「すい臓がんが見つかったころには彼は『おそらく僕は12月までもたないと思う』と、私にだけは言っていました。そして、知事公舎に置いてあった本や資料を、ひとりで整理し始めたんです。私が『やめて!』と何度言っても聞かなかった。『きみたちにはできないことだから、これは自分でやるから』と言って」たくさんの花に囲まれた祭壇の遺影からは、いまにも故人の笑い声が聞こえてきそうだ。ちらりとその笑顔に視線を送りながら、翁長樹子さん(62)は、静かに、かみ締めるように語り始めた。’85年に那覇市議に初当選。以来、政治家一筋、人生のすべてを地元・沖縄に捧げてきた。’14年の知事選では、「日本の国土のわずか0.6%の面積の沖縄に、70%という過剰な基地負担を強いられ続ける現状を看過できない」と訴え、名護市辺野古の新基地建設断固阻止を掲げて立候補し、圧勝した。知事就任以降は、地元の民意に反して基地建設を推し進める政府と、激しく対立した。基地問題では政府に強く抗議を重ね、その数日後には予算の請願に同じ相手の元に足を運ぶ……。常人ならストレスと重圧で参ってしまうだろう。それでも知事は「沖縄のためなら我慢できる」と話していたという。しかし、それはまさに命を削る日々だった。「去年の暮れぐらいから、翁長は『体重計に乗るたびに体重が落ちている』と。初めは糖尿病を疑っていたんだけれど。それにしてはおかしいということになって。いつも診ていただいていた医師の勧めで、PET検査を受けたら、すい臓にがんが見つかったんです」すい臓にがんが見つかったのは今年4月初旬のこと。4月21日、知事は県内の病院で腫瘍の摘出手術を受けた。翌5月半ばの退院後も、抗がん剤治療などを続けながら、公務への復帰を目指した。しかし、その後も病魔は彼の体をむしばみ続けた。7月には、辺野古沿岸部の埋め立て承認の撤回に向け、防衛省沖縄防衛局から弁明を聞く「聴聞」の実施を通知する方針を固める。7月27日、知事はその経緯を説明するための記者会見に臨んだ。「前日、県庁に行って撤回に向けた最後の打ち合わせをして公舎に帰ってきて。『ただいま』と言ってから玄関にあったいすに座って3分休んで。やっと立ち上がれたと思ったら、また廊下に置いたいすで3分、またリビングで3分、寝室までの廊下でまた3分。元気なときは十数秒で歩ける距離を20分もかけないとたどり着けない、そんな状況だった。会見の日の朝、ご飯を食べながら彼はこんなことも言ってました。『こんな状況で記者会見なんかできるかな?記者たちの質問に答えられるかな?』って」結婚以来、夫が漏らした初めての弱音に樹子さんは、「できるに決まってるじゃないの。何のために頑張ってきたの。あなたがやらないで、誰がやるの」と言って、すっかり小さくなってしまった背中を押した。そして、それからわずか12日後の8月8日。知事は帰らぬ人になった。知事は「眠りがとっても浅い人だった」と樹子さん。「ほんの小さな物音でも目が覚めちゃう人だった。そんな人がね、この闘病中、病院でね、起きないわけ。声をかけて、体を揺すってやっと目覚める。そしてこう言ったの。『ゆっくり眠ることって、こんなにも幸せだったんだな』って。そんなふうにね、病気になって自分の命がもうそこまでってなって、初めて深く眠ることを自分に許したんだと思ったらね、この人の人生っていったいなんだったのかと思ってしまって。病気が治ったら、政治から離れて孫とゆっくり遊ぶ時間をもたせてあげたかった。一緒に家族旅行もしたかった」生前、外食が嫌いだった知事が家で晩酌をする際、隣にはいつも樹子さんがいた。「私はお酒は飲まないから。会話の相手をしたり、おつまみを用意したり。そんなときはよく口論しましたよ。私は直情型だから『(日米)地位協定、おかしいでしょ!』『自民党、おかしいでしょ!』って、思ったままの意見を彼にぶつけてました。穏やかだった夫がけんかしたのは、日米政府と私だけ」それでも知事は辺野古問題で苦悩していたときも、愚痴ひとつこぼすことなく、背負った苦労を、妻にすら話そうとしなかった。「私は彼の顔を見れば苦しいんだな、悔しいんだなとわかる。だから、聞き出そうとしてしまう。それで翁長によく怒られました。『どうしてきみは黙っててくれないかな。どうして聞き出そうとするかな。きみまで僕の苦労を一緒に抱え込むことないのに!』って」知事は樹子さんに苦労をかけまいと、常に気を配っていた。「いま思うとね、私は彼にずっと守られてたんだな、と思います。きっと自分も苦しくてつらくて余裕なんてなかったはずなのに。そんなときでも、私には苦労させたくないといつも思ってくれてた」ここまで言うと樹子さんは、目に光るものをたたえながら、照れくさそうに笑った。「だからね、私も素直に伝えておけばよかった。『苦労なんて思ってないよ。私は幸せよ』って」
2018年09月13日《沖縄のことを考え、沖縄のために尽くしてこられた翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であることを願っております》自身の公式サイトでこう綴ったのは歌手・安室奈美恵(40)。8月8日にすい臓がんで急逝した沖縄県知事の翁長雄志さん(享年67)を偲んで寄せたものだ。今年5月に知事から県民栄誉賞を授与された際、涙を見せていた安室。こうした追悼文を発表するのはきわめて異例のことだ。だが、彼女はさらなる行動に出ていた。9月16日の引退が目前に迫るなか、沖縄観光ブランド「Be. Okinawa」に無償で協力することになったという。翁長さんの次男で那覇市議会議員を務める翁長雄治氏(31)も、安室への感謝をにじませる。「生前、父が安室さんと交流したのは県民栄誉賞授与のときだけです。それでも安室さんは立場的に声を大にしては言えないと思いますが、いつも沖縄のことを見ていてくれたのでしょうね……」直接の関係がなかったにもかかわらず、追悼コメントを寄せた安室。それは翁長さんの沖縄愛に感銘を受けてのことだったのだろう。だが、そんな彼女の行動は意外な余波を生んでいた。実は今、一部では9月30日に投票が行われる県知事選に安室が立候補するという“仰天プラン”が取りざたされているのだ。政治評論家の伊藤達美氏は安室出馬に懐疑的な姿勢を見せつつも、彼女が知事選のキーマンとなる可能性を指摘する。「自民党陣営はすでに立候補者を擁立していますが、まだ翁長知事の後継候補は一本化できておらず、選挙に当選できるかは現状五分五分。安室さんが立候補祖しなくても、翁長さんの後継を応援するだけで影響を及ぼすことは間違いないでしょう。彼女が街頭演説などに駆けつけることは考えにくいですが、SNSを通じて思いを発信していくことは十分に考えられます」追悼コメントや無償PRは翁長派陣営にとって渡りに船。是が非でも安室の応援を取りつけたいところだろう。「安室さんがSNSで発信した場合、いままで投票率の低かった20~30代が選挙に興味を示すでしょう。そうなると一気に選挙の勢力図も変わりますよ」(沖縄在住の政治記者)平成の終わりとともに引退する安室。次のメインステージは沖縄となるのだろうか――。
2018年08月23日23日(現地時間)の民主党大会でインタビューに備えるシンシア・ニクソン(写真:AP/アフロ) 今年3月、ニューヨーク州知事選挙への出馬を表明していた女優のシンシア・ニクソン(52)が、民主党内の候補者指名争いで現職のアンドリュー・クオモに敗れ、選挙戦から脱落した。 ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のミランダ役で知られるニクソンは23日(現地時間)に行われた民主党大会で、「私は抗議候補ではありません。私は民主党の指名に肉薄している、見込みのある候補者です。だからこそ私はここに立っているのです。民主党は私の党でもあるのです。私はここにいることを恐れていない。締め出されるいわれはない」と力強く訴えた。 しかし、9月13日の予備選挙に出馬する条件である選挙人の25%を獲得することができず、敗退が決定した。対して現職のクオモ氏は95%を獲得し、圧倒的な強さを見せた。 しかし、ニクソンはまだ諦めてはいない。予備選挙に出るために1万5千筆の署名を呼びかけ、Twitterでは「クオモ知事は共和党とベッドを共にしている、ニューヨークで共和党員に公的な権限を与えるために尽力したことを誰でも知っている」などと、共和党におもねる氏の姿勢を批判。「この選挙は私だけのものじゃない。有権者全体のために戦う民主党のものだ。いつも隅に追いやられ、後回しにされているコミュニティのものだ。我々は、ニューヨークのために戦う準備ができている。あなたのために戦う準備ができている!」とぶち上げ、戦い続けることを表明した。
2018年05月24日文化を核とした大阪発展のムーブメントを起こすべく昨年初開催された「大阪文化芸術フェス」。昨年に続いて今年も開催が決定し、大阪府の松井一郎知事と、キックオフイベントを行うウルフルズが5月21日、大阪市内で意気込みを語った。「大阪文化芸術フェス2018」は、9月29日(土)から11月4日(日)までの間、府内全域で開催。万博記念公園をはじめ、府内のホール・劇場や公園で、音楽、演劇、アート、上方伝統芸能、上方演芸など、大阪が誇る文化や国内外のコンテンツを展開。そのキックオフイベントとして、今年で30周年を迎えるロックバンド・ウルフルズの恒例ライブ“ヤッサ”が開催される。開催にあたり松井知事は「今年はウルフルズさんが一緒に盛り上げてやろうとご参加いただけることになり、本当に感謝しております。“大阪は文化に対しての造詣が薄い”とよく言われるのですが、そんなことはないと言いたい。文化にもしっかりと力を入れていることをアピールできるように頑張りたいと思います」とコメント。ウルフルズのメンバーは「僕らは30年前に大阪で結成して、何か恩返しができたらいいなと常々思っていたので、お声掛けいただいてうれしく思っています」(サンコンJr.)、「生まれ育った場所で、年を重ねるごとにどんどん好きになっています。こういうフェスに参加できてすごくうれしく思います」(ジョンB)、「大阪で結成してから30年。大阪に育てられて、このタイミングで何か恩返しができたらと思っていたところにこの話をいただいたので、本当にありがたいと思っています。ヤッサだけじゃなくて、例えば前夜祭や後夜祭みたいなものもあっていいだろうし、そういうふうに膨らませていけたらいいなと思います」(トータス松本)。また今年は3人体制となったウルフルズ。トータスは「3人やからできるウルフルズがあると思う。誰にギター弾いてもらうとか、ホーンセクション呼ぼうかとかいろいろ考えていますし、3人だけでこぢんまりやる場面もあっていい。そうやって音楽の幅を広げていけるので、今までとは違う雰囲気になりそうです。この大阪芸術文化フェスのタイミングでそういうことができるのは、いいめぐり合わせやと思うので、楽しみにしてほしいです」と語り、「ぜひ知事ともコラボしたい(笑)。八尾出身とのことで『河内のオッサンの唄』を歌ってほしい」とも。いつもと違う雰囲気が楽しめそうなヤッサは、9月29日(土)万博記念公園もみじ川芝生広場にて開催。大阪を代表するアーティスト・ウルフルズが、開幕を盛り上げる。取材・文:黒石悦子
2018年05月22日アイドルグループ・TOKIOの国分太一がこのほど、小池百合子東京都知事に直撃取材を敢行。12月23日のTBS系情報番組『白熱ライブ ビビット』(毎週月~金8:00~9:55)でその模様が放送される。12月23日の『ビビット』は、緊急特別企画「小池都知事に国分太一が直撃!」(仮)と題し、ホリデースペシャルとして放送。認可保育園に入れない待機児童が増え続け、離職に追い込まれる母親が増えるなど、深刻な問題となっている「待機児童問題」について特集し、父親になった国分が小池都知事へのインタビューに臨んだ。国分は事前に、待機児童問題に直面する主婦にヒアリング。都庁の真横にある「とちょう保育園」も訪問し、待機児童解消のモデルケースにもなるといわれている同保育園の仕組みなどについて園児の親や園長に話を聞いた。そして、都庁で小池都知事と対面。待機児童について切り出した国分に対し、小池知事は「パパもママも、これから結婚しようと思っている方にも、子育てしやすい東京、日本にしよう」と目標を掲げた上で、「結婚か仕事か。仕事か子育てか。子育てするために会社を辞めなければならないそんな世界は寂しい」と話した。保育所を増やすのも課題だが、通勤にも課題があると言う。「社内に保育園を作ってほしいとよく言われるんです。国会にもあるけど、そこまで連れてくるのが大変。地方でマイカーで通っている人はベビーシートで一緒に来られるけど、満員電車ではベビーバギーを乗せるだけで怒られる。冷たい目で見られるんですよね。日本は冷たい。どうやってラッシュアワーの中で子どもと一緒に会社に来られるかが問題」と語り、最後には、小池知事から国分に驚きの提案がなされたという。国分は「小池知事は、とにかく何でも答えられる方。相手によってわかりやすく話をしてくださるので、僕にもわかりやすく話していただきました」と振り返り、「『待機児童のことだけを考えていてもこの問題は解決しない。女性が働きやすい社会を作っていくことが待機児童問題の解決にもつながる』と言うのも納得しました」とコメント。また、「『自分がリーダーとしての意識を持つことが大切』という言葉も印象に残っています。『リーダーである私が』というのは力強い言葉ですし、小池さんのその言葉を信じたいです」と期待を寄せた。そして、「小池さんが言うように、待機児童だけのことを考えるのではなく、社会全体のいろんなことを考えていけば、子育ての難しさだったり、孤立する子育てという言葉の意味もわかるし、育児ノイローゼとかすべてつながっているのも理解できる」と話し、「ひとつが解決したからといって、子育て問題すべてが解決するわけではないということをあらためて認識しながら、今後もいろいろと考えていきたい」と決意。「1カ月に1回会える友だちになりたいですね、小池さんとは」と笑った。(C)TBS
2016年12月15日参院選の最中から話題をさらってきた東京都知事選も、いよいよ7月31日の日曜日には、新しい知事が誕生することになります。それにしても、今回ほど盛り上がった都知事選はなかったのではないかと思うほど、参院選よりもたくさんの報道がなされたように感じますね。そもそも、今回選挙が行われることになったのは、前知事の舛添要一氏がお金の問題で辞任し、連日その報道がされたことが背景にあるからでしょう。舛添前都知事の問題は、春ごろから報道が始まり、約3ヶ月間「東京の話題」でいっぱいだったということになります。事実上の候補者は3人。あなたの一票を誰に捧げるかさて、都知事選では、これまでで最多の21人が立候補していますが、事実上は、自民党・公明党・日本のこころを大切にする党が推薦する増田寛也さん、野党四党が推薦する鳥越俊太郎さん、どこの推薦も受けない小池百合子さんの、この3人で争われることになりました。増田寛也さんは、直前の参院選でも国民から信任を受けた政権与党から推薦を受けているという信頼や、旧建設省出身で岩手県知事を務めたという経験から実務能力があることをアピール。鳥越俊太郎さんは、ジャーナリスト出身ということで、都政の問題や都民の問題意識に「聞く耳」を持っていることをアピールしています。そして、小池百合子さんは、現役の自民党衆議院議員ながら、自民党の推薦を得られなかったということから、組織(特に自民党の都連)の論理ではなく、都民が考える都政の実現を掲げています。待機児童や高齢者の問題、首都直下型地震への対応など、東京が抱える問題についての各候補者の考えについては、三者三様ではあるものの、裏付けとなる財源については、知事になってみないと分からないという点も多く、候補者が掲げる政策はまだ実現可能性としては未知数です。それに、何を一番重視していくのかということになると、都民も個々に関心が違うでしょう。都民の有権者は約1100万人。都民全員が納得できる政策など、なかなか難しいと思います。都知事を選ぶ重要ポイントは?では、何を基準に都知事を選べばよいのかを考えると、私は「東京都知事の資質」として何を求めるのか、ということになると思っています。首都・東京のトップとしてふさわしいのはどういう人なのかということです。舛添前都知事も、ご本人は頭脳明晰、申し分のない経歴をお持ちでしたが、公私混同など「資質」を疑うことが多々あったことで、都民からの信用を無くし、辞任することになりました。それが今回の選挙の原点であるならば、都知事としてふさわしい資質のある人を選ばなくてはなりません。東京都は、世界第三位の経済大国・日本の首都。人口は約1300万人で、都政の予算規模はスウェーデンに匹敵する13兆円。都庁で働く人も16万人もいます。これは先ごろ、EU離脱で話題になった英国で働く日本人の数ともほぼ同じ。その巨大組織を束ねる立場としては、やはり組織での指導力が必要です。同時に、首都の顔としの華やかさや話題性も必要です。4年後の東京パラリンピック・オリンピックを控え、国を挙げて準備をしていくことを考えると、政権との関係も重要です。また、今回は、主な候補者が出そろったのが、告示2日前。参院選が重なったこともありますが、政党は候補者選定に手間取り、その過程では政党のさまざまな思惑が働いたことも、それなりに報道され、私たちの前にさらけ出されましたね。政党の論理ではなく、都民のためにいかにあるべきかということをどれだけ考えているかということはとても重要です。いよいよ、あと数日で新しい都知事が決まることになりますね。その新しい都知事を決めるのは、都民有権者です。ぜひ、東京都知事としてふさわしいと思う人を、しっかり考えて、投票に行ってほしいと思っています。
2016年07月30日広島県の湯崎英彦知事はこのほど、広島県庁にて、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也氏立会いのもと、都道府県知事として初めて「イクボス宣言」を行った。「イクボス」とは、部下のワーク・ライフ・バランスを考えながら、組織の業績も結果を出し、自らも仕事と私生活を楽しむ上司のこと。湯崎知事は都道府県知事として初めて育児休暇を取得したほか、2014年3月には、県内の企業経営者に呼びかけ、全国初となるイクメンを応援する企業経営者の同盟「イクメン企業同盟」を結成。仕事と子育てを両立しやすい環境づくりに取り組んできた。今回の「イクボス宣言」は、イクメン企業同盟の一員として「組織のトップとして職場環境を変える」「県内にイクボスを増やすための取り組みを更に進める」ことを改めて宣言したもの。同県は今後も、男性の育児・家事参画を促進し、女性が働きやすい社会になるように様々な施策に取り組んでいくという。※湯崎英彦知事の正式名は「湯崎」の「崎」の右側が「立」と「可」
2015年01月20日東京都は20日、「外国人おもてなし語学ボランティア育成事業」のキックオフイベント「舛添知事と語ろう!in 小金井」を都内小金井市にある、小金井市民交流センターで開催した。東京都では、1964年の東京五輪の開催から今年で50周年を迎えることを記念するのに加え、2020年の東京五輪に向けた気運の醸成と、来日した外国人が安心して滞在できる環境を整備することを目的として、外国語による語学ボランティアの育成を予定している。今回はそのキックオフとなるイベントで、舛添要一東京都知事と外国人の“おもてなし”についてディスカッションを行うのが主旨となっている。当日は、約550人の都民が来場し、来日した外国人が困った事例の紹介をはじめ、道案内や飲食店での注文など、外国人が日本で遭遇した体験を再現した寸劇を行い、外国人をもてなす際のコツを伝授。また、舛添知事も参加し、外国人役の男女に対して、英語で道案内をするデモンストレーションを披露した。ディスカッションでは、フリーアナウンサーの久保純子さんがコーディネーター役を務め、舛添要一知事のほか、稲葉孝彦小金井市長が登壇。舛添知事は「相手の立場に立って、困った人がいたら、ブロークン・イングリッシュでもジェスチャーでもなんでもいいので、助けることが大事だと思う。心のバリアフリー。これが本当の“おもてなし”だと思う」と語学ボランティアへの積極的な参加を呼び掛け、稲葉市長も「語学ボランティア育成にも注力したい。商工会とも連携して、外国語を話せる人を増やしていきたい」と行政組織としてのバックアップを約束した。そのほか、ディスカッションには、コメンテーターとして、スポーツキャスターの大林素子さん、日本サッカー協会理事・サッカー解説者の北澤豪さん、通訳ボランティア団体「東京SGGクラブ」会長の石関文昭さん、NHK Eテレ「トラッドジャパン」講師の江口裕之さんの4人も参加。「イタリアのクラブチームに所属していた時、買い物に苦労した経験から、通じなくても話してみようと思った」(大林さん)、「自分の立場で何ができるか考えて、チームプレイとしてがんばっていきたい」(北澤さん)など、それぞれの経験に基づいた外国人へのもてなしや、語学ボランティア育成への意気込みが語られた。
2014年10月21日