三浦春馬主演のタイムリミットサスペンス「TWO WEEKS」の第3話が7月30日にオンエア。今回は三浦さん演じる結城が逃走中に出会った倍賞美津子演じる女性とのやりとりに「素敵すぎる」など感動の声が続々と上がっている。身に覚えのない殺人の罪を着せられ、娘・はなの骨髄ドナーとなるために逃亡する主人公・結城大地を三浦さんが演じ、過去に結城が関わった事件で父親を亡くした新人検事の月島楓役で芳根京子。結城の元交際相手ではなの母親・青柳すみれ役で比嘉愛未。すみれの婚約者で結城を追う刑事・有馬海忠役で三浦貴大。結城に罪を着せた悪徳実業家・柴崎要役で高嶋政伸。楓を影でサポートする国会議員・久我早穂子役で黒木瞳が共演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。雑木林に追い詰められた結城の前に姿を現した灰谷は、結城を助けるのかと思いきや、いきなりナイフで襲いかかってくる。灰谷は柴崎が送り込んだ殺し屋で結城からデジカメを奪うのが目的だった。すんでのところで灰谷を振り切った結城はとある民家に逃げ込むが、その民家の住人・義江に逃走犯だとバレてしまい、彼女を縛り上げる。だがその後、義江が心臓の発作を起こすと「いやなんだよ。目の前で人が死ぬかもしれないのに、何もできないのは」と、危険を冒して救急病院へ連れていく。そんな結城の行動に彼の無実を信じる義江…。今回義江役で出演したのが『影武者』『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』など数々の作品で知られる倍賞さん。三浦さんと倍賞さんのやりとりに「倍賞さんとのシーン、最高」「倍賞美津子さんリアルおばあちゃんすぎる。これが女優魂」「倍賞さんにしか出来ない役」「倍賞さんの包み込むような優しいお芝居が素敵すぎる」と感動の声を上げる視聴者が続出。「倍賞美津子はこれで終わりってことないよね」と“再登場”を願う声も。その後、義江の息子のスーツと蓄えを借りて結城はデジカメを持っているサトルと、2人が育った施設で落ち合おうとするが、そこにも灰谷の魔の手が。そして施設から脱出しようとする結城と有馬がついに鉢合わせする…というラストで3話は締めくくられた。今回も追い詰められてはなんとか脱出、そしてまた追い詰められてと…ギリギリの逃走を続ける結城に「ドキドキの展開だった。無事に逃げ切って欲しい」「無事に逃げて~!来週、気になる」など、視聴者からの声援多数だ。ますます目が離せなくなった「TWO WEEKS」は毎週火曜21時~フジテレビ系で放送中。(笠緒)
2019年07月30日息子からの私へのクレーム『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。あるとき、息子がパニックを起こし自傷しました。腕にはひどい歯型がついていました。原因は私の対応の仕方でした。息子はとても耳がいいです。よく電車の走る音を聞いて「○○電車の○○系、各駅停車だ」とあてられる子がいますが、息子はトイレに流れる水の音を聞いて、型番を言いあてることができます。ただ、耳がよすぎるためか聴覚の過敏があり、耐えられない音は徹底的にダメなのです。ちなみに、今NGな音は“食器洗い洗浄機”と“人の咳”です。私が風邪をひくと…私が風邪を引くと、当然咳が出ます。そんなとき「お母さん、大丈夫?」という私の体調を思いやった態度をとることはありません。なぜなら、咳の音が息子にとっては耐え難いものだからです。だから、ものすご~く嫌な顔をします。そして、インフルエンザに罹ったときも、病気の私に向かって…「うるさい!」「あっち行け!」「出て行け!」「何月何日に治るのか?」というひどい言いっぷり。私は、体調も悪かったせいで、つい…「病気の人になんてこと言うの!」「どうしてお母さんに優しくできないの!」と言い返してしまいました。さらに「そんな酷いことばかり言うんだったら、お母さんは出て行くからね!」「咳をする人と一緒にいられないんだったら、一人暮らししたら?」とまで言ってしまいました(私も言い過ぎですね)。ただでさえ咳の音でイライラしているところに不安まであおってしまったようで、ワーワー泣き叫びながら自分の腕を噛みつき自傷。壁やドアを蹴り、パソコンのマウスを投げ、早々、ふて寝してしまいました。接客のプロの仕事ぶりを思い浮かべる次に風邪をひいたときは、別の対応ができました。そしてこのとき、息子はパニックになりませんでした。私「咳の音が嫌なんだね。すごく辛いよね。お母さんも咳をすると苦しいから辛いんだ。早く治すように頑張るから、もう少し我慢してね」私はこのとき、ホテルやお店の人たちの、お客さまへの対応を思い浮かべていました。息子からの要求が無理難題、理不尽なことに思えても…、「まず相手の立場に立って共感すること」。そのうえで、できない事は丁寧に説明すること。神対応ができる接客のプロは、この「共感」と「説明」ができています。頭から否定したり非難したりするのではなく、まず最初に「もし、私がお客様の立場だったら同じように感じると思います」の気持ちを示すか示さないかで、相手が抱く感情はまったく変わってくるからです。ホテルのフロント対応に学ぶ例えば、夜、突然ホテルにやってきて「宿泊したい」と言ってきたお客さんがいたとします。当日の飛び込み客ですので、例えば会社の緊急事態で遠くからやってきた人かもしれません。乗ろうと思っていた電車が突然の運休になってしまったのかもしれません。きっと何かどうしようもない事情があるはずです。そんな心理状態のとき、フロントで「本日は満室でございます」とそっけなく言われたらどう感じるでしょうか。でも、「せっかく、お越し下さったのに本当に申し訳ございません。あいにく今日は満室でお部屋をお取りすることができないのです」と言い、途方に暮れた客が語る”ホテルに飛び込んだ事情”に耳を傾け、「今回はあいにくお部屋が空いておらずお泊りいただくことができませんでしたが、またぜひお越しください」と伝え、併設のラウンジのコーヒーを振る舞うなどしたら、相手の気持ちはまったく違ってくるでしょう。スーパーで、子どもがこんなことをしていたら…?Upload By 立石美津子以前、スーパーの売り物の精肉のパックを触っている子に、頭ごなしに「コラ!」「ダメ!」「いい加減にしなさい!」と親御さんが怒っている場面に出あいました。この叱り方だと子どもは「コラ!ダメ!」に条件反射するだけで、また保護者がいなければ同じことを繰り返すかもしれません。では、子ども自身が納得して触らないようになるためにはどうしたらいいのでしょう…。こんなときでもまず共感です。商品に触りそうになる手をパッと止めつつ…「お肉のパックって、プニョプニョしていて触りたくなるよね。」そして説得です。「でも、これはまだお金を払っていないからあなたのものではないの。あなただって誰かが触った指跡のついたお肉は食べたくないよね。だから、売り物は見ているだけにしようね。」わが子からの無理難題に、ガミガミ対応してはお互いにツラくなる…。そんなときは、共感・説明を心に対応できれば、子どもこちらの話に耳を傾けられ、お互いに詰まらず暮らせるのではないかなと思います。
2019年07月01日「はじめて履いた靴」へのこだわり『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。どんなにかわいいわが子であっても、子育てには苦労はつきもの。自閉症など障害のある子の子育ては、その特性からさらに大変なことが多くあります。その一つがこだわりに付き合うことではないでしょうか。Upload By 立石美津子「僕が歩き始めたとき、人生で最初にお母さんが買ってくれた僕の靴。それは10㎝のベージュ色の可愛い靴でした」何だか歌の歌詞のようですが、そんな淡く美しいものではありませんでした。「これが靴という物だ」と本人は思ったのでしょう。それを履くことが心地よくなります。そこまではOKでした。ところが、毎日これを履いていることで次第にパターン化し、「このデザイン以外の物は僕は受けつけません!」となってしまい、こだわりが誕生しました。息子が、1歳のときのことです。まさか、はじめて買ってやった靴にここまでこだわることになるとは…買った当時は想像もしていませんでした。10.5㎝に。足が少し大きくなったけれど…Upload By 立石美津子しばらくの間、10㎝の靴を履かせていましたが、成長と共にきつくなってきました。そこで全く同じ色、デザインの10.5㎝の靴を買ってやりました。ここで私が違うデザインのものを与えていたら、結果は違っていたのかもしれませんが…たまたま私が同じ靴を続けて買ってしまったことで完全にパターン化し、「この靴でなければならない」となってしまいました。11㎝の靴を求めて子どもの足はドンドン大きくなります。10.5㎝の靴も次第にきつくなりました。そこで、同じ店に買いにいったところ、同じデザインのものはありましたが、11㎝の青色の靴しかありませんでした。それを買い、家に帰って履かせようとしたところ断固拒否、火のついたように泣き叫びました。翌日のお出かけのとき、ベージュの靴を見せて「これはもうきつくなったから、今日からははかないの。青いこっちの靴よ」と言い聞かせましたが通じず、暴れて履いてくれません。仕方なくきついベージュの靴を履かせたら機嫌が直り、きつい靴を履いて出かけました。私はメーカーに問い合わせし、他の靴屋に行き、サイズ違いの11㎝、11.5㎝、12㎝の同じデザインのベージュの色を買い置きしました。生産終了!さあ、どうするところが、息子の足がさらに大きくなり、12㎝ではきつくなりました。メーカーに問い合わせると、すでに生産は終了したとのこと。仕方なく、少しでもデザインが似ている色もベージュの物を買いました。ところが、前と同じく断固拒否!でも、私が頑張ってもないものはなく、その靴を用意することはできません。息子がどんなに暴れても、自傷しても、どうしてやることもできません…。お気に入りの靴はきつくなってしまっているので、息子はかかと部分を潰し、サンダルのような履き方をするしかなくなってしまいました。ゴミ箱に捨てた!?でも、これではやはり歩きづらかったのでしょう。ある日、ふと台所の生ゴミ用のゴミ箱を開けてみたら…そこに“ベージュの12㎝のこだわりの靴”が捨ててありました。私が捨てたのでもなく、本人に「捨てなさい」と命じたわけでもありません。自分で納得して、捨てたのです。「ああ、自分で自分をやっと納得させたんだな」と思いました。捨てた場所は「生ゴミ」のゴミ箱でしたが、それをとがめることはせず、「履けなくなったから、辛いけど自分で捨てたんだね」と褒めました。どんなデザインの靴でも受け入れられるようにこのことがあってからは、靴に関しては足が大きくなって違うデザインになっても、受け入れてくれるようになりました。今、振り返ってみると、洋服については衣替えのときは苦労したものの、それ以外は「ボタンが付いているものはダメ」というくらいで「この服でなければ着ない」というこだわりはなく、与えたものをすんなり着ていました。私は、息子の靴へのこだわりにばかりスポットを当ててしまい、必要以上に悩んでいたのかもしれません。あれだけこだわっていた息子自身、成長する中で折り合いをつけ、どんな靴でも履けるようになりました。子どもが幼いころには周りが“本人のこだわり”に応じてやり「お母さんは僕の嫌がることはしない」「自分に心地よいことを周りが認めてくれる」「大人は自分を守ってくれる人間である」このように安全基地を脅かさないことで、幼いころ、安心できる日が続くと大きくなったとき、我慢もできるようになるのだと、今は思っています。Upload By 立石美津子27.5㎝の靴を見てUpload By 立石美津子どんな靴でも履けるようになった今…「僕が歩き始めたとき、人生で最初にお母さんが買ってくれた僕の靴。それは10㎝のベージュ色の可愛い靴でした」ようやく、はじめての靴は懐かしい思い出となりました。現在、18歳の息子の足のサイズは27.5㎝。大人の男の、少しすっぱい臭いがする靴が玄関に並んでいます。
2019年06月18日自閉症の息子ができることを増やしたい『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。息子が特別支援学校高等部3年生だった時のこと。私はリンゴの皮むきをしていて、ふとこんなことを思いました。「親である私がいつまでも切ってやるのでは、息子の自立を阻んでしまうのではないか?将来グループホームに入るにしても、これくらいは1人でできるようにならないと困るだろう。」そう考えだすと、居ても立ってもいられなくなり…。私は、息子にリンゴの皮むきの練習をさせることにしました。リンゴの皮むき、どうしたらできるようになる?リンゴの皮むきを練習させるにあたり、私にはひとつ心配事がありました。それは、「息子が練習の途中で上手くできず、私がダメ出ししたなら、パニックになってしまうだろう」ということです。それはそうですよね。できない課題を与えられて、一生懸命に取り組んでいるのにダメ出しされてしまうのでは、人間誰しも心が折れてしまうと思います。「今度は失敗しないように頑張ろう!」という前向きな気持ちには、なかなかなれないでしょう。そこで私は、いきなり高い目標を掲げるのではなく、スモールステップで成功体験を積みながら次の課題へと進んでいけるよう工夫してみました。わが家で実践したリンゴの皮むきの練習法Upload By 立石美津子「〇月になったらリンゴの皮むきを練習しよう」と、1ヶ月前から予告しました。わが家の場合、息子は学校生活最後の高等部3年生でしたので、「就労の実習も始まるし、だんだんと大人に近づいてきているから、リンゴの皮むきを練習しよう」というように話をしました。まず、リンゴを半分に切る練習をしました。リンゴが大きすぎたり形がいびつだったりするとうまく切れないので、同じ種類で、なるべく切りやすそうな形のものを買ってくるなど、準備にも気を配りました。ここでのゴールは、とにかく「2つに切る」ということだけです。大きさがバラバラに切れてしまったりしても何も言わず、ただ切れたことだけをオーバーに褒める。そして翌日からは「昨日よりも上手く切れたね!」と褒めちぎることを心がけました。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子半分に切ったものを更に半分に切って、4分の1にする練習をしました。 この時も「昨日よりも上手に切れているね!」と褒めるようにしました。Upload By 立石美津子4分の1にした後、両端の芯を切り落とす練習をしました。Upload By 立石美津子芯を切り取る練習をしました。一気に進めないで、あくまでも「少しずつ次のことに取り組む」のがポイントです。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子ここでいよいよ、最終ゴールである「皮をむく」に挑戦しました。Upload By 立石美津子分厚く切っても、逆に実が薄くなってしまっても、決してダメ出しはしません。そして「昨日よりも上手にできたね」とだけ言うようにしました。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子こうしてスモールステップを積み重ねていくことで、無事にリンゴの皮をむけるようになりました。ひとつひとつのステップにじっくり取り組み、5週間という時間をかけましたが、おかげで息子は失敗してもパニックになることなく、リンゴの皮むきができるようになったのです。Upload By 立石美津子スモールステップを積み重ねる方法は、さまざまな場面で有効今回リンゴの皮むきを練習させる際に意識したのは、この3つのポイントです。1. あくまでもスモールステップを積み重ねる。前の週にやらせたことを必ず新しい練習の中に組み込み、「前より上手になったね」と褒めることを忘れない。2. 連続して毎日取り組む。3. 失敗したとしても、本人のがんばりを決して否定しない。今回わが家ではリンゴの皮むきの練習をしましたが、この方法はさまざまな場面で活用することができると思います。私は昔、特別支援学校教諭免許を取るための実習で、「シャツの5個のボタンをとめる練習」を特別支援学校の生徒と行ったことがあります。実はこのときも、1週間ごとに課題を増やすやり方をしていたのです。具体的には次のような手順で練習をしていました。Upload By 立石美津子●1週間目1番下のボダンだけ自分でとめます。1番上のボタンは首元にあるため、自分の目で確かめながらとめるのが難しく、下のボタンから練習をする方がやりやすいのです。●2週間目下から2番目までを自分でとめます。●3週間目下から3番目までを自分でとめます。●4週間目下から4番目までを自分でとめます。●5週間目5個のボタン全部を自分でとめます。もっと小さな子どもの場合、すべり台の練習をする時にもこの方法を試してみたらどうでしょう。子どもがすべり台を怖がっている時、いきなり上まで登らせてしまうとこわくなってしまうかもしれませんから。●1週間目親はすべり台の横に立ち、下から3分の1くらいのところに子どもを座らせる。そこから、親が脇を持ってあげてすべらせる。●2週間目同じ要領で、今度は下からちょうど半分くらいのところから、親が脇を持ってあげてすべらせる。●3週間目同じ要領で、今度は上から、親が脇を持ってあげてすべらせる。●4週間目上から親と一緒にすべる。●5週間目1人ですべる。時間がかかってもいい。急がば回れ!息子がリンゴを切れるようになるのに1か月以上かかりましたが、これだけ時間をかけたからこそできるようになったのだと思います。最初から完璧にやらせようとしすぎてダメ出しをし、親子喧嘩になるということも避けられました。良かった良かった!まさに「急がば回れ」です。今では、リンゴの皮むきは完全に息子に任せていて、私よりも上手にむけるようになりました。「自分は果物をむける」ということが自信になったようで、柿や梨をむく係も率先してやってくれます。私も「できてあたり前」だと思わず、「ありがとう、今日もうまくむけているね」の言葉を忘れないようにしています。
2019年04月05日もうすぐ入学式。4月から小学生になる年長組のお子さんも、心待ちにしているのではないでしょうか。一方のお母さんはいかがでしょう。小学校で我が子があせらず授業が受けられるように、入学前までに身につけるべきこと・やってはいけないことの中から、学習面について子育て本の著者であり講演家の立石美津子さんにうかがいました。お話をうかがったのは…立石美津子(たていし・みつこ)さん聖心女子大卒。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後、20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。『一人でできる子が育つテキトー母さんのすすめ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など著書多数。『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデルでもある。オフィシャルブログ ■入学前にやっておくといい学習その1:まずは5分間、机に向かう―― 前回 は、入学前までに身につけておくべき日常習慣についてお話でうかがいました。2回目となる今回は、学習面についてお聞かせください。立石美津子さん(以下、立石さん):まずお母さん方に質問です。「お子さんは45分間、イスに座っていられますか?」保育園・幼稚園がのびのび方針の自由保育で、紙芝居の時間も園庭で遊ぶことを許されていたり、家庭でイスに座る習慣がなかったら…今から意識したほうがいいかもしれませんね。小学校に上がったら、朝8時から下校時刻の午後2時頃まで、45分刻みの授業が始まります。これまでイスにじっと座っている経験が少なかったお子さんの場合、これは結構キツイことだと思います。集中して先生の話を聞けるようになるためにも、今から家庭で机に向かう習慣をつけてください。家庭学習の目安は、「10分×学年」と言われています。1年生なら10分、2年生なら20分、3年生は30分が机に向かう時間の目安です。まだ入学前ですので、まずは5分間机に向かってみてはいかがでしょう。机に向かう習慣がつけば、今後、学校で出される宿題も机に向かって抵抗なくできるようになります。余談になりますが、私は仕事で保育園・幼稚園を訪れる機会が多く、毎年3月になると年長組のお子さんたちに「小学校に早く行きたい人は?」と質問します。すると、みんな一斉に「は〜い」と手をあげます。続けて「何をしに学校に行くの?」とたずねると、「お勉強しに行くの〜」と元気よく答えが返ってきます。つまりみんな、早く学校に行って勉強したいと思っているんですね。言いかえれば、いまが勉強を始めるベストなタイミングなのです。「勉強は学校に行ってから」なんて思わないで、1日5分、食卓でもよいので絵を描く、絵本をながめるなどの習慣をつけてみましょう。■入学前にやっておくといい学習その2:日常生活に「数字」を取り入れる>――卒園後、小学校の入学式までは数日間ありますので、こうした習慣をつけるのにはぴったりの時期ですね。ちなみに、入学前にある程度、勉強を始めておいた方がよいのでしょうか?立石さん:ひとつ言えるのが、人は知っているからこそ集中できる、ということ。大人でもほとんど知識のない外国の歴史の授業を外国語で受けてもチンプンカンプンですよね。「早く授業終わらないかなあ…」と退屈してしまいますよね。逆に、知識のある授業、興味のある授業だったら熱心に先生の話を聞きます。子どもも同じです。事実、私も以前、小学校低学年の子どもたちの指導をしていましたが、算数の授業を楽しんでいるのは、算数が得意な子。国語の場合も同様でした。せっかく期待を胸に入学した小学校なのに、授業が始まったら「自分だけできない…」と劣等感を持ってしまっては可哀想です。そういった意味でも、文字や数の体験は、ある程度あったほうが子どものためにもよいでしょう。――そうなんですね! でも入学式まであと少し。これから知識をたたき込むには時間が足りない気がします。立石さん:よく計算ドリルを必死にやらせている親御さんがいますが、計算ができても体験がないと算数の力にはなりません。普段の生活で数にどれだけ触れてきたか、“経験”が重要になってくるのです。――具体的には、どんな経験が必要なのですか?立石さん:例えばここにラムネが5粒あったとします。「きょうだいで分けて食べてね」と言えば、どちらか3個、どちらかが2個になります。子どもの側からしたら、同じ数にならず不公平に感じるかもしれませんが、じつはこれ、奇数・偶数の概念を体験しているんです。「5÷2=2あまり1」の算数の勉強をしていることにもつながります。買い物に行ってお金の概念を学ぶ。体重計に乗って「○グラム増えたね〜」なんて会話もいいでしょう。いくら計算問題を早く解けても、こうした経験がない子は、文章問題になるとつまづいてしまうことがよくあります。日常の会話を通して数を学ぶのですから、忙しいお母さんでも意識すればいつでもできるはずです。ドリルを購入する前に、我が子に実体験をどんどん積ませましょう。■入学前にやっておくといい学習その3:まずは「文字を読む」ことから始めましょう――確かに、私たちの身の回りには数があふれていますね。視点を変えれば、いくらでも算数の勉強ができそうです。では、学習の基本である読み書きはいかがでしょうか。立石さん:できれば入学するまでに、ひらがなに触れる経験を積ませておきましょう。保育園・幼稚園と違い、小学校の下駄箱には子どもの名前が貼ってあります。入学式当日、教室には「にゅうがくおめでとう」のお祝いの文字も書いてあります。入学前の事前説明会ではとくに「勉強しておくように」とは言われなかったかもしれませんが、実際にはクラスの約8割の子どもが文字の読み書きができる状態で入学してくるようです。そのため、授業も大多数に合わせて読み書きできるのを前提で進んでいきます。――読み書きが苦手な子には、まず何をさせるべきでしょうか?立石さん:いきなり文字を書く練習をする必要はありません。まずは読めるようになりましょう。というのも読めない文字をわからないまま書いているのは、絵を写しているのと同じだから。“書く”ために“読む”経験をたくさん積むように。絵本や商店街の看板、チラシ、身の回りにある文字を親子で読む。ゲーム感覚で楽しむのもよいでしょう。また、ある程度読めるようになり、書くことに興味を持ち始めたら、鉛筆の正しい持ち方や文字の正しい書き方(筆順)を家庭で教えてあげてください。小学校でも教えてくれますが、一人ひとりをていねいに指導するには限度があります。学校にすべてをお任せするのではなく、家庭でフォローする心持ちが、子どもの勉強意欲にもつながります。ピカピカのランドセルに新しい筆箱。待ちに待った学校生活を充実させるためには、ある程度の素地を作っておく必要があるのですね。親子で楽しみながら、さっそく日常生活で実践してみてはいかがでしょう。最終回となる 第3回 では、「ママパパやお子さんに必要な心構えについて」についてうかがいました。取材・文/長谷部美佐
2019年03月29日3月26日(火)に発達ナビが「子育てフェスタ」を開催します!Upload By 発達ナビ編集部3周年を迎えたLITALICO発達ナビは、ユーザーの皆さまの「リアルで交流できる場がほしい」という声にお応えし、2019年3月26日(火)に初のユーザー参加の大型イベント「LITALICO発達ナビ子育てフェスタ2019」を東京都大田区で開催します!テーマは「子どもの将来」。お子さまの将来を前向きに考えられる1日になるような企画をご用意しました。■子どもの発達やその支援についての理解や知識を分かりやすく得られる「講演会」■発達ナビユーザーにぴったりの商品・サービスを提供する企業・団体の「ブース」■子育てに役立つさまざまな「ワークショップ」など内容盛りだくさん!お子さまと楽しめるコンテンツもあります。今回は、イベント情報のお知らせコラム第2弾!「講演会」「ブース」「ワークショップ」それぞれの内容の一部と、各ワークショップの事前予約についてご案内します!「講演会」子どもの発達やその支援についての理解や知識を分かりやすく得よう!発達ナビが行う講演会は、発達が気になるお子さまを育てる保護者の皆さんが知りたいテーマを掘り下げ、分かりやすい解説を専門家から聞ける機会だとご好評をいただいています。これまでも多くの方々にお申込みいただいてきました。子育てフェスタの講演会は3部構成となります。今回は第1部の基調講演についてご紹介します。基調講演は、鳥取大学大学院教授の井上雅彦先生が登壇。発達が気になる子どもの学級選びや進級・進学、家庭での関わり方、思春期のケアやきょうだい児の関わりといった、学童期の子どもの保護者の方々が抱える悩みについて、井上先生のこれまでの研究や相談・支援の事例を交えながらお話いただきます。子どもの将来に向けて、いま保護者としてできることは何なのか。具体的なアドバイスや考え方のヒントが得られる基調講演となります。ご期待ください!講師:井上雅彦先生鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/応用行動分析学自閉症支援士エキスパートUpload By 発達ナビ編集部「ブース」発達ナビユーザーにぴったりの商品・サービスを提供する企業が出展ブースエリアでは、発達が気になるお子さまと、その保護者にとって嬉しい商品・サービスの展示や販売を行います。前回ご紹介していないブースをご紹介します!・ハグされているような感覚で不眠解消「チェーンブランケット」(ラーゴム)発達障害があるお子さまの中には、「寝つきが悪い」など不眠に悩む方が多くいると言われています。「チェーンブランケット」は、眠る際に「重さ」を感じさせたり、「体をぎゅっと抱きしめるような圧力」をかけることで、不安感が不眠につながっている人に、効果があると言われています。ブースでは、実際にベッドに横になってお試しいただけます!参考:発達障害がある子の不眠、寝具で解消!? 体と心に「ぴったり」寄り添うチェーンブランケットを紹介!・発達ナビユーザーにぴったりの書籍を販売!(スペース96)発達障害に関する書籍や、子育てフェスタ登壇者の著書、子育てコミックなど、発達ナビユーザーの関心が高い書籍を取り揃え、即売します。気になる書籍を手に取り、中身をチェックしてから購入することができます。参考:スペース96・米国発の集中トレーニングソフトを体験!(ニューロネット・ジャパン)アメリカで開発された最新のトレーニングソフト「NeuroTracker(ニューロトラッカー)」を体験できるブースです。ニューロトラッカーは、視覚訓練によって、神経回路を活性化する集中力トレーニングです。3Dメガネをかけて、パソコンの画面内を動き回る8つのボールを追いかけるゲームを通して、集中力のトレーニングをすることができます。年齢、発達障害の有無を問わず利用可能なソフトですが、アメリカやカナダではADHDのある子どもの注意集中力の発達をサポートする目的からも実験・実証が進められています。参考: カナダケベック州の学校に通う生徒を対象に、ニューロトラッカーの利用による 集中力の改善効果を測った実証研究「ワークショップ」子育てに役立つ企画をご用意ワークショップエリアでは、アットホームな雰囲気でさまざまなテーマのワークショップを行います。お子さま連れ向けの内容から、保護者にとって子育ての学びになる内容まで、いろいろなワークショップを準備しています。事前予約のご案内をさせていただくために、すべてのワークショップの詳細をご紹介します!Upload By 発達ナビ編集部・ASD知覚体験ワークショップ自閉スペクトラム症(ASD)の特徴の一つとして、知覚過敏や知覚鈍麻といった非定型な知覚があることが分かっています。ASD当事者の方がどのように世界を見て、どのような困難を感じているか理解を深めることができる「ASD知覚体験ワークショップ」。VR装置を用いてASD当事者の知覚パターンを疑似体験することができます。Upload By 発達ナビ編集部※15歳未満の方は体験できませんが、近くに座ってお待ちいただくことができます。その場合、お子さまが楽しく過ごせるように、お気に入りのおもちゃや、音の出ないゲームなどご持参ください参考:自閉スペクトラム症の知覚をVRで疑似体験・すららの勉強ペアレントトレーニング「うちの子は何度言っても勉強しない…」と悩む保護者向けに、勉強ペアレントトレーニングを行います。ペアレントトレーニングとは、保護者が子どもとの関わり方を学びながら子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けプログラムです。無学年式教材で知られる株式会社すららネットが、”勉強”におけるペアレントトレーニングをご提供します。Upload By 発達ナビ編集部※本ワークショップは、お子さまのほめ方などについてお話しする保護者さま向けセミナーとなります。年齢問わずお子さま連れでのご参加はご遠慮しております。参考:すららの勉強ペアトレ・療育アロマを使ったワークショップ[C]アロマでリラックスして遊ぼう睡眠障害、情緒の不安定、感覚過敏(鈍麻)などによる困難の改善方法の一つとして、アロマテラピーが役立つと言われています。触覚過敏で砂遊びやねんど遊びを嫌がる子どもも、アロマオイルをねんどに混ぜると、いい香りによって緊張が緩和され、触れられるようになることが多いそうです!※お子さま向けのワークショップです。必ず保護者も同席ください。(お子さま複数に対して、保護者1名の参加で問題ございません。)[D]アロマの香りを楽しみながら、参加者同士でハンドマッサージ体験療育アロマを開発した先生によるアロマオイルのセミナーを実施します。tobiracoのアロマオイルを使い、アロマテラピーの効用やハンドマッサージのやり方を体験しながら学べます。お子さまや、参加する保護者同士でマッサージしあって、リラックスタイムに。※親子参加・大人のみ参加、どちらも可能ですUpload By 発達ナビ編集部※11:00~12:00の時間帯は、アロマねんどで自由に遊ぶことができますが、必ず保護者同伴でお願いいたします(託児サービスではありません)※[C]は、必ず保護者も同席してください。一人につき1枚ずつご予約ください※[D]は、親子参加、大人のみ参加、どちらも可能です。一人につき1枚ずつご予約ください参考:トビラコの療育アロマ | トビラコ・発達が気になるお子さまの「親なきあとのお金」セミナー保護者が子どもの日常生活のサポートをすることができなくなった後も、子どもが一人で暮らしていくためにはお金が必要です。今からできる備えとは?について、「障害のある子の家族が知っておきたい『親なきあと』」の著者・渡部伸先生と、三菱UFJ信託銀行トラストファイナンシャルプランナー小谷亨一氏による「親なきあとのお金」セミナーを提供します。Upload By 発達ナビ編集部※座席が必要なお子さまもいらっしゃる場合は、お子さまのチケットもご予約ください。その場合、お子さまが楽しく過ごせるように、音の出ないおもちゃや絵本、こぼれにくいおやつなどご持参ください参考:親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?行政書士・渡部伸先生×立石美津子さん対談【前編】・発達が気になる小中学生の進路・進級と、教育資金セミナーお子さまとご家族が「自分らしい人生」を歩んでいくために、「福祉」と「ファイナンス」両方の専門家として、ライフプランニングをサポートする株式会社LITALICOライフによるセミナーです。当日は、小学校とその先の進路の選択肢やそれぞれの特徴、今から備えておくべき教育資金について分かりやすくご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部※座席が必要なお子さまもいらっしゃる場合は、お子さまのチケットもご予約ください。また、大人向けのセミナーになっておりますので、お子さまが楽しく過ごしていられるよう、音の出ないおもちゃや絵本、こぼれにくいおやつなどをご持参ください参考:LITALICOライフ・出張カンドゥー「カンドゥー」はモデルや警察官、パイロットをはじめ、30種類以上の仕事が体験できるテーマパーク。今回のフェスタでご体験いただくのは「魔法使い」のお仕事です!魔法使いになって「ねるねるねるね」の色の変化や、膨らむ仕組みを研究・実験します。あなただけの「ねるねるねるね」をつくってみましょう。※「卵」「乳成分」にアレルギーがある場合、お子さまご本人は召し上がらず、保護者さまに召し上がっていただくか、参加をお断りしております。予めご了承ください。くわしくは事前予約ページに記載いたしますUpload By 発達ナビ編集部※お子さまのチケットのみご予約ください(託児サービスではございません。保護者さまには近くでお子さまの様子を見ていただきますようお願いいたします。)参考:カンドゥーワークショップ事前予約のご案内当日大勢の方が参加されるため、皆さまが希望のワークショップに参加ができるよう、事前予約をお願いしています。ワークショップは全て無料、事前予約制です。当日参加枠はキャンセル等が出て空きがある場合のみとなりますので、お目当てのワークショップはお早めにお申し込みください。※ワークショップの事前予約フォームは、本イベントのチケット購入者のみにご案内します。ワークショップへの参加を希望される場合は、「LITALICO発達ナビ子育てフェスタ」のチケットをご購入くださいチケット購入時に登録したメールアドレスに予約ページとパスワードをお送りします。チケットを購入した方が、同行者の分もご予約ください。今回のフェスタでは、チケットご購入者お一人につき(お子さまチケット含む)1~2回のワークショップに無料で事前予約できます。先着順になりますので、お早めにお申し込みください。<初回予約期間:3月8日(金)19:00~3月11日(月)24:00>予約ページから希望するワークショップにお申し込みください。ワークショップの予約対象が大人か子どもかなど、条件をご確認の上、必要な枚数をお申し込みください。また購入したフェスタのチケット枚数以上のお申し込みは無効になりますのでご注意ください。※先着順となっているため、アクセスいただいた際に予約可能なワークショップのチケットのみ表示されます<追加予約期間:3月15日(金)19:00~3月18日(月)24:00>空きがあるワークショップに、参加者1人につき1枚まで予約チケットを申し込めます。購入したフェスタのチケット枚数以上のお申し込みは無効になりますのでご注意ください。※初回予約時に別のワークショップを予約した方は、空きがあれば2つ目のワークショップを予約できます。その場合、1回目の予約済みチケットと時間の重複がないように、細心の注意をお願いします。※初回予約期間と追加予約期間では、予約ページが異なります。都度、期間開始に合わせてメールでご案内いたします。開催概要/お申込みUpload By 発達ナビ編集部【日程】2019年3月26日(火)10:00~17:00【対象】発達の気になるお子さまの保護者(お子さま連れOK)【定員】300名程度【会場】大田区産業プラザPiO(京急蒲田駅より徒歩3分)東京都大田区南蒲田1-20-20大田区産業プラザPiO【参加費】通常チケット:1,500円※中学生以下のお子さま無料【企画協力】朝日新聞withnews朝日新聞withnews
2019年03月05日特別支援教育のくふうを取り入れると、どんな子どもにもわかりやすくなる『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。「特別支援教育は、発達に課題や凸凹がある子だけが受ける特別な指導」であると、一般的には思われているかもしれません。でも、私はそうではないと考えています。私は30年間、幼児や小学生を指導する現場で仕事をしていました。そこでさまざまな子どもたちと接してきました。また、自閉症のある息子は小学校入学時から特別支援教育を受けてきました。そしてその中で、できることが増えていったことを実感しています。その経験から、どんな子どもにも有効なくふうが、特別支援教育の中にはあるのではないかと感じています。そこで、「子どもが大人の話に集中できる環境づくり」「子どもを飽きさせないための“演技力”」「子どもに指示を出す時のくふう」の3つの観点から、特別支援教育のさまざまな場面での有効性を具体的にご紹介します。子どもが大人の話に集中できる環境づくり例えば、狭い喫茶店にいる時、隣の席に座る見知らぬ人の会話が丸聞こえ…ということがあります。でも、目の前の友人と話を始めたとたん、隣の席での会話は不思議と気にならなくなりますよね。私たちには、自分に向けられている声の主の言葉を「選択的に拾おう」とする脳のシステムがあるようです。ところが、これが難しく、自分に関係のない音がドンドン入ってきてしまうという特性がある子どももいます。例えば、教室で窓際の席に座っていると、校庭で行われている体育の授業での号令が聞こえてきてしまい、気になって仕方がありません。でもこれは、気になる程度は違っても、障害がない子どもにだって同じことが言えるのではないでしょうか。私は保育園の中でひらがなを指導する仕事をしていました。授業中、隣のクラスから音楽や歌い声が聞こえてくると、字の練習をしながら歌を歌う子がちらほらいました。こんな時は指導者側が「隣のクラスが静かな学習をしている時は、歌ではなく絵画制作をする」などのくふうをする必要があると感じました。このことは、家庭生活にも応用することができます。例えば子どもに何かを伝えたい時、兄弟姉妹が遊んでいる声やテレビの音が耳に入ってくると、子どもは集中して話を聞くことができません。こういう時は、テレビを消して物音がしないところに行き、子どもが話だけに集中できる環境を用意するとよいでしょう。聴覚だけでなく、視覚にも同じことが言えます。視界に関係のない情報が入ってくると、子どもは「今はどれを見なくてはならないのか?」と迷ってしまいます。例えば、これは小学校1年生に算数を教える時に使ったホワイトボードの画像です。どちらが集中できますか?Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子後者ですよね。「ホワイトボードを見ましょう」と言われても、そこに関係ないたくさんの情報があると、子どもたちは意識して「今、見るべきもの」を探さなくてはなりません。ADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向がある子どもは、さまざまな刺激に影響されやすいという特性があります。関係ない情報がたくさんある中から、必要な情報を選び取ることが難しいので、「ここを見ましょう」と言われても、全く違う場所を見てしまうこともあります。でも、障害の有無に関わらず、子どもは低年齢であるほど、興味があること以外には集中が続かないものです。教室の壁面や黒板いっぱいに飾りつけをしている学校・幼稚園がありますが、その中で何かを指示しても、子どもは選択的に見るべきものを探せないかもしれないので、くふうが必要です。必要のないものはかくし、必要なものだけにして見せる。シンプルであることが大切です。この考え方も、家庭生活に応用することができます。机の上に物が散乱していたり、部屋に子どもの好きな玩具が散らかっていたりする中で、何かを伝えようとしても、子どもは話に集中することが難しいかもしれません。そういう時は、普段は使っていない(ものが少ない)部屋に連れて行くなどして、気が散らない環境をつくったうえで子どもに話をするほうが話に集中してもらえるでしょう。子どもを飽きさせないための“演技力”幼稚園・保育園時代は、保育者がピアノを弾いて歌を歌ってくれたり、手遊びをしてくれたりします。けれども、小学校ではそういう訳にはいきません。1クラス35名程度の大勢の子どもたちを集中させるには、内容そのものよりも、教師の声の出し方や身体の動き、小道具の使い方などがポイント。ここで「飽きさせないくふう」が必要になります。どんなに良い内容の授業をしていても、モゴモゴ話していたり、話し方にリズムテンポがなかったりすると、集中の続かない幼い子どもにはうまく伝わりません。それでも子どもたちは「授業中45分間はじっとしていなくてはならない」とがんばるのですが、だんだん集中が切れて、よそ見をしたりモゾモゾ動き出したりします。こういう時は、子どもたちに「真面目に授業を受けなさい」と言うよりも、まずは教師側に「退屈させないくふう」が必要だと思います。「発達障害がある子どもは扱いにくい」と言われることもありますが、私はむしろ「こういう子どもたちを集中させることができる教師は、指導力や技量もきっと高いのだろう」と感じます。これも、家庭で取り入れることが可能です。言葉の内容だけで言うことを聞かせようとするのではなく、声のトーン、スピード、テンポにも気を配る。服装も、エプロンを外したり、きちんとした格好をするなど、「いつもと違う」という雰囲気を出すと、子どもは「ああ、聞かねばならない」と察するのです。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子子どもに指示を出す時のくふう「早くしなさい」「きちんとしなさい」日常生活の中でこうした言葉を発する場面は少なくありませんが、この曖昧な言い方も、もっとわかりやすく変えることができます。例えば大人だって、病院が混雑している時に「もう少しお待ちください」と言われても、10分なのか30分なのかもわからず、すごく待たされている気持ちになってしまいます。でも「診察まで待ち時間あと20分」と言われたら、見通しが立ってわかりやすいので、待つことができます。まだ人生経験が浅い子どもには、漠然とした言い方では伝わりません。「早くしなさい」と言うよりも、具体的にいつどんな行動をするのか写真で示すと伝わりやすくなります。自然と時計も読めるようになり、親に「早く、早く」と急かされなくても自主的に行動するようになるのです。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子部屋が散らかる原因のひとつは、物の指定席が決まっていないことにあります。片づけをしていない子に「ちゃんと片づけなさい」と言うのではなく、入れてほしいおもちゃの指定席の写真を貼って「同じように入れてね」と伝える方が、どの子にとっても断然わかりやすいと思います。これは、ある保育園でされていた道具箱のくふう。中身が整理整頓された状態の写真を、箱の裏に貼ってあります。保育士がいちいち指示をしなくても、子どもたちが自分で写真を見て整理整頓できるようくふうされています。このように見える化すると、やるべきことがわかりやすくなり、子どもは自分で考えて行動することができるようになります。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子どんな子どもにもわかりやすく、伝わりやすいくふうを「住みやすい社会を作るためには、社会的立場の弱い人に話をきくのが一番確実」だとよく言われますが、私も子どもや障害がある人が安心して暮らせる社会は、どんな人にとっても快適で、安心して暮らすことができると思います。特別支援教育の中で使われる方法には、さまざまなくふうが織り込まれています。それは、障害がある子どもだけでなく、どんな子どもにとってもわかりやすいものです。幼児教育に携わり、また障害がある子どもを育てる中で、その実感は確かなものになっていきました。ぜひどんな子どもに対しても、活用してみてください。
2019年03月02日スパルタ特訓時代『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。わが子がしゃべらない…、言葉が少ない…、変な言葉遣いをすると、周りの子が上手にしゃべっているのを見て焦ったり、比べてしまったり。つい「言葉」だけにスポットを当ててしまい、「わが子の言葉を増やそう!」と必死になってしまうのではないでしょうか?かつての私もそうでした。でも、言葉を増やそうとすればするほど、やたら“オウム返し”が増えるだけでした。母「これは葉っぱよ、葉っぱ」子「これは葉っぱよ。葉っぱ」母(怖い顔になり)「そうじゃなくて、葉っぱ!」子「そうじゃなくて、葉っぱ」母(更に怖い顔になり)「葉っぱ!」子「葉っぱ」母は「やっとできるようになった」とホッとします。しかし!この訓練により、オウム返しが定着してしまい…。母「お名前はなんですか」子「お名前はなんですか」母「お名前はなんですか。立石勇太でしょ!」子「お名前はなんですか。立石勇太」(質問者の言葉までセットで言ってしまう)となってしまい、ガッカリ。そんな経験ありませんか?母「お名前を教えてください」子「…(無言)」という風に、質問の仕方を少し変えるだけで、途端に固まってこともあります。以前、息子とタクシーに乗ったときのことです。運転手さんに、「僕のお名前は?」と聞かれた息子は、「山田太郎※」とタクシーの運転手のネームプレートを読み上げました。オウム返しが減ってからも、会話がなかなか噛み合いません。※ここでは仮名にしています言葉を話す意味よく考えてみると、言葉って単語が増えるだけではダメで、「相手と関わりたい」という強い動機があって発達していくもの。電車の型番、国の名称、リンゴの銘柄を「王林、ジョナゴール、シナノスイート、世界一、富士…」と唱えていても…「ママ、今日は電車に乗ってお出かけしたい」とか「「お母さん、このリンゴ美味しそうだね。買って~買って~」とはなかなか言ってくれないものです。英語だって英単語を山ほど知っていても、「外国人と話したい」という動機がなければ、英会話は上達はしません。これと少し似ているのではないかと思います。息子がしゃべりはじめたきっかけUpload By 立石美津子息子が5歳、うどん屋に行ったときのことです。私と息子は、うどん屋さんで昼食をとっていました。そのとき、あと一本、うどんの切れ端が残っている器を、店員さんが下げようとしました。息子は”まだ、この一本を食べたいのだ!器を下げないでくれ!”という状況に追い込まれました。そして「まだ、食べる!」と叫んだのです。店員さんは慌てて器を戻しました。この経験をきっかけに「要求を叶えるためには言葉という便利なものがあるんだ」と理解したのか、徐々に、例えば「カレーライス食べたい」としゃべるようになってきました。オウム返しでも、心がこもっているUpload By 立石美津子オウムに「おはよう」と声をかけると「おはよう」と答えてくれます。でも、そこに心はこもっていないでしょう。人間が「おはよう」と言っても、オウムは「おはよう。今日の予定は?」「昨晩は良く眠れた?」と言う風には反応はしてくれないので、会話が続きません。息子は現在、18歳。今でもオウム返しをします。母「行ってらっしゃい」と見送ると息子「行ってらっしゃい」と元気に手を振りながら玄関から出ていきます。でもオウムとの決定的な違いは、言葉はオウム返しでも心がこもっていることです。オウム返しの「行ってらっしゃい」でも、ちゃんと意思表明してくれます。そこに心があるのが感じられます。こんな息子を毎朝、笑顔で「行ってらっしゃい~」と見送っている、親バカな私です。親が望む言葉に囚われないで私の身近に18歳になっても言葉がない子がいます。その子は自閉症ではありません。でも、その身振り手振り、表情でしっかりコミュニケーションが取れる子です。「これも言葉の一つなんだな」と感じています。ある自閉症のお子さんは、いつもは“要求語”しか発しないのに、先日はじめて、美しい満月を見あげながら「つき…」と言ったそうです。満月をきれいだと思った感性や、それを伝えようとしたこと(共感)を感じて、お母さんはすごくうれしかったそうです。息子は、要求があるときはたくさんしゃべりますが、会話のやりとりを続けることはまだなかなか難しい状況です。でも、あまり「言葉!言葉!」と焦らないで、その人にとってのそれぞれの言葉、親として見守ってやりたいと思っています。日本語って、難しい?息子のオウム返しがのり移ってしまい、息子が帰宅した時、つい私のほうから母「ただいま」と声をかけてしまい…息子「ただいま」オウム返しを予測して、息子が言うべき言葉を私が先回りして言ってしまうことも多く、なかなか学習できない息子です。でも、よく考えると「おはよう」「おはよう」「こんにちは」「こんにちは」「おやすみなさい」「おやすみなさい」なのに、「行ってらっしゃい」と言われたときは「行ってきます」、「おかえり」と言われたときは「ただいま」と、置かれた状況により言い回しを変えなくてはならない日本語って、実はすごーーーーーーーく難しいのかもしれませんね。2018年9月10日、医師・松永正訓氏が立石親子を取材、書き上げた新刊が発売に。発達障害がある子と母の、幼児期から今までに渡る育児について綴られています。
2019年02月07日この春、お子さんが小学校入学を控えている親御さんのなかには、小さな心配事をいくつも抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。登下校や給食、トイレ、授業態度、宿題……うちの子、大丈夫かな?と、数え上げればキリがないくらいいくつもの不安が押し寄せてきますよね。また、先輩ママからは「今はクラスのほとんどの子が、入学前にひらがなをマスターしてるよ!」と言われたかと思えば、入学説明会では先生から「ひらがなや数は入学後に教えるので、今から勉強しなくても大丈夫ですよ」と言われるなど、一体どこまでできていれば大丈夫なの!?と混乱しているかもしれませんね。学校や地域によって多少ばらつきはありますが、入学後にお子さんが困らないために、「本当に身につけなければならないこと」があります。今回は、お子さんが無事に楽しい小学校生活がスタートできるように、入学前にできておいた方がいいことをまとめました。「ひらがな」「時計」は基本。「時間を意識する」ところまで発展させよう!幼稚園や保育園とは違って、小学校では一人ひとりに先生が細かくフォローしてくれることはあまりありません。もちろん勉強面やお友だちとの付き合い方などは指導してくれますが、基本的な生活習慣や、学校生活をスムーズに送るための基本的な知識は、入学前に家庭で身につけておくのが一般的です。とくに「ひらがなで書かれた自分の名前を読むことができる」「時計を見て行動できる」この2つはぜひ入学前に身につけておきましょう。「うちの子、まだ時計が読めない!」と焦ることはありません。以前ご紹介した記事で時計の数え方を詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。(小学校1~3年生の算数「時間と時刻」につながる【レベル別 時計の数え方】)ただし、時計が読めるようになったとしても、そこで終わりではありません。できれば、「時計が読めること」から一歩進んで「時間(時計)を意識する生活」を送る練習ができるとなおいいでしょう。『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)の著者・立石美津子さんは、「幼稚園・保育園では、「次は○○をするよ」と、その都度細かい指示を出してくれました。しかし小学校では、時計を見て次の時間割を確認したり、休み時間にトイレに行くタイミングを考えたりと、子ども自身が時計を見ながら行動する必要があります」と述べています。そのためにも、お子さんとの普段の会話を少し工夫して、日常生活の中で意識的に時間を強調してみるといいですね。「早くしなさい!」と言うだけでは、子どもは時間の感覚がつかめないまま「言われたからやる」という状態に陥ってしまいます。自分で時計を見て時間を逆算したり、あと○分でこれをやる、と計画性をもって行動できるように、アナログ時計を見せながら次のような声かけをしてみましょう。□「早く起きなさい!」→「おはよう。ほら、時計見て、もう7時だから起きようね」□「早く食べちゃいなさい!」→「学校へ行く準備があるから、7時30分までには食べ終えてね」□「早く準備しなさい!」→「あと10分で8時よ。それまでに着替えようね」このように、会話の中で「○時○分までに」「あと○分で○時だよ」という時間表現を入れることで、子どもは意識的に時計を見るようになります。すると自然に「時計を見て行動する」ことが習慣づいて、入学後はスムーズに学校生活を送ることができるでしょう。45分間じっと座って集中できる?小学校の授業は1コマ45分なので、この時間は集中できなければなりません。ただし、入学したての子どもはほとんどがソワソワして落ち着きがないもの。先生もそのことがわかっているので、最初のうちは子どもたちの興味を引きつける工夫をしたり、途中で声を出して話し合う時間を作ったりと、45分の中でメリハリをつけて飽きさせないようにするはずです。その後、学校生活にも慣れてしばらくしたら、多くの生徒に落ち着きが出てきて、45分間集中を保てるようになっていきます。しかし、いつになってもぼーっとして頭の中で別のことを考えたり、周りのお友だちにちょっかいを出したりする子もいます。子どもの身体についての研究を行っている日本体育大学教授の野井真吾氏は、「座っているとき、背もたれに寄りかかったり、頰づえをついたりしてぐにゃぐにゃになる子が最近増えている」といいます。授業に集中できない理由として、次のふたつの原因が考えらます。ひとつは「前頭葉の発達が未熟である」こと。そしてもうひとつは、「セロトニン神経の弱化」です。前頭葉機能の発達が未熟であると、物事に集中することも気持ちを抑えることもうまくできないといいます。そのため、授業中も集中を維持できず、いつもそわそわとしていて落ち着きがなくなってしまうのです。また、良い姿勢を保つために重要な役割を果たす「セロトニン神経」の活性が低下していることも、集中力を欠く原因になっていると言われています。セロトニンは、日中に太陽光を浴びることで増加します。昼間に体内で作られたセロトニンをもとに、夜にはメラトニンという体温を下げて眠りを誘うホルモンが生成されます。夜になってもコンビニや塾、テレビやゲームなどにより必要以上に明るい光刺激を受けることで、メラトニンの分泌が抑えられてしまい、体内リズムが狂い、よく眠れない、朝起きられないといった現象が起きているのです。(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|授業に集中できない小学生「前頭葉」と「セロトニン」がカギ)つまり、外遊びをしないことで良い姿勢を保つために重要な神経が十分に機能せず、体内リズムが乱れて睡眠不足になり、結果的に授業に集中できない状態になってしまうのです。日中はできるだけ外遊びをして、早寝早起きなど規則正しい生活を心がけるようにすると、授業に集中する体勢を整えることにつながるでしょう。整理整頓、持ち物の管理は自分で!ライフオーガナイザーの鈴木尚子さんは、「入学前の春休みまでには、子どもが自分で持ち物を管理できる環境づくりを整える必要があります」と述べます。小学校は幼稚園や保育園に比べて、自分で管理しなければならないものが格段に増えます。それなのに、おもちゃや絵本がいっぱいで勉強道具を収納するスペースがない!ランドセル置き場が確保できない!となると、子ども自身も整理整頓の習慣が身につきません。入学前の春休みは、学校に行く準備がしやすい環境を整えてあげて、少しずつ整理整頓を身につけさせるチャンスです。また、片付けの習慣を身につけることで思わぬ相乗効果も期待できるそう。モノの管理は、勉強、生活、仕事の基本です。それが身につくと、頭の中の管理までできるようになってくるので、時間の管理やコミュニケーション(対人関係)の管理にまでつながってきます。(引用元:Milly|【小1の壁 対策】来春の新一年生ママが今からすべきこと「新生活は早めのキッズスペース作りでスムーズに!」)「見えるものが管理できなければ、見えないものは管理できません」と鈴木さん。さまざまな管理の基礎を築き上げる最初のステップとして、小学校入学は絶好のタイミングなのです。まずは、親御さんと一緒に整理と収納について考えます。「机の一番上の引き出しにはよく使うものを入れよう」など、子ども自身が使うときに取り出しやすく、片付けるときにしまいやすい方法を見つけましょう。また、何年生でどれくらい必要なものが増えるのか、先輩ママにリサーチするのもいいでしょう。お習字道具、ピアニカ、リコーダー、彫刻刀など、学年によって持ち物が増えていきます。コツは「パンパンに詰め込むのではなく、空間に余裕をつくる」こと。つねに「八分目」を目指すことで、何か新しいことに取り組むときに必要なものを追加しやすくなります。入学前のこの時期、これから先の楽しい6年間を想像しながら、ぜひ親子で一緒に部屋と心を整える有意義な時間を過ごしてください。ほかにも「保護者の名前、電話番号、だいたいの住所(町名)を言うことができる」「学校までの道順がわかる」「和式トイレで用を足せる」などがあります。今はまだ完璧ではなくても、できるようになると親も子どもも安心して学校生活が送れることばかりなので、早い段階から積極的に身につけさせるといいですね。***■入学前にぜひ読みたい!『小学生になったら図鑑』(ポプラ社)入学準備から小学校生活まで、楽しくなる366のコツとヒントが満載です。この1冊があれば入学準備はバッチリ!(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|小学校1~3年生の算数「時間と時刻」につながる【レベル別 時計の数え方】立石美津子(2014),『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』,日本実業出版社.ベネッセ 教育情報サイト|授業に集中できない小学生「前頭葉」と「セロトニン」がカギMilly|【小1の壁 対策】来春の新一年生ママが今からすべきこと「新生活は早めのキッズスペース作りでスムーズに!」
2019年01月25日3〜5歳くらいは「なぜなぜ期」とも言われるように、子ども自身に疑問が溢れ出てくる時期。空はなぜ青いのか、悲しくなるとどうして涙が出るのか、ダンゴムシが丸くなるのはなぜか……。大人が簡単には答えられないような質問を、次から次へと投げかけてくる子も多いはず。また、そんな「質問攻撃」にやれやれ、と疲れを感じてしまう親御さんもいることでしょう。しかし、この質問こそが多方面への好奇心の表れであり、順調に知能が発達している証拠なんだそう。半分は親との受け答えを楽しんでいるだけとも捉えられますが、実はこの“なぜなぜ期”、子どもが“勉強好き”“理科好き”に育つチャンスなのです。「これなあに?」から「なぜ?どうして?」へ「これなあに?」に対して「◯◯だよ」と答えるだけでよかった2〜3歳の頃に比べ、3〜4歳になると質問も多様化。ことばと文字が頭の中で一致し、覚えたことばを上手に使えるようになる時期だからこそ、探究心が溢れ出てくるようです。子どもというのは元来、強い探究心を持っています。これは人間がまだ野生動物だった頃の名残なのです。野生動物は生まれた瞬間に、過酷な自然環境の中に急に投げ出されます。その瞬間に周囲から様々な情報を入手して分析し行動しなければ、たちまち天敵の餌食になってしまいます。そのため動物には、先天的に強い探究心が備わっているのです。幼い子どもが何にでも興味を示し、「なぜ?」「なに?」と訊いてくるのはそのためです。それを上手に育んでいけば、あとは勝手に「理科が得意の子」に育っていきます。(引用元:All About|理科のできる子に育てる低学年からの学習法)いろいろな科目の中でも、答えを導き出すにあたり、数値を使って計算したり、いろいろな作業をしたりしないといけない問題が多いのが理科。ひょんな「なぜ?」をきっかけに、答えを見つけ出すための姿勢が身についていけば、理科がきっと楽しいものと感じられるようになるはずです。子どもの好奇心を肯定し同じ目線に立つでは、「なぜ?」と聞かれたらどう答えるのがベストなのでしょうか。子どものためには、なんでもすぐに答えられるのが立派な大人、という認識は捨ててしまいましょう。すぐ答えが与えられることが習慣になっていると、子どもは「ママに聞けばなんでも答えがわかる」と頼り切ってしまい、自分で考える力が伸びないのだそうです。(引用元:曽田照子(2013) ,『ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』,学研パブリッシング.)子どもから科学的な質問をされたとき、知的探究心を伸ばすポイントをまとめてみました。【1.質問を肯定する】まず「よくそこに気づいたね!」と疑問に思ったこと自体を肯定してあげましょう。ただし調子を合わせて形式的にそう言っても、子どもには見抜かれてしまいます。「どうして寒いと体が震えるの?」と聞かれたら、たとえ当たり前だ、そういうものだ、と思っていても、本気で考えてみるのです。大人が何気なく理解しているつもりになっていることも実はよくわかっていなかったりするもので、たしかに不思議がいっぱいです。【2.すぐに答えず、一緒に疑問を持つ】質問にすぐ答えられてしまった子どもは、考えることの面白さを実感することができません。また、答がすぐに導き出せない問題は投げ出してしまう、根気のない子に育ってしまう可能性も否定できません。もしも答えがわかっていたとしても「どうしてなんだろうね」と寄り添い、自ら答えを探し始めるように促してあげましょう。【3.わからなかったらネットや図鑑に頼ってOK】親たるもの、なんでも答えられなくては!と威厳を保とうとする必要はありません。知ったかぶりは最もNG。親の役割は、知識を与えることではなく勉強の仕方や調べ方を伝えること。ネットや図鑑の力を借りながら、子どもが理解できるよう、かみくだいて説明してあげましょう。するといずれ、子ども自らが疑問解決のために勉強する姿勢が見られるはずです。なぜ?に対する「NGワード」「NG行動」逆に、質問に対してNGなのは、以下のような受け答え。いずれもせっかくの好奇心・探究心を、根元からスッパリ切り落としてしまうような残念な答え方です。×「そんなこと知らなくていいのよ。」×「そういうものなの!」×「そんなの◯◯に決まってるじゃない」このほかにも「またあとでね」とその場をやり過ごした場合は、実際にあとになっても何もしないでいると子どももがっかり。信頼を失いかねません。もちろん、手が空いてから改めてこどもの質問に向き合うのであればOKです。また、子どもの質問は無邪気なものでつい笑ってしまいたくなることもありますが、一笑に付すのもNG。子どもは大人が思っている以上にナイーブ。一度笑われてしまうと恥ずかしさや恐怖心を覚え、質問できなくなってしまう場合もあります。幼い子の場合は、質問自体がうまく説明できず、何を言っているのかわかりにくい時も。そんなときは「なにがききたいのかわからないよ」と切り捨てるのではなく、やさしく寄り添って質問内容を引き出してあげましょう。実際の観察や体験を通して説明を本や図鑑で調べるのももちろんよいですが、「百聞は一見に如かず」。勉強の楽しさを知っている子は、机の上以外のあらゆる場所から学びのチャンスを得ています。本来、何かを学ぶことは心をウキウキさせ、楽しいものです。「勉強」感覚が希薄な幼児期にこそ、その「楽しさ」を体感させることが大切なのです。(引用元:祖川泰治(2015) ,『IQがみるみる伸びる0歳から6歳までの遊び方・育て方』,廣済堂出版.)わからないなら机に向かって調べましょう!ばかりではなく、体感することで理解につながれば、親も子も学びの楽しさを実感できるはず。「なぜ?」をきっかけにして、近所の図書館や川や公園へ出かけたり。また、答えを見つけられそうな動物園や博物館、キャンプや登山などを週末に計画すれば、親子一緒にワクワクできますね。***子どもの疑問に寄り添いたいのはやまやまだけれども、毎日忙しくそんなに余裕はない、という親御さんも多いことでしょう。ならば、ときには「◯年生になったら学校で教えてもらえるよ」と未来へ希望をもたせてみたり、「お母さんもわからないから、◯◯くんが大きくなったら勉強して教えてくれる?」とお願いしてみたり。夏休みの自由研究のテーマにしよう、と提案し、疑問を忘れないようにメモしておくのもいいですね。その時はわからなくても、ほかのことを勉強していくうちに知識と知識が結びつき、「なんだ、そういうことか!」と心から納得できる時が来ることもあるはずです。親が真摯に向き合うべきなのは、質問自体ではなく、こどもの“好奇心”の方。「なぜ?」は勉強の楽しさを知るワクワクの芽。大事に育てていけるといいですね。文/酒井絢子(参考)ベネッセ教育情報サイト|「なんで?」と言われても、「間違っているから違う」としか言えません[中学受験]AERA dot.|「9歳のころがカギ」 自分の子どもを「理系」にする方法gooニュース|子どもの 「なぜなぜ攻撃」に、正確な知識で答えるのはNG!?All About|カンタン! 子どもの知的好奇心を引き出す方法All About|理科のできる子に育てる低学年からの学習法All About|これからの教育キーワードは「没頭力」汐見稔幸・高濱正伸対談祖川泰治(2015) ,『IQがみるみる伸びる0歳から6歳までの遊び方・育て方』,廣済堂出版.キャシー・ウォラード(2012) ,『なぜ?どうして?身のまわりの疑問、まるわかり大事典』,飛鳥新社.立石美津子(2014) ,『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』,日本実業出版社.曽田照子(2013) ,『ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』,学研パブリッシング.
2019年01月17日発達障害がある子どもと家族がつむぐ物語を聴き、記したい知的障害のある自閉症児の成長記録を書くことは長年の私の願いでした。私はこれまでに、先天性染色体異常によって短命という運命にある障害児の記録や、自宅で人工呼吸器を付けている子の記録を書いてきました。もちろん、障害の重さに「軽重」などありません。それぞれのご家庭が大変な思いを抱えています。ただ、知的障害児には体が元気であるという特徴があります。私のクリニックにも何人もの知的障害児が来ます。その子たちは、クリニック中を走りまくったり、大きな声を上げたりで、母親の神経は休まらないように見えます。社会との接点が多く、そのたびに衝突をくり返す知的障害のある子の親には、寝たきりの重症児を持つ親とはまた違った種類の苦労があるのだろうと私は以前から思っていました。さらに自閉症という障害は、社会的な障害と言えます。他者とのコミュニケーションが難しかったり、強いこだわりのために社会の中で大きなトラブルを抱えたりするからです。Upload By 松永 正訓私は、知的障害のある自閉症児がどういう生活をしているのか、具体的に知りたいと思っていました。そんな時に出会ったのが、立石美津子さんです。立石さんは幼児教育に関する著者・講演家です。そして知的障害のある自閉症の息子さんをシングルマザーとして18年育てています(取材・執筆時は17歳)。以下、立石さんのことを母と、お子さんの名前を勇太君(仮名)と書きます。私は、聞き書きという形で母から見た勇太君との17年を、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(中央公論新社)という本にまとめました。本稿ではこの本を書いたことで、私自身が学んだことを書いてみたいと思います。我が子を、ありのまま受け止めるまで予測をしていたこととは言え、母は我が子の障害を簡単には受け入れませんでした。こどものこころ診療部の専門医に、2歳の勇太君のことを「知的障害を伴う自閉症」と診断された時、母は医師に対して強い怒りの気持ちを向けます。そして同時に我が子に対して「こんな子は要らない」と拒否感すら持ちます。母は自分の親から英才教育を受けて育ったため、勇太君にも英才教育を施していました。勉強ができて、いい学校に行って、いい会社に入って、いい家庭を築くことは、母にとっての夢だったのです。しかしこの夢はよく考えてみれば、私たちの誰もが心の中に抱く夢です。そういう意味では「普通」の夢です。「普通」であることを否定されそうになった母は、医師の診断を誤診だと考え、ドクターショッピングに走ります。5つのクリニックや病院を回った末に、母は自閉症という診断を認めざるを得なくなります。しかし、だからと言って勇太君の未来を諦めてしまうわけではありません。2つの施設に通って療育を受けるのです。けれども、勇太君を「普通」の子にすることはできませんでした。療育の成果はありましたが、勇太君はあくまでも知的障害を伴う自閉症児なのです。保育園に通う勇太君はみんなと同じ行動が取れません。一列に並んで同じ格好をして歌を歌う子どもたちと離れ、勇太君は一人で絵本を眺めています。その姿を見て、母は絶望的な気持ちになります。この気持ちから母はなかなか抜け出すことができず、抗うつ剤を服用することになります。ではなぜ、母は我が子の障害を受容できたのでしょうか?それは偶然ある日、精神科病院の鉄格子の向こうに小学生くらいの子どもが佇んでいるのを窓の外から見てしまうからです。その病院は、適切な育児を受けなかったためにストレスが昂じ、うつ病や統合失調症を併発してしまった自閉症児が入院していることで知られていました。母は見知らぬ少年の姿を見て、ようやく我が子が「普通」に生きていくことを諦めるのです。子どもではなく、親自身が変わる障害児を授かる親の心理的変遷を分析した専門家の報告は多数ありますが、ある学者は、障害児の誕生を親にとっての「期待した子どもの死」と見なしています。死の受容というのは、決して簡単なことではありません。最終段階の受容とは「諦め」であると言えるでしょう。しかしながら、障害児を育てるためには「諦め」の先があるはずです。つまり「障害を生きる」という人生が待っているのです。このためには、今まで持っていた古い価値観を捨てて、新しい価値基準を構築し、我が子に対して「あなたは、あなたのままでいい」と承認する必要があります。この作業は、まさに「普通」であることの呪縛を断ち切り、世間並みという横並びの生き方と決別し、我が子にとって最も幸せな生き方を理解し、寄り添い、伴走することが重要になります。障害を持った子どもを変えようとしてはいけない。それは無理なことです。親自身が変わらなくてはいけないのです。「普通」という条件付きの愛から、無条件の愛へ私は聞き書きを進めるうちに、知的障害のある自閉症児を受容し育てるということには、健常児の子育てにつながる課題があることが見えて来ました。私の知人のお子さんの中には、いじめに遭って登校拒否になった子、病気によって友人との関係が作れず高校を中退した子、両親の不仲から問題行動に走った子など、難しい生き方をしている子が多数います。いえ、そこまで深刻でなくても、勉強が苦手だとか、親友ができないとか、進学や就活に失敗したとか、生きづらさを抱えている子どもはいくらでもいます。そうした時に私たちが考えることは、せめて世間並みという「普通」の基準から滑り落ちないことではないでしょうか?しかし「普通」にいくらしがみついても、そこから脱落し、違った道を歩まざるを得ないのも、また人生ではないでしょうか?「普通」ではない人生。それってそんなに惨めなものでしょうか?「普通」でなくても、親から見れば我が子は何物にも替え難い唯一無二の存在です。親が我が子に対し、「この世には、あなたと同じ人はいない」と気付いた時に、「普通」でなくてもその生き方でいいのだと肯定することができます。Upload By 松永 正訓最初は「こんな子は要らない」と勇太君を拒否した母は、今では勇太君を溺愛しています。なぜ変わったのでしょうか?それは我が子を愛するのに最初は「条件」が付いていたからです。可愛い子、頭のいい子、人より優れた子、そういう子どもが欲しかった。つまり条件付きの愛だったのです。しかしその愛はやがて「無条件の愛」に変わっていきます。人は育てる中で、初めて親になっていくのです。親は自分の子どもをありのまま愛する能力を少しずつ育てていけるのだと私は思います。本書を最後まで読んで頂くと、母には勇太君の未来に関して明確な目標を持っていることが分かります。それはグループホームを作ることです。これは夢ではありません。勇太君が幸せに人生を歩んでいくために、成し遂げなければいけない目標なのです。目標を設定して生きるその道のりは、決して容易ではないかもしれませんが、生きがいのある充実したものではないでしょうか?学び多き、多様な社会障害児がやがて大人になって、最終的に就労するとか、税金を納めるとか、それはどちらでもいいことだと私は個人的に思っています。障害の程度に応じて働けばいいのであって、呼吸器の付いた寝たきりの子には労働は不可能です。けれども、障害児が生きることで、いや、ただ存在することだけで私たちは多くの学びと気づきを得ることができます。私たちの社会には、色々な人がいます。ああいう人、こういう人、ああいう人生、こういう人生。それぞれにカラーがあり、全体として豊かな色を作り上げています。そうした多様な社会にこそ学びがあります。単一な社会から得るものは何もありません。そうした多様性の大事さに多くの人が気付きながらも、その重要性は本当の意味で今の社会にまだ根付いていないように見えます。障害児が生きやすい社会になっていくためには、もう少しだけ時間が必要な気がします。立石さん親子の生きる姿は、そうした閉塞感に風穴を開ける一陣の風になる可能性があると私は感じました。この世の中で最も弱い人たちを守ることで、私たちは幸せになれるのではないでしょうか。簡単なことではないかもしれませんが、私たちの意識が少しずつ変わっていけば、そういう社会が来るかもしれません。そうなることを信じてみようと私は思っています。2018年9月10日、医師・松永正訓氏が立石さん親子を取材、書き上げたルポルタージュが発刊。発達障害がある子と母の、幼児期から今までに渡る育児について綴られています。松永クリニック小児科・小児外科立石美津子さんのページ
2018年11月09日『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションの題材となった立石美津子です。「子どもが不器用であること」を心配しすぎて、「子どもの将来のために家でも練習させなくては!」とつい一生懸命になってしまうことがあります。療育を辞書で引くと「障害をもつ子どもが社会的に自立することを目的として行われる医療と保育」と出てきます。障害者だって社会で生きていかなくてはならないのですから、本人が暮らしやすいように練習するのが本来の療育の姿だと思うのですが、「〇〇できるようになってほしい」とこちら側の思いばかりが強くなり、療育の目的がズレてきてしまっている人もいると思うんです。私自身が、そうでした。完璧主義者だった私私の性格は完璧主義。一生懸命で努力家でした。療育施設に通わせていたころは、「週1回通っているときだけ訓練するんじゃダメ。効果を上げるためには家庭でも同じことをしなくては!」と考えていました。例えば、療育施設ではハサミを使う、折り紙を切る・折る、縄跳び、自転車などさまざまな訓練がありました。ピアノのレッスンなどの習い事と同じで、週1回施設で練習したからって身につくものではありません。熱心で真面目な私が思っていたのは「毎日の積み重ねが大事」ということでした。ですから「おうちでも体験させてあげてくださいね」と、療育の先生が軽く言った言葉を重く受け止めました。Upload By 立石美津子息子は5歳だった当時、手先が不器用でハサミを使えませんでした。そこで私が考えたのがこれ。おやつを封筒に入れてハサミで切らせる練習です。ハサミを使えなければ、おやつを口にできないしくみです。当時は「グッドアイデア~。毎日の生活の中でできる療育!」なんて自画自賛していました。息子の気持ちは?Upload By 立石美津子結果的に息子はハサミを使えるようになりましたが、もしかしたら家でやらなくても使えるようになっていたかもしれません。今、振り返ってみると“楽しみなおやつタイムが訓練の時間”と化してしまった息子は、しんどかったと思います。当時、息子は言葉を話すことはできませんでした。もし言葉を話せていたら、「もう嫌だ。おやつや食事のときくらい、好きなようにさせてよ!」と怒っていたかもしれません。もちろん日常生活を送っていくために、ある程度のことをできるようにすることは大切です。でも、それだけを目的にするのはどうなのでしょうか。ある児童精神科医が、「今の療育はできないことをできるようにする療育。でも、本当にすべきなのは得意な部分を伸ばすこと。脳が喜ぶことをすればいい」と、テレビで言っていました。これは、ストレングス(本人の強み)視点とか、ストレングスアプローチという考え方です。つまり、“何らかの問題を抱える人が潜在的に保持する強み”を伸ばす療育をしようというもの。息子が幼かった当時は、こうした考えに基づく療育はあまりなかったような気がします。療育施設の中での競争同じしんどさ、悩みを抱えている親どうしであっても、子どもの年齢が同じだったりすると、競争心や妬みの気持ちが湧き起こることもあります。「あの子ができているのに、同じ自閉症の息子ができない訳がない」とさらに拍車がかかります。「どうして○○ちゃんができることが、あなたにはできないの」と声を荒げているお母さんもいました。そして療育風景を窓越しに見学しながら「あれができて、これができない」と目先のことに一喜一憂し、私の心は翻弄されていました。子どもとの”今”を楽しんでもし、過去に時間を戻せるのだったら幼児期に戻り、「今、ハサミを上手に使えなくたって大丈夫。さあ、ゆっくり温かいミルクティーとお菓子を楽しんで」と息子に言ってやりたいです。そして、過去の私にも、今一生懸命なお母さんたちにも伝えたいのです。「そんなに気張らないで大丈夫。可愛い子どもとの時間を、楽しみましょ」と。2018年9月10日、医師・松永正訓氏が立石親子を取材、書き上げた新刊が発売に。発達障害がある子と母の、幼児期から今までに渡る育児について綴られています。
2018年11月05日自閉症の息子が5歳のとき――初めて意味のある言葉を発した!Upload By 立石美津子『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。あれは、息子が5歳のときでした。デパートの讃岐うどんのお店に連れて行ったときのこと。息子が食べていたうどんの器には、あと1本だけ、うどんが残っていました。その器を、店員が「お下げいたします」と持って行こうとした瞬間、大きな声で「まだ食べる!」と叫んだのです。そのころの息子は、まともな単語すら出ていませんでした。それなのに、いきなりの2語文!しかも自閉症らしからぬ、自分の意思をはっきりと示し、まっすぐと相手に届く言葉でした。言葉は単独では発達しないと、主治医に諭されて出典 : 息子は2歳から国立の子ども病院の心の発達科に通っていました。この病院ではソーシャルスキルトレーニングのほか、さまざまな訓練があったので「言葉が話せるようになるトレーニングをさせたい」と申し出ました。ところが担当医は、「お母さん、いくら言葉を教えても、それは単に単語を覚えるだけに終わります。言葉を操ってコミュニケーションをとれるようにはなりませんよ!」ときついことを言うのです。「ソーシャルスキルトレーニングを受けさせたい」と申し出ても、「周りに関心を持つことができてはじめて、社会のルールを学べるのです。○○君(息子の名前)は、排泄・着替えなど自分の身のまわりのことも全くできていないじゃないですか!何を考えているの?」と厳しく言われました。更に、診察室の床に落ちているゴミを口に入れている息子を見て、「ほら、ごらんなさい。ゴミを口に入れているじゃないですか、この段階では“社会性を育てる”なんてずっと先の話ですよ。まだ早い、まだ早い」と言いました。5歳過ぎてもオムツが外れない息子を心配し、「なんど教えてもトイレでおしっこができない。どうしてもオムツを取りたい」と訴えた時も…「オムツだけをとっても、オムツとれた赤ちゃんのままです」と言われる始末。「言葉も、オムツがはずれることも、全部発達の中でできるようになっていくものです」と厳しく諭されました。自閉症の息子、リンゴの銘柄は言えても「買って」とは言わない…出典 : 幼いころ、息子はリンゴの銘柄にこだわりがあり、スーパーに行くと、リンゴの棚の前で「ジョナゴールド・津軽・紅玉・シナノゴールド・秋映・王林…」と覚えている銘柄を順に言っていました。けれども、「ママ、このリンゴ美味しそうだね。買って~買って~」と言うことはありませんでした。息子は、スーパーの中だけでリンゴの銘柄を唱えていたのではありませんでした。動物園など、リンゴなんて目の前にない場所でも、銘柄名をお経のように唱え続けるのでした。これは言葉を使ったコミュニケーションとは言えません。「伝えたい気持ち」があるかどうかUpload By 立石美津子言葉だけのトレーニングをしても単語を単に覚えるだけ。言葉を使ってしゃべるようには、なかなかなりません。息子が意思のある言葉を発したきっかけは、「うどんを最後の1本まで食べたい、器を下げようとしている店員に何がなんでも伝えたい」という強い動機があったからです。「どうしても言葉を使って伝えたい」という動機。この動機づけこそが、言葉を話すようになるための第一歩です。本人が「そうしたい」という気持ちになるまで待つしかないのです。おもちゃで遊んでいるときに、友達に奪われそうになって「嫌だ」と言う。カレーライスが食べたいとき「カレーライス」と叫ぶ。結果、自分の希望が通る。こうして「自分の気持ちを伝えるためには便利な“言葉”というものが、存在するんだ」ということを体験させるしかないのです。それまでは、周りの人たちは、ただ単語をインプットさせようとするのではなく、「思いを伝えるための言葉」で語りかけ続け、ときが来るのを焦らず辛抱強く待つしかないのだと思います。5歳ではじめて意味のある言葉を発した息子。その後、少しずつ、伝えたい気持ちも言葉も発達していきました。今、18歳になった息子は悪い言葉も覚えて、私があまり構い過ぎると「まじ、しつこい」と連発します。母として眉をひそめながらも「友達の真似をして、母親に言葉で感情をぶつけられるようになったなんて、昔に比べたら成長したなあ」と心ではひそかに喜んでいます。2018年9月10日、医師・松永正訓氏が立石親子を取材、書き上げた新刊が発売に。発達障害がある子と母の、幼児期から今までに渡る育児について綴られています。
2018年09月11日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。偏食を辞書で引くと「好き嫌いが激しく、特定の食品だけを食べること」と出てきます。親は「世の中にはおいしいものがたくさんあるのだから、もっと食事の幅を広げてほしい」「同じものばかり食べていると、栄養が偏るのではないか」と心配になり、療育の先生のようにあれこれ指導したくなりがちです。私の心に刺さった、ある本出典 : 『障害のある子の親である私たち』(福井公子著/生活書院)という本にこんなことが書いてありました。著者の息子さんは就学前まで白いご飯を食べられなかったそうです。そこで「日本人なのにお米が食べられない。これは何とかしなければ」と考え、綿密な計画を立てます。例えば、保育園から帰った一番お腹がすいているとき、ほんの一口からご飯を食べさせ、その後、大好きなチョコレートを食べてよい許可を与える。その結果、息子さんは家に帰ることを嫌がり、あげくのはてに保育園に迎えにいった母親の顔をみるなり先生にしがみついて、離れない状態になってしまいました。ところが、スーパーに行ったときのこと。試食販売のおばさんが、小さなカップに一口大のご飯を入れ、ふりかけをかけたものを息子さんに渡したそうです。すると、嬉しそうに食べたというのです!そして、その日を境にふりかけご飯が大好きに…。療育者である前に、親であるということこの本の最後に、次のような言葉が書かれていました。期待も押しつけもしない、ちょっと太った試食販売のおばさん。私はそんなお母さんになろうと思いました。障害のある子の親はついつい専門家もどきになってしまう。でも、親が療育の専門家になってしまうと子どもには親がいなくなる。障害のある息子と向き合ったとき、私はやっぱり親でいたいと思いました…中略…親は親以上でも親以下でもない。親だからできることもあり、親だからできないこともある。それでいいのだと思うのです。『障害のある子の親である私たち』(福井公子/生活書院)よりわが家の食事は、「恐怖の食卓」だったUpload By 立石美津子息子がまだ幼いころ、私も息子の偏食を直そうと必死でした。卵と牛乳に食物アレルギーがあった息子は、食べられるものが少なかっただけでなく、感覚過敏とこだわりの特性により「納豆、かぼちゃ、さつまいも、うどん、シュウマイしか僕は食べません」という食生活が続いていました。当時の私は、卵と牛乳を除去したさまざまな献立をつくり、「これでもか、これでもか」と食べさせようと必死でした。息子は食べたくないものが並ぶ食事の時間が、次第に苦痛になってきたようです。本来、楽しいはずの食事の時間なのに・「好き嫌いしないように、残さず食べろ」と小言を言われる・マナー優先、スプーンやお箸を上手に使えないと叱られる・手づかみしたら手を叩かれる・「こぼさないように食べなさい」と何度も叱られるという状況だったからです。そのころの私は、まさにモーレツ母さんでした。そして、本来、楽しいはずの食事の時間を「偏食を直す訓練の時間・しつけの時間」にしてしまったのです。大人になっても「あれも嫌い、これも食べられない」と好き嫌いが多い人はそんなにはいません。確かに偏食を厳しく指導された結果、なんでも食べられるようになる子もいます。その一方、嫌いなものを無理矢理口に押し込まれてトラウマになり、絶対に食べられなくなる子もいます。「楽しく食事を」を優先すべきだったと反省しています。息子の世界を、理解しようとしていなかった私出典 : 悲しいかな、こういうことは後になってわかることです。息子は多動性もあり、食事時間中じっと座っていることなんかできませんでした。きちんと座ってお箸で食事をするより、おにぎりやサンドイッチなどの手づかみ献立のほうが無理なく食べられたかもしれません。「世界では手食文化の国だって多くあるんだし、まあいいか」「お箸を使った方が上手につまめる。スプーンを使ったら、たくさんすくえるし手も汚れないし熱くもない。そう気づいたとき、使えるようになればいい」程度に思っていた方が、母子ともに楽だったかもしれません。発達が遅れている息子に対して、当時の私は、無理矢理「こっちの世界に合わせろ」と強要していたと反省しています。自閉症がある大人がレストランでスプーンを投げたり、手づかみで食べている光景は、あまりみかけませんからね。人目を気にするあまり叱ってばかりいて、心が不安定になってしまったら本末転倒です。昔の自分と息子に、かけたい言葉今は食べ盛りでいろんなものをモリモリ食べます。Upload By 立石美津子もし、過去に時間を戻せるのだったら幼児期に戻り「好きなものだけ食べていればいいんだよ、食事時間を楽しんで」と息子に言ってやりたいです。そして過去の自分の肩をポンと叩いて「美津子さん、そんなに真面目に一生懸命にならなくたっていいですよ。もっと今を楽しんで」と声をかけてやりたいです。偏食指導はほどほどに…。
2018年08月23日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。障害基礎年金は自動的に受給はできない!申請のために必要なものとは…Upload By 立石美津子障害のある人は障害基礎年金を20歳から受け取ることができるのは、知っていますか?息子は現在17歳。年金受給できる年齢まであと2年ちょっとです。私は「療育手帳を持っていれば、障害基礎年金は自動的に受け取れるもの」と勘違いしていました。学校の個人面談で担任から、「立石さん、主治医はいますか?いないのであれば、20歳になったら障害基礎年金を受給できるように、申請に必要な診断書を書いてくれる医師を、今から探しておいてください」と言われました。私は、障害基礎年金の受給の申請のためには療育手帳だけ持っていてもダメで、主治医の診断書が必要なのだとこのとき初めて知りました。参考:日本年金機構小児科・児童精神科には年齢制限がある出典 : 私の家の近所に小児専門の国立病院があります。もちろん、発達障害児のための専門外来もあります。でも高校生以上の初診は受けつけていないそうです。発達障害のある子どものかかりつけは、小児科や児童精神科が多いと思います。ですが小児科や児童精神科は、原則として中学生までしか受診ができません。以前は成人期になっても小児科・児童精神科にかかる場合もあったようですが、発達障害の診療ニーズが高まる中、継続しての支援が難しくなってきたという背景もあるようです。また、幼児期は療育に通ったり病院を受診していたりしたけれど、小・中学校時代にはトラブルなく過ごせ、思春期以降も問題行動などの二次障害もなく落ち着いている場合、投薬もなく、主治医を持たないケースもあるでしょう。友人にも「子どもが小さい頃は病院に行っていたけれど、今は定期通院していない」という人が多くいます。そうすると、「障害はあるのに問題行動が落ち着いて病院を離れていた結果、主治医がおらず、年金申請に必要な書類を書いてもらえない」という状態になり、慌てることになってしまうのです。つまり、20歳を迎える前に年金受給申請することになりますが、それまでに成人を診られる病院で主治医を見つけておく必要があります。障害のある子を育てているママ友のなかには、子どもが幼い頃から「年金申請のこと」まで見越して、最初から大人の精神科が併設されているクリニックに通わせている人もいます。でも私は、担任に言われるまで、まったくその知識がありませんでした…。主治医探しの旅へ出典 : 現在、息子は強迫性障害のために大学病院に通院しています。ただ、この病院は「病気の診断を確定して治療方針を立てるところ」です。定期的に通う場合は、住まいの近くのクリニックに転院する必要があるようです。そういう意味ではずっと診てもらえる主治医がいない状態です。わが家の場合、大学病院から他の病院への紹介などはないため、自力で見つける必要があります。都内の精神科のクリニックに電話をしてみました。しかし、まず電話がつながりません。30分電話をかけ続け、やっとつながったとしても「来月の初診枠は満員となりました!」と言われてしまいました。さらに「年金申請の診断書記入目的の新患は受けつけていません」と言われてしまったのです。こうして、病院探しの放浪の旅の途中にあるわが家ですが、医師の立場に立てば、18歳になっていきなり来られても「幼い頃からずっと診てきている訳ではないので、受診してすぐ診断書を書くことは難しい」と考えるのも頷けます。参考:発達障害診療における小児科から精神科へのトランジション | 精神科治療学 第32巻12号(星和書店)精神科医へのスムーズな引継ぎがあれば…出典 : 障害基礎年金の申請支援までして引き継いでもらうことができたら…小児科で診られる年齢と、年金申請までの期間があることなどによって、このような問題が出てきてしまいます。せめて、小児科・児童精神科医が、患者の状態を要約して書面にして成人期の病院へ引き継いでくれたら、精神科医も対応しやすくなると思います。「障害のある人が月に6.5万円(※)を稼ぐことはとても大変です。障害基礎年金があることで、無理なく働くことができるのです」と、知人の社会保険労務士は言います。私もそう思います。ライフラインともいえる障害基礎年金の申請がままならない、制度のはざまでもがく、わが家のような家族はたくさんいると思います。障害基礎年金の申請にも関わる社会の仕組みが、改善されてほしいと強く願っています。そしてまた、わが家のように路頭に迷わないよう、発達障害のある子どもを育てている保護者のみなさんには、中学生になるぐらいから、成人期を見据えた主治医探しをはじめておいてほしいとも思います。(※)「障害基礎年金」年額より算出。障害基礎年金は1級で年額974,125円、2級で779,300円(2018年度)
2018年05月26日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。みなさんは、「就学猶予(就学義務の猶予)」という制度についてご存知でしょうか?これは、病気などの理由で、就学年齢になったけれど小学校入学が難しい場合に、治療・療養をし、教育を行けられる状態になるまで入学を遅らせることができる制度です。ですが、持病はないけれど子どもの発達が遅い場合に、この制度を利用し、1年間しっかり訓練して周りの子ども達と同じようにできるようになってから小学校に入学させようと考える保護者さんもいるようです。つまり、1つ下の学年の子ども達と一緒に小学校に入学するのです。私自身にも、自閉症の息子がいますが、自閉症のある子どもの家庭がこの制度を活用することに、疑問を感じています。1年間しっかり訓練してようやく追いついたとしても、入学後に同級生と同じようにできるでしょうか?また、子どもはつらい思いをしないでしょうか?「就学義務の猶予」とは?出典 : そもそも、「就学猶予」って何?特に持病がない自閉症児の場合でも使えるの?と疑問を持つ人もいらっしゃると思うので、まずこの制度について説明したいと思います。日本では明治時代の中期ごろから義務教育の基盤が出来上がり始めました。でも、当時は障害のある児童が学校で義務教育を受けるための環境はほとんど整備されていませんでした。そのため、障害のある子どもの保護者は「就学義務の猶予又は免除」を受けることとなり、結果として、障害のある子どもたちは教育をほとんど受けられませんでした。つまり就学義務の猶予や免除は、その制度の確立当初、重い障害がある子どもが義務教育を受けられない場合に利用されてきたのです。1970年代に養護学校(現・特別支援学校)が義務化され、特殊学級(現・特別支援学級)も増設されました。これ以降、就学猶予や免除を利用する必要のある家庭の数は大幅に減っています。つまり、障害があっても、学校に通える子どもが増えたのです。ちなみに、就学義務が猶予や免除される事由については、次の通りです。日本国民に対して、この就学義務が猶予又は免除される場合とは、学校教育法第18条により、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる場合とされています。ここでいう「病弱、発育不完全」については、特別支援学校における教育に耐えることができない程度としており、より具体的には、治療又は生命・健康の維持のため療養に専念することを必要とし、教育を受けることが困難又は不可能な者を対象としているところです。参考URL:文部科学省|養護学校の義務制実施への道発達が「ゆっくり」と「凸凹」の違いは?出典 : ある幼稚園の園長先生が、発達障害児を育てている保護者に、何気なく次のような言葉をかけていました。「発達がゆっくりなのだから、焦らないで、のんびりと長い目で見て育てましょう」園長先生が意図して言ったわけではなくても、親御さんの中にはこの言葉で誤解してしまう人もいます。「ゆっくり」という表現には、兎と亀の昔話のように、歩みの遅い亀でも地道に努力して頑張れば…・必ずゴールに到達する・いつかは追いつくというニュアンスを私は感じます。「マラソンでゆっくり走っていても、途中棄権することなく完走すれば、いつかは皆と同じゴールに達する」と解釈して、「頑張らせれば、いつかはほかの子と同じことができるようになるだろう」と考える方もいらっしゃるでしょう。もちろん、ゆっくり発達し、障害のないお子さんに追いつくお子さんもいるかもしれません。でも、発達障害のある子どもは、能力のバランスや凸凹が大きいことが多く、単に「ゆっくり育つ」というのとは少し意味が違うのではないかと、私は考えています。1年遅れで、子どもを小学校に入学させた知人の選択出典 : 年以上前の話ですが、私の知り合いの自閉症児の保護者がこの制度を利用して、子どもに幼稚園の年長クラスを2年間経験させてから、小学校へ入学させました。自閉症以外「病弱である」などの遅れはありませんでした。知人は「年長さんを2年も経験すれば、ほかの子と同じことがきっとできるようになるに違いないわ」と言っていました。当時は自治体によってこの制度が自閉症児にも一部適用されていたようです。特別支援学校のことを養護学校、特別支援学級のことを特殊学級とまだ呼んでいた時代で、発達障害とかアスペルガー症候群の言葉もまだ理解されていなかった時代でした。その知人の選択を否定するつもりはありませんし、実際に1年遅らせることでできることが増える部分もあったかもしれません。でも、同じく自閉症のある子どもを育てる親である私は、心の中で「1年遅らせたからといって、同級生と同じようにできるようになるのだろうか…?」とも思っていました。特別支援教育についてありのままに受け入れ、子どもに合う教育を選ぶことの大切さ出典 : 特別支援教育が浸透している現在では、自閉症があることだけを理由に、就学猶予が認められることはそれほど多くはないようです。でも、幼稚園や保育園や療育関係者から「お子さんは発達がゆっくりなのですね」と言われると、「うちの子は少し発達がゆっくりなのだ。だから1年遅らせてその間に頑張らせれば、何とか追いつくだろう」と考え、この就学猶予を検討する人もいるかもしれません。発達がゆっくりであることと、凸凹があることとは、違うのではないかと思います。まず、「子どもに合った教育は何か」「その選択は、子どもに無理をさせすぎはしないか」ということを考えてほしいと思います。そのうえで、通常学級か特別支援学級か特別支援学校かを吟味するのがよいのではないでしょうか。保護者が子どもを「ありのままに受け入れる」ことは、子どもの育ちにとって、とても大切なことです。「できるだけ健常児に近づけよう」とすることは、保護者の願いであって、子どもに必要な環境や学びとは重ならないかもしれない。ありのままを受け入れたうえで、子どもにとって最適な道を選択をしていってほしい、私はそう願っています。
2018年01月30日京成立石にある有名な飲み屋街にセンベロの聖地と言われる「呑んべ横丁」があります。実は、この辺りの市街地は、2019年から再開発が開始される予定になっています。これにより、「呑んべ横丁」がなくなってしまう可能性があるのです。しかし、東京にはまだまだ多くの飲み屋街があります。そこで、都内におけるディープな横丁を4ヶ所をご紹介しましょう。100前後のお店が立ち並ぶ、ハーモニカ横丁(吉祥寺)最初にご紹介するのは、吉祥寺駅付近にある「ハーモニカ横丁」です。この横丁の歴史は長く、1945年にできた駅前マーケットまで遡ります。その当時は闇市として栄えていた背景がありました。ちなみに、「ハーモニカ横丁」という名称は、お店が立ち並ぶ光景がハーモニカに似ていたことからつけられたと考えられています。現在は100前後のお店が立ち並ぶエリアとなっていて、一種の観光名所にまで発展しています。また、エリア内のお店についても、居酒屋などの飲食店に限らず、ショッピングに適したお店も数多く並んでいます。そのため、周辺の人々にとっては価値ある商店街となっているのです。ぜひ、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。※「ハーモニカ横丁」は通称として「ハモニカ横丁」とも呼ばれているようです。屋台が多い、思い出横丁(新宿)次にご紹介するのは、西新宿1丁目にある「思い出横丁」です。新宿駅西口からほど近いこの横丁は、数多くの飲み屋が立ち並ぶエリアとして有名です。こちらも歴史は長く、1946頃まで遡ります。戦後間もない当時に並び始めた屋台は、焼き鳥屋、そしてモツ焼き屋がメインでした。その影響もあり、現在の「思い出横丁」においてもそういった屋台が多くなっています。しかし、このエリアにあるのは、居酒屋だけではありません。寿司屋やカレー屋などの飲食店もありますし、ドラッグストアやアパレルショップなどもあります。そのため、ショッピング目的に訪れる人々も多いです。女性でも入りやすい、のんべい横丁(渋谷)次に紹介するのは、渋谷1丁目にある「のんべい横丁」です。渋谷駅からすぐのところにあるこの横丁は、レトロな雰囲気が大きな特徴です。昭和の時代を感じさせてくれるこのエリアには、連日多くの人が訪れています。歴史については、1950年ごろにまで遡ります。その当時、渋谷にある多くの屋台が整備されていき、その一部が「のんべい横丁」として発展していきました。一つ、また一つとお店が増えていき、今では30以上にのぼることから、その賑わいは相当なものです。刺身がメインのお店や、フランス料理のお店、ワインバーなど、その他いろいろなお店が並んでいます。女性が気軽に入れるお店もありますので、ぜひ足を運んでみてはいかがですか?老舗の名店が多い、甘酒横丁(人形町)人形町2丁目にある「甘酒横丁」は、人形町駅からほど近く、観光名所としても非常に有名です。ここまで紹介してきたいわゆる飲み屋街とは異なる下町風情の残る横丁です。老舗の名店が多いため、お土産を買う人も連日訪れています。また、とても歴史が長いエリアでもあります。明治時代の初期に、「尾張屋」というお店がありました。このお店は、甘酒屋として非常に名高かった背景があります。この甘酒屋が、現在まで続く「甘酒横丁」という名の由来になっているのです。また、現在の「甘酒横丁」に立ち並ぶお店は、実にいろいろです。居酒屋やバーだけでなく、西洋料理店やカフェ、ピザ専門店など、人気店がズラリと並んでいます。そのため、仕事帰りに飲みに行くのもいいですし、気軽に行ける観光スポットとしても適していますよ。この記事では、東京において有名な4つの横丁をご紹介しました。どの横丁も歴史があり、多くの人から愛されています。会社や自宅の近くにあったら気軽に飲みに行くスポットとしてもピッタリです。立石の「呑んべ横丁」とはまた違った魅力を見つけられるかもしれません。
2018年01月30日女優の立石晴香が映画『40万分の1』(2018年夏公開)のヒロインを務めることが15日、わかった。副島和樹が主演を務める。同作は大卒の就職活動をテーマにしたオリジナル作。何事にも本気になれなかった大学生・中西徹(副島)は、初めて付き合った美人な彼女・真美(立石)に振られてしまったことから、業界No.1広告代理店の内定獲得を狙っていると嘘をついてしまい、「働くこと」と向き合うようになる。副島は2014年にミスター九州大学 グランプリ受賞、2015年に全国ミスターキャンパスコンテスト審査員特別賞受賞、2016年に第29回ジュノンスーパーボーイコンテスト 審査員特別賞受賞と数々の受賞を経て今回が映画初出演にして主演となる。ヒロインの立石は『動物戦隊ジュウオウジャー』でアム役を好演し、15日から放送開始されるAbemaTVオリジナルドラマ進出記念作品 『#声だけ天使』にもレギュラー出演中と、フレッシュな2人が揃った。また、"伝説のOB”として徹を指導する先輩・荻野晴彦役佐藤輝、「就活」のトレーニングで通う演劇ワークショップで徹に大きな刺激を与える元女優・大川美海役に久保陽香が出演する他、菊池修司、朝見心、鈴木祐真、津村和幸、元田牧子、米山穂香、結城貴史が脇を固める。○副島和樹主演をさせていただく徹と共に、自分とは何なのか、苦しみながら捻り出し演じました。遅足ながら自分のやりたいことを本気で考え、俳優として生きていく決意を与えてくれた作品です。小さな一歩ですが、僕一人では決して踏み出すことができなかったこの大きな一歩を、僕を育ててくれた両親や応援してくれた方々にこそ観てほしいと思います。中西徹の自信のなさや優柔不断な対応など彼のネガティブな性質を演じるときは、ありのままの副島を出せば難しくありませんでした。しかし、そんな彼も就活を通して一歩一歩成長していきます。苦難に直面しても逃げず、困った人に手を差し伸べられる男になっていきます。僕自身の演技力と人間力も彼と共にもっと成長していく必要性を感じ、頑張りました。○立石晴香コメント今回わたしは主人公 徹の元彼女 真美を演じさせてもらいました。真美は負けず嫌いで不器用なところをうまく消化できずダイレクトに表に出してしまうので、共感できる気持ちを自分の中で存分に引き上げて演じました!物語の中で徹が変化したいと思うきっかけを作る人物なので見てる人にもその出来事や様子が伝わるように、徹にもいいパスが送れるように考えて撮影に臨みました。今回は就活がテーマですが、わたし自身一般企業への就職経験もあり同じような想いをしたことがありますし、今の役者の仕事もうまくいかない事があれば努力して挑戦しての繰り返しです。落ち込む気持ちや人と比べて余裕がなくなる気持ち、きっと誰もが経験あるんじゃないかなと思います。なので就活生の方はもちろん社会人の方だったり、学生さん、いろんな方に見ていただきたいです。登場人物の誰かに共感できるほっとする作品だと思います。私も作品見るのが楽しみです。お楽しみに。
2018年01月15日各地で講演活動を行い、障害のある子の「親なきあと」の現状や対策について発信する行政書士の渡部伸先生と、自閉症児の母であり、発達ナビで連載コラムを執筆する立石美津子さんによる「親なきあと」についての対談企画、第二弾。対談の前編、「親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?」では、保護者が元気で動けるうちに、税の控除や手当なども活用しながら資産をつくる、親なきあとに障害年金がもらえるように準備したり、のこした資産を信託するなど、適切に渡していくことの準備が必要だということが分かりました。「親なきあと」の暮らしはどうなる?住まいは?支援者は?「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部先生×自閉症の子を育てる立石さんの対談からUpload By 発達ナビ編集部「親なきあと」に関する保護者の方のもうひとつの懸念は、のこされた子どもが「どこで暮らすのか、その暮らしを誰がサポートしてくれるのか」ということです。障害者支援施設といった入所施設やグループホームなどに住むのか、福祉サービスを活用しながら1人暮らしや親族と一緒に住むのか…ぼんやりと想像はできても、わが子が将来どのような暮らしをするのか、それにはどのくらい費用がかかるのかなど、分からないことが多く、不安や疑問があると思います。対談後編の今回は「暮らし編」と銘打ち、「親なきあと」の暮らしをテーマに、お二人の対談をお届けします。「親なきあと」、障害のある子はどこに住むのか?出典 : 立石さん(以下、立石)お子さんがまだ小さいと、将来親がいなくなった後、どこに住むかということまでまだ考えが及ばないかもしれませんが、実際は親なき後の人生の方が長いですから、お金の問題もですが、どこで誰と住むのか考えておくことは大切だと思います。健常の兄弟姉妹がいたとしても、独立してそれぞれの生活を歩みますから、障害のある子の面倒を託すこともできませんし…。渡部先生(以下、渡部)今、障害のある方の住む場所についても、法制度や社会環境が変わっている…過渡期なんですよ。今後の流れとしては、居宅介護などを充実させていくことで、特に軽度から中度の場合はできるだけ施設やグループホームに入らず自宅で暮らすことを目指す、という方向になってくと思います。大規模施設を作ってそこに障害のある方を集めて…というところから、福祉サービスを充実させて地域で暮らせるようにするという流れですね。発達ナビ編集部(以下、編集部)どうしてそういう流れになったんでしょう?渡部2003年に、それまで行政がサービスの利用先や内容を決めていた「措置制度」から、障害のある方の自己決定に基づいてサービスの利用を決定する支援費制度に変わったことが大きなきっかけだったと思います。もうひとつ大きいのは、2014年に「障害者権利条約(障害者の権利に関する条約)」を批准したことですね。この条約を批准するために法制度を整備する必要が出てきて、「障害者総合支援法」ができたり、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」ができました。”住み慣れた地域で自分らしく暮らしていきたい”という願いにこたえていこうという流れになっているんです。2018年4月には、「自立生活援助」制度も始まります。施設やグループホーム、病院に入所している障害のある人が、1人暮らしを始める場合、一定期間、巡回したり支援するという制度です。また、そうした法制度が走り始めると、一定期間たって「自立生活援助」による支援が終了したあとをサポートするようなサービスなどが民間から出てくると思います。それによって、地域で暮らしていきやすい体制が整ってくるのではないかと期待しています立石本当に過渡期なんですね…。参考:障害者の権利に関する条約 | 外務省参考:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 | 内閣府渡部また、新しい取り組みとして、障害者とその親が一緒に住める老人ホームや、障害者のグループホームとその親が入る高齢者のグループホームがひとつの敷地内にある施設などができてきています。高齢になると、施設に入所している子どもに会いに行くことができなくなりがちですが、同じ敷地内であれば安心ですよね。立石そういう施設もあるんですね。渡部障害者の入居施設は結構定員いっぱいなことが多くて。入居できる施設は地方にあることが多いし、親も元気なうちは新幹線で1本だからすぐに会いに行けると思って入居を決めたりするのですが、いざ高齢になると、なかなか会いに行けなくなってしまう…。立石うちは母一人子一人なので、私がいなくなったら…、動けなくなったらと思うと心配なんですね。いざというとき、地元に入居できるグループホームもないかもしれない。子どもが路頭に迷わないようにしたい。それで、将来のことを考えて、グループホームを作りたいなと思っています。編集部立石さんは、実際に役所に出向かれたりして、グループホーム設立について動きはじめています。どのようなグループホームをつくられるのか、今後の発信がとても楽しみです。障害者手帳はもつべきなのか?メリットやデメリットは?Upload By 発達ナビ編集部立石いろいろお話を伺っていて、改めて思うのは、手当とか割引など活用できる制度は使って、親が元気なうちから出ていくお金を抑えられるような仕組みづくりをしておかなきゃいけないなということですね。“日本の福祉は自己申告制”ですよね。じっと待っていても役所から案内が来るわけじゃないですから、自分から積極的に行動し、情報をとりにいかないといけませんね。渡部そうですね。立石それから、いろいろな支援をうけたり、支出を抑えたりするためには、やっぱり障害者手帳を持っていたほうがいいように思います。ちなみに、障害者手帳を取得するとデメリットになるようなことってあるんでしょうか?渡部私は、特段大きなデメリットはないと思っています。あるとしたら、保護者に「持ちたくない」という気持ちがある場合、持つことがストレスになるということくらいでしょうか。立石例えば、手帳を持っているから受験や就職で不利になるということは?渡部ないと思います。必要ないときは見せなければいいだけですから。立石逆に、手帳を持っているとメリットになることと言えば?障害年金は、手帳がなくても基準を満たせばもらえるということでしたけど…。渡部手帳を持って入れば法定雇用率の中で働くことができるので企業に障害者枠で一般就労しやすいというメリットや、JRや私鉄、バスなど公共交通機関の乗車料金の割引、タクシー利用券の支給、公営住宅の優遇抽選、おむつ支給などが受けられます。デイサービスやヘルパー派遣などは、手帳がなくても申請できます。ですが、手帳があると行政側が障害状態を判断しやすい。障害の程度によって支給されるかどうか、また支給時間数などにも影響するので、手帳があったほうがスムーズにサービスを受けられるのではないかなと思います。手帳の種類・度数によっては税制面での優遇もあります。立石医療費の助成もありますよね?渡部身体障害者手帳か療育手帳の重度判定の方は、所得によって医療費が1割負担、もしくは無料になります。20歳未満は世帯主の所得が対象なので1割負担、20歳になると本人の所得が対象なので無料になる、というパターンが多いですね。市町村によっては、精神保健福祉手帳を所持している人や中度判定の方も助成対象になるところもあります。編集部いずれもお住まいの地域によって違いもあるので、行政の窓口で相談してほしいと思います。参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)| 東京都福祉保健局立石いろいろ伺って、やっぱり手帳は、持っていてメリットはあるけれど、デメリットはないなと思いました。渡部障害状態が軽いと判断され、交付されないお子さんもいます。でも申請しなければ交付されることもないわけですから、私は「まずは申請してみたほうがいいですよ」とお話しています。立石手帳は3種類ありますが、ボーダーのお子さんは知的障害が軽いと判断されて、療育手帳が取れないこともありますよね。知的には高くても、いろんな困難を抱えているお子さんも多い…。渡部発達障害に該当しているような場合は、「精神障害者保健福祉手帳」を申請してはどうかとアドバイスをしています。手帳が取れない場合でも、ドクターや児童相談所の判断で受けられる福祉サービスもあります。お住まいの地域によってもサービスは異なるので、そういう情報を得るためにも、行政の窓口に行ったり、地域の集まりに顔を出したりしておいたほうがいいと思います。自分から申請しないと、福祉サービスは受けられないですから。立石手帳については、母親は取りたいと思っているけれど、夫や義親が反対するケースもよく聞きます。渡部手帳を持たせたくない、つまり親や祖父母が、子どもや孫の障害を認めたくないということかなと思います。それぞれが障害や手帳に対して異なるイメージや感情を抱いているときは、無理に説得してもうまくいかない例が多いです。個人的には、お母さんが動いて手帳を取っておくというのも、一つの手段ではないかと思います。いざ必要になる時まで、タンスにしまっておけばいいわけですから。立石あぁ、なるほど。成年後見制度は、利用すべき?出典 : 立石支援する人を確保するという点で、成年後見人についても検討することになると思います。ちなみに、どの段階で成年後見人をつけることを考えたほうがいいですか?渡部成年後見人をつけると、たとえ親であっても子どもの財産を動かすことが難しくなります。報酬は財産額にもよりますが、月1~2万円かかるので、保護者が元気なうちはつけなくてもいいのではと考えています。親なきあとのことを見据えて、どの人に成年後見人をお願いできそうか考えておく、相談窓口がどこなのか知っておくくらいでいいと思います。成年後見人は高齢者には有効な制度だと思いますが、若い障害者の場合は、住んでいる場所もそれぞれですし、就労する場所もさまざま。福祉サービスでヘルパーを利用していたりもします。立石高齢者の場合は老人ホームに入っていて、仕事をしていない場合がほとんどだけれど、障害者の場合はいろんなパターンがあるということですね。渡部そうです。本来はそうした事業所をとりまとめて、障害のある人の暮らしを支援するのが成年後見人であるべきなのですが、法律の専門家ではあっても福祉の専門家ではないため、難しいのが現状です。ですので、保護者がまだ元気なうちは、つけなくていいかなというのが私見です。将来、信託や成年後見制度を利用することを頭に置いておいて、その制度について相談できる窓口を見つけておくぐらいでいいと思います。成年後見であれば地域の社会福祉協議会が相談窓口を開いている場合が多いですし、近くに法人後見を行っている団体があればそういったところとつながっておくことも大事です。また、親の会などに入っていれば、さまざまな情報が入ってきますので、ぜひいろいろなところと接点を持っておいてください。つながりをつくる、外に出ていく。保護者が、まずすべきことUpload By 発達ナビ編集部編集部親なきあとに向けて、やっておくべきことって本当にいろいろありますよね。法制度も過渡期なので、子育てもがんばりながら、最新の情報をキャッチするのも大変…。渡部ですから、たくさんつながりをもつことが大切なんですよ。同じ障害の子を持つママ友でもいい、親の会に入ると会報なんかでもたくさんの情報を送ってきてくれるし、専門家を招いた勉強会も催していたりする。まずは、情報が入ってくるつながりづくりからはじめるといいですよ。立石つながりがあると、親なきあとも、福祉の網の目からこぼれ落ちる前に、セーフティーネットにもなりますよね!何かあったときも、SOSに気づいてもらえる。渡部それから、子どもにどんな支援が必要かを書き留めておくと、親なきあとのサポートもスムーズになると思います。子どもの特性に加えて、障害福祉サービス受給者証の番号や利用している医療機関や施設なども書いておくといいですよ。「親心の記録」などの冊子を活用すると何を書いておけばいいか分かりやすいと思います。参考:「親心の記録」について・お申し込み|日本相続知財センターHP※「親心の記録」は団体向けに寄贈されています。個人で希望する方は、上記ウェブサイトよりお問い合わせください。渡部「もっとこんなこと知りたい」とか、「うちの場合はどうなるの」、「どうやって資産をのこせばいいの」など迷うことがあったら、私や私の仲間たちがやっている「親なきあと」相談室みたいな場所へ、相談に来てほしいなと思っています。障害者福祉は、窓口がいろいろ分かれていて、何をどこに相談したり申請すればいいのかが分かりづらかったりしますよね。保護者の皆さんは、子育てだけでも大変なのに、さまざまな窓口に行って聞くのは本当に大変だと思います。「親なきあと」相談室はよろず相談室なので、なんでもお伺いしますし、どこの窓口に申請したらいいのかなどもアドバイスしています。立石心強い!私もまた相談させてくださいね。参考:「親なきあと」相談室「親なきあと」の住まい・支援者についてまとめると、次のようになりそうです。・住まいについての法制度は変革期(居宅介護などが充実、軽度から中度の場合は自宅で)・成年後見制度などの利用を念頭におき、相談窓口を見つける・支援者がサポートしやすいような引継資料をつくる など住まいや支援についての法制度は過渡期にあります。さまざまな情報に触れたり、相談できるように、まずは保護者が”知る”ことや”つながる”ことが大切です。保護者が動けるうちに行動しておければ、自然と情報も入ってきます。渡部伸先生渡部行政書士事務所代表。「親なきあと」相談室主宰。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。出版社でさまざまな事業を担当後、行政書士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。著書に『障害がある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』(主婦の友社)、『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(主婦の友社)。立石美津子さん講演家・ライター。聖心女子大卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営。自閉症児の母。著書に『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』(日本実業出版社)、『はずれ先生にあたったとき読む本』(青春出版社)、『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)など多数。立石美津子さんのページ対談写真撮影:田島寛久
2018年01月12日「親なきあと」とは?今できることはある?「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部先生×自閉症の子を育てる立石さんの対談からUpload By 発達ナビ編集部「子どもは学校を卒業したら働き、いつかは自立して巣立っていく―」。それが当然だと思っていたけれど、障害のある子を授かり、そうではないこともあるのだと気づいた保護者も多いのではないでしょうか。保護者がサポートできなくなった後も、子どもの人生は続きます。子どもが幸せに、自分らしく生きていくためには、親が元気なうちに準備しておく必要があります。この企画では、「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部伸先生と、自閉症児の母であり「LITALICO発達ナビ」でコラム連載を持つ立石美津子さんとの対談を通して、障害のある子の保護者が「親なきあと」に備えて何をしておけばよいのかについてお伝えします。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビ編集部(以下、編集部)今日は、行政書士であり「親なきあと」相談室を主宰する渡部伸先生と、自閉症のあるお子さんを育てている立石美津子さんに、「親なきあと」について知っておくべきこと、やっておくべきことなどお話いただければと思っています。立石美津子さん(以下、立石)私の息子は自閉症です。来年度は高校3年生になります。学校でも、就労の実習を行う機会があったり、親として就労セミナーに出席したりしています。学校卒業後の就労や、将来的にどういったところで暮らすかなど、具体的に考える時期になりました。渡部伸先生(以下、渡部)私は市民後見人として成年後見などにかかわるほか、「親なきあと」相談室の活動を通していろいろな場所で講演を行い、直接相談も受けています。そういう中で、たくさんの保護者の方とお話する機会があります。また、私の次女には知的障害があります。講演などでよく質問を受けることや、みなさんが不安に思っていること、疑問に感じていることなどについて、お話できたらと思います。立石発達ナビを見ている保護者の方は、まだお子さんが小さい場合も多いですよね。でも、就学問題などの数年先のことを考えるだけでなく、人生という長いスパンで考えてもらいたいなと思っています。学校を卒業してから、そして親なきあとのほうが人生長いですから。お子さんの将来を見据えて、子どもが小さいうちからできることを、今日は渡部さんとお話していきたいです。編集部先日「親なきあと」についてのユーザーアンケートを取りました。「一人で暮らせるのか。難しい場合、どこで受け入れてもらえるのか」といった暮らしの場についての悩みや、将来に備えて貯蓄をしているが、「どのくらい準備すべきか分からない」「なかなか貯められない」という声、「自分の子どもの障害の程度の場合、どんなサービスが受けられるか分からない」「お金を残しても散財しそう」といった、福祉サービスや金銭管理についての疑問も多く寄せられました。「親なきあと」のお金はどうなるの?障害年金や、就労による収入は?Upload By 発達ナビ編集部立石では、まず親なきあとのお金の問題について伺ってもいいでしょうか?障害のある子には、親がのこした財産以外に、どういった収入がありますか。渡部まずもらえるお金として考えられるのは、障害年金ですね。これは、20歳以上の障害のある人に年金が支給される制度です。受給額は障害の等級によって変わってきます。ちなみに、障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金がありますが、障害厚生年金は厚生年金に加入している人が障害状態になった場合に支給されるものなので、ここでは障害基礎年金についてお話ししますね。立石障害基礎年金は、1年間でだいたいいくらぐらいもらえるんですか?渡部毎年変動はありますが、障害基礎年金は1級で年間974,125円、2級で779,300円です(2017年度)。また、受給者本人の所得に応じての制限があって、所得が一定額以上になると、年金額が半額になったり、全額支給停止になります。また、障害があると受け取れる手当や医療費の助成などは、障害者手帳を持っていることが支給要件のことが多いです。要件や受け取れる額は都道府県や市区によって異なるので、確認してほしいと思います。参考:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構出典 : 立石障害年金は、障害者手帳を持っていないと受け取れないんですか?(注:障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。)渡部障害年金の判定と手帳は別な手続きなので、直接手帳の有無とは関係しません。障害年金は障害者手帳があるだけで申請できるのではなく、別の申請方法になります。ただし、年金の申請時に手帳を提出すると、障害状態を確認する補足資料になります。立石障害年金を申請するには、ドクターに診断書を書いてもらう必要がありますよね?でも、障害年金を申請するときには病院との関係が切れてしまっていて、子どもの状況を理解してくれているドクターが見つからないということも耳にします。渡部知的障害の診断書は原則精神科のドクターに書いてもらいますが、慣れていないとどう書けばいいのかわからず、お願いしても断られてしまうこともあるんですよ。立石子ども病院にかかっていると、18歳になるとみてもらえなくなったり、小さい頃は定期的に通院していても中高生の頃に通院しなくなることもありますからね…。まわりには、これを見越して早めに転院しているご家庭もあります。うちももう少し早く動くべきだったなと今さら後悔しているところです。渡部小児科のドクターが主治医の場合でも診断書は書けますが、断られることも多いと聞きますね。小児科から転院する場合に、紹介状なりをきちんと書いてもらって引き継げるとよいのですが。立石発達ナビのユーザーは小さいお子さんの保護者が多いと思いますが、「障害年金の申請のことも見越して、18歳以降もみてくれる病院にかかっておいたほうがいいですよ」と伝えたいです。編集部「(現在の)主治医にいつかみてもらえなくなるかもしれない」ということは、小さい子の保護者は気づきにくいですし、障害者手帳の申請方法を知らないことも多いと思います。立石さんもお話してくださったように、「18歳以降どこでみてもらえるのか、ほかの病院へ紹介はしてもらえるのか、転院のタイミングはいつがよいのか」など、早めに主治医に確認しておけると安心ですね。編集部話を収入のことに戻したいと思います。企業に障害者枠で一般就労する場合、平均賃金はどのくらいなんでしょうか?渡部企業の障害者雇用枠内で働いている場合の賃金は、もちろん個人差はありますが、現状だとだいたい月に12~13万円ぐらいが平均です。なので、障害年金が満額受給できる範囲内の収入となる人が多いと言えます。障害年金の等級が2級だと年金は毎月約6.5万円。つまり、合計して1か月あたり20万円弱の収入となります。立石一般就労でなく、就労移行支援事業所や就労継続支援B型の場合はどうなりますか。渡部就労継続支援A型の事業所で月67,795 円、B型の事業所で月15,033円(平成27年度)が平均値です。就労移行支援の場合は訓練なので、原則として支払われません。立石就労継続支援の事業所だと賃金はぐっと低くなりますね。生活も厳しくなりそうです…。平成27 年度工賃(賃金)の実績について | 厚生労働省福祉サービスなどを活用し、出ていくお金を抑えることが大切Upload By 発達ナビ編集部渡部収入はある程度限られますから、「出ていくお金」をいかに抑えるか、ということが大事なんですよ。立石というと?渡部例えば、グループホームへの支払いについては、過度な負担にならないような仕組みがされています。国からの助成金は全国統一で1万円、それに加えて独自の助成金を出している自治体もあります。東京都の場合は、合計最大2万4千円の補助があります。障害者手帳があると受けられるサービスや助成などを活用して、出ていくお金をなるべく抑えることが大切になります。交通機関の乗車料金や携帯電話料金の割引、上下水道の基本料金の免除のほか、医療費の助成もあります。税金についても住民税の非課税や控除、所得税の控除がされますね。手帳がなくても、ヘルパー派遣など、必要だと判断されたサービスについて支援を受けることができます。立石限りある財産や収入だから、行政からの助成や支援をきちんと受けられるように整えて、生活に困ることがないようにしないといけないんですね。参考:障害者の利用者負担|厚生労働省参考:障害者と税 | 国税庁「親なきあと」、お金を適切に管理する方法とは?Upload By 発達ナビ編集部渡部それに加えて必要になるのは「出ていくお金を誰がどう管理するか」です。立石せっかく親御さんがのこした資産をだまされてとられてしまったとか、散財してしまいお金が全部なくなってしまったという話も聞きますよね。渡部親が子どものためにのこした大切なお金をきちんと管理して、毎月決まった額を子どもに渡していける制度があるんですよ。立石どんな制度ですか?渡部「信託」という制度です。信託というのは、「信頼している人や企業法人に、資産を託して、きちんと管理してもらう」ことです。最近は、「民事信託」が認められるようになって、家族・親族など特別な資格を持っていない人に託すこともできるようになっています。民事信託は非営利が基本なので、管理費用が基本的にかからないことも活用しやすいポイントです。立石親族でも信託できるんですか。渡部はい。たとえば、母一人子一人の親子がいるとします。子どもが母親の財産を相続したとき、管理できないと困りますよね。このとき、信頼できる親族に信託することができます。たとえば、母親が甥と信託契約を結ぶと、財産は甥が管理・保有することになります。甥は信託銀行などの中に専用の口座を作り、そこにお金を預け、月々相続人である子どもに渡していきます。こうすると、子どもが散財したりだまされたりというリスクがなくなり、長い間しっかり守られます。また、子どもが亡くなった後、通常は使いきらなかった資産は国庫に入りますが、信託をすることで、亡くなった後のお金の行き先も決めることができます。お世話になった社会福祉法人へ寄付するとか、親の会に寄付するとかもできます。もし仮に、甥が破産してしまうようなことがあっても、信託財産は甥の財産から独立しているので、守られます。編集部信託した財産を、甥がきちんと管理してくれるかをチェックできるように、第三者に監督を頼むことはできるんですか?渡部甥を監督する受託者信託監督人というのも設定できますが、そもそも甥を信頼して託しているのならコストをかけてまで監督人をつけるべきなのか。甥も「信頼されていない」とがっかりしてしまうかも。それなら信託銀行に頼んだほうがいいかもしれませんね。編集部頼める親戚などがいない場合は、金融機関などに頼めばいいんでしょうか。渡部信託の免許を持っている信託銀行や信託会社に頼むことができます。管理費はかかりますが、企業なので管理に対するチェックも厳しく、安心感があるという利点もあります。以前に比べて信託する金額のハードルも下がっているようです。手数料も抑えられるようになってきました。信託している銀行が破綻してしまった、というようなときも信託財産は銀行の財産とは区別して管理することが法律で義務付けられていますから、安心です。それから、障害のある人が活用できる信託制度として、「特定贈与信託」といものがあります。これは、子どもや孫などに贈与をする際、特定障害者や特別障害者だと、3,000万円もしくは6,000万円まで非課税になる制度です。ちなみに、通常は年間110万円以上の贈与は、贈与額に応じて10~55%の贈与税が課税されます。特定贈与信託は信託銀行などに商事信託する必要がありますが、このとき、成年後見人をつけることが条件となっている場合もあります。参考:贈与税の計算と税率(暦年課税)| 国税庁立石贈与や相続できる財産が不動産しかないなんてこともありますよね。そういう場合でも信託できるんですか?渡部信託銀行での信託は、通常は金銭での受託のみです。ですが、一部の信託会社では、不動産で特別贈与信託が可能だと聞いています。駐車場や賃貸物件などの管理・運用を信託して、運用益を生活費として支給する例などがあるようです。保護者存命中に、親なきあとの不動産資産の管理・運用について信託できますし、非課税で贈与することで、万が一の際の相続対策も兼ねられますね。参考:不動産信託活用事例集|スターツ信託株式会社立石もう少し少額でも、金融機関に信託できる方法ってないんですか?渡部少額から始められて、信託ってどういうものかという仕組みも理解できるのが、生命保険信託です。生命保険会社と信託会社が組んで、死亡保険金を信託するという商品です。第一生命とみずほ信託銀行、ソニー生命と三井住友信託銀行、プルデンシャル生命とプルデンシャル信託会社、また最近では障害者向け保険を取り扱うジェイアイシーがみずほ信託銀行・FWD富士生命と組んで、生命保険信託商品を出しています。福祉は自己申告制。「親なきあと」、支援の網の目からこぼれ落ちないためには?出典 : 編集部相続でもなにか対策できることや、活用できる制度はあるんでしょうか?渡部相続では、障害者控除枠があります。金額は重度の特別障害者が(85-相続発生時年齢)×20万、一般障害者は20万のところが10万になります。たとえば40歳6か月で相続発生した一般障害者の場合、85-41(切り上げ)に10万円を掛けて440万円が控除額です。立石相続でも障害者控除があるんですね。保護者が元気で動けるうちに、使える制度やサービスについて学んでおかないと…。そして、子どもが支援からこぼれ落ちないような仕組みを作っておかないといけないですね。編集部お二人の対談を通して、「親なきあとに障害年金がもらえるように準備する。税の控除や手当なども活用しながら資産をつくる。のこした資産を信託するなど、適切に渡していくことの準備する」ということが必要だと分かりました。「親なきあと」のお金についてまとめると、次のようになりそうです。・障害年金の有無や就労状況で収入額は変わる・福祉サービスの活用や控除、割引などを活用し支出を抑える・信託など、資産を適切に渡す方法を知るなどさまざまな制度やサービスを活用できるように、まずは保護者が”知る”ことが大切です。そのうえで、自分の子どもに必要な支援を申請したり、備えたりしていきましょう。立石さんが、以前コラムでも書いていたように「福祉サービスは自己申告制」です。待っていても支援は受けられません。そのためには、保護者が動けるうちに行政や支援者などとつながっておく必要がありそうです。つながることで、自然と情報も入ってきます。保護者の懸念事項としてもうひとつ大きいのが「どこで暮らすのか」ということです。どこに住むか、お子さんが小さいうちからやっておくべきこと、セーフティーネットなどについては、1/12(金)に公開予定の、「親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?行政書士・渡部伸先生×立石美津子さん対談【後編】にてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部渡部伸先生渡部行政書士事務所代表。「親なきあと」相談室主宰。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。出版社でさまざまな事業を担当後、行政書士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。著書に『障害がある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』(主婦の友社)、『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(主婦の友社)。立石美津子さん講演家・ライター。聖心女子大卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営。自閉症児の母。著書に『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』(日本実業出版社)、『はずれ先生にあたったとき読む本』(青春出版社)、『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)など多数。立石美津子さんのページ対談写真撮影:田島寛久
2018年01月10日Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビユーザーの皆様新年あけましておめでとうございます!発達ナビでは、2018年も価値のある記事をお届けしてきたいと思っております。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。新年のお年玉企画として、人気の本を、合計51名様へプレゼントいたします。気になっていたけれどまだ読んでいなかった!という本があったら、この機会にぜひご応募ください。ご応募は締め切りました(1/9 10:00更新)新年お年玉企画!合計51名様へ、人気の本をプレゼントします出典 : ご紹介している本の中から、ご希望のものを選んでご応募ください。応募方法は記事の最後でご紹介しています。発達ナビ連載ライター陣の書籍・コミック発達ナビでの連載でも、ADHDのあるリュウ太くんとの毎日を描くかなしろにゃんこ。さん。このコミックでは、思春期・反抗期を迎えたリュウ太くんとのエピソードが満載です。ケンカっぱやい、忘れ物が多い、衝動性などの特性があるリュウ太くん。ついに家のお金に手をつけてしまいます…。それでもやっぱりかわいいわが子に、かなしろにゃんこ。さんは、どう向き合ったのでしょうか。2017年10月発売。かなしろにゃんこ。さん直筆の絵柄とサイン入りコミックを5名様にプレゼントします。かなしろにゃんこ。さんのページこの本の著者、モンズースーさん自身も、小さなころから生きづらさを抱えた発達障害当事者。そして二人の子どもは、ともに発達障害グレーゾーンでした。本書のテーマは、幼稚園・小学校就学などをめぐる進路問題。子どもにとって最善の道とは何か…悩みながらも子どもとともに進んでいく姿は、多くの共感を呼んでいます。2017年9月発売、第1作『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』(2016年5月発売)の続編です。モンズースーさんのサイン入りで3名様にプレゼントします。モンズースーさんのページしおりさんの息子・カムくんには、先天性サイトメガロウイルス感染症、難聴、発達障害、睡眠障害などがあります。手話も1語しか使わず、自分の思いを言葉で表すことや、人と目を合わせることも苦手だけれど、人が大好きで甘えん坊です。いろんな困難はあるカムくんだけれど、愛情に包まれながら成長していく姿をほのぼのとしたタッチで描いた4コマ漫画集です。2017年5月発売。しおりさん直筆の絵柄とサイン入り。さらに、絵柄入りのオリジナルポストカードも一緒に、5名様にプレゼントします!さんのページLITALICO発達ナビでの連載でも、子育てや声かけのコツ、支援ツールの工夫、学校や園とのかかわり方などを紹介している楽々かあさんこと、大場美鈴さん。そんな楽々かあさんのアイディアがたくさん詰まった本がこの2冊です。ご自身の子育ての経験から生まれたさまざまな工夫は、今すぐ使いたいものばかり。困った時のサポート役になってくれそうです。いずれも、心があたたかくなる直筆メッセージ&サイン入りで、それぞれ5名様にプレゼントします。楽々かあさんのページ子どもをのびのび育てるためには?日本各地で講演活動を行う立石さんは、特別支援学校の高等部に通う息子さんを育てる母親でもあります。子どもの人生は、学校卒業後、そして親がサポートできなくなったあとも続きます。子どもに合った療育をすることの大切さや、周りへの伝え方、学校選びについてなど、将来を見据えてどのように育て、周りの人とかかわっていくのかなどが書かれています。まだ小さなお子さんを育てる保護者にとって、先輩ママからのアドバイスをもらえ、前向きに進んでいく一助となる一冊になりそうです。合計5名様にプレゼントします!立石美津子さんのページ発達ナビで取材をさせていただいた方の書籍・コミック発達障害のADD(注意欠如障害)であることを公表している、モデル・俳優の栗原類さん。この本は、15万部突破となった栗原さんの自叙伝的エッセイ『発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由』(KADOKAWA)を、活字が苦手な方やお子さんにも親しみやすいようにマンガ化し、2017年12月に発売されました。マンガパートは酒井だんごむしさんが担当し、やわらかなタッチで描かれています。各話の間には栗原さん自身による文章に、母親の栗原泉さん、主治医の高橋猛先生のコメントを交えたミニコラムも収録され、発達障害特性ゆえに生じる困難さや疲れやすさとその対応方法、将来の自立に向けた想いなどが語られています。合計3名様にプレゼント!10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断された岩野響さん。中学時代に不登校となり、高校進学しない道を選んだ彼が見つけた「ぼくにしかできないこと」とは、鋭敏な味覚と嗅覚、こだわりを生かして研究・焙煎したオリジナルコーヒーづくりでした。2017年12月に発売となったこの本では、自身の発達障害と向き合い、自分だけの仕事を見つけるまでの岩野さんの歩みが描かれています。特性を強みに変え、好きなことを仕事にしたら、障害がなくなったという彼の生き方は多くのことを教えてくれます。合計5名様にプレゼント!仕事のストレスをきっかけにうつ病を発症、さらには大人になってからアスペルガー、ADHDと診断された著者である岩本さん自身が、症状を軽減させるために自己分析し、実践してきた過程をご紹介しています。特に発達障害のある成人の方に役立つ内容です。著者のサイン入りで5名様にプレゼントします。発達障害のある子を育てる保護者におすすめの名作・話題の書籍自閉症のある子・光くんと母親の日々を描いた名作コミックは、テレビドラマ化もされました。発達ナビでも、モンズースーさんが、このマンガのシーンと絡めながら子育てエピソードを連載中です。今回は、2017年に新装版として発売された<誕生・幼児篇/保育園篇>と<小学校低学年篇>をセットで5名様にプレゼントします。同年代の女の子に比べ、性の知識が乏しくなりがちでトラブルにも巻き込まれやすいといわれるアスペルガー症候群のある女の子(アスピーガール)。彼女たちの心や体を守るための生き方、考え方、対応策などが紹介されています。アスペルガー症候群のある女の子が一人でも読み進められるように、分かりやすい内容となっています。思春期を迎えるお子さんへ、どのように伝えたらいいか分からないときや、一緒に話をしたいときなどの助けとなってくれそうです。応募方法下記の「ご応募はコチラから」ボタンをクリックすると、応募フォームに移動します。フォームにて、ご希望の商品をお選びいただいた上で、ご自身のメールアドレスを入力してください。応募人数が上限に達した場合は抽選となります。応募は何回でもできますが、当選はお一人様につき1冊(又は1セット)となります。応募締め切りは、2018年1月9日10:00です。応募は締め切りました。当選された方にのみご連絡をしますので、h-navi.jpドメインからのメールが受信可能なメールアドレスでご応募ください。※当選された方には、別途プレゼントの送付先をお伺いします(期日までにご返信いただく必要があります)。※当選者は厳正な抽選のうえ決定いたします。当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
2018年01月03日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。「どこに出しても恥ずかしくない子でいなさい!」「人に迷惑をかけない子でいなさい!」幼い頃からこんな風に言われ続けて育った人が、やがて母になり、生まれた子に障害があると知ったら…。子どもの障害について、幼稚園の先生やママ友などになかなか言えない人もいます。「障害があることは恥ずかしい」という気持ちがどこかに潜んでいるのかもしれません。Upload By 立石美津子ダウン症候群であったり、障害が重い場合は、理解を得られやすいためか、周りに伝えたり相談したりできる人も多いようですが、自閉症児の場合は見た目でわかりにくいこともあり、わが子の障害を周りに伝えず、知的発達の遅れがあっても療育手帳を取らないで隠し通そうとする人もいます。けれども、これでは親一人で孤軍奮闘して頑張らなくてはならない事態に陥ってしまいます。福祉は自己申告制、役所からの案内を待たずに行動を障害のある子のいる家庭に、役所から「3歳になったら療育手帳を取り、必要な支援を受けてください」といった連絡は来ません。税金の滞納があれば督促状が送られてきます。障害基礎年金は年収が一定額越した時点で段階的に支給停止になります。けれども、税金の戻し(例えば、確定申告時に医療費控除を受け、還付金を受け取ること)などは、自分から申請する必要があります。これと同様に、親が自分から動かないと、障害のある子に必要な支援については、役所からの案内はこないのです。療育手帳や身体障害者手帳などを持っていると…・ヘルパー派遣を受けられる・特別支援学校への入学許可が出やすい・法定雇用率の中で就労できるなど、様々な支援を受けることができます。「診断を受けて療育手帳を取得して、障害者のレッテルを貼られてしまうと伸びるものも伸びなくなる」という考えでいると、かわいそうなのは子どもだと私は思います。療育手帳がないために、支援の網の目からこぼれ落ちてしまう可能性が高まるからです。手帳を持っているだけではダメ、使える支援制度について知ろうけれども、療育手帳を持っているだけでは実は不十分なのです。なぜなら手帳取得者に対して、「お子さんに合った、こんな支援がありますよ。あんな支援がありますよ」と親切に細かく連絡は来ないからです。そうなると、受け身の状態で待っていればよいのではなく、自ら役所に出向くなど、受けられる支援を調べる姿勢が必要になってきます。その一つの例が「自立支援医療制度」です。私の住んでいる自治体では中学3年生までは医療費は無料です。しかし、高等部になると3割負担となります。実は、「精神障害や発達障害などで、それに関わる医療機関に係る場合、自立支援医療受給者証を発行してもらうと薬や診察代は1割負担」になります(所得に応じた、月当たりの負担上限額も設定されています)。でも、これを知らない人がたくさんいます。参考:自立支援医療制度の概要 l 厚生労働省Upload By 立石美津子東京都の場合、交通費は愛の手帳を提示すれば割引になります。また、都営交通(都営バス、都営地下鉄、都電など)は本人は無料になります。しかし、これは区役所に行き「都営交通無料乗車券」を申請し、受け取らなければ無料にはならないのです。Upload By 立石美津子私も上記2点は友達から教えてもらい役所に申請に行きました。これ以外にも自己申告によって受けられる支援がたくさんあります。親だけで頑張りすぎないで、周囲にSOSを出すことも視野に入れてつまり何が言いたいのかと言うと…我が子に障害があるとわかったら、隠したり、「親の力だけで何とかしよう!」と頑張るのではなく、「うちにこんな子が生まれました。皆さん気にかけてください。助けてください」とSOSを出す姿勢が大切だと言うことです。多くの場合、親が子どもより先に死ぬことになります。親亡き後は、様々な支援に頼らなくては生きていけない子ども達です。幸いにわが国は、社会と接点があれば、どこかで救ってもらえる体制が準備されています。でも、そのつながりは親が作っておかなくてはならないのです。だから、子どもを囲い、隠すのではなく、発信してほしいと思います。先日、読んだこの二冊の本には、障害のある人が受けられる支援や、親が元気なうちにしておくべき準備にについて具体的に書いてあります。とても役に立ちましたので是非皆さんお読みくださいね。Upload By 立石美津子
2017年10月24日こんにちは。『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。突然ですが、実験です。出典 : 「白い象を思い浮かべないでください!」…さて、脳裏に浮かんだものはなんですか?「思い浮かべないで」と言われながら、"白い象"を想像してしまったのではないでしょうか?実は人間の脳は“否定形”がわからず、「~しないで」と言われた場合でも、最初のフレーズを素直に想像してしまう傾向があるそうです。さらに、否定形にされるとメッセージが強調され、「~しないで」と言われたことでも、逆にやってみたくもなります。例えば昔、東京タワーにろう人形館がありました。壁に直径3センチほどの穴が開いていて「絶対にのぞいてはなりません」と注意書きが貼ってあったのですしかし、その注意書きはむしろ周囲の注目を引き、たいていのお客さんが興味津々でのぞいていました。これは、「のぞくな!」と禁止されればされるほど、“のぞく”という言葉が印象付けれ、同時に、好奇心が湧くからでしょう。子どもによく言ってしまう言葉出典 : 子どもを叱るとき、ついこんな言葉をかけてしまいます。・「走らないで!」・「売り物のお肉は触らないで!」・「手を使って食べないで!」・「大声を出さないで!」・「席を立たないで!」(学校の先生でも頻繁に叫んでいる人いますよね)でもこれ、“白い象の原理”と同じで、子どもの頭の中は次のような“ややこしいこと”になっています。・「走らないで!」→「走る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「歩く」・「お肉は触らないで!」→「触る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「触らないようにする」・「手を使って食べないで!」→「手を使う」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「スプーンを使う」最初に言われたフレーズが印象づけられた後に、それをひるがえす、なんともまどろっこしいことを頭の中でしなくてはならないのです。否定形だけだと「じゃあどうすればいいのか」が示されない出典 : 食事中、「手を使って食べないで!」と否定形で注意されたら、子どもは自分の行動を否定されて嫌な気分になり、反発したくなります。また、この注意の仕方では「だったらどうすればよいのか」の具体的な方法が示されていないので、子どもは良い行動に移りにくいのです。曖昧な指示がわかりにくい発達障害の子どもだったらなおさらでしょう。同じ状況でも肯定形で「スプーンを使って食べようね」「お箸を使って食べようね」と言われたら、字面通り「どう行動すればよいのか」わかりやすくなります。肯定形への言い換え集否定形の呼びかけは、次のように言い換えましょう。×「走るな」⇒○「歩きなさい」×「手で食べないの」⇒○「スプーンを使って食べようね」×「絶対に遅刻しないように起きなさい」⇒○「7時に起きよう」×「席を立っちゃ駄目」⇒○「座りましょう」×「怒鳴ってはいけません。騒がないで」⇒○「小さい声で言いましょう」×「お店の商品は触らないで」⇒○「売り物は見ているだけにしよう」×「散らかさないで」⇒○「元あった場所に片づけよう」×「ピチャピチャ音を立てて食べないの」⇒○「口を閉じて食べよう」×「残さないで食べなさい」⇒○「お皿の上をピカピカにしよう」×「ひじをつかないで食べなさい」⇒○「ひじはテーブルの外側にね」×「独り占めしないで」⇒○「お友達に貸そう」このように言い換えるだけで、子どもは望ましい行動を即座に思い浮かべ実行に移すことができます。更に否定的な言葉ではないので、素直に受け入れます。たとえ肯定形であっても、命令されると不愉快になる昔の公衆トイレには「汚く使うな!」の貼り紙がありました。まだ用を足していないうちから「この人、汚く使うに違いない!」と疑われているようで、気分が悪く感じますよね。Upload By 立石美津子最近のトイレは「きれいに使って下さい」と肯定形で書かれていることが多いですよね。でもこの上から目線の命令形の文章では、「この人、汚すかも…」と疑われていることに変わりありません。そこで、最近はこんな表記も多くなってきました。「きれいに使ってくださり、ありがとうございます。」Upload By 立石美津子これですと、使う前から「この人はきれいに使う人に違いない」と信用されているようで、「きれいに使おう!」と思います。まとめ出典 : アスリートだってメンタルトレーニングのとき「平均台から落っこちないように練習する」とか「失敗しないように練習する」とはしません。「絶対に成功する」「絶対に金メダルをとる」と脳に成功イメージの暗示をかけて、実力以上の力を出そうとするそうです。子育ても「牛乳をこぼさないように運んで!」等の「~しないで」の否定形で言うより、「牛乳をゆっくり歩いて運ぼう」の肯定的な言葉のほうがより伝わりやすくなります。たとえば、公共の場所で走ってしまう子どもに「走るな!」と伝えても、とっさに理解しにくく、子どもはどうすれば良いかわかりません。それだけでなく、嫌な気持ちや言われたことを拒みたくなる気持ちが生まれます。しかし、「歩こう」と肯定的な言葉を伝えれば、どうすればいいのか具体的にわかるので、行動に移しやすいだけでなく、素直に受け入れたくなります。よく考えてみると大人だって「靴のまま入らないで!」とか「土足厳禁!」と貼り紙がしてあるよりも、「靴を脱いでお入り下さい」と書かれていた方がわかりやすく、また気分よく従うことができますよね。親子だけでなく夫婦、上司と部下の場合も同じです。夫が妻に「部屋が汚くするな!」と言うよりも「もっと掃除をしてほしい」と伝える。上司が部下に「遅刻するな!」と言うよりも「9時には必ず出社するように」と言ったほうが、相手にも伝わりやすいです。人間関係を良好に保つためにも言葉のかけ方って大事ですよね。子どもだって例外ではありません。言葉のかけ方一つで、今まで苦戦してきたことが解決するかもしれませんよ。立石 美津子(著)すばる舎『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』
2017年08月20日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。「○○さえ出来たら…」親の価値観で子どもに期待を寄せていたあの頃子どもを産んだ瞬間は「元気であればそれでいい」とそんなに高望みはしていなかったのに…。ほかの誰かと比較することなく、我が子の存在そのものに喜びを感じていたのに…。定型発達児であれ発達障害児であれ、親になるとつい周りの子どもと比べてしまいます。「みんなと同じ行動がとれますように…」「お友達のようにお喋りができますように…」「集団行動がとれますように…」無意識のうちに、こんな言葉が頭をよぎることはありませんか?でも、これらは親が持っている独自の価値基準。「ここさえ改善されたら、私もこの子もきっと幸せになるに違いない」と勝手に思っているだけなのです。Upload By 立石美津子もし、親が定型発達で、子どもが発達障害児であればなおのこと、子どもは苦しみます。何故なら親に“共感”してもらえないからです。親が定型発達の場合「みんなと同じことが出来るようになることが幸せだ」「お友達がいることが幸せだ」という考えにとらわれていることも多くあります。私自身もそんなことを感じた出来事がありました。発達障害当事者のママに言われた衝撃の一言私は定型発達で、息子はバリバリの自閉症です。ですから、私も前記のような親の期待と子どもの状態のずれに悩んでいました。これは、14年前、息子が3歳だったときの保育園での写真です。皆と同じように帽子をかぶって合唱することはなく、息子は一人読書をしています。私は保育参観でこの光景を目の当たりにし、もの凄く悲しい気持ちになりました。Upload By 立石美津子当時、息子を病院内の療育施設に通わせていたのですが、そこで知り合ったあるママがアスペルガー症候群の当事者でした。そのママにこの写真を見せたことがあります。そこでの会話私「ねえ、うちの子を見てよ。何度叱ってもみんなと同じ行動がとれないのよ…」当事者のママ「この前列に立っている子ども達、どうしてみんな同じ格好をして歌を歌っているのかしら?後ろで本を読んでいる方が楽しいのにね」意外性のある回答を聞いてびっくりしました。同時に「このママは他人なのに、息子の気持ちがわかるんだ。そんな視点も存在するんだ~」と思ったのです。そして、私が自分の枠組みでしか子どもを見ていなかったことに気付かされました。個性を伸ばしたいといいながら、子ども自身の「世界観」を無視していた出典 : どんな子どもにもそれぞれ個性があります。ところが「個性を伸ばしたい」と口では言いながら、実際にやっていることは人並みを求めたり、平均値を意識する子育ての人が多いように感じます。ダウン症、視覚障害、肢体不自由などの障害は一目見ただけでわかるので、親自身も受け止めざるを得ないですし、いちいち説明して回らなくても周囲の理解を得られやすい場合もあります。でも、見た目が定型発達児と変わらない発達障害の子どもに対しては、まず親自身がなかなか受け入れられないことがあります。中には「このまま私が一生懸命育てれば、いつかきっと普通の子どもになるのではないか」と錯覚してしまう人もいます。また、母親が理解していても、姑から「しつけがなっちゃない!」となじられたり、理解のない夫から「お前の育て方が悪いからこうなったんだ。愛情不足だ」と責められている人もいます。こうなると誰も理解者がいなくなり、母親は更に苦しみます。偉人の母たちの行動から学ぶしかし、自分の育て方が間違っていると、苦しむことはありません。歴史上には学校に匙を投げられても、偉大な人物に成長した人、その人を育てた母の話がいくつも残っています。徹子さんは初めに入学した小学校で問題児扱いされました。教室の机のふたが珍しくて授業中何度もパタパタ開け閉めしたかと思うと、今度は窓際に行き、外を歩くチンドン屋を呼び込んだり…。学校からは迷惑がられて、とうとう退学処分となりました。立派なのはその時のお母さんの姿勢です。徹子さんを変えようとしないで「この子を受け入れてくれる学校を探そう」という視点で転校先を探しました。しかも、本人が傷つくことを恐れて、転校理由(退学について)は本人には絶対に伝えませんでした。この母親の配慮により、徹子さんは“自分の存在を否定された”と感じることなく、その後、転校先で素晴らしい先生に出会うことになりました。転校先で校長先生からかけられた「君は本当はいい子なんだよ」の言葉に元気づけられ、徹子さんの今があると『窓際のトットちゃん』に書かれています。出典 : 粘土を使って“1+1=2”を教える小学校教員。エジソンは「粘土と粘土を合わせたら1」だと言い張りました。これに対して担任は「腐れ脳みそ!」と言い放ったそうです。そのこと知った母親は子どもの発想力をつぶす教師と学校側に抗議し、とっととエジソンを退学させます。母がとった決断の結果、のちにエジソンは人類の生活を変える電球の実用化を果たしました。もちろん、みんながみんな偉人になるわけではありません。でも、こうした偉人のエピソードから親が学べることはあると思うのです。子どもを変えるのではなく、親が変わる。そうすれば、子どもは「この世に生まれてきて良かった。毎日が楽しい、幸せである」と感じます。親が子どもを産んだときに「この子が幸せな人生を歩んでいきますように」と願ったことは、親が子どもの立場に立ち、子ども自身の世界観を大切にすることでこそ、叶うのではないでしょうか。まとめ出典 : 親が定型発達であると、どうしても既成概念で物事を捉えがちです。「友達がいないことは可哀想だ。友達と一緒に遊ぶことが楽しいだろう」と考え、地面の虫や石ころとたわむれる一人遊びをする子どもを「そんなことしていないで皆のところへ行って遊びなさい」と連れ出します。部活を選ぶときも、みんなと協力しなくてはならないサッカーや野球をやらせたくなります。でも、子どものことを考えたら人と関わらないで済む個人プレイの体操、マラソン、テニス、卓球などをやらせた方が楽しめる子もいるはずです。我が子に対しては「こうあってほしい」と願いを託すのは親として自然な感情ですが、子どもを無理に変えようとしたら本人には無用な大きなストレスがかかります。もしかして…変わらなくてはならないのは親なのかもしれませんね。『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』
2017年07月28日特別支援学校高等部に入学した、自閉症の息子。その時間割を見てみると…出典 : こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。2000年に生まれた、知的遅れを伴う自閉症の息子は2016年4月7日に特別支援学校高等部に入学しました。息子が高等部入学したばかりのころ、私は時間割を見て驚きました。「あれ?数学、国語はこんなにちょびっとなの?」そこにあったのは、作業、作業の連続の時間割でした。Upload By 立石美津子特別支援学校高等部は正式には高校ではありません。就労するための職業訓練校的色彩が強いです。障害も重い子、軽い子がいます。それぞれの能力に合った就労先を見据えて、園芸班、紙工作班、清掃班、接客班、事務班などに分かれて訓練しています。仕事=つらい?息子が学校で習った内容は…出典 : ある日、息子が学校から持ち帰ったファイルを開いてみると、「仕事頑張ります」と書いてありました。社会に出るということも仕事の意味もわかっておらず、ただ担任に言われたことをそのまま写してているような気がしました。何だか切なくなりました。Upload By 立石美津子更にそのファイルには、仕事に関する穴埋め式の問題が入っていました。○のなかに回答を書くものです。問題:高等部を卒業したら?○○→○○をもらう→生活する息子が書いた答えには、「働く」「給料」の文字が入っていました。問題:お給料をもらうためには、仕事をしなくてはならない!仕事は遊びではないので○○仕事や嫌な仕事もある○○には「辛い」という文字が入っていました。Upload By 立石美津子息子の精神年齢は5歳くらいです。この穴埋め問題の意味をどれくらい理解しているのでしょうか。先生が模範解答として示したものを、そのまま書き写したんだと思います。確かに書いてあることは正しいことなのですが…。障害のある息子にとって、仕事はただつらいだけ?社会に出れば学校時代のような見守られる環境ではなく、厳しい面もあります。嫌でもしんどくてもやらなくてはならないことも多々起こります。でも…。「‟仕事は辛い“と最初にインプットしないでほしい。仕事が始まる前から‟苦しいもの”という先入観を持たせないほしい」と思いました。仕事をするのは給料のため、生活のためだけではありません。息子には卒業後、障害があってもやり甲斐や張りのある毎日、「こんな僕でも誰かの役に立っている」という充実感を持ちながら働いてほしい。そう感じました。「仕事は楽しい、だから頑張って技術を身に付けて仕事ができるように頑張ろう」そんな穴埋め問題だったら良かったのに…と母として思いました。働くことはゴールではない。むしろ、その先の人生のほうがもっと長い出典 : 特別支援学校高等部では、生徒達がきちんと就労できるよう、訓練することに必死です。でも、就労はゴールではありません。それから先も人生は続きます。むしろその先の方が学校生活よりもずっと長いのです。企業は法定雇用率に基づいて、障害者を雇うようになりました。2013年からは、従業員数が50人以上の会社は、雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が2%以上になるよう義務付けられています。このパーセンテージは、将来もっと上がると言われています。厚生労働省『平成25年4月1日から 障害者の法定雇用率が引き上げになります』企業は義務として障害者を雇いますが、企業の側に障害に対する理解が十分あるとは限りません。例えば“アスペルガー症候群”の人にはどのような特性があり、物事をどう捉える傾向があるのか、正しく把握している人が企業にどれだけいるでしょうか。このような状況だと、孤立し虐められ退職してしまう障害者も多くなるでしょう。一方で親御さんの中には、「どうか子どもが今日もクビになりませんように」と神棚に祈っている人もいます。そこには、わが子が将来一人で生きていくためには、職場になんとか雇用されていてほしいという切実な願いがあるのだと思います。そんな親の気持ちを知った子どもが、合わない職場でも嫌と言えず、働き続け、もがき苦しむという場合もあるかもしれません。就労できたからといって、その先の人生が保障されているわけではないのです。だからこそ、特別支援学校も「訓練して、就労させて、はいさようなら」とならないでほしいんです。卒業後のフォローはあると学校側からは聞いていますが、ずっと見ていてくれるわけではありません。障害のある子に対して、長期にわたり見守る制度が充実することを願っています。Upload By 立石美津子毎朝、慣れないネクタイの制服で悪戦苦闘している息子です。これも就労訓練の一貫なのかもしれません。そして、「ああ、どんどん年齢を重ねないで就労なんて考えないでずっと可愛い子どもでいてほしいなあ。」「毎日楽しい学校生活のようなことを一生経験できる場があったらいいなあ」なんて思ってしまうのでありました。Upload By 立石美津子『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』2016年、すばる舎
2017年03月19日特別支援学校に通う息子が、将来「働く」ということ出典 : こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。私には、知的な遅れを伴う自閉症の息子がいます。現在、特別支援学校高等部に通う1年生です。特別支援学校高等部のカリキュラムは、一般的な高等学校とは少し異なります。国語や数学と言った教科学習だけでなく、入学直後から3年後の就労に向けて必要な知識、技能、態度についての学習が中心になります。それに加えて、木工、農園芸、食品加工、ビルクリーニングなどの作業学習も行われます。今回は、障害のある子どもが「働く」とはどういうことなのか、働くことで得られる喜びとは何なのか考えてみました。知的な遅れがある自閉症の息子。その人生の先にあるものは出典 : お子さんが特別支援学校の高等部を卒業した先輩ママが、ある日こんなことを呟いていました。「18歳までは“学校”という障害があっても守られた環境のなかで、先生や友達と一緒に充実した毎日を送っていた。でも卒業後は朝から夕方まで作業所でナッツをビニール袋に詰める作業をしている。わが子はこれで幸せなんだろうか…?」「猛暑の中で、来る日も来る日も公園のトイレ清掃。わが子の人生は、これでよかったのだろうか…」この話を聞いた私は、息子が支援学校を卒業してから1日中、袋詰めの作業をしている姿を想像しました。そして…こんなこと言ってはいけないのかもしれませんが…「なんのためにこれまで一生懸命育ててきたんだろう」と悲しい気持ちになってしまいました。誕生したときの喜び、診断されたあとのショック、療育に必死に通った過去の日々が蘇り……。どんなに一生懸命学校に通わせたり、療育をして本人に出来ること増やしたとしても、その先にあるのは結局ひたすら単純作業をこなす人生なのかもしれない、そう考えてしまいました。授業参観で、ひたすら単純作業を行う息子を見て。浮かんでしまった正直な気持ちUpload By 立石美津子昨年の7月に、息子が通う高等部の授業見学に行きました。知的障害の度合いが重度の子は「園芸班」「ホームサービス班」「工芸班」「紙工芸班」に、中度・軽度の子は「事務班」「接客班」「清掃班」「食品加工班」「施設管理班」に分かれて、将来の就労に向けての訓練を受けていました。施設班のグループの生徒達は猛暑のなか、ほうきの毛束についたゴミをひたすらとる作業をしていました。これを“けがき”と呼ぶそうです。(私はそんな言葉があることを初めて知りました)接客班の生徒達はテーブルを囲んで輪になり、一人ずつテーブルを拭く練習をしていました。私語禁止のなか、左端から右端、上から下とロボットのようにテーブルを拭いている子は「よくできました」と先生に言われ、丸く拭いた子は「やり直しです」と注意されます。息子は事務班でしたが、ネクタイをしめながら、同じ紙を3時間大型カッターで切る訓練を受けていました。Upload By 立石美津子人として生まれ、 15 歳まで義務教育を受け、高等部で職業訓練を受けて…。社会からたくさんの恩恵をもらったぶん、息子も働いて社会に恩返しするのが望ましいのでしょう。また息子が将来自立するためにも、働くための技能を身につける必要があります。特別支援学校という設備の整った恵まれた環境で、息子に合った訓練を受けられることは幸せなことです。そういう意味で息子は充実した高校生活を送れていると思います。しかし頭でそれを分かってはいながらも、延々と同じ作業を続ける息子の姿を見ていたら涙が出てきました。「普通の子に産まれていたら、もっと楽しい変化のある充実した高校生活なんだろうな…」という気持ちが正直に、浮かんできました。他のママも「ちょっとショックだった」とこぼしていました。働く喜びは、息子自身が決めるものそれでも気を取り直して授業参観の日の夕方、帰宅した息子に「事務班でのお仕事の練習、すごーくがんばっていたね」と褒めてやりました。すると、「カッティング上手になったから綺麗に切れた」と嬉しそうに自信満々にこんなのを見せてくれました。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子そして、息子の様子を見て気がつきました。「そうだ。『こんな作業つまらないだろうな』『苦痛だろうな』 『こんな簡単な作業しかできないなんて不憫だ』なんて感じてしまうのは、健常者である私の奢った感情だったんだ」私がどう思っていようと、何も関係がないのです。息子さえ「この作業が楽しい」と感じていれば、それが息子の働く喜びなのです。公園清掃だって箱折り作業だって、工賃が1万円以下の仕事だって、それが本人の適性に合っていてやりがいを感じていれば、「それが最高の仕事なのだ」と思いました。仕事や職業に感じる価値ややりがいを決めるのは私ではなく、本人なのです。Upload By 立石美津子そんなことを考えながらも、心のどこかでは、「ああ、どんどん年齢を重ねないで欲しい。就労のことなんか考えないでいられたらなあ~。ずっとかわいい子どもでいて欲しいなあ」「温かい先生に見守られている学校のような居場所が、 18 歳以降もあったらいいなあ」と思うのでした。これって、親のエゴなんでしょうか?皆さんはどう思いますか?出典 :
2017年03月05日障“害”という表記につきまとうネガティブなイメージ出典 : こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。「障害児」という言葉を聞いたとき、みなさんはどんなイメージを浮かべますか?私にも、知的な遅れを伴う自閉症の息子がいますが、子どもを表す言葉として“害”という字が当てられると、やっぱりネガティブな印象を受けてしまいます。元々、「障害」という言葉は「障碍(障礙)」という漢字でした。しかし戦後の国語改革で「碍(礙)」という字が当用漢字に含まれなかったために、「障害」という表記が一般的になったという経緯があります。碍の本字は元は礙であり、大きな岩を前に人が思案し悩んでいる様を示します。つまり自分の意思が通じない困った状態。意思が通らない、妨げられているという意味だったのでマイナスイメージはそれ自体にはありませんでした。そのため「障害」の「害」という漢字の負のイメージに対する反対意見から、「碍」という漢字を常用漢字にしてほしいという声が当事者からもあがっています。現在は「障がい」という交ぜ書きの表記を採用している自治体も多いです。朝日新聞デジタル: 「障害者」か「障碍者」か 「碍(がい)」を常用漢字に追加求め意見, 2010年4月5日「障害」「障がい」「障碍」。それぞれの表記についていろいろな考え方がありますが、この議論に違和感を覚えます。なぜなら「障害」の「害」ではなく「障」の字も、ネガティブな意味を含んでいるからです。しょう【障】1. じゃまをする。じゃま。さしさわり。「障害/故障・罪障・支障・万障・魔障」2. 隔てさえぎるもの。「障子・障壁」3. 防ぐ。「保障」コトバンクよりこのような考えから、現在は“チャンレンジド”などまったく違う呼び方をしている団体もあります。運動会でも “障害物競争”の種目名をなくしている学校もあると聞いたことがあります。「自閉症」という名前がもたらしている誤解・弊害は?出典 : <span><a class="linkclass" href="">同じように、言葉のせいでネガティブな印象を与えてるものに「自閉症」があると思います。自閉症の「閉」には、「閉める」「閉ざす」という印象を受けますが、今もこのまま使われており、この障害名により随分と誤解が生まれています。自閉症がこれだけ認知されてきているのに、字面だけで判断して“自閉→自分の心を閉ざしている→鬱みたいなもん”と考えてしまう人たちもいるようです。「私は若い頃自閉症だった」とか「あいつは自閉症だから付き合いが悪い」なんて平気で言う人もいます。私もママ友から息子について「殻に閉じこもっているの?」「鬱病みたいなもの?」「治療すれば治るんでしょ?」「もっと愛情をたっぷりかけて育てたら?」という言葉をかけられたことが何度もありました。自閉症は後天的にかかってしまった病気でもなく、薬により治癒するわけでもなく、親の育て方が原因でもないのですが…自閉症の特徴として、興味関心が限定的であり、外界とのコミュニケーションが難しいことがあります。たとえよく喋っていたとしても相手の気持ちを推し量ることが困難ですので、察したり空気を読むことが苦手でトラブルになることがあります。相手の顔色や声のトーンをキャッチして共感しながら会話する意思疎通はなかなか出来ず、一方的な話し方になってしまうこともあります。そういった意味で“自分の世界にいる=自分だけの独特の空間にいる”という特徴を表しているのが「自閉症」という言葉であり、その言葉ゆえ誤解を生んでしまっているように感じます。言葉が変わると、社会の見方も変化する出典 : <span><a class="linkclass" href="">一方で、呼び方が変わったことで社会の見方が変化したものもあります。例えば、今は「看護婦」「保母」という呼び方はしません。「看護師」「保育士」となっています。職業に対して女性の仕事と決めつけないようにこの言葉が生まれました。実際、男性看護師や男性保育士も今はたくさんいますし、「看護や保育は女性の職業」という社会の偏見も少しずつ緩和されてきたように思います。他にも、「父兄会」という言葉。現在はあまり使われなくなってきました。「父母会」という呼び名に変わったり、両親ともに居ない子に配慮して「保護者会」と言われることも、全国の保育園、幼稚園、学校で増えてきているようです。最近では、シングルマザー・シングルファザーの家庭に配慮して、「父の日」「母の日」ではなく「父母の日」、両親ともおらず祖父母の元や児童養護施設で育っている子に配慮して「保護者の日」としている園もあります。出典 : <span><a class="linkclass" href="">同じように、学校での学級種別の呼び名にも少しずつ変化が生まれています。これまで、小学校では、障害のない子のクラスを「普通学級」、障害のある子のクラスを「支援学級」と呼んできました。また支援学級は、「なかよし学級」「わかば学級」といった風に、各学校でクラス名を決めていることも少なくありません。これも今では、「そもそも何が“普通”と言えるのか?障害のないことを"普通"と考えることはどうなのか?」という議論もあり、「通常学級」と「支援学級」という表記に変わりつつあります。他にも、特別な感じを与えないため通常学級を1組~4組とし、最後の番号、例えば5組を支援学級としているところもあるようです。こうした事例を考えると、呼び名を変えることに、人々の見方や意識を変えていく意味はあるのかもしれません。けれども、呼び名を変える"だけ"では、当事者の抱えている現状は変わらない出典 : <span><a class="linkclass" href="">上に挙げた事例を考えると、呼び名を変えることに、人々の見方や意識を変えていく意味はあるのかもしれません。ですが、いくら呼び方や言葉が変わったとしても、それだけでは当事者が直面している状況は変わりません。いくら「保護者の日」と呼んだところで、親がいない子どもたちにとってその現実が変わることはありません。子どもたちは、「うちにはママがいない」「うちにはパパがいない。ママ一人で僕を育ててくれている」とちゃんと分かっています。同じように、「障害」であろうが「障碍」であろうが、その人が何らかの「障害に直面している」という現状も変わりはないのです。それはこの世の中は大多数の定型発達の人が生きやすいようになっているからです。例えば、合理的配慮が義務化された現在でも、まだまだ学習障害児の子どもも黒板の文字を読み、それを書きとることをさせられている現場は多いのではないでしょうか。音声ソフトやタブレットを使うことなど浸透はまだまだしていません。出典 : <span><a class="linkclass" href="">いつの時代も障害者は、社会から見て“障害がある”のではなく、理解や配慮のない社会で生きて行く上で“障害に直面している人達”です。言葉だけをいじって「ハイ、完了!」としないで、「殻に閉じこもっている人」「心の病」「愛情不足」「治療すれば治る」「人づきあいが悪い人」などの間違った認識がなくなり、それぞれに配慮し、みんなが生きやすい社会になればよいのではないでしょうか。皆さんはどう思いますか?立石美津子/著『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』2016年/すばる舎/刊Upload By 立石美津子
2017年01月29日「障害児と健常児を比べるのはナンセンス」そう言っていた私自身が…こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。私の息子は知的障害を伴う自閉症です。2歳で診断を受けてから月日はあっという間に経ち、もう16歳になりました。診断された直後の私は、「息子が自閉症である」という事実を受け止めきれず、必死に治療法や教育法を探したり、周りと比べて落ち込んだり焦ったりしていましたが、その後は障害を受け容れ、「息子は息子のペースで育っていくのだ」と考えられるようになりました。そんな私は、障害のある子どもを持って悩む保護者たちに向けて、「障害のあるわが子と他の子と比べるのは、百害あって一利なし」などと、子育て本やコラムで「比べる病」に対する警鐘を鳴らすようになりました。けれども、そうやって偉そうに書いている私自身の「比べる病」が未だに完治していなかった……そんな事実を痛感させられた出来事がありました。子連れのハロウィーンパーティ、ちびっ子たちに混ざって16歳のわが子が出典 : <span><a class="linkclass" href="">先日、地域のハロウィンパーティに出かけた日のことです。パーティーは「子連れOK」だと聞いていたので、息子を連れて行きました。でも、16歳なんて年齢の大きい子は我が家だけ。周りはみーんな未就学のちびっこ達でした。そりゃそうです。健常の高校生なら、部活をやったり、恋人がいたり、友達同士で集まって遊んだりする年齢です。“親と一緒にハロウィンパーティーに行く”なんてことはないでしょう。でも、うちの子の精神年齢は、実年齢とは大きくかけ離れていて、巷の高校生と同じように青春を謳歌することができません。親しい友達もいません。だから、今でもこういう場に連れていくようにしていました。当日早めに会場に着いたので、待ち時間の間、私のスマホを渡して遊ばせたところ(※息子は携帯を持っていません)いつものように大好きな“トイレの動画”を見始めました。Upload By 立石美津子自閉症の子は限定された物事に対して強い執着を示すことが多いですが、息子の場合は、そのこだわりが「トイレ」に対して出ています。水を流す音を聞いただけでトイレのメーカーや種類が分かるほどですが、一度動画を見出すとのめり込んで止められなくなります。Upload By 立石美津子ハロウィンパーティーがスタートしましたが、相変わらず息子はトイレの動画を見続けていました。「このままスマホを見ることを許してしまうと、場の雰囲気を壊してしまう」そう考えた私は息子からスマホを取り上げました。しかし!ここでスイッチが入ってしまったのです。息子は涙を流してパニックを起こし、それがどんどん酷くなっていきました。「みんなが楽しんでいるのにまずいぞ」と思った私は、外の空気を吸いに連れ出したり、説得したりしましたが、息子のパニックは一向に収まりませんでした。完治したと思っていたのに…「比べる病」が再発出典 : <span><a class="linkclass" href="">ハロウィンパーティーに参加している3~5歳の子ども達は、席に座って楽しそうに食事を食べ、食べ終わると初対面の子ども同士で仲良く交流しています。それに比べて息子は……泣いて怒って、しまいには「死んでやる!」「電車に飛びこむ!」なんて叫びだす始末。息子は不安定になったとき、自分の身体を傷つける自傷行為も出るのですが、それだけでなく、「学校辞めてやる」「放課後ディを退会する」「ご飯をもう二度と食べない」「癌になる」「入院する」などと自分に向けて暴言を吐き、言葉でも自傷に走ってしまいます。息子をなだめながら、叫び声が周りに聞こえやしないかとヒヤヒヤしていた私の中に、黒い気持ちが広がってゆきました。「周りの小さい子でもお行儀よく座っていられるのに、どうしてうちの子は…」「比べる病」の再発です。16歳の自閉症の息子と、うんと歳の離れた小さい子を比べるなんて、ナンセンスだと頭ではわかってはいるのですが、凄く情けなく、悲しい気持ちになりました。この病はいつまで続く?息子を「情けない子だ」と思った私の心思い返せば私の「比べる病」が最も重症だったのは、息子が2歳で自閉症だと診断された直後の時期。健常児の姿を見ることが、私の最大のストレスでした。息子を保育園に迎えに行くと、他の親は保育士から「今日も一日楽しく過ごしていました」と言われているのに、私は担任から「今日も一日、保育室に入れず朝からずっと玄関にいます」と報告を受けます。「私が仕事であちらこちら訪問し、昼にはランチし、変化のある充実した時間を過ごしているのに、息子は朝からずっとこの状態なんだ」と思うと胸が締め付けられました。いつしか健常児とその家族に対する「羨ましい」という気持ちは、「妬ましい」→「憎らしい」と加速していき、異常な心理状態に陥っていきました。ついに私は鬱になり、外出するのも嫌になって家に引きこもるように。出典 : <span><a class="linkclass" href="">でも、そんな私もだんだんとわが子の特性を受け入れ、周りと比較することはなくなっていきました。だから「卒業できた」と思っていたのです。それなのに、息子が16歳になってもなお、“比べる病”は消えてはいませんでした。息子と周りの子を比べることは、ミスユニバースに選ばれる人と自分の体型を比べるようなもの。大富豪と自分の生活を比べるようなもの。バカげたことなのに、そんなことわかっているのですが……いつもは偉そうに子育てコラムなど書いている私ですが、この日は自己嫌悪に陥り、悲しい気持ちでいっぱいになりました。最後に主催者の方が息子に「今日は来てくれて本当にありがとう」と言ってくださいました。これに少し救われて帰路につきました。息子はすっかり疲れてしまいその夜はすぐに寝てしまいました。ハロウィンパーティーで、あなたのことを「情けない子だ」と思ったお母さんを、どうか許してほしいです。でも、でも……一体、いつ治るのかな?この病……皆さんの比べる病は完治していますか?出典 :
2016年12月03日女優の立石晴香が、フジテレビ系ドラマ『Chef~三ツ星の給食~』(毎週木曜22:00~22:54)に出演することになり、雑誌「ニコラ」時代の友人で同ドラマレギュラーの川口春奈との2ショット写真が16日、アメブロで公開された。立石は、川口の同級生役で出演。「ニコラ」の表紙を一緒に飾ったこともある2人は、"はるハル"と呼ばれており、ファンからは「はるハルだぁ~ うれしすぎる」「2人ともおとなっぽくなりましたね」「うれしすぎる~!2人ともホント可愛い」「ふたりとも美しすぎます!」といった反響が寄せられている。「ニコラ」卒業以来、約5年ぶりとなる共演に、川口は「久しぶりに会えて嬉しかったです。お互い『大人になったね!』とお話していました。ニコラファンの方にも是非見て欲しいです!」と呼びかけ。立石も「当日は昔と変わらずほんと数日前まで一緒に撮影してたみたいに自然な空気感で撮影できたのが印象深くて、改めてこういう存在がいることを幸せに感じました」と喜んでいる。このドラマは、主演の天海祐希演じる三つ星レストランの天才女性シェフ・星野光子が、店のオーナー(小泉孝太郎)とトラブルでクビになってしまったことから、多くの壁にぶつかりながら学校給食作りに挑む姿を描くストーリー。立石は、17日放送の第6話に登場する。
2016年11月16日まずは、名物の特製ハイボール&煮込みで乾杯「江戸っ子といえばまずはコレ!」とお客さんたちが口を揃えるのが特製ハイボール(350円)と煮込み(360円)。特製ハイボールは秘密のレシピで作られた、他では味わえないオリジナル。一度飲んだら、この味に惹かれて常連になる人続出です。レモンサワーのように爽やかな口当たりなので、最初の1杯におすすめ。煮込みはやわらかいモツとお豆腐が体に染み入るおいしさで、汁まで飲み干したくなる1品です。メニューはどれもリーズナブルでボリュームたっぷり。モツ焼きは一皿になんと4串も!おすすめは「カシラ」や、脂肪分が少ない「テッポー」(各360円)など。複数の部位の盛り合わせもOKです。塩か複数のタレを選べて、食べる順番にちょっとしたお店のルールがあります。まずはお店の人に聞いてからいただきましょう。16時〜21時閉店、サッと食べて飲むのが基本ほかにも焼き鳥(400円)や、歯ごたえがあり人気の「ガツの刺身」など、おつまみにピッタリの1品(200円~)や季節限定のメニューまで種類豊富です。ここは16時開店、21時閉店と全体的に早め。「サッと食べて飲む」のが基本です。モツを堪能した後に、もう一軒ハシゴ酒もよさそう。全メニューお持ち帰りもできるので、おなかいっぱいで入らなくなったらぜひお土産に。初心者向け度★★☆フレンドリー度★★★センベロ度★★★スポット情報スポット名:立石横丁 江戸っ子住所:東京都葛飾区立石7-1-9電話番号:03-3694-9593
2016年10月03日