『東大式 相手をひきつける、最強トーク術』(石浦 章一著、KKベストセラーズ)は、東京大学大学院総合文化研究科教授である著者がトークのコツや注意点を明かした書籍。大学院向けの副専攻プログラムを通じての経験に基づいているだけに、究極というべきトーク術を身につけることができます。第4章「ひきつけ最強トークの基礎知識」のなかに、「『数字』だけでは、伝わらないこともある」という気になる項目があるので、今回はそこをクローズアップしてみたいと思います。■数字は本当に重要なもの?営業トークにおいては、「数字を使うことがポイント」だとよくいわれます。みなさんも一度や二度は聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし著者は、「数字を用いること=伝わる」ということになるのだろうかと疑問を投げかけています。たしかに数字は、曖昧なことをより明確にするために有効です。たとえば「この本はすごく売れています」と主観的ないい方をするよりも、この本は100万部売れていて、ランキング1位になっています」と数字を用いることで、「売れている」という信憑性と客観的判断が下せるようになるわけです。■数字はただの記号にすぎないしかし「100万部」「ランキング1位」という数字は、あくまでも「すごく売れている」ということばを客観的に実証するための裏づけにすぎないと著者。「数字」があるから伝わっているのではなく、「裏づけ」ができているから理解してもらえるのだという考え方です。著者によれば、数字は客観的かつ具体的に理解できるものではなく、人の主観次第で捉え方が変化するもの。たとえば「家から会社まで30分」だという場合、A「家から会社まで30分しかかからない」B「家から会社まで30分もかかる」と、数字の前後のことば次第でイメージは変わってくるはず。つまり数字は、トークのなかにおいては記号にすぎないということ。科学の資料で得られた数値、細かな数字が並んだ決算書などは、見ただけでは理解できない場合が少なくありません。そこで報告書やプレゼン資料では、グラフを使って数字を可視化するわけです。なぜなら細かい数字は、ときに話をややこしくしてしまうから。■大切なのは「伝える→伝わる」たとえば、ある敷地の広さを表現するとき「1万4265㎡」といわれても、ピンとくる人は少ないでしょう。しかし「1万4,265㎡は、東京ドーム3個分の広さです」と誰もが知っているアイコンを使って話せば、広さは一瞬で伝わります。つまりトークで大切なのは、「伝える→伝わる」ということ。そう考えると、数字を使えば伝わるというわけではないということがわかるのではないでしょうか?大切なのは、数字を「どう使うか」だという考え方です。(文/印南敦史)【参考】※石浦章一(2015)『東大式 相手をひきつける、最強トーク術』KKベストセラーズ
2015年09月21日『開運修行』などの著書を持つエッセイスト・辛酸なめ子さんが、20年間無敗から「雀鬼」の異名を誇り、「運」にまつわる著作も多い雀師・桜井章一さんを直撃!一体、運の正体とは何なのでしょう?* **桜井:みなさんはたいてい、「運」を求めてると言いながら、「欲」を求めてるんですよ。運っていうのはね、いいことが繋がるんじゃなくて、ピンチの時に助けてくれるのが運なんです。いいことが繋がる、続いてほしいっていうのは、それは欲望なの。だからもし運を手に入れたきゃ、ピンチの時に役立つ「勘」を自然界で磨くことだな。辛酸:女性は「男運がない」という言い方もよくするんですけど、そういう運というのは変えられるものなんでしょうか?桜井:うーん。別に変えなくてもいいんじゃないの?ダメ男と付き合うのって、人生の勉強になるんじゃないかな。「どうしてこの人はダメなんだろう?」って研究するつもりで一緒にいれば、人がダメになる要因ってものが分かるわけじゃないですか。それが生きる力になるんですよ。ダメじゃない人のそばにいても、そういう勉強はできないでしょ。辛酸:そうですよね。幸せだけを求めてがっかりするよりも、「人生は修行だ」と思ってつらいことも耐えていったほうが、結果的に人生を楽しめる気がします。――そんな「運」とは掴めるものなのでしょうか?桜井:世の中にあるけど「掴めないもの」が、我々を生かしてくれてるんです。太陽の光もそうだし、空気もそう。それから、運もだよね。運も「掴めないもの」だから。辛酸:「運を掴む」という言い方は、間違いなんですね。桜井:運を掴もうとしちゃダメです。そんなことをするから、向こうから逃げていっちゃう。掴めないけど、確かにある。そういう「掴めないもの」の存在を、いかに自分の中で大切に思うかというのが大事なんです。たまには空気を食べてみたらいいよ、吸うんじゃなくてね。太陽の光も、浴びるんじゃなくて、たまには食べてみたらいい。「掴めないけど、あるんだな。自然からいただいたものが、自分の力になってるな」って分かりますから。そういう人にはね、運も自然と寄ってくるんです。◇さくらい・しょういち20年間無敗、「雀鬼」の異名を誇る。現役引退後は、麻雀を通して人間力を鍛えることを目的とする「雀鬼会」を主宰。運や直勘をテーマに執筆活動も行う。桜井さんは「運」にまつわる著作も多数。『運を支配する』は、サイバーエージェントの藤田晋社長との共著。実は、ふたりは師弟関係だった!◇しんさん・なめこ友人たちから「薄幸そうに見える」と言われ、このペンネームに。幸せな女になるべく、トライ&エラーな日々を綴った『開運修行』『厄除開運人生』などの著書を持つ。※『anan』2015年7月22日号より。写真・KENTA AMINAKA(SESSION)取材、文・吉田大助
2015年07月15日