精神科へ行くとき発達が気になるわが子のことで、保護者の方が精神科に相談に行こう!と思っても、「診察でどんなことを相談したらよいのだろう」と迷っていたり、困っていたりしているのではないかと思います。あるいは連れて行くわが子になんと言ったらよいかと思っているかもしれません。ここでは、発達が気になる子どもの保護者の方が精神科に行くことについて、ちょっと考えてみたいと思います。そのうえで精神科でできることについてもすこし考えてみました。そもそも、受診前の保護者の思いは?とても前向きです。おそらくすでにいろいろと学ばれ、ある程度は医療的にどういった診断がつくかも想定されているかもしれません。そのうえで、自身も家族もきちんと理解したうえで、できれば関係者と手を携え、わが子のそだちを応援していきたい、という思いがあるのでしょう。その場合は、医療はきちんとその子の発達の様子を聞き取り、どういった関わりをしていくことが、よりよいかを一緒に相談し、可能な範囲で周辺の関係者とも連携をしていくことになるでしょう。でも…どんなに学んでも、どれほど頑張ろうとしても、本当は、わが子の思いに寄り添い、理解して関わりたい、それが一番の望みではないでしょうか。診断が付いた、関わりも整理できた、味方も得た。でも…本当は気になるわが子がなにを感じて、どう思って日々を送っているか、それが知りたいと思っているのではないかと思ったりしています。確かにわが子の様子も気になるが、まだなにを相談したいか、あるいはもう少しそだちの様子をみてから判断したいと思っている。でも、まだあれができない、これが遅い、あれが心配、これをどうしたら、と言われると、なにもしていない保護者のように思われているような気がする。医療に行ってなんになるという思いと、行くことで、わが子の様子がある程度はっきりするのかもしれない、という揺れる思いでいるかもしれません。だから…なんとなく、今いろいろなことがはっきりしてしまうことに、その後になにをしたらよいのかに、ただちょっと不安だったりしています。家族でも、段々と育っていくのではないかと、いう話になったり、周囲の様子を見て焦ったり、日々揺れています。だから…自分が、これをはっきりさせたいと思ってしまうと、どんどん、待ったなしでことが進んでしまうのではないかと、不安ばかりです。でも…もし、相談に行って、この揺れる思いがちょっと落ち着いて、わが子のそだちに向き合えるようなことになれば、いいなと思っているかもしれません。だから…きっと保護者として知りたいのは、わが子に今なにをすることができるのか、するべきなのか、という示唆なのではないかと思います。そもそも精神科ではなにをしてくれるの?上記のように、保護者はそれぞれ複雑な思いを抱えています。診断もさることながら、わが子にどう関わっていくべきかを知りたい、そして周囲にも理解してもらいたいという思いは一緒かもしれません。精神科は医療のひとつなので、当然病気を治すことに力点を置いてはいます。でもその一方で、困っていることを整理して、ちょっと生活をよくしたいと思う方々へのお手伝いもするところです。つまり、日々の生活をすこしでも過ごしやすくすることです。そのために、もつれているような糸を、一緒にほぐしたいと思っています。もつれは、保護者とわが子の関わりにあるかもしれません。保護者同士、家庭内にもつれがある場合もあります。関係者ともつれているかもしれません。わが子が他の子どもたちとの間でもつれている場合もあるでしょう。それは、それぞれによって異なります。そのもつれをほぐすために、医師は、その子の思いに想像を巡らし、保護者、関係者の思いに近づくために、面接をします。面接や心理検査、いろいろな情報を取得して、その子の言動や考え方を理解しようとします。一見奇妙に見える言動も、こちらの思いが届いていないように見える様子にも、一定の仮説を立てていきます。ひょっとしてこの子は、こんな風に物事を感じて、あんな風に考えているのかもしれないな、と想像し、日々の現実から検証します。想像が外れたら、また別の想定をして、できるだけその子の思いに近づこうとします。その過程で保護者や関係者が感じている、その子理解との検証をしていきます。ある人のその子理解と、別な人の理解は決して同じではないでしょう。かんしゃくを起こした子がいます。ある人はお腹がすいて不機嫌なんだと思うかもしれません。また別の人は好きなメニューでないから、また別の人は早く家にかえりたいから、他にも、さっきの遊びが思うように行かなかったからと、それぞれがその子の思いを代弁します。でも本人はちょっと眠たかったけどそれをうまく言葉で伝えられず、そしてちょっと寝ていいよと、誰も言ってくれないので、かんしゃくを起こした。でもそれは、その子が『眠たい』と言わない限り、なかなかわかり得ないことです。決めつける前に、いろいろとこれまでの経験から一緒に協力して推測する情報交換することで、その子理解は深まります。曖昧ななかでも精神科に相談しようと思った時点で、なにかしら漠然とした思いが保護者にはあるはずです。その思いを言葉にすることで、徐々に輪郭をはっきりとさせて、曖昧な相談が確認したい項目へと整理されていきます。診察室で大切にしていることできるだけ個々の不安や心配事に近づき、整理するお手伝いをしていきたいのです。でもその思いは個々に異なります。両親が来たときも、それぞれの保護者が不安に感じていることは別々なものです。保護者が発達の気になる子どもをつれて受診されたとき、僕は子どもに向かって「今日ここに来ることを、どんな風に説明されたの?」と確認します。ほとんどの子どもは、首をかしげます。「聞いていないのかもしれないね」、「ここは、生活しているなかで困ったこと、いやなこと、心配なこと、相談したいと思っていることを相談する場所なんだ」と伝えます。「もしかして、お父さんやお母さんが、なにか君が相談したいことがあると感じたのかもしれないね」と付け加えることもあります。いずれにしても、多くの子どもは、最初は「ないよ」と話します。初対面の大人に、気楽にべらべらと相談できるほうが、心配な位ですから、僕は「ないか、よかった。今はない。でも、もしこれからなにかあったら、相談しようね。ここはそのための場所だから」と伝えます。「じゃ、同じように今日はお父さんやお母さんからも、心配なことがあれば相談したいので、ちょっと待っていてね」と、子どもにはプレイルームへ移動してもらいます。もっとも、切羽詰まっている子どもの場合は、最初の関わりでたくさんの困りごとを語ることもあります。その場合は、診察室での面接を続けていきます。プレイルームに移動した場合でも、スタッフと遊びながら、ちょっと困ったことを口をしたりすることもあります。そのときは、スタッフは、それを相談したらいいんだよと後押しします。診察室では保護者の困りごとを聞きます。発達のうえで「気になっている」ところ、そして今日、受診するまでにあった思いを聞き取り感じ取りたいと思います。診察室は、子どもの、そして保護者の、今困っているこが語られるところです。そうしたことが、できるだけ肩の力が抜けて相談できるよう、環境、雰囲気を大切にしたいと思っています。精神科は生活相談する場所でもあります。生活相談は多種多彩です。漫画(ドラマ化もされた)『深夜食堂』のマスターの台詞に「できるものなら、なんでもつくるよ」というのがあります。生活相談も「できるだけのことはするよ」というようなことです。同時に子どもたちや保護者、関係者にも「できることはしてね」と思っています。できること、でいいのです。
2021年05月25日前回のお話はこちら劇の発表会、コウの涙と復帰の理由は…?Upload By 丸山さとこ今回は、前回のコラムでお話した『発表会でトラブル発生(?)事件』の続きです。保育園の発表会にて”変身するきつね”を演じていたコウ。他の子どもたちが次々と被り物を変えて現れる中、パネル裏から一向に出てこないコウは一度舞台を降り、先生の助けを得て何とか変身完了!無事踊りを終え、その後のフィナーレにもしっかり登場していました。無事発表会も終わったあとでコウと先生から聞いた話を総合すると、草むらのパネルのうしろに並んでいた被り物の向きが(多分ほかの子の手が当たったことで)いつもと逆になっていたのが原因だったとのこと。分かりそうで分からない理由に「え、どういうことですか?」と詳しく尋ねていくと、次第に事件の全容が見えてきました。それぞれ子どもたちの頭のサイズに合わせた被り物の内側には名前が書いてあり、通常はそれらの名前が見える向きで並べられていたそうです。Upload By 丸山さとこそれが逆向きになることで名前が隠れ、コウが「自分の被り物がない!」とパニックになってしまったのが一連の動きの真相だったと知り、納得しました。多分、コウ以外の子であれば被り物を手に取って名前を確認したり、最後に残った1つを被って出たりしたのだろうと思います。それらの発想もなく「名前が見えない→自分の分の被り物がない」と”見たまま”に判断して泣いて舞台を降りるところも、そこまで泣いたのに「自分の名前の被り物があったから」と再び舞台に上がって踊るところも、『コウだなぁ…』と感心しました。大丈夫ではなくても、心配はしなくていいのかもしれない当時のコウは、見通しが立たずパニックになりやすかった反面、アッサリとした切り替えの良さがありました。Upload By 丸山さとこ劇で見たコウの姿はその最もたるものという感じで、「あぁ、何だかんだ、この人なりのペースで何とかやっていくのかもしれないなぁ…」と、薄っすらとした不安が薄っすらとした希望で打ち消される(?)ような気持ちになりました。その後コウは、成長に伴い少し見通しが立つようになりました。そのことで減ったパニックもあれば、見通しが立つことで起きるパニックは増えたりもしていて、中々一筋縄ではいかないコウとの毎日です。Upload By 丸山さとこ「何で!?さっきはなかったのに!」と混乱する息子を見ながら「園児のころの『あるんならそれでいいや』という割り切りは、あれはあれでありがたかったんだなー!」としみじみしていた小学校低学年を過ぎ、今コウは小学6年生。コウが”自分の見える範囲の情報をもとにした予測”でパニックを起こす姿を見ると、『私も同じようなことをやっているのだな』と思うことがあります。私よりもっと今の状況や遠い先のことや全体図が見えている人からすれば、私の姿は「そんなに慌てなくても大丈夫だよ(慌てても仕方ないよ)」と言いたくなるものなのではないかな?と思うのです。成長の見通しは”仮の姿”現在のコウも、探し物が見つからないときに私から「そこにあるよ」と教えられると、とっさに「え!何で?さっきはなかったのに!!」となることはしばしばあります。Upload By 丸山さとこけれど、高学年になってからは「あるんだからそれが事実か…多分よく見てなかったんだろな…」と、経験から客観的に自分を振り返ることも増えてきました。思いがけない成長を見せることもあれば、成長したことで一見”後退したように見える”こともあるコウの姿を見ていると、私が立てる見通しは仮の姿でしかないのだな…と思います。あてにならない見通しであっても立てないことには向かう先が見えませんし、見通し自体は大切ですが、それと平行して”今現在のコウ”を丁寧に(一歩引いて)見ることを忘れないようにしていきたいです。Upload By 丸山さとことはいえ、何かと「大丈夫なのー?このままだとヤバいのでは…!?」と焦ってしまいがちな私です。『先のことを見据えつつ”今現在のコウ”が生活しやすくなるようにサポートしよう』と取り組む中で、コウの保育園生活を助けてくださった先生方に改めて感謝を感じる、園生活の思い出でした。発達ナビライターによる園生活の困りごとエピソードを集めました。
2021年05月24日今後のことについて悩む「PP団」の幹部。そこに現れた『仲間』に翻弄され…カフェ・レインボーが臨時休業。みんな様子がいつもと違い…!?Upload By 荒木まち子レンジャーたちを苦しめる最大の敵、その正体は…Upload By 荒木まち子執筆後記梅雨や台風の季節、朝晩の温度差が大きい時期は発達(ビンカン)さんたちはさまざまな症状が現れてつらいですよね。ちなみに喘息持ちの私は台風の発生が天気予報よりも先にわかります笑レンジャー漫画は折り返し地点まできました。最終話まで楽しんでいただけたら幸いです。(来月はお休みします)LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月23日小1の9月、放課後等デイサービスに通い始める小学校に入学したばかりのころ、通級以外の療育や習い事には通っていませんでした。塾や放課後等デイサービスの見学に行くも、ミミの反応がイマイチだったので申し込まなかったんです。少し経って療育を受けられるところをネットで探していると、近所に放課後等デイサービスがオープンするとわかり、体験を申し込みました。ミミは担当の先生のことが大好きになり、楽しくて仕方ない様子。1時間があっという間に過ぎました。ミミが自分から「通いたい!!」と言ったのですぐ申し込みました。Upload By taeko放課後等デイサービスの後、ミミは満足そうにしていて、毎週楽しく通っていました。1ヶ月が過ぎ、2年生の男の子と一緒に活動することに。S君はミミをリードしてくれて、お互いに良い関係になりそうだなと楽しみに思いました。初日は良い感じで終了。ところが、2回目からミミの「指摘グセ」が出始めました。S君はおっとりした性格。負けず嫌いなミミは、勝てると思って?上から目線でいろいろ言います。さらに、初めて取り組む負けそうな活動は、「やらない」と言うように。ヒヤヒヤするけど、マジックミラー越しに様子を見守っていました。S君のママと子どもの話ができて私は楽しかった…。今思うと、ミミは楽しくなかったのかもしれない。Upload By taeko少しずつ態度に変化が…3ヶ月くらい経ったころ、放課後等デイサービスの方針で、ミミが大好きな先生との関わりを少しずつ減らしていくと知りました。ミミにも早めに伝えました。その影響もあってか、ミミの放課後等デイサービスでの乱れが目立つように。部屋に入るのを嫌がる、椅子に座らず床に寝そべる、パーテーションの後ろに隠れる、ホワイトボードに書かれた文字を消す、今日の活動内容を知り、興味が湧かなかったら全く取り組まないなど。S君が「やろうよ」と誘ってくれても効果なし。パパと行ったときもグダグダで、パパから怒鳴られてしまい涙を流して帰ってきたのでパパに頼むのはやめました。やりたくない気持ちや、興味のないことはやらなくても仕方ない、と思って私は叱らないで見守りました。工作で太巻をつくる活動があった日も、ミミはつくりませんでした。S君は頑張ってつくり、できた太巻をお母さんに渡していました。ミミは私に「つくって欲しかった?」と聞いてきたので「ううん、ミミは太巻好きじゃない(食べない)からつくりたくないんだよね、いいよ」とは言ったものの、何でつくらないのかなと思ってしまいました。その後もグズグズが続いて…。ボール遊びは好きだけど、新しいルールの場合は参加しない。先生に対しての言葉遣いが荒い。保育園のころに通っていたリトミックや運動療育で、何の活動にも参加しなかったときのことを思い出しました。Upload By taeko個別指導が合うのかも?4月から2年生になり、引き続き通級と放課後等デイサービスに通うミミ。放課後等デイサービスは先生が変わり、再び個別指導になりました。個別といっても、同じ部屋にパーテーションを隔てて3組で活動しています。隣が気にならないかと心配したけど、同年代の友達と競い合うことなく安心して取り組んでいます。ミミには個別のほうが合っているのかも。通級はどうなるかな?2年生のミミをゆっくり見守っていきたいです。Upload By taekoLITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月21日考えないわけにはいかない、「きょうだい児」の妹のことUpload By かさはらあやこ障害や病気がある子の兄弟姉妹のことを〝きょうだい児〟といいます。私がこの言葉を知ったのは 自閉症について調べるようになってからなので、一般的にみるとたぶん知らない人の方が圧倒的に多いだろうし、当事者の気持ちになって考えることなど身近にいない限りはないと思います。そして自閉症育児に奮闘しているわたしが、きょうだい児について悩んでいると言ったら、周囲の人はきっとこういいます。まだ小さいのに考えすぎ大丈夫育て方次第そう、そうかもしれない。でも、考えないわけにはいかないのです。兄に手がかかって我慢を強いてしまうのではないか。しつけが不平等になってしまうのではないか。好きな人と結婚できないのではないか。この先に感じるであろう疑問や将来への不安に、しっかり耳を傾けてあげられるだろうか。食事中に首をひたすら振る兄をみて喜んで笑いながら真似をする。突然泣き叫んで酷い癇癪を起こす兄を不思議そうにみつめる。おもちゃを奪い合った後にこちらに視線を投げてくる…。そんな娘に、なんと声をかけてあげればいいのか、どうやって接していけばいいのか、ずっとずっと悩んできました。医者から言われた「誤学習をする可能性がある」Upload By かさはらあやこ娘が1歳になったばかりのころ、息子の通院している病院で、娘について「みたところ発達が非常に良いので、早く集団に入れたほうがいい。誤学習をする可能性がある」と言われました。兄の真似をして首を振ったり、兄が食事を口に運んでもらう様子をみて自分で食べなくなったり、〝誤学習〟に心当たりがあったわたしは、とても焦りました(その日のうちに某幼児教材を契約したくらい焦りました)。翌日に児童発達支援の先生が、「私はそれを誤学習だとは思わない」とはっきり言ってくださったため、モヤモヤした気持ちは打ち消すことができましたが、医者からの「誤学習」という強いワードは心の中から消えることがなく、いまも、ことあるごとに脅かされています。妹が保育園でお友達を押してしまった。押し寄せる不安Upload By かさはらあやこ4月から保育園に入園。慣らし保育が終わって少し落ち着いたころ、妹がお友達に対して「だめ!やだ!」と言ったり、ときには手が出て、押してしまったりする案件が発生。家で遊んでいるとき、兄におもちゃを奪われることが多い妹は、大きな声を出して抵抗し、奪い返しに行きます。兄も、こだわりのあるおもちゃであれば何度でも奪いに行き、奪い奪われ癇癪を起こし、妹は大声で泣く。そんなことが目の前で起こっているとき、両者にどう声を掛けていいのかわからず、ただ呆然と見ているしかない状態で、こちらに余裕がないときは特に、息子に癇癪を起こされては困ると、「いっちゃんはいいの!」と兄を庇うこともあり…。そのせいで、「だめ!いいの!」と、娘も混乱しているような言葉を発しながら、おもちゃを奪うようになってしまいました。私が母親だから、兄が自閉症だから、というような家庭環境のせいで、このまま娘が保育園という社会の中で、横暴な振る舞いをするようになったらどうしよう。どうしよう。どうしたらいいんだろう。そんな気持ちが一気に押し寄せてきて、涙が止まりませんでした。きっと正解なんてない。関わってくれる人たちと一緒にUpload By かさはらあやこすぐに保育園の担任の先生に相談し、それから児童発達支援の先生方にも相談。先生方はすぐに時間を割き、真剣に話を聞いてくれました。そして、いま私が悩んでいる娘の行動は問題行動ではなく、年齢的には相応しい2歳児の遊びであり、コミュニケーションの取りにくい兄とのやり取りの一つであること。物を取られるかもしれないという不安感をなくすため、取られても戻ってくる見通しを持たせる遊びを取り入れて、物の永続性を学習させる。家庭でのルールを少し緩和する(兄によしとすることを妹にもよしとする)。など〝私に対しての〟具体的なアドバイスをくれました。(先生方、本当にありがとうございました!!)〝きょうだい児〟の問題に関しては、同じように悩んでいるひとたちが数多く存在すると思います。沢山いるはずなのに、〝きょうだい児・喧嘩・正しい声の掛け方〟と検索しても、欲しい答えは見つかりません。どう声をかけたらいいのか。どう接したらいいのか。正解なんてないのだと思います。だから、・聞いてもらう・色々な人の意見を聞いて考える・いまはやりすごす(成長を待つ)・目を瞑ってなんとか乗り越える・一人で悩みすぎないそんなことが必要なのだと思いました。そして、この問題に関しては、成長と共に悩みの種類も変化し、一生悩みは尽きない気がします。自分ひとりで抱え込むのではなく、関わってくれている人たちみんなに育ててもらうつもりで悩みとうまく付き合っていかなくてはと思います。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月20日【追加アンケート】3つの商品化候補グッズについてさらに詳しく教えてください!【みんなのアンケート】21アイテムから「ほしい!あったらいいな」を教えてください!にご協力いただき、ありがとうございました。なんと1,100名を超える方からご回答をいただきました。「たくさんほしいものがあって、1つしか選べなくて困る…」など、みなさまからの投稿コメントやご要望のお声も嬉しく拝見しました。ありがとうございました。今回は人気の高かった順に、次の5つに商品化アイテム候補を絞りました。1.椅子の姿勢崩れを防ぐ「両面滑り止め付きクッション」2.感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」3.“1人になりたい”がかなう「室内テント」4.勉強道具もゲームも持ち運び「お片づけ収納ラック」5.曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」今回多くの共感をいただいた5つの「欲しいグッズ」の中から、具体的な商品化に向けて、以下の3つのアイテムについて、さらに詳しくみなさまのご意見を教えていただくために、追加アンケートを実施いたします。アンケートを通して、発達ナビユーザーのみなさまと一緒にグッズをつくっていきたいと考えています。ぜひご回答をお願いいたします!次の3つです。(所要時間:約10~15分)・感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」・“1人になりたい”がかなう「室内テント」・曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」※ご自身に関係のある箇所だけお答えいただいても結構です※5月31日(月)まで※上記アンケート回答ボタンを押すと、株式会社フェリシモが実施するアンケートサイトページへ遷移します
2021年05月19日連載に込めた思いこんにちは。加藤路瑛です。僕自身、感覚過敏の特性があることから13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。発達ナビで感覚過敏に関するコラムの連載を担当することになりました。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。Upload By 加藤路瑛僕は現在15歳、高校1年生です。自分が感覚過敏だと気がついたのは中学1年生のときでした。振り返れば、小さいころから感覚過敏だったと思います。しかし、感覚は他人と比較できません。音に敏感、靴下がはけない、給食が食べられない…いろいろな感覚の過敏さがあったのだと思いますが、これが僕の日常であり、他の人も同じように苦痛を感じながら我慢しているのだと思ってしました。そして、我慢できないのは僕が弱いのだと思っていました。ただ、何が苦痛なのかも小学生のころはわかりませんでした。「何かイヤ」そのような表現しかできなかったので、わがままな子だと思われていたと思います。小学生までは、自分の感覚による不快感は表現できませんでしたし、感覚過敏という言葉も知りませんでした。今、感覚過敏という言葉を知り、感覚過敏で悩む人や家族と交流する中で、ようやく自分の感覚について言語化できるようになってきました。まだ自分の感覚の困りごとを表現できない小さな子の代弁者として、発達ナビで感覚過敏について語りたいと思います。第1回目は、僕が感覚過敏を知るきっかけとなった話をしたいと思います。保健室に通う日々中学に入学し、少しずつ学校生活に慣れてきたころ、教室にいると具合が悪くなることが多くなり、気がつけば保健室に頻繁に向かうようになりました。頭が痛いのです。保健室で休んでいると体調は良くなります。原因は自分でも良くわかりませんでした。しばらくそんな日が続き、2学期になりました。夏休み明け、教室は賑やかです。みんなが楽しそうに話し、笑い声が溢れます。耳に女子生徒の笑い声が届いたとき、痛みを感じました。どうも、クラスメイトの甲高い笑い声に反応して頭痛がするようなのです。保健室の先生にその事実を話してみました。「もしかすると、聴覚過敏なんじゃないかな?デジタル耳栓というものがあって、それをつけると頭痛がしなくなるかもしれない。あとで、デジタル耳栓の資料を探して担任の先生にお伝えしておきます」という話になりました。デジタル耳栓の資料をもらい、家に帰って母に話してみました。デジタル耳栓とは、環境騒音を防ぐ電池式の耳栓です。話し声などは聞こえるので授業などで使用しても先生の声は聞こえるという説明でした。どんなものか分からないので、まずは買ってみることにしました。Upload By 加藤路瑛デジタル耳栓をすると、エアコンから聞こえる空調音が消えました。時計の音、外から聞こえる車の音。そういう雑音が消えました。話し声はしっかり聞こえました。ただ、ワイヤレスではなくコード付きでしたので、コードのこすれる音が耳に入り快適とはいえませんでした。でも、これで学校にいるときの体調不良が治るなら、まずは使ってみたいと思いました。デジタル耳栓を使うことのカミングアウト保健室の先生と担任の先生にデジタル耳栓を使いたいと話しました。先生側からの提案だったのでもちろん使用の問題はなく、担任の先生は、学年や担当教科の先生に僕がデジタル耳栓を使うことを説明してくださいました。1つの課題は、クラスメイトの反応でした。黙って使用すれば、イヤホンで授業中に音楽を聴いている人に見えるかもしれません。クラスのみんなにも、デジタル耳栓を使うことを知ってもらう必要があると先生に言われました。担任の先生は理科の先生でした。ある日のホームルーム。先生は、音が聞こえる仕組みや音域の話など、聴覚の説明をしながら、デジタル耳栓の効果など科学的に説明してくれました。そして、「これから加藤さんはデジタル耳栓を使うのでよろしくお願いします」と話してくださいました。そのおかげか、デジタル耳栓をつけていても、クラスメイトに何か言われることもありませんでした。しかし、残念なことに甲高い声をシャットダウンする機能はありませんでしたので、僕の頭痛は頻繁に発生しました。授業中は、みんながノートをとる筆記音や、電気や空調の「ジー」とか「ゴー」というような雑音はなくなり集中できました。感覚過敏を知ったときの解放感保健室の先生に「聴覚過敏」」という言葉を教えてもらいネットで調べました。すぐに「感覚過敏」という言葉にたどり着きます。感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さのある状態をいいます。・苦手な音があるって頭痛がする。・ニオイに敏感で、いろんなニオイが混ざった場所にいられない。・レストランは食べ物が混ざったニオイがして苦手。・食べられるものがほとんどない。・靴下が痛くて履けない自分のさまざまな困りごとや不快感が、感覚過敏の症状にあてはまっていました。「僕は感覚過敏だったんだ」そう思ったときの納得感。今までのつらさの原因がわかった解放感は言葉では表現が難しいですが、曇っていた視界がクリアになった瞬間でした。自分が自分でないような感覚、暗闇の中をよくわからないまま歩いていた状態、そんな説明し難い状況が本当に吹き飛んだのです。聴覚過敏、小さい子が表現するのは難しい僕は中学に入ってから、女子生徒の甲高い声で頭痛がすることに気がつきましたが、症状が出たのが中学生というわけではありません。振り返れば、小学生のころから頭痛持ちでした。頭が痛いことは伝えられますが、その理由を分析することはできませんし、どんなときに起こるのかも考えることはできませんでした。とにかく頭が痛いのです。たとえ、苦手な音が何なのか自覚できたとしても、聴力に問題がないとか、普段は問題なく生活できていれば、「ちょっと神経質な子」「わがままな子」と思われる可能性もあります。僕は中学生で気がつき、自分の状況を冷静に先生に相談することができました。もし、僕が、教室で不快な音があったとして、急に耳を塞いでしゃがみこんだり、「うるさい」と怒鳴れば問題児扱いされたかもしれません。小さい子が苦手な音があって辛いということを親や先生に伝えるのは難しいことだと思います。ですから、子どもと不快のもとが何なのか話し合える環境が大事だと思います。僕は、自分の経験から、自らの感覚の過敏さを表現できない子のために、「感覚過敏研究所」で感覚過敏をキャラクター化して、感覚過敏マークを作っています。缶バッジにして販売もしています。Upload By 加藤路瑛参考:感覚過敏研究所の感覚過敏缶バッジの詳細感覚過敏缶バッジを手にしながら、生徒たちが「私の中にコアラ(味覚過敏)がいる」「僕はウサギ(聴覚過敏)」と自分の過敏さを見つめ、生徒同士で語り合えたという事例を、感覚過敏缶バッジを活用してくださっている学校の先生から連絡いただいたこともあります。このように過敏さを視覚化し、自分の中にある困りごとを表現できるようになることが感覚過敏の困りごとを解決する一歩だと僕は思っています。僕の聴覚過敏対策僕の場合は、デジタル耳栓では聴覚過敏の困りごとのすべては解決できませんでした。15歳、高校生になった今、僕は通信制高校への進学を選択したので、教室での賑やかな音で悩まされることはありません。日常生活では、かなりの多くの時間をヘッドホンで音楽を聴いたり、動画視聴しています。自分の好ましい音に囲まれて生活しています。Upload By 加藤路瑛聴覚過敏用のシールは桃色とこげ茶があります。また、状況に応じて、ノイズキャンセリングのイヤホンも使っています。ほぼ環境音はガードできています。このレベルのノイズキャンセリング機能が備わったイヤホンが中学1年生のときにあったのなら、僕の中学校生活はもう少し快適だったかもしれません。ノイズキャンセリング機能はこれからも進化していきます。ぜひ、テクノロジーの進化も利用して、聴覚過敏の困りごとを解消してほしいと思います。まとめ第1回目の連載はいかがだったでしょうか?感覚は目に見えず、他人と比較できないから、苦しさをうまく表現できませんし、他人に伝えるのも難しいです。小さい子だったらなおさらです。僕も自分の感覚について向き合えるようになったのは中学生になってからです。感覚過敏研究所の所長として、たくさんの人の感覚過敏の話を聞くようになって、ようやく冷静に分析できたり、対策を考えられるようになりました。大人の方や専門家の方が解説する感覚過敏とは違う視点で、当事者として、子どもの代表として、感覚過敏についてお伝えしていきたいと思います。次回のコラムもお楽しみに!LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!参考:感覚過敏研究所
2021年05月18日「できるけど疲れる」ことがたくさんある筆者が吉川先生を知ったのは、2018年11月にNHK総合で放送された『発達障害って何だろうスペシャル』だった。千原ジュニアさんや南沢奈央さんらをMCに据え、スタジオには小島慶子さんのほか、筆者がテレビ取材もさせていただいた“トリプル発達障害”の漫画家・沖田×華さんも出演。そこでの吉川先生の発言に、思わず膝を打った。「発達障害のある方に関して『何かができるかできないか』っていうことだけで見ると、見誤るんですね。『できる』と『できない』の間に『できるけど疲れる』ことがたくさんある」(吉川先生番組内で)誤解を恐れずに言えば、吉川先生はちょっと異質的な存在だ。元々教員になりたかったが、学校教員の文化が自分に合わないことに高校時代に気づき、子どもの精神科医という道を選んだ。大学教員などを経て「自分は研究者向きではない」と感じたといい、現在では多くの発達障害当事者や養育者に支持されている。Upload By 桑山 知之「“正確さを犠牲にした分かりやすさ”っていうのを意識しているんです。専門の研究者って、正確さを大事にしなきゃいけない立場ですよね。正確さを犠牲にできないじゃないですか。でも僕は研究者ではないから、『誤解を招きかねないけど分かりやすい』ということがいくらか許される立場なんです。研究者になってしまうとできない表現や書き方ができるというのが、研究者ではない医者の特権かなと」(吉川先生)確かに、前述の「できるけど疲れる」ことがたくさんあるというのは、それに当てはまらないケースがあるのも事実だ。しかしながら、発達障害の苦しみを理解するうえでは非常に分かりやすい表現だといえる。福祉や法律といったあらゆる領域をまたいでいるからこその見識の深さを、自身は「ひとつの領域を突き詰めるというのがあんまりできなくて……」と謙遜する。Upload By 桑山 知之この子、発達障害かも?まずは「人手集め」から我が子にADHDや自閉症スペクトラム障害のような特性がみられた場合、多くの養育者はまず子どものことを理解しようと、発達障害の知識を蓄えることからスタートしてしまいがちだ。しかし、吉川先生によれば、まず「人手をできる限りたくさん集める」ことが入口として一番“無難”だという。「人手が足りないときに知識だけ集めたり、トレーニングだけ受けたりすると、わりとややこしいことになるんですよね。例えばこの子に何か新しいことを好きになってもらおうとすると、ちょっと演出しないと難しいよって。お母さんが歯磨きをしたあとに、すぐに僕もやる!ってなる子は歯磨きを覚えさせるのも難しくないんだけど、真似っこしたい気持ちが弱い子に対しては歯磨きって楽しいんだよっていうか、何かひと手間ふた手間かけないと歯磨きが好きにならないし、できるようにならないかもしれない。だから今、この子の子育てで何かを好きにさせるためにもできるようになるためにも、もっと言うと虫歯にさせたり怪我をさせたりしないためにも、余分に人手が要りますよねっていうところを共通認識にしていくことが入口なんですよね」(吉川先生)Upload By 桑山 知之あくまで順序としては人手、すなわちマンパワーを集めることが最優先事項。それがひと段落したあと、知識や技術を身につけていく。そのためにも、家族以外からサポートを受けることが精神的な支えになるそうだ。一般的には母親が先に気づいて父親はあとからついてくることが多いが、夫婦間だけでなく祖父母世代との間でも「足並みが揃うまでに時間がかかる」ことは多い。「早い時期に関わる支援者はつい子どもの特性とか子どもに対する関わり方をどんどん伝えたくなるんですけど、それよりも先にどうやってお父さんと足並みを揃えるのか、おじいちゃんおばあちゃんへの説明をどうしようか、っていう相談に応じていただいたほうがいいと思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之「できたら褒める」は要注意「挑戦したら褒める」にシフトをドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』を放送したのは2019年5月。発達障害は、ここ5年ほどの間に急速な認知が広がったように筆者は感じている。こうした中、人手を含めたリソースの供給などが追いついていないと吉川先生は話す。「社会の認め方もそうですけど、当事者やその身近な方の認め方も確実に変わってきているというのは、確実にそうですね。ただ、変わってきているのも、いいところも悪いところも両方あるかなって思っています。必要な方が援助にたどり着きやすくなったってことはあると思うんですが、急速に知識だけが広がってきたので、支援のためのリソースがまだ充分足りていない。文化の変化というか、そういう人たちがたくさんいるんだっていうのを含んだ“文化の成熟”っていうのも遅れているんじゃないかなと」(吉川先生)Upload By 桑山 知之吉川先生は、発達障害の有無にかかわらず子育てをする中でつい陥りがちなことがあると指摘する。それは、「できたら褒める」ということだ。「できたら褒められるっていうのを子どもが学びすぎると、大人が好きなのは完成と達成と勝利だけと思ってしまうんですよね。そうすると、どうせ達成できないから僕はやらない!ということになってしまう。発達障害のあるお子さんの中には、難しそうな課題は手を出さなくなる子が一定の割合でいるんです。どちらかというと、『挑戦したら褒める』作戦でいく方が、子どもを育てやすくなると思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之完成と達成にフォーカスするよりも、何かに取り掛かり始めたところで応援することに軸足を置いた方が育てやすいという。特に、きょうだいの中に発達障害と定型発達の子がいたり、知的障害のある子がいる場合、完成と達成を評価してしまうと他方への褒め方が見つからなくなる。それよりも、挑戦に対して「ナイストライ」「いいチャレンジだったね」と声を掛ける方が“辻褄が合いやすい”と吉川先生は話している。Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年05月17日いっちゃん誕生!タケルはお兄ちゃんにいっちゃんが生まれたのは、タケルが6歳のとき。年齢が離れているせいか、あまり嫉妬などすることもなく「赤ちゃんは起きました。どうしますか?」「それは赤ちゃんの分もありますか?赤ちゃんに持っていきましょうか?」と、一緒に世話をしてくれるお兄ちゃんになりました。いっちゃんの方も、そんなタケルによく懐いてくれました。しかし、そんないっちゃんにも、すでに1歳児の時点でASDのある子に特徴的な行動が現れていました。例えば…・抱っこを嫌がる・小さな音にも敏感で、不快な音が聞こえると泣きわめく・なかなか寝ない、一旦寝付いてもすぐ起きる・夜泣きとは違う寝ぐずりグズが生後2ヶ月目からずっと続く(今でも!)・物の形がわかる絵を描く、曲を8小節以上覚えてハミングで再現できる・喃語が出たのは5ヶ月前後だけ、それ以降ほとんど喋らない…などです。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ※これらは、私が「気になったところ」ということで挙げさせていただいていたもので、お子さんにこの様な部分があったからといって、即、発達障害があるというわけではありません。念のため。お兄ちゃんの担当医師に気になることを聞いてみたそこであるとき、お兄ちゃんのタケルが通っていた療育センターの医師に、タケルの診察のついでに聞いてみました。私「妹の方も兄と似たような何らかの傾向があるように思えるんですが」医師「うーん、兄妹とはいえアスペルガー自体あまり見られない症例なのでその可能性は低いと思うのですが…現状何か困ってます?」私「困っているかというと…こんなに寝なくて大丈夫かと思うぐらいで、困ってはないです。まだ1歳児だし」医師「1歳だとまだ本人との意思疎通も難しいですし、3歳ぐらいで一度調べてみたら良いんじゃないですか?何かありましたらまたお知らせいただくということで」そんな会話があってから1年ほど経って、いっちゃんが3歳になったころ、そのときの医師に担当してもらい、改めて診察と知能検査などを受けました。結果は「広汎性発達障害の疑い」(後にASDに統合)とのこと。そのまま同じ療育センターで、定期的な診察と、主に粗大運動を鍛える療育を受けることになりました。いっちゃん本人に当時のことを聞いてみると…Upload By 寺島ヒロいっちゃんはお兄ちゃんが側にいたこともあって、物心つく前から「自分には発達障害があるんだ」ということは知ってはいました。しかし、早いうちから説明や療育を受け…いわば先回りして環境が整えられたため、大きな躓きを意識することはなかったようです。これが吉と出るかどうか、まだまだわからないことかもしれませんが、いっちゃんの成長に寄り添いながら「発達障害とは何か」一緒に考えていけたらなと思います。
2021年05月16日前回のお話はこちら2回目の保育所等訪問支援2回目の保育所等訪問支援を受けたのは4歳の冬、年少クラスのときでした。1回目の保育所等訪問支援から1年経ち、むっくんの成長に合わせた新たな支援策を求めて受けることに決めました。訪問は1回目と同じ支援員さんと今回は更に作業療法士さんも来てくださって、1年前との比較や、身体的発達などを見ていただきました。せっかくなら、対応に困る場面を見てもらいたいのに、この日も落ち着いていたむっくん。次はストレスがかかる時期に来てもらおうと心に誓いました。Upload By ウチノコ身体的発達についての指摘「やりたくない」ではなく「できない」?この頃のむっくんはイスにじっと座れない姿が目立っており、作業療法士さんから体幹が弱く体を自力で支えられないのでは?という指摘を受けました。また、折り紙などの制作活動を拒否する様子に、手先の不器用さのため「やりたくない」のではなく「できない」のではないか?という指摘も受けました。Upload By ウチノコ指摘のおかげで、低緊張や不器用さなど本人の努力でどうにもできない理由があると知り、関わり方を考えるきっかけになりました。また、対処法も教えていただき、担任の先生は即実践して下さいました。Upload By ウチノコ今も実践している癇癪対応アドバイスまた、当時むっくんは先生から注意を受けると癇癪を起こしがちで、どう対応するか悩んでいました。その様子を見てもらったところ、むっくんは感覚過敏が強いため「正面に立って、注意する」と視覚と聴覚の刺激が入り刺激過多となってしまう。その恐怖感から癇癪を起しているように思うと指摘を受けました。対処法は、例えば視界に入らないよう斜め後ろから近づき、名前を読んで注意するなど、できるだけ刺激を減らしてあげて下さいとのこと。実践してみると、癇癪がなくなるわけではありませんが様子に変化が見られ、こんなことで変わるのかととても驚きました。この方法は今も実践しています。Upload By ウチノコ親だけでなく、先生も悩んでいるあの頃、むっくんへの関わり方はとても難しく、私はよく担任の先生と話し込んでいました。その中で、私と同じように担任の先生も悩んでいるのだなぁと感じることも多々ありました。先生も長い時間をむっくんと過ごします。真剣に向き合うほどに、悩むことも多かったと思います。だけど、専門家に直接相談できる私とは違い、先生にはむっくんのことを専門家に相談できるチャンスはそうありません。Upload By ウチノコ保育所等訪問支援の後、先生から「関わり方への不安や悩みを支援員さんに相談できました」と笑顔で報告をいただきました。親には言いづらいこともたくさんあったと思います。先生が専門知識を持つ第三者に相談できる機会はとっても重要なのだなぁと感じました。先生の安心がむっくんの安心を維持し、むっくんの園生活を支えてくれたように私は思っています。誰に対しても「できていることを認める」支援員さんからは困り感への指摘ばかりではなく、むっくんの成長や、保育園側の好ましい対応についてもたくさん報告を受けました。気が付けなかった成長を知り、むっくんのことをより愛おしくなったり。先生方の努力を知り、先生たちがむっくんをとても大切にしてくださっているとしみじみと感じたり。おかげで、改めて先生にお礼を伝えることもできました。Upload By ウチノコ「できていること」と「できていないこと」だと、つい「できていないこと」に注目しやすくなります。だけど、発達障害の子どもたちへの関わり方のキーワードは「できていることを認める」です。そしてこれは発達障害の子ども達だけでなく、大人も子どもも、全ての人に当てはまることでもあります。親だって、頑張りを認めてもらえるから頑張れる時ってありませんか?Upload By ウチノコ支援員さんがむっくんや保育園の「できていること」に注目し、その努力を肯定して私に伝えて下さったことは、私の保育園への信頼を深めることに繋がりました。親と保育園が子どもにとってより良い支援を本音で相談しあうには、信頼関係が大切です。2回目の保育所等訪問支援は支援員さんにその橋渡しをしてもらえた、とても貴重な経験となりました。次回は最終回、年中クラスでの半年間の継続保育所等訪問支援のお話、継続だからこその経験になりました。Upload By ウチノコ
2021年05月14日『年少だから仕方ない』が通用しなくなった年中さん自閉症と知的障害を合わせ持つほぺろう。2~3歳頃が癇癪のピークで眠っている時以外は一日中ずっと爆音で泣き続ける様な子どもでした。保育園の年少さんのときも癇癪は治らず、私が知る以上に先生やお友達に大変な迷惑をかけていただろうと推測されます。そんなほぺろうですが、年中さんに進級した途端 何故か格段に癇癪が減り(ほぺろうの心境の変化は私にもわからない)、ずっと苦労してきた母子分離も平気になって随分と接しやすくなりました。変更が苦手で場所見知り・人見知りの激しいほぺろうが 進級に伴うクラス替えに適応できるか心配していましたが、園児数の少ない保育園だったことが幸いして 元々異年齢の子や他クラスの先生との交流が多かったおかげで クラスや先生が変わっても案外気持ちが崩れずに乗り越えられました。気持ちが落ち着き周りが見える様になってきたのか、ほぺろうはクラス活動やお片付けなど いろいろできることが増えて、凄く嬉しい成長!…なのに、素直に喜べない私がいました。Upload By ぼさ子何故なら、年少さんのときはほかの子と差を感じても『年少だから仕方ない』と私は勝手に逃げ道を作って自分に言い聞かせていたのですが、年中はもうお兄さん!今までの言い訳は通用しなくなったのです。できることが増えたとは言え、お喋りも行動も 同じ歳の子はおろか 歳下の年少さんの方が上回っていて、差を感じるどころか劣等感を持たずにいられませんでした。園児数の少ない保育園なので年中・年少クラスが合同になり、どうしても年少さんとの比較に目が行ってしまいます。Upload By ぼさ子年少さんにお世話されている息子を目撃!!その時母は…ある日のお迎え時、帰りの会終了後 お迎えを待つ間遊ぶために園児たちが広場に移動するというタイミングでした。ほぺろうのクラスは年中・年少合同だったので、年中さんと年少さんは二人一組のペアになって手を繋ぎ、年中さんがリードして年少さんをお世話するという形で場所移動していました。年少さんを気遣いながらリードしていく年中さんは立派なお兄さんお姉さんの顔で、私は頼もしくも微笑ましく遠くから眺めていました。でも1組、違和感のあるペアが…。なんか小っちゃい子がデッカい子を引っ張ってる!言わずもがな、それはほぺろうペア。「ほぺろう、こっちだよー」「ほぺろう、ママ来てるよーカバン持ったー?」と、しっかりとしたお世話されっぷり。当のほぺろうは上の空…。同じ歳の子と差を感じたりするのは大分慣れた気でいたけど、まさか歳下の子にまで面倒見てもらってるとは!!Upload By ぼさ子コロナ禍で保護者が園内の様子を見られる機会は例年よりグッと減ってしまっていたので この現場を目撃したのは偶然。でも、ほぺろうが歳下さんにお世話されているなんて きっと日常茶飯事なんだろうな…。情けないやら劣等感やらで、私はチョッピリ泣いてしまいました。気持ちをラクにしてくれた加配の先生の接し方お喋りができる子であれば 自分でママやパパに保育園での出来事を話してくれることが多いと思いますが、発語の無いほぺろうはそれが一切ありません。そんなほぺろうの代わりに加配の先生が毎日 保育園での出来事をお話ししてくれるのですが、先生の話が面白くて お迎え時間は私のお楽しみタイム。私が先生の話が好きな理由は、「今日は何ができた」とか「ここが成長した」という内容の話も混じえつつ、成長のことばかりに価値を置いているのではなく『ほぺろうと一緒に過ごすこと自体を先生が楽しんでくれている』と感じさせてくれるからでした。Upload By ぼさ子「成長していないとダメだ」と焦っている私に対し、先生は『ありのままのほぺろう』を受け入れてくれていて それがとても嬉しかったのです。ほぺろうのことを好きでいてくれる先生がいて、助けてくれるお友達がいて、ほぺろうも園生活を楽しんでいて…もしかしたら、『劣等感』というのは私一人の空回りなのかも知れません。現在は年長さん。劣等感がないと言ったら嘘になるけど…ほぺろうが年長さんになった現在、『一番上のお兄さん』になってしまったプレッシャーと劣等感がないと言ったら嘘になります。いつまでもドンと構えられない未熟な私…。でも ほぺろうから見たら、劣等感とかゴチャゴチャ考えているのは私だけであって、「そんな考え方をされるのは迷惑!」って怒られるかなーなんて想像したりします。残り一年の園生活、ほぺろうにはどんどん世界を広げて 癇癪で思うように過ごせなかった年少時代を補うくらい、目一杯楽しんで欲しいと願っています。Upload By ぼさ子
2021年05月13日新5年生!新しい学年のスタート!広汎性発達障害の娘は、10歳。4月から、小学5年生になりました。新しく始まった学年…、と言っても大きな変化はありません。娘は去年と同じく、引き続き特別支援学級の在籍。交流学級は、児童数も少なく、1クラスしかないので、クラス替えはありません。変わったことといえば、特別支援学級のメンバーが少し変わったことと、特別支援学級の担任が、新任の先生になったことでした。このような(人の)変化は全く平気な娘。(特別支援学級の)新しい先生にも、新しいメンバーにも、すぐ慣れて、始業式には、楽しい様子を報告してくれていました。毎年恒例の不安定が始まった。しかし、毎年、新年度はとても情緒不安定になる娘。去年は、長い休暇明けの新年度で、生活のリズムが崩れ、ちょっとしたことで泣くことが多くありました。今年もやってくるのだろうか…覚悟して構えていましたが、やはりやってきました。Upload By SAKURA今まで明日の準備は、娘に自分でやってもらい、あとからこっそりランドセルを確認していました。いつもは、私がチェックしてもしっかり準備ができていて、フォローすることは多くなかったのですが、新年度が始まってからは、「連絡帳を入れ忘れる」「薬を忘れる」「体操服を忘れる」ということが多く、補助なしでは忘れものだらけになる状態。以前は、連絡帳も自分でチェックできていたのですが、最近は、連絡事項を見忘れることが多くなりました。Upload By SAKURA今まで、し忘れていたことでも、あとから私が指摘すると「わかったー」という反応してくれていたのですが、情緒不安定なせいか、ちょっとした指摘で絶望し、泣き、パニックを起こすようになりました。Upload By SAKURA独り言は今までもあったのですが、その回数が極端に多くなり、ひどいときには、私がしゃべっていても自分の世界から抜け出せず、私の声に反応することなく、独り言を続けています。心の不安定が、身体に現れるようになり…そういった不安定さから、私とのやり取りがうまくいかなくなり、私も私でイライラ…。結果、衝突も増え、私と娘は言い合いばかりするようになりました。Upload By SAKURA私との衝突が増えたせいか、娘は精神的不安定な状態が身体にも現れるようになり、持病のアトピーが悪化したり、蕁麻疹が出たりするようになりました。肌がどんどん荒れていく姿を、私はただただ見ることしかできませんでした。状況を良くしたいけど…私が何か指摘するたび、ストレスから皮膚を掻きむしる娘。悪化しないようにするため、「言い過ぎないように言い過ぎないように…」と、私は自分に制御をかけるようになりました。そのうちに、私は娘のことに対応した後、目が真っ赤に充血するようになりました。Upload By SAKURA私はこの状況を少しでも良くするために、娘の不安定を解消しようと試行錯誤しますが、少し前から思春期&反抗期状態の娘に、療育グッズはもはや効きません。Upload By SAKURA毎年、何かしらありますが、今年は特に激しい気がしています。いつも、時間が経てば勝手に不安定から抜け出しているので、今はただ、嵐が過ぎるのを待っている状態です(笑)去年は5月末には元通りでしたが、今年はどうかな~…。
2021年05月12日Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太の中学時代のまんがコラムをこれまでにいくつか公開してきましたが、今回は後に就職に繋がる『進路選択』について考えるきかっけになったリュウ太の『ヤル気スイッチエピソード』になります。小さい頃から電車や車が好きで中学2年生になるとなかなかのマニアになりつつあったリュウ太は車の専門誌を読んだり、地域を走るJRや私鉄電車の乗車制覇をしたりしていました。同じ小学校出身でリュウ太と同じ趣味を持つ2つ年上のお兄さんが近所に住んでおり、そのお兄さんは電車が好きで鉄道マンになるための学校に通っていました。「鉄道マンになる専門の学校があるんだね~」、「どんな学校なのかね~」と親子で気になっていました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太中2のある日、お兄さんのママにどんな学校か聞いてみると、「普通科と運輸科と機械科があって普通科の授業と専門的な授業のカリキュラムがある学校だよ!オープンスクールがあるから行ってみるといいよ!」と教えてもらいました。そこは上野駅の側にある創立120年以上の学校で日本に鉄道が敷かれるようになって産業化が進む中、鉄道員を育てる役割を担ってきた学校でした。鉄道ビジネスのノウハウを学ぶ運輸科は普通科と同じく進学にも対応できるカリキュラムがあり、機械科では自動車の整備を学ぶことができるとのことでした。(現在は機械科はありません)リュウ太にとっては好きな分野の学校でしたが、最初は高校ってどんなところかイメージがわかなかったらしく親に引っ張られるがままにオープンスクールについていったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。その頃のリュウ太はまだ中2でしたが、私は早めに学校見学をしていく中で進学への意識が芽生えたりヤル気を刺激できるんじゃないかと考えていました。運輸科では運転シミュレーターソフトを使った体験ができたり、校内にミニ鉄道が走っていたりオープンスクールで校内が華やかに飾られて楽しい雰囲気もありリュウ太は大興奮!機械科の教室では車のエンジンを組むデモンストレーションをしていたりしてリュウ太は「オレこの学校に入りたい!」と目を輝かせていました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。いつもダメダメな息子ですが、その様子を見て母は心の中で「よしよし、計画通りだわ!やりたいことが見つかり、これで勉強を頑張る方向にいくわね」と鼻息荒く、久々に大きく期待していたのでありました。学生さんたちがワイワイやっている出店で焼きそばを食べながら「運輸科と機械科どっちがいいと思う?オレ電車好きだけど自分に合うのは機械科かもしれない」と選択しはじめたのでした。予想外に進路のことを考えてくれているんだなと焼きそばを食べながら母はテーブルの下で「よっしゃー!」とガッツポーズ。Upload By かなしろにゃんこ。帰りに機械科にもう一度寄って在学生に機械科のカリキュラムやこの科を選択してみた感想を聞いたりしました。質問に答えてくれた先輩は「車が好きなら楽しい科ですよ!でも自分は機械に強いと思っていたけれど、やはり大変、電気やエンジンなど正直ついていけないな~と思うこともありますよ」と言います。このコメントをリュウ太自信はどう感じたのか聞いてはいませんがオレがやれるだろうか?と少しは感じたかもしれません。しかし、この日をきっかけにリュウ太は専門に学べる学校に意識が向いたと感じています。パンフレットではわからない、志望する学校の雰囲気を直に感じに行くのはとても良い経験になるな、と思いました。親は子どものやる気に合わせて学費の準備も始めなければなりませんから、校風を見て高い学費を払う価値があるものか判断することも重要だと感じています。Upload By かなしろにゃんこ。その後、死んでも勉強はやりたくないと拒否してきたリュウ太が個人塾に通うようになり、ゆっくりですが次第に変化が出てきたのでした。中3の進路相談で提出物ができていないことや、成績が悪いことで志望するその学校は難しいと先生に言われて諦めましたが、自分が目指せる範囲で自動車整備士の専修学校高等課を選択することになりました。自分が好きなことでしか努力ができないですから、普通科以外の道もあることを視覚で感じさせることでヤル気に繋がったのではないかと思いました。Upload By かなしろにゃんこ。しかし提出物が致命的にダメで泣けてきます、一つもできていないのでした。トホホ…。……提出物で玉砕した経験から専修学校では提出物をほどほどに守り、やるようになったのでした(笑)現在リュウ太は4月で23歳となり、車の整備士として地域にある自動車販売店のサービスで働いています。自分が好きなことを続けた結果、それが就労に繋がっていきました。
2021年05月11日集団行動が苦手なコウの姿に、不安を覚えた保育園時代Upload By 丸山さとこ保育園に着くと、まず下駄箱で靴を履き替え教室に入り、連絡帳を出してシールを貼ります。それから歯磨きセットやタオルを指定のフックにかけたりするのですが、コウは年中になってからもそれらの”登園後の支度”にもたつくことがありました。年少から通っている子はもちろんのこと、年中から入園した子であっても数週間もたてば1人で(ときに周りの子を見ながら)支度をすることができます。Upload By 丸山さとこ動きが止まったり所在無げにウロウロしたり、カゴの中の連絡帳などをそろえようとして涙目になったりするコウの支度を手伝いながら、「来年には年長、次は小学生…まだ1年半あるとはいえ、この調子で進学して大丈夫なのだろうか…?」と薄っすら不安を感じたことを覚えています。発表会で起きたハプニングに、コウのとった行動は…そんな園生活最後の発表会で劇を演じているのを見ていたときのことです。コウが演じるきつねが草むらに隠れて変身して出てくるシーンになり、コウ以外の子どもたちは次々と被り物を変えて現れました。ところがコウは一向に出てきません。Upload By 丸山さとこ「あれ?」と思ったころ、明らかに泣き顔のコウが草むらを出て舞台袖に降りていきました。さっと先生が駆け寄り、コウと何かを話しつつパネル裏に行くのを見て、「これは途中退場もあり得るかな…どうしたんだろう?」と首を傾げていると、コウが被り物を変えて出てきました。泣き顔のままではありますが、涙を袖でぬぐいつつダンスをしています。「あそこで『もう駄目だ!』とならずに続行できたんだ!?」…と驚きつつも心の中で応援し、無事発表会は終了。そのあとに先生に伺ったお話から、彼にとっては予想外のハプニングが起きていたことが分かりました。コウと先生からの話を総合すると、草むらのパネルの後ろに並んでいた被り物を子どもたちが取っていくときに、コウの被り物に当たってしまい、向きが”いつもと逆”になってしまっていたのが原因だったようです。Upload By 丸山さとこ最初に「コウ君の被り物の向きが逆になっていたので、『自分のがない!』って思って慌てちゃったみたいです」と先生からお話を伺ったときは、「いくらコウでも、逆向きになったくらいで混乱するかな?緊張していたからかな?」と思いました。ところが、話を詳しく聞いていった結果見えてきた理由はいかにもコウらしいもので、「なるほど~!そうなるとコウは混乱しただろうな~!」とパネル裏の光景が目に浮かぶ私でした。次回のコラムでは、”被り物はそこにあるのに「自分のがない!」となった理由”について詳しく書いていきます。
2021年05月10日ロゼレムとは出典 : ロゼレムは、不眠症で入眠に難しさを抱えている成人に処方される睡眠改善薬です。不眠症とは、睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が現れる病気のことです。不眠といっても症状はひとつではなく、4つのタイプに分けられます。眠りに就くことが難しい「入眠障害」、寝ている途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」、睡眠時間は十分なのに睡眠の質が悪く休んだという実感が得られない「熟眠障害」です。睡眠に問題があると、日中に眠くなってしまって勉強や仕事に集中できないなど、日中の活動にも影響を与えてしまいます。さらに、発達障害のある人は幼少期から睡眠に問題を抱えることが多いことが分かっています。ADHDのある人の85%が日中の眠気か睡眠に問題を抱えていることも報告されています。睡眠の問題はADHDのある人だけでなく、自閉スペクトラム症のある人も同様に睡眠の問題を併せ持つ場合が少なくありません。発達障害のある人の睡眠問題には、体内で分泌されるホルモン「メラトニン」が特に有効であると考えられており、ロゼレムはメラトニンと同じ働きで睡眠を改善する効果があります。 Young Rosalia Yoon et al.(2013). Sleep and daytime function in adults with attention-deficit/hyperactivity disorder: subtype differences. Sleep Med . 14(7):648-55.厚生労働省『e-ヘルスネット不眠症』どのような仕組みで効果があるの?それではメラトニンは、睡眠にどのように作用するのでしょうか。睡眠には2つのメカニズムが関わっています。ひとつめは「脳が疲れたから眠くなる」メカニズムです。起きて活動すればするほど脳は疲れ、老廃物の一種である睡眠物質が蓄積されていきます。この睡眠物質がたまってくると、脳神経に働きかけて催眠鎮静作用が発揮されて眠くなるのです。もうひとつは「夜だから眠くなる」メカニズムです。私たちは普段寝ている時間になると、自然と眠くなりますよね。これには、脳の視床下部の視交叉上核というところに存在する体内時計が関わっています。夜になると体内時計が指令を出すことで、メラトニンが分泌されます。メラトニンが分泌されると、体の内部の体温や血圧が少しずつ下がり、眠りやすい状態に導き睡眠を促してくれるのです。反対にいつもと同じような時間に目覚めるのも、この体内時計の働きによるものです。体内時計の指示でメラトニンの分泌が止まって体の内部の体温が少しずつ高まり、一定レベルを超えると目覚めます。つまり、メラトニンが分泌されると自然な眠りを誘い、メラトニンの分泌が止まると目覚めるようになるんですね。このようにメラトニンは睡眠に大きく関わっていることから、睡眠ホルモンとも呼ばれています。人は目覚めて朝陽を浴びると体内時計がリセットされ、目覚めから14時間~16時間くらい経つと、体内時計が指令を出してメラトニンを分泌し、自然な眠りにつくことができます。ところが、光を発する電子メディアの見過ぎなど何かの理由でこのメカニズムがくずれてしまうと、睡眠に問題が生じて不眠症を引き起こしやすくなってしまうのです。メラトニンは光によって抑制されます。ロゼレムの有効成分ラメルテオンは、メラトニンを受け取るタンパク質の「メラトニン受容体」にくっついて作用し、メラトニンと同じ働きをします。つまりロゼレムを服用すると、体内時計の針を調節することができるわけです。たとえば望ましい就寝時刻よりも前にロゼレムを服用すると、体内時計の針が早まって体内での夜が早く訪れます。結果として、いつもよりも入眠時刻が早まり、眠りにつくのを改善します。眠りのリズムを整えることで睡眠の問題を改善するのです。武田薬品工業株式会社『体内時計と睡眠の仕組みメラトニンとは』ロゼレムの使用方法・用量は?・用量:1錠(ラメルテオンとして1回8mg)・用法:1日1回就寝前に経口投与・成人※監修者注:通常15歳以上からの適応となるが、18歳以上からが望ましい以下に該当する人には、ロゼレムは使用できません。・ラメルテオンに過敏症となってしまったことのある患者・高度な肝機能障害のある患者(肝臓で代謝されるため、有効成分の血中濃度が上昇してしまい、作用が強くあらわれる恐れがある)・フルボキサミンマレイン酸塩(SSRI)を服用している患者(販売名:ルボックス、デプロメール)また使用するにあたっての注意事項は、以下の3つです。・服用開始から2週間後をめどに、効果があるかを医師が確認します。効果が認められない場合には、服用を中止するかどうか医師が判断することとなっています。・服用は、必ず就寝前です。寝たい時間の直前に服用することで効果がみられます。なお、少しだけ寝たら起きて仕事をするなど、途中で起きる予定のある場合には服用を控えます。・服用する際は、食事と同時・食事直後は避けることです。食事と同時、もしくは食事直後にロゼレムを服用してしまうと、有効成分の血中濃度が下がり効果があまり出なくなってしまうからです。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構『ロゼレム錠8mg』ロゼレムの副作用と注意点出典 : ロゼレムは、国内で販売されてから一定の期間が経過しているため、その安全性と有効性を確かめる再調査が行われています。ロゼレムを1回(ラメルテオンとして8mg)投与された3,223例のうち、109例(3.4%)に副作用が認められました。確認された主な副作用は、傾眠(1.2%)、浮動性めまい(0.7%)、倦怠感(0.3%)です。ロゼレムを服用した翌朝以降にも、薬剤の影響が残る場合があります。眠気、注意力・集中力、反射運動能力が低下する可能性があるため、車の運転など危険を伴う作業は行わないようにすることが必要です。海外でアナフィラキシーショックが起きたとの報告があります。出現回数がとても低く極めてまれであることから、頻度は不明ではあるものの注意が必要です。服用後に、じんましんや血管が浮き出てくるようなことがあれば、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。他の睡眠薬とどう違うの?睡眠薬には、大きく分けて3つの種類があります。1.ひとつめは、先ほど説明したひとつめの睡眠のメカニズム「脳が疲れたから眠くなる」に働きかける薬です。これまで多く使われてきた薬の多くは、このメカニズムを利用しています。高い効果が認められる一方で、依存性があることから長期使用では注意が必要と言われています。2.ふたつめは、今回ご紹介するメラトニンによって体内時計を調節することで、入眠の困難を改善する薬です。ロゼレムの他には、「メラトベル」があります。メラトベルは、2020年に発売された、6歳から15歳までの神経発達症のある子どもに対して処方される入眠改善です。メラトベルは、その有効成分がメラトニンそのものである一方、ロゼレムはメラトニン受容体作動薬であり、メラトニンそのものではありません。 一般に受容体作動薬は小児には適用されません。3.最後は、睡眠と覚醒を調整する神経伝達物質「オレキシン」を受け取るタンパク質である「オレキシン受容体」に作用する薬です。過剰に働いてしまっている覚醒を抑えることで、睡眠を促します。比較的早くに効果があらわれ、依存性は少ないと考えられています。鹿児島市医報『ベンゾジアゼピン受容体作動薬について』(2020)59(10): 7-8まとめ今回は、不眠症で入眠に困難のある15歳以上の成人に対して処方される睡眠改善薬「ロゼレム」をご紹介しました。日本で発売されてから10年以上にわたって使用実績のある薬で、再調査でもその安全性と有効性が確認されています。ロゼレムは睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの受容体に働きかけることで、体内の時計の狂いを調節して睡眠リズムを整えます。薬の服用にあたっては、生活習慣を改善させることもとても大切です。
2021年05月07日ADHDの特性が顕著に表れたきっかけは、私が3人目を妊娠したことUpload By スガカズ今から6年前のある日、年中の次男が通う保育園の先生から最近の様子について報告がありました。そのころちょうど長男が療育センターに通えるようになり、投薬治療が開始され、私自身は3人目を妊娠していました。先生が話す次男の様子は、・集団行動でいつも一番最後・上手くいかないことがあると机や椅子を蹴る、癇癪を起こすという内容でした。集団行動の遅れはもともと気になっていた部分ではありましたが、以前よりも切り替えが難しくなっていたようです。癇癪についてはいままで起こすことは少なかったのですが、クラスのお友達(男の子)と口論になったときに、自分の思いを言葉にうまく表せず、悪態をついたり物にあたる姿が目立つようになっていました。先生とは、「お母さまが妊娠してから起こったことなので、いわゆる『赤ちゃん返り』かもしれませんね」という話になり、私の中でも先生のその言葉は腑に落ちました。ですが、「この子も長男と同じで、発達障害なのかもしれない」と思う気持ちもありました。癇癪は環境が原因?それとも発達障害?Upload By スガカズ年中で先生からの指摘があったとき、たまたま次男のクラスに、次男のように癇癪が目立ちはじめたお友達がいました。数ヶ月前に引っ越しのために転園してきたご家庭で、下の子の出産を控えている点、ママが妊娠していたという点など、わが家と状況が似ていました。そのため私は「発達障害なのかもしれない」という考えもありましたが、「定型発達でも赤ちゃん返りがあるようだから、見分けがつきづらい」とも思いました。結論からいうとそのお友達は定型発達の範疇だったのですが、非常に癇癪の内容が似ていました。また、同じ園のママに話を聞くと「うちも下の子を妊娠したときは『赤ちゃん返り』があったけど、下の子の成長と一緒に落ち着いてきたよ」という答えが返ってきました。環境を整えようと考えたものの…難しいと感じ現状維持私は仮に次男が発達障害だったときのために、周りの環境を整えようと考えはじめました。しかし、当時は療育センターは患者数が逼迫しており新患受け入れストップ、子ども発達支援センターは、長男のときと同様に1年ほど待つため、通えるのは就学直前という状況でした。児童発達支援は今でこそ増えていると感じますが、当時はまだ小さな娘と次男を連れて通える距離にはなかったので、わが家にとっては難しいと判断しました。Upload By スガカズそれ以外にも、個人的な理由が2つほどありました。1つ目は、当時、落ち込みやすい長男のサポートと、下の子たち(乳児)を優先したことです。「自分1人で処理できるキャパシティー」を考えた結果、真ん中っ子で友達の多い次男の優先順位を下げてしまいました。2つ目は、「長男のことを相談したときと同じように『もっと課題の多いお子さんもいるので』と断られることへの苦手意識」です。(詳しくは前回のコラムで書かせていただいています)当時は、周りで「うちの子は落ち着きがなくて…」と心配する家庭は把握していたものの、児童発達支援に通所している家庭もなく、私にとって通所はとてもハードルの高い存在になっていたのでした。※お住まいの自治体や環境によって違う可能性があります独学のペアレントトレーニングも上手くいかず失敗続きUpload By スガカズ福祉センターに「親が自宅でもできる支援」について相談したことがあります。そこで私は、ペアレントトレーニングの存在を知ります。療育センター等の医療型施設でも講習があるとのことでしたが、小1~小3の子どもの保護者で子どもに診断がおりていることが条件でした。当時次男は年長だったため条件にあてはまらず、私は独学でペアトレを学ぶことにしました。ですが、どうしても「見ないふり」をしたり、「好ましい行動」を見つけることが難しくて、失敗続きでした。Upload By スガカズまだ乳児だった長女の泣き声を「うるさい!」と怒って訴える次男。決して妹の存在が煩わしいわけではなく、優しいところもたくさんあります。ですが、特定の音への過敏さからくる怒りの声を聞くと、どうしても私は「長女の泣き声よりも次男の大声の方が気になるよ…」「そんなに強い言い方をしなくても…」と思ってしまい、その気持ちは次第に次男に対して適切ではない言葉に変わっていってしまったのでした。次回は次男が就学してからのお話になります。私はここでようやく、自分の育児の中途半端さと、次男の気持ちを汲んだ関わり方を知っていくことになります。
2021年05月05日慣れない集団生活や行事、新しいお友達...園生活でつまずいたら新年度が始まって1ヶ月ほど。新しい環境に慣れてくる分、新たな困りごとが見えてくる時期でもあるかもしれません。今回は『園生活の困りごと』コラムをまとめてお届けします!気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてください。オムツが外れる前に入園!トイトレを焦る母に先生がかけた言葉まだオムツが外れていなかったあーさんが入園した幼稚園は、オムツ禁止!お漏らしをして大量の着替えを持ち帰る日々が続き、家庭でもトイレトレーニングを進めようとするも、全くうまくいかず...集団活動でポツン。一斉指示が理解できない娘に用意した手づくりアイテム言葉のコミュニケーションが苦手で、一斉指示を聞いて行動することが難しかったあーさん。家庭では絵カードを見せてやりとりをしているけれど、先生にはお願いしづらい!そこでSAKURAさんはある行動に出たのです。母子分離できず毎朝大号泣...慣れるまでには1年かかりました3歳で保育園に入園した自閉症と知的障害のあるほぺろうくん。激しい場所見知り、人見知りで母子分離がなかなかできず、泣かずに登園できるようになったのは1年後のことでした。最初のころは園に対して罪悪感いっぱいで、毎日謝ってばかりいたというぼさ子さんですが、先生とコミュニケーションをとる中で少しずつ考え方が変化していったようで...登園・降園に一苦労、他害に頭を悩ませて...ため息ばかりついていた日々登園渋り、帰宅時の数々の難関、おもちゃを投げたり、他害をしてしまったり...数々の困りごとがあり、ミミくんとの関わり方に悩み続けていたtaekoさん。どの困りごともすぐには解決しませんでしたが、それでも向き合い続けた中で、気づいたことがあったそうです。「迷惑をかけてはいけない」配慮について相談できず医師からの勧めで幼稚園の満3歳児クラスに自閉症と知的障害のある息子を入園させたかさはらあやこさん。入園時には、特性をまとめた書類を作成して提出し、伝わっている、理解してくれていると思っていたものの、小さなモヤモヤをいくつも抱える日々を過ごすことに...教室にいられず脱走...先生の対応は!?楽器演奏の時間に床に寝転んだり、遊んでいる最中にお友達に話しかけられるとおもちゃを投げたり...集団での活動が苦手だったリュウ太くんは、つらくなると教室から出ていくことが度々あったそう。そんなリュウ太くんに対して、先生たちがとった対応は?さらに園長先生から母へのエールも。クモを怖がる息子に振り回され…問題解決は『あの』の存在クモが怖い、と保育園の登下校で遠回りをしてなかなか目的地までたどり着かずの日々に困っていた丸山さん。そんな問題を解決したのは、ときにはトラブル、ときにはコミュニケーションを生むコウくんおなじみの『あの』存在だったのです!LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月04日あなたの凸凹にハマる生き方が必ずあるーー『リエゾンーこどものこころ診療所ー』『モーニング』で連載され、累計30万部を突破した児童精神科医を描いた医療漫画の新機軸!日本で『発達障害』と診断されている人はおよそ48万人。子どもの10人に1人は何らかの発達特性や障害があると言われています。児童精神科医・佐山と、そこにやってきた、自らも発達障害がある研修医・志保は、人知れず学校や家庭でトラブルを抱え、孤独や苦痛に耐えながら生きる人たちと向き合っていきます。児童精神科医 三木崇弘先生による監修も入っており、『発達障害』『虐待』『ネグレクト(育児放棄)』など、重いテーマをリアルに描く半面、志保の発達障害特有のおっちょこちょいさがありながらも明るく奮闘していく姿や、同じく発達障害のある佐山先生、クリニックの仲間たちなどと繰り広げるどこかゆるさのあるほほえましい会話にはクスリと笑ってしまいます。NHK、共同通信、文春オンライン、ママリなど各メディアでも話題沸騰中の児童精神科医の物語。発達障害の当事者、当事者家族だけではなく、幅広い方に読んでいただきたい一冊です。当事者の不安を解消する「7つ道具」を紹介『応用行動分析に基づくASD(自閉スペクトラム症)の人のコミュニケーション支援 当事者の不安を解消する「7つ道具」とアセスメント 』ASD(自閉スペクトラム症)の標準的な支援法(合理的配慮)を体系化して、初心者にもわかりやすくまとめたASDの人をより理解できる方法を解説。応用行動分析に基づく『環境調整』『見える化』がすぐに実践できる道具と個性に合わせた効果的な支援のためのアセスメント法が満載です!第一章ではASDについての基礎知識や支援のポイント、第二章では理解、意思表示、動機づけと社会性と段階別に支援を行う『ABCモデル』と、問題点を解消する『7つ道具』の紹介、第三章では実際にその『7つ道具』でさまざまな問題点を見える化し、ASDの人の不安の解消方法の提案をしていきます。ASDのある子どもたちとのコミュニケーションを円滑にする道具がイラストなどを使いわかりやすく説明されており、療育や支援のシーンでも役立つ情報がたくさん載った一冊です。豊富な解決事例で学べる!『保育者ができる 気になる行動を示す幼児への支援 応用行動分析学に基づく実践ガイドブック』応用行動分析学を専門とする著者2人がこれまで保育者に対して行ってきた助言、アドバイスの成果をまとめた本になります。専門家がどのような視点で子どもの行動を理解し、支援のアイデアを出しているのかが分かり、保育の質の向上に繋がります。子どもの行動を分析する方法『ABC分析』を活用し、子どもとの関わりのヒントの見つけ、学ぶことができます。『登園時に泣いてしまう』『遊びに消極的』『友だちの玩具を取ってしまう』など、園児の行動の疑問を解決する過程と、実際に解決に導いた支援支援の事例なども多数記載されています。応用分析学の理論についての大切なポイントも分かりやすく説明されているので、理論を学ぶことで実際の保育場面での園児への支援にも応用することができます。保育者はもちろん、これから保育者をめざす学生の方々や特別支援教育を学ぶ学生の方々にも読んで頂きたい一冊です。本人と家族が自立していける社会へーー『発達障害の子どもたちの進路と多様な可能性』障害を家族が背負う社会から、できるだけ大勢の人の多様な支援と伴走により、本人と家族が自立していける社会へ…明蓬館高等学校校長兼SNEC(すねっく、スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)総合センター長の日野公三さんが教育の最前線の現場から提言します。前半では障害に対する教師の過剰反応、障害のカミングアウト、二次障害や三次障害、感覚過敏問題など、障害を持つ子どもを取り巻く教育の現状やその問題点、不登校問題などの問題提起や配慮の仕方などの説明、後半はインターネットを活用した授業やeラーニングでの勉強の利点、SNECの開設や発達の課題を持つ人に高校の選択肢についてが記されています。実際に起こっている問題を例に出し、どのような支援を行えばいいのか、教育環境を提供すればいいのか、「学びにくい」お子さんにどんな選択肢があるのか分かりやすく紹介。支援教育のしくみに関しても説明されているので、お子さんの進路に悩む保護者、教育に関わる方におすすめの一冊です。
2021年05月03日教育支援センター(適応指導教室)ってどんなところ?「教育支援センター(適応指導教室)」(以下、教育支援センター)は、主に小中学校を長期で休んでいる子どものために、学籍のある学校とは別の場所に教育委員会等が用意した公的機関です。一部高校生を受け入れているところもあります。市町村や都道府県の教育委員会等によって設置されているもので、文部科学省のデータでは1142ヶ所、全国の自治体の63%が教育支援センターを設置しています(平成29年度調査 ※)。もともとは「適応指導教室」という名称が用いられていましたが、平成15年より標準的な呼称が「教育支援センター」とされました。指導にあたるのは、教員免許を保持する職員が多く、他には臨床心理士や社会福祉士等の資格を保有する職員がいる場合もあります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理、福祉の専門家が配置または派遣されている場合もあり、子どもや保護者がカウンセリングを受けるなどの機会を用意している教育支援センターもあります。参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 | 文部科学省令和元年10月25日の文部科学省による「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の中で、教育支援センターの定義は以下のように表記されています。2 設置の目的○ センターは,不登校児童生徒の集団生活への適応,情緒の安定,基礎学力の補充,基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより,その社会的自立に資することを基本とする。以前は学校に戻ることが不登校の子どもたちへの支援のゴールとされていましたが、平成28年の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」において、不登校支援の視点として「不登校児童生徒への支援は,『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること」が明記され、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保のための場の一つとして、教育支援センターも位置づけられています。そのため、未設置地域での設置や、体制整備、機能拡充等が進められているのです。参考:義務教育の段階における普通教育に相当する 教育の機会の確保等に関する法律施行後の取組 | 文部科学省参考:平成28年「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」文部科学省どんな子どもが利用している?情緒的混乱や人間関係の不安を抱える子どもが多い出典 : 令和元年度の調査では、義務教育課程の不登校児童者数は18万人を超えています。不登校の理由は子どもによってそれぞれ。「友人関係」「勉強が分からない」「先生との関係」「クラブ活動に関する問題」など、学校生活を巡る問題が不登校のきっかけとなった子どもたちが多い一方で、「不安感」「生活の乱れ」「家庭の状況」などを挙げる子どももいることから、不登校の理由が複雑化していることが分かります。参考:令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要 P.17 | 文部科学省その中で、教育支援センターに登録している児童・生徒の傾向としては、不安など情緒的混乱で「学校に行きたくても行けないタイプ」、人間関係がうまく築けない「人間関係によるタイプ」が多くなっています。参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 P.14在籍者の状況 | 文部科学省また、不登校の子どものなかに、発達障害がある児童が増えているという指摘もあります。特性のある子どもに対する理解は社会全体として進みつつあるものの、一般的な小学校や中学校では適切な指導や支援がまだまだ不十分なこともあります。そのため、それぞれが抱える課題を克服できず、友達関係がうまく築けなかったり、勉強についていけなくなったりなどの問題が生じ、不登校になってしまうケースが増えています。参考:不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実 ~個々の児童生徒の状況に応じた環境づくり~P.4 | 文部科学省このように、不登校の子どもたちにはさまざまな背景があるため、教育支援センターでの支援も個々にあわせた内容で実施され、学校復帰に限らないそれぞれにあったサポートの在り方が求められています。利用スケジュールや具体的な指導内容は?全国の教育支援センターは、終日で活動している施設がほとんどですが、なかには午前のみや午後のみで活動している教室もあるため、ホームページなどで確認が必要です。1日の過ごし方は子どもにあわせて調整がされることが多いですが、基本的なスケジュールは決まっているところが多くあります。例えば東京都武蔵野市「チャレンジルーム」の場合、1日の流れは以下の通りです。9:15~朝の会・読書9:30~個別学習学習はそれぞれで進め困ったことがあったら相談員に声をかける12:00~昼食13:00~集団活動スポーツ、調理など14:15~掃除・帰りの会14:45~帰宅通室スケジュールも、個々にあわせて調整される場合が多いようです。少ない頻度から通い始めたり、午後から通室したり、体調にあわせて早退したりなど、職員と相談し、無理のないペースで通うことができます。活動内容も施設によって異なりますが、学習支援、社会体験、自然体験、調理やスポーツなどが実施されており、季節行事を取り入れている施設もあります。学習支援に関しては、ほとんどの施設で個別指導が行われており、授業形式の学習支援をしているのは30%未満となっています(平成29年度調査 ※)。決まったカリキュラムに沿って学習を進めるところと自習を主に行っているところがあり、教材は学校の教科書や持参した市販教材などが使用されます。また多くの施設で子どもとの個別のカウンセリングを取り入れており、相談やカウンセリングが不登校の子どもたちのサポートに欠かせないものとなっていることが分かります。同時に、保護者に対しての相談・カウンセリングも多くの施設で実施されています。子どもが不登校になったのは、自分の責任であると考える保護者も少なくないため、カウンセラーが話を聞きながら子どもへの対応のあり方を共に考えていくのです。必要に応じて家庭訪問が実施される場合もあります。施設によっては保護者会やグループカウンセリングなどがあり、同じ境遇の子どもを持つ保護者同士が話をすることで気持ちが楽になるなどの効果があったと話す保護者も多いといいます。保護者同士で互いの子どもへの対応について学び合う機会を提供している施設もあるようです。参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 P.18 | 文部科学省参考:学校適応指導教室「ひかり」| 長崎市教育委員会このほかにも、発達障害のある子どもに対しては、ソーシャルスキルトレーニングなどのプログラムを実施している教育支援センターもあります。障害の有無に関わらず、子ども一人ひとりの特性や興味関心に沿って、社会性や自信を高めるサポートをするのが教育支援センターの役割の一つです。参考:慢性疾患、心身症、情緒及び行動の障害を伴う不登校の経験のある子どもの教育支援に関するガイドブック | 国立特別支援教育研究所在籍する学校との連携も教育支援センターに通う中でも、やはり在籍する学校のことは気になりますよね。支援についての連携はしてもらえるのでしょうか。「教育支援センター整備指針(試案) 」の中では、教育支援センター(適応指導教室)と学校との連携について以下のように記されており、子どもの様子や支援の方向性、学習の成果などについての連携はもちろん、該当児童生徒が学校に復帰したあとも在籍校と連携して継続的なサポートを実施していくことが大切な役割の一つとなっています。8 学校との連携○ 指導員等は,不登校児童生徒の態様に応じ,その支援のため,在籍校との緊密な連携を行うものとする(定期的な連絡協議会,支援の進め方に関するコーディネート等の専門的な指導等)。○ 指導員等は,不登校児童生徒の学校復帰後においても,必要に応じて在籍校との連携を図り,継続的に支援を行うことが望ましい。○ 指導員等は,児童生徒の実情等の的確な見立て(アセスメント)にそった児童生徒の個々の回復状況を把握し,守秘義務に配慮した上で,本人,保護者の意向を確かめて在籍校に学習成果等を連絡するものとする。○ 指導員等は,不登校に関し,学校に対する専門的な指導・助言・啓発を行う。文部科学省のデータによると、連携方法としては、定期的に文書にて情報共有を行っている施設が約90%となっています(平成29年度調査 ※)。文章でのやりとり以外にも、教育支援センターの職員が在籍校の校長や子どもの担任などと定期的に面談を行ったり、定期的に子どもの面会のために教育支援センターを訪問したりするケースもあります。また、該当の児童生徒の支援会議に教育支援センター職員と在籍校教職員が同席し、ともに支援の方向性を検討することも。ほかにも、学校復帰を望む子どもに対しては、学校からの配布物やプリント教材を適応指導教室に届けたり、行事の案内の連絡をしてもらったりなど、少しずつ学校との接点を増やす関わりをする場合もあります。参考:適応指導教室との連携 |東京都教育相談センターなお、教育支援センターに通うことで、文部科学省が定める「出席扱い等の要件」を満たす場合、在籍校での出欠席について「出席」扱いにすることができます。この点も教育支援センターへ通室する大きなメリットと言えるでしょう。教育支援センターに通う公立学校在籍の小学生のうち約90%に、在籍校での出席扱いとする措置が適用されています。(平成29年度調査 ※)「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日別紙 | 文部科学省参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 | 文部科学省利用を検討するときには?対象となる条件や必要な手続きについて教育支援センターの利用には、自治体ごとに対象者の条件が定められています。例えば東京都目黒区の場合は、以下の通りです。対象区立小・中学校に在籍する長期欠席児童・生徒で、本人及び保護者が入級を希望し、在籍学校の校長が必要と認めるものです。また、沖縄県宮古島市の場合は、以下のように入室判定基準が設けられています。入室条件本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。保護者が教室への送迎が充分に可能である。入室判定基準学校へ行く意思があるが行けない。登校時になると、腹痛・頭痛・嘔吐・発熱などの身体症状を呈する。家に閉じこもり、ほとんど外出しない。対人的な接触を避ける傾向にある。精神的な疾患ではない。本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。自治体によって異なる基準もありますが、大切にしたいのは「本人の意思を確認すること」です。不登校の子どもがいる場合、保護者や周囲の支援者が支援のステップを焦ってしまいがちですが、見学などを通して子ども自身が通いたいと思うか、通えそうかなど、気持ちを確認しておけるとよいでしょう。教育支援センターに通うには、いくつかのステップを踏む必要があります。具体的な手続きは自治体によって異なりますが、代表的な流れを見てみましょう。市町村によって「教育支援センター」「教育相談センター」「学校サポート教室」など異なる名称で相談窓口が設置されていることがありますので、まずはお住まいの地域の相談窓口を確認してください。代表的な手続きは以下の通りです。1.「教育支援センター」などへ面談を申し込む本人、保護者、そして学籍のある学校の考えが考慮されます。2.保護者が「入室願書」を記入・提出する保護者が「入室願書」を記入し、在籍学校長へ提出します。3. 在籍学校長が「入室申込書」を作成・提出する保護者から提出された「入室願書」を元に校長が「入室申込書」を作成し、「教育支援センター」に提出します。4.「入室決定通知書」が送付される「教育支援センター」から学校と保護者へ「入室許可通知書」が送付されます。通室が決定したら、職員と本人や保護者が相談しながら、通室スケジュールや取り組む内容などを決定していきます。個別の支援計画を作成し、支援内容などについて利用継続の必要性などについて定期的な検討を行う施設もあります。不登校の子どもが利用する「フリースクール」とはどう違う?不登校の子どもが利用する施設として「フリースクール」の名前を聞いたことがある方も多いと思います。教育支援センターとフリースクールはどう違うのでしょうか。教育支援センターは公的な機関ですが、フリースクールは個人や民間企業、NPO法人等の団体が運営しています。そのためフリースクールの場合、支援の方針やカリキュラム等は運営団体によって異なります。また、公的な機関である教育支援センターは利用に費用が発生しないのに対し、フリースクールは各施設ごとにかかる費用が異なります。身近に教育支援センターもフリースクールも両方ある場合には、見学などを通して支援内容、費用、施設の雰囲気等を確認して検討できるとよいですね。なお、フリースクールへ通う場合に出席扱いとされるかどうかは校長による判断となるため、相談しておく必要があります。不登校の子どもたちが自分に合ったサポートを受けられるように不登校の子どもをサポートする「教育支援センター(適応指導教室)」では、さまざまな方法で子どもたちを支援していることが分かりました。通うことで「出席扱い」になることが多く、学校とも連携してサポートしてくれることから、子どもも保護者も安心して毎日を過ごせるようになるのではないでしょうか。活動内容や利用頻度も個々にあわせて調整されるため、発達障害のある子どもの場合も、相談しながらそれぞれに合ったサポートを受けることができます。不登校の子どもが抱える不安や課題はそれぞれに異なります。それらを乗り越え社会のなかで自立できるよう、焦らずに日々を過ごすための手段の一つが、教育支援センターの活用です。教育支援センター以外にも、不登校の子どもをサポートする制度やサービスはさまざまです。不登校の悩みを抱えている子どもや保護者はまずは抱え込まずに、市町村の相談機関に連絡してみてはいかがでしょうか。※は平成29年度調査、令和元年発表の「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果データを引用しています。
2021年04月30日前回のお話はこちらいよいよ初回保育所等訪問支援当日!むっくん3歳、保育園の未満児クラスのときに、私の希望で初めての保育所等訪問支援を受けることになりました。主な依頼内容は「年少さんの生活を見据えての集団生活での困難さへの手立て」でお願いしました。Upload By ウチノコいよいよ訪問日。支援員さんはむっくんの登園時には訪問されていて、午前いっぱいむっくんの様子を見て下さいました。むっくんは支援員さんの存在に影響を受けて、普段よりもおとなしく過ごしたそうで担任の先生も苦笑い…しかし、さすが支援のプロ!そんな見せかけの様子に惑わされてはいませんでした。Upload By ウチノコ訪問支援員さんからの指摘支援員さんからはむっくんが抱える集団の中での困難さを色々と教えてもらいました。私も発達障害についての知識が全くなかった頃だったので、とても勉強になったことを覚えています。特に印象に残ったものをいくつか紹介します。Upload By ウチノコむっくんは突然一人で服を着替えてしまったり、教室から飛び出したりなどの一人行動が目立ちました。その行動について支援員さんは、「むっくんには困った時に大人に助けてもらう選択肢がなく、『助けて』が言えないため一人で何でも対処しようと頑張って、一人で行動しているのだと思います」と教えてくれました。これは結構ショックでした。今までむっくんの行動を怒ってしまったこともあり、自分が無知であることを痛感。とても情けなく思いました。Upload By ウチノコ今後の関わり方へのアドバイスとして、本人に発信する力をつける目的で、保育園や自宅で自己発信の練習を繰り返していくことを勧められました。具体的にはむっくんが困っている姿を見たらすぐに「○○だから困っているんだね」と気持ちを代弁する関わりを増やしていくことです。困っているときに「どうしたの?」と聞いても、まだ自分の言葉で話せる発達段階にないため、状況を言葉にして大人が伝えることで、「そういえばいいのか!」と学んでもらうことが目的です。Upload By ウチノコこの時に卒園式のエピソードになった「伝えずに動くと勝手な行動になるけれど、伝えさえすれば勝手な行動にならない」の教えが始まりました。ここから3年かけてむっくんはこの教えを学んでいくことになりました。当時、試行錯誤していた他害への対応にも指摘を受けました。それは、「むっくんには感覚過敏があるため、むっくんの場合は先生が他害を防ぐために常に側にいることが、返って不快な刺激となっているように感じます。常に視界に人がいることや、他の子と先生の会話が度々耳に入ってしまうことなどがストレスとなり、些細な事での癇癪や他害に繋がっている可能性が考えられます」という想像もしない指摘でした。更に「むっくんが困ると、側にいる先生がすぐに手助けしてしまうため、課題である自己発信の機会を奪っています」とも指摘されました。大人側は良かれと思っての行動でしたが、それが本人の成長を妨げ、つらさを大きくしている…。これは第三者だからこその、厳しい指摘だと感じ、とてもありがたく思いました。Upload By ウチノコむっくんの他害を減らすには、側で防ぐよりも一人で安心して過ごす環境を作ることが大切。今後はむっくんが落ち着いているときは先生が側につく回数を減らしていき、刺激を減らし、安心できる時間を確保していくことになりました。私が不安に思っていた、年少さんになって先生の数が減ることも、むっくんにとって刺激が減るむしろ好ましい状況だと考えられます。と言っていただき、不安が和らいだことを覚えています。また、他害の裏には自分の気持ちが言葉で発信できない影響も考えられるため、自己発信を促す関わりが一番大切だと教えてもらいました。Upload By ウチノコ当時のむっくんへの支援は、環境調整(周囲の大人も環境の一つ)が何より大切でした。むっくんに必要な環境や関わり方を、親も先生も知って統一できたたことで不適切な環境や関わり方を減らし、むっくんの成長に繋がったように感じています。子どもへの支援を考えるということ保育所等訪問支援を通して支援員さんと密接に関わるうちに、子どもへの支援を考える際は「本人とその行動を観察」「何故起こるのかを考察」「そして環境を変える」の3点で進めていくのだと学びました。つい、見えている問題行動ばかりに対処しがちですが、その裏にある理由を考え、知り、環境を変えることが大切だと、忘れないように自分に言い聞かせています。担当支援員さんとの繋がりはこの後も続きます。次回は保育園と私が良い関係を築くことに繋がった、年少さんで受けた保育所等訪問支援のお話です。Upload By ウチノコLITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年04月30日Upload By スガカズ私は長男の3歳児検診で、列に並べない長男を捕まえて検診を受けさせることができず手をこまねいていました。そのうち、会場が閑散としていき…最後の方でやっと保健師さんと落ち着いて話ができました。そのときに、「よかったら子ども発達支援センターに相談してみてはいかがでしょうか?」と言われました。私にとっては思ってもいなかった言葉でした。Upload By スガカズ確かに外出するとひやひやする場面がありましたが、どちらかと言えば癇癪の少ない子でした。家や保育園では、もの静かで他害もなく、黙々と2~3歳には難しいパズルなど興味のあることに打ち込む子だったので、「この子はものづくりの才能があるのかも知れない」なんて、呑気に考えていました。自発的に言葉を発しないことも、「話せない訳ではないし、理解力はあるし、この子は大人しいからだ」と思っていました。とはいえ呼びかけに反応がないことが大半だしなかなか寝ない子だし、外出先で気がつくといなくなっているなんてこともあったので、「うちの子はちょっと育てづらい子なのかも」と潜在的に感じてはいました。5歳で知能検査を受けました。結果は…Upload By スガカズ子ども発達支援センターは順番待ちが多いです。長男を見てくださった心理士の方は療育センターにいることが多く、子ども発達支援センターには週に2度ほどしかいないため、1年は待つとのことでした。ようやく順番がまわってきたのは5歳のころ。5歳9ヵ月で田中ビネー知能検査Vを受けました。検査中は、椅子を左右前後に揺らしたり、離席したり…器具が提示されると何もいわずすぐに触ってしまうなどの動きの多さは目立ったものの、声をかけると続行は可能で、全体的に見て意欲的だったようでした。検査結果は6歳6ヵ月相当。「平均の上」の範囲に位置しました。相対的にみて特に大きな課題は見受けられないようで、様子見という判断となり、療育の紹介は受けませんでした。心理士さんからの検査結果と見解を聞き、当時は「心理士さんがそう言うのであればそうなのだろう」「今回の検査結果はポジティブに捉えて、この子の興味のあることはたくさんさせよう」と思うことにしました。平和主義すぎるところがあり、共感して結果人に合わせすぎたり変化に対応することが少し苦手な私の悪いクセです。当時の私にもっと強い信念があったなら、療育につなげることができたのかもしれません。後に長男の就学後に後悔することになるのでした。長男の発達障害がハッキリとわかったきっかけは、学校からの一本の電話Upload By スガカズ通常学級で小1の2学期を迎えたころに、担任の先生から呼び出しがありました。そこで長男が学校生活に適応できていないことを知りました。・授業中は絵を描いているか、教室の外に脱走する。・クラスメイトとの関わりを拒絶する。・特定の音に敏感で、音楽の授業を受けられない。などの指摘を担任の先生から受けます。たまたま学校公開の日に、同学年の生徒さんに「ねーねー、この子(長男)キモいんだよ」と率直な意見を言われ、とてもショックだったのを覚えています。そこでようやく、「自分の子どもは明らかに他の子と違う」「長男にこの先どんなことが起こる可能性があるのか」理解しました。言われたときは目の前に長男もいましたが、本人自身は「この子」が「どの子」を指しているのか分からなかったし、「キモい」の意味を理解していなかったようで、反応はなく、無表情でその場にいました。学校から帰宅してからというもの、私の頭の中は疑問でいっぱい。うちの子が何故?先天的な障害と聞くけど、私のしつけが悪かったの?妊娠中に「はしか」になってしまったのがいけなかった?私の遺伝?考えても仕方ない「原因さがし」の日々。その後しばらく私が子どもの障害を受容するまでメンタルが低迷する期間が続きましたが、担任の先生、スクールカウンセラー、療育の医師、心理士、作業療法士のお世話になり…小5でようやく特別支援教室に通えることになり、現在中2になりました。少しずつ少しずつ道が開けたという感じです。穏やかな発達障害は、優先順位が下がりやすいUpload By スガカズうちの長男のようなタイプは社会性秩序だとしても、学校生活を送る中で、どうしても優先順位は低くなりがちです。学校生活で本人が困ったことがあっても本人は助けを求めないし、学校も明らかに困るようなことがないからです。通級の見学に行き、トレーニングを受けているお子さんたちの様子を見て、「あぁ。自分の子は優先順位が低いと言われるだろうな」と直感で思いました。案の定「もっと課題の多いお子さんがいるので…それに空きもないし…」と、やんわり断られました。こういったときの雰囲気がどうも苦手です。発達障害だとわかり、支援を受けたくても受けづらい。今思えば療育センターにも通えているし、担任の先生にも配慮いただいているので、可能な支援は受けているのだろうと思いますが、当時の私は「声を大にして、『わが子により良い支援を受けさせたい!』と言っても、今までと同じように断られるに違いない。長男が今通級を選ばないことでほかのもっと優先順位の高いお子さんが支援を受けられるのかもしれない。それに、期待して断られて落ちこむくらいなら素直に受け入れたほうが自分の精神衛生にもいいはずだ」こんな風に思っていました。次回はその長男での経験が、年中から小1までトラブル続きだった次男の発達障害がわかったときにも影響したお話です。
2021年04月29日“自分らしい人生を描くライフプラン”実践するコンサルタント2名をご紹介Upload By LITALICOライフ(写真・左)大手教育関連企業に入社後、会社の経営に従事しつつ、地域に根付いたサービス提供を推進。中学から大学までの入試全般から、普段の学習方法や不登校等々多くのご相談を経験。現在は、進路選択から習い事へのアドバイスや教育費の備え方など広く相談を実施している。(写真・右)中学時代にいじめに遭ったこと・障害のある家族がいることから「人と人/人と環境の境目にある壁をこわすこと」を軸にする。当事者の家族であることから、家族の心のケアや障害年金、また「よくわかる高校受験」勉強会の開発者でもあり、入試全般、不登校問題の相談経験も豊富。LITALICOライフの面談はどのようなことをする?LITALICOライフ編集部(以下、ーーー):お二人は、発達障害・特性のある子のご家庭と日々ライフプラン面談をしています。面談ではどのようなことをするのでしょうか?加藤晋太郎さん(以下、加藤):ご家庭の多くは、子どもや家族の将来について「もっと良くなりたい」という気持ちがあります。そのお手伝いです。髙橋基さん(以下、髙橋):発達特性のある子は、進路や自立後の情報が手に入りにくいですよね。我々は情報を持っているので、整理しながら「どうありたいか」「どうすればそれが実現できるか」を一緒に考えます。よくある相談内容は?意外に多い「何からすればいいのかわからない」Upload By LITALICOライフーーご家庭からはどのようなご相談が多いですか?加藤:「行ける高校はあるか」「将来就けそうな仕事はあるか」など…ご家庭によってさまざまです。「何から考えたらいいかわからない」という方も意外に多いですね。髙橋:多いですね。ーー「相談内容がわからない」ケースもあるのですね。加藤:「何かを変えたい」と思いながらも、整理する時間が日常でとれないのだと思います。髙橋:面談は、そういった保護者さま自身の幸せや「実現したいこと」を再認識していく場でもあります。自分の願いを見つけるコツは「普通」「他の人と同じに」を一度忘れることーー保護者さま自身の「実現したいこと」は、どのように整理・再認識していくのでしょうか?加藤:例えば子どもの進路や趣味探しであれば、保護者さまは、子どもの特性や性格をよく知っています。それらを言葉にして整理していくだけでも、「実はこれが向いているかも」「一度挑戦してもいいかも」と見えてくることがよくあります。髙橋:保護者さま自身のことであれば、例えば「どうやったらうちの子は大学に行けますか」という質問もよく受けます。加藤:受けますね。髙橋:その場合、「なぜ大学に行って欲しいのか」「保護者さまにとって大学とは何か」と会話していくと、中には「やっぱり価値のあるものだから行って欲しい」という方もいれば、「よく考えたら行かなくてもいい」という方もいます。ーー会話していくなかで、考えが変わることがあるんですね!加藤:変わることもありますし、自分でも気づいていなかった価値観が見つかることがありますよ。髙橋:「わたし、こんなこと思っていたんですね」って言われますよね。加藤:「普通にしなきゃ」「他の人と同じにしなきゃ」と感じることがあると思いますが、世の中変化しています。例えば、コロナによってオンラインの活用など、学びのかたちも変わってきていますよね。最終的には自分たちの「こうしたい」という気持ちが大切だと思います。進路選択や相続。一般的に「良い」と言われていることも、詳しく知ると…?Upload By LITALICOライフ髙橋:「情報を正しく知る」のは重要ですよね。加藤:重要ですね。例えば「通信制高校が良いらしい」という情報があったとして…髙橋:卒業率や大学進学率、実際のカリキュラムなどを見てみると、相性の良い子と悪い子がいます。ーー通信制高校は今、注目されていますよね。子どもによって相性があるのでしょうか?加藤:はい。授業の受け方や、同世代とのコミュニケーションは独特な部分があります。「良い」と言われていても、合うかどうかはお子さま次第です。髙橋:面談で、人生にまつわる先の話をしていくと、相続の話にもよくなりますよね。ーー相続というと、親なきあとのお金のことでしょうか。お金持ちのご家庭が気にされそうですね。髙橋:お金のあるなしは、あまり関係ないかもしれません。人の別れは、避けては通れないものですから。加藤:保護者の方は「今」がとても忙しいので、考える機会がない方が多いと思います。面談では、将来や、保護者の方の家族の話になることもあります。すると「意外に時間がない」「突然のことで困る事態は避けたい」という気持ちになる方は少なくないですね。ーー相続というと専門的な印象がありますが、そういったことも相談できるんですね!髙橋:そこが私たちの強みです。現実的な家族関係やお金の問題をクリアしたうえで、「実現したい」ことに向き合いたいですからね。加藤:相続に関しても「子どもにお金を託しても管理できないから遺さないほうがいい」という意見もあります。でも、遺し方はいろいろあります。他の人に託したり、月々一定額届くようにしたり、一部の金額だけ渡したり。髙橋:その子が一人っ子ではない場合は、きょうだいのことも大事ですね。ーー将来のこと、きょうだいのこと、自分の親やお金のこと…。いろいろなことを繋げて相談できるんですね。加藤:相続や法律についても私たちは情報があるので、保護者さまは「どうありたいか」集中して考えられると思います。面談は「自分の意志で人生を描きたいと感じられる」「保護者さま自身の幸せを考える」場Upload By LITALICOライフーー最後に、保護者さまにとって面談がどういう場であってほしいか、教えてください。髙橋:保護者さまは、子どものことをすごくよく考えていらっしゃいます。だからこそ、あえて「今はあなた自身の幸せを考える場です」とお伝えしています。守りたいことや起きてほしくないことを整理して、自分たちにとっての形を追求することを、私は手伝いたいです。加藤:人生の時間は有限だと、私自身よく感じます。これからの数十年を俯瞰すると、自分ができることには物理的に限りがあります。生きているなかで何をしたいのかは、人や家庭によってさまざまです。「自分の意志で人生を描きたい」と感じられる、価値のある場にしたいと思っています。ーーありがとうございました。加藤晋太郎さんのプロフィール・無料勉強会はこちら髙橋基さんのプロフィール・無料勉強会はこちらLITALICOライフでは、発達障害のある子のご家庭と日々、「進路」や「将来」といったライフプラン(人生設計)について相談・面談をしています。14以上のテーマの無料勉強会を開催していますので、気になる方は参加してみてください。勉強会のあとに、個別の無料面談を希望することができます。LITALICOライフは、誰もが「自分らしい人生」を歩んでいけるよう、さまざまな興味・課題に合わせた情報提供や個別相談を通じて、そのひとりに合わせたライフプランニング(人生設計)をサポートしています。無料勉強会では、就学準備、地域ごとの進路情報、通級、支援級、グレーゾーンの子、不登校の子、親なきあと、私立中学受験まで、幅広く家族のための情報提供をしています。
2021年04月29日不安で始まった、運動会練習。広汎性発達障害の娘は、現在小学5年生。これは、娘が小学1年生のときのお話です。娘が小学校に入学後、初めての運動会の練習が始まりました。私は、娘が無事、練習をこなせるか心配していました。小学校の運動会は、人数も多く、ほかの学年との合同練習もあります。幼稚園の運動会とは、雰囲気もやり方も違う練習…。練習時間も長いので、娘がその時間、最後まで集中できるか不安だったのです。Upload By SAKURAちゃんとやれてる?気になるけれど…娘は、運動会の練習がある日、いつもひどく疲れた様子で帰宅していました。ちゃんと指示は聞けている?動けている?そのことが気になり、練習の様子を聞いてみるのですが、Upload By SAKURA「疲れた」「暑かった」というだけで、具体的な話がなかなか聞けません。先生からの報告や電話も特になかったので、「きっと、きついけどきちんとやっているのだろう」と思っていました。指示を聞けてなかった。ある日、用事があって小学校に行った際、担任の先生にばったり会いました。私は気になっていた、運動会の練習について、聞いてみることにしました。Upload By SAKURA娘は、「朝礼台に注目」という先生からの全体への指示に反応できず、一人、違う方向を向いてボーっとしているということでした。耳で指示を聞きとることが苦手な娘ならではの、行動だと私は思いました。なぜ見れない?私は、帰宅後、早速娘に話を聞いてみることにしました。Upload By SAKURA私は、娘が朝礼台の意味が分かっていないのかと思ったのですが、娘は朝礼台のことはわかっていました。そうなると…Upload By SAKURA私は、娘が言葉だけの指示だけでは、長く指示を聞いていられないのかもしれないと思いました。そこで、娘の脳内に指示のイメージが浮かびやすいよう、絵カードをつくることにしました。絵カードは、直前に見せる!私は、「朝礼台に注目」という言葉と、朝礼台に注目している人の絵を描きました。Upload By SAKURAしかしこのとき、娘はまだ特別支援学級に在籍しておらず、担任の先生に絵カードを渡して見せてもらう…というのは、さすがに気が引けます。娘一人のために、そんな対応を要求することは無理だと思いました。でも…絵カードなら少しは効果があるかもしれない。なんとかして活用できないか…。そう考えた私は、毎朝、登校前に朝礼台の絵カードを見せることにしました。Upload By SAKURAさらに、娘の体操服入れにその絵カードを入れ、娘が着替えるときに自然と目に入るようにしました。Upload By SAKURAこれを数日繰り返したところ、担任の先生から『朝礼台見られるようになりました』と言われるようになりました。運動会当日に確認してみると…そしてやってきた運動会当日。本当に見られるようになっているのか、気になっていた私は、ドキドキしながら開会式を見守りました。娘は「朝礼台に注目!」という掛け声で、朝礼台の方をさっと見ることができるようになっていました。Upload By SAKURAしかし、その集中力は、長く持ってはいませんでした。目が少しずつずれていき、身体がふらふら。最終的には、完全に目が下に向いていました。話している先生を最後まで見ることはできませんでしたが、最初の掛け声に対しては、さっと反応できている姿を見て、絵カードは、役に立ったと実感しました。暑い中で先生の話を聞いている間、ずっと目線をそらさず、じっと立っているというのは、(私も経験がありますが)難しいもの。今、それを求める必要はないと感じました。現在小学5年生になった娘。去年(4年生)の運動会では、「朝礼台に注目」の声かけにも難なく反応できるようになっていて、先生を見ていられる時間も以前より増えました。最近では、成長からか本人が絵カードを「いらない」と拒否するようになり、絵カードの活躍する場がほとんどなくなりましたが、これまで絵カードにはたくさん助けられました。絵カードを見てくれるうちに、たくさん活用できてよかったと感じています。
2021年04月28日みんなが楽器の演奏を楽しんでいるときに息子は…!?Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。みなさん、こんにちは。今回はADHDと広汎性発達障害がある息子、リュウ太が保育園に通っていたときの困りごとをお届けします!5歳のとき、リュウ太は園生活の中で一番気持ちが荒れていた時期でした。リュウ太は大勢の中に混ざって生活することが嫌いではないのですが、周りに合わせて行動することができませんでした。みんなが先生の伴奏に合わせて楽器の演奏を楽しむ時間も、床に寝そべって自由に一人遊びをします。自分がやりたいことが最優先でムリに周りに合わせるとイライラしてしまう特性があるため、先生はリュウ太の特性を理解していてか演奏に参加させず好きにさせてくれていました。Upload By かなしろにゃんこ。このように一人で遊んでいるときは穏やかに落ち着いて過ごせるのですが、周りの子に自分の遊びを干渉されることがとても苦手で、遊んでいる最中に話しかけられたりするとイライラしてしまったり、しつこくちょっかいを出されるとパニックになってオモチャを投げてしまったりすることもありました。Upload By かなしろにゃんこ。息子が自分の気持ちを人に話せるようになった小学校高学年のときに、保育園時代の話をしたことがあります。「ボクに話しかけたり遊びの邪魔をしたりしないでくれたら、お母さんがお迎えに来る時間までなんとか頑張って教室にいられるけれど、たまにどうしようもなく教室にいたくないときがあった。そんなとき、先生が特別に廊下に出てもいいよと言ってくれた。廊下にいると楽だった」とリュウ太は話してくれました。保育園では教室から出てはいけない決まりでしたが、リュウ太は教室にずっといると周りの子とどうしても争いが生じてしまい、先生に何度も注意されても勝手に廊下に出てしまうことがありました。そんな息子に先生がつくってくれたのは…Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そんな先生が根負けしてか?「ここがリュウ太くんの場所です」と仕方なくお昼寝布団が積んである廊下の半畳ほどの場所を、特別にカームダウンスペースとしてつくってくれたのでした。リュウ太は周りの子たちから逃げてきたときに、一人で過ごす時間と場所ができて楽だったようです。私も先生がリュウ太を他の子と引き離して過ごさせてくれたことでホッとしました。保育園に通っている期間は、周りの子とケンカしたらどうしよう、パニックになってオモチャを投げて誰かをケガさせたらどうしよう…と毎日ドキドキしていましたからリュウ太が一人で落ち着いて過ごせる場所をつくっていただけたことは感謝でした!悩んでいた私を励ましてくれた園長先生の言葉Upload By かなしろにゃんこ。その他にもリュウ太がイライラしたときに、気分転換できるようにたまに職員室にいさせてもらうこともありました。園長先生や事務の先生と話したりして(女の人が大好きなリュウ太のことだから多分べったり甘えていたに違いないと思います)かわいがってもらっていました。担任の先生は常に忙しそうでしたので相談がしにくかったのですが、迎えに行ったときにリュウ太が園長先生にかまってもらっているときは園長先生とお話しができました。園長先生は「リュウ太くんは今はとても手がかかる子かもしれないけれど、何をしたいのか主張がハッキリしているから分かりやすくていいのよ。自分の欲求をきちんと伝えられなくて思春期に急にキレてしまう子もいるけれど、イライラしたりする主張ができることは悪いことじゃないんですよ」と教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太と周りの子の度重なるイザコザで通園に疲れ、「保育園やめようかな…」と落ち込んでいたときだったのでこの園長先生の言葉にはとても励まされました。集団生活の中で周りと歩調を合わさず、先生の指示にイヤ!とハッキリ言ったり、自分は今コレをやりたいと勝手に一人で遊んだりする息子のことを私は『協調性がなくて困る』と感じ、『子どもの主張=わがまま』だとしか思っていませんでした。しかし、『主張=自分らしさの表現』こういう見方もあるんだと教えてもらったのでした。この自分らしさの表現は、成長や自立に欠かせないエネルギー。生涯にわたって他者と交流する際に必要な力であると気がついたのはそれから更に数年後になるのですが、大切なことなんですね♡その後もたびたび園長先生に「卒園まで頑張って通いましょうね」と引っぱってもらって通園を続けることができたのでした。リュウ太の主張を受け入れ、カームダウンスペースをつくってくれた担任の先生の配慮にも感謝感謝でございます。
2021年04月27日秋田県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報運動学習支援教室ふれんずは、秋田市初の「運動・学習」をメインにした放課後等デイサービスです。運動と学習の調和をコンセプトにプログラムを組み、子どもたちの持っている能力の芽生えと飛躍を目指しています。視覚・聴覚的なワーキングメモリや、同時処理能力を鍛えていくことにより、コミュニケーション能力の向上等、さまざまなアプローチからお子さんのできるを伸ばします。決まった形式には縛られず、想像力を刺激する活動や、保護者の方も一緒に参加できるようなイベントも積極的に実施しています。子どもたちがキラキラと輝ける空間と未来づくりを目指しています。秋田県の児童発達支援事業所をもっと見る埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報うんどう広場3C しき教室では、脳機能改善をテーマにした運動プログラムを導入しています。運動や視知覚トレーニングを通して、脳に負荷をかけることにより脳機能の発達を促し、体の使い方、抑制のコントロール、非言語的コミュニケーション能力等の向上を図ることで、学校やお家での問題行動、困り感を軽減させ、脳と体の土台を形成していきます。集団療育に入れないお子さんも、最初は個別療育からスタートできます。障害のあるお子さんの療育に熱い思いを持ち、トレーニングを積んだ専門スタッフが全力でお子さんと向き合っています。埼玉県の放課後等デイサービスをもっと見る岡山県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報まなてぃでは、学習支援、ライフスキルトレーニング、SST、ビジョントレーニング、感覚統合、作業活動、など一人ひとりに合わせた個別支援と、製作や料理などみんなで一緒に経験ができる小集団療育を行います。まなてぃの特徴は、「①好き・得意を伸ばす②自分のことを知る③自立に向けてのスキルアップ」です。ご家族の方にとっても安心して通っていただけるよう、各機関とも連携を図りながら、お子さんをサポートしています。多機能型事業所の強みを活かし、幼児期から思春期まで、土日・祝日もご利用可能です。岡山県の放課後等デイサービスをもっと見る栃木県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ちゃれんじ松原教室は、4月オープンの新しくきれいな施設です。個別支援を軸に、時計の読み方、数の理解、言葉を正確に書き写す練習など、お子さんに合わせた教材を用いて支援をしています。毎週、買い物支援や調理実習も行っています。作業療法士、社会福祉士・保育士等、それぞれの専門分やに精通しているスタッフが支援をすることで、苦手を少しずつ克服し、お子さんのできるを増やしていきます。自信をつける関わり方で、お子さんと保護者の豊かな未来を目指しています。栃木県の放課後等デイサービスをもっと見る「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2021年04月26日「図鑑の知識」は身を助ける…こともある?Upload By 丸山さとこ前回のコラムでも書いたように図鑑好きなコウは、一方的な知識の披露をしてしまいがちです。それがコミュニケーションのトラブルになることもあれば、会話のきっかけになることもあります。そんな彼の”図鑑知識”は、日常生活を送る中でしばしば役立つこともあります。「これはこうするといいんだよ」と何かを理解するために役立つこともあれば、「知っているもの」を増やすことで気持ちを落ち着けるために役立つこともあります。「よく分からない怖いもの」から「知っているもの」へ保育園年中のころ、クモのことが苦手だったコウは、植え込みに張られた小さな巣であっても大きく離れて迂回しようとするので、道路に飛び出さないよう注意が必要でした。Upload By 丸山さとこ保育園までの道は公園や街路樹が多く、電灯や足元灯も多いことからあちこちにクモの巣がありました。特に苦手ではない私からすれば「言われてみればいるなー」くらいの存在感だった彼らを、コウは素早く見つけては「クモいる」「通れない」とぐずり出します。Upload By 丸山さとこ街路樹などの高い所に張られたクモの巣だけでなく、植え込みや垣根などの低く小さなすき間に張られたクモの巣ですら的確に発見していくので、その度に迂回したりなだめたりでなかなか目的地までたどり着けません。『視覚優位の特性が活かされているから!?』と思うほどの発見率の高さに親子共々振り回されていました。そうして、たった数センチの存在に右往左往しながら登園と帰宅を繰り返していたある日のこと。いつものようにクモの巣を発見したコウは、逃げたり固まったりすることなく、じーっとクモの巣を見つめていました。しばらく待っていると、コウは静かにクモの糸の性質について解説を始めました。Upload By 丸山さとこ「クモの巣はたて糸とよこ糸で性質が違う。よこ糸はくっつくけどたて糸はくっつかない。クモはたて糸の上だけを歩くので、自分の巣にくっつくことなく動くことができる」そう言い終えて再び歩き出したコウに「そうなんだねー。それはどこで知ったの?」と聞くと、彼は淡々と「図鑑に書いてあった」と言いました。毎度おなじみのそのセリフを、そのときほどありがたいと感じたことはありませんでした!(笑)「必要な時間や回数」は、早送りできないのかも…?それから3ヶ月ほど、コウの「クモの糸はね…」は続きました。彼がクモの存在を受け入れるようになるまでに必要な時間だったのだろうと思います。Upload By 丸山さとこ今では毎日おしゃべりが止まらないコウからの情報量に「お腹いっぱいです」「それもう20回は聞いた」と言いたくなることもありますが、「20回でも30回でも話したいから話すんだよね。その内『お母さん聞いてー』も無くなっていくんだろうな。クモの糸の話のように、必要な時間や回数があるんだろうな…」と思うと、彼の延々と続く話にも『今は付き合ってもいいかな?』という気持ちになったりもするこのごろです。
2021年04月26日いじめで引きこもりに…「半分死んでいた」飲食関係の会社で働く父親と、元保育士の母親のもとで育った古橋さん。6歳上の姉とともに暮らしていた。中学1年の10月ごろから不登校になった。原因は、小学生時代から続いたいじめだった。「人がもうダメになって。小学校6年の終わりにいじめが始まったんです。小学校の人たちと縁が切れて、中学校に入ったら中学校で縁ができた人たちにもいじめられて……。あぁ、ちょっと無理、ってなって。自分の中で、引きこもりになるってことはすごくいけないことをしたっていう、人を殺すよりもいけないことをしたって考えていました。当時は、信号の赤を渡ったら地獄に落ちるぐらいの勢いで凹んでいたから。だからもう引きこもりになるってことは死ぬっていうか、半分死んでいるみたいな。生きてはいるけど。なんか死んではいないだけって感じで捉えていました」(古橋さん)Upload By 桑山 知之よく忘れ物をする子供だったという古橋さん。引きこもっている間に、自閉症スペクトラム障害だと診断を受けた。19歳の頃、鬱のため通院もしたが、なんとか苦しみを乗り越え、愛知県内にある通信制の高校や放送大学を卒業した。その後、就労支援のサービスを受け、エクセルやワードなどの資格を取得。2019年、晴れて貸し会議室などを運営・管理する会社にパートとして就職した。業界大手の一流企業だ。「その会社は時給社員っていう肩書きがある会社でした。社員だけどパートっていう、契約社員でも正社員でもなかった。営業の人が使う情報を入力して、資料を作成するような仕事ですね。そういったところでVBA(ビジュアルベーシック・フォー・アプリケーションズの略。Microsoft Officeに含まれるアプリケーションソフトの拡張機能のこと)を 使って、メールの下書きが自動で作れるようにしたりしていました」Upload By 桑山 知之襲い掛かった“コロナショック”就職から1年余りで週4日勤務、時給900円。手取り月収はおよそ7万円。決して裕福な生活こそできないが、それでも古橋さんは「正社員のような長時間労働は自分には難しいだろう」と、無理をせずに仕事に励んでいた。しかし、世界的なパンデミックの波が、古橋さんを襲った。「去年の春からコロナが流行って、不要不急の業務はやめるってことになって、お休みになったんです。それからずっと自宅待機になって、結局9月に退職しました。貸し会議の業界自体がお客さんを集めて運営するようなものなので……。人が集まれない状態ですから」(古橋さん)Upload By 桑山 知之「密を避ける」という時節柄、部屋に人が集まって会議をするという需要は激減した。自宅待機中、古橋さんは雇用調整助成金のおかげで給料のうち6割は支給されていたものの、「会社も運営が難しくなって人員を減らさないといけなくなり、その関係で切られた」という。現に、古橋さんと同じ立場であるパートは全員退職していた。「そりゃショックでしたよ。でも、しょうがないかなっていう思いが強かったですね。だってコロナの状況でしたし。なんでこうなったのかっていうのも、自分のせいじゃないってわかるし。じゃあ、就職活動頑張らなきゃなって」(古橋さん)Upload By 桑山 知之コロナと距離「自分を受け入れてほしい」元々は正社員志望だったという古橋さんだったが、飲食関係の中小企業で正社員として働く父親が朝から仕事に出て、翌日未明の2時や3時まで自宅に戻らない姿を見て、子どもながらに「これは無理だ」と悟った。社会情勢の影響を受けるのは経済面などで「弱い立場」の人間であることが多い。旧来の“当たり前の幸せ”すらまともに享受できない現代において、新型コロナウイルスは、こうした社会と市民との距離をはっきりと顕在化させているのではないかと筆者は思う。「いま、社会に望むことはあるか」との問いに、古橋さんはこう即答した。「そりゃあ自分を受け入れてほしいってことじゃないですか。社会に出て、パートナーを得て、家族ができて、成功できればなって。社会に受け入れられるっていうのは、僕はその2つだと思います」(古橋さん)社会との距離をあぶり出した、新型コロナウイルス。引きこもりで通信教育だったため友達作りの場が不足していた古橋さんは、親以外に相談相手がいない。取材中も「僕たちには相談相手が必要だ」としきりに話していた。古橋さんに愛情を注ぎ続けていた母親は、取材時にガンで入院中だった。その後、3月18日に息を引き取ったという。Upload By 桑山 知之Upload By 桑山 知之正しいからおもしろい行き着いた“適者生存”古橋さんは、去年11月から再び就労支援のサービスを受け始めた。幸い、以前も担当していたスタッフが在籍しており、また受け持つことになったそうだ。古橋さんがいま大切にしていること。それは「正しくないとおもしろくない」ということだ。「別に誰かに正しさを教えられたわけじゃないけど、自分の中でいつのまにか形成されたこだわりなんです。正しくないと楽しくないし、おもしろくないんです。正しくないよりは正しいことを楽しく感じますし」(古橋さん)Upload By 桑山 知之図書館に行っては歴史や社会、政治、自然科学といった専門書ばかりを読み漁る。その中で、ある言葉と出会った。いまの古橋さんの心を支えているという。「自分が最近好きな言葉が『適者生存』で。適しているから生き残るっていう意味らしいんですけど、実はそうじゃないんですよね。生物学の本に書いてあったんですけど、『生き残ってるのがすべて適者なんだ』って考え方なんです。適してないものは滅ぶんじゃなくて、すでに滅んでるんだって。だから、発達障害があるってことは環境に適していないっていうことではなくて、『生きているってことはすでに適している』っていう意味で適者なんだって」(古橋さん)Upload By 桑山 知之Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年04月25日幼いころから「なんか変?」だったタケルUpload By 寺島ヒロ他にも、先生の言ったことにあいまいなことがあると、迷ってしまって動けなくなったり、泣き始めると止まらなくなって2~3時間も声をあげて泣き続けたりと、自閉症のある子どもに特有の様子が見て取れました。その反面、文字の読み書きは人より早く覚え、複雑なパズルゲームをこなし、人の体の臓器や働きについての解説は「ハカセ」と呼ばれるほど。会話も他の子どもとの間に成り立っているかは怪しいですが、一応先生方の指示は意味を汲み取れており、返答も明朗でした。なので、私はかなり前から「この子には高機能自閉症の傾向があるな…でも、こんなにしっかり喋れるのだから、障害というわけではないのかな?」と思っていました。私は学生時代に心理学の授業を取っていたので、発達障害についても少しは知識があったのです。でも、当時はアスペルガー症候群とも言われていた「喋れる自閉症」の事を、私はまだ知りませんでした。Upload By 寺島ヒロ実は、私の実家の一族には多くの教育従事者がいます。何度か養護に詳しい親戚らに意見を聴いてみたこともあるのですが、私の息子のような子どもは本では読んだことはあるが珍しく、実際にはほとんど見たことがないとのこと。「そんなに珍しいのなら学校も、自治体も頼りにならない。私が上手く育てていかなければ!」とは思ったものの、具体的に何をすればいいのかはわかりません。手掛かりを求めて、年に3回、市が主催する発達相談に度々足を運びました。相談員のスタッフの方は優しく接してはくださいましたが、発達障害や自閉症については、当時はほとんどご存知ない様子でした。心理や精神の専門家というわけではなく自分の子育ての経験を元にアドバイスをするという形が主だったらしく、「しっかり喋っているから頭の障害ではない」「お母さんが社交的になって友達をつくってあげて」と言われるばかり。何度も通って、こんなに普通と違って手がかかる部分があるんですよと訴えていると、やがて「そんなに子どもの世話が嫌なのか、こんないい子を障害者にしたいのか!」と怒られるようになってしまいました…。そんな日々を180度転換させる出来事が…!タケルの「特性」がはっきり分かったのは2007年、タケルが8歳のころです。懲りずに行った子どもの発達相談ででした。Upload By 寺島ヒロそのときの相談で、ジャージ姿の支援スタッフの方に、息子の生育環境やこれまでの経緯、自閉症に特徴的ないくつかの行動があることなどをお話しました。その間、息子は他の支援スタッフの方と絵本やボールで遊んでいましたが、遊びながら行動をチェックされていたみたいです。その後、医師と息子本人の面談を経て、「この場では診断はできないんですが、印象として申し上げるとアスペルガー症候群に大変近いですね。詳しく調べてみた方がいいと思いますが、どうでしょうか。県の発達療育センターであればここで今すぐ予約という形にできるんですが」ということになりました。急・展・開!市井の病院ではなかなか予約が取れないことを知っていたので、即申し込み!次の週末にはもう受診できることになりました。さて、ようやく療育センターの予約を取ったものの、困ったのは息子になんと説明するかです。発達相談の方は、会場となった保健所が近所だったこともあり「タケルの成長を保健所に行って見てもらおうね」で済ませていましたが、行ったことにない場所に、車に乗って1時間半もかけて行くのですから、さすがに説明なしは無理があります。いや、それ以前に何があるかわからないところに行くなんて、そんな恐ろしいことをタケルが認めるわけがありません。断固として拒否されてしまうでしょう。そこで、急遽「告知」をすることにしました。障害かどうかこの時点ではわかっていないので告知というのも変なのですが、適当な理由をつくって療育センターに連れ出したとしても、読み書きは大人並みにできる息子のこと、院内の表示やもらうプリントから何が起こっているのか正確に察知してしまうでしょう。私たち親が信頼を損なうだけです。Upload By 寺島ヒロ思った以上にすんなり受け入れてくれて一安心。実際の療育センターでの聞き取り調査や検査にも、飽きることなく頑張って取り組んでくれました。その後、数度の診察や検査を経て、タケルは「アスペルガー症候群にごく近い状態(※現在はASDに統合)」と診断されました。Upload By 寺島ヒロさらに…「診断結果は予想通りだったね。感想?いや別に。体重50キロの人が改めて計って体重50キロですねって言われたようなもんじゃない?」と、さらっと言うのでした。タケルの場合、「障害者」になる悩みとか葛藤はあまり感じていなかったようです。本人とって障害はすでにあるもので、診断がつかなければ消えてなくなるというものではない。診断がつけば福祉の対象にしてもらえて学校生活も配慮されるのだから、診断はついた方がいい。何を悩むことがあろうか?ということなんですね。ASDらしい原理主義的ロジカルシンキングだと思います。しかし、このようにストレートに向き合うことができたのも、タケルの周囲に障害をネガティブに捉える人が少なく、タケル本人を可愛がってくれる人が多くいたからでしょう。Upload By 寺島ヒロ発達障害のことを本人にどう伝えるかは、お子さんの置かれた状況や障害の特性、そしてお子さん本人の性格によって大きく変わるため、一概に言うことはできません。ですが、どういう状況であれ、その子本人を認め、困りごとがあれば一緒に改善しようとしてくれる人が周囲にいれば、きっとなんとかなるんじゃないかなあと思います。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年04月24日満3歳児クラスに入園Upload By かさはらあやこ息子を幼稚園の満3歳児クラスに入園させたのは、早く集団に入れたほうがいいと医師から促されたこと、地域に療育園が無く、集団に入るには幼稚園か保育園の二択だったこと、保育園の申し込みに落ちたことなどが理由でしたが、3歳前は本当に酷い夜驚が毎日続いており、乳児の世話もあったことでかなり疲弊していました。今考えると 入園を促されたいちばんの理由は、私のレスパイトが目的だったのだろうと思います。私自身も、幼稚園と保育園、息子にとってどちらがいいのかなどを深く考えるより、自分が休めるならどちらでもいいという気持ちがあったと思います。とはいえ意思の疎通が全くできない知的障害を伴う自閉症児を満3歳で幼稚園に入園させるということは凄く難しいことでしたが、児童発達支援の先生達の協力もあり、幼稚園側が受け入れてくれたことで 晴れて入園することができました。すっかり安心していたけれど…Upload By かさはらあやこ満3歳になった翌日の6月某日に入園し、11月に退園しました。私が園側とのコミュニケーションに失敗したことが退園の理由です。コロナ禍で面談などもなく、加配の有無さえわからぬままでしたが、入園前に息子の特性などをまとめたものを提出しました。特性を一方的に伝えたことで満足し、相手には伝わっている、理解してくれていると思い込んでいたことや、入園後も息子が特に嫌がることなく、楽しそうに通っていたことで すっかり安心していました。もちろんそのような状態でうまくいくはずもなく、小さな出来事がきっかけとなり、先生と意思の疎通がうまくいっていないことに気づきました。これ以上迷惑をかけてはいけないという遠慮Upload By かさはらあやこ感覚の過敏や鈍磨がある息子は、熱が39度以上あっても、ぐったりするようなこともなく平気で遊ぶため、なかなか気づいてあげることができません。怪我をしても絆創膏をすぐ剥がしてしまうし、傷が気になって触ってしまい、悪化します。虫刺されひとつでも掻きこわし、完治するまでに半年かかるような傷になってしまうし、それが原因で夜泣きをしたり、癇癪を起こしたりするので、風邪をひかないように、怪我をしないように、虫に刺されないように、目を離さず育ててきました。「そうやって大切に、大切に育ててきました、だから、怪我をさせないようにしてください。虫に刺されないように気をつけてください。絶対に目を離さないでください」などと伝えることなどできるはずもなく、何かあるたびに小さなモヤモヤを抱えていきました。息子は迎えに行くと泣いていることがよくありました。帰りの会のとき、眠くなったりして椅子に座ることを拒み、姿勢を保つことができずに椅子からずり落ちて床に頭をぶつけて泣いてしまうのだと説明されました。「集団生活なので特別扱いはできないのですみません」 と言われると、帰りの会で立たせておくことはできませんか?どうしても座らないといけませんか?と聞くことすらできませんでした。障害がある息子を受け入れてくれた園に、手のかかる息子の世話をしてもらっている先生に、これ以上迷惑をかけてはいけないと遠慮し、息子の過ごしやすさを一緒に考えるという一番大切なことが全くできていませんでした。同じ失敗を繰り返さないためにUpload By かさはらあやこ小さな身体で、知らず知らずのうちにストレスを蓄積していた息子。帰宅すると酷い癇癪を起こし、偏食は激しくなり、食べていたものをほとんど口にしなくなりました。秋になり行事が増えたころ、砂を食べるようになったり他害をしたりするようになり、わたしは退園させることを決意しました。些細な違和感やモヤモヤを最初からきちんと伝えていれば、息子のために諦めずに話し合っていれば、このような結果にはならなかったのではないかと思います。息子は4月から保育園に通い始めましたが、今後、保育園でも同じような問題は起こると思います。何か起こったとき、同じ失敗を繰り返さないために、普段から先生としっかりコミュニケーションをとり、どんな小さなことでもすぐに相談できるような関係を築き、息子のことを一番に考えて対処できるようにしたいと強く思っています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年04月23日Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ次男リクの幼稚園の友達の中に、「ひとことも話さない」という子がいました。返事もしないし、笑い声ひとつあげない。イエスとノーは、Hくんが首をふるか縦にうなずくかで周囲が判断していました。話すというコミュニケーションができないこともあり、言葉で「嫌だ」と伝えられず、叩く・押すなどしてしまうことがあったHくん。ある日、リクが転倒しておでこを縫うケガをしてしまいました。病院で治療を受けたため、園がHくんの家庭に報告。その日の夜に、Hくんとお母さんが謝罪にやってきました。Upload By ひらたともみHくんはやはり無言のままです。お母さんは必死に、Hくんに謝るよう促しましたが、最後までひとことも言葉がでません。お母さんによると、家では多弁で、弟ともよく怒鳴りあうほどの兄弟ケンカをするそう。その日もリクに謝る練習を何十回もしてきたらしく、お母さんもどうして外でひとことも話さないのか不思議で仕方がない。こんな病気があるのだろうか…と、涙ながらに話していました。私も、そんな病気や障害など、全く知らなかったため、ただただ不思議で仕方ありませんでした。そしてその後、リクからまた驚きの話を聞きました。Upload By ひらたともみ「誰もHくんの声を聞いたことがない」というまま、リクはHくんと同じ小学校に入学しました。Hくんは相変わらず無言のままでしたが、週に一度程度、言葉の教室に通っていると風の噂で聞き、好転することを陰ながらも祈っていました。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみこの話はずいぶん前の話です。世間が子どもの発達障害に目を向け、学校や公共の場でも、理解に努めようと踏み出したころだったと思います。家で多弁なHくんがどうして学校で言葉が出てこないのか…。緊張なのか、シャイなのか…。どうして?いつまで?…と、家族はとても心配したと思います。後に、「場面緘黙症」という症状があることを知るのですが、この症状に悩んでいる人たちが世の中にたくさんいることも分かりました。この後Hくんは中学校に上がるのですが、なんと、よくしゃべる子になっていました。卒業式に初めて言葉を発したわけですが、それは私たちが考える以上のHくんの努力が詰まった返事だったと思います。私がHくんの場面緘黙症を「不思議」に思っていたように、まだ私の知らない障害や症状のある当事者の方を、知らず知らずのうちに傷つけていることがあるのかもしれないと、場面緘黙症を知ったときに深くそう思いました。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年04月22日