画像は(株)Smart119 提供「餅による窒息事故」、注意すべきポイントとは?年末年始は、「お餅を食べた後に詰まらせて急変した」と救急搬送される件数が多くなります。気道が詰まる「気道閉塞」を起こし、呼吸が苦しくなった後に意識を失う症状です。特に高齢者や子どもでは、咀嚼が十分でなく、飲み込んでしまう傾向があるため注意が必要です。今回、同社は救急集中治療医の見地から、気道閉塞の予防方法、また兆候がみられた時の対処方法を、親しみやすいマンガで解説しています。同資料は学校、企業、公共機関、町内会等で自由に配布・利用することが可能です。救急集中治療医・中田孝明氏による「年末年始に注意したい 餅による窒息事故」「喉に詰まった」「息が苦しい」と、食事のときに訴え、呼吸困難から意識を失うといった救急搬送事案が、年末年始の時期に多発します。東京消防庁では、過去5年間(平成28年〜令和2年)に、餅などによる気道閉塞で救急搬送されたのは453人、そのうち12月は60人、1月は164人と突出しており、その約9割が高齢者です。また生命の危険が切迫している状態である「重篤」と診断されるのは38.6%です。突出した急患者数の理由は、餅による「気道閉塞」です。咀嚼が十分でなく飲み込んでしまい、気道を詰まらせて窒息を引き起こします。前兆としては、咳き込む、苦しそうにしている、また「チョークサイン」という声を出せずに喉を掴む動作をすることがあります。顔色が悪い場合は窒息の兆候です。このようなときは、背中を強く叩く「背部殴打法」、また上腹部を手前上方へ強く突き上げる「腹部突き上げ法」で詰まったものを吐き出させて対処します。声が出ない、咳込みもない場合は救急車を呼びましょう。もっとも、食べ物を詰まらせないことが肝心です。餅は小さく切り、咀嚼しやすい大きさに調理する。食するときは、お茶や汁物など飲み、喉を潤してからにする。噛みしめながら食べるなど、周囲や本人が心がけましょう。餅は、粘り気がある食品です。焼くや煮るなど調理によって粘り気は強くなります。また口に残りやすく、さもすると咀嚼しないまま飲み込んでしまうことがあります。餅ばかりではなく、こんにゃく由来のゼリー、肉類なども「気道閉塞」を誘発し易い食材です。調理時、食する時には、注意を払いましょう。ゆっくりと噛みしめながら、料理の味わいを楽しむことが「気道閉塞」を予防する方法です。喉に詰まったときのサイン「チョークサイン」次のような症状があるときは、異物が喉に詰まった(気道閉塞)が疑われます。・咳込んだり、苦しそうにしている・声を出せず、喉をつかむ動作をする(チョークサイン)・顔色が悪い餅を詰まらせたときのポイント・声が出せず、咳込みもできない状況なら「窒息」と考え、異物除去を行います・周囲に人がいたら、119番要請、AEDの用意の依頼を!・119番要請を行ったら、待っている間に背部叩打法等を行います・意識を失ったり、呼吸が止まった場合には、背部叩打法等こだわらず胸骨圧迫に切り替えましょう背部叩打法※背中を強く叩いて、詰まった物を吐き出させる方法です1.患者さんの後ろに回って、利き手でない方の手で顎を支える2.もう一方の手の平の付け根で、左右の肩甲骨の間を力強く何度も叩く(※妊娠している女性も背部叩打法が優先)乳児への背部叩打法1.救助者の利き手でない方の腕に乳児をうつぶせに乗せて、手のひらで乳児の顎を支えつつ頭を身体よりも低く保つ2.もう一方の手にひらの付け根で、背中の真ん中を数回強く叩く腹部突き上げ法※相手の上腹部を手前上方に強く突き上げて、喉に詰まった餅を取り除く方法です1.相手の後ろに回り、両方の手を脇から通し、腹部に手を回します2.一方の手を握り、こぶしを作り、その親指側をヘソより少し上に当てます3.その握りこぶしをもう一方の手で握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げます餅を食べる時の豆知識・小さく切る、柔らかくする・お茶、水などの水分を摂りながら食べる・食べ物を丸のみしがちな3歳未満には食べさせない・取り出せないときに救助者が喉に手を突っ込むのは禁忌です。子どもの場合でも、指をかみちぎられる恐れがあります・子ども、高齢者が食べる際は、目を離さない「お餅」を食べるときは・口の中に残りやすく、窒息しやすい食べ物の一つです・楽しいお正月のはずが、窒息により事故になってしまうこともあるので、お餅を食べる時には注意を払いましょう◆解説者中田孝明株式会社Smart119 代表取締役千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 教授谷口昌志市立ひらかた病院小児科部長◆監修協力新井久美子(救急科専門医)横山達郎 (麻酔科/集中治療科専門医)◆印刷用資料ダウンロードリンク◆参考資料・厚生労働省・消費者庁・東京消防庁・日本医師会◆医療情報イラストレーション・シリーズ ホームページ(マイナビ子育て編集部)
2024年01月01日お雑煮にお汁粉、いそべ餅など、お餅を使った食事がおいしい時季ですが、お正月はお餅による窒息事故が目立ちます。高齢になると噛む力や飲み込む力が弱くなるため、お餅による窒息には注意が必要です。また、飲み込む力の低下は、誤嚥性肺炎を引き起こす場合もあります。年末年始に発生するお餅の事故や誤嚥性肺炎を防ぐために、誰でも無理なくできる体操を、介護予防トレーナーで健康づくりトレーナーの久野秀隆先生に教えてもらいました。高齢の方はもちろん、先を見据えて若い世代の方もぜひ実践してみてください。■食前10回の「パタカラ体操」でごはんもおいしく、誤嚥性肺炎も防ぐこのパタカラ体操のコツは、パ・タ・カ・ラの4文字を発音しながら行うこと。食事の前にそれぞれ10回程度行います。・「パ」は唇を鍛える「パ」と唇をしっかり閉じて発音することで、唇の筋肉を鍛えることができます。口をしっかり閉じることができるようになり、口から食べ物がこぼれにくくなります。・「タ」は舌を鍛える舌を上あごにくっつけて発音する「タ」。食べ物を押しつぶしたり飲み込んだりするときの筋肉を鍛えることができます。・「カ」は喉を鍛えて飲み込む力をつける「カ」はのどの奥を意識して発音します。食べ物を飲み込むときに、食べ物が気管に入らないように気管の入り口が閉まります。「カ」の動きは、のどの奥を閉じるために働く筋肉を使うため、誤嚥を防ぐことにつながります。・「ラ」は巻き舌で食べ物をまとめる力を鍛える「ラ」は舌を丸めるように発声するのがポイント。舌を丸める動きは、口に入れた食べ物を飲み込むときに必要です。舌を丸める筋肉を鍛えることで、舌を使って食べ物をのどの奥までスムーズに移動させることができます。■舌や喉を鍛えることで滑舌が良くなり声も若々しく今回紹介した「パタカラ体操」は、誰でもどこでも手軽に行うことができます。お餅を食べる前こそぜひ、試してもらいたい体操です。「マスクをした状態で口の中で完結する体操なので、外出先でも実践できます。お餅を食べるときは、食べやすいように小さく切り、体操をしてからゆっくりとよく噛んでいただきましょう」これらの口腔機能を鍛える体操は、お餅の窒息予防や誤嚥性肺炎の予防だけではなく、「声帯」を鍛えることにもつながるといいます。「年齢を重ねると、声にも衰えが出るものです。口や舌、のどの筋肉を日頃から鍛えておくと、声を若々しく保つことにつながります。40代や50代の方にとっては、お餅の窒息や誤嚥性肺炎は親世代に起こることで、ご自身にとってはまだまだ先のことだと思いがちです。しかし、早めに口腔機能を鍛えはじめることは、将来の事故やトラブルの予防になるうえ、若々しい声を作ることにもなります。無理なく、口腔機能を鍛える体操を始めていきましょう」【お話を伺ったのは】久野秀隆さん介護予防トレーナー、健康づくりトレーナー。スポーツクラブでのパーソナルトレーナーから2012年に介護予防分野に転身。現在は72市区町村にて講演会や市民向けの体操指導、病院・介護事業所の研修や機能訓練などの指導を担当。各地域の課題を分析、仲間作りを中心とした教室運営を得意とし、地域財産(通いの場・行き場)を増やすことを意識している。
2022年12月29日令和2年8月7日、東京都八王子市の私立幼稚園で、4歳の男児が給食で食べたぶどうを喉に詰まらせ死亡しました。東京消防庁によると、毎年約1,000人の乳幼児が窒息や誤飲により救急車で運ばれているそうです。今回は、食べ物による子どもの窒息を予防するための注意点や万が一のときの対処法についてお話しします。 ぶどうで窒息。経緯は?高尾署や八王子市によると、7日午後1時半ごろ、男児は給食で出された直径約3cmのぶどう「ピオーネ」を食べていたとのこと。男児が苦しそうな表情で急に立ち上がり、職員が吐き出させようとしましたが出てこず、119番。男児は搬送先の病院で間もなく死亡しました。男児の喉からは皮がむかれた状態の1粒が病院で見つかったそうです。 離乳食を卒業しても注意が必要!今回、死亡した男児は4歳。離乳食も卒業し、大人と近い食事も食べられるようになっているころ。とはいえ、まだまだ注意が必要な年齢です。食べ物を与える際には子どもの各時期の口の発達状況を把握しておきましょう。 ■5〜6カ月ごろ(離乳食初期)なめらかにすりつぶした状態の物を、唇を閉じてごっくんと飲み込める。 ■7〜8カ月ごろ(離乳食中期)舌でつぶせる固さの物を、舌と上あごですりつぶすようにして食べられるようになる。 ■9〜11カ月ごろ(離乳食後期)歯ぐきでつぶせる固さの物を舌で片側に寄せ、奥の歯ぐきで噛む動作ができるようになる。 ■1歳〜1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)歯ぐきで噛める固さの物を、前歯を使って噛み切ったり、奥歯で噛んだりするようになる。 ■1・2歳児ひと口で食べられる食べ物の量がわかるようになり、食べ物の固さや大きさに適した食べ方が身についてくる一方、歯の生え方や咀嚼力には個人差がある。 ■3・4・5歳児乳歯が生え揃い、食べ物の固さ・大きさ・粘度などに合わせてしっかり噛み砕いて食べることができる。 関連記事:意外と知らなかった! 月齢別赤ちゃんの口の発達と離乳食の進め方とコツ 誤嚥・窒息に繋がりやすい食べ物とは?厚生労働省が作成した「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」によると、特に誤嚥・窒息に繋がりやすい食材として以下のような物を挙げています。■弾力のあるもの:こんにゃく・きのこ・練り製品など■なめらかなもの:熟した柿やメロン、豆類など■球形のもの:プチトマト、乾いた豆類など■粘着性が高いもの:餅、白玉団子、ご飯など■硬いもの:かたまり肉、えび、いかなど■唾液を吸うもの:パン、ゆで卵、さつまいもなど■口の中でばらばらになりやすいもの:ブロッコリー、ひき肉など また、球形の場合は直径4.5cm以下、球形でないものは直径3.8cm以下の食べ物が危険であるとしており、今回男児の死亡の原因となったぶどうは、給食での使用を避ける食材の1つでした。 子どもに与える時期によって下処理が必要な食材もあります。下処理の方法も確認しておくと安心ですね。 【参考】「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」万が一のときはどうしたらいい?窒息は放置すれば死に至る危険な事故です。窒息時の対応を知っておくことで、いざという時慌てずに済むかもしれません。 1.まず人を呼ぶ。日頃ワンオペ育児をしている方にはむずかしいかもしれませんが、可能であれば大きな声で人を呼び、ただちに119番への連絡を依頼しましょう。 2.子どもの様子を確認する。窒息が疑われたとき、意識があるか、呼吸はしているか確認しましょう。1)意識がなく、呼吸もしていない場合心肺蘇生(気道確保・胸骨圧迫)をおこないます。※母子健康手帳に方法が記載されています。 2)意識がある場合(1)1歳未満背部叩打法と胸部突き上げ法を、異物が取れるか、反応がなくなるまで繰り返します。(2)1歳以上背部叩打法と腹部突き上げ法を、異物が取れるか、反応がなくなるまで繰り返します。 【背部叩打法】①乳児の場合はうつぶせにし、その下側に救護者の腕を通します。指で乳児の下あごを支えて軽く突き出し、上半身がやや低くなるような姿勢にします。1歳以上の場合は、救護者の膝や椅子の座面に上半身がやや低くなるような姿勢でうつ伏せにし、下あごを支えて軽く突き出します。②手の付け根で両側の肩甲骨の間を4~5回迅速にたたきます。 【胸部突き上げ法】1歳未満の場合は中指と薬指を、1歳以上の場合は手の付け根を、子どもの両乳頭を結ぶ線と胸骨が交差する部分より少し足側におき、胸骨圧迫の要領で4~5回圧迫します。 【腹部突き上げ法】子どもの背後から救護者の両腕を回して、片方の手を握りこぶしにし、子どものみぞおちの下にあてます。もう片方の手をその上にあてて、両手で腹部を上に圧迫します。 ※意識・呼吸がなくなったら、直ちに心肺蘇生を開始します。※異物が出たら、体を横向きにして経過を観察しましょう。 【参考】STOP!子どもの「窒息・誤飲」 東京消防庁 どんなに大人が注意していても、子どもは思いも寄らない行動をすることがあり、それが事故につながることも。今日は9月9日、「救急の日」でもあります。母子健康手帳には、子どもの事故防止や心肺蘇生に関する情報も記載されています。万が一のときに備えて、今一度内容を読み返したり、対応のシミュレーションをしておきましょう。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年09月09日2017年に米フロリダ州ペンサコーラで、9歳のデリカ・リンゼイちゃんが147kgの従姉妹の下敷きとなり窒息死した事件の裁判が14日に開廷した。被告人でデリカちゃんの従姉妹にあたるヴェロニカ・グリーン・ポージー(66)は15日、第一級重罪謀殺で有罪となり、終身刑が言い渡された。事件当時、デリカちゃんは養父母であるジェームズ・スミス、グレイス・スミスと暮らしていた。スミスはたびたび姪のポージーを呼び出し、躾と称してデリカちゃんを定規や金属のパイプで殴らせるなどの虐待を行っていた。ポージーがいない時も、養父母だけでデリカちゃんに暴力を加えていたという。ポージーは2017年10月14日、お仕置きとして147kgの巨体で9歳のデリカちゃんの上に腰を下ろした。「息ができない!」と叫ぶ声を無視して5分以上座り続け、立ち上がった時には既にデリカちゃんの意識はなかったという。ポージーは救急車を呼び、心肺蘇生を試みたものの、デリカちゃんが息を吹き返すことはなかった。地元メディア「ペンサコーラ・ニュース・ジャーナル」によると、検視ではデリカちゃんのお尻に幾重にも重なった傷が見つかり、日常的に暴力を受けていたことが証明されたという。ジェームズ・スミスは禁固10年が確定しており、グレイス・スミスの裁判はまだ結審していない。
2019年03月18日