部分になってしまうのです。■外側から断熱対策!窓の外にすだれやよしずを垂らしておくと、直射日光による熱の侵入を防ぐことができるため、夏の冷房効果が格段にアップします。植物には熱を吸収する作用があるので、特に強い日差しが入ってくるところには、ゴーヤや朝顔のツルを利用した緑のカーテンも有効です。ご自宅が洋風の建物なら、サンシェードもおすすめ。インテリアとして、外観のデザイン性を高めることもできますよ。また、夏に窓から侵入してくる熱には、窓周辺の照り返しもあります。窓辺やベランダに、鉢植えや木製のすのこ、レンガなど、熱を吸収してくれるアイテムを設置してみましょう。■内側から断熱対策!暖気を窓から逃がさないようにするためには、窓そのものを真空ガラスなどの断熱性が高いものに交換したり、二重サッシを取り付けたりすることが有効です。とはいえ時間も費用もかかりますし、賃貸の住宅であれば自由に取り換えることは難しいでしょう。そこで活用したいのが、断熱シートや断熱フィルムです。市販のものを窓に貼りつけるだけで、簡単に断熱効果を高めることができます。また、これらは冬場の結露対策としても有効です。結露は、冷えたガラスの表面で空気が冷やされることにより、発生します。そのため、断熱シートやフィルムで冷気をシャットアウトすれば、結露ができにくくなります。シートやフィルムを貼りつけることを手間に感じる方は、断熱スプレーもおすすめ。窓に吹きかけることでシリコンコーティングが施され、断熱効果を高めることができます。コーティングの持続時間は1ヶ月ほどなので、1ヶ月を目安に使用しましょう。断熱シートやフィルムは、外からの熱の侵入を防ぐ効果もあるので、夏の冷房効果を高めるためにも有効です。夏・冬のいずれも、これらに加えてさらに遮熱カーテンやブラインドを活用できればベスト。ただし、遮熱カーテンは通常のカーテンに比べて生地が厚く、部屋が暗い印象になってしまうこともあります。気になる場合は、夏場は明るめのブルーでさわやかな印象にするなどの工夫をするとよいかもしれません。3. 消費電力をこまめにチェックしよう■電力の使用量を計算で求めてみようみなさんは、ご自宅の電化製品がどれくらい電力を使用しているのか、知っていますか?電力使用量の計算は、実はとても簡単です。電化製品には、○W(ワット)という表示があります。これは、その電化製品を動かすために必要な電力を表しています。これに電化製品の使用時間をかければ、電力使用量が求められます。たとえば、50Wの照明を1日に16時間(h)使用しているとすると、50W×16h=800Wh(ワットアワー)となり、照明だけで1日に800Whの電力を使用していることが分かります。Whとは、1時間に消費する電力量の単位です。電力会社はWhをもとに料金を設定しているため、電力使用量が計算できれば、いくらの電気代がかかっているかも知ることができます。上記の例でいうと、電力会社との契約が1kWh(=1,000Wh)当たり20円であれば、照明にかかる電気代は1日当たり16円となります。このように、ワット数が分かれば、おおよその消費電力と電気代を計算することが可能です(運転中に消費電力が大きく変動するエアコンなどは除く)。具体的に数字で表すことができれば、節約のために節電しようという意識も高まるのではないでしょうか?■電力会社のサービスを活用しよう電力会社によっては、電気の使用量や電気代を1日単位や30分単位で細かくチェックできるサービスを提供しているところがあります。ご契約の電力会社がそうしたサービスを提供しているか確認し、サービスがある場合は積極的に利用して、電力使用量の見直しを行いましょう。4. 電化製品の使い方を見直そうご自宅の電化製品を省エネ効果が高い製品に切り替えることは、節電対策として大きな効果があります。しかし、今使っている電化製品はそのままに、使い方を工夫するだけでも消費電力を抑えることができるのです。以下に身の回りの電化製品について、有効な節電対策をご紹介します。■エアコンエアコンは、設定温度がたった1℃変わるだけで、電気代が10%以上もアップします。冷房は28℃より下げないように、暖房は20℃より上げないように心がけましょう。28℃・20℃で室内が快適な温度にならない場合は、設定温度は変えずに、風量を強くするのがベター。自動運転よりも若干電気代は高くなりますが、設定温度を変えるよりもずっと少ない消費電力に抑えられます。また、先ほどご紹介した断熱対策も、冷暖房効果を高めるためには非常に有効です。夏の場合は、窓を断熱するだけで、2~4℃ほども室内温度の上昇を抑えることができます。さらに、定期的にフィルターを掃除する、室外機の周りを整理して空気の通りをよくする、といった方法でも冷暖房の効率を上げることができ、節電につながります。■照明照明は、使い終わったら消すことを習慣にし、点けっぱなしを避けましょう。消し忘れが多い場所では、人感センサー付きの製品を使用するのも有効です。また、照明の場合は取り換えが簡単なので、ご自宅の照明が白熱電球や蛍光灯を使用しているならば、電球そのものをLEDに取り換えてしまうのもおすすめです。LEDは白熱電球や蛍光灯と比較すると価格は少し高くなりますが、それらに比べてはるかに寿命が長く、消費電力も小さいので、長い目で見ればLEDを活用するほうが節約になるといえます。■テレビ見たい番組があるわけでもないのに、なんとなくテレビを点けていることはありませんか?必要がない場合は消すことを意識してみましょう。その際、主電源からオフにすることを心がけてみてください。リモコンの信号を待機している状態での消費電力をカットすることができます。また、テレビは静電気が発生しやすく、付着したホコリで画面は思った以上に汚れています。画面が暗いなと思ったら、輝度を上げる前に拭き掃除をしてみましょう。1週間に一度を目安に行えるとよいです。■トイレ(温水洗浄便座)季節にかかわらず、いつも便座の暖房をオンにしていませんか?春から秋にかけての期間は使わなくてもよいことがほとんどなので、必要なとき以外はスイッチをオフにしておきましょう。また、便座や洗浄水の温度は、冬場であっても低で十分快適に使用できます。温度が高くなっていないかチェックしてみましょう。最近の製品には節電機能が付いているものが多いので、付属の機能を活用できているかも合わせて確認してみるとよいです。■キッチン周りキッチン周りで特にムダな電力を消費しがちなのが、冷蔵庫です。たとえば、冷蔵庫内に最大限にものを詰め込んでいる状態から半分ほどの状態にするだけで年間約960円の節約に、設定温度を強から中に変更する(周辺温度22℃の場合)だけで年間約1,360円の節約に、壁から少し離して設置し熱を逃がしやすくするだけで年間約990円の節約になります。つまり、冷蔵庫の使い方を見直すだけで、トータルでは年間約3,310円もの電気代の節約になることが分かります。常温保存できるものを冷蔵庫にしまっていないか、期限切れの食べ物が庫内に放置されていないか、設定温度は適切であるか、などをチェックしてみましょう。そのほか、炊飯器では、保温機能をなるだけ使わないようにするのがポイントです。ご飯はまとめ炊きしてよく冷ましてから冷蔵庫に保存し、食べる分だけ電子レンジで温めるほうが、電気代の節約になります。また、電気ケトルでお湯を沸かしている方は、魔法瓶を有効活用して保温機能を長時間使わないようにしましょう。5. 節電グッズを有効に活用しようここまでご紹介してきた4つの節電方法に加えて、節電グッズを活用していけば、より高い節電効果が得られます。今回はおすすめの節電グッズを4つご紹介しますので、ぜひ使いやすそうなものをご自宅にも取り入れてみてください。■HEMS(ヘムス)HEMSとは、ホームエネルギーマネージメントシステムの略で、ご自宅の電化製品すべてをネットワークに接続し、電力の使用量を可視化してくれるシステムです。細かな時間単位での消費電力をモニターに表示してくれたり記録してくれたりし、機能性の高いものでは、自動で消費電力を抑制してくれるものもあります。■ワットチェッカーワットチェッカーは電化製品の電源コードとコンセントの間に取り付けて使用するアイテムで、使用する電化製品の電気代をリアルタイムで表示してくれます。HEMSは高性能ですが、価格は数十万円からと気軽に導入できるものではないので、まずは気になる電化製品にワットチェッカーを使用してみるのもおすすめです。1個当たり1,000~1,500円程度で購入できます。■ソーラー充電器さまざまな電化製品を、電力を消費せずに太陽光で充電できるアイテムです。どのような機器を充電するかによって初期投資の金額は異なりますが、スマートフォンの充電器であれば、機能性が高いものでも1万円以内で購入できます。■節電タップ節電グッズとしてはおなじみの、節電タップ。一般家庭における消費電力のうち約7.3%を占めるといわれる待機電力を、コンセントを抜く必要なく簡単にカットできるアイテムです。意識してこまめに待機電力をカットするように心がけると、年間では約1,000円の電気代の節約になります。■まとめいかがでしたか?ここまでさまざまな節電のアイデアをご紹介してきましたが、はじめからすべての節電アイデアを実践する必要はありません。まずはどれか1つでもできることからコツコツはじめて習慣化し、地球環境にもお財布にもやさしい省エネ生活を目指しましょう。
2017年02月22日月々の電気料金は、「電気料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金」の計算式で算出されます。また電力量料金の算出式は「電力量料金=電力量料金単価×使用量+燃料費調整単価×使用量」です。このうち「電力量料金単価×使用量」の部分は節約努力によって減額が可能だといえます。■電気料金の内訳は?「電気使用量のお知らせ」といった名前のついた電気料金・電気使用量の明細をじっくり見たことがありますか?よく観察してみると、請求予定金額欄の下部などに、電気料金の内訳が書いてあります。これらは何を意味するのでしょうか。電気料金の内訳は以下のとおりです。この3つの合計が月々の電気料金となっています。◼︎基本料金◼︎電力料金◼︎再生可能エネルギー発電促進賦課金電力料金はさらに以下のように分けられます。◼︎電力量料金単価×使用量◼︎燃料費調整単価×使用量使用量はご家庭のメーターの針から読み取ります。当月の指示数から前月の指示数を引いて、その月の使用電力量が決まります。なお口座振替を利用している場合は上記合計額から割引されることもあります。■基本料金とは基本料金とは、契約アンペアごとに決められた一定の料金のことを指します。契約アンペアとは、同時に使用できる電気量のことです。一気にいろいろな電化製品を使ってブレーカーが落ちてしまった経験はありませんか?それは、契約アンペアを超えた電気量を使ってしまったことによるものです。たとえばある電力会社を例に挙げると、10アンペアから60アンペアまで5アンペアもしくは10アンペアごとに契約アンペアが定められています。各基本料金は、・10アンペアで280.80円・15アンペアで421.20円・20アンペアで561.60円といった具合です。契約アンペアの色は、アンペアブレーカーの色によって判別できるのが一般的です。たとえばある送配電事業者の場合であれば、契約アンペアが10アンペアの場合は赤色、15アンペアの場合は桃色、といった具合に決まっています。なお色と契約アンペアの組み合わせは送配電事業者によって異なりますので、利用している送配電事業者の色分けをチェックしてみましょう。契約アンペアは任意で変更できます。頻繁にブレーカーが落ちてしまうという人は契約アンペアの変更を検討したほうがよいでしょう。ただし契約は年間契約が基本で、季節的に契約アンペアを変更できないのが一般的です。たとえば、電気をあまり使わない春や秋には15アンペアで契約し、電気を多く使う夏や冬には30アンペアで契約する、といったことは多くの場合できません。したがって契約アンペアを決める際は、1年または1日のなかでもっとも電気を多く使うタイミングを考えて決定しましょう。たとえば電気機器を同時に多く使いがちな夕食前・夕食時、冷暖房機器を使う真夏や真冬などの電気量を想定して決めてください。なおアパートやマンションなどの集合住宅の場合は、契約アンペアを変更する際に所有者や管理人の許可が必要です。契約アンペアを下げると基本料金は下がりますが、上乗せされる電力量料金は変わらなかったり、逆に増えたりすることもあります。基本料金を減らしても合計としての電気料金は必ずしも減るわけではありませんので注意しましょう。■電力量料金単価の仕組み「三段階料金」とは電力量料金単価とは、使用電力1kWhあたりの料金のことです。電力量料金単価は契約種別によって決まります。契約種別とは、電力料金単価を決める電気料金プランのことです。契約種別はおもに以下の3種類に分かれます。①従量電灯24時間一律の電力量料金単価が設定されている契約種別です。もっともオーソドックスな契約種別だといえます。②時間帯別電灯一日を昼夜2つや朝昼晩3つの時間帯に分け、時間帯ごとに異なる電力量料金単価を設定している契約種別です。「夜得プラン」「朝得プラン」のような名前がついているのを見たことのある人もいるでしょう。たとえば日中自宅にいないことが多く、夜に電気を使うことの多い人は、夜間に電力料金単価が低くなる契約種別を選べば、電気料金をその分安く抑えられます。なお時間帯ごとおよび季節(2季節)ごとに電力量料金単価が設定されている契約種別もあります。③ピーク抑制型時間帯別電灯電気使用量がピークになる夏の午後3時間(北海道は冬期の夕方3時間)の電力量料金単価を高めに設定し、それ以外の時間帯の電力量料金単価を低めに設定しているタイプの契約種別です。「ピークシフト」などという名前がついています。電力量料金単価の多くは「三段階料金」となっています。三段階料金制度とは、電気の使用量に応じて、電力量料金単価を3段階に変動させる制度のことです。省エネを推進する目的で昭和49年6月から実施されています。第1段階は、国が保障すべき最低限度の生活水準である「ナショナル・ミニマム」の考えにのっとった料金で、比較的低額に設定されています。第2段階は標準的な家庭における月ごとの使用量を踏まえた平均的な料金設定です。そして第3段階は若干割高に設定されています。たとえばある地域で従量電灯Bという契約種別で契約した場合、・第1段階は120kWhまでで19.52円/kWh、・第2段階は300kWhまでで26.00円/kWh、・第3段階はそれ以上で30.02円/kWhと設定されています。もしこの電力量料金単価の地域で、ある月の使用量が60kWhだった場合は、第1段階の料金が適用され、19.52円×60=1171.2円の電力量料金という計算です。以上を見るとわかるとおり、電力量料金単価は使用電力が少ないほど低くなるとともに、使用量に比例して電力量料金が決まることから、「電力量料金単価×使用量」は節約努力によって抑えられる部分といえるでしょう。また契約種別の見直しによっても額を抑えられる部分です。■燃料費調整単価とは燃料費調整制度とは、発電に必要な火力燃料(原油、LNG(液化天然ガス)、石炭)の価格変動を電気料金に反映させるための制度です。火力燃料の価格変動に応じて「燃料費調整単価」が毎月調整されます。電気料金においては、この燃料費調整単価に月の使用量をかけた「燃料費調整額」として反映されています。燃料費調整単価の計算式は以下のとおりです。なお燃料費調整単価は、小数点以下第1位で四捨五入されます。◼︎平均燃料価格が基準燃料価格を上回った場合はプラスの燃料費調整単価になります。燃料費調整単価=(平均燃料価格-基準燃料価格)×基準単価÷1,000◼︎平均燃料価格が基準燃料価格を下回った場合はマイナスの燃料費調整単価になります。燃料費調整単価=(基準燃料価格-平均燃料価格)×基準単価÷1,000平均燃料価格とは、原油、LNG、石炭それぞれの燃料価格を原油換算1klあたりの価格に換算した計算用の燃料の価格です。原油、LNG、石炭それぞれにおける3か月間の貿易統計価格にもとづいて、毎月算定されます。平均燃料価格は地域によって異なりますが、たとえば関東エリアの場合であれば、以下のような計算式で算出されます。【平均燃料価格(原油換算1klあたり)=(3か月における1klあたりの平均原油価格×0.1970)+(3か月における1tあたりの平均LNG価格×0.4435)+(3か月における1tあたりの平均石炭価格×0.2512)】なおそれぞれの平均価格にかけられている定数は、地域によって異なります。また、上記の式の基準燃料価格は、電力会社が料金設定をする際に前提条件として用いる平均燃料価格のことです。基準燃料価格と平均燃料価格の差額から、燃料費調整単価のプラスマイナスや額の大きさが決まります。たとえば関東エリアの場合であれば、以下のように平成24年1月~3月における平均貿易統計価格から、原油換算1klあたりの基準燃料価格を算出しています。◼︎1klあたりの平均原油価格57,802円◼︎1tあたりの平均LNG価格67,548円◼︎1tあたりの平均石炭価格11,452円→以上3点から算出し、基準燃料価格は原油換算1klあたり44,200円基準単価とは、平均燃料価格が1,000円/kl変動した場合の燃料費調整単価のことです。たとえば関東エリアでは22.8銭/kWhと決められています。以上を踏まえて、燃料費調整額を具体的に見てみましょう。燃料費調整額は先述したとおり「燃料費調整額=燃料費調整単価×月の使用量」の計算式で算出されます。たとえば使用量60kWhで燃料費調整単価が-4.6円/kWhだった場合、-4.6円×60=-276円がその月の燃料費調整額です。電気使用量や電気料金の明細には燃料費調整単価自体が明記されていることはあまりありませんが、燃料費調整額を使用量で割れば、逆算で燃料費調整単価を導き出せます。なお平均燃料価格、基準燃料価格、基準単価は、電力の提供エリアによって異なるため、この3つから算出される燃料費調整単価も地域によって異なります。ご自身のエリアについて調べてみましょう。以上を踏まえると、燃料費調整額は原油などの燃料の価格に左右され、個人の努力ではあまり節約できない部分であることがわかるでしょう。とはいえ、電気料金を見ることによって燃料の価格増減を身近に感じられるのは興味深いですよね。ニュースなども注意して見て、動向をチェックしておきましょう。■再生可能エネルギー発電促進賦課金とは再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、「送配電事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」という法律によって定められている賦課金です。送配電事業者は、太陽光や風力といった再生可能エネルギーによって発電された電気を、一定の期間中、国が定めた単価で購入することが義務づけられています。この購入に必要な費用については、全国一律の単価で、電気を使用する人全員が負担します。この負担が再生可能エネルギー発電促進賦課金です。なぜ再生可能エネルギー発電促進賦課金は全国一律料金なのでしょうか。再生可能エネルギーの導入については、地域によってばらつきが生じる可能性があります。とはいえ、地域によって賦課金に格差があると不公平感が生まれてしまうでしょう。それを避けるため、全国レベルで電気使用者の負担額を調整する「費用負担調整機関」が設置されています。同機関は、各送配電事業者が全国一律料金で集めた賦課金をいったん回収します。そののち、各送配電事業者の買取費用に応じて、交付金を交付します。このようにして、不公平感を防ぎながら、再生可能エネルギーの導入状況に応じて賦課金が使われるようになっています。再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は年度ごとに国が定めます。計算式は以下のとおりです。【再生可能エネルギー発電促進賦課金単価=送配電事業者への交付金の見込額合計÷送配電事業者の想定供給電力量の合計】月々の再生可能エネルギー発電促進賦課金は、以下の計算式で算出されています。【再生可能エネルギー発電促進賦課金=再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×月の使用量】たとえば使用量が60kWh、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が2.25円/kWhであれば、2.25×60=135円がその月の再生可能エネルギー発電促進賦課金という計算です。再生可能エネルギー発電促進賦課金の部分も、個人の努力で節約できる部分とはいえません。とはいえ、再生可能エネルギー発電促進賦課金の額からは、日本全体の送配電事業者がどれだけ再生可能エネルギーを導入しているかがわかります。賦課金の部分が大きくなるのは電気料金を払う側からすると負担かもしれません。しかし賦課金が大きいということは、それだけ日本の送配電事業者がエコなエネルギーを使うようになっているか、あるいは日本全体の電気使用量が減っているということを意味します。賦課金の額は日本がどれだけエコな電気の使い方をしているかの指標になるといえるでしょう。■まとめ2016年から電力の自由化が実施され、電気料金を見直す機会が増えた人も多いかと思います。電気料金の仕組みを知ることは、電気料金をかしこく節約する第一歩です。毎月の電気使用量・電気料金明細の意味を細部まで理解し、ご家庭の電気料金を見直してみてはいかがでしょうか
2017年02月22日電気料金は、「消費電力×使用時間」の計算式で算出される「消費電力量」を根拠に算出されます。消費電力とは、電気機器を動かすために使われる電力の大きさのことです。家電のラベルやカタログには、定格消費電力や年間消費電力量といった形で消費電力が記載されていることもあります。これらの消費電力から1カ月分の消費電力量を算出し、それに電力量料金単価をかけて基本料金などを加えれば、1カ月間の電気料金が計算できます。■消費電力・消費電力量とは?家電ごとの消費電力目安もご紹介消費電力とは、電気機器を動かす際に使われる電力の大きさを指します。単位はW(ワット)やkW(キロワット)などです。なお1,000W=1kWと換算されます。この電力の大きさで、実際に使われた電力の量が消費電力量です。消費電力量はWh(ワット時)やkWh(キロワット時)という単位で表します。消費電力量を算出する計算式は以下です。・消費電力量=消費電力×使用時間たとえば60Wと書かれてある白熱電球は、消費電力が60Wであることを意味しています。つまりこの電球をオンにするためには60Wの電力が使われるという意味です。この白熱電球を5時間使ったときの消費電力量は以下の計算式から算出できます。・60W×5時間=300Wh白熱電球以外にも、家電などの電気機器のラベルやカタログには、その機器を動かすための消費電力が記載されています。以下はおもな家電の消費電力の目安です。ただし、家電の大きさや型のほか、計算方法によって消費電力の値は異なることがありますので、あくまで参考としてください。◼︎冷蔵庫(「年間消費電力量」の項目も参照)・140リットル以下:48W・141~200リットル:50W・201~250リットル:58W・251~300リットル:62W・301~350リットル:64W・351~400リットル:56W・401~450リットル:60W・451~500リットル:58W・501リットル以上:64W◼︎エアコン・6~9畳用:355W・7~10畳用:508W・8~12畳用:599W・10~15畳用:745W・11~17畳用:905W・14~21畳用:1,220W・15~23畳用:1,730W・17~26畳用:1,890W・20~30畳用:2,490W以上を見てみると、よく電気を使う家電、思ったほど電気を使わない家電などが比較できますよね。アイロンやドライヤーなど、小さいのに多くの電力を使う家電に驚いた人もいるのではないでしょうか。◼︎ドライヤー:800~1200W◼︎アイロン:1,200W(「定格消費電力」の項目も参照)◼︎電子レンジ:1,300W◼︎掃除機:1200W(「定格消費電力」の項目も参照)◼︎IH調理器(卓上):1,200W◼︎コタツ:600W◼︎食洗器:1,300W◼︎ホットカーペット:500~800W(「定格消費電力」の項目も参照)◼︎炊飯器:300~700W◼︎加湿器:300~500W◼︎液晶テレビ(32型):150W◼︎プラズマテレビ(32型):240W◼︎洗濯機:500W◼︎洗濯機(乾燥機能):800~1000W◼︎デスクトップPC:150~300W◼︎ノートPC:50~150W■ラベルにある「定格消費電力」って?家電のラベルやカタログで消費電力を調べてみると、単に「消費電力」と書かれているのではなく「定格消費電力」と書かれている場合が多いことに気づくかと思います。定格消費電力とは、その電気機器を安全な範囲内で最大限使用した際に消費する電力の大きさのことです。実際の消費電力は一般的に、定格消費電力の90%程度になるよう設定されています。これは安全のため、供給電圧が最大限になった場合でも家電の定格消費電力を超えないようにされていることが理由です。以下で、家電のタイプごとに定格消費電力と消費電力の関係を詳しく見ていきましょう◼︎「オン/オフ」のみの家電電球など「オン」または「オフ」しかない家電における消費電力の目安は、先述したとおり、定格消費電力の90%程度です。たとえば定格消費電力が60Wの電球の場合、60W×0.9=54Wが実際の消費電力の目安になります。◼︎タイマー機能のみの家電単純な電子レンジやオーブントースターなど、タイマー機能のみの家電についても、実際の消費電力は定格消費電力の90%程度です。たとえば定格消費電力1000Wのオーブントースターであれば、実際の消費電力は約900Wの計算になります。◼︎「切/弱/強」といったスイッチがついた家電ドライヤーなど強弱の調節ができる家電製品のラベルなどには、「定格消費電力:700W、強:700W、弱:300W」といった表記が見られます。この場合の実際の消費電力は以下のように考えましょう。・強モードを使った場合の消費電力目安=700×0.9=630W・弱モードを使った場合の消費電力目安=300×0.9=270W◼︎サーモスタット機能のついた家電サーモスタットとは、一定の温度を保つために自動的に温度を調節する機能のことです。たとえばアイロンやコタツなどにはサーモスタットがついています。アイロンを例として仕組みを見てみましょう。アイロンの「高」モードは約200度の設定です。スイッチをオンにすると過熱を開始し、200度に達すると自動でスイッチがオフになります。さらに温度が200度を下回るとまた自動でスイッチがオンになる仕組みです。このような家電の場合は、どのように消費電力を計算すればよいのでしょうか。ホットカーペットを例に考えてみましょう。「強」モードが700W、「弱」モード300W、定格消費電力700Wの場合、30分間の平均消費電力は以下のように計算できます。《強モードの場合》・定格消費電力700Wでスイッチオン→実際の消費電力は約630W・一定の温度に達したらスイッチオフ→実際の消費電力は0W・→30分間の消費電力の平均は630Wの約3割~5割→約189~315W《弱モードの場合》・定格消費電力300Wでスイッチオン→実際の消費電力は約270W・一定の温度に達したらスイッチオフ→実際の消費電力は0W・→30分間の消費電力の平均は270Wの約3割~5割→約81~135W実際の消費電力は、表記されている定格消費電力の半分以下になる場合もあるとわかります◼︎2種類の定格消費電力が併記されている家電たとえば冷蔵庫には、以下のように記載されていることがあります。・定格消費電力電動機:90W電熱装置:200W「電動機」の部分は普段の最大消費電力を指し、「電熱装置」の部分は霜取り運転をする際の最大消費電力を指します。なお冷蔵庫の場合は、後述する「年間消費電力」の記載を目安にしたほうが正確な電力量が出ることもあります。◼︎定格消費電力の記載がない家電家電製品の中には、定格消費電力の記載がない家電もあります。たとえば掃除機などは、カタログに「消費電力:1000W~300W」などとかなり幅を持って記載してあることがあります。これは掃除機が、使い方によって消費電力が大きく変わる家電であるためです。たとえば集塵部分にほこりがたまった状態で「強」モードの運転をした場合は消費電力1000W程度、集塵部分を掃除してモーターの負荷を軽くした状態で「弱」モードの運転をした場合は消費電力300W程度になるというように解釈しましょう。発電の負荷をできるだけかからないように使うことが、特に消費電力を抑えるポイントになる家電といえます。計算の際には、普段の使用方法を振り返り、記載されている消費電力の範囲内で計算しましょう。温度設定や気温との関係によって消費電力が変わるエアコンも、定格消費電力の記載がないことが一般的です。たとえば、以下のように記載されています。・消費電力:1,200W~150W(700W)括弧内は平均値を表しています。計算の際には、仮に平均値を使って計算するとやりやすいでしょう。テレビやパソコンも、ディスプレイの明るさやステレオの音量によって消費電力が変わるため、定格消費電力の記載がない場合があります。消費電力の目安値や、後述する年間消費電力の値を使って計算するようにしましょう。■テレビや冷蔵庫にある「年間消費電力」って?年間消費電力は、ある家電製品を1年間使った場合の電力量のことです。たとえば冷蔵庫は、扉を開閉する回数や時間によって瞬間の消費電力が異なってくるため、年間消費電力を目安として表示しています。また待機電力も計算しないといけないテレビのような家電についても、年間消費電力が記載されている傾向があります。年間消費電力は、その家電が実際に使われている状況に近い条件になる基準で計算されています。メーカーが異なっていても、測定基準は一定です。年間消費電力の値を使って他の家電と消費電力を比較する際には、以下のように計算します。・消費電力の目安=年間消費電力×1,000÷365日÷24時間この計算式で、1時間当たりの消費電力量目安が出るため、定格消費電力などで消費電力の目安が記載されている家電と比較できるようになります。■1カ月の電気料金を計算してみよう!実際に1カ月の電気料金を、家電の消費電力から計算してみましょう。以下で1カ月を30日とした場合の例をご紹介します。◼︎【1】自宅にある電気製品とその消費電力、使用頻度を列挙して消費電力量を計算する《具体例》・冷蔵庫:417kWh/年(年間消費電力量)消費電力の目安は、417kWh×1,000÷365日÷24時間≒48Wh1日24時間30日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、48Wh×24時間×30日=34,560Wh・電子レンジ:1,100W(定格消費電力)実際の消費電力目安は9割の990W1日10分、30日使用するので、990W÷6×30日=4,950Wh・炊飯器:570W(消費電力)1日1時間、30日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、570W×1時間×30日=17,100Wh・液晶テレビ(65型):326kWh消費電力の目安は、326kWh×1,000÷365日÷24時間≒37Wh1日4時間、30日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、37Wh×4時間×30日=4,440Wh・エアコン:平均700W1日12時間、30日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、700W×12時間×30日=252,000Wh・デスクトップパソコン:155W(定格消費電力)実際の消費電力目安は9割で約140W1日3時間、30日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、140W×3時間×30日=12,600Wh・掃除機:1,000W~300W(消費電力)実際は「強」モードで、毎回メンテナンスをしながら使うため、消費電力目安は800Wと試算月4回、1回30分使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、800W×0.5時間×4日=1,600Wh・ドライヤー:定格消費電力:700W、強:700W、弱:300W常に「強」モードで使っているため、実際の消費電力は9割の630W1日10分、30日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、630W×÷6×30日=3,150Wh・アイロン:1,200W(定格消費電力)実際の消費電力目安は30分間で1,200W×0.3=360W程度1回10分、15日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、360W÷3×15日=1,800Wh・洗濯機:500W1回30分、15日使用するので、1カ月間で使われる消費電力量は、500W×0.5時間×15日=3,750Wh◼︎【2】【1】の合計を1,000で割って、1カ月の消費電力量(kWh)を出す(34,560+4,950+17,100+4,440+252,000+12,600+1,600+3,150+1,800+3,750)÷1,000≒336kWh◼︎【3】電力量料金単価に【2】で出た消費電力量をかけるある送配電事業者の従量電灯プランの場合、使用量が300kWを超えた際の電力量料金単価は30.02円/kWhなので、336×30.02=10,086円なお電力料金単価は三段階料金制が採用されていることが多く、電気の使用量によって三段階に変化します。利用している送配電事業者の料金プランを確認してみましょう。◼︎【4】基本料金などを加算して電気料金の合計を出すある地域における送配電業者の従量電灯プランの場合、基本料金が421.20円、燃料費調整単価が4.61円/kWh、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が1.58円/kWhなので、10,086円+421.20円+(4.61+1.58)×336kWh≒12,587円基本料金は電気料金プランである契約種別によって異なります。また燃料費調整単価は地域によって異なり、送配電事業者のホームページや使用量明細に記載してあります。再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は年度ごとに決まり、全国一律です。以上の計算で試算額が出ました。1カ月の電気料金試算額は12,587円です。■まとめ今回は、電気料金を消費電力から計算する方法についてご紹介しました。いかがでしたか?実際に計算してみると、電気料金に全体に対してどの家電が多くの割合を占めているかがわかりますよね。消費電力を見直すことは、電気料金の節約の第一歩です。今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ自宅の電気料金を試算してみてはいかがでしょうか。意外な無駄遣いが見つかるかもしれませんよ!
2017年02月22日私たちの暮らしに欠かせないのが「ガス」。生活のさまざまな場所で使用されていますが、実際にはどのように活用されているかご存知でしょうか?今回は、家庭におけるガスの効果的な使い方と、知っておくと役に立つ料金節約方法をご紹介します。■家庭でガスを使う場所家庭で使われるガスの平均量は、子どもがいる3〜4人の家庭の場合、プロパンガスでは20㎥前後と言われています。これは年間平均使用量なので、夏は15㎥に減ったり、冬は28㎥くらいに増えたりすることもあります。一人暮らしでプロパンガスを使用する場合、年間の平均使用量は5㎥で、夏は3㎥、冬は7㎥。二人暮らしのプロパンガス利用では、年間平均は8㎥、夏は5㎥、冬は15㎥というイメージです。また、プロパンガスと都市ガスでは、原料が異なるため熱量も異なり、同じ作業をする場合であっても必要なガス量は必然的に異なります。プロパンガスは都市ガスの2.18倍の熱量を持っているため、プロパンガスの利用量を都市ガスでの利用量に換算する場合は、プロパンガス利用量に2.18倍をかけた数になると考えておくと良いでしょう。料金に関しては、都市ガスが規制料金となっているのに対し、プロパンガスは自由料金で設定されています。都市ガスとプロパンガスでは料金設定が異なるので、都市ガスの方が使用量が多いから料金も高くなってしまうということはありません。ただし、プロパンガスは自由料金であるため、利用量は同じであっても契約する会社によって費用が変わるケースも多々あります。では、ガスは家庭の中では具体的にどのような場所で使用されているのでしょうか。まず思い浮かぶのが、お風呂やキッチンです。お風呂を沸かす際に利用している給湯器や、調理の際に活躍してくれるガスコンロなど、生活に欠かせない大切なガス機器が挙げられます。その他、冬になるとガスのファンヒーターやガス温水床暖房など、暖房機器においても威力を発揮しています。冬になるとガスの使用量が増えるのは、こうした暖房機器の使用が増えることが要因と考えて良いでしょう。これらのガス料金は毎月かかるものだからこそ、極力費用は抑えておきたいところです。次に、日常の中でできるガスの使いかたのコツと、すぐにできる節約のアイディアについて見てみましょう。■お風呂での節約アイディアお風呂でのガスの使い方というと、お風呂を沸かしたりシャワーを浴びたりすることが挙げられます。さらに詳しく見ていくと、ガスは追い炊きにも関わっていることがわかります。実際に家庭でもっともガスの利用が多いのはお風呂で、使用量のうち75%を占めていると言われています。そのため、お風呂での節約を上手に行えば、ガス料金全体の節約につながると考えて良いでしょう。以下では、ムダをなくした効果的な使い方と、節約のポイントをご紹介します。■水から沸かすのではなく給湯でお湯を張ろうお風呂を沸かすには、水からお湯を沸かす「風呂釜」と、給湯でお湯をためる「給湯式」があります。同じ200リットルの湯を沸かす場合でも、風呂釜式は給湯式の4倍ほどの時間がかかり、費用も10円ほど差があります。これが1年続くと3,600円以上の節約になるので、効率・費用の双方から考えても給湯式でお風呂を沸かしたいところです。■お湯は自動停止装置でムダを減らそうお湯を張る時に、自動のお湯張り機能がない家の場合、「ちょっと目を離したらお湯が浴槽からあふれてしまっていた」ということも少なくないでしょう。お湯がムダになるだけでなく、ガス代のムダにもつながるので、もっとも気をつけたい場面です。もし自動のお湯張り機能がついていないお風呂であっても、蛇口にとりつけるだけで自動停止してくれるアイテムもあります。気軽に使えるものなので、設置を検討してみるのもおすすめです。■こまめにフタをして、熱を逃さないようにしようせっかくお風呂を沸かしても、フタをせずにそのままにしていると、どんどん熱が逃げていってしまいます。しかし、フタをしておくと、その後追い炊きに要するエネルギーを少なくすることができ、節約につながります。実際、40度に沸かした200リットルのお湯の温度は、フタの有無で4時間後には約2度の差が生じています。そこからそれぞれを40度まで追い炊きをすると約6円の差額が生じ、1年積み重なると1,900円もの差額になるという計算です。また、追い炊きをするには多くのガスが必要になります。追い炊きを1回減らすだけで年間1,800円ほどの節約が可能になるという結果もあるので、家族がいる場合は、極力立て続けに入浴して追い炊きを回避したり、保温シートを活用してお湯の温度が下がるのを防いだりして、追い炊きの回数を減らすよう心がけましょう。■シャワーの時間を少し短くするだけでも節約に出しっぱなしにしてしまいがちなシャワーですが、シャワーを出す時間に気を配るだけでも節約につながります。40度のシャワーでは、1分で3円もの差があるという結果もあります。1人1分シャワー時間を減らすだけで大きな節約になるでしょう。また、このことから、お湯をこまめに止めることが、節約のポイントになることもわかります。■お湯の温度を少し下げるだけで効果的冬になるとガス料金が膨らみがちになりますが、その要因のひとつに、お湯の設定温度が上がることも影響しています。お湯の設定温度が高いほど、沸かすために必要なガス量も増えてしまいます。そのため、お風呂を沸かす際は、42度以上など熱めに沸かしたお湯に水を足して温度調整をするのではなく、はじめから適温で沸かすようにしましょう。■節水シャワーヘッドを活用しようシャワーヘッドを節水使用のものに変えることもおすすめです。節水シャワーヘッドは節水を目的に作られたものですが、シャワーヘッドの穴の数が少なく穴の大きさも小さくなっているので、結果的に使う湯量が減ってガス料金の削減にもなります。■人数が多いならシャワーよりお湯を張った方がお得また、「一人暮らしだとついシャワーになってしまう」という方も少なくないでしょう。しかし、シャワーは17分出しっぱなしにすると、浴槽1杯分の湯量に匹敵すると言われます。そのため、シャワーの利用人数が増えるごとに、湯量は倍増していってしまいます。人数が多い時はお風呂を張って、シャワーは体を洗う時だけにするなどの工夫をしましょう。■キッチンでの節約アイディアキッチンでもガスは大活躍。電気コンロに比べて火力が強く、飲食店の厨房などでもガスコンロは重宝されています。キッチンも毎日ガスを使うところなので、節約術を身につけて賢く利用しましょう。■お湯は必要量だけをコンロで沸かそうお湯を沸かす際には、ガスコンロで沸かす方法と電気ポットで沸かす方法があります。コンロでその都度沸かすとエネルギーを消費するように思えますが、実はコンロの方が安く済ませることができるのです。1リットルの水を3回ずつコンロで沸かしたとしても、1度に3リットルの水を沸かして保温するポットより3円ほど安くすなります。毎日行うことだと思うと、こうした節約も侮れません。■落とし蓋を活用しよう調理の際にもちょっとした工夫をすれば節約につなげることができます。煮物などを作る際に木ぶたやアルミホイル、パラフィン紙などの落とし蓋をすると熱が逃げなくなるため、調理時間を半分以下に抑えることができてガスの節約にもなります。時短テクとしても有効なので、ぜひ覚えておきたい方法です。■火力を調整し、炎は鍋底からはみ出さないようにあまり知られていませんが、せっかく強火で調理をしても、炎が鍋底からはみ出ていると、熱が伝わりません。すると、火災の危険が増すだけでなくガスのムダ使いにもなってしまいます。また、逆に弱火にしていると、時間がかかり放熱量が増えてしまいます。そのため大切なのは、鍋に合わせた火力調整を心がけることです。鍋底の広いものを利用するのも効率的に熱を届けるひとつの手なので、覚えておくと良いでしょう。■鍋底はしっかり拭いてから火にかけよう洗ったばかりの鍋ややかんを再度使いたい場合でも、鍋底だけはしっかり水分を拭き取るようにしましょう。鍋底に水分がついていると、それを蒸発させるために余分な熱が必要になってしまうためです。拭いておけば、ガス量2%の削減になります。■食器洗い乾燥機は実は節約ポイント食器洗い乾燥機も、うまく活用すると大幅な節約につながります。乾燥機はお湯をためて「洗い」と「すすぎ」をする仕組み。そのため、その都度お湯が必要になる手洗いと比較すると、少ない湯量で済ませることが可能となります。使う湯の量は、手洗いに比べると9分の1。節水することによってガス量の削減にもなり、費用は5分の1になります。年間では8,000円以上の節約も見込めるので、導入を検討してみると良いでしょう。また、乾燥機を利用する際に、設定温度を2度下げただけで年間1,000円以上の削減になったというデータもあります。数回分をまとめて洗ったりすれば、一層節約効果が高まるでしょう。■ごはんはコンロで炊けば、ふっくら&節約ごはんは炊飯器で炊くのが主流ですが、鍋に入れて火にかける方法でも炊くことができます。実はコンロで炊く方が電気炊飯器に比べ20分ほど時間が短縮できて、仕上がりもふっくらツヤやか。費用は電気炊飯器の半分以下に抑えることができるなど、いいこと尽くしです。調理の際は、水とお米を入れた鍋を火にかけるだけなので、簡単にできます。最近は「炊飯」ボタンがついたコンロもあるので自動に炊くことも可能になりました。■グリルを上手に使って節約上手を目指そう調理の際、グリルが頼もしい節約アイテムとして活躍してくれます。オーブントースターに比べ、時間も費用も半分近くに抑えることができます。また、グリルは魚を焼くだけでなく、冷凍食品の温めやトースト、肉や野菜の同時調理も可能な万能選手。食材の余分な脂を落としてくれ、味が凝縮されるというメリットもあるので、仕上がりもアップします。両面焼きグリルであれば途中で熱を逃すこともないので、さらなる時短と節約が期待できるでしょう。■その他の場所での節約アイディア上記では、主にガスを使うお風呂とキッチンのアイディアをご紹介しましたが、それ以外の場所においても私たちは日々ガスの力を借りています。他の場所でもちょっとした工夫でガスの節約ができるので、いくつかご紹介します。■設定温度を2度下げた暖房とガスファンヒーターを併用しよう暖房の推奨設定温度は20度ですが、寒さが厳しくなるほどにどうしても温度を上げてしまいがちです。しかし、設定温度を2度下げるだけで年間2,000円近い節約にもなるので、低めに設定しておきたいところです。ガスのファンヒーターの場合は、スイッチを入れてから暖まるまでの時間が短いという点がメリット。しかし一方では、温度調整がしにくいというデメリットもあります。そこで、はじめはガスファンヒーターで部屋を暖め、その後は暖房に切り替えるという方法が効果的です。ガスファンヒーターは切った後もしばらく暖かさが残るので、早めに切って余熱を活用することも大切です。■ガス温水式床暖房は、すぐに切らずに自動運転で冷暖房はこまめにスイッチを切る方が良いと思っている方が多くいますが、ガス温水式床暖房の場合は一概にそうとも言えません。というのも、スイッチを入れてから立ち上がるまでにガス代がかかるので、こまめに切ったり入れたりすることで逆に費用がかさんでしまいます。長時間の外出などの際には切るようにして、それ以外はつけっぱなしにしておいても問題ないでしょう。また、外気の変化に合わせて適温にしてくれるので、自動運転に設定しておくのがおすすめ。ガスのムダ使いをしなくて済みます。床暖房の場合、上にマットなどを敷いている方もいますが、せっかくの熱が伝わりづらくなってしまうので逆効果。余計なガス代がかかることになってしまいます。ガス温水式床暖房は温度にムラがなく、すぐに暖まるのが特徴なので、極力上には何も敷かずに利用するのがおすすめです。■まとめいかがでしたか?今や、ガスは私たちの暮らしを支える大事なエネルギーです。しかし、うまく活用できていないと、ガスのムダ使いになるだけでなく余計な費用までかかってしまいます。上記でご紹介したアイディアを生かして、効果的で賢いガスの使い方を目指しましょう。
2017年02月15日調理や暖房、お風呂を沸かす際など、暮らしのさまざまな場面で必要となるのが「ガス」です。一般的な家庭では「プロパンガス」か「都市ガス」のいずれかが利用されていますが、プロパンガスは費用がかかると避けている方もいるのではないでしょうか?そこで今回は、プロパンガスの料金や、メリット・デメリットについてご紹介します。■そもそも、プロパンガスとは?プロパンガスがどういうものか、実はよくわかっていないという方もいるのではないでしょうか。プロパンガスの正式名称は「LPガス」で、LPとは「Liquefied(液化された)」「Petroleum(石油)」という意味。プロパンガスという呼び名からプロパンのみでできていると思われがちですが、プロパンの他、ブタンという燃料も主原料となっています。以下では、都市ガスと比較しながら、プロパンガスについて詳しく見てみましょう。プロパンガスの容器には、プロパンやブタンなどの石油ガスに圧力をかけて液化したものが入っていて、これが液体から気体になることで利用されています。マイナス42度あるいは7気圧を境に液体から気体へと変化し、体積も250倍に変化するという性質を持っています。比較的低い圧力で液化することから、液化させてボンベに入れて運搬することが可能なため、供給の際は業者がガスの入ったボンベを運んでいます。また、運搬のしやすさから、地方都市や山間部などでも重宝されています。一方の都市ガスは「燃える気体」と呼ばれるメタンを主原料としている天然ガスのこと。こちらは地下に張り巡らされたガス管を通じて供給するシステムを採用しています。都市ガスの場合、液化させるにはマイナス160度まで冷やさなくてはならず、プロパンガスと比べると、液化させる手間がかかります。そのため容器などに詰めて運搬されることはほぼなく、気体のまま管を通して家庭に供給されています。また、ガスの特徴として、「ガス臭い」と称される独特な匂いを連想する方も多いでしょう。しかし実はガス自体は、プロパンガスと都市ガスともに無色透明。ガスが漏れた際に気づくようわざと匂いがつけてあるのです。万が一大量に吸い込んでしまうと意識を失うなどの危険を伴う可能性がありますが、近年はガス漏れの事故は減少傾向にあり、安全性は確保されていると考えて良いでしょう。その他、プロパンガスと都市ガスの大きな違いとしては、都市ガスが空気より軽いのに対し、プロパンガスは空気より重いという点が挙げられます。そのため、都市ガスは上の方に、プロパンガスは下の方に溜まるという性質があります。これを生かして、警報機をつける位置を考えてみるのも良さそうです。■プロパンガスのメリット・デメリットプロパンガスと都市ガスは原料から異なるものであるということがわかりましたが、プロパンガスには具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。以下で具体的に見てみましょう。【メリット】■火力が強い最大のメリットは、何と言っても火力が強いこと。プロパンガスの熱量は、都市ガスの2.18倍にもなります。これは、同じ作業をする場合であっても、都市ガスの場合は、プロパンガスの2倍以上の量のガスを必要とするということです。また、3コンロ同時に強火の調理を行うことも可能なので、中華料理などの飲食店ではプロパンガスを使っているところが多いようです。■ガス器具の凡庸性が高いガスを使用するためには、ガスコンロなどの器具を設置する必要があります。その際に気をつけなくてはならないのが、使用するガスの成分に適したガス器具を選ばなくてはならないという点。都市ガスの場合は、地域などによって原料や製造法、発熱量に違いがあります。そのため、引っ越しなどの際には、その都度新しいガス器具を買い揃えなくてはならず費用がかかってしまうのです。一方、プロパンガスの成分は全国どこでもほぼ同じなので、「LPガス用」と表示してあるものなら使うことができます。■災害に強いプロパンガスは災害時に強いというメリットもあります。というのも、都市ガスは配管で家庭に供給されているのに対し、プロパンガスは各家にガス容器で設置されています。容器に入っていることから持ち運びが簡単にできるため、地中に埋まった都市ガスの管に比べると、点検や異常の発見を速やかに行うことができ、迅速な復旧が可能となります。具体的には、都市ガスの復旧が1〜2ヶ月と言われているのに対し、プロパンガスは3日〜1週間。その早さは明白です。■初期費用がかからないガスの供給を受けるためには、ガス管やメーターなどの設備を整えなくてはなりません。これはプロパンガス、都市ガスともに必要なものですが、プロパンガスの場合は容器に入っているので設置工事はいたって簡素。対して都市ガスは、自宅前にガス管が埋設されていない場合、地中のガス管を自宅まで通さなくてはならないため、どうしてもプロパンガスに比べると大掛かりな準備が必要になります。また、都市ガスの場合は工事費用を契約時の一括払いにしているところが多いのに対し、プロパンガスの場合は月々のガス代に上乗せされていることが多いため、そうした点からも初期導入時にかかる費用には差が生じると言えるでしょう。■地球にやさしい実はプロパンガスは、地球にやさしいエネルギーでもあります。石油や石炭など他のエネルギーに比べ、CO2排泄量と酸性雨の原因となる硫黄酸化物が少ないという特徴があります。人間だけでなく地球にとってもやさしいエネルギーとしても注目されています。【デメリット】■利用料が高い多くの人がイメージしている通り、プロパンガスはやはり都市ガスに比べると利用料が高くつきます。一般的には都市ガスの2倍の料金がかかると言われていて、利用する業者によっても価格設定は異なります。ただし、前述の通り、プロパンガスは初期費用が抑えられ、都市ガスに比べガスの熱量が大きいという特徴があります。これらを考慮すると、適正価格のプロパンガスであれば、都市ガスの費用と比べても大きな差は生じないでしょう。■設置場所が必要プロパンガスの場合はガスの入った容器を設置するだけなので、導入費用が安く復旧が早いことを述べました。しかし一方で、容器が場所を取るというデメリットにもつながります。都市ガスの配管は地下に埋まっているため場所は一切取りません。そのことを考えると、プロパンガスの場合、住まいの状況によってはスペースを圧迫することがあるかもしれません。■事故になった場合大事になりやすい最近のガス設備は安全性が高まっていますが、万が一ガスが漏れてしまった場合には都市ガスよりプロパンガスの方が危険度は高くなります。プロパンガスは空気より重いことからガスが下に集まるので、コンロや暖房器具などとの位置が近くなり、引火の可能性が高くなってしまうのです。■プロパンガスの料金の内訳プロパンガスと都市ガスでは、料金設定も異なります。都市ガスは規制料金となっていますが、プロパンガスは自由料金。各社が自由に料金を定めて良いことになっているため、契約する会社によって金額に差が生じてしまうこともあります。そこで、プロパンガスの料金がどのように決められているかについても学んでおきましょう。ガスの料金は、基本的には「基本料金」と「従量料金」によって成り立っています。基本料金とは、ガスメーター、ガス容器、高圧ホース、調整器などの供給設備に関する償却・管理費用のことです。一方の従量料金とは、ガスの使用量に応じてかかる費用のこと。従量料金は、「毎月の使用量×従量単価」で求められます。従量単価は、固定額が決められているか、使用量ごとに価格が区切られているかのいずれかとなっているケースが多いようです。■プロパンガスの料金制度プロパンガス料金の計算方法は、主に「二部料金制」「三部料金制」「スライド制」「原料費調整制度」の4種類があります。上記では主に「基本料金」と「従量料金」が関係していることをお伝えしましたが、採用している料金制度によって計算方法は異なります。■二部料金制もっとも多くのプロパンガス会社で採用されている料金制度です。料金は、基本料金+従量料金で算出されます。■三部料金制二部料金制の計算方法に、設備使用量が加算されるものです。設備使用量には、主にガスメーター、集中監視システム、自動切り替え式圧力調整器などが該当します。二部料金制の際は基本料金に含まれていた設備使用料の内訳をはっきりさせることができる方法です。■スライド制二部料金制では固定となっていた従量単価が、使用量に応じて変動するものです。例えば、0.1〜5.0㎥までは400円、5.0〜10.0㎥までは370円などのように設定されています。この場合、使用量が多くなるにつれて従量単価は下がっていくのが一般的です。そのため、使用量が多い場合は有利ですが、使用量が少ない場合は高くついてしまうこともあるでしょう。■原料費調整制度プロパンガスの大半は輸入されているため、世界情勢や為替も価格に影響しています。そのため、こちらの料金制度では、変動する輸入価格を販売価格に連動させています。金額の調整方法としては、前月の輸入原料価格の平均が前々月の平均と比較して変動した際に、従量料金が変動するという仕組みです。料金の変動は起こりますが、価格設定の透明度が高く、消費者にとってはもっとも信頼できる方法だと言えるでしょう。都市ガスに関しても、こちらの制度が採用されています。■プロパンガスの料金の計算方法ガスの料金については毎月請求書が送られてきますが、そこにはガス使用量と請求額しか記載されていません。そこで、以下では4種の料金制度が実際にどのように計算されているかを見てみましょう。ガスの使用量は「㎥(リューベ)」という単位で表されますが、プロパンガスの熱量は都市ガスの2.18倍。そのため、プロパンガスで使用した20㎥は、都市ガスでは20×2.18=43.6㎥に相応するという計算になります。■二部料金制使用量20㎥、基本料金1,500円、従量単価300円の場合1,500円+(20㎥×300円)=7,500円■三部料金制使用量20㎥、基本料金1,200円、従量単価300円、設備使用料400円の場合1,200円+(20㎥×300円)+400円=7,600円■スライド制使用量20㎥、基本料金1,500円、従量単価は以下の場合0.1〜5.0㎥は400円、5.1〜10.0㎥は370円、10.1〜15.0㎥は340円、15.1㎥〜は320円1,500円+7,150円=8,650円従量料金の7,150円は、以下の数字の合計となります。400円×5.0㎥=2,000円、370円×5.0㎥=1,850円、340円×5.0㎥=1,700円、320円×5.0㎥=1,600円■原料費調整制度使用量20㎥、基本料金1,500円、その月の従量単価が380円だった場合1,500円+(20㎥×380円)=9,100円料金の計算の仕方がわかったら、自分が利用しているプロパンガス会社の料金が適正価格かどうかを判断するために従量単価を知ることも大切です。請求書の金額から従量単価を算出することもできるので、気になる方は計算してみるのも良いでしょう。以下では、二部料金制の従量単価算出法についてご紹介します。■二部料金制の従量単価算出法請求額12,204円、基本使用料1,800円、使用量25㎥の場合まずは請求書の金額から消費税を抜きます。12,204÷1.08=11,300円そこから基本料金を引くと、従量料金が出ます。11,280ー1,800=9,500円あとは、その従量料金を請求書に記載されている使用量で割れば従量単価を確認することができます。9,500円÷25㎥=380円この場合は、従量単価が380円であることがわかりました。二部料金制の場合は従量単価が400円を超えると高いと判断されるようなので、一度見直してみるのも良いでしょう。また、同じスライド制を用いている2社を検討する場合、従量単価が異なるのでどちらを選択したら良いか迷ってしまうケースも考えられます。以下では従量単価が異なる実例を用いて予想従量料金を比較してみましょう。使用量は8㎥とします。■A社のスライド制の場合基本使用料1,500円、従量料金は0.1〜5.0㎥は430円、そこからは5㎥ごとに30円ずつ安くなっていく430円×5㎥+400円×3㎥=3,350円■B社のスライド制の場合基本使用料はA社同様1,500円、従量料金は0.1〜10.0㎥は420円、11.0〜20.0㎥は400円、20.0㎥〜は370円420円×8㎥=3,360円この場合はB社の方が安いことがわかりました。ただし使用量が多い場合はA社の方が費用が抑えられることも予想できるので、都度自分のケースに当てはめて計算することが大切です。■まとめいかがでしたか?プロパンガスと都市ガスとでは、費用が異なるだけでなく、成分や施工方法など根本的に異なることがわかりました。また、同じプロパンガスでも料金の計算方法に種類があり、料金設定も会社によって異なります。メリット・デメリットを見極めた上で自分に合ったプロパンガス会社が選択できるよう、上記を踏まえて一度検証してみると良いでしょう。
2017年02月15日オール電化について、「調理、空調、給湯といった家庭内で使うエネルギーをすべて電気で賄う」という仕組みから、オール電化で中心となる機器の機能紹介、さらにメリットとデメリットについてご説明します。上手に使えばお得で便利な暮らしができるオール電化。導入を検討する際の参考として、ぜひご覧ください。■オール電化とは?まず、そもそも「オール電化」とはどのようなものなのかについてみていきましょう。調理、空調、給湯といった家庭内で使うエネルギーをすべて電気で賄うようにしたのが「オール電化住宅」であり、別名「全電化住宅」とも言われています。家庭内のエネルギーは長年ガスと電気が併用されてきましたが、1980年代後半からオール電化モデルハウスが展示されるようになり、徐々にIHクッキングヒーターやエコキュートといった機器も登場し、2000年代後半から急速にオール電化住宅の普及が進みました。オール電化住宅の最大の特徴は、深夜電力を低価格で利用できることにあります。安い深夜電力を使って夜中のうちにお湯を沸かしたり熱を溜めたりしておき、それらを日中に使うことで、電気料金を大きく節約することができるのです。また、このシステムは、電気の利用が集中する昼間にあまり電気を使わず、電気利用の少ない深夜に活用するという「電力のピークシフト」に基づいており、環境に配慮した省エネルギーや節電にも効果的です。家計にも環境にも優しい省エネルギー設計がオール電化の魅力と言えるでしょう。続いて、オール電化で使われる機器についてみていきましょう。調理はIHクッキングヒーターやIH対応調理器具、空調はエアコンや蓄熱式電気暖房機、床暖房システム、給湯はエコキュートや電気温水器といった機器を活用することで、すべてを電気で賄います。中でもオール電化住宅の柱と言えるのが、給湯で使うエコキュートや電気温水器です。これらを使って夜間に電気でお湯を沸かし、それを日中に使用します。お風呂や洗い物などはもちろん、システムによってはこのお湯で床暖房を機能させることもできます。ここで、エコキュートと電気温水器の違いについてもご紹介しておきましょう。エコキュートは電気温水器の一種ですが、お湯を沸かす際の仕組みが異なります。エアコンと同じ空気の熱を利用したヒートポンプ技術が使われており、室外機のファンが吸収した外気熱を利用してお湯を温めます。電気だけでなく外気を利用するため、省エネルギーで電気料金も抑えられます。一方、電気温水器は貯水タンク内にヒーターが設置されており、その熱でお湯を沸かします。電気しか使わない分こちらの方がエネルギーを使い、エコキュートに比較して電気代も高くなります。ただし、エコキュートは設置する際の初期費用が高く、また修理や交換の際にも構造が複雑な分高額になることが多いようです。さらに、エコキュートの方が設置スペースを広く取るため、住宅事情によっては取り付けられないケースもあります。もうひとつ、オール電化のポイントとなるのが蓄熱式電気暖房機です。こちらは夜間に暖房機内に蓄熱し、その熱を日中に使うことで省エネルギーにつながります。また、住宅によっては電力自体を貯めておく蓄電池ユニットを設置したり、屋根などを使って太陽光発電を行い、それを家庭内の電力として供給したりといったシステムを導入することもできます。■オール電化のメリット■オール電化のメリット1~電気代が節約できるオール電化最大のメリットは、電気代が節約できることです。その理由は大きく分けて2つあります。1つめは前述したように夜間電力を安く利用できること、そしてもう1つはガス代がかからないため光熱費を一本化できることです。1つめの夜間電力について詳しくみていきましょう。元々、電気料金は時間帯別単価が導入されており、電力使用が集中する昼間に比べ夜間は安く設定されています。オール電化の場合さらに、ライフスタイルによって料金プランを選ぶことができ、夜間電力を格安で利用できることが多くなっています。安く抑えた夜間電力を使い、夜中のうちにエコキュートや電気温水器でお湯を沸かしておき、蓄熱暖房機で熱を貯めておきます。そして昼間はそのお湯や熱を使うため、上手に使えばほとんど電気を消費せずに済みます。安い夜間電力だけで1日分のお湯や熱といったエネルギーを回すことができるのです。続いて、2つめの理由である光熱費一本化についてです。ガスを一切使わないということは、ただガス代がかからないだけでなく、基本料金も必要ないということです。その分光熱費は抑えられますし、一本化することで家計の把握や支払いの手間などもより簡潔になります。■オール電化のメリット2~災害時に強いオール電化2つめのメリットは、災害に強いことです。2011年3月11に起こった東日本大震災におけるライフライン復旧に関するデータによると、ガスは約40%復旧するまでに20日かかったのに対し、電気はわずか5日で約90%が復旧しています。ちなみに、5日の時点ではガスの復旧は10%以下です。このデータからも、万が一の災害時に電力エネルギーの方が、復旧が早く見込めることがよく分かります。オール電化が災害時に対応しやすいのは電力復旧の早さだけではなく、エコキュートや電気温水器の存在もあります。エコキュートや電気温水器があれば、その貯水タンク内にある水を生活用水として利用することができます。衛生上の問題から飲用水としては使えませんが、災害時に生活用水があればトイレやお風呂、ケガの処置などにも対応がしやすくなります。また、さきほどガスと電気の復旧率のデータをご紹介しましたが、同じデータによると水道の復旧率は震災後6日で約50%、17日で約80%です。大きな災害時には水道復旧まで1週間から3週間はかかります。このことからも、貯水タンクの水が使えることが大きく役立つと考えられます。こうした特性や、地震などの災害が増えている背景から、耐震設計のエコキュートも最近では作られています。また、太陽光発電システムや蓄電池ユニットを導入し、停電時の回路設計などが構築されている場合は、電気が復旧するまでの間貯まった電気を使用することもできます。■オール電化のメリット3~火災などの可能性が低く、お手入れも簡単3つめのメリットとして、火災の危険が少ないこと、日々のお手入れが簡単ということが挙げられます。ガスに比べると、直火を使わないため調理中の火災などの危険が少なく、また、ガス漏れや一酸化炭素中毒といった心配もありません。最近ではほとんどの製品に、焦げ付きやふきこぼれを検知して知らせてくれる機能も付いています。さらに、IHクッキングヒーターはガスコンロに比べて掃除やお手入れも簡単です。さっと拭くだけで掃除ができるため、ガスコンロのようにこびりついた焦げや油汚れに悩まされるということもほとんどなくなります。ガスを使わないため、キッチンの空気が汚れないというメリットもあります。■オール電化のデメリットオール電化にはデメリットもあります。それぞれのデメリットについてもまとめてみました。■オール電化のデメリット1~上手に使わないと逆に電気料金がかかる場合もある1つめのデメリットは、上手に活用しないと逆に電気料金が高くなるケースがあることです。オール電化は安い深夜電力を利用する代わりに、昼間の電気料金は通常よりも割高になります。つまり、夜間にお湯を沸かしたり蓄熱したりしても、それが昼間に足りなくなって電気を使ってしまうと、結果的に高くついてしまうことがあるのです。こちらの対処法としては、ご自身やご家族の生活スタイルに合わせて、最も適した料金プランや利用方法を考えることが挙げられます。例えば、共働きで子どもも学校に行って昼間はあまり家に人がいないというご家庭であれば、夜間にお湯を沸かしたり蓄熱したりして、それで毎日使うエネルギーを回していくということがやりやすいでしょう。しかし逆に、小さなお子さんや高齢の方がいらっしゃって、昼間に家庭の電力をよく使うというご家庭であれば、昼間に使う際にも節電の意識を持つことが必要になってきます。また、金銭面のデメリットでは、オール電化を導入する際の初期費用も挙げられます。家庭内のエネルギーをすべて電気に変え、さらにエコキュートや電気温水器、IHクッキングヒーターの設置などが必要であるため、導入自体は決して安価とは言えません。オール電化導入で長期的には光熱費が節約できるとしても、初期費用にどれくらいかかり、それを回収できるくらいの節約が可能なのかは、導入前にしっかりと考えるようにしましょう。さらに、機器の設置には大がかりな工事が必要な場合もあります。特にエコキュートや電気温水器はスペースも必要であるため、アパートやマンションなどの共用住宅の場合、構造上の問題で設置自体難しいケースもあります。導入を考える際は、事前にそうした工事やスペースについても電力会社と相談し、特にアパートやマンションの場合は必ず管理会社にも承諾の確認をとりましょう。■オール電化のデメリット2~給湯面で飲用に使えない、また水圧が弱い場合も続いては、エコキュートや電気温水器の給湯に関するデメリットです。タンクに貯水して利用するため、衛生上飲用はできません。そのため、飲用のお湯は別途電気ポットなどで沸かす必要があります。ガス給湯器のようにその場でお湯を沸かし、飲用にも生活用水にも使えるというやり方に慣れていると、その点を不便に感じるかもしれません。また、お風呂や洗い物をする際にも、水道から直圧式ではなく貯水タンクの内臓ポンプからお湯が送り出されるため、水圧を弱く感じるケースもあるようです。こうした衛生面や水圧の問題は構造上すぐに解決することが難しいため、ライフスタイルの変化として慣れていくしかありません。■オール電化のデメリット3~IHクッキングヒーターは使いにくい場合もそして、オール電化機器の中で使いにくさや違和感を覚える人が多いのが、IHクッキングヒーターです。ガスコンロのように直火が見えないため慣れるまで料理がしにくい、土鍋や中華鍋といった直火用の調理器具が使えない、IH専用調理器具に買い替えるのにお金がかかる、IH専用調理器具はガス用の鍋などに比べて重くて使いにくい、といった意見も少なくありません。また、「直火を使わないため火災の危険がなく安全」というメリットも、場合によっては「火が見えないため熱くなっていても気付かず、焦がしたり火傷したりしてしまう」というデメリットになることがあります。特に、小さなお子さまが見た目で熱いと分からずにさわってしまうという点から、「子どもに火の危険を分かりやすく教えられないのは、逆に危険に思える」という意見もあります。もう一点、IHクッキングヒーターで懸念されるのが電磁波の問題です。IHクッキングヒーターから出る電磁波そのものが人体に影響があるかどうかは明らかではありませんが、ペースメーカーの設定がリセットされたなどの事例はあります。ペースメーカーを付けている方、電磁波過敏症の方、妊娠中の方などは、導入前にそうした面でも問題ないか調べてみた方が良いでしょう。■オール電化のデメリット4~停電時のリスクそして、オール電化の最大の弱点とも言えるのが、停電すると家庭内のエネルギーに関する全機能が使えなくなるリスクがある点です。ガスと電気を併用していれば、停電してもガスを使ってお湯を沸かしたり、暖房を使用したりすることができます。停電時のリスクを低くするには、カセットコンロやガスストーブなどを非常用としてストックしておくことが大切です。また、太陽光発電システムや蓄電池ユニットを導入している場合は、停電時にその貯蓄電力を使えるようにしておきましょう。■まとめオール電化について、仕組みからメリット・デメリットまでご紹介しました。上手に使えば電気代を大きく節約でき、さらに万一の災害時などにも対応できるという点で魅力的だと言えるでしょう。しかし一方で、生活スタイルに合わせて導入しないと逆に電気料金が高くついてしまったり、エコキュートや電気温水器、IHクッキングヒーターを使いにくく感じたりする可能性もあります。事前にしっかり調べると同時に、ご自身やご家族の毎日の生活にフィットするかどうかをしっかりと検討してから導入するようにしましょう。
2017年02月15日『ヒマラヤ聖者の太陽になる言葉』(相川圭子著、河出書房新社)の売上が好調で、Amazon総合ランキングでは上位をキープし続けています。ヒマラヤ5,000年の知恵を凝縮したこのちいさな本が、これだけ求められる現代とはどんな時代なのか?また、いまの世の中で幸せに生きるにはどうしたらいいのか?著者であるヨガマタ相川圭子さんに直接お会いして、詳しい話をお聞きしてきました。■内側と外側のバランスを上手にとることが大切相川さんは著書のなかで、「本当の自分になることが真の幸福を得ることになる」と繰り返し説いています。しかし、本当の自分や真の幸福といったことは、経済的成長や、個人の成功といった現代の価値観とは相反するように感じます。現代社会に生きながら、どうやったらその方向に近づいていけるのかをお聞きしたところ、相川さんはまずこうおっしゃいました。「心はすばらしいのですけどね」本書のなかに、「幸福は心が喜ぶことではない」、というくだりがあります。そして、心は「人間だけに与えられたもので、いろいろ便利なものをクリエイティブにつくり出してきた」と相川さんはいいます。心が悪いのではなく、私たちが心とどうつきあうのかが大事なのですね。「人間は自分の外にあるものばかりに目を向けて、自分たちのなかにある無限の存在、見えない力でつくり出された不思議な力には目を向けません。そのために、多くの人が競争社会の中で疲弊してしまっている状態なのです」たしかに、現代人は増え続ける情報や複雑な人間関係に囲まれて、知らないうちにかなり疲れてしまっているのかもしれません。それは私たちが、外側にあるものにしか目を向けていないからだと相川さんはいいます。「もっと自分の内側を見つめ、そこになにがあるのかに気づいてください」大切なのは「バランス」。内側にある根源の自分を知った上で、外側の世界に生きることは可能なのだそうです。■現代人が苦しむのはエネルギーが放電のせい?「より多くの人が自らの内側に目を向けて、つながっていくと、もっと愛を持って世の中がつくられていく」と相川さんは続けます。「破壊的ではなくて、愛や調和を盛り込むことで、世の中がもっと平和になって、みんなの心が安らいで、本当の幸せに近づいていきます」さらに、長年のヒマラヤでの修行を経て、相川さんには人がなぜ苦しむのか、どうしたら苦しまないようになれるのか、どうしたら才能を開発できるのか、といったことまで、わかるようになったというのです。「ヒマラヤの教えっていうのはヨガを取り入れているんですけど、ヨガはもともと『調和』っていう意味なんです。単なる健康法ではなく、本質に出会っていく、そういう教えなんです。本質のクオリティーというのは神聖なんです。愛がいっぱいあるし、生命力がいっぱいある。そこにつながることで、いくらでも汲み出すことができるんだけど、現代人はそこにつながらないでただ頑張ってやっているから、エネルギーが放電しちゃうんですね」そして本書のなかには、いくつか聞きなれない言葉も出てきます。そのひとつが「ディクシャ」。これは、ヒマラヤの秘法を伝授する儀式の名前だそうです。どんなものなのか興味があっても、儀式やカルマという言葉に、若干抵抗を感じる人もいるかもしれません。そう思って聞いてみたところ、相川さんは破顔一笑、「カルマはストレス、儀式はセミナーですね」なるほど、一気に現代風になりました。「幸せのなり方を習うセミナーっていうのかしら」■普段の生活でも簡単にできる「ヒマラヤの知恵」そうはいっても、誰でもすぐに瞑想の機会を持てるとは限りません。普段の生活のなかでできることはないか、お聞きしてみました。暗い気持ちで落ち込んでいる人に、相川さんはときどきこういうそうです。「無理をしてでもいいから、声を出して笑ってみて」と。なにも考えず、お腹から声を出して笑うだけで、気にしていたことやわだかまりを発散することができ、気持ちが変わるそうです。お話の途中で、突然、相川さんが笑い始めました。それも、ただの笑いではない、大笑いです。筆者も、周りにいた人たちもつられて大笑い。「笑いの瞑想っていうのがあるんです。わははと笑っていただいて、その後少し静かにしていただくんです。形から入るんですね、おかしくなくても」その他に、普段からできることとしては、「感謝すること」を挙げてくださいました。「いろいろなことに感謝するんです。否定的なことにも、気づかせてくれてありがとうございますって」ちいさなことからでも、普段からできることはありそうですね。*相川さんは世界で2人しかいないシッダーマスターだと伺っていましたが、お話してみると、まったく飾らないお人柄で、いつもニコニコ、しかも自然な笑いを絶やすことがありませんでした。自分の内側を見つめて、そこにある輝きをみつけること、それは少し前に大流行した「ありのままの」自分になることと同じことなのかもしれませんね。(文/Kinkiii)【取材協力】※ヨグマタ相川圭子・・・ヒマラヤ大聖者、サマディマスター、シッダーマスター。日本で40年以上にわたり瞑想・ヨガの第一人者として活躍。1985年より高度5000メートルを超えるヒマラヤの秘境にて死を超える厳しい修行を重ね、女性として史上初めて、瞑想の最高の境地である「究極のサマディ」に到達。1991年より世界各都市で、現代人のための科学的かつ効果的で安全な瞑想法、自己変革法を指導・監修。一人一人の内なる平和こそが世界の平和につながるとして、個人のレベルから世界に愛と平和の輪を広げる運動「ワールドピースキャンペーン」を行っている。日本では、真の幸せと悟りのための各種研修とリトリートを開催し、人々の意識の進化と能力開発をガイド。インド無医村への救急車寄贈、学校建設などチャリティ活動も行い、日本からの愛を伝え、日印友好にも大きく貢献している。【参考】※相川圭子(2015)『ヒマラヤ聖者の太陽になる言葉』河出書房新社
2015年12月06日お金ではなく、「愛」や「知恵」、「時間」などでショッピングができる、新しい形のオンラインセレクトショップ「WITHOUT MONEY SALE」が2月27日(金)オープンした。欲しいもの、買いたいものがあれば、お金で購入するのが当たり前の世の中で、グローバリゼーションの名のもとに、地域の産業も、価格競争に巻き込まれている。「本当にいいものやモノの、モノの正しい価値が、実はよく分からなくなっているのではないか」そんな風に考えてみたことはないだろうか?そんな市場に一石を投じたのが、お金以外の価値として「愛」「知恵」「時間」を挙げて、お買い物ができるオンラインショッピングサイト「WITHOUT MONEY SALE」だ。「ほんとうは、多くのモノには、お金では測りきれない、お金を超える価値があるはずだ。」誰もが心の奥底でうっすらと感じているこんな感覚を形にしようということから、この企画はスタートしている。企画を立ち上げたのは、社会をよくする数々のプロジェクトの発起人としても知られている電通の並河進氏だ。気になる商品の販売のやり方は、こんな感じだ。商品を買いたい人から、お金のかわりに、「愛」(たとえば、その商品への愛をこめた原稿用紙数枚)や「知恵」(たとえば、その商品をよりよくするためのアイデア)、「時間」(たとえば、商品をつくった人に弟子入りする)などをもらう形。商品を、お金では売らないことで、その商品に、購入者からお金以上の価値を感じてもらえることを目指しているという。なるほど、確かにモノを買うとき、モノの価値を値札の金額を基準にして考えてしまうところがあるのではないだろうか。でも、作り手側からすれば、心を込めて作っている商品に、値段以上の価値を感じてもらいたいというのが本音かもしれない。「WITHOUT MONEY SALE」のルールはこうだ。出品商品は毎回1つで販売個数も事前に決まっている。商品はお金ではなく、愛や 知恵、時間など、お金以外のものとの交換によってのみ手に入る。出品者は公募される。第一弾となる商品は、国産のオーガニックコスメ「アムリターラ」がプロデュースによる徳重紅梅園「鶯宿梅の幻の梅干し」。鶯宿梅は、平安時代に詠まれた「鶯宿梅」という有名な歌の題材になっていて、1200年の伝統を誇る古来品種の梅だという。その鶯宿梅を、有機の滋養に満ちた大地で無農薬栽培し、同じく無農薬の紫シソ、天日塩だけを原料に、先祖伝来の製法に従い、9年間樽の中でじっくり熟成させたのが、今回の梅干しだ。この梅干しを、購入する方法は「愛で買う」「知恵で買う」「時間で買う」の3種類。「愛で買う」なら、梅干しへの愛原稿用紙3枚。「知恵で買う」なら、梅干しを盛り上げるアイデア3つ(ただし、知恵を感じない場合、購入が不成立となる場合もありとのこと)。「時間で買う」なら、梅干しを深く理解する時間、2時間(宮崎県 徳重紅梅園の生産者徳重文子さんの梅への想いを聴き、梅干しづくりを学ぶ)となる。販売個数は、限定10個。限定数に達し次第、販売終了となる。さて、あなたは「愛」「知恵」「時間」どれで商品を買う? (販売数が限られているため、既に販売終了の場合があります)(text:Miwa Ogata)
2015年03月03日「お金について詳しくなることは、その子どもにたくさんの可能性を授けることです」と言うのは、本田健さん。複数の会社を経営する「お金の専門家」であり、豊かな暮らしを体現されている本田さんに、「子どもに教えたいお金に知恵」についてお話を伺った。■あなたとお金の関係をチェックしてみよう本田さんは「あなたとお金の関係が、子どもの未来を決めるのです」と言う。親がお金と健康的に付き合えていれば、子どもも自然とお金と良好な関係が築ける。反対に、親がお金に関して混乱していると、子どもも混乱を受け継いでしまう。だから子どもがお金と健康的に付き合うための第一歩は、親が「自分とお金との関係」について自覚することなのだ。お金との関係は大きく分類すると、次の8つのイメージがある。あなたのお金に対してのイメージはどれが近いだろう? チェックしてみよう。■お金の8つのイメージ(『子どもに教えたい「お金の知恵」』より抜粋)■お金に対しての価値観を検証しよう「驚かれるかもしれませんが、お金と健康的につきあっている人にとって、お金は“単なる紙と金属”にしか見えません」と、本田さん。「一般的に、人はお金に対して“自由を与えてくれるもの”“安心、安定”など、象徴的な意味を持たそうとします。こうして考えてみると、お金は、その人の価値観が投影されたものであるとも言えます」あなたが家族から影響を受けたお金に対する価値観と、現在あなたが持っているお金に対する価値観を比べてみよう。その価値観は、あなたの人生にどのように反映されているだろうか?「もし、お金に対して不安があるのなら、その感情を手放していくようにしましょう」■案外知らない!「お金の3つの機能」お金に対しての不安を手放していく方法として有効なのは、お金について学ぶこと。「お金には3つ機能があり、それがお金に関しての混乱を引き起こす原因です」では、お金には実際に、どんな機能があるのだろうか?<お金の3つの機能>(『子どもに教えたい「お金の知恵」』より一部抜粋)「自己責任が問われる時代に突入し、お金に使われてしまうのではなく、お金の持つ複数の機能を使い分ける智恵や知識が必要になっています。また、日常生活でのお金の流れについて意識するというのも、とても大切です」と、本田さん。そんな本田さんが記した「この1冊で子どもは将来、お金に困らない!」というメッセージブックが『子どもに教えたい「お金の知恵」 一生お金に困らない子に育つ47のルール』だ。 『子どもに教えたい「お金の知恵」 一生お金に困らない子に育つ47のルール』(PHP研究所)定価:本体560円(税別)【連載:子どもに教えたい「お金の知恵」特集】・ お金の流れを呼び込む鍵とは?(子どもに教えたい「お金の知恵」特集2) ・ 幸せなお金持ちの「お金の教育」(子どもに教えたい「お金の知恵」特集3) ・ 人生の幸せは“お金のIQ”と“お金のEQ”のバランスで決まる!(子どもに教えたい「お金の知恵」特集4)
2014年11月03日