保育園では見れなかった日中の息子Upload By まる息子の通っている療育は親子で通園し、一緒に活動する。保育園とは違い日中の息子の様子が見れるのだ。先生やお友達に対して、教室ではどういった行動を取るのか私は少しワクワクしていた。「発達の遅れ」と言われても、子育ては初めてだしコロナ禍で出掛けられずほかの子と比較することもできないので、どの程度遅れているのか実際よく分からなかった。息子は人見知りや場所見知りがあまりない性格なので、療育で過ごすことにはすぐに慣れた。初日から、ママが見えるところにいれば勝手におもちゃで遊び、悠々自適に過ごしている。楽しそうでなにより。自由すぎるけど。先生やお友達には興味はないようで、ただひたすら1人で遊んでいた。ただ周りの子も同じような感じなのでそこは気にならなかった。動く!逃げる!怒る!泣く!リトミックが嫌な息子Upload By まる園に着くと、決まった時間まで自由時間でさまざまなおもちゃで遊べる。それが終わるとお片づけをしてリトミックの始まり。リトミックはみんなで輪になって音楽に合わせてダンスを踊る。ちなみに子どもたちが覚えるように、ほぼ毎週同じ曲をやる。まぁこれはできないだろうな…と思っていたが、予想通りまったく参加しない息子。リトミックが始まると片づけたおもちゃをほしがる、とにかくフラフラどこかへ行く、教室から出せと泣く怒る。保育園からリトミックに参加しない、集まって絵本を読むときなども座っていられないという話は聞いていたが、聞くのと見るのとではまったく違う。実際この状況を目の当たりにして「分かっていたけどうちの子って…もうすぐ3歳になるのにこういうことができないんだ…」と改めて実感した。同じクラスの子どもたちも、息子とたいして変わらずほとんどリトミックに参加していなかったが、1人だけちゃんと参加できている子がいた。多分この子がこのクラスの中で1番定型発達に近い存在なんだろうな…とうらやましくも思った。リトミックに続いて行う親子体操(子どもを膝に乗せて行う、バスに乗ってなどのふれあい体操のこと)も、まったく参加せず。泣いて暴れて母の元から逃げていく。親子体操に関してはおとなしく抱っこされてできている子どもが多かったので、「療育でも1番できていない…ああほんとに…うちの子はほかの子とは違うんだな…」と感じざるをえなかった。座っていられないUpload By まるリトミックと親子体操が終わると、次は椅子に座ってお名前を呼ばれたり絵本を読んだりの時間。もちろんこれも座っているはずがない。教室から逃げ出そうとして泣いたり、先生が読んでくれている絵本にこれでもかと近づいて邪魔したり、椅子に座ろうと促されて怒って泣いたり。息子を追いかけたりなだめたりと先生が率先してやってくれてはいるが、療育が終わるころには私は心身共にぐったりしていた。座れないでフラフラしているとは聞いていたけど、これほどとは…。保育園の先生たちも大変だろうな。親子通園で見えてきた現実Upload By まる療育に親子で通いだし、息子の日中の様子が知れたことで現実が見えてしまった。いや、早めに知ることができてよかった。それまでは「療育」という中に入れば息子はある程度できるのかと思っていた。しかしそんなことはなかったし、そういうことでもなかった。それぞれに発達の凸凹があるから「うちの子が1番できない、あの子はできる」と言うことではなく、みんな得意不得意がさまざまなので比べようがない。まだ診断が出ていない時期だったが、一つ分かったことは「わが子は発達障害だろう」ということ。発語がないことやコミュニケーションの取り方、動きのさまざまなところで感じざるをえなかった。療育に通い始めたときは、リトミックや親子体操など逃げて泣いて大変だったけど、今では楽しそうに教室内をフラフラしている。いまだにリトミックは踊らないけど親子体操は多少やらせてくれるようになったし、椅子にもたまに座ってくれるようになった(好きな絵本があるときなど)。とにかく常に楽しそうで、当時の泣いて怒って教室から逃げ出していたことをすっかり忘れていたほどだ。私の心境も変わり、「こんなこともできない」から「こんなことができるようになった」と見方を変えられるようになったと思う。執筆/まる(監修:鈴木先生より)家庭だけではわかりませんが、集団に入って初めて我が子のつまずきに気づくことが多々あります。今回のような療育でわかることもあれば、保育園や幼稚園などでわかることもあります。集団に参加できない理由は何なのか?音なのか?人なのか?道具なのか?ほかにやりたいことがあるのか?眠いのか?…。以前にも書いたように、”Not unable, but able” なのです。その子に何ができないかではなく、何ができるかを見極めることが重要です。理解のある療育や園では、そのお子さんにできることを伸ばしてくれます。担任との相性&担任の発達障害(神経発達症)に対する理解次第です。
2021年11月30日昭和5年創業、年間2千万冊以上のノートを製造する大栗紙工株式会社(所在地:大阪市生野区/代表取締役社長:大栗 康英)の、発達障害当事者の声から生まれた目にやさしい「mahora(まほら)ノート」が、「大阪製ブランド」に認定され、優れた取り組みにより創出された3製品だけに与えられる「ベストプロダクト」にも選ばれました。また、この取り組みが評価され「大阪ものづくり優良企業賞2021」を受賞しました。2022年2月8日、大阪市中央公会堂で表彰式が併催される予定です。【困りごとを抱える人に寄り添った「mahoraノート」】mahoraノートは、発達障害者を支援する一般社団法人UnBalance(所在地:大阪市平野区/代表:元村 祐子)と共に、当事者約100人の声を集めて開発しました。徹底的に意見を聞くなか、紙からの反射がまぶしくて文字が書きにくい、いつの間にか書いている行が変わってしまう、罫線以外の情報が気になって集中できない、という3つの困りごとにたどり着きました。それらを解決するため試作を重ねて完成したのが、「光の反射を抑えた中紙」「識別しやすい罫線」「シンプルなデザイン」が特徴のmahoraノートです。これまでにグッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」や、日本文具大賞デザイン部門優秀賞などを受賞しています。光の反射を抑えた目に優しいノート【普通のノートではできなかった事ができるようになった不思議なノート】購入者からは、「勉強することへの苦手意識が減り、普通のノートではできなかった事ができるようになった。本当に不思議なノートです。」、「『ノートが眩しい』という理解されにくい悩みから救われた。」、「今までは自分で書いた字なのに読めないこともあったがmahoraはとても書きやすい。」、「mahoraの存在を知り、『そうか!ノートの白も眩しいのか!』と娘の苦痛に気づくキッカケになった。」などの声が届いています(参考資料参照)。【大阪製ブランドについて】大阪府では、府内ものづくり中小企業の優れた技術に裏打ちされた創造力にあふれる製品を「大阪製ブランド製品」として知事が認定し、大阪のものづくりのブランドイメージを高めるとともに、府内ものづくり企業の自社製品開発を促進しています。認定製品は大阪府及び公益財団法人大阪産業局をはじめ、様々な支援機関等が実施するプロモーション活動によって、国内外に情報発信していきます。中でも、優れた取り組みにより創出された製品を「ベストプロダクト」として選出しています。【大阪ものづくり優良企業賞について】大阪府内に本社を有するものづくり中小企業を対象に、「技術力、QCD、財務、CSR」の4つの視点で審査を行い、「高度な技術力」を有する企業、「高品質・低コスト・短納期」など総合力が高く、今後、基盤技術で大阪産業の活性化と地域社会への貢献が期待される優秀な「ものづくり中小企業」を選定し、「ものづくり優良企業」として表彰する制度です。当顕彰事業は、大阪中小企業顕彰事業実行委員会(大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業局、地方独立行政法人大阪産業技術研究所で構成)が実施しています。【mahora ノート お客様の声】私はノートを取ったりまとめたりするのが凄く難しかったのですが、mahoraノートを使用し始めてから文字を書く楽しみや勉強することへの苦手意識が減り、じぶんで少しずつ習った事をまとめたり書いたり普通のノートではできなかった事ができるようになったりしました。本当に不思議なノートです!!!!!これからも購入したいと思っています!娘の『眩しい』は感覚過敏だと思っていましたが、発達障がいの診断はおりておらず、グレーゾーンだと感じながら娘をそだててきました。診断がないが故に自治体の補助も学校や周りの理解も得られないまま手探りの状況の中、御社のノートの存在を知りました。「そうか!ノートの白も眩しいのか!」そう思った瞬間は盲点と申しますか、御社の存在無くしては気づけなかった、気づくのが遅れた、そう思います。娘はノートが届いてから目が楽だと申しております。娘の苦痛に気づくキッカケをくださったこと、心から感謝いたします。お絵描きが大好きな娘は、目の感覚過敏の為、黒板の様なボードに絵を描いていました。太い線も細い線も、色も、技術がなければ楽しみにくいボードでは思うようには描けず、幼稚園の時に絵を描かなくなりました。小学校最後の年にmahoraに出会いノートに向き合うことが苦痛じゃなくなり、また絵を描くようになりました。今では薄いサングラスをしてスケッチブックに絵を描いています。もちろん学校と自主学、家庭学習はmahoraです。皆様の企業努力が「ノートが眩しい」という理解されにくい悩みを抱える娘を救って下さり、問い合わせに対する丁寧な対応が人間不信で勇気を振り絞って訊ねた母の心を救ってくださいました。自宅で過ごすことが多い娘は朝はmahoraで勉強、昼はサングラスでお絵描き、夕方はmahoraで文章を書いたり、いろんなペンでmahoraに線を引き鮮やかに発色する色を見て「明日の社会はこのマーカーを…」そう笑顔で話します。先日は国語の先生に字を誉められました。書きやすいノートのおかげだそうです。家族からのプレゼントで毎日使わせて頂いてます。目が楽で書きやすい!光の反射で書くことが苦手だったとわかりました。書くことが楽しくなり積極的にノートやメモにと活用し、大変喜んでいます。感謝申し上げます。mahoraレモン太細ノートは国語、理科、数学に使っています。細い中心線があることでバランスよく書け、上下と真ん中に1cmごとのメモリがあることで均等な間隔で書くことができ、あとで見返しやすいです。(今までは自分で書いた字なのに読めないこともありました)mahoraラベンダーあみかけノートは英語に使っていますが、一般的な英語のノートは4本線が書いてあって、線がわずらわしく赤いベースラインが書いてあるのもいやでした。mahoraはとても書きやすいです。【mahoraノートの特徴】■光の反射を抑えた、中紙を採用mahoraの中紙は、白い紙に比べ光の反射を抑えられる、13色の国産色上質紙の中から、発達障害当事者の皆さまに選んでいただき、その中でもまぶしさがもっとも気にならなかった「レモン」「ラベンダー」「ミント」の3色を採用。また、今回採用した国産色上質紙は、通常のノートの中紙に比べ約10%程度厚くなっているので、強い筆圧でも紙がへこみにくく次のページへの影響が軽減されます。さらに紙肌がなめらかなので、消しゴムで消す際も紙がクシャクシャにならず綺麗に消すことができます。■行の識別がしやすい、mahora独自の罫線発達障害当事者の皆さまの中には「中紙に印刷された罫線が見分けにくく、書いているうちに行が変わってしまったり歪んでしまったりする」との声がありました。それらの悩みを解消させたのが、アンケートやヒアリングによってうまれた、mahora独自の2種類の罫線です。■ノートの開きが良く、耐久性も優れた無線とじ製本長年ノート製造に携わってきた製本技術による業界トップクラスの高品質な無線とじ。ノートの開きが良いのでページの端まで文字が書きやすく、また耐久性にも優れているので長期間の使用でもノートがばらける心配はありません。■無駄な要素をなくしたシンプル設計「中紙に印刷された日付などの余計な情報が気になり集中できない」との声にも耳を傾け、中紙の印刷からは日付欄などの罫線以外の情報は全てなくしました。またそのことによって、横書き・縦書きも気にすることなく使える自由なノートになりました。【mahoraシートの特徴】■レポート用紙のように1枚ずつ自由に使えます■パンチ穴をあければバインダーにまとめて綴じることができますシートタイプが新登場!【mahoraノート概要】mahoraノート概要mahoraオンラインストア: mahora紹介ページ : 【『mahora(まほら)』という名前について】『まほら』は「住みやすい場所」や「素晴らしい場所」、「すぐれたよい所・国」を意味する日本の古語で、『まほろば』の元となった言葉です。私たちが作るノートがみなさまにとって「使いやすいノート」「心地よく使っていただけるノート」であってほしいという願いから、『mahora』と名付けました。そして日本だけでなく、多くの国の人々に使っていただけるノートになってほしいという願いも込めて、アルファベット表記の『mahora』としました。【発達障害とは】発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがあるかもしれません。ですが、発達障害はその特性を本人や家族・周囲の人がよく理解し、その人にあったやり方で日常的な暮らしや学校や職場での過ごし方を工夫することが出来れば、持っている本来の力がしっかり生かされるようになります。(出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」から)そうした発達障害と診断された人は48万1,000人と推計されます(H28年「生活のしづらさなどに関する調査/厚生労働省」)が、実態は全人口の6%~7%は存在するとも言われます。その中には「視覚過敏」と呼ばれる特性を持つ人もいて、特定の光や色によって受ける視覚のストレスが大きく、日常生活に支障をきたしてしまうこともあり、例えばノートを開くだけでも辛いと言う人もいて、決して知的能力に問題があるわけではないにもかかわらず、学習に支障が出るケースと言うのも起こりうるのです。【会社概要】社名 :大栗紙工株式会社代表者 :代表取締役社長 大栗 康英所在地 :〒544-0004 大阪市生野区巽北3-15-7設立 :創業昭和5年/設立昭和40年資本金 :1,000万円社員数 :32人事業内容:無線とじノートの製造 2,700万冊(年間)・電解水生成装置の販売 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月30日感覚過敏、日常生活での対策こんにちは。加藤路瑛です。15歳、高校1年生です。自分の困りごとである感覚過敏の問題を解決したいと思い13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。今回は、感覚過敏な私が日常をどう工夫して過ごしているか、包み隠さずお伝えしたいと思います。視覚過敏の工夫まず先にお伝えしておきますと、私は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚といういわゆる五感の中で視覚過敏はそこまでありません。よって、眩しさ対策としての、調光グラスやサングラスを日常的に使用することはしていません。まず、生活空間の工夫としては、部屋の明かりは、蛍光灯や白色電球ではなく、全てオレンジ色の電球色の照明を使用しています。部屋の天井のライトも色を切り替えられるタイプで、基本は電球色を選んでいますし、机の電気スタンドもオレンジ色のライトです。以前、私が運営している感覚過敏当事者コミュニティーのメンバーと話した際に、「太陽光もつらく、カーテンを閉め、間接照明で生活している」とおっしゃる方がいました。私は照明の色を白からオレンジにすることで、視覚的には楽になりますが、本当につらい方は間接照明の暗い部屋で生活されているのだと知ることができました。出典 : 視覚的な工夫は、パソコン背景色の設定でしょうか?現在の多くのSNSは、背景色を白だけでなく、黒やダークグレーなどに設定できます。白い背景画面は視覚過敏がほとんどない私でも眩しいので黒背景を設定することが多いです。私は現在、通信制高校に在籍しており、オンライン学習がメインのため、文房具を使用する機会はほぼありませんが、学校に通っている人の場合は、ノートの色やペンの色も工夫できるかと思います。現在は、白い紙以外に、緑や黄色などのカラーノートもありますので、白い紙が眩しい場合は使ってみてください。私はノートを使わない生活をしていますが、以前から青色のペンで文字を書くと見やすかったです。ノートでもパソコンでも白背景に黒文字はコントラストが強くて目が疲れやすいです。調光グラスやサングラスは使用していないと伝えしましたが、時々、夜に部屋を暗くしてゲームをするときは画面が眩しいのでPCメガネを使用しています。聴覚過敏の工夫中学生時代は教室の騒がしさで頭痛や体調が悪くなることが多かったのですが、現在の私はノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスイヤホンで、かなりの音を遮断しています。電車の中や周囲の音が気になる場所では、自分の好きな音楽を聞いています。それでも、うるさくて嫌だなと思う状況のときは、ノイズキャンセリングイヤホンをつけて、さらにその上から音楽再生用のワイヤレスヘッドホンをつけて防御しています。聴覚保護具としてイヤーマフがありますが、私にはイヤーマフを装着した際の圧迫感が苦手で、普通の音楽再生用ヘッドホンを使用しています。そのほかの工夫としては、うるさい場所に好んで出かけません。生きる上での工夫でもありますが、遊園地などのレジャーの楽しみを回避していることにもなり、聴覚過敏の対策を優先し、楽しむという部分を後回しにしています。その意味でも、感覚過敏を緩和させる方法を私自身が発見したいと考えています。Upload By 加藤路瑛嗅覚過敏の工夫私の個人的な考えですが嗅覚過敏の課題が一番解決が難しいと感じています。ほかの感覚に関しては、対処する道具やテクノロジーで解決していけると思うのですが、嗅覚過敏に関しては時間がかかるのではないかと思います。そんな私の嗅覚過敏対策は、マスクです。コロナ禍になる前から、私は不快なニオイから自分をガードするためにマスクをして生活していました。真夏もマスクをつけていることが多く、親にも「見ているだけで暑い」と言われていました。私は触覚も過敏ですので、マスク自体も好きではありませんが、ニオイガードが優先していました。今は、活性炭入りで多少のニオイをガードしてくれるマスクを利用しています。といっても、マスクでは期待するほどはニオイをガードできません。でも、嫌なニオイがしたとき、他人の目の前で鼻をつまむのは失礼な感じがしてできません。マスクをつけていると、マスクの位置を直すふりをしながら、マスクを手で覆いニオイをガードすることもできます。そういう意味でマスクは便利アイテムです。Upload By 加藤路瑛私が運営している感覚過敏当事者コミュニティーでは、ニオイの防御に防毒マスクを使用して外出されている方がいらっしゃいます。本当につらい方の選択肢が、防毒マスクしかないのは大変です。何かいい対策方法を見つけたいと思っています。私は食べ物のニオイがごちゃ混ぜになるファミリーレストランが苦手なので、私の嗅覚過敏に理解のある家族や仲間としか飲食店には入りません。以前は、友達の付き合いや、カフェで打ち合わせを指定されることもありましたが、初めて会う方とは飲食店には行かないようにしています。味覚過敏の工夫食べ物に関しては、食べられるものが少ないので行動範囲を狭くします。家にいれば家族が私の好みを知っているので、食べられるものしか食べなくていいのでそれほど困ることはありません。食べることは大切ですので、ここは家族の理解がとても重要な部分かと思います。いろんな種類の食べ物を無理に食べさせようとすると、味覚過敏のある人は強いストレスになりますし、残すことで叱られたり非難されることがあれば、食べること自体が恐怖になります。「食べられるものを食べられるだけ」と考えていただけたらと思います。これは家族だけでなく、本人のマインドセットも必要だと思っています。食べられないことのコンプレックス、プレッシャーなどを強く感じていると、食べることが本当に苦痛です。私は「食べられないのは仕方がない」と割り切ることができました。どうしても他人と食事をする場合は、事前に食べられるものが少ないことを伝えておきます。多くの場合は、私が食べられるものに合わせてくださいます。私は、ざるそば、ざるうどんは食べられるので、観光地などでは、蕎麦屋さんやうどん屋さんに付き合ってもらうことが多いです。学校行事など、集団で食事をする状況は現在はありませんが、小学生の宿泊学習では食べられるもの、飲めるものがなくて栄養不足と脱水症状で具合が悪くなり、途中離脱した過去があります。それ以来、宿泊学習では食べられるものを持参できるように学校と相談していました。修学旅行の食事に関することは、以前、コラムを書いているので、是非ご覧ください。今の悩みは、いつか留学をしてみたいのですが、食べられるものがあるのかが心配です。生活の工夫は、実際に挑戦して見て、試行錯誤をしながら見つけていくしかないと思っていますが、その過程では、体調が悪くなったり、気持ち悪くなったりしますので、工夫・改善を見つけることは、感覚過敏の人にとって大変な過程だなと感じています。触覚過敏の工夫私の目下の悩みは「履ける靴下が見つからない」ことです。小さいころから靴下の縫い目部分が本当に苦手で、いろいろな靴下を親が買ってきてはくれるのですが、どうしても受け入れられる靴下に出会えません。唯一、受け入れられた1足の靴下はもう穴が空いてきました。同じ商品にも関わらず、ロット違いのせいかのか、同じであると思えず、いまだに靴下は見つかっていないので、自分で作る道を選びました。ネットでは、海外の感覚過敏向けキッズ靴下を入手できますが、残念ながら私には合いませんでした。触覚は多様であり、自分が受け入れられるものは人によって違うことが難しいところなだと思います。Upload By 加藤路瑛靴下同様に、下着も新しいものがみつからずボロボロに破れています。肌着も自分で作ろうと挑戦中です。衣服に関しては、①自分に合う衣服を探しまくる②着られる衣服があれば、販売中止の可能性を見越して多めに購入しておく③自作するという方法があるかと思います。また、私は家ではできるだけ身軽でいたいので、1年中、タンクトップとパンツだけで過ごしています。けれど、冬はとても寒いです。夏もクーラーで体が冷えます。いつも「寒い」と言っています。親にも「寒いなら何か着なさい」と言われるのですが、寒いのと服が痛いのを天秤にかけると、寒くてもいいから身軽な服装でいたいと思ってしまいます。ですので、冬場の部屋はできるだけ暖かくしています。(暖房費がかかりますが…)また、冬場の外出も、近所ならば裸足にサンダル、コートなしという状態で出かけます。いろいろと服を着るくらいなら寒い方がましなのです。なので、少しでも温かくなるようにと貼るカイロをつけています。Upload By 加藤路瑛衣服に関しても、工夫といえる状態ではありませんが、「世の中に自分の着られる服や靴下がないなら自分で作る」という覚悟を持って、今、服作りに挑戦中です。中学生のときは、制服が重くて痛くてつらかった記憶があります。ただ、その重さが自分を守ってくれている防護服のような感覚もあって、学校では夏でも冬用のブレザーを着て登校していました。家では身軽な服装なのに、外では真逆な行動をしていましたが、今思えば、学校生活は五感へのさまざまな刺激が多すぎて、無意識ですが自分を守るために服を着る選択をしたのだと思います。このように書くと、「感覚過敏もメンタルの問題なのでは?」と思われるかもしれません。でも、努力すれば、服が着られるようになったり、マスクがつけられるようになる訳ではないことはお伝えしたいです。まとめ今回は、私の感覚過敏の対処法について書かせていただきました。対処や工夫というより、感覚刺激を避ける行動の工夫をしているかもしれません。自分の感覚過敏を把握していない状態でなんとなく不快な状況を回避してしまうのと、自分の感覚過敏を把握し、どのようにすれば体調不良を起こさないか考えることは同じ感覚回避でも違います。まずは、自分にはどんな感覚の過敏さがあり、どのような状況や環境でその過敏さによって体調の変化が起こるのかを把握できれば、それを避ける工夫をしていけると思います。ただし、感覚刺激がある状況を避けるということは、多くの人が楽しんだり、チャンスだととらえるものを諦める行為でもあります。感覚過敏の対策や工夫をしながらも、自分が楽しいと思えることを諦めることなく挑戦できる社会になればいいと思っています。(監修者・井上先生より)加藤さんが書いているように、自分の感覚の苦手さがどの感覚から起こるのか、感覚過敏がどのような状況で厳しくなるのかを本人が理解したうえでご自身の過敏さに付き合うことが大事だと思います。例えば体調や睡眠不足なども関係することもあります。そうしたことを知ったうえで対策をとることで、ご自身の感覚過敏とも客観的に向き合うことができるようになると思います。加藤さんが、ご自身の感覚過敏に向き合うだけでなく、さまざまな情報分析や製品開発等、感覚過敏に対しての工夫をし、留学などを含めさまざまな可能性を示してくださることは、同じように困難さを持つ方々に対して勇気を与えてくれることになると思います。
2021年11月30日子育てをしながら、ふと思った「ほかの家庭はどうなんだろう?」Upload By スガカズ私は、4人の子どものママです。中2の長男にADHD+ASD、小5の次男にADHDがあります。子どもたちには、「自分を価値ある存在として障害を肯定的に捉えて成長してほしい」と思っています。わが家は私がメインで子育てをしているスタイルだったのですが、パパに対して「積極的に子育てに参加してほしい」「子どもたちのありのままを受け入れてほしい」と思い、いろいろと関わり方を模索したり、子どもたちとどう関わってほしいかパパと何度も話し合いをしたりしました。ですが、お互いの価値観や子育ての方針は少し違います。私は子どもの気持ちに寄り添っていきたいのですが、パパは子育てにきびしいところがあり、それがきっかけで子どもたちが癇癪を起こしたり、パパと子どもが言い合いになることもしばしば…。タイミングをみて、パパの考えを代弁するなどして子どもへのフォローをしたりしますが、まれに私自身がパパと険悪になることもあります。また、夫婦で言っていることが違ってくるという矛盾が生じることもあります。「子どもたちが親のことを信用しなくなるのではないか?」「家でも外の世界でも安らげる場所がなくなるのではないか?」そういった不安は昔からありました。ですが、今のところ子どもたちは私のことを頼ってくれますし、パパと子どもたちは共通の趣味があり、私ではできない関わり方を持っていることもあって、子どもたちが大きなストレスをためているようではなさそうです。現在は目を光らせつつも様子をみている状況です。そんなわが家での日々を送る中で、ふと、「ほかの家庭はどうなんだろう?」という疑問がありました。そこで、今回SNSを通じていろいろな立場の方にお話をうかがってみました。その中の、3人のママと1人のパパのお話を紹介させていただきます。※お話を伺った方には掲載の許可をいただいておりますYさんの場合(長男小5・ASD・ADHD・LD、次男小2・ASDのママ)Upload By スガカズわが家の小5長男と小2次男は二人とも発達に凸凹があります。長男はASDで、一日のルーティンが決まっていたり、自分が「よくない」と思ったときに相手の行動をつい指摘してしまったりと真面目でこだわりが強いという特性があります。義母に聞いたところ、そんな長男は小さいころのパパと本当にそっくり。パパにとって小5の長男は、小さいころの自分と重なるようです。自分自身が感じた生きづらさを受け入れることが難しいのかもしれません。長男に対して(特に勉強について)厳しくなりがちです。結果、長男の癇癪スイッチを押してしまい悪循環に…。一方で、私はパパの真面目で誠実な性格を素敵だなと思っています。日々頑張って働いており、私にとっては「いつかは息子もパパのような大人になるのかな?」と、希望の光に思っています。土曜日は私が仕事なので、パパはワンオペで子どもたちと一日を過ごします。「公園に連れて行かないと!」と、マイルールにしばられて、イライラしながらも不器用に頑張っているパパをかわいらしく思いますし、頼もしくも感じています。Iさんの場合(長女9歳・ASD、次女5歳・軽度知的障害・ASD、三女5歳・境界領域知能・ASDグレーゾーンのママ)Upload By スガカズ先日、長女の過剰歯を抜くために2泊の入院、手術がありました。手術の一ヶ月前にパパには、「その日は、早く帰って来てね」とお願いしたのですが、パパはスマホをいじりながら「その日は仕事~…」とそっけない返事が…。長女の入院や手術の付き添いは、義母に頼めたのでよかったのですが、私は下の子たち二人の世話をしながら「手術無事に終わったかな?泣いてないかな?」と心配でした。案の定、当日パパは早く帰ってくることも手術の様子を気にかけることもありませんでした。マイペースでやさしいパパなので、子どもたちにもいつもやさしいです。そんなパパの性格を理解はしているものの、今回のことは少しだけがっかりしてしまいました。Sさんの場合(長男5歳・ASD、長女3歳のママ)Upload By スガカズパパに子どものことを頼むときは、一から十まで言わないと後始末を私がしないといけないくらい大変です。例えば、「ちょっと子どもを見ていてね」と言ったら本当に見ているだけ、だったり。「結局私が対応したほうが効率よいな」と思ったことも多いため、私がほとんど動いています。そのため、長男の障害者手帳や受給者証も申請からフォローまで、全部私の担当です。長男には、自閉スペクトラム症(ASD)があり、こだわりが強めで、思い通りにいかないと癇癪を起こしてしまいます。そして、そんなときはだいたいパパが余計なひとことを言って火に油を注いでしまい、クールダウンさせるのがさらに難しくなることがあります。現在、長男は年中。お薬に少し助けてもらいながら本人も頑張っていることもあり、パパと長男のケンカは以前より減りました。とはいえ、まだ情緒が安定しない時期なので、長男の対応は私がほとんどしています。その間は、パパには長女の相手をお願いしています。最近になって長女の運動面に課題があることが分かり、療育に通い始めました。私の負担が増えたため、実家の母に協力してもらいながらなんとか日々こなしています。将来子どもたちが成長したころには新しい問題がたくさん出てくると思うので、パパの出番が今よりも増えることを期待しています。Gさんの場合(長男7歳、次男5歳、三男3歳のパパ)Upload By スガカズ私自身、発達障害の当事者でADHD(積極奇異型)があり、子どももある程度特性があり、発達が気になっているので様子を見ています。夫婦の子育てにおける役割は、大きく分けると「社会性」はママ担当、「創造性」は私担当です。私は好きなことは思いっきりしたいタイプで、逆にしたくないことはおざなりになりがちな特性があります。子どもたちと基本的に楽しく過ごしたいので、休日はめいっぱい遊びます。私が全力で遊びすぎるあまり、子どもたちに「気をつけてね」と言われるほどです。子どもたちに怒るポイントは夫婦で違います。私は、例えば危険な行動をしたときなど、行動そのものをやめさせる必要があるときに怒ることが多いのですが、ママは子どものミスを責めるような言い方をするときがあります。例えば子どもがお茶をこぼしたらママはイライラしながら、「何やってんの!?」と怒ります。社会性を育てる上でママが子どもたちと関わることが多いから、そのような対応になってしまうほどストレスが溜まってしまっていることもあるのだと思いますが、ママの子どもたちへの対応がきっかけで夫婦が険悪になることも…。これは逆も然りで、もちろんママが私に対してイライラすることもあります。お互い、相手の怒ってることにイライラしてしまうのです。話し合いを重ね、現在はなぜ妻がそのような態度になるか理解できるようになり、お互いを認め合うことでお互いの関わり方も変わってきました。わが家の場合、仕事の都合上夫婦の生活スタイルが違うので、最近は一緒に子育てする機会が減ってきましたが、タイプの違う両親からいろいろ学んでほしいですし、子どもたちにはたくましく育ってほしいなと思います。話を伺ったあと感じたこと今回4人のママ、パパからのお話を聞けて、「みんないろんな気持ちを抱えながら日常を過ごしているんだな」と感じました。一緒に子育てするパートナーであっても生活スタイルも価値観も立場もそれぞれ違うので、分かってはいても相手の子どもへの対応などに疑問を抱いたりすることはあると思います。私自身、理想の夫婦を見つけたときに、自分の環境と比べてしまい「同じようにできないな…」と少し落ち込んだりする経験もありました。でも、わが家のパパだからこそできる役割をお願いしてみたり、家族が少しでも穏やかに過ごせるサポートをこれからもしていこうと改めて思いました。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)一方が相手に対して「これくらいは察してほしい」と思っても、相手の側から見ると「言ってくれなければ分からない」というギャップがあったり、一方は「共感してほしい」と思って話をしたのに、話を聞いた方が一方的なアドバイスをしてしまい相手を怒らせてしまったり、(そこまで感情的にならなくていいのに…)などと感じることもあるかもしれません。パートナー同士の子育ての方針が異なる場合もありますが、それについてお互いがコミュニケーションをとれることがまず大切だと思います。お互いの得意不得意を認め合いながらいけるといいですね。
2021年11月29日神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報トレラントキャンプは、お子さんの強みを活かして、集団遊びを通して社会性やコミュニケーション力を育むことを目的にしている施設です。障害のあるお子さんが安心して仲間をつくり、いきいきと過ごせる「居場所」をつくりたいという思いがあります。「なんだか、友達と上手くいかない…」「友達がほしい!」「自分の好きなことに一緒に取り組む仲間がほしい」など、お子さんの願いや困り感から、願いの阻害要因や強み(ストレングス)を分析。その子らしさを大事にして成長できるための支援を受けることができます。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる千葉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスシュウエール新松戸は2022年4月新規オープン予定。運動・学習・ソーシャルスキルトレーニング(SST)・遊び、キッズコーディネーショントレーナーの資格をもつ講師のダンス・演劇プログラムを取り入れた支援を受けることができます。なかでも学習支援がこちらの施設の大きな特徴です。どのプログラムでもお子さんのペースを大切に『できる部分』をしっかり見て、成長に寄り添います。シュウエールならではのプログラムを通して、ますます輝き、自分らしく楽しく過ごせる日々を支援者が一緒につくっていくことを目指しています。千葉県の放課後等デイサービスをもっとみる静岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスnicocosは2021年11月1日にオープン。一人ひとりの個性に合わせ成長をサポートしながら、「やりたい!」気持ちを大切に実現を応援しています。こちらの施設では、学校教育経験や障害者支援経験のあるスタッフがお子さんや保護者に寄り添った支援を提供しています。まだやりたいことが見つからないお子さんにも興味関心が広がるよう、学校の勉強サポート、タブレット学習、みんなでつくる図書館、社会性を育むプログラム、未来の進学・就労も見据えたお仕事体験など、さまざまな体験を提供しています。静岡県の放課後等デイサービスをもっとみる新潟県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア西新潟教室は11月1日にオープンした施設です。お子さんの得意とすることを見つけ、「ほめる」ことからスタートし「できること」から「やりたいこと」へ。学ぶことの楽しさや好奇心が広がるよう、お子さんに寄り添い、道しるべとしてサポートできるような支援を行っています。こちらでは、TEACCHやABAを基に最新の療育方法も取り入れた、集団療育、個別療育を実施しており、コミュニケーションに不安のあるお子さんへ言語聴覚士による専門的な個別療育にも対応しています。新潟県の放課後等デイサービスをもっとみる新潟県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア西新潟教室では「ただ今ここにいるだけで、あなたはすばらしい」を基本に、お子さんの個性を丸ごと受け止め、それを伸ばしつつ、新しいスキルも身につけられるようなインクルーシブ療育を行っています。ソーシャルスキルプログラムや、お子さんなりの一番良い答えを導き出せるように遊ぶことで、小さな「できた!」を積み重ねていく知育プログラムを行っています。また、体を動かしたり、おもちゃで遊んだり、お友達とのコミュニケーションなど、いろいろな感覚をうまく整理できるように感覚統合のプログラムを実施している施設です。新潟県の児童発達支援事業所をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報Imuaはさまざまな遊具を使った感覚統合療育、運動療育をメインに取り組んでいる児童発達支援事業所と放課後等デイサービスです。こちらの施設では、人間の7つの感覚、触覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚・固有受容覚・前庭覚がしっかり機能することで発達が促されると考え、ボルダリングやトランポリンなど数種類の「感覚統合遊具」を活用しています。子どもたちが遊びながら身体を動かすことで、バランス、姿勢保持、認識力、状況判断などの感覚を養い、適応する力を育てる支援を行っています。現在こちらの施設では小学生を募集中です。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援・放課後等デイサービスすたーりーは「星のように輝く笑顔に!」をモットーに7月1日に開設した施設。小学校や保育園、放デイ事業所などの勤務経験のあるスタッフが在籍しています。こちらの施設では感覚統合・ソーシャルスキルトレーニング(SST)・学習支援の3点と「楽しく学ぶ」ことをを重視した、一人ひとりに応じた到達目標を設定しています。遊びなどの集団活動を通じてルールを楽しく学び、コミュニケーション力や社会性を高める支援や、休日にはクッキングやお出かけなどのイベント、ボルダリングやボッチャなどの活動を行う施設です。大阪府の児童発達支援事業所をもっとみる兵庫県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報10月1日にオープンした、児童多機能型通所サービスてとては、児童発達支援と放課後等デイサービスを提供しています。「ご家族といろいろなことを共有したい、学校職員の方といろいろな発見を共有したい、成果はもちろんのことプロセスを大事にしたい」そんな想いを持った、経験豊富なスタッフと外部の専門の先生が在籍しています。おやつづくり・ことば音楽療法・お琴・リトミック・生活動作訓練のほか、クッキングやイベントなどをプログラムに取り入れ、お子さんの「自立=自分の生きる道を選択できる力づけ」を目指し、サポートしている施設です。兵庫県の放課後等デイサービスをもっとみる兵庫県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報KID ACADEMY 姫路校はレベルに応じて個別から2人~5人の小集団で療育を提供する児童発達支援事業所です。ワーキングメモリの向上や、感情、行動の抑制、社会性構築、語彙力の増加などを目指した脳科学の理論に基づいたカリキュラムを提供しています。脳をたくさん使うと、疲弊もするため、こちらの施設では一回の療育の時間を1時間~1.5時間で実施しています。頑張りを話すこと・ほめてもらうことで、お子さんの満足度も高まり、承認欲求が満たされ、自信がついてきます。こちらの施設では、そのために保護者への申し送りの時間を大切にしています。兵庫県の児童発達支援事業所をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができます。
2021年11月29日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気付いたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2021年11月29日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気付いたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2021年11月29日粗大運動とは、座る・立つなど日常生活を送るために必要な体の動き「粗大運動」とは何でしょう。聞きなれない言葉かもしれません。定義としては、日常生活を送るために必要な、体を起こす、立つ、座る、姿勢を保つ、歩く、走るといった動作つまり、毎日の生活に必要な、土台となる体の動きのことです。リハビリでは粗大運動障害はPT(理学療法士)が担当します。一方、手で持ったり指でつまんだりする手指の動きや、食べたり飲んだりするために必要な機能を、微細運動といいます。リハビリでは微細運動障害はOT(作業療法士)が担当します。いつごろからどんな粗大運動ができるようになる?目安は?脳から伝わる運動神経は、頭から始まって上から下へ、中央から末端へという伝わり方をします。赤ちゃんが動かせるようになる順番も、頭→くび→腕→背中→腰→脚という順序です。この流れにそって、できる粗大運動も発達していきます。新生児のころは明らかな粗大運動はまだ見られず、モロー反射や掌握反射などの原始反射がメインとなります。新生児健診でのチェックは成長と、体が柔らかいか硬いかがポイントとなります。では、だんだんに成長していく粗大運動について、どんな動作がいつごろできるようになるかの目安を見てみましょう。●首がすわる生後3~4ヶ月ごろ首がすわるというのは、縦抱きにしたときに首がグラグラせずにまっすぐ立っている状態で、自分の意思で向きたい方へ首を動かせるようになることです。新生児のころから「引き起こし反射」と言って、仰向けに寝かせた状態から、両腕をもってやさしく引き起こすと、体とともに首も一緒に起こそうとしますが、これはまだ「首がすわった」状態ではありません。両手を引っ張って引き起こしたときに、首が後ろに倒れなくなれば、「首がすわった」ということになります。●寝返りする生後5~6ヶ月ごろ寝返りは、仰向けからうつ伏せに、うつ伏せから仰向けに、腰をひねって体の向きを変えること。うつ伏せから仰向けになるほうが難しい動きになります。寝返りが始まる以前には、足を上げて左右どちらかに腰をひねる様子が見られます。寝返りを始めたころは、うつ伏せから仰向け、どちらか一方向はできるけれど、反対にはうまく戻れないことも。仰向けからうつ伏せになっても、下になった腕がうまく抜けずに仰向けに戻ってしまうこともあります。だんだんと筋力がつき、体の動かし方も覚えて、自在に寝返りが打てるようになっていきます。●支えがあれば座る生後5~7ヶ月ごろ赤ちゃんを抱っこして床にお座りの姿勢にさせ、背もたれを支えにしたり、上半身を大人の手で支えたりすれば、座っていられる状態です。また、周りから支えられなくても、前のめりになって自分の腕で床を押さえるようにして、数秒間じっとしていられることもあります。お座りの完成の手前の状態で、背中から腰への神経がしっかりしてきて筋肉が発達することで、だんだんと座っていられる時間が長くなっていきます。このころはまだ、寝ている状態から自力で体を起こして座ることはできません。●支えなしに座る(座って両手が自由になる)生後6~8ヶ月ごろいわゆる「お座り」の完成形で、腰がすわるとも言います。支えがなくても、安定して数分間座っていられるようになり、さらに両手を床から放して座ることができます。微細運動にも関係しますが、両手を使っておもちゃを持つといったことも可能になります。●ずりばい~はいはい6~11ヶ月ごろ(平均して8ヶ月ごろ~/目安としてハイハイの「ハチカ月」と覚えます)いよいよ自力での移動が始まります。ずりばいは、うつ伏せの姿勢から上半身だけを起こして、腕の力で前後左右に移動することです。さらに手と足の両方の力を使って、四つん這いの姿勢で移動するようになるのがハイハイです。ずりばいとハイハイの違いは、お腹が床についているかどうか。腰から足にかけても動かせるようになってくると、おしりが上がり、お腹が床につかないハイハイになります。さらに、両ひざを床につけないで手のひらと足の裏だけを床につけた「高ばい」というスタイルもあります。ただ、床に物がたくさん置いてあって、つかまるところが多い環境では、ハイハイをしないでいきなりつかまり立ちする場合もあります。●つかまり立ち~伝い歩き生後8~11ヶ月ごろお座りの姿勢から、おしりを上げられるようになると、少し高いところにあるつかみやすいものに手をかけて腰を上げるようになります。これがつかまり立ちです。つかまり立ちが安定し、そのまま足を交互に動かすと移動ができるようになり、伝い歩きとなります。このころの赤ちゃんは、手の届くところならどこにでもつかまって立ちたがるので、不安定なものを身の周りに置くと危険なので気をつけましょう。●立つ生後9ヶ月~1歳1ヶ月ごろつかまり立ちがさらに安定して、片方の手で体を支えれば立っていられるようになり、やがて両方の手をどこにもつかまらなくても立てるようになります。はじめのうちは、一瞬立つだけで、すぐにしりもちをついてしまいますが、体のバランスのとり方をだんだんと覚え、足を踏ん張ることができるようになると、しっかり立っていられるようになります。初めはバランスをとるために両脚を広げて立ちます。頭部からスタートした運動神経が、足の裏まで届いたと言うことになります。●歩く1歳前後からいよいよ二足歩行の始まりです。歩くためには片方の足を一瞬浮かせ、左右どちらかに体重移動させなくてはなりません。左右交互に体重を移しながら足を前に出し、倒れないように進むのが「歩く」ということ。はじめのうちは、一歩が出ても、すぐにしりもちをつきますが、すぐに2歩、3歩と歩けるようになるでしょう。歩けるようになってしばらくは、体重のバランスをとるために両腕を上げたバンザイのポーズで歩くことが多いです。1歳前から一人で歩ける子もいれば1歳半でようやく歩ける子もいます。一般に、歩行開始年齢は個人差がかなりあります。●走る1歳半前後から歩くのが、1歩ずつ左右の足に体重を移動させることなら、走るのは、さらに両足が一瞬空中に浮く状態になります。左右どちらか後ろの足で地面を蹴り、前に出た足を着地させるというかなり複雑な一連の動作になります。筋肉や関節の動きも大切ですが、脳からの運動神経の指令が複雑に発達したからこそできる動作です。粗大運動の発達が遅れる場合に考えられること粗大運動は、体と心の両方が成長して発達していきます。発達障害(神経発達症)などがあることで、粗大運動の発達に遅れが見えるのは、どんなケースなのかを見ていきましょう。※最新のDSM-5では発達障害は「神経発達障害/神経発達症」と表記されていますが、一般的に「発達障害」と呼ばれることが多いため、以下「発達障害(神経発達症)」と記述します。赤ちゃんは寝返りでも移動はできますが、本格的に自力で移動できる最初の方法となるのが、ずりばいとハイハイです。生後8ヶ月ごろになっても、ハイハイをしようとする様子が見えない場合、どんな理由が考えられるでしょうか。まず体の面から考えてみましょう。腰がしっかりすわっていない場合は、ハイハイはまだこれから、ということになります。支えがなくても安定して座れるようになってから、ハイハイは始まります。また、ずりばいし初めのポーズとなるうつ伏せの姿勢が、そもそも苦手ということも考えられます。この場合は背泳ぎのような背ばいとなります。ハイハイするには筋力の成長が追いつかない場合や、股関節脱臼などの股関節に原因がある場合もあり、そのような場合にはハイハイの開始が遅くなることもあります。次に、心の面を見てみましょう。ハイハイをするのは、今自分がいるところから離れたところへ「動きたい」という意欲があるから。触りたいものや人、「あれはなんだろう」という好奇心があるから、自分が今できる動作で移動しようとするのです。好奇心があまりなければ、ハイハイする意欲は湧きません。あるいは、すぐに誰かが抱っこしてくれるなど、ほかの移動方法で満足していたり、部屋が狭かったり物が溢れていたりして、ハイハイしなくても興味のあるものにすぐ手が届くような環境の場合も、ハイハイをあまりしないことがあります。シャフリングとは、ハイハイをしないかわりに、お座りの姿勢でおしりを床につけたまま、上半身を上に跳ねさせて、その勢いで手を床につけずに前に進むこと。また、四つん這いのハイハイではなく、腰から下を地面につけたままのハイハイが一般的なシャフリングベビーです。かつては、シャフリングベビーは障害があることが多い、と言われましたが、研究が進み、一時期シャフリングしていても、その後立って歩けるようになれば、特に問題はないとされています。シャフリングしたがるかどうかは、遺伝的な要素が大きく関係するともいわれます。このように粗大運動の発達が遅かったり、特定の動作をしたがらなかったりする場合にはさまざまな理由があります。ただ、それだけでは何か心配なことが隠れているとは考えにくいものです。基本的には、どんなプロセスをたどっても、歩けるようになるころには問題がなくなっていることが多く、その場合は個人差の範疇と考えられ、脳の大きな障害はないでしょう。発達障害(神経発達症)でよく見られるのは、自己刺激としてつま先立ちで歩くこと(つま先歩行)です。体の感覚統合(*)がうまくいっていない場合にあらわれる体の使い方のひとつです。歩行器を使用している子どもの場合にも、つま先歩行は見られるので、いずれにしても自然に体幹が鍛えられるような遊びや働きかけが必要となります。遊びとしてはトランポリン、平均台、縄跳びなどがいいです。また、歩けるようになっても階段を降りるのが苦手な子どもは障害がある可能性があります。* 感覚統合とは人間の感覚には、既によく知られている五感(触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚)に加えて、固有受容覚(手足の状態・筋肉の伸び縮みや関節の動きを感じる感覚)、前庭覚(身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚)といった合計7つの感覚があります。(中略)次々と身体に入ってこようとするこの7つの感覚を整理したり分類したりするのが感覚統合です。このはたらきによって、その場その時に応じた感覚の調整や注意の向け方ができるようになり、自分の身体を把握する、道具を使いこなす、人とコミュニケーションをとるというような周囲の状況の把握とそれをふまえた行動ができるようになります。リハビリではOT(作業療法士)が感覚統合訓練を担当します。発達障害(神経発達症)がある子どもにとって一番いい療育は、感覚統合訓練が含まれている音楽療法と乗馬療法です。(「感覚統合」とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ)参考:音楽とこころ発達障害(神経発達症)がある子どもの粗大運動の発達と、その背景にあるもの粗大運動の発達には、脳の働き、心の働き、体の働きが、それぞれ関係しています。発達障害がある子どもの場合、粗大運動の成長がなぜ遅れるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。なお、ADHDのある子どもはハイハイのときに手指を屈曲している場合があります。この時期の動画を撮っておくと、後に診断の役にも立ちます。ハイハイを例にとって説明したように、粗大運動の発達は、運動神経の伝達や、体の発達だけによって起こるものではありません。「そこへ行きたい」「あれに触りたい」という好奇心がなければ、移動せずに座ったままという場合もあります。目標に向かってハイハイさせることが重要なのです。感覚が過敏だと、手足が何かに触れるたびに驚いてしまいます。だから、自分から手足を動かして、わざわざ周りのものに触れようとはしません。床に手をつくこともしないので、ハイハイもしないと言う場合もあります。好奇心によって起こす行動は、知らないことに挑むことです。発達障害(神経発達症)がある子どもにとって、予測ができないことは怖いことに繋がることが多く見られます。新しいことに挑戦したがらず、自分から移動して「見てみよう」「やってみよう」とならない場合があります。発達障害(神経発達症)以外にも、運動神経や体の機能の問題で、粗大運動の成長が遅れることがあります。●筋肉の低緊張フロッピーインファント(筋力が弱い病気がある子ども)の場合は、首座りの段階から、粗大運動の発達が遅くなります。ダウン症のある子どもの特徴として筋肉の低緊張があり、その場合は関節がやわらかいために粗大運動の発達に遅れが見られますが、それでもいずれは歩けるようになります。ただ、関節が硬くて低緊張の場合は、脳性まひや筋ジストロフィーの可能性があり、歩くことが困難な場合があります。老人のように膝に手をついて立ち上がるようなときは、筋ジストロフィー症のような筋肉疾患の可能性があります。●股関節の病気股関節脱臼や、大腿骨の末端の病気であるペルテス病などの場合は、痛みがあるために立ちたがらない、歩きたがらないということもあります。ほかにも、朝は歩けるけれど夕方になると歩きづらくなるような日内変動がある場合、若年性パーキンソンや遺伝性進行性ジストニア(瀬川病)の可能性もあります。いずれにしても、粗大運動の遅れだけでは、必ずしも発達障害(神経発達症)やなんらかの疾患があるとは言えません。それぞれ、そのほかの特徴的な傾向が見られるはずです。サインを見逃さずに早めに診断して理学療法・作業療法などのリハビリを始めることは大事ですが、自己判断で思い込んだりせず、必ず医療機関で相談しましょう。粗大運動の発達を促すにはどうしたら?粗大運動の発達を促すことは、感覚統合にもつながり、心の発達も促すことにつながります。粗大運動の発達が遅れている、とあきらめないで、できることからスタートしてみましょう。それは、難しいトレーニングではありません。楽しい遊びの中にあります。見る、聞く、触る、揺れを感じるといった感覚刺激を楽しく経験することによって、感覚の刺激を適切に処理できるようにしていくことができます。こうしたことから、公園やアスレチックにある固定遊具を使った遊びがおすすめです。たとえば滑り台。手足を動かして階段を上り、上半身が倒れないようにバランスをとりながら傾斜を滑り降ります。平均台では、足裏で立つ位置を感じながら、全身のバランスをとります。ボールプールは、体じゅうのあちこちにやわらかいボールが当たることで、感覚が刺激されます。ほかには先に述べたようにトランポリンや縄跳びも有効です。●お座りのころお座りがまだ不安定な時期は、両脇にクッションを置いたり、C字型の授乳クッションの中に座らせたりして、体を支えてあげましょう。手をつかずに座れるようになったら、積木などのおもちゃを手に持たせて、上半身のバランスをとりながら遊べるようにしてあげましょう。●ハイハイ人生で初めて交互のロコモーションができる時期です。左脳右脳の区別をしっかりとするために、できるだけ手足を交互に動かせるようにしてください。思い切りハイハイができるように、床にものを置かないなど、スペースの確保も必要です。また、赤ちゃんは床に落ちているものは何でも口に入れてしまいます。誤飲や窒息の可能性がある小さいものは、手の届くところに置きっぱなしにしないでください。「小さい」とは赤ちゃんが丸呑みできるサイズということ。目安としてトイレットペーパーの芯の中を通ってしまうものは危険です。そして、なるべく両手両ひざをついた四つん這いのハイハイをさせてあげましょう。ずり這いの姿勢のまま、なかなかおなかが床から離れないときは、丸めたタオルや小さなクッションをおなかの下にあててあげ、四つん這いの姿勢にさせてみることから始めましょう。●つかまり立ち赤ちゃんが体重をかけただけですぐに倒れるような軽い不安定なものは置かないようにします。テーブルの上には、誤飲するようなものを置かないように片づけましょう。大人の薬やタバコを誤飲するのもこの時期が多いのです。また、お風呂場はとても危険です。目を離したすきに浴室に入って浴槽をのぞき込み、頭が重い赤ちゃんはそのままお風呂に落ちて、おぼれてしまうことがあります。子どもが小さいうちは、残り湯は必ず捨ててください。そもそも浴室に入れないように鍵をかけるなどの工夫も必要です。●立つ・歩くかかとをつけて立っていれば脳性まひの疑いはないと言えるでしょう。一方で、自閉スペクトラム症のある子どもはつま先歩行をすることが多くあります。歩行器を使用している場合も、つま先歩行をする傾向があります。歩行器を使う場合は動かないタイプがいいでしょう。まずは、きちんとかかとを地面につけて立つ練習をしましょう。つま先歩行や足を交差するなどの歩行の異常が見られる場合、動画を撮って専門医に相談しましょう。膝が内側に入ってしまうX脚になりやすい場合は、なるべくあぐらをかかせてあげましょう。粗大運動の発達が気になったら、どこに相談する?もし、自分から移動しようとしない(好奇心があまりない)、体を動かそうとするけれどもうまくいかない様子など、粗大運動の成長で気になることがある場合は、自己判断せずに次のようなところで専門家に相談しましょう。1歳6ヶ月健診:まずは乳幼児健診で相談します。1歳6ヶ月健診は、粗大運動がひと通り完成して歩けるようになっている時期。心と体、両方をチェックする機会です。母子手帳には子育てに困難を感じるか否かを記入する項目がありますが、「いいえ」以外は発達に何らかの懸念があるととらえ、早めにかかりつけの小児科医に相談することをお勧めします。かかりつけの小児科医:普段からその子の様子をよく診ている先生は、その日の様子だけでなく、総合的に子どもの体の動きも見ています。遠慮なくかかりつけの小児科で相談してみましょう。やはり様子が気になるならば、専門医などを紹介してもらう、というプロセスで相談してみるのがいいでしょう。病院の小児科外来では「神経」を専門とした医師が粗大運動の発達を診ています。もし、粗大運動の発達と同時に発達障害(神経発達症)の診断を受ける場合でも、普段の行動についての観察は必要です。発達障害(神経発達症)の診断としての検査方法は、採血やレントゲンなどといった体への侵襲性のある検査や数値で表せるものではなく、行動についての問診や観察によるものが主だからです。ただ、さまざまな病気で発達障害(神経発達症)と同じような症状が現れることもありますので、病因検索として採血や脳CT/脳波などの検査をして、隠れているほかの病気を否定する必要性もあります。しかし、学会などで推奨されているものの、こうした検査がされていないという現実があります。また、子どもの場合、慣れない環境だと普段通りに動けないということもあります。一足飛びに専門医ということではなく、かかりつけの小児科医に相談しながら、成長の様子を見ていくことも大切です。まとめ粗大運動の発達段階「歩く」でも述べましたが、粗大運動の発達の早さには、個人差が大きく関係します。通常の発達の時期から大きく遅れる場合は、筋力や運動神経の問題だけでなく、好奇心などの心の発達も関係している場合があります。心と体の発達、両方をバランスよく促すためには、近くの公園やアスレチックなどを利用して体に適度な刺激を与える、体を動かす遊びが必要です。その子のペースで成長していけるように、遊びを通して子どもの粗大運動の発達を見守りましょう。※疾患名は一例です。気になる症状があったら、かかりつけの小児科などに相談をしてください。
2021年11月28日小学校でも支援を受けていたけど、日本語で発達障害を理解し子どもに伝えたかったIさんは25年以上前に渡米し、アメリカ人とご結婚。お子さんは現在9歳で、ADHD、不安症、反抗挑戦性障害(Oppositional defiant disorder ; ODD)と診断されています。Iさんは、2歳ごろからお子さんにADHDの可能性を感じ、診断前から地域の幼稚園で行動療法の先生をつけてもらうなど、支援を受けていました。ところが、小学校に上がるとさまざまなトラブルが起こり、合理的配慮を得るために6歳のときに診断書をもらうことに。そして2021年から、『発達ナビPLUS』を使い始めました。――今、お子さんはアメリカの小学校でどのような支援を受けていますか。Individual Educational Plan(個別教育計画)という、その子に合わせた学習支援として、1週間に1回カウンセラーの先生と個人的なセッションを受けたり、グループで遊びながらスキルを学ぶ時間をとってもらったりしています。aid(支援員)もついています。こう話すと支援が充実しているように思われるかもしれませんが、ここまでたどり着くには、自分で調べて学校に対してかなりしっかり自己主張しなくてはならなかったという経緯があります。主張しないまま学校に居づらくなって転校する人もたくさんいると思います。――そうだったのですね。充実した支援を受けられていながらも、『発達ナビPLUS』を利用しようと思ったのはどうしてでしょうか。日本語で、自分の子どもの特性や状況に合わせたアドバイスがほしいと思ったからです。たしかに、発達障害の支援に関してアメリカは進んでいると思いますし、英語で調べれば多くの情報を得ることができます。普段の日常会話では、いちいち日本語に変換したりはしませんが、こうした発達障害や子育てのことは、頭の中で日本語で一度理解して、今自分が何をしているのか、次は何をすべきかを整理してからでないと先に進めなくて。カウンセラーや行動療法の先生に英語でアドバイスを受けたり相談したりして、言われたことを行動に移してはみるけれど、やはり私自身の身についていない感じ、腹落ちしていない気がしていました。それでは、子どもにも伝わっていないだろうなあと。また、本を読んで理解したとしても、書いてある通りにはいかないですよね。場面によっても違うし、子どもによっても違う反応になります。結局、情報を英語で読んでいても日本語で読んでいても、「わが子ならどうなのか」が重要だと思いました。――それで日本語で検索してみたということですね。はい。日本語で、「ADHD発達障害」といった言葉で検索しました。そうしたらずいぶんたくさんの情報があることに気づきました。なんだ、もっと早くアクセスしてみればよかった!と思いましたね。そして、検索して見つけたLITALICO発達ナビPLUSのオンラインセミナーに参加したところ、『発達ナビPLUS』を知り、良い機会かなと思って入ることにしました。Upload By 発達ナビ編集部アメリカは精神科医のアドバイスを受けるだけでも高額。『発達ナビPLUS』は費用的なメリットが大きかった――『発達ナビPLUS』を利用しようと思われたポイントはどんなところにありましたか。まずは、日本語でさまざまなサービスを受けられるということ。そして、費用の面は大きかったです。アメリカでは医療費が高額で、さらに精神科医による診断は保険がきかないので、1回の受診が最低でも400ドルから、アドバイスや療育を受けようと思うと2,000~6,000ドルくらいかかるのです。アメリカでは、スペシャルニーズがある子どもがいる家庭は、そうでない家庭よりも1年で150万円くらい余計に費用がかかるとも言われているし、私自身も、そのことを実感しています。たしかにアメリカは、療育についての研究は進んでいるし支援もあるのですが、それを利用するには非常にお金がかかるというのが現実です。それにくらべると、『発達ナビPLUS』は、月額3,000円程度で『個別ケース相談』や勉強会の『ライブ配信』で、専門家の意見を聞けるし、教材も自由にダウンロードできる。しかも日本語。こんなに「使える」サービスはないなと思いました。勉強会にオンラインで参加すると、専門家にチャットで質問ができて助かる――実際に使ってみて、特に役立ったのはどのメニューですか。勉強会の『ライブ配信』です。はじめのころは必死だったので、自分の子どもの年齢に当てはまるテーマは、ほとんど参加していました。13時間の時差をこえてでも、参加したいと思う内容でしたね。アメリカで個別の相談をしようと思うと、金額の問題もありますし、とにかく予約待ちの期間が長いのです。それが『ライブ配信』では、勉強会の最後にチャットで専門家に質問できて、核心をついた答えが得られるのです。その場で解決できることに感謝しました。――印象に残っているのは、どのような勉強会でしたか。薬に関しての勉強会ですね。そのころ、子どもに薬を飲ませるかどうかで1年くらい悩んでいたときでした。薬以外のできることをやったあと、2人の医師に全く違う効果の薬を提案されていました。そのことを小児科医の先生にチャットで質問したら、お答えいただける範囲でそれぞれの薬の特徴や用法を聞くことができました。また、「いつ子どもに、発達障害があることを伝えるか」というテーマの勉強会で、精神科医の先生の「今すぐですよ」という言葉も、薬を飲ませることに関してあと押しになりました。どういうことかというと、薬を飲むかどうかは、子ども自身で決めたほうがいいと思っていたのですが、そのためには、子どもにADHDであることを伝えなくてはなりません。本人に、いつ・どう知らせようかと躊躇していたのですが、先生の言葉をきっかけに、子どもに伝えることができました。その結果、子どもが自分で決めて薬を飲むようになりました。――『個別ケース相談』のほうはいかがでしたか。メールでの『個別ケース相談』は、3回ほど利用しました。何科に相談したらいいのかわからないことがあって、症状を説明して聞いてみたら、考えられる可能性を提示していただけました。やみくもに病院に行くことは費用や時間の面からも難しいので、専門家の意見を事前に聞けたことは大きかったですね。ほかの相談をしたときも、いろいろな可能性を考慮して、専門家がこまやかに回答してくれました。「あ、そういう観点からも考えられるか」といった気づきをもらえるので、とても助かっています。日本語で得られたアドバイスは、子どもにも伝えやすく感じています。駐在員の方は、帰国後も療育コンテンツを使えるのではと思います――海外に住んでいる方で、これから『発達ナビPLUS』を使う人へのメッセージはありますか。海外に永住している私のような方には、待ち時間なしで日本の先生に聞きたいことをチャットで聞ける勉強会の『ライブ配信』をぜひ試してほしいと思います。駐在の方はいずれ日本に帰られると思いますが、日本に帰っても継続して『発達ナビPLUS』を活用できると思いますよ。それから、親自身のケアの意味でもおすすめしたいです。子どもが学校で何かトラブルがあったとき、子どもは学校でセラピーを受けられるかもしれないけれど、親自身のセラピーはなかなかないですよね。『個別ケース相談』などを使って、日本語でしっかり吐き出すことも大事なのかもしれません。――ありがとうございました。取材・文/関川香織Upload By 発達ナビ編集部発達が気になるお子さんの保護者さま向けサービス『発達ナビPLUS』では、オンラインで医師・心理士など発達支援にかかわる様々な専門家と繋がり、個別相談や勉強会を通して、子育てをサポートします。― 発達ナビPLUSの3つの特長 ―1.「わかる」から「解決」まで子どもの行動の「どうして?」が分かれば、「こうすればいいんだ!」につながります。『発達ナビPLUS』では、各ご家庭に合わせた個別最適な手立ての実践までサポートします。2.50名以上の専門家がサポート医師、心理士などの発達支援の専門家が50名以上在籍。どこにも相談できなかった悩みも、幅広い専門性で納得いく解決策をご提案します。3.「すきま」でプラス忙しい育児の味方!5分でわかる解説動画も多数あります。スマホ一つでいつでも、どこでも子育てのヒントを。くわしくは、お得なクーポンも配布中の以下よりご確認ください。
2021年11月27日休み時間のたびに友達とのトラブルが…Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は感覚過敏やストレスで教室にずっと居ることが難しいことがたびたびありました。休み時間はストレスから解放されてほっと一息いれたいところですが、小学校5年生のころは休み時間もほっと一息とはいかなかったようです。というのも、同じクラスにどうしても息子とトラブルになってしまう3人組がいたからです。3人は息子が気になるのか、休み時間になると近寄ってきて、息子がイライラするような言葉をわざとかけてきていたと言います。息子も反応しなければよかったのかもしれませんが、すぐにカッとなってしまうので、その反応が面白かったのでしょう、休み時間のたびにやり合ってしまうので、毎日とても疲れてイライラしていました。声をかけられないようにしようと、教室から外に出ても、3人組は、学校中追いかけてくることもあったようです。Upload By かなしろにゃんこ。私がPTAの用事で学校にいるときなどは、息子はPTA会議室まで逃げてくるほどでした。そんな様子を見て、私も「学校に通わせたくないな~、休ませようかな?」と悩んでいました。実は、このクラスメイトたちの行動を「いじめ問題」として取り合ってもらえない事情がありましたUpload By かなしろにゃんこ。息子は、たとえ相手が3人だったとしても、やられっぱなしにはならず言い返したり抵抗したりしていたため、「いじめ」の被害者としてとらえてもらうことができなかったのです。また、負けん気の強い息子なので、意地でも「ぼくはいじめを受けている」と先生に言いたくなかったという面もありました。また、わが家では低学年のころから親子で「暴力はふるわない」と約束をしていました。というのも、低学年のころにはケンカが原因でクラスメイトの家に謝罪に行く経験もあったからです。そんなこともあり、高学年になった息子は約束を守って耐えていました。息子が見つけた、「第2の居場所」Upload By かなしろにゃんこ。20歳になった息子に、このころのことを聞いてみると、当時、トラブルになるクラスメイトから唯一逃れられる空間を見つけ、そこで過ごすようになったということを話してくれました。息子は、授業が終わる少し前に教室を出て、「やすらぎルーム」と呼ばれる教育相談室に行って気持ちの調整をしていたのだそうです。教室にいることがつらいときなど、「やすらぎルーム」はいつでも利用ができる駆け込み寺のような癒しの空間でした。「やすらぎルーム」は、誰でも放課後まで利用ができて、机に座らなくてはいけないなど決まりはありませんでした。床で寝転んでもOK。本を読んでもOK。絵を書いてもOK。友達とボードゲームをしてもOK。Upload By かなしろにゃんこ。ただし、「静かに過ごさなければならない」という決まりでした。ですから、騒いだり暴れたりする3人組は入ってきません。「やすらぎルーム」に集うのは、比較的おとなしく静かなタイプの生徒が多かったようで、息子は静かに本が読めたりと、楽で居心地がいい場所だったと言います。とはいえ、ずっとクラスメイトとトラブルを抱えているわけにもいきませんから、私が相手の保護者に電話で事情を説明して、追いかけたり、からかったりすることをやめてもらえるよう伝えました。もちろんすぐに解決したわけではありませんでしたが、徐々に回数が減り、小学校6年生のころにはトラブルはほとんど起こらなくなりました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。担任の先生からは、息子とトラブルになる子は、息子と似たようなタイプの子だと報告を受けてきました。似た者同士で気になってしまうことは、やはりあるのかもしれません。息子は「あのやすらぎルームがあったからイライラしたとき、体がだるい日でも卒業まで乗り切れたという感じはしてる、あの場所すごい好きだったな」と、今は少しふっきれているようでした。教室で落ち着いて過ごすことができずつらかった時期に、教室以外の第2の居場所があってよかったと、感謝することは忘れずにいたいと思います。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:鈴木先生より)昔からあった「駆け込み寺」の学校版ですね。「やすらぎルーム」が校内で唯一やすらげる場としての役割がありますね。そこ以外でも校内で居場所があればいいのです。不登校児などには「保健室」が居場所の代名詞のように使われていますが、先生との相性の問題もあり、必ずしも保健室でなくてもいいと思います。第2の居場所としては、時には校長室・相談室・会議室などを避難場所に使う子もいれば、中には階段の踊り場に避難している子もいて千差万別です。重要なのはそういう第2の場所に避難できることと、その場所でも勉強できるという教員の理解と学校の保証が必要なのです。
2021年11月26日引越しと小学校入学次女が小学校入学時に、家族で海外へ引越し。それに伴って、現地の日本人学校へ入学することとなりました。このときは、まだ次女が場面緘黙とは知りませんでした。Upload By まりまり引越しや転入にあたっては、家族が一緒に居ることと、2歳上の長女が一緒に同じ学校に行くことを理由に、「大丈夫じゃない?」というようなことを本人は言っていました。当時の次女は精神的ストレスが原因で空気をたくさん飲み込み、胃がパンパンになってお腹が膨らんでしまい、膨満感から食欲もなくなってしまう「呑気症」と診断されていました。今思えば、このときは不安を言葉にできなかっただけで、その分呑気症の症状として体に出ていたのではないかなと思っています。新しい学校での次女の変化新しい学校が始まり、なぜか呑気症の症状は軽減してきましたが、次女の様子に変化が出てきました。Upload By まりまり日本人学校は、低学年時には登下校の送迎が必須。私が送迎しているとき、次女は同じクラスの子にあいさつしてもらっても、全く言葉を返すことができませんでした。「せっかく声かけてくれてるんだから、あいさつはちゃんと返そうね~」などと言ってみるものの、変わらず…。さらに、海外の日本人学校なので、普通の小学校に比べるとものすごく転出入が多い環境でした。次女と同じ時期や次女よりあとに転入してきた子たちがどんどん慣れていく中、次女自身は全く友達と話せない、交流できない状態が続いていました。それが、1学期だけでなく、2学期に入っても続いていたのでした。親としてこの状態をかなり心配はしていましたが、次女自身もともと引っ込み思案な性格だったため「相変わらずものすごく引っ込み思案だな…」「おとなしい子なんだな…」という感じで無理やり納得していました。できていることもあった先述のとおり次女は、あいさつはできないし、友達と話せない状況が続いていました。でも、できていることもありました。Upload By まりまりものすごく小声だけど、担任の先生とは何とかお話ができていました。さらに、教科書の音読ができたり、授業中指されたときに答えの決まったことは声を出して答えることができていました。ですので、学校生活を送る上では、「友達と話せない」という以外は、なんとなく学校生活を送ることができていたのです。さらに、家では普通に話せていました。担任の先生が、次女が話さないことを心配してくれたときは、「家では普通に話しているから大丈夫です」というのが夫の反応でした。Upload By まりまりそういった感じで、クラスメイトと話せないし友達もできなかったけど、先生は話せたり、授業に支障がなかったことが、あまり問題視しなかった原因かと思います。でも、やっぱりおかしいと思っていたUpload By まりまり次女のように、できることもあって、なんとなく学校で過ごすことができてしまっていると、なかなか本人の困り感に周りが気づきにくいのではないかなと思います。私の場合は、日本人学校が保育園と同様に毎日送迎があり、次女の学校での様子を直接見られたこと、また先生と話す機会も多くあり、相談なども気軽にできる環境だったのが良かったのだと思います。これがなかったら、いまだに、次女の困り感に気づくことができずに「ものすごく引っ込み思案でおとなしい子」という認識のまま、現在まで来ていたと思います。「家では大丈夫」なのは家で安心して過ごせているということなのでとても良いことだと思います。ですがこの海外での生活は、それだけで判断するのではなく、さまざまな環境での次女の変化に気づくことができた良い機会となりました。執筆/まりまり(監修:三木先生より)学校での様子を見ることができる、あるいは先生とも頻繁にコミュニケーションが取れるというのは安心できる要素ですね。
2021年11月25日周りの子たちの成長に焦りを感じるけんとの1歳半健診へ行ったとき、言葉が出ておらず、指差しをしない、指を差したところを見ない、歩き方がぎこちない息子が、周りの子どもたちと違うことに気がつき、衝撃が走ります。発達相談をして、そのときに臨床心理士さんに勧められた市の親子教室へ通うことにしました。親子教室には言葉が出ていない子も多く通っていて、悩みごとも同じように感じていました。毎週楽しく通い、月日が経つにつれ、気がつくと、ほとんどの子が言葉が出ておしゃべりをしていました。けんとは相変わらずお話しをする気が感じられず不安に。Upload By ゆきみ親子教室の個別進路相談で「地域の幼稚園に通おうと思っています」と伝えると、臨床心理士さんに「少人数制の発達支援センターがいいと思います」と強く勧められ、専門家の方にそこまで言われるなら、と入園を決意しました。Upload By ゆきみなぜ、そんなに発達の遅れを気にしていなかったのかというと、2歳5ヶ月のときに1~50までの数字を順番に並べたり、3歳になってすぐに47都道府県を覚えたりと、むしろ記憶力の良さに驚いて、祖父にいたっては「天才だ」と張り切っていたほどだったからです。「言葉が遅いだけで、体の成長が追いつけば、すぐに平均的な成長になるだろう」と、当時は夫婦、親族みんなで思っていました。Upload By ゆきみもしかして?のきっかけは友人の娘さんある日、親子教室で仲良くなった友人が「うちの娘は自閉スペクトラム症なのでは」と思い始め、児童精神科の受診を決意したと聞きました。娘さんは、タイプは違うものの、けんとと同じように発達がのんびりした子だと思っていたのでビックリ。もしかしてうちも?と、慌ててネットで調べはじめました。そして、「自閉スペクトラム症傾向チェック」ができるサイトを見つけ、たくさん当てはまってる項目があることに気がつきます。Upload By ゆきみ急いで旦那、祖母に相談しました。私たち家族は、自閉スペクトラム症について全く知識がなく、笑わない子、ずっと家にこもっていて人と全く関わらない子、だと思い込んでいたので、最初は誰も「違うでしょ」という反応だったのですが、サイトを見ながらみんなで話し合い、児童精神科の受診を決めました。かかりつけ医に相談に行くと「この子は違うと思うけどね」と言われましたが、紹介状を出してくださり、地元では有名な大病院の児童精神科に予約を取ってくださいました。Upload By ゆきみ予約は取りにくく、私は5ヶ月待ち。友人はその後1年待ちと言われ、さらには新規予約は受けつけないと言われた友人もいました。心の準備「0」で告げられてこのころ、身長が成長曲線の下に大きくはみ出してしまい、「低身長」が気になりはじめました。そこで専門の病院で検査をしていただくことに。問診で低身長専門の先生がけんと君にたくさん話しかけてくださいました。が、全く反応せず、マイペースに遊びだしたかと思えば、カレンダーの数字に大興奮する姿をじっくり見て、「この子、自閉スペクトラム症だと思いますよ」と、思いもよらぬ一言。Upload By ゆきみUpload By ゆきみ児童精神科での診察を受ける前に「低身長」のことで病院へ行っただけなのに、自閉スペクトラム症の可能性を伝えられるという、まさかの事態になったのでありました。モヤモヤにサヨナラ。スッキリ向き合えた低身長検査から約1ヶ月後。予約していた児童精神科に行きました。このころには数人の友人の子どもが受診していて、初診では診断名がつかなかったというお子さんもいました。うちの子はどうなんだろう?と、おそるおそる「診断名はつくのですか?」と先生にお聞きしたら、あっさり「自閉スペクトラム症ですね」と。初診で診断名がつきました。Upload By ゆきみ低身長の先生に伝えられていたので、分かっていながら受診したにも関わらず、やはりいざ、診断名がつくと数日間は落ち込みました。でも、それ以前の「そうかもしれない」とモヤモヤしていた時期よりも、スッキリした気がしました。そして、診断名がついたからといっても何も変わらない、可愛い息子がニコニコと目の前にいました。少しずつ受け入れていくにつれ、自閉スペクトラム症についてや、この子の特性をもっと知りたい!と思うように。まだまだ不安なことはたくさんありますが、この子にあった育て方を探っていきたいなと思う毎日です。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)けんとくんに診断が下りるまでのさまざまな展開を臨場感たっぷりに読みました。心の準備0で自閉スペクトラム症について指摘を受けたのはさぞ衝撃だったことと思いますし、児童精神科の初診で診断が下ったことも予想していたとはいえ、さまざまなお気持ちが去来したことと思います。落ち込んだ気持ちのあとに、いつもと変わらない可愛いけんとくんの姿をしっかりと捉えられたこと、何よりです。診断があってもなくても“変わらないもの”はあります。その一方で、自閉スペクトラム症という診断がついたことで、けんとくんの世界の捉え方や感じ方に、ご家族はじめ周りの大人は思いを馳せやすくなる面もあると思います。そして、発達障害という切り口を持つことで、こんなときにはこんな風に対応するとうまくいきやすいといった蓄積がさまざま積み重ねられています。お子さんに合った育て方を考えるうえで、診断がその1つのヒントになるといいですね。
2021年11月24日しのくん1歳半、保育園の先生に言われたこと息子のしのくんは、現在診断名がついていない発達障害グレーゾーンです。2歳まで発語がなかったしのくん。初めて「違和感」を指摘されたのは1歳半のときでした。その日、しのくんを保育園へお迎えに行ったら、担任の先生にビックリすることを言われました…。Upload By keikoUpload By keikoUpload By keiko「しのくん、耳聞こえてますよね?」と先生に聞かれました。普段家で過ごしていて、ピアノや太鼓など音の出るおもちゃで遊んだり、「ちょうだい」と手を出したらおもちゃを渡してくれたり、音は聞こえている様子だったので、私は「聞こえていると思いますけど…」と答えました。「実は、気になることがあって…。同じクラスの子たちは、お名前を呼んだらお返事するのですが、しのくんだけお返事がないんです」と言う先生。当時の私は、しのくんがほかの子と比べて発達が遅いとか、そういうことは全く気にしていませんでした。そのため、先生からの指摘に驚き、ここで初めて「ちょっとほかの子より発達が遅いのかも?」と思ったのを覚えています。しかし、しのくんは3月末生まれ。「3月30日生まれだし、そりゃほかの子より発達も遅いよね!」という感じで、深く考えることなく終わってしまいました…。2歳4ヶ月。保育園からお呼び出し。それから10ヶ月ほど経ったころ、担任の先生と園長先生と私の三人での面談があるということで保育園からお呼び出しがありました。クラスの子全員が面談の対象ではないと聞かされていたので、ドキドキして面談に挑んだのを覚えています。面談の内容は…先生からは普段の園での様子についてお話がありました。Upload By keikoしのくんが教室から脱走してしまうこと、ドアの開け閉めが大好きでしょっちゅうドアで遊んでいること、一人で遊んでいることが多いこと、絵本に興味を示さず読み聞かせの時間はウロウロしてしまっているということを伝えられました。ほかにも「集中力が続かない」「好きなことしかしない」という指摘もありました。中でも1番衝撃を受けた指摘が…Upload By keiko今まで「コップちょうだい」とか「ズボンはいて」とか、簡単な指示ができていたので、言葉は通じていると思っていました。しかし、「きっと、しのくんは『言葉ではなく、動作で覚えている』のだと思います」という先生の指摘に私は動揺を隠しきれませんでした。この出来事がきっかけで、発達検査を受け、療育へ通うことを決心します。それと同時に、お家でも何かできないか?と模索して、家庭でのしのくんへの接し方を見直すことになりました。3歳5ヶ月。現在は…現在しのくんは、1ヶ月に一度言葉の教室、2ヶ月に一度療育センターに通い、保育園の先生をはじめ、いろいろな先生にお世話になっています。まだまだ言えない言葉や理解してない言葉もたくさんあって、集団行動もままなりませんが、しのくんの成長を信じ、優しく見守っていこうと思います。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)1歳半はちょうど自治体で1歳半健診がある時期ですが、集団の健診の中では多少言葉が遅れていてもまず「様子を見ましょう」と言われてしまうこと多いようです。言葉の出方にもよりますが、まずは難聴を否定することが先決です。生まれつきの先天性なのか、中耳炎など患ったあとの後天性なのかはわかりませんが、現時点での耳の聞こえをABR(聴性脳幹反応)などの客観的な検査で確認することが丁寧です。一般的には2歳までに意味のある言葉1語が、3歳までに2語文の出るのが平均的です。3歳では3歳児健診があるので、そこで相談しないと就学時健診まで相談できる一般の健診はほとんどありません。難聴が否定されたら、知的な遅れを考慮してDQ(発達指数)検査が必要になる場合が多くあります。自治体の保健師やかかりつけ医に相談するといいでしょう。
2021年11月23日就園前の子どもたちの様子を見ては、Pの発達の遅れを感じて悩む日々…Pは二人きょうだい。Pの発達に悩んでいた1歳後半のころ、長男(Pの兄)は幼稚園に通っていました。毎日の送迎はもちろん、何か行事がある度に幼いPも一緒に幼稚園へ連れて行っていました。幼稚園にはPのほかにも就園前の小さな弟や妹たちが、何人かお母さんと一緒に来ていました。Pと同じ学年の子もいれば、Pより学年が上の子も下の子もいて、その子たちの様子を見てはPと比べるような機会が毎日のようにありました。Pと同じ学年の子たちは会話ができ、友達同士で遊んでいたし、まだ1歳前半で歩き始めたばかりくらいの子でも、お母さんの指示が通り、単語で簡単なやり取りができていたので、私はその様子を見る度に落ち込んでいました。私自身、Pの前に長男を育てており、子どもの標準的な発達について頭では分かっていたつもりでした。しかし、Pと周りの同年代の子たちの発達の違いを見るたびに「この時期の子どもってこんなことができたんだっけ?」と驚くことが多く、長男での育児経験が全く参考になりませんでした。そして、幼稚園の行事は親子で参加するような内容のものが多かったのですが、私はいつもPを連れていたのでPからは目が離せないし、自由に動き回るPを追いかけることのほうに必死でした。長男の行事のために幼稚園へ来ているのに、思うように行事に参加ができないことばかりで、いつも長男に申し訳ないなと思っていました。多動のPを連れて長男の行事に参加するのは毎回大変だった。Upload By みんそんなある日、親子で木材を使って工作をするという行事が長男の幼稚園であったのですが、かなづちやノコギリを使わないといけないような作業もあるので、長男一人で作業をするのは難しく、大人の補助が必要な場面がありました。でも私が手を貸すとPがいるので危険だし、どうしよう?と困っていました。するといつも私たち親子の様子を見ていた園長先生が側に来て「私がP君を見ておくのでお母さんは長男君を助けてあげて下さい!」と声をかけて下さいました。私はPを見てもらうことに少し不安を感じましたが、園長先生はプロだし短時間なら大丈夫だろうと思い、Pをお願いすることにしました。こうして私が長男と工作を進めている間、Pは園長先生と一緒に過ごしていたのですが、Pは側にいる園長先生の存在を何とも思わず園庭へ裸足で出て行ってしまい、砂場で自由に遊び始めました。たまに園長先生がPにスコップなどを差し出し関わろうとしてくれていたのに、Pはまるで園長先生はそこにはいない人であるかのように無視をし、砂を触ることだけに没頭している様子でした。Upload By みんPが1人で遊ぶ様子を見て園長先生はどう思ったのか?工作が終わり、私はすぐにPのもとへ行き園長先生にお礼を言いました。でも私が迎えに行ってもPは私のほうを見ることもなく、砂を触り続けていました。そんなPを見ながら私は園長先生にこう話ました。「先生もPの様子を見てお気づきだと思いますが、Pには自閉スペクトラム症の傾向があります。Pはたぶんこの幼稚園へは来られないと思っています…」すると園長先生はこんな風に言ってくれました。「お母さんが心配に思う気持ちは分かります。きっとこれから沢山の苦労があるかもしれません。それはお母さんだけじゃなく長男君やご家族みなさんもです。でも今はP君にできる限りのことをしてあげて、成長を信じてあげて下さい。それに大変だと思ったときは、今回みたいに誰かに頼れば良いんです!これからの行事もできる限り私や職員もサポートするので、P君を連れて来るのは大変だと思いますが長男君のために行事に参加してあげてください」Upload By みん一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらって、誰かを頼ることの大切さ私は園長先生に「Pには自閉スペクトラム症の傾向があるかもしれない」と言えたことと、園長先生がそれを否定はせずに「苦労があるかもしれない」と言ってくれ、その上で「そんなときは誰かに頼っても良い」と励ましてくれたことで、不安と安堵が一気に押し寄せたような気持ちになり、我慢していた涙があふれてしまいました。そして同時にPの成長を信じるためにも、今すぐにでも病院で診てもらって、療育へ通おう!という気持ちがさらに強くなったことを覚えています。家の中でわが子一人の様子だけを見ていたとしたら、Pとほかの子の発達の違いを感じる機会も少なかっただろうし、周りの人から客観的にPを見てもらって助言をいただく機会もなかったかもしれません。少しでも早く発達障害に気づき行動に移せたのは、こんな風にPに対する周りの人の目や意見もあったからかもしれません。自分一人だけでモヤモヤしながら悩み続けるよりも、誰かに話を聞いてもらえると心が軽くなり、前へ進むための力にもなると思います。Upload By みん執筆/みん(監修:三木先生より)一人だけで考えていると、どんどん不安になってしまうものです。トラブルがきっかけであっても、誰かに話ができたことは良かったですね。そういったシーンで思い切って園長先生にお話を切り出せた勇気のおかげかもしれませんね。
2021年11月22日現在、5歳になる長男は言葉が遅く、3歳になっても「パパ」「ママ」の発語もありませんでした。同い年の子どものおしゃべりばかりが気になり、毎日ネットで発達障害の情報を検索していました。「この子は、このまま一生おしゃべりができないのかな?」と悩んだ日々についてお話しします。 長男がしゃべらない!長男は本当に言葉が遅く、3歳になっても「ママ、パパ」もはっきりとした言葉で話すことができませんでした。言葉の理解はあり、1歳のころには「おいで」や「ちょうだい」の言葉に反応して行動することができましたが、自分の名前に反応しないなど心配な点も……。 昔のビデオを見ても宇宙人のような喃語(なんご)を話す長男の動画が残っています。最初の子どもということもあって、私はとても悩み、同級生の子どもたちが流ちょうに話すのをうらやましく見ていました。 「男の子は遅いから」「そのうち話すようになるから」という周囲の言葉を信じて待っていましたが、一向に話す気配がありませんでした。 子どもが話さないのは母親のせい?年齢が上がるにつれ、はっきりとしゃべれない長男に私はとても焦りました。他の同級生の子どもたちに引け目も感じて、一緒に遊ぶこともできませんでした。 絵本も毎日読み聞かせ、言葉掛けもしましたがそれでも発語は増えません。義理の母からは「母親の言葉掛けが少ないからだ」「保育園に入れているからだ」など心ない言葉を言われ、「私のせいなのかな……」と悩みました。 毎晩、長男が寝たあとにネットで発達障害について書かれたブログやネット記事を読み漁り、長男と同じ症状の子どもを探して一喜一憂するという日が続きました。 療育に通いみるみる話すように当時は長男とおしゃべりする夢を見るほど、悩んでいた日々でした。しかし3歳から「言語遅延」ということで療育に通い、発語の練習をおこなったところ、だんだんと滑舌が良くなってきたのです。そして、4歳の誕生日を目前に他の子たちと同じようにおしゃべりができるようになりました。 今では、幼稚園の先生に「発音が良い」と褒められるほどです。私が当時、言葉の遅い子に多いと聞いていた言葉の爆発というのではなく、本当に少しずつ、いつの間にか言葉が話せるようになっていったのです。 悩んだ日々も後悔しない結果、話せるようになった長男は、月に1度通っていた療育も「問題ない」ということで卒業しました。 「あれだけ悩んだ日々はなんだったんだろう?」「狂ったようにネット検索している間に、もっとやれることがあったんじゃないか」「もっと他の子どもとも遊ばせてあげればよかった」などと後悔した時期もありました。しかし、今は「私にとっては悩んでいたあの日々も育児の一部だったんだ」と思えるようになっています。 当時の私に声を掛けるとしたら、「この子はもう少しでしゃべるようになるよ」ではなく、「ゆっくりと見守ってあげてね」だと思います。今の私にとっては悩み抜いたことも、子育ての一環だと思えるからです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 原案/竹内優実作画/YUDAI9℃監修/助産師REIKO
2021年11月22日なぜ人から慰められるのか分からなかった、ほぺろう1歳ごろ自閉症と知的障害がある、わが家の息子ほぺろうは現在保育園の年長さん。発語はいまだにありません。そんなほぺろうですが、0歳台は「一度泣いたら激しい」とは思っていましたが平均的な発育を遂げていました。ところが1歳を過ぎたあたりからほぺろうは、発語がないことについては「男の子だから」「知り合いの男の子もそうだった」と慰められ、癇癪が激しいことについては「子どもだから」「まだ小さいから」と人から言われることが多くなりました。親戚にも近所にも小さい子があまりいなくて、ほぺろうを生むまで子どもと接する機会が少なかった私。一般的な発育の様子がよく分からなかった上に、発達障害という言葉もあまり意識していなかったので「そういうものなんだ~」と慰めの言葉を鵜呑みにしていました。Upload By ぼさ子1回目の衝撃、1歳半健診衝撃を受けた初めての機会が『1歳半健診』です。泣き暴れるほぺろうを拘束しながら会場入り。待合室ではおとなしくオモチャで遊んだり絵本を読んで待機する子どもたちがたくさんいて、「1歳半の子たちはどこに居るんだろう?お兄さんお姉さんばっかりいるけど、さすがみんなしっかりしてる!」と感心していたら…それは全員1歳半の子どもたち。決められたスペースで遊ぶ、泣き叫ばない1歳半児たち。それだけでもほぺろうには考えられない状況でしたし、ほかのママさんたちはお喋りに花を咲かせたりオシャレをする余裕があることを知って驚愕しました。Upload By ぼさ子すべての検査が乱闘だったほぺろう。発育面談では泣き暴れが激し過ぎて抱き抱えるのに精一杯。職員さんとのやりとりなど一切できませんでした。当然「あとで個別にお話があります」と言われましたが、「まだ1歳半だもん。ずっと泣いてる子くらいいるものだよね?」と世間知らず過ぎてあまり気にしていなかった私。今振り返ると、ほぺろうは「もう少し成長するまで様子を見ましょう」という感じでもなく、困りごとがハッキリ出ている子でした。おそらく職員さんはすでに「この子は発達障害の可能性がある」と思っていたのではと推測できますが、私は状況がよく分かっていませんでした。そして職員さんにすすめられた『月一回のことばの教室』に通うことに。2回目の衝撃、ことばの教室『月一回のことばの教室』は、発育の指摘を受けた1~2歳の子どもたちが大きな部屋いっぱいに集められていました。ほぺろうと似た子がいるのかと思いきや、一歩部屋に入って感じたのは『レベル違い』。職員さんが読む絵本を座って聞く・みんなと一緒に手遊びする・与えられたオモチャで遊ぶ…みんなができていることも、ほぺろうには想像すら難しかったです。多少グズっても、ほぺろうみたいに開始から帰宅までずっと泣き続けている子はいませんでした。そんな状況を目の当たりににしているのに、「ほぺろうはまだ1歳半だし、通い続けていれば皆みたいになるのかな~」と私は深く考えていませんでした。Upload By ぼさ子その後しばらく通い続けても、ほぺろうに進展はありませんでした。癇癪が激し過ぎて職員さんと接することもなく、「毎回のように脱走するほぺろうを捕まえたり 泣くのをあやしに行ってるだけで、一体何のために通っているのだろう…」と悩んでいたら、見かねた職員さんから『発達検査』をすすめられました。このとき、ほぺろう2歳2ヶ月。検査結果は『発達程度1歳4ヶ月』。どう考えてもハッとなる結果で、職員さんも「これで気づいて」とサインを送っていたのだと思います。でも「これから急に伸びる子もいるから…」と言われ、私は「そうなんだ~、急に伸びたりするんだ~」と慰めの言葉を真に受けていました。と言うより、この当時は発達障害の可能性を受け入れたくなかったのです。そして、さらに発達の心配がある子が集められている『週一回のことばの教室』をすすめられました。3回目の衝撃、発達に心配のある子の集まりの中でここでなら仲間がいるかと思いきや、期待はアッサリ打ち砕かれました。さらに発達の心配がある子が集められているはずの『週一回のことばの教室』は、ほぺろうより月齢の低い子が多かったのですが、みんな「どこに発達の心配が?」と思うくらいしっかりしていて、私たち親子は『場違い』でした。ほかの子とのあまりの違いに、このころからさすがに「発達障害の可能性を考えなくては…」と思い始めました。Upload By ぼさ子正式に診断が出たあとも、衝撃時をまたいで、ほぺろうは3歳のときに現在お世話になっている発達クリニックで『自閉症』の診断を受けました。そのことを実家に報告したところ、私の母に「ぼさ子に悪いと思って言わなかったけど、ほぺろうが1歳半くらいからずっと“自閉症じゃないかな?”って思ってた」と告げられました。遠方に住む実家の母でさえ気づくのに私は何年も気づかないなんて…。私は自分がすごく恥ずかしく、本当に情けなく思いました。私以外の人がほぺろうのママだったら、もっと早く気づいてもっと早くいろんなことをしてあげただろうに…今でも自分の至らなさがつらいです。Upload By ぼさ子ようやくほぺろうの障害に向き合い始めた私。そして試練の始まりへ…話は2歳ごろに戻り、ほぺろうの癇癪は2歳9ヶ月ごろからさらに悪化。自宅では声かけ・テレビ断ち・食生活変更などをやり始め、それと同時にようやく覚悟を決めて発達クリニックの予約をしました。ほぺろう2歳のとき、前居住地で初めて訪れた発達クリニック。そこで私たち親子は忘れられないつらい経験をすることになったのです…。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:井上先生より)自閉症や発達障害の場合、その障害が目に見えにくいために、気づきから診断までの期間がほかの身体的障害と比べ長くなる傾向があります。その間、感覚過敏性によるふとしたことからの癇癪、歩き始めてからの多動など、どのように対応してよいか迷われたり、相談したい気持ちが生じる反面、「一時的だから」「まだ小さいから」という思いで、相談に行くことについて葛藤したり躊躇したりする方も多いと思います。相談に行かれることは、勇気がいることですよね。ぼさ子さんは、お子さんのためを思ってこの当時がんばって決断されたのではないかと思います。
2021年11月22日接し方で大きく変わる!学習障害(LD)/ 限局性学習障害・限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))のある子どもへの接し方のポイントUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン学習障害の子どもは知的発達に遅れがないため、自分に障害があると認識するのに時間がかかります。できるようになりたい気持ちはあるのにできないというモヤモヤした気持ちはとてもデリケートです。何気なくかけた言葉や行動が本人を傷つけてしまう場合もあるので、注意して接しましょう。そこで、3つの学習障害のタイプ別に、子どもへの接し方のポイントをまとめてみました。学習障害は一人ひとり特性の偏りが異なりますので、以下をヒントにさまざまな方法を試してみましょう。※現在は「限局性学習症」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。読字障害(ディスレクシア)のある子への接し方■文字を見やすくしてあげる例えば、文字を大きくしたり、UDフォント(※)を使うなどして分かりやすい字体にしたり、読む範囲以外の上下左右を隠したり、黒板のチョークの色をユニバーサルデザインのカラーチョークにしたりすることで、本人にとって文字が読みやすくなることがあります。ほかにも、文字が小さすぎて読むのが困難に見受けられる場合は拡大コピーなどの工夫が効果的です。また蛍光ペンで重要と思われる部分にだけ色をつけることで、読む情報量を調整できます。このような工夫により、文章を読むことに対しての抵抗感を減らすことができます。※UD Font (Universal Design Font:ユニバーサルデザインフォント )ユニバーサルデザインに基づき「できるだけ多くの人が利用可能であるように」をコンセプトに配慮や工夫をしてつくられたフォントです。Upload By 発達障害のキホン■音声にする耳からの情報は理解できることが多いため、問題文などの文章を音声にして聞かせると宿題がはかどることもあります。教科書を見ながらその音声を聞くことにより、文字・音・意味が繋がる可能性があります。最近では電子教科書もあり、音声での読み上げシステムが備えられているので活用するのもよいでしょう。■ふりがなや分かち書き、スラッシュを利用する漢字などが分かりづらい場合、ふりがな(ルビ)を振ることが効果的な場合もあります。教科書にふりがなを振ったり、テストにふりがなを振ってもらうのも効果的な場合がありますが、学校の先生の理解を得ることが難しいこともあります。また、文章のどこまでがひと固まりなのか理解できないことがあります。このような場合はまとまりごとに空白を開ける「分かち書き」をしたり「スラッシュ」(/)を引いたりして、どこが文章の区切りとなっているのか、明確に表してあげると文章を読みやすくなることがあります。Upload By 発達障害のキホン■スマートフォン・タブレットなどのICTを活用するスマートフォンやタブレットを使うと、文字を拡大できたり、音読機能があったりと便利です。学校の理解があれば、板書を写真撮影したり、録音機能などにも利用できます。学習用の無料アプリなどを使って楽しく勉強することも可能です。■書字表出障害との合併に注意した対応を読字障害がある場合、結果として文字を書くことにも困難を感じることもあります。以下の書字表出障害への対処法も試してみましょう。書字表出障害(ディスグラフィア)のある子への接し方■漢字を分解して、漢字のパーツごとへの理解を促す書くことを苦手とする場合、位置関係をつかむことを苦手としている場合があります。そのため、漢字そのものを覚えさせるのではなく、「へん」や「つくり」に分けそれぞれの意味を教えてあげることにより、漢字を覚えやすくなります。また、パーツを足し算して漢字をつくるゲームをするなど、楽しみながら文字を学ぶのも一つの手です。パーツの配置のバランスがつかみやすくなるので、漢字に対しての苦手意識が薄れる場合があります。Upload By 発達障害のキホン■視覚過敏を緩和するように支援する読字障害においても同じことが言えますが、視覚過敏がある子の場合、紙の白さを過敏に目が感じ取ってしまいます。文字の黒さと紙の白さのコントラストに目がちかちかしてしまうこともあり、長くノートに向き合えない場合があります。光の反射の少ない紙質など、その子に合わせたノートを選んでみるのも方法の一つです。■マス目やケイ線を用意する書字表出障害の子の中には、手先の不器用さが目立つ子もいます。大きなマス目のノートを用意してあげたり、文字のバランスをつかむためにリーダー線が入った漢字練習帳を使用するのも良いでしょう。また、黒板を見て書きうつすにわかりやすくなるよう、マス目黒板を使ってもらうのも効果的です。Upload By 発達障害のキホン参考:カラーマスノート(日本医療福祉教育コミュニケーション協会)■ICTを使用する書字障害のある子は、文章をすらすら読むことができても、書くとなると困難さを伴います。合理的配慮により、学校内でのスマートフォンやタブレット利用が許可されるところが増えてきています。学年が上がるにつれて学ぶ内容も難しくなるので、授業についていけるよう、タブレットなどのICTを利用してノートを取ったり、文字を書くことの代替となるものを利用するというのも有効です。算数障害(ディスカリキュリア)の子あるへの接し方■位ごとに色を変える算数障害の子は、2桁以上の計算をするとき、無意識に頭の中で位を入れ替えてしまうことがあります。位をまたぐ計算をするとき、位ごとに色を変えることによって、計算の混乱を防ぐことができます。一の位は赤で書き、十の位は青で書き…のようにルールを決めて計算に取り組むと、「赤は赤と足す」、「青は青と足す」という認識が生まれ、計算がしやすくなります。Upload By 発達障害のキホン■計算の際には枠を引いてあげる算数障害の子の中には、読字障害のある場合もあります。そのため数字の問題を読み取るときに困難を示す場合があります。二桁以上の計算問題を解くときは、どの桁がどの桁と計算すべきかを理解するために、桁ごとを分ける線を引いてあげるのもよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン■視覚的な手がかりになるものを利用する算数障害の子は「数」という概念の理解に困難を示す子が多いです。そのため、おはじきなどを使って実際に数えて計算を行ったり、絵や図に文章問題を書き換えて理解を促すことも効果的です。Upload By 発達障害のキホン■電卓を利用する簡単な計算が理解できるようになっても、学年があがるにつれ内容が難しくなるので、授業についてくことが困難となってしまいます。ある程度算数の概念が理解できるようになったら、担当の先生に理解を仰ぎ、電卓の使用を許可してもらうのもよいでしょう。■ICTを利用するパソコンやタブレットなどを使って楽しく算数を学べるソフトもあります。算数に対して苦手意識を強く持ってしまうと、本人がさらにつらい思いをしてしまうので、まずは苦手意識を持たないよう、楽しく算数を学ぶということを意識しましょう。最近では算数を学べるスマートフォンのアプリもたくさん出ています。まとめ■その子に合った学び方を探す例えば、文字を読むことが難しい子どもでも、耳から入ってくる情報であれば覚えることができる場合があります。その子どもに合っている情報のインプットの仕方とアウトプットの仕方を探しましょう。特に、ICTを活用した学びと相性がよい子どもが多いです。学習障害は、見方を変えれば視界が広がります。「できない」に目を向けるのではなく「できる」に目を向けることはとても大切なこと。人と同じではなくていいのです。子どもひとりひとりに合った指導法や接し方は、その子の未来を広げるだけでなく、今の親子関係も明るいものに変えます。専門家や周囲の人のアドバイスを元に適切な環境で学び、生活しやすい場所をつくってあげましょう。イラスト/かなしろにゃんこ。
2021年11月21日なんだか、世の中「反省モード」になっていませんか?出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。私の気のせいだといいのですが……。新型コロナウイルスの影響下での不安感や緊張状態が続き、外出を控える自粛生活が長引いたことや、人との接触機会が減っていたこと、息抜き手段が限られたこと。あるいは、第三者の客観的な意見が聞きにくい状況や、少数の極端な意見や否定的な言葉などが拡大・拡散しやすい状況……などなどの影響もあるのかもしれませんが、内省的で内向きな思考パターンに陥っている人が増えている気がします。そして、文部科学省の調査(R2年度)では、子どもの自殺・不登校も過去最多。うちの子たちの小中高それぞれのクラスでも、「ずっと休んでる子が数人いる」などと聞いています。また、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査(2021.6.8公開)によれば、世界的にもうつ病などの精神疾患が急増しているとのこと。私の身近でも、いつもは朗らかなママさんが、先日久しぶりに会ってお話ししたら、ご自身とお子さんの「できないこと」ばかりを気にされていました。自粛期間中に視力が低下した子どもが増加したと報道などで聞きますが、もしかしたら、家にいる時間が長くなり、いろんな人と話しながら外側に目を向ける機会が減ったことで、物理的な面だけでなくて、「心の視力」も視野が狭くなりがちで、ピント調節がしづらくなっている子・方もいるかもしれませんね。「自分や子どものできないことばかりを責めてしまう」「あれも、これも、できないといけない気がして、落ち込んでしまう」……なんて、つい思いつめてしまう方は、ほんの少し肩の力を抜いて、発想の転換と心の柔軟体操をしてみませんか?かつては私も、子どもが学校に行きたがらないことが続いた時期に、自分を責めて子育てに自信をなくしたり、「ちゃんとさせなくては!」「あれも、これも、できるようにしなくては!」とプレッシャーを感じて抑うつ的な気分になり、外出をつらく感じたこともありました。でも、ちょっとだけ、物事を見る視点を変えたり、部分と全体を柔軟に切り替えたりするクセをつけることで、今では(本来)真面目で思い詰めやすい性格の自分と上手に付き合えるようになりました。こういったものの見方は「リフレーミング」といって、発達障害のある子のペアレント・トレーニングや、うつ病の治療での認知行動療法などでも取り入れられている手法ですが、ご家庭で自分自身・お子さん自身でも手軽に取り入れることができます。今回のコラムでは、図解を交えてできるだけ分かりやすく、発想の転換法のコツを直伝します。文部科学省|児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査経済協力開発機構(OECD)|ニュースルーム「失敗の点つなぎ」からの脱出法まず、子育てや、自分自身になんだか自信をなくしがちなときには、「自分や子どものできないことだけを見つめていないかな?」と自問するといいでしょう。私はこの「つい、できないことばかりを責めてしまう」状態を客観的に見るために、「失敗の点つなぎ」と独自に名付けています。では、「失敗の点つなぎ」とは、一体どんなものでしょうか。一つ、例え話をして解説しますね。出典 : うちでも長らく、おうちごはん・テイクアウト・宅配ディナーばかりが続きましたが、少しずつ、外食などへ出かけてみるご家庭も増えていることかと思います。もし、久しぶりにファミレスに行った時には、周りをよく観察してみるといいでしょう。家族や友人と食事やおしゃべりに夢中になっているときや、ぼっち飯でスマホ画面に集中しているとき……誰も周りのことは、そんなに意識していないのではないでしょうか。ところが、突然店員さんが「ガシャーン!」と大きな音を立てて、お皿を割ってしまったら……?たぶん、お店にいる人達は、一斉に注目しますよね。きっと、それまでその店員さんは、次々と注文を取り、できた料理を運び、空いたお皿を回収して……といった努力を地道に続けていたことでしょう。でも、それはお客さんにとっては「レストランでは当たり前」に思える光景なので、お店の内装やBGMと同じような背景になっていたのかもしれません。ところが、大きな音がしたときだけ、なにかあったときだけ、失敗したときだけ、人は気がついてしまうもの……ではないでしょうか。そして、そんな瞬間だけを集めてつなげていくと、いつの間にか「いつも失敗ばかり」であるかのような印象になってしまいます。こうやって、失敗したときだけ気づいて注目し、できなかった瞬間の点と点を結んで、その部分だけを拡大して見つめ続けている状態を、私は自戒を込めて「失敗の点つなぎ」と呼んでいるのです。元々真面目で完璧主義傾向の強い子・方に加えて、現在のように社会的に余裕のない状況が続くと、どんな人でも「失敗の点つなぎ」をしやすくなってしまうように思います。だって、目の前のことで手一杯だったりすると、周りが見えにくくなってしまいますから……。この状態から抜け出すための第1歩は「客観視」です。今、自分が「ああ、失敗だけを見つめているな」と気づくことが、まずは大事なのです。そのために、以下のような解説図をつくってみました。Upload By 楽々かあさん以前、子育てや自分に自信をなくしていたとき、私は毎晩、子ども達の寝顔を見ながら「今日も結局また怒ってしまった」「優しくできなくてごめんね」と、自分の「できなかった」ことばかりを思い出しては、一人反省会をしていました。わが子に対しても「あれも、これも、できなくては!」「ちゃんとさせなくては!」と思い詰めていて、人並みにほめて育てたくても、特に不器用な長男は失敗ばかりのような気がして、ちっともほめるところを見つけられず、結局怒ってばかりになっていました。……でも、果たして当時、本当に私は「怒ってばかり」のダメな親で、長男は「失敗ばかり」のできない子だったのでしょうか?できなかったことや、失敗した瞬間だけをつないで、その部分だけを拡大して何度も何度も反芻しながら見返していたら、自己イメージが低くなって、落ち込んでしまうのは当たり前だったように思います。ところが、少し視野を広げて全体像を眺めてみるとどうでしょう?一日をトータルでよくよく思い出してみれば、さすがに私だって24時間怒りっぱなしではなかったし、子どもだってできたことが少しはあったはずです。もし、全体像を眺めても、成功体験の点をあまり見つけることができない状態の子・方は、「できた!」のハードルを下げてみるといいでしょう。分かりやすい例だと、テストで100点取れたときにしか「できた!」と認めることができなければ、90点のときでも失敗体験になってしまうかもしれません。でも、70点、30点……あるいは5点や0点のときだって、ものの見方次第で「できた!」にカウントできるのです。具体的なコツは……・「大体はできた」「ここまではできた」「これだけはできた」……などと、できなかったことより、部分的にでもできたほうに注目する。・「少しだけでもやってみた」「苦手だけど参加した」「最後までやり遂げた」……などと、挑戦した意欲を認める。・「努力した」「自分なりにがんばった」「下手でも続けている」……などと、良い結果につながらなくても、その過程での努力に気づく。・「前よりもできた」「一年前に比べれば進歩している」……などと、できる子・人と比べずに、自分・その子自身とのタテ軸の比較で見る。……こうして「できた!」のハードルを柔軟に下げていくと、自然と成功体験の点が増えていくのではないでしょうか。そうすると、図のように、できない部分だけをつないで拡大していたときとは、全体像のイメージはずいぶんと違って見えるはずです。「失敗の点つなぎ」状態から抜け出す第2歩は、物事を「0か、100か」で捉えずに、「100以外」の全てを失敗にしないことなのです。そして、当たり前のようなことではありますが、日常生活を形つくるのは、「成功か、失敗か」「できたか、できなかったか」だけでは勿論ありません。子育ての場面でも、子どもを「ほめた/叱った」の二択ではありません。……というよりも、「それ以外」の時間のほうが圧倒的に大部分を占めているのです。「それ以外」の時間とは、毎日の生活の背景にある「ルーチンワーク」「通常運転」「いつも何気なく続けていること」「一見やって当たり前のようなこと」などを、特に意識せずに淡々とこなしている時間もあれば、「何もせずにぼーっとする」「平穏無事にダラダラと過ごす」「不要不急のことに費やす」時間などもあるでしょう。これらの「フツーのとき」は、以下のように、日常生活の背景になってしまっていて、意識しないと見えてこないかもしれません。Upload By 楽々かあさんこの、日常生活の背景に当たり前のように存在する、毎日の小さな頑張りや、ささやかな喜び、密かな楽しみ、何気ない時間の価値に目を向けるように意識すると、特別に何かを頑張れなかった日でも、何ができてもできなくても、ただ一日を普通に終えただけでも、自分なりに満足できるのではないでしょうか。例えば、主婦/主夫であれば、給食・お惣菜・レトルト・宅配込みでも、家族に最低限の食事を出せたなら、十分ヨシとしませんか。お子さんだって、例え学校に行けない日があっても、三食食べて寝るだけでも、昨日よりも確実に成長しているはずです。(※万が一、日々の食事の確保すら困難なほど、精神的・経済的に疲弊している場合は、動けるうちに早めに医療機関や行政サービス、非営利団体などを頼っていただけるよう、お願いします)そうして、自分への目線と子どもへの目線を下げて、「一日を終えただけでも、私は今日もよく頑張った」「(うちの子なりに)毎日よく頑張ってるね」……などと、例え誰もほめてくれなかった日でも、寝る前に一人反省会なんてしなくていいから、自分でご自身とお子さんをほめて認める声かけをしてあげませんか?「失敗の点つなぎ」からの出口である第3歩は、大きな音がしたときだけ注目せずに、日常生活の背景に隠れている「フツーのとき」に目を向けるように意識することだと、私は思っています。何ができても、できなくても……出典 : 最初に新型コロナウイルスのことが報じられてから、もうすぐ2年になりますね。この2年間で、毎日の普通で当たり前の日常が、どれだけ多くの人の膨大で地道な、見えない努力で成り立っているのかを、私は痛感しました。そして、不要不急でムダで何気ない時間にこそ、子育てや長い人生を続けていくために必要なエネルギーが詰まっていることを、再発見しました。一日の終わりは、何ができても、できなくても、親子で「お布団、温かいね」と思えたら、まあ、いいじゃありませんか。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修者:三木先生より)「良いこと」「できたこと」に注目するのは存外大変なものですが、日々の暮らしを通じて少しずつ癖づけていくことはできると思います。ここに書かれているのはある種のマインドフルネス的な考え方ですね。こういう「日々の一つ一つをかみしめる」ような方法を試してみるのも良いかもしれません。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年11月20日休職2カ月目娘は、障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された『特例子会社』に勤めていましたが、メンタル面の不調から体調を崩し入社3年目(2020年)に会社を休職しました。休職から2ヶ月、投薬の調整もあり精神的に徐々に落ち着いていきた娘。でもフルタイムで出勤する自信はまだないようでした。そんな娘は、休職中でも生活リズムを崩さないために、感染対策を心掛けつつ日中はなるだけ外出するようにしていました。コロナ禍でいろいろと制限もありましたが、卒業校や基幹相談支援センターに相談に行ったり、かつて放課後等デイサービスや居場所として通っていたNPO法人へもできる範囲で訪れていました。Upload By 荒木まち子支援者との定期的な面談を重ねるうちに娘は「家は居心地悪いけどほかに行くところもないし。どうせならこの休みを使ってグループホームの見学や体験をしてみようかな」と言うようになりました。これは娘と支援者との間に信頼関係ができていたからこそ出てきた言葉なのだと思います。もし親が「グループホームの見学や宿泊体験に行ってみたら?」とでも言ったなら彼女は「親が私を家から追い出したがっている」とネガティブに捉えていたことでしょう。こうして休職を“前向きな休み”にするための、娘のグループホーム探しがスタートしたのです。それまでの私たち親子がグループホームについて知っていたこと娘→高等特別支援学校の主催の勉強会(机上)私→放課後等デイサービス主催の勉強会、学校での説明会、役所のへの相談、保険会社のネット講座、基幹相談センター主催の講演会、友達のお母さんの情報・娘の卒業校(高等特別支援学校)の先輩でグループホームに入居しているのは男性のみ(女性向けのグループホームは数が少ない)・人気のホームは空きがない。順番待ちに2年かかる場合もある ※自治体によって違いがあります・引っ越し代などの初期費用(※)と、数ヶ月分の家賃程度のお金を貯めてから入居するのが良い・日中は仕事や作業所に行く必要がある・区分認定により補助金の額が違う程度で、自分たちが住む地域の詳細な情報や具体的な申請手続きの方法などについてはほぼ知りませんでした。※ここでの初期費用の内訳・引っ越し代・部屋の間取りに合わせた収納や家具、寝具・自室用の小型テレビやパソコン、モバイルWi-Fi、ミニ冷蔵庫(本人が必要と感じる場合)・ランドリー小物(洗濯カゴ、洗濯角ハンガーなど)・風呂小物(風呂桶、椅子)⇒グループホームにもよる・部屋によってはカーテン・個人の消耗品(シャンプーやリンス、ボディーソープ、洗顔料など)7年かけて構築された信頼関係私たちの地域では基幹相談支援センターがグループホームの相談などに応じてくれる体制がありました。娘は中学校3年生のときから基幹相談支援センターの余暇支援活動に参加していました。高校生のころにはセンター内のショートステイを利用し、その後も時おり支援員さんと面談をしていました。入社一年目に体調を崩した際には、この基幹相談支援センターが中心となり学校や職場と連携してケース会議を開いてくれました。このように長年の付き合いがあり、娘のことをよく知っている相談員さんにグループホームや娘の計画支援をしてもらえたのはとてもラッキーなことでした。相談員さんは現時点で空きがあって、娘に合いそうなグループホームをいくつか紹介してくれました。グループホームの種類見学を通して私たちはさまざまなタイプのグループホームがあることを知りました。・貴重品の管理や薬の管理もしてくれる手厚い支援があるところ・食事以外は基本自由で、一人暮らしに近いような自立重視のグループホーム・外部から料理をする人が来て、朝夕の食事提供するスタイルのところ・弁当形式のスタイルのところ・“使った食器は自分で洗う”などのルールがあるところ・入居者の年齢層や障害の種類や程度はグループホームによってさまざま・男性専用棟や女性専用棟などがあるグループホームもある見学と宿泊体験グループホームの宿泊体験には受給者証が必要です。事業者と打ち合わせをして体験日程が決まったら役所に宿泊体験の申請をします。宿泊体験に費用がかかるかどうかは事業所によって異なります。基幹相談支援センターでのショートステイの経験がある娘は、2泊3日程度の外泊には慣れていました。グループホーム体験宿泊を経験してみて、娘は職場に近く、自立度が高い個人重視のタイプのホームが気に入ったようでした。一抹の不安はあれど私と支援者が心配していることがありました。それは娘が気に入ったグループホームが県外にあったことです。もし、そこに入居するとなると娘は今住んでいる自治体から『転出』することになります。福祉サービスは自治体によって違いがあります。今までとは異なる環境下で新たな支援者との信頼関係を一から構築していくことの大変さを伝えても、娘にはピンとこないようでした。きっと経験してみないと娘には分からないのかもしれません。私たち家族は彼女の意志を尊重することにしました。娘のグループホーム入居に向けた取り組みはまだまだ続きます。執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)休職中とのことですが、調子が上向いてきて、そしてかつてお世話になっていた方々との再会やつながりの回復により、娘さんのやる気・意欲が湧いてくるのを感じます。就職、自立に関しては、地域によっても、お子さんの特性などによってもさまざまな展開があるので、荒木さんのこのコラムを拝読して私も「なるほどー」と勉強になりました。地域の基幹相談支援センターと娘さんとの信頼関係がベースとなって、次の一歩を踏み出そうというところ。どの地域であっても、地域の中心となる機関やキーパーソンとつながっていることはとても大切だと改めて感じますし、(おそらく読者の方のお子さんはまだ未成年であることが多いのではと推察しますが)信頼できる家族以外の人、信頼できる地域の人・機関を見つける、その方とお子さん自身が良き関係を築けるということの準備を子ども時代にできるとよいのだなと感じます。そして、最後に書かれていますが、自治体を移ることのインパクトは保護者のみなさんよくご存じかと思います。福祉の充実も自治体によってだいぶ違いますね。娘さんのその後がとても気になります…!
2021年11月19日さんすう、ゲーム、イラスト、ダンス、そろばん、英語…。自宅で気軽にできる習い事に、今大きな注目が集まっています発達が気になるお子さんが伸び伸びと成長していくために、好きなことを見つけて楽しく得意を伸ばしていくことは、とても大切なことです。自分だけの得意を育むことで自己肯定感も育まれ、また将来の生きる力に繋がることが期待できるからです。そしてその成長を応援してくれる選択肢の一つに、「習い事」があります。最近ではこの習い事が、オンラインで自宅で気軽に始められるようになり、そのバリエーションも豊かで多彩なテーマがあることをご存知でしたか?出典 : さんすう、ゲーム、イラスト、ダンス、そろばん、英語…。多彩な習い事と、発達が気になるお子さんの「好き」や「得意」が重なるテーマはきっとあるはず。少し敷居が高いイメージがあったとしても、オンラインなら自宅で保護者の方の側で、安心して始められます。そこで今回の記事では、さまざまなジャンルの中から4つの習い事をまとめてご紹介します。まずは興味の小さな芽を見つけてあげることで、いつか才能が花開く日への第一歩としていただけたら、嬉しく思います。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムそれぞれの習い事の詳細は、対応しているボタンから遷移するページでご覧いただけますので、ぜひ一度見てみてくださいね。【やりたいことが決まらない/たくさんある】スタコレ『スタコレ』は、自宅にいながらさまざまな習い事を受講し放題の、ライフスタイルに合わせて好きなだけ習い事に没頭できるプラットフォームです。月額制のプランに申し込むことで、多様な分野の習い事から興味に応じて選んで受講することができます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムその分野は多岐に渡り、知育(幼児向け)、記述読解、算数、英会話、英検、そろばん、書道、ダンス、バレエ、絵画、質問し放題の自習室など、「好き」の芽を見つけやすい設計となっています。どの分野のレッスンも、全国で活躍する現役講師を採用後にオンラインレッスンのノウハウ研修やパーソナル指導を徹底的に行っているとのこと。また、『スタコレ』は一方通行の動画レッスンではなく、LIVE型の双方向レッスンなので、遠く離れた講師と対話をしながら、興味や集中を持続させ、得意をどんどん育てていくことができます。英会話・絵画・書道などのレッスンをクロスしながら学ぶことで、色んな方向から刺激やヒントを受けて興味の幅を広げながら、力を伸ばしていくことが期待できます。興味の芽がどこにあるのかまだ分からなくても、その芽を見つけるきっかけを幅広く得られるのが『スタコレ』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:StudyCollect■授業形式:10人以下の集団授業■対象年齢:4歳〜小学校高学年■必要環境:zoom / PCまたはスマホ・タブレット用意必須■受講料:ベーシックプラン6,600円(税込)、プレミアムプラン13,200円(税込)■入会費:無し■体験受講:登録から2週間無料で受講可能※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから合同会社EducationHackのサイトに遷移します【算数の力をもっと伸ばしたい】math channel『math channel:おうちで楽しく学ぶ算数パズル教室@オンライン』は、「算数をもっと楽しくそして好きになる」ためのエッセンスが沢山詰まったオンラインクラスです。毎週違うテーマの『math channel』オリジナル算数パズルの問題に自分のペースで取り組みながら、何度も問題に取り組む「めげない心」と楽しみながら「算数的思考力」を育んでいきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムまずは簡単な問題から取り組み、問題の意味を理解し、「わかった!」という経験を積んでいきながら、さまざまな問題にチャレンジします。算数が好きなお子さんはもちろん、算数に苦手意識を持ち出したお子さんも、みんなで一緒に算数を楽しめる場のようです。オリジナルで厳選&制作した「かず」「かたち」「ろんり」の3つに沿って、「頭を使って考えながら解く」、「考えれば考えるほど楽しくなる」経験を重ねていきます。問題はどれも、解けば解くほど新しい発見があって、手を動かしながら何度も試せるテーマで、解いたあとは自分でも算数パズルを作りクリエイティブな力も身に着けられる題材ばかり。計算(数)・図形・論理の基礎力を身につけながら、主体的に問題に取り組み考えること、そして何よりも算数と楽しく向き合い続けることが大切とされています。算数・数学の学びに必要な、主体的にさまざまな問題を考え・向き合う力を楽しく身につける選択肢として、一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:算数パズル教室@オンライン■授業形式:15名程度の集団授業■対象年齢:小学校低学年〜中学年■必要環境:zoom / PCまたはスマホ・タブレット用意必須■受講料:月額8,800円(税込)■入会費:無し■体験受講:1コマ1名分2,200円(税込)。通常の授業を体験することができます。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社math channelのサイトに遷移します【絵やアートが好き】ATAM ACADEMY『ATAM ACADEMY』は、お子さんの感性を豊かにし、イラストやデザインに関する技術を学ぶことができるアカデミーです。絵を描くことが好きな気持ちを大切に育みながら、「好きなお絵かき」を「得意なお絵かき」にすることで、誰かに褒められる機会や「できた!」が増え、お子さんの自信へとつながっていきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムプロの講師からイラストやデザインの技術を学ぶことで、作品をつくって伝える力が伸びていき、アートを通しての自己表現の楽しさも体感することができます。それと同時にアートには答えが無いため、お子さんの「自分で考え、自分で伝える」力までを育んでいくことを目指しているとのことでした。レッスンは講師1名に対して生徒3名という少人数制の独自カリキュラムなので、一人ひとりに向き合いながら成長に寄り添ってくれます。オンライン授業なので国内外問わず学ぶことが可能で、香港・シンガポールなど世界中から問合せがあるそうです。発達が気になる方の中には、アート方面で才能を発揮されている先輩方もいるので、相性が良い習い事の一つと言えるかもしれませんね。イラストやデザインという将来の仕事にもつながる技術を、自宅で自分のペースで学ぶことができるのが『ATAM ACADEMY』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:アタムアカデミー■授業形式:生徒3人に対して講師1名■対象年齢:小学校低学年〜中学生■必要環境:zoom / PC、iPad、Apple Pencil必須(有料貸出あり※体験時は無料貸出可)■受講料:月額 10,000円(税込)■入会金:11,000円(税込)■体験受講:塗り絵を活用したレッスンを無料で受講可能※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社アタムのサイトに遷移します【ゲームが好き】ゲムトレ『ゲムトレ』は、ゲームが本来持ち合わせている「学びの可能性」を最大限引き出すことを目的とした、日本初のゲームのオンライン家庭教師です。「楽しく脳を鍛える習い事」として、顔の見える先生からゲームを学ぶことができます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム勉強に集中することは苦手だけど、ゲームだったら時間を忘れて夢中で続けられる。それだったらゲームで遊ぶ時間自体を、学びの時間に変えることができたなら、家にいながら自分らしく学びを深めていけるはず。そんな想いで、大会出場やプロゲーマーを目指すだけを目的とせずに、ゲームを通じて脳を鍛えたり、自己肯定感を育んだり、コミニケーション能力を高める教育プログラムです。ゲムトレには全国大会、世界大会経験者など高い実力を持つ、採用率10%以下の厳選されたプロのゲームトレーナーが在籍しています。累計トレーニング回数は10,000回を突破したそうです。目標を自分で定め課題を解決していく問題解決力だったり、現実では難しいスケールのものをつくる創造力など、さまざまな力を自然に育んでいくのが『ゲムトレ』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:ゲムトレ■授業形式:1人もしくは少人数のグループに対して講師1名■対象年齢:小学校低学年〜高校生■必要環境:ゲーム環境と通話環境■受講料:月額 7,480円(税込)〜■入会金:11,000円(税込)■体験受講:1時間の個別トレーニングで2,200円(税込)。体験会の際に継続を決定すると無料。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社ゲムトレのサイトに遷移しますまずは習い事の選択肢を広げて、お子さんの「好き」の芽を見つけてみてはいかがでしょうか?今回ご紹介した4つの習い事は、テーマとしてきっと今まで検討されたことがないものもあったのではと思います。だからこそ可能性を狭めずに、まずはもっと知っていただくことから始めることができると、「好き」の芽を見逃さずに育んでいくことができるはず。それぞれの習い事の詳しい詳細は、下記のボタンから遷移するページでもご覧いただけますので、ぜひ一度見てみてくださいね。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから合同会社EducationHackのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社math channelのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社アタムのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社ゲムトレのサイトに遷移します
2021年11月18日コウの発達障害に気づかなかった私Upload By 丸山さとこ以前コラムでも書いたことがありますが、息子のコウは幼児のころ、”発達障害あるある”とされる行動が多い子どもでした。「物を並べる」「回転するものを長時間見つめる」「パニックになり壁に頭を打ちつける」などの行動をよくしていたコウ。『そういう性格なんだな』『それが好きなんだな』と捉えていた私は、息子に発達障害がある可能性を考えていませんでした。Upload By 丸山さとこ当時は本当にそう考えていましたし、その言葉に嘘はありません。ただ、今改めて振り返ってみると、正確には「(診断されるレベルの)発達障害がある可能性を考えたことはありませんでした」と書くべきだったのかもしれません。今回は、その辺りの少し複雑な心境について書いていこうと思います。コウの発達障害に気づかなかった私私は、自分自身が大人になってから医師に「発達障害のある可能性は高いが、就労と結婚をしているので検査は不要でしょう」と告げられるという経験をしています。コウが未就園児のころには『発達障害の特性はグラデーションである』ことを既に知っていました。ですが、そのことはコウに対する支援を探すきっかけにはならず、むしろ「積極的に情報を取りに行かない理由」になってしまいました。Upload By 丸山さとこ自分の経験から「発達障害がある傾向があって生活上つまずきを感じたとしても、つまずきの程度がよほど重くなければ、診断を受けることはないのだろう」と考えていたのです。2歳の誕生日を迎えたコウは、発語自体はあるものの会話のバリエーションは少なく、決まった形の問いかけ以外に答えることはほとんどありませんでした。そのため、公園でコウに話しかけてくれた近所の子から「この子はどうして話さないの?」「大きいけど赤ちゃんなの?」と聞かれたこともありました。この時点で、保護者によっては既に違和感を覚えるような状況だったのかもしれないな…と思います。Upload By 丸山さとこですが、私は前述の経験から「よく笑い、目が合うこともあり、(ある程度は)意思の疎通が可能なコウは、発達障害がある傾向があったとしても診断を受けるほどではないのだろうな」と思っていました。発達の凸凹自体は何となく認識していたものの、「彼の凸凹は得意・不得意の範囲とされるものであって、発達障害があるとはいえないのだろうな」と考えていたのです。2歳後半になり”セリフとして覚えた2語文”を話すようになったコウは、言葉による要求も行うようになってきました。それは”覚えたセリフ”をカードのように使っている状態だったので、「オウム返しを使って望ましい状況を再現しているだけ」と感じた私は『これで会話が成立していると言えるのだろうか?』という疑問を少し抱きました。Upload By 丸山さとこそれでも、私と話すときのコウは言葉での意思疎通が可能なため「コミュニケーションがとれている」と言えなくはない状態でした。しかし、コウの話せる文章が増えるほどに違和感が増えていきました。その後、児童館で人から話しかけられたコウが”話しかけられたセリフ”を延々と繰り返したことをきっかけに「これは何かあるのかもな」と薄っすら思い始めました。そして、3歳児健診でハッキリと息子に発達障害がある可能性を告げられたとき、『このくらいでも”発達障害がある可能性あり”として対応していくのか~!』『確かにほかの子どもと様子が違うからな~!』…という2つの気持ちを同時に味わっていました。”意外に思う心境”と”納得する心境”が一度にやってくる印象深い体験でした。Upload By 丸山さとこ私自身、発達障害にネガティブなイメージはなかったことから「発達障害がある可能性」と告げられたこと自体に対しては大きな戸惑いもなく、「コウは発達障害がある可能性が高く、支援が必要なのだ」と認識が切り替わりました。そこからの私は、コウの発達に関して改めて情報収集をしつつ、知能検査を受けたり療育園へ申し込みに行ったりするなどの”支援のための行動”を開始しました。不安や迷いがなかったのは、『ありのままのわが子を受け入れる愛情深い母親だから』ではありません。状況に対応するだけで手一杯だった当時は、「必要だ」とされることを「必要なんだな」と思うがままに取り入れていっただけの、流されるままに進んでいくような日々だったな~…と思います。Upload By 丸山さとこ家庭では以前から「コウに伝わるように」と意識して接していたことから、発達障害がある可能性を告げられてからも接し方が大きく変わることはありませんでした。しかし、改めてコウの様子を観察しながら「なるほど、確かに”発達障害あるある”な行動なんだな…!」と納得したりしていました。「すべて今だから言えることなんだろうな」と思う現在の私です1歳半健診で「反応が薄いのでちょっと様子を見ましょう」と言われたときや、2歳の健診で「コミュニケーションに不安があります」と心理士に言われたときなど、今になって振り返れば、コウの発達障害にもっと早く気づけたチャンスは何度もあったのだろうなと思います。3歳児健診まではハッキリと発達障害の名前を出されなかったことや、療育園を勧められなかったこともあって、息子の様子は「個性の範囲なのだろう」という判断をしていました。ですが、それについても、私の方から「気になるんです・心配なんです」と専門家の先生に伝えていたらハッキリと告げられていた可能性もあったかもしれません。Upload By 丸山さとこ早く気がつけばもっと選択肢があったかもしれないし、コウにとってより適切な環境を用意できたかもしれません。一方、2歳まで住んでいた自治体には通える療育園がなかったことから、実際には早く発達障害があることに気づいていたとしても焦るばかりだった可能性もあります。可能性をあげればキリはありませんが、それらはすべて「今だから言えることなんだろうな」と思います。Upload By 丸山さとここれからも、さまざまな可能性の山をかきわけて右往左往しながら選択をしていく中で、「こういう選択肢もあったのか!」「もっと早く考えていれば…」と思うことは山のようにあるのだろうなと思います。選ばなかった選択肢の結果が分からない以上、”ベストな選択だったのかどうか”という判断自体があとからできるようなことではないのかもしれません。それでも、定期的に足跡を振り返って検証をしつつ進んでいくことは大切なのだろうと思います。せめて、「いつでも予想外の展開や方向転換はあるのだろうな」という覚悟だけは持っておくといいのかな~と思う、予想外の展開に弱い私でした。(監修:三木先生より)とても良い振り返りですね。とてもバランスが難しいところなのですが、「まあこんなもんかな」と思って気楽にすることと、「この子にはこれが必要だ」と意気込むことは両方とも必要だと思います。そういう意味では、結果的にいいタイミングで気づかれたんじゃないかなと思いました。
2021年11月18日タケル誕生!2850gの元気な赤ちゃんわが家のでこぼこ兄妹の兄、タケルは8歳のときにアスペルガー症候群(※)の診断書を受け取りました。その後、19歳で精神障害者保健福祉⼿帳を取得する際に改めて診察・検査を受けてASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。(※)現在は、ASDに統合されています。そんなタケルが生まれたのは、夏、そろそろ本格的に暑くなろうかというころでした。妊娠中、出産時とも特に問題はなく、あまり時間もかからずスルッと生まれた赤ちゃんで、私は「聞いていたよりずっと楽だった!なんて親孝行な子なんだろう!」と、思いました。それから、半年ほどの間は何事もなく過ぎていきました。今思えば「何もなさすぎた」というほど、手のかからない赤ちゃんだったのです…。とにかく寝ない!泣きだしたら止まらない!生まれて6ヶ月を過ぎるころ、強烈な夜泣きが始まりました。赤ちゃんは泣くのは仕事、とは聞いていましたが、1時間、2時間…と、本当に泣き始めると延々泣いているのです。そして最後は疲れて喉が開かなくなり「ひほっひほっ」とかすれた音を出しながら、腕の中で跳ねるようにしながら眠りにつくのでした。泣いている間に本格的な呼吸困難を起こして、病院に走ったことも何度もあります。どうも、タケルは「壊さないように身体を使う」ということができないようでした。Upload By 寺島ヒロもしかして高次脳機能障害...?しかし、私はタケルが3歳になるころには「これは学生のときに心理学の授業で聞いた高次脳機能障害というやつではないのか?」と考えるようになっていました。高次脳機能障害は怪我が原因で脳機能に障害が現れることです。タケルは大きなケガをしたことはなかったとは思うのですが、私が見ていないときにぶつけていなかったとは限らない、何しろいつも暴れながら泣いているので可能性として低くはないと思ったのです。そのころのタケルには、・注意を引いてもその方向を見ない。物を目の端で見る・笑顔がぎこちない。口が「笑顔の形」に開いても笑い声が出ない・おもちゃを想定されたやり方で遊ばない。ひたすら並べたり積み上げたりする・寝るときはおっぱいを飲みながら抱っこでないと寝ない(5歳まで)・落ち着きがなく、緊張が高まると身体を小刻みに揺らし続ける・服の肌触りに非常にこだわる・文字の読み書きができる。3歳ごろに書くようになったのでわかったが、読むだけはもっと前からできていたよう。漢字も読み方を教えてもらうとほぼ一回で覚える・100ピースほどのパズルはほとんど迷わず解ける。一度解いたパズルはピースの形と置いた場所を覚えている…などの特徴が見られました。Upload By 寺島ヒロ※その後、タケルは高次脳機能障害ではなく、アスペルガー症候群の診断を受けました。上記は、私が「気になったところ」ということで挙げさせていただいていたもので、お子さんにこのような部分があったからといって、障害があるというわけではありません。念のため。病院では問題ないというけど...やっぱり何かヘン!実際は高次脳機能障害ではなかったのですが、このとき「疑い」を持ったことで、私はタケルの体調や睡眠時間の長短、遊びの内容などを事細かに育児日記として記録することを始めました。病院や保健所の発達相談会で聞いても「異常はない」と言われてはいたのですが、将来、もしかして何らかの障害だと分かったとき治療の役に立つかもしれないと思ったのです。Upload By 寺島ヒロ地方自治体の発達相談で判明!「たぶんアスペルガー」発達障害だと分かったのは、タケルが7歳のときに市で毎年開催している子どもの発達相談会に参加したことがきっかけです。この年に初めて県の発達センターから医師を含む専門のスタッフが派遣され、発達障害についての相談をすることができるようになりました。その場には、息子も伴って行ったのですが、もうスタッフさんに二言三言お話しただけで「この子は…!詳しい検査が必要かもしれません」と言われました。「異常なし」から一変!療育センターで詳しい検査を受けることに結局、その場での本人の様子と「育児日記」から、「アスペルガー症候群に大変近い」との医師の所見を得て、一週間後には療育センターで詳しい検査を受けられることに。療育センターでも、生まれてからの詳細なデータが残っていたため、すぐにアスペルガー症候群の診断がつき、まったく待たされることなく療育に入ることができました。そして、8歳の誕生日を迎えたころに診断書を受け取ることとなりました。書き溜めていた「育児日記」はしっかりとその役目を果たしてくれたのです。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)お子さんの夜泣きが続く大変な日々を、よく乗り切られましたね。当時は現在のように、一般的に発達障害に対する情報が広まっていませんでした。幼児期の睡眠障害については、最近日本でも注目されるようになってきました。寺島ヒロさんのように、相談に行かれる場合に「育児日記」のようなものをつけておかれると、専門家や医師も具体的な情報が得られ分かりやすくなると思います。
2021年11月17日ある特定分野で飛びぬけた才能を持つ「ギフテッド」と呼ばれる人がいます。有名なところでは、アルベルト・アインシュタインやビル・ゲイツなどもギフテッドと言われ、「天才」といったイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、他人に比べて知的能力がとても高い子どもたちは、才能を伸び伸び発揮させ、人生を謳歌しているわけではありません。知的能力が高いがゆえに理解されない部分があり、また注意をうまく切り替えたり保持したりするのが苦手で、日常生活や人間関係に困難を抱えてしまうことがあるのです。日本では、「浮きこぼれ」とも言われます。こうした「ギフテッド」と呼ばれる子どもや知能の高い子どもの個性を知り、伸ばす方法についてわかりやすく解説した書籍『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』が11月15日(月)に発売されました。■「ギフテッド」の子どもは支援が必要とは!?書籍の中では、「ギフテッド」と呼ばれる子どもや知能の高い子どもの個性を知り、伸ばす方法についてわかりやすく解説しています。またイラストやまんがによって親はもちろんのこと、子ども自身にも自分への理解が深めることができます。本書を執筆されたひとりでもある北海道教育大学旭川校教授・片桐正敏さんは、次のように語ります。「私は、子どもの教育や支援に携わる者として、本人の可能性を引き出し、伸ばしてあげたいですし、なるべく多くの自己実現の選択肢を増やす手助けをしたいと思っています。ギフテッドの子どもの支援の場合、本来は学校教育(公教育)の中で、可能性を伸ばすべきだと思いますし、実際アメリカでは、特別支援の枠組みの中で、取り組まれています。もちろん、学校教育が子どもにとって最良の選択肢でなければ別な選択肢も考えるべきですし、高い柔軟性を持って関わるのが望ましいでしょう。私たち専門家はいつも大上段で偉そうなことを言ったりしますが、そういった態度を慎み、手に取って気軽に読んでもらえるよう比較的わかりやすさを重視しました。」発達障害とギフテッドの違い、才能をいかすための環境整備のコツなど、多感で個性的な子どもを支えるヒントが満載です。「天才」のイメージをもたれがちな子どもたちが感じている生きづらさ。彼らが才能を発揮できる社会にどうすればできるのか。書籍から一緒に考えてみてはいかがでしょうか? 『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』 (編著/片桐正敏 著/小泉雅彦 著/日高茂暢 著/富永大悟 著/ギフテッド応援隊 構成/楢戸ひかる/小学館/1980円(税込))学校での居場所がないギフテッドの子どもや、その保護者たちにも執筆に参加していただき、いままでのギフテッド教育に足りなかったことや、ギフテッドのこれからなどが、詳しくわかります。子育てに悩んでいる保護者、そして、ギフテッドについて知りたい教育関係者には必読書です。みんなの教育技術オンライン研修会「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」●対象:全国の学校の先生方、教育関係者、保護者の方々ほか、どなたでもご参加いただけます。●開催日時:第1回:11月19日(金) 20:00~21:30第2回:12月3日(金)20:00~21:30第3回:12月10日(金)20:00~21:30※回ごとに講師・パネリストが異なります。※本講座は全3回の連続講座です。回ごとの参加も可能ですが、3回連続で受講されることを推奨いたします。●参加費:各回2000円●参加方法:「Zoom」を利用してオンラインで実施。●主催:小学館 教育技術編集部・みんなの教育技術イベントの詳細:
2021年11月16日入眠が難しいむっくんは小さいころから入眠が苦手です。もともと入眠しにくい体質なのもありますが眠ることに強い不安感を持っていて、眠ろうとすると緊張して余計寝つけなくなるようでした。5、6歳のころは21時から22時ごろに寝室に入っても眠りにつくのは23時から24時。翌日の生活を考えると心配になる入眠時間ですが、不安が和らぐよう「早く眠る」よりは「穏やかに眠る」を意識して暮らしていました。ところがそんなむっくんに、さらなる試練が訪れたのです。悪夢の始まりむっくんは、6歳から過度の疲れ、強い刺激、不安や興奮が強い夜に悪夢を見るようになりました。悪夢を見ると泣きながら飛び起きて、怖がって再入眠できなくなります。さらに悪夢の恐怖が和らぐまで「怖い夢を見るから眠りたくない!」と睡眠を拒否することもありました。ここで眠ることを強要するとますます不安が強くなりかねないと判断し、不安が和らぐことだけを目的に朝までアニメをつけて過ごした日もありました。Upload By ウチノコ私まで眠れないそんな日々を送るうちに、私にも異変が起こりました。眠ろうとすると、時々軽いパニック発作が起こるようになり、なかなか深い眠りに到達できなくなったのです。その状態を繰り返すうちに、私の中で「今日も眠れなかったらどうしよう」という不安が強くなり、寝室や布団に入ると緊張してしまうように…。まさにむっくんと同じ状態、これは本当に参りました。結局、私の入眠困難は心療内科にかかりつつ、睡眠記録をつけて自分に合った睡眠時間や眠れない状態のパターンなどを客観視することで、一年くらいで落ち着いていきました。この間、つらくもありましたが【眠れない】がどういうことか、むっくんの気持ちを本当の意味で知ることができた貴重な経験になり、私自身の睡眠に対する意識を変えるきっかけにもなりました。Upload By ウチノコ【眠れない】経験からわかったこと私は入眠不安を経験したことで、不安を抱えて寝室にいるつらさ、眠れないまま暗い部屋の布団の中でじっとしていなければならない苦痛、緊張から感覚がさえていくうちに、目を閉じることすら難しくなる感覚を知りました。Upload By ウチノコ自分の体験を参考にむっくんの睡眠記録をつけてみたところ、何時に寝室入りしても眠りにつくのが23時過ぎになることが多いと発見!むしろ早く寝室に入ると寝つけないつらい時間が長くなるため、緊張が増すのかもしれないと気がつきました。そこで寝室入りを22時半以降に変更することにしたのです。すると、悪夢さえなければ30分程度で眠りにつけるようになりました。一般的な同年齢の子よりは睡眠時間は少なめかもしれませんが、翌朝も問題なく起床でき、一日元気いっぱいに過ごせるので、この子はもともと睡眠時間が短い体質なのかもしれないなぁと考えるようにもなりました。安心する方法探しまた、むっくんと相談しながら不安が和らぐ入眠アイテム探しも頑張りました。例えばアイスノンで頭を冷やしたり、お気に入りのオルゴールや波の音などをかけるといくらか眠りやすい気がすること。また、悪夢を見ないための験担ぎとして、枕元に決まったおもちゃを並べるルーチンを取り入れたり、特定のアロマオイルを使う、手をぎゅうぎゅうと強い力でリズムよく握って刺激すると安心できることも発見しました。Upload By ウチノコむっくんには感覚過敏がありますが、刺激のない状態だと感覚が研ぎ澄まされて落ち着けないようで、むしろ何か弱い感覚刺激を入れ続けるほうが安心できる様子でした。中でも一番幸せな入眠方法は、テレビをつけっぱなしの明るいリビングで、ビーズクッションに寝転がり眠ること!寝室を暗くして布団で眠ろうと意気込むと緊張してしまうのですが、寝室以外の慣れた部屋で安心できる番組をぼんやり眺めているうちに眠くなれば不安を感じずにすむようでした。現在の様子むっくんは7歳のときに不登校を選択しました。私は、この決断を機に寝かしつけることやそろそろ寝る?などの声かけをやめて、入眠のタイミングを完全に本人にまかせることにしました。不安の多かった夜は、やりたかったことを一人で静かに楽しむ時間になりました。夜に学習する日もありますが、日中より集中できる様子なのでひょっとしたらむっくんは夜に頭のさえる体質なのかもしれません。夜を楽しく過ごしているからか悪夢も随分減りましたし、私の入眠タスクも寝てるむっくんを寝室に連れていくだけになり、本当に楽になりました。わが家の睡眠スタイルは、教科書的にはバツかもしれません。だけど夜になると「怖い夢見たらどうしよう」と半泣きだったむっくんが「今日も一日楽しかった~!」と好きなテレビを見ながら安心して眠る様子に、今はこれでもいいんじゃないかなって私は思っています。この先もむっくんは睡眠で悩むことがあるかもしれません。だけど、親子で真剣に睡眠と向き合った経験を糧にして、むっくんなりの対策を見つけて眠りにくさともまぁまぁ仲良く暮らしていけたらいいなぁと思っています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)睡眠にまつわる難しさを抱える方は多くいらっしゃいますね。寝つけない理由として寝るのが怖いと訴えるお子さんも一定数いらっしゃるのではと思います。ウチノコさんがご自身の不調をきっかけに睡眠記録をつけて客観視してみることができたこと、とてもよいターニングポイントになったのだろうと思います。「夜は寝るもの」「早寝早起きがよい」というのは確かに概ね事実なのですが、全員にすべからく良いというものでもなく、個人差がありますが、先入観や道徳観が子に合った睡眠スタイルに気づくのを妨げている面もあります。また、不安が和らぐ入眠アイテム探しも素晴らしい試みですね。何が良いかは本人にしか分かりませんし、本人も気づいていないかもしれません。さまざま試して安心すると思いながら眠りにつけることは何よりだなと思います。そして、お母さんが一緒に試行錯誤してくれている、そのこと自体もとても安心感につながるプロセスのように感じました。
2021年11月16日どんな瞬間に「発達障害」の可能性に気づいたの?入園、入学、進学に向けて、そろそろ準備を始めている時期だと思います。そんな節目の時期は何かと子どもと向き合うことも多いですよね。今回は『もしかして、発達障害?』コラムをまとめてお届けします。気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてください。幼稚園のプレで周りの子と比べて圧倒的に幼い娘に衝撃を受け…2歳10ヶ月のとまちゃんは幼稚園のプレに行くことに。ドキドキしながらやってきたプレ初日、ほかの子どもたちを見てとまぱんさんが感じたこととは…。集団行動ができない…授業中にソワソワイライラしてしまう…そんな息子を見て小4のときに発達障害の診断を受けたリュウ太くん。かなしろにゃんこ。さんが、最初に「あれ?うちの子変わってるかも」と感じたのは小1のときでした。これって自閉スペクトラム症の特性?悩んでいる時期に背中を押してくれた存在みんさんが息子Pくんの発達に悩んでいた1歳後半から2歳前半のころのお話。自問自答の日々から抜け出すきっかけになったエピソードです。独り言、集団行動、ルール理解。今振り返る「そうだったのか」の出来事3歳のころに自閉スペクトラム症と診断されたミミくん。1歳6ヶ月健診から診断されるまで、今振り返ると「そうだったのか」と思う場面がありました。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年11月15日遊びを通して自己理解・自己表現のスキルを高めようーー『7歳からできる みんなのハローワークゲーム: とくい・すき・きょうみから将来の仕事をさがせ!』2017年に出版され話題になった『発達障害の子のためのハローワーク』が、楽しいカードゲームになりました。この『7歳からできるみんなのハローワークゲーム とくい・すき・きょうみから将来の仕事をさがせ!』では、遊びの中でさまざまな仕事にふれ、自分の可能性を見つけていくことができます。紹介されているお仕事は105種類。ゲームを通して世の中を支えるさまざまな仕事を知ることは、「なりたい自分」について考えたり、自分の将来像を具体的にイメージするきっかけにもなります。なりたい仕事・好きな仕事という視点だけでなく、自分に合った仕事・得意を生かせる仕事という視点で考えてみることによって、新しい目標ができたり、「自分に合う仕事」との出合いになるかもしれません。1人でも楽しめて、グループでも遊べる!大人からの働きかけのポイントも解説されています。7歳から楽しめるカードゲーム、学校でも家庭でもおすすめです。”なんでだろう?” ”うまくいかない” には理由があるーー『集団生活が苦手な子のための子育てハッピーサポートBOOK』集団生活は社会性を育む上で大切な経験と言われることもありますが、集団生活を苦手に感じる子どもいます。そして、そのことで悩んでいる保護者も多いかもしれません。「集団生活が苦手」と言っても、お子さんのタイプや困るケースはさまざま。しかし、どんな困りごとでもその背景には理由があります。理由が分かることでその子に合ったサポート方法も見えてくるかもしれません。この本の著者は、小児科医の遠藤雄策さんと臨床心理士・公認心理師の笹田夕美子さん。専門家の視点で集団生活が苦手な子どものタイプと代表的な困りごとのケース、その理由を解説しています。また、サポートのアイディアは「子どもの困りごとをサポートするための子育てスキル15」「園児の『困った』をサポート」「児童の『困った』『悩み』をサポート」「サポートする家族の心がまえとは」の4つのパートで具体的に紹介。お子さんの集団生活で悩みを抱えている保護者の方、来年度の春から集団生活が始まる未就園児・未就学児の保護者のお守りになるような一冊です。「分かっているのになぜかできない」ができるようになる!ーー『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の女性が上手に生きるための本』ここ10年ほどで「発達障害」の認知度が飛躍的に上がり、大人になってから発達障害だと気づく人も増えています。幼少期は発達障害に気づかなかったけれど、仕事をしてみたり、育児をしてから気づくというケースも多くあります。また発達障害のある女性は、女性ならではの悩みを相談・共有できず解決しにくい現状があると言われています。この本の著者は、発達障害のある女性のためのコミュニティ「Decojo」を運営する沢口千寛さん。家事・仕事や育児、人間関係や身だしなみの整え方など日頃の生活を改善できるポイントを具体的に解説しています。便利なアプリ・サービス、道具の活用法など読んですぐ、簡単に実践できるアイディアが満載! おすすめのメソッド本です。当事者の視点から描かれた夫婦の物語ーー『僕の妻は発達障害3巻』発達障害当事者でもある漫画家のナナトエリさんと、夫である亀山聡さんの共作『僕の妻は発達障害』。発達障害のある人の“生きづらさに寄り添いながら”描いた話題のフィクション作品です。3巻では、大人になってから発達障害があることが分かった知佳が仕事復帰をする話、両親とのエピソードなどを収録。発達障害当事者だからこそ分かる感情や、身近にいるパートナーのリアルな視点が丁寧に描かれています。フィクションでありながらも発達障害の実情を知ることができる作品。医療監修もついています。当事者の方、家族の方々、発達障害をまだよく知らない方にもぜひ読んでほしい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年11月15日発達障害のある息子のために、日本語で受けられるオンライン療育サービスを検索いつでも、どこからでもサービスを受けられる『発達ナビPLUS』。発達障害のあるお子さんを育てる海外在住ユーザーの方々はどのように利用されているのでしょうか。今回は、ベトナムにお住まいのユーザーさまのお声を紹介します。ベトナムに移住して約10ヶ月になるOさんご家族。お子さんはもうすぐ4歳になる男の子です。お父さまが一足先にベトナムへ移り、その半年後にお母さま(以下、Oさん)と息子さんも移住することに。 息子さんは生後4ヶ月から保育園に通い、2歳で検査を受けて境界型ASDと診断。保育園と並行して療育を受けていましたが、3歳になったころにベトナムに移り、『発達ナビPLUS』を使い始めました。――ベトナムに来てから、療育などはどうされましたか。こちらで療育の情報を得ることは難しく、ましてや日本語での対応はありません。最近、「ABA」で調べてヒットしましたが、全部ベトナム語のホームページで、よく分からないという状況です。また、こちらには特別支援学級がないようです。特別支援学校はあるみたいですが、かなり重度の肢体不自由の子ども向けで、発達障害や知的障害のカテゴリーでは存在しないのではと思います。ベトナム現地で、しかも日本語で発達支援を受けるのは難しいと分かったので、日本のオンラインサービスに頼るしかないと思い、「オンライン療育」といったキーワードで検索しました。すると、これは新型コロナの影響なのか、1年前だったらなかったのではと思われるサービスが、けっこうたくさん見つかりました。その中でも、トップに出てきたのが『発達ナビPLUS』でした。ほかのサイトも上から順に調べていって、一通りトップページとかは見てみたんです。――たくさんある中から、決め手となったのはどんな点でしたか。金額的なメリットでした。『発達ナビPLUS』は1ヶ月あたり約3,000円で、教材使い放題ということと、個別相談ができることに惹かれました。ほかのでは個別指導1回数万ということも。わが家は現地採用なので、駐在員の方のような教育手当などはなく、幼稚園や学校の費用も含めて全額自己負担です。だから、自分たちが払える範囲でいいサービスを使いたいなと思いました。この金額なら、習い事感覚で始められると思ったんです。さまざまな角度から療育のヒントを与えてくれる『発達ナビPLUS』の個別相談がとてもよかった!――実際に利用されて、特によかったのはどのメニューですか。「個別ケース相談」です。オンライン上で相談を送ると、専門家の方が監修されたアドバイスをもらえるというものです。とにかく寄り添ってもらえるところがとてもいいです。万人受けするアドバイスならネットで調べれば出てきますが、そうではなく、今の私の特殊な状況をすべて理解したうえでの答えが返ってくることがうれしかったです。さらに、こちらが返答したことにもまた丁寧に返答してもらえます。療育は、子どものサポートも大事ですが、実は親が不安になったときに寄り添ってくれる場なんですよね。海外で、そういう場がまったくないときだったので、とても感動しました。――実際にどんな相談をされたのでしょうか。エピソードを教えてください。例えば、トイレトレーニングについて相談しました。当時の息子は、おしっこはトイレでできるのに、うんちはどうしてもトイレじゃなくて部屋のすみっこでしてしまう…。私も自分でいろいろと試していました。たとえば、幼稚園でいやがらないように、家で使っているのと同じ便座を幼稚園に預けたり。そうした、よかれと思っていた内容も相談で伝えたら、「お母さまがやっていることは間違えてはいないですよ、とてもいいことですよ」と、まずはねぎらってくれて、これまでやってきたことが無駄じゃなかった、と思える褒め方をしてくれました。そのうえで、こういう場合ならこうしては、と段階的なことや状況に合わせた詳細なアドバイスをしてもらえました。やってきたことが無駄じゃなかったと思えることは、子どもに発達障害がなくても、海外での子育てで悩んでいる人には大事なことなんですよね。寄り添ってもらえることに感謝しています。回答のメールは、かなり文字量も多くて、ひとりに対してこんなに丁寧に書いてくれるんだ!と、はじめはびっくりしました。長いだけでなく、内容もすべてが濃厚で、必要な情報ばかりでした。もし、これがただ長いだけだったら、すぐやめていたかもしれません。さまざまな角度からの提案をしてもらったなかで、「場所のこだわり」という発想は自分にはありませんでした。「うんちする場所って決まってますか?」とケース相談の際に聞かれて、気づけたのです。もしかしたら、試行錯誤するうちにいつか自分でたどり着く答えだったのかもしれないけれど、かなりショートカットさせてもらいました。ダウンロ―ドし放題の「特別支援教材」は、子どもに合う・合わないの心配いらず――ほかのメニュー、例えば「特別支援教材」は活用されていますか。はい。教材は、ダウンロードし放題というところが助かっています。息子はなぜか、話し言葉は出ないのに、五十音を先に覚えたんです。まさかこんなに早く、いわゆる「あいうえお表」が必要になると思わなくて、次に一時帰国したときにでも、ひらがなのワークブックを買おうと思っていたところでした。でも今は、帰国もなかなかできない状況。日本にいたらお金を出せば買えるはずのものがここでは買えないので、ダウンロードしてすぐ使えるというところが、とても頼りになります。絵本などは母に送ってもらっていますが、こうした教材の場合、使ってみたけどうちの子に合わなかったということもありますよね。息子は好き嫌いがハッキリしているから、響かないものはまったく使えないんです。せっかく日本で買って送ってもらっても、見もしなかったらもったいないですしね。――ダウンロードした教材は、どんな風に使っていますか。「ひらがな よみ 50 おんひょう」を、1枚ずつ切ってラミネートしてカードとして使っています。夫の仕事柄ラミネーターが自宅にあるので、自家製カードができちゃうんです(笑)。50音なら、自分で書けばいいかとも思われますが、ちゃんとした字体のもののほうがいいですから。『発達ナビPLUS』を見れば、必要なものが何かしら手に入ると分かっていれば、ネット上で迷子になることもないし、ほんとうに手軽です。Upload By 発達ナビ編集部――専門家による『ライブ配信』勉強会については、どうでしょうか。実は半年ほど前に見たときにはピンとくるテーマがあまり見つからなくて、しばらく利用していなかったんです。でも、最近また見てみたらメニューが増えていて、ライブで受ければよかった!と思うテーマもたくさん見つかりました。そのときに参加できなくても、見逃し配信があるのはいいですね。――どんなテーマに興味がありますか。保護者のストレスケアやレスパイトについてです。子どもといったん離れて心身ともに疲れを癒す、ということですね。『発達ナビPLUS』で初めて知った言葉でした。それから、これから配信になるセミナーですが、専門家による子どもとのかかわり方をテーマにした勉強会も参加したいと思っています。――今後、活用したいと思われるのは、どのサービスですか。やはり「特別支援教材」を活用したいです。発達障害のある子は、どういう部分が突然伸びるか分からないんですよね。定型発達の子を想定した教材を、一時帰国したときに買って持ってきたとしても、役立たない可能性もあります。(新型コロナの影響で)今だけかもしれませんが、そもそも簡単に一時帰国できない状況ですし。その時々の成長段階に合わせて、今必要な教材を即ダウンロードできる宝庫が『発達ナビPLUS』にはあるので、積極的に活用したいと思っています。海外にいるからこそ、療育などの情報は自分で取りにいきたい。日本での準備は大切!Upload By 発達ナビ編集部――『発達ナビPLUS』のサービスだけでなく、お子さんの成長のために、普段意識していることを教えてください。自分たちに必要な情報に、まずはつながることが大事だと思っています。日本にいても、児童発達支援は親が動かないと受けられないですよね。今は、ネットを活用すればいくらでも情報があるので、どんなサービスでも、使えるかどうかは行動次第だと考えています。海外にいると、日本にいるよりさらに入ってくる情報が少ないので、ひたすら調べています。悩んでいることに対してピンポイントの答えを見つけることもあるし、自分の拠り所になる施設やサービスを探すことも。そこから自分の子どもに合った対応策を探していきます。それでも、自力で答えにたどり着けないことに関しては、個別相談のようにその子に合った答えをくれるところを探すといいんだと思います。――これから海外渡航を予定している方に、伝えたいメッセージはありますか。私はベトナムに来てから、「療育、やっぱりないね、どうしよう…」と必死で探して『発達ナビPLUS』にたどり着いたんですが、もし日本にいる間にその存在だけでも知っていたらよかったと思いました。本当は、日本に住民票を残しておいたら、オンラインで療育が受けられるのではと期待していたんです。自治体によるのかもしれませんが、私が住んでいた自治体に問い合わせしたら、日本にいないと受けられないと分かり、それで住民票も抜いて受給者証も返してしまって、療育に関しては完全にリセットされた状態になってしまいました。何もない状態でこちらの生活が始まったのです。そんな状況だったので、海外でも日本語で安心して利用できるサービスがあることを、追い込まれてから見つけるのではなく、事前に知っていただけでも、心の軽さは全然違ったんじゃないかと思います。だから、迷ったらとりあえず試してみることをおすすめします!海外で孤独な子育てがつらいとき、療育ができなくて不安なとき、相談という場で愚痴を聞いてもらうだけでもいいから、登録すれば寄り添ってもらえますよと伝えたいです。――ありがとうございました。取材・文/関川香織Upload By 発達ナビ編集部発達が気になるお子さんの保護者さま向けサービス『発達ナビPLUS』では、オンラインで医師・心理士など発達支援にかかわるさまざまな専門家と繋がり、個別相談や勉強会を通して、子育てをサポートします。― 発達ナビPLUSの3つの特長 ―1.「わかる」から「解決」まで子どもの行動の「どうして?」が分かれば、「こうすればいいんだ!」につながります。『発達ナビPLUS』では、各ご家庭に合わせた個別最適な手立ての実践までサポートします。2.50名以上の専門家がサポート医師、心理士などの発達支援の専門家が50名以上在籍。どこにも相談できなかった悩みも、幅広い専門性で納得いく解決策をご提案します。3.「すきま」でプラス忙しい育児の味方!5分でわかる解説動画も多数あります。スマホ一つでいつでも、どこでも子育てのヒントを。くわしくは、お得なクーポンも配布中の以下よりご確認ください。
2021年11月13日親子の関わりわが子が生まれてから親は、そのそだちのなかで、一所懸命にわが子に付き合い、あるときは涙し、あるときは安堵し、またあるときは心から笑い合ってきた。最初は、なにもかも手をかけ、どうしてなかなか自分でできないのかを悩みながら、徐々に手をかけることがすくなくなってきたことに、安心と寂しさを抱え、相変わらずできたことを褒めるよりも、できないことに口を挟み、次第にゆっくりと距離を置かれていく。親だからこそ、わが子の痛みや戸惑いを感知し、親だからこそ、それを未然に防ぎたいと思う。だからこそ、関係者へのまなざしが厳しくなる。自分が関われない状況において、それを他者に委ねるとき、われわれは、どれほどの信頼をもって、相手に託せるのだろう。幻想に近い期待は、現実の中で感謝となることもあれば、失望にも変化する。それがわが子の力不足という理解より、それをなぜ支え励ましてくれなかったのかと、委ねた方に思いが募る。自分が関われないだけに、わが子への思いが大きくなる。そこには関われない申し訳なさからの自責の念も隠れている。かといって、常にそばで関わり続けるべきかといえば、それもまったく現実的ではない。わが子への申し訳なさは、ついつい委ねた他者へ感情的になる。そんな微妙な揺れのなかにいる親の気持ちを知ってか知らずか、わが子は、わが子なりに成長していく。できないことから目が離せない親の言動が、子どもにとっては痛みと重荷になり、徐々に子どもも感情的になり衝突するか、距離を置こうとする。そこにまた、親は、追い打ちをかける。発達が気になる親子の関わりこれは、発達が気になる子の親に特徴的なことがらではなく、おそらく大なり小なり、多くの親子の関わり合いとも言えるだろう。唯一異なることとしたら、最近になって、長くこうした親子関係に付き合い、最近は子どもよりも親への関わりに重心移動してきた僕は、発達が気になる子を育てる親だからこその一所懸命さにある思いがあると感じてきた。発達が気になるわが子に対して、多くの親は僕は1歳半健診前後にすでに「うちの子、どこか他の子と違う」、「そだちが遅い」などの心配を抱えていることが少なくない、なにかしらの気づきがあると理解している。ただ、心配を抱えるイコール受診相談、そして診断という流れには、なかなかならず、多くの親は、今後のそだちのなかで、あるいは保育教育の場のなかで大きく変化するだろうと思っている、あるいは期待している。だから、健診や保育現場での関係者からのそだちに関わる心配な指摘に対して、同意しつつも反発、否定したい思いもある。しかし、自分自身も心配であったがゆえに、年長になったことをきっかけに、あるいは就学を前に、という節目節目で、医療福祉機関への相談を決意する。そこで診断されたことに、多くの親は、実は納得する部分もあるが、それ以上に大きなショックを受ける。一般に子どもにある障害を受容していく過程には、衝撃・拒否・悲嘆・抑うつ・受容といったD.ドローターの段階説と、成長発達の節目ごとに親が一喜一憂するというS.オルシャンスキーの慢性的悲哀説などが代表的である。いずれにしても、わが子に診断がつくということは、大きな衝撃であり、しばしそれは受け入れがたく、時に怒り悲嘆となり、気持ちは沈む。そこから再び立ち上がり、可能な限りの関わりで、思いを整理しようとする。しかし、それは、診断がなくなることでなく、全体としてわが子を受け止める道程である。故に、階段をどんどん上がっていくことよりは、節目節目で一喜一憂を繰り返す。どの時点にいても、最初の衝撃は消えることない思いとして親の心に留め置かれ、まさにそこから別の人生に歩みを変えたと思われるくらいである。多くの親が「この子を残して死ねない」と口にするが、そこには「この子と共に生き続ける」という覚悟も、診察室で強く感じる。そこには、わが子という別人格に対する親の思いというよりは、自分の一部としてのわが子という思いがあるように思われ、わが子の診断を受け止めることは、自らの生き方を大きく変えるほどの覚悟と表裏一体のようにも見える。この子を残して死ねないということは、この子を私は護り続ける、護り切るという大きな思いでもある。だから、子どもが成長していくなかで、多くの他者が介在していくことに、親は戸惑い、相手を厳しく査定し、評価する。発達が気になる子の親の思い子どもの親への思い成長していく子どもにとって、当初親は大きな守り神で、大きな支えであった。そだちのなかで、子どもはこの支えからしばし離れ、自分だけの力を試そうとしたり、別の支えを探そうとする。ごく自然に友人ができ、親以外の大人との関係性のなかで、ものの見方、考え方が変化していく。こうした他者の視点を取り入ることで、子どもは成長変化し、沢山のそだちの選択肢を手に入れる。それが時に親とぶつかる場合もあり、守り神は護り人となり、一番頼りになる人へと子どもにとって変わっていく。ほどほどに役立つ存在となり、そのすきまを、多くの他者が埋めていく。子どもにとって、成長していくなかで、支えは親から他者へとひろがっていく。発達が気になる子の親への思い発達が気になるということは、時に他者との関係性づくりが不器用で、信頼先の他者がなかなか登場しない、つくりにくいという場合もある。あるいは、親が、その思いから長く守り神であり続けてしまい、そこから離れる、自分の力を試そうとする時期がなかなか訪れにくくなることもある。もっとも、他者が、その方を護れず結果孤立させたり、傷つかせたりしてしまうことも少なくない。多様性をいくらうたっても、個々の許容範囲には、一定の制限がある。子どもにとっては、その許容範囲は決して広くはない。どこまでを許容してよいかは、風土や環境が決めている。それを構成する大人たちの文化がある。実際はまだ、そこには多様性という言葉で収まる社会ではないような気がする。だから、子どもたちもさることながら、そこに棲む親は、守り神で居続けないと護りきれないという思いを抱く。そこに、適度な分離というそだちに必要な舞台は、準備されにくい。親に孤立無援から抜け出してもらう過干渉、過保護という言葉は、社会が周囲がほどほどに干渉、保護していれば、徐々に消退していくと思っている。それでも過ぎた関わりを親がしなければならないのは、社会が、他者が、その人にとって、ほどほどの護りを示していないと判断されているからに他ならない。「親が先に死にます。その後、誰がこの子を守ってくれるというのですか」診察室でまだ幼いわが子を前に、若い親が口にする言葉に、親の孤立無援感を痛感する。国からも、地域からも、大切にされているという実感がない、と僕は感じてしまう。それでも、子どもが親から離れることで手に入れる自由に、僕はそだちの意味を思う。自由は快適ではないが、自分である程度のことを決めることの歓びは、その人にそだちにとって意味がある。生きにくさを感じることも、大切な経験であり、そこからすこしでも工夫と他者の応援を糧に、さらに自由に生きてほしい。痛みある自由を生きるわが子に、孤立無援のなか、いいようのない申し訳なさを感じつつある親に対しても、わが子のそだちから、ほんのすこし自由になってほしい。子どもたちは、親に対して護ってもらいたいという思いだけでなく、親に対して役立つ存在でもありたいと思っている。親を支える側にも立ちたいと思っている。それが、そだちである。そこから得る、子どもたちの夢や希望を親は信じ、わが子のこれからへの不安と、自身にある寂しさを抱え、距離をおいていく。子どもは未来に向かい、親は子どもを見守り続けながらも、自身の新しい未来を手に入れてほしい。
2021年11月12日とにかくできなかった算数、数学私はとにかく算数や数学が苦手で苦手で、苦痛で苦痛で仕方ありませんでした。文字を見ているといくらでも発想が広がっていくような楽しさがあるのですが、数字を見ているとまるで頭にモヤがかかるような感じがするのです。図形を扱う幾何や、ベン図などを扱う論理数学のような分野はまだ楽しいのですが、ともかく「計算」ができない。小学校のころに習う「つるかめ算」「植木算」などといった、本来計算を簡単にこなすためのはずの方便も頭がこんがらがってうまく覚えられませんでしたし、九九もいまだにあやふや。2ケタ以上の暗算はお手上げです。中学以降に習った方程式の立て方なども記憶が真っ白で、大人になった今となっては、一次方程式の立て方やパーセントの出し方も分からない状態です。小学校のころには国語で学年トップ、算数で学年ビリ、2教科平均でちょうどまんなかという「伝説的成績」を叩き出しました。高校のころには英語が満点近いのに、泣きながら吐き気を覚えながら必死で勉強した数学が13点で、英語と数学の点数差が80点以上だったことも…なぜ私は算数・数学が苦手だったのか?なぜ私はこんなにも算数・数学が苦手だったのでしょうか?30歳を過ぎて発達障害の診断を受けてからは、学習障害のひとつの算数障害があるのだろうと思っていましたが、40歳ごろに受け直した知能検査のあとの説明で、心理士さんから「数の処理は平均程度。算数障害と言えるような値ではない」と言われました。ただ同時に、「単純な暗記や、単純作業を正確にこなしていくのが苦手。理屈や意義が見いだせないことにはモチベーションが上がりにくい」とも言われました。私は暗記する分量の多い歴史科目も苦手でしたし、算数・数学の中でもとりわけ計算が苦手でした。こうした傾向は、「暗記」「単純作業を正確にこなしていく」の苦手に当てはまると思われます。確かに私はいくら練習しても九九がなかなか覚えられませんでしたし、計算のときには不注意による計算ミスが目立ちました。これに加え、私には「手書きで文字を書くのが苦手」という要素もありました。頭の回転に手の動きがついていかず、雑で読みにくい字になるので、手書きで計算式を書いていると途中で訳が分からなくなってしまうのです。特に桁数の多い足し算引き算などには顕著でした。教科担任制と、書字障害向けの学習支援が取り入れられていたなら…私にとって、算数・数学は小学校時点で「意義も理屈も分からない苦痛なだけのもの」になってしまっていました。苦痛になった理由の一つとして思いあたるのは、私が小学校の早い時点で教師にぶつけた疑問にきちんと答えてもらえず、まるで私が悪いかのように理不尽に叱責された経験です。「算数・数学はなぜ勉強しなくてはいけないのか。生きていくうえでなんの役にたつのか」「つるかめ算はどうしてこういう仕組みになっているのか。なぜ、これとこれをこうするとこの値が出るのか」「分数を分数で割るとはどういうことなのか。また、どうして分母と分子をひっくり返してかける決まりになっているのか」こうした疑問に担任の先生はなかなか答えてくれず、繰り返し訊いているうちにどんどん不機嫌になって「ともかくそういうことになっているんだ!」「屁理屈をこねて大人をバカにしているのか!」「なんてひねくれた性格の子なんだ!」などと怒鳴られるのです。いま思えば、当時の担任たちは私の質問したようなことについて興味がなく、そういうものだと捉えて疑問に思ったことがなかったり、知らなかったりしたのかもしれません。それを私が繰り返し質問するものだから、ついあのように怒ってしまったのだと思います。彼らは数学の専門家ではないのだから、知らない・分からないならそれも仕方ないのだと今は思います。ただそれなら「先生も詳しい理由は分からないんだよ。でも、とりあえずこうすることが一番便利だからこういうことに決まっているんだ」などという言い方をしてもらえたら、私も繰り返し質問することはなかったと思います。小学校も教科担任制になって、算数には数学を専門に学んだ人が教えてくれたならと思います。数学の専門家は数学の深い理論や、数学の世界でいま何が分かっていて何が分かっていないかを知っているから。彼らは、算数を学んで知識と技術を積み重ねていくことの意義や面白さについて語れるし、算数を教えることへのモチベーションも高いはずです。また、もし当時から書字障害への理解・学習支援があったなら、私はもっと楽しく算数・数学に触れられただろうと思います。私は中学のころ、数学のノートがあまりに汚いというので数学の先生に「やる気や教師への尊敬が足りない!」と叱責され、反省文まで出させられたことがあります。気持ちの問題ではない、どう頑張ってもできなかったのに…。努力してもきれいにノートが書けない子がいるという理解が浸透していてほしかったし、学習障害のある子にも使いやすいノートやタブレットPCなどのツールがあったならと思います。算数・数学への苦手意識を抱えながらも算数・数学が苦手であることは、私の人生にとって結構な損失だったと思います。理系科目が好きで理系に進みたかったけれど、大学受験で数学が必須になるというので泣く泣く諦めた経緯もあります。哲学にも興味がありましたが、入門的内容に触れるうちに「これは数学の素養がないと無理だ」と気づいて諦めました。けれど、最近は日常の簡単な計算だけでなく、統計をとるのもなんでも、計算自体はうまく設定しさえすればすべてPCがやってくれます。私はこれから福祉系の大学院の修士課程に進む予定なのですが、研究上必要な統計調査の計算自体はPCに任せるか、得意な人に頼んでやってもらおうと思っています。算数・数学が苦手なことには変わりありませんが、苦手の中身を分析できたことでだいぶ乗り切りやすくなったと感じています。たとえば、理屈なら大丈夫なので、同じ統計調査でも、どんな統計調査で何を調べるのかといったあたりの理解はできる。でも実際の計算処理は私には困難である、とか。そんな分析や振り返りの中で一歩ずつ前に進みながら、算数・数学に関して傷ついた自分の心を癒やしていっています。文/宇樹義子(井上先生より)「なぜ学ぶのか」が納得できないと勉強に取り組めないお子さんは一定数存在します。学校の先生は、そうしたときに学ぶことの意義やメリットを説明できる力が必要でしょう。人間は本来、興味を持ったことに対しより深い学びをしたいと感じるものです。好きなこと、興味を持っていることに絡めて教科学習に入っていけると、モチベーション高く取り組めると思います。例えば、インターネットゲームで海外の人とのチャットが必要となり英語を学ぶモチベーションとなったお子さんや、株取引に興味を持ちそのために数学を学びなおした人などもいます。高校で選択制カリキュラムとなり、苦手教科から解放されたと感じた人もいるのではないでしょうか。大学などの研究分野でも、専門分野や得意分野を担当する分業制は珍しことではありません。平均的な学力で進路を選択しないで済むように、入試制度なども変化していくといいと感じています。
2021年11月12日映画「梅切らぬバカ」トークイベントを開催Upload By 発達ナビ編集部2021年10月26日(火)に、東京・渋谷のユーロライブにて、映画「梅切らぬバカ」のトークイベントが行われました。会場には、当日イベント前に行われた特別試写を鑑賞した当事者家族ら関係者60名程が。試写に続き、トークイベントにもご参加いただきました。登壇したのは、この映画の脚本・監督をつとめた和島香太郎監督、映画の脚本制作時にも協力した横浜自閉症協会会長の中野美奈子さん、児童精神科医の三木崇弘先生、そしてLITALICO発達ナビ編集長の牟田が司会をつとめました。和島監督が、この映画に込めた想いとは?トークイベントでは、まず和島監督にこの映画に込めた想いについて聞きました。和島監督:以前、障害がある人のドキュメンタリー作品の編集に携ったのが映画を撮ろうと思ったきっかけ。地域の人との関りがなく孤立して困難を抱えている様子があったこと、近隣の方からドキュメンタリーでは近隣住民の被る迷惑が描かれていないと指摘を受けた経験がありました。障害がある人と近隣の人たちとの間にある溝を埋める、つながりやその可能性は、フィクションという形であれば描けるのではないかと考えて、この映画を撮ろうと考えるようになりました。Upload By 発達ナビ編集部それを受けて、児童精神科医の三木先生もコメント。三木先生:映画でも、隣の里村家の父親・茂が”隣の人”というような表現をしていたのが、”忠さん”と名前を呼ぶようになる。”こわい”“怪しい”存在から、”こういう人だよね”と人となりを理解し、一人の人として接するようになる。そういうことが大切。横浜市自閉症協会の中野さんは、自閉スペクトラム症と知的障害がある息子さんはコミュニケーションが苦手であることから、自身が地域活動に関わるようにしてきたと言います。中野さん:私自身が積極的に地域の活動に参加してきた。それによって、地域の中にさまざまなつながりができました。結局息子は地域外のグループホームに入居することになりましたが、私自身これから老いていく中で、地域の中につながりができたのは心強いと感じています。「梅切らぬバカ」というタイトルの意味するところは?「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあります。樹木の剪定には、それぞれの木の特性に従って対処する必要があり、それが転じて、人とのかかわりにおいても、相手の性格や特徴を理解しようとむき合うことが大事であるという意味をもつことわざです。この点を意識したタイトルや脚本であるのかを監督に伺いました。和島監督:不要な枝を切ろうとして、実は切ってはいけない枝を切ってしまったりする。人との関係ってそういう失敗がよくおこるのではないか。間違えた選択肢をとってしまうこともあり、人と関わっていく難しさに悩みながら道を探す。人と人との関わりというのはそういうものなのではないか。この映画を通して、よい方向に向かっていくプロセスを感じ取ってもらいたいです。和島監督の言葉を受けて、三木先生は映画を観て感じたこととして次のように発言しました。三木先生:映画の中でも、反対運動を繰り広げる地域の人も、忠さんと距離をとる隣人も、”これでいいのかな”と、どこかに迷いがある。やさしい面もあり、でも拒否する面もある。そういう周囲の人たちの気持ちの揺れも感じられました。Upload By 発達ナビ編集部トークでのやりとりを通して、当事者も、その周りの人たちも、心が揺れながら、失敗を重ねながらも良い方向に向かっていくプロセスを描こうとした監督の想いが伝わってきました。キャスティングについて母親・珠子役の加賀まりこさん、自閉スペクトラム症のある息子・忠さん役の塚地武雅さんの配役は見事でした。障害のある息子への母のあたたかなまなざし、自閉スペクトラム症のある人になり切った演技が見事だった塚地さん。このキャスティングはどのように決められたのでしょう。和島監督:昔、バラエティ番組で歯に衣着せず、共演者に本音で指摘する加賀さんの姿を見たことがあり、とても印象的でした。厳しいことを言うけれど愛情がある。珠子は占い師という役で、彼女を慕う女性たちの悩みを聞き叱咤激励するのですが、そこが加賀さんの姿と重なってぜひ演じていただきたいと思った。塚地さんについては、彼の芸を見ていて、物まねにしても、すごく対象に愛と敬意をもってこだわりをもって取り組むという印象がありました。忠さんは、そういう方に演じていただきたいと思ったのがオファーの背景です。また以前、ダウン症のお子さんの保護者の方に”あなたは地域の有名人になりなさい”といって育てているという話しを聞いたことがありました。塚地さんにはそういう愛されるキャラクター性があると感じていたことも、オファーの理由のひとつです。中野さん、三木先生も俳優陣の演技力のすばらしさに驚いたと言います。また、三木先生は、地域の反対派を演じる俳優たちの揺れ動く演技もまた見事だったと話してくれました。脚本について脚本では、横浜市自閉症協会の中野さんのご意見も伺いながら練りあげたと言います。例えば忠さんに母親が「(これから)どうしたい?」と聞き「お嫁さんをもらいます」というシーン。そこにもこだわりはあったのでしょうか?中野さん:私自身、きょうだいに全介助の障害があって。彼女が20歳になったころ、結婚したいと言ったのですが、そんなの無理でしょうと聞き流してしまった。でも今は、どんなに重い障害があってもどうしたいか本人の意思を尊重する”意思決定支援”というのが重要視されるようになっています。そのあたりがちゃんと描かれているなと感じました。Upload By 発達ナビ編集部三木先生もこのシーンについて、とても印象的だったと言います。三木先生:映画では、母親は「どうしたい?」と聞きながら、「とはいえ母と一緒にいたいと思っているでしょう」という気持をもちながら聞いていたと思う。でも、母の想いと違う形で忠さんの想いが表出されるところがいいと思いました。忠さんが家を出てグループホームに入居したシーン。息子をグループホームに送ったあと、一人スーツケースを転がしながら家に帰っていく母の後ろ姿は、そうした思いを保護者側が飲み込んだんだな、子どもの想いを大切にしたのだな、ということを感じさせてくれました。親なきあとについて映画では、中年にさしかかった自閉スペクトラム症のある息子と高齢の母の暮らしを描いており、親なきあとについても考えさせられます。障害のある息子さんのいる中野さんは、親なきあとへの備えはどのようにしているのかを話してくださいました。中野さん:私はきょうだい児でもありますが、きょうだいは中年になっても実家にいて、母が倒れたときに横浜と実家のある四国を行き来する生活を余儀なくされました。そのような経験からも、息子が20代前半からグループホームに入れました。グループホームはなかなかあいておらず選択の幅もあまりないかもしれないけれど、早いうちから「ここだけは譲れない」という点を整理しておくことも大切ではないかと思います。と、グループホームの入居についての実体験を話してくれました。また、グループホームでの生活においては、周囲や支援者の支援や環境調整などが大事だともお話いただきました。Upload By 発達ナビ編集部また、環境調整に加えて、家族や支援者を信頼し、障害がある人の意志や想いを伝え叶えられてきた経験の積み重ねも大切ではないかという話もでました。親なきあと、わが子が支援の網の目からこぼれ落ちずに幸せに暮らしていくためには、必要な環境を事前に用意しておくこと、そして支援者を信頼し自分の意志を伝える関係性を育める土台があることが大切なのではないかと改めて気づくことができました。この映画を届けたい人「障害のある人が身近にいない人、今まで関心がなかった人に届けることができたら」という想いは、監督はじめ、登壇者皆同意見でした。「障害のある人のまわりの人の目が、”あの人は怖い”という監視の目から、“こんなことが好きな人だよね”というような見守りの目になってくれたら」というのは、監督のみでなく、障害がある人やその家族皆のねがいなのではないでしょうか。俳優への興味関心からこの映画に興味を持ち、観てくれるのもひとつのきっかけとなるでしょう。また今後、映画館のみでなく地域の学校や施設などで上映会などが広がっていったら、企業のダイバーシティ研修などでも活用できたなら…。これからも末永くこの映画が、理解のすそ野を広げてくれることを願ってトークイベントは終了となりました。『梅切らぬバカ』上映情報Upload By 発達ナビ編集部11月12日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー都会の古民家で暮らす自閉症の息子と母。息子が50歳を迎えるのを前に、母は「このまま共倒れになっちゃうのかね?」とつぶやきます。障害のある人に不寛容な社会の中であっても、寄り添いながら暮らす母子の姿を温かく誠実に描いています。一人ひとりと誠実に向き合う中で、小さいけれど確かな未来への希望が生まれていく様も感じさせてくれる作品です。監督・脚本:和島香太郎出演:加賀まりこ、塚地武雅渡辺いっけい、森口瑤子、齋藤汰鷹、林家正蔵、高島礼子配給:ハピネットファントム・スタジオ
2021年11月11日