発達ナビ誕生の背景発達ナビを運営するLITALICOは、子どもの発達をサポートする教室「LITALICOジュニア」を各地で運営しています。ですが、全都道府県に教室を出すには至っていない状況です。また、入会を希望しながらも待機いただいている方もたくさんいらっしゃいます。悩んだり不安を感じている保護者の皆さんを、教室以外でサポートすることはできないだろうか。ネット上であれば、どこにいても、つながることができる。情報をお届けすることができる。そんな思いから、2016年1月26日に、LITALICO発達ナビが生まれました。3年目の取り組みを振り返って発達が気になる子どもを育てるとき、保護者にはたくさんのことが求められます。情報収集に療育、支援者との面談や連携、さまざまな手だてを考え、サポートグッズを用意…。子どもとの時間は、その成長に喜んだり、何気ない出来事の中に幸せを感じることができる反面、体力面でも精神面でもつらいなと感じる場面も少なくありません。私たちは、そんな保護者の皆さんに、「発達ナビにつながっていれば、いまも、これからも、きっと安心」「つながっていると楽になれる」と思ってもらえる居場所でありたいと考えています。また同時に、お子さまたちがよりよい環境で暮らすことができるサポートもしていきたいと考えています。そこで2019年4月から・連載ライターによるエピソードコラム・発達障害の基礎知識といったコラムコンテンツに加えて動画コンテンツなど、コラム以外の形での発信をスタートしました。動画とコラム連動型のコンテンツの作成にも取り組みました。また、子育て記録を簡単にとれ、経験をシェアしたり参考にできる機能・ダイアリーをスタートしました。そのような中で、ユーザーの皆様からも、発達ナビで生まれた交流によって、子育ての不安や悩みが軽くなったり、前向きになれたという声も寄せられています。また、ダイアリーに素敵なイラストとともに毎日の子育てを描いてくださっていた、taekoさんのコラム連載が2月からスタートします!Upload By 牟田暁子(発達ナビ編集部 編集長)ダイアリーとはまた違ったタッチでの漫画やエッセイとなる予定です。お楽しみに!さんのダイアリーページ検索をもっとしやすく!知りたい情報を見つけやすく4周年に向けて、検索性の向上に取り組んできました。2020年1月27日から、トップページをリニューアル!知りたいことからコラムやダイアリーなどを探すことができるようになります。ユーザーの皆さんの「以前読んだあのコラム、見つけられない…」を解消したり、「なんて検索したらいいか分からないけれど…自分のもやもやした不安や悩みの解決のヒントを見つけたい」を叶えたいと開発した機能です。ぜひ活用いただけたら嬉しいです!Upload By 牟田暁子(発達ナビ編集部 編集長)Upload By 牟田暁子(発達ナビ編集部 編集長)Upload By 牟田暁子(発達ナビ編集部 編集長)また、ダイアリーのハッシュタグ機能をご活用いただくことで、知りたいキーワードに関するダイアリーを見つけやすくなりました。同じようなことに関心があったり書いているユーザーの皆さん同士がつながるきっかけにもなればと考えています。Upload By 牟田暁子(発達ナビ編集部 編集長)発達ナビ編集部の、いままで、そしてこれからの取り組みを動画でも簡単にまとめています。障害のない世界を目指して、さまざまな取り組みをしています発達ナビは編集部をはじめ、多くのスタッフがさまざまな取り組みを通して、「障害のない社会」を目指し、活動しています。お子さまが利用する場面の多い、発達支援施設への研修教材や運営支援サービスの提供などを通じて、間接的に、お子さまたちの支援がよりよいものとなるようなサポートもひろげてきました。研修教材サービスのご紹介心ある企業の皆さんとの協働によって、発達が気になるお子さまやその保護者の皆さんにとってより暮らしやすくなる社会を作っていきたいと、取り組みを重ねてきました。さまざまな取り組みをさせていただきましたが、コラム化した中からいくつかご紹介します。5周年に向けては、ユーザーの皆さん同士が交流しやすくなったり、ユーザーさんそれぞれに必要な情報があつまってくる仕組みづくりをすすめていきたいと考えています。そして、皆さんの暮らしの中で欠かせないポータルになってきたいと思っています。発達ナビにつながっていれば安心、発達ナビを使うとラクになる――そんな風に思ってもらえるように。これからも、もっともっと発達ナビを活用いただけたら嬉しいです。
2020年01月27日発達ナビライター描き下ろし!イラスト色紙をプレゼントしますLITALICO発達ナビでは、多くのライターさんにご自身の子育てのエピソードをイラストや文章で描いていただき、ユーザーの皆さまにお届けしています。今回は4周年を記念して、初めて直筆で色紙にイラストとメッセージを描いていただきました!ご希望される色紙を選んでご応募ください!「4周年 発達ナビライター直筆イラスト色紙プレゼントキャンペーン」の応募期間は、2020年1月31日(金)まで。下記の応募要項を確認の上、ぜひ奮ってご応募ください!【応募要項】■ご応募はお1人様1回までです。■当選した方には、色紙の送付先をお伺いするため2月14日(金)までにメールにてご連絡いたします。ご応募の際は必ず受信確認ができるメールアドレスをご入力ください。※ご連絡が取れない場合、期日までに送付先情報がいただけない場合には、当選は無効となります。■「個人情報の取扱いについて」の内容にご同意の上お申込ください。色紙を描いていただいたコラムライターさんのご紹介※五十音順Upload By 発達ナビ編集部荒木まち子さんUpload By 発達ナビ編集部ウチノコさんUpload By 発達ナビ編集部かなしろにゃんこ。さんUpload By 発達ナビ編集部さんUpload By 発達ナビ編集部さとこさんの色紙Upload By 発達ナビ編集部シュウママさんUpload By 発達ナビ編集部スガカズさんUpload By 発達ナビ編集部寺島ヒロさんUpload By 発達ナビ編集部ひらたともみさん
2020年01月25日計54名様に!日々のお子さんとの関わりに役立つ書籍をプレゼントしますLITALICO発達ナビでは、書籍レビューコラムや新刊情報コラムにて、発達障害や子育てに関する書籍の情報をお届けしています。今回は4周年を記念して、発達ナビユーザーの皆さまに書籍をプレゼント!各出版社様にご協力いただき、さまざまな種類の書籍が集まりました。ぜひ興味のある書籍を選んで応募してください!4周年書籍プレゼントキャンペーンの応募期間は、2020年1月31日(金)まで。下記の応募要項を確認の上、ぜひ奮ってご応募ください!【応募要項】■ご応募はお1人様1回までです。■当選した方には、書籍の送付先をお伺いするため2月14日(金)までにメールにてご連絡いたします。ご応募の際は必ず受信確認ができるメールアドレスをご入力ください。※ご連絡が取れない場合、期日までに送付先情報がいただけない場合には、当選は無効となります。■個人情報取扱の注意事項にご同意の上お申込ください。お申込いただいた時点で同意いただけたとみなします。子育てや支援の考え方について考えたいときに読みたい7つ多くの発達障害の方を診てきた精神科医の田中康雄先生が、日々お子さんや親御さんと関わる中で大切にしている考え方に触れることができます。医師として診断名をつけることはもちろん大切ですが、診断名でその子を捉えるのではなく、一人ひとりの思いに目を向けてその子や家族に合った関わり方を一緒に考えることを大事にする田中先生。その姿勢は保護者や支援者としての子どもたちとの関わりにもヒントを与えてくれそうです。富山県砺波市にある「みやの森カフェ」は、さまざまな人が訪れ、誰にとっても居場所になります。障害の有無も老若男女も関係なし。海外からきた人も不登校の人も...みんなが「カフェのお客さん」という共通点でつながり、心地よいコミュニティが形成されていきます。福祉でもない、支援でもない、新しい形の居場所はどのように成り立っているのでしょうか。その魅力と可能性が詰まった一冊です。感情や行動を自分自身でうまくコントロールできない子どもたちを支援する際に必要とされる、子どもの心理を読み解く理論やアプローチ方法を、仮想事例を用いて分かりやすく解説している専門的な書籍です。子ども本人との向き合い方から、生活の基盤となる家族や地域環境との関わり方といった環境へのミクロアプローチ、社会システムのあり方のようなマクロ環境へのアプローチまで幅広い視点から説明されており、支援者がより質の高い支援を提供するために知っておきたい知見が詰まっています。発達ナビでコラム連載中のかなしろにゃんこ。さんの著書です。ADHDと軽い自閉症スペクトラム障害があるリュウ太くんの、「キレやすい」「イライラしやすい」「おしゃべりが止まらない」といった行動にずっと悩まされていたかなしろさん。その行動の理由を、大人になったリュウ太くん本人が語ってくれています。前川あさ美先生(東京女子大学教授)の解説も交え、「行動の理由や背景」を解き明かしていきます。どうして?と頭を抱えてしまうような行動があっても、その背景を理解した上で関わることで、きっと子どもは成長してくれる...かなしろさんの楽しい漫画とともに、発達障害のわが子との向き合い方を学んでみてはいかがでしょうか。発達ナビでもコラムを好評連載中の寺島ヒロさんの、発達障害のあるお子さん2人とのエピソードがまとめられたコミックエッセイです。大変なこともたくさんある日々の中でも、好きなこと・得意なことはのびのびと取り組ませ、できないこと・苦手なことは理由を探しながらあたたかく見守る様子は、読んでいてほのぼのとした気持ちになれます。子どもたちのありのままを受け止めて楽しむ寺島家のお話は、肩の力を抜くことの大切さに気づかせてくれそうです。発達ナビユーザーへのアンケートから、ニーズの高かったお悩みについての考え方を紹介している書籍です。監修は鳥取大学大学院教授の井上雅彦先生。日常生活、学校生活、人間関係など、小学生はさまざまな場面で困りごとに直面します。その際、どのように子どもと向き合いサポートしていくのがよいか、その答えは1つではありません。本の中では3つの対策が提案されています。複数のサポート方法に触れながら、ご自身のお子さんにはどんなサポートが合っているのかを考える参考にしてみてはいかがでしょうか。二次性徴でのからだの変化の大きさや、女子グループ特有のコミュニケーションの複雑さなどから、女性が抱えるストレスは思春期前後から大きくなっていく場合があります。周囲から見えにくく自分自身でも認識が難しいこうした困難について、この本では、「からだ」「こころ」「関係性」の3つの軸から理解し、支援していくことが提案されています。発達障害のある16人の女性たちの実際の支援事例が紹介されており、当事者、保護者、支援者がどのように困難を理解し、サポートを受けてどのように変化していったかを事例を通して知ることで、現在またはこれから思春期に入る女の子のサポートを考えるヒントが得られそうです。支援方法を学べる事例やワークが詰まった書籍発達ナビでもコラムライターとして大人気の、かなしろにゃんこ。さんの著書。話す・聞く力を身につける「イイトコサガシ」のソーシャルスキルのワークショップの内容が、かなしろさんと長男リュウ太くんが実際に参加した様子の漫画とともにまとめられています。会話力を伸ばすためのワークとそのポイントが分かりやすく解説されており、家庭でも支援の場でも実践できそう!2017年に刊行された書籍『発達が気になる子の脳と体をそだてる感覚あそび』(合同出版)で紹介されている68の遊びがさらに明確化・具体化され、支援の際に活用しやすいカード型で発売されました。カードには身体のどの感覚・機能を伸ばすかや、遊びに必要な人数・場所などがアイコンで分かりやすく記載されており、子どもの得意不得意や環境に合わせて取り組む遊びを選択できます。各カードにはQRコードもついていて、動画で遊びの流れが確認できるので、保護者や支援者がどのように遊ぶか事前に確認し、より適切な支援を行うことや、遊び方のモデルの提示がスムーズにできることも特徴です。コミュニケーションが苦手という人でも、「この場面ではこうする」というような、状況に合わせて「うまくいくスキル」を身につけられれば、楽しく過ごせたり、自立や就労に繋げることができたりする場合も。この本では「声の大きさの調整」「困ったときに助けを求める方法」など苦手な子どもも多いスキルがワークになって紹介されています。ワークには子ども自身が考えて記入できる欄もあり、子ども自身も取り組みやすい設計になっています。支援者向けの指導のポイントやQ&Aページもあり、子どもがスキルを獲得するためのヒントがたくさん詰まった一冊です。発達が気になるお子さんを育てたり支援したりする中で、「どんな支援が必要なのか」と不安に思う場面もあるかもしれません。そんなとき、子どもの発達の段階と現状の課題が把握できると、接し方を考えやすくなります。この本では、その子の発達段階や困りごとを”見える化”するシートとその活用方法が紹介されています。見える化した子どもの様子は、子育てや支援の見通しを立てる際にはもちろん、専門家に相談する際の情報共有に使用することも。著者は特別支援教育コーディネーターの安部博志先生。教育現場で実際に使用しながら、専門的な知識がなくても活用できるようアップデートを繰り返して刊行されています。性の行動に関して正しい知識を身につけることは、自分の身を守るためにも他者を傷つけないためにも大切です。そんな性の行動に関しての知識を、発達障害のあるお子さんでも学びやすいよう具体的な指導方法とともにまとめた書籍です。月経指導用グッズ、性感染症の液体実験、恥じらいやマナーの学習用カードなど指導に使用できるアイディアも多数紹介されており、性教育の実施に活用できます。子ども自身が考えられる4コマ漫画形式のワークもあり、日常の中で遭遇するかもしれない問題を学んでおく際にも役立てられるので、支援者だけでなく保護者が読んでも参考になる一冊です。さまざまな感情がうまれる毎日の中で、自分の感情とうまくつき合うことが難しい子どももいます。そして感情との向き合い方の中でも、どのように感情を言葉にすればよいかが分からなかったり、感情のコントロールが苦手であったりと、困りごとの種類も多様です。この本では、場面ごとに自分や他者の感情に気づき、感情を調整すること、友達とうまく関わることなどの方法やコツを学ぶことができる50ワークが、さまざまな場面設定に合わせて紹介されています。お子さんが気持ちを大切に育んでいけるよう、一緒に読み、活用してみましょう。将来就職できるのか、ひとりで生活していけるのか――大人になる前に身につけて欲しいことはたくさんありますが、どのように教えていけばよいのでしょうか。本書では、思春期の子どもに身につけてもらいたい身だしなみや家事、お金やスケジュールの管理、コミュニケーション方法などの具体的なスキルの教え方が紹介されています。また、家庭学習、ゲームや動画サイトの閲覧など気になる人が多いテーマについて、実際のご家庭での取り組みやエピソードを紹介するなど、実用的な内容を多数取り上げていることも特徴です。悩みや子育ての難しさに寄り添いながらも、将来に向けて踏み出す保護者をサポートしてくれます。お子さんの日々の学習をもっと学びやすく!苦戦するお子さんも多い時計の読み方を、特別支援学校教諭が日々の指導の中で作成した教材をもとにスモールステップで学べるワークです。短針、長針をステップを分けて読む練習をしたり、前半はメモリの数字が細かく振られていたりと、段階にわけた補助も活用しながら理解を深めることができます。「がんばりシール」「ごほうびカード」もついており、お子さんの達成感を大切にしながら学習をすすめられそうです!視覚に障害のある子どもたちを教える教員で構成される日本視覚障害社会科教育研究会がつくった、使いやすい工夫が詰まった「みんなの地図帳」。必要な情報だけに絞り、色使いも配慮しているのでシンプルで見やすく、また図の読み方を身につけやすいレイアウト設計にもこだわっているため、情報を探し出すのが苦手な方でも使いやすいデザインになっています。1ページあたりの情報量は減らされていますが、小学校と中学校の学習内容はすべて記載されており、学校の学習にも活用できます。
2020年01月20日4周年を迎えたLITALICO発達ナビ!発達が気になる子の保護者や支援者の居場所にUpload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビは2016年1月26日、発達障害ポータルサイトとしてオープン!2020年1月26日で4周年を迎えます。・発達障害について分かりやすく伝えるメディアに・発達が気になるお子さんの保護者や支援者の皆さんが悩みや不安の解決のヒントを見つけられるように・日本の、世界のどこに住んでいても仲間と出あえる場所にそんな想いで、運営してきました。現在、会員数は15万人を超え(2020年1月8日現在)、多くのユーザーのみなさまにご利用いただいています。発達ナビには、今年度スタートした新しい機能の「ダイアリー」をはじめ、様々な機能があります。■ダイアリー子育ての記録や日々の想いを綴ることができる日記機能。公開範囲を選ぶこともできます。新たにハッシュタグ機能もつき、キーワードでの検索もしやすくなりました。悩み事のヒントを他のユーザーの皆さんの投稿から見つけたり、仲間を見つけやすくなるハッシュタグ機能も、ぜひ活用してください■タイムラインユーザーさんが自分の気持ちや日々の出来事をつぶやき、他のユーザーさんと交流できます■みんなのアンケート発達ナビからのさまざまなテーマのアンケートに参加。他の回答も見られるコーナーです■Q&Aユーザーさんが自分の聞きたいことや悩みを質問できます。投稿に対して他のユーザーさんから回答が集まります■コラム当事者ママの体験談や専門家のコラム、発達障害についての概説コラムやニュース記事が読めます■コミュニティユーザーさん同士が交流できるコミュニティがたくさんあります■親子のヒント子どもの困りごとに関して、臨床心理士や作業療法士の専門家がヒントを紹介!イラストつきで対処法が分かります■施設情報発達が気になる子どもたちが利用できる全国の施設が検索できます4周年を迎え、さらに機能の充実を予定しています。2,000を超える掲載コラムをより検索しやすくする準備も進めています!発達ナビに出あって、どう変わった?ユーザーアンケートから2020年の元旦から、発達ナビではユーザーの皆さまにアンケートを行っています。「発達ナビに出あって、どう変わった?」「発達ナビがどんな風だったらもっと使いやすい?」というテーマのアンケート、皆様から、さまざまな声をお寄せいただきました!その一部をご紹介します。リアルな世界にはくつろげる居場所はなかったり、違和感ばかりを感じていたけれど…。コラムなどで様々な知識を得ることができたり、ダイアリーやタイムライン、Q&Aなどで他の保護者の皆さんの意見や体験談を知ることで、一人じゃないと勇気づけられ、お子さんとの関係もよくなった、という方もいらっしゃいました。毎日かかってくる学校からの電話。クラスのお友達の家に謝罪や、壊してしまった物の弁償。大騒ぎや、耳を防いで座り込む姿で授業に参加出来ていない姿を見る授業参観…。リタリコ発達ナビに出会い、自分だけが悩んでいる世界から、視界が拡がり大袈裟かも知れないけれど、独りじゃないって感じる事が出来ました。一生懸命に言い聞かせ○○しなさいってガミガミな母から、息子の気持ちを聞き解決策を一緒に考える母に成長出来たのも、リタリコ発達ナビのお陰です。学校で、初めてやる事への不安。家に帰ってからの母のガミガミ。息子からしたら、くつろげる場所も無く拷問の様な日々だったに違いありません。あの拷問の日々から、脱出して、息子の成長も相まって、現在は、内服薬が無くても、何一つパニックになる事や大きなトラブルは無い状態迄に成長しました。(のっぺさん)発達ナビで一番助かっているのは、同じような方の声をたくさん見ることができることです。同じような質問を見ても、大手検索サイトの回答はいわゆる「定型の子」向けの教科書的なものが多いと感じます。その点、こちらでは「発達に難がある子」向けの回答なり体験談だったりするので、参考度合いが全然違います。これだけ同種の母が集うところも少ないのでは?今では、PC立ち上げてまず開くのがこちらのサイトになりました。苦労しているのは自分だけではない、といつも勇気をもらっています。(Reiさん)基礎的な知識を深める内容から、実体験を元に書いていただいたたコラム、そしてみなさんのタイムライン。一人として同じはなく人それぞれの特性がある中、悩みながらも前進されている皆さんの存在に勇気をもらっています。自分ひとりではとても調べきれない色々な事がここに集約されていて、大変助けられています。(ゆっきーさん)気持を書き出すことで整理でき、落ち着くことができるという方も多くいらっしゃいます。新しくリリースした「ダイアリー」は、子育て記録として、仲間との交流ツールとして、活用いただけています。気持ちを吐き出す場所。日記にだったり、Q&Aだったり。誰かに聞いてもらっていると思う事に救われる。書いたり読んだりしてるうちに気持ちが落ち着く。(にこにこぷんさん)ダイアリーしか活用できてないですが、コラムもとってもお勉強になっています。周りに話せないことをたくさん書かせて頂いて、共感して頂けていいね!をもらい「自分でだけ悩んでるわけじゃない」と思えます。(ルーシーさん)実生活でも、発達ナビでユーザーの皆さんからの後押しで大きな一歩を踏み出せたという人も。一番大きな変化は、発達グレーというやつかも。と疑い、学校へそう伝えているものの、専門機関へ繋ぐ勇気が持てず、また繋げる方法も分からず居ましたが、こちらで皆さんに背中を押して頂き、学年主任の助言を得て、小4の2学期になって初めて市の専門機関と隣市の児童精神科受診に繋げる事ができた事です。大きな一歩でした。(ヒヨコさん)発達ナビユーザーとの交流の中で、お子さんのペースを大切に、自分らしく成長していければ…と自然と思えるようになってきたという声も寄せられました。心の拠り所ができました。身近な人達には愚痴りづらい事もこちらでは吐き出せるし、皆さんからアドバイスも頂けます。子供の事も今までは、定型に近づけたい!と言う気持ちが強かったのですが、LITALICOさんに出会い、気持ちを大切にしてこの子のペースで成長していけば良いんだ。と変わりました。今まで、一人で悩み孤独だった気持ちが少し癒されたように思います。同じように悩み試行錯誤している仲間がいる!と勝手に思わせてもらい、頑張る気力にしています。(はむはむさん)変わったこと…意識でしょうか。一年と少し前の私は思いやりの気持が持てるようになって欲しいと息子に望んでいたけど、今は自分らしく生きられるようにと願っています。上っ面しか見てなかったなと思います。リタリコのおかげで理解が深まりました。受診予約を待たずして的確なアドバイスをたくさんもらえたり、どんな時間帯でも吐き出せたり、交流させてもらえたり、本当に助けられています。(ニナさん)いつでも寄り添ってくれる仲間、戦友に出あえたという声もたくさんありました。リタリコに登録した頃の息子は深夜3時まで眠らないか深夜3時に起きるか、しかも私を巻き込む形のこだわり有り、という状態でした。どんな破天荒な時間にタイムラインを更新しても5分以内にハートがつくリタリコで顔も知らない戦友に出会えました。ありがたい事です。(ロレスカトックスさん)ナビに出会えて変わった事は、一人で抱え込まずに助けられたり、支えられたり、理解されない悩みに理解されたり、本当に嬉しい世界ができた事。リアル世界もこうであって欲しい。(梛丹さん)同じように子育てに悩みながらも懸命に子育てをする仲間だからこそ、ダイアリーのコメントも、Q&Aやコミュニティでのやりとりも、あたたかで思いやりある言葉であふれています。こうした思いあえるつながりが、社会の中でもあたりまえになるように。みなさんの寄せてくださった言葉から、発達ナビも、もっと発信をしていきたいと思いました。これからの発達ナビ、どんな機能や運営を期待する?機能や取り組みについても、ご意見をたくさん寄せていただきました。その中から一部をご紹介します。発達ナビでは、年に1回行うフェスタのほか、企業の皆さんとのコラボイベントや、りたりこ研究所等が行うワークショップのご案内など、様々なリアルな場で集えるイベントも実施しています。そうしたイベントにご参加いただいた方からもご意見を頂きました。参加させて頂いたイベントではVR体験を受けさせて頂き、瑠美の感覚の一部を知る事ができました。VR体験については、色々な子供に触れ合う事がある人たちを中心に、どんどん体験をして、理解が広まれば良いと思います。また、VRが難しい人向けに普通の画面でも体験できるようなものがあれば、小学校等の道徳に役立てられるのではないでしょうか。(飛竜 翔さん)新機能のダイアリー等への機能改善のご提案もいただいています。ダイアリーは、より使いやすくなるよう、順次機能開発を行っています。ダイアリーでは、記事の削除、投稿途中の書き込みの自動保存や、投稿月ごとにみられる機能等の準備も進めています。ご期待ください。ダイアリーの、公開非公開切り替え機能が便利で重宝しています。上書き編集で対応していますが、記事の完全削除ができるといいかなと思います。(まどからさん)やコミュニティで、長々とコメントを書き込んでいざ投稿って時に真っ白になって消えてしまう時が多々あり心が折れそうになった事があります。あれってどうにかなりませんか…(モジャ子さん)検索性やコンテンツへのご意見もいただきました。既存コラムの検索しやすくるす取り組みを行っています。また、動画コンテンツなどコンテンツの幅も広げていますが、こうした新しいコンテンツにもアクセスしやすいサイトにリニューアル予定です。息子が今後色々な壁にぶつかることが出てきても、何かの打開策は何も知らなかった時からすれば、安心して見つけられそうです。今後もつぶやける環境の継続と、年齢別での悩み相談や解決法、選択肢の数々なんかを検索しやすく見られたらなと思っています。(ゆきさん)専門家の方に質問できるコーナーがあれば嬉しいです。あとは、「こういうケースにはどう対応しているか?」などをたくさんの例が知りたいので、アンケートをもっと充実させてもらえたら嬉しいです。カサンドラについてはコラムが一件あった様に思いますが、ここに登録している親、本人のケアについてももっと取り上げてもらえたら、心が救われる親が増えて、結果、子どもに良い影響が出るのでは?と思っています。(らららさん)知的障害が無いと、公的支援も少なく、対応方法を相談センターも、病院も誰も教えてくれません。でも、本人も家族も支援を必要としています。少しでも、不登校になる子ども減るように。自分の夢をあきらめずに、進んでいけるような環境があったらと思います。(上記にともなう情報や参考事例などがあるとたすかります)(ひーちゃんさん)今年度より配信スタートした動画コンテンツでは、アンケートで募集した皆さんからの質問を専門家にインタビューし、ご紹介する企画なども行っています。今後は、ダイアリーなどを活用して、より双方向型のコンテンツを作っていくことができたらと考えています。発達ナビでは、今後も幅広いコンテンツをご用意し、さらに皆さんそれぞれにとって必要な情報をより簡単に見つけられる仕組みを準備しています。ぜひ4周年を迎えた発達ナビにご期待ください。さまざまなSNSアカウントでも情報発信中!発達ナビでは、FacebookやTwitterのほか、InstagramやLINEなどのSNSでも情報を発信しています。ぜひ、活用してくださいね。インスタグラム皆さんの「発達ナビに出あって変わったこと」「変わるといいなと思っていること」をシェアしてください発達ナビを活用いただくことで変わったこと、変わるといいなと思っていること、まだまだ募集中です!をぜひお寄せください。「発達ナビと出合って変わったこと」「こんな風に使っています」「こんな機能があったらうれしいな」etc…シェアの方法は2つ!ダイアリーでシェアいただく、もしくはアンケートにご回答いただく形で受付ます。ダイアリー投稿の場合は・公開範囲を「全員に公開」にする・タイトルに【4周年アンケート】を入れる形でご参加ください!
2020年01月09日発達ナビユーザーのたくさんの声を集めてできた、第1弾のコラボグッズ2019年度、発達ナビ×フェリシモによる、発達障害フレンドリーなコラボグッズ企画。この第1弾のコラボ企画では、みなさまの声を元に作った『メッシュリュックインナー』『メッシュお財布ポシェット』『タグカバーシール』『提示カードホルダー』の4つの商品がデビューしました。Upload By 発達ナビ編集部視覚優位なお子さまに向けて、忘れ物防止となるように作られたリュックインナーは、すぐに大人気に。TVで取り上げられたり、SNSでも話題となりました!2020年度、第2弾コラボ企画の実施が決定!皆さんの声をぜひお寄せください「これ、とてもいい!」「大人でもうれしい。」「さらにもっとこうなるといいな!」などたくさんのお声を受け、2020年度にも、第2弾となる新たなコラボグッズづくりにチャレンジすることになりました!さまざまな困りごとをお聞きし、よりたくさんの人たちが参加できるコラボ企画にしたいと思っています。そこで、「こんなことで困っている!」を解決できる”発達が気になるお子さまやママパパが快適に過ごせるためのグッズづくり”に関するアンケートをさせていただきます!アンケートやモニター調査などを通して、皆さんと一緒にグッズを作っていきたいと考えています。ぜひみなさんのご意見をお寄せください。アンケートへの回答は下記のボタンから!
2019年12月20日自閉症に特徴的な3つの症状自閉症とは、現在は自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼ばれることが多い、先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの症状が発達段階で現れるといわれています。今回のコラムでは、この3つの症状について具体的にみていきましょう。出典 : 社会性・対人関係の障害自閉症のある人は、対人関係を築くことが苦手な場合が多いです。社会性・対人関係の障害として具体的な特徴は、・視線を合わせることができない・周囲に関心がないように見える・相手の気持ちが分からない・その場の空気が読めないなどが挙げられます。自閉症のある人は、会話をしているとき等でも目を合わせることが苦手な場合が多くあります。無理に視線を合わせようとすると落ち着きがなくなったり、パニックになってしまうこともあります。このような症状から、対人関係が苦手だと受け止められてしまいます。コミュニケーションや言葉の発達の遅れ自閉症があると、コミュニケーションや言葉の発達が遅れる傾向があります。具体的な特徴としては、・言葉を話すのが他の子どもと比べて遅い・人の話したことをオウム返しする・抽象的な言葉・比喩や皮肉の意味を理解できない・呼んでも反応しない・自分の話したいことだけ一方的に話すなどが挙げられます。自閉症がある人は、言葉を話し始めるのが遅く、言葉の意味を理解するのが困難な場合もあります。言葉を話し始めても、意味のある言葉で会話をするのではなく、誰かの言葉をオウム返しし続ける場合も少なくありません。相手に自分の気持ちがうまく伝わらず、暴れてしまうこともありますが、適切に対応をしていれば成長と共に落ち着いてきます。行動と興味の偏り自閉症のある人は、ある一定の行動をとる傾向があります。行動と興味の偏りについての具体的な特徴としては、・落ち着きがなく、手を動かしたり、部屋の中を行ったり来たりする・毎日決まった行動をし、予定外の行動は取れない・1つのものに執着する・自分の興味があるものに対して、とても執着する・予定外のできごと・初めての人/場所/活動などに抵抗を示すなどが挙げられます。自閉症のある人は、自分の興味のあることに対してとことん熱中する傾向があります。そのため、自分の興味のある物事をとことん調べ、誰も教えていないのに専門家顔負けの知識を持っている人も珍しくありません。自閉症をもっと詳しく知るリンク集「もしかして自閉症?」お子さんの発達等について、気になる症状があるときには、次のコラムが参考になります。自閉症の症状は、お子さんの年齢・発達によって目立つ症状が変わってきます。年齢別の症状について詳しくは次のコラムでご紹介しています。その他にも、自閉症に関連するコラムを出しています。ぜひ参考にしてみてください。
2019年10月28日時に、コミュニケーション障害と言われることもある、発達障害。「空気が読めない」「相手の気持ちがわかりにくい」などの特性は、人づきあいでのトラブルを招きやすく、「愛想が悪い」「気が利かない」など、性格の問題にされてしまうことも少なくありません。また、発達障害は男性に多いとされてきましたが、実は、大人になってから発達障害が表面化する女性は少なくありません。発達障害のこうした特性は、男性よりも女性同士のつきあいに重視されがちだからです。女性のコミュニティは、より「空気を読みあう」ことで成り立っていることが多いため、子どもの頃から女同士の友だちつきあいがうまくいかず、ずっと悩んできたという女性も多いそうです。女性の発達障害特有の生きづらさとは? どうしたら少しでも楽に生きられるのでしょうか?発達障害当事者であり、言語聴覚士として支援者でもある村上由美さんに、発達障害の女性特有のコミュニケーションにおける苦労や悩み、周囲とうまくつきあっていくためのポイントをうかがいました。お話をうかがったのは…村上由美(むらかみ・ゆみ)さん言語聴覚士。上智大学文学部心理学科、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(現・国立障害者リハビリテーションセンター学院)聴能言語専門職員養成課卒業。重症心身障害児施設や自治体などで発達障害児、肢体不自由児の言語聴覚療法や発達相談業務に従事。著書に『アスペルガーの館』(講談社)、『声と話し方のトレーニング』(平凡社新書)、『ことばの発達が気になる子どもの相談室』(明石書店)、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』(翔泳社)などがある。■女性の発達障害「就職、結婚、子育て…」人生の転機に生きづらさが表面化――今まで、発達障害は男の子が圧倒的に多いと言われてきました。実際、私が息子の療育センターに通っていた頃も(息子は自閉スペクトラム症)、グループのお友だちは男の子ばかりでしたが…。 村上由美さん(以下、村上さん):発達障害は男の子の方が発生率が高いとされ、療育センターなどに通う子も、男の子の方が圧倒的に多いのは事実です。その理由は、男の子に表れる発達障害の特性の方が見えやすく、問題視されやすい傾向にあるからです。例えば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の男の子の場合は、「多動性」や「衝動性」が目立ちます。教室で立ち歩いたり、衝動的に暴力をふるったり、周囲に迷惑をかける行動が多いので、早めに気づかれるケースが多いのです。――これが女の子だと、どう表れるのでしょう?村上さん:同じADHDでも、女の子の場合は「不注意」が目立ちます。ミスが多かったり不器用だったり、本人はできないことを悩むのですが、周囲に迷惑をかけるようなことが少ないので、問題が表面化しにくいのです。また、最近になって、そもそも発達障害の診断基準が少し男性寄りにできているのではないか? という議論も出てきています。男性と違って、女性の発達障害の場合は「受動型」の特性が多いので、現在の診断基準となる症状に当てはまりにくいのではないか、と。最近は変わりつつありますが、少し前の教育では、女性は控えめであることが美徳とされていました。「受動型」という女性に多い発達障害の特性と、社会が求める理想の女性像が重なり、さらに見えにくくなってしまった面もあると思います。そのため、発達障害の女性はひとりで悩みを抱えたまま、大人になってしまうケースも多いのです。――幼い頃から感じてきた違和感が、明らかな生きづらさとして表面化するのは、いつ頃なのでしょう?村上さん:就職、結婚、子育てなどの時期です。それまでの学校生活は、ある程度の枠組みが用意されていて、先生に言われた課題をこなしていれば、そこそこうまくやっていけるのですよ。でも、自分の意思を持って主体的に行動しなければならないライフステージにくると、うまくいかないことが増えてきます。また、特に女性は、結婚などのライフステージの変化によって役割が増大します。妻として家事をこなし、夫のサポートをし、義理家族と良好な関係を維持し、仕事をし、母親として子育てをし、園の父母会や学校のPTAの役割をこなし、ママ友やご近所づきあいもそつなくこなす…。さらに、介護まで加わってくるケースも! つまり、女性はものすごいマルチプレーヤーになることを求められるわけです。――確かに、結婚後、男性に比べると、女性は求められる役割の幅が広がる気がします。村上さん:でも、そもそも発達障害の特性として、複数の作業を並行して行うマルチタスクは苦手なのです。また、一般的に女性は「愛想がいい」「気が利く」「何でもそつなくこなす」ということがよしとされている風潮があり、家庭でも職場でも、煩雑で細かい仕事を任されるのは女性の方が多い傾向にあります。しかも、それをにこやかに、周囲へ気を配りながら行うことが評価されます。ですが、発達障害の特性はこれらとも真逆。男性よりも女性の方が、この特性が問題視されてしまうのです。不公平だと思いますが、残念ながら、ジェンダーの差があるのが現実なのです。――社会が求める、いわゆる「女性らしさ」が、発達障害の女性をますます苦しめているのですね。村上さん:さらに、男性より女性に対しては、生活のこと(家事全般)ができて当たり前という期待値が高いのです。それもまた、発達障害の特性とは真逆なのに…。加えて、日本の家事レベルはものすごくハイレベルですよね。子どものお弁当ひとつとっても、栄養のバランスを整えて、彩りもきれいに、さらに子どもが喜ぶように…と。さらに、おやつも園グッズも手作りで、などなど…!最近は、家事代行サービスを利用する方も増えてきましたが、ひと昔前は「そんなの子どもがかわいそう! 手抜きはダメよ!」というような風潮がありました。発達障害の方は基本とてもまじめなので、周囲の言葉通りに「全部やらなければ」と追い込まれてしまいます。でも、うまくできず、燃え尽きてしまうのです。■「できないこと」より「できること」 苦手から逃げる勇気――ちょっとマイナスな面ばかりうかがってしまいましたが、プラスの面はありますか?村上さん:見方を変えれば、その特性が良い方向に向かうこともたくさんあります。例えば、「空気を読まない発言が多い」ということも、「慣習にとらわれず、世の中の動きにあった提案ができる」というふうにとらえることもできます。もし今、生きづらさを感じている方がいたら、できないことではなく、できることに目を向けてください。もし、周囲にあなたを責めたり攻撃したりしてくるような人がいるなら、そういう人とは距離を置くのもひとつの手段です。また、自分を知ることもとても大切です。発達障害の人は、自分への信頼がとても低いという傾向があります。ですから、「自分がどれくらいできるか」という見積もりを、社会が求めている尺度では考えないこと。「がんばればできる」という見積もりは、実はすごく危険です。がんばり続けたら、たいていの人は燃え尽きてしまいますから。特に発達障害の人は、「がんばらなくてもできる」「がんばらなくても続けられる」というところを探っていくという発想が必要になります。――専門家などの相談機関とつながっておくことも大切でしょうか? 村上さん:相談機関とつながりを持つことは心強いと思います。お子さんが小学生なら学校のスクールカウンセラー、就学前なら保健センターなど、身の回りに専門機関はたくさんありますから、上手に人を頼りましょう。最近では、「自己責任論」がよく取り沙汰されるので、福祉などに頼るのは恥ずかしいことと思ってしまう方もいるかもしれません。でも、もともと人間はひとりでは生きられない生き物なのですから。診断を受けて合理的配慮を得るには、自分の障害を開示しなければならないので、抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、それを上回るメリットはあると思います。まず、自分が楽に生きられることを探しましょう。診断を受けるのも、合理的配慮を受けるのも、自分が楽に生きるため。最近、楽に生きると言うと「なまけているんじゃないか?」などと非難される風潮もありますが、人生は修行ではないのですから。もちろん、がんばることは悪いことではありませんが、そもそも何のためにがんばっているのか? それは自分にとって大事なことなのか? そこをしっかり考えることも大切なのだと思います。■「生きづらい…」苦手が多いママ、3つのケースと対応法――村上さんが支援現場で、ママからよく聞く悩みはなんですか? また、それぞれ上手な伝え方や対応法を教えてください。村上さん:ママ友、子ども、夫、それぞれに対して、よく聞くお悩みを3つあげてみました。「これならできそうかな?」と思うものから、少しずつ無理ない範囲で試してみてください。ケース1:ママ友との雑談が苦手。何を話したらいいのかわからなく、その場にいるのが苦痛…。村上さんの回答:発達障害当事者にとって、実は一番難しいのが雑談です。話が飛んで主語がなく、時系列も変わる会話を文脈に落とすのは、定型発達の方には想像がつかないくらい、非常にハイレベルな作業なのです。これはもう、自分がどのくらいそこに参加したい状況なのかを見極めることが大切。社交辞令レベルの関係なら、ヘンなことを口走るよりも、黙っていた方が無難な場合も少なくありません。むしろ、人間観察のつもりで参加していても良いかもしれません。そのうちに、中には自分のつきあいやすい人が見つかるかもしれませんよ。ケース2:仕事や家事や学校の雑用が山積みで…。いつも余裕がなく子どもにあたってしまう。村上さんの回答:子育てにかかる手間は、以前よりずっと増えていると感じています。課されていることのすべてを完璧にするのは、まず無理と心得ること。得意と苦手を把握し、苦手なことには目をつむり、赤点ギリギリでいいと割り切りましょう。もし、子どもを相手に感情がエスカレートするようなら、トイレにこもる、近所を一周散歩するなど、クールダウンする方法を決めておきましょう。自分だけが背負い込まず、夫やほかの家族に頼り、周囲に助けてもらうことも大切です。ケース3:夫に対してつい感情的になって、いつも夫婦ゲンカに。自分の感情をうまくコントロールできない。村上さんの回答:感情的になるには、たいていステップ(段階)と一定のパターンがあります。家事がたまっている時、仕事が忙しい時など、自分がどういう状況で感情的になりやすいのかのフローチャートを作ってみると良いでしょう。そして、甘いものを食べるなど、自分がイライラした時に感情をうまく逃せる方法を、日頃からリストアップしておいてはいかがでしょうか。イライラしたときこそ、切り替えることを意識して。また、もともと夫婦は他人なので、気持ちをわかりあうのはとても難しいものだと思った方が気楽です。「自分を知ること」「できることに目を向けること」、これらは発達障害の取材をしていると、必ず言われる言葉です。そして、これは自分自身に対してだけではなく、他人を見る時も同じなのだ、と。「いろいろあるけど、でも、あの人のここはすごい」というふうに、常に人の得意なところ、良いところを見つける姿勢は大切だと感じるインタビューでした。次回は、もし身の回りに発達障害傾向のママがいた場合、どう対応するのが、自分のためにも相手のためにもベストなのか? お互いを尊重して生活していくための対応法についてうかがいます。参考図書: 『発達障害の女性のための人づきあいの「困った!」を解消できる本』 (PHP研究所)発達障害当事者である著者が、発達障害を持つ女性特有のコミュニケーションにおける苦労や悩み、問題の原因を解説し、周囲とうまくつきあっていくためのポイントを場面別に紹介。著者が医療や福祉、発達相談の現場などで相談を受けた中で、特に多かった日常の場面を取り上げ、うまくいかない原因と上手な伝え方や切り抜け方のポイントを掲載し、発達障害を持つ方の支援者や家族に知っておいてほしいことについて解説。※本記事は、発達障害と診断された方を前提とした記事であり、登場する例に当てはまる方がすべて発達障害とするものではありません。取材・文/まちとこ出版社N
2019年06月22日みなさんは、「発達のマイルストーン」という言葉を聞いたことがありますか? 「発達のマイルストーン」は、赤ちゃんの発達がどの段階まで進んでいるかを判断するための目安をいいます。目安はあくまでも目安ですが、どの時期に何ができるか、語呂合わせで覚えるのも楽しいかもしれません。今回は、1歳までの赤ちゃんの発達の目安と覚え方を紹介します。 首すわり赤ちゃんの首のすわりは、出生時の状態や発育環境などの影響を受けやすいといわれています。厚生労働省が平成22年に調査し、平成23年に報告された結果によると、生後4カ月以上生後5カ月未満の赤ちゃんのうち、約90%以上の赤ちゃんで首のすわりが確認できることから、生後4カ月が一般的な目安とされています。 赤ちゃんの首がすわる時期の目安は、生後4カ月。「首がしっかり(4カ月)すわる」で覚えます。 寝返り赤ちゃんが寝返りをし始めるのは、平均的にはだいたい生後5カ月~6カ月のころといわれています。ですが、寝返りの時期は意外に個人差があり、もっと早くする子もいますし、生後8カ月になろうとするころにようやく寝返りし始めたという子もいます。 赤ちゃんが寝返りできるようになる時期の目安は、生後5~6カ月。「ゴロゴロ(5,6カ月)寝返り」で覚えます。 おすわり赤ちゃんのおすわりの時期は、生後7カ月~8カ月ごろといわれています。誰かが支えてあげるとおすわりができるようになるのが生後6~7カ月、生後7~8カ月になるとひとりでおすわりできるようになります。 赤ちゃんのおすわりの時期の目安は生後7カ月ごろ。「なんとか(7カ月)おすわり」で覚えます。 ハイハイ赤ちゃんがハイハイをし始める平均的な時期は、生後7~8カ月のころだといわれています。いきなり膝をついてハイハイをするというよりは、腹ばいになってバタバタもがいていたり、くるくると回転してみたり、または後ずさりしようとしたり、ずりずり進もうとしたりという動作が見られるようになってきます。 赤ちゃんがハイハイをし始める平均的な時期は、生後7~8カ月。「なんて(7カ月)はやい(8カ月)ハイハイ」で覚えます。 つかまり立ち赤ちゃんがつかまり立ちを始める時期は、だいたい生後7カ月から生後11カ月ごろが目安ですが、早い子は生後6カ月くらいから、遅い子では1歳ごろで始める子もいます。 つかまり立ちの目安は生後7カ月から生後11カ月。少し目安の幅がありますが、「きゅっ(9カ月)と掴んでつかまり立ち」で覚えます。 つたい歩きつたい歩きは個人差が大きく、生後7カ月から1歳過ぎに始まるといわれています。早くから歩くことに興味があり、ハイハイをあまりせずにつたい歩きを始める赤ちゃんがいたり、それとは反対にハイハイが好きで、つたい歩きにあまり興味を示さない赤ちゃんもいます。 つたい歩きはの目安は、生後7カ月から1歳過ぎ。こちらも少し目安の幅がありますが、「ひといきに(11カ月)つたい歩き」で覚えます。 たっちそして、生後12カ月前後で、ひとりでたっちができるようになります。たっちができるようになると、いよいよあんよが始まりますね。 ひとりで立てるようになる目安は1歳前後。「いちにんまえ(12カ月)に一人立ち」で覚えます。 今回ご紹介した覚え方は、あくまでも成長・発達の目安です。赤ちゃんの成長・発達には個人差があり、今までできなかったことが急にできるようになることもあります。ほかの赤ちゃんと比較するのではなく、あせらずゆっくり長い目で見守ってあげられるといいですね。※参考:ベビーカレンダー「赤ちゃんの首すわりはいつ?練習は必要?確認の方法と遅い場合の対処法について」「寝返りはいつから?赤ちゃんの寝返りの時期と注意点」「赤ちゃんが寝返りをしなくても大丈夫?練習は必要?寝返りしない原因と対処法について」「赤ちゃんがお座りをする時期はいつ?練習は必要?お座りのコツとは?」「赤ちゃんのハイハイはいつから?練習は必要?ハイハイの種類や注意点について」「赤ちゃんがつかまり立ちを始めるタイミングはいつ?時期の目安や練習について」「つたい歩きはいつから?靴下や靴はどうする?練習は必要なの?」
2019年05月20日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多く、発達障害の子を持つ親として、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。そんなモヤモヤを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。第2回のインタビューでは、本田先生が考える「療育の本当の意味とは?」についておうかがいします。お話をうかがったのは…本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。■発達障害「早期発見・早期療育は子どもではなく親のため?」―― 前回 、親が早期に子どもの特性を知っておくことの重要性を教えてもらいましたが、早期発見は早期療育の効果へとつながるのでしょうか? よく、療育を始めるのは早ければ早いほど良いなどと言われますが…。本田秀夫先生(以下、本田先生):僕は、絶対そういうことは言わないようにしています。――なんと…(驚)。そういったお話も聞いたことがありますが、臨床の現場で約30年、幼児期から成人期まで一貫して診てきた先生がそうおっしゃるのは、また違った重みを感じます。本田先生:そもそも早期に発見される子の方が、大人になった時の障害は重いのですよ。なぜなら、症状が重い子の方が早く発見されるから。症状が軽くて、知的障害がない発達障害の場合は、就学時健診でもわからないことも多いのです。ですから、早く発見された人ほど良くなるというのは正確ではありません。――確かに…。本田先生:でも、僕は早期発見・早期療育を推進しています。理由はただ一つ、親御さんの認識を変え、親御さんが学ぶチャンスが早くなる、ということです。実は僕、子どもを療育しているフリをして、親の認識を変えることこそが療育だと思っていますから。つまり、子どもをどうこう療育するというより、親がコペルニクス的に認識を変えられるかどうかが非常に大事なのです。――深いお話…。本田先生:早期に親御さんがわが子の特性を知れば、対処法を学ぶこともできます。例えば、たびたびパニックを起こすようなお子さんだと、親御さんは疲弊してしまいますよね。でも、これを防ぐのは意外と簡単で、パニックを起こしたくなるような刺激を与えなければいいのです。例えば、子どもが好きなことをやっている最中に止めさせようとするとパニックを起こすということがわかれば、大好きなことはある程度切りのよいところまでやらせて次の活動に切り替えさせればよいわけです。ほかの子が近づくとたたいてしまう場合は、ほかの子が近くにきたら、その間に親御さんがスッと割って入って、その子の手が届かないようにすればいい。知っていれば未然に防げるけれど、知らないと結局、親子ともども嫌な思いを重ねることになってしまいます。■「療育でグレーは白にならない」子どもファーストの環境を――親への効果はよくわかりましたが、子どもにとっては本当に効果がないのでしょうか?本田先生:私たちの療育では、基本的に子どもファーストで考えてプログラムを組みます。例えば、一般の子育てなら、2歳の子どもに箸を使う練習はさせませんよね? 2歳くらいならスプーンを使ったり、大人がフォローしてあげればいいわけです。それが、成長につれて箸を使うようになったり、だんだん変わっていくのですが、そのペースが発達障害の子たちはほかの子と違います。ですから、今何を教えたらその子に身につくのかということを、一人ひとり厳密に考えていきます。そうして子どもに合った環境やプログラムを整えてあげれば、情緒的に安定して、活動に意欲的に取り組め、子どもも伸びると思いますよ。――ということは…? と、親はつい期待してしまいますが。本田先生:ただし、ここで一つ注意が必要です。親御さんは「療育で子どもが良くなった! このままいけば治るのでは…?」と思ってしまいがちですが、子どもが良い状態にあるのは、こちら側が相当に配慮した環境だからであり、環境が変われば元の木阿弥です。前回も言いましたが、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」ですから。特性そのものは消えません。ですから、そこまで伝えるために、僕たちの療育では親御さんにも時々参加してもらって、どういう状態だったら子どもが落ち着いた良い状態になるのかを学んでもらうようにしています。■発達障害「どのような大人になるかは、親の育て方次第」――いかに子どもを取り巻く環境が大事か、ということなのですね。本田先生:そうです。発達障害というのは、もともともの原因は育て方のせいでなるわけではないのですが、「どのような大人になるのかは、育て方次第」と僕は思っています。例えば、背が低いことで悩んでいる人がいるとして、「別にいいじゃん」と言ってもらえるのと、「このままじゃヤバいよ! 早くなんとかしないと!」と言われるのでは、本人の受け取る印象はずいぶん変わってきますよね。それと同じで、親御さんがなんとか子どもの苦手を克服させたい、平均にそろえたいと思えば思うほど、克服できない部分が残った時に、子どもは親の期待に応えられない自分を責めてしまうのです。否定的な雰囲気の中で育つと、自己肯定感も低くなりますし、さらに責めたてられるような雰囲気の中で育つと、抑うつ的になってしまったり、逆に、自己防衛する意味で攻撃的な性格になってしまう危険性があります。――確かに…。でも、親は、わが子に対して「こう育ってほしい」という理想を持ってしまうものなのかもしれません。良かれと思って、つい…(苦笑)。本田先生:申し訳ないけれど、いかに親の価値観や考え方をリセットできるかが大事なのです。難しいかもしれませんが、先に理念を変えるというより、実践しながらの方が価値観は変わりやすいと思いますよ。どんな時に子どもが情緒的に不安定になって、どんな時に落ち着いているのか、その両方の状況の違いがわかれば、だんだんと親御さんのとらわれが溶けていくと思います。そのプロセスをなるべく幼児期のうちに通過しておくと、学校に入ってからが楽になると思います。――学童期になると、別の難しさが発生するのでしょうか?本田先生:学校に入ると、親御さんだけではなく先生の中にも「学校ではこういう子どもを育てるべき」という考えを持つ人がいるので、子どもは、家でも学校でも問題児というレッテルを貼られてしまう危険性があります。子どもがトラブルを起こして、先生に怒られて、親御さんも学校から「家庭のしつけが悪い」などと責められて心が病んでしまったり…。そうなってからですと、非常に対応が難しくなります。――確かに…。自由な幼児期と違って、学校では勉強が始まるので、クラスの雰囲気を乱すような子に対して、先生だけはなく保護者の目も厳しくなるように感じます。本田先生:実際のところ、文部科学省の発表では、通常学級の生徒の中になんらかの発達障害を持つ子が6.5%いるということですからね。クラスに必ず数名はいるということになります。早いうちに子どもの特性を理解して、周囲にきちんと説明できるような親御さんが増えて、そういう子がいるのがむしろ当たり前、という雰囲気になってきたらよいですよね。そして、学校もそういう子がいるという前提で、活動内容を組み立てるのが、当たり前になってほしいと思います。社会集団には、個性の凸凹がある程度存在します。「よくある個性」と認める範囲が広い集団では、「少数派」の人がそれほど目立たなくなります。発達障害の人も、その他のさまざまな個性がある人も、それぞれが自分のことをよく理解し、それが自分の普通だと思って生きていけるような社会が、本来あるべき社会の姿だと、僕は思っています。今回のお話や本を通して、いろいろな普通があることを、多くの人に理解してもらえればと思います。もし、わが子の発達に不安を感じている方や、すでに子どもが発達障害と診断され悩んでいる方がいたら、ぜひ一度、本田先生の著書を手に取ってほしいと思います。本を読む前と読んだ後では、きっと発達障害への印象がガラリと変わることでしょう。もちろん、そんな気持ちの部分だけではなく、「発達障害とはどんな障害か」ということもわかりやすく解説し、具体的な環境設定や支援方法まで紹介してあり、発達障害への理解と対応力が一段と深まることと思います。「どのような大人になるかは育て方次第」――その言葉に改めて、発達障害児の子育てにおける、親の役割の重要さを感じた取材でした。参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ)精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。まちとこ出版社N
2019年04月02日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多いように思えます。例えば、園や学校の先生から子どもの発達相談を勧められると、「失礼だ」と怒る保護者がいたり、クラスで浮いた子がいると「あの子、発達障害なんじゃない?」などと保護者が陰口のように使ったり。発達障害の子を持つ親として(著者は2人きょうだいの下の子が自閉症スペクトラム障害)、認知が広まったのは喜ばしいことですが、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。どう伝えたら、こうした考えを変えられるのだろう?と。それを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。それによると、「発達障害は何かができない「障害者」というよりも、独特のスタイルをもつ「少数派の種族」であり、その間にあるのは「多数派」か「少数派」という「割合の差」である」とのこと。その解説が非常に腑に落ちて、以来、息子の子育ての指針にしています。もし、同じように子どもの発達に不安を抱えていたり、悩んでいるお母さんがいたら、ぜひこういった考えを知ってほしい――そんな思いで取材を申し込みました。お話をうかがったのは…本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。■「純粋な発達障害」とは? 誤解を生む理由は「二次障害」――発達障害はずいぶん世間に認知されるようになりましたが、まだまだネガティブな受け取り方をされることも多いように思えます。そんな中で、先生の本の「発達障害は障害というより『少数派の種族』」というお話は非常に腑に落ちました。本田秀夫先生(以下、本田先生):発達障害は障害というより、「少数派の種族」と考えると理解しやすいと思います。その両者には優劣の差はなく、その間にあるのは「多数」か「少数」か、という割合の差だけなのです。でも、割合の差があるからこそ、発達の特性は「少数派」の「選好性(※)」となり、「多数派」の人の理解を得ることが難しくなり、それが生きづらさにもつながってしまうのですよね。――単なる「少数派」であり、なんらかの機能や能力が劣っているというわけではないのですね。本田先生:いきなり関係ないような話をしますが、僕は「X-メン」という映画が大好きでして。あのお話では、普通の家族の中に、時々、遺伝子変異を起こしたミュータントが出現するのです。「ハリー・ポッター」もそうですが、映画の世界では、主人公が何か特殊な能力を持ってしまうというお話がたくさんありますよね。そこに共通してあるのは、彼らのような特殊能力をもった人たちは、一般の人間から見ると得体が知れず、脅威に思えるということです。――確かに。わからないものに対して、怖いという感覚はわかるような気がします。本田先生:発達障害も似たところがあって、自分たちが慣れ親しんでいる文化や流儀とは違うものを異端視している人たちから見ると、彼らの存在そのものが脅威なのです。もしくは、その脅威を打ち消すために、強烈な差別意識でかぶせているのです。例えば、「ああいう子にだけはなってほしくない」という思いもそう。そういう価値観を持っている人たちが一部いるのも事実です。また、実は純粋な発達障害の人というのは、あまり表には出てこなくて、僕のような専門家と本人や家族しか知らないのですよ。そこが、発達障害が誤解される一番のポイントかもしれませんね。――どういう意味でしょうか?本田先生:メディアに出演してカミングアウトしている方の多くは、どこかで傷ついた人たちなので、すでに二次障害をともなっているからです。例えば、会社でよく「困った人」と言われる発達障害の人たちは、だいたいみんなと協調できないことが多いのですが、実は、僕が幼児期からずっと診ている発達障害の人たちのほとんどが、まじめで素直な良い人たちなのです。つまり今、会社で「困った人」と言われる発達障害の人たちの多くは、適切な環境で育てられなかったために、すでに二次障害をともなっていて、それをメディアで発達障害と紹介してしまっているわけです。――なるほど…。本田先生:二次障害をともなわない、純粋な発達障害の特性だけが残っている人というのは、比較的順調に生活しているので、メディアに出演して主張するモチベーションもないのです。ですから、一般の人たちはあまり知る機会がないと思いますよ。今、残念ながら発達障害というと、二次障害をともない複雑になってしまった人たちばかりがクローズアップされているので、このような形で啓発するだけでは、あまり溝が埋まらないのでは? という思いはありますね。■発達障害「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」――では、発達障害の特性そのものだけであれば、もう少し順調に生きられると? 本田先生:もちろん、純粋な発達障害の人も、「多数派」向けに作られた社会で生きていこうとしたら多少は苦労しますよ。はじめにお話したように、「多数派」と「少数派」という割合の差があるからこそ、発達の特性である「少数派」の「選好性」は、「多数派」の理解を得ることが難しくなるので。また、知的障害や学習障害などがある場合は、能力の凸凹問題は残りますので、自信がないと感じることもありますし、一般の会社勤めが難しくて、就労支援に通っている方も大勢いらっしゃいます。ですが、そうやって生活しながら、その人なりに楽しく暮らしている方も大勢いるわけです。――自分に合った生き方や環境が選べれば良いのですね。本田先生:発達障害の特性が、致命的な弱点になるのは、その特性を本人やまわりの人が理解できず、無理を重ねて失敗や衝突を繰り返し、本人の自尊心やまわりの人との人間関係などが傷ついてしまった時です。ですから、発達障害の人は、いかに自分の特性を認めてもらえるような生き方や苦労しなくてすむ環境を選べるかが重要なのです。――その生き方や環境を選べるようになるために、必要なことは何でしょう?本田先生:自分の特性を知ることがすごく大事になってきます。苦手なことは克服しようとせず、堂々と逃げた方がいいですよ。苦手なことを努力で克服することを強いられて育つと、「ここまで努力してでもできない自分は人としておかしいのではないか?」という価値観を身につけて、二次障害になりやすいので。いかにラクして人生を送るか、ということだけを考えて生き続けることが結局、一番成功するのですよ。――そうなると、子どもの場合は、早期に親が特性を知っておくことが大事になりますね。本田先生:非常に大事だと思います。ただ、よく「早期に発見して療育を受ければグレーが白になる(発達障害が治る)」と思っている親御さんもいるのですが、グレーというのは絶対に白にはなりません。それを広めるために僕、川柳を作ったのですよ、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」と。――特性は一生消えないのですね?本田先生:グレーならグレーな大人になればいいのです。白にならないで生きていく方法を探せばよいのです。中には、診断を下されるのを恐れる親御さんもいますが、これも受け取り方次第ではないでしょうか? 例えば、遠くの字が見えない人に「あなたは近視です」と診断したとしても、「まぁそうだよね」って思うだけですよね。要するに、近視の人は、別に医者に診断されなくても、遠くの字が読めないことはわかっているわけです。そこに診断名がついたからといって、その日から何かが変わるわけではありません。■発達障害「〇〇が苦手」ではなく「〇〇より△△を優先」ととらえる意識――私自身も昔、子どもが診断を受けた時は重みを感じました。スッキリしたと同時に「覚悟を決めねば」という思いが交錯して(苦笑)。本田先生:医者の伝え方も大事かもしれませんね。例えば、「自閉スペクトラム症です」と伝えるより、「この子には『空気を読むのが苦手』とか『こだわりやすい』という特徴があって、こういう特徴が大人になっても残ります」というふうに説明すると、納得してくれる親御さんが多いです。僕も、親御さんによって伝え方を工夫しています。…でも、診断名を過剰に恐れるのは、発達障害を何か悪い病気だと誤解しているのかもしれませんね。――その通りですね。私自身、発達障害のことをきちんと知る前は、何かが欠陥した障害のように誤解していました。だからこそ、もし同じように悩んでいるお母さんがいたら、先生のようなお考えを広く伝えていきたいです。本田先生:はじめにお話したように、発達障害は障害というより、「少数派の種族」のようなものですから。発達障害の人は自分の「選好性」をきちんと理解し、身近な人にも理解してもらい、「多数派」向けに組み立てられている生活を「少数派」向けに調整すれば、きっと生きづらさは軽減するはずです。親御さんにはぜひ、この「選好性」という視点から、お子さんの特性をとらえてみていただきたいと思っています。発達障害の特性を「~が苦手」というように、なんらかの機能の欠損としてとらえるのではなく、「~よりも~を優先する」というふうに考えてみてください。例えば、「雑談が苦手」というとらえ方を「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」というふうに。その方が、より発達の特性を適切に理解できると思います。「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」――。特性が薄いほど、親は障害に気づかず、とかく「白」に近づけようと努力を強いてしまいがちですが、それは、むしろ逆効果。グレーのまま生きやすい環境調整をすることこそが親の重要な役目なのだと、教えていただきました。 次回 は、本田先生が考える「療育の本当の意味」についておうかがいします。※ここでいう「選好性」とは、好き嫌いの「嗜好性」ではなく、心が特定の方向に向かうという「志向性」のこと。参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ)精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。まちとこ出版社N
2019年04月01日1歳も終盤の二太郎。おしゃべりはだいぶ上達しました。ただ同じ1歳終わり頃のイチコと比べると、あきらかに違うことが…。イチコが2歳前後くらいにムニャムニャしゃべってた宇宙語…二太郎しゃべらないー!!何言ってるかわからないけど必死に訴えてる感じがかわいかったのに…残念!まわりの友だちの子で、第一子の女の子は2人ほどしゃべってました。この宇宙語、第一子特有のものなのか、女子特有のものなのか、はたまた個人差なのか…。さて、そんな二太郎ですが、逆にイチコはしゃべらなかったのに二太郎はしゃべる言葉も…。イチコのときは、この言葉をしゃべらなかったどころか知らなかったものばかり!観せなくて済むなら観せたくはないけど、上の子がしていることを「下の子は禁止!」って難しい…。まあ早めにアニメやらYouTubeやらデビューしても、視聴時間は決めてるし(じつは二太郎、テレビやらYouTubeやら観たがるくせに、すぐ飽きるからめっちゃ短時間)、内容もチェックしてるから、人格形成にものすごい悪影響は与えへんやろ〜!…とはいえ油断せず気をつけていきます!
2019年03月25日コラボ商品企画スタート。発達ナビユーザー×フェリシモ座談会開催!Upload By 発達ナビ編集部フェリシモでは障害のあるお子さんと家族に向けた「チアフルスマイル」企画が購入者から好評を得て話題に!今回の第2弾の商品制作を発達ナビユーザーと進めています。2019年夏の商品化を目指すのは、発達凸凹親子のおでかけをラクにする「本当に欲しいサポートグッズ」です。2018年12月に発達ナビユーザー450名以上に協力いただいたアンケート結果を参考に、商品化するアイテム候補を絞り、さらにアンケートで同時募集したモニターの皆さんが参加する座談会を実施しました!このコラムでは、座談会の様子や、企画がすすめられている商品について紹介します。<アンケート調査対象について> 「LITALICO発達ナビ」掲載の上記コラムでリンクしたアンケートフォームにて回答いただいた発達障害の当事者455名の回答を集計しました。(調査期間:2018年12月8日~12月25日) ※設問によっては455名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。 ※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。2019年1月17日(木)、神戸三宮にあるフェリシモ本社で、フェリシモ×発達ナビのコラボ商品についてのモニター座談会が開催されました。出席したのは、関西・中部地方在住の発達ナビユーザーで、発達が気になるお子さんを育てる8名です。発達ナビユーザーへのアンケート結果を参考に、たくさんの候補の中から次の5つの商品に絞り込んだ上で、モニターの皆さんにサンプルや図案などを見てもらいました。そして、率直な意見やさまざまなアイデアをいただくことができました。■ヘルプマークホルダー■ネームタグのチクチクを解決するタグカバー■リュックの中のごちゃごちゃを解決するリュックインナー■レジの前でもたつかない財布■締めつけが苦手でもOKなシームレス靴下それぞれのアイテムについて、フェリシモの開発担当からのプレゼンや、モニターの皆さんとの意見交換が行われました。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビユーザーへのアンケートでは、31%が持っていると回答した「ヘルプマーク」。ですが、持っていても実際に使っている人は約65%にとどまっています。理由はさまざまですが、使いづらい、なくしてしまう、ヘルプマーク自体の認知度が低いといった理由も目立ちました。Upload By 発達ナビ編集部・かばんにつけはずしする際に、つけにくく、はずしづらかった。症状などを記すシールをどこに貼っていいのか、どちらが裏表なのか分からなかった。周囲の認知度も低かったため自宅保管している。・子どもがすぐになくしてしまいそう。何に困ってるのかを結局は分かってもらえないし、説明が難しい。また、障害があることが分かることで、逆に犯罪に巻き込まれたりするのではないか?という危険を感じているという声も。ヘルプマークには、何かあったときに連絡が取れるよう、個人情報を記載できるシールを貼ることができますが、個人情報が外から見えてしまうことへの危惧もあるようです。Upload By 発達ナビ編集部こうした意見を受けて、ヘルプマーク用のホルダーについてサンプル案を作成し、モニターの方たちの意見を聞きました。可愛いキャラクターデザインのもの、スライド式、かばんへのつけ替えがラクなものなど、複数のサンプルを見ながら、活発な意見が交わされました。・子どもが持っても壊れにくく、防水仕様で、当たってもケガしない形状がいい・障害があることをはっきり見せたい人と、必要なとき・場所などでだけ見せたい人がいるから、それぞれのニーズにこたえられるデザインがいい・個人情報は記載しておきたいけれど、ぱっと見では分からないようなデザインの工夫が欲しい。正面からは見えるけれど横からのぞき込んでも見えないようなカバーをつけたらよいのでは?など、具体的なアイデアが出されました。アンケートでも半数以上の人が「非常に気にする」「気にする」と回答した、洋服のタグについても、話し合われました。Upload By 発達ナビ編集部洋服のネームタグを切り取ったり、上から肌触りのいい布で覆うなどの対策をしているご家庭も多く、「きれいに切り取れない」「縫いつけが大変」という声があげられました。また、隠すための布のデザインがおしゃれだといいという声も。Upload By 発達ナビ編集部座談会では、肌ざわりが確認できるよう生地のサンプルや、縫いつけが不要な生地の見本、デザイン案などの資料をもとにディスカッション。・(縫いつけるのは大変なので)アイロンで貼りつけたい。でも、ごわつく生地はダメ・肌着だけでなくアウターのタグ対策もできるように、ニットやナイロンなどの洋服にも対応できるようにしてほしい・名前が書けるといい・制服用に、可愛い色柄のものだけでなく、白・黒も必須といったアイデアも出されていました!可愛くてやわらかな肌触りで、縫いつけ不要のタグシールカバー…ぜひ実現させたいです。Upload By 発達ナビ編集部「バッグの中身がすぐ取り出せなかったり、入っているものが分からず忘れ物をしたりして、困った状況はありますか?」という問いに、460人中356人、約77%の人が「はい」と回答。トートバックより、お子さんが持つことが多いリュックの対策ができたらという声が多くありました。この「困りごと」を解決できるよう考えられたのが、リュックインナーです。座談会では、・ポケットはすべて色や形を変えてほしい。同じような色や形だとどこに何を入れたのか忘れてしまう。ポケットの中に何を入れるのかが分かるような写真カードが入れられる仕様にしてほしいというように、忘れっぽさをフォローしてくれる形状への希望がたくさんあがりました。・ペットボトルを入れる場所をつくり、防水にしてほしいという声も複数。これは、お子さんがキャップをするのを忘れてしまい、バッグの中が水浸しに…という経験から生まれた意見です。将来の自立に向けても、買い物や金銭管理を自分でできるようになってほしい…そんな保護者の皆さんの気持ちが感じられた、財布についてのご意見。Upload By 発達ナビ編集部アンケートでも「レジ前でもたつくのが改善されたらうれしい」という意見が多くあげられました。特に小銭のやり取りに苦戦することから、座談会ではお財布の形状についてのアイデアだけにとどまらず、・お札で払ってしまい小銭がたまりがち。小銭を入れておく場所が自宅にあるといいと、お財布だけでなく、セットでつかうアイテムの話まで発展。生活動線を幅広くとらえた意見も出ました。また、手先の不器用さがあってもあけやすいがま口の金具の形や、ファスナーの形状についても、具体的にヒアリングすることができました。レジ前でもたつかない財布は、子どもだけでなく、お子さん連れで買い物するときにさっと会計したい保護者にとっても便利なグッズになりそうですね。Upload By 発達ナビ編集部また、アンケートの自由回答などでも多くあげられていた「洋服の締めつけが苦手」という声に応えて開発を考えている、シームレス靴下についても意見交換がされました。座談会では、締めつけが苦手なお子さんのママから支持する声がある一方、「ゆるい靴下で、靴の中でもたつくとそこが気になってしまう場合もある」と、ぴったりフィットするほうがいいという意見も出されました。困っている人のためのアイテムを、社会のスタンダードにしたい「いろいろな局面で困りごとにぶつかったり、生きづらさはあるけれど、何かの助けがあることでまわりの環境がちょっと優しくなれたり、トラブルが減って笑顔を増やすことができると思う」(京都府ゆきゆき様)「使いやすいものをという要望を詰め込んだ機能的なものであっても、ダサい、可愛くないものは望みません。フェリシモならではの+可愛さはすべての商品においてあってほしい。ユニバーサルデザインで障害がある人に寄り添ってつくったものが、他の多くの人にとっても便利なものになり購入してもらえるのは、大企業のなせる業で素敵だなと感じました」(兵庫県くるみちょこ様)これは、座談会に参加してくれた発達ナビユーザーから、座談会後に寄せていただいた言葉です。便利で快適を目指す服飾雑貨を広く手掛けるフェリシモとのコラボだからこそ、さまざまな意見を反映したバリエーション豊かな商品づくりができる。そしてその商品は障害や特性がある人だけでなく、どんな人にとっても「ちょっと便利」「使いやすい、着やすい」アイテムとなって、世の中のスタンダードとして広まっていくといいなと改めて感じることができました。発達ナビユーザーの声を、もっともっと聞かせてください!フェリシモとのコラボ企画の進捗は、今後も随時コラムやSNSで紹介していく予定。4月頃には、サンプルモニターの報告などを発達ナビやフェリシモのFacebookやインスタグラムなどでも随時ご紹介していきます。お楽しみに!また、今回のコラムを読んで「こういう工夫があると嬉しい!」という声があったら、ぜひ「みんなのアンケート」で教えてもらえるとうれしいです。発達ナビユーザーの皆さんと一緒に、発達凸凹による困りごとをサポートでき、毎日を楽しく・ストレスなく過ごすことができる商品を開発していきたいと考えています!取材協力・写真提供/株式会社フェリシモ便利で快適な自社企画商品を中心に、独自の視点でセレクトした国内外の商品やサービスをカタログやウェブなどの独自のメディアで販売しています。ファッションから生活雑貨、手づくりキット、美容関連、食品など幅広い商品を展開しています。ホームページフェリシモCCP(チャレンジ・クリエイティブ・プロジェクト)
2019年02月21日「訪れるどんな子どもにも、楽しんでもらえるように」。仕事体験テーマパーク・カンドゥーでのスタッフ研修Upload By 発達ナビ編集部仕事体験テーマパーク「カンドゥー」は、3歳から15歳のお子さんが、モデルや警察官、パイロットをはじめ、約30種類の仕事を体験できる施設。日々、たくさんのお子さんが遊びに来ますが、その中には障害や病気のある子もいます。また特別支援学校や特別支援学級の校外学習の場として利用されることもあります。こうした中、「訪れる子どもたちに楽しんでもらいたい」と考えながらも、障害特性ゆえの困りごとに対して、どんな関わり・サポートをすればよいのかわからずに悩むスタッフも少なくありませんでした。そこで、発達障害をより深く理解し、多様な子どもたちが安心・安全に楽しめるような関わり方を身につけられるよう、スタッフ向けの研修を実施しました。研修には、現場で実際にお子さんたちと接するスタッフを中心に約50名が参加。講義だけでなく、グループワークやロールプレイを通して、「こんなとき、どんな風に関わったらいいのか」を体感していきました。2018年7月に研修が行われてから約半年後となる12月下旬、編集部は再びカンドゥーを訪れ、カンドゥーの安武覚さん(イオンモールキッズドリーム合同会社職務執行者副社長)と研修を受けたスタッフを取材しました。Upload By 発達ナビ編集部「私自身にとって、発達障害はとても身近に存在しています。1年数か月前にカンドゥーに着任したとき、“どんな子どもたちも無理なく楽しめる場にしたい”と強く思い、研修を企画しました」と語る、安武さん。カンドゥーでは、複数の子どもたちがグループとなり、一緒にお仕事を体験します。ですが、発達障害がある子にとって一斉指示を聞いて行動することの難しさや、パニックになってしまった場合に、「もっとソフト面で対応できることがあるのではないか」と考えたのがきっかけでした。Upload By 発達ナビ編集部では、実際に研修を行って、スタッフはどんなふうに受け止め、意識やサービスはどのように変わったのでしょうか?そこで、研修に参加したスタッフに話を伺いました。「研修を受ける前までは、“ハンディ”があるお子さんにどう対応したらいいのか戸惑うこともありました。でも研修で、“ハンディではなく特性”があるんだ、と考えられるようになりました」という添野さん。「暗いところが苦手、初めての場所が苦手など、お子さんによって感じ方や苦手なことは違います。研修をきっかけに、お子さん一人ひとりの状況を見て『なにか苦手なことがありますか?』など、お子さんや保護者の方に確認することが増えました。以前は、マニュアルにないことをやってもいいのかな?と迷う場合もありましたが、そういう迷いがなくなりました。たとえば、ファッションショーのお仕事ではお子さんに衣装を選んでもらいますが、お話するのが得意ではないお子さんの場合、着たい衣装を口では伝えるのが難しかったので、指差しで選択しやすいような環境をつくり、希望を伝えてもらうなどしました」大家さんも、研修を受けて、自信をもって対応ができるようになったと言います。「私は、ラジオ局のスタッフをすることも多いのですが、ラジオ番組の台本は文章量も多く、言葉遣いも丁寧です。文字を読んだり、音読するのが難しいお子さんの場合は、無理に台本通りに読んでもらわず、簡単なセリフにアレンジしたり、(スタッフが台本の)文字を指さしながら、ゆっくり読んでもらったりします。一言でもセリフが言えると、ラジオ番組の様子を録音したCDに声が残るので、記念にもなりますから」また、お話が苦手なお子さんへ、スタッフがどのように声かけするかによって、一緒に参加しているほかのお子さんの受け止め方も変わるとも感じているそう。「みんなが大らかに楽しめるよう、引っ張っていけるスタッフでありたいと思います」安武さんはこのようなスタッフの様子に、驚いたそう。「スタッフは、決められたタイムスケジュールの中で進行し、各企業の理念や魅力も伝えるというミッションがあります。その中で、一人ひとりに寄り添おうと自発的に考えられる柔軟性を持っていることに改めて気づかされました。研修を受ける前から持っていた寄り添う姿勢を、 “自発的に動いていいんだ”“お子さんそれぞれのちがいに寄り添っていいんだ”と、研修を受けたことで背中を押すことができたのではないかと感じました」ただ、スタッフ全員が研修を受けられたわけではないし、個人差もあるという安武さん。研修の内容を他のスタッフにシェアしたり、こんなときはどうすればいいの?とスタッフの間で聞く機会が増えたりという変化が生まれ、少しずつ変わってきているという実感があるそうです。2019年度も、研修などの機会をつくり、ソフト面での配慮をより充実させていきたいと、語ってくださいました。一人ひとり違う個性を、認め合える企業へ。ミュゼプラチナムの社員研修Upload By 発達ナビ編集部2018年度、ミュゼプラチナムにおいて、社員向け研修を複数回実施しました。研修の対象は、ブロック長やマネージャー、店長など、現場をまとめるリーダー的な社員。研修では、発達障害についての知識を深めるだけでなく、障害の有無に関わらず、相手の立場に立って考えることの大切さを感じられるワークなども行いました。そして、さまざまなお客さまへの関わりかたや、スタッフ同士のコミュニケーション、チームワークについて考え、学ぶ機会として研修を活用いただきました。Upload By 発達ナビ編集部ミュゼプラチナムは全国で177店舗の美容脱毛専門サロンを展開、社員数は4,200人以上。障害者雇用にも積極的で、さまざまな障害がある90人以上のスタッフが全国の店舗で働いています。研修を企画した柳沼さんは、「障害の有無に関わらず、人は一人ひとり違うのだということを意識し、『なんでできないの?』と相手に矢印を向けるのではなく、『相手に伝わるためには自分はどういう風に話したり伝えたりすればいいのか』と自分に矢印を向けてほしいと考え、研修を導入した」と言います。Upload By 発達ナビ編集部渋谷店の店長をつとめていたときに研修を受けたという杉村さん(現在は本社勤務)は、「お客さまへのお話の仕方、接し方などを指導するときに、こうしなさいと一方的に伝えるのではなく、『自分がお客さまだったらどう思う?』とスタッフ自身に考えてもらえるようにしました。信頼関係が築けるようになると、私の伝えたいことを理解してもらえるようになり、スタッフが結果を出せるようになってきました。もともとスタッフ自身に吸収力があったので、自信がついてどんどん伸びていけたのだと思います。それを見て、店舗の他のスタッフも『すごいね、どう伝えたの?』と関心を持ってくれたり、意識してくれるようになりました。その相乗効果で、店舗のチームワークがぐっとアップしたと感じました」。チームワークが上がった店舗では、スタッフ同士でも相手をねぎらう言葉が飛び交うようになったのだそう。スタッフはインカムをつけて業務を行っていますが、インカム越しに頻繁に「ありがとう」を言うようになり、店舗のよい雰囲気はお客さまにも自然と伝わっていったそうで、お褒めの言葉をいただくことも増えました。お客さまやスタッフに対しても、「一方的に自分の思いや考えを押しつけるのではなく、相手の立場に立って考える」。これは、ミュゼプラチナムが創業当時から大切にしてきたことです。社員数も増えていく中、その信念に改めて立ち戻ろうと導入した研修は、その狙い通りに参加した社員一人ひとりの中に浸透したようです。どんな人も、「ちがい」を認め合い、相手の立場を考えて行動できるようになったら、社会の中にある障害は、きっとなくなっていく――こうした取り組みがあちこちで行われるようになったら、どんな人も、より暮らしやすい社会につながっていくのではないかと感じられました。Upload By 発達ナビ編集部ミュゼプラチナムは、多くの女性に支えられている企業だからこそ、もっと女性が活躍できる社会にするための活動を行っています。ピンクリボン活動や、女性特有疾病の理解・予防を促すセミナーの開催などを、ミュゼハッピープロジェクト(MUSEE Happy Project)」として実施しています。その一環として行っている「乳がん啓発」では、各地で啓発イベントを行うほか、全国の店舗で乳がん検診体験を実施しています(毎月1回、店舗を巡回して実施)。通いなれた店舗で超音波検診を体験することで検診へのハードルも下がり、早期発見にもつながります。また、子宮頸がん啓発のための冊子も作成し、無料配布しているそうです。2019年よりテスト的にスタートする洋服のリサイクルは、店舗にリサイクルボックスを設置。実施店舗を順次増やしていく予定だそう。障害者雇用においても、働きやすい職場環境づくりなどこれまでの取り組みが評価され、東京都産業労働局が主催する「平成30年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」を受賞したそうです。社会に必要なこと・大切なことを積極的に取り組んでいこうという会社の姿勢があるからこそ、社員研修でのスタッフへの浸透も早く、チームワーク向上にも役立ったのではないかと、改めて感じました。参考:ミュゼプラチナムのCSR | ミュゼプラチナム2019年、障害のない社会を目指しての取り組みを、もっと進化させていきますLITALICOは、「障害は社会にある」と考え、どんな人も暮らしやすい社会となるよう、さまざまな企業の皆さまとともに取り組みを行っています。これからも研修や商品・サービス開発、イベント実施など、より幅広い企業の皆さまとのさまざまな取り組みを通して、一人ひとりのちがいを認め合い、支え合える「障害のない社会」を実現していきたいと考えています。2019年3月26日(火)には、「子育てフェスタ」も開催。専門家による講演やワークショップのほか、発達が気になるお子さんの生活に役立つ商品やサービスに取り組む企業の皆さまのブースなども予定しています。仕事体験テーマパーク「カンドゥー」の体験プログラムも「子育てフェスタ」に出張予定です!発達の気になるお子さんたちにも分かりやすく参加しやすい体験プログラムを特別にご用意いただくことになりました。ぜひご来場ください!撮影/近藤 誠、鈴木江美子
2019年01月28日広がる発達障害への認知、より求められる個別のサポート出典 : テレビや新聞などで取り上げられる機会もグッと増え、世の中全体の、「発達障害」に対する認知はずいぶんと高まったように思います。社会全体の認知が広がる一方、発達が気になるお子さんのいるご家庭からは、自分たちの具体的な悩みや困りごとに対して、「じゃあどうすれば良いのか?」というお声も数多くいただきます。ここ数年で開設数も激増した放課後等デイサービスや児童発達支援。「支援の質や、自分の子どもに合う合わないはどうやって見極めれば良いの?」学校や地域でともに過ごす人たちとのコミュニケーション。「自分の子どものことを、どのように説明すれば良いの?」学年が上がるにつれて考えざるを得ない、子どもの将来のこと。「進学や就職の選択肢は?子どもの自立に向けた見通しがほしい」みんなでつくる発達障害ポータルサイトとして2016年1月26日にスタートしたLITALICO発達ナビ。3年目となったこの1年間は、そういった保護者の方々の個別具体的なニーズに応え、発達が気になるお子さんやご家族の育ちを支えるための社会全体の環境を整える挑戦でした。子どもの育ちを支える、全国の発達支援施設のネットワークをつくる全国約18,000の児童発達支援・放課後等デイサービスの情報を検索・問い合わせできる「施設情報」コーナーでは、1600以上の施設がLITALICO発達ナビのパートナー施設として、支援のコンセプトやプログラムの内容について、詳しい情報を発信してくださっています。Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)新たにスタートした「施設ブログ」コーナーでは、それぞれの施設の「日常」の様子を、より詳しく覗いていただくことができるようになりました。また、編集部による「施設インタビュー」特集では、素晴らしい支援を行っている全国のさまざまな施設を取材しました。放課後等デイサービスと就労移行支援を併設することで、ワンストップで子どもの自立をサポートしている施設。地域や学校との連携に力を入れ、地域に関わる人みんなで子どもを見守り支えるネットワークをつくっている施設。それぞれにさまざな特色やこだわりがあり、同じ児童発達支援や放課後等デイサービスという制度の中でも、さまざまな可能性があるのだということを教えていただきました。※全てのインタビュー記事はこちらのコーナーからご覧になれます。施設インタビュー保護者の方々の施設探しのサポートだけでなく、支援施設を運営する方々や、施設で働く方々を支えるサービスもスタートしました。日々忙しく働いているなか、なかなか人材採用や教材開発に時間をつくることができない…もっと良い人材を集めて、プログラムを充実させて子どもたちにより良い支援を提供したいのに、今の状況ではなかなか難しい…施設を運営する方々からはそんなお声もお聞きしてきました。支援の現場の困りごとに対し、LITALICO発達ナビがサポートすることで、より良い人材が集まり、働く人たちが成長し続けられる環境を一緒につくっていきたい。そんな思いから、施設運営者やスタッフの方々向けに、求人検索サービスと研修・教材サービスも提供しています。・支援施設を運営する方々と、児童福祉現場で働きたいと思っている求職者との出会いをつくる「求人検索サービス」・施設で働くスタッフが日常のプログラムで使用できる教材や、支援に必要な視点やノウハウを得る「研修・教材サービス」プレスリリース: 「LITALICO発達ナビ」の福祉施設向け業務支援サービスに新機能 業界全体の支援力向上へ、「研修・教材サービス」を提供開始全国各地の児童発達支援・放課後等デイサービスへのサポートを通しても、子どもたちの育ちに貢献していきたいと思っています。「子どものために何かをしたい」保護者の声を社会に届けていくために「子どものために、今、自分に何ができるか知りたいんです」発達ナビを利用される保護者の方々からは、子どものために何か自分でアクションを起こしたいというお声も多くいただきました。「ペアレントメンター」として、自分と同じように子育てに悩む保護者の方々をサポートする活動を始められた方、自分の子どもだけでなく、後に続く親子のためにと、学校の先生との対話に臨まれた方、連載ライターさんのコラムの中でもさまざまなエピソードを寄せていただきました。きっと全国にいる発達ナビ会員の皆さんの中にも、それぞれの地域で、学校で、「自分にできることを」とアクションを起こされている方も多くおられるのだと思います。そうした保護者の方々の声や経験を、社会全体へと繋げていくべく、発達ナビではさまざまな企業の方々とのコラボも実施しています。昨年は、発達が気になる子どもと家族のために、企業に何ができるのかを考えるワークショップを定期開催。参加者の中には、自身も発達ナビ会員であり、子どもに発達障害がある、と話される方も少なくありませんでした。お子さんや保護者の声を生かし、発達が気になる子どもをサポートする新しい商品やサービスを開発したり、イベントやツアーを企画したり、さまざまな取り組みが生まれてきています。学習やコミュニケーション、食事や健康、お出かけや旅行など、生活場面全体を見据えて、サポートを広げていければと思います。一人ひとり違う子どもの発達。それぞれのご家庭にピッタリのサービスを目指してUpload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)4年目を迎えるLITALICO発達ナビ。目指すのは、一人ひとりの会員さんにとって、「わたし」にピッタリだと思えるサービス。お子さんの発達の仕方にも一人ひとりの個性があり、それぞれのご家庭、地域環境もさまざまだからこそ、どんな境遇・どんなお悩みに方が発達ナビを訪れても、「今、できること」が見つかるように。また、長く使えば使うほど、そのご家族の歩みが蓄積され、振り返ることができるように。次の一年でも、新たなサービス開発や機能の改善に取り組んでいきたいと思います。近日、発達ナビ会員の方々に向けた、年に一度のユーザーアンケート・ユーザーインタビューも実施予定です。ぜひこの機会にみなさんのお声をお寄せください。3月26日には、春休みのイベント企画「LITALICO発達ナビ子育てフェスタ2019」も開催決定。ぜひお越しくださいね。4年目のLITALICO発達ナビも、どうぞよろしくお願いいたします。
2019年01月25日こんにちは! よくブログのコメントなどで育児について質問されることが多いのですが、大変申し訳ないことに全くお返事できていません。 1人ずつお返事させていただく時間がないというのもありますが、専門家でもなんでもないのでどう答えたらいいのか分からないというのもひとつあります(ひとつひとつありがたく読ませてはいただいています)。 その中でも「言葉の遅さ」について心配されているお母さんもたくさんいらっしゃるように思います。うちの次男も言葉を発するのが遅かったので、もしかしたら何かしらの共通点を感じる方が多いのかもしれません。 発語に限らずいろんな面で周りの子や母子手帳などと照らし合わせては、うちの子大丈夫かな…と心配になることたくさんあると思います。 特に第一子の子育てでは自分も初めて経験することばかりなので、些細なことでも心配になってしまう気持ちもよくわかります。 というわけで今回はわが家の次男の1歳半の健診の様子を書きたいと思います。 あくまでうちの次男の健診結果ですので、決して比べないでくださいね! というか比べるもなにも安心材料って感じになるかもしれませんけど(笑) でも真面目な話、子どもの発達は本当に個人差があります。母子手帳や問診票に書いてある項目はあくまで目安に過ぎません。 1歳半過ぎても歩かなかった子が半年後道端で会ったらスタスタ歩いていたり、3歳までママしか言わなかった子が幼稚園入園する頃にはちゃんとお話しできるようになっていたり、大号泣して体重計にも乗れず、問診にも何ひとつ答えられなかった子がすごくしっかり者の小学生になっていたり、いろ~~んな子がいます。 もちろん心配な事や不安なことはどんどん専門家に相談していただきたいと思いますが、あくまで私の経験だけで言えば集団健診の会場にいる保健師さんもまちまちなんですよね。保健師さんもそれぞれ考え方も違うし性格も違うし、ママとの相性もあると思います。子どもも千差万別なように保健師さんも十人十色なので、あまり1人の意見に一喜一憂しないように心構えして健診には臨むべきだなと私は思います。(問診でのひと言に傷ついたっていうママ、たくさんいらっしゃるので…) ただでさえ1歳半健診って初めて子どもと保健師さんが会話をしてコミュニケーションを図るスタイルになるので、親としてはなんだかちょっとわが子を試されているテストのような感じになってくるんですよね(笑) ついつい前置きが長くなりましたが、1歳半健診の様子を当時の記録をもとにお届けしたいと思います。どうぞ笑ってやってくださいな。この体験記に記載された健診は、あくまでも筆者の体験談であり、自治体によって問診内容は異なります。詳しくは自治体にお問い合わせください。■次男の1歳半健診健診会場に着いてしばらく待っていると「ゆいたんくーーん」と名前を呼ばれました。 保健師さんが待っている席まで出向いたらテーブルの上に積み木が置いてありました。 保健師:「ゆいたんくんこんにちは!」 ゆ:「ん! ん! ん! ん!」 おっと! 次男ってば挨拶も無視して積み木に一目散です。保健師さん:「おうちで積み木で遊んだりしますか?」 私:「はい、遊んでると思います」 保健師さん:「ゆいたんくん、積めるかな? って、…あ、もう積んでるね…」 はいそうですね。 もう積んでまーーーす!!! 保健師さん:「上手上手~~~」ゆ:「ん。ん。ん。ん。ん。」 見てくれアピールが凄いです。 長男:「見てーーー! ちゅんたんも積めたよーーー!」っとここで長男も俄然やる気で横入り(平日の午後だったので幼稚園児の長男も一緒に連れてきていました)。 保健師さん:「あ、お兄ちゃん。何歳?」 長男:「よんたい!」 保健師さん:「そう、4歳」 次男:「んっ! んっ! んっ! んっ!」 次男も負けじと会話に割り込みます。 1歳半といえば問診票には発語確認の項目があるのですが…保健師さん:(問診表を見ながら) 私:「はい」 保健師さん:「ママのことをママですか? パパは?」 私:「パパもママです。てゆうか、大人ならみんなママです」 保健師さん:「そうですか。こちらの言ってることは伝わりますか?」 私:「はい、分かってますね」 平均からすると遅めだったのかもしれませんが、こちらの言う事をちゃんと分かっているので次男の言葉の遅さは心配していませんでした。 保健師さん:(絵本を開いて)「犬とか、聞いても分かりますかねーー?」 私:「…さぁーーーーーどうですかねぇ…気まぐれなので」 保健師さん:「犬はどれかなぁ~~?」 ゆ:「ん! ん! ん! ん!」 積み木に夢中すぎて保健師さんの質問全部スルーです!!! 保健師さん:「ゆいたんくん、ワンワンどれ?」 ゆ:「ワゥッ! ワゥっ!!(吠)」 おいおい吠えてどうする。 保健師さん:「ゆいたんくーーん、ワンワンは…?」 わんわん。ワンワンは!? 何回も聞かれて面倒くさくなったのか絵本を「でぃ!!!」とたたき…適当にたたいた場所がたまたま「犬」でしたっ!!! これは果たして答えになっているのかそれとも偶然か!? 保健師さん:「今は積み木に夢中で全然興味ないですね(笑)」 私:「ですね…まぁでも分かってると思います」 保健師さん:「ですよね。じゃあ次のブースへ移ってください」 ってなわけで問診タイム終了~。 お次は歯科健診。 別に泣きはしなかったけれど、口を真一文字に結んで意地でも開けようとしなかったので最終的にこじ開けました。エイッ。 今度は保健相談です。 問診表の中には「育児について相談する人はいますか?」「子育てを辛いと思うときはありますか?」という項目があるんですよね。 その答えを見ながら保健師さんが 「子育てを辛いと思うときがありますか? で、時々ある、になっていますが…大丈夫ですか? ちゃんと相談する相手はいますか?」と真剣な面持ちで聞いてきました。 そうなんです。私ここの欄を「時々ある」にマルをしたんですよね。 いやだって、子育てって楽しい時もあるけど辛い時やイライラする時だってもちろんありますよね??辛くない子育てってむしろどういうのだろう。 子どもと一緒に泣きたいぐらい必死な日だってあるし、子どもに叱りすぎて自己嫌悪で落ち込む夜だってあるし、でもその反面かわいくて仕方がない朝もあれば、愛しくてたまらない瞬間もあるんですよね。 みんなそんな中でなんとかかんとかやりこなしてるお母さんがほとんどだと思うのですが、その微妙なニュアンスが伝わりにくい育児の問診票って答え方が難しいなとつくづく思います。保健師さん:「誰かに相談したりとか…されてますか? ご実家は近いですか?」私:「実家は遠いのでめったに帰らないですけど…だ、大丈夫です。ちゃんとうまいこと発散していますので」 保健師さん:「そうですか。お友達とか、いますか?」 私:「いますよ~」 保健師さん:「そうですか。牛乳の飲む量が多いということなので、もし、アレでしたら栄養相談のほうにも寄られてみてはいかがでしょうか?」 あーーそうなんです。 次男牛乳が大好きすぎて、1日500ミリぐらい牛乳飲んでたんですよ。食べないかわりに牛乳をガブガブ飲むので私も飲ませすぎないように悪戦苦闘していました。 てことで、栄養相談の窓口へーーー。 栄養相談の窓口ってテーブルの上に「1歳半の一度の食事量の目安」って感じでサンプルが置いてあるんですよね。 次男、これに食いついちゃってサンプルの乗った食器を「でぃ!!」っと投げて、カランコローーン!! カランコローーン! と床に転がりまくるーーー…。 転がったサンプルを私が拾い遠くに飛んでいったものは長男が拾い。拾っては投げ拾っては投げ…そしてそれを拾っては戻し拾っては戻し、ヒィィ…!! ちょっ…!話どころじゃないんですけど~~~!!! せっせせっせとあたしゃ田植えでもしてるんか! ぜーはーぜーはー。全然落ち着きのない次男…。 カランコローーン。 栄養士さん:「牛乳500ccですか?」 私:「水で薄めてその量です」 栄養士さん:「すごいですねーー。それで、小食ですよね?」 私:「ですねー。ほとんど水みたいな味のはずなんですけどねー。どうゆう味覚してるんでしょうね…。欲しがるのって我慢させたほうがいいですか?」 栄養士さん:「いやぁ、水分だから我慢させるってのもねぇーー。ご飯前には我慢させるとか…?」 そりゃ保健師さんも牛乳をガブガブ飲む小食の子をどうしたらいいかとか、そんな解決策千差万別すぎてなんとも言えないですよね。 私:「はいー」 栄養士さん:「小食って、どんな感じですか?」 私:「えぇぇーーっと、野菜が嫌いで、きのこ以外はろくに食べませんけどー…でも、まぁ、生きてるしなんだかんだで食べてるんでしょうね」 栄養士さん:「まぁ、そうでしょうね(笑)おやつは?」 私:「おやつは、この子はほとんどあげないようにはしています。ご飯を食べないので」 栄養士さん:「そうですか。じゃぁ…まぁ… うまいことやっていってください」 ババァァーーーン!!! ですよねーーーーーー!!!!! いや私がこの方の立場だったとしてもこうとしか言いようがないです。 そのぐらい個人の好みも食べる量も傾向も違いますから。オールマイティーになんでもよく食べよく眠り早く喋れてすんなり指示が通る子もいれば、うちの次男みたいな子もいるということで… 栄養相談を終え歯科相談はさくっと済ませ、かれこれ1時間半の健診を終えましたとさ! ■その後次男は… はい、というわけでその後次男がどうなったのかというと。 3歳になる頃には喋っていました(ちょっと記憶が…(笑))。 ポイポイお皿投げまくっていましたが、今はもう投げませんし、ワンワンもわかります。 あ! そうそう。あれだけガブ飲みして困っていた牛乳はその後パタリと飲まなくなってしまい、今、家では一滴も牛乳飲まなくなったんですよ(学校の給食では飲んでるみたいです)!きっと一生分の牛乳を1歳代で飲みつくしてしまったんじゃないかと真剣に思っています。 次男は次男なりの速度で着実に成長し、今小学1年生です。まだまだ未熟な部分はたくさんありますが元気に楽しく学校に通い、好き嫌いもだいぶ軽減しつつあるので、わが子はもうこれでオッケー! 他と比べればきりがないけれど、わが子をよく見つめて温かく見守っていきたいなと思っています。※記事の一部を修正して2019年1月18日に再度公開しました。
2019年01月17日発達が気になる子どもにかかわる仕事って?必要な資格や仕事内容、働く人の本音まで知ることができる!2019年1月27日(日)に、発達が気になる子どもにかかわる仕事について「資格要件・仕事内容などの基礎を学べる」「保育士から発達支援にキャリアチェンジした人の本音トークが聞ける」「大手法人と、仕事内容やキャリアに関してフランクに話せる」という、魅力たっぷりのイベント「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」を開催します。出典 : イベントでは、関東近郊で児童福祉の事業所を運営する大手法人が個別ブースを出展。気になる法人と仕事内容・働き方・キャリアに関してフランクに話をすることができます。同時に「業界に関する知識がなくて不安」「未経験でも大丈夫?」という声にこたえ、児童福祉分野で働くうえでの基礎知識がわかる「児童福祉の仕事まるわかりセミナー」や、「保育の現場から児童発達支援へ転職した方のトークセッション」といった、どんな方にもきっと役立つプログラムも実施!会場には児童福祉分野に詳しいキャリアアドバイザーによる無料相談コーナーを設けるほか、児童福祉業界での働き方に関心がある方と気軽につながることができる交流会も開催します。現在児童福祉業界(児童発達支援・放課後等デイサービス)で働いている方、保育や教育・福祉の経験を発達支援に活かしてみたい方、児童福祉業界での働き方を知りたい方はぜひこの機会に、話を聞いたり、相談してみたりしてはいかがでしょうか。参加希望の方は、以下の概要を確認のうえ、申し込みフォームからお申し込みください。「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」開催概要【日程】1月27日(日)13:00~18:00(開場12:45)※途中参加・途中退場可【会場】fabbit Global Gateway “Otemachi”東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル2階(東京駅・大手町駅直結)明るくお洒落なスペースを貸し切っての開催となります!【参加費】無料参加者全員にQUOカード1000円プレゼント!「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」の見どころ紹介発達が気になる子どもの支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス)を運営する大手法人が、支援の特徴や、仕事内容、職場環境等について、説明いたします。アットホームな雰囲気の中、法人の担当者の方とフランクに話すことができます。参加法人(一部抜粋)・有限会社エスエヌ企画(ライズ児童デイサービス)・アース・キッズ株式会社(スタジオそら)・株式会社SKY(みなそら園)・ハッピーテラス株式会社・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)ほかみなさまの知りたいことに合わせた約30分のセミナーを開催いたします。【1】福祉の仕事まるわかりセミナー(13:00~13:30)児童福祉業界について、知識・経験がない方もご安心ください。・発達が気になる子の支援の仕事とは・「児童発達支援」「放課後等デイサービス」とは・指導員のなり方など、わかりやすく解説します。【2】保育の経験を活かして発達支援へ(14:00~14:30)元保育士で、児童福祉業界に転職した方をゲストに迎え、転職理由や、転職前後のギャップ、転職してよかったことなどを話していただきます。「保育・教育の資格や経験を発達支援に活かしたいが、実際のイメージがわかない」「発達障害の子どもへの支援ができるか不安」そんな方必見のトークセッションです。※各回定員30名(先着順)となります。※内容は変更になる可能性がございます。福祉の仕事全般に関する疑問点、転職の不安・悩み等、ぜひ何でもご相談ください。「私でも発達支援の仕事ってできるのかな?」「これまでの経験を活かしてキャリアアップしたいけどどうしたらいいかわからない」そんなあなたの悩み・不安・疑問をスタッフが一緒に解消します。軽食をとりながら、参加事業所の職員の方々とざっくばらんに話したり、他の参加者の皆さまと情報交換したりできます!事業所ブースをまわる中で特に気になった事業所の職員の方に、発達支援の仕事のリアルを聞いてみたり、児童福祉分野に興味のある参加者同士で情報交換してみてはいかがでしょうか。【同時開催】障害のある方の「働く」を支援する仕事についても知ることができる!Upload By 支援のひろば本イベントでは、お子さまへの支援だけでなく、”障害のある方の「働く」を支援する仕事”についても知ることができます。関東近郊で就労支援の課題解決に取り組む大手法人から、具体的な取り組みや働き方について詳しく聞けるブースの設置や、大手企業(GREE(グリー)株式会社)の障害者雇用担当者による「就労支援」の現状や期待を本音で語るトークセッションなども、同じ会場で実施予定。障害がある大人を支援する仕事について興味がある方も、ぜひご参加ください。※障害のある方の「働く」を支援する仕事に関して、どんなことがわかるの?という方は以下ページをご覧ください。以下ページからもイベントのお申し込みが可能です。障害のある方の「働く」を支援する仕事について、LITALICOしごとフェスタでわかること「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」は、発達が気になるお子さまへの支援にかかわる仕事はもちろん、障害がある方の「働く」を支援する仕事についても知ることができるイベントです。ぜひご来場ください!【本イベントに関する問い合わせ先】LITALICOキャリア事務局(児童福祉・障害福祉分野に特化した就職支援サービス)info_event@litalico-c.jp
2019年01月10日あけましておめでとうございます!Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビユーザーの皆さまあけましておめでとうございます!発達ナビは、2019年も発達障害に関するさまざまな記事をお届けしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。また、ユーザーの皆さまにもっと手軽に、最新の情報を受け取っていただけるよう、SNSアカウントでの情報発信も行っています。そこで、各SNSとその特徴をご紹介します。2019年は、ぜひSNSもご活用いただけたらと願っています!Facebook・Twitter新着コラムのお知らせや、今まで公開させていただいてきたコラムからピックアップしたものを、毎日配信しています。最新の子育てエッセイや、発達障害にまつわる障害や支援にまつわるイベント情報などをいち早くお知らせするほか、発達障害にまつわる専門的な内容をわかりやすくお伝えする「発達障害のキホン」シリーズのコラムなどをご紹介しています。りたりこ)発達ナビFacebookりたりこ)発達ナビTwitterInstagram2018年11月から本格スタートしたInstagram。新着コラム情報に加え、コラム記事制作の裏側や取材の様子など、ここでしか見られない情報もお届けしていく予定です。発達ナビInstagramLINE@友達追加をしていただけると、新着コラム情報をお届けするほか、位置情報や市町村名から、発達が気になるお子さまが利用できる発達支援施設などを検索することも可能です。発達ナビLINE@Pinterest子育てでの困りごとへの対応方法を、わかりやすいイラストで解説する「親子のヒント」や、子育てにまつわるコラム・エッセイまで掲載しています。発達ナビPinterest
2019年01月01日発達障害と個性はどう違う?私はこれまで、発達障害の当事者やそのご家族の方たちから、こんな質問をよく受けてきました。「発達障害と個性」「自閉スペクトラム症とオタク」「注意欠如・多動症とうっかり屋」…これらはどう違うの?と。私はその違いについて、詳しくは『発達障害生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』という本にまとめました。まずは、簡単に発達障害の特性について説明しましょう。発達障害には、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症、学習障害などの種類があります。自閉スペクトラム症には「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴があります。そういう特徴を講演会などで説明すると、話を聞いた方のなかには、「私のまわりにそういう人がいます。こだわりがとても強い人ですが、その人のこだわりは障害というより、個性だと思います。発達障害と個性はどう違うんでしょうか?」と質問をくださったりします。ときにはもっと具体的に「自閉スペクトラム症の人は、個性的な人、たとえばオタクとは、どう違うんですか?」と聞かれることがあります。また、注意欠如・多動症には「不注意」と「多動性・衝動性」の特性があります。「不注意」は「気が散りやすい」に、「不注意」は「うっかり屋」に言い換えができそうです。発達障害は、個性とどう違うのでしょうか?次から、その違いについてご説明していきましょう。Upload By 本田秀夫発達障害と「オタク」の違いって?出典 : ここでは、ゴルフ好きな男性を例に解説しましょう。彼は休日になると、同僚や取引先の人たちとゴルフの練習やコースに出かけて、楽しんでいます。テレビのゴルフ中継やゴルフ雑誌、ゴルフ関係のインターネットを見るのも好きです。ゴルフ好きな友人と食事やお酒を共にして、熱い「ゴルフ」談義をすることも増えてきました。最近では周囲に「ゴルフ好き」として知られ、「接待ゴルフ」にも呼ばれるようになりました。熟練の腕前で、相手に合わせてレベルを調節することも、お手のものです。この方は「ゴルフオタク」と呼んでもけっして間違いではないでしょう。しかし、自閉スペクトラム症の特徴が見られるかというと、それは見られなさそうです。確かにゴルフにある種の「こだわり」を持っているようですが、この方はゴルフ仲間と良好な関係を築いています。「対人関係が苦手」な様子は見られません。じつはこの方のように、ある種のこだわりをもっていても、それを対人関係のなかで柔軟に調整できる場合には、むしろ「対人関係が良好」だったりします。この「対人関係」に着目すると、自閉スペクトラム症の人と「個性的な人」(いわゆる「オタク」)との微妙な違いが浮きぼりになっていきます。自閉スペクトラム症の人は、こだわりと対人関係を天秤にかけたとき、こだわりを優先する傾向があります。対人関係のために、大好きなことの優先順位を下げることには抵抗があるのです。そのため、「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という様子が見られるわけです。しかし、先ほど「微妙な違い」と表現したように、とても微妙な話です。発達障害の特性と個性の間に、境界線はない対人関係やこだわりの調整は「できる」「できない」の2つにはっきりと分けられるものではなく、あいまいなものです。調整できることが多ければ「個性的な人」や「オタク」に近く、調整の難しいことが多ければ自閉スペクトラム症の特徴に近いというふうに考えるのが自然かもしれません。発達障害と個性、自閉スペクトラム症とオタクには、明確な違いはないといってもよさそうです。私は、「個性」や「オタク」、発達障害は地続きのもので、そこには境界線はないと考えています。発達障害の特性がある人の交流スタイル出典 : 私はNPO法人などで、幼児から成人まで、発達障害の方たちの余暇活動を支援しています。そこに集う方たちの活動には、一般的な交流とは違った様子がみられることがあります。たとえば、アニメが好きな人たちの集いでは、みんなで集まってアニメをみたりアニメの話をしたりして、時間になったらそれぞれに帰っていきます。趣味についてはよくしゃべりますが、趣味以外の話や交流は別にしなくてもよいというつき合い方をしているのです。同じアニメを好きな人どうしが、アニメ映画をいっしょに見にいくということはあります。でも、そういう人たちが「今度いっしょにお茶でもしようよ」と誘いあう姿は、あまり見たことがありません。発達障害(とくに自閉スペクトラム症)の特性がある人たちの社交の仕方は、そういうスタイル――微妙な対人関係よりも自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいスタイルだとしかいいようがありません。あるとき、自閉スペクトラム症の人から「親友がいる」と言われたことがあります。親友どうしはいっしょに映画を見にいくのですが、映画館までの道すがらは無言だそうです。別におしゃべりをしていなくても仲間なのだから、それでいいのだそうです。一般の人は、映画を誰かといっしょに見にいったとき、相手がまったくしゃべらなかったら、親近感がないように受けとり、相手とよい関係が築けていないと不安になるかもしれません。でも、自閉スペクトラム症の特性がある人は、そのような不安をもたずに仲間と交流しています。そしてこれは,どちらがよいか悪いかという話ではなく、それぞれにスタイルがあるということなのです。もうひとつ、余暇活動のなかで「黒ひげ危機一発」で遊んだときのエピソードを紹介しましょう。「黒ひげ危機一発」というと、一般には「誰が刺したときに、黒ひげが飛び出すだろうか?」というスリルを共有して楽しむゲームです。この「黒ひげ危機一発」を使って、自閉スペクトラム症の子どもたちが、ユニークな遊び方をしていたことがあります。ひとりずつ順番に剣を刺すのではなく、ひとりが剣を刺し続け、人形が飛び出したら次の子に渡すという遊び方です。その子たちが興味をもったのはゲームのしくみであり、ほかの子とスリルを共有することは、二の次だったのでしょう。一般の人からすると、ひとりだけが剣を刺し、まわりではそれぞれ好きなことをしている光景は、楽しそうにみえないかもしれません。でも、子どもたちは「みんなで『黒ひげ危機一発』ゲームをして楽しかった!」と語り合っていました。では、「黒ひげ危機一発」の独特な遊び方をしているときに、ひとりだけ、「ふつうのやり方で遊ぼうよ!」と提案する子がいたとしたら、どうでしょう?そのひとりは、居心地が悪かったかもしれません。通常とは違う遊び方で「黒ひげ危機一発」ゲームを楽しんだからといって、別に「通常のやり方を楽しむ能力の欠損」とはいえません。ましては、能力が劣っているわけでもありません。もしも、楽しみ方に優劣があると考える人がいるとすれば、それは多数派のおごりでしょう。自閉スペクトラム症の人たちの楽しみ方は、ただ少数派というだけです。発達障害の特性を「選好性」としてとらえる少し専門的な話になりますが、私は発達障害の特性を「〜が苦手」という機能の欠損として考えるよりも、「〜よりも〜を優先する」という「選好性の偏り」として考えたほうが、自然なのではないかと思っています。ここでいう「選好性」とは、Aというものではなく、Bというものを選ぼうとする生来の志向性のようなもの。好き嫌いの「嗜好性」ではなく、心が特定の方向に向かうという「志向性」です。たとえば「雑談が苦手」という特性を「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」という選好性としてとらえることができます。ほかにも、「対人関係が苦手」という特性を「対人関係よりもこだわりを優先する」、また、注意欠如・多動症の特性を「じっとしていることが苦手だが、それは思い立ったらすぐに行動に移せるという長所でもある」といったとらえ方ができます。発達障害は、少数派の「種族」私は、発達障害の人が向き合う困難は、マイノリティ問題と共通していると考えています。人種や民族、性的志向などの少数派(マイノリティ)といわれる人たちは、偏見や差別の目にさらされることがあります。では、なぜ偏見や差別が生じるのかというと、マイノリティの人たちがマジョリティ(多数派)を知るほどには、マジョリティはマイノリティのことを知らないという現実があるからです。発達障害は、病気というよりも、少数派の「種族」のようなものと考えるべきです。多数派が少数派のことを理解して、お互いに助け合っていくことによって、偏見や差別が少しでも減らせるのではないかと思います。そうすれば、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症の特性があっても「障害」とは言わなくてよい人たちが、今よりも増えていくのではないでしょうか。このコラムによって、少しでも多くの方たちが、発達障害に関心を持ち、理解を示すことにつながれば幸いです。
2018年12月26日小さな子どもって、かわいい言い間違いをたくさんしますよね。一生懸命話そうとするその様子は、その時期だけの貴重な家族の思い出にもなります。しかし、間違いは間違いとしてきちんと直した方がいいという考えもあり、どのように対応すればいいのか、悩ましいところ。今回は、子どもの言い間違いへの対処方法を考えてみたいと思います。■「正しい言葉を教えたい」とする人が圧倒的に多い結果にアンケート結果によると、「正す」もしくは、「さりげなく正しい言葉で言い直す」として、子どもに正しい言葉を教えるとする意見が合わせて約87%で大半を占めるという結果が出ました。一方で「正さない」という意見は10.7%と、少数派のようです。 Q.小さい子どもの言い間違い、正す?さりげなく正しい言葉で言い直す 50.3%正す 36.9%正さない 10.7%その他 2.1%■ついほほ笑んでしまう! かわいい子どもたちの言い間違い寄せられたコメントの中には、思わず笑顔がこぼれてしまうような子どもたちのかわいらしい言い間違いがたくさんありました。「“ダメ”が“まめ”」(愛知県 40代女性)「“蚊に刺された”が“カニにさされた”、“パトカー”が“パコカー”。小さい頃だからこそ、かわいさを感じていいと思います」(茨城県 30代女性)「“テレビ”が“テベリ”、“さかな”は“かさな”に。もっと動画を撮っておけばよかったです」(東京都 40代女性)「“わがまま”が“わがまが”、“ヘリコプター”が“ヘコボイター”、“ブロッコリー”が“ころぼっこり”に。何度も練習するんだけど、言えないところがまたかわいくて!」(北海道 30代女性)「“靴下”が“つくした”に、“違う”は“ちだう”に。勝手に正しく言えるようになってしまう! ああ、もう言えるようになっちゃったのかと、寂しくうれしく思っています」(千葉県 30代女性)生活の中で使われている家電や食べ物、道具などのなかで、少し言いにくい言葉が多くあげられていました。「“ダメ”が“まめ”」というコメントからは、「まめ!」と怒って言う子どもの様子が思い浮かび、ついほほ笑んでしまいますね。思わず、「うちもあるある」と思うような言葉も多かったのではないでしょうか。■言い間違いを直さない親の思いとは間違いとはわかっていても10.7%の親は「正さない」と答えました。その理由とは一体何なのでしょうか。「言い間違いはその年齢のころ特有のものだと思うので、かわいいからそのままにしています。大きくなるにつれて、自然に直るものだと思います」(愛媛県 30代女性)「小さいうちはかわいくて正せません。大きくなると、きちんと話せるようになりますから。言い間違いをしていたかわいいときを一緒に過ごした日々が懐かしいです」(神奈川県 40代女性)「かわいい言い間違い、いつの間にか周りの言葉を覚えて直ってしまうので、かわいいその時を大切に微笑ましく見守りたい」(東京都 40代女性)「とてもおもしろくてかわいいので、以来家族みんなで言い方をそのまま真似して楽しんでいました。いまでもそのまま普通に使っています」(千葉県 50代女性)たしかに言い間違いをするのは一時期だけのことなので、「正さない」という気持ちはよくわかります。筆者の次男は2歳のころ、歌の中に出てくる“ホップステップジャンプ”が言えず、“おしてんじゃん”と歌っていました。あまりにもかわいくてなかなか直すことができず、何度も歌わせていたことを思い出します。ただ、筆者の場合、あまりに何度も歌わせて笑ってしまっていたら、本人がすねてしまい…。バカにしたり、何度もやりすぎたりするのは、相手を傷つけることもあると反省しました。■「子どもが恥ずかしい思いをする前に正したい」親の気持ち「正す」と回答した36.9%の人たちから寄せられたコメントによると、子どものことを考えて教育的な観点からしっかりと教えてあげたいという気持ちが伝わってきました。「かわいいときはいいけれど、人前で恥ずかしい思いをする前に教えてあげたい」(愛媛県 40代男性)「教えますね。だってそれは親しかわからない言葉で、周りには通じないから。わが子はまだ4歳ですがもう赤ちゃんじゃないし、コミュニティを広げるためには“通じる言葉”でなくてはならないと思います」(宮城県 20代女性)「主人がずっと言い間違いに気づかず、私が指摘したら怒って話にならず、他人に指摘されて初めて理解。それから子どもにはちゃんと教えようって思った」(三重県 40代女性)“通じる言葉”というコメントの裏にあるのは、「子どもの将来を思いやる親の姿」。のちのち子どもたちが困らないためには、早いうちから正しい言葉を教えたいという考えは、厳しいというよりも親からの贈り物のひとつなのかもしれません。さらに、なかにはある一定の年齢になってからは「正す」という意見も多く集まっていました。「下の子は2歳。いまは言い間違いはかわいいので直しませんが、上の子は小1なので直します。音読の宿題もあるし、間違ったまま大きくなってほしくない」(北海道 40代女性)「小1の娘ですが、言い間違いは全力で直します! 保育園まではそこまで直さなかったですが、今後は本気で間違えて覚えてしまっても困るので」(東京都 20代女性)「小学生になったら言い間違いは正す」というコメントが複数見られました。国語の授業が始まることもあり、小学生になったら正しい日本語を身に着けてほしいと思う親が多いようです。■楽しくお話するためのポイントは、「さりげなさ」回答者の約半数は、子どもを傷つけないように「さりげなく正しい言葉で言い直す」という意見でした。「正す」まではいかずとも、正しい言葉を覚えられるように、教えてあげたいという思いがあるようですね。「おうむ返しで間違っているところを正しい言い方で伝える」(埼玉県 30代女性)「話したい気持ちを妨げないように、何げなく直してあげるようにしています」(徳島県40代女性)「きちんと言えていないのがかわいいのですが、言葉として間違えて覚えてしまうと困るので、『ちゃんと言えてないよ。○○だよ』。難しいけれどちゃんと言えるようになったら『すごいね』と正していました」(千葉県 40代女性)「無理に直さなくても自然に覚えていくので、正しい言葉で言い直してあげるようにしています。“間違っている”と指摘してしまうと、なんだかかわいそうになってしまうので、楽しくお話しできたらいいのではないでしょうか」(茨城県 30代女性)小さな子どもたちは、覚えたての言葉を使っておしゃべりをしたい気持ちでいっぱいですよね。話し始めた時期に“話したい気持ちを妨げない”ことは重要なポイントのひとつという気がします。また、多くの親が実践しているのは、“楽しくお話する”ことを大切にすること。子どもたちがおしゃべりで人とやり取りすることの楽しさを、まずは実感できるようにサポートすることも親の役割なのかもしれませんね。■耳があまり聞こえていないといった可能性も…言い間違いは珍しいことではありませんが、あまりに何度も繰り返す、なかなか治らないという場合、言語障がいや耳の不調が見つかったという人もいました。「間違いを言い直さないでいたら、滲出性中耳炎であまり耳が聞こえていないことがわかりました」(東京都 40代女性)「うちの子たちは、もともと“さ行”と“た行”が話しづらくて、上の子は吃音(きつおん)がありました。訂正することがストレスになるので、言葉の教室に通わせて、吃音以外は直しました」(鹿児島県 30代女性)「うちの娘は言語療法を受けていましたが、あんまり神経質にしていると子どもがどもるようになることもあるそうです。言語は時間をかけて直すことはできますが、どもりは直らないこともあると小児科医の先生に聞いたことがあります」(愛媛県 40代女性)もしも子どもの言い間違いで気になることや不安がある場合には、言語聴覚士がいる施設や小児耳鼻科などに一度受診してみてもいいかもしれません。ただの言い間違いにも、もしかしたら子どもたちが抱えている問題が表れている場合もあるので、注意してあげましょう。子どもが見たこと、思ったことを一生懸命話そうとしてくれる姿は、とても愛おしいものです。その「自分の気持ちを話したい」芽を摘み取らないようにするためには、まずはその話に耳を傾けることが何よりも大切な気がします。子どもの言い間違いを直す、直さないは、各家庭ごとの方針によって異なるでしょう。父母によって意見が異なっていると、子どもが混乱する可能性もあるので、夫婦でも「わが家はどうするか?」を一度話しておいてもいいかもしれません。また言い間違いを直す場合にも、できるだけ親が大らかな気持ちで接することも必要となってくるでしょう。「かわいいな」とほっこりしつつも、気長に子どもの言葉学習に付き合ってあげたいですね。【参考】日本言語聴覚士協会のホームページ: Q. 小さい子どもの言い間違い、正す?アンケート回答数:4376件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2018年12月16日「ピアジェの心理学を知れば、子どもの発達がよく分かる!?有名な『4つの発達段階』をまとめてみた」でもお伝えしたように、人間にはいくつかの「発達段階」があると考えられています。心理学者ジャン・ピアジェ (1896~1980)の場合、「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」という4つでした。発達段階の区分や名称は、学者によって異なります。心理学者エリク・H・エリクソン(1902~1994)は、「乳児期」「青年期」「成人期」など8つの発達段階を提唱しました。こちらのほうがなじみ深く、イメージしやすいかもしれませんね。エリクソンによる発達段階論は、教員志望者だけでなく、保育士を目指す人たちにも学ばれています。保育士試験で頻出のためです。保育士志望者はなぜ、エリクソンの理論を学ぶことを求められているのでしょう?それは、子どもならではの特性を理解し、発達段階を意識して接する必要があるから。もちろん、子どもを持つ皆さんにとっても有用な知識です。我が子だけでなく、自分の発達段階も意識することで、人生観が新たになるかもしれません。今回はエリクソンの発達段階論を、できるだけ分かりやすくご説明しましょう。心理学者エリクソンの人物像エリク・H・エリクソンは1902年、デンマーク系ユダヤ人の母親からドイツで生まれました。父親は不明。エリクソンが3歳になると母親は小児科医と結婚し、彼が実の父親だと伝えましたが、エリクソンは信じられなかったそうです。また、エリクソンは実の父親に似たのか金髪に青い目で、母親夫婦とは異なる見た目だったそう。そのためユダヤ教会では「異邦人」、地元の学校では「ユダヤ人」と呼ばれ、アイデンティティーに苦しんでいたようです。この頃の経験が、心理学者としての研究に影響しているのかもしれません。学校を卒業後、エリクソンは画家を目指しましたが、やがて挫折。失意のうちに過ごしていたとき、ウィーンに学校を設立しようとしていた親友に呼び寄せられます。そこでエリクソンは教師として活躍し、周囲の人から才能を認められ、児童分析家となりました。1933年にドイツでヒトラー内閣が成立すると、反ユダヤ主義を恐れてエリクソンは米国に渡ります。そこで彼は次々と成果を挙げ、精神分析家・児童分析家として名声が高まりました。イェール大学の人間関係研究所では文化人類学者たちと交友を深め、精神分析に文化人類学を取り入れることを思いつきます。その成果が、1950年に出版された『Childhood and Society』(『幼年期と社會』全3巻、日本教文社、1954~1956年/『幼児期と社会』全2巻、みすず書房、1977~1980年)に反映されているといえるでしょう。この本は発達心理学の古典的名著として知られています。また、現代で「アイデンティティー」「モラトリアム」という心理学用語が一般的に使われるようになったのも、エリクソンの影響といえるでしょう。エリクソンの「心理社会的発達理論」とはエリクソンが提唱した論は、「心理社会的発達理論(psychosocial development)」と呼ばれています。人間の心理は、周囲の人々との相互作用を通して成長していくという考えです。その特徴は以下のとおり。-人間の発達段階を8つに分けている。-各発達段階に「心理社会的危機(psychosocial crisis)」がある。-人間は心理社会的危機を乗り越えることで、「力(virtue)」を獲得する。「発達課題(development task)」と呼ばれることもある心理社会的危機は、「〇〇対△△」というかたちで表されます。たとえば、18~40歳にあたる「初期成人期(young adult)」の心理社会的危機は「親密対孤立(intimacy vs. isolation)」。この時期、多くの人は、家族以外の他者との長期的で親密な関係を形成しようとします。うまくいけば、「力」として「愛情(love)」を獲得できるでしょう。愛は人生を豊かにします。結婚生活にもかかせないものです。しかし、他者との関りを避けたりコミュニーションを適切にとれなかったりすれば、この発達段階における心理社会的危機を乗り越えられず、孤独に陥る、ということになります。では、心理社会的発達理論における8つの段階を順に見ていきましょう。エリクソンの発達段階1:乳児期「乳児期(infancy)」という発達段階は、およそ0歳~1歳半にあたります。この時期に直面する心理社会的危機は「信頼感対不信感(trust vs. mistrust)」。人間の赤ちゃんは無力で、一人では生きていくことができません。そこで、泣くことで助けを求め、母親をはじめとする周囲の人から世話されることで育ちます。このとき、周囲の人から適切なケアを受けられれば、赤ちゃんのなかで世界に対する信頼感が構築されます。「みんなは自分を助けてくれる」という気持ちです。うまくいけば、「期待(hope)」という力を得ることができます。しかし、泣いても誰かが来てくれるわけでもなく、世話してもらえないとしたら?赤ちゃんは世界に対する不信感を抱き、「誰も自分を助けてくれない」と思うようになります。そのため、赤ちゃんに対し適切なケアが行われないと、その子の人生観に大きな悪影響を与えてしまうと考えられています。エリクソンの発達段階2:幼児前期「幼児前期(early childhood)」は、およそ1歳半~3歳にあたります。直面する心理社会的危機は「自主性対羞恥心(autonomy vs. shame)」。この時期の子どもは、歩いたりしゃべったりするようになります。とても活発な子もいて、親の手を振りほどいて走り出したり、何に対しても「イヤ」と言ったり……などは、よく聞かれる話ですね。子どもは積極的な挑戦や親のしつけを通し、排せつや着替えなど、赤ちゃんの頃は周りの人にやってもらっていたことを、一人でできるようになっていきます。親が子どもに、自分でやってみる機会を与え、適切なタイミングで手伝ってあげれば、子どもは自信をつけて、さらにいろいろやってみようという気持ちになれるでしょう。その結果、「意欲(will)」という力を獲得します。しかし、親が子どもに先回りして何でもしてあげたり、挑戦して失敗した子どもを過度に叱ったりすればどうでしょう?子どもの自主性は育たず、むしろ羞恥心を覚えてしまい、新しい物事に挑戦しようという意欲は生まれづらくなります。エリクソンの発達段階3:遊戯期3~5歳頃は「遊戯期(play age)」。「自発性対罪悪感(initiative vs. guilt)」が心理社会的危機です。保育園や幼稚園で、友だちと活発に遊ぶ時期ですね。世界に対して強い興味を持ち、「どうして○○なの?」という質問を連発したり、ごっこ遊びをしたりします。とにかくエネルギーがあり余っている状態といえるでしょう。このような子どもらしい様子に対し、親がうっとうしがる態度を見せたり、過度に厳しいしつけを施したりすると、子どもは罪悪感を覚えてしまいます。もちろん、公共の場所での適切なふるまいを教えるなど、適度なしつけは大切です。自発性と罪悪感のバランスがうまくとれれば、子どもは心理社会的危機を克服し、「目的意識(purpose)」という力を獲得できます。エリクソンの発達段階4:学童期およそ5~12歳は「学童期(school age)」です。克服するべき心理社会的危機は「勤勉さ対劣等感(industry vs. inferiority)」。小学校に通いはじめ、勉強の楽しさを知る時期です。学期中や夏休みにこなすべき宿題が次々に出されるので、「計画的に課題を仕上げ、提出する」ということを覚えます。それを繰り返すことで自信がつき、自分には「能力(competency)」があるということを理解するのです。しかし、勉強が最初から得意な子どもばかりではありません。数の概念が理解できなかったり、計画的な勉強のやり方がわからなかったりして困っている子もいます。そのような状況に対し、周囲の大人が適切にサポートせず、ただ叱っているだけでは、問題は解決できません。子どもは「自分にはできない」と劣等感を抱き、その影響はのちの人生に暗い影を落とすことでしょう。子どもが劣等感を抱かず、かつ傲慢にもならないよう、適度に褒めたりアドバイスをしたりする必要があります。エリクソンの発達段階5:青年期12~18歳頃は「青年期(adolescence)」です。立ち向かうべき心理社会的危機は「アイデンティティー対アイデンティティーの混乱(identity vs. identity confusion)」。思春期にあたるこの時期は、「自分って何だろう」「将来、どうやって生きていこう」など、自身について特に思い悩むときです。皆さんも「自分は何がやりたいんだろう?」「『自分らしさ』って何?」など、さまざまなことを考えた経験があるのではないでしょうか。「自分はこういう人間だ」とある程度確信できるようになれば、アイデンティティーが確立されたといえ、「忠誠(fidelity)」という力が得られます。自分で選んだ価値観を信じ、それに対して貢献しようとすることです。たとえば、「○○の国民として義務を果たそう」「地球に住む生き物として、自然環境を守らなければ」などと強く思い、行動することが該当します。一方で、アイデンティティーが確立できないと、「自分は何なのだろう」「何のために生きているのだろう」と悩みつづけることになります。共同体のなかに自分の居場所を見つけることが、アイデンティティーの確立につながるでしょう。エリクソンの発達段階6:初期成人期18~40歳頃は「初期成人期(young adult)」と呼ばれています。乗り越えるべき心理社会的危機は「親密対孤立(intimacy vs. isolation)」です。生まれた家庭や学校を離れ、多くの人との関係を築く時期です。恋愛を経て結婚に至る人も多いでしょう。新たな家族や友人との長期的・安定的な関係を通し、「愛情(love)」という力を獲得します。幸福な人生を送ることにつながるでしょう。しかし、他者に積極的に関わることをためらったり、長期的な人間関係を築くことを怠ったりすると、人間は孤独になります。家庭を持つことが難しくなってしまうでしょう。エリクソンの発達段階7:壮年期40~65歳頃は「壮年期(adulthood)」です。克服するべき心理社会的危機は「ジェネラティビティー対停滞(generativity vs. stagnation)」。ジェネラティビティーとはエリクソンによる造語で、「次世代育成能力」などと訳されます。子どもを育てたり、職場の後進を育成したりなど、自身が属する共同体において後の世代に貢献することです。自分の時間やエネルギーを子どもや若者に使うことで生きがいを感じるという人も多いのではないでしょうか。これにより、私たちは「世話(care)」という力を獲得します。一方、共同体に関与せず常に自分のことだけ考えて生きている……このような状況は「停滞」と呼ばれます。この年齢になると、「世界に自分の足跡を残せただろうか」と考える人もいるのではないでしょうか。次の世代に何も残せず「停滞」していると感じると、このあとの「老年期」で辛くなるかもしれません。エリクソンの発達段階8:老年期最後は、およそ65歳以上を指す「老年期(mature age)」です。乗り越えるべき心理社会的危機は「自己統合対絶望(ego integrity vs. despair)」。多くの人が仕事を定年退職し、老後の生き方を模索していることと思います。寿命を前にして、これまでの人生を振り返ることもあるでしょう。それぞれの発達段階において、心理社会的危機を乗り越え、「力」を獲得できたでしょうか。満足のいく人生だったでしょうか。自分の死後に残るものはあるでしょうか?これらの質問に納得がいったならば、最後に「賢さ(wisdom)」を得られるでしょう。しかし、自分の人生に満足がいかず、多くの後悔を抱えていたらどうでしょうか?子どもの頃や青春時代、大人になってから……それぞれの発達段階に対し「こんなはずじゃなかった」という気持ちが強いと、人生をやり直したくなるかもしれません。しかし、時間を巻き戻せるわけはなく、寿命が迫っています。絶望的な気分となり、穏やかに余生を送る、というのは難しそうです。***エリクソンの発達段階論を知ると、子どもへの接し方だけでなく、親である自分の人生にも思いを巡らすことになるのではないでしょうか。読者の皆さんの多くは、6段階目の「初期成人期」にいることと思います。それまでの6つの段階における心理社会的危機をクリアできていたか振り返りつつ、お子さんの心理社会的危機についても考えてみてください。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|ピアジェの心理学を知れば、子どもの発達がよく分かる!?有名な「4つの発達段階」をまとめてみた東京工芸大学学術リポジトリ|教育心理学的視点からエリクソンのライフサイクル論及びアイデンティティ概念を検討するJ-STAGE|E. H.エリクソンの心理社会的発達理論における「世代のサイクル」の視点慶應義塾大学学術情報リポジトリ|エリクソンの発達論に関する一考察 : その基本的視座について京都大学学術情報レポジトリ|E. H. Erikson のアイデンティティ理論と社会理論についての考察東京国際大学|アイデンティティ概念の理論的背景と問題点について―精神分析的観点による再検討のために―Simply Psychology|Erik Erikson’s Stages of Psychosocial DevelopmentPoole, Sarah and John Snarey (2011), “Erikson’s Stages of the Life Cycle”, Encyclopedia of Child Behavior and Development, Vol. 2, pp.599-603.
2018年12月10日専門家・プロ:中曽根陽子子どもの頃の体験が多いほど、学歴や年収も高いお子さんに、リアルな体験をさせていますか?ここでいう体験とは、直接自然や人・社会にかかわる活動のことです。スマホなどIT 機器が発達して便利になった一方で、リアルな体験をする機会が減っているいまの子どもたち。子どもの頃に自然体験や友だちとの遊び、地域活動などの生活体験、お手伝いをしている人ほど、自己肯定感や、「経験したことのないことには何でもチャレンジしてみたい!」といった意欲・関心が高く、しかも学歴や年収も高いという調査結果があります。「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書 第2章 調査研究結果の概要 p18(国立青少年教育振興機構)これは、国立青少年教育振興機構が幼児期から青年期までの年齢ごとの多様な体験と、それを通じて得られる力の関係を調べた結果です※1。調査では、子どもの頃の「自然体験」、「動植物とのかかわり」、「友だちとの遊び」、「地域活動」、「家族行事」、「お手伝い」といった6つの体験と、大人になってからの「自尊感情」、「共生感」、「意欲・関心」、「規範意識」、「人間関係能力」、「職業意識」、「文化的作法・教養」といった7つの「体験の力」との相関を見ています。自然体験は人間関係能力を育て、地域活動は意欲を引き出す調査の結果を細かく見ていくと、子どもの頃「海や川で泳いだこと。夜空いっぱいに輝く星をゆっくり見たこと」など、豊かな自然体験をした人ほど、「人前でも緊張せずに自己紹介ができる。けんかをした友だちを仲直りさせることができる。初めて会った人とでもすぐに話ができる」といった人間関係能力が高くなっています。「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書 第4章 成人調査基礎集計結果p97〔「自然体験」と「人間関係能力」の関係〕(国立青少年教育振興機構)また、子どもの頃「近所の小さい子どもと遊んであげたこと。祭りや地域清掃に参加したこと」など地域活動の体験をした人ほど、「なんでも最後までやり遂げたい。経験したことのないことには何でもチャレンジしてみたい。いろいろな国に行ってみたい」といった意欲・関心が高いという相関関係が見られます。「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書第4章 成人調査基礎集計結果p101〔「地域活動」と「意欲・関心」の関係〕(国立青少年教育振興機構)個別の活動とそれによって得られるとされる力は一見関係がなさそうにも思えます。しかし、考えてみれば、多くの人とかかわることで異なる年齢の人とのコミュニケーション力も身につくでしょうし、視野が広がるので、経験したことのないことにもチャレンジしてみたくなるというのはうなずけます。こうした体験を積み重ねていくことで、少しずつ自分に自信がついて、自尊心や自立心、主体性や協調性といった社会を生き抜くための基礎的な能力が養われることになるのです。そして、いろいろなことにチャレンジしようという意欲や関心が高まった結果、最終学歴が高くなり、年収も高いという結果につながるのかもしれません。しかし、残念なことに、体験の機会は年々減っているようです。同じ調査では、とくに自然体験や友だちとの遊びの経験が、若い人ほど少なくなっています。身近に自然に触れる機会や安心して遊べる環境がなくなっているなか、子どもたちに体験活動をさせるのはなかなか難しいかもしれませんが、将来にこれほどまでにプラスの影響があるなら、できるだけ機会を作ってあげたいですね。時期にあった体験が子どもを伸ばすでは、いつどんな体験をさせたら良いのでしょうか。同じ調査で、小学校低学年まではとくに「友だちとの遊び」と「動植物とのかかわり」が、小学校高学年から中学生までは「地域活動」「家族行事」「家事手伝い」などが、7つの「体験の力」に関係しているという結果が出ています。「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書第2章 調査研究結果の概要10p年齢期別「体験の力」との関係が見られる体験この結果は、発達脳科学と照らし合わせてみても合点がいきます。というのも、このコーナーで以前ご紹介したように※2、脳は(1)からだの脳(大脳辺縁系、脳幹)↓(2)おりこうさん脳(大脳皮質、小脳)↓(3)こころの脳(大脳皮質の前頭葉)の順番で発達します。小学校低学年は、からだの脳が発達し、じょじょにおりこうさん脳が育ち始める時期です。そして、がんばり抜く力など非認知能力が育つ時期とも言われています。また、この時期には遊びを通して五感を刺激する体験が大切だと言われていますから、動植物とのかかわりや友だちとのかかわりが大切という調査結果にも通じますね。そして、小学校高学年から中学生までは、おりこうさん脳とこころの脳がじっくり育つ時期。家でのお手伝いや地域の行事に参加することで、社会の仕組みや役割を理解し、規範意識を学ぶのにちょうどいい時期と言えるでしょう。子どもの育ちに寄り添いながら、さまざまな体験の機会を与えてあげたいものです。《参考資料》※1「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書(国立青少年教育振興機構)第2章 調査研究結果の概要第4章 成人調査基礎集計結果※2 AI時代を生き抜くために~「失敗力」が育つ6つの栄養素第2回 「キレる子どもたちの原因は眠りにあり」中曽根陽子教育ジャーナリスト教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。 “お母さんと子ども達の笑顔のために”をコンセプトに数多くの本をプロデュース。近著に『1歩先行く中学受験成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などがある。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザ インする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。公式サイト
2018年12月06日今回は、ムギの言い間違いを振り返ってみたいと思います。この言い間違いは、のちに「おこさま→おかさな」に進化! そして言葉の発達にともない、少しずつ言い間違いも増えていきました。5歳になり、難しい言葉を発するようになってきたムギですが…言い間違いを初めて克服したのが、この「おさかな」でした。「おかさな」の響きがかわいくて大好きだっただけに現実を受け止めきれず、とりあえず食い下がってみました。次に克服するのはこの「めなげ」なんだろうなと思うのですが使用頻度が高いだけに、克服時はショックが大きそうです…。
2018年12月05日「発達障害とは何か」 を考えるスペシャル番組ここ数年、発達障害について取り上げるテレビや書籍、ネットニュースなどが増えました。LITALICO発達ナビのユーザーの中にも、認知度が上がってきたと感じている人もいるでしょう。ですが、当事者が身近にいない人にとっては、発達障害という言葉を聞いたことがあっても「発達障害とは実際のところどういうものか?」よくわからないのかもしれません。NHKでは11月から「発達障害って何だろう」をテーマにしたキャンペーンを行っています。今まで関心のなかった人にも届くよう、さまざまな角度で発達障害について取り上げています。約20の発達障害に関連する番組が集中的に放送される中で、24日(土)には「発達障害って何だろうスペシャル」が放送されます。出演者は各界で活躍する発達障害の当事者Upload By 発達ナビニュース出演者は各界で活躍する発達障害の当事者の皆さん。エッセイストの小島慶子さんは、今年、軽度のADHD(注意欠如・多動症)があると診断されました。落語家の柳家花緑さんは、子どもの頃から読み書きに苦手があり、40歳を過ぎてからLD(学習障害)の特性を指摘されました。11月からスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」でも自身の経験を紹介してくれています。『透明なゆりかご』などの作品で知られる漫画家の沖田×華(ばっか)さんは、小学生のころにLDとADHD、中学生のころにアスペルガー症候群(現・自閉スペクトラム症)の診断を受けました。日常生活での経験を漫画で描いています。それぞれのプライベートに密着し、自身の「苦手」とどう向き合い、どう折り合いをつけているのか、たっぷり語っていただきます。また、LITALICO発達ナビでもコラムを執筆している吉川徹先生も出演されます!「周囲の人は何ができるのか」工夫を紹介する発達障害は外見からは見えにくく、周りから理解されづらいと言われています。発達障害の特性から、周囲の人と軋轢を感じ、困りごとを抱えてしまうこともあります。発達障害のある人自身、自分の特性を理解してソーシャルスキルトレーニングをしたり、トラブルにならないよう困りごとを減らす対処法を行ったりしている人もいます。また、本人の努力だけでは解決しない時、環境調整をしたり、周りの人のサポートを受けることで、うまくいく場合があると言われています。ですが、実際に何ができるのか、どうしたらサポートできるのか、周囲の人にとってはよくわからず、戸惑うこともあるでしょう。番組では発達障害のある人を多く雇用している企業の工夫もご紹介します。「周囲の人は何ができるのか」を考えるためのヒントがあるかもしれません。一緒に考えることで、サポートの輪が広がるUpload By 発達ナビニューステレビ番組は広く多くの人に届けることのできるメディアです。発達障害は自分とは遠い、関わりのないことだと感じている人にも、見てもらいやすいと言えるでしょう。また、映像で、当事者の方のリアルなケースを紹介することで、イメージしやすく理解を助けてくれるはずです。発達障害のある人がどんな風に暮らし、どんなことに悩んでいるのかを知る良い機会として、多くの方が、「発達障害って何だろうスペシャル」を見たならば。学校のママ友、電車でたまたま乗り合わせた乗客同士、よく行く商店街のお店の人…。地域で暮らしている多くの人たちが、発達障害について知っていたら、当事者にとっても心強いのではないでしょうか?発達障害のある人や、周りで暮らす人がどうしたら生きやすくなるのか、できることは何か。ぜひ、周りの人と番組を見て、一緒に考え、対話するきっかけにしませんか。・「発達障害って何だろうスペシャル」(NHK総合)2018年11月24日(土)21:00~21:49・出演者【司会】千原ジュニア、南沢奈央、塚原愛アナウンサー【ゲスト】小島慶子、柳家花緑、沖田×華【専門家】吉川徹発達障害って何だろうスペシャル【キャンペーン】発達障害って何だろう
2018年11月22日「発達障害って何だろう」。テーマは、発達障害を多くの人に知ってもらうことUpload By 発達ナビニュースーーNHKでは、昨年から継続的に、発達障害について取り上げています。今回のキャンペーンでは、11月中旬を中心に、さらにたくさんの番組が放送されると伺いましたが、どんな番組がありますか?NHK 齋藤真貴さん(以下齋藤さん):「今回は、11月の中旬から、約20の番組を集中して放送します。NHKラジオ第一の「すっぴん!」や、「所さん!大変ですよ」「今夜も生でさだまさし」など、バラエティ豊かな番組で、発達障害を取り上げていきます。」ーー特集番組や「あさイチ」や「ハートネットTV」などで今までも発達障害について取り上げてきたNHK。今回のキャンペーンであえて「発達障害って何だろう」をテーマとして選んだ理由は?齋藤さん:「改めて原点からスタートしようと考えました。まず、多くの人に、『発達障害とはどんなものなのか』を知識として知っていただきたいということ。そして、知ったうえで、『発達障害って何だろう』ということを考えるきっかけになれば…という思いです。」ーーLITALICO発達ナビのユーザーさんは当事者や、家族、支援者が多いのですが、発達障害を取り上げる番組があると、たくさんの方が視聴し、感想をタイムラインにあげている実感があります。齋藤さん:「これまで発達障害に関する番組を放送すると、当事者の方々やご家族から大きな反響をいただくこともあり、大変ありがたいと思っています。しかし、当事者の方の「生きづらさ」を軽減するためには、「あまり発達障害を知らない」という周囲の人に、いかに理解をしてもらうかが大切です。そこで、今回は、普段、発達障害に関心がないという人にも、幅広く知っていただくことに挑戦したいと考えました。そうした人に、いろいろなタッチポイントを作って、何らかの形で「発達障害」に触れていただき、考えるきっかけになれば…。キャンペーンのテーマでもある「発達障害って何だろう」と考える過程に、意味があると思っています。そのために、あえて今回は一般の当事者だけでなく、エッセイストの小島慶子さんや、落語家の柳家花緑さんなど、多くの著名人に番組に参加していただいています。そういった方々の力も借りて、より多くの人たちに、繰り返しでも地道に発達障害について伝えることが重要だと考えています。」テレビ番組は、まだよく知らない、関心がない周りの人の認知度をあげて、一緒に暮らしていくために何が必要かを考えるための接点となりやすいと言えます。確かに発達障害のある方の困りごとは、本人の努力では解決しないことも多い。周りの人が知らないことで、軋轢が起きているケースもあるのではないでしょうか?困っている人を街中や職場、学校で見かけたとき「テレビで見たあの特性で困っているのかもしれない」と思い当たることができれば、どうしたらよいか、その糸口になるかもしれません。そしてそんな人が社会に増えることは、発達障害のある人にとって支えとなる場合もありますね。キャンペーンの見どころは?Upload By 発達ナビニュース番組は、キャンペーンに参加する各番組の制作チームが企画しているとのこと。キャンペーン事務局でも企画の相談を受けたり、情報を紹介したりしますが、それぞれの番組らしい切り取り方も楽しみの一つです。テレビ番組を集中的に編成することで、幅広い視聴者に出会っていただける可能性が高くなります。ひとつの番組だけでなく、様々な角度から「発達障害について」知るチャンスは貴重です。齋藤さん:「このキャンペーンは、一時的なものではなく、息の長い取り組みを目指しています。11月に集中的に番組を放送するのは、言ってみればキャンペーンのスタートをお知らせする「号令」のようなものです。その後も、例えば、2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」などは、スポット的に放送されるので、いろいろな曜日、時間帯で目にするかもしれませんね。インターネットやイベントなどでも、NHKの番組や取り組みに触れていただき、それをきっかけに、みなさん一人ひとりが、発達障害について考えていく、というようなキャンペーンにできたらいいなと。これからも多面的にキャンペーンを展開していきたいと思っています。」発達障害は外見からはわかりにくいと言われています。特に、関心や接点のない人の理解を得ることは簡単ではありません。そんな時、テレビ番組で多様な角度から発達障害について映像で伝えてくれたなら…「発達障害とは何だろう」その言葉は、きっと多くの人の考えるきっかけとなってくれるのではないでしょうか。キャンペーンの概要Upload By 発達ナビニュース24日の特番「発達障害って何だろうスペシャル」を始め、さまざまなラインナップで番組が放映されます。番組放送日時はリンクからご覧ください。Upload By 発達ナビニュース放送予定・ハッシュタグで感想をつぶやこうツイッターのハッシュタグ「#発達障害って何だろう」も展開しています。Twitterをご利用の方は、ハッシュタグ「#発達障害って何だろう」でぜひ感想をご投稿ください。・発達障害の情報を集めた特設ページも開設発達障害の情報を集めたウェブサイトも展開しています。発達障害の基礎的な情報や、当事者から集めた困りごとの対処法「困りごとのトリセツ」を紹介。その他関連番組の放送予定や番組内容の詳細についても情報を掲載しています。【キャンペーン】発達障害ってなんだろう(1)「発達障害って何?」Upload By 発達ナビニュース「困りごとのトリセツ」キャンペーンや関連番組の詳細は今後も随時決定していくとのこと。最新情報は上記ウェブサイトに更新されます!どうぞお楽しみに!画像提供:NHK
2018年11月20日発達障害という言葉がずいぶん浸透してきたと感じますが、私は複雑な心境です。当事者として、思いを発信してきました。発達障害当事者も、そうでない人も、お互いに理解し合える世界を望んでいました。今の状況は、果たしてそういった世界なのでしょうか……。文・七海日常生活で ”発達障害” の使われ方が変わったネット上でもそうなのですが、私のもっと身近なところ、日常生活でも変化を感じるようになりました。ひと昔前まで、発達障害者は ”腫れ物扱い” されている印象がありました。さらにいえば、発達障害だということをカミングアウトしても、その単語自体を知らないという人もいました。今では発達障害という言葉を聞いたことがない人のほうが稀なのではないでしょうか。コミュニケーションが上手でない人を、”アスペ” と揶揄することすらありました。当人が当事者であるかどうかは別にして、差別用語として使用されていた認識です。今では、「もしかしたら私も発達障害かも……」「あの人は発達障害だから仕方ないよね」といった発言が見受けられます。以前まででも全くなかったわけではないのですが、こんなに多くなったように感じるのです。さらにいえば、ニュアンスも異なるように思います。差別用語としてではなく、ある意味 ”個性” として受け入れられている面はあるのかもしれません。錯綜する情報、発達障害の ”せい” にする人たち発達障害という単語が浸透したうえで感じるのは、情報が混乱しているというもの。主にADHDとアスペルガー症候群が取り上げられているように感じます。その2つを取っても、情報がごちゃ混ぜになっていると感じる場面が多々あるのです。例えばADHDの特徴として、長時間ひとつのことに集中できないといったものが挙げられます。いっぽう、アスペルガー症候群の特徴の中には、言葉を額面通りに受け取るといったものがあります。もちろんこれは一例で、症状はさまざま。その症状の出方も人それぞれです。上に挙げた例を見ると、どちらも社会生活を送るうえで不便をきたす可能性があります。しかしながら、ADHDとアスペルガー症候群は別物です。併発している方も確かにいますが、「集中力がないし空気を読めないから発達障害である」と決めつけるのは少々安直な考えに感じます。私はアスペルガー症候群当事者ですが、集中力がないときはないですし、不注意からミスをすることだってあります。だけど、ADHDの診断は降りていません。また、発達障害は、ADHDとアスペルガー症候群だけではありません。読み書きや計算などの能力のうち、習得や使用などに著しい困難を示す ”学習障害” も、発達障害のひとつです。よく聞くアスペルガー症候群は ”自閉症スペクトラム障害” のひとつであり、そのほかには知的障害や運動能力の遅れを伴うものなどもあります。発達障害は本来さまざまであるものの、情報が錯綜しているが故に「ADHDとアスペルガー症候群の症状の一部があるから発達障害だろう」と憶測する人も少なくないように思うのです。発達障害という言葉が浸透しているぶん、「自分は発達障害だ」「あの人は発達障害だ」と決めつけると楽になる気持ちもよくわかります。生きづらかった原因は障害の ”せい” だったのだ、と安堵した経験は私自身にもあるからです。偏見は確かに少なくなったかもしれない。だけど…前述した通り、ひと昔前はもっと偏見にあふれていたように感じます。アスペルガー症候群でいうと、”コミュニケーションができない人” というレッテルを貼られるような感覚です。しかし、私には接客経験があります。接客でいうと、クレーム処理が得意なほうでした。他の人のクレーム処理も任されていたので、そういった認識です。アスペルガー症候群と聞くと、クレーム処理が苦手なイメージがありませんか? 実際、私は真逆なのです。発達障害といっても、本当にさまざまなのです。「○○だから発達障害」というストレートな考え方は、今の状況だと少し危険だなと思います。発達障害の情報が錯綜しているぶん、「私(あの人)は発達障害だからこれもできないだろう」と、勝手な諦めも出てしまうかもしれないからです。憶測だけで自分や他人の可能性を潰すのは、非常に残念に思います。ひと昔前に比べて偏見は少なくなったと思います。偏見や差別意識をなくせれば、そういった思いもありました。その点で言えば、私の願った世界に近づいたのかもしれません。だけど、強い違和感を覚えるのはなぜなんだろう。何度も自問自答しました。今の結論では、発達障害自体が拠り所になっているだけの人が多くいるように感じるからです。発達障害は ”個性” という捉え方で良いのだと、私は思います。程度の差はあれど、みんなで手を取り合って生きていければ良いのでは、と。そういったポジティブな世界を望んでいたのだと思います。今は発達障害の ”せい” にする風潮が強すぎるのかな、と感じます。多少の安堵感は良いと思うんです。しかし、発達障害の ”せい” にして、可能性を摘んでいるような状況が、ネガティブな浸透の仕方のように感じています。当事者も、当事者であろう人も、そうでない人も。みんなが生きやすい世界が私の理想です。せっかく浸透するのであれば、わかり合い、助け合い、プラスを生み出せるような世界になるよう願っているのが、私の真意です。©PaulaConnelly/Gettyimages©fizkes/Gettyimages©praetorianphoto/Gettyimages
2018年11月05日企業のチカラで、発達障害のある子どもと家族、当事者のためにできることを考える場・ミートアップUpload By 発達ナビ編集部「LITALICO発達ナビ」では、発達障害に関するコラムの発信や、施設情報の提供などを通して、発達障害のあるお子さんや、保護者の方々の生活を取り巻く困難の解消に取り組んできました。現在は、月間300万人以上の方がサイトを訪れています。多くのユーザーの方にとって、必要な情報と出合ったり、同じような悩みを持つ仲間との交流ができる場となっています。一方で、発達ナビの力だけでは解消できない困難が多いことも事実です。そこで、発達障害にまつわるより多くの困りごとを解消していくため、さまざまな分野の企業とのコラボ企画・協業を進めています。「LITALICO発達ナビ ミートアップ」では、ゲストスピーカーをお招きし、講演や参加者の皆さんとLITALICOスタッフでのディスカッションを行っています。5回目のミートアップでは、株式会社ミュゼプラチナムでCSRを推進する柳沼政樹さんに登壇いただきました。ミュゼプラチナムでは、昨年度より社員向け研修を実施。さまざまな特性がある人にとって、働きやすい環境を推進するため、発達ナビの編集長・鈴木による研修を、全国8カ所で行い、すでに約300名の社員が参加しました。ミートアップの様子をレポート!Upload By 発達ナビ編集部今回のミートアップでは、発達障害にまつわる状況などを編集長の鈴木から紹介した後、ミュゼプラチナムの社長室広報PR課 課長とCSR推進室長をつとめる柳沼政樹さんから、発達ナビとコラボレーションして行っている社員向け研修について事例の紹介をいただきました。ミュゼプラチナムは、全国に175店舗を出店する脱毛サロンで、業界ナンバーワンシェアを誇ります。エステ業界には、ノルマのための強引な勧誘などのイメージがありますが、それを排除し、店舗というチームで評価する体制をとっています。チームで目標を達成していくためには、管理職は部下の個性を知り、個性を伸ばし、店舗の成績につなげるためにスタッフをどう導くかを柔軟に考えられる力が求められます。ですが、多忙かつ1店舗あたり多いところでは40名以上となるスタッフをまとめあげることは簡単ではありません。そこで、管理職向けの研修を全国で実施することになりました。発達ナビとコラボレーションした社内の管理職向け研修では、まず「人との違い」を意識させます。自分と他人では考え方も感じ方も違います。それを、講義だけでなくワークを通して体感してもらいます。研修のテーマは、「発達障害を知ることで、個人の凸凹を理解する」。相手に矢印を向けるのではなく、自分に矢印を向ける。何かあったときは人のせいにしない。部下のミスは自分の伝え方が悪いのではと自分を振り返る機会に――みんなが活躍できる、寛容な職場環境を作れるよう導きます。耳栓と小さなメガネのワークでは、「耳が聞こえにくいと相手の口元を見ないと何を話しているか分からない」「視野が狭いと誰が話しているか分からない」ということに気づきます。そうすることで、今まで思っていた「自分にとっての当たり前」が常識ではなく、相手がどういう思いで物を伝えようとしていたかに気づけるようになります。そして「自分だったらどうするか」という気持ちで動けるようになります。研修後には、社員からさまざまな感想が寄せられているそう。「求めているレベルの伝え方をちゃんと考えなくてはいけないと気づいた。今までは、伝わらなければ、その人はこの仕事に不向きだと判断してしまっていた」「部下に”なんでできないの”と、できない人だとレッテルをはってしまっていた。でも、自分の伝え方が悪いのか、と気づけた」柳沼さんは、「今まで多数派中心の考え方だったのが、さまざまなとらえ方をする人がいることに気づき、相手のために自分はどう伝える・行動すべきなのかと考えるきっかけを与えられる研修となった」と言います。発達ナビ編集長・鈴木からは、「一人ひとりが違うことを普段意識していない人にどう意識してもらうか」ということを体感してもらうことを目的に、ミュゼプラチナムと二人三脚で作り上げたプログラムだと説明がありました。ケーススタディを同じテーブルの参加者同士でディスカッションUpload By 発達ナビ編集部ゲストによる講演の後は、参加者が3つのグループに分かれ、次のようなケーススタディを行いました。・自閉症スペクトラムの高校生の進路選びについての悩み・帰省のため空港利用時にレストランでかんしゃくをおこしてしまった子どもへの対応についての悩み・アスペルガー症候群・ADHDのある男性の職場での悩みUpload By 発達ナビ編集部各グループで、それぞれ1つずつのケースを掘り下げ、原因や対応策、所属する会社や団体などの力で解決できることはないかをディスカッションし、発表を行いました。サービス開発だけでなく、企業のニーズに合わせたさまざまな研修を実施ミュゼプラチナム以外の企業でも、それぞれの課題・サービス内容に合わせた研修をオリジナルで作り、提供しています。例えば、店舗に発達障害のある子どもたちが訪れる機会がある企業では、実際にお客さまに対応する施設スタッフ向けに「具体的にどのように関わったらいいのか」を分かりやすく伝える研修も行っています。商品の開発や発信だけでなく、発達ナビでは、企業・団体向け研修などを通じ、より「障害のない社会へ」近づいていきたいと考えています。興味のある企業・団体のご担当の方は、ぜひ気軽にご連絡ください。◆研修に関するお問い合わせ先発達ナビ運営事務局:info@h-navi.jp◆メール送付の際は件名に下記をご入力ください。企業アライアンス宛
2018年09月15日発達障害とは?発達障害は、発達障害者支援法では「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。具体的にわかりやすく言うと以下のような状態です。Upload By 発達障害のキホン発達障害はその発達過程やライフステージなどで困りごとや特性が強く現れ、初めて分かるケースがほとんどです。外見からはわかりにくく、大人になっても気づかない人もいます。その特性から「困った子」と捉えられてしまうこともありますが、その子が「困っている」ことに早く気づき、周りが理解し、一人ひとりに合った対応をすることがとても大切です。発達障害は特性や現れる困りごとによって、大きくASD(自閉症スペクトラム)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)の3つのタイプに分けられます。Upload By 発達障害のキホン発達障害の症状・特性と困りごとUpload By 発達障害のキホン診断基準によっては広汎性発達障害・自閉症・アスペルガー障害などの名前で呼ばれることもあります。知的障害や、言葉の遅れ、感覚過敏・鈍麻がある人もいます。子育ての違和感や園や学校、乳幼児健診での指摘で気づくケースが多いと言われています。自閉症スペクトラムについてもっと詳しく知るUpload By 発達障害のキホンこれらの特性は、幼い子どもには多く見られますが、成長するにつれ同年代の子に比べて特性が目立つようになります。そのために園や学校での集団生活が難しくなってしまったり、本人の努力不足や親のしつけの問題と誤解されることも少なくありません。についてもっと詳しく知るUpload By 発達障害のキホン全体的な知的発達に比べて、学習面で大きく目立って不得意なことがあります。読めるのに書けないなど、一部だけに困りごとが表れることもあります。授業についていけなくなる、宿題をこなせないなど、小学校に進学し学習が始まって明らかになるケースが多いと言われています。学習障害についてもっと詳しく知る発達障害は、その特性や症状が一人ひとり大きく違うことが特徴です。特性や疾患、合併症が重なっていることもあります。Upload By 発達障害のキホン上記のほか、てんかん、チック、トゥレット症候群、場面緘黙、吃音などが合併することもあります。「感覚過敏があって、音に耐えられず教室を飛び出してしまう」「言葉の遅れがあって気持ちをうまく伝えられず、癇癪を起こしてしまう」など、これらの合併症と特性は密接に関係し重なり合い、困りごととなってしまうこともあります。発達障害と定型発達の境目は明確にはありません。そのため診断基準は満たさない、あるいは未診断だが発達障害の傾向のある「グレーゾーン」と呼ばれる人もいます。診断がつかない=症状や困りごとも軽度だと考えられがちでが、明確な診断名がなく、外見からもわかりにくいので、理解や支援を受けにくいこともあります。分類や定義、診断の有無にこだわらず、一人ひとりの特性の傾向を知り、本人の生きづらさを減らすことに注力できるとよいでしょう。グレーゾーンについてもっと詳しく知る発達障害の原因は?発達障害は、生まれつきの脳の機能障害が原因となって現れると考えられます。以下に、発達障害に関係のあるのではないかと考えられている脳の機能を紹介します。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある人の脳の場合、これらの部位が小さかったり、血流が弱かったりしてうまく機能しない傾向が報告されています。この機能障害を引き起こすメカニズムは、まだはっきりとは分かっていません。発達障害に関連がある遺伝子の発見や研究も進められています。ただし、遺伝子を持っていても必ずしも発症するわけではありません。また、親から子へ必ず遺伝するものでもありません。現在「様々な遺伝的要因と環境要因が相互に影響しあって発達障害の症状が表れる」という説が有力で、すべての方にあてはまるようなただ一つの原因はないといわれています。「親のしつけ方・育て方が悪い」「親の愛情不足」といった心因論も医学的に否定されています。発達障害かもと思ったら?症状チェック・検査・診断までの流れ発達障害のサポートは、家族や本人、周りの人が「特性のために困っている」「違和感がある」などに気づくことが、最初のきっかけになります。Upload By 発達障害のキホン専門機関の中には発達検査を行っているところもあります。相談や医療期間受診の後、療育的なサポートを受けたり、医療機関で治療を受けたりするなど、必要に応じた個別の専門的なサポートを受けることになります。診断を受けなくても発達相談や子育て相談、発達支援やペアレントトレーニングなどを受けることもできます。全国の相談窓口の情報を調べる|発達障害・支援センター発達障害診療医師名簿|一般社団法人 日本小児神経学会・子育ての違和感や子どもの困りごとに早く気付くことで、より早い支援につながる・自己診断は絶対にNG。その先の対処法や支援を知るためにもまずは専門家に相談を・専門機関に相談することで、必要であれば医療機関につないでもらえる・もし発達障害ではなかったとしても、子育て相談や発達相談などの支援を受けることもできる・検査で子どもの苦手と得意を把握することで、その子にあった対処法が見つかることがある・発達支援や療育を受けることで、症状や困りごとが改善する可能性がある・診断は必須ではないが、診断があることで受けられる公的サポートもあるなどが挙げられます。発達障害は治るの?発達障害は現在、根本から治療することは難しいとされています。ですが、症状を和らげるための薬物療法や、対処法を知るための応用行動分析学に基づく療育的アプローチなどを受けることで、困りごとが改善する可能性があります。発達障害を完全に治す薬はありませんが、症状を和らげるための薬がいくつかあります。人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあるなど、現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また処方は6歳以上で、成人には認可されていない薬もあります。そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。薬で症状が和らいでいる間にスキルトレーニングなどを合わせて行うとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン子ども自身が何に困っているかやその背景などを探り、トレーニングをしてうまくいく方法を見つけ、得意な部分を生かします。また周囲の人の理解や環境の工夫によって、症状や困りごとの改善を図ります。そうして失敗体験を減らし、成功体験を増やして適応能力を伸ばしていきます。療育方法は様々なものがあります。子どもの場合、クリニックや発達障害外来などのほか、児童発達支援や放課後等デイサービスなどで療育的支援を受けることもできます。発達が気になるお子さまが利用できる施設を調べる|LITALICO発達ナビ施設情報発達障害の生きづらさと二次障害発達障害の特性が理解されないまま生きづらさが強くなると、心の病や行動の問題など、二次的な障害を引き起こすことがあります。以下に二次障害に陥りやすいプロセスをご紹介します。Upload By 発達障害のキホン二次障害を引き起こさないためにも、その子が困っていることに早く気づき、専門機関やサポートにつながることが大切です。発達障害の特性を理解し、その子に合った対処法と過ごしやすい環境を考えサポートしていきましょう。発達障害をもっとくわしく知るリンク集発達障害の診断・検査について知る発達障害の原因について知る障害者手帳の取得法、利用できるサービスを知る障害児が受けられる福祉サービスを知る障害者が受けられる福祉サービスを知る合理的配慮の受け方、具体例を知る親子のヒント参考:発達障害とは|LITALICOジュニア参考書籍:『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)参考書籍:『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店)
2018年08月28日発達障害のある子どもや家族の困りごとを知り企業ができる可能性を探る!7月のミートアップ「LITALICO発達ナビ」では、発達障害に関するコラムの発信や、施設情報の提供などを通して、発達障害のあるお子さんや、保護者の方々の生活を取り巻く困難の解消に取り組んできました。現在は、月間300万人以上の方がサイトを訪れる規模となりました。多くのユーザーの方にとって、必要な情報と出合ったり、同じような悩みを持つ仲間との交流ができる場となっています。一方で、LITALICO発達ナビの力だけでは解消出来ない困難が多いことも事実です。そこで、発達障害にまつわるより多くの困りごとを解消していくため、さまざまな分野の企業とのコラボ企画・協業を進めていこうとしています。その一環として、始まったのが「LITALICO発達ナビ ミートアップ」。毎回、異なるゲストスピーカーをお招きし、講演や参加者の皆さんとLITALICOのスタッフでのディスカッションなど行なっています。4回目のミートアップは、2018年7月25日(水)に実施されました。LITALICO発達ナビ ミートアップの様子をレポート今回のミートアップにも、小売店、飲食店、メーカーなどから、自治体に勤務されている方まで、さまざまな業種の企業・団体などで働く方の参加がありました。4回目となった今回はゲストスピーカーとして、大人の「生き方」研究所 Hライフラボの岩本友規さんをゲストにお招きしました。Upload By 発達ナビ編集部講演に先立って、LITALICO発達ナビ編集長の鈴木悠平がLITALICOや「発達ナビ」のこれまでの取り組みとこれからについてを解説。ミートアップを開催する目的についても紹介しました。Upload By 発達ナビ編集部岩本さんは、3回の転職を経て携帯通信キャリアに勤務していた33歳のときにADHDとアスペルガー症候群の診断を受けました。その翌年から外資系企業でシニアアナリストとして活躍され、複業で発達障害のある人の「自立」や「主体性」獲得プロセスの研究や普及のための執筆、講演活動を行なっています。LITALICO発達ナビでは、以前インタビューさせていただいたこともあります。この日は、「〜いま伝えたい発達障害の私の生き方と研究〜」と題して、子どものころの発達障害による困りごとや社会人になってからの経験、現在の研究についてご講演いただきました。岩本さんの研究テーマは、自身が障害者雇用の枠で採用され、仕事する中で感じたことにありました。「配慮を受けているんだから」と言われると仕事を断れず、どんどん業務がたまってしまったそうです。配慮そのものへの疑問を抱き、「配慮がある社会」から配慮が当たり前になり、「みんながフラットに、お互いさまの精神で働く社会」になるための研究をしています。発達障害の「生き方」研究所|Hライフラボ発達障害の特性を自覚することなく過ごしてきた岩本さん。社会人生活がスタートしたとき、電話の対応でつまずきました。話を聞きながらメモをとることができなかったのです。先輩からの引き継ぎでも、メモを取れず、分からなくても聞き直したり、話しかけたりすることができないという困りごとに直面しました。疲労がたまり、うつ病で1年間休職することになります。当時は、発達障害の診断前。主治医が変わったことでうつ病ではなく、発達障害向けの薬を処方され、そこでようやく自分の状況を理解しました。しかし、「支援を受けましょう」「工夫して仕事をしましょう」というアドバイスしかなく、手探りの対策ではうまくいきませんでした。発達障害を周囲に開示していたものの、一般雇用だったこともあり、電車に乗れなくなるほど精神的に追い詰められました。このままではいけないと、「働かなければいけない」「こうであるべき」といった社会の価値観で行動するのではなく、自分にあった生き方を選択するために、障害者雇用枠で転職。「自立」「主体性」が発達障害の二次障害を防ぐという研究の目標は実体験から得たものでした。「いろんな人が、頑張って無理して一般社員として働いている。それを『おたがいさまだよね』と自然体で働ける社会をつくりたい」と発達障害がある大人の当事者が置かれている現状を変えようとしています。「『私とは違う人をどう理解するか』のスキルがあると、自分のこともよく分かる。自分のことが分かると、強み、何がやりたいかが明確になり、主体的になれて、クリエイティブになれたり、社会課題に目覚めたり…といった変化が出てくる」発達障害の有無にかかわらず、誰にでも必要とされるスキルであると考え、研修プログラムにできないかと、模索しているそうです。あったらいいサービスや商品は?各企業・業界の強みを振り返ってディスカッション!Upload By 発達ナビ編集部岩本さんの講演後は、参加者がグループワークに取り組みました。ディスカッションの前には、これまでコラムでも掲載してきた発達ナビと企業のコラボレーションの実績について事例を紹介しました。■非日常の状況でパニックを起こしやすいお子さんが、安心して空の旅を楽しめるサービス紹介の例発達が気になる子どもが安心して飛行機に乗るには?JALの子ども向けサービス活用法を徹底紹介!■服薬をしているお子さんが多く、服薬管理が大変だという声から、どのようなサービスがあるとよいかについてモニターによる意見を募集した例発達障害の薬物療法の疑問・悩みに応える情報提供を!電子お薬手帳harmo(ハルモ)×発達ナビ共同企画■さまざまな状況で迷子になる可能性があるお子さんの安心、安全のためのGPSサービス、対処法を紹介した例みんなの迷子の悩み・工夫をご紹介!迷子対策みまもり「GPS BoT」の抽選プレゼントも実施!■多様性を踏まえたマネジメントができるよう、社員向けに研修を行った例多様性を踏まえたマネジメントができるよう、社員向けに研修を行った例ワークは、会場を4つのグループに分けて実施。最初に「自社でできること・目指していること」を再確認するために、発達障害のあるお子さんや保護者が抱える課題を想定しながら理念、強み、注力領域を付箋に書き出しました。続いてグループ内で、一人ひとりが書き出した付箋を模造紙に張り出しながら、共通の課題などをグルーピングし、解決するためのアイデアをディスカッションしました。各グループでは、さまざまな業種、職種の参加者が、支援者側、当事者側からの意見を活発に交わしました。自社の商品やサービスの中に、今まで気づいていなかった価値があることに気づけたり、大人の当事者が働きやすい職場づくりの意識が高まったりしていました。LITALICO発達ナビ ミートアップは、毎月開催予定!Upload By 発達ナビ編集部ディスカッションで出た解決案について、各グループの代表者が一つずつ発表しました。「社内で発達障害の知識がないことが課題。そこが進めば個に合わせたコーチングができる。まずは上司の立場にあり、発達障害の認知ができていない人に対して、VRなど発達障害を疑似体験できるものを使いながら理解を広げられたらいいと考えた」「ファストフードなどの店舗の利用が初めてだったり慣れない人に対して、注文方法を図や動画で案内するツールがあれば安心できる。メーカーであれば、自分たちがつくっている商品を一緒につくる機会を設けることで、安心して使ってもらえるという意見が出た」全く違った分野の業界の人たちと言葉を交わしたことで、お互いにさまざまな気づきが生まれていました。LITALICO発達ナビは企業や団体の皆さんとつながり、新しいサービスや商品を作り出していきたいと考えています。また、実際にコラボレーションが実現した企画についても、LITALICO発達ナビ上で発信をしていきます。「LITALICO発達ナビミートアップ」は、これからも毎月開催予定です。それぞれの企業や団体が持っているサービスや商品の力で、社会をもっと生きやすいものにしたい!熱意のある人たちとディスカッションをしたい!という方は、ぜひご参加ください。Upload By 発達ナビ編集部次回のゲストは、株式会社ミュゼプラチナム社長室広報PR課、CSR推進室の柳沼政樹さまです。LITALICO発達ナビとミュゼプラチナムでは、昨年度より、「発達障害について正しい理解をすることで、日々のチーム運営、店舗運営に貢献する」を目的に、発達障害の理解と、一人ひとりの多様な特性のちがいをふまえたコミュニケーションのあり方について学ぶ、管理職向け勉強会を全国で実施してきました。ゲストトークでは、ミュゼプラチナムがなぜ発達ナビとの合同勉強会を実施するに至ったか、多様性理解に向けた企業としての思いや取り組み、勉強会を実施したあとの受講者の反響などをお話いただきます。実際に発達ナビとのコラボ企画実現に至った企業さまからの実践報告として、参加者の皆さんにご参考にしていただける点も多くあるかと思います。ぜひご参加ください!次回のミートアップは、8月29日(水)に開催します!【日時】8月29日(水) 19:00-21:30【場所】株式会社LITALICO東京本社〒153-0051東京都目黒区上目黒2-1-1中目黒GTタワー16F【交通案内】東京メトロ日比谷線・東急東横線「中目黒駅」東口より徒歩1分【対象】企業にお勤めの方で、発達障害のあるお子さまや保護者さまの抱える困りごとの解決に関心をお持ちの方、発達ナビとのコラボレーション企画を希望される方【参加費】2,000円※発達ナビに会員登録されている方は1,500円【プログラム】①発達ナビのこれまでの取り組みと今後の展望紹介②ゲスト講演:株式会社ミュゼプラチナム 柳沼政樹さま③質疑応答④企業の力で発達障害の課題解決を考えるワークショップ⑤参加者同士の交流・懇親会(ドリンク・軽食あり)【お申込み締切】2018年8月15日(水)15:00※応募者多数の場合、抽選とさせていただく場合がございます。※締切後、8月16日(木)〜8月20日(月)の間に参加可否の結果ご連絡をいたします。多くの方のご参加をお待ちしております!イベントは毎月開催しているので、8月の参加が難しい場合も9月以降のご参加お待ちしております。また直接イベントには参加できないけれど、「ビジネスの力で発達障害のある子どものために何かしたい!LITALICO発達ナビとこんなことができるのではないか?」という方は、ぜひ下記メールアドレスにお問い合わせください。◆お問い合わせ先info@h-navi.jp◆メール送付の際は件名に下記をご入力ください。企業アライアンス宛
2018年08月09日外遊びが大好きな子どもたちですが、発達するにつれて、その遊び方は変わっていきます。発達に合わせて遊び方はどのように変わっていくのでしょうか。そしてその発達に親はどのような対応をしていけばいいのでしょうか。前回までは、外遊びが子どもの発達にもたらす効果と、親のかかわり方について聞いてきました。今回は引き続き、年齢別の外遊び方法について東京成徳大学の石崎一記教授にお話を伺います。【発達の専門家に聞いた外遊びの効果】 第1回 子どもの発達に外遊びは影響がない!? トータルで考える大切さ 第2回 ママのために遊ぶんじゃない、外遊びでの親のNG行動とは 外遊び、子どもの年齢別でどう変わる? -->■0~1歳の子が自然に触れる意味とは――0~1歳の赤ちゃんが、外で時間を過ごすことに意味はあるのでしょうか?発達にはもちろん影響がありますよ。3歳の子は0歳から1歳、2歳を経て、3歳になる…つまり連続性がありますから、必ず何か影響してくるはずですよね。この時期は、自然のある世界を味わうということだけでいいと思います。いっしょに木陰で気持ち良い風に吹かれる、鳥の声を聞く、気温の変化を肌で感じる、光を感じる、花を見る、水を触るなど、それだけで十分です。――家族で自然のなかで過ごす時間を楽しむだけでいいということでしょうか?そうです、家族で美しい自然の中で過ごすことによって、お母さんやお父さんたちに癒やされてほしいんですよね。0~1歳は一人では遊べないので、外遊びでは親子でいっしょに過ごしますよね。平日働いて忙しいお母さんたちも増えていて、なかなか家族でゆっくりと時間を過ごせないと思います。だから週末に1時間だけでも幸せで穏やかな時間を外で過ごしてもらいたいです。1週間のなかでそういった時間が少しでもとれるかどうかというのは、重要だと思います。■2〜4歳の「なぜ?」に親はどう受け止めればいいのか――2歳から4歳の子どもの外遊びには、どのような特徴がありますか?2~4歳の子どもたちは、「なんで?」とよく聞いてきますが、その不思議な気持ちにどうやって付き合うかが大切なんです。子どもたちが「なんで?」と聞いてくるのには、2つ理由があります。1つ目は自分が不思議に思ったということを知ってほしいから。2つ目は、本当になぜなのか答えが欲しいからです。1つ目の知ってほしいという気持ちは、必ずきちんと受け止めてもらいたいですね。そして、2つ目については、“本当に正しい答え”を教えてあげる必要はじつはないんです。――なぜ、正しい答えを教える必要はないのですか?子どもたちにとっては、本当の答えを知ることより、答えが出るまでになぜなのかを考えることが大切だからです。「なんで?」と聞かれたら、「何でだろうね、何でだと思う?」と聞き返してしまえばいいんです。そのあと子どもからデタラメな答えが返ってきたとしても、否定はせず、親もその答えを楽しんでしまえばいいんですよ。子どもたちのなかに不思議だなという穴のようなものがたくさん開いていると、知りたいという欲求につながり、理解できたときの喜びも大きくなります。長い目で見て、この時期に自然をいっぱい体験して、不思議な気持ちをたくさん持つことは大きな意味を持っていると思います。■5歳以上になると外遊びは変化する――では5歳以上の子どもたちは、どういった遊び方に変化していきますか? また、親のかかわり方は変わってくるのでしょうか?5歳以上になると、何かに挑戦するという遊び方が増えてきます。この時期になると、親がいっしょに遊ぶことは次第に減ってきて、寂しいと感じる人もいるかもしれませんね。安全確保はしっかりととり、共感してあげることも重要です。子どもに自分を重ねてしまい、ついつい心配しすぎてしまう人もいるかと思いますが、子どもには子どものやり方があるので、これくらいの時期からは自主性を伸ばしてあげることに注力してあげてください。その子らしい発達を促していかれるように、子どもが今何を感じているかということを一番に考えてあげてください。■外遊びにおいて一番大切なこととは――外遊びで持って行くといい道具があれば、ぜひアドバイスをお願いします!5歳くらいまでの子どもたちにとって“自ら遊びを作り出す力”が奪われてしまうので、ボールやラケットといった遊び道具は必要ないと思います。虫メガネは自然を観察するときにとても便利ですし、子どもも喜ぶと思うので、おすすめです。また、スケッチブックなどのお絵かき道具も、外遊びの時間を有意義にしてくれますよ。ビニール袋を持って行って、拾ったものを入れさせてあげるといいですね。拾ったものは、その日楽しかった体験の象徴です。安全かどうか確認したうえで、持ち帰らせてあげてほしいと思います。――石崎先生は外遊びで一番大切なのはどんなことだと考えていますか?外遊びというとお母さんにとっては大変なイメージがあるかもしれませんが、身近で気軽に行うのが一番です。無理に遠い公園に行こうなどと考えず、普段から遊んでいる近所の公園でも、工夫することで十分楽しく過ごすことができますよ。家族で自然の中で幸せな時間を過ごして、ぜひ外遊びを癒やされるような時間にしてもらいたいと思います。石崎一記さんプロフィール東京成徳大学応用心理学部教授。2000年4月より現職。発達心理学について、特に児童期の動機づけや感性の発達が専門。ガイダンスカウンセラー、学校心理士、1級キャリアコンサルティング技能士、日本シェアリングネイチャー協会指導者養成委員・トレーナー。千葉県社会福祉審議会委員や厚生労働省キャリアコンサルティング研究会委員なども務めている。※「石崎」の「崎」は正しくは「たつさき」)
2018年07月11日日々、何となく公園に行って子どもの外遊びに付き合っているというママやパパは多いのではないでしょうか。子どもとどのようにかかわっていけばいいかわかれば、もっと外遊びの時間は楽しくなるかもしれません。外遊びが子どもの発達にもたらす効果について聞いた前回に引き続き、今回は外遊びにおいて「親がすべきこと、してはいけないこと」について、東京成徳大学の石崎一記教授にお話を伺います。【発達の専門家に聞いた外遊びの効果】 第1回 子どもの発達に外遊びは影響がない!? トータルで考える大切さ 第2回 ママのために遊んでるのではない。外遊びで親がしてはいけないこと 外遊び、子どもの年齢別でどう変わる? -->■親の役割の8割は外遊びの環境を整えること――前回、外遊びで子どもたちの発達に与える影響についてお話を伺いましたが、親のかかわり方について教えてください。外遊びにおいて親の一番重要な役割は、子どもたちが安全に外遊びの良さを味わえるような環境を整えてあげることなんです。それで、もう親のすべきことの8割ほどは終わったと言ってもいいくらいです。外遊びをする環境というのも、特別なものではなくて、普段からよく行く近所の公園や庭があれば、そこでもまったく問題はありません。何よりもまず安全に遊べること、そしてできれば前回お話したような4つのポイント(感覚が豊かになる、試行錯誤ができる、達成感や満足感を得られる、命のつながりを学べる)が抑えられているとなおいいと思います。■外遊びで親にしてほしいこと――では、具体的に親はどのようなことをすべきなのでしょうか?“すべき”というよりも、“できたらいい”くらいに考えてもらいたいのですが、まずは子どもに共感すること。子どもが「お花だ、キレイだね!」と言ったら、「そうだね」と言って一緒に見てあげたら、それだけでも子どもは安心できます。さらに、共感するだけでなく、一緒にするというのもいいと思います。たとえばスケッチブックを持参して、子どもだけに書かせるのではなく、ママやパパも一緒に隣で描いてみるのもいいですよね。一緒にした経験というのは、親子にとってスペシャルな思い出になるし、親にとっても新しい発見があるはずです。そして、外遊びのときは子どもの実感を大切にしてあげてください。親が目標を決めてしまったり、見たらどうする、聞いたらどうすると先を見過ぎたりしない方がいいでしょう。見るために見る、聞くために聞くのだと考えて、結果を求めすぎないことが大切です。――子どもの実感をシンプルに受け止めてあげることが大切なんですね。ほかにも親ができることはあるのでしょうか?思い切り試行錯誤させてあげてほしいですね。何かうまくいかないことがあっても、すぐに失敗だと決めつけずに、子どもたちが失敗から学ぶことは何だろうという考え方をしてもらいたいです。たとえば、子どもがよそ見していて溝に落ちて泥だらけになってしまった場合、「もう! 泥だらけじゃない! どうするの!?」と怒らずに、そこから子どもたちが何を学んだのか、体験から何を得たのか考えてみてください。そのために親ができることは、失敗したときの手立てを考えること。汚れては困るような服や靴を履かせない、着替えを持って行くなど、きちんと準備をしておくと、余裕を持って子どもとかかわり、思い切り試行錯誤させてあげられると思います。■なぜ子どもたちの気持ちを代弁することが大切?――では、子どもたちに対して、親はどのような言葉かけをすればいいでしょうか?子どもの気持ちを代弁してあげるような言葉かけをしてもらいたいですね。親は、つい「できたかできていないか」で褒めたり叱ったりしてしまい、大人の基準で良いか悪いかを判断してしまいがちです。子どもが喜んでいるときに「うれしいね」、子どもができないときは「悔しいね」と言ってあげられるといいでしょう。子どもたちは自分の気持ちを自覚しにくいため、感情を言葉で表現するのが苦手です。気持ちを代弁してもらうことで、親が自分の気持ちを理解してくれていることに気づき、そして自分の気持ちにも自覚できるようになります。■外遊びのときに親がしてはいけないこととは――一方で、外遊びで親がしてはいけないことは何ですか?知識を教えようとしたり、手取り足取りやり方を教えてあげたりすると、子どもたちが試行錯誤するチャンスを奪ってしまうことになりかねません。子どもができなくても、自分で工夫してやり方を作り出すように、見守ってもらいたいですね。また、親が「成功はいいこと、失敗は悪いこと」という考え方を持っていると、子どもたちが敏感に感じ取ってしまい、失敗を恐れてチャレンジしなくなってしまいます。成功や失敗という軸で、子どもたちとかかわらないでほしいです。また、子どもたちへの声かけとしては、親の気持ちを押し付けるようなことは言わないようにしましょう。たとえば、「ママを困らせないで」などと言いがちだと思いますが、子どもはそもそも、ママのために遊んでいるわけではありませんよね。子どもの気持ちに寄り添うことを一番大切にしてもらいたいです。――親たちに対して、外遊びを一緒に楽しむためにアドバイスを教えてください大切なことは、親も自然のなかで癒やされることです。公園に行って外遊びすることをストレスに感じないで、楽しんでもらいたいです。親がイライラすると、子どもはその気持ちを敏感に感じ取ってしまい、安心して発達もできませんよね。子どものためと思って外遊びをしても、逆に子どものためにならなくなってしまいます。親子で時間を共有するということを一番に考えて、何よりも自然を楽しんでもらいたいですね。次回は、年齢別に子どもたちの発達にいい外遊びについて、引き続き石崎教授にお話をお伺いします。0歳から5歳以上の子まで、オススメの遊び方についてご紹介します。石崎一記さんプロフィール東京成徳大学応用心理学部教授。2000年4月より現職。発達心理学について、特に児童期の動機づけや感性の発達が専門。ガイダンスカウンセラー、学校心理士、1級キャリアコンサルティング技能士、日本シェアリングネイチャー協会指導者養成委員・トレーナー。千葉県社会福祉審議会委員や厚生労働省キャリアコンサルティング研究会委員なども務めている。※「石崎」の「崎」は正しくは「たつさき」)
2018年07月10日