全国無料放送のBS12 トゥエルビ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:須磨直樹)は、袴田吉彦主演の麻雀Vシネマ「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち」シリーズ10作品を2月10日(木)より放送します。むこうぶち1 竹書房/天獅子悦也/GPミュージアムソフト1.麻雀Vシネマ「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち」シリーズ概要「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち」は麻雀雑誌「近代麻雀」(竹書房)にて連載中の天獅子悦也原作による人気漫画の実写ドラマ化作品。誰とも組まず何処にも属さない一匹狼の謎の麻雀打ち傀(カイ)を袴田吉彦が演じる。バブル絶頂期の80年代を舞台に、対局を通して、個性豊かな登場人物の人生の喜びと悲しみを描く大ヒットシリーズ。今回、シリーズ10作品をBS12 トゥエルビで放送する。■キャスト袴田吉彦、高田延彦、ガダルカナル・タカ、及川奈央ほか■スタッフ製作:小林正人原作:天獅子悦也(高レート裏麻雀列伝「むこうぶち」)竹書房「近代麻雀」連載監督:片岡修二映画「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち」 | 無料ドラマ・映画 | BS無料放送ならBS12(トゥエルビ) : 2.放送スケジュール■2月10日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち1」■2月17日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち2 ~鬼の棲む荒野~」■2月24日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち3 ~裏プロ~」■3月3日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち4 ~雀荘殺し~」■3月10日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち5 ~氷の男~」■3月17日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち6 ~女衒打ち~」■3月24日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち7 ~筋殺し~」■3月31日(木)よる7時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち8 ~邪眼~」■4月5日(火)よる8時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち9 ~麻将~」■4月12日(火)よる8時00分~「高レート裏麻雀列伝 むこうぶち10 ~裏ドラ~」※編成上の都合により変更の場合あり。最新情報は番組HPでご確認ください。番組HP: むこうぶち2 竹書房/天獅子悦也/GPミュージアムソフトむこうぶち3 天獅子悦也/竹書房/GPミュージアムソフトむこうぶち5 2008天獅子悦也/竹書房/GPミュージアムソフト■BS12 トゥエルビについて■三井物産(株)100%出資の24時間全国無料のBS放送局です。スポーツ中継や大人の趣味教養など、上質なエンターテインメント番組を総合編成でお送りしています。視聴方法は、BS+12ボタン、または3桁番号222チャンネルです。BS12 | BS無料放送ならBS12 トゥエルビ : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月04日西島秀俊主演「真犯人フラグ」9話が12月12日オンエア。「あな番」から袴田吉彦演じる久住が登場、真帆の「クズの久住」のセリフにネットが沸く一方、ラストでの“家族の再会”シーンには「篤斗復活してくれ」「篤斗君生きててほしい」の声が殺到している。突如妻と子供たちが失踪した夫が、世間からの同情や疑惑の目に翻弄されながら真犯人を探そうとするも、次々と新たな謎が現れる…というノンストップ考察ミステリーである本作。相良凌介役で西島さんが主演するほか、行方不明になった妻・真帆には宮沢りえ。娘・光莉には原菜乃華、息子・篤斗には小林優仁。二宮瑞穂には芳根京子。真帆のママ友で凌介の部屋の合鍵を持ち、不審な行動が目立つ菱田朋子には桜井ユキ。凌介に協力する光莉の彼氏でITベンチャー起業家の橘一星には佐野勇斗。凌介とは学生時代からの友人で週刊誌「週刊追求」編集長の河村俊夫に田中哲司。相良家の新居を担当する住宅メーカーの営業マンで、真帆との不倫疑惑が浮上した林洋一には深水元基。凌介を快く思わない様子の望月鼓太朗には坂東龍汰。凌介にまつわる事件を追うYouTuber・ぷろびんこと徳竹肇には柄本時生。事件を担当する刑事・阿久津浩二には渋川清彦。阿久津とペアを組む刑事の落合和哉には吉田健悟。謎の“猫おばさん”に平田敦子といったキャストが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。9話では真帆が隠していた「DNA情報鑑定センター」の封筒が発見され、朋子から真帆がかつて林が同窓会で出会い、関係を持ったと告白したことを聞かされ凌介が大きな衝撃を受けることに…という展開になるのだが、真帆が林と出会った同窓会のシーンで袴田吉彦演じる久住が登場したことで、放送開始早々からネットが沸き上がることに。2人でここを抜け出さないかと真帆を口説こうとする久住に、真帆は「変わってないね。クズの久住」と返すのだが「あれは笑う笑笑クズの久住」「真帆の「クズの久住くん」はひどい笑」「クズの久住で笑ってた時間を返してくれ(泣)」などの反応が続出。林を問い詰めようとする凌介だが、そこに阿久津と落合が現れ林を連行していく。凌介が「至上の時」で真帆と林の関係を話すと、二宮も以前襲われたことを告白。林が犯人だと直感したと話す。その後林がコインロッカーに真帆の私物を隠し持っていたことが判明。林は警察に追われる身となるが、何者かの手助けで林は逃亡。そして終盤、これまで亀田運輸のクレーマーとして声だけ登場してきた“バタコさん”こと木幡由実が、中村充(前野朋哉)を殴り殺して埋めるという展開に。バタコを演じる香里奈に「あのクレーム入れてた人香里奈やん!!!えまじで!!」「香里奈がバタコさんってことに驚きと嬉しさが」「小幡さん、妹がずっと「声が香里奈に聞こえる」て言い続けてたんだけどマジだった」といった投稿も。さらにラストでは凌介のもとに再び差出人不明の冷凍便が。開けてみると中には唇が紫に変色した篤斗が!篤斗の名を叫びながらその身体を抱きしめる凌介…この事態に「まさか篤斗を返してくるとは…」「シーズン1は「家族の誰かが帰ってくるエンド」だと期待していたので、篤斗復活してくれ」「篤斗君生きててほしい…たとえドラマでも子供が犠牲になるのを見るのはしんどい」などの声が続々SNSに投稿されている。(笠緒)
2021年12月13日俳優の袴田吉彦が、7日に放送された読売テレビ・日本テレビ系バラエティ番組『ダウンタウンDXDX 秋の2時間スペシャル!』(21:00~)に出演し、一般女性との再婚を発表した。番組内の芸能人のプライベートを暴くコーナーで、ゲスト全員のスマホの待ち受け画面を出演者がチェックする中で「気になる待ち受けが何人かいました!」と、その中の一人として、袴田吉彦の名前を挙げ、待ち受けが一般人の女性と写る2S写真だったことを報告。「この女性は誰ですか?」「この人は6月に週刊誌に撮られた人ですか?」「この人は本命ですか?」と出演者から矢継ぎ早に質問が飛ぶと、袴田が突然「…テレビとかで言うのは初めてなんですが、先日…入籍いたしました。再婚です」と発表。突然の告白に驚きの歓声が上がり、そしてお祝いムードに包まれた。収録後、袴田は「久しぶりに出演させていただき嬉しいです!やっぱり、今の僕があるのはダウンタウンさんお二人のおかげ。“袴田事件”があってから、一番初めに声をかけていただいて。そこからお二人のおかげでTVに映ることができているので。でも、やっぱりダウンタウンDX、面白いですね!」とコメント。再婚の発表について、「ダウンタウンさんの番組で発表できて良かったです。お互いに出演することになって、LINEのやり取りをしていた(原田)龍二さんにも黙っていました。あの人すぐ言っちゃうんで(笑)」と述べ、「番組で、私事の発表をさせていただきました。もう二度とああいう事はないので(笑)、是非応援していただけたらと思います」と視聴者にメッセージを送った。
2021年10月07日6月4日、狩野英孝(39)と袴田吉彦(47)の両者それぞれに“新たな恋”が報じられた。まず『スポニチアネックス』は、狩野が3年前から交際していた30代女性と再婚することを報じた。付き合い始めた際は、母親を伴って女性の実家へ挨拶しに行ったという。そんな狩野は、同紙から取材を受けたことをTwitterで報告。また、《結婚します!籍入れたら、ファンの皆様に改めてご報告します》と呼びかけていた。次に袴田も『NEWS ポストセブン』によって、30代半ばの新恋人と都内マンションで同棲していると報じられた。同誌の取材に袴田の事務所は、「おかげさまで良い関係でお付き合いしているとこちらも伺っています」と認めたという。狩野は14年に一般女性と離婚しており、16年には“二股疑惑”が浮上。さらに17年1月に未成年者との交際が取り沙汰され、活動を自粛した。『スポニチアネックス』によれば狩野が新恋人の実家へ挨拶に行ったのは、これまでの不祥事から「(相手の)親戚もご両親も不安だと思った」からだという。いっぽう袴田も17年1月にグラビアアイドルとの“アパ不倫”が発覚し、活動を3カ月間自粛した。同年9月に、当時の妻だったタレントの河中あい(36)と離婚に至った。奇しくも同時期に、女性問題の不祥事によって活動自粛した狩野と袴田。だがそんな2人の新たな門出に、ネット上では《おめでとう!》や《今度こそは相手を幸せにしてね》など応援する声が広がっている。■『セカンドステージに進んでも良いのでは』女性問題によって、一時は世間から批判を浴びた2人。しかし、なぜそんな2人の新たな恋は応援されるのだろうか?あるテレビ局関係者は語る。「確かに狩野さんと袴田さんの過ちは、肯定できるものではありません。ですが狩野さんは早いタイミングで謝罪会見を開き、袴田さんも離婚直後に出演したバラエティ番組で『すみませんでした!』と頭を下げていました。また2人とも際どい質問にも逃げることなく、正直に答えるなど向き合ってきました。いっぽう河中さんも袴田さんと離婚後、再婚相手との間に第2子をもうけました。また狩野さんと交際していた加藤紗里さん(30)も、今では一児の母に。『過去の相手もすでに新たな人生を歩んでいる』ことから、彼らのセカンドステージを応援しやすい空気もあるのではないでしょうか」また“再ブレーク”ともいえる、現在の活躍ぶりも後押ししているようだ。「狩野さんはYouTubeでのゲーム実況がバズり、今では登録者数100万人を超えるほど。さらにアーティストとしても活躍しており、昨年5月には新曲『ラブアース』を発表。今年放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)でも、音楽プロデューサーから高く評価されていました。どちらも狩野さん特有の規格外な発想や、ワードセンスが注目を浴びています。袴田さんも『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)の年末特番を機に、不倫ネタで再ブレークを果たしました。また18年放送の『ブラックスキャンダル』(日本テレビ系)や20年放送の『書類を男にしただけで』(TBS系)、今年に入ってからも『最高のオバハン 中島ハルコ』(フジテレビ系)といったドラマで“ゲス男役”に徹するなど、役者としてのオファーも絶えません」(前出・テレビ局関係者)■信頼回復に至った2人の共通点今では“いじられキャラ”として支持される狩野と袴田だが、彼らには共通点があるという。「もともと袴田さんは売れっ子俳優、狩野さんもブレイク芸人として、芸能界の第一線を走っていました。ですが騒動を機に、2人ともいじられキャラに活路を見出したように思います。狩野さんは世間から批判を浴びたいっぽうで、『逃げたくない』と自責の念を抱いていたといいます。芸人仲間の支えや同じ事務所の先輩である出川哲朗さん(57)の背中などを見て、『笑って喜んでもらえるなら』と率先していじられるようになっていったそうです。いっぽう袴田さんは『ガキ使』への出演は、『元妻や子供に迷惑がかかるのでは』と悩んでいたそうです。最終的には、河中さんの許可をきちんと得たうえで出演を決めたそうです。結果的に世間からも受け入れられ、現在までの活躍につながっています。今でも不倫ネタを断らないのは、『受け入れてくれた人たちに恩返しをしたい』という気持ちがあるからだといいます。狩野さんも袴田さんも犯してしまった過ちを反省し、周囲への感謝を忘れずに行動してきた積み重ねが信頼回復につながったのでしょう」(スポーツ紙記者)
2021年06月05日稲垣吾郎と二階堂ふみがW主演を務め、手塚治虫原作の漫画を実写化した映画『ばるぼら』。その公開記念舞台挨拶が行われ、主演の稲垣さん、二階堂さん、手塚眞監督が登壇した。先日ローマにて開催されたイタリア最古のファンタ系映画祭<ファンタ・フェスティバル>では最優秀作品賞を受賞した本作。舞台挨拶は新型コロナウイルス感染拡大予防のため無観客にて実施され、全国65劇場に生中継された。司会は、矢田部吉彦(東京国際映画祭シニア・プログラマー)氏が務めた。まず、稲垣さんは「全国でこの映画を楽しみにしてくださっていた皆さんに会いに行きたかったのですが、今日はこういった配信という形で皆さんと楽しいひとときが過ごせられればなと思いますので、最後までお付き合いください」、二階堂さんは「全国の方々にこれが配信されているということで嬉しく思います」とそれぞれ挨拶。手塚監督は「2年前の11月、この3人で『ばるぼら』の映画の発表をさせていただきました。その時は手塚治虫生誕90周年のパーティーの席上だったんですね。それからだいぶ時間が経ちましたが、こうやって無事に皆様に観ていただける機会に恵まれました。奇跡的な人たちが集まって、つくり出した素晴らしい作品です」と、ようやくの公開に感慨をのぞかせた。稲垣吾郎「役をまっとうすることができたのは二階堂さんのおかげ」稲垣さんと二階堂さんは本作が初共演。稲垣さんは「嬉しかったですね。二階堂さんのデビュー作から映画をずっと観させていただいて、すごいなと思っていて、いつかご一緒させていただきたいなとずっと思っていました」と語り、「主人公の美倉洋介にとって、彼の才能がさらに開花していくのは、ばるぼらとの出会い、ばるぼらがミューズだったわけですが。この作品で僕が最後まで役をまっとうすることができたのは二階堂さんのおかげですので、この作品において二階堂さんは僕にとってのミューズですね」と語る。一方、二階堂さんは「私もたくさんの(稲垣さんの)作品を観させていただいてましたし、物心ついた時からスターといいいますか、トップで活躍されている方だったので。そういった面も含めて、稲垣さんのもつ聡明さであったり、博学な部分であったりが、このキャラクターにとっても魅力的になるだろうなと現場に入る前からすごく感じておりました」と語り、「現場で学ばせていただいたことが数多くあって貴重な経験をさせていただけて、感謝の気持ちでいっぱいです」と言う。そんな2人に対し、監督は「内容的に非常に難しい場面もございましたが、二人ともプロフェッショナルで、全く躊躇なく様々な場面をこなしていただいて、監督としては感謝の気持ちしかありせん」とコメント。「稲垣さんが仰ったように二階堂さんの存在自体がこの映画のミューズとして現場に存在してくれていたなと思います。この二人がいなかったらこの映画はできあがっていなかったかもしれない、まさにこの映画の中心を成す二人でありました」と改めて感謝を口にした。二階堂ふみ「芸術のあるべき姿みたいなものを学ばせていただいた」また、日本のみならず、ドイツ・イギリスと海外の撮影も多かった本作。稲垣さんは初めての体験に「楽しかったですね」と語り、「クリストファー・ドイルの映画は僕も大ファンで好きな作品もたくさんありますし、手塚監督の『白痴』も大好きで、20代の頃からずっとご一緒させていただきたいと思っていたのでその夢も叶った」と言う。すると「今回(撮影監督クリストファー・)ドイルさんは英語と中国語を使っていて、他のスタッフとは英語で、自分が中国から一緒に連れてきたスタッフとは中国語。英語、中国語、日本語が飛び交う現場でしたね」と監督。稲垣さんは「ドイルさんは、良いか悪いかがすごくはっきりしているので、カットかかって本番撮り終わった時に、良い時と悪い時が分かりやすいので、彼が喜んでくれると僕らも手応えがありました」と言い、「撮影現場で夢のような時間を過ごすことができて。作品自体もちょっと非現実的なので、本当にあれは現実の出来事だったのかな、と不思議に思えるような(感じでした)」と振り返る。そして二階堂さんも「言語は違えど作っているものは一つで、同じ方向を目指して、色々な背景をもった人たちが集結して現場に集まって一つの作品を作っていけるということが本当に素晴らしいなと思いました。芸術のあるべき姿みたいなものを学ばせていただいた」と同意した。ビジュアリストでもある監督は「ドイルさんの感性も捨てがたいんですね。だから時々『ここはドイルさん、演出してみない?』と預けたり、セッション的にやったような場面もあります。映画の中では無理なく調和しているんじゃないかと思います」と振り返ると、稲垣さんは「僕は、それがすごいなと思って。撮影監督とビジュアル監督のそのバランスがね、素晴らしかったですね」と絶賛を贈る。「ここに並んでいる3人だけでも相当個性的で強い3人なんですけど、ドイルさんも個性的だし、皆さん強い個性の集まりなんですね。へたすると無茶苦茶な映画になっちゃうんですね。ですが、これが本当に良い形で調和して、見事なバランスになっていました」と監督が語ると、「信頼関係があったからできたんだなと僕も思います」と稲垣さんが続けた。さらにこの日は、香港で自主隔離中のクリストファー・ドイルからのメッセージも到着。稲垣さんは改めて「わずかな3週間の出来事だったんですけど、ずっと灯火みたいなものが僕の中に消えないであって。そういう意識があると、またどこかで再会してご一緒できるんじゃないかと思いますね」と語り、二階堂さんからは「(ドイルさんは)すごく楽しい方で、いつまでもお元気で作品をつくる大先輩として映画界をこれからも引っ張っていただけたらと思います」と“エール”も。監督も「クリスの愛を感じますね。映画や我々スタッフ、出演者全員に対する強い愛を感じますし、何よりも彼が映画という創作物を愛しているからなんだなと思います。本当にありがとうございます」と感謝を語った。稲垣吾郎は愛に溺れすぎない!?「実際の僕の方がもっと冷静」また、主人公・美倉というキャラクターへのアプローチについて問われた稲垣さんは、「原作のイメージだと、精神的にも肉体的にもマッチョな男らしい印象が強かったんですけど、今のこの時代で、この作品でやるとしたら、そこまで男性的な強いものを出しすぎない方が作品全体としてよく見えるのではないかと思いました」と明かす。「でも、いいですよね、愛に溺れていく感じというか。そこまで振り切ることってなかなかできないじゃないですか。周りが見えなくなってしまって、二人で愛の逃避行をしたりという…少し憧れたりはしますけれども、実際の僕の方がもっと冷静だと思います」と美倉との相違点に持論を展開。一方、二階堂さんはばるぼらという少女が漫画が発売された当時から「実在しない芸術のミューズなのではないか」と言われていた点について、「実態のないキャラクターなんだろうな、というのは原作からも脚本を読んでもそういう感じがしたので、あまり自意識を持たないように、『普通』とか、人だったらこうするというのがあまり通用しないキャラクターだなと感じて。あまり毎回現場で考えすぎないようにしなきゃなと思ってやらせていただいたんですが、いつも以上にあまり考えないでやっていました」と語った。そして、父・手塚治虫がこの映画を観たら何というか、と問われた手塚監督は「完璧にこの二人だったら太鼓判をおす二人でございます。もちろん内容は、もし本人が観たらああだこうだと突っ込んでくるとは思うんですね。でも、今週イタリアのファンタ・フェスティバルという国際映画祭で最優秀作品賞という賞をいただきました。恐らくそのことを僕以上に喜んだのは父親だと思います」と言う。「自分の原作の作品が世界に認められたというところでは、親子共々嬉しい気持ちでございます。今月は父親の誕生日月(治虫氏は11月3日生まれ)なんですけども、記念のときに父親に賞をプレゼントできて良かったと思います」と噛みしめていた。最後に稲垣さんは「この作品は、一つ大きな答えの用意された娯楽作品とはちょっと違うところにある作品なんですけれども、映画のテーマでもある愛や幻想、そして狂気の果てで見えるような美しい景色、美しい芸術を皆さんに堪能いただける作品に仕上がっていると思います。こういった抽象的な作品ですから、観るときの気持ちや環境によって違った受けとめ方や感じ方ができる作品だと思います」とアピール。二階堂さんも、「稲垣さんも仰っていたように、アート性の高い作品になっていると思うんですけれども、そこからどんどん繋がりができていく作品」と自負していた。『ばるぼら』はシネマート新宿、ユーロスペースほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ばるぼら 2020年11月20日よりシネマート新宿、ユーロスペースほか全国にて公開Ⓒ2019『ばるぼら』製作委員会
2020年11月22日アジア最大級の映画祭である「第33回東京国際映画祭」(TIFF)が、予定通り10月31日から11月9日まで開催されることが6日、発表された。新型コロナウイルスの影響で世界中の映画祭の多くが中止や延期、あるいは縮小等を余儀なくされている中、「東京国際映画祭」としては、(1)映画を観る喜びを再認識し、映画の未来への希望の光を灯す、(2)映画を通じて国際的な連帯を強める、(3)コロナ後の映像文化についての考察を深める、という目的を掲げ、映画館でのフィジカルな上映を基本として実施する考え。シンポジウムやゲストのトークなどにオンラインも活用していく。だが、人の国際的移動の困難や感染対策の徹底等多くの制約があり、例年と同じような映画祭を行うことが難しい状況。昨年まで実施していた「インターナショナルコンペティション」、アジアの新鋭監督を集めた「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の3部門を今年は1つの部門に統合、「TOKYOプレミア2020」とし、様々な賞を競う形ではなく、その中の全作品を対象に観客が投票する「観客賞」を設ける。また、上映作品の選定にあたっては、幅広い知見・人脈と多様な価値観を有する外部専門家の協力のもと、委員会制の合議の下に進める。さらに、これまで時期的に近接して開催していた「東京フィルメックス映画祭」との連携を深め、カンヌ映画祭の大きな枠組みの中で独立性をもって開催される「カンヌ監督週間」と似た形で、ほぼ時期を同じくして開催する。映画界の連帯強化という理念の下に、相互乗り入れ効果を期待しているという。なお、今後の新型コロナウィルス状況の進展如何によっては、開催の可否も含めて大きな影響を受ける可能性もあるとしている。■「TOKYOプレミア2020」部門概要ワールド・プレミアやアジアン・プレミアの作品を中心に、内外の個性豊かな監督による新作の披露を観客と共に祝福するショーケース部門。日本、アジア、欧米といった地域のバランスは保ちながら、従来のコンペ3部門の選定視点も残し、30本程度のプログラムを予定。全体のラインナップとしては、全作品が監督のキャリアに関わらずフラットに並び、世界から集まった映画の多様性が持つ面白さを観客に味わってもらうことを目的とする。■第33回東京国際映画祭 作品選定コミッティメンバー(五十音順)安藤紘平(早稲田大学名誉教授)、石坂健治(東京国際映画祭シニア・プログラマー)、市山尚三(映画プロデューサー)、金原由佳(映画ジャーナリスト)、関口裕子(映画ジャーナリスト)、矢田部吉彦(東京国際映画祭シニア・プログラマー)、以上6名
2020年08月06日10月31日(土)から11月9日(月)まで開催を予定している第33回東京国際映画祭の概要が発表され、今年はコンペティション部門、アジアの未来部門、日本映画スプラッシュ部門の特色を統合し、「TOKYOプレミア2020」としてプレミア作品を上映する。世界中の映画祭が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、多くが中止や延期、あるいは縮小等を余儀なくされているなか、東京国際映画祭では(1)映画を観る喜びを再認識し、映画の未来への希望の光を灯す、(2)映画を通じて国際的な連帯を強める、(3)コロナ後の映像文化についての考察を深める、という目的を掲げ、オンライン等ではなく映画館でのフィジカルな上映を基本として実施するという考え。シンポジウムやゲストのトークなどにはオンラインも活用する。大きな変更点としては、昨年まで実施していた「インターナショナルコンペティション」、アジアの新鋭監督を集めた「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の3部門を今年は1つの部門に統合。「TOKYOプレミア2020」として様々な賞を競う形ではなく、その中の全作品を対象に観客の投票による「観客賞」のみを設ける。それ以外の部門の詳細については、後日発表。9月29日(火)に今年のラインナップ会見を予定している。また、本年は上映作品の選定にあたっては、幅広い知見・人脈と多様な価値観を有する外部専門家を交え、委員会制の合議の下に進行。さらには、これまで時期的に近接して開催していた東京フィルメックス映画祭との連携を深め、カンヌ映画祭の大きな枠組みの中で独立性をもって開催される「監督週間」と似た形で、ほぼ時期を同じくして開催。映画界の連帯強化という理念の下に、相互乗り入れ効果を期待しているという。今年の取り組み「TOKYOプレミア2020」ワールド・プレミアやアジアン・プレミアの作品を中心に、内外の個性豊かな監督による新作の披露を観客と共に祝福するショーケース部門。日本、アジア、欧米といった地域のバランスは保ちながら、従来のコンペ3部門の選定視点も残し、30本程度のプログラムを予定。全体のラインナップとしては、全作品が監督のキャリアに関わらずフラットに並び、世界から集まった映画の多様性が持つ面白さを観客に味わってもらうことを目的とする。第33回東京国際映画祭 作品選定コミッティメンバー※五十音順安藤紘平(早稲田大学名誉教授)、石坂健治(東京国際映画祭シニア・プログラマー)、市山尚三(映画プロデューサー)、金原由佳(映画ジャーナリスト)、関口裕子(映画ジャーナリスト)、矢田部吉彦(東京国際映画祭シニア・プログラマー)以上6名第33回東京国際映画祭は10月31日(土)~11月9日(月)、六本木ヒルズ、EX シアター六本木ほかにて開催予定。(text:cinemacafe.net)
2020年08月06日世界21の映画祭が参加する、10日間のデジタル映画祭「We Are One: A Global Film Festival」。この映画祭に参加する「東京国際映画祭」の配信プログラムが発表された。本映画祭は、これまでにない試みで、10日間のデジタル映画祭として、国際的な映画製作者のコミュニティを結集し、5月29日(金)からYouTubeのプラットフォーム上( )で、世界各国21(前回の発表時から新たにロッテルダム国際映画祭が追加)の映画祭のプログラムを無料で公開する。視聴者は、この映画祭を通じて、様々な異なる文化を新しいレンズ越しに観ることができるだけでなく、新型コロナウィルスで影響を受けている方々の救援活動を支援する団体に直接寄付することができる。また、映画祭の収益は世界保健機関(WHO)、そしてとコロナ感染の救援活動を支援している各地域の機関に役立てられる。本イベントにおける「東京国際映画祭」の配信プログラムの内容と、「東京国際映画祭」シニア・プログラマー矢田部吉彦のコメントは、以下の通り。1. 湯浅政明監督短編アニメーション『夢見るキカイ』 (2007年作品、15分)(c)Genius PartySTUDIO4℃が7人の映像作家を集め制作したオムニバス『Genius Party』の中の一篇。無垢な赤ん坊が入り込んだシュールな世界を描くファンタジー。2. 深田晃司監督特集『いなべ』 (2013年作品、38分)(c)2013 『いなべ』製作委員会17年ぶりに突然赤ちゃんを連れて帰ってきた姉に誘われ、子供のころに埋めた「何か」を探しに行くことになり、次第に幼い頃の姉弟の思い出がよみがえってくる、ほろ苦くもちょっと不思議な物語。『ジェファーソンの東』 (2018年作品、18分)(c)深田晃司監督映画まつりラブホテルの一室。相席カフェで出会った男女が事に及ぼうとしている。身体を重ねようとしたその時、ふたりの間に思わぬ過去のつながりがあることが発覚し……。都会の片隅、ぐるぐる回るベッドの上で記憶が邂逅する奇妙な短編。『ヤルタ会談オンライン』(2020年新作、40分予定)第2次世界大戦の終戦間際、戦後世界の支配をめぐって米・英・ソ首脳によって行われた「ヤルタ会談」を痛快にパロディ化した劇団青年団の人気レパートリーの30分の演劇をコロナ禍のさなかに置き換えそのままオンライン化。3.長編作品『勝手にふるえてろ』2018年作品、117分、大九明子監督)(c)2017 『勝手にふるえてろ』作委員会芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説の映画化で、恋愛経験のない主人公のOLがふたつの恋に悩み暴走する様を、松岡茉優の映画初主演で描くコメディ。2017年東京国際映画祭コンペティション部門で上映、観客賞を受賞。『アイスと雨音』(2018年作品、74分、松居大悟監督)(c)『アイスと雨音』製作委員会ある小さな村での初舞台に向けて稽古に励んでいたが、突如舞台の中止を告げられてしまう6人の少年少女たち。現実と虚構、映画と演劇の狭間でもがきながら生きる若者たちの姿を、74分ワンカットで描いた意欲作。2017年東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で上映。■矢田部吉彦コメント:高い志を掲げる「We Are One: A Global Film Festival」に参加できることを光栄に感じ、不自由を強いられている世界の人々に、映画を見る喜びを通じて少しでも開放感を味わってもらえる作品を選ぼうと試みました。ユニークなアニメーションや、勢いに乗る気鋭の映画監督たちによる刺激的な作品を、世界の映画ファンに楽しんでもらうことを意図しています。東京国際映画祭は数々の才能ある作家たちの作品に恵まれてきており、今回の選定はそのようなご縁の深い監督たちの作品が中心になりました。『夜明け告げるルーのうた』でアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得し、2018年のTIFFでも特集をした湯浅監督の短編アニメーションは、セリフが無いゆえにグローバルな鑑賞者の想像力をダイレクトに刺激しうる作品です。『歓待』がTIFFで受賞をした深田晃司監督は、その後カンヌ国際映画祭で受賞するなど、いまや日本映画界を牽引する存在でもありますが、貴重な短編と今回の為の新作をご覧頂くことで深田ワールドの多様性を深く体験してもらいたいと思います。TIFFで観客賞を受賞した大九明子監督による 『勝手にふるえてろ』は、センス溢れる女性監督と天才的女優の出会いが育んだ傑作であり、世界中の観客にあらためてその存在を訴えたい作品です。松居大悟監督による『アイスと雨音』は演劇の実現に向けて障害を乗り越えようとする少年少女たちの奮闘のドラマであり、催事の中止が相次ぐ現在の世界にエネルギーを与えてくれるに違いありません。今後の日本を牽引していくであろう、才能あふれた監督たちを紹介していく未来目線の選定であります。「We Are One: A Global Film Festival」( )5月29日(金)より
2020年05月27日原田知世と田中圭がW主演、とあるマンションで繰り広げられる“殺人ゲーム”を描くサスペンスホラー「あなたの番です」の第5話が5月12日に放送。袴田吉彦演じる住人が書いた「殺したい人」の名前に「おもろすぎ」「突然のギャグ」などネットが爆笑の嵐となっている。原田さん演じる手塚菜奈と田中さん演じる翔太の“年の差新婚夫婦”は、都内のとある分譲マンションの302号室に引っ越して来る。しかしマンションの住民会に招かれた菜奈は、そこで住民がそれぞれ「殺したい人」を書き、その紙をランダムに引いていく“交換殺人ゲーム”に参加することになってしまう。マンションの住人達を演じるのは西野七瀬、木村多江、生瀬勝久、袴田吉彦、片桐仁、田中要次、真飛聖ら。さらに前回のラストで菜奈に“本当の夫”らしき人物がいることが判明。菜奈の“夫”細川朝男を野間口徹が演じる。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。502号室の赤池美里(峯村リエ)と吾朗(徳井優)がバースデーケーキを囲んで状態で殺害されており、ケーキの上には “赤池美里”と書かれたプレートがのっていた。マンション周辺で続く死に不安を感じて「引っ越そうか」と言う翔太に対し、菜奈は交換殺人ゲームで自分が書いた人間の行く末が気にかかり「引っ越しは最後の手段にとっておこう」と答える。一方、交換殺人ゲームのことを知った翔太は菜奈の苦悩を想像し、どうしたら彼女を助けてあげられるかと考えていたが、菜奈は翔太が交換殺人ゲームのことを知っていたと分かりショックを受ける。さらに翔太は菜奈と朝男の“密会”現場を目撃してしまう。翌朝、菜奈は木下あかね(山田真歩)から自分たちの部屋番号が書かれた紙を渡される…というのが今回のストーリー。終盤、菜奈は101号室の久住譲(袴田さん)からゲームで書いた人間の名前を伝えられるのだが、その名はなんと「袴田吉彦」。久住は袴田に似てる事で「ポイントカード」などといじられるのが嫌で名前を書いたと明かし「ここの住人で袴田吉彦を殺しに行く人はいないでしょう」と語るのだが、それと並行して“袴田吉彦 本人”が撮影中に3人組に襲われるシーンが展開。内容自体は非常に怖いシーンなのだが、過去のスキャンダルを彷彿させるネタの数々を袴田さん自ら“いじり”、袴田さんが“本人役”も演じるという流れに「めちゃくちゃ自虐やん笑」「突然のギャグパート」「まさか本人ネタぶっこんでくるとは」「今回は袴田さんのシーンめっちゃ笑った」など驚きと笑いを抑えられない視聴者が続出中だ。(笠緒)
2019年05月13日昨年の第30回東京国際映画祭で主演男優賞、芸術貢献賞をW受賞し、大きな話題となった中国サスペンス『迫り来る嵐』から、待望の予告編と場面写真がシネマカフェに到着した。■あらすじ舞台は1997年、中国の小さな町。古い国営製鋼所で保安部の警備員をしているユィ・グオウェイ(ドアン・イーホン)は、近所で起きている若い女性の連続殺人事件の捜査に、刑事気取りで首を突っ込み始める。警部から捜査情報を手に入れたユィは、自ら犯人を捕まえようと奔走し、死体が発見される度に事件に執着していく。ある日、恋人のイェンズ(ジャン・イーェン)が犠牲者に似ていることを知ったユィの行動によって、事態は思わぬ方向に進んでいく…。果たして、ユィに待ち受ける想像を絶する運命とは――。■中国の新鋭監督×注目俳優で描く重厚なサスペンス香港返還が近づく90年代後半、経済発展に向けて中国社会は激変し、かつての工場文化は廃れ始めていた。本作は、そんな時代を象徴するようなダークで重厚な迫力に満ちたサスペンスであり、殺人事件を追うことで時代に取り残される事実から目を背けようとする男の切ないドラマ。メガホンをとったのは、本作が長編デビューというドン・ユエ監督。自身で脚本も担当し、初監督とは思えないダイナミックな演出を見せ、プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏絶賛のもと東京国際映画祭でワールドプレミア上映されると、見事に最優秀男優賞(ドアン・イーホン)と芸術貢献賞をW受賞。本年の「アジア・フィルム・アワード」では新人監督賞を受賞し、高い評価を得た。刑事に憧れるあまり、狂気の際まで踏み込む主人公を演じたドアン・イーホンは、人気TV ドラマ「項羽と劉邦」で知られ、『ミッション:アンダーカバー』など現在の中国映画界で最も出演依頼の多い俳優のひとり。物語の行方を左右する重要なヒロインには、『修羅の剣士』『レイン・オブ・アサシン』などで活躍を見せるジャン・イーイェン。10月1日には第55回金馬獎ノミネート発表会見が行われ、本作は新人監督、主演男優、オリジナル脚本、美術、デザイン(メイク&衣装)、音響効果の6部門にノミネートされ、さらに注目を集めている。■本格派サスペンスの誕生を感じさせる予告編今回到着した予告編は、前半、バックに流れる美しい歌声とは対照的に、舞台となる工場地帯、降りつづく雨に打たれるフードを被った主人公の男が映し出され、どんよりとした閉塞感のある空気を感じさせる。映像後半、刑事気取りの主人公が怪しい男を発見してからは、女性の死体、犯人らしき男と格闘する主人公、謎の美しい女性、車に人が轢かれる瞬間など、緊迫感あふれるシーンが一気に畳み掛ける。そして、最後に登場する「真実は目の前でこぼれ落ちるー」のコピーの意味とは…?“真実の不確かさ”が映画の重要な要素となる本作。日本でヒットした韓国映画『殺人の追憶』や、中国映画『薄氷の殺人』をも凌ぐ本格派サスペンスの誕生を感じさせる映像となっている。『迫り来る嵐』は2019年1月5日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:迫り来る嵐 2019年1月5日より新宿武蔵野館、ヒューマントラスシネマ有楽町ほか全国にて順次公開© 2017 Century Fortune Pictures Corporation Limited
2018年10月02日第31回東京国際映画祭(10月25日〜11月3日)の“コンペティション部門”にて、阪本順治監督『半世界』、今泉力哉監督『愛がなんだ』の出品が決定したことが21日、明らかになった。コンペティション部門は、9つある主要部門の中で映画祭の顔となる部門。2018年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界109の国・地域、応募作品1,829本の中から、厳正な審査を経た16本の作品を期間中上映する。今回邦画では2作の出品が決定された。1作目は、阪本順治監督作品『半世界』。『エルネスト もう一人のゲバラ』『北のカナリアたち』などを手がけた阪本順治が、稲垣吾郎主演で贈る完全オリジナルストーリーとなる。かつて一緒に過ごした3人組(稲垣・長谷川博己・渋川清彦)のうちのひとりが前触れもなく田舎へ戻ってきたために、「これから」を考えるきかっけになっていく。「人生半ばに差し掛かった時、残りの人生をどう生きるか」という、誰もが通るある地点の葛藤と、家族や友人との絆、そして新たな希望を描くヒューマンドラマとなっている。2作目は、『パンとバスと二度目のハツコイ』等で話題の今泉力哉監督作品『愛がなんだ』。角田光代同名小説を映画化する。28歳のOL・テルコ(岸井ゆきの)は、想いを寄せているマモル(成田凌)に自分の時間のすべてを捧げてしまう。全力すぎる片思いの末に、テルコが下した思いがけない“決断”とは……「片思い」を徹底的に考察する、可笑しく切ないラブストーリーとなった。○『半世界』 阪本順治監督コメント『半世界』は、私が以前から書き溜めていた異なる2本のあらすじを融合させ、さらに換骨奪胎に臨んで作り上げた物語です。ある地方都市の同級生3人と、その家族や背景を淡々と紡いだものです。グローバリズムが叫ばれて久しいけれど、世界の一体化なんぞ、たかが経済のため。紛争も経済のひずみから。飯喰って働いて子孫を作って、こっちも世界じゃないのかよ。そんな想いが、この作品への動機となりました。そして、製作過程において、映画作りは自分の居場所を見つける作業ではなく、自分の中に他者の居場所を見つける作業だということを、あらためて知ることができました。新しい地図を携えて、未知なる土地へと。そんな私たちの新たな道行きを、ぜひご堪能ください。○『愛がなんだ』 今泉力哉監督コメント誰かを心から好きだ、という感情を持ちながらも、それを伝えずにいる、という人はたくさんいると思う。それはやはり伝えないからこそ保たれている関係性が壊れるのを恐れているからだ。「好き」という言葉から逃げながら、それでもマモちゃんのそばにいたいテルコ。それは角度によってはストーカーやサイコパスに見えるかもしれない。でもストーカーやサイコパスになる可能性がない恋愛なんて存在するのだろうか。それを愛と呼べるのだろうか。テルコをはじめとした、〈誰かを思いきり好きな登場人物たち〉に嫉妬しながら、また、その好意が持つ温度に気をつけながら、この映画を作りました。みなさまにも楽しんでもらえれば幸いです。○プログラミング・ディレクター 矢田部吉彦 コメント『半世界』は阪本順治監督のオリジナル脚本が素晴らしく、3人の友情物語を軸に、複数のエピソードを交えながらやがて命の通った夫婦のドラマとしても見事に結実していく。家族は少し面倒だなと思いつつ父から継いだ仕事に意地で向き合う主人公の姿には崇高なリアリティーが備わっている。自然な佇まいの稲垣吾郎は天性の映画俳優としての演技力をいかんなく発揮し、池脇千鶴が絶品の存在感で脇を固める。『愛がなんだ』は、ロマンティック・コメディー群像劇でキャリアを築いてきた今泉力哉監督が角田光代の原作を映画化した。恋愛ゲームは基盤にあるが、好きな相手に対する想いが究極の形を取るに至り、『愛がなんだ』は並の恋愛映画の枠を超えてゆく。女性作家の視点を得て、今泉ワールドが深化した。コケティッシュな魅力が溢れる岸井ゆきの、ふてぶてしい説得力の成田凌の演技も特筆に値する。両作品ともに本年の日本映画を異なる形で代表する作品である。(C)2018「半世界」FILM PARTNERS(C)2019映画「愛がなんだ」製作委員会
2018年09月21日俳優の袴田吉彦(44)が21日、タレントの河中あい(32)と9月上旬に離婚したことを、所属事務所を通じて発表した。袴田は「私事ではございますが、9月上旬に離婚致しました。二人で時間をかけて話し合い、このような結果に至りました」と報告。「今後は、父親としての責任を果たす機会を頂いておりますので、娘の事を第一に考え、まい進していきます」と決意を示し、「関係者の皆様、応援してくださる皆様、お騒がせして大変申し訳ございませんでした」と謝罪した。袴田と河中は2010年に結婚し、2011年に第1子となる長女が誕生。しかし今年1月、袴田とグラビアアイドルとの不倫が『週刊新潮』で報じられた。
2017年09月21日俳優・袴田吉彦が、3日から5日まで石川で行われたイベント「第65回金沢百万石まつり」のメインとなる「百万石行列」に、前田利家に扮して参加した。百万石行列は、加賀藩初代藩主・前田利家が金沢城に入城した様子を再現したもの。利家役は、第33回から俳優陣を起用してきた。今年の演者に決まった際に袴田は、「僕でいいのかな」と思いもあったが「利家公の様な有名な武将を演じられる機会は役者人生の中でなかなかないと思うので、とてもうれしく、興奮しました」と歓喜。自身も戦国時代好きで、豊臣秀吉がお気に入りの武将だ。利家は、織田信長の没後、柴田勝家から秀吉についた豊臣政権の五大老の一人。金色のよろいをまとった袴田は記者会見で、「身が引き締まる思いです。自分なりの利家を演じたい」と意気込みを話した。映画出演をきっかけに、本格的に乗馬を経験している袴田。馬に乗るのは数年ぶりだったが、接し方は手慣れた様子を見せ、2時間ほどの行列の間も互いの呼吸は合っていた。終了後には、「金沢の皆さん、見に来てくださった皆さんの熱気が伝わってきた」と感慨を口にした。見物に来た30代男性も、「袴田さんは甲冑(かっちゅう)姿がとにかく似合っていて、声がいいから叫んだ時の迫力が本当にすごかった」と興奮気味に評していた。
2016年06月07日人間と本物のアンドロイドが共演する映画『さようなら』が日本公開前から高い評価を集めている。作品の評価はもちろん、劇中に出演するアンドロイド・ジェミノイドFの“演技力”も高く評価されており、映画祭などでアンドロイドが女優賞に輝く可能性もありそうだ。その他の写真本作の舞台は、放射能に侵され、日本国民が“棄国”を選択した近未来。主人公の女性ターニャは外国からの難民で、病弱な彼女をサポートするアンドロイドのレオナと暮しているが、彼女の避難順は来ないまま、周囲の人々が去っていき、死が迫るターニャと、死を知らないレオナは“最期”の時を迎える。本作は、青年団を主宰する平田オリザと石黒浩教授が大阪大学で2007年から共同で研究・開発してきたプロジェクトの一環として上演された舞台『さようなら』が基になっており、舞台にも人間の言語、仕草、視線を徹底的に見つめ、研究してきた平田が演出したアンドロイドが登場し、人間と舞台上で共演した。本作を手がけた深田晃司監督は、『歓待』『ほとりの朔子』などの作品で海外からも評価されており、本作も海外の映画祭への出品が期待されており、その皮切りとして22日(木)に開幕する第28回東京国際映画祭のコンペティション部門で上映が予定されている。本映画祭のプログラミング・ディレクターである矢田部吉彦氏は「最後まで、女優がアンドロイドに扮しているのではないかという思いに囚われ、『アンドロイド役はどなたが?』と関係者に聞いてしまった。本当にアンドロイドらしいのだが、実はまだ密かに疑っている。それほど見事な存在感と演技なのだ。もはや垣根はない。実際にアンドロイドであったとしても、堂々たる女優賞候補である」とコメント。ブライアン・シンガー、トラン・アン・ユンら審査員たちがジェミノイドFの演技をどう評価するのか気になるところだ。『さようなら』11月21日(土) 全国ロードショー
2015年10月21日――いま、ショートフィルムが面白い。かつては実験的な作品や長編へのステップアップのための低予算作品が多かったが、様々な技術の革新と共に、ショートフィルムの世界にも大きな変革が押し寄せている。同時に、企業の取り組みも大きく変わってきた。CMではなく、より長い映像――すなわちショートフィルムでブランドの理念やコンセプトを伝えようとする試みも急増している。「LEXUS(レクサス)」はその先駆けとして、2013年より「Lexus Short Films」を開始。「LEXUS」が掲げる「Life is Amazing」をテーマにしたショートフィルムの製作を通じ、若手クリエイターの才能を支援している。今年も、米独立系スタジオ大手「ワインスタイン・カンパニー」との協同によるジョン・ゴールドマン監督の『MARKET HOURS』、大川五月(監督)&落合賢(脚本)という日本人コンビによる『OPERATION BARN OWL』が発表された。「いまがショートフィルムの歴史上、最も盛り上がっている時代と言えるでしょうね」。今年で27回目を迎えた「東京国際映画祭」でコンペティション部門の作品選定を務める矢田部吉彦(プログラミング・ディレクター)もショートフィルムの“熱気”の高まりを実感しているひとりだ。同映画祭に出品される作品は基本的に長編映画のみだが「短編映画を出品することはできないのか?」という問い合わせが事務局にひっきりなしに来るという。ショートフィルムを取り巻く何が変化し、今後どこへ向かうのか?矢田部さんに話を伺った。矢田部さんはまず「IT革命が決定的に短編映画の存在を変えた」と語る。身近な現象として、スマートフォンや携帯用タブレットを使い、電車の中やカフェなどで海外ドラマを見たり、YouTubeにアクセスする光景はごく当たり前になった。「僕自身、数年前までパソコンで映画を観るということに抵抗がありましたが、さすがにいまでは慣れてしまいましたね。僕が慣れるくらいなので、若い人にとってはとっくに…いや、“慣れる”以前に、彼らにとっては最初から当たり前の存在なんですね(笑)。その意味で、観る側にとって映像により気軽にアクセスできる時代になったというのは大きな変化だと思います」。いまや、パソコンからではなくスマホやタブレットでインターネットにアクセスする人々が多数派になったとも言われる。その際、文章であれ映像であれ、長く膨大なものではなく、より短く見やすいものが好まれる。短編映画というフォーマットがこうした傾向にフィットしていることは確かだ。「東京国際映画祭の企画で“学生応援団”によるネット上の番組の収録があったんですが、その時、YouTubeの方も『連続して見てもらえるのは長くて3分』ということを仰ってました。短い時間でフックのある展開を見せて、いかに視聴者の興味を掴むか?いかに簡潔にまとめるか?それはまさしく短編映画を作る上でのポイントでもある。そこは時代と短編映画の特性がマッチした良い面と言えるでしょうね」。一方で懸念もある。人々がスマホの小さな画面で映像を見ることに慣れてしまうことは、劇場公開の長編映画を含めた映画界全体にとってプラスと言えるのか?「そこは非常に難しいところですね。いまなお短編映画は過渡期にあり、激動の中にあると思うんです。短編映画の盛り上がりが、最終的に長編映画を(劇場に)近づけてくれるのか?それとも人々を劇場から遠ざけてしまうのか?期待と不安の中で揺れているというのが正直な思いです」。ただ、ビジネスの側面から見ると「Lexus Short Films」然り、企業がショートフィルム製作に前向きになることで、新たな映画ビジネスの流れが生まれたと言える。作り手は企業のバックアップを得て作品を作る場を与えられ、企業は従来のTVや新聞ではなく、ショートフィルムで自社ブランドのコンセプトを拡散することができ、視聴者は人気俳優が出演する質の高いショートフィルムをネット上で無料で見ることが出来る。「15秒、30秒といった短いCMと長編映画の中間に位置する、5分、10分の短編を作る環境が出来たというのは作り手にとって非常に大きいですね。ワインスタインのような大きなスタジオが関わり、予算と時間を掛けて作品を作り、多くの人に観てもらうことができる。これまでもミュージックビデオから長編にステップアップする監督はいましたが、より映画的な要素、物語性の強いショートフィルムからどんどん新たな才能が育ってくることが期待できます。今後、若い人ばかりでなく中堅、ベテラン監督も短編映画に参戦するような状況になれば面白いですね」。見る側だけでなく、映画を作る側のデバイスも大きな技術革新を遂げたことで、スマホひとつで誰もが映画を作れる時代になった。実際、ネット上には、手の込んだ短編映画から偶然の瞬間を捉えたペットの動画まで映像があふれかえっている。「ものすごい量の中から、いかに面白い作品に出会うか?見る側にとっては逆に難しい時代と言えるかもしれません。そこでやはり、キュレーター的な存在が非常に大切になってくるのではないかと思います。日本には幸い『Short Shorts Film Festival & Asia』というショートフィルムを扱う素晴らしい映画祭があります。既にそうした企画は一部で始まっていますが、映画祭との連携の中で、人々の口コミをうまく活用して、良い作品と出会える場を整えていくことが大切だと思います。ひとりひとりの観客が出来ることとしては、まずは『面白い!』と思える作品に出会ったら、とにかく一人でも多くの人に勧めてほしいですね」。(text:cinemacafe.net)
2014年10月31日現在、開催中の第27回東京国際映画祭(以下、TIFF)。今年は庵野秀明監督の特集上映が組まれたり、オープニング作品をディズニーの『ベイマックス』が抜擢されたりと、例年以上の盛り上がりを見せる今年のTIFF。いよいよ明日(31日)は最終日となり、各賞の受賞結果が発表されるが、中でも注目を集めているのは「コンペティション部門」だ。毎年、熾烈を極めるこの「コンペティション部門」。2011年に最高賞となる「東京サクラグランプリ」(※現在の名称は「東京グランプリ」)に輝いたフランス映画『最強のふたり』は、その後、社会現象ともいえる大ブームを巻き起こすなど、この先の映画界を占う重要な部門となっている。今年、同部門で最も注目を集めているのは、唯一日本からの出品作となった『紙の月』。ベストセラー作家・角田光代の同名小説を原作に、『桐島、部活やめるってよ』を大ヒットさせた吉田大八が監督を務める本作。先日、行われた会見でグランプリへの自信について聞かれた、主演の宮沢りえは「あるといえばある」と語り、報道陣を沸かせており、さらに共演の池松壮亮も「あそこまで役に身を投げれる女優さんは、りえさんしか知らない」と、その体当たりの演技を絶賛しており期待感は十分だ。しかし、同会見で「世界という広い舞台で、この映画がどういう位置づけで見てもらえるのか」と語った吉田監督の言葉のとおり、世界はとにかく広い。今年の「コンペティション部門」さらに「最優秀女優賞」まで含めて見渡した時、宮沢さんのライバルは誰なのか?長年、TIFFの作品選定に携わり、今年の各出品作品を選んだ張本人となるプログラミング・ディレクター矢田部吉彦氏に聞いてみると、まさに世界の“広さ”を感じさせる答えが返ってきた。――「宮沢りえさんの強敵は“おばあちゃん”ですね」と。その“おばあちゃん”の正体は、イランを代表する名女優ファテメ・モタメダリア。日本では無名の彼女だが…演技を計る上で、有名・無名を論じるのは無価値。矢田部氏によると、「アゼルバイジャン共和国の『ナバット』という作品で、『紙の月』とはまた違ったタイプの作品です。村が戦争に巻き込まれて村人たちが去ったあと、ひとり取り残されたおばあちゃんのお話なんです。彼女が淡々と生きていく中で抱える“孤独”が、じわじわと胸に迫ってくるんです」。『紙の月』で平凡な日常から逃げ出すように、世の闇へと堕ちていく女性を演じた宮沢さんと、戦乱という非日常の中でどうしようもなく孤独を抱えながら生きていく女性を演じたファテメ。果たして、今年はどの作品が栄冠に輝くのだろうか?第27回東京国際映画祭は10月31日(金)まで開催。『紙の月』は11月15日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月30日女優の宮沢りえが7年ぶりの主演映画『紙の月』で、第28回山路ふみ子女優賞を受賞した。平凡な主婦から横領犯へと転落するヒロイン役で新境地を開拓。宮沢が同賞を受賞するのは『父と暮せば』(2004年)以来2度目で、2度の女優賞は吉永小百合に続き、史上2人目の快挙となる。その他の写真吉報が届いた15日、メガホンを執った吉田大八監督がアップルストア銀座で行われたトークショーに出席。日本映画として唯一、第27回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されており、同映画祭のコンペ部門プログラミングディレクターを務める矢田部吉彦氏を聞き手に、「僕が求めるもの、映画が必要とすることのために、100パーセントの仕事をしてくれた」と本作で宮沢が見せた“女優魂”を振り返った。映画はベストセラー作家・角田光代の同名小説を原作に、夫と暮らす銀行の契約社員・梅澤梨花(宮沢)が、年下の恋人のため顧客の金を横領し、その犯行をエスカレートさせる姿を描いた。吉田監督は「だんだんプロセスが大胆になるなかで、彼女が見せる表情の変遷が、作品の大きなよりどころになった。現場では常にプロフェッショナル。監督としての僕を信頼してくれた」と宮沢への感謝を表した。吉田監督はCM業界で20年のキャリアを積んだ後、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007年)で長編監督デビュー。『クヒオ大佐』(2009年)『パーマネント野ばら』(2010年)を発表し、『桐島、部活やめるってよ』(2012年)では第36回日本アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞した。「毎回違ったことをしようと心がけるが、いい意味で『監督らしいですね』と言われることも。長年CMをやってきたからか、なるべく自分を消して、誰が撮ったかわからないと思ってもらえるのが理想」と話していた。山路ふみ子賞は映画人の育成、功績を称える目的で毎年開催している。『紙の月』11月15日(土)全国ロードショー取材・文・写真:内田 涼
2014年10月16日第25回東京国際映画祭(以下、TIFF)の開幕を前に実現した、映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦とモデルの雅子による対談<後編>をお届け!今年で創設5年目を迎え、雅子さんが審査員を務めることになった「natural TIFF」の魅力、さらに矢田部さんを毎年、刺激しつつも苦しめるコンペティション作品15本の選定のプロセスとは――?雅子:矢田部さんがTIFFに関わるようになったのは第何回からですか?矢田部:15回目からですね。トム・クルーズが『マイノリティ・リポート』(’02)のプレミアで渋谷の街を歩きました。その年はエイドリアン・ブロディも来日しました。選定に関わるようになったのは18回目からですが、最初は日本映画でした。徐々に海外作品にも携わるようになり、コンペティションに関わるのは今回で6回目です。雅子:作品選びは慣れていくものですか?矢田部:慣れませんねぇ…。でも作品の選び方は変わってきたと思います。初めて選んだコンペ作品と見比べてみると、良い作品だと思いつつもいまだったら選ばないかもというものもありますね。――矢田部さんの中では選ぶ上での基準などはあるんですか?観客層を想定したり、あるいはとことん作品の質を重視したり…。矢田部:そこは両方意識してます。15本の中で、完全なアート映画で作家の個性が炸裂しているけど、万人受けしなくてもいいから入れようと思う作品もある。でも、15本全てそんな作品が揃うと偏ってしまうので、クオリティを重視しつつ、よりオープンな作品を入れてバランスを取ったりします。雅子:年ごとの全体のテーマがあるわけではないんですね?矢田部:ないです。結果的に、例えば昨年は移民問題を描いた作品が多かったりというのはありますし、今年は安楽死を扱った作品が多いですが、選んでる最中は意識してないですね。雅子:選ぶ際は候補作をふるいにかけていく感じですか?矢田部:そうですね。今年は1,000本以上あったんですが、それを50本くらいに絞って。30本くらいになれば、後はパズルのような感じですね。「この2本はどちらも良いけどカブっているのでこちら」とか。あとは国のバランスです。今年はチリ映画で面白いものがいくつもあったんです。でも東京の映画祭のコンペに3本もチリの作品が入ってるのも不自然でしょ?そのチリ映画には全く罪はないし、違う年や国だったら入ってもおかしくないけど泣く泣く外したり…。8月中はそんな感じでずっと胃が痛いです(苦笑)。夢の中でもとり憑かれてます。雅子:頭の中を覗いてみたいですね(笑)。一晩、考えに考えた末に外したりとか?矢田部:もちろんあります。雅子:夜中に書いたラブレターを朝になって読み返すような(笑)。矢田部:背負いきれなくなったら周りに観てもらって、「いいよね?」と背中を押してもらいます。非常に孤独な作業であると同時に共同作業なんです。ただ合議制で選べば全てが中途半端になってしまうので、最終的には誰かが個性を汲んで選ばないといけないとは思ってます。――先述の『最強のふたり』もそうですし、『アーティスト』で今年のアカデミー賞を制覇したミシェル・アザナヴィシウス監督の『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』(TIFF上映時の邦題は、『OSS 117 カイロ、スパイの巣窟』)が2006年のTIFF(第19回)でグランプリに輝いたり、TIFFで注目を浴びて、その後、世界的な飛躍を遂げる作品や監督、俳優も大勢います。矢田部さんが関わってきたこの10年ほどの中でもいろいろな思い出があるのでは?矢田部:アザナヴィシウス監督が受賞した際は、僕はまだ選定の責任者ではなかったのですが、『これがコンペ作品?』という声もある中で僕の前任のディレクターが選んだんです。その後の化けっぷりを見ると、その才能を見抜いていた前任者、そしてTIFFはそのことを誇っていいと思うし、オスカーを獲ったときは本当に嬉しかったです。雅子:『最強のふたり』は選ぶ過程でもこれまでと違う感触がありましたか?矢田部:正直、コンペに入れるかどうか1か月くらい悩んだんです。もっとアート寄りのフランス映画を入れるべきか?それとも観た後の爽快感を重視してこれを入れるか?コンペの性質が変わってくるので、そういう意味で最も悩んだ作品と言えるかもしれません。その後のヒットも含めて印象深いです。矢田部:さて、そんな我々が今年、これまで以上に強い思いで取り組んだのが「natural TIFF」部門です。エコロジーグリーンを映画祭のテーマカラーとして5年目になります。最初は「エコロジーと映画って相性がよくないかも…」という思いもあって、あまりガチガチなエコロジーにこだわらず、“自然と人間の共生”を描いた作品を幅広く選んできました。今年はもっとアピールしようと、どの部門よりも早めに選考に入ったんですが、観始めるとメチャクチャ面白いし、勉強にもなる。何より「このままじゃ地球がヤバい!」って思うようになりました。そこで中途半端なエコロジーではなく、ガチなエコ映画を入れて8本を揃えました。その審査員の一人を雅子さんに務めていただくことになりまして。雅子:コンペ、ワールド・シネマと同様に注目している部門で、昨年もいくつかの作品を観ています。審査員のお話をいただいたときは単純に嬉しかったし、とても光栄なことです。やはり昨年の震災以降、環境問題やエコに興味を持っている人が非常に多くなってきたと思います。特にファッション界とエコロジーは手を結ぼうという流れもありします。いまは正直、どんなに過酷な現状を見せられてもビックリしないんですよね。少し前なら「こんなのを見せるの?」と思われていたのが、実際に震災で惨憺たる現実を見せられましたから。矢田部:これをきっかけにファッションやライフスタイルなど映画とは違う世界にアピールできればと思います。いわばほかの映画、部門とは違う戦略で売り出していけたら。審査員という立場なので言えないことも多いと思いますが、ラインナップをご覧になっていかがですか?雅子:環境を扱ったもの、動物を描いたもの、それから夢を売るような作品と3つくらいのタイプに分かれてますね。エコロジーについて描く作品はすでに山ほどありますが、だからこそどんな切り口で来るのか、観るのが楽しみです。すんなりと心に入ってきたものを感じたい。全てドキュメンタリー作品ですが、映像の美しさにも期待しています。もうウソは見たくない、真実を知る発見がありますから。矢田部:こういう作品の難しさって扱っているテーマは重要だけど、作品としてつまらないことも多いということ。「この問題は伝えたいんだけど…」と思っちゃう。その点、今回はそういった部分で悩む必要のない作品が揃ってますので期待してください!雅子:はい、楽しみにしてます!(photo/interview:Naoki Kurozu)第25回東京国際映画祭は10月28日(日)までTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて開催中。特集「東京国際映画祭のススメ2012」■関連作品:アーティスト 2012年4月7日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilmOSS 117カイロ、スパイの巣窟第25回東京国際映画祭 [映画祭] 2012年10月20日から10月28日まで東京にて開催最強のふたり 2012年9月1日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 SPLENDIDO/GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION/TEN FILMS/CHAOCORP
2012年10月24日アジア最大規模の映画の祭典であり、今年で25回目を迎える東京国際映画祭(以下、TIFF)がいよいよ明日、開幕!これを記念して、映画祭のプログラミングディレクターとしてコンペティション部門の作品選定の重責を負う矢田部吉彦と今年の「natural TIFF」部門で審査員に名を連ねるモデルの雅子の対談が実現した。現在、共にシネマカフェでブログを執筆する2人だが、若き日には知られざる接点が!?映画の道にハマることになったきっかけからTIFFの思い出までたっぷりと語り合った。雅子:シネマカフェのブロガー同士の対談は初めてということで(笑)、よろしくお願いします。もうすぐ開幕ですね、お忙しいんじゃないですか?矢田部:忙しいですが、夏頃の殺人的な忙しさと比べたらこれで少しは落ち着きました(苦笑)。シネマカフェのブログでお隣になるまで、僕は雅子さんを詳しく存じ上げなかったんですが、ここまでフランス映画がお好きな方がいて、しかもこんな風にお話しできるようになるとは…。ここ1~2年で僕の中で最大級の感動的なイベントです!プロフィールにもフランス映画がお好きとありますが、TIFFの話の前に、雅子さんの映画にまつわるルーツをぜひ教えていただけますか?雅子:私は育ちが日本橋で銀座まで歩いて行ける距離だったので、昔のテアトル東京などは頻繁に通いました。TVの日曜洋画劇場なんかもよく観ていたこともあり、いわゆる“名画”と呼ばれる作品は小学生の頃に一通り観てました。中学生になって、家族と行くのではなく自分でお金を出して観るようにもなって、『風と共に去りぬ』とか『太陽がいっぱい』などは名画座で観ました。特にフランス映画を観るようになったのは高校生のとき。学校が飯田橋にあったんですが、午前中に映画館に行ったり…(笑)。矢田部:佳作座(※飯田橋にかつて存在した名画座)ですね。僕も中学と高校が飯田橋でしたからよく行きましたが、基本は放課後か土日でした。佳作座でお会いしてるかと思ったけど時間帯が違ったみたいですね(笑)。雅子:「明日は4限目から授業に出るから」なんて宣言して(笑)。何となく古い映画を観ていたし、モデルの仕事をするようになった頃は、フランス文化と共にフランス映画がたくさん入ってきた時期でもあり、新旧作含め、等身大ですごく影響を受けました。矢田部:ではそろそろTIFFのお話を。80年代からフランス映画のエスプリをたっぷりと浴びてきた雅子さんが、去年のTIFFで鑑賞し、その後も合わせて計3回も観たという作品があるそうですね(笑)?雅子:はい(笑)、『最強のふたり』(※昨年の東京サクラグランプリ受賞作で現在、劇場公開中)です。去年の映画祭の2日目ぐらいに観たんですが、私の中で勝手にグランプリと決めたくらい、もう『うわっ!』っていう嬉しい衝撃でした。矢田部:コンペティション作品として選んだとき、「観客賞」は獲るだろうとは思ったんです。ああいう作品を選ぶと幅が広がるんですが、一方でおカタい筋からそこまで評価されるかなという不安が若干ありました。でも会期中にいろんな方に『面白かった』と言っていただけて、徐々に手応えを感じました。雅子:最初からやられました!奇跡的なくらい爽やかで嫌みがない作品でしたね。矢田部:正直、何十年に1本という作品だと思います。その後の劇場公開でのヒットを見てもそう思いますが、いろんな方に『今年もああいう作品を楽しみにしてます』と言われるとプログラミング・ディレクターとしてはプレッシャーを感じます(苦笑)。――雅子さんはコンペ以外の部門も含め、かなり多くの作品をご覧になってらっしゃるそうですね?雅子:“ワールド・シネマ”は世界中の映画が観れるので、毎回楽しみなんです。矢田部:ありがとうございます。あの部門は配給の付かない洋画作品の“受け皿”をという思いで僕が企画した部門なので(笑)、嬉しいです。雅子さんはどういうところを重視して観る作品を選んでますか?僕がよく聞かれて困る質問なんですが…(笑)。雅子:そうですねぇ、国や監督、それから知ってる俳優がいるかな?とチェックしたり。パンフレットの写真や文章も参考にしますし、邦題と原題を見比べて気になるものには印を付けておきます。矢田部:「どれを観たらいいですか?」とよく聞かれますが、僕はズルいので「なるべく、普段観ない映画を選んだ方が世界が広がりますよ」と言ってます。僕自身は全体を総合的に見ようと思うんですが、意外とファッションや細部については見てなかったなと思うんです。雅子さんはその点は見ているんだろうなと。雅子:特に女優のファッションは重視します。基本的に女性は同性に厳しいので(笑)、つい気になっちゃう。そこは男女の見方の違いかもしれないですね。矢田部:今年、その点で注目なのがコンペティションの『メイジーの知ったこと』という作品。子役の女の子がものすごくかわいいんですけど、全シーンで違うんじゃないかっていうくらい何度も衣裳を変えるんです。子供服のカタログの全ページかってくらい(笑)!小さなお子さんのいる親やこれから子供がほしい女性にぜひ観てほしいです。ほかに気になっている作品はありますか?雅子:まずオリヴィエ・アサイヤス監督の『5月の後』(ワールド・シネマ部門)。矢田部:これは彼の最高傑作だと思います!!雅子:それからレイモン・ドゥパルドン監督の新作(『レイモン・ドゥパルドンのフランス日記』)も気になりますね。矢田部:これも僕は今年の全出品作品の中でもかなり好きな作品です。ぜひ観てください!徐々にヒートアップしてきた映画談議。<後編>では、雅子さんが審査員を務める“natural TIFF”の魅力や矢田部さんのコンペティション作品15本を選定する上での苦悩(?)などについて語ってくれています。「第25回東京国際映画祭」開催期間:10月20日(土)~28日(日)会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ・シネマート六本木・TOHOシネマズシャンテほか公式サイト:特集「東京国際映画祭のススメ2012」■関連作品:第25回東京国際映画祭 [映画祭] 2012年10月20日から10月28日まで東京にて開催
2012年10月19日今年で25回目を迎える東京国際映画祭(以下、TIFF)の記者会見が、9月20日(木)、東京・六本木で行われ、上映作品の選定に携わった代表の矢田部吉彦やチェアマンの依田巽らTIFF関係者に加え、今年のアンバサダーに就任した女優・前田敦子、コンペティション部門に出品することとなった映画監督・松江哲明が出席した。毎年、ハリウッドスターや著名な監督たちが国内外から数多く参加し、大きな盛り上がりを見せるアジア最大級の映画の祭典である本映画祭。この日、前田さんは「AKB48」を卒業し、アイドルではなく女優として登壇。「25回目の開催、本当におめでとうございます。今回、TIFFアンバサダーに選んで頂いて、とっても嬉しいです。でもとっても緊張しています」と、映画祭の“顔”となった胸の内を明かした。「本当に映画が大好きで、映画館に1人で行ったり、DVDを借りて家で見たりしてます。映画館に行ったら、隣にいるかも(笑)」と“会いに行ける女優”であると明かし報道陣を沸かせた。さらに、今後どんな“女優”になりたいかとMCに問われると、「いま、素敵なスタートラインに立たせて頂いていると思います。(人々に)求められる女優になりたいです」と意気込みを語った。今年は世界中から、映画祭史上最多となる1,332本もの中から選ばれた作品がコンペティション部門で上映される。昨年、同映画祭の「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した『トーキョードリフター』の松江哲明監督は、今回『フラッシュバックメモリーズ 3D』でコンペティション部門への出品となったが「昨年からの流れがあって、コンペに出させて頂けたので、非常に嬉しいです」と感激を隠せない様子。そのほかにも、『きみに読む物語』などで知られるニック・カサヴェテス監督の新作『イエロー』など、例年以上にバラエティーに富んだラインナップ。この日の会見では、今年のオープニング作品に決定した『シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語』で製作総指揮を務めたジェームズ・キャメロン監督からのメッセージも上映。「『タイタニック』が映画祭で上映されてから15年。東京国際映画祭とは、『タイタニック』、『アバター』と長年深いご縁があります。きっと今回の作品もみなさんに夢中になってもらえるはずです」と自信をうかがわせるコメント。また、クロージング作品となるクリント・イーストウッド主演作『人生の特等席』や、特別オープニング作品としてオスカー受賞監督のリドリー・スコットが製作総指揮を務め、東日本大震災から1年たった2012年3月11日の日常の投稿映像を繋いで製作された映画『JAPAN IN A DAY』の上映に加え、この日新たに、生誕50周年となる『007』シリーズの最新作『007スカイフォール』のフッテージ上映が行われることも発表された。さらに現在、国際情勢上での不和が取り沙汰されている中国や韓国などからも作品が出品されるとあって、報道陣からは政治的な事情が影響の質問が飛ぶなど国際映画祭ならではの会見となった。第25回東京国際映画祭期間:10月20日(土)~28日(日)まで場所:六本木ヒルズほか公式サイト:■関連作品:シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語 2012年11月9日よりTOHOシネマズ 有楽座ほか全国にて公開© 2011 Cirque du Soleil Burlesco LLC. All Rights Reserved.人生の特等席 2012年11月23日より丸の内ピカデリー3ほか全国にて公開© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.JAPAN IN A DAY 2012年11月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© 2012 FUJI TELEVISION NETWORK, JAPAN IN A DAY FILMS LTD.
2012年09月20日今年で22回目を迎える東京国際映画祭(TIFF)が10月17日(土)に幕を開ける。東京サクラグランプリを競うコンペティション部門を始め、アジアの佳作を紹介する「アジアの風」、さらに多様な日本映画の新作を上映する「日本映画・ある視点」に各国の映画祭で高評価を得た作品を日本で初めて上映する「WORLD CINEMA」などなど、多岐にわたる作品が9日間にわたって一挙上映される。ズバリ、今年のTIFFの見どころは?そして気になる日本代表作品の評価は?開幕を前にコンペティション部門の作品選定ディレクターを務める矢田部吉彦氏に話を聞いた。今年のコンペ出品作の特徴は“物語の強さ”1月のロッテルダム国際映画祭(オランダ)を皮切りに、矢田部さんが作品選定を兼ねて訪れた国は10か国。そして、鑑賞した作品は驚くなかれ、約600本!数か月にわたって「とにかく時間があればDVD」という生活を送っているが、特に今年は例年に比べて応募作品が100本ほど多かったとか。そこから厳選された15本のコンペティション部門出品作品の傾向を尋ねると「物語の強さ」という答えが返ってきた。「毎年、『こういう映画を選ぼう』といったテーマは決めずに、あくまで良いものを選ぶようにしているんですが、出揃った作品を眺めると、雰囲気やセンスといった要素よりも物語が観る人を引っ張る作品が多い気がします。そういう意味で、観ていて退屈する作品は全くないですね」。日本のファンにとっては、辻仁成監督、アントニオ猪木主演の『ACACIA』がコンペティションでどのような評価を受けるかが気になるところだが…。「東京で開催する映画祭として、どういう日本映画を選ぶかは大きなポイントです。不安であり、楽しみでもありますがそういう意味で『ACACIA』は嬉しい出会いでした。辻さんと猪木さんという組み合わせに対して期待は大きかったけど、正直、観る前は不安もありました。でも、観始めて数シーンで『いいなぁ』と思えるものが伝わってきて、『ありがとう』という気持ちになりましたね。これが単に猪木さんの存在感というだけならここまで喜ばないです。映像が美しく、音楽と映像のコンビネーションも脇役も素晴らしい、アンサンブルの映画として評価したつもりです。お客さんの反応が楽しみですし、コンペに入れられてよかったなぁ、と思います」。続いて、話題は映画界の現況に。一部の大作が市場を引っ張る形で邦画の好調が伝えられるが、一方で洋画、特にアート系の作品にとっては厳しい現状が続いている。こうした状況の中で、映画祭が果たすべき役割とは?「僕は、映画祭の究極の役割は、お客さんを映画館に戻すことだと思っています。以前であれば劇場公開されていたような、海外の映画祭で高評価を受けた作品が日本では公開されない、ということも多くなっています。だからこそ、TIFFでどんどん上映できればと考えています。普段、欧米の単館系の映画を観ない人がたまたま観て『意外といいじゃん』と感じてくれたら、観ようと思ってた邦画が売り切れで、その隣りで上映してた作品を観て『面白い』と感じてくれたら…。長い道のりかもしれませんが、そういう人が一人でも映画館に足を運ぶという好循環を作る可能性を秘めているのも映画祭だと思っています」。「普段は観ないタイプの映画をぜひ観てほしい」最初にも触れたが、約600本の中からたったの15本を選ぶ、すなわち残りの数百本を落とすということは肉体的にも精神的にもつらい作業である。そうして選び抜かれた15本の中からさらにお薦め作品を尋ねるのは失礼かもしれない…。が、あえてこれから映画祭に足を運んでみようか?と考えているシネマカフェ読者に薦めるなら?「そうですね…もちろん全てがお薦めです(苦笑)。でも、例えば20代、30代の働く女性なら『エイト・タイムズ・アップ』はいかがでしょう?失業し、アパートも追い出されてしまうような女性のお話で、つらいテーマなのになぜか爽快で、気持ちよく感情移入できると思います。それから、すごく“とんがった”作品なら『激情』を薦めたいですね。普段、女性がなかなか観ないタイプの映画かもしれませんが、個性的な強いラブストーリーです。もう少し若い方には『テン・ウィンターズ』。10年に及ぶ男女の愛を描いていますが、ゴンドラや観光名所の出てこない、“生活感のある”ヴェネチアが舞台になっています。映画祭という貴重な機会であり、特にコンペ作品は1,000円ですので、普段は観ないタイプの作品にぜひチャレンジしてほしいです。騙されることはない…はずです!騙されたと思ったらブログにコメントしてください(笑)」。「優柔不断な自分が嫌になるし、ウジウジとずっと考えてしまいます。8月の最後の週あたりは『この仕事向いてない!もうハゲる、ハゲる!』って悩んでます(笑)」とは作品の選定についての矢田部さんの弁。そこまで悩みに悩んだ上で満を持して上陸した作品の数々、ぜひご注目あれ!東京国際映画祭2009特集第22回東京国際映画祭公式サイト矢田部吉彦「映画業界人ブログ」■関連作品:第22回東京国際映画祭 [映画祭] 2009年10月17日から25日まで六本木ヒルズ、Bunkamuraをメイン会場に、都内の各劇場及び施設にて開催ACACIA© 2008 "ACACIA" Film Partners■関連記事:是枝監督、真田広之登壇東京国際映画祭「映画人の視点」招待券を10組20名様にプレゼントアントニオ猪木×辻仁成、わが子への思い語る東京国際映画祭ラインナップ会見還暦を迎えた永ちゃんが東京国際映画祭に出現!素顔が映るプレミアチケットも発売闘魂・猪木が東京国際映画祭に殴りこみ!辻仁成とタッグで『ACACIA』コンペ出品東京国際映画祭、今年の審査委員長に『バベル』イニャリトゥ監督が就任!
2009年10月07日