乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?原因や前兆などはあるの?乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは、赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまう、原因不明の病気です。普段通りに元気いっぱいで、それまで特に大きな病気をしたこともない赤ちゃんに起こるもので、窒息などの事故とは異なります。SIDSは0歳に多く、発症のピークは生後2〜4ヶ月です。ただ、まれに1歳を過ぎて発症するケースもあります。厚生労働省の発表では、2021年には81名の乳児がSIDSで亡くなっています。欧米では乳児が死亡する原因の第1位に、日本でも3位、あるいは4位となる疾患です。SIDSの前兆や原因はいまだに分かっていません。しかし、赤ちゃんは呼吸の調節が未熟であることが一つの要因として考えられています。SIDSの乳児の一部には、血液中の酸素レベルが低下した兆候や、呼吸が一時的に停止していた兆候が見られた、という報告もあります。また、通常、睡眠中の無呼吸などで体に酸素が不足すると、覚醒反応が起きるはずですが、SIDSの赤ちゃんはその覚醒反応が起きにくく、低酸素状態に陥ってしまう可能性も指摘されています。乳幼児突然死症候群は寝ている間に起こる病気です。家での夜の就寝中だけではなく、昼寝の時間などにも起こることがあります。そのため家庭内だけではなく、保育園での昼寝の際などにも起きる可能性があります。SIDSは予防できる?最大のリスク因子は「うつぶせ寝」!?SIDSは、発症の兆候がまったくなく、健康に見える赤ちゃんを襲う病気。だからこそ、普段からできる限りの予防をし、発症のリスクを下げることが大切です。SIDSの最大危険因子として知られるのが、赤ちゃんのうつぶせ寝です。SIDSはうつぶせ、あおむけのどちらでも発症しますが、うつぶせ寝のほうがより発生率が高いことが分かっています。1歳になるまでは、夜の就寝中はもちろん、昼寝のときもあおむけに寝かせるようにしましょう。ただ、寝返りができるようになると、寝ている間にうつぶせになっていることもあります。可能なら仰向けに戻したり、観察をこまめにしたりするとより安全と言えるかもしれません。気づいたときにあおむけに戻してあげるようにしましょう。うつぶせになっても窒息しないよう、寝具はかためのものを選び、赤ちゃんのまわりにぬいぐるみやガーゼ、タオルなど、顔を覆ってしまうものを置かないように気をつけましょう。多くの研究調査から、母乳で育てられている赤ちゃんのほうがSIDSの発症率が低い、ということも分かっています。「粉ミルクを飲んでいるとSIDSになりやすい」という因果関係があるわけではありませんが、できる限り母乳育児にトライすることはSIDS予防にもつながる場合もあります。たばこは、SIDSの大きな危険因子の1つです。妊婦が喫煙すると、胎児の体重が増えにくくなるほか、呼吸中枢の発達にもよくない影響を及ぼします。また、副流煙による受動喫煙も、SIDSのリスクを高めます。妊娠したら禁煙することはもちろん、家族や周囲の人にも妊婦や赤ちゃんのそばでの喫煙は絶対にやめるよう、理解を求めることが大切です。ほかにも、SIDSにはさまざまなリスク因子があります。以下のリストをチェックし、普段の生活を見直してみましょう。Upload By 発達障害のキホン睡眠中の事故にも注意!取り入れたい4つの対応策SIDSの予防とともに、睡眠中の転落や窒息事故を防ぐ対策も大切です。毎年、寝ているときに赤ちゃんが窒息してしまう悲しい事故が報告されています。赤ちゃんは大人が思いもよらないようなところで簡単に窒息してしまいます。就寝環境が安全かどうか、赤ちゃんの目線でもう一度点検しましょう。転落事故を防ぐために、寝返りができないうちもベビーベッドの柵は常に上げておきましょう。また、ベビーベッドと壁の間にすき間があると、赤ちゃんがはさまって抜け出せなくなり、窒息してしまうことがあります。ベッドと壁の間に隙間を作らないことも大切です。体が沈み込むやわらかい敷布団やマットレス、ふかふかのベッドパットや枕などは、赤ちゃんがうつぶせになったときに鼻や口を塞いでしまうリスクがあります。赤ちゃん用の寝具が大人のものよりかために作られているのは、このためです。敷布団、マットレスはかためのものを、掛け布団は顔にかかっても赤ちゃんが自分で払いのけられる軽いものを選びましょう。赤ちゃんのベッドに、ぬいぐるみやタオル、ガーゼ、着替えなどを置いていませんか? 寝ている間も、赤ちゃんは寝返りをしたり、足をバタバタさせてずり上がったりと活発に動き回ります。ぬいぐるみやタオルなどが顔を覆ってしまわないよう、ベッドや布団の上には何も置かないようにしましょう。スタイも、寝返りの拍子に首をしめつけたり、顔にかかってしまう可能性があるので必ずとります。ブラインドのヒモが首にまきついてしまう事故も報告されています。ベッドの上に、ひもや巻きつく可能性がある布などが垂れ下がらないように気をつけましょう。就寝中、大人が寝返りしたときなどに赤ちゃんを押しつぶしてしまう事故も起きています。赤ちゃんはベビーベッドに寝かせるのが安全です。布団で寝かせるときも、添い寝ではなく、赤ちゃん専用の布団を敷くようにしましょう。また、添い乳は母親にとっても楽ですが、授乳中に眠ってしまって赤ちゃんをつぶしてしまうリスクも。どうしても授乳中に寝てしてしまうようなら、添い乳は避けたほうが安全です。正しい知識を持って予防をしよう!SIDSは原因不明の病気で、発症は保護者の育て方のせいではありません。当然ながら、虐待や育児のミスがあったから起きるものでもありません。ただ、多くの研究によって、SIDSのリスクを下げる方法は分かってきています。大切な命を守るために、家庭や保育園などで正しい知識を持ってできる限りの予防をすることが大切です。SIDSの予防は、窒息事故対策とも共通するものが多くあります。すやすやと眠る天使のような寝顔を守るために、日々の就寝環境を整えていきましょう。
2022年12月25日自閉スペクトラム症のある娘は「一緒に遊ぶこと」が難しい娘のまゆみには自閉スペクトラム症と知的障害があります。幼児期の早いうちからおもちゃを横に並べる様子が見られ、それを邪魔されると怒るために一緒に遊びたくても手出しができませんでした。一緒に遊ぼうとして泣かれたことは一度や二度ではありません。4歳半となった現在も人からのはたらきかけに応じて一緒に遊ぶことは困難ですが、それでもどうにか人との関わりを持ってほしい、社会性が芽生えてほしいと願い、おもちゃを通してまゆみと関わる方法を模索してきました。そんな中で気づいたことがあります。親が遊ばせたいおもちゃとは違う、娘が遊んでくれるおもちゃを求めて1歳半ごろ、積み木を積み上げられるようになったまゆみ。喜んだ私は毎日のように積み木遊びを促しました。私が積み木を二つ重ねて積むと、まゆみもその上に新たな積み木を追加してくれるのです。積み木はまゆみが私のはたらきかけで遊んでくれる数少ないおもちゃの1つでした。Upload By にれただ、積み木はどちらかといえば「私がまゆみに遊ばせたいと思っているおもちゃ」でした。家にはほかにもいろいろな種類のおもちゃがありましたが、まゆみはどれも最初だけ楽しんですぐに飽きてしまうらしく、集中して遊ぶという様子があまり見られませんでした。まゆみは外遊びが大好きだったため、暇さえあれば外に連れ出していましたが、室内遊びとなるとそんな様子だったので、雨の日などはどうやって遊んだらいいのか私は困っていました。まゆみの好きなものは何だろう?何ならもっと興味を持ってくれるんだろう?おもちゃ売り場で好きなものを選ばせようと思っても、「ものを選ぶ」という行為が難しく、たくさんのおもちゃを尻目に売り場を走り回ってしまうまゆみ。私はまゆみが自分から遊んでくれるようなおもちゃを探していました。まゆみが初めて強い興味を示したおもちゃは、3歳の誕生日にメインのプレゼントに添えて渡した幼児向けキャラクターのぬいぐるみ2体でした。夫にまゆみを頼み、一人で訪れたおもちゃ売り場でセット売りのワゴンセールになっていたためついでに購入したものです。Upload By にれメインだったおもちゃは早々に飽きられてしまったのですが、まゆみは家の中でその2体のぬいぐるみを小脇に抱えて移動するようになりました。明らかに今までのおもちゃとは反応が違い、大事にしているのが見て取れたのです。まゆみの前にはよく2体が横並びに座らされていました。あるとき私は、「このぬいぐるみたちから遊びの幅を広げるチャンスなのでは!?」と、まゆみの見ていない隙に積み木で2体のぬいぐるみに合わせたテーブルとイスをつくりました。テーブルの上にはおままごとのケーキやご馳走を並べ、ぬいぐるみは向かい合わせにして着席。そのまま待っていると、ぬいぐるみたちの「お食事会」に気づいたまゆみがやってきてじっと見つめ…そして、うれしそうに声を上げて拍手したのです。Upload By にれ興味が広がると娘の世界も広がって結果的に、そのときのぬいぐるみたちの「お食事会」からおままごとに遊びの幅が広がったようで、いつの間にかまゆみが自分で積み木のテーブルセットを組むようになりました。親に遊ばされていた積み木が、まゆみ自身の手によって遊ばれるようになったのです。今まで飾られるだけだったほかのぬいぐるみたちも引っ張り出されてテーブルを囲み、いつしか小さな「お食事会」は楽しい会話が聞こえてきそうな「パーティー」に変わっていました。Upload By にれそのうち、ブロック遊びのセットに付属していた小さなブロック人形も10体ほど加わり、まゆみのお茶会はどんどん賑やかになっていきました。今ではまゆみが一人で「アイスクリーム屋さん」という新たなおままごとの舞台をつくり出していて、遊びの発展の仕方に感動を覚えました。困惑していた「一列に並べる」も違って見えるように。娘の遊びを観察していて気づくことまゆみを見ていて気づいたのは、一見して無意味に思えるような遊び方をしていても、「まゆみの中にはちゃんとストーリーがあるんだな」ということです。高い声や低い声を使い分けてお人形にセリフらしきものを言わせたり、同じ場面や配置を繰り返したりしていて、本人にしか分からない内容であっても何か表現したいものがあって遊んでいるのだと思いました。また、まゆみのつくる世界はとても平和で温かい雰囲気に包まれていることにも気づきました。みんなでケーキを囲んでハッピーバースデーを歌うところ、大繁盛のアイスクリーム屋さんでそれぞれ好きなアイスを食べて大喜びしているところ、縦一列に列を組んでおうちに帰るところ…。最初は困惑してしまっていた『横一列に並べてあるだけの光景』すら、今では仲良く横並びで手をつないでいるかのような、平和でハッピーなものを感じます。Upload By にれ遊びの幅が広がりつつある今でも横一列に並べることは好きなようで、気づくと人形達がズラリと整列していたりしますが、「まゆみにはまゆみの理由があってこの子たちを並べているんだな」と、自然にそんな風に思えるようになりました。以前、自閉スペクトラム症のある息子さんとの生活をつづったエッセイを読んだのですが、小さなフィギュアのヒーローも悪役もみんな仲良さげに並べられる様子が紹介されていたことを思い出しました。その男の子やまゆみの心に広がる世界は、平等で平和で純粋なものかもしれない、と感じました。本人の世界を大切に最初は横に並べるだけだった世界が、ふとしたきっかけで遊び方を学んで発展していき、やがてサイズの小さなものでも遊べるようになり、さらにごっこ遊びが多様化していく。「自閉スペクトラム症のある子どもは、創造的な遊びが苦手」と以前読んだ本には書いてありましたが、好きなものを前にしたときに大人がとっかかりを示してあげれば、模倣から始まって徐々に世界を広げていける場合もあるのだと学びました。以前は「人との関わりを持ってほしい」とまゆみの世界に首を突っ込んでいましたが、今はまゆみが描く世界の広がりを感じられることがとても尊いものに思え、邪魔しないように彼女のごっこ遊びを眺める程度になっています。まゆみの場合は、2体のぬいぐるみからお人形やおままごとが好きになりましたが、どんなものが好きかはお子さんそれぞれに好みや個性があると思います。車や電車が好きな子もいるでしょうし、パズルや数字が好きな子もいるでしょう。まゆみもこの先どんな風に好みが変わるか分かりません。ただ、どんなものであっても、わが子の好きなものや世界観を尊重して見守ろうと思いました。と、一人遊びは見守ることに決めたのですが、「応じる力を遊びの中で育むことができれば…」という願いは未だにあるため、もしそうした力を育む遊びなどがあれば知りたいと思っています。まゆみの世界は広がっているけれども、未だにものを介したやりとりは難しいなぁ、と娘を見ていて感じています…。執筆/にれ(監修:新美先生より)お子さんとお母さんのとても素敵なエピソードを聞かせていただきありがとうございます。遊び方が独特で、なかなか広がらないとき、親としてやきもきするかもしれません。にれさんはお子さんの遊び方をじっくり観察して、何に興味を持つのか、何を楽しそうにするのかを大事にされて、お子さんの興味にちょっとだけお邪魔する姿勢で関わりを持つことで、お子さんの遊びを広げて発展されていかれたのですね。またお子さんの興味の持ち方、世界観を尊重して見守るというにれさんの姿勢がとても素敵で素晴らしいと思いました。大人がこれをやらせたいと思うことを押しつけるのではなく、子どもの興味あること、好きなことを、子どもの行動から見つけて、ほんの少しお手伝いして興味関心を広げていくというのは、まさにこういうタイプのお子さんの関わり方の基本形です。お子さんがどんなことを感じて考えているのかなということを観察して、お子さんの独自ワールドを尊重して子育てをすることは、お子さんにとって何より、心地よくストレスの少ない生活につながり、お子さんなりの好奇心を発揮していくことにつながると思います。
2022年12月24日歯医者さんでの歯の基本的な予防・治療方法歯医者さんの主な役割としては「検診、予防」「虫歯治療」「歯周病治療」などがあります。そもそも口は食べ物から栄養を取るための入り口です。食べたものをかみ砕き、だ液と混ぜてさらにその奥の消化器官へと送り込むのが口の役割となります。ここで消化活動はすでに始まっているのです。また、食べる飲むだけでなく、おしゃべりするためにも歯と口はとても大切な器官です。また、発達障害がある子どもの歯科治療についての悩みを抱える保護者の方は多くいます。パニックになったり暴れてしまい安全に治療が難しい場合もあるのではないでしょうか。このコラムでは、歯科治療で行う内容から、子どもが治療を受ける際にできる工夫、発達障害がある子どもの歯科治療についてまで解説していきます。まずは定期検診で、虫歯になりそうな部分はないかをチェックして予防します。虫歯ができてしまうと、自然治癒が難しくなるため、できるだけ虫歯にならないようなケアをすることが大事です。それでも完璧にできない場合があるので、3ヶ月おきくらいのペースで検診に通うことができれば、虫歯を早期に発見でき、深く削るほど治療せずにすませることができます。検診だけでなく、積極的な予防をすることもできます。それがシーラントやフッ化物の塗布です。生えたばかりの歯は、歯の表面のエナメル質が未熟で、虫歯になりやすいものです。そこで、特に奥歯のような溝が深く、複雑な形の歯では、汚れがたまりやすい溝をシーラントで埋めるという予防方法があります。また、フッ化物を歯の表面全体に塗ることで、弱い歯の表面を強化することができます。また、歯磨きの方法も教えてくれます。日常の口腔ケアはとても大切です。歯並びや虫歯や歯肉炎の程度など、口の中の状態は個々に異なります。個人にあった歯ブラシや歯磨き剤、洗口剤などを適切にアドバイスしてくれます。虫歯ができてしまった場合は、もちろん治療をします。虫歯は口の中にいる虫歯菌によって浸食された部分なので、それ以上浸食が広がらないために削り、削ったところに詰め物をする、という治療をします。シーラントと違うのは、削れた歯の部分に合うように調整した詰め物をとれないようにかぶせるということです。表面が少し浸食された程度ならまだ治療は容易ですが、奥深いところまで浸食が達してしまった場合は、神経に触れてしまうことも。こうなると神経を抜いて被せ物をするという治療になります。さらに歯が根元まで崩壊するほどに虫歯が進行してしまった場合は、抜歯することもあります。ただ、特に乳歯の場合は永久歯が生えてくるスペースをなくしてしまうことになるので、抜歯は歯列の状態にも大きく影響します。抜歯は「最後の手段」なのです。口の中のトラブルは歯だけが問題なのではありません。歯茎が炎症を起こす歯肉炎や歯を支える骨(歯槽骨)が壊されてしまう歯周病なども治療します。歯医者さんを怖がる子どもを歯医者に連れて行くときにできること歯医者さんでの治療を、なぜ子どもは怖がるのでしょうか。それは、見たこともない道具を口の中に入れられて、大きな音がして、麻酔の注射もチクッと痛くて、麻酔をしたとしても振動は伝わるからでしょう。体の中でも敏感な口の中を触られること自体、怖いことなのです。ではどうしたら、嫌がる子どもを歯医者さんに連れて行くことができるでしょうか。まずは、歯医者さんは「痛くない、嫌なことをされない」場所だということを、子どもに覚えてもらいましょう。そのためには、虫歯になってから歯医者さんに連れて行くのではなく、予防として検診を受けることから始めることです。検診を受けるだけなら実際痛いことはしないので、「歯医者さんに行くのは痛くない」ということを経験できます。最初に「歯医者さんは怖いところではない」という安心感を子どもが覚えることが第一歩です。乳歯が生え始めてから2歳ころまでに、痛くない検診からスタートしましょう。このころはまだ、保護者のそばが何よりも安心できる安全地帯です。歯医者さんと相談して、おすわりができる子どもでも、一人で診察台に乗せるのではなく、保護者が抱っこして一緒に座るなどの配慮や工夫をしましょう。ママやパパがついていれば安心、ということが大事なので、このときに保護者自身が緊張した表情にならないように気をつけましょう。だんだんに自分の周りの状況が分かる3歳ごろからは、歯医者は怖い場所という印象付けをしないことがまず大切です。嫌がりそうだからと、「公園に行こう」など嘘をついて連れて行くと、不信感につながります。嘘は言わないようにしましょう。行く前には、歯医者さんは楽しいところだと伝えている絵本や動画を見せて、心の準備をしてあげましょう。また、タイミングも大切です。午前中の機嫌のいい時間帯や、お昼寝から目が覚めて落ち着いたときなど、子ども自身のコンディションを優先しましょう。空腹時や眠いときなどは避けましょう。ここで大切なのは、連れて行く大人の態度と表情です。保護者自身も歯医者に苦手意識がある場合、緊張感が伝わってしまいますし、無意識に少し怖い顔になってしまうこともあります。子どもを公園や児童館に連れて行くときのような気分で対応したいところです。そして、検診や治療が終わったら、「頑張ってお口を開けられたね!」「歯みがきしていたから虫歯がなかったのね。すごいなぁ、さすが!」など、たくさん褒めてあげましょう。もし、行くまでぐずって泣いていたとしても、歯医者さんに行けた、ということだけでも褒めてあげてください。次も頑張ろうという気持ちにつながるはずです。発達障害のある子どもは、感覚過敏があることで歯磨きを受け入れにくいことがある発達障害のある子どもの場合は、さまざまな特性から歯を磨くのを嫌がる傾向があるために、虫歯になりやすく歯医者さんに通う頻度も高くなりやすいということがあります。こだわりの強さから歯磨きすることを拒否したり、動き回って安全に歯磨きすることが難しかったりします。また、感覚過敏があるために口の中に歯ブラシが入ることを拒んだり、歯を磨くことが健康のために必要であることがうまく理解できなかったりする場合もあります。甘いものなど虫歯になりやすい食べ物ばかり食べるなどの偏食や、食事時間以外にもだらだらと食べてしまうことも虫歯の原因になります。発達障害のある子どもの場合は、一時的に何かをがまんさせる代わりにご褒美として子どもの好物を与えるということもあるかもしれません。こうしたことから常に食べ物のカスがお口の中に残っている状態が虫歯になりやすい口腔環境にしてしまうことがあります。発達障害のある子どもが歯医者に行くときに気をつけたいこと発達障害のある子どもの場合、歯医者さんに行くことを受け入れられるようにするには、行く前からの準備が必要な場合があります。発達障害のある子どもの場合、何が起こるのか分からない、何をされるのかが分からないという状況はとても不安になります。まずは、歯医者さんは怖いところではないことを伝えてあげましょう。好きなキャラクターが歯医者さんに行く話や、歯医者さんは楽しいと伝える絵本を読んであげるのが分かりやすいと思います。また、歯医者さんにはたくさんの道具があるので、どんなものがあるのかを説明することも良い方法です。子どもを診てくれる歯医者さんは、内装なども楽しげな雰囲気にしつらえているところもあるので、怖い場所じゃないよ、ということをよく話して伝えましょう。子どもが歯医者さんについて知っておくようにする一方で、歯医者さんにも患者となる子どもについて、情報を伝えておきましょう。診察室に入るときだけでなく、予約したときにも話しておくと安心です。どのような方法でコミュニケーションをとると良いのか、どういうことをいやがるのか、どうすると落ち着くのか、保護者がそばにいてできることなども伝えます。発達障害のある子どもの場合、見通しが立たないことでとても不安になることも多いです。何時ごろにどこに行くのか、何時ごろに終わるのか、ということと同時に、歯医者さんに行ってどんなことをするのか、そうすると歯や口の中がどんな風にきれいになって元気になるのか、ということを分かりやすく伝えてあげましょう。大切なのは、歯医者さんは怖いところという先入観を保護者自身がもっていると、子どもへの伝え方も変わってきてしまいます。健康のために大切なことをしてくれる場所というイメージに気持ちを切り替えて、説明できるといいですね。障害者歯科(スペシャルニーズ歯科)ってどんな治療をしてくれるの?一般的な小児歯科では、どうしても治療が難しい場合もあります。そんなときは障害のある子どもについて、よく分かっている障害者歯科が味方となります。障害者歯科は、次のような患者さんを診てくれる場所です。・待合室や診療室で待てない・知的な遅れや発語が難しいために、歯の痛みを自分で訴えられない・身体の不自由さや、身体のこわばり・緊張から、治療を受ける姿勢に制限がある・病気や、内服している薬のため、医学的管理が必要である・口に治療器具などが入ると、吐きそうになったり、実際に吐いてしまったりする・歯医者さんに対して極度の恐怖感がある・歯磨きが自分で上手にできない・心身の発達の遅れや病気によって、食べ物を口から安全に食べたり飲み込んだりすることが難しいこうした子どもについての知識があり、どう対処したらいいかについての情報をもっているのが障害者歯科です。実際に障害者歯科で行われる検診や治療は、一般的な小児歯科とはどんなことが違うのでしょうか。一番特徴的なこととしては、障害についての専門的な知識をもち、理解がある人が治療してくれるということです。患者さんの障害について保護者からの情報を聞き、どう接したらいいかの情報をもって、相互理解を基本にして治療にあたってくれます。たとえば知的な遅れがある場合には、ことばで説明するだけでなく、絵や写真、絵カードなどを使って説明をしたり、予想がつかないことを嫌う場合には、治療に使う器具や部屋についての説明を丁寧にしてくれたりします。感覚過敏のある子どもで顔に触られること自体をいやがる場合には、いきなり治療を始めるのではなく、少しずつ体に触れるようにして慣れていくような方法(脱感作)をとるといった、ノウハウも障害者歯科にはあります。また、イヤーマフの準備があったり、患者さんの敏感さがどこにあるのかを、保護者からも聞き取ったりして治療に進みます。いつもと異なる状況や周囲の大きな音などが苦手な子どもには、個室を使用するなどいつも同じ環境になるような配慮があったり、歯科衛生士も同じ人が立ち会うなど、できる限る同じ環境での治療ができるような配慮があります。治療のときの姿勢に制限がある場合には、補助器具を使うことのほか、暴れてしまうなどで十分な協力が得られない場合には鎮静剤などを使用することや、場合によっては全身麻酔で治療を行うこともあります。歯と口の中の健康ケアは、悪いところができてしまったら取り除く、ということではなく、普段の生活の中で虫歯や歯周病にならないようにケアしていくために、家庭での予防が大切です。ただ、発達障害がある場合などには、こだわりが強いことや、食習慣の問題から、家庭での対策をどうしていいかが分からないこともあるでしょう。障害者歯科では、治療をする際に必要な障害についての知識や情報だけでなく、普段の生活についても障害のある患者さんに特化した口腔ケアの指導もします。それは歯磨き以外にも、虫歯になりにくい食べ物の形状、食べさせ方、食事のリズムについて、食べるときの姿勢についてなど、さまざまな視点から歯の健康を守る日常ケアについてと多岐にわたります。こうしてケアをしていても、家族だけではケアしきれない部分、みがききれない歯のクリーニングや口腔のケアを行うのが障害者歯科です。まとめ障害のある子どもが歯医者さんに通うときには、「歯医者さんは怖くない」ということを印象付けてあげてください。家庭でのケアだけで歯と口腔の健康は保ちきれない場合、安心して頼れる障害者歯科をかかりつけ医にして、二人三脚でケアしていくようにしましょう。
2022年12月24日予定日を1週間過ぎても生まれてこなかった息子わが家の息子は小学2年生。軽度知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)があり、特別支援学級に通っています。息子の障害が分かったのは年中のころでした。ですが、その前にも「もしかして…?」と思うことがありました。私は里帰り出産をするために、出産予定日の1ヶ月前から実家に帰省していました。妊娠中、特にトラブルもなかった私。健診も終えて、予定日も過ぎたしいつ生まれてきてもいいぞ…!と期待していたら破水!病院に行くもなかなか生まれず3日が経ち、予定日から1週間が過ぎたころに医師からの助言で陣痛促進剤を使って出産をしました。妊娠中とは対照的に、出産前後からの子育ては順調ではありませんでした。出産してからも息子はなかなか授乳がうまくいきませんでした。吸う力が弱いのか、はたまた体力がないのか、すぐに飲むのをやめてしまうのです。加えて今でも思い出すのは「とにかくおとなしいくて存在感がなかった」ということです。今振り返ってみれば、乳児のころからすでに発達の遅れの兆しがあったのかもしれません。Upload By ユーザー体験談首が座らない、寝返りしない、お座りしない…健診は気になることだらけ!0歳児のころにたびたびある乳幼児健診。1ヶ月健診は「問題なし」でしたが、そのあとの3~4ヶ月健診からは「要観察」だらけに!「首座りが完全じゃない」から始まり、6~7ヶ月健診のときには「寝返りしない」、9~10ヶ月健診では「ハイハイせず、お座りも安定しない」…。とはいえ、毎回「大丈夫!ここまでできていたらもうすぐできますよ!」と保健師さんがフォローをしてくれていたこともあり、初めての子育てでよく分かっていない私は「少し発達が遅れているけれどもうすぐできるなら大丈夫かな」とあまり深くは考えていませんでした。Upload By ユーザー体験談1歳半健診、やっぱり何かおかしいと思い始め…ゆっくりですができることは増えていた息子。ですが、周りの子どもの発達のスピードはすさまじく…1歳になり、保育園に入ると、その差は歴然。周りの子どもたちはどんどん歩くようになっているのに、誕生日が比較的早いにも関わらず、息子は歩く気配一切なし…。ハイハイのほうが楽なようでなかなかつかまり立ちもしませんでした。その姿をみて、さすがの私も「何かあるのでは」とうすうす思い始めました。でもこれからグンと伸びるはず…と信じたい気持ちがあったのも事実です。そんな折、1歳半健診がやってきました。健診に行ってみると…みんな歩いて走って喋って「子ども」になってることに衝撃を受けました。それに比べてまだハイハイなのは息子一人だけ…移動手段はハイハイのみ、そして言葉を喋らない息子はたった一人だけ「赤ちゃん」のようでした。歩かない、喋らない、そしてそのころの息子はまだ指さしもしませんでした。積み木を積むことなんてもちろんできません。健診表もほとんど「できない」の項目に丸がつき、とても悲しかったのを覚えています。それでも最近はつかまり立ちを始めたし、もうすぐ歩くこともできるはず…!という思いで小児科医の先生の問診を受けました。「まだ歩かないんです、最近つかまり立ちはしたのでもうすぐ歩けるとは思うんですけど…」と相談すると、先生は息子の様子を見て「この感じだと2歳過ぎまで歩かないと思いますよ。療育センターを紹介するので、そちらを受診されたほうが良いかもしれません。」と言いました。「え…2歳過ぎまで歩かないかもしれないの?療育センター?やっぱりこの子には発達に問題があるのかもしれない…。私はどうしたら良いんだろう…」と途方に暮れてしまいました。今振り返ってもこの時期が一番落ち込んでいたと思います。Upload By ユーザー体験談療育センターのPT(理学療法士)さんや保育園の先生に支えられてとにかく療育というものに行かなければ!!とすぐ予約をし、数ヶ月後からPT(理学療法)に通うことになりました。(そのとき診察を受けましたが、まだ診断名はつきませんでした)療育センターには、週に1回通い、PTは歩行訓練を中心に行いました。保育園では2歳児クラスになり、クラスメート全員が歩いて散歩に行ける中、まだまだ歩けない息子のために特別に0~1歳児クラスで使っているベビーカーを使わせていただいたり、「今日は手すりを使って頑張って階段を上ってましたよ!」「すこしずつ単語が出てきましたね!」「〇〇くん(息子)も楽しめるようなプログラムを考えました!」などとても良くしていただきました。息子の発達は遅れているし、ネットを検索すると不安なこともたくさん書いてあり、落ち込むことも、息子の将来を考えて眠れなくなる夜もありました。ですが、保育園や療育センターで「こんなにもいろいろな人の優しさを受けているんだな」と感じるたび、ありがたいな、と前を向いて息子に向き合うことができました。そして、2歳を少し過ぎたとき、やっと一人で歩けるようになりました。歩けるようになったときはとても感動しましたが、同時に「長かった……!!」と安堵の気持ちでいっぱいでした。そして、小児科の先生の見立ては合っていたんだな、となんだか感心をしてしまいました。Upload By ユーザー体験談年中で軽度知的障害と診断されて歩けるようになったのでPTは卒業し、3歳からはST(言語療法)とOT(作業療法)に通うようになりました。協調運動がとても苦手な息子、おしゃべりも苦手、まだまだ課題はたくさんありました。そんな中、年中のタイミングで知能検査を受けることになりました。私の中では「とうとうこのときが来たか…」という心境でした。1歳半のころは小さくて診断が下りなかったですが、今だったら何かしら診断がつくだろう。そして息子の障害をハッキリさせたほうが今後のためにもいい、と思っている自分がいました。診断結果は、軽度知的障害と自閉スペクトラム症(ASD)でした。それを聞いて「やっぱりな」と思い、この数年で私自身もずいぶん図太くなったな、と感じました(笑)息子の幸せを一番に願って最初に通っていた保育園は家庭の事情で1年で退園、そのあとも小規模保育園、3歳からはこども園、(そして並行して療育)と転々としましたが、本当に人に恵まれており、嫌な思いなどは全然しなかった未就学時代でした。どこの園でもみんな息子を受け入れ、できないことも多かったけれど、あきらめずに寄り添ってくれました。今は公立の小学校の特別支援学級に毎日通っている息子。たくさんの人の支えに感謝をしながら、これからも楽しく息子らしい人生を送ってほしいと願っています。イラスト/カタバミエピソード参考/ちくわ(監修:新美先生より)療育センター、保育園の先生方などにお子さんに最適なかかわりやアドバイスを受けながら日々を送られたエピソードを聞かせていただきありがとうございます。周りの多くの子と、行動や発達のスピードがちょっと違っているのかもしれないと思うと、不安になることも多いと思います。インターネットや本などから情報を得すぎると、どれがわが子にあった正解なのか分からなくなりますが、発達に詳しい専門の先生に直接お子さんを見て、かかわっていただいて、具体的なアドバイスをもらえると、安心して成長を見守ることにつながりやすいですね。
2022年12月23日娘の不登校を相談すると夫はわが家の長女は小学5年生です。小4のときに受けた知能検査でASDの可能性があると言われ、現在は不登校を選んでいます。ほかに、1年生で場面緘黙(選択性緘黙)がある次女と、登園渋りのある年中の長男、わたしと夫の5人家族です。夫はいつもは優しくて真面目な性格ですが、ときどき高圧的なことがありました。仕事であまり家にいないので娘と過ごす時間が少なく、さらに娘と遊ぶのが苦手でいつも距離のある接し方をしていました。それでも夫にとっては「かわいい娘」だったと思いますが、その愛情は娘にはまったく伝わっていなかったようです。小4の6月、娘が教室へ登校できなくなったとき。夫は「母親が甘すぎるから行かないのではないか?何とかして学校へ行かせるように」と言いました。私は「学校へ行かないならゲーム・スマホ禁止」と伝えて何とか行かせようとしましたが、どんどん娘は表情がなくなり、「自分の対応が間違っているのでは?」と感じるようになりました。スクールカウンセラーの先生に相談して7月から保健室登校を開始しましたが、夫はまだ、私の対応が甘いせいで不登校になっていると考えていたと思います。Upload By ユーザー体験談夏休みに帰省し家族に相談すると夏休みに入り気分転換をしてゆっくり過ごそうと、車で4時間ほどのところにある私の実家へ子どもたちと私だけで帰省をしました。振り返れば、私が付き添わなければ登園できない場面緘黙(選択性緘黙)のある次女の対応で精一杯の3年間でした。それに加えて、長男も不登園になり始め、長女も不登校に…。コロナ禍で実家を頼ることができず、肉体的にも精神的にも、私一人ではどうしようもない状況に追い詰められていることを両親や妹に相談しました。話を聞いた家族全員、実家に帰ってくることをすすめてくれました。私も、実家で両親の助けを借りないとどうしようもない状況だと思いました。「別居を考えている」と夫に告げて実家から夫に連絡し「子どものことを考えると実家へ帰りたい。別居を考えている」とだけ伝えました。ただ、子どもたちに転校・転園について話をしたわけでもなく、夏休み明けには自宅へ戻りました。Upload By ユーザー体験談そして夏休み明け、長女は保健室登校もできなくなりました。ちょうどこのころ、ママ友から「同学年に親が無理をして登校させている家庭があるけれど、子どもも精神的に無理をしている様子がこちらにも分かり、見ていてつらい」という話を聞きました。夏休み中、不登校について私も勉強し、不登校の子どもは自己肯定感が低くなってしまうことが多く、それにより学校へ行けなくなり、学校へ行けない自分をダメだと思ってしまう場合がある、ということを学びました。そして何よりも本人が一番苦しんでいるということを、ママ友の話を聞いて私は本当に理解したのだと思います。私はたまらず夫に聞いた話を伝えると、「そこまでつらいなら、登校しなくてもいい」と、ようやく言ってくれました。その後しばらくして、「まだ別居を考えているか」と夫に聞かれました。「正直、私一人の手には負えないから実家へ帰ったほうが楽だと思う」と答えると、「家族一緒に暮らしたいから、申し訳ないけど別居はしたくない。私も悪かった。協力できることはするから、何とかこちらで暮らしてほしい」と言ってくれました。Upload By ユーザー体験談夫の変化とその後夫はそれまで、子どもを褒めることはほとんどありませんでした。できて当たり前、できなかったら「何でできないの?」と責めることが多かったと思います。私も夫よりは褒めていましたが、周りの子どもと同じようにできないことを叱ってしまいがちだったと思います。でも、発達障害や不登校の子どもの子育てを学ぶうちに、これではまったくダメだと分かったのです。子どもたちを褒めることを心がけるようになった私を見て、夫も同じように変わってくれました。長女との関係はそれほど変化はありませんが、それまで4年間、まったく会話のなかった長男(ASD傾向があり、夫の話しかけはずっと無視でした)と会話できるようになりました。私も夫が高圧的な態度のころは別居しか考えられませんでしたが、その後は長女をフリースクールへ通わせたり、近くの小学校へ転校させたりして、別居せずに家族で過ごす方法を考えられるようになりました。また夫と言い争いをすることがなくなり、気持ちも軽くなりました。まだ娘の不登校は続いてますが「生きている価値がない」と感じることはなくなったようです。ようやく家が安心して過ごせる場所になったのかなと思います。再び登校することだけが目標ではありません。本人のやりたいことが見つかり、それが実現できるように見守り、サポートしていきたいと思います。最終的には自分に自信を持って働いてほしいですが、同学年の子どもと同じタイミングである必要はないと思っています。これからも焦らず見守っていきたいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/かい(監修:初川先生より)お子さんが登園・登校渋りになると、お子さんにとって園や学校という場がどんな場であるか、また、家庭の中でお子さんがのびやかに過ごせているかということについて、振り返ってみるきっかけとして作用しますね。お子さんにとって、園や学校で苦しいのはどんなことか、そうしたことに先生方の対応や配慮は得られそうか。そして、今回のエピソードだと、家庭内の不和やすでにある難しさをどうしていくかということを考えていくことになります。今回は、ご実家の応援もあって、特に筆者の方にとって安心して過ごせるご実家に夏休みだけ帰られたこと。よかったですね。どのような環境、お父さん(夫)との距離がどのような形だとのびやかに過ごせるかの実験ができました。「別居したい」という申し出はお父さん(夫)にとってはきっと思いもよらない話だったのでしょう。しかしそのきっかけでご自身の対応や任せてばかりの子育てを反省的に振り返られ、新たなパートナーシップへと改変しようとされたのですね。家族のパワーバランスは、「現状」のまま維持されやすく、そこを変化させるにはなかなかの工夫とエネルギーが必要なことが多いです。対話によってそうした面がうまく調整されることが理想ではありますが、今回は「別居」というインパクトある話によって調整が進んだということなのでしょう。
2022年12月22日看護師さんもイライラ?混み合ってるクリニックに娘がぐずりまくり、パニックある日娘が熱を出したので病院へ行くことに。私は娘と病院に行くことが大の苦手でした。待ち時間は大人しく待つことができないし、大きい声でぐずることもよくあったからです。また、娘に少し傷がある状態で行くと「この傷は何?」と医師に問い詰められてるような感じも苦手でした。医師も仕事で聞いてるのは分かるのですが、虐待を疑われている気がして病院のあとはいつも強い疲労を感じていました。そのため、ひとりだと心細くコロナが流行る前は夫も一緒に病院へ同行してもらっていました。予約した時間に病院へ行くと待合室には人が溢れかえっていました。予約はしたものの混み合っていたためなかなか呼ばれず。娘は体調がよくなかったのもありすぐに機嫌が悪くなってしまいました。本などを持っていって時間をしのげばいいのかもしれませんが、娘は少しでも見慣れたものは全く興味を示さない子どもでした。あらかじめどこか出かけることが分かっているときは毎回新しくシールブックなどを買って持って行っていましたが、急な体調不良だと何も用意しておらず。こういうときのために買いだめしておけばよかったなと、今になっては思います。娘を優しくなだめても大きい声で怒り続ける娘に私も段々イライラ…。周囲にはほかのお母さんもいましたがそれを気にする余裕もなく、冷たい口調で怒ってしまいました。そんな中やっと呼ばれ、診察室へ。「お母さんのほうがよく分かってるんだからお母さんが入って!」看護師さんにバッサリ診察はいつも私が付き添うのですが、娘のぐずりに疲れてしまったのでたまには夫に行ってもらおうと思い、娘と一緒に診察室へ入るようにお願いしました。すると看護師さんがバッサリ。Upload By とまぱんUpload By とまぱんはーい。夫任せにしようとした私も悪いのかもしれませんが、娘のことは夫も私と同じくらい把握してます。あまり自分の子どもを把握してない旦那さんもいるかもしれませんが...。そんな旦那さんだと質問しても答えられないので医師も困るのでしょう。でも、子どものことは全部母親がやりなさい、と言われてる気がしてモヤモヤしてしまいました。診察中は娘が暴れ倒し、もうカオス状態(笑)。このときちゃんと診察ができたのか覚えていませんが娘が暴れていたため娘の靴が脱げて散乱してました。診察後、私は娘を抱えるのに必死だったので夫に荷物を持って来るようにお願いしました。夫は娘の靴に気がつかなかったのでしょう。私の荷物だけ持っていこうとすると、看護師さんがまた強い口調で言いました。Upload By とまぱんUpload By とまぱん夫も撃沈。娘は暴れたおすし、看護師さんからは冷たくあしらわれるしこの日の病院も大ダメージを受けたのでした...。5歳になった今、待合室での娘の様子は?娘は4歳ごろから病院で大人しく待てるようになりました。恐らく、幼稚園生活で「待つ」という習慣ができたからでしょう。もう娘と病院に行くのも怖くなくなりました。あまりに待ち時間が長いときは無音で動画を見せたりしますが20分程度であれば何か遊び道具がなくても静かに待てるようになりました。ある日、娘と病院へ行くと2歳くらいの男の子が待合室でぐずっていました。付き添っていたのはお父さん。男の子の声が大きく響き渡っていたのでお父さん、大丈夫かな、イライラしちゃうかなとソワソワしてお父さんをチラッと見ました。するとお父さんは男の子の気を紛らわせようと男の子を高い高いして遊んであげていました。Upload By とまぱん私は娘が病院でぐずっていたときはイライラしてしまっていたのにこのお父さん偉いな...。とひとりで感動。結局、お父さんが高い高いしても男の子は「離せーーーー!!」と叫んで機嫌が治ることはありませんでしたが昔の娘と重なりお父さんを応援せずにはいられませんでした。執筆/とまぱん(監修:井上先生より)病院での待合や診察場面で大変だったという記憶は多くの親御さんに少なからずあるのではないでしょうか。子どもさんの行動についてそうですが、それ以上にほかの親御さんの目や、医療スタッフの態度など気を遣われることも多かったのではと思います。現在いくつかの総合病院ではスマートフォンアプリの順番呼び出しなどを活用しているところも増えてきました。また治療に関する分かりやすい説明や配慮のための「心理的プレパレーション」など、病院側の配慮も進んでいくと良いと思います。
2022年12月22日限局性学習症(学習障害/LD)の診断がおりている娘わが家の娘は小学6年生です。小学1年生のときに限局性学習症(学習障害/LD)の診断がおりました。娘は小さなころから周りの人や物に対して興味の薄い子どもでした。また、赤ちゃんのころは起きている時間はほぼ泣いていて私は常にヘトヘトでした。私が娘の発達に違和感を抱いたのは幼稚園年中のころでした。娘は本を読んでいると、段落を飛ばしてしまうことがよくありました。娘は本を読むことがあまり好きではなさそうだったので、私は早く読み終わるためにわざと段落を読み飛ばしているのかと思いました。娘に都度そのことを注意すると「文字が見えなくなる」と泣いて訴えるようになりました。私は「もしかしたらディスレクシア(読字障害)があるのかもしれない…」と思い幼稚園の先生に相談しましたが「気にしすぎですよ」と言われました。その後も多動だったり気になる部分はありましたが、年長になり就学児健診も特に引っかからなかったのでそのまま娘は地域の小学校の通常学級へと就学をしました。Upload By ユーザー体験談小学校でも相変わらず読み書きに苦労していて…しかし、娘の勉強の様子は相変わらず。不安に思った私は療育に通わせようとしましたが、地域の療育は通所受給者証がないと通えず、診断がおりていない娘は療育が受けられないと断られてしまいました。なんとかしようと、かかりつけの小児科で紹介状を書いてもらい、教育委員会で知能検査を受けました。結果をカウンセラーさんに説明をしてもらいましたが、語彙力は高いけれど、読む力がとても低かったとのことで「娘にはやはりディスレクシアがあるのだろう」と思いました。その結果を元に診断をしてもらい、なんとか受給者証を発行してもらい、療育に通うことができるようになりました。また、小学校では通級にも通い始めました。娘のディスレクシアの症状とは。私の対応方法小学1年生のころの娘は普段の会話は大人っぽいのに、読む力が低いために教科書をすらすらと読むことができませんでした。当時の娘の症状としては…・段落の消滅前後の段落が見えなくなってしまい、次にどこを読めばいいのか分からなくなってしまうようでした。手づくりの段落かくしを活用して毎日音読をしました。Upload By ユーザー体験談・1~10の数字の理解が難しいおはじきやおもちゃなどの視覚支援グッズを使い、何度も何度も親子で数の復唱を繰り返しました。・かくかくした文字が読めない、読みづらいカタカナやアルファベットが読みづらかったようです。伸ばし棒、小さい「っ」などの入れ方にも戸惑っていました。こちらもとにかく繰り返し音読、書きとりを行いました。・同じ記号(数字、文字、絵含む)が続くと読めない同じものが続くと混ざって見えてしまい、数が分からなかったり、文字は溶けて見えると言い、正しく読めませんでした。0の数も続くと数えられないですし、ペイズリー柄などは柄が溶けて、マーブル模様のように見えてしまうようでした。図工の時間などに、クラスのみんなで同じテーマで絵を描くと、テーマは同じでもそれぞれみんな個性が出て私には違う絵に見えますが、娘には全て同じ絵に見えてしまい、同じものがたくさん並んでいると、さらにクラスメートの複数の絵が全て溶けて見えてしまうと言っていました。Upload By ユーザー体験談学習の困りはたくさんあったけど…母の苦労と娘の努力そんな学習の困りがたくさんあった娘でしたが、毎日音読を繰り返し、数字も根気よく復唱、苦手な書きとりもなんとかコツコツと積み重ね、小学6年生の今ではカタカナと段落の読字困難については寛解し、読めるようになりました。文字が溶けるなどの現象も、点つなぎやぐるぐる迷路などのワークをやることでだんだんと良くなっていきました。娘がカタカナが読めるようになったときにはとても感動したことを覚えています。本当に読めるようになるのかという長く暗いトンネルの中、毎日私が繰り返し娘とやってきた努力は決して無駄ではなかったのです。Upload By ユーザー体験談また、聴覚優位なので、音読アプリや私が最初に一度読むのを聞くと、その後すらすらと音読できるようになることに気づきました。通級の先生にもこのような日々の気づきを共有して合理的配慮を実施することで娘も成長したのか、小学5年生のときに受けた全統一テストの国語では、配慮なしでも平均点より上を取ることもできました。娘は今、通常学級に在籍し、週1回通級に通っていますが、勉強に苦労している姿を見て私は「特別支援学級のほうがいいんじゃない?」と提案したことがありました。ですが娘には「通常学級に通いたい」という強い意思がありました。大変でも勉強や宿題はほかのクラスメートと同じようにやることを選んだ娘。私が今できることは娘のことを一番に考え、サポートをしてあげることだと思います。これからの中学への進学のこと、そして高校受験の際に受けられる合理的配慮などを調べて、娘が楽しく自分の人生を生きていけるように今後も支えてあげていきたいと思います。Upload By ユーザー体験談イラスト/吉田いらこエピソード参考/アトマキマキ(監修:鈴木先生より)一般的にIQでワーキングメモリーの低いお子さんは読むことが苦手で、処理能力の低いお子さんは書くことが苦手といわれています。読めないと書けないのでまずは平仮名・カタカナ・漢字の読む練習を徹底して教えます。集中が長く続かずに覚えられないお子さんにはADHDの不注意優勢型の並存をしている可能性があるためADHD治療をすすめることもあります。自閉スペクトラム症のあるお子さんはマイペースなため処理能力の低いことが多いです。特に同時処理が低い場合は板書を写すのに時間がかかるため最近ではタブレットで黒板の写真を撮っている子どもも珍しくありません。SLD(限局性学習症)は医療というよりも教育の問題の部分が多いです。特別支援学級などでトレーニングする必要がありますが、ほとんどの学校ではマニュアルがないのが現状のようです。
2022年12月21日おせちづくりはコウに丸投げ!?母のズボラで子は育つ(かも)Upload By 丸山さとこ昨年末のことです。スーパーで買い物中の私は、ワゴンに積まれたおせち料理の材料を「一応見ておこうかな」くらいの軽い気持ちでのぞいてみました。すると、そこには『水で煮るだけの味つけ昆布巻き』や『つくり方がパッケージに載っている田作り』など便利そうな商品がありました。これくらいなら年末の慌ただしい中でも簡単につくれそうです。私は数の子や栗きんとんなどと一緒にそれらをカゴに入れて、意気揚々と帰りました。それから一日が過ぎ、三日が過ぎ、一週間が過ぎ…気がつけばお正月が目前に迫ってしまいました。「これくらいなら簡単そう!」と思った時点の私はどこへやら。私はすっかりおせちづくりが面倒になっていました。「もう床から離れたくない。ホットカーペットの上でゴロゴロしながらゲームをしていたい…」と怠惰モードになっていた私は、ふと「もしかしたらコウにもつくれるのでは?」とひらめきました。コウは知育菓子が大好きで、パッケージの説明書を読んではせっせと水を量ったり粉を練ったりしていました。説明を読みながら作業することはできそうです。また、当時小学6年生だったコウは家庭科の授業で簡単な料理は経験していたので「炒める・煮る」だけであればできそうだなと思いました。Upload By 丸山さとこ早速コウに「おせちの材料買ってあるんだけど、説明を見ながらつくってみない?」と声をかけると、「うん!やるやる~!」とうれしそうに乗ってきました。「さて、何をやってもらおうかな」と材料を見ていくと…数の子の塩抜きや薄皮を取る処理は火が要らず簡単そうですが、生臭い水が飛び散ったら後片づけが大変そうです。煮豆は加熱調理機で放置しておけばできあがります。そんな風にして打算と安全性を重視しつつ考えた結果、田作りと昆布巻きが「炒めるだけ」「水で煮るだけ」で安全そうだと結論が出ました。コウに「この田作りと昆布巻きをお願いします」と渡すと、彼は「まかせて~」と自信ありげに受け取りました。頼もしいその反応を見ると、逆に不安が沸いてきます。自信がある作業は雑になりがちなコウのことを考えて、やはり側で様子を見守ることにしました。Upload By 丸山さとこそうして少しドキドキしながら見守っていたコウのおせちづくりは「まかせて」の言葉通りスムーズで、「田作りをフライパンから飛ばさずに乾煎りできるなんて凄いね」と感心すると、コウは「そうでしょ」とニコニコしながら味見をしてご満悦でした。(私はせっかちに小魚を乾煎りして飛ばすことがしばしばあるので、お世辞ではなく心から感心しましたし、とても助かりました)丸投げの下地づくりはコツコツとコウは小学校低学年のころから少しずつ料理のお手伝いをしています。特別なことはないごく普通のお手伝いですが、・レタスをちぎったサラダ・プチトマトのヘタをとって洗う・包丁でキュウリを切る・人参をスライサーで千切りにするというようにスキルアップが感じられる流れを心がけつつ、スモールステップで作業を増やしていきました。Upload By 丸山さとこまた、『ホットケーキをひっくり返すタイミングを知らせる係』をすることで、焼き加減の見極めだけを練習したこともありました。全体の工程に目を通しつつ料理の作業を細かく割ることで、コウが安心して取り組めるように意識しました。料理は分かりやすいスモールステップがたくさんあるなと思います。それと同時に『周囲が乾いてきたら』『透き通ってきたら』などの曖昧な表現や基準も多く、曖昧さや臨機応変な対応が苦手なコウにとってよい練習になっていると感じます。コウを見ていると、練習の仕方が多くの人と違うことや、できるようになるまでに時間がかかることはたくさんあるようです。それらの中には『大人になっても難しいこと』も少なからずあるのだろうなと思います。それでも、彼なりのペースと彼なりの方法で「できること」が増えていけば、おせちのように『初めてやる作業だけど何とかなった』が増えていくのかもしれません。そんな風にしみじみしながら、今年も田作りはコウにお願いしようと思う私でした。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)スモールステップ化され具体的な操作を書いたレシピはコウさんにとって、とても分かりやすい手掛かりになったのだと思います。品目によっては、塩加減や焼き加減といった数値化しにくいステップもありますが、その部分のステップだけ取り出して何度もモデリングさせたりすることも有効に思います。調理は将来的な自立に役立つだけではなく、本人の自信につながったり、親子のコミュニケーション機会にもなると思います。買い物とセットで続けていくとより発展していくと思います。楽しみながら頑張ってください。
2022年12月21日「休み時間に居場所がない」ASD・ADHD傾向のある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちの抱えていたリアルな「困った!」を取材。子どもたちの状況を変えた対応策とは?ドキュメントタッチで解説します。Upload By 専門家インタビューUpload By 専門家インタビューUpload By 専門家インタビューマンガ/NEGI今回は、ASDとADHDの傾向がある中学生のお子さんの「友達トラブル」に関するエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。中学校に進学し、友達づきあいが難しくなるお子さんは決して少なくありません。今回のように、悪口を言われるようになってしまって休み時間を教室で過ごすことが難しくなってしまった場合、次のような対応が考えられます。1.悪口を言ってくるグループとは距離をとる。もし何か相手に言いたいけれど不安なときは、直接言う前に担任の先生やスクールカウンセラーの先生などに相談して一緒に考えてもらう2.休み時間も無理をして教室で過ごさずに、図書館など学校内で教室以外の安心できる場所を見つける3.友達はほかのクラスや学校の子でもいいので、共通の趣味をきっかけにつながりを持ってみる保護者の方はお子さんの様子を気にかけながら、心配な場合は早めに学校の先生や専門家に相談することも大切です。
2022年12月20日できることを増やしたい…焦っていた年長Upload By ゆきみ自閉スペクトラム症のあるけんとは、年中~年長のときに、こども園に通っていました。自分の興味があることはとことんやるけれど、興味がないことは一切見向きもしない性格。年中のころは、体操、お遊戯、制作、園の行事などに参加することはほとんどありませんでしたが、年長になって園のご協力もあり、少しずつ参加することが増えてきました。先生が声かけをしてくださったときに興味があれば参加するし、なければ参加しないで自分の好きなことをすることも多かったようです。こども園や普段の様子から「集団行動や、順番に並ぶのが苦手」「人の使っているものを勝手に使う」「興味がない授業を受けられるのか」「ルールを守れるのか」…などが特に心配でした。小学校では特別支援学級を希望していたので苦手なことは支援していただけるかもしれないと思っていましたが、就学に向けて少しでもできることを増やしたいと焦っていました。不安でいっぱいだった年長のころに行った、児童発達支援施設と家庭での取り組みについて振り返ってみたいと思ます。就学に向けた年長向けの児童発達支援施設でUpload By ゆきみ通っていた児童発達支援施設は、その日の流れをイラストにし、順番に並べて伝えるなど、視覚を使った支援を行っていました。視覚優位の特性をもつけんとにとっては、やることが分かりやすかったのか、興味がそれほどないことでもプログラムに参加することが多かったようです。そこは年長の子どもの就学に向けたプログラムをメインとしている児童発達支援施設。制作課題では、みんなで協力して1つのものをつくることもありました。ハサミや、のりなどの貸し借りをお友達の間でする、というのも目的になっていて、苦手そうな場合は指導員さんが間に入って一緒に伝えてくださいました。鬼ごっこのような少しルールのある遊び、順番に並びながら行う粗大運動のサーキッド、少人数ずつ横断歩道を渡りに行く課外活動…など、就学を意識したプログラムを行ってくださいました。帰り際、その日の子どもの様子を教えてもらい、何が苦手なのかを知ることができました。構音障害のあるけんとは、言葉で伝えるのが苦手。人の使っているものを勝手に取ってしまったり、ルールのある遊びも理解せずなんとなくやっていたりするようですが、繰り返していくたびに少しできるようになることもありました。就学に向けて不安なことは、すぐに先生に相談させていただき、アドバイスなどをいただいたので、私の安心感にもつながりました。学校とはどんなところ?不安の強いわが子へUpload By ゆきみ見通しがたたないと、すぐ不安になってしまう心配性のけんと。小学校という新しい世界に飛び込んでいくのは、環境の変化でとても不安が多いだろうなと思いました。小学校とはどういうところで、どんなことをするのか、学校にはルールがあることなど、何となくでも知ってほしいなと思い、小学校生活について書いてある本を図書館で何冊か借りてくることに。内容としては、学校にはどのような部屋があるのか、小学校での1日の時間の流れ、どういうお勉強をするのか、どんな行事があるのか、学校生活でのルール、お友達へのあいさつの仕方、教室の掃除の仕方…など、いろいろなことが分かりやすくイラストや写真を使って描いてありました。一緒に読んでみたり、目につくところにそっと置いたりしておくと、好みの本を選んで1人でも読んでいた様子。「小学校に早く行きたい!」と言うようになったので、楽しみにしてくれたのはよかったかなと思っています。先生やお友達に教えてもらいながら…Upload By ゆきみけんとは小学1年生になりました。本で見ていたイメージと、実際に通ってのイメージが合っていたのかは分かりませんが、いろいろな教科に興味をもち、授業を楽しみにしながら学校へ通っています。今でも友達のものを勝手に使ってしまうこともありますが、順番に並ぶというのはこども園のときよりはできるようになりました。年長のときは就学までにどれくらいのことができるようになったらいいのか分からず、不安になっていましたが、結局、就学までにできるようにならなかったことも多かったです。しかし現在、先生方やお友達が困ったときは助けてくださり、分からないことやできないことは教えくださっています。学校生活を送る中で成長し、学校を楽しんでいる様子なので周りの方々にとても感謝しています。現在もルールなどを守れなかったり、教室から出て行ってしまったり…と、まだまだ集団行動は苦手ですが、少しずつできることが増えてくれたらうれしいなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:鈴木先生より)友達のものを勝手に使ってしまうことがある場合は、まずは「貸して」と言えるように教えてあげてください。神経発達症(発達障害)のあるお子さんは、興味のないことや嫌なことがあるとその場から逃げてしまう傾向があります。「がんばりカード」をつくって、少しでも参加できたらポイントをつけてみましょう。ポイントが5点たまったら動物にエサをあげられるなど、行動のご褒美をあげるというトークン法がいいと思います。小学校入学など環境が変わるときには、できれば映像を見て予習することをおすすめします。私たちが初めて海外旅行へ行くときと同じように、本よりもイメージが広がり、どんな所かが分かって安心できるからです。
2022年12月20日障害のある学生の修学や大学生活の困りごとに寄り添い、教職員への支援も行う東北大学では、2014年4月に「学生相談・特別支援センター 特別支援室」を設置。2016年3月に「国立大学法人東北大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程」を、同年4月「障害のある学生への配慮に関するガイドライン」、同年10月「修学上の合理的配慮の提供に関する対応について」を定め、障害のある学生への支援体制の整備を図ってきました。今回は、現在の支援内容や新しい取り組みなどについて、学生相談・特別支援センター副センター長の池田忠義先生に教えていただきました。発達ナビ編集部(以下、ーー)特別支援室の位置づけや支援体制から教えてください。池田先生:特別支援室は、障害学生に関する全学的な相談部署であり、学生相談・特別支援センターの中に位置づけられています。同センターには、特別支援室と全学の学生相談を担う部門である学生相談所とがあります。特別支援室には、相談員3名(専任教員)、コーディネーター2名、受付1名が配置されています。相談員やコーディネーターは、公認心理師や特別支援学校教諭などの資格を有し、発達障害や聴覚障害のある学生への支援等に関する専門性を持っていますが、現在はどの担当者もさまざまな障害に対応できるように努めています。――特別支援室ではどのようなことに注力しているのでしょうか。池田先生:障害のある学生への合理的配慮に関する支援だけではなく、修学上や大学生活上のさまざまな悩みや困りごとへの支援を行うこと、大学の構成員全体を対象とした働きかけを行うことです。したがって、障害のある学生だけではなく、その疑いのある学生も含めて、継続的な面接により支援を行い、また、障害のある学生の支援に関する教職員や学生全体の理解促進のための活動を積極的に行っています。Upload By 発達ナビ編集部発達障害がある学生の相談は増加傾向に――どのようなことでお困りの学生が多いのでしょうか。池田先生:自発的に来談する学生については、修学上のつまずき(授業についていけない、単位履修が進んでいないなど)を契機に相談につながることが多く、入学直後を含め、低年次からそうした問題に直面する場合や、学年が上がり、専門科目が増えた状況でそれらの問題に直面する場合もあります。最終学年などで、研究に取り組む中で初めてつまずきを感じて来談する学生もいます。また、卒業が近づいて進路選択をしなければならない段階で、進路選択に迷う、就職活動で思うような結果が出ないといったことで来談する学生も少なくありません。――来談する時期や内容はさまざまなのですね。相談に来る学生は増えているのでしょうか。池田先生:特別支援室の来談者は基本的に増加傾向にあり、発達障害のある学生も同様の傾向にあります。来談者を障害種別に見ると、発達障害が一番多く、未診断であるがその傾向があると思われる学生も毎年一定数います。また、発達障害に次いで精神障害が多く、2021年度の来談者は発達障害(疑いを含む)と精神障害の二つで来談者全体の6割を超えていました。こうした傾向は、今後も続くのではないかと思われます。特別支援室に来談している学生については把握できますが、学内全体で発達障害のある学生がどれくらい在籍しているかは明確ではありません。ただ、発達障害の有病率という点から考えると、特別支援室への来談や学内での支援につながっていない学生が一定数いると思われます。そのことを踏まえると、学生が相談・支援につながるための広報活動や学生と接している教職員の理解啓発をより一層強化する必要があると考えています。――支援が届いていない学生もいるかもしれないということですね。発達障害がある学生の相談内容としては合理的配慮に関するものが中心ですか。池田先生:当室を利用している発達障害のある学生の多くは、合理的配慮を申し出るための申出書作成支援や自分自身の特性理解、困難さの対処方法の相談のため来談している学生です。一方、「発達障害かもしれない」と思い相談に来る学生もおり、その学生については希望に応じてアセスメントを行うなどし、医療機関の受診などについて一緒に検討しています。合理的配慮の具体的な例としては、注意事項等の文書による伝達、レポート提出期限への配慮、別室受験等などがあります。合理的配慮を受けた学生からは、「配慮を認めてもらってとても助かった」など、修学機会の確保につながったという声を多くもらっています。ただ、配慮提供が認められたものの修学に結びつかないこともあるため、学生と振り返りながら次学期に向けての相談を行っています。――先ほど学生だけでなく教職員の方への支援にも力を入れていると伺いましたが、具体的に教えてください。池田先生:障害のある学生の支援に際しては、教職員の理解・協力が必須であることから、個別支援における教職員との連携、障害学生支援に関する理解促進のための啓発活動を特に重視しています。前者については、特別支援室へ相談に訪れた学生の支援に際して特別支援室から授業担当者や指導教員に連絡する場合と、学生対応に関する教職員からの相談を受け、連携する場合があります。後者については、学生支援に関する全学FD(FD:大学の教育の内容及び方法の改善を図るための教員の組織的な研修など) を定期的に実施するとともに、部局の依頼に応じて特別支援室スタッフが部局FDの講師を務めています。また、学生支援に関する全学的会議である学生生活支援審議会の下に学生相談・特別支援連絡会議を設置し、そこで各部局の学生相談や障害学生支援に関する状況を共有しています。――教職員の方からはどのような相談があるのでしょうか。池田先生:発達障害のある学生やその傾向があると思われる学生に対して、「どのように対応したらよいか分からない」「どこまで支援をしなければいけないのかが分からない」「配慮はほかの学生の不公平感につながるのでは」など、学生の困難さの理解のしづらさから来る対応の難しさ、合理的配慮に関する質問・意見があります。さらに、具体的な支援方法や支援事例、発達障害のある学生の就職支援についてなど知りたいといった声もあります。こうしたことから、発達障害のある学生についての教職員の理解啓発などを目的として、2021年度、「発達障害のある学生への対応について-教職員向けヒントブック-」を刊行し、全教職員に配布しました。学内講演やFDなども行い、学内の理解や啓発などを積極的に進めています。Upload By 発達ナビ編集部――特別支援室では、学生サポーターによる支援も行っているのですよね。池田先生:「学生相談・特別支援センター学生サポーター」は、誰もが共に学べる大学環境をつくるために組織された有償ボランティアであり、現在は学部生、大学院生あわせて計60名登録しています。応募動機としては、人と関わるような活動をしてみたい、障害のある学生と関わってみたいなど多岐にわたります。主な活動は、聴覚障害のある学生のための情報保障、移動が困難な人のためのバリアフリーマップの作成や改訂のほか、障害のある学生への学習支援、ガイドヘルプ、移動介助、授業中のノート作成、学内ボランティア団体でのイベント参加などです。バリアフリーマップについては全キャンパス分を学生サポーターが中心になって作成しており、現在は毎年1キャンパスずつ改訂し、各学部や入試説明会など人が集まるような行事で参加者に配布しています。コロナ禍前は大学祭やオープンキャンパスでのイベントへの参加なども行っておりましたが、本学でも対面の活動の再開に伴い今後ますます活動が広がっていくと思います。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部発達障害のある高校生などを対象とした大学準備講座を開催――発達障害のある高校生や既卒者向けの講座を実施されていますね。開催のきっかけから教えてください。池田先生:当室に来談する発達障害のある学生と話していると、入学後に高校と大学との違いに戸惑いを感じたり、困ったときにどこにどのように相談したらよいか分からなかったりと、大学生活などで大きくつまずいていることが少なくありません。そのため、発達障害のある本学への進学を希望する方や大学で学ぶことに興味がある方を対象に、大学のイメージを膨らませ、進学準備や進路選択に役立てられることを目的として「発達障害のある高校生・既卒者向け大学準備講座1DAYトライアル!」を開催しようと考えました。2022年3月に初めて開催し、同年8月に2回目を開催しました。――反響や参加状況はいかがでしたか。池田先生:初回は3月実施ということもあり、高校1・2年生の学生4名が参加してくれました。参加者から次回以降は夏開催を希望する声が多かったため、2回目は今年8月に開催し、高校生6名、既卒者1名の計7名の方の参加がありました。1DAYトライアルは発達障害の診断がある方向けのイベントですが、グレーゾーンの方からの問合せもあり、反響の大きさを感じました。当初対面開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、急遽オンラインでの開催に変更したところ、東北以外からの参加もありました。イベント終了後にアンケートの記入をお願いしたところ、うれしいことに全般に高い評価を得ることができました。模擬授業は、大学と高校との違いや大学での支援体制などの座学に加えて学生サポーターも加わり参加者の疑問に答えたほか、時間割作成や自分自身の特性理解につながるワークなども行いました。障害のある当事者学生が参加した「先輩の体験談を聞く(座談会)」の時間では、障害の困難さを抱えながらもどのように大学生活を送っているのか座談会形式で行いました。参加者からは次々と質問があがり時間が足りないほどでした。参加者からは、「大学と高校の違いや本学の支援体制などを具体的に学べた」「自分自身の障害特性についても考えながら大学を知る機会になった」「先輩の話から大学について不安に感じていたことが安心感に変わった」などの感想が寄せられ、自分自身の障害特性を理解しながら大学生活を送ることについて知るとても貴重な時間になったことが伺えました。――参加者のみなさんにとって良い機会となったのですね。池田先生:そうですね。我々としても、参加者にとって大学や自分自身を知る有意義な時間になっていたと感じています。模擬授業の中の時間割をつくるワークでは、「自分は朝が弱いから2限からの授業を取ろう」「続けて授業を取りすぎると集中力が続かないから間をあけて授業を取ろう」などの感想があり、参加者が自己理解を深めながら大学での修学を考えることの大切さを実感したのではと思います。また、本学の学生サポーターや当事者学生も参加しましたが、質疑を通して発達障害のある学生への理解や自身の自己理解につながった貴重な時間になったように思います。さらに、県内の高校に今回のイベントの開催通知送付のほかに電話での案内も行い、その際に「大学の障害学生支援について知りたい」とのご相談が高校の教職員の方からあり、職員研修会での講演依頼を受けました。発達障害のある学生だけではなく、高校の教職員のみなさまにも大学の障害学生支援を知っていただく機会につながる講座であると感じています。昨年度、今年度ともに感染状況などを考慮し、対面開催からオンラインでの開催に変更しました。来年度は、食堂や図書館など学内施設の体験利用などの企画も考えながら、ご希望の多かった対面開催を目指していきたいと考えています。個別支援と学内全体の支援体制の充実を目指す――これからの特別支援室の取り組みについて教えてください。池田先生:今後については、来談者への個別支援と学内全体の支援体制の充実をさらに進めていきたいと思っています。個別支援については、修学上や生活上の支援はもちろんですが、入学や卒業の時期における支援が特に重要・必要だと思っています。現在も、大学生活に円滑に入れるための高大接続、大学卒業後の生活に向けて就労移行支援に取り組んでいるものの、まだ十分とは言えないため、これらの活動をさらに積極的に行っていきたいと考えています。また、学内全体の支援体制の充実のためには、大学構成員全体を対象とした情報発信や研修会の実施等を進めていくことが大切だと考えています。――ありがとうございました。
2022年12月19日「対面レジでの会計」はハードルが高い!場面緘黙があるゆいは、対面でのお買い物がちょっと苦手です。お会計の際に初対面の人と会話をしないといけないことがとてもハードルが高いようです。もちろんネットを使えば対面なしでもお買い物はできます。けれど、他人と接して買い物をする経験もたくさんしておくことが必要だと思うので、ゆい個人のものを買うとき、私はなるべく本人に一人でレジに行かせるようにしています。ゆいが初めて「CDを買いたい」と言い出したのは、小学6年生の秋でした。少し前から某グループのファンになり楽曲を聞いていてCDが欲しくなったようです。サブスクやダウンロードで音楽を楽しめる時代ですが、やっぱり推しができるとデータだけでなくモノそのものが欲しくなるというもの。ゆいもお姉さんになったものだと感じつつCDショップに向かいました。ショップでお目当てのCDを見つけたあと、私は「一人で買っておいで。これも人生経験だよ」と提案しました。ゆいはちょっと戸惑ってからレジの列に並びました。私は少し離れたところから見守っていました。Upload By 吉田いらこあと少しで自分の番。でもレジの列から離れてしまい…でも、あと少しで自分の番というところでゆいはレジの列から離れてしまいました。「やっぱり買うのをやめる」というのです。並んでいる間にかなり緊張してしまったようで、どっと疲れたように見えました。「いやいや、本当は欲しいんだよね?レジでやり取りするのがつらいだけだよね」と確認で聞いてみたのですが、ゆいはもう諦めたように「別にいらない。欲しくない」とつぶやいていました。これまでも、ゆいが一人で買い物をした経験はありました。たまに雑貨屋で小物を買ったりコンビニでジュースを買ったりしていたのですが、そのときのレジを担当していた方は女性や優しそうなおじいさんだったので、大丈夫だったのかもしれません。このお店のレジの方は若い男性だったのでちょっと難易度が高かったようです。Upload By 吉田いらこ本当にそれでいいの?娘に本心を聞いてみるとゆいの中で、「知らない人と接するストレスに比べたら欲しいものなど諦められる…」という考え方になっていることを知り、私は本当にそれでいいのかゆいに確認しました。そうするとゆいが「やっぱりCDは買いたいけど、一人がきつい。買い物についてきてほしい」と言ったので、私はゆいの隣について再度列に並びなおしました。私が横にいるだけで、商品を渡してお金を払うことができました。今回は何とか買い物ができましたが、これだけ疲れてしまうのは大変だろうなと感じました。Upload By 吉田いらこ最近は無人レジやネット販売が増えてきて、ゆいにとっては暮らしやすくなりいいことだなと思っています。でも、やはり他人と接する回数は生活していく上でゼロにはできません。他人と接する練習は本人にとってはつらいものになるかもしれないのですが、本人の生活のしやすさを優先するだけでなく、生きていくために社会に合うように慣れさせる必要もあり、バランスが難しいところだなと感じています。執筆/吉田いらこ(監修:鈴木先生より)ASDのあるお子さんで場面緘黙が併存することはよくあります。ASDのある方はもともと対人コミュニケーションが苦手なため、思っていることがうまく伝えられないことが多いのです。しかも、今回のケースでは知的発達症(知的障害)も伴っているため語彙も少なく、失敗をしたくないというプライドも重なり、さらにレジが若い男性という点でもハードルが高かったのではないでしょうか。学校でもよくあることですが、厳しそうな表情の先生に苦手意識を感じ登校渋りになってしまうことや、反対に優しく話を聞いてくれて笑顔の多い先生ならばスムーズに行けることもあるのです。最近では会話を必要としないセルフレジやネット販売サービスも普及し、ASDのある方には過ごしやすい世の中になってきました。しかし、人間関係の基本は会って相手の表情を見ながら話すことです。スモールステップで慣らしていくのがいいでしょう。
2022年12月19日アダルトチルドレン(AC)の治療法はあるの?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンアダルトチルドレン(AC)は医学的な概念でないため確立した治療法はありません。しかし現在あらわれている症状や、社会生活上の困りごとやつらさに対しては対処できる場合があります。■症状に対する治療心身になんらかの症状があれば、医療機関でその症状に対する治療を受けられます。具体的にはトラウマに関する症状や不安、抑うつ、依存などに対する薬物療法、カウンセリング、認知行動療法などが挙げられます。■当事者会・グループミーティングなどへの参加アダルトチルドレン(AC)に悩む人の当事者会などもあります。同じ生きづらさを抱える人たちと出会い、自分の体験を話すこともつらさの軽減につながることがあります。アダルトチルドレン(AC)と家族アダルトチルドレン(AC)は親や養育者との関係性の中で傷つく体験をし、トラウマを抱えています。自分が配偶者や子どもを傷つける不安を抱えて生きていることも多いようです。このような世代間の苦しさの連鎖を断ち切るためにできることを紹介します。親が子どもを将来アダルトチルドレンにしないためにできることとして、ジャネット・G・ウォイティッツ氏は以下のことを挙げています。1. 親自身が人間として成長するよう努力する2. 子どもの話に耳を傾ける3. 子どもに嘘をつかない4. アルコール依存症について教える5. アラティーン(※)への参加を薦める6. 否認をやめる7. アルコール依存症への惨害を隠さない8. 子どもに愛情を示すのをためらわない9. 子どもに明確な限界を教える10. 子どもに自分の行動の責任をとらせる参考:ジャネット・G・ウォイティッツ『アダルト・チルドレン アルコール問題家族で育った子供たち』(金剛出版 1997/10/10)P.173~180※アラティーン:アルコール依存症者に影響されてさまざまな障害が生じている家族が回復のために参加する自助グループ参考:アラノン・アラティーン|e-ヘルスネット当事者やその家族が抱えがちな悩みを専門家に聞いてみました医療機関に行くときは何科にかかればよいのでしょうか?A:心療内科、精神科、メンタルクリニックなどがあります。かかる前に一度HPを確認したり、問い合わせをするとよいでしょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンアダルトチルドレンのある親が子育てに悩んだときはどこに相談すればよいのでしょうか?A:児童であれば児童相談所に相談するのがよいかと思いますが、地域によって違いがありますので、お住まいの市区町村の子育て支援の窓口で相談できる機関をおたずねになられるのもよいでしょう。そのほか、地域の専門機関の相談に抵抗があるようでしたら、社会福祉法人子どもの虐待防止センター(CCAP)は、研修を受けた相談員による電話相談を行っているほか、ケースによっては虐待などの悩みをもつ保護者同士が自分の体験を語ることによる治療的グループケアや、ペアレンティングプログラムなどが提供されています。信頼できる専門機関とつながることで、育児ストレスを減らすことが期待できます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン子どもの虐待防止センター相談電話|社会福祉法人子どもの虐待防止センター(CCAP)二次的な精神疾患を引き起こさないためにはどうしたらよいでしょうか?A:一人で抱え込まないことがなにより大切です。心身になんらかの症状がある場合には医療機関でその症状に対する治療を受けたり、当事者の会などで同じ生きづらさを抱える人たちと出会うことで生きづらさの軽減につながることがあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
2022年12月18日長男を出産後、初めての年末は夫の実家で過ごしました。義父母、義兄、義弟と私たち家族3人で新年を迎えたのですが、夫の家族は全員、夜型の生活をしている人たちでした。今回は、生後11カ月の長男を連れ、夜型家族と一緒に過ごした初めての年末年始で困ったことをお話ししたいと思います。※コロナ禍前の体験談です 眠れなかった夜大晦日、夫と私と長男の3人で夫の実家へ行きました。家とは違う場所と、ほとんど面識のない義父母や義兄弟に会った長男は少しとまどっていました。それでも、無事に1日を過ごす事ができ、夜11時ごろ、お借りした部屋で先に休ませてもらいました。 私も長男もすぐ眠りにつくことができたのですが、夜中に何度か大きな話し声が聞こえてきて、そのたびに私はびっくりして起きてしまいました。朝4時くらいまでの間に3回ほど目が覚めたので、その夜はよく眠れませんでした。 夫家族を気づかって外で過ごした元日の朝朝7時ごろに目を覚ました長男。朝4時くらいまで夫家族は話をしていたので、当然みなさん寝ていました。 長男に朝ごはんを食べさせようと思い、静かに居間へ行くと、居間で夫家族が雑魚寝をしていました。居間と台所がつながっていたので、台所を使わせていただくことも無理でした。さらに義母は台所に義母以外の人が入るのを嫌う方だったので、勝手に台所を借りるわけにはいきませんでした。 それで、夫家族を起こしてはいけないと思い、長男と外に出ることにしました。 行くところがなく、ひたすら歩いた午前中夫を含め、夫家族が夜型の生活をしていることは聞いていました。しかし、何に困るのか予想ができなかった私は、着替えや長男のおむつ、おやつ、絵本しか持ってきていませんでした。 どこかのお店で朝ごはんを食べようと近所をひたすら歩いて探してみましたが、運悪く食事をとれるお店がありませんでした。仕方なく、コンビニでプレーンなパンと水、ヨーグルトを買って、長男と食べました。 その後も行くところがなかったので、実家の近くを歩きながら過ごしました。そして11時半ごろ、夫から起きたという連絡があり、夫の実家に戻ることができました。 このときの経験から、生活パターンが違うことは仕方がないので、泊まりで夫家族と過ごすときは、パン類、水、自分用のカロリーメイトを持っていくようにしています。 イラスト:imasaku著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2022年12月18日アダルトチルドレンとは?アダルトチルドレンになる原因は?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンアダルトチルドレン(AC)とは、子ども時代に親との関係の中で負った何らかのトラウマ(心的外傷)が現在の生きづらさや人格形成に影響していると感じている状態を指す概念ですが、医学的な診断名ではありません。1970年代にアメリカで提唱されたのはAdult Children of Alcoholics(ACoA)で、元々はアルコール依存症のある保護者のもとで育った人という意味で使われていました。現在では解釈は広がり、アルコール依存症だけでなく薬物依存症、セックス依存症、ギャンブル依存症、ワーカホリック(仕事依存)などといった依存症のある保護者や養育者の元で育つことや、機能不全家族のもとで育つことなどによるトラウマが現在の生きづらさや人格形成に影響している状態として使われるようになっています。機能不全家族とは、本来安全な場所であるはずの家族が何らかの要因でその機能を十分に果たせない状態となっていることを示します。要因には、親や養育者に依存症がある、虐待やネグレスト(育児放棄)、家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などさまざまあります。保護者が偏った考え方を持っている機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況になってしまいます。親や養育者に依存症があったり、虐待などを行う機能不全家族の場合、家庭は子どもにとって「安全な場所」でない可能性があります。そして、子ども時代に受けたトラウマは強い後遺症をのこすことがあります。そういった環境で育った子どもの中には、あまりにつらい体験を認めたくないために、無意識のうちにその経験を忘れてしまったり、自分自身が傷ついていたことすら認識できないという人もいます。知らず知らずのうちにためこんだ感情が抱えきれなくなった結果、自身も依存症になってしまったり、怒りと攻撃性を爆発させ問題行動を起こす場合(行動化)があります。一方、目立った問題を起こさない人もいます。ですがそうした人も生きづらさを感じており、二次的に精神疾患を発症することがあります。アダルトチルドレンの特徴アダルトチルドレンの特徴として、概念の元となっているACoA(Adult Children of Alcoholics=アルコール依存症の親のもとで育った人)について記したジャネット・ウォイティッツは、以下のように示しています。1. ACoAは何が正常かを推測する(「これでいい」との確信が持てない)2. ACoAは物事を最初から最後までやり遂げることが困難である3. ACoAは本当のことを言った方が楽なときでも嘘をつく4. ACoAは情け容赦なく自分に批判を下す5. ACoAは楽しむことがなかなかできない6. ACoAはまじめすぎる7. ACoAは親密な関係を持つことが大変難しい8. ACoAは自分にコントロールできないと思われる変化に過剰に反応する9. ACoAは他人からの肯定や受け入れを常に求める10. ACoAは他人は自分と違うといつも考えている11. ACoAは常に責任をとりすぎるか、責任をとらなさすぎるかである12. ACoAは過剰に忠実である。無価値なものとわかっていてもこだわり続ける13. ACoAは衝動的である。他の行動が可能であると考えずに一つのことに自らを閉じこめる引用:斎藤学『アダルト・チルドレンと家族―心のなかの子どもを癒す』上記のような特徴から、社会生活などさまざまな場面での困難につながる場合もあります。しかし、このような特徴や生きづらさは、発達障害や精神疾患などを含め、別の要因でも生じる可能性もあります。上記に当てはまるからといって必ずアダルトチルドレンであるとは限りません。アダルトチルドレンとうつ病など精神疾患との関係は?アダルトチルドレンとは、状態像を示す用語で、診断のための医学用語ではありません。ですが、親や養育者との関係で何らかのトラウマを負ったことにより、精神疾患の症状が現れることがあります。二次的な精神疾患の例としては、・依存症・うつ病・不安障害・PTSD・摂食障害などが挙げられます。こうした精神疾患の症状に対して医療機関の受診や治療が必要となる場合があります。
2022年12月17日通常学級に在籍する小中学生の8.8%に発達の特性がある小中学生のうち、特別支援学級や特別支援学校でまなぶ子どもたちは、2019年度の調査で42万人、小中学生全体の4.3%となっています。ですが、特別な支援を必要とする子どもたちは、地域の学校の通常学級にも在籍しています。2022年12月、文部科学省は10年ぶりに「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」を発表しました。その調査によると、小中学校の通常学級に在籍する子どものうち、8.8%が「学習面又は行動面で著しい困難を示す」ということが明らかになりました(※)。なお調査では、下記のツールをもとに作成された質問票に基づいて調査されました。・LDI-R-LD診断のための調査票(学習面)・ADHD評価スケール(行動面)・高機能自閉症スクリーニング質問紙(行動面)(※)学級担任等が回答した内容から知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒数の割合を推定している調査であり、医師の診断や専門家による判断による調査ではない通常学級に在籍する、発達に特性がある子どもが受けている支援の現状この調査では、この「知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた子どもたちが受けている支援についても報告がされています。担当教員は特性があると考えているが、実際に特別な教育的支援が必要だと校内委員会において判断されている子どもは、28.7%にとどまっています。Upload By 発達ナビニュース今回の報告で、通常学級に在籍しながら「学習面又は行動面で著しい困難を示す」ととらえられている子どものうち、通級指導を受けている子どもは、過去に受けていた場合を加えても、12.6%という報告でした。Upload By 発達ナビニュースまた、そうした子どものうち、現在、もしくは過去に作成していた割合は2割弱で、子どもの特性に合わせた計画が立てられている割合は5人に1人となっています。Upload By 発達ナビニュース補習や宿題の工夫などの配慮については、現在もしくは以前に行っていた場合も含めて32.3%でした。Upload By 発達ナビニュース以前に比べると、通常学級における発達の特性がある子どもたちについての認知は高まってきていますが、十分な配慮が受けられていない子どもが一定数いることが、今回の報告からも読み取れます。参考:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について | 文部科学省参考:文部科学統計要覧(令和2年版)| 文部科学省特別支援教育行政の現状及び 令和3年度事業について| 文部科学省
2022年12月17日わが子は特別支援学校がいいと思っていたけれど…Upload By 星きのこもともときいちゃんは、ダウン症のある子どもの中でも発達が早いほうではなく、就学相談でも「特別支援学校が望ましい」という判定をいただいていました。私は特に○○学校に行かせたい!!という強いこだわりがあったわけではなく、どちらかと言えば私も就学相談の判定の結果と同じ特別支援学校に就学させられればと思っていたので、就学相談もスムーズに進んでいきました。なぜなら、そのころのきいちゃんは、定型発達の子どもたちと発達の差が出てきていて、保育園で孤立しがちになっていたからです。そのため、私は「同じくらいの発達レベルの子と一緒に過ごすことができれば、きいちゃんにもお友達ができて、楽しく学校に行けるようになるのではないか?となると、特別支援学校への就学が一番適しているのではないか?」と考えていたのです。ただ、今思い返してみるとなのですが、特別支援学級に通うという現在の結論に至るまでの布石はありました。それはきいちゃんがまだ保育園の年中さんだったころ、特別支援学校の見学に行ったときのことです。特別支援学校の先生に「子どもをできればここに通わせたいです」と話したところ、先生からは意外なお返事が返ってきました。「でもね、お母さん。子どもの1年ってすごく変わるんですよ。特に年長さんの1年ってすごく伸びるんです。だから今、決めつけないほうがいいですよ。お子さんの成長をこれからも見てあげてください。そしてお決めになったらいいですよ。」ということでした。でもそのときの私は、「いやいや、ないない(笑)。きいちゃんがそんな急に伸びるわけもないし、私の希望だって変わらない。きいちゃんは特別支援学校!!」と思っていました。それが1年後、本当に希望を変えることになるなんてーー……。今振り返ってもその予言めいた(?)特別支援学校の先生の発言にさすが先生…しゅごい…と驚きを通り越して怖ささえ感じます(笑)。Upload By 星きのこ年長の1年で急成長!喜んだのもつかの間、母は気がついた…その先生がおっしゃった通り、年長さんになったきいちゃんの発達の伸びは目覚ましいものでした。おしゃべりはもちろん、親の私がビックリするくらい、できることがものすごく増えました。あんなに苦手だったトイレも成功することが増えました。そして何よりーーー……保育園のお友達と仲良く遊ぶ姿が見られるようになったのです…!!それはとてもうれしい変化でした。きいちゃんにお友達ができているーー……!!……とうれし泣きをしたのと同時に、「……あれ……??ということは、これ、特別支援学級でも問題ないんじゃないか……??」という思いがよぎるようになりました。特別支援学校の先生が言っていたのはこのことだったのかーーー……!!(遅い気づき)本当に年長の1年ってすごい!!……って、もしかして、あれ…??私……Upload By 星きのこ…と気づいたのでした……。そんなことを思っても、もう何ヶ月も前の就学相談で、『特別支援学校に就学希望』と書類を提出しています。そして時はすでに10月。入学の半年前で、もうすぐ学校説明会です。ど、どうしよう、私、間違えてしまったのかもしれない…もうこの時期なんだから進路変更ってできないよね!?というか、相談員さんもビックリだよね……でも、聞いてみることはできるよね??えーーーい!!!!聞くだけでもーーーー……!!!!!と、ビクビクしながらですが、相談員さんに連絡してみるとー……「1週間後でしたら、書類を学校側に提出したあとだったので、変更はできませんでしたが、今ならギリギリできます」とのお返事が。「どうしますか?特別支援学級に変更しますか?」と相談員さんに聞かれ…「と、特別支援学級にお願いしますーーー……!!!」と、ギリギリに変更をお願いすることに。(実際は3日間お時間をいただいて、悩みに悩んで変更をお願いしました)全く相談員泣かせもいいところだと自分で思います。反省……。Upload By 星きのこギリギリでの進路変更。地元の特別支援学級へ通うことにさて、それからの私……。今まできいちゃんの進学先は特別支援学校と迷いはなかったはずなのに、ギリギリに変更した自分の決断にも驚き、これでよかったのかどうだったのか、自分の決断に間違いはなかったのか、ほかのご家庭よりも遅れて悩み始めました(汗)。パパともさんざん話し合ったのですが、もし特別支援学級がきいちゃんに合わなかったらいつでも特別支援学校に転校させようということで意見が一致。とりあえず地元の特別支援学級に進学させることになりました。(というか、もう申請書類は出してますが…)さて、当の本人、きいちゃんが実際に特別支援学級に通ってどうだったかというとーー……。それが、とっても楽しく学校に通ってくれています!ちょうど、きいちゃんと同い年の男の子が同じ特別支援学級に新1年生として入学したということもあって、念願のお友達もできました!今ではお互い、下の名前で呼び合って楽しそうです。果たして特別支援学級を選んだことが本当に正解だったのかそうでなかったのかは分かりませんが、(特別支援学校に行ってもきっと楽しく学校生活を送れていたと思うので)楽しく学校生活を送れているということで、私にとっては満点です。就学の時期のお子さんを持つパパママたちは本当にいろいろ悩み、迷うと思いますが、それぞれのお子さんを見て、そして最後は誰かの意見ではなく、ほかならぬご自身の勘や思いで学校選びをしていただければと思います。一番お子さんを見ているのは、一番近くにいるパパママなのですから。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)就学先を決めた後でも変更が自由にできるシステムであれば、直前に悩まなくてもいいのですが、現在のシステムでは、毎年秋に各市町村の教育委員会で特別支援教育委員会が行われ、そこで来年度就学予定のお子さんについて、特別支援学校・地元の小学校の特別支援学級・通常学級のいずれに通うのかを議論しています。お子さんがどこに通うかは最終的には親御さんの意思が尊重されることになっています。もちろん本人の意見も大事です。療育手帳が中等度なら特別支援学校を選択される方が多いのは事実です。ただ、いったん、特別支援学校に在籍すると、地元の特別支援学級に転校しづらいのが現状です。それならばまずは入学後1年間だけでも地元のお友達と一緒に勉強してみることも一つの手段です。特別支援学校は地元から離れたところにあり、バスで通学することも多く、地元の子どもたちがきいちゃんを知る機会が少なくなるという面もあります。最初の1年間だけでも地元の小学校へ通うことは決して悪いことではありません。ただ、地元の小学校では、特別支援教育に関する専門的な知識を持つ教員が少ないことも多く、人手の面でも手厚い特別支援学校に比べると、きめ細かい配慮を求めることが難しいという面もあります。限界を感じたら早めに特別支援学校へ移る決断も必要でしょう。特別支援学校では、社会的自立に向けた教育ができて最終的には就職率がいいからです。校長や親の判断ですぐには転籍・転校ができない点が現状の課題だと感じています。もっと柔軟な世の中になるといいですね。
2022年12月16日2歳ごろから突然の発作?不安になった私は…2歳ごろ、Pには体を硬直させながら震えるという症状がありました。その震えは主に食事中や、楽しいとき、興奮しているときに現れ、最初の方は1日に数回だったのに、1日に数十回も震えが見られるようになったので、Pにはてんかんなどの基礎疾患があるのかもしれないと不安に思うようになりました。そして基礎疾患の何かが発達障害の原因にもつながっているのかもしれないと考えるようになりました。私は、Pの発達について相談していた保健センターで医師に紹介状を書いてもらい、大きな病院の「小児神経科」を予約し、受診することにしました。予約の際に、「発作が起こっているときの動画が撮れたらできれば撮っておいたほうが分かりやすいし伝わりやすい」と聞いていたので、Pが震えているときの動画も撮って持って行きました。Upload By みん初診で先生は、私たち親子の様子を見ただけで「これはこれはお母さん大変そうですね」と声をかけてくださいました。何故ならこのころのPは本当に手のかかる時期だったので、長い待ち時間の間にPから受けた引っ掻き傷と噛まれた痣とで私の顔、首、腕はボロボロでしたし、P自身も初めての病院、診察室、先生を見て泣き喚き暴れていたからです。そんな中で先生は、私の話を一つひとつ丁寧に時間をかけて聞いてくれました。そしてPの震えているときの様子の動画を先生に見せると、先生はすぐ「これはてんかんの発作ではないですね…どちらかというと癖のようなもの(身震い発作)だと思います」と言ってくれたのですが、まだ未診断だったPの様子を少し見ただけでも、自閉スペクトラム症だけではなく知的障害の可能性があること、そして今までできていたはずのことができなくなるということは、ほかにも何か病気が隠れている可能性があるということを先生に指摘され、これらの理由から一応検査入院をするようにすすめられました。てんかんなどの発作の可能性は低いとしても、知的障害の可能性やほかにも病気が隠れている可能性があると聞き、私は頭が真っ白になりました。そして入院スケジュールを聞くと、早くて3日間、長引くと5日間も入院しないといけないと説明され、Pは家で過ごすのも大変な状態なのに入院生活なんて耐えられるのか?ととても不安になりました。でも大きくなればなるほど入院や検査は大変になるので、まだ小さい2歳のうちに一気に検査しておいたほうが良いと言われたので、覚悟を決めて検査入院をすることにしました。Upload By みん知的障害やほかの病気の可能性も指摘され、検査入院をすることになる検査内容は、「脳波検査」「MRI」「髄液検査」「染色体(遺伝子)検査」の4つでした。Pはまだ幼く、親の介助が必要なので私も24時間一緒に付き添う形になりました。Pが受ける検査は動いてはいけない検査ばかりだったので、入院中はたくさんの薬や麻酔で何度も眠らされることになり、小さな身体へのストレスや負担がとても心配でしたが、Pの身体の中に隠れているかもしれない病気や原因を探すために必死でした。障害の原因が遺伝子レベルで見つかる可能性があるので、染色体(遺伝子)検査も念のために受けましたが、これはかなりデリケートな検査になるので、検査前に夫と電話で話し合いました。夫婦ともに何か1つでも分かることがあるのなら…という気持ちで受けました。Upload By みん検査入院中は母子ともに本当に大変だった入院中私は、自分の好きなタイミングで食事をとることも、トイレへ行くこともできず、狭い小児用ベッドでは添い寝もできないので、ゆっくり眠ることもできず、緊張から肩にずっと力が入っていました。でも、検査のために頑張っているPや、ほかにもさまざまな病気や障害と闘いながら入院生活をしている子どもたち、それを支えている先生や看護師さんたちを見ていると、泣きごとなんて言ってられない…という気持ちになり、一緒に入院生活を頑張ることができました。幸いにも個室で過ごせていたので、その環境はかなり救いになりました。そして検査もスムーズに済み、3泊で帰れることになりました。全ての検査が終了したあと、一つずつ検査結果を聞きましたが、大きな病気や原因は今回の検査からは何も見つからず「基礎疾患はないでしょう」と先生に言っていただき、心からホッとしました。何か基礎疾患が隠れているかもしれないとずっと思っていたので、その不安から解放されたような気持ちでした。Upload By みん子どもの健康に心配や不安があるのなら…子どもの健康で何か心配や不安なことがある場合は、必ず病院へ行って医師に相談した方が良いと思います。似たような症状をインターネット等で調べて自己診断で済ませたり、気にはなっているのに分からないままでいたりして、「もっと早く病院へ行っておけば良かった」と後悔することになってしまうと大変です。検査入院の結果、何かが見つかればそれに対して行動ができるし、何も見つからなければそれはそれで安心できるので、私は検査入院をしておいて良かったなと今も思っています。執筆/みん(監修:新美先生より)2歳のころの検査入院のお話を聞かせてくださりありがとうございます。みんさんのお子さんの場合、体を硬直させながら震えるという症状があって、検査を受けることになったのですね。繰り返す特徴的な動きは、てんかんのような病気の症状である場合と、癖のような意識的な動きである場合とあり、見た目だけで区別がつく場合とつかない場合があります。専門の医師が必要と判断する場合は、ちょっと大変でも検査を受けてはっきりさせたほうが、みんさんもおっしゃっているように先に進めて安心ですね。小さいころの検査は、安全に検査を受けるために薬を飲んで眠らせたり、針を刺すような痛い検査もあるので大変です。病院といういつもと違う環境のため、警戒しているとなかなか眠れなかったり、ふだんより不機嫌になったりして、付き添いの親御さんもへとへとになることでしょう。お子さんの苦手なことなどは積極的に担当医師と相談し、検査が少しでもスムーズに受けられるよう作戦を立てられるとよいと思います。また、もう少し年齢が大きい場合は、検査の予定やどんなことをするのかなど、スケジュールや手順書などをしっかり示すことでお子さん自身が頑張れる場面も増えるかもしれません。検査入院はどうしても大変ですが、必要があるときは担当医と相談しながら頑張れるといいですね。
2022年12月15日特別支援学級?通級?特別支援学校?発達が気になる子どもの就学先に関するお悩み、みんなはどう選んでる?来年度の就学に向けて就学相談や、就学時健康診断を受けた方も多いのではないでしょうか。発達が気になる子どもの就学に関してお悩みを抱える方も多いと思います。発達ナビの人気コンテンツの一つ、Q&Aコーナーでも「ASDのあるお子さんの就学先について」の質問がありました。今回はそのQ&Aや発達障害に関する心理社会的アプローチを専門とする井上雅彦先生(鳥取大学大学院教授)からのアドバイス、就学先の種類について紹介します。Q:情緒学級がある小学校が、住んでいる地域にありません年長の息子には自閉スペクトラム症があります。軽度知的障害の診断はついておらず境界知能と言われています。保育園では、基本的なことは問題なくできるので、加配なしで過ごせています。言葉の遅れがあるので、お友達とは簡単な会話しかできず、ルールの複雑な遊びは参加できず先生と遊ぶことが多いようです。来年息子は就学を控えているのですが、進学先を悩んでいます。夫婦共にフルタイムで働いており、現在3つの候補で考えています。候補1「通常学級+通級学区内で、家から近くにある小学校」息子は指示が入りにくいところがあるので、ただボーっとしているだけになってしまうかもしれないし、お友達との関係を築くのが難しそうに感じている。また、療育の先生からも本人が不安でパニックになるのではないかと心配されている。候補2「知的障害の特別支援学級学区外で徒歩15分程度の距離にある小学校」知的の度合いに関係なく、一律で、通常学級との交流はない。教科書はなくプリントのみ。小学3年生になっても理科と社会の授業はない。候補2を選択した場合は、勉強について個別学習塾や家庭教師などで補う必要があると感じている。送迎はスクールバスの利用が可能。候補3「家から離れたところにある情緒学級のある小学校」送迎は毎日送迎サービス(移動支援)を使うか、引越すことを検討。その場合、夫婦の通勤面での心配も。また、WISCでの境界知能の結果についても、主治医から「小学2年生になる前に再度検査してみては」と言われています。そうなると通常学級へ転籍する可能性もあるかもしれません。もちろん、逆に、再検査でIQ70を下回る可能性もあると思います。今悩むよりもまずは行ってみて、トラブルが起きそうな予兆を早めに察知して、都度対処するのが最善なのでしょうか。状況が近い方の体験談など教えていただけますとありがたいです。こちらの質問には、ユーザーのみなさんのそれぞれ体験をもとにさまざまな意見が寄せられました。回答の一部をご紹介します。回答:私ならば、とりあえず候補1にするかと思います。学区内で知っている子どもたちがたくさんいる方がいいと思いますし、小学2年生になる前の検査結果や学校の様子で、また検討してみるのもよいかな、と。学校や担任がその子に合うかどうかも、入ってみないと分からないのは、経験済みですので。回答:知的障害の特別支援学級というのが、私はよく分かっていないので、リアルな情報がないのですが、自宅から通うのが現実的な候補1の「通常学級と通級」がある小学校や候補2の「知的障害の特別支援学級」のある小学校に、実際に足を運ばれて見学できるとよいですね。自分も分かっていなかったと振り返れば思うのですが、仕事と、学校や子どもの成長は違い、見通しが立ちにくく、さらに現場主義です。情報だけで判断できない難しさがあります。6年間の決断ではなく、まずは1、2年どうするかくらいで決めると気が楽かもですね。路線変更はできます。専門家からのアドバイス就学決定は基本的には地域の就学支援委員会での話し合いの結果と親御さんの意向によって決定されます。しかしお住まいの地域の教育委員会の方針や学校の状況によって進路の多様性や柔軟性は変わってくると思います。候補1の場合、「通級指導」がどのような形でなされるのか調べてみましょう。まずその地域で希望をすれば確実に通級指導教室が利用できるかどうかを確認してみましょう。地域によっては、順番待ちのところもあります。また、在籍される小学校で指導が受けられる場合もありますし、他校にそのときだけ行って授業を受ける他校通級という形もあります。東京都などのように「特別支援教室」といって外部から先生が学校に来てもらえるところもあります。候補2の「知的障害特別支援学級」の場合は、基本的にはカリキュラムとして通常の教科書通り進めるのではなく、そのお子さんの学力に合わせた教材を使って指導することになります。ご質問に書かれているように在籍する知的発達のさまざまなレベルのお子さんに対して、まったく同じ教材を使って一律の指導が「全ての授業」についてなされるわけではないと思います。また、通常学級との交流を行わないことが基本になっているというのは、あまり聞いたことがありません。実際に授業を見て、先生方の話を聞いて、情報を集めてみるとよいかと思います。候補3の「情緒障害特別支援学級」の場合、質問者様の状況では親御さんの送り迎えが必要であったり、引越しが必要であるとのこと、きょうだいがおられる場合や、お仕事や経済的なご負担なども考えていく必要があるかと思います。この場合も実際に学校を見学され、クラスを見せてもらうことをおすすめします。同じクラスの生徒さんの様子も、自分のお子さんとの相性も考えながら観察されるとよいと思います。いずれの選択肢の場合も言えることですが、情報収集をする場合、実際にその学校に足を運び、クラスを見せてもらうことは重要です。そして校長先生や担任の先生とお話しすることも大切です。ただし、先生方は、転勤される可能性もあります。就学時におられるかどうかそれとなく聞いてみるとよいかもしれません。また地域の親の会や、ペアレントメンターなどに相談すると親の視点からのアドバイスや体験も聞かせてもらえるかもしれません。就学決定は、親としては、子どもの進路について決断を迫られる大きなイベントであり、悩みであると思います。そんな中でも周囲の情報や実際に親御さんの目から見て、よりベターな選択肢を選んでいただければと思います。6年間の中で選びなおしもできますので、毎年の見直しのための支援会議をお願いしてもよいかと思います。Upload By 専門家インタビュー障害のある子どもの就学先とは?通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校はそれぞれどんなところ?知的障害、発達障害がある子どもの就学先の選択肢には、通常学級、通級(通級指導教室)、特別支援学級、特別支援学校があります。通常学級は、定型発達の子どもたちと一緒に教育を受けていく学級です。通常学級でも合理的配慮を求めることはできます。通級とは、通級指導教室とも呼ばれ、通常学級に在籍しながら別教室で、その子に合った個別の指導を受けられる学級です。発達障害や言語障害の特性による学習上または生活上の困難の改善に向けた指導を受けることができます。主に各教科の学習や給食は通常学級で受け、通級の時間だけ移動して指導を受けます。通級が設置されていない学校に在籍し、通級を利用する場合は、その指導時間に学校間移動をする必要があります。※東京都など一部の地域では、発達障害のある児童・生徒が在籍校で通級と同様の指導を受けることができるよう、公立小・中学校に「特別支援教室」というような名称で少人数のクラスが設置されています。特別支援教室|東京都教育委員会知的障害や情緒障害などいくつかの種別があります。特別支援学級の上限定員は8人と定められています。少人数教育で、障害のある子ども一人ひとりのニーズに合わせた教育が受けられるようになっています。特別支援学級では、必要に応じて、各教科の目標・内容を、その子どもの課題や獲得スキル状況に適したものに変更・調整したり、個別の学習支援・生活支援を受けることができます。また、「交流及び共同学習」という位置づけで、一部の授業や、給食や昼休みの時間、学校行事などに通常学級の子どもたちと一緒に参加する機会も設けられます。知的障害特別支援学校などいくつかの校種があります。障害のある子どもが通う学校です。特別支援学校の支援対象となる障害の程度は以下のリンクの通りです。これは学校教育法によって定められているものです。障害のある児童生徒の 就学先決定について|文部科学省子どもの障害の程度が特別支援学校の就学基準に該当していても、就学先が特別支援学校に限られることはなく、そのほかの進学先も検討することができます。1クラス当たりの人数は平均で3人と少人数であり、より手厚いサポートのもと教育を受けることができます。特別支援学校の教員は、小学校・中学校・高等学校又は幼稚園の教員免許のほかに、特別支援学校の教員免許を取得することが原則となっています。障害のある子どもの就学先はどのように決定するの?障害のある子どもの就学先はどのように決定するのでしょうか。文部科学省では以下のように回答しています。障害のある子供の教育に当たっては、その障害の状態等に応じて、可能性を最大限に発揮させ、将来の自立や社会参加のために必要な力を培うという視点に立って、一人一人の教育的ニーズに応じた指導を行うことが必要です。障害のある子供の就学先については、本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、障害の状態や必要となる支援の内容、教育学等の専門的見地といった総合的な観点を踏まえて市町村教育委員会が決定することとなっています。引用:5.障害のある子供の就学先決定について|文部科学省就学先の決定には、本人の意思や、保護者の意見、それぞれの家庭の状況なども加味し、総合的に判断することが必要になります。一人ひとりに合った選択をすることが大切です。Q&Aにぜひ投稿してください!発達ナビはみんなでつくるポータルサイトです。一人ひとりの質問や回答が誰かの支えになっています。参考になる質問や回答を投稿してくださるユーザーの方々いつもありがとうございます!「ぜひ参考にしたい!」というユーザーの方々の声も多いことから話題の投稿などをご紹介し、専門家の先生にもコメントいただければと思っています。子育てに関する疑問や知りたいこと、身近な人には相談しにくいこともあるかもしれません。そんな質問をぜひ発達ナビのQ&Aに投稿してみてください!
2022年12月15日知的障害の「繰り返し行動」に焦点を当てたヘラルボニー新プロジェクト「ROUTINE RECORDS」、金沢21世紀美術館にて開催Upload By 発達ナビニュース2022年10月1日(土)〜2023年3月21日(火・祝)に、金沢21世紀美術館デザインギャラリーにて、福祉実験ユニット「ヘラルボニー」 の新プロジェクト「ROUTINE RECORDS」が開催されます。このプロジェクトは、金沢21世紀美術館デザインギャラリーを作品展示の場としてだけでなく、調査・ 研究・実験の場として開くことを目的に2017年より始動した〈lab.〉シリーズの第5弾となっています。「ROUTINE RECORDS」は、金沢市内の特別支援学校や福祉施設、他県の福祉施設に通う知的障害のある人が習慣的に繰り返す、日常の行動(ルーティン)から生まれる音を音楽として届ける試みです。繰り返し行動(ルーティン)を行う知的障害のある人々を「ルーティナー」と呼び、その日常から生まれる様々な音について、多角的に知ることができるような構成になっています。会場では、日常のさまざまなルーティンが生み出す「音」や「言葉」を聞くことができる視聴コーナーや、ルーティン音をもとにプロの音楽家が作成した楽曲の視聴、実際にルーティンによって生まれた音から音楽を制作できるDJ体験ブースなどが設けられており、日常の音が音楽となるプロセスを体験することができます。また、特設WEBサイトでも、ルーティンから生まれた音などの一部が公開されます。繰り返し行動が生み出す「音」という新たな視点から、多様な背景を持つ他者への理解を深める良い機会となるのではないでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「ROUTINE RECORDS」の公式サイトに遷移します。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「金沢21世紀美術館」の公式サイトに遷移します。<詳細>【期間】:2022年10月1日(土)〜2023年3月21日(火・祝)/10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)【会場】:金沢21世紀美術館 デザインギャラリー【料金】:無料【休場日】:月曜日(10月10日、31日、1月2日、9日は開場)、10月11日(火)、11月1日(火)、12月29日(木)〜1月1日(日)、1月4日(水)、10日(火)【主催】:金沢21世紀美術館「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」12月17日(土)~横浜赤レンガ倉庫にて開催Upload By 発達ナビニュース2022年12月17日(土)~2023年1月15日(日)に横浜赤レンガ倉庫1号館2Fスペースにて、「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」が開催されます。リトさんはADHD当事者でもあり、その特性の一つである「過集中」を前向きに生かすため、2020 年より独学で葉っぱ切り絵の制作を始め、現在TwitterやInstagramなどで人気を博しています。本展は、「森の入口」から始まり、第1章「森の一日」、第2章「森の一年」、第3章「森の仲間たち」、第4章「森のパーティーにご招待」、第5章「葉っぱ切り絵ができるまで」とそれぞれのテーマごとに素敵な世界観を楽しめる構成となっています。さらに12月17日(土)~25日(日)には、第4章「森のパーティーにご招待」がクリスマスムード一色になるクリスマス限定企画も予定されています。ADHDの診断を受けてから、発達障害の情報を発信し理解を広めたいと、試行錯誤を繰り返してきたリトさん。ADHDの特性はネガティブに受け取られてしまうこともありますが、得意を活かすことで可能性が広がることもたくさんあるでしょう。リトさんだからこそ生み出せる素敵な葉っぱ切り絵の世界をこの機会にぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」の公式サイトに遷移します。<詳細>【会場】: 横浜赤レンガ倉庫1号館 2Fスペース【会期】: 2022年12月17日(土)~2023年1月15日(日)【時間】:12月25日(日)まで: 10:30~20:00(最終入場19:30)12月26日(月)から: 10:30~18:00(最終入場17:30)【料金】:前売券:大人(中学生以上)1,200円/子ども500円当日券:大人(中学生以上)1,500円/子ども800円※2歳未満の乳幼児は無料。※障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料。【主催】: ドリームスタジオ【共催】: 横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団]【協力】: 講談社チケット購入はこちらから※クリックすると、発達ナビのサイトから、eplusの「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展 in YOKOHAMA」チケット購入ページに遷移します。金子書房主催のオンラインセミナー「発達性ディスレクシアのアセスメントと支援」1月29日(日)に開催Upload By 発達ナビニュース発達性ディスレクシアは、学習障害/限局性学習症の中で、文字を読むことに困難があるタイプを指します。ディスレクシアは、文字を音と結びつける「音韻処理」や、文字の形を認識したり語句のまとまりを認識し意味と結びつける「視覚的な処理」などに必要な脳の部位に何らかの機能障害や偏りがあると考えられています。今回は、ディスレクシアの音韻的側面に焦点を当て、アセスメントで行うべき音韻意識課題、子どもの実態に合わせた支援、配慮すべき子どもの心理面などを通して、発達性ディスレクシアがある子どもの理解と支援について学べるセミナーになっています。講師は、北里大学教授であり言語聴覚士である石坂郁代先生です。ディスレクシアについて、ディスレクシアの支援について理解を深める良い機会になるのではないでしょうか。<詳細>【日時】:2023年1月29日 (日)14:00~16:00【場所】:オンライン【講師】:石坂郁代先生(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科言語聴覚療法学専攻教授/言語聴覚士)【料金】:リアルタイム視聴のみ3,000円/リアルタイム視聴+録画視聴(配信期限あり)4,000円【主催】:金子書房申し込みはこちらから※クリックすると、発達ナビのサイトから、peatixの「発達性ディスレクシアのアセスメントと支援」チケット購入ページに遷移します。11⽉14⽇(⽉)~12⽉25⽇(日)、「セレオ」「nonowa」のクリスマスビジュアルを福祉施設が制作Upload By 発達ナビニュース2022年11⽉14⽇(⽉)~12⽉25⽇(⽇)、JR中央線コミュニティデザイン運営の商業施設「セレオ」「nonowa」9店舗にて、「想造楽⼯(そうぞうがっこう)」と、⼋王⼦・⽴川の福祉施設が制作したクリスマスビジュアルデザインが使用されます。福祉施設の利用者34名が描いた絵が、エントランスや装飾物、販促物に使用されています。「想造楽⼯(そうぞうがっこう)」は、「枠を超える創造を⼀緒に」をスローガンに、株式会社ニューモアが企画運営する事業です。福祉作業施設に通う障害のある⽅の絵にデザインのアレンジを加えることで、商業デザインへの展開を行っています。 現時点で全国6カ所の福祉施設とパートナー事業所として提携し、これまでに企業や⾃治体などと77件のコラボレーシ ョンをしました。今回の企画では、パートナー事業所である2カ所の福祉施設、就労継続⽀援 B型事業所「しあわせのたね」(八王子市)、多機能型事業所「ワークセンターまことくらぶ」(⽴川市)と絵の制作を⾏いました。2ヶ所の福祉施設利⽤者の⽅々の描いたクリスマスイラストを円形に並べ、リースのように⾒⽴てたデザインになっているそうです。クリスマスの買い物と共に、個性的で可愛らしいイラストを楽しんでみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、「想造楽工」の公式サイトに遷移します。<詳細>【期間】:2022年11⽉14⽇(⽉)~12⽉25⽇(⽇)【場所】:セレオ各店舗、nonowa各店舗●セレオ⼋王⼦、セレオ相模原、セレオ⻄⼋王⼦、Dila拝島、セレオ甲府:11/14(⽉)〜12/25(⽇)●セレオ国分寺:11/18(⾦)〜12/25(⽇)●nonowa東⼩⾦井、nonowa武蔵⼩⾦井、nonowa国⽴:11/28(⽉)〜12/25(⽇)「セレオ」「nonowa」総合トップページ※クリックすると、発達ナビのサイトから、JR中央線コミュニティデザイン「セレオ」「nonowa」の総合トップページに遷移します。JTBデータサービス、障害のある方の作品を使用したJTBトラベルギフト「チャレンジド・デザイン」カードを販売Upload By 発達ナビニュース障害のある方の作品を使用したJTBトラベルギフト「チャレンジド・デザイン」カードが2022年11月16日(水)より発売されました。デザインは、「旅行」「贈り物」「ダイバーシティ」をテーマとする3種類があり、使用場面などに合わせて自由に選ぶことができるようになっています。JTBトラベルギフト(カード型旅行券)は、全国のJTBグループ店舗、JTB Webサイトで旅行代金の支払いに利用できるカードです。使用後も記念として手元に残すことができます。㈱JTBデータサービス(JTBグループ)は、障害がある方々が継続して自立できる仕組みの実現を目標に、一般就労をめざす障害者と社会をつなぐための取り組みとして、「チャレンジド・デザイン」カードを発売しました。大切な人への贈り物として、また自分へのご褒美として、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから、JTBデータサービス「チャレンジド・デザインカード」の詳細ページに遷移します。<販売価格>●「チャレンジド・デザイン」カード料金:2,200円(消費税込み)●旅行券面額<ご希望の購入金額をチャージ>:3,000円~500,000円●送料:770円(消費税込み)LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年12月14日ことばの教室に行くことになったきっかけしのくんは、2歳7ヶ月をすぎても2語文が出ていなかったので、小児科の先生にことばの教室を紹介していただきました。どんなところか想像がつかずドキドキしながら連れていったのを覚えています。Upload By keiko初めてのことばの教室に行ってみると、9畳くらいの部屋に、椅子と机が置いてありました。しのくんが通うことになったクラスは、先生がマンツーマンで対応してくれるところでした。Upload By keiko先生との時間は驚きの連続!まず、先生の声が大きくてビックリしました。ただ声が大きいだけではありません。ゆっくり、しのくんに分かりやすく意識して声を出しているんです。私はそれを見てハッとさせられました。それまで私は、しのくんに対して大きな声でゆっくり話しかけていなかったから…。しのくんのペースに合わせて分かりやすく話すことの大切さを気づかせていただきました。また、『先生がシャボン玉を吹いて、しのくんがそれを壊す』という活動をしたのですが…しのくんが家族以外の人と、こんなに楽しそうに、「イェイイェイイェイ!」と声をあげながら、夢中でシャボン玉を次々に壊しているのを見て衝撃を受けました。そしてもう一つ驚いたことが…!先生は次にシャボン玉を吹く前に、指を1の形にして「もう一回する?」としのくんに聞いてから、シャボン玉を吹いていました。そして、それを3回くらい繰り返しました。それから先生は「もう一回する?」と聞いて、しのくんの反応を待っていました。すると、しのくんも指を1の形にして、「やりたい」という意識表示をしたのです!Upload By keiko当時のしのくんは、2語文はもちろんのこと、単語もあまり発することがなく、コミュニケーションが思うようにとれていませんでした。私はどうすれば良いのか分からず、絶望的な気持ちで毎日を過ごしていましたが、先生のおかげで、しのくんと話すときのコツが分かり、ことばの教室に通うのが希望の光になっていました。しのくんと初めて会ったときから、先生は私よりしのくんを分かっている感じがして「凄すぎる…!」と思いました。Upload By keiko今もことばの教室に通うしのくんと、大きく変わった私の心境4歳8ヶ月になったしのくんですが、今も月に一度ことばの教室に通い続けています。通い始めたときから思っていますが、毎回驚きの連続です(笑)。そして、私には見えない何かが先生には見えているようで、私には分からないしのくんの行動理由を明確に教えてもらって、次の行動目標なども教えてもらっています。なので、ことばの教室に通い始める前は、ネットの検索魔になっていましたが、今は先生に聞けば解決したり、こういうときはこうすれば良いというのを教えていただけるので、不安からネット検索を繰り返すこともなくなり、私の心も落ち着いています。本当に心の底からことばの教室に通って良かったし、先生に出会えて良かったと思っています。これからも、いろんな人に支えてもらいながら、しのくんと一緒に私も成長していきたいと思います。執筆/keiko(監修:新美先生より)自治体の幼児向けのことばの教室でしょうか。良い先生に会えて、お子さんのことをより理解して関われるようになったというエピソードをご紹介いただきましてありがとうございます。ことばのことで心配があるときに、ことばの面だけでアプローチするのではなく、行動面全体からお子さんの特性を理解して、ことばだけでない関わり方全般の工夫をすることで、結果的にことばの面も伸びてくることもあります。インターネットはさまざまな情報があふれていて、自分の子どもにあった情報を取捨選択することが難しくかえって不安になってしまうことがあります。実際にお子さんをみて、お子さんの行動をみて、お子さんに合ったアプローチの仕方を一緒に考えてくれる専門家に出会えると、親子共に安心ですね。自治体に幼児向けのことばの教室はないところもありますし、希望しても必ず受けられるわけではないかもしれませんが、気になる方は自治体の相談窓口で一度相談してみると良いかもしれません。
2022年12月13日なぜか診察では無口になるコウですUpload By 丸山さとこコウは小学4年生から中学1年生の今までADHD治療薬を服用しています。そのため定期的に発達外来のある病院へ通っているのですが、診察中はほぼ口を開きません。先生から質問されても、「ハイ」とうなずくか「う~ん…」と首を傾げるかで反応が薄いコウです。私が「最近〇〇って言ってたね」と話題を振ってもコクコクとうなずくばかりで、先生が促しても詳細を話すことはありません。それなのに、毎回診察室を出た途端に「今日さ~」「僕は…」とペラペラ話し出すのだから不思議です。なぜ診察室では話さないのかコウに聞くと、本人にもよく分からないとのこと。緊張しているわけでもないらしく、確かに私から見ても特に緊張したり固まったりしている様子はありません。発達外来の医師は威圧感もなく話しやすい相手のように思いますし、コウも先生への印象は良いようです。全く話さないというわけではなく、時折うなずいたりして相づちを打つ姿は見られます。また、コウは「家庭以外の場や家族以外の相手に緊張する」ということは特にないと言います。Upload By 丸山さとこ実際に公開授業や運動会などの学校行事でコウの様子を見ると、クラスメイトと話したり授業中に発言したりしていることも多く、多少は気を張っているものの彼なりに楽しんで過ごしているようです。このように『診察室で医師と会話できない状態』の理由は今一つ分かりませんが、コウも5年後には成人して1人で診察を受けるようになるだろうと考えると少し気になります。いずれはコウも1人で診察を受けるのだな、と考えると…今は私が診察に同伴していますが、将来を考えたとき1人で医師の問診に答えられないのは困りそうです。先日スクールカウンセリングにて相談する機会があったため、「今すぐ困ることではないのですが…」と伺ってみました。先生は「もしかしたら、診察では『最近どうですか?』などのオープンクエスチョンが多くてコウ君にとっては難しいのかもしれませんね」と推察してくださり、私は「それは確かにあるかもしれない」と納得しました。Upload By 丸山さとこまた、コウは『頭の中にあることをサッと言葉にすること』や『自分の内面を説明すること』が苦手な傾向もあります。知識を述べることや、既にストーリーとして自分の中でまとまっている文章を話すときはスムーズな彼ですが、「どうしてですか?」「どう思いましたか?」などの質問も多い診察中の会話は、彼にとっては難易度が高い会話なのかもしれません。最近コウの生活は比較的落ち着いており、本人の自覚としては大きな問題はありません。そのため、「調子はどう?」と聞かれて「いいです」と答える大雑把な応答でも困ることはありませんが、今後再びトラブルや不調などの困りごとが起きるときもあるかもしれません。『病院の問診で聞かれやすいこと』をあらかじめ紙に書き出しておいたり、その場で答えられなくても次回までに考えておいたりするなど、彼なりの方法で診察を受けられるように練習していきたいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)ASDの患者さんは抽象的な表現の理解が苦手なため具体的に聞く必要があります。「最近どう?」よりも「学校はどう?」、それよりも「学校の授業はどう?」、それよりも「学校の英語の授業はどう?」とより具体的に尋ねた方が分かりやすいのです。主治医も行間が読めるかどうかを確認するためわざと省略して尋ねることもあります。親御さんと一緒だと話しづらいという場合もあるので、私の外来では親子別々に入れて診察するようにしています。そうすることで親に気遣うことなく話せることがあります。そういう患者さんは、親と一緒のときに親の顔を確認したり気遣ったりして話しています。また、ASDの並存疾患の一つに場面緘黙があります。家では普通にしゃべっているのに、玄関を出た瞬間あるいは目的地に到着した瞬間にしゃべらなくなることがあります。相手と話す不安が多い場合にはSSRIなどの抗不安薬で対処する方法もあります。
2022年12月12日初めて尽くしの子育て奮闘記ーー『シンママのはじめて育児は自閉症の子でした』この本の著者は、発達ナビの連載ライターでもある、まるさんです。まるさんの息子リュウくんには、自閉スペクトラム症と軽度知的障害があります。2歳ごろ、保育園の先生から「リュウくんの発達が気になる」と伝えられたことをきっかけに、まるさんはリュウくんに発達障害があることに気づきます。発達支援センター、発達外来、療育…初めて聞く言葉に初めて行く場所、初めてのことばかりで不安になりながらも、「今できることを少しずつ」と奮闘するまるさんと、一歩一歩確実に成長していくリュウくんの姿がたっぷり詰まった一冊です。児童精神科医の岡田俊先生からのアドバイスや解説にも勇気づけられます。発達障害の特性は一人ひとり違います。育児の中で、不安や孤独感を感じることもあるかもしれません。そんなときはぜひこの本を開いてみてください。マイペースで予測不可能、でも楽しい!そんな家族の日常ーー『自閉スペクトラム症 マイペースなきみに家族はすったもんだ』自閉スペクトラム症がある子どもの特性はさまざま。子育てをしていると、振り回されることもあれば、「そんな風に考えるのか!」と新たな気づきが得られることもあるでしょう。この本では、自閉スペクトラム症がある子どもたちとその家族の日常生活でのエピソードがたくさん紹介されています。本書は、「全国手をつなぐ育成会」の機関紙に掲載されていた4コマ漫画をもとに作成されました。「学校」「施設・病院」「行事・外出」「家・日常生活」の4つの章ごとに、困ったこと、できるようになったこと、ほのぼのしたことなど、さまざまなエピソードが掲載されているほか、発達ナビにもご寄稿いただいている井上雅彦先生のコメント、アドバイスも読むことができます。子どもの行動に「すったもんだ」しながらもなんだかんだ楽しい、そんなエピソードに「あるある!」「なるほどそういう視点もあるのか!」など、子どもや自分自身の生活を重ねながら楽しめる一冊になっているのではないでしょうか。自閉スペクトラムとメンタルヘルスの理解と支援ーー『おとなの自閉スペクトラムーメンタルヘルスケアガイド』子どもの自閉スペクトラム症(ASD)については、比較的情報が得やすい時代になったものの、大人の自閉スペクトラム(AS)については、知りたい情報になかなかたどり着けないなんてこともまだまだあるのではないでしょうか。この本では、大島郁葉先生編集、本田秀夫先生監修のもと、数々の先生により、大人の自閉スペクトラム(AS)とそのメンタルヘルスの問題について詳しく記されています。本書では、「障害(disorder)」から切り離して特性をとらえるために「自閉スペクトラム(AS)」という言葉が用いられており、前半では、自閉スペクトラムの感覚、アイデンティティ、パーソナリティ、スティグマなどについて、後半では自閉スペクトラムのトラウマ、不安、抑うつ、依存などのメンタルヘルスの問題と必要な支援について、理解を深められる構成になっています。この本は、当事者にとっても支援者にとっても、知りたかった情報が幅広く網羅されており、かなり読み応えがある一冊になっています。自閉スペクトラムの特性がある成人の方が直面する課題について理解を深めたいと思ったとき、この本は救いの手を差し伸べてくれるのではないでしょうか。子どもと親に向き合う児童精神科の思いーー『僕の児童精神科外来の覚書』精神障害や発達障害、不登校、虐待、子どもたちが抱えるさまざまな課題に向き合う児童精神科とはどんなところなのでしょうか。この本では、児童精神科にはどのような人が来るのか、児童精神科医はどのように子どもや親に向き合うのか、関係機関とどう連携しながら支援を行うのか、就学前、小学校入学時、学校生活、不登校、それぞれの時期に必要な関わり方などについて詳しく書かれています。カルテを見て想像し、診察室に入ってくる子どもを見る。そして実際に話を聞き、面談や検査を通して「診立て」を行い、その後も長期的に関わり続けていく。その一連の流れの中で直面する、難しさや葛藤などについて、児童精神科医の田中康雄先生の率直な思い、言葉がつづられています。児童精神科では、子どもの抱える課題にのみ焦点を当てるのではなく、そこに付随する問題や親が抱える課題にも同時に向き合っていく必要があるそうです。田中康雄先生の言葉と共に、子どもの抱えるさまざまな課題について考えてみてはいかがでしょうか。児童精神科を利用したことがある方も、利用を考えている方も、さまざまな方におすすめの一冊です。科学的な視点から正しくHSPを理解するーー『HSPの心理学』「HSP」という言葉は、近年、国内でも急速に認知度が高まってきました。しかし、さまざまな情報があふれており、いったい何が正しいのか判断することが難しくなっているのが現状です。HSPは「繊細で生きづらい人」というイメージ、ネットにあふれる「HSPあるある」、HSPは「能力」なのか「遺伝」なのか、○○型HSPなどの分類…「HSP」という言葉が、「生きづらさ」の代名詞として使われるほど、そのイメージはどんどん科学的知見からかけ離れたものになってしまっています。そんな現状の問題点を整理し、科学的な根拠をもって改めて「HSPとは何か」について理解を深めるため、書かれたのがこの本です。本書では、HSP研究の第一人者である飯村周平先生により、本来のHSPの定義やHSPの考えられる原因、「環境感受性が高い」「良くも悪くも影響を受けやすい」とはどういうことか、また必要なケアなどについて詳しく説明されています。何らかの生きづらさや困りごとを抱えているとき、その生きづらさの原因に名前が付くと少し安心することもあるかもしれません。しかしそれだけでは、何かが改善するわけではありません。情報があふれている「HSPブーム」の今だからこそ。HSPを科学的な視点から理解することで、自分の困りごと、生きづらさに対する適切な知識、ケアの方法が見えてくるのではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年12月11日本が読めるってどういうこと?文字が読めることと、本を読めることは似ているようで少し違うと思います。幼い子どもにひらがなを教え、絵本を拾い読みするようになっても、本当の意味では実は「本を読める」ようにはなったとは言えないのではないか、と思います。例えば、次の英語の歌を歌うにはどうしたらよいでしょうか。To the place, I belongWest Virginia, mountain mamaTake me home, country roads(「カントリー・ロード」より)これを子どもに読ませようとアルファベット26文字を教えても、この文章を読むことはできないでしょう。英語で書かれた本を読むとき、アルファベット一文字一文字を知っていても、「home」「road」など言葉として単語が頭に入っていなければ声に出すことさえできないからです。では、日本語の場合はどうでしょう。む・か・し・む・か・し・あ・る・と・こ・ろ・に・お・じ・い・さ・ん・と・お・ばあ・さ・ん・が・す・ん・で・い・ま・し・た。あ・る・ひ・お・じ・い・さ・ん・が・や・ま・で・し・ば・か・り・を・し・て・い・る・と・・・・・・・・・・・・・・ひらがな46文字を覚えていればこの文章を「読む」ことはできるでしょう。でも、“音を拾って声に出しているだけ”かもしれません。たどたどしく音読はできても、意味内容までは分からず、「ママ読んで」となることもあります。この状態を“拾い読み”といいます。読めてはいるけれど、文章の内容理解にまで至っていない状態です。算数の文章題が苦手な小学生の中には、文章を読むことが苦手なために、内容をきちんと理解できておらず式を立てられない子どももいます。先生に声を出して読んでもらったら立式できても、自分だけで読もうとすると何を問われているのか分からなくなってしまうのです。ひらがなは、文字と音とが一文字1音、1対1で対応しているため、どんなに難しい内容のものでも、ひらがなで書かれてさえいれば、とりあえず音を拾って声に出すことはできできます。ですが、内容を理解して文章を読めているかというと、そうではないこともあるからです。言葉として教えようでは、どうすれば書かれている内容をきちんと理解できるようになるのでしょうか。私は幼児教室で子どもたちに教えていたことがあります。そのときには、次のようにひらがなを教えていました。“あ・い・う・え・お・か... ... ”とバラバラに教えるのではなく「あひる」「あめ」といった言葉として教えるのです。それによって、文章を見たとき、「あ・ひ・る」と一文字一文字バラバラで目に飛び込んではこないので、「あひる」と読むことができます。つまり、英語の「orange」「apple」のように、ひらがなも「みかん」「りんご」と言葉で教えていけばいいのです。でも、ひらがなって形が似ていて読み分けしにくいですよね。「おじいさん」「おばあさん」「おにいさん」「おねえさん」どれもこれも形が似ていて判別が難しいです。また、ひらがなでは意味がはっきり分からないことがあります。例えば、桃太郎の昔話にでてくる「おじいさんは、やまへしばかりにいきました」という文章。”しば“というと”芝生(しばふ)“をイメージしてしまう子どももいるかもしれませんが、正しくは”柴刈り“の”柴“です。また、”あめ“と言われても”飴“なのか”雨“なのかパッと意味が分からないこともあります。漢字って実は分かりやすい!?Upload By 立石美津子さて、次の4種類の文字、どれが子どもにとってやさしくてどれが難しいでしょうか。「あ」・「中」・「虫」・「蟻」2歳の文字をまだ読めない子どもたちを集めて試したことがあります。すると、一人の例外もなく、「蟻」の漢字を先に覚えました。「ひらがな」は表音文字、つまり一字一字音を表すだけで意味そのものを表していない単なる記号。「あ」と見せられても色もなければ形もない、何か具体的に頭に浮かぶものではありません。だから、覚えにくいのです。これに対して漢字は表意文字、意味のある文字です。「蟻」と見ると、子どもは頭の中に実物のあの黒くて小さい「蟻」を想像し簡単に覚えてしまいます。同じ漢字でも「中」はどうでしょう。画数は少ないので小学1年生で習いますが「コップの中」「部屋の中」とつかみどころがありません。小学校1年生で習う「上」「下」「左」「右」などの抽象的な概念を表す漢字は実は覚えにくいのです。「虫」は「中」よりはイメージが湧きますが、「虫」という名前の虫は存在しません。「蝉」とか「蜘蛛」とか「蝶」とそれぞれ名前がついています。だから「虫」の文字を見ても「蟻」のようにパッとイメージしづらいのです。というわけで、イメージがしやすい「蟻」の漢字のほうが覚えやすかったというわけなのです。書くことと読むこと書くことと読むことをごっちゃにしてしまうと「漢字は難しい」となってしまうかもしれません。たしかに漢字は書くのは難しいかもしれませんが、読むという面から見ると複雑な方が特徴があって分かりやすかったりします。具体的な意味もあり、それぞれの特徴がある漢字は印象深く残ります。私たち大人でも“薔薇、鬱、麻雀、挨拶、葡萄、推薦図書”などは、すぐには書けない人も多いと思いますませんが、読むことはできるのではないでしょうか。実際に、私が接した子どもたちは「蜜柑」「林檎」「怪獣」「救急車」「餃子」「苺」「兎」「象」「豚」「宇宙人」などの具体的な概念を表す漢字は数回見せただけで覚えてしまうことが多くありました。多くの幼稚園、保育園では、子どもの名前をひらがなで下駄箱に書いていたり、それぞれの子どものマークを決めてげた箱などに貼っている園もあります。でも、マークではなく漢字にしてみると、おそらく多くの子どもたちは自分や友達の名前の漢字を覚えてしまうのではないでしょうか。障害がある子どもへの指導で見えたこと私は長年、障害のある子どもたちの指導にも携わっていました。6歳から24歳まで指導をした知的障害がある子どもは、「蜜柑」「葡萄」「卵」「餃子」「牛乳」「焼肉」「象」「猫」「冷蔵庫」「風呂」の漢字は驚くほどよく覚えました。中華料理が好きだったのですが「冷やし中華」「餃子」「麻婆豆腐」「焼売」の漢字もあっという間に覚えてしましました。けれども、ひらがなで書かれた自分の名前はなかなか覚えることができませんでした。障害がある子どもに指導すると何がやさしくて、何が難しいのかを教えられる場面が多くあります。具体的で想像しやすい単語であれば、一見読むのが難しそうな漢字で書かれていても理解しやすいのですね。執筆/立石美津子(監修鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは漢字を「図形」ととらえています。ですから書き順にこだわらず、下から上に書いてしまうことも珍しくありません。私たちがハングル文字やアラビア文字を図形のように見てしまうことと似ているかもしれません。一方、SLD(特異的学習症)のお子さんは、黒板に書いてある「ゆきだるま」の字を「ゆ・き・だ・る・ま」と一字一字見ながら書くので雪だるまそのもののイメージがつかめません。漢字で「雪達磨」と書いた方がイメージはわくかもしれません。平仮名だけだとどこで区切っていいかも分からないので「ゆき/だるま」のように教科書に斜線で区切ってあげると読みやすくなります。また、自閉スペクトラム症のある方は空気や行間を読むのが苦手です。冗談も通じにくいところもあり、文字通りに解釈してしまう傾向があります。よって、本を読んでも字面だけを追っていて深い内容の理解が乏しいことが多々あるのです。想像力の欠如も相まって「あめ」を自分の印象で勘違いすることもあります。漢字で「雨」や「飴」と書いた方がイメージはわきやすく誤解を招かずに済んでいるものと考えています。
2022年12月10日特別支援学級の見学と体験Upload By カタバミ自閉スペクトラム症と知的障害のあるまちゃが年長のころ、就学先は特別支援学校と特別支援学級、どちらがまちゃに合っているのかで迷っていました。まずは特別支援学校に見学と体験に行きました。今回は特別支援学級の見学と体験です。初めにまちゃの就学先にと私が考えた特別支援学級の条件は「1、知的障害児用のクラスがあること」と「2、歩いて通える距離なこと」と「3、まちゃが過ごしやすい雰囲気であること」でした。連絡してみるとまず保護者だけで見学のみな学校と、保護者の見学とまちゃの体験を同じ日に行う学校がありました。実際に見学してみると当たり前ですが校舎はそれぞれ造りが違っていて、下駄箱から特別支援学級の教室までが遠い学校も近い学校もあり、私はまちゃの能力を考えて下駄箱から特別支援学級の教室までが近い学校がいいと思いました。それから実際に行ってみて天気が悪い日のことを考え、なるべく短時間でも駐車できる学校がいいなと思いました。でもどの学校も住宅地にあり、大体どこも有料の駐車場に停めてもらった方がよいとのことでした。特別支援学級でのまちゃの反応Upload By カタバミいくつかの特別支援学級に体験・見学に行きましたが、まちゃは人数が極端に少ない特別支援学級では広く空いている空間で走り回りふざけてしまいました。でもいろいろな学年が一緒になって大人数で勉強していた特別支援学級では、その様子を見て何かを感じたらしく、私の隣の席で静かに座っていました。これはお子さんの特性にもよると思いますが、視覚優位のまちゃには大勢の子どもが机に向かっている環境の方が合っているのかもしれないと思いました。席に座ったまちゃが騒がないようにと私が紙と鉛筆を渡したら、まちゃは文字らしきものを絵と混ぜて書いて、私に得意そうに渡してくれました。まちゃは普段いくつかの単語をしゃべるくらいですが、私にはまちゃが「学校ってこういうことをするんでしょ?僕知ってるよ」と言っているように感じました。その様子を見た年配の先生が「じゃあこれはできるかな」とすぐに平仮名のなぞりがきのプリントを数枚持ってきてくださり、まちゃがそれを得意気に完成させると「もうまちゃくんは小学1年生になれますね」と言ってくださいました。いつも表情の少ないまちゃですが、うれしそうだなと感じました。まちゃは自分の気持ちをしゃべることがほとんどないので、小学校に対してどんな気持ちでいるのか私には全く分かりませんでしたが、私が思っているよりも張り切っているのかもしれないと思いました。こんな時期に…療育手帳の更新のための再判定Upload By カタバミまちゃにやる気があるのなら特別支援学級に入れてみようかと思い始めたころに、療育手帳の更新のために発達検査を受けることになりました(前回の療育手帳のための発達検査は3年前でした)。再検査の結果、等級は前回の軽度から中等度になりました。覚悟はしていましたが成長も感じていたのでやはりショックでした。終わってから発達検査をしてくださった臨床心理士の方と話すと、数値は低く出ましたが学ぶ意欲と姿勢があるのは本当にいいところですと褒めてくださり、特別支援学級でもいいのではないかと言っていただけました。私も発達検査の結果だけが全てではないと思っていたのでうれしかったのですが、その後短い期間で専門職の方数人とお会いすることが続き、まちゃの発達検査の数値を知るとみなさん、私の特別支援学級という選択にいったん顔を曇らせました。まちゃをよく見て、いろいろな方の話を聞いてUpload By カタバミ本当にこの時期はたくさんの方のお話を伺いました。1年ほどお世話になっていた言語聴覚士の方からは「特別支援学級ではみんな普通にしゃべっていますから苦労すると思います」と言われました。でも、少しまちゃを診た行動療法の先生からは「この子は発達検査の数字は低く出ますができることは多いタイプですから数字を気にしないことですよ」と言われ、少しまちゃを診た作業療法士の方からは「この数値なら特別支援学校です。でも挑戦させてみることは自由ですよ」と言われました。そして、いつも頼りにしていた地域の相談支援機関の方からは「入学してみて合わなかったきには学校を変えることもできます。ただ特別支援学校から特別支援学級に移動することは難しい場合もあります」と言われました。この機関が主催した、教育センターの方と複数の先輩ママ達から就学先の話を伺う会にも出席しました。熟考した結果、まちゃは「もう1年生になれますね」と言ってくださった特別支援学級に通わせてみることに決め、教育センターからもその決定を認めていただけました。実際に入学したあとで何が起こるのかは分かりません。毎日通う場所から自己を否定され続けて深刻な二次障害を起こしてしまった話も聞きますし、無理をさせて今のまちゃの穏やかさが消えてしまったら取り返しがつかないと思い心配もしていますが、たくさんいろいろな方の話を聞き、まちゃの様子もよく見て考えたので、ひとまずこの決定で悔いはないと思っています。執筆/カタバミ(監修:鈴木先生より)お子さんがどこに通うかどうかは最終的には親御さんが決めることになっています。もちろん本人の意見も大事です。療育手帳が中等度の場合、特別支援学校を選択される方が多いのは事実です。ただ、一旦、特別支援学校に通い始めると地元の特別支援学級には戻れないことが多いです。それならばまずは入学した1年間だけでも地元のお友達と一緒に勉強してみることも一つの手段です。特別支援学校は地元から離れたところにあり、バスで通学するため地元の子どもたちにまちゃさんを知ってもらえる機会がとても少なくなります。地元の子どもたちにまちゃさんが同じ地域にいるということを知ってもらうには最初の1年間だけでも地元の小学校へ通うことはよいと思います。一方で、地元の学校では教員の人数の関係で密に面倒を見られないこともあるので、環境を変えたほうがよいと感じたら早めに特別支援学校へ移る決断も必要です。社会的な教育を受けることで就職につながることも多く、実際特別支援学校は就職率がよいという面があります。
2022年12月09日山崎育三郎主演、松本穂香共演の2023年1月期金曜ナイトドラマ「リエゾン-こどものこころ診療所-」に栗山千明の出演が決定。本作は、郊外の児童精神科クリニックを舞台に、発達障害を抱えて様々な生きづらさを抱える子どもとその家族に、自らも発達障害を抱える院長と研修医の凸凹コンビが、真っすぐに向き合い、寄り添っていく姿を描く、新たな医療ドラマ。栗山さんが演じるのは、山崎育三郎演じる主人公の児童精神科医・院長佐山卓の、良き理解者となる臨床心理士、向山和樹役。向山は、佐山が院長を務める児童精神科「さやま・こどもクリニック」で働く臨床心理士。常に冷静沈着で佐山の独特の行動やペースにも動じることなく、一見するとクールな印象。でも実は誰よりも優しい心を持っているというキャラクター。佐山の一番の理解者として、優しく見守りながらサポートしていく。また、クリニックに勤める一方で、小学校でスクールカウンセラーとしても働き、佐山同様に子どもたちと真っ直ぐ真摯に向き合い、内に秘めたる熱い意志も持っている。栗山さんは「原作を拝見したのですが、今現在、関心が高まっている大切なことが描かれている作品で、とても魅了されました。実際にこれを私が演じさせていただけることに、とても光栄な気持ちになりました」と喜びを語る。演じる向山については、「さりげない優しさを見せる一方で、物事を客観的に見ていて、一見、感情が表に出ないクールな女性でもあるので、その内に秘めた熱意などがちゃんと役として表現できたらいいなと思っています」と役への意欲をにじませる。さらに、「前向きになれたり、自分自身と向き合っていこうと思えたりする作品ですので、ぜひ楽しんで観ていただきたいなと思います」と作品への想いを語った。また、「山崎さんとは二十数年前から共演していて、これまでも何度か共演させていただいているので、今回もとても安心しています。松本さんと一緒にお芝居させていただくのは初めてですが、原作漫画の雰囲気にぴったりだなと個人的に感じていました」と話し、2人との共演に期待を寄せる。金曜ナイトドラマ「リエゾン-こどものこころ診療所-」は2023年1月20日より毎週金曜日23時15分~テレビ朝日系にて放送(※一部地域で放送時間が異なる)。(text:cinemacafe.net)
2022年12月08日「お金がかかりすぎている」と夫が激怒して…長女が5歳、そして次女を出産したときの出来事です。長女のときには私が出産費用の支払いなどお金関係は全てみていたのですが、次女出産直後、体調が思わしくなかった私は夫に支払いなどを任せました。しかし、夫はその出産費用をみて「お金がかかりすぎている」と激怒…。私は前からかかる金額や内訳を夫に説明をしていました。しかし、実際に金額を見ると夫は驚いてしまったのかもしれません。怒った夫は義実家へ相談したようでした。義実家と折り合いの悪かった私…向こうでいろいろと吹き込まれたのでしょう、夫はそこから暴言が酷くなる一方でした。Upload By ユーザー体験談夫の不満が爆発!警察に相談へ…次女が生まれて初めての年末年始のことです。私は実家からおせちをもらっていましたが、それを見た夫が家計で買ったのかと勘違いし「またお金を使って!」とおせちを投げ捨ててしまいました。それを皮切りに夫の不満が爆発!椅子や手元にあるものなどを投げはじめました。私や子どもたちにあたらないよう気をつけていたようですが、テレビ台のガラスは割れてしまいました。また暴れて、投げたものが間違って子どもにあたってしまったら…と不安を感じ、子どもを連れて警察へ相談をしに行きました。Upload By ユーザー体験談警察では「保護シェルターか実家を頼るかどちらかを選んでください」と言われました。私は実家に迷惑はかけられないと保護シェルターへ行こうと思い、その旨を実家に連絡しました。そうすると「実家に戻ってきなさい」との言葉。私と子どもは実家に身を寄せることになりました。私は夫に対して法的措置(離婚不受理届、警察へのDV申立)を取りました。離婚協議の準備をしながら限局性学習症のある長女には家庭内療育を行う毎日。孤独でつらい日々でした。別居から3ヶ月、夫の変わり果てた姿に驚きそして別居して3ヶ月…。夫から連絡がありました。私はとうとう離婚か…と思い、書類を準備して夫に会いに行きました。しかし、久しぶりに会った夫はみすぼらしい格好をしていて、驚きました。一体どうしたのか?夫に聞くと、別居の間義実家に帰ったものの、義両親から「ここに住むのであればお金を払うように」と言われたようでした。それに加えて私が請求した毎月の子どもの養育費などでカツカツの生活になっていたとのこと。自宅にも帰りづらく、この一週間は車で寝泊りをしていたと話す夫…。Upload By ユーザー体験談弁護士に相談して離婚書類を用意していた私でしたが、口から出た言葉は「家族なんだから困ったら言ってほしい」でした。私はこんな姿の夫を見たい訳ではなかったのです。子どもたちは夫のことが好きでしたし、私自身も衝突することはあるけれど、夫の全てが嫌いな訳ではなかったからです。ただボタンをかけ違えてしまっただけ…。夫にも子どもを大事に思う気持ちはあります。「なんで物を投げたの?もうしないならもういいよ。あなたが嫌いな訳ではないから。あなたがこんな状態になっているのに実家にもいられないのは酷いとも思う」私は夫へ気持ちを伝えました。和解後、そして今の家族の関係はその後、また家族4人で暮らすようになりました。この一件で義実家とは没交渉になりましたが、そのことについても夫は特に反対などはしませんでした。夫は長女の障害について、この件以前はあまり理解を示さなかったのですが、和解後は宿題なども見てくれるようになり、娘が読み書きに苦労している様子、そして私が努力して娘の障害と向き合っている様子も理解するようになりました。Upload By ユーザー体験談今は夫と娘の進路についても話せるようになりました。公立だとありがたいけど、私立でもいい。娘は自転車に乗れないので、高校は徒歩で行けて手厚い支援が受けられると評判の〇〇学校に進学するのが良いのではないかなど、夫や娘と話しています。家族で相談しながら、娘にとって良い環境を整えていきたいです。そして、家族これから先もみんなで支え合って暮らしていきたいと思います。イラスト/SAKURAエピソード参考/アトマキマキ(監修:鈴木先生より)結果的に元の鞘に収まってよかったですね。奥様が優しくご主人を許してあげたことが功を奏した例だと思います。優しく・丁寧に・具体的に・肯定文で話すといいと思います。前半の内容を見る限り、ご主人は金銭面や行動にでこだわりがあるタイプなのかと感じました。このような場合、人当たりはよくても、親しい人ほど厳しく当たる傾向があることもあります。ご主人の実家でのことを考えると、義理のご両親もご主人と同様なこだわりがあるのかもしれませんね。ご主人はそんな実家よりも暖かく優しい心を持つ奥様の下へ帰りたかったのではないでしょうか。あなたのエピソードもコラムになるかも?ユーザー体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの体験エピソードを募集しています。募集しているテーマは・障害告知・受容・パートナー(夫婦関係)・両親(義両親)・親族間トラブル(帰省なども含)・冠婚葬祭・反抗期、思春期・自傷・学習・不登校・ゲーム・不器用・ママ友・保護者・ご近所トラブルなど子どもを育てていて感じた違和感や、障害を告知されて受容するまでの心情、SNSなどでは公開しづらい身内やママ友とのトラブル、子どもの学校や勉強のトラブルや解決方法など…お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします。(一人何度応募いただいても大丈夫です)みなさまのエピソード、お待ちしております!
2022年12月08日SAKURA(以下、――):娘は、学校でパニックを起こすことが、まだあるのですが…先生から「パニックを起こした」「泣いた」などの報告があったとき、家で娘に「泣いたの?何があった?」と聞いても、『覚えていない』ということがよくあります。娘は、学校でパニックを起こしても、さほど気にしていない感じがします。娘の学校は、1学年1クラスなので、1年生からずっと同じクラスメイトで、担任の先生曰く、「あーさんのパニックのことは、同級生がもう慣れてしまっている」という感じらしくて、そこまで大騒ぎにはならないそうです。でも、授業を止めてしまうこともたまにあるので、そういうとき、周りを困らせてしまっているということは、認識してほしいんです。「私がパニックを起こしても、みんなが許してくれる」と思ってほしくなくて…。Upload By SAKURA三木先生:来年から中学生ですよね?中学生活の3年間で、もっと視野が広くなるのでは?――たしかに小学校生活でもすごく成長はありました。小学1年生のころは、上履きが脱げただけで泣いていたらしく、最初は、よく学校から電話がありました。それから考えると、あと3年でまた成長していくだろうとは思うのですが…最近は停滞期なので、「3年で間に合うか?」って、ちょっと心配になっちゃって。三木先生:こういうところは、結局、脳の発達待ちな部分がありますからね~。完璧を目指さなくても、中学生のうちに「このくらいできたら、まあまあかなー」ってぐらいなレベルでいいのでは?――そうですかね…なんか、学校で居眠りすることがよくあるそうなんですが、そのとき起こしてくれた子に、逆ギレしちゃうこともあるらしいんです。そういうのを聞いちゃうと、え?大丈夫?って心配になっちゃって。元々、周りの空気とか読めない子なので、逆ギレ後の周りの反応とかも見てないらしくて…。Upload By SAKURA三木先生:「空気を読めてないんじゃないか不安」というのは、今の若者は全体的に傾向として強くありますよね。アニメとか見てても、やたら説明が多かったりしませんか?テレビもテロップが多いですし、「きっちり共通理解できてないとダメだ」みたいな風潮は強いですよね。その結果、説明が過多になることでそもそも「空気を読んでいい感じかどうかを自分で判断する能力」が育ってない人は多いのではと感じます。昔はそういうのあまりなかったんじゃないかなと思っていて。みんな、ストーリーから背景を想像したり、画面の中から状況を読み取ったりしてましたよね。――確かに!昔のアニメとかお笑いとかって、説明がほとんどなかったですね!アニメを見てて、なんでこの人はこんなこと言ったのかな?って思ったら、こうだからかな~ああだからかな~って、勝手に考えてました!Upload By SAKURA三木先生:そういった状況の分析とか、空気が読めるようになるには、土台とトレーニングが必要なんです。土台が弱いうちは、言葉で気持ちを説明していくことが大事になってきます。Upload By SAKURA――そうか~…土台づくり…三木先生:嫌味とか、冗談とか、裏の気持ちが読み取れないんですよね。でも、空気って読まないほうがいいとき、あえて読まないときもありますからねw――あぁ…あります(笑)三木先生:その子のキャラによって、周りに受け入れられることもありますよね。天然寄りの子だね~みたいな感じに捉えられたり。周りとの関係性も影響してきます。Upload By SAKURA――そうか…。私が思うよりも、クラスの子にも、もっとふわっとした感じで捉えられている可能性もある…かもしれませんね。最近、(今のご時世もあって)以前より娘の学校生活とか、友達関係が見えないせいか、実際に見ていないことで、ついやきもきしちゃって…。夫にも神経質って思われてるかも…。思いが強すぎて、暴走してる気がしてます。Upload By SAKURA三木先生:どこまですると、お母さんとあーさんがしんどいかっていうのを、客観視するのが重要です。今の自分の状態を冷静に把握して、自分の感情を除いた観点で見るといいかも。――客観視…結構苦手ですが、頑張ります!執筆/SAKURA
2022年12月07日私の息子は3歳半健診で、「発達障害の疑いがある」と診断されました。結果的に、その1年後の健診で「発達障害ではない」と診断されましたが、息子の幼過ぎる行動を見るたびに、発達障害と親のしつけについて考えさせられた私の体験談をお伝えします。3歳半健診で色が答えられない私の夫は外国人で、私たち家族は長い期間を国外で過ごしています。息子の周りで日本語を話すのは私だけでした。 あれは日本に帰国し、3歳半健診を受けたときのことです。「この色は何?」という質問に、息子は答えられませんでした。私は相談室に入り、医師に「息子は日本語が苦手なだけです」と話をしました。その後もさまざまなテストを受け、できることもあればできないこともありましたが、最終的には「発達障害の疑いがある。様子を見ましょう」と医師に言われてしまいました。 発達障害? 親のしつけのせい?息子はレゴブロックを組み立てたり、本の内容を覚えたりする点ではほかの子よりも優れているところもありました。そのため、息子が店で走り出したり、大声で怒り出して止まらなくなったりしても、手のかかる子だと思う程度でした。 ところが周りからは、私の息子への対応が甘過ぎる、しつけが悪いと言われることもありました。そう指摘され、息子に厳しく接することも。そのため、3歳半健診で「発達障害の疑いがある」と言われたとき、「本当に発達障害かもしれない」という思いと、「いや違う、私のしつけのせいだ」という思いから毎日悩みました。 息子の個性と親のしつけを考える 1年後の健診で、息子は「発達障害ではない」との診断を受けました。テスト結果は、同年代より優れている部分と劣っている部分の両方がありましたが、普段の生活でも、ほかの子より優れている部分と劣っている部分の差が大きい息子。以前はその劣っている部分を直そうと、厳しくしつけをしていました。 私はその視点を変えることにしました。周りからのプレッシャーもありましたが、今は息子の個性を大事にして優れている部分を伸ばそうと考えています。 息子は、いまだに幼い子のように自分の感情を強く出します。それは、のちに発達障害と診断されることになるかもしれません。でも、私には息子の優れた部分もきちんと見えています。今はその個性を大切にしたいと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/imasaku監修/助産師REIKO著者:シュストルじゅんこ二児の母。海外で結婚し、2人の男の子を妊娠・出産。異文化を楽しみながら子育てをしている。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2022年12月06日血液検査で大暴れ現在はなんでも食べられるようになったものの、もともと卵と牛乳アレルギーを持っていたスバルは0歳から定期的に総合病院に通っていました。あまりにも長い待ち時間にも苦労しましたが、何よりも私の頭を悩ませていたのは血液検査!ワクチンなどの注射は平気なスバルですが時間がかかる採血は動いてしまいます。危ないので0歳のころはベッドにぐるぐる巻きにされて看護士さん2人がかりで採血してもらっていました。もちろんその間ギャン泣きです。それから数年…困ったことが起こりました。スバルが大きくなり力をつけてきたため、院内に響く声で泣きながらぐるぐる巻きにされた体をベッドごとガタガタ揺らすのです。私も全体重でベッドを押さえ、ほかの看護士さんも応援に駆けつけ5人がかりで採血しました。Upload By 星あかり採血についてはもちろん事前に説明し、本人も「今日は大丈夫」「注射怖くない」と落ち着いているのですが、いざ採血が始まると怖くなってしまい全然「大丈夫」ではなくなってしまうのでした。どうやら病院のベッドがトラウマになってしまったようでした。歯医者さんはきっと無理病院のベッドがトラウマになったことで同時進行で困っていることがありました。ベッドで治療の代表格、歯医者さんです。採血の様子を見る限り、歯の治療なんて「ぐるぐる巻きで大暴れで流血」な絵面しか想像できませんでした。そのため0歳から3歳までは歯医者さんへは行かず市の健診や、公民館などで行われる移動歯科健診で診てもらっていました。ありがたいことに毎回歯の美しさを褒めていただきホッとしました。「自閉スペクトラム症」と診断されたあとの歯医者さん3歳で「自閉スペクトラム症」と診断されたあと「あの採血での大暴れは特性の一部?」と思いたち、『自閉症 歯医者』で検索してみました。そこで目にしたものは、まさに阿鼻叫喚!壮絶な現場の状況と保護者の苦労の数々…。どうやら発達障害と歯の治療は相性が悪いらしいという現実に心が折れそうでしたが、障害児専門の歯科医院があるというありがたい情報を見つけることができました。しかし最寄りの病院でもバスと電車を乗り継いで行かなければならず、この場所に定期的に通えるかと言われたら現実的ではありませんでした。私にママ友がいたら地域の良い歯医者さんの情報が得られたかもしれないのに…と思いつつもママ友はいないので歯医者さん探しはいったん保留にすることに。運命の出合い幼稚園に入園すると幼稚園で定期的に歯科検診がありました。もしそこで虫歯があると言われたら腹をくくって障害児専門の歯科医院へ行こうと決めました。そして歯のトラブルがないまま5歳になりました。ある日の朝、スバルと近所をお散歩中に偶然歯科医院を見つけました。診療時間前に花壇に水やりをしていたスタッフさんが「おはようございます」と声をかけてくださったので、チャンスとばかりに話しかけることにしました。発達障害のこと、歯医者さん未経験のこと、採血での惨状を伝えたところ、スバルに向かって「病院の中を見学してみる?」と声をかけてくれました。そして私とスバルはスタッフさんに案内してもらいながら院内をくるりと1周し、先生やほかのスタッフさんと挨拶をし、診察の椅子に座らせてもらいました。そこで器具を手に持たせてもらい、何に使う物なのか説明を聞きました。スバルは真剣な顔で頷きながら聞いていました。私はその場で初診の予約を取って帰りました。5歳で初めての歯医者さんスバルもやる気満々で挑んだ初診の日。歯の検査で特に問題がなかったので、この日は歯の掃除とフッ素塗りをしてもらいました。痛い治療ではありませんが、水が出たり空気が出たり回転したり大きな音がしたりと刺激がいっぱい。しかし一つひとつ目の前で見せて説明してから始めてくれるので、スバルは最後まで落ち着いていました。たくさんのスタッフさんに褒めてもらってご機嫌で帰りました。あとから聞いた話ですが、スタッフさんの1人に自閉スペクトラム症のあるお子さんがいて、その子がこの歯科医院に通っているため、先生をはじめとしたみなさんが対応に慣れていたということでした。その後も何度か通い、レントゲンや麻酔の注射や抜歯を経験しましたが、歯医者さんを信頼しきって何でもおまかせで治療が受けられるようになりました。9歳の現在「お母さんは待合室で待ってて!」と1人で勇ましく診察室へ向かうようになりました。Upload By 星あかり血液検査その後大暴れの採血はどうなったかと言うと、5歳の後半にロタウイルスにかかり暴れる気力もないまま採血や点滴したことをきっかけに克服しました。参考にならないと思いますが一応…不幸中の幸いのような出来事ですが、このような克服の仕方もあるようです。執筆/星あかり(監修:初川先生より)歯医者さんに苦手意識を持つお子さんは多いですね。星さんが受診された歯科のように、院内の様子を見せていただいたり、治療についてお子さん自身に説明してくださったりすると、不安なりにも取り乱すほどではないレベルのドキドキ度で臨むことができることはあります。子どもは何歳であれ、その子に向けて語られた大人の言葉を分かろうとします。詳細をすべて理解できなかったとしても、分かるように説明しようとしてくれた、事前に見る・触ることのできるものは試させてくれたということは子どもに届きます。スバルくんの採血克服エピソードに関しては、成長もありますし、また、抵抗できずにそれはそれでつらかったことと思いますが、その結果、治療が奏功した(頑張って採血・点滴に耐えたらいいことがあった)という展開もよい働きを見せたのかもしれませんね。
2022年12月06日