『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でオスカーを受賞した特殊メイクアップアーティスト、辻一弘氏が、再びアワードシーズンで大健闘しそうだ。この12月に北米公開となる『Bombshell』で、彼はメイクアップアーティスト&ヘアスタイリスト組合賞(MUAHS)にノミネートされたのである。彼が担当したのは、シャーリーズ・セロンを有名なキャスター、メーガン・ケリーに変身させる特殊メイク。今回のクレジットはKazu Hiroになっている。この部門のほかの候補は、『ロケットマン』『キャプテン・マーベル』『アイリッシュマン』『IT/イット THE END“それ”が見えたら、終わり』。MUAHS授賞式は来年1月11日。文=猿渡由紀
2019年11月12日米アカデミー賞で日本人初のメイクアップ&ヘアスタイリング賞(『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』)を受賞した辻一弘氏が、25日に放送されたフジテレビ系トーク番組『ワイドナショー』(毎週日曜10:00~11:15)にゲスト出演し、映画界から離れていた理由について語った。『ワイドナショー』でレギュラーを務めるダウンタウン・松本人志これまで『もしも昨日が選べたら』(06)、『マッド・ファット・ワイフ』(07)で2度ノミネートされ、受賞を逃していた辻氏。その後は現代美術家に転身したが、同作で主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマンからの熱烈オファーにより復帰した。一時は離れていた映画界。その理由を聞かれた辻氏は、「いろんな理由があった」と切り出し、「わがままな役者と仕事をするのが疲れた。誰とは言わないですけど」と笑いながら告白。ある役者からは「昨日と違う」とクレームを入れられることもあったという。ゲストコメンテーター・武田鉄矢の「一流の人は待てる。俺はまだそこまでいってないけど」に、辻氏は「わりと大きい名前の人は文句が多いです」とぶっちゃけ、笑いを誘った。また、自分がやろうとしていることが周囲のスタッフの意見によって変わってしまうことがあったのも理由の1つで、「自分が作りたいものをちゃんと作りたいと思って辞めました」。そんな辻氏はゲイリー・オールドマンを「あの人はすごいです。今まで仕事した中で一番紳士的。メイクの大事さも知っている」と絶賛する。メイク中に携帯や映画を観る役者がいる中、ゲイリー・オールドマンは余計な手間と時間がかかってしまうことを理解しているため、メイクが完成するまで何もせずじっと待っていたそうだ。ちなみに、同作で演じたウィンストン・チャーチルのメイクは3時間15分を要するという。辻氏からオスカー像を手渡され「思ってる以上に重いですね!」と興奮していたお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志。役者に振り回されていた辻氏に「人に疲れちゃって……」と同情し、「なんでこんな番組に出ようと?」と出演の経緯を探ると、辻氏は「一応、この番組は見させてもらっています」と番組のファンであることを明かし、「すばらしい映画なのでみなさんに見てもらいたい」と呼びかけていた。
2018年03月25日『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で日本人初のアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞に輝いた辻一弘が3月20日(火)、凱旋帰国を果たし、会見に出席。オスカー像を手に「改めて重みを感じている」と語った。■「実際に重たい(笑)」オスカー像の置き場所は?3月5日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された第90回アカデミー賞において、日本人初のアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻さんは、「メイクが作品の一部として認められて良かった。受賞したことに大きな意味があると思いますし、改めて重みを感じている。実際に持ってみても、重たいですし(笑)」と喜びのコメント。オスカー像については「作業場の応接に置くつもり」だと語った。また、受賞発表直後の心境を「とにかくスピーチを早く終わらせようと思ったので、正直ほとんど思えていない」とふり返り、「目の前には有名な俳優さんもたくさんいらっしゃるし、とにかく、ゲイリーさんの方を見て、スピーチをした」。今回、チャーチル役の名優、ゲイリー・オールドマンも見事に主演男優賞を初受賞しただけに「一緒に受賞できたことが良かった」と話していた。■目指したのは「メイクに見えないメイク」2012年に映画界から身を引き、現代美術家に転向した辻さんが、オールドマンから直接「あなたが引き受けてくれたら、私はこの映画に出る」と熱烈なオファーを受けて、久しぶりに映画の特殊メイクを担当することになったのは、有名なエピソードだ。「映画はやらないと決心していたので、(オファーを受けると)人生を裏切る思いもあったが、やはりゲイリーと一緒に仕事がしたかった。最初にゲイリーには『セットでメイクはしたくない』と伝えたんです。大勢の人間がいる現場は精神的にもつらいので…。ゲイリーとチャーチル本人は、顔も体型も違う。バランスを意識しながら、メイクに見えないメイクを目指した。単に似せただけでは、演技につがらないですし。周りからは『メイク技術の新しい基準を示した』と言ってもらえて、それもうれしかった」(辻さん)■2020年に日本で個展開催を予定「あくまでメインは現代美術」今後の活動に関しては「あくまでメインは現代美術」だといい、「2020年に日本で個展をやろうと思っているので、下調べやスポンサー探し、もちろん、創作活動もあるので忙しい」のだとか。映画作品への参加は「本当にやりたいことであれば」と可能性を否定しなかった。ネコ好きでも知られており、「自分にとっては大事な存在。ストレス解消してくれますし」と創作活動における“癒し”についても語っていた。■夢を追う若者へ「自分を信じ、やりたいことを見極めることが大切」10代の頃から独学でメイクを学び、18歳で単身渡米し、メイクアップ界の巨匠ディック・スミスのもとで修業を積んだ辻さん。ついに師匠と同じ、オスカー像を手にする夢を実現したいま、夢を追う若者たちにこんなエールを送ってくれた。「自分を信じ、やりたいことを見極めることが大切。心に正直にいるべきだし、他人の意見に耳を傾けて流されると後で後悔する。まずは10年続けることですね。やりたいことをやり続けると、どんどんいいことがつながっていくもの。今回の受賞で、いったん映画界を離れたことも含めて、自分は正しかったと思えた。毎回勉強ですし、作り続けて、結果を出すだけです」。■『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』とは?1940年、第2次世界大戦初期。ナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落寸前という絶体絶命のタイミングで、英国首相に就いたのは、「政界一の嫌われ者」ウィンストン・チャーチルだった。最大の国難に直面しながら、彼はいかにして国民に勇気と希望を与え「伝説のリーダー」になったのか?実話を基に、チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる27日間を描き出す歴史エンターテインメント。『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』は3月30日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開(text:cinemacafe.net)■関連作品:ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男 2018年3月30日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
2018年03月20日日本時間3月5日(月)、第90回アカデミー賞「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」を受賞した辻一弘。この度、2014年に放送された辻さんのドキュメンタリー番組、ETV特集「『顔』に魅せられた男 ~特殊メイクアーティスト・辻一弘の挑戦~」が、3月7日(水)深夜にアンコール放送されることが決定した。『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でゲイリー・オールドマンを大変身させ、見事日本人初のアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞の快挙を成し遂げた辻さん。受賞を機に放送されるのは、2014年4月12日(土)に放送されたもの。辻さんが特殊メイクの技術を駆使して独自に生み出したアート作品、過去の偉人の顔をある瞬間で切り取り再現する彫像作り。番組ではアート界の革命児、アンディー・ウォーホルの彫像作りに密着している。ETV特集「『顔』に魅せられた男 ~特殊メイクアーティスト・辻一弘の挑戦~」は3月7日(水)深夜0時~Eテレにて放送。(cinemacafe.net)
2018年03月05日