言葉が遅い次男、幼稚園の満3歳児クラスに通うことに3歳になった次男かーは、夏休み明けから幼稚園の満3歳児クラスに通うことになりました。当時、かーは母(私)に対しての執着が激しかったので、入園するにあたり少し心配していました。しかし、人と関わるのが好きな印象がありましたので、すぐに慣れていくかなあと楽観的に考えていました。Upload By かし りりあかーの通う幼稚園はバス通園でした。朝、バスが迎えに来てくれる場所まで送っていくと、目に涙を浮かべています。長男りーにはなかった反応でした。かんしゃくを起こしている時のように泣き叫ぶのではなく、目にいっぱい涙をためて両手でふいていました。感情があふれないように我慢している姿に心が痛みましたが、これも成長なのかなと思い、私も一緒に泣きそうになるのをこらえて、笑顔で見送るようにしました。環境変化のストレス?寂しさ?怒りっぽくなった次男かーは最初こそ涙を見せていたものの、入園から1か月ほど経った頃には、バスが来るとピョンピョン跳ねて喜んで、うれしそうに先生と手をつないでいる姿も見られるようになりました。そのため、徐々に園の生活にも慣れてきたのかな?と思っていたのですが……。それは家で遊んでいる時のことでした。兄と弟に対して、かーが発する声が怒っているように聞こえたのです。Upload By かし りりあ私が見たところでは、2人がかーに特に何かしたというわけではなかったのですが、明らかにイライラしている様子が見られました。その場から私が離れると、かーはすかさず「あーー!」と怒りながら私を探しに来ました。その後お風呂に入る時、夫に対しても怒った言い方が続きました。Upload By かし りりあ当時、三男おーは1歳。歩き始めて、いろいろなものに興味津々で、なかなか目が離せない状況でした。長男りーは療育園に通っていましたが、家に帰ってくる時間は次男かーとほとんど同じでした。かーは甘えられる時間も少なくなり、急に変わった環境に戸惑っていたのかもしれません。次男に「甘え放題の日」をつくってみた!ちょうどその頃、長男りーの誕生日のお祝いで、りーと夫が二人旅に行くことになっていました。そこで私は三男おーを実家に預け、幼稚園をお休みし、かーと二人きりで過ごす時間を設けました。かーは久しぶりの母とのお出かけにとてもうれしそう。抱っこや手をつなぐなど、求めてくることにはすべてこたえました。その際、かーには「大好きだよ」「いつもありがとう」「かーのおかげでママは頑張れるよ」などたくさん話しかけるようにしました。Upload By かし りりあ長男りーにも同じような言葉はかけますが、あまり長く集中が持たないため、すぐにどこかへ行ってしまいます。頻繁にはできません。しかし、かーはそういう話をしている時には私の顔をじっと見て、落ち着いて聞いているように感じました。それからというもの、私は意識的にかーとスキンシップを多くとり、たくさん話をするようにしてみました。その効果があったからか、しばらくするとイライラした様子を見せることも減りました。以来、かーにはできるだけ、プラスの言葉がけをするようにしています。長男と次男、それぞれの特性の違いに寄り添う日々長男りーとは違い、スキンシップや人と関わるのが好きな次男かー。それぞれの性格や特性の違いがありますが、模索しながら対応をしていくのも、今思えば私は苦ではありませんでした。うまくいかないことのほうが多いですが、その分成功した時の反動がとても大きくうれしく感じるからです。Upload By かし りりあかーは幼稚園でも徐々に生活の流れを覚えて、安定して過ごしているようでした。これでひと安心、と思っていたのですが……今度は児童発達支援の先生から、気になる言葉を聞きました。かーの新たな問題が起きたのです。その話はまたの機会に書いていこうと思います。執筆/かしりりあ(監修:新美先生より)次男さんの幼稚園入園時の様子やかかわりについてお聞かせいただきありがとうございます。きょうだいでも、一人ひとり性格も入園時の反応も違って、それぞれに合った対応をお母さんが試行錯誤を楽しみながらされているというエピソードがとっても素敵だなと思って読ませていただきました。幼稚園・保育園入園時は、楽しく通えていても疲れもたまるので、家に帰ってからかんしゃくをおこすようなこともよくありますね。疲れがたまっているような時に、特別デーを設定するのはいいですね。きょうだいがいても1対1でママを独占できて、好きな遊びに付き合ってもらえる時間、甘えられる時間があると、心身ともにリフレッシュします。これはもっと大きくなっても続けていけたらいいかもしれないですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月21日多くの保護者、専門家の協力で開発できたLITALICO発達特性検査Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者のための、オンライン完結の検査サービスです。尺度開発における品質担保に関するコンサルティングを担当した佐藤秀樹先生と、実際に尺度開発を担当した野田遥さん。前編では、今回はLITALICO発達特性検査がどのように作られたのかのプロセスや、品質を担保する方法について伺いました。※尺度:心理測定尺度。質問紙への回答を数値として定量的に扱い、測定したい概念を適切に測るための物差しの役割を果たす。LITALICO発達特性検査を使いやすく信頼できる検査ツールとするため、多くの保護者の声や専門家の協力があったとのこと。後編では、保護者、専門家、開発チーム、それぞれの役割や大事にした考え方について、より詳しく伺います。認知的インタビューでの保護者の役割野田さん:LITALICO発達特性検査では、専門家による検査の質問項目の素案ができた段階から、保護者の方に質問項目についてどう思ったか、違和感がないか、どう理解したかなどを「認知的インタビュー」という方法でヒアリングし、質問項目の改善を繰り返し行ないました。複数の保護者の方に個別とグループそれぞれでインタビューをして、その内容を反映したものを繰り返し見ていただく形で質問項目の内容をブラッシュアップしていきました。認知的インタビューというのは、検査を受ける保護者の立場の方に、どのように理解したか、どのように感じたかということを主観で答えてもらうインタビューです。答えにくい質問がないか、質問の文章の意味が分かりにくいところや誤解しそうなところがないかということを洗い出し、改善するためのものです。前回もお話ししましたが、この検査では多くの保護者の方にご協力いただきこのプロセスを踏んだことが、質問紙※の妥当性の担保につながっています。ーー質問の文章や内容で、検査の妥当性は変わるのでしょうか?佐藤先生:変わります。質問の内容で回答にばらつきが出たり、回答しやすさに違いが出るということがあると思います。例えば、質問が受検者の経験や困りごとにきちんと対応していて、回答もしやすい質問と比べて、「よく分からないな」と思うような質問では回答がばらつきやすくなるので、結果の精度も下がってしまいます。ーーたしかに、何を聞かれているか分からない質問やイメージしにくい抽象的な質問は、どう答えていいか迷うかもしれません。ただ、あまり詳しくピンポイントで聞かれても、当てはまらないと感じることもありそうです。佐藤先生:そうですね。質問が具体的すぎると、受検者によっては自身の経験とは関係がない場合や、判断できずに回答できないということもあり得るので難しいところです。質問の分かりやすさや具体性の程度は、保護者の方への認知的インタビューを通じて担保された部分だと思います。野田さん:家庭やそのお子さまによって状況はさまざまです。例えば、未就学でも、通園されているお子さまもいれば、自宅で養育されているお子さまもいます。お子さまを観察できる時間や場面も保護者の方によって違うと思います。それでも、保護者の方への認知的インタビューを行なうことで、ご意見を伺い、修正することができ、それによって回答しやすくなった質問項目がたくさんあります。「この聞き方だと具体的に限定されて当てはまらない」「抽象的すぎて答えにくい」というような質問内容の改善について、意思決定に非常に役立ちました。使う方の声を直接聞くことが大事なんだなということが、当たり前ではあるのですが、プロセスの中での学びになりました。※質問紙…質問項目の文章と、回答の選択肢で構成された調査票。質問紙形式の検査では、対象となる受検者は、自ら質問文を読んで回答する。野田さん:認知的インタビューについてはすべて文字起こしをして目を通して、実際にいただいた意見を踏まえて質問項目を改善しています。保護者の方にはサービスに関するユーザーインタビューもしています。その中で「保護者の方が本当に困っている」というのをすごく実感しました。発達や子育てに関する本はたくさんある、インターネットでも検索すれば情報はたくさん出てくる。でも、何が正しく、どれが自分の子どもに合う情報か分からないという声がたくさんありました。こうした情報の中にはあまり信憑性のないものが混じっている可能性もあるので、なるべく適切で、専門家の合意が取れているような情報に最初に触れていただけるということが非常に重要だと感じました。できるだけ早い段階でこの検査が届けられるようにしたいと強く思うようになりました。佐藤先生:保護者の方の中でも悩みや感じ方は多様ですので、かなり幅広い意見があったと思います。そういった意見を集約して議論をしながらどう改訂するのかを、専門家や開発チームで合意を取るというのは、かなり難しかったのではないでしょうか。野田さん:いただいた意見は、保護者も専門家もそれぞれの立場によってかなりばらつきがありました。今回の検査対象が3歳から18歳とかなり広くて、未就学用と学齢用、例えば算数に関する質問項目は学年に応じてバラエティをつけるということもしているので、より難しかったです。意見もさまざまで、どうしてもすべての意見や懸念を100%反映して解消するのは難しいこともあるな、と。ある方はこうしてほしい、別の方はその反対の意見を出されていて、その場合にどう合意をとって意思決定するか、項目選定や表現の修正がたくさん出てきました。最終的なプロセスで合意をとれたのでよかったです。専門家の協力と開発チームの思い野田さん:専門家も多くの方にご協力いただきました。質問項目については、保護者の方にお見せする前のプロセスで、お子さまの発達に関する専門家のチームがデルファイ法という方法で改善を行なっています。デルファイ法は、複数の専門家にそれぞれチェックと意見をいただき、その内容を専門家チームで合議し、すり合わせて修正、再度チェックと修正を繰り返すことで、質問項目を磨いていく方法です。今回はデルファイ法だけでも医師、公認心理師・臨床心理士、作業療法士などさまざまな専門家の方にご協力いただきました。佐藤先生:専門家の方も、保護者の方も、同じ方に繰り返しインタビューができたのは、検査の品質を担保するうえでとても大きな強みだと思います。バージョン1、2、3とアップデートしていくのですが、そのアップデートした内容をもとに再度意見をもらうという手続きを取ったことがすごいですね。一般的な予備的調査だと、どうしても1回だけ意見を聞いて、それを質問紙に反映するのが多い印象があります。今回は繰り返し質問紙の改定案を見ていただき、意見をふまえて修正して、というのを繰り返すことができたということですね。野田さん:アップデート版を見ていただいて合意をとったり、さらに気になったことを意見していただく、というプロセスを数回繰り返します。それを複数のプロセスで行なう、ということをしました。このような方法はあまり多くの開発で取られておらず、方法論もまだ確立されていない部分でもあり、COSMINチェックリストを参考にし、佐藤先生にアドバイスをいただきながら実施しています。佐藤先生:専門家同士でも意見が違うこともよくあります。専門家の専門分野やこれまでの経験が異なれば、それだけ多様な意見が出てきますので、合意を取る難易度は高くなります。専門家だからこその意見があって、ここは譲れないという部分もあったりするので、合意を得るのはとても大変だったんだろうなと想像しますね。野田さん:今回の検査では、いわゆるDSM-5の神経発達症群に含まれる部分のほとんどをカバーしています。そのために質問項目数も多くなっています。それぞれの浅さ・深さもなるべくおさえて取れるようにバランスをとっていくと、専門性のある方にとってはもっと細かく聞きたい部分や、逆に質問数が多すぎるという意見が出てくることがありました。デルファイ法のプロセスでも、専門家への認知的インタビューでも、意見が割れることもあり、本当に難しかったですね。佐藤先生:全員が同じ意見で合意できないからと言って、それだけで検査の質が低いということにはならない場合もあると思います。意見が割れた部分を議論して、それが例えば出力レポートのアドバイスなど、このプロダクトに反映されているなと感じます。専門家にとっても、こうした議論をすることはスキルアップにつながります。どういったところに問題意識をもつべきかが明確になったり、どう優先順位をつけるか、支援をする時の視点としても役に立ちますよね。プロダクトの開発が支援にも還元されればとてもうれしいです。レポートで目指したのは「前に進めるための情報」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:今回のプロダクトは質問項目やアンケート形式という点も強みですが、結果の出力、レポートが出てくるというのがいいですよね。そこは具体的にどういった内容・情報をお伝えしようと心がけられたのですか?野田さん:まず大事にしたのは、「検査をしたら終わり」ではなくて、「次に何をしたらいいかが分かる」ことです。「サポートの方向性」という機能で担保しているのですが、お子さまの状況や特性に合わせて、具体的な対応方法の候補がリストの形で示されます。それも、家庭と、園・学校といった外部でのやり方がそれぞれ出力される仕組みになっています。もう一つ、「なぜそれがいいのか」「どういう理由でお子さまが困っているのか」をしっかりお伝えするということです。支援方法などの意思決定をする際にも、お子さまに合うようにカスタマイズするためにも、それを把握していることがとても重要になるからです。「困りや特性の背景の要因」というパートがあるのですが、その部分を丁寧に説明しているというのが、この検査のレポートならではの強みになっていると思います。ーーLITALICO発達特性検査の編集部でも、保護者の方が一人でどうしていいか分からずに抱え込まれて袋小路に入って立ちどまらないように、ということを大事にしています。編集部内や監修者の方々と話し合いながら、レポートの内容にもこだわって制作しました。例えば、保護者の方が読んで理解しやすく、取り組んでみたいと思えるような具体的な方法を紹介するなどです。できるだけ負担なく受け止められるような内容や伝え方を心がけています。お子さまにとってもうまくいきやすい方法で、親子の成功体験が積めるようにしたいという思いもありました。野田さん:不安やネガティブな気持ちを感じる方もいらっしゃると思うのですが、検査はレッテルを貼るものではなくて、「そうだったんだ」と気づいたり、「ちょっと試してみようか」「相談してみようかな」と思っていただけることが一番大事だと思っています。目指しているのは「前に進んでいただくためのプロダクト」です。佐藤先生:それは素晴らしいですね。回答される保護者の方は、お子さまの状態を知りたいという気持ちがある一方で、知ってしまうことへの不安もあると思います。そうした気持ちに寄り添って、不安な部分をできるだけ小さくしたり、サポートできるような工夫がされています。その先の支援や見通しにつなげられるようにするのはとても大事ですね。野田さん:テキスト監修も、それぞれの分野で7人の専門家の方に入っていただいて、企画構想の段階から丁寧に見ていただきました。受検されたユーザーさんがお子さまの検査結果として目にされるのはPDFにして40ページから100ページほどの分量なのですが、実は未就学から高校生、それぞれの年齢群ごと、それから知的障害(知的発達症)のあるお子さまの場合には適切なサポート方法が提示されるなど、テキストはお子さまに合うように出し分けられる仕組みになっています。ですので、システム側で準備したテキストは170万字を超える量になりました。お子さまの成長や状況に合うよう、できる限りの個別最適な情報にしたいという思いでこの形式を取りました。佐藤先生:検査結果を出力できるのは、利便性の面でも大事ですよね。年齢群ごとにアドバイスや提示する視点が変わるというのも素晴らしいです。こうしたシステムを構築するのもかなりの苦労があったように思います。ーー特性は同じでも、年齢によってライフステージや求められるスキルが変わり、新たな困りごとが出てくることもあるという考え方からの配慮で、重要な観点だったと思っています。佐藤先生:それも踏まえて、発達に関する検査では質問紙の内容的妥当性が非常に重要ですよね。発達過程、年齢によって悩みが出てくるということもありますし、それに加えてお子さまごとの特性に関することも入ってくるので、内容的妥当性の合意を取るのは本当に大変です。一方で、受検される保護者の方にとっては、そこが一番大事な点ですので、今回の開発プロセスで合意を取ったことには本当に頭が下がります。野田さん:いただいた意見はなるべく反映しました。どうしても質問紙という形の限界もあって、個人個人の状況によっては回答が難しいという場合もあるかもしれないですが、なるべくスムーズに答えていただけるといいなと思っています。データの蓄積が今後の可能性を広げるUpload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:少し話は変わりますが、今回デジタルのオンラインでの検査という形式だと、データが積みあがることもメリットの一つだと考えています。研究などでのデータの活用や、この検査自体を改善する、あるいは同じプロダクト形態の別の領域に展開するということも今後の展開として考えられるのではないかということです。例えば、蓄積されたデータを研究することで、検査自体の品質をさらに改善したり、経時的な変化のパターンを見出したりできます。それにより、適切な情報提供やフォローアップがしやすくなる可能性があります。佐藤先生:さまざまな可能性があると思います。たくさんの方に回答いただいて知見が蓄積されれば、質問紙自体の精度を上げることができます。検査結果としてフィードバックする時の内容、得点をもとにどれくらい困りを感じているか、支援を必要としているかといった判断がより正確になってくると思います。それと合わせて、今回の検査項目の中で、精度がいいものとそこまでではないものが分かってくることもあると思います。より精度がいいものだけに絞って短縮版の検査をつくることもできますね。質問項目の数が少ないと、受検者の負担が減りますし、より多くの方に受検していただきやすくなるというメリットがあります。また、検査結果をもとにどのような支援が必要かという部分が明確になってくると思います。「こういう検査結果のパターンが出た方には、こういう支援だとうまくいきやすい」だとか、お子さまの状態像が具体的に理解できるようになることで、より適切な支援をピンポイントで提供し、その後の見通しがクリアになってくると思います。短縮版の話とも関連しますが、そういった適切な支援につながりやすくなるよう、より詳しく調べたい部分の質問項目を細分化したり、対象や領域を絞っていくということを考える材料にもなるはずです。野田さん:たしかにそうですね。ぎゅっとフィルタリングできるような項目を先に回答していただいて、そのうえで、困りの強いものをより厚めに回答していただくなど、簡便にしつつ必要な場所で情報を厚めにとるような仕組みにできるかもしれません。どうしても質問項目が多いと、ご家庭で保護者の方が回答するのは大変だと思うので、そういった形で改善していけるとすごくいいなと思いました。佐藤先生:基本的には項目数が多いと、検査としての妥当性や信頼性の質は上がります。その一方で、項目を減らすと精度が下がってしまうリスクが出てきます。回答データを蓄積させることで、本当に精度のいい項目だけを使うなどして、検査の質自体は下げずに、回答者の負担を減らせるといいですよね。野田さん:今回のプロダクトはWebアプリで提供されていることが強みだと思っています。従来の質問紙と違って、アプリの変更という形で柔軟に改善していきやすいという点です。もちろん研究が伴っての話にはなりますが、先ほどおっしゃっていただいた短縮版や切り出して詳しく調べるといった改善が可能になります。そういった柔軟性はユーザーにとってもメリットが大きいと感じました。佐藤先生:まずはLITALICO発達特性検査を広くたくさんの方に使っていただいて、その中でいろいろな声を汲み取れると次につながっていくのかな、と思いますね。開発でも検査受検でも、保護者が一番の立役者ーー今日お話しを伺っていて、保護者・専門家・開発チームそれぞれの立場から意見を出し合ってLITALICO発達特性検査ができていったことが分かりました。違う意見であったり、同意できないという部分でも、出しあって話し合うこと自体でブラッシュアップできるんだなと感じました。佐藤先生:そうですね。何より、インタビューに協力してくださった保護者の方々が何よりこの検査の開発の功労者だと思います。ご協力いただいた方には、私からも感謝の気持ちでいっぱいです。野田さん:延べ人数ですが、質問紙の開発で2,000人を超える方、プロダクトを磨くためのユーザーインタビューでも50人以上は参加していただいていると思います。たくさんの方のお話しを聞けたことで、開発チームとしても認識が深まりましたし、いいものを作らなきゃというやりがいも感じましたね。ーー保護者の方も開発者ですね。佐藤先生:今回、品質担保のために用いたCOSMINでは、そういった方の意見がないと質の担保ができないプロセスになっているんです。プロダクトの開発にご協力いただけたこと、また研究としてLITALICOの開発チームが開発まで着実に進めてこられたことが素晴らしいと思いますね。みんなが同じ方向を向くために、保護者の検査への回答が第一歩になるUpload By LITALICO発達特性検査 編集部ーー今回の検査は保護者の方がお子さまの状態や困りごとについて、主観的に回答していく検査です。そもそも今回COSMINを用いた質の担保や保護者の方への認知的インタビューもそういった側面から行なっていると思います。主観として保護者の方がどう捉えているかということを可視化する検査にもなっていると思いますが、その点はいかがでしょうか?佐藤先生:検査のフォーマットだけに着目すると、どうしても主観と客観という対立軸になりがちなのですが、主観だからといって精度が低いかというと、私はまったく違うと思います。むしろ、質問紙というのは、回答者、つまり今回の検査で言うと保護者の方のフィルターを通した困りごとを反映するツールだと思うんです。客観的な検査では把握するのが難しい、「その方が見た世界」をもとに結果が反映されるからこそ、回答者やお子さまの状態像がより明確になってくる部分があるはずです。この検査はたくさんの保護者の方や専門家の方の声を反映させて作られたものですので、安心してご利用いただけると思いますね。野田さん:おっしゃる通りです。検査をしても絶対的なただ一つの正解が出てくるわけではないので、保護者の方自身も、実際の回答結果と自分の認識を振り返って確認したり、周りの支援者や関係者の方の見立てと検査結果を合わせてみたりすると、お子さまの多面的な理解につながると思っています。その意味でも、保護者の方の主観的な回答がしっかり反映されるというのは一つの強みだと、佐藤先生のお話で理解できました。ーーおそらく保護者の方は一番近くでお子さまのことを見ていらっしゃると思います。その見立ては周りの方も大事にしていただけるといいのかなと、と思いました。佐藤先生:本当にそうですよね。この結果がいろいろと考えるきっかけになったり、話し合うステップにしていただけたりするといいですよね。お子さまの支援を考えるうえで、私は「子どもに関わる多くの人が同じ方向を向いている」ことがすごく大事だと思っています。当事者の方、保護者の方、支援する側、周囲の方々が同じ問題意識を持って、同じ方向に向かい支えあって工夫の仕方を考える。その同じ方向を向くためのツールとして、LITALICO発達特性検査はとても優れたツールだと思います。開発過程の中でいろいろな方が関わって、できる限り皆さまの声を採り入れながらできたものですので、今後に活かしていけるといいですね。受検された皆さまも、検査を受けてみての感想を教えて頂けるとうれしいです。ぜひ、開発者の一人に加わっていただく感覚で、一緒に育てていただけるといいなと思います。取材・編集:発達特性検査編集部撮影:タムラケンジ
2025年03月07日LITALICO発達特性検査はどうやって作った?LITALICO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者のための、オンライン完結の検査サービスです。保護者の方がスマートフォンやパソコンから、お子さまに関する150問程度の質問に回答することで、発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などを知ることができます。受検される保護者の方にとって、「LITALICO発達特性検査は信頼できる検査なのか」は大きな関心事の一つだと思います。そもそも検査がどのように作られているのか、信頼性をどう判断したらいいか、よく分からないという方も多いと思います。そこで今回は、LITALICO発達特性検査の開発プロセスや、品質をどうやって高めていったのかなどについてお話を伺います。※LITALICO発達特性検査は 医学的診断を行なうものではなく、お子さまの発達特性やその背景、適切なサポートの方向性などの情報を提供するためのものです佐藤先生:公認心理師、臨床心理士の立場から関わらせていただいた佐藤秀樹です。今回のプロジェクトでは、検査での質問項目や、質問の仕方、選択肢が適切かどうかなど、検査の妥当性や信頼性の質を担保する観点からアドバイスをしています。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:作業療法士としてのお子さまの支援経験を活かし、LITALICOで研究開発をしています。LITALICO発達特性検査では、プロダクトマネジメントや尺度の研究開発、コンテンツのディレクションなどに関わりました。今回は、実際にどのような手順を踏んで開発していったか、開発するうえで大事にしたことなども、佐藤先生と一緒に分かりやすくお話しできればと思います。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:LITALICO発達特性検査は「質問紙法の尺度を用いた検査サービス」です。そもそも、尺度や質問紙といった用語も馴染みがないかもしれませんが、質問紙法は、分かりやすく言うと質問項目の文章と、回答の選択肢で構成されたアンケート形式のことで、対象となる方、つまり受検者は、自ら質問文を読んでそれに回答します。その回答を判断するための基準も含めて「尺度」と呼んでいます。今回、質問紙の開発を進める中で、2つの点で品質の担保がより重要であると感じるようになりました。検査を製品として販売する以上、誤解を与えるような品質なものであってはならないということ。そして、このLITALICO発達特性検査がオンラインのソフトウェアという形であり、人の解釈を介さない検査であるため、尺度自体の品質がより重要になってくるという点です。そこで、実際にどのように尺度を開発し、品質を担保するかというところで、佐藤先生にご相談し、コンサルテーションをお願いしたという経緯です。尺度や質問項目をつくるのは一見簡単そうに見えますが、高い専門性がある方のアドバイスがないと、どうしても内容が偏ってしまったり、間違った方向に進んでしまうという危険性があると感じています。LITALICO発達特性検査は、COSMINという国際的な基準に基づいて開発しています。それは、COSMINに関して日本語版の翻訳に携わるなど、心理尺度の品質保証についての知見がある佐藤先生のお力を借りることができたからです。佐藤先生:LITALICOについては以前から、「発達障害のある方の支援や就労支援を、幅広い年代に画一的なサービスを提供するのではなく、ニーズに応じて関わっている企業」として知っていました。しかも「質問紙の妥当性を評価し、検査の質をどう高めて担保するか」という、私としても関心が高い分野だったので、関われてとても光栄でした。サービス自体は簡便に。内容や結果は妥当で信頼できるものを野田さん:検査をどうやって作っていったのか、一般の方には開発フローがイメージしにくいかなと思います。佐藤先生:一般的な尺度開発として広く行われている方法は、研究者のチームが中心となって、質問項目をたくさん準備するところから始まります。まず、検査でどんなことを知りたいのか(つまり測りたいのか)を検討したうえで質問項目を多めに集めて、質問紙の案を作ります。次にチーム内での話し合いや予備調査を行ないます。その結果をふまえて問題のある項目を見つけて修正するといった工程を経て、項目数を絞った素案を作ります。その後に、検査対象の方に実際に回答していただき、その数量的な結果をもとに、妥当性と信頼性を検討し、優れた項目だけをピックアップして質問紙を完成させるというプロセスです。野田さん:今回の開発で特徴的なのが、こうした一般的なプロセスよりも踏み込んで丁寧に行なった「内容的妥当性」の担保だったと思います。佐藤先生:内容的妥当性は、「質問紙の内容が妥当かどうか」ということです。「質問の仕方が適切であるか」「検査で測定したい状態がきちんと測定できているか」といった観点が必要になるため、専門家でも判断するのはとても難しい部分です。また、内容的妥当性は専門家だけでなくユーザーの方の立場からも判断しなければいけないので、これまでの質問紙開発では内容的妥当性が十分に担保できていないものもあったと思います。LITALICO発達特性検査の開発では、たくさんの保護者の方や専門家の方にご協力いただき、質問項目、質問の仕方、回答の選択肢が的を射ているのかなどについて繰り返し評価をして、尺度を開発できたというのが大きな強みだと思います。野田さん:LITALICO発達特性検査は、保護者の方がオンラインで回答する検査サービスということもあって、サービス自体は簡便に受けられるけれども、その内容や結果については妥当で信頼できるものであるべき、という点から、品質の担保に関してはできる限りのプロセスを踏んでいます。COSMINを基準に尺度開発を行ったこと、特に専門家だけではなく検査対象となる保護者の方への認知的インタビュー(※)を繰り返し行なうことで内容的妥当性を担保することができたことは、今回の開発の大きな特徴だと思います。LITALICOの尺度開発チームによる質問項目の素案を作成後、妥当な質問項目になっているか、その質問項目で検査で調べたい内容がきちんと測れるか、質問の文章が適切かなどについて、専門家と保護者の視点でそれぞれ改善を繰り返しています。専門家はデルファイ法(※)、保護者の方には認知的インタビュー※という手法で実施しています。時間も手間もかかる方法で、なかなか採り入れるのが難しいのですが、検査の品質を保つための重要なステップだと考えました。そのため、内容的妥当性を担保するために、保護者と専門家それぞれの認知的インタビューを1年以上かけて行なっています。※認知的インタビュー:「質問がきちんと理解できて意図された通りに解釈されているかどうか」を評価するために、参加者に尺度の内容について自身の考えや解釈を聞くインタビュー方法※デルファイ法:複数の専門家が質問項目をチェックし、意見に基づいて修正するプロセスを繰り返すことで、質問項目を精査していく方法Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:内容的妥当性や信頼性が重要であるということ、このようなプロセスを踏むことが望ましいということは専門家も理解していて、これらを完全に無視した尺度開発というのはないと思います。ただ、認知的インタビューやデルファイ法は繰り返し実施する必要があるため、コストも時間もかかります。そのため、開発者としてはやりたいけれども、実際にはなかなか難しいというのが本音だと思います。調査にご協力いただける専門家や対象者を募集し、場所を確保するだけでも大変なことです。LITALICO発達特性検査の開発では、何より、ユーザーの方から直接話を聞き、一緒にプロダクトを作っています。同意が得られるまできちんと説明し、調査を繰り返し行なったということに頭が下がります。ーー佐藤先生がご存じの中でも、しっかりプロセスを踏んだ開発だったということでしょうか?佐藤先生:私の知っている中ではベストですね!野田さん:たくさんの保護者、専門家のみなさまにご協力いただいてなんとか実現できたところです。佐藤先生:一般的な予備的調査だと、1回だけ意見を聞いて、それを質問紙に反映するということも多いと思いますが、今回の開発では、同じ方にも質問紙の改定案をその都度見ていただいて、意見をもとに修正する、というのを繰り返し行ったというのが大きな(品質担保上の)強みだと思います。野田さん:インタビューして「ここは〇〇だった」という前回の意見をもとに改善して、そのアップデートしたものを見ていただいて合意を取って、そのうえで気になった点について意見をいただき、さらに直すというプロセスを数回繰り返しています。このような形で品質を重視する開発は、前例として多くなかったということもあって、方法論もあまり確立されていない部分もありました。その点は、佐藤先生に具体的なアドバイスをいただきながら進めていったところです。その中で、COSMINの基準についても、佐藤先生に教えていただいて採り入れることができました。佐藤先生:これまで、こういった尺度開発の手続きは、研究者独自のやり方で進めていることが多かったと思うんですよね。妥当性や信頼性の質に関しても、専門家がそれぞれ自分の判断で質を高めようとしていた部分が多いのですが、COSMINはそれらの手続きや質の評価を可視化するためにチェックリストを作成しています。COSMINチェックリストは検査の項目、尺度の質を評価する際の国際的な基準です。基準はさまざまな専門家や当事者の声も採り入れて設定され、妥当性や信頼性などの特性ごとにたくさんの項目があります。今回の検査は、COSMINの基準を満たすように開発されているので、国際的な基準に沿った開発になっていると言えます。その点で、内容的妥当性の質の担保がよくできているのがこの検査の強みだと思いますね。ーーこうした質の担保ができないと、どうなってしまうのでしょうか?佐藤先生:回答はしたけれども理解しにくい質問だったり、自身の経験や考えとは的外れな質問などが含まれている可能性があるので、回答者にとって負担になってしまうリスクがあります。また、受検するたびにばらついた結果が出てしまい、検査結果が安定しない恐れもあります。こうした問題は、検査の妥当性や信頼性を損ねる要因となります。野田さん:そういったことがないように、COSMINの基準をクリアできているか、というのをチェックしていくということです。どのようなプロセスを経たらいいか、どの程度のユーザー数でテストすればいいか、といったさまざまな論点について、基準をもとに開発で満たすように進めていったということですね。もし、クリアできていない場合、佐藤先生にアドバイスいただいてプロセス自体を改善し、なるべく高い基準を満たすように開発できたというのは大きかったです。佐藤先生:お子さまの状態像は一人ひとり異なりますし、支援者の専門分野が多様になると、その分さまざまな意見が出てきます。そのため、実際には認知的インタビューでの意見を完全に集約させて尺度に反映するのは難しいこともあります。こうした研究上の限界点はどうしても出てきますので、COSMINの基準を完全には満たせない項目が含まれてしまうことも少なくありません。その中でも、今回のプロダクトは厳しい基準をできるだけいい評価でクリアできるように開発されていると思います。野田さん:内容的妥当性の担保方法に関する知見があまり広まっていなかったこともあり、COSMINを基準に作成しようと決めるまでは、今回のようなインタビュー研究をこの規模で行なうことは計画されていませんでした。佐藤先生のCOSMINに基づいたコンサルテーションがなければ、このレベルで内容的妥当性を担保することは難しかったと思います。心理尺度や質問紙という形式の検査自体の強みと限界Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:広くたくさんの方に簡便に回答していただきやすいのが質問紙法という検査形式の強みだと思います。例えば、発達検査の中には対面式の検査もありますが、お子さまや保護者の方と支援者が対面で検査をして所見をまとめるとなると時間もかかりますし、検査を実施できる専門機関や専門家の数も必要になってきます。特に地方にお住まいの方にとってはシビアな問題です。質問紙の場合、受検者に配布した質問紙の説明文を読んで回答していただくので、より気軽に受検できますよね。ただし、回答者の主観的な判断に基づいての回答になることについては、少し注意が必要です。回答だけをもとに、原因を確定したり診断したりすることはできません。それが限界点になりますね。野田さん:おっしゃる通りで、ユーザーとしては「検査」というと「診断」が出るということを期待される方も多いと思うのですが、LITALICO発達特性検査は医学的診断を行なうものではありません。しかし、診断がなくとも特性や困りとそれらの背景という観点で測定して、すぐにデジタルである程度個別化された情報を届けられるということが、このプロダクトの特徴だと佐藤先生のお話を伺って改めて感じました。検査結果レポートでは、診断の有無にかかわらず理解や支援の助けになる情報を、監修者の先生方と厳選しています。実際に自分のお子さまについて、なぜお子さまが困っているのか分からない、どうサポートしたらいいか分からないという場合に、お子さまの状況を把握するため受検していただくといいのかな、と思っています。そして状況に変化があるかを追っていくための確認としても使っていただけるようになるといいな、と。佐藤先生:そうですね。アンケート形式はとても回答しやすいと思いますし、いつでもどこでも回答できるというのはメリットです。この検査を糸口にして、より専門的な支援サービスを受けることを検討するなど、最初の一歩になりやすいツールだというのが強みだと思いますね。野田さん:逆に言うと、お子さまを支援したり、環境を作ったりするときに、検査だけで完結することはもちろん無理で、専門家を始め、周囲の関わる人たちが一緒に協業していかないと難しい部分は確実にありますね。また、ほかの検査の代わりに受検するというよりは、この検査のメリットを活かすことで、早期かつ簡便に、ある程度適切な情報や個別化された情報を得ていただいて、適切な支援や相談できる場所とつながる、より詳しい情報を調べるという形で使っていただけるといいなと思います。今回、認知的インタビューで保護者の方の意見を聞く中で、困りが一元的ではなくて、本当に多面的なんだなということが印象的でした。それは「質問紙で必要十分なのだろうか」「この形で本当にいいのだろうか」と制作の過程で問いなおすきっかけになりました。その意味でもインタビュー研究という形で尺度の質を確認していく、実際にユーザーの方にお話を聞くことが重要なんだなということを痛感しました。これが質問紙開発以外のプロダクト作りにおいても、ユーザーインタビューを積極的に行なうことにもつながったと思います。やはり、多様な困りに対して一つの形で答えていくしかないというのが質問紙という形式の限界でもあります。強みと限界があるうえで、既存の検査や人を介した直接的な支援と相反するものではなく、両立して使っていただけるものになったかな、というのが個人的に感じているところです。配慮や工夫を重ね、品質を高めた検査。多くの方に使ってほしいーー佐藤先生は、具体的にどのような方に使っていただきたいとお考えでしょうか?佐藤先生:お子さまの状態を知りたいという保護者の方はもちろんですが、私としては、この検査の結果をコミュニケーションのツールに使ってほしいという想いがあります。今回のプロダクトは、家庭の中でお話しする材料になりますし、あるいは学校だったり、支援機関の方と話し合う際の材料になるものだと思います。検査結果レポートの内容も大変充実しているので、そこがこの検査のすごくいいところですね。自分だけで抱え込まないで、いろいろな方とシェアをしてよりよい方向を検討するための第一段階のステップとして、すごく優れたツールだと思います。不安な気持ちと知りたい気持ち、いろいろな悩みを持たれて受検される方が多いと思うのですが、得るものもたくさんある検査だと思います。多くの方に安心してご利用いただけると、私としてもすごくうれしいですね。取材・編集:発達特性検査編集部撮影:タムラケンジ(記事の後編では、開発の過程で保護者や研究者の方の意見がどのように反映され、LITALICO発達特性検査がブラッシュアップされたのか、より詳しく伺いました。合わせてお読みください)
2025年03月06日子どもの発達の遅れはいつ頃分かる?乳幼児期の発達などのアンケート結果、保護者のリアルな声は?子どもの発達の遅れとは、月齢・年齢相当の成長が見られない状態のことを指します。原因はさまざまですが、遺伝的な要因や環境的な要因などが考えられます。発達の遅れに気づく時期はお子さん一人ひとりで個人差があります。乳幼児健診、1歳半健診や3歳児健診などでは身体や心の発達を確認し、異常なし、要フォローなどと判断されます。ここで発達の遅れや専門機関などを紹介されることも多いです。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン参考:乳幼児健診について|子ども家庭庁Upload By 発達障害のキホン乳幼児期、発達に関して気になることがかなりあった (47%)乳幼児期、発達に関して気になることが少しあった (43%)乳幼児期、発達に関して気になることはなかった (10%)乳幼児期、育児に奮闘する中「わが子だけ発達が遅い気がする?」「こんなにも育てづらいのはわが家だけ?」とほかのお子さんとの違いを感じた、健診で経過観察になったなど、「もしかして発達が遅れているのかもしれない」と思ったことがある方も多くいらっしゃると思います。発達ナビでは『発達が遅れてる?健診で遅れを指摘され…「乳幼児期の発達」』についてのアンケートも行いました。「乳幼児期、発達に関して気になることがかなりあった」が47%、「乳幼児期、発達に関して気になることが少しあった」が43%と多くの方が大なり小なり発達に関して気になることがあるという結果になりました。※本アンケートは発達ナビ内の「みんなのアンケート」を母体としています。このため、一般集団のアンケート結果とは異なります。・乳幼児期、発達に関して気になることがかなりあった生まれてすぐから寝ない子だった。背中にセンサーがついていて降ろすと泣く。立ってだっこし、揺れていないとぐずる。毎日夜中の2時頃まで立って揺れていた。授乳中も目が合いにくく、母子手帳の「目が合いますか?」の質問にこんなもんなのかなぁ?と思っていた。・乳幼児期、発達に関して気になることが少しあった歩きはじめが早かった息子。好奇心旺盛で子供らしいイタズラもひと通り経験。一歳半健診で言葉が遅いと指摘を受けたけど、2歳までには話も出来るようになり意思疎通も取れていた。今思えば、呼んだ時の反応は鈍かった。 By 発達障害のキホン子どもと一緒の外出先で困ったことがかなりある (65%)子どもと一緒の外出先で困ったことがたまにある (26%)子どもと一緒の外出先で困ったことはあまりない (9%) By 発達障害のキホン行事でトラブルが起きたことがある (68%)行事でトラブルが起きたことがない (32%)発達特性があり、運動会やお遊戯会、遠足や各種式典など「普段と違う環境」が苦手なお子さんも多いのではないでしょうか。また、お子さんとのおでかけなどは予期せぬハプニングの連続ですよね。発達ナビでの『運動会、お遊戯会、遠足、入園(入学)式や卒園(卒業)式など行事でのトラブル』『パニック!固まって動かない!白黒思考で困った!「外出トラブル」』のアンケート結果は……。行事トラブルアンケートの結果は「行事でトラブルが起きたことがある 」が68%、「行事でトラブルが起きたことがない」が32%と半数以上の方が行事でなんらかのトラブルが起きていると回答しています。外出トラブルアンケートは「子どもと一緒の外出先で困ったことがかなりある 」が65%、「子どもと一緒の外出先で困ったことがたまにある 」が26%と9割以上の方が外出時にトラブルがあったと回答される結果になりました。※本アンケートは発達ナビ内の「みんなのアンケート」を母体としています。このため、一般集団のアンケート結果とは異なります。・行事でトラブルが起きたことがある入園式、運動会など行事のときは行き渋りから始まります。なんとか宥めて登園しても、中に入るのに30分以上かかります。行動が制限されることから、叫んだり、寝そべったり、補助の先生にしがみ付いていたりといつもと違う雰囲気に恐怖を感じているようでした。・子どもと一緒の外出先で困ったことがかなりある自閉スペクトラム症の息子が4歳の時、通っていた幼稚園の避難訓練で火災報知器の説明があったらしく、(「火事の時は先生がこのボタンを押して火事を知らせます」という内容だったそうです)それ以来、出先で火災報知器を見かけるとボタンを押したがるようになりました。半年近く、火災報知器の前でボタンを押したい息子と押させないように報知器の前に立ちはだかる私(母)の攻防が続きました…「息子だけ歩かない…赤ちゃんのまま?」と感じた1歳半健診。療育を紹介され…途方にくれた乳児期を振り返って今感じること【ユーザー体験談】Upload By 発達障害のキホン軽度知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)の診断があり、特別支援学級に通っている現在小2の息子さん。そんな息子さんの障害が分かったのは年中の頃でした。出産後の子育ては首が座らない、寝返りしない、お座りしない……健診は気になることだらけ!同じように悩んでいる方にもこちらのコラムはたくさん読んでいただけたようです。専門家が解説!発達の遅れ対策や支援の方法などもQ:3歳グレーゾーンの子どもですが、言葉の遅れがあり、うまく意思疎通ができずに癇癪に繋がり困っています。家庭でできることはありますか?A:言葉の遅れにもいろいろな段階がありますのでこれだけで正確なアドバイスはできませんが、例えばまだ発声そのものが少ない場合、発音の多少の間違いは問わず発語されたことに対して褒める、認めるなど言葉で言えたこと自体に対して認めたり、注目や要求を叶えたり肯定的な対応をしていくことが大切です。また、やりたくない場合に癇癪ではなくて「やめとく」「おやすみ」など、分からない場合に「おしえて」「それなに」などその子の発語能力や文脈に応じて癇癪ではなく適切な言葉によるコミュニケーションができるようにモデリングやスモールステップを使って教えていきましょう。Upload By 発達障害のキホンQ:3歳児健診で積み木がうまくつまめず、「運動発達遅滞の可能性がある」と言われました。運動発達遅滞とは何でしょうか?周りの子に追いつくことはあるのでしょうか。A:運動発達遅滞とは、今の診断名では発達性協調運動症にあたるかもしれません。例えば、物をつかんだり、はさみや刃物などの道具を使うことが不正確である、書字に困難が生じるといったものが、日常生活に困難さを与えている状態です。運動のどこが苦手なのかということで実際の診断名や対処法が違ってくることがあります。個人差がありますので「追いつくか」ということに対して答えることはできませんが、個人の運動発達レベルに合わせて取り組みやすい課題や遊びを設定していくことで少しずつできることも増えていくと思います。Upload By 発達障害のキホンQ:発達遅滞と発達障害の違いってありますか?発達が遅いと発達障害ということなのでしょうか?A:発達遅滞とは発達が遅れているという概念です。・言語発達遅滞・運動発達遅滞・精神発達遅滞・全般発達遅滞などがあります。発達障害は広い意味で使われる場合と狭い意味で使われる場合がありますが、狭い場合ですとASD(自閉スペクトラム症)や ADHD(注意欠如多動症)などの診断基準を満たすことを指すことが多いです。広い意味では発達障害者支援法で指定されているような行政概念を指す用語となります。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月22日育児書や母子手帳に書かれた「子どもの成長の目安」にプレッシャーを感じることはありませんか?我が子の成長が目安に沿わず、「もしかして発達障がいかも…」と不安に駆られ検索魔になったという話をよく耳にします。かくいう筆者も、そういった経験をしたひとり。 筆者がもしあの頃、西村佑美さんの著書「発達特性に悩んだらはじめに読む本」に出会えていたら、もっと早く前を向き「目の前にいる我が子のためにできることをしよう」と切り替えられたと思います。・「もしかして…」不安のど真ん中にいるママへ今回ご紹介する書籍「発達特性に悩んだらはじめに読む本」は、「うちの子ってもしかして発達障がい?」と不安のど真ん中にいたり、「登園しぶり」「かんしゃく」そして「言葉の遅れ」などに悩むママやパパに読んでほしい1冊。著者は発達専門の小児科医で現在「ママ友ドクター」として活躍中、3人の子どものママである西村佑美さんです。本書では、これまで1万組を超える親子を診た臨床経験から、1歳から入学準備をするまでの年齢の子どもを対象にした医学・心理学そして発達特性に基づいた「子育て法」を提案しています。今回はそんな本書の魅力と、誰もがすぐトライできる「子どもが伸びるための土台作り」についてご紹介していきます。■西村佑美さんプロフィール発達専門小児科医/一般社団法人「日本小児発達子育て支援協会」代表理事宮城県出身、3児の母。最重度自閉症のきょうだい児として育ったことから医師を志す。長男に発達特性があることが分かったことをきっかけに、大学病院の発達専門外来を担当していたころから、発達に特性のある親たちを「ママ友のように支えたい」と「ママ友ドクター」の活動を開始。SNSでの情報発信や「子ども発達相談アカデミー VARY(バリィ)」主宰。Instagram: @mamatomo_doctor HP: 西村佑美公式サイト ■寄り添う医師から「ママ友ドクター」へ西村さんが医師を目指した理由には、姉が最重度自閉症だったことが大きく関係しています。大好きな姉を取り巻く環境に憤りや怒りを感じることが何度となくあり、特に思春期の西村さんの心を揺さぶったのは、姉の投薬についての母と医師や支援者の意見の対立。そういったことがきっかけで「障がいのある子どもたちと家族に寄り添う医者になりたい」という夢が生まれたのでした。・医師として、そして「当事者の母」としてその後小児科医になって2年目に長男を出産した西村さんは、その夢をより強く意識するようになります。なぜなら長男に発達特性があることが発覚し、当事者の母親となったから。我が子の特性を受け入れるまでの苦しい気持ち、ほかの子と比べて落ち込んでしまう気持ち、子どもができなかったことができるようになった時の喜び、自分の捉え方が変わり子育てが輝き出した瞬間…。さまざまな体験を経て、西村さんは医師という枠にとらわれない、「ママ友ドクター」の道を歩み出したのです。・「医師の暗黙のルール」を越えてこうして西村さんは「ママ友ドクター」プロジェクトでの情報発信をはじめ「子ども発達相談アカデミー VARY」で相談会を行ったり、'24年には特性に対する新たな価値観と支援の場を生み出すための一般社団法人「日本小児発達子育て支援協会」を設立。子育てに悩むママたちのため日々精力的に活動しています。■「アイコンタクト+笑顔」の習慣って?そんな経歴を持つ西村さんが本書で、子どもの発達特性に悩むママやパパにまず取り組んでほしいと言っているのが、ESDMなどの最新の発達支援の手引に基づく「アイコンタクト+笑顔(肯定的注目)」と呼ばれる基礎づくり。この習慣によって親子の信頼関係が強化され、日常の声かけが子どもに届くようになると言います。「アイコンタクト+笑顔(肯定的注目)」 1. 子どもの行動にポジティブな注目を向ける 2. 目が合ったらニコっと笑う 3. 肯定的な言葉かけ(ナレーションする・ほめる)を行う子どもの朝の登園準備が進まない時、あなたはどんな声かけをしていますか? 朝は時間の制約があるので焦って否定的な声かけをしてしまいがちですが、「アイコンタクト+笑顔」をするとどうなるでしょうか? 違いを見ていきましょう。子どもはママやパパが自分に笑顔を向けてくれるだけで、「愛されているんだ」と喜びを感じるそうです。「目を合わせると嬉しいこと(笑顔)がある」と学んだ子どもは、目を合わせるのが苦手でもだんだんできるようになると言います。・目を合わせるのが苦手な子はどうすれば?さらに肯定的な声かけをプラスすることによって、「がんばるとほめてくれる」と知り、自信もついて自己肯定感もアップ。ママやパパの子育てもラクになるので、親子ともにハッピーになれるメソッドなのです!また、目を合わせるのが苦手なお子さんのための「アイコンタクトのコツ」も次のように紹介されているので、我が子に合ったやり方でチャレンジしてみましょう。「アイコンタクト+笑顔」にはほかにも、「おしゃべりの力」や「人の気持ちを理解する力」、「視線を追う力」、「模倣する力」そして「安心する力」、「指示を理解する力」など、子どもが「できること」を増やす計り知れない効果も! まさに良いこと尽くしの習慣なのです。■本を開けば「ママ友の言葉」がある本書にはその他にも、コミュニケーションの発達段階に応じた「言葉とやり取りの伸ばし方」や「かんしゃく」「多動」といった困りごとの解消法、さらに入学準備の対策や、ポジティブな子育てに必要な医学&療育の知識がぎっしり。しかもいずれも「親子の信頼関係」がベースになっているので悩みの数だけ親子の結びつきを強くしてくれるはず。・困ったときに開く「辞書」のような本医師や療育の先生の言葉は、時にママの心に強く突き刺さってしまう…そんな経験が筆者にもあります。しかしここには西村さん自身の失敗談が赤裸々に書かれていたり「当事者の母」と「きょうだい児」(障がい者の兄弟姉妹のこと)という立場で懸命にもがいてきたからこその真摯な言葉が、親密でやさしく心に届きます。我が子の発達特性に気づいた時に最初に手に取る本としてはもちろん、成長に応じた困りごとが出てきたとき辞書を開くように読んでもいい。子どもの接し方に悩んでいるすべてのママとパパにとって、いつもそばに置いておきたい本なのです。\ ご紹介した書籍 / 『発達特性に悩んだらはじめに読む本』西村佑美 著(Gakken)1,600円(税抜) 小児発達と子育てが専門の小児科医にして3児のママである西村佑美さんが、子どもの発達に悩むママやパパに向けて執筆した本。発語が遅い、かんしゃくがある、登園しぶりなど、日常生活の困りごとを解決し、親子の信頼関係を築くメソッドを自身の失敗談も交えて紹介している。
2025年01月30日「こども園に行きたくない」にショック!フルタイム勤務を辞めた私特別支援学級に通う7歳の息子がいます。医療機関での診断はまだ受けていませんが、3歳で受けた発達検査の結果などを見ると、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の特性がそれぞれあるような気がしています。私は、息子が生まれる前からフルタイムで働いていましたが、息子がこども園の年中になった頃、発達特性が目立ってきて、登園をぐずるようになったことに伴い、働き方をフリーランスに変えました。目立ってきたのは「不器用さ」と「認知のゆがみによるネガティブ思考」です。息子が年中さんになったあたりから、周囲の子たちに比べて不器用さが目立ってきました。教室に飾ってあるお絵かきや塗り絵が飛び抜けて拙かったのを覚えています。縄跳びは今もできませんし、ボール遊びも苦手でした。息子は自分でもそれが分かるみたいで、「下手だからやりたくない」という発言が増えていました。また、この頃から被害妄想的な発言、「○○くんが僕のこと笑ってる。僕のことをバカにしてる!」などと主張することが増えたのです。ですが、園への送迎の時に友だちとのやり取りを見ていても、先生から園での様子を聞いても、そのような事実はなく、何やら本人が誤解しているという感じでした。Upload By ユーザー体験談そして息子は「こども園に行きたくない」と言うようになりました。これまでにはそんなことはまったくなく、楽しそうに登園していたので、少なからずショックでした。何となくの直感なのですが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない。息子が今抱えているしんどさに気づかないふりをして無理にこれまで通りのペースを保とうとすると、あとで余計にこじれるのでは」という気がしたのです。持ち帰り仕事で私が深夜に作業していることも、息子への対応で苦慮していることも夫は心配してくれていたので、「当面はフリーランスで働いて、環境を整えながら過ごしたい」と言っても、特に反対はありませんでした。Upload By ユーザー体験談児童発達支援、宿題対応……フリーランスになって受けた恩恵時間調整がしやすい働き方に切り替えたことで、就学準備や息子のケアに充てられる時間が確保でき、平日昼間の児童発達支援利用もできるようになったので、息子の不安定さは目に見えて落ち着きました。現在息子は小学校1年生で、知的障害特別支援学級に在籍していますが、担任の先生やお友だち達にも恵まれ、心理的安全性を確保しながら過ごせているためか、勉強も意欲的に取り組めていて、いい感じに子育てできていると思います。今息子が苦戦しているのは「宿題」です。1問解くのに時間がかかっているのですが、問題が分からないというよりは宿題に取り掛かるための気持ち作りに時間がかかっている印象です。息子は私が隣にいることで宿題への負担が軽減されているようなので、私は「待つ」姿勢に徹して一緒に宿題を見ています。宿題を見る時間をじっくり取れるのも、時間に比較的融通がきくフリーランスだったからかなと思います。その結果、時間がかかりますが、息子は「宿題しんどいな~」と言いながらも必ず最後まで取り組むことができています。授業参観などでは先生の質問に積極的に発言し、担任の先生からも「授業に楽しんで参加できていますよ。朝のスピーチなども自分から進んでやってくれるし、とてもいい状態です!」とのお言葉。年中時代のネガティブ&無気力な姿を見ていただけに、その言葉がとても嬉しかったです。Upload By ユーザー体験談いいことばかりじゃない⁉経済的な不安しかし、その代償と言いますか、今、私の貯金が大大大ピンチです。仕事に充てられる時間が激減したため、今は会社員時代の貯金を取り崩している状態です。夫婦の生活費はほぼ折半ですが、私が育児にかける時間が多いため、負担割合は「夫6:私4」としています。それでも、貯金が底をつくのは時間の問題です。今後の働き方を再検討しなければなりません。Upload By ユーザー体験談子どもが生まれる前、夫に代わって私が生活を支えていた時代があったので、夫は私に「働き方を変えて、もっとしっかり稼いで」とは言いにくいんじゃないかと思います。とはいえ、「休みの日は、もっと俺が息子を見るわ。息子の送迎とかも、できる限り協力するし」と言われるので、私にもうちょっと働いてほしいと思っているのかな~とも感じています。今は、息子の登校に付き添いをしていたり、平日の午後に、送迎が必要な個別療育の放課後等デイサービスに通っています。まとまった収入を得やすい週5の時短勤務や、フルタイムなどの働き方にシフトすると、おそらくこれらを続けることは難しく、こだわりの強い息子を説得するのは大変だろうなぁ……と悩みは尽きません。あと、転職適齢期を大幅に過ぎた自分が、どこで働くかという問題もありますよね(汗)。母子分離不安がある息子。障害者手帳の取得も視野に入れてさらに、働きかたを変えていくための第一歩は、息子の「母子分離不安」を軽減することです。息子は「6年生になるまで一緒に登校して!」と言うほど、私への依存が強い状態。どうしたらいいか考えていたのですが、今後障害者手帳の取得に向けて、児童精神科を受診しようと思っています。これまでは特に必要性を感じる場面がなかったので手帳の取得を検討していなかったのですが、手帳取得によってなにか現状が変わればいいな、との思いからです。手帳取得によって手当が得られるわけではないことは知っていますが、収入を増やすことと支出を減らすことについて、いろいろな角度から考え続けたいと思っています。エピソード参考/苗イラスト/keiko(監修:室伏先生より)息子さんの特性や、お母様のお仕事についての悩みなど詳しく共有くださり、ありがとうございました。フルタイムからフリーランスでのお仕事に変更される時には、大きなご不安やさまざまな葛藤があったことと思いますが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない」と息子さんに全力で向き合われてきたお姿、とてもかっこいいなと思いました。発達障害のあるお子さんへの経済的な支援の一つに、特別児童扶養手当があります。特性はあるものの生活への支障がそれほど強くないお子さんや、知的障害(知的発達症)の軽いお子さんでは手当を受けるのが難しい場合が多いですが、生活に一定程度以上の困難さを伴う場合には手当を受けることができます。児童精神科の受診には、手帳の取得や、手当に関する相談以外にも、医師、医療スタッフによる問診、お子さんの観察、発達・知能検査などを通して、ご本人の特性の理解を深めたり、その子に合った支援の方法を一緒に考えることができるというメリットもあります。息子さんとお母さまが共に安心して過ごせる道が見つかりますことを、私もお祈りしております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月21日2024年4月リリース!「LITALICO発達特性検査」の特徴や、お子さまのサポートに活かすヒントをまとめてご紹介新しい年が始まりました。春の就学や新学期に向けて、「もっとお子さまに合ったサポートがしたい」「園や学校、医療機関との連携を深めながら、合理的配慮についても相談したい」とお考えの保護者の方も多いのではないでしょうか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などが分かる、オンライン完結の検査サービスです。このコラムでは、LITALICO発達特性検査の企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当した公認心理師の井上雅彦先生のインタビューを中心に、LITALICO発達特性検査で分かることや、検査結果の活用のヒントなどを解説した記事をまとめてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達特性検査では、お子さまの特性を、7の大分類と18の小分類に分けて測定します。本検査をご利用いただくことで、お子さまがどのような困りごとがあり、なぜ困っているのかを多面的に理解することができます。この記事では、LITALICO発達特性検査について、その特徴や対象となるお子さまについて、検査で分かること、受検方法などを分かりやすく解説しています。LITALICO発達特性検査に企画段階から携わっている公認心理師の井上雅彦先生は、「診断の有無にかかわらず、子どもの特性を理解し、対応方法や関わりの具体的な方法を提案できるツールが必要だと感じていた」と話します。この記事では、LITALICO発達特性検査ができた背景や、この検査で解決したい親子の抱える課題について、ご紹介しています。お子さま本人にとって障害となる困りごとや子育ての課題を解決するためには、お子さま本人の特性を理解し、その特性や困りごとに応じた対応方法を保護者の方や、園や学校などの周りの人が理解することが、とても重要です。この記事では、特性を検査するとはどういう意味を持っているのか、また、特性を検査することで、どのようにお子さま・ご家族の困りごとや課題をサポートしていけるのかについて解説しています。環境調整とは、お子さまが困りごとや困難さを感じる環境を整えることを指します。ストレスや困難が生じやすい環境を、お子さまに合わせて調整することで、心理的・行動的な困難を減らしていきやすくなります。また、お子さまの特性に適した環境を整えることで、課題や困りごとが軽減できるケースも多くあります。この記事では、お子さまのための環境調整のコツや、LITALICO発達特性検査の検査結果の活用方法を解説しています。園や学校はお子さまにとって、長い時間を集団で過ごす場所になります。しかしながら、集団での行動や学習、自立活動など、家庭とは異なる状況や困難が現れたり、家庭と同じようなサポートが難しかったりという場面も……。そのため、本人に合った環境やサポートの方法を、先生方と保護者が連携してつくっていくことがとても重要です。この記事では、LITALICO発達特性検査の検査結果を活用し、園や学校とスムーズに連携するためのポイントをご紹介します。子育てや福祉に関する窓口、教育相談の窓口などの相談機関は、ヒアリングや相談内容をもとに、保護者の方にアドバイスをする、適切な支援制度を紹介する、医療的な支援に繋ぐといった機能を持っています。その際に、重要になってくるのが保護者の方からの情報です。どのようなことに困っているのか、お子さまにどのような様子や行動の傾向がみられるか、保護者の方がどのくらい困難を感じているかなどを分かりやすく伝えることで、相談の具体性や、その先のサポートの適切さが上がります。この記事では、相談機関との連携の際に、どのように検査結果を活用できるかについて解説しています。発達が気になるお子さまの専門科としては、発達外来や児童精神科、小児神経科などがあります。医療機関での問診は時間が限られていることもあるため、事前にお子さまについての情報や、相談したいことなどをまとめておくとスムーズです。この記事では、医療機関との連携の際の検査結果活用方法についてご紹介しています。「検査結果を受けて、まずは何をすればいいの?」「サポートを試してもうまくいかない場合はどうすれば?」など、検査結果の活用についての疑問にお答えします。お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントを見つけてみてください。「LITALICO発達特性検査」で春からの新生活に備えてみませんか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性等を知ることのできるオンライン検査サービスです。お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。【受検方法】:保護者の方がオンラインにて150問程度の質問に回答いただく形式です【検査時間】:約30分(検査結果は回答完了後、すぐに確認いただけます)【検査価格】:2,970円(税込)※受検1回分の価格【対象年齢】:本検査の対象年齢は3歳~18歳です※就学猶予、原級留置(留年)で高校入学、進級が遅れた場合等は、19歳も受検することが可能です※本検査はお子さまの発達特性やその背景要因、適切なサポートの方向性に関する情報を提供するためのものであり、医学的診断を目的としたものではありません
2025年01月04日【放デイ・児発探しは大変だった?何か所利用してる?】皆さんのアンケートの結果発表!発達ナビ会員から寄せられたコメントも紹介!Upload By 発達ナビ編集部施設探しはおおむねスムーズにいった:51%施設探しは大変だった:37%その他 :12%発達ナビ利用者の皆さんへのアンケートでは「施設探しはおおむねスムーズにいった」を選んだ方が51%、「施設探しは大変だった」を選んだ方が37%という結果となりました。約半数の方がスムーズに探すことができた一方で、大変だった方も40%弱いらっしゃったようです。Upload By 発達ナビ編集部発達支援施設を1か所利用している:39%発達支援施設を2か所利用している :26%発達支援施設を2か所以上利用している:17%発達支援施設を利用していない:17%その他 :2%「1か所利用している」を選んだ方が約39%、「2か所利用している」を選んだ方が約25%、「2か所以上利用している」という方は約16%となりました。1か所以上利用している方は約41%と多いようです。施設探しについては以下のようなコメントが寄せられています。・施設探しはおおむねスムーズにいった私が仕事をしているので、毎日入れる新規の事業所を紹介してもらいました。当時の相談支援の方がすごく仕事のできる人だったなと思います。今はもう週1でしか行ってませんが、良かったです。・施設探しは大変だった就学前に、10カ所くらいの放デイに、まずは電話で問い合わせしました。最初の電話の時点で、ほとんどが満員で門前払いのような対応でした。’この状況だと空きが出ないから、見学に来ても意味がないかもしれません。’と言われたり。そのうち4割くらいが、’満員なので、かなり空きを待つ状況になると思いますが、見学は予約ができます。’と言われました。併用利用については以下のようなコメントが寄せられました。・発達支援施設を2か所利用している放デイ、2個所使っています。ちょっと人多いけどしっかり体動かせる系と、動きは少ないけと人少なめな所、と。デイでのちょっとしたことで「もう行かない」と言い出すので。複数使ってると、いい気分転換?になるようです。・発達支援施設を2か所以上利用している集団療育メインのところ、個別療育メインのところ、と棲み分けして児童発達支援を利用しています。集団に関しては、親子同伴のところだけ通所していましたが、本人の体力がついてきた年中から、一人で日中を過ごす生活メインの療育にも通い始めました。合計3カ所ですが、それぞれの色や雰囲気が違うので、本人なりに気分を変えながら、楽しみを見つけて利用しています。お住まいの地域や担当の相談員によって、施設探しの難しさには違いがあるようです。また、施設の利用に悩まれている方は、ご家庭の事情やお子さまの特性に合わせて、1か所に限定せず複数の施設を併用することもいいかもしれませんね。では以下から施設に関する記事をまとめてご紹介します。どうやって探した?通った変化は?児童発達支援に関するコラム、基礎知識はこちらからプクティさんのご長男は、幼稚園でのさまざまな困りごとがきっかけで、年中の夏頃から発達支援施設に通い始めました。ご長男が小学校へ入るまでに通った2か所の発達支援施設についてご紹介いただいています。鳥野とり子さんの息子さん・ねこ太くんは1歳11か月で発達遅滞と診断されたため、2歳4か月から児童発達支援施設に通うことになりました。通い始めて息子さんに起こった変化、そして保護者としての思いも語っていただいています。にれさんのご長女・まゆみさんは1歳8か月から療育を始めました。その際、どんな風に児童発達支援施設に通い始めたのか、相談支援員、施設での面談なども振り返っていただきました。児童発達支援とはどういう施設なのか、利用の仕方、料金などについて知りたい方は、以下の施設記事をご覧ください!児童発達支援(児発)とは?支援内容、探し方、料金や保護者の声も小学校入学後も支援に繋がりたい!放課後等デイサービスに関するコラム、基礎知識はこちらから特別支援学級に進学したプクティさんのご長男。「放課後の居場所」を学童にするか、放課後等デイサービスにするか悩まれていました。プクティさんたちの選択と、現在の変化についてご紹介いただきました。集団活動が苦手で先生からの集団への指示が通りにくく、スーパー不器用な息子・スバルくんには習い事は難しいと諦めていた星あかりさん。しかし、放課後等デイサービスを探し始めると、諦めていたあれやこれを経験できる素敵な施設を見つけ、舞い上がって契約したのですが……。放デイ探しの反省点をお話いただきました。小学2年生から放課後等デイサービスを利用しているSAKURAさんのご長女・あーさん。中学生になってから、勉強や部活で忙しくなり、長い休み期間などに、数日しか通えなくなりましたが、あーさんにとって放デイは大切な場所でした。小学校~中学校での放デイ利用についてのエッセイです。放課後等デイサービスとはどのような場所か、利用までのステップ、料金といった基礎知識についてはこちからご覧ください。放課後等デイサービス(放デイ)とは?支援内容、探し方、料金や保護者の声もLITALICO発達ナビ「施設情報ページ」をご活用ください!LITALICO発達ナビの施設情報ページでは、日々新たな発達支援施設が掲載、利用者の声も更新されています。施設ブログでは、各施設の日常もお届けしています。「以前探した時は施設が近くになかった……」「なかなかお子さまに合う施設が見つからない」という方がいらっしゃいましたら、是非ご利用ください。発達ナビ|施設情報ページ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月03日【発達障害のある子どもの思春期、どうだった?】お子さんの思春期での困りごと、アンケートの結果は?発達ナビ利用者から寄せられたコメントも紹介!Upload By 発達ナビ編集部思春期ならではの困りごとがあった :72%思春期には困りごとは減った、なかった :11%その他 :17%発達ナビ利用者の皆さんへのアンケートでは、「思春期ならではの困りごとがあった」を選んだ方が72%、「思春期には困りごとは減った、なかった」を選んだ方が11%、「その他」を選んだ方が17%という結果となりました。70%以上の方が、思春期ならではの困りごとを経験されているようです。姉弟ともに、思春期&反抗期の真っ只中です。娘(現高三)は、少し落ち着いてきたかな。中学生時代は、「おはよう」の挨拶もありませんでした。パニックを起こせば直ぐに自傷行為が始まるので、注意の仕方や口調に、慎重にならざるを得ませんでした。息子(現高一)は、反抗期真っ只中です。(中略)最終的には癇癪を起こし、家の壁を蹴り、穴を開けたり。物を壊します。息子の力には、私はかなわないので、かなり、なめられています。なので、注意すべきことや指導は夫に任せることにしました。息子の反抗期は、まだまだ続きそうです。小学校低学年が1番大変でした。親子でどう対応したら良いのか分からず八方塞りでした。思春期は、息子が不登校になる事もありましたが…。親子の会話が無いといった事は無く意思疎通は出来たので、その点では良かったです。(中略)あの頃は病んでいたな…俺。って笑い話が出来る程落ち着きました。現在、高校2年。進学して自宅を離れたいと言ってはいますが、何事も経験!!って前向きな発言でしたので。応援したいと思っています。思春期中(中学)息子は思春期の中でも穏やかな方みたいですただ、周りはかなり思春期真っ只中の環境を乗り切るのは…かなりのタフさが必要。背の伸び方がヤバイ髭もニキビも全てが変わってくる感じです…注意が必要なのは起立性うちは、酷くはないですが立ちくらみ、めまいがあります難しい年頃ですね。寄せられたその他のコメントなどもアンケート先でご覧いただけます。ぜひ参考になさってくださいね。2024年に読まれた思春期にまつわるコラムを一挙ご紹介!ここからは、2024年によく読まれた「発達障害のある子どもの思春期」にまつわるコラムをご紹介します。安田ふくこさんの長男・ハルくんはASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。中学生になり、慣れない制服や校則など、新しい環境に戸惑いを感じていました。さらに、部活動での上下関係や暗黙の了解、定期テストなどにも苦労して……。寺島ヒロさんの息子、タケルくん(ASD/自閉スペクトラム症)は中学受験に成功し、中高一貫の進学校に入学しました。しかし学校は自宅から遠く、早朝からの通学で電車の便も少なく、少しでも遅れると遅刻に……。しかも、タケルくんは音に敏感で、小さな変化にも体調を崩しやすく、学校でパニックを起こしたり、途中で帰宅したいと言ったりすることが頻繁にありました。寺島さんの負担は決して小さいものではありませんでしたが、それでも、小学校の頃と比べると「精神的には楽になった」と言います。丸山さとこさんの息子・コウくんは、中学3年生になり高校受験を控えています。小学校の頃から「宿題を出さない」ことで苦労してきましたが、中学3年生になって、夏休みの宿題を早めに終えるという大きな進歩がありました。しかし、依然として宿題の提出忘れが多く、成績も伸び悩んでいました。高校受験まであと半年となった頃、コウくんは体重が増えたことをきっかけに、自ら「ADHD(注意欠如多動症)の治療薬を増量したい」と相談してきて……。花森はなさんの息子さんは、ASD(自閉スペクトラム症)と強度行動障害と診断されています。小学3年生から登校渋りが始まり、特別支援学校中等部に進学した後も不登校になり、高等部進学への不安を抱くようになりました。特に、高等部卒業後の進路について、一般企業への就職が難しくなるのではないかという心配を抱えていました。そこで花森さんは、息子さんの将来の選択肢の一つとして、福祉事業所合同説明会に参加してみることに。説明会を通して、就労支援に対する認識が大きく変わるきっかけとなったそうです。かなしろにゃんこ。さんの息子、発達障害のあるリュウ太くんは、小さい頃から人間関係がうまくいかず悩んできました。特に小学校時代は周囲との衝突が多く、ケンカになることもしばしばあったと言います。しかし、中学生になると、友だちの趣味に合わせて会話をしてみるなど、相手への配慮を心がけることを意識するように。試行錯誤しながら、周囲の人々とのコミュニケーションがうまくいくようになったリュウ太くんの「人付き合いのコツ」は、同じように悩んでいる人も参考にできそうです。発達障害のある子どもの思春期は、親も子も成長のチャンス!2024年、発達ナビでは発達特性のあるお子さんを持つ親御さんからの共感の声が多く寄せられました。特に「思春期」は、親子ともに大きな試練となる時期であることが分かりました。読者アンケートでは、挨拶をしない、パニックを起こす、反抗的な態度をとるなど、さまざまな困りごとが挙げられた一方で、思春期を乗り越え、親子関係が良好になったという声も聞かれました。また、コラムでは、小学校と中学校のギャップ、不登校、高校受験、人間関係など、親御さんの葛藤や、それを乗り越えるための工夫など、たくさんのエピソードを聞かせていただきました。発達障害のあるお子さんの思春期は、決して楽なものではありませんが、子どもも保護者も成長できる大きなチャンスでもあるのかもしれません。無理せず、周りの人にも頼りながら、お子さんをサポートしていきたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月30日おもちゃ作戦!一時封印で新鮮さを演出家族みんなでのお出かけや旅行、帰省は楽しいものですが、発達障害のある子どもにとっては、普段と違う環境や長時間の移動がストレスになることもあります。そこで、わが家ではちょっとした工夫を積み重ねて、できるだけみんなが快適に過ごせるようにしています。今回は、実際に効果的だったわが家流の方法をご紹介します。まず、おもちゃ作戦からご紹介!お出かけの約2週間前から、普段よく遊んでいるおもちゃの中でも「最近遊んでいないけどお気に入り」だったものをピックアップ。それらを見えないようにカバンや巾着袋に隠しておきます。こうすることで、お出かけ当日に取り出したとき、「久しぶり!」という感覚が生まれて新鮮に楽しんでくれます。おもちゃを出すタイミングもポイントです。新幹線などの公共交通機関を利用する場合、子どもの機嫌が悪くなりそうな「ギリギリまで何もしない」が鉄則。少し退屈そうになってきたところで、まるでどこからともなく現れたかのようにおもちゃを渡します。この「サプライズ感」が意外と効果的。一度にすべてを見せてしまうと「全部出して!」となりがちなので、上手に隠しつつ少しずつ追加していくのがコツです。飽きたら次のおもちゃ、というふうに時間を引き延ばせます。Upload By スパ山おやつ作戦!特別感と時間稼ぎの両立おやつの準備も、一工夫。まず、子どもたちが大好きなおやつを少量用意します。これを最初に少しだけ渡すことで、まずは気分を盛り上げます。その後、「まあまあ好き」なおやつを選びますが、ここでのポイントは、小さくて食べるのに時間がかかるものを選ぶこと。例えば、一口サイズのクッキーやおせんべい、ゆっくりなめたりかんだりできるタイプのチューイングキャンディなどが活躍します。そして最後に登場するのが、普段は買わない特別感のあるおやつです。食玩や、ちょっとしたご褒美感のあるものを準備すると、さらに子どもたちの期待が高まります。普段は「これ、あまり食べさせたくないな……」と思うようなおやつでも、長時間のお出かけや帰省のときだけは特例。ご機嫌のためなら背に腹は代えられません!(笑)こういう日限定だからこそ、子どもたちも「今日は特別なんだ!」と感じてくれるようです。おやつを渡すときも、すべてを一度に出さず、少しずつ小出しにするのがコツです。「次は何が出てくるのかな?」とワクワクしながら楽しんでくれるので、意外とこれだけで時間を稼げます。こうした工夫で、おやつタイムを子どもたちにとって楽しいひとときに変えることができました。Upload By スパ山デジタル機器は最終兵器タブレットやスマホは、わが家では「最終兵器」のような存在。いざというときのために、切り札として大事に温存しています。まずお出かけの直前に子ども向けの新しいアプリをダウンロードしておきます。インストール後に、自分で少し触ってチュートリアルや設定を済ませておき、遊び方を少しでも把握しておくのがミソ。現地で「できない!どうやるか分からない!」などのトラブルが起きてもすぐ対応できるように準備します。でもこの強力な切り札、簡単には使いません。なぜなら、わが家の子どもたちは飽きっぽいところがあるので、使い始めると次の手がなくなってしまうからです。おもちゃ&おやつ作戦が尽きたら満を持して登場させます。Upload By スパ山座席選びは戦略的に実践されてる方も多いかもしれませんが、新幹線などでは、最前列か最後列の座席を取るのが鉄則です(わが家調べ)。理由はシンプル。デッキにすぐ出られること、トイレやゴミ箱が近いこと、これらはとても重要なポイントです。特にデッキに出られるのは、子どもがぐずったときの大きな助けになります。また、「ちょっとゴミを捨てに行こうか」と、おやつなどで出たゴミ捨てに行くだけで、子どもが気分転換できるうえ、少し時間稼ぎもできます。Upload By スパ山ヘルプマークで事情をさりげなく伝える普段はあまりつけないヘルプマークも、お出かけ時には目立つようにつけています。座席周りの人には「うるさくするかもしれませんが、すみません」と一言声をかけることで、直接の配慮を心がけていますが、当然、話しかけられない距離にいる方や、移動中以外の場所でも、ヘルプマークが「この家族には何か事情があるのかもしれない」と周囲に察してもらう役割を果たしてくれます。これだけでも心に余裕が生まれ、気持ちが少し楽になります。Upload By スパ山わが家流の「小さな工夫」が生む大きな安心これらはあくまでわが家の場合の工夫なので、すべてのご家庭に当てはまるわけではありません。それぞれのお子さんやご家族に合った方法がきっとあると思います!無理をせず、少しずつ試してみながら、ストレスを軽減できるお出かけや旅行を楽しめるといいですね。「みんなで楽しく過ごせたらいいな」という気持ちを大切にしながら、肩の力を抜いて取り組んでみてください。何か一つでもヒントになればうれしいです!執筆/スパ山(監修:新美先生より)お出かけ時の工夫について、具体的にたくさん教えてくださりありがとうございます。個性の強いお子さんを連れて長時間の移動を伴うお出かけは、とっても大変です。さらに公共交通機関を使う場合は、場所の制約、運行時間に合わせた行動、持っていける荷物の制限などもあり難易度は高いですよね。コラムでたくさん教えていただけたように、まずは暇つぶし対策です。長時間じっとしていないといけない状況なので、とにかく気を紛らわす暇つぶしを複数用意しておくことは必須です。お子さんによって、慣れた好きなことに集中するほうがいい、飽きないように手を変え品を変え目新しいもので次々興味をひいたほうがいいなど、さまざまかと思います。また、スケジュールなどが具体的に示されたほうが安心できるお子さんの場合は、スケジュールも示しておくこともおすすめします。座席選びやヘルプマークの使い方までいろいろ聞かせてくださりありがとうございます。皆さんの参考になったのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年12月24日小学校、中学校、高校の進路先を大調査!通常学級?特別支援学級?特別支援学校?受験はしたの?こんなことがあった……「就学アンケート」回答募集中!日々子育てをする中で悩むことはたくさんあると思いますが、その中でも発達特性のあるお子さんを育てるご家庭の大きな悩みの一つは「就学、進学」についてではないでしょうか。これまでも発達ナビでは就学・進路について、みんなのアンケートで皆さんの声を聞いてきました。たくさんのご回答や悩み、解決方法などのコメントをありがとうございました。今回はそんな就学、進路についてのデータを大集結させた「就学」についてのアンケートを実施いたします。発達障害や特性のあるお子さんの選んだ進路、トラブル、悩み、進路先の合理的配慮、児童発達支援や放課後等デイサービスの利用などなど……「就学・進学」にまつわる質問へのアンケートです(以前みんなのアンケートで書いていただいた内容と重複している内容でも問題ございません)。回答結果やエピソードをまとめたコラムは年明けに公開を予定しております。これからの就学が不安な未就学児の保護者の方、成人しているお子さんの保護者の方はこれまでの進路を振り返って……さまざまな年代の方のご回答をお待ちしております!
2024年12月20日すでに診断やほかの検査を受けている場合、検査をする意味はあるの?公認心理師の井上雅彦です。LITALICO発達特性検査では、検査結果テキストの監修を担当しています。また、臨床の現場では発達検査などを実施する立場でもあります。LITALICO発達特性検査を受検されるかどうか、迷っている保護者の方の中には、すでにお子さまが医療機関や相談機関とつながっていて、これまでに診断を受けている場合や、発達検査や知能検査など、なんらかの検査を受けたことがある方もいらっしゃると思います。私はそのような場合も、LITALICO発達特性検査の受検は意味があると考えています。診断や、ほかの心理検査とは別のものとして、検査結果で得られるものが異なり、そして、医療機関や相談機関と連携し、併せて活用していただくことで、より意味が増してくるツールがLITALICO発達特性検査だからです。今回はそのことをテーマにお話しします。診断を受けている場合のLITALICO発達特性検査LITALICO発達特性検査は診断の有無にかかわらず、お子さまがサポートを受けやすくすることを目的としています。その前提のうえではありますが、すでに医療機関とつながっている場合には、LITALICO発達特性検査を併せて使っていただくことで、より具体的な支援に役に立つと思っています。一般的に医療機関での診察時間というのは、限られた短い時間であることが多いです。そうすると、その時間内に日々の具体的な困りに対する対応方法を一つひとつ医師と相談して解決法を探っていくというのは難しいかもしれません。また、医療の観点からのアドバイスを得たい場合もあると思いますので、ある程度相談したいことや、保護者の方が課題だと思っていることを整理しておくというのが、とても役に立つと思うのです。そのような場合に、あらかじめ整理したり、お子さまに合いそうなサポートの方法を試してみたりしておくツールとしてLITALICO発達特性検査を使うといいと思います。また、診断や特性自体は変わらなくても、お子さまの環境や年齢などによるライフステージの変化によって困りごとや特性の現れ方は変化することもあります。そのような場合に、この検査はお子さまの具体的な状態を把握するためにも大きな意味があると思います。ほかの検査を受けている場合のLITALICO発達特性検査検査と言っても、WISCや田中ビネーなどの知能検査や、Vineland(ヴァインランド)などの適応能力を調べるための検査、本人の不安やうつ傾向を調べる検査など、種類はたくさんあり、目的もそれぞれ異なっています。これらの検査はそれぞれ測定したいものがあって、それを数値で表すものです。例えば、知能検査では、認知機能の偏りについて測定し、IQ(知能指数)という数値で表します。この数値は、全体と比較してどの水準にあるかを示すことで公的な支援に繋げやすくするという役割があります。また認知機能の中でもどの領域に凸凹があるかというのを数値にすることで本人の困難さをより具体的に示すことを目的としています。検査結果として数値やグラフで示される検査が多く、保護者の方がもらえる検査結果レポートも、検査を実施する機関によって異なりますが、簡易なものが多いです。検査を実施した心理士などによるアドバイスが示される場合もあると思います。しかし、文量的にレポートだけで保護者の方がさまざまな場面で生じている困難の背景を理解し、日々のお子さまへの具体的な対応に役立てるということは難しいかもしれないですね。一方、LITALICO発達特性検査は、オンラインで保護者の方が受検して、日々のサポートに活かすことを目的にした検査です。その点で、レポートはお子さまへの特性理解を踏まえた対応をすることを目的とした作りになっていて、検査で分かったお子さまの特性に合うようなサポート方法のヒントが提示されます。また、検査で分かる領域も、まずはお子さまの特性や苦手を広く測れるように、7つの大分類、18の小分類を扱っています。生活と関連が深い睡眠の課題や、発達に特性のあるお子さまに現れることが多い行動や情緒の課題なども検査項目に含まれています。LITALICO発達特性検査はこうした広い領域を広くカバーするものであり、そのお子さまの特性や苦手なことの背景要因から具体的な対処法まで保護者の方にとって理解しやすい内容で説明されています。このことでお子さまの全体的な発達特性と一緒に対処法を理解することができます。ほかの検査と併用する場合、例えば、それぞれの検査結果をみて、「ああ、この検査の数値で表れている部分は、こういう背景要因があったからなんだ。ではサポートの方法を変えてみよう」などと理解を深めるきっかけにしていただきやすいと思います。また「以前受けた検査では苦手だった部分が、サポートの方法でカバーできている」という点も見つかるかもしれません。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部医療機関や相談機関の指示を仰がずに受検しても大丈夫?LITALICO発達特性検査は、検査という名前ではありますが、保護者の方がお子さまの困りごとや支援方法を把握するためのツールです。したがって、ほかの検査を受けている場合やかかっている医療機関がある場合にも、気軽に受検していただいて問題はないと考えています。もちろん気になる場合は、受検前に相談していただいてもいいと思います。中には、「すでに受けている診断や検査と矛盾する結果が出たらどうしよう」と悩まれる方がいるかもしれません。LITALICO発達特性検査は保護者の方の主観で回答する検査ですので、ほかの検査や医師の見立てとは異なる可能性もあると思います。もし、これまでの結果や見立てと違うという場合には、その点が医療機関や相談機関で相談されるいい視点になると思います。例えば、それぞれが課題に感じている点、それほど課題ではないと思っている点が違う場合は、詳しく相談したりすり合わせていくとスムーズです。課題の出る状況や場面が限定的な場合は、それを見つけること自体が環境調整のヒントになることもあります。検査結果は情報の一つとして捉えていただき、決めつけずにフラットな見方をしていただくと、前向きな話し合いやアセスメントがしやすくなります。また、そうした相談の際には、保護者の方が事前に相談の優先順位と要点を整理しておくと、短い相談の時間を有効に使えると思います。お子さまの困りごとは環境や状況、お子さま自身の発達やスキル獲得などによっても変化するので、お子さまの特性や困りごとをどのように把握してどのようにサポートしていくかという視点で、協力体制をつくれるといいですよね。受診・受検から時間がたった場合の「点検」にもUpload By LITALICO発達特性検査 編集部診断のある方でも、服薬治療がない場合には、頻繁な通院をしないというケースもありますし、頻繁に検査をしたり、診断を受け直すという方はそれほど多くないと思います。心理検査も、現状では費用やリソースの観点から、なかなか頻繁には受けられないかもしれません。そうなると、例えば、5歳児健診の時に診断や心理検査を受けて、それからしばらく間が空いているという場合もあると思います。また、発語の課題があって未就学の一時期に専門機関と繋がっていたけれども、その後言葉が出るようになったなどで、一度支援から離れているという方もいるかもしれません。特性のあるお子さまにとって、成長に伴って環境や状況が変わることで新たな課題や困りごとが現れるということは、珍しいことではないのです。例えば、限局性学習症に含まれる学習面での苦手は、その現れ方が一人ひとり違うので、例えば算数の筆算だけが苦手だとか、その学習をする年齢になってはじめて現れる困りごともあります。また、成長に応じて求められる態度やスキルが変化してくることもあるかもしれません。小学校までは許容されていた行動が、中学や高校では認められないという場合もあるかもしれません。人間関係やコミュニケーションや学習など、年齢によって複雑になっていき、そこで課題が出てくるというケースは多いと考えられます。そうすると、特性は変わらないのだけれども、困りごとが変わってきた、対応方法も変えた方がよさそう、という場面は結構あると思うのです。そのような時に、ぜひLITALICO発達特性検査を受検していただいて、変化がないかをみたり、対応方法を変えるきっかけにしていただくといいのではないかと思います。受検してみて、以前受けた診断や心理検査の結果と違うなと感じたり、家庭では対応が難しいと感じたら、その点を相談するために、ぜひ医療機関や相談機関と連携してみてください。医療・専門機関との間を繋ぐ共有ツールとしてすでに診断を受けられている場合、医療機関や専門機関で相談する機会もあるでしょうし、保護者の方もご自身でいろいろと知識を得て、日々のお子さまへのサポートを工夫されていると思います。検査結果のレポートを見て、「私のやり方で合っていた」「私の見立てと同じ」と感じる方もいるでしょう。そういった場合、自信を持って支援を進めていただく根拠になるかもしれないですね。また、背景要因としてまとめられているテキストを使ってよりお子さまの理解を深めたり、今まで試していない方法を見つけて、ヒントにしていただくのもいいと思います。もう一つ、LITALICO特性検査は保護者の方が感じていることの言語化ツールでもあります。ぜひ、医療機関や専門機関、あるいは園・学校・支援者・家族など、周りの方にも、課題に感じていることやお子さまの特性、その背景要因を周りの方と共有するためにも使っていただけることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年12月18日三児の母であり、発達専門小児科医の西村佑美先生。「ママ友ドクター®・ゆみ先生」としてオンラインで育児・発達相談に答える活動も行っています。『発達特性に悩んだらはじめに読む本』(Gakken)では、発達特性がある子どもの1歳からの子育て法を網羅。今回、mamagirlではゆみ先生に特別インタビューを実施! 前編では、発達特性の基礎知識や、我が子の発達特性が気になった時のママとしての心得を伺いました。■西村佑美先生 プロフィール発達専門小児科医/一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会 理事1982年、宮城県仙台市出身。日本大学医学部卒。三児の母。重度自閉症のきょうだい児として育ち、障害児家族に寄り添える仕事がしたいとの想いから医師を志す。2011年から日本大学医学部小児科医局に所属。その後、地方病院と大学病院で発達専門外来を新設。のべ1万組以上の親子を診てきた。2020年「ママ友ドクター®」プロジェクトを始動。SNSでの情報発信や主宰する「子ども発達相談アカデミーVARY」での活動を通し、子育てに悩むママたちの支援を行ってきた。Instagramはこちら発達特性を持つ人が世の中で活躍する時代―そもそも発達特性とは、なんなのでしょうか?ゆみ先生:子どもが脳の中に持ってる神経回路の違いによって表れる、思考や行動のパターンのことです。基本的に脳の神経回路は一人ひとり異なるので、みんな多かれ少なかれ発達に特性はあります。その中でも、「一つのことに対する集中力がすごい」「好きなものに対しての興味が強い」「好奇心が強くて行動的」という特徴が、程度によってはいわゆるASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)などの特性と言われることもあります。―ASDやADHDという言葉は最近になってよく耳にするようになった気がします。発達特性の子どもが増えている…ということでしょうか?ゆみ先生:増えたわけではなく、認識が広まったのだと思います。この20〜30年で「目に見えない障害」をマスコミも取り上げるようになりました。バリアフリーや多様性にも理解が進み、「困ってる人たちがいるんだ」「普通とされることをうまくできない人がいるんだ」という考えが浸透した結果だと思います。なので、医師の診断がなくても「我が子は発達特性があるのかな」と考えるママも増えたのではないでしょうか。一方、認識が広まったことにより、ちょっと個性が強いだけの子どもも、世間から「発達障害」とレッテルを貼られてしまうようにもなりました。「障害」という表現によりネガティブなイメージもついてしまい、逆に苦しんでいるママもいる。なので、医学的にはここ数年「発達障害」という表現は使わないようになっているんです。AIが浸透した現代は、「普通じゃない」ことに期待を持てる時代です。発達の特性がある子どもたちをどう伸ばして、活かしていくかを考えるために、今回、私の書籍でも様々な研究に基づいた、子育て方法をまとめました。―発達特性を持つ子どもが大人になった時の不安を抱えるママもいます。ゆみ先生:時代は変化しましたし、特性が無い普通の子どもだから将来が明るいわけではありませんよね。まずママたちには、自分たちが進学・就職した時代のイメージからアップデートをしてほしいと思います。私たち世代は、幼い頃から丁寧にバランス良くできる人が良しとされて育ってしまいました。でも今は、いわゆる普通ではない人たちがビジネスシーンでも活躍しています。現在活躍しているビジネスマンがどういった子ども時代を過ごしていたか、書籍などで調べてみると、きっと「みんなと一緒ではない」エピソードが出てくると思います。IT関連企業が密集しているアメリカのシリコンバレーでも、ASDの特性を持つ人たちがすごく重宝されているんですよ。これからは得意なことがあれば生きていける時代です。特性がある人たちがむしろ世の中に必要になってくるのだと、認識して良いと思っています。自分の子どもがみんなと違うことがあると、学校生活で悩むこともあるかもしれません。でも、だからといって劣等生では決してないのです。親は、子どもの普通ではないところを、将来の自信に繋げられるようにしてあげてください。「みんなと同じだから安心」という思い込みから脱却しないと、自分の子どもを上手く見ることができませんよ。―ママたちも意識を変えなければなりませんね。ゆみ先生:そうですね。AIを使いこなさなければならない現代は、「答えを知っているか」ではなくて、「問いを立てる力」の方が必要になります。問いを立てる力は、好奇心や様々な知識、視点を持ってるからこそ育まれます。例えば、「1+1=2」と答えるだけならAIがしてくれる。だからこそ人間は、その答えを知っているだけではなくて、「なぜ2なの?」ということを追求できる力が必要。そのためにママは「1+1はなぜ2なのか」を、いかに面白く子どもに教えられるかがカギになってきますよね。特性に悩んだら、その行動の理由に思いを馳せてみて―ママが子どもの発達特性に気付くタイミングはいつなのでしょうか?ゆみ先生:様々なサインはあるのですが、「他の子とちょっと違うかも」と思うことが一つのきっかけになることが多いです。特に日本は「みんなと一緒が良い」とされる文化でもあるので。「他の子と違う」ことに落ち込むのではなく、「この子にはこの子なりの理由があってみんなと同じことをしていない」と捉える。そして、何か困っていることはないかと想像することが大切です。例えば、言葉の発達が遅くて癇癪が強い子どもは、言葉がうまく喋れない分、体で感情を表現している状態なんです。それがわかれば、「癇癪がある困った子」ではなく「自分の意見をきちんと主張できる子」と捉えられますよね。ちなみに、言葉の発達が遅い子どもは視覚情報で物事を判断することが得意な場合が多いんですよ。だから私も「子どもがなかなか言葉を話さない」というママの悩みを聞く時は、「言葉のやりとりに頼らず、目で見て判断する力がありそうですね」という話をします。他の子と違うと感じても、発達特性として捉えて子どもの思考パターンを理解できれば、子育てはもっと面白くなるのではないでしょうか。―私も子どもの癇癪に悩んだことがあったので、そうやって理解してあげれば良かったのか…と、反省もあります。ゆみ先生:私も自分の子育てでは、3人目から落ち着いて子どもの特性に対応できるようになりましたよ。でも、子育てって本当にあっという間に終わってしまいます! 辛いなと思っても、ちょっと発想を変えてみる。子どもがギャーギャー騒いでいるなら「そんなに泣くくらいママのことが好きなのね…」というように(笑)。良い意味で半歩引いた視点で見ると、冷静に対応することができると思います。子どもの行動には必ず理由があります。その理由や、その子ならではの思考パターンを見つめ直すトレーニングをすると、子育てが面白くなってきますよ。目の前で子どもに癇癪を起こされると、「なんて悪い子なの」と頭に浮かびがち。でも3回に1回で良いので、「理由があって泣いているんだ」「訴えたいことがあるんだ」「ママがすごく好きで寂しいのかもしれない」ということに思いを馳せてみてください。「得意」を見つけるために、外遊びや旅行などリアルな体験を―子どもの特性をその子の魅力として花咲かせるために、親はどんなことを意識すれば良いでしょうか?ゆみ先生:外遊びや旅行といったリアルな体験をさせてください。その中で何にハマるかを見れば、その子の将来像も見えてくるはずです。また特性がある子は、習い事も、ありきたりな枠にはまらないこともあります。我が家の長男にも発達特性があって。小学校に入るとMinecraftやプログラミングのスクラッチにハマっていたので、親としては、ちゃんと学んで将来に繋がったら…という思惑もあり、小学校3年生の時にプログラミング教室の体験に行かせました。すごく楽しそうだったので、「通って良いよ」と言ったところ、意外にも反応はいまいちだったんです。その理由を聞いたら「だって自分でできるんだもん」と。結局、特性とやりたいことがマッチすると、習わなくても理解できてしまうんです。だから、もし学校という小さな世界の中で苦手なモノが多くて馴染めず、上手くいかなくても、その子には他に輝ける世界があるはず。その子の得意を見つけるために、体験や、習い事や別のコミュニティにどんどん連れ出してあげてください。■書籍情報『発達特性に悩んだらはじめに読む本』(Gakken)著:西村佑美後編では、ゆみ先生の子育てについてや、子どもとの関係がもっと良くなる接し方などをご紹介。ママなら知っておきたい知識盛りだくさんです♪
2024年12月15日三児の母であり、発達専門小児科医の西村佑美先生。「ママ友ドクター®・ゆみ先生」としてオンラインで育児・発達相談に答える活動も行っています。『発達特性に悩んだらはじめに読む本』(Gakken)では、発達特性がある子どもの1歳からの子育て法を網羅。今回、mamagirlでは、ゆみ先生に特別インタビューを実施! 後編ではゆみ先生が子育てで心掛けていることや、特性の有無に関わらず、親子関係がもっとよくなる子育ての知識を教えてもらいました!■西村佑美先生 プロフィール発達専門小児科医/一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会 理事1982年、宮城県仙台市出身。日本大学医学部卒。三児の母。重度自閉症のきょうだい児として育ち、障害児家族に寄り添える仕事がしたいとの想いから医師を志す。2011年から日本大学医学部小児科医局に所属。その後、地方病院と大学病院で発達専門外来を新設。のべ1万組以上の親子を診てきた。2020年「ママ友ドクター®」プロジェクトを始動。SNSでの情報発信や主宰する「子ども発達相談アカデミーVARY」での活動を通し、子育てに悩むママたちの支援を行ってきた。Instagramはこちら子どもをスマホに預けていないか、要注意―ママ友ドクターとして活動する中で、現代のママたちはどんなことに悩んでいると感じますか?ゆみ先生:やはり、今も昔も「他の子と違う」ということに悩むママさんが多いですね。特に最近は、SNSを通して「なんとなくこれが良い」という子育てのイメージ像や、「良い子像」を刷り込まれてしまっています。その実態も「他の子と違う」という悩みを強くしてしまっている原因だと感じます。例えば、SNSではミニマリストが流行っているから、お出かけの時にはなるべく荷物は少なく、ベビーカーに色々とモノを積むのはカッコ悪いという考えとか。これはとても残念なことです! 荷物になるからと、絵本も持ち歩いていないママが多いんですよ。その代わりに、赤ちゃんにスマホを与えているんですよね。ちょっと前までは、赤ちゃんが遊べるグッズを持ち歩いて、一緒に遊んでいるママさんが多かったはず。そういった感覚を学んでいないから、子どもとコミュニケーションを取ることが苦手なママさんも多いのかなと感じます。―外出中、子どもよりママの方がスマホに夢中になっている…という場面も目にします。ゆみ先生:その現状、日本小児科医会注1 でも強く心配してることなんです。子育てのことがわからないからスマホで検索して、SNSにも影響されてしまう。そして、自分の子どもが「みんなと同じじゃないかも」と思った時も、本来はすごく能力が高い子なのに、スマホで検索すると「発達に問題がある」と出てしまいさらに不安になってしまう…という悪循環が起きていますよね。インターネットの特性上、情報にも偏りが生まれますし、少数派の意見も多数派のように表示されてしまいます。インターネットで調べた情報はかなり偏っているということを認識してほしいですね。また、ママさんたちは思っている以上にスマホに子どもを預けてしまっています。その結果、コミュニケーションが下手な子どもが増加していることも専門家の中では問題視されています。私もママとメディアの付き合い方はきちんと啓蒙していきたいと考えていて、今回の本でも少し取り上げています。家事や仕事はいくらでも挽回できる。子どもとの時間は戻ってこない―ゆみ先生が、3人のお子さんの子育てをする上で大切にしていることは?ゆみ先生:家事は手を抜いて良いけど、子どもとの時間は手を抜かないようにすることです。親にとっては何気ない1日でも、子どもにとっては実は大切な1日で、後々の成長に影響することもあるんです。家事や仕事など、今やらなくても後でいくらでも挽回できることって山ほどあります。でも、子どもとの時間は戻ってこないし、手を抜くとあとですごく後悔しますよ。―ゆみ先生も後悔した経験はありますか?ゆみ先生:忘れられない出来事があります。長男がまだ年中の頃、アフタースクールの発表会があって。当時私は大学病院でフルタイムで働いていたのですが、長男は私に対して「来てほしい」とアピールすることもなく、むしろまだそこまでお喋りもできませんでした。その日、発表会に行くつもりではいたのですが、「ちょっとこの仕事だけ終わらせてから行こう」と思ってしまい。仕事をしていたら長男の出番に間に合わなかったんです。お迎えに行った時、長男は、私が来なかったことに文句は言わないものの、機嫌が悪くて。「今日の給食はおかわりできなかった」とか、的を射ないことで怒っていたんです。これってもしかしたら…と思い「ママが来なかったことで怒っているの?」と聞いたら、「うん」と。正直私は、長男はママに来てほしいタイプではないし、なんなら発表会のこともよくわかってないかもくらいに思ってしまっていたんですよ。でも、実際は私が来ることを楽しみにしていた…。ものすごく反省しましたね。その時優先した仕事も、何気ないもの。30分間を仕事ではなく、子どものために割けば良かったと、私の中ですごく引っかかっているエピソードです。―子どもの本心に寄り添えなかった経験、私もたくさんありそうです。ゆみ先生:子どもがうまく出せない感情を理解するのはなかなか難しいことだと思います。私も、3人の子育てを通して子どもの感情の扱いが上手くなったので。癇癪を起こしていて「ママのせい! ママ嫌い!」と言っていても、本心は「ママが大好きで抱きしめてほしい!」と言っていることもある。大人だってかまってほしい時に拗ねることありますよね(笑)。子育ての正しい知識を身に付ければ、イライラも不安も減る―『発達特性に悩んだらはじめに読む本』(Gakken)には、子育てのヒントがたくさん詰まっていると感じます。ゆみ先生:ありがとうございます。私たちは、これまで子育てについて教わってきていません。子育ての先輩である親と同居している世帯も減ってきています。実は、子育てへの不安やイライラって知識が足りないから起こる部分もあって。つい「自分はダメな母親だ」「この子は悪い子なのではないか」と思ってしまいがちですよね? その気持ちも、正しい知識があれば解消されることもあります。この本には、ママたちが知識として身に付けてほしい正しい子どもとの接し方や、知育の知識を紹介しています。―特性の有無にかかわらず、ママに必要な知識が掲載されていますよね。ゆみ先生:はい。私が特に全てのママさんにぜひ知ってほしいのは、アメリカで研究されたPCIT(親子相互交流療法)という方法で重要視される、子育てスタイルの違いとその影響です。子育てのスタイルを「許容的」「権威的」「関係欠如的」「独裁的」の4種類に分けています。「許容的で優しく子どもに接する親が良い」というイメージが刷り込まれていますが、実は、「権威的な子育て」を目指すべきなんです。例えば、癇癪を子どもが起こした時に、癇癪を起こしている気持ちには寄り添うけど、癇癪を許容するとうまくいかない。「思い通りにいかなくて怒っているのはわかるけど、大泣きしても変わらないよ。落ち着いたら話をしようね」という言い方が正しいんです。これこそ権威的な、リーダーシップを持った親。つい、「癇癪も許容しなきゃ」と思うから「大変だったね。よしよし」という対応になってしまいがち。そして、それでも収まらないとだんだんとママの方がイライラしてしまうこともありますよね(笑)。そうではないんです。許容的過ぎるとだんだんとワガママになり、親を支配する子どもになってしまう傾向も心理学の研究で指摘されています。こういった子育てに関して知らない知識ってたくさんあるはずなんです。自分を責めたり悩んだりする前にぜひ、この本を教科書的に使って知識を入れてほしいですね。―今回の本は、何歳までの子どもを持つママを対象にしているのでしょうか?ゆみ先生:メインは小学校入学前までの情報ですが、「注目する褒め方」「注目しない叱り方」などは、小学校高学年まで使えるテクニックです。―「注目する褒め方」「注目しない叱り方」について詳しく教えてください。ゆみ先生:まずは「注目する褒め方」から。子どもを伸ばすためには、褒め言葉を言わなくても「注目する」だけでいいんです。宿題をしていたら「宿題していて偉いね」ではなく「宿題しているね」とか。玄関の靴をそろえていたら「靴そろえてすごいね」ではなく「お、靴そろえているね」とか。子どもの行動をナレーションするだけで、子どもは「ママが見てくれている」と思う。子どもにとって親が見てくれていることは、褒め言葉と同じくらいのご褒美なんです。「注目しない叱り方」は、そうやって毎日見てあげているからこそ、効果があります。ママの注目を引こうと悪いことをした時はあえて見ない。そうすると、子どもの方が「この行動はダメか」と気付く。行動を直せたらまた注目してあげましょう。褒める時も、る時も、子どもの行動だけに注目して、子どもの性格や特性には注目しないことがコツです。例えば「片付けていないから悪い子」ではなくて「片付けていない」ただそれだけ。子どもにも「出しっぱなしだね」と言うだけ。ガミガミ言わなくてもいいのですごく楽ですよ。そして片付けたら「片付けたね」とか「ありがとう」で良いんです。喋る量は増えるけど、ママのストレスは格段に減ると思いますよ。―最後に、mamagirl読者にメッセージをお願いします!ゆみ先生:これからもオシャレをどんどん楽しんでほしいです。ママでいることと、かわいくいたい・オシャレを楽しみたいという感覚を同時に持ちながら子育てをしてほしいと思います。つい「お母さんだからこうしなきゃ」「子どものためにこうしなきゃ」と考えてしまいがちですよね。でも、そうやってママの心の余裕がなくなってくると、子どもに必要以上に怒ってしまうことに繋がります。やっぱり鏡を見た時にボロボロな状態で赤ちゃんを抱っこしていたらイライラしてしまうじゃないですか。「子どものせいで…」とも思いかねない。だからあえて自分のために時間を使って子どもだけに集中し過ぎない。そうやってリフレッシュすると、子どもに対しても余裕を持って接することができますよ。おしゃれも楽しんで、行きたい場所にも行って、自分で自分の機嫌をとれるように、自分のためにも時間を使ってくださいね。■書籍情報『発達特性に悩んだらはじめに読む本』(Gakken)著:西村佑美注1)日本小児科医会では、子どもとスマホ・メディアとの付き合い方について情報を発信しています。こちらをチェック♪ →【mamagirl公式X(旧Twitter)でプレゼントキャンペーン実施中!】『発達特性に悩んだらはじめに読む本』をmamagirl公式X(旧Twitter)にて3名様にプレゼント!詳しくは下記をチェック♡■応募要項1.mamagirl公式X @mamagirl_jpをフォロー2.『発達特性に悩んだらはじめに読む本』のプレゼントキャンペーンのポストをリポスト3.2.のポストに希望動機をリプライ応募期間は12/22(日) 23:59まで!当選者様にはXのDMにてご連絡します。ぜひふるってご応募くださいね♡※プレゼントキャンペーンについて西村佑美さん、出版社等の関係各所へのお問合せはおやめください。mamagirl公式XのDMにて受け付けます。
2024年12月15日小学校への就学先どこにした?皆さんのアンケート結果と、寄せられたコメントは?発達ナビでは、2024年10月、会員の皆さまに、発達が気になるお子さんの就学先についてアンケートを行いました。Upload By ユーザー体験談通常学級を選んだ/選ぶ予定…27%通常学級+通級指導教室を選んだ/選ぶ予定…18%知的障害特別支援学級を選んだ/選ぶ予定…20%自閉症・情緒特別支援学級を選んだ/選ぶ予定…25%特別支援学校を選んだ/選ぶ予定…10%小学校での進路について、最も多かったのは「通常学級を選んだ/選ぶ予定」の27%で、次いで「自閉症・情緒特別支援学級」が25%、「知的障害特別支援学級」が20%と続きました。そして、「通常学級+通級指導教室」が18%、「特別支援学校」が10%となっています。皆さんわが子にはどこがあっているか、悩まれて慎重に選んでいる様子が伺われます。アンケートに寄せられたコメントはこちら。Upload By ユーザー体験談進学する小学校には情緒学級はなかったし、就学時検診でも特に何も言われなかった(こども園には発達障害は伝えていました)ので、とりあえず通常学級を選びましたが、1学期後半から問題行動が増えてきて息子も私も大変な思いをしました。2年生に進学し、情緒学級の新設を学校にお願いし、3年生から情緒学級に在籍することになりました。もっと積極的に小学校に発達障害の事を伝えておけばよかったと思いました。言葉の発達が遅いことは保育園でも言われていたのですが「みんなこんなものかな」と特に相談に行くこともなく通常学級へ入学しました。結果、文字が読めず、発言もできずクラスメイトに悪意なくバカにされ自己肯定感がどんどん下がり毎日学校を嫌がり泣いて過ごしていました。知的判定を重視し、支援学校で障害者として生きるための術(自立)を身につけるか。現在の姿を重視し、集団生活の中で社会性を伸ばすか。ギリギリまで悩みに悩み「今、子どもが必要としていること」を重視し、支援学級に行かせることを決めました。現在小学二年生。入学直後からすぐに学校生活に順応し、さまざまな刺激や困難に揉まれながらも大好きな先生や友だちと充実した毎日を送っています。皆さん「ああすればよかった」「いい選択ができた」などさまざまです。その他の回答についてはこちらからご覧いただけます。【小学校への就学先アンケート】通常学級、特別支援学級、特別支援学校どこにした?希望は通った?みなさんの経験を教えてください!次に、アンケートに寄せられた体験談の中から、小学校入学や中学校進学についてのエピソードについてご紹介します。小学校では知的障害特別支援学級を、中学校では「学区の知的障害特別支援学級」「国立大学附属の特別支援学校」「国立大学附属小中学校の知的障害特別支援学級」で迷われたというあきっちさん。どのようにして決めたのか、また進学後のご様子についても教えていただきました。ぜひご覧ください。【読者体験談】年長でほぼ月1ペースで小学校を見学、特別支援学級に決めたわが家わが家の息子は現在小学校6年生。3歳児健診での指摘をきっかけに療育へ通いだし、6歳の時に軽度知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。学区の小学校は幸いにも特別支援に力を入れていて、年長の時はほぼ月1ペースで小学校の行事に参加、小学生になった息子が安心して楽しんで過ごせる場所はどこか模索し続けました。通常学級、特別支援学級(この小学校にあるのは知的障害特別支援学級のみでした)ともに見学しましたが、息子がよりリラックスして楽しんでいられた特別支援学級を選びました。楽しい6年間、保護者参加型の授業、交流級、息子の成長、そして少しの後悔特別支援学級での6年間、息子は行き渋るどころか、毎日学校に行くのを楽しみにしています。特別支援教育に理解が深いこともあり、通常学級の児童たちにも特別支援学級のことを知る機会を持たせてくださるので、みんなに受け入れられて楽しく過ごせているようです。感謝の気持ちでいっぱいです。特別支援学級の授業参観には保護者参加型の授業が多くあるのですが、そこでみんなでポテトサラダを作りました。息子は調理の過程を楽しんで、できあがったサラダを食べて嬉しそうな笑顔。また外国語の授業では、タブレットを使用して外国語のポスター作りにも取り組んでいました。息子はエコラリアが英語というくらい英語が大好きなので、とても楽しかったそうです。交流級では理科と体育がメインで、家庭科の調理実習なども一緒に行っています。理科の実験は大好きなようで、積極的に取り組んでいるようです。6年生になってから、「『みんなと一緒に頑張る』という意識が強く感じられるようになってきた」と特別支援学級の担任の先生から教えてもらいました。Upload By ユーザー体験談担任の先生方も温かく支えてくださいました。3年生から4年生の間は少し控えめ先生が担任でしたが、息子はこの先生をとても慕い、離任式では先生にハグして別れを惜しんでいました。5年生以降は最初から一緒だった担任の先生が再び担任となり、息子との絆をさらに深めているように思います。一つ後悔があるとすれば、交流級での英語の授業のことです。4年生に進級する際、交流級で英語受けられないかと先生と相談したのですが、コミュニケーション力が問われるので、そこでつまずいて大好きな英語に苦手意識を持ってしまうともったいない……と言われ、それももっともだなと思ったのです。ただ先日、学校で保護者向けの英語の授業の体験会のようなものがあり参加したのですが、これならもしかしたらついていけてたかも……と思いました。あの時見学していればよかったと少しですが後悔しています。そしてあっという間に6年生になり、中学への進路を考える時期になりました。先生と相談し、見学に行ったのはこちらの3校です。・学区の知的障害特別支援学級・国立大学附属の特別支援学校・国立大学附属小中学校の知的障害特別支援学級それぞれの感想を紹介します。Upload By ユーザー体験談学区の知的障害特別支援学級への見学は、私だけで行きました(息子は小学校中学校合同行事として、特別支援学級の交流会や学校見学があります)。そちらは今の小学校と同じく複数担任制、習熟度に合わせて2グループに分けて、各々の先生が授業をされていました。保育園からのお友だちや元クラスメートもいていろんな面で安心できるなと思いました。なにより家からも徒歩数分で通いやすい立地であるのも魅力的でした。国立大学附属の特別支援学校は、自然豊かで設備なども充実しており、息子も少し興味をもったようでした。ただ、やはり授業は実技が多く、国語や数学といった授業が少ないのと、受けるなら第一志望にすることが条件だったので、勉強が好きな息子には少し物足りないかもというのと、単純に発達検査や知能検査の結果の数値的にはじかれるかもしれないなと思いました。国立大学附属の小中学校知的障害特別支援学級は、1クラス6人と決まっており、個人タブレットも駆使して授業を行っていました。その時の授業は国語でローマ字の読み方でしたが、息子はパソコンでローマ字入力をスムーズに行える程度には理解しているため授業内容が息子には物足りないかな……と思いました。またガイダンスで「進学先は附属もしくは県内の特別支援学校高等部です。全日制や定時制などに進学するための(いわゆる受験を目的とした)カリキュラムではないので、そちら方面への進学を考えておられるようならば、当校の受験は考えていただいたほうがいいです」というお話があったので、息子には合わないかな……と思いました。わが家が選んだ進路と決め手わが家が選んだのは、学区の中学校の知的障害特別支援学級でした。決め手は主に以下の4つでした。1、小学校の環境と大きく変わらない雰囲気での授業だったこと2、私の友人のお子さんが通常学級にいること3、家から近いこと4、知的障害特別支援学級の担任の先生とお話させていただい時、交流授業や内申点のことも逐一相談に乗りますと言っていただけたこと息子も納得の選択で、もうすぐ卒業することへのさみしさを感じながらも、進学を楽しみにしているようです。Upload By ユーザー体験談昔はランドセルに背負われてるんじゃないかと思うほど小さかったのに、今となっては母親の私の身長に追いつくほど成長した息子。これからの中学校生活がどういうものになるのかまだ想像もつきませんが、人見知りも場所見知りもあまりない子なので、きっと何とかなるのだろうとわりと楽観的な気持ちでいます。また少し、親の手から離れていくのかな、と少し寂しい気もしなくもないですが、ここまで息子なりに頼もしく成長しているので喜ばしいことですね。いろいろつまずくことも出てくるかと思いますが、母子二人三脚で乗り越えていきたいと思います。Upload By ユーザー体験談エピソード提供/あきっち通常学級、特別支援学級、特別支援学校――小学校への就学先を決断すること就学先を選ぶことは、家族にとって大きな決断です。選択肢が複数ある中、どの道が子どもにとって最善かを悩むのは当然のこと。「特別支援学級を選んでよかった」と安心する方もいれば、選択後も「これで本当に正しかったのか」と考え続けることもあるでしょう。ですが、たとえ選択に迷いや後悔が残ったとしても、その時「最善だ」と思う道をその都度選び直すこともできます。進学後も、学校と連携をとりながら子どもの成長を見守る日々が続きます。これからもその時その時のお子さまに向き合いながら、成長をサポートしていきたいですね。(監修:新美先生より)小学校就学時から、6年間特別支援学級での日々、さらに中学校進学への準備と選択について、たくさんのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。小学校進学時も、中学進学時も、選択肢になりうる場に、できるだけ見学や体験をしたうえで、しっくり合いそうな場所を見つけるのがいいですよね。息子さんは、年長で月1回ペースで小学校の見学に行ったのはすごいですね。これだけ見学を重ねると、場にも慣れて入学時もスムーズにいきそうです。これだけの回数見学に行けるというのはめったにないことかもしれませんが、ぜひ読者の方々も参考にしていただけたらと思います。小学校は充実して過ごすことができて、さらに中学校進学の進路選択ですね。中学の進学は、卒業後の進路もある程度見据えて検討する必要があります。とは言え、3年間の日々の充実の先に本人に適した進路が見えてくるので、卒業後の進学先を決めてしまって中学の生活の場を選ぶのは本末転倒になることには注意が必要です。息子さんの場合は、いくつかの選択肢から、小学校での生活をふまえてご本人が充実して過ごせそうなところを選べたようですね。ご本人が納得して進学できたことがなによりですね。たくさんの選択肢から吟味される過程が、皆さんの参考になったと思います。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年12月13日結婚相手を選ぶ際には、相手の性格や価値観をしっかりと見極めることが重要です。今回は、後悔することのないよう、結婚前に警戒すべき男性の特性を紹介します。謝罪をしない性格ミスをしても謝らない、もしくは自分の非を認めず正当化する男性は、共感力や他人を思いやる心が不足している可能性があります。こうした性格の男性との生活は、長い関係の中でストレスとなるでしょう。パートナーへの関心の欠如話を聞かない、相手に気遣わないといった行動は、共感力不足を示しています。このような無関心な態度は、結婚生活で大きな溝となってトラブルに発展する可能性もあります。感情共有ができない二人の間に何か話題があっても共感しあえない場合、精神的な疲労や孤独感を招くでしょう。家計の放棄「夫が美容に目覚めたのはいいんですが、買うものがほぼ高級なものばかり。私はプチプラで済ませているのに、夫は家計もお構いなしなんです。お小遣いの範囲内を超え、ついに共有のクレジットカードにまで手をつけ始めて、私は我慢の限界が来ました。」(30代/女性)家計を顧みず好き勝手に買い物をしてしまうパートナーには気をつけましょう。結婚後、給与や貯金面の価値観が合うか確認することは大変重要です。(愛カツ編集部)
2024年11月20日発達障害のある子どもに処方される漢方ってどのようなものがあるの?発達障害の特性があり、環境調整だけでは対応できない場合には、漢方薬を内服することもあります。漢方の特徴・基本的な考え方は以下のように記されています。古来に中国から伝わり、日本において発展してきた医学が漢方医学であり、後ほど西洋から日本に入ってきた蘭方(西洋医学)と区別するためにこの名前がつけられた。漢方薬は、漢方の考え方に沿うように、生薬が一定の規則によって組み合わせて構成されたものであり、処方全体としての適用性等、その性質からみて処方自体が一つの有効成分として独立したものという見方をすべきものである。漢方薬は、使用する人の体質や症状その他の状態に適した処方を既成の処方の中から選択して用いられる。引用:ⅩⅣ 漢方処方製剤・生薬製剤|厚生労働省今回は発達障害や特性のある子どもに処方されることの多い漢方薬と、発達障害に合併することもある起立性調節障害に使用される漢方薬をまとめて紹介します。「甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)」は心身の興奮を鎮める効果があり、自律神経の乱れ(いわゆる自律神経失調症)や癇癪に対しても用いられることがあります。不安からくる腹痛にも効果があり、強い不安が腹痛の要因となっている場合には甘麦大棗湯で症状が改善することがあります。・甘麦大棗湯の効果的な症状:癇癪、夜泣き、不眠、ひきつけ、不安からくる腹痛 など・甘麦大棗湯の副作用:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛 など柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、不眠や不安、ストレスによるイライラ、子どもの夜泣きなどがある際に用いられる漢方薬です。柴胡加竜骨牡蛎湯には身体の炎症を鎮める柴胡(さいこ)や気分を落ち着ける竜骨、牡蛎などが配合されています。・効果的な症状:不安、不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ など・副作用:発疹、発赤・かゆみ、腹痛や下痢、胃の不快感 など抑肝散は神経の高ぶりを抑える効果があるといわれている漢方薬です。神経の高ぶりを抑えることで、不眠の改善にも効果があります。もともと子どもの夜泣きに使われていたことで知られていますが、現在では大人の精神的な症状に対しても使われています。・効果的な症状:不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ、けいれん、手足の震え、ひきつけ など・副作用:発疹などの過敏症、食欲不振、胃部不快感、吐き気といった消化器の症状、倦怠感 など朝の起床困難、倦怠感、動悸、頭痛、立ちくらみ、失神などの症状が表れる疾患、「起立性調節障害」の治療にも漢方が処方される場合があります。起立時のめまいなどに漢方が効果があると言われています。・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう): 立ちくらみやめまい、頭痛など・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):胃弱、頭痛、ふらつき、めまいなど・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲労倦怠など・小建中湯(しょうけんちゅうとう):腹痛、疲労倦怠など・真武湯(しんぶとう):冷え性、胃腸虚弱、神経衰弱などその他、発達障害に処方される薬などの関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月10日”大人の発達障害”という言葉を聞いたことはありますか?子どもの頃は困り感がなかったものの、大人になってからミスなどが増え、自身の発達障害に気づくというケースもあるようです。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、後輩からも馬鹿にされてしまいます。ミスばかりの自分に嫌気がさした田所は、会社を仮病で欠勤するように……。友人に相談すると心療内科の受診をすすめられ、勇気を出して受診してみると”ADHD”と診断が。ですが急にはよくも悪くも急には変われず……。”似た感じの人”と会ってみることに…… 悩みを相談してみると……自分を理解することが大切こうすけの友人であるだいごから、「ADHDとの向き合い方」について聞けた田所。それから少しずつ自分自身と向き合うことができるようになったある日、田所は決断をして……。その後、周囲の理解もあり職場の人たちとも上手に関わっていけるように。そして「自分のことも相手のことも知って認めて尊重する」そんな風に人も自分も大切にできるようになりたいと思うようになったのでした。”大人の発達障害”だとわかった田所、あなたの周りで同じような状況だったら、なんと声をかけますか?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年11月03日児童発達支援とは?児童発達支援とは、障害や特性のある未就児を対象とした、児童福祉法に基づく通所支援です。一般的には「児童発達支援」と「療育」はほぼ同じ意味合いで使われることが多くあります。児童福祉法において、「児童発達支援」及び「児童発達支援センター」は、以下のように規定されています。<児童福祉法>児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援その他の内閣府令で定める便宜を供与し、又はこれに併せて児童発達支援センターにおいて治療(上肢、下肢又は体幹の機能の障害(以下「肢体不自由」という。)のある児童に対して行われるものに限る。第二十一条の五の二第一号及び第二十一条の五の二十九第一項において同じ。)を行うことをいう(第六条の二の二第二項目)。児童発達支援センターは、地域の障害児の健全な発達において中核的な役割を担う機関として、障害児を日々保護者の下から通わせて、高度の専門的な知識及び技術を必要とする児童発達支援を提供し、あわせて障害児の家族、指定障害児通所支援事業者その他の関係者に対し、相談、専門的な助言その他の必要な援助を行うことを目的とする施設とする(第四十三条)。引用元:児童福祉法|電子政府の窓口 e-Gov児童発達支援を利用するには「通所受給者証」が必要です。通所受給者証は各自治体で発行しており、発行には医師の診断書や意見書などが必要な場合もあります。自治体によって必要な書類が異なりますので、まずはお住まいの地域の担当窓口に確認をしましょう。児童発達支援を利用する日数には上限があります。子どもや保護者の状況、環境、利用意向などをふまえ、1ヶ月にサービスを受けられる日数が受給者証の発行時に決まります。「児童発達支援」アンケート結果発表!みんないつくらいから通ってる?通ってよかったことは?今回発達ナビでは「児童発達支援」についてのアンケートを実施しました。児童発達支援に通ったことがある方が70%と、多くの方が児童発達支援に通っている(通ったことがある)結果となりました。Upload By 発達障害のキホン参考:みんなのアンケートここからはご回答いただいた読者の皆さんの声をいくつか紹介させていただきます。また、帝京科学大学准教授(社会福祉学修士)として教壇に立ち、フリースクール運営も行っている中里哲也先生にもコメントをいただきましたのでぜひご覧ください。親子で通う児童発達支援に息子が3歳(2歳児)の時から卒園まで通っていました。(ポポポたさん)公立の児童発達支援(いわゆる公立療育)に1歳10カ月から小学校入学まで5年間通園しました。(あまだれさん)歳後半から満6歳になる就学前ギリギリまで、2年6ヶ月くらい。ずっとお世話になりました。(キングプロテアさん)子供は現在小学生ですが、二歳から年長さんまで通いました。(アラフォーママさん)歳半くらいから年中で保育園に行くまで大変お世話になりました。(hatsuneさん)(コメント:中里先生より)児童発達支援施設は、発達に支援が必要な子ども(0歳から6歳の未就学児)を対象に福祉サービスを提供する施設です。子どもの発達を促進し、将来の社会適応能力を高めることを目的として、日常生活に必要なスキル(日常生活動作)の獲得や、認知発達コミュニケーション、集団生活への適応訓練などの支援を受けることができる場所です。児童発達支援に通うきっかけはさまざまですが、保護者や子どもに関わる周囲の大人が言葉や運動能力、社会的スキルの遅れに気づくことが一因になることが多いです。一例ではありますが、保育士や幼稚園教諭からの指摘、そして、定期健康診断での発達の遅れに関する助言も通うきっかけとなります。さらに、医療機関で発達障害や発達の遅れの診断を受けた場合も、児童発達支援施設の利用が推奨されます。加えて、保護者自身が日常生活の中で育児の悩みを感じ、地域の育児相談窓口に行き、支援が必要と判断されることもあります。このように、児童を取り巻くさまざまな大人の気づきによってつながることが多いことが特徴です。先生方が発達に遅れのある子供たちに接する姿を日々近くで見ることができたのが何よりの財産になりました。こういうふうな場合はこんな風に声かけすればいいのだなとかプロの技を色々学べたのがとても貴重な体験になりました。(ポポポたさん)年間、児童発達支援で培ったことは…当時は「何のために通っているんだろう」と思ってはいたのですが、小学生になってから、中学生になってから………何年も経ってから「あ、活きている!」というほどに、本人の「ガッシリした土台」になっていました。親の私も、「発達障害の基礎」を徹底的に叩き込まれたこともあって、今でも役に立っています。(あまだれさん)当時、娘は言葉だけではなく、とにかく。じっとしていられず、椅子には数分と座っていられませんから、他の子のように。同じことをするのはとても難しい状況にもありました。(略)今、思うと親も娘も精神的にも、体力的にも。きつく大変でしたけれども、この勉強の時間があったからこそ。現在の穏やかな日々があるんだなあと、お世話になった全ての方々に、感謝!です。(キングプロテアさん)(コメント:中里先生より)児童発達支援施設では、子どもの発達を支援するために、個々のニーズに応じたさまざまなサポートが提供されます。主な支援内容として、個別療育や集団療育、言語・コミュニケーション支援、日常生活動作の支援、遊びを通じた支援、保護者へのサポートなどがあります。これらの支援は、子どもの発達段階や障害の特性に基づき、専門スタッフが適切に対応します。個別支援計画は子どもの成長に応じて作成されます。まず、初回面談で保護者の希望や子どもの発達状況が詳しく聞き取られ、その後専門スタッフと保護者が協力して支援計画を作成します。支援計画には、子どもが目指すべき目標や、そのために必要な支援内容、家庭でのサポートの方法が含まれます。また、定期的に保護者と進捗を確認し、必要に応じて支援計画を見直します。お子さん一人ひとりの状況に沿った支援が展開されること、加えて、保護者の方の相談者としての役割も果たすため、保護者の方にとっては強い味方になってくれると思います。一方ではこのような意見もありました。支援センターは半年待ち、事業所はどこも一杯で見学すらできず…毎日ネット検索の日々でした。偶然、空きありと記載のあった事業所にすぐに連絡し、見学に漕ぎ着けました。そこで受給者証が必要な事を知り、申請に時間もかかり…開始までに時間がかかりました。保健所でもう少し丁寧な説明があったらな、と思います。(にんじんさん)市の子育て相談に行って「療育センター」を紹介されましたが、(略)バスと電車を乗り継いでいくような場所だったので子連れの移動で時間厳守は無理やねと諦めた。(aoniyoshiさん)現在通っている保育園に比べ 登園距離は10倍ひとりで車に乗れぬころじは 送迎サービスも利用不可施設の設備も現在のころじには危険な箇所がいくつかある…シングルのわしにとっては働く事が困難になる保育時間や内容で辞退せざるを得ませんでした(ろじさん)児童発達支援センターの待機児童数や、地理的な問題などまだまだ課題も多いと言えます。個別支援計画ってどんなふうに策定するの?自治体と民間の児童発達支援施設の併用、小集団のメリットなど児童発達支援についての疑問に専門家が回答!Q:個別支援計画は一般的にどんなふうに策定をするのか知りたいです。どのくらい保護者から希望を伝えていいのでしょうか。A:個別支援計画は、子どもの発達状況や保護者の希望を聞き取り、その情報を基に作成されます。計画には、子どもが将来的に身につけるべきスキルや解決すべき課題に対する具体的な目標と、支援方法が含まれ、家庭で行う支援との連携も考慮されます。支援計画は子どもの発達を支える重要な要素であるので、保護者の方との協議を重ね、見直しや変更等をしつつつくられます。保護者からの希望がある場合には、可能な限り伝えることが大切です。上記のように、施設と家庭の連携はとても重要であり、保護者は家庭での支援方法のアドバイスを受けたり、施設が提供するワークショップや相談会に参加したりすることで、家庭内でのサポート力を強化します。こうした協力関係を通じて、子どもに最適な支援が施設及び家庭で提供され、より効果的な成長が促されることを目指します。個別支援計画は保護者との密なコミュニケーションを基盤に作成され、子どもの発達を包括的に支えるものです。Upload By 発達障害のキホンQ:自治体がやっている児童発達支援に月に数回通っています。もっと通いたく、民間の施設を併用する場合、どのように活用すると良いでしょうか。A:自治体運営の施設と民間施設を併用して児童発達支援を受けることは可能です。どちらの施設も子どもに対してそれぞれの特長を活かした支援を提供します。具体的には、自治体運営の施設は、公的支援を受けながら運営されており、低料金で広く地域住民に利用されることが特長です。発達支援センターなどが代表的で、地域とのつながりや公的なネットワークを通じて一貫したサポートを受けられます。一方、民間施設は、より柔軟な支援や専門的な療育メソッドを提供することが多く、個別のニーズに対応したカスタマイズされたプログラムを受けられる場合があります。これにより、子どもの特性や発達段階に合わせた、より細やかな支援を受けられるのがメリットです。支援には利用日数等に上限が設けられていますが、併用する際はその範囲内で自治体と民間施設の特長を最大限に活かすことができます。例えば、自治体施設で基本的な支援を受けつつ、民間施設での専門的なアプローチを組み合わせることで、子どもの発達に対して多角的かつ包括的なサポートを得ることが可能です。また、併用する場合、支援計画の一貫性を保つため、両施設間での情報共有や計画の統合が重要です。子どもに最適な支援環境を整えることができ、支援の効果が高まります。複数施設の併用は、異なる視点から子どもの発達をサポートし、最適な成長を促すための柔軟で有効な手段となります。Upload By 発達障害のキホンQ:小集団での活動でタイプが違うお子さん、発達段階が違うお子さんが多く不安です。小集団の活動にはどんなメリットがあるのでしょうか。A:小集団で行うプログラムは、児童発達支援においてさまざまなメリットがあります。特に、社会的スキルを学び、協調性やコミュニケーション能力を育むために、集団活動は重要な役割を果たします。小集団では、他者と関わりながら役割を分担し、ルールを守ることで、子どもたちは社会性を向上させます。また、言語的・非言語的なコミュニケーションを通じてほかの子どもとやり取りし、相手の意図を理解しながら自分の考えを伝える能力を発達させることができます。集団の中で自分の意見や気持ちを表現する機会が増えることで、自己表現力が向上し、自己肯定感を育むことにもつながります。さらに、小集団での活動では、ほかの子どもを模倣することで新しいスキルを習得する「模倣学習」が自然に行われます。例えば、ほかの子どもが行う遊びや協力的な行動を見習い、社会的なスキルが強化されます。また、集団活動で直面する困難やストレスに対処する経験を通じて、適応力や自己コントロールの力も育てることができます。感情を適切にコントロールし、ほかの子どもたちと協力して活動を進める経験が、子どもたちの発達に良い影響を与えます。もう一点、小集団のメリットを挙げるとすると、自己肯定感の向上です。何かを成し遂げた際に得られる達成感や喜びを仲間と共有する体験は、自己肯定感の向上につながります。他者との協力を通じて成功体験を味わう経験は非常に大切なものになります。このように、小集団でのプログラムは、子どもたちにとって社会的スキルを習得する貴重な場であり、個々の発達段階や特性に応じた工夫を加えることで、最適な支援を提供することが可能です。一方で、集団には馴染みにくいお子さんがいることもまた事実です。その際には、専門のスタッフとよく相談し段階を踏むなどして小集団プログラムに徐々に参加できる環境づくりに努めることも大切です。Upload By 発達障害のキホンその他、児童発達支援についてのコラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月27日”大人の発達障害”という言葉を聞いたことはありますか?子どもの頃は困り感がなかったものの、大人になってからミスなどが増え、自身の発達障害に気づくというケースもあるようです。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、後輩からも馬鹿にされてしまいます。ミスばかりの自分に嫌気がさした田所は、会社を仮病で欠勤するように……。友人に相談すると心療内科の受診をすすめられ、勇気を出して受診してみると”ADHD”と診断され……?彼女に伝えることに……彼女に”ADHD”だと打ち明けた勇気を出し、彼女に診断結果を打ち明けた田所。昔から田所を見ている彼女は寄り添うような優しさで受け止めます。その後は自分に向き合い受け入れながら、周囲の理解もあり職場の人たちとも上手に関わっていけるように。そして「自分のことも相手のことも知って認めて尊重する」そんな風に人も自分も大切にできるようになりたいと思うようになったのでした。”大人の発達障害”だとわかった田所、あなたの周りで同じような状況だったら、なんと声をかけますか?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年10月25日きょうだいで異なる発達支援施設の利用状況私には2人の息子がいます。長男けんとは現在、小学3年生。特別支援学級の情緒クラスに在籍しています。3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。構音障害があり、集団行動が苦手で不注意。好きな数字や興味のあるものに一直線のマイワールド全開な男の子です。発達障害グレーゾーンの次男ゆうきは小学1年生。通常学級に在籍しています。発語が遅く、3歳の誕生日頃に話したいスイッチがオン。言葉が出始めたら一気に出ました。小さい頃から不安が強く、極度の負けず嫌いで、心配性な男の子です。2人とも幼少期からずっと発達支援施設を利用していますが、通っている日数は違います。Upload By ゆきみまず、就学前について。けんとは、こども園の放課後に児童発達支援事業所へ週4~5日(平日のみ)。ゆうきは、こども園の放課後に児童発達支援事業所へ週2日(平日のみ)通っていました(ゆうきは、残りの週3日はこども園の預かり保育を利用)。小学生になった今は、2人とも放課後等デイサービスに通っています。けんとは学校からの送迎があるA事業所、隣の市町村にあり送迎は保護者が行うB事業所の2か所。ゆうきは学校からの送迎があるC事業所に通っています。2人とも通うペースは就学前と変わらず、利用する日は15時頃~18時頃まで過ごしています。2人が一緒の事業所に通うと2人だけで遊んでしまう可能性が高かったので別の事業所にしました。そして、その子にとって、その時々で抱えている本人の困りごとや、身につけたいこと、日常生活を考えて、このペースになりました。長男にとっての放課後等デイサービスの存在Upload By ゆきみ長男けんとが、将来に向けて身につけたい課題は本当に山積みです。できるようになることが少しでも増えてほしい、どうすれば本人が安心して生活できるのか……など、私はけんとの将来について心配する日々です。けんとにとっての発達支援施設は、「できるようになってほしいこと」を、それが「今」必要か、「もう少し成長してから」なのか、「どのようにすれば、いつかできるようになるのか」……などを施設の先生からのアドバイスをいただきながら、一緒に整理している場所でもある気がします。手厚く、目の行き届いた放課後等デイサービス。先生と相談したりする中で親子で学んでいると思います。ちなみに今課題として掲げているのは、「人の物を勝手に触らない。触る前に許可を取る」です。けんとは、人の物を勝手に借りてしまったり、気になる物を見つけると、人の物でも触ってしまったりするのです。マイワールドが強いけんとは、以前は1人での遊びを好んでいましたが、放課後等デイサービスを利用していく中で、人と関わる遊びにも少しずつ興味をもつようになりました。通っている施設には定番のアナログゲームや、手先を使うおもちゃ、ボードゲームなどがたくさんあり、休み時間に遊べます。けんとの場合は「特定のお友だちと遊びたい」というよりは、「やりたい遊び」があって、それを誰かと遊びたいようで、最近よくボードゲームをしているそうです。同じ施設に何年も通い、安心できる先生、友だち、環境の中で過ごしながら、誰かと一緒に何かを楽しむという、家では体験できないことも、少しずつ楽しめるようになっている気がします。集団下校や習い事もしたい、次男の場合は…次男ゆうきにとっての放課後等デイサービスの役割は、少しけんととは違うところもあるように思います。ゆうきは、昔から集団行動はできますが、年中までは1人遊びばかりでした。しかし、年長になりこども園でお友だちと楽しそうに遊ぶようになりました。その様子を見て、同級生の子たちと同じように小学校からの集団下校に参加するのも必要だと思いました。また、習い事や、お友だちと遊ぶ時間もつくろうかなと思い、放課後等デイサービス利用は週2日にしています。Upload By ゆきみ通っている放課後等デイサービスでの休み時間、ゆうきは身体を動かして、よく遊んでいるそうです。ゆうきにとっての放課後等デイサービスは、本人の課題である気持ちのコントロールや社会性を学ぶだけでなく、ストレス発散の1つになっている気がします。ちなみに今課題として掲げているのは「負けても怒らない」と「自分の意見があっても、人の発表の番の時は聞いて待つ」です。「毎日でも行きたい」と言っているので、今後通うペースはいろいろな方とも相談しながら考えていこうと思っています。私にとっての放課後等デイサービスの存在わが家の子どもたちだけでなく、私にとっても発達支援施設はなくてはならない存在です。抱えている日頃の子どもについての困りごと、どのように対応したらいいのか分からないことを相談し、アドバイスをこれまでたくさんいただいてきました。相談したい時にすぐそばにある、心の安心に繋がる場所なのです。けんとの通っている放課後等デイサービスでは、保護者向けの勉強会や、ペアレントトレーニング、視覚支援グッズづくりをする会などが開催されています。先輩ママ・パパの体験談が聞ける会などもあるので、本当に勉強になります。Upload By ゆきみ放課後等デイサービスに通っていると「今日、こういうことでお友だちとケンカしてしまいました」「この課題には参加できませんでしたが、次回はこうやってみようと思います」など、自分の子どもに関する「うちの子データ」が少しずつ蓄積されるので、子どもが抱えている目の前の課題も見えやすいです。これからも、きょうだいそれぞれのペースで、少しずつ人との関わり方や社会のルールを学んでいけたらと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)長男けんとくん、次男ゆうきくん、それぞれの発達支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)を利用する実際やゆきみさん一家にとってのその意義についてシェアありがとうございます。お子さんそれぞれの課題や利用する意味合いにあった内容が提供されていること、スタッフの方とのやりとりで親子共々支えていただいている感じがすること。読んでいて、そのような事業者さんにお願いできているのがとてもよかったなぁと思います。地域によって事業所の数や、対象としているお子さんの層がさまざまである面もあるので、お住まいの自治体で情報収集をしていただければと思いますが、こちらのエピソードで紹介されたような利用の在り方はとても理想的だなと感じました。お子さんが放課後等デイサービスや療育などで、「○○してしまいました」という話をスタッフの方から報告を受けると、保護者の方によっては、つらくなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。もちろんトラブルや未達成の課題がないことが望ましいですが、ただ、そうした“うまくできないこと”に取り組むこと、そもそもそうした苦手な状況をあぶり出すこと自体もそうした場ではとても大切な介入です。スタッフの方々は保護者と共に、お子さんの育ちを支えてくださる方々です。うまくできない報告も耳が痛い思いをするかもしれませんが、一緒にやっていくための報告です。それを聞きながら一緒にどうするか、どんな風に支援できそうか考えていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月23日LITALICO発達特性検査の検査結果レポートを見て、これはもう「本」だと思った以前、LITALICO発達特性検査が「お子さまの特性と支援のノウハウをまとめたボリュームたっぷりの一冊の“本”になります」という話をしました。今日はその、“本”のような検査結果のレポートについて、詳しくお話ししようと思います。私は、LITALICO発達特性検査では、企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当しましたが、実際に検査結果のレポートを見たのは、開発が最終段階となった頃、サービスが発表される少し前でした。サンプルとして、レポートをプリントしたものを手に取った時、「検査結果だけど、これはもう、その子オリジナルレシピの“発達支援の本”だ」というふうに感じました。インターネット上でも見られますが、PDFをダウンロードして、プリントして綴じると、ボリュームも人によっては書籍と同じくらいのものが出力されるし、具体的な対応方法まで載っていて読み応えたっぷりで、「検査結果」というよりむしろ、その子について書かれた「本」に近いのではないかという印象でした。悩みや気になることが出てきた保護者の方へ、お子さまサポートの入門書としてこの検査結果レポートを「本」として捉えると、お子さまの発達が気になり始めた保護者の方に、とてもいいなと思っているんです。「うちの子の発達について、気がかりなことがある」「困りごとが目立ってきたり、園や学校の先生から指摘をされた」など、気になることや悩みが出てきたとき、まずはインターネットで検索したり、書店や図書館に行って書籍を探すという保護者の方も多いのではないでしょうか?その中で、「発達障害」や「ASD(自閉スペクトラム症)」・「ADHD(注意欠如多動症)」・「学習症」といった言葉に出合うかもしれません。今、書店に行くと、たくさんの発達障害関連の書籍が置かれていますよね。そうした書籍を何冊も買って、熱心に読まれたという方もいらっしゃると思います。でも、「何冊か読んで、なるほどというところもあったけれど、結局うちの子には、なんだかフィットしないな」と感じたりする保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、最近気になることが出てきて悩み始めた、というような保護者の方だと、書籍を自分で探してぴったりの情報を得るのはハードルが高いかもしれないですね。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査は書籍と検査、それぞれの「いいとこどり」私自身、発達障害やお子さまの発達支援に関する著作が10冊以上あります。また、公認心理師として、実際に心理検査を含む臨床の現場にも立っています。その立場からすると、今回のこのLITALICO発達特性検査の検査結果レポートというのは、書籍と検査、それぞれでできたらいいなと思ったことと、それぞれでこれまでできなかったことを「いいとこどり」したようにも見えます。それぞれについて、少し説明しましょう。いろいろな発達障害の書籍を読まれている方、すごく多いと思うのですが、自分のお子さまに合うところと、自分のお子さまとは書籍に書いてあることがちょっと違うよな、ということもあると思うんですよね。先ほどフィットしないといったのは、例えば、「自閉症かもしれないな」と思って書籍を読んだけれど、うちの子はこだわりは強くて当てはまるけれども、感覚過敏性はなさそうだから、その点ではちょっと当てはまらないな、と感じるといったケースは多いと思います。発達特性は人によって違うし、困りごとの現れ方もそれぞれで違うからです。また、「そこまで強い困りではないが、傾向があるな」と感じている場合に、書籍などで使われる「障害」という言葉に違和感を覚えることもあるかもしれません。書籍は、よくあるケースや困りの強いタイプ、医学的に典型的なタイプについて書かれていることが多いと思います。もちろん、そうすることで多くの方に合う内容になりますし、よりイメージしやすくなっていると思います。でも、全ての症状や特性が強く満遍なく現れるケースはあまりありません。実際には、書籍に書かれている各障害の典型的なタイプで全ての症状が当てはまって、困っていることや程度も同じ、書籍に書かれているそのままの方法でサポートがフィットしたというお子さまは、そんなにいないと思うんですよね。一人ひとり、特性の現れ方も違いますし、困りごとになって現れることも違います。だから、本当は対応方法も人によってカスタマイズしないとうまくいかないこともあるんです。その意味では、書籍というのはどうしても、みんなが着られるようなフリーサイズの服のような情報になってしまって、その人に合わなかったり、着心地が悪いな、ということもあると思うんです。書かれている内容が、当てはまるところも一部あるけれども、ほとんど当てはまらないという人もいる。自分でも、書籍を書くときには、その点が悩ましいことでもありました。もっと一人ひとり本人に合うように書いてあげたいけれども、書籍だと、どうしても限界がありますよね。フリーサイズで書くしかない。たくさんの書籍の中から選んでもらって、さらにそれを何冊も読んだ中から、読者の方に情報を取捨選択してもらわないと、自分の子どもの特性を理解することは難しい、ということになります。自分でカスタマイズしてもらう必要があったと思うのです。それが、LITALICO発達特性検査では、質問項目に答えることで、アルゴリズムで必要な情報にカスタマイズしてオーダーメイドの「本」に仕立ててくれる。そういうイメージで捉えると、親子の困りごとに向けた「本」ができる、今までにないようなサービスだと思っています。もちろん、書籍は一般的な知識や専門的な内容を網羅的に得るために、とてもいいと思います。支援法や考え方もたくさんあるので、それぞれ読むことでヒントが得られることも当然あると思います。実際に検査を受けたあと、理解を深めるために書籍も併用していただくといいと思います。一般的な心理検査は、結果が大体A4くらいのレポート1枚にまとめられて渡されるというのが多いかもしれません。検査を実施している機関によっては、直接内容の説明を口頭でしたり、補足の内容をもらえることもあると思いますが、レポートとして詳しく伝えるというイメージではないですね。特に、結果を受けて、次の日から家庭でどう対応したらいいかという情報は、レポートだけでは、ほとんど触れられていないですし、専門家ではない保護者の方が自分で読み解いて情報を得るのは少し難しいかもしれないですね。保護者の方が読んで理解しやすくてすぐに役に立つためというよりは、専門家が評価して支援に役立てることを目的にしているということが前提にあるからです。こういった点から、保護者の方が具体的にどうするか、今できることは何かを見つけるという観点では、なかなか心理検査の結果だけでは足りないこともあるのではないか、と感じることもあります。LITALICO発達特性検査は、インターネットで気軽に受けて、その結果がフィードバックされるサービスです。名称に「検査」とついていますが、これまでの心理検査とはちょっと違って、フィードバックに重点が置かれていることが特徴です。困りごとや特性が現れる背景要因だったり、支援方法や環境調整のあり方の解説が中心になっています。つまり、保護者の方向けに、具体的なサポートに直接つながるような情報がまとめられている。そういう意味で、今までの、みなさんがイメージする「心理検査」とはちょっと違うものかもしれないですね。もちろん、その子の支援についてどうすればいいか、その子のことについてを調べるという意味での「検査」ではありますが、ある意味、一人ひとりにカスタマイズされたその子にあったオリジナルの発達支援の「本」になって現れるサービスだと思ってもらえるとイメージしやすいかもしれません。お子さまサポートの入門書としてUpload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO特性検査は、サポートの出発点になるような情報がまとめられています。最近気になることが出てきて、自分のお子さまの発達に疑問があるけれども、まだ相談機関に行くまでではない、という段階の保護者の方に特によいのではないかと思っています。インターネットで受けられて、結果がすぐに分かるという意味で、とりかかりやすい仕組みです。しかもLITALICO発達特性検査は障害の有無や診断を目的としたものではないので、受検に対しての心理的ハードルも比較的低いのではないかと思っています。保護者の方には、「明日からどうすればいいか」という示唆が得られる検査であると考えていただくと、受検しやすいかもしれません。検査結果は、全体で177万文字以上のテキストから、お子さまに当てはまる内容や、お子さまに合いやすい対応方法がアルゴリズムで出し分けられて出力されます。受検される保護者の方はお子さまの日頃の様子を振り返って質問項目に答えるだけで、何冊分もの情報から、自動的にそのお子さまの特性や困っていること、対応方法について必要なところだけまとめてもらえる、というイメージです。また、お子さまの困りがどのような背景要因から現れるかが説明されているので、お子さまについて理解するのにも役立ちます。保護者の方が理解しやすいような内容や、家庭で取り組みやすい内容が具体的に解説されているので、まさに「その子の発達支援の入門書」のようなイメージで読んでいただけるのではないでしょうか?もちろん、基本的な知識をお持ちの保護者の方や、すでにサポートを長くされている保護者の方にとっても、お子さまの特性や支援を再整理していくために活用していただけます。支援者や園・学校の先生といった周りの人にも検査結果レポートを共有して、読者になってもらうといいかもしれないですね。レポートの量が多いので、全て読んでもらうのは難しいかもしれないですし、内容がそのまま個別の支援計画や個別の教育支援計画になるわけではないのですが、共有しながら何を重点的に取り組むか、教育目標をつくるための参考になると思います。話し合ったり、家庭での見立てと園・学校での見立ての同じところ、違うところ、試してよかったことや合わなかったことを共有してすり合わせるための材料としても役立つと思います。お子さまの特性理解の入門ツールとして、もっと気軽に「検査」というと、保護者の方にとっては、何かを判定されたり、周りと比べられたりするのではないかというイメージがどうしてもあるかもしれませんが、LITALICO発達特性検査は、親子にカスタマイズされた1冊の「本」を手に入れるくらいの気持ちで、もっと気軽に受検していただけるといいなと思います。ちょうど、書籍1・2冊くらいの価格です(笑)。本屋さんに行ったり図書館で自分で書籍を探してたくさん読むのがちょっと大変だな、という方にとって、よりお子さまの特性に合うよう、おすすめの内容に編集された「本」がもらえる、そんなイメージです。もちろん、LITALICO発達特性検査を「入門書」のようなものとして、さらに知りたいときやサポートが必要なときには専門家や相談機関に繋がっていただいたり、書籍を手に取っていただいたりするのがいいと思います。これまでの心理検査と書籍、実際にお子さまの支援の場面で使うには難しかったところが解決できる、それぞれのいいところが組み合わさったツール。そんな使い方をしていただくことで、この検査は親子にとっての出発点になるのではないでしょうか。少しずつ読んで具体的な方法を試したり、実際に試してからまた読み返したり、結果レポートをずっと手元に置いていただいて、受検された保護者の方にとって、愛読書となるといいなと思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月18日不器用さをからかわれるようになったASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)息子。それはやがてイジメに発展して……現在高校2年生の息子は、小学1年生でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)と診断されています。中学1年生の時に不登校気味になりました。不登校気味になったきっかけは、入学後間もなくあった係、委員会決めでした。息子のクラスは、学級委員長がなかなか決まらず、話し合いが長引いたそうです。早く帰宅したかった息子は、仕方なく手をあげたそうで……。そして学級委員長になったのですが、息子はLD・SLD(限局性学習症)の特性から議題などを黒板に書くことが難しく、クラス目標を模造紙に書いて黒板の上に貼っても、「文字のバランスが悪くない?」「早く書いてよ!」という言葉が飛んでくることもたびたびあったそうです。それに加えて、不器用なため掃除の際にホウキを使ったりゴミを集めるのにも苦労し、給食の盛り方も上手くいかず……。これらについてクラスメイトからからかわれるようになり、そこから少しずつイジメに発展、息子は不登校気味になったのでした。Upload By ユーザー体験談息子にとって大きな存在だった発達障害のある親友A君。A君は中学校では完全不登校にここで、中学校入学前について少しお話をさせていただきたいと思います。息子には保育園年少から小学校6年間同じクラスだった親友のA君がいます。A君にはADHD(注意欠如多動症)があります。二人とも小学校は通常学級に就学をしたのですが、息子は小学校1年生の秋から通常学級に在籍をしたまま特定の教科だけ特別支援学級へ通うようになり、A君も息子と同様に小学校3年生から通常学級在籍のまま特別支援学級に通うようになりました。いつも一緒に授業を受け、お互いに得意な教科が違ったので教え合う仲でした。A君は朝起きることが苦手なため不登校気味な面がありましたが、二人はいいコンビだったと思います。※通常学級在籍の場合、個別の支援は「特別支援教室」もしくは「通級指導教室」で行われます。もしくは特別支援学級に在籍し、特定の科目を交流級にて受ける形をとります。この体験談のお子さまについては、学校の判断により、通常学級に在籍しながら一部の科目について特別支援学級で受けています。Upload By ユーザー体験談中学校に進学する際、息子もA君も小学校時代同様に通常学級在籍で特別支援学級に通うような配慮が決まっていたので、学校へ「二人一緒のクラスとにしてほしい」とわが家もA君の家もお願いしていました。しかし、実際に入学してみると通常学級のクラスも、特別支援学級のクラスどちらも息子とA君は離れてしまいました。これが原因でA君は「学校を信用できない」と完全に不登校となりました。A君が登校していたら、息子も不登校気味にならなかったかもしれません……。「俺、なんで生きているんだろう……」このままではダメ、息子の居場所を見つけるために奔走し見つけたある場所不登校気味になった息子は、しばしば「俺、なんで生きているんだろう……」といった発言をするようになりました。なんとか二次障害を避けたいと思った私は、学校以外に通える場所を探しました。そしてある「発達障害や不登校の子を受け入れてくれる支援教室」を見つけそこへ通いだしました。そこは、もともと学校の先生をしていた方が運営されていて、家庭だけでなく学校側へもサポートをしてくださいました。息子はその教室を気に入ったようで、通う日を楽しみにするようになりました。余談ですが、現在はこの教室を卒業し、そちらでアルバイトをしています。不登校気味でつらい時期でしたが、そこであったご縁はかけがえのないものになりました。中学2年生のクラス替えで、ついにA君と一緒のクラスにこの学習支援教室に通ったり、行けるときは学校へ登校したりしながら1年が過ぎ、中学2年生になった息子。クラス替えが行われ、ついにA君と通常学級も特別支援学級も一緒のクラスになりました。すると、それがきっかけで不登校気味だった息子と完全不登校だったA君、二人とも学校に通えるようになったのです。前日に約束をして一緒に登校するようになり、お互いに携帯電話をもち始めたため、連絡をよくとりあって、お互いが心の支えになっているようでした。息子に学校はどうと聞くと、「二人で居るから大丈夫」という頼もしい言葉が返ってきました。Upload By ユーザー体験談嫌なことも好きなことも熟知している間柄が功を奏し、少しずつ友達関係もひろがっていきました。A君は、コミュニケーションに困難さがないので、息子はA君に引っ張ってもらい友達との関わり方を学んだようでした。A君は、息子から衝動的な行動は良くないことを学んだと聞きました。それぞれ違う通信制高校へ進学した今の二人は現在、息子は高校2年生です。息子とA君はそれぞれ違う通信制の高校へ通っています。息子は週3回スクーリングがある学校、A君はIT技術が身につけられる学校です。学校は違えど、A君の家には月1ペースで泊まりに行ったり、週末は遊びに行ったり仲良くやっています。アルバイトで貯めたお金で、A君を含めた数人で東京へ遊びに行くまでになりました。Upload By ユーザー体験談息子は得意不得意の差が大きく、これから乗り越えなければいけないハードルも高いものが多いかもしれません。ですが、A君のおかげで周りの人の助けを借りることを学んだ息子は、どんなつらいことも乗り越えることができると信じています。困っていることを困っていると言えることは、決して恥ずかしいことではありません。息子が今後進学を希望して一人暮らしを始めるのなら、大事な力になります。息子よ、学力だけでなく、生きる力を身につけていってください。母は応援してますよ。イラスト/マミヤエピソード参考/しのっぺ(監修:森先生より)不登校から脱することができた体験談を聞かせてくださってありがとうございます。発達障害の傾向があると、不器用な部分があることが多く、どうしても同世代の集団の中で目立ってしまうことがありますよね。そこで、理解しようと歩み寄ってくれるのか、からかいの対象とするのか、その集団の子ども達一人ひとりの性格によって、学校生活の送りやすさが変わってきます。一人でも理解してくれる友達がいるとだいぶ楽なのですが、クラスが離れてしまうと、傷付いてしまうことも多くつらいですよね……。そんなときには、学校以外の居場所を見つけることもひとつの手です。趣味や習い事の教室でもいいですし、ボランティア活動でもいいかもしれません。とにかく、どこかひとつでも「居場所がある」と感じることができると、傷付いた心の回復度合いがだいぶ違うのではないでしょうか。今回のように、学校とは別の「支援教室」に通うというのは、とても良い選択だったと思います。お子さんの特性に理解があり、学校生活に馴染むためのトレーニングも行うことができるところであれば、居場所にもなりサポートにもなりますね。お子さんが学校に行きたがらないときには、無理に学校に行こうとするのではなく、ほかに安心できる場所、勉強や集団行動を身につけることができる場所を探してみるといいでしょう。学校に通うことは、あくまでも手段であって目的ではありません。お子さんが健やかに育つことが目的なわけですから、お子さんの気持ちに寄り添いながら、一番良い方法を探していけると良いですね。これからも応援しております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月17日わが子の就学先、選択のポイントは?進路選択にまつわるコラム子どもの幼児期に発達障害や発達に特性があることが分かった場合、多くの保護者が小学校入学前から悩み始める「わが子の進路」問題。先輩保護者の皆さんが、迷いながらも就学先を決断したポイントはどんなものだったのでしょうか?また、わが子の障害について周囲の理解を得ることに苦労した……という方も。発達ナビライター陣や読者の皆さんから寄せられた体験談をご紹介します。4歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けた息子さん。小学校入学後「特別扱いや配慮はできない」と言われ、小学1年生の2学期に自閉症・情緒障害特別支援学級のある学校へ転校する決断をしました。不安もあったものの、そこで転機が訪れて……。中高一貫校に通う中学2年生の息子さん。幼稚園年中の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。おだやかでおっとりした性格の彼が中学受験にチャレンジしたきっかけ、勉強の様子や進学先選びについて教えていただきました。現在6歳の息子さんは、3歳9ヶ月でDQが80で境界域といわれました。就学相談の結果、小学校では特別支援学級へ就学することを伝えると、実母に反対されてしまい……。小さい頃からの困りが、やがて勉強のつまずきに繋がって……。中高生の勉強にまつわるコラム子どもが成長するにしたがって、困りごとの性質も変わってくるもの。ご紹介するコラムは、小さい頃からの困りごとが、中学生・高校生になった時に勉強のつまずきとして表れたというエピソードです。高校1年生でASD(自閉スペクトラム症)と診断された息子さん。診断の時期が遅かったため、合理的配慮のない中で学校生活を過ごしてきました。中学から勉強につまずき、高校3年生になって就職を目標に頑張ることにしましたが……。寺島ヒロさんの長女・いっちゃんは、小学5年生から中学時代まで不登校でした。発達障害と睡眠障害(非24時間睡眠覚醒症候群)があり、朝決まった時間に登校することが難しかったため、通信制の高校に進学しました。大学受験にチャレンジしたいと決意を新たにしましたが、小学4年生の学習範囲からの遅れはいかんともしがたく……。子どもが「園や学校に行きたくない」きっかけは?行き渋り・不登校にまつわるコラムわが子の行き渋り・不登校にお悩みの方も多いのではないでしょうか。園や学校に行きたくない理由はお子さんによってさまざまですが、発達ナビライターや読者の体験談がお子さんの気持ちを知る手掛かりになるかもしれません。keikoさんの息子・しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。しのくんが5歳頃、突然保育園に行き渋るようになりました。行き渋りの原因はなんと「ゲーム」?毎朝トイレに立てこもり号泣するしのくんに、keikoさんは「与えるのが早すぎた?」と後悔しますが……。スパ山さんの長女・姉子さんは、小学2年生の時にASD(自閉スペクトラム症)と母子分離不安と診断され、小学4年生の時に知的ボーダー、場面緘黙と医師から言われました。姉子さんの発達の凸凹が分かったきっかけは、小学校に入学したと同時に始まった行き渋りでした。10歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さんは、現在14歳の中学2年生。小学校、中学校と不登校、行き渋りを経験していますが、不登校の理由はそれぞれの時期で違ったそうで……。ケガをさせて謝罪、受け入れ先なし、家庭内暴力も……他害にまつわるコラムお友達や周囲の人たちを傷つけてしまう「他害」。傷つけてしまった相手への申し訳なさはもちろん、わが子が加害者となったショックで、保護者もつらい気持ちになりますよね。実際にわが子の他害行動に悩んだ連載ライターや読者の体験談をご紹介します。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレーゾーンで、現在は中学校の特別支援学級に通っています。小学生の頃は切り替えが苦手で、癇癪を起こすことも多かったそうです。ある日、通っている放課後等デイサービスで大きなトラブルを起こしてしまい……。6歳でADHD(注意欠如多動症)、軽度知的障害(知的発達症)と診断を受けた息子さん。小学校入学後は、癇癪が激しく学校では対応できないと言われ、ごく限られた時間のみ登校するような毎日でした。小学1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さん。小学5年生の終わりから昼夜逆転生活、家庭内暴力が始まりました。中学1年生で不登校になり、ますます生活は荒れ、児童相談所へ相談した結果……。まだまだあります!そのほかのヒットコラムはこちらから!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月14日放課後等デイサービスを利用したことがないコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは、中学3年生の今まで放課後等デイサービスを利用したことがありません。小学生の間は探したり空きを待ったりしていたのですが、結局一度も利用することなく小学校を卒業しました。中学生になってからは部活が忙しく、放課後等デイサービスは選択肢から外れている状態です。今は主に発達外来とスクールカウンセリングにお世話になっています。未就学児の間も、支援施設に通っていたのは1年間だけです。3歳児健診の際に勧められた週5回のクラスは定員に達していたため、1年で卒園する規定のある週1回のコースを利用していたのですが、その後も週5クラスの空きは増えずに療育園を卒園しました。そのため、4歳と5歳は保育園のみ通い、支援とは一切繋がりがない状態で過ごしていました。そうして、療育園卒園以降は特にどの支援機関とも繋がりがないまま小学校入学が近づいた保育園年長のある時、ふと「あれ?小学校入学前の相談とかしなくていいのかな?」と気になりました。保育園では先生や同級生の助けを得て過ごすことができたため、大きな問題は目立ちにくくなっていましたが、3歳児健診で「発達障害の可能性あり」と指摘された箇所は卒園が近づいても大きく変わっていないように見えました。Upload By 丸山さとこどこに連絡をすればよいのか分からなかった私は、ひとまず市の保健センターに相談の電話をしました。すると、「小学校内のことはスクールカウンセラーが対応しやすいので、入学後の活動が心配であれば、スクールカウンセリングを受けるのが良いと思います」と教えていただけました。Upload By 丸山さとこ「スクールカウンセラーの先生は、クラスの様子を直接見に行くことができます。学校内でトラブルがあったり、それについての小学校の先生とのコミュニケーションがスムーズに運ばなかったりした場合は、専門家としての意見を踏まえた上で調整を助けて下さることもあります」……と詳しく教えていただき、私は学校に連絡をとりました。そのおかげで、小学校入学後から中学3年生の今に至るまでとても助っています。私は今までに数人のスクールカウンセラーの先生にお世話になっています。「やはり相性の合う合わないは大きいな~!」と実感したこともありましたが、それでもメリットのほうが大きかったと思います。早め早めに動くこと、選択肢を多く持っておくことの大切さこのようにしてスクールカウンセリングという情報を得て助かった反面、当時の電話相談の中では『放課後等デイサービス』の名前が出ることはありませんでした。放課後等デイサービスは2012年4月に児童福祉法に位置づけられた支援です。コウが小学校に入学する頃はまだ選択肢が少なかったのも、今振り返れば「それはそうだろうな」と思います。ですが、三歳児健診で「発達障害の可能性が高い」として療育園への通園を促され、その後支援との繋がりがプツンと切れてしまった私は、当時その状況に戸惑いを感じていました。参考: 放課後等デイサービスガイドライン|厚生労働省Upload By 丸山さとこよく、「子どもが対象の福祉は受け身でいると得られない。保護者の積極的な行動が必要」という体験談を聞くことがあります。それは、コウをこれまで育ててきた中で私も実感していることです。スクールカウンセリングや病院での診察の際に「コウが通える放課後等デイサービスはありますか?」と伺っては、選択肢の少なさと空きのなさに打ちのめされたことは数知れず……「放課後等デイサービスを利用するには、保育園に入る時と同じか、それ以上の『リサーチと行動と運』が必要だな!」としみじみ思いました。早め早めに動くこと、頼れる先を多く持っておくことの大切さそんな風にオロオロしたまま過ぎてしまった『コウが小学生だった頃』に比べると、今は選択肢が多くなったようです。市内を移動中に「あっ、ここにも新しくできたんだ!」と目にするほど支援施設が増えたことを実感しています。とはいえ、まだ順番待ちだったり、合うところを選べなかったりすることも多いだろうと思います。このたった10年ほどの間にもこれほど状況が変わっていったことを考えると、事前リサーチが空振りになることも、きっとあるのだろうなと思います。それでも、調べたことや行動したことは無駄にはならないのだろうということも、私はこの10年で実感しました。3歳児健診にて療育園の情報は貰えますが、連絡や入園手続きは保護者の私が行わなければなりません。スクールカウンセリングを利用しなければ、発達外来の受診や服薬についても様子見期間がもっと長くなっていた可能性があります。そうであれば、コウは今よりも学校生活に疲れ果てていたかもしれません。Upload By 丸山さとこ今回のコラム内では「時期によって状況や得られる情報は変わる」というお話をしましたが、時期だけでなく地域による差も大きなものです。地元に詳しい医師やカウンセラーなどの支援者を頼るほか、地域の親の会に参加するのも選択肢のひとつだと思います。それはそれとして、私は、本来であれば児童福祉に関する情報が得られるかどうかが保護者次第であってはならないと考えています。現状が結果的にその状態であったとしても、「ちゃんと情報を得ないのは親が動かないからだ」と他者から責められるいわれはないし、自分を責める必要もないと思っています。その上で、何とかして多くの家庭が支援に繋がれることを願っています。情報がなく頼れるところがない状況で子育てをするのは大変なことです。書籍やWebサイトの情報を足掛かりに放課後等デイサービスなどの支援に繋がり、多くの保護者と子どもが助けを得られるようになって欲しいと思っています。執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、放課後等デイサービス探しの状況や、児童福祉に関する情報を得る方法などについて共有くださり、ありがとうございました。さとこさんのおっしゃる通り、現在は放課後等デイサービスは増えてきてはいるものの、情報が整備されていて、誰でも簡単に情報にアクセスできる状況かというと、まだ課題がある部分と思います。さとこさんには、学校外の活動である、放課後等デイサービスについてご紹介いただきましたが、それに加えて現在では学校での支援も少しずつ強化されてきています。就学にあたって、特別な配慮・教育を希望される場合や、発達に不安があり就学先について相談・検討をしたい場合には、各自治体で行われている就学相談を受けることができます。特別な配慮・教育を受けられる学校、教室としては、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室などがあり、お子さんの知的能力や、お困りの内容や程度によって、どちらを利用するのが望ましいのかを、専門スタッフで検討します。就学相談を受けられると、その決定した場所に必ず通わなければならないのかと心配に思われる親御さんもいらっしゃるかと思いますが、この決定に強制力があるわけではなく、最終的な判断は親御さんにしていただけるようになっています。放課後等デイサービスを選ぶにしても、学校や教室を選ぶにしても、やはりリサーチは必要ですし、迷われることも多いと思います。このような時には、園の先生方、療育先のスタッフの方々、市区町村の相談先など、地域のプロフェッショナルの方々に相談してみるのもよいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月28日新版K式発達検査とは?新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の状態を観察し、支援に役立てるための検査です。課題への子どもの反応や回答から、発達の状態を多面的に評価します。検査の適用年齢、かかる時間、費用などは以下となります。・新版K式発達検査の適用年齢:0歳~成人まで・新版K式発達検査にかかる時間:生活年齢や検査を受ける子どもの発達によって検査内容が異なります。時間に余裕をもって受検しましょう。・新版K式発達検査の費用:受検の目的や実施機関によって費用が異なります。専門・相談機関でのアセスメントを目的の場合は無料の場合が多く、保護者や本人の希望により民間施設などで受検する場合はその施設が定める料金がかかりますので、受検の前に確認をしておくと安心です。知能検査は学習能力や知識などの認知機能を中心に評価します。検査結果は精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で示されます。一方発達検査は、知能検査と一部重複する認知機能の評価も含みますが、それ以外にも姿勢・運動の発達や言語・社会性の発達など幅広い領域にわたって評価をします。検査結果は発達年齢(Developmental Age:DA)や発達指数(Developmental Quotient:DQ)で示されます。検査結果の見方や準備するもの、心構えなど新版K式発達検査のギモンを専門家が解説!Q:新版K式発達検査を受けるにあたって、準備するものや心構えなどはありますか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンQ:新版K式発達検査を受けたのですが、検査結果の見方などが知りたいですUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月27日LITALICOジュニアスタンダードコースってどんなところ?スタンダードコースは、通所受給者証を使って通うコースで、児童発達支援と放課後等デイサービスの2種類があります。児童発達支援は0歳から年長のお子さま、放課後等デイサービスは小学1年生から高校3年生のお子さまが対象です。スタンダードコースでは、約10人の子どもたちが集団で過ごす場と個別指導を組み合わせ、合計3時間程度の支援を行っています。(※)体験授業では、豊富な知識や経験に基づき、一人ひとりに合わせて楽しく学べるような工夫がされた授業を実際に体験できます。※お子さまの状況やニーズに応じて1.5時間などでの支援提供もしております。詳しくはお問い合せ時におたずねください体験授業を受けてくれるBくんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部今回体験授業を受けるのは、保育園に通う5歳の男の子Bくんです。保育園で友達に手を出してしまうことがあり、「友達と仲良く過ごせるようになってほしい」というご両親の願いから、LITALICOジュニアスタンダードコース・児童発達支援の体験に参加しました。事前にお母さまにお話を伺いました。「Bは手が出てしまうこと以外にも、眠くなると怒りっぽくなったり、落ち着きがないところもあるんです」LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業では具体的にどんなことを体験できるのか、Bくんの1日体験の様子をご紹介します。丁寧なヒアリングでお悩み相談しながら困りの整理ができる!体験授業を申し込むと教室から電話があり、体験授業の内容やその後の流れについて説明があります。その後、お子さまの困りごとを先生が丁寧にヒアリングします(教室やご状況によって、当日行われる場合もあります)。「好きなことがたくさんあって素敵ですね!注意が逸れやすいのは、興味の幅が広いということも関係してるかもしれませんね」「お母さまに手が出やすいのも、お母さまやお家が安心できる場だからこその行動なのかなと思いました。お母さまが汲み取ってくれるからBくんも安心できるんでしょうね」などお子さまのいい面をしっかり分析しているのも印象的でした。お母さまに事前の面談について、感想を聞いてみました。「先生がいろんな視点から質問してくださって、質問の内容もとても的確で、あ、そういえばそうだなと答えながら思うこともたくさんありました」「いろんなお子さまを見てきたから分かるんだろうなと、先生の専門性の高さを感じました。とにかく話していてとても安心感がありました」先生にも、事前の面談でどんなことをヒアリングされているのか聞いてみました。「困りごとは同じでも、その要因はお子さまによってそれぞれです。ですので、より細かくお話を聞きながら、考えられるたくさんの要因のうち、お子さまの困難さはどこにあるのか、困りごとの根底にある要因を見立てていきます」「お子さまはこういう様子がありそうなので、体験ではこういうところを見ていきましょう」というように体験授業で見るべきポイントを提示してもらえるので、お母さまも一緒の目線で体験授業を見られるところもいいですね。Upload By 発達ナビ編集部体験授業では、LITALICOジュニア川崎駅前教室を訪問しました。教室は明るくカラフルで、子どもたちの賑やかな声が聞こえてきます。お母さまと教室にやってきたBくん。数日前まで風邪をひいていたこともあり、体調が万全ではないとのこと。お母さまと離れるのが難しく、予定していた集団授業のお部屋に入ることができません。そこで、先生はタブレットで集団のお部屋の様子を見ることを提案。「ここでお友達がどんなことしてるか見られるんだよ」とタブレットを見せると興味津々のBくん。徐々に笑顔が見られました。先生とほかの教室を一緒に探検したり、好きなもののお話をしていくうちに、Bくんは先生とすっかり打ち解けていました。集団授業に入って体験を受けられる予定でしたが、予定を変更し、このまま個別で行われることに。最初お母さまと離れることが難しかったBくんも、先生と2人でお部屋で過ごすことができました!先生から好きなものを聞かれると答えたり、「これはどうかな?」「こうやってあそぼう!」と自分からもたくさんお話しする姿がみられました。Upload By 発達ナビ編集部このように、お子さまの状況に合わせて、体験できるのは安心ですね。最初はお母さまと離れるのも難しそうだったBくんがここまで楽しそうに過ごせたのはなぜなのか、先生に伺いました。「体験授業は、お子さまのご様子をみて、必要に応じて形を変えて行うこともあります。それは、まずはお子さまに楽しかったなと思ってもらうことを目的にしているからです。そのために、お子さまの興味がありそうなおもちゃを用意したり、お子さまが興味をもたれたものは積極的に共感したりしながら、まずは『楽しい場所だ!』『褒めてくれる人だ!』と思ってもらえるような関わりを意識しています」Upload By 発達ナビ編集部また、Bくんとあそびながらも、Bくんの得意不得意や事前の見立てがあっているかなどを見ながら授業をしていたという先生。先生は具体的にどんなことをされていたのでしょうか。「隣の部屋の音を気にしていたり、先生の持っているシートのにおいを気にしたりしている様子から、もしかしたら感覚の過敏さがあるのかもしれないなと思いました」「また、力いっぱいおもちゃを押す様子があったので、力のコントロールに苦手さがあるのかなと感じたので、『そっと押すとうまくできるよ』と声をかけると、上手に力をコントロールできていました。このように、お子さまの困りごとはどんなところにあるのか、どういう声かけをしたら解消できそうかを考えながら接していました」お子さまも楽しく過ごせている状態で、困りごとの根底にあるもの、どういう支援や関わり方でそれが解消できそうかを専門的な視点で見てもらえるのはうれしいですね。また、先生があそびの中でも、「教えてくれてありがとう」「先生のお話聞いてくれてありがとう」などBくんの一つひとつの行動を見逃さず褒めている姿が印象的でした。※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移しますお子さまの困りの要因や関わり方のアドバイスを教えてもらえる!Upload By 発達ナビ編集部体験中の様子はリアルタイムで視聴でき、体験後には授業中のお子さまの様子や課題の解決方法についてフィードバックがあります。Bくんの体験授業について、先生からは「人も場所もはじめてのところで見通しが立っていなかった中、2、30分でこれだけ慣れることができたので、事前に情報が分かるとBくんのいいところがたくさん発揮できるかもしれないですね」とお話が。的確なアドバイスをしてくれる先生に、お母さまから就学に向けての相談も。「園での様子があまり分からないんですが、手が出てしまうという話は聞いているので、小学校入学に向けて今のままで大丈夫か心配で……」先生からは「通う小学校を事前に見ておいたり、学校の先生と面談をしておくと、どんなことをするところかが分かって安心して通えるかもしれないですね」とアドバイス。また、「園の様子が分からないと不安ですよね。LITALICOジュニアでは保育所等訪問支援を行っているので、指導員が園を訪問してお子さまの様子を見てお母さまに共有したり、LITALICOジュニアでうまくいった方法を園の先生と共有したり、連携することもできるので、一緒に活用されるのもおすすめです」と、実際のサービスを使ったときのイメージがわくような説明も。体験授業のあとにどんなお話をされているのか先生からもお話を伺いました。「体験授業後は授業の振り返りとともに、どういうスキルを獲得すれば過ごしやすくなるかといった個の側面と、どんなふうに環境面を整えてあげれば過ごしやすくなるかといった環境の側面のそれぞれで、LITALICOジュニアではどんなアプローチができそうかといったことをお話ししています」Upload By 発達ナビ編集部体験授業後、お母さまにお話を伺いました。「とにかく褒めて、とにかく居心地のいい居場所をつくることに全力を尽くしてくれる先生がいるという安心感がありました。園で怒られて、家でもうまくいかなかった日も、ここでは絶対に褒めてもらえるということが、子どもの力になるんじゃないかと思いました。体験授業の1回だけでも、子どもが成功を実感して積み重ねていける『成功体験の場』だと実感できました!」「ほかにも、『感覚の過敏さはありますか?』という質問をされたのですが、まさに聴覚過敏気味なのが気になっていたので、『体験の時間だけで見抜くのがすごい!プロの目ってこういうことだ!』と実感しました」Bくんは体験が終わってからも、「次はいつ行く?」とお母さまにLITALICOジュニアのパンフレットを持ってきてくれるそうです。Bくんが楽しめた様子が伝わってきますね!「子どももとっても楽しかったみたいです。親としては子どもが楽しいというのであれば、じゃあ行こうか!という気持ちになりますね!」とお母さまもお話しされていました。LITALICOジュニアスタンダードコースは、お子さまが楽しみながら学べる場所。教室によってはすぐに体験授業を受けられる場所もあるそうなので、気になった方はまずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。先生に聞く!体験授業を受けると何が分かる?Upload By 発達ナビ編集部LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業を受けるとどんなことが分かるのか改めて先生にお伺いしました。「LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業は、実際の集団指導を受けられるので通ってからの様子がイメージしやすいと思います。また、体験授業後には、指導員の視点から見たお子さまの様子をお伝えしているので、お子さまの新たな強みを知ることができるかもしれません」「そして、今後どうすればいいか手立てが分かるので、やるべきことの整理がしやすくなるのも体験をおすすめするポイントですね」Upload By 発達ナビ編集部何をするべきか、今どのステップにいるのかが分かるだけでも体験授業を受ける価値がありそうですね!保護者さまのお話を聞く先生のあたたかい雰囲気がとても印象的ですが、どんな気持ちでご家族を迎えられているのか聞いてみました。「保護者さまは、さまざまな困りごとやお悩みがあって相談してくださっていると思うので、まずはその気持ちをしっかり受け止めたいなと思っています。そして、違う側面から見るとお子さまの素敵な強みを知っていただき、お子さまと関わる時のヒントになればいいなと思っています 」「たとえば、園などの集団の中では『できていない』と判断されてしまっても、大人になって広い世界に出たときには、お子さまの強みが発揮されることもあります」「LITALICOジュニアでは、困りごとを解消するために必要なスキルの獲得をサポートしているのと同時に、お子さまの強みを伸ばすことも心がけています。お子さまには強みを伸ばしながら、いずれはお子さま自身が自分のもっている強みを理解して発信できるようになるといいなと思っていますし、保護者さまにもお子さまの強みにあらためて気づいてもらえたらいいなと思っています」お子さまが楽しみながら必要なスキルを獲得できるように、指導員みんなでご家族をサポートしてくれるスタンダードコース。気になった方はまずはお問い合わせしてみるのがおすすめです。LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業のまとめ教室ではどんな授業を受けられるのか、利用したときの様子をイメージできるLITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業。集団生活の中での困りごとや、学習でのつまずきなど、お子さま一人ひとりの課題に合わせて集団指導と個別指導を受けられるスタンダードコースの体験授業であれば、お子さまの困りごとの解決の糸口が見つかるかもしれません!体験授業では、利用するにあたっての疑問点や不安なことも相談することができるので、気になった方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。※この記事は、LITALICOジュニアに掲載のコラムの一部を変更し、構成しています※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移します
2024年07月22日発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介!定期テストなども終わり、多くの学校で担任の先生との面談が始まる時期となりました。「先生に子どもの特性を伝える際に何を用意したらいいの?」「合理的配慮、どこまでお願いできる?」「学校でトラブルなどを起こしていたらどうしよう……」など悩む保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介します。持ち物や相談の内容など、ぜひ参考にしてみてくださいね。発達ナビみんなのアンケート「連載ライターのみなさんに聞いてみたいこと大募集!」に寄せられた「小学校・中学校の先生に理解を得るコツ」の声。このコラムでは丸山さとこさんとコウさんの小学校から中学校にかけての合理的配慮についての実体験をつづっていただきました。幼児の頃から動きが大きくて速かった次女のリスミーさん。小学校の三者面談でリスミーさんが授業中に走り回っていることを知らされ……!先生に教えてもらった「落ち着くための工夫」とは?ASD(自閉スペクトラム症)のある小学校2年生のミミさん。お母さまのtaekoさんは面談で担任の先生からミミさんの友達トラブルについてのお話を聞きます。「指摘グセ」のあるミミさんに対してtaekoさんの考えは……。発達障害のある息子のコウさんが中学に入学して1ヶ月、担任の先生と二者面談を行った丸山さとこさん。診断書とWISCの検査報告書をコピーして挑んだ面談の結果は……。面談で心がけたこと、新生活後すぐに面談をする意義など参考になるお話がたくさん盛り込まれています。ASD(自閉スペクトラム症)のあるミミさん。小学校1年生から2年生への進級にあたって先生が変わると知ったお母さまのtaekoさんが新しい担任の先生に連携したものとは?また、「宿題がつらい」と悩むミミさんについて面談で相談すると……。小学校6年でSLD/LD(限局性学習症/学習障害)グレーゾーンと診断を受けたひらたともみさんの息子さん。中学3年生、夏の三者面談で高校進学について先生から聞かされたのは「母の知らない息子の頑張り」で……!中学受験をし、中堅の私立中学に進学したあっきーさんの息子さん。ある日突然、学校から呼び出しを受け、向かうとそこには担任、学年主任、副校長などの面々がずらり……息子さんの起こした「ある事件」で停学処分、さらには退学の危機にまで……!?ASD(自閉スペクトラム症)のあるまゆんさんの息子の太郎さん。行き渋りなどはまったくなかったものの、小学生のころは体調不良で学校から急な呼び出しがかかることがたびたびあったそうです。気になって小児科を受診すると……。その他関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月20日LITALICO発達特性検査の結果をヒントにLITALICO発達特性検査は、保護者の方がお子さまについての質問にスマートフォンやパソコンから回答することで、お子さまの特性や困っていることが分かるオンラインの検査です。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。LITALICO発達特性検査の結果では、お子さまの特性に合わせて取り組みやすい対応方法も紹介されます。ご家庭や園・学校などで、おすすめされているサポートを試すことで、困りごとが軽減される可能性があります。そこで、この記事では検査結果を使って対応方法を試す方法について、Q&A形式でお答えします。うまくいかない場合の解決法など、検査結果の使い方に関する疑問を解消し、お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントとしてお使いください。Q.検査結果を受けて、まずは何をすればいいでしょうか?検査結果が出たら、まずは以下の3つを試してみましょう。周囲の人にとっての「困った行動」が、実は本人自身もどうしていいか分からない「本人が困った結果の行動」である場合があります。例)欲しいものを言葉で伝えることができずに、保護者の手を引っ張ってその場まで連れて行くなどまた、保護者や周りの人が「やめてほしい行動」「意味がない行動」と思っていても、本人にとっては必要のある行動だという場合もあります。例)筋力が弱く、姿勢を保てないために、寝そべりながら宿題をするなど特性やそれに関連した行動がなぜ現れるかを理解すると、解決法を一緒に考え、困っていることを減らしたり、適応的な方法に置き換えていくこともできます。また、「困った行動」ではなく「特性による行動」として、周囲の理解を得やすくなるかもしれません。検査結果レポートの「サポートの方向性」の中から、お子さまに合いそうで、できそうな方法からやってみるのがポイントです。「試しやすい」のタグがついているものがあれば、はじめに取り組んでみてください。基本となるサポート方法や、まずは取り組みやすいサポート方法を示しています。ほかにも、お子さまの特性や困りごとに対応して複数のサポート方法が提示されますが、すべてを一度に始めなくても大丈夫です。お子さまに合いそうなもの、できそうなものから順番に試してみるといいでしょう。一つの方法が合わなくても、そのときは別の方法を試してみましょう。検査結果を周りの人と共有することで、お子さまへの一貫した接し方につながります。お子さまにとって、取り組みやすく失敗しにくい方法や環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとは軽減されていくでしょう。そのために、特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。また、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点での回答に基づく検査です。保護者の方と関係者で見立てが異なる場合や、環境によってお子さまの困りや特性の現れ方が異なる場合もあります。「家庭ではこのような困りがあり、この方法でうまくいきました」「学校ではその点は困っている様子がありませんが、こういう場合には困ることがあるようです」など、園や学校、専門家との相談などで結果を共有し、話し合うきっかけにすることで、別の情報やサポートのヒントが得られることもあります。相談や対応方法を試す際などに、検査結果を周りの人と共有するためのツールとしてご活用ください。Q.サポートを試してもうまくいかない場合はどうしたらいいでしょうか?検査結果レポートの「サポートの方向性」では、基本的にはお子さまの特性や年齢に合わせ、比較的うまくいきやすい方法が表示されています。ですが、お子さまの状況や環境、またほかの特性や要因が影響している場合などもあるため、表示された方法がそのまますべてうまくいくとは限りません。お子さまの場合はどう当てはめたらうまくいきそうか調整をしてみましょう。例えば、課題の難易度や取り組む時間、内容などをカスタマイズしたり、お子さまに合うように試してみてください。検査結果を参考にしながら、本人が困っていることや状況に合わせて工夫や調整をしてみましょう。「サポートの方向性」の例示そのままではうまくいかない場合でも、以下のような工夫でうまくいくようになることもあります。・好きなものや取り組みやすいもの、ご褒美でモチベーションをあげる例)着替えのあとでジュースを飲めるようにスケジュールを示す・本人に分かりやすい言葉や方法で伝える例)「早くして」と注意する代わりに、時計を示して「短い針が6になるまでにやってね」と具体的な指示に変更するこのほかにも、課題の難易度や取り組む時間を調整する、スモールステップで段階に分けて取り組む、本人に合う道具や環境を探すなどの工夫もできます。タイミングがいいときや慣れることによってうまくできるようになったり、調子がいいときにうまくいく場合もあります。どのようなきっかけや状況があると困りごとが現れるかや、どのようなときにうまくいくかなど、お子さまの様子を観察することもポイントです。カスタマイズできるところがないか、何度か試してみるといいでしょう。サポートは一つだけではなく、いくつか試して本人に合う方法を探していくといいでしょう。うまくいかない場合は、特定のやり方にこだわらず別のサポートも試してみてください。対応方法を試してもうまくいかないときや、何らかの理由で試すことができない場合、無理に取り組んでお子さまや保護者の方がつらくなる場合は、家庭で抱え込まず、専門家に相談するのも大切です。「やり方を工夫する」ことについて、カスタマイズの方法を専門家や周囲の関係者と相談するのもいい方法です。相談支援や児童発達支援、医療機関など、園・学校以外の機関も含めて相談していきましょう。以下の記事で相談や連携ができる機関を紹介しています。お子さまのことを考えて、試行錯誤する中で疲れてしまう保護者の方もいることと思います。お子さまと向き合うのがしんどくなってしまったり、心身に不調が現れたりしたときには、保護者の方自身のサポートや負担を軽くする方法を検討してみてください。Q.困っていることが変わってきました。どうしたらいいでしょうか?以前検査した時から困りごとの様子が変わったり、新しい困りごとが出てきたり、対応方法がうまくいかなくなることがあります。同じ特性があっても、状況や環境が変わったり、お子さまの発達や成長によって変化することによるものかもしれません。逆に、本人に合った対応をすることで、困りごと自体がなくなっていくこともあります。特に幼児期の場合は、発達による変化も大きい時期です。・入園や入学などの環境の変化・ストレスや体調の影響・発達や成長による変化・要求されるスキルの変化などその際には、変化した状況に応じて、サポート方法も調整できることがないか試したり、新たに現れた困りごとに合わせたサポートをしたりすることも検討しましょう。検査結果では、困りごとや年齢に応じた検査結果が表示されますので、LITALICO発達特性検査を定期的に受検することで、子どもの発達の記録として残していくことも可能です。Q.医療機関やほかの検査では指摘や診断をされませんでした。その場合でも子どもへのサポートをすべきでしょうか?診断がない場合、サポートは不要である、ということではありません。医療機関では、疾患や障害の有無を医学的な診断基準と照らし合わせて判断します。そのため、特性があっても基準を満たさない場合などには診断されない場合もあります。ほかの検査や医療機関で指摘や診断をされなかった場合でも、困りごとが生じたり、特性に合わせたサポートが必要になることは多いと言えます。医療機関で診断されなかった場合には、公的な支援や医療的なサポートにつながりにくい場合もあるかもしれません。そのような場合に、本人や周りの人が困りを感じているときには、LITALICO発達特性検査で得られた結果をもとに、サポートを試すことでうまくいく方法が見つかる可能性があります。また、児童発達支援や放課後等デイサービスなど公的な支援の中には、診断がなくても支援の必要が認められれば利用できるケースもあります。診断の有無にかかわらず、本人や周りの人が困っていることにフォーカスし、本人の特性に合わせた対応方法を探すために、LITALICO発達特性検査の検査結果をぜひ活用し、サポートをしてください。また、医療機関では確定診断までに何度か経過や様子を見るなど、すぐに診断されないケースもあります。そのような場合にも、特性を理解し早期にサポートを開始することが重要です。Q.困りの強さや困りごとの分類などは、どのように理解すればいいでしょうか?LITALICO発達特性検査の検査結果は、年齢群・性別ごとの定型発達母集団データを元に、平均点が50になるように得点を変換し、判定しています。困りの程度や特性が強いほど点数が高くなります。「困りが強い」「困りがやや強い」「今は困っていない」の困りのラベルについては、変換した点数を元に、どのくらい困っているかを得点によって以下のように分類しています。得点70以上:「困りが強い」得点60-69:「困りがやや強い」得点59以下:「今は困っていない」※ただし、一部の分類は上記の点数換算が妥当でないことを踏まえて、定型発達データと臨床データから推定した困りの強さの判定を元に、点数の割付を行っています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポート大分類内における小分類ごとの困り度ラベルの組み合わせによって、お子さまに最も近いタイプを推定しています。こちらは、より妥当な困りごとの背景説明やサポート方法をお伝えするための分類となっています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポートQ.検査結果レポートは年齢に合わせた内容ですか?LITALICO発達特性検査では、お子さまの年齢によって適切な検査結果が出るように設計されています。同じ特性でも、年齢によって困りごとの内容や強さ、その対応方法が変わると考えているためです。検査結果の得点は、年齢・性別ごとに算出しています。また、提示される検査結果のレポートも、できるだけ年齢段階に応じた例示や、その年齢段階で起きやすい困りごととその対応方法を取り上げています。例えば、学齢期の学習面でのサポート方法については、学習内容に応じて、学年相当の漢字を例にするなど、学年に応じた例示が提示され、より具体的な支援で役立つことを目指しています。また、その発達に応じたコミュニケーションの方法や手先操作の難易度を考慮し、内容を提示しています。中高生には生活面で身の回りのことを自分でできるような工夫、お小遣いやスケジュール管理の方法などのヒントや、パソコンやスマートフォンを使った環境調整の方法などが提示される場合があります。まとめお子さまにとって取り組みやすい環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとの軽減につながります。また、失敗しにくい環境で成功体験を積むこともできます。特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。そのために、LITALICO発達特性検査の検査結果は詳細な内容で複数の「サポートの方向性」が示されます。さまざまな方法が提示されることで、何から手をつけていいか、迷うことがあるかもしれません。そんなときは、お子さまの様子で当てはまりそうな背景はないか「ちょっと考えてみる」、「できそうな対応方法から一つだけやってみる」でもいいのです。お子さまの特性を整理して、困りそうな状況を減らしていくことができれば、保護者や周りの人にとっても、子育てがスムーズになったり、つらい状況が減っていくことにつながります。もし、サポートが難しいと感じたら、専門機関に相談することも検討しましょう。その際にも、検査結果が参考資料として役立つかもしれません。LITALICO発達特性検査を、お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。
2024年07月19日医療機関での相談と連携お子さまの発達が気になるとき、医療機関を受診する場合もあるでしょう。受診では、お子さまの様子を実際に診察するほか、保護者の方への問診が行われます。特に、それまでの生育歴や様子、気になっていることなどの保護者の方からの情報が重視されます。必要に応じて検査や診断を行う場合もあります。発達が気になる場合の専門科としては、発達外来や児童精神科、小児神経科などがあります。Webサイトなどで診療科を確認したり、発達障害の診断や診察ができる専門医が在籍している医療機関を調べたりしてみましょう。かかりつけの小児科や、相談機関から紹介を受けて受診するケースもあります。もし、自分で専門の医療機関を見つけることが難しい場合や、受診すべきか迷う場合などには、地域の子育て支援センターや発達支援センター、保健センターなどの相談機関や、かかりつけの小児科などで受診について相談するといいでしょう。紹介状をもらえることもあります。発達障害診療医師名簿(一般社団法人日本小児神経学会)事前に具体的な困りごとを整理しておくと、問診がスムーズに進みます。その方法の一つとして、LITALICO発達特性検査があります。オンラインで受検できる検査サービスのため、自宅など好きな場所で利用でき、受検後すぐに検査結果レポートをWebブラウザで閲覧できるほか、PDF形式でダウンロードできます。お子さまの困っていることや特性の傾向や強さのほか、その困りや特性の背景にどのようなことがあるか、またどう対応すればいいかのサポートの方向性が表示されます。検査結果のデータやPDFをプリントすることで、医療機関での相談・共有のためのツールとしてお役立てください。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。連携と情報提供のポイント問診では、まずは家庭での様子や保護者の方やお子さまが感じている困りごとや課題を具体的に共有します。どのくらい困っているかなどは、主観的な内容でもあり、なかなか説明するのが難しい部分です。LITALICO発達特性検査を受検している場合は、その結果を持参し、検査結果のグラフなどを見せながら説明すると、より伝わりやすくなります。注意点としては、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点で測定されるということです。保護者として感じている不安や困りごとは重要な情報となりますが、医療機関では、そのほかの情報も含め、診断基準を満たしているかなどを慎重に判断します。そのため、医師の見立てが保護者の方の見立てと異なることもあります。環境によって特性や困りごとの現れ方が変わっている可能性もあり、見立てが異なること自体も重要な情報になります。専門家の見立てや場面による行動の違いを知る機会と考えて、相談を進めるとお子さまの理解が深まるかもしれません。検査結果のほかにもフラットな情報収集を意識するといいでしょう。問診では、出産時の状況やその後の病歴、歩き始めた時期や言葉の発達の様子など、生育歴についても聞かれることがあります。また1歳半健診や3歳児健診時の様子やそこで言われたことなどが確認されるケースもあるので、母子健康手帳なども準備しておくとよいでしょう。LITALICO発達特性検査を複数回受検している場合には、過去の結果も持参すると、困りごとの現れ方の変化の情報にもなります。また、授業についていけなくなった、学校に行くのを嫌がるようになったなど、新しい困りごとが出てきたり、お子さまの様子が変わってきたことをきっかけに受診する場合にも、情報を整理しておくと問診がスムーズになります。変化によって不安が強まりやすい特性があるお子さまの場合、また、困りごとの生じにくい環境や方法がある場合などには、本人に合った環境で一貫した対応が必要なことがあります。そこで、保護者だけでなく、周囲で関わる人が情報の共有をし、理解をしたうえで同じような接し方をすることが大切です。特に、医療機関では、治療方針や診断をよりきめ細やかにするために、実際に家庭や園・学校で試してみた対応方法などの結果といった情報の共有が必要になることがあります。また対応方法や環境調整についても、医学的な見地からのアドバイスを得られるチャンスとなります。具体的な支援方法や、家庭で試してみてもうまくいかなかったことなどについて、レポートの結果をもとに話すことで、限られた診察時間の中で、より具体的で専門的な相談ができるかもしれません。予約や診断まで時間がある場合にできること医療機関や状況によっては、予約がとりにくいなどで初診までに時間がかかることもあります。また、子どもの発達障害の診断には、さまざまな検査や経過をみる必要があるため、ある程度の期間がかかる傾向があります。また、一度受診したあと、再診までに期間があくこともあるでしょう。その間にできることをいくつかご紹介します。受診時にその場で考えると意外と焦ってうまく伝えられないことや、思い出せないこともあります。事前に以下のような情報を集め、まとめておくといいでしょう。・困っていることやお子さまの気になる様子・様子がいつ頃から続いているか、変化した時期はいつか・いつ、どのような状況で困りごとが起きるか、家庭で試してみた対応方法などの様子・園や学校での様子や、相談機関などに相談した際の内容など、外部からの情報など家庭で保護者の方が観察したり、これまでを振り返ったりすると、時間がかかって負担が大きいと感じるかもしれません。LITALICO発達特性検査の検査結果の情報を切り取ったり、マーカーや付箋、メモなどをつけて活用するといいでしょう。どのような観点で気になっているかが分からないときには、ヒントとしてLITALICO発達特性検査の検査結果を活用することもできます。検査結果で困りが強く出ているところや、特性などで当てはまると感じた部分に注目してみましょう。事前に相談機関や園・学校で情報収集する際の連携ツールとしても、検査結果を活用できます。問診の時間が限られていることもあるので、相談したいことが複数ある場合は、事前に相談したいことに優先順位をつけておくことをおすすめします。検査結果を持参する際には、特に相談したい点にマーカーや付箋をつけておいたり、自分でメモをつくる際には箇条書きなどにしたり、簡潔にまとめておくといいでしょう。さらに時間がある場合、検査結果で表示されたお子さまに合いそうなサポートの中からいくつか試してみて、その結果がどうだったかメモしておくのもおすすめです。それらを医療機関で伝えることで、お子さまの特性についてより把握しやすくなることもあります。今後の方針や、より具体的な配慮について相談するきっかけにもなります。再診時のポイント再診時には、前回の受診時との変化や、直近の様子などを中心に聞かれることが多くあります。お子さまの様子や、治療や発達支援などを受けた様子、家庭や学校で試したみた方法などについてまとめておくといいでしょう。特に、前回の受診から数年経っているときなど、間が長くあいた場合には、困りごとの内容や強さが変わっているかどうかが情報として役立ちます。検査結果と以前の様子で変化があるところや、気になるところをまとめておくといいでしょう。まとめお子さまに合った対応をすることで困りごとが軽減する場合、発達が気になる場合でも、必ずしも受診や診断が必要であるとは限りません。ですが、困りごとが強く、長く続いている場合などには、医療機関に相談し、より専門的な支援を検討することが重要です。また、医療機関の受診や診断がなくても、受けられる支援もありますが、福祉的な支援や園・学校での配慮を受ける際に、医療的な見解を求められる場合もあります。医療機関と連携し、信頼関係をつくることで、お子さまと保護者の方にとって心強いサポートになるともいえます。医療機関への相談で重要なのが、保護者の方からの情報をスムーズに伝えることです。受診の限られた時間の中で情報の共有やより具体的な相談をするためにも、事前に情報をまとめておく、優先順位をつけておくといった工夫がポイントとなります。そのような際に、ぜひLITALICO発達特性検査を連携のためのツールとしてご活用ください。
2024年07月12日